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P 腸管出血性大腸菌感染症 100B73 感染症法で3類に分類されるのはどれか。 a 流行性角結膜炎 b サルモネラ感染症 c 重症急性呼吸器症候群〈SARS〉 d 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉 e 腸管出血性大腸菌感染症 × a × b × c × d ○ e 正解 e
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962: 弥次郎 :2021/06/27(日) 23 16 31 HOST softbank126066071234.bbtec.net 憂鬱SRW 融合惑星 パトレイパー世界編SS「WXⅢ」6-2 C.E.世界 融合惑星 γ世界 日本列島 関東日本政府施政下 都内 ○○大学キャンパス 機動隊現地指揮所 午前5時11分 意外と手間取った、と吉村は部下に資料を運ばせながら歩みを進めていく。 大学を包囲する機動隊の現地指揮所、仮設のテントで設営された指揮所は、明らかにこちらを歓迎していない空気だった。 まあ、無理もないだろう。この世界に地球連合が介入して以来、あまり良いことをしたという認識はあまりない。 それはともかくとして、資料の取り寄せと説明の準備は整った。 「大佐」 そして、部下の一人が駆け寄ってきて耳打ちする。 「外の方も準備は完了しています。いつでも…」 「わかったわ。これで効果があるといいんだけれど…」 「効果は間違いないでしょう。刺激的過ぎるくらいですし」 効きすぎるのも問題よ、と苦笑いしつつも、急遽整えた準備が終わったことを確認し、副官と共に用意された席に腰を下ろす。 対面には現地の指揮官、そして機動隊と共に現場にいた警視庁刑事課---いわゆる本庁の刑事が座っている。 そしてもう一人、明らかに軍人として訓練を積んでいる人物が傍らに控えている。見てくれは刑事に見えるが、軍人の吉村の目はごまかせない。 (訓練を積んでいる機動隊員とは明らかに違う……自衛官?) おかしな話だ。状況を鑑みるに、大学が発生源と思われるバイオハザードの根源追跡(ルートコーズ)のための介入だ。 その図式上、自衛隊は政府の災害派遣命令に基づいて出動し、連合と共に共同で事態に対処するということが決まっていて、事実そのように動いている。 だというのに、なぜ、自衛官が機動隊や警察組織側にいるのかがわからない。そも、警察と自衛隊というのは別組織だ。 警察組織はどこまで言っても警察組織でしかなく、軍事組織もまた然り。故に、交わることはない。 となれば、何か意図があって此処にいることになる。その意図は、まだ読めない。 (注意を払っておくべき、かしら) あくまで自然な風体を装っている以上、こちらから突っつく必要はないだろう。 プライオリティはあくまでも機動隊と警察機構に対し、この事態がいったいどういう物であるかを説明するかにある。 まあ、相手は明らかな警戒と敵意をこちらに向けてきているので、苦労はすることになるだろう。 (さて、始めましょうか) いかに時間をかけることなく相手に事情を説明し、納得を得るか。そのための戦いが始まった。 963: 弥次郎 :2021/06/27(日) 23 17 05 HOST softbank126066071234.bbtec.net C.E.世界 融合惑星 γ世界 日本列島 関東日本政府施政下 都内某所 午前6時43分 東都生物医学研究所の研究員である増田は、早朝に主任研究員の岬の元を訪れていた。 緊急を要する事態が発生し、主任である岬に呼び出しがかかったのであるが、彼女が一向に電話にも出ず、研究所に来なかったためだ。 地球連合の介入という事態は、増田や所長の栗栖、さらにはスポンサーの自衛隊の石原一佐や米軍のマイケル・パッケンジーにとって衝撃であった。 即ち、ニシワキセルの研究とそれに連なる一連の計画が表ざたになりかけている、ということであった。 事態を何とか隠そうとしてはいるが、事実としてニシワキセルと外部からもたらされた細胞の融合体は順調に生育しており、最早隠しようがなかった。 石原一佐からの情報では自衛隊も専門部隊を動かしているとのことで、石原一佐は時間稼ぎも何もできないままに派遣を見送るしかなかったという。 そして、問題はそれだけではない。下手をうたなくとも自分たちは計画の参画者ということもあって追及を受け、進退窮まることになる。 なにしろ連合は生物実験により誕生した人工生物によるバイオハザードの調査を掲げて介入してきたのだ。 それに思い当たる節があるどころではない。ずばり、カルタヘナ法に抵触するようなことをしているからだ。 増田とてカルタヘナ法ギリギリの実験をしていることは把握していた。しかし、厳密に言えば、まだセーフのはずだったのだ。 カルタヘナ法は、ものすごく簡単に言えば、自然環境中に自然にはあり得ない遺伝子や形質を持つ生物の流出を規制するものだ。 だから、その手の生物を育成するとしても、研究所や研究室の外に持ち出すことなく管理すれば問題はない。 だが、厳密に管理、それこそ情報統制さえもしていたそれが、よもや外に出ていたとは。 「早く出てくれよ……主任……」 増田は何度もチャイムを鳴らすが、どうにも反応がない。 彼女の住所は知っているが、カギはないので彼女が出てくるのを待つしかない。 所長からは彼女に事態を伝えることと、如何に事態に対処するか、そして口裏をどう合わせるかの意見を聞くことだった。 事態は急を要する。だからこそ、こうして自分が派遣されたわけなのだが。 「くそ、出ない……管理人に言って鍵を借りるか…?」 だが、ふいにその時、扉の向こうで音がした。 人の足音だ。ややおぼつかないが、確かにそれがする。 「主任…?」 ガタン、と扉に内側から何かがぶつかるような音がした。 それはまるで人が倒れ込んだかのような、そんな衝撃を伴っている。 嫌な予感が止まらない。というか、なんだこれは。ドアの下の隙間から出てくる赤い液体は? 嗅覚は、何やら鉄くさい匂いをとらえている。いったい、これはどういうことなのか? 「……!?」 そして、がちゃりと、ゆっくりと鍵が開けられていく。 とどめに、一気に解放された。 「ヒィッ!?主任!?」 扉が一気に開き、内側から寄りかかっていた物体が、マンションの廊下に扉を押しのけて姿をさらす。 岬冴子が、扉という体の支えを失い、倒れ込んできたのだ。 その姿は、余りにも無惨だった。体中から出血しているようで血だらけ。尋常ではないものだ。 見れば、室内には血がべったりと張り付いているのが見える。その血の跡からするに、ここまでよろけながらも来て、ドアの鍵を開けたのであろう。 だが、そこで限界だったようだ。というか、これだけの出血をして動けたというのは奇跡か。 「しっかりしてください、主任!どうしたんです!」 「あの……子……あ、の…子が…いか……ない、と……」 「あの子?なんのことです?……ああ、もう!しっかりしてくださいって!」 うわ言を漏らす岬だが、増田はそれに構うことなく、取るべき行動をとった。 すなわち、岬のマンションの部屋に入ると備え付けの電話をとり、救急車を呼ぶことだった。 最前までの所長の指示など、頭から吹っ飛んでしまった。それもそうだ、こんな事態など、誰が予測できたであろうか。 964: 弥次郎 :2021/06/27(日) 23 17 44 HOST softbank126066071234.bbtec.net C.E.世界 融合惑星 γ世界 日本列島 関東日本政府施政下 都内 某ライブハウス付近 連合現地拠点 午前7時21分 ライブハウス周辺は、厳重な隔離状況にあった。 ヘリ数機を使って運ばれてきた防壁を兼ねる大きなドームのようなもので覆われ、該当の地域を外界と隔離しているのだった。 テント内部と外部の出入り口は数か所に限定され、尚且つ、長い通路を通っての滅菌・殺菌・浄化のプロセスを経なければならないようになっていた。 そして、その隔離ドームの内部では、作業員たちがもはや原形をとどめいていない怪獣の調査を行っていた。 細胞のサンプルの採取や大きさの測定、あるいはその身体的特徴の調査などを行ったりしている。防護服に身を包み動くその姿は不気味だった。 元々ライブハウスがあった周辺が戦闘の余波で破壊されつくしていることもあり、まるでそこだけ地球ではない惑星かのようであった。 実際、そのドームの内側は汚染源となる細胞のせいで地球であり地球ではないような恐ろしい未知の空間だった。 だからこそ、厳重な隔離を行って周囲に影響が及ばぬように取り計らう必要があったのだ。 そして、その戦闘に参加していた二人の刑事の姿は、その隔離ドームの近く、連合が設営した滅菌設備の中にあった。 「やっと終わった……」 病院の入院患者が検査の時に着用するような滅菌服を脱ぎ捨て、着慣れた衣服に戻りながらも、秦は深く息を吐き出した。 検査、滅菌、検査、消毒、入浴、検査、問診、検査、さらに採血や唾液のサンプル採取など、多くの行程を費やし、やっと解放された。 まあ、バイオハザードの現場にいたどころか、その汚染源と真っ向から退治して戦闘を行ったのだから無理もないことだろう。 体に付着しているかもしれない汚染源の細胞を徹底的に排除し、安全を確保するまでにかなりの時間を要したのだ。 まだ同定や性質の特定が完了していない以上、どれだけの消毒や滅菌をどの程度やればいいかも不明であったがため、というのもある。 「ああ、まったく疲れたな……」 同じく消毒と検査を受けた久住も、更衣室に置かれた椅子に腰かけてぐったりしている。 この手の検査は健康診断などで経験してはいるが、こちらの方がより行程が長く、あれこれとすることが多く、疲労してしまった。 必要なことだと分かっていても、文句の一つも言いたくなるのが人間という物だった。 しかし、と秦は口を開いた。疲労もあり、倦怠感もあるが、同時に達成感がある。何しろ、元凶と言える怪物を退治したのだから。 これで東京湾で発生していた汚染も、レイバーの破壊事件も解決したのではないかと。 「これで原因だった怪物は打倒された。それでよしじゃないでしょうか?」 「どうだかな……まだ大学と研究所の方でどんな動きがあるか分かったものじゃない。 それに、あの怪物がどこから来て、どういう経緯で暴れていたのかも分かっていない」 時間をかけて着替えながらも、久住は自らの予想を話す。 965: 弥次郎 :2021/06/27(日) 23 18 25 HOST softbank126066071234.bbtec.net 「まだ現象として現れた怪獣を叩きのめしただけにすぎない。 こんな生物が自然に生まれるなんてのはあり得ないって言っていただろう?だから、ここからがむしろ本番だ」 「……そう、ですね」 そういえばそうだ、と秦は浮かれる気分を戒める。 この事件はそもそも、明らかに通常ではありえない生物の細胞が原因と推測されていた。人為的に手が加えられた生物による大災害なのだと。 つまり、汚染をまき散らしていた元凶である怪獣の発生の元凶、つまり、これを生み出した人間がどこかにいるということになる。 もしもここで満足してしまえば、再び同じようなものが作られて同じように事件を引き起こすかもしれない。 「じゃあ、まだ捜査は続行ですね」 「ああ。次は当初の予定通り研究所と大学の方の調査を行うことにしよう。 細胞のサンプルは連合が分析して結果をよこしてくれるそうだし、俺たちは俺たちにできることをやらなきゃならん」 「根源追跡……でしたっけ。そのために最も怪しいところを調べて虱潰しにするしかない」 「怪獣の被害についても調査して対応しなくちゃならんしな。まったく、こんなものを生み出して何のつもりだったやら」 「それは、容疑者の岬冴子に問い詰めてみないと分かりませんね」 そういいながらも、刑事二人は滅菌設備を出た。 滅菌設備の外に出た瞬間、外界の匂いに思わず二人は顔をしかめた。 これまでいた環境があまりにも清潔で、無臭で、滅菌されていて、それに慣れ切っていたが故の反応だった。 こんなにも臭くてたまらないものを呼吸していたのかと、ちょっとぞっとするほどだった。 「お、来たな」 外で待ち受けていたのは、共に戦ったメンタルモデル二人だ。 「お二人も終わりましたか」 「我々は体を構成するナノマテリアルを組み替えるだけだからな、あっという間に終わった」 「うらやましいな…」 「いや、この体はこの体で不便なこともある」 それよりも、とズイカクとイ400は刑事二人を車へと促す。 「少し休憩を挟んだら、次の場所に移動するぞ」 「次?」 「ああ。昨日の調査で判明していた重要参考人の岬冴子のことだ。 連合も彼女の身柄を抑えるために今日の朝動いたのだがな、彼女の住居はもぬけの殻だった」 「逃亡した…?」 「いや、それより悪い。彼女のマンションの部屋は彼女のものと思われる血が大量に見つかった。 そして、通信記録によれば彼女は病院に搬送されたようだ」 これが写真だ、と空中ディスプレイでそれを見せられ、二人は絶句した。 まるで、内部で派手な殺傷事件が起こったかのような、そんな惨状が広がっていた。 「一体、どうして…?」 「さぁな。 だが、彼女の身柄は抑えねばならない。彼女が何らかのことを知っていることは確実だろうしな。搬送先の病院は突き止めてある、急ぐぞ」 「生きているといいんだがな……」 「念のため、医療班も同行する。彼女がどういう状況であれ、なんとしても生かして話してもらわなければならん」 まだ終わっていない。むしろ始まったばかり。そのことを改めて認識し、刑事二人はメンタルモデルたち共に車に乗り込んだ。 まだ、事件は終わりを見せようとしていない。むしろ、闇が深まっているとさえ言えた。深淵に飲み込まれないように、注意を払いながらも。 966: 弥次郎 :2021/06/27(日) 23 20 25 HOST softbank126066071234.bbtec.net 以上、wiki転載はご自由に。 というわけで、ちょっとだけ話が進みました。 現地では認識の差を埋めるための戦いが。 岬冴子は原作に倣い、なぜか大出血。 刑事二人は重要人物(VIP)の追跡。 そして、背後にいる人物たちもようやく事態を悟り動き始めます。 それが何を生むかは…まあ、お楽しみに。
