約 1,455 件
https://w.atwiki.jp/desuga_orimayo/pages/49.html
【能吏大尉の多忙な日々】 一九四四年五月一七日、一〇三〇時、ヒスパニア領内臨時野戦飛行場 「どういうことか、説明して貰おうか。大尉」 「分かりかねます、司令。ご説明は主語から明確にお願いいたします」 「上官に向かって何という・・・君が新人達に教え込んでいる言葉だ」 カールスラント空軍JG124の飛行隊長を務める、アーデルハイト・ハンマーシュミット大尉。彼女は正面でお冠の航空団司令。ウィッチ出身者ではなく、戦闘機搭乗員出身の痩身の大佐を相手に、見ようによっては小馬鹿にしてるように取られる、表情を消した顔立ちをしていた。当人は至って真面目に応じているつもりだが、それが司令の血圧を上げてしまったらしい。というより彼女自身も、唐突な呼び出しに困惑しているのだが、司令はお構いなしであった。 「『死なない程度には頑張りなさい。お偉方があなたの命より、ストライカーユニットを優先しないようにね』。この言葉は一体どういう意味だ!上官誹謗中傷と取られても、不思議ではないんだぞ!」 「言葉の通りです。ストライカーユニットは壊れても補充が効きます、しかしこれから訓練を積むべきウィッチは貴重品です」 何だ。あの言葉か・・・しかし、そこまでいきり立つほどの話かしら。 そう。司令が一言半句反芻して見せたように、彼女は非常にドライな態度でありながら、特に新米の補充ウィッチ。彼女たちが張り切りすぎないか、あるいは怯え過ぎかで墜落するリスクを、心構えと堅実な技術。双方から教え込んでいた。彼女自身、「先生」ことエディータ・ロスマン曹長(現第502統合戦闘航空団所属)から、徹底して叩き込まれたありようであった。ウィッチとは、時にストライカーを何機も乗り潰してでも、経験を積んで、一人前になっていくものだ、と。 「ああ、その通りだろうとも。これまでストライカーを5機以上。それも試作型のドーラまで含めて叩き壊してくれた君が言うと、実に説得力があるな!」 「正確には7機です。確かにその件は申し訳なく存じておりますが、既に始末書及び譴責は済んでいたかと」 「ストライカー1機で、Me209戦闘機が、一体何機購入できると思っている?一個小隊では済まない価格だ。その上、ユニットに加えて軍紀まで破壊するつもりかね!?」 「私は軍紀を犯したつもりはありません、職務怠慢や敵前逃亡も。そして何より、500時間を超えた当たりでやっと一人前になるウィッチの値段は、一体幾らなのです?」 ああ、成る程。この御仁も嘗ては戦闘機で怪異と戦ってきた分、最近台頭著しいウィッチがお嫌いなタチか。薄々伝え聞いていたが、ここまで露骨とは。しかし自分もファイターパイロットだったのならば、戦闘機よりパイロットが大切と言うことくらい、重々承知しているだろう。18の小娘に傷つけられたプライドが、それほどまでに痛むのか? まあ、確かに激戦地で何度もストライカーを壊したのは事実だが、連続出撃による部品摩耗。彼我戦力比五倍以上の状態で、被弾一発もなしに帰れと言う方が、無体な話だ。 彼女自身、軍紀を傷つけるつもりは毛頭ないし、祖国奪還の任務に疑問も抱いていない。しかし自分は18歳を過ぎて数カ月以上経過しており、じきにウィッチとしての限界も来る。隷下中隊長クラスも十分に育ったし、一生を軍に捧げるつもりなど、さらさらない。そう言う心づもりが、お堅いカールスラント空軍では、彼女を若干「変わり者」にしてしまっている部分もあったが。 「・・・・・!君に、転属命令が来ている。空軍総監部の推薦らしい」 司令は一瞬顔を引きつらせると、軽く手をわななかせた。その後に、徐に書類挟みから一枚の書面を取り出し、突き付けた。 「拝読いたします」 ハンマーシュミット大尉は司令の豹変、ヒステリーよりは、渡された命令に寧ろ面食らった。扶桑皇国海軍の艦上飛行隊への転属?何故、ヒスパニアに展開して、カールスラント本国奪還を企図した戦闘を続けている自分たちの部隊に。そもそも、私からして、陸上基地航空のウィッチだ。当然、離着艦の経験など無い。こんな戦艦とも空母ともつかない母艦へ降りろ等、死ねと言うことか? 「ご命令とあらば飛びます。しかしそれこそ、『グラーフ・ツェッペリン』搭乗予定者だったウィッチを派遣された方が、よくありませんか?」 「現在、ノイエ・カールスラントで新型母艦を建造中だ。こんな中途半端な軍艦に、貴重な離着艦技能を持つウィッチを出せるか!」 成る程ね。総監部の推薦とあるけれど、大方扶桑との関係悪化を恐れた上層部の思惑と、この司令が私を疎んじた利害が、丁度一致したところか。まあ良い、そこまでいうならストライカーを壊してでも、何とか覚えてみよう。発令権者はこの御仁だ。破損消耗した分は、しっかりと補充して貰う。全てに納得したわけではないが、ここは軍隊だ。一度、拝命してしまった命令に抗命は出来ない。 「ハンマーシュミット大尉、了解いたしました。出来れば先任中隊長に引継を行う時間を、出発時刻と手段は・・・明記されていませんが」 「輜重のトラックを回してある。輸送船はマドリードから扶桑への定期便が出ている、二日後出発のフネがある筈だ。旅券の手配はしてある、後は好きにしたまえ」 「有り難くあります」 大尉は手短に敬礼を行うと、さっさと執務室を立ち去っていった。軍紀遵守にも、過去の始末書にも、彼女の瑕疵はほとんどない。言っては何であるが、飛行隊長やウィッチとしての技量もなかなかのものだ。しかし、この司令とはどうにも相性が最悪であった。どちらも無能ではなく、最早これは完全に人間性の問題であるだけに、どうしようもなかったのかもしれない。事実、この航空団司令も「戦闘機部隊指揮官としてなら」、そこそこの人物と評価されていた。ウィッチ部隊の責任を人事上のルーチンワークとはいえ、預けられたことは、まさに彼にとっても悪夢であった。 「全く・・・・ああも小生意気な小娘風情が、ハウプトマンで飛行隊長だと?たちの悪い冗談だ。いけすかんブリタニアの大将閣下の気持ちも、今なら分かるものだ!」 「飛行隊長が転属?何の冗談ですか?」 「いや、どうもお偉いさんは真剣みたいですね。現に私のユニット武装、もうトラックに積み込み始まってるし」 いきなり降って湧いたような話に、四個中隊から編成されるJG124。その先任である、ハンマーシュミットより二つ下の中尉は目を剥いた。彼女も大尉からあれこれ、指揮官としての心得等々を叩き込まれており、最初はカチコチの新品少尉であったが、二年、三年と実戦を潜る内に、全くの現実主義者になっていた。今では大尉の右腕、余りアテにならない航空団司令よりも、主計課や高射砲兵との折衝、連携研究などで、余程頼りになる存在であった。 「どうも日頃の私の言動が、随分と嫌われたらしい。余り、表沙汰にしないようにしていたんですが」 「ショルツの奴でしょう、一度大尉の不時着事故の時、奴も重謹慎食ってますし。今から締め上げに行きましょうか?」 「抗命で2人揃って扶桑に行くことになるよ、そうなったら誰がヒヨッ子の面倒を見るんだい。今や君ら四人や中隊先任が頼り・・・逃げるようで済まないけど、本当にお願い」 ハンマーシュミットの、普段は余り見せない弱ったような顔に、先任中隊長も軽く肩をすくめた。そう、この「変わり者」の大尉は、軍隊に一生を捧げるつもりなどは毛頭ないが、少なくとも、自分が現役の間は「適当にやり」、部下を欠かさず、ウィッチとしての年限まで生き延びさせよと、心を砕いてもいた。正直なところ、飛行隊長である自分が抜けた後、若手に無体な命令を下すのを掣肘できるのは、彼女から見ても一人前になった中隊長。中隊先任士官クラス達であった。自分が扶桑へ行くことは構わないが、まだ、飛行三〇〇時間をやっと超えたばかりのものも多い、若手を残していくのは、何処か後ろ髪を引かれる部分もあった。 なお、ショルツとはJG124整備中隊の古参整備下士官である。整備兵としての腕前は良かったが、性格はお世辞にも誉められたものではない。一度、ハンマーシュミットが連続出撃の疲労から、ラロス改複数の不意打ちを食い、ストライカーに数発被弾。黒煙を吐きながら辛うじて帰り着いた際、よりにもよって破損したのが、最新のFw190Dプロトタイプ三号機「ドーラ」であった。当然、航空団司令は顔色を信号機のように変えながら激怒し、ハンマーシュミットのみならず、ドーラの専属整備を任されていたショルツさえ、重謹慎を食らったのだ。そして、彼はどちらかとういえば、非常に粘着質で根に持つタイプであった。ウィッチの間でも、腕は兎も角、性格の評判は、芳しいとはとても言える人物ではない。 「本国はマトモに、失地奪還をするつもりはあるんですかねえ・・・」 「司令も多分、ここが戦闘機航空団なら大張り切りなんでしょうけどね。残念だけど、引継を始めても良いかしら?」 「了解いたしました。でしたら指揮系統と各兵科との連携から・・・・」 結局の所、引継は一昼夜かかった。航空団司令も流石に、部隊運営に最低限必要な行為まで、阻害はしなかった。しかし積極的な協力も得られなかったし、期待も出来なかった。結局の所、彼女が中隊長や中隊先任を呼集。同じく驚いた彼女たちを何とか説得し、その上で先任中隊長を飛行隊長へ臨時昇任。整備中隊、高射砲兵、ラダール班、主計課などと折り合いを付けるのには、それほどの時間が必要であった。 とはいえ、これは寧ろ短い部類に入る。ハンマーシュミットが自らも事故を(激戦地区を飛ぶことが多い故に)何度も経験し、十数枚も始末書を書いていること。元より、リベリオンに疎開していた親族を頼って、軍に志願するまえに居住していた際、住民権を得る手続きから始まり、祖国を失った彼女の人生は、書類仕事で満ちていたのだ。彼女は元々、大ざっぱと言うには言いすぎだが、ウィッチに経験を積ませること。無駄死にさせないこと意外は、余り拘泥しない。ストライカーと武器の性能も、高性能であることに越したことはないが「飛んで撃てればいい」と、強いこだわりは見せなかった。 しかし反面で、書類仕事に長けた能吏としての、意外な一面も持ち合わせていた。このあたり、自然と若手への教育者として振る舞うことも多かったことが、能力に磨きをかけていた。 *一九四四年五月一九日〇四〇〇時、同野戦飛行場営門 「じゃあ、『大尉』。本当に申し訳ないけれど、部隊を宜しく」 「無事の凱旋を祈っています、『隊長』」 ようやく引継、再編の目処が立った拝命より概ね二日後の早朝。営門にて今や飛行隊長となった第一中隊長(兼任)。そして扶桑へ転属させられる羽目になったハンマーシュミット大尉は、言葉少なに、しかし互いに信頼しきった目元で敬礼と答礼を交わした。そう、確かに私のウィッチとしての寿命は、後一年弱。だけど、それまでに扶桑での厄介ごとを済ませ、帰ってこられる可能性が皆無ではない。 それ以上は言葉を紡ぐことなく、僅かに会釈すると、2人の大尉は。片方は営門を潜り、新たな飛行隊長として。片方は、内心に懸念を抱えつつも表情に出すことなく、ベンツL3000型四輪トラックの助手席に乗り込んだ。「願います」と、輜重隊の軍曹に頷くと、彼は黙礼して車輌を、扶桑からの輸送船が待ち受けているはずのツーロンへ、未だに宵闇明けやらぬ中を、一路走らせ始めた。 「大尉、失礼ですが」 「何でしょう?」 「大尉は・・・リベリオンからの出向なんですか?正直、そいつを見かけるのは輜重でも珍しいもんで」 道も終わり、ツーロン市街に入りかけた頃、些か表情の読めないウィッチの大尉に、まだ二十代半ば程度の軍曹が、おずおずと話しかけた。彼の視線は、大尉のガンベルトに収まった大振りな拳銃。リベリオン製M1911A1に向けられている。実際、カールスラントのウィッチが自衛用に携帯する拳銃は、ワルサーPPKからM712シュネルフォイアーに至るまで、多種多様だが、殆どは国産品だ。リベリオン製大型自動拳銃を持つものなど、殆どいない。軽く苦笑すると大尉は応じた。 「最初は家族親族共々、リベリオンに疎開してね。そこで銃器携帯許可も取った、移民のウィッチと言うだけで襲われることもありましたから」 「そりゃあ・・・また何とも。失礼しました」 「良いんですよ、空でも結構役に立ちます。ラロス程度なら一弾倉使えば落ちるんですよ?」 「そんな大砲みたいな拳銃なら、違いありませんやね」 軽く笑い声を挙げた軍曹に会わせて苦笑する。まあ、もっとも便利なのは空の上だけではない。 (あの子達に任せてあるから大丈夫だとは思うけど・・・・司令。もしも帰隊した時、新人を無駄死にさせてたら、落とし前は付けさせて貰いますよ) 埒もないことを我ながら思ったが、半ばは本気であった。アーデルハイト・ハンマーシュミットというウィッチは、指揮権をいきなり剥奪された挙げ句、部下を無駄死にさせられてまで、黙っているほど大人しい人物ではない。出来れば、この四五口径が硝煙と共に魔力付与の弾薬を吐き出すのは、ネウロイ相手だけでありますように。 基地より三時間ほどの時間をかけ、到着したヒスパニア港。ブリタニア本国を除けば、辛うじて維持されている数少ない欧州の整備された大規模港湾には、扶桑皇国の国旗。そして徴用船舶であることを示す、軍艦旗を掲げられた大型高速貨客船が停泊していた。船尾には扶桑語で大きく船名がステンシルされている。珍しいことに、デリックを用いず、ほぼ埠頭の高さそのままに、喫水を調整することで合致させた車輌用乗降口。そこからスロープを降ろし、牽引重砲と装軌牽引車。そして、弾薬や観測機材を満載したトラックが、何十台と降車し始めている。アルプス山脈という、ネウロイにとって天然の要害を有するヒスパニア方面では、弾着観測班の山岳歩兵を前進配置し、ネウロイを阻害する砲兵こそ、戦場の女神であった。 「へぇー・・・・にぎつ丸。これ、扶桑のミヤヒシ海運が使ってる最新の船舶ですよ」 「流石輜重下士官。フネには詳しくないけれど、どんな感じの貨客船かしら?」 「何でも今は軍用に改造されてますが、元はリベリオンのRORO船を真似たとか。満載で巡航二〇ノットは出るそうです・・・と、あれが出迎えじゃないですかね?」 見れば、こちらは車両用スロープではなく、にぎつ丸のタラップから、扶桑皇国陸軍の野戦将校軍衣に身を包んだ士官が下船し、足早にこちらへ向かってきた。階級を見れば中尉である。ハンマーシュミットと軍曹も手早くトラックから降りてしまうと、彼に向き合った。士官は敬礼の後、意外に流暢なカールスラント語で、話しかけてきた。 「失礼いたします。扶桑皇国陸軍船舶工兵、林丈治中尉です。JG124のアーデルハイト・ハンマーシュミット大尉で宜しいでしょうか?」 「はい、中尉。日向着任を命ぜられた、ハンマーシュミットです。どうか、宜しく」 「有り難うございます。大尉には車輌ごと、にぎつ丸に乗艦していただき、扶桑の佐世保軍港の戦艦日向へ着任していただきます」 「それはいいのですが・・・軍曹はどうするんです?」 確かに車輌ごと、いちいちデリックを使わずに乗り込めるのは便利だ。しかし、まさか余所の部隊の輜重下士官まで輸出してしまうわけにもいくまい。それに対して軍曹は、埠頭の五〇〇メートルほど外れた集積所に、その他の輜重物資と共に降ろされた車輌群を指さした。 「ああ、私でしたら。あそこに置いてあるノイエ・カールスラントから運んできたトラックの一台を、補充品として受領予定です。こいつを船内に運んだら、それで原隊へ物資共々、帰隊を命じられてます」 「そういうことでしたら」 「ええ、では軍曹。私が車輌誘導を行うので、にぎつの船内までは運転を願いたい。頼めるかな?」 「おやすいご用で」 輜重が本職の下士官、船舶工兵という物資運輸が本業の特技士官の案内。そしてにぎつ丸のRORO船そのままの構造にも助けられ、車輌甲板への移動は比較的スムーズに行えた。軍曹は、ではご武運を短く敬礼と答礼を交わすと、足早に自らが担当する車輌へと歩み去っていった。 「にぎつは元が貨客船ですので、大尉にも二等船室ですが個室があります。武器・装備は拳銃を含め、残念ながら佐世保へ到着するまで、お預かりいたしますが」 「宜しくお願いいたします」 「ああ・・・それとですが」 彼女のガンベルトを受け取った林中尉は些か困ったような、しかし悪戯っぽい笑みを浮かべた。 「失礼ながら、海軍サンよりなるたけ弾薬が共通化できる武器も、一緒に運んで欲しいと依頼されまして。ノイエ・カールスラントより我が国が購入したMG42一式を、大尉へ譲渡いたします。何、うちの陸軍が試験導入するものを、貸与する形ですので問題はありません」 「ご面倒をおかけします。BARも良い小銃ですが、本物の機銃があればそれはそれで」 「まあ、海軍サンの頼みってのもありますがね」 三十路絡みの船舶工兵中尉は、微笑を苦笑に変えながら、砕けた口調で続けた。 「私から見れば、年の離れた妹か姪くらいのお年です。それで命を張ってるんですからね。失礼ながら。船長も多少思うところがあったようで、ノイエ・カールスラントに立ち寄った際、お国から許可を頂きました。勝手かもしれませんが」 「ご厚情、心より感謝いたします」 どうやらこの、林中尉や船長は至極一般的な大人として、まだ二十歳にもならない少女に、せめてまともな武器をと思い、MG42を確保してくれたらしい。大量製造を行っている規格品の、戦時量産機銃とは言え、半ば放逐に等しい扱いを受けたウィッチに対する扱いとしては、破格の厚遇だ。後方支援国家の余裕という奴かもしれないが、今は素直に厚情に感謝したかった。林中尉は良いんですよと軽く片手を振ると、にぎつの出航時刻を伝えた。 「にぎつは後、三時間ほど物資の積み込みを行った後、ブリタニア海軍の護衛を受けて出航します。空襲の恐れは少ないでしょうが、今の内に休まれた方が良いです。海の上は面倒で・・・では」 ほどなくして年かさの船舶工兵中尉は、扶桑陸軍独特の。脱帽時の一〇度の礼を行うと、ハンマーシュミットの個室から去っていった。ふっと息を吐くと、彼女も個室の寝台に腰掛けた。全く、この数日間にいきなりの急展開で、将校らしい演技も限界だ。多少眠らせて貰おう。扶桑の陸軍が案外、話せる相手であったのはせめてもの救いだ。出来れば、着任先の扶桑海軍もそうであって欲しいものだが。 カールスラント帝国空軍大尉という職掌から、自らを解放したアーデルハイトは、個室の施錠を確認すると、軍衣の上着をハンガーに掛けて、早々に寝台で寝込んでしまった。まだ、にぎつの出航までに時間はあるが、それなら尚更早々に寝てしまおう。洋上ではブリタニアの海軍が護衛してくれるとは言え、仮に長距離型ネウロイが出てきた場合、この船が大破撃沈される可能性もある。今ならば、港に飛び込めば助かるが、洋上ならば尻に帆かけて甲板へ逃げ込み、救命ボートに命を託す羽目になる。考えたくもないが、そんな事態にも備えて、何よりここのところの雑事を忘れるために。 兵隊らしい思考の切り替えの早さで、アーデルハイトはすうすうと寝息を立てて熟睡に移った。あの船舶工兵中尉の言葉通り、ヒスパニアが貴重な外貨取得手段としている、一次産業品(農産物が殆どだ)。そして、後方での治療が必要な傷病者や連絡移動要員などを乗せたにぎつ丸は、ブリタニア海軍の護衛戦隊に守られ、ヒスパニアを出航。 多忙さ故に八時間は熟睡してしまったアーデルハイトの懸念は幸い杞憂に終わり、ネウロイの空襲を受けることもなく、無事に扶桑を一路目指すこととなる。そこで彼女は、ウィッチ嫌いのJG124とは別の意味で、大いに面食らう指揮官や部隊、後々の戦友達に顔を合わせ、大尉以上の階級と飛行隊長の経験を持つ、貴重なベテランとして。そして何より、不本意ながら、部隊が無数に巻き起こすトラブルに関する始末書。それを一手に捌く能吏として、活躍することになる。 ウィッチとしての現役年限を終え、解放されたカールスラント本土。カイザーベルク方面の女性地方公務員へ転職した彼女は、後にこのように語っている。 「よく、ウィッチと言えば華々しい武勇伝が多いですが、私にとって、あの部隊に於ける最大の敵はネウロイではなく、始末書でした。それも戦友達の・・・まあ、そのお陰で、今の仕事に随分役だってくれているんですが」 かの部隊、そしてカールスラント空軍に於いても、昼間戦闘のエースの一人である彼女をして「最大の敵」と言わしめた、第六六六航空隊の始末書が、どれほど膨大な分量であったのか。それはまた、別の話に譲りたい。兎に角、今の彼女は始末書ではなく、住民票や戸籍簿、あるいは地方税関連の書類を、過不足なくチェックし、決済し続ける、真面目だが意外に洒落の分かる公僕として、部下や市民から慕われる人生を送っているという。 *追記:ハンマーシュミット大尉名言(?)録 「人間は死んだらお仕舞だけど、機械は壊れてもいろいろ使い道があるそうよ」 「私は『英雄』じゃないの。事務屋の少佐殿の手柄のためにあなたたちを殺すのは、任務に含まれてないわ」 「軍隊でも、命は重いの。ただの負傷と違って、肩を貸して飛んであげられない」
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2065.html
201 :ひゅうが:2013/11/16(土) 20 15 32 前スレ916-919 965-969 18-22 の続きです。 ネタ――大陸日本の日露戦争 その4 6、 旅順要塞火力戦――「『鉄槌』作戦」 【砲兵移動】 5月2日、すでに簡易港湾が構築されていた塩大墺に上陸した第3軍集団は、重装備を最低限にとどめながら即刻進撃を開始。制圧された大連港に到達すると、幸い無傷であった大連港の港湾設備を利用して大量の物資を陸揚げしはじめた。 こうまでして兵員を陸揚げするのにこだわったのは、大連港かその周辺へ封鎖を強行突破した旅順艦隊が出現すること、また旅順要塞や遼東半島基部からロシア陸軍部隊が進撃してくることを警戒したためであった。 そのため、大連港への陸揚げ時には、わざわざ第3艦隊の戦艦群が沖合に張り付き旅順港湾方面の第2艦隊(第1艦隊と交代済み)とともににらみをきかせていた。 その警戒ぶりから旅順港周辺に戦艦8、装甲巡洋艦8が集中したために「すわ旅順港への強行突入か」と旅順艦隊が警戒を強め即応待機状態に入り、逆にそれを感知した日本側が神経をとがらせるという喜劇的な出来事となったほどだ。 だが、従軍していた英国や合衆国の観戦武官が見たものは、恐るべき数の火砲の数々が陸揚げされ、旅順へ向かう長い隊列だった。 初期段階において、100ミリ以上の重砲約1000門、大口径の24連装噴進榴弾砲(弾径は203ミリ)約1000門、75ミリ砲を中心とした軽火力2200門。 これが、この時陸揚げされた火力の概略であった。 その数は、当時のドイツ帝国陸軍が保有する第一線の全火砲に匹敵する。 しかも、これらはほとんどが「軍集団直轄」の「攻城砲軍団」としてかき集められたものである。 中でも、観戦武官を驚愕させたのは、巨大な「列車砲」を筆頭として240ミリから300ミリクラスの榴弾砲や臼砲、妙に仰角の高い奇妙な短砲身砲(迫撃砲)約150門がロシア軍から奪取した南満州鉄道の軌道に乗って旅順へ送られる姿であり、その後方から延々と弾薬輸送用の貨車が続いていく光景であった。 「モーセに従う民たちが延々と列をなして海へ向かう、出エジプトの奇跡を前にしたその姿のようだ」 従軍していたのちの米陸軍参謀総長マッカーサー中佐(当時)はそう書き残している。 もちろんこれだけではない。 そのあとには日本全土からかき集められたとさえいわれる蒸気動力式の大量の建設土木機械群(この日のために合衆国などから大量輸入されたものも含む)が続き、鴨緑江渡河に威力を発揮した鉄道省工作部と工兵部隊の合体版である「工鉄兵団」が続く。 行軍を開始した第3軍集団の誰もが背中にスコップを背負っていることや尋常ではない数のマキシム水冷式機関銃や古めかしいガトリング砲のようなものを馬が曳いていることに気付いた聡明な観戦武官はこのときはじめて何かが変わったことを実感したのだという。 「日本人は、シャベルと砲弾で要塞を耕す気だ」と。 もし、旅順要塞と駐留ロシア軍が少しでも命脈を長らえられるのであればあるいはこの時の全力出撃がベストな選択であったのかもしれない。 この時点で8万5千名(海軍兵員含む)を数えていた要塞守備隊が脱出できれば、日本側は捕捉を諦め旅順要塞の奪取に全力を尽くしていたのであろうから。 もっとも、それはのちの奉天などの野戦で日本陸軍と再び対峙する結末になったのだろうが。 だが、要塞守備隊をまとめるコンドラチェンコ中将と要塞司令官アナートリィ・ステッセル大将(昇進)は要塞前面へ敵を誘引しての撃滅を構想。 移動先の哈爾浜においてシベリア鉄道経由で続々と送られてくる軍主力をまとめ上げつつあったアレクセーエフ総督もこれに同意し、要塞持久戦と数か月以内での反攻作戦開始を決意する。 そのため、日本陸海軍が神経をすり減らしつつも行った揚陸作業と砲兵移動は順調に推移。 ――5月15日には第3軍集団は再編成作業を終了。 5月18日、旅順要塞前面に到達したのである。 乃木希典大将率いる第3軍集団、しめて19個師団および予備4個師団。その総数58万3000名。古今未曾有の要塞攻略部隊である。 その行軍の足音は要塞にあっても遠雷のように聞こえたという。 この時のために、乃木とその腹心であり砲術の大家であった攻城砲軍団司令 伊地知中将は時の参謀総長であり「今信玄」と呼ばれた戦略の大家 田村怡与造(たむらいよぞう)大将に噛みつき直談判してまで徹底した攻略作戦を練り上げていた。 その名を「鉄槌作戦」。英訳名を「アイアン・フィスト」というこの作戦名が何に由来するのかは不明であるが、計画そして結果はその名にふさわしいものであった。 202 :ひゅうが:2013/11/16(土) 20 17 29 旅順要塞守備隊はこの大軍を前に要塞前での遅滞戦闘を断念し要塞に籠っての抗戦を選択。 そして5月18日中に第3軍集団は航空偵察を開始した。 遼東の5月は砂埃が少なく良好な青空が常である。 大連近郊の臨時飛行場から飛来した倉崎・三菱製の「二宮式玉虫号」4機は要塞上空を悠々と飛行し、史上初の航空機を用いた戦術偵察と写真撮影を敢行した。 このとき機関銃による対空射撃がなされたものの、機関銃では高度が足りず、かといって砲火器は飛行機の速度に対応できない。 第3軍集団は敵の配置を確認し陣地形成に若干の変更を加える。 そうなると、陣地形成に威力を発揮するのは蒸気動力の土木作業機器群である。 塹壕形成車や重砲陣地整地車が黒煙を上げながら稼働を開始し、臨時に野戦軌道や整地道が設けられて重砲群が配置されていく。 工兵隊の努力と、火砲の専門家として中央で辣腕をふるった有坂中将の協力もあり、本来なら移動が困難とされた重砲群はこうして遼東まで至り、さらに当時としては極めて短期間とさえいえる24時間でひとつの重砲陣地は完成するようになっていた。 【突発事態】 そして5月19日は日本側陣地から立ち上る煤煙が見受けられたものの、夜間にはそれらはぴたりと止んだ。 いざ総攻撃と思われた翌日5月20日午前6時30分、誰もが予想しなかったことが起こる。 