約 1,148,739 件
https://w.atwiki.jp/3size/pages/52.html
名前 年齢 身長 体重 B W H カップ 更新日 愛川ゆず季 38 157 52.6 100 60 89 H 2012/07/30 青井鈴音 31 161 95 60 89 H 2012/05/30 有馬あかり 33 163 93 60 86 H 2011/09/05 伊織もえ 28 161 92 56 90 H 2019/02/02 岩上愛美 26 160 88 64 95 H 2018/05/21 大間乃トーコ 21 158 95 62 90 H 2019/10/09 小熊絵理 32 156 92 61 88 H 2016/07/12 小倉優香 23 167 90 59 89 H 2019/11/09 小田飛鳥 31 170 53 92 58 90 H 2016/08/07 喜多愛 27 163 95 59 89 H 2014/12/06 倉田夏希 31 150 85 59 83 H 2019/10/25 小林ユリ 34 150 94 60 86 H 2012/11/05 小日向ななせ 25 154 92 60 90 H 2019/10/27 小向美奈子 36 156 55 96 61 88 H 2014/08/03 桜あんり 28 160 92 60 89 H 2012/08/20 志崎ひなた 24 172 53.1 93 59 92 H 2016/07/18 清水あいり 28 156 90 58 85 H 2016/08/03 清水舞美 31 145 90 60 86 H 2016/07/03 涼本めぐみ 31 153 93 58 87 H 2012/07/10 田代さやか 36 154 45 93 58 88 H 2009/12/14 橘花凛 31 160 92 58 90 H 2016/04/02 藤堂さやか 27 173 88 62 89 H 2019/11/03 長澤ちはる 27 165 90 60 90 H 2016/07/22 長瀬麻美 29 158 88 60 90 H 2016/06/10 夏来唯 27 163 58 95 70 93 H 2019/10/06 仁藤みさき 28 165 89 57 86 H 2010/11/04 橋本マナミ 37 168 54 89 62 88 H 2019/02/08 葉月ゆめ 29 158 88 63 89 H 2015/05/05 平山藍里 28 156 88 58 85 H 2012/07/30 星名美津紀 25 164 92 64 88 H 2016/07/13 松金ようこ 39 163 46 95 64 96 H 2010/01/21 水月桃子 30 155 93 58 86 H 2019/10/02 未梨一花 22 163 88 68 90 H 2019/11/20 MEGUMI 40 158 94 60 86 H 2010/08/11 安位薫 22 163 92 62 89 H 2019/10/20 山咲まりな 34 168 93 59 90 H 2012/09/24 吉川あいみ 27 153 95 58 85 H 2012/09/26 吉田早希 33 164 90 58 87 H 2014/11/28 RaMu 24 148 40.3 90 58 80 H 2018/01/14 わちみなみ 26 165 94 63 87 H 2019/02/02
https://w.atwiki.jp/ce00582/pages/2919.html
class pro{ public static void main(String args[]){ double uc,w1,a,beta,h,ks,k1,ls,c1,r1,l1; double th[]=new double[11]; double k[]=new double[101]; double cx[][]=new double[11][101]; double cxs[][]=new double[11][101]; double lx[][]=new double[11][101]; double lxs[][]=new double[11][101]; double n1; int t,m,n,mx,n2,n3; double ep; for (m=1;m 11;m++){ th[m]=0.95+0.01*m; } a=0.33; beta=0.95; ls=(1-a)/(2-a); ks=ls*Math.pow((1 / beta - 1) / a , 1 / (a - 1)); h=2*ks/100; for (n=1;n 101;n++){ k[n]=n*h; for (m=1;m 11;m++){ lx[m][n]=ls; cx[m][n]=th[m]*Math.pow(k[n],a)*Math.pow(lx[m][n],1-a); } } t=0; while(t 100){ for (m=1;m 11;m++){ for (n=10;n 91;n++){ k1=k[n]+th[m]*Math.pow(k[n],a)*Math.pow(lx[m][n],1-a)-cx[m][n]; n1=k1/h; n2=(int)n1; n3=n2+1; uc=0; for (mx=1;mx 11;mx++){ c1=cx[mx][n2]+(n1-n2)*(cx[mx][n3]-cx[mx][n2]); l1=lx[mx][n2]+(n1-n2)*(lx[mx][n3]-lx[mx][n2]); r1=th[mx]*a*Math.pow(k1,a-1)*Math.pow(l1,1-a); uc=uc+(beta*(1+r1))/c1; } uc=0.1*uc; cxs[m][n]=1/uc; w1=th[m]*(1-a)*Math.pow(k[n],a)*Math.pow(lx[m][n],-a); lxs[m][n]=1-cx[m][n]/w1; } } ep=0; for (m=1;m 11;m++){ for (n=10;n 91;n++){ ep=ep+Math.pow(cx[m][n]-cxs[m][n],2)+Math.pow(lx[m][n]-lxs[m][n],2); } } for (m=1;m 11;m++){ for (n=10;n 91;n++){ cx[m][n]=cxs[m][n]; lx[m][n]=lxs[m][n]; } } if (ep 0.0001)t=1000; System.out.println(ep); t=t+1; } } }
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1685.html
「……不覚を取った」 一体いつから、どれほどの血を流したのだろう。 いつでも血色のよい肌が、やや青白く変化していた。 布を切り裂いて止血したが、その布すらもすぐに血が滲んできて。 きっと長くは持たないだろうと、こんなときでもどこか冷静な考えに 佐助は初めて、忍という仕事に嫌気が差した。 すみません、大将。約束は、守れない。 「佐助。頼みがある」 「……何?」 「髪を……この髪を、政宗殿に届けてはくれまいか」 少しだけ身を起こし、不恰好な尻尾のようなその髪を、ざっくりと結び目から切った。 ああ、主は死を受け入れたのだ。 だからこそ、一番大切な人に、髪を届けたいのだ。 全く。忍ってのはつくづく嫌な仕事だ。 「旦那ぁ。俺旦那がいなくなったらどうしたらいいのさ」 「おかしなことを言う。次の主を、宛がわれるのだろう」 「そうだよ。でもさあ、あんた最初のときに言ったじゃん」 『お主とは主従を越えて、友や、家族のようになりたい』 忍にあるまじき感情だが。しかしまさしく佐助にとって、幸村や信玄は家族のようであった。 「だからさあ。あんたが何度生まれ変わっても、俺はずっとずっと傍にいるよ」 「それは頼もしい限り。なればこの幸村。佐助に会う為に何度でも生まれてこようぞ」 誓うように握られた手は、いつものような力強さはなかったけれど。 その事実を認めたくなくて、大事に握り返した。 「佐助。もう一つ頼まれてくれるか?」 「今度は何?」 「政宗殿に、伝言を」 最期の最期でまた「政宗殿」だ。妬けるね。と笑いながら続きを促した。 「……私は。政宗殿を、心よりお慕い……」 「だんな……っ」 握りしめていた手が、するりと滑り落ちた。 「旦那、旦那ぁあああっっ!!」 抱きかかえたまま叫んだ悲痛の声は、今にも降りだしそうな鈍色の空に消えていった。 いずれ生まれ来る日の為に13
