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動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
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関連ブログ @wikiのwikiモードでは #bf(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するブログ一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_161_ja.html たとえば、#bf(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 #bf
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MOD導入の準備 入れ方 まずMODを導入するためのツールが必要になります。 ここからDLしてください。Totto s Experiment Station様 GImgIO (このツールは個人的に最も使いやすいツールです。日本語ですし。) DL出来たならMODをDLしてください。(海外サイトや、個人サイトで配布しているものなどいっぱいあります。) 例題として、このMODを入れてみます。 elegy 解凍ソフトがいるのですがここは省きますね。 解凍してみてください。CarとPhotosにReadmeがありますでしょうか? 色々なMODを解凍していけば自ずと気づくでしょうが、作者によっては何の説明もないものや、モデリング時の写真やMODの写真など色々 入っているものあります。 ファイルが沢山あり混乱するかもしれません。しかしMODとは、ほぼ元のデータを上書きするだけなので馴れてしまえばどれをどこに 入れればいいかわかってきます。馴れるまではきっちり順序を守っていった方が無難です。 では本題に・・・。 MODを導入するツールを起動し、(ここではGImgIOです。) ファイル→開くを押してください。 そしてここからGTASAのgta3.imgまでいくのですが、通常ならProgram Files→Rockstar Games→GTA San Andreas→models→gta3.img のようになります。gta3.imgをクリックしてください。 するとものすごい数のファイルがあると思います。これらのファイルは一つでもミスしてしまうと後々面倒なので先にバックアップを作って おいた方がいいでしょう。因みに私は、元のGTASAの素データ(何も弄ってないインストールしたてのファイル)models deta textを 複数作っています。もし原因不明のミスをしてしまった場合の事を考えてです。バックアップを取って保管しておけば、 ミスしたデータを削除し、バックアップをコピーするだけで簡単に元に戻せるのでお勧めです。 そしてDLしてきたMODのCarを開けelegy.dffとelegy.txdをGImegIOのデータが沢山入っている場所へD&D(ドラック&ドロップ)します。GImegIOの検索を使った場合こうなります。 D&D後↓ファイルサイズは2分の1になる仕様 そしたらGImegIOのファイルをクリックし高速リビルドを押します。これはMODを新規に入れる場合最後に絶対してください。 しなかった場合正常に起動しないことがあるそうです。これで起動して確認してみてください。 因みにGGMMというツールがあるのですが、車両と武器のimg編集ツールで車のテクスチャをその場で確認できたり、 ハンドリング等を設定できます。(SAMPではハンドリングは反映されません。) GGMMの使い方 まずはここからDLしてください。http //www20.atwiki.jp/gtafreedom?cmd=upload act=open pageid=18 file=ggmm.rar 解凍し、中を確認。これが出てきます。 これらをGTASAフォルダに入れます。 そしたらGGMMのショートカットを作りデスクトップにでも置いておいてください。起動したらこの画面が出てきます。 そしてelegyと検索をかけて右上のINSTALLERを押し、Create bakup押せばバックアップがGTASAフォルダに現れます。バックアップをしたものは Restore from backupを押せば元に戻ります。 Manual mod installerを押したらこのような画面が出てきます。 例1) INSTAL cheetah.dff and cheetah.txd replaced to the ...\models\gta3.img replace in ...data/vehicles.ide 415, cheetah, cheetah, car, CHEETAH, CHEETAH, null, executive, 5, 0, 0, -1, 0.773, 0.773, 0 ...data/handling.cfg CHEETAH 1200.0 3000.0 2.0 0.0 -0.2 -0.2 70 0.80 0.9 0.50 5 240.0 30.0 10.0 R P 11.1 0.50 0 35.0 0.8 0.20 0.0 0.10 -0.15 0.5 0.6 0.40 0.40 110000 c0002004 208000 0 0 1 ...data/carmods.dat cheetah, nto_b_l, nto_b_s, nto_b_tw ...data/carcols.dat cheetah, 131,131, 133,133, 138,138, 129,129, 1,1, 6,6, 3,3 とな風に書いてあるものが付属しているのがあります。 わかりにくいと思いますがこのようにコピペで入れてください。DFFとTXDを入れて、そしてインストールを押して完成です。 SAライフを楽しみましょう。
