約 23,518 件
https://w.atwiki.jp/shintouzyo/pages/424.html
唐書巻二百一十四 列伝第一百三十九 藩鎮宣武彰義沢潞 劉玄佐 鄧惟恭 呉少誠 少陽 元済 李祐 劉悟 従諌 稹 李佐之 李師晦 李丕 劉玄佐は、滑州匡城県の人である。若い頃から世俗の縛られず、自ら仕事をせず、県に盗賊として捕らえられ、法に触れて、吏が笞うってほとんど死ぬところであったから、そこで亡命して永平軍に従い、ようやく牙将となった。大暦年間(766-779)、李霊耀が汴州で叛くと、劉玄佐はその無防備さに乗じて、襲撃して宋州を奪取し、詔によって宋州を永平軍に属させ、節度使の李勉はそこで上表して刺史に任命した。 徳宗の建中年間(780-783)初頭、昇進して御史中丞を兼任し、充宋・亳・潁節度使となった。当時、李納が叛き、李洧が徐州とともに帰順したから、李納はこれを猛攻したが、劉玄佐に詔して李洧を救援させ、大いに李納の軍を破り、斬首一万級あまり、東南の補給路が打通した。進撃して濮州を包囲し、濮陽を従え、すべて降り、再び降将をその守将とし、遂に濮陽津への道を打通させた。検校兵部尚書・兼曹濮観察・淄青兗鄆招討使・汴滑都統副使に遷った。 李希烈が叛くと、劉玄佐は李勉・陳少游・哥舒曜は兵を連合して淮・汝に陣を敷き、しばしば賊を窮地に陥らせた。帝は奉天にあって、関東を注視し、そこで詔して検校尚書左僕射・同中書門下平章事となった。李希烈が陳州を攻撃すると、劉玄佐は救援し、李希烈は敗走し、遂に進撃して汴州を奪取した。詔して汴宋節度使・陳州諸軍行営都統を加えた。劉玄佐の本名は劉洽で、ここにいたって名を賜って寵遇された。入朝し、再び涇原・四鎮・北庭兵馬副元帥、検校司徒を兼任した。 性格は豪放磊落で、財産を軽んじて好んで褒賞をあつくしたから、百姓はますます困窮した。汴州は李忠臣以来、兵卒は驕慢で、自ら朝廷に帰順することもできず、劉玄佐にいたっていよいよ甚だしかった。その後軍長を殺して、大いに掠奪し、利に慣れて当然と思うようになった。劉玄佐が偉くなってからも、母はまだ健在で、賢婦人であった。常に毎月絁(あしぎぬ)一端を織り、根本を忘れないことを示した。しばしば劉玄佐に臣節を尽くすことを教えた。県令をして庭中を走らせて上言させたが、退くと、諌めて「長吏が恐れて卑屈になることが甚だしい。私が思うに、父が県で吏として働いていたときは、またこのようであった。机によりかかって対応するのに、どうしてよいといえるのか」と言ったから、劉玄佐は感じるところがあり、そのため部下への待遇はますます礼を加えた。汴州に相国寺があり、ある者が仏像が汗を流したと伝え、劉玄佐は自ら行って大いに金帛を施し、将兵・官吏・承認も争って金銭を施し、ただ後のことを恐れた。十日して、劉玄佐が命令して罷めさせ、没収して巨万を得ることができ、そこで軍に編入した。このように詐欺を働くことはこのようであった。それより以前、李納が使者を派遣して汴州に到着し、劉玄佐が女子を飾り立てて進上し、あつく贈り物をしたが、皆その陰謀を知り、そのため李納は非常に憚った。寵遇した吏の張士南および仮子の楽士朝が巨万の富を得ていた。しかし楽士朝は劉玄佐の愛妾と密通し、発覚を恐れて、劉玄佐に酖毒を盛り、死んだ。年五十八歳。太傅を追贈され、詔して壮武という。 軍中は喪を秘匿して代わりとなる者を待ち、帝もまた隠した。三日して喪を発した。使者がやって来ると、帝は擁立しようとしている者を尋ね、「陝虢観察使の呉湊はどうか」と聞くと、監軍の孟介・行軍の盧瑗は都合がよいと上奏し、そこで呉湊を節度使に任じた。汜水に到着すると、劉玄佐の柩は動かそうとしており、兵士がともに拝礼することを要請したが、盧瑗は許さず、軍は皆怒った。夜明けに兵士が騒ぎ出し、劉玄佐の子の劉士寧に喪を執り行わせ、重榻に座し、墨染の衣を着て、尊んで留後とし、大将の曹金岸・浚儀県令の李邁を殺し、塩漬けとしたが、ただ盧瑗・孟介は免れた。劉士寧はそこで貯蓄した財宝を放出して吏や兵士を労って分配した。孟介はこの通り上奏し、帝は宰相を召集して協議した。竇参が「汴人は李納を挟んで命令を迎えています。もし許さなければ、勢力は合流して解くことができなくなります」と言ったから、遂に劉士寧を左金吾衛将軍とし、節度使を継承させた。 それより以前、劉玄佐の養子の劉士幹と楽士朝は皆京師に到り、劉士幹は劉玄佐の死を知って報告せず、奴婢に刀を持って偽って弔わせ、入って楽士朝を席次で殺した。帝はその専横を憎んで、また劉士幹に死を賜った。 劉士寧がまだ詔を授けられていなかった時、密かに人を派遣して王武俊・劉済・田緒らと結ぼうとしたが、諸鎮はこれを相手にせず、全員がその使者を捕縛した。劉士寧は残忍暴虐で、かつて酒宴の最中、手ずから殺人した。また父の妾たちに強制的に関係を持ち、吏民の妻女に迫って乱倫関係を結ぶか、裸にして見た。狩猟するごとに、数日してから帰還した。その部下は嫌がって心服しなかった。 大将の李万栄は、もとは劉玄佐と同郷で互いに親しく、心は広く、兵士の心を掴んだ。劉士寧は李万栄を嫌って、その兵を奪い、州の政務をとらせた。かつて劉士寧が軍二万を率いて城の南で狩猟し、まだ帰還しなかったとき、李万栄は早朝に府に入り、残留した兵士を呼び寄せて、「天子に詔があって、大夫(劉士寧)を召還して、私に節度使を代わらせた。人には銭三万を賜う」と告げると、兵士は皆拝礼した。ここに兵を分けて諸門を閉ざし、使者に劉士寧に告げさせて、「詔書には大夫を召還されているから、ただちに速かに去られよ。そうでなければ事は急であるから、首を伝送して献上することになる」と述べ、劉士寧は軍が自分と行動を共にしないことを知って、五百騎を率いて出奔したが、中牟に行くと、その半分がいなくなり、東都に到着すると、ただ召使や妾が数十人従っているだけであった。京師に到着すると、詔して邸宅におらせ、出入を禁止した。李万栄は劉士寧の部下数十人を斬り、銭二十万緡で軍を労い、詔して劉士寧の家の財貨を没収してこれに給した。李万栄は兵馬留後を拝命した。ここに驕慢となった兵数百人を退けて、ことごとく西辺の防衛に派遣し、守備に当たった者は怨んだ。将官の韓惟清・張彦琳らはその地に行くことを願ったが、許さず、その子の李迺を将としたが、出発する前に、張彦琳らは怨みによって、李万栄に反抗したが、勝てず、物資・民の財貨を奪い、数千人を殺して潰滅した。韓惟清は鄭州に逃げ、張彦琳は東都に逃げて自ら朝廷に帰順したが、詔があって死は許されたものの悪地に流された。残った兵士は宋州に逃げ、劉逸淮は慰撫したが、李万栄はことごとくその妻子を誅殺したから、軍は不安に思い、ある者が市場で「大軍が来た。城も破壊される」と叫んだから、李万栄が捕らえて尋問すると、その者が劉士寧のために言ったとしたから、李万栄はこの者を斬り、それを上奏報告し、そのため劉士寧を郴州に排斥した。 にわかに李万栄を昇進させて節度使とした。たまたま重病となり、兵を鄧惟恭に預けた。鄧惟恭は、李万栄と同郷であった。しかし子の李迺を司馬に任命し、大将の李湛・張伾・伊婁涗らを外部に出して、殺そうとしたが果せなかった。李万栄が死ぬと、この夜、鄧惟恭と監軍の倶文珍は李迺を捕らえて京師に送り、京兆府で杖殺し、董晋がこれに代わった。 呉少誠は、幽州潞県の人であり、代々蔭位により諸王府の戸曹参軍事となった。荊南をさまよい、節度使の庾準は優れた人物だとし、留めて牙門の将とした。入朝に従い、襄陽に立ち寄ると、梁崇義が必ず叛くであろうとみて、密かに計略をめぐらせて天子に献じようとしたが、李希烈がその事を上奏し、詔があってお褒めの御言葉をいただき、抜擢されて通義郡王に封ぜられた。梁崇義が叛くと、李希烈は呉少誠を先鋒とした。謀反が平定されると、実封戸五十を賜った。李希烈が叛くと、呉少誠は彼のために力を尽くしたが、李希烈が死ぬと、陳仙奇を推戴して後務を司り、そしてまた陳仙奇を殺し、軍はそこで呉少誠を推戴し、徳宗はそのため申・蔡・光等州節度観察留後を授けた。 呉少誠が政務にあたると、よく無駄を省いて節約につとめ、軍は実態を全うした。李希烈より以来、申・蔡の人は苛法に脅かされて朝廷に帰順することを忘れ、長老たちはすでに死に絶え、そこで壮年の者は常に掠奪を見ていたから、戦いであっても平然としていた。当地に馬が少なく、騾馬に乗って戦ったから、「騾子軍」と号し、非常に剽悍であった。甲冑にはすべて雷公星文を描いて勝利を祈願し、王師を呪い罵った。その部下の鄭常・楊冀は呉少誠を脅かし、追放して朝廷の命令を聞こうとしたが勝てず、鄭常・楊冀は殺害された。呉少誠はことごとく諸将を許し、これによって軍の心は団結した。貞元五年(789)、昇進して節度使に任じられた。 しばらくして曲環が卒し、呉少誠は陳州・許州の間に軍帥がいなくなったから、兵で臨潁を攻撃し、守将の韋清は賊と通じ、留後の上官涗は兵三千人を派遣して救援させたが、ことごとくが賊の捕虜となり、遂に許州を包囲された。徳宗は怒り、呉少誠の官爵を削り、十六道の兵をあわせて討伐に進撃させた。于頔は襄陽の兵で呉房県・朗山県で戦い、その三将を捕虜とした。王宗は寿州の兵で賊を秋柵で破った。当時、軍は大軍であったとはいえ、統率する者がおらず、宦官の監軍が進退を独占し、互いに見識が異なっていた。小溵河で戦うと、諸道の軍は合流する前に潰滅し、兵糧・武器を放棄して贖わなかった。帝はそこで夏州節度使の韓全義に詔して淮蔡招討処置使とし、上官涗を副官とし、諸将は皆節度を受けた。賊の呉少陽らと広利城で戦い、軍は再び敗北して、退却して五楼に陣を敷いたが、賊に乗じられ、遂に大いに潰滅した。韓全義および監軍の賈英秀らは夜に逃れて溵水に立て籠もった。汴宋・徐泗・淄青の兵は陳州に逃げた。呉少誠は溵水に迫って陣を敷き、韓全義は恐れ、退却して陳に陣を敷き、潞・滑・河陽・河中の兵は逃げ帰り、ただ陳許節度使の将の孟元陽・神策の将蘇光栄が溵水に立て籠もった。韓全義はそこで潞の将の夏侯仲宣・滑の将の時昂・河陽の将の権文度・河中の将の郭湘を斬って、軍の士気をあげようとしたが、できなかった。呉少誠は兵を引き上げて去った。 韓全義が敗れると、呉少誠は帷幄中の諸公の書簡数百通を得て、手に持って軍をあざむいて、「朝廷の公卿は韓全義に託して、蔡を破った日には将兵の妻女を奪って婢や妾にしようとしていた」と言うと、その軍は激しく怒り、朝廷に従おうとする思いを絶った。呉少誠は王師が弱いとみて、書簡を賈英秀に送って名誉回復を求めた。帝は大臣を召集して議し、宰相の賈耽は、「五楼の軍は退却して、呉少誠は退却して兵を休めて追わなかったので、自ら新たな道があるでしょう」と言い、帝は次第に退こうと思い、呉少誠もまた防備を固めた。しかしなおも宦官が諸道の軍を監督していた。剣南の韋皋は上言して、重臣を選んで統帥とするのにこしたことがなく、そこで渾瑊・賈耽を推薦し、「陛下はもし重ねて元老を煩わしく思われ、改めてその次となるべき人を求められるのでしたら、この臣が願わくば精兵一万人で流れに従って荊・楚に急行し、元凶を取り除きましょう。そうでなければ、その罪を請うのによって、特にもとの罪をそそぎ、両河の諸軍と、またその次となる人を罷めるのです。呉少誠の罪悪は累々とし、変事は帳下でおき、必ずその賊党に、官爵を与えるべきで、そうすれば一人の呉少誠が死んで、一人の呉少誠が生まれても、またどうして頼るにたりましょうか」と述べたから、帝は遂に呉少誠を許し、すべてその官爵を戻した。 順宗が即位すると、同中書門下平章事、検校司空に昇進し、濮陽郡王に移封された。元和四年(809)死に、司徒を追贈され、呉少陽がこれに代わった。 呉少陽は、滄州清池県の人である。呉少誠と同じく魏博軍にあって、友人として互いに親しかった。呉少誠は淮西を得て、多く金帛を出して呉少陽を迎え、養って義弟とし、側近に任命し、昵懇で仲違いしたことはなかった。呉少陽は呉少誠の猜疑心が強くて残忍であると思い、また災いを恐れて、外地に赴任することを願い、呉少誠はそこで上表して申州刺史とした。治世は寛大かつ簡略で、軍をあげて頼り従った。呉少誠はしばしば病となり、家奴の単于熊児は偽って呉少陽を呼び寄せ、副使とし、軍事を統括し、ここに呉少誠の子の呉元慶を殺し、自ら留後を称した。憲宗は王承宗が叛こうとしていたから、そのため詔して遂王を節度使とし、呉少陽に留後を差配させた。三年して、昇進して節度使を拝命した。 呉少陽は徭役の名簿によらず、日によって人を集めて賦とした。地は原野や沢が多く、馬を牧畜して増やした。時折、寿州の茶山を掠奪し、商人を脅し、四方の亡命者を招いて、その軍に編入した。朝廷の命令に服することをよしとしなかったが、しばしば牧馬を献上して弁解したから、帝もまたよしとした。 元和九年(814)死に、子の呉元済が秘匿して喪を発せず、病であると上聞し、偽って上表して呉元済に兵を司ることを願った。帝は太医を派遣して往診させたが、表向きは少し癒えたと言い、見ることはできなかった。 呉元済は、呉少陽の長子で、首がまがり強烈な見た目で、顎が垂れ下がり、鼻の長さは六寸あった。始め仕えて試協律郎、摂蔡州刺史となった。董重質なる者がおり、呉少誠の婿で、勇敢で、長い間将となり、兵との関係は良好で、呉元済は頼ったから、そこで呉元済に説いて、精兵三千で寿州の間道を通って揚州を奪取し、東は李師道と盟約を結んで水軍で潤州を襲撃することを願い、この提案によって展開されることとなった。奇兵を派遣して商州・鄧州を蹂躙し、厳綬を奪取し、進撃して襄陽を守り、これによって東南を揺さぶり、そして荊州・衡州・黔州・巫州は一本の矢文を伝えることで平定でき、五嶺は朝廷の領有するところではなくなるだろうとした。また軽装兵五百を願い、崿より三日で東都を襲撃し、そこで天下が騒動となり、これによって縦横できるとした。呉元済は躊躇して採用できなかった。 これより先、その部下の蘇兆・楊元卿・侯惟清はかつて呉少陽に入朝を勧めたが、ある者が二心を抱いていると言ったから、呉元済は蘇兆を絞殺し、その死体を家に帰し、侯惟清を捕らえた。帝は二人の者が死んだから、そのため侯惟清に兵部尚書を、蘇兆に尚書右僕射を追贈した。当時、楊元卿は奏上のため長安に滞在中で、宰相の李吉甫に謁見して、詳細に淮西の事を告げ、また蔡使で道中にある者を、在所で拘禁するよう要請した。呉少陽が死んで四十日、帝は政務を停止し、将を代えて守備兵を増やし、事変を待った。 たまたま董重質が呉元済を殺害し、一家皆殺しにしたとの伝聞があり、李吉甫はそこで呉少陽のために政務を停止し、使者を派遣して弔問し、尚書右僕射を追贈するよう願った。しかし呉元済は応じることがなかった。そこでことごとく兵を四方に出兵し、舞陽県および葉県を焼き払い、襄城県・陽翟県を掠奪した。当時、許州・汝州の居人は皆山間部に逃げ隠れ、掠奪は千里あまりに及んだから、関東は大いに恐れた。弔使が到着すると、入れずに帰還させた。そこで烏重胤に詔して汝州刺史を兼任させ、軍を率いてその境を威圧し、寧州刺史の曹華を副官とし、襄城を守らせた。李光顔を忠武節度使とし、全兵力で臨州に駐屯させた。山南東道節度使を分割し、節度使の厳綬に詔して申・光・蔡等州招撫使とし、宦官の崔潭峻をその監軍とした。詔を下して呉元済の官爵を奪い、諸道に討伐に進撃させた。当時、大旱魃となり、詔はすでに下っていたが、雪が三日降った。田弘正・韓弘はそれぞれ子を派遣し兵を率いて厳綬・李光顔の軍に隷属させた。厳綬は蔡の西端に陣を敷き、軍は小さな勝利をおさめたが、防備を設けなかったから、賊に襲撃されて、磁丘で敗北し、退却して唐州に陣を敷いた。寿州刺史の令狐通は戦ったがしばしば敗北し、賊はそこで霍丘を陥落させ、馬塘を皆殺しにし、出城を通ってあえて出撃しなかった。左金吾衛大将軍の李文通に詔して宣慰させようとしたが、到着する前に令狐通を解任して交替させた。 たまたま裴度が宰相となると、賊は始めて恐れ、呉元済は指揮権を掌握することができず、諸将の趙昌・凌朝江・董重質・李祐・李憲・王覧・趙曄・王仁清らはそれぞれの判断によって自分で戦っており、王師に抵抗し、呉少誠・呉少陽の旧風があった。しかも李師道は塩を送り、寧陵・雍丘の間を出入りし、韓弘は知っていても禁じることをよしとしなかった。李文通は兵を率いて賊将の王覧・董重質と史蔟岡で戦い、王覧の首級をあげた。李光顔はまた賊を時曲で大破し、再び烏重胤とともに合流して賊を小溵河で攻撃して破り、その陣地の者を皆殺しにした。天子は厳綬が軍律を失ったことを責め、改めて韓弘を兼都統とし、高霞寓を抜擢して唐鄧随節度使とした。 元和十一年(816)、諸軍が大合流した。李光顔は掌河に立て籠もった。李文通が賊を固始で破り、𨫼山を陥落させた。高霞寓が朗山で戦い、千人あまりの首級を斬首し、その陣地を焼き払い、鉄城に進んだ。賊が偽って敗走すると、高霞寓は追撃すると、伏兵を発し、死傷者がほぼ全員となり、退却して新興に立てこもり、賊はこれを包囲すると、監軍の李議誠が唐州から急行した。救援の軍が到着すると包囲は解け、帰還して唐州を守備した。 呉元済は高霞寓が敗れたから、恐れるに足りずとし、兵を合わせて陳州で備えた。その秋、李文通は兵に枚を咥えさせて夜に九女原に出撃し、敵陣三十所を皆殺しにし、兵を西北および安陽山に分けて、警備兵数百人を破り、降伏する者は一万人あまり、両将とも捕らえた。李光顔は郾城の兵二万を破り、六人の将を捕らえ、また烏重胤とともに合流して凌雲柵を攻撃して陥落させた。帝は諸軍に大功がないのを怒り、内常侍の梁守謙に詔して宣慰させ、そこで督戦し、詔書を五百預けて、これによって功績があるのを待ち、金帛を退けて決死の兵士を募った。李光顔を検校尚書左僕射に、烏重胤を右僕射に、田布を御史中丞に、韓公武を御史大夫に昇進させた。詔旨で賞罰を厳しくすると約束したから、諸将は恐懼した。高霞寓を貶して、袁滋に代わらせた。袁滋は臆病で進撃できず、改めて李愬を唐鄧随節度使とした。 呉元済は兵糧が尽きて、兵士は庭の草木や魚・亀もすべて食べ尽くし、草の根を削って配給した。民は飢えに苦しみ、四散逃亡し、呉元済もまたその食事を惜しんだが、また禁じなかったから、諸将は争って食を納めた。帝は始め仮に郾城・呉房に行営を設置し、これによって呉元済を留めて新たに付き従わせようとした。李愬は兵を率いてその西を攻撃し、陣地や防御柵十箇所あまりを破り、丁士良・呉秀琳を捕らえ、全員賊の勇敢な者であった。賊帥の張伯良は兵三万で李光顔と郾城で戦ったが、大敗した。馬千匹・兵士三万級を鹵獲し、張伯良は蔡に逃げ帰った。曹華は青陵城を奪取し、郾の帰路を絶った。賊将の鄧懐金は恐れ、そこで書簡を送り、李光顔は受け取った。李愬はまた襲撃して朗山を破り、守将の梁希果を捕虜とし、汶港柵などの三陣を平定した。呉元済は軍がしばしば潰滅して、外で呉秀琳らを失ったのを知り、そこで上表文を奉って自身を拘束して北の朝廷に行くことを願い、帝は使者を派遣して死罪を許すこととした。呉元済は行営の馬三百を取ったが、董重質は与えなかったから、降伏を果たせなかった。李愬は興橋柵を攻略し、守将の李祐を捕虜としたが殺さず、引きたてて帷幄のもとに連れていき計略を議論し、始めて蔡を襲撃しようとはかり、賊の勢いはますます阻まれた。 呉少誠より蔡の領有を奪って四十年、王師はいまだかつて城下に迫ったことはなく、またかつて韓全義・于頔を破ると、これによって兵は驕って憚ることはなくなり、内は防備をたのんで次第に阻止を続け、そのため天下の兵を合わせて攻撃しても、三年でわずかに一・二県を得たくらいであった。帝はすでに高霞寓・袁滋らを責めて罷免し、諸将はそこで命令通りに従った。詔して沙陀の勇敢な騎兵を起用して軍を助け、裴度に命じて彰義節度兼申・光・蔡四面行営招撫使とした。梁守謙は諸将とはかって、裴度のまだ到着していないから先んじて功績を立てようとし、諸将はしばし戦ったが勝てなかった。裴度が到着すると、大いに将兵を労い、皆が感激して戦いを求めた。間隙を縫って兵士を派遣して蔡に入れ、呉元済の降伏を約束させたが、側近に脅かされ、降伏することができなかった。李光顔は戦うごとに軍に冠たるものがあり、そのため呉元済は全軍を時曲で待ち受けた。李祐は李愬のために謀って「蔡を守る者は、市の人か疲弊した兵士だけです。強兵はすべて外にあり、もし直ちに縣瓠を叩けば、賊は捕虜とできます」と言い、李愬はその通りだと思い、精兵の騎兵で夜に蔡を襲撃して、垣根から侵入したが、守兵は知らなかった。賊は董重質の兵をたのんで洄曲にあり、軍が到着しても心配せず、李愬が内城を攻撃すると、守兵はなお千人あまり接近戦をしたから、呉元済は始めて驚き、甲冑を着て城壁の上に登って董重質を待った。たまたま董重質は李愬に降伏しており、李進誠は賊の庫兵を奪って、ただちに攻撃した。翌日、その門を焼き払い、民は互いに薪を抱えて火の勢いを増し、王師は矢を放ち、城上の鏃は拾うことができるほどであった。二日して、門は壊れ、呉元済は捕らえられ、一族をあげて長安に伝送された。申・光の守兵はなお三万おり、全員が降伏した。 帝は興安門に御して捕虜を接受し、群臣はお祝いを述べ、呉元済を廟社に献じ、市で布告して斬った。年二十五歳。夜にその首は失われた。妻の沈氏は掖庭宮に入れられ、二人の弟と三人の男子は江陵に流され、全員が殺された。その部下の官吏の劉協庶・趙曄・王仁清ら十人あまりを斬った。裴度が帰還すると、馬総を留後とし、にわかに節度使を拝命し、溵州を分割して陳許に隷属させた。 始め裴度が出撃すると、太子右庶子の韓愈は行軍司馬となり、帝は裴度の功績を褒め称え、そこで韓愈に命じて「平淮西碑」をつくらせた。その銘文は以下の通りである。 「天は、唐の国家が天の徳によく似ており、神聖なる子孫が、つぎつぎと継承し、千年万年たっても、敬虔に戒懼して怠ることがないというので、天のおおうかぎりの土地をすっかり付託し、四つの海と九つの州は、国の内外を問わず、すべて唐を君主としすべて唐の臣下とした。高祖皇帝、太宗皇帝は、仇敵を除いて天下を平定された。高宗皇帝、中宗皇帝、睿宗皇帝は、民草を休養生育させ、玄宗皇帝に至ったが、先代の報酬を受けて功業を挙げられ、盛大豊富を極めた。物は多く土地は広くなった。そのあいだに災禍が芽ばえて来た。粛宗皇帝、代宗皇帝、祖父の徳宗皇帝、父の順宗皇帝は、努力されるとともに寛容であり、安禄山・史思明という大悪人はやっと亡び去ったが、雑草は抜きとられていなかった。宰相と将軍とでは、文官はあっさりとし武臣はうきうきしていたが、見なれ聞きなれたあげく、それをあたりまえと考えるようになっていた。睿聖文武皇帝陛下は、臣下のものたちのあいさつを受けられてから、地図を考え貢納品を数えられて、「ああ、天は朕の一家にすっかり付託し、いま、朕にまで順序によって伝わった。朕が政治をあるべき形にしなければ、天と先祖にあわす顔がない」とおおせられ、臣下のものたちは震えおののき、馳せまわって職務に努めた。あくる年、蜀を平定され、又そのあくる年、江東を平定され、又そのあくる年、沢潞を平定され、ついでに易、定二州をしずめられ、魏、博、貝、衛、澄、澶、相の六州を帰順させ、お志のとおりにならぬものはなかった。皇帝にはおおせあり、「武力を出しきってはならぬ。朕はいささか休息することにしよう」 元和九年(814)、蔡州の司令官呉少陽が死に、蔡州の人はその子の呉元済を後任にして許可を求めたが、許可されなかった。かくて舞陽県を焼きはらい、葉県・襄城県に侵入して、東都洛陽を動揺させ、軍隊を出動させて四方を掠奪した。皇帝は朝廷でつぎつぎと意見をたずねられたが、一、二の臣下のほかはみなこういった。「蔡州の司令官が、朝廷から任命されないようになってから、今までに五十年、三つの姓の四人の将軍に伝えて、根を張ることはしっかりとし、武器は鋭利、兵卒は頑冥、ほかの場所とはちがいます。