約 2,471,529 件
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/625.html
俺は今、悪鬼を前にしていた。 正確に表記すれば、悪鬼と化した俺の妹、桐乃と対峙していた。 「き、桐乃。落ち着け」 「……これで落ち着けるワケないでしょッ!!」 桐乃が手にしているのは、一つのアルバム。 「なんなの、これ、どういうコト? 納得行くまで説明してくんない?」 その一つのページを指差して、桐乃は俺を羅刹の如く睨みつける。 「そ、それは……」 そのページには何があるのかって? ……あやせとのラブプリクラ? いや、だ、だって、こうなあ? 滅茶苦茶好みの女の子がこう、誘ってきたらつい、魔が差しちゃうだろ!? 「まなちゃんはどうしたワケ!?」 「ま、まなちゃん?」 誰だそいつ。 「麻奈実さん! 分かりなさいよ、そんぐらい」 いや、おまえがそんな言い方してんの始めて聞いたし。 ん? 始めてじゃないな、昔に聞いたことが……。 「はい、ボーっとしないっ!」 「す、すいませんした!」 こ、こええよ、俺の妹、マジ怖え。 海外に行って迫力がハリウッドになってんよ、こいつ……! 「で、どうなの!?」 「そ、その……別れました」 「なんで……!? ありえなくない?」 そ、そう言われてもな。 こう、色々あったんだよ、おまえが居ない間に。 「べ、別にいいだろ。浮気してた訳じゃないんだし」 ちゃんと別れてからのプリクラだかんね、それ。 「……いつ、撮ったワケ?」 「…………」 「あたしが海外に行く前は、麻奈実さんと付き合ってたよね、あんた」 「…………」 ダラダラと冷や汗が止まらない。 なんだ、警察に尋問されているような気分になってきたぞ。 流石、警察官の娘だけある……のか? 「……日付。ホラ、読んでみ」 プリクラにちゃっかりと日付が記載してあった。 お、俺の馬鹿……、なんでこんなん書いちゃったんだ。 俺が黙っていると、桐乃はガラリと声色を変える。 空々しいまでの軽い声。 「あれー、たしかあ、あたしが海外に行ったのはいつだったかなあ?」 ……こ、怖えええ、ひしひしと怒気が伝わってくんぞ。 あの無邪気な笑顔な下では何度俺が撲殺されてるんだ……。 「……後デス」 「聞こえない。もっかい言ってみ?」 ……ゴクリ。 「い、一週間後デス」 桐乃が海外に行った一週間後の日付が、そのプリクラには記載されていた。 「ふ、ふふふ」 不気味な笑いを浮かべる桐乃。 あやせを怒らせても怖いが、あやせのが刺される系の恐怖に対し、桐乃のは捻り潰される系の恐怖だ。 死ぬ、俺は死ぬ。 「……あたし、あやせからなーんにも聞いてないんですケド」 「…………」 それは俺のせいじゃないと思うんだが。 バンッ! 桐乃はそのアルバムを床に叩きつける。 お、おいおい、床、凹んでねえよな。 すんげえ音したぞ。 そんな心配を他所に、桐乃はつかつかと俺の前まで歩いてきて、俺の胸ぐらを掴む。 「……で? どういうコト?」 超至近距離で俺を睨みつけてくる。 「べ、別にいいだろ。俺が何をしようが。おまえは俺の彼女かっての」 「妻ですけど」 ……そうでした。 いや、まだ結婚してないけどね? つか結婚出来ないけどね? 「は、話せば長くなるんだが」 「三行で纏めて」 無茶言うなっての! つか、三行って一行何文字だよ……? 「言っておくけど、まなちゃん泣かしてたらマジ許さないから」 「お、おまえってそんな麻奈実と仲良かったっけ?」 「ちっ……、そんなん今関係ないでしょ? で、どうなの?」 し、仕方ない。腹を括るか。 「……麻奈実に、振られた」 「嘘つくな!」 「う、嘘じゃねえって」 「麻奈実さんがあんたを振るワケないでしょっ!」 なんだこの断言。 どんだけ麻奈実の事を分かってるつもりなんだよ。 ……まあ、俺も同じような意見だが。 あいつが俺を振る……なんて余り想像できない。 自分で言うのも何だが、結構麻奈実に好かれてる自信はあったしな。 「……それでも、振られんたんだよ」 「……マジなワケ?」 「ああ」 しかし、それが真実だった。 俺は、田村麻奈実に振られた。完璧に。完全に。 「……なんで?」 どうしても信じられないんだろう。 桐乃は、俺にその理由を聞いてくる。 ……正直、言いたくないんだけどな。 けどこいつは納得できるまで俺を問い詰めるだろうし。 俺が答えなければ、麻奈実に聞き出しかねない。 それは、避けたい。 「聞かれたんだよ」 だから正直に俺は告白する。 何があったのかを包み隠さず。 「なんて?」 桐乃は胸ぐらを掴む力を強める。 「……桐乃を、愛してるのかって」 掴んでいた力が、弱まった。 「…………」 「…………」 二人に訪れる沈黙。 そう、麻奈実は真剣な、それでもいつものように柔らかい雰囲気で俺に聞いてきた。 ――桐乃ちゃんの事、きょうちゃんは好きなのかな……ううん、愛してるのかな? 「あ、あんたは……」 俺の胸ぐらを掴んでいた手を離して、桐乃は一歩下がる。 そして俯いたまま、会話を続ける。 「あんたは……どう答えたワケ?」 その質問に、俺は目を閉じる。 今でも、しっかりと思い出せる。 俺が、どう答えたのか。 「ああ、って答えた」 そう答えた俺に、麻奈実は特に驚きもせず、そうなんだー、と返したのを覚えている。 それから、確認するように。 ――それは、わたしよりも? ああ。 ――それは、他の誰よりも? ……ああ。 ――それは……これからも? …………。 そして、麻奈実は俺の答えを待たずに。 ――きょうちゃん、別れよ? と、そう言った。 「……馬鹿」 「…………」 「あんたって……ホント馬鹿」 知ってる。 俺は……馬鹿だった。 あの会話がどれだけ、麻奈実を傷つけたのか俺には想像も出来ない。 初めは、麻奈実の方が好きだと思ってたんだ。 それは嘘じゃない。 だから、付きあおうと決めた。 けど、それはもしかすると、桐乃に俺を諦めさせる為の行動だったのかも知れない。 そして、それが見えていたから。 桐乃が居なくなった次の日、俺が一人暮らしを始めたその日に。 麻奈実はその質問を投げかけてきたのかも知れない。 わたしの役目は、終わりだねとばかりに。 「そんで……俺、すげえ落ち込んじゃってさ」 「…………」 「そしたらあやせが、俺の一人暮らし先に来てさ」 ――お兄さん、お姉さんと別れたらしいですね。 ……ああ。 ――お姉さんよりも桐乃が好きって言ったらしいですね。 …………ああ。 ――なんでまだ生きているんですか? …………。 ――仕方ないから、私が傍にいてあげます。 ……俺は。 ――いいんです。お兄さんは桐乃が一番で。私も、桐乃が一番なんですから。 …………。 ――きっと、上手くやれますよ。 俺は、別にあやせと付き合った訳じゃない。 けど、あやせは頻繁に俺の家に来てくれた。 時に家事をしてくれて、時に元気づけてくれた。 そのプリクラだって、凹んでいる俺を元気づける為だった。 ――ほら、これを貼ってください。お兄さんの携帯に。 ……なんだって? ――私が……傍にいてあげますから。 沢山、あやせは桐乃の事を教えてくれた。 そして、自分の見解を教えてくれた。 