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『Diver s shell』 十一話 「目標地点へ(前)」 メールと電話でのやり取りの数時間後。 二人はクルーザーで海に漕ぎ出し、全速力でφ37遺跡に向かう……のではなく、脅迫者が用意した船に潜水機を積んで移動していた。 しかも以前二人が助けられた時の船で。 「悪く思わねぇで欲しいッスね。仕事ッス」 「そんなことよりもとっとと行ってくれる? 正直な話もっと早くいけるんでしょ?」 「へいへい分かってますッス」 二人の足代わりになったのはハンナのホバークラフトだった。 クルーザーのトイレの天井に貼り付けてあった封筒の中身を読むと、港の一角が指定されていた。その場所へと行くと、ハンナが居たのだ。潜水機を運ぶ手はずも整えられていたのでものの数時間で出航できたのだ。 計画的犯行だというのは分かったが、何故我々なのだろう。ユトとメリッサは頭脳をフル回転させて考えてみたが、結局何も出てこなかった。ただメリッサだけは「あて」があった。 それはフローラを殺害してメリッサの腕を切断した黒服の連中だ。 銃も持っていたし、雰囲気が余りに似すぎていた。ひょっとしてそうなのかもしれない。もしもそうなら今すぐ殺してやりたい気分だったが、人質を取られていてはどうしようもない。 荒れ放題の海をホバークラフトが行く。 後方の大型のファンの他にも小型のジェット推進装置が仕込まれており、船とは思えない速度で進んでいく。雨脚は轟々として変化は無い。潜るには都合のいい天気とはいえない。 ダイブスーツに身を包んだユトは、操縦席の後方に設けられた座席から外を見遣った。 普通の船なら上下左右にがっくんがっくん揺れるところだが、ホバークラフトであれば関係なく上を滑っていける。しかも速い。 あの電話の向こうの女の言葉が正しければユトの家族も危ない。 視線を室内に戻し、続いて自分の手を見る。緊張で震えていた。 ハンナが操縦する隣で険しい顔をして「速く行け」と催促をしているメリッサ。気丈な振る舞いを見せている彼女だが、脚が震えている。船の動揺とは関係あるまい。 苛立ちが取れない。ユトは、いつの間にか貧乏揺すりをしていた脚を撫でると、腿をパンと叩いて立ち上がった。 それを合図にしたかのように船ががたんと大きく揺れ、ユトとメリッサはよろめいてしまう。ハンナがファンの回転を最大に引き上げたのだ。被害者は一人だけではない。操縦席にある無線機から苦情が飛び込んできた。 「お姉ちゃん加速酷いじゃん! 敵居ないし急ぐ必要ないのに何やってんの!?」 「依頼者にこのお二人さんの言うことは聞けと言われてるんだから仕方無いッスよ、黙ってなさい」 「………ドンパチやんないだけマシかぁ」 ハンナは無線の向こうに居る兄妹に返答をすると、船の進行方向を調整した。 落ち着かないどころか明らかにイライラして前を見つめているメリッサ。ユトも同じように前を向くと、眼鏡の位置を直した。 海は荒れ狂って船を沈めんとしている。それはまるで二人の心情を具現化しているようでもあった。 時間の流れが遅く感じてしまう。 二人は、椅子に座ったり、準備運動をしてみたり、天気の様子を確認するべく携帯電話でテレビ放送を見たりする。 対するハンナはリラックス状態で運転を続けている。 φ37遺跡までは、もう少し。 「……WよりT。10人前後と推定。連中の配置が不明につき警戒して」 「T了解。潜入を開始する。制圧隊の到着は?」 「もうじきよ。でも、作戦開始は夜……もしくは早朝以降になりそう」 「了解」 雨が降っている。 レンガ造りからコンクリートに木造。地震どころか壁の一蹴りで倒壊してしまいそうな建物から、爆弾が投下されるのを想定されているが如く補強された建物までずらりと建て並ぶ旧都市部の端っこ。 夏特有の湿った大気が風に運ばれて流れていく。夜と夕方の中間の時間帯。電灯が道路を照らし始める。 オヤジの家から数km地点の雑居ビルの屋上にある看板の下からゴーグルが覗いている。暗闇でも見えるゴーグルの下には月の光を思わせる銀髪が押さえつけられており、端整かつ鋭利な顔を隠している。 ゴーグルの向こうにはオヤジの木造の家がある。煌々と灯る照明のお陰で赤外線モードなどは必要ない。が、窓を覆うカーテンの所為で内部の様子を直接には窺えない。 ウィスティリアは、カーテンに映っている人影の数をもう一度数えなおす。電気が消えては怪しまれるからとカーテンを閉めているのだろうが、影で丸分かりだ。問題は正確に数えられないということだが。 さて、拘束されている二人を助けるにはどうすればいいか。 それには二人が拘束されている場所及び犯人達の場所を絞り込む必要がある。狙撃をするにしても居場所が分からなくては意味が無いのだ。 あの家の構造を大雑把に言うと「木造二階建て」。一階は作業スペースと居間。二階は寝室等。一階は広く、二階は狭い。 周辺の家との距離は極端に狭く、家の玄関側が比較的大きな道路に接している。車両を用意するには難しいであろう。もしも逃走するとすれば空だ。上空ならどうにでもなる。 居場所。拘束されて動けない状況の2人がロッカーかなにかに押し込められているとは考えにくい。少なくとも2人以上の見張りに銃を向けられていると考えるのが妥当である。そうすることで抑止力となる。 「組織」の連中は手馴れのものを送り込んできているに違いない。諜報部隊の報告によると、マフィアとつながりのある人物が雇われているという。そう簡単に解決は出来ない。 ウィスティリアはゴーグルの映像を拡大する。 窓際に見張りが居る可能性が高い。タナカを潜入させるに当たっては経路を慎重に考えなければならない。下水道などからの侵入も検討してある。あとは現場の本人の判断だ。 隊の人間はまだ到着していない。行動に移すのはもう暫く時間がかかる。 ウィスティリアはゴーグルを外すと、短機関銃を背中に回し、ビルの屋上から飛び降りた。同時に衝撃を和らげるための体勢を取り、隣のビルの屋上にあったコンテナの着地する。密着するように建てられているので距離は余り無い。 走る。 ビルの屋上のアンテナを蹴るように跳躍、隣のビルの壁面へと飛びついてくるりと反転、壁に配置されているクーラーの室外機を足場に地上へと飛びおりた。 何もそんなことをしなくてもいいが、体が鈍っているような気がして実行した。危険にも程がある。 「WからTへ。私は目標の家からちょっと離れた場所から偵察を続けるから」 「了解」 タナカは涼しい声で答えると、ゴーグルについている無線機を切って、小さな鏡を取り出す。目標の家から少し離れた地点。比較的新しい建物の影から鏡を出して人が居ないかを確認した。 タナカが走り出す。足音すらさせず、漆黒の髪を揺らしながら走る。家一つ分走ったタナカはゴミ箱の陰に身を潜めて周囲の様子を感じ取ろうとする。 ここらへんは買い物が出来る場所や、人が来る要因が少ない地域だ。夕方ということもあって通行人もほぼ居ない。異変にすら気がついていないであろう。 目標の家に小さな通りを挟んだ向こう側の家に肉薄する。真正面から様子を窺ってみるが、玄関は閉じられて窓も閉じられている。 相手は事を起こしたことを察知されたとは思っていないはずであるが、警戒をしていることは人数から容易に想像がつく。 「さて」 一言呟いたタナカは、家の裏へと周ると、目標の家の裏から近づくべく走り出す。 レールに乗せられたが如くのしなやかな動きに無駄は一つも無い。 時間をかけずに目標の家の裏へと周ったタナカは、置いてあったコンテナの裏に座って、滑り止め付きの黒い手袋をしっかりとはめなおす。 