だからなだめて領有させれば、すらすら事がはこんで無事でございましょう」重臣が個人の推量で決定して音頭をとれば、多くの口が唱和して、みんな同じことばとなり、牢固としていいまかすことができなかった。皇帝は、「天と先祖が朕に付託委任されたのは、多分この点なのであろう。努力せずにはおれぬ。まして、一、二の臣下は賛同しているのだから、助けるものがないとはいえぬ。」とおおせられ、「李光顔よ、そなたは陳許の司令官となれ、河東、魏博、郃陽の三軍の出征しているものは、そなたがすべて指揮をとれ」「烏重胤よ、そなたはもと河陽と懐州を統治していたが、今、沈州をつけ加える。朔方、義成・陝・益・鳳翔・鄜延・寧慶の七軍の出征しているものは、そなたがすべて指揮をとれ。」「韓弘よ、そなたは一万二千の兵卒をそなたの子の韓公武につけて征討させよ」「李文通よ、そなたは寿州を守備せよ。宣武、淮南、宣歙、浙西、徐泗の五軍の寿州に行っているものは、そなたがすべて指揮をとれ」「李道古よ、そなたは鄂岳観察使となれ」「李愬よ、そなたは唐州、鄭州、随州の司令官となり、それぞれその州の兵士をひきいて進攻せよ」「裴度よ、そなたは御史の長官となり、出征して軍隊を監督せよ」「裴度よ、そなただけは朕と同じ意見、そなたはかくて朕の宰相となり、命令に従ったものと従わなかったものとの賞罰をつかさどれ」「韓弘よ、そなたは諸軍の総司令官となれ」「梁守謙よ、そなたは朕の近くに出入りするもの、そなたは、近臣である。軍隊の慰問に出むけ」「裴度よ、そなたは出征して、朕の兵士に衣服と飲食とを与え、こごえるなく飢えることのないようにして、事件がおわれば、そのまま蔡州の人の生活を安定させよ。そなたに司令官のまさかりと通天御帯と護衛兵三百を下賜する。だれでも、この朝廷の臣下のなかから、そなたがえらんで、自分の副官にせよ。賢明で能力あることだけを考え、大官とても遠慮するな。庚申の日、朕は門まで出かけてそなたを見送ろう」「御史たちよ。朕は官吏たちが戦争でたいへん苦労しているのを気の毒に思う。これから以後は、天と先祖の祭祀でなければ、音楽を使用するな。」 李光顔、烏重胤、韓公武はいっしょになって敵の北面を攻め、戦闘十六、要塞と城と県とを二十三占領し、住民士卒四万人を降伏させた。李道古は敵の東南面を攻め、八回の戦闘で、一万三千人を降伏させ、二度、申州にはいり、その外城を破壊した。李愬は敵の西面にはいり、敵の部将を捕虜にしたが、そのたびにゆるして殺さず、その計略を採用して、戦闘につぎつぎと功績をあげた。元和十二年(817)八月、宰相裴度が征討軍に到着し、総司令官の韓弘が戦いをせきたてればせきたてるほど、李光顔・鳥重胤・韓公武が協力しあっての戦闘はますます命令どおりに行なわれ、呉元済はその軍勢のありったけを洄曲阿に集中して防備した。十月壬申、李愬は捕虜にした反乱軍の部将の策によって、文城から大雪に乗じて百二十里を急行軍し、夜なかに蔡州に到着して、その門をうちやぶり、呉元済を捕えて献上し、すっかりその部下の住民と兵士を手に入れた。辛巳、宰相裴度は蔡州に入城し、皇帝の勅命によってその地の住民を赦免した。淮西が平定されたので、大宴会を開いて功あるものに引出ものがあり、征討軍が凱旋の日に、ついでにその宴会の食事を蔡州の住民に下賜された。すべてで蔡州の兵卒は三万五千人、兵卒になりたくなくて、農民にもどりたいと願うものが十分の九もいたが、かれらすべてを自由にしてやり、呉元済を首都で斬罪に処した。 功績が記録されて、韓弘は侍中を加増になり、李愬は左僕射となって山南東道節度使に任ぜられ、李光顔と烏重胤とはどちらも司空を加増され、韓公武は散騎常侍で鄜坊丹延節度使に任ぜられ、李道古は御史大夫に進級し、李文通は散騎常侍を加増された。宰相裴度は首都へのぼる途中で晋国公の称号を賜わり、金紫光禄大夫の位階に進級し、もとの官職のまま宰相に任ぜられた。そしてその次官の馬総を工部尚書にして、蔡州の司令官に任命した。 凱旋して奏上すると、臣下のものたちは、聖天子の功業を記録して、それを銅器や石碑に刻みつけたいとお願いした。皇帝はそれをこの臣韓愈に命ぜられたので、臣韓愈はうやうやしく伏しおがみ、文をささげた。 唐は天命を受けて、かくて万国を臣とした。近くの土地におりながら、強盗をはたらいて無茶をするのはだれなのか。むかし玄宗皇帝は、極点までのぼりつめたもうたあげく失敗された。黄河の北がたけだけしく驕ぶれば、黄河の南もくっついて立ちあがる。四代の聖天子はゆるされず、たびたび軍隊を出動させて征討された。勝つことができないこともあり、ますます兵卒で守ることとなった。農夫は耕しても食べられず、農婦は機織りしてもはかまもはけない。それを車で輸送して、兵士に賜う兵糧となるだけ。地方からは朝廷へ御機嫌うかがいできないものが多く、天子さまの巡幸はすっかりなくなった。役人たちは勤めを怠り、政務はむかしの状態を失った。皇帝陛下はこのとき御位を継がれ、かえりみてなげかれた。そなたたち文官と武臣よ、だれが朕の家を気づかっているのか。呉と蜀との反逆者を斬り、さらに山東を収められた。魏の司令官が率先して忠義をとなえ、六州は降伏した。淮西の蔡州は反抗的で、自分で強いと思っていた。武器をひっさげてわめきたて、もとの習慣どおりにしたいといった。さいしょ征討を命ぜられたとき、それではと姦悪な近隣の軍閥と連合した。そっと暗殺者を派遣し、やって来て宰相をころした。そのときはちょうど戦いはまだ不利で、内では首都が大さわぎであった。高官たちは上奏して、恩恵を与えて招き寄せるがよいという。皇帝は聞こえぬふりをして、神霊とはかられた。かくて宰相も徳性を同じくし、天の誅罰を下されることになった。かくて勅命あって、李光顔と烏重胤]・[[李愬・韓公武・李道古・李文通、すべては韓弘に統率され、それぞれ自分の功績をあげよと。三方から分かれて攻める、その軍勢は五万人。敵の大軍は北方へ進出し、その数は三方から攻めるものの二倍あった。あるときは時曲で戦い、敵の兵士はもそもそと動揺した。陵雲の要塞を攻略すれば、蔡州の兵士は非常に窮地に陥った。邵陵で勝てば、郾城が降参して来た。夏から秋になり、重なった陣営はおたがい見えるところまで接近した。兵士は疲れて元気を出さず、戦功の報告はまれとなった。皇帝は出征兵士をあわれみたまい、宰相に命令して御下賜品をとどけさせられた。兵士は腹いっぱいになって歌をうたい、馬はかいばおけではねあがった。新城でためしてみると、反乱軍はぶつかると負けて逃げた。ありったけをひきぬいて、それをあつめてわが軍を防いだ。西面の軍がおどりこめば、途中には阻止するものもない。つねに悪のはびこる蔡州城、その管内は方千里。入城して占領してしまえば、服従しないものはなかった。皇帝は恵み深いことばをおおせられ、宰相の裴度がやって来て公布する。死刑はその首領だけ、部下は釈放する。蔡州の兵士と人夫は、よろいを投げすててさわぎおどる。蔡州のおんなは、門に出迎えて笑いさざめく。蔡州の住民が飢えているといえば、穀物を船に載せて行って食べさせる。蔡州の住民がこごえているといえば、きぬや麻ぬのを賜わる。さいしょ蔡州の住民は、往来せぬよう禁止されていた。いまはいっしょに楽しみあい、里の門は夜も開いている。さいしょ蔡州の住民は、進めば戦闘、退けば死刑であった。いまはおそく起きて、左手にごはん右手におかゆ。かれらのためによい人をえらんで、のこった疲れを取り除かれる。役人を選び牛を支給し、教化して税金は取らない。蔡州の住民はこういう、さいしょは迷いに落ちて知らなかった。いまやっとすっかり目が覚めた、さきにしたことがはずかしい。蔡州の住民はこういう、天子さまはお見とおしだ。反抗するものは一族みなごろし、反抗せぬものは命がぶじ。きみがわたしのことばを信じないなら、この蔡州を見よ。だれが反抗して、のどをまさかりで斬られに行こうとするのか。すべて反乱が数か所あれば、評判と勢力とはおたがいにたよりあう。われわれは強かったが堪えきれなかった、きみは弱いのにたのみとするものがあるのか。きみの司令官、きみの父ときみの兄に告げるがよい。馳けつけていっしょに来て、われわれと太平を共有しよう。淮西の蔡州が反乱して、天子さまは討伐された。討伐がすんで飢えておれば、天子さまは命を生かされた、と。さいしょ蔡州討伐を討議したとき、朝廷の臣はだれも賛成しなかった。討伐をはじめて四年も経過し、下のものも上のものも疑問をいだいた。赦免もせず疑問もいだかなかったのは、天子さまの聡明さによる。すべてこの蔡州討伐の功業は、決断によってこそ成功した。淮西の蔡州が平定されてしまうと、四方の国々もすべてやって来た。かくて明堂を開いて、じっと坐ったまま天下をお治めになる。」 韓愈は、呉元済が平定されたのは、裴度がよく天子の意を固めて、許させなかったからで、そのため諸将はあえて形勢をうかがって心を決めかねており、ついに呉元済を捕らえたのは、多くを裴度の功績に帰したからだとした。しかし李愬は特に蔡城に侵入して功績は第一であった。李愬の妻は唐安公主の娘であり、禁中に出入りし、韓愈の文章が事実ではないと訴えた。帝もまた武臣の心にさからっていることを重くみて、詔してその文章を削り、改めて翰林学士の段文昌に銘文をつくらせた。 李祐は功績によって神武将軍に遷り、田宅や米粟を賜った。帝は董重質を思い起こせば呉元済の乱を教えた者であるとし、誅殺しようとしたが、李愬が先に許していたから死なず、そのため春州司戸参軍に貶された。凌朝江は潘州司戸参軍となった。 この年、申州・蔡州は始めて貢物を輸し、戸部は長らく来なかったことから、元日に朝廷で開陳するよう要請した。 李祐は、字は慶之で、後に夏綏銀宥節度使に抜擢され、涇原節度使に遷った。李同捷を討伐すると、滄徳景節度使に改められ、検校尚書左僕射となった。董重質は左遷されたが、しばらくして太子少詹事に転任し、武寧軍に所属した。左神武将軍に遷り、金幣を功臣らとともにもたらした。抜擢して左右神策および剣南西川行営節度使とし、夏綏銀宥節度使に任じられた。兵の訓練に優れ、異民族は恐れて服属した。右龍武統軍で官を終わり、尚書右僕射を追贈された。 劉悟は、その祖父は劉正臣で、平盧軍節度使となり、范陽を襲撃したが勝てず、死んだ。叔父の劉全諒は、宣武軍節度使となり、その剛毅さを人物とし、牙将に任じたが、罪によって潞州に逃亡した。王虔休に再度将に任命されたが、病のため去り、東都(洛陽)に遷った、劉全諒は銭を数百万緡積んでここに置いていたが、劉悟は閂を破って銭を使っていた。悪少年を従えて犬の屠殺人を殺し、縦横に法を犯し、河南の獄に繋がれたが、東都留守の韋夏卿が死ぬのを免れさせた。李師古は多大な金銭で迎え、始めはよく知らず、後に撃毬に従えると、軒然として突進し、李師古の馬を突いて倒したから、李師古は怒り、斬ろうとすると、劉悟の意気は盛んで言葉は李師古の怒りに触れても恐れなかったから、李師古はその才能が優れていると思い、後軍を率いさせ、従妹を妻に娶らせ、牙門右職に任じた。李師道は軍で理財をはかろうとし、商人に税を課してその助けとしようとし、劉悟に命じて統括させた。劉悟は一人寛容で、人々は全員帰服した。李師道が討伐されると、将兵を率いて曹州に陣を敷き、法はすべて信により、兵士は楽んで用いたから、軍中では銅鑼が鳴らなかった。 田弘正の兵が陽穀に駐屯すると、劉悟は陣営を潭趙に移し、魏軍は河を越えて盧県を奪取し、阿井に立て籠もり、城中で馮利渉が劉悟とともに軍帥になろうとしていると流言した。李師道は内心疑ったから、しばしば劉悟を呼び寄せて計略を尋ね、劉悟は「今、魏とは角力のように、勢力が交々しており、先に退いた方が負けます。劉悟が帰還すれば、魏は城下に迫るでしょう」と述べ、側近が「兵の勝ち負けはまだ知ることできませんが、大将が殺されたら、どうしてあえて用いられましょうか」と諌めたから、李師道はそうだと思った。ある者が、劉悟が叛乱しようとしているから、速かに去るのにこしたことがないと言ったから、李師道は使者二人に派遣して督戦させ、密かにその副使である張暹に語って劉悟を斬らせることとした。使者と張暹がしばらく人を避けて密談していたから、劉悟は疑い、張暹は事情を告げたから、劉悟はそこで使者を斬り、諸将を呼び寄せて議して「魏博の兵は強く、出撃すれば敗れ、出撃しなければ死ぬ。また天子が誅殺するとしているのは、司空(李師道)だけである。我が部下を駆けさせて死地につかせるのと、兵を返して鄆州を奪取して大功を立てるのとではどう考えたらよいか。危亡を転じて富貴となるはどうか」と述べると、軍は皆承諾し、別将の趙垂棘は行軍を妨げたから、劉悟は趙垂棘を殺し、あわせて嫌っていた三十人を殺し、帷幄の前に死体を並べたから、軍は恐れて服属した。下令して「鄆州に入った者は、一人あたり賞銭十万、私怨を報復することを許す。財貨は好きなだけ取れ。ただ軍費は全うせよ。違反する者は斬る」と伝え、そこで田弘正に使者を派遣して報告し、兵を潭趙に進撃させた。劉悟は夜半に西門に迫り、夜明けに門を開いて突入し、李師道および大将の魏銑ら数十人を殺した。そこで義成節度使を拝命し、彭城郡王に封ぜられ、実封戸五百を得た。 元和十五年(820)来朝し、検校兵部尚書に昇進した。穆宗が即位すると、昭義軍に遷された。朱克融が叛くと、議する者は劉悟の威名をかりてその乱を威圧しようとし、移されて盧龍軍を守った。邢州に到着すると、たまたま王廷湊が軍乱をおこし、入ることができなかったから、駐屯地に帰還した。昇進して兼幽・鎮招討使となり、治所を邢州とした。臨城を包囲し、事の成り行きを長い事伺ったが、陥落させられず、監軍の劉承偕とはあわず、軍は劉悟を辱め、その部下を放って法を乱したから、劉悟はそれを忍ぶのにたえられなかった。劉承偕は都将の張問とともに劉悟を捕縛して京師に送還し、代わりの節度使の任命を照会することを謀った。劉悟はこれを知って、兵で監軍を囲み、小使を殺害した。その部下の賈直言が劉悟を責め正して、「李司空の死の原因があることを知っておられるはずですが、公をして振る舞いをこのようになさるのでしたら、軍中は再び公のような者があらわれるでしょう」と言ったから、劉悟はにわかに謝して「私は李司空の字を聞くのを欲しない。しばらくの間定めよう」と言い、そこで偽って兵を退け、劉承偕を隠して拘禁した。帝は劉悟の心に違うことを重く見て劉承偕を貶したが、しかし劉悟は自ら非常に専権し、上書の言は多くは恭しさを失っていた。天下の罪人・亡命者は多く亡命し、強くその無実を並べ立てた。累進して検校司徒・同中書門下平章事となった。 宝暦年間(825-827)初頭、巫者が李師道が兵とともに瑠璃陂に駐屯していると妄言したから、劉悟は恐れ、祈祷を命じ、千人の膳を供して、自ら赴いて哀悼した。衣を着替えようとした時、喀血すること数斗に及び、卒した。太尉を追贈された。上表してその子の劉従諌が継承した。 劉従諌は、母は微賎の出身で、若くして狡猾であった。李師道の時、父の劉悟が屯営に出されると、劉従諌を門下別奏に任じた。劉従諌は李師道の諸奴とともに毎日博奕で遊んで交流を持ったが、詳細にその陰謀・密事を知ったから、すべて劉悟に伝え、そのため劉悟は功績を立てることができた。劉悟が卒すると、劉従諌は知留後となり、金や絹を権勢者に賄賂として贈った。朝議で上党の内鎮(沢潞節度使)は河朔とは異なるから許すべきではないという発言があった。左僕射の李絳が「劉悟の死を秘匿し、軍は必ずしも同じく乱をおこなさいでしょう。劉従諌には威厳や恩恵がまだないので、もし詔してこの鎮の大将に節度使を領させ、馳せて軍を入れ、それがまだ備わっていないのを迫って、軍の心理によって属させ、自ら屈するよう謀るのです。もし命令を拒むことがあったとしても、三州では勢いは一人で存在することは難しく、数カ月で覆することができましょう」と奏言した。当時、李逢吉・王守澄はその賄賂を納め、しばしば要請があったから、敬宗はそこで晋王を節度大使とし、劉従諌に詔して主留事とし、将作監主簿、検校左散騎常侍に起用した。晋王は帝の最愛の子で、劉従諌は贈り物を献上すること行き来が多く、しばらくもしないうちに節度使を拝命した。大和年間(827-835)初頭、李聴が館陶で敗北し、浅口に逃亡し、劉従諌は鉄騎を率いて黄頭郎で救援したから、李聴は死を免れた。検校尚書左僕射に昇進し、司空を拝命し、沛国公に封ぜられた。 昭義軍は劉悟の時から邢州を治所としていたが、人々は上党を懐かしく思い、劉従諌は治所を潞州に戻した。劉悟は苛烈であったが、劉従諌は寛容で温厚であったため、部下はますます従った。壮年になると功績を立てたいと思うようになった。大和六年(833)、入朝を願い、文宗は待遇に等級を加えた。翌年、藩鎮に帰還し、同中書門下平章事に昇進した。公卿の多くに私的に託し、また権力者に仕えることは一人ではなかったから、遂に内心では朝廷を軽んじ、驕慢の様子をみせた。李訓が劉従諌に鄭注の誅殺を約束したが、甘露の変がおこると、宰相は皆一族皆殺しとなり、その罪ではないのに死んだという伝聞があった。劉従諌は不満をもち、三度上書して王涯らの何の罪があって殺されたのかと問い、宦官を痛烈に非難した。当時、宦官は思い通りとなり、天子は弱体化し、鄭覃・李石は新たに宰相となったが、劉従諌の異議申し立てに仮託して権力の再構築を行い、宦官は劉従諌を憚って恨んだ。また蕭本が貞献蕭太后の弟ではないと弾劾奏上した。仇士良は怒りが積もり、俳優に劉従諌の本意は隙を伺っていることだと言わせた。劉従諌もまた君側を清めると妄言し、そのため朝廷と二心を疑われた。武宗が即位すると、兼太子太師となった。 性格は奢侈にふけり、居室や輿や馬を飾り立てた。遠大な計略はなく、貿易の計算をよくした。長子の劉道を移して潞州に入れ、毎年馬で遠所に行く商人に税金をかけ、また塩を煮て、銅銭を貸し、銭十万緡を納めた。商人の子が良馬・金絹を献上すると、ただちに牙将に任命し、商人に州県に行かせると、同地で横暴貪欲となり、子を責めて銭を貸し、吏が命に応じないと、ただちに劉従諌に訴えた。論奏しようとし、ある者が客を派遣して遊説したから、天下は怨み怒った。劉従諌の畜馬は高さ九尺で、これを帝に献上したが、帝は受け入れず、仇士良に阻まれたと疑い、怒って馬を殺し、ますます不満を持った。また仇士良の寵遇が手厚いから、いよいよ心配となり、自ら入朝したいと思っても、禍いから逃れられなくなるのではないかと恐れ、そこで病となり、卒した。年四十一歳、太傅を追贈された。それより以前、大将の李万江なる者は、もとは退渾部(吐谷渾)の出身で、李抱玉が回紇におくると、太原を通過し、部族をあげて従って潞州に到り、津梁寺に放牧し、地は水草うまく、馬は鴨のように健やかで、これが世間でいうところの津梁種である。毎年馬の価格数百万を得た。子弟で軍と婚姻関係にある者は四十八人で、劉従諌は山東に移し、他郷に移住して変事が起こることを恐れた。子弟もまた豪気かつ勝手気ままで、劉従諌を若いとみて、あまり礼遇しなかったから、そこでその謀反を誣告され、三族皆殺しとなったのが、およそ三百家あまりに及んだ。姫妾でわずかにお渡りがあった者も、たちまち殺された。人々は皆まさに滅亡するだろうと知った。 従子の劉稹は、父の劉従素は仕えて右驍衛将軍となった。劉従諌が後継者としたが、病は重く、妻の裴氏と謀って、軍事を司らせ、大将の王協・郭誼・劉武徳・劉守義らを劉稹の補佐とした。秘して喪を発表せず、協謀して将の姜岑を派遣して朝廷に医者の派遣を願った。宦官が医者とともに到着すると、その時劉従諌が死んですでに二十日ほどで、劉稹は「公は重病で詔を受けるのに耐えられませんから、劉稹が代わりに拝受させて下さい」と言ったが、宦官は「寝ているところを見せなさい」と言い、母夫人が侍っていると言って辞退したが、退けることができなかった。宦官は直ちに入ろうとしたが、劉武徳らが戸の前にあって、宦官は変事があることを恐れて、走り去り、贈り物百万を賜った。後に使者が相継いでやって来たが、劉従諌がすでに死んでいることを知り、まだ数舎の距離に到る前に、軍は恐れ、劉武徳は将の董可武とともに兵一万人を出して迎えて労い、牙門に到着したが、前進することができなかった。諸将はそこで監軍の崔士康のところに行って陳述し、河朔の故事のようにすることを求めた。崔士康は臆病で、あえて拒まず、そこで喪次に到り、劉稹に介添えされて出たが、絁(あしぎぬ)の頭巾に「勅使を殺そうとしてはならない」と書いてあり、諸将は大声で笑い、遂に三軍から出された。 帝は前の使者が入れなかったことを怒り、流謫して恭陵に隷属させた。劉稹が派遣した姜岑・梁叔文・梁叔明の三人は、皆京兆府で杖殺された。詔して父の劉従素に、劉稹に葬列を護衛して東都に帰るよう書簡で命令させたが、劉稹は詔を奉らなかった。群臣に詔して議させ、李徳裕は「劉稹が恃むところは、河朔だけです。もし大臣を派遣して上旨を説諭し、山東の兵を出兵させれば、劉稹を必ず破れます」と建言し、詔があって劉従諌・劉稹の官を奪い、諸軍に詔して討伐に進軍させた。 ここに河陽節度使の王茂元は兵で万善に駐屯した。河東節度使の劉沔は昂車関を守備し、楡社に立て籠もった。魏博節度使の何弘敬は肥郷柵を築き、平恩に侵入した。成徳軍節度使の王元逵は臨洺に行き、任・尭山・向城を攻略した。河中節度使の陳夷行は冀城を造営し、冀氏県に侵入した。王茂元は別に将軍を派遣して天井関に陣営を構え、賊将の薛茂卿に敗北し、四将を捕らえられ、十七柵に放火された。張巨は万善に侵攻したが、降すことができなかった。王茂元は逃走しようとしたが、たまたま日暮れに、賊が自ら潰え去った。忠武軍節度使の王宰に詔して本軍で懐沢の行営に入らせ、陳許の兵士は勇敢であったから、賊軍はもとより憚り恐れた。しかし薛茂卿は戦勝によって、あつい恩賞を願った。ある者が「その兵は王師を攻撃して深く攻略し、朝廷はまた怒っています。節約してますます与えるべきではありません」と言ったから、劉稹はそうだと思った。そのため薛茂卿に大望があり、王宰と通じており、そこで偽って戦いを挑み、しばしば敗北し、天井関を委ねて去り、左右の七営はすべて潰滅した。薛茂卿は沢州に逃走し、間諜を通じて王宰に対して「沢州を奪取すべきである。私も内応する」と述べたが、王宰は疑って進まず、期を失い、薛茂卿は腕をにぎって残念がった。劉稹はその二心を聞いて、召還して誅殺した。王宰は進撃して劉公直を破り、陵川を陥落させた。劉沔もまた石会関を奪取した。李石は劉沔に代って河東節度使となり、劉稹はそこで李石の兄の洺州刺史の李恬に書簡を送って降伏を願い、李石は上奏し、右拾遺の崔碣が上表して受け入れるよう願ったが、帝は怒り、崔碣を鄧城県令に退けた。詔して、敢えて出兵をやめるよう言った者は賊の境で誅殺するとした。お上は李石に劉稹を縛り上げたら許すと答書して、李石は急行して受諾したから、劉稹は出ることはなかった。にわかに太原の将の楊弁が李石を追放し、劉稹とともに連合し、劉稹は諸将と建議して、「私は襲封を求めているのに、彼は兵と叛いた。もしこれに与すれば、これとともに叛く者になる」と言い、その使者を拘禁して京師に送り、康良佺に鼓腰嶺に駐屯させ、太原の兵を破り、捕虜は七百であった。帝はなおも赦さなかった。 それより以前、劉従諌が死のうとしている時、劉稹に奴婢たちに笞打ちの恥辱を与えてはならないと述べ、そのため李士貴らは王協とともに最も用いられ、兵士が戦って、功があっても報奨せず、部下には戦意がなかった。府中の財貨はなお山のように積まれたが、王協は商人に課税を要請し、劉渓らに等分させ実際に調査した分を出させたが、劉渓ならびに斉の民はその財貨を閲し、十のうち二を取ったから、百姓は始めて怨んだ。