約 2,471,564 件
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/122.html
黒猫「貴方にしてはやけにはっきり言うわね」 京介「あぁ。俺とデートして欲しい」 黒猫「そう。……でも、今までだって何度かしてきたじゃない」 京介「え?……いや、前のは別の用事がイロイロあっただろ。そう言うんじゃなくてさ、お前と……、ふたりで……」 黒猫「貴方、もうすぐ三年でしょう?こんな事してていいのかしら」 京介「う……、確かにその通りなんだが 黒猫「良いわよ」」 京介「え?」 黒猫「良いと言ったのよ。それで?何時にするの」 京介「あぁ、…じゃあ、今度の日曜二時に駅の改札で待ち合わせな」 黒猫「わかったわ」 ~デート当日~ 京介「すまん。……遅れた」 黒猫「あと二十秒したら帰るところだったわ」 京介「す、……すまん」 黒猫「うふふ。冗談よ」 京介「おう、……実はさ、コレを買いに行ってたんだ」 黒猫「紅帯十字架(リボンクロス)?ハッ、………まさか、それで私の力を封じようと?ウフフフフ、甘いわね。私ほどにもなればその程度で呪具に抑えられる魔力量ではないのよ」 京介「いや、…単純にお前に似合うかと思って買ってきたんだが」 黒猫「一一ッ!? ///」 黒猫「そ、そ、そう。解らずに買ってきたと言うの………。この男、危険ね…。早いウチに芽を摘んでおかないと」 京介「取り合えず、秋葉原でいいのか?」 黒猫「それであの女は満足するかもしれないけれど、皆がそうと思ってもらっては困るわね」 京介「あの女?って桐乃のことか…?いや、違うぞ‼俺はそういう意味で言ったんじゃなく………」 黒猫「貴方は一つ大きな前提を忘れているわね…………。今日は、…デートなのよ///」 京介「…………。そ、そうだったな///」 京介「よし、それじゃ御台場に行くか」 黒猫「ええ、期待しているわ」 それから俺達はたまたまイベントのあったネットラジオの公開録音を一緒に見て、バカでかいホットドッグを食べたあと、腹ごなしに海浜公園をブラブラすることにした。 京介「もう、日が沈むな……」 黒猫「冬ですもの。フフフ、冬は良いわね。凍てつく空気、夜永く、私達のような闇の眷属に最良の季節だわ」 京介「……そうだな」 黒猫「あら、貴方はしおらしいのね。いけないわ。私の溢れでる魔力に当てられたのかしら」 京介「あぁ、俺はお前に参っちまってるよ」 黒猫「え?」 京介「海をバックにしてお前を見てると、街中で見てたよりもずっと可愛いと思ってさ」 黒猫「な、なにを…」 京介「朝、買ってきたクロス…、着けてくれよ。店員に着け方教わってきたんだ」 黒猫「そ、そうね。貴方が私の邪気に当てられて苦しいようだから、仕方なく付けてあげるのよ。感謝なさい」 京介「あぁ、そうだな」 ……………… ………… …… … 京介「えっと、一周ぐるっと首を回して、十字架の中心を見せるように菱形に結んで、と………。よし、出来たぞ」 黒猫「そう、……ありがとう。しかし、何か褒美をあげなくてはならないわね」 京介「いや良いって、別に……。やりたくてやってんだし」 黒猫「そうもいかないわ。そうね、キス………、しても良いわよ///」 スッ 京介「え? うわっと、…(目を閉じて、顔ちけー)///」 黒猫「どうしたの?はやくなさい///」 京介「あ、…あぁ、い、…いくぞ?」ギュッ 黒猫「ん…、ちゅ、……はぁ、はぁ……はむ、んちゅ。れろ…」 …………… ……… … 黒猫「イ、イキナリ舌を入れるなんて…、何をッ」 京介「え~~~!?キスってそういう事じゃなかったのか!!」 黒猫「あ、貴方ごときが…、舌を、舌を入れるなんて百年はやいわ。取り合えず、この事はあの女にもきつく抗議しておかなくてはならないわね」 京介「バッ、頼むからやめてくれ!殺されちまう」 黒猫「あら、もうすっかり暗くなってしまったわね。そろそろ帰りましょう」 京介「不自然に話を反らすな!」 黒猫「わんわんキャンキャンと落ち着きがないわね」 京介「それ…、俺の所為かよ」 黒猫「違うのかしら?」 京介「違うわ!!」 黒猫「強い言葉を使うと弱く見えるわよ」 京介「何所かで聞いたような言葉を……」 黒猫「それに……」 京介「…?」 黒猫「私はまだ貴方から大事な言葉を聞いてないわ」 京介「あぁ、……悪い」ダキッ 京介「大好きだ」 黒猫「遅いのよ/// 莫迦///」 … …… 黒猫「私も貴方に知ってもらいたいことがあるわ。これから時間あるかしら?」 京介「まだ六時だしな。時間なんていくらでもあるが……」 黒猫「そう、……なら、これからウチに来て頂戴」 京介「いいぜ。でもその前に……」 京介「手、繋いで帰ろうぜ」ギュッ 黒猫「か、勝手になさい!」 黒猫「ここが私の家よ」 京介「ずいぶんとレトロ調だな……」 黒猫「クスッ、そうね。ものは言いようだわ。さ、入って」 京介「お邪魔しまーーっ!?」 黒猫「あら、貴方達……。ただいま。この人はね、お姉さんの高校のお友達で高坂京介さんっていうの。ほら、挨拶なさい」 妹1,2「「こんばんわー」」 京介「あ、あぁ、こんばんわ」スッ 妹1,2「一一一一ッ!?」ビクッ 京介「よろしくな」ナデナデ 黒猫「貴方のおウチみたいにキレイではないけれど、どうぞ上がって頂戴」 京介「あぁ……(二人きりってんでもないんだな)」 黒猫「フフ、どうしたの?残念そうな顔して……」 京介「いやぁ、そんなことないぞ!!」 黒猫「そう、なら夕飯までその子達をあやしてて頂戴」 京介「いいけど、一一夕飯ってお前が作るのか?」 黒猫「そうよ。………安心なさい。毒なんて入れないわ」 京介「いや、疑ってねェけど……」 黒猫「あら、彼女の初手料理がこんなに早く出て来る幸運に泣いて感謝する所よ」 京介「お、……おう」 黒猫「貴方達も……。お姉さんお料理してくるから良い子にしてるのよ」ナデナデ 妹1,2「「ハーイ」」 妹1,2 壁|ω・)・) ジーーー 京介「(すげー見られてんな)」 京介「だ、大丈夫…。怖くない、怖くないぞー」ソー 妹1,2 ビクッ 京介「(な、なんだか厚い壁を感じるな……)」 京介「ほ、ほら。親指が……外れるんだぞーー(流石に子供騙し過ぎるか…?)」 妹1,2 ビクッ ピャーーー 京介「逆効果だったか…」 京介「(アイツがこのくらいの時はどうしてたかなんて覚えてねーな。まぁ、その時は俺もこんなにいかつくなかったろーけど……)」 黒猫「惨敗したの?」 京介「観てたのか?」 黒猫「あの子達が『お兄ちゃん親指が取れた』って私を呼びにきたのよ」 京介「あぁ、それな…。古い手品だよ。ほら」 黒猫「だそうよ。ほら、大丈夫みたいだからちゃんと遊んでもらいなさい」 妹1,2 黒猫|ω・)・)チラッ 京介「ありがとな」ワシワシ 妹1,2「「………///」」 黒猫「もうちょっと掛かるからしっかり面倒みるのよ」 京介「りょーかい……」 妹2「コレ………」 京介「………?」 妹1「ご本読んで…」 京介「あぁ、いいぞ。ほら、だっこしてやるからここ座って」 妹1,2 トテトテ スク 京介「一一一一昔、むかしあるところに…」 ……………… ………… 京介 ガオーーーーー 妹1,2 キャーーーーー 黒猫「フフフ」 …… 黒猫「出来たわ、机を出して頂戴」 京介「お、早いな。よし、片付けするぞー」 妹1,2 ハーーイ 黒猫「少し時間が掛かってしまったわ」 京介「帰ってきて休みなしなんだから、よくやってる方だろ」 黒猫「ふふ、そうね。普段のご飯はどれくらい食べるのかしら」 京介「並程度だと思うぞ…。って、うお!かなり作ったな、大変だったろ」 黒猫「たいしたことないわ…。さ、ご飯にしましょ。お箸もった?」 妹1,2「「ハーイ」」 黒猫「そう、それじゃ」 一同「「「「いただきます」」」」 一同「「「「ご馳走様でした」」」」 黒猫「さて、片付けだけど…、あなた、手伝って頂戴」 京介「あぁ、いいけど。放っておいていいのか?」 黒猫「今からはメルルの放映があるからその子達は忙しいのよ」 京介「ふーん」 黒猫「『アイツも今頃、テレビに噛り付いているのかな』という顔ね」 京介「な、何を言って……」 黒猫「図星のようね。私の前で他の女の事を考えないで…、不愉快だわ」 京介「他の女って妹だぞ!?」 黒猫「なら尚更ね。解った?」グイッ 京介「わ……、わかった」 黒猫「そう。じゃあ、食器を運びなさい」 京介「おぉ」 黒猫「返事は『おぉ』じゃなくて『はい』でしょう?」 京介「はい」 黒猫「よく出来ました」ナデナデ 京介「(なんでこんなドキドキしてんだ、俺は?)」 ………… ……… … ジャー ジャバジャバ パシャパシャ 黒猫「で、どうかしら?」 京介「あぁ、お前達、姉妹って仲良いんだな」 黒猫「じゃなくて!」 京介「ん?」 黒猫「『ん?』じゃないわ…。まさか、本当に分からないのかしら?」 京介「え?あ、いや………。美味かった!あんだけ作れるなんてすげーよ。ホントにびっくりした」 黒猫「まったく、ここまで言わないと分からないなんて……。次からはもっと早く言いなさい」 京介「おぉ…….、じゃなくて!はい!」 黒猫「それと、明日からお昼は一緒に食べることにしましょう」 京介「それはちょっと、あからさますぎるんじゃ?」 黒猫「嫌なの?何か私と食べることで不都合があるのかしら?」 京介「ないです。むしろ、嬉しいです」 黒猫「ふふふ」 黒猫「あら、眠ってしまったのね」 京介「遅くなっちまったな……。迷惑になるだろうしそろそろおいとまするか」 黒猫「その前に、この子達をお布団に運ぶのを手伝って貰えるかしら」 京介「そのぐらいお安い御用だ」 ギュッ ダキッ 黒猫「二人一緒に運べるなんてね」 京介「どこ持ってけば良いんだ?」 黒猫「こっちよ」 一一一一一一一一一一一一一一 黒猫「お布団を敷くからすこし待って頂戴」 京介「しかし、このくらいが可愛い盛りだよな」 黒猫「ふふふ、そうかしらね。そうかも知れないわね」 京介「お前も立派にお姉さんやってるんだな」 黒猫「そうね、あなたと同じ。………さ、敷けたわ」 京介「この者達の身柄は預かった。我が元で育ちいずれ、お前に牙を剥くことになろう」ギュッ 妹1,2 クークーー スースーー 黒猫「なんてこと!油断したわ……。まさか、こんな所にまで天界の手が伸びていたというの!?後悔なさい!私の眷属に手を出した事を!!」 黒猫「しかし、こうなったら私一人の力で立ち向かわなくてはならないという事ね。でも、私の魔力では例え低級魔術を行使してもあの子達を巻き込んでしまう……。先ずはアイツから引き離さないと……」 黒猫「あけびの花は地に堕ち、紅く爛れた酸鼻な血に酔わん。右にみずちを、左に雷を、かの者に死霊の叫びと鉾槌を!」 シーーーーーーン 京介「………………」 黒猫「………………」 妹1,2 スーーースーーー クーークーー 黒猫 トテトテトテ ボフッ 京介「………………や、やられたーー」 黒猫「莫迦……」 京介「じゃあ、今度こそ本当に帰るよ。メシ、美味かったぞ。ありがとうな」 黒猫「いずれまた作ってあげるわよ」ギュウ 京介「ん、……また明日も会えるってのに、やっぱり、お姉ちゃんでも甘えたい時はあるもんか?」ナデナデ 黒猫「違うわ。ただ、今宵の星の巡りが人間には危険だから、加護があるようにと祈ってあげてるのよ。分からないのなら黙っていなさい///」ギューー 京介「そりゃ、ありがとうな///」ギューー ……………… ………… …… … こうして俺たちの初デートは終わり、帰宅した俺は連絡忘れで親父に絞られ、初デートという事でいくらかの恩赦は得られたものの行きがけには上機嫌だったはずの桐乃の八つ当たりとも思しき理不尽な暴力を受けることとなったのだった。 ~黒猫√ 初デート編 了~
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/586.html
「ねー・・・あんたさ」 「んー?なんだ?」 カリカリと書き込む手を止めないまま俺は声だけで答えた。 夕食を終え戻ってきた自室の中、俺はあと僅かと迫った受験日に備えて最後の追い込みをかけていた。 『一緒に居ようよ』 「えーっとさ・・・んーと・・・」 「なんだー?随分と歯切れ悪りーな?」 一旦手を止めて俺は椅子ごと振り向いた。 「どうしたよ桐乃?」 キイッと背もたれに体重を預けながらみつめる先、妹様は俺のベッドにうつぶせになったまま枕に半分顔をうずめていた。 「うー・・・」 ホントに歯切れ悪いーな。 しかしここで『早くいえよ』などと言おうもんなら、『はぁ!?ちょっとくらい待てないの!?バカじゃん!?』とか罵倒されるのは目に見えてる。 やれやれ。大分妹様の扱いにも慣れちまったもんだぜ。 それから待つこと5分。 桐乃は不承不承といった体で聞いてきた。 「あんたさ・・・大学受かったらどーすんの?」 うおい。また抽象的な問いだな。 知らず俺はおうむ返しに聞き返す。 「どーするって・・・なにがだ?」 「だからー!」 案の定、キレた桐乃が大声をあげる。 予想通りッスね妹様。 「家から通うのか、それとも一人暮らしスンのかってこと!」 「あーそういう意味か」 相変わらず分かりづらい聞き方するよなお前。 などと考えていたら先手をとられた。 「相っ変わらず察し悪いよねあんた」 蔑んだようなジト目で見られる。 あんまりだろそれ。 「いやわかんねーよあの言い方じゃ!?お前の聞き方が曖昧過ぎんだよ!」 「はいはい人の所為人の所為。あんたって男らしくないよねー?」 「どの口が言うんですかねえ?お前なんかいつだって人の所為にしやがるじゃねーか!」 「だってあたし女だし」 「ぐっ!」 なんだその理由!? 理不尽だ・・・理不尽すぎる・・・。 「あーはいはい。察しが悪くてわるうござんしたね」 言い合ってもどうせ負けるのはこっちだ。 俺は早々に白旗をあげた。 「わかればよろしい」 桐乃は口をω←こんな風にしてドヤ顔で頷いている。 毎度のことながらムカつく顔だなおい。 「んで?どーすんの?」 「ん?ああ、つってもまずは大学受かんないと何とも言えないんだが・・・」 「は?あんた落ちる気でいんの?うーわー情けなー」 思いっきり引いた口調で言われた俺は、慌てて取り繕うように返す。 「そ、そんなつもりはねーよ!ただ物事には絶対ってのはないわけで・・・」 「落ちた時の言い訳とか、チョー情けないんですけど?やる前からネガティブに考えるとか誰得?俺は絶対に受かるってぐらい口にしてみなさいよヘタレ」 「くっ!」 一言ぐらい言い返してやりたいが・・・桐乃のいうことはまったくもってその通りなので返す言葉もない。 ましてやこの妹様はそれを身をもって実践してきているわけで、正直さっきの俺は自分でもカッコ悪かったとか思っちまう。 「あー・・・すまん。お前の言う通りだ。今から後ろ向きじゃ受かるもんも受かんないよな。ありがとうな、桐乃」 「わ、わかればいいのよ!」 素直に礼を言うと、桐乃は真っ赤になってそっぽを向いてしまう。 いつものやり取りに思わず笑いがこぼれた。 「・・・で?どうするつもりなの?」 「あ?うーん・・・正直第1志望に合格した場合、家から通うのは意外に大変な気がするな。だったら学校の近くにアパートでも借りて一人暮らしの方がいいかもな」 「ふ、ふーん」 なんだ?また歯切れ悪くなりやがった? 「でもよ、なんでそんなこと聞いてくんだ?」 「べ、別にあんたに関係ないでしょ」 「いやあるよ!?てか、俺以外に関係者居ないよ!?」 「うっさいな!」 「うっ・・・おまえさあ、言い返すにも程があんだろ?なんだよ『うっさいな』って?」 「う・・・うっさいからうっさいって・・・」 「あーはいはい。ならおとなしく勉強に戻りますよ。お前も大概に自分の部屋戻れよ」 「う・・・」 そう言って俺はまた参考書に向き直る。 最近分かったことだが、うちの妹様は、相手すればするほど饒舌になる。 反面、こちらがさっさと切り上げると・・・。 「え、えとね・・」 こうして自分から話しかけてくる。 どんだけ天邪鬼なんだよお前。 「その・・・きょ、京介が、その・・・ひ、一人暮らしするんなら・・・あ、あたしも・・・ついていっちゃおっかなー・・・なんて」 「はあっ!?」 「な、なによ?」 「お前・・・なに言ってんの?」 そう。ホントになに言ってんの、だ。 俺は今からほんの一か月前、受験勉強のため一人暮らしをさせられていた期間があった。 しかしそれは名目上受験の為だが、その実、急激に仲良くなり過ぎた俺たち兄妹の仲を、おふくろが勘ぐっての措置というものであった。 結局は笑い話に過ぎなかったのだが、それでもこのタイミングで俺と一緒に住むのはどんな藪蛇になるかわからない。 どこにも蛇など潜んでないとしてもだ。 「そんなこと、許されっこねーだろ?」 「わ、わかんないじゃん!お、お父さんに頼んでみるとか・・・」 「いやそれこそ無理に決まってんだろ。大体なんで一緒に住まなきゃなんないんだよ?」 「そ、それは・・・その・・・」 言いかけて黙ってしまう桐乃。 まったく何を言い出すかと思ったら・・・あ、まさか・・・。 「おい桐乃」 俺は思い至った理由に、内心でため息をついた。 「な、なに?」 「正直に答えろよ?」 「!!う・・・うん」 桐乃が少し身構える。 まったく困ったやつだ。 以前なら俺と一緒に住むなんて心から嫌だっただろうに、今となったらそれすら厭わないとは。 人間変われば変わるもんだぜ。 「お前俺と一緒に暮らしたい理由って、実は・・・」 「っ!!」 一瞬桐乃が息をのんだ。 「・・・ちょ、兄貴ストップ!」 「なんだよ今更?ここまで言わせて止めんなよ」 「や、だ、だっては、はっきり言われたらあたしの気持ちが・・・」 「わかるぜ桐乃。・・・俺だって同じ気持ちだからな・・・」 「・・・え?」 驚いたように動きを止める桐乃。 その目は信じられないものを見るように大きく見開かれている。 ったく。 お前の兄貴を舐めんなっての。 俺は一呼吸置くと、静かに微笑んだ。 「お前の気持ちはよくわかったって言ってんだよ」 「!?そ、そそそそそれって・・・!」 「ああ」 俺は一つ頷くと、ゆっくりと桐乃の頭に手を乗せた。 「俺も同じ気持ちだ」 「~~~~~~っ!?」 桐乃は顔を真っ赤にさせて二の句が継げなくなっている。 まあそうだろうな。 自分の目論見すべてを見抜かれちまったんだから。 「桐乃?」 「はははひゃい!?」 「・・・一緒に暮らすか?」 「っ!!!!」 もはや湯気でも出しそうなほど真っ赤になっている桐乃に笑いかける。 そんなに嬉しがられたらこっちまで嬉しくなるじゃないか。 「親父には俺から頼んでみる。俺の監視役って名目にすれば、納得してくれるだろうよ」 俺は先の一人暮らしで親父に書かされた、取得物報告書を思い浮かべた。 あの不本意ながらヒモみたいな取得物の多さを鑑みれば、親父も俺に監視役は必要だと思うだろう。 まったくもって冤罪ですけどね! まあいいさ。 それで桐乃が喜ぶ状況が作れるなら、甘んじてヒモの烙印も背負うさ。 「ああああ兄貴?」 「ん?」 「ほ・・・本当に・・・いいの?」 見ると桐乃は両手の指を絡ませて、所謂もじもじと言った感じで俺を上目遣いで見上げていた。 俺は軽くため息をつくと、またクシャリと桐乃の髪を撫でてやった。 「ああ」 「!!あ、ありがと・・・」 そう言って笑った桐乃の笑顔は、本当に嬉しそうで、俺はこう思ったね ―――――――俺の妹がこんなに可愛いわけがない・・・ってな。 その後、見事第一志望に合格した俺は、一人暮らしを始める旨を親父に伝えた。 勿論、桐乃が監視役でくることも。 案外簡単に親父の許しは取れて、俺達は今引っ越しの準備をしている。 もっともいくつかの条件は付けられたのだが。 一つ、桐乃は週に2日は実家に帰ってくること。 一つ、部屋は親父が決めたところにすること。 一つ、家賃は基本親持ちだが、生活費は自分で工面すること(仕送り含む) まあ実際これくらいならなんの制約でもない。 むしろ部屋を探す手間が省けて大助かりだ。 「兄貴ー、コレクション持ってっていい?」 「週に何日かは実家に戻るんだから、そのまま隠しとけ」 「えー?」 不満そうな声を上げながら、桐乃が渋々コレクションを押し入れへとしまいに行く。 「でもゲームは持ってっていいでしょ?」 「俺のPCにインストールしとけ。こないだ4Gの外付け買ったからそっちに」 極力持っていくものは少なくしておきたい。 そうでなくても桐乃の衣服だけですでにキャパオーバーなんだから。 ※ 「しかしお前も物好きだよなあ」 仕度も粗方片付いて、今は俺の部屋で寛いでいる。 仕事上がりの親父が車を回してくれれば、新生活の第一歩だ。 「え?な、なにが?」 缶コーヒーを飲みながらベッドに腰掛けていた桐乃が俺の言葉に反応する。 「ああ。俺と一緒に住むなんてさ、物好きだって言ったの」 「そ、そんなこと・・・」 言葉を濁しつつ、缶コーヒーへとまた向かう桐乃。 その顔が赤いのは照れくささと感謝かもしれない。 「ま、気持ちはわかるよ」 俺はこの間と同じことを言って、いすの背もたれに体重をかけた。 桐乃はチラチラとこちらを見ながらはにかむように笑っている。 まったく、そんなに嬉しいかね? ま、嬉しいか。 「門限のない生活ってのは嬉しいよな」 「・・・・・・・・え?」 あれ? 一瞬桐乃の動きが止まったぞ? 「い・・・今、なんて・・・?」 「え?」 どうしたんだ? 桐乃がプルプルと震えてるぞ? 「いや、俺と暮らしたいってのはあれだろ?門限が実家だと早すぎるからって」 「・・・」 「わかるぜ。確かに少しばかり家の門限はきついもんな」 「・・・」 「まあでも、俺だって管理責任があるからな。家ほど厳しくなくても、せめて10時までには帰ってきてくれよな?」 「・・・」 「・・・おい桐乃?どうした?ちゃんと聞いてるのか?」 「・・・聞いてるわよ・・・」 「そか。ならいい・・・」 ブチッ。 「いいわけあるかこの鈍感勘違いヤローがっ!!」 「うぐお!?」 突然繰り出された桐乃のハイキックは、見事に俺のこめかみをとらえて・・・俺の意識は暗闇の中へ。 気が付けば見慣れない天井だったわけで・・・。 こうして俺たちの二人暮らしは、喧騒とともに幕を上げたのだった。
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/100.html
【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…20【ブラコン】 65 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 15 51 10.35 壁ドンしてきた……兄貴怒ってるかも 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 15 51 54.22 65 取り敢えず兄貴のパンツ嗅いで落ち着け 67 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 15 52 53.44 うん。ちょっと落ち着いた 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 15 54 16.25 パンツ持ってたww 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 15 57 52.50 そりゃ持ってるだろ。くんかたんだし 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 02 20.61 くんかたんが兄パン持ってないとか有り得ないだろ 71 1[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 03 41.96 兄貴が怒ったのは私がゲームやってて五月蠅かったからみたい。 だよね。私も兄貴の部屋の録音して聞いてるけど、急に音が大きくなるとビックリするし 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 07 20.35 ろwくwおwんwパネェwww 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 16 08 59.72 何かが間違ってる筈だが、何が間違ってるか分からない…… 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 16 09 00.02 んでくんかたんは兄貴に謝った? 75 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 09 36.98 壁ドンした 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 13 01.90 安心のツンww 77 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 16 53.40 うっさい!あたしだって素直にゴメンなさいって言いたいけど どうしたらいいかわからないんだもん。アドバイス寄こしなさいよ 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 16 17 10.29 77 寧ろツンを貫くべき 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 17 54.46 普通に謝ったらむしろ兄貴が心配する 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 16 18 05.28 「あんた、アタシの部屋録音してたんじゃないでしょうね?」とさり気なくアピールしてみる 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 21 48.71 お詫びにパンツあげる 82 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 16 22 48.21 80 採用 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 16 33.55 なにこのスレ……メンヘラ女を応援するとかキメェんですけど? 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 21 31.89 109 スレタイ見直そうか? 俺達はもうすぐ2000レスに到達するぐらい、くんかたんを見守ってきたんだよ! 過去ログ漁ってきてから出直してこい。くんかたんマジ純愛、兄貴マジ鈍感だから 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 27 42.76 もちつけ 110。 109は誰だって最初は通る道だ 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 45 07.38 俺5スレ目からいるけど、くんかたんには兄貴とくっついて欲しいって心から思う 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 18 47 08.41 兄貴とくっついて飽きるほど兄パン嗅いでほしいよな 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 50 06.29 113 そこは本体嗅げよw 115 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 50 35.93 兄貴にパンツ見られた… 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 51 44.99 115 kwsk 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 18 58 10.61 115 オメ 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19 13 51.56 115 穿いてるパンツか、干しているパンツか、兄貴のパンツか、それが問題だ。 119 名前:1[] 投稿日:2010/12/11(土) 19 37 30.17 お風呂入ろうとして、湯上がりの兄貴とぶつかって、着替えのパンツ落とした。 兄貴がそれに気づいて拾ってくれた。その優しさが嬉しかった。 でも恥ずかしくてビンタした。向こうは別に気にしてないみたいだった……バカ 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 19 50 38.22 >でも恥ずかしくてビンタした 安心のクオリティwww 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20 03 35.53 兄貴気づけ……妹は普通パンツ見られたぐらいで怒ったりしない…… 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20 14 14.41 >その優しさが嬉しかった。 テラ神田川wwww 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/11(土) 20 21 23.29 湯上がりの兄貴にくんかたんドキドキだな 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 20 28 50.39 むしろ兄貴のパンツゲットのチャンスだろ。 