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本来の名称は"Daydream café"ですが、リンク時の文字化け回避のために記事名では"Daydream cafe"としております。 概要 Daydream café(作詞:畑亜貴、作曲:大久保薫 、歌:Petit Rabbit s)は、アニメご注文はうさぎですか?(以下ごちうさ)のオープニングテーマである。 最大の特徴は歌詞のほぼ全体がテンプレになっている事。過密テンプレが鯖民のみの特異な文化でないことが容易に証明された。ごちうさ関連のあらゆるものが放送に関わった場合、5秒以内には必ず「あぁ^~」というコメントが数件流れていく。 テンプレの内容もなかなかのもので、公式動画ともなれば世相を反映した語句がこれでもかと盛り込まれる。以下に示すテンプレのうち、()内にはそのような語句が含まれると考えていい。なお、これはオープニングのテンプレであり、二番以降は歌詞に合わせて適宜テンプレが変化する。 テンプレ あぁ^~こころがぴょんぴょんするんじゃぁ^~ 簡単には教えない() 内緒なの() ダイナモ感覚!ダイナモ感覚!YO!YO!YO!TEAH! 詰んだ詰んだ() ぴょん!ぴょん! ※窓です そんなのないよ() んんwwwwwありえないwwwwwwwwww ありえるかも?() こぉ↓ひぃ↑かぁぷ→ ここ哲学 アイエエエ!?ナンデ!?フタリイル!? フッ素 バカラ ここボールド カープの夢() おしまい! ぴょんぴょんカノン ぴょんぴょん党() 言いなさい(無言の腹パン) ここ美少女回転寿司 ファッ!?ファッ!?ファッ!? 岩倉使節団
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概要 黄金バットの歌(作詞:第一動画、作曲・編曲:田中正史、歌:ヴォーカル・ショップ)とは、1966年公開の映画「実写版 黄金バット」および、1967年~1968年放映のテレビアニメ「黄金バット」の主題歌である。 映画版、各レコードでは「黄金バット」と表記されている。 後年、アルバムなどに収録される場合「黄金バットのテーマ」となることもある。 アニメのテロップでは「黄金バットの歌」である。 ここではアニメ版のタイトルに準拠した。 テンプレ ( ゚∀゚)フハハハハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ っと! っと! ピシッ! っと! ※知りません っと! m9 っと! サーッ!(迫真) ピシッ! 地球の平和を頼んだぞ(チョコレート食べながら) っと! ※知りません ( ゚∀゚)フハハハハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ 提供 ナック ※ここまでテンプレ なお、この動画は先生の生放送EDとして流れることが多く、生放送の途中にリクエストなどにより流れてしまった場合 それ以降は「ロスタイム」として扱われる。 余談だが、1番にて「っと!」が二度連続するためそのままではコメントできないことがあり、「っと!!」と書き換えてコメントすることもある。 また、テンプレにしっかり乗れていれば「サーッ!(迫真)」あたりで連投制限にかかる。 最後の「( ゚∀゚)フハハハハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」あたりで投稿権が回復するので、その時を待とう。 動画が見たい!どうしても見たい! と言う事なら、こちらを見てくださいね♪ こちらが見れないならこちらをどうぞ♪
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Log.2 Evil Warning 先程まで鬱陶しくぎらついていた太陽は、分厚い雲の向こうに姿を消した。 鉛色の空の下、遥か西方に壁のようにそびえる山並を除き、見えるものはただ砂とまばらな緑だけであった。 国の西端を無人地帯たるエゲル盆地と隔てる山脈に沿うようにして、その車両は北東に進んでいた。 50m程の全長に比して、その高さはまるで地にへばり付くように低い。 その地で一般的に「レリィグ」と呼称されていたその生体車両は、無数の体節を支える数千本もの歩肢によって、その百足のような体を前進させていた。 深緑色に塗りたくられたその車体の最前部、百足の頭部に当たる辺りには幾つかの対空機銃が備えられており、それらの長い銃身はさながら触覚のように思われた。 操舵室はその真下にあった。 分厚い装甲をくりぬくようにして嵌められた巨大な硝子は傷に覆われ、各部の厚みがまばらなことも相まって、歪んだ景色を中の者たちに与えていた。 「やってることは賊と変わらねぇな、それじゃあ」 配管の這い回る壁にもたれ掛るようにして座ったフラーケは、操舵輪を握る男の横顔を眺めながら言った。 歳にして彼と同じほどだろうか、立派な口髭を蓄えたその男は彼の言葉など気にも留めないかのようにただ前方を見つめていた。 「口の利き方に気をつけな、おっさん。あたしらが拾ってやらなかったら、あんたら今頃干物になってただろうに」 反対側の壁に背中を預け、帳簿を睨んでいた若い女がぶっきらぼうに答えた。 不時着したマコラガから二人を助け出して数時間。 女は既に自分たちの生業と行き先を、大まかながら彼等に語り終えていた。 「そりゃあ感謝してるよ、嬢ちゃん。それこそケツが緩くなるほどにな」 戦闘服に包まれた女の体を下から舐めるように眺めながら、フラーケは長く甲高い屁をこいた。 途端に女の眉間に途轍もない嫌悪の色が浮かぶ。 それを愉しむかのように、彼はその髭面に微笑を湛えた。 やがて、外套の胸ポケットに右手を突っ込み煙草の箱を取り出そうとしたが、昨日憲兵署長から受け取ったそれは既にどこかになくなっていた。 「・・・だとしても釈然としねぇ。豚貴族共の意向がパンノニアの国境警備隊にも伝わってるってのか?」 小さく舌打ちをした後、フラーケは疑念をありありと伴った声で尋ねた。 帝国の諸侯の一部、前線に近い辺りを治める連中が、その領土で掘り出した発掘品をアーキルを始めとする北半球勢力に叩き売っているという話は聞いていた。 古今南北、私欲を肥やすことを第一の行動原理とする貴族が、本来の忌敵たる者たち相手に商売をするのは何もおかしな話ではない。 しかしながら、ごろつき同然の粗末な備えをした連中に、それも陸路でそうした莫大な利潤をもたらす筈の品物を運ばせるというのは余りにも粗末な話ではあるまいか。 ましてやその警戒範囲の狭さ故、前線よりも通過の困難な南北パンノニアの国境を越えさせるというのは、もはや金を溝に捨てるようなものである。 「・・・運ぶのはゾアまでだよ。今回はそこで受け渡しする手はずだから、警備隊の世話にはならない」 女はニルギス平原北西部、国境をまたぐ小さな街の名前を出すと、机の上にあった自分の煙草をフラーケに投げてよこした。 「おっ、ズィーベンじゃねぇか。ありがとよ」 受け取った箱のラベルを目を細めながら眺めると、彼は中から一本を取り出した。 そして一端を咥え、腿ポケットから取り出したライターでもう一端に火を点けた。 もう二十年は味わっていなかった古臭い辛めの紫煙が肺を満たす。 巻紙に含まれた燃焼剤はスカイバードの皮脂から作られており、老人の体臭を思わせる独特な風味は本国では受けが悪かった。 しかし、今の彼にとっては、それはある種の懐かしさと親しみを伴っていた。 ほとんど帝都でしか手に入らないこの銘柄を、運び屋の娘如きが日常的に吸っているとは考えられない。 恐らく雇い主からの差し入れであろう。 フラーケはもう二度ほどその重い紫煙を吸い込むと、やがてゆっくりと顔を上げた。 「・・・それじゃあ俺も品物の一つってことでよ、北にやってくれねぇか」 ばつが悪そうにぼそぼそと切り出したフラーケとは対照的に、女はあくまでその不躾な姿勢を崩さなかった。 「構わないよ。亡命の手伝いは前にやったことある。老いぼれ一匹向こうに逃がすくらい訳ないよ」 彼女は言うと、再び帳簿に視線を落とした。 「助かる、礼は後でするよ。・・・さて、問題はこいつだな」 隣に座っていた筈の男の方に目を向け、フラーケは絶句した。 「おい、・・・何やってんだお前」 生白い上半身を晒したその男は、屈んだまま両手で抱えたクルカの体を舐めていた。 唾液で光る腹を小刻みに震えさせながらも、体格の小さなその生き物は辛抱強くじっとしていた。 「・・・ゼルフィニの柔軟性とクーリアの頑強さを兼ね備えた皮膚だ。こんな生き物は見たことがない」 男は一度だけ振り返って呟くように言うと、今度はクルカの下腹部、生殖器のあたりを舐り始めた。 その赤黒い瞳は明確な好奇心に輝いていた。 見るたびにガラス玉のように無機質だとフラーケが気味悪く思っていたそれは、今ばかりは確かにヒトのものだった。 「気持ち悪りぃから今すぐやめろ。・・・お前、名前は何って言ったっけ?」 やがてその震えすらも止め、固まるように動かなくなったクルカを気の毒そうに眺めながら、フラーケは尋ねた。 「ヴァディーモヴナ・ヒッタヴァイネン、研究者だ」 「長ぇ、ヴァディムでいいな?」 顔も上げずに言った男の言葉を遮るように、フラーケは短く尋ね返した。 男は不服そうに背中を見せたままだったが、やがてクルカを床に下ろした。 「お前はどうするんだ?・・・俺はこのまま北に逃げる」 こちらに体を向けた男の喉を見つめながら、フラーケは独り言のように言った。 しかし彼の吐く紫煙を目で追うだけで、男は何も答えようとはしない。 「おかしくなっちまったか?・・・まぁ元々訳の分からん奴ではあるが」 フラーケは呆れ果てたかのように小さく溜息を吐くと、視線を操舵手の男の方に向けた。 「・・・私もついていく」 そう呟いた男の言葉は、直ぐにはフラーケの耳には入らなかった。 レリィグの歩肢が岩を粉砕した小さな衝撃に掻き消されたのである。 「おやっさんよう、こいつは・・・」 「私もついていく!」 操舵手に呼びかけるフラーケを睨みつけながら、男は鋭く怒鳴った。 その目は大きく見開かれ、染み一つない顔立ちも相まってさながら人形のようである。 男を除くその場の全員はしばらく唖然としたように固まっていた。 不自然に殺伐とした空気の中、やがてフラーケは左手で額を掻くと、男に向き直った。 「・・・分かったよ、でかい声出すな」 そして宥めるような、諭すような穏やかな声色で言った。 男はもう数秒ほどフラーケの顔を睨んだままであったが、やがて背後で床に転がるクルカに向き直った。 「だとよ、嬢ちゃん。こいつも、・・・ヴァディムもいいか?」 フラーケは女を見ると、決まりの悪そうに尋ねた。 「いいよ、一人も二人も変わらないし。ただ・・・」 「4時方向!機影だ!」 女の言葉を掻き消すように、フラーケの背後の壁から怒鳴り声が響いた。 慌てて振り返ると、無数の配管に混じって小さな伝声管の口が壁から突き出していた。 震えるそれは天井の上へとチューブを伸ばしている。 唐突に張り詰めた空気を感じ取り、腹を見せて横たわっていたクルカは迅速に計器盤の下へと潜り込んだ。 女に続き、フラーケは操舵室後部の天井から吊り下がっていた梯子を上った。 昇降口の蓋を女が上に跳ね上げると、砂塵を伴った風が部屋の中に勢いよく吹き込んだ。 「カルラ!アレだ、あの黒い奴!」 前方の天井の装甲版には銃架が粗末に溶接されており、その対空機銃の機関部にしがみつくようにして若い男が声を張り上げていた。 梯子を上り切った女の後ろから、フラーケは天井へと身を持ち上げた。 そして男の指差す先に視線を向けた。 レリィグは時速50㎞程で巡行していたため、砂塵を含んでいたのも相まって風で目が潰れそうであった。 必死に空を睨みつけると、右舷正横4㎞程を並進するかのように飛ぶ航空機の影が見えた。 「・・・ありゃまずい」 カルラと呼ばれた女は、強風の中でもフラーケのその呟きを聞き逃さなかった。 「機銃に付きな!全員!」 そして周りの男たちに怒鳴った。 彼等も彼女と同様に、帝国の戦闘服を雑に仕立て直したものに身を包んでいる。 航空機はやがて機首をこちらに向けた。 急速にその機影は大きくなり、そのシルエットが生体機関機のものであることが明白になった。 「嘘だろ、おい」 フラーケはそのグランビアの胴体に何か細長い円筒状の物が吊り下げられているのを認めると、砂塵にも構わず目を見開いた。 「撃て!近づけるな!」 どこから取り出したのであろうか、自らもその大きな対物小銃を目標に指向しながらカルラは周りに怒鳴った。 四門の機銃が眩い銃口炎と共に、凄まじい連射速度で口径20㎜の弾を吐き出し始めた。 金臭くなった辺りの空気が震え、曳光弾の描く軌跡がまっすぐにグランビアの前方へと伸びていく。 カルラの小銃から飛び出した薬莢の一つが、後ろにいたフラーケの外套の中に入った。 その下のシャツの胸は開けられていたため、それは彼の腹に吸い寄せられるように張り付いた。 「あぁっ!糞が!」 喚き散らしながら必死に身を捩るフラーケをよそに、男たちは機銃の射撃を続けた。 その大きな薬莢がシャツの裾から転がり落ち、ようやく彼がグランビアに目を向けた瞬間、それは既に500m程の距離にまで詰めてきていた。 斜め前方に横滑りするような機動を取っていたようであり、誤った見越し角で放たれた機銃弾は尽く掠りもしていなかった。 カルラが新しい弾倉を銃に嵌め込んだ時、グランビアは僅かに機首を右に、レリィグの進む先に向けた。 「伏せろ!」 怒鳴りながらフラーケはカルラに駆け寄り、その身を押し倒すかのように天井に叩きつけた。 その直後、進路上10mの位置で榴弾が炸裂したことによる途轍もない粉塵と爆風がレリィグの前部を覆った。 砲声と弾着の轟音はほぼ同時に彼等に届いたため、まるで一つの雷鳴のように鼓膜を襲った。 曖昧な視界の中で、たった今頭上を通過していった戦闘機の腹をフラーケは睨みつけた。 そこには先程確かに見たはずの物体は吊り下げられていなかった。 代わりに、ただ空を掴む懸架装置のアームが見えた。 「畜生が・・・」 フラーケの呟きは、西に遠ざかっていく戦闘機に再び射撃を開始した機銃の発砲音に掻き消された。 やがてゆっくりと立ち上がると、彼はレリィグの天井を右舷の縁まで駆けた。 そして車体側面を前から順に走査するように慎重に睨みつけていく。 「カルラ、そいつを貸せ!・・・あと、誰も後ろには遣るな」 最後部の右舷装甲から、何か小さなものが突き出していた。 フラーケはそれを睨みつけたまま言った。 レリィグの内部の空間は、体節それ自体の硬化鋼板と船室を形作る箱型の形状記憶合金に守られている。 しかし、噴進弾はその二枚の装甲を容易く破り、弾体を後部第一貨物室に突き込んでいた。 大きな木箱が幾つか吹き飛ばされ、中にあった旧時代の蓄電池が大量に床に散乱している。 だしぬけに噴進弾の弾殻が激しく振動し、一枚の厚い鉄板が中から弾き飛ばされた。 弾体に1m四方ほどの開口部が開く。 そこから這い出すようにして、一人の男がゆっくりと床に降り立った。 灰色の戦闘外衣に、丸い大きな弾嚢が三つ括り付けられた弾帯。 その背中側には大きな機械油の缶のようなものが付けられており、その口は太い金属製のチューブによって男の喉元と接続されていた。 彼は負い紐で吊っていた散弾銃の握把を右手で握ると、左手で銃身を後ろにスライドさせた。 薬室を兼ねた円形の弾倉が一発分だけ回転する。 男は大量の木箱が空間を占有する貨物室の奥を睨むと、やがて歩き始めた。 銃床はしっかりと肩に押し付けられ、照星は自らの進路に歪みなく重ねられている。 レリィグの体節が軋むと、その衝撃は合金の箱である室内に不快な摩擦音をもたらす。 一度だけそれに対し僅かに顔をしかめたが、男は淀みなく足を進めた。 やがて第一、第二貨物室を隔てる扉のノブに手を掛け、ゆっくりと引いた。 銃身は既に室内に向けられている。 その先の空間は今までの木箱の群れではなく、巨大な四つの発電設備に占有されていた。 薄い紫色のセラミックで覆われた、3m程の高さを持つ発掘品である。 それらはワイヤーとベルトで床と壁にしっかりと固定されていた。 男は照星をそうした積み荷の奥に向けたまま、慎重に第二貨物室に入った。 「よぉ、アレキシ。腐れ外道め」 唐突に左から響いた声の源を探し、男は迅速に体と銃をそちらに向けた。 しかし、そこにあったのは配管に埋もれるようにして壁から突き出していた伝声管であった。 呼吸が荒くなり、首元のチューブが震える。 再び男が空間の奥へと視線を戻そうとした時、積み荷の間を縫うようにして飛んできた一発の銃弾が彼の右耳の上、側頭部にぶつかった。 首が不自然な角度にがくりと傾き、上半身は大きくのけぞったが、その二本の脚は大きな体躯をしっかりと床の上に立たせたままであった。 徹甲弾に剥ぎ取られた頭皮と髪の毛の下から、複合装甲で覆われた頭蓋骨が覗いていた。 「死ね!茶坊主が!」 貨物室の奥から怒声が飛んできた。 男はのけぞったままの体勢で膝を折り、身を屈めた。 一瞬遅れて、彼の頭上10㎝ほどを先程と同じ大きな銃弾が通過していった。 それが背後の壁に穴を穿った瞬間、男は散弾銃の銃口を空間の奥へと向けた。 続けざまに放たれた二発分の散弾が、フラーケが左半身を掩蔽させていた壁、第二貨物室と機関室を隔てるそれにぶつかり、無数の小さな粒が空間を跳ねまわった。 三発目の一部が彼の右肩に当たった。 外套の下、劣化した生体装甲膜を貫き、それらは義手と彼の生来の神経を繋ぐ関節に入った。 「糞ッ垂れがァッ!!」 激痛を怒鳴り声で掻き消しながら、フラーケは身体を完全に壁に隠した。 そして外套のポケットに突っ込んでいた手榴弾の柄を左手で握った。 その間も散弾は絶え間なく壁を打ち鳴らしている。 