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エレル――ELEL―― 見るだけで顔を顰めたくなる、鮮やかな赤で染め上げられた巨大な湖。 そこに伸びる、水面が少し波立つだけでも崩れ落ちてしまいそうな程に壊れかかった桟橋。 そして桟橋が導く先の、赤錆で腐食している事がこの暗闇でもはっきりと分かる、オンボロ旅客船。 研究所への道程で通りかかった桟橋の手前で、 またベタな幽霊船だな。新堂は誰に気を使う事もなく、率直な感想を漏らした。 「新堂さん。まさかあの船に乗り込もうってんじゃないよな?」 後ろからかけられた圭一の声。 肩越しにそちらを見れば、深紅と並ぶ圭一と、 座り込んでツカサを撫でているジェニファーの姿があった。 「当たり前だろ。あんなもん人が乗ったらそれだけで沈むとしか思えねえ」 「だったら早く行こうぜ。ジェニファーからも話聞かないとならないんだしさ」 決して時間がある訳ではないらしいから。 深紅がやや控えめに口にしたそんな言葉により歩きながら行われようとしていた情報交換は、 結局の所は新堂の判断で、安全な場所に到着してから、という話で纏まった。 原因は、名簿だ。 新堂も初めは、とりあえずジェニファーの知り合いがいるかを確認しようと考えたのだが、 取り出した名簿には気付かぬ合間に赤い線が引かれた名前が増えていたのだ。 その中には殺人クラブのメンバー、日野、岩下の名前もあったが、それには然したる感慨もない。 特別仲の良い間柄ではないし、日野だろうと岩下だろうと先程の自分のように 化物の大群に囲まれるような局面に出食わせばあっさり命を落としたところで不思議はないのだから、一々驚いてはいられない。 そんな事よりもまずいと感じたのは『竜宮レナ』と『園崎魅音』の2つの名前の方。 この2人は圭一の友人だったはずだ。 バーでの情報交換では、圭一からは仲間思いの印象を強く受けた。 下手に彼女達の死亡を伝えれば、圭一が冷静でいられなくなり使い物にならなくなる危険がある。 現状自分を除けば圭一は唯一の戦力。 駅から研究所まではそれなりの距離があるというのに、その間圭一の注意力が散漫になるのは正直痛い。 伝えるならせめて、比較的安全な場所で落ち着いてからが良い。 その為、新堂は適当な理由をつけて情報交換を後回しにする事にしたのだ。 「分かってるよ。ちょっと見てただけじゃねえか。急かすなよ。 てかお前ジェニファー口説きたいだけじゃねえのか?」 「そ、そんなワケないだろ! 何を言ってるんだ新堂さん! ただジェニファーは本場の外人だしメイド服を着せたら如何程の破壊力があるかという 男なら誰でも抱いて当然の疑問が沸々と沸き上がってきてるだけで決して下心があるというワケじゃ――」 「分かった分かった。雛咲、出番だ。こいつをどうにかしろ」 「えっ……あの……」 再び始まった痴話喧嘩に、新堂は苦笑する。 先程はただ鬱陶しかっただけのじゃれ合いだが、 自分で振ってみれば、これはこれでからかい甲斐のある反応だ。 やれやれと呟いて、新堂は視線を桟橋に戻した――――その時。 僅かな一瞬だけ視界の端に青白く光る何かが入り込んだ気がした。 「あん?!」 慌てて首を巡らせ、青白い何かが見えた船の上を凝視する。 しかし、ボロボロの船以外には既に何も見える物は無い。 錯覚か。いや、違う。この暗闇で発光していたのだ。錯覚などという事は無いはず――――。 「いる…………!」 いつの間にか痴話喧嘩をやめていた深紅が静かに呟いた。 振り返れば、深紅はこれまでのオドオドした雰囲気の一切を消し、 ある種の精悍さすら感じられる表情で湖、いや、桟橋に注意を向けていた。 「こっちに、来る……! 新堂さん、下がって……!」 「雛咲? お前何か分かる――――」 「早くっ! 下がって!」 「なっ!? 危ない新堂さんッ!」 新堂の言葉に被せられた、深紅と圭一の必死な叫び。 しかしそれに身体が反応を示すよりも早く、足先から脳天まで悪寒が駆け抜ける。 直後――――新堂の視界が一変し、モノクロに染まった。 すぐ側に居た圭一達の姿が消えていた。 変わりに見えているのは、いつの間にか前方に突き出していた自身の右腕。 その手に握り、構えている拳銃。 そしてその銃口を突きつけられている外国人風の顔立ちの男だ。 それは、テレビのチャンネルでも切り替えたような、あまりにも脈絡の無い場面転換だった。 (な、何だよ、こりゃあ!?) 怒鳴ったつもりが、声は出せなかった。口すら動かせていない。 身体の自由がまるで効かなかった。 声を出そうとしても、首を巡らそうとしても、いつの間にか座り込んでいた身体を立たせようとしても、指先1つ、いや、眼球や瞼すら1ミリたりとも動かせない。 まるで自分の身体が何者かに支配されてしまっているかのようだ。 外国人風の男は拳銃から逃れるように自分とすれ違い、暗闇の中に走り去っていった。 待てよ、と声をかけようとしても、やはり声は出ない。そして―――― ぺちゃり 決して歓迎出来そうにない不気味な足音が耳に届いた。 視線を走らせたい衝動に駆られるが、反して視界はゆっくりと動く。 そこで漸く新堂は、今自分が居る場所が何処なのか認識する事が出来た。 ここは、デッキだ。狭さからして、右舷か左舷か――――とにかく船の上に自分は居る。 おそらくはあのオンボロ船か。しかし分かったところで身体が動かないのならば意味はない。 足音の主達が、視界に入った。 一目で連想したのはカエルだ。 巨大化し、二足歩行を覚えたカエルが数匹、だらしなく大口を開けて鈍い歩みで迫ってくる。 (新手のバケモンだと?! 冗談じゃねえぞこんな時に!) 思いが通じたのだろうか。 『自分の』両手が銃を構え、カエルに向けられる。 3発の銃声が、耳を劈いた。カエルの胴体から血飛沫が上がる。 が、『自分が』出来た事はそこまでだ。カエルは痛みに呻いたが、それだけだ。 刻まれた銃痕などお構い無しに、化物は歩みを再開する。 続けて引き金を引かれた銃は、空撃ちの音を虚しく立てるばかりだった。 (お、おい。ふざけんな! これで終わりかよっ!) だったらいつまでも座り込んでる場合ではない。立たねば。逃げ出さねば。 『自分の』身体が壁を支えに立ち上がった。片足が床に着くと同時に激痛が走った。 『くっそう!』 『自分の』口から、『誰かの』声がした。 『自分は』最後の抵抗とばかりに手に持つ拳銃を化物に投げつける。 拳銃は化物にぶつかるも跳ね返り、海の中へと虚しく落ちていった。効いた様子は全くない。 『自分は』化物に背を向け、足を浮かせた状態で壁伝いに逃走を試みる。 それも悪あがきに過ぎなかった。どうあがいてもそれは化物共の鈍い歩みよりも、遥かに遅い。 追いつかれるのは時間の問題だ。 (け、圭一! 雛咲! ジェニファー! 何処だ!?) 声は――――出せない。 (ちくしょう、もっと速く動けねえのかよ! 追いつかれちまうだろうが!) 身体は――――動かせない。 絶望の足音と鳴き声が、すぐ背後に迫っていた。 『自分の』首に何かが触れた。 そう思った次の瞬間――――強力な力で身体が宙吊りにされた。 『かっ……』 『誰かの』声が、掠れた声を上げた。 『自分の』身体にも何かが――おそらくは化物の腕が巻きつき、固定される。 そのまま後ろに引っ張られ、見えたのは、あの大口の上顎だ。 巨大な舌が、後頭部を舐めた。 (や、やめろ、おい! 圭一ぃ! どこにいるんだよ! た、助けてくれ!) 形にならない叫びを上げ、『自分は』化物に呑み込まれていく。 モノクロの世界が、真っ暗に閉ざされていく。 粘ついた液体が上半身を包んだ。着衣に染み込み、不快な生温かさが直接肌にへばり付く。 化物が喉を鳴らす度に、強靭な圧力が身体を絞めつけた。呑み込まれていくのだ。 呼吸は、既に出来ていない。 『すまん、なぁ。朝、子……』 『誰かの』掠れた呟きが、口から漏れた。 圧力が強められる。骨という骨が軋みを上げている。 首が、強く、強く、捻じ曲げられ―――― ごきり ――――気味の悪い音を、鳴らした。 (うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!) 絶叫が、どこか遠くから聞こえてくる。 遠く――――いや、遠くではないような気もしていた。 では近くなのか。それも良く分からない。はっきりとしない。 確かな事は、誰かが何処かで絶叫を上げている事。 そして、その絶叫に混じって別の誰かの呼びかけが聞こえてくる事。 自分の名を、誰かが呼んでいるような――――――――。 「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――……………………はッ!?」 視界は、また唐突に切り替わった。 目の前には新堂の顔を心配そうに覗き込んでいるジェニファーが居る。 新堂は慌てて上体を起こした。起こす事が出来た。身体が今は自由に動くのだ。 「マコト! マコト、大丈夫!?」 「どう、なって――――」 声を出し、自身の息が切れている事に漸く気付いた。 全力疾走でもした直後のように、肺が悲鳴を上げていた。 上手く酸素を取り込めず、喋ることすら覚束無い。 しばらくの間、新堂は荒い呼吸を繰り返すのがやっとだった。 「ミク! ケーイチ! マコトは大丈夫みたい!」 「そうか! いきなり悲鳴なんか上げだすから心配したぜ新堂さん!」 少し離れた場所から圭一の声がした。 気怠さを堪えて目を向ければ、バットを構えた圭一と、その後ろにいる深紅の姿が映る。 しかし、何よりも目を惹いたのは圭一の前に居るものだ。 青白く光っている人のような何かが、今、呻き声を上げて圭一に襲いかかろうとしていた。 「なん、だ。ありゃ……?」 圭一は後退りをしながらバットをがむしゃらに振り回し、そいつの接近をどうにか阻んでいた。 服装だけで判断するならば警察官のようだが、そいつは決して人ではない。 不規則に揺らめかせる身体は、実体が無いのか、後ろ側が透き通って見えていた。 幽霊というやつだろうか。それでも不思議とバットで殴る事は出来ているらしい。 しかし幾度も幾度も殴られ、怯みながらも、そいつは圭一を掴まえようと一つ覚えに両腕を前に伸ばしてくる。 「マコト。あなたさっきアレに襲われたのよ。 ケーイチが何とか引き剥がしてくれなかったら今頃……」 ジェニファーは言葉を濁すが、その先は何となく想像はつく。 あれが幽霊だとしたら『取り殺されていた』、或いはこの赤い湖に転落して溺死していた、といったところか。 先程の妙な体験は、あの幽霊の仕業だったらしい。 舌打ちを1つ鳴らし、新堂は立ち上がろうと地面に手をついた。 身体のあちこちが若干の痛みを訴えた。 無視してどうにか立ち上がるも、大きな疲労感で足が笑っていた。 危うくバランスを崩しかける。ジェニファーが横から支えてくれなければ間違いなく転倒していた。 (あのバケモンが……ふざけやがって……!) 苛立ちが膨れ上がり、こんな目に合わせた張本人に睨みつけるような視線を投げかけた。 が、そこに居たのは圭一と深紅だけだ。幽霊の姿は無い。 少し目を離した間に倒したのか。いや、それにしては圭一達の緊張は解けていない。 姿を消したのだ。 そんな芸当も可能なのかよ、と一瞬考えたが、相手が幽霊ならばそれも当然だ。 そもそも自分が先制を許してしまった理由は、敵が見えなかったからに他ならない。 (やばい、どうする!?) 自分も参戦するべきか、新堂は迷った。 呼吸は整ってきた。とりあえず動く事は出来るはず。戦えなくはないだろう。 だがいつの間にか――おそらく最初に攻撃された時――バットをどこかに落としていた。 幽霊の攻撃を食らえばあの幻覚を見せられるのだと思えば、とても素手では戦う気にはなれない。 「ジェニファー、俺のバット知らねえか?!」 「あそこよ! 圭一達の向こう!」 ジェニファーが指を指す。見ると確かにバットが落ちている。 だが、あそこに向かうということは、幽霊のいるかもしれない場所を突っ切らねばならないという事。 その時に襲われでもしたら本末転倒だ。 どうするか、新堂は判断に迷う。と、そこで深紅の存在が気になった。 深紅は何をしている。圭一の後ろにくっついて、一体何をしている。 あんな所に居ては圭一の邪魔になるだけだ。それなのに。 その疑問を解決したのは、他ならぬ深紅だった。 深紅はハッと何かに気付いたように顔を強ばらせると、圭一に指示を出す。 圭一が深紅の指示通りに振り向き、身体を深紅の前に滑り込ませる。 同じ方向に警察官の幽霊の姿が浮かび上がったのは、その直後だった。 予めその出現を知らされていた圭一の一振りが、カウンターで幽霊の顔面を殴り飛ばした。 首が不自然すぎる角度に折れ曲がる。幽霊は苦痛に身悶えるように奇声を上げた。 それは、まさに断末魔の叫び。 暫時辺りに響き、やがて声が消えると同時に幽霊は身体を散り散りにして、消滅した。 後には、残るようなものは何も無かった。 「やった、のか?」 新堂は問いかけた。圭一も戸惑うように深紅を見る。 視線を向けられた深紅は躊躇いがちに頷き、でも、と付け加えた。 「封印出来たわけじゃない……。多分、また現れます……」 「封印? どういうことだよ雛咲さん」 「それは――――」 「ちょっと待て雛咲。お前が何か知ってるのは分かったけど話は後にしろ。 アレがまた出て来るなんて面倒臭え。とっとと離れるぞ」 圭一達の戦闘を見る限り、深紅は幽霊の居場所をある程度探知出来るようだ。 そうと知っていれば、あの幽霊にはもう不意を突かれる事は無い。負けはしないはずだ。 しかし、万が一にも攻撃されればあの幻覚を再び見せられる事になる。それはもう願い下げだった。 ここは逃げの一手が正解だろう。 小さく舌を打ち、新堂はバットを拾いに向かった。 その時視界に入った、今にも朽ち果てて沈没しそうな、しかし、不気味な存在感のある幽霊船。 先程見た幻覚の中の自分が居た場所だ。 (……幻覚ねえ) 幻覚――――いや、あの映像を単なる幻覚と片付けるのはやや抵抗があった。 あの映像の生々しさは脳裏に刻み込まれていた。臭いや痛みまで思い出せそうだ。 あれは、記憶なのではないか。あの幽霊船で化物に殺された人間の記憶。 攻撃がきっかけで見えた映像なのだから、あの幽霊の記憶ではないだろうか。 そう思えた。 ふと、新堂はポケットから名簿を取り出した。 あの幽霊は、この街で化物に襲われ殺された警察官。 そう仮定するなら、つまりあの警察官も「呼ばれし者」の内の1人だったという事になる。 ならば、名簿を見れば名前くらいは分かるかもしれない。そう思い当たったのだ。 赤い線の引かれている名前に上から順に目を通す。果たして、該当する名前は見つかった。 現時点で日本人の男の名前で死亡者は「日野貞夫」「藤田茂」の2名。 日野ではないのは確実なのだから、残るは「藤田茂」。この男だろう。 (「藤田」、ね。もう1人いやがったな。あいつは……) 記憶の中で見た、外国人風の男。 一応名前をチェックしようと考えたが、新堂は自嘲気味に鼻を鳴らし、すぐに名簿をしまった。 そもそもこちらは死んでいるかどうかも分からない人間だった。チェックするだけ無駄だ。 だが、男の顔は覚えておく必要がある。 あの記憶の中では、男は藤田に銃を突きつけられていた。 そして、男は藤田を置き去りにして逃走した。 経緯はまるで分からないが、男は間接的にとは言え藤田を殺害した。 あの記憶だけで判断するならそういう事になるのだ。警戒は、必要だ。 「新堂さん。どうかしたか?」 「ああ? いや、何でもねえよ」 バットも拾わずに立ち止まっていた新堂を不審に思ったのか、圭一が声をかけてきた。 藤田や男の事は、今はまだ話せない。話すには流れとして名簿を見せる必要がある。 圭一の仲間の事もあるし、それは研究所に着いてからでいい。 新堂は名簿をポケットに戻し適当に誤魔化す事にした。 「ちょっとまだ身体が痛くってな」 「あ……さっき圭一さんが叩いてたから……」 深紅が聞き捨てならない言葉を口にした。 瞬間、慌てふためいた圭一が素早く深紅に近付き、口を抑えた。 その態度は、どう見ても後ろめたさの証明。新堂の顔が、険しさを増した。 「……そういやさっきジェニファーが『圭一が引き剥がした』とか言ってたな。 お前まさかそのバットで俺ごとぶん殴ったんじゃねえだろうな?」 「い、いやー、だってしょうがないだろ? そうでもしないと新堂さん殺されてたかもしれないし」 引きつった愛想笑いを浮かべる圭一を、新堂はしばし睨みつけていた。 圭一の言う事は尤もだ。ここは新堂も感謝をしなくてはいけないところかもしれない。 しかし、全身の痛み。倦怠感。そして借りを返すべき相手からは逃げねばならない苛立ち。 八つ当たりをするには充分の理由が揃っていた。 新堂は意地の悪い笑みを圭一に返した。 「覚えとけよ圭一。世の中にはほんの些細な恨みで人殺す奴もいるんだぜ。 例えば、部活の勧誘を無視されたってだけで、とかな」 「お、おいおい。だから物騒なこと言うなって」 困惑し、まあまあの反応を見せる圭一。 ささやかな憂さ晴らしくらいにはなった。今はその程度で良しとしておこう。 「ふん、まあいいや。とにかく急ごうぜ。モタモタしてるとまたアレが出てきちまう」 新堂はバットを拾い、全員を見返した。 ジェニファー。深紅。圭一。幸い1人として負傷者はいないようだ。 自分だけが攻撃された事には少々の不満を覚えるが、これ以上の愚痴は止めておく。 倦怠感の抜けそうにない身体で、新堂は先頭を行く。 休める場所――――研究所までは、後、もう少しだ。 【D-4/リトル・バロネス号付近/一日目夜中】 【新堂誠@学校であった恐い話】 [状態]:銃撃による軽症、肉体的疲労(大)、精神的疲労(大) [装備]:ボロボロの木製バット [道具]:学生証、ギャンブル・トランプ(男)、地図(ルールと名簿付き)、その他 [思考・状況] 基本行動方針:殺人クラブメンバーとして化物を殺す 1:研究所へ向かう 2:研究所に着いて安全を確保するまでは名簿の死亡者については話さない 3:安全な場所で雛咲、ジェニファーから情報を得る 【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:銃撃による軽症、赤い炎のような強い意思、疲労(小)、L1 [装備]:悟史の金属バット [道具]:特に無し [思考・状況] 基本行動方針:部活メンバーを探しだし安全を確保する 1:研究所へ向かう 2:安全な場所でジェニファーから情報を得る 3:部活メンバーがいれば連携して事態を解決する 【雛咲深紅@零~zero~】 [状態]:T-ウィルス感染、右腕に軽い裂傷 [装備]:アリッサのスタンガン@バイオハザードアウトブレイク(使用可能回数7/8) [道具]:携帯ライト、ヨーコのリュックサック(P-ベース、V-ポイズン、ハンドガンの弾×20発、試薬生成メモ)@バイオハザードアウトブレイク [思考・状況] 基本行動方針:ヨーコの意思を引き継ぐ 1:研究所へ向かう 2:安全な場所でジェニファーから情報を得る 3:幽霊……触れる……? どうして? ※怨霊が完全に姿を消している時でも、気配を感じることは出来るようです。 