数年後、必ず桐乃はお兄さんの隣に戻ってくると。 ――だから、お兄さんの為じゃなく、桐乃の為に私はこの場所を居続けます。 ――いつか、桐乃に渡せるように。 ――だからそれまでの間だけでいいので……。 ――お兄さんの傍に……居させてください。 会社で、同僚に言い寄られた時は、あやせが彼女の振りして邪魔をしにきた。 上司に連れられてキャバクラに行った時は、あやせが俺に対して真剣に怒ってくれた。 まるで、桐乃のようだった、と思う。 あやせは、桐乃の代理としてそこに居てくれたんだと思う。 だから、俺は桐乃が居ない数年を、こうやって過ごす事が出来たんだ。 そんな俺の話を聞いて、桐乃はただただ、黙りこんでしまった。 親友の行動に、今、どう思っているのだろう。 怒っているのだろうか。悲しんでいるのだろうか。 それは表情からだと分からない。 ただ、何とも言えない、悲しいのか怒っているのか。 複雑な表情を浮かべて、拳を握りしめていた。 「なあ」 「…………」 「あやせ、怒らないでいてやってくれな」 なんで黙ってたのかは知らないが、しかし宣言するのもまた違う気がする。 付き合ってた訳でもないし、ただ傍に居てくれただけで。 「俺、あいつが居たからこうしておまえを待てたんだ」 あやせが居なかったら、俺は海外までおまえを追いかけていったかも知れない。 仕事も何もかもそっちのけで。 そして、何もかもを失っていたかもしれない。 「……怒るワケないじゃん」 「そっか……ぐ、あ!」 しんみりと頷いた俺の腹を、桐乃の拳が貫いていた。 いや、さすがに貫通はしてないが、そんぐらいの勢いだった。 「あやせは怒らない。ケド、あんたには怒る」 「…………」 「なんで、って言わないで。あんたを殺したくなるから」 そう言って、まるで手加減の無い桐乃の攻撃が今一度、繰り出された。 俺は、それを防ぐ事も出来ずに、ただ受け止めた。 痛い。実に痛い。何の呵責も無い一撃。 そして胸ぐらを再び掴まれたと思ったら、そのまま足を払われた。 「……ッ!」 足が払われ、一瞬宙を舞っている形になった俺は、そのまま胸ぐらに込められた力ごと床に叩きつけられる。 ……鮮やかな手並みだった。 「……ガッ、は……」 余りの激痛に、暫く声が出ない。 「へへっ、もしもの時にってお父さんが渡してくれた護身術の本にあった技がこうして生かせる時がくるとは」 親父がこの技の元凶か……! 滅茶苦茶痛えぞ……! 護身つうか、明らかに捕縛方面だよね、これ。 「……ホント、馬鹿なんだから」 体勢としては仰向けに倒れた俺に、桐乃が馬乗りになっている体勢。 まさかここから顔面ラッシュに入るんじゃないかと危惧したが、そういう展開にはならなかった。 そのまま、桐乃が上半身を俺に倒してきて、顔を俺の肩に載せる。 「あたしが居ないと……ホント、あんたは駄目なんだね」 …………。 そう、だな。 おまえが居ないと俺は色んな人に迷惑を掛けてばかりで……。 どんどん駄目になっちまうんだって分かった。 「……おかえり、桐乃」 「……ただいま、兄貴」 夫婦を目指そうってのに、俺と桐乃はどうしたって、兄妹だった。 // 今更になるが、今はもう夜だった。 あの昼間に桐乃に会ってからもう半日が立っていた。 その間、何をしてたかって? そりゃ、仕事をしてたんだよ、社会人だからな。 んで、桐乃を待たせる場所も思いつかなかったんで、俺の家の鍵と住所を教えて別れて。 仕事終わって帰ってみたら、桐乃が鬼になってたと。 「そういや……、夕飯どうする?」 「あ、あたしが作ったげようか?」 ……愛妻料理か。 確かにそれも魅力的な提案だった。 しかし……前にあやせと桐乃の料理の話をした時のあの表情を思い返すと……。 …………。 桐乃の手料理は次の日が休みの時にしよう。 「いや、俺が作るわ。久しぶりに日本の料理を味わいたいだろ」 「……へえ、あんたの料理食べるの、久しぶりなんですケド」 あれ、食べさせた事、あったっけ? ……ああ、そう言えば両親が留守してる時に作ったりした事があったか。 一応、簡単な料理ならあの頃から出来た。 しかし、今の俺の料理の腕はあの時とは比べ物にならないぜ? なんせあやせが必死に教えてくれたからな。 理由については教えてくれなかったけど。 ――いつか必要になる日が来ます。 とか断言していたけど、あれは一体どういう事なんだろうな。 いや、薄々と理由には気付いているが……。 まあ、敢えて黙っておくのが花だろう。 そんな訳で、俺が台所に立つ。 もうここに立つのも慣れたもんだ。 鼻歌交じりに、冷蔵庫から材料を取り出すと、フライパンに油を敷いて火で熱する。 んー、炒め物でいいかね。 ふと視線を感じて振り向くと桐乃がこっちを見ていた。 「どうした? ああ、適当に寛いでていいぞ。テレビでも点けて見ててくれててもいい」 「……ううん。見てる」 「……そうか?」 こうやって料理を作る光景なんて見てても面白くないと思うんだけどな。 まあ、桐乃が良いって言うなら止める必要はない。 …………。 ジャー、カシャカシャ、ジャー。 …………。 ゴトゴト。パッパッ。ゴトゴト。 …………。 「……なんか視線を感じるとちょっとやりづらいんだが」 「あ、ご、ゴメン」 あれからずっと、桐乃は俺の料理光景を見ていた。 その内飽きるだろうと思ったが、予想に反して飽きる事なく俺を見続けていた。 しかも時折、何か妙にニヤニヤしたり、にへらぁ、という感じに笑ったりするから気になる。 「なんだよ、そんなに珍しいか? 俺が料理してんの」 「え? う、ううん、そうじゃなくてさ」 「なんだよ」 「その……し、新婚生活っぽいなあ、ってちょっと思っただけ」 「ちょ……!」 し、新婚生活って、おま……なんて恥ずかしい台詞を吐きやがるんだ。 ん? あれ、それって俺が主夫? …………。 何か、嫌な未来を想像してしまった。 ぜ、ぜってえ俺は今の仕事を辞めねえぞ! 妹に養ってもらう未来なんて嫌だからな! 俺の振舞った夕飯は、桐乃に好評だった。 結構味に五月蝿い妹だからもっと文句を言われるかと思ったが及第点は取れたらしい。 食べ終わった後の食器を流しにいれながら、ふと思い出した事を桐乃に聞いた。 「そういや、おまえ、モデル辞めたって?」 確か昼間、さり気なくそんな事を言ってたよな。 「う、うん。……辞めた」 何だか桐乃は悪いことがバレてしまった子どもの様に罰の悪そうな顔をしている。 「なんで?」 そんな顔をされても、聞かない訳には行くまい。 こいつがわざわざ海外に行くまでの覚悟を決めてモデルを始めたんだから。 こんな中途半端な時期に辞めるってのがいまいち分からない。 雑誌とかで読む限り、順風満帆の様に見えたんだが。 「…………言いたくない」 しかし、桐乃は顔を背けて、説明を拒んだ。 「言いたくないって……、何か言えないことでもあったのか?」 イジメとか? 「そういうんじゃ……ないけど」 「じゃあ、なんだよ」 「い、言いたくないって」 どうも頑なだ。これは、何かしら明確な理由があって辞めたようだな。 そして、それをどうしても言いたくないらしい。 「そうか、分かった。おまえは旦那に隠し事をするんだな?」 