約 30,698 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/39223.html
登録日:2018/04/08 Sun 00 46 00 更新日:2024/06/15 Sat 02 11 46 所要時間:約 12 分で読めます ▽タグ一覧 17年冬アニメ 2014年 うらら迷路帖 きららファンタジア はりかも まんがタイムきらら アニメ 久保ユリカ 佳村はるか 占い 占い師 原田彩楓 完結 本渡楓 漫画 百合 芳文社 超能力 隠れた名作 運命の行方 人生の岐路 日常の迷路で人は時に道を失う そんな時 道を尋ねる案内人 占い師は 君に選択の矢を与えるだろう 時に薬 時に毒 道標となる不思議な力 それを操る条件は 十五を過ぎた少女であること 時に女神 時に魔女 占い町の乙女たち 人呼んで うらら 「うらら迷路帖」は、芳文社の『まんがタイムきらら』で連載されていた4コマ漫画、およびそれを原作とするアニメ作品。 もともとは姉妹誌の『まんがタイムきららミラク』で連載していたが、同誌の休刊(*1)により2018年1月より『まんがタイムきらら』本誌に移籍。2019年6月まで連載された。 作者ははりかも。本作は氏の代表作である。コミックスは全7巻。 2017年1月から3月にかけてテレビアニメ版が放送されていた。 ◆概要 謎多き占師の町、『迷路町』にやってきた、一人前のうらら(占師)を目指す少女たちの奮闘を描いた物語である。 人々に道を示す案内人『うらら』を目指す主人公一行はそれぞれに明確な目標や憧れを持ち、 時に自らも道を見失いながらも切磋琢磨し、うららとしても人間としても成長していく。 さらに一行は一人前のうららを目指す過程で、迷路町の謎に迫っていく。 迷路町の街並みや占い、服装などが和風で、雰囲気の良さや世界観に定評がある。 ◆あらすじ 占いの町・迷路町。ここは不思議な力を操り、人々に道を示す『うらら』と呼ばれる占師が集まる町。 そこにやってきた千矢は、山育ちで動物に好かれるけれど、一般常識のない女の子なのでした。 そんな彼女は紺と小梅という同い年の少女に出会います。 2人は千矢と同じく棗屋という占い処への招待状を持っていました。 それはもちろん、占いを学ぶため。棗屋の人見知りな妹ノノも加えて、4人の生活が始まります。 占の都の迷路帖。『うらら』を目指す少女たちの日々。これより開幕です。 + 九番占試験まで 占いの町・迷路町。ここは不思議な力を操り、人々に道を示す『うらら』と呼ばれる占い師が集まる町。 山育ちの主人公・千矢は、迷路町にある茶屋、棗屋の紹介状を頼りに母を追いかけて迷路町にやってきた。 一般常識に乏しい彼女は町で騒ぎを起こして警官の色井佐久と一悶着あった後、 逃げ回る先で同じく棗屋の紹介状を持ちうららを目指す巽紺、雪見小梅と出会う。 その後佐久に見つかり3人は迷路町を追放されかかるが、棗屋の主人・棗ニナに救われ、3人は無事棗屋に到着する。 そこでニナの妹・棗ノノも加わり、4人はうららになるための修行をスタートする。 紺・小梅・ノノの得意な占いはそれぞれ狐狗狸占い、タロット占い、人形占いであるが、 千矢はうららを目指して迷路町に来たこともあり占いのことを何も知らない。 そこで紺が狐狗狸占いで"千矢に合う占い"を占った結果、”くろう"と出た。 千矢はニナ・佐久らに母を捜していることを伝えるが、手掛かりの無い探し物を見つけるのは一番占でも難しいこと、 しかしあるいは伝説の一番占と呼ばれる人物であれば占えるかもしれないこと、 そして伝説の一番占がいる迷路町一番地には、一番占まで階級を上げなければ立ち入れないことを伝えられる。 いてもたってもいられなくなった千矢は、持ち前の身軽さを活かして門の壁を飛び越えて九番地へ入ろうとするが、 佐久に見つかって諭され、千矢は一番占を目指す決意をする。 それなら、ひとつだけ方法があるだろ お前が一番占になればいい そうしたら 自由に一番地に行って伝説の一番占にも会えるし 法外な料金も払えるくらい金持ちにもなれるぞ それに私もお前を捕まえなくてすむ 続いて「流れ星占い」の授業では、4人はニナから”うららは迷路町の神様から力を借りて占いを行う”こと、 ”迷路町の神様について占ってはいけない”ことを教わる。 流れ星占いの間に、千矢は何者かから名前を呼ぶ声を聞く。 紺はそれを迷路町の神様の声ではないか、千矢には優れたうららの才能があるのではと考える。 その日の真夜中、二人だけで星を見ながら紺は千矢と同じく一番占を目指す決意をする。 迷路町の祭り・白無垢祭りは、町中のうららたちが白無垢を着て町を歩く神事で、迷路町の神様が自分の花嫁を探す日と伝えられている。 お神酒を口にして酔っ払った千矢は町外れの神社で黒い耳、赤い瞳の見たことのない大きな動物のようなものに出会う。 千矢はお化けと思ってるが、紺とニナは迷路町の神様ではないか、 千矢はやはり神様の声を聞き姿を見ることができるのではないかと考える。 「狐狗狸占い」の実技演習において、占いの途中で小梅が指を離してしまったため小梅、ノノが次々にお狐様に取り憑かれてしまう。 最後に紺の体に取り憑き、紺の体はお狐様に大層気に入られてしまうが、千矢の愛撫と礼儀によってお狐様は紺の体から離れる。 離れる直前、お狐様は千矢の目からその才能を見抜く。 ...面白い目をしているな 深く澄んだ赤い瞳 さぞかし良く視えそうじゃ ある日迷路町で道に迷った千矢は仮面をつけた闇うららに道を占うと声をかけられ、 髪を対価に無理やり占われそうなところを、通りかかった二番占・時江に救われる。 時江は棗屋に向かう道中で千矢のこと(了承を得て)を水晶占いで占おうとするが、黒い影が見えたところで水晶が割れてしまう。 棗屋に着くと、時江は名門茶屋・巽屋の主人で紺の母親であり、そして棗屋の4人に災いが忍び寄っているという予言をしにやってきたことを告げる。 予言の内容は、今夜子の刻の鐘が鳴り終わる時、ノノに災いが降りかかるというもの。 小梅と紺は占いで何が起きるか占うが、小梅のタロットは「Death」、紺の狐狗狸占いは「四」を示し4人は戦慄する。 占いを諦めた4人は災いを払うと言われる南天の木を探しに森へ出かけるが結局見つからず、最後は4人でくっついて鐘の音を聞く。 しかし実は災いの予言は時江による九番占試験の予選試験であり災いはなく、 4人はうららに適した心を持つとして見事予選試験に合格する。 そしていよいよ九番占試験が始まり、棗屋の4人はチームとして共に試験に参加する。 試験内容は、迷路町の地下に眠る迷宮、『呪われた大蛇の胃袋』に隠された”鍵矢"を見つけるというもの。 道中さまざまな罠や試練をそれぞれの占いで乗り越え、4人はついに鍵矢を見つける。 あとは出口に向かうだけというところで千矢はまたしても何者かの声を聞き、何者かに捕らえられて床の中に引きずり込まれる。 千矢を捕らえたのは、千矢の母『矢見』に恨みを持つ”何か”の手であり、その娘である千矢を絞め殺そうとする。 もはやこれまでというところで、千矢が紺の占いに出た『くろう』の名を呼ぶと、これまで度々姿を見てきた黒い耳、赤い瞳の動物が現る。 くろうは千矢を手から守り、”すべてを視通す赤い目”を与え、千矢はその目で矢見の過去のようなものを見る。 矢見と同じ赤い目で見られることを恐れた手は千矢から離れた。 その後3人と合流した千矢は赤い目で出口までの道を見通し、3人は戸惑いながらも千矢の占いを信じて出口へ走る。 そして制限時間ギリギリで見事出口にたどり着き、棗屋4人は見事九番占試験に合格した。 + 八番占試験まで 九番占となった4人は世話になった棗屋を後にし、九番地にある全寮制の占学校『九占塾』に入学する。 ここではうらら各々が教わる先生と所属する研究室を決めて修行に励むことになる。 師事する先生を決めるために紺は投矢占いを行い、花の紋・椿研究室という結果を得る。 4人は椿研究室に向う途中、隙あらば眠る少女・二条臣と出会う。 臣は千矢のことを知っているようだが、またすぐに眠ってしまったため何も聞きだせず、 廊下に寝かせておくわけにもいかないため椿研究室まで背負って連れて行くことに。 研究室に着いたところで臣が目覚め、夢占いの使い手であること、その占いで自分も一緒に椿研究室に行くことを見たと述べる。 さらに臣はもう1人の九番占試験同期で巽屋の弟子であることも判明。 自分の占いを信じて1人で研究室に入っていく臣を追って、4人も紺の占いを信じて研究室の扉を開ける。 怪しい扉を開くとそこには一面の花園が広がっていた。 椿研究室の主人で五番占の花原椿はニナの同期だがかなりのものぐさで5人の指導をめんどくさがり、 また未知のものを見るために研究に専念したいという研究者としての想いから、師となることを拒む。 しかし説得のために小梅が思いついた寸劇の未知の下らなさと、椿自身の花占いによって思い直し、 5人を生徒として受け入れる。そして同時に臣は4人の仲間となった。 それからしばらくして、九占塾は合宿の日を迎える。これは八番占試験に備えて占力を鍛えるもので、行き先は学校の裏庭にある樹海。 千矢はこの合宿で『くろう占い』をマスターしようと意気込む。 合宿の内容は過酷であるが、千矢以外の4人はそれぞれの占いで効果を実感する。 しかし千矢だけは未だにくろう占いに成功せず、焦りを覚える。 そこで臣が夢占いの秘術『夢さぐりの術』を提案する。これは臣が千矢の夢の中に入り込む危険な術でもある。 夢の中に入った2人はくろうの記憶を発見、直接声をかけることで千矢がくろうを取り込むことに成功し、 些細な内容であるもののくろう占いに成功する。 八番占試験を目前に控え、助言を求めて5人は棗屋、巽屋に里帰りすることに。 棗屋でノノはニナの夢”一番占になること”を支えるために、自分も先生になる条件である五番占を目指すことを決意し、それをニナに話す。 巽屋では千矢が時江に占いの修行がうまくいっていないことを見抜かれ、5人一緒に時江の指導で水晶占いに挑むが手ごたえがつかめない。 4人が寝静まった後、千矢は焦りから1人で時江の部屋を訪ね、特訓を申し込む。 時江から占いは心で視るものと教わり、実践として時江の代わりに紺の過去を視る水晶占いに挑戦する。 このとき、千矢は"依頼人の力になりたい、ちゃんと視て教えてあげたい"という心が占いに大事であるということを悟り、 見事水晶占いを成功させる。そして時江からお古の水晶玉を授かった。 八番占試験の合格条件は、九占塾の学園祭『九占祭』の二日間、学内でそれぞれに占の店を開き、客を満足させて金貨(本物)を十枚稼ぐこと。 5人は思い思いの方法で店を出し、客を占う。試験一日目は臣が三十一枚の金貨を稼いで合格するのみで何事もなく終わる。 しかし二日目、九占塾理事長の娘・りらが九占祭に現れて状況が一変する。 りらは試験に毎年現れ、受験生に挑発し噛み付くのが大好きで無理難題を言ってうららを困らせる要注意人物である。 ノノ(マツコ)、小梅はまんまと挑発に乗って翻弄され、 紺は占うまでもなくりらの(表面的な)望みを言い当てるも立ち去られてしまう。 3人がりらを無視して金貨を集めて合格する中、千矢は最後の一枚をりらから手に入れることに拘る。 水晶占いでは見えなかったが、試験よりも”りらの力になりたい”という気持ちを大事にすることでくろう占いを行い、 りらの本当の望み『理事長の後継ではなくうららになること』を視通し、見事りらを改心させる。 りらが千矢に十枚目の金貨を渡すと同時に試験時間は終了し、千矢を含め椿組5人は全員八番占試験に合格した。 ◆用語 迷路町 占いの町。不思議な力を操り、人々に道を示す『うらら』と呼ばれる占師が集まる町。 運命の行方、人生の岐路に迷った大勢の人々が『うらら』による占いを求めてやってくる。 占いを行う店(茶屋)以外にも飲食物を売る屋台のような店や甘味処、占い道具(占物)を売る店などもある。 また町の警備に当たる「警ら隊」も存在する。 街並みは和風で中央には高い塔が聳え立ち、道は複雑で迷路のようになっている。 町は一から十までの番地に分けられ、うららの位と同じ番地までしか入ることができない。 (うらら以外の者は通行証を購入する事で十番地以外にも入る事ができる) 町の中央ほど位が高くなければ入れない。 なお、街並みや雰囲気は番地によって多少違う。 地下には巨大迷路、通称「呪われた大蛇の胃袋」があり、上位のうららですら遭難しかねない。 八百万の神様が住んでいると言われている。 人間は女性しか住むことができず、男性は昼間の客しかいない。 うらら 迷路町に住む占い師。不思議な力を使って人生の道に迷った人々に道を示す案内人。国中の女の子の憧れの存在。 うららになる条件は15を過ぎた少女であること。 茶屋に弟子入りして様々な占いの修行を積み、昇級試験に合格することで一人前と認められる。 占う方法はうららによって様々だが、共通するのは迷路町の八百万の神様の力を借りて占い、迷い人へと伝えるということ。 神様から授かった力は、進むべき方向を指し示す「矢」に例えられる。 そしてこの矢を神様自身に向けること、すなわち神様自体について占うことは最大の禁忌であり、これを行うと二度と占いができなくなる。 うららには一から十までの位がある。一番上が一番占(いちばんうら)、一番下が十番占。一番占は数えるほどしかいない。 うららは自身の位に対応した札を免許証として持つ。位を上げるには昇級試験を受けて合格しなければならない。 七番占から仕事の依頼を受けられるようになり、五番占になると茶屋の主人になることすなわち独立することができるようになる。 当然、上位のうららほど占いの力は上であり、占いの報酬も高くなる。 それでも全く手がかりのない物を探すのは一番占であっても難しい。 しかし『伝説の一番占』と呼ばれるうららならば、どんな探し物でも見つけることができるという。 + 一番占について 実際には現在、一番占は存在しない。昔はいたらしいが...。まして伝説の一番占は根も葉もないただ噂である。 うららを志す者の目標を守るため、占を求める客からの迷路町の信用を守る為にこの事実は上位のうらら数名しか知らない秘密である。 紺の母・時江をはじめ二番占は数名実在しているが、一番占試験というものは存在しない。 一番占になる資格を持つ二番占には迷路町の神様からの神託があるという。 そして一番地へ入る扉は、神託を受けた二番占のみが知る祝詞を唱えることで開けることができる。 一番占 一人前、仕事を受けられる 茶屋の主人になれる 二番占 三番占 四番占 五番占 六番占 どこかの茶屋に所属する 七番占 八番占 見習い 九番占 十番占 ◆主な登場人物 ●千矢(ちや) CV:原田彩楓 本作の主人公。五殿山という人里離れた秘境で育ち、顔も名前も知らない母親に会いに迷路町にやってきた野生児。 地面に届くほどの長く白い髪と赤い瞳が特徴。ハサミ恐怖症であるため髪を切らない。 八重歯があり、野生が目覚めるとケモミミが立つ。 山で狩猟生活を送ってきたため驚異的な身体能力を持つ。 迷路町の高い壁を跳び登り、関所を通らず乗り越えようとしたり、壁の上を走り回ったりできる。 嗅覚にも優れ、匂いの微妙な違いから食事、迷い猫の出処、果ては人格までを判別できる。 動物に好かれやすい体質で、気がつくと見ず知らずの動物たちが近くに寄っている。動物を手懐けるのが得意。 迷路町に来るまで風邪を引いたことがなかった。 一方で迷路町や学校のことを何も知らなかったり、謝罪の時はお腹を見せたりと一般的な常識や恥じらいに欠ける。 衣服を着るのを窮屈がり、外に出る時でも非常に露出の多い服装である。 前からだとそこまででもなく見えるが、後ろから見ると背中が丸見えでありほとんど裸エプロンである。 室内ではほとんど下着姿のこともある。また基本的に裸足。 必要に駆られてしっかり服を着る時もすぐに脱ごうとするが、身だしなみをきちんと整えた姿は大変な美少女。 嬉しいことがあると相手の顔を犬のように舐めることがある。 性格は底抜けにポジティブで直感的。そのまっすぐな言葉で周囲の心を打つことも多い。 未来予知をも行ううららを目指す身にあってなお、「わかんないことがあった方が多分楽しい」という価値観を持っている。 反面、頭はいい方ではなく、占物の扱いも不得意。他の3人が得意な占いを見つけて成長していく中、自分には得意な占いがないことを悩んでいた。 九番占試験において"くろう"を使った占いに目覚めるも、うまく扱いきれずにいた。 後に時江に水晶占いを教わり修め、その時に占いの本質「相手を想うこと」を見出した。 得意な占いは「くろう占い」。 使用すると目が赤くなり、視たいものがなんでも目に映る。 千矢はこの力をうまく扱いきれておらず、時に視たくないものまで視えてしまう。 厳密には占いではなく「千里眼」のようなものであると示唆されている。祝詞も神の力も必要ない。 また、水晶占いも修行の末に習得している。 客寄せとしてやたらアクロバティックなポーズで占っておりそこそこ受けている模様。 迷路町にきた目的は母親を探すことであるが、佐久に諭された後は伝説の一番占に依頼して母を探すために一番占を目標としている。 そして時江との特訓や八番占試験を経て、一番占になるだけでなく自らの力で母親について占う事を目指すようになる。 最終的には迷路町地下、大蛇の胃袋の最深部で両親と再会。迷路町の「神様」の真実を知ることとなる。 そして全てを知ったうえで受け入れ、自身の意思で一番占になると宣言した。 それから六年後には一番占に昇格したようだ。 ●巽紺(たつみ・こん) CV:本渡楓 見習いうらら。十番地の名門茶屋・巽屋の一人娘。 二番占で母親の時江のことをとても尊敬しており、幼い頃からいつか追いつきたい・追い越したいと考えている。 そのため幼い頃から占いの勉強に励み、成績優秀で真面目。一行の中では最も占いの知識に長けている。 千矢のことは、ともに一番占を目指す最大のライバルと認めており、同時に最大の信頼やそれ以上の感情を寄せている。 得意な占いは狐狗狸占い。幼い頃から愛用の占いである。 詳細は個別記事を参照。 奇々も怪々お尋ねします こっくりこっくりおいでませ もしもおいでになられたら どうか答えてくださいな ●雪見小梅(ゆきみ・こうめ) CV:久保ユリカ 見習いうらら。雪見財閥の令嬢でお嬢様。 西洋趣味(特にフランス)の持ち主で、彼女の持ち物には随所に西洋風・魔女風の物が見られるが、 これは幼い頃に出会った憧れの人、フランス人留学生のマリに影響を受けたものである。 服装も魔女風の西洋着(コルセット)にリボンをつけた上に丈の短い和服を肩出しで着ている。 正装の時はさらにマリからもらった魔女の帽子と箒を身につける。 髪は紫色でツインテールにしている。 うららを志したきっかけはマリに弟子入りの条件として"この国一番の魔女になること"すなわち一番占になることを課されたこと。 マリには年に三六五通の手紙を書くなど、"世界で一番憎らしくて世界で一番大好きな人"と想っている。 一行のムードメーカーでトラブルメーカー。 「月刊倫敦」という小説雑誌を愛読しており、小説のような妄想設定や物語を考えるのが好き。 また甘いもの・あんみつが好物であり、食べ過ぎてお腹が柔らかくなってきているらしい。ダイエットは苦手。 家事全般が苦手で、特に料理は黒魔術になる。 4人の中で最も他人の様子を見て、空気を読んでいるという一面も。 得意な占いは振り子占いとタロット占い。西洋風の占いをいろいろ使う浮気性多才。 振り子には「ユレールちゃん」と名前をつけて、ハーフの美少女という設定をつけている。 後にはマリよりプレゼントされた本で書物占いを行えるようにもなった。 ミス・プラムの名において命ず ゆらり揺らめく振り子の女王 ユレール・フレール・マドモアゼル 我ら迷える子羊を導きたまえ ●棗ノノ(なつめ・のの) CV:佳村はるか 見習いうらら。棗屋の娘で、主人・ニナの妹。髪は金色、瞳は青色。幼児体型を気にしている。 人見知りな性格で、最初はいつもニナの背中に隠れていた。特に男性とはほとんど話せない。 幼い頃に母を亡くしており、形見の人形(マツコ)を大切にしている。 いつもニナや佐久に守られてきたこともあり自分に自信がないが、彼女の祝詞は歌になっており、一行の誰よりもうまい。 歌には癒し効果・催眠効果があり、天使の歌声と称される。 姉・ニナのことをとても尊敬しており、ニナの夢(一番占になること)を応援したいと考えている。 ニナは棗屋の主人、先生として忙しいため、その手伝いができるように五番占を目指している。 得意な占いはマツコを使った人形占い。 マツコが喋る時はノノの腹話術であるが、人格はある程度独立しているようにも描写され、ノノに対して助言したり励ましたりする。 語り継がれし形代の 人形語りもーのがたり 我ら傍らの片割れよ 知識を授けてくぅれまいか ●二条臣(にじょう・おみ) CV:市ノ瀬加那(きららファンタジア) 見習いうらら。背が非常に低く、背が高い人が隣に来るのを嫌がるほど気にしている。 巽屋出身で、九番占試験を歴代最速でしかも一人で突破した秀才。 貴族の家柄であるが今は没落しており、家は大変貧しい。 一家総出で内職をしている時に祖父から一番占になればとても儲かるという話を聞き、うららを目指すようになった。 そのためお金の絡む話に敏感で貪欲に報酬を求め、権力とお金の匂いには目ざとい。 好きな言葉は富と名声と権力。彼女の場合は切実である。 得意な占いは夢占いで、これは占いの結果を夢に見るというもの。 数ある占いの中でも最高難易度で、よほどの才能がなければ使いこなせない。 占を目指す勉強中に、寝ながら占えるという理由で夢占いの特訓をして習得するが、いつでもどこでも定期的に寝落ちする体になった。 初登場時も寝ている姿で、その夢の内容は九占塾での千矢達との出会いと椿研究室。 後に起きたまま夢占いをできるようにもなったが、その間は白目を剥くので見た目がかなり怖い。 また、夢占いの応用として「夢さぐりの術」を使える。 これは寝ている人間の夢に潜り込み、夢の中を探るものである。 しかし条件として視る方も視られる方も裸で同じ布団に入らなければならない。非常にいやらしい。 巽屋時代はすぐに寝てしまうせいで親しい友人はおらず、九番占試験での巽屋代表チーム選出予選では誰ともチームを組めなかった。 「はーい二人組つくってー」 しかし仕方なく一人で試験に挑戦したところ、そのまま単身合格となってしまった。 そのため千矢たちの輪の中に自分も入っている実感を得ると喜ぶ。 紺には一人ぼっちエピソード、ノノには人見知りでシンパシーを持たれることもある。 夢占いの中で「白い髪に赤い瞳の(千矢と違って)賢そうな」伝説の一番占の姿を捉え、憧れている。 一行の中では最後に加わったこともあり、最も俯瞰的かつ冷静に状況を判断している。 努力と精神で優秀な紺に対して、論理的な推理力を持つ天才型の臣といったところか。 八番占試験では、夢占いの店を開き客を待ち構える。 受付の向こうに布団が一枚敷いてあるだけの作りであるため紺に「いかがわしい感じ」と言われている。 客が退屈しないように小梅仕込みの寝相の悪さを芸として披露しているとのこと。 昇格試験の金貨はそのまま貰えると知ってやる気に燃え、高速かつ10枚どころではなく大量に金貨を集め、トップで八番占への昇格を決めた。 眠りねむるる我が眼 目蓋の裏に映るるは 嘘か真かまぼろしか ゆめゆめ御見逃されるな ●棗ニナ(なつめ・にな) CV:茅野愛衣 棗屋の主人で五番占。ノノの姉で20歳。 ノノと同じく髪は金色で瞳は青色。 母を亡くしており、棗屋の先代が高齢であったことと、妹・ノノに占いを教えたいという想いから五番占になると同時に棗屋の主人になった。 千矢たち4人の先生であり、生徒たちのことを大切に思っている。 先生・主人として時に厳しく生徒を指導する一方、性格そのものは大袈裟で子供っぽいところがあり、些細なことで涙目になっては佐久に泣きついている。 佐久、椿とは見習い時代の同期。 得意な占いは茶葉占い。自分の運命の人との出会いを占うことが日課。 なお、好みは「占の仕事や家族のこと、そして可愛い生徒たちを大事にしてくれる人」。 東西東西皆々さまに さあさあ八卦の八つ当たり さてこのたび占いまするは かの温かき手の持ち主の 吉凶禍福のひとわたり かくも占々進ぜましょう ●色井佐久(いろい・さく) CV:諏訪彩花 迷路町警ら隊十番地隊長でニナの幼馴染・同い年。周囲からは専ら佐久隊長と呼ばれている。 髪は朱色のショートカットでボーイッシュな印象。男言葉で話し、木刀を携帯している。 真面目で規律に厳しく違反行為には身内であっても容赦しないが、根は優しい。 色恋や破廉恥なことに特に疎く、千矢の破廉恥な行動によく赤面して慌てたり倒れたりしている。 その容姿や人格から、部下を含めた周囲の女の子からの人気が高く「おっかけ」が多数存在するが本人は気づいていない。 かつてはニナと同じくうららを目指しており、九占塾ではニナと同期であったが、あるきっかけからうららをやめて警ら隊に転向した。 得意だった占いは手相占い。しかし現役時代からイケメンでモテモテだったため、女客はよく恥ずかしがって逃げていたという。 ●花原椿(はなはら・つばき) 九占塾の教員・研究者で五番占。20歳。やや着崩した和服と眼鏡とキセルが特徴。 未知の占いを探求したいという研究熱心な反面、教員の仕事にはやる気がなく幾度となく九番占の弟子入りを断ってきた。 最初は千矢たち5人の弟子入りも断ったが、小梅考案の寸劇の未知のくだらなさと椿自身の花占いによって千矢たちの弟子入りを認めた。 しかし師匠になってからも相変わらず仕事にはあまりやる気がなく適当である。 千矢たちからはあまりあてにされておらず反面教師にされているが、ノノからは師匠として慕われている。 ニナ・佐久とは同窓で、九占塾時代に優等生だったニナと互角の成績だったという。 ニナには「ふまじめがね」と呼ばれている。 得意な占いは花占い。 研究者ということもあり花占いの幾つかのパターンを使うことができ、作中では吉兆、性格、相性などを花によって占っている。 問うは汝の愛か相 思い想われおもわれぬ 相い合い花の咲きゆけば はなめく心はかり知る ●巽時江(たつみ・ときえ) CV:能登麻美子 名門茶屋・巽屋の主人で現役の二番占、そして紺の母親。迷路町屈指の上位うららで水晶占を得意とする。 現在作中に登場しているうららの中で最も占いに長けている。二番占試験までは負け無しだったという。 年長者としての落ち着いた振る舞いを見せるものの、娘の紺以上に負けず嫌いで規律に厳しい性格。 セツ曰く迷路町一の負けず嫌い。競いごとになると急に大人げなくなる。 またドSな性格で見習いうらら達が修行で壁にぶつかり苦しむ姿を見るのを楽しんでいる。 見習いうららへの修行の時は鬼モードとなり、木刀を手にする。 幼い頃から紺にうららの話をよくしていたようで、 迷路町の神様を占ってはいけないこと、神様に選ばれたうららだけはその姿を見ることができることを教えた。 迷路町の上位うららとして、迷路町の秘密を知っている人物。 千矢の母親のことはセツと同様忘れてしまっているが、その謎の解明に協力する姿勢を見せる。 長い髪を首の後ろで結んでいる。瞳は紺と同じく黄緑色。 若い時の容姿は紺と瓜二つである。 畏み畏み申し上げます 映し見水鏡現し身の 水底深く澄み渡り 隅から隅へ見透かして ●セツ 千矢の五殿山での育ての親。現在も五殿山に住み薬草を取り、薬屋として迷路町と関わっている。 千矢に負けず劣らず野生的で高い身体能力を持つ。身長も高い。また千矢以上に豪快な性格。 千矢の母親から千矢を預かり、15になるまで育てるよう頼まれ、実の娘のように育ててきた。 