約 1,721,364 件
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/193.html
その頃、フィアは艦内の通路にいた。 まだ“鈴谷(すずや)”が輸送艦の指定を受けていた時分は、その辺が休憩スペースだった頃の名残で、通路の一区画だけが広くなっており、採光のため大きくとられた窓からは夜の帳が降りるアフリカの雄大な景色が楽しめる。 フィアが艦内をうろついている最中に見つけたお気に入りの場所だ。 ―――狭い部屋は嫌いなの。 ―――何故? ―――だって ―――だって? ―――牢屋みたいじゃない。 ―――牢屋?だって、君はもう…… ―――あんなちっちゃい窓しかないなんて、牢屋じゃない。 ―――船の窓は、みんなあんなものなんだよ。 ―――そ、そうなの? 最初に入れられた鉄格子入りの部屋から移された最初の日。 ここを見つけて、窓から見える世界に見入っていたフィアに声をかけたのは、探しに来た染谷だった。 ―――あんな狭い窓から世界を見ていたら、本当の世界まで狭くなるわよ? ―――それは違うよ。 と、彼は言った。 ―――世界を狭くするんじゃない。 ―――この広い世界で迷わないように、わざと狭くするんだ。 ―――目標になる部分だけに絞って、わき目もふらず。 彼は、自分の両手を顔の両側に添えて見せた。 ―――そうすれば、どんな広い世界でも迷わない。 ―――目指す場所だけ見えているから。 バカみたい。 そう思った。 そこが目標だなんて、誰が決めたの? だから、私は言ってやったんだ。 ―――あなたの目標って、何? ―――なんだろうね。 彼は苦笑しながらそう答えた。 その屈託のない笑顔が、私に言わせたんだ。 ―――私、なってあげようか? ―――えっ? ―――あなたの目標に。 私は言ったんだ。 ―――私だけを見なさい。 彼に、言ったんだ。 ―――私があなたの目標。この広い世界でどんなに迷っても、帰ってこれる母なる港、あなたのしとね。それが私よ?覚えていてね? そこまで思い出して、フィアは顔に血が上るのがわかった。 今更ながら、何という大胆なことを言ったんだろう。 恥ずかしくてたまらない。 今日のキスだって、本当に瞬が心配だっから、脇目も振らずにその胸に飛び込んだんだ。 だけど―――だけど!! 「―――っっ!!」 フィアは顔を押さえてその場にうずくまってしまった。 私はなんて言う大胆な女の子なんだろう! いくらライバルのあのブスから瞬を引きはがすためだとはいえ、瞬にしてきたことだけ思い出せば、まるで恥知らずの娼婦じゃない! 違う! 娼婦以下の恥知らずな痴女だ! 今のところ、瞬は私を受け入れてくれているけど、一体、駿は私をどんな女の子だと思っているんだろう! 心配だ! 心配すぎるっ! 「―――おい」 突然、背後からかけられた言葉に、フィアは飛び上がって驚いた。 自分がどんな悲鳴を上げたかさえ定かではなかった。 「……楽しいな」 美夜だった。 「あ……こ、こんばんわ」 窓に張り付いて挨拶するフィアに、美夜はちょっと微笑んで小さく会釈した。 「何だ。最初の頃にはずいぶん警戒されていると思ったが」 「だっ……だって」 フィアはぷぅっと頬をふくらませ、そっぽをむいた。 「こ、怖かったし……何もわかんなかったし……」 「そうか」 隣、いいか? そう断って、美夜はフィアの横に立つと、無言で船窓から夜景を眺めていた。 艦内放送が始まったのは、その時だ。 飛行艦の単調な時間の推移の中ではストレスも貯まる。 だから、食後のこの時間に、艦内に音楽を流すことにしている。 美夜が艦長になる前からの伝統だ。 静かなピアノの調べと、艶めかしくさえある歌手の歌声を、フィアと美夜はただ黙って聞いていた。 「……あの」 フィアも、相手がこの船で一番偉い人物だと知っている。 「今の、なんて歌ですか?」 「―――ああ」 美夜はちょっと笑って言った。 「Fly me to the moon―――私を月へ連れてって」 「……」 フィアは不意に歌い出した。 「Fly me to the moon 私を月へ連れてって Let me sing among those stars 星達の間で歌わせて Let me see what spring is like On Jupiter and Mars 木星や火星の春を私に見せて」 「……ほう?」 美夜はかなり驚いた。という顔でフィアを見た。 「きれいな歌声だな」 「ありがとうございます」 「……」 「……」 「……?」 「……続きは?」 「……ああ」 続きの歌詞を思い出し、フィアは小さく笑った。 「この続きは」 「続きは?」 「駿のベッドで」 「……は?」 「生きて帰ってきたご褒美にとっておきます」 「……そうか」 美夜は苦笑しながら頷いた。 「あの甲斐性なしのどこがいいのかわからないが」 「ムッ―――瞬は!」 フィアが言いかけた瞬間。 ドンッ!! 爆発音がして、艦が激しく揺れた。 艦内の照明が消え、赤い予備電源がともる。 「きゃっ!?」 宙に浮いたフィアを抱きかかえた美夜は、腰の艦内通信装置を手にした。 「平野だ!何の騒ぎだ!?」 「敵襲ですっ!」 副長の高木が艦橋で美夜に答えた。 「敵メサイア数4、本艦に向けて接近中!―――はいっ!」 美夜の指示を受け、高木は怒鳴った。 「FGF(フリー・グラビティ・フィールド)、即時全周囲展開!“伊吹”機関部の出力は全てそっちへ回せっ!」 バンッ! 機関部を狙った一撃が、空中で消えた。 「ほう?」 エーランドはその光景を前に顔を楽しげに緩めた。 「重力防御か!」 部下の騎も艦橋や船体めがけて砲撃を続けているが、全て艦に届く前に無力化されている。 「全騎、攻撃を対重力防御壁用弾頭へ切り替えろ!」 「何とか逃げられそうか?」 フィアに部屋へ戻るよう命じた後、美夜はすぐに艦橋に入った。 「FGFで防御だけは出来ていますが」 高木は顔をしかめたままだ。 「こっちからも反撃出来ません」 「―――やむを得ないな」 いわば魔力によって展開された楯であるFGFは、魔法だろうが実体弾だろうが全て防御出来る万能の楯だ。 しかし、万能過ぎて身内の攻撃までを無力化してしまう。 FGFを展開している間は、敵も味方も何も出来ることといえば、お祈りする位だ。 「最大戦速発揮、ジブチのEU軍に救援信号を出せ」 「し、しかし!」 「元々、ジブチ上空でも十分支援出来る算段だったんだ。それに、万一の際はジブチに戻ることは、染谷達も知っていることだろう?」 美夜はインターフォンをとると言った。 「艦長より整備!メサイアは出せないのか!?」 「そいつは無理だ!」 インターフォンに怒鳴りかえしたのは坂城だ。 その背後では装甲を外され、フレームが丸見えになった二騎のメサイアが並んでいた。 「完成まで、あと120時間はかかるぞ!文句ならぶっ壊した奴らに言ってくんな!山科のを!?それならさっさと言ってくれ!早く終わるぞ?コクピット調整に6時間だ!沈むのが早いか、コクピット調整が終わるか?そんなこと、俺が知るか!」 艦が激しく揺れた。 「周囲の雑音にかまうな!野郎共っ!さっさと仕事続けろっ!」 「―――きゃっ!?」 通路に押し出されるようにして、ハンガーデッキに飛び出してきたのはフィアだった。 誰もが自らの任務に集中して、フィアに構っている余裕なんてどこにもない。 「あ……あれ?」 フィアは、自分が道を間違えたことを知った。 ここは知っている。 あのメサイアとかいう兵器の格納庫だ。 2騎のメサイアがあちこちから火花をあげながら整備を受けている。 でも――― フィアは床を蹴ると、宙を舞った。 「どうして!」 その2騎とは別に、さらに奥で1騎がほったらかしになっている。 フィアはその騎の側で整備兵を捕まえた。 「どうしてこの騎は動かないの!?」 「しかたないんだよ!」 突然の闖入者に驚きながらも、若い整備兵は言った。 「操縦システムが故障していて、下半身が動かないんだ!」 「何よそんなの!」 フィアは、そのメサイア―――“幻龍改(げんりゅうかい)”を睨み付けた。 無言で立つ“幻龍改(げんりゅうかい)”は、フィアに何も答えない。 整備兵に手を引かれ、フィアは再び床に降り立った。 「嬢ちゃん!」 その整備兵はフィアに言った。 「ここ、危ないから!安全な場所へって……お、おいっ!」 その整備兵の前で、フィアは再び床を蹴ると、“幻龍改(げんりゅうかい)”の方へと流れていった。 「整備班長っ!」
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2620.html
http //www.nids.go.jp/dissemination/kiyo/pdf/bulletin_j4-3_4.pdf 『防衛研究所紀要』第4巻第3号(2002 年2月)100 ~ 119 頁。 戦後日本における歴史認識―太平洋戦争を中心として―(2) 庄 司 潤一郎 →http //www.nids.go.jp/profile/senshi/02-syouji.html 戦後日本における歴史認識―太平洋戦争を中心として―(1) 戦後日本における歴史認識―太平洋戦争を中心として―(2)5 日本人の歴史認識の特徴-複雑な意識の背景- おわりに 5 日本人の歴史認識の特徴-複雑な意識の背景- 日本人の太平洋戦争に関する歴史認識において、ドイツ人と比較した場合、被害者意識に比べ加害者意識が稀薄であるとしばしば指摘されるところであり、その点のみを批判するのは容易である。しかし、そうした複雑な意識の要因・背景を考察することによって、その日本人の歴史認識の全体像を理解することができるであろうことは想像に難くない。そこで、本節では、その点について分析を行なう。 第一に指摘できるのは、太平洋戦争の多面性48 である。先ず、対米戦に関しては、真珠湾攻撃という日本の奇襲攻撃により始まった戦争であるにもかかわらず、原爆投下、大空襲、さらにはペリー以来の特殊な対米観の影響もあり、戦争原因は両者にあるとの認識とともに、被害者意識が顕著である。ソ連との戦争では、日ソ中立条約を一方的に破棄した侵攻、満州での悲惨な体験、そしてシベリア抑留と、一時期の日本人の社会主義への幻想もあり明確な非難の形はとらないものの、被害の側面が意識されがちである。 ついでアジアにおける戦争であるが、中国との戦争は、戦争原因はともかく、南京事件をはじめとする日本軍による「残虐行為」のイメージが強い。東南アジアにおける戦争は、イギリス、オランダといった宗主国を相手に戦った戦争であり、現地住民を敵としたものではなかったが、その過程において強制労働など華僑を中心に住民に被害を与えた点は否定し得ない。一方、これら地域が戦後独立した結果から、「アジア解放」の戦いであったと見做す日本人も少なからず存在していると言えよう。又、朝鮮と台湾に対する植民地統治の問題が存在するが、これは直接太平洋戦争とは関係がなく、むしろ帝国主義時代を世界史のなかにいかに位置付けるかの問題である。もちろん太平洋戦争期におけるいわゆる「強制連行」の問題も存在するが、太平洋戦争と植民地支配は一応峻別して考えるべきであろう。 このようにドイツと比較した場合、戦争局面は多様であり、それ故、「被害」と「加害」が重層的に混在しており、他方個人による戦争体験の相違の原因ともなっている。 又、戦争の意味合いも、日中戦争という同じアジア人同志の戦争、アジアを戦場とする欧米諸国との「人種戦争」49 、さらにはソ連との「イデオロギー戦争」など様々な解釈が可能であ 48 多面性理解の重要性については、伊藤憲一も指摘している。「戦争責任 真の歴史的事実を語れ」『産経新聞』1993 年8 月11 日付。 49 太平洋戦争の人種的側面を描写したものに、ジョン・ダワー・斎藤元一訳『人種偏見』TBS ブリタニカ、1987 年。 114 る50 。こうした文脈においてこそ、知識人をはじめとする多くの日本人が、12月8日の真珠湾攻撃を、重苦しい日中戦争からの脱却を可能にするものとして、感銘をもって迎えた現象を理解し得るのであろう51。竹内好は、日本の戦争は侵略戦争と同時に対帝国主義戦争といった二重性を有しており、後者については日本だけが一方的に責任を負う必要はないと指摘していた52。 したがって、戦争原因についても、日本の侵略から、「自存自衛」、アジア解放まで様々であり、世論調査においても、「太平洋戦争は侵略戦争であった」=52パーセント、「資源の少ない貧しい日本が他国に軍事進出したのは、生きるため止むを得なかった」= 45 パーセント、「太平洋戦争において日米双方に責任がある」= 56 パーセントというように、一見相反する複雑な結果を示しているのである53 。 第二に、主体的選択の有無である。ドイツにおけるナチスと比較した場合、当時の国民が積極的に政策決定に賛同・支援していたか否かは、明確ではない。戦時下という特殊な情勢のなかで、単に追随していかざるを得なかった多くの国民が存在したことも否定できないであろう。こうした事情が、原爆、空襲などの被害意識と相俟って、加害意識を持ち難くしているのも自然ではないだろうか。原爆が被害意識も含む日本人の戦争観に多大な影響を与えている点は、ドイツ人も指摘しているところである54 。 第三に、第二点との関係で、ナチスにあたる組織がなかったがゆえに、戦前・戦中における負の側面の責任、換言すれば「戦争責任」の大半を旧日本軍、特に陸軍が一手に背負わざるを得なかったことも指摘しておかなくてはならない。ナチスのような私的な一政治組織であれば、国民と分離して、それを断罪・糾弾することは比較的容易であるが、徴兵制に立脚した軍隊の場合、問題は特定の軍隊組織にのみ留まらず、国民的広がりを持つことになる。遺族会をはじめ種々の団体が、「侵略」と見なすことに抵抗する所以は、まさにここに存在するのであろう。 戦後の靖国神社、さらには国内外における自衛隊の認知をめぐる問題も、この点に起因している。 近年、国防軍による直接的なホロコースト関与が明らかとなったドイツにおいては、これまでナチスに全面的に責を帰し、「全体の罪否定論」の立場から「無垢な国防軍」としての神話が 50 戦争形態の諸類型については、丸谷才一・坂本多加雄・半藤一利「『大東亜/ 太平洋戦争』論の類型学」『東京人』112 号(1997 年1 月)89 ~ 102 頁。 51 文化人の反応については、櫻本富雄『戦争はラジオにのって』マルジュ社、1985 年。 52 竹内好「戦争責任について」『現代の発見-戦争責任』春秋社、1960 年、13 頁。 53 門田允宏「戦後50 年・日本とアジア」『放送研究と調査』45 巻4 号(1995 年4 月)、25 頁、秋山登代子「日本人の平和観」『NHK 放送研究と調査』33巻4 号(1983 年4月)、11頁、辻知広・秋山登代子「日米開戦から50 年」『同前』42 巻2 号(1992 年2 月)、14 頁。 54 ヴァイツゼッカー元大統領の指摘。中日新聞社編・永井清彦訳『ヴァイツゼッカー日本講演録 歴史に目を閉ざすな』岩波書店、1996 年、65 ~ 66 頁。 115 成立していただけに、大きな論争を呼び未だに決着はしていないのである55 。ドイツも戦後半世紀以上たって、漸く日本と同様の難問に直面したと言えよう。 第四に、近世末まで続いていた、華夷秩序に象徴される東アジア特有の文化的階層の問題である。その後19 世紀後半以降は、日本が最も近代化に成功することにより、従来の関係が全く逆転するにいたる。こうした歴史的変遷に由来する、日本と中国、韓国といった近隣諸国との間に、劣等感と優越感との複雑な関係が生ずることになり、その微妙な関係は、人種的同質性ゆえ、より促進されることになったのである56 。植民地支配をめぐる日韓関係に、特に端的に表れており、創氏改名・神社参拝といった「皇民化政策」に象徴される、欧米とは異なった独自の植民地統治を日本が行ない、一方朝鮮においては絶えざる独立運動が展開され、現在にいたるもその「怨念」が容易に解消しない所以も、この文脈で理解することが可能であろう。 加えて、近代以降にあって、中国及び韓国にとっては日本が対外関係の主な対象国であり、したがって「抗日戦争」、「日帝36 年」という言い方がなされるが、一方、日本にとっては欧米諸国、ソ連などを含めた国際関係のひとつに過ぎず、相互関係に対する重点のギャップが存在しており、歴史認識における相克を生む背景となっている。例えば、中国は日清戦争以降終戦までの50 年を重視し、日本は幕末・明治維新以降150年のなかで歴史解釈を行なうといった点である57 。 