劉従諌の妻の弟の裴問に邢州を守らせ、募兵五百があり、「夜飛将」と号し、多くが豪族の子で、その家は臨時の輸送の時、劉渓に捕らえられた。裴問はそのことを申し上げると、劉渓は大いに怒り、裴問はそこで劉渓を殺し、刺史の崔嘏とともに大将を斬って、自ら成徳軍に帰順した。王釗は洺州を守り、兵士に細織布一端を給付し、劉稹は檄して歳出に代えた。王釗は軍に向かって、「庫物はなお多いのに、徴発したのを賞にしようとしている。これはよいことなのだろうか」と言うと、兵士は皆喜んだ。ことごとく有するところを給付し、魏博軍に誼みを送った。磁州の将の高玉・尭山県の将の魏元談らは行って成徳軍に降伏したが、王元逵は長らく賊の守りとなっていたから、殺害した。 劉稹は三州が降ったのを聞いて、大いに恐れた。大将の郭誼は王協とともに始めて劉稹を陥れようと議し、董可武に劉稹を誘わせて北の邸宅に到らせ、酒を置いて酒宴がたけなわになると、そこで斬首し、ことごとく劉従諌の子で襁褓を穿いていた者二十人あまり、および従子の劉積・劉匡周らを殺した。張谷・張沿・陳揚庭・李仲京・王渥・王羽・韓茂章・韓茂実・賈庠・郭台・甄戈の十一族を誅殺し、一族皆殺しにし、軍中でもとより従わなかった者もすべて殺した。劉稹の首を箱詰めして王宰に送り、京師に献じ、廟社に告げ、帝は興安門に御してこれを受けた。劉公直もまた王宰に降伏した。石雄は兵で国境を守ったが、軍は大いに掠奪し、郭誼は書簡を送って責めたから、石雄は怒って根に持った。劉稹が死ぬと、郭誼は劉従諌の妻を斥け夾室(宗廟の東西にある部屋)に伏せさせ、その財貨を収めて自身で私有し、大きい厩を建設し、毎日旌節を望み見た。宰相の李徳裕が「劉稹は平凡以下の人物で、乱は郭誼より始まり、軍が到着すると窮地に陥り、そこで劉稹を陥れて栄華を迎えようとしているのです。誅殺しなければ、これによって奸臣を懲らしめることがなくなります。兵が国境に及んだ時に、ことごとく逆党を捕らえて京師に送還し、法に従って判決すべきです」と建言した。これより先、狂人がいて潞州の市で「石雄の七千人がやって来た」と叫び、劉従諌は捕えて誅殺させたが、そこで詔を要請して石雄は兵をその通りの数を率いて入った。石雄が潞州にやって来ると、郭誼および王協・劉公直・安全慶・李道徳・李佐堯・劉武徳・董可武らを捕縛して京師に送り、あわせて死刑とした。崔士康を杖殺した。白惟信という者は、潞州の梟将で、しばしば石雄と戦い、恐れてあえて降らず、武郷県より都将の康良佺を殺し、盧鈞に降伏しようとした。石雄は人を派遣して降伏させようと招いたが、白惟信はこれを殺し、ついに盧鈞に降伏した。詔があって「劉従諌は死のうとする時、劉稹を軍事に任命した。棺を割いて死体を市に三日さらすべきである」とし、石雄はあばいて見てみると、顔は生きているかのようで、一目はまだ開いており、石雄は三度斬り、仇の人はその骨を割いたから、ほとんど残らなかった。 郭誼は、兗州の人である。兄の郭岌は、劉悟に仕えて牙将となり、常楽県の滏山が高く峻厳であるのを見て、「私が死んだら必ずここに葬ってくれ」と言い、望気する者は「その地は三世にあたって都頭異姓となろう」と言い、河北で都頭異姓というのは、貴顕となるの言いである。「しかし二丈以上掘ると不利である」とも言った。郭誼は郭岌を仮の刺史とし、三丈掘り、石の蛇および卵三つを得たが、工人は破壊し、すべて流血した。ここに至って、郭誼および郭岌の三子は同じく誅殺された。 張谷・張沿・陳揚庭は全員文章で有名であり、時折、古今の成敗について劉従諌を補佐し、そのためよくこの三人を厚遇した。張谷は邯鄲の人の李嚴の娘を娶って侍人となり、妻は新声と号した。劉従諌が密かに窺い脅そうと謀ると、新声は張谷を諌めて「始め天子は劉従諌を節度使とし、会戦や攻城の功があったわけでないのに、直ちにその父が斉の十二州を捧げて天子に返したから、去就の間にその後嗣を奪うことができなかっただけなのです。自ら沢潞にいるだけで、未だに一本の細い糸や一つの蹄のようなつまらない物で天子の寿をするようなことを聞いたことがなく、側近は全員頼りないのです。武を朝廷にあきらかにし、しばしば諸鎮を顛覆させ、皆英雄の才、傑物の器であっても、なお天子の恩を固めることができないのです。ましてや劉従諌は女子供の手中から抜擢されたので、いやしくも法によって得ず、また法によって終るべきではありません。あなたはまさに族を脱して西に去り、大丈夫たる者一飯の恩義を顧みず、骨肉によって健児の食を汚すのです」と言い終わると涙を流して悲しんだ。張谷の判決は三ヶ月決しなかったが、発言が漏れるのを恐れて縊死した。 李仲京は、李訓の兄であり、蕭洪の府判官となり、監察御史に抜擢された。王渥は、王璠の子である。王羽は、王涯の族孫である。韓茂章・韓茂実は、韓約の子である。賈庠は、賈餗の子である。郭台は、郭行余の子である。甘露の変で、全員が着の身着のままで劉従諌のもとに逃れ、劉従諌は衣食を与えた。 甄戈は、非常に任俠の人で、劉従諌は厚く賜い物をし、上座に座らせ、自ら荊卿と称した。劉従諌は定州の守将と不仲で、甄戈に殺害を命じ、そこで宿舎で拝謁し、留まって飲むこと三日、間隙に乗じてその首を斬った。他日、また甄戈に仇人を殺害させようとし、そこで甄戈は不逞の者十人ばかりを率いて襲撃した。劉従諌は喜ばず、「偽荊卿」と号した。 劉従諌の妻の裴氏は、弟が功績を立てたから、詔してその死罪を免れるところであった。しかし刑部侍郎の劉三復が不可を執奏し、ここに死を賜り、死体を返還した。裴氏の父の裴敞は、裴冕の後裔で、劉悟の幕府に辟召(地方高官の裁量による下僚の登用)され、劉悟は優れた人物だと思ったから、劉従諌にその娘を娶らせた。裴氏は年十五歳で、火光が内掛の下におこり、家人は怪だと思ったが、結婚を許した。燕国夫人に封ぜられた。寛大でありながら謀略に優れ、ことあるごとに劉従諌に入朝して子孫の計略とするよう勧めた。劉従諌に妾の韋氏がいて、夫人に封じられたいと願い、これを許され、詔が到着すると、裴氏は怒り、詔を破壊して与えなかった。劉従諌は他日に裴氏の党と面会し、再び詔が出されたが、裴氏は拒絶して、「淄青の李師古は四代にわたって命を阻みましたが、側室を封じたなんてことは聞いたことがありません。あなたは朝廷のその場しのぎを受けましたが、自ら斥け削り、洗い濯ぎことを求めるべきです。婢を夫人とするようなことなんて、一族は何日もしないうちに滅ぶだけです」と言い、劉従諌は恥ずかしく思って止めた。韋氏が京師にやって来ると、そこで「李丕が降ると、裴氏は大将の妻を集めて号泣して「私のためにあなたの夫に語りなさい。先公の恩を忘れてはならない。子母を託させてください」と言うと、婦人がたもまた涙を流し、そのため潞州の諸将の叛はますます堅く結束したのです」と言い、これによって禍いが及んだのである。 それより以前、術者の李琢は重んじて絹を与え、招いて大将に任じた。会昌年間(841-846)初頭、劉従諌に向かって、「往年、長星が斗を通過しましたが、公の生れはこれにあたります。今鎮もまた至り、まさに災いがあるでしょう」と言い、劉従諌はそこで軍を山東に移し、毬場を開き、柳泉を穿ち、大いに土木工事をおこして厄払いとした。病となると、李琢のおこした土木事業はすべて歳を逆にしており、異謀があるのを疑うと述べる者がおり、劉稹にその罪を数えあげさせて殺し、府中はおどおどとし、にわかに李丕が降伏した。 李佐之なる者があり、李兼の孫である。河南県の尉に任命され、「彊直」と号した。かつて潞州をさまよい、劉従諌に礼遇され、留まって去ることができず、遂に観察府支使に任じられ、そこでその従祖妹を娶った。劉従諌は傍系の親族に冷たく、嫁いだ者は貧乏となり、李佐之にもまた冷たかったから、送られてきたものは非常に少なかった。劉従諌が病となると、李佐之は東都に帰るよう力説したが、劉従諌は従うことはできなかったとはいえ、その発言に感服した。病が進行すると、王協らは李佐之の妻母が何か言うことを恐れ、そこで母を輦車に載せて東都に返した。たまたま李佐之の奴が、李佐之が賓客と交わり、軍中のあれこれを漏らしていると言ったから、李佐之は劉稹に捕らえられた。妻に非礼であったと訴えられ、劉稹は遂に李佐之を殺した。 武郷県令の唐漢賓は、唐倹の末裔の子孫で、劉稹が朝廷の命令を拒むと、強く帰朝するよう諌めたが、聴されず、一族をあげて殺害された。李師晦は、もとは宗室の子で、始め劉悟が任命し、劉従諌が次第に専横となると、長生の術を求めると言って暇乞いし、事に預からなかった。劉従諌は東都に帰らせようとすると、李師晦は張谷・陳揚庭らによって謗られることを恐れて、居たまま関わることを願い、劉従諌はこれを疑わなかった。劉稹が敗れると、彼のために帝に申し上げる者があり、伊闕県令に抜擢され、薛茂卿に博州刺史を追贈された。大中年間(847-860)初頭、また唐漢賓に武郷県令を追贈した。 この間、河北の諸将が死ぬと、皆まず遣使して弔祭し、次に冊を贈り、次に近臣が宣慰し、軍に派遣して節を与えるべくも、軍中は出すことを許さず、そこで兵を用い、大抵半年もせず平定することができず、そのため驕将や謀反する子は皆このために備えたのであった。劉稹ははじめ帝が怒って討伐されるとは思わず、王茂元が詔を写したものを劉稹に示したのを得て、一族をあげて慟哭し、自ら帰順したいと思ったが、愚かにも臆病で決断することができなかったという。劉悟から劉稹まで三世、およそ二十六年であった。 李丕は、弁論術をよくし、劉従諌と非常に親しく、大将に任じられた。劉稹が朝廷の命を阻むと、軍中ではその才能を憎んだから、李丕は恐れ、遊弈使となって深入りすることを願ったが、これは軍営で立て籠ろうと謀ったのであり、遂に自ら帰順した。議する者には賊に遣わされたのかと疑う者もいたが、李徳裕は「賊を討伐すること半年、始めて降伏する者があらわれました。賞によって他にも勧めるべきです」と奏言したから、帝は召見し、忻州刺史に抜擢した。李丕は楡社県を奪取することを願い、東は武安県を道として賊を討伐するために入れば、邢州・洺州がまだ降っていないとはいえ、兵は潞州を救援することができないと述べた。聴されなかった。楊弁が叛くと、使者を派遣して李丕を誘ったが、李丕は使者を斬り、兵で逃げて集まるのを抑えた。李徳裕は帝に「度支・戸部の物資が代州に集積しています。今李丕がその道を塞ぎ、賊を破りました」と申し上げたから、そこで李丕を派遣して楊弁を討伐させることとしたが、兵がまだ到着する以前に楊弁はすでに捕らえられた。汾州・晋州の二州の刺史となった。大中年間(847-860)初頭、振武節度使、検校刑部尚書を拝命した。党項(タングート)が叛くと、鄜坊節度使に遷り、卒した。 賛にいわく、伝(『易』繋辞上伝)に「易の作者は、たしかに盗みということの心理を察知していたに相違ない」とある。だからこそ盗みということの心理は、聖人でなければ知ることができないのである。唐は半ばで衰え、姦雄が取り巻いて様子を見て奮い、魏・趙・燕の地をあげ、がさつで境に侵入し、入り乱れて百年叛き、その人が夷狄となって、戻すことができなくなるのである。上が暗愚で補佐が凡庸なのは、ただ盗みの理由を知らないからである。妖しげなのを引いて暗いところにつき、奪ってそれを明るいとするのは、どうして蕭俛・崔植らのことを言っているのであろうか。 前巻 『新唐書』 次巻 巻二百一十三 列伝第一百三十八 『新唐書』巻二百一十四 列伝第一百三十九 巻二百一十五上 列伝第一百四十上
https://w.atwiki.jp/puppet-guardian/pages/262.html
【スケールワーウルフ】 体力: 95 攻撃パターン: ひっかき:2(追加効果:眠り) 飛びかかり:2 噛みつき:1 ドロップ: 銀色の鱗、オオカミの毛皮、オオカミのドクロ(レア) 備考: リジェネレート(回復量:2) 物理・水0.5倍 火1.5倍 傾向と対策 シャスラの峠に出てくるワーウルフとそっくりなモンスター。 物理属性に耐性を持つこと以外はワーウルフと同じ感覚で戦える。 奥義魔法うなれ火炎や火炎の巻物で一掃できるが、眠り攻撃があるので対策が必要。 ワーウルフ族の法則から外れ、犬系の種族ではない。 【キメラサーペント】 体力: 150 攻撃パターン: 噛みつき:2×2 水弾:2×2(水属性100%) ドロップ: ヘビ革、透き通った鱗、幻獣の双骨(レア)、サファイア(レア) 備考: リジェネレート(回復量:2) 火・地1.5倍 雷・水0.5倍 キメラ系100% 蛇系50% 傾向と対策 状態異常を起こす攻撃はない上に、動きもゆっくりだがとにかく攻撃力が高い。 双頭から繰り出す攻撃は大抵2ヒットするので油断するとあっという間に体力が削られる。 どの攻撃もキメラサーペントの影の中に密着していれば当たらない。 リジェネートに注意して火属性で攻めると良いだろう。 【ファントムホーク】 体力: 70 攻撃パターン: 足:1 急降下:2 飛翔:1(ダッシュ) ドロップ: 羽毛、幻影石、小さなドクロ、ヴェズルフェルニルの尾羽(レア) 備考: 物理-9倍(増殖) 火・雷1.5倍 地0.5倍 鳥系50% 傾向と対策 9階層の闇コウモリ、11階層のフィアーミストと同じくして 物理属性が1%でも含まれていると体力が全快する上に増殖してしまうモンスター。 こちらも画面いっぱいに広がってしまう前に倒してしまおう。 火炎の巻物2発、あるいは火炎と毒霧各1発で倒せる。 なおスピードは闇コウモリとフィアーミストを比較すると、こちらが早い。 【ジャイアントモス】 体力: 200 攻撃パターン: パンチ:3 のしかかり:3 キック:3 ドロップ: 鉄鉱石、重鉱石、分解石、銀、ヒカリゴケ 備考: 物理・地・水0.5倍 火1.5倍 傾向と対策 外見はマジカロスのゴーレムに苔が付いた状態。ストーンゴーレムよりは、比較的動きが早い。 群れて襲ってくることもある上にどの攻撃も重く強烈なため、封魔でない場所ならばさっさと片付けておきたい。 封魔ならできる限り精霊たちの協力も得たい。 【ウォーターテイマー】 体力: 82 攻撃パターン: ビンタ:1 噛みつき:1 突進:1(ダッシュ) 津波:3(水属性100%) ドロップ: 珊瑚、トカゲの尻尾、アロエ、真珠(レア) 備考: 火・雷2倍 地・水無効 傾向と対策 極端な耐性を持つマジカロスのトログロダイトに似たモンスター。 津波はダメージが高く範囲も広いので少し厄介。なるべく火や雷で先手を仕掛けたい。 【ヒルディスヴィーニ】 体力: 4800 攻撃パターン: 突き上げ:2 蹴り:1×2 暴れる:2×2 突進:2(ダッシュ) 眠りの鼻息:0(追加効果:眠り) ドロップ: 葡萄の宝箱、巨獣の毛皮、水の宝珠(レア) 備考: 物理・自然・光・水・闇無効 雷・火1.5倍 眠り抵抗高 神話系 傾向と対策 5階層のファフニール、7階層のセーフリームニルと弱点属性は同じ。 リジェネート能力もないので、一見倒しやすいボスに見えるが 眠りの鼻息でプレイヤーを眠らせる上に連続攻撃も仕掛けてくるので油断はできない。 セーフリームニル同様、突進は速度は遅いがダメージが高いので注意。 眠りの鼻息はどの盾でも防げず、左右に範囲が広いので上下に避けると良い。 また、一緒にいるファントムホークと厄介な組み合わせにより苦戦は強いられるが 両方とも弱点が一致しているので、弱点を突きつつ冷静に対処していけば倒すことが出来る。 先にファントムホークを倒してボスを炎上や毒状態にすると楽に戦えるだろう。 2019年4月に種族に神話系が追加されたので、ミョルニル等の神話系特攻武器で与えるダメージが倍になる。 秘密の抜け道 【ブラウニー】 体力: 100 攻撃パターン: 木槌:3 踊り,木槌:3 突進:1(ダッシュ) ドロップ: 石ころ ぼろぬの 備考: 特になし 傾向と対策 試練の洞窟各地に点在する秘密の抜け道に生息している妖精。地味に攻撃力が高いので戦う時は注意。 踊りを繰り出した後の木槌といきなり降り出す木槌のダメージは特に差はない。 秘密の抜け道では魔法が使える他、敵を倒さなくても先に進めるので無視しても支障はない。 同マスからドロップするチョコレートブラウニーを使うことで24時間の間だけ連れ歩く事が出来る。
https://w.atwiki.jp/kinisinai/pages/32.html
2 :Trader@Live![sage]:2008/01/14(月) 21 22 03.58 ID V5llVdci キニシナイ氏、がんばってね 4 :Trader@Live!:2008/01/14(月) 22 20 32.91 ID CEeapo6a キニシナイはどうした? 樹海にいったか?? あるいは生きていても精神崩壊で廃人か… 7 :Trader@Live!:2008/01/14(月) 23 21 32.43 ID 5lvct936 故・キニシナイ氏 プロフ ・40代後半 ・無職 前職不明 ・妻有り 小梨 ・資産1億超 ・ポジ=ドル円 ザール円 ・ISP寄生虫 8 :Trader@Live![sage]:2008/01/14(月) 23 27 24.91 ID u2E5zCWa そうやって特定の人をいじめるんじゃないよ 自分のポジもコテも晒さないなら、なおさら 9 :Trader@Live![sage]:2008/01/14(月) 23 34 37.14 ID JK/aVfzd つか、何が目的なんだ? 資産一億とやらにムカついてんのか? 妻がいるのが許せんのか? ホントかどうかも解らんのに・・・ 10 :Trader@Live![sage]:2008/01/14(月) 23 39 12.47 ID HYS2l0yW 負けすぎて、他人に粘着することでしか自我を保てないんだろう 14 :Trader@Live!:2008/01/15(火) 06 38 51.52 ID 1lcIBR3P つかキニシナイ氏は105~115がレンジっていってたから まだ余裕で生きてるんじゃないか? 15 :Trader@Live!:2008/01/15(火) 08 09 25.07 ID UJG2jeyH キニシナイ氏はこのスレを気にしてないだけでしょ? 16 :Trader@Live!:2008/01/15(火) 08 40 11.35 ID 6hLnhkFh ザーエンはまだプラスなはずだから 余裕でしょキニシナイワケナイさんは けどたまに買い増すからなw 17 :Trader@Live!:2008/01/15(火) 09 17 13.33 ID 6ZVO104z 14 105~115がレンジで、107円にまで落ちてきていたら とてもキニシナイキニシナイとは言ってられないと思うが、どうなんだろうか? 20 :Trader@Live!:2008/01/15(火) 11 11 49.69 ID YTib1Urd 17 普通に考えて種4000万のうち3000万程度は 溶けてるだろ。いくら低レバとはいえ 46 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 00 27 52.46 ID OKFBzQiL キニシナイは114と113で買ってホクホクしてたなwww 精神崩壊してるのかな… 48 :Trader@Live![sage]:2008/01/16(水) 01 02 26.59 ID 67Yr3SNI キニシナイ氏降臨マダー? 50 :Trader@Live![sage]:2008/01/16(水) 06 34 34.43 ID lxaDu3LU 一昨日ポジを作った俺はたった2日で2,3円下がって最悪な気分。 56 :Trader@Live![sage]:2008/01/16(水) 09 58 24.44 ID CD4gGCwN 昨年LCされて久々に見に来たが、 キニシナイ氏逝ったのか… 58 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 14 07 06.67 ID FlXR2YeU たしかkinishinaiさん111円で150枚とかだったから ザーと併せて最低でも2500万とか3000万は-だよな 60 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 16 55 27.16 ID mRbJM/++ 106円割るなw 65 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 19 59 27.26 ID U9NKAIfe キニシナイ氏破綻したか… 66 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 20 37 58.83 ID mRbJM/++ 無茶しやがって… 834 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆5bp0Cie7k2 [sage] 投稿日: 2007/06/19(火) 13 45 29.22 ID yCzolh8f みんな若いな(^^ゞ 今年で50歳 種:3300(元は3000) 予備費:7000ぐらい キャピ:+1000ぐらい リタイヤ済み 836 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆5bp0Cie7k2 [sage] 投稿日: 2007/06/19(火) 14 08 11.31 ID yCzolh8f 妻あり、子なし 賃貸マンション (65歳過ぎたら、都会にマンションか地方に一軒屋の予定、生きてたらだけど(^^ゞ) 940 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆5bp0Cie7k2 [sage] 投稿日: 2007/06/22(金) 22 05 22.39 ID dA0jdAfk どんに考えて組んでも、負けるときはどうしても負けるでしょう? その時に綿密な戦術で対応するか物流で対応するか、 見ない振りするかしかないので、自分は見ない振りするだけですよ。 67 :Trader@Live![sage]:2008/01/16(水) 20 38 43.99 ID LWSWfnYn >予備費:7000ぐらい 余裕じゃん 68 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 20 45 21.00 ID lIBYLtoU 66 これだけ資金あったら大丈夫でしょう、低レバだろうしスワップがたまってる し、下手したらまだ得してんじゃないの? 俺達の希望の星だよ 69 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 20 50 23.43 ID 8NDCVdqV リタイヤ済みで3000万を溶かしたら、俺なら正気では いられない。 70 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 21 13 32.87 ID FlXR2YeU 人生もリタイヤすれば問題ない 71 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 21 19 31.50 ID e4mh4q8L キニシナイ氏は、もう今更後には引けんだろう。 いくら溶かそうが資金追加して 意地でもスワッポウマーと言い続けるだろう。 たまには来て 元気な顔見せて欲しいな。 