約 966,463 件
https://w.atwiki.jp/flyffwiki/pages/158.html
覚え書き 編集は出来ない(面倒だ)けど、協力だけはしてやろうって心優しい人は宜しくです。 相場・ウェンディ鯖 セット装備 サディン・ブーツ 180K、サディン・スーツ 5.5M 編集できなかったのでこっちに。 -- 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/111.html
出来ていた青 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)山手《ブラフ》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)田|侖平《ろんぺい》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78] ------------------------------------------------------- [#3字下げ]一[#「一」は中見出し] 山手《ブラフ》の下宿屋街にある、「柏ハウス」の二階十号室で殺人事件が起った。 殺されたのまマダム絢《しゅん》と呼ばれる女で、桑港《シスコ》に本店のある獣油会社の販売監督《セイルス・インスペクタア》をしているジェムス・フェルドという亜米利加《アメリカ》人の妾《めかけ》であった。 その日。 マダム絢は、ひる過ぎから自分の部屋で、左に記す三人の男と花骨牌《はな》をしていた。 高野信二、新聞記者、二十九歳、同じハウスの二階十二号に住む。 吉田|侖平《ろんぺい》、無職、四十一歳、同く十一号に住む。 木下|※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一《しゅんいち》、ホテルのVクラアク、二十四歳、是《これ》は十一番の樺山《かばやま》ハウスに住んでいる男。 その日の勝負ははじめからマダム一人がさらっていた。八時夕飯の時には高野を除いて二人とも、※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一は二十貫を越し、侖平は四十貫近くの負越しになっていた。夕飯を済ませてからも勝負は続けられた。侖平は幾らか恢復したが、※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一は負けがつむばかりである。 此処《ここ》でちょっとマダム絢という女の素性を記して置こう。彼女は地震前のこの開港市の紅灯街では「ナムバ・セヴンの絢公」と云《い》われて、それこそ、山手《やまのて》、海岸、南京《なんきん》町かけて席捲した時代があったのだ。明暗の濃い表情あり、逞しい体力あり、飽かざる好色あり、天才的な花骨牌の技あり――何拍子も揃った、実に体そっくり心の隅までの娼婦なのだ。それ故、今では斯《こ》うしてメリケンの妾などで下宿屋街あたりにくすぶってはいるが、花骨牌《はな》と男道楽のふた道にかけては、人後に落ちぬ精力を持っているのである。 で――勝負は十時が鳴ったのを機会《しお》に打切《うちきり》になった。勘定をしてみると結局みんなマダムに負けていた。ところで侖平に金がなかったので(それはその日に限った事ではなかったが)IOUを書くことになったのだが、その時|些《ちょ》っとした紛擾《ごたごた》があった。それはIOUを書く伝票《カアド》があいにく無くなっていたので、彼女は八号室のフェルドの部屋へそれを取りに行ったのである。ところが彼女が入って行くと暫《しばら》くして、その部屋でフェルドと二人が大喧嘩を始めたのだ。 「……貴様、殺してくれるぞ!」 フェルドのそう云う声(彼の言葉を一いち英語で反転することは避ける)がしたかと思うと、彼女がヒステリカルに、 「けだもの!」 と叫び返すのが聞えた。 「やっているな、浮気の蟲虫《むし》と、嫉妬《やきもち》の犬が!」 侖平がそう云ってくすっと笑った。併《しか》し喧嘩は直《す》ぐにけりが着いた。フェルドは何か罵り喚きながら足音荒く階段を下りて外へ出て行ったし、マダム絢は居間へ戻って来た。 「どうしたの?」 「――ふん、お定《きま》りさ!」 彼女は※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一の問いには構わず、持って来たフェルドの商売用の空伝票《あきカアド》の裏側を出して侖平に渡した。高野が笑いながら、 「じぇらしい? ――」 「可笑《おかし》くもないこった、本当よ」 彼女は、ぴしんと肩を揺上《ゆりあ》げて、ミス・ブランシを一本|抜取《ぬきと》って火をつけながら、 「二三日うちに上海《シャンハイ》へ廻るんだよ、それにお金の集りが悪いと云うんで焦《じれ》ているって訳さ。ふん、もう些《ち》っとどうかしてるんならお金を貢ぐ気にだってなるけれど、あれじゃね!」 「強《こえ》えこと!」 高野はそう云って頭を振った。マダムは侖平の差出《さしだ》した伝票《カアド》を手に取って、その金額にちらと眼をくれたが、いきなりそれを突戻《つきもど》して怒鳴った。 「なんだい侖平、あんたのは三十八貫五十だよ、おふざけでない!」 「――――」 ひどく辛辣な調子だったので、流石《さすが》に侖平|些《ちょ》っと気色ばんだ。併し手にとって見ると、なるほど伝票《カアド》には二十八貫五十と書いてあった。侖平は黙ってそれを書改《かきあらた》めた。 「あんたのもう三百貫近くになるねえ、侖平|宜《い》いかげんに何とかして貰わなくちゃ困るよ?」 「まあそんなにがみがみ云うなよ」 侖平は卑屈に苦笑したまま取合《とりあ》わなかった。マダムはそのIOUを卓子《テーブル》の隅に片寄せて、ふいと※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一の方へ振り返ったが、※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一はもう勘定を済ませたので、帰るために立上《たちあが》るところだった。 「じゃ是で僕は――勤《つとめ》があるから」 「そう、じゃ又――」 彼女はそう云って素速く誰にも気附かれぬように片眼で※[#「目+旬」、第3水準1-88-80]《ウインク》しながら云った。 「頼んだこと……宜いね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「ええ、分ってます!」 ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一はそう云って部屋を出た。それと同時に侖平も、何かぶつぶつ云いながら自分の部屋(それはマダムと向合《むきあ》っている室《へや》だ)へ帰って行った。 [#3字下げ]二[#「二」は中見出し] 侖平と※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一の去った後も、高野は残っていた。 「ばかっ花骨牌《ぱな》(金を賭けぬ骨牌《かるた》)でもする?」 「しても宜いな!」 「じゃあ切って」、 一回だけという定《き》めで、再び骨牌《ふだ》を持出《もちだ》された。親定《おやぎめ》をすると高野の親だった 「こんだぁ勝つよ、賭けなきゃあ運が宜いんだから、口惜《くや》しいけど!」 「文句を云わないで」 切った気を配った、自分の札を取上げたマダムは、ふうんと鼻を鳴らせてからす[#「からす」に傍点]と云いながら札を全部場へ晒《さら》した――七枚とも空札なのだ。 「あいた!」 高野は舌うちをしながら自分の手を見た。 その時廊下を走って来た給仕が、扉《ドア》をノックして、顔をだした。 「高野さんこちらですか――あ、高野さん御面会の方ですよ!」 「誰だい?」 「何だか妙な人ですよ。名前も云わないし、それに変な恰好をして」 「変な恰好――よし直ぐ行く!」 「どうぞ」 高野は(青が出来るな!)と思いながら、自分の札を場へ伏せて、給仕の後から室を出て行った。 下の応接間にはひどい身妝《みなり》をした、ひと眼で浮浪者と分る男が待っていた。