約 2,471,778 件
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/531.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308729425/ 「急ぎましょう」 既に俺たちを除く他の招待客は席に着いていて、炉から離れた末席とでも言うべき場所に、都合三人が座 れそうな場所が空いていた。 「お嬢様。お待ちしておりましたぞ」 保科さんが緋毛氈に座っている来客たちに近づいていくと、そのような声がそこかしこから聞こえてきた。 「いえ、お嬢様だなんて……。それに本日は未熟者のわたくしではなく、先生にお茶を点てていただきます ので、わたくしはこちらの方で目立たぬように控えさせていただきます」 いなし方も堂に入ったもんだ。一歩間違えれば嫌味になっちまうのに、保科さんが言うと、全然そうじゃ ないからな。 「しかし、本日は、おのこを連れてですかな。嬢様もすみには置けませぬなぁ」 招待客のうち、禿頭で暗褐色の地味な着物を着た、おそらくは喜寿ぐらいになりそうな老人が笑いながら、 そう言ってきた。 「和尚様、そのようなことを仰られると、檀家の皆様から、生臭ナントカと言われてしまいますよ」 「はははは……、これは参った。嬢様には敵いませぬなぁ」 和尚様と呼ばれた老人は、年に似つかわしくなさそうな張りのある声で、からからと笑っている。 この爺さん、俺と保科さんが出会った禅寺の住職か何かだろうか。 それにしても小柄で細身のくせに、よく通る声だな。少なくとも、ただ者じゃなさそうだ。 その爺さんと俺の視線が交錯した。彫りの深い面立ちに柔和そうな目だった。だが、その目が一瞬だけ、 かっと、見開かれ、俺をたじろがせた。俺が何者であるのか、その眼光をもって吟味したのだろうか。 だが、それだけだった。爺さんは、もう俺には目もくれず、俺の後ろに控えているあやせの方を向いている。 「おのこだけでなく、嬢様に勝るとも劣らない別嬪さんもお越しとは、愚僧、長生きはするもんですな」 「和尚様、それぐらいにしてください。いくら野点は格式張らないとは申しましても、和尚様の悪ふざけは 度を越しております」 「おお、嬢様の突っ込みはいつもこうじゃ。こわいこわい……」 保科さんと比較されるという微妙な褒め方だったからか、あやせが『何なのこの爺さん』と言いたげに、 「こわいこわい」と呟きながらも笑っている和尚を、半眼で睨んでいる。 実際、変なジジイだよな。さっき一瞬だけ、眼光が鋭いように感じたのも錯覚だったのもかも知れねぇ。 しかも、 「そこな青年、嬢様のような美しいめのこは、こんな風に怖いものじゃ。十分に気をつけられよ、嫁にする と、後々、尻に敷かれるでな」 うわぁ、保科さんに釘を刺されても全然堪えてねぇや、このジジイ。しかも、よりにもよって、保科さん みたいな人を俺の嫁にってのは何だよ。そんなことを考えただけで、我が身がどうなるか分かったもんじゃ ねぇ。 「……お兄さん……」 その最大の危険要素が、今、俺の傍らにいやがる。万が一にもあり得ないが、俺が保科さんと付き合いだ したら、俺はこいつに速攻でブチ殺されちまう。 「和尚様、これ以上、わたくしのお客様を困らせないでください。こちらの殿方は、わたくしの同級生であ る高坂京介さん、そしてそのお隣の可愛らしいお嬢さんは、高坂さんの妹さんの高坂あやせさんです」 「お嬢様のご学友でしたか……。そうすると、優秀な方なんですね」 和服姿の品のよさそうな老婦人がにこやかに頷きながら、そう言ってくれた。 優秀ね……。今の大学に合格できたのは、ほとんどまぐれと言ってよい。大学受験だけに限れば、運がよ かったというだけのことだ。それでも、 「ありがとうございます。今の大学に合格できて、この街で暮らせるのは、本当にありがたいことだと思い ます」 無難な言い回しでその老婦人には応えておいた。もうガキじゃねぇんだ。場をわきまえないといけない。 それに、俺とあやせ以外の招待客は、みんな目上の人ばかりだ。さっきのジジイみたいな変なのもいるが、 一応は長幼の序ってもんがあるからな。 「それでは、高坂さん、あやせさん。こうして立っていたのでは、野点を始められませんから、わたくし たちも座りましょう」 保科さんに促されて、俺とあやせは、先ほど茶室で保科さんに教えてもらった通りの席順で、緋毛氈の上 に正座した。つまり、茶釜のある方、上手とでも言うのだろうか、そちら側から保科さん、俺、あやせの順だ。 『意外にクッションはあるんだな』 座布団なしってのを覚悟していたが、それほどひどいものではなかった。どうやら、緋毛氈の下に砂か何 かが敷いてあるらしい。 保科さんや俺たちが正座すると、それが野点開始の合図であったかのように、一番上手の釜の前に座って いた、おそらくは保科さんが言うお茶の先生らしき初老の男性が深々と一礼した。 それに応えて、保科さんも招待客たちもお辞儀をしている。俺もあやせも、ワンテンポずれたような感じ は否めなかったが、どうにか礼をした。 「始まりました。もし、足が痺れたようなら、遠慮なさらずに、わたくしにお知らせください」 保科さんが、あやせにも聞こえないように、そっと耳打ちした。 本当に気配りの人だなぁ。保科さんの温情はありがたいが、そうした特別扱いは俺にとっては恥だ。 保科さんには悪いが、保科さんの善意をあてにせず、何とかこの野点を最後まで乗り切ってやる。 覚悟とか決意とかがあれば、どうにかなるもんだ。 「お菓子が配られますから、懐紙を出して、それでお菓子を受け取ってください」 和服を着た二十代後半くらいの年頃の女性が、野点の客の各々に角ばった白い菓子を配っていた。女性は、 保科家のメイドさんというか、お手伝いさんのようだ。菓子は、おそらく落雁だろう。 菓子を配る女性が俺とあやせの前にも来た。保科さんに言われ、ついさっき彼女がやったように、懐紙を 掌の上で広げて持ち、そこに菓子を置いてもらった。 「……お兄さん。何ですか、このお菓子は……」 あやせが出された菓子を怪訝そうに見詰めている。 「落雁だよ。蒸して乾燥させた米を粉にして、それに水飴や砂糖を加えて固めたもんだ」 「高坂さん、よくご存知ですね」 「いえ、たまたま知っていただけですよ」 あやせが「へぇ〜」と応答する前に、間髪いれず保科さんが突っ込んできた。麻奈実の実家でも作って いたから知っていただけなんだよな。これで、保科さんの俺への心証はア〜ップ! 保科さんは俺とは住む 世界が全く違う人だが、それでも心証は悪くなるよりよくなった方がいいからな。 しかし、出鼻をくじかれたあやせは、これで保科さんへの敵意を一段と増したに違いない。恐る恐る横目 で伺うと、眉をひそめて俺を睨んでいやがった! どうやら、保科さんとは正面切って戦うことはできそうもないから、腹いせも兼ねて、まずは俺を叩こう ということか。 「先生のお点前を見てください」 あやせの怒気にビビリ気味だった俺は、保科さんに言われて、視線を上席の方に向けた。 野点とはいえ、茶事に出られるのは、俺の人生でこれが最初で最後かも知れねぇからな。所作とか作法 とかは皆目分からないが、どういうものだったかを後々まで思い出にできるようにしておきたい。 釜の前では、茶の湯の先生が、茶碗の中で茶筅を振るっていた。 上体がぶれず、あたかも茶筅だけが動いているような安定感が、無知な俺にも分かった。 シンプルな動作だが、こうした域に達するのは、相当な修練を積まねばならないのだろう。 茶事の客は、俺とあやせと保科さんを含めて八人だったから、茶碗もかなり大ぶりな感じだ。その茶碗が 一番目の客、つまりは一番の上席に座っている客に手渡された。 その客は、彫りの深い品格ある面立ちの初老の男性だが、どっかで見たような感じがした。 『大学の学長じゃねぇし……、教授でもねぇし……。誰だったかな?』 俺がこの街で見かけた品格がありそうな初老の男性っていうと、大学の先生ぐらいしかねぇからなぁ。 しかし、そうじゃないとなると、誰なんだ。 「今、茶碗を受け取られたのは、この街の市長さんですよ」 俺の気持ちを見透かしたかのように、保科さんがそっと教えてくれた。 そうだよな、保科家が、この地方屈指の名家であることを忘れてたぜ。 それに、当意即妙な保科さんにも驚きだ。ド天然かと思っていたが、あやせ同様に無駄に勘が鋭いみたい だな。 そう思った瞬間、あやせが、じろりと睨んできた。 「……お兄さん。なにげに失礼なことを考えていませんでしたか?」 「気のせいだ……。それよりも、この茶事の進行をしっかり見ておいた方がよくないか?」 これだからな。勘の鋭い奴ってのは油断できねぇ。 時折、あやせの奴は、テレパシーか何かで俺の心を読んでいるんじゃねぇかって思いたくなる。 こいつの前での下手な企みごとは、墓穴を掘るだけだな。 「お二人とも、お客様からお客様への茶碗の受け渡しをよく見ておいてください」 茶道の心得が皆無の俺とあやせは、他の招待客の所作を真似るのが手っ取り早い。 俺は、この街の市長であるという初老の男性の振る舞いに注目した。 その初老の男性は既に茶を飲んだ後で、茶碗に口をつけた部分を懐紙で拭い、茶碗を掌の上でちょっと だけ回した。次の客に自分の口が触れた場所をあてがわないためのものらしい。 その茶碗は、市長の夫人らしい初老の女性に手渡された。二人は一言も言葉を交わさずに、茶碗を受け渡 し、初老の男性と女性は、軽く頷き合うかのように礼をした。 控え目な動作の中に、空気そのものを重く高密度にするような緊張があり、何も分かってない若造の俺も 背筋を伸ばし、居住まいを改めた。 茶の湯って、やっぱすげぇな。 怠惰な俺の日常とは正反対の世界だぜ。 その女性は、ゆったりとした自然な動作で茶碗を傾けて濃い目に点てられているであろう茶を一服すると、 先ほどの男性と同じように、懐紙で茶碗を拭い、その茶碗を掌の上で少しだけ回していた。 後は、その繰り返しだった。どうすればいいのか、俺にも分かった。多分、あやせも分かっているだろう。 要は、相手に敬意を抱いて茶碗を受け取り、又は受け渡す。受け取った茶碗の茶は、後の人のことを慮っ て、一口だけ味わう。飲み終えたら、自分の唇が触れた箇所は懐紙で綺麗にして、その部分が相手の手元に 来ないように、茶碗を心持ち回すということだ。 『何てことはないはずなんだが……』 この重い緊張に包まれた中、自然な振る舞いができるだろうか。俺は少々心許ない。 ふと見れば、あやせの奴も表情を強張らせている。モデルの仕事で、ステージとかに上がるのは場慣れし ているんじゃないかと思うが、茶事はそれ以上に緊張するものらしい。 茶碗はその女性から、先ほど俺と保科さんを揶揄したどっかの寺の住職に手渡された。その住職も、先ほ どの剽軽な振る舞いなどは微塵も感じられない引き締まった表情で茶碗を受け取り、その茶碗から一口、茶 を味わっている。 「大丈夫ですよ……。雰囲気は厳かですけど、いつもの高坂さんらしく、自然体で振る舞ってくださいな」 俺の緊張感が最大値に達しそうなのが分かるらしい。もう、座布団なしで緋毛氈の上に座っていることも 気にならなかった。 ただただ、ぴーんと張り詰めた空気の中に俺が居て、その空気の中でつつがなく所作を行う、それだけで 頭が一杯だ。 どれくらいの時間が経ったのか、茶碗が保科さんのところまで回ってきた。 保科さんは優雅な振る舞いで茶碗のお茶を一服すると、招待客と同様の手順を踏んで、俺に茶碗を渡して くれた。 「リラックスしていいんですよ……」 か細い、囁くような声で、保科さんが俺を励ました。その励ましがあったからってわけじゃねぇが、俺も どうにか無難に所作をこなせたらしい。 俺は、最後に控えているあやせのために、ほんの一口だけ茶を残し、これも保科さんがそうやったように 茶碗を拭ってあやせに手渡した。 「……お兄さん……」 あやせは何かを言いかけたが、それだけだった。場の雰囲気からして私語は慎むべきと思ったのかも知れ ない。 そのあやせも、俺同様ガチガチに緊張しているようだったが、無難に所作をこなし、茶を飲み終えた。 「結構なお手前で」 そんな声が、どこからか聞こえてきた。 その声で、俺は、緊張感に満ちた茶事の核心部が滞りなく進行したらしいことを感じ取った。 だが……、緊張が解けたら、足の痺れが一気にきやがった。 「高坂さん、大丈夫ですか?」 傍目にもヤバイ状況なんだろうな。 さっきまでは全然気にならなかったのに、今は膝から下が石みたいにコチコチで、全然感覚がねぇ。 砂の上に緋毛氈が敷いてあったから意外にクッションがある感じだったが、その砂に膝頭が妙にめり込ん で、かえって脚の血行を損ねたらしい。 何よりも、保科さんに指摘された細身のズボンが仇になった。 「もう少しの辛抱ですから……」 茶事はもう終わり、招待客たちは保科邸の中庭をめでながら四方山話をしている。 その話題も、市の行政のこととか、寺での行事のこととか、聖俗ごちゃまぜでとりとめがない。 取り敢えずは、俺にもあやせにも関係のない話題だから、もっぱら聞き役に徹することにした。というか、 全然話題についていけないし、何よりも足の具合が相当にヤバくて、じっと黙っているしかなかった。 「お兄さん……、お菓子でも食べれば、少しは気が紛れるんじゃ……」 「……そうだな、未だ落雁を食べていない」 俺の状態が洒落にならないくらい宜しくないことが、あやせにも分かったようだ。 そういや、こいつがこんな気遣いを見せるのは、これが初めてかも知れねぇな。 そんなことを思いつつ、俺は懐紙で包んでおいた落雁を一口かじった。嫌味のないまったりとした甘さが あって、今まで食べたどの落雁よりも、つまりは麻奈実の実家である田村屋のものよりも旨い。 どうやら、普通の白砂糖ではなく、和三盆あたりの超高級なものを使っているようだ。 「この落雁、結構美味しいものなんですね」 普段のあやせだったら、もはや宿敵の一人であろう保科さんを前にして、こんなことは言わなかっただろ う。一応は、俺の気を紛らわせようということか。 「甘さが上品なのに加えて、粉っぽい感じがしない。相当な高級品だな」 俺もあやせに相槌を打った。 実際、あやせと何かしらの会話があると、束の間だが、石の様になっちまった自分の足のことを忘れられる。 そのあやせは、ちょっと保科さんの方を窺っていた。 そして、今は彼女が招待客たちとの談笑に気を取られていることを確認すると、俺の耳元で囁いた。 「来てよかったですか……」 「……今はピンチだが、こうした茶事に出られるのは、一生のうちでそうそうないだろう。だから、来てよ かった……」 「そうですね……。わたしも、ちょっとだけそんな風に思いました」 「……そうか、それなら救いがある……」 空はうす曇で、暑くなく寒くなく、絶好の野点日和だった。 気をしっかり保つために、俺は中庭の枯山水をじっと見た。実のところは、高さが子供の背丈にも満たな い庭石がいくつかと、その庭石の間に白砂が敷かれているだけなのだが、箒目で水の流れを表現した白砂を 凝視していると、本当にそこに水流があるような気がしてきた。 「でも、お兄さん。顔色が……」 「何、大丈夫だ」 あやせにそう言われるとは、本当に状態が悪いんだな。 枯山水を本物の水流と感じたのも、苦痛で錯乱しかけているためなのかも知れない。 そろそろ、この野点が終わってくれないと、足どころか、頭もどうにかなってしまいそうだ。 「では、名残惜しいですけど、そろそろお開きに致しましょうか」 唐突に響いた保科さんのその声で、俺は心底助かったと思った。 時計を見ると、午後四時きっかりだ。招待状に書いてあった通りの時間で野点を終えたらしい。 保科さんも俺の具合がかなり悪いことは知っているが、接待する側の手前、他の招待客を無視して野点を 早めに切り上げるなんてのはできないからな。 「母屋の一室にお酒と簡単なお料理を用意しております。宜しければ、そちらで暫しおくつろぎください」 先ほど落雁を配ってくれた女性がそう言って招待客たちを母屋へと案内している。 まず、お茶の先生が先に立ち、続いて市長、市長の夫人、坊さんといった具合に、各々が席を立って母屋 の一室とやらへ向かっていった。 後に残るは、保科さんと俺とあやせだけだ。 「高坂さん、もう脚を伸ばしても大丈夫ですよ」 そう言われても、感覚が失せた俺の下肢は、膝から下が石みたいだ。俺は、いざるように身じろぎして、 足の痺れをごまかそうとした。 「お兄さん、何を貧乏ゆすりしているんですか!」 我ながら相当にみっともないことは自覚しているが、こんな風にしか動けないんだからどうしようもない。 それでも俺は、どうにかして立ち上がろうと、恐る恐る腰を浮かせた。 その瞬間、痺れを通り越した激痛が膝下からつま先まで襲ってきて、俺は堪えるために目をつぶった。 「もう〜、じれったい!」 そんな状況で、あやせが俺の背中を両掌でどやしつけたからたまらない。 「バカ! いきなり何しやがる」 俺はバランスを崩し、つんのめった。 「!!!!!」 いきなり、ぐにょんとした弾力を顔面に感じ、ほんのりとした香りが俺の鼻腔をくすぐった。 驚いて目を開けると、鴇色の着物と白い襦袢の重なりがあって、その隙間からは白い柔肌が……。 「あぅ! こ、高坂さん、い、いけませんわ、こんなことなんて……」 ちょっと上ずった感じの保科さんの声が、すぐ上から聞こえてきた。 あろうことか、あやせに背中を突き飛ばされた俺は、保科さんの胸元に顔面をダイブさせていたのだ。 「う、うわぁ! す、すいません」 慌てて俺は保科さんの身体から離れようとした。だが、悲しいかな、膝から下の感覚が定かでない状態で は、立つことすらおぼつかず、俺の頭は、そのままずるずると保科さんの胸元から腹部をなぞるように落ち ていき、ついには彼女の太腿の上へと滑り落ちてしまった。 「な、な、な、何をやってるんですかぁ〜〜〜〜〜〜〜!!」 背中越しにあやせの罵声が聞こえる。 俺はというと、顔面を保科さんの股間の辺りにめり込ませるようにして、もがいていた。 もがきながらも、『この鴇色の振袖と襦袢の下には、お嬢様の秘密の花園がある。お、思わず匂いを ……』とか一瞬思ってしまうのだから、我ながら浅ましい。だが、そんな場合じゃねぇよな。 「あ、あやせぇ、な、何とかしてくれぇ!」 自分の脚が言うことを聞いてくれない俺は、恥も外聞もなく、自称俺の妹様に助けを求めた。 「もぅ、ふざけないでください。お兄さんは変態だから、わざとそんなことをしてるんでしょ?!」 「バカ、こうなったのは、お前が突き飛ばしたからだろうが! それに本当に脚が動かないんだよ! だから、早く何とかしてくれぇ!!」 保科さんに対して、故意にこんな狼藉を働けるわけがない。 彼女は、俺たちとは住む世界が違う、アンタッチャブルな存在なんだからな。 「本当に、もう、バカで変態で、世話が焼けるんだから……」 襟首がぐいとばかりに引っ掴まれた。 いてぇ! あやせの奴、どさくさ紛れに俺のうなじに爪を立てやがった。腹は立つけど、この状況から 脱するのが先決だからしょうがない。 だが、あやせの奴は、俺の襟首を引っ掴んではいるものの、いっこうに持ち上げようとしないじゃないか。 何事かと思い、横目でそっと窺うと、俺の襟首を掴んでいるあやせの手には、保科さんの手が添えられて いた。 「あやせさん、そのように乱暴なのはいけません」 「で、でも、これは兄がわたしにそうしろと命じたから、その通りにしているだけです。何よりも、 このまま兄の失礼な振る舞いをほっとくわけにもいきませんから」 「そうかも知れませんが、高坂さんは足にかなりのダメージを負っています。無理に動かすのは宜しくあり ません。ですから、このまま、わたくしの膝枕でゆっくり休んでいただくことに致しましょう」 「で、でも、それじゃ、保科さんにご迷惑がかかります。それに、これ以上、兄を甘やかすのは問題です。 兄は変態ですから、保科さんに膝枕をしてもらっている間に、エ、エッチなことを考えるし、も、もしかし たら、保科さんによからぬことをするかも知れません」 毎度のことだけど、ひでぇ言われようだな。少しでも俺に対する保科さんの印象を悪くしようって魂胆か。 今となっては、これ以下ってのはないぐらい、落ちるところまで落ちた感じだけどな。 だが、さすがはド天然恐るべし。 「ほほほほ……、よいではありませんか。それでこそ殿方でしょう? それにわたくし自身が、高坂さんに 膝枕をしてあげたいのです。それなら何も問題はありません」 「そ、そのようなことをしていただく謂れはありません!」 「あやせさんにはなくても、わたくしにはあります。何よりも、高坂さんは足の痺れがひどくて、動けない のですから、今しばらく、楽な姿勢で休ませてあげなくてはいけません」 「で、でも……」 やんわりとした口調だったが、あの強情なあやせが押し黙った。 俺にも分かるが、保科さんの笑顔には、抗いがたい何かがあるんだよな。 「高坂さん……。宜しければわたくしの膝枕で暫しお休みください。でも、まずは、そのままお顔をちょっ と、右に向けていただきますか? そのままだと、わたくしもちょっと恥ずかしいです」 そういえば、俺って、保科さんの股間の辺りに顔面を埋めたままだったんだよな。なんてぇ醜態だろうね。 俺は腕立て伏せをするようにして上体を持ち上げ、寝返りを打つようにして、うつ伏せから仰向けになった。 「取り敢えず、仰向けになりました。でも、これ以上、足が思うようには動いてくれません……」 仰向けになった俺の後頭部は、保科さんの股間辺りにめり込んでいる。顔面がめり込んでいるよりもマシ だが、依然として芳しい状況ではない。 だから、保科さんが横にずれて、俺の頭を大腿部に乗せるようにして欲しかった。だが、保科さんは艶然 として、俺を見詰めていた。 「このままで宜しいではありませんか。こうした方が、高坂さんのお顔がよく見えます。それに、 わたくしも……」 そう言いかけて、保科さんは、白魚のような指を俺の額に伸ばし、浮き出ていた脂汗を拭うように撫で回 した。 「あ、あの……」 「こうして、高坂さんのお世話をさせていただけるのは、正直うれしゅうございます」 憂いを帯びた瞳が、俺をじっと見守っていた。その眼差しは、あくまでも優しく、柔和だった。 「保科さん……」 「高坂さんは、このまま楽にしていてください。何も考えず、何も思い悩まず、ただただ、緊張を解いて、 わたくしに御身を委ねてくださればよいのです」 「は、はい……?」 そう言われても、襦袢と振袖の着物越しに、保科さんの温もりが伝わってくるじゃねぇか。しかも、その 温もりって、保科さんのオマタと太腿からのものなんだぜ。こ、これはヤバイ……。 「……お兄さん……」 自称俺の妹様が、保科さんに身を任せている俺を、恐ろしい形相で睨んでいた。