約 2,472,048 件
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/115.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1257382677/655-656 俺は今現在ヤモリの如く壁に耳を引っ付けている あん? 何故かって? そんなの妹の部屋の音を聞くためにきまってるだろ。 変態? はん、なんとでも言えよ。 ラブリーマイエンジェルあやせたんのことだったら何だってやってやるぜ。 俺の行動力を嘗めるなよ? あやせ「桐乃、クリスマスの予定もう立ってる?」 桐乃「え~あやせ、き~早すぎ。まだ2ヶ月前だよ」 あやせたんはクリスマスをよっぽど楽しみにしているらしい 良いことを聞かせてもらった あやせ「だって桐乃去年はお兄さんとデートで一緒に遊べなかったじゃない」 桐乃「デ、デートって何であやせ知ってるの…ってデートじゃないつーの!!」 そういえば去年のクリスマスは‘妹空’の取材であいつに振り回されたっけ 今年は糞妹とでわなく、あやせたんと過ごしたいものだ うむ あやせ「確かに行き先が温泉ってデートって感じじゃないけど…」 んん? 何かこの話の流れやばくないか? 桐乃「温泉?私温泉なんていってないけど」あやせ「えっ?でも初詣での時、麻奈実お姉さんがラブホタルっていう温泉に……………………………………ラブホタル?」(←めっさ恐い顔) あっ俺、死亡フラグ…って俺もすっかりオタクになったな~ どたばた がちゃん ドタバタ バゴン! バゴン!! バゴン!!! その後、俺はあやせたんから鉄拳(ご褒美)をもらった。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/313.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290468634/337-344 俺の妹の友達がこんなに可愛いわけがない 「あたしは槇島理華っていうんだ、よろしくね!」 その言葉を発した女性は銀色の短髪、品の良さそうな服を着ている、有名ブランドみたいだけどそんなに嫌味な趣味ではない、確かに年はくってはいるが綺麗だと思う。 沙織から話を聞いていたおばあさんか?成金趣味のような嫌なな感じはしない、むしろ気持ちのよい婆さんだ。 「お…、僕の名前は…」 「いいよw、そんなかしこまらなくてもさ、もしかして…高坂京介…君かな?」 えっ?なんで俺の名前知ってんだ?急に名前を言われてやや面を食らう。 「はっ、はいっ、なんでぼっ、俺の事ご存知なんですか?」 「ああ~、やっぱりね…、近頃、沙織と会うとさ、よく喋るんだよ、あんたの事をさ……」 そう言ってきししと笑うとお婆さんは沙織の方に目をやる。 「お婆様!そっ……、それは、別に今言う必要が無いと思いますわ……」 思わぬ(?)御婆さんの発言に思わず口を挟む沙織。へ~、そんな俺の事を喋っていたのか、別に俺は悪いとは思わんがな…、緊張してんだろうか。 「初対面でなんだがあんたの事は京介でいいかい?」 「はいっ、全然構わないですよ」 そのきびきびとした口調は嫌いではない、というかむしろ聞いていて気持ちが良い、なんかここらへんはやっぱり沙織の姉さんに雰囲気が似ているののだろうか……、第一に悪い人では無さそうだしな。 「それからあたしの事は「理華ちゃん」でいいからね!」 「ぶっ!」 その思わぬ言葉に新たに注いで貰った紅茶を吐く、…理華「ちゃん」って、もうそんな年でもないだろうに… 「あら、やっぱ変か…、じゃあ「理華さん」でいいや」 「はい…、わかりました、理華さん…」 それを聞くと理華さんは「ふししし」と軽やかに笑う、なんかまったく年を感じない、そんな女性だった。 「ところで……」 理華さんは少し神妙そうな顔つきを見せる・ 「はい、なんですか?」 俺はその表情を見て少し身構える。 「あんたら…、もうHしたの?」 「ぶぅ―!!!」 今度は沙織がお茶を吹く!孫の前でなんてハレンチな質問するんだ、この婆さんは…。 一週間前… 俺たちは恒例の高坂家で休日をいつもの4人で過ごしていた、みんなで喋ったり、お気に入りのアニメのブルーレイ を持ち込んで観賞したり、各々のオタク思考を議論したり、ゲームをしたり、それは極普通で極何処でもありそうな風景だ、俺はこの時間は好きだし、 もう俺にも「オタク」としての時間というのは皆と同様にかけがいの無いものになっているだろうな… 「やっぱあんたさ!何にもメルルの事分かってないでしょ!」 「あなたこそ、『漆黒』の良さを少しも理解しようとしないくせに…」 桐乃はあいからず一押しアニメ「星くず☆うぃっちメルル」を黒猫に押し付けている、黒猫も負けじと自分が一押しする『マスケラ』 を引き合いに出して対抗している…、もういつもの見慣れた光景だ、なんかこうやって思いっきり自分が思っている事を口に出して喧嘩できるってのもいいもんだな。 俺はいつものように沙織の方に目を向ける 「……」 いつもなら沙織もそんな光景に「はいはい、そこまで!」という感じで大岡裁きをするんだけけれど…。 今日の沙織はどこか様子がおかしかった。 「沙織?」 俺の声に沙織がびくっと姿勢を変えて俺の方に振り向く。 「なんでござるか?京介氏……、拙者、今ちょっとぼーっとしていまして、いや、申し訳ない…」 「いや…、別に謝らなくていいんだんけどさ、気にしないでくれ」 なんかどこか体の調子でも悪いのか……、今日こいつが家に着てから少し様子がおかしいというか、普段のテンションが高いからかもしれないけど、やけに今日は静かだ。 「そういえばだけどさ…沙織に聞きたいんだけど~…」 一通りに黒猫との舌戦を繰り広げ終わった我が妹、桐乃が声をかける。 「なんでござるか?キリリン氏」 「沙織、この前お見合いしたって言っていたでしょ?」 「うっ……、まぁ、そうでござるが、それがどうしたのでござるか?」 なんだ、こいつ…、今、明らかに海老みてえに体仰け反らせたぞ! 「あらっ!本当にしたの?私はてっきりあの場を盛り上げる為の渾身のネタかとばかり思っていたけけれど」 黒猫の言葉に俺もそう思っていた、だってまだ沙織は15歳だったけ…、確かにそうは思えないぐらい落ち着いているし、しっかりしている、でもそれでも早いだろ、沙織の親は一体何を考えてんだろうな…、金持ちの考える事はわからん。 「相手の人はどんな人だったの?」 「いやはや、なんと言いますでしょうか、普通に良い殿方でござった」 「また~、隠しちゃってさ~、顔はどんな感じだったの?イケメン?」 そりぁ間違いなく俺たちと同じ人間の顔しているだろうよ!俺の妹ながらほんと女ってのは男の顔を気にするね、目と鼻と耳と口が あれば万々歳だとお兄ちゃんは思うの。 「今風の顔というのもおかしいでござるが今思い出すと凛々しい顔つきでしたな~…」 「で…、どうだったの?」 桐乃の追求は止まらない。 「いや、前も話ましたが拙者がこの服装でござったから相手が卒倒してしまって…」 「あ~、そんな事も言っていたわね…、確かにその秋葉原限定のような服装でお見合いになんか行きでもしたら誰でも卒倒すると思う わ」 黒猫は本に目をやりながらもからかうかのようにに答える。 「あんたのそのクイーン・オブ・ナイトメアだって同じようなもんじゃ~ん、廚二病コスプレ乙www」 「……っふ、私の黒い血であなた呪い殺される覚悟は出来てるでしょうね、それも三等親まで同じ苦しみを味わう事になる わ……、 覚悟しておいて頂戴」 「黒い血www、呪いってwww、ちょーウケるんですけど~↑」 プルプルと震える黒猫に桐乃は腹を抱えて笑っている、俺もその三等親の中に入っているからできれば止めてくれ…。 沙織の事だ、こいつの性格を考えてみるとあまり自慢などはしたがらないと思う、それにこの前行った沙織の家を見れば相当の金持ちっていうか俺が知っている中で最上位)ってのがいやでも判る。 まぁ、相手の顔はともかくとして良い家柄のやつだったってのは想像できない事じゃない。 「お前らいい加減にしろ、で……、周りの反応はどうだったんだ?お前ら2人だけじゃなかったんだろ?」 俺はハブとマングースのようににらみ合う桐乃と黒猫を引き離し、本題を沙織に戻す。。 「はいっ、いやはや…、大変でござった、拙者の母上も相手同様、卒倒しておりましたからな」 「その時点で既にお見合いとして成立しないと思うわ……」 黒猫のツッコミに同意した、そりゃ、そうだ、自分の娘がこんな風な格好をしてお見合いにこられたらさぞびっくりするわな…。 「でもさ~、相手イケメンだったんでしょ?連絡先ぐらい聞いたの?」 桐乃がもったいないという表情で沙織に顔を向ける。 「はい、一応連絡先は交換しましたぞ」 まぁ、そういう場だから建前上、交換せざる得ないかもしれないがな……、一番最初に俺達が初遭遇したSNSコミュニティ『オタクっ娘あつまれー』 でみたお前はかなりのインパクトもったを俺がこう言うのもなんだが……、もちろん今はなんの違和感さえ感じないが。 「あら、それは良かったじゃない、まだ刹那の希があって」 「まぁ、別にまた会いたいという訳でもござらん、ただ正装で会いに来てくれた殿方にいささか失礼ではござったかなとは思う所でご ざるが、でも……」 黒猫の言葉を聴き終わると沙織が俺たちの方を見渡す。 「今はこうしてみなさんと一緒に過ごす時間が、拙者には一番大事でござる…」 沙織はさっき俺が考えていたことを口に出す、そうだよな、恋愛も必要だし、かならず通らなくてはいけない事だろうけど、こうやって友達と気軽に遊ぶ、一緒の時間を共有するってのも思春期の俺達にすれば大事だよな、絶対。 「あ…、あたしもあんた達との時間は別に嫌いじゃないけどね…」 桐乃は髪を弄りながら顔をそっぽに向ける。 「ふふっ、素直に「好き」と答えれば済む話を」 黒猫はその機微を見逃さない。 「うっ、うっさい!厨二病マスケラ大好き女!あっ…、あんたはどうなのよ!」 「私は好きよ、あなたのその子憎たらしい丸顔も含めて、この時間の全てが」 「なにっを~、人が気にしている事を~」 桐乃と黒猫はまた喧嘩を始める、もうめんどくさいから好きにしてくれ、もう俺は止めん…。 沙織はそんな2人を見て優しく微笑む、でも少しするとまた何か考え込むような表情を見せる、やはりなんかいつもと様子がおかしいな、こいつは人が悩んだり、落ち込んでいたりするとすぐ気づいて励ますくせに、自分がそうなっても周りに心配をかけまいと一人で抱え込んじまうじゃないか……、もし仮にそうだとしたらあまり良くないだろ、でもそういう奴なのかもしれん、槇島沙織というお嬢様は。 その日の集まりは無事、何事も無く(?)終わった。 俺はその日の分かれたすぐ後に沙織に電話を掛けた。ちょっとあいつの表情も気になっていたし、どこかいつもとは違う、そんな俺の危機察知能力がビンビンと感じもしていたからだ、まぁ、大抵は俺がただしたいだけなんだが。 別にそれが勘違いなら俺のいつもの余計なお節介で済むだろうし、何か沙織にあったら少しでも楽になれるように話を聞ければ良いなと真剣に思う、普段あいつが俺たちにしている事に比べたら全然大した事できないけどさ。 「どうしたでござるか?京介氏?」 沙織が元気良く電話に出た 「おお、いや、別に大した用事でもないんだけどな…、今一人か?」 「はいっ!先程、黒猫氏とは別れまして今から駅に向かうところでござるが…、拙者なにか忘れ物でもしたのでしょうか?」 「いや違うんだ……、ちょっと今から会えねえな?もちろんこの後に予定がなければの話だが」 「え!いや…、別に時間は大丈夫でござるが…」 「じゃあ、今からそっちにいくわ、駅前で待ち合わせでいいか?」 「問題無いでござるよ」 「よっしゃ、ちょっと待ってろよ」 俺はそういうと軽く上着を羽織って足早に駆け出した。 「すまねぇな、急に呼び止めちまって!」 駅の近くのコーヒーショップに入る、ここなら少しはゆっくり話ができそうだ、うるさい妹も居ないし、こ憎たらしい後輩も居ない。 「別に結構でござるが…、京介氏…」 「なんだ?沙織」 相変わらずのぐるぐる巻きの厚い眼鏡を少し下に向けて上目遣いしながら沙織がもじもじしている、何してんだ? こいつ…。 「まさか……、今から拙者に愛の告白を!!!」 俺がそんな妹の友達を口説くような男に見えるのか! 「しねぇよ!誰がそんな大それた事をするか!!www」 「だってぇ……、みんなと別れた後に拙者だけ呼び出すなんて…」 「違うえよ!こらっ、お前頬を紅潮させるな!ひとさし指同士をくにょくにょさせるな!」 まったく…、何を考えているんだ!ただ、まぁ、確かに無きにしもあらずだな、俺も急に呼び出しちまったからあまり強くつっこめな い部分はあるんだからね……。 「もう…、京介お兄様ったら…、そうならそうと早く言えば要件を言えば良いものを…」 「お前が勝手に暴走するからいけないんだ…」 俺はちょっとむすっとして腕を組む、っったく、今の中学生はなんというか……。 だけど少しは元気があるみたいで安心した、でもこいつ事だからやっぱ相手に悟らせまいとしているんだろうけど……。 「で拙者を呼び止めた京介氏の真相はなんでござろうか?」 沙織は運ばれてきた紅茶を一口すする。 「お前さ、な~んか今日…あんまり元気なかったろ?」 「えっ!そ、そんな事ないでござるよ!拙者はいつだって元気もりもりでござる!」 ぐっと両手を構えて力瘤をつくる。 「なんかさ…、表情だってうつろだったし、俺の言葉だって聞き逃していたぜ…。いつもなら何個耳があんだよ!お前は聖徳太子か! って突っ込みたを入れたいぐらいなのにさ…」 「えっ!あ~、今日は………、そう!今日はかなり寝不足でござってな!もうなんせユニコーンガンダムを作るのにちと熱を入れす ぎてしまって…、いやっ、そりゃガノタにとっては最高の至福というのでしょうか…、というわけで気づいたら深夜遅くまで…」 腕を胸の前で組み片方の指をピッと上に向け説明をする沙織、こいつの事だ、俺たちと合う前の日に限ってそんな体調を悪くするようなヘマな事はしないと思うのだが、普通に考えれば中学生が熱中して夜遅くまでというのはよくある事なんだろう。 「ほんとだな…?」 「本当で…ござる…」 強い口調の後に語気が弱くなる…、なんか隠しているような気がするんだよな…、でももしかしたら男にはちょっと相談できない事かもしれない、それだとあまり問詰めても逆に沙織が可愛そうだ、俺の勘違いという可能性も大いにある。 「悪い、なんか尋問みたいになっちまったな、別にお前を問詰めようとか思っていないからさ…」 「いえいえ!そんな…」 俺と沙織、お互い黙り込んでしまった、カチャカチャと喫茶店特有の無機質に食器が触れ合う音が喧騒の中に流れる。 「お前がちょっといつもとは違う感じだったからさ!悪いな、呼び止めちまってよ」 「そ!そんな事はないでござる!」 すごい勢いでぶんぶんと頭を振る沙織、おいおい、あんまり振ると眼鏡が飛ぶぞ、ちょっと素顔を見てみたいというのもあるがな。 俺は一つ小さな咳払いをする。 「でもさ…、もし仮に悩み事があったら桐乃とか黒猫とかにでも言えよ…、あいつら、いつもはバカなことばっか言っているけどさ、 やっぱ友達が困っていたら助けようと思うにきまっているしさ…」 「でござるな……」 「それにお前ばっかりずるいんじゃねえか?