一方、日本人の中国観に関しては、歴史認識同様変化が見られる点も指摘しなければならない。従来は、広大な大地、悠久の中国文明への憧れ、「同文同種」の意識、戦後日本において広く見られた社会主義への傾倒、そして日中戦争に対する贖罪意識、にもかかわらず大目に見ている中国の寛容さへの敬服(80年代前半まで)といった感情によって、中国観が規定されていた点は否定できないが、近年中国に対するタブーが徐々にではあるが払拭されつつあり、中国人及び中国史に関する、「蔑視」とは質の異なる辛辣な評論も目立つようになっている58 。しかし、軍拡などの軍事や、チベットに象徴される人権問題に関しては、一部脱しつつあるもののタブーは厳然として残っている。 第五に、日本人特有の戦争・平和観がある。同じ敗戦国であるドイツと比較した場合、日本人の「反戦・平和」への思い入れは絶対的なものであり、猪木正道は、「国際的視野を欠いた独 55 庄司潤一郎「統一ドイツにおける『過去』の展示と歴史認識」『防衛研究所紀要』第3 巻第2 号(2000年11 月)50 ~ 59 頁。 56 田中正俊「アジア研究における感性と論理」遠山茂樹他編『歴史像再構成の課題-歴史学の方法とアジア-』御茶ノ水書房、1966 年、268 ~ 269 頁。 57 山田辰雄編『日中関係の150 年』東方書店、1994 年、2 ~ 3 頁。山田は、日中関係を「相互依存・競存・敵対」の側面から、多面的に見る必要性も説いている。 58 例えば、歴史・文化分野では中嶋嶺雄、渡部昇一、岡田英弘、古森義久、黄文雄、軍事分野では平松茂雄などの著作に代表される。中嶋、柴田穂などは、文化大革命の頃より批判を行っていた。 116 善的な空想的平和主義」59と批判するが、一方、日本の平和主義は、ドイツ人に比べ日本人の方が、戦争責任と深刻に格闘している証であるとの意見もある。確かに、広島、長崎に対する人類初の原爆投下という特殊事情は存在するものの、こうした観念が戦後半世紀以上依然として影響力を持っているのは、日本固有の現象であろう。 いずれにせよ、そうした観念を生み出した要因として、真の意味での戦争体験の欠如が指摘されている。例えば、村上兵衛は、「日本人は真に戦争を体験しなかったし、戦後戦争を直視することを忌避してきたため、『被害者の立場・加害者の立場』などコトバの遊戯に耽った」60 と指摘している。又、坂本多加雄は、「今日の日本ほど戦争について真剣に考える条件に恵まれていない国はなく、そのため戦争をめぐる安易で怠惰な思考と、しかもそのことを道徳的だと自認している倫理的安直さが広く見られる」61 と批判していたのである。 確かに、一般の日本人にとっては、沖縄を除けば戦場が外国であり、満州など一部を例外として、実際の戦場での体験は皆無と言ってよい。したがって、世論調査などでも、「苦い戦争体験」といった場合、食糧難や空襲がその実例である62 。 国土が戦場として焦土となり、敗戦によって惨めな境遇を強いられ、東方地域など枢要な領土を失い「追放」を体験したドイツ人が、「解放」と同時に「敗北」を実感するのに対して、日本人の意識にあるのは「終戦」であり、ある意味で「敗けて良かった」と感ずる人も少なくない。戦後の冷戦時代においても、ドイツ人は常に核をはじめとする戦争の危機に直面していたのに比較して、日本人の危機感は一部政治スローガンとして喧伝された程のものではなかった。 と同時に、日本人には、ドイツ人と比較した場合、「戦争」と「虐殺」を混同して「戦争」全般を忌避する感情が濃厚である。ドイツは、両者を明確に峻別したうえで、「戦争」そのものは否定していない。それ故に、ヒトラーの再来を許してはならないとの「過去の反省」から、ミロシェヴィッチの虐殺を抑止するために、戦後初めてNATO域外に、連邦軍の実戦部隊を派遣したのである。彼らにとって、「新たな平和の構築」、「第二のホロコーストの抑止」が、「反戦」を凌駕しており、「過去の反省」の文脈においても何ら矛盾は存在しないのである。 日独両国の戦争観を比較した『戦争の記憶』で脚光を浴びたオランダ人ジャーナリストのイアン・ブルマは、日本人の戦争観の特殊性を指摘し、「戦後の日本は、ドイツと異なり国防に関して『ノーマル』な国ではなかったが、『ノーマル』になることによって初めて、ドイツのように過去を討論できる国になる」と戦争観と歴史認識との関係に言及していたのである63 。 59 猪木正道『軍国日本の興亡-日清戦争から日中戦争へ-』中公新書、1995 年、まえがき。 60 村上兵衛『国家なき日本-戦争と平和の検証』サイマル出版会、1996 年、191 ~ 200 頁。 61 坂本多加雄「戦後50年 問われる日本人の歴史感覚」『中央公論』1995 年9 月、64 ~ 65 頁。 62 秋山登代子・謝名元慶福「戦後40年をふりかえる」『NHK 放送研究と調査』35 巻12 号(1985 年12 月)、2 ~ 3 頁。 63 イアン・ブルマ・石井進平訳『戦争の記憶-日本人とドイツ人』TBSブリタニカ、1994年、388~390頁。 117 おわりに 終戦直後の太平洋戦争に関する議論は「戦争責任」と不可分であり、「東京裁判史観」やマルクス主義などイデオロギー解釈が盛んであった。一方、このような見方に対して「昭和史論争」が行われ、さらにその反動として「大東亜戦争肯定論」まで現れた。その後マルクス主義から派生した「加害者責任」の検証・追及とともに、他方では脱イデオロギーの実証的な研究が新たに進展していったが、歴史認識をめぐる議論は回避され研究の分極化・細分化を促進していったのである。 一方、政治の場においても、太平洋戦争の解釈に正面から取り組むことを避けてきたため、「不戦決議」、戦後補償、教科書問題などの議論が起るたびに政治問題化するにいたった。外交上では特に近隣諸国の厳しい批判を浴び、閣僚が「失言」により辞任するといった状況が続いている。 しかし、冷戦崩壊後、状況は大きく変わりつつある。日本では、社会主義の崩壊を受けて、「従軍慰安婦」をはじめとする日本による「残虐行為」の究明・糾弾がやや過剰になされたため、近年戦後初めてといっても過言ではない国民的な広がりをもった反発が運動となって展開されている。しかし、「素人」が主体となっていることもあり、極端な議論も散見され、それが近隣諸国をより刺激する結果を招いている。特に、昭和57 年の「教科書事件」以降、日本における歴史認識問題は、近隣諸国との外交・友好関係とリンクすることになり、より複雑さを増しつつある。すなわち、日本、中国、そして朝鮮半島の北東アジア地域における歴史認識をめぐる諸問題は、各国における「不透明なアイデンティティー」と「健全でないナショナリズム」に起因し、相互に悪循環を起こしているというのである64 。 一方、歴史認識問題が「政治化」し易く、憲法、防衛問題、平和運動などと不可分となっていることが、歴史解釈についての冷静な議論を阻害する要因となるとともに、議論の両極化を誘発している。その象徴が、「不戦決議」であり、昨今の歴史教科書をめぐる論争である。最近の新しい歴史教科書をめぐる議論も、多くの国民が関心を有してはいるものの、「昭和史論争」で提起された問題が十分議論されることなく未解決のまま残されており、「なぜか知的興味にかきたてられるところもないし、何より冷戦時代の色あせたイデオロギー対立のぶり返し」に終始しているとの指摘もある65 。 いずれにしても、以上のような日本人の歴史認識の背景には、イデオロギー、及び地理的・ 64 Charles Hill,“Fighting Stories:The Political Culture of Memory in Northeast Asian Relations,” Remembering and Forgetting The Legacy of War and Peace in East Asia, Gerrit W. Gong,eds(. Washington,DC:The Center for Strategic and International Studies,1996),pp.1-18. 65 横田洋一「積み残された『昭和史論争』」『THIS IS 読売』1997 年3 月、71 頁。 118 歴史的要因に起因する戦争体験とそれに規定された特殊な戦争観が存在していることは否定できない。この点が同じ敗戦国であるドイツと異なるところでもある。前述したブルマは、「日本では憲法解釈をはじめイデオロギーが分裂しており、それが歴史解釈にまで影響を与え、歴史の仮面を被った国内政治論争となり、合理的な歴史論争にならない」66 と指摘しているのである。 近年の動向の背景として、冷戦下封印されていた日本の戦争責任をめぐる問題が漸く表面化したとの議論もあるが67、むしろ「歴史」を舞台に日本そして東アジアでは今も「冷戦」が続いていると見るべきであろう。冷戦時代は、政治、経済政策や防衛問題を軸にイデオロギー対立がなされたが、社会主義崩壊以降歴史を軸に展開されているのである。 一方、「自虐史観」をめぐる議論も、林健太郎が指摘するように、「事実相違のことは否定しなければならないが、自己の誤りを認めることを『自虐』などと言って拒否するのは『自卑』、すなわち自己を卑しめかえって自己を傷つけるもの」68 であろう。 しかし、それが行き過ぎた場合は別であるとの見解もある。例えば渡辺利夫は、「自民族の歴史を悪しざまに論評してしたり顔の評論家や学者があとを絶たない。他方、栄光の歴史は引き受けるが、汚辱の過去はこれを抹消したいという幼稚な心理。他者の目に自分の行動がどう映じているかを極度に気にし、他者の視線に強迫的におびえる」といった特色を指摘し、それは「神経症」であると冷ややかに見ていた69 。 本論で考察してきたように、戦後日本の歴史認識をめぐる複雑な状況においては、特に近隣諸国との関係に対して、相対的には「加害」の立場にある日本人として最も安易な処し方は、事実を無視する・触れない、開き直って自己を正当化するほか、逆に過度に自虐的になることであるとも指摘されている70。すなわち、「どうしても背負っていかねばならないジレンマに耐えられないとき、正義感に安易にとびつくのが、一番気楽な選択であると同時に『精神の惰性』である」というのである71 。 いずれにしても、冷静かつ謙虚に歴史認識の問題と向き合うことが必要であるが、それが極めて禁欲的な作業であることは言うまでもない。 66 澤地久枝・イアン・ブルマ「日本とドイツの戦後を問う」『現代』1995 年6 月、64 ~ 65 頁。 67 吉田裕『日本人の戦争観』岩波書店、1995 年、231 ~ 232 頁、前掲『戦争責任論』251 ~ 253 頁、前掲「戦争責任論再考」30 ~ 33 頁。 68 林健太郎「教科書で書くべき歴史」『THIS IS 読売』1997 年3月、59 頁。 69 渡辺利夫『神経症の時代』TBS ブリタニカ、1996 年、13 ~ 15 頁。又、岸田秀は、「偽りの謝罪」としたうえで、マゾヒストというよりむしろナルシスト的傾向を指摘していた。岸田秀『日本がアメリカを赦す日』毎日新聞社、2001 年、178 ~ 182 頁。 70 特に朝鮮との関係では、角田房子『閔妃暗殺』新潮社、1988 年、364 ~ 365 頁、田中明『朝鮮断想』草風館、5~7頁。 71 中西輝政「歴史とどう向き合うか」『諸君』2000 年2 月、45 ~ 46 頁。 「太平洋戦争」観の変遷 付図 119 もどる →戦後日本における歴史認識―太平洋戦争を中心として―(1) 日中歴史共同研究
https://w.atwiki.jp/unkochan_uki2/pages/104.html
- 目次 配信履歴 関連項目 配信履歴 開始日時 タイトル 録画 2015/09/15(火) 18 47 48 オリジナルノベル主題歌歌い手公募 【1】 - 2015/09/15(火) 21 29 33 あ 【1】 - 2015/09/16(水) 00 02 16 お願いします 【1】 - 2015/09/16(水) 17 54 36 歌い手急募 【1】 - 2015/09/16(水) 19 49 40 覇王ゲーム歌い手募集デモ 【1】 - 2015/09/16(水) 20 21 59 覇王ゲーム制作秘話 【1】 - 2015/09/17(木) 02 18 38 あ 【1】 - 2015/09/17(木) 02 55 16 だるやんファン凸待ち 【1】 - 2015/09/17(木) 03 26 55 あ 【1】 - 2015/09/17(木) 03 58 09 い 【1】 - 2015/09/17(木) 04 28 59 う 【1】 - 2015/09/17(木) 17 20 45 参加者募集 【1】 - 2015/09/17(木) 17 52 12 あ 【1】 - 2015/09/17(木) 18 26 31 僕なんてスカイプしてはいけないんだあ 【1】 - 2015/09/17(木) 18 57 43 インターネットは苦しいんだあ 【1】 - 2015/09/17(木) 19 30 31 本物が欲しい 【1】 - 2015/09/17(木) 21 05 28 それでも本物が欲しい 【1】 - 2015/09/17(木) 21 36 29 僕たちは本物が欲しい 【1】 - 2015/09/17(木) 22 07 35 本物が欲しい 【1】 - 2015/09/17(木) 22 38 09 本物が欲しい 【1】 - 2015/09/17(木) 23 08 57 本物が欲しい 【1】 - 2015/09/17(木) 23 40 05 本物が欲しい 【1】 - 2015/09/18(金) 01 37 27 ストリームの権化 - 2015/09/18(金) 01 38 28 ストリームの権化 【1】【2】 - 2015/09/18(金) 17 02 43 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】 - 2015/09/18(金) 18 39 50 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】 - 2015/09/18(金) 20 12 51 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】【14】【15】【16】【17】【18】【19】【20】【21】【22】【23】 - 2015/09/19(土) 15 44 03 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】 - 2015/09/19(土) 18 02 15 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】【14】【15】【16】【17】【18】 - 2015/09/19(土) 23 37 54 ストリームの権化 【1】 - 2015/09/20(日) 00 52 45 ストリームの権化 【1】【2】 - 2015/09/20(日) 16 59 27 ストリームの権化 【1】 - 2015/09/20(日) 19 26 59 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】【12】【13】【14】【15】【16】 - 2015/09/21(月) 14 28 17 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】 - 2015/09/21(月) 19 27 19 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】【11】 - 2015/09/21(月) 23 54 15 ストリームの権化 【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】 - 2015/09/22(火) 05 39 45 ストリームの権化 - 2015/09/22(火) 16 40 55 ダルシム矢野 - 2015/09/22(火) 23 23 58 ダルシム矢野 - 2015/09/23(水) 03 31 07 ダルシム矢野 【1】【2】【3】【4】【5】【6】 - 2015/09/23(水) 13 12 06 ダルシム矢野 - 2015/09/23(水) 17 46 03 ダルシム矢野 - 2015/09/23(水) 20 09 46 ダルシム矢野 【1】 - 2015/09/23(水) 20 40 11 ダルシム矢野 - 2015/09/24(木) 02 07 44 ダルシム矢野 【1】 - 2015/09/24(木) 18 34 25 ダルシム矢野 - 2015/09/24(木) 20 41 28 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 00 25 49 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 02 21 34 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 02 37 35 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 05 46 14 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 17 47 43 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 18 47 38 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 20 15 16 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 00 10 12 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 00 33 34 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 01 03 30 ダルシム矢野 - 2015/09/25(金) 05 55 24 あ 【1】 - 2015/09/25(金) 20 54 07 ひまわりストリーム活動報告 【1】 - 2015/09/26(土) 01 06 53 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 01 08 17 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 01 20 50 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 01 28 21 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 06 32 07 ダルシム矢野 【1】【2】【3】【4】【5】 - 2015/09/26(土) 18 39 14 ダルシム矢野 【1】【2】【3】【4】 - 2015/09/26(土) 18 42 45 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 22 00 15 ダルシム矢野 - 2015/09/26(土) 22 29 19 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 00 49 07 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 00 55 52 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 00 57 28 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 01 09 10 ダルシム矢野 【1】【2】 - 2015/09/27(日) 04 12 32 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 11 05 59 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 12 39 21 ダルシム矢野 - 2015/09/27(日) 12 56 11 ダルシム矢野 - 2015/09/28(月) 00 20 17 ダルシム矢野 - 2015/09/28(月) 00 37 44 ダルシム矢野 - 2015/09/28(月) 00 39 10 ダルシム矢野 - 2015/09/28(月) 02 00 24 ダルシム矢野 - 2015/09/28(月) 22 47 57 命をかけてやるべき事。 【1】【2】 - 2015/09/30(水) 22 03 20 続・命をかけてやるべき事。 【1】 - 2015/10/01(木) 19 14 43 覇道独断 【1】 - 2015/10/02(金) 13 13 08 ダルシム矢野 - 2015/10/02(金) 13 20 12 ダルシム矢野 【1】 - 2015/10/02(金) 01 29 27 覇王伝~序章~ 【1】 - 2015/10/02(金) 02 02 11 あ 【1】 - 2015/10/02(金) 02 55 27 あ 【1】 - 2015/10/02(金) 10 57 21 あ 【1】 - 2015/10/02(金) 13 36 12 あ 【1】 - 2015/10/02(金) 14 12 18 あ 【1】 - 2015/10/02(金) 16 40 12 重大なお知らせ 【1】 - 2015/10/02(金) 17 10 48 重大なお知らせ 【1】 - 2015/10/04(日) 01 44 47 引退延期見ついての説明 【1】 - 2015/10/04(日) 07 19 25 一世一代の引退阻止チャレンジにむけて 【1】 - 2015/10/10(土) 09 44 23 重大なお知らせ 【1】 - 2015/10/18(日) 08 50 58 覇王ゲームreborn計画始動 【1】 - 2015/10/23(金) 08 35 40 a 【1】 - 2015/10/25(日) 09 55 40 b 【1】 - 2015/10/26(月) 18 16 30 c 【1】 - 2015/10/30(金) 20 13 10 d 【1】 - 2015/10/30(金) 22 30 37 重大なお知らせ 【1】 - 2015/10/30(金) 23 14 30 ダルシム矢野のソシャゲ部!♯1『千年戦争アイギス』 【1】 - 2015/10/30(金) 23 47 28 あ 【1】 - 2015/10/31(土) 02 36 37 謝罪 【1】 - 2015/11/01(日) 13 23 13 重大なお知らせ 【1】 - 2015/11/01(日) 15 05 10 e 【1】 - 2015/11/02(月) 17 11 00 お願いします、力を貸して下さい 【1】 - 2015/11/03(火) 15 41 18 覇王ゲーム公開記念『STAGE1原案公開スペシャル』 【1】 - 2015/11/03(火) 18 43 16 ノベルライズ版『覇王ゲームSTEGE1』朗読 【1】 - 2015/11/07(土) 17 26 54 あ 【1】【関連動画】 - 2015/11/08(日) 19 57 11 い 【1】 - 2015/11/09(月) 19 18 47 歌い手を募集します 【1】 - 2015/11/13(金) 16 18 57 深刻な事態が発生しました・・・ 【1】 - 2015/11/13(金) 16 51 35 ま 【1】 - 2015/11/14(土) 20 17 35 謝罪枠 【1】 - 2015/11/14(土) 23 03 48 助けてklください 【1】 - 2015/11/16(月) 19 14 02 s 【1】 - 2015/11/17(火) 00 20 10 g 【1】 - 2015/11/20(金) 13 44 04 重大なお知らせ 【1】 - 2015/11/20(金) 19 45 49 非常に重大なお知らせ 【1】 - 2015/11/21(土) 15 05 39 あ 【1】 - 2015/11/29(日) 08 49 31 重大なお知らせ 【1】 - 2015/11/29(日) 09 20 52 あ 【1】 - 2015/12/05(土) 14 07 48 あ 【1】 - 2015/12/05(土) 15 42 25 い 【1】 - 2015/12/12(土) 04 17 06 い 【1】 - 2015/12/19(土) 12 57 59 う 【1】 - 2015/12/27(日) 11 15 00 ア 【1】 - 2015/12/27(日) 16 39 42 あ 【1】 - 関連項目 ダルシム矢野 用語集 - 最新情報 - 記事リンク集 - 告知の一覧話題 王様ランキング - THE COMIQ - ジョジョの奇妙な冒険 - 遊☆戯☆王 - ようこそ実力至上主義の教室へ - ONE PIECE 作品 ユグドラララバイ - ユグドラブレイバー/karunad - 古畑ダル三朗 - 覇王ゲーム - 覇王の胎動 - セントラル・エクス・マキナ 配信履歴 2013年(7月14日〜11月23日 - 11月24日〜12月31日) - 2014年(1月1日〜7月19日 - 8月3日〜12月28日) - 2015年(1月2日〜9月14日 - 9月15日〜12月27日) - 2016年 - 2017年 - 2018年 - 2019年 - 2020年 - 2021年 - 2022年 タグ ダルシム矢野
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/1548.html
統合幕僚学校・高級幹部課程講義案 「『昭和の戦争』について」 福地 惇 (大正大学教授・新しい歴史教科書をつくる会理事・副会長) むすび 現下の課題 最後に本講義の纏めを述べよう。「昭和の戦争」は、満洲事変から敗戦までの一貫した「十五年戦争」と言うような戦争ではなかった。だが、支那事変と大東亜戦争は一連の戦争であった。支那事変は、有色人種の優等生大日本帝国の擡頭に我慢できない米英と世界の共産革命を先ず弱い部分である東アジアで成し遂げようとしていた共産ロシア(ソ連)が、支那の軍事独裁者蒋介石を背後から軍事的・政治的・財政的に支援・指導し、さらに支那共産党を介在させて闘わせた言わば代理戦争であった。ソ連や米英は支那事変を長引かせることで日本を世界戦争の舞台に引きずり出して撲滅しようと狙ったのである。共産ロシアは、米国同様に軍閥独裁者蒋介石を支援して日本と戦わせる一方で、中国共産党を育成し蒋介石の足元から支那大陸の共産化工作にも余念が無かった。 未だ弱小だった毛沢東指導の支那共産党の後方攪乱戦術は見逃し難い重大問題である。その謀略は異常に逞しかった。大日本帝国滅亡後、共産ロシアの目論見どおり、支那共産党の大陸制覇は達成された。アメリカはトンビに油揚げを攫われた。最後の段階で参戦した共産ロシアはユーラシア大陸を略制圧、我が国固有の領土である樺太・千島を不法占拠して今に至っている。これらは、謀略情報戦に不得手で、「信義」や「誠実」をモットーとする我々日本人には中々理解できない醜い世界の出来事だった。 最後にもう一度言おう。満洲事変から支那事変、そして大東亜戦争に関して我が国は侵略戦争の計画は何ももたなかったのである。だから、これらの戦争は我が日本にとっては「独立自衛」を求める以外の目的はなく、侵略戦争との意識は何もない戦争だったのである。モノの見事に誤解に基づく理想世界の拡大を欲した米国と、共産ロシアの二つの謀略勢力に支那大陸の戦場に引き込まれて、結局は押し潰されたと言える。 逆に言えば、一九三〇年代から四〇年代のアジア大陸の戦争は、米国とソ連の侵略戦争だった。アメリカは勝ち誇って「大東亜戦争」と言ってはいけない「太平洋戦争」と言えと命令したが、正にそこにアメリカのあの戦争への意欲、太平洋からアジア方面への侵略意欲が明瞭に出ているのである。これが大東亜戦争の真実である。 米国やソ連が日本を貶めるために創作した歪曲歴史観に基づく支那・朝鮮の至極「政治的」な言い掛かり挑発に、我が国政府は気遅れする謂われは全くない。韓国・北朝鮮の言い掛かりは歴史の事実を意図的に曲解した怪しからぬ妄言なのである。また、支那共産党政府要人が、事あるごとに日本政府は反省が足りない、「歴史を鑑にせよと」説教するが、全く善人と悪人が転倒した盗人猛々しい、片腹痛い言い草なのである。彼らは、支那共産革命を達成する目的で、日本軍と軍閥蒋介石を徹底的に共倒れになるまで戦わせる悪行を働いた張本人なのである。アジアの連帯など考慮の外、モスクワの指令に従い、アジアの共産化を追及していたのである。彼らが何時も勝ち誇って言う「抗日戦争の勝利」は、彼ら自身のものではなく、モスクワの勝利のおこぼれに預かったのである。間もなくモスクワからの自立の欲求が台頭し、「中ソ対立」に至った訳である。 戦後日本の政治家・官僚は祖国の歴史への理解度も国家・国民を正しい道に導こうとする勇気も洞察力も足りない。自尊心を失い国益追求への強い意志も失い、低次元の利害調整や私益追及に汲々たる 木偶の坊が多過ぎるのである。その基盤には国民の歴史観の歪みが厳然としてある。 日本民族最大の敵は、実は我々の足元に蔓延っている。我々にとって本当に大事な現下の課題は、「GHQ占領憲法」と「東京裁判史観」が、日本人から自信と勇気と品格を奪い去り、自虐的な卑怯者にしてしまった元凶だと言う真実を大悟することである。正々堂々の解決策は、国民精神と国家体制を祖国の歴史と文化・伝統の正統性に復古することである。 完 統合幕僚学校・高級幹部課程講義案
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/186.html