旅順要塞正面、東鶏冠山堡塁へ歩兵第90師団(金沢)が殺到したのである。 日本側による威力偵察とはいえ、一瞬浮足立った旅順要塞は堡塁の占拠を許してしまうも、守備隊長コンドラチェンコ中将の適切な防衛戦指揮の結果、奪取された堡塁を次々に奪回し、攻撃部隊を裾野へ追い落とす。 昼までに日本側の死者1750 傷病者も含めれば1個連隊相当が無力化されたに等しい大損害である。 威力偵察のはずがなぜか発せられたことになっていた「夜襲攻撃命令」は、実のところ現地に連絡員として置かれていた大本営参謀の独断によるものであり、参謀の監督権を拡大解釈し実施されたことが今日明らかとなっている。 攻城砲軍団の創設に反対した大本営の一派が夜襲突撃の効果を過信し、かつ抜け駆けをすることによって全軍をなし崩し的に突撃へ引きずり込むことを狙って行わせた攻撃は一時的に第3軍集団を混乱状態に突き落としたものの、救援に第91師団を投入することで収拾された。 しかしながら、「南山の戦い」に続き再び高い犠牲を払って得られた近代要塞に正面から突撃することの無謀さを誰もが認識したことはこの後の展開に大いに寄与した。 とりわけ、自分の閥の一員であったバカが「愛する陸軍」に恥をかかせたことを知った山縣有朋元帥は憤激し、自ら白装束で例の大本営参謀を手打ちにして自決する寸前にまでいったとされる。 しかし、上司であった大村益次郎元帥の説得もあって彼はこれ以後極めて協力的となり、以後の陸軍統帥と現地の独断専行についての苛烈な信賞必罰を生んでいくことになるのである。 日本軍を撃退したと意気上がるロシア軍をしり目に、第3軍集団はさらに戦力を再編成。 件の連絡参謀が「事故」で後送される中で、攻撃日時を5月22日午前5時と定めた。 5月21日午後2時、前日の攻撃により日本側弱しとみたロシア軍の一部――要塞より出撃して来た4個騎兵連隊が日本側陣地に対し強襲を敢行するも、待ち構えていた日本軍第90師団前面の塹壕部隊は合計50門のマキシム水冷機関銃と大量の師団砲兵をもって迎撃。 これをわずか30分あまりで壊走させてしまう。 ロシアが誇る騎兵突撃を完全に阻止した日本側の塹壕線をみて、要塞側も観戦武官も、前日の日本軍の失態を嘲笑しなくなった。 これが、20世紀の戦争なのだと。 203 :ひゅうが:2013/11/16(土) 20 18 13 【砲戦開始と第一次総攻撃】 ――5月22日午前5時、予定通り、「攻城砲兵軍団」と「野戦砲兵軍団」および、展開済みの3個軍の砲兵部隊は旅順要塞前面に向けて砲撃を開始した。 前々日の突発事態では味方を巻き込むために発砲できなかった鬱憤を晴らすかのように砲撃は苛烈を極めた。 「山が爆発している」 そう、観戦武官の一人は呟いたという。 投入された鉄量は異常の一言だった。 前日の突発事態で確認された堡塁配置と航空偵察の成果をあわせて目標を選び抜いた砲兵たちは、新兵器を投入していた。 弾着観測用の係留気球がそれである。 有線電話機を搭載した大型気球を用いて行われた弾着観測は正確さの向上に寄与。 8門ものもとは艦載であった30センチ列車砲はロシア側の強固なべトン陣地に向けて大量の徹甲榴弾を発射し、中小の堡塁に向けては24センチ・28センチ・30センチの各榴弾砲が1発1トン近い巨大砲弾を投下し続ける。 トーチカに向けては15センチ・27センチの加農(カノン)砲が徹甲弾を放ち続け、補修に入ろうとする要塞守備隊に向かっては多連装ロケット砲が炎を放つ。 弾頭の白燐弾や焼夷弾頭は効果的に兵員を殺傷していき、要塞側の被害を加速度的に増大させてゆくのである。 むろん、要塞側も負けてはいない。 逆に砲撃を加え日本側の砲兵陣地を排除しようと試みる。 だが、それは空からの観測で発射点を確認させることでもある。 これを受けて日本側は、塹壕線や構造物を60度以上の大仰角で頭上から破壊できる迫撃砲を投入。 効果的にこれらを破壊していった。 こうして無力化された堡塁により「死角」が生まれる。そこに向かってジグザグの塹壕が掘られ、そこを通って兵士は前進。 そして、放棄されそうな堡塁または破壊された堡塁に向かっては陸軍部隊の突撃が敢行されるのである。 さらには、もともとが要塞砲であることを活かし、空中からの弾着観測を用いた旅順要塞後方の弾薬庫や燃料庫、そして旅順艦隊に向けた直接攻撃が実施された。 ロシア側の虚を突いたこの攻撃で、被雷後修理の途上であった戦艦「ペトロパブロフツク」が転覆。 旅順艦隊用の黄金山燃料庫が炎上する。 さらには残る艦隊にも被害が続出し、旅順艦隊はあわてて出港することを余儀なくされた。 これにより海上では「黄海海戦」が勃発するのであるが、それはひとまず置いておこう。 最初の1週間で、堡塁前面の――第90師団の1000名以上を食った塹壕線はあえなく陥落。 次の1週間で攻城用塹壕線は堡塁の麓にまで到達。 地下坑道は旅順要塞地下深くへと侵攻しはじめていた。 この頃には、列車砲は砲弾を徹甲弾に変更。地下の弾薬庫や司令部に向けて容赦のない攻撃を行い、補給系統を寸断しはじめる。 6月5日、旅順要塞前面堡塁群は壊滅し守備隊は後方への総退却を実施。 このとき日本軍は退却する敵軍を無視して後方陣地への攻撃を続行。ついに、東鶏冠山・白玉山堡塁群の側面から射撃能力が失われた。 第3軍集団は、これを受けて第101軍(第1~第4師団 東京)による西部陣地群の前面に位置する大頂子山方面への攻勢を決断。 砲兵(軽砲=歩兵砲と多連装噴進砲「火中車」)の直協をつけたうえで一斉突撃を下命する。 これを支援すべく第9軍(第90~第94師団 金沢)が東部堡塁群側面への攻勢を開始した。 「第一次総攻撃」の発動である。 中でも囮として自ら進んで突撃を敢行した第90師団は恐るべき士気の高さで東部堡塁群側面に殺到し、いくつかの堡塁を「爆破」。 強引に持っていった歩兵砲による水平射撃で要塞守備隊のコンドラチェンコ中将に重傷を負わせロシア軍命令系統の深刻な被害を与えることに成功している。 こうして稼いだ時間をいかし、第101軍(東京)は西武陣地群を制圧し大頂子山を占拠。 勢いに乗って南山坡山堡塁を占拠するも、これは壮絶な師団規模の近接格闘戦の末2日後に撃退される。 しかしその間に日本軍は大頂子山方面に連絡塹壕をつなげることに成功。 要塞正面である東側堡塁群側面を容易に見渡せる位置に観測点と砲撃拠点を構築することができたのであった。 とりわけ、このとき運び込まれた36式山砲(註:史実の41式に相当)はこの時代としては異常な高性能砲で、「砲兵を用いた狙撃」という異常な戦術を実現。 さらにはライセンス生産が行われ大量配備がはじまっていたマキシム水冷機関銃はロシア側の奪回攻撃を再三にわたって撃退。 結果として旅順要塞はその懐深くに痛すぎるくさびを打ち込まれたのである。 204 :ひゅうが:2013/11/16(土) 20 18 47 【第2次総攻撃】 北方では得利寺会戦に勝利した陸軍第1・第2軍集団が遼陽へ進撃しつつあった6月17日、日本側の砲撃はさらに凶悪さを増していた。 大頂子山の観測点が稼働し始めたことによって三角測定が可能となり、より正確な射撃が可能となっていたのである。 30センチ列車砲による要塞中枢、煙台高地への射撃は苛烈を極め、前日の6月16日には要塞守備隊の士官が地下司令部への徹甲弾直撃でまとめて13名も吹き飛ばされるなど要塞守備隊にとっての悲劇が積み重なっていた。 大頂子山奪回を図り西部方面からの出撃は繰り返されていたものの、そのたびに強力な機関銃射撃によって阻止され、うまく取りついても日本側との近接肉弾戦は必ずと言っていいほど日本側の勝利に終わる。 さらには、日本側は黄海海戦において旅順艦隊が壊滅したことや要塞救援におもむいたシベリア軍団が得利寺で撃退されたことも積極的に宣伝していた。 これは各国の観戦武官からも報告されており要塞守備隊の士気低下を誘っていた。 要塞守備隊指揮官であるコンドラチェンコ中将は未だ重傷であり、意識不明である。 慕われていた彼の戦線離脱もまた悪材料であった。 この頃になると、ロシア側の兵士たちの間に「戦争神経症(シェル・ショック)」といわれる症状が出始める。 日本側の前線においても発生しつつあったこの症状は観戦武官の目にはとまらなかったものの、日本側は迅速な後方搬送をもって対応している。 攻城側である日本側は比較的兵力に余裕があったために士気の維持に気を配っていたのである。 この日、要塞側からの一時休戦の申し出が受諾され遺体収容が図られる。 しかし、恐るべき鉄と血の応酬は、砲煙の晴れた戦場に恐るべき地獄を現出させた。 「戦争から、英雄が消え去った。」 この日撮影された写真を見た英国のウィンストン・チャーチル卿の言葉である。 この地獄のような光景は、旅順要塞守備隊に深刻な士気の低下を誘った。 正面の東鶏冠山堡塁は休戦期間終了後に一部が敵前逃亡を行うなど混乱。無防備に身をさらした1個中隊がロケット弾の斉射で丸ごと吹き飛ぶなど戦線は混乱を極める。 これを受け士気低下による好機と判断した第3軍集団の参謀たちは要塞正面への速攻を主張。 しかし、乃木大将はこれを否定し、東部堡塁群への砲撃を強化し、逆に西部方面陣地群への総攻撃を選択した。 士気の深刻な低下に見舞われているのは要塞全体であり、ここは出撃拠点が確保されている西部方面へ攻勢をかけることで西部の最高点通称「203高地」を攻略するチャンスであるというのである。 「現在までの攻防戦で、日露ともに1万近くの死者を出している。 今ここで西部方面を攻略してしまえば、要塞正面の士気の低下はもはや止めようがないだろう。 ここは危険を冒しても、203高地を奪取すべきである。」 この方針のもと、攻城砲軍団は射撃目標を変更。 野戦砲兵軍団は総力を挙げて西部方面へ砲弾を送り込んだ。 そして、第1軍(東京)第9軍(金沢)に加え、日本最強の呼び声も高い第7軍(札幌)がついに投入され戦闘に参入する。 合計20万にも達する大攻勢、「第2次総攻撃」の開始である。 機会をとられたこの攻勢は、2日間にもおよぶ戦闘の末に203高地を奪取。 奪還部隊をすべて撃退することによって終了した。 日本側はこれによりさらに被害が5000名増加。 しかし、これにより旅順要塞を二つの方向から挟み撃ちにすることが可能となった。 さらには一連の砲撃で東部堡塁群の側面が攻撃能力をついに完全に喪失。 東西の両堡塁群の間にある旅順市街地への進撃路は開かれたのである。 皮肉なことに、6月19日、コンドラチェンコ中将は意識を取り戻した。 しかし、要塞司令官ステッセル大将をはじめ守備隊各員は鬱状態に陥っており、さらには外の状態も旅順市街地への進撃路も確保されている。 後方からの指令は、「抗戦継続」。 旅順要塞から、戦う気力は急速に失われようとしていた… 205 :ひゅうが:2013/11/16(土) 20 20 31 【第3次総攻撃、そして】 6月30日、再度戦力を再編成した第3軍集団は、予備隊を投入し旅順市街地を攻略させる一方全軍をもって要塞を攻略するべく第3次総攻撃を開始する。 この時点ですでに第3軍集団はあまりの弾薬使用量から備蓄が底を尽きかけており、これに失敗すればさらに1か月ほど攻勢は手控えなければならない状態にあった。 戦闘は、初手から日本側が行った地下坑道を用いた19か所もの陣地爆破に始まり、各所で前線を突破。要塞の懐へ進撃が図られた。同日、虎頭山陥落。 翌日、7月1日、東鶏冠山堡塁正面を30センチ列車砲の徹甲榴弾が貫通した。 これは珍しくはないのだが、この一撃は偶然にも弾薬庫を直撃し、要塞が爆発したかのような大爆発を発生させた。 「何が起こったのだ?弾薬庫はどうした?」 「閣下。我々は戦い難くなり果てました。」 コンドラチェンコ中将とのこのやりとりで、ステッセル大将は抗戦中断と降伏を決断。 勢いに乗り要塞中枢の望台(煙台)高地を制圧した第90師団前衛部隊に対し軍使をだし、降伏の意向を伝えた。 即座に、第90師団は電話回線を通じてこれを報告。 その日のうちに戦闘は停止された。 翌日、7月2日。 水師営においてステッセル・乃木両将は会見。 互いの武勇を称えあい、ステッセルは負傷し後方搬送された乃木の2名の息子に見舞いを述べ、乃木はコンドラチェンコ中将への見舞いを述べた。 また、ロシア側の名誉のため帯剣を許したことでロシア側士官が緊張の糸が切れたのか落涙するという一幕もあったという。 かくて、旅順要塞は降伏した。 ロシア軍の残存兵員は約4万3500名。 陸上部隊のうち3万名ほどが戦死あるいは行方不明・戦闘不能となっていた。 また、彼らはビタミン不足による脚気にも苦しんでいたという。 日本側の犠牲者は、戦死9025名 戦勝2万1256名。 この被害はのちの第一次世界大戦に比べればまだ軽い。 観戦武官からの恐るべき報告は「極東ゆえの特殊事情」と解釈され、砲の増強と機関銃の大量配備により迎撃可能という結論を列強は導き出してしまったのだ。 多少は警戒を行っていた英国はまだしも、第一次世界大戦において独仏両軍は「せいぜいが1万ほどで済む」と軽く考えて要塞正面や塹壕線へ突撃を繰り返した。 結果、西部戦線において両軍は合計900万名という大量の死屍を積み重ねることになるのである。 近代戦争史上初の要塞攻略戦は双方ともに多大な犠牲を出して終結した。 守備隊として後備役部隊を旅順守備軍となして残置した第3軍集団は北上、8月には満州平原での機動戦を開始することになる。 【あとがき】――というわけで、「第3軍集団かく戦えり」ネタです。 要塞攻略作戦においてこれくらいの犠牲者というのは、各国を大いに誤解させたのでしょうね(汗 運動戦論者とかには特に。 楽しんでいただければ幸いです。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3890.html
395 :yukikaze:2016/09/22(木) 13 17 14 へい、お待ち。 世界の装軌装甲車カタログと、資料として印刷していたパンツァーの 該当記事の内容を転記しまくって完成した奴投下。 鋼鉄の軍馬――M113物語 国防陸軍の車両と聞いて、諸兄らが思い浮かべる車両はなんであろう。 多くの人は『戦車』と答えるかもしれない。 鋼鉄に身を包んだその塊が、まるで槍を掲げるかのように戦車砲を突出し戦場を疾駆する姿は、まさしく勇壮と言ってよく、多くの人の眼に焼き付くであろう。 またある人は『軽装甲機動車』と答えるかもしれない。 かつて刑事ドラマにも出演した事のあるこの車両は、PKO任務のみならず、国防陸軍の脚として活用されている事から、日常生活でも目の当たりにしている人は多いはずだ。 だが、今回はM113という車両について語らせてもらいたい。 M113――そう言われてもピンとくる人は少ないかもしれない。 しかし、この車両は国防陸軍においてはなくてはならない車両である。 時には戦場で、時には災害現場で、この車両は黙々と任務を遂行していった。 故に、国防陸軍の将兵は、親しみを込めてこう呼ぶのである。 『鋼鉄の軍馬』と・・・ 時代は1950年代にさかのぼる。 当時、アメリカ軍から武器供与を受けていた国防陸軍は、戦後の混乱期を脱し経済的に安定してきた1950年代末ごろから、装備の国産化を計画した。 アメリカ軍から供与されていた装備が、基本的には第二次大戦のお古であり、強力なソ連軍を相手に戦うには、陳腐化が免れなかったことによるからである。 小は自動小銃や多目的機関銃、大は戦車というように、彼らは万が一の有事の際に後れを取らぬよう、開発に尽力し、成果を上げていた。 もっとも、全てが順風満帆であったという訳ではない。むしろ問題山積みであった。 当時の日本経済は、朝鮮戦争終結後には、戦前の水準にまで回復し、そして高度経済成長期に突入していた訳だが、史実世界よりはマシとはいえ、軍事費用については抑制的であり、 しかもその予算の多くは、戦後も政治的権威を保持できた海軍に費やされていた。 逆に陸軍は、一時の総バッシング状態こそなくなったものの、政治的権威はかなり低く、 少ない予算をどうにかやりくりしている現状であった。 そのため、当時陸軍を牛耳っていた林大将は、全てを国産開発することを早々に諦めていた。 仮にすべてを国産化しようとした場合、開発費用も足りなければ取得費用も足りないのである。 上手く開発出来たとしても、予算がない為に取得費用は必然的に割高になってしまい、 碌に配備も出来ずに陳腐化という、負のスパイラルになるのが容易に想像できるのである。 故に林大将は、現時点においては、小火器と戦車以外の国産は諦め、それ以外の装備については一定数をFMSで賄い、ある程度余裕が出た時点で、ノックダウン生産からライセンス生産、最終的には国産化に進もうと計画した。 勿論、FMSにした場合「要求してもすぐに来ない」とか「開発能力が途絶える」といった問題点があるのは重々承知していたが、背に腹は代えられなかった。 『戦いとは数である』という林大将の言葉を一笑に付す愚か者は、少なくとも国防軍には存在しなかった。 かくして国防軍は、新型戦車の開発に勤しむ傍ら、同戦車に追随できるだけの装甲車として、 合衆国に対して、装軌式装甲車の供与及びFMSでの取得を希望することになる。 アメリカ側も、極東で唯一頼れる同盟国となっていた日本の軍事力強化は必要であるという認識が上層部において形成されており、日本側の要望に対しても了承を得ている。 (これは枢機卿事件における日米関係の冷却への改善が必要という認識によるもの) これにより、日本側に導入されたのがM113の眷属である。 以下、各タイプについて説明する。 396 :yukikaze:2016/09/22(木) 13 18 19 M113 M113装甲兵員輸送車は防弾アルミ板を用いて生産された最初の車両となったが、 基本的な構成はそれ以前の装甲兵員輸送車と同じく箱型車体が踏襲され、前部左に操縦手席、 右に機関室を配し、その後方中央部には車長席を設け、後部を兵員室としたレイアウトは本車において確立され、以後多くの車両がこのレイアウトを採用することになった。 縦手には後ろ開き式の専用ハッチが用意されており、このハッチ前方にはM17ペリスコープが4基設けられている。 さらにハッチには、夜間操縦用としてM19赤外線ペリスコープが装備されている。 車長にはM17ペリスコープ5基を内蔵した全周旋回式のキューポラが用意されており、キューポラには12.7mm重機関銃M2を装備するためのマウントが設けられている。 また、キューポラの後方にあたる車体上面には後ろ開き式の乗降用ハッチが配されており、車体後面には車体幅と同じ大サイズの下開き1枚式のランプドアがある。 このランプは油圧式動力で開閉を行うが、通常はランプに備えられた小ハッチが乗降に際して用いられる。 兵員室と機関室は隔壁で分けられ、左右に配された折り畳み式ベンチシートにはそれぞれ兵員5名が座ることができ、 さらに車長席の直後には分隊長席が設けられて後方を向く形で着座する。 装甲厚は前/後/上面が38.1mm、側面上部が44.5mm、側面下部が31.8mm、下面が28.58mmだが、一部装甲の薄い部分もある。 車体前部には水上浮航の際、エンジンのある前部が前トリムになることを防ぎ、また水流が車体上面に上がらないように波切り板が装着され、浮航時にはこれを前方に開いて水に入る。 また水密性を高めるために、後部のランプと小ハッチを始めとする開口部の縁にはゴム・シールが施される。 これでも車内に水が僅かではあるが侵入してくるため、車内床面に2基の排水ポンプが備えられ、操縦手の操作で車体前部左側と、後部右側に設けられている排水口から車外に排出される。 この他、寒冷地での使用を考慮して専用の追加キットが用意されており、これは兵員室右前方に排気管と一体化する形でヒーターを置き、ここから兵員室内に暖かい空気を送ると共に、右後部に配されたバッテリー・ケースにダクトを延ばして暖めるもので、必要に応じて機関室内にホット・エアを送ることもできる。 同様に兵員室内に左右2床ずつの担架を装着して、傷病兵を輸送する装甲患者搬送車への変身も可能で、この場合、兵員室内の上下に設けられた固定部にチェーンを張って担架を固定する。 機関系は車体前部右側に配された機関室にパワーパック型式で収められ、車体前面と上面に設けられた大きな点検用ハッチを開くことで簡単に整備を行うことができ、交換も短時間で済むのは大きなメリットといえる。 エンジンはクライスラー社製の75M V型8気筒液冷ガソリン・エンジン(5,912cc、215hp)を採用しており、これに伝達ギアを介してアリソン社製のTX-200-2自動変速機(前進6段/後進1段)に動力を伝え、さらにFMC社製のDS200差動装置を経由して最終減速機に伝達され、起動輪を駆動させるようになっている。 02リットル容量の燃料タンクは兵員室内左側のスポンソンの上に配され、路上最大速度は64.4km/h、路上航続距離は322kmと性能面でも従来の装甲兵員輸送車を凌駕している。 水上浮航の際は履帯を駆動して水掻きと同じ原理を使って推進力としており、この場合の速度は5.64km/hとなるが、 推進効率を上げるために走行装置の外側にはゴム製のスカートが取り付けられている。 足周りはサスペンションにトーションバーを用い、直径610mm、幅54mmの転輪5個を支え、第1、第5転輪にはショック・アブソーバーが装着されており、各アームにはゴム製のダンパーが取り付けられている。 履帯は幅381mmのシングルピン型式で、各履板には取り外し可能なゴムパッドが装着され片側64枚が標準となっている。 アメリカ陸軍では、全車両のディーゼル化が決定したため、アメリカ軍向けの生産はわずか4年であるが、諸外国向けには1968年まで続けられており、日本も供与およびFMSにより、1962年から1968年にかけて、年間40両~50両の計300両取得している。 少ないように見えるが、これは日本側もガソリンエンジンを嫌ったためであり、同車両は1980代には、A1への改修と併せて、戦闘指揮車や自走迫撃砲車、装甲回収車と言った各種支援車両としてリファインすることになる。 397 :yukikaze:2016/09/22(木) 13 18 52 M113A1 クライスラー社製の75M V型8気筒液冷ガソリン・エンジンに代えて、デトロイト・ディーゼル社製の6V-53V型6気筒液冷ディーゼル・エンジン(排気量5,221cc、出力212hp)を搭載した形式である。 M113の主力生産車両であり、日本側も1970年代にかけて同車両を1,000両近く取得している。 また、1980年代において、同車両のうち200両近くを歩兵戦闘車に改装した関係から、アメリカ陸軍がブラッドレー導入とともに不要になった車輛を、200両近くタダ当然の価格で購入している。 国防陸軍の装甲化に大きく寄与した車両であるが、近年陳腐化が進んでいる事から、程度の良い車両については、M113A3への改造が施されている。 M113A2 カンボジア紛争の戦訓により改良された形式である。 従来のM113装甲兵員輸送車では、エンジンの直上にあたる点検用ハッチの左側に冷却ファン、右側にラジエイターを備えて冷却ファンで外気を導入し、ラジエイターを経由して車外に排出するという手法を採っていたが、 それぞれの位置を逆にして、冷却ファンの回転方向を反対側に改めることでラジエイターはもちろんのこと、機関室内の暖気をも車外に強制的に排出するという方式に変わった。 併せてラジエイターを大型化して取り付け角度を10度に減じたり、冷却ファンの回転速度を増加する等の改良も図っている。 これによりオーバーヒート問題は改善され、さらに車内に外からの汚れた空気が入り難くなったというメリットも生んだ。 また、M113装甲兵員輸送車は当初対NBC能力を備えていなかったが、このM113A2装甲兵員輸送車で初めて装備が可能となった。 サスペンションは、M113装甲兵員輸送車の最も大きな問題であった不整地走行能力の改善を図ったものであり、 併せて各種装備の変更による重量の増加にも備えている。 まずトーションバーの弾性を上げて、転輪のトラベル長をそれまでの152.4mmから228.6mmと大きくすることで、 地面からの振動を抑制した。 次いで第2転輪にもショック・アブソーバーを新設し、サスペンションが柔らかくなった分ショック・アブソーバーを固めのものに改めることで、転輪上下の揺れを短時間に抑えている。 さらに誘導輪の取り付け基部が強化され、その位置も51mm上げることで地上とのクリアランスを40.6cmから43.2cmとした。 これらの改良により、M113A1E1装甲兵員輸送車の不整地での走行速度は4.8~16.1km/hほど向上を見せている。 燃料系統は、増加装甲キットで採用された車外装着型装甲燃料タンクと大差無いもので、左右合わせて360リットルを収容しており、その装甲厚は車体と同程度といわれる。 このタンクは着脱が可能で、前線において簡単に取り外しを行うことができた。 また燃料タンクは、車体後面との間にある程度の間隔を設けて装着され、火災に備えている。 しかし外部タンクの装備により重量は約405kgほど増え、全長も43.2cmほど長くなった。 最後に機関系だが、これはエンジンを出力向上型の6V-53T V型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力275hp)に換装し、変速機も前進4段/後進1段のX-200-3変速機に変更し、さらに油圧式操向機が差動装置に代わって導入された。 これにより、それまでの2本のステアリング・ブレーキ・レバーを使って操縦する方式から、単純なハンドルとブレーキ・ペダルを用いる方式に替わり、外観からは分からないものの操縦手の負担を大きく減らすことに成功している。 国防陸軍は、1982年から、同車両の取得をしているが、この時期においては、日本の経済力も大分向上した事と、 中曽根政権が、国内の防衛産業の整備育成を重視していた事から、日立製作所においてライセンス生産がされることになる。 (レーガン政権も、技術的には大したことがないレベルであるため、日本側の要望を快諾するとともに、ライセンス料金もかなりの格安にしている)1995年までの間に、800両生産されることになる。 398 :yukikaze:2016/09/22(木) 13 19 41 M113A3 度重なる改良によりM113装甲兵員輸送車が段階的に重量が増加したことへの対処として開発された形式である。 エンジンはそれまでの6V-53 V型6気筒液冷ディーゼル・エンジン(出力212hp)に、ターボチャージャーを取り付けて出力の向上が図られた6V-53Tディーゼル・エンジン(出力275hp)に換装される。 併せて変速機も改良型のX-200-4変速機に換装されることになり、出力/重量比はM113A2装甲兵員輸送車の16.3hp/tから20hp/tと大きく向上して、加速性や不整地走行能力はM113A2装甲兵員輸送車を大きく上回っている。 