と、そこで家の裏の扉から男が一人出てきて、口笛を吹きながらうろうろし始めた。 コンテナの端から男の様子を観察してみる。ハゲ頭に黒い帽子を被っていて、自動小銃を肩から下げて、さほど広くない家の裏のもの置き場を歩き回っている。無線機らしきものは確認できない。 視線を家の窓へとやって、見張りが居ないかを確認する。 感づかれてはならない。 息も漏らさぬように気配を殺し、機会を伺う。沈黙の音ですら銃声に聞こえてくるようだ。 黒服の男は仕事熱心とは言えないようで、あっちへ行ったりこっちへ行ったりを繰り返しては、時々地面を脚で穿ったり、肩にかけた自動小銃を空に構えたりしている。 男がドアから離れて家の裏にあったゴミ箱へと近寄っていく。タナカは、一気にドアに向かって走り出し、音も無く内部に侵入した。 背中の散弾銃を使うことは避けたい。威力は高いが銃声も大きいのだから。 埃臭い空気に満ちた家の中へと入れば、今しがた入ったドアの簡易型の鍵をかけてしまう。腰を落としたまま進んでいき、潜水機の大型の電池が無造作に置かれている場所の影へと身を隠す。丁度電池がそのまま置かれていたので裏に身体を入れてしまう。 家の奥からは話し声などが聞こえてきている。いつまでも電池の影に隠れてはいれまい。 タナカは周囲を見て、工具入れを見つけた。丁度人一人入るのにいい大きさだ。しかし中の工具が邪魔で入れない。 裏口のドアノブが捻られて、何度も何度も開けようと試みているのが音で分かった。数回繰り返して音は止まった。仲間に閉められたと思ったのだろう。 この家は非常にモノが多く、隠れる場所も豊富にあるが、見張りがうろついているために身動きが出来ない。ユトとメリッサの二人は「誰にも知らせない」ことを条件に動いているのだから、もし見つかったらタナカは兎に角としても人質は死ぬであろう。 タナカは電池の影で思考の枝を張り巡らしていく。 何せ作戦はまだ始まったばかりなのだから。 ―――……深度4000m。 各部のセンサー、そして腕部を高性能なものに換装したポンペリウスは、いきなり4000mを緩やかに下降するようにしてφ37遺跡に接近していた。 暗い。 地上から降り注ぐ光は、曇りで豪雨という影響もあってか、増幅しても殆ど画面に光をもたらしてくれない。かといって人間が見えない赤外線を利用しての映像もうかつには使えない。ガードロボには丸見えな可能性もあるからだ。 時折機体が水圧で軋みを上げるのが聞こえてくる。その度に二人は進むのを止めて点検を行っていたが、徐々に回数が減っていった。 時間は有限なのだ。自分たちの命ではなく、知り合いや家族の命の。 猶予時間はポンペリウスの活動限界時間に幾分上乗せした数字。活動限界時間に5時間を足した数が、大切な人たちの命が奪われるまでの時間となっている。寿命でも、事故でも、なんでもない。「殺される」。 ユトとメリッサの口数はいつもの半分以下。否、もっと少ないかもしれない。 冗談を言ったら脚から順番に崩れてしまいそうだったからだ。 「ユト……電話の女が言ってた紙なんだけど、分からないところがあるんだけど……」 「うん」 「私の―――……義腕が鍵となるとか書いてあるんだけど、どういうこと?」 以前よりモニター数の増えた後部座席に座って白い紙を読んでいたメリッサは、一番初めの疑問点を(たくさんあるのだが)ユトに問いかける。ユトは暗闇を睨みつけたまま返事をした。 機体の潜航速度は変わらない。 「こんなこと聞くのはアレなのかもしれないけど、実はその義手は特製だとか……その、……殺されたお母さんの遺品だったりはしない?」 「……それは無いわ。お金あんまりなかったから怪しい商人から安値で買ったのを弄ったのだから。人工皮膚だけはいいの使ってるけどね。……というか義腕は成長しないから何回か変えてるんだけど」 「問題は出なかった?」 「なんにも。これは左右同じフレームなのに重量に違いがあった程度かな」 会話から分かると思うが、二人はオヤジさんやエリアーヌを監禁しているのが10年前の事件の連中ではないかと思っている。ユトは事件の詳細を聞いていたから、そしてメリッサは当事者だったから、なんとなくそう思っている。 例えそうでないにしても黒服に銃の組み合わせは余りに怪しい。 ユトは、魚雷ランチャーを構えたまま深海を進んでいく。鮫のようにしなやかに。蟻のように慎重に。蝶のように軽やかに。梟のように隠密に。 ソナー音を捉えれば直ぐに対処し、見つからぬようにφ37遺跡を目指す。 運が味方してくれたのか今日はガードロボの数が少なかった。 聴覚視覚が針のように研ぎ澄まされているよう。水に押しつぶされる映像や、ガードロボの魚雷を喰らって粉みじんになる映像、そして、大切な人が頭を撃ち抜かれて死ぬ映像が思考の端っこに流れてくる。 ユトはまだいい。問題はメリッサだ。 母親が殺される記憶の影響で時折視点を彷徨わせてぼーっとしている時がある。思い出したときと比べて慣れてきたといっても、涙を滲ませるときがある。忘れように忘れられないのだ。 危険領域でぼっーとしていれば命に、大切な人の命にも関わってくる。メリッサは自分の頬をぱんと叩くと、センサーから送られてくる情報から周囲の状況を探っていく。 光無き深海を進む恐怖。目隠し運転と言ってもおかしくない暗闇の中を巨人が行く。 荒れる海の影響も深海までは届かない。星の体内に侵入している感覚に、二人の体が微かに震える。 時間は刻一刻と減っていく。 残り時間を示す数字がまた一つ減った。 ―――……海底。 海の神様が味方したのか、ガードロボに一回も見つかることなくφ37遺跡に接近することが出来た二人は、前と同じような大きさと形状の岩の後ろに張り付いていた。 ポンペリウスは訓練された兵士のように匍匐体勢で岩の上に居る。 ぴったりと張り付いていれば目視以外の方法ではまず見つからない。 前方へとカメラを向ける。朧ながら遺跡の姿が見えてきた。ピラミット型の要塞。多くの物資を宿したまま海に眠り続けている超科学の遺産。 ユトは手に汗が滲んできたことを実感すると同時に、時間の経過の早さに驚く。時計が故障しているのかと思ったくらいだ。 「メリッサ、大丈夫?」 「………っ……、……うん、……大丈夫。早くしないと、……連中が……何をするか分からないから、急ぎましょう……」 メリッサは、遺跡を映した映像を見るなり口を押さえて涙を滲ませ始めていた。やや呼吸も早く、何かの衝動を必死に堪えているようにも見える。 首を絞められるのではないか、とユトは一瞬考えてしまう。嫌な記憶は中々消えてくれないものなのだ。万が一首を絞められて意識を喪失すれば二人の命、そして大切な人の命は無い。 だが、すぐに考えるのを止める。メリッサを信じようと思ったのだ。毅然とした面持ちで遺跡を睨みつければ、そろりそろりと機体を動かしていく。 遺跡のどこから侵入するかは重要なことだ。一回のダイブしか許されていない以上、今までの知識を搾り出し、しかも時間をかけずに考えなければならない。