飛び込んでくる敵に対して、美奈代騎は、フェンシングの突き技と同じ要領で半身を前に出し、斬艦刀を片手で突き出した。 そして、斬艦刀の切っ先が敵騎の装甲にめり込んだのと同時に柄から手を離した。 突き技の衝撃で、斬艦刀を折らないためだったが、そのまま騎体を半回転させた所を敵騎はその勢いのまま駆け抜ける。 美奈代は、その背中めがけて容赦なくシールドのエッジを叩き付けた。 「―――ぐぅっ!?」 騎体パーツがバラバラに粉砕される中、騎体が地面に叩き付けられる衝撃に、エーランドは歯を食いしばって耐えた。 「こ、こんな―――」 騎体はもう動かない。 スクリーンはすべてブラックアウト。 操作系はどこかショートしたらしく煙が出ている。 「こんなデタラメな話があってたまるか!」 エーランドは、脱出装置を作動させた。 緊急救難信号が発信され、開閉操作が効かなくなったハッチが吹き飛ぶ。 密封されていたコクピットに太陽の光と空気が流れ込んでくる。 「―――ここまで私に恥を掻かせるとは!」 チュインッ!! 毒づきながらコクピットの外に出たエーランドの手元で何かが弾けたのはその瞬間だ。 「何だ!?」 手を思わず引っ込めた。 まだ爆発は起きていない。 だが、何かが弾けたのは確かだ。 「ん?」 パンッ! チュインッ! 何かが弾けた場所を確かめようとかがんだ所を、何かがかすっていった。 黒い、小さな塊だった。 それが、高速で自分めがけて飛んできた。 弾けたのはその塊だと、エーランドは理解した。 飛ばして来た相手を求め、周囲を見回したエーランドは、自分の騎が擱座した場所がどこかようやく理解した。 自分を撃破した敵騎の前、自分が倒した敵の真横だった。 仰向けに倒れたその騎の胸部装甲が開かれ、そこから上半身を出したパイロットが、こちらめがけて右腕を伸ばしている。 その手に掴んだモノが、どうやら金属の塊を打ち出す武器だ。 エーランドはそこまで理解すると、即座に行動に出た。 一息で、武器を持つ相手の所まで跳躍、その腕を掴んだのだ。 相手が、再びあの金属の塊を打ち出す余裕をエーランドは与えなかった。 右腕を掴んで、相手をねじ伏せたエーランドは、その時初めて相手が女性であることに気づいた。 「―――女?」 自分を睨み付けてくるのは、エーランドにとっては妙齢の女性。 その女性の口から何事か言葉が漏れる。 “離せ”とでも言っているんだろうが、エーランドにとってはどうでもよかった。 「まぁいい」 エーランドは喉で笑うと、相手の右腕を抑える腕に力を込めた。 グッ 「うっ!」 女は、うめき声を上げ、武器を掴む力を失う。 エーランドは、女から武器を取り上げ、そして言った。 「安心しろ。私は女は殺さん」 武器を取り上げられてもなお、戦う意志を瞳に浮かべる女に、エーランドは小さく吹き出した。 「夢見が悪いからな」 女がエーランドに飛びかかってきたのはその時だ。 だが、エーランドの一撃が女を襲う方が速かった。 みぞおちに入った一撃で女は力なくエーランドの腕の中に崩れ落ちる。 「―――活きのいい女だ」 クイッ。 みぞおちの痛みに必死になって耐える女のあごを掴んだエーランドは言った。 「また逢おう」 そして――― 「二宮教官っ!」 “征龍改(せいりゅうかい)”から降りた美奈代が駆け寄ってくる。 美奈代の手には自動小銃が握られていた。 「ご、ご無事ですか!?」 敵騎を擱座させた美奈代にとって誤算だったのは、敵騎のパイロットが二宮を人質にしたことだ。 なにがどうしたものか。 それとも魔族とはそういうやり方をするのかわからないが、二宮の最後の抵抗をねじ伏せた魔族は、二宮をその場にねじ伏せ、動きを止めた。 コクピットの中に入りこんだため、二人が何をしていたかはわからない。 ただ、二宮を巻き込む危険性が高すぎ、美奈代達は、何も出来なかったのは確かだ。 おそらく、時間にして数分とたっていないだろう。 その間、二宮を人質にとられた美奈代には恐ろしく長い時間が過ぎた気がした。 すべてを終わらせたのは、海からの攻撃。 重迫撃砲と思われる攻撃が連続して美奈代騎の周囲に落下する。 シールドを構え、防御姿勢をとる間に、海岸から突如、得体の知れないフォルムのメサイアが出現。 その手の中へと、魔族は消えていった。 美奈代がコクピットへ潜り込んで体勢を整え直すよりも速く、敵は海へと消えていった。 もし、敵が美奈代騎を狙っていたら、美奈代は確実に死んでいただろう。 「二宮教官っ!」 何故か呆然として口元を指で抑える二宮に呼びかけるが、二宮はまるで反応しない。 ただ、顔を赤くして、ぼんやりとしているだけだ。 「教官っ!?」 美奈代はその肩を激しくゆすった。 「……泉」 「はい!」 「……頼みがある」 「な、なんですか!?」 「……私が」 どこか焦点のあわない目をした二宮は、美奈代に言った。 「私が、あの魔族と何をしていたか、忘れてくれ」 「わ、忘れるもなにも……」 美奈代は困惑した顔で答えた。 「私、何も見えていませんよ!」 「そ……そうか」 二宮は安堵したという顔でため息をついた。 「それならいい」 「あの―――教官?」 「忘れろ」 二宮はそう言うと、コクピットに潜り込んだ。 唖然としてコクピット前に立つ美奈代に、コクピット内部から二宮が届いた。 その声は、軍人としての、そして教官としての声でしかなかった。 「泉―――ベルゲはどうなっているか?」 「人類の新型兵器……か」 カーメン大佐がスクリーンの向こう側でうなるような声を上げた。 「エルプス系魔法の応用技術であることは間違いありません」 エーランドの横に立つ女性士官が、書類片手に言った。 司令部から派遣されてきたマイナ技術大尉だ。 「物質の原子レベルでの結合を崩し、原子崩壊させることで物質そのものを破壊します。騎体の損傷痕に、エルプス系魔法独特の痕跡があることから明らかです」 「実体系武器では対抗出来なかったと?」 「武器がその役割を果たしません」 マイナ技術大尉は言った。 「エルプス系魔法の前で実体系兵器及び防御は一切無意味です」 「……そうか」 カーメン大佐は、数回、小さく頷くと言った。 「マイナ技術大尉を信じよう。エーランド少佐には悪いことをした」 「いえ」 エーランド少佐は、その外見故か、若干気障に見えるほど優雅に敬礼した。 「マイナ技術大尉がヒートサーベルを持ってきてくれました。同じ過ちは繰り返しません」 「当然だ」 「……」 数分後。 相次ぐメースの喪失をねちねちといびるカーメン大佐との通信を終え、瞑目して落ち込んだエーランドの横。 そこでは、マイナ技術大尉が表情を変えずにエーランドを見ていた。 人形のような美しく涼しげな容姿をしたマイナ技術大尉は、金髪の貴公子然としたエーランドの横に立つとちょっとした似合いだな。と、その様子を眺めていたシグリッド大尉は思った。 「?……ああ」 その視線に気づいたのか、エーランドはマイナ技術大尉に向き直った。 「すまなかったな。大尉」 無理に笑ってみたつもりだが、ぎこちないだろうとエーランドは自身でそう思った。 「いえ」 マイナ技術大尉は、愛想笑いを浮かべることさえなく、手にした書類をエーランドの前に突き出した。 「ツヴァイ4騎と、関連武装の受領書類です。確認の上、サインを願います」 エーランドは無言で書類を受け取る。 何故か一瞬、顔を引きつらせ、一番上の書類だけを自分のポケットにねじ込むと、二枚目にペンを走らせた。 「その……マイナ技術……大尉」 受け取った書類を確認したマイナ技術大尉は、引きつった顔を崩せずにいるエーランドに言った。 「騎体と部下を失ったことに関する始末書と進退伺いを3時間以内に提出してください。それと、一枚目に挟んでおいた、損害賠償と罰金の件ですが、お支払い方法はいかがなさいますか?」 エーランドは悲しげな顔をしながらも、精一杯胸を張って答えた。 「もちろん、漢(オトコ)らしく現金一括払いだ!」 「……低金利のクレジット会社、紹介しましょうか?」 「いらんっ!」 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 「残念なことになったわね」 「……そうね」 美夜と二宮の目の前で炎上を続けるのは、エーランドが放棄したメース、ツヴァイだ。 騎体の鹵獲(ろかく)を狙ったが、仕掛けられていた自爆装置が作動。 騎体は一瞬にして炎の中に消えた。 火葬を前に、敵騎の秘密がわかると期待していた面々には失望の色が走る。 「よっぽど私達に騎体を渡したくないみたいね」 「……そうね」 「……」 「……」 「……真理?」 「何?」 「敵と、何があったの?」 「……何も」 「……そんなにいい男だったんだ」 「何のこと?」 「今、顔に出たわよ?」 ●“鈴谷(すずや)”教官室 「ひでぇもんだ」 長野は、書類をデスクに放り投げると、コーヒーを飲もうと椅子から立ち上がった。 コーヒーメーカーの横に置かれたインスタントコーヒーの瓶を掴むと、中身を慎重に確かめた。 日本から持ってきたお気に入りのストックは、残り1本。 それでさえ、残りは瓶の半分にも満たない。 「……シャレにならねぇ」 「誤字脱字、ありましたか?」 長野のぼやきを聞いて声を上げたのは、長野の隣のデスクでパソコンを動かしていた美晴だった。 「いや?」 長野はコーヒーを淹れながら首を横に振った。 「損害が大きすぎると思っただけさ」 口ではそう言いながらも、長野が顔をしかめたのは、二宮がまとめた“伊吹”生存者に関する報告書を読んだからだ。 富士学校から派遣されたのは教官・候補生が31名、教員は12名とMC(メサイア・コントローラー)が19名となっている。 この数で、自前の“征龍改(せいりゅうかい)”6騎と、正規部隊から回されてきた“幻龍改(げんりゅうかい)”12騎を運用する。 さらに第二中隊から派遣され来た“幻龍改(げんりゅうかい)”6騎、騎士とMC(メサイア・コントローラー)、それぞれ6名ずつがこれに加わっていたが……。 「今や半分も残っていねぇとはな」 そう。 彼等の半数以上が“伊吹”と運命を共にしたことになる。 22騎存在した騎体に至っては10騎しか存在しない。 “伊吹”から引き出して修復した騎を加えて10騎なのだ。 長野は、生き残った騎体の割り当てに関する書類の作成を命じられていた。 “征龍(せいりゅう)”は元々第七分隊が使うことになっているし、今更使用者たる候補生の人選を変更して、セッティングを変えるくらいなら、第七分隊に使わせた方がいいと、長野は判断していた。 余談ではあるが、どうにもパソコンが苦手な長野は、柏美晴に代筆を依頼していた。 美晴に頼んだ理由は、長野曰く、彼女が候補生の中で最もキーボードの入力が速いと定評があることと、何よりMC(メサイア・コントローラー)に頼むと高くつきすぎるからだという。 それにしても……。 コーヒーカップに口を付けた長野は、二宮でさえ怒りを通り越してあきれたという出来事を思い出した。 “伊吹”で奇跡的に生還した3人組のことだ。 山科教官とその教え子2名。 第三分隊隊長の都築と副長の山崎だ。 何故生き残ったのか。 その報告は、長野でなくても顔をしかめるしかないものだった。 “伊吹”被弾の時。 候補生達は出撃騎搭乗者とそうでない者に分けられ、後者はブリーフィングルームで待機を命じられていた。 だが、そのいずれにも山科教官達の姿はなかった。 壮行会の際、山崎教官の深酒につきあわされた都築と山崎共々、二日酔いでドクターストップがかかっていたからだ。 素行不良で問題教官扱いされることが多かったとはいえ、そのおかげで彼らは命拾いしたことになる。 どういう皮肉か、長野にはわからない。 それに対して、さすがだと長野でさえ感服するのが、出撃部隊にいながら生還した第一分隊長の染谷だ。 染谷は“幻龍改(げんりゅうかい)”に搭乗し、池田大尉の背後、第一分隊二番騎につけてハンガーデッキで待機していたところで“伊吹”の被弾に遭遇した。 発艦準備中のフライトデッキ内部に飛び込んだ一撃は発艦待機中のメサイアを吹き飛ばし、メサイアが積載していた広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)を破壊した。 広域火焔掃射装置(スイーパーズフレイム)から発生した消火困難な火災を含む爆発は、ハンガーデッキからフライトデッキへの進入経路までを一瞬のうちに、乗組員や騎士、そしてMC(メサイア・コントローラー)ごと破壊した。 元来、弾薬や可燃物には事欠かないハンガーデッキだ。 爆発は爆発を生み出した。 激しい衝撃により、染谷騎は他の騎が搭載していた弾薬の爆発に巻き込まれ擱座した。 他の教官や候補生達の騎も、ほぼ全騎が似たような状況、もしくは破損した騎の下敷きになって動かすことが出来ない有様だった。 メサイアに搭乗したままでは艦内から出ることが出来ないと判断した染谷は、教官である池田大尉に騎体放棄の許可を求めたが、池田大尉は染谷達にかまうことなく、自分だけ強引に“征龍改(せいりゅうかい)”で脱出を試みた。 結果は、池田大尉は妖魔の群れに襲われて死亡したのだが、反面、その後の染谷の行動は優等生の典型的模範例を示していた。 まず、MC(メサイア・コントローラー)と共に騎体を放棄し、ブリーフィングルームも含め、負傷者だらけとなったハンガーデッキを駆け回り、まだ動ける者達をまとめると、彼らと共に、負傷兵達を安全な場所へ移した。 デッキ内部にあふれたリキッドやオイルが引火すれば自分たちが危険になると判断したのも染谷が一番速かった。 ハンガーデッキに侵入した妖魔達から逃れるため、生存者と共に居住ブロックへ逃れ、たった一カ所のエアダクトを除き、すべての通気口と通路を閉鎖し、籠城の構えを指揮したのも染谷だった。 生存者達が、池田大尉のように逃げ出していれば妖魔達の餌食は避けられなかっただろう。 すべては染谷候補生の英雄的な決断力と行動力によると、二宮は報告書をまとめている。 長野も否定はしない。むしろ肯定的にとらえている。 そこまで考えて、長野は美晴に訊ねた。 「染谷候補生はどうしている?」 美晴はコーヒーを受け取りながら意味ありげな笑みを浮かべた。 「お忙しいと思いますけど?いろいろと」 「?」 ●“鈴谷(すずや)”第3層通路 グイッ! 「きゃっ!?」 ハンガーデッキからの帰り道。 候補生同士の打ち合わせを終えた美奈代は、部屋に戻る途中、突然、通路の角から飛び出した腕に手首を掴まれた。 何だと思うヒマさえなく、真っ暗な部屋に放り込まれた時には遅かった。 ガチャッ。という音を、背後で聞いた。 「なっ?」 振り返った美奈代が見たものは、ドアの前に立つ金髪の少女だった。 日本人ではマネ出来ない、その西洋人系特有の容姿。 “金色の妖精”という言葉が脳裏に浮かんだ。 そのあまりに美しい少女は、すでに艦内で知らない者はいない。 美奈代は、目の前の相手について、フィアという名前と、自分にとって個人的に好ましくない相手だという認識だけは持っていた。 「あの……」 「―――お願いってわけじゃないんだけど」 美奈代の言葉を遮るように、やや敵意をむき出しにた声で、フィアは言った。 正直、フィアの声を初めて聞いた美奈代は思わず後ずさった。 (こ……声まで可愛いなんて) 外見だけでなく、声まで愛らしいなんてあんまりだ。 美奈代は、女として自分が負けていることを、嫌でも自覚させられた。 神様、私、何かしましたか? 「……聞いているの?」 ドアを背に美奈代を睨みつけるフィアにそう言われ、神様に文句を言いに逝った美奈代は、現実に戻った。 「え?うえええっ!」 「……」 その素っ頓狂な声に、一瞬だけ怪訝そうな表情を浮かべたフィアは、美奈代に言った。 「これ以上」 その声色で、暗闇の中でも、美奈代にはわかった。 この子は、私を嫌っている。 でも―――どうして? フィアはそんな美奈代の心境に構うことなく言った。 「―――瞬(しゅん)に近づかないで」 瞬。 染谷瞬(そめや・しゅん)。 それは、美奈代にとって意中の男性の名だ。 「なっ?」 「瞬は私のものよ」 フィアは勝ち誇ったような、むしろ美奈代を哀れむような表情でドアノブに手をかけた。 「彼……優しくしてくれるの」 ●“鈴谷(すずや)”食堂 「そんなものは」 コーヒーを飲みながら美奈代の話を聞いていた宗像は、表情さえ変えずに言った。 「ハッタリだ」 「で、でも……」 美奈代は、染谷がフィアに気に入られていることを理由に、その身の回りの世話を命じられているのを知っている。 フィアを“語り石”に運ぶ際、フィアをコクピットで守っていたのが染谷だった。 あの戦いの中、自分のために必死になる染谷の姿に、フィアが惚れたというのが実情らしい。 「あの染谷にそんな甲斐性があるなら」 宗像は、落ち込む美奈代に手を伸ばし、その腹のあたりをなでた。 「お前の“ここ”は大変なことになっているぞ?」 「なっ!?」 「ふむ……すでに大変なことになっているな」 宗像が美奈代のお腹の肉をつまんでいる。 「レーション食べ過ぎたな。スカート、大丈夫か?」 「ち……ちょっと心配だ」 「全く」 美奈代の腹から手を離し、クックックッ……喉を鳴らして笑う宗像は、尊大なまでにゆったりと落ち着き払った様子で美奈代に言った。 言葉と態度に、不思議な威厳を感じる。 「お前の悩み事といえば、どうしてそう子供じみているんだ?」 「だ……だけど」 「恋のライバルからケンカ売られて?それだけで負けたとでも?」 「……」 「―――あの容姿だから、無理もないとは思うが」 「……そういえば、宗像は」 おや?と思った美奈代は宗像にたずねた。 「あの子には手を出そうとか、考えないのか?」 「外人は専門外だ」 宗像は言った。 「私は……そう、日本人形のような女の子は大好物だが、西洋人形はどうにもダメだ」 「……はぁ」 「菓子は和菓子に限る。日本人としてそう思うだろう?泉」 「……まぁ」 「……ずいぶんと生返事だな」 「和菓子と女の子を同列に語られても……返答に困る」 「全く……美意識のない奴だ」 その日の夕方。 “鍵”を乗せた飛行艦が針路を変えたという報告を、エーランドが受けたのは、食堂でのことだ。 トレイに乗った夕食を目の前に、エーランドは報告を聞いていた。 そのエーランドの前では、マイナ技術大尉がさっさと食事を始めている。 「予想針路は?」 船の生活で数少ない楽しみである食事をお預けされたエーランドは、厳しい士官としての表情を維持したまま、報告にきたムブナ中尉に訊ねる。 その間も、マイナ技術大尉の食事が止まることはない。 「情報では、ホルムズ海峡経由でドバイに入る予定でしたが」 「違うのか?」 「はい。ソコトラ島から北東へ針路をとっていたのですが、針路を真北にとりました」 「真北へ?」 マイナ技術大尉の持つフォークが、エーランドのトレイに伸び、チキンの照り焼きに突き刺さった。 「―――ぐっ!」 「何かお心当たりが?」 「いや―――続けてくれ」 「はっ。このままでは1時間後にアラビア半島に上陸します」 「敵の目的は何だ?」 マイナ技術大尉が、エーランドのトレイに伸びた。 「……実は」 ムブナ中尉が言いづらそうな表情になった。 