こりゃ暫くくんかたん出てこないな ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…24.5【ブラコン】 209 名前:1[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 16 33.55 兄貴はスーツでも格好いいと知った日 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 21 31.89 何があった? 211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 27 42.76 兄貴就活?高校生だったよな? 212 名前:1[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 45 07.38 あたしがあるイベントに行ってて、そこで兄貴と 偶 然 会った。運命だと思う。 あと帽子貸してくれた。あんまり兄貴の匂いはしなかった 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 18 47 08.41 >あんまり兄貴の匂いはしなかった 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 50 06.29 なんのイベント?帽子貸してくれたってことは屋外か?スーツに帽子っておかしい気がするが…… 215 名前:1[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 50 35.93 屋内。詳しくは言えないけど、ショーっていうかコンテストっていうか。今日の優勝者はネ申だった 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 51 44.99 むしろくんかたんが休日を兄貴以外と過ごしていることに違和感 217 名前:1[] 投稿日:2010/12/18(土) 18 58 10.61 216 あたしはそのイベント絶対外したくなかった。それに関しては兄貴と同じぐらい愛してる。 兄貴は予定あったんだけど、まさか兄貴が会場に来てるとは思わなかったなー 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 19 13 51.56 都内近郊で今日あったその条件にあうイベントって めるるコスプレコンテスト しかないんだが…… 219 名前:1[] 投稿日:2010/12/18(土) 19 37 30.17 ちがい!イベントは京じゃなくて先週鋸と! 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 19 50 38.22 そのイベントに俺も行ったけど、居たわ、スーツの男の隣で鼻血だしてた女の子。あと、かなかなのメルルはネ申。 221 名前:1[] 投稿日:2010/12/18(土) 20 03 35.53 鼻血だしてない!出しそうになっただってば!ネ申同意 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 20 14 14.41 あの子か……兄貴もげろ 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 20 21 23.29 222 どういう意味だってばよ!? 224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 20 28 50.39 くんかたんマジ残念な美人。かなかなマジめるる 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 20 29 50.19 あの子がくんかたんだとしたら……ツンとか必要ねぇわ。押し倒せば兄貴は絶対堕ちる。堕ちなかったらゲイだな。俺が掘る。 226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/18(土) 20 33 15.19 225 くんかたんはあくまで兄貴から告白してほしい乙女だから仕方ない。俺のケツ貸すから兄貴は我慢しろ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 過去ログ倉庫 兄貴のパンツ嗅いでるんだけど… 兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…2 【ブラコンじゃ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…3【ないし】 【ちょっと】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…4【気になるだけ】 【愛してる】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…5【と言ってもいい】 【ちょっとブラコン】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…6【かも?】 【ちょっとブラコン】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…6【かも?】 兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…7 【気づけ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…8【兄貴】 【愛ゆえの】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…9【くんか】 【もう】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…10【ブラコンでいい】 【もう】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…11【ブラコンでいい】 【兄貴が】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…12【大好きだ】 【ありがと】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…13【って言いたい】 【リアル】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…14【妹空】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…15【ブラコンだし】 【兄貴が】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…16【居ない日】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…17【ブラコン】 【嗅いじゃ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…18【いけないんですか?】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…19【ブラコン】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…20【ブラコン】 【JCの】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…21【リアル】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…22【ブラコン】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…23【ブラコン】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…24【ブラコン】 【どうせ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…24.5【ブラコン】 【めるる】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…25【大好き】 【メルルで】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…25【特定】 【メルルを】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…25【くんか】 【オタク】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…25【ブラコン】 【あたしは】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…29【ブラコンだ】 【メルルが繋ぐ】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど…30【兄妹の絆】 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 【ブラコン】兄貴のパンツ嗅いでるんだけど・・・34【なのかな?】 1 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 05 23.23 兄貴にプレゼントをした。泣いて喜んでた。 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 07 45.87 くんかたんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 08 02.87 1 で、何をプレゼントしたんだ? 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 09 02.45 7 くんかたんだぞ?自分の下着(使用済み)だろ。jk 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 10 46.87 10 いや、くんかたんの操だろ 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 10 52.31 10 くんかたんの人生をプレゼントしたんじゃね? 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 11 12.99 13 既に捧げてるだろ 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 11 45.87 いや、兄貴が泣いて喜んでたってことは案外まともなものじゃね? 兄貴が欲しがってた装飾品とか 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 13 04.78 21 たしかに常識的に考えればその通りだ。しかし君は重要なことを見落としている。 それは 1がくんかたんであるということだ。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 15 47.74 よし、予想をまとめるぞ。 1.使用済み下着 2.操 3.人生 4.兄貴が欲しがっていた物 37 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 18 23.23 5. あたし特製のしす×しす 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 20 45.87 37 ちょwwww 妹を持つ兄貴に妹から妹モノのエロゲをプレゼントとかwwwww ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 21 57.17 しかし特製って何だ? 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 22 15.81 43 特典としてくんかたんの下着でも入ってんじゃね? 47 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 23 23.23 46 いい加減下着から離れろw 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 24.13.67 47 くんかたんが兄貴の下着から離れることが出来たらね 53 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 25 23.23 50 ごめん。無理 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 27 19.91 1 脱線気味だけど特製ってどの辺が特製なのよ? 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 27 45.87 つーかしすしすって18禁だぞ。別にくんかたんならいいけどw 67 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 28 23.23 63 例のツールを使ってりんこりんの声をあたしのに吹き替えた 64 そこには触れないで 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 30 31.59 メルルイベでくんかたんと思われる娘を見たけど、りんこりんにそっくりだよな。 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 31 54.78 72 俺と友人達の間でリアルりんこりんと呼んでた件について 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 33 45.87 ここまでやって兄貴が気付かなければ俺が兄貴を掘る。異論は認めない 81 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 34 23.23 79 アンタなんかに掘らせるか!そんな事されるくらいならあたしが掘る! 82 名前:79[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 35 45.87 81 すみませんでした 87 名前:◆krnk/Daten[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 37 54.97 1 …あなた… 何をやっているの? 92 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 42 23.23 まさかとは思うけどアンタのブログを更新してみて? 96 名前:◆krnk/Daten[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 45 45.37 更新したわよ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 108 名前:1[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 55 23.23 o......................rz 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 20 57 45.87 108 くんかたん、何があったんだ? 123 名前:◆krnk/Daten[] 投稿日:2010/12/14(火) 21 02 45.87 私が 1に変わって説明するわ。 1と私はリアル?での友人同士よ。 1は私のトリップを見て察しがついたのでしょう。 だから私にブログを更新したの。それを確認したあとが 108の書き込みね。 要するに「友バレ」って奴ね。 しかし私も驚いたわ。こんなとんでもない隠し玉をしていたなんて…
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/533.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308729425/ * * 風呂から上がって自室に戻ると、二組の布団が敷いてあった。 もちろん、一つは俺が寝る布団であり、もう一つはあやせが寝る布団だ。 前回もそうだったんだろうが、俺が風呂に入っているうちに、あやせが勝手に敷いたんだろう。 はじめから分かっちゃいたが、あいつは今晩はここに一泊するつもりでいる。 「だけどよ、年頃の男女が同じ部屋で寝起きするってのは、まずいだろ……」 だが、自称俺の妹様が、そんな俺の懸念を慮るわけがない。 年下の小娘のくせに、色香で俺を翻弄しようっていうことなんだろうか。 あの女の考えていることは、どうにもよく分からない。 俺は、いつも使い慣れている方の布団の上にごろりを仰向けになった。 「それにしても、保科さんってのは、何なんだろうな……」 俺は保科邸に到着してから辞去するまでの一連の出来事を思い出せる範囲で反芻してみた。 茶室での作法の手ほどきから、野点の本番、俺の足の痺れ、その後の保科さんとあやせによる介護、さら には俺とあやせが、野点の会場でうたた寝したこと等々……、結局は、すべてが保科さんのシナリオ通りに 進行していたように思えてならない。 俺の足が痺れるであろうことも、彼女には分かっていたはずだ。 あの禅寺で野点の招待を受けた時、保科さんは、 『殿方はスーツで結構です』 と言ったのではなかったか。 長時間正座する茶事では、男性も和服が基本であり、洋服の場合であっても、流行遅れのだぶだぶした ズボンでなければ宜しくないことは、茶事におそらくは数え切れないほど参加してきた保科さんなら当然に 分かっていたはずだ。 「それに、今の若者向けのスーツは、みんな細身なのを知らないはずがねぇよな……」 にもかかわらず、何故に彼女は、俺にスーツを着るように指示したのか。足を痺れさせて膝枕をするため か、それとも、俺を和服に着替えさせたかったのか。彼女の狙いは皆目分からない。しかし、入念な計画に 基づくものであるような雰囲気がぷんぷんする。 保科さんの胸のダイブして、彼女の股間に顔面をめり込ませるというハプニングも、何だか彼女の シナリオ通りな気さえしてきた。 「あやせといい、保科さんといい、訳が分からないぜ……」 男にとって女ってのは、基本的に理解不能で面倒くさい生き物だ。 「明日は明日で、保科さんやあやせ以外の面倒くさい生き物と面と向かわにゃならねぇ……」 明日の午前十時には黒猫と沙織がこの街に再びやってくる。 何とも後味の悪い別れ方をした先週日曜日の仕切り直しのためだ。 「問題はあやせだ……」 黒猫と沙織との面談というか、ネゴシエーションというか、洒落にならない雰囲気の話し合いに、あやせ まで参戦されたのでは、たまったもんじゃない。 明日の午前中は、大学の図書館で調べ物をするということにして、互いに別行動にしよう。 要は、あやせを謀るってことだ。 「嘘も方便。もう、大嘘吐きでも何でもいいや……」 この街で、あやせと黒猫のガチバトルなんか願い下げだからな。 俺は、布団の上に仰向けになったままで、瞑目した。 保科邸での野点は緊張の連続だった。それのみならず、足が極度に痺れて身動きができなくなるという アクシデントもあった。そのためか、俺はぐったりと疲れきっていた。 大学の教室で保科さんに呼び止められ、同級生たちに変に注目されたのも結構なストレスだった。 「もぅ、身体がだるいし、眠くてかなわねぇ……」 目を閉じていると、意識が朦朧としてきて、ふわふわと夢の中にさ迷い込んでしまいそうになる。 野点の後、不覚にもあやせ共々、緋毛氈の上で居眠りしたが、中途半端な睡眠はかえって眠気を催させる ものらしい。 不意に誰かが頬を撫でてくれているような気がした。 この柔らかな感触は、膝枕をしてくれた保科さんのものだろうか。 果たせるかな、振袖姿の保科さんが、艶然とした笑みを浮かべて、俺の顔を覗き込んでいるような気がした。 だが、突然、彼女の面相に憂いにも似た翳が浮かび、ためらいがちに顔をそむけて、視線を俺から逸らせ てしまった。 「ほ、保科さん!」 待ってください! あなたは、何で俺を、俺たちを野点に誘ったんです? あなたは、どうして、俺みたいな平凡な男にちょっかいを出すんですか? そして、あなたは、最終的には、俺をどうしたいんですか? 呼び止めて、そう尋ねたかった。今、今なら、彼女に訊くことができるような気がした。 だが……、 「何が、『保科さん』ですかぁ! ブチ殺しますよ!!」 耳をつんざくような罵声と、頬に感じた痛みで、俺は我に返った。 恐る恐る目を開けると、水色のパジャマ姿の自称俺の妹様が、恐ろしい形相で俺を睨んでいた。 「あ、あやせ……」 しっとりとした髪からはシャンプーの香りが漂い、身体からは石鹸のものらしい清潔そうな匂いが漂って きそうだった。 だが、 「お、お前! 俺の身体の上に、馬乗りになってるんじゃねぇ!!」 自称俺の妹様は、股で俺の胴体を挟むようにして、俺の臍の辺りにまたがっていたのだ。 「こうでもしないと、お兄さんにビンタできませんから。やむを得ません」 こいつ、俺の寝言を聞きつけて、馬乗りになったのか。 しかし、それにしても……、 「いきなりビンタってのは、ひでぇじゃねぇか。それに、この体勢だと、あやせが俺をレイプしているみたいだよな」 「レイプだなんて、破廉恥な! これはお仕置きです」 言うなり、怒りで形相を般若のように歪ませたあやせは、俺のスウェットの襟元を引っ掴んだ。 『レイプ』の一言で、俺の身体から離れると思ったんだがな。 自称俺の妹様はそんなうぶな輩じゃないらしい。 それどころか、あやせは、俺の首を、スウェットの上から無慈悲にも締め上げた。 「うわ、いてててっ! ら、乱暴はよせ、麻奈実や保科さんは、ぜ、絶対に、こんなことはしねぇぞ!」 「あの女の名前を言うなって、何度言ったら分かるんですかぁ!!」 あやせは涙目で、俺の首を、がくんがくんと、五、六回乱暴に揺さぶって、おもむろに手を放した。 「げ、げほ……、ごほ……、げほ……」 俺はというと、仰向けに引っくり返ったまま、喘息持ちの爺様のように、ひとしきり咳き込んで悶絶した。 いつもながら、こいつの暴力は、本当に洒落にならんなぁ。 「いつまで咳き込んでいるんですか、この変態……」 咳が治まりかけて、薄目を開けると、相変わらず自称俺の妹様が俺の腹の上に馬乗りになったままだった。 「お前なぁ……。前にも言ったけど、これって傷害罪一歩手前の行為だぞ。それに、いい加減、どいてくれ よ……」 だが、あやせは意固地になったのか、股間を俺の腹部に強く押し付け、太腿で俺の胴体を締め付けてきた。 「うわぁ! いてててっ……」 あやせの太腿で締め上げられ、内臓全部がでんぐり返りそうな苦しさだった。 だが、あやせの股間が、あ、あそこが、俺の腹の上に密着し、あまっさえ、ぐりぐりと擦り付けられてい る。こ、これはこれで、いい……、かな? てか、そんなことでプチ喜んでいる場合じゃない。 自称俺の妹様は、怒りで歪めた面相を、だらしなく仰向けになっている俺の顔面に近づけてきた。 「明日のことで、お兄さんに確認をしておきたいことがあります。明日、お兄さんは何をするつもりです か?」 そらきた。こいつは、俺を監視するために俺につきまとう気でいる。だが、あいにくと、そうはさせねぇ。 「あ、明日は、午前中、大学の図書館に行って、判例の調べものだ。だから、明日の午前中は、あやせとは 別行動だな」 「図書館へは私も同行します。お兄さんの単独行動なんて許しません!」 そうくると思った。だがな、俺が通う大学の図書館は、そうはいかねぇんだよ。 「お前、大学の図書館ってのは、県立や市立の図書館とは訳が違うんだぞ。その大学の学生や教職員じゃな いと、利用できねぇんだよ」 「そんなもの、大学生の振りをしてれば大丈夫です。わたしは、これでも結構大人っぽい方ですから」 自信たっぷりに言い切りやがった。たしかに、モデル業で揉まれてきただけに、高校一年生にしては、 多少は大人びているな。だが、大学生の振りをするのは、どう考えても無理がある。 所詮はガキだ。いろんな意味で。それに、 「お前、大学の図書館が見た目だけで判断すると思うのか? そんなことをしたら、大学生じゃない浪人生 や、下手すればホームレスとかが入り込んでくるじゃねぇか」 「うっ……」 痛いところを突かれたのか、般若顔のあやせが息を詰まらせたような気がした。 「入り口で学生証の提示を求められるんだよ。で、学生証がなかったら、館内に立ち入ることもできねぇ。 少なくとも、俺の大学の図書館はそうしたところだ」 授業料を払っていない者に大学の施設を利用させるのは衡平ではない。それ以前に、セキュリティの関係 上、身分が特定できない奴の入館を許すはずがないだろ? 社会の道理をよく分かっていないところが、 本当にガキだな。 「そうですか、なら仕方がありませんね。わたしは、大学近くの喫茶店かどこかで、お兄さんの調べものが 終わるまで待つことにします」 「何もそこまでしてくれなくていいぞ。お前も大変だろうから、下宿で待つなり何なりしてくれれば……」 「いいえ、お兄さんを護るために、わたしははるばる千葉から来たんです。そうであれば、明日はお兄さん と一緒に下宿を出て、大学の図書館にお兄さんが入っていくのを確認した上で、わたしは近くの喫茶店か、 ファストフード店で本でも読んで待っています」 しつこいな……。まさかとは思うが、明日の午前中に黒猫と沙織に会うってことを把握してやがるのか? いや、それはないか……。 俺が嘘を吐いていることを知っていたら、もっと過激な手段で俺を責め立てるはずだからな。 だったら……、 「いいだろう。俺は図書館の中で調べものをしているから、その間、お前は、喫茶店とはいわずに、学内の どっかで待ってろ。俺の大学は建物はボロだが、敷地だけは公園並みに広いからな」 このまま嘘を吐き通してやる。毒を食らわば皿までも、だ……。図書館に入ったら、裏口から抜け出て、 沙織たちとの待ち合わせ場所である中央駅前までタクシーですっ飛ばす。これで、あやせの目を欺いてやる。 だが、 「……調べものは判例ですか?」 あやせの奴が、じっとりとした疑惑の眼差しで俺を凝視している。何かヤバイな、しかし、ここまで来て 嘘を認めるわけにはいかねぇ。 「ああ、判例集が図書館にあるから、そいつでちょっと調べたい事件があるのさ」 あやせの奴が、にやりと笑ったような気がして、俺は嫌な予感に襲われた。 「判例は……」 俺に馬乗りになったままで、あやせは座り机の上のパソコンを指差した。 「あれを使ってインターネットで検索できるんじゃなかったんですか?」 しまった。インターネットで判例を検索できることは、この前、俺自身がこいつに教えたんじゃねぇか! 自ら墓穴を掘ってどうすんだ。 「い、いや……。インターネットでは公開されてない判例もあってだな、そ、それで図書館で調べなきゃな らねぇんだ……」 我ながら悪あがきっぽいが、一応は事実だ。実際、マイナーな判例や、古い判例は、裁判所の ホームページには出ていないことがあるからな。これであやせの追及を振り切っちまおう。 「そうですか……、でも、お兄さんの大学の図書館って、明日は休館日みたいなんですけどぉ……」 いつの間にか、あやせの手にはスマホが握られていて、その画面には大学の付属図書館の予定が記された カレンダーが表示されていた。 「げっ!」 「ここに、明日の日曜日は、空調設備の点検のため休館って書いてあるんですけど、お兄さんが明日利用 する大学の図書館って、どこの世界の図書館なんでしょうか、ね!」 最後の『ね』にアクセントをつけたあやせは、今度は、襟ではなく、俺の首をダイレクトに締め上げてきた。 「ぐ、ぐるじぃ、じ、じんじばう……」 「大嘘吐きのお兄さんには、これぐらいの苦しみじゃ足りないくらいです! お兄さんは、明日、黒猫とか いう痛い女や、沙織とかいうデカブツとデートするんでしょ? それもわたしに内緒でこっそりと!」 「う〜〜、う〜〜〜、う〜〜〜……、いぎが、で、でぎ、なび……」 これが女子高校生の力かと思うほど、あやせの締めは激しかった。それこそ、鬼の形相で俺の喉を 思いっきり締め上げていやがる。 「わたしだって、黒猫とかいうあの女は要注意人物だから、その動向には常に気を配っているんです。 だから、明日、あの女がお兄さんに会いにやって来ることも、とっくの昔にお見通しだったんですよ!!」 畜生。あやせの奴は、俺の嘘が破綻するように、俺を追い込んでいたんじゃねぇか。それに気付かず、 あやせをガキだと侮ってドツボに嵌った俺って、何てバカなんだ。 俺は、苦し紛れに両手を虚空に伸ばした。溺れる者は藁をも掴むっていう喩えが身にしみて理解できたぜ。 「きゃっ! 何てとこ触ってるんですかぁ、この変態!!」 俺の両手は、マシュマロのように弾力がある二個の物体を、むんずとばかりに捉えていた。他でもない、 あやせの左右の乳房だった。 左手は右の乳房を、右手は左の乳房をそれぞれ鷲掴みにしていた。そして、掌には、ぷっくりとした あやせの乳首が感じられた。 こいつ、ノーブラじゃねぇか! 「わ、わたしの、む、胸なんか、も、揉まないでください。ブ、ブ、ブ、ブチ殺しますよ!!」 あやせが一段と強く俺の首を絞めてきた。もう、本気で俺をブチ殺すつもりだ。 こうなったら、俺だって必死だ。絶対にこの手を離すもんか! 