人の悩みにはすぐに気づいて的確にアドバイスしやがって、それが沙織だけの特権とは思うなよな、たまには俺や桐乃、黒猫に素直に頼りやがれ」 きっとそうだ…、桐乃や黒猫、あいつらだってもし沙織が困っていたら、悩みがあるって知ったら自分をも省みず沙織を助けると思う……、俺が助けを求めていてもあいつらは助けてくれるかどうかわからんが…。 「京介氏…」 沙織の表情がゆるむ。 「毎回毎回お前ばっか回りに気を使いやがってさ…、たまには年相応の行動してみろよ」 「京介氏…、それは拙者が老けている、という意味にとって良いのでござるかな(`□´!!)」 決まったとばかりに自分に陶酔していた俺を尻目に沙織のおでこに怒りマークが浮かんでいる。いけね!なんか怒りスイッチを押してしまった気が…。 「いやっ、違うんだ!悪い!そういう意味じゃねえんだよ…!」 「じゃあどういう意味でござるか?」 「いや、もっと中学生らしく!というか」 沙織のおでこにぴきっと十字マークが浮かび上がる、あれっ?これって俺、さらに火に油を注いでるんじゃねえ? 「すまん!沙織!許してくれ!」 俺は両手を合わせて必死に頭を下げる、あの2人ならまだしも沙織にまで切れられた俺泣いちゃうよ(;_;)……、あれ、何にも反応がないぞ…。 「ぷぷぷっ…、あ~はっは!」 沙織が腹を抱えて笑っている、悪かったな…、いつもの癖、というか絶対に桐乃と黒猫が悪い。 「は~、笑った笑った!すまなかったでざるよ、京介氏」 ひとしきり笑うと沙織はぐっと俺の方に姿勢を正す。 「でも心配してくれて本当に…ありがとうでござる、京介氏」 「別にいいんだけどさ…、いつもの俺の余計なお節介炸裂ってやつだ、騒がせちまって悪かった」 桐乃の事で事件が起きすぎていたかならな、余計な癖がついちまったのかもな、本当、人生は平凡に限るよ、まったく……。 「しかし、そういう事を言ってくれると言うことはいつも拙者を見ていてくれていた……、という事でござるかな?」 沙織は意地悪そうな顔で俺を覗き込む。 「はいはい、そうですよ、どうせ俺はストーカー野郎ですよ!」 もうなんとでも言ってくれ、ああ、早く帰って布団をギュってしたい、誰でもあるよね?そんな時。 「ふふっ、冗談でござる、でも……、拙者は嬉しいでござるよ……」 そんな顔をするな…、いくら眼鏡を掛けていても俺はお前の家でその素顔を見ちまってるんだよ…、こいつ眼鏡を取るとマジで美人なんだよな…、アホでスケベな俺は勘違いしちまうだろが。 「まぁ、何事も無ければいいんだ、俺は帰る!呼び止めちまって悪かった、じゃまたな!」 なんかこれ以上2人でいると変な気になりそうだったので俺は伝票を握り締め、席を立つ。 「京介氏!」 照れるのを隠すように背を向けた俺に沙織のかすれた声が響いた、俺は後ろを振り返る。 「先程…、京介氏は拙者に年相応に行動しろ、と仰りましたな?」 「言ったけどそれがどうかしたか?」 沙織はもじもじと指を絡ませる、眼鏡の下の表情は読み取れない、沙織は気合を入れるように立ち上がる。 「拙者の相談事……、やはり聞いてもらってもいいでしょうか?…」 「……」 上目遣いで俺を見る沙織…。やっぱりなんかあるんじゃねえか……、俺は何も言わず元いた場所に座る。 「こんな俺でよければ言ってみな?お嬢様…」 俺を誰だと思ってるいるんだ、沙織……、あの超がつく唯我独尊女、我が妹桐乃の、世間の一般から「失敗してもお前はよくやった」って言われそうな無茶な相談事をいつも聞いているんだぜ…、お前の相談事なんか屁でもねえよ…、っていうか素直に言ってくれて嬉しいなんて言えねえしさ、まぁ、その前にもう1杯熱いコーヒーのおかわりが欲しいね、店員さん。 「お見合いの話がまだ終わっていない、って事か?」 そう言うと俺は先ほど店員さんに持ってきて貰った熱いコーヒーを一口すする。 「はいっ……」 沙織はシュンと頭を下げる、やはりかなり深刻なようだ 「先ほど、拙者が高坂家で話をした事を覚えていらっしゃいますかな?」 「え~と、相手の男がお前の格好を見て卒倒しちまった、って話だったよな」 確かに何度も思うが流石に自分のお見合いでこんなオタクルックの奴が来たらそうなうだろうな。 「その通りでござる、でも問題はそこから始まったでござるよ、京介氏」 「と、言うと?」 そのことで家族と喧嘩でもしたとでも?俺は更にコーヒーを飲み込み。 「確かに殿方は卒倒はしてはしまったのでござるが、なんとかその場で復活したのです、拙者はそれでもうこのお見合いの話は無くなるだろうとタカを括っておりました所、相手の方がなかなか出来た方でしてな」 「ふむ」 「いろいろ拙者と話をしてくれましてな、拙者も少し落ち着いたでござるよ」 まぁ、バジーナなら容姿はともかくとしてオタ話さえしなければ話は通じるからな 「良かったじゃねえか、相手の男がお前の容姿だけで判断していないって事だろ?それでどう困るって言うんだよ?」 「いや~(ノД`)」 沙織は困った表情を見せる 「次回の顔合わせはバジーナスタイルではなく、『槇島沙織』で行かないといけないという事でござる……」 ああ、なるほど、こいつの本来の姿「槇島沙織」の場合、まともに相手と話ができないぐらいに恥ずかしがり屋になっちまうんだよなあ、沙織が極端に嫌がるという事も頷ける。 「でも、この前はお前ん家に行った時に俺達に顔見せてたじゃねえか」 「あ、あれは、今までの京介氏達との類まれない時間があってこその結果でござる、あの時の『コスプレ』もかなりの勇気が必要でござった」 あの時の様子を考えれば今回の『ほぼ初対面の男性とマンツーで会う』といのは確かに沙織にしてみれば難儀な話である。『槇島沙織』のチェンジした時もかなり緊張していたからな。 あと、俺が一番聞きたい事がある。 「それと、一つ聞きたいんだけど、本気で結婚するわけでお見合いをしているわけではないんだよな?」 「いやいや、流石にそれなないでござるよ」 「そうか、それなら安心したよ」 そうだよな、流石にこれで結婚って話なら沙織の嫌がるのは当然だろうな、まずは「お付き合い」をするって事なんだろう。 「今回のお見合いもお母様の提案でござってな、拙者の人見知りを心配してこういう機会を作ってくれるのでござるが~、ありがた迷惑と言いますでしょうか」 なるほど、そういう沙織の性格があってのお見合話なんだな、心配するのはどこの親も同じという事か。 多少、まともな話になってきて安心感が出てきた。 「お前としてはその相手の男ってのはどうなんだよ?」 「えっ、そんな話した事も無い男性を急にどうと仰られても拙者にはわからないでござるよ」 「でもまず話しないと相手の事なんかなんもわからねえだろう」 「う~、その通りでござるが……」 「理屈としてはわかるんだな」 「それは分かりますが・・・、拙者にはまだ早い気がするでござるよ…」 「う~ん、『友達の兄』として言わせてもらえば俺もそう思うがな」 「そうでござろう!」 「でもお前の親御さんの立場から言わせてもらえば心配はしているんだからしっかりやらないとな」 「京介氏は…、拙者に彼氏が出来てもいいでござるか?」 はあ?それって、どういう意味だ? 「拙者…、拙者……は」 ちょっ、ちょっと待て、何を言うつもりだ、沙織! 「拙者はオタクとしての自由時間が減るのが心底耐えられないのでござる!」 「それは俺にまったく関係ねええええ!」 心配して損したぞ、まったく・・・。 「と、冗談はさておき」 「って結構、真剣な感じがしたけどな」 「やはり拙者にはキリリン氏や黒猫氏、京介氏と遊んでいる方がいいでござるもん…」 「おまえ、もしかして」 「なんでござるか?」 沙織はびっくと肩を震わす。 「好きな奴でもいるのか?」 「えっ?いや、それは・・・、その、え~とでござるでござる・・・」 沙織の顔が急に紅色に染まる。 「いいよ、隠さなくても、お前がそこまで拒否するってのはなんか理由はあると思ってさ」 好きな人がいたらお見合いなんかしたくないのは当たり前だよな、沙織が親に嘘をついてまで相手の事を考えているなんてな、沙織に惚れられた相手は幸せだろうな、っていうかどこのどいつだ・・・、お兄さんは許しませんよ。 「好き・・・というか一緒にいたいというか、まだよくわからないでござるよ、子供の拙者には」 沙織、それはもう好きなんだと思うのだが・・・、むかつくから言わないでおく。 「でもやっと理由がわかったからすっきりしたよ」 「・・・はい」 しばしの沈黙が続く 「どうしてもお見合いはしたくなんだな?」 「はい・・・」 じゃあ、俺のやる事は決まってる、なーに、至極簡単な事だ。 「俺には沙織の貸しがいくつあると思ってんだ?」 「えっ?それじゃあ」 「何をすればいいんだ?その解決方法はさ」 「あっ、ありがとうでござる、京介氏、恩に切るでござる」 「別にいいよ、俺が出来る範囲だがな」 「じゃあ、来週の日曜日に、その・・・・・・、拙者の彼氏になってほしいでござる!」 「へいへい、彼氏ね・・・って彼氏いいい?」 「正確には彼氏の演じて欲しいでござる」 「そうか、そうだよな、いや、そりゃ別に構わないけどさ、その理由はなんなんだ?」 「お見合いの後にお母様からなぜお見合いをそんなに嫌がるのか?と聞かれましてな・・・、拙者の意見をなかなか理解してもらえなかったでござる、それで『お付き合いしている人がいるわけではないでしょ?』と言われて・・・」 「お前はつい『いる』と言っちまった、それじゃあ連れて来なさい、って感じか?」 「認めたくないものでござるな…、自分自身の…若さ故の過ちというものを…」 「お前はただそのセリフが言いたいだけだろ!」 「面目ない・・・、その通りでござる」 「くっ・・・、まぁいい、ただ俺がお前に声を掛けずにいたらどうしていたんだ?」 「その時は、母上に素直に謝ろうと、もともとは拙者が子供のような嘘をついた事が原因ですから」 「そうか」 「はい」 頭を下げてショボくれた沙織の頭に俺は手を添える 「沙織、俺に任せとけ!」 「京介氏・・・」 「お前の彼氏役ってのはいろんな意味で荷が重いとは思うけど、俺頑張るからさ」 「・・・拙者が母上に嘘をついた事は怒らないでござるか?」 「人間は嘘の一つや二つ誰でもつく、そうだろ?お前も母さんを騙そうとして嘘をついたわけじゃないし、その惚れた相手にも嘘をつきたくなかったんからだろ?嘘も方便さ」 再び沙織の顔が火がついたように赤くなる。 「だから惚れた、というのは語弊が」 「それに、こういっちゃなんなんだが、俺はほっとしたんだ」 「えっ?」 「お前ってさ、今まで完璧超人だろ?懐の深さ、事の進め具合、周りへの気配り」 「そんな、別にただ拙者は当たり前の事をしただけでござる」 「そうだな、じゃあその嫌味の無い謙虚さも加えておこう」 「京介氏~」 「いや、ほんと完璧だよ、完璧、パーフェクトだった・・・、俺の中ではさ」 「褒めすぎでござる、そんな事言っても何も出さないでござる」 「結構だ、お世辞を言っているわけじゃねえ、なんにせよ、俺の中でのお前は完璧だった、だから俺はお前にいい意味で間違ったイメ ージを作っちまった」 「・・・・・・」 「それに加えてこの前のお前の家や素顔を見ちまって、ああこんな奴がこの世にいるのかと、こいつは俺とはまったく違う、違う世界 の人間なんだってさ、いやだねぇ、男のコンプレックスってのはさ」 「それは・・・」 「でも今日の話を聞いて、ちょっと安心しちまったよ、だってお前の悩みがどこにでも居そうな15歳の普通の女の子の悩みなんだも んなwww、それに親にまでしょうもない嘘までついちまってさ」 「はい~」 「だから、ちょっと謝らせてくれ、すまん・・・」 「えっ!?ちょっと、なぜ京介氏が謝る必要が・・・」 「お前にへんなイメージを作ってしまったからさ、『沙織は俺とは違うんだ』、ってな」 「拙者はどこにでもいる普通の女の子、でござるよ、だから京介氏が手に届かななんて思うのは絶対におかしいでござるよ、京介氏に だって・・・・・・もし、もし、拙者と京介氏と付きったら拙者がもっと普通の女の子だって分かってもらえるでござる」 「えっ?」 「イヤ・・・・・・、例えば!例えばの話で、という事で!」 「わかってるよ、でけー声出すな!!」 「京介氏だって!!」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 しばしの沈黙の後、俺たちは恥ずかしそうにお互いを見つめ合う。 「今ので双方、手打ちという事でどうでござろう?」 「了解した、そうしてくれるとありがたい」 俺と沙織は思わず笑い合う。 「じゃあ来週はよろしくお願いするでござるよ」 「ああ、任せとけって」 「ちなみに京介氏は名門高校に通う馬術部のエースという設定は如何でござろうか?」 「却下・・・・・・」 さぁ、これから大変そうだぜ。 。 「何が普通の女の子だよ、あいつは・・・」 俺は沙織から教えてもらった住所へと向かった先で一般人の俺が目にしたのは、東京都心に造られた自然公園っていう感じのお屋敷だった。 空に向かう龍のようにそびえ立つ様な門、でかい黒服の黒人ガードマンが出てこなったのが幸いだ。 俺は恐る、恐るインターフォンを鳴らす。 「・・・・・・はい、どちら様でしょうか?」 応答したのは若い女性の声だ。 「あの・・・、高坂と言うものですが」 ひと呼吸置いてからインターフォンから声は響く。 「高坂京介様ですね、お嬢様からお聞きしております、只今門をあけますのでどうぞお入りになってください」 なるほど、これも自動なのね。 鋼鉄の重そうな門扉が簡単に空いていく、俺は恐る恐る中に入る。 おいおい・・・、門から自宅までどんぐらいあるんだよ・・・、いかにも貧乏人らしい発想をしながら俺は足を進める。 しばし歩くとやっと大きなお屋敷についた、沙織ちゃんと出てきてくれよ~。 玄関の前に到着するとすっとドアが少し空いた。 「京介さん?」 恐る恐る沙織が顔を出す、お前が緊張すると俺まで緊張しちまうだろ。 「おっ、おう、沙織・・・・・・」 いつものバジーナスタイルではない、袖の無い白いワンピース、品の良い綺麗な青いスカート、もちろんトレードマークのぐるぐる巻きの眼鏡はしていない、 美しい顔立ち、高校生とは思えないスタイル、2回目なのに緊張する俺。 「今日はわざわざお越しになって頂いてありがとうございます」 深々と頭を下げる沙織。 「そんな事ねえよ」 ああ~、今日は俺はこいつと彼氏彼女だからな~、どう喋っていいものか、お互いに事前にある程度は情報を交わしているし、作戦をねってはいるのだけどなんとも言えない気分だよな。 「立ち話もなんなのでどうぞ、中にお入りになってください」 「じゃあ、お邪魔します」 でけええ!中に入ったら中吹き抜け、そして見た事もないような大きなシャンデリアが天井にどっしりと鎮座している。 う~ん、大丈夫、まだ慌てる時間じゃないぞ、京介、この程度は沙織からの情報で分かっている。 「こちらです」 俺は沙織の跡を歩く、普段は見ない沙織の後ろ姿、こいつこんなに足が長かったのか。 それにしても部屋が何部屋あるのだろうか?ってか途中に召使いみたいな人達に会うと皆、頭を下げ、俺と沙織を見送る、マジ で秋葉原以外で初めて生で本物のメイドさん見るよ、ってよく考えると秋葉原のメイドも嘘だなくだらない事を考えてみる。 「こちらです、どうぞ、お入りになってください」 どれ位歩いただろう、沙織は大きな部屋のドアの横で立ち止まる。 沙織から俺に向けられる視線、アイコンタクト、ここに沙織の母親がいる。 俺はドアを軽くノックする。 「失礼します」 「どうぞ、お入りになってください」 中から声は響く、落ち着いた綺麗な声だ、俺はドアを開ける。 そこには和服を着た女性が座っていた、俺が足を進めるとすっと立ち上がり、頭を下げる。 「沙織の母の愛華です、今日はようこそお越しくださいました」 ずっしりとした和服を着たこの女性が沙織の母親らしい、沙織に似た高い上背、顔は整った日本女性という美しい顔立ちだ、眼鏡 をかけているのがまた・・・ 「あっ、初めまして、沙織さんとお付き合いをさせてもらっています、高坂京介です」 俺もつられて深々と頭を下げる、今日はこんな感じでかなりを頭を下げそうだ。 「どうぞ、まずはこちらにお掛けになってください」 召使いによってよく磨かれたであろう革のソファーに愛華さんは手を向ける。 「失礼します」 応接間というには広すぎる部屋、そのソファに俺は恐る恐る腰をかける、沙織も俺の横に腰をかける、まぁ自分の家だかあ当たり前なのだがこの座り方がまた品が良い、音を立てずに実に上品だ。 「あっ、あのこれ良かったら食べてください」 途中で買ってきたお土産は俺の知る中で最高級ブランド「ゴディバ」だが、このお屋敷を見てしまったあとだと焼け石に水という感が否めない、というかかえって失礼なのかと考えてしまう。 「あら、こちらかお誘いをしたのにかえってすいません、ありがたく頂きます」 そういうと愛華さんはすっとよって寄って来たメイドにチョコを渡す。 「今日はわざわざ東京まで来て頂いてありがとうございます」 「いえ、僕も沙織さんの家へ伺ってみたいと思っていましたので」 「そうでしたか」