小銃の握把を握る右手の代わりに、歯で弾体上部の螺子を回すと、彼は左手だけを暴露させるようにしてそれを敵方に放った。 足元に転がってきたその手榴弾は、長年扱い続けてきたその男にとっては親しくもあるその弾種表示のマーキングを彼に向けて止まった。 男は右足を軸にして体を勢いよく回転させると、最も近くにあった発電装置の裏へと飛び込んだ。 破片の幾つかはフラーケの壁にも飛んできた。 それらが空を切る不快な高音に顔をしかめながら身を屈めていた彼であったが、やがて炸裂の反響が収まると、銃口を僅かに壁から出しながら空間の奥を睨んだ。 最も奥の発電装置が横倒しになり、配管や発光体の密集した面をこちらに向けて転がっている。 その奥で、何か灰色のものがちらついていた。 フラーケはそれを睨みつけたままゆっくりと小銃を持ち上げ、照門の中に見出した。 轟音と共に飛んできた一発が、装置の天板に張り付くようにして掩蔽していた男の背中を掠めた。 「おい、アレキシ!まだソマヴィラの下で働いてんのか!?」 怒鳴り声に混じって飛んできた二発目が、彼の足元の床に大きな穴を穿った。 アレキシと名を呼ばれた男はしばらく死んだように動かなかったが、やがて顔を上げると大きく息を吸った。 「そうだ!・・・息子は、ラルフは元気か!?」 そして彼もまた貨物室の奥へ向け怒鳴り返した。 妙に長い沈黙が続いた。 時間にして十五秒程、ただレリィグの無数の歩肢が連続して砂を踏む音だけが小さく響き渡っていた。 しかし、空間を包む合金が立てる例の不快な音が一瞬だけ響いた時、対物小銃の重苦しい発砲音が再び轟き始めた。 半自動銃とは思えない凄まじい発射間隔で撃ちだされた無数の弾が、発電装置の外郭を打ち鳴らしていった。 最後の一発が跳ね上がり、天井でしぶとく輝いていたガス灯を粉砕した。 「お前が・・・、お前が殺したんだろうが!この尻穴野郎!」 無数の硝子の破片が床に落ちる音をすっかり掻き消すように、先程までとは比べ物にならないエネルギーを伴った叫び声が空間に響き渡った。 アレキシは数秒ほど目を見開いたまま動かなかったが、やがて疑念と苦悩にその継ぎ接ぎだらけの顔を歪ませた。 「・・・馬鹿な!」 二十年前の十月、真夜中の帝都での情景が昨日の事のようにアレキシの脳裏に浮かぶ。 技術省の所有する中では最も南にあった産業塔、その第一発着場。 浮上したグランヴィナスの操縦席から短機関銃をこちらに向ける黒髪の男。 アレキシ自身はその戦闘機の左翼の端にある生体機関に小銃の照星を重ね、引鉄を引いた。 しかし、それは何事もなかったかのように機首を回すと、やがて下界へと飛び去って行った。 「俺が撃ったのはエンジンだ。あの子を殺す気は・・・」 「その中にいたんだよ!隠れてたんだ!」 アレキシの弱々しい声は、フラーケの絶叫に遮られた。 「・・・リヴィスに着くまで、あいつは機関の動脈を繋いでてくれたんだ。鉄板をめくって引っ張り出したら、すぐに冷たくなっちまった」 途轍もない後悔と自責の念に精神を押し潰されそうになりながらも、アレキシはただ身を屈めたまま貨物室の奥から届く言葉を噛み締めていた。 自らをおじさんと呼ぶ、その年の夏にはフラーケの代わりに帝都博覧会に連れて行ってやった少年。 各省庁が粋を極めて展示する新型の生体機械やオブジェには目もくれず、ただ道化師の連れたクルカと戯れていた、その日七歳になったばかりの同僚の息子。 「さっさとツラ出せ、糞野郎。目ン玉ならぶちぬけるだろ」 囁くように流れてきたその声に従い、彼は危うくその体を発電装置の陰から出そうとした。 途端に、自分の中のもう一つの何かに行動を押し戻される。 それは強烈なまでの拘束力を以て、再び彼の精神を手中に収めた。 妙齢の黒衣の女が、目の前で微笑んでいた。 煙草を咥えた彼女の口から濃い紫煙が吐き出されるのを、彼自身はただ興味深そうに見上げている。 人工肺との適合に成功したばかりの幼い彼の小さな喉仏を見つめると、女はやがて彼の首筋を軽く撫でた。 その灰緑色の瞳は暖かな慈愛に輝いていた。 彼女からの称賛と承認を得ることこそ、自らの主たる行動原理。 天井から何か小さな連続した物音が響いていることにアレキシは気付いた。 すかさずその源の予測位置に散弾銃の銃口を向けた。 響き渡った発砲音に一瞬だけ身を強張らせたが、フラーケはその標的が自分ではないことに気付いた。 敵の頭上の天井に、無数の弾痕が穿たれていく。 「・・・何やってんだ、あの馬鹿!」 フラーケは苦々し気に呟くと、再び小銃の銃床に頬を付け、引鉄を引いた。 しかし撃針は何も打つことはなく、小さな虚しい金属音だけがその機関部で響いた。 名状し難い形相で小銃の排莢口を睨みつけると、彼はそれを脇に放った。 そして未だ散弾銃の発砲音が轟き続ける空間の奥へ向け、勢いよく駆け出した。 アレキシは弾倉を迅速に交換すると、再び頭上に銃を向けた。 無数の弾痕からは一滴の血も流れてこない。 彼はより後方、配管の少なくなった辺りの天井に目を向けた。 そして銃口をそこへ向け直そうと右腕に力を込めた時、散弾銃の銃身が蹴り飛ばされた。 眼前に、見覚えのない髭面が姿を現した。 しかし、その青い澄んだ瞳と尖った鷲鼻は確かに過去の記憶を思い起こさせた。 「相変わらず不細工な野郎だ」 フラーケは言い放つと、右手で散弾銃の銃身を抑え込んだまま、アレキシの喉元のチューブを左手で掴んだ。 そして渾身の力を込めて、それを下に引いた。 肘のアクチュエータは予備の一本しか機能していなかったが、そのシリンダが割れると同時に彼はそれを敵の喉から引き千切るのに成功した。 噴出した血がフラーケの顔に散る。 頬の肉を持ち上げて瞬時に目を細めると、人工声帯のピンク色の膜が穴の中で震えているのが見えた。 「叩き殺して、食ってやる!」 怒鳴り散らしながら、彼はアレキシの頬に右拳を叩き込んだ。 継ぎ接ぎだらけの面の皮の下で、相手の頬骨が確かに砕かれるのが、不快な衝撃として感じられた。 アレキシの大きな体が音を立てて床に転がる。 そして痙攣したまま動かなくなった相手の手から、フラーケは散弾銃を奪い取った。 首の傷口にその太い銃身の先を突っ込み、彼は引鉄を引こうとした。 しかし、それは予想よりもかなり遠い位置にあったため、人差し指はただ空を掻いただけだった。 いつだったか正確には分からないが、メデュラかどこかにいた時にアレキシの銃を借りた時のことが脳裏によぎった。 末端肥大症の気がある彼に合わせて調整された引鉄に指を掛けるため、フラーケが握把を握り変えた時、相手は渾身の力を以て彼の脇腹に蹴りを入れた。 壁に叩きつけられ、崩れ落ちたその体に、アレキシは一瞬の間隙もなく詰め寄った。 転がるようにして身を捻ったフラーケの頭が一瞬前まであった所に、巨大な拳が突き込まれた。 それは油圧系統の細い配管を潰し、合金の壁に大きな穴を穿った。 フラーケが跳ね起きの要領で素早く体を起こした時、引き抜かれたその拳がしっかりと見えた。 革手が裂けた所から、金属の中手骨が鈍く輝いているのが分かった。 「どいつもこいつも化け物みたいに・・・」 苦々し気に呟きながら身を屈めたフラーケの頭上で、手と同様に巨大な足を包む半長靴の爪先が空を切った。 彼は半ば見上げるような形で、相手の無表情な顔を睨んだ。 幾ら強靭な太腿のアクチュエータであっても、その質量を元の然るべき所に戻すには相応の遅れが生じる。 アレキシが体を捻って左脚を引く間隙を突き、彼は脇に挟んだ散弾銃の銃口を相手の胸の高さに向けた。 途轍もない衝撃波とガスを伴って飛び出した九つの粒の全てが、右の胸筋を吹き飛ばすようにして着弾した。 装甲膜で防ぎ切れなかった幾つかが肺を破るのが分かったが、アレキシはそのエネルギーを利用して半身を後ろに回した。 鉛の粒が体を喰い破る痛みに歯を食いしばりながらも、目論見通りの位置に右腕が届くであろうことに、彼は僅かに口角を上げた。 そして腰をばねのように使って、今しがた溜め込んだ反動を右手に乗せて解放した。 突き込まれた相手の拳により、自らの胃が潰されるのを感じた。 視界が暗く狭窄し、気が遠くなる。 数歩分だけ後ずさったが、フラーケは転倒だけはしまいと必死に足を踏ん張った。 胃の中身を口と鼻から噴出させながら、彼は闘争心に任せて散弾銃の銃口を相手の腹に押し付けようとした。 しかし、例によって銃は既にどこかになくなっていた。 「すまない、相棒。大佐の為だ」 喉元の穴から漏れる空気のため、極めて不明瞭な声ではあったが、アレキシは言った。 そして今しがた自らに血と吐瀉物を吐きかけた相手の首を右手で掴んだ。 フラーケの体を床から僅かに持ち上げると、彼は先程まで自分が掩蔽に使っていた装置に向け投げつけた。 緩く回転しながら飛んだその体は、背中を打ち付ける形で仰向けに転がった。 側頭部が装置の表面にあった突起に激しくぶつかり、甲高く有機的な雑音が頭の中で響き渡った。 生暖かいものが耳のあたりから流れ出しているのがすぐに分かったが、意識を集中させるとそれは全身から溢れ出ているかのような錯覚となった。 焦点が定まらない視界の中で、フラーケは灰色の大きな人影がゆっくりと歩み寄ってくるのを呆然と眺めていた。 「そのケツの穴、焼いて塞いで・・・」 もはや何の意味のないその呟きに続く単語すらも考え付かなくなったとき、フラーケは相手の背後の壁に、確かに何か赤いものを見た。 当初は自らか相手の血だと思ったが、それにしてはその配管の奥の印は綺麗な逆三角形をしていた。 その上下からは同様に赤く、細い直線が天井と床に伸びているのが分かってきた。 やがて相手がこちらを覗き込みながら、いつの間にやら拾っていた散弾銃の銃口を自らの右足に向けたとき、フラーケは渾身の力を振り絞って息を吸い込んだ。 「ヴァディム!天井のボコッとしたとこを撃て!」 もはや横隔膜もうまく動かなかったが、彼はどうにか声を張り上げた。 アレキシは一瞬だけ視線を頭上に遣ったが、やがて彼の太腿を再び睨んだ。 「四肢はもいでいいと言われてる。まぁ、玉は・・・」 「『ボコッと』ってなんだ?」 フラーケはアレキシの言葉になど耳を貸してはいなかった。 ただ今しがた天井からうっすらと聞こえてきた間の抜けた無機質な声に対し、憤怒の極みともいわんばかりの猛烈なしかめっ面をした。 そしてもう一度だけ、痛む腹を堪えて息を吸った。 「突き出てるところがどっかにあるだろうがァッ!」 下から装甲を伝って響いてきた怒鳴り声を聞くと、ヴァディムは砂塵の中で自らの足元に目をやった。 確かに体節の装甲の隙間から、何か角の丸い三角錐のような突起が突き出ているのが見えた。 彼は20㎝程の高さの金属製のそれに右手の拳銃を押し付け、引鉄を引いた。 フラーケの叫びを耳にしてアレキシはしばらく呆然としていたが、突然その頭上で甲高い破裂音が響くと身を強張らせた。 慌てて銃口を再び持ち上げた彼をよそに、フラーケはその背後にある例の印を見つめていた。 そのすぐ脇にあった小さな電球が、赤く点滅する。 逆三角形を中心にして、誤作動を起こした爆砕ボルトによる莫大な力が壁を引き裂いた。 舞い上がった白煙と粉塵が辺りを満たす。 続いて、アレキシの股の間を境として床が割れた。 途轍もない振動が、空間の全てのものを揺らがせる。 バランスを崩した彼の腰のあたりを、横たわったままのフラーケが蹴り飛ばした。 その間も床の亀裂は広がり、いつの間にか割れた天井から陽光が差し込んだ。 アレキシの大きな体が床にうつ伏せに転がった時、反対側の壁が引き裂かれる爆音が轟いた。 途端にレリィグの車体は完全に分断され、後部がどんどん離れていく。 体節がキャビンを内包する車体構造が、断面としてよく確認できた。 粉塵の中、必死に立ち上がろうとしたアレキシの顔に、フラーケは再び蹴りを入れた。 完全に重心を失った彼の重い身体が、隙間から見えてきた砂漠に吸い込まれそうになる。 アレキシは千切れかけた床材を右手で懸命に掴み、その身を宙にぶら下げた。 「ババァに伝えろ。俺はもうお前の玩具じゃねぇってな」 すぐそこで砂を蹴る無数の歩肢の駆動音に掻き消されながらも、フラーケは強い意志を伴った明瞭な声で言った。 そして自らは落下することのないよう慎重にその身を起こすと、彼は床材の端を掴むアレキシの四本の指を踏みつけ、靴底の糞でも除くかのように足を摺った。 やがて、引き千切られたレリィグの後部の歩肢に何か硬いものが潰される鈍い音が微かに聞こえた。 フラーケは標的が消えたことを確認するべく、何度も念入りに床の下を覗き込んだ。 そして確かにそれがいないことを認めると、彼は踵を返した。 切り離された後部が30m程離れたとき、いきなり猛烈な衝撃を伴って爆轟した瞬間には危うく前のめりに転びそうになった。 振り返ると、上部をすっかり失って、脚部と僅かに残った体節だけになった後部が、黒煙の中でゆっくりと遠ざかっていくのが見えた。 「ざまぁ見やがれ、ろくでなしめ」 そして擦れた声で呟くと、フラーケは床に転がったまま残っていた散弾銃を拾い上げ、後ろに放り投げた。 砂漠に吸い込まれていったそれが地を転がり、弾倉が機関部から弾け飛んだ時には、砂塵はいくらか収まり始めていた。 その空間は重巡の艦底近く、巨大な循環器と分厚い壁を一枚挟んだところにあった。 営倉と呼ぶには余りにも広く、また乱雑としている。 緑色の難燃材で塗りたくられた床の上に、無数の情報用紙が散乱していた。 それらは、すぐそこにある生体機械の鼓動に同調するようにして震えていた。 机や寝台といった本来あるべきものはなく、ただその5m四方ほどの空間の真ん中には粗末な木製の椅子が置かれており、それに身をうずめるようにして若い男が座っていた。 アーキル陸軍において、将校が好んで制服の下に身につける灰色のシャツに、銀縁の分厚い眼鏡。 鼻は不自然な角度に曲がり、左の頬は内出血を伴った痛々しい腫れ方をしていた。 「・・・奴は北に向かっているそうです」 部屋の中に、アーキル語による女の呟き声が小さく響いた。 男に向かい合うようにして、その黒衣の女は壁に背中を預けて立っていた。 左手でゆっくりと燃える煙草は今朝の白いもの、アレキシに投げつけたバケツに吸い殻として詰まっていたものではなく、茶色い紙で巻かれた太いものだった。 やがて彼女は紫煙を口から漏らしながら、椅子に手足を拘束されたままの男に歩み寄った。 「あなたもそろそろ帰りたいでしょう、マクラル技術中尉?」 そして彼の震える肩に手を置き、その耳元で囁くように言った。 「・・・あんたらの目的がわからない」 薄っすらと微笑みを浮かべたままの女の顔を見上げ、男は掠れた声を喉から絞り出した。 その口の端からは赤黒い血が筋となって流れ出していた。 「双頭協定。・・・危なっかしい化け物を相手にするには南北の違いも糞もない、そうでしょう?」 女はゆっりと囁くと、男の短髪の下にある右耳をべろりと舐り始めた。 途端に、先程までとは比較にならない激しさで彼の身体は震え始め、椅子の脚が床材とぶつかりガタガタと音を立てた。 「・・・ソマヴィラ大佐!俺の部下を皆殺しにしたのも腐れ協約の一部だってのか、あァ!?」 男はその長い舌から逃れるために、必死に身を捩りながら喚いた。 やがてその眼鏡の下の小さな目から涙が溢れ出した。 二週間前にカノッサ湿地帯東部、ティアルゴの村に不時着したアーキル遺跡発掘局の実働部隊、通称パンドーラ隊の揚陸艇。 その積荷に関する情報を引き出すために生かしておいた、小隊唯一の生き残り。 カティア・ソマヴィラはしばらくじっとその男の泣きっ面を眺めていたが、やがて踵を返して再び壁際に歩み寄った。 そして大きな革袋を拾い上げると、口を結んでいた紐を緩めた。 「ほら、レムス。ろくでなしに挨拶を」 袋を男の方に向け、彼女は帝国語で言った。 中には小さな双眸の輝きが見える。 「おい。・・・何する気だ」 男は呼吸に肩を上下させながらソマヴィラを睨みつけた。 「こいつはこの間死んだ私のクルカの仔でしてね。ロムルスの子レムス、いい響きでしょう?」 やがて袋から床に飛び出したその生き物の体格は、並のクルカのそれよりもかなり小さかった。 何より目を引いたのは、紫色の縞模様で覆われた赤黒い皮膚だった。 それは両腕でゆっくりと床を這い、男の長靴の臭いを嗅ぎ始めた。 結束帯で手足を椅子に縛り付けられたままの身体を震わせながら、男は足元のクルカとソマヴィラの顔を交互に睨みつけた。 「所謂未熟児という奴で、生かしてやるには少し手を加える必要がありました」 ソマヴィラはいつのまにか燃え尽きかけていた煙草をバケツに突っ込みながら言った。 「クルカというのは面白い。少し弄るだけでとんでもない毒性を身につけました」 そして彼女が胸ポケットから真新しい煙草の箱を取り出した途端、クルカは男の右太腿に下から噛みついた。 金切り声でアーキル語の罵声を吐き散らしはじめた彼をよそに、その顎は男の半腱様筋に喰らい付いて離さなかった。 「この売女がァッ!やめさせろ!」 ソマヴィラは口元をニヤつかせたまま動こうとしなかった。 数十秒後、やがて男の怒鳴り声にその母親に助けを請う文言が混じり始めると、クルカは満足したかのように太腿から顎を放した。 床の革袋の中にそれが自ら戻っていった時には、男はもう何も喚いてはおらず、ただ涙と鼻水、そして口から流れ出た血に塗れた顔をヒクつかせていた。 「これを見てください」 やがてソマヴィラの声が再び部屋に響いても、男はしばらく呆然とその焦点の定まらない目で宙を見つめていた。 「見ろ」 簡潔で威圧的な単語が聞こえてようやく、男はソマヴィラの方に目を向けた。 彼女の右手に小さなガラス管のようなものが握られているのを認めると、男の瞳に何か明確な感情による光が戻った。 「それは・・・」 「血清です」 掠れ切った声で尋ねる彼に、ソマヴィラは短く答えた。 「ここから先はあなたの身の振り方次第です、中尉。」 やがて男に歩み寄ると、彼女はその注射器で彼の額を軽く叩いた。 