死ぬ寸前まで、あやせの胸を揉みまくってやる。これが末期のセクハラってもんだ。 俺は、パジャマの上からあやせの乳首を摘み、それを引っ張ったり、乳房の中に押し込むようにして弄んだ。 「や、やめて、く、ください。そ、そこは、び、敏感なんです……」 乳首を刺激するたびに、あやせは弓なりに背を反らせて身震いしやがる。 まさかとは思ったが、エロゲのヒロインと似たり寄ったりの反応を示すんだな。 それに、乳首をいじられると脱力するのか、俺への締めが手ぬるくなった。 「こうなりゃ、一石二鳥だぜ!」 あやせの胸を揉んで末期のセクハラに興じるのみならず、あやせにブチ殺されるのを免れることができる かも知れねぇ。 俺はあやせの乳を揉みながら彼女のパジャマの前立てをまさぐってボタンを外し、あやせの胸元に両手を 突っ込んだ。 「じ、直に触らないでください、わ、わたし、もう……」 そう言いながらもあやせの奴は、股間を俺の腹に擦り付けるように、腰を前後に妖しくゆすっているじゃ ねぇか。 それでも、俺の首には、申し訳程度といった感じながら、あやせの両手が首かせのように嵌っていた。 「こ、これならどうだ!」 俺はあやせのパジャマの前立てを左右に無理やり引っ張った。外していないボタンが一つ、二つ弾け飛び、 あやせの乳房が顕わになった。 こ、これが、あやせの乳房か……。触ってみて大体は分かっていたが、控え目ながら、ちゃんと出るとこ は出てるんだな。 乳房が控え目なくせに乳輪は大きめだろうか。だが、そこがエロくて俺好みだ。 「お、おっぱい、見ちゃだめぇ〜〜〜!!」 あやせは自分の胸を隠そうとしたのか、はたまた俺の目を塞ごうとしたのか、俺の首から両手を離した。 『今だ!』 俺は、両腕をあやせの背に伸ばして彼女に抱き付き、ぶらぶら揺れる左の乳房の先端をぱっくりくわえ、 すすってやった。 「あ、あうう……。す、吸わないで、す、吸わないでぇ〜〜〜」 あやせは身を捩じらせて抵抗したが、俺がベージュがかったピンク色の乳首を吸い続けると、ついには 「あぅ、あぅ」といううわ言のような声を出しながら、だらしなく涎を垂らし始めた。 「今度は右だ」 こりこりに勃起した右の乳首を舌先で弄び、強く吸ってやる。 「あふ、あふぅ〜〜〜〜〜」 もう、俺をブチ殺すどころの話じゃない。 あやせの奴は、俺の後頭部を両手で支え、自分から俺に胸を突き出すようにしている。 女って、あやせみたいなエロが嫌いな奴でも、乳首吸われるとエロゲのキャラみたいにおかしくなるんだ な。エロゲやっといてよかったぜ。こればっかりは桐乃に感謝だ。 てなことを思いながら、俺は両の乳首を交互に吸い、さらには軽く噛んでみた。 「あう、お、お兄さんやめてください。お、おかしくなっちゃうぅ〜〜〜」 「もう、十分におかしくなってるぜ」 あやせは俺の軽口には反応せず、虚ろな目のまま、だらしなく口をぽかんと開けている。 そろそろとどめを刺すとするか。 俺は、あやせの乳房をすすりながら、右手をあやせの股間に伸ばしていった。 「あ、ああああっ! そ、そこはいじっちゃだめです」 布地越しにあやせの秘所の温もりが感じられた。 パジャマも下着も薄手のものらしく、俺の腹の上でぱっくり広がっているあやせの割れ目が、はっきりと 分かる。 割れ目をなぞると、布地越しにねっとりとした湿り気が伝わってきた。 「ぬ、濡れてるじゃねぇか……」 女の身体に初めて触れた俺みたいな奴の不器用な愛撫でもこんなに乱れるなんて、あやせって根はすごい スケベなのかもな。 俺はぬるぬるした割れ目の端に、こりこりした突起を指で探り当てた。これがクリトリスなんだろう。 そいつを指先でぐりぐりと擦るように弄んだ。 「あ〜〜、う〜〜〜、そ、そこはらめれすぅ〜〜〜〜。ら、らめぇ、らめぇ〜〜〜」 あやせは完全にぶっ壊れる寸前といった感じで、呂律も怪しくなってきた。やっぱクリトリスって、女の 身体で一番敏感だってのは本当なんだな。 俺は、その突起を摘んで、こよりを撚るように軽く捻ってやった。 同時に、乳首を吸いながら軽く噛んで引っ張ってやる。 「う、う、うっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 あやせは苦悶に耐える呻き声にも似た叫びを歯を食いしばるようにして絞り出し、背を反らせて全身を ビクビクと痙攣させた。 痙攣はひとしきり続き、それが治まると、あやせは俺の身体にもたれかかって、ぐったりとなった。 「ふぅ……」 のしかかっているあやせをごろりと布団の上に転がすと、俺は自分の首を押さえてため息を吐いた。 「あやせの奴、イッたみたいだな……」 布団の上に転がされたあやせは、快楽の余韻で頬を上気させ、はだけた胸元からは勃起したままの乳首を覗かせていた。 「こ、これで、終わりなんですか……?」 エクスタシーに達したあやせの身体からは、甘酸っぱいような感じの女の匂いが、むせ返るほどにあふれ ていた。 そして、俺のリヴァイアサンは、かつて経験したことがないほどに大きく固く怒張している。 これは、“据え膳食わぬは男の恥”って状況なのか? 今のあやせだったら、このまま俺のリヴァイアサンをぶち込むのは楽勝だろう。 だが……、 「……そうだな……、これでセクハラはお仕舞いだ……」 さっきまで俺をブチ殺す気満々だった奴とセックスなんかできねぇよ。これって強がりみたいなもんだけ どさ。 「……ひどいです、ひどいです、お兄さん……」 あやせは、パジャマの前をはだけたまま、さめざめと泣き出した。 あやせが俺をブチ殺そうとしたとはいえ、俺のやったことはセクハラどころかレイプ寸前の行為だったか らな。気丈なこいつが泣くのも無理はねぇ。 「あやせにひどいことをしたのは認めるよ。でも、お前だって、俺を殺す気だったんだし、お互い様だろう」 「……お兄さんを殺す気なんかありませんでした……」 嘘つけ! さっきの首の締め方には殺意がみなぎっていたじゃねぇか、と言いたかったが、我慢した。 「そうかい……、俺もあやせを犯すつもりはなかったよ」 「……お兄さんなんか、大っ嫌いです……」 あやせとは脈があったように思ったんだが、これで終わりかもな。男女の仲なんて、ちょっとした事件で 簡単にぶっ壊れちまうもんなんだ。 「さっきのセクハラと、黒猫のことを黙っていたのは、あらためて謝るよ。これは本当に済まなかった」 「い、今さら謝っても、お兄さんが嘘吐きな変態だってことに変わりはありません……」 「何とでも言え……。否定はしねぇよ」 「……嘘吐き」 強がってはみたものの、今度ばかりはあやせの『嘘吐き』ってのが胸に痛い。 だが、ここで挫けちゃいけねぇぜ。 「嘘吐きでも何でもいいさ。で、明日のことなんだが……」 「……嘘吐きお兄さんは、わたしのことなんか放っておいて、黒猫とかいう痛い女とデートなんでしょう……」 「違う。明日、黒猫に会うのは本当だが、何をあいつに告げるかはもう心に決めているんだ。友達ではある が、もう恋愛感情はない。それをそれをはっきりさせてくるだけだ」 「……し、信じられません……」 「俺の言うことが信じられないようなら、明日、お前も俺と黒猫のやりとりを遠くから見ていればいいだろ う。その時に、俺の言っていることが嘘じゃないってのがお前にも理解できるさ」 「……………」 黒猫や沙織との面談をあやせにも見せるのはリスキーこの上ない。下手すれば、面談の場にあやせが乱入 して、黒猫と大乱闘になりかねないからな。何らかの策が必要だろう。 「ただし、俺と黒猫や沙織との面談をお前が監視するのには条件を付けさせてもらう。第一に、目立たない 格好で遠くから監視すること。第二に、面談の場に絶対に介入しないこと……」 「遠くから見ているだけなんて嫌です……。面談の風向きがおかしくなったら、お兄さんを護るために、 わたしも介入しなくちゃいけません……」 そうくると思った。 俺は、舌打ちしながら机の上に置いてあった携帯電話を手に取り、あるところに電話した。 「もしもし、高坂だ」 『おお、どうだった? 保科さんとこの野点は』 電話の相手は、イケメン眼鏡の陶山だ。 「なかなかに大変だったよ。そいつについては、明日にでも話せるだろう』 『明日か……。大学は休みだぞ』 そりゃそうだ。日曜日なんだからな。だが、頭のいい陶山のことだ、俺が会いたいってニュアンスを感じ 取っているに違いない。 「まぁ、ぶっちゃけ、明日はお前と川原さんに助けてもらいたいんだ。実は、妹が来ているんだが、俺は俺 で、千葉から来る友人の相手をしなくちゃならねぇ。それで、俺が友人と居る間に、ちょっと妹の面倒を見 て欲しいのさ」 友人になって日が浅い陶山に頼むなんて、我ながら非常識だよな。 案の定、陶山は困惑しているらしく、『え〜〜?』と絶句している。 だが、 『えっ? 何、何? 高坂くんの妹さん?』 川原さんらしい、素っ頓狂な女の声がスピーカーから轟いた。 『きゃっ! 高坂くんの妹さんが来てるんだって?! で、その子の世話をさせてくれるのぉ? やる、 やる、絶対にやる。いいえ、や、やらせてください!!』 『……お、おい……。安請け合いはするなよ……』 川原さんをたしなめる陶山の声がしたが、川原さんは、 『うっさいわねぇ! あたしがやるっていったら、やるの! あんたは黙ってなさい』 と、陶山を一喝していた。女って、怖いな。 それはともかく……、川原さんは何で陶山とこんな時間に一緒なんだろ。大体想像はつくが、追及するの は野暮ってもんか……。 『ごめんなさ〜〜い、亮一のバカが気が利かなくって。でも、あたしがOKなんだから、もう、こいつには 四の五の言わせなぁ〜〜い。だから、明日は、是非是非、高坂くんの妹さんを宜しくお願いしまぁ〜〜す!!」 「あ、ああ……、こ、こちらの方こそ、よ、宜しくお願い、し、します……」 なんだい……。川原さんのハイテンションぶりに思わず敬語っぽく話しちまったじゃねぇか。 でも、これで、明日は何とかなりそうだ。 『で、待ち合わせとかはどうするのぉ?』 俺たちは、午前9時に大学の正門前で落ち合うことにした。 「まだ説明しておきたい事柄があるけど、電話では何だから、明日、会った時に話すよ。いいかな?」 『うん、うん、全然オッケイ! じゃぁ、明日は楽しみにしているからね〜〜』 「こちらこそ。あと、陶山にも宜しく」 そう言って、俺は通話終了のボタンを押した。 「ふう……」 通話を終えて、安堵のため息を吐いた俺を、胸をはだけたままのあやせが、泣きべそ顔でじっと見ていた。 「まぁ、聞いての通りだ。明日は、俺の大学の友人で、陶山っていう奴と、その彼女である川原さんって人 を、お前のお目付け役にする」 「お、お兄さんのお友達なんて、信用できません……。きっと、お兄さんとどっこいどっこいの変態で嘘吐 きなんでしょ?」 俺は、陶山と川原さんを悪し様に言うあやせに少々ムカついたが、あやせの言い分にも一理ある。 全く面識のない奴をお目付け役だって言われても、警戒心しか湧かないよな。 「陶山ってのは、医学部の学生で、ものすごく頭のいい奴だ。川原さんは陶山の同級生で、やはり医学部の 学生だ。二人とも正直で、気のいい連中だぜ。明日、本人たちに会ってみれば、お前だって納得するだろう」 「……もう、それしかない、って言うことですか?」 俺は、恨めしげなあやせに無言で頷いた。こうでもしなきゃ、危なくって仕様がない。 「だったら、そ、それでいいです……。でも、お兄さん……」 「今度は何だよ……」 いつになく哀れっぽい口調が気になったが、俺はそっけなく振る舞った。あやせには油断がならないから な。色々と……。 「……あ、あの……、わ、わたし……、お、お兄さんに……」 「俺に何だって?!」 先刻、いきなり首を締められたから、かなりきつい口調で言い返しちまったな。 その俺の一言で、あやせが、びくっ、と身を震わせたようだった。 「……あ、あの……」 「だからどうした?」 この口調もきつかったかな。どうも、さっき殺されかけたってんで、語気が荒くなっちまう。 「い、いえ……。何でもありません……。も、もう……、いいです……」 「そうかい……」 そう言って、俺はすっくと立ち上がった。 「ど、どこへ?」 「隣の部屋だ。さっきみたいなことがあったんじゃ、おちおち眠れないからな。俺は隣の部屋で寝ることに するよ」 あやせに殺されるのが怖い、というのは自分でもよく分からないが、多分本当じゃない。 あやせと同室で寝たら、きっと彼女を犯してしまうだろ。性的な衝動を抑え切れない自分が怖かった。 頭では自分を殺そうとした女を抱けないと思っても、本能は違う。 事実、俺のリヴァイアサンは、はち切れんばかりに怒張したままじゃないか。 「あ、あの……」 あやせが何かを言いかけたようだったが、俺は彼女に背を向けて自室から出た。廊下に出て、階段を下り、 洗面所で顔を洗った。 「……高坂さん……。何かあったんですか? ちょっと騒々しいようでしたけど……」 洗顔を終えて階段を上がろうとしたところを、下宿の女主人に呼び止められた。 あれだけの騒ぎだ。昔ながらの重厚な造りの下宿屋であっても、何らかの物音は伝わる。 「ああ、どうもすいません。妹と格闘系のゲームをやっていたものですから、ついつい熱が入って、俺も妹 も荒っぽい言葉遣いになっていたようです。ちょっと反省してます」 「ああ、そうですか。それなら結構です」 下宿の女主人は、安堵したのか、表情を和らげた。兄と(自称)妹との禁断の愛の営みが展開されている と思ったんだろう。実際は、もっとヤバイ状況だったんですけどね……。 「それと、妹の奴は、俺の部屋で寝たいんだそうです。ですので、俺が自室の隣の部屋で寝てもいですか?」 「ええ、いいですよ。お布団は、お部屋の押入れに入っているものを自由に使ってください」 「はい、ありがとうございます」 許可を得た俺は、自室の隣部屋に入り、布団を敷いて横になった。 長いこと仕舞ったままだったせいか、何となくカビ臭いが、これぐらいなら我慢できる。 「しかし、疲れているのに、寝付けねぇな……」 あやせが馬乗りになるまでは、眠くってしょうがなかったのに、今はあやせの乳房と秘所の感触を思い出 すと、気持ちが昂ってなかなか眠れない。 それでも、ようやく夢うつつになった頃、自室の襖が開く音と、あやせのものらしい足音が聞こえてきた。 俺ははっとして身構えたが、足音はそのまま俺が居る部屋の前を素通りし、階下へと向かって行った。 「何だ、トイレかよ……」 しばらく経ってから、階下から水を流す音が聞こえてきた。 「ずいぶんと長いトイレだな……」 そんなことを呟きながら、俺はいつしか泥の様な深い眠りに落ちていった。 * * 翌朝、膨れっ面というか、まぶたを腫らしたあやせを伴って、俺は大学の正門前に向かった。 「やっほぉ〜〜!! 高坂くん、こっちこっちぃ〜〜〜!」 正門前には既に川原さんと陶山が待っていた。 川原さんは、いつもは一本のお下げにしている長い髪に軽くウェーブをかけて、腰の辺りまで伸ばしていた。 ファッションは、普段パンツルックがほとんどだってのに、今日に限って白いゆったりとしたスカート、 ノースリーブの黒っぽいカットソーにベージュ色した薄手のカーディガンを羽織り、鍔が大きな白い帽子で キメ、襟元にはダイヤらしい宝石がちりばめられたネックレスが輝いていやがる。 う〜〜ん、そういや、川原さんだって、開業医の娘なんだよな。スケールは、保科さんや沙織とかに比べ ればささやかかも知れないが、やっぱお嬢様なんだと今さらながら実感しちまったぜ。 相方の陶山は、ダークグレーのスタンドカラーシャツにカーキ色というかオリーブ色に近い腰丈の ジャケットを羽織り、黒いデニムを穿き、八ピースの丸っこいハンチングを被っている。 対する俺たちはというと、俺は普段と代わり映えのしない長袖のダンガリーシャツにジーンズで、あやせ はチャコールグレーのコットンパンツ、白黒の市松模様の長袖ブラウス、それにいつぞや加奈子が出た メルルのイベントで桐乃の目を欺くために着用したキャスケットを目深に被っている。 「済まねぇ。ちょっと遅れちまったみたいだな」 「いや、今がちょうど九時だ。こいつに急かされて、俺たちはだいぶ早く着いちまったのさ……」 陶山は自分の腕時計をチラ見してから、相方の川原さんに向けて顎をしゃくった。 その川原さんは、喜色満面で、時折、「うほほぉ〜〜い!」とか訳の分からないことを口走っている。 こりゃ、桐乃以上にヤバイかも知れねぇ。 あやせはハイテンションな川原さんを警戒してか、俺の後ろの方で緊張して縮こまっていた。 「もう分かるよな? あのお姉さんが川原さん、で、眼鏡を掛けているのが、川原さんの同級生で陶山だ」 「よろしくぅ〜〜〜。川原瑛美でぇ〜〜す」 「俺は陶山亮一。高坂とはいつも一緒に昼飯を食う仲なんだ。今日はよろしく……」 陶山は警戒しているあやせを気遣っているのか、できるだけさりげなく振る舞うように心掛けていること が何となく分かった。 本人が『気遣いの陶山』を自認していたが、俺も、たしかにそうだと思うな。 「で、その子が、高坂くんの妹さん? どれどどれ……。うっひゃ〜〜〜、かわいい〜〜〜」 気遣いの陶山に対して、川原さんは自分の欲望に忠実なタイプらしい。ずぃ! とばかりにあやせの前に 歩み寄り、帽子で顔を隠そうとしているあやせを舐め回すようにガン見している。 相方の陶山が、「おい、大概にしろ……」という小言とともに、カーディガンの裾を引っ張ったが、当の 川原さんはお構いなしだ。 「は、初めまして、こ、高坂あやせです。あ、あやせって呼んでください……」 その瞬間、川原さんが「ん?」と呟き、帽子を目深に被っているあやせの顔を凝視し直した。 「……あ、あやせちゃん?」 「は、はい……、あ、あやせと申します……」 おずおずと言いかけたあやせも、川原さんと目が合った瞬間、「えっ?!」と短く叫んで身を強張らせている。 「ど、どうしたんだよ?」 「………………」 俺の問い掛けにあやせは押し黙ったままだ。 陶山は川原さんに、「ひょっとして、知り合いか?」と尋ねている。俺から見てもそんな感じだったよな。 だが川原さんは、 「知り合いっていうか、何ていうか……。ど、どう説明したらいいのかな……」 と、言い淀んでいる。俺と陶山は顔を見合わせた。本当に何なんだろうね。 言い難そうな事情がありそうなところが、かえって気になるよな。だが、それよりも……、 「それはそうと、俺と瑛美は、千葉から来るっていうお前の友人とお前が一緒の時、お前の妹さんの面倒を 見なきゃならん理由を未だ聞いてない……」 こっちが先決だ。昨夜の電話でも、『会った時に話す』と約束したからな。 俺は、千葉から来る友人は(沙織は神奈川からだが……)世に言うオタクで、あやせとは趣味が合わない から一緒にはさせたくないことをまずは手短に話した。 「なるほど……。それで妹さんを隔離する訳か……」 「うん……、できれば隔離したいんだが、こいつは俺と俺の友人が何を話すのかが気になるらしく、目立た ない様に監視したいそうだ。しかし、あやせ一人だとちょっと不安だから、二人にお目付け役を頼みたいん だよ」 言い終えて気付いたが、これってあやせを子供扱いしてるよな。案の定、誇り高き自称俺の妹様は、 膨れっ面で会話に割り込んできた。 「あ、兄は、オタクな連中と付き合っちゃいけないと思います。わ、わたしは兄のことが心配で……」 「“お兄さん”思いなのね」 すかさず川原さんの突っ込みが入った。 だが、川原さんは、『お兄さん』の部分をことさら強調したような気がしたが、まぁいいか……。 「おっと、メールが来たか……」 俺は鳴動している携帯電話の画面を確かめた。沙織からのメールだった。 『京介氏 本日は宜しくでござる しかしながら、待ち合わせの場所を変更致したく候 中央駅ではなく、中央駅の南口にある喫茶店にて落ち合いましょうぞ しからば、御免』 という文面とともに、店の所在を示すURLが張ってあった。 しかし、俺は駅の南側には一回も行ったことがないから、沙織が指示した喫茶店にはまるで心当たりがない。 「知ってるか? この店……」 俺は陶山と川原さんに沙織からのメールを見せた。こういう時に頼りになるのは地元の人間だな。 「ああ、ここね。ものすごくおっきな喫茶店よ。ワンフロアが、うちの大学の学食ぐらいありそうな……」 「そんなにでかいのか……」 それはかえって好都合だな。あやせが、他の客に紛れて、俺と黒猫と沙織のやりとりを監視し易くなる。 「場所も中央駅のすぐそばだから、地下鉄で行くのがいいだろうな」 幸先よし……。俺は、 黒猫や沙織とのシビアになりそうな話し合いと、それをあやせが監視するという 厄介なミッションの成功を半ば確信した。これなら、万事うまくいくだろう。 俺とあやせとの関係修復を除いて……。 地下鉄に乗って俺たちは移動し、目指す店の前にたどり着いた。 「なるほど。たしかにでかいな……」 都内にもこれだけの規模の喫茶店は少ないだろう。いや、違うか。東京は、あちこちに喫茶店があるから、 大規模なものはそうそう必要ないんだろうな。 都内に比べて鄙びたところがあるこの街では、喫茶店の数が少ない代わりに、こうした大規模なもので カバーしているということか。 「高坂から先に入った方がいいだろうな。そうすれば高坂の友人たちの目は高坂に集中する。その隙に、 俺と瑛美があやせちゃんを後ろに隠して入店するよ」 「だな……。そうしてくれると助かるよ」 陶山も川原さんも背が高いから、あやせの姿をカムフラージュしてくれるだろう。 俺は三人に「じゃあ、先に行くぞ」と告げて、自動ドアではない扉を押し開けた。 店内は思った以上に広く、ざわめいていた。これじゃ黒猫や沙織がどこに居るのかさっぱり分からねぇ。 だが、店内中央辺りのコンパートメントから、さっと右手を挙げる奴が居た。バンダナに眼鏡姿の沙織 だった。そのコンパートメントは、入り口からは太い柱で一部分が遮られていやがる。これじゃ、沙織が 挙手してくれなかったら分からなかったな。 「やれやれ……」 これから始まる話し合いのシビアさを思うと気を引き締めなきゃならないんだが、ようやく沙織を見つけ られたってんで、ちょっと安堵しちまった。油断は禁物だってのによ。 沙織が居るコンパートメントを遮っている太い柱を回り込むようして歩いていくと、いつもながらのゴス ロリファッションでキメている黒猫の姿が見えてきた。そして、黒猫の隣りには……、 「な、なんで、お前がここに居る!!」 オレンジ色のタンクトップの上にダークブラウンのレザーっぽい腰丈よりも短いジャケットを羽織り、 下はマイクロミニスカートにブーツのあいつが、俺の目の前に居やがった。 そいつは、大きな瞳でぎょろりと俺を睨みつけ、呪いの言葉を肺腑から絞り出した。 「………アンタ。逃げるなんて許さない………」 (以降、『火』(Kwa)に続く)
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/135.html
名前 コメント ログインできる方がいましたら、トップページの編集をお願いします -- 名無しさん (2014-06-28 15 54 02) 履歴とかぶってる人っているの?いるならしかたないけど -- 名無しさん (2011-01-29 22 13 06) twitter2分割する必要あるのかな? トップページが縦に長くなりすぎてる気がする。 -- TU (2011-01-29 21 54 48) 編集に関する連絡とかするコメント欄がなかったので 設置してみました。あとTOPのtwitterの表示を二分割 -- 通りすがり (2011-01-29 21 36 33)
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/397.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1294505746/769,772-775 「くぬっ、くぬっ! ありえない! マジありえないッッ!!」 帰宅すると桐乃の部屋から奇声が聞こえたので心配になってドアを開けてみたら、そこには床に置いたゲームディスクをストンピングする桐乃がいた。 ……。 …………手遅れかなあ。 いやいやいや、諦めるにはまだ早い。 「おい桐乃、一体なにを……」 「中古だったの! あたしの可愛い妹ちゃんがッ!! 中古でお下がりだったのよォォォ!!!」 やっぱり救急車呼ぼう。 「すまん桐乃、俺にも分かるように言ってくれないか?」 もはや声を掛けるのも嫌だったが、さすがにこの狂乱痴態は看過できん。 こんなヤツでもたった一人の妹なんだ。もしも桐乃が死んでしまったら、俺の右腕を犠牲にしてでも……言い過ぎたな。うん。 まあ、秘蔵のエロ本を対価にして魂を錬成してやらんでもない。 「攻略してた妹キャラが処女じゃないことが判明したのっ!」 エロ本差し出すのもイヤだなァ……。 「ああ、もう最悪……なんで妹モノなのに妹が兄に処女捧げないのよ。ありえない、絶対ありえない……シナリオライター石打ちしたい……」 床にへたり込み、グスグスと鼻を鳴らしだした桐乃。 いつぞやおまえが書いた妄想小説なんてただのビッチ無双じゃねえか。 いつからおまえはイスラム教徒になったの? なんて怒られるから言わないけれど。 「元気出せって。たかが架空のキャラクターだろ?」 「架空って言うな! あんただってもし彼女が保健室で援交してたら絶対こうなるんだから!」 「おまっ、俺の黒猫はそんなことしません! それは別の世界の黒猫さんです。訂正しろ」 「俺の黒猫とかマジキモい死ね」 悪態を吐いてから、「ディスク割って制作会社に送りつけてやろうかな……いやいやエロゲソムリエたるあたしがそんなこと……せいぜいスレにスプリクト荒らし仕掛けるぐらいに……」などと思案に暮れだすエロゲソムリエ。 どうやら放っておいても問題なさそうだったので踵を返そうとしたのだが、踏み出そうとした足がグッと重くなる。 何事かと思って目をやってみると、髪を振り乱したうつ伏せの桐乃が俺の足首に縋りついていた。 なにこのホラー! 「いきなりなんだよ!?」 「他人事みたいな顔してムカツク……あんたの世界も終わらせてやる……」 世界を終わらせるってなんだよ!? 足首を構成する粒子が同時に桐乃の手の粒子をすり抜けるのを願って何度も何度も足を引っ張ったのだが、どうしても抜けないので諦めた。 この世の中は腐りきっているから、何々神様が居る、あの世界へと行きましょうとか、そんな宗教染みた話だったらお断りしたいんだけど。 「おい桐乃、なんのつもりだ」 「あんた、あの黒いのが中古だったらどうすんの?」 「は?」 桐乃は滅茶苦茶いやらしい表情を浮かべる。 皆さんお分かりだとは思うが、断じて性的な意味ではない。 「あいつ見てくれだけは割といいっしょ? あんたと付き合う前に別のカレシがいて、実はもう貫通済みなんじゃないのってコトぉ。よかったねー、かったい扉がこじ開けられてて」 超お下劣! おまえ最低! 「黒猫が誰と付き合ってようが勝手だろ。非処女だろうがなんだろうが、俺は全然気にしねえよ」 俺がムッとしてそう言うと、桐乃もムッとした顔で言い返してきた。 「はあ? あんた、あたしが御鏡さん連れてきた時は情けない顔して『御鏡! 頼むから桐乃と別れてくれぇ!』って懇願してたじゃん。この扱いの差は一体なんなの?」 「そ、それは」 こうしてマゴついてしまったのは、桐乃の凄まじい脳内変換を垣間見てビビったからというだけじゃない。 「それは?」 「それは……」 親父譲りの眼光に射すくめられながら、言葉に詰まってしまう俺。 「……おまえが他の男に取られるのは、悔しくて、腹立たしくて、寂しいからだよ」 結局、散々迷った末の回答は本文からの丸パクリ。 理由の説明にすらなっていないし、これが国語の入試問題だったら0点もいいところだが、 「…………ふ、ふーん。そう、なんだ…………彼女より妹を気にかけるなんて、あんたシスコンこじらせすぎ」 と、桐乃はなぜか納得してくれたようだった。 恥ずかしけど、もうめんどっちいので敢えては訂正するまいよ。 しかし、そうしたのが良くなかったのだろうか、桐乃はちょっと考え込んでからすんげー事を口走った。 「……あんた、あたしがいいって許可するまで、あの黒いのとはセックスすんな」 どうして妹の認可が必要なの!? 「はあ!? なんでだよ!?」 「うっさい! 友達と兄貴がそういう関係になったら、あたしが気まずくて仕方ないでしょ!」 うっ……そう責められては立つ瀬がない。 妹の友達に手を出すってインモラルな匂いがプンプンするしな。 うむ、たまらん。 「……一体、いつになったら許可してくれるんだ?」 辛うじて俺がそれだけ訊くと、桐乃はそっぽを向いてからこう言うのだった。 「あいつがあたしの義姉として、ふさわしいと思えたその時までよ!」 その横顔が妙に嬉しそうだったのは、一体どうしてなんだろうな? 「――ということがあったんだがさっぱり意味が分から、んんッ!? 痛っ! 痛いって!」 「ごめんなさい、ちょっとイラッとしてしまって」 「それだけの理由で引っ掻かないで!」 胸板に鋭利な爪を立てられて、さっきまで漂ってた良いムードが呆気なく霧散した。 黒猫は俺を痛めつけたというのにちょっとニヤついているではないか。 もしかしてあの時の桐乃も俺の恋路を邪魔して喜んでいたの? ちなみに今どういう状況かといえば、何を隠そうピロートークの真っ最中である。 ごめんな桐乃。おまえの真意は量りかねるが、あの時もう既にヤッちゃってたんだなぁ、これが! 「はぁ、あなたね……それ、本気で言ってるの?」 「本気で言ってるって、なにが?」 そう問いかけると、黒猫は「……もういいわ」と呆れたように首を振った。 「……そうね、私が誰と付き合っていようと非処女だろうと、全く気にしないと言った件よ」 「んなわけねえだろ! おまえに男の影が見えたらすげえ気になるし、めちゃくちゃ嫉妬するに決まってる!」 「…………あ、あら、そう」 「でもおまえ、付き合い始めの頃とか初めての時とか、彼氏いない歴=年齢の処女だって自分で言ってたじゃ、んんッ!?」 再び爪を突き立てられた。 「あなたはね、いちいち一言多いのよ」 だって余計な一言を付け加えないと話にオチがつかないんだもの。 そういう黒猫さんだって字余りしてるじゃないっすか。 「……これは例えばの話だけど、もしも私とあなたの妹が強姦魔に囚われて、一人は犯されなければならない状況になったら、あなたは一体どうするのかしら?」 どうしてこいつら揃いも揃って下品な仮定しかできないの? 「どうするって言われても……」 脳内に四つの選択肢が並び、反射的に上から二番目をチョイスする。 「俺は欲張りだから、どちらかを諦めたりはしねえよ」 言い終えてから、ここは『黒猫を助けるよ』と返事してやるべきだったかと思い至る。 だけど、こうして黒猫がキスをしてきたところを見るに、やっぱりこれが100点満点の答えみたいだ。 俺は黒猫に口内を貪られながら、真っ先に思い浮かんでいた『強姦魔に俺の処女を捧げるよ』を選ばなくてよかったなあと、一人胸をなで下ろすのだった。 おわり。