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/527.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308729425/520-540 ギャグ、ややエロ 桐乃視点 京介×黒猫(の姿をした桐乃) キャラ崩壊、ヤンデレ注意 ひなちゃんもたまちゃんも姉の急変に戸惑いを見せたけど、それははじめのうちだけで、 二、三日も経つとなじんでしまった。あいつの両親も、そんなに訝りはしなかった。 ひなちゃんが手にした妹空とあいつの姿をしたあたしとを見比べて、 「またなんだ……」とため息を吐いていた。この家では長女の乱心は珍しくないのだろう。 夏休みのおかげで学校でへまをやらかす心配もなかった。 ときどき携帯のほうに、せなちーから「部活に来てください!」とメールや 電話が来たくらいで、それも体調不良を装って対処できた。 高坂桐乃――あたしの元の体には、やはりというべきか、あいつの心が入っていた。 なぜそれを知ったかというと、体が入れ替わった当日、あいつに呼び出されたからだ。 ひとけのない公園の真ん中で、自分は黒猫だ、朝目ざめたら高坂桐乃になっていた、 そう告白する高坂桐乃に向かってあたしは、 「何を寝ぼけているのかしら? とうとうビッチ菌に脳をやられてしまったのではなくて? まあたしかに、スイーツな脳髄には虫がたかりやすいものね」 そう言って、あいつ自身のものまねで誤魔化した。 あいつはあたしの顔で青ざめ、消え入るようにうなだれると、 「そう。すまなかったわね……ううん。ごめん、黒猫」とわざわざあたしの口調で言い直し、 「あたし、なんだか頭痛が痛いから、今日は帰るね」 「そう……お大事に」 公園の門に隠れて、あいつの背が見えなくなった。 とたんに足が震えだした。がくがくと止まらず、立っていられなくなった。 あたしは、こんなことができてしまう。できて、しまったのだ。 ベンチに腰掛けて震えの静まるのを待っていると携帯が鳴った。 メールのタイトルは“桐乃のことなんだが……”で、そして差出人は“高坂京介”―― “黒猫”の恋人で、“あたし”の兄貴―― ――ううん、それは違う。兄貴はもう、あいつの恋人なんかじゃない。 “京介”は今、“あたしの恋人”なのだから…… そうして、あたしとあいつが入れ替わって、一週間が過ぎていた。 「好きっ! 好きなのっ! 好きなの京介っ!」 濡れそぼった京介の首筋に顔を埋めながら、あたしは切れ切れに叫ぶ。 「あなたのことがっ、誰よりも何よりもっ! 京介――!」 なんどもなんどもキスをする。首筋、顎、鎖骨、肩、唇と、キスの雨を降らす。 ――痕になるように、あたしの証をつけるように。 「好き。好きよ。あなたのことが、好き……あたし、あんたのことが好き」 なんどもなんどもかきむしる。背の皮が擦りむけ、爪が欠け、指先に鮮血を絡ませて、 かき抱き、突き立て、引っ掻く。――猫が毛玉をいたぶるように、あたしの想いを刻むように。 「もう誰にも渡さない――誰のものにもならないでよ! もういなくなっちゃやなの! ずっとそばにいてよ! 私だけのものでいてよ! あたしもあんただけのものになるから!」 もう汗なのか唾液なのかも、どちらが組み敷き組み敷かれているかさえもわからない。 あたしと京介は、からだじゅうどろどろにしてむさぼり合う。 からだの芯はとっくのむかしに開いてしまい、 さんざんにかき回されかき出され、蕩けきっている。ばかになってる。 なかで絶えずぐねぐねと形を変えるものが、あたしなのか京介なのか区別つかない。 肌の打ち付くたびにほのかな温もりが広がり、時折一瞬、 背筋を駆け上がる途方もない寒気に打ち消され、再びはじめからやり直される。 胸の奥がひどく切なかった。灼けつくようだった。 京介の肌は火照りでばら色に変わり、汗ばんだ額には乱れた前が張り付いていた。 唾にまみれた唇は、汗の筋と一緒にてらてらと光っていた。 「好きって言って。ねえ京介好きって言ってよねえ! 私のことが好きだって、ん……キス、するの……」 唇がきらきらと橋を渡しながらはなれると、あたしは兄貴の鎖骨に頬をすり寄せて、 湿った肌の香を肺いっぱいに吸い込んだ。思わず頭がくらりとする。 ぱんつなんかとは比べものにならない、なまのにおいだ。 「好き……だ」 荒い息をしながら、京介が言った。 「俺も好きだ。好きなんだ。愛してる。黒ね――」 好きだと言ってもらえただけでよかった。あたしは京介の口に指を差し入れていた。 「ふろへほ?」と、あっけにとられた京介をよそに、 あたしは開いている方の手で京介の手をつかみ、自分の口にもっていく。 そしていつも京介自身にしているように、京介の指先をちろりと舌先で撫でてから、 口をすぼめ、丸めた舌で包み込むようにして吸い込んだ。 ちゅっぱちゅっぱという水音がしだいに、じゅぼじゅぼという下卑た音に変わる。 唇の端から唾液が伝い降りているのが自分でもわかる。 あたしは今、ひどくみだらな真似をしている。人間の分際で、猫よりも卑しかった。 京介はあたしの意図を察したのか、 くすぐったそうにしつつも、いたずらっ子みたくにやりと笑った。 それからあたしの差し出したままの手首をがっちりつかんで口を離し、 赤黒く染まった私の爪の隙間を、舌先でこじ開けようとするように舐めはじめた。 京介は舌だけで血と皮の塊をこそげ落とし、落ちない塊は地道に唾液で溶かしながら、 私の指を一本一本、丹念に洗っていく。 思ったよりくすぐったいけど、手首の震えを負けん気でこらえているうちに、 だんだんとむず痒いのが病み付いてくる。のみならず、 京介の指のほうも私の口内を辱めているように感じられてくる。 これは、もうひとつの交合だった。あたしと京介は、下と上の両方で、交わっていた。 いつしかあたしたちはお互いの手首から手をはなし、 させるがまま、なすがままになっていった。 あらかた舐めて口から離すと、もう一方の手を差し出し合い、 また同じように指の交合を再開させる。 あたしはきれいにしてもらった手を京介の背中に回し、 京介もあたしの唾でふやけた手で、私の腰を抱き寄せた。 胸がこすれて、新たな刺激が加わった。京介の腰がかすかに震える。 あたしがみだらなせいだった。 私のほうがハミガキするように口腔全体で指をしゃぶるのにたいして、 京介はというとぴちゃぴちゃと音を立てて舐め回す。 ちょっとおもしろい対照といえた。これでは、どっちが猫だというのだろう。 ――いや、それは違う。 と、どこかで冷たい声が響き渡った。 ――“あたし”は“私”じゃない。“あたし”は、“あたし”なのだ。 聞きたくはなかった。聞こえないふりをした。 「ひょうふへ」 恋人の名を呼びながら、私は顔を近寄せた。 唇と唇で指を押し挟み、舌と指をぐちゃぐちゃに絡ませた。 絡んだまま、互いのどこに舌を這わせているのかわからないまま、 顔を寄せ合い、ぴんと伸びた舌先を踊らせる。 私はそのうち、指を押し退けて京介の舌に吸い付いていた。 それはもはやキスとも呼べないしろもので、格好も気配りも忘れ去り、 まるで渇きを癒やそうとするかのようにじゅるじゅると音を鳴らして唾をすすり、 鼻を幾度もぶつけ合い、相手の舌を飲み込んでしまおうとしている。 濡れた指先がすうすうした。それ以外の感覚はなくなっていた。 口づけし、ひとつになっていることこそが自然な状態だった。 感覚のないのがなくなるのがいやだった。 けれど京介は残酷だった。腰の律動を再開したのもつかの間、 京介は血走った目で私から彼自身を引き抜き、私の体をうつむけにした。 そして、後ろから一息に貫いた。 「か、はっ……!」 鈍痛とともに襲い来る戦慄で、私はひどくだらしない顔になっていたと思う。 無声の悲鳴で口をぱくつかせたと思えば、顰めた眉は一瞬で弛みきり、 犬のように舌を垂らして、からだじゅうぐったりとなってしまった。 京介はそんな私の腰を押さえこんで容赦なく前後に動き出す。 私は目を見開いて、ベッドに手足を投げ出したまま、人形のようにがくがくと揺れる。 まばたきできずに涙があふれる。息もできない。意識がどんどん霞んでいく。 そしてぼんやりと―― 「……猫……黒猫……黒猫っ!」 そんな声が聞こえた気がして、 「嫌ぁ!」 あたしは叫んでいた。 気がつけば、垂れた黒髪が視界を覆っている。 京介が背後から手首を引っ張り、あたしは無理に上半身を反らされていた。 つつましやかな乳房が宙づりで揺れているのがわかった。 深く深くからだを串刺しにされる都度、意識が飛んでしまいそうになる。 意識は途切れ途切れでも、あたしのからだは叫ばずにはいられなかった。 「嫌! 嫌なの! 嫌、嫌ぁっ!」 「なにが嫌なんだっ! 黒猫っ! なにが嫌なのか言って見ろよ!」 「嫌っ……イヤイヤイヤ。違うの……違うのぉ!」 「どこが違うんだ! こんなにアヘっといてなにが違うってんだ黒猫っ!」 「そうじゃ……イヤぁあっ――!」 「黒猫っ黒猫っ黒猫っ黒猫っ……」 ――あたしはあいつじゃない。 その言葉が、どうしても言えなかった。もう声すら出ない。意識が途絶える。 「ひっ……!」 あたしの腰を抱えたまま、兄貴が立ちあがっていた。 私の体はさらなる重力を引き受けることになり、より強く、より深く貫かれる。 「好きだ黒猫! 最高だ黒猫! もうぜったいに離しゃしねぇ!」 ――京介はもう離さないと言ってくれた。 前のめりで髪を揺らすあたしの耳元で、そうだれかがささやいた。 不意に髪がかき上げられる。 「このきれいな黒髪ロングもっ! ここのしまりもっ! おっぱいだってっ……最高だ!」 京介は膝をつき、最奥ばかりを執拗につつきながら、両手であたしの胸を揉みくちゃにした。 ささやきは続く。 ――“私”は最高だと、京介は言ってくれる。 「あやせもっ! 麻奈実もっ! 沙織もいらないっ! おまえだけが……俺にはおまえだけいてくれれば……! それでっ、いいっ!」 ――そう。“私”だけいれば、京介は仕合わせなんだ。だから―― 「黒猫……黒猫ぉおおおお!」 ――“あたし”が“私”になればいい。 ぞくぞくと快感が走り抜ける。ひときわ大きな快楽の波がすべてを押し流す。 迷いも、慎みも、遺恨も、後ろめたさも、あたしの残滓も、その一切を洗い清めた。 そうして絶頂の間際、引き抜かれる感覚を手繰り寄せ、 「く、黒猫?」 私はすかさず回した足で彼の腰を挟んだ。 “私”の体は柔らかいのだから、このくらいは容易いものだ。 「出して」 「お、おい」 「そのまま出してちょうだい」 「で、でも俺たちまだ……」 「大丈夫よ。大丈夫だから。それに――」 私は振り向いて、彼のかたちを確かめるように、下腹を撫でた。 「あなたの子なら、産んでもいいわ」 「は、は……」 京介の表情が変わる。やけっぱちめいた半笑いを浮かべたのは一瞬で、 瞬く間に彼自身が押し入った。 「くろねこ、くろねこ、くろね……」 もはや声にならない。京介は理性の残り滓すらかなぐり捨てて、一心不乱に私を苛む。 「そう! そうよ! そのまま孕ませて! 子宮にザーメン味覚えさせてぇ!」 「はぁっははぁ! 孕め、孕めよこの! 孕め黒猫! 特濃チンポミルク種付けすっから! もう学校行けなくしてやっからな! この、このこのこのこの! 黒猫っ、黒猫! 黒猫ぉおっ……あつっ――」 「あ、は……!? 出てる……? 出てるの……? ああ、これが、膣内、射……精……」 幾重もの絶頂で薄れ行く意識のなか―― 「きり、の……」 京介の声で幻聴が聞こえた。 おそらくそれは、“私”による“あたし”への惜別の言葉だったのだろう。 京介の寝言で目がさめた。 「うぅ……違う、違うんだ……桐乃……」 夢のなかでも妹に悩まされているらしい。私は少々忌々しくなって彼の頬をつねった。 「……ご、誤解だ。黒猫……おまえは俺の……」 起きてはくれなかったけど、夢の内容は変えられた。 ベッドから降りると、足の間から冷たいものが伝い降りた。 まだなにか挟まっているような心地で歩きにくい。 私は用意してあった絆創膏で蓋をしてから、ティッシュで股を拭った。 脱ぎ散らかされた服のなかから下着と白のワンピースをとり、 それからついでにトランクスにも手を伸ばす。 「っふ……これであと十年は戦えるわね」 なんて独り言をつぶやきながら、きちんと畳んでジップロックにしまう。 ワンピースが汚れなくてよかった。 これが着られなくなってしまったら、残るは黒いドレスだけなのだから。 白いドレスもあるにはあるのだけれど、あれはこの前、 京介ががんばりすぎて翼が外れてしまい、未だに直せていないのだ。 髪をかき分けながら京介の耳に口元を寄せ、 「また明日ね、京介」 うなされる彼の頬に接吻してから部屋を出た。 壁の薄いことは、誰よりもよく知っている。 京介の部屋のドアを閉めてすぐ、私はとなりのドアノブに手をかけた。 鍵はかかっていなかった。高坂桐乃の部屋には誰もいなかった。 階段のところで立ちくらみがした。私は桐乃と違って体力がないのだった。 壁に寄りかかって下腹に触れる。 あれからなんど出されたのだろう。三度目からあとは覚えていない。 新たな生命が胎動しているようにさえ錯覚された。 私が私の意志で育んだこれは、まぎれもなく私と京介のものなのだ。 私はもう、一人じゃない。 だから私は、あいつと対面することだってできる。 案の定、高坂桐乃は一階のリビングに居た。 カーテンを閉め切って部屋じゅう暗いなかで、テレビのまえにちょこなんと正座し、 大画面に映したメルルに見入っていた。いや、ただもう見るともなく見ているだけだった。 私が扉を開けた瞬間、びくっと肩が跳ねたのだから。 「帰ってきていたのね。けれど、なぜあなたはいつも顔を出さないのかしら。