渾身の力を込めてそれに手を伸ばそうとする男であったが、右腕を締め付ける結束帯はその努力を嘲笑うかのように小刻みに軋むだけだった。 「ほッ・・・、本当に何も知らないんだよ!」 「そう・・・」 男が必死に連ねる文言に、ソマヴィラはただ微笑を湛えながら相槌を打つだけだった。 「ウルで嫁さんが待ってんだ!頼む!」 「それで?」 ソマヴィラは男の顔の前で注射器を揺らし始めた。 意味のないやり取りはその後二分程も続いたが、やがて男は彼女の顔をやぶにらみしたまま動かなくなった。 「・・・二月前、アナンサラドの南東のはずれにある遺跡で、俺らは『墓』って呼んでた」 やがて単語の前後の繋がりが区別できない程の早口で語り始めた。 ソマヴィラはただその貼り付けたような微笑を崩さぬまま聞いていた。 「もともと、やべぇ思想に染まった旧人どもが赤道にいたって話は聞いてた。ネクル列島やらから掘り出した記憶媒体をアレするうちに分ったらしい」 男は記憶の糸を辿るかのように、時折目を固く閉じながら続けた。 「人と変わらねぇナリの化け物なんざ、俺は初めて見た。ありゃ地下五階か六階か、そのあたりで壁にめり込むようにして休眠してたんだ。学者連中が言うにゃ、あれはそいつらの使う玩具の兵隊だとさ。」 「・・・その『思想』というのは?」 やがて男が次の文言を連ねるまでの数秒程の間隙に、ソマヴィラは尋ねた。 「そりゃ知らねぇよ!遺伝基を弄りまわすような連中の考えることはあんたらしか理解できねぇだろうよ!」 男の怒鳴り声に対し、ソマヴィラは今度は何らかの実感を伴った、本当の微笑を湛えた。 そして彼に話を続けるよう右手を小さく振って促した。 「・・・とにかく、ありゃさっさとラオデギアに持って帰ってバラすべきだったんだ。あんたらに襲われる前にな」 語り終えた男がゆっくりと震える息を吐くと、ソマヴィラは左手の煙草を口で咥え、帯革から吊った短剣を抜いた。 右手を捕える二本の結束帯をその白い刃が千切るや否や、男は彼女の手から注射器を奪い取った。 恐慌に揺れる体を必死に落ち着かせながら、彼はその針の先を左の二の腕に、シャツの袖など見えていないかのように突き刺した。 シリンダの中の透明の液体がしっかりと男の腕の中に吸い込まれていったのを見ると、ソマヴィラは踵を返し、壁際のクルカの入った革袋を抱え上げた。 「・・・言っておくが、あれを飼いならすなんざできねぇぞ」 空になった注射器を床に力なく落とし、男は彼女の背中を睨んで言った。 顔から垂れたあらゆる液体が、灰色のシャツを凄まじい色合いに変えていた。 「あんな欠陥品に用はありません。私の目当ては奴の連れです」 ソマヴィラは男の方を見ることもなく答えた。 そして左腕で革袋を抱え、右手にバケツの取っ手を握って重い鉄の扉の方へと歩いていった。 ノブに手を掛けようとしたところで、彼女は思い出したかのように男の方に体を向けた。 「・・・それと、どうやら私の思い違いだったらしく、レムスは無毒でした」 そして愛おし気に革袋をさすりながら言った。 途端に男の表情が疑念と焦燥に歪む。 「おい、じゃあ・・・」 男は足元で割れた注射器を睨みつけた。 「リューリア産の炭酸水です。じきに心臓に回るでしょう」 ソマヴィラは再び扉に視線を戻し、ノブを回した。 「おい!待てや売女ァ!」 鉄の扉が閉じられる重苦しい音を掻き消すように、男は喚き散らした。 次第にそれは何の意味も成さない絶叫に変わる。 7㎝ほどの厚みの扉の向こうから自らの歩く通路に響き渡るそれを心から楽しむかのように、ソマヴィラは目を細めた。 日はすっかり西の山麓に沈んでしまっていた。 爆砕ボルトにより神経をやられたのか、三分の二程の長さになったレリィグの後部の歩肢はそれぞれを引き摺るような不自然な動きをしていた。 それでもゆっくりとした巡航速度は安定しており、真っ直ぐに航路を辿っている。 断面からは、貨物室の内部で横倒しになった発電装置を必死に応急修理する若い男たちの姿が見えた。 フラーケは操舵室でその身を床に横たえていた。 不健康に痩せこけてはいたが、元々の骨格がしっかりとしているのか、年の割には強靭そうな上半身を仰向けに晒している。 右肩や腹、そして左肘には傷口を塞ぐための治癒促進剤の塊が雑に塗り込まれており、血塗れの外套やシャツは傍に打ち捨てるようにして投げ散らかされていた。 「やってくれたね、糞ジジィ」 宗教絵画のように血色の悪い、死人のような髭面を見下ろしながら、カルラは言い放った。 そして目を閉じたまま動こうとしない彼の頭を半長靴の爪先で小突いた。 やがて、その疲れた顔にうっすらと生気が戻ってきた。 「・・・切り離したのは確かに俺らだが、その後で尾部が吹っ飛んだのは知らん」 呼吸の度に横隔膜を痛々しく震わせながら、フラーケはぼそぼそと答えた。 「あの蓄電池は衝撃に弱いんだよ。大方、あんたの友達が爆弾に乗って突っ込んできたせいさ。」 カルラは屈み、今度は彼の長い髭を憎々し気に引っ張りながら言った。 「ありゃ友達じゃねぇ。オコジョの糞以下の下衆野郎だ」 髭が数本千切られた痛みを、首をもたげてきたアレキシへの憎悪に変換し、フラーケはカルラの顔を睨み返した。 「あんたらの身の上なんてどうだっていいんだよ。客にゃなんて言えばいいんだい。本国の特務部隊に襲われたなんて説明すれば、あたしら商売上がったりだ」 カルラは怒鳴るとまでは言わずとも怒りに満ちた声で言うと、操舵手の男の横顔を一瞥した。 彼はただ黙って、硝子の向こうで暗闇に飲まれつつある砂漠を睨みつけていた。 「・・・俺が何とかナシをつけてみるよ」 短くも重々しい沈黙を破り、横たわったままのフラーケが掠れた声で言った。 カルラは、当初は彼の言わんとすることを汲み取れないといった風に口を開けたままだった。 やがて何かを思案するかのように眉間を掻くと、机の上にあった錠剤の瓶を彼の腹に投げつけた。 「少ししたらそれ飲んで上に行きな。見張りがあの白いの一人じゃ心配だし」 そして自らは機関室へと続く扉を開き、足早に去っていった。 「おやっさん、すまねぇな」 その軽い足音が聞こえなくなってしばらくしてから、フラーケは操舵手の横顔に言ったが、彼はただ前方を見つめているだけだった。 しかし、フラーケがその身を床から起こそうとして必死に体を捩り始めたのを知ると、彼は顔を硝子に向けたまま、左手を差し出した。 「・・・ありがとよ」 フラーケは操舵手の腕に体重の一部を預け、まずは背中をゆっくりと床から剥がした。 そして強烈な眩暈を堪えながら立ち上がった。 その時、彼は男の下顎に大きな傷跡があるのを認めたが、それに関しては何も言うこともなく先程受け取った錠剤を何粒か口に放り込んだ。 五感に何か濃い霞がかかり、彼の知覚は混濁していた。 イコライザで低域を馬鹿みたいに上げたようなくぐもった喧騒の中で、視界を完全に占める黄土色の壁。 その表面には判読できない程に擦れた文字列がびっしりとあり、男はただそれを懸命に頭の中で解析していた。 「立て、ヒッタヴァイネン!」 大声と共に、眼前に転がっていた積層紙の大きな箱が蹴飛ばされた。 男はしばらく身を横たえたまま、道の反対側へと転がっていく保存食の空箱を目で追っていたが、やがて傍らでこちらを見下ろす老紳士へと顔を向けた。 すっかりその輝きを弱々しくした人工太陽を後光として、細かい裂傷の群れに覆われた顔があった。 髭の一部は血に染まり、瞳は辛うじて本来の穏やかな調子を残してはいたものの、滲み出る焦燥感に揺れていた。 礼服のジャケットの上から防弾ベストを雑に身につけたその装いは、彼らを取り巻くこの状況の異質さを男に思い起こさせる。 途端に、彼は心臓が握り潰されるかのような感覚に襲われた。 「教授・・・!?」 左手を石の路面につき、必死に身を起こした。 それからどれほど経ったかは定かではないが、恐らく先程の雑踏の中で転倒したのであろう、後頭部に鈍い痛みが走っていた。 辺りには彼と同様に倒れたままの数人の姿だけが見え、群衆は既に消えていた。 つい数刻前まで自らがいた行政区の方からは、パルス小銃の特徴的な発砲音が散発的に届いてくる。 脚をふらつかせた彼の肩を、老紳士が支えた。 「行くんだ。もう時間がない」 言葉と共に自らの胸に押し付けられた図嚢を両手で受け取りながら、男は相手の顔を見つめた。 「あなたはどうされるのですか・・・?」 通りの先、発着場を指差したままの老紳士に対し、彼は込み上げる感情を押し殺しながら呟くように尋ねた。 腕に応える重量からは、相当な数の記録が図嚢の中にあることが感じられたが、それでもこの十年の研究の全てを持ち出すには絶対に足りない。 パウークなる電子通信網は、既に内包していた膨大な情報もろとも消滅していた。 もはや研究の完成が自分の記憶の信頼性と正確性に懸かっていることに彼が朧気ながらも気付いた時、行政区の真ん中から巨大な火柱が上がるのが見えた。 数秒遅れて、重苦しい破裂音が彼らの鼓膜を破らんばかりに震わせた。 かつてタルヴィキ市の華と称えられたフムバラシル記念塔が、2㎞程向こうでその150mの体を粉塵と共に崩れさせるのが見えた。 「・・・研究所にはまだ被検体が残ってる。私のミスだ」 内臓を震わせる轟音に掻き消されそうになりながらも、その自責の念に震える老紳士の呟きは男の耳に届いた。 「連中に我々のやってる事はわかりませんよ!・・・早く船に!」 自らの足下を睨んだまま動かない彼の腕を掴み、男は通りを東に駆けだそうとした。 いつの間にかその手は振りほどかれており、老紳士をそこに残したままであることに彼が気付いた時、男は既に20mほど駆けた後だった。 「何をしてるんですか!?」 男は足を止め、後ろに怒鳴った。 立ちすくむ老紳士の向こうに上がる黒煙は、さながら巨大な壁のように分厚かった。 「神にも等しい力だ。然るべきものの手になければ、アレは・・・」 「早く!」 研究室の中であるべき、その場に似つかわしくない調子で語り始めた彼の言葉を男は遮った。 石の路面が重いものに打ち鳴らされる鈍い音が次第に大きくなりつつあった。 通りの200mほど向こう、煙の壁を超えて何か大きなものが姿を現した。 無数の攻撃肢に支えられた巨大な甲殻類のような体をこちらに向けたまま、それはゆっくりと此方へ歩みを進めてくる。 「行け、ヒッタヴァイネン。お前が終わらせるんだ」 決して大声を上げていたわけではないものの、老紳士は大きなエネルギーを伴った明瞭な声色で言った。 そして男に背を向けると、右手で握っていた杖を脇に放った。 「教授!」 肺の中の空気をいっぺんに叩き出すような調子で、男は恩師の背中に怒鳴った。 多脚戦車が、その茸の傘のような形の砲塔をこちらに向けるのが見えた。 「・・・案の定、眠り被ってやがったな」 後頭部を叩かれる小さな衝撃と共に、掠れた呟き声が聞こえた。 ヴァディムはゆっくりと振り向くと、その不健康な声の主の顔を見た。 いつの間にかレリィグは停止していたようであり、周囲には先程までの砂ではなく丈の低い草で覆われた大地が広がっているのが分った。 頭上の二つの三日月には一切の雲も掛かってはいなかった。 後ろからこちらを見下ろすフラーケの腕には、大きな金属製の缶が二つ抱えられていた。 「体の修復が追い付いていなかった。許してくれ」 ヴァディムは胡坐をかいた姿勢のまま彼に体を向けると、微塵の謝意も感じられない無機質な声で言った。 「まぁ、俺はどうでもいいよ。・・・ほれ」 缶の一つをヴァディムの腿の上に投げて寄越すと、フラーケは彼の傍らに同様に胡坐をかいて座り込んだ。 そして自分の缶の側面にテープで留められていた粗末な匙を剥がし、外套の裾で拭った。 「糞みたいな塩梅でも、腹は減るもんだ」 いつの間に手に入れたのであろうか、弾帯から吊った銃剣を鞘から抜きながら呟いたフラーケの手の動きを、ヴァディムは目で追っていた。 「どうやって食べるんだ?」 そして猜疑心と好奇心の混沌といった表情で尋ねた。 合金の缶に入った食べ物など、彼はこれまで見たこともなかった。 「まぁ見てろ」 疲れた顔で溜息交じりに呟きながら、フラーケは銃剣の切先を缶の縁に当てた。 そのまま柄を義手の拳で叩きながら器用に開けていく。 やがて跳ね上げられた蓋の下から、人造肉を豆と煮込んだものが見えた。 帝国陸軍の二線級の部隊で支給される、一昔前の型の携行食である。 「・・・学者ってのが『やっせんぼ』なのは、どこの世界でも同じらしいな」 缶の縁を爪で引掻き始めたヴァディムの手からそれを奪うと、フラーケは彼の分も開缶してやった。 雑に湯煎されただけではあったが、辺りの荒涼とした空気には芳ばしい匂いが広がった。 「そんで、お前は本当は何なんだ?」 調味液の沁み込んだ肉の塊を噛みながら、フラーケは尋ねた。 匙の上の豆を興味深そうに見つめていたヴァディムであったが、その呟きに気付くと視線を声の主に向けた。 「タルヴィキ・ヴィエナの研究者だ」 「そりゃ何百回も聞いた。俺が知りたいのは、お前が人間なのかってことだよ」 簡潔に答えたヴァディムを見遣りもせずに、フラーケは更に質問を重ねた。 「体は代替品だが、個性も人格も移されている」 「そうかい。・・・何であのババァに追い回されてる?」 豆に混じって僅かに煮込まれていた根菜の切れ端を匙で掬い、フラーケは弾くようにしてそれをレリィグの装甲に落とした。 「目を覚ました時、私は彼らの船の中にいた。解析される前に逃げ出した」 「・・・何でもかんでもバラそうとする癖は治ってねぇらしいな」 咀嚼した肉を飲み込む音を喉から立てると、フラーケは呟いた。 そして中身が半分ほどになった缶を傍らに置くと、彼はヴァディムの顔をしっかりと見据えた。 「お前が旧人か原人だってことは分かった。・・・今更何がしたいんだ?」 そして疑念の中に警戒心と若干の敵愾心を思わせる、死の縁を幾度も経験した者にしかない声色で尋ねた。 ヴァディムは舌の上でペースト状になった肉を覗かせながら、ただ口を開けて聞いていたが、やがてその貼り付けた仮面のような顔を何らかの感情に曇らせた。 「・・・管理と改変こそがヒトを本来の形に保つ。我々は世界をあるべき姿にしたかった」 言い訳でもするような、どこか後ろめたさを感じさせる調子で、彼はぼそぼそと言った。 「わけの分からん事をウダウダ言うな。・・・具体的に言え。お前はこれからどこに行き、何をするんだ?」 うなだれるようにして長い前髪の向こうに顔を隠した彼の喉元を、フラーケは睨んだ。 「・・・まずは、ただ確かめたい。あれから何千年も経ってヒトが、世界がどう変わったのか」 ヴァディムが答え終わらんとした時、フラーケの背後で何か水の入ったバケツをひっくり返したような音がした。 慌てて二人がそちらを見ると、いつの間にか操舵室から上ってきていたクルカが、今しがたぶちまけた自らの吐瀉物を見つめていた。 恐らくは先程フラーケが捨てた根菜を口にした結果であろう、彼は気の毒そうにそれの頭を撫でた。 「『ついてくる』ってのはそういう訳か。・・・俺が思うに、人間はそう変わっちゃいねぇぞ」 フラーケは視線をクルカに向けたまま、独りごちるように呟いた。 やがて、後ろの方からカルラが男たちを怒鳴りつける声が流れてきた。 「・・・明日はちと面倒なことになる。お前は下で休め」 相手の持つ缶が空になっていることを見ると、フラーケは言った。 そして傍らで二脚を立てていた小銃に手を伸ばした。 ヴァディムはやがてゆっくりと立ち上がり、突っかけの底が天井を踏む間抜けで軽い音を立てながら開口部へと歩み寄った。 しかし、下へ続く粗末な梯子に足を掛けようとしたところで、彼はフラーケの背中をしっかりと見据えた。 「あなたは、何が人を人たらしめていると思う?」 そして質問よりもむしろ何かへの懇願に近い、必死さと切実さを僅かに伴った声で尋ねた。 「・・・そりゃ簡単だ。欲だよ、欲。お前だってそうだろ?」 汚れた外套の背を見せたまま、フラーケは答えた。 開口部の重い蓋が閉じられる音を聞くと、フラーケはいつの間にか咥えていた煙草に火を点けた。 そして抱えた小銃から弾倉を外し、ゆっくりと槓桿を引いて薬室の弾を取り出した。 「糞が・・・」 前歯で噛んだ煙草の先を揺らしながら、彼は呟いた。 背中を天井に横たえると、三日月の左下の大きな星が、青白く輝いているのが目に入った。 やがて小銃の銃床を肩に当て、照星の頭をその点に重ねた。 引鉄を引くと、撃鉄が撃針の尻を叩く小さな金属音が辺りに響いた。 煙草から熱い灰が首に落ちるのにも構わず、彼はただ星をやぶにらみしながら銃を夜空に向けていた。 「・・・冗談でしょ?」 初めてその娼館に足を運んだのは二十歳を過ぎた頃だった。 フラーケ自身が物心ついて直ぐに死んだ父は、その店の常連であったという。 禍々しい形をした初期型の義肢を身につけたそのけったいな体に比して、下腹部についていたものは余りにも貧相な大きさをしていた。 アルベルタと名乗ったその女は、それを見てただ苦笑しながら呟いた。 「うるせぇよ。調子が乗らねぇだけだ」 目を伏せながらぼそぼそと言った彼を見て、女が喉の奥で笑いを噛み殺しているのが分かった。 技術省の三つの収集小隊が「特殊作戦群」として陸上総隊の隷下に移ってから、仕事の中身はがらりと変わった。 それまでは義肢や義眼と言った生体技術のノウハウ収集のために前線をころころと回されるだけであった、穴掘りと戦闘以外に何も知らない男たち。 それがいきなり貴族共の政争の道具とされては、ギャップのもたらす精神的な負担はとんでもないものとなる。 まともな学もない連中であっても、それなりの倫理観は生きる上で身についていた。 時には五つにも満たない子供を含めた標的を次々と殺めねばならぬとなっては、隊の中に病的な何かが湧かない訳がなかった。 ソマヴィラは何も気にしているようには見えなかった。 自身もその部下であった彼の父の死後、フラーケを引き取り育てた女。 その目的も価値観も全く分からぬまま、ただ言われるがままに体を弄られた。 