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/67.html
大嘘吐き=キリノ、で大嘘吐きの兄=キリノの兄なのでは? -- (説) -- (名無しさん) 2010-11-10 18 26 28 確かにその解釈も有りかも。 -- (名無しさん) 2010-11-10 18 26 54 その点を踏まえ改訂を試みました -- (名無しさん) 2010-11-10 19 41 26 でも〜 からの部分はオタク趣味をやめさせるって意味だと思うんだけど -- (名無しさん) 2010-11-17 00 47 28 ↑つまり、二人が愛し合ってるのは嘘だと見抜いたが、オタク趣味は京介の影響だと思ってるってこと? -- (名無しさん) 2010-11-18 00 42 41 ↑そういうこと。実際あやせは桐乃がオタク趣味持ったのは京介の影響だと思ってたみたいだし。そう受け取ればメールは自然な内容だと思う。 -- (名無しさん) 2010-11-18 11 00 12 でも、そう考えても結局PS以下が困ったことになるぞ -- (名無しさん) 2010-11-18 11 53 21 近親相姦の同人誌持ってるのを見せたから、愛し合ってるのは嘘でもシスコンなのはガチだと思われたんじゃないかな。ちょっと無理あるか -- (名無しさん) 2010-11-18 13 42 53 そこらへんも踏まえて改訂しました。 -- (名無しさん) 2010-11-19 01 33 22 ↑2 あやせが桐乃と京介の様子を客観的に見て、どう見てもお互いに好きだって考えた場合に矛盾はなくなるんじゃないか? 京介の視点では嫌い嫌い言ってるが、周りから見ればどう見てもバカップル、みたいな。 -- (名無しさん) 2010-11-19 10 20 11 7巻見てるとあやせから京介の好感度も結構高いな。…もしかして京介と結婚したら桐乃と家族関係になれるからなのか?w -- (名無しさん) 2010-11-19 23 27 59 ↑2 確かにそれであれば矛盾はなくなる。ただ、ⅠB説がⅠC説が融合された複雑きわまりない論理構造になるが。 -- (名無しさん) 2010-11-20 21 40 35 長っ! -- (名無しさん) 2010-11-23 00 11 26 あやせが麻奈美とつるんでるのは、京介がコイツとくっ付けば桐野は私のものと考えてるから とか -- (名無しさん) 2010-11-25 19 35 36 メール考察気合入っているなwww -- (名無しさん) 2010-12-04 10 37 05 メールもそうだが、あやせの京介に対する最近の好感度アップも妙なところがあるよな。 桐乃→京介:ベタ惚れ、京介→桐乃:妹、の構図が見えてきて誤解がとけてきたことと、 京介の面倒見のよさが分かってきたことに加えて、セクハラに戸惑いながらも逆に意識 させられちゃったといったところか -- (名無しさん) 2010-12-04 13 26 44 8巻読みたいですww -- (名無しさん) 2010-12-16 02 25 01 あやせが桐乃に抱いてる感情が、友情を通り越して恋愛感情であると考えればこのメールは矛盾しないと思う。 -- (名無しさん) 2011-01-24 23 24 16 あやせのメールについてPSP版で触れてあったな。ifルートだけど一応あれが公式見解ってことか? -- (名無しさん) 2011-01-27 16 14 06 PSPで「嘘って見抜いてたけど京介の優しさに甘えてた」て感じのがあったな -- (名無しさん) 2011-01-29 00 33 35 PSPはあやせの反応が面白い -- (名無しさん) 2011-01-29 13 12 18 ↑3あやせ√はIF√じゃなかったような… ところでIFとノーマルってどこが原作と違うのか、どこが違わないのか、特に感情とかわかりづらいな… -- (名無しさん) 2011-01-30 01 13 25 小説の6巻の時点までは同じらしいよ -- (名無しさん) 2011-01-30 01 17 14 あやせのメールは答えが出たな。複雑な心情によってあのメールになったわけか。 -- (名無しさん) 2011-01-30 05 10 46 どうでもいいことだけど桐乃よりあやせのほうが京介と兄妹っぽく見えるw -- (名無しさん) 2011-03-06 20 56 19 ただしあくまでゲームなので、原作小説も同じなのかは分からない これについてゲーム公式ガイドの座談会の伏見発言で「(原作の設定としても)実は誤解してなかった―というのは、けっこう肝の部分なんですけど」と書かれているので原作も同じ設定なのは確定 -- (名無しさん) 2011-03-22 06 53 59 8巻マジ読みたいwwww -- (エーテリオン) 2011-05-26 21 22 14 ぶっちゃけ2巻読んだときは「もうダメだ」と思ったのに、よくまあここまで持ち直したもんだw -- (名無しさん) 2011-09-17 14 37 21 9巻216Pで、麻奈実を目標にしてると言ってましたが その道はメインヒロイン脱落ルートだぞ?www -- (げそ) 2011-09-30 20 49 07 素早いメンテに感動したw -- (名無しさん) 2012-04-10 23 05 34 京介の彼女を泥棒猫呼ばわりする(9巻p214) -- (名無しさん) 2012-04-11 03 33 39 ↑これ216だよな -- (名無しさん) 2012-04-11 03 34 21 胸をチラ見せは本人は顔を近づけたつもりだったはず -- (名無しさん) 2012-04-12 08 02 10 あやせのメールについては原作でも回答でたから確定だね -- (名無しさん) 2012-04-12 15 22 47 着拒されたのを大分あとで京介が知ったことに大し「今更気付いたんですか」って言ってた時は拗ねてるようにも見えたがwというかあやせは嫌いなものは本気でゴミを見るような感じになるから絶対こいつ京介のこと好きだろ、とか思ってたら本当に告白してて更にワロタ -- (名無しさん) 2012-04-18 23 21 43 桐乃から入手した合い鍵 -- (名無しさん) 2012-05-25 13 53 38 ミスった。桐乃から入手した合鍵のところ、麻奈実からを削除して差し替えたみたいだけど、正確なところがはっきりしないから「どこかから入手した合鍵」にした方がよくないかな? -- (名無しさん) 2012-05-25 13 55 37 カギの入手先は桐乃か麻奈実しかないんだけど,いくらあやせでも桐乃にカギくださいとは言えないだろう.麻奈実以外にはないんじゃないの? -- (名無しさん) 2012-05-26 00 00 18 あやせ噛ませにされるのー? -- (名無しさん) 2012-06-29 22 46 09 京介部屋の鍵はおそらく佳乃さん→麻奈実→あやせの流れ -- (名無しさん) 2013-02-02 22 57 09 それだと鍵の入手先を口ごもる理由が分からないんだよな。まなみから入手したんなら「お姉さんからお借りしました」でいいわけだし -- (名無しさん) 2013-02-18 17 33 16
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/153.html
あやせ「何でエッチなことしてくれないんですか!?」 京介「えっ」 あやせ「いつも変態的なこと考えてるくせに…いざって時はナニもしてくれないんですね!」 京介「えっと…」 あやせ「どうしようも無い童貞ですね…エッチなことしてくれなかったら今夜は返しませんからね」 京介「」 京介「まあお前がそこまでいうなら」 グイッ あやせ「いやっ!なにするんですか!いやらしい!」 京介「はあ?」 あやせ「女子中学生に発情するなんて!この変態ロリコン!殺しますよ」 京介「えっ?えーっ?」 京介「なんなんだよもう……」 あやせ「どうしてそこでやめるんですか?」 京介「だっておまえが」 あやせ「ちょっと嫌がられたくらいでやめるなんて、この根性なし」 京介「は?」 あやせ「女の子は一応嫌がる素振りをするものなんです」 京介「あ、そうなのか」 あやせ「当たり前じゃないですか、そんなことだからダメなんですよ兄さんは」 京介「じゃあいいんだな?」 あやせ「それを私に聞くのが最低と言うんです」 京介「……わかった」 グイッ 京介「あやせ……」 あやせ「きゃああっ!いやっ!いやああああっ」 ボグッ! 京介「ぐえっ!」 あやせ「やめてやめて!やめてぇぇぇl!」 ゲシッ! ゴンゴンッ! 京介「あがぁっ」 京介「ええぃ、仕方ない。かくなる上」 あやせ「はぁ、はぁ、はぁ…も、もうおしまいですか? やっぱりお兄さんってとんだヘタレですよね。中学生の小娘にいいようにあしらわれてて、恥ずかしくないんですか?」 京介「ふんっ…その減らず口がどこまで続くかな?」ピポパポ あやせ「?」 トゥルルルル…トゥルルルル…ブツ 京介「あぁ。もしもし、桐乃か?」 あやせ「はぁ?」 あやせ「頭イッちゃってるんじゃないですか? 桐乃とLIVEで繋がってるからって、私が声を上げないとでも? 寧ろ好都合です。この機会に徹底的にお兄さんのお株を下げて 京介「おう、今あやせに代わる」 あやせ「うぇっ、ちょっと、もう、信じられないっ…もしもし桐乃? うんうん元気元気。今どこって、お兄さんといっしょだよ?」 京介(ゴソゴソ) あやせ「ちょっと何してるんですか!(ボソボソ) 」 京介「さっきみたいに叫んでみろよ…」ボソボソ あやせ「(ビクッ) も、もうやだなぁ桐乃は、前に言ったでしょ? 最低一ヶ月は手だって触らせないって。そもそも中学生とそんなことしようだなんて、桐乃のお兄さんがそんなこと考えるわけないじゃない?」 京介「ところが、考えてるんだなぁ、現在進行形で…」ボソボソ あやせ「(やぁ…もう…首筋ぬくい…) だ、だってあのお兄さんだよ? いやいや、そうじゃなくて、そんなことする度胸ないって。ここは私が手綱を握って、あっ…」 桐乃『どうしたのーあやせー? 兄貴が変なとこでも触った?』 あやせ「な、なんでも。やっ…ちょっと…!(ボソボソ)」 京介「ブラとパンツ色一緒じゃん。一応脱ぐ気では居たんだな」 あやせ「童貞臭いこと言わないで下さいっ女の子は普通一緒です! (ボソボソ)」 京介「ふーん…」パチン あやせ(いやーー…もっ…ブラ外された…) 桐乃『ねぇあやせー?』 桐乃『ねぇあやせ? 私がなんで電話してるか知ってる?』 京介(首筋ペロペロ) 桐乃『兄貴とね、あやせが、エッチしてるところを聞きながら、オナニーする為だよ?』 あやせ「や、あっ…お兄さん、辞めて下さいっ…やめて…」 京介「携帯はハンズフリーにして、投げとこうか」 桐乃『 コラーーッッッ!!! 兄貴、ケータイ投げただろーー! ちゃんと聞かせろっっ(ry 京介「お前の出番は終いだ。ご苦労だった我妹よ」ピッ あやせ「はぁはぁ…」 京介「どうだ? 身を任せる気になったか?」 あやせ「ふーっ…ふーっ…全っ然っ!」 京介「仕方ないな。この手だけは使いたく無かったのだが」ピポパポ あやせ「こ、今度は、いったい誰にかけるおつもりですか? 変態のお兄さん。言っときますけど、お兄さんの知り会いにもう私の知り会いは…」 桐乃『ギャース!! ギャース!!』 あやせ「うっわ…」 京介「だから俺もかけたくは無かったのだが…」 桐乃『あやせに代わりなさい』 京介「……」 あやせ「変わったけど…」 桐乃『ハアッハアッハアッ…』 あやせ「えーと…桐乃?」 桐乃『あやせ…ハァハァ…今兄貴パンツ履いてる? ブツ あやせ「……」 京介「履いてるぜ?」 あやせ「なんか、どうでも良くなっちゃいました。もうっ……じゃあ、普通にします?」 京介「お、おう!」 京介「じゃあ、その…おっぱい隠してる手どけてくれ…」 あやせ「……」シラ~ 京介「自分じゃ退けられないのか? じ、じゃあ俺がっ…」 あやせ「その前に、外した私のブラジャーどこにしまったんですか?」 京介「……あれー、そこらへんに置いたようなー」 あやせ「しらばっくれてるとえっちさせてあげませんよ?」 京介「くっ…(この小娘)」 京介(考えろっ…考えるんだ俺…。このまま素直に返しても、女子中学生のブラジャーは手に入らない……。しかもこのブラジャーはモデル中学生という、超レアモノエンチャント付きだ…。ブルセラに売っ払えば、15はくだらない…。もちろん売る気など毛頭無いが) あやせ「あのー、もう寒いんですけどー。服着ても?」 京介「なっ (ノーブラの上にシャツを着るだとーーーー!!!?)」 あやせ「嫌ですねー。みっともなく焦っちゃって」 京介「くっ (畜生っ、あやせめぇ…別にそんなんじゃねえっての、だがここで中学生おまんことヌップシできなくなるのも勿体無い……。何か、何か妙案は)」 あやせ(もう…なんでこう、強引にこれないのかなぁこの人は。さっきの勢いで押し倒してくれれば、私も天井のシミ数えることぐらいやぶさかじゃないのに) 京介(何か、そう! 何か条件を出せればっ…!) 京介「ぶ、ブラジャー返してやるから、ちんちんしゃぶってくれよ、あやせ」 あやせ「……」 京介(くぅっ…しくじったかぁ!? せめてアナルを指でほじってくれくらいにしておけば、よかったか) 京介「ほら、ど、どうする?」 あやせ「……」 京介「……(ハレルヤ)」 あやせ「じ、じゃあ失礼して…」 京介(なにーーーーーっっっ!!?)ビンビンッ あやせ「ど、どうすればいいのですか? 私はお兄さんみたいに変態じゃありませんから、こんなことしたことないんですっ」 京介「お、おう。それはな…」 京介(し、しかしどう説明したものか) あやせ「は、早く教えて下さいっ。私の気が変わらないうちに」 京介「あぁわ、わかったよ、じゃあちょっと指貸してくれ」 あやせ「指?」 京介「いいから右手こっち出せよ」 あやせ「……」おず 京介(やべぇ…おっぱい片手で隠してるから溢れそうだ)ビンビン 京介「かぷっ」 あやせ「んっ…」 京介「おっと、早まった。まずは先っぽにキスをするんだ」ちぅ あやせ「わ、わかります」 京介「わかるのか」 あやせ「あわわ。いいから続き教えてくださいっ」 京介「それで、こぅ、もう一度キスをして、そのまま下に」スススス… あやせ(ゾクッゾクッ…) 京介「相手の目を見ながら下に……。それでいったん休み。ほっぺに当てながら相手を見つめる」 あやせ(やっ…そんな、みないで…) 京介「そしたら今度は下から一気に舐め上げるんだ」ベロんっ あやせ「んっ……はっ…」ゾクゾクッ 京介(なんか、俺がスイッチ入ってきた…) あやせ「ハァハァ…そ、それから?」 京介「あぁ、そうしたら今度はだなー」かぷっ あやせ「んっ…」ゾク 京介「やっはり、めへんはそらさふに、口に含んで…」にゅるにゅるっ あやせ(ゾクッ…ゾクゾクッ) 京介「んやっぱりこっちかな」ちぅ あやせ「えっお兄さん、そっちは手のひら…」 京介「黙って聞いてろ」ちぅぅ… あやせ「ぅぅ」 京介「ちょっとしょっぱいな」ベロベロ あやせ「やっ…ハァハァ…」 京介「手汗いっぱいかいてるぞ。ベトベトだな」 あやせ「それは、お兄さんのよだれですっ」 京介「本当か?」すっ「舐めてみろよ」 あやせ「い、いやですっ! そんな、きたない」 京介「いいから」ギュッ あやせ「痛っ」 京介「ほら。舐めろ」 あやせ「いやです!」 京介(頑固だな)ベロ…() あやせ「ひっ…そんな、指の間…」 京介「ほらっやっはり、あせだくら」べちょべちょ あやせ「うぅ。うー……もうやだ、この人 …」 京介(おっぱいのガード緩んできたな) 京介「あやせ」 あやせ「な、なんですか、変態さん?」 京介「左手を拝借できるかな、お姫様」 あやせ「だ、ダメです」 京介「どうして?」 あやせ「どうしてもです! というかブラジャー返し下さい…」 京介「まだちんちんしゃぶって貰って無いだろ?」 あやせ「じゃ、じゃあ今からやります。もう十分わかりましたから」 京介「あのさぁ」 あやせ「なんです?」 京介「こういうのって、気分の問題だろ?」 あやせ「私の気分は最悪ですけどね」 京介「そう?」 あやせ「当たり前ですっ、こんな風に嫌らしく指をしゃぶられるのなんて初めてです! 変態! 変態! 変た (ぐいっ あやせ「ちょっちょっちょっ、離してっ…離して下さい…」 京介「ほら、口だけじゃん。なぁあやせ、せっせっせーの」 あやせ「よ、よいよいよい」 京介「良くできました」 あやせ(もうやだぁーっっ。恥ずかしぃ…っ) あやせ「……」 京介「……」じぃー あやせ「ちょ、ちょっと…」 京介「……」 あやせ「そ、そんなに、おっぱいが、珍しいんですか? 童貞のお兄さんっ?」 京介「……」 あやせ「も、もう、何か言って下さい」 京介「……桐乃より綺麗だって言ったらどうする?」 あやせ「っっっ! そんなのっ最低っ 京介「嘘だろ? 嬉しいんだろ?」 あやせ「あやせ、何言ってるんですか!? そんなの、頭おかしいです! 桐乃じゃなくても、そんなの初めての人に、誰かと比べるなんてっっ」 京介「あやせ。桐乃よりおっぱい綺麗だな」 あやせ「ん、はっ、そんなこと…」 京介「あやせ、桐乃より綺麗だぞ」 あやせ「くっ…」 京介「桐乃のおっぱいよりもとても綺麗だ。あやせ」 あやせ「この…変態、下衆」 京介「形だって、あやせの方が断然綺麗だ。桐乃のは……」 京介(こんなに張っていない。もっと、垂れてる)ボソボソ あやせ「~~~!!」ゾクゾクッ 京介「お前の方がよっぽど変態だ。親友と優劣つけてもらってそんなに気持ちいいのか?」 あやせ「こ、このっぉ…」 京介「………」 あやせ「はぁ…はぁ…」 京介「ふふっ、まだ大したことして無いのになんでそんなに息荒いんだよっくく」 あやせ「はぁはぁ……何もしてなくないです」 京介「俺が何した? 言葉攻めか? 指フェラか? なぁ、教えてくれよあやせ」 あやせ(あれ、指フェラって言うんだ。指のフェラなんだ…) 京介「ん? あやせ?」 あやせ「お兄さんに、京介さんに手を握られて、おっぱい見られてます」 京介「ほぅ…」ビンビンッ あやせ「というか、お兄さんも服脱いでくださいっ。なんで私だけこんな、不公平です…」 京介「でも手を離したらあやせまたおっぱい隠すだろ?」 あやせ「隠しません」 京介「本当? じゃあ」 あやせ「いやです。脱がしません。自分で抜いで下さい」 京介「よ、良くわかったな」 あやせ「目を見ればわかりますから。お兄さん、今完全にベタベタなおっさんの顔、というか、桐乃と同じ顔してました」 京介「桐乃かよっ。ふぅ、わかったよじゃあ」 あやせ(あっ、手、離してくれた)だらん 京介「偉いな。じゃあ、お風呂入ろうか?」 京介「ふぅ…」ちゃぷん あやせ「……」ブクブク 京介「どうしたあやせ? ヌルいか?」 あやせ「……お兄さんって、結構セコいエッチするんですね」 京介「まだ何もしてないだろー?」 あやせ「うぅ…(当初の私の想定ではもう終わってうちに帰ってるハズなのに。まだ本格的に始まってすらいないとか、信じられない…)」 京介「お前初めてなんだろ?」 あやせ「……それがなにか? お兄さんだってそうなんでしょう? 童貞のお兄さんに気遣って貰わなくたって…」 京介「……」ギュッ あやせ「……暑苦しいです」 京介「まだキスしてなかったよな」 あやせ「……」 京介「風呂上がったらしような」 あやせ「……はい」ボソ 京介「おぉ…」 あやせ「ぐぐぐっ…」 京介「なんというか、扇情的なお出迎えだな。ベットに枕だけ抱えて子猫みたいに丸くなって…」 あやせ「お兄さんがシーツも、おふとん隠しちゃうからでしょう!! もう、ビックリしましたよ! バスタオル取りにかえろうとしたら浴室カギかかってるしっっ! バスローブ的なものもどこにもないし!」 京介「ぶっ、裸のまま探し回ったのか? その格好で…?」 あやせ「ぅぅぅ…」 京介「かぜひかなかったか?」ぎゅっ あやせ「お兄さんがご丁寧に暖房まできかせてくれていたおかげで、まだ風呂上がりのままポカポカしてますっ。んもぅっ、あまえないでくださいっ」ジタバタ 京介「あー、あやせ、あったけー」 あやせ「あついーはなして下さいーー!」ジタバタ 京介「よいしょっ」 あやせ「まさか冷蔵庫に入れてあったとは、普通に引きます…」 京介「ほら、冷たいぞあやせ。横になって」 あやせ「ぅー…」ゴロン (あ、冷たい。気持ちいい) 京介「よし。いい子だ」すっ あやせ「そ、そのいい子だっての辞めてください」 京介「うん」 あやせ(あー、だめだこの人、例の目してる) ちゅっ あやせ「う」 ちゅっ、ちゅっ、ちぅ… あやせ「はぁ、ん、はっ、んっうぅ、れろ…ちゅぅ…」 あやせ「きょ、京介さん…」 京介「なんだ?」 あやせ「なんでもっ、んっ、ちゅう、れろ、くちゅくちゅ、んぁっ」 あやせ「きょうすけ、さん。ん…ちゅ」 京介「んー?」 あやせ「桐乃と、どっちが、んっちゅっ、くちびゆ、やあらかい、でふか? 」 京介「さぁ?」 あやせ「おしえてっくだ……んっ」 京介「あやせが一番だよ。あやせだけが、わかるだろ?」 あやせ「うっ。うぅ…ぐす」 京介「おっぱいもそうだぞ?」 あやせ「なんでそんな嘘つくんですか…」 京介「ごめんな。そういうの好きそうだったか」 あやせ「…」ビシッ 京介「いてっ」 あやせ「どうせ、桐乃のことだから、偶然を装ってお兄さんに見せつけてるに決まってます」 京介「そーーだったかなーー?」 あやせ「……お兄ちゃん。ね、ほんとのこと教えて?」 京介「……は?」 あやせ「……」 京介「お、おう、なんか、ごめんあやせ。見たことあるわ。目に焼き付けたわ」 あやせ「……(なんか、自爆したせいでうやむやになってしまった)」 あやせ「もぅ、最初から変な嘘なんてつかないで下さいね」 京介「おう。悪かったな」 あやせ・京介「………」 あやせ「じゃ、じゃあ、私、さっき教えて貰ったあれやります。あれを」 京介「お、おう頼むわ」 あやせ「じゃあ、改めて、失礼して…」 あやせ(えっとまずは相手を見つめて) 京介(う、上目遣いとか、すげー。可愛い女の子が、俺を下から見上げてる…)ビンビン あやせ(そ、それで、キスを、あ、あれ?) 京介「……どうした?」 あやせ「お兄さんを見つめてると、どこにあるのか見えなくて…」ワキワキ 京介「あやせ、お前緊張しすぎだろ…」 京介「一瞬見て場所を定めるんだっ」 あやせ「は、はい!」 あやせ(チラッ) デン! あやせ(うわーー、見なかったことにしよう) 京介「覚えたか?」 あやせ「はい。場所は」 京介「よし」 あやせ「では……」 京介(ドキドキ…) あやせ(ちゅっ) 京介「……」 あやせ「……」 京介「その、なんだ、ちゃんと見た方がいいな」 あやせ(お兄さんも初めてなんだ、お兄さんも初めてなんだ、お兄さんも初めてなんだ、お兄さんも初めてなんだ) あやせ「では…」すっ ちゅっ 京介(うっ)ビクッ あやせ(うーー、動いてるーーっっ) あやせ(つ、次はやっぱり相手を見つめて…)じぃーー 京介「ぅ、なんだよ(いや、なんだよってなんだよ俺!)」 あやせ(それからもう一回キスを)ちゅっ 京介「うゎっ」ビクビク あやせ(もーー、変な声ださないでよぉーー!) あやせ(そのまま、口をつけたまま、下に…)スススス… 京介(これ、俺手、どこにやればいいのかな)ワキワキ あやせ(それからほっぺに当てて…。……?) 撫で撫で 京介(とりあえずあやせを触っておくか)撫で撫で あやせ(……)じぃーー 京介「?」 回想 桐乃「昨日、兄貴に撫でて貰ったんだー。えへへぇ」 あやせ「へー、よかったじゃん。桐乃は お兄さん大好きだもんねー」 桐乃「べ、別に好きなんかじゃっ、あれだよあれっ、なんか、兄妹よりもこう、ほら、異性としてさっ」 あやせ「うん、意味がわかんないなぁ。わかんないことにしとくね♪」 桐乃「わっかるかなー、わっかんねぇよなー…」 回想終 京介「どうしたあやせ?」撫で撫で あやせ「……別になんでもないです。集中出来無いんで、撫でるのは」 京介「あ、そうだよな、悪かった。俺をこういう時どうすればいいかわかんなくて、なんか思ったことあったら何でも言ってくれよ。参考にすっから」 あやせ「言われなくてもそうします(撫でるのほどほどにって言いたかったのに、ばか…)」 あやせ(で……これからどうするんだっけ) 京介(あやせのやつ、いつまで俺のムスコをほっぺにキープしておくつもりだ? そんなに気に入ったのかな) あやせ(さっきは、えぇーっと、途中でお兄さん指ふぇらにいっちゃったから、良く覚えて無いよ…) あやせ(もう、咥えちゃっていいのかなぁ…) あやせ(でもでも、そんなことしたらお兄さんにガッついてると思われるかも…というあんまりこの人を調子に乗らせたくないし、えーーっと次は何してたっけなぁ) 京介(暇だなぁ)撫で撫で あやせ(ひっ…。……くぅぅぅ、もうっ、この人はっっ。また全部飛んじゃった……) あやせ(あ、思い出した。指の間だ。お兄さん私の指の間なめてた。間、間って…) チラッ 京介(あやせかわいいなぁ。どうすればいいか悩んでんのか? もっかい教えてやるのもあれだしなぁ) あやせ(……うぅ、お兄さんもなんか持て余してるっぽいし、行っちゃえ!)モゾッ 京介「なっ、あ、あやせ!?」ゴソゴソ あやせ(うっわなんか間違ったっぽい? でもダメだぁ、もう恥ずかしくて顔上げられないよ…。このまま)モソモソ、ペロペロ 京介(そんなっ行きなりお袋さんの根元なんてっ! この子大胆過ぎっ! ムスコじゃなくて、姑落としにきたわ!) あやせ(うぅー、汗臭いよぅ) あやせ(毛深くて何がなんだか、とりあえず、生えてないところを…)ペロペロゴソゴソ 京介(うわーすげー。おれ中学生にアナルの周り舐められてるよ) あやせ(あ、これって…)ペローン 京介「ばっ、ちょっ、アホ、あやせっ! そこは違う穴だぞ!」 あやせ(違うって…お兄さんに穴なんてひとつしか……) 京介「……」 あやせ「……」 京介「だ、大丈夫だ。ほらっ」ちゅっ あやせ「んっ」 京介「キスできるぞ。汚くない」 あやせ「ありがとうございます…」 あやせ「お兄さん……」 京介「な、なんだ?」 あやせ「私、もう、およめに」 京介「ばっ、大丈夫だ心配すんな。おれが是非っ、いや俺じゃなくてとも他にもお前が欲しい男なんていくらでもいるさ!」 あやせ「本当ですか?」 京介「あぁ! もちろんさ!」 あやせ「それはつまり」 あやせ「責任とってくれるって事ですよね?」 京介(な、なんだか急に重い話に……) あやせ「じゃあ、すぐにとは言いませんが、両親にあいさつしに来てくれますか?」 京介「お、おう。行ったらぁ」 あやせ「桐乃、いえ、京介さんの、ご両親に紹介してくれますか?」 京介「もちろんだ」 あやせ「私が16になったら…」 京介「結婚してやる」 あやせ「……」 京介「結婚しようぜ?」ヘラッ あやせ「……」ボカッ 京介「いだぁっ! ボディかよっ」 あやせ「15の中学生にお尻の穴なめさせたド変態の癖に吹かないでください」 京介「お、俺は結構本気で…」 あやせ「男の寝物語ほど根拠のない言質はないんです。そういうのは、もっと、普通してる時に言ってください。……それなりに、本気にしてあげますから」 京介「あ、あやせ…じゃあ」 あやせ「と、言っても、お兄さんは大学を出るんですよね? ならまだ、私を養えないじゃないですか。 別に、私も出来れば今の仕事は続けたいですから専業主婦をするつもりはないですし、でも、まぁ、お兄さんがそうして欲しいって言うなら考えますが、それでも尚更家族を養うにはお仕事につく必要があるでしょう? ならまずは婚約ということにしておいてですね」 京介「ニヤニヤ」 あやせ「……!」はっ 京介「落ち着いたか?」 あやせ「お、女の子はっ、このくらい未来の展望があって当たり前なんです!」 京介「そうだな。悪かった」ニヤニヤ あやせ「ヘラヘラしながら謝らないでください…不快です」 京介「まぁほら、こっち来いよ」 あやせ「来いとはなんですか、偉そうに。お兄さんが来て下さい」 京介「おー。別にいいぜ」 あやせ「うぅ、なんで背中に回るんですか…」 京介「あやせは細っかいなぁ」ぴと あやせ「お兄さんだって、結構痩せぎすです」 京介「そうか? 平均体重だと思うんだけどなぁ」 あやせ「背中に肋骨が当たってますよ?」 京介「いんや、これは俺のアゴだ」ごりごり あやせ「ちょっ、いたっ、いたくすぐったい!」 京介「ほれほれ」グリグリ あやせ「いたいっいたいっ! 乱暴しないでくださいっ、お兄さんの変態! シスコン!」 京介「シスコンは関係ないだろ。今は」 あやせ「嘘ばっかり、知ってるんですよ、っていたたた」ジタバタ 回想 桐乃「兄貴がさぁ、子供の頃、まだ仲がよかった時ねー」 あやせ「桐乃はもう大人なんだー。すごーい! お赤飯炊かなきゃ」 桐乃「背中にさ、あごをこうぐりぐりぐり~って」 あやせ「ちょっ、桐乃っ! やだもう、ちょっと痛いってば!」 