しかし肝心の母親のことは不自然な形で忘れてしまっている。 そのことに違和感を覚え、頼りになる同期のうららである時江に占ってもらうべく迷路町にやってきた。 昔はうららで、得意な占いは瓦占い。瓦を割って吉兆を占うというこれまた豪快なもの。 ◆テレビアニメ 2017年1月より3月にかけて、TBS系列でJ.C.STAFF製作でテレビアニメが放映された。 内容は九番占試験まで。 高いクオリティのストーリー・キャラクターデザイン、中毒性の高いOP・EDにもかかわらず、人気は振るわなかったようで、イラスト投稿サイト・動画投稿サイト、果ては同人誌についても本作を題材にしたものは、アニメ化作品としては少ない。 この原因は時期が悪かったことと言わざるを得ない。 2017年冬アニメといえば、美少女アニメのジャンルにおいても『ガヴリールドロップアウト』、『小林さんちのメイドラゴン』、そして『けものフレンズ』が放映された大豊作のクールであり、特に『けものフレンズ』は社会現象にまでなって界隈の話題をかっさらってしまった。 さらにニコニコ動画では2話以降完全有料、生放送なし、ラジオなしであったことも手伝い、本作は高クオリティながら認知度が上がらなかったと言えるだろう。(*2) 現在はいくつかの動画配信サービスにて配信の対象となっている。 ぜひ一度視聴されてみてはいかがだろうか。 主題歌 オープニングテーマ「夢路らびりんす」 歌:らびりんず(千矢(原田彩楓)、紺(本渡楓)、小梅(久保ユリカ)、ノノ(佳村はるか) シングルCDには全員verの他にそれぞれのソロverも収録されている。 エンディングテーマ「go to Romance 」 歌:Luce Twinkle Wink☆ DVD/Blu-ray第6巻には付録としてらびりんずver.が収録されている。 ◆きららファンタジア 初期より参戦。 千矢、巽紺、雪見小梅、棗ノノ、色井佐久、棗ニナ、二条臣、花原椿が登場している。 臣はテレビアニメに登場しなかったため、本作で完全新キャストとなる初のキャラクターとなる。 また、サービス中に連載が終了した初の作品でもある。(*3) メインシナリオでは第一部終章となる8章「導かれし未来」に登場。 敵側が召喚の副作用を利用する形で本拠地を迷路化するために呼び出された。 もっとも呼び出された人達が人達なので、占いで道案内できたためプラスマイナスゼロっぽい気もするが。 まぁアスレチックと化してる部分もあったので体力は削られただろう。 異世界でも神様の力を借りた占いは問題なく行えるようだ。お狐様も降ろせるのは紺が凄いのかお狐様が凄いのか…… なお、千矢がくろう占いを使えなかったことから召喚された時期としては八番占試験前と思われる。 千里眼に目覚めたらシナリオとゲームバランス上色々と問題がありそうだし仕方ないね。 原作の世界観が独特なため、他作品キャラが持ち寄った現代日本の風習や技術に不思議がる事もしばしば。 異世界エトワリアの人達と共にクリスマスやバレンタイン、ハロウィンなどを楽しんでいる。 ここは迷路町 未だ謎多き占いの町 少女の夢の いかにやいかに 迷うべからず 矢の指す方へ 明日に何が待とうとも △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 2期どころか、薄い本まで全然見当たらない始末…ホントに時期が悪すぎた。 -- 名無しさん (2018-04-08 00 53 56) 某笑動画でも一週間最新話無料配信もやらなかったんだよね…ハードルが高すぎたよ。 -- 名無しさん (2018-04-08 08 01 20) アニメの出来は良かったのにな。漫画は全巻買ったわ -- 名無しさん (2018-04-08 11 18 28) 占いの時の祝詞も地味に好き 7・5のリズムが心地いい -- 名無しさん (2018-04-08 11 56 36) 千矢が腹を出してにわかに注目されたが、その後フレンズのジワ売れに反比例して名前を見なくなったという印象がある。つまるところ「時期が悪すぎた一作」という結論に落ち着いてしまう。 -- 名無しさん (2018-04-08 18 51 51) 本当にあのクールは大豊作だったからなあ… -- 名無しさん (2018-04-08 22 35 18) また評価されてほしいもんだ。きららファンタジアである程度有名になったりしてもいい -- 名無しさん (2018-04-08 23 29 30) ↑2 この作品も、間違いなく大豊作の一つではあるんだけどね。他が強すぎて、「オリンピックの決勝戦で4位になった人」みたいになっちゃってるよね。惜しい。 -- 名無しさん (2018-04-09 00 17 22) dアニメ未配信も地味に痛かったと思うんだ -- 名無しさん (2018-04-09 05 23 00) 17年春アニメをディスるわけではないがクールが一つずれてたらと思わざるをえない -- 名無しさん (2018-04-10 10 20 59) でもニコ動とか見たら、有料配信しかしてないのにコメント数が1000超えてたりするから、なかなか実力あると思うんよ。 -- 名無しさん (2018-05-18 17 36 58) 千矢の肩の紐が緩そうな…。 -- 名無しさん (2019-02-22 19 37 45) 原作が次回で最終回だそうだ -- 名無しさん (2019-05-09 13 01 12) 未だに打ち切りに納得がいかない作品 -- 名無しさん (2022-04-06 18 57 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ooorowa/pages/327.html
00【ひづけ】 ◆qp1M9UH9gw PREV 59【ひづけ】 【5】 「……本気で言ってるの?それ」 Xのその質問に、弥子は首を縦に振ってみせた。 彼女の宣言は、彼にとっても予想外なものであった。 自分の命を削りかねないというのに、彼女には何の躊躇いも無かったのである。 ネウロに操られる人形だとしか認識していなかったが、一体どこにそんな勇気があるのか。 「死ぬかもしれないんだよ?大体、生き返るかどうかも分からないんだし」 「それでも、やってみる価値はあると思うの」 もし成功したら、その時はアンクの助力をして欲しい。 付け加える様に、弥子はそう言ってみせた。 「なんで……そこまでしてネウロを生き返らせようとしたいのさ」 Xだって、今ネウロが蘇ってくれたらどれだけ幸福だろうか。 だが、そんな都合の良い話なんて滅多に起こらないのが世の常であり、 そんな命懸けのギャンブルに挑むなど正気の沙汰ではない。 どの様な意思が、彼女をそこまで駆り立てるのだろうか。 「……私……今までずっとアンクや杏子さんの後ろを歩くばっかりで……これまで何もできなかった……」 ぽつりぽつりと、弥子が理由を述べていく。 確かに、これまでの弥子はアンク達に護られてばかりで、彼らの為に何一つ貢献できていない。 杏子の肉体を復活させる事だってまだ未達成だし、そもそもあれはXにソウルジェムを渡されていなかったら不可能た。 結局の所、弥子はまだ誰かの役に立っていないのである。 「だから……もし誰かの為にできる事があるなら……私……それに賭けてみたいの」 殺し合いの犠牲者が出る度に、何もできない自分が嫌になって。 そんな、何の役にも立ててない自分を変えたかった。 そして今、弥子の目の前にはその願望を叶えるチャンスがある。 例え賭けの範囲の話であったとしても、誰かの為になれるなら、その可能性に縋りたい。 「…………やっぱり信じられないよ……ネウロが……ネウロが、死んじゃうなんて……そんなの、認めたくないよ……!」 そして何より――ネウロに死んでほしくなかった。 あんなサディズムの塊の様な魔人だが、それでも一緒にいて悪い気はしなかった。 突然転がり込んで、いつの間にか弥子の日常の一部になっていたのである。 辛い事もある――というか辛い事ばかりある生活だが、それでもその"日常"が壊れてほしくなかったのだ。 「それに……私なんかがいるより……ネウロが生きてた方が……きっと、皆の為になると思うの……だから、ね」 無理やり作った笑顔から紡がれた言葉は、震えていた。 やはり彼女は、これから起こる事に恐れを抱いている。 だがしかし、彼女が言った事は紛れもなく本心であり、本気で自分の命を賭けるつもりなのだ。 「……ふーん、そっか」 ゆっくりと、Xが立ち上がる。 まるで幽霊の様に緩慢に、弥子がいる方向へ顔を向ける。 バイザーの奥にあったのは――口元に三日月を浮かべた"X"の顔だった。 「だったら、アンタの御言葉に甘えさせてもらうよ」 その瞬間、Xは持ち前の瞬発力で弥子に飛びかかる。 何が起こったのか理解する前に、彼女の意識は暗転するのであった。 【6】 弥子のいた場所から少しばかり離れた場所で、龍騎とアンクの勝負は繰り広げられていた。 ここならば巻き添えを食らう者がいないからか、アンクも存分に戦う事ができる。 ドラグセイバーによる斬撃を、アンクは手にした「aegis=L」で受け流す。 シナプスで製作された防具だけあって、耐久力は一級品のものだ。 これがあるお陰で、アンクは未だ斬撃を食らわずに済んでいるのである。 アンクの方も、クリュサオルで龍騎の装甲に傷を付けようとするのだが、彼の立ち回りも中々のもので、一向にダメージを与えられない。 流石は大組織の幹部だけの事はある――実に気に喰わないが、敵の実力を認めざるを得なかった。 激しい打ち合いの末、龍騎のドラグセイバーが弾き飛ばされる。 剣が弾かれる程度で済んだのは、メダルの消費を躊躇ったアンクが、クリュサオルを最低限の出力で扱っていたからだ。 もしも大出力状態ならば被害を被っていただろう――そういう意味では、龍騎は幸運と言えた。 武器も持たずに挑むのは危険と考えたのか、龍騎は一旦後退し、カードデッキからカードを一枚取り出す。 そして、黒い剣が描かれたそのカードを、左腕に取り付けられたガントレット――ドラグバイザーに差し込んだ。 -SOWRD VENT- これまで太刀一本でアンクと戦っていた龍騎が、ここで二本目の太刀を召喚した。 今まで獲物としてきたドラグセイバーと色違いのそれは、仮面ライダーリュウガが使う剣である。 本来ならば龍騎が使用する武器ではないのだが、ドラグブラッカーとの契約によって使用可能になったのだ。 後に引けなくなった龍騎の攻撃は、これまで以上の激しさであった。 流石にアンクも余裕が無くなってきたのか、徐々に防戦一方となってくる。 しかし、ただ攻撃に晒され続けるのを容認する程、アンクは我慢強くは無い。 一瞬の隙の内に火球を龍騎に向けて発射し、彼を吹き飛ばす。 そうする事で、アンクは敵と距離を取る事に成功するのであった。 「フン……流石グリードといった所か」 龍騎が、そんな事を言いながら起き上がる。 彼のその様子からして、まだ余力は十分残っているようだ。 だがそれはアンクの方も同じで、この程度ではほとんど疲労していない。 このまま戦い続けていれば、恐らく先に音を上げるのは龍騎の方だろう。 明確な根拠は無いが、今のアンクにはそう思えてしまう程の自信があった。 何しろ、火災現場跡でメダルを拾ってから、すこぶる体の調子が良いのである。 今のコンディションならば、どんな局面だろうが切り抜けられる筈だ。 そんな慢心とすら言える感情が、アンクにはあったのだ。 何にせよ、アンクはこの戦いで負けるつもりなど毛頭ない。 陣営を奪われない為にも、必ず勝利しなければならないのだ。 だがそれは、龍騎とて同じ事である――彼も陣営を手にする為に、全力でアンクを潰しかかっている。 -AD VENT- 龍騎がカードをバイザーに差し込んだと同時に現れるのは、真紅の東洋龍――ドラグレッターである。 咆哮を上げると、龍はアンクに向けて、口から火炎弾を発射した。 アンクはグリードとしての身体能力とイージスを駆使する事で、どうにか直撃を回避する。 火炎弾は全て地面と衝突し、それらは爆発して周囲を煙で満たしていった。 アンクの視界も同様に煙で充満しており、それを利用した奇襲を警戒した彼は、空へと飛翔する。 -FINAL VENT- その電子音が鳴り響いた直後、アンクは目を見開いた。 彼の視線の先にあったのは、自身と同じ目線になる位置まで浮遊する龍騎と、二体の東洋龍である。 赤と黒の双龍は、宙に浮かんでいく龍騎の周りを飛んでいる。 そして、アンクが瞬きしたその瞬間――龍騎の渾身の蹴りが炸裂した。 滞空している今のアンクに、それを回避する術はない。 真正面から受け止める以外に、彼に出来る事は無いのである。 構えた「aegis=L」が、龍騎の必殺の一撃と激突する。 ダメージは受けなかったものの、生じた衝撃までは吸収できず、バランスを崩したアンクは弾き飛ばされる様に地面に衝突した。 手放してしまった武装を取り戻す為と、アンクは起き上がろうとする。 しかし、彼が立ち上がるより早く、目の前に現れた龍騎の腕が、彼の肉体を貫いた。 肉体の内部を弄られ、激痛がアンクの全身を駆け巡る。 元々高い龍騎のスペックに、アポロガイストの戦闘技術が加わっているのだ。 腕の力だけでグリードの肉体を貫く事は、彼には十分可能なのである。 「……ほお?グリードの肉体とはこうなっているの――かッ!」 龍騎が勢い良く腕を抜き取ると、セルメダルが周囲に飛び散った。 アンクの体内を弄っていた龍騎の左手には、二枚のメダルが握られている。 それら二枚はいずれも、鳥類の絵柄が目立つ赤色の物であった。 「……!?俺のメダル……返せ……ッ!」 「返せと言われて返す奴がおるか、馬鹿者め」 嘲る様にそう言ってみせると、龍騎は首元にメダルを放り投げる。 どうやらライダーの装甲の上からでも首輪は機能してくれるようで、 二枚のコアメダルはそのまま龍騎に吸い込まれていった。 「雌雄は決したな……どうだアンクよ、命乞いをすれば助けてやらん事もないぞ?」 