https://w.atwiki.jp/1548908-card/pages/963.html
死のメッセージ「H」(しのメッセージ「エイチ」)」:Spirit Message "L" 永続魔法 このカードは「[[ウィジャ盤]]」の効果でしかフィールドに出す事ができない。 解説 関連カード ウィジャ盤 死のメッセージ「E」 死のメッセージ「A」 死のメッセージ「T」 死のメッセージ「H」 第一の棺 終焉のカウントダウン ゲーム別収録パック No.30170981 DS2009パック:パック:-(P)09:全カードランダムパック(P)09 未チェック DS2008パック:パック:悪夢への誘い(P)08:全カードランダムパック(P)08 未チェック PSPTF3パック:パック:-(P)TF3:タッグフォース・フォーエヴァー(P)TF3 未チェック DS2007パック:パック:-(P)07:-(P)07:全カードランダム(P)07 未チェック DS SSパック:パック:-(P)SS 未チェック DS NTパック:パック:-(P)NT 未チェック PSPTF2パック:パック:-(P)TF2:チャッカーフラッグ(P)TF2 未チェック PSPTF1パック:パック:-(P)TF1:チャッカー・フラッグ(P)TF1 未チェック PS2TFEパック:パック:-(P)TFE:チャッカー・フラッグ(P)TFE 未チェック
https://w.atwiki.jp/arcanafamigliacolle/pages/211.html
7月生まれのファミリー 戻る(誕生月日別ファミリーリスト) 7月3日 マヌエレ 7月10日 マーサ 7月12日 ジェルミ 7月15日 ダーニロ 7月17日 ルイーサ 7月20日 チカ 7月21日 オルソ 7月26日 ファリアス 7月29日 パーチェ 7月31日 ワルター 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/h24pass/
合格会関連イベント情報 R2合格会ガイダンス H31合格会ガイダンス H30合格会ガイダンス H29合格会ガイダンス H28年会合格祝賀会(自主ゼミ参加者、OB限定、2/4) H28合格会ガイダンス H26年会合格祝賀会(自主ゼミ参加者、OB限定) H27合格会ガイダンス H22~25合格会自主ゼミOB会(自主ゼミ参加者限定) H26合格会ガイダンス 平成25年度弁理士試験情報 「H25合格会ガイダンス」を12月2日午後1時から、「豊海区民館」で実施します。平成23,24年度論文式筆記試験(必須科目)に合格されている方で、「H25合格会」に参加を希望される方は、「H25合格会ガイダンス」にご参加ください。 H24合格会が、「H25合格会」の結成を「あっせん」します。「H25合格会」の進め方は、原則として、お集まりいただいた方の話し合いで決めていただきます。 「H25合格会ガイダンス」において、「H24合格会」でやってきたことをご紹介し、進め方の決定のご参考にしていただく予定です。例年は、「日曜G」、「土曜G」、「平日G」、「神奈G」、「短答G」など、曜日、場所、目的に応じた9名程度のグループに分かれています。 「H25合格会ガイダンス」へ参加をご希望の方は「参加申し込み」が必要です。 「H25合格会ガイダンス」へ参加しなかった方の「後日参加」は、認められないことがありますのでご承知おきください(参加資格は「H25合格会」の決定事項になります)。 「H24合格会」について H24合格会は、平成24年度弁理士試験で最終合格することを目標とした人で構成する、口述試験対策の自主ゼミです。グループに、「日曜G」、「土曜G」、「平日G」、「神奈川G」があります。参加資格は下記①~③です。ただし、③については例外があります。別途お問い合わせください。 ①平成22,23年度弁理士試験で、論文式筆記試験(必須科目)に合格していること。 ②東京近郊に通学可能であること。 ③H24合格会ガイダンスに参加申し込みしていること。 口述試験対策の自主ゼミの歴史 平成18年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、自主ゼミが結成。 平成19年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、自主ゼミが結成。 平成20年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、自主ゼミが結成。 平成21年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、「H21合格会」が結成。 平成22年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、「H22合格会」が結成。 平成23年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、「H23合格会」が結成。 H23合格会のあっせんにより、平成24年度弁理士試験で最終合格することを目標とした、「H24合格会」が結成(平成23年12月4日)。 受験情報 RSSまとめ H24passのアンテナ 短答式筆記試験関連情報 不正競争防止法説明資料-経産省 著作権テキスト-文化庁 ボーデンハウゼン著 注解パリ条約 (英語) ※邦語訳文は日本国際知的財産権保護協会 が出版 TRIPS協定のポイント-特許庁 知的財産権制度説明会実務者向けテキスト-特許庁(PCT,マドプロ等) 青本 特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 第21版 ISBN 978‐4‐8271‐1340‐2 発明推進協会 特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 第20版 ISBN 13978‐4‐8271‐1278‐8 発明推進協会 特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 第19版 ISBN 13978-4-8271-1199-6 発明推進協会 特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説 第18版 ISBN 13978-4-8271-0956-6 発明協会 改正本 産業財産権法の解説 平成27年改正 ISBN 13978-4-8271-1264-1 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成26年改正 ISBN 4-8271-1241-2 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成23年改正 ISBN 4-8271-1165-1 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成20年改正 ISBN 4-8271-0915-X 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成18年改正 ISBN 4-8271-0851-X 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成17年改正 ISBN 4-8271-0821-8 発明推進協会 裁判所法等を改正する法律の解説(改訂版) 平成16年改正 ISBN 4‐8271‐0830‐7 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成16年改正 ISBN 4-8271-0796-3 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成15年改正 ISBN 4-8271-0738-6 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成14年改正 