いつもの貼り付けたようなものではない、時折見せるその邪気の感じられない笑顔に魅せられながらも、フラーケは彼女の伴う何か根本的な違和感に早くから気付いていた。 皮肉を主たる原理とした棘だらけの言動に、思わせぶりな秘密主義。 巷で噂される省庁の官僚の気性そのままではあったが、その裏には誰にも見通せない黒い何かがあった。 それはまだ残暑の残る頃の夜だった。 ノイエラントの東端、バルテルス領にあるこじんまりとした邸宅に彼らは踏み込んだ。 シラフであれば躊躇ったことだろう。 しかし、薬で無理やり強化された知覚の中では、本棚の陰から飛び出したその少女に対し銃口を向けざるを得なかった。 発砲炎で一瞬だけ眩んだ視界が晴れた時、眼前で倒れていたのは三十路ほどの痩せた女だった。 娘を侵入者から庇うため、寝室から扉を突き破るようにして現れたのだろう。 うつ伏せのその背中を覆うカーディガンには三発分の弾痕が綺麗に空いており、やがてその体は血の海に浮かぶような様になった。 その後ろでピンク色のクルカのぬいぐるみを抱えたまま立ちすくんでいた少女は、その後すぐにアレキシかボロディン、同じ分隊のどちらかの奴の放った散弾に小さな体を吹き飛ばされた。 フラーケはただ小銃の先を下に向け、呆然と様子を眺めていることしか出来なかった。 「よくやった」 ソマヴィラは図板を眺めながら、ただ一言そう言った。 口の煙草から流れてきた煙が、妙に辛かった。 そして報告に来たフラーケに数枚の札を渡すと、追い払うかのように右手を振った。 部屋に案内されて寝台に座るなり、彼は泣き崩れた。 それまで三回ほどしか顔を合わせていない女の前ではあったが、外套を濡らす涙を止めることが出来なかった。 腹に力を入れても、頬の内側を噛み締めても、それは両目から溢れ出してくる。 アルベルタは当初はただ面食らったかのように彼を眺めるだけだったが、やがてその震える肩に小さな手を置いた。 「人間なんだから、泣くときは泣かないと」 そして諭すような、穏やかで明瞭な声で言った。 息子が生まれた事を伝えると、ソマヴィラは思ってもみなかった返事をした。 「おめでとう。何か要るものはあるか?」 煙草を咥えたままではあったが、それは明るい生気に満ちた、紛れもない人間の声色だった。 フラーケは面食らいながらも、丁重にその申し出の数々を断った。 しかし、駐屯地に近い中流階級向けの住宅の提供だけは受け入れた。 それからは、心なしか仕事も以前ほど凄惨なものではなくなったように感じた。 相変わらず国中を飛び回る必要はあったが、週に何度かはラルフと名付けた息子の顔を見るだけの時間と精神はしっかりと保つことができた。 「フラーケは唐変木の尻穴野郎だよ」 息子は五つになった頃から、口癖のようにこう言うようになった。 時折家にやってくるアレキシに対してはおじさんと呼ぶくせに自らを名で表すことに対し、フラーケは幾度も窘めた。 しかし、恐らくは凄まじく気の強い母親に似たのであろう、聞き入れることはなかった。 妻が台所の床下に隠した無電を相手に、時折アーキル語の暗号を話していたことをフラーケは知っていた。 しかし、それに気づいた素振りを彼女に見せることは決してなかった。 夕餉の時に戦局の話になると、強引にでも話題を変えることに努めた。 これでいいと心のどこかで確信していた。 ようやく手に入れた人並みの幸福を守り通す自信が、彼にはあった。 思考の片隅では必死に危険を喚起する自分がいたのも分かっていた。 それに耳を傾けるべきであったと知ったのは、息子が七つになって三カ月ほど経ってからだった。 「・・・潮時だな」 隊本部の当直室前の廊下。 扉の向こうから、ソマヴィラの声が伝わってきた。 彼女が電話の受話器を置いた音を聞くと、フラーケは扉を軽く叩いた。 何度やっても返事がないため、彼はやがてゆっくりとノブを引いた。 部屋の中を覗き込もうとした彼の目に映ったのは、極めて不穏なものだった。 眼前30㎝の距離で、その女は自分の胸に短機関銃の銃口を突きつけていた。 「すまんな」 一つの単語であってすらも、まともに呟ききらない内にソマヴィラが引鉄を引くのをフラーケは何度も見ていた。 それでも、必死に身を捻ってその小さな銃口から逃れようとした。 続けざまに放たれた二発の内の一発が、肺を抜けて肝臓のあたりを食い破るのが分かった。 鈍い波を伴った名状し難い不快感に歯を食い縛りながら、フラーケは左手で銃身を掴んだ。 そして、空いた右手で目の前の女の顔を殴りつけようとした。 しかしながら、突き出された拳に込められた力は拍子抜けするほど弱いものだった。 下手をすれば、息子の頭に喰らわせる拳骨の方がマシだったかもしれない。 今しがたの出来事に対し、二人はただ面食らったかのように顔を見合わせていたが、先に状況を掌握したのは結局ソマヴィラの方だった。 やがて、口元にいつもの笑みを浮かべながら呟いた。 「いい子だ」 フラーケは、自分の顔面から血の気が引くのを確かに感じた。 次にどう動くのが正解であるのか、もはや分からなかった。 しかし、ソマヴィラが何かを叫ぶために大きく空気を吸い込んだのを見て取ると、彼の左手は思考よりも先に動いていた。 銃身に再び力を込め、ソマヴィラの手から短機関銃を奪い取った。 何よりもまず、フラーケはその場から逃れたかった。 銃の握把を右手に握ると、彼はすぐにソマヴィラに背を向けた。 矢のように駆け出した彼は、その背後でボロディン達を怒鳴り付ける彼女の声を聞いた。 それでも警衛に通達が行くよりも早く、彼は衛門を抜けることに成功した。 家は駐屯地から400m東、無数の公営住宅を内包する小高い産業塔の中にあった。 異変にはすぐに気付いた。 地上五階あたりの西に面した壁から、もうもうたる黒煙が上がっている。 群衆の中に立ち止まって必死に目を凝らすと、その源たる大穴の中に炎が見えた。 フラーケは外套の裾で銃を隠しながら、群衆を掻き分けて進んだ。 頭の中の恐怖が体の激痛と合わさり、心臓が病的なまでの圧力で血を循環させるのを感じた。 頭上では夕焼けが次第に闇に染まっていく。 やがて、人混みが切れた。 上から降り積もったのであろう瓦礫の中には、まだ端に火が付いたものもあった。 そのうちの一つ、栄養塊を供給していた太いパイプの切れ端に、子供が座っているのが見えた。 茶色い長い前髪の下、切れた頬から流れた血が、シャツに大きな染みを作っていた。 「・・・ラルフ」 その名を呟きながら、フラーケは息子に駆け寄った。 群衆の視線が一斉に二人を捉えるのにも構わず、彼はその目の前に屈んだ。 「逃げるぞ、今すぐだ。母さんはどこだ?」 そして畳みかけるように言った。 しかし、フラーケの腹に空いた弾痕を虚ろな目で見つめたまま、息子は何も答えようとはしない。 幼子が受け入れ切れる凄惨さというのは、たかが知れている。 その限度を遥かに超えた現場に居合わせた子供がどうなるか、フラーケはよく知っていた。 最悪な結果を、彼は心のどこかでとっくに掌握していた。 しかしながら、それは出来事を納得し受け入れる事とは違う。 「おい、何があった!?・・・あいつはどうした!」 妻の身に起こった事など、態々息子の肩を揺さぶらなくても知っている。 それでも、こうして怒鳴り散らさねば腹の中で思考を喰らう感情の塊を抑えきれなかった。 やがて自らの右前方50m、産業塔の大通用口が開き、そこから数名の男たちが出てくるのをフラーケは視界の隅に認めた。 その兵士達の装いは、彼にとってあまりにも慣れ親しんだものだった。 渦巻いていた絶望が、一瞬にして何か明確なものに叩き潰されるのを感じた。 溶岩のような熱を伴った、強烈なまでの闘争本能。 先頭の男と目を合わせるや否や、フラーケは銃を裾から振り抜いた。 そして向こうが小銃を肩に居銃するよりも早く引鉄を引いた。 閃光と煙の向こうで、前にいた二人がのけぞるのが見えた。 「殺してやる!」 発砲音に混じらせ怒声を飛ばしながら、フラーケはゆっくりと射線を左に移していった。 強化された頭蓋骨であろうとも、高初速の完全被甲弾をまともに喰らえば中の脳は激しく揺れる。 最後尾の小柄な男が身を後ろに倒す直前、その右手の拳銃の先がチカッと光った。 自らの左肩を掠めて飛んだ弾が、後ろにいた息子の足元で跳ねるのが聞こえた。 途端にフラーケは腹の中にある溶けた鉄が、水をかけられたかのように冷たく固まる感覚に襲われた。 論理的な思考が数分振りに首をもたげ、行動を支配する。 もはや弾倉が空になった銃を足元に捨て、彼は息子に駆け寄った。 「大丈夫か!?」 大声で呼びかけながら、フラーケはラルフの体を頭から下へと順に軽く叩いた。 頬の裂傷の他には、大きな傷はなかった。 ゆっくりと、息子の瞳に光が戻っていくのが分かった。 やがて彼は両目から涙を溢れさせながら、啜り泣きを始めた。 「・・・母さんは」 「黙ってろ。逃げるぞ」 擦れた声で呟いたラルフの言葉を、フラーケは遮った。 そして息子の小さな体を両手で抱え上げると、いつの間にか遠巻きに此方を見ていた群衆の向こうに開く路地に向け駆け出した。 そのグランヴィナスの照準器には、緩衝材は取り付けられていなかった。 闇の中、上からは見えていなかった大きな岩が右の着陸脚を砕いた衝撃で、彼の額はそれとぶつかった。 それでも、機体はどうにか横転することもなく草地の上に停止した。 頭の中で火花が散るような感覚に襲われながら、フラーケは両足を方向舵と固定するベルトから引き抜いた。 右目の上を触ると、骨の一部が確かに陥没しているのが分かった。 四時間以上の巡行の中頃で、昇降舵の挙動がおかしくなったため、浅知恵と勘でどうにか操縦していた彼は何度も墜落しかけた。 その疲労が体中の激痛と合わさり、シートベルトのバックルに手を掛けた時点でフラーケの意識は飛びそうになった。 それでもどうにか重い体を操縦席から引きずり出すと、這うようにして左翼の上を進んでいった。 そして生体機関の装甲の一部に手を掛けたところで、彼はただ愕然とした。 小銃弾によるものと思われる小さな弾痕が二つ、そこに空いていた。 両繊月のために極めて曖昧な視界の中で、彼は必死に整備用扉の取っ手を持ち上げた。 不時着の衝撃で歪んだのであろう、それはなかなか開こうとしない。 装甲から引き千切るようにして彼がようやくそれを取り除いた時、中にいた息子はもはや呻き声も漏らしてはいなかった。 シャツは真っ赤に染まり、その口からはごく少量の空気が吐き出される音がただ聞こえた。 フラーケはもはや何も言うことができなかった。 切れかけた機関の動脈の一本を握り締めるその小さな右手に、彼は自らの傷だらけのそれを重ねた。 「・・・母さんが、フラーケはカス袋だって」 蚊の鳴くような声で呟いたラルフの口から、血の筋が流れ出た。 「そうだよ、俺はカス袋だ。だから喋るな」 自身も人工声帯から絞り出すような擦れた声で、フラーケは言った。 そして息子の胴体のどこかにあるであろう傷口を、手探りで探し始めた。 「僕は、・・・フラーケは違うと思う」 息子の琥珀色の瞳は、もはや何も見てはいなかった。 ただ、夜空の星々が無数の白い点となって映し出されていた。 傷が背中にあることをようやくフラーケが知った時、息子の肺はもう何も吐き出してはいなかった。 自らの両目から一滴の涙も流れ出ないことを不思議に思いながら、彼はラルフの亡骸を抱え上げ、機関から出した。 そしてゆっくりと戦闘機の左翼にそれを横たえ、隣に腰を下ろした。 「何も違わねぇ。俺は屑の中の屑だ」 そして、うっすらと開いたままの息子の瞼を、右手で閉じてやった。 やがて、フラーケは背中を力なく翼に倒した。 ようやく分泌され始めた涙に、星空が滲んで見えた。 何かを考えると、前頭部が酷く痛んだ。 腹の中でくすぶる何かを必死に抑え込むうちに、やがて水面の波紋のように静かな余韻を伴いながら、その意識は闇に沈んだ。 瞼を開くと、目脂が剥がれるような音がした。 白み始めた東の空が、妙に鬱陶しかった。 厚い外套を着ていたとは言え、冷たく硬い装甲版の上に何時間も横になっているべきではなかった。 フラーケは呻き声を漏らしながら、鈍く痛む腰を大きく捻った。 やがて、体中の骨から轢音を響かせながら立ち上がった。 鎮痛剤の効果はとっくに切れていたが、腹の大きな傷はほぼ塞がっていたため問題はなかった。 「出発するよ、おっさん」 後ろからカルラの声が飛んできた。 多少は疲れていたものの、それはしっかりとしたエネルギーに満ちていた。 「あいよ、すぐ降りる」 振り返って答えたフラーケの横顔を、カルラは訝し気に見つめた。 「・・・あんたら、二人とも妙な夢でも見たの?」 そして僅かに困惑を伴いながらも、笑いを押し殺したような声で尋ねた。 泣き腫らした目をぎょろぎょろと回すと、フラーケはばつが悪そうに足元に視線を移した。 流れてきた風は、確かに草の根の臭いがした。
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プルサーマル / 原子力発電 「もんじゅ」で言葉検索 「高速増殖炉」で言葉検索 ■ マスコミが報じない「もんじゅ」の真実。「もんじゅ」をこのまま潰していいのか? 「さくらの花びらの「日本人よ、誇りを持とう」(2016.1.3)」より / 高速増殖炉「もんじゅ」が潰されようとしています。本当に潰していいのか、真剣に考えるべき時期が来ています。 良識ある国民が声を挙げていかなければ反対派の独壇場です。 テレビでは「動かないもんじゅに1兆円もかけて、さらに年間200億円も使っている。こんな無駄はない」と報じます。これだけ聞けば国民も無駄だと思って しかし、真実はどうであるのか・・・・・。 原子力規制委員会(田中委員長)は「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構(機構)に「是正という段階を超えて、もんじゅを扱う能力がない」と断言しました。この田中委員長というのが曲者ですから名前を覚えておいて下さい。 「もんじゅ」は1995年にはナトリウム漏れの事故を起こし、2010年にようやく再稼働したと思ったら炉内の中継装置が落下して停止し、以来稼働されていません。この落下事故は反核派の活動家が「もんじゅ」に入り込んでやったと渡部昇一さんが著書で書いています。 また2012年には「1万件近い機器の点検漏れがあった」と報じられて問題となりました。しかし、なぜそうなったかは報じられません。 (※mono.--以下略、詳細はブログ記事で。下枠は元記事となったwillの記事のYahoo!掲載版です。) ★ 新聞・テレビが全く報じない「もんじゅ」と「規制委員会」の真実【金子熊夫×奈良林直×櫻井よしこ】 「Yahoo!news-Will(2015.12.2.1)」より / もんじゅ「一万件チェック漏れ」の真相 櫻井よしこ 原子力規制委員会(以下、規制委)は十一月十三日、高速増殖炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構(以下、機構)について、所管省の長である文部科学大臣に厳しい勧告を突きつけました。 「機構については、単に個々の保安上の措置の不備について個別に是正を求めれば足りるという段階を越え、機構という組織自体がもんじゅに係る保安上の措置を適正かつ確実に行う能力を有していないと言わざるを得ない」と断じ、さらに「(安全確保上必要な資質がないと言わざるを得ない段階)に至ったものと考える」と、ダメ押ししました。 日本はこれまでもんじゅに国税一兆円を投入してきましたが、一九九五年のナトリウム漏れ事故以降、ほとんど運転休止が続いています。その間も年間二百億円をかけて維持してきたわけですが、規制委が機構を、安全性を確保する能力も資格もないと、断言しました。 二〇一二年には、もんじゅに一万件近い機器の点検漏れがあったと報じられました。報道を見れば規制委の批判はもっともだと国民は思ってしまいます。国民からもんじゅに対して不信の声が起きているのも当然ですが、報道されていない多くの問題があり、それらを知ったうえでなければ判断は下せないのではないかと思っています。 奈良林直 実は東日本大震災以前、機構にはもんじゅが実用化された後の技術移転のために、メーカーや各電力会社から出向してきた技術者が全体の五〇%いて、残りの五〇%が機構の職員で構成されていました。ところが、震災以降、機構が六〇%、三〇%がメーカと地元の協力企業で、電力の出向者は一〇%に減っています。再稼働を急ぐためですのでやむを得ません。 櫻井 現在は、最小限の人数しか機構にはいないということですね。 奈良林 さらにその中から福島の復興事業にも人手を割くなどしており、また予算も減らされているため、点検工程の延期と点検計画の見直しを規制委に再三に渡って要請していたそうなのです。しかし、一切無視され、三、四カ月ごとに規制委が機構に来て「まだ終わっていないのか!」と叱責する。 金子熊夫 もんじゅの機器類のうち「一万件のチェック漏れ」があったとマスコミに書き立てられると、「とんでもない組織だ」と思われてしまいますが、そもそもその「一万件」がもんじゅの安全な運営や技術の向上に本当に不可欠なものなのか非常に疑わしい面があります。 奈良林 ナトリウム漏れ事故以来、ナトリウムが万一漏れて火災が起きたらすぐに発見できるように、監視カメラを約百八十台設置したのですが、二十年経って古くなり、そのうち五十四台が故障していたのを指摘されたのです。ところが予算も人員も削減されているなかで、まずは原子炉の安全に関わるシステムや計器を優先度の高い順にチェックしていくので、カメラの検査などはどうしても後回しになる。すると「カメラがぜんぜん点検できていないじゃないか」と言われてしまう。しかし、このテレビカメラはそもそも保安規定にも盛り込まれていなのです。つまり検査対象に入っていない。