マイナ技術大尉が、空になったトレイをエーランドの前に戻した。 「どうした?」 腹は減るが、それよりもエーランドの関心は、敵の動きにあった。 自分達が追跡していることを察知して針路を変えたというのか? ムブナ中尉は答えた。 「……実は、現在、インド洋に展開中の水中戦隊を含む全部隊に、一時的なインド洋から撤退及びアフリカ大陸への帰還命令が出ました」 「撤退?」 「はい」 ムブナ中尉は頷いた。 「理由はわかりませんが、人類が何か、大きな行動に出ると」 「何だそれは?」 「末端の我々にはわかりません」 「司令部は我々に何と?」 「人類側の電波情報に注意しつつ、追撃を続行しろ……と」 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 「いい加減にしてくださいっ!」 美夜を夕食に誘いに来た二宮は、艦橋に入った途端に飛んできた美夜の金切り声に思わず飛び上がった。 一体、何を怒られたのかわからず、目を点にする二宮の前で、艦長席から立ち上がった美夜が顔を真っ赤にしてスクリーンを睨み付けていた。 「毎回毎回、どうしてそんな無茶ばかり!」 「これは命令だ」 スクリーンの向こう側。 そこは、アラビア海から遠く離れた東京だ。 一体、顔面に筋肉を持っているのかさえ疑わしい仏頂面を浮かべるのは、作戦部の田辺部長だ。 彼の後ろには、東京の夜景が映されている。 何故、東京タワーなのかはわからないが、少なくとも近衛軍飛行艦隊司令部が、東京タワーに近い場所に存在しないことだけは、二宮も知っている。 その目の前で、背景が次々と変わる。 春の富士山が映える田子の浦と近衛軍にどんな関係があるのかは、さらに知らない。 お祭りの山車に近衛が関係しているとは思えない。 日本を遠く離れた飛行艦乗り達への精一杯の配慮。とでも言うつもりだろうが、二宮には、怪しい外国人が日本を騙るためにでっち上げた背景としか考えられない。 「“鈴谷(すずや)”は針路を変更し、アラビア半島を横断、バーレーンに向かえ」 「何故、ホルムズ海峡経由ではないのですか!」 美夜は顔を真っ赤にして怒鳴る。 「この“鈴谷(すずや)”の貧弱な武装で、ただでさえ政情不安定なアラビア半島を、活きて横断出来ると?“鈴谷(すずや)”に沈めというんですか!?」 「作戦部は“鈴谷(すずや)”に対し、隠密行動をとることを命じる」 「飛行艦に隠密行動なんてとれると本気で考えているのですか!?副司令を出してくださいっ!」 「副司令は会議中だ」 「今度はどこの料亭です!このままなら“鈴谷(すずや)”は―――」 「……アラビア海は明日から嵐だよ。平野艦長」 脅し文句を言いかけた美夜をとがめるように、田辺部長は言った。 「嵐?」 美夜は、田辺部長の映るメインモニター横の気象情報ディスプレーを見た。 「……サイクロンは」 「違う」 田辺部長は、その太い猪首を横に振った。 「嵐が吹くのだ」 「……は?」 「本来なら、バーレーンさえ……いや、バーレーンこそが危険なのかもしれない」 「……?」 怪訝そうな顔をする美夜に、作戦部の部長は続けた。 「しかし、すでに補給物資はバーレーンに納入されている。現地米軍基地で受領してもらうしかない。“鈴谷(すずや)”をどう動かすかは、それからだ」 「……一体?」 「これは一般回線だ。平野艦長」 田辺部長は、何かを振り切るような顔で、そして強い口調で美夜に言った。 「これは厳命である。“鈴谷(すずや)”はバーレーンの米軍基地ににて物資補給後、現地にて別名あるまで待機せよ」 「……」 「―――もう一度、言わせる気か?」 「わかりました」 美夜は敬礼した。 「“鈴谷(すずや)”はこれより変針、アラビア半島を横断し、バーレーン米軍基地へ向かいます」 「……幸運を祈る」 艦長席に乱暴に座ると、背もたれにもたれかかり、美夜は歯を食いしばる。その肩は小刻みに震えていた。 「一体……司令部は……何を……」
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/200.html
ここで手違いが生じる。 李提督にとっては、海大校に対する指示で自分の任務が終わったと思いこんだこと。 肝心の海大校は、通信管制を無視した党から送り込まれてきた莫大な通信への返答に手一杯になったこと。 最悪なことに、艦隊から離れて独立遊撃隊として通商破壊にあたる別働隊から敵輸送船団発見の報告がこの時入ったことは、後々まで海大校を後悔させることになる。 遊撃隊の位置はソコトラ島の沖合。 アデン湾から侵入する敵艦隊の哨戒も兼ねている。 そこからの通報だ。 「ソコトラ島沖合、艦種不明。一隻はタンカーと思われる」 それが遊撃隊からの報告だ。 ただ、“本当”にタンカーならその腹の中の油が敵に堕ちることだけは避けたい。 幸い、タンカーは遊撃隊から発進した航空機の攻撃可能なポジションにいる。 遊撃隊の指揮権は、提督から自分に移っていることもある。 だから、大校は“別働隊に”命じた。 ―――航空隊は、各個に攻撃に移れ。 いつもの命令だ。 命じられた航空隊は、航空管制官の命令通りに戦うことになる。 本当に、いつものことなのだ。 それに、今の彼の敵は目の前の書類だ。 提督から命じられた報告や、党幹部を満足させるためだけに求められる現在状況の報告―――しかも、党の定めた形式と時間を厳守する必要のある―――頭の痛い敵だ。 だが――― 「本当にいいんですか?」 通信管制官の一人がしつこくそう聞いてくる。 提督の命令通り、日本軍接近の報告を、波風立てないように準備していた大校は、その管制官を見ることもなく怒鳴った。 「いいと言っているだろう!いつも通りだ!武器使用自由、全力で叩けっ!」 「り、了解―――大校の命令と判断します」 管制官は震える声で命じた。 「艦隊司令部より紅6へ、攻撃を許可する。対艦ミサイル使用自由」 「―――おい」 紅6 対艦ミサイル。 その名にひっかかった中佐は、文面を書く手を止めた。 嫌な予感どころ騒ぎではない。 しらずに、声が震えてしまう。 「貴様―――今、どこに命令を出した?」 「ですから」 管制官の顔を見て大校は青くなった。 それは、日本軍に向かった部隊と通信を続けていた管制官だった。 「攻撃命令を発しました。大校の命令で」 「馬鹿者ぉっ!」 紅6は日本軍に向かいかけ、管制官からの撤退命令に断固抗議しつづけていた空母航空隊のコールサイン。 対艦ミサイルは、言うまでもないだろう。 「間違いないな?」 隊長はジャミングのひどい通信記録を、部下に確認を命じつつ、自らも耳で確認した。 「艦隊司令部は、攻撃を許可しました」 「録音、しっかり保存しておけ?。―――日本軍を叩くっ!」 「了解っ!」 「ミサイル接近っ!数10っ!」 レーダー担当の木村が悲鳴に近い声をあげた。 「墜とせっ!」 “鈴谷(すずや)”に設置されているML(マジックレーザー)砲が火を噴いた。 抜けるような青空に、光が走った後に白煙の柱が生まれた。 「FGF、全展開しますかっ!?」 「まだ早いっ!ML(マジックレーザー)だけで十分だ。余計なエネルギーを消費するな!生きて帰れなくなるぞ!?」 「はいっ!」 「うわ……すごっ」 戦闘機が編隊を組んで接近する。 戦闘機を間近で初めて見たさつきはしきりに感心するだけだ。 チカチカチカチカッ! “鈴谷(すずや)”の舷側にあるランプが激しく点滅を開始したのはその時だ。 緑の点滅と赤と黄色の3色。 「何?」 「警告です」 教えてくれたのはさつき騎のMC(メサイアコントローラー)、愛沢中尉だ。 「国際法規定のFGF(フリーグラビティ・フィールド)警告です」 「何でそんなもの出すんです?」 「FGF(フリーグラビティ・フィールド)は目に見えません通常航行時には、接触しないように警告する必要があります」 「今、戦闘中ですよ?」 「これでぶつかったら、向こうが悪くなるんです」 「―――成る程」 「バカ者っ!」 同じ頃、海大校は李提督から大目玉を食らっていた。 「誰が攻撃しろと命じたっ!飛行隊には戦闘停止を命じろっ!飛行艦だ、メサイアを搭載してはずだぞ!?」 「間に合いませんっ!」 そんな口論に近い会話を続ける二人の後ろで、艦長が手に持つ金属の筒が火を噴いた。 迎撃されたミサイルが光と煙の球に変わった。 ズズン……ッ!! 遠くで爆発音が響く。 もう恐怖感すら感じない美夜は木村に訊ねた。 「都合、これで何発目だ?」 「48発目ですっ!」 「その数、四方八方から―――よく撃つ」 対艦ミサイルは決して安い代物ではない。 それを48発だ。 感心する以外にない。 いい加減、あきらめてくれないだろうか。 美夜は内心でそう願っていた。 だが――― 「艦長、二宮中佐からです」 「―――私……えっ!?」 美夜はインターホン越しに伝えられた情報に思わず驚いてしまった。 「今度は爆装してきたぁ!?」 空母“天津”の艦橋から運び出されたのは、李提督と海大校。 その頭部からは血を流し、力無く手足を伸ばしている。 死んでいるのだ。 「―――党は小日本と戦えと命じられた」 張艦長とその部下が銃を手に艦橋から送り出される二人の死体を見送る。 「その命令に従えない敗北主義者は、我が国には要らない」 艦橋の通路から放り出された死体が海に消えていく。 「Su-30飛行隊の収容急げ。対艦ミサイルが効かないなら、爆撃にて出撃しろ」 それから一時間後。 中華帝国軍の爆撃を試みた機すべてが空母に引き返してきた。 全機生還だ。 「畜生っ!」 パイロットの一人が、キャノピーを叩いて降りてきた。 「何てザマだっ!」 パイロットは、即座に機体の下、パイロンを取り付けているハードポイントを見た。 「―――くそっ!」 翼下の10個あるハードポイントは、一つ残らずきれいに破壊されていた。 「たった一通過だぞ!?それでこれかっ!?」 ガシャンッ! ハードポイントに、そのパイロットが触れようとした時だ。 コクピットの近くですごい音がした。 パイロットがその音に驚いて後ろを見ると、機体の破孔から金属の棒が1本地面に落下していた。 何だ? パイロットは、その金属の棒が何か、即座にはわからなかった。 「中尉―――よく無事でしたね」 駆け寄ってきた顔なじみの整備兵に気づき、彼はその金属の棒の正体を訊ねた。 整備兵は言った。 「機関砲の銃身ですよ。敵の攻撃が砲を撃ち抜いたんです」 「そんな馬鹿な!俺は敵艦に1万程度しか接近していないぞ!?そんなまぐれが!」 「まぐれじゃないですよ。自分は経験がありますけど……メサイアの攻撃ってのは、それくらい正確なんですよ。中尉」 「……」 「中尉、これが初陣でしたっけ?」 「……ああ」 「ならよかった。メサイア相手に生きて帰ることが出来ただけでもハクが付きますよ」 Su-30部隊が去った後は、静寂のみが支配する航海が続く。 ラピス島まではもうすぐだ。 「中華の脅威は去った……か?」 「私、しばらくラーメン食べたくない。中華って言葉見るだけで吐き気がする」 「同感だな」 「美奈代、いい機会だからダイエットしなよ」 「うるさいっ!それにしても」 美奈代はそれが疑問だった。 「こんな所に何で中華帝国軍が?」 「哨戒ですよ」 牧野中尉が答えた。 「敵が米軍の進出を怖れている証拠です。もしかしたら、我々を米軍と誤認したのかもしれません」 「―――ってことは?」 「“鈴谷(すずや)”の警戒レーダーは捜索範囲が狭いです」 牧野中尉の言葉に、コンソールを操作する音が混じる。 「ラピス島まで、我々の出番ですよ?」 「敵は一体?」 「ここまで来るなら敵は空母機動部隊。そのお腹にはとっておきの厄介者が入っているはずです」 「厄介者?」 「はい」 コンソールパネルを操作する牧野中尉は、ちらりと通信モニター上の美奈代を見た。 「このフネを地上から蒸発させることの出来る厄介者です」 「やっと落ち着くことが出来るな」 比較的平然とした様子の宗像は手すりに寄りかかった。 入港を開始した“鈴谷(すずや)”の背後では、米海軍空母“シャングリラ・テキサス”が補給艦から燃料を受け取っている。 米艦隊と帝国海軍の艦艇50隻。 海兵隊と陸軍部隊を含めれば10万近い兵力が、このラピス島に集結している中だ。 喧噪はあるものの、それでも十分のどかというべき空気が美奈代達を包む。 爆音を轟かせながら、“プレステ2”が“鈴谷(すずや)”上空をフライパスしていくのを、美奈代達は甲板でのんびりしながら見守るだけ。 海軍がEUに貸しを作る意味で派遣している飛行艇だ。 「―――ねぇ」 甲板に大の字に転がって、その様子をぼんやりと眺めていた美奈代がぽつりと言った 「“アレ”には、どうやったら乗れるかな」 「“アレ”?」 美奈代は無言で遠ざかっていく“プレステ2”を指さした。 「PS2ですか?」 「メサイア操縦資格じゃ無理かな」 「無理無理」 さつきは笑った。 「戦車兵に潜水艦操縦させるようなもんだよ」 「……そうか」 「ここが気に入っちゃったんでしょ」 「……うん」 美奈代は「うんっ」と伸びをした。 「青が一杯の―――なんて言うのかな?こんな広くて、どこまでも行けそうな……吸い込まれそうな―――上手く言えないけど、とにかくそんな世界……私は好きだ」 「この戦いが終わったら」 美晴は悪戯っぽく笑った。 「南方県の事務官にでも転属希望出したらどうです?パラオやグアムあたりで」 「―――悪くないけど」 美奈代は小さく笑った。 「あの飛行艇のパイロットを目指したいな」 「本気?」 さつきはあきれ顔だ。 「海軍のシゴキはきついよ?」 「私は―――」 美奈代は、もう遠ざかってしまった飛行艇が飛び去った方角を指さして、 「この“青い世界”を自由に飛べる、あの“飛行艇”っていうのに乗ってみたいだけだ」 「PS-2は綺麗なデザインですもんね」 美晴は笑った。 「それなら美奈代さん、民間のパイロット目指した方がいいですよ。PS-2の民間版は、八式飛行艇と一緒に、東亜航空の南方航路路線で就航してますし」 「……そうか」 そっちもあったか。 美奈代はそう思ったが、 「やめておけ」 そう言ったのは宗像だ。 「人の命は重いぞ。下手をすれば、重みで翼が折れる」 「それでも」 美奈代は海の向こうを指さした。 「ああいうのより、よっぽど私の趣味には合う」 「ジェットよりプロペラ―――デジタルよりアナログな泉にはお似合いだな」 宗像は笑って美奈代が指さした海の方を見た。 黒い点が10以上、こちらに向かってくる。 ぽつりぽつりと、黒い点は時間を経るごとに増えてくる。 「―――待て?」 「ん?」 「今日、発進した戦闘機があったか?」 「宗像ぁ、あるわけないじゃん」 さつきは首を横に振った。 「ラピス島は戦闘機離着陸出来ないもん」 「じゃあ、アレはなんだ?あれ、スホーイだぞ」 皆が立ち上がって海を見たその瞬間、 サイレンが鳴り響いた。 「高度を上げろっ!」 無線機に怒鳴るのは、中華帝国海軍空母“天津”攻撃隊長呉大尉だ。 迫り来る島と無数の船舶を前に、彼は歓喜するよりむしろ驚愕していた。 「こうも簡単に取らせるかっ!?」 米軍の機動部隊が集結している海域に、何の抵抗もなく入り込めたことが、呉大尉には信じられない。 「一体こりゃ?」 すでに爆撃の射程に入ったというのに、未だに対空砲さえ上がってこない。 まぁいい。 余計なことを考えるな。 俺達ゃ、爆弾を落とせばいいんだ。 それで帰ることが出来る。 つまり、これは天佑だ。 呉大尉は自分をそう言い聞かせた。 「いけっ!」 呉大尉は、パイロンに吊した爆弾を敵めがけて投下した。 ズズゥゥゥンッ! “鈴谷(すずや)”の上空をSu-30が通過する衝撃が走り、美奈代達は半ば吹き飛ばされて甲板に転がった。 「な、何っ!?」 後一歩で甲板から海に落ちるところだった美奈代は、驚いて空を見上げた。 「見てわからないのか?」 宗像だ。 「教えてやろう。これは空襲というのだ」 「いや、そういうことじゃなくて」 美奈代が驚いたのは、こんな事態でも平然としていられる宗像の神経であり、同時に――― 「宗像ぁっ!」 「なんだ?」 「どさくさに紛れて何してるっ!―――きゃんっ!」 「うむ―――85のBと見た」 抱きすくめる要領で、美奈代の胸をわしづかみにする非常識さだ。 「違うっ!」 美奈代はムキになって怒鳴った。 「これでもCはあるっ!」 「む?それは違う。絶対カップが合っていないはずだ」 「二人ともっ!」 反論しようと口を開いた美奈代を止めたのは美晴だ。 「現状、わかってますっ!?」 「すまん」 美奈代達が立ち上がろうとした途端――― ズンッ! 「きゃっ!?」 爆発音に、思わず美奈代は甲板に伏せた。 