77 :Trader@Live!:2008/01/16(水) 22 41 10.40 ID qIBKqSLh 71 負けがこむとキニシて逃げ出すなんて最低サイアクだよね。 78 :Trader@Live![sage]:2008/01/16(水) 22 54 05.49 ID CAi7oboM 77 円高になるたびに、特定の人を叩き煽り立てるヤカラがいるから そういうときは引っ込むんだよ 83 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 01 17 48.29 ID gJuKNftT でもキニシナイ氏は人事じゃないよね ドル円が120円超えていった辺りは誰もが 少なくともかなりの長い期間は105円なんてとこまで落ちないと予想していた だから大きいレバ掛けてる人もいっぱいいたよ・・・ 85 :47000[sage]:2008/01/17(木) 02 34 52.06 ID NNNcKHbc 今更だがキニシナイ氏の はUSD/JPY 130 ZAR/JPY100で-8円、-1円としても1000万ちょっとのマイナス。 これはスワップ除いた損益だから実損はもっと少ない。 氏の資産から考えても、死んだっていうのはいいすぎだと思うが・・・ 88 :Trader@Live![sage]:2008/01/17(木) 08 27 26.37 ID PKbeZirI キニシナイ氏を妬んでるとしか思えない方がいますね 90 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 14 27 26.26 ID YXzUXMzx キニシナイはキャピよりドル利下げが厳しいかも 91 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 17 35 32.16 ID Tn8+fUDA キニシナイ氏は1億持ってるのかよ 余裕ジャンw 92 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 19 10 18.80 ID tDkz9+4c 544 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆5bp0Cie7k2 [sage] 投稿日: 2007/06/07(木) 12 18 23.46 ID iDGXH+1J ポジ合計の損益書いてたんですが、マイナス500万とかプラス500万とかの数字を 毎日見ると気分が悪いんで止めれと抗議が来ましたんで自粛したんですが・・・ 書いても良いんですが数分後に数十万動くのですが参考になります? 例えば昨日は100万の変動がありましたが。 550 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆5bp0Cie7k2 [sage] 投稿日: 2007/07/25(水) 21 48 40.02 ID gpyeS1qY 2種類それもクロス円のみ、 理由は頭使わなくても管理が簡単だから(^^ゞ 571 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆5bp0Cie7k2 [sage] 投稿日: 2007/07/26(木) 08 21 14.44 ID QpS1WndX スワッポ 20,200 Day タネ 3,400 キャピ + レバ 3.89 スワッポウマー(・∀・) のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ 98 :Trader@Live![sage]:2008/01/17(木) 21 03 31.22 ID /8cH5NrK なんだ、キニシナイって3000万か4000万のFX以外に7000万の余裕資金があるのか。 ならば含み損が2000万か3000万程度なら、焦り始めてはいるにせよ、 まだ深刻な状況ではないんだろうな。 ただ、ザーはともかくこの環境でドル主体というのは???だけど。 俺だったら紙くずリスク承知でトルコ一本だな。 100 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 21 24 48.26 ID gJuKNftT 98 俺が丁度資産7000万なんだが仮に含み損が2000万なんてなったら 深刻通り越してゲロ吐きそうになってるよ 101 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 21 28 36.57 ID ZlGDeRwC 92 余裕で生きてるじゃん、スワップだけで月60万年720万、まだ損してねえんじゃね? ってか損してないでほしい、キニしないさんは俺達の希望だから 102 :Trader@Live![sage]:2008/01/17(木) 21 29 19.00 ID 1BEAlUew 俺なんて資産5100万だけど含み損100万でも胃が痛い だからFXの種は500万までと固く決めている 103 :Trader@Live!:2008/01/17(木) 21 53 02.73 ID gJuKNftT 102 だよね?俺も実際はそうだわ 7000万あって2000万含み損でも5000万も残ってりゃいいじゃんみたいな発想は 完全に金持ってない人の妄想だよね 104 :98[sage]:2008/01/17(木) 22 03 23.95 ID /8cH5NrK 100、 102-103 なるほど。さすがに資金7000万の人の心理は理解できてなかった。 103さんのいうとおり資金数百万の貧乏人の妄想だったわけだね。 ただ、もし本当に7000万のうち2000万の含み損になったら、 死亡事故を起こす前の損切りが大切なのかも知れないなと思う。 9割の確率で7000万に戻り、1割の確率で7000万がパーになるなら、 5000万残っているうちに損切りするのが健康によさそう。。 105 :Trader@Live![sage]:2008/01/17(木) 22 04 05.28 ID KKVKChuJ 生臭も来なくなったな。 みんなキャピ損がシャレにならん額になって カキコする気力も失せたか(w キニシナイ氏と美味ですわ たまには来いよ。 キニシナイ氏は1日スワッポ2万だっけ? なら2000万の含み損は2年弱で取り戻せる。 金利が下がったら4年近くかかるかも知れんが。 116 :Trader@Live![sage]:2008/01/18(金) 05 53 56.80 ID 3j6lt+mE 前スレ見えないのだが キニシナイ氏の断末魔はあったの? 117 :Trader@Live!:2008/01/18(金) 06 45 20.50 ID tFhLmhCj キニシナイさんたぶん4000万くらい損してないか? ザーがハンパなく落ちてるからな 118 :Trader@Live![sage]:2008/01/18(金) 06 46 44.97 ID NIdgBFGJ 116 スワッポウマー(・∀・) のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ 137 :Trader@Live!:2008/01/18(金) 22 31 53.46 ID Hyz/xKA4 単純に計算して、キニシナイ氏がスワポうんまうんま言っていた頃から考えて 高金利通貨は15%ぐらい下がってるからレバ4倍なら種で考えると6割マイナス 3800のタネのうち2300ぐらいマイナス。1500ぐらいしか残ってないはず。 レバ25倍の会社(ジャヌスとか)なら600ぐらいは必要証拠金だろうから、 志望まで残り900ってとこか。 234 :Trader@Live![sage]:2008/01/21(月) 18 55 09.92 ID GucEI7E/ キニシナイ氏逝っちゃったのか また貴重な人物が・・ 寂しくなるなあ・・ おまいら生き残れよ? 239 :Trader@Live![sage]:2008/01/21(月) 19 35 00.40 ID BVuuMr2G キニシナイはアホールドしてるならまだ死んでないと思うが 下手にポジってたりしたら死んでる可能性あり。 それか心が折れて損切りしちゃって みんなにワーワー言われるので報告してないのかも 245 :Trader@Live![sage]:2008/01/21(月) 20 37 22.39 ID Yf+PMKaE キニシナイ氏はナンピンしてると思う。 火に油を注いで丸焼けになったろう。 247 :Trader@Live!:2008/01/21(月) 20 45 26.29 ID fDSwTfdX 239 前回のナイアガラでも113,114で買ってホクホクしてた くらいだし追加投資してないとは思えない。 ポジポジ病に冒されて予備資金の大半食いつぶしてるはず。 301 :Trader@Live!:2008/01/22(火) 09 45 45.53 ID s8KklHm7 キニシナイはいくらなんでももうキニシテルだろw 114くらいにナイアガラった時も余裕でどんどん買い下がる 言うてたしwww 302 :Trader@Live!:2008/01/22(火) 10 08 01.64 ID O7cmlimg 301 そこから1円下がるごとに買い増しでも とんでもなく含み損が膨れ上がってるね・・・ 316 :Trader@Live!:2008/01/22(火) 18 05 22.13 ID z614DX/K キニシナイ氏は嫁にボコボコにされて 2ちゃんどころではないのかな? 318 :Trader@Live![sage]:2008/01/22(火) 18 16 13.74 ID bG/cgZNq キニシナイは板が荒れてた時に もう書かないって去ったような気がする 350 :†ケン† ◆kiM4qXVHAg :2008/01/22(火) 23 18 27.57 ID Q5aGSaNJ キニシナイ出て来い! つうか今後スワップ派のブログ上位のわたぼう氏やケロ氏、はやぶさ氏 の展開が気になるね。 俺もいつか資金の半分はスワップ狙いでいきたいね。クロス円は半分 以下に抑えて、豪ドル60円、キウイ50円、ランド8円、リラ55円ぐらい になってから。 355 :Trader@Live!:2008/01/22(火) 23 31 23.56 ID h5uBbsQz 350 キニシナイは死んだよ。 追加資金も大半喰われた。 356 :Trader@Live![sage]:2008/01/22(火) 23 36 46.91 ID G2TP7l0y そういう本人しかわからんことを平気で書くな おそろしいわ 359 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 05 37 45.79 ID lyOV4+b8 キニシナイ氏はスレが多少荒れたぐらいで キニシナければいいのに 360 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 07 04 49.22 ID nlTBxNQd 少なくとも老後の人生設計はやり直しだろうな 361 :Trader@Live!:2008/01/23(水) 07 37 32.07 ID 3LTkYOaZ 360 もう老後の心配の必要もないんじゃないか? 362 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 07 41 51.06 ID iU0Vk/X6 361 キツイなw 363 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 08 52 44.15 ID /tmKvxgn 359 気にしてるのはここの住人だろ 364 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 09 06 06.72 ID xaivpNfr お前らキニシナイの話題引っ張りすぎだろ もう来ない奴の事わーわー言うんじゃない 365 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 09 15 22.55 ID 50QJhhLR キヤシナイ 401 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 21 18 29.02 ID 4Xlpwhhe キニシナイ氏 カムバック! 406 :Trader@Live![sage]:2008/01/23(水) 22 23 41.89 ID 4Xlpwhhe まさか、今日ドルが105割るとは思わんかったわ。407 :Trader@Live!:2008/01/23(水) 22 28 28.87 ID oaD86bCH ここまでくるとキニシナイは予備費7000万も含めて ぶっ飛ばしてる頃だな。 409 :Trader@Live!:2008/01/23(水) 22 42 29.18 ID ++oGDM57 キニシナイに限らずドル円組なんて死亡でしょ http //jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-29909720080122 2.25%まで逝ったら60~70円じゃないの? キニシナイは150枚でも10000円程、ランド100枚なんて4000円程 436 :Trader@Live![sage]:2008/01/24(木) 11 23 51.75 ID M+ffIhAc キニシナイ氏の損益がキニナル 437 :Trader@Live!:2008/01/24(木) 11 44 21.19 ID nx+7JcLr キニシテロ 485 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 06 37 11.76 ID YPfL8m4Y ドルのスワポ88円になった。 キニシナイ氏直撃。 488 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 08 24 22.96 ID 6TviNkEz キニシナイ氏はタバコ代の捻出すら厳しいだろうなw 60 名前: Trader@Live! [sage] 投稿日: 2007/03/06(火) 08 08 47.87 ID qI9iravr 14800円/Day スワッポウマー(・∀・) レバ6 コワー(^_^;) キャピロス330万 シラネ(^。^)y-.。o○ 64 名前: 60 [sage] 投稿日: 2007/03/06(火) 16 21 08.76 ID qI9iravr LC食わない程度レバなら、外貨預金と同じ感覚 途中経過は、キニシナイ(^。^)y-.。o○ 155 名前: 143 [sage] 投稿日: 2007/03/10(土) 15 48 14.92 ID sGOR5hW+ 153 タネは2000です、 去年FX始めた時は、へたれのため800溶かしました(~_~;) 今回再挑戦です。 もう、なにもキニシナイでいようと思います(^。^)y-.。o○ 219 名前: Trader@Live! [sage] 投稿日: 2007/03/12(月) 20 55 00.61 ID b7OjFHdy USD/JPY 100枚@118.5260 GBP/JPY 1枚@222.22 ZAR/JPY 100枚@15.74 スワッポ 19,190Day スワッポウマー(・∀・) 円高きたけどキニシナイ(^。^)y-.。o○ 490 :Trader@Live!:2008/01/25(金) 10 36 55.82 ID vRJv/QUN キニシナイ氏はスワップ減ったからっていって前みたいにドル円の枚数増やさないといいけどね ナンピン地獄になりそうだしなあ 493 :Trader@Live!:2008/01/25(金) 11 41 29.69 ID TwS9dKBw 490 このカキコ自体古いもんだよ、当時114円辺りで ガツガツ買い増してた。ポジション3倍近くにはなっ てるだろ我慢できそうにないあの性格なら・・。 504 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 16 33 32.29 ID czOjspUB 110 名前: Trader@Live! [sage] 投稿日: 2007/05/13(日) 19 09 16.86 ID 8elq8Vx6 口座1:H18年開始 1500万→700万(凹むorz) →H19年追金2300万→3600万(内キャピ400万) 税金考えると後500万ぐらいで原資かな? よほどの事が無いと離隔しないから明日にはキャピマイナスかもね。 口座2:H19年開始 60万→85万 お遊び用です 人それぞれです、のんびりやりましょう。 ちなみに無職です スワッポウマー(・∀・) のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ 121 名前: Trader@Live! [sage] 投稿日: 2007/05/14(月) 15 46 29.90 ID bfs+CUx7 難しいことは考えずにやってます 一応金融資産1億ちょいで、3000をFXで運用中 賃貸・妻あり子なしのもうすぐ50歳の無職男です。 世間一般で言う負け組みの代表で、運が良かったんで株で少し益がでました。 スワッポウマー(・∀・) のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ 505 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 16 40 00.25 ID 2N5aNGfJ そんなにキニシナイが好きか?506 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 16 43 15.86 ID YoErI+vl みんなキニシナイがキニナッテしかたないのか 人の不幸がそんなに好きか 底辺の人間だな 512 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 19 36 48.81 ID fOdnbo9e キニシナイ氏 送別会まだやってないのに・・・ 513 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 19 37 58.81 ID YoErI+vl 円高になると、 おまえらのような誹謗中傷するヤカラが出るから 出てこないようにする、とレスがしてあったんだよ 517 :Trader@Live!:2008/01/25(金) 19 56 34.44 ID k6PsbZjG 506 50でリタイアしたあげく資産半分以下に減らしたら 普通気が狂うってw キニシナイとかふかしこいてた罰ちゃうん 518 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 20 47 36.88 ID YPfL8m4Y キニシナイ氏の大ファンでつ。 LC喰らって 税金払う金無くなったりして(w519 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 20 48 34.97 ID fOdnbo9e 脱税してもきにしなーい 520 :Trader@Live![sage]:2008/01/25(金) 20 48 43.61 ID YoErI+vl いまここで特定の人を嘲り笑っている人のほうが 罰を受けるにふさわしいわ 人の本性がわかるスレだよなここは 552 :Trader@Live![sage]:2008/01/26(土) 20 02 38.93 ID gfcue3IT キニシナイ出てこい 557 :Trader@Live!:2008/01/27(日) 00 35 42.94 ID yoFWd50R スワッポ 1520/day 種 140 キャピ -70 累積スワポ 15 レバ3⇒9になってしもたorz 種を毎月+15して行く予定。 キャピマイナスはいっそキニシナイ… 死ぬのか、俺。 559 :Trader@Live![sage]:2008/01/27(日) 00 51 15.35 ID n9MmpC7v 557 よう、キニシナイ二世 576 :Trader@Live![sage]:2008/01/28(月) 10 17 22.99 ID lgD8Oi06 のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(|||゚д゚)y-.。o○599 :Trader@Live![sage]:2008/01/29(火) 08 21 36.34 ID h4ciHjuL キニシナイ氏出てこいよ ROMってるんだろw 601 :Trader@Live!:2008/01/29(火) 10 26 29.90 ID MUFmM0xf キニシナイ氏も今つらいだろうし、わかってやろうや。 603 :Trader@Live!:2008/01/29(火) 12 20 02.88 ID KkItg4W+ キニシナイはスキャルパーに転身してショートしてるからもうこないよ 671 :Trader@Live![sage]:2008/01/31(木) 19 47 39.23 ID Y0KScutr キニシナイでてこいやー 689 :Trader@Live!:2008/02/01(金) 08 47 05.56 ID tW+sMFJf キニシナイってもう死んだの? ドルとザーでキャピ-1500以上じゃない? スワップはどれくらい溜まってるかしらんけど 690 :Trader@Live!:2008/02/01(金) 09 11 50.58 ID k4Fqfyb2 キニシニナイはドルとザーだからまさに悲惨だな。 最も買っていると辛い通貨ランキング1位と2位じゃないか。 691 :Trader@Live!:2008/02/01(金) 09 12 45.31 ID dWc1OdPE -3000近く逝ってても不思議じゃないだろw 694 :Trader@Live![sage]:2008/02/01(金) 09 33 05.39 ID XKfnrU6K キニシナイさん今頃再就職先探してるかも・・・ ナンピンしてなきゃ普通に耐えれる資金力あるんだろうけど ドル円114から買い下がってたからなあ もしランドも買い下がってたらほんとにシャレになんないよ 695 :生臭坊主 ◆8aAwmabvRE [sage]:2008/02/01(金) 10 26 45.97 ID AQ1W7Wmk スワップ自慢のスレなんだから、自慢したくなくなったり、自慢できなくなったら 書き込まなくなるのは自然な流れだと思いますよ 自虐、自戒のために書き込み続ける方がレアなんじゃないかと 死亡報告の義務とか無いし 人のこと気にしてても自分の金は増えないし、「出て来い」とか言うのはお門違い 696 :Trader@Live![sage]:2008/02/01(金) 10 42 32.60 ID e9OavI9c ま、そうだな。人が苦しんでるときだけ出てこいとか言うのはどうかと思うわ。 しょせん人の金。気にしすぎる必要ない。 