「……ッ! い、言います」 なんてな、と適当に流す冗談のつもりだったんだが。 何で速攻で折れる訳? まさか桐乃にとって夫婦間には秘密が無いものだって思ってるのか? ……俺は秘密ぐらいあってもいいと思うんだが。 本当は、なんてな。夫婦間でも隠したい事はある、おまえが言いたい時に言ってくれ、という感じで格好良く閉めようと思ったんだが……。 やべえ、今後、隠し事しづらくなってしまったぞ……。 「その、わ、笑わないで欲しいんだケド」 「笑わねえよ」 つかやっぱ言うのやめたとか言ってくれても構わないぜ。 俺は決め台詞をスタンバってるんだからよ。 「あ、あんたが……居ないから」 「…………へ?」 「あの世界には……あんたが、居ないから」 すると何か? 俺が居ないから、あんな華やかな舞台から降りたってのか? いや、流石にそれは……。 「い、居ないって言ってもよ、言ってくれれば顔を出しにいったりしたぞ?」 「そ、そういうんじゃなくて」 「んじゃなんだよ?」 「……あの世界じゃ、がんがんに知り合いが増えていくんだけど。その分、あんたがいる世界が……遠くに見えてきちゃって」 …………。 正直、俺には分からん。 遠くに思えてきたなら、そう思った時に一旦帰ってくればいい。 ホームシックみたいなもんだろう、多分。 「それが辞める程のものだったのか?」 「う、うん」 少し自信なさげに桐乃はそう答える。 うーん、別に理由としてはありっちゃありだが、でもなんだろうな。 しっくりこない。 だってあの桐乃だぜ? だったら俺の手を引いて一緒にその世界とやらに巻き込みそうなもんだけど。 「……おまえの夢だったんじゃないのか?」 「夢……」 「そう。モデルって仕事は、おまえの夢だったんじゃないのか?」 ああいう華やかな世界で、一番目立ってみせる。 そういうのは女性の憧れなんじゃないだろうか。 「……夢、ってワケじゃない、と思う」 考えるようにして、桐乃はそう答える。 夢、じゃなかったのか。 「そんじゃ、おまえの夢って何よ」 そう言えば陸上とか、そんなんも続けてんのかね。 あいにく、そっちの雑誌じゃまだ桐乃の名前を見つけられてないけど。 「…………さん」 俺の質問に対し、顔を真赤にして俯いた侭、そう答える桐乃。 だが、正直全く聞こえなかった。 「ん、なんだって?」 だから桐乃の傍に顔を近づけて、そう尋ねる。 すると俺の首根っこを掴んで、桐乃は叫ぶように言った。 「あ、あんたのお嫁さん……ッ!!」 …………。 「わ、悪い? 言っておくケド、ずっと昔からそれが夢だったんだからね! ずっとずっと追いかけてきた夢なんだから、言ってしまえば、陸上もモデルもその過程だから……!」 …………。 陸上とモデルが俺のお嫁さんになるのにどう結びつくのか、全く分からねえ、分からねえが。 な、なんだこの可愛い生物。 俺の妹がこんなに劇的に可愛いわけがない。 嘘だろ、可愛すぎだろ。 つか20歳を超えた女が言う台詞じゃねえよ。 可愛いけどさ! 試しに自分で変換してみよう。 『お、おまえのお婿さん……ッ!!』 『わ、悪いかよ? 言っておくけどな、ずっと昔からそれが夢だったんだからな! ずっとずっと追いかけてきた夢なんだぜ? 言ってしまえばエロゲーもシスコンもその過程だぜ……!』 ……。よし、キモい。 「お、おーけい。わ、分かった。そっか、それでモデル辞めてきたんだな?」 「……え?」 「俺のお嫁さんになる為に、こうやって帰ってきたんだろ?」 「…………」 俺の質問に対して、桐乃は少し考えこむ。 そして、何か納得がいったのか表情が明るくなり、そして、俺を見て、びく、と目を見開くと。 「んなワケ無いでしょ馬鹿! このシスコン!」 俺にフキンを投げつけてきやがった。 やれやれ、女心は良く分からん。 夕飯を食べ終わり、風呂の時間となった。 いつもは面倒くさいのでシャワーだけで済ませてるんだが、桐乃も長旅で疲れてるかも知んないし、湯船を張っておいた。 そして、早速一番風呂に入ってもらおうかと、桐乃に提案をしたんだが、桐乃は何故か僅かに身体を硬直させて。 「い、いい。先にあんた入ってて」 と断ってきた。 一応、家主とかそういうのを気にしてんのかね。 確かに我が家はそんな決まりがあったが……俺は別にどうでもいいと思うけど。 入りたい順に入ればいい。 なので、桐乃が入らないというのであれば、じゃあ、俺が先にと入っているのが今。 髪も身体も洗い終わり、湯船に使って鼻歌でも適当に奏でてる矢先に、扉が開いたのが今。 手拭いサイズの布を頼りなさげに胸の前にぶら下げて、隠しきれてない身体を晒してるのは、今。 「………………」 俺は固まっちまってその桐乃の行動に何も返せなかった。 完全に思考がフリーズ状態。 いやその言い方は正しくないか。 正直に言おう。俺の視線は桐乃の身体に釘付けだった。 以前に見た未成熟の身体じゃなく、成熟した身体が目の前にあった。 ぷるんと存在感を主張しているおっぱい。 きゅっと引き締まったくびれ。 魅惑的な曲線を描いてるおしり。 よく絵画に裸身の女神が描かれてる事があるだろう? いいか、あれは全て偽物だ。 何故ならここに本当の女神が居る。 つんと立っているピンク色の乳首。 手拭いが隠しきれてない整えられた陰毛。 羞恥の為か、肌を赤く染めている全身。 身体だけでも魅力的なのに、その上にはモデルとして名を馳せた美女の顔がある訳で。 上から見ても下から見ても、見惚れるには十分すぎた。 ありえん……これ、現実なのか? よく二次元の世界に入りたいとかいう書き込みを掲示板とかで見るが考えなおした方がいい。 だって現実には圧倒的な存在感を放つ女神がいるんだぜ? しかも……エロい。 照れた様に顔を逸らすその顔や、腕で隠そうとして隠しきれてないそのピンク色や、手拭いが隠し切れないアソコが全て相成って。 とてつもなくエロい。 そこに居るのが妹だって、本気で忘れてた。 良識とか倫理とか、そんなのはもう何も考えられなかった。 ただ、俺の海綿体は正直に限界まで膨張し。 そして、恐らくアホづらを晒したまま固まっている俺の口から漏れた言葉は、ただ、 「……綺麗だ」 の一言のみ。 ……俺の予想した通りだったよ。 数年後じゃなくてよかったと、俺はあの時病院で思ったものだが、まさしくその通りだった。 今の俺でさえ、堪え切れない衝動が身体を駆け巡っているというのに、あの当時にこれを見たらきっと鼻血を噴き出して再起不能だっただろう。 触りたい、触れたい、近づきたい。 その衝動が駆け巡るのをどうにか抑えようとしたがら、俺は桐乃に声を掛ける。 「あ……あ……」 言葉になってなかった。 というか言葉に出来なかった。 思考がまるで回らない。 頬がかぁーと赤くなって視界がどくどくんと脈動する。 気を失わないようにするのが精一杯だった。 「……せ、背中……流してあげる」 だから桐乃のその提案に、ただ阿呆の様にこくこくと頷いてみせることしか出来なかった。 そして、湯船から出て、前を隠すの忘れていて、桐乃に凝視されたが、そもそも手拭いなんて持って入ってない。 だから隠すのも手しかないんだが、手じゃ隠し切れない。 