らしくないわ」 私がそう言い放ったとたん、桐乃がすさまじい形相で振り向いた。 薄暗くなければ正視に耐えないほどすごかった。 化粧をしていなくとも十二分に美しい顔だちが、これほどまでに変貌する。 それだけの仕打ちを、五更瑠璃は高坂桐乃にしたのだった。していたのだった。 そう、だからこそ、私は言葉を継ぐことができる。 「いっしょに遊べばいいのに……私たち、友達でしょう?」 「とも……だち……?」 「ええ、そうよ。ぼっちの私には、あなたと沙織くらいしか、ちゃんとした友達がいないのよ」 桐乃は私の言葉に何か思うところがあったのか、 表情をいくぶんか和らげて、そっぽを向いた。 そして、本来の高坂桐乃の調子でぼやき始めた。 「と、友達が妙な男に引っかかってるんだから、さすがのあたしもどん引きするっつーの。 ぶっちゃけるとさ、キモいからもう学校で話しかけんなって感じ?」 「京介は妙な男じゃないわ」 「はぁ? あいつってちょー変態じゃん。ちょっと聞いてよ。こないだなんかあのシスコン、 あ、あたしにね、『おっぱいもませろ』とか言ってきたんだよ? まじやばくない? 妹にセクハラするなんて、キモすぎ。あいつの変態顔なんか、もう二度と見たくないし」 「京介はそんなこと言わない」 「うっそだー。そんなこと言ってあんたもあいつにセクハラされてんでしょ? 会うたんびに眼鏡かけろとか脅されてるんでしょ?」 「眼鏡なんて、絶対にかけないわ。彼は、ありのままの私でいいと言ってくれるもの」 「のろけ乙。あーキモキモ。まじキモ。 てゆーかあいつの地味顔自体がもう変態ってか犯罪者予備軍って感じだよねー。 普通さ、あの顔であんなこと言われたらどん引きするっつーの」 「だから、あなたの言うあんなこともこんなことも、京介は言わないわ。 あなたこそ、妹ゲーのやり過ぎで脳が腐ってしまったのではないかしら。 大丈夫? 二次元と三次元の区別はつく?」 「うわうっざ。あんた最近だんだん信者じみてない? 京介教に染まっちゃってない?」 「私は彼の恋人だもの。彼の良いところも悪いところも、 彼の本質はあなたより何倍も何十倍も深く、多く知っているわ。 あなたこそ、外野の分際でうだうだとわめかないでくれるかしら」 「はいはい。触らぬヤンデレ祟りなしってわけね」 桐乃はあきれたように言いながら、 手をひらひらと振ってテレビに向き直り、リモコンをいじりだした。 「さよなら。桐乃」 私は別れを告げて家を出た。 帰る途中、あやせに出くわした。 「あ、あなたはっ……!」 歯ぎしりというものは、実際に聞こえてくるものらしい。 ぎぎぎ……と、弓を引き絞るようですごかった。 今日見た桐乃もすさまじいが、あやせの顔はよりいっそうものすごい。 超怖いってものじゃない。視線で射殺すというレベルすら超越している。 思わず彼女の手に目が行った。運のいいことに、ナイフは手にしていないようだ。 「あなたのせいで……! 桐乃と、お兄さんは……!」 私とはちゃんとした面識がないはずなのに、あやせはありったけの憎悪を私にあびせてくる。 どこで私の顔を見知ったのかは、まああのあやせならいくらでもやりようがあるだろう。 けれど、そもそもその敵意自体がどうも理不尽なように思われた。 あやせの望みは桐乃から京介を引き離すことなのだから、 京介の恋人である私に殺意を向けるのは筋違いだ。むしろ応援してもらいたい。 よって、私が真正面から相手をしてやる必要もない。 「あなた……誰?」 「くぅっ」 さすがのあやせにも辻斬りめいた行為をためらうだけの分別はあるらしい。 悔しげに「ぐぬぬ……」と歯噛みし、 「お、覚えておきなさい! いつかきっと桐乃を元に戻して、お兄さんを取り返しますからね!」 捨て台詞を吐いて駆け去った。わけがわからない。 第三者が見れば、ほとんど変質者みたいなものだろう。 あやせは夏の暑さにやられてしまったのかもしれない。 私もただでさえ肌が白いのだから、日光には気をつけようと思う。 花火大会の日がやってきた。 私の浴衣姿を、京介は「かぐや姫みたいだ」と言ってほめてくれた。 照れくさかったけど、すこし縁起が悪いような気もした。 私はかぐや姫みたいにいなくなったりしない。 夏休みが終わっても、このままずっと、ずっと京介といっしょなのだから。 花火大会の行なわれる港は、いつになく賑わっていた。 地方の大きな花火大会にもなるとコミケクラスの民族大移動になるそうだけど、 私たちの行った花火大会ではある程度の風流が残されてあった。 展望台のほうは無理そうでも、海辺に面した芝生なら、場所取りをする必要はない。 私はついついひとけのなさそうなところを目で探ってしまった。 あさましいにちがいないけれど、そうしたのは京介なのだから、 花火大会が終わったら、ぜひ責任をとってほしいと思う。 私と京介は花火が始まるまでの間、出店のあたりをぶらつくことにした。 いつものデートのときと同じように、京介がおごってくれた。 最初に訪れた出店では、メルルのわたあめをふたつ買った。 ひとつはたまちゃんへのおみやげで、もうひとつは、ふたりで食べるためだ。 注文のとき的屋のおじさんが、 「よし来た。嬢ちゃんにはおまけ、兄ちゃんには爆発する権利をやろう」 と、私たちを茶化して見せた。 京介は「ひでーなおっちゃん!」と突っ込んでいたけど、私はうれしくてしかたない。 今の私と京介は、誰が見ても、ちゃんと恋人同士に見えるのだ。 わたあめを買ったついでに、となりの出店でマスケラとメルルのお面を買った。 これで私たちはヒーローとヒロインに……まあ、夢の共演ということで、 そう見えなくもないだろう。 ぱんぱんのわたあめはおみやげにして、私たちは通常サイズのわたあめを食べさせ合った。 京介の食べた箇所に私が口をつけると、彼はおもしろいくらいに狼狽した。 いつもいつもあんなことをしてるくせに、妙なところで照れ屋なのだ。 ヨーヨー釣りもした。私は五千円札入りの風船を狙って駄目だった。 でも、京介は私のぶんのヨーヨーも釣り上げてくれた。 京介ってあんがい小器用なところがあるのかもしれない。 射的屋に寄った。メルルのキーホルダーには掠っただけだった。 京介から弾を分けてもらっても、撃ち落とせなかった。ひどい店だ。 照準器が狂っているんじゃ、絶対に落とせるはずがない。 射的屋を離れて歩き出すと京介が言った。 「なんつーか、意外だな」 「なにが?」 「いや、おまえはこういうの得意そうだなーなんてさ。 まあ俺が勝手に思いこんでいただけなんだけどさ」 京介はなんの気無しに言葉を続ける。 「ヨーヨーんときもそうだけど、なんていえばいいのかな。桐乃みたいっつーか」 私は立ち止まった。 「おまえと桐乃は親友だからな、やっぱ似たもの……って、どうした?」 「……京介。キスを、しましょう」 「は、はぁ!? なに言ってんだおま、こんなとこ――」 私は彼の唇を塞いだ。両手で顔をがっちりと押さえて、口内に舌を滑り込ませた。 舌の先で歯の裏側をなぞり、音を立ててすすり上げる。 それも数秒のことだった。 京介は我に返るや否や、私の肩を掴んで力尽くで引きはがした。 「ばっ、止めろって! 人に見られたらどうすんだよ!」 口元を拭いながら、京介があたりを見渡す。どうせだれも見ていない。ほんの数秒のことだし、 花火の時間も近づいているから、バカップルにかまう人などいやしない。 それに、あんまり私以外の人に目を向けてほしくなかった。 京介は私の背後に目をこらそうと乗り出したけど、 私はすぐに真正面に立って、彼の視線を遮った。 「桐乃は、こんなことしてくれないでしょう?」 流し目に彼を見つめながら、唇の端を指で拭うと、その濡れた指をゆっくりとくわえ込む。 私と京介が混ざり合ったそれは、わたあめの名残で蕩けるように甘かった。 「だ、だからなぁっ……!」 先日の行為が思い出されたのか、京介は耳を赤くして口ごもる。 「そろそろ行きましょう。花火が始まってしまうわ」 そう言って、京介の腕をぎゅっと抱きしめる。浴衣なので下着は着けていなかった。 生地越しにこわばった突起を押しつけながら、私は耳打つ。 「いいのよ。私を、あなたの妹の代わりにしても……」 「黒……猫……?」 京介が目を見開いて硬直した。 「おまえ……」 彼の様子を見て、私はあのときのように リビドーを刺激してしまったのかもしれないと思った。 発散はあとでたっぷりしてもらうとして、今は花火の花火のほうが先決だ。 私は彼の腕を引き、 「行きましょうか、兄さん」 歩きだそうとした――そのときだった。 「っ……!」 京介が息を飲んだ。 「兄さん?」 見ると、彼の上着が不自然な形に突っ張っている。 背後からパーカーを引っ張られて、足を踏み出そうとした格好で、固まっていた。 私と京介は、ほとんど同時に振り返った。 夜空が明るんだ。一拍おいて、ドン、と、花火の弾ける音がした。 胎内まで響き渡るような、大きく、重い音だった。 砂の流れるのに似た音が後に続き、そして―― 空に照らされ、栗色の髪が色とりどりに輝いた。 ――“あたし”がそこに立っていた。 マインドスワップ 01 マインドスワップ 02
https://w.atwiki.jp/psparchives/pages/326.html
とりあえず3周プレイ。怪談(?)+クローズドサークルのサウンドノベル。 スクリーンショットから既にC級の匂いを漂わせていたけどやっぱりC級。 「かまいたちの夜」「弟切草」のように、物語にどっぷり浸かるような面白さはちょっと…。 伏線がたっぷりとあるので、それらが一つずつ紐解かれていく面白さがウリ。 PSPで出来ることもあるし、アドベンチャーが好きなら買っていいかも。 以下システム周り。 一度通った選択肢は色の変化アリ。 ムービースキップは出来るが、既読スキップ、文章スキップは無し。 セーブはスロット一つにつき一つです。 ロード後は、「起床」「夕食後」といった場面の最初から読み直すことになります。 攻略サイトによると、エンディングは28個あるようです。 おまけが何故かいっぱいある。アーカイブス仕様でスクショ付。 -- (ななし) 2009-08-30 10 07 19 ドラゴンナイツグロリアスのセーブデータがあると、学校であった怖い話をプレイした人にとっては、にやりとできるおまけがある。 ただ、おまけはおまけなので、過度な期待はしないように、と付け加えておく。 -- (名無しさん) 2009-09-05 10 23 41 ドラゴンナイツグロリアスのセーブデータがあると、みられるおまけは、2週目以降ではないと見られないので注意。 -- (名無しさん) 2009-09-08 22 25 32 クリアー後のおまけゲームで百物語があるものの 数行で終わるようなものもいくつかあったり、茶化した子供だましな話が多め。 あくまでオマケで期待しないようにするよう。 -- (名無しさん) 2021-04-04 05 25 32
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/368.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293190574/672-679 ――女の子が自分の為に作った手料理 このフレーズに憧れない男子はいないだろう。 まして「女の子」の前に「かわいい」という形容詞がつくなら尚更だ。 ……しかしよ、まさか「女の子」の後に「達」がついて複数系になるとは思わなかった。 あ、今俺のことを爆死しろって思ったろ? 客観的にみて、それは否定しねぇ。 だが、一つだけ言っておく。 カレー六杯は……死ぬほどきついぞ(グリーンリバーライト風) つーかキッチン六つとか半端じゃねぇ。槇島の財力すげー。 一番キッチンで奮闘しているのは我が妹の桐乃である。 オーケー桐乃、少し冷静になろうか…… どうしてお前はナマコとウニとワカメとクラゲとカレイを鍋に入れてやがりますか!? 「シーフードカレーってアンタ知らないの?」 うわー、超馬鹿にした表情で言いやがったよコイツ。 俺の知ってるシーフードカレーの具はイカとかエビとかなんですが! 「だってウニの方が高いじゃん? ワカメは髪の毛にいいっていうしさー カレイとかカレーに入れるからカレイって名前なんでしょ?」 お前みたいな価格至上主義者が料理を滅ぼすんだよ! っていうか俺の髪の毛の心配は二十年は早いっての! それからカレイに謝れ! ヒラメに間違われた事はあっても カレーに間違われた事は彼の魚生の中で一度もなかった筈だ! というかお前、それ本気で言ってるなら成績優秀設定って嘘だろ!? 「シーフードカレーとか、他の連中は作ってないだろうし 完全にルート見えたわね、あたしの一人勝ちの♪」 ……いや分かっていた、分かっていたんだ。 こいつの料理が破滅的だって事は分かっていたのに それでも俺は心のどこかで「普通のカレーを作るならそう酷くはならないだろ」なんて考えてた。 けど桐乃は「ちょっと凝ったカレー」を作ることで俺の予想の斜め下を言ったんだ。 コイツの兄として、コイツの行動を読むことが出来なかった俺のミスだ。 それに気づいていたなら、俺はそもそもこの舞台から逃走していた。 つまり俺の胃袋は、桐乃のカレーを食べるという選択をした時点で敗北していたってことだ。 雪道を潜水艦で突っ走るという荒技を行っている桐乃の横、 二番キッチンでは黒猫がトントンと安定感抜群の包丁の音を鳴らしていた。 普段から家事の手伝いをしているだけあって手慣れている。 ゴスロリの上から割烹着という格好以外は。 黒猫のキッチンにはカレーのルーが二箱置いてある。 勝負を公平にするために、カレールーは同じメーカーを使うルールらしいが 甘口と中辛、二つが用意してあるのは、どういうこった? 「味を調整するのよ。甘口と中辛の間ぐらいにね」 でもここにあるのはリンゴだろ? カレーをリンゴに入れるのって、甘くする為だよな。 「口当たりを良くする為でもあるわ。それに、リンゴの甘さとカレーの甘さは別よ」 ふーん。そういうもんなのか。 でも俺、辛口の方が好きだけどな。 「ッ!?! ……し、しまったわ、つい妹たちと同じ嗜好に……私としたことが……」 お、落ち着け黒猫! べ、べつに甘口が嫌いだとかそういう事はねえ! だからルーを全部入れるのは止めろ!! 鍋に対して二倍の量のルーが投下されてる!! ……俺が余計な一言を放ったせいで、一つの安全地帯が消えてしまった。 し、しかし、安全地帯は一つではない。捨てる神あれば拾う神あり。 俺の目の前、三番キッチンには黒猫以上の技術で切り分けられた野菜達が整然と並んでいる。 ニンジンとか花形に切られているし。何この技術……お嬢様って料理しないんじゃなかったの? 「そんなことこざいませんわ。むしろ料理は淑女のたしなみですもの」 なるほど。確かに桐乃は淑女からは程遠い。 それはそれとして、「お稽古ごと」に料理もしっかり入ってるのが本物のお嬢様ってわけか。 しかし庶民のカレーライスまで網羅しているとか、流石だな兄者…もといバジーナ。 「……ところで京介お兄様、クミンはどこにあるのでしょう?」 え? 引っこ抜かれたんじゃない? 「それはピクミンですわ。ガラムマサラもありませんし、ターメリックも……」 よく分からないが、それって調味料だよな? 「香辛料といった方が正しいと思いますが。