ISBN 4-8271-0689-4 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成11年改正 ISBN 4-8271-0551-0 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成10年改正 ISBN 4-8271-0511-1 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成08年改正 ISBN 4-8271-0446-8 発明推進協会 産業財産権法の解説 平成06年改正 ISBN 4-8271-0420-4 発明推進協会 逐条解説/改正特許法 平成06年改正 ISBN 4-641-04450-3 有斐閣 改正特許法・実用新案法解説 平成05年改正 ISBN 4-641-04426-0 有斐閣 サービスマーク登録制度 -- 逐条解説/改正商標法 平成03年改正 ISBN 4-641-04421-X 有斐閣 改正特許法解説 昭和62年改正 ISBN 4-641-04389-2 有斐閣 口述 口述落 弁理士試験 自主ゼミ 合格会 @wikiへようこそ ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名、トップページ、メンバー管理、サイドページ、デザイン、ページ管理、等)することができます まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください @wiki助け合いコミュニティの掲示板スレッド一覧 #atfb_bbs_list その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) おすすめ機能 気になるニュースをチェック 関連するブログ一覧を表示 その他にもいろいろな機能満載!! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 @wikiプラグイン一覧 まとめサイト作成支援ツール バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1269.html
政宗の元に、幸村の遺髪が届けられたのは、それから一月後のことであった。 佐助からことの次第を聞いた政宗は、意外にも取り乱したりはせず 少し微笑みすら見せてそれを大事そうに受け取った。 「……Coolじゃないぜ、幸村。また会おうって約束しただろが」 けれども、そう呟いた言葉には、確かに隠し切れない哀しみが込められていた。 一人にしてくれと願った政宗を気遣い、小十郎と佐助は共に庭に出ていた。 「……俺さ。旦那が死んだってのに、泣けないんだよ。薄情かな」 「嘆き哀しむだけが弔いじゃねえだろ」 「うん、それはそうなんだけどね」 抱きかかえていた身体が、どんどんと重くなるのを感じた。 自らの腕の中で、大切だった主の命が消えていくのを、目の当たりにしたというのに。 「あんたはいいね。きっと泣けるんだろうし、後を追うことも、許されるかもしれないし」 かたや自分は忍だ。主が死んだならば、次の主の元へ行く。 後を追うことなど、出来るはずもない。 幸村がくれた「佐助」という名も、いずれは使わなくなるだろう。 「……ちょっと淋しいなあ」 ぽつりと呟いて俯いた細い身体を、そっと抱きしめた。 「次はもう決まったのか?」 「まだ。でも武田には、もういられないだろうね」 「……そうか」 風の便りに、武田信玄が病であると、聞いていた。 真田幸村を失い、徳川にも負けた今、恐らく武田に未来はないのだろう。 未来のない家に、しがみつくようでは忍ではないのだ。 「……俺はさ、生まれ変わりとか、本当は信じちゃいないんだよ」 「ああ」 「けどさあ。旦那には、やっぱりもう一度会ってみたいんだよね」 「……ああ」 「…………本当、なんで先に逝っちゃったかなあ…………」 俯いたまま服を掴んだ佐助の頭をなでて胸に抱く。 「……うぁ、あ、あ……ああ!!」 小十郎の胸に顔をうずめ、佐助は生まれて初めて、心の底からの慟哭の涙を流した。 いずれ生まれ来る日の為に14
https://w.atwiki.jp/turimatome/pages/101.html
| | | | | | | | | | || | | | | | | | | | | | | レ | | | | | J || | | | | | レ | | | | | | J | | | し || | | | | | J | | | レ | | レ| || J | | レ | | レ J し | | || J J し | | し J| | J レ J /V\ ・・・・釣り師に期待 /◎;;;,;,,,,ヽ まだHはないよ _ ム (,,゚Д゚) | ヽツ.(ノ . . ..|) ヾソ . ノ ` ー U "U
https://w.atwiki.jp/tsuvoc/pages/1864.html
谷山浩子 たにやまひろこ (実・ANN, 88)1956年8月29日、東京生まれのシンガーソングライター。代表曲は『カントリーガール』『しっぽのきもち』など。オールナイトニッポン木曜二部を1982年4月8日から1986年4月3日まで担当した。 1988年11月23日、伊集院光のオールナイトニッポンにゲストとして登場。オペラ歌手だと言い張る伊集院のことを最後まで疑いながら帰っていった。
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/475.html
魔人 が 生まれた 日(前編) ◆ew5bR2RQj. 「貴様だけは、貴様だけは絶対に許さん。人間の心を弄ぶ、貴様だけは! この軽子坂高校2年E組の狭間偉出夫が、魔"人"皇として裁いてやる!!」 白の制服に身を包んだ少年が宣言する。 かつて少年は異能の力を掌握し、自らを蔑んだ者達を混沌の渦中に叩き込んだ。 最終的に元の世界に戻れたものの、犠牲者の数は決して少なくない。 ある者は悪魔に喰われ、ある者は悪魔に取り憑かれた。 しかもそれは”この”少年が連れて来られた世界の話だ。 蒼嶋駿朔が連れて来られた世界では、蒼島以外の人間は全員魔界に取り残されている。 自らを魔”神”皇と称するその少年は、確実に悪と呼べる存在だった。 「貴方がそっちに回るなんて予想外だわ」 金の鎧に身を包みながら、鷹野三四は言った。 V.V.曰く、このバトルロワイアルの参加者にはある程度の役割が振られている。 主催への反逆を目標とする対主催と、優勝するため他の参加者を殺し回るマーダー。 もう少し細かく分類することもできるが、多くの参加者がこのどちらかに属する。 例えば、何よりも人命を尊重する警察官・杉下右京。 例えば、自らの快楽のために他人を殺す連続殺人鬼・浅倉威。 前者は対主催として、後者はマーダーとしての活躍が期待されていた。 ならば、狭間偉出夫はどちらに属すると期待されていただろうか。 当然、マーダーとしての活躍だ。 それもシャドームーンや後藤のような強力なマーダーとしてだ。 対主催になる可能性も考えられていたが、彼に他者と友好関係を築く力はない。 事実、水銀燈に枢木スザクの二人とはすぐ仲違いしている。 さらに蒼嶋駿朔と和解することは有り得ないため、対主催に火種を撒く以上の役目はないと考えられていた。 それがどうだ。 今の狭間偉出夫は、対主催に力を貸している。 竜宮レナのL5を治療し、彼女を殺そうとする鷹野と対峙している。 「黙れ、貴様の物差しで人を測るな」 「随分な言い草だけれど、貴方は元の世界で何をしてきたか忘れたのかしら?」 「忘れるわけがない。軽子坂高校の者達を魔界に引きずり込み、結果多くの者が死んだ」 「覚えてるじゃない。なら正義漢気取るのはやめなさい、所詮は同じ穴の狢よ」 「そうだ、これは私の罪だ、一切の言い訳はしない」 「なら――――」 「だが、私の罪と貴様は何の関係もない」 鷹野が二の句を継ごうとするが、狭間がそれを許さないと言うように言葉を叩き付けてくる。 「私の罪と、貴様が竜宮達の心を弄んだのは何の関係もない これ以上のやり取りは無意味だ、私が貴様を許すことは絶対にない!」 屹然とした態度に、思わず慄いてしまう鷹野。 この様子では、どんな説得も無意味だろう。 