だからという訳じゃないが、いっそ開き直った気分で隠すことなく、桐乃の前に歩き、そして背中を向けて座った。 背中を見せて、桐乃が視界から消えて、漸く俺は思い出したかのように息をした。 バクバクバクと心臓が全身を揺らす勢いで脈動する。 「じゃ、じゃあ、あ、洗うね」 「…………おう」 どうにか絞りだすようにして声をだす俺。 桐乃はそのまま、俺の背中にスポンジを当て、洗い出す。 今、背中に全裸の桐乃が居る。 ただそれだけで俺の海綿体は脈動し、俺の心はどこまでも欲求を主張する。 今直ぐ振り返って押し倒して、その身体を触りまくって、そして、欲望を放出したい。 桐乃が俺の背中にスポンジを当てるそれだけで、全身が性感帯になったように感じてしまう。 だ、駄目だ、このままじゃ俺……し、死ぬ! リアルにその域まで達していた。 これが本能という奴なのか、理性など脆くも消し去ってしまうのか。 本能を無理やり押さえつけると気持ち悪くなる事をこの時、始めて知った。 目の前が真っ暗になりそうで、視界がグラグラとして、鼻腔に桐乃の匂いが掠めて。 襲いたいとか、襲いたくないとかそういう次元じゃなく、本当に生命の危機を覚えて俺は立ち上がる。 「……や、やっぱいい。で、出る。俺、出る」 背中に泡がついているのが分かったが、それよりも俺は死にたくなかった。 今、意識を失ったら死んでしまう気すらした。 しかし、ここから出る為には、桐乃の方を向く必要がある。 駄目だ、今、見たら俺は死ぬ。 桐乃の方に振り返りつつも、俺は桐乃を見ないようにして、その脇を抜けようとする。 「……ま、待って。まだ背中が……あ」 丁度、桐乃の視線の先、俺の海綿体が溢れんばかりに存在感を主張して通り過ぎようとしていた。 「……待てって、言ってんの!」 そして、桐乃はいつか、俺を止めようとしたその時と……同じようにはせず。 俺の足を掴んだ。 「は……離せ!」 割とリアルに生命の危機に対面していた俺は、必死で抵抗する。 だが、桐乃も負けじとばかり俺の足を掴んで。 「く、口でするから……!」 とんでもない事を主張した。 「な、なななななにを」 「ば、バナナで練習した。イケる、筈」 俺はそんな事を聞いてるんじゃねえ! なんでそんな発想になるのかって聞いて……ちょ……! つい桐乃に文句を言う為に桐乃を視界に入れてしまった。 そこには上目遣いで、俺を見上げる桐乃の姿。 目が……離せない。 俺が立ち止まったのを了承としたのか、桐乃は何故か正座をして居住まいを正して。 キリ、と無駄にいい表情で、恐る恐る俺の……。 俺の海綿体を、口に運んだ。 れろ。 「~~ッ!! あ、あああ、あ!」 途端に信じられないぐらいの快感が……いや、これも痛さだ。 許容できないぐらいの快感はもう痛みでしかない。 しかも初っ端から口に咥えやがった、初めは舐めるとかそうやって徐々にやってくだろ?! こ、これがバナナな効果なのか……!? 膨張しきった海綿体は、感覚に対してどこまでも敏感になる。 だから、桐乃が口に咥えたその唇の柔らかさ。 腔内のじっととしたヌルさ。 ……そして、這うように舐めてくる柔らかくも熱い舌がダイレクトに感じられた。 「うあ……あ、あああ、あああああ!」 痛い、痛い、気持ち悪い、気持よすぎて吐き気がする。 桐乃はそんな俺の事なんて知ったことないとばかりに、口での奉仕を続ける。 少し舌は離れた、と思ったらまた舐めてくる。 そしてその離れた意図を知る。 ……唾だ、唾を舌に貯めて……。 くそ、世の中のバナナはそんな高等技術まで教えてんのかよ! ヌルっとした感触により艶めかしい熱さが追加される。 そして、ジュル、と吸うような感覚。 「……ッ、ああ、あああ、やあ、あああ!」 腰がガクガクする、もう何もかもわからなくなる。理性が何を我慢してるのか、そもそもどうやって我慢するのか。 それすらも分からなくなって。 「ああああ、あああああっ!!」 視界が真っ白になって。遠くて近い先で、俺の海綿体が欲望を吐き出してるのが分かった。 ただまるでフィルター越しで、自分が射精している事に実感が沸かなかった。 桐乃も、何かが出された事に慌てた様子を見せていたが、決して口を離さない。 ただ少し涙目でこちらを睨んでいる。 出すなら出すって言えって事だろうか。 寧ろ俺はそれを自身に対して言いたかった。 そして……出し終えた後、俺はかつてない脱力感に襲われていた。 下に椅子もないのに壁に寄りかかるようにして、そのまま座ってしまう。 キョポ、なんて音を立てて桐乃の口から俺の海綿体が抜けていく。 その拍子に、口元から白濁とした液が少し溢れるのが見えた。 あろうことか、桐乃はそれを舌で舐めとってみせる。 そして、凄い嫌そうな顔で、こくこく、と喉を鳴らした。 「……おま、飲んだのか?」 「うえ。誰よ、美味しいっていったの。苦いっていうか酸っぱいっていうか……なんかピリピリするし」 少なくとも俺は美味しいだなんて言ってないし、かなり高い確率でそれエロゲの知識な。 「………?」 そして桐乃は改めて俺を見る。今しがた艶かしい行動をしたと思えない無防備な表情で、ぽけーっとした後、にっと笑った。 「……ね、ね、気持ち良かったっしょ?」 …………。 どう答えたものか。 正直に言うと、気持よくなかった。 ただそれはヘタだったとかそういうんじゃなくて、上手すぎたというのだろうか。 或いは俺の性における感覚が繊細なのか。 気持よすぎた挙句に、気持ち悪い領域だった。 「……次からは、もう少し控えめにな」 だから俺はそう返すしか無かった。 余りの脱力感に浴槽から出れずに居る俺の前で、桐乃は身体を洗い始めた。 このまま風呂に入ってしまうらしい。 ……少しは俺が居る事に動じろよ。 いや、動じる必要はないんだろうけどさ。 この脱力感……マジ動けないんですけど。 ……はっ! ま、まさかこれが骨抜き? 腰砕け? え、え、え? 俺、開始速攻で妹に骨抜きされちゃったわけ? マジで? そんなんでいいの、俺? う、うう、こんなんだったらもう少し経験を積んでおけば良かったな。 貞操観念なんて糞食らえだっつーの。 俺が、そう考えながら動かぬ身体と葛藤していると、桐乃がちらっとこちらを見てきた。 「ふひひ」 そして俺と目が合うと餓鬼っぽく笑ってみせる。 女性的な笑みじゃなかったが、何だか昔を思い出して、可愛い奴だなあ、と思ったりもする。 さっき、人のナニをバナナがわりにしてたとは到底思えない。 そうして、ひと通り身体を洗い終わり、桐乃は身体を流して、そのまま湯船へと入っていく。 俺そっちのけだ。 暫くして、桐乃がようやく訝しげな顔をこちらに向けてきた。 「……あんた、なにやってんの?」 「……やっと聞いてくれたか」 ふ、このまま置いていかれたらどうしようと思ってたぜ。 「いや、男の人って抜いた後、そう暫く放心する習性でもあんのかなって。 なんだっけ、賢者モードって奴?」 こんな力が抜けきったタコみたいな賢者モードがあってたまるか。 「……動けねえんだよ」 「へ、なんで?」 ……すげえ言いたくねえ。言いたくねえが、仕方ない。 「た、多分、骨抜きにされた……んじゃねえかな」 「……骨抜きってそういう意味だっけ?」 浴槽に浸かりながら、桐乃はそんな事を言ってくる。 ……あれ、違ったっけ? 「と、取り敢えず……腰が抜けて立てないんだ」 だから、手を貸してくれ、とそういう意図だったのだが。 俺の言葉に暫し考えこむようにして黙ってしまう。 ……何か嫌な予感がする。 「ふひ、ふひひひ」 桐乃が嫌らしい笑みを浮かべはじめた。 もう嫌な予感しかしない。 「ほんとはー、こう、もっとロマンチックなのに憧れてたんだけど」 そう言いながら桐乃は、湯船から立ち上がる。 先ほどまで隠れていた魅惑的な身体がまた、俺の眼前に晒される。 一度抜いたから……初めほどじゃないけど、やっぱ綺麗だな……。 そしてエロい体つきをしてやがる。 ただ少し隠せ。 最初の恥じらいは何処にいった。 「ふひひひ。ま、こういうのもアリかな」 笑みを浮かべながら近づいてくる桐乃。 動けない俺としては恐怖の対象でしか無い。 なに、なに、なにされんの? 俺の眼前までやってくると、その場で腰を下ろした。 俺を跨ぐようにして。 「……な、なにを」 そ、その位置関係だと、あれが、これに当たんだろ!? 「ふふん」 当ててんのよ、と言いたげに桐乃は悪戯を企む子どもの様な眼差しを向けてくる。 「ま、まさか……」 俺の海綿体は、今は落ち着いている。 そう、だから決して、入る事は……無い筈だ。 だが、その海綿体に対し、桐乃は自分の秘所を押し付けてくる。 「な、なななな」 「へえ……、ホントに出した後って柔らかいんだ?」 しかも、いやらしく腰をグラインドさせながらだ。 「お、おまえ、は、はじめてなんだろ?」 「そだよ?」 自分の秘所を海綿体に擦りつけながら、桐乃は言う。 ムードもへったくれもない。 「は、はじめてならもっとほら、こう、布団でさ、く、暗くしてさ」 「なになに、そういう感じが希望だった?」 いや俺が希望してる訳じゃなくて、そ、そういうもんじゃないの? 「確かに、そういうのも憧れだけどさ。でもどうせあんただし? そういう展開って期待できそうにないし?」 いやいや出来るよ、そんぐらい出来るって! 流石に高級レストランとかそういうのは難しいけどよ! 「それに最近のエロゲーだとこう、結構あっけなくやっちゃってんだよね」 「エロゲーと現実を一緒にしてんじゃねえ?!」 く、くそ、力が入らねえ。 い、言っておくがエロゲにありがちな力が入った瞬間、桐乃の腰を掴んで、みたいなそういう意味で力を渇望してんじゃねえぞ? 俺はだな、せめて、妹の初体験をより良い物にしようとしてだな……。 つか俺が嫌だ、こんなレイプみたいなの……! 「……あんたのそういう泣きそうな表情、ぞくぞくするんだけど」 お、俺の周りの女はSばかりなのかよ!? 前にあやせにも似たような事言われたな。 「あれ、なんかおっきくなってない?」 「んな馬鹿な……」 こんなシチュエーションじゃおっきくならねえよ。 俺はMじゃねえんだからな。 …………。 か、海綿体が反乱を起こしてる、だと? 「も、もしかしてこのままだったら入っちゃう? かも?」 「んじゃ止めろよ、今すぐに?!」 かも、じゃねえよ! 「でもちょっと……き、気持ちいい、カモ」 …………ッ! 「あ、びくってした」 ば、ば、ば、馬鹿、この馬鹿! そ、そんなん言われたら反応しちゃうだろ、俺の海綿体とか色々が! 海綿体が大きくなってきたせいか、感覚もシビアに伝わってくる。 さっきまで柔らかかったから、こう暖かいなとか、擽ったいなあ、みたいな感じだったんだが。 今はこう、明確に今どこにアレが当たって、何処に擦りつけられてるのかが分かる。 一度出したお蔭か、最初ほど明確な感覚じゃないんだが……。 シチュエーションがさっきより不味い。 さっきは殆ど身体の暴走だったけど……。 滅茶苦茶えっちな身体で、そして俺好みの顔つきをした処女が、俺の上で腰をグラインドさせてんだぜ? しかも時折Hな声を出しながら、少し息を切らせながら。 不味いって、不味い! 俺、今力が入らない事を逆に感謝すべきだな。 さっき否定したが……、スゲエ、腰を掴みたい! そして抱きしめて腰を振りたい、この目の前でたゆんたゆんしてるおっぱいを鷲掴みしたい。 柔らかそうな身体を全力で抱きしめたい。 しかし、俺の身体は腰が抜けている状態。 全身、余すことなく脱力感。 ただ俺の海綿体だけが元気を取り戻したかのように硬度を取り戻していた。 そして、その海綿体をまるで道具のように擦りつけてくる桐乃。 「は、始めてなのに気持ちよくなっちゃいそう……」 「まだ挿れてねえから、それ、挿れてから言う台詞だから!」 「じゃあ、……挿れちゃう?」 声の艶が変わった。 ぞくんと俺の背筋が凍る。 先ほどまで浮かべていた悪戯小僧の様な笑みをそのまま妖艶な表情に変えて。 「え、そ、その……冗談だよな?」 「……なんで?」 そんな問答をしている最中にも、桐乃は腰のグラインドを止めない。 桐乃がそれを押し付けくる度に、俺の海綿体がそこを押し開いていくのが分かる。 一番初めの扉は、もう既に何度もこじ開けている。 ヌルヌルっとした感触が、どんどん艶かしくなっていく。 熱い、どんどん熱くなっていく。 なんかおもらしをしてしまったような感覚でようやく気付いた。 ……濡れてる。 「……ぁ……ちょっと……ホンキで気持よく」 手が掴むものを探して宙を彷徨い、そして俺の首へと纏わりつく。 そして俺の身体に抱きつくようにして、桐乃はくっついてきた。 首に回された腕がしっとりとして柔らかい。 桐乃の顔が直ぐ近くにあって、可愛らしい声を小さく上げている。 そして……何より今、俺の胸に当たっているぷにっとした感覚。 うおおおおおおお、くそやわらけええ!! 触りてえ、もみしだきてえ! ヤバい、ヤバい、これはヤバい! なに、こんなのが世界に存在してたの? 前も同じような衝撃を味わったが、今回はそれに加えて、デカい。 手で掴んだとしても幾分か溢れだしてしまうだろう。 さ、更に……。 なんかコリコリしたのが俺の胸に当たっている……! これは言うまでもなく、アレ、アレですよね……!? おおおおおお、さっきとは違う意味合いで死にそうだ……! 蕩けちまうんじゃないか、俺。 もうスライムだよ、これスライムに襲われてるレベル。 そしてさっきから俺の海綿体が桐乃の秘所に突入しかけては引き返すような感じになってきている。 一瞬でも俺が腰を浮かせたら、そのまま突入してしまいそうなギリギリのポイント。 そのポイントだと知って、桐乃はぎりぎりの感覚でグラインドを続けている。 いや、桐乃は桐乃で、力が抜けないよう必死なんだ。 だから俺の首をこんなに必死で掴んで。 少しでも油断したら……入っちゃうから。 「ぁ、あ、ぁあ、ん、んんぅ……!」 もう耳には喘ぎ声しか聞こえない。 どうやら桐乃のスイッチはもう入ってしまっているようだ。 まるで触ってほしそうにおっぱいを俺に押し付けてくる。 しかし、手は動かない。 やがて桐乃の明確な意思が伝わる行動が見えた。 少し、腰を上げて、おっぱいを俺の顔の高さまで持ち上げてくる。 その侭、俺の顔に抱きつくようにして押し付けてきた。 位置、そして距離、そう丁度、俺の口に桐乃の乳首が来る形だ。 これは、そう、舐めるしかない、含めるしかないだろう。 