空母と“鈴谷(すずや)”の構造物が邪魔でわからないが、どこかに被害が生じたのは間違いない。 恐る恐る顔を上げた時、その視界に紅蓮の色を含んだ黒い柱が映る。 「やられたのは!?」 「あっち―――米軍の方っ!」 「何で反撃しないんだ!?」 「するのは私達ですよっ!」 「ちっ!総員搭乗っ!」 ―――ついていない。 米第9任務部隊司令官ジョージ・キャンベルは部下の肩を借りながら、内心でそう毒づいた。 さっきまで質素だが、きちんと整理整頓が行き届いていた感のあった室内は、惨憺たる有様だった。 窓ガラスは全て砕け、窓から侵入した爆風が調度品のすべてをひっくり返し、風に流れて入り込む煙が呼吸さえ困難にさせる。 何より、負傷したり、死んで床に転がる将校の死体は目も当てられない。 その光景を目の当たりにする自分もまた、体中に痛みが走る。 「提督―――ご無事で?」 副官のリー大佐がキャンベル提督の額にハンカチを当てながら訊ねる。 「大したことはない―――何が起きた?」 「中華帝国軍の奇襲です」 「……最悪だな」 キャンベル提督がそう思うのも無理はない。 この場に居合わせたのは、日英米三軍の司令部同士。緊急の会合中だった。 議題は――― ラピス島周辺における、レーダーの使用不能、通信障害が発生。 これだ。 原因に関する見解は一つ。 狩野粒子。 レーダー上と、通信における障害程度なら、粒子レベルは低い。 問題は、狩野粒子が何故、この海域で確認されたか。 ―――原因はともかく、現実の事態に対処すべきだ。 ―――両軍共に、哨戒機を上げ、警戒に徹する。 会合は、そんな軍人らしい現実主義的な結論で終わろうとしていた。 その時、こう言ったのが誰だったのか、キャンベル提督は思い出せない。 ―――狩野粒子を中華帝国軍が使ったものなら、笑えませんな。 ―――全くだ。一体、連中はどこから狩野粒子を手に入れたんだ? (笑えなかったな) キャンベル提督はため息一つ、頭を強く振ると、自力で立ち上がった。 「チンクも、絶妙なタイミングで仕掛けてきたな」 「提督」 副官の一人、ハスラー大佐がキャンベル提督に進言した。 「本気で、そうお考えですか?」 「ん?」 「魔族軍の侵略と呼応するが如きタイミングで近隣諸国へ武力侵攻。さらに、この狩野粒子を前にして……」 「君は―――」 「自分は断言します。連中は、魔族軍とつながっています!」 「根拠は?」 「根拠!?」 ハスラー大佐は、上官に怒鳴った。 「周りを見てくださいっ!これで十分でしょう!」 ハスラー大佐の指さした先には、このラピス島までの航海を、その苦楽を共にしてきた司令部のスタッフ達のなれの果てが転がっていた。 「チンク共がこんなことしなければ、こいつらは“こう”ならずに済んだ!第一、我が軍はまだ宣戦布告すらしていない!中立宣言国ですよ!?」 「……っ」 「中華帝国軍が接近するタイミングで、この辺一帯が狩野粒子に汚染された!中華帝国軍が散布したと宣言して世論が信じればそれでいいんですよ、提督っ!」 「……とりあえず」 提督は答えた。 「政治的な話はペンタゴンとホワイトハウスに委ねよう。私の権限は国と国民から任された艦隊の範囲に限定されている」 「全ては、提督の報告にかかっています―――ホワイトハウスが、世論が我々に報復を許すか否か」 「善処しよう」 「安全が確保されるまで、シェルターに入ってください。今、艦隊に戻るのは危険です」 「その前に艦隊に対空戦闘を命じろ。メサイア隊は全騎戦闘態勢」 そこまで言いかけたキャンベル提督の声を遮ったのは、日本から送り込まれてきた飛行艇部隊を束ねる有馬司令の怒鳴り声だ。 「対潜警戒怠るなっ!」 壁にかかっていた電話相手に、それまでの温厚さは微塵も感じることは出来ない。 「水中から来られたらアウトだぞ!それから、“鈴谷(すずや)”を上げろっ!空襲が終わったら送り狼をさせるんだ!」 日本語がわからないキャンベル提督には、彼が何と言っているかわからない。 ただ、 タイセン。 ケーカイ 職業柄、キャンベル提督が知っている数少ない日本語の語彙にその言葉があった。 アリマは対潜警戒を命じた。 何故? 狩野粒子。 その存在が念頭にあったキャンベル提督は、その理由に即座に思い当たった。 彼は部下への命令を追加した。 「全艦、ソナー警戒。対潜兵装は即時発射可能にしろ、何隻か、対潜任務のため環礁から出せ。最悪―――」 提督は空襲の続く窓の外を睨んだ。 「アトミック爆雷の使用を」 「し、しかしっ!」 「“あれ”の使用は、大統領から私に一任されている」 「潜水艦相手にですか?」 「ジャック。メサイア隊を攻撃に出せ。それから君」 キャンベル提督は狼狽する副官をあきれ顔で見た。 「それは、地中海で我が軍が、何にどんな目にあわされたか分かった上での発言か?」
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/3304.html
昨日 - 今日 - 15年戦争資料庫 ページ数3119一部公開 「南京事件」143枚の写真&読める判決、「ラーベの日記」を読みながらブログ『1937年秋冬コレクション』、産経iza 安禅不必須山水 iza!(復活)もどうぞ. また、ja2047 memorialとTohoho ピース ウォークも. ■当資料庫の御利用にさいしてのお願い メニュー欄から現場にたどり着けないときは、サイト内検索を御利用ください。複数のキーワードを使えば「and検索」ができます。 サイト内検索 and or New! 宇都宮けんじさんへの諌言書 New! 第13回-第14回 福島県県民健康管理調査検討委員会 甲状腺検査結果について New! 舩橋淳(映画作家) 今は平時でなく、戦時になりつつある~圧倒的な危機感という視点~ New! 都知事選候補者宇都宮氏と細川氏の記者会見 New! 東海村での未就学児甲状腺検査の結果(2013)と5歳女児肺転移甲状腺がんの症例(2009) 福島県外3県における甲状腺結節性疾患有所見率等調査成果報告書について 素線量に関するメモ 甲状腺がんの罹患率(発生率)10 万人あたり~国立がん研究センター「がん統計」より New! 5月30日のUNSCEAR報告書プレスリリース仮訳 橋下徹大阪市長の慰安婦妄言 【資料】遭難者はどちらも心臓に持病 作られた逮捕 10ミリシーベルトでも危険 ~ICRPは放射線被ばくの発がんリスクを1/10に過小評している・松崎道幸 5.8キツネにつままれた仙台高裁の判決(決定)を読み解き未来を提示する緊急の判決報告会(第1回目) ふくしま集団疎開裁判・仙台高裁2013-04-24決定 ふくしま集団疎開裁判・仙台高裁の判決 福島第1原発事故 市町村別、甲状腺検査結果を開示 【部内参考資料】東大早野教授らの「内部被曝はゼロ」報道誘導論文 集団疎開裁判の会リーフレット・改訂版 「鈴木眞一学会」のこと :県外3市の甲状腺検査結果(環境省) 国連人権理事会UPR日本報告を採択(死刑、代用監獄、「慰安婦」、フクシマ) 「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会」からの緊急提言 子どもたちを被曝から守ろう! 集団疎開裁判の会リーフレット ⇒集団疎開裁判の会リーフレット・改訂版 甲状腺検査説明会20130210at二本松by鈴木眞一 チェルノブイリ小児甲状腺がんと事故時年齢 甲状腺がん新たに2人、第10回福島県県民健康管理検討委員会についての報道 年賀状に換えて 12.28日比谷屋内集会「『集団疎開裁判』と福島の今までとこれから」【配布資料】 「公衆の線量限度は年間1mSv」 国内法の記述ついて 甲状腺検査に関する緊急資料集 緊急資料集・10月末日=「甲状腺検査」説明会を前にして 「公開質問状について」スライドby ni0615 緊急資料集・11月10日 緊急資料集・速報11月11日 11月10日説明会@福島市・県側配布資料 【緊急資料11 月16 日】甲状腺検査・診断における「福島県立医大メソッド」について 福島県民健康管理調査の問題点index 甲状腺がんについての「公開質問状」:内部被曝研2012_10_15 毎日新聞スクープ_福島健康調査 「秘密会」で見解すり合わせ 内部被曝問題研究会が理事長声明を発しました 放影研の「原爆被爆者の死亡率に関する研究 LSS第14報」に関する資料 生井兵治さんの「放射線安全神話を撃つ」121024@明石町 IAEA特別歓迎用プラカード 「原発と共存する日本」から「原発事故と共存する日本」へ 奥村岳志さんの論考「IAEAと福島 管理人用for myself ICRPとIAEA文書の本棚 放射線審議会委員名簿 不測事態のシナリオ 資料:原発村OBによるNHKにたいする「抗議と要望」 ついに虚言もここまで来たか、中川恵一「チェルノブイリの教訓」週刊新潮12.1 人体影響・チェルノブイリなどからの知見 電力会社の秘密警察を務めたエネ庁と科学技術館~東京新聞2011.11.20 ホールボディ検査・計画と結果報告 ver_6南相馬市のWBC検査の結果は安心できるか.pdf 3月末に行われた児童の甲状腺検査について 山下俊一教授と日本財団 1Bqの摂取が与える預託線量Sv 公開された資料で判明報じられなかったプルトニウム「大量放出」の事実 ヨウ素131における「線量係数」一覧2011.8.21改訂しました 特設庫・放射能汚染とデマ汚染に抗す 長崎大・山下俊一教授の『語録』 小出裕章:たね撒きジャーナル 小出裕章:最新講演ビデオ 今中哲二:低線量放射線被曝とその発ガンリスク ICRPの2007年勧告:index 児玉龍彦氏の発言 田口汎 広島・長崎原爆被爆の原点に戻る index 笹本征男インタビュー占領下の原爆調査が意味するもの(上) 笹本征男インタビュー占領下の原爆調査が意味するもの(下) 7/8東大緊急討論会におけるレジュメ:島薗進「放射能の影響と戦後日本の医学」 twitterより:島薗進氏による中川保雄『放射線被曝の歴史』(1991年)の紹介 必読! 低線量被曝による「脳障害」「不妊」「糖尿病」などを警告するドイツ女医のインタビュー 黒鉄好のレイバーコラム「時事寸評」第10回:被曝地フクシマで進行する戦慄の事態~ついに刑事告発された御用学者・山下俊一らの大罪を問う! 発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針 いわゆる『防災指針』:「原子力施設等の防災対策について」原子力安全委員会 「環境放射線モニタリング指針」平成 20年 3月原子力安全委員会 放射能汚染とデマ汚染に関するメモ 阪神教育闘争・文献リスト Validation もろもろ ☆新防衛大綱考 ☆ウィキリークス情報 尖閣列島問題、河内謙策氏の論考をめぐって 河内謙策氏の反中国・尖閣闘争論 【参考資料】右派諸氏の尖閣紛争・戦争論 番外:映画『ザ・コーヴ』関連 デマビラ『朝鮮進駐軍』の話iza 「韓国併合」100年日韓知識人共同声明 2010年5月10日 全文 日韓歴史共同研究」 第二次報告本文リンクと関連資料を収集中です。 日中歴史共同研究」 第一次報告本文と関連資料を収集中です。 大田昌秀講演「沖縄戦と集団自決裁判について」 「ある神話の背景」の研究 「海上挺進第三戦隊陣中日誌」の研究 竹田宮と第84師団派遣中止 -自家用 《資料庫Menu》 読める控訴審判決「集団自決」 沖縄戦庫/沖縄戦資料index/沖縄戦ニュース/沖縄戦裁判 従軍慰安婦庫 在日由来&徴用と連行庫 満州事変庫 南京事件庫/ 「百人斬り競争」と南京事件 内容目次 日中戦争庫 太平洋戦争庫 BC級戦犯庫 昭和史庫/ 兵は凶器なり15年戦争と新聞メディア一覧 台湾の歴史・日台関係史 靖国問題庫 歴史共同研究庫 「偉そうな軍人さんは嘘をつく」庫 「警察官は制服を着ているとなぜ威張るのか」庫(未作成) 9.11陰謀論庫 資料探索庫 平和思考庫 贋声嘯聚 New! 歴史改竄デマビラ New! その他庫 番外庫 新資料庫 GAZA兵器と人間・資料庫@wiki izaブログ最新 izaエントリー・リスト 管理人へのメール Link---- ブライダル 不動産検索
https://w.atwiki.jp/testhuston/pages/604.html
ガンダムクロニクル 一年戦争編詳細 CM-0001 RX-77-2 ガンキャノン203号機 所属 地球連邦軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム プロフィール 地球連邦宇宙軍の「RX計画」によって開発された中距離支援用MS。RX-78ガンダム同様コア・ブロック・システムを搭載し、堅牢な装甲と砲撃戦用のキャノン砲を両肩に装備している。中距離支援MSとして良好な戦果を上げた本機は、少数ではあるが量産され様々な部隊に配備された。 固定装備 ● 格闘[機動重視] ● キャノン砲[攻撃重視] ● 頭部バルカン砲[防御重視] 特殊機能 ■[攻撃重視]遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 ■ビーム・ライフル■ハンド・グレネイド コメント キャノン砲[発射数 4 装填12] 頭部バルカン砲[発射数 5 装填15] コレはカード名称と番号、マーキング以外はME-0005のデータです。 CM-0002 Gスカイ・イージー 所属 地球連邦軍 分類 支援機 出展 機動戦士ガンダム プロフィール コア・ファイターとGファイターの機体後部で構成させる戦闘機形態。Gメカにコア・ファイターが直接着いた状態のため、ガンダムのパーツは介在していない。この形態はコア・ブースターのようなコア・ファイターのパワーアップバリエーションと言える。 固定装備 ● ミサイル[攻撃重視] ● 機首バルカン砲[防御重視] 特殊機能 ■[攻撃重視]遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 コメント コレはカード番号とマーキング以外はME-0011のデータです。 CM-0003 RB-79 ボール 所属 地球連邦軍 分類 支援機 出展 機動戦士ガンダム プロフィール 地球連邦宇宙軍のモビルポッド。大戦末期の一大反抗作戦に備え、ジムの生産不足を補うために開発された。構造が単純なため非常に生産性が高く、大量に生産されている。 固定装備 ● キャノン砲[攻撃重視] ● キャノン砲[防御重視] 特殊機能 ■遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0004 FF-X7 コア・ファイター 所属 地球連邦軍 分類 支援機 出展 機動戦士ガンダム プロフィール RXシリーズのコア・ブロックとなる多目的戦闘機。推進器に熱核ジェット・ロケット・エンジンを使用しているため、地球上から宇宙まで装備の換装なしに運用が可能であった。垂直離着陸能力なども備えた、まさに、「万能戦闘機」と呼ぶに相応しい高性能戦闘機である。 固定装備 ● ミサイル[攻撃重視] ● 機首バルカン砲[防御重視] 特殊機能 ■遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0005 61式戦車 所属 地球連邦軍 分類 支援機 出展 機動戦士ガンダム プロフィール 地球連邦陸軍の主力戦車。150mm砲を2門装備した独特のシルエットを持ち、MS登場までは地球連邦陸軍の主力兵器として幅広く使用されていた。MS登場以降は地上戦の主役の座をMSに奪われ、支援兵器としてMS部隊のサポートなどを行なっている。 固定装備 ● 2連装キャノン砲[攻撃重視] ● 2連装キャノン砲[防御重視] 特殊機能 ■遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 コメント コレはカード番号以外、ME-0028のデータです。 CM-0006 ガンダム (ロールアウトカラー) 所属 地球連邦軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム MSV プロフィール 地球連邦宇宙軍の「RX計画」によって開発された白兵戦用MS。ロールアウト直後の機体のため塗装が施されておらず、構造材の色である薄いグレーのままとなっている。この後、最終調整とともに白・赤・青のガンダム特有の象徴的なトリコロールカラーへと塗装される。 