これと共にラジエイターや冷却ファン、マフラーも新型に替わる等の改良が盛り込まれており、機関系はほぼ一新された。 これ以外の改良としては、戦場戦闘識別装置(BCIS)やAN/VVS-2操縦手用夜間視察装置、強化型位置表示記録装置(ERLRS)、 M13ガス検知フィルター・システム、M17ペリスコープ用対レーザー防御装置、軽量型GPSレーション加熱装置等の装備が導入されている。さらに戦闘室の防御力を向上させるため、内壁にはケブラー材が張られている。 また、防御力強化の為に、「P900」と呼ばれる増加装甲キットが開発されている。 このキットは、車体前面と側面に防弾アルミ板を用いた装甲セルをボルト止めするもので、空間装甲として機能し、さらに車体後面にも増加装甲板がボルト止めされている。 加えて地雷対策として床板には鋼板を装着し、車長用キューポラにはM113の武装強化型であるACAVで採用された装甲カバーと防盾もキットに含まれている。 同車両は、アメリカにおいても新造ではなく既存車両の改造という形で行われていたのだが、日本でもそれは例外ではなく陳腐化が進んでいたM113A1のうち、程度の良かった700両をA3型に1996年から15年かけて改修(これは日立に対する救済策でもあった)している。 その後、A2も改修する予定が建てられていたが、後述するA4の兼ね合いから、凍結している状態である。 M113A4 現在国防陸軍において採用が検討されている最新型である。 M113A3をベースにして、車体を延長。エンジンも三菱6SY31WA 4ストローク直列6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼルをデチューンしたもの(出力540hp)とし、起動輪及び誘導輪の取り付け位置の変更や、サスペンション・ジオメトリーの変更等によって、機動力の更なる向上を図っている。 また、防御についても、エンジン出力が2倍近く向上している事もあって、正面及び側面に対しては、A3よりも強固な増加装甲を取り付けることが可能になっており、特に正面装甲は、30mm徹甲弾の射撃にも、ある程度は耐えられる(複数食らうと拙いが)ようにはなっている。 ただし、費用逓減の為に、戦術インターネットを核とするデジタルC4ISR機能用装備品についてはオプション装備 となっており、これらのオプション装備品の取得に国防陸軍は頭を悩ませている。 また、開発費用や取得費用の逓減を図るため、あくまで既存のM113の枠組みから逸脱していない為、設計の古臭さが目立つことにはなる。 同車両が採用された場合、M113A2及びA3、並びにM113を母体とした各種支援車両の代替として配備される事が確定的であり、日立製作所は2,500両近い生産を見込んでいる。 399 :yukikaze:2016/09/22(木) 13 20 14 おまけ 派生型 AIFV 1970年代後半、カンボジア紛争の戦訓で採用が決定した装甲歩兵戦闘車である。 カンボジア紛争において、M113はいくつかの問題点が洗い出されており、それはA2で概ね改善されることになるのだが攻撃力と防御力の問題点はまだ未解決のままであった。 AIFV歩兵戦闘車の車体はM113装甲兵員輸送車と同じく防弾アルミ板の全溶接構造となっているが、車体側面にはFMC社が特許を持つ「スペースド・ラミネイト・アーマー」と呼ばれる増加装甲がボルト止めされており、さらに車体前部のトリム・ヴェインも同様の増加装甲を採用している。 この装甲は内部にポリウレタン・フォームを充填することで装甲の強化と浮力の確保を図ったものであり、AIFV歩兵戦闘車の特徴ともいえるものである。 車内レイアウトはベースとなったM113装甲兵員輸送車と大差無いが、車体上面中央部にはスイスのエリコン・コントラヴェス社(現ラインメタル・イタリア社)製の80口25mm機関砲KBA-B02と7.62mm機関銃を同軸装備する1名用砲塔が搭載されている。 日本が採用したのは、上記の内容他、概ねA1をA3に準じた改装を行っているものだが、FMC社との話し合いの結果、 車両の改装は日立製作所が行い、砲塔及び増加装甲については、FMC社からノックダウン生産をすることで折り合いがついている。 この結果、他国にはあったガンポートは、同車両では廃止されている。 同車両は、原則、M113A1からの改修車両であり、更に本命の87式歩兵戦闘車の繋ぎであった為に、200両程度の改修で終了しているが、87式が冷戦終結により富士教導旅団にしか配備されていなかったことから、第七師団及び各師団の偵察部隊に今なお配備されているのが現状である。 そのため、国防陸軍は、三菱が提案している機動戦闘車の歩兵戦闘車化に興味を抱いており、同車両をAIFVの後継にする事を進めている所である。 M113改 水陸両用連隊を有している2個師団用に、80年代に購入したM113A1を改修した形式であり200両程度制作された。。 内容としては、車体前後に浮力ブロックを取り付け、後部ブロックにはウォータージェットの推進器を左右に取り付けることで、水上機動力の向上に努めている。 もっとも、AAV7水陸両用兵員輸送車と比べると、水上機動力は低く、また敵陣に切り込むには武装も低いなど、国防陸軍にとっては不満も多く、同車両については、今後の着上陸作戦の方向性も踏まえながら、後継車両をどうするかで検討している所である。 400 :yukikaze:2016/09/22(木) 13 26 38 これにて投下終了。 パンツァー2012年10月号 アメリカ陸軍AFVの現状と将来 パンツァー2000年4月号 ベストセラーAPC M113シリーズ パンツァー2002年3月号 アメリカ陸軍の現用車輌 アルゴノート 世界のAFV 2011~2012 デルタ出版 世界の軍用車輌(3) 装軌/半装軌式戦闘車輌:1918~2000 世界の装軌装甲車カタログ の内容を転記しまくっているだけじゃねーか(特に無印とA2)と突っ込む人多数だと思われるが だって、これ改良する余地が殆どないくらい完成されている車両だからなあ。 A4については「今の時代でこれかよ。ゴムキャタピラとか、赤外線逓減の為に動力源が電気式とか色々あるだろうが」と思われるかもしれないが『金がないんだよ。金が』で終わる。 あくまで戦場のタクシーレベルであり、貧乏神の呪いを考えれば、数を揃えることに注力するしかないだろうがと。(何気にエンジンを96式と共通化しているのも予算低減の為) 以前も激論を交わしたけど、この車両の後継を安価で作るって、無茶無理無謀レベルだと改めて理解したわ。 406 :yukikaze:2016/09/22(木) 16 39 38 M113A1の無改修が300両程度、A2が800両、A3が700両、AIFVが200両程度、M113改が200両程度 (すいません。改型も80年代に購入したA1で対応しています。記載漏れでした)ですか。 A2を80年代に購入したA1に修正 数を追記
https://w.atwiki.jp/hsv1/pages/31.html
就業規則における制約 就業規則の作成/変更における制約対象 労働者10人以上 届出先 所轄労働基準監督署長 内容 事業所単位の労働協約に追随絶対記載事項 就業における必須事項始/終業時刻 休憩時間 休日 休暇 就業時転換 交代勤務 原則賃金額の決定/計算/支払方法/締切 昇給 解雇を含む退職関連事項 相対記載事項 就業における任意事項退職手当 臨時賃金 最低賃金 作業用品等の労働者負担事項 安全衛生 職業訓練 災害補償 業務外傷病補助 表彰/制裁等 任意的記載事項 法令/労働協約に沿うその他事項 添付書類 意見書意見の聴取対象過半数労働者構成に因る構成労働組合の存在時は当該組合 組合が無い場合は過半数労働者の代表者 聴取内容を記載 寄宿舎規則における制約 寄宿舎規則の作成/変更における制約対象状況 事業における労働者の付属寄宿舎への寄宿 届出先 所轄労働基準監督署長 内容生活に関する事項起床/就寝 外出/外泊 行事 食事 安全/衛生 寄宿舎の管理に関する事項建設物 設備 添付書類 同意書同意書の証明担当者 寄宿舎内における過半数労働者の代表者
https://w.atwiki.jp/truexxxx/pages/183.html
打々(蝶々)発止 ◆0zvBiGoI0k ◆ 外から見ただけでも分かってたが、やはり内部も広く入り組んでいる。 しのぶが抱く感想はそんなものだった。 目当ての道具は首尾よく見つけて鞄に詰めてある。 この鞄、見た目より遥かに中に物が入る。物理的にあり得ない体積で収まってしまっている。 嵩張って移動の邪魔になると思って考慮の外だった薬箱や医療器具も、まとめて持ち出す事も出来たのは収穫だろう。 鬼殺隊を支援する藤の花の家紋の家でもないのに拝借するのは行儀の良い行いとはいえないが、そもそもこの会場を設えたのがBB達であるのだから遠慮する意味はなかった。 音を消して院内を歩きながら、ひとりとなったしのぶは今後の方針を思案する。 この半日間が勝負所だ。そうしのぶは予測を立てている。 日が昇り出してから沈みゆく時間帯。鬼の身を焼き尽くす太陽がある時間。 鬼舞辻無惨を始めとした鬼が自由を奪われている今は、道中で鬼と遭遇する可能性を無くせる事で迅速に仲間との合流、情報の交換が叶う、邪魔なく状況を有利に動かすまたとない好機だ。 装備と人員が整えられれば、こちらから打って出る目も出てくる。柱といえども苦戦は免れない上弦、さらには頭目たる無惨でさえも、太陽に身を晒されれば死は免れない。 鬼にとって、太陽光とはそれほどの大敵なのだ。無惨が千年かけて克服の手段を模索し続けるほどに。 この箱庭病院に鬼の気配は感じられない。参加者の配置が悪かったのか、巡り合わせが悪かったのか、自分達が最初に足を踏み入れたらしくまったくの手つかずだ。 病院、という治療施設を先んじて押さえられたのも後に大きな利になるだろう。 戦いが激しくなれば負傷者も多くなる。動けない味方は時として重荷になってしまう。 多くの傷病者を収容、治療出来るこの施設が先に鬼に陣取られては、持久力で鬼に劣る人間は息切れしてしまう。 今後も戦いが起きて傷を負った参加者が、治療を目的に病院を目指して来る事だろう。 悠長に居を構える猶予もないが、そこに鬼が待ち受けて迎撃される、という顛末を阻止出来ただけでも十分だ。 そもそも設備を用意しているのが主催者の側、というのに不信と不満は尽きないが。 当然だが、鬼が動けなくなるといって殺し合いが一時的に停止するなどとは考えてない。そんな杜撰な設計をする主催ではあるまい。 人と人は争う。兵器があり、戦争がある。人の世の裏で活動する鬼殺隊であってもそれは知っている。 鬼のような破壊を齎し、鬼の如き残虐を犯す事がある。 鬼殺隊は人の世に極力干渉しない。鬼の存在を伝聞する事もない。 鬼殺隊を認める事は、鬼を認める事であり。 鬼の力と、鬼狩りの剣士の力を認めるという事だ。 その力に魅入られ、悪用せんとする者が少なからず現れる。だからこそ政府非公認という組織の体を崩してないのだろう。 鬼殺隊は悪鬼を滅殺するのみに殉ずる純粋な集団であるべきだと。権力に囚われてはいけないと。 此処ではその縛りも通用しない。 恐らくいるのだろう、人でありながら人を殺す者との遭遇。 恐怖に取り乱し追い詰められての行為ならいい。保護し、気を宥めて匿うつもりでいる。だがそうでない―――喜々として人を殺める徒がいたのならば。 今までとはまた別種の苦境を強いられるかもしれない。しのぶも柱の決断をせねばならなくなる刻が来る可能性がある。 現状はしのぶの理解の範疇を逸し、あまりにも不確定な要素に満ちている。 会場の地理は。主催の正体は。殺し合いの意図は。 どれも不明瞭であり情報不足。未だ生きた参加者と一人しか会えてないのは、幸運とは呼び難い。 中々に前途多難な中でひとつだけ、思案する考察がある。 道中で広斗と交わした会話の中で、しのぶは自分と広斗とで幾つか知識の齟齬がある事に気づいた。 違和感でいうならば、この舞台に足を踏み入れた時点からあった。地面から家々という街の造り。任務で赴いたどの土地とも違っている地に足を踏み入れた感覚。 BBが造り出した、血鬼術に近しい空間なのだろうとひとり解釈し、気に留める事も無かったが、この機会に思い出したのだ。 年号の差。時代の差。認識の差。両者の差を埋め合わせていくと、しのぶと広斗が生きていた時期はおよそ百年ほどの開きがあった。 つまり導かれる結論は。 BBは、この殺し合いを仕組んだ者は、違う時代を飛び越える技術を持っている。 本当に――――――本当に? 過ぎ去った日に戻る事は出来ない。盆から溢れた水が返らないように、進んだ時計の針が元に戻せる事は決して無い。 死を常に隣り合わせる鬼殺隊でなくとも、世を生きる人々なら当然に弁えている摂理だ。その摂理を、あれらは覆したというのか。 馬鹿げていると一笑に付すのは容易い。けれどそんな逃げ道を塞いでしまうほど、推察を後押しさせる符号した要素が多い。 病院内にある、しのぶが見た事のない先進的な設備の数々。 広斗が虚言を弄する人物でないのは数時間の交流でも理解している。 そして、本来ここにはいていい筈がない、確かに死を迎えた人間。 煉獄杏寿郎の名が名簿に記されているのをどう捉えたものか。六時間経った後も頭を捻るばかりだった。 だがここで時を越える技術という要素を入れると、謎の説明が綺麗についてしまう。 死んだ人間を生き返らせる。 過去と未来を行き来する。 どちらがより脅威であるのかはともかく、齎される結果は同じ。 宮本武蔵や源頼光といった名も、単に故人にあやかっただけではない可能性が出てくる。 腑に落ちて、しまうのだ。 仮の考察が膨らんで収拾がつかなくなっていく感覚がする。良くない兆候だ。 所詮は脳内だけの空想だ。碌に情報も揃ってない時点で必要以上に詮索するものではない。 専念すべきは今。死者に思いを馳せ、あり得ぬ希望に手を伸ばすなど柱にはあってはならぬ。 「鬼のいない世、ですか」 不意に口を衝いて言葉が出る。 その意味するところの大きさ、重さは、柱ならざる鬼狩り全てが理解するところにある。 鬼殺隊という組織を支えるのが文字通りの柱であり、御館様こと産屋敷の当主を大黒柱とするならば、今の言葉こそは鬼殺隊の存在する意義そのもの。 それほどの言霊なのだ。 百年の先の日本に生きる広斗は、鬼の存在を知らない。 元々鬼の認知度は著しく低い。世の大半はまったく関わらずに生活しているものだ。 出会ってないだけで、あいも変わらず鬼は人を喰らって生きている。歴史の裏で、日陰の闇で暗躍してる。そういう予想も出来る。 ああ。しかし、けれども。 みだりに問い質したくはなかった。関係が円滑に進められるまで待とうと思っていたが、一人になると。 考えてしまう。これだけはどうしても思いが止まらなくなってしまう。 鬼の討滅。鬼舞辻無惨の打倒。 胡蝶しのぶが、鬼殺隊が、願ってやまない未来が叶った道に、彼らは続いてくれているのかと―――――― 「―――――――――」 気配の察知に、瞬時に思考が引き締められた。 既にそこにあるのは不確かな未来に期待を抱く少女ではない。鬼殺隊蟲柱・胡蝶しのぶの顔が表に顕す。 研ぎ澄ました感覚が捉えたのは、生憎他の参加者ではない。少なくとも、既にその資格は喪失してるであろう。 任務の中途での限りない経験で嗅ぎ慣れた、血臭に死臭。死の気配だ。 羽音を立てず舞う蝶の如く無音の足運びで気配の先を目指す。やがて行き着いたのは入院中の患者を寝かせる病室の一室だ。 扉は開かれている。適度な緊張と弛緩に精神を留め、慎重に中に足を踏み入れる。 「……」 眼下の死体は、しのぶの予想も想像も越えない冷たい現実に仰臥していた。 首から上の本来あるべき箇所を何処かに忘れてしまった不格好なヒトガタの前で、しのぶは腰を下ろして骸を検める。 体の硬直具合からいって、死後からおよそ六時間。そして記憶が刻まれて新しい、見せしめの処刑に選ばれて犠牲者と同じ制服を見て、概ねの経緯を把握した。 悪趣味としか言いようがない玩弄に腸が煮えくり返る思いを抱く。 首から先がないのは、わざわざ体だけ此処に飛ばしたからか。殺されたのすら理不尽の極地であるのに、死体まであえて放置する辱めを受けるなど。 鬼であるかは不明だが、残酷さにかけてあのBBという少女は鬼以上だ。改めて許せないという怒りが装填されていく。 見つけるのが自分で良かった。異常馴れしていない一般人であれば、見ただけで肝が潰れかねない。 惨劇の種を摘み、死者に安寧を捧げる為にも丁重に弔ってやりたい。善逸の時と違い此処は病院だ。遺体を安置出来る部屋もあるだろう。 「これは……」 辺りを見回した目線が、室内に残されたもうひとつの異物の存在を発見した。 無造作に放り捨てられていたのは、参加者共通に支給されている謎の容量を持つ鞄だ。 蓋は、開いていた。 言い知れない不穏を感じ鞄を手に取って入ってる品を出していく。地図や名簿など基本的な物品の他、無造作に配られた道具もあった。 下部を翻すと名札が封入されている。日本語で記された四文字を、しのぶは正確に記憶した。 遠くから諍いの音が聴こえたのは丁度その時だった。 「今のは、広斗さんですかね。危ないと思ったら逃げるよう言っておいたのに、まったく」 溜め息を尽き、立ち上がる。 何フロアも隔てた先だが、柱の感覚は聞き逃さない。 同僚の水柱ほどでないが、広斗もあれでいらぬ誤解を受けそうな質をしている。別れてからいい時間が経ち、純粋に身が心配でもある。 自前のとでふたつになった鞄をひょいと持ち上げ、発つ前に一度だけ亡骸に振り返る。 「すみません、藤原さん。弔うのはもう少しだけ待ってくださいね」 たんっ、と軽やかな音をひとつ立て、しのぶの姿はかき消えた。 後にはもう、何も残らない。熱が引いていく部屋で、冷えた死体だけが転がっているだけだった。 ◆ 美術館からバイクを走らせて、目的地の箱庭病院には何事もなく辿り着いた。 襲撃もなければ、他に参加者との遭遇もない。殺し合いという現状を認識していた割には拍子抜けもいいところだ。 だが安穏とするほど腑抜けられる筈もない。窓の外を見れば街中で一際大きなマンションが完全に倒壊して姿を消し、そこかしこで火の手の煙が上がっている。 紛争地もかくやの治安の悪さを誇るリトルアジア並の規模で、事態は紛れもなく進行している。それに偶然居合わせていないというだけの事。 危機に直面しないのは幸運と呼べるが、自分が無視されて置いてけぼりにされるのは、単純に気に食わない。 さりとて闇雲に動き回るわけにもいかず、兄に繋がる手がかりもなく。雨宮広斗の気分は少しばかり斜め上だった。 しのぶは同伴していない。病院内の探索に別行動を取るとそそくさと中に入ってしまった。 明確にここに来た目的があるしのぶと違って、こちらは手持ち無沙汰だ。 はじめは適当にぶらついていたが、何もしない方がかえって苛々が溜まってくる。 これで何一つ成果がありませんでしたと言った時のしのぶの顔を想像するとなお癪だ。 雨宮の仕事は運び屋であって調達屋ではない。なのでこういう施設で目星のつく場所は限られていく。 ――――――重要なもんは普通、偉い奴が持ってるもんだろ。 そんな短絡ながら真実の一端を突いた理由で辿り着いた、変哲のない『院長室』のプレートが提げられた部屋のドアノブを握る。 鍵もかかっておらずあっさりと扉が開いた。中に入っても、そこは小綺麗にまとめられた普通の部屋だ。 とりあえず、デスクの棚に詰まった資料を引っ張り出した。 『歴代炎柱の書』『特異点記録亜種Ⅲ~下総国~』『亜人耐死実験報告書』『鬼哭指南書~著・吉備津彦命~』『アマゾン計画書』『OREジャーナル特集~失踪事件の真相~』『フラスコ計画・過負荷の部』『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE』… 重要そうな研究資料から民話集じみた古い書物、胡散臭いゴシップ記事まで、雑多に揃えられたものを数ページ適当に流し読む。 どうやら『鬼』『怪物』『不死』といった種族について調べた資料らしい。 さわりだけでも読み取れるほど、内容は突飛で、それでいていやに真実味のある書かれ方だ。 まるで本当にそれらを見て、研究してきたような。 綿密な実験結果の詳細や取得したデータが記されてるものもあり、冗談にしても手が込んでいる。 院長の趣味か。それとも、『それ』を目的にした施設なのか。 ―――鬼とか鬼殺隊とか、あいつも言ってやがったな。 さんざ専門であると言っていたのだ。彼女の方が知っている事も多いだろう。そうなればさっさと渡すに限る。 デイバッグに資料を片っ端から詰めていく。どれだけ中に入れても膨らまず重さが変わらない不思議極まる道具だが便利ではある。普段の仕事道具にしたいぐらいだ。 そんな風に別の事を考えてたからだろうか。無造作に掴んだ本と本に挟まっていた一枚の紙片が床へと滑り落ちた。 「あ?」 拾おうと屈んで厚紙を拾うが、そこに書かれた文字に広斗は疑問の声を上げた。 超常的なものは半ば受け入れていただけに、広斗に唯一馴染みのある名称だったことでかえって反応したのだ。 「なんで無名街の地図なんかがあるんだ……?」 長兄・尊龍の居所を探して訪れた地区のひとつ。この殺し合いにも呼ばれているスモーキーが率いるRUDE BOYSが守る治外法権の街だ。 「……地下か?」 構造や階層の表記を見るに、どうも地下空間の見取り図らしい。 無名街にそんな場所が存在するのも謎なら、そんなものがここに紛れ込んでるのも謎だ。 それとも逆接として、ここに意味があるのか。そういえば南部の島と切り離されたエリアにも無名街が――― 「人間・認識」 アナウンスのような抑揚のない声に、地図に向けていた顔を正面に上げる。 ここまで近くにいながら参加者の気配に気づかなかったなど一生の不覚だ。 いや、こうして目にしていてすら気配を感じてなかった。 「人間・認識」 言ってしまえば、そこにいたのは人形だ。 着物を着た童女の格好をして、手と足を四本ずつ備えた、人の形をしていても人ではないものだ。 カタカタと硬質音を鳴らして口を開閉して喋る様はテーマパークに飾られるロボットそのものだ。 差異があるとすれば、病院という場所に表れるには不釣り合いなのと、手一本につき握られた計四刀の凶器があること。 四季崎記紀の完成形変体刀が一、微刀『釵』(かんざし)。またの名を日和号。 「何だてめえ」 「即刻・斬殺」 返答はなく、命令の反芻だけが返さえた。 躊躇と容赦が最初から欠如した、機械らしい無駄のなさと無慈悲さで刀を振り下ろした。 「ッ!」 幸運だったのは、扉の間が刀を持って入るには狭すぎて一度壁を壊す工程が加わったことだろう。 人形に襲われるという、この地での初めての怪異との遭遇に面食らった広斗は間一髪で飛び退き両断を免れた。 穏当な選択肢は早速失われた。 対話の段階もすっ飛ばした問答無用の強襲。両断されて崩れ落ちるデスクを見て、広斗の選択は決定した。 コレが参加者の枠なのか別に操ってる奴がいるかの判断は後回しでいい。まずは、ぶっ壊す。 「即刻・斬殺」 迫る日和号。多腕多脚を忙しなく動かす風体はやはり異形だ。 ドスや凶器を持った相手は飽くほどに勝利してきた。銃器で武装した相手を相手取った。日本刀を携えた強敵との戦闘は心得ている。 だがしかし、腕が四本いる敵とは戦った経験だけはない。百戦錬磨の雨宮兄弟にして完全なる未知の戦法である。 広斗の眼は怯んではいなかった。拳の構えは正調に、勝機を秘めた眼だ。 人でないとしても、コレは人の形をしている。腕を動かし刀で攻撃する。なら今までの経験は役に立つ。 速さも手数も予想し得る最大値まで設定する。単騎という認識を捨て、集団を相手取ってると想定しろ。腕が四本あるなら四人の相手が一斉に斬りかかってくると思え。 狭い室内に高い身の丈、長い得物。初撃を見た時点で組み立ては出来ている。後は鍛えた格闘に託すのみ。 刀が振り下ろされるより先に間合いに勇んで飛び込む。一刀が背を掠め、間隙を埋める第二第三刀の横薙ぎを地に這うが如く屈んでかわす。最後の四刀目は始動前に肘で鍔から止めた。 瞬間、がら空きになる胴。必殺の零距離(ゼロレンジ)。こじ開けた肉薄の間合い目がけ、溜めていた体重を拳に向かわせ―――解き放つ。 「らァッ!」 人体を殴ったのとはまるで異なる打撃音が響き渡る。 鍛え上げた格闘家といえども悶絶必死の急所。最悪内蔵破裂に至るほどの会心の最大威力。 「人形殺法・春一番」 突き出された前二脚を腕で受けられたのは、人形を打ったゆえの手応えのなさから来る違和感だ。 臓器もなければ痛覚もない日和号に肝臓打ち(レバー)も意味がない。どれほど痛打を与えようとも、機能停止に至るまで行動に一切の支障は出ない。 「ちっ……」 後退する広斗は唇を噛み締める。受けた腕に走る痺れと、垂れ落ちる鮮烈な赤い水。 日和号が蹴り飛ばすと同時、手首が文字通り旋回して下がる広斗の腕を掠めたのだ。 人形なら関節動作の限界がない。そして、人形である以上、牽制やフェイントにも引っかからない。 開発者が意図したかはともかく、近接戦の巧者であるほど日和号の前には隙を晒すのだ。 「人形殺法・竜巻」 内側に入る隙も逃げ場もない、四方からの同時の斬り付け。 辺りの壁も、調度品も、構わす切り裂きながら前進する。戸棚が割れ、ガラスが四散し、砕けた鏡面が光に反射する。 鬼であればいざしらず、太陽光発電という戦国期に先進的にも程がある動力源を持つ日和号には何の障りもない。目が眩む不手際も起こさない。 だが、今回に限っては――――――それが仇となった。 「言っとくが」 今度は、余裕をもって打ち払えた。 バイザー越しの視界からは、これまでにない情報が送られてくる。さっきよりも遥かに緩慢になった動きを見切り、流して拳を叩き入れる。 反応が追いついたのはスーツにより身体能力が増幅されたからだが、複数に迫る刀を的確に捌き胴体に拳を当てたのは鍛錬の賜物。 使う気は元々なかった。 同梱された説明書を見てもビタイチ信用ならなかったし、武器を使って戦うのは自分の、兄弟の流儀に合わない。 何よりその名前とレリーフの意向がこの上なく気に食わないのが一番の理由だ。使うことはないのだと考えていた―――こうして本物の人外と会うまでは。 日和号が周囲を斬り刻んで到達する前に『変身』は完了していた。飛び散った鏡面に映ったベルトが腰に装着され、デッキをはめ込む。 黒衣だった広斗の全身は、なお黒い装甲に覆われていた。 黒い龍の力を纏う鎧―――仮面ライダーリュウガ。 九つの龍に反抗してきた男が使うには、皮肉が過ぎる力だった。 「仕掛けてきたのは、てめえが先だ。ぶっ壊されても文句言うなよ」 「人間・認識。即刻・斬殺」 敵対者の変化には目もくれず、殺人人形は命令を遂行する。 『超常』の土俵を同じくした戦いの幕が上がった。 【B-7・箱庭病院/1日目・午前】 ※院長室に各世界の『鬼』『怪物』『不死』に関連した資料があります。ただの雑誌だったり信憑性に乏しいものも。 【胡蝶しのぶ@鬼滅の刃】 [状態]:健康。 [装備]:冨岡義勇の日輪刀 [道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品1~2(毒に類する品)、ランダム支給品1~2(千花)、医薬品、医療道具多数 [思考・状況] 基本方針:鬼殺隊の同僚と合流する。 1 自分の日輪刀を探す 2 研究施設に向かいたい 3 日が暮れるまでに参加者と連携、鬼を狩る準備を整えたい 4 鬼のいない世、ですか [備考] ※9巻以降からの参戦 ※地図上のアルファベットと英数字の読み方を覚えました。 【雨宮広斗@HiGH LOW】 [状態]:片腕に刀傷 [装備]:仮面ライダーリュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、シャドウスラッシャー400、『鬼』『怪物』『不死』の研究資料、無名街地下の地図 [思考・状況] 基本方針:??? 1 雅貴を探す。 2 とりあえずはしのぶと行動。 [備考] ※少なくともREDRAIN後からの参戦です。 ※鬼滅世界に鬼について認識しました。 ※少なくとも九龍グループがこの殺し合いとは無関係と考えています。 【日和号@刀語】 [状態]:胴体部にへこみ [装備]:刀@刀語×4 [道具]: [思考・状況] 基本方針:藤原千花以外の参加者の斬殺 1.標的・斬殺 [備考] ※OP時点で死亡した藤原千花のデイバックは、箱庭病院の一室に置き去りにされています。→胡蝶しのぶが回収しました。 【仮面ライダーリュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎】 雨宮広斗に支給。 鏡に向かってかざすことで、仮面ライダーリュウガへと変身できる。 Next 命ノゼンマイ Previous 終わりのない戦い 前話 お名前 次話 CHAIN BREAKER 雨宮広斗 砕式・降龍落とし 胡蝶しのぶ 目次へ戻る