二人の心臓が極度の緊張で壊れそうなほど脈を打つ。 「メリッサ、ソナーを一回弱めで」 「了解」 ポンピリウスからソナーが発せられ、遺跡や地形が視覚情報として表示される。微弱故に遠くに響くことは無いが、入り口を探すには十分だ。 すると、ソナーに反応してソナーが返ってきた。幸い地面に張り付くように移動していたので見つからなかったようだが、ライトの光が地面を移動している。探しているらしい。 ガードロボは、正々堂々ライトを照らしているため、位置がはっきりと確認できた。 見つからぬよう、近くの岩の裏に逃げ込むと、遺跡の方とガードロボを交互に観察する。 比較的見張りが少ないといっても完全に居ないわけではない。何とか隙を見つけて押し入らなければなるまい。 ガードロボの隙を見つけるというのと、遺跡の内部に入れる場所を見つける必要がある。遺跡は看板を立てて「ここが入り口」と示してはくれないのだから。 ピラミッド状の遺跡のどこが入り口なのか。 ユトはメインカメラを岩の隙間から覗かせ、光学増幅をかける。駄目だ。あまりの暗さに薄っすら見える程度で詳細が見えてこない。 「近づいて調べよう。気が付かれたくないからね」 「時間かけないで。今までの最短を狙って。じゃないと……」 「分かってる、大丈夫」 自分の心音すら大きく聞こえてくる。 機体を、匍匐前進かと見間違うほどの低い姿勢で遺跡に近づいていく。遺跡の周辺を取り囲んでいる「塔」の一つに近づくと、胸部から取り出した探査機器を押し当てて内部構造を探ろうとする。両腕を武装解除するわけに行かないのでブレードを肩に戻した。 結果は芳しくない。 塔そのものはがっちりと中まで詰まっていて、どう考えても中に入れる感じではない。表示された数値にメリッサが舌打ちをした。強度も高かったのだ。 塔が遺跡を取り囲んでいる。一つ一つの塔が違う用途・構造とは思えない。ということは、塔から入るのではなく、外見どおりにピラミッド状の遺跡本体のどこかに入れる場所があるということだ。 二人の動きを察知してわけではないだろうが、塔の天辺が光り輝いたかと思うと、四方八方へとサーチライトらしき灯りをつけた。サーチライトは何かを探すように海中を動いている。強烈な光の所為で白い刃が海中を混ぜているようにも見えた。 ユトは、機器を胸に仕舞って、改めてブレードと魚雷ランチャーを握りなおすと、塔の影から遺跡へと忍び寄っていく。 用途不明の表面構造物を眼にしつつ、遺跡へとたどり着くことに成功した。上を見上げてみる。サーチライトや、ゴマ粒ほどの大きさにしか見えないガードロボ、海の不純物などがあいまって、自分たちが地上にいるように錯覚させる。 実際には数千mの水が積み重なった下にいるのだ。そう考えるとのん気には居られない。 ユトは、遺跡の上を脚部スラスターを微弱に吹かしながら進み始めた。 長い年月が経過しているとは思えぬほど遺跡の表面は艶やかで、逆につい最近建造されたかと思うほどだ。ただ緻密な電子部品を彷彿とさせる表面の細かな溝は白いマリンスノーで埋められていた。 遺跡は途方も無い大きさを持っている。一つの島と認識されても不思議ではないほどの大きさ故、どこから入ればいいのかが分からない。 時間は容赦なく流れていく。 機体の駆動音とスラスターが静かに深海に消えていった。 ユトは機体を止めると、眼鏡の位置を直して栄養ゼリーの入ったパックの中身を全て吸い出し、ポンピリウスの手に持たれている機器を遺跡のハッチらしき部位に押し当てた。反応を見ると、内部に空間がある。 メリッサは今までのデータと比較検証。内部の空間が罠ではないか、などを調べて、考えて、ユトに口を開いた。 「入りましょう。開かないならとっととこじ開けて」 「言われなくてももうやってる」 腕に握られたプラズマカッターが遺跡のハッチを溶かし始めていた。時折気泡が発生して上に上がっていってしまっている。ユトは時間をかけぬよう、出力を最大に上げていく。 程なくして、ハッチは穴となった。ハッチの残骸をなんとなく収納し、内部を覗き込む。 何も無い。各種センサー類で構造を確かめて見たところ、果てしなく奥まで続いている通路か何かということが判明した。躊躇っている時間は無い。 「鬼が出るか、蛇が出るか―――……」 そう呟くユトに、メリッサはキーボードを叩きながら言う。 強い目つきが黒い空間を睨んだ。 「出たとしても行かなくちゃならないの。行って」 二人は魔の暗闇へと侵入していった。 【終】 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
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気の良い場所 Fri, 01 Dec 2006 14 58 00 GMT 懐妊中の第二子の定期健診に付き添った。 懐妊は、もちろん私ではなく妹。 検診中、二歳になる姪のお相手をしてあげるために、 昼休みに乃木坂の山○病院へ一緒に行った。 私たち姉妹はこの病院で生まれたけれど この病院は、いつも、本当に良い気が流れている。 なんと、今日の検診で性別がわかった。 来春の出産だけれど、まだお腹の中の小さな物体なわけで、 もしかしたら間違っているかもしれないから 今日の性別は聞かなかったことに。 検診が終わってから、病院から300メートル先のヘアーディグリーズでセットをしてもらう。 何度かカットをお願いしていた、大越先生が先日手術のため入院して 退院後も静養中とのことでお店には出ていないようなので 他のスタイリストさんを紹介してもらった。 大越先生がいる時と、空気が違う。 やはりあのカリスマ的な存在感は、気のせいではなかった。 今月中旬には復帰するらしいので、 その時また行こうと思っている。 今日妹に言われて気付いたのだけれど、 この美容室の真向かいは、弟が勤務している会社だった。 しかも、同じグループ会社に、妹の旦那様も勤務している。 その会社に弟の奥さんの妹さんも勤務している。 働きやすい会社なのか、皆楽しそうだ。 車が運転できると、移動が楽でいいわよね。 弟も妹も、妹の旦那様も、普段の移動は全て車で、行動範囲も広くて、フットワークも軽くて、 いいわね~と思うけれど、私は多分自動車学校に通っても運転免許をいただけそうにない。 妹と別れてから新宿での会合に出席して、 その後彼の家に、 先日の箱根温泉旅行のお土産を届けに行った。 日中なのでもちろん彼は仕事中で留守にしていたので、玄関先に置いてきた。 今日も、家の中には誰もいなかった模様。 いつも、中に女の人がいたらどうしよう・・・とドキドキしながら行くのだけれど、 そのようなドキドキ対面はいまだかつてない。 マンションの入り口にいる管理人さんに声をかけようとしたら 椅子に座って腕組して眠っていた。 管理費をいただいて、管理を委託されているのだから、 お仕事だろうに、眠っている。 