戦うために錫杖型の召喚機を出現させ、そしてふと気付いた。 何故自分は、彼を説得しようとしたのか。 (……恐れている?) 狭間偉出夫の力は、シャドームーンや後藤といった者達にも匹敵する程。 こうして対峙しているだけでも、凍り付くようなプレッシャーがひしひしと伝わってくる。 出来ることならば、戦うのは避けたい相手だ。 (恐れる必要なんてない) 凍り付いた思考を解すように、ニ、三度首を振る。 確かに狭間は強力だが、今の鷹野は仮面ライダーオーディンに変身している。 北欧の最高神の名を冠するそれは、世紀王にも匹敵しうる力があった。 他にもいくつかの道具は用意してあるし、万が一のための切り札も用意してある。 負けるはずなど、ない。 「マハジオンガ!」 狭間が呪文を唱えると同時に、彼の右手から幾条もの電撃の鞭が放射される。 夜闇を切り裂きながら電撃は走り抜け、意思を持つかのように鷹野の陣地を侵略していく。 瞬く間に四方八方を電撃に塞がれ、鷹野は逃げ道を奪われた。 「無駄よ」 一斉に迫ってきた電撃を、姿を消して回避する鷹野。 そこには金色の羽だけが残り、行き場を失った電撃は霧散してしまった。 これこそがオーディンが所持する最強の能力――――瞬間移動。 ストレイト・クーガーや瀬田宗次郎の速さとはまるで別次元の移動法。 彼らの移動の軌跡は線だが、オーディンの瞬間移動は点。 彼らは四方八方を塞がれれば身動きが取れなくなるが、オーディンにそのような事態は無い。 姿を消した鷹野は狭間の背後へと降り立ち、ゴルトバイザーを振り上げる。 ニメートルを越える長さを誇る錫杖は、立派な打撃武器に成り得た。 「狭間さん!」 レナが叫ぶ。 狭間の背後に居たため、鷹野の行動が全て見えていたのだ。 彼の頭部を砕かんと迫るゴルトバイザー。 だが、直前でピクリと停止する。 斬鉄剣を抜いた狭間が、ゴルトバイザーを受け止めていたのだ。 「不意を突いたつもりか? 貴様の瞬間移動は既に北岡達から聞いている」 余った左腕を鷹野へと向ける狭間。 間髪入れずに氷系魔法の一つである「ブフーラ」を唱えた。 「あらぁ、それはご苦労なことね」 だが、ブフーラが命中するよりも鷹野が消える方が早かった。 残された金色の羽が爆発し、ブフーラを相殺してしまう。 (そうだ、負けるわけがない!) 今のやり取りで確信する。 狭間偉出夫の力を持ってしても、オーディンには敵わない。 そもそも彼の能力には、大幅な制限が課せられているのだ。 今度は彼の左側に姿を現し、先程と同様にゴルトバイザーを振り上げる鷹野。 (え?) そして、見てしまった。 ありとあらゆる憤怒の篭った、狭間偉出夫の双眸を。 「ジオ!」 狭間の右手から一筋の電撃が放射される。 瞬間移動で回避を試みようとするが、既に電撃は鷹野の身体を貫いていた。 腹部に鋭い熱と痛みが篭り、鷹野はたたらを踏む。 事前に調べた通り、雷系最弱の魔法である「ジオ」は大した威力ではない。 しかし、瞬間移動を呆気無く破られたことは動揺に値した。 瞬間移動で狭間の攻撃範囲から後退し、体勢を整えるために一枚のカードをデッキから抜き取る。 ――――SWORD VENT―――― ゴルトフェニックスの翼を模した二対の剣・ゴルトセイバー。 それは基本武器としては破格の力を持ち、一本でも他のライダーのファイナルベントを破るほどだ。 両手にそれらを握り締めると、鷹野は瞬間移動して狭間へと肉薄する。 右側面を陣取り、水平に斬り込む鷹野。 しかしそれは狭間の肉体まで届かず、斬鉄剣に受け流されてしまう。 すぐにもう一方の剣を振り下ろすが、僅かな動きで簡単に躱されてしまった。 身体を反転させて鷹野と向き合った狭間が、肌白い左手を向けてくる。 即座に瞬時に瞬間移動して、狭間の背後へと移る。 攻撃と防御を同時に熟す理想的な動き。 そのまま両腕を交差させ、狭間の細身を挟み込むように斬撃を繰り出す。 だが、それも届かない。 身体を捻りながら斬鉄剣を振り抜いた狭間は、ゴルトセイバーの交差する箇所に斬撃を叩き付けたのだ。 回転による遠心力を利用した一撃の威力は凄まじく、数秒の拮抗の末に鷹野の剣を弾く。 勢い余った鷹野は体勢を崩し、その隙に狭間の剣閃が走った。 「うっ……」 くぐもった悲鳴が漏らす鷹野。 オーディンのスーツで威力を削いでいたにも関わらず、腹部の痛みは確かな存在感を放っている。 「貴様、剣を扱ったことがないだろう?」 月光を斬鉄剣に反射させながら、狭間は鋭い視線を突き付けてくる。 「私も他人に師事できるほど剣に精通している訳ではない、だが貴様の技量はあまりにもお粗末過ぎる 太刀筋は滅茶苦茶、踏み込みは出鱈目、これでは素人同然だ しかもその素人が二刀流だと? 随分と笑わせてくれる」 狭間の指摘を受け、鷹野は顔を歪める。 銃火器の扱いは多少の経験があるが、刀剣類に関しては全くない。 北岡やジェレミアの時は辛うじて対応できていたが、狭間との戦闘でボロが出てしまったのだ。 (待て、どうしてボロが出た……?) 剣の技量を語るのならば、間違いなくジェレミアの方が上だ。 それにあの時は北岡も居たため、状況的には確実に不利だったはずである。 「どうして見抜かれたという様子だな、特別に教えてやろう」 図星を突かれ、鷹野は思わず目を見張ってしまう。 「先の戦いで貴様がジェレミア達に勝てたのは、その瞬間移動があったからだ 貴様の持つ強さなど、デッキが与える仮初の物に過ぎない」 またしても図星だった。 オーディンのデッキは最強ではあるが、それでも変身者による技量差が生じる。 鷹野には戦闘経験自体が少なく、はっきり言ってしまえばデッキに使われている状態だった。 「だが、それはこの私には通じない 何故なら、私は既にその貴様の動きを把握しているからだ」 尊大な物言いでとんでもない事を宣う狭間。 「出任せは止しなさい」 「出任せかどうか、試してみるか?」 口端を釣り上げて挑発する狭間。 瞬間移動を披露したのはたったの数回しかないのだ。 いくら狭間が天才でも、それだけであの動きを把握できるわけがない。 (出任せに決まってる!) 仮面の下から狭間を睨み付け、同時に瞬間移動を行う。 出現地点は狭間の正面から十メートル前方。 だが、すぐに別の場所へと移動する。 今度は左斜め前から五メートル前だが、すぐにまた別の場所へと移動。 次々に瞬間移動を行い、相手を撹乱する作戦。 「さぁ、どこから来るか分かるかしらぁ?」 嘲笑いながら、狭間の四方八方を次々に移動する鷹野。 彼は一歩も動くことができず、レナを背後に従えたまま沈黙していた。 「貴様の瞬間移動は、それほど遠くに行くことはできない」 不意に口を開く狭間。 怪訝に思う鷹野を尻目に、彼は言葉を紡いでいく。 「空中に移動することができないため、頭上を取ることができない」 「瞬間移動は自動ではない、故に貴様の意思が介在する」 「移動してから次の行動に移るまで、一秒程度の時間を要する」 「つまり攻撃に移るまで、僅かなタイムラグが生じるということだ」 分かり切ったように解説する狭間の姿は、かつて祖父の研究を踏み躙った政府の高官達を連想させる。 悍ましいほどの不快感と怒りが鷹野を支配していた。 もう、十分に撹乱しただろう。 最後に狭間の目前にまで肉薄すると、そのまま対極の位置である背後に移動。 前方を見ると、狭間の姿は前を向いたまま。 やはり、動きを把握したなど出任せだったのだ。 隙だらけの脳天を真っ二つに割ろうと、鷹野は月の昇る夜空へと剣を掲げる。 「そして――――」 気付いてしまった。 「貴様は無作為に動いていたつもりだが、行動にパターンが出来ていた いくら撹乱を狙っても、これでは無意味だ」 前を向いているにも関わらず、いつ現れるか分からなかったにも関わらず。 狭間の左手は、背後にいる鷹野に向けられている。 前を見据えたまま、背後にいる彼女を正確に捉えている。 「ザンダイン」 特大の衝撃波を撃ち込まれ、盛大に地面を転げる鷹野。 今までの攻撃と違い、ザンダインは衝撃系の中でも上級魔法に値する。 その威力は、今までの比ではなかった。 腹部を斬られたことで内蔵が傷つき、仮面の下で吐血する。 味わったことのない痛みに身体が警鐘を鳴らすが、それでも立ち上がらないわけには行かなかった。 ここで沈んでいては、すぐにまた追撃が―――― 「それに、貴様からは嫌というほど感じる DARK系の悪魔どもが放つような、ドス黒い殺気をな」 額に、手が翳される。 「ブフダイン」 狭間の左手に冷気が収集されていく。 