自分が高野だと云うと、面はゆげな容子《ようす》で、 「些《ちょ》っと其処《そこ》までお出《い》でが願いたいんで、へい、直ぐ其処《そこ》まで……」 「何の用です?」 「私ゃ何も存じません。何処《どこ》かの旦那が貴方《あなた》に外でお話したい事があるからってんで、何でも家じゃ話しにくい事だからって……」 「おかしいな、誰だろう――」 審《いぶか》しくはあったが、兎《と》も角《かく》高野はその男について外へ出た。男は無言の儘《まま》先に立った。御代官坂へ抜ける街角まで来ると、男はうろうろ四辺《あたり》を見廻している。 「どうしたんだい?」 「へえ――」 男は頭を傾げながら、 「その、此処《ここ》んとこだったんですが。はてな、何処《どこ》へ行っちまったんだろう。つい今しがた此処《ここ》で……」 高野は焦《じれ》ったくなったので、暗がりの方へ大声でおういおういと何度も叫んでみた。併しあたりには人影もなく、答える声も聞えなかった。全体どんな男だったかと訊《き》くと、その男が其《その》辻へさし掛ると、暗がりの中から黒っぽい外套を着た男が出て来て、五十銭銀貨を二つ握らせて、高野をそこまで呼出《よびだ》して来て呉《く》れと頼んだのだ、と話した。 「何だいばかばかしい、もう宜いよ!」 てっきり記者仲間《なかま》の内の誰かの悪戯《いたずら》だと思った高野は、そう云い捨てたまま帰って来た。この間が凡《およ》そ七八分、多くとも十分そこそこだったに違いない。 二階へ上って、マダムの室《へや》の扉《ドア》を明けると、彼女の姿が見えなかった。 「おや――」 と呟《つぶや》いて二三歩|踏入《ふみい》ったとたん骨牌卓子《かるたテーブル》の向う側に、椅子《いす》もろとも仰向《あおむけ》ざまに姪れているマダムの姿が眼についた。 「どうしたんです! マダム※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 何か発作でも起しているのだと思った高野は、そう叫びながら卓子《テーブル》を廻って行った。マダムの裾がひどく捲《まく》れて、脂ぎった白い腿《もも》の根までが露わになっているので、高野は手早くそれを引下《ひきお》ろしてやった。その時ぷんと鼻を衝《つ》くような血腥《ちなまぐさ》さを感じた。おやっと思ってみると彼女の左胸部に突刺さっている短刀の柄が目に入った。そしてはだかった胸から床の上まで溢れるような血だった。はじかれたように立上った高野は、廊下へとび出して喚きたてた。 「人殺しだ※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 [#3字下げ]三[#「三」は中見出し] 急報に接した県警察部から、刑事課長|※[#「巴/土」、232-15]谷《せつや》氏が、四五名の部下と同車で駈けつけて来た。 皆が現場へ着いた時は、既に招かれていた附近の開業医の手当ても間に合わずマダム絢は絶命していた。※[#「巴/土」、233-1]谷氏は直《ただ》ちに警察医を督して死体を検《あらた》めに掛った。用いた兇器はありふれた日本の九寸五分で、心臓のまん中を殆《ほとん》ど柄《つか》まで突刺していた。刺傷の角度と深さを量ると短刀は柄に印された指紋の検出をするため、係の刑事に廻された。 「――刃を上に向けてやったんだな、日本では珍しい殺《や》り方ですね!」 警察医はそう云いながら、死体の着衣を念人に剥いで行った、そしてごく外部的に情交関係の有無を調べた結果、性的な機能昂進の事実を慥《たしか》めた。 ※[#「巴/土」、233-7]谷氏は簡単に証人の陳述を聞いた後、直ちに現場の探査に移った。 扉《ドア》のノブ、ヴェランダに明《あ》いていた窓、卓子《テーブル》、有《あら》ゆる場所の指紋検索が行われた。 その室《へや》は三方に扉《ドア》があった。その一つは廊下、一つはヴェランダ、一つは寝室にと通じているので、その内寝室へ通ずる扉《ドア》だけが閉まっているきり、他のふたつは明いていた。 ヴェランダへ出ると非常|梯子《ばしご》に通じているのだが、それは内部から自動的に上げ下げ出来るようになっているもので、毎夜十時にはハウスの主人がそれを上げる習慣であった。尤《もっと》も二階の階段の角に釦《ボタン》があって、それを押しさえすれば、いつでも梯子を下げることは出来たし、梯子を下りてから上へ押上《おしあ》げると自動的にはね上るようにもなっていたのである。――※[#「巴/土」、233-14]谷氏が見た時その梯子はあがっていた[#「あがっていた」に傍点]。 室内は別に格闘したらしい形跡もなかった、彼女は正しく卓子《テーブル》に向った位置の儘後へ到れているのだ。裾がひどく捲くれていたと云う高野の陳述と、性的機能昂進の事実とは、この死体の位置と重ね合せて尠《すくな》くとも凶行者が彼女にとって未知の闖入者でなかったという事を想象させるに充分だ。 「犯人は此処《ここ》にかけていたよ」 ※[#「巴/土」、234-3]谷氏は被害者と向合って椅子にかけた。 「――そして隙を見て、此処《ここ》から斯う刺したのだ。その時|卓子《テーブル》越しに左手で被害者の右肩を掴んでいた……否《いや》、そう[#「そう」に傍点]じゃない――」 云いかけて、ふと卓子《テーブル》の上を見やった刑事課長は、おやっと云う表情でそこにある花骨牌札《はなふだ》を覓《もと》めた。それと云うのは――高野が手を見た丈《だけ》でそこへ伏せて行ったと陳述した札がめくられていたし、既に、(青)と云うやく[#「やく」に傍点]がそこに出来ているのだ。花骨牌《はな》は明《あきら》かに戦わされてあるのだ。 「ふうむ――!」 ※[#「巴/土」、234-10]谷氏は二三度頷きながら呟いた。 「――こいつ臭いぞ!」 そう、それは実際何かしら異常な、人に呼びかけるもの[#「もの」に傍点]を持っていた。何となくそれひとつがこの殺人事件の秘密を解く鍵であるかに思われた。 検事局から矢島上席検事、倉石判事が駈けつけて来るのと同時に十一番の樺山ハウスへやった刑事が帰って来て、※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一がまだハウスへ戻っていないと云う事を報告した。 「午飯《ひるめし》を早く済ませて出た儘戻らぬ相《そう》です。勤先《つとめさき》のホテルVへも電話を掛けてみましたが、其方《そちら》へも来ていないと云う事です!」 「ごくろう!」 ※[#「巴/土」、235-1]谷氏は直ぐに※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一と高野を呼出しに来た浮浪者に対する非常線を張るように命じて、仮訊問に掛った。 仮訊問に宛てられた室は、同じ二階の草花室を片附けて卓子《テーブル》と椅子を持込んだもので、それは兇行のあった十号室の真向うにあった。順にゆくと十三号となるべきなので嫌って、主人《あるじ》の丹精になる草花などを置いてあるのだ。 [#3字下げ]四[#「四」は中見出し] 先《ま》ず最初に柏ハウスの主人夫妻が呼入れられて、※[#「巴/土」、235-7]谷氏の訊問に答えた。 「ジェムス・フェルドさん御夫妻に部屋を貸したのは去年の三月でした。二階の八九十と三室で、部屋代は月八十円です。御主人は年に三回、二月《ふたつき》位ずつしか滞在なさいませんです。御夫婦仲は良い方ではないと思います。この春も一度ひどい諍いがあって、フェルドさんが拳銃《ピストル》を持って、マダムを追廻《おいまわ》した事などありました。 マダムの素行に就《つい》てはお調べ下されば分りましょうが、余り香《かんば》しくありませんです。私共の存じて居る丈でも常に二人や三人の男は欠かした事がありません。フェルドさんもこれは知っていたと存じます。併し非常にマダムを愛しているのでしょう。別れ話などの出た話は曾《かつ》て聞きませんです。 マダムは花骨牌《はな》の名人だ相で、毎《いつ》もその方の人達の出入が絶えませんでした。今日もお部屋ではひるから花骨牌《はな》をやって居られるようでした。よくは分りませんが、樺山ハウスの※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一さんが見えていたようです。