そんな剣呑な状況だって のに、俺の股間のハイパー兵器は、保科さんからの温もりを受けて、ムクムクと怒張していく。 その様は、あやせは勿論、保科さんからも丸見えだった。 「ま、まぁ!」 保科さんが、頬を朱に染めて、驚いている。 済みませんねぇ。おいらのハイパー兵器は、往々にして制御不能なんすよ。 「それ見たことですか! あ、兄はこのように変態なんです。その兄に膝枕だなんて、じょ、常軌を逸して います」 しかし、保科さんは、頬をうっすらと朱に染めていたものの、泰然としたものだ。 「よいではありませんか。殿方とは、このようであると、わたくしも伺っております。それに、高坂さんが、 わたくしを女として意識されて、かようなことになったとすれば、女冥利に尽きると申しますか、むしろ 光栄です……」 「ほ、保科さん……」 仰天発言だった。てっきり俺を変態扱いするのかと思ったが、『女冥利に尽きる』とか、『光栄』とか、 エロ過ぎて、ヤバ過ぎる。 そして、別の意味でヤバイのが俺の傍らに居た。 「う、ううううっ〜〜〜〜〜〜〜」 自称俺の妹様が、目を吊り上げて、猛獣のように唸っている。もう、完全に怒り心頭。 あやせからは、俺や保科さんへの怒りや敵意が、致死線量のガンマ線の如く放射されていた。 「あら、あやせさん……。どうかなさいましたか?」 ド天然の保科さんは、磊落というか呑気なものだ。 怒りで歪んだ面相を、ゆでだこのように真っ赤にさせているあやせにも、艶然とした笑みを向けている。 「あら、じゃありません! あ、兄が、こ、このような醜態を晒し続けるのは、妹として、が、我慢できま せん。も、もう、膝枕はやめてください!!」 そう言い放ったあやせの目が潤んでいた。こいつ、涙目で怒ってやがる。 「困りましたねぇ……。高坂さんは未だ動けるような状態ではなさそうですし……」 「あ、兄は、保科さんに甘えているだけです。これ以上、兄を甘やかされては、妹として保科さんに申し訳 ありませんし、あ、兄のためにもなりません」 「では、あやせさんは、高坂さんをどのようにすれば宜しいのですか?」 「そ、それは……。わ、わたしが……」 あやせは、何かを言いかけたが、それを打ち消すように、瞑目して首を左右にブンブンと振った。 「……?」 保科さんが、そんなあやせの反応を、笑顔ながら、小首を微かに傾げて怪訝そうに窺っている。 「と、とにかく、変態な兄に、保科さんの膝枕なんてのは、過分です。横になるのであれば、緋毛氈の上に でも転がしておけばいいでしょう。がさつな兄は、そんな扱いで十分です」 ひでぇ……。何なんだよ、この粗大ゴミ一歩手前の扱われ方は……。 「あやせさん……。足を痛めている高坂さんを、そのように扱ってはいけません。今の高坂さんに必要なの は、いたわりと癒しです。あやせさんが高坂さんを緋毛氈の上に転がしておけばいいなんて思っているので あれば、なおのこと、わたくしは高坂さんに膝枕をさせていただきます」 「うっ……」 気丈なあやせが、餅を喉に詰まらせた時のように、苦しげに言葉を詰まらせた。 言葉遣いこそ丁寧だったが、保科さんには有無をも言わせぬような威圧感がみなぎっていたからな。 「もっと素直になられたらいかがです? 高坂さんに対するあやせさんの刺々しい振る舞いは、あやせさん が何か意固地になっているせいだと思われます」 「そ、そんなことは、ありません!!」 「そうですか。そう仰せであれば、わたくしも、このまま暫し、高坂さんに膝枕をさせていただきます。 自分の気持ちに正直ではない人に、高坂さんを委ねるわけには参りません」 恐る恐る、上目遣いで窺うと、保科さんは、相変わらず笑顔ではあったが、大きな瞳であやせの白い面相 を凝視している。 あやせも、その保科さんからの視線を真正面から受け止めるかのように、鬼女顔負けの物凄い形相で睨み 返していた。 「あ、あの……」 息苦しさに耐えかねて、俺は言葉を紡ぎかけたが、保科さんは俺の口元に白魚のような指をあてがい、 そっと撫で回した。 『高坂さんは、口出し無用です』ということなんだろう。 だが、保科さんの一連の行為は、対峙しているあやせにも丸見えだった。 「な、何をしているんですかぁ!! ほ、保科さんが、これ以上、兄をいいように扱うのを黙って見ている ことはできません」 いきり立ったあやせの絶叫が、中庭に響き渡った。その声で、何事か? とばかりに、様子を窺う人影が 母屋に認められた。 それも、さっきの生臭坊主じゃねぇか! 「お、おい、みっともないから、そんな大きな声で喚くんじゃない」 「お兄さんは、黙っていてください!」 うわ、だめだ。こうなると、あやせの暴走は止まらない。 保科さんも保科さんだ。何でこんなにも意地を張るんだろう。 二人の諍いが丸く治まるのなら、俺は緋毛氈どころか、地べたに転がされてもいい。 だが、そんな風に自虐的なことを思っていたのがいけなかったのだろうか。 あやせは、なおも保科さんと睨み合っていたが、やにわに俺の右足首を掴んできた。 「うわっ! い、痛いじゃないか」 血の巡りが戻りつつある箇所を思い切り握られたんだから、たまったもんじゃない。電撃にも似た激痛に、 俺は身を捩じらせた。 「あやせさん! ダメージを受けている高坂さんの足を掴むなんて、非常識過ぎます」 淑やかな保科さんも、堪りかねたのか、声を荒げた。 その声で、あやせは、はっとしたように驚いて、そろそろと、俺の足から手を離した。 「い、今のは、兄に対して、申し訳ありませんでした。つい、感情的になって、考えなしに……」 「そうですか……。気持ちが昂ぶって見境がなくなるのは宜しくありませんが、それは誰にでもあり得る ことでしょう。もしかしたら、わたくしにだってあるかも知れません……」 これが大人の余裕ってやつなのか。ガキ丸出しのあやせとは大違いだ。 だが、ガキ丸出しになったことで、あやせは開き直っちまったらしい。 鼻息荒く保科さんを睨みつけ、あろうことか、保科さんの顔に人差し指を突きつけた。 「見境がなくなったという御指摘は、正直不愉快です。でも、これでわたしも吹っ切れました。兄を返して ください。兄はわたしのものです! あなたになんか絶対に渡しません!!」 うひゃあ! 俺って、あやせの所有物なのか? もう、下宿近くの神社で強引にキスされたのが、年貢の納め時だったらしい。 しかし、妹であるはずのあやせが、『兄はわたしのもの』なんて言うのを保科さんが聞いたらどう思うだ ろうか。 あやせのことを度し難いブラザーコンプレックスの持ち主と思うか、それとも……。 「………………」 その保科さんは、能面のような硬い表情で、あやせと向き合っていた。こんな表情の保科さんは、初めて だな。 今まで以上に気詰まりな雰囲気が、保科邸の中庭に充満していた。 もう、だめだ……。俺はいざってでも、この場を逃れたくなった。しかし、痺れが失せず、満足に動き そうもない自分の両足がうらめしい。 「…………そうですか……」 気詰まりな沈黙は、ため息交じりの保科さんの一言で打ち破られた。 「何が、そうですか、なんですか?!」 相変わらず般若のように面相を歪めているあやせと違って、保科さんは、いつもの落ち着いた表情を取り 戻していた。 「高坂さんの肉親であるあやせさんが、高坂さんをいとおしく想っておられるのであれば、今は他人である わたくしの出る幕ではありません。高坂さんはお返し致します」 「だったら、早く兄を返してください!」 あやせは、保科さんに一歩近づき、彼女の前に立った。握り締めた両の拳が、ぶるぶると震えている。 これじゃ、仁王立ちして武者震いをしている巴御前か何かだぜ。 「まずは、落ち着いてください。高坂さんはあやせさんに委ねますが、緋毛氈に転がすような粗略な扱いは 絶対にやめていただきたいと思います。その点は、宜しいですね?」 「も、もちろん、そ、そんなことはしません!!」 「では、まずは、わたくしのすぐ隣にお座りください。そうして、わたくしの膝の上から、あやせさんの膝 の上に、高坂さんを移します」 あやせは、渋々といった感じで、保科さんの右隣に座った。 「こ、これでいいでしょうか?」 苦手な保科さんに必要以上に接近したくないのか、保科さんとの間には握り拳分だけの隙間があり、なお かつ、あやせは上体を右に反らせて硬直している。 「もっと、わたくしにぴったりとくっつくようにしてください。そうでないと、高坂さんをあやせさんの膝の上に移せません」 「い、いや、お、俺が動きますよ……」 足は未だに不自由だったが、上体を起こすことはできる。それに、保科さんに近づきたくないあやせの ことを、多少は慮ってやらないとな。あやせがヒスを起こすのを、もう見たくねぇ。 「無理はなさらないでくださいね……」 起き上がった俺の上体を、保科さんは両手で支え、右脇に控えているあやせの膝上に誘導した。 「あ、そ、そこは……」 保科さんの股間の上に代わって、あやせの股間の上へ、俺の後頭部は納まった。 「わたくしと同じように、高坂さんを膝枕で休ませてあげてください」 「で、でも、膝枕って、こんなんじゃなくて、お兄さんの頭が、わ、わたしの膝に対して、よ、横向きに なるんじゃないんですか?!」 頬を染めているあやせに、保科さんは艶然と微笑んでいる。 「この方が、高坂さんの頭が安定します。それに、先ほどまで、わたくしもこの体勢で高坂さんを支えて いたのです。わたくしにできたことは、あやせさんもおできになるはずですよね?」 「……は、はい……」 声を震わせながら微かに頷いたあやせを認めてから、保科さんは、やおら立ち上がった。 「ほ、保科さん。どちらに?」 俺の問い掛けに、保科さんは、一瞬だが、笑みが失せた憂いに満ちた表情を覗かせたような気がした。 「ちょっと、母屋の方へ参ります。他のお客様のお世話をしなければなりませんから。今回は、和尚様の ような、個性のある方がお出でなので、それなりの注意が必要です」 母屋から、例の生臭坊主がこっちの様子を窺っていたことを、やはり御存知だったらしい。 ド天然でも、女ってのは本当に勘が鋭いよな。 それに、『それなりの注意が必要』ってことは、あの坊主に釘でも刺しておくのかも知れねぇ。 「では、わたくしは、暫しここを離れます。では、あやせさん、高坂さんのことを宜しくお願い致します」 それだけ言い添えると、保科さんは、舞うような足取りで、母屋へと向かって行った。 これで中庭には、俺とあやせの二人きりだ。 俺は、頭の座りを正すつもりで、首をちょっとだけ左右に振ってみた。 「あ、あうっ……。う、動かないでください……。そ、そこは……、だ、だめですぅ」 「あ、あやせっ!?」 俺の頭は、あやせの股座をぴったりと塞ぐように置かれていることを思い出した。 「お、お兄さんの、あ、頭が、……に当たっているんです……」 切なそうな声を上げて、あやせが身悶えていた。 いつもなら、『ブチ殺します』とか何とか言っている口が、妙に艶っぽいことを吐き出していやがる。 でも、俺も興奮ものだよな。布地越しとは言え、俺の脳天はあやせの恥骨のちょっと上辺りを押さえてい て、後頭部は、あやせの秘密の花園に、ずっぽし埋まっているんだぜ。 そんなことを考えていると、股間のハイパー兵器にエネルギーがチャージされ続けちまうんだがな。 俺とは別の生き物のように、むくむくと持ち上がるそれをごまかそうと、俺は未だに痺れが失せない足を だましだまし動かして両膝を持ち上げ、できるだけ内股になった。だが、 「……お兄さん。また、おっきくなってるじゃないですか。この、変態……」 自称俺の妹様の目は欺けなかった。 「し、しかたないだろ。こんな体勢で……」 そう言うあやせだって、目を潤ませて、自分の胸元を揉むように押さえているじゃねぇか。 布地越しには秘密の花園、そして、妙にエロいあやせの表情やしぐさを見せつけられたんじゃ、ペニスを 大きくするなってのが酷な話だ。 それに、俺にも言い分はある。 「変態とか何とか、俺を罵っていながら、お前だって、いやらしいことを考えているんだろ? 態度で丸分 かりだぞ」 途端に、俺を見下ろしているあやせの表情が、『心外です!』と言わんばかりに険しくなった。 「お兄さんがそうだから、わたしも同様だと思うのは、それこそ失礼じゃありませんか!」 「でもよ、お前って、さっきから、俺のズボンの膨らみをガン見して……、うぉ! い、いてぇじゃねぇか!」 言い終わらないうちに、俺は脇腹を思いっきりつねられた。 「ガン見なんかしてません! いやでも目に入っちゃうから、困るんです」 「じゃぁ、目をつぶってろよ」 「いやです。私が目をつぶっている隙に、変態なお兄さんは、わ、わたしに、よ、よからぬことをするに 違いありません。ええ、きっとそうです」 俺は、呆れて思わずため息を吐いた。 「じゃ、どうしようもないじゃねぇか……」 「そうですね……。でも……」 ふと、あやせは、俺から視線を外し、顎を上げた。あやせの喉元が、初夏の淡い光を受けて白く輝いている。 「何やってんだ? お前……」 「空とお屋敷の後ろにある森を見ているんです。雲の切れ間から射し込む光が、森の緑を際立たせていますね」 そう言われて、俺も目線を空に向けてみた。 「ほんとだ。薄雲の一部が切れて、そこから日の光が射し込んでやがる」 夕方近くになって、いくぶん赤みを帯びた日の光が、灰色の雲の隙間から光の筋となって降り注いでいた。 どっかで見たような構図だな、と思ったら、先週、黒猫や沙織と一緒にお茶を飲んだホテルの天井にあっ たフレスコ画に似ている。 「あらためて見ると、お屋敷の背後にある森も結構な規模ですね」 「そうだな。保科さんの屋敷以外に人工的なものは全然ない」 こんな光景、千葉市内には絶対にないだろう。 この森も保科家の私有地で、そのために乱開発を免れてきたに違いない。 「……綺麗ですね。なんてことはない雑木林なのに」 「新緑っていう時期はちょっと過ぎちまったみたいだが、それでも十分に美しいな。きっと、秋になったら、 紅葉が見事だろう」 こんな自然に囲まれて、保科さんは生まれ育ってきたんだな。 せせこましい街中で暮らしてきた俺やあやせとは、価値観やものの捉え方が違うのは当然のことなんだ。 「でも、もう、ここを訪れることはないでしょう……。少なくともわたしは……」 「そりゃそうだ。今回、俺たちがここに呼ばれたのは、何かの間違いなんだよ」 「そうでしょうか? 保科さんは、お兄さんに興味があるから、わたしたちを招待したんです。あの人は、 本当に油断がならない女です」 保科さんを、俺にちょっかいを出す“悪い虫”と決めつけてやがる。 常識的には、保科さんのようなお嬢様が、俺のようなどこの馬の骨とも知れない野郎を相手にするとは思 えないんだがな。それに……、 「さっき俺は保科さんの胸に顔面ダイブして、あまっさえ、彼女の股間に顔を突っ込んだんだぜ。こんな 無礼なことをやっちまったんじゃ、もうお仕舞いだろうさ……」 「……本当にお兄さんって、真性のバカですか?」 「また、バカ扱いか……」 「わたしは、その時の彼女の様子を一部始終見てましたけど、お兄さんがやったことは、彼女にとって “ご褒美”って感じでした」 「嘘だろ……。あり得ねぇ」 「保科さんの胸元と股座に顔を突っ込んでいたお兄さんには、その時の様子は全然見えていなかったじゃ ないですか」 「だが、彼女にとって“ご褒美”ってのは嘘くさい。お前が見た保科さんの様子はどうだったんだよ」 空を見上げていたあやせが、膨れっ面で、俺の顔を睨みつけてきた。 「……それをわたしに言えと?」 虹彩が失せた冷たい瞳が、俺を見下ろしていた。 「あ、ああ、いや、話したくないなら、別段無理に話さなくてもいいからさ、と、とにかく、落ち着こうぜ」 あやせたん、マジこぇ〜。 「……そうですね。わたしは、あの女のことを考えただけでムカムカするんです。その辺は、お兄さんも察 してください」 「……そ、そうだな……」 こりゃ、あやせと保科さんが和解するってことは絶対になさそうだな。保科さんにあやせに対する敵意は 窺えないが、あやせときたら、保科さんを親の仇ばりに嫌悪してやがる。
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/42.html
掲載順SS一覧 ※投稿の第一レス番を基準にソートしています。 1スレ目 無題:1スレ目2 京介×黒猫 【桐乃嫉妬】(桐乃「え?嘘でしょ?」) 無題:1スレ目34 京介×黒猫 【黒猫とデート&看病】 無題:1スレ目62 京介×黒猫 【お兄さんの彼女、あやせ嫉妬】 無題:1スレ目89 京介×麻奈実 【田村家へクリスマスのお泊り】 (これに続く) 無題:1スレ目130 京介×黒猫 【俺の彼女はこんなに可愛い、瀬菜の反応】 無題:1スレ目141/小ネタ 俺×京介 無題:1スレ目160 京介×あやせ 【俺の彼女は妹の友人】(七夕デート→エロ展開) 無題:1スレ目196 京介×あやせ 【告白、両想い】 無題:1スレ目235/小ネタ 京介×あやせ 【告白】 無題:1スレ目241 京介×加奈子 【マネージャー】 無題:1スレ目257 京介×あやせ 【仲直り、泣きデレ】 無題:1スレ目306 京介×桐乃 【「いい兄さん」の日】 無題:1スレ目376 京介×黒猫 【コスプレ先輩】 無題:1スレ目422 京介×沙織 【アニメ上映会】(未完成) 2スレ目 無題:2スレ目5 京介×瀬菜 【プレゼント選び】(友達の妹) 無題:2スレ目46 京介×桐乃×黒猫×沙織 【これがハーレムルート】(ウィスキーボンボン) 無題:2スレ目75 京介×桐乃×あやせ 【カミングアウト】 無題:2スレ目157 京介×あやせ×麻奈実 【恋のライバル】(3人デート) 無題:2スレ目188 京介×あやせ 【マジで修羅場る5秒前】 無題:2スレ目224 京介×あやせ 【クリスマスイブの追跡】 無題:2スレ目278 京介×桐乃 【事故、眠ったままの兄貴】 無題:2スレ目309 京介×あやせ 【桐乃のお兄さんがこんなに優しいわけがない、取引】 無題:2スレ目410 京介×沙織 【自慢の彼女、偽装彼女】 無題:2スレ目449 京介×桐乃×黒猫 ※鬱展開注意 無題:2スレ目593 京介×麻奈実・桐乃・黒猫 【続・クリスマスのお泊り、尾行】 (これの続き) 無題:2スレ目628 京介×あやせ 【メリット、コスプレあやせ】 無題:2スレ目707 京介×桐乃 【ヤンデレ桐乃】 無題:2スレ目748 京介×麻奈実 【クリスマスはずっと一緒に、少し早めのクリスマス】 無題:2スレ目790 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【バレンタイン】 無題:2スレ目825 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【バレンタイン】(上の続き) 無題:2スレ目839 京介×加奈子 【ヨーグルト】 無題:2スレ目899 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【闇鍋大会】(前編) (後編に続く) 無題:2スレ目954 桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【京介の私物オークション】 3スレ目 無題:3スレ目35 京介×桐乃 【7巻if】 無題:3スレ目98 京介×桐乃×あやせ×沙織、京介×黒猫 【ドM】 無題:3スレ目119/小ネタ 京介×桐乃×黒猫×沙織 【死亡遊戯】 無題:3スレ目120 京介×黒猫 【縛りプレイ】 無題:3スレ目162 京介×桐乃 【小ネタ集】 無題:3スレ目197 京介×麻奈実←桐乃 【誕生日プレゼント選びは大変だ】 無題:3スレ目221 京介×麻奈実 【きょうちゃん、誕生日】 4スレ目 無題:4スレ目37 京介×桐乃 【7巻後】 無題:4スレ目86 京介×黒猫 【子猫の黒猫、7巻後】 無題:4スレ目101 京介×桐乃 【大学進学】 無題:4スレ目106 京介×桐乃 【泣きデレ】 無題:4スレ目129 京介×黒猫 【呪い】 無題:4スレ目138 京介×黒猫 ※残酷描写アリ注意 無題:4スレ目219 ( 前編 / 後編 ) 京介×桐乃×黒猫×あやせ 【あやせの恋愛相談】 無題:4スレ目244 京介×桐乃×黒猫×沙織 ※フェチ描写あり 無題:4スレ目299/小ネタ 京介×桐乃 【エレベータに閉じ込めてみた】 無題:4スレ目305 京介×桐乃×黒猫×沙織 【コレクション公開】 無題:4スレ目381 京介×桐乃 【嗅ぎ人】 無題:4スレ目418 京介×桐乃 【冷戦再び?】 無題:4スレ目435 ランちん 【いなくなったあの子】 ※鬱展開注意 無題:4スレ目456 京介×加奈子 【加奈子依存症】 無題:4スレ目492 京介×桐乃 【彼氏と文化祭】 無題:4スレ目575 京介×ブリジット 【嘘から出た真実】 無題:4スレ目617 京介×あやせ 【もしもあやせが幼馴染だったら】 無題:4スレ目649 京介×あやせ 【もしもあやせが幼馴染だったら】 ※エロ注意 無題:4スレ目681 京介×麻奈実 【もしも麻奈実が妹の友達だったら】 無題:4スレ目709 京介×桐乃 【闇の世界の住人】 ※鬱展開注意 無題:4スレ目838 京介×桐乃×黒猫×あやせ×麻奈実 【お前たちは俺の翼だ、またまた彼氏役】 無題:4スレ目943 京介+桐乃+麻奈実 【料理ならまかせてっ!、料理特訓】 無題:4スレ目959 京介×あやせ 【友情崩壊】 5スレ目 無題:5スレ目22 京介×加奈子 ※微エロ注意 無題:5スレ目95 京介×黒猫×あやせ 【あやせへの人生相談、修羅場】 無題:5スレ目158 京介×加奈子 【さよならマネージャー、カラオケボックス】 無題:5スレ目244/小ネタ 京介×あやせ ※エロ注意 無題:5スレ目252 京介×桐乃×黒猫×あやせ 【俺の彼女がこんなに天使なわけがない、もしあやせに桐乃のオタク趣味がばれていなかったら】 無題:5スレ目299 京介×桐乃 【もし桐乃がサカ豚だったら】 無題:5スレ目358 京介×黒猫 【クリスマス】 無題:5スレ目365 京介×沙織 【虫の知らせ】 無題:5スレ目389 京介×黒猫 【事前】 無題:5スレ目392 京介×桐乃×黒猫×沙織 【三択のサンタクロース、サンタコス】 無題:5スレ目503 あやせ 【京介と桐乃のプリクラ入手方法】 無題:5スレ目518 京介×桐乃 あやせ 【あやせが家宅侵入】 無題:5スレ目558 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【闇鍋大会】(後編) 無題:5スレ目572 京介×加奈子 【マネージャー】 無題:5スレ目607 京介×桐乃×黒猫×沙織 【冬コミ1日目】 無題:5スレ目639 京介×桐乃 【おんぶに抱っこ、桐乃捻挫】 無題:5スレ目692 京介+佳乃+大介 【京介婿養子化計画】 ※佳乃・大介キャラ崩壊注意 無題:5スレ目704 京介+桐乃+加奈子 【年末の買い物編】 上の続き 無題:5スレ目788 京介+桐乃+麻奈実+黒猫+沙織+あやせ 【桐乃の告白】(前編) (後編はこちら) 無題:5スレ目803 京介×桐乃×黒猫 【実質的二股】 無題:5スレ目811 京介+桐乃+黒猫+沙織+あやせ 【桐乃の告白】(後編) (上の続き) 無題:5スレ目825 京介+桐乃+あやせ+沙織 【マジック魔法刀、誤解】 無題:5スレ目863 京介+桐乃 【両親が遭難?】 