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/1288.html
北方諸国同盟軍、南部戦線。 戦争が始まり、南部戦線の軍がリンド国境に迫ろうとしていた時には2~3日に1度くらいの頻度で 皇国軍の空からの偵察なり爆撃があったが、今は週に1度という感じで明らかに活動が鈍っている。 ポゼイユ方面の偵察部隊からの情報でも、特に砦を建築したりして防備を固めている様子も無い。 ただ漫然と、この場を確保して待機しているというのは気の緩む毎日で士気も下がる。 皇国軍のポゼイユ駐留部隊は多く見積もっても未だ1000人程度であり、動かないと不味いのではないか という不安と合わさって、これくらいなら押し切れるのではないかという楽観論からの意見が増えて来た。 “皇国軍による空襲頻度が減ったからといって、安易に進んで良いものか” という消極的意見も根強くあったが、厭きると思考が鈍感になって判断が狂うようにもなる。 「ベルグからの情報を見れば、皇国軍の主力全部隊が到着するまで楽観的に見積もっても1週間。現実には 4~5日のうちに駆け付けるでしょう。それまでにポゼイユを陥落させるのは流石に無理というものです」 ポゼイユに行って戦って皇国軍とリンド王国軍を蹴散らして部隊の再編成など行って 次の戦闘準備を整えるまでを4~5日で済ませないと成り立たないが、それは無理な話だ。 どちらにせよ、後から来る南部戦線主力軍に道を譲る為、自分たちはさらに南に拠点を移さねばならない。 さしあたってこの付近の確保という任務の一つは遂行したのだから、死に急ぐこともあるまい……。 「しかし小さな勝利でも、いや大きな勝利を望むのが無理なら尚更、どんな 小さなものでも、可能性だけでも勝利を示せねば兵達の士気が保てません」 ここで停止するというのは、相手の注意を向けさせた上での物理的損害を考えれば 悪くない作戦だったが、末端の将兵の心理的負担を考えると評価し難い側面があった。 将軍もそれは分かっていたが、徒な前進が失敗して早期に崩壊してしまうよりは良いと考えていたのだ。 北部戦線が押し上がる前に南部戦線が崩壊したらドミノ倒しのように全て崩れる。 ポゼイユも重要だが、北部戦線のスコルマード攻撃はそれとは別に重要である。 「伝令! 北部戦線のアレキス殿下からです」 天幕に入ってきた将校が差し出したのは、マルロー王太子アレキスからの命令書。 3日後にポゼイユに対して総攻撃を行えという指示だった。 皇国軍に打撃を与えるのではなく、ポゼイユに打撃を与えよという内容。 皇国軍が準備を整えてザラ公国方面に進軍を始めてからでは遅いから、 先にポゼイユとその近隣を攻撃する事で皇国軍を足止めせよというものだ。 軍事的な衝撃で皇国軍を拘束するのには限界があるが、ポゼイユが大事に なれば相当な長期間足止めできるから、そうせよという命令である。 睨み合いを続ける事での足止めという方針が事実上却下されたのだ。 しかし、ポゼイユに打撃を与えるには守備する皇国軍に幾らかの 打撃を与えるか、自軍の損害を幾らか無視して強襲するしかない。 リンド王国軍の損害から考えても、皇国軍と戦った場合の損害は計り知れない。 とすると、妨害してくる皇国軍は無視して数に任せてポゼイユに殺到するしかない。 攻撃せよという命令に沸き立つ隊長や下士官も居たが、 当の師団長は難しい表情で次の手を考える事になった。 手紙にはザラ公国軍の増援もあると書かれているが……。 「別働隊を皇国軍の正面に向かわせて陽動し、その隙に我が 本隊がポゼイユ攻略を行う事とする。作戦準備を急がせよ」 皇国軍を慌てさせ注意を向けさせるには本格的な都市攻撃しかない。 ポゼイユは幾らかの堀や市壁もあるが、全体的には城塞都市と呼べるような防御力は 無いので、市内に軍を進める難易度という点で他の都市より制し易いだろう。 一旦大軍が市内に雪崩込めば、同士討ちを警戒して膠着状態に持ち込める。 少なくとも野戦での決戦を求めるより戦術目標達成の可能性がある。 大威力の武器を多数持っている(大威力の武器しか持っていない) 皇国軍は、都市への被害を抑える為に自らの武器を封印せねばなるまい。 あくまで可能性があるというだけで、どれだけの確実性があるかは未知数だが。 本来なら10倍以上の兵員を擁する同盟軍が恐れる必要は無いが、小規模とは言え存在する皇国軍が厄介極まりない。 ポゼイユ攻略という段階になればベルグからの航空部隊も増発されるだろう。 現時点で小康状態だからといってそれが続くとは考えられない。 「やれる事をやるだけだ……。飛竜陣地をお披露目しろ!」 カーサドラルで停止中の北方諸国同盟軍が動いた。 その報せに皇国軍のベルグ本部は期待半分、不安半分であった。 大仰な宣戦布告をしてきた割に慎重を通り越して臆病にも見える 軍団が動いたのだから、何かの準備が整って満を持してという事だろうか。 しかし、とすると何を目的に軍を動かすのだろうか。 動きからすると軍を引き上げる訳では無さそうで、前進あるいは転進である。 「一直線に来るならポゼイユですが、左折して南に向かうか右折して北に向かう可能性もあります」 「それぞれの確率はどの程度と読む?」 「我々が入手している情報だけでは、何とも読めません。参謀部ではポゼイユ直行の公算が 高いと考えていますが、セソー大公国方面からの主力と合流する可能性は否定できません」 「そうなったら、北部戦線が東と南から包囲される形になるか」 「はい。ですが参謀部がその公算低しと判断する理由は、今から向かっても冬の始まりまでに 間に合わず、援軍としては機能せず単なる孤立した遊兵になる公算が高いからです」 妥当な見解であったが、面白味というか意外性が無かった。 「そも、ポゼイユとスコルマードではどちらを取られた方がリンド王国にとって痛いのか」 「それは、我が国で例えれば商業の大阪と工業の北九州のどちらの失陥が痛いかというような話かと」 「どちらも相応に痛い訳だな」 北の大都市スコルマードは広大な岩塩鉱脈がある工業都市だから、重要度を 比較するのに金融と学問の都市であるポゼイユと同じ土俵では比べられない。 皇国がスコルマードを有望視するのはリンド王国の工業化に不可欠な資源を産出するからだ。 食塩の需要は人口に比例するが、工業塩の需要は人口と関係ない。 工業化が進むほど人口に比して工業塩の需要は増えるから、有望な塩の生産地はリンド王国にとって“国家の資産”である。 神賜島での岩塩鉱開発が軌道に乗るまでは、既に開発されている大陸の岩塩を適正価格で購入したいという欲も勿論あった。 賠償金の現金部分を減額する代わりに、その分を現物で払わせる事も真剣に検討されているのだ。 リンド王国にとってどうだか知らないが、皇国にとってスコルマードは“失陥が許されざる都市”だった。 「閣下。ザラ公国軍が前進しているようです。完全に戦闘隊列で行軍中です」 「敵は全力投球か……」 「はい。マルロー王国以外で、それなりの規模で兵を出せる国は全部出しています」 こうなると、ポゼイユの北から南東にかけて大きな包囲網を作れる。 仮に薄く広く展開した鶴翼から一斉に雪崩込まれたら、兵力密度が足りずに突破される恐れがある。 というより敵が皇国軍の粉砕を目的とせず、ポゼイユへの入城を目的とするならそうなるだろう。 大砲や攻城塔が無くとも、梯子があれば市壁は突破出来る。 「結局は敵情を観察しつつ慎重にならざるを得んか。砲兵はポゼイユの 西に置くとして、歩兵と戦車だな……。敵に飛竜が居ないのがまだ救いか」 この世界に転移して以降、今まで攻める一方だった皇国軍が本格的な守勢に回るのは初めて。 主導権が取れないのがもどかしかった。 しかし数時間後、司令部にはさらに嫌な報せが届いた。 「閣下。敵軍の続報ですが、司令部偵察機による写真を解析した所、飛竜陣地が確認されました」 「飛竜陣地……3日前は無かったな?」 「はい。ですが今はあるようです」 提出された写真には長さ150m、幅30m程の更地と、併設された竜舎と 思しき建物が映っており、飛竜騎士と飛竜らしき影も5騎認められた。 3日前の同じ場所は木立が茂った藪だったが、これではまるで“一夜城”ではないか。 航空燃料や整備部品を温存する理由から偵察機の飛行密度が減っていた虚を突かれた形だ。 「飛竜の航続距離からすると、ポゼイユにも来れる訳だ」 「しかし片道しか飛べない筈です」 「竜は飛行機とは違う。少しの広場があれば離着陸出来る。 ポゼイユの近くに着陸して一晩休むという手も使えない訳では無い」 長距離の不休飛行はかなりの体力を消耗し、無理をさせれば体温も危険な程に上昇するので、 通常は飛竜基地や飛竜陣地のような保養設備の整った場所を拠点に運用されるが、 そのような場所でなければ絶対に運用が出来ない訳では無い。 寝床と水と食糧さえあるなら、1日や2日くらい竜舎でなくとも何とかなる。 大昔には敵の兵士や住民を竜の胃袋に入れる目的で攫っていた事も あるようだから“食糧は現地調達”というのも不可能ではない。 飛竜は自分の主人である騎士や普段から良く目にする仲間の騎士や厩務員を 食う事は絶対にしないが、面識がないなら友軍の兵士を食う事にも躊躇いは無い。 主人である騎士が止める事をしなければ、腹が減ったら目についた動物を食うのが飛竜である。 ただ、現代の文明国であればそんな野蛮な戦争方法は選択しないという話を ユラ神国やリンド王国、あるいは西大陸の文明諸国からも聞いていた。 短い期間であったが実際にそういう戦法を取られた事も無い。 「この写真、リンド王国軍に調査協力を仰ぎますか?」 「どうしたものかな。こんなものを今まで発見できなかったとなればとんだ間抜けだ」 「しかし情報共有はある程度必要でしょう。隠しておいて突然空襲に遭った時の方が問題が大きくなります」 「分かった……飛竜軍の参謀にも助言を求めよう。ポゼイユ方面の師団にも警告を発しておけ」 皇国軍の司令部に招致されたリンド王国軍の参謀は、写真を見て眉を顰めた。 「閣下。写真を拝見しましたが、この規模の竜舎と助走路からすると20~30騎の運用は堅いです。 現状はそこまでの数の竜は居ないようですが、細心の注意が必要でしょう……我が軍ならばそうします」 「この規模の飛竜陣地を3日で造営可能ですか?」 「全く無理とは申しませんが、優秀な飛竜陣地設営連隊でも相当な突貫作業になります」 皇国軍に比べて土木技術が劣っても、航空兵力を3日で展開可能に出来る。 これが厄介なのだ。部隊展開に要する労力が違う。 隣の芝は青いというが、この身軽さはまさに“青い芝”だった。 空中戦になれば一方的に堵殺可能だし、地上からの 対空射撃も元世界の戦闘機や爆撃機に対するよりは有効である。 が、上から覗かれる可能性がある事は、それだけで地上部隊にとってリスクだ。 ベルグの司令部は、先行してポゼイユに駐屯している捜索連隊に偵察任務を命じた。 軍団及び師団司令部からの命令を受けてリエール傭兵隊の宿舎に訪れると、 山科は殆ど待つ事も無く隊長の執務室となっている部屋に通された。 「リエール隊長、宜しいか?」 「何用でしょうか、少佐殿」 山科は同じ軍の上官と部下としての顔で話を進める。 「貴隊はポゼイユ市から東、ザラ公国方面の地理にも詳しかったな?」 「私自身はそれ程でも無いですが、詳しい者も居ます」 「よし、では我々の偵察隊に同行を命ずる」 「地理に詳しい者のみでしょうか、隊としての行動でしょうか?」 「隊として完結した戦闘行動を取れるようにしてくれ。 任務は敵の陣容確認。地図に拠ればこの辺りを進軍中だ」 山科は決して詳細とは言えない地図を広げ、指差した。 「これは、カーサドラルから2~3マシルといったところですね。 真っ直ぐこちらに向かってくるなら、道すがら鉢合わせという事も」 あまりぐずぐずしていると、ポゼイユ市が大砲の射程に入ってしまうかも知れない。 皇国軍は当初、ポゼイユの北東から東4~10マシル程度の所を前線に考えていた ようだが、そこに陣取るべき主力軍は連絡部隊を中心にちらほら来ているだけ。 待っていられなくなったか。 「偵察と同時に可能ならば一翼を迎撃し、ある程度の追撃も行う。 リエール隊の編成内容は任せるが、可能な限りの人員装備で、 作戦期間は2~3週間になる。数日内に部隊を動かせるか?」 リエール傭兵隊は既に方々で物資を買い溜めて、後は微調整のみという段階まで準備が整っていた。 今すぐ出発という無茶を言われても対応出来るように、主戦場が予想される カーサドラル方面の町には先行して物資を買い付ける協力者も手配済み。 「それならば出撃準備に2日下さい。明後日の朝までには整えましょう」 「結構だ。では連絡要員を寄越すから、明後日の午前8時、朝食後に出発してくれ」 「我々は皇国軍と合同で動くのではないのですか?」 「私は先発して陣地を張っておくので、今日中に出発する」 「なら、1時間程お待ち下さい。心当たりのある道案内を1人、お預けします」 「そうか、助かる」 夕刻。山科を含む中隊主力要員は2両の装軌装甲車と2両の装輪装甲車、4両の輸送トラックに乗り込む。 トラックのうち1両は37mm対戦車速射砲を牽引し、予備弾薬と各種物資の輸送用に宛がわれた。 少ない車両で1人でも多く運ぶ為、装甲車に跨乗する人員も居た。 リエール傭兵隊から派遣された案内役の少年アズルは副官の曹長と共に乗馬で先行する。 「北の方も忙しいようだから、ここで派遣軍全体の足は引っ張れないぞ」 決して数は多くないが、しかし“騎兵科の精鋭”である部隊が出陣した。 「どうだね、シャイアノ君?」 傭兵隊の副官として、キスカの事務作業の補佐を 任されているシャイアノは、キスカより10歳近く若い男だ。 医師と言えば腕一つで身を立てる開業医が常識の世界で、複数の医師を雇って 働かせる、皇国で言う総合病院のような“医院”を経営していた父の三男に生まれた シャイアノは、経理や衛生管理の腕を見込まれてキスカにスカウトされた。 また医師の弟子になって修行を積んだわけではないが、簡単な外科手術くらいは出来る。 幼い頃より、複数の医師から様々な医学的治験を聞かされていたため、 本人の執刀技量よりも戦場で傷病者の選別能力を期待されてキスカが雇った。 助かりそうな者を助け、手の施しようのない者は楽にさせてやるという“命の選別”係である。 机上でも戦場でも、大抵の場面で隊長であるキスカより忙しい。 「清書した目録です」 渡された紙には兵員、食糧、被服、武器弾薬、その他必要物資の目録と予算、隊員への給金が纏められていた。 「これで1000リルスに収めてくれたか。流石だな」 「ポゼイユ侯爵閣下の署名と捺印が入った契約書です。あれの威力です」 信用の無い自称傭兵団などでは、商品代金の未払いという事が起こり得るが、 ポゼイユ侯爵がパトロンであるなら、債務不履行という事にはまずならない。 故に“ツケ払い”や“先物の購入”が非常にスムーズに行った。 現金ではなく約束手形での大口取引も、ことポゼイユ領内では他の地域に比べて比較的活発に 行われていたので、そういう点で“現金でないと取引に応じない”という商人が少ないのも利点だった。 リエール傭兵隊の人員には貴族が居ない為、貴族将校が抱える“実用に適さない”輜重隊を編成せずに済む。 貴族であれば使用人が付くし、妻帯者であれば奥方のドレスなども運ばねばならない。 これら随員が戦闘においては全く無意味な人員である事は論を待たないが、 その無意味な人員の為に何十台もの馬車を占有する愚を犯さずに済む。 戦力に比して、正規軍以上に身軽なのだ。 ギルド所属の傭兵隊だと、必ずしもこうはいかない。 貴族や騎士崩れが傭兵隊長をやっている場合が多いので、正規軍以上に無駄が多かったりする。 最終的に決定されたリエール傭兵隊の編成は戦闘要員220人、後方要員(人夫)200人。 隊長用と副隊長用に乗用軍馬が2頭と予備が5頭。 1ヶ月分の食糧と弾薬。荷馬車が23台。 さらに傭兵隊の員数には含まれない“商人と女”が100人近く居る。 全くもって贅沢である。 後方部隊の比率は皇国軍の先遣隊より充実している。 “商人と女”に関しては、皇国軍将兵も一定の範囲で利用する事を同意していた。 今まで、中々上手く行かなかった“女の調達”が非常にスムーズに運んだ事で、皇国軍の士気も高い。 執務室から主要な隊員の集まる広間に行くと、皆の視線がキスカに集まる。 「姐御!」 「姐御は止めろと言っているだろう。隊長と呼べ」 「へいへい……で、いよいよ出陣ですか?」 「そう。皇国軍との合同任務だよ」 「ほう……で、今回は誰が居残るんです?」 「居残りは無し。ガチで軍隊と戦うし、前金だけでも大量に受け取ったからね。出し惜しみはしないのが我々の流儀だろ?」 ポゼイユ侯爵から賜った10リルス刻印金貨を見せるキスカの景気の良い話に、傭兵隊員から歓声が上がった。 副隊長のトゥルクと副官のシャイアノの間で何度か話し合った結果、そう決まったのだ。 「では諸君、お務めに参ろうか!」 北方諸国同盟軍の南部戦線は大きく二手に分かれて進んでいた。 レステルトートからポゼイユを一直線に目指す部隊では、遅れて 到着したザラ公国軍が前衛に入り、後衛にマルロー王国軍の1個連隊。 残りの主力軍は北と南に分かれてから迂回してポゼイユを目指していた。 皇国軍の航空偵察活動が再び活発になったので、囮として街道を進む別働隊に定数以上の 隊旗を持たせたりして実数より多く見せたりしてはいるが、偽装がばれるのも時間の問題だろう。 森林があって空からの視界が遮られる場所もあるが、全ての道程でそうではない。 ポゼイユの市壁に登れば、ほぼ一面視界を遮るものは無い。 身長の目線からなら姿を隠せる丘があっても、航空戦力からは隠れられないのは飛竜による効果と同じだ。 開けた地形での部隊の隠蔽は無理である。 偽装にも限度があり、存在しないものを存在するように見せかける事は 比較的可能でも、存在するものを存在しないように見せかけるのは難しい。 ザラ公国軍を預かる将軍は、階級上はマルロー王国軍の連隊長より上であったが、力関係は逆だった。 この場のマルロー王国軍連隊長を介して、マルロー王国軍の将軍の指揮下にあるという立場なのだ。 部隊運用の専門家として連隊長に助言するという立場での意見具申は認められるが、決定権は連隊長にある。 その為に連隊長は臨時に准将という扱いになっているが……。 「准将殿、少し急ぎ過ぎでは? 我々だけ先行しても主力がポゼイユに辿り着けねば水の泡。行軍速度を落とした方が宜しいかと」 「それはそうだが。歩みを止めれば皇国軍を釣り出せない」 「日に15マシルも進めば十分です。20マシルでは早過ぎます」 「ここの農村をキャンプにしたいのだがね」 “准将”は地図を見せ、ポゼイユから5マシルの所にある農村を指差した。 確かに都市攻撃だから、今までの戦争常識からすればそれ程変な考え でもないのだが、リンド王国軍を壊滅状態にした皇国軍が相手なのだ。 その農村だとポゼイユに展開する砲兵の射程に入ってしまう公算大。 こちらが早々に全滅して転進されては囮任務は失敗なのだ。 「キャンプはもう少しポゼイユから距離を取って下さい。 整然と退却出来る環境でないと、釣り出しに成功しても即壊滅です。 我々を無視して転進すれば背後から追撃されるという状況にせねば」 この辺りの加減が難しい。 「もう一度偵察隊を出そうと思う。皇国軍がまだポゼイユに留まっているのか、移動しているのか」 「それですと騎兵の消耗が……」 随伴する軽騎兵隊はそれ程多くなく、予備の騎馬もそうだった。 戦竜隊は居ないので胸甲騎兵が唯一の騎兵打撃力になるが、これを偵察には使い潰せない。 後方に居る飛竜隊は偵察結果を帰り際に投げ落としてくれるが、それによれば “ポゼイユの東30マシルまでは敵影なし”というもので、甚だ不足だった。 それで毎日騎兵小隊を繰り出しては恐る恐る進んでいる状況で、 その頻度も増えており、軽騎兵隊の負担が大きくなっていた。 いざ戦闘になれば、軽騎兵隊は側面掩護などにも使うから、この段階で消耗させたくない。 「奇襲されでもしたら、そちらの方が厄介ではないか?」 「……解りました。では騎兵隊を出しましょう」 しぶしぶではあるが、今のザラ公国軍はそうするしかなかった。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/12648.html
登録日:2011/04/18(月) 21 33 36 更新日:2024/01/01 Mon 02 03 57 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 Ark-Performance Gihren assassination attempt ~ ジオン最後の一週間 おにいちゃん♪ ガンダム ガンダムエース ガンダム漫画リンク ギレン・ザビ ギレン暗殺計画 コロニー戦 ジオン ドキュメンタリー フィーたんは俺の嫁←お前にはガイウスをやろう ワルキューレ 一年戦争 作中作 劇中劇 外伝 宇宙世紀 推理 機動戦士ガンダム 漫画 男キャラの大半が漢 量産機 月刊ガンダムエースで07年10月から10年3月にかけて連載されたガンダム漫画。 作者はArk-Performance 単行本は全4巻。 一年戦争末期のジオン公国内において、総帥ギレン・ザビの暗殺計画が存在したらしいという様々な証拠証言と、終戦後の戦後処理で発見された資料を元に、その事件の捜査の推移を一年戦争終結20周年ドキュメンタリーとしてUC.0099に映像化した作品、という体裁を取る。 作品名は 「Gihren assassination attempt ~ ジオン最後の一週間」 作中の用語などを見るに、映画「ワルキューレ」等で有名な第二次大戦中のドイツ国内におけるヒトラー暗殺計画がモチーフになっている様子。 作品名がアレに似ているが、決してギレンが「[[おっぱい]]ぷるーんぷるん!」「ちくしょうめ!」と叫ぶ作品ではない。 ズムシティが主要な舞台なので大真面目な政治劇の中で、70~80年代アニメのベッタベタな「悪の本拠地」ライクなデザインの公王庁が度々描かれシリアスな笑いを誘う。 Arkさんは後に『光芒のア・バオア・クー』や『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』も手掛けており、同じ作者なのでやはりリンクしている。 【あらすじ】 一年戦争末期、ア・バオア・クーでの決戦を控えたUC.0079.12月。 ジオン公国ズムシティは情報統制により一定の平穏を保っていたものの、相次ぐ要人暗殺によるテロ行為が情勢の悪化を予感させていた。 そのような情勢下、ジオン国家公安捜査官レオポルド・フィーゼラーの元に総帥部勤務の幼馴染エリース・アン・フィネガンが三年ぶりに連絡を取ってくる。 幼馴染は会った早々レオポルドに一枚のデータディスクを渡す。 その内容は先頃頻発していた暗殺事件の詳細なデータ、そしてその中に混じる公開されていない暗殺事件の記録。 レオポルドは最初これを公安に対する機密漏洩の告発タレコミと見ていたが、その先にあるギレン・ザビの名と日時未定のデータはこれが記録では無く予定である可能性を示唆していた。 エリースは目的を言う 「これ匿名で持ち込まれた事にして、公安から総帥部に報告上げてくれないかなぁ…」 レオポルドはこの事からギレン暗殺計画の事件化を目的に捜査を開始し事件の真相に迫っていくが、事件の中心には常に“レギンレイヴ”という名の謎の人物が見え隠れしていたのだった… 【キャラクター】 「頼むエリース。俺は歴史の敗者にはなっても、ピエロにはなりたくないんだ」 レオポルド・フィーゼラー 本作の主人公。 ジオン公国国家公安委員会に所属する捜査官。 ジオニック社の創設メンバーを祖父に持つが、「両親に対する祖父ホトの仕打ち」に反発しフィーゼラー家を出奔した。 義勇兵として地球に降りた過去があり、周囲からは「地球帰りの男」と呼ばれている。 MSパイロットに志願するもパイロット適正試験でハネられ公安部に入った。 優秀過ぎない程には優秀だが、仕事に対するやる気はない。 自称窓際だが、ギレン暗殺計画“疑惑”の専任捜査を機に事件へと巻き込まれていく。 かつて地球に降りた際に画一化され完成され過ぎたジオン公国の社会システムに疑念を持ち、公正な視点でアングラ放送を行う情報組織を摘発から見逃しそれが左遷へと繋がった過去がある。 尚、経歴に反して肉体を使った白兵戦等はからっきし。 終戦後は祖父の後を継ぎフィーゼラー家の当主となり、UC.0099年ではジオン共和国下院議員として活躍している。 「私がお兄ちゃんに手柄を立てさせてあげるよ」 エリース・アン・フィネガン レオポルドの幼馴染でレオポルドのことをお兄ちゃんと呼んで慕っている。 ジオン総帥部に勤務しており、ギレン・ザビの秘書官長であるセシリア・アイリーンに重用されているエリート中のエリート。 