高速で形を為していくそれは、瞬く間に鷹野の全身を覆い尽くす程の大きさを形成した。 その様相を喩えるなら、さながら巨大な氷の結晶。 「キャアアアアァァァァッ!!」 ブフダインが直撃し、宙へと投げ飛ばされる鷹野。 身体を凍り付かせながら、遊園地の地面を何度も跳ね跳ぶ。 その度に全身を強く打ち付け、やがてメリーゴーランドの残骸に墜落した。 「がっ……あっ……」 オーディンの鎧に守られているにも関わらず、打ち付けた衝撃は肺にまで到達した。 満足に酸素を吸い込むことができず、鷹野の口からは嗚咽が漏れる。 打ち付けた衝撃で凍結が砕けたのは不幸中の幸いだっただろう。 しかし、全身が凍り付くような寒さは残っている。 手はがくがくと震え、まともに力を入れることさえできない。 ゴルトセイバーは今の衝撃で取り零し、瓦礫の山の中に滑り込んで行ってしまった。 「ディア」 先程とは一転し、何処か優しげな声で魔法を唱える狭間。 手を向けられていたのは、背後にいるレナだ。 「痛いのが……治ってく?」 「それで少しはマシになっただろう」 「ありがとうございます」 「ッ……き、気にするな、このくらいどうということはない」 レナの身体が暖かな光に包まれ、喉と頬に刻まれた傷が治癒されていく。 その光景を見て、鷹野の怒りはさらに激しさを増した。 今の一瞬で追撃することも可能だったのに、あえてレナの治療を優先したのだ。 鷹野は非常に優秀な人間であり、それに見合う分の誇りを抱いている。 父の研究を知らしめるという使命感もあり、プライドの高さも常人を遥かに上回っていた。 その彼女が自身を歯牙にも掛けられていないと知れば、激昂するのも当然だろう。 しかし全身が冷え切っているせいか、頭の方は冷静さを保っている 認めるのは癪だが、狭間がオーディンの動きを読んでいるのは事実だ。 これではいくら撹乱したところで意味は無い。 今までのような、デッキの力に頼った戦い方は通用しないのだ。 (使うしか無いわね、切り札を……) 万が一の事態に備え、用意しておいた切り札。 こんなに早く切る羽目になるのは思わなかったが、狭間はそれを使うに相応しい相手だろう。 ――――ADVENT―――― 震える手でゴルトバイザーの蓋を開け、バックルから一枚のカードを抜き、窪みへ装填。 閃光が闇を切り裂き、夜空に太陽が昇る。 そう錯覚させる程に煌々とした輝きを纏う鳳凰・ゴルトフェニックスが、鷹野の召喚によって光来した。 「一人では勝てぬと知って増援を呼んだか、懸命な判断だな」 「フフ……この子を……呼んだのは……戦うためだけじゃ……無いわよッ!」 ゴルトフェニックスは宙を旋回すると鷹野の傍に降り立つ。 それを確認すると、鷹野は燃え盛るその翼に自らの手を突き入れた。 「あんなところに手を入れたら燃えちゃう!」 鷹野の奇行を目撃し、驚きの声を上げるレナ。 「それが目的だろう、ああすることで奴は体温を取り戻したのだ」 対する狭間は、何処までも冷静にその行動を分析していた。 「ええ、とっても熱いわ……でも平気よ……この程度今までに何度も体験してるもの!」 脳裏に蘇っているのは、これまでの人生でも一二を争うほど辛い記憶。 施設から脱走を試みて失敗した時の記憶。 糞便の溜まる便所へと落とされ、舌で掃除をしろと命令された。 悪臭で嘔吐を繰り返し、いくら払っても糞便が肌に纏わりつく。 舌で汚物を舐め取り、その不快感にまた嘔吐する。 それでも必死に舐め取るが、目の前の糞便は少ししか減っていない。 不快感と屈辱に塗れた地獄だった。 二十年近くが経過してもこの記憶は彼女の心に巣食い、毎日風呂で肌が擦り切れるほど身体を磨かせている。 「行きなさい!」 自らを鼓舞するように高らかと命令を下す。 呼応するようにゴルトフェニックスも雄叫びを上げ、黄金の翼を広げながら進撃を開始した。 同時に鷹野も一枚のカードを発動。 鳳凰の背と尾を模した巨大な盾・ゴルトシールドを装備する。 「来るぞ、私の後ろから離れるな!」 「はい!」 ゴルトフェニックスの突進を見据えながら狭間が叫ぶ。 レナが後退できないのは、オーディンの瞬間移動が理由である。 いくら狭間と言えども、遠く離れた場所にいる人間を守って戦うのは不可能だ。 瞬間移動は見破られているが、決して無意味になどなっていない。 「マハブフーラ!」 鷹野が正面に移動した瞬間、狭間の左腕から氷の弾丸が連射される。 しかし、ゴルトシールドがそれを阻む。 ゴルトセイバーを最強の矛とするなら、ゴルトシールドは最強の盾。 他のライダーのファイナルベントすら受け止める強度を誇る。 ゴルトフェニックスも身に纏う炎で氷を焼き尽くしため、マハブフーラは足止め程度にしか作用しなかった。 顔を歪める狭間に向けて、巨大な盾を突き出す。 防具であるため大した威力にはないが、そもそもの目的は別にある。 巨大な盾で視界を奪い、切り札の発動を悟られないため。 仮面の下で酷薄な笑みを作り、鷹野は指を鳴らす。 これが、切り札を発動する合図だ。 「狭間さん、上!」 上空を指差しながら声を荒げるレナ。 その指の先にあるのは、放物線を描きながら落下してくる球体。 「……手榴弾だと? どうやって投げ込んだ……ッ!」 落下してくる手榴弾を見て、狭間は疑問符を浮かべている。 それもそうだろう。 彼は鷹野の動きを注視していたが、彼女は一度も物を投げる素振りを見せていないのだ。 納得の行かないまま、迎撃のためにブフを唱える狭間。 発射された手榴弾は空中で命中し、信管ごと手榴弾を凍らせてしまう。 こうなってしまえばこの手榴弾が爆発することはない。 ――――しかし、これすらも囮であった。 夜闇に紛れるよう、小さな足音が侵攻を開始する。 蛇のように地を這いながら、一つの影が戦場へと往く。 上空に視線が向いていた彼らがその存在に気付いたのは、影が刀を抜いた瞬間。 鈍い輝きを放つ太刀が月光を返し、狭間へと振り下ろされた。 「ぐあぁっ……!」 気付いたのが遅かったため、狭間は迎撃の魔法を唱えることは出来なかった。 咄嗟に斬鉄剣を構え、迫り来る斬撃を受け止める。 だが、影の方が何枚も上手。 下から突き上げるような二撃目で斬鉄剣は弾かれ、返す刀で繰り出された三撃目が彼の白い制服を切り裂いた。 「狭間さん!」 「竜宮……伏せろ!」 警告と同時にレナを押し倒す狭間。 刹那の差で、彼らの頭上を大量の鉛玉が通過する。 やがてそれが終わると、上空にいたゴルトフェニックスが炎の竜巻を彼らへと飛ばした。 「アギラジャ!」 アギラジャは術者に火炎属性への耐性を持たせる魔法。 赤い光を纏った狭間は、迫り来る紅蓮色の竜巻に背を向けながらレナを抱き締める。 竜巻は狭間に衝突すると、霧散するように消えて行った。 「アハハ、良かったじゃない女の子を抱き締められて、もう二度と味わえないかもしれないんだからしっかり覚えておきなさい」 片膝を突きながら、背を向け続ける狭間 事前に調べておいたため、愛する女性に拒絶され続けた彼の過去を鷹野は知っている。 それを嘲り笑う彼女の背後に、二体の影が舞い降りた。 「そんな……なんで……」 鷹野の背後を見て驚愕するレナ。 そこに居たのは、絶対に居るはずのない人間達。 「詩ぃちゃんと……五ェ門さんが……」 友を思うが故に狂ってしまった友人と、彼女を守りながら散って行った侍。 先程攻撃を仕掛けてきたのは、死亡したはずの二人だった。 「なんで死んじゃった人がって顔してるわね、いいわ、特別に教えて――――」 「さざなみの笛」 鷹野の言葉を遮るように、狭間がぽつりと呟く。 「死人を魂のない人形にし、ゾンビのように操ることのできる道具」 レナから手を離した狭間は、背を向けたままゆっくりと立ち上がる。 「なぁ、楽しかったか?」 言葉を紡ぎながら、狭間はくるりと身体を反転させる。 「今までずっと嬲られてきた相手にようやく掠り傷一つ負わせたのは、そんなに楽しかったか?」 そうして対面した狭間の顔は。 施設にいた大人達よりも、祖父を馬鹿にした政府の高官達よりも、今まで見てきたどの顔よりも。 ――――怖かった。 「い、行きなさい! あなた達!」 背後に控えていた五ェ門と詩音に命令を下す。 狭間の言う通り、彼らを操っているのはさざなみの笛の力だ。 この道具は死者を復活させてしまうが故、支給品としては配布されなかった一品。 しかしオーディンのデッキ等に比べて希少性が薄いため、鷹野の権限でも持ち出すことができた。 事前に教会へと赴いていた彼女は、これを使用して二人を操り人形にしていたのだ。 