無題:5スレ目907 京介×あやせ 【桐乃への誕生日プレゼント】 無題:5スレ目917 京介×沙織 【沙織のお見合い】 ※オリキャラ注意 無題:5スレ目956 京介+浩平+加奈子 【初詣編】 (上の続き) 6スレ目 無題:6スレ目69 京介×あやせ 【あやせの引越し】 無題:6スレ目106 京介×黒猫×あやせ 【お前達が俺の天使だ】 無題:6スレ目179 京介×黒猫 【まどろみの時間】 無題:6スレ目208 京介×あやせ 【あやせ視点】 (無題:6スレ目69の後日談) 無題:6スレ目225 京介×フェイト 【酔っ払い】 無題:6スレ目266/小ネタ 桐乃 【SS投下】 無題:6スレ目304 京介×桐乃×黒猫 【コスプレ】 (これの後日談) 無題:6スレ目396 黒猫 【年賀状】 無題:6スレ目423 京介+桐乃+あやせ 【How to 妹ーーークの収録の練習】 無題:6スレ目448 京介×桐乃×あやせ 【お見舞い】 『失態』:6スレ目498 京介×黒猫 桐乃 【夢精】 ピクニック:6スレ目521 【京介+あやせ+桐乃+佳乃でピクニックへ】 無題:6スレ目624 京介+桐乃 【兄貴しっかりしなさい、平行世界の京介】 無題:6スレ目664 京介×黒猫 【黒猫のバイト、本屋】 無題:6スレ目695 京介×黒猫 【黒猫の高校選択理由、ニアミス】 俺の教え子がこんなにチョロイわけがない:6スレ目710/小ネタ 京介×あやせ 【変態講師】 無題:6スレ目772 京介+桐乃+あやせ+黒猫+麻奈実 【転校生】 ※オリキャラ注意 無題:6スレ目851 京介+ブリジット+桐乃 【ニコ生】 無題:6スレ目877 京介×桐乃 【7巻if】 ゲーセン:6スレ目946 京介+桐乃+黒猫+沙織+あやせ 【クレーンゲーム】 7スレ目 無題:7スレ目14 京介+桐乃+黒猫+あやせ+ブリジット 【超能力バトル】 決意:7スレ目28 京介+桐乃 【駆け落ち?】 無題:7スレ目95 京介+桐乃 【エイプリルフール】 無題:7スレ目124 京介×桐乃×あやせ 【あたしの兄がこんなにモテるわけがない】 無題:7スレ目157 無題:7スレ目167 京介×麻奈実 【イメチェン成功編】 青色イルミネーション:7スレ目180 京介×黒猫×あやせ×麻奈実 私は黒猫……:7スレ目263 京介×黒猫 (上の続き) 人類惑星移住計画:7スレ目391 京介×桐乃×黒猫×あやせ×沙織 【地上最後の楽園】 無題:7スレ目493 京介+桐乃+麻奈実 【大学受験合格発表】 麻奈実と松虫草:7スレ目516 京介×麻奈実 【アザレアの花言葉】 無題:7スレ目571 京介×ブリジット 【初デート記念】 無題:7スレ目606 京介×ブリジット 【妹が増えました】 解呪:7スレ目627 京介×黒猫 【コミュニティ崩壊】 ※鬱展開注意 無題:7スレ目663 京介×桐乃×あやせ 【バレンタイン】 勝利の女神:7スレ目688 京介×桐乃×黒猫×あやせ×麻奈実×沙織 【受験成功の秘訣】 受験日の朝:7スレ目704 京介×桐乃 【高坂兄妹流緊張解消法】 無題:7スレ目719 京介×加奈子×ブリジット 【3倍返し】 無題:7スレ目749 桐乃+麻奈実 【お菓子作りの先生】 無題:7スレ目794 京介+桐乃 【打ち切り漫画】 無題:7スレ目809 京介×あやせ 【崩れた手作りケーキ】 仕事見学:7スレ目841 京介×桐乃 【お兄ちゃんマネージャー】 5巻アナザー:7スレ目843 京介×桐乃 【近親恋愛√】 弟めいかぁ:7スレ目855 京介×あやせ 【アポトキシスコン4274】 きょうちゃんとお出かけ:7スレ目886 京介×メガネ 【メガネが本体】 無題:7スレ目904/小ネタ 京介×桐乃×あやせ×メガネ 【俺の幼馴染のメガネがこんなに可愛いわけがない】 無題:7スレ目920 京介×黒猫 【未来の義妹候補】 無題:7スレ目949 黒猫+あやせ 【親友たちの晩酌】 無題:7スレ目974 京介+桐乃+あやせ+麻奈実 【高坂家の節分】 8スレ目 無題:8スレ目9 京介×桐乃 【さよなら初恋】 無題:8スレ目41 京介+桐乃+黒猫+沙織 【ゼノギアス】 無題:8スレ目54 京介+黒猫 【私が選んだ道】 無題:8スレ目65 京介×あやせ 【行為と感情】 無題:8スレ目83 京介+桐乃 【ライダーベルト】 俺の妹のフィギュアがこんなに完成度が高いわけがない:8スレ目95 京介×桐乃 【精巧フィギュア】 私が兄貴にこんな表情をするわけがない:8スレ目101 京介×桐乃 【私の表情】 無題:8スレ目124/小ネタ 京介×あやせ 【アパガード】 無題:8スレ目148/小ネタ 黒猫三姉妹 【投影雛人形】 あやせの海岸物語:8スレ目158 京介×あやせ 【鎌倉ラブストーリー】 私の兄貴がストーカーをされるわけがない:8スレ目226 京介×桐乃×黒猫×千早 【ストーキング注意報】 ※オリキャラ注意 無題:8スレ目256 京介×? 【バーテンダー】 ※クロス物注意 俺たちのすれ違いがこんなにベタなわけがない:8スレ目269 京介×黒猫 【"約束の証"】 無題:8スレ目318 京介×ブリジット 【よい子のための性教育】 無題:8スレ目325 京介×ブリジット 【小さな暫定婚約者】 俺の妹の友達がこんなに狡猾なわけがない:8スレ目349 京介×沙織 【難攻不落な想い人】 無題:8スレ目365 京介×沙織 【キモオタ街道爆進中の兄貴の私生活を覗き見してみた】 無題:8スレ目376 京介×桐乃×黒猫×麻奈実 【バレンタインプレゼント】 無題:8スレ目429 京介×麻奈実 【田村家にお泊り】 無題:8スレ目447 京介×桐乃 【罰、上の桐乃サイド&後日談】 無題:8スレ目465/小ネタ 桐乃+あやせ+加奈子 【デンジャラス被写体少女】 無題:8スレ目467/小ネタ 京介+黒猫+麻奈実 【ゼーガペイン】 ※クロス物注意 俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない:8スレ目503 京介×加奈子 【恋人の距離】 無題:8スレ目513 京介×リア 【京介エンジン】 無題:8スレ目525/小ネタ 京介×麻奈実 【玉砕上等移奪宣言】 無題:8スレ目530/小ネタ 京介×桐乃 【節電のためなら仕方ない】 無題:8スレ目546 京介+桐乃+黒猫+沙織+加奈子+ブリジット+瀬菜 【リアル志々雄】 無題:8スレ目560 京介×あやせ 【かまってちゃん】 無題:8スレ目577 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実+沙織+加奈子+ブリジット+瀬菜+浩平 【桜花爛漫の集い】 俺が幼女に恋した日:8スレ目587 京介×ブリジット 【実録・ロリコン男子ができるまで】 無題:8スレ目611 京介+大介 【"俺たち"の晩酌】 無題:8スレ目625/小ネタ 京介×桐乃 【ドサクサエンゲージ】 俺が妹と夫婦なわけが無い!:8スレ目643/小ネタ 京介×桐乃 【家族で義妹で俺の嫁】 俺が妹と夫婦なわけが無い!2:8スレ目654/小ネタ 京介×黒猫 【涙を流せる場所】 無題:8スレ目674/小ネタ 京介×桐乃 【今宵のオカズはチューペット】 無題:8スレ目699/小ネタ 京介+桐乃+大介 【高坂親子派出所】 無題:8スレ目702 京介×あやせ 【宵闇のダークマイエンジェル】 仁義なきウマウマ:8スレ目721 京介+黒猫+中猫+下猫 【五更シスターズユニット】 一日遅れのWhite Day:8スレ目744 京介×あやせ×麻奈実 【ショートタイムカプセル】 無題:8スレ目784 京介×フェイト 【ワナビのくせになまいきだ】 無題:8スレ目805 京介+沙織 【Mr.ブシドー見参】 無題:8スレ目816 京介×加奈子 【専属起爆剤】 無題:8スレ目842 部長×黒猫 【二人のクソゲー製作】 無題:8スレ目853 京介×桐乃×黒猫×あやせ×麻奈実×沙織×浩平 【みんなの特等席】 無題:8スレ目866 京介×加奈子×ブリジット 【マネージャー独占禁止令】 無題:8スレ目898 京介×あやせ 【ベストフェイスメーカー】 無題:8スレ目944 京介×ブリジット 【Don t POI!】 無題:8スレ目966 京介×ブリジット 【二人だけの秘密】 無題:8スレ目991 京介×桐乃 【中古車旅行計画】 9スレ目 桜が咲く頃に:9スレ目16 京介×あやせ 【初恋の継続期間】 無題:9スレ目51 京介×加奈子 【波乱万丈マネジャー生活】 真剣な兄貴がこんなにかっこいいわけがない!:9スレ目75 京介×桐乃 【空回りパンティズム】 お昼休みは恋人と:9スレ目89(前編 / 後編) 京介×黒猫 【ランチタイムラバーズ】 無題:9スレ目120 京介+桐乃 【桐乃からの電話】 無題:9スレ目138 京介+桐乃 【高坂家専属副料理長】 無題:9スレ目149 京介+桐乃 【パラレルワールド、これの別ルート】 無題:9スレ目167 京介+桐乃+黒猫+沙織 【槇島沙織のガンプラ講座】 高坂桐乃の消失:9スレ目208 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実 【普通じゃない世界】 無題:9スレ目241 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実+沙織 【超究俺芋魔法大戦】 無題:9スレ目267 京介+リア 【アメリカンワンダーズ】 無題:9スレ目290 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実+沙織+加奈子+ブリジット+フェイト 【京介さんは、某海賊マンガに多大な影響を受けているようです。】 無題:9スレ目334/小ネタ 加奈子 【ダイワハウチュ】 無題:9スレ目417 京介×ブリジット 【偽装デート? いいえ、擬似デートです】 if・闇猫更生?編:9スレ目446 桐乃×黒猫 【PSPあやせ√その後】 無題:9スレ目449 無題:9スレ目474/小ネタ 京介+桐乃 【仮面ライダーシスドー】 無題:9スレ目403 京介×あやせ 【再現デート】 リトルプリンセス:9スレ目511 京介×ブリジット+あやせ 【ブリジットからの相談】 無題:9スレ目552 京介×日向 【ある雨の日】 やがて この体も 風に:9スレ目588 京介 会いたくなっちゃった:9スレ目608 京介×(麻奈実・黒猫・沙織・加奈子・あやせ・桐乃) 【深夜の電話】 チキンと地味子の急展開:9スレ目625 京介×麻奈実 【積極的な麻奈実】 無題:9スレ目673 京介×ブリジット 【謝るブリジット】 無題:9スレ目683 京介+桐乃+沙織+黒猫 【夢の記録】 無題:9スレ目744 京介+珠希 【おうじさまのおこしかた】 無題:9スレ目784 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら その1】 無題:9スレ目840 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら あやせの予約券】 無題:9スレ目853 京介+瀬菜 【横浜デート 瀬菜目線】※キャラ崩壊注意 春うらら:9スレ目887 京介×あやせ 【あやせと結婚?】 無題:9スレ目938 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら その2/前編】 無題:9スレ目944 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら その2/後編】 10スレ目 無題:10スレ目20 京介+珠希 【暇だなぁ~】 ※キャラ崩壊注意? 無題:10スレ目43 京介+ブリジット 【コスプレ大会出場】 バーテンダー桐乃編:10スレ目81 ※カプなし クロス物 キャラ崩壊注意 無題:10スレ目177 【エロゲが届かない】 無題:10スレ目257 【沙織の人生相談】 無題:10スレ目347 京介×あやせ 【告白】 優柔不断√:10スレ目368 京介×沙織 【手錠で繋がれて】 無題:10スレ目469 京介×黒猫×珠希 【ロリっ娘性欲処理班】 無題:10スレ目493 京介×加奈子 【さよなら現世、こんにちは二次元】 安価で妹に悪戯する:10スレ目554 京介×桐乃 【安価は絶対】 無題:10スレ目583 京介×あやせ 【プロポーズ】 無題:10スレ目609/小ネタ 京介+あやせ 【Rider Kick】 無題:10スレ目614 京介+あやせ 【井戸端アニソン歌唱会】 無題:10スレ目632 京介×黒猫+瀬菜+浩平 【肌の感触の上書き】 無題:10スレ目647 京介+部長+真壁 無題:10スレ目684/小ネタ 京介+桐乃+瀬菜+浩平 【疑似妹スタンプ】 無題:10スレ目738 京介+あやせ 【あやせのハイキック】 無題:10スレ目757 京介×あやせ 【あやせと手錠と人生相談】 無題:10スレ目753/小ネタ 桐乃 【病院が来い】 無題:10スレ目783 京介×あやせ 【デートの練習】 俺の女神がこんなにも美しいわけが無い:10スレ目811 京介×あやせ 【呼び出された京介】 無題:10スレ目837 京介×桐乃 【喪失と再起】 無題:10スレ目860 京介×リア 【元気速達ライナー】 無題:10スレ目898 京介×あやせ 【コスプレカップル】 無題:10スレ目926 京介×珠希 【恋の証明】 無題:10スレ目943 京介×珠希 【でこぼこ恋愛事情】 無題:10スレ目957 京介×日向 【耳そうじ】 無題:10スレ目990 京介×桐乃 【エキセントリックシスター】 ※エロ注意 11スレ目 無題:11スレ目37 京介×沙織 【無駄にエロい耳かき】 無題:11スレ目60 京介+桐乃+大介+佳乃 【自慢の息子】 無題:11スレ目97 京介×加奈子 【最高適任者】 無題:11スレ目119 沙織 【チカラの観測者】 無題:11スレ目133 京介×加奈子 【加奈子と添い寝】 ※微エロ注意、未完 無題:11スレ目150 京介×桐乃 【二人で夕食】 無題:11スレ目163 京介×きらら 【メイドが嫁】 無題:11スレ目174 桐乃+黒猫 【厨二布教】 無題:11スレ目185 京介×桐乃 【遠い記憶】 無題:11スレ目232/小ネタ 京介×あやせ 【PSPあやせ√後日談】 無題:11スレ目242 京介×桐乃 【助力の罰ゲーム】 無題:11スレ目278 京介+桐乃+黒猫+あやせ+沙織+加奈子+瀬菜+日向+珠希+浩平+御鏡 【星に願いを】 無題:11スレ目281 京介×桐乃 【誰かの願いがかなう頃】 福引:11スレ目286 京介×あやせ 【振り出し】 願い~序~:11スレ目302 京介+桐乃 【ブラッディプレリュード】 無題:11スレ目321 京介×あやせ 無題:11スレ目352 京介×桐乃 【前日譚、その後っぽいもの】 無題:11スレ目365 京介×桐乃 【京介×桐乃 Part1?】 ※リンクエラー。修正求む 無題:11スレ目436 京介×麻奈実 俺が妹と間接キッスなわけがない:11スレ目512 京介×桐乃 無題:11スレ目545 京介×黒猫 【もしも黒猫さんが性的に積極的だったら】 ※キャラ崩壊注意 ※エロ描写注意 無題:11スレ目575 京介×フェイト 【京介君は年上の女性って、どう思う?】 無題:11スレ目650 京介 【兄妹プリクラ流出】 ※カプなし? 真実のホーリーエンジェル:11スレ目679 京介+桐乃+あやせ 【「妹のウェディングドレス」あやせ視点】 とあるアキバの休日:11スレ目690 三浦(部長)×謎(?)の熊女+真壁+瀬名+黒猫 【秋葉原での邂逅】 3月31日のライオン:11スレ目706 京介+桐乃+黒猫+麻奈実+沙織 【記憶喪失の京介?】 無題:11スレ目717 京介×あやせ? 【あやせのクイズ?】 神無月:11スレ目727 京介×あやせ 【この二人に縁結びの神様はご無用】 献身のエンジェル・パラディン:11スレ目753 あやせ×ロック+京介+黒猫+麻奈実+桐乃 【まさかのロック編】 キャッチャー・イン・ザ・ポテト:11スレ目794 京介×桐乃+黒猫+沙織 【デート編】 ラブリーマイエンジェル:11スレ目818 京介+あやせ+真壁+赤城 【借り物競争】 Love Letter 桐乃+黒猫+沙織+京介 【ぼくの家族】 Trisection 京介×桐乃×麻奈実 【兄と妹と幼馴染み】 無題:11スレ目924 京介+ブリジット+あやせ+桐乃 【不純な健康ランド】 無題:11スレ目959 京介+桐乃 【夕焼けの河原にて】 12スレ目 赤ずきんちゃん(過去編):12スレ目17 京介+桐乃+麻奈実 【おとぎばなし】 俺の妹が酒乱でエロゲなわけがない:12スレ目35 京介+桐乃 【お酒は大人になってから】 私の気持ちが兄貴を好きなわけがない 改:12スレ目79 京介×桐乃 【現在(いま)のあたしへ そして、未来のあたしへ】 無題:12スレ目98 京介+あやせ 【あやせがもう一人の妹だったら】 ゆく年くる年:12スレ目134 京介+桐乃 【初詣は済みましたか?】 バレンタインデー:12スレ目244 京介+桐乃+あやせ 【あやせ、まさか?】 Rescue Cat(禁止カード) VS Gem-Knight L.L 京介×黒猫+日向+珠希【女は男を変えたがるもの】 I ve fallen in Love with Lovely my holy-fallen Angel 京介×あやせ 【A Nexus extra】 Cry for the Moon/Luna 京介×あやせ+沙也佳 【あやせの告白】 妹・戦国無双大戦 黒猫+京介+桐乃+沙織 【黒猫のルール】 天使の誘惑 京介+あやせ+??? 【二人の秘密】 名探偵あやせ:12スレ目698 京介×あやせ 【コスモス畑でつかまえて】 或る災難:12スレ目752 京介×桐乃+あやせ 【親友の兄貴が、こんなに格好いワケがない。】 ※ レイプ未遂注意 無題:12スレ目771 珠希+日向+黒猫 【黒猫姉妹】 或る妹の選択:12スレ目787 桐乃+御鏡 【7巻サイドストーリー】 或る二人の夜:12スレ目806 京介×桐乃 無題:12スレ目830 京介+桐乃+黒猫 あたしの友達がこんなに名シェフなわけがない:12スレ目834 桐乃+あやせ+加奈子 オペレーション・タナトス:12スレ目850 桐乃+あやせ+加奈子 加奈子の友達がキモオタのわけがない:12スレ目870 京介+桐乃+加奈子+彼方 この年まで知らなかったわ:12スレ目880 京介×黒猫+日向+珠希 【五巻サイドストーリー】(これはひどい) 無題:12スレ目895 京介×あやせ 或る彼氏の闘い:12スレ目899 京介+父猫+母猫+日向 【9巻サイドストーリー】 無題:12スレ目920 京介×桐乃 †あたしの姉がチキンってわけじゃない†:12スレ目929 京介+桐乃+黒猫+日向+珠希 俺の後輩の入浴シーンがそんなにエロくない・・ぞ?:12スレ目958 京介×黒猫+日向 13スレ目 無題:13スレ目9京介+桐乃【御鏡さんとの漫才は面白い】 無題:13スレ目42 京介+フェイト 無題:13スレ目62京介+桐乃 無題:13スレ目73 京介+桐乃 無題:13スレ目84 京介+加奈子 無題:13スレ目97 京介+日向 日向に眼鏡が届いたら:13スレ目125 京介+日向 ぺドと言われて泣いたから:13スレ目141 京介+珠希 小ネタ:13スレ目156京介+桐乃 無題:13スレ目165カプ不明 夢の中でみつけたもの。:13スレ目179京介+桐乃+あやせ+加奈子 京介日記:13スレ目201 京介+桐乃 無題:13スレ目212 京介+桐乃 14スレ目 ビバ・夏!! 14スレ目50 京介+桐乃+黒猫+沙織+加奈子 突撃・乙女ロード!after:14スレ目111 無題:14スレ目152 無題:14スレ目163の Air 京介×あやせ+その他【冬の雨】 変奏曲京介×あやせ 【夢のカケラ】 過ぎ去りし遠くの日々への前奏曲京介×麻奈実+桐乃+黒猫+あやせ【Boy Meets Girl Again 1】 僕のビアンカ京介×麻奈実×???+桐乃【Boy Meets Girl Again 2】 ※オリキャラ 雪月抄京介×麻奈実×???+桐乃【Boy Meets Girl Again 3】 ※オリキャラ ラナルータの恋人京介×麻奈実×???+桐乃【Boy Meets Girl Again 4】 ※オリキャラ