侖平さんと高野さんは同じ二階のことですから、今日に限ったことではないと思いますが、その都度《つど》賭事《かけ》があったかどうかは存じませんです。 十時頃でした。二階で御夫妻の呶鳴《どな》り合う声がしたと思うと、間もなくフェルドさんが足早に階段を下りて来て、その儘外へ出て行かれるのを見ました。また嫉妬喧嘩ですね! と家内が申しましたので、うん! ああ云う女《ひと》を持つと男も楽ではない、などと話し合いましたです。 それから非常梯子をあげて戻ると、丁度《ちょうど》そこへ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一さんが二階から下りて来まして、毎《いつ》もの通り(愛相の良い人で)にこにこと笑いながら、『さいなら、おやすみ!』と云って帰って行かれました。これがフェルドさんの出て行かれた十五分か――二十分も後だったでしょうか。 ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一さんが帰ると間もなく、見馴れない男の方が高野さんを訪ねて来た容子でした。給仕が取次ぎますと、高野さんは何かその男と二言三言話をなさって、一緒に外へ出て行かれましたです。いつ戻られたか存じません。それから十分か――十二三分も経ったでしょう。人殺し※[#感嘆符二つ、1-8-75] と云う大きな叫声《さけびごえ》がしますので、驚いて家内《これ》と二階へ行ってみますと、高野さんか蒼白な顔をして廊下で叫んで居られて、直ぐにマダムの殺された事を知らせて呉れました。そこで私は警察の方へお電話を掛けましたのです」 陳述は凡《すべ》て妻が肯定した。 続いて、給仕が呼出された。之《これ》は簡単に終って、次に侖平か招かれた。 侖平は胆汁質の、顔色の悪い、どこか直ぐに賭博常習者を思わせるところをもっている男だった。彼は決して相手の顔を正面から見ずに毎《いつ》も他処《よそ》を向いたり俯向《うつむ》いたりして話した。 「お前は前科があるな!」 侖平が椅子に就くと、※[#「巴/土」、237-3]谷氏は突然刺すように叫んだ。侖平はびくっと顔面筋を痙攣させて面《おもて》を伏せた。そして吶《ども》りながら答えた。 「――前科と申しましても、賭博犯で三回あげられた丈です。お調べ下されば分ります。 マダムと知合《しりあ》ったのは地震前のことで、まだあの女がナムバ・セヴンの雪ホテルで売っていた時分の事です。地震後私は大阪で暮らしていましたが、去年の暮|比方《こっち》へ舞戻《まいもど》った時、些《ちょ》っとした機会からマダムと邂逅《めぐりあい》まして、その紹介でこの二階へ間を借りる様になったのです。 今夜の事件に就ては私は何も存じません。十時半……ちょっと前でしょうか、よく覚えて居りませんが、自分の部屋へ帰って、寝台《ベッド》の上に転げて煙草をふかして居りますと、廊下で高野さんが人殺しと呶鳴《どな》ったので慌てて出て行きました。そしてマダムの殺されているのをみつけたのです」 「花骨牌《はな》の勝負でお前は金がなかったので借証文を入れた相だね!」 「はい、金額は三十八貫五十です――」 「その時何かあの女との間に諍いがあった相じゃないか※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「いえ! それは私がぼんやりしていて金額を書損なったのです。別段諍いと申す程のことではありません。それに――」 ※[#「巴/土」、237-18]谷氏はこの時、静かに血に染《にじ》んだ九寸五分を卓子《テーブル》の上へ取出した。 「此《この》品に見覚えはないかね?」 侖平はひと眼見た瞬間、明かにはっとした容子だったが、暫く躊《ためら》った後、たしかにそれは自分の持っていた品だと認めた。そして取締が厳しいので、もう暫く持ったことはないし、何処《どこ》へ納《しま》って置いたかもはっきり覚えていないと述べた。 侖平の陳述は極めて単純であるだけ、どこかに確然としたものがあった。課長は兇器を引込めると、穏やかな調子にかえって、何か悲鳴のような声を聞かなかったか、思い当る節はないかと二三訊ねた後、侖平を控室へ退けた。 侖平が済むと続いて高野が呼ばれた、併し是は最初に事件の経過を申立《もうした》てているので、※[#「巴/土」、238-8]谷氏の訊問は重要な点の証言を求めるに止《とど》まっていた。 「――君は外から呼び出しが来た時、花骨牌札《はなふだ》をどうして置いたのかね?」、 「先程も申上げましたように、私が親で札をきり、配り終えますとマダムは、からす[#「からす」に傍点]と云って自分の札を場へ晒しました。私は自分の手を見て青が出来るなと思いましたので、場を見にかかりました。そこへ呼び出しが来ましたので、その儘札を其処《そこ》へ伏せて置いて部屋を出たのです――」 「――なる程」 ※[#「巴/土」、238-16]谷氏は美しく刈込《かりこ》んだ口髭を噛んだ。 「すると君は、札を見た丈でそれを伏せて面会人に会いに行ったのだね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「――そうです!」 「それはふしぎだ!」 「――何故《なぜ》ですか?」 「と云うのは、現場《げんじょう》を調べると明かに花骨牌《はな》がめくられているんだ、その上、君の方の場には青札が二三枚揃っている、つまり青の出来やく[#「やく」に傍点]が出来ているんだ!」 「そんなばかな事が……」 「どうして――!」 高野の驚く眼を、※[#「巴/土」、239-7]谷氏は鋭く見返って、 「君がやったのでなくとも、君の出た後で誰かが被害者と勝負をしたかもしれぬではないかね?」 「併し、私が留守にしたのはほんの十分足らずの時間です」 「君はいま自分の手に青が出来るなと思ったと云ったではないか、二度目のめくり、或《あるい》は三度目のめくりで青の揃うようなチャンスはそう珍しいことではないよ?」 「――――」 高野は黙っていた。 [#3字下げ]五[#「五」は中見出し] 臨検の判検事と簡単な意見の交換をした後、※[#「巴/土」、239-16]谷氏は二名の部屋と共に高野、侖平、フェルド、三名の居間の捜査を行った。 ※[#「巴/土」、240-2]谷氏が侖平の部屋で、意外な獲物を検挙して仮訊問所へ戻って来た時、非常線に引掛って、例の高野を呼出しに来たという浮浪者が捕えられて来た。※[#「巴/土」、240-3]谷氏は浮浪者には簡単な訊問を試みた丈で別室へさげた。 そしてもう一度命平が呼び出された。 再び訊問を受ける侖平は、前にも増しておどおどと怯えていた。それに反して※[#「巴/土」、240-6]谷刑事課長はぐっと砕けた態度で、まるで友達に対するように親しい調子を見せていた。 「――君は大分あのマダムに借金しているね」 「ええ、その……」 「幾ら許《ばか》りだね?」 「なに、ほんの少しで、ほんの……」 「三百円ばかりね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 侖平はびくっとして、尻眼に課長の顔を見た。併し※[#「巴/土」、240-13]谷氏はそ知らぬ風で続ける。 「今日君は借用証書を書いた相だね!」 「――ええ、左様です」 「ところが、その君の書いた伝票《カアド》が紛失しているんだ、現場に無いんだよ!」 「――――」 「――それ許りでなく、マダムの手文庫の中が掻廻《かきまわ》されて、若干の現金と、それから二三人から受取《うけと》った借用証書の伝票《カアド》の束が無くなっているのだ!」 「――で?」 侖平は唾を呑んだ。そして、黙って自分を見つめている※[#「巴/土」、241-3]谷氏の眼を見ると、耐《たま》らなくなったかして、しどろもどろの調子で弁明をはじめた。 「それで私がその――否《いい》え違います。私はそんな物を盗み出す必要はありません。可故かと云えば私の借金に就てはマダムと特別な諒解がついていたのですから!」 「特別な諒解? ――それはどう云う事かね」 「それは――」 侖平は意気込んだ出鼻を挫《くじ》いて、はたと困惑の表情を見せながら俯向いた。 