そうしたものまで「やっていない」と責められ、新聞には「一万件チェック漏れ」と書かれてしまう。 ちなみに、十二月十二日にもんじゅを視察したところ、全て新品の監視カメラに交換されていました。 金子 あの時、機構の理事長を務めていた鈴木篤之さんが「やるべきことはしっかりとやっているからいいじゃないか」と発言したら「とんでもない不謹慎な奴だ」となって解任されましたが、私が理事長でも同じことを言いましたよ。 奈良林 停止中と稼働中では使用する機器も稼働中のほうが多くなります。もんじゅは停止していますからまずは最重要の炉心回りを重点的に点検したり、機器のバルブでも稼働中にしか使用しないバルブより、まず停止中でも使用するバルブを優先的にチェックしていくわけです。必要最小限の人材で最大限のことをやる。ところが、規制委は稼働中に使用するものも全てを一括りにして「あれもできてない」「これもまだやっていない」と批判する。 規制委の手法は世界的に見てもおかしい 櫻井 そうした事情を機構側が規制委に主張しても受け入れられないという状況が見えてくるような事例です。もんじゅの地元の敦賀市や福井県には、規制委のコミュニケーション不足に対する不満があると「福井新聞」が伝えています。渕上隆信市長は「適切な指導があれば、勧告を出すような事態にはならなかったのではないかと述べていますし、西川一誠知事も「これまでの(規制委の)助言に親切さが欠けている」とさえ言っています(「福井新聞」一五年十一月十七日)。 たしかにもんじゅを扱う機構にも問題があるのでしょうが、規制委の手法は世界的に見てもおかしいのです。 +続き 奈良林 一切聞く耳を持ってもらえないと機構の人は嘆いていました。悪意すら感じると。しかも、検査では膨大な資料が要求されます。例えば物差しで寸法を測るにも市販された物差しで測ってはならず、メートル原器で精度が保証されたものを使わなければならない。そのために「この物差しはメートル原器で精度が保証されています」という証明書を作るところからまず始めるのです。 私が、ある発電所の傍にある駐在検査官の事務所を訪ねると、十万ページ、十メートルの書類が山積みになっていました。 櫻井 厚さ十センチのキングファイル百五十冊分。この電子化の時代、紙書類としては正気かしらと思う量です。 奈良林 その書類も品質保証の対象となりますから、仮に百万字のなかから誤字脱字が一個所でも見つかると、全ての書類が「不良品」「チェック漏れ」で突き返される。いま各原子力発電所でこの書類審査が行われているのですが、規制委はそれと同じことをもんじゅでも要求しているのです。発電所では数十人が品質保証の書類作りに専念していますが、もんじゅでは人手が足らない。そのなかで短期間のうちに膨大な書類作りと確認に追われ、機器の点検も「全てやれ」と言われてしまっている状況です。 櫻井 厚さ十センチのキングファイル百五十冊分は、審査する規制委にとっても大変な分量のはずです。規制委による原発再稼働に向けた審査が大幅に遅れているのも当然です。つまり現状では、審査する側もされる側も十分に対応できていない。規制委も含めて双方が「能力を有していない」状況に追い込まれてしまっている。 奈良林 ある駐在検査官が「私たちは上司にしかられるので、誤字脱字も見逃さないよう、毎日厳しく書類をチェックしていますが、これで原子力発電所の安全性が高まるとは到底思えません」と嘆いていました。アメリカでは検査項目などが全て電子化されていて、パソコンで閲覧が可能です。検査官は抜き打ちで発電所に行きその場で電子ファイルを見て、「この機器を動かして下さい」「あのシステムはどうなっていますか」と現場で実際に見て動かして確かめているのですが、日本では書類を清書することが第一になっている。必ず紙の資料も提出しなければならないのです。 櫻井 それにしても日本の規制委はなぜこのような非合理の極みのような検査法をとっているのですか。 奈良林 なにかトラブルがあった際に紙の資料を証拠として提出するためなのですが……こんなことをやっているのは先進国の中で日本だけです。世界の規制と比べて日本がどれほど遅れているかという事実を国民も知らないし、政府も認識していない。 私が会長を拝命している日本保全学会のなかにも、「もんじゅの保守点検について機構にアドバイスを続けているけれど、何を言っても対応してくれない」との不満を言う人がいますが、保全計画をまとめて、規制庁と交渉したり、保全計画を整備する中間管理層の人材が機構に不足しているのも大きな要因です。 軽水炉の再稼働の審査対応では、電力会社では数百人の人が書類作りをしたり、東京に詰めて、規制庁対応をしています。これらのことをできる人が機構には払底しているのです。 日本では何でもかんでも「大事故」に 金子 こうした問題点はメディアでは書かれず、単に「一万件のチェック漏れ」と報じられ「とんでもない杜撰な組織だ」という印象だけが広く流布して定着してしまうわけです。一九九五年十二月八日に起きた「ナトリウム漏れ事故」も本来ならトラブル程度で済む話でした。 奈良林 フランスの実験炉では約三十年間に三十回ぐらいのナトリウム漏れ事故を起こしていますが、その間も安全を確保しながら動かし、改良を重ね技術革新を図りその知見を国際会議で発表しています。こうした事実はメディアで全くと言っていいほど報じられません。 金子 そもそももんじゅは実験炉、原型炉、実証炉、実用炉という四段階の二番目の段階のもので、普通の原発のような完成した実用炉(商業炉)とは異なるという視点が日本では完全に抜け落ちています。機器の不具合などを実験で確認し、トラブルがあればその都度改良を重ねていくための炉なのです。いわば、失敗があって当たり前なんです。 ところがそれが「大事故」になったのは「事故隠し」を行なってしまったからですね。ナトリウム漏れ事故の現場を映したビデオから事故状況が映っている場面を意図的に削除したことなどが判明し、大きな批判を受けました。 櫻井 その点は厳しく責められてしかるべきと考えます。新しい技術開発で、しかも実験炉なら問題が発生するということは国民は理解できると思います。それを情報公開し、きちんと技術的に乗り越えれば理解も得られます。しかし、情報隠しをしてしまえば信頼の土台が崩れます。 金子 もちろんです。ただ海外ではナトリウム漏れぐらいでは大きな問題視はされません。日本はちょっとしたトラブルでも新聞に書かれて「大事故」にされ、予算が削減されてしまう。世界の基準に照らしても大したことはないと関係者の誰もが分かっていましたから、できれば小さなトラブルで済ませたい、との思いがどうしてもあったのでしょう。 奈良林 「事故隠し」は褒められたことではありませんが、ナトリウム漏れ火災を受けて、もんじゅでは温度計を改良したり、漏えい検知器を設置したり、受け皿を設けるなど徹底的な改善策を一年以内に講じています。また、万が一電源が喪失してもナトリウムの自然対流で炉を冷却する空気冷却系も設置している。もんじゅを視察すればすぐわかることで、そうした点もメディアは公平に報じるべきではないでしょうか。 ちなみに「もんじゅ」の原子炉設置許可無効を求めて住民が起こした裁判で、二〇〇五年五月に最高裁は「見過ごすことのできないミスや欠落はない」として住民側の敗訴が確定しています。 櫻井 現場をよくご存知のお二人のお話しを聞いて、事情がよりよく分かりました。あまりにも厳しい重箱の隅をつつくような批判が現場を委縮させている、正面から問題に向き合うことを避けようとする空気を作ってしまっていると思います。これは報道の質の問題につながっていきますね。 「もんじゅ」に対する偏見と怨念 金子 もんじゅに限らず東日本大震災後、各電力会社は大変な人材と資金を投じて改善策を講じていますが、そうした報道はほとんどありません。津波はもちろん竜巻など世界一厳しい基準をクリアすべく対策を講じている。それを重箱の隅をつつくようなことばかり取り上げて「けしからん」とやっていては本末転倒です。 はっきり申し上げて田中俊一委員長はもんじゅとプルトニウムに否定的な考えを持っているとしか思えません。私も田中俊一氏が難しい立場で懸命に頑張っていることは十分認識しており、彼を個人攻撃するつもりは毛頭ありませんが、彼はかなり前からもんじゅをはじめ高速増殖炉計画に否定的であったことは事実です。ただ従来国策で進められてきたので横目で見ていたのが、東日本大震災が起きて以降、原子力に対する否定的な見方の広がりを受けて「これ幸い」とばかりに叩きにかかっているように見える。第一、氏の言動には温かみが全く感じられません。もんじゅを一生懸命立て直そうとしているときに、「お前たちは無能で不適格だ」とバサッと全否定されたらそれはショックですよ。 もんじゅの青砥紀身所長が記者会見で、改善に向けて規制委とのやりとりを続けていた最中で「突然はしごを外された感がぬぐえない」と話していたのも頷けます。 櫻井 先ほどご紹介した福井県知事の西川氏の「親切さが欠けている」との批判と重なります。田中委員長が高速増殖炉にそこまで否定的になる理由として考えられる要因はありますか。 金子 かつて日本原子力研究所(原研)と動力炉・核燃料開発事業団(動燃)という研究機関がありました。田中さんは原研の副理事長を務めた人です。もんじゅに先行して敦賀に「ふげん」というユニークな新型転換炉(ATR)が建設され、その後にもんじゅが建てられたわけですが、どちらも動燃が実務的な研究開発を続けてきました。 一方、原研は基礎研究がメインですから予算も動燃より少なかった。その両者が統合再編され、新たな独立行政法人として、これまで話に出ている機構が設立されたわけです。ところが、気風もタイプも違う両者の間で縄張り争いのようなことが行われてきた。そうした原研と動燃時代からの怨念を引きずっているという面があるのではないかと思います。つまり動燃やもんじゅに対する怨念です。 ここのところはかなりデリケートなので、もう少し詳しく説明しますと、原子力の興隆時代、旧原研(当初の原研)は高速増殖炉も含め幅広い原子力研究を実施していました。その旧原研が「赤い組合」に牛耳られていたことから、国は新規に動燃という事業団を設立し、サイクル技術事業化開発(常陽、もんじゅ、東海再処理、プル燃料等)を委ねました。旧原研の流れを汲む研究者たちは、「もんじゅ」を筆頭とするこれらの壮大で魅力的な研究開発とそれに関連する潤沢な予算を動燃にとられた。本来自分たちが担うべきであったし、もし自分たちがやっていれば旧動燃や機構のような技術的な失敗(ナトリウム漏れ)や、あのような無様なこと(ビデオ隠し)は起こさなかっただろうという思いがあって、いまだに怨念に取りつかれているのではないか。あまり下司の勘ぐりじみたことは言いたくありませんが、公平な第三者の立場から見て、旧原研出身者にそのような、屈折した感情があるのではないか、という気はします。 櫻井 組織再編に関して、そうした内輪の話は意外と重要な要素ですね。 金子 実は私は、退官して大学教師をしていた当時、二つの組織が統合して現在の原子力機構になる時に偶々動燃の運営諮問委員会の委員をしていて、そうした可能性をひそかに懸念していたのですが、原子力研究者の世界では、そういうことも結構重要な要素のようですね。 規制委は「もんじゅ」の再開に向けた準備活動すら禁止しました。明らかに「もんじゅ」を潰そうとしているとしか思えません。 規制委を監視する組織の創設を 櫻井 私のなかでもそこは大きな疑問です。なぜ、準備することを禁止するのか。金子さんの仰る「もんじゅ潰し」と言われても抗弁できないのではないでしょうか。もしそうなら、これは規制委の権限を逸脱していると言わざるを得ませんし、規制委には、「中立公正」さと運営の「透明性」が原子力規制委員会設置法(以下、設置法)によって求められるなかで、規制委はその法的要件を満たしていないのではないかと言えます。 金子 だから田中さんは、あくまでも「勧告」と言っているわけですよ。強制はしていないと。 櫻井 田中委員長は、文科省に対して「半年を目処として」、機構に代わるもんじゅの新たな運営主体を見つけるよう勧告したと同時に、「看板の掛け替えは認められない」(朝日新聞十一月十四日)とも語っています。 新しい運営主体を見つけられなければ、廃炉を検討せよ、と事実上求めたとも言えます。「勧告」であっても現実には命令に等しい効果があるのではないですか。 金子 原子力はこれまで一貫して国策で進められてきました。国のその姿勢は今後も変わりません。ですから本来なら「稼働させる」という前提で、安全性をチェックするのが規制委の使命のはずです。ところが、今の規制委はそうなっていません。「稼働させない」あるいは「稼働できなくても構わない」という前提で動いている。国家行政機関の一つとして規制委はその本来の役割を果たしているとは言えません。 奈良林 自民党のプロジェクトチーム(PT)が提言書を纏めて田中委員長に提出しました。そのなかには規制委が行政手続法に基づいてきちんと規制委としての役割をはたしているかチェックする監視組織を作る案が盛り込まれています。 櫻井 現実は、規制委が真に原発やもんじゅの安全性を高めることに役立っていないことを示しているわけですから、自民党は急いでそのような組織を作ることが必要です。 奈良林 アメリカの原子力規制委員会(NRC)のなかにも適正に規制を行っているかをチェックする組織が作られています。さらに米国原子炉安全諮問委員会(ACRS)という専門家の組織があり、NRCに対して随時アドバイスを行っています。 金子 ところが、田中委員長は設置法で五年間の任期を保証されているので、何をやっても、やらなくても職を解かれることはありません。 米国のNRCの場合は、委員長に問題があると、議会が徹底的に追及して自ら辞任に追い込むことができます。事実、福島事故当時のグレゴリー・ヤツコ委員長、彼は正真正銘の反原発派ですが、議会の追及に耐え切れず任期半ばで辞任しました。それが民主主義の原理です。 櫻井 規制委は委員長の任免を天皇が認証し、公正取引委員会同様、内閣総理大臣といえども介入できない3条委員会です。かといって彼らが独断専行で日本の基本政策を覆すようなことをしてよいはずはありません。原子力産業は日本のエネルギー政策の根幹ですし、国民生活を支えるものです。その重要産業の行方が公正さを欠く手続きで決められるとしたら問題です。 金子 田中委員長は任期まであと一年半ありますから、その間に「中立公正」とは程遠い、重箱の隅をつつくようなことがますます横行する恐れもあります。 菅直人元首相が仕掛けた「時限爆弾」 奈良林 北海道新聞(二〇一三年四月三十日)に菅直人氏が次のように語っています。 「たとえ政権が代わっても、トントントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会をつくったことです」 この記事で菅氏は1「活断層と認定する」か、2「40年問題」(建設後40年経過の原子炉の安全性検証を著しく困難にした)で多くの原発を廃炉にしていき、2030年代半ばには日本の原発をゼロにできる。3もんじゅと再処理もやめさせることで核燃料サイクルも無くせる、という趣旨の発言もしています。 まさにいま、菅直人氏の仕掛けた「時限爆弾」が爆発している。 櫻井 菅氏の思惑通りに事態が進行している、という認識が政府・自民党の側にあるのかと疑わしく思います。3条委員会を尊重することと、彼らが設置法に基づいて公正な審査をしているかをチェックすることは両立するのです。 奈良林さんが先ほど言及されたアメリカのチェックの在り方などを参考に、日本も専門家の知見や国会の機能を活用して、規制委の公正な審査を実現していかなくてはなりません。 金子 政治を変えるのはやはり世論の力も大きいですから、もんじゅについても科学的な正しい知識と情報を国民に知ってもらい、外側から機運を温めて“冷たい規制委員会”を溶かしていくような動きが必要です。 それとやはり霞ヶ関の構造も変える必要がありますね。先ほども申しましたように、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(一九九五年)、さらに東海村JCO臨界事故(一九九九 年)が重なって、監督官庁である科学技術庁が廃止され、十以上あった原子力部門を圧縮して、文部省に嵌めこんだ。それが現在の文部科学省ですが、スタッフの規模からいっても弱体化は否定できません。 櫻井 田中委員長は勧告書のなかで文科省に対しても「これまでの対応は結果的に功を奏していない」と批判しました。客観的に見て文科省が高速増殖炉の研究開発の主管官庁でよいのかという疑問はあります。 金子 現在、文部科学省に原子力の名前が付く課はわずか一つです。優秀な技術系のキャリア官僚やエンジニアが省庁を去り、予算も力もなくなった。つまり原子力の研究開発を所管する官庁が極端に弱体化してしまっているのです。大臣も人によりますが、文部行政に強い人が就くことが多く、科学的な分野に関してはあまり明るくないことが多い。 他方、原子力発電所や核燃料関係は通産省、現在は経済産業省が所管している。この際、原子力発電とそれに関連する核燃料サイクル、廃棄物関係は文科省から切り離して、研究も実用も、全て一括して経産省・資源エネルギー庁で行うように改組するべきだと思います。そうすれば電力会社や原子力メーカーも経産省の指揮の下、「もんじゅ」などにも一層協力しやすくなるのではないか。現在の状況では電力会社はなるべく距離を置いていたいようですが。 教育用原子炉停止で深刻な弊害が 奈良林 問題がもう一つあります。文科省所管の各大学には教育用の原子炉があるのですが、それがいま全て止められているのです。 