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/390.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1294505746/575-580 平和だ。 ちょっと前に両親以外の誰にも告げず、スポーツ留学してた俺の妹。 あいつをアメリカから連れ戻してからというもの、何かと騒がしい日が続いた。 サラブレット娘がホームステイしたり、桐乃との偽装デートを後輩に目撃されたり。 でもまぁ、今は落ち着いている。ごく平凡な日常。 ……いや、"後輩"については少々問題がある。 俺のベッドに寝転んでいる事だ。 「……なぁ、何で毎回俺のベッドを占領してるんだ?」 「あら、今更何を言っているの?兄さん」 この調子だよ。また兄さんとか言いやがって……。ゲー研での活動の一環で 制作していたゲームを作る時、この後輩は俺のベッドに寝転んで作業していたんだが どうもその習性が抜けないらしい。つーより、やめる気無いんだろうなぁ……。 「……仮にも男の部屋で――」 「少し黙っていて頂戴。集中出来ないわ。」 こいつは黒猫、本名は五更瑠璃。今年の春に同じ高校へ入学してきた桐乃の理解者であり共通の友人だ。 コンテストの時には制作しているゲームのデバック作業を任されていたが コンテストも終了し、こいつは今改良を加えるのにご執心。つーか、なんで俺の家でやるんだ? まぁこの様子なら俺は安心して勉強出来る。出来るんだが…………どうも気乗りしない。 「ったく――茶菓子でも用意してくるよ」 「………………」 シカトっすかぁ?!全国の先輩諸君、こんな後輩どう思う?……そうだよなぁ?もっとこう敬意というものを…… 仕方ねぇ、さっさと用意してくるか。 キッチンへ向かっていたらリビングでくつろぐお袋を見つけた。 今日は保護者会の筈なんだが、まぁそうだよなぁ。高坂家の長男の扱いはこんなもんだ。 「あれ?今日保護者会じゃなかったっけ?」 「さっき帰ってきたのよ。それよりも玄関の靴!またあの子?」 あの子、というのは……当然黒猫だ。自室に女の子を連れ込んでいる息子の事が気になって仕方ないらしい、この母親という生き物は。 てか、さらっと「さっき帰ってきた」なんて言うけど、保護者会ってそんな短時間じゃ終わらないよね? 「そうだよ。何度も言うがやましい関係じゃないぞ」 「ま、あんたには勿体無いくらいの子よね!」 「あのなぁ……」 「で?どこまで行ってんのよ?」 「だから違うっての!」 「まったく、麻奈実ちゃんはどうしたの?この際だからハッキリ言うけど―――」 そんな調子でついつい話が長くなっちまった。黒猫が機嫌を損ねてなきゃいいが。 本来の目的であった飲み物(緑茶)と桜餅をお盆に載せ……あれ?これどこかで……いかんいかん。 階段を上り、自室のドアを開く。 ばふっ ……何やってんだ? 見れば黒猫が寝転んでいたはずのベッドには毛布が掛かっており、丁度黒猫一人分のふくらみが確認できる。 中身は、言うまでも無い。たぶん俺が部屋に入ったのと同時に毛布へ潜ったってとこだろ。 「おい、寝転ぶだけならまだしも本格的に寝ようとすんなよ」 ……。返事がない、ただの黒猫のようだ。 「なぁ、起きろよー。桜餅、好きだろ?」 そう言ってベッドに近付「こ、ここないで!!」 ……はい? なんだか良く分からんが、こないでとか言われちゃったよ…。 俺は盆を机に置いて毛布を剥ぎ取ってやろうとベッドへ近付く。 「来ないで!じゃねぇよ、なんで本格的に寝ようとしてんだ」 俺がさらに近付くと、なにやらもぞもぞし始めやがった。何してんだ?一体。 まさかPCで見られたくないモノ――エロサイトでも見ていた、なんて事じゃないよな。……なんだ?今総ツッコミ受けた気が……。 まぁ何だっていい、躊躇無く俺は毛布を剥ぎ取った――――事を凄まじく後悔している。 「ぬぁッ!?」 「やっ……!!!」 両者が別の理由で声を上げていた。何故なら… 「おま?!え、ええええぇぇぇええ?!」 「かかかえ、返しなさい!」 黒猫が俺の手から毛布を引ったくり、再び包まってしまう。 今見たぞ、絶対見た!こいつ、制服が乱れていたというか―――― 「み、見たわね?」 顔を赤くして涙目になっている黒猫が、頭だけ毛布から出して訊いてくる。 ああ、見たさ。見たとも。間違いなく服が乱れていた上にブラがズレてショーツまでズレてたな。 諸君に問おう。これなんてエロゲ? 「おま、お前、一体何を?!」 「見たのね……!!」 「い、いや、悪かっ――」 「煩い……!」 ヤバイぜこれは……実にヤバイ、ちょーヤバイ。いよいよHイベント突入か? じゃねぇッ!?何考えてんだ俺は!今はそんな事を考えている場合じゃない! 下にはお袋がいるんだ!今騒がれたら、今回ばかりはマジで親父にしょっぴかれる…。 「と、とりあえず服を――」 「煩いわね……!そうよ、悪いのは私よ……!」 「いや!いいから服!」 「そうよ………先輩のベッドの匂いに欲情してしまったのが悪いと言いたいんでしょ……!」 「欲ッ!?」 「先輩が遅いからといって自慰行為に及んでいたのが悪いんでしょ……!」 ちょっとまてオイ!自慰行為?!何言っちゃってんのこの子?!もうやだ!! つーかパニック起こして何喋ってるか自分で理解してねぇなお前!? 大体人のベッドでなんて事を―――ん? 「ちょ、ちょと待て。お前匂いにって……?」 「え…………あっ?!」 どうやら自分が何を言ったのか理解してくれたらしいな。 赤かった顔がさらに赤みを増してきてる。そろそろCGにモザ……落ち着け俺! 事件はディスプレイで起きてるんじゃない!現実(リアル)で起きてるんだ! 「そそんな事……大体!遅すぎるのよ!何処で道草を食っていたのかしら?」 「あー、そ、その……下におりたらお袋が居てよ。お前のことで話し込んでたんだ」 「わ、わわたしの、ことっ?」 まずい、また黒猫が混乱し始めた。そこへ 「京介ー、これから買い物行くけど何か食べたいものあるー?」 ああああああああ!!!なんつータイミ「あら?何してるの?」 「お、お邪魔してます」 振り返ってみれば毛布に包まった黒猫がお袋に挨拶を―――大変だ。 お袋は何やら思案し、ニコッと笑って「ほどほどにしなさいね」 そう告げて出て行った。今夜は嵐かもなぁ。――今度こそ俺、殴られるだけじゃ済まないだろうなぁ。 よし、ハラは決まった……。徹底的に問い詰めてやろうじゃないか、この――かわいい後輩を。 「さて、お前が勝手に喋った事を整理していこうか」 「だ、駄目!駄目に決まってるじゃない!」 「駄目じゃねぇ」 「くっ……!」 衝撃のあまり意識から外れていた事が次々浮かんでくる。 よく見えはしなかったものの、ずれたブラの隙間からのぞく控えめな胸や、桜色の――― ああいかん落ち着け耐えるんだ俺のリヴァイアサン……! そんな俺の様子を察してか、黒猫がお決まりのセリフを口に――いや、させてたまるか。 「…そんなに確かめたいのね、いやらしい「のはお前だろ」 してやったり。我ながら完璧なタイミングだったぜ! でも間は悪かったかもなぁ。頭まで潜っちまったよ…どうしたもんか。 「怒ってる……?」 搾り出すような声で黒猫が言う。ねぇなにこれ、ねぇマジでエロゲなのこれ? とにかく、まずは話せる状態にするのが先決だ。 「怒ってない。怒ってないから頭だけ出せよ、息が詰まるだろ?」 「本当に……?」 「あぁ、本当だ。だからとりあえずそこから出て来いって。」 「うん……」 あれ?結構簡単だったな。黒猫は今にも泣きそうな顔で毛布から出て――くんなよおい! 「ちょ!顔だけ出てれば良いから!」 「?……なっ?!」 「とりあえず服をちゃんと着よう!俺出てくから!」 「もういいわよ!」 え!?俺今ひょっとしてキレられた? 「もういいから……そこにいて?」 「お、おう……?」 妙に優しい声だ。再び頭だけ出した状態で、黒猫が口を開く。 「…………ごめんなさい」 「いや謝るのは俺だよ。まさかお前が、その……」 「……グスッ…」 「――あのさ、さっきのは全部忘れる。俺は何も見なかったし、聞かなかった。それで勘弁してくれよ、な?」 「そんなの……!」 言いかけて口をつぐんでしまう。 にしても我ながらなんつー説得の仕方だよ。情けねぇ。 娘の入浴シーンを目撃しちゃった父親か俺は。 「そんな……そんなのイヤよ……」 「分かってるけどそれでも――」 「分かってないわ!」 なら一体なんだってんだ?訳が分からん…。 「ねぇ、先輩……。私が貴方のベッドで……その、オ、オ、ナニーしてたら嫌?」 「嫌っつぅかビックリするわ!しかもそれ今聞くんだ!?」 「や、やっぱり嫌なの?」 「………その、なん…だ…嫌だとは思わなかった」 「…嘘吐き」 「いやマジだって!」 「だったら!だったら何であんな反応を……?」 「そりゃあ……毛布引っぺがしたらお前の服が………脱げてたからビックリしたんだよ」 「そう……そうだったのね……」 他になんだと思ってたんだよこいつは……。なんか聞くのも恐ろしいから聞かないでおくか。うん、そうしよう。 しかし整理すると言っておきながら全然出来ちゃいないな。いや、察してくれよ。わかるだろ? 「ねぇ、先輩」 「っ!?お、おぉ、なんだ?」 やっべ、今すげぇ動揺しちゃったじゃねぇか。 「責任を、取ってくれるかしら?」 責任?ああ、なんだ責任ね。責任……………え゙っ 「見たでしょう?私の……む、胸とか…!」 「……はい、見ました」 「そう、見たのよね………し、下もっ…」 「ホ、ホントごめん」 「謝らないで頂戴………み、見ようとして見た訳ではないのだから」 「いやでも――」 「見た責任は、取ってもらうわ」 ああ、つまりアレか。自分のあられもない姿を見た責任を取れと。しかし― 「責任ったって………どうやって?」 「……そ、そんな事、自分で考えたらどうかしら?」 まったくこいつは―――桐乃もだが、どうも女というのは自分のしてほしい事を 自分からは言わない傾向がある。まぁこいつの場合、答えは結構簡単かもしれない。 ……俺だってなぁ、いつまでもニブいまんまってワケにゃいかねぇんだよ。 なんたって、チューされちゃったしな! 「黒猫」 「……っ…」 黒猫の表情が一気に強張る。万一違ってたらどうするか… ああ、もう構うもんか。言うぞ、言ってやるぜ! 「俺の、彼女になってくれ」 つづけ。
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/113.html
ウィキへの要望、修正してほしいことを書き込んでおくと、誰かが編集してくれるかもしれません。 名前 コメント 桐乃ブチギレ→京介ブチギレ がみたい -- 名無しさん (2014-05-06 17 14 18) 京介ブチ切れ→桐乃泣きデレ こういうのを読みたいです -- 名無しさん (2013-07-02 21 11 01) レスの名前は日付部分を消すのはやめましょう いつごろのものか、誰が書いたものか判断しにくくなります。 せめて最初のレスだけはそのままに -- 名無しさん (2012-12-09 06 36 36) 「願い」6 ってまだ書かれてないんですか?更新が今日でしたが、レスした時間が分からないんで書きコしました。 -- arein (2012-01-20 22 14 25) 完結まで待って編集しようと思っていたのですが、正月休みの時期に良いSSの投下が無かったので「願い」を編集しますた。 内容は非常に良いのですが、所々に文章のダブりや誤字(桐乃→桐野、あやせ→綾瀬 等)があります。 極力訂正したのですが直し切れていないので、脳内補完して読んで下さい。 どうしても見過ごせない編集ミスなどありましたら、こちらに書き込みをお願いします。 -- おとめ座のヘンタイ (2012-01-04 16 01 40) ↓ 乙です。 ナンバリングと、ページを開いた時のタイトルを合わせておきました。 -- おとめ座のヘンタイ (2011-11-25 22 06 22) こんな感じでいいのかな……? もし不具合あったらゴメンナサイ -- ◆zuyqegPIRY (2011-11-25 21 47 03) ↓↓ ナンバリングに合流させました。 その後の編集の事なのですが、 もう少し具体的に、例えば「1のOOO~2のOOO」の様に分けたい章を カギカッコで分けて表現してもらえると助かります。 -- おとめ座のヘンタイ (2011-11-24 07 28 54) 携帯からのみでは困難を極めるようでした 自力編集 索引で参照するリンクのソース表示まで辿り着けないとか、もう… -- ◆zuyqegPIRY (2011-11-23 23 43 20) ナンバリングのほうに合流のが見やすいかと。前にnewrelationを載せてくれた方には悪いですけど。 それと、5の572以降3本をシリーズの頭010203に差し挟んで、それより先04からの参照を3つずつずらすって可能ですか? ダメ元で自分で試そうかな……ミスこわー -- ◆zuyqegPIRY (2011-11-23 23 23 45) ↓↓ もう一度よく見てみたら、05の最後の部分に「おしまい」の文字を入れちゃってました。 だから06を「newrelation」にされちゃったんですね。 ◆zuyqegPIRY さんは、「newrelation」を削除するのと、06以降を「newrelation」に するのと、どっちが良いですか? -- おとめ座のヘンタイ (2011-11-22 09 04 33) ↓ ども、◆zuyqegPIRY さんの加奈子作品の編集をした者です。 01から09まで私が編集したのですが、「newrelation」は他の誰か が編集したと思われます。 一連の話の流れで、「newrelation」だけ独立させるのは不自然かと 思いますので、逆に「newrelation」を削除する方向ではいかが でしょうか? -- おとめ座のヘンタイ (2011-11-22 07 17 14) ども、落ち着かないスレの1です。お邪魔しま 昨日今日書き終えたばかりの10話めを早速載せてもらい恐悦至極。 要望は、「カップリング別」からシリーズ「06」としてリンクしてる頁について 既存の「newrelation」と中身が同じいわゆるダブり状態になってるように見受けられるので 「カップリング」内の「落ち着かない06」の参照先を「newrelation」に、とでもして貰えればと… 編集ミスが怖くて自分ではいじれないチキンなため何卒よろしく。 あー、人任せばかりでお恥ずかしいったらありゃしない -- ◆zuyqegPIRY (2011-11-21 23 20 39) ご、ごめんさい 右メニュー編集しようとしたら間違えました(汗) -- 名無しさん (2011-10-19 21 37 51) ココは放棄されたのか? 一応たまにのぞいてますよ。 無題:11スレ目365を間違って作ってしまいました。 できたら消してください。 登録したメンバー以外は削除(空白投稿)ができません。 積極的に編集されたいかたは宜しければ メンバー登録お願い致します。 -- 一応管理人 (2011-10-03 05 57 53) ココは放棄されたのか? -- 名無しさん (2011-09-29 10 11 31) 無題:11スレ目365を間違って作ってしまいました。 できたら消してください。 よろしくお願いします。(m。_。)m -- 名無しさん (2011-08-19 00 39 09) 携帯で見るとカプ覧やら作者別が全部エラーになる。まあ、パソコンなら見れるから俺はいいが一応報告…。 -- 名無しさん (2011-08-04 22 49 05) なんか[関連スレURL保管]で@wiki ERROR (T_Footnote)って表示が出て入れない なんで? -- 名無しさん (2011-08-04 12 44 44) 「カップリング別」加奈子の項に11スレ133がダブってるので、どっちか消しといて下さいな。 というか小ネタを未完と言われてしまうと正直ちょっとぐぬぬ……w -- 名無しさん (2011-06-24 20 10 36) 10スレ目783ですが、名前欄を消したために妙なことになってたので戻しました。 具体的には、784-785の間には、時間の経過が表されているのですが、単に名前欄を削ってしまうと台詞が連続するため、それが分かりづらくなります。 (1行余分に空行がありましたが、もともとline-heightの広いページなので分かりづらいです) このように、意図せず作品の質を下げてしまう可能性もあるので、あまり過度の編集は避けたほうがいいのではないかと思います。 仮に空行増やすとしても、間を表現するのにどのような方法を用いるかは作者の裁量だと思いますので。 ついでに言えば、字下げの有無もですね。失礼しました。 -- 名無しさん (2011-06-08 00 01 11) 10スレ目783の編集をしてくれた方、GJです。 すごく読みやすくなりました。 -- 名無しさん (2011-06-06 12 31 01) ↓↓ 文章の間に名前欄が入るのが自分は読み辛いと感じ(特に今回の“デレノート”では作中にも名前欄が出てくる)、 またSS職人さんのクォリティーも商業作品に負けていないと思っているので、商業作品に準じた編集をしていました。 そういうご意見も理解出来ますので、ルールが出来ればそれに従います。 -- 名無しさん (2011-05-28 18 13 11) 安価で妹に悪戯する コレ、瀬菜と黒猫、あやせ、田村屋のジィちゃん、沙織あたりが紛れてる じゃねぇかwwwwww後、恐らく桐乃も紛れてるな?っつーか、 千葉の堕天聖ってコテハンあたりで気付けよ。ナニやってんだ京介wwwwww -- 名無しさん (2011-05-28 16 08 09) 2レス目以降の名前欄を消している方がいるようですが、レスの境目もスレ投下式SS特有の「間」じゃないかと思うんですよね。ということで、自分は残したいのですがいかがでしょう? -- 名無しさん (2011-05-28 12 39 30) 編集乙です。気が付いた順に編集しようと思っているんですが、タイトルとか内容の表記に悩んで遅れてしまいます。 作者の方は、希望のタイトルなどありましたら、併記してもらえると助かります。 -- 名無しさん (2011-05-28 07 26 38) 順番に編集しているつもりでしたが、9スレ目744を見落としていました。拾ってくれた方ありがとうございます。 -- 名無しさん (2011-05-06 00 21 24) http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1296372251/ ↑加奈子物が素晴らしいので編集したいのですが、どこで切って繋いだら良いか判らないので、どなたかお願いします。 -- 名無しさん (2011-04-21 20 34 31) 乙です -- 名無しさん (2011-04-19 22 44 03) すみません。自分がサクサク読みたいので、2本編集しました。初めての編集作業だったので、至らない点があったら教えて下さい。 -- 名無しさん (2011-04-19 17 41 23) サーバー障害だったようです ここで管理してるわけじゃないから、ここに書いてもしょうがないよ -- 名無しさん (2011-04-13 23 04 41) さっきから、SSスレ Part.9 にアクセス出来ませんよ。 -- 名無しさん (2011-04-13 14 59 54) 8スレ目172 11行目 誤字訂正しました。 立って→建って -- 本人 (2011-03-07 16 39 47) まだ他ルートもあるみたいだからそれらが終わってから関連スレとしてまとめる予定だけど -- 名無しさん (2011-03-04 01 21 41) 俺の妹が身長180cmなわけがないの桐乃編が完結したけど纏めはどうするんだろ 関連スレとしてまとめるのかな? -- 名無しさん (2011-03-04 01 01 08) すまん直した -- 名無しさん (2011-02-05 00 44 22) 7スレ目の516と518の間にコメントレスが挟まっていませんか? -- 名無しさん (2011-02-05 00 35 44) 最初にテキストモードをテンプレ的に書いた理由として、 アットウィキ 1200行 50000バイト テキスト100000行 200000バイト 上記のようにテキストだと1ページあたりの量が多いのでテキストモードにしました。 -- 管理人 (2011-01-25 21 12 54) ※だと注釈っぽくなるから、タイトルには「」を使わない?そう思って作者別はそうしてたんだよね。他が手付かずになってたのは申し訳ない -- 名無しさん (2011-01-24 10 34 04) 感謝されるとは思わなかった。掲載順、作者別、カップリング別の整合性を取るためにそれぞれの注釈やカップリング表記なんかをマージしたんだけど、結構漏れがあって、掲載順にしかないとか作者別にしかない作品とかあったので、その辺もきちんとフォローできたと思う。一度作業終了間近でOSごと落ちた時は絶望したもんだが、感謝されると諦めずに頑張った甲斐があったな……。 -- 名無しさん (2011-01-22 09 28 46) 掲載順の方に内容の注釈が入ったのは本当に助かる。まとめてやってくれた人マジ感謝。 -- 名無しさん (2011-01-21 22 35 56) 最初そのままテキストモードだったんだから変えなくてもいいんじゃないの -- 名無しさん (2011-01-21 19 45 04) 編集モード全部@wikiモードにしちゃえば? -- 名無しさん (2011-01-20 22 44 05) Wiki更新する人は、SS載せるだけじゃなく、「掲載順」などの見出しページの更新もお忘れなく -- 名無しさん (2011-01-20 10 07 49)
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/145.html