「ッ!ふざけんな!誰がテメェなんかに媚びるかッ!」 「だろうな――では、潔く死ぬがいいッ!」 龍騎が、手にしたドラグセイバーを振り上げる。 この一撃でアンクの脳天をかち割り、とどめを刺す気でいるのだ。 だがしかし、腕を振って軌道をずらせば、攻撃の回避は十分可能である。 まだこんな場所で、呆気なく消滅するする訳にはいかない――! アンクが右腕を振るおうとした、その瞬間。 龍騎の影が、何の前触れもなく消失した。 いや、消失したのではない――何者かによって殴り飛ばされたのである。 龍騎の代わりにアンクの傍にいたのは、この場にいる誰もが知る存在であった。 「貴様は確か……ワイルドタイガーか!」 「覚えてくれてたか、そりゃ嬉しいぜ」 殴り飛ばされた龍騎が、その男の名前を呼んだ。 "ワイルドタイガー"――この殺し合いにおいて、堂々と真木に反抗してみせた命知らずだ。 こんな都合の良いタイミングで現れるとは、流石"ヒーロー"を自称するだけの事はある。 「なんだ貴様は……私に二人ががりで戦いを挑むつもりか?」 「……ああ、それなんだけどよ」 そう言うと、"ワイルドタイガー"は龍騎に向けてある物を見せつけた。 反れたその白い物体は、龍騎――もといアポロガイストの生命線となる道具である。 「そ、それは、パーフェクターではないか!今すぐそれを私に渡すのだ!」 「やっぱアンタのか。返してやってもいいぜ……ただし、一旦お前が身を引くってのが条件だけどな」 「……!?お前何勝手に決めてんだ!?」 "ワイルドタイガー"が出した交渉に、アンクが思わず動揺する。 まだ十分戦えるというのに、あえて相手を逃すなど馬鹿のやる事だ。 それなのに、一体この男は何を考えているのだ。 "ヒーロー"の立場であれば、此処は加勢するのが普通ではないのか。 「……良かろう、今日の所は見逃してやるのだ」 「よし、交渉成立ってワケだな」 アンクの事などお構いなしに、"ワイルドタイガー"がパーフェクターを放り投げる。 投げられたそれは、くるくると身を回しながら龍騎の元に渡るのだ。 パーフェクターが彼の頭上近くまで近づいたその瞬間――鳴り響いたのは、一発の銃声だった。 飛んできた弾丸はパーフェクターに見事直撃し、ばらばらになった欠片が地面に散らばる。 アンクが自身の武器であるシュラウドマグナムで、龍騎の手に渡りかけていたパーフェクターを破壊したのだ。 一瞬だけ、世界を沈黙が支配した。 交渉を行った二人は、ただ茫然とする他無かった。 ただ一人――銃口を龍騎に向けたアンクだけが、冷静に敵の姿を見据えている。 「ぱ、パぱ、ぱ、パぱパ、ぱぱ、ぱぱぱパ、パ、パパぱ、ぱ、パ、パパ、ぱ」 アンク達の事などお構いなしに、龍騎は突然"ぱ"の一文字を連呼し続ける。 恐らく"ぱ"から続く単語を言いたいのだろうが、驚愕のあまり呂律が回っていないのだ。 しばらくすると"ぱ"の連呼は止み、僅かな静寂を挟んだ後に、龍騎は叫ぶ。 「パーフェクターがぁああぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!」 パーフェクターが、アポロガイストの生命の源が、破壊された。 彼はこれを使って相手の生命力を吸い取り、短い寿命を延ばしているのだ。 これが破壊されたという事は、つまりもう生命力の吸収は不可能となったという事である。 もう寿命を延ばせない――これまで朧気だった"死"が、現実味を帯びた瞬間であった。 落ちた破片を拾い集め、必死になって元の形に戻そうとする。 そんな事で復活する訳もなく、パーフェクターはすぐにばらばらになってしまう。 数回ほどそういう無駄な作業を繰り返した後に、龍騎は顔をあげてアンク達を見据えた。 彼の表情は仮面に隠れて窺い知れないが、怒り狂っているのは間違いないだろう。 「よくも……よくもパーフェクターを破壊してくれたなッ!」 龍騎にとって、アンクは仮面ライダー以上に憎たらしい存在となっていた。 これまで自分の人生を支えてきた道具を破壊されたのだから、無理もないだろう。 「最早あの小娘の事などどうでもいいッ!貴様が一番腹立たしいぞ、アンクッ!」 「そいつはありがたい話だな」 パーフェクターを破壊したのは、アンクがそれに対し危機感を抱いていたからである。 臨戦態勢に移った際に、アポロガイストはパーフェクターを頭部から外していたのだ。 それを見れば、あの道具が戦闘面で役立つものだと判断するのは容易である。 だからこそ、彼にさらなる力を与えるであろうパーフェクターを再度使用させる訳にはいかなかったのだ。 「俺を無視して話進めるからそうなるんだ……で、どうするんだ?タイガーの方は知らんが、俺はまだ戦えるぞ」 「……ッ!今日の所はここで勘弁してやるのだ……!」 パーフェクターを破壊され、更に二対一という人数差。 流石にこの状況で戦うのは無理と判断したのか、龍騎はあっさりと負けを認めた。 こういう場面で冷静になれる辺り、間抜けそうに見えても組織の幹部なのだろう。 「だが忘れるな!私は貴様らにとって大迷惑な存在である事を!次に会った時こそが、貴様らの最期となるのだッ!」 古典的な悪役の台詞を吐いて、龍騎は鏡の世界に逃げ込んだのであった。 【7】 「……礼は言わねえぞ」 アポロガイストが去った後、沈黙を破ったのはアンクであった。 その言葉は、他でもない"ワイルドタイガー"へと向けられたものである。 「いやいいって、そんなもん最初から求めてねえよ」 アンクの無礼な発言に対し、彼は不快感さえ混じらせずにそう言ってみせた。 最初の会場で思った通り、この男は映司の様に無償で人助けをする奴なのだろう。 命を賭ける場面が訪れたとしても、平気で自分の命を天秤にかけるに違いない。 「アンタの連れの桂木弥子って娘に頼まれてな。 困ってる奴を助けるのは"ヒーロー"として当然だろ?」 「……またアイツか」 どうやらこの男が来たのも、弥子の差し金らしい。 映司の件といい、どうもあの女は横槍を入れるのが好きなようだ。 尤も、彼女のお陰で窮地を救われた事があるのもまた事実。 その点については、あの甘い女を少しは褒めてやってもいいかもしれない。 「俺はアイツの所に戻る。お前は……好きにしろ」 本来ならば、主催の打倒を狙う"ワイルドタイガー"はアンクにとっては邪魔者だ。 一応優勝を狙うつもりでいる以上、彼は早めに排除しておくべき存在だろう。 だが、もし仮に"ワイルドタイガー"を始末したとしたら、弥子は何と言うだろうか。 きっと酷く怒るだろうから、また下らない事でストレスを溜める羽目になりかねない。 だから、不本意ながら助けられた礼として、一度は見逃してやってもいいだろうと考えたのだ。 別に情が沸いた訳ではない。これも考えあっての行動なのである。 アンクは踵を返し、翼を広げ飛翔しようとする――が、彼が空へ羽ばたく事は無かった。 "ワイルドタイガー"の拳が、彼の身体を背中から貫いていたからである。 「ガッ……ァ……!?」 「こうやって腹をブチ抜けば、コアを取り出せるんだろ? ……コア一枚にセルを五十も使ったんだし、これ位のお釣りは貰わないとなァ」 その言葉で、アンクは事の真相に気付く。 この男が都合の良いタイミングで来れたのは、最初から待ち伏せをしていたからだ。 それまで飛び込もうとしなかったのは、コアメダルを奪う方法、あるいはタイミングを見計らう為か。 交渉を行ったのも、本当は手っ取り早く戦闘を終わらせたかったからに違いない。 何にせよ、アンクは騙されたのだ――"ヒーロー"の皮を被った怪物の存在に、気付けなかった。 "ワイルドタイガー"が手を引っ込めると、急激に全身から力が抜けていった。 グリードとしての姿は保てなくなり、元の泉信吾の肉体に戻ってしまう。 今体内に存在するコアメダルは五枚――ウナギとカマキリの二枚を奪われてしまったのである。 「殺しはしねえさ、あの娘から"助けてくれ"ってお願いされてるしな」 「助けてくれ」と頼まれたが、それは決して無事を保障する訳ではない。 馬鹿げた屁理屈であるし、そんなふざけた解釈をした"ワイルドタイガー"を今すぐ殺してやりたいが、 力を奪われた今となっては、どれだけ殺意を抱いても無駄な話である。 「じゃあなアンク、生きてたらまた会おうぜ」 「待て……待ちやが……れ……ッ!」 どれだけ願えど、"ワイルドタイガー"との距離は遠くなっていく。 おまけに、奴は落ちていたクリュサオルと「aegis=L」、そして先程の攻撃で放出されたセルメダルをしっかり回収しているのだ。 幾ら怒気を孕めようが、最早何の意味も無い事は重々承知だが、それでも激怒せずにはいられない。 「許さねえぞ……ワイルド……タイ、ガー…………ッ!」 "ワイルドタイガー"が去った今、残されたのは屈辱感に悶えるアンクのみ。 スーツの内側でほくそ笑む怨敵の本性には、まだ彼は気付けない。 【一日目 夜】 【E-4 路上】 【アンク@仮面ライダーOOO】 【所属】赤・リーダー 【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、覚悟、屈辱感、仮面ライダーへの嫌悪感 【首輪】130枚:0枚 【コア】タカ(感情A)、クジャク:1、コンドル:2、カンガルー 【装備】シュラウドマグナム+ボムメモリ@仮面ライダーW 【道具】基本支給品×5(その中からパン二つなし)、ケータッチ@仮面ライダーディケイド 大量の缶詰@現実、地の石@仮面ライダーディケイド、T2ジョーカーメモリ@仮面ライダーW、不明支給品1~2 【思考・状況】 基本:映司と決着を付ける。その後、赤陣営を優勝させる。 0.ワイルド……タイ、ガー……ッ! 1.優勝はするつもりだが、殺し合いにはやや否定的。 2.もう一人のアンクのメダルを回収する。 3.すぐに命を投げ出す「仮面ライダー」が不愉快。 【備考】 ※本編第45話、他のグリード達にメダルを与えた直後からの参戦 ※翔太郎とアストレアを殺害したのを映司と勘違いしています。 ※コアメダルは全て「泉信吾の肉体」に取り込んでいます。 【X@魔人探偵脳噛ネウロ】 【所属】緑 【状態】疲労(中)、鏑木・T・虎徹の姿に変身中 【首輪】220枚:0枚 【コア】タカ(感情L):1、カマキリ:1、ウナギ:1 【装備】ベレッタ(8/15)@まどか☆マギカ、ワイルドタイガー1minuteのスーツ@TIGER BUNNY 超振動光子剣クリュサオル@そらのおとしもの、イージス・エル@そらのおとしもの 【道具】基本支給品一式×4、詳細名簿@オリジナル、{“箱”の部品×28、ナイフ}@魔人探偵脳噛ネウロ、アゾット剣@Fate/Zero、 ベレッタの予備マガジン(15/15)@まどか☆マギカ、T2ゾーンメモリ@仮面ライダーW、佐倉杏子の衣服、ランダム支給品0~1(X:確認済み) 【思考・状況】 基本:自分の正体が知りたい。 1.今は『ワイルドタイガー』として行動する。 2.下記(思考4)レベルの参加者に勝つため、もっと強力な武器を探す。 3.バーサーカーやセイバー、アストレア(全員名前は知らない)にとても興味がある。 4.ISとその製作者、及び魔法少女にちょっと興味。 5.阿万音鈴羽(苗字は知らない)にもちょっと興味はあるが優先順位は低め。 6.殺し合いそのものに興味はない。 【備考】 ※本編22話終了後からの参加。 ※能力の制限に気付きました。 ※Xの変身は、ISの使用者識別機能をギリギリごまかせます。 ※傷の回復にもセルメダルが消費されます。 ※アゾット剣は織斑一夏の支給品でした。 ※タカ(感情L)のコアメダルが、Xに何かしらの影響を与えている可能性があります。 少なくとも今はXに干渉できませんが、彼が再び衰弱した場合はどうなるか不明です。 【一日目 深夜】 【?-?】 【アポロガイスト@仮面ライダーディケイド】 【所属】赤 【状態】疲労(小)、ダメージ(中) 、精神疲労(大)、絶望 【首輪】60枚 0枚 【コア】パンダ、タカ(十枚目)、クジャク:1 【装備】龍騎のカードデッキ(+リュウガのカード)@仮面ライダーディケイド 【道具】基本支給品、ランダム支給品0~1 【思考・状況】 基本:参加者の命の炎を吸いながら生き残る……筈だったのだ……。 1.??? 2.リーダーとして優勝する為にも、アンクを撃破して陣営を奪う。 3.ディケイドはいずれ必ず、この手で倒してやるのだ。 4.真木のバックには大ショッカーがいるのではないか? 【備考】 ※参戦時期は少なくともスーパーアポロガイストになるよりも前です。 ※アポロガイストの各武装は変身すれば現れます。 ※加頭から仮面ライダーWの世界の情報を得ました。 ※この殺し合いには大ショッカーが関わっているのではと考えています。 ※龍騎のデッキには、二重契約でリュウガのカードも一緒に入っています。 ※パーフェクターは破壊されました。 ……。 …………。 ………………。 ……………………。 『……たまえ』 『起きたまえ』 『君の貪欲な脳は、その程度で諦めるのか』 『我を滅ぼした頭脳は、こんな所で生存を放棄するというのか』 『膳立ては既に出来ている……後は君が目覚めるだけだ』 『さあ起きたまえ、脳細胞(ニューロン)の申し子よ――――!』 【8】 ――弥子達は、パーフェクターを用いれば蘇生が可能ではないかと推測したが、それは相当難しいだろう。 外部から与えられた傷が原因で死亡したのだから、その傷を修復しない限りは、いくら生命力を与えようが瞬く間にそれは減衰していく。 射殺されたのなら銃痕を消し去り、胴を断ち切られたのなら泣き別れになった肉体を繋げねばならないのだ。 もしそういった手当をしなければ、仮に"命の炎"を吹き込んで蘇生させたとしても、死の瞬間の苦痛を味あわせた末に再び死亡させるのがオチである。 そんな事情もあって、仮に"命の炎"を与えたとしても、本当の意味で生き返るのは、死体がほぼ損傷のない状態の者か、自己再生能力を持った者だけなのだ。 