「それは、どう云う諒解だね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 ※[#「巴/土」、241-11]谷氏の声に力が入った。侖平は明かに狼狽して赭《あか》くなったが、併し直ぐに思い切った左のような告白をした。 「――実はマダムと私の間には特殊な性的関係があったのです。私がマダムの異常XXを満足させることが出来れば、その都度《つど》二十貫|宛《ずつ》借金を棒引にするという約束なのです」 雪ホテルにいた頃、外人相手に飽くまで荒《すさ》んだXX生活を繰返《くりかえ》したマダムの体は、体格のか細い、紳士的な日本人の普通の男相手では、到底慾望を満足させることが出来なかった。 殊《こと》にノルウェイ人のオウルと云う男が教えて行ったXXは、彼女のX生活を根本的に覆《くつが》えした程異常なものだった。そして、オウルなにがしが日本を去って以来、遺して行ったそのXXや薬品を上手に使うことの出来るのは、当時グランド・ホテルの厨房にいた彼侖平|唯《ただ》一人だったのである――。 「そんな訳で、大阪から帰って来て会うと直ぐ、マダムは殆ど無理強《むりじい》にこのアパアトへ私を引入れて、部屋の心配までして呉れたのです。私はそれ以来、ずっとマダムのXXを満足させることを条件に、部屋代から食事代まで出して貰っていたような次第です!」 「――ふうむ、そうかね!」 ※[#「巴/土」、242-7]谷氏は、侖平の申立を聴終《ききおわ》ると静かに頷いた。そして暫く口髭を噛みながら何か案じている風であったが、突然、ひと束にした伝票《カアド》を卓子《テーブル》の上へ取出した。 「是を知っているかね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「うっ!」 ひと眼見るなり侖平は呻《うめ》きながらさっと顔色を変えた。彼の額にふつふつと汗の滲出《にじみで》てくるのが見えた。 「是は君の部屋から出たんだ、通風筒の中へ押込んであったのだがね――是に就ても何かマダムと特殊な諒解が出来ているのかね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「――恐入《おそれい》りました」 侖平はがくり挫け乍《ながら》頭を下げた。 「如何《いか》にも私はマダムの手文庫を明けて、その中から三拾円ばかりの金と、IOUの束を盗み出しました、併し――」 と彼は、きっと面を挙げて、必死の表情を見せながら、額に流れる汗を拭きもせず陳述を始めた。 「――併し、マダムを殺したのは全く私ではございません。決して嘘は申上げません。 高野さんが人殺し※[#感嘆符二つ、1-8-75] と叫んだので、私は寝台から跳び下りて廊下へ出ました。直ぐにマダムの部屋へ行って、死体を見つけて、是《こり》ゃとんでもないことになったと思っていると、そこへ此処《ここ》のハウスの主人《あるじ》夫妻が上って来たのです。そしてこの有様《ありさま》に吃驚《びっくり》して、警察へ電話を掛けると云って階下《した》へ駈け下りて行きました。すると高野さんも自分の社へ電話を掛けて置くからと云って私に見張りを頼んで階下《した》へ行かれたのです。――残った私はふと衣装戸納の上にある手文庫をみつけました――その時その中《うち》に現金のある事を知っていた私はふらふらと金が欲しくなり、急いでそれを下して掻廻してみますと、偶然IOUの束が出て来たのです。そこで私はちらっと考えたのですが――若《も》しマダムの死後この借用証書が発見された場合は、マダムとの特殊な諒解などは無効になると同時に、フェルドさんから借金として督促されるに相違ないと気がついたのです。そこで持って行って焼棄《やきす》てて了《しま》う積《つも》りで、金と一緒に懐中へ捩《ね》じ込んだのです。そして手文庫は元の場所へ戻し、IOUの束は通風筒の中へ押込んで置いたような訳です――、此外には何も存じません。決してもう嘘《いつわ》りは申上げませんです!」 陳述を終った侖平は額から横鬢へかけて流れる汗だった。そこへ刑事の一人がジェムス・フェルドの帰って来たことを知らせたので、※[#「巴/土」、243-18]谷氏は侖平を退かせた。 [#3字下げ]六[#「六」は中見出し] ※[#「巴/土」、244-2]谷氏が暫く休憩をとるために、煙草に火をつけて片隅の椅子に腰を下ろすと先程から指紋の捜索をしていた警部がやって来て満足な結果が一つもない事を報告した。短刀の柄には極めて古い、然《しか》も不明暸な二三の指紋があるが、それは無論兇行時に印されたものでない。また窓枠や扉《ドア》のノヴなどからも殆ど是はと思われる収獲はなかった。 続いて警察医の報告があったが、是は解剖を待たなければ精密なものではない。併し性的機能昂進が自動的のものであるか、他動的なものであるかと云う概念的な検案に就ては、恐らく他動的な手指弄《てなぐさみ》などであろうと答えた。それは被害者の手指が汚れて居らなかった事から推測するのみの事ではあったが。 「――矢張侖平が一番濃厚だね!」 倉石判事が低く呟くように云った。 「高野が留守にした十分内外の時間に兇行を終えることの出来るのは前後の関係を推して侖平より外にはない!」 「そう、恐らく高野の出て行くのと入違《いれちが》いにあの室《へや》へ入って行って、花骨牌《はな》を始め、隙を見て女を殺害したのだろう!」 矢島上席検事もそう云って頷いた。※[#「巴/土」、244-16]谷氏は静かに頭を振った。 「――では高野を呼出しに来た浮浪者を誰が雇ったのでしょう、侖平は事実一歩も室《へや》から外へ出ていません。又――浮浪者を雇ったのが高野の云う通り友人の悪戯《いたずら》だったとしましょう。それで尚且《なおかつ》侖平の嫌疑には不充分なところがあるのです。それは――」 と云って※[#「巴/土」、245-4]谷氏は例の伝票《カアド》束を叩いた。 「侖平の匿《かく》したこの束の中に、今夜彼が呈出した三十八貫なにがしのIOUが一枚入っていないのです。勿論現場にも見当りません」今夜の一枚、三十八貫五十と書いて侖平の署名のある伝票《カアド》が行衛《ゆくえ》不明なのだ。誰が、何の為にその伝票《カアド》を持去ったのだろう。 ジェムス・フェルドが、刑事に案内されて入って来た。 彼は見たところ四十前後のブロンドの男で、眼は際立った茶色、それが時どき猫のように鋭く光った。どちらかと云うと好人物型で、言葉は片言の日本語を明暸に話した。 彼は自分はいま八番の酒場《バー》フロイラインから帰った許《ばかり》で、マダムの殺害された事を聞いて吃驚《びっくり》しているという事を割に落着《おちつ》いて申述べた。併し、次の陳述が進むにしたがって次第に傷心の色を見せたのは流石《さすが》に隠しきれぬ故人への愛情の深さを思わせた。 「私は桑港《サンフランシスコ》にあるKBD獣油会社の東洋販売監督《オリエンタル・セイルス・インスペクタア》を勤めています。当地と上海《シャンハイ》と香港《ホンコン》の三ヶ所を受け持って、当地には毎年春秋二回、凡そ八週間位ずつ滞在します。 マダム・絢と知合ったのは去年の春のことで、相談の上この柏ハウスの二階三室を借りて同棲生活を始めました。申上げて置きますが、私は本当に真面目な気持で彼女を愛して居りましたのです」 フェルドは手帛《ハンカチ》を取出してそっと鼻を抑えた。 「絢は元来多情な女で、性慾生活には驚くほど異常な好みがありました。したがって常に男関係が絶えず、外泊することなどは珍しくないのです。併し前身が前身であったし、私の留守にする期間の長い事でもあり、是は是非もない事だと私は諦めていました。 そんな次第ですから、私達の仲は毎《いつ》も平和であるという訳にはゆきませんで、時々ひどい衝突が起りました。一度などはいつそ彼女を殺して自分も自殺しようかと思い詰め、拳銃《ピストル》を持って追掛けたこともありましたが、結局私には彼女を殺すことは出来ません。彼女もまた私にそんな事の出来ないのをよく知っていたと思います。 今度当地へ来ましたのは六週間前で、世界的不況から商売方面が思わしくなく、本店からの命令もありましたので、滞在日数を繰上げ、二三日内に上海《シャンハイ》へ廻る積りで居たのでございます――」 と、この時突然廊下に遽《あわただ》しい跫音《あしおと》がして、二人の刑事が※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一の腕を両方から抱え込んで引立てて来た。 