「・・くん、・・・介君、京介君!」 ん・・・ 俺はまどろみの中からその声に引き戻された。 吐瀉物とアルコールの香りが、俺が息をする度に臭ってくる。 「漸く起きたんだね。 まったく。。。 僕も大変だったんだからね。」 中性的な彼女の声が少しずつ、俺の脳を起こしにかかってくる。 「まったく、君の激しさは手に負えなかったよ。 責任、とってくれるよね。」 ん、どういうことだろう。まだ、意識があいまいなのだ。 「ショックな事があったのはわかったよ。 たまたま送ったメールで君に逢ったときに、様子が変だったからね。」 そうだ、俺は、確か・・・ 「高校生がお酒を飲むなんて、ダメだよ。 っていっても、僕のとこに連れてきちゃったせいかな。 朝ごはん、簡単に作っておいたから、食べられるようなら、食べて。 ダメなら、ポカリを置いてあるから、それを飲んで。」 「ありがとう、・・・フェイトさん」 既にグレーのパンツスーツに着替えていた彼女は、じゃあね、と、言葉を残して部屋を出た。 そうして、俺はフェイトさんの自宅に一人残されることとなった。 頭が痛い。 初めて酒を、よりによって、許容量以上飲んだため、頭痛と悪寒にさいなまれている。 そして、俺はその状態のまま、彼女のベッドを借りてぽつんとしている。 そう、俺は、どうやらいろいろ、一人ぼっちみたいなのだ。 きっかけは、些細な事だった。 あやせから珍しく電話があった。 どうやら、桐乃に彼氏が出来たらしい。 あやせがショッピングに誘ったのだが、高校生の男子と出かけるからと、断ってきたらしい。 ボロボロに泣いたあやせは、恋人を取られて、どうしていいかわからない少女のようだった。 マジかよ!?そんな物好きが居るのかよ!? 心底思った。 あの瞬間までは。 あやせから電話があった次の日の放課後、 麻奈実と俺はいつもどおりの帰り道についていた。 俺が麻奈実をからかいながらも、素直に自分の気持ちを返して来る。 悪くないよな、やっぱり。 「ねえ、たまには、よりみちして帰ろうよぉ」 麻奈実が珍しくそんな提案をした。 それも悪くないな、と、駅前の商店街に立ち寄った。 麻奈実と他愛も無い話をしながら、最近話題なんだって、っていってたカフェに、桐乃を見つけた。 あいつ、こういうの好きだもんな。 ただ、一緒に居る奴に俺は自分の目を疑った。 赤城浩平 サッカー部所属の女子人気の高いイケメン。 俺の級友にして、アキバの中心で愛を叫んだ男、腐女子の妹をどこまでも愛している男。 そいつが、俺の妹と、楽しそうに話をしているのだ。 もしや、あやせの言っていた、桐乃の恋人って言うのは、こいつなのか!? この裏切り者の、イカサマ野郎が! 最初は、ちょっと乱入して、ぶち壊しにしてやろうか、とも思った。 だけど、桐乃の笑顔を見て、やめた。 桐乃は、今、幸せなんだろうな。 確かにあいつが昔言っていた、同級生じゃ話にならないっていうのと、妹空の「本当の彼氏」に、ちょっと似てるもんな。 残念だが、アイツのオタク趣味に、俺は浩平おにいちゃんほど理解を示すことは出来ない。 何もかもが負けた気分になり、 「麻奈実、悪いな」 そういって、俺はその場を離れた。 最後まで読みたいけど眠い…くううう 支援しつつ落ち それからのことは、あまり覚えていない。 いわゆる、上の空って奴だ。 そんなとき、俺の携帯にフェイトさんから、連絡があった。 流石に年収53万円では生きていけないことと、 出来る限りのことをやりつくした結果、 最終的に自分が創作者より編集者であることに気づいた彼女は電撃の編集部で、熊谷さんの下で働いているらしかった。 「ふふ、いつぞやのお礼、させて欲しくて。きょうはア●ムの出番は無いから、安心して、ね」 でもこれ、居酒屋じゃないですか?クオーターの貴女にはあんまり似合わないと思うんですけど。 流石に言うわけにもいかない。 「大体言いたいことはわかるわよ。でも、なんかね、こういうときは、こういうところがいいと思うの。」 「そういうものなんすか?」 「そういうものよ」 そういいながら、彼女はヨーグルトサワーを飲み干した。 「強いんですね」 「クオーターだからね、僕は。多分、おじいさんが強かったんだよ。 ま、君は未成年だから、食べて食べて!」 そういって、居酒屋メニューを大分制覇した。 おなかいっぱい食べて、少し落ち着いたようだった。 「ふふ、男の子なんだね、君は」 「そりゃあ、そうですよ」 「じゃあ、きっと、大事な人が、誰かのものになっちゃったんだね。 今の君からは、そういう雰囲気が伝わってくんだよ。」 「・・・」 俺は、返答に窮した。あまりに核心を付いていたから。 「わかるよ、そういう気持ち。僕だって、伊達に年月を重ねてきたわけじゃないんだからさ。 ねえ、なんだったら、僕のうちにおいでよ。殺風景だけど、妹さんと顔をあわせるよりはいいんじゃないかな? ほんの少しだけ、普通とは違ったところで過ごすのも悪くないよ」 「そう、ですよね・・・」 やはり、今、妹と顔をあわせるのは、気まずい。 「じゃ、決まりだな。京介君、おいでよ、うちに」 そうして、俺はフェイトちゃんの家に連れられていった。 そうして、フェイトさんの家に行った俺は、 「ほろ苦い、大人への通貨儀式だよ」と、彼女からビールを勧められた。 ビアグラスに注がれたそれを飲み干す。 大人の味、なのだろうか、ホップの味が舌にまとわり付いた 同時に脳髄の中心部にピリピリと来て、 慣れない感覚に、俺の感覚が少しずつ、あいまいになってきた。 だんだん、酔いが僕を支配してくる 「ふぇいとさん、きいてくらさいよ」 「もう、なあに?」 「俺、どうしようもないシスコンだったみたいです。 妹に恋人ができたってくらいで。しかもそれが、同級生の親友だったなんて! おれは、俺は!」 もう、泣き出しそうだった。 そんな俺を、フェイトさんが諭していった。 「それだけ、妹さんのことが好きなら、もっと妹さんのことを愛してあげても良かったんじゃなくって?」 「う、そうですけど、でも」 「じゃあ、仕方ないわ。代わりに私が愛してあげるから。」 そういって、フェイトさんは俺にキスをした。 それからのことは良く覚えていない。 そうして、俺は今に至るわけだ。 なかなか頭痛が引かない。 フェイトさんの作ってくれた目玉焼きと厚切りハムのトーストは流石に食べられそうに無いので、俺はポカリを飲み干し、横になる。 身体中がダルさに包まれて悲鳴をあげている。 これが大人になるってことなのか。 身体が休息を求めるままに、俺はまた、眠りについた。 もう一度目を覚ましたら、既に夜になっていた 漸くダルさも抜けて頭も回るようになって、自分の現状に呆れるとともに、かなりヤバい事に思い至った。 でも、もう、どうでもいい。 いいんだ、もう。 桐乃には、俺よりも頼りになるであろう彼氏ができたのだからな。 ぼお、っと、そんなことを考えていると、フェイトちゃんが帰ってきた。 「あれ?まだ居たの? 帰らなくて大丈夫なの? 親御さんだって…」 「いやぁ、いいんすよ。 家は妹ならともかく、俺は比較的放任主義なんで」 「そう、なんだ?」 フェイトちゃんは俺の言葉を額面通りには受け取ってくれてない表情をした。 「そういえばフェイトさん、週末なのに遅いんですね、帰り」 「そうよ、編集の仕事は休みなんて無いのよ。 もう、くったくた。 特に、校了前はね」 「そうなんですか」 「あと、いくつか新しい企画も始めてるし、大変よぉ」 「はぁ…」 「キミも無関係じゃ無いのよ?」 「え?」 彼女の言う意味が今一ピンと来ない。 ため息をついて、彼女は言った。 「本当に君は、もう… ま、いいわ。 ね、まだ僕のところに居るつもりなら、また、身体で返してもらいましょうか?」 「へ?」 「もう、忘れたの? 昨日あれだけ僕をめちゃくちゃにしたくせにっ。 責任、取りなさいよね?」 そういって彼女は俺の唇を奪った。 濃厚なキスに、昨日のアルコールと同じ酩酊感に教われ、とろけてしまった。 フェイトちゃんは俺の服を脱がし、胸元に、腹に、キスをする。 「ふふ、京介君の身体って、少年の身体付きよね。 綺麗よぉ」 何時もの中性的な声が、より艶やかに、響くと、まるで美少年に迫られているような倒錯的な気分になる。 そして、彼女のキスが下腹部に達し、下着の上から、いきり立ったそれを責め立てるようにねぶる。 「美味しいわ…」 勃起したそれを彼女は直接口に含む。 淫猥な吸い付く音を、俺に聞かせるかのようにたてて、彼女はそれを悦しむ。 俺はたまらず射精した。 そして、フェイトちゃん自身もまた、服を脱ぎその裸体をさらけ出す。 スレンダーな身体に、毛細血管まで見えそうな透き通った肌。 クォーターだけあって、エロティックで綺麗な身体だ。 彼女はもう一度キスをしたあと、クンニを要求してきた。 一瞬俺が顔をしかめると、俺を押し倒して、顔面に臀部を押し付けてきた。 クォーターだからか、少し体臭がきついが、それが俺の動物的欲求を掻き立て、仕方なしに彼女の求めに従う。 俺の舌の動きに、身体で応える様が俺の嗜虐心を誘い、俺はクリトリスを甘噛みする。 こりっとした感触が歯に伝わる。 「は、ン」 不意の反撃に、フェイトは一瞬、達してしまう。 「もう、ずるいわよ、不意打ちなんて」 「身体で返す約束ですからね」 「うふふ。男の子ね。 ほら、もっとしましょ?」 彼女の匂いで、俺もまた完全に獣になって、成熟した女性の身体を貪りたくなっていた。 「ダメよ、そのままじゃ。 はい、今日はちゃんと着けてするのよ?」 フェイトちゃんは薬局の紙袋からコンドームの箱を取り出して言った。 でも、多くないっすか、その量… もっとも、3ダースセットのそれは、結果的に正解であったが。 それから俺たちは、ほぼ24時間、彼女の部屋で散々に、考えられるだけのあらゆるセックスに耽った。 そして、強烈な疲弊感に襲われて、俺たちは、深い眠りに落ちた。 「・・くん、・・・介君、・・京介くん」 フェイトちゃんの声で、また俺は目を覚ました。 「はぁ、もう、キミ、ホント、若いのね。 あんなに…」 白磁色の肌をわずかに紅色に染め、彼女が言った。 「ね、キミ、ちゃんとケータイチェックした? 何かすごい着信があったよ?」 だるい身体を引きずりながら、携帯を開き、着信履歴を見る。 ずらりと並ぶ桐乃の名前。 それも、数分おきに。 最初の履歴が今朝方ということは… 次に、メールの履歴を確認する。 …こちらも数分、下手したら数十秒おきに、桐乃の名前が並んでいる。 その文面は… いや、やめておこう。 なんていうか、桐乃に勧められてやった、エロゲーでこんな展開があったことだけは伝えておく。 「え?何で!?」 「はぁ、もう。 キミは本当に鈍いなあ…」 そうして、フェイトさんの口から、恐らく真実と思われるストーリーが語られた。 実は今、彼女と桐乃で新しい携帯小説の企画を立ち上げたところだったらしい。 妹空とはまた違い、今度は近親恋愛をダイレクトに扱った作品になるらしかった タイトルは妹風 フェイトちゃんが察するに、赤城とのデートは取材だったのではないかということだった。 兄の関心を買おうと、兄の友人とデートするシーンがあるらしく、黒猫のツテで赤城をその相手にしたらしかった。 それを、たまたま見かけてしまったようなのだ。 「でも、どうしたものかしら。僕たちの事を知ったら…」 フェイトちゃんが少し意地悪な笑顔を俺に向けてそう言った。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/458.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1301391825/113-123 八月二十日 家に帰って、妹達に晩御飯を用意して、自室に入るまで。 なんだか夢のようにふわふわしていた。 「まだ……熱い気がする」 先輩に直に触れられた部分。太ももに、尻に、首筋に……唇に。 残滓が残っている。 目を閉じれば、あまりにも生々しくよみがえるその感覚に、 いそいそと布団をしいて寝転がる。甘い疼きがじくじくと火傷のように 身体を炙り、頭の中から唯一つのこと以外は締め出されていく。 「は……ぁ、先輩……」 口に出して呼んでみる。もっと強く感じたいという思いが膨れ上がって、 さらに集中する。思い出すのは、服の上から抱きしめられた感触。 お腹のあたりに腕を回して、そこから上へ。自分の腕で、その動きを トレースする。 「んっ……」 《オーバーライド》 触覚を 上書き して、脳内で先輩の腕に置換する。 先輩は、やさしくもいやらしい動きで私の胸を撫で回し、服とブラの上から 正確に一番弱い部分を見つけ出し、やわやわと、執拗にこねくり回した。 「や……ぁ、せんぱ、い、そこは……ちく、ふ、ぅんんっ!」 本当、ひどい人。優しげに笑いながらケダモノみたいな目をして、 まるで手を緩めてくれない。私の頭の中で何度も火花がはじけ、上り詰めていく。 追い詰められていく。 これもまた、呪い。 彼にかけた最大級の呪いが、私に逆流して身も心も蝕んでいる。 先輩が私のことしか考えられなくなる以上に。 私が先輩のことしか考えられない。 もっと触って欲しかった。 もっと先輩を、刻み付けて欲しかった。 「あれだけ蕩けさせておきながら、お預けだなんて…… 手で慰めることは出来ても、キスは一人では出来ないのよ、先輩」 恋人の部屋のベッドの上で。覆いかぶさるようにのしかかられて。 てっきり、大事なものを捧げることになるのだと思っていたのに。 一つ一つ、色々なことを経験したいですって? 全く、素に戻っ……否、温情を出して肉の身体の主である『瑠璃』の感情を 表に出したのが間違いだった。 この狂おしいほど身を焦がす愛欲の炎を、たった一人でどうしろと言うのか。 一つ一つとは、いつ経験させてくれると言うのか。 「そう……発言には、責任を取ってもらおうかしら。四六時中、私の身体を まさぐってもらって、この疼きを収めてもらわないと」 次に会った時は、私から迫ってあげる。今日とは逆に、先輩に馬乗りになって…… けがらわしい股間の、に、肉棒をいじって。そう、あの男の好きそうなシチュがあったわね。 足の裏ではさむようにしごきたててやったら、どんな顔をするかしら? ああ、でもお昼過ぎから日が暮れるまでキスし続けるようなケダモノが、その程度で 参るかしら? しごく為に脚を開いた私の股間を視姦して、襲い掛かってくるかも。 そうしたら、今度こそ奪われてしまうかしら。 私には想像もつかないような変態行為に及ぶに違いないわ。 全身を舐めまわしてみたり、匂いをかいでみたり……でもきっと、 一番大事なものを奪う時には、やさしく…… 「せんぱい……きょ、きょうすけ……」 先輩の『真名』を口にしただけで、心臓が締め付けられるように痛む。 先輩も、今頃私のことを考えてくれているだろうか。私は先輩の想像の中で、 どんなことをしているだろう? 高圧的に振舞っているだろうか。それとも先輩の大好きなエロゲーのヒロインのように しおらしく、なすがままになっているだろうか。 とたんに心の中に鉛玉を落とされたように、高揚していた気分が盛り下がっていく。 「ふぅ……すっかり萎えてしまったわ」 身体を起こしても、もう熱さが感じられない。汗ばんだ身体に服が張り付いて、 不快ですらあった。 「あの男の貧相な想像力で私の尊厳を貶められてはたまったものではないわね。 ……釘を刺しておかないと」 とぅるるるる。 とぅるるるる。 とぅるるるる。 『おう、く、黒猫。どうした?』 「声が上ずっているわよ」 『そりゃあ……そうだろ。彼女からの初の電話だからな』 ! そうだった。勢いに任せて電話したけれど、そうなるんだ。 『んで? どうした?』 「そ、その……いえ、特に用事は無いのだけれど」 『あ、もしかして声を聞きたくなったって奴? 可愛いこといってくれるな、黒猫』 「そ、そんなんじゃないわ。ただ……先輩が……」 『俺が?』 「私を使って不埒な妄想をしているのではないかと思って、釘を刺そうとしただけよ」 『おまっ……なんちゅうことをいいだすんだよ!』 「先輩にも分かる言葉で言ってあげましょうか? 私を、お、オナニーのネタにするのは 止めて頂戴。不快よ」 『え、ええー……黒猫さーん?』 「ええ、許さないわ。私というものがありながら妄想相手にだなんて断じて許可しないから」 一度言葉を発してしまうと、なかなか止まらない。 「大方、今日私にした変態行為の数々を反芻しているところだったのでしょうけれど。 お生憎さまね。あなたごときの貧相な想像力では私の『本体』の行動を予測することなどできはしない」 『へへっ』 「なによ。何を笑っているの」 『それってつまり、アレだろ? オナニーを我慢して、黒猫に直接いっぱいぶっ掛けて欲しいって ことだろ?』 「なっ……ぶ、ぶっか、ぶっかけって、なにを、」 やっぱり、先輩は私の想像を超えた変態だった。 『いや、まさか彼女にして最初にヤキモチを焼いた相手が俺の妄想とはな。そういうとこ 可愛いと思うぜ、黒猫』 「ち、ちがっ、そんなんじゃ」 『はいはい。……つってもなー。俺もお年頃なわけだし? 何日もオナニーできなかったらしんどいしなあ』 「何を言い出すのよ……」 『黒猫には自分で言ったことの責任を取ってもらわないとな、って話だよ』 「こ、今度は何をさせるつもりよ」 『黒猫、明日はヒマか?』 「え? ええ、空いているわよ」 『そか。だったらさ、お前の家行っていいか? 俺だって妄想じゃなくてお前に直に触れたいからな』 「は、はい……あ、でも妹達が」 『ああ、そうだったな。……なんだったら妹に仲睦まじい所を』 「やめて!」 本当、想像以上の変態だわ。妹達の前で、だなんて…… 「あ、あああ、あなたという人は天を貫かんばかりの変態ね。私を露出狂にでもしたいのかしら?」 『わ、わかった、俺が悪かった。……じゃあ妹さんたちに隠れて、こっそりしようぜ』 「本当にしょうがないエロガキね。ま、まあ? 私の魅力に屈服している証拠なのだから、特別に 赦してあげるけど」 『そうそう、そういうこと。で、明日行っても良いのか?』 「……うん……お布団しいて、待ってるから」 『ゴクッ……そ、そうか。じゃあ……今日と同じくらい、昼ごろに行くから』 「……じゃあ、明日」 八月二十一日 「ああ、もう! もうすぐ先輩が来るっていうのに! あんたら、何処に隠れ、て……」 「高坂君、いらっしゃい!」 「おにぃちゃん、いらっしゃい!」 「おう、久しぶりだな、お前ら。元気にしてたか?」 昨日の黒猫のお誘いどおり昼過ぎに来た俺を迎え入れてくれたのは、 いとしの彼女ではなく、その妹二人だった。 当の黒猫は、サーチライトのような眼光で何かを探しながら奥の部屋からあわただしく 出てきたところだ。 「おう、黒猫。約束どおり来たぜ。相変わらず姉妹仲がよさそうだな」 「~~~~~!」 顔を真っ赤にした黒猫が大股で俺に近づいて、手をとって歩き出した。 「やーいやーい、ルリ姉顔真っ赤!」 「わーいわーい、おねぇちゃんかおまっか!」 下の妹のなんだかよく分かってないけどはしゃいだ様子が可愛かった。 「い、今のは忘れて頂戴」 部屋に入った後、赤くなった顔を背けて……でも手は離さないで、黒猫が言った。 「さすがのお前も家族の前ではあのキャラは引っ込めるのな」 と思ったら勢いよくこっちを振り向いた。 「だ、だから! 忘れてと」 「いーや忘れねえ。折角彼女になったのによ、妹相手には普通に接するのに 俺は作ったキャラしか知らないなんて、それこそ嫌だね」 結構前から、俺に対する黒猫の口調が変わってきていた。あの穏やかな感じ、 ああいう黒猫を、もっと知りたい。もっと見ていたい。 「う、その……それは。だって今更、恥ずかしくって……」 「何が恥ずかしいもんかよ。妹思いの優しいお姉ちゃんじゃねえか。 それでも隠すって言うんなら、そうだな……」 「な、なによ……」 ……適当に言っちまったが、どうする? 黒猫が適度に嫌がって、 素の表情を見せてくれそうなのがいいな。お、いい事思いついた。 「……俺が勝手に想像するぜ。萌えキャラお姉ちゃんの瑠璃ちゃん……いや、 ルリルリを!」 「瑠璃だからってそのあだ名やめろ! ……ハッ!」 ああ、そっちに触れてしまったか。正直あのアニメは、俺は見ていない。 だがスパロボとかに出ているし、そういう名前の人気キャラがいると言うことは知っている。 その程度のもんだ。 「へへっ、思ったとおり素を出したな。4月の頃、俺がマスケラ終了したって」 「終わってなど居ない!」 おおう、ちょっとつっつきすぎたか。黒猫がフーフー言ってるぞ。……まさに猫って感じで これはこれで可愛いけど、わざわざ会いに来て怒らせるのも嫌だし、フォローを入れないとな。 「悪い悪い。でもさ、こうやって素を出し合える関係になっていきたいんだよ」 「まったく……発言者が先輩じゃなかったら呪殺しているところよ」 「そこまで!?」 こいつのマスケラ好きも相当なもんだな。呪い殺すほどかよ! 「当たり前でしょう。で、私の対応のことだけれど。……まあ部分的には、出来ると思うわ」 「ぶ、部分的?」 「そうよ。物心付いてからこっち、今まで私が『夜魔の女王』として接しなかったのは家族のみ。 ……先輩は私に親扱いや妹扱いされたいの?」 いや、マスケラ始まる前は『夜魔の女王』存在しねーだろ……って言っちゃだめなんだろうな。 で、家族以外にどう素になっていいか分からない、って事か。 逆に俺が妹に……桐乃に接するように黒猫に接することも出来そうにないのは確かだ。 「いや、でもお前最近俺に対する口調がちょっと変わってきてただろ。ああいう感じでだな」 「それは……意識してやるのは恥ずかしいから……」 「そか。まあ、これから時間はあるんだし、だんだんと慣らしていこうぜ」 「うん……そうね」 そうそう、これだよ。この柔らかい笑顔。黒猫を彼女にして本当に良かったと思わせてくれるぜ。 「じゃあいい雰囲気になった所で布団の上に行こうか」 「いい雰囲気を台無しにしたわよ!?」 そう言いながらも、つないだ手は離さないし、俺が手を引いたまま布団のほうに歩き出したら しっかり手を握り返して付いてきてくれる。 「きょ、今日は一体どんな変態行為に及ぶつもりなのかしら」 「おいおい、人をエロゲーの調教師みたいに言うなよ」 「度し難いエロゲ脳ね先輩は」 「おいおい褒めるなよ。じゃ、とりあえず脱ごうか」 そう言って俺自ら脱ぎ始める。こういうのは自分も相手に合わせてやるのが基本だとエロ本にも 書いてあるからな。 「ちょ、ちょっと! 何をいきなり脱ぎ始めてるのよ」 上とズボンまで脱いだ所で黒猫に呼び止められた。 「え? だって、そのために誘ったんだろ?」 「いや、それは……そうなのだけど。妹達もいるのに……」 「大丈夫だって。上の子は聡い感じがするし、俺たちがガチでヤってれば空気読んでくれるって。たぶん」 「でも、そんな……」 「じゃあ、ふすまから黒猫の姿が見えないように俺が抱っこしてやるからさ」 「先輩必死すぎる……」 ああ必死だとも。彼女の家でエロエロできるチャンスに俺のハートはメルトダウン寸前だ。 「なあ……駄目かな?」 「本当に仕方のないエロガキね。……本当に、抱っこしてくれる?」 気にするのそこかよ! 本当に可愛い奴だぜ。 「するする。絶対するから」 「じゃあ……少し、向こう向いてて」 「お、おう」 こ、これは! まさにエロゲでよくあるシチュ! するする、と衣擦れの音がして、きぃ、と……これは多分、服をハンガーにかける音か? うーん、やっぱあの衣装大事に着てるんだな。お行儀がいいぜ。 その後もごそごそと脱衣の音がするのを聞きながら俺もボルテージを上げていった。 途中、「んっ」という吐息が聞こえたのはなんだったんだろう。すげー色っぽかったけど。 「も、もういいわよ」 振り向くと、掛け布団で身体を隠した黒猫がこちらを見上げていた。 隠し切れずにちらちらと見える肩がエロい。 「ゴクッ……じゃ、じゃあ行くぞ……黒猫」 「は、はいっ」 といってもどうしたものか。肉のカーテンならぬ掛け布団のカーテンをまとった黒猫は ほぼ全身をガードしている。 「とりあえず俺も黒猫の入ってる布団に入りたいんだけど」 「ど、どうぞ」 おずおずと左手を上げて、俺の入る場所を作ってくれる。 「あ、じゃあお邪魔します」 そういってさりげなく俺もパンツを脱ぐ。既にスーパーサイヤな状態だ。 「…………!」 黒猫は顔を伏せながらも目を見開いてガン見している。さすがに照れるんで、 そそくさと布団の中の黒猫の隣に座った。どうやら体育すわりしていたようで、 この期に及んでまだ乳は見えない。その代わりに滑らかな背中が丸見えだ。 エロ本知識によれば、最初は肩を触るとかキスとかで緊張をほぐすらしい。 さもありなん。 「黒猫って肌綺麗だよなあ」 「あ、ありがとう」 顔を赤くして布団に顔をうずめるようにうつむいている黒猫の背中を、つつっと 指で撫でる。 