桐乃「懐かしいなぁ。私がやっても兄貴には全然効かなくてさー」 あやせ「痛い痛い! (うーん、この子少しウザいわぁー) 回想 あやせ「って」 京介「くっ、桐乃のやつ、余所じゃそんなにデレてやがんのか。うちじゃおくびにも出さないくせに」 あやせ「そりゃあ、あれだけ過保護にされればデレますよ。お兄さん、桐乃にはベタ甘じゃないですか」 京介「なんでだろうなぁ。あいつ大人ぶってるくせに、変なところで拙いからこう、放っておけないというか、逆に引き立ててやると面白いくらい上手くやるから、鼻が高いというか」 あやせ「恋人の前で妹にのろけないでください。デリカシーがないですね」 京介「恋人宣言来たわー。初めてじゃね?」 あやせ「じゃあなんですか? お兄さんは私が、恋人以外と、裸になって、後ろから抱きしめられるような女でも良いとへぇー。なるほど」 京介「あやせ。お前は最高の女だぜ!」 あやせ「うるさい。死んでください。調子がいいんです、お兄さんは」 京介「ふぁーい」 あやせ「はぁ、なんかもう、お兄さんとお話していると、肩の力が抜けます」 京介「癒し系かな? マイナスイオンとか出てるんじゃね?」 あやせ「とか人畜無害なフリして、本当は早く続きがしたいだけなんでしょ?」 京介「そ、そんなことはないぞ! 今日はもう、このままお話して、帰ってもいい所存であるぞ?」 あやせ「そんなの、私が許しません」 京介「無理しなくて、いいんだぞ?」 あやせ「そのセリフ、そのままそっくりお返しします。おにーさん?」 京介「あ、おいっ」 あやせ「じゃあ続きしますね。もう何が何やら面倒くさいんで、一気に咥えちゃっていいですか?」はむっ 京介「ふあっ、ばかっよせよせっ」 あやせ「だいひょーふれす。わたひだって、歯ほ立へたら、いはいってことくはいしってまふ」 京介「あまがみだって痛いんだぞ……?」 あやせ「……」 京介「おいまさか…」バッ あやせ「ひはいまふぅ! ひはいまふっ! ぷはっ。 さっきは、お兄さん、咥えた後はどうすればいいか、教えてくれなかったじゃないですか。もう、ぱぱっと教えて下さい」 京介「わ、わかった。ビックリしたぜ…」 あやせ(そんなに脆いところなんだ。気をつけよう) 京介「じゃあ、片手はその、空くだろ? どっちでもいいから貸してくれ」 あやせ「右手はお兄さんのをもつのに使いますからね。では、こっちを」 京介「よし。咥えてみてくれ」 あやせ「はい」はむっ 京介「(びくっ) そ、それでこう」はむつま。ちゅる あやせ(あぁっ…指に、お兄さんの舌が、這って……)ゾクゾクッ 京介「なんていうか、まあ、取り敢えずこんな感じに上下に吸い上げてくれ」じゅるっじゅるっ あやせ「は、ふぁい」ずるっずるっ 京介「う、いいぞ、動きはそんな感じだ。それで、できるだけ、口の中の空気を抜いて、密着させる感じ。こう、かな」ずるずるズルズルッ あやせ「~~~~!!」ゾクゾクッ 京介「あやせ…ちょっと、歯が当たって…」 あやせ「ふぁ、ふ、ふみません…」モゴモゴ 京介「で、後は、先っぽの、亀さんの頭の部分あるだろ?」 あやせ(ブホッ!) 京介「いっだぁぁぁ!!!」 あやせ「すみません! すみません! だだだ、大丈夫ですか!?」 京介(息を吹き込まれると、こうなるのか……)ヒクッヒクッ あやせ「あぁもう、私ったら、どうしよぅ。痛くなか、いや、痛いですよねつま。ごめんなさいお兄さん!」 京介「いや、いいよ…。気にするな、あやせ。亀さんはないよな…。俺も今思い返しても、ウケるわ……いだだ」 あやせ「ご、めん、なっ、さっ」クスクス あやせ「で、でもわかりやすかったです! 亀さんの頭! すごくそのまんまのかたちだったから、思わずっ…」クスクス 京介「お、おう、わかってくれたらいいんだ。ここはマジでカメ、アタマと書いて亀頭と言うんだぜ?」 あやせ「へー、無断な知識をありがとうございます。一生忘れません。うふふっ」 京介「んんっ、うん、それでだな」 あやせ「はいっ」ぱくっ 京介「そこをこう、舐め回すように」ベロベロ あやせ「んっ」くちゅくちゅ 京介「だいたい流れはこんな感じだな。あとは上下に嘗めながら棒の回りも、こう舐め回すしてやったり、な」にゅるにゅる あやせ(んっ、段々わかってきた…) あやせ(あ、そうだ) あやせ「お兄さん、ひもひいいでふか?」じゅるっじゅるっ 京介「んー」 あやせ「もう、尺然としませんね。ぶっちゃけ、気持ちいい箇所ってどこなんですか? (そもそも、主目的がそれなのに、ちゃんと気持ち良くなって貰わないとこまる)」 京介「いや、普通に気持ちいいよ? 初めてなんだし、そんなに気負わなくても」 あやせ「へぇー、また、息を吹き込まれたいんですか?」 京介「嫌なこと覚えたなお前…」 あやせ「お兄さんの為に聞いてるんですよ? 私はお兄さんに気持ち良くなって貰いたいんです」 あやせ(と、言うか、私が気持ち良くさせたいんだよなぁ。献身じゃなくて) 京介「うーむ……」 京介「そうだなぁ」 あやせ「お兄さんは、いつもどうやって、その…」 京介「マスターベーションしてるかって?」 あやせ「死んでください」 京介「大丈夫だぞー。まだ調子乗ってないぞー。あやせー。落ち着けー」 あやせ「あ、これは失礼。で、どんな風にしてるんですか? あくまで知識として、私に教えてください。お兄さんの汚らしい脳みそで、変に、プレイに発展させることなく、純粋に知識として、」 京介「わかった、わかったから。お前の言いたいことはよーっくわかった。教えるから落ち着け」 あやせ「私の気持ちが伝わって嬉しいです。私はお兄さんに気持ち良くなって貰いたいだけなんですからね。別にお兄さんに自分でさせて、悦に浸りたいとか、逆に私にさせて、どうこうとか、そんな気は毛っっ頭っっ、ありませんから」 京介「あ、でもあやせが普段どうしてるかは気になるな」 あやせ(はぁ…) 京介「わくわく」 あやせ「わかりました……。後で教えてあげますから、取り敢えずそれは後回しにして、今はお兄さんのことを教えてください」 京介「よしきたっ!」 あやせ(この人が素直で可愛いんだか、私がいつの間にか手綱つけられていいように、転がされてるのか…まぁいいか) 京介「いいけど、専門用語が飛び交うぞ? あやせの頭の中を汚すことになるけどいいのか?」 あやせ「今更何言ってるんですか…もう十分お兄さんに汚されてます」 京介「そこはかとなくエロいこと言うよな。あやせは」ビンビン あやせ「……もう、そちらの方は平気みたいですね。さっきのミスは御破算ということで」 京介「おう。端から気にしてないけどな」 あやせ「じゃあ、教えてください」 京介「うむ。まずだな、男の…なぁ、あやせ、こいつをどう思う?」ゆっさゆっさ あやせ「はぁ。すごく、大きいです」 京介「そうじゃなくてさ、なんて呼ぶか決めようぜ」 あやせ「ばっかじゃないですか?」 京介「名前が無いと不便だろ? ダンブルドア校長だってハリーにしっかり名前で呼べって言ってるぜ?」 あやせ「はー…じゃあ、『それ』」 京介「!」ビクンビクン! 京介(マジでイきかけるかと思ったぜ…) 京介「お、おし、じゃあ、俺が言う時は『コレ』な?」 あやせ「好きに呼んだらいいじゃないですか」 京介「まぁまぁ。でコレなんだが、男のコレの気持ちいいところは、先ずさっき教えた亀頭の部分だ。そして中でも出っ張ってる、ここ」 あやせ「底面の部分ですね」ツツーー 京介「そうだな。カリって言うんだぜ?」ビクビク あやせ「へーーそうなんですかー」 京介(興味無さそうだなぁ) あやせ(カリ。カリ。カリ) 京介「ところであやせ、話の腰を折るようだが」 あやせ「(カリ、カリ、カリ) なんですか?」 京介「なんか、俺の事を変態って言わなくなったな」 あやせ「はぁ…。お兄さんはそんなに私に変態呼ばわりされたいんですか?」 京介「い、いや、こんなこと真面目に解説するとなると、絶対一度は言われるかと思ってたんだが」 あやせ「私の方が聞いてるんですから、お兄さんを変態呼ばわりできる筈が無いじゃないですか…」 京介「そ、そうだよな。なんか、すまんなあやせ。俺の為に」撫で撫で あやせ「ちょっ、やめてください! 変態!」 京介「なんでっ!?」 あやせ「さっさと続き教えてください!」 京介「お、おう(なんで怒ってるんだ?)」 あやせ(この鈍感) あやせ「はいはいっ、で、後はどこが気持ちいいんですか?」 京介「あとはこっち、竿の部分だな。ここを、ちょっと手を貸してくれ」 あやせ「……」おず… 京介「こうやって握って貰って上下にしごいて貰うと気持ちがいいんだ」 あやせ「ちょっ…お兄さん。顔、近いです」 京介「0距離にしてやろうか」 あやせ「んっ…」 京介「ほら、手は止めるな」 あやせ「んっ…はぁはぁ」ちゅっ、くちゅ あやせ「お、お兄さん、つづきはっ…ん……」 京介「これで大体おしまい、どうやって気持ち良くするかはさっき教えただろ?」 あやせ「じゃあ、んん…ちゅっ、もうっ、なめさせれくらさいっ」 京介「そんなにコレ、嘗めたのかい?」 あやせ「んぅ、ちゅっ、なめたい、れす…」 京介「じゃあ、どうぞ」 あやせ「んっ、はぁはぁ」ぱくっ、くちゅ… あやせ(んっ、カリをっ舐め回すように…)じゅるっじゅるっ 京介「おお、うまいぞ。って、こんなこと褒められても嬉しくないか」撫で撫で あやせ(もう、この人は)クッ、クッ、クッ… 京介「うっあっ…あやせ、その引き、ヤバイ…」ビクビクッ あやせ(嬉しいに決まってるじゃないですか)ジュッポジュッポ…ジュルジュル… 京介「あやせっ、こっち、見てくれよ」 あやせ(あ、そうだった)ジィーー。 ズルっズルっ… 京介「うわーー、やべぇ。こんな可愛い子が」撫で撫で あやせ(頬っぺた触らないでよっ…集中、出来なくなる…) 京介「はぁはぁ、うわっ」ビクッ、ビクッ あやせ(お兄さんのコレ…凄い動いてる。それに、甘い声…。男の人のこんな声、初めて聞いた) あやせ「気持ち、いいですか?」くちゅくちゅ… 京介「言葉じゃ言えねーくらいな…」 あやせ(ふふっ、なんですかそれ…)チュルチュル… 京介「ヤバイいきそう…」 あやせ(えぇっ…どうしよう。私でイきそうなのはうれしいけど) 京介「あやせ、いったん、口、離してくれよ…」 あやせ(いっそのこと、イかせちゃうか。口で。そうしたら、後で手綱握り直すの楽そうだし)ぐちゅぐちゅぐちゅっっ! 京介「わっ! バカ! そんなんしたらっっ….くぅぅっっ!」 あやせ(ほらっイっちゃえっ。お兄さん)ちゅぅううううう… 京介「うっっぅ……はっっ!」びゅっ あやせ(あ、すごい、キたっ。お兄さん、イったんだ)びゅるっびゅるっ あやせ(すごい、口の中のいっぱい。臭い…むせそう。ダメだ、口の中いっぱいで飛び出そう)ごくっ 京介「おい、あやせ、むちゃするなっって…うわっ」 あやせ(お兄さんは黙って射精しててくださいっ)ちゅぅううう… 京介「も、出ねぇって…そのくらいでっ、うわっ」ビクンッビクンッ あやせ(はぁはぁっ…)ごくっ 京介「はぁはぁっ、うっ、はぁはぁはぁはぁ…」 あやせ「おにーーさん」とさっ あやせ「気持ち良かったですか?」 京介「お前……マジで強烈だな」 あやせ「ふふふ。全部飲んでしまいましたよ?」 京介「……はぁ」 あやせ(………)ぶるぶる 京介「ほらっ、トイレ行くぞ。ついていってやるから」 あやせ「す…みません……」 あやせ「うっっ、ぉえっ……」びちゃびちゃっ 京介「全く、無茶するからっ」さすさす あやせ「お兄さんっ、みっともないからぱんつ履いてくださいっっ、うっ、おぇっ」ゲロゲロゲロ… 京介「へいへい。1人できばれるか?」 あやせ「そんなわけないでしょっ! うっっぷ。履いたら直ぐ戻ってっ…おぇぇぇっ。きてぐださいっ。せきにんとって、」 京介「わかった、わかった。直ぐ戻るから死ぬなよ」 あやせ「もうしにぞうです…」 京介「諦めんなー。処女のまま死にたくないだろお前も」 あやせ「この、へんたっ、おぇっ」びちゃびちゃっ 京介「いやーー。すげえもん見ちゃったぜ」 あやせ「………歯磨いてきます。その間に、お兄さん、コンビニでモンダミン買ってきてください」 京介「リステリンでもいいか?」 あやせ「いいですけど、ちゃんとそれ用の買ってきてくださいね。黄色いやつはしみるし、意味ないから買ってこないでください」 京介「へいへい。口臭用のやつなー?」履き履き あやせ「いいから、とっとと、行ってこい!」どかっ、バタン! 京介「可愛いやつー」ふんふん♪ 京介「いやー、しかし運がいいのか悪いのか。まぁあやせにとっちゃ災難だったろうが」 京介「コンドームっててっきりホテルに売ってると思ってたら、やっぱりホテルのは高いのなー。ついでにコンビニで買えてラッキー」 京介「しかし、やっと一つ念願叶ったぜ。野郎の、コンビニ店員の前でドヤ顔して、コンドームをレジに置くとか。ずっとやってみたかったんだよなー」 京介「箱に爪立てたってゴムに穴はあきませんよーっとくらぁ」 京介「おーーい、あやせー旦那が帰ったぞー」 あやせ(いつかころす…) あやせ「お昼食べたものと再会しちゃいました」 京介「おう。災難だったな」 あやせ「お兄さんをいてこまして、手綱を握るつもりだったのに…」ブクブク…ぺっ 京介「おー、あれはマジでやばかったぜ? あのまま普通にされてたら、絶対お前の下僕になってたわ」 あやせ「私はそういうの、趣味じゃないんで、主従プレイとかは桐乃に頼んで下さい」 京介「あいつに従うなんて、真っ平ごめんだな」 あやせ「何言ってるんですか? 逆ですよ」 京介「はー? 俺が桐乃のご主人様に、なるのか? うわっあり得ねぇ…」 あやせ「お兄さんって本当に愚鈍ですね」ぺいっ 京介「なんだ? 歯ブラシ?」 あやせ「外で缶コーヒー飲んできたんでしょ? 歯みがいてください」 京介「へいへい…」 京介「そう言えばさー」シャカシャカ あやせ「はい? あ、このコーラ貰いますね。ま、まさか、飲用じゃないとか言わないですよね?」 京介「んなわけあるかっ!」 あやせ(ふぅ…良かった)プシッ 京介「そんで、さっきコンビニ行く途中でさ、高校のクラスメイトに会ってさー」 あやせ「へ、へぇー」ぐびぐび 京介「幼馴染の女の子なんだけど」 あやせ「……」グシャッ 京介「ばっばか、飲み物を粗末にするんじゃありません!」 あやせ「それで、何か聞かれたんですか?」 京介「いいや、特には、でも、やたら驚いてたなぁ。この辺は歓楽街とは言え、 俺が出てきた路地の先はラブホ街だったし、京ちゃんなんでそんなとこからっ! って、ビックリして涙目になってたわ」 あやせ(きょ、きょーちゃんー? というか、聞かれてるしっ) 京介「俺からしたらそいつがそこにいること自体が驚きだったんだけどなー。マジで何してたんだろ」 あやせ「聞かれてるじゃないですか」 京介「えっ、なにが?」 あやせ「そんなところで何してるかって、聞かれてるじゃないですかっ! このスカタン!」 京介「粗忽だなぁあやせは、そんなの、立ちションしてたって言っちまえば、それでもう、終いよ」 あやせ「そ、そんな嘘に」 京介「本当だって、ちょっと送れたのはそれが原因。普通に説教されてたわ。いくら男の子だからって、そんなところでおしっこしちゃだめだよーってさ」 あやせ「なんだかその幼馴染が可哀想になってきました…。それでぐるーっと回って帰ってきたわけですか?」 京介「そうだな。流石にそのままラブホ街に凸ったらバレるしな。でもコンビニで撒く(そんで、こっそりゴム買う)のは苦労したぜ」 京介「あ」 あやせ「はぁ…今度はなんです…?」 京介(よく考えたらあの店員、俺がこれから真奈美とヤるって思ってたんじゃないか…? ま、別にいいか) あやせ「でも、その幼馴染さんがウロウロしてるなら出にくいですね。ホテル」 京介「よし。いっそ泊まって行くか」 あやせ「お兄さん? ただでさえ未成年との不順異性交遊は犯罪なんですよ? お兄さんにしては随分デカく出ましたね」 京介「うっ、しかしだな、このまま帰るというのも、男としてどうかっていうな…」 あやせ「私とエッチしたいだけじゃないですか。お兄さんの男の概念って本当都合がいいですよね」 京介「あぁそうだ。俺はあやせを抱きたい」 あやせ「面と向かって破廉恥な事を言わないでくださいこの変態ロリコン」 京介「ロリコンではないぜ」 あやせ「中学生と、こういうことするのは、医学的にはどうあろうと、一般的にはロリコンなんです! お兄さんのロリコン! と言うか、変態なのは否定をしなっひゃっ」 京介「取り敢えずベッドにいこうぜあやせ」ヒョイッ あやせ「あーもうー、好きにして下さい…」ぐたぁ 京介「さっきは、あやせに良くして貰ったから、今度は俺があやせを気持ち良くしたいな」 あやせ「じゃ、じゃあ、取り敢えず脱がしっこしません?」 京介「そ、それは勝敗はどうやって決めるんだ!?」 あやせ「なんで、勝敗が出てくるんですか…意味がわかりませんほらっ、お兄さんも私のボタン筈して下さい」モソモソ 京介「つっても、お前は殆ど全裸じゃんかよ。全裸シャツ」 あやせ「……そそりませんか?」 京介(男は一回射精すると、趣味趣向が一気に変わるとは…流石に言えないな) 京介「お、おう、俺に脱がされるために着てくれたんだな。男のロマンがわかるやつだ」アセアセッ あやせ「むぅ…」いそいそ あやせ「じゃあ、今度は私が教えるんですね?」 京介「ああ。頼む」 あやせ「えぇっとですね、お兄さんっ、手、手を貸してください」 京介「ほら (なんかやけに積極的だな)」 あやせ「むぅ、違いますね。あ、そうだ。先ずはキスしてください。雰囲気つくりです」 京介「おう。ほら」ちぅ あやせ「んっ……終わりですか?」 京介「えっ、いや」 あやせ「……まさかお兄さん」 京介「いやそんなまさかっ!」 あやせ「ほらっ、『ソレ』だって、さっきはあんなに大きかったのにっ!」 京介「ばっ、誤解だあやせ。多少のインターバルを挟めば復活するから」 あやせ「~~もうっ! それじゃダメなんです! 私は今欲しいんです!」はむぅ 京介「おい、やめっうぁ」 あやせ(ジュップジュップ、レロレロ…) 京介(うーんやっぱり上手いとは言え、素人の付け焼刃じゃ、イったばかりの息子さんを元気づけるには至らんなぁ) あやせ「もぅっ、なんで大きくならないんですかっ、変態のおちんちんのくせにっ」 京介「はうっ」ビクッ あやせ「?」 京介「な、なぁあやせ、もう一回言ってくれるか?」 あやせ「変態!」 京介「いや、そっちじゃない」 あやせ「おちんちん…?」 京介「そう! それだ!」 あやせ「うっわ、テンション高ー。まぁいいです。お兄さんが私におちんちんって言って貰って興奮する変態なら仕方ないですね」 京介「うーん、今のは惜しいなぁ」 あやせ「ダメ出しですか? こんな可愛くおちんちんへならせてるくせに…」ちゅう 京介「うっ」 あやせ「ほら、お兄さん、おちんちん気持ち良くしてあげますね…私の口、気持ちいいですか?」 京介「あぁ。ヤバイ…」ムクムクムクムク… あやせ「はい完成しました」ちゅるんっ 京介「お前やっぱり天才だわ」 あやせ「それじゃ、変態なお兄さんは、中学生の、私に、これから一体何をしたいんですか? させたいんですか?」 京介「そうだな、改めて、おっぱい触らせてくれよ」 あやせ「そういえば、まだちゃんと触られていませんでしたよね。さっき押し倒された時に申し訳程度に触れてくれましたが、遠慮してたんですか?」 京介「いや、キスに夢中で…あやせの唇、すげぇやわらかったから」 あやせ「な、なんで、こういう時だけ素直になっちゃうんですか、恥ずかしくないんですかっ?」 京介「お前も喜んでるじゃん」 あやせ「そりゃ、ちょっとは嬉しいですけど、それ以上に、童貞臭さが鼻について、って言いながら後ろにまわってるしぃっ、あんっ」 京介「今、すげぇ声あげたな」 あやせ「お兄さんが強引だから痛かっただけですっ!」 京介「嘘だろ?」 あやせ「嘘じゃありません!」 京介「なぁ、嘘だろ」ボソボソ あやせ「嘘じゃ…耳元で囁かないでくださいっ、気持ち悪いですっ変態っ…」ビクッ 京介「乳首転がされて思わず大きな声出しちゃったんだよな」ボソボソ あやせ「そんなっこと…」 京介「もう一回触って欲しいか?」 あやせ「……んっ」 京介「こんなまわりの柔らかい部分じゃなくて、一番感じるところ、触れて欲しいんだろ?」ボソボソ あやせ「…っっ…やぁ」 京介「あやせ」ベロ…ン あやせ(やっ、耳の中、舌入ってる…) あやせ「やっ、京介さんっ、耳っ…やっ」 京介「別に嘘でもいいんだあやせ。これは単なる御約束ってやつなんだよ。そうして欲しいんだろ? と俺が問う。で、お前がただはいと答える。本当にそう思っていなくてもいいんだ。ただ、少しでも、続けて欲しい、身を任せてみたい。そう思うなら」 あやせ(はぁっ、はぁっ、もう無理…。私は……) 京介「あやせ、どうして欲しい?」 あやせ(もぅーー、イエス、ノーの問いじゃないじゃないですかっ、お兄さんのいじわるっ!) あやせ「乳首、触って…」 京介「良く言えたな」すっ あやせ「やっ、あっ、違うのもっと、つよくっ…」 京介「あぁ、こうか?」くりっ あやせ「んんっ! うっ、あぅ…」ビクッビクッ 京介「気持ちいいか?」 あやせ「気持ちっ、いいっ…」 あやせ「お兄さん、キス、キスしてください…」 あやせ「んっ、ちゅっ、くちゅっ…ふぁ」ビクッビクッ 京介「……」すっ あやせ「!!」くちゅっ あやせ(あ、やっと、やっと、お兄さんが…触れて…)くちゅくちゅ 京介「ここ触るのは初めてなんだ。痛かったら言ってくれよ?」 あやせ「(言えるっわけないっ) んっはい。大丈夫ですっ、もっとそ、外側の方を指で、擦ってぇ…(ちょっとくらい痛くても) おにぃ、さんっ気持ちいいですっ」 京介「すげーな。濡れるって、言葉では知ってたけど、こうなるんだ。本当に水がびしょびしょ垂れてくるんだな」くちゅくちゅ あやせ「あっ、うぁー…お兄さん…乳首も…」 京介「あぁわかってるよ、お姫様」クリッ あやせ「~~~~!!!!」 京介「ほら、口がお留守だぞ。ちゃんと舌出せよ」 あやせ「ふあい、おにいさっ…んっくちゅれろ…」くちゅくちゅく…ビクッビクッ あやせ「お兄さん、もうガマン出来ないです…ねぇ、いれて、おちんちん入れてくださいっ…!」 京介「多分痛いぞ…すごく」 あやせ「ここに来る時にはもう、覚悟してきましたからっ!」 あやせ「今日は私、お兄さんに、京介さんに抱かれにきたんです。今更そんなことで、躊躇しないで」 京介「……」 あやせ「と言っても、これも御約束なんですよね? 本当は中学生のあそこに入れたくて入れたくて仕方がないんでしょう? いいですよ。お兄さんなら、許して、全部、あげます…」 あやせ「全部許してあげますよ? だからお願いっ…早く、お兄さん…ねぇ京介さん…きて?」 京介「あやせ……」 京介「……」 あやせ「……ダメです。そんな目でみないでください」 京介「……」 あやせ「なんで、こんな時にそんな優しい目で見るんですかっ? 私っ、ちゃんと覚悟したんです、今なら私とエッチできるんですよ? 私は貴方の恋人なんです。だからしていいんですっ! してください! 京介さん! ねぇ京介!」 あやせ「あっ…」 あやせ「やっ、京介のおちんちん、入ってきます……。ありがとうございますっ…。ちゃんとしてくれて、それでいいんです。全然オッケーなんです。 私っ今、さっきまで、凄い怖かったけど、もしかしたら、土壇場で、お兄さんが桐乃のこと思い出してやめちゃったらとか考えてて、でもお兄さんは最後まで私のために躊躇ってくれて、だから、今は死んじゃいそうなくらい幸せですっ」 京介「あやせ……好きだ」 あやせ「京介さん…私も。私もお兄さんのこと大好きです」 あやせ「京介さんっ…おにぃ…さ…」 ---------- あやせ「……すごいですね」 京介「何がだよ」 あやせ「エッチってこんなに気持ちよくないものだとは思ってませんでした」 京介「う、俺が至らぬばかりに、嫌な思いさせちまったか?」 あやせ「いえ、そんな、京介さんは素敵でしたよ? 凄い素敵でした…ビックリすろほど最高でした。ただ、やっぱり最後のあれだけは、慣れないとどうにも…」 京介「そう…だよなぁ」 あやせ「いいですよねー。京介さんは二回も気持ち良くなってイけたんですから」 京介「うっ、すみません」 あやせ「まぁいいです。本当、生きてた中でも指折りの時間でしたから…ふふっ」 京介「あやせぇ…」好きだぁ あやせ「ところでお兄さん」 京介「なんだよ? お兄さんに戻ったな」 あやせ「まだお名前で呼ぶにはお互い未熟でしょ?」 京介「そうだな。精進するよ」 あやせ「もぅっ、違います、お兄さんったら、そんなに私とのエッチが気持ち良くてぼけちゃったんですか? 何かお忘れではありませんか?」 京介「……あ」 あやせ「ダメですよー。いくらお兄さんにとって、世界で1番可愛いらしい女の子に今すぐ入れてっ! って、おねだりされたからって、そこはちゃんと、突っぱねて付けないと」 京介「あわわわわ…」血の気 サァーー あやせ「もしおめでたくなってら、しっかり責任とって下さいね。お父さん?」 完
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/216.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1281447547/606-631 俺と桐乃は 夏も終わりを向かえ、それでもまだまだ太陽がジリジリと照りつけてくる残暑。 俺は午前からずっと部屋で机に向かって勉強をしていたんだが、さすがに集中力も切れてきたので骨休みとばかりに先日桐乃から押し付けられたエロゲーをプレイしていた。 ちなみに絶賛エロシーンが展開されつつあるところだ。 ディスプレイの中から悩ましげな声で「兄貴がシたいなら……す、好きにすればいいじゃない」と俺を誘ってくるツンデレ系妹。 「何度やってもあんま慣れねえな……」 二次元と三次元は違うと言うのは、まあ分かるんだが。 ゲームといえどもなんか背中がむずむずしてくんだよ。最初の頃よりはだいぶマシにはなってきたけどよ。 「はぁ。さっさと読み飛ばしてクリアすっか」 カチカチとクリックを連打してシーンをすっ飛ばしていく。あんま好みのシチュエーションじゃねえし、それに桐乃のやつがさっさとクリアしろってうるさいしな。 んで終わったらいちいち「どこが良かった」だとか感想を求めてくる。 エロゲーの感想を兄に求めるってどうなのよ? しかも妹モノの。 あいつにしてみりゃ好きなゲームの感想ってだけなんだろうが、こっちはそんな割り切ってゲーム出来ねえっての。その辺の複雑な兄の考えを汲み取ってくんねえかなぁ? ……汲み取るわけねえか。 ため息つきながらクリックしていると――「ん?」隣の桐乃の部屋から声が漏れ聞こえてきた。 「ちょっとー、さっきのメールなによ? あんた、あたしのこと暇人だと誤解してんじゃない? どっかのばか兄貴と一緒にしないでよね!」 あー、沙織か黒猫か。 電話口への態度で瞬時に分かる。猫被ってない桐乃は遠慮なんて言葉を頭から放り捨てたみたいにズケズケものを言う。 学校のやつらには絶対見せない裏の顔だ。もっとも裏だろうが表だろうがあたしはあたしって開き直っちまってるし、どちらの顔でいるときも楽しそうに笑っている。 だからこのことでつべこべ言う気は俺にはないのだが――、 ばか兄貴ってのはどこの兄貴のこと言ってんのかな? アホ妹よ? 「はぁ!? ちょっと! こっちにも予定ってもんがあんのになに無茶こいてんのよあんた!」 にしても、声でけえよ。 うちは廊下には声が漏れることはあまり無いんだが、俺の部屋と桐乃の部屋の壁は薄く大声出せば普通に聞こえてきちまうんだよ。 桐乃も俺もそこは分かってるから普段は一定水準以下の生活音しか出さない。 だのにこんな遠慮なく大声出すってことは怒っているか、逆に――、 「あ゛あ゛~~~~も゛う! しょうがないなぁ! いいわよ、超忙しいんだけど空けといてあげる!」 会話の内容から察するに、どっか行かないかってお誘いのようだ。 とすると、嬉しくて仕方ないんだろうぜ。素直じゃねえやつ。 「うん。分かってるってば! ちゃんと言っとくわよ。――はいはい、それじゃあね」 電話が終わったのかもう声は聞こえなくなった。 俺は肩をすくめて、またエロゲーのシーンを進めだした。 そろそろクライマックス、画面には「ナカで出ししますか? はい/いいえ」の選択肢が出ている。 毎度毎度、なんで聞いてくんだよ? 好きにすればいいじゃねえかなぁ? 俺はそう思うんだが、どのゲームにもほとんどついている選択肢だけに、きっとこだわり持っている人間が多いんだろうぜ。 マウスをぐるぐる回して――、「はい」でいいや。カチッとマウスをクリックする。 バンッ! 「ねえ、ちょっと――」 きゃあああああああああああああああああああああ!! ドアをいきなり開けて桐乃が乱入してきやがった! 「き、き、桐乃! てめ! ドアはノックしろって言ってあんだろがッ!?」 「え? ああごめん。まあいいじゃん?」 緊急回避が間に合わなかったんでディスプレイを背中で隠す俺に、桐乃はさして気にした様子でもない。 「よ、よくねえよ! プライバシーの侵害だっつの!」 だいたいタイミング悪すぎだおまえ! なんで俺がエロゲーやってて、しかも妹にナカ出し選択した瞬間にやってくるかなぁ? いたたまれないよ俺の心は! 「はぁ? あんたのプライバシーなんて知んないしぃ。――貸したげたゲームやってたの?」 げ! 気付かれた! ゲームから音楽流れっぱなしだもんなぁちくしょう! 桐乃はどこまで進んだのよと言いながら俺を押しのけディスプレイを見る。 「おま、おま! み、見てんじゃ……!」 恥ずかしさでうまく口が回んねえ。 うぎいいい! エロゲーのやってるとこはもう何度か見られてるし、肩並べて一緒にやったこともあるが、こう不意打ち気味にこられるとやっぱ恥ずかしい! しかもナカ出しで「はい」選択したとことか、最悪だよっ! 「これまだ中盤じゃん。あんたこれ貸してあげて何日経ってると思ってるのよ。とっととクリアしてよね」 顔をリンゴのように赤くしている俺の横で桐乃はゲームの進捗が遅いとブツクサ文句を言ってくる。 