「――どうしたのか※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 と※[#「巴/土」、246-17]谷氏が訊《き》くと、蒼白い硬《こわ》ばった顔を振向けて※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が喚きたて 「誤解です! 誤解です※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 [#3字下げ]七[#「七」は中見出し] 刑事は※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一を沈黙させた後、――彼が九号室(フェルド夫妻の寝室)の窓からヴェランダへ忍び出て、非常梯子のところから裏庭へ跳び下りたところを取押えたのであると申立てた。 「寝室から? ……この男が※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 ※[#「巴/土」、247-5]谷氏は疑うように※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一を見た。※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一は乾ききった唇を痙攣させながら、喚いた。 「そ、それには仔細があります。それは――」 ※[#「巴/土」、247-7]谷氏は刑事に※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一を控室へ下げるように命じた。そして意外な有様に驚いていたフェルドに、陳述を続けるよう促した。 「――今日、私達は帝劇へ行く約束でした。私が上海《シャンハイ》へ立つフェアウェルの意味です。 ところが午《ひる》近くになると急に機嫌を損じて、男の友達を呼集め、花骨牌《はな》を始めてしまったのです。私は再三出掛けようと促しましたがどうしてもききません。遂に諦めて私も事務を執ることにしましたのです。 お茶も夕飯も独りで摂りました。非常にむしゃくしゃしますので、酒でも呑もうと思い、十時近くでしたが、出ようとするところへ彼女が入って来ました。そこで私は銀貨の持合せがなかったので、少し許《ばかり》銀貨を呉れと申しました。すると彼女はそんな事には耳もかさず、大変口汚く私を罵倒するのです。そこで私も昼からのむしゃくしゃが破裂して、同じように呶鳴《どな》りかえし、自分は今夜帰って来ないと云い残して外出しましたのです!」 「――その時あなたは、マダムに、お前を殺してやるぞ! と脅かした相ですね?」 「――或は、そんな事を申したか知れませぬ。何しろ昼から苛々していたものですから、思わずかっとなってしまいまして……」 「酒場《バー》へはまっすぐ行かれましたか?」 「――行きつけのフロイラインへは後でした、その前に坂下の裏街で二三軒寄りましたです。何と云う家であるかは覚えて居りませんが、併し――行って見れば分ると思います」 「追而《おって》、そう願うことでしょう!」 ※[#「巴/土」、248-9]谷氏はそう答えると、叮嚀《ていねい》に挨拶をしてフェルドを控室へかえした。 フェルドを退けた刑事課長は、直ちに部下を呼んで、別室に入れて置いた例の浮浪者に、控室を覗かせて、そこに集っている者の内、誰が高野を呼び出すように彼を雇った男であるか慥《たしか》めさせるように命じた。 検事も判事も、今度は頓《とみ》に口を利こうとはしなかった。小さな仮訊問所の中には、盛上《もりあが》って来る事件の進展につれて、重苦しい緊張が翼をひろげた。 間もなく浮浪者は戻って来た。そして控室の中に、たしかに自分を雇った男がいると証言した。併しそれがその男だということを聴くと、※[#「巴/土」、248-17]谷氏の眸《ひとみ》は急に失望の色をあらわした。 そして※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が訊問室へ呼入れられた。 [#3字下げ]八[#「八」は中見出し] ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一はすっかりあが[#「あが」に傍点]っていた。色白で眉の秀でた、どう安く踏んでも二枚めの柄はある男だが、むどく狼狽しておどおどと顫《ふる》えているので、何とも恰好がつかない。それでもどうやら刑事課長の訊問にたどたどしく答えた。 「――私がマダムの寝室から脱《ぬ》け出たのは事実です。けれど殺人事件とは何の関係もありませんです。それは神様にでも誓います」 「誓わない内にすっかり事情を話し給え、どうして一旦帰った君がマダムの寝室へなど隠れていたのかね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「それは……その……」 「え※[#感嘆符疑問符、1-8-78] はっきり云い給え※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 「実は……実は私は、先週の水曜日来、そこでマダムと情交関係があったのです。マダムが機会を作っては、私を寝室へ呼入れて呉れましたのです!」 ※[#「巴/土」、249-13]谷氏は眉をひそめた――、何と云う女だ、何と云う爛《ただ》れた性生活だ。 「――君はあの男を知っているね!」 ※[#「巴/土」、249-15]谷氏は室《へや》の隅に、刑事に附添《つきそ》われて立っている浮浪者を指さした。※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一はちらとそれを見て直ぐ頷いた。 「存じて居ります」 「では今夜君のしたことをすっかり話し給え!」 「申上げます!」 ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一はやや落着きを取戻して、次のように語りだした。 それによると。彼とマダム絢との肉体関係は非常に爛れたものであった。この一週間というもの、殆ど毎晩会っていたのだ。今夜は※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が勤め先であるホテルVの明け番なので、す一時に出勤するから会うことはできなかったのだが、フェルドと喧嘩して部屋へ戻って来ると毎《いつ》もの合図――それは右手の食指でとんとんと三度|卓子《テーブル》の面を打つので、つまりフェルドが留守になるから来いという意味――その合図をしたのだ。それから又高野と侖平とが話をしている間に、マダムはすばやく、外へ出たら人を頼んで高野を呼び出せ、その間に非常梯子を下ろして置くから、と教えたのである。 何故《なぜ》そんな事をしたかと云うと、この二三日来、高野は二人の関係を感づいたらしく、兎角間に入って邪魔をするような風があったのだ。今夜も三人一緒にマダムの室《へや》を出るべきだったのに、高野一人だけ知らぬ顔で残っていた。マダムはそれを見越して、そんな計事《はかりごと》を用いたのだ。 ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一は外へ出ると、御代官坂まで行って、その浮浪者をつかまえ、高野を呼び出すように頼んだのである。そして建物の横に隠れて、たしかに高野が浮浪者と一緒に外へ出掛けて行くのを見届けてから裏へ廻ったのである。裏へ行ってみると約束通り非常梯子は下りていた。そこでそれを云ってヴェランダへ登り、素速く毎《いつ》もの通り寝室の窓から室内へ忍び込んだのである。 寝台《ベッド》の上に寝転んでいると、間もなく高野が人殺し※[#感嘆符二つ、1-8-75] と叫びはじめた。吃驚《びっくり》して直ぐ跳び出そうとしたか考えると自分の立場は危険だし、そうでない迄《まで》も具合が悪いので、兎も角外へ逃げようとヴェランダへ出てみると、ふしぎや今しがた彼が登って来た非常梯子があがっているのだ。 