この状態になった者には一切の攻撃が効かず、最強の兵士として操ることができる。 戦闘を有利に運ぶために用意した最後の切り札。 彼らが負けることなど、決して有り得ない。 「メディア」 溜息を吐きながら、狭間は魔法を唱える。 すると迫っていた二人の身体が光に包まれ、糸が切れたように崩れ落ちた。 「な、なんで……!?」 「さざなみの笛で蘇った者達は回復魔法を使うことで死者へと戻る、知らなかったのか?」 さざなみの笛は封印された支給品であったため、簡単な説明文しか記載されていなかった。 故に鷹野は知ることができなかったのだ。 「でも、また復活させれば……!」 「メギド」 鷹野がデイパックから笛を取り出すよりも早く、狭間の左手から一メートル程の大きさの火球が二発発射される。 それらが二人の遺体に触れると、あっという間に燃やし尽くしてしまった。 「答えろ」 「あ……あぁ……」 「貴様は何処まで人間という存在を貶めれば気が済むというのだ」 「……い、いや……こないで……」 「なぁ、答えてみろ」 「あ、あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」 革靴を音を響かせながら、一歩ずつ近づいてくる狭間。 最後の切り札をちり紙のように引き裂かれ、恐怖心から大声を上げる。 思考はオーバーヒート直前の機械のように熱くなり、まるで冷静な判断を下すことはできない。 直ぐ様最後の手段を思い付いた彼女は、それを実行に移すため姿を消した。 「竜宮、前へ進め」 消える直前、こんな声が聞こえた気がした。 「アッハハハハハハハハハハハハハッ!」 瞬間移動した鷹野は、前方に向けて手を伸ばす。 彼女が移動したのはレナの背後。 彼女を捕まえて、再び人質にするためだ。 「ハハハハ……は?」 伸ばした手が空を切る。 前を見ると、レナの姿は手よりも数歩分先――――狭間のすぐ傍にあった。 「貴様のような下衆の考えることなどお見通しだ」 鷹野の腹部に、狭間の手が添えられる。 「マハブフダイン」 凍り付くような冷たい声に乗って、氷結系最強の魔法が唱えられた。 ☆ ☆ ☆ その一撃は猛吹雪と呼んでも過言ではなかった。 咄嗟にゴルトシールドを構えなければ、今の一撃で凍死していただろう。 自然災害そのものである。 ゴルトシールドは凍結して砕け散り、鷹野もその余波を受けていた。 炎の化身たるゴルトフェニックスの翼さえ凍り付かせる吹雪。 すぐ元通りになったものの、相当の体力を消耗させられたようだ。 強い、強すぎる。 強力な相手であることは覚悟していたが、まるで歯が立たない。 回復道具は用意してあるが、それを使ったところで狭間を倒すことはできない。 そしてオーディンの変身が解除されれば、その時点で詰みである。 身を芯から凍らせる寒さと恐怖に煽られ、がちがちと歯を鳴らす鷹野。 「さぁ、喋ってもらうぞ」 かつ、かつ、と音を立てながら、悠然とした態度で狭間は歩を進める。 もはや、打つ手はない。 でも、諦められない。 二つの思いが頭を交錯し、ぐるぐると渦を巻き始める。 その時だった。 「イデオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」 建物の影から、一人の復讐鬼が姿を現した。 「がっ……その声……枢木!?」 「殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!」 仮面ライダーに変身しているが、聞こえる声は間違いなく枢木スザクのものだ。 「は、離せ!」 「よくも水銀燈を殺したな! お前も同じ目に合わせてやる!」 狭間の首根っこを掴みながら、呪詛の言葉を述べ始めるスザク。 その様子を見た鷹野は、スザクと狭間の間にあった出来事を思い出していた。 「ほう……あれがあいつの復讐相手カ」 スザクに遅れて、建物の影からもう一つの影が姿を現す。 サングラスに白髪、間違いなく雪代縁だ。 鷹野がアジトを離れて以降、彼らは同盟を結んでいたのである。 (ツイてる……運命は私に向いてきている) 施設から脱走した際、公衆電話のお釣りの中に取り残されていた十円玉。 あれが無ければ、祖父に助けを求めることはできなかった。 あそこまで走って足掻いたからこそ、幸せを掴み取ることができたのだ。 今の状況はそれと同じ。 ここまで粘ったからこそ、彼らがこの場に到着することができたのだ。 急いでデイパックの口を開け、中身を見ないまま感触だけで中身を取り出す。 そうして出てきたのは知恵の香。 傷を完全回復し、さらに知恵を上昇させることのできる道具。 一つで出来ることが多すぎるため、さざなみの笛と同様に封印されていたのである。 凍える手でガラス瓶の蓋を開け、中に封入された香の匂いを嗅ぐ。 不思議な匂いが鼻孔を擽り、身体をな心地いい感覚に包み込む。 身体に刻まれた傷や寒さは瞬く間に回復し、頭が冴えていく感覚を鷹野は得ていた。 「雪代縁ね」 狭間とスザクの争いを傍目に捉えながら、鷹野は縁の傍へと瞬間移動する。 「……貴様いつの間に。いや、そもそも何故俺の名前を知っている」 「話は後よ、私に協力しなさい」 「何?」 「私は主催側の人間よ、これだけ言えば貴方なら分かるでしょう?」 鷹野がそう告げると、怪訝な目をしていた縁の目の色が変わる。 釣れている証拠だ。 縁が逡巡している間に、背負っていたデイパックから香を一つ取り出す。 そして残ったデイパックを強引に押し付けた。 「これを渡しておくわ、その代わりあの男を倒すのに協力しなさい この瓶の蓋を開けて匂いを嗅げば、あっという間に傷は回復するわ」 別途に取り出した瓶を手渡し、縁の前から姿を消す鷹野。 そのまま瞬間移動をして、再び戦場へと舞い戻った。 ☆ ☆ ☆ 「あっ……ぐっ……」 スザクに首を締められ、狭間の顔が青く染まっていく。 元々の超人的な握力に加え、ベルデの力と狭間に対する燃え盛るような復讐心。 これらが相乗効果を生み出し、スザクは普段の何倍もの力を発揮している。 「……ッ、ジオ!」 だが、狭間も負けていない。 圧迫されていく喉から声を絞り出し、左手から発射した電撃をスザクへと叩き付ける。 十分に魔力を込められなかったため、大した威力にはならない。 しかし雷系魔法の持つ固有効果で、スザクを一時的なショック状態に陥らせることには成功した。 「ゲホッ、ゲホッ……」 何度も咳き込みながら、狭間は酸素を取り込む。 その間に、スザクはショック状態から立ち直っていた。 「イデオオオォォォッ!」 爪が食い込むほどに強く握り拳を作りながら殴り掛かるスザク。 それに対し狭間は、僅かに身体を逸らすことで回避。 拳は空中を掠り、スザクの身体は前のめりに倒れそうになる。 否、違った。 本来なら倒れているところを右脚で強引に踏み止まり、それを軸足に裏拳を繰り出した。 超人的な身体能力を持つからこそ出来る芸当。 「貴様はまだあの人形に操られていることに気付かないのか!?」 振るわれる豪腕を屈んで回避する狭間。 「うるさい! 水銀燈が僕を操ってるわけがない!」 屈んでいる狭間を頭蓋を見据えながら、渾身のローキックをお見舞いするスザク。 「あの人形は貴様の思うような存在ではない!」 「黙れ! お前は死んだ彼女の魂すらも汚す気か!」 「貴様は……貴様は!」 「殺してやる! 絶対にお前を殺してやる!」 「この分からず屋め!」 狭間の白い手が、仮面越しにスザクの額に翳される。 「あの時は不憫に思って放っておいたがもう我慢ならん、貴様に掛けられた呪いを解いてやる」 「何を――――」 「カルムディ!」 カルムディは魅了状態を解除する魔法。 狭間が呪文を唱えると、スザクの動きが機械のように停止する。 「あ……あぁ……」 声が漏れた。 激しい頭痛に襲われているのか、両腕で頭を押さえ始めるスザク。 「あ……ああああ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」 それでも収まらなかったのか、漏れる声はだんだんと大きくなっていく。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」 やがてそれは獣の慟哭へと変わった。 「どうなっているというのだ……!?」 過去に幾度もカルムディを使ったことはあるが、このような反応を見せる者はいなかった。 想定外の事態に、狭間も思考を追い付かせることができない。 ――――確かに彼が推察した通り、スザクは魅了状態にあった。 