「ひゃんっ! ちょ、ちょっといきなり何を」 「だから肌が綺麗だなって」 びくんと跳ねながらも、こっちを見つめてくるだけで布団を放そうとはしない。 これならもうちょっと大胆にいってもよさそうだな。 今度は背中を通り越して、抱き寄せるよう腕を回して胸に触れた。 何気に初めて触れる黒猫のおっぱいは、しっとりと汗に濡れていて尻とも違う 柔らかい触感だ。 「やっ……ん……」 震えるものの、嫌がったり抵抗したりはしない。これは燃えるな…… 俺は身体を寄せて、横から黒猫を抱く格好になった。 腕のリーチに余裕が出来て、黒猫のおっぱいを思う存分触れるようになる。 表面だけを撫で回すように優しく揉んでやると、直接見ずともはっきりと分かる 突起の感触がある。 小さくて、その周りがすべすべしているソレは、明らかに…… 「ち、乳首たってる……」 「い、言わないで……」 テンパって思わず口にしてしまって、黒猫がさらに赤くなる。 エロ本知識によればここはさらに敏感な部分だ。そっと触れないと痛いらしいな。 とりあえず、突起の周りのすべすべした部分をつつーっと撫でてみた。 「は、ん、くぅ、ん……」 ぷるぷると身を震わせ布団で声を抑える様子は、俺のSな心をビンビン刺激してくれる。 「さ、黒猫。約束どおり入り口から見えないように抱っこしてやるからな」 体育座りしたままの黒猫に身体を向けて胡坐をかいた俺は、膝の裏と背中に腕をまわして ひょいと持ち上げた。そのままの向きと姿勢で、黒猫を膝の上に載せる。 必然、俺のリボルケインが黒猫の脚の間に収まる形だ。 「こ、こここ股間に熱いものが当たっているのだけれど」 「そりゃそうだ……可愛い彼女のこんな姿見たら、こうなって当然だろ?」 我ながら恥ずかしいこと言ってるな。とりあえず約束どおり、入り口に背を向ける。 布団もあるので、多分入り口から黒猫の姿は見えないはずだ。 「さて……」 冷静を装ってはみたが、黒猫の太ももの温かさと……文字にするのもはばかられる、 ぬるりとして柔らかくもあたたかい、あれの感触でもう暴発寸前だ。 「黒猫。……胸、見せてくれよ」 「は、恥ずかしい……」 とか言いつつも、おずおずと胸を覆っている手をどかせてくれる。俺も思わず生唾を飲んだぜ。 と言うか、制服や白のワンピース姿から想像していたよりもずっと『ある』。少なくとも 平らという感じはしなかった。 「さ、触るぞ……」 返事は無い。胸の上辺りまで既に桜色に染まっていて、俺はなんとなくそこから触れた。 黒猫の熱いため息にこちらも息を呑みつつ、触れた手を下へおろしていく。 小さくな膨らみの頂で自己主張しているピンク色のそれを食い入るように見ながら、 そっと指の腹で転がしてやる。背中の時よりもさらに激しく全身が震えた。特に脚が 強く反応したもんだから、はさまれている俺のリヴァイアサンも肉の大津波に飲み込まれる。 「く、黒猫、そのまま、両脚で強くはさんでみてくれ……」 「で、でも、そんなことしたら擦れて……あんっ!」 きゅ、と二本の指であくまでも優しく乳首をはさんだ。 「ああ、まさに擦り合わせようってことだ。な、頼むよ、黒猫……」 「もう……予想の斜め上を行くんだから……」 リクエストどおり、脚を軽く交差させるようにして俺の大海獣をホールドする黒猫。 「うお……すげえ、気持ちいい……」 黒猫のそこは既に熱く潤んでいて……なんだか俺のものに絡み付いてきているような気さえする。 しかし、初体験の前に素股とは……ついに俺も、黒猫の、その……お、おま…… ああもう、考えるだけで緊張するぜ。とにかく一番大事な所に触れたのか。 尻に顔をうずめた時よりドキドキしてきやがった。 「黒猫、このまま寝かすぞ……」 こすり付けるのには抱っこの体勢は少し疲れる。はさまれたままに俺は黒猫を押し倒し、 布団に寝かせる体勢にした。さらに黒猫を回転させ、横ではなく普通に仰向けにして 正面から向き合う。 回転の時のぬるりとした刺激で射精しそうになったのは秘密だ。 黒猫の両脚を抱えるようにして、腰を動かす。 「あ、ああっんっ」 先の部分が太ももに挟まれるときと飛び出す時に、くちゅ、と粘ついた音がして 一番強く擦れる。や、やばい……気持ちよすぎる。黒猫の声もどんどんエロくなって、 もう完璧にあえぎ声だった。 「ど、どうだ、黒猫。気持ちいいか?」 次の瞬間に射精してしまいそうなのを紛らわすため、黒猫に話を振ってみる。 「あっ、ん、きもち、いいっ! そこ、こすれるのっ」 こんな時だけ凄く素直な黒猫が可愛すぎて逆効果だった。 「そ、そっか。なら、もっと強く擦ってやるからな!」 「ああっ! せ、せんぱ、わたし、もっ、もうっ」 さらに強く押し付けてやると、黒猫の形がなんとなく分かってくる。ぴっちりと閉じた ぷにぷにの肉ヒダ、そしてここにも、硬く自己主張する突起がある。 その突起を突くように、俺のエクスカリバーを角度調整して、突く。 「く、あ……出すぞ、黒猫っ! ううっ!」 「あ、はあああああぁっ!」 ああ、黒猫はイく時の声も綺麗だ……なんて莫迦なことを頭のどこかで思いながら…… ちょうど突いた感覚が最後の引き金になったか、第一射は黒猫の一番敏感な部分にぶちまけた。 太ももにはさまれながらも跳ね上がったソレは、黒猫の腹といわず胸といわず、白い肌に さらに白いシミを描いた。 気持ちよすぎるぜ……やっぱ一人でやるのとは違う。刺激がどうのとかではなくて。 俺は虚脱感から口を開くことも出来ずに、ぼけーっと黒猫の顔を見つめていた。 黒猫はというと、うす笑いのような惚けているだけのような表情で、空ろな目をして 天井に視線を向けている。赤くなった頬がかわいらしいが、これが……これが、 「黒猫のイキ顔……え、エロい……!」 思わず声に出してつぶやいてしまったが、黒猫は反応しなかった。 射精して早々に最高のオカズを見つけてしまった俺のレヴィアタンはいきなり回復し、 完全に脱力している黒猫の胸にしゃぶりついた。 「ふぇ? ひゃ、ちょっと、先輩っ」 さすがに気を取り直したか、黒猫が何か言っているが、かまわずに乳首を舌で舐り倒した。 「や……ぁ、せんぱ、い、そこは……ちく、ふ、ぅんんっ!」 思ったけど、こいつは乳首弱いのかな? 普通に舐めてるだけで凄い反応する。 舐めてないほうの乳首も、指でつまんでもみくちゃにする。 「ふあ、ぁむぅぅぅぅぅっ」 一際高い声を上げた、と思った瞬間、くぐもったものに変化する。黒猫がとっさに 両手で口をふさいだからだ。 まあ、家に妹がいるんだし、当たり前だよな。しかし口をふさがれると、余計に いやらしいことをしているって気分が出てきて、我慢できなくなってきたぜ。 「な、黒猫……今度は、俺のを……舐めてくれないか」 「そ、そんなの、恥ずかしくって無理……」 そんな可愛く照れられたらますますやりたくなってくる。 俺は仰向けになったままの黒猫をそのままに、両膝を黒猫の腋の下あたりにつく ように身体を持ってきた。つまり黒猫の眼前に俺のものがある格好だ。 「なあ、黒猫。頼むよ……」 両手で口をふさいだままの姿勢で、顔を真っ赤にして俺のを目を見開いて凝視する黒猫。 なんだかたまらない征服感を感じて、じりじりと黒猫の顔に近づけてみる。 「う、うん。分かった……」 おずおずと、といった感じで、黒猫が手をどけ、口を半開きにして、顔を近づけていく。 その光景だけで俺はもう限界に達しそうになった。 ちろり、と舌先で撫でられただけで、腰がどうしようもなく震える。 「うおぉっ」 「ご、ごめんなさい、痛かったの?」 あわてたように黒猫が聞いてくる。 「い、いや。すげー気持ちよくて驚いただけだ。もっとしてくれよ」 照れたように目を伏せると、今度は先端にキスしてきた。 寝そべったままの姿勢で俺のグローランサーに舌を這わせる黒猫の図がたまらなく淫靡で…… 今度デジタルビデオカメラを買おうと、俺はひそかに決意を固めていた。 「ちゅ……ふ、んぅ……れぇろっ……」 舐め続けるうちにだんだんとうっとりしたような表情になってきて、舐め方にも熱が入ってきた。 何時の間にやら、さっきの射精で中にまだ残っていた分の精液も吸いだされているところだ。 「う゛、んむっ……ぢゅ、ちゅっ」 苦そうに、しかし悩ましげに眉をひそめて頬をへこませ、ストローのように吸いだしていく。 だが…… 「く、黒猫、それ、やばいっ……」 今度は俺がひいひい言う番だった。あまりの気持ちよさに、目の前がちかちかする。 こらえようも無く、今まさにちゅーちゅー吸っている黒猫の口の中にぶちまける。 無意識的に黒猫の顔を固定して、俺は全部を黒猫の口内に射精していた。 射精の衝撃から我に返った時、最初に見たものは…… 「ん、く……こく、こくん……」 心なしか陶酔したように目を細めて、しゃぶったまま口を離さずに精液を少しずつ 飲み下していく黒猫だった。さらに残った分まで搾り出そうというのか、促すように ちろちろと舌先で鈴口をくすぐりながら、吸いだすのも忘れては居ない。 「くうっ、おおおっ……」 参ったな。告白した時も見惚れたってのに。可愛すぎるぞ、黒猫。 射精を終えて感じるこの『終わったあと』のきまずさも、黒猫とならむしろ心地よい沈黙だった。 ティッシュで黒猫の腹と胸に飛び散った精液をぬぐうと、黒猫と一緒に裸のまま布団で添い寝した。 「ふあぁ……」 因みに黒猫は俺の腕枕で寝てる。腕枕なんてしたら腕痺れるだろ、と常々思っていたが、 こいつの頭が小さいからか、それとも載せ方が上手いのか……心地いいくらいの重みだった。 「ん……眠いの?」 「ああ。なんかこう、黒猫を腕の中に抱いてたら、気持ちよくってさ」 「……そうね。先輩の腕枕、あたたかくって気持ちいい……」 「このまま昼寝するか」 「うん……」 そして俺たちは、このまま……上の妹が 「あーっ! ルリ姉と高坂君が素っ裸で抱き合って寝てるー!」 といって乱入してくるまで、幸せな惰眠をむさぼるのだった。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/206.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1281447547/364-369 まず、言っておきたいことがある。 確かに俺は沙織の家で、「あぁ、コスプレもいいなぁ」と半ば自分の漆黒のあまりもの漆黒ぷりに陶酔していた。いや半ばというのは嘘で 相当に自分に酔いしれていたことも認めよう。 だが、それはあくまで衣装があらかじめ用意されていてなおかつ自分に良く似合っているという前提の元なりたつ心理であって、 つまり何がいいたいかというと俺にはコスプレをする趣味はないし、ましてや自分で用意してまで似合わない格好をする度胸もないのだ。 もっと言えばコスプレの一部だけ切り取って日ごろのファッションに取り入れて活かそうだなんて高等テクを持っているわけでもない。 で、ここまで読んだ方は大方どうせ無理やり誰かにコスプレさせられてるんだろう?と思うだろう。 半分正解だ。いや、半分正解かもしれない、だ。 まず正解かもしれない方の事情を説明するならば、誰かのせいかもしれないという点にある。犯人は不明だし、 そもそも犯人が存在するかどうかすら謎なのだ。 そんでもって100%不正解のほうだが、まぁ、その…なんだ コスプレじゃないんだ。 「…嘘だろ?」 もうね、生えてんの。根元から。 …いや、下じゃねーよ。 ガラっ 「ちょっと、何時まで歯磨いて…」 何故俺の妹は毎回毎回最悪なタイミングで入ってくるのだろう。 あまりもの衝撃に凍り付いていたせいで、両手で頭を隠すのが一瞬後れた。 洗面所の使用権を主張すべく覇気をまとった表情で扉を開けた桐乃の顔は、一秒ほどの間をおいて(゚Д゚)こんな顔になった。 「あ、…あんた…」 「…見た?」 こくこく、とうなずく桐乃。 「…たしかに沙織の家では誉めたけど…朝っぱらから…」 「ちがうからね?!」 まぁ、そうですよね!普通そう思いますよね! 俺もお前の立場だったらそう思うわ。 だって変だろ?普通生えねぇよ、猫耳なんて!! 猫耳 「へぇ…うわぁ…マジで生えてんじゃん…あんたの体どうなっての?」 「あ、あのさ、あんまりひっぱんなよ痛い」 「うっさいなぁ、優しくしてやってんじゃん…うわぁ、中ってけっこうキモイ…」 「指を突っ込むなぁ!!」 先ほどからソファに俺を座らせて桐乃が興味深そうに俺の耳…もとい俺の猫耳を弄っているわけだが、 断じて優しい弄り方ではなかった。つか指突っ込むって虐待だよね? いい加減恥ずかしいし痛いので逃げようとすると 「ああ、ちょっとまってあと10秒だけ」 おもむろに取り出したスマートフォンを俺に向かって(主に頭頂部に向けて)構える桐乃さん。 すかさずカメラ部分を覆い隠すように手を突き出した。 「どうするつもりだ!」 「…え?mixiにあげるに決まってんじゃん?」 何言ってんのこいつ!? つか、なんでそんなこともわかんないの?ばっかじゃん?って顔してるよこの子! くっそぉ…あぁあああむかつく! 「あのなぁ!おま」 ピンポーン 「あ、あやせ着ちゃった。もう!あんたがウダウダしてるから!」 がっと脛をけられて悶絶する俺。 蹲ると同時にパシャッとシャッター音が響く。 選こいつは目的のためなら手段をばないのか!? 「へへへ…」 にやりと笑ってじゃ、と鞄を持って玄関へ向かう。 「お、おま…」 「あたし学校なんで」 そう言って視界から消える妹様。 俺は痛みと悔しさで涙目になっていた。 くっそぉ…あいつの頭に猫耳生えたら絶対に2chにさらしスレ立てて写真うpしてやる… 「あ、あんたとりあえず今日は外に出ないでよ?猫耳つけた長男なんて一家の恥だから」 「戻ってきたと思ったら言うことそれか!」 「それと、」 ずい、と前傾姿勢でにらみつけてくる桐乃。 「あの黒いのだけは合わないでよね、何があっても。」 「はぁ?」 意図を測りかねていると、ぷいと顔をそらし、こんどこそ桐乃は玄関を出て行った。 いや、本当に意味わかんね。 もうね、なんなのあの傍若無人ぶりは。せめて身内のピンチな時ぐらいまともな対応できないの? お前の外面の十分の一でいいから俺に向けてくれない? これじゃまるで 「おもちゃだ…」 ため息とともにうなだれた。 とりあえず今日は風邪を引いて休む旨を麻奈実に伝えたのち、俺は自らの体に起きた異変に向き合うことにした。 といっても耳なので大して確認事項があるわけでもない。 自分の意思で動かせるのか? 聴力はあるのか? あるとしたらどれくらい聞こえるのか? これくらいである。 結論から言うと我が家を根城にする茶羽ゴキブリを5匹ほど瞬殺し、のこり数十匹の潜伏先を推測できる程の性能はあった。 俺は猛烈な勢いで殺虫剤を手に家中を駆け巡った。 先ほどまで気にならなかったのに、気にしだした途端どうにもならなかった。 想像してほしい。四六時中ガサガサとやつらが動き回る音と隣りあわせで生活する地獄を。 「く、糞、もうないのか!」 殺虫剤が切れたころ、家の害虫どもは約半数まで減っていた。無論、満足できるはずがない。 自室に戻り財布の中身を確認し、にやりと笑う。 へっへっへ、皆殺しにしてやる…女子供も血祭りにあげてやる。 薬漬けにして二度と笑ったり泣いたりできなくしてやる。 制服から私服に着替えて玄関までダッシュ。扉を開きかけたところでハッとする。 このままの姿で外に出る恥ずかしさを想像して鳥肌が立った。 「ぼ、帽子…」 残念なことに俺は帽子を持っていない。 が、しかし、帽子はある。 急いで自室にもどり、ベッドの下をあさり、地味なキャップを発見する。 いつかあやせが桐乃にかぶせろと俺に渡してくれたやつである。 返しそびれてここにあるわけだが… 「正に天使だぜ!」 っひゃっほう!あやせマジ天使。 開放感で胸がいっぱいになった俺は家を駆け出すと薬局があると思われる駅へと向かった。 かくして俺の財布の中身のほとんどを代償として我が家のゴキブリどもは全滅したわけだが、 玄関先にぽつんとおかれたゴキブリの死骸でいっぱいのビニール袋をどう説明したものか。 我ながら、よくまぁ、あんな気持ち悪いものをこしらえたものだ。正直、もう一度ゴキブリの死骸を目の前に詰まれて 「さぁ、袋に詰めてくれ」なんて言われてもやれる自信がない。 「はぁ…」 世に言う賢者タイムというそれに近い心持だった。 燃えるゴミの日は明日だが、とりあえず家においておくのも気持ち悪いし、 腐って妙な匂いが出ても困るので外において置こうと思い、玄関の扉に手をかけた。 ビニールを玄関の横の塀の内側に置くだけだから、まぁ、帽子はかぶらんでもいいだろ。 ガチャ… 「あ…」 はて、間抜けさに関して言えば俺は桐乃のそれを上回っているのかもしれない。 どうしてゴキブリの足音には気づいて、人間の足音には気づかないのか。 「お、お兄さん…」 「よ、よう…」
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/105.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1257382677/483-504 スポーツ留学から桐乃が帰ってきた 黒猫と俺の関係へのあらぬ誤解も解け、桐乃も黒猫と久しぶりにオタトーークで盛り上がっていたようだ 良かったな。 本心から、そう思った。 アメリカでは少しクレイジーな告白を妹にしてしまい、微妙な関係になっていたが、これでまた元通りの関係に戻れる。 はずだった。 その夜、俺は久々に受験勉強で張り切りすぎて早々に寝付いていたのだが、不意に平手打ちを喰らって目が覚めた 桐乃の仕業だった 「なにすんだよ、痛ってーな!」 反射的に声をあげてしまったが、昼間の事をまだ根に持っているのだろうか? それとも!? 「人生相談」 ボソッと桐乃が言った 暗がりで表情を押し殺して居たため、桐乃が何を考えて居るかわからない 「おう」 桐乃に従わざるを得ない俺は、仕方なしに桐乃の後をついて行く ん、廊下も薄暗いな 暗がりのせいか、何時もより、桐乃の匂いが強く感じられた 「入って」 桐乃が自分の部屋のドアを開ける 今までの経験上、この部屋に入るとろくなことにならないんだよなぁ 桐乃のあとに続いて部屋に入る その時、更にドアを開こうとした俺の手が、桐乃の手に触れてしまった やっべ 「ひゃん!」 「ぽぺ?」 桐乃の怒号を恐れていた俺は思いがけない妹のエロ声に思わず変な音を口走ってしまった 「触んな、バカ」 漸く桐乃らしい反応を返してきたのだが、いつもより何かを抑えつける様な口ぶりだ なんか、今回の人生相談って、相当にやばそうじゃないか? 思い当たる節が多々あるだけに、変な汗が背中を伝う こういうときはこっちから切り出すべきだ 先手必勝 「で、なんだよ、今回の人生相談って」 いつになったらおまえの人生相談は終わるんだ、と聞くのはやめておいた 絶対こいつキレるもん 「・・・欲しいの」 何故か消え入りそうな声のため、何と言っているかわからない 思わず聞き返す 「あ?何て言ってるかわからんぞ」 「だ、だから!」 おう、そうそう、それくらいの元気でないとお前らしくないよ 「・・・して欲しいの」 がくっ、っとずっこける俺 「それじゃわかんないだろ!」 つい、声を荒げてしまう俺にいつもとは違ってビクッビクッとする桐乃 こっつがビクビクするっつーの いつもの俺なら下手に出るところだが、寝起きでテンションが上がったまま、続けてしまう 「人を夜中に叩き起こしたあげく、お前は何言ってるかわかんねーし、俺はどうすりゃいいんだよ!?」 それを聞いていた桐乃が、あいかわらず、ビクッビクッとしている事に気付いて、漸く俺も我に返った 「すまん、悪かったな。 で、何をして欲しかったんだ?」 あやす様に桐乃に語り掛けたのだが、まだビクッビクッとしている ヤバイな もしかして黒猫の事や、さっきの俺の態度に、人生相談という繋がりを拒否されたと思ってしまったのではないか。 メール一通でアメリカまで駆けつけたバカな兄。 お前が居ないとダメだ、と、本心を打ち明けたどうしようもないシスコン。 もしかしたら、桐乃は今までになく、俺の事を兄として見てくれていたのかもしれない。 そんな事を考えていた俺に、桐乃が、言った 「しっぽを取って欲しいの」 「はぁ!?」 全力でずっこけたね そういえば、さっきからずっと明かりを消したままだった 漸く暗がりに目が慣れてきて、眼前に我が妹様のお姿が浮かんできた それはネコミミとしっぽをつけて おまえ、ネコマタだったの? とか、アレゲなツッコミが浮かんだが、さすがにそれはエロゲーのやりすぎだろ、と、あらためて 「おまえ、それ、どうしたの?」 と、努めて平静を装って聞いた 桐乃によると、今日、黒猫が訪ねてきたのは、出国前に頼まれていたネコミミとシッポが出来たので、それを桐乃に渡しに来たらしかった 「で、おまえも調子にのって鏡の前でウマウマを踊っていたわけか」 「うん」 しゅん、と、桐乃がうなだれるのに合わせて、ネコミミとシッポもぺたん、となる 笑ってはいけない いざネコミミとシッポを外そうとしたら、それが容易に取れないらしいのだ 「で、なんでネコミミとシッポが取れないんだよ?そんなのコスプレ衣装だろ?黒猫じゃあるまいし、呪いとか言い出さないよな?」 「だって、このシッポ、お尻につけなくちゃいけないんだもん。」 「まあ、シッポだから、尻に付けるもんだろうけど。 両面テープか接着剤が取れなくなったのか?」 「違っ、そうじゃなくて…」 また急に消え入りそうな声になりながら桐乃が続けた 「おし、お尻の、あ、穴に入れるの」 「はい!?」 「だって、リアルに演出するにはそうしないといけないって、アイツが…」 人様の妹に何て事してくれるの!? どうやら、桐乃は黒猫お手製のネコシッポ型アナルバイブを装着して嬉々として自らのコスプレ姿を堪能していたが、 いざそれを外そうとしたら、外すに外せず、どうにもならなくなって、俺に相談してきたらしかった。 県内トップクラスの学力を誇る桐乃なのだが、どうも肝心なところで抜けているんだよな。 親父にエロゲー持っているのがバレたのも、俺にオタバレしたときと同じ過ちを繰り返したからだし。 「あのな、俺は兄とはいえ男だぞ?そういうのは母さんに頼めよ」 いくら妹の頼みとはいえ、さすがにこれは無理だ。 風邪引いて熱が出たから座薬いれて、とか、それなんてエロゲな展開は勘弁してほしい。 「そ、そんな事頼めるわけ無いじゃない!自分の娘がお尻で、なんて…」 「でっかい座薬だ、って言えばいいじゃん」 「どう考えてもあり得ないでしょ!」 そりゃそうだ。マジで頼んだらお袋、卒倒するだろうな。 ましてや親父にバレたら… 仕方がない。このままって訳にもいかないもんな。 瀬菜の妄想で肉便器扱いにされたときのケツの居心地の悪さを思い出せば、桐乃の深刻な状況もわからないではない。 