くそー! こいつ自分がこういうの平気だからって……。わざと俺を羞恥させてんじゃねえの? 「し、仕方ねえだろ! 色々こっちにも予定があんだからよ! それより――なんの用事だよ? いきなり部屋に乱入してきやがって」 恥ずかしさに耐え切れる自信が無かったので、ゲームをクイックセーブして終了させ、話題を変えるよう誘導する。 「あ、そうだった。明日さ、アキバで沙織たちと遊ぶことになったから」 「さっき電話で言ってたのはそれか」 なるほどな、それが嬉しくてあんな大声出して、あげくにノックもせずに俺の部屋へやってきたわけね。 俺が電話の内容を言うと、桐乃はムスッとした顔になった。 「人が電話してんの盗み聴きしないでよ、キモいな~」 「人聞き悪いこと言うな。おまえが大声出してたから勝手に聞こえてきたんだよ! ばか兄貴ってのは誰のことだこら?」 「で、お昼頃集まろうって話になってるから」 「俺の文句は無視かよ!?」 まーるで聞いてないよこのアマ。 「って、俺も数に入ってるのねいつの間にか。予定も聞かずにさあ!」 「聞く必要ないっしょ。どうせ暇なんでしょ」 「明日だろ? んな急に言われても」 予定は空いてることには空いているんだが、こうおまえ暇だろ? なんて言われれば、言い渋るのは仕方ないよな? 俺が難色を示すと桐乃はとたんに頬を膨らませ始めた。 「ムリとか言うわけ? せっかくみんなで集まろうって言ってんのに!」 「だってよぉ、こっちにも予定ってもんがあるしな」 「ダメ! それ却下だから! なんとかこっちに合わせなさいよぉ!」 手のひらをギュッと握り締めて、まるで遠足が急に中止になってダダをこねている小学生のようだ。 不覚にも少し可愛いと思ってしまった。 やれやれだ、よっぽど明日が楽しみで仕方なくなってんだな。自分だってさっき電話で似たようなこと言ってたばかりだというのによ。 ま、この辺にしとくか。それに、俺も黒猫や沙織たちと会って遊びたいってのは勿論だしな。 よっぽどの予定が無い限りこっちを優先するさ。 「分かったよ、明日は空けておく。俺もおまえらと遊びてえし」 俺がそう言うと桐乃はころっと態度を翻し、嬉しそうに八重歯をのぞかせながら腰に手をやり、 「最初からそう言えばいんだよ、ば~か」 だとさ。 ――で、翌日。秋葉原、電気街口そばにあるコンビニの前。 空はやや曇りで、風も吹いていてさほど暑さも厳しくは無い。絶好とまではいかないが出かけるには丁度良い天気だ。 「遅いな~。早く来なさいよね、黒いのも沙織も!」 桐乃は片足をトントン踏みながら、黒猫と沙織がやってこないと文句を言っている。 いつも通りバッチリと決めた洒落た服装をしている。キャミソールと七分袖のチェックシャツ、下半身は膝下までのレギンス、頭にはキャップを被っている。 一方俺は、カラフルな絵柄の描かれた桐乃の服と違って白のティーシャツにダークグレー一色のカーディガンにチノパン。 ふむ、俺らしい無難なチョイスと言えるね。 「いや桐乃よ。約束の時間までまだ三十分以上もあんだから遅いとかじゃないだろ」 実は二十分前くらいから俺と桐乃はここで二人が来るのを待っているのである。 俺がまだ家を出るには早いって言うのにきかねえんだもん。 「ねえ? ありえなくない? あたしをどんだけ待たせるつもりよあいつらは~!」 「どうどう、おちつけ桐乃。時計を見ろ。待ち合わせに早く来すぎたのは俺たちだろ」 「チッ、分かってるっつうの」 分かってるなら大人しくしてようぜ。 しかし、さすがに少し待ちくたびれる。こうやって立ちぼうけしてると疲れてくるしな。 「時間までどっかでコーヒーでも飲んでるか?」 俺がそう提案しても桐乃は「う~ん」と辺りをキョロキョロ見回している。 多分、俺の案には賛成なんだろうが黒猫たちが現れやしないかと、淡い期待をしているんだろう。 おまえ、あいつらのこと大好きだもんな。早く会いたくて待ちきれないってか? 「あれってなんのお店だっけ?」 キョロキョロしていた桐乃が何かに気付いて指を指した。 「あん?」 指差す方向に目を向けると、ガラス張りの窓からコスプレの衣装のようなものが陳列されているビルがあった。 ………………。 俺はこの店のことをよ~~く知っていた。いや、よくってのは語弊があるな。知っていたくらいだ。 だって俺入ったことあるし。 いつだったか友人の赤城に誘われ、18という大人の階段を昇った俺たちはこのお店に踏み入ったのさ。 そう、桐乃の指の先にあるのは18歳未満お断りのいや~んなアイテムが買える大人のお店なのだ。 ちなみにビル全部がそうで、まるで専門のデパートといった風だ。 「あ、あれはだな……」 どう説明したもんかと悩んでいると桐乃はスタスタと店に向かって歩き出した。 ちょ! ビックリして追いかけて止める。 「桐乃さん、あれはそんな楽しくないお店っスよ? 行っても仕方ないっす、つまんないっす。それよりほら、コーヒーでも飲んでましょうよ、ね?」 「なにあんた? あの店知ってんの?」 「え? いや……知っているって言うかなんと言うか……」 「はっきりしないなぁ。入ってみればいいじゃん」 「いやそれは困る! いろいろ困るよ!?」 「だからなんでよ?」 うぐ……。ど、どうするよ俺? こいつ絶対説明しないと店に行くってダダこねるだろうし。 なんとか誤魔化したいがヘタすると後で沙織たちが来たときに行ってみようなんてことにもなりかねん。女の子三人にあれはなんのお店だと詰め寄られるなんてゴメンだぞ? ……ぜ、是非も無しか。 「あ、あの店はだな――」 「あの店は?」 「……………その、同人誌とかじゃねえぞ? いろいろエッチなものが置いてあるお店なんだよ。エロDVDとかオモチャとか……」 周りに聞こえないように桐乃に耳打ちをして告げる。 自分の入ろうとしていた店がどういうものか理解したのか、桐乃はみるみる真っ赤になっていった。 「な、なな――なんっでこんな駅前にあんのよっ! そ、そんな店があるのはブログとかで知ってたけど。こ、ここがそうだなんてあたし全然知らなかったもん!」 それは分かる。普段こっちの道は通らないし、通っても素通りしてたもんなぁ。 店の出入り口は壁が白く、どちらかといえば清潔感がある。一見、そんなものが売っているような外観じゃないしな。 今の桐乃みたいに知らずに迷い込んじゃうやつも中にはいるだろうぜ。 「サイアク! サイアク! サイアクッ!」 恥ずかしさを紛らわせようと悪態をついてくる。 まあ仕方無いとは思うが、 「最悪って言うたびに服引っ張るなよ、のびるだろうが!」 「てか……、なんであんたお店のこと詳しく知ってんのよ?」 ギク。 「く、詳しくなんて知らねって! あ、あれだ! 外からそんな店なんじゃないかな~って思えたからな」 桐乃は服掴んだままじと~っと俺を見つめてくる。 「嘘。そんなのパッと見で分かんないじゃん」 くっ! あっさり見透かされちまった。 「あんたの口ぶり、絶対入ったことあんでしょ。正直に言いなさいよ」 「ちょ! マジで服伸びるから! そんな強く引っ張んなって!」 「だったら早く言えっての、ばか兄貴!」 俺が馬鹿ならおまえはアホだっちゅうの! 兄の口から何を言わせようとすんだよてめー。 くそ~、言わなきゃダメなのか? さっきまで顔赤くしてたくせになんで今度は俺が言いづらいことを強要するんだこの妹は! 「とっとと言いなさいよ」 「…………い、一回だけ……。ダチと、な……」 収まりそうも無かったので観念して白状すると、桐乃は生ゴミを見るような目つきになる。 「サイッテー」 言うと思ったよ! だから言いたくなかったのにさあ! で、妹に蔑みの目で見られてそこで終わりかと思ったら――桐乃はとんでもないこと言い出した。 「ちょっとのぞいてみるわよ」 「はい!?」 俺の腕を引っ張ってずんずん店へ向かっていく。 「き、桐乃! 俺の話を聞いてなかったのか!? あそこにおまえの好きそうなもんなんてねえぞ?」 「聞いてたわよ」 「じゃ、じゃあなんで?」 「あんたがどんなもん見てやらしい顔してたのか興味出てきた」 「いやいや、そんなもん興味持たなくていいってば!」 「うっさい! 待ち合わせまですること無いんだし、いいでしょ」 「だからコーヒーでも飲んでようって言ったのにさあぁあああぁぁぁぁ!」 かくして俺と桐乃は兄妹二人して大人のデパートへ入っていくことになった。 「へ~、このビル全部がお店になってんだ」 「なあ桐乃よ、本当に見るのか? 今ならまだ……」 「一番上から見ていこ」 聞いてねえし。 あーもう! こうなりゃヤケだ、勝手にしろ! あとから文句言われてもしんねえかんな……? エレベータに乗り込み最上階に降り立ってみると、一面のエロDVDが俺と桐乃を出迎えた。 店内のレイアウトは赤城と来た時とはけっこう変わっているようだ。 「うえぇ~すご……。これ全部エロいやつなの?」 「だ、だろうな」 人一人通れるくらいの狭い通路の両端にラックが立ち並び、DVDが本のように陳列されている。 秋葉原だけあってアニメの商品が多い。 桐乃も専らそっちばかりを眺めて、DVDを手にとっては「うへぇ~」とか言っている。 「妹モノってないの?」 「そんなん知るか!」 ここまで来て妹モノを物色するとはこいつのシスコンぶりも筋金入りだな、おい。 俺がノーパソで実写のエロ動画を見ていたのが桐乃にバレたとき、こいつは涙目で怒り狂ったもんだが、エロいものに寛容になったのか? それともやっぱアニメやゲームとかだと割かし平気みたいな? 「こんなんばっか観るとか男って信じらんない。キモ」 どっちでも無かったみたいだわ。嫌悪感丸出しで俺を見てくるし。 てか俺にそんな目を向けたって仕方ねえだろ? 女には分からんだろうが、エロは男にとって必須なんだよ。むしろエロがなきゃとっくに人類は滅んでいたと思うぜ? 「あんたはどうせ眼鏡モノ買ってったんでしょうけどね」 「俺は眼鏡属性持ちじゃねえって!」 誰がなんと言おうと別に眼鏡にこだわっているわけじゃねえかんな!? たまたまコレクションのブツがちょっと偏っちまってるってだけだ、うん。 というよりさ……、コレクションをばっちり妹にチェックされているって終わってるなぁおい。 「じゃあどんなの買ったのよ?」 「――か、買ってねえよ! ダチは色々買ってたけど俺は見てただけだ」 「ほんとかな~? あんたスケベだし」 「マジだって! こういうとこ入ったの初めてだったし正直驚くだけでいっぱいいっぱいだったよ」 「ふ~ん。ま、いいや」 はぁ~なんとか追求を逃れることが出来た。 本当は赤城と金を折半して買ったのは買ったけど……、正直に言えばしばらくそれをネタにされて色々言われんだろうし、黒猫たちにまで話が伝播していっちまう。 うちの家系だけなのかもしれんが、女ってなんでこういう繊細な話題でもペチャクチャ話すのか理解に苦しむね。 さて話を変えるが、最上階はDVDコーナーに変わっちまってんだけど『らぶドール』のショーケースはやや場所を変えて残っていた。 相変わらず精巧なつくりだ……。 ウン十万と金を出してこれ買うやつは、どういう風に保管してんだろな? 桐乃はメルルの抱き枕を抱えて寝ているが、これも一緒に寝てたりとかすんの? 想像して……うぁ、鳥肌立ったわ。俺だったら夜中に目が合うとチビっちまうぞ絶対。 ちなみに俺が瀬菜にそっくりと評したドールも残っていた。 良かったー。いやね、もし無くなってたりしたら俺は明日速攻で赤城のやつに問い詰めるところだぜ。 最悪の場合、あいつとの距離を少し離すべきか真剣に考えるね! 俺のドール評はこんなところだが桐乃はというと、 「キモ!」 遠巻きに眺めていた『らぶドール』をばっさり。 うん、安心した。 もし「可愛い!」とか言い出したりしたら俺は力ずくでこいつを病院に連れ込む気でいたよ。 まあそれはおいとくとして…………さあ? DVDフロアってなんでこう……。 宣伝の為のモニターから「アッハ~ン、ウッフ~ン」と卑猥な映像と音声が流れているので、どうにもいたたまれない。 桐乃もそれに気付いてか顔を赤らめている。 「に、似たようなもんしか無いから、次行くわよ、次!」 恥ずかしがるなら初めっからのぞいてみようなんて言わなきゃ良いのによ。 せっつかれて降りていくと、恥ずかしがっていた桐乃が今度は一転「わっ」小さく歓声をあげた。 「コスプレも売ってんだここ」 アニメやゲームのコスプレらしき衣装がアパレルショプのように並べてある。 今さっきまでの恥ずかしさはどこへやら。桐乃はタタっとコスプレ衣装に駆け寄り喜色を浮かべている。 こういうフロアなら黒猫のやつも桐乃同様喜ぶのかな? ふとそんなことを考えたが即座に「ねえよ」と一人ごちた。 だってあいつ超恥かしがり屋だし、ここへは入るっつうこと自体有りえないないだろう。 店入る前の桐乃の行動を黒猫に置き換えれば、俺が説明した時点で「ば、莫迦っ。勘違いしないで頂戴、私は新しいアニメショップか何かだと間違えただけよ」などと言い訳をしつつスタスタ店から遠ざかるはずだ。 むしろ入ってみようなんて言い出す桐乃がどうかしているぜ。わが妹ながら恐ろしいというか天然なやつだ。 そういや、俺がどんなもん見てたか興味あるみたいなことを口にしてたな? なんでそんなこと思っちまったんだろうな桐乃のやつは……? そんなちょっとした疑問は桐乃が声をかけてきたのでぽしゃりと消えた。 「ねぇねぇ、ほら見つけちゃった! これ凄くない?」 「あ、それって確か『妹と恋しよっ♪』の――」 「そうそう! しおりちゃんたちが通う学校の制服! あんた良く覚えてたね」 「ま、まあな。おまえに無理やりやらされたやつだし」 おまえと初めて遊んだエロゲーだしな、嫌でも覚えてるっての。 「しかし、そんなもんのコスプレまであるんだな」 世の中、需要があるところにはあんのなー。エロゲーのコスプレって……。 いったい誰が買っていくんだよ。 「お金今日あんま持ってこなかったし足りるかなぁ?」 「需要の受け皿はおまえなんだ!?」 バッグから財布を取り出して有り金の額を確認しようとしている妹にツッコミを入れて、これから黒猫たちと遊ぶんだからまたにしろとなんとか諭す。 荷物になるってのもあるんだがよ、なんか――こういう店で妹が商品を買うという行為に抵抗感が大きかったんだよ。 桐乃にしてみりゃ単にコスプレ衣装買おうとしたってだけなんだろうけどさ。 「次の階行ってみよーっ」 コスプレに満足したのか、ここがアダルトグッズ店だと忘れたかのようにはしゃいだ声を出してるよ。 苦笑しつつ俺は頷いた。 で、次の階――。 なんというか……、俺はたいへん気まずい思いをするはめになった。 ここにはランジェリーが置かれてあったからだ。当然アダルトショップでただのランジェリーな訳がないよな? 男を挑発させるような淫猥なものばっかり置いてんだよ。 「なにこれ、ほとんど見えてんじゃん」 桐乃が手に取っているのはもはや下着なのかさえも分かんねえようなやつだった。 肌と布の比率がかなりおかしい。 胸を隠す場所は乳首しか隠せないほどの面積でお腹もぽっかりと大きく開けられている。 下の方なんかはローライズを更にローに入れた「もう隠してないじゃん!」と言いたいほどのものだった。 おまけに背中部分はただの紐。 「風邪引きそう……」 そんな心配をしている桐乃に俺はつい失言をぽろりと口からこぼした。 「おまえ、こういうの着たことあんの?」 「なわけないでしょ! 死ね変態っ!」 「ぐはっ!」 わき腹に肘鉄。 「き、着るわけないでしょ! バカじゃん!?」 「だ、だよな。すまなかった!」 「こういうのって、ど―――せアホな彼氏が着てくれとか頼んでるのがほとんどでしょ。ったく男ってなんでこんなもん喜ぶのよ」 「ま、まあ当人同士が良いってなら、それで良いんじゃねえか?」 これ以上怒りの炎に薪をくべないようにと無難な返答をするチキンな俺。 「…………ねえ。あんたもこんなん着てたら喜んじゃうの?」 「え? 俺は――そうだな。普通の格好が良いかな。まあ着てくれたら嬉しいって思うかもしれんが」 いきなりの質問につい正直に答えてしまった。 やべ! 気をつけてたのに素直に言ってんじゃねえよ、またゴミ見るみてえな目つきになるぞこいつ? だが桐乃は、 「あっそ」 と言うだけだった。 てっきり馬鹿にすると思っていたのに、拍子抜けた。 ……なんだったんだ? 俺にそんなことを聞いてきた桐乃の意図が今一つかめなかった。 ……どうでもいっか。多分ぽっと思いついたってだけなんだろうさ。 続いて俺達はオモチャ売り場に到着した。 うん、オモチャ。誰がなんと言おうとオモチャ。もうこれしか説明しないからな俺は。 いちいち取り上げてなんていられるか! めちゃくちゃ種類豊富だし使い方分かんないもん多いしでキリが無いんだわ。 桐乃はというとオモチャに気付いた瞬間、顔をそむけて見ようともしない。そりゃそうだわな、ほとんどが女を悦ばす為のもんなので、さっきのランジェリーと違って俺以上に気まずいんだろう。 オモチャ以外にもSMグッズとかのコーナーがあったので、そちらの方を俺たちは見ている。 ムチを見かけた桐乃が手にとってニヤニヤしながら言ってきた。 「あんたシバくときに買っておこうかなー♪」 「なんで俺がおまえにムチでシバかれにゃならんのだ?」 「え? ダメな兄貴躾けるのは妹の役目でしょ?」 「誰がダメだ! むしろダメなのはおまえだろアホめ!」 「誰がアホかっ!」 軽くスナップを利かせてパチンと俺を叩く。 「ちょ! や~め~ろって」 ビニールで包まれているのでまったく痛くは無いが、なんてことしやがる! じゅ~~ぶん理解してるけど、兄をムチでぶつとか酷すぎじゃないこの妹様はよ!? 「えへ、いい感じかも♪」 手に持つムチを遊ばせながら桐乃は楽しそうに笑う。 「『いい感じかも♪』じゃないっ! 俺はMじゃねえ!」 「む、反抗的態度とみなす! もうちょっと強めに」 ペチペチ、パチン! 「もうやめて! 俺のライフはゼロよ!?」 俺たちがはしゃいでいると思ったんだろう。店員さんがやってきて「他の方のご迷惑になりますので」とやんわり注意されちまったよ、とほほ。 「やだもー、あんたが騒ぐからだよ」 「俺じゃねえ、おまえだ!」 そうそう、思い出したが店員さんの言うようにチラホラと他の客も数人見かける。 昼日中からなんてとこにやって来てんのかねえこいつら? もっと健全な場所に行けよな。 向こうもそう思ってんだろうけど。 SMグッズに名残を惜しんで(?)更に下へ移動すると、今度はメンズグッズが俺たちを出迎えた。 ここがこの店のメインだけあってやはりスゴイの一言―― 「キ、キモキモキモぉ~~!」 俺の服を掴んで桐乃は気持ち悪くてたまらないと訴えている。 「だからそんな強く引っ張るなよ、服がのびちまうだろっ」 「だってなんなのよコレ。うえぇ、吐き気がしてきた」 だろうなぁ、女の子には刺激が強すぎだわ。実は俺もここへ最初来たときは、圧巻されると同時にちょびっとそう思ってたからな。 連れの赤城さんはとても元気良くはしゃいでらしてたけどね。 にしても相変わらずとんでもねえ数。 そこかしこにオ●ホやらローションやらがデーンと積まれている。 怪しげな精力増強剤なんてものもあんじゃねえか。しかも――うおっ! やたら高え! 数万円てシロモノまであるよ。 よく知らねえけどヘタな麻薬よりよっぽど高いんじゃねえの? どんな効き目なのか若干興味も惹かれなくもないが……、手を出そうとは思えないな。 「これって何?」 と、ヒきまくりの桐乃がある商品を指差して聞いてきた。 「卵みたい? なんに使うの?」 これ確か赤城のやつが話していたよな? 一応オ●ホの一種ということだが。 さて……どう説明したらいいものやら。 「あ~メンズグッズのひとつだな。聞いた話によるとエッチなイメージを抑えて作ってみようってメーカーがあるらしくて、そこの商品らしい」 「ふ~ん、確かに他のと違ってちょっと可愛いかも」 手に取るつもりは無いらしいが、指先でつついてどんなものなのか確かめている。 使い道は結局変わらないんだが、あまり嫌悪感は沸いていないようだ。 デザイン変えただけでも印象ってけっこう変わるもんなんだなやっぱ。女のこいつもこう言ってるし。 誰かは知らんが考えたやつはきっとオ●ホの天才というやつだな、うん。 「で、どう使うの? 割って目玉焼きにするわけないし」 ……上手くかわしたと思ってたらつっこんで聞いてきやがったよ、このばか妹。 別の商品と違ってエロい印象が無いため、平気な顔して聞いてくんだろうけど、はっきり言ってタチ悪い。 ここはそういうお店で今いる場所は『メンズ』コーナーなんだから察してくれよ! 恥ずかしいんだから、もう! 「……そうだ! 桐乃、そろそろ待ち合わせ時間じゃね?」 「え? ――あ、やば。時間来ちゃってるじゃん!」 桐乃が腕時計を見せて言ってくる。 適当に話を逸らす為に聞いたんだが、桐乃の言う通り、時計の針は沙織たちと待ち合わせした時間ぴったしをさしていた。 「見たいもんなんて無いだろ、行こうぜ」 黒猫と沙織が来ているといけないのでさっさと店から出ることにして階段へ向かう。 と、階下から上がってくる客の声がしてきた―― 「いや、ここマジで種類豊富だから驚くぜおまえ? 俺がちゃんと案内してやっからちゃんとついてくんだぞ?」 「ノリノリだな赤城。よっしゃ! オラ、ワクワクしてきたぞ!」 「はっはっはっは。戦闘力の高さにビビんなよ」 聞き覚えのある声……。 そしてだんだんと姿を現してきた、やや赤みがかった栗色の髪、無駄に爽やかな容貌…………。 「――――――ぅげッ!?」 あ、赤城! どうしてここへ――ッ!? 「ちょっとさっさと降りて――キャッ!」 とっさに桐乃の頭をひっ掴んで抱き寄せ、そのまま後ろへとずりずり下がった。 「な、なにすんのよ!」 「シ――ッ! 静かにしろって! 知り合いが来た」 耳打ちして事態を知らせると桐乃はサッと顔を青ざめ、目を丸くしてうろたえだした。 小声で聞き返してくる。 「な、なななんでこんなとこに!? だ、誰よ!?」 「俺のダチの赤城ってやつ」 「アカギ? ざわ……ざわ……の?」 桐乃は混乱しているのか意味不明なことを言っている。 「知らねえかもだけど、たまに家まで来たことあんぞ。おまえの顔も知っているかもしれん」 顔合わせしたことはないはずだが、リビングや廊下ですれ違っている場合もあるし、同じ学区内だ、道で見かけられている可能性もある。 「な、なんでそんな人がここにいんのよ!?」 「いや、実は前にこの店来たのってそいつとなんだ。多分また来たんだろうと思…う……」 チラリと後ろの方を振り返ってみると、赤城とそのツレ(俺は知らないがダチなんだろう)が店内を見回している。 「後姿とかでバレるとやべーから帽子貸せ」 「う、うん」 桐乃の頭から帽子を取り、自分の頭へグイっと深く被す。サイズが合わずに頭を締めつけられるが文句なんか言ってられん状況だ。 チッ! バレるわけにはいかねえぞ? 俺一人ならどうってことはないが、桐乃と兄妹してアダルトショップにいたなんて知られたら何を言われるか分かったもんじゃねえ。 口止めしたところでどれだけ信用できるかも分からん。 赤城のやろうめ、よりによって俺と桐乃がいるタイミングで来てんじゃねえええよッ! 「ちょ! やっべ! マジやっべ! 赤城さん、ここ凄くないっスか!?」 「くっくっく。そうだろう? ここは俺たちにとって聖地と言っても差し障りはない」 「うはー何このオモチャ? 二万円もすんじゃん、スゲーありえねえ!」 「だな。この額じゃちと俺も手は出ねーなぁ……」 「金あったら買うのかよ赤城? やるなぁ!」 「っふ。まぁまぁその辺はノーコメントとしておくぜ?」 な~~~~~~~~~にがノーコメントだあのヴぁカは! 俺の心を焦燥に駆らしている二人は楽しそうに商品を手にとって浮かれ騒いでいる。 「ど、どうすんのよ?」 「どうするって……、あいつらがどっか行ったタイミングでなんとか逃げるしかねえだろ」 「も゛おおお! 最悪!」 「俺だって最悪だよ!」 あいつ見た目爽やかだが中身はとんだむっつりスケベ野郎だ。見ろよあの顔? オ●ホを手に持ってすげー喜んじゃってるよ! 絶対変態だ! さすがあの瀬菜と血を分けた兄妹ってところだぜ? ポイントカード作ってまた来そうな雰囲気だったが本当に来てんじゃねえよ! まあ俺も再びこの店に来ちまってるわけなんだけどよぉ……。 だが赤城は友人と連れ立って来てんだろうが、俺は妹と来てんだよ! 客観的に見たらその辺どうだよ!? ……………………………………。 どうみても俺の方が変態ですね…………無量大数ほど圧倒的に。 ち、違うって! はたから見ればそうなんかも知れんけどさ!? 桐乃のやつが入ろうって強引に俺を引っ張ってったんであって、あくまで俺は付き添いという立場で! だ、だいたいだなぁ、俺は桐乃に気付かれないようにリヴァイアサンを眠りから覚ますまいと必死に戦ってた誇り高い戦士なんだ! 変態などという不名誉なそしりは断じて認めん! 「ね、ねえ?」 「俺は変態じゃねえ!」 「はぁ? 意味分かんないし! それよりほら。あっち行ってるみたいだし。今チャンスじゃん」 桐乃が目配せをする。 建物の構造はL字のような形で、赤城たちは俺たちとは逆方面の通路にいた。階段はL字の曲がり角付近にある。 確かにチャンスだ。 「よし、行くぞ!」 俺は桐乃の頭を自分の腕と胸の中に隠し、俺自身も赤城には見えない方向に首をぐりりと捻って階段へそろそろと歩いていった。 階段までの距離二メートル……、一メートル……、九十センチ……、八十センチ……、 「こっちには何があんだ?」 どおおおぉぉぉわああぁぁぁっ! ちくしょおおおお――――――! あと数歩ってところでやつらこっちに向かってきやがった! 急転換させて奥へと逃げ込む。だが、同じ通路にやって来られたもんだから、 「お、おい。見ろよ? カップルがいんぞ?」 「え? うそ!?」 存在を気付かれてしまった! つうかカップルじゃねえよ! こっち見んなバカ赤城と赤城の友人のバカA! だが俺の願い空しく赤城たちは興味を持ったみたいでヒソヒソとなにやら話を始めだす。 「す、すげえな……。カップル連れでアダルトショップに入るとは」 「ああ、世の中には俺らの窺い知れない特殊な性癖を持ったやつらもいるってことだな」 声のトーンを落として話しているつもりらしいが、しっかり聞こえてんぞこの野郎! 誰が特殊性癖だ! 「見たとこ俺たちとあんま変わらないくらいの年齢なのにずいぶんとマニアックなカップルだな」 「オ●ホ使ってどんなプレイするんだろうな。さすがの俺も想像がつかねえぜ」 「なぁ、ちょっとどんな顔か見てみねえ?」 赤城いいいいいいいいいいいいッ! てめ! ふざけたこと言い出してんじゃねえぞコラ!? やばい、逃げ場がねえ! ど、どうすれば――!? 焦りに駆られているなか、ぴったり密着している桐乃のからだがピクッと震えたのが分かった。 よく見りゃ、服をぎゅっと掴んで目とつむっている。 ……不安なんだろう。当然だ。バレちまったら俺だけじゃねえ、ヘタをするとこいつの大事な世間体も失いかねない。 あやせと仲違いしたことがあってから、こいつはそれがトラウマになっているフシもある。 世間体――今まで桐乃が何年も積み重ねてきたもの、努力して手に入れたもの。そしてなにより……俺が必死に護ってきたものだ。 それをこんなつまんねえことで。 そう考えると、俺は急にフツフツと別ベクトルの怒りが胸の底から沸いてきた。 よくも妹を不安にさせやがったな! シスコンの風上にもおけねえぞ赤城! 「ん゛! う、ん゛ん゛ん゛ッ!!」 喉が千切れるくらいに咳き払いを鳴らして近寄ろうとするバカを威嚇した。 「……や、やめとけって赤城」 「あ、ああ。そ、そうだな」 俺の怒りが伝わったのか赤城と友人Aはそれ以上近づくのを止めたようだ。 ふぅ……ったく。それ以上近づいてたら思いっきり頭突きかますところだったぜ? 運が良かったな赤城よ。 その赤城は、さっさと気を取り直したのか(こいつはいつまでもウジウジしないポジティブなやつなのだ)、上の階へ行こうと言い出した。 「俺確認したいもんがあんだよ」 「おう、まだまだエログッズ見学は始まったばかりだしな。って確認したいもんて?」 「ん? いやまぁ秘密だが。俺は今バイクを取るかそれを取るか悩んでたりもしてるな。へへ」 そんな会話をしながら二人は階段を上がっていなくなっていった。 てか赤城よ……、悩んでいるっておまえまさか…………。 ま、まあなんにせよ助かったぜ。 だけどこのカリはしっかりと覚えて――――いや、よそう。もう過ぎたことだしな。 ウダウダ考えるのは良くないことだ。あいつらも休日に男同士の楽しい一時を過ごしに来ただけなんだから。 ――でも、一応瀬菜にはてめえが妹似のらぶドールに未練タラタラだってことをチクっておくからね? 店を出てきた俺達は「「はぁ~あ」」と二人して安堵の息をつく。 「やれやれ危なかったな」 「はぁ~なんかあたしマジ疲れた……」 「ああ、安心したと同時に腹減ってきた」 「ップ、なんでよ」と桐乃は吹き出す。 「いやだってさ、もう昼だし」 「ほんとだ。――って! 約束の時間! もう10分も過ぎちゃってるし!」 「うお、遅刻しちまってんのかよ」 一時間近く前から待っていたのはなんだったんだろうか。 待ち合わせの場所はすぐそこだ。駅の方面に目をやると、 「いたいた」 いつものゴスロリ服とキモオタファッションですぐ分かった。黒猫と沙織のやつは既に来ていて、こっちに気付いていたのか俺たちのほうを見ている。 でもなんか二人ともポカン( ゚д゚)としていないか? 今度はごにょごにょ俺たちを見ながら話し出しているし。 片手を挙げて手を振ろうとしたら、桐乃が俺をどんと押しのけ離れた。 おととっ。そういやこいつ引き寄せてたまんま――――――見られとるうううううううう!? ま、まさか店から出てきたところも……? 桐乃は猛然と二人にダッシュで駆け寄る。俺もそれに続いた。 「ちっ、ちちちち――違っ、違っ! ち、ちちち違っ!」 「脳みそに血が足りていないのは分かっているから安心して頂戴」 「し、しょんなこと言ってないでしょ! こ、ここのクソ猫!」 