勤務中に偶然、ギレン・ザビ暗殺計画のデータの入った極秘ファイルを拾って盗み見てしまい、処置に困ってレオポルドに相談する。 レオポルドと幼馴染のせいかレオポルドの祖父であるホトとも面識があり、ホトには孫のように可愛がられている。 全編において重厚で緻密な設定と、20代後半から老獪な老人までの信念と策謀が入り交じるストーリーにおいて“お兄ちゃん”が異彩を放つ。 だがレオの前を離れると途端に怜悧な顔つきに変わる。 彼女もまた、この作品に出るだけの策士だった。 ギレンの第一秘書セシリアの命令でレオポルドを利用する為にディスクを渡し、彼を監視すると同時に命令に反しない範囲内でレオポルドを守り英雄に仕立て上げようとした。 終戦後はレオポルドの祖父ホト・フィーゼラーの助力で国外へ逃れ、3年後に帰国した後はフィーゼラー家の秘書となり、UC.0099年では当主となったレオポルドを補佐している。 レギンレイヴ 秘密結社「ワルキューレ」を統率する謎の人物。 ワルキューレのネットワーク上で打倒ザビ家一党を実現させるべく様々な情報や作戦で少なくとも7人のザビ派重鎮を暗殺させる。 本来はザビ家が政治工作、裏工作などに使用するコードネームであり、特定の個人を指す言葉では無い。主人公の祖父、ホト・フィーゼラーもかつて「レギンレイヴ」の名を使ったと自身が発言しており、様々な人物が使った名前だとされている。 戦時中は総帥府にその名前が管理されていたようであり、ギレン・ザビ総帥の秘書官であるセシリア・アイリーンが戦後のザビ家主導による政治体制を盤石な物にすべく、反ザビ派をあぶり出す為に利用された。 因みに「レギンレイヴ」とは「神々を受け継ぐ者」という意味である。 「誇り高き親衛隊に名誉部隊の相手など甚だ不足だろうが、いかがか?」 ランス・ガーフィールド かつてジオン公国軍のエースパイロットの一人だった男。階級は中佐。 レオポルドの恩師で彼をパイロット適正検査でハネた人物だが、その信頼関係は未だ続いている。 オデッサ戦線で片腕を失いジオン本国に帰還。 ジオン公国に帰還後は傷痍軍人として事実上の慰安部隊である首都防衛大隊の第1MS中隊長を務めている。 ギレン・ザビ暗殺を目論む秘密組織「ワルキューレ」に所属しており、組織内のコードネームは“フリスト”。 一連の要人暗殺事件の実行犯。クーデター時には後述のフィーリウスと死闘を演じるも敗れる。 愛機は白いグフカスタム “ヴァイスローゼ” 余談だが上にあるように本作は劇中劇の体裁を取るが、「光芒のア・バオア・クー」では彼の家族を探す人物が登場する。 その人物の話ではランス・ガーフィールド「少佐」は撤退戦の中、アフリカで死んだとあるが……? 「この国を…、若きダイクンの手に還す」 アンリ・シュレッサー 元地球連邦軍将校だがジオン・ダイクンの思想とカリスマ性に深く共鳴し、ジオン公国へと招聘されジオン公国軍の母体であるジオン共和国国防軍の創設に携わる。 ダイクンの死後はザビ家の台頭により現役を引退し、士官学校教授職に就任。後進の指導に当たっていた。 かつて起きた総帥暗殺未遂事件によるダイクン派に対する粛清を、何故か1人だけ逃れたため「最後のダイクン派」と呼ばれている。 現在は閑職である、戦傷兵で構成された首都防衛大隊の大隊長を勤める。 ギレン・ザビ暗殺を目論む秘密組織「ワルキューレ」の中心人物。コードネームは“ヘルフィヨトル”。 物語の当初は泥沼化する戦争の早期終結を目的としていたが、物語途中でジオン・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクンの生存を知り、ザビ家を排除しキャスバルをトップとする真のジオン国家の建国を目論むようになる。 物語終盤“レギンレイヴ”によるギレン・ザビ暗殺計画に乗ったふりをしながら、ギレン・ザビ、およびザビ家親衛隊不在の虚を突き首都防衛大隊と首都防衛師団とでクーデターを仕掛ける。 戦力的にはなおも劣勢であったものの、首都残存の親衛隊を分断、逐次戦力投入をせざるを得ない状況を作り出し、終始優位に戦闘を進めた。 一年戦争終結直後、臨時政府の停戦協定に調印し、反乱の首謀者として即日出頭。軍法会議により極刑判決を受けるが、ジオン共和国復興の特赦により終身刑に減刑となる。安否の確認をジオン共和国が拒否しているため、戦後の詳細は不明。 ロートレック・ハミルトン 首都防衛師団の師団長。階級は少将。 アンリ・シュレッサー准将とは長年の親友同士。 現在は閑職である首都防衛師団の師団長を務めているが、戦時中にもかかわらず趣味であるオペラ鑑賞が楽しめるので本人的には気に入っている。 「終わりが始まる…」 デイビット・シラー 元ジオン公国国家公安部捜査官。 天才肌であり高い知能指数を持ったエリート捜査官として、本件以前に発生した総帥暗殺未遂事件の捜査を担当していた。 単独捜査にも関わらずいち早く事件の真相とその裏に隠された陰謀にたどり着いていたようだが、独立戦争開戦直前に失踪している。 ジャン・マリー・ソクラテス ジオン公国国家公安部のベテラン捜査官で、レオポルドの同僚。 公安部1課長の策略によって拘束されたレオポルドの脱獄を手助けするなど一見協力的に見えるが真意は不明。 裏で首都防衛師団長ロートレック少将と繋がっており、レオポルドが真相に辿り着けるように工作を行っていた。 モンティ ジオン公国国家公安部鑑識官。レオポルドやジャン・マリーとも昵懇。レオポルドの持ち込んだメモリーディスクの解析を行うが、本格的な解析には時間を要すると見切りをつけ、似たようなデータ構造を持つ特殊OSの情報をレオポルドに伝えた。 因みにこの特殊OSは後に「エッダ」という名前であった事が分かり、この「エッダ」とは「北欧初期の文書群」という意味である。 後にこのOSは連邦でも開発研究が進められている事が示唆され、教育型コンピュータの類いであると推察している。 バリー・エドモンド ジオン公国国家公安部長。 レギンレイヴの部下であったが、レオポルド拘束後に“フリスト”によって砲撃され死亡。 コードネームは不明。 ビリー・モーガン ジオン公国国家公安部1課長。 エドモンド部長と同様にレギンレイヴの部下であり、砲撃され死亡した。 コードネームは不明。 「有り得ないっ!」 セシリア・アイリーン ギレンの秘書官長でエリースの上司。 ガンダム本編にも登場しているジオン公国総帥部のエリート中のエリート。 これまで幾度となく起きた総帥暗殺計画の裏に存在しそれを利用してきた節がある。 ギレンの唱える能力至上主義の花形として歴史の最前線に立っているが、かつてはデイビッド・シラーと共にアンリ・シュレッサーのエリート養成機関に所属していた過去がある。 ライジェル・フォン・ムーア ジオン公国軍大尉。 エリースが拾ったメモリーディスクの落とし主。 総帥府が送り込んだ首都防衛大隊の監視役で連絡将校として首都防衛大隊に派遣されている。 表向きは総帥府のスパイとして首都防衛大隊の動向を監視していたが、実は二重スパイで、総帥府に首都防衛大隊決起の目的およびタイミングのニセ情報をリークしながら、総帥府の内部情報を収集していた。 首都防衛大隊が決起した後も武装蜂起を妨げないよう総帥府に留まり、総帥府の作戦本部で首都防衛大隊による主要施設の制圧が順調に進んでいるのを見届けながら自らが二重スパイである事実を告白した直後、激昂した本国親衛隊司令官に射殺された。 マリオ・アンティネスク ジオニック社の元科学者。「ワルキューレ」のメンバーの一人でコードネームは“ゲンドゥル”。 自宅で何者かに殺害されていた。 ギレン・ザビ ジオン公国総帥。「ワルキューレ」の標的。 キシリア・ザビ ジオン軍突撃機動軍司令官でギレンの妹。 突撃機動軍の本拠地であるグラナダを建て直すための時間を稼ぐため密かにアンリに使者を送って接触を図っている。 ダルシア・バハロ ジオン公国首相。 公王デギン・ソド・ザビの意を受けて連邦との和平工作を行っている。 終戦時には和平交渉のために月へ向かい、和平と共和国自治権獲得に成功した。 オレグ ジオン公国副首相。 ダルシア・バハロとは友人同士で独立運動時代からの付き合い。 終戦時にはダルシア首相不在間の最高位者としてア・バオア・クー陥落後に臨時政府を率いて親衛隊の武装解除と首都防衛大隊との停戦を成立させた。 「私は今や…お前の祖父でしかない男だ」 ホト・フィーゼラー レオポルドの祖父。 かつてスペースノイドにサイド国家建設のモデルケースを示す事を理想としたデギン・ザビに共鳴し、重工業的自立の観点からジオニックの創設に関わったオリジナル11の一人。 半ば引退しているが隠然とした影響力を保持している。 かつては…デギン・ザビの影の側近として“レギンレイヴ”を名乗りジオン建国のため歴史の裏側で暗躍していた。 「君と…君のガルバルディに幸多からん事を」 エリック・マンスフィールド ギレン親衛隊隊長であるエースパイロット。 物語中盤に親衛隊の2/3を率いてア・バオア・クーの防衛に赴く。 幼いフィーリウスを兄弟の如く親身に扱い、パイロット技術を叩き込んだ。 セシリアを“我が至高の君”と呼んでいる。 初出はMSVだが「ギレンの野望」等への出演経験は皆無な知る人ぞ知るキャラ。 かつて「GUNDAM TACTICS MOBILITY FLEET0079」に登場した時はおっさんだったが本作では似ても似つかないイケメン。 「厳しい…教官でした」 フィーリウス・ストリーム ペズン計画に早くから招聘された美しい容貌を持つ親衛隊所属の少年パイロット。 ザビ家に近い血筋とされており、親衛隊長エリック・マンスフィールドとの間に深い信交がある。 当時の最新鋭機であるガルバルディαに搭乗し、成長途中ながらも非常に高い戦闘技術を見せる。 本作は男達の信念と矜持に満ちたハードボイルドストーリーであるが、物語最終話でまさかの男の娘化し全ての感動を持っていく。 「シャワーか?オレも付き合おうか?」 「ぶつよ#」 バネッサ・バーミリオン ガイウス・ゼメラ フィーリウスの部下であり、お目付役でもある親衛隊員。 リック・ドムを駆る。 ペズン計画に招聘されるだけあり2人共腕は確かで、親衛隊本部前の戦闘では計11機ものザクを葬る。 【用語】 ■ワルキューレ ジオン公国内部で打倒ザビ家一党を掲げる政治結社。高度なシステムセキュリティと暗号化により守られたネットワーク上で度々会合を行い、親ザビ派の要人らを暗殺していた。 所属するメンバーはお互いの素性は知らず、与えられたコードネームで呼び合う。 実行指揮や組織統括は「レギンレイヴ」という人物が行い、とあるメンバー曰く「我々が半年掛けて実行できなかった事を半月でやってのけた」と言わしめる程の情報網と計画性を持つ。 要人暗殺そのものは「フリスト」というメンバーが担当しており、「レギンレイヴ」は指揮、情報支援を行っていた模様。 因みに「ワルキューレ」とは北欧神話に登場する女神の名前である。 ■首都防衛師団 ジオン公国の本国であるサイド3防衛を主任務とする防衛師団。 総司令はロートレック・ハミルトン少将。 副師団長は首都防衛大隊長を兼任するアンリ・シュレッサー准将。 ロートレック少将曰く「アンリ・シュレッサーがギレン・ザビを説得させて設立した部隊」であるとされアンリ准将自身が師団長にロートレック少将を推薦したとされる。 ロートレック少将の言葉では「対連邦への戦力としてはアテにされておらず、多少思想が危険でも能力に問題ない人間をプールさせておく場所」だとされている。 ■首都防衛大隊 公国防衛師団の一部でジオン公国の首都であるズムシティの防衛部隊。 しかし、実態は名誉職の色合いが強く、各種式典に駆出されるのが主な仕事。 大隊長はアンリ・シュレッサー准将。 総数は事務方を含めて約800名。 主に優れた功績を上げながら戦闘で負傷し社会復帰が困難な兵士や仕官が配属されており、他の部隊からは「慰労隊」などと揶揄されている。 ただ、部隊の性格上、大隊の構成員は負傷兵とはいえ各隊の元エース級が配属されているため部隊の練度は高い。 クーデター時のギレン親衛隊との戦闘でも、数で勝るギレン親衛隊と互角以上に渡り合っていた。 【登場MS】 ザクⅡ改 防衛大隊の主力機であり統合整備計画規格によるF型ザクの最末期型。機体色は白基調。 傷痍軍人が主体の首都防衛大隊では、ほぼ全機が片腕や片足で操縦可能にカスタムされている様だ。 本作に登場する同機体は全てB型と呼ばれる頭部を持つ所謂「フリッツヘルム」タイプである。 すごく…マラサイです…/// グフカスタム 通称ヴァイスローゼ 防衛大隊の旗機であり、ランス・ガーフィールド中佐が搭乗するカスタム機。 右腕を失ったランス中佐用に操作は片手仕様だが、MSは両手に持つヒートソードで親衛隊機を薙ぎ払い圧倒する。 ザクⅡF2型 親衛隊の主力機。 この時期においては高い水準の性能を持つが、大隊側の都市歩兵戦術の前に沈黙する。 本作のかませ役。 劇中ではガトリングシールド装備の機体も一瞬だけ登場。 ギガン 首都の親衛隊に配備されたまさかのレア機体。 登場と共に一瞬で撃破されるが短い雄姿を見せる。 ザクⅠ 瞬殺される。 ガルバルディα ペズン計画で開発された最新鋭機。 フィーリウスが搭乗し、ペズン計画の名に恥じない活躍を見せる。 平均3分で決着と言われるMS戦闘においてランス中佐のグフカスタムと30分間互角の激戦を繰り広げた。 劇中ではギャンと同型の大型ビームソードを装備。 リック・ドム バネッサとガイウスが搭乗するシールドランス装備のペズン計画仕様。 混乱する親衛隊をよそに阿吽の呼吸で大隊の進攻を押し戻したが、事態の悪化を見て出撃したランス中佐のグフカスタムに撃破される。 「レオポルド君…追記・修正の真髄をお見せする」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コリオリ効果とか気象管理とか、コロニーの人工環境をキッチリ描写してくれる創作は稀有 戦闘もMSも歩兵もめっちゃ好み -- 名無しさん (2014-02-19 08 03 32) ヴァイス・ローゼが強い。ノリスの音楽が似合いそう -- 名無しさん (2014-05-27 23 28 00) 事件の真相が陰謀論的だったのが残念。あとギレンは今回の一件をどこまで把握していたんだろうか? -- 名無しさん (2014-08-07 23 30 30) (続き)ギレン本人の登場シーンすら数えるほどしかなくて、「セシリア(ら総統府)の思惑」と「ギレン本人の思惑」の境界が(おそらく意図的に)曖昧になってるんだよね -- 名無しさん (2014-08-07 23 32 52) 終戦20周年記念ドラマっていう体裁なのか、ランス教官の設定とかで意図的にフィクション性を強めてるから大河ドラマに近いよね -- 名無しさん (2014-12-07 22 36 26) アンリ・シュレッサーがシャアの目附役とかしてたらその後の歴史は変わっただろうなぁ -- 名無しさん (2015-03-07 03 23 32) ミニマムな舞台に特濃の人物ドラマと妥協のない殺陣が合わさった空気は大河よりはむしろ金曜時代劇的 -- 名無しさん (2015-03-15 00 02 37) 実際の近代史でもこういう話があればおもしろい大河つくそうだけどなぁ -- 名無しさん (2015-03-15 00 14 04) 俺が今まで読んだガンダムの二次では一番の完成度だった -- 名無しさん (2015-06-22 06 46 16) 重工業などジオンが連邦と対立する為の基盤作りの話がよく出来てて面白かったな -- 名無しさん (2015-10-18 14 01 06) ↑3ヒトラー暗殺計画がモデルじゃなかったか? -- 名無しさん (2016-09-21 10 25 26) 首都防衛大隊と -- 名無しさん (2016-10-31 01 43 04) ↑誤送信 首都防衛大隊とリビング・デッド師団、同じ傷病兵部隊でも片っ方は儀仗兵でもう片っ方はデータ取りのモルモットと落差が激しいな -- 名無しさん (2016-10-31 01 56 32) でも、ギレンが『ちくしょうめ!』とか銀河万丈さん声で言う暗殺計画も見てみたかったよねw -- 名無しさん (2017-12-29 15 00 12) ギレン自身は「デイビットを話し相手やチェス相手にしてた」とかのむしろ穏やかな描写しかないんだよねこの話 -- 名無しさん (2018-02-02 18 15 10) 現役の議員を主人公とする話って時点で多少はね。 -- 名無しさん (2018-05-14 20 18 03) 終盤の首相と副首相の会話だとギレンは自身に反発していたジャーナリストを物の見事に懐柔してみせたとか言われててさすがIQ240は伊達じゃないと思った。 -- (2018-05-27 23 17 12) キレ散らかしたあとで決然と出撃するギレン親衛隊のデブのおっさん好き。読みの甘さと直情径行という難点はあったが、よくある傲慢なだけの俗物に終わらず、なかなかいい根性見せてくれた -- 名無しさん (2018-07-01 14 03 37) おっさんがカッコいい漫画は名作が多い -- 名無しさん (2019-04-12 06 17 08) ガンダム漫画なのにMSの活躍が極端に少なくて、でも最終巻のMSの描写が最高にかっこいい。読み始めは地味かと思うかもしれないけど、どうか最後まで読んでみてくれ -- 名無しさん (2021-08-10 17 54 37) OVAとかでアニメ化して欲しい -- 名無しさん (2021-09-02 06 00 06) この漫画の戦闘描写は本当に格好いい。ガンダム作品でトップクラスの描写だと思う。 -- 名無しさん (2022-05-04 10 17 05) Arkの作風が、美少女いっぱいでてくるけど同じくらい渋いおっさんが何人も出てきて政治から戦闘まで活躍するっていう珍しいタイプだからな -- 名無しさん (2023-10-31 15 31 14) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/55487.html
登録日:2024/01/07 (Sun) 01 01 23 更新日:2024/09/18 Wed 17 24 04NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 MA アイナ・サハリン アプサラス アプサラスII アプサラスIII アプサラス計画 カトキハジメ ガンダム ガンダムビルドファイターズ ギニアスの妄執が形になったようだ ギニアスの子供 ギニアス・サハリン ザク ジオン公国軍 モノアイ モビルアーマー ライバル機 ラスボス 一年戦争 何故かなかなか立たなかった項目 変態兵器 狂気の産物 移動砲台 第08MS小隊 鉄の子宮 頭上の悪魔 私の夢、受け取れぇぇぇ!! アプサラスとは、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の登場兵器。 型式番号:無し 所属:ジオン公国軍 設計者:ギニアス・サハリン 搭乗者:アイナ・サハリン、ギニアス・サハリン ●目次 【概要】アプサラス/アプサラスII アプサラスIII 【劇中での活躍】ガンダムビルドファイターズ 【ゲーム作品での活躍】『ガンダムブレイカー3』 『SDガンダムGジェネレーションシリーズ』 『ギレンの野望シリーズ』 『スーパーロボット大戦シリーズ』 『ターゲットインサイト』 【立体化】 【概要】 ジオン公国軍ギニアス・サハリン技術少将が設計した大型強襲用モビルアーマー。 ミノフスキー・クラフトを搭載したMAアプサラスを成層圏から地球連邦軍本部ジャブローに降下させ、大出力のメガ粒子砲による一撃で壊滅的打撃を与える「アプサラス計画」のために開発。 作中ではジオン公国公王デギン・ソド・ザビ直々に承認を受け、多大な支援を受けていた事が語られている。 武装は大型メガ粒子砲のみと他MAに比べシンプルに纏まっているが、本機は高高度からの特定拠点攻撃用として開発されている。 ギニアスの旧友であるジオン公国軍将校ユーリ・ケラーネに「高価なおもちゃ」呼ばわりされるほど現実的な計画でなく、夢物語と笑われようと仕方ない突飛な内容だが、自爆したアプサラスIIの残骸を解析した地球連邦軍はシミュレーションにより実現可能という結論に至り絶句した。 ジオン公国軍制MAの例に漏れず異形の姿をし、作中では飛行検証用のアプサラス、大型メガ粒子砲と飛行能力のマッチングを検証するアプサラスII、完成形であるアプサラスIIIの3機が登場。 特徴としてメインカメラはザク頭、ミノフスキー・クラフトにより巨大ながらも飛行能力を有し、II以降は胴体中心部に並外れた火力の大型メガ粒子砲が搭載。 ギニアスはジャブロー強襲用のMAとして開発しているが、その実態は没落したサハリン家復興と自身の妄執を実現するための道具に過ぎず、妹であるテストパイロットのアイナも例外ではなかった。 名前の由来はインド神話の水の精・アプサラスから。 アプサラス/アプサラスII ミノフスキー・クラフト搭載の飛行実験機として開発した1号機。 機体底面にミノフスキー・クラフトを1基搭載し、4本の棘のようなパーツを足代わりに着陸時のバランスを取っている。 陸戦型ガンダムの倍はある全高にもかかわらず素早い飛行能力を有し、アッザムに続き重力下で単独飛行可能なMAである。 しかしテスト機として戦闘は想定しておらず、武装は一切持ち合わせていない。 陸戦型ガンダムの180mmキャノンを寄せ付けない堅牢な装甲を誇るが、ビームサーベルでは融解してしまい、アプサラス共通の弱点としてビーム兵器への耐久性の低さは残り続ける。 ただし、媒体によってはミノフスキー・クラフトによる浮上中のみ機体底面は守られている描写も存在。 開発責任者のギニアスが幼少期の事故により日常生活すら投薬や他人の支援が必要なため、信頼の置ける妹のアイナがテストパイロットを請け負っているが、あくまで民間人としての参加でジオン公国軍に所属していない。 アプサラスIIは飛行実験をクリアしたアプサラスに主目的である拠点攻撃用の武装を搭載した2号機。 胴体中心部に大型メガ粒子砲を搭載し、これをもってジャブローの防衛線を壊滅するアプサラス計画を立てていた。 メガ粒子砲とミノフスキー・クラフトの同時使用は問題なく行えるものの、ジェネレーターに不安を抱えている。 シローの見立てによると装甲に対人兵器が内蔵されているが、アイナの性格上使用されることはなかった。 アプサラスIII バカな、愛など粘膜が作り出す幻想に過ぎん! 母様も、そうやって我らを捨てたのだ!! 可哀想に、だからこんな、鉄の子宮が必要だったのね アプサラスの完成形である3号機。 一人乗りであったアプサラスIIと異なりコクピットは複座式を採用し、出撃時にはパイロットのアイナに加え設計者のギニアスも乗り込んでいる。 アプサラスで集めた実験データをフィードバックし、ミノフスキー・クラフトを2基に増設、電力不足はジェネレーターをリック・ドム3機分搭載し解消、全高はアプサラスIIとそう変わらないが全幅は大幅に伸びている。 機体底面に格納している三脚を展開する事により姿勢制御は向上し、発射角の調整や姿勢が安定。 大型メガ粒子砲の威力は一撃で山に大穴を開けるほどに強化。 更に収束率を変えることでメガ粒子を拡散させ、対MS戦にも転用可能な代物となった。 アプサラスIIと同様に実弾兵器に対しては強力無比な装甲を持つが、Iフィールド等は一切搭載されていないためビーム兵器に対しての耐久性が低く、展開中に剥き出しとなったミノフスキー・クラフトや右肩の装甲部分がジム・スナイパーのビームライフルに一撃で破壊されている。 正式なデータが残っていないため詳細は不明だが、一説にはガンダム試作3号機デンドロビウムの砲身を合わせた全長140mを抜き144mとも言われ、一年戦争どころか宇宙世紀全MAでもトップ3に入るほど超巨大サイズ。 作中でアイナがアプサラスIIIを鉄の子宮と表現したように2基のミノフスキー・クラフト部分を卵巣に見立てる事もできるデザインであり、モチーフは女性器とされている。 かつてサハリン兄妹は母親に捨てられ、ギニアスの異常なマザーコンプレックスが機体にすら反映されていた事が仄めかされており、アプサラスIIIを「我が子」とした。 終盤のギニアスは病の進行により精神を病み、開発スタッフは劇薬まで投与され完成に漕ぎ着けたが、祝賀パーティーで全員を毒殺しアプサラスを独占。 余命幾許もない自身と母親への執着、没落したサハリン家の再興という夢が歪みきり、妄執がアプサラスIIIという形を成している。 【劇中での活躍】 ジオン公国軍の承認を受けギニアスが開発に着手し、妹のアイナをパイロットとしてミノフスキー・クラフトの飛行実験を開始。 作戦行動に入っていた地球連邦軍のシロー・アマダ率いる第08MS小隊に通信を傍受され存在を察知。 サハリン家に支える忠臣ノリス・パッカードのドップを救うためカレンの陸戦型ガンダムを体当たりで行動不能にし、ミノフスキー・クラフトによる衝撃波で周囲一帯を吹き飛ばす。 しかし、死神と呼ばれた自身の悪名を乗り越えたサンダースと第08MS小隊の奮闘で撤退に追い込まれた。 飛行能力が実証されたため新たに拠点攻撃用のメガ粒子砲を搭載したアプサラスIIに改造。 射撃場への飛行ルートがコジマ大隊に察知され、08小隊が偵察任務を担当。 飛行中を捕捉した08小隊と戦闘に入り、シローの陸戦型ガンダムと交戦中にお互いの正体がかつて宇宙で出会った敵側の兵士と知る。 陸戦型ガンダムと共に雪山に不時着し、アイナが機密保持のため機体を自爆させ爆散。 残骸は地球連邦軍が回収し、シミュレーションによりジャブロー陥落可能という結論を出した。 地球連邦軍のオデッサ作戦成功によりジオン公国軍将校のユーリが各地に散るジオン兵を一箇所に集め決戦の地である宇宙に上げるべく、ギニアスが管轄するアプサラス開発基地を再集結地点とし、アプサラス計画の中止をギレン・ザビに進言し命令が下される。 しかし、ギニアスはアイナの説得すら聞き入れず命令を無視して開発を継続し、計画中止を訴えたユーリを謀殺。 最終決戦では傷病人を乗せたザンジバル級機動巡洋艦ケルゲレン出航を望むアイナの意を汲んだノリスが命をかけて時間を稼ぎ、グフフライトタイプを護衛にアプサラスIIIが出撃。 アイナの決死の行動で地球連邦軍の指揮官イーサン・ライヤー大佐に(曖昧な口約束とはいえ)一時休戦を取り付けるが、 ギニアスは独断でメガ粒子砲を発射、連邦軍の前衛部隊を薙ぎ払い壊滅させる。 脱出中のケルゲレンはジム・スナイパーに報復として撃墜され、アイナは激情に囚われかけるがそこにシローのEz-8が登場、 狂気に取り憑かれた兄と決別したアイナはシローのEz-8に収容され、共にギニアス殺害もやむなしと判断。 