だが、仮に自己再生能力を持っていたとしても、死んでいる以上「死亡してしまう程の傷」を負っているのは間違いない。 その傷を癒すには、再生能力の高さは勿論、大量のメダルが必要不可欠になってくる。 それ故に、"命の炎"を用いての蘇生はかなり厳しいと断言してしまってもいいのだ。 さて、ネウロの制限は少々特殊で、所持しているメダルの枚数がそのまま魔力の量に換算される。 セルメダルを百枚所持していればDRを叩きのめした頃と同程度に、十枚所持していれば衰弱しきった状態になるのだ。 メダルを失えば失うほど、ネウロは弱体化していくという訳だ。 だがこれは、逆に言えば"メダルが百枚を超えれば強化されていく"という事でもある。 当然、魔力が増えるほど戦闘能力、そして再生能力も上昇していく。 命の炎を与えられた後にネウロに渡されたセルメダルは、弥子の120枚とXの50枚、そしてコンドルのコアメダルが一枚。 総数220枚に匹敵する量のメダルは、ネウロに著しい魔力の増幅を促した。 無残なまでの肉体の損傷は見る見る内に回復し、戦う為の気力が湧き上がる。 しかし、ネウロの復活を約束させるのにはまだ足りない――さらに傷を癒す必要があった。 だが、どういう運命の吹き回しなのか。 偶然にも彼を発見したのは、治癒魔法に特化した魔法少女である美樹さやかだった。 瀕死の状態にあったネウロを見つけた彼女は、すぐさま駆け寄って治療を行う。 それによって肉体の再生はさらに加速し、その結果――――。 「……意識が戻った!」 意識を取り戻してから最初に耳にしたのは、聞き覚えのない少女の声であった。 眼を開いてみると、青髪の少女が自分に何かしているのが見える。 穴の開いた胸部で淡い青色の光が煌めいており、そこの痛みは徐々に引いてきている。 察するに、この光は怪我を治癒する効果があるらしい。 段々と、これまでの記憶を思い出してきた。 自分は確か、ウヴァにいいようにやられた末に体内から焼き殺されたのである。 思えば、自嘲したくなる程に無様な最期であった。 あのような馬鹿に命を刈り取られるなど、過去最大級の失態だ。 あの虫頭だけは、次に出会ったら徹底的に拷問してやらねば気が済まない。 二度と自分に歯向かえない奴隷に仕立て上げれば、鬱憤も多少は下がるだろう。 それにしても、どうして自分はこうして現世に存在していられるのだろうか。 特に自分から何かした訳でもないというのに、一体何が起こっているのか。 周囲を見渡してみると、黒いジャケットの男が目に入ってきた。 それ以外にも、男のすぐ傍で横たわっている少女が一人。 その金髪の少女は、ネウロが地上にやって来てから、恐らく最も長い時間を過ごした者だった。 大方、空腹のあまり行き倒れてしまったとか、そういう下らない事情があったのだろう。 あの娘が次に目覚めたのなら、どんな暴言で責めてやろうか。 そんなとりとめも無い事を、考えている最中だった。 「……脈が無い。こいつはもう死んでる」 そんな言葉が、耳に入ってきた。 横たわる弥子の脈が、既に消えていると。 治癒を行っていた少女の手が止まり、表情に嘆きが浮かび上がる。 男の方も、自分の無念さを体現する様に顔を顰めてみせた。 だが、ネウロとしては二人の反応などどうでもいい。 弥子の脈が無いというただ一点だけが、彼の心を大きく揺さぶっていた。 桂木弥子が、死んだ。 もう二度と、口を開く事は無い。 弥子がそうであった様に、ネウロもまた楽観視していた。 自分の助手がそう簡単に死ぬとは思えないなどと、高を括っていたのだ。 だが、現に弥子は死んだ事で、それが甘い推測である事を思い知らされた。 治癒された筈の胸部が痛む。 その痛みは、ウヴァに惨殺された屈辱感と、弥子の死を知った喪失感から来るものか。 自身の奥の手を封じられたXは、こんな感覚を味わっていたのだろうか。 そうか、ようやく理解できた。 この失意が、この苦しみこそが――――。 「――――これが、敗北か」 【一日目 夜】 【E-4 住宅地】 ※脳噛ネウロの左腕と右足がネウロの近くにあります。 【大道克己@仮面ライダーW】 【所属】無 【状態】健康 【首輪】15枚 0枚 【コア】ワニ 【装備】T2エターナルメモリ+ロストドライバー+T2ユニコーンメモリ@仮面ライダーW、 【道具】基本支給品、NEVERのレザージャケット×?-3@仮面ライダーW 、カンドロイド数種@仮面ライダーオーズ 【思考・状況】 基本:主催を打倒し、出来る限り多くの参加者を解放する。 0.重傷を負った男(ネウロ)から詳しい話を聞く。 1.さやかが欲しい。その為にも心身ともに鍛えてやる。 2.T2を任せられる程にさやかが心身共に強くなったなら、ユニコーンのメモリを返してやる。 3.T2ガイアメモリは不用意に人の手に渡す訳にはいかない。 4.財団Xの男(加頭)とはいつか決着をつける 5.園咲冴子はいつか潰す。 【備考】 ※参戦時期はRETURNS中、ユートピア・ドーパント撃破直後です。 ※回復には酵素の代わりにメダルを消費します。 ※仮面ライダーという名をライダーベルト(ガタック)の説明書から知りました。ただしエターナルが仮面ライダーかどうかは分かっていません。 ※魔法少女に関する知識を得ました。 ※NEVERのレザージャケットがあと何着あるのかは不明です(現在は三着消費)。 ※さやかの事を気に掛けています。 ※加頭順の名前を知りません。ただ姿を見たり、声を聞けば分かります。 ※仮面ライダーエターナルブルーフレアのマキシマムドライブ『エターナルレクイエム』は、制限下においてメダル消費60枚で最大の範囲に効果を及ぼします。 エターナルレクイエムの『T2以外の全てのガイアメモリの機能を永久的に強制停止させる』効果は、最大射程距離は半径五キロ四方(エリア四マス分)となります。 また発動コストにセルメダル10枚が設定されており、それ以上メダル消費の上乗せをせず使用すると、半径二千五百メートル四方(エリア一マス分)に効果を及ぼします。 なお、参加者個人という『点に対して作用する』必殺技としての威力は、メダルの消費数を増減させても上下することはありません。 メダル消費量で性能に制限を受けるのは、あくまでMAPの広範囲に『面として作用する』ガイアメモリの機能停止に関する能力だけです。 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 【所属】青 【状態】健康 【首輪】20枚 0枚 【コア】シャチ(放送まで使用不可) 【装備】ソウルジェム(さやか)@魔法少女まどか☆マギカ、NEVERのレザージャケット@仮面ライダーW、ライダーベルト(ガタック)@仮面ライダーディケイド 【道具】基本支給品、克己のハーモニカ@仮面ライダーW 【思考・状況】 基本:正義の魔法少女として悪を倒す。 0.傷だらけの人(ネウロ)を治す。 1.克己と協力して悪を倒してゆく。 2.克己やガタックゼクターが教えてくれた正義を忘れない。 3.T2ガイアメモリは不用意に人の手に渡してはならない。 4.財団Xの男(加頭)とはいつか決着をつける 5.マミさんと共に戦いたい。まどかは遭遇次第保護。 6.暁美ほむらや佐倉杏子とは戦わなければならない。 【備考】 ※参戦時期はキュゥべえから魔法少女のからくりを聞いた直後です。 ※ソウルジェムがこの場で濁るのか、また濁っている際はどの程度濁っているのかは不明です。 ※回復にはソウルジェムの穢れの代わりにメダルを消費します。 ※NEVERに関する知識を得ました。 【脳噛ネウロ@魔人探偵脳噛ネウロ】 【所属】黄 【状態】ダメージ(極大)、右肩に銃創、右手の平に傷、全身に火傷(以上、全て再生中) 疲労(極大)、左腕&右足切断、弥子の死に対する動揺 【首輪】60枚(消費中):0枚 【コア】コンドル:1(放送まで使用不可) 【装備】魔界777ツ能力@魔人探偵脳噛ネウロ、魔帝7ツ兵器@魔人探偵脳噛ネウロ 【道具】基本支給品一式 【思考・状況】 基本:真木の「謎」を味わい尽くす。 0.??? ※DR戦後からの参戦。 ※ノブナガ、キュゥべえと情報交換をしました。魔法少女の真実を知っています。 ※魔界777ツ能力、魔帝7ツ兵器は他人に支給されたもの以外は使用できます。しかし、魔界777ツ能力は一つにつき一度しか使用できません。 現在「妖謡・魔」「激痛の翼」「透け透けの鎧」「醜い姿見」を使用しました。 ※制限に関しては第84話の「絞【ちっそく】」を参照。 【9】 目覚めて早々、自分は死ぬのだな、と思った。 もう目を開けるのさえ億劫で、瞼を閉じればすぐに眠りについてしまうだろう。 もし眠ったとしたら、きっともう二度とは目覚めない事も理解できていた。 恐らく、気絶させられた後に、パーフェクターで"命の炎"を根こそぎ奪われたのだろう。 それを行ったのは他でもないX本人である事など、推理しなくても分かっている。 後悔なんて、ある訳ない――なんて事は決して無く。 やりたい事は山ほどあったし、それを成し遂げれなかった悔しさだって相当のものだ。 だが、それら以上に大きかったのは、ただ一つの事柄への不安であった。 "命の炎"が奪った後、Xはどうしたのだろうか。 もうこの場にいない彼は、果たしてネウロに"命の炎"を与えたのか。 今はただ、そればかりが気がかりであった。 頭を僅かに動かして、ネウロの方に目を向ける。 そこにあったのは、僅かではあるが呼吸をしているネウロの姿だった。 ああ、良かった――Xはちゃんと、約束を果たしてくれたのか。 本当なら、ネウロが目覚めるまで起きていたかった。 一言だけでもいいから、彼と言葉を交わしたかった。 だが、そんな意思などお構い無しに、身体は睡眠を欲し続ける。 きっとあと数分も経たない内に、自分は睡魔に負けるのだろう。 名残惜しいが、そればっかりはどうにもならない運命であった。 「……ネウ、ロ」 思い出されるのは、ネウロとの最後の会話。 お前の日付はいつになったら変わるのかと、淡々とした口調でそう言われた。 あの言葉は、今まで受けたどんな暴言よりも自分の心に重く響いていた。 「私の日付……変われた、かな?」 この瞬間に、自分はあの頃から少しは変われただろうか? 自分の中にある時計の針を、1ミリでも動かせれただろうか? それを知る術がないが、変わっていれば嬉しいな、と。 自分の行いが、僅かでも希望となってくれれば幸せだ、と。 それだけを願いながら、弥子は深く長い眠りに就く。 ――――それっきり、彼女が目を開く事は無かった。 【桂木弥子@魔人探偵脳噛ネウロ 死亡】 ※桂木弥子の遺体の傍に以下の支給品が放置されています。 「基本支給品一式、桂木弥子の携帯電話+あかねちゃん@魔人探偵脳噛ネウロ、ソウルジェム(杏子)@魔法少女まどか☆マギカ、 魔界の瘴気の詰った瓶@魔人探偵脳噛ネウロ、衛宮切嗣の試薬@Fate/Zero、赤い箱(佐倉杏子)」 109 暗【わからない】 投下順 111 夢の終わり 108 上を向いて歩こう 時系列順 112 謀略の夜 090 取引をしよう アンク 121 死【ろすと】 桂木弥子 GAME OVER アポロガイスト 122 さらばアポロガイスト!男の涙は一度だけ!! 081 Kの戦い/閉ざされる理想郷 大道克己 121 死【ろすと】 美樹さやか 103 綿棒の報い~イジメ、ダメ!~ 脳噛ネウロ 089 百の貌 X 124 再【りとらい】
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/4466.html
844 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 00 21 16 ID ??? じゃあプチを1つ。ブレカナ3がでてすぐの話。 2枚目のキャラシならぬ3枚のキャラシってのを見たことがある。 1枚目はディアボロス・ステラ・アダマスのケルバーソード魔器。 2枚目はディアボロス・マーテル・アングルスのケルバーソード魔器。 3枚目はこれを二刀流した軽戦士。 これを1人でやるって言い張ってた。 845 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 00 22 44 ID ??? マローダーシートでも渡してやれw 846 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 00 32 13 ID ??? GMがこっそりブチ切れて 敵データに∵爆破∵×6を追加してたら大笑いなんだけどな 847 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 00 38 47 ID ??? というかGMはルール的に不可だって言えるよw エルス二枚もちでファミリアのシート二枚ならまだしもw 848 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/01/12(月) 00 38 54 ID ??? 聖痕9個は下手なマローダーより強力だぞ。 しかし、聖痕の選び方が下手な気がする。 スレ214
https://w.atwiki.jp/ooorowa/pages/343.html