カレー粉をつくれなくては カレーライスを作るのは不可能というものでございましょう? カレーは同じ物を用意してあると伺っていたので、買っておりませんの」 ……さすがお嬢様の料理はレベルが違った。 カレーライスを作る時でもカレー粉からという本格化。 お袋に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぜ。 「ハッ…!? まさかこのルーという物がカレー粉の素材!?」 いや、素材というよりカレー粉そのものです。 って、ルーを直接火で炙るんじゃねぇえぇぇ!! ダークマター!? ダークマター錬金してんの!? 何と等価交換するつもり!? 俺の命?! シャングリラもアルカディアもこの世から消えてしまった…… それでも俺は四番キッチンへと向かう。 そう、例え俺がオタクっ娘たちのカレーによって命を落としたとしても 勇敢なる魂は戦乙女(notサトウユキ)によってヴァルハラに連れて行かれる筈だ。 つまりラブリーマイエジェルあやせたんのカレーである。 おぉう、まさかあやせたんの手料理を食べられる機会が訪れようとは 俺の心の中の悪魔が時の鍵で解放されてしまうぜ。 「それはどういう意味ですか、お兄さん。察するにあまりいい意味とは思えませんけど」 つまり毎日みそ汁も一緒に作ってくれってことだ、言わせんなよ恥ずかしい。 「え…あ…そ、それってプロ、プロ………ああ!!?」 ど、どうした!? 「お兄さんが変な事いうから、計量に失敗したじゃないですか!!」 け、計量? 「ちゃんとレシピ通りに作らないと美味しい料理はできません。 だからこうやって水の量とか、野菜の量とかお肉の量とか 正確に……む、1グラム重いですね。減らさないと……えい! ……今度は4グラム足りないなんて……足さないと!!」 あの、あやせさん? スイーツじゃないんだから、そこまで厳密に計る必要はないのでは? 「何を言ってるんですかお兄さん! じゃあレシピに載っていた数字は何なんですか! 適当な事を本に載せたって言うんですか! そんなものが本になると思ってるんですか!」 大多数の人間はそう思ってると思うぞ…… むしろお兄さんは一種のスイーツ脳にびっくりだ。 ……時間制限以内であやせのカレーは完成しないかも知れない。 水に生の肉と野菜をつっこんだものを食べさせられるんだろうか、俺…… 五番キッチンの主には、正直期待していない。 期待度でいえばブービーである。(最下位は本人には絶対に言えないが、桐乃だ) 「つーかよぉ、なんでオメーそんなビクつきながら厨房覗いてるワケ? カレーなんてそこらのガキでも作れんだろ。具材切ってルー入れるだけっしょ?」 加奈子の言うとおり、鍋にはニンジンとジャガイモとタマネギと豚肉が煮込まれている。 野菜の大きさは不揃いだし、タマネギは煮込む前に炒めた方がいいだろとか そんなちゃちな事はこの際どうでもいい。 むしろ野菜の大きさが不揃いな事が、見た目の食欲を誘うし タマネギが残ってるのも、タマネギの食感を味わう事ができるとも考えられる。 「あんだよ? テメー加奈子がカレーの作り方も知らないとか思ってたワケ? んで見に来たっての? ナメてんじゃねーぞ、ゴラァ」 い、いや、加奈子の様子を見に来たのは、加奈子が包丁で怪我しないか心配でさ…… 「は? オ、オメーに包丁の使い方教わるようなレベルじゃねーっての。 ま、まあ加奈子の宝石のような指に傷でも付いたらってビビっちまうのはわかるけどサー」 いや、お前、そのまな板の上にあるのはピーラーだろ? 皮むき器だろ? ま、その鍋の中にあるのは紛れもない普通のカレーだって事に変わりはないけどな。 かなかなマジ天使!! 「な、な、何当たり前の事言ってくれちゃってんだよ、オメー…… う、うっとうしいからブリジットのトコにでも行けよ。 あいつは加奈子と違ってガキだからよー、包丁持つのもフラフラだし 馬鹿だからカレーの作り方なんてわかりやしねーと思うぜぇ。ケケケ」 加奈子に言われて六番キッチンにやってきたわけだが 「うん、ばっちし!」 バターで飴色になるまで溶かされたタマネギのみじん切り 熱が通りやすいように、微妙に切り分けられたサイズの違うニンジンとジャガイモ ハーブと一緒に寝かせて臭みを消している牛肉 お湯に溶けやすいように刻まれたカレールー 味を調える為のチョコレートやケチャップ ポニーテールでエプロン姿のブリジットは、ちょこちょこと台に乗ると 鍋の中に具材と水を注ぎ始めていた。 ……あれ?「ひとりでできるもん」って外タレ使ってたっけ? 「あ、マネージャーさん! お腹空きました? もう少しまって下さい!」 お、おう……その、大丈夫か、包丁とか。 「大丈夫ですよ! 包丁を使うときはキチンと猫さんの手ですよ。にゃーって」 萌え。 最高のスパイスがこんな所に存在したよ、オイ! ……そんなワケで、こいつらから出されたカレーを六皿、俺は食べきったわけだ。 「一番美味しいカレーだけ食べればいいのよ。勝負なんだから!」とは言われてたけどよ 味に差はあれ、みんな俺の為に作ってくれたんだ。 それを残すとか、そんなことできるわけないだろ? うぷ…っ 腹が阿修羅すら凌駕しそうな勢いだ…… 胃はセンチメンタルな苦しみを抱かずにはいられない。 けど、食器片づけねーとな。 「い、いいよ、あたし達がやっとくからさ」 飯食わせて貰ったんだ、皿洗いくらいさせろっての。 「ウザッ! さっさと帰れ馬鹿兄貴!」 なんで!? なんか俺間違ったこと言った!?! 「京介氏、これは勝負でござった。しかし京介氏は全てのカレーを食べてしまった」 「まあ、食事の速度をみれば誰が勝者で誰が敗者なのかは一目瞭然だけれども、ね……」 「やっぱ加奈子が一番だったって事だろ」 いや、一番はブリジットだ。 「とにかく、敗者は明白であるのでござるから、 彼女たちには罰ゲームぐらいあっても罰はあたらんでござろう。 つまり皿洗いでござるよ。そういうわけで、京介氏の皿洗いはお断りするでござる」 さりげなく自分を除外しているが、お前のダークマターも モデル二人に匹敵するぐらい酷かったからね? まあわかった、そういう事なら、俺はこれでごちそうさまのさよならするわ。 今日はありがとな。 楽しかったし、おもしろかったぜ。 ガチャ 「ふ…勝者を選ばないなんて、つくづく甘い男だわ」 「まあよいではござらぬか、黒猫氏。その京介氏の優しさが 拙者達に余計な争いをさせなかったのでござるからな」 「みんなマネージャーさんのスプーンをゲットできて良かったね!」 「お兄さんが舐め回したスプーン……ふぅ……」 「あやせ賢者タイム早すぎだってのwww……ふぅ…」 「……スンスン……兄スプーン強烈すぎぃ…兄貴の臭いがバルーンいっぱいぃぃん…… ……ペロペロ…アニのカリー、スパイスききすぎ! 唾液でこの激臭ってどういうこと!? 唾液でこれとか、 あ、あ、兄貴のニンジンのカリ首はどんな悪臭なの?! キモッ そんな悪臭を妹に食べさせちゃうの?! カレーの辛さをヨーグルトソースで緩和しちゃう?! 兄貴マジ変態!? 女体盛りとか、脳味噌腐ってんの? ありえないし! べ、別に兄貴盛りならいいとか、そういう意味じゃないし。 食べるとか食べられるとか、そういう問題じゃないわけ。 どっちかって言うなら食べられる方がいいけどさ。そ、そうじゃなくて! じゃ、「じゃあ食器にしてやる」!? アンタ、どこまで鬼畜なの? 妹を食器扱い? シスプーンとしてペロペロしちゃうの!? 食事は一回で終わりだけど、食器はずっと使うから? ペロペロするだけじゃなくて、ずっと側に置いちゃうわけ!? アンタどんだけ独占欲強いのよ!? 永久にあたしを自分の物にするとか! 食器でいうと銀製? シルバー? あたしに汁ばっかかけても錆びないように!? アンタ鬼畜のくせに、狼なくせに、銀がきかないってありえなくない? 超越しちゃってんの? 男は狼なのよアリスSOSする為に銀の弾丸超越しちゃった狼男?! 兄貴ウルフ極まった! シスコォーンの獣になった! フロンサックとかマニとかでも退治できないモンスター、妹愛したぁ! 兄貴のポケットモンスターにあたし犯される! 犯されちゃう! スプーンじゃ無理っ! 抵抗できない! ウルトラマンにも変身できない! スカイドンより速い兄貴の子種の落下速度で妊娠確実ッ! あうう……もう駄目ェ…スプーンであたしの頭はプレーンになっちゃう 飾りのないあたしの身体も心も兄貴にプレゼントしちゃうぅぅん! お、お礼なんだからぁ、あたしのカレー、ホントは美味しくないのに 全部食べてくれたお礼なんだから、う、受け取らないと駄目なんだからね!」
https://w.atwiki.jp/anipicbook/pages/1382.html
全てのガイドブックはこちら
https://w.atwiki.jp/tame_slg/pages/3.html
Venus Blood DATA パラメータ内容 DATA ブランド Dualtail(旧DualMage) 発売年月日 04/20/2007 体験版 あり(335MB) 修正ファイル なし ディスクレス 可能 攻略可能ヒロイン 3人 回想モード CG Hシーン 音楽 ENDING CG数 102枚(差分なし) Hシーン数 70個 音楽 BGM10曲 歌1曲 音声 女性のみフルボイス(早乙女綾 咲ゆたか 深井晴花 千房こまめ 和葉) 音量調整 ボリューム調整対応 キャラ毎の音量調整非対応 スキップ 未既読対応(ctrlはスキップショートカットキーで強制スキップではない) バックログ バッグログ中の音声再生対応 右クリック ウインドウ消去 ホイール ログ対応 セーブ数 50個 クイックセーブ あり オートセーブ なし 攻略済みデータ あり(saveフォルダ内同名ファイルに上書きしてください) 攻略ページ あり(攻略チャートではなく、あくまでヒントページです) 2ch感想置き場 あり 備考 一周最短30分。最長3時間程度。バッググラウンドで動作。触手ゲー パラメータ内容 キャラの状態 瀕死(※) 衰弱 疲弊 普通 隷属 洗脳 快楽 エナジー 主人公の体力のようなもの。調教に必要。最大値5000 スートラ 調教によって得られる金銭のようなもの。エンド条件。この数値の1/4程度が休憩での回復量になる 調教 キャラごとに設定されている調教回数。合計値が一定以下で数ターン後強制ゲームオーバー 深度 キャラごとに設定されている調教進行度。1-5の五段階。上がれば上がるほど調教が増加 堕落 キャラごとに設定されている調教進行度兼クリアボーナス値。高ければ調教時のスートラの上昇値も増加 ※死亡することはない。キャラの調教が回復するまで不可能になるペナルティのみ。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/547.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1311182440/685-690 「黒猫さんと、こんな風に会うなんて初めてだねえ」 私の目の前に居るベルフェゴールが柔和な表情を浮かべながら私との会話を 試みている。現世では彼女と一対一で会うことなどあり得ないはずだった。 だが、あの女からのあの電話が、私とベルフェゴールの対峙を強制させたのだ。 『あのさ‥‥‥、アタシ、もうダメかもしんない』 あのスイーツ(笑)から電話がかかってくること自体は奇異な話ではない。 問題はあの女の様子だ。 現世ではあり得ないほどに狼狽した様子で電話をかけてきたのだから。 一体、何があの女の身に降りかかったというのか。 千葉の堕天聖を此程までに揺れ動かす、あの女の狼狽振りは一体何なのか。 大方、あの女が兄と呼んでいる破廉恥な雄との間での揉め事が原因だろう。 だから私に泣きついてきた、というのは容易に想像できる。 だが何だろう? この胸騒ぎは。際限なく湧き出る悪い予感が心から溢れ出る。 私の予感は悉く的中するのだ。 その的中能力を此程までに否定したくなる瞬間など嘗て無かった。 だが今は違う。切に希求している。予感が外れて欲しい、と。 「もしかして、桐乃ちゃんのことを相談したいのかなぁ?」 ベルフェゴールは、私を包んでいる妖気を容易く破って心の中を読み取った。 流石ね。私が一目置くだけのことはある。 フフッ。私の心を読み取った褒美に、私との精神の交流を認めてあげるわ。 「あ、あの‥‥‥あの女に一体何があったのかしら?」 「う~ん、心当たりはあるけどお、多分、きょうちゃんとのことじゃないかなあ」 やはり、あの雄が絡んでいるというのか。 この世で何年あの女と時を刻んでいたのか。 なぜ未だにあの女を御することができないのか。 全く、情けない雄だこと。 私の心は、あの雄に対する罵倒めいた疑問で埋め尽くされた。 「兄さん‥‥‥と何があったというのかしら?」 「う~ん、話してもいいけど‥‥‥黒猫さん、取り乱さないって約束できる?」 クッ! この女、私に悪魔との約束を要求するのか。許されなくてよ! だが、悪魔との約束など、私が現世における立ち振る舞いを定めた 私自身の縛りから逸脱するに過ぎない。 あの女が陥った苦しみが悠久の刻を越えぬようにしてやることが 現世での私の使命。それが私の結論なのだから。 「ええ。約束するわ」 「ほんと? 取り乱さないって約束してね!」 「覚悟は決めているわ。何せ悪魔と契約したのだから」 「あくまとけいやく?」 「いえ、何でもないわ。さあ、話して頂戴」 「じつはね‥‥‥」 ‥‥‥‥‥‥ 「オイ桐乃、オマエ、髪の色を戻す気ないか?」 「ハァ? 何、バカなこと言っちゃってんの?」 俺のベッドに寝そべってファッション誌を読んでいる図々しい様子の 我が妹・桐乃への頼み事はあっさりと否決された。 「いや、何か懐かしくなってな」 「うげえ~、シスコン、キモお~」 「オマエ、元々黒髪だろ。黒髪のオマエってどんな感じかと思ってな」 「黒髪じゃなくて、茶色がかってたでしょ! 覚えてないの!?」 ここの所、俺は桐乃に髪の色を変えてみないか? と言い続けている。 今でこそライトブラウンに染められたロングの髪が桐乃のトレードマークだが、 元々は茶色がかった黒髪で、俺はその頃の桐乃が無性に懐かしくなっていた。 勿論、桐乃には読モとしての仕事もあるわけで、そう簡単に髪の色を変えること なんて叶わないことは解っているつもりだ。 「訊きたいんだケド。なんでアンタ、アタシを黒髪にしたいワケ?」 「いや、だから懐かしさってのがあってだな‥‥‥」 「ウソつくな!」 「いきなりウソ吐き呼ばわりかよ。昔を懐かしむのがそんなにおかしいのか?」 「『昔を懐かしむ』ねえ‥‥‥んじゃ、コレはナニ?」 そう言うと、桐乃は俺のベッドの下から『男の宝物BOX』を引っ張り出す。 「お、オマエ! 何をすんだ!?」 「何なのよ、コレはッ!?」 桐乃がBOXの中から取り出した一冊の本。 俺が入手したばかりの黒髪特集本だ。言っておくが薄い本ではないからな! 一応、Amazφnでは18禁ではないカテゴリーだ! 「こーんな本に影響されちゃってさ。 『今こそ、黒髪!』『黒髪に興味がないなんて、人生を損している!』 『黒髪・眼鏡・妹は萌え三種の神器』って、ふ~ん。こんな趣味なんだ」 記事の煽り文句を読み上げる我が妹を前に、俺はあやせに会いたくなった。 正確には、死にたくなったわけで。 「わ、悪いかよ!? 別に俺がどんな趣味でもオマエには関係ないだろ!」 「関係あるっつーの! こんな趣味の兄貴がいるなんて最っ低!!」 