だから俺は全力で桐乃のそれを唇で咥える。 そこから更に舐めようと舌を這わせて……。 「んぁっ!!」 一際高い嬌声があがった。 お、気持ちいいのか? と俺が少し喜んだのも束の間。 桐乃はそのまま、足の力が抜けたのかガクッと身体を落とす。 ……え? それって。 俺が一瞬、そう脳裏を掠めて―― その次の瞬間、俺の海綿体が何だかとてつもないものに包まれた。 とてつもない、としか形容が出来ない。 なんかヌルヌルしていてヌメヌメしているのはどうにか分かる。 そして根本部分がひくひくと締め付けていて、そこから先はまるでぬとーっとした何かに包まれているようで。 そして、……蠢く。 先ほどの圧倒的な快楽じゃなかった。 けどこれは……純粋に、純粋が侭に気持ち良かった。 ぬるま湯に使っているような暖かい快楽。 おもらしをしてしまっているような熱い感覚。 そして恐ろしい事に、俺の海綿体がその感覚に膨張すればする程、その快楽も強まっていくのだ。 その快楽にビクンと海綿体にちからを入れると、ひくんとその俺を包む何かもも反応して、じんわりと圧力を増してくる。 な、な、なんだこれ。 気持ちいい、という形容しか出てこない。 正直、これで全身が包まれたらヤバいんじゃないかと思うぐらいだ。 海綿体しか侵入出来ない事が歯がゆい。 そこまで考えて、ようやく気付いた。 今、何が起きているのか。 俺の首に抱きつく形に戻っている桐乃。 だが顔を俯かせてこちらにその表情は見せない。 ただ首に巻き付く腕が強く巻かれて、爪が、少し俺の首を引っ掻いてるのが分かる。 ……痛いのだ。 余りの痛さに、手近な何かを掴まざるえない。 「こ……この馬鹿! は、早く抜けって!」 慌てて桐乃にそう声を掛ける。 つか、こんな事故みたいな処女喪失があってたまるかよ! 「……な、……なんで」 痛みを堪えてるような、声。 しかし桐乃から返ってきた言葉は疑問だった。 「な、なんでって、痛いんだろ? キツいんだろ? なら早く抜けって」 「……やだ」 決して肯定はしなかった。 けど否定だってしやがらない。 痛いのだ、キツいのだ。 しかしそれであっても、嫌だと、桐乃は言う。 「な、なんで?」 「…………」 俺の首に纏わりついてくる手に力が込められた。 そして、俺の胸に縋るように顔を押し付けていた桐乃がそのまま顔を上げる。 「……ちゅーして」 な……。 それは場に似つかわしくないようで、しかしこれ以上に相応しい言葉だった。 だが、その言葉で、俺は気付いた。 キスよりも先に、処女を奪ってしまった。 ……やっちまった。 順番が、違うだろうに。 申し訳ない思いと共に、俺は頷く。 と言っても殆ど身体は動かない訳で、ただ、少し桐乃の方へと顔を近づける。 それだけで届く距離に桐乃の顔はあった。 子どものような、口を合わせるだけの軽いキス。 ただそれだけなのに、桐乃の顔は今よりももっと真っ赤に染まって。 腕に纏わりつく力が強くなって。 俺の海綿体を優しく抱きとめるそれがキュッと締まり。 びくんびくんと、桐乃の身体が跳ねた。 一瞬、何が起きたのか分からなかった。 痛さの余りに痙攣したのかと思った。 けど、桐乃の表情を見て分かった。 なんて気持ちよさそうな顔をしてやがるんだ。 目がとろんとして、真っ赤で、少し虚ろげな視線で俺を見て。 そして自分から近づいてまたキスをする。 それだけで、またびくんと身体が跳ねて。 キュッと締まって。 ……愛おしい。 俺はただその感覚に包まれた。 愛してる、でも、好きだ、でも、抱きてえ、でもなくて。 ただ大きな感情として、愛おしい、という気持ちが込み上げてきて。 「う、で、出るッ……!」 俺は、それを離れろという意味合いで声に出した。 けど、桐乃がした行動は寧ろ逆で。 俺を絶対に離さないとばかり抱きついて。 ただ一言。 「うん」 と言った。 もう止められない。 俺はただ全力で込み上げてきた感情と共に、欲望を桐乃の中へと放出する。 ドクン、ドクンと脈打つ。 これが俺の鼓動なのか、桐乃の鼓動なのか分からなかった。 ただ放出しながらも、俺の中に賢者モードが訪れ始めていても。 この愛おしいという大きな想いは、決して薄まることはなかった。 // そして夜。 あれから、どうにか桐乃の協力もあって浴槽から脱出した俺は、布団に寝かされていた。 流石に二回も短期間で大量に放出しただけあって、ヤバい気だる感だった。 しかし、桐乃だって処女の喪失で絶対疲れている筈だし、痛い筈だ。 だから俺は張る勢いで、自分で動けると主張したんだが。 「あたしにやらせて」 の一点張りだった。 しかもその上、俺の額にキスまでして行きやがった。 そんなこんなで、布団の上で俺は、考えている。 別に後悔なんて、何ひとつもなかった。 これから、色んな闘いがあるだろうが、そんなもの些細な事に思えた。 ただ、俺は今、心に沸き上がっていく一つの衝動の捌け口を探していた。 ……いや、捌け口なんて、考えるまでもないか。 ただ、想いは伝えるものなのだから。 伝える為に、俺はこの口を持っているのだろう? 「桐乃!」 俺は愛しい人の名を呼ぶ。 旅行かばんから服とかを取り出して、狭いタンスに必死に詰め込んでいる桐乃は、手を止めて俺を見る。 「なに? も、もしかして具合悪い?」 「いや、具合は大丈夫だ。あともう少ししたら漸く力が回復しそう」 なんか黒猫が好きそうな台詞だな。 「そう。んじゃ、どしたの?」 手を止めるだけじゃなくこちらにトテトテと近づいてくる。 やはりまだ痛いのか、少しぎこちない歩き方だった。 その事を見られていると気付いたのか、桐乃が照れたように笑う。 「えへへ……、やっちゃったね」 …………。 今から想いを放とうとしてんのに、余計高めやがったぞ、こいつ。 言っておくが、どうなっても知らねえからな。 さっきから愛しさが爆発しそうなんだからな。 「桐乃……よーく聞いてくれ」 今は夜中だ。 正直、不味いと思う。 けど、この衝動は我慢なんて出来ない。 苦情なんて、知ったことか。 寧ろ、周りの住民も聞きやがれ。 これが俺の崇高なる……愛の言葉だぜ! 「俺はな、おまえが大好きだああああああああああっ!!」 どの時空の俺だって、恐らく初めの言葉こうなんじゃないかと思う。 桐乃に想いを告げるのには、凄い力が居るのだ。 この胸に湧き上がる情熱が、余りにも強すぎるが故に。 「だから……結婚してくれ」 「…………うん」 「ずっと、側にいてくれ」 「……うん」 「俺が、幸せにしてみせるから」 「うん」 桐乃はとても優しい表情で、そう答えた。 「知ってたよ、あたしを幸せにできんのは、あんただけだって」 本当はもっと沢山の言葉をぶつけてやりたかったのに。 言葉が詰まってしまう。 ただ、ただ、涙が出てしまう。 ああ、駄目だ。 これじゃ全然足りない。 こんな時間だけじゃ、絶対伝えきれない。 だからさ、桐乃。 これから長い時間をかけて……おまえに伝え続けるから、覚悟しておけよ。 俺の妹がこんなに愛おしいわけがないって事……、伝えてやるからさ。 おわり。
https://w.atwiki.jp/oreimopsp/pages/16.html