697 :Trader@Live!:2008/02/01(金) 11 00 24.00 ID dWc1OdPE キニシナイをキニスルのはああいうタイプが損切り・LC食らった トコが、相場の底であることが結構あるからでないかな。 俺もとてもキニシテいる 699 :Trader@Live!:2008/02/01(金) 11 37 31.65 ID k4Fqfyb2 695 確かにそうなんだけど、ハンドルネームがね。 ハンドルネームがキニシナイで調子がいいときは 気にしない気にしない言ってたのに、 調子が悪いと気にするんじゃ、多少は叩かれるのも仕方ないと思うよ。 707 :Trader@Live!:2008/02/01(金) 13 46 35.29 ID aRHVh1Gf ランド終わってるよな キニシナイ氏の2枚看板のドルとランドは弱いのぉ~トルコの方が安定しているとはなw 710 :Trader@Live![sage]:2008/02/01(金) 19 37 01.20 ID umjqcttu キニチニャイ 出て恋よ。 まじで気になるんです・・・ 742 :Trader@Live![sage]:2008/02/02(土) 18 12 27.87 ID T/snwBNy キニシナイ氏は確定申告の心配はキニシナくていいなw 743 :Trader@Live![sage]:2008/02/02(土) 18 17 04.64 ID oJxVqbH5 いや、駄目だろ。 スワッポ分引き出してるなら、抱えてるポジの含み損とか関係無しに 引き出したスワッポにかかる税金を納めんといかんのじゃないか。 スワッポだけ引き出せる口座使ってないから詳しくは知らんけど。744 :Trader@Live![sage]:2008/02/02(土) 18 20 41.53 ID T/snwBNy 氏は利益確定してないだろw 損失はキニシナイだから… 745 :Trader@Live![sage]:2008/02/02(土) 19 22 52.06 ID nHFVwwhh いくらなんでも税金対策に糞ポジ切るくらいはやるだろ。 747 :Trader@Live!:2008/02/02(土) 22 13 33.28 ID efYFJlPo 全部糞ポジなんですけど?w 749 :Trader@Live!:2008/02/02(土) 22 33 20.36 ID 19KYcwQI http //live25.2ch.net/test/read.cgi/livemarket2/1194489932/345 345 名前:キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆U7GiV1JBHU [sage] 投稿日:2007/11/14(水) 09 14 07.99 ID /pFbIz6L スワッポ 22,600 Day タネ 4,000(リスク回避で500追加) キャピ - レバ 4.06 スワッポウマー(・∀・) ISP規制解除ですので書き込みます、次は永久規制らしいです(^^ゞ ナイアガラでポジ追加しました、 現在のポジですが、細かく書くのも何なので全体平均です ・USD/JPY 116弱(平均)×150 ・ZAR/JPY 15.8弱(平均)×100 のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ http //live27.2ch.net/test/read.cgi/livemarket2/1196261490/109 109 名前:キニシナイ(^。^)y-.。o○(ISP規制中)[sage] 投稿日:2007/12/02(日) 19 38 08.93 ID T9kECPPR スワッポ 25,000 Day タネ 4,000 キャピ - レバ 4.25 スワッポウマー(・∀・) 書き込むと、荒れる原因となりますので書き込むのを控えています。 (現在も続いていますが、ISPにも荒らしが多発して書き込み規制を受ける事も副次的な原因です) 自分の戦略としては少なくても1年以上の超長期のレンジで見ていますので、 今現在キャピがマイナスでも、特に気になるものではありません、 と書くと色々書いてくる人がいると思いますので、ここまでにしておきます。 これからは2chは見る事は少なくなると思いますが、皆様の検討をお祈りしています。 のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ 2007/11/14(水)のポジでドル・ザー合わせて約-1600万 最終書き込みの2007/12/02(日)に若干ポジ増やしてんだよなwww750 :Trader@Live![sage]:2008/02/02(土) 22 51 31.03 ID cd7TxVZY キニシナイは釣りだったのかもw 753 :Trader@Live!:2008/02/02(土) 23 48 53.69 ID dShOKWRw キニシナイはセンタンだから 76x150=11400 39x100=3900 計15300 Day アーメン 754 :Trader@Live!:2008/02/03(日) 00 10 30.56 ID zuDmqWgF どうせあの性格キニシナイのことだから、残りのFX以外の資金も 株買ってたりしてて身動きとれなくなってるんだろ、南無。 ただ俺は114~117円の時点で口を酸っぱくして「一回全てのポジ切れ」 「それ以上ポジを増やすな」と言ってやったので、同情はしない。 760 :Trader@Live![sage]:2008/02/03(日) 01 28 41.18 ID wSD60DrS キニチニャイは去年何度か離隔してたから税金おさめなきゃだめなはずだぞ。 761 :Trader@Live!:2008/02/03(日) 01 30 31.68 ID F3+nVTxW 大丈夫だよ、なんせシュミレーションだから 762 :Trader@Live![sage]:2008/02/03(日) 01 34 44.18 ID eWUE51Dz おまえらキニシナイ気にしすぎ。まあでも俺も、ユロや羊にしとけって何度も言ったんだけどな。 一応本人からも返事もらってるんで貼っとく。残念ながら聞く耳持たずだったが。 最近始めた人のために書いとくと、8月中旬の下落でユロと羊がよさげって書いた時は ㌦111円、ユロ150円、羊90円くらいだった。 945 名前: Trader@Live! [sage] 投稿日: 2007/11/07(水) 20 16 57.16 ID RbulA1b0 944 あ、来た来た。 8月にも聞いた気がするけど、なんでメインのスワッポ口座は米ドル円にこだわるの? あの時もユロや羊買っとけばってコメント、結構あったように思うけど。 煽りじゃなくてマジ質問す。 947 名前: キニシナイ(^。^)y-.。o○ ◆U7GiV1JBHU [sage] 投稿日: 2007/11/07(水) 20 50 24.09 ID d6yoolId 945さん 1.USD/JPYのレンジが決まっている 2.現在のポジを再構築時のリスクが怖い (金額が大きいので失敗すると(^^ゞ) 3.USD/JPYは現在逆風ですが、振り子は必ず戻るはず ブッシュが交代し、1年程度でアメリカは変化しはじめる思います アメリカは好きではありませんが、混乱が収まれば・・・ 4.ユロは現在追い風ですが、実力以上に評価されていると思います 5.資源国も評価されすぎと考えています(評論家がはやし立てていますのが不安要素です) 別口座で羊・キウイは数枚買って、ほとんど離隔しました、 残ポジはキウイが3枚とポンが1枚、ZARが1枚ですね、 日に800円程度スワッポ入っていますが、下で仕入れたので離隔するかどうか考え中です 775 :Trader@Live![sage]:2008/02/03(日) 17 51 55.49 ID wSD60DrS どうでもいいけど キニシナイ出て鯉よ。 俺は待ってるんだぞ 786 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 16 31 44.60 ID b9z4Z56n キニシナイ氏は別口座でデイトレやっているのかなぁ 791 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 19 02 42.69 ID l9MTa4rJ スワッポ 170,000 Day程度 タネ 4,000 キャピ - レバ 4.19 累積スワップ 800強 USD/JPY 160 ZAR/JPY 120 スワッポウマー(・∀・) 旅行も飽きたのと簡単な相場なので、 もうひとつの口座で毎週5万~10万程稼がせてもらっています 久しぶりにのぞきましたが、相変わらず粘着が多いですね では、数ヵ月後に のんびりのんびりキニシナイキニシナイ(^。^)y-.。o○ 793 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 19 27 31.05 ID IPE9e2DE 面倒ならスクリプトで自動的にUPすればOK 粘着キモを相手にすることはない 794 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 19 35 37.00 ID c1c6Wzbq 鳥ついてないけど本物くさいと思えるのは俺だけ? 本物なら、12/16の最後報告から米ドルナンピンせず、ランド20枚追加買い してることになる。あとスワポは17,000の間違いだな。 あとキャラ的にいやな人になってるが、こんだけ煽られりゃ無理ないか。 796 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 20 00 52.10 ID E2drPO9U 791 キニシナイ生きてたー(・∀・) 797 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 20 25 44.10 ID b9z4Z56n キニナルだけなのに粘着ってひどいなぁw 800 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 21 00 39.72 ID c6VxidqO 本物のキニシナイさっさと コテつけて出てきてくれ。気になるんだよー 801 :Trader@Live!:2008/02/04(月) 21 11 45.34 ID 98DsvxC9 キニシナイってスワポ3マソ円台だったと思うが 804 :Trader@Live!:2008/02/04(月) 23 05 11.40 ID b9q5naYF 去年の10月を最後に見るのやめてたが どうですかこのスレは? 死人たくさんでた? キニシナイしんだの? 805 :Trader@Live![sage]:2008/02/04(月) 23 08 37.53 ID OYYemS2i 804 少しはログを読む努力しろ。 806 :Trader@Live!:2008/02/04(月) 23 14 40.10 ID PKIlnrdc キニシナイ氏は伝説になった 825 :Trader@Live![sage]:2008/02/05(火) 20 27 42.57 ID u3FtkOeD もうキニシナイネタはいいよ いい加減しつこい つかもう秋田 833 :Trader@Live!:2008/02/06(水) 00 51 32.39 ID w4V6EJat キニシナイ氏は星になった 897 :Trader@Live![sage]:2008/02/08(金) 20 25 32.85 ID tzYx6y0H きにしないまだー? 915 :Trader@Live![sage]:2008/02/09(土) 09 21 10.20 ID 604nRhuZ キニシナイ氏をみんなで気にしてる件について
https://w.atwiki.jp/25438/pages/1037.html
桜高トップランカー達の血で血を洗う凄惨な戦いから一週間が経った。 その間学校は復旧工事の為、休校となっていた。 律「……何だかなぁ」 授業が再開されて初日の朝。 柄にもなく早い時間から登校した律は恥じらいも無く机の上に足を置き、椅子に深く身を預けて窓の外を眺めていた。 あれから律達はさわ子に半ば強制的に病院に搬送され、臨時休暇の大半をそこで過ごした。 学校が恋しくなってはいたものの、唯が居ない今の環境では胸の蟠りも取れそうにない。 そんなネガティブな感情から、律は大きく溜め息をついた。 紬「おはよう、りっちゃん」 いつの間にやら教室に居た紬は机に置かれた律の足を窘めるようにはたく。 律「ムギか、おはよ……」 律はやや伏し目がちに挨拶を返す。 それとは対照的に紬の表情は、見ている方が和むほどに朗らかだ。 紬「……落ち込む気持ちも分かるけど、元気出していきましょ?」 紬はそっと律の頭を撫で、両手で握り拳を作るとガッツポーズを取った。 律「ははっ……。ムギは強いなぁ、私も見習うとするよ」 そんなムギの様子を見て、律は苦笑いを浮かべる。 紬「ふふっ、今日は元気が出るようにおから炒めを持ってきたの。放課後皆で食べましょ」 律「皆、か……」 律は教室を一瞥し、普段ならこの時間には自分の隣に居るであろう二人を思い浮かべた。 唯はいちごに拉致され、生死不明の状態。 澪は幸いにも吹き飛んだ体育館の瓦礫の中から発見され、相応の治療を受けて一命を取り留めた。 律は後にさわ子から聞いた話で、澪がしずかに敗北した事を知っていた。 それもあって澪の精神面を気遣い、今日は澪と一緒に登校しなかったのだ。 律「唯は勿論心配だけど、澪、それに和と鈴木さんの具合も心配だな……」 紬「うん……。私や梓ちゃんの傷は浅かったけど、あの二人は重傷だったもんね」 和と純の二人は誰よりも優先して病院に搬送され、緊急手術を受けた。 だが容態は芳しくなく、未だに面会謝絶状態で入院している。 その『絶対の彼方』を越えた二人さえも叩き潰した憂はあの日以来、家から一歩も外に出ていない。 律「憂ちゃんが一番ショックなんだろうな……。唯を奪われて、いくら頭に血が昇ってたって言っても、幼馴染みと友達を自分で潰したんだから」 紬「…………」 紬は押し黙り、俯く。 律「勿論ムギも、だけどな。家の方は大丈夫なのか?」 紬「……ええ。会社が解体されたと言っても破産したわけじゃないから。それなりの蓄えはあるみたい」 それなりの蓄えとは言ったものの、少なくとも律の両親が一生かかっても稼げない程の金は持っている。 律「……さわちゃんが許してくれさえすればなぁ。今直ぐにでも唯を取り返しに行くのに……」 紬「そうね……」 この混乱した状況の中でさわ子が下した判断は停滞だった。 今の律達の力量では仮にいちごに挑んだところで『沼』に飲まれる。 そう判断しての苦渋の決断だった。 律「どっちにしても。今回の件で自分の不甲斐無さを思い知らされたよ、当面の課題は一つ、だな」 紬「先生に認めてもらえるように強くなる、ね?」 気丈に振る舞って笑う二人だが、その表情の中には深く刻まれた哀しみが見え隠れしていた。 梓「くっ……!」 街の外れにある廃工場にて、梓は銃を乱射していた。 建物の中は硝煙の香りが漂っており、あちらこちらに空薬莢が散らばっている。 壁のあちらこちらに描かれた丸形の的には無数の弾痕が刻まれていた。 梓「こんなんじゃ駄目です……。もっと、もっと強くならないと……!」 くたびれた普段着のパーカーのポケットから予備の弾薬を取り出し、滑らかな動作でセットする。 梓「はっ!」 両腕を突き出し、二つの銃を発砲する。 二つの弾は軌道を重ね、そのベクトルを変え、梓の両脇にある二つの的の中心にめり込んだ。 律達が運ばれた病院の一室の扉が開いた。 ドアの表札には立花 姫子と書かれており、面会謝絶の札が掛けられている。 にも関わらず堂々と部屋の中に入り込んだのは、一人の少女だった。 艶のある漆黒の髪を揺らし、細身のデニムに紫のパーカーという身形。 目深に被った帽子が少女の顔を隠していた。 「…………」 部屋の主である立花 姫子はベッドの上で安らかに眠っていた。 身体中に取り付けられた夥しい量の管とその美しい寝顔は、死にゆく眠り姫を連想させる。 部屋に入り込んだ少女は姫子の顔を見下ろし、歯を食いしばった。 少女の胸の中で殺意が蠢いた。 震える手で腰に差した刀を抜刀し、鈍色に輝く刀身をそっと姫子の首に押し当てた。 「止めなさい、澪」 背後から聞こえた自分を呼ぶ声に驚き、澪は慌てて振り返る。 澪「和…………」 そこには車椅子に座り、点滴を腕に刺した和がいた。 普段かけている眼鏡は外しており、短めの髪の毛は無造作に跳ねている。 和「それだけは絶対にやっちゃ駄目よ。自分の弱さから逃げて人に当たるのは、愚図がする事」 普段の和からは想像もつかないようなずぼらな身形だが、そう言った和の眼光は澪の胸を針の筵のように貫いていた。 澪「……そんな身体で私を止めるつもりか?」 和「あら、見くびらないでくれる? アンタが相手なら目隠しして両腕を縛っても一秒以内をケリをつけられるけど」 和のそれは誇張表現などではない。 澪自身それを重々理解していた。 だがそれでも澪は抵抗せずにはいられなかった。 軽音部の中で一人だけ、敵前逃亡した挙げ句打ちのめされた自分の不甲斐無さを払拭するには、何か行動を起こさずにはいられなかったのだ。 澪「言ってろ」 澪が刀の柄を握る手に力を込めようとしたその時、甲高い音を立てて刀は澪の手から離れた。 和「お願いだから手間をかけさせないでくれるかしら? こっちはまだ病み上がりで面会謝絶も解けてないのに」 和の手には桜の花びらがあしらわれた刀が握られていた。 やはり自分は和の足元にすら及ばない。 それを痛い程に痛感した澪は床に手を当て、俯いた。 澪「……唯がさらわれた時に私は何をしてたと思う? 無様に床に這いつくばってたんだ!!」 声は次第に震えてゆく。澪はリノリウムの床を殴り付けた。 澪「なぁ……私はどうしたら良い? 教えてよ! このままじゃ気が狂っちゃいそうだよ!!」 和「…………」 澪の悲痛の叫びを和は黙って聞いていた。 時折相槌をうちながら聞くその姿勢は、実年齢よりも遥かに大人びたまるで母親のような暖かみを持っている。 澪「うっ……。ひぐっ……」 和は澪が負けたという情報は既に知っていた。 自分の身体が完治すれば発破をかけてやろうと思っていた和だが、そのプランを早める事にする。 和「強くなる事は良い事ばかりじゃないわ。時には恐れられ、軽蔑される」 澪「…………」 和は周りが今まで自分に向けてきていた視線の色を思い返した。 和「アンタには才能がある。もしその覚悟があるのなら連れて行ってあげるわよ? 『絶対の彼方』に」 澪は両目を閉じ、無言で頷いた。 純「よっ……とと……。随分鈍ってるなぁ」 純は病院の屋上の手摺の上を逆立ちで往復していた。 一歩間違えれば即死であるその状況で、純は物怖じもせずに飄々としている。 純「あーきた!」 両手に力を込め、腕の力だけで跳躍する。 空中でくるりと一回転すると、両足でしっかりと着地した。 「鈴木さん! あなたまだ重体なんですよ!! 早く部屋に戻って下さい!」 シーツを干しに来た看護婦に注意され、純はぺろりと舌を出して会釈した。 純(さて、と。退院したら、私もそろそろ立場を固めないとね……) 一瞬だけ柄にもなく険しい顔をして、純はその場を後にした。 澪と和の諍いから三日が経った。 あれ以来一度も学校に行っていない澪は、その重い腰を上げて和が指定した場所に来ていた。 澪「まだかな……」 腰に差した刀の鞘を弄りながら澪は呟く。 『三日後の正午にアンタ達のいきつけの喫茶店に行きなさい。そこにアンタを強くしてくれる人が来るから』 どうにも含みがある漠然とした物言いだったが、今の澪はそれにすら縋りたくなるような心境だった。 胸を圧迫するざわめきをかき消すように、テーブルに置かれた既に冷めてしまったレモンティーを飲み干す。 「ごめんなさい。待たせちゃった?」 声の主を見て、澪は思わず口に含んだレモンティーを噴き出しそうになった。 すんでのところでそれを堪え、平静を装って返事を返す。 澪「曽我部先輩……。何であなたが? 大学は大丈夫なんですか?」 「ふふっ、他ならぬ秋山さんの頼みだもの。そんな事気にしなくても良いのよ?」 そう言うと曽我部 恵は栗色の長い髪をさっ、と払って微笑んだ。 八十四代桜高生徒序列ナンバーツー。『絶対領域』曽我部 恵。 去年の桜高生徒序列において平沢 憂を負かす事は出来なかったものの、真鍋 和を差し置いてナンバーツーの地位を欲しいままにした猛者だ。 恵「早速本題に入っても良いんだけど……。ここでお昼食べちゃおっか。あなたもお昼まだでしょ?」 澪「あ、はい……」 澪は手渡されたメニューをおずおずと受け取り、自分の手持ちを考慮してなるべく安いものを探す。 恵「ここは私が持つから好きなの頼んで良いよ。あ、このトルコライスなんて美味しそうじゃない?」 澪「そんな……悪いですよ。折角遠路はるばる来てもらって、その上お昼まで奢ってもらうなんて──」 そこまで言いかけたところで恵は澪の唇に指を添えた。 そしていたずらな表情でウインクする。 恵「だから遠慮しなくても良いの。 私、まだ秋山さんのファンなんだから」 澪「ふぁ、ふぁんって……」 澪は顔を赤らめて俯く。 だが澪はここで気付いた。 いつの間にか自分の胸の中の蟠りが薄れている事に。 澪「……流石ですね」 澪には恵の凜とした容姿に似合わない茶目っ気溢れる笑顔がやけに眩しく思えた。 恵「これでも元生徒会長ですから」 平沢さんの妹には勝てなかったけどね、と付け加えて、恵は舌を出して微笑んだ。 それから二人は食事を注文し、他愛ない会話をしつつ一時間ほど時間を潰した。 そして喫茶店を出てからある場所へと向かう。 澪「ここは……?」 恵「私の親戚が営む道場よ。しばらく貸し切りにしてくれるらしいから」 桜高から歩いて十数分ほどの距離の古風な道場。 澪は促されるまま恵に着いてゆき、稽古場に入った。 扉を開けるとい草の香りが澪の鼻を突き抜ける。 壁や柱などは質素な造りでありながらも手入れが行き届いており、師範の人格が伺える。 恵「靴下は脱いでおいてね。それと畳に上がる時はちゃんと一礼すること」 澪「は……はい」 ぎこちない動作で一礼し、澪は靴下と上着を脱いで畳の上に上がった。 不思議と穏やかな何かに身を包まれるような錯覚に陥る。 澪「…………」 腰に差した刀に手をかけ、目を瞑って感覚を研ぎ澄ます。 自ずと瞼の奥の世界が見えてくるような気がした。 澪「っ!」 身体の真横に大気の乱れを感じ、澪は即座に抜刀した。 刀同士が鍔競り合う甲高い金属音を聞いて目を開ける。 恵「なかなかね。反応の速さも抜刀時の身のこなしも申し分ないわ。日頃の鍛練を怠っていない証拠ね」 人の良さそうな笑みを浮かべ、恵は抜刀した模造刀を鞘に納めた。 恵「序列は八、九位ってとこかな。剣術使いの中じゃああの子の次に強いんじゃない?」 あの子、が和の事を差すのだと理解し、澪は顔を伏せた。 澪「……序列は十二位だったけど、この間二十位代の人に負けて今は十三位です。それに、和以外にももう一人上が……」 澪は『辻斬り』と呼ばれ名を馳せるもう一人の剣術使いトップランカーを思い浮かべた。 彼女が純の手によってあっけなく打ちのめされた事を澪は知らない。 澪「和は私には才能があると言ってました。