「18禁じゃないし! オマエのエロゲー好きよりははるかに健全だろ!」 「なッ! うっさい! この変態!!」 桐乃は俺の部屋を飛び出し、自分の部屋に籠もってしまった。 クソッ! 実にくだらないことで妹とケンカをした俺は自己嫌悪に陥った。 自棄になりベッドに身を投げると、薄い壁の向こう側から話し声が聞こえる。 『あのさ‥‥‥、アタシ、もうダメかもしんない』 誰かと電話しているようだ。相手はあやせだろうか? もしそうだったら速攻で俺の電話に公園への呼び出しが来るはずだが、 それも無かったからきっと違うのだろう。 ああ、実にイラつく。多分桐乃も同じようにイラついているかもしれない。 こんなくだらないことでお互いにイラつくなんて損だ。 桐乃の誹りを受けたときにエロゲーの話を持ち出した俺も大人気なかった。 それに、俺は妹ともっと仲良くなりたいという重篤なシスコンだからな。 ここは‥‥‥俺から謝るとするか。 コンコンコン ガチャ 「桐乃。さっきは悪かっ‥‥‥」 返事を待たずに妹の部屋のドアなんて開けるもんじゃないよな。 「ぬあっ! 勝手にドア開けんな!! 変態!!」 「オ、オマエ、それ‥‥‥」 「うっさい! 見んな! バカッ!!」 桐乃は黒髪+眼鏡という出で立ちで俺にご褒美、もとい罵声を浴びせる。 「なんだよ、その格好!?」 「ア、アンタの趣味ってどんなもんか試しただけだっつーの!」 「ホントか?」 「嬉しそうな顔すんな! マジキモい!!」 いかん。感情が顔に出ていたらしい。 それにしてもその黒髪はどうしたんだ? まさか染め直したのか? 「ああいうのに興味あるみたいだから、黒いウイッグと眼鏡を用意しただけ!」 そういうことか。でも‥‥‥クソッ! そんなの反則だろうが! 黒髪+眼鏡の姿が反則ではなく、そういう用意をしてくれたことが 途轍もなく愛おしく感じられる。 さっきまでクソアマと思っていた妹が途端に可愛く見えるようになった。 「桐乃」 「ナニよ? 何か文句あるワケ?」 ぎゅっ 「ちょ、ナニすんのよ!? 放せっての!」 今この瞬間の感情を最大限に表現できる簡単な手法を採った俺に桐乃は抗った。 「悪かった」 「え?」 「オマエの考えを無視して髪の色を変えろなんて言って悪かった」 「‥‥‥」 「そんな用意をしてくれるだけでもう充分だ」 「ナニ言っちゃってんの? バッカみたい」 「ああ、バカだ。外見ばかり見て、オマエの内面を見なかった俺はバカだ」 「ばか‥‥‥」 「それに、エロゲーの話なんか持ち出して悪かった」 「アタシもアンタの‥‥‥アレを勝手に見たりしてゴメン」 『妹ともっと仲良くなりたい』という俺の想いは通じたようだ。 「あ、えっと‥‥‥?」 「何だ? どうした?」 「アタシ、何かしなきゃいけないことがある気がするんだけど、何だろ?」 「忘れるってことは、『しなきゃいけない』って程のことじゃないんだろ」 「そっか。そうだよね」 おかしなヤツだ。でもそんな桐乃も今は愛おしく見える。 フン。シスコンだと笑いたければ笑え。 「桐乃‥‥‥」 「京介‥‥‥」 ‥‥‥‥‥‥ 「‥‥‥というわけなの」 「‥‥‥‥‥‥」 「えーっと、黒猫さん?」 「さ、参考までに訊きたいのだけれど、その後、あの二人はどうしたのかしら?」 「わかんない。きょうちゃんから聞いたお話はそこでおしまいだから」 あのスイーツ(笑)からの思わせ振りな電話は何だったというの。 私の胸騒ぎはどうしてくれるの。 際限なく湧き出た悪い予感はどう始末してくれるの。 あの愚かしい兄妹が演じた矮小な争いに巻き込まれるとは、私もとんだ道化ね。 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥フッ、クククク」 「黒猫さん!? だいじょうぶ?」 「え、ええ。大丈夫よ。これしきのことで千葉の堕天聖の心は折れないわ」 「せんようのだてん‥‥‥?」 「いえ、気にしないで頂戴」 「黒猫さん、ひょっとして相談事ってかいけつしたの?」 「ええ、勿論よ。完璧に解決したわ」 「よかったあ。うふふふ」 ベルフェゴールからは何らの邪気も感じられない。 此が“天然”の成せる技なのだろうか。 それに対して今の私は‥‥‥フッ、クククク。 ああ呪わしい。この怨念を一体何処に葬り去れと言うの。 リア充兄妹は死ね! 『兄妹ゲンカ』 【了】
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/257.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1288544881/521-524 あたし、高坂桐乃は今時流行りの読モや携帯小説家もやってるイケてる女子中学生で自慢だけど自分の事を可愛いとも思ってる。 学校では勉強も県内で上位3位以内の秀才だし部活の陸上部でも全国大会出場クラスのパーフェクトな女の子。 だけど、そんな完全無欠の美少女のあたしにも秘密がある。それは可愛い女の子の出るアニメやエロゲが大好きだという事。 とは言っても、最近は兄貴やオタ友の黒猫と沙織達には趣味の話をする様にもなったけれどまだ隠している極秘事項がある。 それは、あたしが勉強も部活もトップクラスで仕事もエロゲも全力で取り組んでいる完璧超人で、その力の源であるミラクルパワーに関する事。 出版に関わった担当編集さんが言っていたけど、一日3時間睡眠にすれば6時間睡眠の人と比べて起きている時間が1週間で21時間。一週間が約一日長い!これをナチュラルにこなしてるのがこのあたし高坂桐乃である。 普通だったら、寝不足は乙女のお肌の天敵だからご法度なんだけど。あたしは特殊なエネルギーを吸収する事でこれを完全に克服した。 それこそが、兄貴分というビタミンだ。兄貴分と言っても弟分の対となる方の兄貴分では無く、妹には必須アミノ酸くらい大切な栄養素なの。 どうやってそれを吸収するのかと言うと、兄貴とスキンシップ(ベタベタするとか恥ずかしいからいつも蹴ったりしちゃうの)やフレグランスによる鼻孔から摂取(パンツの匂いとか最高ね!)等の方法を取る。 この兄貴分の重要性は、海外留学の際に兄貴分不足で欠乏症に掛かる等その必要性は疑いようがない。 そう、だからこの行為はあたしがあたしである為に必要不可欠な自然な行動。けど、兄貴だけには絶対に知られてはいけない極秘ミッションなのだ。 そして今日も、兄貴が風呂に入っている間に兄貴のパンツ略してアニパンをゲットし速やかに兄貴分を吸収しなければならない。 兄貴の入浴時間は約15分、と言うかもっとしっかり洗いなさいよねあたしなら肌のケア含めて毎日45分は入浴に費やすと言うのに。 でも、全部の匂いが消えちゃうとベッドの匂いが薄くなっちゃうから余り綺麗好きになるのも考えものかもね。 あっと、こんな事考えてる間に無駄に時間を浪費してしまった。この短い兄貴の入浴時間は一分一秒も無駄に出来ないと言うのに! 「兄貴のパンツ……くんかくんか……今日も臭くてこのスメルが堪んない。くんかくんかくんか」 このくんかタイムが一日のうちであたしを一番無防備にさせる。うちのお風呂はトイレとは別の位置にあるから兄貴が風呂に入っている間にトイレに行こうとした両親に出くわす心配が無い、だから今まで安全にこの至福の時間に浸ってこれた。 「くんかくんか、アニパンの匂い嗅いでたらえっちな気分になって来ちゃった。もう、匂いで妹を妊娠気ぃ?この変態兄貴ぃ」 あたしは、兄貴のパンツを右手で鼻に宛てがい、左手でミニスカートをまくり上げショーツの上から下腹部を撫でた。 アニパンの匂いを嗅ぎながら女の子の大事な部分を撫でると脳裏に電流が流れる様な快感が頭の中に広がる。 「ひゃふ、あぁぁん」 急激に満たされた兄貴分であたしは立っている事もままならずにその場にへたり込んだ。 「あぁ、あたしの中を兄貴分が満たされていく、頭の中空っぽで馬鹿になっちゃううう」 いつもならこれだけで満足出来たのだが、今日発売した新作エロゲ『妹と洗脳とチュウしよー』を徹夜でクリアするには更に兄貴分を吸収して兄貴分満タンのアニマックスにならなくては。 そこであたしは思いついた、アニパンを嗅ぐだけでこんなに興奮するならこのアニパンを口に含んで経口投与したらどれだけの効果が得られるか。 ただ、これには問題がある。兄貴のパンツを嗅ぐだけならまだマーキング程度だけど、兄貴のおちんちが触れていたパンツを口に含んだら間接フェラになってしまう。 それを考えると余計に興奮し下着越しに撫でているだけなのにショーツが妹汁で濡れてグッショリしてしまう程だ、これはもう試さずにはいられない。 「パンツで間接フェラさせるなんて兄貴ってば超変態!いえ、スーパード変態ね。でも、良いよあたしも変態妹だからお互い様だね。あ、兄貴のパンツ頂きます。はむ」 それをしゃぶった瞬間に鼻孔を擽る兄貴臭と共に独特の酸味と塩味の味覚が口全体に広がった。 「これが兄貴のおちんぽの味……おいひい……しゃぶしゃぶ……おいひすびてしゃぶ中になっちゃううう」 想像以上の快感だった、これはヤバい。兄貴に口と鼻を犯される感覚と、兄貴に無断で間接フェラをしているこの背徳感があたしを苛む。 「むしゃむしゃ、ふーふーー。あへへ、もうダメこのままイっちゃいそう」 淫靡な味と匂いで感覚が麻痺していたあたしは声をかけられるまで気付かなかったが、あたしがこの痴態を晒している瞬間に兄貴が風呂から上がってしまっていた。 「お、お前……何してやがんのこんな所で……」 兄貴のスイートボイスであたしのメインメモリーが急激に冷却される。 「うへ?」 兄貴のパンツを口に含んでいる所為で、間抜けな声を出してしまった。 風呂に入っていたはずの兄貴が既に風呂から出ていて、この場に居るはずが無いあたしを見つめて硬直し怪訝な顔をしている。 そして、風呂上りの兄貴は部活で鍛えたりしてない割には筋肉が発達し所々角張った美しいフォルムを惜しげもなく晒していて当然全裸だった。 「あ、あ、あんたなんてもの見せてくれちゃってるのよ!」 溢れでるヨダレと兄貴分が一緒になった液体を飲み込みながら咄嗟にそう言うの精一杯だった。 「うおっ、すまん!」 兄貴は慌てて両手で股間を隠す。その様子が妹に興奮して股間を押さえてるみたいで妙に可愛らしく思えた。 「て、て言うかお前何口に咥えてんだよ?」 股間をガードしながら私を見つめていた兄貴が私の口に挟まれても入り切らずに口からはみ出している兄貴のパンツに気づいてしまった。 「はっ、はむはむしゃむしゃ」 いきなり指摘され混乱したあたしはパンツを口の中に隠すという突飛な選択をしてしまった。 「おい、何食べようとしてんだよ!それ食いもんじゃないだろう!?」 兄貴はあたしが無理やり口に押し込もうとしていた物を引っ張って奪おうとする。 兄貴が両手を使って座っているあたしから無理やり奪おうとするので丁度あたしの目と鼻の先に兄貴の勃起チンポが出現する。 急に現れたマゼラン級の一物に目を奪われてつぃ口元が緩んでしまい、唾液と兄貴分が混じり合った兄妹合体アニパンツが奪われてしまった。 それにしても妹がオナってるのを見て勃起するなんて我が兄ながら変態シスコン野郎である。あやせに見つかったら抹殺されちゃうよ? 「うお!見覚えがあると思ったらやっぱり俺のトランクスじゃねーか!唾液でべとべとな上に噛んだ所為でボロボロになってるし!」 奪われてしまったアニパンを恨めしく思うと共に、完全に言い逃れ出来ないこの状況にあたしは絶望した。人生オワタ\(^o^)/ 「何してたかは怖すぎるから敢えて聞かねえけど、どうしてくれんのこれ?」 兄貴は急いでタオルを腰に巻くと眉間にシワを寄せこめかみをピクピクさせながらあたしに詰問して来た。 まさか、責任を取って犯させろとか言う気なの?そんな展開を妄想したら股間から妹汁が流れだして止まらなくなるんだけど。 「聞いてんのかよ、弁償しろよ!俺のパンツと共に汚された俺の純情をよ!」 近親相姦バッチこいのあたしだが、流石にこの一線を越えてしまったら今までの生活が崩壊しかねない。 ここは、何とかして乗り切られねば……。 「五月蝿いわね、男が純情とかキモいんですけどー。どんだけパンツが大事なのよ。仕方ないからこれあげる」 あたしは閃いた打開策を直ぐ様実行に移し、立ち上がってスカートの左右両端の裾から手を差し込みショーツに手を掛け一気にずり下げた。 片足ずつパンツを脱いでから両手に持って人差し指と親指で開いて丁度妹汁で湿っている面を相手の正面に向け差し出した。 「これ、あんたのパンツなんかと比べ物にならないくらい高いあたしのパンツなんだから。これで文句無いでしょ!」 この場を乗り切る為にこんな事をしてしまったが、あたしのパンツで兄貴がオナったりしたらどうしよう。その妄想だけでご飯3杯は行けるんですけど! 「そんなもんいるかよ!変態じゃあるまいし!」 だが、兄貴にはこのショーツの価値も分からないのか文句を言ってきた。ブルセラショップに売ったら1万は下らないあたしのパンツに謝りなさいよね! しかもパンツ愛好家を変態呼ばわりし出した、それじゃまるでこのあたしが変態みたいじゃないか。 「馬鹿!もう知らない!」 あたしは恥ずかしさと怒りで頭に血が登って兄貴に自分のパンツを投げつけて勢い良く脱衣所から駆け出した。パンツをはいてない為にやたらにお尻がスースーしてちょっと気持よかった。 その夜は新作エロゲを放置して兄貴の生おちんぽを思い出して何回もイってしまった。 おわり