「ははは、落ち着いてくだされきりりん氏。黒猫氏ももちろん冗談でござるよ」 「ふん、どうやら今は逆に血がからっぽの頭にのぼり過ぎて、まともな日本語も喋れないようだしね」 「まあまあ。これで四人とも集合ですな」 「すまん、遅刻しちまった」 頭を掻きつつ遅刻したことを詫びた。 「いえいえ、京介氏お気になさらず」 「いや、ほんと悪かった。で、さっきのは――」 舌も満足に動かせない桐乃に変わって誤解を解こうとすると、沙織はそれを手で制した。 「大丈夫でござる京介氏。事情は拙者も黒猫氏も飲み込めておりますから」 「そ、そうなのか? 話が早くて助かるよ」 「はい。きりりん氏と京介氏がそこまでのご関係だったというのは、もう見てて赤面するほどに分かり申した。正直、『あのお店』から出てくるお二人を目撃したときは、拙者頭が一瞬真っ白になりましたが」 「「違ああああ――――――――――――――うッッ!」」 俺と桐乃がハモって叫ぶ。ひとっつも分かってねえじゃねえかよ! 「はぁ。しかしあのように京介氏ときりりん氏がぴったり寄り添っていたものですからてっきり、ねえ?」 「ねえじゃないっつの! へ、変な誤解は止めてよね、キモッ!」 「どう誤解なのかしらねぇ? 沙織に聞いたけどあそこは色々といやらしいものを売っているのだそうじゃない? そんなところから二人で出てきて、しかもなんだか楽しげに笑ってもいたようだし。どう誤解だと言うのかしら?」 黒猫は口の端を吊り上げ目を輝かせながら桐乃を言い詰める。からかうのが楽しくてたまらないって表情だ。 「だ、だからあれは!」 「しかも出てきたってことは入ったってことよね? それとも、あなたがいかがわしいお店に入ったという事実も誤解だというのかしら?」 「う、うぐぐぐ……!」 こういう口ゲンカだとほんと弱え~なおまえ。 「いやいや、黒猫氏、きりりん氏。時間もお昼ですし、続きは昼食を食べながらに致しませぬか?」 「そうだな、ここじゃ落ち着いて説明出来んし」 沙織の提案に従って俺たちは行きつけになりつつあるファーストフード店へ向かった。 店でハンバーガーとポテトを食いながら事情を説明する。 「それはとんだ目にあいましたなぁ」 「入ってみようなんて変な考えを起こすからそういう目にあうのよ。ま、無事に先輩の友達にはバレなかったのだから良かったじゃない」 「いや、マジであんな鉢合わせするなんて思わなかったぜ」 「あんたのせいでとんだ恥掻いちゃったじゃん!」 桐乃はオレンジジュースの入った紙コップからストローをシュコシュコさせながらぶつくさ文句を言ってくる。 「俺だけのせいじゃねえだろ。そもそもおまえが俺の言うこと聞いて調度良い時間に家を出るようにしてれば、こんなことにならなかったのによぉ」 「あたしが悪いって言うのォー?」 「お二人とも落ち着いてくだされ。過ぎたことではありませんか」 「ふぅ、全くだわ。遅刻された挙句に兄妹ゲンカに付き合わされるこっちの身にもなって頂戴」 「ああ……、すまん」 沙織と黒猫の仲裁で俺は矛をおさめたが、桐乃は口を尖がらせてまだ何か言いたそうにしている。 「チッ。やっぱムチ買っとけば良かった」 「ム、ムチですと!? 京介氏、そのお年でちとマニアック過ぎますぞぉ――ッ?」 「マゾね」 「違うわ! 沙織、てめわざと言ってんだろ! 黒猫! ぼそりと呟いてんじゃねえ、誰がマゾだ! それと桐乃、せっかく解けた誤解を戻すような発言をすんな!」 桐乃はツーンとそっぽを向き、黒猫は無表情にコーヒーを啜り、沙織は腹をかかえてカラカラ笑っている。 はぁはぁ……。 たくこいつら三人とも俺を引っ掻き回しやがって。おまえら専用のつっこみ担当じゃねえんだぞ俺は? 「それより、この後はどうするの? 遊ぶのはかまわないけど次にどこへ行くかくらいは決めておいても良いんじゃないかしら?」 コーヒーを飲み終えた黒猫が沙織に話しかける。 いつものようにノープランで巡回コースをぶらぶらでも良いが、せっかくならみんなの行きたい場所は回っておきたいということだろう。 そういや俺も桐乃からは遊ぶとだけしか聞いてねえな。 「そうですなー。拙者、実は今日お三方をお誘いしたい場所があるのです」 「へーどこよ?」 桐乃が会話に加わってくる。 「ふふふ、それはまあお楽しみというやつでして。そこは皆の行きたい場所へ行ってからに致しましょう。きりりん氏はどこか行きたいところはありますかな?」 「あたし? ん~アニメのDVD見たいかなぁ~。それにゲームショップね。あんたは?」 続いて黒猫へバトンを手渡した。 「そうね。私はマンガの新刊をチェックしておきたいわ。あとは新作の格ゲーが出ているはずだからゲーセンにも行きましょ」 「好きだよね~あんた」 「……くくく。百円玉ひとつでどれくらい勝ち続けられるか挑戦してみてもいいわね」 「そういえば前に一時間以上も勝ち続けていましたな黒猫氏は。誰も勝てないので結局対戦者がいなくなってしまいましたし」 そうなのだ。黒猫はことゲームに関してはかなりの達人で、大抵のゲームはワンコインでクリアまでいっちまう。 沙織の話の時は俺はいなかったが、黒猫に挑んで熱が入った挑戦者に十倍以上のお金を使わせて、なお勝たせなかったらしい。 「京介氏はリクエストはありますか?」 「俺? そうだな」 言われても、あんま買いたい物も無いんだよな。こいつらと違ってアニメのDVDを買うほどの熱心さじゃねえしゲームは桐乃に借りてやらされているし。 「おまえらの行きたい場所ならどこでもいいぜ?」 俺は三人に比してまだまだオタクレベルは低いと言える。 いや高くならなくてもいいんだけどさ。会話には加わりてえじゃん? だから桐乃たちの行きたい場所についていって、今どんなもんに興味あんのか教えてもらおう。 それに、好きなもので遊びはしゃいでいるこいつらの姿見ているだけでも、俺はけっこう満足したりしてる。 祭りとかの雰囲気ってみんなが楽しんでるの見ててもワクワクしてくんだろ? ああいうやつだ。 そんな胸中など知らない桐乃たちは俺の言葉を受けて別方向に解釈したらしい。 「なにしに来たのよって感じ」 「主体性のない男ね」 「いえ、京介氏はきっと我々美少女が傍にいるだけでも嬉しいということなのでしょう。きっと頭の中で『俺はこんな美人たちに囲まれている勝ち組なんだぜ? どうだおまえら羨ましいだろ?』と鼻を伸ばしているに違いないでござる」 「なわけあるか! しかも自分で美少女って言っちゃってるよアンタ!」 「いやー褒めてもらうと照れるでござるよぉ」 「褒めてないからねっ!?」 好き放題言いやがんなーこいつら。 「別に行きたいとこなんてねえから適当なことしろよって意味じゃないって。どこだろうが楽しんでるおまえらの顔見てると嬉しいってだけだよ、俺は」 さっきのことで懲りたので、俺はさっさと誤解を解くことにしたね。 「…………素で言ってますぞ?」 「は、反応に困るわね」 「キモ」 ん? なんかおかしなこと言ったか俺? 後日、このキザったらしいセリフを思い返して頭を抱えて叫んでしまうことになるのを気付かない俺であった。 それはそれとして。 俺たちは昼食を終え、秋葉原の街へと繰り出した。 最初に向かったのはアニメショップ。桐乃たちはさっそくDVDコーナーへ行き秋に始まるアニメのPVを観ながら歓談している。 「やっぱこの製作会社の作画チョー良いよね、早く放送始まんないかなぁ」 「そうね、作画が良いのは確かに認めるわ。でもせっかくの作画もこの原作のストーリーじゃ宝の持ち腐れじゃないかしら」 「んなことないって! あんた原作読んだことあんの?」 「無いわ」 「ちょ、読んだこと無いのにそんなこと言うな! 後で一階の書籍コーナーも見るんだから、そこでちょこっと読んでみなさいよ?」 「……っふ。そんなに言うなら読んであげてもいいけど、あまり期待しないでおくわ。一応私のお薦めも教えてあげる。あの作品よ」 黒猫は別のモニターに映し出されているこれまた秋に始まるアニメ紹介の映像を指し示す。 「は~ん、またこんなオサレ系の厨二臭いもん観るんだ。暗そうだしあんたにぴったしかもね」 「ちゅ、厨二ですってぇ~~」 「あ、ごっめーん。本当のこと言っちゃった。テヘッ」 頭をこつんとしながら舌を出す桐乃。当然その態度には微塵も反省していない気持ちが丸分かりだ。 「ぐがががが。なにが『テヘッ』よ。この頭からっぽマル顔スイーツ(笑)女が」 「な! だ、誰がマル顔スイーツよこのクソ猫!」 懲りねえなぁこいつら。 普段無口なくせに黒猫は桐乃と話をしだすとやたら饒舌になるし、桐乃は桐乃で挑発すること言っては言い返されて、熱くなってぎゃーぎゃー喚く。 そんな様子を俺と沙織は少し離れた場所から眺めていた。 「なあ沙織、今度はどういうアニメでこいつらじゃれついてんだ?」 PV映像は観たが内容を全く知らんのでもう少し詳しく教えてくれ。 「お任せあれ。きりりん氏が楽しみにしているのはラノベが原作のアニメでして――」 ふむふむと相槌を打ちながら沙織の話を拝聴する。 「タイトルはPVにある通り『俺の妹が可愛すぎてマジでトラブる』というものです。内容としては極度のシスコン兄が可愛い妹に毎回あれやこれやと世話を焼きつつセクハラしたりセクハラしたり、セクハラしたりするというものでござる。 最初こそ嫌がっていた妹も段々と眠っていたブラコンに目覚めていき、最新刊では二人の距離も近づいてきて、兄はそれまで出来なかった最後のセクハラをしてみようと決意している。とまあそんな感じでござるかな」 「ひでえ内容だな、おい!? てかその兄は妹にセクハラしかしてねえじゃねえか! しかもどうしてそれでブラコンに目覚めんだよ、兄妹揃って変態? 変態なのかそいつらは?」 「その辺は言葉で説明すると難しいのですが、原作ではコミカルなストーリーと一緒に丁寧な心理描写もしていまして、それが良いとけっこうな人気作なのですぞ?」 「そ、そうなのか……?」 どこをどう丁寧に描写しようと俺にはただのネジが狂った作品にしか思えないんだが? 「桐乃にゃ内緒だが、ぶっちゃけあんま面白そうとは思えんぞ? 黒猫のやつがお薦めしてる方が面白いんじゃないか?」 「黒猫氏がお薦めしている『咎人探偵のみぞ知るセカイ』は元が漫画でして、主人公が悪魔の力を借りながら秘めていた神の力を行使しつつ探偵として自分に濡れ衣を着せた犯人を捜していくという内容でござるな。 最初は協力的だった人物たちが殺されていったり主人公に疑心暗鬼となって襲いかかったりとなかなかエグいエピソードがてんこもりですぞ」 「…………俺あんま血がどばどば流れるとか内容が暗すぎるのは好きじゃないんだよな」 「安心してくだされ。毎週生首が転がる程度ですから」 「どこも安心出来ねえ!」 どういったストーリーだよ、ええおい。考えたやつは何か悲惨なことでもあったのか? 女にフラれたとか。 ん? どうした沙織。またωな口をして。 「京介氏は先ほどお二人についてじゃれついていると言いましたが、拙者も同じ気持ちでござるよ」 「まあな。おまえの言ってたことが分かってきたよ」 仲悪く罵りあいをしていると思っていた時期もあるが、今は違う。桐乃と黒猫はあれが二人の親愛のコミュニケーションのうちなんだろう。 昔、『仲良くケンカしな』って歌っていた再放送のアニメがあったっけ。まさにそんな感じだ。 「自分の好きなもん相手に教えてあげたくて仕方無いんだろうぜ」 「ですなー」 ニコニコしながら首肯する。 俺はようやっとってとこだが、最初から分かっていたおまえはやっぱりたいしたやつだよ沙織。 「そういや沙織はお薦めのアニメとかってある?」 「拙者でござるか? そうですな拙者は――全部ですかな」 「ぜ、全部っておまえ……観れるの?」 「録画しておけば時間が空いたときにでも。拙者、プラモデルを組み立てながらアニメ観賞するのが幸せな時間の一つでござる。ニン」 「はーあ。すげえな」 俺にはそんな器用な真似とても無理そうだわ。 「ちょっとあんたら、下行くわよ」 沙織と話している間にもうじゃれあいは終わったのか桐乃と黒猫は書籍コーナーへ行こうと俺たちを促す。 「おお、待ってくだされきりりん氏、黒猫氏―!」 沙織が急いで二人の後を追う。 「へいへい」と俺。 一階へ降りて、やはり似たような話をし始める桐乃たちだったが、結局二人とも、それぞれのお薦め品を持ってレジに並んでいた。 さて――それから場所を移し、ゲーム屋を何件かハシゴしつつ途中アイスを買ってだべったりしながら、俺たちはゲーセンへとやってきた。 ちなみにゲーム屋では桐乃、黒猫、沙織のトリオはアレがいいコレがいい、ここの特典がどうだこうだとうるさいことうるさいこと。 なぜ同じゲームが並んでいる店を行ったり来たりするのか会話に加わりながら聞いてみたが、返ってきた答えは「特典が違う、値段が違う」おまけに「店が違う」だそうだ。意味分からん。 「あったわ」 千円札を百円硬貨に両替した黒猫はとてとてお目当ての新作ゲームに小走りにかけていく。 ちょいとだけ説明すると2D視点の格闘ゲーム、黒猫の十八番と言えるだろう。 最新作だけあってギャラリーも多い。 黒猫もそれに混ざって他のプレイヤーたちが遊んでいるゲーム画面を見つめている。 「あんたコレやったことあんの?」 「いいえ、今日が初見よ」 「へぇ、それじゃさすがのあんたでも負けちゃうかもね~」 桐乃がニヤニヤしながら話しかけるが黒猫は「そうね」とだけ言い視線を画面から外さない。 一、二分眺めてから「だいたい分かったわ」と言った。何が分かったんだ? 桐乃と沙織も頭の上に疑問符を出している。 で、席が空いたので黒猫は筐体の前へ進み百円硬貨を投入する。 「大丈夫なのあんた? しょぼいとこ見せられても楽しくないんですけどぉ。ま、せいぜい頑張ってよね」 ……応援したいのか貶したいのかどっちなんだよおまえは? 「そうするわ」 そう桐乃に返事して対戦を開始する黒猫。 結果から言おう。桐乃の杞憂など全く無用だった。 対戦開始から二十秒も経たないうちにKOの文字が画面にでかでかと表示されたのさ。 相手はなすすべも無しに防御するだけで精一杯。それでもガードを無理矢理こじ開けてコンボを叩き込む黒猫の姿は悪魔としか言いようが無かった。 「ふふふ……くくっ……くかかかか」 不気味な笑い声を上げて次々の対戦者を屠っていく。 「おまえ、このゲーム初めてだったんじゃねえの?」 「初めてよ」 「にしてはすんげえうめえじゃねえか」 「たいしたことはないわ。2D格闘のゲームなんてある程度似通ったものだしね。当たり判定の見切りさえ分かれば後はどうとでもなるわ」 レバーとボタン操作しながら、さも当然とばかりに答える。 その間にも対戦相手のキャラクターが空中高く舞い上げられラッシュを喰らって地面に叩きつけられていた。 と、とんでもねえ女だなこいつ……。『だいたい分かったわ』ってのは当たり判定を見切ったということだったのかよ。 「ふああ。黒猫氏は既に神の領域に入り込んでおられるような感じですなぁ」 「こいつってどっかのゲーム会社が作ったロボットなんじゃない?」 桐乃と沙織も感心せずにはいられないようだ。 淀みなく流れる黒猫のスーパープレイを俺たち三人は歓声をあげつつ眺めた。 それから十分ほど経ち左上に表示される勝ち星が二桁を越えた辺りで黒猫はゲームを途中で終えた。 「やめるのか? まだ出来るのに……」 俺が聞くと黒猫はぼそりと呟く。 「……あなたたちは見ているだけでしょう?」 俺の頭の中に備わった黒猫語翻訳機によるとこう訳された。 『今日は四人で遊んでいるのだから私だけゲームしてても意味は無いじゃない。それよりみんなで出来るゲームをするわよ』 「おう、それじゃ別のもんでもやるとすっか」 俺が笑いながらそういうと黒猫は「フン」と鼻を鳴らす。 素直じゃねえやつ。翻訳機が必要無くなる日はいつか来るのかねえ? 「あんたも空気読めるようになってきたんじゃん? あたし飽きてきたところだしぃ。ほら、あっちに行ってみるわよ」 我が妹もきっと俺のより高性能なものをつけているんだろうぜ。口は悪いけどな。 「きりりん氏、黒猫氏! 拙者プリクラが撮りたいでござる!」 「ええ~あんたらと撮るの? 勘弁してくんない」 「ほらほら、早く早くでござる!」 「は~もう。強引すぎだっつの」 「……ふぅ、やれやれね」 乗り気でないことを言いながら沙織と一緒にプリクラコーナーへ歩いていく桐乃&黒猫。 ……桐乃。スキップ踏みそうになってんぞ? ……黒猫。髪を撫で付けて撮る気まんまんだな。 二人の『乗り気ではない』後ろ姿を見ていた俺は口と腹を押さえて笑いをこらえるのに必死だった。 「どのフレームにすんの?」 「あ、これなんていかがでござるか」 などと桐乃たちはきゃいきゃいプリクラを操作している。少し後ろでそれを眺める俺。 俺さー、プリクラってほとんど撮ったことねえんだけど最近のって随分すげえのな。 光の明度だとか髪の色をツヤ出しさせるとか、赤外線で撮ったプリクラ携帯に送れるとかゴチャゴチャとゲーム機とは思えないくらい機能が充実している。 あと他にも――パシャ! パシャ! 「うわ、いきなり撮るなよっ」――撮ってからもペンとかで文字書いたり絵を貼り付けたりも出来る。それらの種類も100以上と豊富。 淡々とペンタッチで操作しているが、俺にはなにがなにやら。はっきり言ってついていけん。 ま、別にいんだけどさ。男の俺にはプリクラの操作を熟達する必要なんてねえもーん。 「これでOKでござるな」 俺が肩を竦めている内にデコレーションが終わったらしい。モニター画面に映っているプリントのプレ画像を見て――なんだこりゃ!? 「おま、なんで俺が目をつむってるの教えてくれねえんだよ? しかも、頭の上に『↓シスコンの変態』って! 桐乃、てめえ!」 「はぁ? 知りませんケドぉ~」 「こんのおぉぉ~~~~! 沙織、消してくれよこれ」 「もうプリントボタンを押したのでそれは不可能でござる」と沙織はボタンを押下する。 「なぬ!? ――つうか今押したよね? オマエ!」 「はて? 拙者には京介氏が何を言っているのか良く分からないでござるよ」 嘘つけ、絶対わざとでしょ? わざとだよね? これ絶対わざとだよね!? 「目の前で書かれていたのに気付かないなんて……。ボケるにはまだ早いわよ、先輩」 俺の訴えは呆れた口調で黒猫にあえなく切り捨てられた。 プリントアウトが終わり、目をつむって口を半開きにしているマヌケな顔が写るプリクラ写真を眺めながら俺は決意したさ。 もうぜ――ってえええ、プリクラなんてしねえよ! プリクラを撮った俺たちは、気を取り直して――つっても俺だけだけど――クレーンゲームのコーナーにやってきていた。 俺が小っちぇえ頃はまだぬいぐるみくらいなもんだったが、最近は色々あるよな。 お菓子の詰め合わせやらゲーム機やら。実に多種多様である。 良い景品でもねえかな~とウロウロする俺+女オタ三人衆。 「あっメルルちゃん!」 声をあげた桐乃の視線を辿ってみると、『ほしくず☆うぃっちメルル』のキャラクターが描かれたフェイスタオルが景品となっている筐体があった。 「ほう、メルル初期のバージョンですな」 「これ知らなかったなぁ。今日来てラッキー☆」 嬉しそうにさっそく財布からお金を出しタオルを取ろうとしている。 普段垢抜けた格好をしているギャップから、こういうしぐさはかなり幼く見えて可愛いらしい。 「うーし、この辺かな」 「もうちょっと右じゃない?」 「あと三、いや二センチほどでごるな」 黒猫と沙織も加わってメルルタオルをゲットしようと協力する。 ウィィィとクレーンが目標物に近寄っていって掴み取ろうとするが、 「あ……あ、ああぁぅ」 残念ながら取れなかった。タオルは紙のケースに収められているんだが長方形で重心のバランスがかなり取れにくい。 更には引っかかりそうなところもないのでクレーンでちょっと持ち上げただけでぽとりと落ちてしまうのだ。 「くううう、もう一回やる!」 桐乃は再度挑戦したが、やはりタオルは五センチほど持ち上がっただけでクレーンから滑り落ち、元の場所とほとんど変わらないところへ着地した。 諦めずに、もう一度と両替した硬貨をどんどん筐体へ飲み込ませていく桐乃。 「桐乃よ。あんまムキになんなって。その辺に売ってるかもしんないようなもんなんだしさ」 家帰ってパソコンでネット使って探せばすぐに見つかるだろうが、こんなん。 それに、ばかすか金使うほど高価とは思えないよな、どう見たってただの木綿のタオル一枚だぜ? 「うるさい! あたしは取る!」 あーだめだこれ。俺の言うこと聞きゃしないわ。こいつメルルのこと大好きだもん、子供がだだこねてるのと一緒みたいなもんだ。 「はあ……。しゃあねえな」 じゃあいっちょ、俺も手伝ってやるか。 そして俺も黒猫たちに混ざって桐乃がメルルタオルをゲット出来るべくサポートしたりしてたんだが……。 だめだ、取れないわコレ。 クレーンの神テク動画を沙織が携帯で探してそれを参考にもしてみたんだがなかなかうまくいかない。 幾度トライしても、アームがタオルを掴みあげて景品の受け取り口に運ぶことはなかった。 「もぉぉぉなんでよお! アームがヘボすぎなんじゃないのこれぇぇ!?」 ケースにおでこをへばりついて地団駄を踏む桐乃。 確かにちと辛過ぎだろ、このクレーン。タオルを掴んでも、持ち上げようとすると同時にアームがへにょへにょ開いちまってるしよ。 「もういい! またにする! 次はこんなクソアームじゃないゲーセンでねっ」 捨てゼリフを吐いて筐体から離れる。 「気を落とさずに元気を出してくだされ」 「お子様向けアニメの大量生産品、その辺にいくらでもあるでしょう」 涙目になっちまった妹をなぐさめつつゲーセンを後にしようとするが、一人、そこから動こうとしないやつがいた。 俺だ。 「どうされました京介氏?」 「……先輩?」 わりぃ、ちと待っててくれよ。 「――――俺が取る」 どっか妙なスイッチが入っちまったのか、なんでか俺はこのメルルタオルを手に入れようとする気になっていた。 さっき既に両替を済ませておいた小銭を投入し俺はクレーンゲームに向かい合う。 「と、取るって――さっきあたしがさんざ失敗してたのに取れるわけ無いじゃん」 「やってみなきゃわかんねえだろ。おまえがやったぶんだけ穴に近づいてるしな」 「で、でもちょっとだけだし!」 いいから見てろって。 クレーンを慎重に操り重心が安定しような場所に下ろしていく。 が、やはり桐乃と同じように途中でぽろっと落ちてしまった。 「無理に決まってんじゃん、バーカ……」 「まあ待てって。まだ一回目だし。それにちいとは動いてるだろ」 とは言っても、少しづつ穴に近づけていくやり方じゃ金がどれくらい必要になるか分からない。やっぱうまくバランスが良い場所を見つけて掴みあげるしかねえよな。 五百円玉を投入口に運びいれ、ボタンに軽く手を乗せながら俺はクレーンとメルルのタオルを凝視した。 それから……、 角度を微調整したり、どうにかしてひっかけれないかと色々やってみたんだが。 「取れねえな」 二度、三度、四度と回数を重ねただけで依然としてメルルはケースの中で笑っている。 チッ、やっぱ辛いなこのクレーン。 「ほーらやっぱ無理じゃん。あたしが出来ないんだから、あんたに出来るわけないっしょ」 桐乃はあさっての方向を向きながら吐き捨てるように言う。 「まだ五百円玉一回分だろ、おまえが挑戦した回数よりずっと少ねえよ。こっからだ、こっから!」 「ハ。好きにすればぁ?」 ……俺ってばゲーセン屋さんの策略にモロはまってんなー。 景品をエサにへなちょこアームで何度もお金を使わされてさ。そんで、取れねえからますます熱くなってやってんの。ダセえ……。 だいたい自分で言ってたじゃん。その辺に売ってるようなもんにムキになってどうするよ。 黒猫の言うように大量生産品だろうぜ、別のとこで買うなりすれば収まる話だよ、そうだよなあ? ――――――――――――――っへ。 しょうがねえじゃん。俺はこれが欲しいんだよ。 このメルルのタオルが、な。 ――そろそろ桐乃が挑戦したのと同じ回数にまでなってきた。 黒猫と沙織は横からクレーンの動きを見守っているが、俺の後ろで文句を垂れていた桐乃はもう黙ってしまっている。 もう一度だ、もう一度! やっとベストの位置が掴めてきたんだ。頼む! 取らせてくれっ! 残り少なくなった小銭を投入して、瞬きもせずにクレーンとタオルの空間を頭の中で計算してクレーンを下ろす。 へなちょこアームがメルルの入ったケースを掴んで、 「あ……」「おお!」 横から見ていた二人が歓声をあげた。 よっしゃ――! ついにアームがデレてくれてメルルタオルを持ち上げやがった! 絶妙なバランスを保ち、ふらふらしながらクレーンで運ばれていく。 くうぅ! 心臓に悪い! ちょっとした震動でも落ちちまいそうじゃねえかよ!? 「落ちるなよ、メルル!」 人じゃないんだから答えるわけもねえが、俺はメルルタオルに向かって応援の掛け声をかけた。 こんなにメルルに声援を送ったのは始めてかもしんねえ。 「もう少しでござるぞ!」 「…………落ちたら次は私が闇の力を行使してあげるわ……」 沙織と黒猫も応援してくれる。 あともうちょい! いけ! そのままいっちまえ! 頑張れメルル――ッ! クレーンの動きに夢中だったが、ふと、後ろからも声が聞こえた気がした。 そして―― 俺たちの応援が通じたのかどうかは知らねえが、メルルタオルは景品受け取り口の穴へと吸い込まれていった。 「やりましたな京介氏!」 「へへ、まあな」 受け取り口から取り出したタオルはやはりただのタオルだったが、苦労したぶん宝物でも手に入れた気分だ。 後ろへ振り返り桐乃に手渡す。 「ほらよ」 「ムキになっちゃってバカみたい……」 両手で受け取りながら憎まれ口を叩く。 「フン、悪かったな」 だが、次に出てきた言葉は、俺を満足させてくれるものだった。 「えと、その……あり……がと………」 「……おう」 メルルのプリントされたタオルを見ながら口元を緩めて桐乃は笑んでいる。 ま、これ一つに俺と桐乃とで数千円も使っちまったわけだが、こんなに嬉しそうにしてるんだ。 価値は、あったよな? 「良かったわね、手に入って」 黒猫が桐乃のそばへ寄り言葉をかけた。 「ま、まあね。へへ……」 「ただ、とても喜んでいるのはそれだけが理由なのかしら?」 「……ッ……! う、うっさい!」 なんか知らんが、黒猫と桐乃はまたじゃれあいだした。仲良いなこいつら。 「では行きましょうか?」 「そうだな」 沙織の言葉を合図に俺たちはゲーセンを後にした。 ゲーセンを出てまたぶらぶらと秋葉原の街を歩いていると、沙織が「エヘン」とわざとらしく咳払いをしてωな口になった。 「そろそろ皆々様をお誘いしたい場所へご案内してもよろしいかな?」 「そういや、そんなこと言ってたっけ、どこなの?」 「着いてからのお楽しみでござるよ」と先に立って案内を始める。 どうやら俺たちを喜ばせようとしているらしいな? おまえサービス精神よすぎだよ。ちっとは肩の力抜いて俺たちにわがままでも言ってもいいくらいなのに。 そしたら俺の心を読んだように沙織がこう言うのさ。 「チッチッチ。京介氏、拙者は別に肩など凝っておりませんよ?」 「んーおまえがそう言うなら。でも、礼は言わせておいてくれ。ありがとな」 「なんのことか分かりませんが、受け取っておきましょう」 いつものようにすっとぼけて「ニン」と沙織。 もしかして、ある意味桐乃や黒猫よりも、こいつが一番素直じゃないんじゃねえの? 「このビルの三階でござる」 沙織の先導でやってきた先はちょっとした雑居ビルだった。 狭い階段を昇っていくと、入り口横に『コスプレスタジオ』という文字が書かれた看板が掲げられている。 「コスプレスタジオ?」 看板をそのまま読み上げて疑問符をつけると沙織が説明してくれた。 「はい。ここは拙者の知り合いがやっているお店でして。今日はせっかくなので挨拶がてら皆でまたコスプレ撮影をしようと考えた次第でござる」 「えー歩き回ったばっかなのにぃ。ちゃんとメイク室あんのぉ?」 「全くどこへ連れて行くかと思えば。私はコスプレ衣装なんて持ってきていないわよ」 さっそくソワソワしだす天邪鬼が二人。もうこういうときの言葉は信用ならんな。 「心配ご無用ですぞ黒猫氏。みなさんに合わせた衣装は既に用意済み! この沙織に抜かりと言う文字はありませぬーっ!」 沙織はそう高らかに言うと、ドアを開けて中へ入って行った。俺たちもそれに続く。 「おお……」 ビルの中はアイボリーのぴかぴかした壁でかなり綺麗だった。 受付で沙織は知り合いなのだろう相手さっそく挨拶を交わしている。 その間に俺、桐乃、黒猫は店内を見渡す。 思ったよりもずっと広い。撮影の待合スペースには結構人がいて、ちらほらとコスプレした人たちが雑談している姿も見かける。奥には撮影ルームとメイク室なんて扉がある。 「すっごぉ、本格的じゃーん」と桐乃が感想を漏らす。 「おまえこういうとこで撮影もしたことあんの?」 「まあねー。いくつか渋谷のほうにあるスタジオで撮ったことあるかな」 読者モデルとして色んなとこで撮っていたんだろうな。 俺は勿論こんなところへ入ったことがないので、少々落ち着かない。 「黒猫、おまえは?」 「無いわね。カメラはあるから自宅で似たような撮影環境を整えているわ。さすがに比べられるようなものではないけれど」 へー。でもこいつ器用だから、素人の俺から見たらかなりすごい感じになってんのかもな。 「お待たせしました! それではいざメイク室へ」 受付の方で話をしていた沙織が戻ってきてコスプレ衣装の入っているであろう紙袋をそれぞれ俺たちに手渡す。 「……俺もやっぱすんのね」 「ハッハー、今更でござるよ京介氏。毒を喰らわばおかわりと言うではありませんか」 「それを言うなら皿までだ!」 つっても、これが初めてってわけでもねえし、沙織がせっかく俺たちを喜ばそうと用意してくれたんだ。 他人がいるんでちょっと恥ずかしいけど、いっちょノリノリでコスプレしてやんぜ。マスケラのコスなんて超似あってたしな俺! 「ところでこの袋の中身は?」 なんのコスチュームなのかと黒猫が沙織に尋ねる。 ふむ、俺もそれは気になるな。 