さらに、背後に展開していたジム・スナイパー(ケルゲレンを撃墜したのとは別の機体)のビームライフルにより右肩部分を撃ち抜かれ、さらに間髪入れずに右側のミノフスキークラフトまで破壊されて、長距離飛行が不可能となり、ここに「ジャブロー攻略の夢」は断たれる。 その後はジム・スナイパーがEz-8を狙撃した隙を突いて再起動、ジム・スナイパーのコックピットを狙撃してこれを沈黙させると、片肺飛行で浮遊し連邦軍本陣に狙いを定める。 しかしとうとうEz-8に組み付かれ、コクピットを破壊されたアプサラスIIIはメガ粒子砲で連邦軍本陣を吹き飛ばしながら火山の底へ落下し爆散。 シローとアイナはアプサラスIIIの爆発に巻き込まれ共に消息不明となったが…。 ガンダムビルドファイターズ 第7話「世界の実力」に登場。 かつて世界選手権にも出場した地上げ屋である灼熱の辰こと辰造が使用。 アプサラスIIIにプラフスキー粒子を応用したIフィールドとアッザムリーダーが追加装備されている。 イオリ・セイ レイジのビルドガンダムmk-II、ヤサカ・マオのガンダムX魔王のタッグと対戦。 マオに世界レベル扱いされるほど完成度は高く、Iフィールドでビームライフルを全く受け付けず、大型メガ粒子砲でバトルフィールドを焼け野原にしアッザムリーダーで2機共に無力化。 プラフスキー粒子を応用し復活したガンダムX魔王のハイパーサテライトキャノンと互角に撃ち合い機能停止に追い込むも、剥き出しとなった装甲内部をビルドガンダムmk-IIに攻撃され撃破された。 【ゲーム作品での活躍】 『ガンダムブレイカー3』 ボスとしてアプサラスⅡが登場。 ウイングガンダムゼロのローリングバスターライフルばりに回転して広範囲を焼き払い、駒のような回転攻撃により機体を吹き飛ばしたり上空からボディプレスを仕掛けてきたりとアニメ本編よりもアグレッシブに描写されている。 『SDガンダムGジェネレーションシリーズ』 宇宙世紀対応シリーズであれば、大抵はⅡとⅢが登場する。 が、一年戦争時代のMAということで性能は低めで、武装も大型メガ粒子砲だけなので射程の穴も多く、あまりパッとしないことが多い。 一応Ⅲなら大型メガ粒子砲が収束と拡散の二種類で武装が水増しされている場合もあるが、基本的な微妙さは変わっていない。 空は当然飛べるが、宇宙には行けたり行けなかったり。 『アドバンス』では、アプサラスの兄弟機であるグロムリン・フォズィルが登場。 アプサラス同様ギニアスが設計開発を手掛け、アプサラス計画のデータがフィードバックされている。 ビグ・ザムのコンセプトを受け継いだGジェネオリジナルのMAグロムリンを内部に格納し、武装は頭部から放たれる大型メガ粒子砲のみだが、ア・バオア・クーを一撃で消し飛ばすほど威力が上昇している。 Iフィールド、デビルガンダムのアルティメット細胞まで取り入れ、アプサラスの致命的な弱点であった防御面がカバー。 ギニアスはアプサラスIIIと同様グロムリン・フォズィルも「我が子」と称している。 『ギレンの野望シリーズ』 ⅠからⅢまで登場。 ジオン公国でイベントで開発可能になる。また正統ジオンやテム・レイ編でも開発可能。 Ⅰは武装を持たないため空に浮かぶでかい的となっている。地味に索敵能力とミノフスキー粒子散布能力を持っているためデカいルッグン偵察機として後方支援に回すのも手、耐久がルッグン10に対してアプサラスは400もあり圧倒的な耐久力を誇るがペガサス級やガンタンクの集中砲火を受けるとあっさり落ちるので油断は禁物。一応Ⅱに改造もできるが解体して資源にしてしまってもいいかも。 Ⅱは空中移動適性を持ち砲撃用のメガ粒子砲をもつ。但しAIがMAP兵器持ちを警戒して射線をかわそうとするのでなかなか砲撃できない。ここまでは犠牲なしで開発可能。 問題は最終型のⅢで、Ⅱの発展強化型なのだがこれの開発にYESを選ぶとギニアスとノリスが死亡しアイナも行方不明になってしまう。独戦ではさらに開発に待ったをかけたユーリまで犠牲になってしまう。 魅力以外は平凡なアイナはともかく、戦闘も指揮もこなせるノリスや高い指揮を持つ将官のギニアスやユーリを喪うのはあまりに割に合わない(*1)。 逆に連邦軍でプレイするとアプサラスの開発を阻止する為の対応措置を取るかの選択を強いられるが、 この場合はシローの離脱と引き換えにジオン側の有力な士官を離脱させることができる。 シロー自身パイロットとしては耐久以外は平凡だし指揮と魅力は高めとはいってももっと高いキャラがいっぱいいるので、 相手のネームドを複数使用不能にすると考えるなら悪い取引ではない。 系譜ならシローの離脱は第一部だけで二部では復帰してくれるのでこちらがほとんど損しないお得イベントである。 更には放置しておくと完成したアプサラスにジャブローを攻撃されてしまうので、殆どの場合はきっちりギニアスに夢を諦めて貰う事になるだろう。 アクシズの脅威からは新たに加わったゼーゴックがバランスブレイカー級の使い勝手の良さを発揮してしまったためさらに肩身が狭くなった。 ゼーゴックのほうはゼーゴックのほうでヴェルナー・ホルバインとの選択形式なのだが ホルバインの能力が魅力が一回り低くなったアイナ程度しかない。 ゼーゴックは宇宙でも空中でも使用可能 コストはアプサラスⅡと同程度・しかもゼーゴックはズゴックからの改造で現場でお手軽に調達できる 変形機構を利用することで空戦モードと砲撃モードを使い分けることができ、これにより相手AIの目をごまかすことができる 等など、コスト面でも地形的製でも戦いやすさでも上回るというギニアス涙目状態となってしまった。 一番泣きたいのはVery Easyスタートでもない限り見殺しにされるホルバインでは?それともギニアスやデュバルと違い自分が関わった機体が量産されて満足しながら逝くのだろうか? 『スーパーロボット大戦シリーズ』 パイロットの都合からか、多くのタイトルでアプサラスIIが味方機として入手できる。 実はスパロボ時空ではアプサラス計画の有用性が認められていることが多く、予算も多く貰えている描写が多い。アプサラスの活動範囲もラサ周辺に留まらず、念願のジャブロー攻略に参加することが殆ど。スーパーロボットも多い世界観なので分かる話だが。 そのため、ギニアスも原作と比べると狂気の度合いが弱いことがある。アイナやノリスにとってもそのほうが幸せだろう。 初登場の『64』ではいるだけ参戦ながら、アイナと共に自軍入り可能。入手が早い・改造効率が良い・攻撃力の伸びが良いと何拍子も揃った強ユニット。飛行可能な点も重宝。 武器の数が少なく移動後に使用できないという点を差し引いても強く、補強の為の強化パーツを回す意義はある。 『A』や『COMPACT2・IMPACT』においても同等の使い勝手を誇る。大出力のメガ粒子砲がMAP兵器として使える点も見逃せない。 IIIの方はボスや終盤の雑魚として登場し、IIの弱点である移動後攻撃の欠如を拡散メガ粒子砲で補っている。 さざなみ系統のスーパーロボット大戦GC・スーパーロボット大戦Operation Extendでは序盤の山場の一つであるジャブロー面にアプサラスIIIが登場し、本当に強襲計画を実現してくる。 部位が少なく無力化までが早い・武装がビームばかりで水地形には手も足も出ないなどの弱点があるものの、OEではその辺に頼れないのでなかなかの強敵として立ちはだかる。 そのGC移植版のXOではなんと合体攻撃持ち。もちろん相方はシロー搭乗のEz-8。 アムロとララァ、クリスとバーニィ、カミーユとフォウも合体してイチャつきながら敵を墜としていく本作はファイアーエムブレムのよう。ジュドーとルーとエルは修羅場ってるが。 反動でもあるまいが、その後のOEではアイナはアプサラスに乗らず顔出しすらなく退場させられる。(ララァやフォウは名前すら出ない。) 替わりにギニアスがまともな元気さで少し長生きしつつ、アプサラスIIIの予告マップ兵器で暴れてくれる。ジャブローは崩せないものの寝返られもせず、一番真っ当なアプサラス&ギニアスかもしれない。 『ターゲットインサイト』 連邦軍サイドの中盤にて出現するアプサラスⅡ迎撃任務で登場。ミッション名はズバリ『頭上の悪魔』であり、08小隊からのゲスト的な投入であることがうかがえる。 浮遊しながら拡散メガ粒子砲を放ってくるが、弾速がイマイチなので余程アクションが下手でもなければ当たる心配は無い。ただ当たると ただ問題なのがその異様なまでの耐久性と取り巻きの連中。 耐久性に関しては連邦サイドで最高峰の性能を誇り、尚且つフル改造のガンダムのビームライフルとバルカンの一斉射をもってしても中々落ちない。 一周目は精々ジム・コマンドやEz-8がやっと手元に来る辺りなので、なけなしのビーム兵器やマシンガンで文字通り銃身が焼け付くまで撃ち続ける必要がある。 取り巻きの連中は貴重な補給所を潰しに掛かり、機体によっては弾が足りなくなりむざむざ逃げるのを指を咥えて見るしか無くなるので要注意。 一定ダメージを与えると墜落などはせず撤退していく。08小隊のストーリに配慮したのたろうか? 【立体化】 巨大MAという設定上の制約からとてつもない大きさのプラモが発売された事は無いが、それでも何度か立体化はされている。 HGでは、HGジム・スナイパーの付属品として1/1200のアプサラスⅢが付いてくる。 大きさは同ジム・スナイパーのロングレンジ・ビームライフルとほぼ同じくらいだが、やたら造形が良く当時のスタッフの執念を感じる一品。 B-CLUBからは1/330のレジンキットが発売。こちらはⅡとⅢでそれぞれ発売している。 上記のものと比べてかなりスケールアップし、全長は平均的なHG本体と同サイズで奥行や横幅で勝る。 面白い…一度見てみたいと思っていたのだ、追記、修正とやらをな △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ガンダムでは珍しい、試作段階が描かれた上に完成まで辿り着いた戦略兵器だけど、舞台装置としての趣が強いよね -- 名無しさん (2024-01-07 01 09 23) こいつがちゃんと正式採用されてればジオン勝ったろうな -- 名無しさん (2024-01-07 02 23 22) ミノフスキークラフトが対応するのは卵巣ではなかろうか? -- 名無しさん (2024-01-07 04 32 20) アクションゲームだと三脚展開して割と地上に張り付きな3に比べて高高度を縦横無尽に飛び回り射角外からメガ粒子砲を雨あられとブチまけてくる2の方が大体強いのは内緒だ! -- 名無しさん (2024-01-07 06 32 41) こいつを完成させ、ビグ・ザムを量産化させ、ゼーゴックをしこたま投入すればジャブローなど余裕で壊滅させられてただろう -- 名無しさん (2024-01-07 08 59 29) 暗く重すぎる曇らせ展開で悪名高い小説版だが、小説版では「メガ粒子砲の拡散放射にこそギニアスが幼少期の事故以来真に実現したかった理由があった」「シローが映像作品を愛好していたことにより、メガ粒子砲の拡散放射を応用することにより『誰も傷付けず傷付けさせず、”遺恨を生まない”』方法でケルゲレンを負傷兵共々脱出させることに成功する」という展開になってたりもする。 -- 名無しさん (2024-01-07 09 06 44) スパロボだと水中の相手に手も足も出なくて可哀そうな機体 -- 名無しさん (2024-01-07 10 00 22) 3が完成形かつ鉄の子宮と言われてると、1や2のデカくて丸っこい形が妊娠後期というか臨月の子宮に見えてくる -- 名無しさん (2024-01-07 13 17 40) 実在の兵器だとB-29とか戦略爆撃機が近いんかねぇ。宇宙空間から突っ込んでくる爆撃兵器とか考えたくもねぇ -- 名無しさん (2024-01-07 13 20 02) Ⅱは無印ブレイカーにも出ているぞ -- 名無しさん (2024-01-07 14 11 41) 原作ではジャブロー攻撃できず ゲーム作品などでは実現してるが -- 名無しさん (2024-01-07 14 20 48) カプセルファイターだとⅠは毒饅頭なんて呼ばれてたな -- 名無しさん (2024-01-07 15 37 17) ガンダムバトルユニバースではミノフスキークラフトの部分でぶん殴るという腹筋崩壊待った無しの格闘があるwwwwwwwwww -- 名無しさん (2024-01-07 19 32 38) 小説版08小隊で世界一でっけえプロジェクターにされたアプサラスすき -- 名無しさん (2024-01-07 20 13 31) ザク頭の巨大MAアプサラス vs ガンダム頭の巨大機体デンドロビウム…レディ、ゴー!! -- 名無しさん (2024-01-07 20 37 50) ↑急ピッチで造ったライノサラスが飛び入り参加や -- 名無しさん (2024-01-07 20 54 27) 戦士たちの軌跡はアプサラス2で暴れ回ることができるぞ -- 名無しさん (2024-01-08 10 01 14) GBAのゲームギニアスがラスボスのでこいつを改良したグリムリンって出てきたな -- 名無しさん (2024-01-08 17 08 22) 2024-01-07 13 20 02 ガンダムファクトファイルか何かでは「MA版ICBM」って評されてた -- 名無しさん (2024-01-09 10 08 10) ワンダースワン版ギレンの野望だと最後まで中断せず開発支援すればギニアス、アイナ、ノリス全員生存した上でアプサラス完成させ、サハリン家復興の手回しも主人公(ガルマorマ・クベ)に約束してもらえる。 -- 名無しさん (2024-02-22 01 10 01) どう考えても山破壊がおかしすぎる200年後のMAですとか言われても信じるわ -- 名無しさん (2024-06-11 11 17 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/truexxxx/pages/198.html
FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】② ◆0zvBiGoI0k 「あ、ぐ、ぁ───────────!?」 広大な自衛隊基地の敷地で、遠くに聞こえる戦闘の余波をかき消す悲鳴が上がった。 「姐切!? おいどうした!?」 「わかんねえ、急に、目が……!」 腫れた右目に手を当て、立っていられなくなった姉切が其の場に蹲る。 それまで鈍痛で済んでいたのが、急に焼きごてでも当てられたかのような熱さと痛みを訴えてきた。 走ろうとする意識が、体内の命令系統が痛みの一言で埋め尽くされ、身動きが取れない。 「……見せてくれ」 「永井、お前わかるのか?」 「ただの医者志望の高校生程度の知識だけどな!」 圭は膝を折って姐切の容態を窺う。 足踏みも言い争いしてる時間もない。せめてどういう状態になってるくらいかの情報がなければ先に進めようがない。 「……なんだよ、これ」 顔を隠す姐切の手をどかした圭が、うめきを漏らした。 亜人になって以降、人の死に様はかなり見てきたり体験したが、こんなかたちは流石に初めてだ。 腫れや化膿の症状とはまったく違う『変化』だった。 「蛇の、鱗……?」 いつの間にこうなったのか。少なくとも出会った当初はこんな目立つ形ではなかったはずだ。 姐切の眼窩の窪みを中心にして、皮膚が鱗状に角質化していた。 ささくれだった鱗が、触れてないのにかさかさと揺れ動いている。 変貌を遂げているのは皮膚だけでなく、奥の眼球もだ。いわゆる有鱗目の属する、爬虫類じみた縦長の瞳孔が圭を睨み付けている。 眼は、悶える姐切の意識を無視して、別の生き物であるかのように圭は見ていた。 それはさながら、獲物を見つけた捕食者を見る眼で。 諺のまま金縛りにかかって動けなくなる。蛇は顎を大きく開き、嚥下した圭がこなれるまでゆっくりと腹の中で溶かして─── 「傷病者ですか?」 異常な症状に対処が思いつかないまま硬直していた時を動かしたのは、突如聞こえた女の声。 赤い軍服。つかつかと靴音を鳴らす緋色の意志。呑まれかけていた圭を引き戻す程、見る者の目を奪う鮮烈な印象。 二人といない劇濃の特徴を持つ人物は、一足先に自衛隊基地で治療活動を開始していた英霊ナイチンゲールに相違なかった。 「だ……誰あんた?」 「巡回中の看護師です。それより傷を負った者がいるのですね? すぐに見せてください。一分一秒の迅速な応急手当てこそが救命措置においてもっとも重要です」 口で理念を語りながら、手はとうに実践の為の工程に着手していた。 誰に言っているかわからない発言の威に、周りの面々は後ずさりして道を譲る他なかった。 そこに傷ついた人がいるかどうか。バーサーカーとしての彼女の焦点はそこに固定されている。 工藤達の素性も、基地内に入った目的も、無視して飛ばす要項でしかない。 苦しむ姐切を介抱し、淀みのない熟練にしか出せない手つきで患部を観察する。 「これは───切除ですね。間違いありません」 どこからともなくメスを取り出して、看護師は早々にそんな結論を口にした。 「目の腫れに激しい湿疹。感染症の恐れがあります。進行具合からして患部に根深く食い込んでいる。これはもう切除する他ありません」 「おいおい、おいおいおい。いきなり切るとか何言っちゃってんのこの人。ヤバイの? そいつにかかってる呪いを解かなくちゃさ……」 冷静、かつ物騒な処置を言い出したナイチンゲールに食ってかかる工藤。 姐切の心配をしてるわけじゃない。通常の医療で収まる範囲の霊障だと教えてあげようという彼らしからぬ親切心からだ。 「呪い? 何を言っているのですか? 今はオカルトではなく医療の話をしてるのですが」 「いやだからさ、この子は、蛇女に、呪われてんの! 日本語通じてる? 海外じゃ、あーあれだメデューサとかいやわかるの?」 だがそれが逆にナイチンゲールの逆鱗に触れた。 「妄言を吐くのも大概にしなさい。呪いで人が死ぬわけないでしょう」 「は!? はああー!? なんだとこの牛乳女ぁ! 人が親切に教えてやってんのによぉ!」 「あー工藤さんストップ、今は抑えてくれここで騒いでも話がこじれちまうから!」 そして工藤も逆ギレした。 無意味な諍いで浪費してる時間は無いというのに。言い出しっぺの工藤がこのザマである。 当初の目的もすっぽり抜け落ちて、鬼の形相で拳を振りかぶって殴りかからんとする工藤を、善吉が後ろから羽交い締めにして制する。 「げ、ヤッベ……っ!」 そんな愚行を咎めるように、アスファルトを切りつけるタイヤと剣戟が敷地内に鳴り響く。 煉獄達が押し留めていた人斬り武者が、遂に抑え切れず敷地内に入ってきた音だった。 その音にナイチンゲールも首を向ける。今は点でしか見えない武者を確かに捉えて、眼光を鋭くし。 「……む、貴方がたも要救護対象でしたか。ならばここでは治療の妨げになりかねませんね。 幸いにも優秀な助手が出来たところです。手分けして両面から根治させましょう」 生を連れ去り、死を持ち運ぶ源はすなわち病である。 であれば、病から人を救う看護師が立ち向かうのは道理。 まだ救命の見込みがある者と、今すぐにでもここにいる全員を殺してのける者とを秤にかけ、速やかにトリアージをつける。 鋼の白衣が鬼という病の駆逐に戦線に加わるべく駆けて行く。 少しだが。風向きがよくなった。 想定とは違うが、助勢を得るという工藤の目論見はここに叶うことになった。 医療に通じた看護師という、これ以上なり求めていた人材にも出会えて。姉切にも治療の目処が立ってくる。 「これで……」 なんとかなるか、と誰かが漏らしたその、直後。 悲鳴にも似た高音が、全員の耳朶を叩いて揺らした。 「うお……!? なんだこの音、お前ら聞こえてる?」 「工藤さんも聞こえるんすか? なんていうか、こう、ガラスを爪で引っかいたみたいなイヤな音が……?」 「みんなに聞こえてる、のか? 鼓膜の異常だけじゃ説明がつかないぞ……」 ただの耳鳴りにしては不気味な響き。それが全員に等しく伝わってる事に困惑が広まる。 ざわ、と辺りで音がした気がした。 それは本当に錯覚だが、全員が共有した感覚だった。 耳障りな不協和音が響き続け、すぐでにも黙らせたいのに、そうすることができない。 状況は変化し、恐ろしい脅威はすぐそこまで迫り、一刻の猶予もないのに、誰も動こうとはしない。 時間が停まってしまったのかと思うほどの、それは不気味な静寂だった。音が聞こえる者だけが、世界から切り離され孤立していた。 「く、工藤さん……」 最初に気づいたのは前園だった。そして時間が再び動き出す。 慇懃さの失せた驚愕に染まった顔でひとつの場所を指さす。そこはコンビニエンスストアだ。 2エリア分の敷地を占める基地にはこうした商業施設までも設置されている。 その再現であるコンビニの壁、鏡張りになっている鏡面の中に───────いた。 「へ、蛇女…っ!」 今度ははっきりと輪郭を顕にしていた。 異端の長髪。時代錯誤な着物。頭頂に生えた二つ角。眼は血走り、脚ではなくのたうつ尾が見えている。 見れば誰もが疑わぬ蛇女そのものの姿が鏡には映っていた。 「うおおおっしゃあ! また出やがったなバケモン! ……あれ?」 突如出現したターゲットを見たことで興奮を取り戻す工藤。 デイパックから髪飾り入りの袋を取り出して再度捕獲に乗り出そうとしたが、振り向いた方角に、何故か蛇女の姿はなかった。 「いねえ、いねえぞコイツ!?、そこに映ってるのにどこにもいねえ!」 どこに目を向けても、倒れる姉切、前園達の他には無人の路地が広がるのみで、怪物は影ひとつ見当たらない。 改めて鏡を見れば、なおも変わらず怪物はそこにいて禍々しい眼で睨めつけている。 「まさかこいつ……鏡の中に……?」 誰もが有り得ないと思いつつも、思わずにはいられなかった想像を口にした、その瞬間。 ばん!と、音がした。 衝戟でコンビニ全体が震え出す。怪物が両手を壁に激しく叩きつけて生まれた音だ。 いや……工藤達からの視点ではそう見えるが、怪物は鏡像の中にしかいない。 ならば怪物側からすれば、今のは『扉』の外にいる工藤達に狂ったような動作で飛びかかろうとした動作だ。 怪物は『扉』を叩き続ける。何度も、何度も。コンビニは全体が激しく揺れ、今にも倒壊しそうだ。 それでも破れないことに業を煮やすように、怪物は手をぴたりと『扉』に張り付ける。 押し付けられた掌が指紋までもくっきりと見えるほど。 そのまま指をついと離し、しかし唯一離れず壁に垂直に立てた爪を、割れんばかりの勢いで思い切り手をずり下ろした。 「~~~~~~~~~~~!」 身の毛もよだつ、金切り声の如き音が鳴った。 それは、怪物が現れる直前に聞いたあの高音と同じ音であり、怪物が外に出ようとして『扉』を引っ掻いていた音だったのだと全員は把握した。 先程からずっと流れて、急速に密度を濃くしていった異様な空気は、ここでひとつの臨界を迎えた。 「ア─────────あああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」 「姉切!?」 耳を劈く、身が竦むほどの絶叫。 横臥していた姉切の片目が突如大きく見開かれ、そして口が壊れたように開かれて─── その蒼白な顔は一瞬にして凄まじい恐怖の色に彩られ、凄まじい悲鳴が迸り出た。 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ─────!!!」 悲鳴は終わらない。 人間が許容する肺活量をとっくに越えた声量声音はサイレンにも似て、基地内全てにくまなく行き渡っていきそうなほど深く響いた。 そのサイレンが呼び水となったのか、コンビニはおろか周囲のあらゆる建造物が土台から震動する。 鏡の中の怪物が笑う。 そして─── ◆ ───また誰もいなくなっちゃった……。 ひとり、救護室で取り残されたかぐやはぽつねんと途方に暮れていた。 かぐや以外、集まっていた同行者は既に部屋を出ていた。 義勇が婦長ことナイチンゲールに延々と質問責めされてる最中に、「ちょっと野暮用があるわ」と気づかれないようにこっそりと雅貴が部屋を抜け出し。 「巡回活動に入ります」と一通りの処置を済ませたナイチンゲールが、かぐやに細かいを指示を下した後去ってしまい。 最後に残った義勇も「鬼の気配がする。お前は残っていろ」と言葉短く早々に出てしまっていた。 ───いや、この人もいるけど。まだ眠ってるし……。 ベッドですやすやと寝息を立てている女剣士───新免武蔵を横目で見やる。 ここに担ぎ運ばれた頃は危篤寸前の重態だったが、ナイチンゲールが八方手を尽くしたおかげで、一命は取りとめていた。 今では寝言でうどんだ美少年だかと零すぐらいだ。とても腕一本を斬り落とされた後の容態とは思えない。 武蔵の名前も素性も預かり知らないかぐやだが、藤原書記並に図太い人物なんだろうなと勝手に決めつけた。煩悩の深さや、体型とかで。 先程の光景を脳裏に浮かべてかぐやの顔が青ざめる。未だ自分のデイパックで彼女のナマ腕が埋まったままだったのを思い出してしまった。 今すぐ捨ててしまいたくて仕方ないが、その為に手を突っ込んで探り当てる気にもなれずひっつけたままにしてしまっている。 持っていてと言われたがこんなのどうしろっていうのか。投げつけて餌にすれとでもいうのだろうか。 ───いけないいけない。こんな時こそルーティーンルーティーン……。無駄に消耗してはいけないわ。 心を落ち着かせつつ、かぐやの思考は緩やかに正常な方向に回り始める。 生徒会のはっちゃけた日々で行為が暴走する気が増えてきているかぐやだが、基盤は酷薄に理性を回せる人間だ。 あの暖かい生活が戻ることがない今、どうすることが求められるか、必要とされる優先事項かを測れる精神状態にある。 現況、かぐやはひとりではあるが、危険ではない。 いや……かなり危ないわと思える人は多少いるが、少なくともかぐやや白銀御行を害する相手ではないぐらいの判断はつけられている。 その思考も殺し合いに反抗するスタンスであり、かぐやの未知の知識、何より力がある点は頼りになる。 ならばかぐやが取るべき行動はひとつに絞られる。余程の事がなければ同行するのが最良。最低でもパイプは維持しておくべきだ。 自己の生存だけでなく、それが白銀御行の早期発見と保護に直結する。 故にこそ今は静養し、体力と精神の回復に努める。 疲ればかりが募る展開だった時間の中で、漸く訪れた休息だ。配分の見誤りは生死を分かつ。 今後これだけ条件で休める保証はない。パフォーマンス維持の観点からも正しい。 「……」 せわしなく足を組み替えてはそわそわと辺りに目を泳がしたりと、落ち着きがない。 すぐにでも飛び出して会長を探したい思いに囚われている。 無謀で徒労だと、そう存分に弁えた上で、それでもと逸る気持ちを、かぐやは押さえ切れてはいなかった。 そうなる理由は自分で把握できている。だからこそ厄介であった。 「ひとりぼっち……かぁ」 自分はこんなに弱い人間だっただろうか。 暴力と血の死の渦巻く世界に突然置かれれば一般人としては当然の反応だが、自分自身ではそう思い込めない。 ……本当は分かってる。始めから、自分は弱い人間だったと。 嫌われるのが恐くて、傷つけるのが恐かったから最初から遠ざけた。 臆病だから他人を嫌悪し、見下し、侮蔑し、猜疑し、排他して、そんな自分が嫌いで、けど誰もが踏み出す一歩を踏み出せない。 自分は優秀であっても強くなくて。弱さを武器にしてしまう女だった。 華やかな生活を送りながら、ずっと全てを疑いながら翳り生きていくしかない。 だからこそ、そうではない人を尊く思う。 貧しくても。恵まれなくても。腐らず、僻まず、前に進もうとする人を愛しく思う。 頭上に煌めく月ではなくて、路傍に転がる石にこそ心を照らして欲しかった。 そうなりたいと思わせてくれたのは。 いらないものとして捨てた良心(もの)を掘り出して、おっかなびっくりにでも前に進みたくなったのは。 紛れもなく疑いなく、閉じていた扉の先から光を見せてくれた───── 「……!?」 物思いトリップに耽っていた精神が、慌ただしい物音で引き戻された。 救護室の扉が開かれはしなかった。ただ扉の前を走って通り過ぎただけらしい。 「……会長?」 根拠のない妄言は、何故だか否定しきれない色が混じっていた。 どうしてそう思ったのか。ただ直前まで彼のことを考えていただけで、その妄想の延長ではないのかと自問自答する。 まさか足音だけで会長であるかを判別できるまでに極まってしまったのか?それは流石にドン引きものでは?いやその程度は容易に見極められてこそ妻ではないのか。誰が妻よ! 「……」 混乱する脳内議論をよそに、体は正直だった。 おそるおそる、念の為荷物を持って扉の外を窺い、走り去った音の方角へ向かう。 四宮の家でも流石に目にしない重厚な銃器の感触が精神を補強した。あるいは狂気を加速しているのかもしれない。 足音を出さないよう、注意を払って廊下を進む。十歩分進んだのか、それとも百なのかも曖昧になる緊張した空気が満ちていく。 そして、かぐやは見つけた。 窓はなく電灯が行き届かず仄暗くなった廊下の窪みで、肩で息を切らす後ろ姿。金の髪に、黒の制服。 「会長!」 その背格好を見間違えるはずがない。 隣立つ位置から網膜に焼き付くほど見てきた白金御行の後ろ姿だ。たとえ百万の群衆からでも見分けられる自信がある。 立ち込めていた不安はかき消えて、再会できた喜びと安心感が脳髄を包んでいく。 「よかった……無事だったんですね……! わたし、ずっと不安で……」 普段生徒会に晒している、凛としたかぐやの態度からは多少乖離した弱々しさかもしれない、とどこかで思う。 けれど、それを包み隠せるだけの余裕は今のかぐやには保てはしない。 疲弊した心身を支える拠り所だった白銀と会ったことで一時的に普段のペルソナが剥がれ、幼い面のかぐや───いわゆる(アホ)状態に以降しかけていた。 「ん…………………ああ、ああそうか。そうだよな。もうすぐ、言えるんだったよな。ならいいか、うん」 呼びかけられて振り返った白銀は、どこか上の空なままにかぐやを呆と見つめ。 「ああ。俺も、お前にずっと会いたかったよ」 「──────!」 かぐやの心臓に、稲妻が直撃したかの如き電撃と熱が走る。 顔が熱い。手汗が凄い。羞恥と多幸感がブレンドされた脳がシェイクされていく。 言葉の通り安心を確かめただけにしても、実にストレートな告白の響きに心臓の鼓動は早まるばかり。 これはもう、一日に摂取できるハッピーの量を越えてしまっている。 日々更新されていく胸キュンワードで早くもトップ3まで昇り詰めていた。 「そ、そそそうだ会長、制服もそんなにボロボロで、ひょっとして怪我をしているんですか? たいへんです急いで救護室へ行かないと!。 さっきちょうど通りがかった看護師さんから看護実習を受けましたので処方はバッチリです。疚しい気持ちなんてこれっぽっちもありませんのでさあ早く上着をこちらへ───」 「ん? ああ、大したことはない。ちょっとヘマをしただけだ。今の俺なら心配いらないさ」 「そう、ですか」 にべもなく拒否されて、ちょっとシュンとなる。 でもこんな状況でもクールさを失わないのは流石だと惚れ直す。 それにしても───今日の会長は雰囲気が違って見える。 所々擦り切れて破れた制服は、生徒会長らしい模範的な着こなし方とは違うギャップがあっていい。 長袖でわかりづらいが少し筋肉質っぽくて、ワイルドみが増している気がする。 特にいつも以上に濃くなった目の隈が素敵だった。一度徹夜したのを介抱した時よりさらに深刻になっていて、目も真っ赤に充血している。 ───ああ……やっぱり無理してるんですね。私の前だからって格好つけるなんて本当に……もう。 見た目が好みストライク過ぎて、一周回って逆にクールダウンしたかぐやの思考が落ち着きを取り戻し始めた。 会長に会えたことは心から嬉しい。 こんな非現実的な状況でもいつもの生徒会長らしく振る舞っているのにも、誇らしさと可愛らしさが同居してむず痒くなる。 けれども、それなら自分ぐらいには、少しぐらい弱気を見せてくれたっていいのに。 それぐらいの信頼関係は構築できてると思っていたのに自惚れていたのかと、我侭とわかっていても不満をこぼしたくなる。 「ああ、それに俺はとても気分がいいんだ。ようやく、お前と隣に立てる力を手に入れられたんだからな、■■」 「会長?」 違和感が生じたのは、そこが始まりだった。 会長の口調はどこか浮ついてるというか、高揚してるというか、地に足が着いてないようだった。 飲酒?まさか。ただ近似した記憶が蘇る。これと同じような振る舞いをした人物を、かぐやは知っている。 けどそれは有り得ない。会長はそんな態度を取ったことはないし、取るような人柄ではなかった。 だって、かぐやが見ている白銀の在り方は。 酒に酔い。権力に酔い。 自分で得たわけでもないものを何か見当違いをして振りかざして悦に浸る、四宮家の会合で見てきた醜い大人達、そのものだったから。 「勿論、今のままじゃまだ駄目だ。実際に■■の隣に立つにはまだ俺は強くない。恥ずかしい限りだが腹が減って仕方ないんだ。空腹なんて慣れてるのにな。 思えばそれがよくなかったんだな。強くなりたくば喰らえ。その通りだよ。人を食べるほど俺はどんどん強くなれる」 拭えぬ違和感は歪みになり、修復できぬ亀裂を生み出していく。 会長はかぐやを見ていない。 誰かがいることは見えていても、現実の目に見えてはいなかった。 男はただ、目の前のかぐやから虚像を投影して、何か自分に都合のいい独り芝居をしているに過ぎない。 「ああ、すまないな■■。だからもう少し待っていてくれ。 俺はもうすぐそっちに行く。お前の隣に立つのに相応しい、いや■■以上の男になる。誰もが俺を認めざるを得なくなり、見下せなくなる存在に」 亀裂は止まず、かぐやの信じた世界を崩落させていく。 断崖の端に立たされたに等しい恐怖に駆られたかぐやは、それでも白銀に呼びかける。 これは悪い冗談だと。藁にもすがる思いで。 「かい、ちょ?」 声は、震えていた。 恋も愛も、何も内に宿らないがらんどう。 余りに空虚で、空気が漏れただけのか細い音でしかなかった。 棒立ちする女を見て、男は愛おしそうに笑みを形作る。 獲物を前に舌舐めずりする、それは獣(ケダモノ)の貌だった。 「ほら───目の前に、ちょうどいい女(えさ)がいるんだ」 振り下ろされる狂気。 細い首が爪に裂かれて、熱い鮮血を散らす。 「ギャッ!」 その寸前。 かぐやの影から躍り出た、より濃く黒い影が爪ごと鬼を弾き飛ばす。 「え? なに?」 知覚外で起きた攻防にかぐやは追いつけない。 予想外の攻撃に落とした手荷物も気に留めず踵を返し撤退した白銀にも、潜めし影より再び消えた影にも。 「え?」 何よりも、いま自分は、誰に、何をされようとしたのか。その認識にすら届いていない。 無意識に起きた光景を拒絶し、解答の消えた疑問に硬直するしかないかぐや。 そして─── ◆ 蝶の如く舞う。 超の如く踊る。 一匹のケモノが宙で雀躍と跳び跳ねる。 クラゲアマゾンの攻撃は単調だった。 背面からの伸びる触手を飛ばし、突くか払うか搦め捕るかのいずれかをする。 速度と手数こそ脅威だが、本体の動きは亀のように鈍く、緩慢だ。思考パターンも機械的で多彩な戦術を練りもしない、ひたすら原始的な攻撃しかしてこない。 保有能力のみを評価すれば、鬼とは呼ぶべくもない、虫と呼ぶべき存在だ。 だがその速度と手数が一際図抜ければ、それは恐るべき脅威となる。 オリジナルと呼ばれるアマゾン。その危険性は溶原性細胞のみならず、個体そのものの戦闘力の高さにある。 最も完成されたアマゾンである水澤悠ですら、このアマゾンを前に一度の有効打も与えられないまま敗北したのだ。 傍に守るべき者がいた点を考慮しても、一個体が持つには危険過ぎる性能である事が覆らない。 穿通力、切断力、共に優れた触手を、見る者が羽と錯覚するほどの量を飛ばす。 それだけで十分だった。圧倒的な速度と手数。これさえ揃っていれば、敵を殲滅するのに不足するものはない。 興奮したピラニアの魚群に飲まれるようなものだ。人もアマゾンも、誰一人別け隔てなく飲み込む。穿ち、刻み、裂き、千切られるのみ。 ではその透明な殺意の射程から尽く逃れられるのは、猿(ましら)の芸当か。 いいや。宙を舞うのは尻の赤い猿に非ず。軽やかに、流麗に、翼なき身には仰ぎ見るしか許されぬ領域を我が物顔で占有するは、蝶と見紛う美体であった。 現人鬼・波裸羅、この地にて初めての本格的な闘い。 初めて見えた、少年勝次の時の戯れとは違う。 決闘を見物した、剣士武蔵の時の試しとは違う。 摘まみ食いとはいえ手心はない、ガチの気構えだった。 自らの五体を余す事なく躍動させる昂り、心に惹かれるままに振るわれる殺戮武芸。 そうして手折った花の実を全身に浴び、恍惚に破顔してみせる。 触手が捉えられぬ飛空の種は足場。 地面、塀、電柱、屋根、あらゆる障害物を足蹴にし、接地面が割れるほど力を込めて上に押し出す事で可能とした。 慶安とはまるで違う町並みにも慣れ、勝手の違う感触に煩わされもしない。 前後左右のみならず上下と移動域を増やす事で触手を散らす事で、被害を最小限に抑えていた。 そう、最小限。 初めての化粧で紅を塗りたくったように血に濡れた顔も、はだけた袴から覗く乳房や四肢に通った赤線も。 波裸羅の体は銘刀同田貫でも骨にまで届かぬほど強靭だ。この程度は軽傷。むしろ戦に相応しい化粧であるともいえよう。 にたりと、波裸羅が笑う。 今度は避けもせず、降りかかる肉の槍衾の中を恐るるに足らずと掻き分けて前進する。 如何に高速で数が多いとはいえ、こうも乱発すれば目も慣れる。 波裸羅ならばさらにその先、その身であえて受け続ける事で肌感覚で軌道を読む事まで可能になる。 檻の肉格子を抜け、遂に本体に迫り旋脚を見舞う。 「ぐふ!」 幾重に固まった触手の繭に弾かれて、波裸羅の体が吹き飛ばされた。 クラゲアマゾンに届いたのは血反吐の飛沫のみで、詰めた間合いを離され、振り出しに戻された。 「強いな、海月(くらげ)」 両腕をだらりと下ろし、血の混ざる涎を垂らして、やはり波裸羅は笑みを崩さない。 散り際に微笑まぬ者は生まれ変われないと知るような、おぞましくも狂おしい笑みだった。 「だが勃たんぞ。凶剣(まがつるぎ)を昂らせない戦いぶりで、波裸羅を殺せると思うたか!」 列挙すれば確かにクラゲアマゾンは『強い』と評価するに相応しい猛者だ。 しかしそこには華がない。慧漏(えろさ)が足りない。 色も感情も介さぬ虫相手と張り合って何になろう。純粋たる命の奪い合いにも美はあろうが、人と鬼の戦いはそうはならない。 骨肉をぶち撒け、五臓六腑を噴き出しても、波裸羅の戦いは『華』でなければならない。 「身持ちの固い赤貝の殻、そろそろこじ開けてくれようか」 破れた袴がずれていよいよ裸身間際になった懐から刀を抜き取る。 刀身の半ばが折れた日輪刀。宮本武蔵から譲り受けたそれは敵を斬る為の武器に非ず。之こそは、無双化身忍法の極意也。 クラゲアマゾン、正確無比の触手突きに波裸羅は驀進。 串刺しの再演を見せるかと思いきや、波裸羅に触手は一本足りとも届かない。 触手は伸びなかった。細く鋭利な無数の手は、波裸羅から噴き出した血が変質した蝶が絡みつき、動きを封じていた。 忍法【婆斬羅蝶】。婆斬羅とは怨身忍者の血液の中の金属成分。婆斬羅蝶とは即ち金属粉塵を一帯に充満させる技。 その意味、危険性を解する知能をアマゾンは持たず、代わるように波裸羅が己の腹に乱れ刃をねじ込んだ。 爆発。 爆散。 石造りの家々を巻き込んだ爆心地にて立つ異形は……二つ。 一つはクラゲアマゾン。婆斬羅蝶が張り付いた触手は吹き飛ばされながらも本体は健在。 そしてもう一つの影。之こそはバトルロワイアルにて初のお目見えとなる衛府の鬼の姿。 世に類なき見目形。 百鬼夜行の頂きに咲く黒薔薇(そうび)。 現人鬼なりし波裸羅が顕す、第四の怨身忍者! 「!」 咄嗟、波裸羅は『呼び声』を聞いた。 口上の最中に中断という無作法を晒してでも見逃せぬ、己を呼び寄せる声を察知した。 声の元の仔細は読み取れぬ。だが現人鬼は無数の鼓動を離れていながらに感知し、地獄の底から湧く灼熱の躍動に胸震わせた。 「この波裸羅を差し置いて催し物か! 弩(ド)許せん!!」 跳び立つ。 絶好の機会を得ていながらクラゲアマゾンを放置し震源地へ向かう。 なにせ波裸羅を直々に指名しての誘いで。これで乗らねば鬼の名が廃る。 脳に送られた信号だけで甘美なる味を見た。ならばこの鉄火場の渦中で味わうものは如何ほどのものか。 稀に見る極上の馳走に向けて波裸羅は走る。正銘の鬼と化した肉体はコンクリートの森を抜けて祭りの場所を只管目指す。 そして─── ◆ そして───『扉』が開く。 叫び声と、反響が、不協和音の二重奏をかき鳴らした時、自衛隊基地内のガラス、鏡、全ての『映すもの』が砕き割れた。 段々と薄くなっていた現実の異界の狭間の境界が、最後の一押しによって破壊される。 割れた先には何もない。幾何学的な異次元に繋がってもいなければ、常識を冒涜する怪物も出てこない。 出てきたのは、割れた鏡面の破片からだ。 大小様々なサイズに割れて四散していく破片の中から、一本の手が伸びた。 それは細長く、まるで青黴たミミズのような造形で、それ自体が意思を持ってるかのようにのたうって破片から這い出てきた。 宙に舞ったひとつずつの破片から、ひとつずつの触手。無数の破片から無数の触手が波濤の如し勢いでなだれ込む。 あらゆる区別をつけず四方八方から殺到する触手は、手当たりしだいに生きとし生けるものに絡みつき、抗えない強制力をもって引き寄せていく。 全ての破片が地面に落ちた時、自衛隊基地は無人になっていた。 人も、鬼も、どこにもいない。ただ、至る箇所に散乱するガラス片や割れた鏡が残るのみだった。 ◆ 【 異 界 領 域 展 開 】 【自衛隊基地内の全ての参加者 バトルロワイアル会場より消失】 ◆ 【???/???】 【永井圭@亜人】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、ナノロボ入り注射器@ナノハザード [思考・状況] 基本方針:佐藤を倒す 1:使える武器や人員の確保。 2:雅や猗窩座といった鬼達を警戒。 3:波裸羅を上手く対主催側に誘導できないか。 [備考] ※File 48(10巻最終話)終了後からの参戦 ※亜人の蘇生能力に制限らしい制限がかけられていないことを知りました。 【人吉善吉@めだかボックス】 [状態]:精神的疲労(小)、全身にダメージ(大) 、頬に傷 [道具]:基本支給品一式、御行のママチャリ、佐藤のコルトガバメント(レッグホルスター付き) [思考・状況] 基本方針:殺し合いを止める。めだかちゃんに勝つ。 1:めだかと球磨川との早期の合流。もしも殺し合いに賛同するような行動をとっていれば、自分が必ず止める。 2:波裸羅に感謝すると同時に警戒。 【煉獄杏寿郎@鬼滅の刃】 [状態]:疲労(中) [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2 、煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃、日本刀@彼岸島、涼司の懐刀 [思考・状況] 基本方針:力なき多くの人を守る。 1:目の前の者達を守る。 2:炭治郎、禰豆子、善逸、義勇、しのぶとの合流。 3:無惨、猗窩座には要警戒。必ず討ち倒す。 4:日輪刀が欲しい。 5:雅のような鬼ではない存在の討滅手段を探す。 [備考] ※参戦時期は死亡寸前からです。 【宮本武蔵@衛府の七忍】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(小)、頬に傷。 [道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0~3、折れた嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃、武蔵の剣@衛府の七忍 [思考・状況] 基本方針:この世にまたとない命を散らせる――鬼を討つ。 1:鬼を討つ。 2:事情通の者に出会う。 3:煉獄や波裸羅から、さらに詳しく事情を聴く。 4:波裸羅に対し一騎討ちを望む。 [備考] ※参戦時期、明石全登を滅したのち。 【工藤仁@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!】 [状態]:健康 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、ステルスドローン@ナノハザード、口裂け女の髪(強化後)@戦慄怪奇ファイル コワすぎ! [思考・状況] 基本方針:脱出はするが、「コワすぎ」も撮るに決まってんだろ 1:化け物(禰豆子)にマッチアップする別の化け物を探す 2:ステルスドローンを回して撮影する [備考] ※参戦時期は「コワすぎ! 史上最恐の劇場版」開始前。タタリ村へ乗り込む準備中 【姐切ななせ@ラブデスター】 [状態]:呪い、目が腫れている、■■症状進行、 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、蛇のお守り@戦慄怪奇ファイル コワすぎ!、藤の花の毒付きの苦無@鬼滅の刃 [思考・状況] 基本方針:脱出する 1:???????????? [備考] ※参戦時期はキスデスター編終了後 ※清姫のシャドウサーヴァントとの接触で呪われました ※目の腫れ方は「コワすぎ劇場版:序章」における市川のそれと酷似しています 【前園甲士@ナノハザード】 [状態]:健康 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1、ベレッタM92F@現実、青酸カリ@現実、人肉ハンバーグ@仮面ライダーアマゾンズ、ナノロボット(円城)のサンプル@ナノハザード 、圧裂弾(5/6)@仮面ライダーアマゾンズ、『顔のない王』@Fate/Grand Order、ステルスドローン@ナノハザード、トンプソン・コンテンダー@Fate/Grand Order、救急箱@現実、22口径ロングライフル弾(29/30発)、ランダム支給品0~1(累のもの、未確認) [思考・状況] 基本方針:人を殺してでも生き残る。 1:人間よりも強い『超人』を利用して禰豆子と殺し合わせる。 2:工藤・姐切を利用する [備考] ※参戦時期、未定。後続に任せます。 【源頼光@Fate/Grand Order】 [状態]:健康。中度の疲労。 [装備]:絶刀・鉋@刀語、弓矢@Fate/Grand Order 、ハーレー・ダビッドソン(雅貴)@HiGH LOW [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1 [思考・状況] 基本方針: 英霊剣豪として一切合切を粛正する。 1. カルデアのサーヴァントを排除する。 2.もう一体の鬼については状況を見て判断。 [備考] ※源頼光ではなく、英霊剣豪七番勝負のライダー・黒縄地獄としての参戦です。 【新免武蔵守藤原玄信@Fate/Grand Order】 [状態]:疲労(小)、右目に眼帯、右腕が斬られた・隻腕、血まみれ(いずれも応急処置済み) [道具]:物干し竿@Fate/Grand Order(半分斬れてる) [思考・状況] 基本方針:無空の高みに至る。藤丸立香と合流する。 1:---------- 2:強者との戦いで、あと一歩の剣の『なにか』を掴む [備考] ※参戦時期、セイバー・エンピレオ戦の最中。空位に至る前。 ※彼女が知っている藤丸立香は、というより何故かこの宮本武蔵は、『男の藤丸立香』を知る宮本武蔵である。 ※応急処置で一命は取り留めました。 【雨宮雅貴@HiGH LOW】 [状態]:疲労(中)、腕に痺れ [装備]:ハーレー・ダビッドソン VRSCDX【ナイトロッドスペシャル】@HiGH LOW、明神切村正@Fate/Grand Order [道具]:基本支給品一式、コブラのスカーフ、カップヌードル 北海道ミルクシーフー道ヌードル×数個@現実、オルタナティブ・ゼロのカードデッキ(ブランク体)、ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本方針:弟、仲間と一緒に生還する 1:禰豆子のもとへ義勇を連れていく 2:広斗との合流 3:中野姉妹、鑢姉妹、竃門炭治郎を探す 4:村山とスモーキーは……まあ余裕があったら探してもいいかな 5:いずれ水澤悠、竃門禰豆子と合流する 6:あのクラゲのバケモン、なんか気になるんだよな [備考] ※水澤悠と情報を交換し、数時間後に落ち会う約束をしました。落ち会う日時は、第三回目の放送後のC-7・街(悠たちと別れた場所)です。 ※鑢七花を女性だと確信しています。 【冨岡義勇@鬼滅の刃】 [状態]:疲労(小) [装備]:無毀なる湖光@FGO、 [道具]:基本支給品一式×2、木剣、ランダム支給品0~3、真っ二つの半半羽織(私物)@鬼滅の刃 [思考・状況] 基本方針:鬼舞辻無惨を討つ。鬼を切り、人を守る。 0:禰豆子と会い、人を食ったかどうかを見極める。もしも食っていれば斬り、炭治郎に伝えた後に共に切腹する。 1:鬼を斬る。 [備考] ※参戦時期、柱稽古の頃。 【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい】 [状態]:疲れ、混乱 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、H K MP7@仮面ライダーアマゾンズ、武蔵の右腕、フィーリング測定機@ラブデスター [思考・状況] 基本方針:私はスキを諦めない 0:え? 1:会長と会いたい。え? 2:石上を殺した犯人を許さない。 3:巌窟王さん……本当にいたのね…… 4:なんだか銃の使い方がわかった気がする [備考] 具体的な参戦時期は後続に任せます 【フローレンス・ナイチンゲール@Fate/Grand Order】 [状態]:魔力消費(大) [道具]:基本支給品一式、魔術髄液@Fate/Grand Order(9/10)、ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本方針:救う。殺してでも。 1:目の前の病に侵された者たちを治療する。今の優先対象は黒縄地獄。 2:傷病者を探し、救助する。 3:童磨は次に会ったなら必ず治療する。 4:『鬼化』を振り撒く元凶が、もし居るのなら─── 5:かぐやの治療は特効薬の結果を見るまで保留。エドモン・ダンテスは捕獲次第直ちに治療する。 [備考] ※参戦時期はカルデア召喚後です。 ※宝具使用時の魔力消費量が大きく増加しています。 ※円城周兎からナノロボについて簡単な説明を受けました。 ※沖田総司をカルデアに召喚された沖田総司であると認識しています。 ※情報交換により前園、権三の情報を得ました。 ※ナノロボの暴走による爆発に巻き込まれましたが、現時点では影響は不明です。 【エドモン・ダンテス@Fate/Grand Order】 [状態]:健康 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本方針:復讐。脱獄。その手助け。 1:巌窟王として行動する 2:何のかんの言いつつ、かぐやに陰ながら同行し、そのピンチには駆けつける(?) 3:メルセデスの治療は避ける。 [備考] ※参戦時期、他のFate/Grand Orderのキャラとの面識、制限は後続に任せます ※ナイチンゲールから見つからないところに消えましたが、かぐやになんかあったらすぐ駆け付けられるくらいのところにはいます。 【猗窩座@鬼滅の刃】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品一式 [思考・状況] 基本方針: 強さを求める。 1.無惨様のために動く。 2.鬼殺隊、それに童磨か……。 3.新たな鬼(白銀)は妙に不愉快だ。 4.自衛隊入間基地に身を置き敵を迎え撃つ。 [備考] ※煉獄さんを殺した以降からの参戦です。 【白銀御行@かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~】 [状態]:鬼化、軽い飢餓、強い怒り [装備]: [道具]:可楽の羽団扇@鬼滅の刃、ランダム支給品0~2(猗窩座) [思考・状況] 基本方針:この力を振るって、■■の隣に。■■に■される、自分に。 1:無惨様の役に立つ。 2:人吉善吉、次に会ったら必ず殺す! 3:自衛隊入間基地に身を置き敵を迎え撃つ。手段は選ばない。 4:武器庫の防壁は…… [備考] ※奉心祭の準備を視野に入れるぐらいの時期。 ※無惨の血によって鬼化しました。与えられた血は比較的多量ですが下弦には及ばないぐらいです。順応すればまた違う変化があるかもしれません。 【波裸羅@衛府の七忍】 [状態]:健康、胸に傷 [装備]:派手な和服 [道具]:基本支給品一式、ナノロボ入り注射器@ナノハザード、ホログラム@ラブデスター、折れた嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃、真田の六文銭@衛府の七忍 [思考・状況] 基本方針:びぃびぃの企画には現状惹かれていないが、割と愉快になってきた。 1:自衛隊基地に急行。催し物に飛び入る。 2:勝次のことは忘れぬぞ。 3:善吉の生き方が実に愉快。 4:永井圭に興味。 5:彼岸島勢に興味。すぐ隣に雅がいるなら、会ってみようか。 [備考] ※第十四話以降からの参戦。 ※波裸羅の食料品は他の参加者と違い、桃100個が与えられています。 【C-4/1日目・昼】 【クラゲアマゾン@仮面ライダーアマゾンズ】 [状態]:ダメージ(大・回復中)、触手欠損(回復中) [道具]:無し [思考・状況] 基本方針:――千■、■ 1:邪魔する者は攻撃する。 [備考] ※九話より参戦です。 「え? なんですかこれ?」 「複数の参加者の配置と時間軸が一斉にジャンプって……ええ、まさかもう起きたんですか?」 「んー……、確かにMAP上の施設の幾つかは、彼らが居着きやすくなるスポットの条件を備えてますけど、まさかこんなに早く来るなんて予想外です。 人にしろ物にしろ、よっぽど『出る』条件が揃ってたんでしょうか? くじ箱に一本しかない大凶を一発で引き当てるようなものですよ? 逆に選ばれた人間の証ですね!」 「元々あの世界は、人の想像力を形にして産み出す土壌を持った、空想と虚構の鏡面界。彼らにとっても馴染みがいい。 抑止の対象になる『外』からの来訪者にとって、現実世界よりも顕現の制限は緩くなります。 そして、あそこからなら現実に介入するのもまた容易となる。これ以上ない『前例』がありますから」 「鏡とは境界にして繋げるもの。無限に合わせ鏡を繰り返す行為は、内と外の境界線に近づくのを意味する。 好奇心によって怪物の棲み家に足を踏み入れ、頭からバリバリと食べられるのは、物語のお約束です」 「さて今後ですが、恐らくは前例に寄った形として出て来る気でしょう。 人を襲う鏡の中の怪物。そしてそれと契約する戦士。過去の事実ごと忘れ去られた、ある正義の系譜の物語。そこに当て嵌めれば自ずと答えは出るはず。 おっと、この場合は生贄と言った方が正確ですね」 「え? 対策ですか? ……まあ、参加者の皆さんは虚数空間中でも位置情報を特定できるBBちゃん特製首輪をはめてますから、即消滅することはないでしょう。 外付けの存在証明がない限り肉体が消滅するというルールはギミック的に面白いですが、流石に乱入者の仕業で大量脱落なんてオチはゴメンです。企画の趣旨的に大NGです! でもここで主催者権限でお助けしちゃうのも、バトロワ主催系ヒロインとしての評判に傷がついちゃいそうですし……。 『やっぱりチョロインじゃないか!』『黒幕に操られるポジションから抜けられないんだね』『BBちゃんマジ劇場版三部作のメインヒロイン!』って!」 「というわけで、しばらくは経過観察としましょう。タイムスタンプは押されてますので、手段さえ見つけられれば帰還自体は可能ですし。 彼らの底力と運命力、主人公力の発揮に期待するとしましょう!」 Next 砕式・降龍落とし Previous FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】① 前話 お名前 次話 FILE■■■■■■■■【序章・鏡面異界深話】① 工藤仁 [[]] 前園甲士 姐切ななせ 永井圭 人吉善吉 かぐや様は困らせられる~天然達の狂騒曲~ 新免武蔵守藤原玄信 フローレンス・ナイチンゲール 四宮かぐや エドモン・ダンテス 触れた指の先が運命を待ちわびている 白銀御行 FILE04「辻斬り出没!首狩り武者」 波裸羅 クラゲアマゾン [[]] 目次へ戻る