「……ん? ツカサ?」 4人の最後尾を行くジェニファーは、ツカサの姿が見えない事に気付いた。 先程までは、自分がエスコートをするのだ、と言わんばかりに優雅に先頭を歩いていたツカサが見当たらない。 キョロキョロと辺りを見回す。振り返った時、漸くその姿を見つける事が出来た。 ツカサは顔を上げてはいるものの、腹ばいの体勢で地面に座り込んでいた。 「ツカサ。行くわよ」 呼び掛けに対し、ツカサは、クゥン、と小さな返事を返して立ち上がった。 カツカツと爪音を立ててジェニファーの横を通り過ぎていく。 「疲れたの? もうちょっとだから我慢してね。 ……何か餌になるようなものがあるといいけど」 マコト達の目指す先は「研究所」。 とても食べ物とは縁の無さそうな場所だが、まあ着いたら探すだけ探してみるとしよう。 ツカサがマコト達に追いつき、彼等の前を歩いていく。 思考に沈みかけていたジェニファーはそれに気付き、慌てて早足で後を追った。 【ジェニファー・シンプソン@クロックタワー2】 [状態]:健康 [装備]:私服 [道具]:丈夫な手提げ鞄(分厚い参考書と辞書、筆記用具入り) [思考・状況] 基本行動方針:ここが何処なのか知りたい 1:餌……探さないと 2:安全な場所で三人から情報を得る 3:ここは普通の街ではないみたい…… 4:ヘレン、心配してるかしら <オマケ> 【ツカサ・オブ・ジルドール@SIREN2】 [状態]:T-ウィルス感染 [装備]:首輪 [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:主人を探す 1:人間は守る 2:西の方から主人の匂いを感じる 3:空腹? ※ゾンビを噛んだため、T-ウイルスに感染したようです ※オマケなので、参加者として扱う必要はありません 『敵』はもう、いなくなった。 この船に入ってこないのならば、追いかける必要は無い。 自分の役目は、『敵』を捕まえる事ではない。 自分の役目は、『敵』を殺す事ではない。 自分の役目は、今度こそ――――。 霧散していた身体を、時間をかけて1つ1つ繋ぎ止め、 誰もいなくなった桟橋付近で藤田茂は再生を果たした。 ゆらり。ゆらりと。青白く光る身体を宙に漂わせ、 ゆっくりと桟橋を渡り、リトルバロネス号へのテロップを滑るように昇る。 デッキを通過し、客室の一室の扉を「開けもせずに」中に入った。 その部屋で蹲っているのは、1人の少女の幽霊だった。 生前、助けたくても助けられなかった外人の少女。その幽霊だ。 死の直前、余程怖い思いをしたのだろう。 こうして肉体を失った後でも少女は身体を小刻みに震わせてすすり泣いていた。 不憫に感じ、藤田は目を細める。少女の頭に実体の無くなった自分の右手を、優しく置いた。 もう大丈夫だ。 ちょっと苦労したけど、怖い奴らはおまわりさんがみーんな追っ払ってやったから。 だから安心して、休むんだ。…………なっ! 【D-4/リトル・バロネス号客室/一日目夜中】 ※怨霊に攻撃をされると呪いにより体力を奪われる事があるようです。 また、怨霊の死亡時の記憶を見せられる事があるようです。 どちらの現象も、怨霊の攻撃の際に必ず起こる事とは限りません。 ※怨霊には物理攻撃もそれなりに通用するようです。 倒せば一旦は消滅しますが封印される訳ではないので時間経過で復活します。 ※怨霊は基本的に実体化してますが、攻撃してこない間は姿を消す事も出来るようです。 back 目次へ next 猫歩肪当(猫も歩けば棒に当る) 時系列順・目次 Night of the Living Dead 生まれ変わったら双子がいいね 投下順・目次 せめて一度くらい、幸せな夢を見させて back キャラ追跡表 next Doppelganger 新堂誠 隠し件 Doppelganger 前原圭一 隠し件 Doppelganger 雛咲深紅 隠し件 Doppelganger ジェニファー・シンプソン 隠し件
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太陽が空高く昇り、誰もが各々の仕事に従事する、その日。 グンドュラ・ラルは自室のベッドの上で横になっていた。 額に濡らしたタオルを載せる彼女の唇からは時たま熱の篭った吐息が吐き出され、青い瞳の焦点もどこか定まっていない。 ラル「……ぅ」 悪寒が肌を撫でつけ弱々しい声が洩れる。 起床時間に目を覚ました彼女は全身を包み込む倦怠感に耐えられず医務室へと向かった。 医師から告げられた診断結果は風邪というごくありきたりなもの。 原因には心当たりがあった。 おそらく先日、階段で足を滑らせた自分を庇って頭を床にぶつけた俺を日が昇るまで膝の上で寝かせて面倒を見ていたせいだろう。 そういえば明け方やけに冷え込んでいたなと思い出しながら鼻をかむ。 ラル「馬鹿だな……私は」 統合戦闘航空団を預かる司令でありながら、己の健康管理すらまともに行えないとは。 悔しさと不甲斐なさに歯噛みし、枕に顔を埋める。 寝付くことが出来ずにいる最中、俺の身体に倒れ込んだあの夜の出来事が突如として脳裏に浮かんだ。 その際に彼の胸板の逞しさに温もりやらといった生々しい感触まで蘇ってしまい、風邪による発熱とはまた異なった熱がラルの頬を覆っていく。 ラル「って私は何を想像しているんだ!? ごほっ……けほっ」 羞恥心が頂点に達して思わず声を荒げた途端に喉が痛み、激しく咳き込んでしまう。 悪化する寒気から少しでも身を守ろうとシーツの中で身体を丸める。 こういうときにペテルブルクの寒さが身に染みた。 ラル「……見舞いに来てくれたっていいだろ」 階段から足を踏み外したのも俺を看病すると言って明け方近くまで離さなかったのも確かに自分なのだが、一度くらい顔を見せに来てくれても良いではないか。 ―――いや、そもそもどうして俺に見舞いに来て欲しいんだ? 自身の胸中に渦巻く不可解な感情の正体が何なのか分からないばかりか、上手く説明することすらもできない。ただ最近やたらと俺のことを考えている時間が増えている気がする。 ラル「まさか、な……」 ロスマン「ロスマンです。隊長……大丈夫ですか?」 寝返りを繰り返しているとドアをノックする音が耳に届き、続いてロスマンの澄んだ声が聞こえてくる。 今日は休むと伝えたはずなのだが、何か問題でも起きたのか。 それとも見舞いにでも来てくれたのか。 ラル「あぁ……大丈夫だ。起きている」 ロスマン「では。失礼します」 ラル「お、俺!?」 ドアが音を立てて開き、ロスマンの小柄な体躯と彼女の後ろに続く俺の姿を捉えた瞬間ラルの心臓が大きく跳ね上がり、彼女の裏返った悲鳴が室内に木霊する。 俺「おいおい。顔が赤いぞ? 寝て無くていいのか?」 ラル「だ、誰のせいだと思っている!」 布団で身を隠し僅かに顔だけ出し、思わず睨みつけてしまう。 俺「えっ……いや、そりゃあ俺のせいで風邪引いたようなものだけど……」 ラル「そうじゃない! あぁ……もう! それでロスマン曹長。どうして俺がここにいるのか説明してもらおうか?」 荒い呼吸を整えながらロスマンへと視線を移すと、彼女は口元に手を当てこほんと咳をしたあと、とんでもないことを口走った。 ロスマン「はい。今日一日俺さんには隊長の看病をしてもらいます」 ラル「……は?」 まるで、そのことがさも当然であるかのようなロスマンの言葉にラルは開いた口が塞がらなかった。 待て。今なんて言った? 看病する? 私を? 俺が? ラル「すまない、曹長。もう一度頼む」 ロスマン「ですから。俺さんに隊長の看病をお任せしたんです」 きっと幻聴に違いない、これも風邪のせいだろう。 しかし、そんなラルの考えも空しく打ち砕かれてしまった。 ラル「……はぁぁぁ!?」 部屋に入ってきた俺を見つけたときとは比にならないほどの大音響が再び室内に響き渡る。 ロスマン曰く最初はクルピンスキーが看病をすると言い出したのだが、彼女に任せてはラルの貞操が危ういと感じて俺に頼んだらしい。 風邪で弱っているのをいいことに妖艶な微笑を湛えてベッドに上がり込み、十指を不気味に蠢かせるクルピンスキーの姿を想像し、ラルは慌ててかぶりを振った。 たしかにクルピンスキーに任せると何をされるか分かったものじゃない。 ラル「いや、だからといって! どうして俺なんだ!?」 俺「サーシャは戦闘隊長だから、風邪が移ったら大変だろう。その点俺は身体が頑丈だから移される心配もない」 ラル「っく……曹長! 本気か!?」 ロスマン「俺さんが弱みに付け込んで手を出す卑劣漢でないことは隊長もご存知のはずですが?」 いつぞやストライカーのエンジントラブルによって墜落したニパと俺は数日の間行動を共にしていたが、手を出したという話は聞いていない。 現に彼女がストライカーを身に着けて空を飛んでいるのが何よりの証拠だ。 ラル「それは! 分かっている……だが!」 自分だって女なのだ。 風邪を引いたみっともない格好を、それも近ごろ気になっている男に晒すことなど出来るわけがない。寝巻き姿で髪だって整えていないというのに! ロスマン「隊長?」 ラル「ッ!?」 有無を言わさぬロスマンの異様な迫力に思わず身を強張らせた。一瞬だけロスマンの背後で背が伸び、胸も成長した彼女の姿が浮かび上がったように見えたが、気のせいだろう。 無論自分の身を案じてのことなのだろうが、やはり簡単に割切れることではない。 抵抗する彼女を押さえつけたのは数々のエースを育て上げてきた者が見せる威厳だった。 ラル「ぅ……わかった。好きにしろ……」 しかし、ここで駄々を捏ねて風邪を悪化させるわけにもいかず、渋々ロスマンの条件を呑み込むことにした。 自分は第502統合戦闘航空団の司令であり、この身体も自分だけのものではない。 いつネウロイが攻めてくるかも分からない戦況故に自分を含めたウィッチは常時出撃できる態勢を整えなければならないのだ。 そう言い聞かせることで己を律するラルであったが時折、俺の視線とぶつかる度に頬の熱が上がっていくのを感じ、何とも居た堪れない気分に陥った。 ロスマン「俺さん。よろしくお願いしますね」 俺「おう。任せてくれ」 快く返事をする俺。 果たしてこの男が複雑怪奇な乙女の心を理解する日は来るのだろうか。 ロスマン「それでは隊長。お大事に」 そんなにクルピンスキーに任せるのが嫌だったのかと思えてしまうほどに満足げな笑みを落として去っていくロスマンの背を見送っていると、俺が口を開いた。 俺「あー……お節介だったか?」 些かトーンが下がった口調から俺自身も今回の件を気にしていたらしい。 ラル「あのな。私だって……女なんだぞ? こんな格好……男に見せられるわけがないだろ」 お前は私のことを女と思っていないのか?――と胸中で付け足してやると俺は以外にも表情に影を落として視線を逸らした。 その急変ぶりについ拍子抜けしてしまう。 俺「悪い……思えば軽率な行動だったな……」 俺なりに自分の容体を気にかけての行動だったのだろうが、やはり気恥ずかしい。 それでも悪意あっての行動でないことは分かっているため、無碍にすることも咎めることも出来なかった。 ラル「……もういい。お前だって悪気があったわけじゃないん――」 ―――くぅぅぅ そう言いかけたラルの言葉を遮るように可愛らしい鳴き声がどこからともなく聞こえてきた。 すぐ傍でそれを耳にした俺は室内に何か動物でもいるかのと考えたが、顔を真紅に染め上げながら腹部を両手で抑えるラルの姿を見て、今の鳴き声が彼女の腹の虫の音だと悟った。 ラル「は……ぅ」 か細い声を上げてきゅっと唇をかみ締めるラルの青い瞳には羞恥心から生まれた透明な雫がうっすらと浮かんでいた。 その潤んだ輝きを放つ青い視線が俺のそれとぶつかった瞬間、ラルは俯いて俺の眼差しから逃れた。 一方でそんなラルの姿に俺は感慨深いものを感じた。日ごろの彼女とは異なる年相応の少女らしい様を眺める俺が壁に立てかける時計に視線を移すと既に時刻は正午を過ぎていた。 俺「昼食はまだなのか?」 ラル「あ、あぁ」 そんなに腹の虫を俺に聞かれてしまったことが堪えたのか、俯いたまま堪えるラル。 俺「……よし、待ってろ。何か作ってくる」 立ち上がるや否や俺はラルが制止の声を上げるよりも早く部屋を飛び出して行った。 一人残された彼女は小さな吐息を吐いた。 俺がこの部屋に入ってきてからというもの、調子を狂わされてばかりだ。彼が部屋を出て行った今も頬には熱が残り、冷める気配が見えない。 ラル「何をやっているんだ……私は」 彼にじっと見つめられると心臓の鼓動は速まり、彼の笑顔を見る度に体温が芯から上昇してしまう。 この気持ちは一体何なのだろう。 どうして俺の姿を見ているだけで胸が締め付けられる感覚を味わうのだろう。 俺「おまたせ。これぐらいしか作れなかったけど、勘弁してくれ」 顔を上げれば俺が茶碗を載せたトレーを持って部屋のドアを閉めている最中だった。 部屋を飛び出してから二十分も経っておらず随分と早い帰りに首を傾げる。 ラル「それは……スープか?」 ベッド近くのテーブルに置かれたトレー。 そこに載せられている茶碗には煮込まれた白米が白い湯気を立ち昇らせていた。よく見れば白米には溶き卵が混ざっており、それが一層ラルの食欲を刺激した。 俺「お粥だよ。扶桑の人間が風邪を引くと決まって食べるものだ。そういやカールスラントじゃお粥のこと穀物のスープって言うんだっけか?」 茶碗から漂う香りを取り込んだ直後にラルの腹部から再び“くぅぅ”という可愛らしい音が鳴った。 慌てて腹部を押さえるも自分を見つめる微笑ましい笑顔に頬を帯びる熱が更に上昇していく。 もはや、ベッドの上で横になっているのは統合戦闘航空団を束ねる女傑ではなく腹の虫の泣き声を聞かれて赤面する一人の少女だった。 俺「起きられるか?」 ラル「馬鹿にするな。これくらい……一人で」 これ以上みっともない姿を晒すわけにはいかない。 そう意気込んで鉛のように重い身体を無理やり引き摺り上げようと試みるが、自分が思っていたよりも疲労が蓄積されており、身体を起こすこともままならず諦観が混じった溜息を吐いた。 ラル「……すまない。頼む」 俺「了解。起こすぞ?」 ラル「あぁ……んぁっ!」 背中に手を回され、妙なくすぐったさにどこか甘みが含まれた声を洩らしてしまう。 温かい俺の手の平が背中に添えられ、ラルは心臓が激しく揺れるのを感じた。 同時に悪寒がいつの間にか消え去り、柔らかな温もりが全身を満たしていることに気が付く。 俺「痛むか?」 問いかけに黙ってかぶりを振ることしかできない。 声を出そうにも喉下で留まり、中々出てきてくれなかった。 俺「持てるか?」 ラル「心配性だな、俺は。これくらい、どうってこと……!?」 スプーンを掴むのと同時にラルの目が見開かれる。手にいくら力を込めても、それはまるで穴の空いた容器に水を注いでるかのようにすぐに抜けていってしまうのだ。 自分が思っていたよりも深刻な現状に項垂れる。 ラル「そんな……どうして……」 俺「相当疲れが溜まってるんだろうな。どれ、貸してみろ」 ラル「……何をする気だ?」 俺が受け取ったスプーンを手に取り茶碗からお粥を掬う。 何故だか妙な胸騒ぎがしてならない。 俺「決まってるだろう……はい。あーん」 ラル「なっ!?」 スプーンの先を口元に差し出され、裏返った声を上げてしまった。 俺「あぁ、悪い。ちゃんと冷まさないとな。ふぅ……ふぅ……よし、これで良いか?」 素っ頓狂なラルの声に俺は彼女の口元に差し出したスプーンを自分の口元まで運び、息を吹きかけて冷ます。 ラルが火傷をしないよう配慮しての行動であったが、冷ましていないお粥を差し出されたことと彼女の動揺は何の関係もない。 この男。案外どこかズレているのかもしれない。 ラル「そうじゃない!!」 俺「……そんなこと言われても。持てないんだろ?」 ラル「っぐ! それはそうだが!!」 俺「だったら四の五の言わずに食え。病人は食べるもの食べて、水分取って、寝ろ」 ラル「っくぅぅぅ」 俺「ほら、大人しく口を開けなさい。あーん」 ラル「ぁ……あぁ……ん」 おずおずと口を開き、そっと口内に入れられたスプーンを咥え卵粥を咀嚼する。 とろとろに煮込まれた白米と程よい味付けがされた卵が口の中で絡み合い、栄養が全身に行き渡るのを感じつつ飲みこむ。悔しいが味は本物だった。 俺「美味いか?」 ラル「……」 無言で頷く。 