「はい、先ほどきりりん氏と黒猫氏が盛り上がっていたアニメのコスです。放送を先取りして一足早く気分を味わってみようと拙者かなり頑張ったでござる、えっへん!」 それを聞いた桐乃と黒猫はますます喜色を浮かべてたのは言うまでもない。 男子と女子別々のメイク室に分かれて着替えを始めた。 「ふむ、ガクランかこれ?」 紙袋からごそごそと取り出してみると詰襟のガクランらしき衣装が出てきた。 中坊のような黒ガクランではなく、少しスタイリッシュな紺の色合い、それと裾が膝下まであるデザイン。 いわゆる長ランってやつだ。 なんだ? 不良のアニメでもあんのか? 桐乃と黒猫が盛り上がっていたアニメのコスプレ。確か『俺の妹が可愛すぎてマジでトラブる』ってのと『咎人探偵のみぞ知るセカイ』だっけか……? …………俺はイヤ~~~な予感を覚えたさ。 取りあえずちょっとトイレに行っておこう。一度衣装を袋の中に戻し、心を落ち着かせるべくトイレへ行き、用を足して戻る。 ふぅ……。よし、覚悟完了。 もういちどガクランを取り出してすがめ見る。 パッと見コスプレだけあってちょっと変わったデザインではあるがおかしいところはない。 俺の考えすぎだったかな? くるっと詰襟部分を持っている手をひっくり返して背中を見る。 ………………………………。 考えすぎじゃねえよ、俺の予想の斜め上を鋭角にえぐってきやがったよちくしょう……。 「沙織ぃぃぃ~~~! ぐぎぎあががががぐぐっ!」 おもいっきり叫びたい気持ちを噛み砕くように俺は歯軋りをしたさ! だって見ろよこのガクランの背中!? 『セクハラ上等! 妹LOVE!!』 なんでこんな文字が躍り狂ってんだよ、このガクランは――――ッ! しかも背中いっぱいにでっかく! 女の書いた字みてえな丸っこいフォントで! なめてんのかてめえええ! なにがセクハラ上等だ、妹LOVEだ!? 良く見りゃ、ボタン一つ一つに『妹』って文字が打ってあるしよぉ! こ、これを俺に着ろって言うのか沙織さんよお? 罰ゲームってレベルじゃねえぞ、おい。 どこからどうみても変態にしか見えない、これ考えた原作者病気だろ、病院行って来い。むしろ病院が来い。 ガクランを手に持ったまましばらく固まっていたが、折角用意してくれた沙織の好意を無下にするわけにはいくまいと俺はのそのそと着替えを始める。 ぬぬぬ……。これはあくまでアニメのコスプレだ。俺が気にするこっちゃねえ。 そう頭に言い聞かせながらボタンを外していくと、裏地にこの変態兄貴の妹であろうアニメ絵がでーんと貼っつけられていた。 ははは、こやつめ。 乾いた笑いしかでてこねーよこんちくしょう―――! なんとか着替えを終えて姿見で確認してみる。 おお、けっこう似合ってんじゃねえの? 裏地や背中の文字を忘れて俺は気分が高揚した。 良いよ、良い! アホなコスプレだが長ランなんて着たことなかったからな、へへ。 不良に憧れてるとかじゃねえぞ? でも応援団とかかっけえじゃん、自分が強くなったみたいな気がするしな! へへへっと姿見の前でポーズを取っていく俺。 くるりと背中を向けて…………。 さて、沙織たちが待ってるだろうし、行くか。 あーやれやれ。ドアを開けて待合スペースに目をやると、桐乃の姿が見えた。 が、 「なんだ?」 紺色のセーラー服のようなコスプレをした桐乃の前に長身の黒スーツ姿の男がいて何か言い寄っていた。 「ちょ! やめてって、イヤだってば!」 桐乃が男を拒絶するように手を前にして抵抗しているが、お構い無しに男は詰め寄ってきている。 血が勢い良く流れ出すのを感じたよ。 つかつかと桐乃と桐乃に言い寄ってくるクソ野郎に近寄り、ガッと勢い良く腕を伸ばして二人の間に割り込む。 「俺の桐乃に何か用か?」 「え?」「きゃっ」 桐乃にちょっかい出してやがった男の顔はめちゃくちゃな美青年ってやつだった。肌も透き通っておりキメも細かい。 この野郎、ちと顔が良いからってこんなとこで人様の連れをナンパしてんじゃねえぞ? 女みてえな声出しやがって、オカマかこの野郎。 驚いている相手へ更に文句を言おうとしたら、 「痛っ!」 ガスンと脛に強烈な痛みが来た。桐乃だった。 「ちょ! あんた、沙織に何言ってんのよ!」 痛てぇなこのっ! おまえが絡まれてたから助けようとしてんのに蹴りいれてくるってなんだよ!? 「あん? 沙織……?」 振り返ってもう一度男の顔を見る。 うん、ムカつくくらいの美形ってやつだ。チーズバーガーをぶつけてやりたい。 女装なんかしたらすんげー美人になんだろう。 …………………………。 …………あれ? え~と、美人になるというか……なる以前に女っつうか、どっかで見た顔……? 「さ、沙織……か?」 俺が尋ねると美青年はスーツの内ポケットからぐるぐる眼鏡を取り出し、スチャと顔にかけてから微笑んで答えた。 「はい、拙者でござるぞ京介氏!」 「なにいいいいいい!」 長身、ωな口元、胸も男に比べりゃ張り出している。ズラを被ってスーツ着て男装しちゃいるが、よく見りゃ確かに沙織だ。 「き、気付かなかった……」 「いやー京介氏が気付かないのも無理ありません。拙者この身長ですので男モノのコスプレをすると誤解されてしまうことが良くあるのです。ちなみにこれは『咎人探偵のみぞ知るセカイ』の主人公のコスプレでござるよ」 「少し見れば分かるでしょうに。よほど頭に血がのぼっていたのかしらね?」 横から声をかけてきたのは黒猫だった。 黒色のパーティドレスのような衣装に身を包んでなぜか手に鎌らしきものを持っている。 「黒猫、おまえその格好……」 「あ、あまりじろじろ見ないで頂戴っ」 いつものゴスロリではないが、こっちも黒を基調としているだけあってイメージが重なり、かなり似合っている。おそらく沙織と同じ咎人探偵のコスプレなんだろう。 「よく似合ってんな――――っ!? 痛い!」 俺が黒猫へのコスプレに感想を述べているとまた脛に蹴りがきた。 「あんたのせいでとんだ恥かいちゃったじゃん! それに沙織に乱暴したこと謝んなさいよ!」 くううう。いちいち蹴ってくんなよな、おまえ。 だが、もっともな言い分でもあるので、言うとおり沙織に頭を下げる。 「ほんとすまなかった、沙織。許してくれ」 「いえ、少々びっくりしただけですので気にしないでくだされ」 「おまえ、コスプレしてるとオーラみたいなもんまで変わるし遠目だと気付かなかったよ」 「はっはー。拙者のコスプレは京介氏をすっかり欺けたということですなあ」 満足顔でうんうんと頷いている。 そうなのだ、こいつはコスプレでキャラになりきるのがすげーうまい。初めて沙織の家へ行ったときも姉のコスプレした沙織に全然気付かなかったし。 だから俺は沙織とは気付けずにてっきり。 「すまん。てっきり桐乃のやつが絡まれてるもんだと思っちまってよ」 「なるほど、それで『俺の桐乃』なのね」 「え?」 「あら、覚えていないの? あなた沙織に食って掛かったとき言っていたわよ。『俺の桐乃に何か用か』ってね」 ――――んな!? 「そ、そんなことは……い、いいいっ言ってねえぞ俺は!」 「無駄よ。このフロアの全員が証人と言っていいわ」 なん……だと? ぐるりと周りを見ると、女の子三人ほどのグループがこっちを見てうんうんと首を縦にふっていやがる。 「ぐ、うう……。い、言ってねえ! そ、そんなこと俺が言うわけねえだろぉがあぁ! ま、万が一言ったとしても! 『妹に』ってのをちと言い間違えただけだっつの!」 「往生際が悪いわね、犯人はあなた以外有り得ないのよ」 「ば、ばかな……! そんな――っていつから俺は犯人だよ!? と、とにかく違うかんな!」 「当のきりりん氏に聞いてみてはいかがか?」 びく! そ、そうだ桐乃は? おそるおそる振り向くと、桐乃が眉間に皺を寄せて顔を赤くしてこっちを睨んでいた。 「あたしがいつ、あんたのものになったって言うのよ! 死ねっシスコン!」 「だから、ただの言い間違えだって!」 「黙れ! きもいんだよウジムシ! 妹を恥ずかしい目にあわせるようなことして――! あーやだやだやだ、きもいきもいきもい――ッ!」 くそおおお、そりゃ言い間違えたのはあれだけど、そこまで言うことないだろうがよぉ~~! 「つ、つーか何してたんだ、おまえら?」 桐乃に話しかけるたびに罵倒の言葉しか吐かないので、たまったもんじゃねえと俺は沙織に話を向けた。 それでも後ろからキモい、ウザい、きしょ、シスコン、変態、死ね、と何度も何度もぶちぶち文句を投げつけてくるお怒りの妹様。 あーうぜ。 「ははは、なあに。きりりん氏にこれを持ってもらおうとしていたのですよ」 ひょいと見せてきたそれはトランクスパンツだった。 「……なんでパンツ?」 「きりりん氏の扮するキャラクターは兄を嫌ってはいるのですが、昔落ち込んで泣いていた時にそっと兄からハンカチ代わりに渡されたパンツを今でも大切に持っているという設定でして」 なんだそのクソ設定は? 涙拭くのにパンツ渡すって、しかもそれ大切に持っているとかクレージーすぎんぞ! でもそのクレージーな兄のコスプレを今しているんだよなぁ俺。ああ泣けてくるなぁくそう! 「さ、さすがにそこまでしなくていいってば! それただのトランクスだし!」 「では京介氏のパンツをお借りして――」 「「ふざけんなっ!」」 不機嫌になった桐乃とこんときだけは一緒になって叫んだ。 「お二人はコスプレのキャラになりきっているようで、拙者うかうかしていられませんな」 「誰がなりきってるって?」 俺は変態のキャラになりきった覚えはないぞ。第一内容も知らんしな。 「いやいやー、誤解とは言え妹を助けようとする行為、まるで原作を忠実に再現したかのようでござったぞ。ねえきりりん氏?」 「うっえぇぇ! まじキモかったっつーの」 まだ言うか、この妹は。 俺そんなおかしいことしたか? 妹とかそんなんじゃなくて、一緒に遊んでいる相手がなんかされそうなところ見たら、誰でもああいう行動とるだろ。なあ? 「それに――あたしがしたいコスプレしててムカつくしー」 「あん?」「どういうこと?」 俺と黒猫が同時に疑問を投げかける。 「ねえ沙織、今度あたしにこのバカが着てるコス作ってよっ」 「おー、そうでござったか。きりりん氏はこちらのかっこうがお気に入りだったんですな」 …………こいつ、もしかして? 俺が考え付いた答えを黒猫が代弁してくれた。 「あなたもしかして、先輩がしている〝兄のコスプレ〟がしたかったの?」 「そだよ。だってセクハラされても『兄貴ー』とか言ってかまってきちゃうんだよ、この作品の妹! チョー可愛くない? あたしも妹にそんなこと言われるコスプレしたい」 頬に両手をあげていやんいやんと気持ち悪く首をふっている……。 だっはぁ~! なんっじゃ、そりゃ! 俺は盛大にため息をついてガクンと膝を曲げた。 完ッ全に理解したわ! おまえが怒ってたの半分以上それだろ! 自分がしたいコスプレを兄貴の俺がしてたんで僻んでやがってことか! 変態シスコン野郎はおまえだ桐乃! 「でも、こっちの妹ちゃんのコスプレも好きだよ。あんがとね沙織♪」 「いえいえ、お安い御用でござるぞきりりん氏。では今度いっしょに生地でも買いにいきましょう」 「うんっ」 沙織にフォローをいれつつ会話する桐乃を俺は脱力して見ているしかなかったよ。 「…………苦労するわね」 「は、はは。ありがとよ黒猫」 気持ちを分かってくれるその一言が無けりゃ俺、窓から飛び降りてたかも。 撮影も無事に終わり、ビルを出ると既に空は夕暮れになっていた。 「いやー楽しかったですな」 「なかなか良かったわね。次は私がコスプレ衣装を用意してもいいかしら?」 「おお是非! 黒猫氏の作られる衣装は拙者より再限度が高いですからな!」 「ふん、お世辞を言っても何も出ないわよ。時間もかかるし、せいぜい期待しないで待っていて頂戴」 「きりりん氏と京介氏はどうでした?」 「うん面白かった! ――ちょっとキモい人がいたケドぉ~」 「だーから。あれはちょっと言い間違えただけじゃねえかよ」 桐乃のやつはまだ俺に対してご機嫌が直っていない。ベーっと舌を出してくる。 チッ、撮影のときに足踏んづけやがったの、わざとだろおまえ? 「……っふ。それにしてはかなり楽しそうな顔をしているわよ」 「だっ! 誰がっ!」 「にやけた口からヨダレが出ているわよ」 「え、嘘っ!?」 「嘘よ」 「……っ! こ、このバカ猫!」 駅に向かって歩きながらも、桐乃と黒猫はさっそく痴話ゲンカを始めだす。元気ありあまってんなこいつら。 二人を放って置いて俺は沙織に礼を言った。 「今日は誘ってくれてありがとな。おかげですげー楽しめたぜ」 「なんのなんの。拙者こそ楽しい一時を過ごすことが出来ました。京介氏たちのおかげです」 相変わらず腰が低いというか、誰隔ての無く気配り出来る精神に俺は感じ入る。 「また時間をみつけて集まろうぜ。アキバじゃなくても俺ん家とかでもいいしさ。今度はこっちから誘うよ」 「はい、楽しみにしております」 沙織はそれと――と、続けて言う。 「きりりん氏はああ言ってはおりますが、言葉ほどには怒っておられないと思いますので、余りお気になさらないでいいはずですぞ」 「ん? ああ、あれな。まあいつものことだ、あれくらいだと明日には直るから気にしちゃいないって」 「ほう、さすがに兄妹だけあって京介氏はきりりん氏のことを良く分かってらっしゃる」 「そんなんじゃねえって」 苦笑しながら沙織へ答えた。 兄妹だからって理由で分かってんじゃないんだよ。今まで少しづつ関係を積み重ねてきたからこそ、俺は桐乃のことをやっとこさ、なんとなくだが分かってきたってだけだ。 当然全部ってわけじゃ無い、あいつのほんの一端を知りえたってだけだ。 「おまえや黒猫ほど分かっているわけじゃねえしな。これからもあいつと仲良くしてやってくれ」 「ニン! 言われなくてもですよ。それと――京介氏もですぞ」 「おう」 桐乃の一端を知ることで会話が生まれ俺たちは兄妹として再生出来た。そしてこれからも、少しづつ積み重ねていければと、そう思わなくはない。 喋っているうちに駅に着く。 「それでは帰ると致しましょう。後で先ほど話したURLを送るのでメッセを立ち上げておいてくだされ」 「沙織のお薦め動画なんて私の好みじゃないとは思うけど。いいわよ、スイーツのお薦めよりはよほどマシだろうしね」 「あんたのイカれたMAD動画に比べられたくないんですケドー」 「おまえら、仲良いのは分かったから――」 「「良くないっ」」 「…………あっそ」 そうして俺たちは四人で遊んだ秋葉原から家路へとついた。 ――その日の夜。 俺がリビングへ降りて行こうとすると階下から桐乃が上がってきた。 横へどいてやると目で会釈をして通り過ぎる。 風呂あがりの良い匂いが少し鼻をかすめる。 そのまま何も言わずに俺は階段を下りて行こうとしたが、「あのさ」と桐乃が声をかけてきた。 口を聞くのは帰り道に黒猫と別れて以来だ。 「なんだ?」 問い返すと桐乃は頬を膨らませたり萎ませたりしてたが、やがてすげない口調でこう言った。 「――タオル。大事に使うから」 「あ、ああ」 桐乃は「そんだけ」と言って自分の部屋へ入っていった。 …………大事に使うから、か。 ああ、使ってくれ。俺たちが苦労して取った戦利品だもんな。 「さーてと、俺も風呂に入るか」 楽しかった休日が冷めないうちに。 br() br() br()
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/643.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1342354795/281-317 リビングに入ると裸エプロンの桐乃が立っていた。 「ちょっ…おまっ!?」 桐乃は怪訝そうな顔で俺の横を通り抜けると、部屋を出ていった。 俺はすぐさま後を追いかけるが、階段を上がっていく後ろ姿を見て 思わず納得した。 桐乃はちゃんと服を着ていたのだ。 季節は夏。 タンクトップにショートパンツという面積の小さな服を着ていたので、 服の生地がみんなエプロンの下に隠れちまってたってわけだ。 「紛らわしいやつ…」 俺は無性に腹が立った。 こっちは帰るなり妹がすごい格好で現れたので、思わず心臓が止ま りそうだったってーのによ。 ため息をつくと、リビングに入る。 するとキッチンには料理器具が広げられていた。 どういう風の吹き回しか、桐乃は料理でも作っていたらしい。 「なんで、いるの」 戻ってくるなり、桐乃はぶっきらぼうに言った。 「なんで…って、ここ俺の家なんですけど」 手には本。 いま部屋にでも取りに行ってたんだろうな。 「そうじゃなくって、どうして『今いるのか』って聞いてんの。あんた友達 と出かけたんじゃなかったの」 「いや、すっぽかされたんだよ。赤城のやつ、急に妹の買い物に付き 合うとか言い出してさ。ついさっき連絡が来た」 見るとレシピ本らしい。 数冊重ねてある一番上の表紙からそう判断した。 桐乃は流しの前に立つと、それを脇へ置いて、こちらへ向き直る。 「ふぅん。それでノコノコと帰ってきたってわけ?」 大げさなため息。 つーかノコノコって…ずいぶん棘のある言い方だな。 「それ言うならお前だってそうだろ。どういう風の吹き回しだ、それ」 俺はキッチンに散らかったものを顎でしゃくった。 それに対し桐乃は、 「う、うっさい! いいでしょ、別に」 睨みを利かせると、顔を背ける。 んーだよ。 なにキレてんだよ、ったく。 今日は日曜日。 昨日の晩、親父とお袋が揃って出かけるという話を聞いていたから、 俺は玄関で靴を脱ぎながら、家には誰も居ないものだと思っていた。 もちろん桐乃がいる可能性は知っていたが、大抵は部屋にいるか、 居間にいてもテレビを見ている、もしくは電話をしているので物音で わかる。 さっきドアの前に立ったとき中は静かだったから、俺はやはり無人 なのだとばかり思っていた。 そこで例のアレである。 ほんと、こいつといると騒動には事欠かねえよな。 俺は冷蔵庫から麦茶を取り出すためキッチンへ向かう。 その際、改めて桐乃の格好を見てやることにした。 ピンクの可愛らしいフリルがついたエプロン。 その脇から見え隠れするのは面積の小さな衣服。 やはり裸同然の格好だ。 ゆったりとしているエプロンとは対照的に服はタイトで、身体のライ ンが出まくっているから、なんつーか…エロいんだこれが。 「あ…あやせが教えてくれたのよ」 俺が麦茶をコップに注いでいると、桐乃が言った。 目の端には料理本をめくっているのが見える。 「それだけよ。ただ、それだけ…」 で? どうして気まずそうに話す? 「へえ…あやせ料理できるのか。それはいいなぁ」 俺は麦茶のパックを冷蔵庫に戻しながら、鼻の下を伸ばした。 あやせの料理ってさぞかし美味いんだろうなと思っていたからだ。 ましてや裸エプロンなんてやってくれた日には、俺もう、死んでいい かもしれん。 「あんた…合コンとかで絶対騙されるタイプね」 「なっ…」 桐乃が飽きれ顔で言った。 俺はなぜ心が読める?とすぐに反論を思いついたが、むろん言える わけもなく、舌打ちするのをぐっと堪えリビングに戻る。 テーブルにコップを置くと、ソファに腰掛けた。 そのまま雑誌を広げ、パラパラとめくった。 俺はたまには妹が料理をしている音を聞きながらリビングで寛ぐって ーのも乙なもんだなーと思った。 「な…なんでいるのよ」 桐乃は作業しながら、しばらくの間こちらをチラチラ見ていたが、やが て耐えかねたように言った。 「なんで…って、ここ自分の家なんですけど」 あれ? さっきも同じことを言ったよな俺。 「そうじゃなくって、どうして『今ここに』…って…もうっ! いい!」 桐乃はぷいと作業に戻った。 なんだよ、同じセリフ言えっつーの。 漫才みてーで面白かったのによ。 しばらくして桐乃はケータイを取り上げると、誰かへメールを打ちはじ めた。 その後、通話をはじめる。 「あ、ごめんね、いま大丈夫?」 どうやら相手はあやせらしい。 「そう。そこが分かんないんだけど。どうやってやるんだっけ?」 桐乃は楽しそうに話しながら、あれこれと器具を引っ #25620;きまわしてい る。 お世辞にも手際がよさそうには見えなかったため、俺は出来上がり を心配したが、まぁ、どうせ食わせちゃくれないんだろうな。 だってこいつ、もし要求したら平気で「1億払え」とか言いそうだし。 「え? うん、分かる、分かる。そう。っていうかマジ最悪だよねーそれ」 雑誌をめくりながら聞くともなく聞いていると、話の内容がどんどんと 料理から離れていくのが分かった。 「うんうん。そうだよねー。ほんっと最悪」 これ”ザ・女”って感じだよな。 作るなら作る。 喋るなら喋る。 どっちか1つにできねーもんなのかね。 「ほんっと使えないし、今も邪魔してくるし、サイッテー。でもいいなぁ、 あやせは1人っ子だから」 あれ? 俺Disられてる? 桐乃を見ると、こっち見てギリリ…とかやっていてるし。 ぎ、ぎりりん氏ではござらぬか…。 「えー? 兄貴なんて、いたってウザイだけだって。あたしなんて毎日 イライラさせられてばっかだし」 こりゃ確実だな。 俺はいま妹にDisられてる。 すっげー嫌そうな顔で、「この部屋から出ていけ」というメッセージを 発せられてる。 だが俺は従わない。 だってどうして自分の家のリビングなのに行動を制限されなくちゃな らねーんだよ。 俺はここにいたいんだ。 文句あっか? 「そーそー。男の兄弟でも、弟ならまだ可愛げがあるんだけどねー」 そう言いながら、桐乃はキッチンの前に回ってくる。 「でも、あたし的には男ってだけでアウト。マジありえない。バカ過ぎ だし、鈍感だし。あと使えないし」 身内の価値を「使える/使えない」で判断すんな。 桐乃は嫌そうな顔のまま、俺の前のソファに腰掛ける。 おまけに足なんか組みやがって。 「スケベで、バカで、あたしのノーパソ借りパクして。しかもエロサイト ばっか見まくって…」 そ、それを言うなって! しかもあやせに…。 この鬼畜妹が。 お前のせいで「鬼畜妹(きちくまい)」なんていう嫌なフレーズを造語 しちまったじゃねーか! 「前だって見たでしょ? ほら、はじめてうちに遊びに来てくれた日、あ いつあたしのこと押し倒して…」 そ、それも言うなって! あやせが持ってる変態シスコン兄貴のイメージに燃料を投下すんじ ゃねえ! 「ほんっと、あいつってばハァハァしちゃってさ」 してねーよ。 「うっそ、いや…。男ってそこまで鬼畜じゃないでしょ。まさか妹をオカ ズにするなんて」 ね、ねねねーよ! 確かにあんとき覚えた胸の感覚は今でも忘れられないが、オ…オカ ズになんか…してねーから! つーかJCの会話エギィなぁ、おい。 一方の兄貴が電話口のそばにいる状況で、その兄妹のエロ話をす る? フツー。 しかも桐乃が「うっそー」って言ったってことはだぞ? あやせから言い 出したってことだ。 あいつ可愛い顔してエグすぎるだろ。 …って、いや待て。 あやせってそんなこと言い出すやつだったっけ? 本当にこいつ、今あやせに電話してるのか? 「でもさ、うちのバカならありえるかも。前もお風呂上りに下着とかジロ ジロ見てきたし」 桐乃はおもむろに足を組み替える。 「あいつ…あたしが知らないところで、あたしのパンツ盗んで、くんかく んかしてるかも」 するかよ! それにお前だって兄妹がセックスするゲームをやって一日中ハァハァ してたじゃねーか。 「ほんっと。近親相姦とかマジありえない! キモイ!」 完全に同意! 兄妹でセックスなんてありえん! 俺がだな…その…あいつの胸の感触を忘れられないのだって…なん つーか…そんなキモイもん触らされたのがトラウマだったからであって… その…決して他意はない。 下着のデザインとか…はっきり覚えてるのだって…けっ…決して深い 意味はないんだ。 すげー女の子らしくて可愛いらしい下着だったとか…上下お揃いの やつだったとか。 おまけにピンクを貴重にしてて、ちょっと濃いめの同系色を使ったリボ ンがアクセントでついてて…それで…とか…さ。 つーかこいつ…今でもあれを着けてるんだろうか。 そう思うと俺の視線はふいに桐乃の身体へと吸い寄せられていった。 桐乃がまたぞろ足を組み替える。 するとふともものすき間から見えてきたのはショートパンツの生地だ った。 パンツじゃねーのかよ! って…なぜ俺はがっかりしている? なぜショートパンツじゃいけない!? 「てゆーか、こいつ今、妹のふともも見て欲情してるんだよ? マジキモ イ!」 き、気づかれてるっ! 俺は慌てて視線を逸らせるが、桐乃は悪態をつきながらも立ち上が った。 「あぁ…ショーパン穿いててよかった。もしスカートだったら犯されるとこ ろだったよ」 犯さねーっ! じゃあ俺はあれか? パンツ見た瞬間、自動的にレイプを始めちゃう セックスロボットなのか!? 仮にそうだったとしても、俺は断固プログラムを超越する自我を働か せて、その運命を変えてみせる! とはいえ…だ。 俺の脳内には、確かに妹のふとももが焼きついていた。 しかも桐乃は俺の視線が逃げた先へ移動すると、そこへまた腰を下 ろしやがった。 「ほっんと、ウザイ。死ねばいいのに。息するだけで税金取れるレベル」 桐乃は俺のほうに近づいてくる。 「キモすぎ…。妹がちょっと近づいただけで…は…鼻息荒くしちゃってさ」 桐乃はケータイを耳に当てたまま、もう一方の手で、半ば匍匐前進す るようにしている。 前かがみになって、エプロンの胸元にたるみが出来る。 それで谷間が見えた。 そう。 エプロンの隙間から妹の谷間が見えたんだ。 意外なことにタンクトップは胸元だけがゆったりとしていて、そのさら に中にあるものを盛大に見せびらかしていた。 「お…おいお前」 俺は必死で目線を逸らしたが、桐乃はどんどんと近づいてくる。 ソファの端に腰掛けていたせいで、俺はこれ以上移動することがで きなくなり、くっつくなよという意思表示のつもりで肘を使った。 それに対し桐乃は身体ごと押し返してくる。 「ウザイ! マジで! 死ね!」 もう俺の耳元に顔を寄せて遠慮なく怒鳴っている。 俺はまともに目が合ってしまいイラッとなったが、視線を逸らした拍子 にまた谷間を見てしまう。 そこでハッとなった。 こ…こいつ…ブラジャーをしてない…だと!? 「ちょ…おまっ?」 俺は思わずそう声に出していたが、桐乃は怪訝そうな顔をしただけ。 俺は動揺を隠しつつも、今一度そこを見た。 エプロンとタンクトップのすき間、その2枚重ねの生地と素肌とのあい だにすき間があり、谷間が見える。 そしてその深みから左右に目をやれば、そこにあるべきものが存在 しなかった。 ブラジャーのことだ。 俺はもしかして隠れてるだけかもしれないと思い、確かめてみること にした。 桐乃の目線を警戒しつつ、より深く覗き込んでみる。 ダメだった。 やはり何もなかったんだ。 それどころか見てはならないものがはっきりと目に入ってしまい、 俺はドギマギした。 その…さすがに…ち…乳首はまずいだろ。 俺はすぐに目を逸らした。 理性に背中を押されて、頭の中をリセットしようとする。 しかしそれはもう完全に目に焼きついてしまっていた。 薄暗がりでも分かるほど、鮮やかな色をしたピンクの突起。 それはあたかも小さくて可愛らしい2つの果実のようであり、指で弾い たら音でも出しそうなぐらいぷりぷりしていた。 つーかお前…いくら今日は俺がいない予定だったからって、油断し すぎだろ。 なんでブラ付けてないんだよ。 風呂上りでもないのに、そんなことありえんだろ…。 いや待てよ。 こいつさっきからシャンプーの香りがしてる? まさか本当に風呂上りなのか? 部活の練習でもあって、汗を掻いたとか? そういや日曜でも大会前は稀に練習があるはずだし、部活後にシャ ワーを浴びてそのまま料理をはじめたとか? そういや例のヘアピンもしてない! 俺の心中知ってか知らずか、桐乃はこちらを睨んだまま文句を垂れ 続けていた。 もうあやせと会話が成立してないんじゃないかというぐらい好き放題 に言いまくっていやがって、だからこそ俺は遠慮なく見ることができた んだ。 むろん乳首をな。 俺は妹の乳首を嘗め回すように見ていた。 こいつはまだ15歳だが、カラダはすでに女だ。 スポーツをやっているせいで肉感的になってるからな。 桐乃の所属は陸上部で、専門は短距離走。 長距離ってのはひたすらにカロリー消費するだけで、どんどん痩せ ていっちまうが、短距離ってのは逆に瞬発力の勝負だから脂肪がなく ならない。 それどころか程よく筋肉がついて、だからこいつの胸は…あんな 柔らかくなってたんだよな…。 俺は揉み合って桐乃の胸を触ったときのことを思い出していた。 その柔らかな肉の上にあんなぷりぷりの乳首乗せやがって…。 ちくしょう…吸い付きたい! マジで…。 いっ…いや…俺っ! 俺よっ! なにを考えてやがる! これは妹! 妹なんだぞ? どんなにエロカワいくても実の家族なんだ! 俺は必死になって自分の状況を整理した。 今日の朝、赤城から電話がかかってきて、遊ぶ約束を取り付けた。 待ち合わせした場所に行くと、電話がかかってきて、すっぽかされ た。 帰ってくると、妹がノーブラ・裸エプロンで立っていた。 目の前に座って足を組み替えたり、擦り寄ってきたりして。 おまけに挑発までして来やがった。 谷間と乳首まで見せやがって…くそっ! その上、俺は少し前に黒猫と別れたばかりだった。 あいつとは結局一度もセックスしなかったので、近頃の俺は何かと 欲求不満を抱えていた。 そして…俺は妹の乳首から目が離せないでいる。 実の妹の桐乃をこんなにもエロい目で見て…。 どうやら俺は本当に変態のシスコンらしい…。 でなきゃ、どうしてこんなに股間が苦しいんだよ…。 「だから、このバカってほんっと使えなくて……っ!?」 桐乃が急に黙りこくった。 目線を自分の胸元へ持っていくと、慌ててそこを隠す。 しまった…。 乳首をガン見していたのがバレちまった! 俺はそれでぶん殴られるものだと覚悟したが、桐乃はそのまま怒 鳴り散らす。 「サ、サイテー! 妹のヘンなとこ見て、マジ顔になっちゃって! いっ たい何しようっての!? 変態!」 くそぅ…。 もうそれでいいよ。