起こすのも可哀想なので勝手に入ってしまったけれど、あんな管理で良いのだろうか。 平和なマンションだ。 その居眠り中に空き巣でも入ったら、 居眠りしていました、 と言うのだろうか。 しかも、あそこのマンションの住人は、すれ違っても一切挨拶をしない。感じが悪い。 香水臭いお姉さんと、貧乏臭いおばさんとすれ違ったけれど、 誰もが無視。 気の悪いマンションだ。 早くあの場所から彼を救い出したい。 気の良い場所で生活すれば、彼はもっと伸びるはず。 子供の頃から、両親も親戚も、気がどうの、 風水がどうのと口うるさく言っていたのを聞いていたけれど、 若い頃は形のないものの話は、 すんなり受け入れることは難しくて、あまり意識することもなかった。 でも近年、気の存在、気の重要性をしみじみ感じることが多くなって、 今自分がいる場所の「気」についていつも意識するようにしている。 彼のお父様が生きていた頃、彼のオウチの気は本当に悪かった。 あんなに重たいよどんだ空気が流れているオウチはあの家以外知らないほど、悪い気が流れていた。 お父様が亡くなってから、彼のオウチに行く機会がめっきりなくなったし、 荷物を届けても、玄関先に置いてくるだけなので、部屋の中までは見えないけれど、 一年前より明らかに軽い空気になっている。 きっと部屋の整理や掃除をしたに違いない。 そのこと自体は喜ばしいことだけれど、 私の気持ちとしては複雑だ。 私は彼のオウチの惨状を見て、この家族は片付けのできない人達なのだと思っていた。 汚いお部屋でも平気で暮らせる人達なのだ、 でもそのことについて私が口出しすべきではないと思っていたので、特に何も言わなかった。 でも、お父様が亡くなってから、彼のオウチはどんどん整頓されてきた。 なぜ私の気持ちが複雑かと言うと、 どうしてお父様が生きているうちに、 今の状態を作ってあげなかったのだろう、ということが残念だから。 今のような気が流れるお部屋で生活できたなら、 お父様はもっと健康で長生きできたはずだ。 週に一度、お世話にきていた叔母さまもいたのに、 とても人間が住むような空間ではなかった彼のオウチ。 私の大好きだったお父様の晩年、もっと素敵な時間にしてあげたかった、と、 今でもそのことだけは残念に感じている。 (終わり) 前の日記 次の日記 桜の欲求不満日記
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仕入れ(1) 仕入れ(2) 職人ベガ(1) 職人ベガ(2) 職人ベガ(3) 職人ベガ(4) 職人ベガ(5) 仕入れ(1) フチユにいる職人ベガにエルグ防具店からの依頼を伝えて欲しい。 発生場所教都ヴェリン 発生条件物資調達達成後 報酬50mol 仕入れ(2) 発生場所職人郷フチユ 職人ベガ(1) 商都ボーダへ行った職人ベガを探して、新作納品の約束を取り付けてきて欲しい。 発生場所教都ヴェリン 発生条件ヴェリン到着時 備考依頼達成、報酬受取 職人ベガ(2) 発生場所商都ボーダ 発生条件ボーダ到着時 職人ベガ(3) 発生場所商都ボーダ 発生条件ボーダから一度離れる? 備考依頼達成 NPCベガ加入 海岸洞窟に移動 職人ベガ(4) 発生場所海岸洞窟・鉱床への分岐 職人ベガ(5) 発生場所海岸洞窟・閉鎖された鉱床 発生条件現地で待機 備考NPCベガ脱退 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る メニュー 依頼 仕入れ (C) 2010 Lindwurm/Miracle Positive All Rights Reserved.
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P.52 場と場所 複数の「場所」を対象とする効果 「全ての手札」等、複数の「場所」にあるカードを対象とした効果の場合、指定された「場所」に1枚以上のカードがあれば、その効果を解決する事ができます。 カードが裏向きで管理される場所 複数の「場所」を対象とする効果 カードを引く
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http //volderbeek.freeforums.org/mario-kart-wii-f2.html http //www.youtube.com/user/mdmwii http //mdmwii.altervista.org/viewforum.php?f=4 あとコードの最後の文字にNTSC_JP または、NTSC_J または、NTSC_jp またはNTSC_j と書いてあるコードしか使えません
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GRIMM――お菓子の家の魔女はかまどに火を入れる ◆RVPB6Jwg7w 肥え太るまでなんて、もう待てない。魔女は行動を起こすことに決めた。 * * * 考えるための時間は十分にあった。 それは決してヒマ潰しなどではない、今後のために必要な思索。 つまり―― 『希望』のアイドルたちの思い通りにはさせないための、方法。 『それとは違う道』を既に選択した、自分たちが生き残り意志を通すための、手段。 そして彼女は、思い至ってしまったのだ。 既に状況が『新たな段階』へと進んでいる、その可能性に。 * * * 深い青色に染まり始めた空の下。 朝もやに包まれて、桃色の人影が何やらガサゴソと動き回っていた。 「……まき割り用の斧、ね。 それなりに使えそうだけど、持ち歩くことを考えるとこの重さは少し気になるか……」 チャイナドレスには似合わぬ小ぶりで無骨な斧を、何度か軽く素振りする。 細腕に見合わぬ力強さで、ヒュン、ヒュンと風が鳴る。 激しいライブのために鍛えたアイドルの身体、見かけよりも遥かに強い力を秘めてはいるが。 さて、だからといって無闇に荷物を増やすのも考えものだ。 相川千夏は武器を片手に、しばし思案する。 見回せば、目の前には一抱え分ずつ針金で縛られて積まれた薪の山。 ログハウスの中には古風な薪ストーブもあったから、そのためのものだろうか。 左手には山の斜面。右手にはちらほらと木々が散らばる林に、その向こうを走る車道。 背後を振り返ればログハウス。 薄闇の中に浮かぶそれは、丸太の家というより焼き菓子でも積んだかのような現実感の乏しさがあった。 「そういえば、『あのお話』って初期は『お菓子の家』でなく『クッキーの家』だったらしいのよね。 確かレープクーヘン。蜂蜜入りで酵母なしの硬いパンの一種。 初めて知った時には地味だなと思ったものだけど、こんな光景からの連想だったのかしら」 ここは相川千夏と双葉杏が一夜の宿と決めた、キャンプ場併設のログハウス、の裏手。 