「わかった、なんとかしてやるよ」 とりあえず立ち上がり、桐乃の部屋の明かりをつけた。 「だめ!」 桐乃が唐突に声をあげたが、遅かった。 そこにはネコミミとシッポと、下着のみを身に付けた桐乃の姿があった。 あ、シマパンだ。 違った 「ちょ、おま、なんでそんな格好なんだよ!?」 「し、仕方ないじゃない、しっぽを取ろうと必死だったんだから」 明るくなった部屋のなかを良く見ると黄色系のロリータ服が脱ぎ散らかされ、ノートパソコンのウェブカメラがこちらの様子を伺っている。 「…撮ってたの?」 こくん、と、桐乃が頷く 「だってあの黒いのが、ニコ動の再生数がものすごいことになってるって自慢気に言うから、あたしだって負けるわけにいかないじゃない?」 なんでこいつはこんなことまで負けず嫌いなんだ? 「つまりなにか?お前はアナルバイブを突っ込んで最高にハイな状態で踊っているエロ動画を公開しようとしてたのか?」 おもわずツッコミを入れずにはいられなかったんだが、それで桐乃は漸くにして先程までの自分の行動が極めてアブノーマルな事に気がついたのか、みるみる真っ赤になっていった。 そして押し黙るとともに、ビクッと身体を震わせ、一瞬荒い息を漏らしたあと、 「あ」 と、エロ声を漏らした。 その瞬間、桐乃が倒れ込みそうになった。 「おい、桐乃!?大丈夫か?」 必死で桐乃を抱える。 たおやかな花の様に美しい妹様の身体が、びくん、びくんと、俺の腕の中で震える。 もしかしてこいつ、自分で何とかしようとしたけど、この状態になってしまい、どうにもならなかったのか? 「大丈夫だ、俺がなんとかするから。」 そう言う俺に、桐乃が小さく頷いた。 桐乃の上半身を膝に抱き抱え、なるべくその部分を見ないようにする。 「痛かったら言えよな」 「うん」 頷きながら答える。 次に俺は桐乃の尻に手を伸ばす。 なるべく見ないようにしていたので、あらぬ部分を触ってしまった。 「あん…」 と、桐乃が甘い声を漏らす。 すでに下着のその部分は濡れそぼっている。 桐乃の匂いが強く感じられたのはそのためだろう。 「わ、悪い!」 「ばかぁ!」 俺の方に向き直り、叱責する桐乃の声が妙に艶っぽい。 「仕方ないだろ、お前だって、その…見られたくないだろ」 「そぅだけどぉ…」 恥ずかしがりながら、身体ごと下を向くと、太ももに桐乃の胸の感触が伝わる 女らしい柔らかさを失わない程度に引き締まった身体同様、まだ硬さのある乳房の感覚 なるべくその部分を見ないようにこの姿勢を取ったのだが、これは位置的にいろいろまずい。 チンコたっちゃったら殺されかねない。 なるべく考えないようにして、漸く桐乃のしっぽにたどり着いた 「抜くぞ」 「うん」 俺は桐乃の尻に生えたしっぽの付け根の部分を掴み、引き抜く方向に力を掛ける。 しかし、桐乃の尻穴は、それに逆らうようにバイブレーターをくわえ込む。 「おい、力を抜けよ。しっぽが取れないだろ。」 「ごめ、だって、きもちよくて…」 「ちょ、おま、エロゲーじゃないんだから、尻で感じるとか、いくらなんでも中学生がそれはまずいから!」 妹様のこの反応はエロゲーのやり過ぎのせいに違いない。やっぱり親父にバレたときに処分されていればこんなことには。 「ち、違うって!感じてなんかいないんだから!」 「いや、だっておまえ今気持ち良いって」 「い、いいから早くしてよ!」 さすがに不憫になってきたので、しっぽを抜く作業に戻る。 もう一度桐乃のしっぽの付け根を掴み、引き抜く。 今度は力まずに居てくれた為に、ぽむ、という感じで一段抜けた。 「あん」 と、桐乃が声を漏らした やっぱし気持ち良いのか? そう思ったが、桐乃にきくわけにいかず、その瞬間瀬菜の妄想を思い出して、なるべく考えないようにした 「桐乃、大丈夫か?」 「う、うん、大丈夫。もっとお、続けて欲しいの…」 いや、大丈夫じゃ無いだろこれ。 さっさとしないと俺の方がヤバイな 桐乃の艶っぽい反応に加えて、濡れた女の匂いが混ざり、エロチックな興奮が俺のヘソの下に集まってくる さらに桐乃がくねくねと動きながら俺の股間に熱い息をつくもんだから、尚更チンコたちそう 「続けるからな」 「ん…」 声とも吐息ともつかない答えを桐乃がかえす 頼むから股間に息をかけないでくれ しっぽを一気に引き抜くと桐乃の尻を傷めてしまいそうなので、一段一段桐乃から引き抜く その度に、あん、あ、と桐乃が鳴き声を漏らす その身体もまたビクビクと震え、俺の身体に桐乃の快感を伝えてくる まじでヤバイ いろいろやばかったが、なんとか桐乃からしっぽを抜き終わる 「おい、桐乃」 声を掛けたが桐乃は胎児の様に身体を丸め、ビクッビクッとしながら身をよじるだけで、返事ができない あー、こいつ、お尻でいっちゃってるなあ なんだかどうしようもなく妹が可愛く思えてしまった 「桐乃、おわったぞ。いい加減元に戻れって」 露出した桐乃の肩に手をかけ、こっちを向ける ぼおっとした表情に紅潮した頬 はあはあ、と、息があがっている 胸元もさらけ出され、ピンク色の乳首がこちらをむいている 乳首たってるし なんだこのエロ妹 思わず勃起してしまった 漸く、桐乃が正気に戻った 「ちょっと…背中に当たってるんだけど」 「いやこれは…し、仕方ないだろ!生理現象だ!」 「ど、何処に実の妹に欲情する兄貴が居るのよ!」 「断じて違う!っていうか、お前だってお尻でいっちゃってたじゃないか!絶対エロゲーのやりすぎだろ!」 「い、いってなんかいないから。っていうか出てけぇ!」 と、言うわけで、俺は桐乃の部屋を追い出された ただ二つだけ、気になることがある 一つは、なぜ桐乃はネコミミを付けたままだったのか もう一つは、桐乃のしっぽを抜く作業中、ノートパソコンのウェブカメラが俺の方を向いたままだった気がしたことだ
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/34.html
第三章 たらふくパフェを食べた帰り道。 俺と桐乃は普段、どこに飯食べに行ったりするかって話で盛り上がった。 俺が牛丼屋へよく行くという話をすると、桐乃は一度も行った事が無いらしく、非常に興味を惹かれたようだった。 しかし、俺がよく特盛のつゆだくを頼むという話をすると、桐乃になぜか大笑いされた。意味がわからん。 「じゃあさ、今度、連れてってよ。お昼ご飯にでもさ」 「いいぜ。でも、おまえ土日忙しいだろ?」 「大丈夫、うまく調節する」 そんな風にリラックスした会話が出来ている自分にちょっと驚く。 そして、どうやらそれは桐乃も同じだったようだ。 「……あはは。今ってさー、あたしら、ちょっとびっくりするくらい仲良くない?」 そう言って可愛い満面の笑顔を向けてくる。 一時はこういう笑顔が俺に向けられる事は決して無いだろうとも思ったものだが…… 「そ、そうだな」 俺はこみ上げてくる不可解な感情を抑えるのに必死で、ただ作り笑顔を浮かべてそう答えた。 「やっぱさー。あれかな。間接キスいっぱいしちゃったから?」 「そ、そうだな」 ん? 「……って! おまえ、何をいきなり言い出すんだよ!」 今、こいつなんて言った? か、間接キスとかなんとか…… 「いきなりも何もないっしょ。したじゃん、さっき」 パフェの食べさせっこの事だろ? そりゃわかってるけどよ…… 「あ、あれは間接キスとかじゃねえだろ。兄妹同士じゃねえか。間接キスとかにはならねえよ」 俺は精一杯、桐乃の言葉を否定した。 しかし案の定、軽く桐乃にいなされる。 「何言ってんの? そんなの兄妹同士とか関係ないじゃん」 そう言って、俺のすぐそばまで桐乃が近づいてくる。俺はまるでヘビに睨まれたカエルのように微動だにできない。 「じゃ……じゃあさ、キスしようよ。間接キスとかじゃなく、本当のキス」 突然、桐乃がそんな事を言った。 「おまえ、何言ってんだよ……!」 「兄妹だと間接キスにならないなら、きっとキスにもならないんでしょ? 本当にそうかどうか、試す」 「で、できるわけねえだろ!」 俺は桐乃から顔をそむける。なんだ? いったい、今、何が起こってるんだ? 「ふう。……本当、意気地が無いわね、あんた」 ため息と共に、桐乃がキツイ口調でそう言う。 「意気地なしとかじゃねえだろ、こういうのは」 俺は弱々しい口調で反論した。 「意気地なしじゃん。あんたさ、私にいやらしい事したいんでしょ? キス、したいんじゃないの?」 「お、おまえにいやらしいことしたいわけないだろ! 兄妹だぞ!? なんでそれが意気地なしになんだよ!」 だんだん、俺の語調も荒くなる。 「ハ! 意気地なしだから、意気地なしって言ってんの」 しかし、桐乃は俺の言葉に気おされる事もなく、むしろ攻撃の手を強めてくる。 「だって、あたしが寝てる時にしかあたしにエッチな事できないんでしょ? 立派な意気地なしじゃん」 「おまえが寝てる時だってしてねえよ!」 反射的に否定した後、はたと気付く。こいつ、まさか…… すると桐乃は不敵な笑みを浮かべる。 「あんたさ──高校生の携帯に『芋』なんて名前のフォルダがあるの、不自然だとは思わなかったワケ?」 「──!!」 こいつ、知ってる? 俺がこいつの寝姿を撮った事を…… 俺がペニスを突き出して、こいつにいやらしい事をまさにしようとしているような写真を撮った事を…… 「あんな写真まで撮っちゃってさ。正直、リアクションに困ったんだけど」 目の前が真っ暗になるってのはこういう事なのだろう。 俺はもう何も考えられなくなっていた。いや、何も考えたくなかったのかもしれない。 俺は自分の意識が深い闇の底に沈んでいくような錯覚を感じていた。 「大丈夫? なんか、目がうつろだけど……?」 桐乃が心配そうに俺の顔を覗き込む。 「しっかりしなって。バレて恥ずかしいのは分かるけど、別にあたし、それほど気にしてないから」 「……え?」 気にしてない? そんなわけないだろう。おまえは俺の事が今、気持ち悪くてたまらないはずだ。 もう、二度と顔も見たくない。そう思ってるはずじゃねえのか? 少なくとも俺ならそう思う。 俺は、俺の顔なんて、もう二度と見たくねえ……! しかし、桐乃は言う。 「本当に気にしてないって。言ったでしょ、視姦されるくらいは覚悟してたって」 そう言いながら、桐乃は優しく笑う。 「ねえ、兄貴、聞いてる?」 兄貴。そう呼ばれて俺はいくらか正気を取り戻す。 「急にあっちの世界に行っちゃわないでよね」 「あ、ああ」 しかし、まだ頭の中がごちゃごちゃしている。なんだか現実感がない。 っていうか、今、この状況が現実離れしすぎてんだ。 ……いや、違う。俺の方に現実に対する想像力が欠けていただけだ。 あんなことをすればどうなるか、バレた時にどうなるか、本当の意味でちゃんと想像してなかった。 なんであんな事しちまったのか……これがいわゆる、出来心って奴なんだろうか? 「ま、あたしは気にしないんだけどさ。お父さんやお母さん、あんたの友達とかがこの事知ったらどう思うかなー」 友達……麻奈美の顔が浮かぶ。俺がこれまで何をしようが、俺のことを肯定してくれた麻奈美。 俺にとって最後の心の拠り所。しかし、そんな麻奈美でさえ、今の俺を肯定してはくれないだろう…… 桐乃の言葉は俺をどんどん追い込んで行く。 「へっ……お前、それで俺をおいつめたつもりかよ。こ、こんな写真、消しちまえばおしまいじゃねえか」 追い込まれた俺がそう開き直ると桐乃は目を丸くして驚いた様子を見せる。 「ふーん。そういう態度とるんだ」 そしてその後、嘲笑するような表情で言い放つ。 「じゃあ、好きにすれば?」 そう言われた俺は、言葉に詰まる。追い込まれたからこそ開き直れた。が、そんな風に突き放されたら もはや開き直る事もできない。 「い、いや……俺が悪いんだ。煮るなり焼くなりバラすなり、もう好きにしてくれ……」 俺がそう言うと、再び、桐乃の表情が柔らかくなる。 「ハァ? バラしたり出来るわけないじゃん?」 「……なんでだよ?」 「あたりまえじゃん。あたしも恥ずかしい思いするんだよ?」 なるほど。身内の恥だもんな。 「じゃ、親父たちにだけバラすか?」 「それも出来ないって」 と、桐乃。 「なんで?」 今度こそ俺は桐乃がそういう理由が思い当たらなかった。 「あんたさあ。忘れたの? 弱みを握ってるのはあたしら、お互い様だってこと」 「弱み?」 お互い様? なんの事だ? すると桐乃は呆れたような、驚いたいたような、はたまた感心したような複雑な笑みを浮かべて言った。 「本気で思いつかないの? あんたも、あたしの弱み握ってるじゃん。あたしの趣味」 「ああ……」 そこまで言われてようやく気がついた。 「別に……それは弱みなんかじゃねえだろ。前に言ったとおり、誰に迷惑かけるわけでもねえんだし 恥じる必要はねえと思う。そりゃ、お前の言う世間体とやらもわかるけどさ」 「そう、世間体。それがあたしの弱みだって事もわかるよね?」 「フン……。あやせも言ってたがバラしたところで誰も信じねえよ」 「そう? あんたはもっと色々知ってるんだから、説得力ある説明もできんじゃない?」 なんだ? 桐乃の奴。まるでバラしてほしいみたいな言い方しやがって。 「何が言いたいかっていうと、あたしらは運命共同体って事。お互いにお互いの弱み握ってるんだから」 とても弱みを握られてる人間とは思えない様子で、桐乃がそう宣言した。 確かに桐乃の言うのも一理あるが……俺にはこいつのオタクだという秘密を知っているという立場を使って 自分に利するような事をする気にはさっぱりなれなかった。想像することさえ出来ない。 なぜならそれは、これまで俺が妹のためにやってきた事を全否定するのも同じだったからだ。 それをすることは、シスコンの変態として糾弾される以上に俺自身にとって 我慢できない事だった。だから俺は桐乃に対して(自分の置かれてる立場も忘れて)きっぱりと言った。 「いいや。やっぱり、オタクってのは、お前の弱みじゃねえ。少なくとも俺はそう思わない。だからそれを他人に話して、 他人がまるでお前の欠点のようにその趣味について批判する事を許すつもりもねえ」 これは今後、どんな事があろうと変わらない俺のスタンスだ。 「だから運命共同体とやらでもねえ。俺が一方的におまえに弱みを握られてるだけだよ……」 俺の宣言を聞いた桐乃は、複雑な表情を見せた後、未見にシワを寄せて、顔を紅潮させながら言った。 「じゃ……じゃあ、やっぱりあたしも、あんたのした事、他人には話せないじゃん」 「……へ?」 と、俺は間の抜けた返事を返す。 「だ、だって! あたしも、別に、あんたのシスコン……その……悪い事だとは思ってないし……」 と、桐乃。 「でも、お前、俺のことをさんざんシスコンの変態と罵ってたじゃねえか!?」 しかし、桐乃はギュっと目を閉じて、まったく俺が予想だにしなかった言葉を吐いた。 「そ、そんな事、言ってない!」 はあぁぁ──っ!? 俺は口をあんぐりとあけて、その桐乃の大嘘に、心の中で盛大にツッコミを入れた。 さすがの桐乃も、これはあんまりだと思ったのか、即座に訂正する。 「あ……い、言ってたけど……もう、言わない」 なんだ? いったい、この話は、いまどういう流れなんだ? 俺はショックと混乱で展開についていけずに頭がどうかなりそうだった。 なに? まさか、こいつ、本気で俺の事を許してやるって言ってるのか? 「だって、あたしも、別に……その……妹の事、エッチな目でみたりとか、そういうの変だと思わないし……」 その桐乃の言葉に、またもや自らの立場も忘れてツッコミいれてしまう俺。 「いやいやいや、十分、変だろ! 生き別れで兄妹だって知らなかったとか、そういう特殊な事情ならともかく、 実の妹に欲情するとか、絶対、おかしいって! そんなのエロゲの中しかありえねえってば!」 「……なによ、その盛大な自己否定」 桐乃が呆れ声で言う。 「わかってるよ! だから俺は、おかしいんだよ! でも、自分ではもう、どうしようもねえんだ! クソッ!」 俺が頭を抱えて身を捩じらせながら悶えていると、桐乃がいきなり俺の胸倉を掴んで自分の方に引き寄せて、そして── 「……!!」 俺の唇を自分の唇でふさいだ。 こ、こいつ、ホントにキスしやがった? ショックで俺の頭は再び真っ白になる。 桐乃は俺が大人しくなると、唇を離した。そして二人の唇の間をつないだ粘性のある透明な糸を指をからめて切る。 「あ、あのさ──。彼女とかと違って、妹とかは自分で選ぶ事は出来ないから、そういう事が滅多に起こらないってだけでしょ」 さっきまで俺の唇と重なっていた妹の唇が、そんな事を話し出す。 「でも、たまたま、あたしみたいな美少女が妹だったりしたら、あんたみたいになっちゃうのも無理ないかと思うしィ」 その相変わらずな物言いに、俺は一瞬脱力する。しかし、実際のところ、そうなのだから俺には何の文句も言えなかった。 「……聞いてる?」 「あ、ああ。聞いてる」 ふと、妹の唇以外の部分に目を移すと、冷静な口調と裏腹に顔は耳まで紅潮し、 視線は俺の方を見たり、目をそらしたり、キョロキョロと定まっていない。 「で、好きな女の子に、そういうエッチな事したくなるのは、そりゃ男としちゃ当然じゃん? 相手の意思を無視してムリヤリとかはそりゃ許せないけど、この場合は、そういうのとは違うと思うし……」 え? その桐乃の言葉に俺はひっかかった。 「や、やっぱり、ちょっといやらしい目で見られたくらいでぎゃあぎゃあ言うのは、女としてどうよ? って思ったりも……」 「ま、待ってくれ。……待てって!」 次々と言葉をつむぎ続ける桐乃を俺は強く制した。 「な、なに?」 桐乃が少し不安そうな表情を浮かべて俺の言葉を待つ。 「おまえ、勘違いしてる。俺は、お前の事を好きってわけじゃないんだ……」 「え……?」 桐乃がなんで俺を許そうとしているかわかった。 こいつは、こいつの好きなエロゲの主人公同様、俺が純粋な気持ちで自分を好きになったと思ってやがるんだ。 だから、俺の邪な視線や卑怯な行為も許す気になってるのだろう。 でも、違うんだ。おまえにそんな誤解をさせたまま許してもらうわけにはいかない。やはり俺は罰を受けるべきなんだ── 「……俺はお前が好きだからお前をそんな目でみてたんじゃねえ。おまえのその容姿だけだ。おまえの見た目が 色っぽくて、そしてたまたま無防備だったから、あんな写真を撮ったってだけなんだ」 「……だ、だから! ……それってあたしの事を女として意識したからじゃん?」 「ああ、女として意識した。でもそれは、エロ本見るようなもので、おまえを好きだとかそういう感情から発したわけじゃねえ」 「エロ……?」 さすがの桐乃もその言い方に少し、ショックを受けたのか傷ついたような表情を浮かべる。 すまねえ、桐乃。こんな酷い兄貴でよ……。 でも、今ここで話をやめるわけにはいかねえ……これは罪の告白であり、懺悔なんだ……! 「ああ、見た目だけだ。前に、おまえの裸もみたりして、エロイ妄想しやすかったってだけ。 それだけで、俺はお前をオカズにしてたんだ」 その俺の告白に桐乃が顔を歪める。 怒っているような、笑っているような、泣いているような、そんな能面のような表情。 「それって、あたしの事は好きでもなんでもないって事……?」 「ああ」 「あたしって、あんたにとってエロ本とかと同じなんだ……?」 「……ああ」 「サイッッ……テェ──」 心の底からの侮蔑。 こんな兄を持った情けなさか、それとも俺なんかと血が繋がってる悔しさか、うつむいた妹の目から涙がこぼれる。 俺にはその涙を拭ってやる資格はなかった。なぐさめの言葉をかけてやる事さえ出来ない。 「それでも……」 桐乃がうつむいたままぼそっと声を出す。 「桐……?」 妹は目に涙をためたまま、『キッ』と俺を睨みつけ、そして言った。 「……それでもっ! あたしは、あんたの事、好きなのっ!」 「──え?」 こいつ、今、なんて言った? 俺が桐乃の言葉を理解できないうちに、桐乃はその場を走り去って行った。 「ま、待てよ!」 俺はあわてて追いかける。なんだか、足がガクガクする。 桐乃が、俺の事を、好き? 妹の写真をエロ本に見立てて、性欲のはけ口にしてたような屑を? 運動も勉強も出来て、ルックスも最高。そんな果てしなく高スペックの妹が、 特に際立った取り得など何もないシスコンで変態のダメ兄貴を……? それは信じられない事であると同時にすんなりと己の内に受け入れる事が出来る話でもあった。 まるで、ずっと前から自分はその事を知っていたかのように…… そして、その時、天啓のように、俺は俺の、桐乃に対する感情の全てを理解した。 文武両道、なんでも出来る、天才のような妹。 そんな妹に対する劣等感。それが俺の、桐乃に対する負の感情のほとんど全てだった。 俺が少しくらい何かを頑張ったり、それなりの成績をおさめた所で、桐乃の影に隠れて決して評価されることは無い。 おそらくこの先、周囲の客観的評価が覆る事はないだろう。 それでも──そんな俺の劣等感を払拭できる奴が一人だけいる。 桐乃だ。 桐乃が俺を認めてくれるんなら、周囲の比較評価なんて何の意味も無い。 俺自身の俺に対する評価さえ何の意味も無かった。 「くそ……! 陸上選手が本気で走りやがって……!」 いくら一生懸命追いかけても桐乃の姿はただ遠ざかっていく。 「待て! 待てよ、桐乃!」 ダメだ、追いつかねえ。どうすれば追いつける? どうすればあいつの足を止められる? 「桐乃──っ!」 俺はあらん限りの声で妹の名を呼んだ。一瞬、桐乃の足が鈍る。 その一瞬の隙に、俺は履いていたスニーカーを脱いで、妹めがけて思いっきり投げつける。 スパーン! 俺の靴は見事、桐乃の後頭部に命中した。 すると桐乃は案の定、その場に立ち止まり、俺が投げつけた靴を拾ってこちらを振り向く。 「……」 そして、鬼のような形相でこちらに凄い勢いで迫ってきた。 「おお、成功……ぐわっ!」 バシーンッ!! 桐乃が投げ返してきた靴が俺の顔面をまともにヒットした。 あまつさえ、跳ね返った靴を桐乃は華麗にキャッチすると、そのままひっつかんだ靴で、 俺の顔面を連打してくる。まるで格ゲーの超必殺技みたいだ。 「痛っ! いてぇっ! こら、桐乃っ、やめろって……!」 「……るさいっ! うるさいっ! この変態! 変態! 変態っ!」 目にいっぱいの涙を溜めて、さっき、もう言わないと誓ったはずの言葉を連呼し、俺を責め立てる桐乃。 「落ち着け! 落ち着けって!」 俺は桐乃の腕を掴み、それでも暴れる桐乃を近くのコンクリート塀に押し付け大人しくさせる。 それでも暴れて俺を蹴飛ばしたりし続ける桐乃だったが、そのまま我慢していると、 俺の足にたっぷりの青あざをつけた頃ようやく大人しくなった。 しかし、同時に、桐乃は嗚咽をあげはじめる。 「……っ」 「わりぃ……全部、俺が悪い。謝るから泣かないでくれよ」 そういうと桐乃は、「泣いてない!」と相変わらずの強がりを見せる。 