櫻井 具体的にどの大学ですか。 奈良林 京都大学と近畿大学、それから東京大学です。東京大学の弥生の原子炉は二〇一一年三月を以て永久停止となりました。京都大学の原子炉や臨界実験装置は全国の大学の教育にも使われています。私も大学の修士の時に研修を受けましたし、北大の学生も毎年、研修を受けています。これまでは文科省のなかに大学の研究炉を担当する部門があり、規制庁が設立された半年後に文科省から規制庁に担当者が異動したんです。ところが、担当者が規制庁の人と入れ替わったため、今では大学の原子炉を理解していない人が商業炉と同じような感覚で規制を行っているのです。 櫻井 そこでも膨大な書類を要求されているのですか。 奈良林 そうです。規制委から「商業の発電所と同じ審査をするので、書類を提出しなさい。許可が出るまで動かしてはならない」との指示が出され、大学側は大慌てです。 それによってどのような弊害が起きているかと言いますと、例えば京都大学は原子炉の中性子を使って脳腫瘍などで苦しむ患者さんを治療し、年間六十人ぐらいの命が救われていたのですが、原子炉を止められているため、その治療ができない状況が続いているのです。 さらに、人材育成という面でも原子炉特別実験という決められたカリキュラムを学生たちが受けられないため、いまは韓国に頭を下げて韓国の原子炉で学生たちは研修を受けているのです。 「日米原子力協定」の交渉で不利に 奈良林 もんじゅなどの高速増殖炉は軽水炉の原子力発電で生じる使用済み核燃料からプルトニウムとウランを抽出して再利用しますので、新たな燃料なしで二千五百年間、エネルギーを供給できる潜在的な能力を有する、資源小国の日本にとってはまさに「夢の原子炉」です。 櫻井 使用済み核燃料を放置すれば、人間に対して無害な天然ウランと同じ水準に戻るのに十万年かかります。高速増殖炉で燃やせばこれが三百年に短縮され、量は約七分の一に減る。使用済み核燃料の処理にも高速増殖炉が大いに役立ちます。 また、原発から生まれるプルトニウムの平和利用の姿勢も明示できます。現在日本はプルトニウム四十七トン、核爆弾およそ五千九百発分を蓄積しています。このまま持ち続ければ、核兵器製造を目論んでいると疑われかねません。高速増殖炉を稼働させることで、日本の目的はエネルギーだと納得してもらえる。 金子 二〇一八年に現行の日米原子力協定の期限が来て、改正がなければ自動延長になると規定されています。現行協定では、日本は米国産の核燃料の再処理や二〇%以上の濃縮に関し「包括的承認」を与えられており、この権利は絶対に確保しておくべきです。 従って、日本側から協定改正を言い出すことはありませんが、もし先方から何らかの改正提案があったら外交交渉が必要となるかもしれません。その場合に、「再処理もプルトニウムの利用もちゃんとやっています」という実績を作っておかないと交渉で不利な状況に陥るおそれもあります。 米国の行政府はともかく、議会にはけたたましい核不拡散主義者がいて、非核兵器国による再処理やプルトニウム利用には猛反対で、日本の核燃料サイクルにも厳しい目を向けているので、油断は禁物です。我々が三、四十年前、文字通り骨身を削るような苦しい外交交渉をしてようやく勝ち取った権利を簡単に手放すことはできません。一度手放したら二度と回復できませんから。 櫻井 日本はこれまで徹底した情報公開、いわば「正直路線」で国際社会の信用を勝ち取ってきました。結果、非核保有国として、唯一、原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理をすることができます。いま、高速増殖炉への道を閉ざせば、日本が築いたこの信用の上に成り立つ核燃料サイクル全体も破綻しかねません。それは日本の重要技術のひとつが途切れてしまうということです。 世界が「もんじゅ」の技術維持発展を待望している 金子 それにはやはり政府の側の責任も大きく、「国としてこれをやるんだ」という国家百年の大計に基づき、強い気概を持って政府が舵取りをしていくことが求められています。もしいま開発を止めてしまったら、せっかく長年積み上げてきた日本の技術は消失し、将来この技術が必要になった時は外国頼みとなってしまう。 例えば、かつて原子力技術の最先進国であり、日本も師と仰いだ英国は、いまや自力で原発を新設する技術もカネもないので、フランス、中国の技術と中国のカネを頼りに原発を再建しようとしています。しかし、それによって英国の安全保障にマイナスの影響が生ずるのではないか、中国の言いなりになるのではないかという批判が英国内からも噴出しています。将来の日中関係を考えたとき、そんなことは日本として絶対にできません。「原子力技術立国」の旗は何としても守り抜くべきです。 奈良林 いま中国とインド、ロシアが高速増殖炉に力を入れていて、中国はすでに臨界に達し一年以上運転を続けています。中国は国家戦略として高速炉を将来のエネルギー源の中核にしようと考えている。十年後、二十年後、日本は中国に頭を下げて中国から高速増殖炉を買うことになりかねません。 櫻井 日本にとって最悪のケースです。 金子 実は日本では福島事故の前に、既に高速増殖炉の実証炉の研究も進んでいて、その技術水準は世界的にも非常に高いものがあります。そして、世界が日本のもんじゅの技術の維持発展を待望しているのです。 アメリカは国内では高速増殖炉をできないので日本に期待していますし、フランスも「アストリッド計画」(次世代型高速炉開発計画)には、もんじゅの知見やデータが不可欠と見ている。日本は高い技術があるにも拘わらず、それを自らの手で縛り上げて、終には葬り去ろうとしているのですから……残念としか言いようがありません。 櫻井 国際社会のエネルギー政策が原発重視にあることは間違いありません。日本の国益にとっても、原発のスムーズな稼働と高速増殖炉の開発を続けることが重要です。規制委は原子力の安全確保を高めるのにもっと公正で合理的な審査を行ない、政府自民党は規制委の独断専行をチェックする体制を急ぎ整えなければなりません。政府・自民党はあくまでも国益を考えたエネルギー政策に取り組んでいくことを強く求めたいと思います。(了) 金子熊夫 一九三七年愛知県生まれ。外交評論家・エネルギー戦略研究会会長。ハーバード大学法科大学院卒。元キャリア外交官。一九六〇年代半ばにベトナム戦争中のサイゴンの日本大使館に勤務し、テト攻勢(一九六八年)で死線を経験。帰国後外務省の初代環境担当官、国連環境計画(UNEP)アジア太平洋地域代表などを歴任。『かけがえのない地球』の創案者。一九七〇年~八〇年代に外務省初代原子力課長として日米再処理交渉等を担当。日本国際問題研究所研究局長、太平洋経済協力会議日本委員会事務局長、外務参事官等を経て八九年に退官後、東海大学東海大学教授を経て現職。著書に『日本の核・アジアの核』(朝日新聞社)など。 奈良林直 一九五二年、東京都生まれ。東京工業大学工学部機械物理工学科卒業後、同大学理工学研究科原子核工学修士課程修了。専門は原子炉工学。その後、東芝に入社し原子力の安全性に関する研究に携わる。九一年、工学博士号授与。同社原子力技術研究所主査、電力・産業システム技術開発センター主幹などを経て、二〇〇五年、北海道大学大学院工学研究科助教授に就任。〇七年には同大学教授に就任し、現在に至る。 櫻井よしこ ベトナム生まれ。ハワイ州立大学歴史学部卒業。「クリスチャン・サイエンス・モニター」紙東京支局員、アジア新聞財団「DEPTH NEWS」記者、同東京支局長、日本テレビ・ニュースキャスターを経て、現在はフリー・ジャーナリスト。一九九五年に『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』(中公文庫)で第二十六回大宅壮一ノンフィクション賞、九八年には『日本の危機』(新潮文庫)などで第四十六回菊池寛賞を受賞。二〇〇七年十二月「国家基本問題研究所」を設立し理事長に就任。 金子熊夫(エネルギー戦略研究会会長)×奈良林直(北海道大学大学院教授)×櫻井よしこ(ジャーナリスト) ■ 事故れば北半球が終わる 「ネットゲリラ(2012.9.10)」より もんじゅ支持のネトウヨが「事故なんか起きねえから安心しろよ知的障害者」とか言ってるんだが、もんじゅ支持するのって、こういう、口の利き方も知らない阿呆です。つうか、いきなり会話の相手を知的障害者扱いするようなニンゲンの言葉をマトモに聞く人はいませんね。シンタロの言葉も、だから、マトモに聞くヤツはいないです。 ーーーーーーーーーーーー ★ 「廃炉なんてとんでもない」 東京・石原慎太郎知事 「msn.産経ニュース(2012.9.9)」より 石原慎太郎知事は6日、事故で現在停止している高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を視察した。 「高速増殖炉は政治家になる最初の選挙、参院全国区に出るとき(昭和43年)に主題にした」と、こだわりをみせた石原知事。「画期的な技術体系。絶対にフランスにもアメリカにも先んじて完成しなくてはいけない」と語った。 廃炉も取り沙汰されているが、「画期的な技術が不具合で止まっているのは残念。廃炉なんてとんでもない。後でほえ面をかく。危ないから、という短絡的なものの考え方はやめた方がいい」という石原知事。 その上で、多くの原子力発電所が再稼働していない状況について、「経済を疲弊させて失業者を出し、社会の混乱につながる」と指摘。「お遊戯みたいな原子力発電の反対運動はナンセンス、とても危ない」と述べた。 原子力発電 / 六ヶ所村 ■ 全原発を止めることができない理由・・・・核兵器開発 「憎しみの連鎖(2012.4.29)」より そしてこのシナリオには「日本がどうしても原発稼動を止めない事情」も含まれているやもしれません。それはプルトニウムの軍事利用・・・・・・とてつもなく巨大なタブー、「日本の核武装化」。 現在の青森県・六ヶ所村で、この三菱重工が主幹事会社となって建設してきた核燃料サイクル基地(再処理工場)が、プルトニウム兵器の製造の為である 動燃にとって廃棄物の処理が目的ではなく、「プルトニウムの抽出が目的で」廃棄物を扱うことになったからである。 動燃が、廃棄物問題でこれ程いい加減な作業を続けてきたのは、彼らが、廃棄物のことに全く関心がないからである。作業の目的は、核兵器にしかない。その為、国も無制限に予算を与えてきた。 ■ 福島より怖い福井「もんじゅ」の現状 「ゲンダイネット」より ・「燃料棒交換のための『炉内中継装置』(長さ12メートル、重さ3.3トン)が原子炉内に落下、破損して抜けなくなったのです。落ちたタイミングも最悪で、発電実験に必要な新しい燃料棒を入れ終え、引き抜く途中。 ・ナトリウムは水や空気に少しでも触れると、猛烈な勢いで発火します。原子炉に空気が入らないようアルゴンガスを常に充満させながら、少しずつ引き抜かざるを得ないのです」(前出の設計技師) ・いざ、ナトリウムが発火し、MOX燃料棒に燃え移れば、その恐怖と破壊力は福島第1原発の比ではない。 米・英・独・ロ・仏と世界中が断念する中、高速増殖炉に固執しているのは日本だけ。大マスコミは警告してこなかったが、この国の原子力行政は何から何まで狂っているのだ。 世界を言葉で検索 ★ 「もんじゅ」で検索 ■ クチコミ検索 #bf ■ ブログ2 #blogsearch2 ■ ニュース1 太平洋戦争が勃発/原子炉もんじゅが火災事故/スタイリッシュな軽乗用車スバルR2デビュー!【今日は何の日?12月8日】 | clicccar.com - clicccar.com(クリッカー) 県の新年度予算編成 県商議所連合会が要望(福井県)(FBC 福井放送) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <社説>伊方原発再開 安全への懸念が尽きぬ:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞 建設候補地を初公開 原子力機構、もんじゅ敷地に新設・試験研究炉 - 中日新聞 『モンハンライズ』里長の姪「モンジュ」が突如公開!素手でアオアシラを倒す猛者(インサイド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 秋山竜次“怪しい住職”&SHELLY“モンジュさま”が教養を授ける!野田クリスタル「今後の漫才にもいかしていこうかな」<ヘイ!モンジュ!>(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース もんじゅ定期検査開始 原子力機構 - 47NEWS 河野太郎氏、核燃料サイクルを否定「核のごみをどうするか、テーブルに載せて議論しなければ」 - 東京新聞 2018年8月30日 高速増殖炉「もんじゅ」、使用済み燃料取り出し開始 - 日本経済新聞 市民掲示板:「原発・核燃」の危険性訴える 大阪の市民団体が映画製作 - 毎日新聞 「地上の太陽」核融合発電、商用化競う コストなど課題 - 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廃炉しかない/停止命令で済まない数々の危険 - しんぶん赤旗 「もんじゅ」運営の原子力機構/関連16社に59人天下り - しんぶん赤旗 ムダ増殖/「もんじゅ」改造/これまで8千億円かけ 発電20億円分 - しんぶん赤旗 ■ ニュース2 太平洋戦争が勃発/原子炉もんじゅが火災事故/スタイリッシュな軽乗用車スバルR2デビュー!【今日は何の日?12月8日】 | clicccar.com - clicccar.com(クリッカー) 県の新年度予算編成 県商議所連合会が要望(福井県)(FBC 福井放送) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <社説>伊方原発再開 安全への懸念が尽きぬ:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞 建設候補地を初公開 原子力機構、もんじゅ敷地に新設・試験研究炉 - 中日新聞 『モンハンライズ』里長の姪「モンジュ」が突如公開!素手でアオアシラを倒す猛者(インサイド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 秋山竜次“怪しい住職”&SHELLY“モンジュさま”が教養を授ける!野田クリスタル「今後の漫才にもいかしていこうかな」<ヘイ!モンジュ!>(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース もんじゅ定期検査開始 原子力機構 - 47NEWS 河野太郎氏、核燃料サイクルを否定「核のごみをどうするか、テーブルに載せて議論しなければ」 - 東京新聞 2018年8月30日 高速増殖炉「もんじゅ」、使用済み燃料取り出し開始 - 日本経済新聞 市民掲示板:「原発・核燃」の危険性訴える 大阪の市民団体が映画製作 - 毎日新聞 「地上の太陽」核融合発電、商用化競う コストなど課題 - 日本経済新聞 もんじゅ廃炉状況など経過報告 敦賀市長に原子力機構・吉田理事 - 中日新聞 ゲイツ氏とバフェット氏が「次世代原子炉」建設で協力 - 東亜日報 核燃料取り出し開始 貯蔵槽から水プールへ―高速増殖炉もんじゅ - 時事通信ニュース ぺこぱ、不思議な仏像と対話「シュウペイポーズはこれからもやり続ける」(コメントあり) - ナタリー 迷える瑛人と峯岸みなみ、人生相談すべく“秋山住職”の山寺へ(コメントあり) - ナタリー NHKに新キャラ「モンジュさま」爆誕 ぺこぱ・瑛人・峯岸みなみの人生相談に答える - ORICON 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概要 未記述 テンプレ ここでは主要部分のみを記す。全文は後述。 ああ^~ やったぜ。 投稿者:変態糞土方 (8月16日(水)07時14分22秒) ドバー↑っと 顔中、_まみれや ああ~~たまらねえぜ。 気が狂う程気持ちええんじゃ。 申し訳ないが_はNG
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コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/921.html#id_476878da たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 名前 コメント