探し物に思い至った千夏は、寝ている杏を起こさないよう、そっと通用口から抜け出して。 こうして、資材やらなにやらが乱雑に置かれているあたりを一人調べまわっている。 「チェーンソー。 ……威力は十分でしょうけど、斧より重いし、何より音が大きすぎるわよね。 使いどころが限られてしまうわ」 まき割りの前段階、丸太をぶつ切りにするための大道具を前に、大きく溜息をつく。 こんなモノを振るうのは、それこそホラー映画の怪人くらいのもの。 いくらアイドルが力持ちだと言っても、流石に限界を超えている。 「まあ、そもそもこんなモノに頼らなくても済むなら、それに越したことはないんだけど……ね」 * * * それは、少し時間を遡った頃の話。 インスタントコーヒーを片手にひとり夜を過ごす相川千夏は、改めて考えてみたのだった。 千川ちひろがこれまでの放送で言外に匂わせてきた『希望』のアイドルたち。 これを葬るためには、どうすればいいのだろう? これまでの方針に素直に従い続けるのなら、『希望』の集団を見つけてそこに潜り込めばいい、となる。 牙を隠して羊の群れに紛れ込む。 そして頃合いを見計らって無防備な内側から食い破る。一挙にまとめて血祭りに上げる。 『希望』は丸ごと『絶望』に上書きされて、あとは少数のライバルたちを始末すればそれで終わる。 簡単だ。楽勝だ。素晴らしい。 この方法は既に実績を上げたやり方でもある。 水族館では予想もしていなかった展開になったけれど、この策そのものはしっかり成功しているのだ。 同じ手段の使い回しでラクに戦果を重ねる――本当に魅力的なアイデアだ。 だが。 それが甘い誘惑であればこそ、彼女は気が付いた。 そんなに上手くいくものだろうか……? と。 何かが引っかかる。 無意識が警鐘を鳴らす。 そして熟考の果てに、相川千夏は思い至った。 水族館の時と今とでは、状況が、大きく変わっている可能性がある、と。 状況を変えうる要因は、3つ。 1つは、『シンデレラ・ロワイヤル』の話を一緒に聞いた仲間である、緒方智絵里。 1つは、水族館ですれ違い、そのまま島中を走り回っているはずの、渋谷凛。 1つは、着実に減り続ける参加者の数。 この3つの要因によって、『希望』の集団は、思いもかけぬ膨大な情報を掴んでいる可能性がある。 緒方智絵里。 当初は隠れているのではないか、と推測した彼女だが、しかしそれだけでいつまでもしのげる訳もない。 いくらなんでも、このイベントはそこまで甘くない。 そこに彼女の生来の性格を考え合わせると、殺し合いを否定する側に寝返った可能性は十分に考えられる。 そしてそうなれば『シンデレラ・ロワイヤル』の話を広めてしまう危険がある。 一連の話を聞いてしまえば、誰もが『相川千夏』の名を危険人物のリストの筆頭に置くことだろう。 渋谷凛。 人を探して動き回る少女は、そのまま複数のグループの情報を統合する役目も果たしてしまうだろう。 利発で聡明な彼女がメッセンジャーなら、伝言ゲームで情報が歪むことも期待しづらい。 離れた所に居る『アイドル』たちの、情報共有と連携――考えただけで頭が痛い。 そして一番深刻なのは、現時点での残り人数。 前の放送の時点で28人。 放送の中で人質の存在を匂わせるようなことも言われたから、この6時間でさらに減ることも予想される。 大雑把に言って20人ほど……これはもう、生き残った者同士で互いの顔が全て思い描けるほどの規模だ。 元々、羊の皮を被る狼の戦略には、『スタンス不明のグレーゾーン』な参加者の存在が必要不可欠である。 自らが手を下した殺人についても「私たちじゃないよ」とすっとぼけ、見も知らぬ『誰か』に押し付ける。 『その他大勢』の中に戦果を隠し、姿なき殺人者に怯える側を演じてみせる。 それが、基本的な手口のはずだ。 しかし、もしも万が一、もうほとんど『グレーゾーン』の存在が残っていなかったとしたら。 一番恐ろしいのはこれだ。 『消去法』で参加者の白黒が判断できるほどの状況になっていた場合。 生存者リストを『白』で埋め尽くし、残された『黒』を炙り出せるほどになっていたならば―― 中途半端な嘘は、自殺行為でしかない。 そこに智絵里の証言まで加われば、もうひっくり返すことは不可能だろう。 知恵ある狩人を気取って忍び寄ったつもりが、見え見えの嘘で踊る無様な道化と化して、そのまま袋叩き。 そんな展開だって、ありえるのだ。 論理に基づく思考は、そんな悲観に走るのはまだ早い、と楽観的な計算をはじき出す。 あの臆病な緒方智絵里と、アテもなく彷徨っている渋谷凛と、どこかに潜んでいるはずの『希望』の集団。 それぞれ、ただ出会うだけでも一苦労のはず。 出会ったら出会ったで、参加者についての情報交換以外にもやることは山ほどあるだろう。 そこまで都合よく物事が進むものだろうか。 そんな思いも、頭の片隅によぎる。 けれど、感性に基づく直感は。 数々の小説や物語を愛した感性、非論理的な思考の跳躍は。 それは十分にありえる話だ、と確信させてしまう。 なにより――『その程度』の『都合のいい運命』を引き寄せられずに、何が『希望』か。 そう。 彼女は決して、デジタルなロジックだけに拠って立つ知性の持ち主ではなかった。 古今東西の詩歌や小説に通じ、言葉の使い方にも敏感な、静かな読書家としての側面。 それが生半可な存在に『希望(エスポワール)』を騙ることを許さず、過小評価に陥ることを妨げていた。 * * * 「あとはバーベキュー用の串、くらいか……。 でもそれなら、最初に見つけた肥後守の方がマシかしらね」 林の中、成果に乏しい探索に、千夏は何度目かも分からぬ溜息をつく。 搦め手が厳しいのであれば、正面からの正攻法が主体となる。 真っ向から殺し合いをするのであれば、拳銃とストロベリー・ボムだけではいささか心細い。 そう考えての武器の探索であったが、やはり手近なところでは大したものは見つからないようだ。 鉄串よりはマシ、と彼女が評した木工用の折りたたみナイフは、ログハウスの中で見つけたものだが。 これだって工作をする上では便利でも、格闘戦に使うことを考えたら貧弱極まりない。 柄よりも短い刃しかついていないし、強度だって怪しいものだ。 ま、かさばらないという点では文句なしだし、だから既に懐の中に収まっているのだが。 「使える武器、特に銃器がありそうな場所となると……まずは警察署。 でもこれは多分、誰もが思いつく。 先を越された程度なら無駄足だけで済むけど、待ち伏せでもされてたらたまらないわ」 武器の調達1つとっても、ストロベリー・ボムの存在に慢心して数歩出遅れた感じがある。 後悔の念も浮かぶが、しかし、ここで気づくことができなければもっと大変なことになっていただろう。 『ライバル』が先を行っているとの前提に立った上で、さてではどのあたりに探しに行くべきか。 実際の行動は杏が起きてからになるが、今のうちに考えておいた方がいいだろう。 とりあえず今は、さっき見つけた、このまき割り用の斧。 