前にも云ったように、この非常梯子を下ろすには、階下《した》の主人《あるじ》の部屋か二階の階段口の角の釦《ぼたん》を押すより外に方法はないのである。そこで※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一は機会をみて逃げようと、再び寝室の中へ忍び込んでしまった。併し、その機会のない内に検査官達の乗込《のりこ》みとなり、捜査となったので居耐《いたたま》れず、無謀とは知りながらヴェランダへ出て下へ跳び下りたのであるが、丁度そこへ張込《はりこ》んでいた刑事に捕まってしまったのである。 「――なる程、すると君は兇行のあった室《へや》の隣に居たことになるね」 ※[#「巴/土」、251-11]谷氏は深く眉を寄せながら。鋭く―― 「では十号室で何か悲鳴でも起ったのを聞かなかったかね、それとも諍う声とか――」 「何も聞えませんでした。別にそれらしい物音もしなかったと思います。が――」 云いかけて※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一はふと顔をあげた。 「――そうです。忘れていました、私はヴェランダへ上ると、マダムの室《へや》の外から、窓硝子《まどガラス》を指で叩いて、来ましたよ! と云いました。すると中でたしかに返辞をしたのですが、その声が、今考えるとマダムの声ではなかったように思われます」 「それはどんな声だったね。聞き覚えのある声だったかね※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「――さあ、聞き覚えがあるようでもあり、併しそうでないような気もします。何でも低いだみ声のように覚えますが――」 ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一の訊問はそれで終った。 ※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が刑事に附添われて控室へ去ると、※[#「巴/土」、252-4]谷氏は起上《おきあが》って苛々と室《へや》の中を歩き廻った。そして矢島上席検事の方へ近寄りながら、低い声でせかせかと云った。 「※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一がヴェランダから声をかけた時、既に室内では兇行が済んだ後だった。恐らく犯人は、高野の出掛ける直前からヴェランダで機会を狙っていたのでしょう。そして高野の出てゆくのを見るととっさに侵入して女を殺害したのです。そして※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一がヴェランダから寝室へ入るのを見すましてヴェランダへ出てゆき、非常梯子を伝って下へ下り去ったのです。下りている非常梯子は下から押上げると自然に上る仕掛けになっているのですから、犯人は梯子を上げて立去ったのです――。つまり之を要するに、 一、高野が出て行く直前に犯人はヴェランダに居た。 二、※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が来るまでに犯行が済んだ。 三、※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が寝室へ入った時、非常梯子から立去った(下りていた梯子が上っていた事によって証明される) つまり犯人は、マダムが※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一の為に梯子を下ろす前、ハウスの主人が梯子をあげる前にヴェランダへ登っていたのだ。そう考えないと如何《いか》に素速くやってもこの凶行を果すには間に合わないしたがって犯人は――」 ※[#「巴/土」、253-1]谷氏がそこまで話しかけた時、室《へや》の中へ高野信二がせかせかと入って来た。そして※[#「巴/土」、253-1]谷氏に近寄ってはっきりと囁《ささや》いた。 「犯人を捉えましたよ! 課長さん※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 [#3字下げ]九[#「九」は中見出し] 「え※[#感嘆符疑問符、1-8-78] ――犯人をどうしたって※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 ※[#「巴/土」、253-6]谷氏ははじかれたように立った、高野はにやりと笑って、 「トリックが分ったんですよ。現場をもう一度見せて下さいませんか?」 「宜《よろ》しい、行きましょう!」 確信ありげな高野の態度に、※[#「巴/土」、253-9]谷氏は快く先に立って十号室へ導いた。高野は室へ入ると真直《まっす》ぐに骨牌卓子《かるたテーブル》に近寄って、そこに並《なら》べてある花骨牌札《はなふだ》を叮嚀に見はじめた。 「課長、此処《ここ》にある札は動かしはしないでしょうね!」 「一切手は触れてない!」 「しめた!」 高野はそう叫んで、手帖と鉛筆を取出すと、手早くその場に出来ている青[#「青」に傍点]の場札をスケッチした。 「出来ていた青[#「青」に傍点]か、ふん。課長、是は犯人が造った墜《おと》し穴ですがね、まさかこの穴に自分が墜ちようとは気がつかないでしょうね!」 「――――」 ※[#「巴/土」、254-3]谷氏は黙って高野のすることを見守っている許《ばかり》だった。スケッチが済むと、高野は衣装|戸納《とだな》の上にあった別の花骨牌《はな》の箱を取下ろして溢れ出る快心の笑《わらい》を噛しめ乍ら、 「――どうぞ控室の外へ来ていて下さい。そして僕が合図をしたら猶予なく入って来て下さい、そうすればお渡し致します。それ迄は絶対に内部に関渉《かんしょう》しないように頼みます。なあに事件はもう解決ですよ!」 そう叫ぶと、足も軽く控室へ帰って行った。※[#「巴/土」、254-8]谷刑事課長は、高野の意外な行動に、いささか度肝を抜かれたかたちで、云われる通り控室の外に合図を待つことにした。 高野は控室へ帰った。 彼は今、全く職業に洗練された沈着を取戻していた。彼は室《へや》へ入ると看視に当っている刑事を、課長が呼んでいるからと云って室外へ追払った。勿論その刑事は戻っては来なかった。 「――ああ疲れちゃったなあ」 高野は煙草に火をつけながら、欠伸《あくび》まじりに云いだした。 「どうだい、いま訊いてきたら、まだ訊問は長びくそうだから、ばかっ[#「ばかっ」に傍点]花骨牌《ぱな》でもやろうか、なにいま課長にそう云って来たから構わないさ」 そう云って、持って来た札を取出した。侖平も※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一も宜い加減くさっていたところなので、直ぐに椅子を寺って卓子《テーブル》の廻りへ寄って来た。併しフェルドはまたもや手帛《ハンカチ》を取出して鼻を押えながら、自分は今そんな遊びをするような気分でないからと断った。 高野は札を切りながら皮肉な調子で、 「あなたは、殺人者がマダムと花骨牌《はな》をしたというのを聞いて、嫌疑のかかるのを恐れていらっしゃるんですね?」 「――ノウ!」 フェルドは激しく頭を横に振った。そして直ぐ笑顔をつくって、それでは自分も仲間に加わろう、幾らかこのやりきれない気持がまぎれるかも知れないから、と云って、自分の椅子を持ってやって来た。 四人は卓子《テーブル》を囲んだ、親定《おやぎ》めをすると侖平が親だった。札を切って配ると※[#「さんずい+首」、第4水準2-78-78]一が下りた。そこで高野と侖平とフェルドの勝負となった。 「――おや是《こり》ゃ気味が悪いぞ!」 自分の手を見た高野が呟くように、 「――是《こり》ゃさっきと同じ手だ、マダムとやった時と――やっぱり青[#「青」に傍点]がかかっている、妙だなあ――」 一瞬、妙に暗い空気が室内をかすめた。高野はちらとフェルドの顔を窺《ぬす》み見た。 