『絶対の彼方』生徒序列トップスリーに立つ事なんて……私に出来るんでしょうか」 澪は拳を震わせる。 恵「……今のままじゃあ無理ね」 恵が澪にかけた言葉は安い同情などではなく、辛辣な事実だった。 澪「やっぱり……そうで──」 恵「『絶対の彼方』の概念を誤認している今のあなたでは、という意味よ」 澪の言葉を途中で遮り、恵はぴしゃりと言い放つ。 恵「越えたくても越えられない。自分が人間である限り越える事すら馬鹿らしくなるような壁。ふふっ、私に言わせれば荒唐無稽な話も良いとこよ」 ずばり『絶対の彼方』の意味をそう解釈していた澪は、心臓が跳ね上がる感覚を味わった。 澪「どういう事ですか?」 恵「簡単な事よ。私のように『絶対の彼方』を越えた者とそうじゃない者では、『絶対の彼方』に対する認識に大きな違いがあるという事」 恵の説明は酷く抽象的で、焦らされるような語り口調だった。 恵「私達は『絶対の彼方』を越えた者を『闘気』のコントロールが出来る者と認識しているわ」 澪「闘気……?」 恵「そ、闘気」 恵はほくそ笑みつつ、右手の人指し指の長い爪で左の掌の薄皮を刺した。 そうしてうっすらと滲んできた血を澪に見せつける。 澪「…………」 未だに心の奥で眠る血への恐怖心がざわめき、澪は眉を顰めた。 恵「目を逸しちゃ駄目」 恵は澪の顎に手を添え、更に掌を近付ける。 澪「ひっ……」 思わず身を引こうとした澪だが、がっちりと顎を掴まれてそれもままならない。 恵「闘気とは身体を流れる生命エネルギー。車でいうガソリンのようなものなの」 そっと手を離し、恵は続ける。 恵「つまり闘気自体は誰にでもある。でもそれを自在にコントロールするには才能と強靱な精神が必要なのよね」 澪「…………」 澪は自分の胸に手を添えた。 脈打つ心臓の鼓動が、自分の身体に宿った力を連想させた。 恵「強靱な精神、特にこれが重要なの。闘気はあって当然のものだから、それの存在に気付く事すら難しいんだ。だから……」 恵は一度澪に背を向けた。 そして振り向きざまに神速の抜刀を放つ。 澪の観察眼でも捉えきれないその動きは芸術品の如く洗練されていた。 恵「うふふっ、一回死んじゃったね」 澪「っ……」 ぺろりと舌を出して微笑む恵だが、澪の首に突き付けた模造刀は澪の恐怖心を駆り立てた。 恵「限り無く『死』に近い環境に身を起き、『生』に宿る力を見出だす。今から日付が変わるまでの間、あなたには私の闘気を受け続けてもらうよ」 言い終えて恵は顔つきを険しくした。 その直後に道場全体を澱んだ空気が包む。 大気が震え、窓はかたかたと音を立てている。 澪「うっ……」 澪は思わず目を見開いた。 恵の背後で、煙のようにぼんやりとした姿の獅子が吠えている。 全身に流れる汗の一粒一粒、息遣い、心臓の鼓動。 それら全てを咀嚼するように見つめられている感覚が、澪を恐怖の底へ叩き込んだ。 恵「一秒でも早く逃げたいでしょ? でも、私の『絶対領域』は確実にあなたを強くしてくれるわ」 鬼すら逃げ出す強大な力の絶対領域の中で、澪の孤独な戦いは始まった。 桜高のテニス部部室はひたすらに荒れていた。 床にはビールの缶が散らばっており、煙草の煙が充満している。 「皿が満タンじゃん。吸い殻捨てといてよ」 「でもゴミ箱も溢れかえってんだけどー」 「きゃはははっ、んなもん外に捨てときゃ良いじゃん。今はあのうざったい生徒会長も居ないんだしさ」 部屋の中では数人の生徒が酒盛りをしている。 弱小部であるテニス部は桜高の絶妙な均衡を保っていた和という楔を失い、瞬く間に不良生徒に乗っ取られた。 その結果がこの荒んだ環境である。 「しっかし部長さんのあの時の顔ったら、今思い出してもウケるんですけどー」 派手な化粧をした生徒がけらけらと笑う。 「お願いだから後輩達には手を出さないで下さい! ってね。真っ裸にひん剥かれて何言ってんだっつーの!」 部屋の奥に座っていたきつめの顔立ちの生徒がそう言うと、部室内がどっと沸いた。 「そういやあれから下級生共はどうしたの?」 「あぁあれ? 見てくれが良い奴はオッサンに売っ払ったよ。今頃ヒーヒー言ってんじゃない?」 きつい顔立ちの生徒は財布の中から万札の束を取り出し、首元を扇ぐ。 「さっすがだねぇ! そのお金で呑み行こうよ」 灰皿の処理を任された生徒が部室のドアに手をかけた。その時……。 「え?」 ドアが大きな音を立てて盛大にふき飛んだ。 ドアは部屋の奥の窓にぶち当たり、硝子を打ち砕く。 ドアを開けようとしていた生徒はそれに巻き込まれ、身体のあちこちの骨を砕かれ、倒れ伏す。 部室内は瞬く間に悲鳴で埋め尽くされた。 純「ちわー、三河屋でぇっす」 扉の奥に居たのは純だった。 右手には購買で絶大な人気を誇るゴールデンチョコパンを、左手にはパックのフルーツオレを持っている。 「……アンタ、どこの部だよ。こんな事して五体満足で帰れると思ってんのか?」 きつい顔立ちの生徒が重い腰を上げ、咥えていた煙草を吐き捨てた。 純「…………」 「だんまりかよ。ビビるぐらいならハナッからこんな事すんじゃねーよ!」 派手な化粧をした生徒が純の顔面目掛けて蹴りを放った。 一寸の迷いも無い実直かつ協力な蹴りは、純の顔面に吸い込まれるように綺麗に決まった。 「え……?」 だが純の身体はびくともしない。 それどころかその足を軽く払い、何事も無かったかのようにゴールデンチョコパンを囓る。 純「はぁ……煙草臭いなぁ。あの人いつも一人でこんな仕事やってたのかぁ」 気怠そうな面持ちのままパンを口に咥え、純は蹴りを放ってきた生徒の胸目掛けて掌底を放った。 生徒は咄嗟にそれをガードするが、純の一撃は針の穴を通すように繊細なコントロールでガードを隙間を縫い、胸に突き刺さる。 「ひでぶっ……!」 そのまま部室の壁に叩き付けられた生徒は苦痛に胸を抑え、滝のような汗を流し出した。 純「安静にしてないと死んじゃいますよ。多分今ので心臓おかしくなっちゃってますから」 純はそう言ってゴールデンチョコパンの最後の一欠片を頬張り、フルーツオレで流し込む。 「アンタ早死にしたいの? 私の序列は五十位なんだけど、知ってた?」 部室の奥のきつめの顔立ちの生徒がせせら笑いながら純に問い掛ける。 桜高生徒序列において上位五十位に入っているという事は、一般では例外無く一騎当千の実力を持っている。 その事実に絶対的な自身を持っていての行動だろう。 きつめの顔立ちの生徒は完全に純を格下と見なしていた。 純「五十位かぁ……。そりゃ凄いや」 純は呆れたように溜め息をつき、悠然と部室内に割って入る。 そして序列五十位の生徒の真正面に立った。 純「何が凄いって……」 手に持っていたフルーツオレを生徒の頭上で逆さにする。 液体は重力に逆らわずに盛大にぶち撒けられた。 「なっ……!?」 純「そんな順位で偉そうな態度をとれる事に感心しますよ」 その時純の真後ろで二人の生徒が飛び掛からんとしていた。 純は振り向かずにその二人の頭を掴み、そのまま床に叩き込む。 砕け散ったコンクリートの床から血の噴水がわき出る。 純「ほい。後はあなただけですよ、どうするんですか?」 「う、嘘でしょ……? アンタまさか……トップランカー!?」 きつめの顔立ちの生徒は純を掻い潜って逃げようにも、腰が竦んで動けなかった。 純「私が何位だろうと関係無いじゃないですか。私はあなたより強い、それだけですよ」 純はがくがくと身を震わせる生徒の髪の毛を掴み上げ、顔面に重い突きを捩じ込んだ。 純「まぁ力に数字をつける下らない思考のあなたじゃあ、私の次元に辿り着くのは無理ですよねー」 へらへら笑いながら機械のように生徒の顔面に拳を捩じ込む。 その度に血が吹き出て、純の手が真っ赤に染まる。 純「痛いですか? その顔じゃあもう整形しても戻らないでしょうね。でもあなたに売られた子達はもっと痛かったんですよ?」 骨が砕け、顔の皮膚を突き破って肉が露出しても純は殴るのを止めない。 純「あの中には私のクラスメイトもいたんですよ。許せるわけないですよね。あなたが泣いても殴るのを止めませんよ」 鼻はひしゃげ、肉にめり込んで陥没する。 歯は全てへし折られて唇は別の生き物のように醜く腫れ上がっていた。 既に戦い否、圧倒的暴力は終着している。 純「私が出張った時点であなた達は全員ゲームオーバーなんですよ」 純は何の感慨も無さげにくるりと踵を返す。 そして最後に、誰も反応を示さない狭い部室に向けて呟いた。 純「生徒会執行部副会長『夢幻』鈴木 純。確かに依頼を完遂しましたっと」 9
https://w.atwiki.jp/qanaka/pages/27.html
妙法蓮華経安楽行品第十四 爾の時に文殊師利法王子菩薩摩訶薩、仏に白して言さく、 世尊、是の諸の菩薩は甚だ為れ有り難し。仏に敬順したてまつるが故に大誓願を発す。後の悪世に於て是の法華経を護持し読誦し説かん。世尊、菩薩摩訶薩後の悪世に於て云何してか能く是の経を説かん。 仏、文殊師利に告げたまわく、 若し菩薩摩訶薩後の悪世に於て是の経を説かんと欲せば、当に四法に安住すべし。一には菩薩の行処・親近処に安住して、能く衆生の為に是の経を演説すべし。文殊師利、云何なるをか菩薩摩訶薩の行処と名くる。若し菩薩摩訶薩忍辱の地に住し、柔和善順にして卒暴ならず、心亦驚かず、又復法に於て行ずる所なくして、諸法如実の相を観じ、亦不分別を行ぜざる、是れを菩薩摩訶薩の行処と名く。云何なるをか菩薩摩訶薩の親近処と名くる。菩薩摩訶薩、国王・王子・大臣・官長に親近せざれ。諸の外道・梵志・尼・子等、及び世俗の文筆・讃詠の外書を造る、及び路伽耶陀・逆路伽耶陀の者に親近せざれ。亦諸の有ゆる凶戲の相扠相撲、及び那羅等の種々変現の戲に親近せざれ。又旃陀羅、及び豬羊鶏狗を畜い畋猟漁捕する諸の悪律儀に親近せざれ。是の如き人等或時に来らば、則ち為に法を説いて・望する所なかれ。又声聞を求むる比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷に親近せざれ、亦問訊せざれ。若しは房中に於ても、若しは経行の処、若しは講堂の中に在っても、共に住止せざれ。或時に来らば宜しきに随って法を説いて・求する所なかれ。文殊師利、又菩薩摩訶薩、女人の身に於て能く欲想を生ずる相を取って、為に法を説くべからず、亦見んと楽わざれ。若し他の家に入らんには、小女・処女・寡女等と共に語らざれ。亦復五種不男の人に近づいて以て親厚を為さざれ。独他の家に入らざれ。若し因縁あって独入ることを須いん時には但一心に仏を念ぜよ。若し女人の為に法を説かんには、歯を露わにして笑まざれ、胸臆を現わさざれ。乃至法の為にも猶お親厚せざれ。況や復余の事をや。楽って年小の弟子・沙弥・小兒を畜えざれ。亦与に師を同じゅうすることを楽わざれ。常に坐禅を好んで閑かなる処に在って其の心を修摂せよ。文殊師利、是れを初の親近処と名く。復次に菩薩摩訶薩、一切の法を観ずるに空なり、如実相なり、顛倒せず、動せず、退せず、転せず、虚空の如くにして所有の性なし。一切の語言の道断え、生ぜず、出せず、起せず。名なく相なく、実に所有なし。無量・無辺・無碍・無障なり。但因縁を以て有り、顛倒に従って生ず。故に説く、常に楽って是の如き法相を観ぜよと。是を菩薩摩訶薩の第二の親近処と名く。 爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言く、 若し菩薩あって 後の悪世に於て 無怖畏の心をもって 此の経を説かんと欲せば 行処 及び親近処に入るべし 常に国王 及び国王子 大臣官長 凶険の戲者 及び旃陀羅 外道梵志を離れ 亦 増上慢の人 小乗に貧著する 三蔵の学者に親近せざれ 破戒の比丘 名字の羅漢 及び比丘尼の 戲笑を好む者 深く五欲に著して 現の滅度を求むる 諸の優婆夷に 皆親近することなかれ 是の若き人等 好心を以て来り 菩薩の所に到って 仏道を聞かんとせば 菩薩則ち 無所畏の心を以て ・望を懐かずして 為に法を説け 寡女処女 及び諸の不男に 皆親近して 以て親厚を為すことなかれ 亦 屠兒魁膾 畋猟漁捕 利の為に殺害するに親近することなかれ 肉を販って自活し 女色を衒売 是の如きの人に 皆親近することなかれ 凶険の相撲 種々の嬉戲 諸の淫女等に 尽く親近することなかれ 独屏処にして 女の為に法を説くことなかれ 若し法を説かん時には 戲笑すること得ることなかれ 里に入って乞食せんには 一りの比丘を将いよ 若し比丘なくんば 一心に仏を念ぜよ 是れ則ち名けて 行処近処とす 此の二処を以て 能く安楽に説け 又復 上中下の法 有為無為 実不実の法を行ぜざれ 亦 是れ男是れ女と分別せざれ 諸法を得ず 知らず見ず 是れ則ち名けて 菩薩の行処とす 一切の諸法は 空にして所有なし 常住あることなく 亦起滅なし 是れを智者の 所親近処と名く 顛倒して 諸法は有なり無なり 是れ実なり非実なり 是れ生なり非生なりと分別す 閑かなる処に在って 其の心を修摂し 安住して動せざること 須弥山の如くせよ 一切の法を観ずるに 皆所有無し 猶お虚空の如し 堅固なることあることなし 不生なり不出なり 不動なり不退なり 常住にして一相なり 是れを近処と名く 若し比丘あって 我が滅後に於て 是の行処 及び親近処に入って 斯の経を説かん時には 怯弱あることなけん 菩薩時あって 静室に入り 正憶念を以て 義に随って法を観じ 禅定より起って 諸の国王 王子臣民 婆羅門等の為に 開化して演暢して 斯の経典を説かば 其の心安穏にして 怯弱あることなけん 文殊師利 是れ菩薩の 初の法に安住して 能く後の世に於て 法華経を説くと名く 又文殊師利、如来の滅後に末法の中に於て是の経を説かんと欲せば、安楽行に住すべし。若しは口に宣説し若しは経を読まん時、楽って人及び経典の過を説かざれ。亦諸余の法師を軽慢せざれ。他人の好悪長短を説かざれ。声聞の人に於て亦名を称して其の過悪を説かざれ。亦名を称して其の美きを讃歎せざれ。又亦怨嫌の心を生ぜざれ。善く是の如き安楽の心を修するが故に、諸の聴くことあらん者其の意に逆わじ。難問する所あらば小乗の法を以て答えざれ。但大乗を以て為に解説して一切種智を得せしめよ。 爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、 菩薩常に楽って 安穏に法を説け 清浄の地に於て 牀座を施し 油を以て身に塗り 塵穢を澡浴し 新浄の衣を著 内外倶に浄くして 法座に安処して 問に随って為に説け 若し比丘 及び比丘尼 諸の優婆塞 及び優婆夷 国王王子 群臣士民あらば 微妙の義を以て 和顔にして為に説け 若し難問することあらば 義に随って答えよ 因縁譬喩をもって 敷演し分別せよ 是の方便を以て 皆発心せしめ 漸漸に増益して 仏道に入らしめよ 嬾惰の意 及び懈怠の想を除き 諸の憂悩を離れて 慈心をもって法を説け 昼夜常に 無上道の教を説け 諸の因縁 無量の譬喩を以て 衆生に開示して 咸く歓喜せしめよ 衣服臥具 飲食医薬 而も其の中に於て ・望する所なかれ 但一心に 説法の因縁を念じ 仏道を成じて 衆をして亦爾ならしめんと願うべし 是れ則ち大利 安楽の供養なり 我が滅度の後に 若し比丘あって 能く斯の 妙法華経を演説せば 心に嫉恚 諸悩障碍なく 亦憂愁 及び罵詈する者なく 又怖畏し 刀杖を加えらるる等なく 亦擯出せらるることなけん 忍に安住するが故に 智者是の如く 善く其の心を修せば 能く安楽に住すること 我が上に説くが如くならん 其の人の功徳は 千万億劫に 算数譬喩をもって 説くとも尽くすこと能わじ 又文殊師利、菩薩摩訶薩後の末世の法滅せんと欲せん時に於て斯の経典を受持し読誦せん者は、嫉妬・諂誑の心を懐くことなかれ。亦仏道を学する者を軽罵し、其の長短を求むることなかれ。若し比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の声聞を求むる者・辟支仏を求むる者・菩薩の道を求むる者、之を悩まし其れをして疑悔せしめて、其の人に語って汝等道を去ること甚だ遠し、終に一切種智を得ること能わじ。 所以は何ん、汝は是れ放逸の人なり、道に於て懈怠なるが故にと言うこと得ることなかれ。又亦諸法を戲論して諍競する所あるべからず。当に一切衆生に於て大悲の想を起し、諸の如来に於て慈父の想を起し、諸の菩薩に於て大師の想を起すべし。十方の諸の大菩薩に於て常に深心に恭敬・礼拝すべし。一切衆生に於て平等に法を説け。法に順ずるを以ての故に多くもせず少くもせざれ。乃至深く法を愛せん者にも亦為に多く説かざれ。文殊師利、是の菩薩摩訶薩後の末世の法滅せんと欲せん時に於て、是の第三の安楽行を成就することあらん者は、是の法を説かん時能く悩乱するものなけん。好き同学の共に是の経を読誦するを得、亦大衆の而も来って聴受し、聴き已って能く持ち、持ち已って能く誦し、誦し已って能く説き、説き已って能く書き、若しは人をしても書かしめ、経巻を供養し、恭敬・尊重・讃歎するを得ん。 爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、 若し是の経を説かんと欲せば 当に嫉恚慢 諂誑邪偽の心を捨てて 常に質直の行を修すべし 人を軽蔑せず 亦法を戲論せざれ 他をして疑悔せしめて 汝は仏を得じと云わざれ 是の仏子法を説かんには 常に柔和にして能く忍び 一切を慈悲して 懈怠の心を生ぜざれ 十方の大菩薩 衆を愍むが故に道を行ずるに 恭敬の心を生ずべし 是れ則ち我が大師なりと 諸仏世尊に於て 無上の父の想を生じ ・慢の心を破して 法を説くに障碍なからしめよ 第三の法是の如し 智者守護すべし 一心に安楽に行ぜば 無量の衆に敬われん 又文殊師利、菩薩摩訶薩後の末世の法滅せんと欲せん時に於て法華経を受持することあらん者は、在家・出家の人の中に於て大慈の心を生じ、菩薩に非る人の中に於て大悲の心を生じて、是の念を作すべし、是の如きの人は則ち為れ大に如来の方便随宜の説法を失えり。聞かず知らず覚らず、問わず信ぜず解せず。其の人是の経を問わず信ぜず解せずと雖も、我阿耨多羅三藐三菩提を得ん時、随って何れの地に在っても、神通力・智慧力を以て、之を引いて是の法の中に住することを得せしめん。 文殊師利、是の菩薩摩訶薩如来の滅後に於て此の第四の法を成就することあらん者は、是の法を説かん時、過失あることなけん。常に比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷・国王・王子・大臣・人民・婆羅門・居士等に供養・恭敬・尊重・讃歎せらるることを為ん。虚空の諸天、法を聴かんが為の故に亦常に随侍せん。若し聚落・城邑・空閑・林中に在らんとき、人あり来って難問せんと欲せば、諸天昼夜に常に法の為の故に而も之を衛護し、能く聴者をして皆歓喜することを得せしめん。 所以は何ん、此の経は是れ一切の過去・未来・現在の諸仏の神力をもって護りたもう所なるが故に。 文殊師利、是の法華経は無量の国の中に於て、乃至名字をも聞くことを得べからず。何に況や見ることを得受持し読誦せんをや。文殊師利、譬えば強力の転輪聖王の、威勢を以て諸国を降伏せんと欲せんに、而も諸の小王其の命に順わざらん。時に転輪王種々の兵を起して往いて討伐するに、王、兵衆の戦うに功ある者を見て即ち大に歓喜し、功に随って賞賜し、或は田宅・聚落・城邑を与え、或は衣服・厳身の具を与え、或は種々の珍宝を金・銀・瑠璃・・・・碼碯・珊瑚・琥珀・象馬・車乗・奴婢・人民を与う。唯髻中の明珠のみを以て之を与えず。所以は何ん、独王の頂上に此の一つの珠あり。若し以て之を与えば、王の諸の眷属必ず大に驚き怪まんが如く、文殊師利、如来も亦復是の如し。禅定・智慧の力を以て法の国土を得て三界に王たり。而るを諸の魔王肯て順伏せず。如来の賢聖の諸将之と共に戦うに、其の功ある者には心亦歓喜して、四衆の中に於て為に諸経を説いて其の心をして悦ばしめ、賜うに禅定・解脱・無漏根・力の諸法の財を以てし、又復涅槃の城を賜与して、滅度を得たりと言って其の心を引導して皆歓喜せしむ。而も為に是の法華経を説かず。文殊師利、転輪王の諸の兵衆の大功ある者を見ては心甚だ歓喜して、此の難信の珠の久しく髻中に在って妄りに人に与えざるを以て、今之を与えんが如く、如来も亦復是の如し。三界の中に於て大法王たり。法を以て一切衆生を教化す。賢聖の軍五陰魔・煩悩魔・死魔と共に戦うに大功勲有って、三毒を滅し、三界を出でて魔網を破するを見ては、爾の時に如来亦大に歓喜して、此の法華経の能く衆生をして一切智に至らしめ、一切世間に怨多くして信じ難く、先に未だ説かざる所なるを而も今之を説く。文殊師利、此の法華経は是れ諸の如来の第一の説、諸説の中に於て最も為れ甚深なり。末後に賜与すること、彼の強力の王の久しく護れる明珠を、今乃ち之を与うるが如し。文殊師利、此の法華経は諸仏如来の秘密の蔵なり。諸経の中に於て最も其の上にあり。長夜に守護して妄りに宣説せざるを、始めて今日に於て乃ち汝等がために而も之を敷演す。 爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、 常に忍辱を行じ 一切を哀愍して 乃ち能く 仏の讃めたもう所の経を演説す 後の末世の時に 此の経を持たん者は 家と出家と 及び非菩薩とに於て 慈悲を生ずべし 斯れ等 是の経を聞かず信ぜず 則ち為れ大に失えり 我仏道を得て 諸の方便を以て 為に此の法を説いて 其の中に住せしめん 譬えば強力の 転輪の王 兵の戦う功あるに 諸物の 象馬車乗 厳身の具 及び諸の田宅 聚落城邑を賞賜し 或は衣服 種々の珍宝 奴婢財物を与え 歓喜して賜与す 如し勇健にして 能く難事を為すことあるには 王髻中の 明珠を解いて之を賜わんが如く 如来も亦爾なり 為れ諸法の王 忍辱の大力 智慧の法蔵あり 大慈悲を以て 法の如く世を化す 一切の人の 諸の苦悩を受け 解脱を欲求して 諸の魔と戦うを見て 是の衆生の為に 種々の法を説き 大方便を以て 此の諸経を説く 既に衆生 其の力を得已んぬと知っては 末後に乃ち為に 是の法華を説くこと 王髻の 明珠を解いて之を与えんが如し 此の経は為れ尊 衆経の中の上なり 我常に守護して 妄りに開示せず 今正しく是れ時なり 汝等が為に説く 我が滅度の後に 仏道を求めん者 安穏にして 斯の経を演説することを得んと欲せば 応当に 是の如き四法に親近すべし 是の経を読まん者は 常に憂悩なく 又病痛なく 顔色鮮白ならん 貧窮 卑賎醜陋に生れじ 衆生見んと楽うこと 賢聖を慕うが如くならん 天の諸の童子 以て給使を為さん 刀杖も加えず 毒も害すること能わじ 若し人悪み罵らば 口則ち閉塞せん 遊行するに畏れなきこと 師子王の如く 智慧の光明 日の照すが如くならん 若し夢の中に於ても 但妙なる事を見ん 諸の如来の 師子座に坐して 諸の比丘衆に 圍繞せられて説法したもうを見ん 又龍神 阿修羅等 数恒沙の如くにして 恭敬合掌し 自ら其の身を見るに 而も為に法を説くこと見ん 又諸仏の 身相金色にして 無量の光を放って 一切を照し 梵音声を以て 諸法を演説し 仏四衆の為に 無上の法を説きたもう 身を見るに中に処して 合掌して仏を讃じ 法を聞き歓喜して 供養を為し 陀羅尼を得 不退智を証す 仏其の心 深く仏道に入れりと知しめして 即ち為に 最正覚を成ずることを授記して 汝善男子 当に来世に於て 無量智の 仏の大道を得て 国土厳浄にして 広大なること比なく 亦四衆あり 合掌して法を聴くべしとのたもうを見ん 又自身 山林の中に在って 善法を修習し 諸の実相を証し 深く禅定に入って 十方の仏を見たてまつると見ん 諸仏の身金色にして 百福の相荘厳したもう 法を聞いて人の為に説く 常に是の好き夢あらん 又夢むらく国王と作って 宮殿眷属 及び上妙の五欲を捨てて 道場に行詣し 菩提樹下にあって 師子座に処し 道を求むること七日過ぎて 諸仏の智を得 無上道を成じ已り 起って法輪を転じ 四衆の為に法と説くこと 千万億劫を経 無漏の妙法を説き 無量の衆生を度して 後に当に涅槃を入ること 煙尽きて燈の滅ゆるが如し 若し後の悪世の中に 是の第一の法を説かば 是の人大利を得んこと 上の諸の功徳の如くならん