固定装備 ● ビームサーベル[機動重視] ● 頭部バルカン砲[攻撃重視] ● 頭部バルカン砲[防御重視] 特殊機能 主兵装 ■ビーム・ライフル■ガンダム・シールド ・・・他 コメント コストが10安く、機体性能はプロトタイプ・ガンダムと同等に下げられている。 プロトタイプ・ガンダムとは違い格闘がビームサーベルなので使いやすい。 CM-0007 RGM-79 ジム先行量産型 所属 地球連邦軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム MSV プロフィール 地球連邦軍主力MSジムの前期生産モデル。後期型のジムとは機体の仕様が若干異なる。ビーム・スプレーガンやシールドなどのオプション兵装は、このタイプから確立していたようだ。 固定装備 ● ビーム・サーベル[機動重視] ● 頭部バルカン砲[攻撃重視] ● 頭部バルカン砲[防御重視] 特殊機能 主兵装 ■ビーム・スプレーガン■ガンダム・シールド…他 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0008 RGC-80 ジム・キャノン 所属 地球連邦軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム MSV プロフィール ガンキャノンの量産モデルとして開発された中距離支援用MS。ジムのパーツを流用することで、ジム・キャノンが生産された。一説では大戦中の生産数は48機だとされている。 固定装備 ● 格闘[機動重視] ● キャノン砲[攻撃重視] ● 頭部バルカン砲[防御重視] 特殊機能 ■[攻撃重視]遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 ■ビーム・スプレーガン■ガンダム・シールド コメント コレはカード番号とマーキング以外はME-0042のデータです CM-0009 RAG-79 アクア・ジム 所属 地球連邦軍 分類 モビルスーツ 出展 大河原邦男コレクション M-MSV プロフィール ジムをベースに開発された水陸両用MS。ジオン公国軍が戦線へと投入したMSM-03ゴッグなどの水陸両用MSに対し、従来の地球連邦海軍の装備では対抗できないため、量産化の目途がたったジムをベースに急遽開発されたものの、性能は予定より下回ったようだ。 固定装備 ● ビーム・ピック[機動重視] ● 魚雷[攻撃重視] ● 魚雷[防御重視] 特殊機能 ■[固定装備]水中の敵に対して攻撃力上昇 主兵装 ■ミサイル・ランチャー コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0010 RX-79[G] 陸戦型ガンダム (シールド未装備仕様) 所属 地球連邦軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 プロフィール 地上戦用に開発された陸戦型のガンダム。運用域を地上に限定することで、RX-78ガンダムに比べコストパフォーマンスの良い機体となった。右肩に刻印された[061]のナンバーから、この機体が第06MS小隊の隊長(1番)機であることがわかる。 固定装備 ● ビーム・サーベル[機動重視] ● 胸部バルカン砲[攻撃重視] ● 胸部バルカン砲[防御重視] 特殊機能 主兵装 ■ビーム・ライフル■180mmキャノン■小型シールド …他 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0011 MS-05 ザクI 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国軍が一年戦争以前から主力としていたMS。ザクIIの登場によりその座を奪われたが、ランバ・ラルや黒い三連星といったエースパイロットが愛用のザクIで多くの戦果を上げている。 固定装備 ● ヒート・ホーク[機動重視] 特殊機能 主兵装 ■ザク・マシンガン■ザク・バズーカ ・・・他 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0012 MS-06F ザクII 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国軍の主力MS。ザクIIは、一年戦争中両軍を通して最も生産された名機で、MSの代名詞とも言われる。様々な環境下での運用が可能で、数多く用意されたオプション兵装を使い分けることで在来の兵器を圧倒した。 固定装備 ● ヒート・ホーク[機動重視] 特殊機能 ■固定シールド搭載 主兵装 ■ザク・マシンガン■ザク・バズーカ ・・・他 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0013 MS-07B グフ 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国の陸戦用MS。ザクIIJ型に変わる陸戦用MSとして開発された。局地戦にも対応しており熱帯・砂漠地帯でも運用が可能。対MS戦闘を想定し格闘戦能力を重視した設計になっており、高電圧で敵機の計器やパイロットにダメージを与えるヒート・ロッドを装備している。 固定装備 ● ヒート・ロッド[機動重視] ● フィンガー・バルカン[攻撃重視] ● フィンガー・バルカン[防御重視] 特殊機能 ■[機動重視]電撃攻撃(※機動力低下) 主兵装 ■シールド コメント コレはカード番号とマーキング以外はMZ-0004のデータです。 CM-0014 MS-09 ドム 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国軍の陸戦用MS。ジオン公国のツィマッド社が開発した重MSで、熱核ジェットを使用したホバー走行により、重MSでありながら地上の高速移動を実現している。次世代の陸戦用MSとして制式採用されたが、開発時期が遅かったため充分な数の配備には至らなかった。 固定装備 ● ヒート・サーベル[機動重視] ● 拡散ビーム砲[攻撃重視] ● 拡散ビーム砲[防御重視] 特殊機能 ■[攻撃重視/防御重視]シールドをダメージ貫通、テンション減少 主兵装 ■ジャイアント・バズ コメント 右肩にジオンのエンブレム、胸に「013」のナンバーが入る。 CM-0015 MSM-04 アッガイ 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国軍の水陸両用MS。水陸両用MSとして、水中だけでなく地上での機動性にも優れており、アイアン・ネイルを使用した格闘戦も得意としていた。この機体は左足に刻印されたナンバーから、アジア方面で使用された機体であると推測できる。 固定装備 ● アイアン・ネイル[機動重視] ● メガ粒子砲[攻撃重視] ● 6連装ミサイル・ランチャー[防御重視] 特殊機能 ■[固定装備]水中の敵に対して攻撃力上昇 ■[攻撃重視]シールドをダメージ貫通 主兵装 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0016 ド・ダイYS 所属 ジオン公国軍 分類 支援機 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国軍の要爆撃機。当初は爆撃機として運用されていたが、推力に余裕があったことから、輸送機に代わるMSの輸送手段として機体上部にザクIIやグフなどのMSを乗せ、地上の各戦線で活躍した。 固定装備 ● ミサイル[攻撃重視] ● ミサイル[防御重視] 特殊機能 ■遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0017 ドップ 所属 ジオン公国軍 分類 支援機 出展 機動戦士ガンダム プロフィール ジオン公国軍の小型戦闘機。航空力学よりもバーニアなどの宇宙工学に基づいた設計がなされており、極めて運動性が高い反面、航続距離が短いという欠点を持っている。しかし、ガウ攻撃空母との連携によってそれらの弱点を補うことが可能であった。 固定装備 ● ミサイル[攻撃重視] ● バルカン砲[防御重視] 特殊機能 ■遮蔽物越しに攻撃可能 主兵装 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0018 MS-06R-2 高機動型ザクR2タイプ (ジョニー・ライデン専用機) 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム MSV プロフィール R2型のジョニー・ライデン専用機。R2タイプは外見こそザクであるが、内部構造はすでにザクとは別物の機体であり、「ザクの皮をがぶったゲルググ」と呼ばれるほどの性能を有していた。ライデンの駆る真紅の機体は、彼の人気と相まって非常に知名度が高かったのである。 固定装備 ● ヒート・ホーク[機動重視] 特殊機能 ■固定シールド搭載 主兵装 ■ザク・マシンガン■ザク・バズーカ■ジャイアント・バズ ・・・他 コメント MZ-0055との差は、機体に「402」のマーキングがある。 CM-0019 MS-06V ザクタンク 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム MSV プロフィール ザクの現地改修機。補給がままならないジオン公国軍の地上部隊が、廃品パーツを利用して製作した改造MSだが便宜上Vタイプとして登録されている。戦力としてはあまり期待できないが、戦闘に投入されることもあったようだ。 固定装備 ● 3連装マシンガン[攻撃重視] ● 3連装マシンガン[防御重視] 特殊機能 ■固定シールド×2搭載 コメント 武装やステータスなどは、全て排出版と同じ。 CM-0020 陸戦型ザクII (スパイク・シールド仕様) 所属 ジオン公国軍 分類 モビルスーツ 出展 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 プロフィール 陸戦型ザクIIのバリエーション機。右肩のシールドに格闘戦用のスパイクが装着されたタイプの機体。見通しが利かないジャングルなどでは度々近距離での遭遇戦が発生するため、このように武器の持ち替えなしで格闘戦に即応できるような工夫がなされている。 固定装備 {● 格闘攻撃[機動重視]}; ● ヒート・ホーク[機動重視] 特殊機能 ■固定シールド搭載 ■[機動重視]強制回頭(※命中毎に耐久力が減少)固定シールドが破壊された後はヒート・ホークを使用 主兵装 ■ザク・マシンガン■ザク・バズーカ(増加マガジン仕様)■マゼラ・トップ砲 ・・・他 コメント コレはカード名称以外、MZ-0076のデータと同じと見せかけてコストが5高い。 シールドにスパイクが付いているが…多少は通常のザク盾に比べて耐久力が上なのだろうか? 0083Ver.2(両雄激突)より、機動重視攻撃の仕様が大幅変更。フェンリル隊仕様陸ザクと同じ仕様に。 上へ戻る?
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2000.html
昨日 - 今日 - 【資料】NHK JAPANデビュー第2回『天皇と憲法』をめぐって シリーズ JAPANデビュー 第2回『天皇と憲法』 2009年5月3日(日) 午後9時00分~10時13分 総合テレビ (再放送)2009年5月6日(水)午前0時45分~1時58分(5日深夜) 総合 第1回についてはこちら あらすじ 日本が近代国家の骨格ともいうべき憲法を初めて定めてから120年。大日本帝国憲法は、プロイセン憲法などを参考に「立憲君主制」を採り、当時の世界からも評価されていた。しかし、19世紀帝国主義から第一次世界大戦を経てうねる時代の流れの中で、日本はその運用を誤り、立憲体制を瓦解させてしまう。一つは、議会を担う政党が党利党略に走って政策や理念を忘れ、軍部の肥大化を助長したことに原因がある。さらには、天皇を絶対視する思想が先鋭化し、統帥権を盾に取った軍部が政治を主導していったことが挙げられる。 國學院大學には、憲法起草者の法制官僚井上毅(いのうえ・こわし)が残した6000点を超える資料が保存されている。ドイツなど諸外国に残された資料も掘り起こし、どのように大日本帝国憲法が制定されたかを分析。さらに、政党政治の自滅と天皇絶対主義の国体論の激流を、これまで紹介されていない資料によって描き、大日本帝国憲法下の政治体制がどのように崩壊したかを検証していく。番組には、京都大学の山室信一教授、東京大学先端科学技術研究センターの御厨貴教授、評論家の立花隆さん、の3人の論客が出演。 http //www.nhk.or.jp/special/onair/090503.htmlより 参考ブログ 【NHKスペシャル】「JAPANデビュー」第2回「天皇と憲法」を見た JAPANデビュー 第2回 天皇と憲法 への疑問 「JAPANデビュー 第2回 天皇と憲法」 NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー 第2回「天皇と憲法」を見ました。 明治天皇制はなぜ崩壊したのか NHK「JAPANデビュー第2回 天皇と憲法」 別冊「東京帝大が敗れた日」東大生が体験した「8月15日」 天皇と東大:目次 放送予告:NHKスペシャル シリーズ「JAPANデビュー」 15年戦争資料庫
https://w.atwiki.jp/ayano01/pages/181.html
「きゃあっ!」 とっさに構えたシールドが左腕ごと切断された。 シールドを持った左腕が宙を舞い、地面に落下していく。 「な、何が!?」 シールドが全く何の役にも立たなかった。 装甲をチーズのように切り裂くという表現があるが、これじゃまるで豆腐だ。 「近衛の装甲って、飾りなの!?」 左腕を失ってバランスを失ったさつきは、騎体バランスをとろうとSTRシステムと格闘しながら怒鳴った。 「装甲の役目果たしてないっ!」 「早瀬っ!」 宗像が怒鳴った。 「長野教官との接触は一時お預けだ。降りるぞ!」 「で、でもっ!」 「敵の機動性に、こっちがついていけない。このままなら一方的にこっちが不利だ!」 「―――わかった!」 「美晴、私と一緒に敵騎をけん制しろ。さつきは後退しろ」 「了解っ!」 「困るんだよ」 静かな、しかし明白な叱責を含んだその一言に、神妙に頭を下げたのは、かつて神音の元を訪れたあの男だ。 「ユギオ……もう10年だ」 「……はっ」 神音の前でみせた軽さはどこにもない。 「この10年間の我々の投資額を、考えたことはあるのか」 「……申し訳ありません」 「我々にも投資するからには理由(わけ)がある。世論が言うような馬鹿げた慈善事業(きれいごと)に投資しているつもりはない」 「はい」 「この10年間、何をしてきた?レンファの怠慢ぶりにすべての責任を負わせるつもりだろうが、我々相手ではそうはいかんぞ?」 「……」 「レンファを選んだ選定ミスといい、その怠慢を放置したことといい、お前達の罪こそ叩くべきだという者が圧倒的多数だ。 状況は10年前とは大きく変化しつつある。 世論は負けっぱなしのお前達に愛想を尽かし始めている―――誰の非かは、一々口の端に乗せるつもりもない」 「……」 「……一年だ」 「一年?」 「これが最後通告だぞ、ユギオ」 「一年で、せめて我々を説得するだけの功績をあげろ」 「……はっ」 「―――さて。状況を説明してもらおうか?その……人類同士に争わせるという話を」 ● 特殊艇“ヒューマー”艦橋 「トラウムへようこそ!エーランド少佐!」 特殊艇“ヒューマー”艦橋に入ったエーランド少佐を出迎えたのは、ずんぐりとした体型の中年男、ゴトランド大尉だ。 エーランド少佐とは、長年に渡って魔界の辺境紛争で死線をくぐり抜けてきた因縁深い仲だ。 「世話になるぞ。ゴトランド」 「なんの」 ゴトランドは楽しげに肩をすくめた。 「ベネルスボリイ紛争以来ですな。すでに退役されたと聞いていたのですが」 「ぬるま湯の生活は性分にあわん」 「少佐は戦場の方がお似合いです」 「世辞か?」 「ハハッ!まさか!」 「まぁいい。“鍵”の現在位置は?」 「はっ―――おい」 ゴトランドに声をかけられた彼の副官が一礼の後、スクリーンを操作した。 スクリーンに映し出されるのは、アフリカからアラビア半島にかけての地図だ。 