勝負は始まった。併しそれは長くは続かなかった。それは、皆が各々四回|宛《ずつ》めくった時、突然高野が椅子から立った。そして扉《ドア》の外へ向って叫んだ。 「課長! どうぞお入り下さい!」 吃驚《びっくり》している皆の前へ、扉《ドア》を明けて判検事と共に※[#「巴/土」、256-1]谷刑事課長が入って来た。 「諸君椅子を立って呉れ給え、そして卓子《テーブル》から離れて呉れ給え。宜しい――それで結構です」 何だか狐につままれたような気味で、こそこそ三人が卓子《テーブル》から離れると、高野は※[#「巴/土」、256-3]谷氏を近くへ召いた。そして、さっき現場で卓子《テーブル》の上からスケッチして来た「出来ていた青」の場札の画《え》を見せながら云った。 「課長、このめくられてある札は、随分妙な順序に置いてありますねえ……」 [#3字下げ]十[#「十」は中見出し] 高野は沈着に、然も適確に続けた。 「花骨牌《はな》をめくった時、取札を並べるのに、普通ふた通り形式があります。それは二十札、十札、五札、空札という順序で、これを右から順に置くか、左から順に置くかのふたつです――。 ところで殺人現場に出来ていた青の場札を見ると、このスケッチの通り、右から先ず二十札があり、次に空札があり、次に十札終りに五札という、非常に変てこな順序で置いてあるのです。 是は花骨牌《はな》に馴れていない人か、でなければ少《すくな》くとも普通我々の習慣にしたがわぬ、特殊な置方《おきかた》をする人の並べたものだという事が分ります。ところで――」 と彼は今まで自分達の向っていた卓子《テーブル》の上を指さしながら、 「ところが――此処《ここ》にも亦《また》、それ[#「それ」に傍点]と同じ置方で並べられた場札かあるとしたら――」 「罠だ! 墜《おと》し穴だ※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 突然フェルドが呶号《どごう》しながら、卓子《テーブル》の上の花骨牌札《はなふだ》に掴み掛ろうとした。併し傍から一名の刑事が抱《だき》すくめて動かさなかった。※[#「巴/土」、257-3]谷氏は卓子《テーブル》に進寄《すすみよ》って、高野の手帳にあるスケッチと、卓子《テーブル》の上に並べられた取札とを比べて、フェルドの取札が、スケッチされた殺人現場に「出来ていた青」の置方と同一のものであることを認めた。そして満足気に何度も頷いてみた。 フェルドは刑事に抱きすくめられた儘、有らん限りの言葉を以《もっ》て、是は巧妙に仕組まれたトリックだ、自分は罠に掛ったのだと絶叫してやまない。 と、ふいに高野はきっとした態度で、 「是がトリックだと云うなら、もっと動かぬ証拠を見せてやろう※[#感嘆符二つ、1-8-75]」 そう云ったかと思うと、つかつかと進寄って、フェルドの上衣《うわぎ》の右ポケットから半ばはみ出していた手帛《ハンカチ》と一緒に一枚の伝票《カアド》を取出した。 「――是はあなたのですね!」 「――」 フェルドは審し気に高野を見た。 「この伝票《カアド》はあなたの商売用の物でしょう※[#感嘆符疑問符、1-8-78]」 「――そうです」 高野は大股に※[#「巴/土」、257-17]谷氏の前へ来て、その伝票《カアド》を見せた。それは鯨脂《ホエルグアノ》の売買用に使われた反古伝票《ほごカアド》である。―― 「――是が?」 ※[#「巴/土」、258-2]谷氏は不審相に見るばかり、すると高野はそれを裏返して見せた。おう、そこにはなまなましいインクで(38[#「38」は縦中横]・50[#「50」は縦中横]侖平)と認《したた》めてあるではないか、即ち、現場で紛失していた当夜の侖平のIOUなのである。 「みすたフェルド、貴方《あなた》は外《ほか》の凡《す》べての犯罪者と同く、極めてつまらぬところで重大な失策をしたんです。――さっきあなたは、訊問室から戻って来て、頻《しき》りに手帛《ハンカチ》を出して鼻をかんで居られたでしょう? その時ポケットの中から手帛《ハンカチ》と一緒に落ちたこの伝票《カアド》が、ふと僕の眼についたのです、それで凡べてが解決したんです。 貴方《あなた》の失策、それはたった一枚のこの伝票《カアド》なんです。貴方《あなた》はマダムを殺害した後、何か証拠になるような物を遺しはしないかと、充分注意したでしょう。犯行を我々|花骨牌《はな》をしていた仲間になすりつけようとして、態々《わざわざ》伏せてあった札をめくって青が出来ているように拵《こしら》えたなんぞは、随分ひねった考えです。併し、それだけの落書きがあった事が、この場合|貴方《あなた》には禍《わざわい》だったんです。 貴方《あなた》は多分、立上ったときばっさり何か床の上に落ちたのを見て、驚いてそれを拾い上げたでしょう、するとそれは自分が鯨脂《ホエルグアノ》の売買に使った反古|伝票《カアド》だった。ああ、こんな物を落として置けば直ぐ足がつくところだった、危ない危ない! そう思って貴方は伝票をポケットへ捻じ込んだでしょう。 ところが、その伝票《カアド》をあなたは拾ってはいけなかったんです。フェルドさん! それは今夜あなたが外へ出られてから後で、侖平君が書いてマダムに渡した借用証書なんです。あなたがマダムを殺害した犯人でないとすればこの伝票《カアド》を貴方《あなた》が持っている筈《はず》は絶対にありませんよ! この伝票《カアド》は僕の覚えている限りでは、マダムが卓子《テーブル》の右隅へ片寄せて置いた筈です。それを何かのはずみであなたが床へ落したのでしょう。そして落ちる時不運にもこの伝票《カアド》は『表がえ』ったのです。若し裏の方が出た儘だったら、恐らくあなたも是を拾いはしなかったでしょうね――」 それを聞くと共に、ジェムス・フェルドはくたくたと床の上に膝をついてしまった。それも無理からぬ事であろう、※[#「巴/土」、259-8]谷課長は心から悦《うれ》し相に、高野の手を固く固く握りしめた。 それから三十分程後のこと。 深夜の京浜国道を、がたがたのフォオドがー台、驀地《まっしぐら》に東京へ向って疾走していた。中にふんぞりかえっているのは云うまでもなく我が高野信二君である。 「――特種の賞金が二十円、事件探査の功で月給《サラ》が――さあ、五円昇給は確実だな。ふふ、悪くねえぞう――」 そして、原稿の文案に掛りながら、ふと低く残惜《のこりお》し相に呟いたものである。 「だが、あの女、一度で宜いからマスタアしてみたかったな、本当に踵と臀《しり》で部屋中を動き廻るというんだからな――残念だったな」 底本:「山本周五郎探偵小説全集 第二巻 シャーロック・ホームズ異聞」作品社 2007(平成19)年11月15日第1刷発行 底本の親本:「犯罪公論」 1933(昭和8)年6月 初出:「犯罪公論」 1933(昭和8)年6月 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 ※以下46個の外字は底本では同じ文字です。※[#「巴/土」、232-15]、※[#「巴/土」、233-1]、※[#「巴/土」、233-7]、※[#「巴/土」、233-14]、※[#「巴/土」、234-3]、※[#「巴/土」、234-10]、※[#「巴/土」、235-1]、※[#「巴/土」、235-7]、※[#「巴/土」、237-3]、※[#「巴/土」、237-18]、※[#「巴/土」、238-8]、※[#「巴/土」、238-16]、※[#「巴/土」、239-7]、※[#「巴/土」、239-16]、※[#「巴/土」、240-2]、※[#「巴/土」、240-3]、※[#「巴/土」、240-6]、※[#「巴/土」、240-13]、※[#「巴/土」、241-3]、※[#「巴/土」、241-11]、※[#「巴/土」、242-7]、※[#「巴/土」、243-18]、※[#「巴/土」、244-2]、※[#「巴/土」、244-16]、※[#「巴/土」、245-4]、※[#「巴/土」、246-17]、※[#「巴/土」、247-5]、※[#「巴/土」、247-7]、※[#「巴/土」、248-9]、※[#「巴/土」、248-17]、※[#「巴/土」、249-13]、※[#「巴/土」、249-15]、※[#「巴/土」、251-11]、※[#「巴/土」、252-4]、※[#「巴/土」、253-1]、※[#「巴/土」、253-1]、※[#「巴/土」、253-6]、※[#「巴/土」、253-9]、※[#「巴/土」、254-3]、※[#「巴/土」、254-8]、※[#「巴/土」、256-1]、※[#「巴/土」、256-3]、※[#「巴/土」、257-3]、※[#「巴/土」、257-17]、※[#「巴/土」、258-2]、※[#「巴/土」、259-8] 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/lufas/pages/98.html