https://w.atwiki.jp/shinatuki/pages/338.html
あの後結局やることがなく、得た能力をどんな風に使えばいいのかチェックして時間を潰した。 そして朝食も済ませ、ディアボロは亀の中に戻ってきた。 「(さて、今日はどこに行ってみようか?)」 紫をヘブンズ・ドアーで本にしたときに書かれていた内容を思い出す。 「(迷わず戻ってこれることを考えると、俺が行けるのは限られてくるな……)」 ディアボロは少し考え、そして決めた。 「(少し危険だが、地底に向かってみよう)」 ディアボロがそう思っていたそのとき。突然亀の中に誰かがやってきた。 その者は何が起きたのか分からず周囲を見渡すが、ディアボロを見つけると目を輝かせた。 ディアボロはそれを気にも留めず、その者の容姿を見る。 今まで見たことも無い少女。黄緑色の髪に、髪とほぼ同じ色の目をしているが、身体の何処から出ているのか分からない青い紐のようなもので繋がっている目のようなものが、彼女が人間ではないことを教えている。 その目は閉ざされているが、ディアボロはその目の正体を知っていた。 「(あの目は……確か『見た者の心を読む』目。だが、何故閉ざされているんだ……?)」 ディアボロが考えていると、少女はディアボロに話しかけてきた。 「やっと会えた!」 子供が欲しかった物を手に入れたときと同じ反応で話す少女。 ディアボロは冷静にソファーに座り、少女を見る。 「……名前は?」 名前さえ分かれば、『あの時』の記憶を思い出すことで正体が殆ど分かる。ディアボロはそれを分かっている。 「私は古明地(こめいじ) こいし。貴方を探しに幻想郷を飛び回っていたのよ」 その名を聞き、ディアボロは思い出そうとする。 「(こいし……駄目だ。あまり分からない。『心を読めないこと』と『地霊殿に住んでいること』、そして『姉が居ること』は分かっているが……)」 思わず自分の顔に手を当てそうになるが、それを自制してこいしとの会話をする。 「……どうしたの?」 「いや、なんでもない。それより、どうやって誰にも気づかれずにやってきたんだ?」 他人の記憶から探りだせないのなら直接聞き出すまで。そう判断したディアボロは、こいしに質問をする。 「『無意識』を操ってきたの」 「(……なるほど、こいつは自分の存在を『意識されなくなる』ことができるわけか)」 こいしの一言にディアボロは納得した。確かに自分の存在を『意識される』ことがなければ、簡単にここまで来ることができる。 「わかった。次の質問に移ろう」 こいしの能力を聞き出せたディアボロは、次の質問をする。 「何の為に俺に会いにきた?俺の姿を見たいからという単純なことじゃないはずだ」 ディアボロの質問にこいしは嬉しそうに答える。 「貴方を地霊殿に案内しに来たの。だって、貴方とても強いって聞いているし」 「地霊殿?どんなところだ?」 名前も知っているし、地霊殿がどんなところかも紫の記憶を見て分かっている。 だが、不自然に思われないためにどんなところなのかをこいしに尋ねる。 「行ってみてからのお楽しみ♪」 無邪気に返事をするこいし。 ディアボロは少し困りながらも次の質問をする。 「4つ目の質問だ。俺の存在を知ったのはどのくらい前だ?」 こいしは少し考えて返事をする。 「つい最近。天狗が話しているのを聞いたの」 「(意外だな。地底にはまだ俺の存在が知られていないようだ。情報の交流があまりないということか)」 ディアボロは内心驚きながら、こいしの話を聞く。 こいしによれば、天狗の会話を聞いた後、ディアボロについて天狗の集落で調べたようだ。 その後、何度か会おうとしたものの、ディアボロが亀の中にいたり(どうやらこいしには『亀の中に居る』と思わなかったようだ)、どこかに出かけていたりしていたため、こいしはディアボロに会うことができなかった。 しかし、先ほど偶然にもディアボロが亀の中に入る瞬間を目撃したため、後を追って亀の中に入ったようだ。 「なるほど、お前がここにきた理由はわかった」 ディアボロは腕を組んでこいしを見る。 「それじゃあ、地霊殿に来てくれるの?」 こいしは期待を込めてディアボロに尋ねる。 「ああ。一度地底に行ってみたかったからな」 そう言ってディアボロはソファーから立ち上がり、亀の中からでる。こいしもその後を嬉しそうに後をついていく。 「ここが地底の入り口か」 ディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュで浮遊した状態で、周囲を見渡しながらこいしに尋ねる。 「そのとおり。……気をつけて。私の能力で今貴方は『意識されていない』けど、帰りはそうはいかないよ」 こいしは返事をし、ディアボロに警告をする。 そして二人は地底へと進みだす。 岩を回避し、妖精に当たらないように進み、妖怪のそばを通り過ぎ。 進んでいくと、地底の都市についた。 「……地底にこんな場所があったとは」 紫の記憶で知っていたとはいえ、驚きを隠せないディアボロ。 そしてふと、ぬえが地底について話してくれたことを思い出す。 「ねぇ、ディアボロ」 「なんだ?」 いつものように亀の中に入ってきたぬえ。 ディアボロの隣に座ると、彼にあることを聞いた。 「もし地底に妖怪が住んでいるっていったら……ディアボロはどう思う?」 ディアボロは少し考える。 地底に妖怪が住んでいることも、地霊殿の存在も知っていたが、あえて知らない振りをして会話をする。 「……居てもおかしくないと思うな」 ディアボロの答えに、ぬえは笑顔で会話を続ける。 「私はかつて地底に居たことがあるの」 「…………」 その言葉にディアボロは無言になってしまう。 どうやらぬえはびっくりして無言になったと思ったのだろう。さらに話し続ける。 地底には強力な力を持った妖怪が沢山居ること 『鬼』と呼ばれる妖怪が地底に居ること。 色々なことを話してくれた。 笑顔で話すぬえを見て、何故かドッピオのことを思い出した事も覚えている。 何で思い出したのかは分からないが……。 「(ドッピオは今……どうしているんだろうか……)」 ディアボロは少し考え、「(わかるはずがないな……)」と考えるのをやめる。 そして、こいしに話しかける。 「ここがどんなところなのかは大体知っている。俺の知り合いが教えてくれた」 「だったら、説明は不要ね」 ディアボロの言葉にこいしは納得し、二人は地霊殿に飛ぶ。 旧都から地霊殿に移動するのに、さほど時間はかからなかった。 「ここか」 ディアボロは地霊殿の扉を開き、中に入る。こいしも後からついていく。 「(……今のところ、誰の気配も感じないな)」 そう思いながら地霊殿を歩いていくディアボロ。そしてその後を低空飛行しながら追いかけるこいし。 「(静かだな……)」 ディアボロはスケアリーモンスターズを発動させ、聴覚と嗅覚を強化し、移動を再会する。 「こいし、お前のところはいつもこんな感じ……ん?」 ディアボロがこいしに質問をしようとしたとき、彼は何かの『におい』に気がついた。 「(このにおいは……動物の……犬や猫のにおいか?他にも嗅いだことの無いにおいもする)」 「どうしたの?」 こいしは、ディアボロが途中で台詞を言うのをやめたことに疑問を感じて、彼に質問をする。 すると、ディアボロは振り向いてこいしを見ると、逆に質問をした。 「こいし、お前のところでは犬や猫か何か飼っているのか?」 「うん。猫や鴉や……」 「……ああ、猫みたいな奴は居るな。向こうに見える」 こいしのセリフを遮るように喋るディアボロ。 こいしは不思議そうにディアボロが見ている方向を見ると、猫が向こうからやってきた。 いや、よく見ると普通の猫ではない。人に近い姿をしており、周囲には何か人魂のようなものがいる。 その人型の猫はディアボロとこいしに気づくと、二人に近寄ってきた。 警戒するディアボロ。そしてディアボロはその『猫』に質問をする。 「誰だ?」 「それはこっちが聞きたいんだけどなぁ……」 その『猫』はディアボロの質問に呆れる。対するディアボロは警戒を解かない。 「私はお燐。おじさん、こんなところまでこいし様を連れ帰してきてくれたのかい?」 「こいしに興味を持たれた、と言うのが正しいな」 そう言いながらディアボロはスケアリーモンスターズの能力を解除するが、警戒を解かない。 ディアボロは一枚のDISCをケースから取り出し、装備していたスケアリーモンスターズのDISCと交換する。 「そう!彼、とっても強いらしいよ!」 そう言って無邪気に話すこいしの言葉に反応するかのように、ディアボロの警戒心がさらに強まる。 「へぇ、それは楽しみだねぇ」 お燐の言葉に、ディアボロの警戒心が益々強くなっていく。 「せっかくこいし様に気に入られたんだ、一緒に暮らさないかい?そうだ、『怨霊になれば』こいし様とずっと一緒に居られるよ?」 今のセリフにコメントをするなら、『一言余計だった』だろう。 お燐に取っては冗談交じりだったのかも知れないが、ディアボロからすれば『宣戦布告』と思われてもおかしくない。 「……躾のなっていない猫だ」 ディアボロがそういった直後、彼の雰囲気が一変した。 その突然の変化に、こいしは驚きながらディアボロから離れる。 「こいし。ペットの躾ぐらいきちんとやっておけ。でないと……」 ディアボロがそう言った直後、突然こいしとお燐の目の前からディアボロが消えた。 キング・クリムゾンで時間を消し飛ばしたのだ。 「来客に失礼だ」 自分の背後から声が聞こえたことに嫌な予感を感じたお燐は、とっさに前にジャンプして振り返る。 その判断は正しかった。ディアボロが彼女の背後にいたのだ。 「お前はどうやら俺を殺してその死体をどこかに運びたいらしいが……」 紫の記憶にあった、お燐が霊夢と会話していたときのことを思い出す。 それによるとどうやらお燐は、死体をどこかに運ぶ役割をしているらしい。 ちなみにディアボロが魔理沙を本にしたとき、すぐに命令を書いたために全然本の内容を見ていない。 あの時読んでおくんだったとディアボロは心の中で軽く後悔する。 が、ディアボロはそれを口も表情にも出さずに会話を続ける。 「お前が俺の死体を運ぶことはない」 「おじさん、大した自信だねぇ」 ディアボロの発言に関心を持つお燐。 ディアボロが『死ねない』のをお燐は知らない。だから、お燐はディアボロの発言が『自分の強さに自信があるから』だと思っているようだ。 「だとしたら楽しみだねぇ。おじさんの死体でどれだけ車が重くなるのか!」 お燐はそのセリフの直後、弾幕をディアボロ目掛けて撃つ。 ディアボロはその弾幕をかわすと、反撃するためにウェザーリポートの能力で自分の周囲に雷雲を発生させた。
https://w.atwiki.jp/shinatuki/pages/415.html
氷柱と弾幕が激しくぶつかり合う。 相手は氷柱を回避しつつ弾幕を撃ち、ディアボロは氷柱にぶつからずにこちらにきた弾幕をホワイトスネイクに防御させる。 激しい打ち合いが続くが、ディアボロは高熱を出している。 首筋を冷やすことで強引に抑え込んでいるが、このまま拗らせるとどんな症状が起こるかわからない。 「(確かこの高熱の原因は感染症の類だったはずだ。原因となる菌だけを殺せばまともに闘える)」 ディアボロはメタリカで相手に迫る様に天井から壁を出現させる。 それを見た相手は、壁から逃れるために距離を取りだす。 さらにディアボロに最も近い壁が地面の近くまでせりだしてシャッター代わりになる。 そしてすぐにホワイトスネイクにDISCを作らせて挿入する。 ディアボロが危惧したのは、『高熱』よりも『拗(こじ)らせた場合に起こる症状』。 『退治しても治らない』可能性があるなら、早めに治療したほうが圧倒的にマシである。 「(こいつが別の症状を引き起こすことができなければこれで大丈夫だな)」 ホワイトスネイクのDISCを取り出し、代わりにストレイ・キャットのDISCを装備する。 その後一斉に壁を地中に戻し、ストレイ・キャットで空気を壁代わりに形成して相手への接近を試みる。 それを見た相手は弾幕を撃つが、その全てが空気に阻まれる。 この空気の壁、打撃にはかなり強い。キラークイーンの踏みつけやクレイジー・ダイヤモンドのラッシュを容易に凌げる耐久力がある。 だがそのかわりに斬撃には弱い。仗助がクレイジー・ダイヤモンドを使って水圧カッターのように飛ばした血で切断された前例がある。 キラークイーンも一緒に使えば空気弾を爆弾化できるが、こんな縦に狭いところで使ったら何が起こるかわからない為、今回は使われないだろう。 「……え?」 相手は空気の壁に邪魔されて弾幕が全然ディアボロに当たらないのを目撃するが、今まで見たこともない出来事にしばし呆然としてしまう。 この空気の壁、一見すると壁のある場所が『ただ歪んでいるだけ』にしか見えないため、なおさら理解するのが困難だ。 そしてその隙をついて、ディアボロは空気弾を撃つために狙いを定める。 たかが空気の塊と侮ってはいけない。 人間の女性の右足の爪を引きちぎり、上半身に当たってしまえば血を流して失神させてしまうぐらいの破壊力はある。 狙いを定めたディアボロは、空気弾を壁の向こうから次々と発射する。 『何か撃ってきた』のが分かった相手も弾幕を撃つが、先ほどの氷柱と違って弾幕にぶつかっても簡単は撃墜できない。銃弾のように『抉る』攻撃ではないからだ。 衝撃で軌道を逸らすぐらいはできるだろうが、空気弾そのものを破壊することができない。 更に空気の壁が弾幕を防ぐため、仮に弾幕が空気弾に当たらずにディアボロのほうに向かったとしても、空気の壁に防がれてディアボロがダメージを受けることがない。 つまり……この勝負、相手が弾幕を撃ち続けている限り、相手に一切の勝ち目はないのだ。 相手もそれに気づいたのだろうか。弾幕を撃つのをやめ、ディアボロに接近してくる。 接近戦はディアボロも望むところなので、あえて遠ざけようとはしない。 「こい」 ディアボロはただその言葉だけを発すると、再び空気弾の狙いを定める。 その間に相手の蹴りが空気の壁に命中したのはいいが、その程度では空気の壁を破ることはできない。 それを理解した相手は空気の壁を蹴って、再び天井の近くに戻る。 ディアボロは再び空気弾を発射する。しかし、相手は天井を蹴ってディアボロに接近しつつ(ディアボロから見て)左に移動して空気弾を避ける。 ディアボロが二発目の空気弾の発射体勢に入った瞬間、相手はディアボロめがけてとびかかり、なんと空気の壁に噛みついたのだ。 流石にそれはディアボロにとっては予想外だったが、取り乱すことなく狙いを定める。 しかし、空気の壁は噛み千切られたことにより穴の開いたタイヤのように空気が抜けて萎んでいく。 相手は空気の壁から離れて天井に戻ろうとするが、その瞬間にディアボロが相手めがけて接近してくる。 いや、正確には『何かに引き寄せられているかのように』相手に接近している。しかも空気弾をいつでも発射できる態勢に入っている。 それを見た相手は後ろに下がるが、ディアボロは軌道を変えて相手への接近を続ける。 明らかにおかしい。今のディアボロはジャンピン・ジャック・フラッシュのDISCを装備していないし、仮に装備していたとしても、こんな飛び方はしない。 メタリカで自分を相手に引き寄せていると考えるのが自然だろう。 相手は後ろに下がりながら弾幕を撃つことで離れさせようとするが、その瞬間背中に何か当たったのが感触でわかった。 咄嗟に横に移動しようととするが、左右を空気の壁でふさがれて回避できない。 この状態からして、相手の背中に当たったのも空気の壁だろう。 そのまま(弾幕をくらいながら)距離を詰めながら狙いを定め、腕を伸ばせば相手をつかめるぐらいの距離になった瞬間、空気弾を発射する。 回避と防御が不可能の状態に加え、(あるのかどうかは不明だが)距離による威力の減少は一切ない。 その状態で空気弾をくらったのだから、吐血こそしなかったものの相手はかなり怯んでしまう。 ディアボロはストレイ・キャットの能力を解除してマジシャンズ・レッドを出し、相手は咄嗟に距離を取る。 「……」 ディアボロは無言で相手をにらみ続けながら、装備しているDISCを変える。 マジシャンズ・レッドから…スケアリーモンスターズへと。 そして、迷うことなくスケアリーモンスターズのスタンド能力を発動させる。 スケアリーモンスターズのスタンド能力によって、ディアボロの爪は伸びると同時に鋭利になり、身体能力が向上する。 「……」 顔にヒビが入り、口がある程度裂け、歯は鋭い牙のようになり、爪が伸びて鋭利になっている。 「……」 その『異様』という言葉が似合う姿を見て相手は絶句していた。 初めて会ったときに自分を『人間』だと言っていた男の肉体が、『いきなり変化した』のだから驚くのも当然であろう。 「……えーっと……」 どうすればいいのかわからないらしく、戸惑っている。 だが、ディアボロが無言でこちらめがけて走ってきたのを見て応戦せざるをえなくなる。 ディアボロが右手を相手に突き出す。右手の爪で相手を刺すつもりだ。 相手は咄嗟に(相手から見て)右に回避してディアボロの側面に回り込んで蹴りを入れようとするが、空気の壁で妨害される。 更にディアボロは右手の爪で左上方向へと引っ掻き、相手は咄嗟に後ろにジャンプして回避する。 ディアボロも相手に飛びかかって左手の爪を右下の方向に振り下ろすが、相手はまた後ろにジャンプして避ける。 しかし、ディアボロは相手に走って接近しながら連続で左右の手を交互に相手に突き出す。 普通ならまったく意味のない行為だが、スケアリーモンスターズの能力で手の爪が鋭利になっている今、例えるなら両手に短い刃物を持って刺そうとしているようなもの。 しかも身体能力が強化されているせいで、左右の手を交互に突き出すスピードも上がっている。 「(さっきと闘い方がまったく違う…!)」 相手はひたすら後ろに下がって回避するが、その途中でディアボロが仕掛けた空気の壁に背中がぶつかって下がれなくなってしまう。 そこにディアボロの右足による回し蹴りが襲い掛かるが、相手はディアボロの右足を掴んで踏ん張る。 だがディアボロは氷の槍を作って右手で持ち、自分の右足を掴んでいる相手の右腕の付け根に狙いを定める。 相手が慌てて手を放した瞬間、ディアボロは左足だけでジャンプして氷の槍を投擲した。 それを相手は(相手から見て)左に小さくジャンプして回避すると、弾幕を撃ちながら浮遊して距離を取る。 ディアボロは空気の壁で弾幕を防ぎながら、装備しているホルス神とケース内のDISCを入れ替える。 そのまま右手の人差指で相手を指さすが、それがまるで相手を狙っているようにも見えなくない。 ……次の瞬間、人差指の爪が指から剥がれて円盤状に変形し、高速回転を始めた。 さらに両手首には小さな星型マーク、手の甲には甲虫の背中と思われるもの、その周囲には4本の小さな骨に類似したスタンド像が姿を現している。 タスク……ジョニィ・ジョースターのスタンド能力で、『悪魔の手のひら』と呼ばれる特殊な場所で自身の左腕に『聖人の左腕』が憑りついたことで発現したスタンドだ。 爪を高速回転させ、それを弾丸のように発射できる。しかも発射した直後に爪は再生するため、弾数は事実上無限である。 最初は爪で対象を切りつけた際に切断する力を伝導させたり爪の遠隔操作ができたが、いつの間にやら爪を発射する能力に変わっていた。 やがてはここからさらに進化を遂げ、Act4と呼称された最終進化形態の状態で撃った爪弾に被弾した場合、『体の細胞一つ一つが回転する』という異常事態を引き起こす。 しかもその後色々あって運悪くAct4の爪弾をくらった女性は、瞬時に粉々になって異次元に消失してしまった。 さらに、空間にできた『光』にある隙間を『こじ開けたり』、『止まった時の中を動こうとしたり』と尋常じゃない進化を遂げている。 だが今のディアボロはAct4の存在を未だ知らないし、『黄金の回転』も彼にはできないため、Act2以上の進化は見込めない。 いつの間にか、右手の人差指だけでなく両手の全ての爪が回転を始めている。 爪の回転に気づいた相手はディアボロが右手の人差指で自分を指さしている理由に気づいて咄嗟に(相手から見て)右に移動する。 その直後、ディアボロは右手の人差指の爪を相手に対して発射した! 放たれた爪弾は空気の壁をたやすく貫通し、相手の脇腹を掠る。 その一撃を受けた相手は、反撃といわんばかりに弾幕を撃ちだす。 いくら爪が鋭利になったといえども、爪弾の威力自体にはあまり変化はないようだ。 だが爪弾も弾数は無限だ。連射しながらどんどん相手に接近していく。 相手も爪弾を弾き落とすために弾幕を撃ち続けるが、少しずつ後退していっている。 ディアボロもタスクの射程距離から出させないために接近していく。 しかし、相手は手から放つ爪弾に気を取られて、あることに気づいていなかった。 そう、この状態のタスク(Act1)は…… 足からも撃てる。 両手足の爪の数の合計は20。 つまり、最大で同時に20発も同時に発射できるのだ。 だがそれでは正確に狙えないため、やるとしても片側の手足の爪全てを一度に撃つぐらいだろう。 相手が手から放つ爪弾に気を取られている隙に、ディアボロは足の爪も発射態勢に入らせていた。 右足を見やすいように前に出して、右足の親指をさりげなく相手の左足と直線上になるように位置を調整し、足から爪弾を発射する。 相手はそれに気づけずに左足首に被弾してしまう。 「…ッ!?」 痛みを堪えたものの、その直後に相手が見たのは、両手の爪をタイヤ代わりにして自分に接近してくるディアボロの姿だった。 相手は浮遊することで左足首の損傷による歩行速度の低下を無視できる状態にする。 だがディアボロが相手に接近するスピードは、先ほど走って接近してきた時よりも速い。 更に距離を取ってもタスクで攻撃できるようになったため、もはや遠距離戦も有利とはいえない。 浮遊して距離を取ろうとする相手と、タスクの能力を使って接近するディアボロ。 相手は全速力でディアボロの上を通ってディアボロの背後を取り、ディアボロは両手の爪の回転を止めてスピードを落とす。 だが『徐々にスピードを落とす』のではなく『急に回転を止めた』ため、慣性の法則で前のめりに転んでしまう。 しかし、『前のめりに倒れる』ということは『自分の後ろを見られる』ということ。 前のめりのまま相手の位置とこいしが視界に入っていないことを確認したディアボロは、狙いを定めて両手の人差指の爪を発射する。 相手は爪弾が発射されたのに気付くも、時すでに遅し。予想外の二撃は相手の腹部に命中し、相手は地面に落下する。 ディアボロはそれを確認して起き上がると、爪の回転を維持したまま相手に近づいていく。 「こ……降参!降参だよ!」 これ以上闘ったら殺されるとでも思ったのだろうか。 相手は降参し、それを聞いたディアボロは恐竜化と爪の回転を止める。 「……わかった」 ディアボロはスケアリーモンスターズとタスクのDISCを額から取り出し、そのまま降参した相手に近寄っていく。 「これから爪弾を取り出す。…動くなよ」 ディアボロはケースに先ほどの2枚のDISCを入れ、ダイバー・ダウンとクレイジー・ダイヤモンドを装備してダイバー・ダウンを相手に潜行させる。 『爪弾を摘出しろ、ダイバー・ダウン』 その状態で爪弾を探させ、摘出させるのだ。 