さらばアポロガイスト!男の涙は一度だけ!! ◆qp1M9UH9gw 【1】 ふと気付けば、ガイの視界は黒一色に染まっていた。 漆黒が四方を取り囲む空間の中で、彼は一人立ち尽くしていたのだ。 あらゆる方向を向いてみても、ガイの景色に黒以外の色が混ざる事は無い。 此処は何処なのか。何が原因でこんな場所に飛ばされたのか。 置かされた状況にひどく困惑した直後、ガイが背後から感じ取ったのは他者の気配。 弾かれたように振り返ってみれば、そこにいたのは彼の同僚であった。 明かりの無い空間にも関わらず、ガイは死神博士の相貌をはっきりと確認できた。 『残念だ、アポロガイストよ』 悲しげにそう呟いてみせた死神博士を、ガイは訝しげに見つめる。 一体何が"残念"なのかと問い詰めようとした所で、急激に視界がぐらついた。 地震でも起きたのか錯覚する程に眩暈は酷いもので、思わずその場に座り込んでしまう。 『まさかパーフェクターを破壊されてしまうとはな……あれ無しではお前は生きてけまい』 『我ら大ショッカーの技術を用いても、あれを復元するのは不可能なのだよ』 横から聞こえてきた声は、月影ノブヒコのものであった。 死神博士と同じく大ショッカーの大幹部である彼が、何故こんな場所に。 そう考えている間にも、ガイを苛む眩暈はさらに激しくなっていく。 『お前に残された寿命は残り僅か……だが、我々ではもうどうする事もできんのだ』 死神博士のその言葉を聞いた瞬間、ガイは自分の身に何が起きたのかを悟った。 パーフェクターを破壊された事で命の炎を吸えなくなり、そのせいで生き長らえる事が不可能になってしまったのだ。 つまり、この眩暈の原因は命の炎の枯渇であり、その果てにあるのは"死"以外に在り得ない。 『もういいですかな?死神博士。これ以上情けをかける必要もない』 『うむ。では頼んだぞ、シャドームーンよ』 眩暈に耐えながらも視線を移してみれば、ノブヒコの本来の姿――シャドームーンが立っているではないか。 緑色の双眸はじっとガイを見つめており、同時に刺々しい程の殺気が感じ取れた。 頭で深く考えずとも、彼がこれから何をするつもりなのかが嫌でも理解できる。 『死にぞこないに大幹部は務まらない……そう思わないか?アポロガイストよ』 ガイに向け翳された右手から、瞳と同じ緑色の光が迸る。 この技はシャドービーム――至近距離から当てれば、確実に相手を絶命させれる。 立ち上がる事さえままならない今のガイでは、どれだけ足掻こうが回避など不可能だ。 「やめろ……やめるのだ……ッ!」 如何に懇願しようが、シャドームーン達は無言を貫いている。 それはつまり、彼らがガイの要求を呑むつもりは一切ないという意思表示だ。 最早"死"は必定であり、それを覆す方法はもう何処にもありはしない。 数秒後に齎されるであろう絶命の一撃に、最大限まで高ぶるのは死の恐怖。 湧き上ったそれは絶叫となり、否応なしにガイの口から飛び出すのであった――――。 O O O 「やめろおおおおおおお……お…………お、お?」 声を上げた瞬間には、もうガイの前からシャドームーンの姿は消えていた。 彼だけではない――死神博士も消え失せ、空間も一般的な家屋へ移っている。 数刻ほどの空白の後、ガイは自分がそれまで夢の世界にいた事に気付いた。 「何時の間に……私は……」 アンクから撤退した後、休息を取ろうと民家に潜り込んだのだが、どうやらそこでうたた寝をしてしまったらしい。 居眠りなどするつもりは無かったが故、これは予想外の事態である。 幸い放送の前に目覚めれたが、しかし時間を無駄にしてしまった事に変わりは無い。 手で額を拭ってみると、尋常ではない量の冷や汗が手に付着する。 睡眠の最中に観た悪夢は凄まじいもので、今でもあの死の瞬間が鮮明に思い出せた。 思い返す度に恐怖が蘇り、身体が震えそうにさえなってしまう。 「おのれアンク……それもこれも奴のせいなのだ……ッ!」 居眠りで時間を潰してしまうのも、あの様な悪夢を見る羽目になってしまったのも。 全てアンクが――パーフェクターを破壊したあの男が発端なのだ。 奴にさえ出会わなければ、無様に冷や汗を流す事も無かったに違いない。 (パーフェクター……あれが無ければ私は……ッ!) 改造手術を受けたアポロガイストには、致命的な弱点が一つある。 それは、改造時点で残された寿命が僅か一か月と極めて短い事だ。 捨て駒として扱われる戦闘員ならまだしも、アポロガイストは幹部級の怪人。 たったの一か月程度の寿命だけでは、幹部としての活躍など見込めはしない。 そんな欠点を解決する為に作られたのが、彼の頭部に取り付けられたパーフェクターである。 それには命の炎――言い換えれば生命力を奪い取る効果があり、アポロガイストはこれを使う事で、寿命を延ばし今日まで生き長らえれていたのだ。 命の炎を奪い続けている限り、彼が寿命によって息絶えるのはまずあり得ないと言ってもいいだろう。 だが、そのパーフェクターはアンクの手によって破壊されてしまった。 もう"命の炎"を吸う術は無く、無限に延ばせる筈だった寿命はもう手に入らない。 それまでぼやけていた"死"の概念が、確固たる形を持って顕在した瞬間であった。 これまでは、自分は死なないという確信めいた感情があった。 何度仮面ライダーに敗れようが、必ず生き残れるという自信。 自分は決して死にはしないという、そもそも己の死について考えてなかったが故の慢心。 だがその自信は、パーフェクターの喪失と、悪夢という形で体験した"死"によって脆く崩れ去ってしまった。 「許さんぞアンク……!貴様は必ずこのアポロガイストが直々に引導を渡してやるのだ……ッ」 それもこれも、全てアンクに責任がある。 必ずやアンクをこの手で抹殺し、その上で陣営を奪い取らなければ。 そう目標を立てる事で自らを奮い立たせ、未だ続いていた身体の震えを止める。 「善は急げ」ならぬ「悪は急げ」だ。 早く此処から出発し、行動を開始しなければ。 【2】 ウェザー・ドーパントに変身している井坂の前にあったのは、地面に突き刺さった一振りの大剣と、腹部をそれに食い破られた少女の遺体である。 具体的に何が起こったのかを推し量るのは出来ないが、遺体の損傷具合からして相当凄まじい戦闘があったのだろう。 それの近くにあった原型を留めていない死体も、その過程で出来たものに違いない。 井坂は大剣の柄を掴み、地面に刺さったそれを抜き取ろうと試みる。 が、いくら力を加えてみても、剣は一向に持ち上がる気配を見せなかった。 ドーパントと化し超人となった肉体でも、この黄金の剣を抜き取る事は叶わない。 こうなると、剣そのものに何らかの細工が施されていると考えるしかないだろう。 見惚れる様な美しいそれを手に入れられないのは残念だが、現状でどうにもならない以上諦めるしかあるまい。 大剣から少女の亡骸に視線を移動させた後、すぐさま彼女の首元に向けて手刀を振るう。 瞬く間に彼女の首は跳ね飛ばされ、首輪と生首が地面に転がった。 かつて少女に嵌められたその首輪を拾い上げ、井坂は満足げに笑みを浮かべる。 嵌められた首輪を解析する為にも、何処かに参加者の死体の一つでも転がっていないかと探していたが、ここに来てようやくそれに巡り合えた。 原型を留めていない死体からも首輪を回収しておいたので、これで所持している首輪は二つになる。 一つあれば十分ではあるが、もしもの時に備えて複数個持っておいても損はないだろう。 「あ、先生先生!その娘ちょっと貸してよ!」 変身を解いた直後に、はしゃいだ声が飛んでくる。 ふと見れば、龍之介が瞳を輝かせている姿が目に入ってきた。 彼の視線は井坂ではなく、彼のすぐ近くを転がっていた頭部に注がれている。 龍之介の意図を理解した井坂は、生首の毛髪を掴み上げ、そのまま龍之介に放り投げた。 「サンキュー先生!これでもっともっとスッゲーやつが作れるかも!」 「随分と意気込んでますが、何を作るつもりで?」 「そりゃもう、こいつで最ッ高にCOOLなアートを作るんだ!今ならトビきりの上物が作れるって、俺の直観が言ってるんだよ!」 これだけじゃないんだと、龍之介は井坂に"素材"を差し出してきた。 それは紫色の瞳の眼球だったり、頭蓋骨の欠片だったり、先程の少女のものであろう腕だったり。 常軌を逸するグロテスクな素材達を、彼は嬉々としながら井坂に紹介していく。 真人間であれば咀嚼物を吐き出しかねないそれらをアートと称する辺り、流石としか言いようがない。 "素材"の発表会の合間に発した「できれば生きてる子が欲しいんだけどさ」という言葉から、どうも完全に満足してはいない様なのだが。 「成程、それが君の見つけた"最高のCOOL"というヤツですか?」 「そんなんじゃないよ。これはその、アレだよ、旦那への墓代わりってヤツ? 旦那は俺に色んな事教えてくれたしさ、ちゃんと弔わなきゃ失礼かなって」 死者を弔う為に死者を冒涜するとは妙な話であるが、これも彼なりの美学に基づいたものだろう。 井坂にとって「旦那」など心底どうでもいいのだが、それで龍之介の気が良くなるのなら放任するとしよう。 それが彼が前進する気力を見せる物であれば、出来る限りの協力はしてあげたいものだ。 まだ龍之介には、生き残るだけの気力を常に持ってもらわなければ困るのだから。 「それでさ、作ったアートの前で、旦那がしたかった"最高のCOOL"ってヤツを成し遂げてやるんだ! 旦那、きっと喜んでくれるだろうなァ……そうだ、先生も協力してくれない?」 「勿論ですとも……と言いたい所ですが、その前にやるべき事を済まさなければなりませんね」 そう言うと、井坂は龍之介に背を向ける。 自分の丁度後ろから、何者かの気配を感じたのだ。 「そこにいるのは分かってます。隠れてないで出てきたらどうです?」 井坂がそう呼びかけてみると、物陰から現れる影が一つ。 白いコートを着たその男とは、これで二度目の遭遇となる。 【2】 「いやはや、また御会いするとは奇遇ですねェ」 視線の先にいる紳士服の男とは、数時間前に出会ったばかりだ。 面倒な相手と出くわしてしまったと、ガイはばつの悪い表情を浮かべる。 「調子づきおって……お前の相手をするほど暇ではないのだ」 口ではそう言ったものの、それで彼等が引くとは想定していない。 何しろ、最初に遭遇した時点で襲い掛かってきた男なのだ――今回も牙を剥いてくるに決まっている。 憎きアンクを打倒する為にも、セルメダルは可能な限り温存しておきたいのだが。 「誰かと思ったらあのエラソーなオッサンじゃん。何やってんの?」 「相変わらず口の利き方を知らん小僧だ、そんな事私の勝手であろう。分かったなら早く道を開けるのだ!」 「そうですよ龍之介君。人には人の事情があるのですから」 そう言って龍之介を宥めながら、井坂は一歩前に出る。 その手にはガイアメモリが握られており、これから彼が何をするのかも予測できた。 井坂に出会った時点で確定してしまった未来であり、なおかつガイにとっては最悪の展開。 「まあ、貴方の都合なんてどうでもいいのですがね」 ――WEATHER!!―― 起動したガイアメモリは一人でに浮遊し、そのまま彼の耳元に吸い込まれていく。 メモリが完全に体内に吸収された頃には、既に井坂の肉体はドーパントのものに変異していた。 ガイがウェザー・ドーパントを目にするのは、これが二度目である。 ただ、あの時はリュウガの横やりが入ったせいで戦わず終いだった為、刃を交えるのは初となる。 「ここで会ったのも何かの縁です、ちょっと私の相手をしてくれませんか?T2ウェザーメモリの力、もう少し調べておきたいのですよ」 「貴様……この大ショッカーの大幹部たる私を実験台扱いするつもりか?」 「まあ、そういう事になりますね。察しが良くて助かります」 「舐めおって……ッ!小物如きで変身した所で、純正の改造人間である私に勝てるものか!」 「アポロチェンジ」と嘯くと、ガイの肉体が戦闘用――アポロガイストのそれへと変化する。 象徴たるパーフェクターは喪われているものの、戦闘行為自体には何ら支障はない。 この姿で目の前の怪人に対処する事も、当然ながら可能であった。 「おや、仮面ライダーに変身しなくても良いのですか?」 「貴様などライダーの力を使うまでもない!このアポロガイストの力だけで十分なのだッ!」 こうは言ったものの、アポロガイストとして戦うのにはちゃんとした理由がある。 以前出会った際に、井坂は龍騎とリュウガの戦闘を目にしているのだ。 手の内を知られている以上、龍騎に対し既に何らかの対策が練られている可能性は十分考えられる。 それ故にガイは、井坂のまだ知らぬアポロガイストとしての能力で戦うべきだと判断したのだ。 「これはこれは、随分と舐められたものですねェ。まあいいでしょう、頑丈である事を祈りましょうか」 ドーパントとなった井坂からは一切の恐怖を感じ取れない。 それどころか、半ば慢心にさえ似た余裕さえ持っているではないか。 舐められているも同然な態度を取られ、武器を持つアポロガイストの指に力が籠る。 「言いおったな……後悔しても知らんぞ!大ショッカーのアポロガイストの名前、その身に刻み付けてくれるわッ!」 そう意気込んで、アポロガイストは自らを鼓舞する。 未だ脳裏にこびり付く悪夢を振り払い、意識を戦闘に集中させる為だ。 しかし、如何に戦意を高めようと自己暗示をかけたとしても。 一度染み込んでしまった死への恐怖は、そう易々と取り除けはしないのだ。 【3】 この殺し合いの原因となった主催者達は、舞台の駒達の情報を全て把握している。 何時に誰と出会い、何時に何処へ向かい、何時に誰と戦い、そして何時に死んだのか。 ゲームが開始された後の行動は、何から何まで主催者に見透かされてしまっている。 だから、井坂とアポロガイストの闘いの幕が切って落とされた事さえも、彼らは知っていた。 「アポロガイスト……彼は確か、コアメダルと融合していたよね?」 インキュベーターがそう問うと、隣にいた真木は抑制のない声で「そうです」と答えた。 いつも通り彼の視線は白い小動物ではなく、肩にちょこんと座った人形に向けられている。 そう――アポロガイストの肉体は既に、コアメダルと融合を始めていた。 何時頃から融合を始めていたかは定かではないが、既に彼とメダルはかなり同化している。 この調子なら、そう遠くない内にアポロガイストはグリードに変貌するだろう。 「融合してまだ時間は経ってませんが、彼の欲望は十分な程に大きい」 「首輪のお陰だね。通常ならここまで早くグリードは生まれないよ」 首輪には、コアメダルと肉体の融合を促進する効果がある。 これがあるお陰で、本来数日経たなければ発生しないグリード化が早期段階で起こるのだ。 「"生まれる"……あまり喜ばしい言葉ではありませんね」 「終わりの始まりと考えればいいさ。