これを本気で荷物に加えるか、否か。 改めて斧を片手に考え込む、千夏の横合いで。 ――――ガサガサガサッ! ズサササッ! 「――っ!!」 「……い、痛ったぁ……!」 笹が揺れる音に千夏が振り返るのと、勾配のキツい斜面から一人の人影が滑り落ちてくるのがほぼ同時。 すっと少女が現れた山の上の方を見て、山道を降りる途中で足を踏み外したのだ、と理解するのに1秒。 視線を戻して、腰をさする少女と目が合って、十時愛梨、という相手の名前を思い出すのに2秒。 少女たちの頂点・シンデレラガール。いわゆる正統派アイドル。比較的肉付きの良い体。歌唱力も高い。 そしてそう言えば、最初に『見せしめ』にされたプロデューサーの担当アイドルの1人で―― 相手のプロフィールその他を思い出しかけて3秒、はっとした様子の十時愛梨が手にしていた銃を持ち上 「ふっ!」 ヒュッ、ガッ、「キャッ!」 思考より先に身体が動いた手の中の斧を咄嗟に投げる回転しつつ飛んだ斧は惜しくも当たらず立木に刺さ 斧の行方を追いそうになる意識を断ち切ってすぐに身を翻す胸ほどの高さまである薪の山の陰に飛び込ん 軽く跳躍していた足が地面に着くよりも先に、カチャ、と銃を構え直す音が聞こえ 連続する射撃音と着弾の衝撃が、針金で縛られ積まれた薪の山を激しく揺らす。背を丸めて縮こまる。 「はっ、はっ、は……っ!」 弾の消耗を恐れたのか銃声はすぐにやむ、千夏の額に一気に脂汗が噴き出す、荒い息が止まらない。 間一髪だった。 斧を握っていなかったら、手近に薪の山がなければ、薪の束が銃弾を止めるほどの強度でなければ。 あとコンマ数秒、動きだすのが遅ければ。 千夏はとっくに穴だらけになっているところだった。 そっと顔を出しかけると、また銃声。弾け散った木片の一部を頬に受けながら、反射的に首を引っ込める。 素早く拳銃を手にし、腕だけを突き出し千夏も発砲。 ハナから命中は期待していない一発であったが、音だけでも分かる相手が飛びのいた気配。 そのままザザザッ、と枯葉を踏み砕く足音が聞こえて、チラリと覗けば林の木の1本の後ろに滑り込む姿。 先ほどまでこちらに向けられていた銃が一瞬だけ見える。思ったよりも小さい。 「マシンガン……いや、サブマシンガン、かしら。厄介ね」 油断なく拳銃を構えながら、千夏は務めて冷静になろうとする。 お互いに距離と遮蔽物を得ての、しばしの膠着状態。向こうもこちらの様子を伺っているようだ。 ようやく理性が今の状況に追いついてくる。現状の打開のために回転を始める。 そう、まだ状況は終わっていない。不利な状況には変わりがない。なんとか、打開しなければ。 * * * それにしても――シンデレラガール・十時愛梨。事務所の中でも1、2を争うほどの有名人。 まさかと思うような『ライバル』である。普通に考えて殺し合いに乗るような人物ではない。 まあ、この島での戦いにおいて、その手の先入観は禁物ではあるのだが。 今更ながらに襲撃者の正体に驚いてしまう。 山道で滑って転ぶような天然っぷり・ドジっ子っぷりはそのままに、あの明確な殺気。 なんともアンバランスな印象だ。 ともあれ、こうなってしまった以上、不本意な遭遇戦であってもやるしかない。 相手が誰であろうと、殺るしかない。 「この銃じゃ、牽制はできても仕留めるのは難しい……。 やっぱりストロベリー・ボムを使うしかないかしら……?」 荷物を担いで持ってきていた自分の準備の良さに感謝しつつ、千夏は思案する。 過去にも何度か使ったから分かっている、この爆弾の長所と短所。 投げやすい形状。 爆炎が直撃すれば確実に命を奪える威力。 しかしそれとは裏腹に――案外狭い、直接の攻撃範囲。器物に対する破壊力もそう高くない。 片手に拳銃、片手に爆弾を握りしめ、しゃがみこんで身を隠したまま千夏は悩む。 相手が潜むのは一本の木の陰。 あの程度の障害物でも、あるだけで途端に直撃させるのが難しくなる。木ごと吹き飛ばすのも不可能だ。 足元に転がしてやろうにも、今度は木の根と落ち葉が邪魔になる。 では1個で足りないなら、2個3個と投げてみるか? 1個目を直接当てずに近くで炸裂させ、吹き飛ばされるか逃げ出すかしたところを2発目以降で狙う。 いやしかし、ここで貴重な爆弾を浪費するのはもったいない。 これから先の厳しい戦いを覚悟したばかりだというのに。 チラチラと、十時愛梨が顔を出したり引っ込めたりしている。 きっと向こうも悩んでいるのだ――ここで突撃するべきか、否かを。 物陰から飛び出す瞬間こそ、危険はあるものの。 もしもそのまま真っ当な撃ちあいになってしまえば、サブマシンガンの連射力を備えた愛梨の方が有利。 相手が顔を出したタイミングで、千夏は再度発砲する。 しかし当然当たらない。 千夏にはこの距離でピンポイントな狙撃を成功させる技術など無い。 反撃とばかりに、向こうからも数発の銃声。これも当然、当たらない。 薪の山がまた揺れて、おがくずの匂いが立ちのぼる。 明るくなっていく空の下、決め手がないままに弾が浪費され、恐怖心だけが膨らんでいく。 やはりストロベリー・ボムの大量使用しかないのだろうか。 いやあるいは、愛梨の側も、他の武器を隠し持っている? 出し惜しみをしている? だとしたら、時間をかけてしまうこと自体が危険、なのか?! どうする。 どうすればいい。 何が一番最善なのか、どこまでリスクとコストを許容すべきなのか―― ひゅんっ。 絡まる思考を断ち切るように、横合いから薄く煙の尾を引く「何か」が放り込まれた。 「っ!?」 「……ったくさぁ。うるさくって寝てらんないじゃん」 気だるい声と共に、放物線を描いて現れた缶状のものは、そのまま愛梨の潜む立木の陰に飛び込んで。 あっさりと、この不毛な均衡を打ち崩した。 「きゃっ!? ……げぇっ、げほっ、ひぐっ……ゴホッゴホッ」 薄くオレンジ色がかかった煙が地面近くから噴き出して、そのまま十時愛梨を包み込む。 悲鳴、そして嘔吐にも似た酷いうめき声に続いて、連続する激しい咳。 銃さえも取り落として、隠れることも忘れて地面に崩れ落ちる。顔と喉元を押さえてのたうち回る。 「……あれは?」 「催涙スプレー」 油断なく拳銃を構えて身を起こした千夏は、無防備にのんびりと歩み寄ってきた少女に尋ねる。 あくびをかみ殺しながら、小柄な少女・双葉杏はどこか投げやりな口調で応える。 「なんかね、唐辛子の成分のスプレーなんだってさ。防犯グッズの。 レバー押したら手榴弾みたいに投げろ、って書いてあったし。 まだ予備もあるから、ものは試しってね」 「……そんなモノを隠し持ってたのね。ありがとう。助かったわ」 「貸しひとつだからねー。それにしても、ドンパチはしないんじゃなかったの?」 「問答無用で襲われたのよ。しょうがないじゃない」 一番借りを作りたくない相手に借りを作ってしまったようだったが、ひとまずは安堵の溜息をつく。 すっかり忘れていた仲間。 まさか来るまいと思っていた援軍。 