https://w.atwiki.jp/ssfate/pages/1463.html
No.7031 ロベルト・コッホ 前のサーヴァント:カンビュセス2世 次のサーヴァント:クリームヒルト データ 登場歴 データ ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ ≪クラス≫:フォーリナー ┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓ 【真名】:ロベルト・コッホ 【属性】:中立・中庸 ┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓ 【筋力】:D 【耐久】:EX 【敏捷】:D 【魔力】:B 【幸運】:C 【宝具】:A+ ┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫ __ / -―- ミx__ 〃 ´ ヾ ``丶、 {i/ -‐ ―- \ ∧ / 、 \ ヽ / ヽ / ヽ ヽ ', ′ 》 i ′ し ', ', i | | |、 | ノ ! |i / 、 |ヽ_ i | 、 _ / |∧/⌒∨ | ´ \ `.| | ト ー ノ  ̄ 7 | | ! r‐===、|\ | t===、| | 、  ̄ 〈 | ∨ { 弋ツ ヽ 弋ツ リ ヽ| | \ ,,ー 一,, i | } ゙| | 人 _′_ | ′ | / | ト . ` ´ イ| / | ヽ l > < { / ‘, ′ | ハ iノ | | ( ハ ‘, / jL -‐| |ー ' ーr ト ノ、 ‘, / /´ ! }、ー 、 一 ! レ〈 `ヽ ‘, / / |/ ` ―――‐ ´ f>く) ∨ 、 / ′ ∠ハ ゝ | \ , l _ { } | \ ' { iγ´ ヽ __ W { ヽ / j | ゝ _, ―く Y ヽ | / ' ‘, / イ / / 、|r―} (__)ィT .T ´_)┐ / ' | / / / .′ { ー―┴┴―┴‐┴一 } ‘, ヽ | ′ , イ ′、 `ト――――――― イ ' ハ | |{ /| i \ r‐ 、 へ _ノ } | |! | | | ⌒>' ーぅ f二丶ヽニ⌒丶 ! | | ∨ | | | ´ {  ̄_ ) r'、 ヽ } ヽ { | | | ∧ | 人 / ヽ _ ノ、 (\` ノ } | | / | | 、| { { `¨¨´ ゝ イ――――‐ ヽ _/―‐- ′ ′ i / | | \ V! j { / / /} / / | l ∨ ‘,、 ′ 、 / / /// / ∨ 、 ∨ \_/ \,/ ィ ' //イヽ,′ \{ ヽ∨ ,| |/ / ∨| |/ | | AA:星輝子(THE IDOLM@STER シンデレラガールズ) ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【クラススキル】 ◆領域外の生命:C++ 外なる宇宙、虚空からの降臨者。 邪神に魅入られ、権能の先触れや片鱗を身に宿して揮うもの。 ◆神性:D 外宇宙に潜む高次生命の触角となり、強い神性を帯びる。 計り知れぬ驚異。その代償は、個としての自我の消失。 フォーリナーにとって未知の領域を含んでいるため、ランクダウンしている。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【保有スキル】 ◆個体増殖:A++ 自己と完全に同一の個体を増産するスキル。 フォーリナーの肉体は無数の細菌生物によって構成されており、 どれほど砕かれようとも一粒の細菌から再増殖・復活を可能とする。 しかし、実際には全体の八割を超える細菌を失うと「ロベルト・コッホ」としての自己定義が困難となり、霊基が崩壊してしまう。 ◆医神(歪):C 本来は、医学の神としての在り方を示すスキル。 コッホは慣例に囚われない知見と発想、研鑽によって傷病の原因を見出し、治療法を確立する。 あらゆる医療行為にプラス補正がかかり、――細菌による浸蝕攻撃にはより大きな補正が加わる。 治し方を知ることは壊し方を知ることに通じ、逆もまた然り。 神の指先にかかれば生かすも殺すも思うがままである。 ◆自己改造:A+ 自身の肉体に別の肉体を付属・融合させる適性。 このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。 コッホの場合、菌株としての品種改造を指す。 ◆マイクロスコープ・コスモス:A シャーレの中の宇宙の観測者。顕微鏡を通して世界を解き明かす俯瞰視点。 宇宙が人体、銀河が細菌に照応するのが本来のマクロコスモスとミクロコスモスのスケールだが、 倍率変更によって銀河から細菌までのスケールに焦準を合わせることが出来る。 姿なき細菌を発見してその病原性を証明したコッホの観察は、目に見えぬ存在にも焦準を合わせ、その性質を暴く。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ _____aaaaaaa____ ____aalbll聿lllllllllllllllll圭lllllllllllll圭a_ _ィョllllllllllllllllllllllllllllllルlllllllllllllllllllllllllll圭聿a_ ,ィ圭llllllllllllllllllll聿llll■聿ll聿■lll■l聿■llllllllll聿a ,,d圭llllllllllll゙l聿聿圭l聿下下聿)聿l聿|聿聿}|■聿l聿レ '聿l聿ll聿聿|勺!宀ヤ^- ^ - ゙゙ヾ^勺公lル广´ ~~'千l聿!゙゙;; ゙';;;;;;;; ;;;; __ ; ,,_ ’│ │ <ゝ ~~ ~~ <⊃ │l │ ‐ ヽl │ ___,,....__ │ _ l! .. _yr" `个┐1 ,,-‐ ̄^ー-, 丿 ./ 彳 .丿 ヽ, ノ’ ゙ヾl彳 ' ヽ ______u_ \ィ' ゙ヘ l’ ,aォlk「 `l|lllll聿圭"゙_ |k_, ヽ '、 _d聿l聿/ ゙lll聿ll■聿ノノ^''│ ー千レレl聿/ ゙llll聿ll聿心 彳 〕 ;;;;; lll聿lllll聿l/! 丿;. ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;  ̄ ̄ ̄ b │l ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; llllllllllヒ l"l ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{|llllllllllll| !;;|;;;;;;;;;. ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;ノ|llllllllllll| !;;!;;;;;;;;│;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;||ルllllllll聿| !;;|;;;;;;;;;|!l_;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;」llルllllllll聿! 1;l ;;、;;ノ心\; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|!ll圭llllllll卅 l!`;;`;;゙lll圭b \;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_;jlll圭llllllll巛 ヘ...;;;;;;゙llllllll聿 \_ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,ィllllllllllllllllll什 / ヽ-;;;;;勺llll聿l~ ヽ -........,,,,....x illllllllllllllllll圭! / \;;;llll聿l~~~~ | illllllllllllllllll圭! / AA:キノコ人(DARK SOULS) ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【宝具】 ◆『浸食菌域(ディメンション・オブ・バクテリカ)』 ランク:A 種別:対人、対都市宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:1000人 フォーリナーの生前の実績と、邪神による干渉が混じり合い生まれた宝具。 増産した細菌の集合体(コロニー)を「自己改造」によって装甲や棘、使い魔に相当する菌株兵へと形態変化させる。 菌株兵はそれぞれフォーリナーと同等の「個体増殖」スキルを有し、また、菌株兵同士やフォーリナー自身との融合、分離が可能。 融合するたびに幸運を除くステータスが上昇していき、全てを本体に統合することで同ランクの「狂化」スキルに相当する強化が得られる。 加えて、フォーリナーそのものといえる細菌は抵抗力の弱い肉体や霊体からじわじわと蝕んでいき、 様々な状態異常と共にいずれフォーリナーの眷属として作り替えられる。 ……本体とは言うが、細菌の集合体にすぎないフォーリナーに本体というものは存在しない。 一見本体に見えるのは司令塔、頭脳体と言える存在であり、消滅しても他の細菌が代替する。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ,. ´ __________ ``丶 | -── . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ´ ,、丶``. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `丶) ,--、 . . |/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / ,.' ´. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / ( ) / _/ ̄ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . / /. . . . . . . . . . . . . . . . ;'´`` , . . . . _, '´ i i ./ / ̄_ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ( (. . . . . . . . . . . . _ _ _ _ _ _ ! . ´,_ _ . ´ . / i ̄ ̄ ̄ ̄i ./ / / `¨¨ `¨¨¨¨¨¨¨´´´´ _ _ _ ¦ . ´, / i . , '´ ̄{ {__, { , ´ ..... i . ´,〈 ̄ ̄`丶. . i i . . .乂,i⌒i\___/\/ ̄ _,. -‐……ー- _/ ... i i¦ . ´,\____ . . . 〉 i γ´ ̄`ヽ_ノ_V,_____| /. . . . .,.-‐…ァ'"´ `'<___i i¦ . ∨ / ̄__i 乂_.,、- /| /⌒\ |/. . . . .`ニ7/ \i/´´´´`゙ヽ(´ ̄`) /| ̄ ̄| /__,/. | ゝ _ノ⌒ヽ{. . . . . . . . xく / ./ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ´_ /´ ̄\ `i""i | | |( ( //⌒7 | |、__,ノ|`¨¨¨´___ `''i {. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ´_´'ー‐‐ァ< i i | _|/ ̄`YV ゝ._ノV⌒ヽ| | | / ``ヽ、-‐…………ー- _ . . . . . ´_( ){\__ ̄ ̄ ̄/. . . . . . / //| ∧,乂_ノノ⌒)| | `丶、 | ̄ __``ヽ、 ´_i i \___,i⌒i/. . . . . ./ | | | 乂_}\| l\/ | \ xく `'マ¨¨¨¨| ヽ `丶、 ヽ⌒\ |/. . . . . /\ .| |/ /⌒Y⌒Yノ |  ̄ \ ``~、、 `ヽ、| | `''-、_ }⌒ヽ)/ . . . . /\ ヽ |. /| 乂_人__ノ . | `''-、_ `ヽ、 |\____)_/ /¨ /. . . . . . /| \ | | | | / ̄ ̄ ̄ `ヽ、 \ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|\ 乂_,、イ/ ̄ ̄´"'ーー-- | / . .. . `丶 〉 |., -、 | \ /. . _ -───--、) | .. . . . . . . . . . . . / / | (_)_) ., -─- 、 /,. ''´ / ̄ ̄``'< | / . . . . . . . . ==============彡′ /⌒\_|_|」_ / . -‐…| 乂,________// ̄ ̄ ゚̄ア .| / . . . . . . . . . ./ ゚ 。 __/ /,.--- ゚, .|`| / /-─-、 ̄〈(_____| ̄V |. ./|. . | / . . . . . . . . . __ (_, -~-く,/ 乂_,| |,,ノ | 乂_、‐''゛ ̄ヽ /___| | | | | | / . . . . . . . ./ ̄ | |∧ / { ̄`'| | ̄`ヽ | { '´ ノ--/ ̄ ̄ ̄))_ | | | |/ /. . . . . . . . . . . . ./ | | |∧ 厶=---ミ \_|,.」___ノ_,| 乂_、‐''゛ / -‐'⌒\\ | |. ./. . . . . . . . . . . / /⌒ / ̄ヽ/゚;゚;゚;゚;゚;゚;゚;゚;;;\ /‐、( \\}|_ 乂_/ / ィ { 厶. \\l | {. . . . . __ / 〈 _/ ゚ ゚ ゚ ゚ ゚ ゚ __. . }// /二¨/\(___,) ( | | fひ、{┘ヽ ハ | \(______/‘, //{ ゚ ゚ ゚ ゚ / __ /〈/V./- 、} { い \ | |从| ┌\ }/ }\ } / ̄`¨¨アア¨7¨¨ア\ i /\{ ゚ ゚ / 〈 ∨/ ̄} { } { } } ,ノ | | 込、 ー' / } j/ {. . . . . / ̄. . }〈__/ ̄ ̄. .|  ̄ ̄ ̄ ̄\∧ /〈 . ./〉/ \,∧\ノY"´ | い(个-r ´ { 人人 `¨¨¨{. . . . ./ヽ/. . . . . . . . . . | }/⌒i 二二 { ) ∧ } 「ヘ | _人乂__ノ 厂厂`丶 `¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨⌒\. | // .//. / } `ー‐ 〈 V {しハ | 7 /\廴__厂)_,ノY⌒7 ー──<7⌒\\ | /{ // . | / /⌒'i \ } \ハ / { ,.-く⌒ '⌒ヽ...|....人 .\ \ }ノ /| ___∧`¨´ \廴/ 〈 //\ヽ . }し} . . / ./(___)^'ーr‐r‐く⌒ヽ.\ . | /\| |-─- __ ̄ ̄``''<〈\\//_,ノ} {_/} },,_ / /__r┴ '‐‐┴┴r‐‐く ̄....\ ノ | ̄´\ | \  ̄ ̄¨ニ- _`'< 〈__{_ノ く_} /| |¨~ ̄| |..{  ̄)///////,廴_ `'く⌒...Y ./ / ̄ ̄| /\ ニ- _~^'' 、__/ .| |__,/| |人__丿////////....\ }.......} / /. . . . . _|  ̄ヘ `ヽ、_________,/ ⌒ニ=- ._``ヽ、 | | / | | | |V________/......... {`¨}.......} ( /. . . ./\| /⌒ハ , -、 \ / /─-ミ ⌒ヽ、 \| l { | | |ー个...........................V..`ー'-<___彡ニニヘ | ‐‐‐ミ , (____) ∨ |`丶、`丶、_______,}ノ)| [\人 代__,|i........./................ ∨.............``丶、 /゙ ,| `', | | ,.‐/ |/\ \ i ̄( )>‐| |--<\__,カ..... /................__∨...............ノ⌒〉/ ハ| __,ノ,-、 | |_(__,| |\ノヽ く\. ', / | | \ /......../_/ ̄ ̄ ̄└──' ̄ ̄>r-へ |  ̄`ヽ (_)| |_) | | |) ノ廴ノ/) } ',(____,ノ´ ̄ ̄``Y/|...../ | | | \ \\_>''´. . | | ヽ| | | | | レ'⌒ヽ V(_) し/ V__ 〈_ノ-ー‐ ノヘ,|/| | \ \/⌒ ̄´∨/. . . .//⌒ヽ| \ .}| | | レ'´ . / ,. -─-< ̄ ̄`丶 \ハ \ \| ,|_/ ̄ | \ ∨__//´{___/⌒| \/ | | / . ∧/ _ _ _ __\__..) | | /~i☆へ、. .|_ノ ∧ | ̄\,.-─-ミ { /乂,,人 o ゚ 。 。\| | { // / ̄______)ノ○ ̄|_,ノ _| 〈__j〈〉| \\___‘, | /. . / ̄)ノ´乂__Y⌒Y⌒\ ゚ 。 O ゚ 。 \个-イ乂__(ニ=-| { ◯◯' |/゚ |ミ;ミ;八f^7〈〉l| l \ ∧ | // く乂__/ / ̄` .、 。 o ゚ 。 ``丶、 | (_,ノ| ∨ /| | | ◯◯o/ ̄ ̄Ⅵ ___,/ ) /∧ | {(__/| } ̄ ̄)─く \_ \゚ 。 о ゚ 。 ゚ 。 ..\| | | |/| | |ノ i i i i{ γ⌒Y⌒'く⌒\-く/ | | / ̄ ̄∨_/`丶、} } ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ◆『逆理・神天廻す摂理の盃(ディスカバード・オールドイット)』 ランク:A+ 種別:対神秘宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:1000人 細菌発見の功績による瘴気(ミアズマ)の否定。 周囲の魔力や呪詛を否定し、病原体となる細菌に置き換えてしまう。 生み出される細菌は大気の毒性が強いほど強化される。 神代の大気を否定すれば、一呼吸で人の命を奪うような細菌の海へと変貌するだろう。 本来であれば一つの神秘を正しく捉え、無力化するための基礎理論。 邪神はこれに着目し、悪用。最大効率でもって己という死を拡散するための改造宝具とした。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【Weapon】 ◆『浸食菌域』 宝具で生み出した細菌の集合体(コロニー)。 フォーリナーはこれを様々な形態に改造し、武器とする。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【来歴】 ハインリヒ・ヘルマン・ロベルト・コッホ。 ドイツの医師、細菌学者。「近代細菌学の開祖」と呼ばれる。 炭疽菌、結核菌、コレラ菌の発見者であり、寒天培地やシャーレの開発者でもある。 また、感染症の病原体を証明するための基本指針となる「コッホの原則」を提唱し、感染症研究の開祖として医学の発展に貢献した。 だがある時、コッホは彼のシャーレの中に今まで見たこともない細菌を発見する。 それこそは外宇宙からの使徒。 シャーレに浮かぶ死の星々、細菌の海の奥底に在りし虚空の門までたどり着いた初めての人間を歓迎する邪神だった。 細菌とは生物である。たとえそれが埒外の脅威であろうとも、その事実は変わらない。 ならば観察を続けあるがままを解明しなければならない。 鋼鉄の理念に基づいて、コッホはその極小の侵略者を受け入れた。 死後、コッホの肉体は邪神によって分解され、同類の細菌と化したが、むしろコッホはこれをこそ望んでいた。 極小の世界にコッホ自身が入り込むことができたからである。 コッホの細菌宇宙の冒険と探求はまだはじまったばかりであった。 【能力】 歩く生物兵器。人口の多い場所でその真価を発揮し、発覚が遅れれば大惨事になる。 【性格】 細菌にその自我は分散しており、修復不可能なほどに人格が分裂してしまっている。 司令塔である頭脳体にのみ人格のようなものが見られるが安定せず、多重人格のような状態。 しかし、そのように成り果ててなお人としての矜持、コッホの英霊たりうる信念は失われていない。 医者という身の上でありながら感染拡大を認めるのは、すなわち自身を利用する邪神への反抗に他ならない。 未知なる細菌を培養し、観察し、解明する。 その果てに分裂体の内一体をワクチン化させ、思考と記憶を本体から切り離すことで対抗策にせんと構想している。 当然、その過程で深刻極まるパンデミックが巻き起こるが、それさえ乗り越え解明することを何よりも善しとする。 ――そこに嘘はない。虚飾は一切ない。本気で病を根絶し、邪神を打倒せんと欲している。 だが、善意ひとつで己を保ち続けられるほど邪神の干渉は甘くない。 コッホの正気を真に堅持させているのは魂の奥底に刻み込まれた細菌研究への情熱。 未知なる細菌を培養し、観察し、解明する。 度外れた探究心ゆえに、彼は世界という「シャーレ」で細菌を繁殖させ続ける。ただ、研究を続ける。それだけのために。 【行動方針】 .ワタシ 細菌を増やし、観察する。それは生前と何一つ変わることのない研究者としてのルーチンワークだ。 【聖杯への願い】 細菌を用いることで悪性細菌を駆逐し、病気と実際に戦うこと。 当面最大の敵は自分自身、虚空の邪神そのものである。 【TS理由】 邪神の巫女、瘴気(菌)=穢れを内包できる、また細菌を産む母体としての適正から女性の身体を模している。 本質的には無数の細菌の集合体でしかないため、記号的な意味合いが強い。 司令塔役次第でいくらでも変化しうる。 【一人称/二人称】 一人称:ぼく、オレ、私など 二人称:きみ、オマエ、貴方など 【しゃべり方の特徴】 安定しない。 話している人格によって、ヒャッハー系の荒々しい話し方だったり、オドオドした引っ込み思案な話し方だったりする。 【コンセプト】 フォーリナーのコッホ。ゴッホじゃない。 コッホジョーク…… 【使用・参考にしたステータスの出所(僕鯖・皆鯖などあれば)】 【推薦したいその他の代理AA】 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱) 男性として登場させるのであれば、煙(ドロヘドロ)、チョコラータ(ジョジョの奇妙な冒険/5部)、涅マユリ(BLEACH)。 生前のコッホ自身については、L(DEATH NOTE)、裁判長(逆転裁判)など。 【代理AAを選んだ理由】 菌類といえば。菌類じゃないけど。 【その他コメント】 邪神の名はハスタリク。微小たる旧支配者。感染するもの。 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 登場歴 ◆iyJ02X80tgyMの雑談所 体験クエスト バラの輪をつくろう( 337~566) ふぇれん 第3試合 第8試合 (ライダークラスで登場)