だが彼の陥っている状態は、悪魔達の魔法による一時的なものとは違う。 彼が呑まされた惚れ薬は、水の精霊の一部を用いて作られた禁断の秘薬。 解除するには同等の力を持つ秘薬が必要であり、原産国であるトリステインでは違法とされていた。 全知全能の力を得た狭間でも、制限された力ではこの領域に足を踏み入れることができなかったのである。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!! 死んでしまえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えッ!!!!」 しかし、全く効果を及ぼさなかったわけではない。 確かにカルムディは発動し、スザクはその効力を受けている。 魔法の効果で強制的に精神を戻そうとしたところで、より強い惚れ薬が頭を埋め尽くす。 力と力が脳内で奔流し合い、恐慌状態に陥ってしまったのだ。 「くっ……ブフーラ!」 拳を突き出しながら突進してくるスザク。 横に飛んで躱そうとしたが、背後には今にも泣き出しそうなレナがいた。 仕方なく迎撃の魔法を唱えて彼を迎え撃つ。 一直線に突っ込んできていた彼はこれを避けれず、身体を凍らせながら後方に吹き飛ばされていった。 「ッ!?」 背後に気配を感じ、瞳孔を見開きながら振り返る狭間。 そこに居たのは傷一つないオーディン――――鷹野三四の姿。 同時に空で待機していたゴルトフェニックスが、その大翼を広げながら滑空を始める。 「マハジオンガ!」 何条もの電撃が鞭のように放射され、宙にいるゴルトフェニックスと鷹野に襲い掛かる。 だが、鷹野はすぐに瞬間移動することで回避。 ゴルトフェニックスも電撃の隙間を縫うように飛び、難なく凌いでしまった。 そして―――― 「あんたに私怨は無いが――――」 あらゆる負の感情を煮詰めたような殺気が、狭間の背後に降り立つ。 「俺の目的のためだ、ここで犠牲になってもらう」 香の効能で傷を完全に回復した雪代縁だった。 「 掌 破 刀 勢 !」 掌から押し出された豪刀が、狭間の頭上へと振り下ろされる。 斬鉄剣で受け止めるがすぐに均衡は崩れた。 先ほど回復した際、彼が使ったのは力の香。 更に彼はデイパックの中から、本来の得物である倭刀を持ち出していた。 倭刀術と名を冠するだけあり、彼の剣術は倭刀を使うことで初めて完成する。 つまり、今の彼は自分の力を余すことなく発揮しているのだ。 「がああっ!」 斬鉄剣は彼の手から零れ落ち、さらに倭刀が右腕を切り裂く。 血飛沫が宙を舞い、狭間の制服を汚した。 「縁! イデオは僕が殺すと言ったはずだ」 「その割には苦戦していたようだが」 「うるさい! これは僕がやらなくちゃ――――」 「あの女は主催側の人間ダ、ここで協力しておけば後々有利になる なに、トドメはちゃんと譲ってやるから安心しろ、これを使って傷を癒やせ」 早口で捲し立てるスザクを制止し、瓶を投げ渡す縁。 スザクは暫くの間彼を睨んでいたが、やがて瓶の蓋を開け始めた。 枢木スザク――――仮面ライダーベルデに変身し、自身も超人的な身体能力を持つ。 雪代縁――――本来の得物を手に入れ、自身の力を完全に取り戻した。 鷹野三四――――あらゆるライダーを凌駕する仮面ライダーオーディンに変身する。 そして、彼女に付き従う最強のミラーモンスター・ゴルトフェニックス。 いくら狭間と言えども、レナを守りながら彼ら全員を同時に相手するのは困難どころの話ではない。 状況が一転して圧倒的不利になったことで、狭間は臍を噛む。 「形勢逆転ね、安心なさい すぐにレナちゃんも同じ所に送ってあげるから!」 鷹野の言葉で、三人が同時に狭間へ迫る。 痛む身体に鞭打ちながら、狭間が魔法を唱えようとした――――その時だった。 「がっ!?」 背後から銃撃音が轟き、大量のエネルギー弾が彼の頭上を通過する。 呻き声を上げながら、数歩ずつ後退していくスザク。 思わず目を見張るが、それだけでは終わらない。 「とおおおぉぉぉぉっ!」 狭間と彼らを分断ように戦場へと乱入する大きな影。 両手に持つ日本刀を交差させ、縁が振り下ろした刀を受け止めて弾き返した。 狭間が呆然とする中、くるりと身体を翻す影。 白い外套が風ではためき、月光によって橙色の仮面が曝される。 「スマン、遅くなった」 大きな影――――ジェレミア・ゴットバルトが狭間に顔を向けた。 「悪いな」 続いて、狭間の背後からゾルダに変身した北岡が歩いてくる。 前方にジェレミア、後方に北岡。 鷹野達から狭間を守るように、二人の戦士が肩を並べた。 「ふん、随分と遅かったじゃないか」 斬鉄剣を拾い上げながら、遅れてきた二人の文句を垂れる狭間。 だが、その顔はどうしようもないほど緩んでいる。 「悪い悪い、これでも飛ばしてきたのよ?」 ずっと遊園地の外周を探索していた北岡達だったが、夜空を照らすゴルトフェニックスを見て引き返してきたのだ。 「柊はどうした?」 「危ないから隠れてもらってるよ、流石のオーディンでもこの暗がりじゃ見つけられないだろうしね」 「竜宮は……どうやら元に戻ったようだな」 「さっきはごめんなさい! なんか私とても怖くなっちゃって……ホントにホントにごめんなさい!」 「私達は気にしてなどいない。それに……あの女が語ったのも全て事実だ 隠すべきではなかった、後でゆっくりと話をしよう」 「そうだな、俺も色々と言わなきゃいけないことがあるし。でも今は先にやることがあるだろ?」 「ああ」 言葉を切ると、北岡とジェレミアは目前に立ちはだかる三人に武器を突き付けた。 「鷹野だっけ? さっきは随分と甚振ってくれたじゃない それにそこのライダー、五ェ門の時に散々邪魔してくれちゃってさ、百倍にして返してやるよ」 「貴様と会うのはこれで二度目だな、今度こそ叩き切ってくれる」 ベルデに変身するスザクを見据えながら口火を切る北岡。 立ち尽くす縁に贄殿遮那を向けるジェレミア。 そして立ち淀む鷹野に向けて、狭間の眼光が突き刺さる。 「北岡、ジェレミア、そいつらの相手は任せたぞ その代わり、鷹野とあの鳥の相手はこの私がさせてもらう」 「……大丈夫なのか? 彼奴らの力は並大抵のものではないぞ」 ジェレミアが言葉を投げると、狭間はフッと笑う。 「私を誰だと思っている? 悪魔達の巣食う塔を昇り詰め、全知全能の力を得た魔人皇だぞ? 貴様らこそ、そんな傷だらけで大丈夫なのか?」 「この程度の傷など大したことはない、それに……私も相当腹が立っているのでな、ここで退く気は毛頭ない!」 「俺もだよ。ここまでムカついてるのは浅倉以来だ」 二人の言葉を聞く度に、狭間は自身が言いようのない高揚感に包まれていくことに気付いた。 今までの人生で一度も感じたことのない気持ち。 身体の芯が温かくなって、奥底から力の湧いてくる。 「そうか……ならば私に協力しろ この程度の危機、まとめて切り抜けさせてやる!」 大きく息を吸い込み、高らかに宣言した。 ☆ ☆ ☆ 「チィッ……邪魔をするナ!」 「貴様こそとっとと退け!」 刀と刀がぶつかり合い、金属音が周辺一帯に響き渡る。 ジェレミアは贄殿遮那と無限刃を巧みに振るい、縁は倭刀を自由自在に使い熟す。 互いに一流の剣の腕を持つ彼らの戦いは、他者の介入する余地など皆無。 さらに一度手合わせをして相手の動きを知っているため、戦いはより高度な読み合いへと発展していた。 「退け! 僕は狭間を殺さなきゃいけないんだ!」 「お断りだな。それにお前が邪魔しなかったら五ェ門は生きてたかもしれない、分かるか?」 対するスザクと北岡の戦いは、互いに飛び道具を撃ち合う遠距離戦。 スザクはヨーヨー型の武器・バイオワインダーを振るい、北岡はギガアーマーで攻撃を弾きながらマグナバイザーを撃つ。 怒涛の猛攻を仕掛けるスザクだが、今の北岡には通じない マグナギガがジェノサイダーを吸収したことで、ゾルダのスペックは大幅に向上しているのだ。 「くっ……なんで、どうして!?」 鷹野とゴルトフェニックスは連携して攻め込むが、狭間の巧みな体捌きの前には及ばない。 レナを――――足手まといを連れているはずなのに、一向に差が埋まらない。 ゴルトフェニックスが滑空を始めると同時に、背後に瞬間移動してゴルトバイザーを振るう。 だが、そこに下から突き上げるような斬撃が加えられた。 手から離れ、勢いよく宙を舞うゴルトバイザー。 そこにゴルトフェニックスが突っ込み、連携攻撃は失敗に終わる。 ぎりぎりと歯軋りを続ける鷹野。 既に息は上がり、呼吸は荒れ切っている。 