横からこっそり登場したからこそ可能だった、催涙グレネードの投擲。 真正面の千夏にとっては木の陰でも、真横から見れば丸見えだ。手榴弾でも何でも投げ放題である。 なんというか、やはり要所を押さえるのが上手い子だ、と改めて思わされる千夏であった。 * * * いつの間にやら、あたりはすっかり明るくなっていた。 既にスプレー缶の噴射は終わり、穏やかな早朝の風が空気を洗い流していく。 最大限の警戒は維持したまま、千夏はゆっくりと近づいてみる。 まだ微かに残る煙を吸い込まないように口元を押さえるが、それでも強い刺激を感じる。 痛いような、熱いような――そして、確かにそう思ってみれば、どこか辛いような。 思わず目の端に涙が滲む。 「けほっ、なるほど……唐辛子、納得だわ」 わずかに吸っただけでもこの強烈さ。 ならば、それをまともに不意打ちで吸ってしまった犠牲者は、と言うと―― 十時愛梨は、見事に完全に無力化されていた。 地面に横倒しに丸まったまま、立ち上がることさえできずにいる。 ヒューヒューと細い息を吐いては、喉も破けんばかりの激しい咳の連続。また細い息。その繰り返し。 両手は必死に両目を拭おうとしているが、拭った傍から次から次へと涙が溢れだしているようだった。 「しかし、防犯グッズね。その方向で考えてみるのも手かしら。 そうなると例えば、学校あたりも調べる価値あり、か……」 「何の話?」 「これからの話よ。まあ、後でまた改めて相談するわ」 地面に落ちたままのサブマシンガンを片足で踏みつけ、身を屈めて拳銃を突き付ける。 完全な制圧状態だ。 相川千夏があと少し指先を動かすだけで、十時愛梨の命はここで終わる。 「さっさとトドメ刺しちゃってよ。そしたらまた二度寝できるしさー」 「まあ、待ちなさい」 杏が急かすが、千夏は軽く押し留める(ついでに、二度寝については聞こえなかったことにする)。 そう、ここでこのまま十時愛梨を殺してしまうという手もある。 殺して、あの厄介だったサブマシンガンを強奪するだけでも、求めていた武装強化は果たされる。 さっきまで本気の殺し合いを演じていた相手、むしろそうするのが当然の決着だ。 けれど。 今この時に千夏の脳裏に浮かんでいたのは、全く違うアイデアだった。 千夏たちが愛梨を制圧できたのは、催涙スプレーの効果もあるが、最大の要因はその『数』だ。 愛梨は1人だった。 千夏と杏は2人だった。 だから1人が引きつけている間に、もう1人が死角から攻撃できた――結果論になってしまうけれど。 数は力だ。やはりこれは揺るぎない。 そして千夏は、より多くの数を束ねている(と思われる)集団を狙おうとしている。 『希望』のアイドルたちに勝負を仕掛けようとしている。 そうなった時に、もっとも必要になる『戦力』とは何か。 それは催涙スプレーではない。サブマシンガンでもない。もちろん爆弾でも拳銃でもない。 人だ。 人数だ。 『ヒロイン』の頭数だ。 ――もちろんリスクはある。 そもそも危うい『ヒロイン同盟』、さらに人数を増やして、どこで裏切られるか分かったものではない。 『お菓子の家の魔女』のように、肝心なところで背中を突き飛ばされる危険と、紙一重だ。 間抜けにも頭からかまどに突っ込む役なんて、千夏だって願い下げである。 けれど。 『希望』と戦おうというのに、ノーリスクで何かが得られるはずがない。 こちらも『希望(エスポワール)』に匹敵する、『絶望(デゼスポワール)』の集団にならなければ。 銃口で頭を小突かれた十時愛梨が、声もなく顔を上げる。 そこにあったのは、涙と鼻水とでグチャグチャになった、無様な顔。 言いつくろう余地のない、敗者の顔。 そんな彼女に向けて千夏は、小さく一言。 「ねぇ『シンデレラ』――良かったら一緒に、『希望』の芽を摘み取りに行きましょう?」 すぐ隣で杏が見るからに嫌そうに顔をしかめるが、構わず千夏は蠱惑的な笑みを浮かべる。 それは優位に立ったからこそ口にできる、同盟の提案。 勝者だからこそ差し伸べることのできる、誘いの手。 果たして十時愛梨は、その言葉を受けて、小さく、小さく微笑んだのだった。 【D-5・キャンプ場 ログハウス裏手/二日目 早朝】 【相川千夏】 【装備:チャイナドレス(桜色)、ステアーGB(16/19)、肥後守】 【所持品:基本支給品一式×1、ストロベリー・ボム×7、男物のTシャツ】 【状態:左手に負傷(手当ての上、長手袋で擬装)】 【思考・行動】 基本方針:生き残り、プロデューサーに想いを伝える。生還後、再びステージに立つ。 0:いい子ね、『シンデレラ』 1:杏と行動。できれば愛梨もグループに引き入れたい。 2:もう潜入計画には拘らない。 3:どこかで追加の武器を手に入れたい。防犯グッズなども積極的に探す。学校も行先の候補? 4:杏に対して、形容できない違和感。 ※肥後守を現地調達しました。和製の木工用折りたたみナイフです。 ※林の中の木の1本に、まき割り用の斧(現地調達品)が突き刺さっています。 【双葉杏】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式×2、ネイルハンマー、シグアームズ GSR(8/8)、.45ACP弾×24 催涙グレネード×2、不明支給品(杏)×0 #65374;1】 【状態:健康、まだ眠いってか眠らせろ】 【思考・行動】 基本方針:死なない。殺す。生き残る。 1:千夏と行動。 2:えー、その子も仲間に入れるのー? ホントに大丈夫? 3:半端な所で起こされたので、また寝なおしたい。てか、寝る。 4:アイドルがきもちわるい。 ※幻覚は見えなくなったようです。 ※催涙グレネード×3本のセットは、本来は城ヶ崎莉嘉の支給品の1つでした。 缶ジュースほどのサイズの、催涙ガスのスプレー缶です。 手に持って直接相手に吹きかけるタイプではなく、レバーを押して相手の足元に投げて使うタイプです。 主成分は唐辛子からの抽出成分で、涙と咳でしばらく無力化できますが、後遺症などは残りません。 【十時愛梨】 【装備:ベレッタM92(15/16)、Vz.61"スコーピオン"(12/30)】 【所持品:基本支給品一式×1、予備マガジン(ベレッタM92)×3、予備マガジン(Vz.61スコーピオン)×2】 【状態:絶望、激しい涙と咳】 【思考・行動】 基本方針:絶望でいいから浸っていたい。優しさも温もりももう要らない。それでも生きる。 0:…………。 1:みんなみんな、冷たくなってしまえ。 2:ニュージェネレーションはみんな殺してあげる。できれば凛、卯月の順に未央の所に送ってあげる 3:終止符は希望に。 前:GRIMM――灰かぶり姫の愉悦 投下順に読む 次:継/繕 前:THE 愛 時系列順に読む 次:継/繕 前:GRIMM――灰かぶり姫の愉悦 十時愛梨 次:彼女たちはもう見えなくなるチャイルドフォーティフォー 前:ナカマハズレ 双葉杏 相川千夏 ▲上へ戻る