傍から見れば恋人と思われてもおかしくないシチュエーションにラルは自分が火そのものになったかのような錯覚に陥った。 俺「そりゃよかった。はい、あーん」 ラル「ぅぅ……まだ、やるのか?」 俺「自分で食べられるんだったら良いぞ?」 意地悪な男だ。 スプーンを目の前で左右に揺らす俺に恨めしい視線を送るラルは胸中でそう思うのだった。 ラル「ごちそうさま」 俺「おそまつさまでした」 湯を張った別の桶に真新しいタオルを入れて濡らす俺の後姿を見つめながらラルは口元を歪めた。 散々辱められて、このまま終わるほどグンドュラ・ラルは甘い人間ではない。 せめて一矢報いなければ気が済まないと考えた彼女は俺の背に向かって声を飛ばす。 ラル「俺」 俺「ん?」 ラル「そのだな……お粥を食べたら急に身体が火照ってきてな」 俺「ほうほう。それで?」 ラル「悪いが……背中を拭いてくれないか?」 その言葉を耳にした瞬間、俺の思考が停止した。 背中を拭いてくれ。あぁ何て甘美な響きが込められた言葉だろう。 年齢=彼女いない暦=童貞の俺にとって彼女が放った言葉は天使の歌声にも悪魔のささやきにも似たものを秘めていた。 俺「いや! でも! だけどさ!!」 ダムを決壊するが如く溢れ出てくる煩悩を持ち前の屈強な理性で押さえ込む俺であったが内心では滅多にないチャンスにどぎまぎしていた。 背中である。繰り返す、美女の背中なのである。 それも看病という大儀名目も備わっているため、誰からも文句を言われることなく彼女の肌を拝むことができるのだ。 俺の脳内で理性と煩悩がカイロネイア並みの戦いを繰り広げる。 ラル「くくくっ……それじゃあ。頼むぞ」 彼の狼狽振りを耳にしたラルはしてやったりとばかりに口元をにやつかせた。 背中を向けているせいか俺の困惑した表情を見られないのが残念だ。 それでも一泡吹かせてやることが出来ただけでも思い切った甲斐があったというものだ。 ふと、ほくそ笑みながらボタンへと伸びる彼女の手が止まった。 ラル「……ッ!」 男に素肌を晒す経験など一度も無い故にこみ上げてきた羞恥心が彼女の決心を鈍らせる。 それだけではない。背にはカールスラント撤退戦の折に刻み付けられた傷もあるのだ。 この傷を見て俺はどう思うのだろう。 普段と変わらぬ笑顔で笑い飛ばしてくれるだろうか。 それとも気味悪がるのだろうか。そんな考えが脳裏を過ぎった途端に停止していたラルの手が小刻みに震えはじめる。 ラル「(怖い……のか)」 この傷を俺に晒すことが。この傷を見た俺に気味悪がられることが。 どうしようもなく怖かった。そう思うほどに俺の存在が自身の内で大きくなっていることにも気付かず、胸元に寄せる手をきつく握り締める。 俺「ラル……?」 ラル「いや……大丈夫だ」 自身の動揺を感じ取ったのか、気遣うような俺の声音が聞こえる。 小さく息を吸い込んで吐き出したラルが意を決してボタンを外し、上着を脱ぎ捨てた。 俺「……ッ!?」 普段はコルセットで守られた部分に走る傷を目にした俺は息を呑み込んだ。 白磁を思わせる瑞々しい肌に走る痛々しい傷痕に俺の面差しが次第に沈痛なものへと変わっていく。それは年頃の少女が背負うには余りにも重過ぎるほど悲惨なものだった。 ラル「昨夜話したカールスラント撤退戦のときにつけられた傷だ。酷いだろ?」 俺「……」 ラル「撃墜数が人類第三位と言われても……この傷だけは今も負い目なんだ。笑ってくれ……」 俺「……そんなことはないさ」 ラル「……ッ!?」 返ってきた言葉に含まれていた、はっきりとした否定にラルが息を詰まらせる。 俺「ラルにとって……この傷は負い目になっているのかもしれない。でも、それは恥ずかしがることじゃないさ。身体に傷をつけられて引きずらない女の子なんかいないんじゃないか?」 タオルではなく指で彼女の傷をなぞる。 年頃の、ましてや嫁入り前の少女にとってこの傷は間違いなく忌むべきものなのだろう。 俺「それでも、この傷は誰かを守るために必死になって出来た傷なんだろ。戦えない他の人たちや仲間を守るために、戦って出来た傷なんだろ。 だったら、笑う奴なんかいないよ。もし、そんな奴がいたら……俺がぶっ飛ばしてやる」 傷を負ってなお再び空を飛ぶことを選んだラルの背中に手を当てながら俺は思う。 不安もあっただろう。恐れもあっただろう。 それら全てを乗り越えた彼女に自分は何をしてやれるのか。 同情や憐れみではなく。ただラルの力になりたいという純粋な感情が俺に芽吹いていた。 俺「それに俺は……綺麗だと思うぞ、ラルの身体。この傷もひっくるめて……何もかも……ぜんぶな」 それまで俺の言葉に黙って耳を傾けていたラルの胸の奥が不意に熱くなった。 目頭にまで込み上げてきたそれを拭いながら、今俺に背を向けていることに感謝した。 涙を流しながら笑う、こんな顔を見られずに済むのだから。 俺「おい、どうした!? どこか苦しいのか!?」 ラル「いいんだ! 俺……本当に大丈夫だから……」 嗚咽を堪え、肩を震わせていると後ろから焦燥感に駆られた俺の声が届く。 そんな心の底から自分の身を案じてくれる俺の優しさにラルは浮かべる笑みを一層濃くした。 俺「ほんとう、か……?」 ラル「あぁ。だから……頼む、俺。もう少しだけ……もう少しだけで良いんだ。傍にいてくれ」 片方の手で胸を隠すように抑え、もう片方の手を後ろにいる俺の腕に伸ばしたラルは嗚咽が治まるまで掴み続けた。 俺「ようやく眠ったか……はぁ」 布団に包まれた身体が上下するのを確認し、胸を撫で下ろす。 あれから背中を拭き終え、薬を飲んだ彼女は糸の切れた人形のようにベッドに倒れる勢いで横になった。 薬のおかげか、彼女の面差しは大分柔らかくなり、健やかな寝息を立てている。 ラル「んぅ……ぅん……」 時折、やけに艶かしさが込められた寝言が自身の理性を激しく揺さぶっていること以外は何も心配する必要はないようだ。 俺「早く……良くなってくれよ」 椅子を引っ張り出して腰掛ける。 瞼の上にかかる前髪をそっと払いのけた俺の呟きが眠る彼女の耳に届くことはなかった。 ラル「……ぅあ」 不意にラルの口から呻き声が洩れた。 端正な顔立ちは次第に苦しげなものへと歪み、呼吸も段々と荒いものへと変わっていく。 まさか薬が効いていないのではと椅子から立ち上がり、身を翻す俺の耳に彼女の悲痛な声が届いた。 ラル「やめろ……来るな……」 俺「ラル……?」 ラル「前が……見えな……あぁ……ぁぁっ」 おそらくは重症を負わされたカールスラント撤退戦のときの光景が悪夢となって蘇っているのだろう。 シーツを握り締め、夢の中で忌わしき記憶と対峙するラルの姿を捉えた俺はベッドへと近づけた椅子に座って、彼女の手をそっと両手で包みこんだ。 こんなことでラルの悪夢を打ち払えるかどうかは疑問だが、それでも何もせずに彼女が苦しむ姿を見ることだけはどうしても耐えられなかった。 俺「……大丈夫だ。だから……今は安心して眠ってくれ」 ラル「……ぁ」 手を包み込む温もりに安心感を覚えたのか。強張ったラルの表情が和らいでいく。 俺「よかった……」 人類第三位の撃墜数を誇るグレーとエースとはいえこの娘もまた他のウィッチと何ら変わらぬ少女なのだ。 日ごろは司令官として隊員たちに不安を与えぬよう常に笑顔を浮かべて周囲を安心させる器量を見せているがその実、彼女自身が一番ストレスを溜め込んでいるのではないか。 俺「……」 攻勢部隊がゆえに上層部からの命令。 先行きの見えないネウロイとの戦争。 愛する祖国を奪われたことに対する憤り。 それら全てを彼女はこの華奢な身体に背負い込んでいるのだ。 俺「ッ!」 不意に視界が揺らいだ。 思い返せばラルが病床に伏せたと聞いてから、ろくに休息もとっていなかった。 これじゃミイラ取りがミイラになるのと同じだなと苦笑いを零す俺であったが睡魔は確実に彼の全身を蝕んでいた。 俺「ははは……なぁに、やってんだかぁ……」 支えを無くした俺の身体は微塵の抵抗をすることもなく、ベッドの上で横になるラルの柔らかな肢体へと倒れ込んだ。 腹部辺りに何かが圧し掛かっている感覚に気が付き、意識を取り戻す。 瞼を開けると眠りに就く前よりも良好な視界が広がった。 全身に絡みつく倦怠感も消え去り、簡単に身体を動かすことも出来る。 ラル「俺?」 身体を起こすと目の前には、ベッド近くに置かれた椅子に座ったまま身を屈めて自分の腹部に顔を埋める俺の寝顔がカーテンの隙間から差し込む茜色の光に照らされていた。 腹部に圧し掛かる感触は俺だったようだ。 ラル「ずっと……傍にいてくれたのか……?」 テーブルの上に残る茶碗やタオルが漂っている水の入った桶に熟睡する俺の寝顔からラルは彼が、あれから片時も離れずに自分のことを介抱してくれていたことを悟った。胸の奥に生まれる熱を再び感じながら、無防備な寝顔を晒す俺の頭を撫でようと手を動かしたとき、自分の手が俺の両手に包まれていることに気が付く。 ラル「……本当にお節介焼きなやつだな、おまえは」 眠っている間、カールスラント撤退戦時の記憶が悪夢となって蘇っていた。 だが、それは突然に他の隊員たちと談笑しながら午後のティータイムを楽しむ柔らかな夢へと変わったのだ。 そのことが、俺が自分の手を握ってくれていたことと関係しているかどうかは定かでない。 だとしても、ラルには俺が忌わしい悪夢を打ち払ってくれたかのように思えてならなかった。 ラル「でも……ありがとう。俺」 間の抜けた寝顔を晒す俺の頭を撫でる彼女の笑みはどこか満ち足りたものを秘めていた。
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目次 【時事】ニュース1936 西暦1936年 The year 1936 RS51936 西暦1936年 the year 1936 口コミ1936 西暦1936年 The year 1936 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース 1936 グランドスラム大会のシングルスで3度優勝した国際テニス名誉の殿堂メンバーのダーリーン・ハードが85歳で逝去 [テニス](テニスマガジンONLINE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース インディ500で4度優勝のアル・アンサー氏が死去 82歳(AFP=時事) - Yahoo!ニュース - スポーツナビ 物言わぬ英王室の掟はどこに!? チャールズ皇太子、“レイシスト”疑惑に反論し法的手段も(MOVIE WALKER PRESS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 屋久島宮之浦岳「100回登頂達成」 ワタミの重要決断は「登山で自問自答」(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 大分県立美術館で横尾忠則展 生涯たどるグラフィックなど500点ずらり(みんなの経済新聞ネットワーク) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 第1位は「一言多十」? “しわしわネーム”の時代、登録名の“自由化”よりも前にいた“珍名”選手【プロ野球はみだし録】(週刊ベースボールONLINE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 北京五輪「外交的ボイコット」で振り返る、オリンピックと政治の切れない関係(GLOBE+) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 李禹煥の大規模回顧展が国立新美術館で開催。過去の代表作とともに新作も展示(美術手帖) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ナニコレ?高校日本史の先生が作った警告文が話題 「再試ヲ受ケテイナイ者ニ告グ 父母兄弟ハ皆泣イテオルゾ」(まいどなニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 苦悩にじむ昭和天皇、転機うかがわせた10月 側近が記した開戦直前 - 朝日新聞デジタル トミカ × リアルカー オールカタログ / No.4 Honda VFR 白バイ(MotorFan) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <新型コロナ>接種済みも…埼玉5人感染 オミクロン株に備え始めた埼玉、第5波ピークを上回る病床確保へ(埼玉新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ワクチンの発症予防効果、時間経過で弱まる可能性 国内研究でも(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 北海道唯一の三セク鉄道「道南いさりび鉄道」で新たな発見を楽しむ(GetNavi web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ビールブランド「バドワイザー」がNFTコレクション販売(あたらしい経済) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 元〝鬼寮長〟梅本氏、新庄監督就任に「めでたいんやけど、日本ハムに迷惑が…」 努力のどの字もなかったが、センスの塊(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 創立130年を迎えた浅村特許事務所 高橋是清氏の勧めで創立(オーヴォ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ニッポンのモータリゼーションを支えた「生き証人」が……消え行く自動車文化遺産(ベストカーWeb) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【新作情報】「2021BBMベースボールカード オリックス・バファローズヒストリー1936-2021」祝・優勝! ヒストリーカード第6弾はオリックス | BBMスポーツ | ベースボール・マガジン社 - bbm-japan.com 最強蒸気機関車のはずだったデゴイチ弟の不遇 「戦時量産型」D52 戦後はヒーローへ“転生”(乗りものニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 四季報「編集後記」に垣間見る、軍国化から戦後混乱の変遷(会社四季報オンライン) - Yahoo!ニュース 戦前の「四季報」巻頭巻末企画から読み解く 軍靴の足音 (会社四季報オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 今日は何の日:11月7日(nippon.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【決算速報】武蔵精密工業、中間経常1,936百万。アナリスト予想を下回る - ニュース・コラム - Y!ファイナンス - Yahoo!ファイナンス 戦前の「四季報」で振り返る「取引所」の興味深すぎる変遷(会社四季報オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 小説『モンパルナス1934~キャンティ前史~』エピソード8 富士子とゲルダ 1936-1937 村井邦彦・吉田俊宏 作 - リアルサウンド 歴史的な大敗のマンU…酷評の地元紙は主将に採点「0」!英メディアは「構築したのは倦怠感だけ」と監督解任を要求(THE DIGEST) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース あなたは「多摩川スピードウェイ」を知っているか? 日本初の常設サーキットの昔と今(ENGINE WEB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 長い長い「バカンス」を満喫するフランス人、休暇明けは憂鬱にならない?(オトナンサー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 自然あふれる伊豆七島 しかし「国立公園化」の道は険しく、戦時下でも行われていた!