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Top ガンダム総合スレ 「 蒼の残光」 第1章 MAMAN書き ◆iLWTGcwOLM さん作 1.ズム・シティにて 宇宙世紀〇〇八九年もあと一週間で終わろうとしていた。 街はクリスマスカラーに彩られ、ビルにイルミネーションが灯り、いくつかのコロニー では雪を降らせて雰囲気を盛り上げていた。 ほとんどのコロニーが季節を地球圏の北半球大西洋エリア、即ち西ヨーロッパと北米東 海岸の気候に合わせて制御されている。これは人類が今尚この地域を文化の中心と考える 風潮が残っている事を示している。出身地による差別も依然として残り、平等や公正は欠 片も実践されていない事を、多くの人間が知っていた。 サイド3、かつてジオニズムの聖地ともされ、公国から共和国に名を変えた今もジオン を冠するこのコロニーでもそれは例外ではない。雪こそ降ってはいないが、冬らしいその 気温の中、人々はクリスマスの空気に浮かれていた。 そんな中でも、普段と全く変わらず業務を遂行する人々もいる。地球連邦軍ジオン共和 国駐留軍指令本部はその一つであり、MS部隊隊長ユウ・カジマ中佐はその中の一人であ る。 「…………」 書類に目を通したままコーヒーが入っているはずのカップに手を伸ばす。デスクの一角 を手が探っていると、淹れたてのコーヒーの注がれたカップが指の触れる位置に置かれた。 ユウは気づく事なくコーヒーを口に運び、一口すすってデスクに戻した。 やがて目を通し終わると、書類にサインし、『決裁済』と札の付いたトレイに入れる。 そこでようやく、彼は書類以外のものに視線を向けた。 「シェルー少尉、いつからそこに?」 「三十分ほど前からですわ、中佐」 サンドリーヌ・シェルー少尉はにこやかに事実を告げた。広報部の女性士官である彼女 はMS部隊の執務室に常駐するべき用事はないのだが、慢性的な人員不足の余波を受け、基 地全体のスケジュール管理を行う広報部がそのまま幹部の秘書官を兼務しているのだった。 非戦時には作戦立案能力など問われないのでこれで十分ではある。 「すまない。この後の予定は?」 「本日はこれ以降の職務はありません。それをお伝えしに参りましたの」 「そうか。ありがとう」 「今日はもうお帰りになられては。せっかくのクリスマスですし、奥様とお過ごしになら れてもよろしいかと存じます」 シェルーの提案を聞くまでもなく、クリスマスのディナーは予約している。ただし、今 からでは少々早すぎるようだ。 「まだ帰るには早いようだが」 「家でゆっくりと語ってはいかがですか?僭越ながら、中佐はもう少しご自宅でお過ごし になる時間を長く取られルべきでは考えます。何と言っても今はようやくに訪れた平和な 時なのですから」 広報部少尉は屈託なくそう言った。まだ士官学校を卒業したばかりで、実務能力につい てはまだ未熟だが、気配りのできる繊細な神経をユウは評価していた。 「そうだな。たまには早く帰ってみるか。家内に邪魔者扱いされるかもしれないが」 彼には珍しい冗談に、シェルーが声を立てて笑う。 「その時は何かお手伝いをして、ご家庭でも軍同様有益な人物である事を証明なさればい いのですよ」 「努力してみよう」 席を立ち上がったユウは、ふと思いついた疑問を口にした。 「少尉、君はいいのか?クリスマスをオフィスで過ごすつもりか?」 「後心配なく。彼と勤務シフトは合わせてありますので」 「……そうか。それではメリー・クリスマス」 「メリー・クリスマス、中佐」 ユウはオフィスを後にした。 ユウ・カジマ中佐は一年戦争からの歴戦のMSパイロットであり、現役では数少ないト ップエースである。しかし、その軍人としてのキャリアはいささか数奇なものとなってい る。 宇宙世紀〇〇五六年生まれ。十八歳で士官学校に入学したユウは、飛び級により一年早 く〇〇七七年に卒業、一年間の基地勤務の後、戦術兵器開発局に転属された。ここでユウ は次世代の宙陸両用兵器の開発に携わる事になる。後にV作戦の落とし子とされるセイバ ーフィッシュやTINコッド等は、ここでの基礎研究が転用されたものである。 ルウム戦役の大敗後、連邦軍は人型戦術兵器――MSの開発に着手、既に鹵獲したMS -06ザクのデータをフィードバックさせ、一つの完成形、RX-78ガンダムとして結 実させた。 連邦軍はこの機体の量産化モデルを開発、RGM-79ジムと命名された機体はガンダ ムとは別に量産機としての運用データが求められ、そのテストパイロットとしてユウは選 出された。 これが彼の運命を大きく変える事になる。 北米での運用テスト中、彼は全身を蒼く塗装したMSと交戦する。RX-79BD-1 と呼ばれるそのMSは、連邦軍の極秘プロジェクトであった。通常のジムでBD-1と互 角の戦いを見せたユウは、口封じの意味も含め、BD-1テストパイロットに任命される。 部分的にはRX-78すら上回る機体を得て、ユウのパイロットとしての才能は完全に開 花、爆発的に撃墜数を伸ばし、中尉に昇進するまでになった。その後、ソロモン宙域でB Dは大破、計画の存在自体が公式記録から抹消されるとユウは撃墜記録そのものを失って 少尉に降格、その五時間後に「ジムの量産化におけるテストパイロットとしての貢献度を 鑑みて」再び中尉に復位する。 ア・バオア・クー攻略戦には胴と肩を蒼く塗ったジムコマンドで出撃。ここで彼は戦闘 終了までに二十三機のMSと、チベ級重巡洋艦二隻、ムサイ級軽巡洋艦一隻を撃墜、「戦 慄の蒼」「蒼い死神」の異称で呼ばれる事になる。 戦後大尉に昇進、軍は彼を「NTではないが、NTに極めて近い存在」として危険視し、 MS開発局のテストパイロットとして前線参加を禁じた。RMS-106ハイザックや、 RMS-117Bガルバルディβ等、ジオン系MSの技術解析や転用を多く手掛けた。 アースノイドでありながら超人的なMS技術と反応速度を有する事から、オークランド 研究所でニュータイプ機の研究をしていた時期もある。 その後、グリプス戦役でティターンズが連邦との対決姿勢を表面化させると、エウーゴ でもカラバでもない連邦軍人として、専用のチューンを施したハイザックで参加、セダン の門攻防戦で功を立てる。ネオジオン抗争終結後の軍再編の中で中佐となり、今はここ、 ジオン共和国駐留軍で一三〇機のMSを指揮する立場にある。この地で連邦の軍服を着る 事はそれだけで危険を伴うが、民衆と友好的な関係を築こうと望む司令官のギィ・ルロワ 提督や、広報部の活動が実を結び、それなりに安定した関係を築いていた。 エレカを自ら運転し、官舎に戻ったユウは、ドアホンのベルを鳴らした。 「――はい?」 スピーカーから声が聞こえる。ユウはドアに埋め込まれたカメラに自分の顔を向けた。 「ユウだ」 ドアのロックが外れる。ユウはドアを開け、中に入った。 玄関に出迎えたのは、青い髪と赤い瞳を持つ、若い女性だった。 「ユウ、早いじゃない」 「ただいま、マリー」 ユウは出迎えた女性に軽いキスをすると、外套(コート)を預けた。 「どうしたの?こんなに早いなんて」 「今日はもう用済みだからとっとと失せろ、とさ」 「シェルー少尉?」 「ああ」 いつの間にあの新任士官と妻が知己となったのか、ユウには心当たりがない。 「お茶でもどう?ケーキもあるわよ」 「もらおう」 自室に入り、服を着替えてリビングに入ると、マリーが紅茶とケーキを並べていた。 ケーキはイチゴをたっぷりと使い、砂糖菓子の人形が乗っていた。 (クリスマスケーキか……) 食事は店を予約してある。その前に家に戻る予定でない事はマリーも承知していた。そ れでもかすかな期待を込めて、ケーキを用意しておいたのだろうか。 「……少尉に礼を言わないとな」 「え、何?」 「いや」 ユウは曖昧にごまかした。今は基地での話などせず、妻との時間を楽しもう。そう思っ たのだ。 しかし、彼の願いは適わなかった。携帯端末(モバイル)が基地からの連絡を知らせて きた。 「…………カジマだ」 マリーはキッチンに消えている。軍の話を聞かないようにとの配慮だ。 「シェルーです。お寛ぎの所申し訳ございません」 「いや、いい。何かあったのか?」 「六八艦隊のジャック・ベアード少佐から中佐宛に連絡が入っています。退席したとお伝 えしましたが、せめて話だけでもと仰せられて……お繋ぎしてよろしいでしょうか?」 ジャック・ベアードか。ユウ同様、一年戦争以来の前線叩き上げの指揮官で、グリプス 戦役ではエウーゴに属していた男だ。元はMSパイロットだが、今は佐官として分艦隊の 指揮をを任されていたはずだ。 「繋いでくれ……いや、これじゃなく、家の回線に回してくれるか」 ユウはリビングのモニターを自分に向け、映像を待った。程なく、彼と同年代の、制服 姿の男が映し出された。 「久しぶりだな、ベアード少佐」 「お久しぶりです、カジマ中佐」 二人は簡単な挨拶を交わした。それほど親しい関係ではないが、面識はある。 「お休みの所申し訳ありません。ですが、お耳に入れて頂きたい噂がありまして」 「休みは気にしないでいい。噂とは?」 「はい、新年の記念式典についての事なのですが」 「一月一日か」 〇〇九〇年一月一日は一年戦争終戦十周年の節目となる。大々的な記念式典が各地で開 かれ、ここ、ジオン共和国も例外ではない。 「それが、何か?」 「実は、ジオン残党が式典を狙って何か企んでいるようなのです」 「企む?」 ユウは眉をひそめた。ジオン残党のテロリズムなど目新しい噂ではなく、式典を狙うテ ロの情報などこの一週間で手足の指では足りないほどの報告が届いている。わざわざルナ Ⅱ艦隊の士官が連絡をしてくるとも思えない。 「もちろん、そのような噂は既に食傷気味なほどに届いていることでしょう」 ユウの心の内を察したか、ジャックは先回りをした。 「ですが、ここにまだ内偵中の極秘事項が加わると、気にしないわけにもいかなくなりま す」 「…………」 「木星船団の運ぶヘリウムですが、これの搬出記録が改竄されているとの情報があるので す」 ユウの表情が厳しくなった。ミノフスキー・イヨネスコ式熱核反応炉は、大出力エネル ギー炉の小型化に革命的貢献をし、いまや軍用のみならず、一部コロニーのエネルギー源 としてなくてはならないものとなっている。旧来の熱核反応炉も数多く稼動しており、そ のいずれもがヘリウムを反応に使用しており、木星船団はそのヘリウムの最大の供給源で あった。そのヘリウムの搬出記録が改竄されているという事は、ヘリウムの横領が行われ ている事を意味する。そんなものがジオン残党の手に渡っていれば、何らかの大出力兵器 の稼動が可能になるということである。 「しかし、なぜそんな重大な事を隠しているんだ。疑惑とは言え、公開で捜査するべき話 だろう」 「木星は政治力で見れば、独立国家レベルですからね。事は慎重を要するのですよ」 ジャックは苦笑していた。が、すぐに表情を引き締めた。 「しかし、諸々の条件を考え合わせれば、看過できる問題ではありません。特に中佐のい るサイド3は警戒しすぎるという事はないと思われます」 「……そうだな、気をつけておこう」 ユウはそう答え、暫く考えてから 「しかし、なぜ俺に?ルロワ提督に話すべきではないのか?」 更に言うなら、六八艦隊の司令官は何をしているのか。 「……ルロワ提督は、温厚でジオン共和国の反連邦感情を緩和させるには適任だと思いま す。ですが、非常に当たって同じく適任であるかは判断しかねます」 婉曲な表現だが、要はルロワでは頼りないと言う事である。連邦から密かにエウーゴに 参加した硬骨の士は、ユウとは別の正義感で動けるのだろう。 「とにかく、情報感謝する。警戒レベルを上げておこう」 「よろしくお願いします、中佐」 二人の古参兵は、互いに敬礼をして別れを告げた。 翌日、ユウは本部に入る前にMSドックに立ち寄った。 朝から多数の整備クルーが立ち働いていた。ユウがその中を歩いていると、見知った女 性士官が彼に声をかけてきた。 「ユウ、どうしたの?珍しいじゃない」 「ジャッキー、もういたのか」 「誰かさんのおかげでこんな人手不足の基地に配属されたもので。休む暇もありません」 そう言って屈託のない笑いをユウに向けた。 ジャクリーン・ファン・バイク少尉。連邦軍のMS整備の専門家であり、ジオン共和国 駐留軍では隊の整備主任を務めている。まだ二十代後半の若さだが、一年戦争時既に軍に 在籍し、現場叩上げでこの階級まで上がった人物で、ユウが着任にあたり唯一人事面で希 望を出した人物でもある。 「で、御用は?まさか私を朝食に誘いに来たわけじゃないでしょ」 「久しぶりに俺のMSのフィッティングをしておこうと思ってな。今のうちに完全に調整 しておきたい」 その言い回しにジャクリーンが眉根を寄せる。 「出動がありそうなの?」 ユウは表情を変えずに否定した。 「いや、そういうわけじゃない。ただ、受領して三か月になろうとするのに、まだ調整も 終わってないというのはアナハイムに報告しにくくてな」 「放っておけばいいのよ、そんなの。前線の高級指揮官にテストパイロットを依頼する方 が悪いんだから」 「以前ならそう言って上層部(うえ)から叱られるのは俺の上官だったんだが、今は俺が 叱られる立場になった」 ジャクリーンが噴出した。 「OK。私が手伝ってあげるわ。着いてきて」 二人はドックの奥にある特別ベッドに向かって歩きだした。 「機体の整備は?」 「いつでも乗れるように万全よ。後はあなたの感覚に合わせてレスポンスやリアクション を微調整するだけ」 「わかった」 「あと、あなた向けに少し外観をいじってあるわ。気に入ってくれるといいけど」 「おいおい」 「大丈夫よ、変えたのは色だけだから。ほら」 ジャクリーンが機体を指差した。 機体はネオ・ジオン製MS・AMX-107バウをベースとし、追加武装などを兼ねた 大型バックパックに換装した再設計機だった。機体番号もRAZ-107アーツェットと 変更している。 エウーゴとAEによるΖ計画のプランの一つであった設計図がアクシズに持ち出され、 アクシズで完成したMSがバウである。戦後アクシズ内や地上で鹵獲されたバウを分析し たAEは、本機がΖ計画の要求性能をほぼ満たした上で更に量産すら成功させている事に ショックを受け、これをベースとした高性能機の研究を開始した。下半身をほぼ新設計し、 背部にはGディフェンサーを再設計したジェネレータ内蔵型大型バックパックを搭載して、 新たな機体番号を与えられたのである。もっとも、この詳しい内情は現場には伝わってい ない。 ユウは眉を上げた。受領したとき、機体は淡いグリーンに塗装されていたが、今目の前 にある機体は頭部も手足もブルーに塗られていた。両肩には「B」「D」、スカートアー マーには「04」と白字で書かれている。 「どう?」 ジャクリーンは悪戯っぽく訊いてきた。 「……怒られても知らんぞ」 「大丈夫よ、このくらい。もう整備班の間ではBD-4で通ってるわ」 ユウはカラーについてはこれ以上の追求をせず、 「整備性はどうなんだ」 「まあ、元がネオジオン製だからいいとは言えないわね。もっともベース機のパーツは40 %以下だって話だし、噂じゃ元はアナハイムの設計が盗まれたなんて話も聞くし、思った 程じゃないわよ」 「そうか」 「私としては整備性より操縦性の方が不安よ。加速は凄いけど旋回性能は皆無に近いもの。 もし実戦があるとして、これで戦える?」 「まだ何度かしか飛ばしていないが、何とかなるだろう。というより、これで戦わざるを 得ない。そのためにも最終的な調整を済ませておきたいんだ」 ユウはそう言ってフィッティングに入った。 RAZ-107(或いはBD-4)のコクピットはごく一般的なレイアウトである。最 新式のアームレイカーに換装されているかとも思ったが、特別なカスタマイズもなく、ベ ース機体の仕様そのままであった。ユウはこれでいいと思っている。大型スラスターの加 速性能は一種暴力的であり、アームレイカーよりしっかりと握れるレバー式の操縦系統の ほうが安心感があった。一つには、年齢と共に考えが保守的になっているのかもしれない。 これからこのコクピットを自分に馴染ませなければならない。自分が機体の癖に慣れる のではなく、機体を自分の癖に合わせる。シートとレバー、ペダルの位置の微調整はもち ろん、操作のレスポンス、中立部分の遊びの設定、外部からの入力に対するキックバック のインフォメーション等、様々な条件を自分に合わせてフィットさせていく。連邦軍屈指 のエースパイロット、ユウ・カジマの能力をフルに引き出すためのコクピットを作るため の工程であった。 「ユウ、始めるわよ」 ジャクリーンが呼びかける。ユウは無言で親指を上げる。 フィッティングはドック内のコンピュータと直結し、シミュレーション戦闘を行いなが ら調整していく。実際に宙域を飛行しながらデータを蓄積しつつ修正していく事もするが、 リアルタイムで微調整しながら最適なレスポンスを探るには、常にメカニックがモニター 出来る環境が必要であった。ミノフスキー粒子の影響下では、空間航行中のMSの全デー タをリアルタイムでチェックする事は困難であった。 機体をプログラムで指定された操作を行い、機体のレスポンス、キックバックの強さ等を 確認する。 「右からの入力をマイナス2、左のペダルの遊びをプラス1……」 ユウが調整を要求する。ジャッキーはそれに応じてコンソールを操作する。通常ならモ ニターとコンソール操作を二人一組で行うところ、彼女は一人で行っていた。年齢は若く とも、ノンキャリアでありながら二十代で中尉にまで登った天才であり、ユウが最優先で スカウトしたメカニックである。 テストは模擬戦闘に移っていた。全周囲モニターに投影されるCGを相手に戦闘を行い、 姿勢変化に対する入出力を確認していく。 「ユウ、被弾してみて」 「被弾?無茶言うな」 パイロットとしての本能に反する行動である。 「被弾したときの挙動に対するデータが足りないの。あなたったらほとんどの攻撃をかわ しちゃうから」 「…………仕方ない」 ユウは仮想敵機の攻撃を意図的にシールドで受けた。衝撃を模した振動がシートやレバ ーに伝わる。 「OK、ユウ。それじゃ、最後は全力で戦ってみて」 その言葉を待っていた。ユウは標準兵装であるビームライフルを構えると、最大加速で 移動しつつ三連斉射を行い、それだけで二機を撃墜した。脚部スラスターを使って強引に 方向を転換しさらに一機。背後からの攻撃を予測してかわすとこれを迎撃。三十五秒間で 四機のマラサイが撃墜された。 ジャクリーンが思わず口笛を吹く。 「現実にGがかかってるわけじゃないとはいえ、大したものね。さすがは『戦慄の蒼』」 「これで完了か?」 「これ以上は実際の戦闘データでもない限り無理ね。でも、テスト運用になら十分以上に 機体性能を引き出せるはずよ」 ジャクリーンは保証した。