それよりアポロガイストの事だけど、井坂深紅郎と戦って生き残れるのかな?」 「それは彼次第でしょう。彼の欲望が運命を決めると断言していい」 そう、全てはガイの欲望次第なのだ。 首輪にはコアメダルと肉体の融合を促進する効果があるが、補足すべき点が一つある。 それは、参加者がメダルと融合している場合、その欲望の大きさによって融合の速度が上昇するというものだ。 彼等が激しく求めれば求めるほど、その肉体はさらに人外に近づいていく。 コンドルメダルと融合した怪盗Xが、感情の爆発によって自身の一部をグリードさせたように。 人を助けたいと望んだ鹿目まどかが、コアメダルの力を僅かだが引き出していたように。 そしてそれは、クジャクメダルと肉体が融合しているアポロガイストも例外ではない。 「彼がもっと激しく、もっと強く望めば……新たな"器"が誕生するかもしれません」 【4】 戦闘が始まって数分後、その場に立っていたのは井坂一人であった。 アポロガイストの方はと言うと、傷だらけの状態で地べたに這い蹲っている。 二人の戦いは、終始井坂がアポロガイストを圧倒していた。 ガイが逆転の兆しを見せた場面は数あれど、それら全ては井坂の強さを証明する為の引き立てにしかならず。 どう挑もうと、彼はウェザー・ドーパントという強敵の噛ませ犬にしかなり得なかったのである。 「あれだけ息巻いておきながら、実に無様ですねェ。アポロガイストの力を見せてくれるのではないのですか?」 アポロフルーレを杖にして立ち上がるガイを見据えながら、井坂はそう挑発する。 それが未だ残る闘志に火を付けたのか、アポロガイストは今一度目の前の敵に挑みかかった。 が、そうして振るわれた剣も呆気なく躱されてしまい、その代わりと言わんばかりに井坂はガイの顔面を掴み上げる。 「ぐおっ……貴様……やめ――――」 「止めませんよ、勿論」 その言葉と同時に、ガイの顔面を掴む井坂の手が赤く染まっていく。 掌が著しい程の熱を帯びたのだ――あらゆる天候を操る彼には、この程度造作もない事である。 その高熱の手に顔を掴まれたアポロガイストの口からは、形容し難い程の悲鳴が漏れ出ていた。 彼の悶絶を数秒ほど耳にした後、井坂は空いていたもう一方の腕でアポロガイストの腹を殴りつける。 カマイタチを伴ったその一撃は、彼を後方に吹き飛ばすのには十分すぎた。 「うおおおお!先生やっぱスゲー!」 賞賛を送る龍之介を尻目に、井坂は顔を抑え悶えるアポロガイストに詰め寄る。 そして、未だ敵の接近に気付かない彼の横腹を、何の躊躇もなく踏みつけた。 「弱すぎる……正直がっかりですよ、貴方には」 井坂が知るアポロガイストという男は、果たしてここまで歯ごたえのない相手だったか。 こんな弱者が、龍之介と対峙した「大幹部」の名に恥じぬ男だというのか。 思えば、今井坂が見下ろしている男には、以前感じた様な覇気がまるで感じられない。 まるで大切なものを何処かに落としてしまったかの様で、それが戦闘にさえ支障をきたしているのだ。 井坂から見れば、アポロガイストもまた魅力的な力の一つであった。 何の道具の力も借りずに怪人に姿を変える術など、興味を持つなと言う方が無理である。 そして、その怪人の力量は如何なるものか、実に探求心をそそられたのだが……今となっては興冷めだ。 「もう結構です。ここでお別れとしましょうか」 アポロガイストに止めを刺す為、掌に紫電を纏わせる。 超高電圧の一撃をまともに喰らえば、改造人間とて一溜まりもない筈だ。 一抹の失望を感じながらも、井坂は敵の命を刈り取らんと電撃を放ったのだった。 O O O 死ぬ。 あと数秒もしたら、井坂は電撃を叩き込むつもりだ。 見るからに電圧が高そうなそれをまともに浴びたら、命を保っていられる保証はない。 運が良ければ瀕死で済むが、悪ければそのまま自分は落命するのだろう。 そういえば、この情景はつい先程見た悪夢と驚くほど似通っている。 相手こそ違うものの、右手に光を迸らせる点などそっくりではないか。 嫌でも悪夢を思い出させる光景を目の当たりにしたせいで、また全身が震えだす。 (死ぬ……!?死ぬというのか、このアポロガイストが……!) そう、自分は死ぬのだ。これまで想像した事もない"死"が、すぐ目の前まで近づいてきている。 しかもこれは悪夢の中の出来事ではなく、れっきとした現実の話だ。 今此処で命を落とせば、この世界からアポロガイストという男の魂は消滅する。 もう二度と身体を動かせず、それどころか思考する事さえ出来なくなるのだ。 (し、死にたくない……私は……死にたくなどない……!) 怖い、怖い、怖い。 全身がさらに激しく震え、恐怖で他の感情が塗り潰されていく。 こんな場所で死にたくない。まだ仮面ライダーを一人も狩っていないのに。 こんな無様に死にたくない。まだアンクに何も仕返しが出来ていないというのに。 (まだだ……まだ終われん!こんな所で死ねんのだ……死んで終わらせる訳には……ッ!) 恐怖は極限まで増大し、今や脳を埋め尽くしてしまっている。 死にたくない。死を回避できるなら何をしたって構わない。 ディケイドをこの手で倒す為に、そしてこの先も大幹部で在り続ける為にも――。 (私は、私は……!生きなければならんのだ……ッ!) 『生きたい』。 死ぬのが恐ろしくて仕方がない――だから生きたい。 大ショッカーの幹部として戦いたい――だから生きたい。 仮面ライダーにとって大迷惑な存在で在り続けたい――だから生きたい。 いや、生きたいのではない。生きなければならないのだ。 どれだけ哀れで惨めでも、そこに一寸でもチャンスがあるのだとすれば。 あらゆる手段を用いてでも、目の前で燦然と輝く"生"にしがみ付いていたい。 全身の震えが収まっていく。 恐怖は鳴りを潜めていき、代わりと言わんばかりに激しい欲求が沸き出てくる。 何としてでも生き残れと、この殺し合いを生き延びてみせろと。 命を繋げと轟き叫ぶ、その欲望の名は「生存本能」。 「死にたくない」の反対は「生きたい」であり、彼がその原始的な欲望を滾らせるのは当然だ。 そして、湧き起こる欲望はコアメダルと激しく引き合い、アポロガイストの肉体をも変化させていく。 これ以上に無い程激しい欲望によって、彼の肉体は未知の領域に踏み込もうとしている――。 O O O アポロガイストの周囲に、突如として熱風が巻き起こる。 熱風に煽られた井坂は思わず仰け反り、雷撃もあらぬ方向に飛んでいく。 「ぬっ……何が……ッ!?」 動揺を隠しきれない井坂が、アポロガイストの姿を見据える。 そして、ゆっくりと立ち上がる彼の全貌を目にし、さらに驚愕した。 今井坂の目の前にいたのは、アポロガイストとも龍騎とも異なる新たな異形だったのである。 「待たせたな……ここからが本番なのだ」 声からして、目の前にいるのがアポロガイストなのに間違いはない。 だがあの姿は――鳥類をモチーフにした様な赤い怪人は一体何なのだ。 井坂が知る由も無いが、この姿はアポロガイストが今しがた手にした力である。 コアメダルと肉体との融合。それが極まった瞬間に発生するのが「グリード化」だ。 対象の肉体の状態に関係なく、その身は欲望の化身へと姿を転じてしまうのだ。 本来であれば、例え首輪の影響下であったとしても、グリード化は数時間程度で起こるものではない。 しかし、極まった生への渇望に首輪が反応した結果、驚異的な勢いで融合が進行したのである。 「これまでの私とは一味違うぞ――――受けてみろォッ!」 アポロガイストは火球を成形し、井坂を燃やし尽くさんと直線状にそれを発射する。 それに対し井坂は、竜巻を巻き起こす事で火球の軌道を逸らした。 あらぬ方向に進んでいく熱の塊を尻目に、彼はアポロガイストの様子を観察する。 これまでに火球など使ってこなかったというのに、どうして突然あんな攻撃をしてきたのか。 井坂に再び湧き上がるのは好奇心――相対する謎の力を前に、欲望が湧き上っていく。 「ちょっと驚きましたよ。一体どこにそんな力が?」 「貴様には分からまい……これこそが私が手に入れた新たな力!」 アポロガイストが、グリード態から本来の怪人態へ変化する。 グリード化の影響を受けてか、かつてパーフェクターが配置されていた箇所には、パーフェクターを象った真紅の物体が取り付けられていた。 そして、以前と違う点はもう一つ――今のアポロガイストには、大幹部の名に相応しい威厳が備わっていたのである。 今やアポロガイストの心中には、恐怖など残っていない。 あるのは頂点に達した生存本能と、それを満たさんとする為の激しい闘志。 「たった今名を改めよう……死に怯えていたかつての私は死んだ。 今此処に立っているのは『ハイパーアポロガイスト』……! 貴様らにとって!更に!更に!!さァらァにィッ!大ッ迷惑な存在なのだッ!」 【一日目-夜中】 【D-4 北東】 ※キングラウザーにかけられたハッキングはまだ解除されていません。 何時までハッキングの効果が持続するかは不明です。 【全体考察】 ※首輪にはコアメダルと肉体の融合を促進させる機能がありますが、コアメダルと肉体の融合速度は抱いた欲望の大きさに比例します。 一時的でも欲望が肥大化すれば、肉体のグリード化は加速的に高まるでしょう。 【ハイパーアポロガイスト@仮面ライダーディケイド】 【所属】赤 【状態】疲労(小)、ダメージ(中) 、精神疲労(大) 【首輪】60枚 0枚 【コア】パンダ、タカ(十枚目)、クジャク:1 【装備】龍騎のカードデッキ(+リュウガのカード)@仮面ライダーディケイド 【道具】基本支給品、ランダム支給品0~1 【思考・状況】 基本:生き残る。 1.ウェザー・ドーパント達に対処する。 2.リーダーとして優勝する為にも、アンクを撃破して陣営を奪う。 3.ディケイドはいずれ必ず、この手で倒してやるのだ。 4.真木のバックには大ショッカーがいるのではないか? 【備考】 ※参戦時期は少なくともスーパーアポロガイストになるよりも前です。 ※アポロガイストの各武装は変身すれば現れます。 ※加頭から仮面ライダーWの世界の情報を得ました。 ※この殺し合いには大ショッカーが関わっているのではと考えています。 ※龍騎のデッキには、二重契約でリュウガのカードも一緒に入っています。 ※パーフェクターは破壊されました。 ※クジャクメダルと肉体が融合しました。 グリード態への変化が可能な程融合が進んでいますが、五感の衰退にはまだ気付いていません。 【井坂深紅郎@仮面ライダーW】 【所属】白 【状態】健康、肩に斬り傷 【首輪】50枚:0枚 【装備】T2ウェザーメモリ@仮面ライダーW 【道具】基本支給品(食料なし)、DCSの入った注射器(残り三本)&DCSのレシピ@魔人探偵脳噛ネウロ、大量の食料 【思考・状況】 基本:自分の進化のため自由に行動する。 0.アポロガイストに対処する。 1.インビジブルメモリを完成させ取り込む為に龍之介は保護。 2.T2アクセルメモリを進化させ取り込む為に照井竜は泳がせる。 3.次こそは“進化”の権化であるカオスを喰らってみせる。 4.ドーピングコンソメスープに興味。龍之介でその効果を実験する。 5.コアメダルを始めとする未知の力に興味。特に「人体を進化させる為の秘宝」は全て知っておきたい。 6.そろそろ生還の為の手段も練っておく。念の為首輪も入手しておきたい。 【備考】 ※詳しい参戦時期は、後の書き手さんに任せます。 ※ウェザーメモリに掛けられた制限を大体把握しました。 ※ウェザーメモリの残骸が体内に残留しています。それによってどのような影響があるかは、後の書き手に任せます。 「なんかスッゲー事になってんなぁ……にしてもいつ終わるんだろ、コレ」 傍観者となっていた龍之介が、不満げに呟いた。 最初の頃は興奮しながら観戦していたものの、そろそろ決着をつけて欲しいのが本音であった。 アートの作製に取り掛かる為にも、井坂には早くアポロガイストを始末して欲しいのだが。 手に持った少女の生首――井坂に頼んで譲り受けたものだ――に目を向ける。 所々に傷が付いてしまっているものの、顔の造形は見る者を魅了する程美しい。 水色の毛髪も同様に汚れてしまっているが、その感触は今まで触れたどの髪より上質だ。 これでどんなアートを造ろうか、想像を巡らせるだけで思わず笑みが零れてしまう。 「ホント綺麗だよなぁ……ああ……早く作りたいなぁ……」 でも、やっぱり生きたままアートにしたかったなぁ、と。 もう満たされぬであろう欲求に、龍之介は溜息をつくのであった。 【雨生龍之介@Fate/zero】 【所属】白 【状態】ダメージ(小)、疲労(中)、深い悲しみと決意、生命力減衰(小) 【首輪】70枚:0枚 【コア】コブラ 【装備】サバイバルナイフ@Fate/zero、インビジブルメモリ@仮面ライダーW 【道具】基本支給品一式、ブラーンギー@仮面ライダーOOO、螺湮城教本@Fate/zero、アートの素材 【思考・状況】 基本:旦那が言っていた「最高のCOOL」を実現させる。 0.何かスゲェ事になってる……。 1.しばらくはインビジブルメモリで遊ぶ。 2.井坂深紅郎と行動する。 3.オレに足りないものは「覚悟」なのかも……? 【備考】 ※大海魔召喚直前からの参戦。 ※インビジブルメモリのメダル消費は透明化中のみです。 ※インビジブルメモリは体内でロックされています。死亡、または仮死状態にならない限り排出されません。 ※雨竜龍之介はインビジブルメモリの過剰適合者です。そのためメモリが体内にある限り、生命力が大きく消費され続けます。 ※アポロガイストの在り方から「覚悟」の意味を考えるきっかけを得ました。 それを殺人の美学に活かせば、青髭の旦那にもっと近付けるかもしれないと考えています。 ※キャスターが何をするつもりだったのかは把握していません。 ※「アートの素材」とは紅莉栖とニンフの死体の一部です。 121 死【ろすと】 投下順 123 欲望交錯-足掻き続ける祈り- 119 今俺にできること 時系列順 120 This Illusion 110 59【ひづけ】 アポロガイスト 125 Gの啓示/主はいませり 108 上を向いて歩こう 井坂深紅郎 雨生龍之介 116 明かされる真実と欲望と裏の王 真木清人 インキュベーター