(アーバン ライフ メトロ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 強制収容所で体操する少女、体を丸めてうなだれる日本人捕虜…AIとのカラー化で甦った驚愕の“戦前・戦中写真”10選(文春オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 競歩Wメダルは陸上日本勢85年ぶりの快挙!1936年ベルリン大会の三段跳びまでさかのぼる【東京五輪】(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース コレが日本のレースシーン? 開設から85年! 日本初の常設サーキット「多摩川スピードウェイ」をご存知だろうか? 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狭心症や急性冠症候群について、安定狭心症と不安定狭心症の観点から、診断方法や治療法について復習。 はじめに ・心筋虚血は心筋の酸素需要に対して供給不足の状態 ・その原因は代謝異常や冠血流の悪化 ・主な虚血性心疾患は狭心症と心筋梗塞 ・狭心症は 一過性に心筋虚血を生じた状態 ・虚血性疾患の発症には生活習慣病などのマルチプルリスクが強く関連 分類 ・労作性〈安定〉狭心症(ST低下):労作によって再現 ・安静時狭心症:安静時に発生する ・安静時狭心症は、早朝か夜間に血管が痙攣して起こる冠攣縮性〈異型〉狭心症(ST上昇)と不安定狭心症(ST低下)がある。 ・不安定狭心症は他の狭心症に比べて心筋梗塞を約3倍発症しやすい。 ・Braunwald分類では、不安定狭心症を重症度・臨床状況・治療状況についてそれぞれ3段階で評価。 ・Braunwald分類では、予後の予測に有用。 最近2ヶ月以内の新規発症→48時間以内の発作→安静時の発作と重症度が進むにつれ、 心筋梗塞発症リスク高い。 ・不安定狭心症は迅速な診断と治療が必要である。 ・不安定狭心症・心臓突然死・急性心筋梗塞→急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome:ACS) ・ACSの発症メカニズム 不安定プラーク(Vulnerable plaque:lipid-richな三日月状で薄く破れやすい線維性皮膜をもつ) の破綻に引き続き →粥腫が露出して血栓が形成 →急激な冠動脈閉塞を来たして →急性心筋梗塞に至る。 ・ACSの突然死の原因は閉塞自体でなく、ショックによる血圧低下、心室頻拍・心室細動、 心臓破裂etc ・プラーク破綻に起因する心筋梗塞は全体の8割→不安定プラークの早期発見が重要! 狭心症の症状 ・虚血性心疾患における胸痛の訴えは、重苦しい、締め付けられる(拘扼感)という表現が多い。 ・高齢者では単に倦怠感のみを訴えることもある。 ・糖尿病患者では約6割が無痛性。 ・痛みの部位は前胸部が多く、顎・左腕に放散し、自律神経失調による冷汗を伴う。 ・痛みの持続時間は狭心症では5分程度、心筋梗塞では20分以上持続することが多い。 ・鑑別すべき胸痛を呈する疾患:大動脈解離(背部の激痛・疼痛部位の移動)、 肺塞栓症(下肢や骨盤腔の静脈血栓症)、気胸(呼吸で変動する胸膜痛)など。 ・あらゆる年齢層で、不安やストレスが原因の心因性胸痛も増加。 虚血性心疾患の診断 ①詳細な病歴の聴取 ②心電図(虚血発作時) ③運動負荷心筋シンチグラフィー ④ドブタミン負荷心エコー図法 ⑤経胸壁心エコー図法 ⑥冠動脈造影もしくは冠動脈CT(マルチスライスCT) ※安定労作狭心症の場合にも、運動負荷試験や冠動脈造影を含めたリスク評価が必要 ※ACSの早期鑑別および回避を目指す。 (虚血発作時の心電図) ・虚血は心臓壁の内側から外側に向かって起こる。 ・虚血範囲が小さく心内膜下部分の虚血状態でのST→低下 ・心内膜から心外膜まで全層性に及ぶ貫璧性虚血あるいは壊死のST→上昇 ・ST上昇と胸痛→95%以上が心筋梗塞・残りはウイルスによる急性心膜炎が多く、若年者に多い。 (心筋シンチグラフィー) ・安静時心電図が異常時に灌流欠損像として心筋虚血を検出。 ・201Tなどを投与し、一定時間後に201Tなどの集積を測定し、冠動脈の心筋への血流や機能状態を評価 (ドブタミン負荷心エコー図法) ・安静時にみられない壁運動異常などを検出。 ・ドブタミン投与により心拍数を上昇させて心筋の酸素需要を上げ、胸痛の発生や心筋の動きを 観察。 (経胸壁心エコー図法による冠血流予備能測定) ・冠動脈の血流を観察し、虚血による左室機能を評価 ・虚血性心疾患の約8割はこの心エコー図で診断可 (冠動脈造影(Coronary Angiography CAG)) ・狭窄の部位や程度、及び冠動脈の状態を診断。 ・AHAの冠動脈区域分類と部位で表記。 左冠動脈前下行枝(Left Anterior Descending coronary artery: LAD) 左冠動脈回旋枝(Left Circumflex coronary artery: LCX) 右冠動脈(Right Coronary Artery: RCA) ・CAGは入院が必要 (冠動脈CT(CT Coronary Angiography:CTCA)) ・造影剤により冠動脈内腔のみならず動脈壁も観察可で、外来で診断可 ・CTCAでは、プラークの性状をCT値で評価 ・CT値は空気を-1000、水を0としてX線の透過率を表す数値。 ・CT値≦50の不安定プラーク→LDL値正常でもスタチン増量することあり(CT値が薬剤加減の指標) ・3年以上の糖尿病の既往、脂質異常症または高血圧の合併があれば、CTCAを考慮 (頸動脈エコー検査) ・動脈硬化の評価の併用も重要。 ・内膜・中膜複合体厚(Intima Media Thickness:IMT)の測定により、動脈硬化の状態を合わせて評価 (正常のIMTの厚さは1.0mm以下) (三次元心エコー図) ・心臓を立体で表示して冠動脈流をリアルタイムに観察できる (2Dスペックルトラッキング(2D speckle tracking imaging)) ・過去の虚血が類推できる。 狭心症の治療 虚血性心疾患の治療には、薬物治療(運動療法)、経皮的冠血管形成術(Percutaneous Coronary Intervention PCI)、冠動脈バイパス手術(Coronary Artery Bypass Graft CABG)がある。 1.基本的な薬物治療 ・禁忌のない限りアスピリンを使用。 ・労作性狭心症にはβ遮断薬か心拍低下型Ca拮抗薬 ・冠攣縮性狭心症にはCa拮抗薬を中心に投与。また長時間作用型硝酸薬やニコランジルを併用。 (硝酸薬) ・冠血管拡張作用により心筋への酸素供給を増やす。 ・硝酸薬の長期使用による薬剤耐性が問題とされ、発作時のみの頓用使用に限定されていた。 ・最近では長期硝酸薬の使用は非使用に比べて予後が良いとの日本人での報告もある。 (β遮断薬) ・大規模試験により虚血性心疾患の予後に対する効果はほぼ確立されている。 ・日本では冠攣縮性狭心症が多く(攣縮と狭窄との合併も多い)、β遮断薬の血管収縮作用でより 発作が起こりやすく禁忌。 ・ただし、カルベジロールは比較的攣縮が少ないため、使用される。 ・β遮断薬の使用時には、慢性肺疾患・徐脈・性機能不全などの出現には注意が必要。 (Ca拮抗薬) ・欧米での大規模臨床試験からは、ジヒドロピリジン(DHP)系及び非DHP系Ca拮抗薬が 虚血性心疾患の予後を明らかに改善するという報告はない。 ・特にDHP系については、いずれも高用量の短時間作用型での試験結果であり、 短時間作用型DHP系では反射性頻拍を引き起こすことがあるため、用いるべきではない。 ・冠攣縮性狭心症ではCa拮抗薬が有効(長時間作用型DHP系の使用が多い)。 ・non-dipper型やmorning-surge型の高血圧合併患者に対しては、長時間作用型DHP系でも、 1日2回投与も検討される。 (ニコランジル) ・高リスクで安定狭心症患者を対象としたIONA 試験で、プラセボ群に比べてニコランジル群で、 主要な冠動脈疾患死および非致死性心筋梗塞や胸痛による緊急入院を有意に抑制との報告あり。 (ACE-I及びARB) ・血圧値が正常域内で心血管疾患・糖尿病を有する(心不全患者除く)高リスク患者を対象とした ONTARGET 試験で、心血管イベントの発症においてテルミサルタンはラミプリルと非劣性と報告。 ACE-Iによる咳の副作用は服用者の約30%に発現し、用量・期間に依存するため、 ARBが第一選択薬となる可能性が高い。 (脂質低下療法:スタチン系薬剤) ・LDLを下げるためではなく、プラークの安定化を目的として投与。 いくつかの大規模試験より、脂質低下療法の虚血性心疾患の予後に対する効果はほぼ確立。 2.経皮的冠血管形成術(PCI) ・十分な薬物治療にもかかわらず狭心症が持続 or 心筋虚血が患者の死亡リスクを上昇させている場合 ・冠動脈造影に引き続き、PCIでバルーン形成術単独もしくはステント留置術。 ・PCI後に問題となる再狭窄は、新生内膜の増殖と血管のリモデリングが原因。 ・再狭窄率は、バルーン形成術で40%、Bare Metal Stent(BMS)で20%、 薬剤溶出ステント(Drug Eluting Stents DES)で5% ・ステントで、再狭窄は完全には防げない。 ・PCIの施術前には、IVUS や OCT で冠動脈病変の血管径や病変長、プラークの位置や偏りなどの 詳細情報を得る。 ※IVUS:血管内膜やプラークの定量的評価が可能である(分解能は0.1mm)。 ※ CAG:血管壁は見えないが、IVUSを用いると今まで正常と診断されていた動脈硬化や プラークラプチャー、血管のリモデリング、再狭窄が観察できる。 ※OCT:冠動脈血管の三層構造(内膜・中膜・外膜)や石灰化病変をリアルタイムで鮮明に観察可 (分解能は0.01mm)。 lipid-richで膜が薄い場合には透けて黄色プラークと観察。 75μm以下の薄い内膜は破綻しやすいプラークとされている。 3.血栓管理と抗血小板療法 ・易血栓性微小血栓はアテロームと相互に関係してアテロームの不安定化を促進させる(仮説)。 :血管の内皮障害により血 小板や白血球が活性化されて内皮に炎症が起こって血栓ができる。 これと同時に可逆的に微小血栓は溶解し、その溶解の際に白血球からアテローム促進因子 (MMP-9・TNF-α・IL-6など)を放出して炎症を助長してアテロームの不安定化を促進する。 :このような悪循環が不安定プラークの形成を促す :抗血小板薬の継続的な投与はこのような悪循環を断ち切る効果があると考えられている。 ・通常PCI施行後、出血リスクの無い場合はDES留置後、クロピドグレル75mg/日を 少なくとも1年間投与し、BMS留置後には少なくとも1ヶ月間(理想的には1年間)継続するよう 推奨(ACC/AHA/SCAI PCIガイドライン2007)。 ・昨年、日本でシロリムスステント留置後のチエノピリジン系薬のアスピリンへの併用期間 について、6ヶ月以内の中止でも心筋梗塞や死亡は上昇しなかったとの報告があるが、 上記、血栓とアテロームの相互関係の仮説から検討すると、議論の残るところ。 ・一方、アテローム性血栓イベントの高リスク患者を対象としたCHARISMA試験 :クロピドグレル+アスピリン群とアスピリン単独群とは、「初発の心筋梗塞+脳卒中+ 心血管死」について有意な差なし。 :症候性患者 (冠動脈疾患、虚血性脳血管疾患、末梢動脈疾患)を対象としたサブ解析では、 併用群で「初発の心筋梗塞+脳卒中+心血管死」はわずかではあるが有意に減少 した (RR〔相対リスク〕 0.88 95%CI〔95%信頼区間〕 0.77~0.998)。 :無症候性患者では有意な差はなかったが、心血管死では併用群で有意な上昇(p=0.01)。 :中等度出血は併用群で有意に増加し(RR 1.62 95%CI 1.27~2.08) :重度出血も増加する傾向であった(RR 1.25 95%CI 0.97~1.61 p=0.09) ・これらの知見と今般の日本の生活習慣の欧米化も考慮して、抗血小板薬の併用が適応となる病態や 投与期間のさらなる検討が必要と考える。 ・クロピドグレルの loading dose(初回負荷300mg)は、PCI施行1週間前からのアスピリンへの 併用投与が理想。 ・緊急のPCI施行時には直前投与(300mg)を行う。 ・loading doseを行う理由 :ステント留置直後のloading dose無しのOCT画像で、ステント内面に微小血栓の付着が観察される :クロピドグレルが効きにくい患者が多く見られる :主に CYP2C19 による肝臓での代謝後に抗血小板作用が発揮され、効果発現に時間を要する。 :症候性冠動脈疾患におけるPCI施行予定患者を対象としたCREDO 試験では、 loading doseの有用性とタイミングを検証。 → PCI施行後1年間のアスピリン+クロピドグレル追加投与 (PCI施行前3~24時間以内に300mg負荷投与、施行後75mg/日投与)は、 アスピリン単独群に比べて「死亡+心筋梗塞+脳卒中」の発生率を有意に低下 (RRR〔相対リスク減少率〕 26.9% 95%CI 3.9~44.4%)。 → PCI施行前の6~24時間でのクロピドグレル300mg追加群では「死亡+心筋梗塞+脳卒中」の 発生率を低下させた(RRR 38.6% 95%CI -1.6~62.9% p=0.051)が、 6時間未満では十分な血小板凝集抑制効果が発揮されないことが示唆。 ・上記の非臨床や臨床でのエビデンスを考慮して、虚血性心疾患によるアテローム血栓だけでなく、 全身の血栓予防のために、Act Local かつ Act Global な視点から、抗血小板薬の最適な継続期間と 有効な投与方法による長期的管理が重要と考えられている。 Q:ACE-IとARBを併用することの意味は? A:前述のONTARGET試験によると、併用療法についてはACE-I単独投与を上回る有効性は みられず、有害イベントは増加。併用するのは費用の問題か。 十分な降圧のためには、ARBは現行の基準量の1.5~2倍必要と思われ、 それを補うための利尿薬あるいはACE-I併用ではないかと考える。 Q:スタチンを選ぶ基準はあるか?また血液検査の数値のみでこれを投与する際の注意点は? A:いずれのスタチンでも投与目的の60~70%は到達しており、投与すること自体に、 意義があると考える。どんな患者にどの時期に投与するかを見極めることが重要である。 血液検査だけでなく、多面的な検査も必要で、1年に1回は頸動脈エコー検査でIMTの測定が 望ましいが、他に疾患がある場合はより精密な検査も考慮する必要がある。 Act Local かつ Act Global な視点・・・その心を、今後も注意して学んでいこう。 ヾ(* - *)