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/520.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308729425/275-303 はぐれちまった――その事実を噛み締めた次の瞬間には、 俺は携帯のメモリからあやせの連絡先を呼び出し、通話ボタンを押していた。 無機質な電子音が反復し、 「もしもし、あやせか?」 「お兄さん?今どこにいるんですか?」 「俺はあやせとはぐれた場所から動いてない。 あやせの方こそどこにいるんだ?」 「分かりません。周りに見えるものも、似たような露店ばかりで、特徴がなくて……」 か細い声を聞きながらも、俺は安堵していた。 携帯で情報を共有しながら探せばすぐに発見できると、高をくくっていたのだ。 「とりあえず、何でもいいから目に着いたものを、」 「お兄さん?何を言ってるんですか?」 脈絡の無い遮り方から、最悪の事態を予想するのに、そう時間はかからなかった。 まさか――。 「俺の声が聞こえてないのか?」 「お兄さん、わたし、携帯の充電が……」 「あやせ、とりあえずそこから動くな。 両方が好き勝手動いたら、入れ違いになることがあるかもしれない」 ふつりと通話の線が途切れる。 俺の言葉が届いたかどうかは分からず終いで、 どちらかと言えば聞こえていなかった公算が大きい。 ああ、クソ。 俺を置いて勝手に歩調を早めたあやせに、 折悪しく二人の間に割って入った御神輿に、 そしてあやせとはぐれる可能性に思い至らず、暢気に携帯を弄っていた自分に腹が立つ。 俺は地理に暗い頭をフル回転させて、 おそらくはあやせが『俺とはぐれたことに気づいた場所』に赴き、 「朝顔模様の黒い浴衣を見た、俺と同い歳くらいの女の子を見ませんでしたか」 と聞き込み作業を開始した。 が、色好い反応は梨の礫、誰もが迷惑そうな顔をして、首を振るか、無視するか。 人波は休みなく流れ、時々刻々とあやせの目撃情報は失われていく。 巡回中の警官にあやせの人相と俺の電話番号を伝え、 見つけたら連絡してもらうようにお願いしたが、 往来にあふれかえる浴衣姿の女の数を考えると、とても期待できそうにない。 どうして、はぐれた時のために待ち合わせ場所を設定しておかなかった。 どうして、無理矢理にでも手を繋いでおかなかった。 後悔の濁流が逆を巻く。 俺の主観を抜きにしてもあやせは美人だ。 そんなあやせが一人、不安げな顔をして彷徨っていたら、悪漢の良い標的である。 「絶対見つけてやるからな」 独りごち、駆けだした。 焦燥と熱気で既に全身は汗みずく、顎先から汗が滴り落ちたが、今は拭っている時間も惜しい。 唯一の救いは進路を邪魔するヤツが誰もいないことだった。 ハッ、女児向けアニメのヒロインを脇に抱えた汗まみれの男が全力疾走してきたら、そりゃあ誰でも道を譲るわな。 涼やかな眉宇。玉石のように濡れ光る両の瞳。 高い鼻梁。薄紅色の唇。処女雪の如き白い肌。 あやせの顔を脳裏に描きながら、大通りを何度も往復する。 ……いない。 御輿の通り道になっている、脇道も探してみた。 喧噪を嫌う家族連れや老人と、寂れた屋台しか目に着かなかった。 どこか、見落としている場所でもあるのか。 まさか、あやせはもう……。 最悪の可能性が脳裏を過ぎり、背筋を冷たいものが滑り落ちた。 その時だった。 「イヤですっ!」 「そうは言ってもよぉ、嬢ちゃん。 いい加減に折れてくれねえと、俺たちも困るんだわ」 「な、ちいっとばかし、車に乗るだけだからよ」 高く澄んだ拒絶の声と、低く野太い猫なで声。 視線を向ければ、路傍に小さな人集りが出来ていた。 屈強な男たちが人壁を造り、その近くには黒塗りのライトバンがアイドリング状態で停止している。 思考が働くよりも先に、足が動いていた。 顔を見るよりも前に、名前を呼んでいた。 「あやせっ!」 ラッセルの要領で人壁をかき分け、輪の中心に躍り出る。 いた。やっと見つけた。 「お兄さんっ!」 憂いを帯びていた表情に、ぱっと大輪の花が咲く。 矩形の御影石に腰掛けていたあやせが、立ち上がりかけ、姿勢を崩す。 俺は駆け寄り、体を支えてやりながら、 「大丈夫か?何もされてないか?」 あやせはふるふると首を横に動かし、 「でも、転んで、足を挫いてしまったんです。 お兄さんを探して走っているときに、下駄の鼻緒が切れてしまって……」 浴衣の裾から覗いた右足首は、確かに、少し腫れているように見えた。 怪我を庇いながら歩くことはできても、走って逃げることは難しそうだ。 しゃーねえ、ここは一丁腹を括るか。 俺はあやせを一人で立たせ、居並ぶ悪漢どもをギロリと見据えた。 どいつもこいつも鋳型で作ったみたいに、豪腕、巨体、極道面の三拍子揃ってやがる。 土下座して見逃してくださいと懇願しても、たぶん、一顧だにしてくれないだろう。 無論、そんな情けねえマネをする気は端からないがな。 だって、あやせが見てるんだぜ? それにさ、マンガの主人公みてえなセリフ、一度言ってみたかったんだよな。 『逃げろあやせ、こいつらの相手は俺がする!』ってな感じのセリフをよ。 俺は見よう見まねのファイティングポーズを取り、 「逃げろあやせ、こいつらの相手は――」 「遅かったじゃねえか兄ちゃん、こっちはアンタのことずっと待ってたんだぜ」 「へ?」 朗らかな笑みを浮かべた男どもに、べしべしと肩を叩かれる。 痛い、あの、マジ痛いっす、いやホントマジ痛いんで勘弁してください。 クスクス笑いに気づいて振り返れば、 おいおい、俺の決死の呼びかけが聞こえなかったのか? あやせはその場から微動だにしちゃいなかった。 「ふふっ、おかしい」 おかしいって何が? 「お兄さんは勘違いをしています。 その人たちは、お祭りの運営をしている方々ですよ?」 ……マジで? 「襲われてたんじゃなかったのか?」 「まさか。逆です。 わたしが足を挫いて動けなくなっているところを、助けて頂いたんです」 愕然としたね。 人聞きの悪いこと言うでねえ、と呵々大笑する男たち。 年配の方が言った。 「足は見た感じ大事なさそうだが、こんなところでジッとしてるよりは、 応急医のいる休憩所で、看てもらったほうがいいと思ってなあ。 歩かせるのも酷だと思うて、車を手配したんじゃが、 嬢ちゃん、絶対あんたが迎えに来てくれる言うて、テコでも動かなかったんじゃ」 手配した車とは、あのライトバンのことだろう。 冷静になって見返せば、男たちは全員、同じ町章入りのシャツを着ていた。 拉致寸前の状況は、完全な俺の脳内妄想だったらしい。 安堵と同時に、顔から火が出そうなほどの羞恥に見舞われた。 身を隠せる穴はどこにもなく、掘ろうにも悲しいかな、アスファルトの固さは如何ともし難い。 「さて嬢ちゃん、いい加減、休憩所に行かねえか。 望みどおり兄ちゃんと合流できたんだ、一緒に乗りゃあいい」 「いえ、本当にお気遣いなく。 ゆっくり歩く分には問題ありませんし、 何より、休憩所で時間を潰していたら、 せっかくお祭りに来た意味がなくなっちゃいますから」 「……そうか。 それじゃあ俺たちは見回りに戻るからの、後は任せたぞ、兄ちゃん」 「う、ういっす……痛てて」 最後に馬鹿力で俺の肩を叩き、男衆は散っていった。 はぁ、と深い溜息を吐いて、御影石に座り込む。 傍らにはブルーハワイのかき氷があった。 誰のだ、と尋ねると、 「さっきの方たちが、わざわざ買ってきてくれたんです」 至れり尽くせりだなオイ。 「これ、ちょっと食べてもいいか」 「か、構いませんけど……」 返事を訊くや、俺は一気にかき氷をかきこんだ。 うめー。冷てー。喉の裏側の痛みがたまんねー。 走り通しで疲弊しきった体に、水気と甘味の染みること染みること。 あやせは唖然たる面持ちで俺の食べっぷりを眺めていたが、やがて切なげに目を細めると、 「……すみませんでした」 「なんでお前が謝る?」 「あのとき、わたしがお兄さんから離れなければ、こんなことにはなっていなかったでしょう?」 「そもそも俺が余計なことを言ってなけりゃ、お前が俺から離れようともしてなかったはずだぜ」 「それを言うなら、お兄さんのセクハラ発言を軽く聞き流せなかったわたしに原因があります」 「いいや、調子に乗りすぎた俺が悪かった」 「いいえ、悪いのはお兄さんを調子づかせたわたしです」 「あやせに責任はねえよ。聞いて驚け。 俺はお前が近くにいるだけで自然にテンションが上がってくる、特異体質の持ち主なんだ」 議論は果てなく平行線を描くかに思えた。 が、あやせの一言が終止符を打った。 「じゃあ、言い方を変えます。 迎えに来てくれて……ありがとうございました」 「お、おう」 謝罪の言葉は受け取れなくても、感謝の言葉なら受け取れる。 あやせはそっぽを向きつつ、 「一人になってからも、鼻緒が切れて身動きが取れなくなってからも、わたしは心細くありませんでした。 お兄さんなら絶対にわたしを見つけてくれるって、信じてましたから」 「あやせ……」 「だって、前に言ってたじゃないですか? わたしの匂いなら1キロ先からでも分かる、とか。 神経を研ぎ澄ませればわたしの心が読める、とか……」 わ、我ながらキモイな。 けど、そこまで言ったことあったっけ? セクハラの限度は弁えてるつもりだが、ハッキリと否定できないのが俺が俺たる由縁である。 「まぁ、真面目な話……お前が危ない目に遭ってなくてよかったよ」 「お兄さんは、わたしがあの人たちに連れ去られかけていると思っていたんですよね?」 「恥ずかしながらな」 「もし本当にお兄さんの想像どおりだったら、どうしていたんですか?」 「どうしていたも何も、そりゃあ、お前を助けようと頑張ってたんじゃねえの。 つーか、あの輪の中に飛び込んだ時点で、逃げ場はどこにも無かったんだ。 最初から覚悟は出来てたさ」 「お兄さんには勝てる自信が?」 「いいや、からっきし。 俺の親父は警官で、しかも柔道の有段者でさ。 ガキの頃に基礎だけしっかり叩き込まれたんだが、今じゃ全然思い出せねえ。 喧嘩に関しちゃ、俺は素人だよ」 「じゃあ覚悟というのは、ぼこぼこにされる覚悟……?」 「多勢に無勢でも、時間稼ぎくらいできるだろ。 その間にお前が逃げられたらいいな……って、そんなのは今だから言えることだよな。 あの時は何も考えちゃいなかった。無心の行動ってヤツだ」 「はぁ。お兄さんって、本当に馬鹿ですね」 お前な、ここは普通「お兄さんカッコイイ!素敵!」って言う場面じゃねえの? 「いいえ、馬鹿です。 相手が相手なら、大怪我を負わされていたかもしれないんですよ? 周りの誰かに応援を求めないで、一人で突っ込んでくるなんて……。 ふふっ、大馬鹿以外の何者でもありません」 バカバカうるせぇな。 しかし辛辣な言葉とは裏腹に、あやせは妙にご機嫌である。 俺を罵倒できるのがそんなに嬉しいのかね。 お兄さんちょっと複雑な気分だわ。 というわけで(?)、俺はついさっき気づいた衝撃の事実に、 いささかセンセーショナルな脚色を加えて披露することにした 「ところでこのかき氷、あやせの食べ残しだよな?」 「急に何を言い出すんですか?」 「食べ残しだよな?」 「そうですけど、それが何か?」 それが何か?それが何か、だと? 俺があやせの食べ残しを食べている。 それが意味するところは一つ。 「……間接キスだ」 ふははは。今まで失念していたのだろう。 ついうっかり、俺にかき氷を食べる権利を与えてしまったのだろう。 が、後悔しても時既に遅し! 「そうですね。お兄さんの言うとおりです」 「え?」 「それで、間接キスだから、どうかしたんですか?」 オー、ジーザス。俺は夢を見ているのか? でなければ現代に起こった奇跡を目の当たりにしているか、だ。 あやせが俺との間接キスを認めている? まさか。いやいや、有り得ない。 怒りで顔を真っ赤にしたあやせに、「変態!」「死ね!」とエッジの効いた暴言と暴力で虐げられるのが、 俺の描いていた未来予想図(的中率97%)だったというのに……いったい何がどうなってやがる? 「少しは、多めに見ることにしたんです」 あやせは顔を怒りで真っ赤にする代わりに、ほんのりと頬を桃色に染めて、 「金魚すくいのコツを教わったり、お化け屋敷に付き合ってもらったり、 はぐれて身動きの取れないわたしを探しにきてもらったり……。 今日一日で、お兄さんにはたくさん借りが出来てしまいました。 ですから、少々の変態的行為には目を瞑ろうかと。 あくまで今日一日だけ、ですけど」 あーハイハイ、そういうことね。 つーか、何でもないことのように言っておきながら、 やっぱりあやせの中では、間接キスは変態的行為に属してるのな。 俺はかき氷の空容器を近場のゴミ箱に放りつつ立ち上がり、 「どこまでセーフで、どこからアウトなんだ?」 「そうですね……」 あやせは人差し指を唇に添えて思案のポーズになり、 「お兄さんからわたしに触れるのはNGで、わたしからお兄さんに触れるのはOKです」 なんだそりゃ。 意味を理解できないでいると、早速あやせは宣言を実行に移してきた。 右腕が手繰り寄せられる。 お化け屋敷の終盤、暗闇の中でしていたように、 しかしあの時よりも締める力は優しく、あやせは俺と腕を組んだ。 「か、勘違いしないで下さいね」 「挫いた足首に負担をかけないようにするため、だろ?」 「……物わかりが良くて助かります」 正鵠を得ていたにも関わらず、あやせの唇はツンと尖っている。 やはり詮無い理由があるとはいえ、俺の腕を借りることには、忸怩たる思いがあるんだろう。 柔らかな感触に諸手を挙げて大喜びしたいところだが、 今は余計な刺激を控え、寡黙な杖役に徹するのが得策か。 可惜身命、触らぬ神に祟りなし。 「……ところで、足首はどのくらい痛むんだ?」 「ほんの少しです。お兄さんを支えにしていれば、ほとんど痛みは感じません」 「それでも、痛みは歴とした体の危険サインだぜ。 当て所なく練り歩くのは、やめといた方がよさげだな」 ぬいぐるみの位置を整え、腕時計を見る。 九時三十分前、か。 ちょいと気が早いかもしれないが、 「花火が見える場所に移動しないか?」 早く行けば見晴らしの良い場所が取れるかもしれないし、 あやせが座って休めるようなベンチが見つかるかもしれないぜ。 「……実は、さっきの方々が教えてくれたんですけど……」 とあやせは耳許に囁いてきた。 「な、なんだ?」 耳たぶに触れる吐息がこそばゆい。 「地元の方も知らない、秘密の見晴台があるそうです。 お兄さんを待っている間に、地図を書いて頂きました」 あやせはハンドバッグから半紙を取り出し、見せてくれた。 限りなく抽象化された街の縮図を読み解く。 「ここから、そう遠くないみたいだな」 街路の混雑、あやせに配慮した徒歩を加味しても、20分ぐらいで着けそうだ。 しっかし……本当にそんな場所があるのかね。 「あの人たちは、嘘を吐くような人たちじゃありません」 「嘘だとは思っちゃいねえが、ただ、なんとなくイメージが出来なくてな」 「何でも、一見すると入るのを遠慮したくなるような建物らしいですよ」 どんな建物だよ。魔窟か? あやせはクスリと笑んで言った。 「とりあえず行ってみませんか。一件は百聞に如かずとも言いますし」 さて、そんなこんなで歩くことしばらく、 人気のすっかり希薄な脇道をさらに逸れ、 街灯の明かりさえ乏しい小径を突き進み、 野良猫の寝床と化した隘路をそろりそろりと通り抜けた俺たちの目前に現れたのは、 想像していた魔窟よりもずっと現実的かつ退廃的な建物であった。 「廃ビル、ですね」 「廃ビル、だな」 かれこれ十数年は放置されている感じだな、この廃れ具合は。 入り口は当然のことながら閉鎖されていて、 駄目元で裏手に回ると、搬入口の扉の鍵が開いていた。 中は暗く、埃っぽかった。 採光窓から差し込む月明かりが、唯一の光源だった。 「どうする?」 「どうするって、ここまで来たのに引き返すんですか?」 「や、お前が心配で聞いてんだよ。あやせは怖くねえのか? 雰囲気的に、マジモンのお化けが出てもおかしくないような場所だぜ、ここ」 「ふふっ、わたし、気づいちゃったんです。 どんなに怖いお化けでも、触れられるなら、暴力でなんとかなるってことに」 「お前はもう二度とお化け屋敷に入るな」 調度の類が何もない一階を見回る。 当然のことながらエレベータの電源は落ちていてた。 「屋上に出るには、階段を使うしかなさそうですね」 「でも、それじゃあお前の足がもたないだろ」 平素の徒歩と階段の上り下りじゃ、かかる負担も段違いだ。 「どうしましょうか」 俺の腕を掴むあやせの手に、力が籠もる。 「方法はふたつある」 「ふ、ふたつもあるんですか?」 「まあな。知りたいか?」 「知りたいです。それで本当に、屋上に上がれるなら」 俺はもったい付けて言ってやった。 「あやせ、俺にお姫様だっこされるのと、おんぶされるのと、どっちが良い?」 「どっちもイヤ」――予想していた返事はいつまでも聞こえずに、 「……おんぶの方が、まだマシです」 声の震えから、相当、苦渋の決断であったことが伺える。 俺は組んだ腕を解き、あやせの前に進み出て、身を屈めた。 「言っとくけど、下心はねえからな」 「嘘つき」 見破られるの早ッ! 見破られるの早ッ! 取り繕っても仕方ないと判断し、開き直ることにする。 「……ああ、嘘だ。 けどな、女の子を心の底から荷物扱いできる野郎なんていねえっての」 相手がお前なら、なおさらな。 