だが彼女はなんとなく気が付いていた。ユウが近い将来の実 戦を予測している事を。 ここで基地の組織面を見てみよう。 ジオン共和国駐留艦隊及び駐屯基地、その際立った特徴は、艦隊司令官が基地司令官を 兼務しているということである。 アイリッシュ級艦隊旗艦「ハイバリー」を中心に戦闘艦二十二隻、非戦闘艦八隻と艦隊 規模としては標準だが、これに基地駐屯兵力が加わるため、司令官ルロワ中将は通常の提 督の二倍相当の人員を統括する事態となっていた。 それに比して高級指揮官が少ない事も特徴である。将官はルロワ提督を除けば基地防衛 指揮官ローラン・ホワイト准将のみ、「ハイバリー」艦長ニコラス・ヘンリーが唯一の大 佐で、ユウ・カジマ中佐はこの三人に次ぐ「席次第四位」であった。他に中佐は艦隊幕僚 長マシュー、アレキサンドリア級巡洋艦「フラメンゴ」艦長プティ、それに広報部統括責 任者のケイタなど、全部で八名いたが。 グリプス戦役によって連邦軍の人的資源は連邦、ティターンズ、エウーゴに三分され、 互いが互いを削りあう事でその資源を大幅に減じる事になった。戦後エウーゴを統合し、 ティターンズについても中級以下の士官については投降者を降格処分の上で受け入れたが、 有能な高給士官の不足は目を覆うばかりであった。連邦に残る将官の大部分はグリプス戦 役の決戦にも出撃せず地上で傍観を決め込んだ、かつての名将レビル将軍が「モグラ」と 称した同類であり、彼らは決してこのような最前線となりうる地に赴任する事はなかった。 特に、未だ反連邦の感情が強く、「安全装置の腐った手榴弾」とも言われるサイド3に 官僚型の軍人は近付こうとせず、結果としてこのような歪な組織図が出来上がったのであ る。 ユウが統括するMS部隊はMSだけで一三〇機と二個艦隊相当の戦力を有しており、こ れに支援機等を加えれば通常ならば将官が指揮するべき人数となる。 MSはジムⅢが中心だが、グリプス戦役期の愛機をそのまま乗機とするパイロットは多 く、リックディアスや、マラサイを持ち込む者すらいた。ユウのようにネオジオンの鹵獲 機体を使用するパイロットもおり、MSだけを見るとどんな多国籍軍かと言いたくなる。 前配属先からMSごと異動して来た場合、機体に何らかのカスタムが施されている場合が 多く、これもジャクリーンに言わせれば「頭痛の種」であった。 戦後処理と政治的背景と軍の派閥抗争、この三つの要因によって偶然に集められた問題 児集団、それが偽らざる実態である。 「資料を」 ユウが声をかけると、サンドリーヌ・シェルーは即座にクリップされた資料を手渡した。 「ありがとう」 「警備体制を変更するんですか?」 「そうなると思う」 「あの、それは昨日のベアード少佐の通信も関係しているのですか?」 ユウは書類から目を上げ、新任の女性士官を見上げた。ブルネットの髪とブラウンの瞳 を持つ少尉はその視線に悪戯を見咎められた子供のようにばつの悪い表情をした。 「あ、申し訳ありません。出過ぎた事を申し上げました」 「……確かに、関係はある」 叱責するでもなく、事実だけを認めるユウの言葉だった。 「だが、それほど深刻になる必要はない。確かにここは政治的に微妙な位置ではある。そ れでも、ジオン残党にとってここは故郷であり、知人や血縁者もまだ多く残っている。コ ロニーが直接のテロ対象になることはなかろう」 「…………」 「少尉も知っての通り、ここは地球から最も遠いサイドだ。他の艦隊や基地からも離れて いる。万が一何らかの攻撃行動をとられたら救援要請をするにも時間がかかりすぎる。だ から、自分達の身は自分達で守れるようにしておかなければならない。その為の警備さ」 表情も声もほとんど変わらないが、ユウはシェルーを安心させる言葉を選んでいた。彼 女はサイド7出身で、かの「ホワイトベース隊」の脱出行によって地球まで逃げ延びた経 験を持つ。極限状況の中で望みうる最良の連邦軍人に出会った事が彼女を軍人の道に進ま せたが、潜在的には戦争に対してかなり強い嫌悪や恐怖を感じている事が、彼女の適正検 査から読みとれた。 「コロニーの外で何をしてこようが俺が追い払う。それでもまだ不安かな?」 浮気を疑う恋人に、俺を信じられないのかと言っているような物言いだ、とユウは思っ た。だが、シェルーには効果があったようだ。 「いえ。中佐を信じます」 シェルーは笑顔を見せた。悪名も名の内だな、ユウは自嘲気味に考えた。 「よろしい、それでは会議が終わるまで部署に戻っていてくれ」 ユウはそう言って部屋を後にした。 ギィ・ルロワ提督は白髪頭と黒い口ひげの初老を少し過ぎた男で、ひげを落とすとかな りの童顔ではないかと噂されていた。ジャミトフ・ハイマンとは同郷の出身だが、ティタ ーンズには参加せず、連邦軍の中立派として振舞った。ティターンズ解散後の軍再編の際 に中将に昇進し、穏健派としての人間性を買われてジオン共和国の駐留武官の長に任命さ れた。ソロモン攻略戦からア・バオア・クー決戦、グリプス戦役でもコロニーレーザーを 巡る攻防戦と主要な作戦には全て参加、特筆すべき戦功は全くないが、その全てを生き延 びた事で評価される将である。 政治的にもレビルやゴップ、コーウェン、ジャミトフといったいかなる派閥にも属さず、 常に中立であるが故に失脚もせずこの地位に上り詰めており、そのため一部には「実力が なく、誰からも取り立てられない事が幸いした強運の持ち主」という、いささか辛辣な評 価もある。戦闘指揮官としては凡庸とされるが、常に第一線に身を置きながら生還してい ると言う事実からも無能でない事は証明されると言える。 そのルロワはユウから提出された警備計画の変更提案書を見ながら、酷く難しい顔をし ていた。 「……カジマ中佐。確かにこれならコロニー内のテロのみならず周辺宙域での戦闘行為に 対しても十分な対応が出来るだろう。しかし、果たしてこれほどの規模の警戒が必要なの かね?」 ユウは起立はせず、その場に着席したまま必要と考える根拠を述べた。 第一に、今回の終戦記念式典は戦後十年目の節目としてその規模、注目度ともに過去と は比較にならない点。共和国の式典に連邦首脳の出席はないが、ジオン軍残党はジオン共 和国政府を正当な政府として認めておらず、その首脳を謀殺する意図を考えれば決してテ ロの危険性を減じる材料とはなりえない。 第二に、その立地条件から非常時に救援を求める事が困難である点。地球から最も遠い サイドであるサイド3は他の連邦軍基地とも地理的に離れていて、危急の際に他の基地か らの救援は望めない。先に述べたように今回の式典にジオン残党にとっても政治的にテロ 標的としての価値を持つ以上、それに相応した警備体制を敷く事は必要である。 「そして第三に、同日に宙域を航行予定の木星旅団です」 「木星船団を襲撃する可能性があると言うのか?」 「ハイバリー」艦長ヘンリー大佐が発言した。木星船団は非常に高い戦闘力を有しており、 小規模な海賊紛いの連中に遅れを取る事はない。それでも、宙域内で襲撃されるとなれば 救援に向かわないわけには行かない。 「可能性の一つです。式典へのテロ行為に我々の注意が向いている間に、木星船団の物資 を狙う。初歩的ですが、効果的な奇襲作戦です」 「……確かに一理あるな」 基地防衛指揮官ホワイト准将が同意した。2メートル近い偉丈夫で、勇敢な闘士として 知られる人物だが、普段は温厚な人物であり、「ルロワ提督より総司令官らしい」とはズ ムシティの市民からも言われる感想である。 「だが、式典ではルロワ艦隊もパレードと称して出港する。有事には彼らが当たる事も可 能だし、艦隊が外にいるというだけでも海賊行為に対しては牽制になると思うが」 「第一、これだけの規模で軍を動かすとなると当初見込みの予算を大幅に上回る事になり ます。カジマ中佐はそこまで考えておいでか」 幕僚長のマシュー中佐が批判的な立場から問い質す。官僚型の軍人で、幕僚よりも補給 等後方支援の方が向いているのではないかとユウは思っている。 「逆にお伺いする。もし事が起きた場合、基地としての責任はどう取るべきとお考えか?」 ユウの言葉にマシューが沈黙する。ユウの言葉は論理ではなく恫喝である。それを承知 でそうせざるを得なかったのは、ヘリウム3横領疑惑について公に出来なかった事、そし て木星船団について別の可能性があると考えていたからである。 ヘリウム3横領が事実として、横領されたヘリウムはどうやって運び出されているか? 輸送手段など簡単に用意できるものではない。木星から持ち出す事は出来てもそこからの 長い航路を誰にも気づかれる事なく続ける事などこのミノフスキー粒子下でも不可能だ。 ならばどうするか?ユウは一つの可能性に到達した。木星からの密輸には木星船団を使 うのが最も確実なのではないか。船団のコンテナは厳密に計測されており、どうやって人 知れず過剰なヘリウムを隠しているのかは不明だが、木星からヘリウムを盗むなど組織的 に行わなければいずれにせよ不可能である。輸送船もグルになっている可能性は無視でき ない。 ユウはその受け渡しにグラナダかサイド3宙域が使われているのではないかと疑ってい た。親ジオンであることが周知であるサイド3と、連邦に対する姿勢が今一つ不明な月都 市。どちらも裏取引には格好の場だ。 しかし、これは空前のスキャンダルである。証拠があったとしても口に出す事がはばか られるレベルのものだ。まして今はルナ2経由の未確認情報のみで、これだけで軍を動か すなど――中佐に過ぎないユウでは特に――出来るものではない。 だからユウは単に「警備体制の見直し」として修正案を出したのである。漠然としたも のであっても、上手く不安や保身の意識を煽る事である程度の警戒レベルを維持させる事 がユウの狙いであった。 その狙いは的中したようだ。ルロワ提督はみなの意見を聞いた後、こう結論付けた。 「貴官らの意見はよく判った。今回の式典は言わば連邦の威信に関わるものであり、いか なる種類の失敗も許されない。カジマ中佐、貴官の提案を採用しよう」 ズムシティ内のホテルの一室に二人の男がいた。窓辺に立つ一人は三十を一、二歳超え たところか。痩身だが病的ではなく、一見悠然としていながらその身のこなしには隙がな かった。 もう一人は二十代前半と言ったところか。大きく、濃いサングラスに隠されて表情は知 ることが出来ないが、ソファーに深く身を沈めた姿からはもう一人のような緊張は感じら れない。 「何か見える?アラン」 若い男が訊いた。 「……明日が見える」 窓辺の男が答える。若い男がクスクスと声を立てた。 「確かに感心してもらえるとは思ってなかったがな」 「ごめんごめん。でも、今時そんな科白言う人がいるなんて」 全く悪びれずに謝ると、表情を引き締め、真面目な声で話を続ける。 「名残惜しくなった?」 「馬鹿な事を。そんなのは二度と戻ってこれない時に思うものだ」 アランと呼ばれた男は振り返った。 「俺達はここに戻って来る。そのために戦うんだろう、オリバー」 「……そうだね」 「お前はもういいのか?どこか行きたい所があるなら――」 「アラン、僕は元々、ここの想い出はあまりないよ」 「――そうだったな、すまん」 「いいよ。それより、さっきの連絡は何だったの?予定に変更でもあった?」 「変更はない。予定通りだ」 「そう、ならいいや」 「判ってると思うが、油断はするなよ。数の上でこちらは圧倒的に不利だ。しくじれば後 がない」 オリバーと呼ばれたサングラスの男は落ち着いて返答した。 「数の差なんて、アラン、君やギド、それに僕がいればカバーできるよ。それを計算に入 れた上での計画だったじゃないか」 アランは頷いた。数で負けている事は最初から判っていた事だ。だからこそ慎重を期し て計画してきたのだ。 「しかし、まだ油断は出来ない。ここのMS隊指揮官はあのユウ・カジマだ。甘く見るこ とは出来ん」 「ユウ・カジマ……」 オリバーの声に初めて緊張がこもった。 「『戦慄の蒼』。だけど、その強さは半分はマリオンの力だよ」 EXAMシステムのベースとなった少女の名前を彼は口にした。連邦、ジオン双方の公 式記録から抹消された存在を、なぜこの若者が知っているのだろうか。 アランはそんなオリバーの言葉をたしなめた。 「それが油断だと言うんだ。確かに奴の戦績の半分はEXAMと共に消されたが、ア・バ オア・クーの決戦や先のグリプスでの戦いはあの男の力だ。あの男のパイロットとしての 技量は『真紅の稲妻』にも引けを取らん。しかも、今あの男が駆るのはバウを改造したカ スタム機だということだ」 「バウ?ハッ」 オリバーが挑発するような笑いを上げた。いかなる理由からか、この若者はユウを過小 評価したがっているようだ。 「連邦のMSじゃバウ以上の機体はありませんって事かい?エースがその程度の機体じゃ 後の戦力も数だけでたかが知れてるね」 アランはそれに対して何か言おうとしたが、やめた。相手を呑んでかかる事が良い結果 に繋がるタイプもいる。 「さて、僕はそろそろ部屋に戻るよ」 オリバーはソファーから立ち上がった。そして、テーブルの脇に立て掛けてあった白い 杖を手探りで掴む。 アランは部屋の反対に歩くとドアを開けてやった。 「一人で帰れるか?」 「もうホテルの廊下は慣れたよ」 オリバーは軽く手を振って見せた。 「そうか」 「不便なのは今だけさ」 オリバーは言った。 「あれに乗れば僕も君達以上に見る事が出来る」 そう言ってオリバーは杖をつきながら部屋を出て行った。その足取りには全く危なげは なかった。 「アイゼンベルグ、イノウエ、二名入ります」 ユウの執務室に二人の男が入ってきた。一人は赤毛の高い鼻が特徴的な長身の男で、制 服の胸のボタンを開けて着崩している。もう一人は黒髪の一見風采の上がらない中年男で、 表情から何かを読み取る事が困難なタイプであった。前者はルーカス・アイゼンベルグ、 後者をクロード・イノウエという。二人は共に大尉で、ユウ指揮下のMS隊の副隊長であ った。 「これを」 ユウは前置きを一切置かず、書類を二人に渡した。終戦記念式典のMS隊の配置と当日 の任務についての決定要綱である。 二人は各々書類に目を通していたが、同じ所で目を止めた。 「……これは」 「隊長は基地からの指揮なので?最初はパレードでデモンストレーション飛行を披露する という事でしたが」 ユウは記念式典での艦隊パレードにあって、ソロでのアクロバット飛行の命を受けてい た。AE社からの要望でもあり、ユウがテスト機として受領しているRAZ-107アー ツェットの性能宣伝という要素を持っていて、簡単には変更は認められないはずだ。 「式典とはいえこれは基地の全戦力が動員される作戦だ。駐留基地の警備・護衛任務につ いてもMS指揮については私が責任を持たねばならない。後方から全体を見渡す必要があ る」 それを聞いた二人はしばし無言であった。ユウが今言った事など最初からわかりきって いた事である。今更変更する理由にはならない。つまりは――。 「戦闘が予想されるという事ですな。それもMS戦闘が」 アイゼンベルグが指摘した。シェルーは彼が心なしか喜んでいるようにも見えた。 ルーカス・アイゼンベルグ大尉はエウーゴから連邦への編入兵である。エウーゴ参加前 の経歴には曖昧な部分が多く、元ジオン軍人との噂もあった。彼自身その噂を否定してい ないため、マシュー中佐などからは半ば本気で危険分子扱いされていた。 パイロットとしては優秀で、部下からの信頼もそれなりに厚いのだが、上官への敬意と いうものが欠落しており、ネオジオン抗争後一年足らずの間に任地を三度も変えていると いうのもその性格が影響しているのだろう。もっとも、ジオン残党との戦闘を予想しなが ら喜んでいるというのは、単なる戦闘狂かもしれない。 軍籍を信じるなら〇〇五二年生まれの三十七歳。リックディアスの改修機を愛機として おり、彼の機体はビームライフルとジムのシールドを使用している。 「その可能性に備えるというだけだ」 ユウはそれだけを言った。自分が統括指揮に回ると知れれば誰もが同じ事を考えるだろ うが、積極的にそれを肯定するつもりもない。 「それで、小官はコロニーの周辺宙域の警戒という事でよろしいのですかな?」 「そうだ。コロニーに直接何かをしてくるとは考えにくいが、仕掛けてくるとすれば少数 でのゲリラ戦でくる可能性は高い。貴官にはそれに対する備えとなってもらう。コロニー の内と外で連動して活動されるのが一番厳しい。それを阻止してもらいたい」 「承知しました」 慇懃に敬礼をしてみせる。ユウはイノウエに向いた。 「イノウエ大尉。貴官は宙域哨戒についてくれ」 「了解しました」 イノウエは表情を変えず答えた。 ユウと同じく日本をルーツに持つ彼は、一年戦争時から雷撃、即ち艦船への直接攻撃を 専門とするシップ・エースであった。その武装は常に一撃の破壊力を最優先に選定され、 ア・バオア・クー決戦ではバズーカ二門を携えて出撃し、空母ドロアの艦橋に直撃弾を撃 ち込み撃沈させるという武勲を立てている。MS撃墜数は生涯通算で四機のみと、いかに 母艦攻撃に特化した戦士かがわかる。 しかし年齢四十四歳とパイロットとしては限界が近づいており、母艦攻撃よりもMS同 士の制空権争いに主眼が置かれる戦術の変化もあって、最近では指導教官への転向を希望 していた。歴戦の勇士であることは間違いなく、基地内部でも階級以上の敬意を表される この大尉に対し、ユウは多少なりともリスクの低い、言い換えれば現実に戦闘になる可能 性の低い任務を与えたのである。 MS戦闘が中心とならざるを得ない艦隊護衛で彼のパイロットとしての手腕には期待で きないが、木星船団やパレード中の艦隊を襲撃された場合、対空防御に対しては一定以上 の指揮能力を期待できるという考えもあった。 「急な変更だが、この配置で対処してくれ。各中隊長には今日中に私から伝えておく。以 上だ」 上へ