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咲の悩み事 京太郎×咲 衣×咲 百合注意 CDbreaker 第3局 430~ 434 506~ 520 咲の悩み事 2日目 咲の悩み事 1日目 “愛”って何だろう? “恋”って何だろう? 私は最近よくそんなことを考える。 別にそれは最近読んでいる本が恋愛小説モノばかりだから、とかそんな理由ではない。 その理由は、私に好きな人がいるからである。 私の幼なじみで、言い方を変えると腐れ縁。 毎日毎日「レディースランチが旨そうだから」と言う理由だけで私をお昼に誘う酷いけれど憎めない男の子。 きっと今日もまた誘ってくるのだろう。 「咲ー!」 「京ちゃんっ」 そう、京ちゃんもとい須賀京太郎だ。 「また寝てたのか、咲は」 「もー、今日は寝てないもん」 「そんなことよりさ、咲。 今日のレディースランチも旨そうなんだよな、付き合ってくんねーか?」 「それだけのために私を誘うってどうなの。大体優希ちゃんだっているでしょ」 本当に心にもないことを言ってしまったと思う。 最近はいつもこんな感じだった。 きっと自分とは違って積極的にアプローチ出来る優希ちゃんが羨ましいのだと思う。 また、最近京ちゃんは、優希ちゃんばっかりに構ってるからむしゃくしゃしているのかもしれない。 この良く分からない気持ちが「嫉妬」なのかな? それに、優希ちゃんはことあるごとに京ちゃんに抱きついたりアプローチしている。 私も優希ちゃん以上のアプローチをしないと優希ちゃんに京ちゃんを取られてしまうかもしれないというのは分かっている。 だけど、そうは言っても優希ちゃんが普段やっているような大胆なアプローチを自分がやっているのを想像すると、 (顔が熱くなってそれどころじゃないよぅ) 今の私はたとえば京ちゃんと手をつなぐことだってどきどきしちゃってそれどころじゃないと思うし、それ以外だって…… 要するに私は恥ずかしくて思い切ったことが出来ないということなんだ。 ――と、考えていると京ちゃんの 「あいつは和と弁当だろ、誘っても来ないって」 という言葉で現実に引き戻される。 私は、今日は京ちゃんと2人っきりと言う事実に少し嬉しく感じながらも、京ちゃんの口から出た「和」という単語についてまた考え込んでしまう。 (そうだよね、京ちゃんは原村さんのことが好きかもしれないんだ) ことあるごとに京ちゃんが原村さんのことを見て顔をにやけさせていることに私は気づいていた。 気になる相手のことだからこそ。 そしてさらに、京ちゃんが原村さんの大きいおっぱいばっかり見ていることも知っていた。 (きっと、京ちゃんはおっぱい大きい方が好きなんだろうな……でも、私原村さんみたいにおっぱい大きくないし…きっと私はまだこれからだと思うんだけど………そうだと良いんだけれど…) もしかしたら京ちゃんは大きなおっぱいが好きなだけで原村さんが好きなわけではないのかもしれない。 だけれども、それはそれでおっぱいの小さい私には大きな危機といえた。 ――と、京ちゃんが私の顔をのぞき込んで不思議そうに聞いてきた。 「咲…?どうしたんだ、急に黙ったりして」 「ううん、何でもないよ」 「よし、それなら食堂に行くぞっ」 「あっ、待ってよ京ちゃん!」 「早く来ないと置いてきますよ?」 「むー、私がいないと京ちゃんはレディースランチが食べられないんだよ!」 「おっと、そうだったな……じゃあ行きますか、お姫様?」 京ちゃんがかしこまって手を差し伸べてくる。 「っ~~、ホントに調子良いんだから!」 少し。 少しだけ。 ほんの少しだけ京ちゃんに「お姫様」って呼ばれたことににドキッとしちゃったことは、 ……秘密なんだよ? * 「原村さんは好きな人とかっている?」 部長の「さあ、全国大会まで残すところ1ヶ月よ! 今日も張り切って打ちましょう!」という言葉で始まった本日の部活も終わって、原村さんと一緒に家に帰っているときに私は思い切って聞いてみた。 本当はこういうことに詳しいのは部長や染谷先輩なのかもしれないけど、部長は妙に勘がいいし、染谷先輩は家の手伝いがあるって言って部活が終わってすぐに帰ってしまったから聞けなかった。 「す、好きな人ですか!?」 「うん、そう」 「わ…私は宮永さんのこと好きですよ」 原村さんは何故か顔を真っ赤に染め上げて、とても小さい声でまるで絞り出すようにそう答えた。 (違うんだよ、原村さん。その“好き”は友達としての“好き”だから、私が今抱え込んでるものじゃないの) 私は原村さんがそういう反応を返すかもと、予想していたし、だからこそ初めからだめでもともと感が有った訳だけど、 やっぱり頼りにしていた原村さんが見当違いの答をしてきたことに、少しがっかりしてしまった。 でも、私はそれをあからさまに表に出すと原村さんを傷つけてしまうと思ったから心の中でため息をつきつつも、原村さんに返した。 「ありがとう、原村さん。私も原村さんのこと大好きだよ」 * チャプン…… 「はあぁぁ~…」 家に帰って入浴中。 そこでも私は悩む。 ……なんか最近私、毎日お風呂の中で悩んでばかりだな、と思った。 それは毎日のぼせてしまうほどで、ついには3日前お父さんに「長風呂はあまり体に良くないんだぞ」と怒られてしまった。 だが今日、明日、明後日はお父さんが出張で家にいないので、心置きなく長風呂する事が出来る。 それは私にとって誰かに邪魔されないで独りで考えることが出来る時間があるということに等しく、とても都合がいいことだった。 …とは言ってもやはりこればかりは何分悩んでも、何時間悩んでも、何日悩んでも、簡単に答が出るものではなかった。 「京ちゃん…私どうすればいいの…」 と、私の手ははいつものように自分のおっぱい、その大きさに少しだけ自信のないおっぱいに伸びて、揉み始める。 初めはゆっくり、撫でるように、ほぐすように揉む。 そして私は、その頂点にあるピンク色の突起に触れた。 「んっ……」 まるで微弱な電流が走ったような気持ちよさに思わず声が出そうになって、私は慌ててその声を押し殺そうとするけれど、 すぐに今日はお父さんがいないためその必要はないことに気が付いて、本能に任せることにする。 「ふあっ…………っんあ!」 私は、今自分の乳首を押したり引っ張ったりしているのは京ちゃんの指だというふうに考える。 そう考え始めだした瞬間、体を流れていた微弱な電流はいつしか微弱ではない、今までよりひときわ強いものになった。 だから、私の想像の中の京ちゃんがいじり初めてすぐに私の乳首はとても固く尖り初めていた。 自分でも比べる人がいないのでよくは分からないけれど、きっと感じやすい体質なのだと思う。 「んっ……ふあっ……っあ」 ついには、そろりそろりと私の想像の中の京ちゃんは指を私のおま○こに伸ばす。 そして、その指がおま○こに触れた瞬間、 「んああぁっっ……!!」 今までとは比べものにならないほど大きく強く鋭く、そして何よりも気持ちいい電流が体を駆けめぐる。 私のおま○こはお湯の中でも分かるぐらいに濡れていて、京ちゃんがそこをかき回すとお湯の中なのに私の耳にグチョグチョという、いやらしい音が響くほどだった。 「ふあっあっ、んああっ……きょ、ちゃん…激しすぎるよぅ……っあ!」 今度は京ちゃんは無我夢中で私のおま○こをなめ回している。 お湯の中とかそういうこともお構いなしだった。 舌を挿れたり、クリトリスを吸ったり、私の感じるポイントを狙って攻めてくる。 「ゃやあぁぁ……っ!」 ……やがて、私は自分の絶頂が近づいているのを感じた。 京ちゃんは自分のおち○ちんを取り出すと、私の中に強引に押し込んでピストン運動をする。 十秒ともつことなく、私はすぐに絶頂に達してしまった。 「んあああああああ…………っっっっ!!」 この瞬間、この一瞬だけ私は幸せな気持ちになることが出来る。 しかし、その一瞬が過ぎれば、私と毎日幸せな日々を送っている京ちゃんは消えて、私の中には果てしない虚無感が残るのみとなってしまう。 「…………京ちゃぁん……」 例え毎晩毎晩、何度自分を慰めてもその想いは満たされない。 そして私は絶頂の後の束の間の幸福感を求めて夜な夜な自慰、オナニーに走ってしまうのだった。 * しばらくして、絶頂後の倦怠感が無くなった私は自分の愛液で汚れてしまったお湯を捨てて(こういうのってなんか恥ずかしいよね)、パジャマに着替えると自分の部屋に戻った。 ベッドに飛び込んだ私はしばらくぼぅっとしていたが、浮かんで来るのは私の名前を呼ぶ京ちゃんばかり。 『咲、お前また寝てたのか?』 『それでな、咲。レディースランチが旨そうなんだよな』 『咲、お前麻雀出来るの?』 咲、咲、咲―――頭の中で京ちゃんがその名前を呼ぶ。 それは、いつまでも消えることないように思えたが、だんだんと小さくなっていき…遂には消えてしまった。 ――もっと。 もっと私の名前を呼んでほしい。 その力強い低めの声で「咲」って呼んでほしい。 いつの間にか、私は自分の瞳から水滴が零れ落ちるのに気付いた。 私、こんなに京ちゃんのことが好きだったんだ。 幼なじみの男の子。 小さい頃からよくお姉ちゃんを入れた3人で遊んでて。 だけど、今まではっきりと自覚したことはなかった。 この気持ちを。 愛を。 私は京ちゃん、須賀京太郎のことを愛している。 改めてそのことに気づかさせられる。 ――だけど。 消極的な私が京ちゃんと結ばれるなんて、そんな事は決してないのだろう。 そう思うと余計に哀しくなってきた。 「うっ、うっ……グス…京ちゃん……私、おかしくなっちゃうよぅ……」 私はたまらなくなってそう呟いてしばらくの間、俯いていた。 が、いつものようにやり切れなくなってしまい、やがてベッドの上で再び自分を慰め始めた。 京ちゃん、京ちゃんはきっと知らないよね。 私がいつもいつも読書中に寝ちゃってるのは毎晩毎晩、京ちゃんのことを想って自分を慰めるあまり寝不足になって、だからつい昼休みにうたた寝をしちゃうんだってこと。 私は、決して満たされることはないのを知っていながら、それでも何もせずにいられないから、自分を慰め続ける。 本当は、こんなこと考えずに今は全国大会1ヶ月前だし、お姉ちゃんと仲直りするためにも、また家族一緒に暮らすためにも、麻雀に専念した方がいいんだよね? しなくちゃいけないんだよね? ……でもね、それが出来ないの。いつ、何処にいても、何をしていても、貴方のことが気になるから。 頭から離れないから。 …………私…どうすればいいんだろう? ――ねぇ……京ちゃん? 1日目終了 咲の悩み事 2日目
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日本の感染症対策 / 新型コロナウイルス感染症対策本部 + ニュースサーチ〔新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード〕 コロナ専門家組織、3月末廃止へ 20年2月から124回開催(共同通信) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース コロナ専門家組織、3月末廃止へ|埼玉新聞|埼玉の最新ニュース・スポーツ・地域の話題 - 埼玉新聞 コロナ助言機関、3月末で廃止…感染状況改善受け「使命を終えた」 - 読売新聞オンライン 新型コロナウイルスに関する情報/日田市 - 日田市 【感染症ニュース】新型コロナ1日45万人 インフルエンザの新規患者と合わせ1日75万人も? 感染拡大に最大限の注意を! - 感染症・予防接種ナビ 2022年の新型コロナの死者は4万7千人。前年の約3倍で「不慮の事故」に並ぶ規模 - シニアガイド 【感染症ニュース】専門医「今後のワクチン接種の在り方について議論が必要な時期」 新型コロナウイルスの流行株は ... - 感染症・予防接種ナビ 【感染症ニュース】2023年4月からのワクチン接種は有料・無料?条件は? 新型コロナウイルス感染症の最新情報 - 感染症・予防接種ナビ 新型コロナの抗体保有率、本年(2023年)5月時点では全国で42.8%、最高は沖縄の63.0%、最低は石川の34.1%—厚労省 - メディ・ウォッチ 新型コロナウイルスの感染状況について | 日医on-line - med.or.jp 夏に感染拡大の可能性 コロナ5類移行後初の評価 - 株式会社CBコンサルティング(CBnews) 新型コロナウイルス感染症について | 日医on-line - med.or.jp 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年4月19日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 新型コロナ第9波は「5類」移行期に重なるのか?(倉原優) - エキスパート - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年4月5日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年3月23日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 マスクの着用 個人判断に「マスク解禁」厚生労働省の案内を確認|使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金 ... - hojyokin-portal.jp コロナワクチン接種回数別の死亡率は? - アゴラ 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策ADB(3月9日) - kurayoshi.lg.jp 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年3月8日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年2月22日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 オミクロン変異株BA.5に対する抗体価は、“若年層ほど低い”ことが判明! 若年層を感染から守る ” 感染リスクを見える ... - PR TIMES 過剰な対策の見直しや具体例追記「医療機関のコロナ対応ガイド 第5版」/日本環境感染学会|CareNet.com - CareNet.com 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2023年1月18日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 高齢者施設での新型コロナ被害を最小限にするために/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 新型コロナは季節性インフルと同等となるか/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com コロナ重症化率と致死率、どの程度低下したのか/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com いざ、新型コロナ オミクロン対応ワクチンの追加接種! チョッとその前に、副反応や後遺症が不安な方、必要性や接種 ... - PR TIMES 自宅コロナ死、4割は同居家族あり/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 診療所での効果的な感染対策例/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 日本に住む4人に1人、沖縄県の2人に1人はすでに新型コロナに感染している 抗体調査から分かることは?(忽那賢志 ... - Yahoo!ニュース 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2022年11月30日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2022年11月22日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 新型コロナは「ただの風邪」に近づいているのか - 日経メディカル 新型コロナウイルス感染症の直近の感染状況等(2022年11月9日現在) - 厚生労働省-戸山研究庁舎 Dr. 伊東が伝えたいコロナインフル同時流行への備え - MEDLEY(メドレー) 日本でのコロナ死亡例の分析結果/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 第7波のコロナ重症化リスク因子/COVID-19対策アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com マスクを着けている人が多い日本の新型コロナ感染者数が世界最多なのはなぜ?その2 ハイブリッド免疫とは(忽那 ... - Yahoo!ニュース コロナ対策アドバイザリーボード委員が「効果的で負担の少ない医療・介護場面における感染対策」を提言 - メディ・ウォッチ コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com ワクチン2回の陽性率、半数世代で未接種上回る 厚労省再集計で判明 - 日経ビジネスオンライン マスク着用が緩和される?熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止で新しい生活様式へ 当社専属の保健師が解説します! - NEWSCAST 公園の運動ではマスクは不要、電車内は必要/厚生労働省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 中学生以下はクラスで、高校生は部活感染が多い/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 【リハ医学会】COVID-19感染患者に対するリハビリテーション医療の必要性を提言|PT-OT-ST.NET - PT-OT-ST.NET 新型コロナ第6波の重症化率と致死率(暫定版)/厚生労働省|CareNet.com - CareNet.com コロナ重症・死亡973例から見えてきたこと - 日経メディカル しれっと変更された厚労省アドバイザリーボードの超過死亡データ - アゴラ 第6波での発症から悪化までの日数は/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com オミクロン株に怯える前に知るべき「なぜデルタ株が終息したか」 数値目標を定め、ワクチン接種を愚直に進めた菅政権を再評価 ... - JBpress ワクチン包囲網の中で迎える第6波の課題 - 日経メディカル 【新型コロナ】ワクチンの効果が明らかに ワクチン接種が高齢者の感染と死亡を減少 | ニュース - 保健指導リソースガイド コロナワクチンは高齢者の死亡をどの程度防いだか/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com COVID-19重症化リスク因子ごとの致死率、年代別では?/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 子供たちはどこで感染しているのか/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 東大病院、新型コロナ患者の予後、重症度予測可能なAIを開発 医療機関向けに... - 医療ITをドライブするメディア Med IT Tech 「医療提供体制は深刻な機能不全」「自分の身は自分で」東京都の会見で語られたコロナの現実 - Business Insider Japan 新型コロナ後遺症への対応準備はできていますか? - 日経メディカル 新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大への緊急声明について - med.or.jp 緊急事態宣言の効果は「限定的」。感染研所長・脇田氏「最大の問題は危機感の共有できていないこと」 - Business Insider Japan クラスター発生の飲食店と発生していない飲食店、違いはどこに?/厚労省アドバイザリーボード|CareNet.com - CareNet.com 最も楽観的なシナリオでも7月中に1日の感染数は1000人を超える - 日経メディカル COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省|CareNet.com - CareNet.com 長引く新型コロナ後遺症:半年たっても2割が「疲労感・倦怠感」-厚労省専門家会合 - nippon.com 英国発変異種、日本に流入していないのか 専門家が恐れる最悪のシナリオ - 毎日新聞 「地方でも感染拡大」厚労省助言委 勝負の3週間「北海道以外は評価できず」 - 毎日新聞 COVID-19重症化率・致死率の悪化の兆しなのか - 日経メディカル 全国で新たに2386人感染 厚労省助言委「過去最多の水準」「潜在クラスターが一因」 - 毎日新聞 弱毒化否定論:見え透いた嘘(そうでなければ馬鹿の世迷い言) - SQUARE 「夜の街」→「社交飲食店」→「接待を伴う飲食店」 呼称めぐりドタバタ...ネットが注目したポイント - J-CASTニュース 新型コロナウイルス感染症の昨今の状況について - med.or.jp (厚労省資料) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第1回~第20回) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第21回~第30回) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第31回~第45回) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第46回~第65回) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第66回~80回) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第81回~第100回) ※ 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料等(第116回~) 1回目は令和2年(2020)2月7日開催 124回目は令和5年(2023)8月4日開催 以降開催無し 総括もなくトンズラ。これがこの国、特に医科のやり方です。 https //t.co/cEl2XXfpk5 — 清家純一 (@JunichiSeike) March 15, 2024 アドバイザリーボード、解散だそうです。 陽性率捏造は忘れません。 集計し直したら、未接種者ばかりがコロナ陽性になっているというのは誤りだったと判明した。 コロナ助言機関、3月末で廃止…感染状況改善受け「使命を終えた」(読売新聞オンライン)#Yahooニュースhttps //t.co/wVhLIGBGms pic.twitter.com/RFOxe8jwd6 — 藤江@日本人、謎の大量死※コロナでは説明できない (@JINKOUZOUKA_jp) March 15, 2024 /
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仄暗い水の底に沈みきって、どれだけの時間が流れただろう。 光も、音も、何もかもが遠い。 時折ちらりと視界を過ぎる小さな魚影だけが、僅かに慰めと言えなくもない。それでも、物言わぬ死体となり果てた『元相棒』を横目に『孤独』であることに変わりはない。 (ああ――――孤独、孤独だよォー……) 何を叫ぼうと届きはしない。印すらない水の底に、動くはおろか物言うことすら出来ない刀剣に、救いの手が現れるはずもない。 ナイルの奔流から掬い上げられた歓びも泡沫の夢、このまま錆付き朽ち果てるまま、緩慢に流れる時に任せた消滅を迎えるばかりだとアヌビス神は思った。いや、思っていた。 (あぁ――――うン? なんだ、ありゃあ……?) ゆらりと泳ぎ過ぎた魚影は、それまでにちらちらと見えていたものよりも妙に大きい。そして、見たこともないような形をしていた。 奇妙なことに、通り過ぎるばかりだった小魚と違い、その魚影はアヌビスの周囲をグルグルとうろついているようだった。チラリチラリと視界の端にその影が映っている。 (魚、魚か? それにしちゃあ妙な動きをしてやがる。ああ、でも、なんでもいい――) この水牢の孤独から救ってくれるなら。 アヌビスは懸命に願った。神様DIO様、この際悪魔でもなんでもいい、どうか俺をお救い下さいッ! 知ってか知らずか、魚影がアヌビスを咥え上げたのはその直後。 哀れな妖刀の第2の奇妙な物語が始まろうとしていた。 ◆ 『ゲーム』の開始早々から、スクアーロは結構な戦いを強いられた。 黒を基調としたタイトな服装は、至るところじっとりと黒ずんだ染みにまみれ、シャープさを感じさせる風貌に似合わない陰惨な雰囲気を醸し出している。 大女、ヤク中女、時代がかった軍人、死んでいるはずのチンピラ、大猿のような化け物。女たちとピントのずれた軍人はまだスクアーロの持てる知識の中で解釈がつけられるものの、死んでいるはずのチンピラと猿の化け物に関しては、全くもって己の理解の埒外だった。 「まァ――報告がマチガイ、実は死んでなかった、ってのも妥当な考えだけどよ……」 乾いた血痕の残る顔に拭いきれない倦怠感を滲ませて、疲れた足を引きずるようにふらふらと歩きながら、スクアーロはチンピラに関する一考察をぽろりと吐きだした。 数瞬たって、いつもの相槌が無いことに気づく。ああ、またやってしまった―― ――ティッツァ。 声に出さずに愛称を呼んだ相棒は――いない。半身のように行動を共にしてきた相棒は、スクアーロの隣にはいないのだ。 静かに流れる川と、川を越えて遠く薄闇に浮かぶ景観は、確かに慣れ親しんだローマのものであるはずなのに、右手に広がった砂の気配混じる異国の町並みがそれを否定する。 ――ここは――何だ? ひとつだけ判っているのは、この『ゲーム』において、死は限りなく近しい隣人であるということ。ひとつ選択を間違えば、纏わりつく死神が嬉々として大鎌を振るうだろう。 ――死ぬわけにはいかねぇ。 何かを成し遂げて戴く死と、何も遂げられぬまま与えられる死――どちらが良いと問われれば、どちらもごめんだとスクアーロは吠えるだろう。己が望むのは相棒と掴む栄光。そのために、クズみたいなゴロツキから、がむしゃらに親衛隊という地位まで上ってきた。 知恵も気も回るが非力な相棒が、こんな凄惨なゲームに巻き込まれているなど考えたくはない。だが、巻き込まれている可能性は否定できない。与えられるもので確認するというのも癪な話だが、せめて名簿とやらで安否を確認しなければ納まらない。 相棒が不在ならば、あの老人の甘言に乗ってやるのも構わない。あの老人が『ボス』だろうがそれとも代理の一幹部だろうが、試されているのなら力でねじ伏せて示すだけ。 万が一どこかにいるのならば、一刻も早い合流を。頭の切れる彼ならば易々と死にはしないと信じているが、理不尽な暴力の横行するこのゲームで彼の非力さは格好の的だろう。 ――情報が、必要だ。 しかし、殺戮の現場となったそこらを歩き回ってみても人の姿は見かけなかった。あるいは、スクアーロ自身に運がなかったのかもしれない。 いつ何時、誰から襲われるかもわからないこの状況で、身を守ることを優先するのは必須事項だった。ゆえに、スクアーロは『川』を選択した。 あの通りにあった水たまりは局地的な雨がもたらしたもののようで、散策するにつれて地面は乾いたものになっていた。 しかし、川であれば話は違う。地図に記されているとおりなら、川にさえ沿って動いていればある程度のアドバンテージを持てることに違いは無い。 それゆえの『川』――しかし、その選択が間違いだったのか。スクアーロは疲れたように息を吐く。ひとりきりの放浪とは、こんなにも遣る瀬ない疲労を伴うものだったのか。 (孤独、か……) ひとつきりの足音にすら気が滅入る。化け物に打ちすえられた体が鈍痛を訴える。誰でもいい、何でもいい。この無限にも思える錯覚の孤独から救い出して欲しい。 そんなとき、遠くに何か重い音が聞こえてきた。何かを打ち合うような金属の音。重低音の怒号のような音。 スクアーロは疲労に鈍る足を急がせて、音の震源地に向かった。何がおこっているのかを確認できるだけで上等だった。 そして辿り着いた対岸、周辺に待ち伏せなどの気配がないことを確認してから、スクアーロはおもむろにクラッシュを発現させた。 ◆ その死体を見つけたのは、全くの偶然だった。 夜闇に加えてうすら濁った水底は、ぱっと見て何が沈んでいるのかもよくわからない。石かもしれないし、単なる水草の影かもしれない。 スクアーロはまず『音』の正体を確認しに行った。少々距離はあったが、遠目に確認できるくらいには近寄れた。 クラッシュを水面に浮かばせて打ち合う重低音の元を探して見れば、開けた場所で大柄な影がふたつ、すさまじいスピードで打ち合っているのが見て取れた。何やら怒鳴り合っているのは聞こえたが、内容までは聞き取れない。 相棒でないなら別にどうでもいいと、クラッシュを沈ませて戻そうとした矢先。流れが妙に淀んでいる水流を発見した。濁った水に微かに混じる血の気配に、スクアーロは瞬間的に身構えつつ慎重にクラッシュを進ませた。 ――死体か? 死体それ自体には別段なんの感慨も沸かないが、それが相棒でないかどうかは別問題だった。自然と湧きあがる最悪の妄想を振り払いつつ、スクアーロはじっくりとその死体を検分し始めた。 体の前面から沈んでいるせいで顔までは覗けない。熟れきって弾けた果実のようにぱっくりと割れた中身すら覗く後頭部は、加減をしらない子供がオモチャを叩きつけて壊したような有様にも見える。 ――良かった、ティッツァじゃあねえ。 服装といい、髪色といい、この死体は単なる他人だ。沈んだ死体が相棒ではなかったことに安堵し、他に何も無いか確認のためにクラッシュを一回りさせたときだった。 ――あぁ、なんだありゃあ? 死体の傍というには少々離れたところに、一本の刀が沈んでいる。この死体の所有物だったものか、それとも殺害と共に証拠隠滅とばかりに投げ捨てられたものか。 夜闇に加えてうすら濁った水底においても輝きを失わない見事な抜き身が、妖しくギラついているようだった。 少し迷って、あるものは貰っておくかという結論に達する。スタンド能力一本で、何が待ち受けるかもわからないこの先を渡りきれるはずもない。 そう、スクアーロは武装という意味においては丸腰だった。だいたいにおいて、スクアーロのランダム支給品とやらはハズレの部類だったのだ。 限定的とはいえ、攻撃にも索敵にも幅広く応用の効く能力を保持していたからいいようなものの、自身のデイパックから出てきたのは最低限の備品を除けば『アスパラガスに英語辞書を巻いたもの』と『英単語カードのコーンフレーク』だけ。 川縁でデイパックを改めた際、メモかなにかかと思って開いた紙の中からそれらの料理が出てきたとき、スクアーロは場違いな悪寒に総毛立った。 温かな湯気と丁寧に整えられた見た目から滲む、異常な妄執みたいなものがひたすら気色悪かった。出したその場に放置して、逃げるように去ったものだ。 護身のための武器として、刀は甚だ時代錯誤の感が拭えないが、それでも無いよりマシだろう。 そうして、クラッシュで刀剣を拾い上げた直後だった。 ――た、助かったァァァァァァァァァァァァ!! 大音量で聞こえた声に、スクアーロは焦って周囲を見渡した。だが、辺りの闇には何かがいるような気配はなく、ただただ声だけが響いている。 ――オイ、早く俺を引き上げてくれェーッ! こいつは一体、何を言っているのか。察しのつかないスクアーロが尚も辺りを見回していると、焦れたように口早に声が響き渡った。 ――お前だお前、『鮫』の本体ッ! 水ン中じゃあ錆びちまうよォー! そうして、ようやくその声が己自身にしか聞こえていない――正しく言うなら、音にすらなっていない――ということに、スクアーロは気がついた。クラッシュが咥えていた『刀』を放すと、途端にその声は聞こえなくなったからだ。 「い、一体何だってんだ……?」 待てど暮らせど、あれほど喧しかった声は聞こえない。おそるおそる、もう一度クラッシュにその刀を拾わせる。すると、今度は泣き声のような哀れがかった声が響き渡った。 ――た、頼むよォーッ 拾い上げてくれェーッ! もう水の中はコリゴリなんだあッ! どうやら、この奇妙な声はこの刀から発せられているらしい。ますますスクアーロの知識と理解から遠のいているが、実際起こっているからには現実を受け入れる他ない。 それに、武器らしい武器は手に入れたい。若干悩んだスクアーロだが、結論は変わらなかった。 そして鮫と刀の奇妙な物語が始まる。 【アヌビス神 復帰】 【C-4 ティベレ川河岸・1日目 黎明】 【スクアーロ】 [スタンド] 『クラッシュ』 [時間軸] ブチャラティチーム襲撃前 [状態] 脇腹打撲(中)、疲労(中)、かすり傷、混乱(小) [装備] アヌビス神 [道具] 基本支給品一式 [思考・状況] 基本行動方針:ティッツァーノと合流、いなければゲームに乗ってもいい 1:まずはティッツァーノと合流。 2:この喋る刀は一体なんなんだ? [備考] ※スクアーロの移動経路はA-2~A-3へ進んだのち、川に沿って動いています ※川沿いのどこかに、支給品である料理が放置されています 支給品情報 『アスパラガスに英語辞書を巻いたもの』……4部で康一に出された由花子の愛情料理。見た目はアレだが味は美味しい……かもしれない。 『英単語カードのコーンフレーク』……4部で康一に出された由花子の愛情料理。そもそも単語カードは『コーン』ではないという突っ込みは野暮だろうか。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 前話 登場キャラクター 次話 043 デッドマン・ウォーキング スクアーロ 074 どうぶつ奇想天外ッ!