フローチャート図 ↓ ↓ ↓ + → → → + ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ + ← + ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ + → + ↓ ↓ ↓ + ← + ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ + → + ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ + → + ↓ ↓ ← + ← + ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ + ← + ↓ ↓ ↓ シーンリスト No.001 俺の妹 ▲ インフォメーション 旅館を探検 ???? 俺の妹がこんなに可愛いわけがない ???? No.002 バーストする部屋 ▲ ツーショット会話 桐乃 ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × 誤解なんだ ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × 見てねーよ! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × 違う! OK OK OK OK OK OK OK OK 緊急回避なし→何でもOK No.003 高坂桐乃 ▲ No.004 真妹大殲シスカリプス ▲ O.R.E.「シスカリのゲーム大会」取得 ↓ O.R.E.使用 シスカリのゲーム大会 → O.R.E.「大会の賞品」取得、桐乃・黒猫・沙織ルート 未使用 → 麻奈実・あやせ・if加奈子ルート→またの名を地味子へ ↓ ツーショット会話 桐乃 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × × イエス! ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × 言ってねーぞ ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × 無理! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × 拒否権はねーのかよ! OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK 緊急回避なし→何でもOK ツーショット弾幕ヒント:◯◯◯◯ No.005 崇高なる作戦 ▲ No.006 いないよりはまし ▲ No.007 エクササイズ ▲ O.R.E.「全国クラス」取得 ↓ O.R.E.「冷静になれ!」取得 ↓ ツーショット会話 桐乃 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × × 頭冷やせ! ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × バカにすんな! ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × 受け入りだろ! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × 時間泥棒か! OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK 緊急回避なし→何でもOK ツーショット弾幕ヒント:×××◯ No.008 反駁と説得 ▲ O.R.E.使用1 全国クラス → 黒猫好感度↑? 未使用 → ↓ O.R.E.使用2 冷静になれ! → 未使用 → ↓ ツーショット会話 黒猫 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × 桐乃のことか? ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × - - - - まじか… ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × 手先じゃないぜ ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × なんだって? UE UE UE UE OK UE UE UE UE UE UE UE 緊急回避なし→◯×◯◯ ツーショット弾幕ヒント:◯×◯◯ No.009 チーム分けは置いておいて ▲ O.R.E.使用 シスカリのゲーム大会 → 沙織好感度↑? 未使用 → ↓ O.R.E.使用 大会の賞品使用 → 桐乃ルートフラグ→大会打ち上げへ 全国クラス使用 → 黒猫ルートフラグ→壁越しの懊悩へ 未使用 → 沙織ルートフラグ→大会打ち上げへ No.010 またの名を地味子 ▲ ツーショット会話 麻奈実 ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × 違う ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × なに言ってんだ! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × 遠慮しとくわ UE UE UE UE UE OK UE UE 緊急回避なし→×◯× No.011 来週の修学旅行 ▲ インフォメーション 修学旅行 清水寺の縁結びの滝 北野天満宮 No.012 壁越しの懊悩 ▲ インフォメーション 勝率は高い方がいい No.013 人生相談 ▲ O.R.E.使用 全国クラス → 未使用 → O.R.E.使用 勝率は高い方がいい → 未使用 → No.014 ゲーム大会当日 ▲ No.015 ヌキなしの ▲ ツーショット会話 黒猫 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × × × × × × びびらねえよ! ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × 言いすぎ! ◯ ◯ ◯ ◯ × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × ハンデ言うな! ◯ ◯ × × - - ◯ ◯ × × - - ◯ ◯ × × - - ◯ ◯ × × - - ハンデ言うな! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ふざけんなよ! UE UE OK UE OK UE UE UE UE UE OK UE UE 緊急回避なし→◯◯◯×◯、◯◯×◯、◯××◯ No.016 勝利を信じて ▲ No.017 大会後 ▲ No.018 黒猫の実力 ▲ O.R.E.