オーディンのデッキが常にサバイブの恩恵を受けているためだ。 サバイブはライダーの能力を著しく上昇させる反面、変身者の体力を大きく削る。 鷹野の体力は特別優れているわけでもなく、ここに来て限界が訪れたのだ。 「この! この!」 変身してから既に八分が経過しているため、もうすぐ生身の身体に戻ってしまう。 再び不利な状況に立たされ、鷹野は冷静さを失っていた。 彼女は非常に優秀な人間だが、使命に固執するあまり撤退するということを知らない。 終末作戦の際、次々と山狗部隊が敗北したにも関わらず小此木の進言を無視して軍を送り続けたのが証拠だ。 「無様だな」 狭間の繰り出す斬撃に一瞬反応が遅れる。 咄嗟に瞬間移動するが、剣先は彼女の腹部を切り裂いていた。 (ハァ……ハァ……まずい……ッ!) 他のカードは残っているが、時間の方は残っていない。 小細工を弄するよりは、最強の切り札に賭けた方が懸命である。 掠れてくる視界で狭間の動きに気を配り、何とかファイナルベントを発動する隙を伺う。 そうして防戦に徹することで、ふとある事実に気付いた。 北岡達と合流してからの狭間は、斬鉄剣を振るうばかりで一度も魔法を使用していない。 怪訝な事実に首を傾げるが、やがてある結論に辿り着いた。 もしかしたら狭間の魔力は既に枯渇しているのではないか。 いくら魔法が優れていても、魔力が無ければ扱うことはできない。 むしろ優れているからこそ、大幅に魔力を消耗するのだ。 それに狭間の魔法には大きな制限が設けられているため、普段よりも魔力の消耗は早いはずである。 魔法が使えないのなら、いくらでも対策手段はあるのではないか。 ――――いや、そんなことは有り得ない。 この考えは、あまりにも自分本位で都合の良い考えだ。 いくら制限を設けられていても、この程度で狭間の魔力が尽きるはずがない。 なら、何故狭間は魔法を使用しないのだろう。 思考を展開し始めるが、突如響いた大きな悲鳴がそれを中断させた。 「ぐあああぁぁぁぁッ!!」 目にも留まらぬ速さで刀が振り抜かれ、鮮血が夜空を赤く染める。 悲鳴の聞こえた方向を見ると、ジェレミアが縁を圧倒している場面だった。 「がああああぁぁッ!」 北岡が肩に装着したギガキャノンを発射し、砲丸投げのように宙へ放り出されるスザク。 そのまま地面に激突し、地面へと沈む。 目を疑うが、倒れた彼らが立ち上がる様子はない。 増援に駆け付けた彼らは、こうして呆気無く敗北してしまった。 (おかしい! こんなに早く彼らが敗れるなんて……) スザクと縁の二人は、参加者の中でも上位に君臨する実力者のはずだ。 北岡やジェレミアも実力者ではあるが、今までの戦闘の負傷や疲労は残っている。 一方で二人は傷を回復した上、普段の全力以上を発揮する装備を使っていた。 これだけの好条件が揃っていて、敗北することなど有り得ない。 目の前の矛盾に頭を抱えるが、目前の敵はその答えを出す時間を与えてくれない。 首元を狙うように突き出される斬鉄剣。 瞬間移動して回避を試みる鷹野だが、不意に身体を異様なほどの気怠さが襲う。 まるで数日間徹夜を続けているような気怠さ。 両手足に力は入らず、意識すらも朦朧とし始める。 瞬間移動が間に合わず、辛うじて首を逸らすことで突きを躱す。 しかし刃が喉を掠り、スーツの内側に赤い線が刻まれた。 「ゼェ……ゼェ……」 いくらサバイブが使用者の体力を奪うと言っても、ここまで酷いものなのだろうか。 強烈な違和感が鷹野の脳裏を過る。 異様なほどの身体能力の低下、スザクや縁の不自然な敗北、魔法を使わない狭間。 「……まさか!?」 「どうやら、気付いたようだな」 そう言う狭間の声色は、やっと気付いたのかと言外に見下したものだ。 「私が魔法を使わなかったのではない、貴様が魔法を使われていることに気付かなかったのだ」 左手を掲げる狭間。 「ランダマイザ、これだけ言えば分かるはずだ」 狭間の口から飛び出た単語を聞き、鷹野は戦慄した。 ランダマイザ――――彼の世界では狭間以外に習得した者のいない魔法。 敵全体の攻撃力・防御力・命中率を一度に下げることができる。 一度でも脅威になる魔法だが、最大の脅威は重ねがけを行えるところだ。 「言っただろう? この程度の危機まとめて切り抜けさせてやると」 ランダマイザを使用していたなら全ての違和感に説明がつく。 この異様な疲労感も、スザクと縁の敗北も、ランダマイザによる能力低下が原因だったのだ。 「そろそろ貴様の化けの皮も剥がれるようだな」 指先を見ると、そこから粒子が上がっている。 もうすぐ変身が解除される兆候だ。 「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」 殺される。 変身が解除されたら、確実に殺される。 目の前にいる悪魔は、何としてでも殺さなければならない。 バックルから一枚のカードを取り出し、ゴルトバイザーを出現させる。 狭間が妨害の魔法を唱えるが、もはやそれすらも見えていなかった。 「キイイイイィィィィィィイッ!!」 ゴルトフェニックスが嘶く。 両翼から炎を纏った真空の刃が放たれ、狭間の発動した魔法と相殺された。 主人の危機を感じ、独断で発動したのだろう。 カードはバイザーに装填され、機械音が発動を宣言する。 ――――FINAL VENT―――― 黄金の炎を身に纏いながら、鷹野の背後へと飛行するゴルトフェニックス。 鷹野の身体が重力に逆らいながら、真上へと上昇し始める。 そうして両者の身体が合わさった時。 鳳凰が両翼を広げ、閃光が周囲一体を埋め尽くした。 「これで……終わりよ!」 地面に立つ狭間を見下ろしながら鷹野は叫ぶ。 鳳凰と一体化したその姿は、人間という枠組みを超越したかの如く神々しい。 オーディンのファイナルベント――――エターナルカオス。 永遠の混沌へと相手を導くその技は、他のライダー達のものとは文字通り桁が違う。 地上にいる狭間と、上空にいる鷹野。 その立ち位置の違いは、そのまま位の差だ。 地上を支配する皇も、天空に君臨する神には敵わない。 「死になさい!」 神に歯向かった反逆者を裁くため、鳳凰が下降を開始する。 その様子は太陽の落下。 圧倒的な光と熱量を持ったそれが、地上へと降り注ぐ。 「マハラギダイン!」 それに対抗するため、狭間も魔法を詠唱した。 そうして呼び出されたのは、地上を埋め尽くす程の炎の奔流。 マハブフダインとは対を為す火炎系最強の魔法。 太陽の落下を食い止めるため、うねりを上げながら大量の炎が空へと昇っていく。 「なんという熱さだ……」 「ああ、こっちまで熱くなってくる」 目を細めながら空中を見上げるジェレミアと北岡。 太陽と炎は空中でぶつかり合い、その圧倒的な熱量を周辺へと撒き散らした。 三人の額に玉のような汗が浮かび、遊具の残骸やコンクリートの地面に炎が走る。 酸素は燃やし尽くされ、息苦しさすら感じるほどだ。 このまま拮抗を続ければ、周囲への被害は甚大なものになるだろう。 「ッ……!?」 空が動く。 少しずつ、少しずつ、一歩ずつ踏み出すように太陽が炎を呑み込んでいく。 ランダマイザで能力が減少していても、エターナルカオスの威力が圧倒的であることに変わりはない。 鷹野の執念が、最後の最後で狭間に勝ったのだ。 (勝った!) 勝利を確信する鷹野。 そんな彼女の視界に、小さな異物が映り込む。 目を凝らすと、異物の正体が氷の塊であることに気付いた。 否、違う。 その氷の中には、黒い球状の物体がある。 異物の正体は、氷の塊ではなく黒い球状の物体を凍らせた物だった。 「あ」 その物体に、鷹野は見覚えがあった。 元の世界でも何度か目にし、彼の部下である山狗部隊が多用していた道具。 この場所においても二度使用されている 一度目は夜神月が使用し、展望台を崩壊に追い込んだ。 二度目は鷹野自身が持ち出し、操り人形と化した園崎詩音に投げさせた。 そして本来の役目を果たすことなく、狭間のブフによって凍り付いた。 「忘れ物だ、受け取れ」 投げ付けられた道具の名前。 それは――――手榴弾。 時系列順で読む Back 太陽と月 Next 魔人 が 生まれた 日(後編) 投下順で読む Back 太陽と月 Next 魔人 が 生まれた 日(後編) 155 Switch(Choice[Player]){...} 北岡秀一 159 魔人 が 生まれた 日(後編) 柊つかさ ジェレミア・ゴットバルト 竜宮レナ 狭間偉出雄 鷹野三四 152 SAMURAI X 枢木スザク 雪代縁