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111 インヴォーク ◆QO671ROflA その男・魏志軍は、極端なまでに疲弊していた。 あの突飛な殺し合いの開幕宣言から数時間足らずの間にも、彼は数々の戦闘行為を繰り広げて来たのだ。 少なくともここまでの戦績としては上々と謂えよう。 現に彼はここまでに全参加者72人中2人の殺害に成功し、数多くの所持品の確保にも成功している。 尤も今日の朝方に流れた広川の《定時放送》によれば、魏が1人殺害した時点での死者数は16人であり、少なくとも15人が魏以外の何者かに殺されているのだが。 そんな魏も自身の本命にして憎き仇敵であるBK201こと《黒の死神》との遭遇は依然として果たせずにいた。 (今頃あの男は一体何処で何をしているのだろう。 このままでは黒の死神との遭遇以前に野垂れ死ぬかもしれない) 疲弊しきった魏志軍の脳裏に倦怠感にも似た不安が過った。 ■ 彼の第三の支給品にして先の戦闘で最大の戦力となった《水龍憑依ブラックマリン》なるこの指輪は、水と接する事で本領を発揮するらしい。 しかし魏の手元には、既に攻撃に転用出来るだけの飲料水など残っていなかった。 飲料水は大部分を飲み干し、その上、奪った飲料水の1つは容器ごと破裂してしまっている。 魏の契約能力“物質転送”の本質は「自傷行為」にある。 その自身の血液を媒介とした特殊な能力が故に、考えなしの無暗な契約能力の連続使用は出来ず、彼としてはこのブラックマリンを戦闘で重用する事を決めていた。 そうともなれば彼の目標は容易に定まる。 それは彼の脳裏を過った最も合理的なプランであり、疲弊を押し切り黒に対する執念が勝ったが故の判断。 一刻も早く水源を見つける事だった。 ■ 水源の発見は案外容易なものだった。 どうやらここは地図で見たF~H南部を流れる河川の下流に位置するらしい。 辺り一面には雑木林が生い茂り、まさに自らの位置情報のカモフラージュも可能な休養を取るには最適のスポットであり、同時に死角の多い奇襲を仕掛けるにも最適のスポットであった。 しかし、それは当然の事ながら逆のパターンも有り得る。 いくら水源付近と言えど、既に満身創痍同然の魏が他のゲーム賛同者と対峙したなら高確率で敗北。すなわち殺されるであろう。 ましてやその相手が《黒の死神》ならば、それこそ最も忌避すべき事態だ。 契約者・魏志軍はただただ途方に暮れる。 ひとまず辺り一面に生い茂る樹木に腰かけた魏は、ふと先の戦闘で手に入れたあの《黒の死神》に良く似た男の支給品らしき帝具に目をやる。 先の戦闘の様子から察するに、この帝具は能力研究所にあったワープ装置と同じような効果を持つのは間違いない。 使用用途さえ分かれば彼の契約能力とブラックマリンの特性上、最大の防具に変貌するだろう。 魏はその帝具に手をかける。 しかし何ら変化は現れなかった。やはりこの支給品の説明書が奪ったディバックから発見出来なかったのは痛かったようだ。 (この帝具が転移現象を引き起こす直前に紫を帯びた対極図が見えましたね……) 魏はその帝具シャンバラをスタンプを押すかのように空中で軽くプッシュする。 どうやら魏の読みは的中したらしい。 その場に滔々と浮かび上がった対極図はあの時視認した物に相違ない。 (これは一度セット出来ればこの対極図のポイントまで瞬間移動出来るのではないか) この魏の推測は、その直後から何度も繰り返された数多の実験で明確なものとなった。 ■ この瞬間転移の帝具の使用用途を理解した魏は歩みを進めた。 コンパスによる位置関係的にも、やはり現在位置は支給された地図に書かれている河川の下流と見て間違いない。 そうともなれば、この付近にはカジノがあるはずなのだ。 仮に進行方向が間違っていたとしてもこの付近はジュネス等の相当数の施設が密集している。 この転移帝具さえあれば、カジノ・もしくは他の施設で休養を取ったとしても、万に一つ敵に侵入された際にはさっきセットした水源の対極図のポイントまで瞬間転移すればいいのだ。 休養を取って万全のベストコンディションを整えた上で水源まで移動出来れば、たとえ相手が大人数だとしても彼には十二分に勝機はある。 魏は不釣り合いながらも、先の戦闘で疲労しきった右足を引き摺りながらカジノを目指した。 予想に反してカジノはすぐに見つかった。 寧ろこの短距離でカジノを発見出来た事は、シャンバラに長距離制限が設定されている事実など気付ける筈もない彼にとっては好都合なのかもしれない。 いざカジノの室内に入ると、そこには魏の想像していた光景とは全く異なり、賑やかさには欠ける物静かなアミューズメントエリアが奥へ奥へと広がっていた。 どうやら照明こそ付いているものの、デジタル系統のアミューズメント機器に電力は1つたりとも供給されていないらしい。 それ以前に、誰一人として他者がいない現状こそがこの不気味な空間に拍車をかけていた。 魏は少しずつ歩調を早めていく。 道中で発見したビリヤードのキューやダーツの矢など戦闘で使用出来そうな備品は全てディバックに詰めた。 ただでさえより殺傷能力の高い武器を欲する彼にとっては、有効価値のある物は何であろうと確保しておきたかったのだ。 ■ 長い1階の連絡通路の小径を駆け抜け、魏はようやくエレベーターを発見したが、どうやらこれにも電力は供給されていないらしい。 魏は溜息も吐きながらも、やもなく足を引き摺りながらも隣にあった階段を上る。 それ以外にも上の階に上がる方法はあったのだろうが、疲弊して思考が鈍っていようと曲がりなりにも“契約者”の端くれである魏は合理性を重んじたのだ。 ようやく辿り着いた2階は、1階以上の静けさの漂う謂わばスタッフルームのようだった。 ここでも魏に些細な幸運は訪れていた。 真っ先に魏の目に入ったのは「救護室」のプレートである。 彼は即座に救護室のドアノブに手をかける。 幸いにも能力研究所とは違い、鍵はかかっていないようだった。 尤も万が一鍵がかかっていても魏の契約能力を持ってすれば、この扉の破壊は容易そうであったが。 救護室内には運良く照明とその他の電気も供給されているらしく、更には簡易な医療器具と薬品が揃いに揃っていた。 所詮はカジノの備品だと思っていた魏だったが、自分の想像以上に充実する医療用のショーケースを目にし、若干ながらも感心した。 マフィアの幹部であった魏には当然ながら最低限の医療知識は備わっている。 薬品のショーケースをその場にあった懐中電灯で叩き割った魏は、数々の戦闘負った傷に応急処置を施していく。 (ここにある医療器具もおそらく今後の局面で役に立つかもしれませんね… 特にこの鎮痛剤は確保しておきたいところ) 魏は量こそ多くはないものの、1階の備品よろしく医療品を全てディバックに詰め込んだ。 大量に完備されていたビタミン剤を服用した魏は、救護室のベッドに寝そべり、今後の計画を練り始めた。 少なくともこの時、魏志軍はこのカジノこそが歴戦を勝ち抜いて来た対主催者達の集合場所となっていた事など知る由もない。 【H-7/カジノ2階救護室/1日目/午前】 【魏志軍@DAKER THAN BLACK‐黒の契約者-】 [状態]:疲労(大・回復中)、黒への屈辱、鎮痛剤・ビタミン剤服用済み、背中・腹部に一箇所の打撃(ダメージ 中・応急処置済み)、右肩に裂傷(中・応急処置済み)、右腕に傷(止血済み)、顔に火傷の痕 [装備]:DIOのナイフ×8@ジョジョの奇妙な冒険SC(魏志軍の支給品)、スタングレネード×1@現実(魏志軍の支給品)、水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る(魏志軍の支給品)、次元方陣シャンバラ@アカメが斬る(セリム・ブラッドレイの支給品)、黒妻綿流の拳銃@とある科学の超電磁砲(星空凛の支給品) [道具]:基本支給品×3(魏志軍・比企谷八幡・プロデューサー・一部欠損)、テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカード@とある科学の超電磁砲(比企谷八幡の支給品)、暗視双眼鏡@現実(比企谷八幡の支給品)、アーミーナイフ×1@現実(武器庫の武器)、ライフル@現実(武器庫の武器)、ライフルの予備弾×6(武器庫の武器)、パンの詰め合わせ@現実(プロデューサーの支給品)、流星核のペンダント@DAKER THAN BLACK(蘇芳・パブリチェンコの支給品)、参加者の何れかの携帯電話(蘇芳・パブリチェンコの支給品・改良型)、カマクラ@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(星空凛の支給品)、うんまい棒@魔法少女まどか☆マギカ(星空凛の支給品)、医療品@現実(カジノの備品)、鎮痛剤の錠剤@現実(カジノの備品)×5、ビタミン剤の錠剤@現実×12(カジノの備品)、ビリヤードのキュー@現実×6(カジノの備品)、ダーツの矢@現実×15(カジノの備品)、懐中電灯×1@現実(カジノの備品) [思考・行動] 基本方針:全ての参加者を殺害し、ゲームに優勝する 0:まずは全身の疲労を回復させる。万が一、休養中に攻撃を受けた場合はあらかじめセットした水源にシャンバラで移動する。 1:BK201(黒)の捜索。見つけ次第殺害する。 2:強力な武器の確保。最悪、他のゲーム賛同者と協力する事も視野に入れる。 3:合理的な判断を怠らず、少なくとも休養中の現在は消耗の激しい戦闘は絶対に避ける。 [備考] ※テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカードには回数制限があり、最大で使用できる回数は3回です(残り1回)。 ※上記のIDカードがキーロックとして効力を発揮するのは、ヘミソフィアの劇中に登場した“物質転送装置”のような「殺傷能力の無い機器」・「過度な防御性能を持たない機器」の2つに当てはまる機器に限られます。 ※暗視双眼鏡は、PSYCO-PASS1期10話で槙島聖護が使用したものです(魏はこれを暗視機能の無いごく一般的な双眼鏡と勘違いしている)。 ※スタンドの存在を参加者だと思っています ※閃光を放ったのは誰かは知りません。 ※シャンバラの説明書が紛失している為、人を転移させる謎の物体という認識です。 ※シャンバラは長距離転移が一日に一度で尚且つランダム。短距離だとエネルギー消耗が激しいですが、通常通りに使用できます。 ※ブラックマリン・シャンバラ共に適正を持ち合わせており、特に後者については出典元であるアカメが斬る!での所持者・シュラと同等の高い適正を誇っています。 ※シャンバラの大まかな使用用途を理解しました(長距離制限には気付いてない)。 ※あらかじめ水源付近(H7北部の河川)にシャンバラでマーキングを行っています。 時系列順で読む Back No brand people Next パラサイト・イヴ 投下順で読む Back ぼくのわたしのバトルロワイアル Next バラサイト・イヴ 101 間違われた男 魏志軍 133 汚れた指先で