https://w.atwiki.jp/ocg-o-card/pages/3521.html
《3枚目のカード》 通常魔法 墓地に同名の魔法カードが2枚ある時、このカードの効果はそのカードのテキストに従う。 part15-918 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/533.html
129 名前:116 :04/07/14 17 05 ID ??? 今更出すのはちょっと怖いがw 元はサークルで活動してたんだが、ちょっとした事でサークルが崩壊する事になった。 で、俺と友人連中は独自に施設のアテを付けて、こじんまりと身内で遊ぶ事になったんだが。 サークル崩壊直前に入ったA君て奴がいた。殆ど一緒にプレイした事はなかったが、 これでハイサヨウナラ、ではちょっとかわいそうなので、崩壊後も一緒に遊ぼう、って事に なったんだが、これがおたがいの不幸の始まり。 その後俺がキャンペーンをたて、主にそれで遊んでたんだが、このA君がとにかく「はずれた」事しかしない。 例えば、キャラメイクで兎に角「戦闘力だけが高いキャラ」を求めたり。 例えば、無闇に「人を人とも思わない俺って残虐でダークなニヒルきゃら?」な演出をしてみたり。 例えば、戦闘力はダントツなくせに基本的に前にでなかったり。 例えば、かと思ったら「おい、こいつは絶対勝てないしあえて喧嘩売る必要もない相手だぞ」って奴に喧嘩売ってみたり。 例えば、シナリオの都合上NPCがちょっと弱みを見せると、そこにつけこんで強請ろうとしてみたり。 例えば、情報収集となると、NPCを脅したり痛めつけて情報を引き出そうとするのがデフォ。 当然彼の行動は空回りし、気が付くとすっかり三枚目に成ってたわけだがA君はそんな自分のポジションが とっても不満。(続く) 130 名前:116 :04/07/14 17 06 ID ??? (続き) そんな彼をなだめすかし誘導し教育したまにお灸をすえてなんとかキャンペーンも終盤。 とりあえず顔見せって事で、ラストから数えて三話目くらいで大ボスを出したんですよ。 そしたら前のシナリオでちょっと良いアイテムを貰って強気絶頂なA君。他のメンバーおいてけぼりで いきなり喧嘩ふっかけやがった。しかも使ったのがその「良いアイテム」の自爆技。 ・・・あのね、A君。「それは死ぬよ?」って言ったでしょ?てゆーか、君が今度こそヒーローになりたいって 言うから、じゃあアイテムあげるよ、どんなのが良い?って俺が聞いて、「じゃあ命と引き換えにすっげえ 強い技が発動するのが良い」って自分で言ったんじゃん。ボスは今無敵モードだって言ったよね? 頼むからせめて忠告を全部聞いてから行動宣言してくれって。ダイス振られたらもうどうしようもないって。 分かった、次回までになんか復活する方法考えるから。だからそんな恨みがましい目で俺を見ないでくれ。 結局A君はそれっきり音信不通。電話しても出やしない。今頃どこかのコンベにでも行ってるのかしら。A君。 スレ25
https://w.atwiki.jp/disneytmtm/pages/118.html
ミッションビンゴ5枚目 クリア報酬 ミッションビンゴ5枚目 ミッションビンゴ5枚目 クリア報酬 全ミッションクリア:プレミアムチケット×1(プレミアムBOXを1回引ける) 1列目:3000コイン 2列目:8000コイン 3列目:ルビー5個 4列目:ルビー5個 5列目:ルビー10個 6列目:ハート8個 7列目:アイテム『ツムの種類数削除5→4』チケット×3 8列目:アイテム『+Score』チケット×3 9列目:10000コイン 10列目:アイテム『+Time』チケット×5 11列目:5000コイン 12列目:3000コイン ミッションビンゴ5枚目 № ミッション内容 対応策 オススメキャラ 2 タイムボムを合計15コ消そう 自然にクリアできます どのツムでもOK 3 コインを1プレイで550枚稼ごう コインを1プレイで550枚 レディ 4 マジカルボムを合計350コ消そう 自然にクリアできます どのツムでもOK 5 合計20回プレイしよう 自然にクリアできます どのツムでもOK 6 耳が丸いツムを使って 1プレイで600,000点稼ごう 指定されたキャラクターを使いましょう。 ミッキー、ミニー、プーなど 7 茶色いツムを合計1,500コ消そう 指定されたキャラクターを使いましょう。 チップ、デール、ウッディ、バンビ 8 スキルを合計60回使おう 自然にクリアできます どのツムでもOK 9 イヌのツムを使って合計40回フィーバーしよう 指定されたキャラクターを使いましょう。 プルート 10 1プレイで5回フィーバーしよう 自然にクリアできます。 どのツムでもOK 11 合計9,000Expを稼ごう 自然にクリアできます。 どのツムでもOK 12 耳が垂れたツムを使って1プレイで14チェーンしよう 指定されたキャラクターを使いましょう。 グーフィー、プルートイーヨー、レディ、ダンボ 13 帽子を被ったツムを使ってコインを合計5,000枚稼ごう 指定されたキャラクターを使いましょう。 ドナルド、グーフィー、ウッディ、ダンボ 14 毛のはねたツムを使って1プレイで70コンボしよう 指定されたキャラクターを使いましょう。 バンビ、ルーなど 15 1プレイで750,000点稼ごう オススメツムとアイテムを利用すればクリアできます。 ジャック 16 黄色い手のツムを使って1プレイで70コンボしよう 指定されたキャラクターを使いましょう。 プルート、プー、 17 白いツムのスキルを合計40回使おう 指定されたキャラクターを使いましょう。 ドナルド、デイジーマリー、ジャックゼロ、白うさぎ、オラフ 18 合計5,000,000点稼ごう 自然にクリアできます どのツムでもOK 19 男の子のツムを合計5,600コ消そう 指定されたキャラクターを使いましょう。 男の子のツムを使いましょう。 20 コインを16,000枚稼ごう 自然にクリアできます どのツムでもOK 21 青いツムを使って合計2,300Exp稼ごう 指定されたキャラクターを使いましょう。 イーヨー、スティッチスクランプ、マリーペリー、サリー、ダンボ 22 1プレイでマジカルボムを30コ消そう . . 23 下ひと桁のスコアを7点にしよう スコア下一桁を5にしよう。ほぼ運任せとなります。 どのツムでもOK 24 イニシャルがDのツムを使って1プレイでスキルを5回使おう 指定されたキャラクターを使いましょう。 ドナルド、デイジー、デール、ダンボ 25 1プレイで300Exp稼ごう Expアイテムを利用すればクリアできます。 一番レベルの高いツム
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/179.html
格好つけの、どこか抜けてる自称『賞金稼ぎ』。 金を積まれれば、どんな仕事でもやる男。 そんな男が、かの『ストライクウィッチーズ』に配属されたなら。 何か、変わるのか? 第一話 はじめまして、二枚目気取り オールスターは、こんなものでよければご自由にどうぞ。 ご意見、感想など、お待ちしています。 かっけ〜 -- 名無しさん (2011-08-07 22 50 18) めっちゃ好きこれ -- 名無しさん (2011-08-14 23 37 41) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/440.html
六枚目:牡丹に蝶 & 七枚目:萩に猪 天香国色、百花の王。 それは多くの文人墨客に愛された、高嶺の花。 見事な牡丹を描いた水墨画、テレビではその作者の生涯を追うドキュメントをやっていたはずなのだけど。 「牡丹鍋、食べたいわね」 これぞ、リアル花より団子。色気より食い気。食いしん暴バンザイである。 「…何よ。言いたいことがあるならはっきり言いなさい」 「…牡丹繋がりにしちゃ、随分縁遠いなぁ、と」 「牡丹と食には切っても切れない関係があるのよ。お酒なら司牡丹、甘味なら牡丹餅…あ、お萩もいいわね」 「節操無いんだから、ホント…」 薄紅色の花びらを重ねて咲く様は、まさに王様の装飾。 彼女の言うように、牡丹の美しさや風格から、その名前を冠した食べ物は多い。 「郷土料理を出す料亭で、一度だけ食べたことがあったけれど…あの濃厚な味わいが忘れられないわ」 「牡丹鍋には及ばないけれど…今日は豚汁だからさ、それで、」 「御馳走様」 それで手を打って食べていかないか、と、尋ねる前に。 これもこれで、いつも通りの流れである。 ウチのソファーがお気に入りのようで、ゴロゴロとくつろぐ霧切さん。 適当にチャンネルを変えては、気に入る番組がないのか唸っている。 僕としてはさっきのドキュメンタリーでも見たいのだが、生憎現在リモコンの主は霧切さんだ。 どちらにせよ料理中だし、しばらくはテレビに霧切さんの相手を任せよう。 「そういえば…苗木が」 「へ?」 唐突に名前を呼び捨てられて、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。 驚いて振り向けば、彼女もまた驚いたようにこちらを見ていて、それから急に吹き出した。 「ふふっ…違うの、あなたのことじゃなくて…でも、そういえばあなたも『苗木』だったわね」 「…正真正銘、本物の苗木誠だけど」 「ゴメンなさい、馬鹿にしようとしたわけじゃないのよ。昨日事務所からの帰りにね…」 彼女が言うには、よく通る商店街の花屋で、牡丹の苗木を見かけたらしい。 一緒に売られていた花瓶もきれいで、思わず衝動買いしそうになったとのことだ。 「衝動買い好きだよね、霧切さん」 「自分の欲望に正直に生きるのよ、私は」 歌うように言ったその言葉を、僕は感慨深く聞いていた。 かつて、学園に共に通っていた頃。 彼女はまるで、欲望や好奇心を押し殺したように生きていた。 見ているこっちまで息苦しくて、どうにかして素直になってほしくて。 良くも悪くも、今は見る影もない。 『もともと私生活はだらしないのよ…私は』 初めて彼女の部屋を訪れた時、少しだけ恥ずかしそうに、そう言われたのを覚えている。 『あなたは私を、その…何でも出来るような堅苦しい優等生、くらいに思っているかもしれないけど』 少しくらい欠点がある方が、親近感も湧く。 そう思っていられたのは、最初の数か月だけだったなぁ…。 「最近、仕事帰りにあなたの家に寄るのが日課になってしまっているわ…」 「夕飯作る時間もないんでしょ? 事前に連絡あれば、一人分も二人分も作るのに大差ないし」 「そうやってあなたが甘やかすから、私はどんどんつけあがるのよ…」 自覚はあるようだ。 もともとだらしない、と、彼女は言った。 公私の区別をはっきりと分けているから、悟られないだけだ、と。 それなら、だらしない一面を僕に見せてくれているということは、 僕は霧切さんの『私』の中に勘定されていると、考えてもいいのだろうか。 「ま、それならこれも…一種の特権かな、なんて」 「…特権?」 「だらしない霧切さんのお世話をさせてもらえる権利。人によってはご褒美かもね」 「……」 無言の抗議と共にソファーから飛んできたゴミを軽くかわして。 ソファーの向こう、おそらく少し拗ねている顔を想像して、思わず頬が緩む。 いつも凛として佇む彼女。 決して無理をしているワケじゃないだろうけど。 その苦労や、背負ってきた信念を、僕は知っているつもりだ。 だから僕の家に来ている時くらいは、羽を伸ばしてほしい。 大根、玉葱、人参、蒟蒻、じゃが芋に油揚げ。 奮発したバラ肉を大きく切り、沸騰させて灰汁を取ったら、隠し味の酒粕も。 豊富な具材が、栄養が、温かさが。 明日からの彼女を助けるエネルギーになってくれますように。 「それで、結局買わなかったの?」 手休めついでに、『苗木』の行方を聞いてみる。 「予算は問題なかったけれど、置く場所に困りそうだし…思い留まったわ」 「ああ…それに、出張中は手入れ出来ないしね。残念」 『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』。 牡丹は美人の形容の代表句でもある。 彼女の家に、苗木が飾られている光景を想像する。 白い部屋に美女一人、牡丹一輪。 なかなか絵になるな、と、ぼんやり感じ入っていると、 「…苗木君、お腹空いたわ」 唐突に、すたすたとジーンズ姿の霧切さんが台所に上がり、そのまま冷蔵庫を漁る。 「待って、今作ってるから」 「待てない。…あら、卵の燻製があるじゃない」 僕の言葉も待たずに、暴君はビールを片手に卵のパックを開ける。 うん、美女には違いないんだけど。 あの諺が示すような大和撫子からは、程遠い存在かもしれない。 「…『立てば酒持ち、座ればご飯、歩く我が家の女食客』ってところかな」 「…ちょっと。それ、誰のこと?」 耳疾く聞きつけた霧切さんの追及の視線を逃れつつ、僕は豚汁の味を見た。 牡丹鍋よりも、彼女は気に入ってくれるだろうか。 【続く】
https://w.atwiki.jp/boxgoodlife/pages/12.html
グッドボックスのwiki グッドボックスの仕組み その1 テスト テスト2 テスト3 リスト1 リスト2 番号1 番号2 引用 グッドライフ グッドボックスとは グッドライフ 家賃 その他 物件名 85000 400 imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (A4冊子6P-P7スクリーンショッ.jpg)