「3時間前、“アフリカの角”を離れた“鍵”は現在、アラビア湾を移動中。このままのコースをとると、オマーン湾、ホルムズ海峡を経由して、明後日にはドバイに入ります」 「ドバイ?」 「人類が作り上げた砂上の楼閣ですよ」ゴトランドは言った。 「酒に女に―――ロクでもないところですよ」 「ずいぶん楽しんだらしいな」 「ガハハッ!少佐にはかなわない―――まあ、船乗りの特権とでも見てください」 「とがめてはいないさ」 スクリーンから視線を外すことなくエーランド少佐は小さく笑った。 長い金髪が照明を美しく反射して輝いている。 背の高い、すらっとした容姿といい彫りの深い顔立ちといい、俺なんかよりずっとドバイの女達にはモテるだろうな。と、ゴトランドは内心思った。 「どのあたりで追いつきそうだ?」 「艦そのものが追いつくのはアラビア湾上空、16時間後を予想。ですが、メースでしたらソコトラ島上空、発艦後1時間以内で叩けます」 「忙しいことだ。部隊の乗艦が済んだばかりだというのに……」 「前祝いですよ」 「そう願おう」 エーランド少佐は笑みを真顔に戻した。 「ゴトランド、出るぞ!」 「了解っ!」 ●“鈴谷(すずや)”士官室 泉美奈代が20年近い人生の中で、この日、初めて自覚出来た感情が一つあった。 嫉妬だ。 「……」 「いや……だから」 美奈代達の目の前では、別室で食事をとる染谷達の姿があった。 染谷達といっても、染谷と後は二人。 小林少尉と、あの金髪の少女―――フィアだ。 あどけなさの残るものの、恐ろしいほど愛くるしい体を、艦内用に支給されているスウェットスーツに包んだフィアは、まるで体を染谷にすりつけるような、甘えた仕草をしながら食事を続けている。 目の前の美奈代達なんて眼中にないといわんばかりだ。 「行こう?。美奈代」 「そうだな」 「ちょっと待って!」 女子候補生からのあからさまな冷たい視線を、半分泣きそうな顔にやっと笑みを浮かべて誤魔化そうとしていた染谷は、その冷たい言葉に悲鳴に近い声を上げた。 「あ、あの……その……」 声がうわずって、うまくしゃべることが出来ない。 「こ、こういう女の子は、女の子が面倒を」 つまり、代わってくれ。と言いたいのだ。 ところが、頼んだ相手は―――。 「私達メサイアパイロットの候補生だし」 さつきは汚物を見るような目つきで言った。 「任務じゃないわね」 「そういうことだ」 「だから誤解だ!ぼ、僕は!」 立ち上がろうとした染谷だったが、腕を掴まれ、動きを止めた。 フィアが甘えた顔で染谷の腕に抱きついたのだ。 染谷の腕に頬をすり寄せるフィアの表情は、恍惚としている。 「……はいはい」 美晴が冷たい声で言った。 「ごちそうさま」 「まさか……染谷がロリコンだったなんて」 「よく憲兵隊が何も言わないものだな、この性的病人に」 「恐ろしく言いたい放題言われている気がするのは何故だろう」 「私達、これから訓練だから」 「通りかかっただけなんです」 「病気が移ると困るので。失礼します」 「一体、君たちは僕をなんだと思って!」 抗議する染谷に、美晴とさつきが揃って答えた。 「性犯罪者(×2)」 「なっ!?」 「……その格好で」 中学生位の少女とベタベタしている光景を冷たく指さして宗像は言った。 「自分がノーマルだと言う方がどうかしている……訓練に遅れるぞ?行こう」 宗像に促され、じっと二人を見つめていた美奈代は、しぶしぶという顔で踵を返そうとした。 不意に、フィアの視線が美奈代のそれとぶつかったのは、その瞬間だ。 感情を殺した美奈代の視線と、好奇心さえ感じるフィアの視線。 動いたのフィアだ。 まとわりついていた染谷の腕から体を離し、一瞬だけ美奈代に挑発的な笑みを浮かべたかと思うと、首を伸ばして瞳を閉じた。 チュッ そんな効果音が、小さく響いたのは、その直後のことだった。 ●“鈴谷(すずや)”ハンガーデッキ 「一体、誰なのよ?あの子。ねぇ、美奈代?」 しきりと拳銃の手入れを続ける美奈代は、妙に何かをぶつぶつ言い続けていた。 「?」 さつきが、そんな美奈代の口元に耳を近づけた。 「……暴発による業務上過失致死は……」 「やめなって!」 「……劇薬を、食事に混ぜるのはどうだろう……」 「勘弁してよ!」 さつきは美奈代の肩を揺すった。 「私ゃね!?ワイドショーで“あの子なら、絶対いつか何かやるだろうと思っていました”なんて言いたくないからね?」 「早瀬……せめて“あんな真面目そうな子が”程度にしてやれ」 宗像は言った。 「初めて出来たオトコに、別のオンナが出来たんだ。嫉妬するなという方が無理だ」 「それが流血沙汰ですか?美奈代さんらしいというか」 「お前ら、私を何だと思っているんだ?」 美奈代は声を荒げた。 「まるで、二宮教官の男運のなさが乗り移ったみたいに!」 「どういう解釈かわかんないけど……そうか」 ポンッと手を叩いたのはさつきだ。 「そう考えれば、染谷が美奈代に惚れるなんて前代未聞の珍事も納得出来る!」 「結果は100%の失恋ですね!」 「かなり手ひどい終わり方になるな……なにしろ、あの人の男運だ」 「ちょっとぉ!」 「泣くな泉。オンナに走ればいいことだ。いつでも協力してやろう」 「それで……二宮教官が普通の男運になれば」 美晴が言った。 「二宮教官も今年こそ本命のカレが出来ることに!」 「1年前に、これが現実になっていればよかったのにねぇ……」 さつきはしみじみと言った。 「欲求不満を、私達へのシゴキで発散するなんていう、不毛な生活を、教官も味わわずに済んだのに」 「風邪だって、誰かにうつすとよくなるって言いますしね」 「あんなにヒドイ男運もらってたまるもんか!」 美奈代はたまらずに怒鳴った。 「あれは不幸どころじゃないぞ!あんなヒドい男運をもって、それでもオンナとして―――」 次の瞬間、美奈代は、目の前で腕組みしながらにっこりと微笑んでいる相手を見て二つのことを思いついたという。 一つは、フィアというオンナ殺して自分も死ぬか。 もう一つは、ここで死ぬか。 ……しかし、相手はそんな美奈代の子供じみた発想を認めてくれるほど、甘くはなかった。 何しろ、相手は、美奈代達にとって鬼より怖い相手なのだ。 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 「大陸から?」 「間違いありません」 美夜に答えたのは、レーダー要員の川村真由軍曹だ。 「電探、魔探共に反応ありませんが、衛星がとらえています」 「連中は、人工衛星というものを知らないらしいな」 美夜は、その間抜けぶりがほほえましくさえ思い、小さく笑った。 「どれくらいで接触しそうだ?」 「推定20分後」 アデン湾上空1200メートル上空。 あと10分でソコトラ島上空にさしかかる。 海上では圧倒的に不利だが、陸地ならメサイアも本領を発揮して戦える。 進路は決まった。 「針路変更。ソコトラ島へ向かえ―――全艦戦闘態勢、メサイアの発艦急がせろっ!」 “鈴谷(すずや)”の“目”が接近するメースをとらえたのはそれから5分後のことだ。 海面すれすれを高速で移動してくる反応は3。 反応の大きさはメサイア級だ。 訓練のため発艦しようとしていたメサイア隊は即座に武装を演習用のそれから実戦用のそれに変更し、艦を続々と離れた。 皆がアフリカ大陸方面からの攻撃に備えていた。 何が来るかわからない。 レーダーが攻撃をとらえるかさえ不明。 美奈代達は、内心でおびえながら神経をアフリカ方面へと集中させていた。 ―――しかし ●紅海上空 太い光が走ったかと思うと、 「きゃっ!?」 左舷側に展開していた美晴騎から悲鳴が上がった。 「な、何!?」 「6時方向より艦砲射撃!」 牧野中が怒鳴った。 「魔族軍が後ろから!?」 「違います!この攻撃は―――」 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 「北イエメン軍だと?」 「艦艇数6,いずれも“25型”コルベット艦タイプ」 「ずいぶんな骨董品だな……まだ浮いていたのか?」 「艦長。飛行艦“ホデイダ”より通信です」 「通信?」 「貴艦は我が領空を侵犯しつつあり。速やかに武装を解除し停船せよ。停船に応じない場合は……撃沈する」 「馬鹿な!帝国はソコトラへの寄港と上空通行の許可を―――!」 わめきかけて、美夜は司令部が犯した大失態にようやく気づいた。 「通信……相手は、北イエメン軍と言っていたな?」 ●紅海上空 「少佐。敵に増援の模様」 「さっきの一撃は、景気づけですかね」 「……さてね」 海面すれすれを高速で移動するメースのコクピットで、エーランドは小さく笑った。 ついさっき、観測された高魔法エネルギー反応。 それは、全く見当違いの方角を狙った一撃にすぎなかった。下手をすれば味方に当たっていたはずだ。 接触しようとする艦があの艦の味方なら、あんな発砲は、意味を為さない。 「……まさかな」 エーランドは、自らにわき上がった発想に首を振った。 「あれが、あの艦にとっての敵だなんて……」 「少佐、どうします?」 「エーリヒ、クンニ。このまま突っ込むぞ。お前達は後方の艦をやれ」 「了解っ!」 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 イエメン共和国。 それが、現実世界の名だが、それは1990年5月22日の南北イエメン合併があってこその存在だ。 かつての一大王国イエメン王国は15世紀に王朝が分断し、南北両イエメン王朝が成立。ヨーロッパの植民地化など紆余曲折の末、再び両国が成立したのは1967年のこと。 南イエメン王国と、北イエメン共和国となって以降も、相手国は自国の領土と主張し、紛争が絶えない。 相手国は自国領。 つまり、ソコトラ島も片方の国からすれば領土なのだ。 だからこそ、ここを通行したり利用したければ、双方の国に許可を得る必要がある。 それがこの紅海を渡る際の常識だ。 ところが――― 「北が来るとは……」 美夜が頭を抱えたのも無理はない。 帝国外務省は、国交がないことを理由に、北イエメンからの通行許可を入手していなかったのだ。 “鈴谷(すずや)”は北イエメン軍からすれば、領海・領土に侵入する敵でしかない。 「前門の虎……後門の狼……か」 「どうなさいますか?」 「“ホデイダ”へ通信開け。我、魔族軍の追撃を受け撤退中。通行を許可されたし」 返答は至近距離を狙った攻撃だ。 「図々しい……ってわけか」 もう苦笑するしかない。 「針路そのまま、艦隊を突っ切るぞ!」 ●北イエメン軍飛行艦“ホデイダ”艦橋 “鈴谷(すずや)”が向かう先に展開するのは、アヴドラ提督率いる北イエメン軍だ。 「日本軍、速度落とさずに接近します!」 レーダー手の報告に、アヴドラ提督は無言で頷いた。 「日本軍となれば恐れる必要はない」 「しかし」 アトバラ副司令は異議を唱えた。 「ここでの交戦は日本との国際問題に」 「あんな腰抜け共に気を使う必要なんてあるものか。だいたい、外交チャンネルのない国同士で、どうやって国際問題が起きる?」 「それは」 アトバラはそれでも食い下がった。 相手はメサイアをすでに発艦させているのだ。 「魔族軍の追撃から逃れてきたと宣言しています」 「欺瞞だ」 アヴドラ提督は言い切った。 「問題は、連中が我が国固有の領土を侵していること。違うか?」 「……はっ」 「なら、我々がここで国際法にのっとり、停戦命令を出すことに問題はないだろう」 アヴドラ提督は命じた。 「停船しないならば撃沈しろ!照準、日本軍艦艇!」 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 「北イエメン軍索敵レーダー、本艦を照射!」 「どうしても、やるつもりか」 「艦長!8時方向から魔族軍メサイア2騎、本艦を追い抜きます!」 「追い抜く?連中、どこへ?」 「針路には、北イエメン軍が」 「記録しっかりとっておけよ!?あの黒人共に警報を出せ!」 「本艦の対空砲は!?」 「動ける候補生共は、全員対空砲座につかせろ!けん制だけでやらせるんだ!」 海軍艦艇が搭載する、実体弾を使用する対空システムは、砲弾一発ずつの一発必中を前提とはしていない。 敵機の予想針路に面で砲火を叩き込むことで、どれか一発ぶち当てるような、そんな仕組みにすぎない。 別な表現をすれば下手な鉄砲を数撃って当てる仕組みなのだ。 これに対して、飛行艦の対空砲は、弾数こそ少ないが、SC(シップス・コントローラー)の火器管制によって射撃されるML(マジックレーザー)を使用する関係上、一発ごとに命中が期待出来る。 無論、一発必殺の狙撃がそう簡単に出来るはずもないし、こんなことが公然と言われるようになったのは、第4世代の火器管制装置が出回ってからだ。 現在、イエメン軍が装備する飛行艦とその砲は、ML(マジックレーザー)が開発されたばかりの頃の代物。 一発必中なんて夢物語。 撃てるだけマシ。 そんな頃の代物だ。 現在の艦艇の中でも一二を争う高額な装備である火器管制装置を、イエメンのような貧乏国がそう簡単に更新出来るはずもない。 さらに、イエメン軍の配備する飛行艦は、ML(マジックレーザー)砲を主砲以外に搭載していないフリゲート・タイプと、さらに小型のコルベット・タイプにすぎない装備の貧弱さもある。 つまり、何が言いたいかというと――― ●紅海上空 魔法攻撃の火線が走り、すぐ近くの海面で連続した爆発が生じる。 「下手くそがっ!」 派手な爆発ではあるが、騎体が水を被ることさえない。 全く見当違いの場所に攻撃が降り注ぐ中、メースを駆るエーリヒは、僚騎を駆るクンニと共に海面を自在にメサイアで駆ける。 ML(マジックレーザー)を、右へ左へとかわすその機動は、とても人類側のメサイアの出来る芸当ではない。 エンジン出力と、そこから生み出される大推力に裏付けられた、魔族軍メースの真骨頂というべき機動だ。 「クンニ!やるぞ!」 エーリヒは、腰にマウントしていた銃を構えた。 人類の分類で言えば、ML(マジックレーザー)砲を連射出来るML(マジックレーザー)速射砲が陽光に照らされ、黒く鈍い光を放つ。 海面の爆発が段々と近づいてくる。 さすがに接近すれば敵狙いやすいということか。 エーリヒはそう思うが、恐怖だけは感じなかった。 これで恐怖を感じていたら、ずっと昔に死んでいるはずだ。 ズームしたように接近する人類側の飛行艦に、エーリヒは照準を合わせた。 ●“ホデイダ”艦橋 飛行艦サヌアの真横を、メサイアがすり抜けた。 アヴドラ提督の目にはそうとしか見えなかった。 ただ―――すり抜けた。 そう見えたのだ。 だが……。 ズンッ!! 次の瞬間、サヌアは上下二つに引き裂かれたように爆発、炎の塊に変化した。 爆発の衝撃が、斜め後方を飛行していた“ホデイダ”を激しく揺すった。 「なんだ!?」 「メサイアです!」 突然の振動にバランスを崩し、手近にあったパイプを掴んだアトバラは怒鳴った。 「メサイアがやったんだ!提督!」 その時、彼の目に映ったものは、席に座る提督と、その背後の船窓越しに見えるメサイアの青い騎体だった。 ●“鈴谷(すずや)”艦橋 「“ホデイダ”、撃沈!」 「これは……艦長!」 目の前で一方的に沈められていく北イエメン軍飛行艦達を前にした高木副長は、すがるような目で美夜を見た。 「真理!」 美夜はインターホンを掴むと、二宮に回線を開いた。 「敵メサイアをけん制して!その間に“鈴谷(すずや)”はソコトラに逃げ込む!」 ●紅海上空 「了解した」 二宮は答えると、教え子達に命じた。 「全騎、当てなくていいから、敵騎の“鈴谷(すずや)”への接近をくい止めろ!“鈴谷(すずや)”からの対空砲火の巻き添えになるんじゃないぞ!」 「了解っ!」 「2騎同時に動け!1騎がけん制のための砲を撃て、もう1騎は斬艦刀を装備、敵が近づいたら振り回せ!」 ちらりと美奈代騎を睨んだ二宮は続けた。 「楯になってもいい!」 「何で私を見ながら言うんですか!?」 「ふんっ」と、二宮は鼻を鳴らした。 「泉は私と組め。長野大尉は柏と、さつきと宗像でペアを」 先の戦闘で捕獲したハルバードを装備するのは、さつきと美晴。剣は二宮、手斧は長野が装備している。 さつきと美晴は長物が得意だということは、富士学校時代から体に叩き込まれているので、美奈代は文句を言うつもりもない。 飛行戦闘という、メサイア同士の戦闘では異例の戦いでも、リーチを稼げる長者使いを上手く使った方が効率がいいこともわかる。 ただ―――なんで自分が二宮教官と? そんな美奈代の疑問に答えるように、二宮がイヤミたっぷりに言った。 「男運のないオンナ同士、仲良くやろうじゃないか」 「さて……逃してくれるかしら?」