「ディアボロが撃ったのって、『爪』だったの?」 こいしはディアボロの側で腹から血を流している相手を観察しながら質問をする。 …といっても、こいしにスタンドは見えないのだが。 「ああ」 ダイバー・ダウンが腹部に撃ち込んだ二発の爪弾を見つけ出し、その二つを腹部の傷から摘出する。 そして再び潜伏すると、今度は左足首から爪弾を一発摘出する。 「これで全部だな」 ディアボロは命中した爪弾を全て摘出したことを確認すると、クレイジー・ダイヤモンドで相手の傷を治す。 「傷は治しておいた」 ディアボロにそう言われて相手は腹部を触って確認する。 彼の言っていることが本当であることを確認すると、自身の血で塗れた爪弾を拾い 「まさか、爪で撃たれる日が来るとはね…」 そう言って爪弾を置いた。 「流石に予想外だったか?」 「まったくだよ……」 ディアボロは軽く笑いながら問いかけ、相手は呆れながら答える。 「そういえば、私が仕掛けた感染症は?」 「殺菌して治した」 「……え?」 相手の問いかけにディアボロはあっさりと答える。 …その予想外の答えに相手は思わず聞き直す。 「殺菌して治した」 「……どうやって?」 「自分の体をいじって」 「……」 相手はディアボロのわけのわからない答えに沈黙してしまう。 だがあの闘いで彼は爪を撃ってきたため、『自分の体を自在に操る程度の能力』の応用だと思って納得したようだ。 「そういうお前はなんで俺に高熱を出させた?」 今度はディアボロが相手に質問をする。 相手を見ながら質問をしたのだが、その眼は相手を睨んでいる。 「あんたを逃がさないためだったんだけど、それが裏目にでたとはね」 「あれさえなければ俺がお前を攻撃する理由はなかったんだがな」 相手はため息をつき、ディアボロは呆れて文句を言う。 確かにあの高熱とその後の相手の発言で、ディアボロは闘わざるを得なくなったのだ。 「地下に落とされた妖怪の力を見せつけるはずだったけど、まさかあんなに圧倒されるなんて思わなかったよ」 相手は知らないが、ディアボロはこの地底でお燐、こいし、さとり、勇儀と4体の妖怪…内一体は鬼と闘って勝利している。 今更土蜘蛛が敵うわけがないのだが、知らないのだから仕方ない。 「だって、ディアボロは私たちや鬼に勝っているんだもんね」 こいしの発言を聞いて、土蜘蛛はびっくりする。 目の前の人間がさとり2体と鬼に勝っていたのを、たった今知ったからだ。 「なるほど、私が敵わないわけね」 だが同時に、相手の強さに納得したようだ。 「さて……そろそろ行くか。いつまでもここで長話しているわけにはいかない」 ディアボロは立ち上がり、風穴の出口の方向を向く。 「そうだね、あんたは人間だからここじゃなくて地上がお似合いよ」 土蜘蛛は座ったままディアボロを見てそう言った。 「…そうだな」 ディアボロは風穴の出口に向かって歩いていき、こいしもその後についていく。 一方の土蜘蛛は、風穴の奥へと進んでいく。 地上に『自らの意思で』生きる『人間』と地下で生きることを『強制された』『妖怪』。 いつしか堂々とお互いが一緒に暮らしていける日が来るのかどうかは、誰にもわからない。 「もうすぐだな」 「そうだね」 ディアボロとこいしは会話をしながら風穴の出口へと進んでいく。 その時、突然上から何か降ってきた。 ……のだが ディアボロの頭にぶつかる直前で空気の壁にぶつかり、さらに空気の壁の中に潜行していたダイバー・ダウンにディアボロの背中側から持ち上げられた。 「………」 桶に気づいたディアボロが動きを止めて無言で上を向くと、桶からこちらを覗く者と目が合った。 ディアボロの後についていっていたこいしも、彼が動きを止めたことを不思議に思う。 「………」 「どうしたの?」 「上から桶が降ってきた。しかもこっちを見ている奴がいる」 ディアボロはこいしの質問に答え、こちらを覗く者と無言で数秒見つめ合った後、黙ったままクレイジー・ダイヤモンドを出す。 そしてクレイジー・ダイヤモンドでダイバー・ダウンから桶を受け取ると、思いっきり風穴の奥目掛けて投げた。 質問の答えを聞いて桶を見ていたこいしは、風穴の奥へと投げ飛ばされていく桶とその中に入っている者を振り向いて見ることしかしなかった。 「よし、行くぞ」 ディアボロはこいしにそう言うと再び出口に向かって歩き始める。 こいしもディアボロの方を向くと、再び後からついていく。 ここまでくれば、出口まであと少しだ。 ……あの釣瓶落としがどうなったかは二人はまったく気にしていない。 だが確実に言えるのは、『ディアボロと闘うことすらなく負けた』ということだけである。 ディアボロとこいしは、とうとう風穴から出た。 地上を照らす太陽の光が、二人の体を照らしている。 「太陽の向きからして……ちょうど昼時か?」 ディアボロは太陽のある位置を見て今の時間帯を推測する。 「こいし、これからお前はどうする?」 「わからないよ。時々私の体は自由が効かなくなるから」 こいしは笑顔でそういっているが、『自分の体を自由に動かせない』というのは相当辛いものだ。 恐らく『無意識を操る程度の能力』の影響だと思われるが、こいし自身はその影響を大して気にもしていないようだ。 「そうか……」 『自分の体の自由が利かない』ことについては、ディアボロも経験がある。 ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの能力を受けて何度も死んでいたとき、必死で体を動かそうとしても動かなかったことがあるからだ。 そのことをそして二人は出会い、会話し、闘い、交流を深めていった。思い出しても表情一つ変えないところを見ると、今の彼は死に続けていたときと比べて精神的にかなり成長していることがわかる。 「まあ、お前なら心配する必要はないだろう」 ディアボロはそう言いながらクレイジー・ダイヤモンドのDISCとジャンピン・ジャック・フラッシュのDISCを入れ替える。 「……お互いに気づかないうちに、またどこかで会うかもな」 「大丈夫だよ。私が気づいたら声をかけてあげるから」 そう言ってこいしはディアボロの側に移動する。 こいしはディアボロに笑顔を向けると宙に浮き、ディアボロもジャンピン・ジャック・フラッシュの能力で宙に浮く。 「俺はこれから命蓮寺に帰る。どこにいったかわからずに心配されているかもしれないからな」 ディアボロはそう言って命蓮寺の方向へと飛び出す。 「私も途中までついていこうかな」 こいしもその後をついていった。 だが、きっといつの間にかいなくなってしまうのだろう。 他人の心を拒絶したこいしが、再び他人の心を受け入れるようになるのはいつなのかは誰にもわからない。 だが、ディアボロとの出会いは彼女が彼のことを『知りたい』と思ったことから始まったのは事実だ。 そして二人は出会い、会話し、闘い、僅かな時間だけとはいえ、交流を深めていった。 彼との出会いが、彼との交流が、たとえ微々たるものでもこいしの『何か』を変えるきっかけになるのかもしれない。
https://w.atwiki.jp/donoron/pages/61.html
順位の決定方法の優先度 ①勝利数 ②ポイント ③直接対決の結果 となっております。 優勝者コメント 次回も参加させて頂く予定なので健闘できるように頑張ります。 ユグドラシル艦隊 ロキ・サーシェス様 運があっただけです。あとジノビさんが最高すぎますw EV艦隊 Funky様 優勝祝いに、これから各自ぼっちおでんを食べようと思います ぼっちこーい艦隊 ☆elekid☆様 艦隊名 勝利数 敗北数 ポイント ユグドラシル 2勝 1敗 609 ぼっちこーい 2勝 1敗 609 EV 2勝 1敗 609 プリン 0勝 3敗 3 ①勝利数 ②ポイント ③直接対決の結果まで同じですので、3艦隊優勝となりました。 表示順は、艦隊の登録順です。 優勝者コメント メジャーリーグを勝つことが出来てうれしく思います。 これで次回のNALはマスターリーグで抜け忍アリタブを討伐することが出来ます。 ~ 次回 みみ.(ESLで大砲4基) VS アリタブ(CLで人装備裸) 内ゲバ勃発! ~ coming soon!! あやしくない艦隊 キグルミマスター様 艦隊名 勝利数 敗北数 ポイント あやしくない 4勝 0敗 818 La fuerza 3勝 1敗 613 あごにすてぃっくぷるーらりずむ 2勝 2敗 413 模擬っ子クラブ 1勝 3敗 206 Zeal 0勝 4敗 0 優勝者コメント 繰り上がりとはいえ優勝とはびっくりしつつも素直にうれしく思います。 次回参加とかはまだ何も決まっていませんが、よろしくお願いします。 ぺろりーぬ艦隊 えーる様 艦隊名 勝利数 敗北数 ポイント Naglfar 4勝 0敗 417 ぺろりーぬ 3勝 1敗 317 開け!ニードレス! 2勝 2敗 210 ^-^ 1勝 3敗 105 野良艦隊 0勝 4敗 1
https://w.atwiki.jp/houseofhero/pages/3176.html
第十四章-第三幕- 真なる危機を理解せし者 第十四章-第二幕- 第十五章-第一幕- ロバートとイノは隔壁のコントロールを掌握すべく、 施設内のコントロールルームへと向かうルートへ切り替え、 聖剣『エンジェルランプ』の治癒能力を当てに、 持久戦へと作戦を切り替えたのであった。 「……そっちに気配は?」 「無さそうね」 小声でひそひそ話をするロバートとイノ。 兎にも角にも立地に関してはここで育ってきたイノの方が詳しい。 「けれど謁見の間にエッセ教皇がいない事も気にかかる。 わざと様子を見て、泳がせているんじゃないかしら」 「……何のためにだよ?」 「私達に呼応して、潜在的な反逆者がいると仮定した場合、 それらを炙り出し、まとめて始末するためにね」 「つくづく悪趣味な野郎だ。心胆から気に食わねぇ」 先ほどの戦闘で負わされた傷を庇いつつ、 ロバートはエンジェルランプの加護の力にすがる。 この力が、今は本当に有難かった。 「泳がせてくれるつもりなら逆にそれを利用してやる。 イノ。お前の同僚に話の分かりそうな奴はいねぇのか?」 「ソルやターレットならあるいは……!」 「俺をさっきふん捕まえた奴等か……人間性は大丈夫か?」 「彼等は彼等なりに、教義のために、というよりは 打算づくで動いている人達よ……だから信用出来ると思う」 「……ふむ」 「ソルやターレットが味方になってくれるなら、 ゲイリーやサキだって、従わざるを得なくなるはずよ。 二人とも、ソルに大きな借りをいくつも作ってるから」 「よし、運良く会えたら誘ってやるとするか」 ニヤリと笑い、二人はまた歩く。 「この先が気象観測センター。コントロールルームは更に奥ね」 「よし、行くぜ……!」 角を曲がり、一気に駆けようとした二人を ソル=ハイドが阻む。待ち伏せをかけていたのだ。 「やっぱりこっちに来ると思ったよ、イノ」 「ソル……私は自由が欲しいの。邪魔をしないで…… 私なりに、一所懸命に考えた末での事なのよ?」 「悪いが教皇の命令だ、そうはいかんね」 ソルは悪びれもせず、飄々と言い放つと、 蛇腹剣と呼ばれる多間接剣を取り出した。 鞭のように使う、特殊な刃物だ。 「おい、イノ。変な武器はお前等の共通の趣味か?」 「そんなモンよ」 イノも、銃斧を抜き放つ。 「俺としては残念だ、ロバート。 お前さんを最高の右腕にしたかったんだがね」 「ほざけ! これ以上吐き気のする悪行に荷担するなんざ、 俺の反逆と、勇者軍総帥の剣が許しゃしねぇ!!」 「来るか、ロバート、イノ……では、手合わせだ。 その力量、改めて見定めさせてもらうぞ」 ロバートはエンジェルランプを手に、斬りかかる。 ソルは蛇腹剣をしならせ、ロバートの剣を打ち据える。 弾かれそうになったが、何とかこらえる。 ぼごん! すると、そこにイノの砲撃が叩き込まれる。 狙撃モードでソルの膝を狙ったものだ。 「いい狙いだ。だが直線的に過ぎる」 ソルは砲弾を叩き返す。 イノは慌てて、斧の刃を盾にして、砲弾を防いだ。 「隙有りだ!」 だが、その隙を突いてロバートが切り込む。 ロバートにしては珍しい突きによる攻撃だ。 途端にパターンを変えられ、ソルの腕や脚をかすめる剣。 ソルは蛇腹剣で再度牽制し、距離を置いた。 「ほう、見事なものだ」 感心したように呟くと、ソルは蛇腹剣を鞘に収めた。 「では、ここまでだな」 「何がだ!?」 嘆息し、自嘲気味に笑うソル。 「俺はお前達の味方に付かせてもらう。 教皇にはほとほと愛想が尽きた。 元々人の話をあまり聞かない性質だが、 イグジスターの脅威が目前にあるというのに、 教義を優先するようでは、先は見えている」 「最初からそのつもりだったでしょ、ソル」 ジト目で睨むイノに対し、渋くソルは笑う。 「言っただろう? ロバートを駒に欲しかったんだよ。 俺は教義に殉じるための駒が欲しかったんじゃない。 イグジスターに対抗するための駒が欲しかったのさ。 彼が味方に付いてくれるなら、ロバートが下だろうが、 俺が下だろうが、立場なんてモンはどうでもいいのさ」 「随分と物分かりがいいんだな……」 警戒感全開のロバートに、更にソルは笑う。 「真の脅威が何か、真に見えていない者に従う筋合いは無ぇんだよ。 俺は、イグジスターが何をしてきたか、如実に見てきたんだ。 他者を食らい、擬態し、社会に入り込み、また食らい、滅ぼす。 ただそれだけのために産まれてきたかのような異物だ。 あんなのがのさばっていたら教義も出世も関係あるまいよ」 「その通りだ。ソル=ハイドだったか? あんたは物事の真理というものが見えている男のようだな。 それだけにこんな腐った教団に入信する理由が分からんが……」 「俺が若かったんだろうな。教皇の言う事が、 至極まっとうな正義のように聞こえてたんだ。 現実とのギャップには、随分泣かされたがね」 「そういうものだろう……ともあれ感謝するぞ、ソル」 「ああ、まずはコントロールを奪い、隔壁を全て上げよう」 ソルの指示で、一同はコントロールルームを制圧した。 不自然な事に、やはり敵信者は誰もいなかった。 三人でコントロールを奪い、下ろされた隔壁を全て上げた。 ついでに地図もプリントアウトして、ロバートに渡された。 この中では、唯一彼だけが地理地形に精通していない事もあり、 それが唯一の不安材料だったからである。 「ソル。どうせならターレットに ゲイリー、サキも誘えないかしら。 どうせ逃げるならみんなで逃げてやりましょう。 特に無理矢理拉致されてきたターレットは可哀想よ」 「ああ。そうだな……奴はちゃんと説得すりゃ乗ってくるだろう」 イノの提案に同意するソルを眺めつつ、 ロバートは今、このタイミングでイグジスターが来ない事を祈った。 脱出成功の可能性が著しく下がるだろうと推測出来るからである。 同時に、勇者軍主力部隊の到達を待ち望んでいた。 これさえ実現すれば、脱出どころか 教団壊滅さえ実現可能性が見える。 あらゆる可能性を考慮し、苦悩し、悩むロバート。 だが彼の頭は既にフル稼働していた。 あらゆる可能性を考慮し、全ての力を出し切って 絶望を叩き潰し、希望さえも横目に捨て置くほどの 絶対反逆を見せつけるべく、彼は念じ、 エンジェルランプの加護を吸い尽くすような勢いで、 着々と傷を癒し、力を蓄えていたのであった。 <第十五章-第一幕-へ続く>
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/1592.html
「一つ屋根の下 第三十四話 JUMと喫茶ラプラス 後編」 「ん~……ねぇ、JUM君。真紅ちゃんのドレスのここはどうしたらいいと思う?」 「真紅姉ちゃんは、ここをこんな感じで……後、ヘッドドレスとかも似合うかも。」 「ふむふむ……きゃー!想像の中でも真紅ちゃん可愛い~!!」 僕は喫茶ラプラスのとある部屋でみっちゃんさんと紙と布に埋もれていた。 ちなみに、姉ちゃんたちは今はまだ普通のメイド服でお店に出てるようだ。白崎さんに言わせれば、イベント 前の客集めに最適だそうで。実際、姉ちゃんたちが入ってから客の入りは伸びているらしい。 「ねぇ、JUM君。JUM君はさ、お裁縫とか、お洋服のデッサンとか嫌い?」 ふと、みっちゃんさんがそんな事を聞いてきた。 「……何ですか?急に。」 「うん。カナが言ってたんだけどね。JUM君って小さい頃はドレスやお洋服のデッサンとかお裁縫得意だったって。 でも、大きくなるに従って全然しなくなったって聞いたんだ。」 「そりゃまぁ……僕は男ですから。」 急にみっちゃんさんは神妙そうな顔で言ってくる。 「そっかぁ……でもね。私率直に言うと、その考え方は勿体無いと思うんだよ。」 みっちゃんさんがペンをクルクル回しながら言う。 「勿体無い?」 「うん、勿体無い。いいかな、JUM君。私は君には才能があると思うんだ。ドレスのデッサン一つとっても、 作る技術一つとっても。私が思いつかないような事をしちゃう。それは才能だと思うんだ。」 「……みっちゃんさんだって、僕は凄いと思いますよ?」 実際、みっちゃんさんは凄い。細かい部分は僕では到底及ばない事ができる。 「私のは専門学校で得た技術だからね。でも、JUM君は天性だと思うんだ。」 みっちゃんさんはそう言うけど、僕には正直苦い過去があった。小学校の時だったか……それが原因で軽い 虐めを受けた事がある。それ以来、僕はこれは男のする事じゃないと思ってしなくなったんだ。 「例えばね、ほら。カナ達のドレスのデッサン一つとってもね。何て言うのかな…カナ達への愛が伝わって来る って言うのかな?JUM君は本当にカナ達をよく分かってるんだなって。そんな気持ちになるの。」 なかなか恥ずかしい事を言うみっちゃんさん。 「そんな大袈裟な……僕はただそういうのが似合うかなって思って…」 「そこなのよ!そこに閃き。実際にそのJUM君の閃きは私が考えてた物より遥かにいい物になるんだから。」 「……買い被りすぎですよ。それに、やっぱりこういうのは男がやる事じゃないんじゃ……」 僕がそう言うとみっちゃんさんは僕の口をスッと指で押さえた。 「例えばだよ、JUM君。テレビとかに出てる料理人や、お菓子作りの人…パティシエだっけ?あれで、女の人 って見る?私、テレビでは不思議と男の人ばかりな気がするんだけど。」 僕は記憶を張り巡らせる。確かに、ああいうのは男の人が多い。いや、それどころか男の人のほうが向く とかも聞くな。料理やお菓子なんて一般的に女の子の趣味なのに。 「あれと同じだよ。男も女も関係ないと私は思うな。だから、その才能を埋めとくのは勿体無いって。 私はそう思うよ?まぁ、JUM君の人生だから私が言っても仕方ないんだけどね。」 みっちゃんさんはアハハと笑う。でも、僕は少しだけ衝撃を受けた。確かにそうなのかもしれない。 これは男のする事。これは女のする事。そんな決まりは世の中にない。だったら……僕はしたい事、好きな事 をしたらいいんじゃないかって。あの虐め以来敬遠してたけど……やっぱり僕は好きなんだ…… それから数日後。明日にはお盆休みになろうかと言う日に、ようやくドレスは完成した。 「やっほ~、JUM君。見に来たよ。」 「私も雛苺に呼ばれて……」 店内には僕と白崎さんとみっちゃんさん。そして、見学に銀姉ちゃんの親友の柿崎めぐ先輩と、柏葉が来ていた。 「みなさん、着替え終わりましたか?それじゃあ……水銀燈さんからお披露目してもらいましょうか。」 「はぁい、分かったわぁ……」 カーテンが開き銀姉ちゃんが出てきた。銀姉ちゃんは漆黒のドレスに、髪には同じ色のレースのリボン。 背中には羽毛で黒い羽をつけてみた。ドレスには逆十字を入れてみたり。 「ぶふっ……可愛いわ、水銀燈……JUM君GJ!」 めぐ先輩がグッと親指を僕に向ける。とりあえず、鼻血を拭いてください。 銀姉ちゃんを皮切りに、次々に姉妹が出てくる。描写が面倒なので、原作通りの服と思ってくれて全く 問題ない。ドレスに身を包んだ姉ちゃん達は僕が言うのもなんだけど、凄く綺麗で人形みたいだった。 「きゃぁーー!!もぉ、さいっこぉーーー!!JUM君のセンスは最高よ~!」 みっちゃんさんが、キャーキャー言いながら写真を取り捲ってる。 「凄い……桜田君がデザインしたの?」 「いや、僕はそんなのにーー」 「そうなのよトモエ!JUMがデザインしてくれたのよ~。JUMったらとっても凄いの~。」 ヒナ姉ちゃんが中学以来のリボンを頭にして言う。フワフワとリボンが揺れる。 「やっぱりJUMの指は魔法の指ね。上出来よ、JUM。」 真紅姉ちゃんがヘッドドレスを調整しながら言う。 「うんうん、素晴らしいですね。それでは、夏のドレスフェスタと行きましょうか!!」 そして、ついにドレスは解禁された。 それから一週間ほどはラプラスは大盛況だった。僕も裏で料理を手伝わされたくらいだ。 「貴方ったらほんとにほんとにおばかさぁん……」 銀姉ちゃんはその妖艶な魅力とカリスマ性で、多くのファンを獲得していた。 「お待たせかしら~!森と兎のハンバーグ……きゃー!転んだかしらー!」 カナ姉ちゃんはそのドジっ子性からか、そっち方面の人に大人気だ。 「おめぇは肉ばかりじゃなくて野菜も食えですぅ。べ、別にお前の為に言ってるじゃねぇですよ?勘違いするな ですぅ、このオタク人間!!」 普通なら間違いなくクビになりそうな翠姉ちゃんだが、清楚な外見とは裏腹に毒舌とツンデレっぷりで 一気に人気者になっている。 「はい、お待たせしました御主人様。お召し上がり下さい。」 蒼姉ちゃんはその真面目さがウリのようだ。蒼姉ちゃんの接客に癒しを求めて今日もべジータを筆頭に 列ができている。 「貴方、紅茶を淹れなさい。」 客に命令するという暴挙を行っているのは真紅姉ちゃんだ。だが、その女王様気質がイイという人も 結構いるらしい……世の中分からないね。 「は~い、じゃあヒナと遊ぶのよ~!」 ヒナ姉ちゃんは当然のようにロリロリ路線で行っていた。まぁ、狙ってる訳じゃなく素だからいいんだろうな。 「では、私と競争いたしましょう。勝ったらキスして差し上げますわ。」 キラ姉ちゃんは客が注文した商品を食っている。が、みんなキスに釣られてついつい頼んでしまうらしい。 「……薔薇しーじゃんけん……じゃんけんぽん……うふふふふふふ♪」 薔薇姉ちゃんは元々この店で働いてるし、固定ファンが多い。まぁ、新規も獲得したようだが。 そんなこんなで怒涛のバイトの日々が終わり……我が家には新型のテレビ君がやってきていた。 「じゃあ、チャンネルつけるわよぉ?」 銀姉ちゃんがリモコンで電源をいれる。ブブッと少しなった後超大型の画面に映像が映し出される。 「奥さん、あーたね、あーたね。」 みの○んたが映る。無事にチャンネルも入ったようだ。 「はい、これ余ったお金。みんなで9等分よぉ~?」 銀姉ちゃんが封筒に入ったお金を切れに9等分する。結局、相当に繁盛したお店から特別ボーナスも出た らしく、テレビを買ってもまだまだお釣りがあったのだ。尚、白崎さんから暇ならいつでもどうぞと、伝言も あったとか。 「へへへっ・・・みんなで働いて買ったこのテレビ君は・・・宝物だね・・・」 薔薇姉ちゃんが言う。そう、このテレビは宝物。僕達みんなの汗が詰まってるから。 「あらぁ?テレビもだけど、こっちも宝物よぉ?」 銀姉ちゃんがバッとそれを見せる。それは、あのドレスだった。 「ぎ、銀姉ちゃん。それは……」 「JUMが私達に似合うように作ってくれたんだものぉ。宝物に決まってるわぁ。」 よく見れば、姉ちゃん達はみんなドレスを持っていた。僕は、なんだか嬉しくなる。確かに、小学校のときは 理解されなかったかもしれない。でも……今の僕には理解してくれる人がこんなにいるんだから…… END