春香メール「ファンが出来ました」 取得条件:高テンション時に取得 お疲れさまです、春香です。 実は友達が、プロデューサーさんのファンになっちゃったんです! 私がいつもプロデューサーさんの話をするからみたいで。 「一度会わせて!」って頼まれてます```。 今も、その子からメールが来て```。 だけど、友達をプロデューサーさんに会わせるのって、なんとなくいやかも、 なんですぅ```(私、いじわる?) プロデューサーさんは、私だけのプロデューサーさんだ!```って、 思ってるからかもしれません。 こっそり思ってるだけですから。許してくださいね```?(*^_^*) 春香メール一覧に戻る トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/wiki10_ms/pages/9.html
分足の出来高表示 マスケピ右上 環境設定 チャート1 ティック、分足チャート のとこの 分足出来高チェックを入れる
https://w.atwiki.jp/kisuitosuuki/pages/63.html
『えーっと、これを入れると……あ、変な色になってる。じゃ、もう少し入れたら……ふむ、微妙な色合いだね』 新学期早々、私は必要の部屋で魔法薬の調合を繰り返した後。 マートルのトイレで調合を始めていた。 <あ~ら、禪じゃない。今日は何を作っているの?> ココの主であるマートルがふわりと近づいてきて、聞いてくる。 『ああ、マートル。今、回復薬作ってるところ』 <回復薬?> 『ええ、この世界の魔法薬って、状態異常しか治せないんですもの。そこで、体力だけの回復をする薬を作ろうと思いましてね』 <へぇ> ぐるりと辺りを見渡すマートル。 <こんなことろでいきなり調合するって言った時は、驚いたわよ?しかもその後、空間を魔法で広げたり、衛生防御魔法なんてもの、いきなりかけたりするんだから、もっと吃驚よ> ああ、うん。 ですよねー。 『まぁ、そこは――』 <変わり者だからでしょ?> 『って、言われたし!ま、そういうことです』 既に”変わり者”っていうのが、免罪符みたいになっているが、まぁしかたない。 本当にそうなのだから……。 『さて、じゃこれを入れれば……あ、色が安定した』 鍋の中で、綺麗な青色がきらめいている。 『成功?んーでもなんか違う気がする』 そこら辺で捕まえてきたネズミを実験台として、薬を飲ませてみる。 ……なんか、走り回った後に自らの顔をかきむしり始めた。 <失敗?> 『みたいね。これ、”絶望”するみたいね』 <絶望?> 『うん。えーっと、何もかもに拒絶されて、行き場所がなくなって、自らを攻めまくるっていう意味での”絶望”』 <なんか、嫌ね> 『まぁね。とーっても嫌よ。私は既に体験したことだし……』 <え?> 『この薬、私の深層心理が反映してしまったのでしょう』 <……> 何とも言えない雰囲気が流れる。 『次は別の調合を始めますか』 次の調合で、見事、回復薬は出来た。 しかしそれは未完成な状態でしかなかった。 『あとは、私自身の意識を変えるしかないのね』 心理に反映する魔法薬を見ながら、棚に収めた。 END:エリクサーが出来た経緯
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/2392.html
「さすが僕、身代わりとは考えた物だ。」 出来杉という偽物を身代わりに出木杉くんはワニから抜け出した 【二日目・午前0時05分/火星・ナイル川】 【出木杉英才@ドラえもん】 【状態】スーパーウルトラ出来すぎ天才モード 【装備】防弾チョッキ アサルトライフル旧型 【道具】支給品一式 【思考】基本 作戦を練り優勝 1 ワニの群から逃げる 2 あった者は計略を練り殺害
https://w.atwiki.jp/chine_miku/pages/42.html
今年、彼女出来ずとも (原曲:ポルノグラフィティ 「今宵、月が見えずとも」) 作詞・歌 痴音ミク キモイ顔が 心えぐるよ だるい身体 閉ざされたドア 今年 俺は誰かと話せただろうか 部屋で一人 泣こうか 二十歳過ぎれば彼女が出来る 期待などした自分を恥じれば 鏡の前で 無様を晒し 「イケメン氏ね」と嘆いてみせる 顔さえまともだったら 少しは良かった 本当は 孤独がイヤな癖に サークルとか飲み会が嫌いで 誰からも誘われなくなって 同窓会も 俺だけ呼ばれず 心に刺さる 親の言葉… キモイ顔が 心えぐるよ だるい身体 閉ざされたドア 今年 俺は誰かと話せただろうか 部屋で一人 泣こうか 声をかけて近づいただけで 「犯罪者だ」と 俺は罵られ 女子たちの手を掴むことさえ ひどく難しいことにさせた あえなく散るとは 知ってたのに… 今年 彼女出来ないならば クリスマスは 一人で飲もう 思い出せば 前の年も その前も 俺は一人だよな 目指すなら 賢者がいい 純潔(ピュア)なままの 俺でいたい いやにもなるさ 自分自身 その醜態 くだらないと嘯いてきて 何もかもを知った顔して 何も出来ない自分隠して 本当は…淋しい 冷えた心 温めるなら 「長門がいる」それだけでいい 君がたとえ幻想(うそ)だとしても 永久に彼女出来ずとも
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/3154.html
387 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 05 02 51 ID ??? 今日の雨で思い出したんだけど、コンベのSWの高レベルセッション(ただしエルフ禁止)で 長雨のせいで作物が根腐れを起こしかけてるから天候制御の魔法装置を起動させて欲しいって 依頼が国から名指しであった。 その天候制御の魔法装置はエルフの集落のすぐ近くにあって、禁断の力としてエルフの長老が エントと契約を結んで周囲をメイズウッズで囲って入れなくしてた。 PTはなんとかエルフを説得する方法を探したが、二時間近く進展がなかったのでファイターが やけくそぎみにエルフの集落を焼き払おうと提案。進展がない事にうんざりしてた他のPLも賛同して、 村を焼き払って長老をぬっころして魔法装置を起動させた。 セッションは成功したものの後味が悪かったので、どうすれば和解できたかきいたら、「和解なんて 出来ないよ。あれで正解」と言われた。いくら人間が困ってても自然の方が大切なエルフは絶対に 使用の許可を出さないから、邪魔なエルフは排除する必要があったんだって。 エルフが使用禁止だったのはこう言うわけか。人間のエゴがどうたらとか綺麗にまとめようと されても萎える。 スレ176
https://w.atwiki.jp/hmmarimo/pages/229.html
当サイトでは「Javascript」を利用しております。 インターネットのブラウザの「 FireFox 」では何の問題もなくダウンロード出来ますが、「Internet Explore」自体が不安定なプログラムらしくクリックしてもダウンロード先へ飛ばないようです。 解決策として致しましては「 FireFox 」をインストールして頂き、当サイトをご利用して頂きたいと恐れながら申し上げます。
https://w.atwiki.jp/shinku-pokemon/pages/8.html
動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。