こいつはまったく、どこまで意地っ張りなんだか…… 「……あたし、馬鹿みたいじゃん……ひとりで舞い上がってさ……」 「桐乃……」 「死んでよ……あんたなんかこの世から消えちゃえ……!」 その痛々しい妹の声はいつもの憎まれ口なんかとは比べ物にならないほど、俺の胸をえぐった。 「ああ……消えてやるよ。お前がそう望むならな。でもその前に一つだけ言わせろ」 「うぐっ……」 桐乃からの返事はない。構わず俺は続けた。 「桐乃、俺は、お前の事が好きだ」 「……」 しばらくして桐乃の嗚咽が止まる。そして桐乃はゆっくりと目を見開き、俺を睨みつけた。 「ふざけんな……!」 バシン! 渾身の力が込められたビンタが俺の頬を打つ。 「……ふざけてねえ。俺はお前が好きだ」 痛みをこらえながらそう言うと再び頬をぶたれた。 桐乃の顔に笑みが浮かぶ。口元だけが釣りあがった、ひきつったような笑み。 「なに? 同情したの? それとも、そう言うともっとイヤラシイ事をさせてもらえるとでも思った?」 「違う……」 「何が違うの? はっ! 言っとくけど、さっきの言葉、真にウケないでよね。あんなの本気じゃないから」 俺は黙って桐乃の言葉が終わるのを待つ。 「当然でしょ? 妹をオカズにするような変態、誰が好きになるの? こんなのと血が繋がってるとか、こっちが死にたいって」 「……関係ねえ。お前が俺をどう思ってようが、俺はお前が好き……」 「──やめてよっ!」 俺に最後まで言葉をしゃべらせず、桐乃が叫ぶ。 「わかった。あんたとセックスしてあげる。したいんでしょ? その代わり、もう二度と、あたしに話しかけないで。 家の中でも目をあわさないで。そうしてくれたら、あんたの性欲だけは満足させたげる。それでいいでしょ?」 その言葉はあまりに辛かった。こいつに、そんな事を言わせてる自分が許せなかった。 しかし、今はそんな自己嫌悪に飲み込まれて自己憐憫に浸っている場合じゃない。 俺は、妹の目をしっかり見据えて── 「そんなことしなくても、お前が望むなら二度とお前に話しかけたりしねえ。 お前の視界になるべく入らないようにする。家を出たっていい。 でも、これだけは信じてくれ。俺は本当にお前が好きなんだ。お前の事を愛してる」 ──そう、俺は自分の気持ちをぶつけた。しかし…… 「どうやって……」 しばしの沈黙の後、桐乃がようやく口を開く。 「どうやって信じろっていうの? あんな話を聞いた後で。あたしがあんたの事を好きだって言ったとたん、 手のひら返したように、好きだって言われて……いったい、どうやって信じろっていうワケ?」 桐乃の言い分は当然だった。俺自身、どう言えば信じてもらえるかさっぱりわからない。 だから俺は何も取り繕わずに、ありのままを語った。 「確かに……俺はお前があまり好きじゃなかった。ぶっちゃけちょっと前までははっきりと嫌いだった。 だって、お前も俺を嫌ってたからな。勉強もスポーツもルックスも、何一つ敵わねえ上に、 嫌われて、馬鹿にされ続けて……そんな妹の事、好きになんてなれるわけねえだろ? ……でもな、最近、なんとなくおまえとも仲良くできるようになってきて、おまえに対する気持ちも 変わってきて……でも、それがどんな風に変わってるのか、自分でもよくわからなくて…… でも、さっき、お前が俺を好きだって言ってくれたから、俺も自分の気持ちを知る事が出来た。 俺もやっぱりお前の事を好きだったんだって……」 その俺の告白を、桐乃はただ無言で聞いていた。そして告白が終わっても、口を開かなかった。 「……駄目か。こんな話、信じられないか?」 そう言うと、ようやく桐乃が口を開いた。 「そんなの当たり前の話でしょ……」 そうか。そうだよな。自分を嫌いだと思ってたから嫌い、好きだといわれたから好きとか…… そんな気持ちのどこに真実があるのかってなもんだ……。 「信じるも信じないも、自分を嫌いな相手の事を嫌いになるなんて、当たりまえじゃん」 ──え? 「あたしだって……似たようなものだったし……。でも、最近のあんたは、もしかすると あたしの事、ちゃんと見ててくれてるんじゃないかって……そう思ったら、だんだん、 つっぱってばかりいられなくなってきて……」 「でも、所詮、あたしの事は妹として見てるだけだとも思ってたし。あんたの頭ん中は、 ……で、いっぱいだって。それがなんか腹立たしくて、対抗したくなった。 あんたが、あたしに……その……反応した時、勝ったと思った。 その時は、ただ、意地で、勝ちたかっただけだったんだって自分でも思ってた。 だって、それ以上、どうしようもなかったから。だって、あたしたちは──」 「──兄妹だから。今だけ、子供のうちだけ仲良くできても、決してずっと続く関係にはならないじゃん。 大人になったら、結局はなればなれになるんだし……仲良くしたとこで意味あんの? って感じだし。 ……でも、あんたがあんな写真撮ってる事を知ったら、もしかしたらどうにかなるんじゃないかって思った。 もしかしたら……その、少なくとも、あたしがキレイなうちは一緒にいられるじゃないかって……それなら……」 ──桐乃は目に涙を溜めながら堰を切ったように、一気にまくしたてた。俺はただ黙ってそれを聞いていた。 「それなら、好きになってもいいんじゃないかって。そう思った。 だから、あんたの話だって理解できる……報われない気持ちを持つのはあたしだって嫌。 自分を好きじゃない相手なんかを好きになるとかありえない……!」 ……なんてこった。 やっぱり、俺とこいつは、兄妹なんだ。まさに似たもの兄妹。 「じゃ、じゃあ、俺の話、信じるか?」 そう言うと、桐乃はしばらく俺の表情を伺ってから、ようやくコクンと頷いた。そして言う。 「──で、でもさ、……もっとちゃんと聞かせてよ」 桐乃が恥ずかしそうに言う。 「え?」 「あんたの好きって、どういう好きなの? エッチな事は別腹ってだけで、やっぱり兄妹としての好き? それとも……違う好き?」 その桐乃の問いに答えるべく、俺は自分の心の内を必死で覗き込んだ。 しかし、結局、明確な答えをみつける事はできなかった。 「……わからねえよ。だって、どんな種類の『好き』だろうと、俺たちが兄妹な事にかわりねえし…… ただ、これだけは言える──」 俺は、俺の言葉を待ち続ける桐乃の目を見て、自分の気持ちが正しく伝わるよう祈りながら告げた。 「俺は、お前が泣いたりしてるところは見たくねえ」 正直、自分でも歯の浮くような台詞。しかし俺の少ないボキャブラリの中で一番、想いを伝えらるだろうと 思って、思い切って言った言葉だった。 しかし、桐乃の目には、はっきりとした失望の色が浮かぶ。 「つまり……家族としての好きって事だよね? それって……」 その桐乃の反応に、俺はあわてて否定する。どうやら俺の祈りは通じなかったらしい。 「ち、違う。そういう意味じゃない。お前が泣かないで済むなら、おまえの望むようにしてやるって事だ」 「……あたしが望むように?」 「ああ。お前が泣かないならそれでいい。どんなことだろうと、俺はそうしたい」 それは取り繕ったような言い方ではあったが、俺の本心でもあった。 桐乃さえ良ければそれでいい。その時の俺には、自分の事など考える余地はなかった。 「じゃあ……もし、あたしが、普通に仲がいい兄妹のような関係がいいって言ったら?」 「その時は……俺もきっぱりあきらめる」 俺がそう言うと、桐乃が目を丸くし、そしてちょっと呆れたように……少しだけ笑った。 「……あんた、今、『あきらめる』って言った?」 え? 「じゃあ、それって、あんたも本心は普通の兄妹とは違う関係になりたいって事じゃないの?」 え? え? その桐乃の指摘に俺は混乱する。そうなのか? この後に及んで、俺はまだ自分の気持ちを把握してなかったのか? 「ふぅ……あんたってさー本当に救いようの無いくらいのシスコンよね──」 まだ目の端に涙の後が残っているものの、元気を取り戻した桐乃が俺の頬をつねる。 「いて──っ!」 つねった力自体はたいした事なかったが、なんせ、さっき思いっきりビンタを食らったばかりである。 しかし、そんな痛みなんて一瞬で忘れさせてくれるほどの── 可愛い妹の、満面の笑顔が目の前にあった。 「ところでさあ」 桐乃が突然口を開く。 「あんた、ひとつ勘違いしてるみたいなんだけど……」 「か、勘違い?」 まさかまた、ひっかけられたのではという俺の心配を余所に、桐乃は晴々とした表情でこう言った。 「あたし、あんたの事を嫌いだなんて、言った事ないからね!」
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/137.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266820218/45-51 「と、いうわけでござる」 「何がというわけなんだ?」 突然良く分からない事を言い出したのは沙織だが、いま俺の部屋には、桐乃、黒猫、沙織の3人がいる。 「ですから、ご両親がご旅行ということで、きりりん氏に誘われまして、こうしてお泊りにきたのですよ」 「いや、それだったら俺の部屋じゃなくてもいいだろ」 「私の部屋だとちょっと狭いから、アンタの部屋を使ってあげるって言ってんの。鈍いわね」 相変わらず憎まれ口を叩いたのは俺の妹だが、いや、しかしだな自分の部屋に女子高生が3人もいるというシチュレーションは中々問題ではないだろうか。 「さて、こうして4人いるわけですから、今日はこんなものを持ってきたのです」 ドラえもんよろしく沙織が取り出したのは―― 「麻雀?」 「そうです。4人で出来るゲームの定番ですからな」 「っても俺、ルール知らないんだけど」 「だいじょうです。拙者も教えますし、やりながら憶えていけばいいのです。黒猫氏ときりりん氏は大丈夫ですかな?」 「っふ、私は『咲』でいうところのどっちレベルよ。心配いらないわ」 「あんたの何処がのどっちなのよ。どっちかっていうと桃子じゃない。私は衣レベルだけど」 「はっはっは。皆さん、お強いですなぁ。では拙者は美穂子部長ということで」 「お前等、なんの話をしてるんだ……?」 いつもながら俺が全く理解出来ない言語で話しやがる。咲?なんだ?ギャルゲか? 「折角ですし、その局のトップが何でも好きな事を1つ命令出来る、というのはどうですかな?」 「フ、いいわね。そこの勘違いしてるビッチを黙らせてあげるわ」 「あんたこそ私が勝ったら、語尾を『にょ』にしてわげるわ」 「……なんという外道」 こうして麻雀が始まった。 ――んだが、結果だけ見るとこうだ。 1位黒猫:51000点 2位桐乃:50300点 3位沙織:29000点 4位 俺 :-112000点 まぁ、見て分かる通り、俺の大惨敗。ルールを覚えながらの俺が全く手加減しない桐乃や黒猫に振込みまくりで、こんな結果になっちまったってわけさ。 「ちっ、あと少しだったのに」 「これが実力ってやつね。分かったかしら?」 あっちはあっちで熱い火花を飛ばしている。 「ったく、容赦ナシだなお前ら」 「相手の捨て牌や待ちを読むのも重要なんですぞ。さて、京介氏もルールを把握なされたようですし、これまでのは練習として、つぎ本番に入りましょうか」 「いや、ルール覚えたての俺が勝てるレベルじゃねーだろ」 「ふぅむ……。でしたら、京介氏のヤル気を保つ為にも、こういうのはどうですかな? 麻雀の定番『脱衣麻雀』!」 「な・にぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!!!」 俺と、それまで言い合っていた、桐乃、黒猫が一斉に声を上げた。 「はっはっは。それくらいの方がスリリングで面白くなりますぞ。脱衣と言っても、京介氏に誰かが振り込んだ場合、その人が脱衣とすれば、そう厳しいルールというわけでもないでしょう」 「ま、まぁ確かに今のコイツの実力なら大丈夫そうだけど……」 「わ、私は構わないわよ。どうせまら私が1位になるんだろうし」 まさかの急展開でいきなり麻雀が脱衣麻雀大会になりやがった。 「ん、雨が降ってきたのか……?」 ふと窓をみやると、雨が降り出してきていた。勢いも段々激しくなっている。不吉な雨だった。 こうして伝説の夜が始まった―― 2局目 東場はこれまでとあまり変わらない勝負展開。しかし決定的に違う点が一点。京介、相手の待ちを読んで、危ないと見ればベタ降り。 これによって、1局目と打って変わり、それぞれのツモアガリが増え始める。 東4局終了時点で、1位桐乃と4位京介の差は30800点。 相変わらず京介が4位ではあったが、トップとの点差は少なく、混戦の様相を呈していた。 南1局 かすかな違和感が場を支配し始める。この麻雀で初めての番狂わせ。京介、黒猫の捨て牌3万をロン。3900点で初のアガリを得る。 「そんな、まさか!?」 「お、やった上がった! 初めて上がれたぜ!それも黒猫から」 「く、私としたことが読みを違えたとわ」 「黒猫氏、これは脱衣麻雀ですから……」 「フン、分かってるわよ。脱ぐわ。脱げばいいんでしょ脱げば」 そういうと黒猫は穿いていた白のオーバーニーを脱いだ。 俺にとって初つのアガリ、そして脱衣麻雀というこの状況に、俺のテンションはガンガンに上がってくる。 考えてみれば、もう南1局。残り3局とも自分が誰がロンで上がり続ける可能性は少ない。 それをコイツラも理解しているから、こうして和やかな雰囲気なんだろうさ。だが、 (ククク……) 南4局 南2局は流局、南3局は沙織がツモアガリで、相変わらず順位に変動はない。しかしトップとの点差は23500点と狭まっている。 「ククク。来たぜ、ぬるりとな」 京介、6索をカン。この瞬間、京介の手配大きく化けてまさかのドラ4。 京介の待ち牌も変化。2,4筒待ち。このとき、京介に先駆けてリーチを宣言していた桐乃。凍りつく。 場に出ている牌は3つ。リーチを宣言している以上、待ちを変える事が出来ない。 ざわ… ざわ… そして持ってくる。まるで引き寄せられるかのように、ロン牌4筒。 「ロン」 京介、桐乃から初の直撃。そして、この瞬間、順位が大きく入れ替わり、土壇場で京介1位に躍り出る。 「そ、そんな!?」 しかし、現実。覆らない。起死回生のドラ4!! 「いやぁ京介氏、凄まじい雀力ですなぁ。さすがに驚きました」 「まさか、ドラ4とはね。流石にどうしようもないわ」 「い、いまのはコイツの運が良かっただけよ!折角、黒猫に勝ってたっていうのに。 納得いかないわ!」 「そうはいってもなぁ。ほら、ルールなんだから、脱げ」 「くっ!憶えてなさい!」 キッと京介を睨みつけて、黒猫と同じように桐乃がソックスを脱ぎ捨てる。 「それにしても、これだから麻雀というのは面白い遊びですな。こういう事も起こりうる」 「えぇ。全く。これがラストの局だったから良かったものの、この流れが続いてたらヤバかったかもしれないわね」 「お前等、何か忘れてないか?」 「え?」 3人の声がはもる。 「その局のトップが何でも1つ命令出来る」 「おぉ! そうでしたそうでした。しかし、京介氏、エロイのは禁止ですぞ」 「理解ってる、理解ってる。 俺 か ら は そ ん な 要 求 言 わ な い さ 」 「では、京介氏はどんなご命令を?」 / " ,, " " ゙ ゙ / ,イ " " " 八 ゙ i ゙ | : 倍 / ,ィ´ "/' イ / ヽ ト、゙| : プ // ィ' /| /| / , -ヾ、ヽ,| : ッ l l /-レ、レ' ´_, a==| ! シ ! /l,ハ=a=、 ヾ`ー ´| ュ '" ',`ー/ | だ ', / ; 、 ヽ_ ___ ∨_, - ' _, /;;;; ノノ ヾ 丶 ー '' "´ . /;;;;; ´ ` r―、,/丶 == . /;;;;; ` ´ヽ r‐ヾ-、 \ /;;;; / .(´ヽ ゝー)r┤/\ / ;;;; / 「そ、そんな!?」 京介の要求で始まった3局目。これまでの1,2局とは違い異様な空気が場を支配していた。 桐乃と黒猫は、既にソックスを脱いでいる状態。それに2局目ラストの流れ。 この局、ひょっとすればひょっとすることも あ り え る か も し れ な い ? 「ロン」 「なっ……なんで!?」 東2局 再び振り込んだのは桐乃。京介の待ちを読んでの4筒切り出しのはずが、その4筒を京介、単騎待ち。 「ククク……。こんな見え透いた手に引っ掛るなんて、お前らしくないな」 桐乃、こちらを睨みつけながらてTシャツに手を掛ける。その手はカタカタとかすかに震えていた。 Tシャツの下には何も着ていなかった。若草色のブラだけである。 この瞬間、京介を除く3人に戦慄が走る。 (この局はヤバイ……!) まだ東2局である。南場では京介に親が回ってくる。もし、そこで連荘されて場合、避けられない。 黒猫は内心焦っていた。黒猫の服装はゴテゴテとフリルがついているとはいえ、シンプルなワンピースだ。 (次に振り込んだら、私、終わりじゃない!) 桐乃は内心焦っていた。何故、いま自分はこんな姿で麻雀を打っているのか? (絶対に、負けられない……!) 沙織は内心焦っていた。自分が言い出した脱衣麻雀でまさかこんな状況に追い詰められるとは。 (2局目、終了のときに辞めようといえなかったのが失敗でござった……) だが、そんな決意も空しく、京介の快進撃は止まらない。 南1局目。京介圧倒的な親連荘。 沙織、黒猫、桐乃からそれぞれアガリを得る。 「まさか、私がこんな……」 呆然自失の黒猫はノロノロとした動きでワンピースに手を掛ける。華奢な身体付きながらも、上下揃いの紫の下着が扇情的だった。 「ど、どうして……」 先ほどまでの鋭い目つきは徐々に力を失いつつあった。桐乃がゆっくりホットパンツに手を掛けると、 健康的でプルンとした引き締まったお尻が露出する。 「さて、桐乃。お前がこれまでツンツンしすぎてごめんなさいと一言言えば、ここで辞めてやってもいいぞ」 「え? ……ふ、ふざけないで!誰がッ!」 折角、俺がチャンスをやったって言うのに、あっさりコイツは棒に振りやがった。黒猫や沙織の為だってのに、意地を張りやがって。 「ヤレヤレ。なら、終らせない。地獄の底まで行く」 元々、京介には黒猫や沙織を裸にするつもりなどなかった。しかし、桐乃にはどうやらお仕置きが必要らしい。 なんとか京介の親を蹴った南3局。ここまでくれば後の2局。早アガリでなんとか終らせる事だけに3人は注力していた。 しかし、そんな逃げの麻雀は、逆に御しやすい。 「ククク……。まるで白痴だな桐乃」 「え?」 「ロン」 「……っ!」 一気に蒼白になり、次第に身体が震えだす。 「さっき俺がやったチャンスを棒に振ったんだ。その覚悟はあるんだろう」 「きょ、京介氏、さすがにやりすぎでは?」 「馬鹿言うな。脱衣麻雀はお前が言い出したルールで、お前等全員納得してこの勝負を始めたんだぞ」 「それは、たしかにそうですが……」 「にも関わらず、辞めろというのは変だろ。当然、こうなる覚悟はあったってわけで、まさか最初からただ俺をカモにするつもりだったのか?」 「いえ、決してそんなことは――」 沙織は内心傷ついていた。こんな風になるとは思ってなかったとはいえ、恐らく京介が4位になって、何かしら罰ゲームを受けて楽しむ。 そんな思惑が少しもなかったのだろうか。そのことが少なからず、京介を傷つけなかったと言えるだろうか? 「い、いい。ソイツの言うとおり。脱ぐ……」 ゆっくり桐乃がブラに手を掛ける。ホックを外すとブラがずり下がった。慌てて身体を抱えて隠すが、桜色の乳首が見え隠れしていた。 「ククク……。まだ最後の局が残っている。席に戻るんだな」 この局さえ凌げればいい。そんな脆い感情など、狙い撃ちにするのは難しくない。 開始早々のベタ降り。しかし、それも現物が無くなれば切っていかなければならなくなる。そして、まるで吸い寄せられるかのように、切ってしまう。そのロン牌。 「残念、間に合わなかったな。ロン」 「な、なんでッ!?どうして!? 場に3枚出てるじゃない!」 京介、地獄単騎待ち――! まさしく桐乃だけを狙い撃ちにした究極の待ち。手はたかだかタンヤオでしかない。だが、それで充分と言えた。 「どうした、やっぱりお兄ちゃん、これからはツンだけじゃなくて、デレたりもしますと謝るか?」 「……………ご、……ごめ……」 「ククク。何だって聞こえないぜ?」 「……っく! いいわよ」 「あん?」 そいうと、桐乃は一気にショーツを脱ぎ捨てた。ていれしてるのはか、うっすらと生えた揃った陰毛が成長を感じさせる。 「ど、どう? これで満足なんでしょ!」 「馬鹿を言うな。この局のトップは誰だ?」 「あ……?」 そうこの局のトップは京介。京介には何か一つ命令する権利がある。 「京介氏、さすがにこの局で終らせていただけないでしょうか。きりりん氏や拙者達ももう限界でござる」 「私からもお願いするわ。もう見ていられない」 「あぁ。大丈夫心配するな。これ以上、続けるようなマネはしねーよ」 「さて。桐乃、お前に一つ命令をしよう」 そういって俺は震える桐乃に近づいて耳元で囁いた。 「そ、そんなっ!?出来るわけないじゃない!」 当然の要求に桐乃はそれを否定するが、再び耳元で囁き掛ける。 「だったら、もう1局続けるか? 今度、全裸になるのは沙織か黒猫か、どっちなんだろうな?」 「止めてッ!?」 「いいか勘違いするな。俺はお前らが作ったルーツに従ってるに過ぎない。お前が逃げるなら、誰かに命令する」 「分かった……。やればいいんでしょやれば」 そういうと桐乃はベッドに向かって行き、ベッドの上に体育座りで腰を降ろした。 「どうした?クク、脚が震えているぞ」 目に沢山の涙を浮かべながら、その屈辱的な格好のまま徐々に足を開いていく。 「そんなに見たければ好きに見ればいいじゃないっ!」 そして自分の秘所にゆっくり右手を持っていくと、 くぱぁ と、開いて見せる。まだ誰にも見せた事はないであろう、普段は閉じられているその部分から薄い色の小陰唇がヒク付いているのが分かる。 これが脱衣麻雀。迂闊にそれに手を出した末路……。 「はは、は、はは、ハーッハッハッハッハ! これにて脱衣麻雀大会を終了する」 最高に気分の良いまま、俺は高らかに宣言する。 途中、まるで神域の男に魅入られたように、相手の待ちや心理状況が全て理解出来たのは、なんでだったんだろうな? 誰かに取り憑かれたりしてのかもしれないなんて馬鹿げた事を思ったりもしたが、まぁ、それより今は桐乃の痴態を写メで取っておくことの方が先決だ。 そして、悪夢の夜は終った。 昔よくアーケードにあった廃れた脱雀は何故、あんなに興奮したのだろうか。 妄想するエロス /゙ミヽ、,,___,,/゙ヽ i ノ 川 `ヽ' / ` ・ . ・ i、 彡, ミ(_,人_)彡ミ うっせー早く寝ろ! ∩, / ヽ、, ノ 丶ニ| '" ' '"´ ノ ∪⌒∪" ̄ ̄∪