「ほら、さっさと乗れ。花火が始まっちまうぞ」 刻限を知らせたことが上手く作用したのだろうか、 あやせは怖々といった様子で俺の肩に触れ、徐々に体を預けてきた。 後ろに手を回し、薄い浴衣の生地に包まれた太股を支える。 豊満な果実が二つ、背中で潰れるような感覚があった。 あやせは何も言わなかった。 俺も何も言わなかった。 実際に階段を昇り始めると、あやせの感触を味わう余裕が無きに等しかった、というのもある。 とにかく一歩一歩が辛い。苦しい。 おっと、別にあやせの体重にケチを付けているわけじゃねえぞ。 俺は自分の体力不足を嘆いているだけだ。 「……大きいですね、お兄さんの背中」 と不意にあやせが言った。 「そりゃあ、女のお前と比べると大きいだろうよ」 「そういう意味で言ったんじゃありません」 じゃあどういう意味で言ったんだ、と尋ねようとしたとき、強烈な既視感が脳裏を掠めた。 この状況、この会話。 全てに共通する出来事があったはずだ……。 「ああ」 思い出した。 「桐乃だ」 「桐乃がどうかしたんですか?」 「昔々に、家族で祭りに出かけたことがあったんだ。 どこの祭りかは忘れちまったが……とにかくすごい混雑で、 気づけば、隣にいるはずの親父とお袋がいなくなってた。 手を繋いでたおかげで、俺と桐乃ははぐれずにすんだ」 「それから、お兄さんと桐乃は?」 「必死に親父たちを探したよ。 けど、あの頃の俺はガキで、桐乃はまだ小学生にもなってなくてな、 死ぬほど心細くて、俺が泣きそうになったとき……桐乃に先を越された。 道ばたに座り込んで、わんわん泣いてたっけ、あいつ。 それを見てたら、『俺がなんとかしねえと』って気持ちが沸いてきてさ、 俺は桐乃をおぶって、迷子センターを目指したんだ」 道中、桐乃は言った。 『お兄ちゃんのせなか、おおきいねぇ』 俺はこう答えた。 『桐乃の背中にくらべたら、大きいに決まってるだろ』 すると桐乃は、俺の背中をぽかぽかと叩いてこう言った。 『そういうイミで言ったんじゃないもん。 お兄ちゃんにおんぶしてもらったら、あんしんするってイミだもんっ』 言葉の意図が同じだとすると、もしかしてあやせも、 あの時の桐乃と同じ感想を懐いてくれているのだろうか。 はは、まさかな。 そいつは希望的観測が過ぎるぜ、京介。 「……羨ましい」 「何か言ったか?」 「じ、時間が惜しい、と言ったんですっ。 お兄さんは階段を昇ることに専念してください」 ほらな。 やっぱりあやせは、一刻も早いおんぶからの解放を望んでいるんだよ。 俺は気合いを入れ直すべく、あやせを抱え直した。 「きゃっ……」 艶やかな声が漏れた。 俺の手は計らずとも、あやせの水蜜桃の如きお尻をわしづかみにしていた。 いや、マジでわざとじゃないって。 揉みしだきたい欲求と格闘すること数秒、 「お兄さん?」 冷えた声が耳朶を刺す。 ああ、分かってる。聞き苦しい言い訳をする気はねえよ。 疑わしきは被告の"不利"なり。 情状酌量の余地はなし。 新垣大法廷の判決は、今日も今日とて事もなし。 「……本当に展望台みたい」 「……最高の見晴らしだな」 屋上に通ずる扉を開くと、二人して思わず息が漏れた。 痛む後頭部を撫でさすりつつ(原因が何かは言わずもがな)錆びた鉄柵に歩み寄れば、 眼下には祭りの賑わいが、彼方には夜空を写し取ったかのような、河川の暗い輝きが見えた。 高さ、距離ともに、望楼としては申し分ない。 それから、夜風を浴びて待つこと数分、 「あっ」 と傍らのあやせが喉を鳴らした。 黒洞々とした満天に、色鮮やかな花が咲く。 遠雷のように低い音が、わずかに遅れて鳴り響く。 綺麗だな、と感心する一方で、桐乃も見たかっただろうな、と家で寝込んでいる妹のことを思った。 眺めている間は腕組みをする必要がないと思ったのか、あやせの腕から力が抜ける。 一抹の寂しさが去来し、次の瞬間には、戸惑いが胸中を占拠していた。 手の甲に触れるあやせの手。 反射的に握ると、ややあって、あやせも握りかえしてくる。 「わたしは――ときどき分からなくなるんです。 お兄さんが、悪いお兄さんなのか、良いお兄さんなのか」 「今のところ、俺はあやせにどう思われてるんだ?」 「教えません。教えたら、お兄さん、きっと調子に乗っちゃいますから」 その言い方だと、答えを言ってるも同じだぜ。 まあ、ちっとは見直してくれたってことか。 あやせは言った。 「お兄さんはどうして……最初に会った頃のお兄さんを演じ続けなかったんですか?」 「最初に会った頃のお兄さん?」 「ですから、その……常識的な妹想いで、気持ち悪いことを言わない……普通のお兄さんです」 裏を返せば、今の俺は倒錯的なシスコンで、 口を開けばセクハラ発現をする変態兄貴だと思われている、ということだ。 所詮は自分で蒔いた種、望み通りの結果だがな。 俺は言った。 「良い部分と悪い部分、全部ひっくるめて俺なんだよ」 「悪い部分を、わたしの前で隠すことはできるじゃないですか。 そうすればわたしも……わたしだって……」 「あやせは誰かに嘘を吐かれるのが、何よりもイヤなんじゃなかったのかよ」 「それは、そうですけど」 「俺が常に良いお兄さんでありつづけるのは、俺がお前に嘘を吐き続けるのと同じだぜ」 「…………」 黙りこくるあやせ。 俺はこれからも、妹と愛の証を収集する変態として、臆面もなくセクハラ発言する畜生として生きていく。 桐乃とあやせの関係を繋ぐための、必要不可欠な人柱として。 数秒の沈黙をおいて、あやせは花火の音圧に潰されそうなほど、小さな声で呟いた。 「……ひとつ、お兄さんにお願いがあります」 「なんだ?」 「今から花火が終わるまでの記憶を……後で必ず忘れると、約束してもらえますか」 そいつは無理な相談だな、と思いつつも、 切実な眼差しを向けられて、俺は首を縦に振ってしまう。 双眸に目もあやな夜空の光を浮かべながら、あやせは言った。 「……わたしは、お兄さんみたいなお兄さんが欲しかった。 困っているときに、いつも助けてくれる……そんなお兄さんがいる桐乃が、羨ましかった」 冗談はよせよ、俺なんかを兄に持てば、度の過ぎた愛情を注がれた挙げ句、 近親相姦モノの薄い本を一緒に集めるハメになるんだぜ――そう言いかけて、改める。 「お前が桐乃の親友でいてくれる限りは、お前も俺の妹みたいなモンだ」 「それだけ、ですか?」 「どういう意味だ?」 「お兄さんにとってわたしは、それだけの存在でしかないんですか?」 おかしいな。 俺の自惚れじゃなけりゃ、あやせがそれ以上の関係を望んでいるように聞こえるんだが。 「わたしのことを愛してる、とか……わたしと結婚したい、とか……全て、冗談だったんですか?」 「そ、それはだな……」 「桐乃を性的な目で見ているお兄さんが本当のお兄さんなら、 その言葉も本心から出たもの、ということになりますよね」 「う……」 痛いところを突いてきやがる。 一方の命題を真と言えば、他方の命題もまた同様に真と認めることになる。 自分が言った嘘に、自分自身が縛られる……まるっきり狼少年の末路じゃねえか。 答えに窮する俺に、あやせは静かに言葉を重ねた。 「わたしは嘘が嫌いです。大嫌いです。 でも、自分のために吐く嘘じゃなくて、誰かのために吐く優しい嘘になら……騙されても構いません」 あやせは暗にこう言っていた。 二つの命題のうち、一つは確実な偽であることを知っています、と。 何の因果か俺は今、妹を性的な目で見ているという体面を保ったまま、 あやせに告白してオーケーをもらえるかもしれない状況に立っていた。 なのに。 「…………」 好きだ、の一言が出てこない。 馬鹿野郎、さっさと言え。 愛している、結婚しよう、と軽々しく求愛していたのはどこのどいつだ。 不意に空気の震えが止まり、痛いほどの静寂が辺りを満たす。 時間切れ、か? 「……お兄さんの意気地なし」 落ち着いた非難の声が、胸に深く突き刺さる。 俺は恐る恐る隣を見て……次の瞬間に、かつん、と前歯に何かがぶつかる音を聞いていた。 ふっくらとした感触と、湿った体温を俺の唇に残して、あやせはそっと体を離す。 俺が嘘つきなら、お前は天の邪鬼だ。 華やぐ笑みで「死ね」と言い、蔑みながらキスをする。 「……っ……はぁ……」 「おま……花火はとっくに終わって……」 「いいえ……まだ、終わってません……」 ひゅるるるる、と甲高い音が空を裂き、あやせの言葉を証明する。 無数の火花が描いたのは、祭りの終わりを締めくくる『Fin』の文字。 あやせは半ば惚けた表情で言った。 「……約束、守ってくださいね」 記憶を任意に消去できるほど、人間の脳味噌は便利に出来ちゃいない。 「もし桐乃に話したりしたら……」 きらり、とあやせの目が光る。 俺は慌てて言った。 「言わねえっての。 言ったらお前よりも先に、桐乃本人から殺されそうだ」 全ては、真夏の夜の白昼夢。 それを否定する材料は、今や唇に残った感触のみで、それさえも時間が経てば消えてしまう。 その前に、と俺は言った。 「好きだぞ、あやせ」 今更ですか、とあやせは答えた。 「知ってますよ、お兄さん」 機を逸した愛の言葉は、至極あっさりと聞き流された。 それでも、その時あやせが浮かべた笑顔を――俺は一生、忘れないだろう。 さて、この話にはオチがある。 それから俺たちは睦言を語り合い、 口づけを交わす間に生まれたままの姿になり、屋上の一角で情事に耽る……こともなく、 風上から運ばれてきた、火薬の臭いに追われるようにして、屋上を離れた。 あやせに腕を貸しつつ駅に辿り着き、 家からの最寄り駅で、迎えの車にあやせを預け、 自転車を漕ぎ漕ぎ自宅に到着、シャワーで汗を流して今に至る。 コンコン。 「……誰?」 「俺だ。さっき帰ってきた」 「いいよ、入って」 許可を得て部屋に入ると、 桐乃は俺が出かけた時と同じように、ベッドで横になっていた。 「お祭り、楽しかった?……てか、後ろに持ってるの、何?」 俺は最初の質問には答えず、桐乃へのお土産を披露する。 「ウソ……メルルの縫いぐるみじゃん……しかも超おっきいし……どこで手に入れたのっ!?」 「体に障るから興奮すんな。 あやせがクジ屋で当てたんだ。お前へのプレゼントに、だってよ。 今度会ったらお礼言っとけ」 「うん、分かった。分かったから、早く貸して!」 病人とは思えねえ喜びぶりだな、オイ。 病は気から、って言葉もあるし、メルルが特効薬になれば言うことはないんだが……。 「…………」 どうした、いきなり黙り込んで。 桐乃は何を思ったか、メルルの股間に顔を押しつけると、俺とメルルを交互に見比べ、 「なんで兄貴の……」 と言いかけ、慌てて 「この子、超臭いんですケド」 と言い直した。 ああ、それにはちゃんとした訳がある。 「歩いてる間はずっとそいつを肩車してたからな」 「じゃあこの子に染みついてるのは、兄貴の汗ってコト?」 肯くと、桐乃は思い切り顔をしかめて、 「しっ、信じらんない! なんで袋に入れるとか、どこかに預けとくとか考えなかったワケ!?」 「うるせーな、洗えば済む話だろうが。 こっちに寄越せ、潔癖症。 明日、お袋が出かけてる間にでも洗っておいてやるからよ」 「いい」 はぁ? 「洗ったりしたら、この子の形が崩れちゃうかもしれないじゃん」 「じゃあ、クリーニング屋に持って行ってやる。 洗濯のプロなら上手く洗ってくれるだろ」 「じ、自分で持ってく」 「外出できないくらい熱があるくせに、何言ってんだ。 俺が持って行ってやる。 お前が寝てる間に、メルルは綺麗になって戻ってくる、それでいいだろ」 「うっ、うるさい!もうあんたは出てって!」 八重歯を剥いて威嚇する桐乃。 さっきまで臭いと言っていたぬいぐるみを、今は俺から守るようにして抱いている。 やはり高熱で譫妄状態にあるのかもしれん。 ここは大人しく退散したほうが良さそうだ。 「じゃあな。ゆっくり休めよ」 「うん……」 俺は最後に額を合わせて熱を測り、以前よりも温度が上がっていることを確認して、部屋を出た。 このまま熱が引かなければ、朝一で病院に連れて行くことも考えないとな。 自室に戻り、ベッドに横になったところで、電話がかかってくる。 発信者の名前を見てから、通話ボタンを押した。 「赤城か?どうした?」 「おう高坂、今お化け屋敷のバイトが終わったところだ」 「そっか、そいつはご苦労さん」 で? 「で、じゃねえだろ。 お前俺のメール読んでなかったのか?」 ああ、そういや俺とあやせの関係を問い質すメールが届いていたっけな。 「あんな可愛い子と、どこで知り合ったんだ?」 「妹の友達だ。初めて会ったのは、一年くらい前だな」 「お前の妹って、確か瀬菜ちゃんの一つ下だろ? あの顔と体で中三って……お前の妹といい、その子といい、後輩の子といい、 どうしてお前の周りにだけ反則級の美人が集まってくるんだ? あ、いや、もちろん田村さんも含めてな」 知るか。あと麻奈実をとってつけたように扱うんじゃねえ。 赤城は急に真面目な声になって訊いてきた。 「お前とその子は、いつから付き合ってるんだ?結構長いのか?」 「なあ、赤城」 「なんだよ。もったい付けるなって」 「俺はあやせ――その子の名前な――とは付き合ってない。 今日は妹とあやせと俺の三人で祭りに行くつもりだったんだけどな、 妹が熱出して行けなくなったから、二人で行くことになった、それだけだ」 「なんだよ、高坂に先越されたかとビビっちまったじゃねえか」と赤城は安堵の笑いを響かせることもなく、 「おい水臭ぇぞ、高坂。 俺とお前は、秋葉のエロショップを一緒に巡った仲なんじゃなかったのかよ?」 「は?何言ってんだお前」 「しらばっくれても無駄だぜ。いいから本当のことを言えよ」 「いや、付き合ってねえものは付き合ってねえし」 「残念だ、高坂。 お前のことは、何でも話せる、気のおけねえ親友だと思ってたんだがな……」 ふつりと通話が途絶える。 最後の方が涙声になっていたのは気のせいか? ふつりと通話が途絶える。 最後の方が涙声になっていたのは気のせいか? 腑に落ちない点はあるものの、考えても仕方ないと思い、ベッドに横になる。 目を瞑ると、廃ビルの屋上での記憶が再生された。 あやせとキスをした今となっても、あやせと付き合うことは、上手く想像できない。 あやせは俺に好意を懐いてくれていて、一方で桐乃を脅かす存在として敵意を懐いている。 しかし俺が桐乃を性的な目で見ているというのは、 あやせと桐乃の仲を取り持つための、いわば自分を犠牲にする嘘であり、 あやせはその嘘を看破していることを、言外に臭わせていた。 つまり、何が言いたいかと言うとだな。 桐乃がオタク趣味から足を洗うか、 あやせが桐乃のオタク趣味を完全に認めるまで、 俺が嫌われ役、あやせが桐乃の守護者役のスタンスは崩れない、ということである。 あやせの俺への好意が、桐乃との友情より優先されるほど、強いものかどうかも分からないしな。 例外があるとすれば――屋上であやせが設けたような、『記憶に残さない秘密の時間』くらいだろうよ。 次の再会を夢見ながら、いつしか俺は、本当の眠りに落ちていた。 あやせに腕を貸しながら駅に戻る道中を、 お化け屋敷を片付け中の赤城に、イベント帰りに花火だけ見に来た加奈子とブリジット、 普通に祭りを楽しみに来たゲー研一同および黒猫三姉妹および田村一家に、仕事の息抜きに来た御鏡と藤真社長、 果ては出会いを求めて彷徨っていたフェイトさんに目撃されていたことを、当然、知る由もなく……。 おしまい!