使用 大会の賞品 → 未使用 → No.019 大会打ち上げ ▲ O.R.E.「ラジ館」取得 ↓ O.R.E.「メイト」取得 ↓ O.R.E.使用 ラジ館 → O.R.E.「しすしす」取得、桐乃好感度↑? メイト → 沙織好感度↑? 未使用 → No.020 奇妙なメニュー ▲ O.R.E.「電波ソング」取得 ↓ ツーショット会話 桐乃 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × 電波ソング ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × なに言ってるの? ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ × × やかましいな! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × × ◯ × なんだそれ! OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK 緊急回避なし→ ツーショット弾幕ヒント:◯◯◯◯ No.021 でも電波ソン(ry ▲ O.R.E.「ノートパソコン」取得 No.022 沙織の奇妙な告白 ▲ O.R.E.「お見合い」取得 No.023 休憩終了 ▲ O.R.E.「ただの人生経験」取得(沙織ルート時) No.024 しすしす ▲ O.R.E.使用 しすしす → 桐乃好感度↑? 未使用 → ↓ ツーショット会話 桐乃 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × さらさらねえ! ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × わかんねー! ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ × × 言ったじゃねーか! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × × ◯ × なんだそれ! OK OK OK UE OK UE UE UE OK UE UE UE UE UE UE 緊急回避なし→◯◯◯◯、◯◯◯×、◯◯×◯、◯×◯◯、×◯◯◯ ツーショット弾幕ヒント:◯◯◯◯ No.025 みやびちゃん ▲ O.R.E.使用 シスカリのゲーム大会 → しすしす → 未使用 → No.026 ファンディスク ▲ No.027 新垣あやせ登場 ▲ No.028 麗しき彼女のお悩み ▲ No.029 桐乃になにが? ▲ No.030 明日の京(介) ▲ No.031 嘘だと信じたくて ▲ ツーショット会話 麻奈実 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × × 嘘だ! ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × んなわけあるかぁ ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × バナナって! ◯ × - - ◯ × - - ◯ × - - ◯ × - - ノーパン - - ◯ × - - ◯ × - - ◯ × - - ◯ × 大丈夫! OK UE UE UE UE UE UE UE OK OK OK UE OK UE UE UE 緊急回避なし→◯◯◯◯、×◯◯◯、×◯◯×、×◯×◯、××〇〇 ツーショット弾幕ヒント:×◯◯◯ No.032 出発前夜の狂想曲 ▲ O.R.E.「安倍晴明」取得(黒猫ルート時) O.R.E.「平安アニメーション」取得(沙織ルート時) O.R.E.「老舗和紙店のあぶらとり紙」取得(あやせルート時) ↓ ツーショット会話 桐乃 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × × こんなに! ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × こっちの台詞! ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × 俺にだって! ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × ◯ × × ◯ ◯ × なんでそうなる!? UE UE UE UE OK OK OK UE 緊急回避なし→、、××〇×、××〇〇、××〇× ツーショット弾幕ヒント:××◯◯ No.033 寄せられる期待 ▲ No.034 到着★京の都 ▲ ツーショット会話 麻奈実 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × × × × × さすがにそれは ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × ◯ ◯ ◯ ◯ × × × × 知恵袋かよ! ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × ◯ ◯ × × どうすんだよ? ◯ × - - ◯ × - - ◯ × - - ◯ × - - 誤解なんだ - - ◯ × - - ◯ × - - ◯ × - - ◯ × 嘘じゃねー! UE OK OK OK UE UE OK UE UE UE OK UE UE UE UE UE 緊急回避なし→◯◯◯×、◯◯×◯、◯◯××、◯××◯、×◯×◯ No.035 物見遊山にいざ出発 ▲ インフォメーション ご当地メルル No.036 逗留所にて ▲ No.037 土産談義、そして ▲ インフォメーション モテモテ No.038 麻奈実の笑顔 ▲ No.039 増してゆく荷物 ▲ No.160 if・とある京都面妖編 ▲
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1483.html
※この作品にはTS成分が含まれています。ご注意ください。 ※この作品は妹ものハートフル(ボッコ)コメディです。 ※この作品にホラー成分は全く含まれていません。 921 :Monolith兵:2013/01/15(火) 16 14 58 ネタSS「俺の妹が○○○なわけがない!」 その2 あの悪夢の夜から京介は悪夢をよく見るようになった。原因は分かっている。憎からず思っていた妹の桐乃が”辻政信”の転生体だったことがわかったからである。 だが、普段の桐乃は以前と何も変わってないように見えた。目つきも声色も口調も何もかもが桐乃だった。実は前世が辻政信だったというのは、自分が見た夢だったのではないだろうかと思ってしまうほどであった。 そんなある日、桐乃は京介の部屋に来て話をしたいと言ってきた。京介は少し腰が引けたがいい機会だと思って頷いた。 「それで何のようなんだ?」 京介の声は少しかすれていて、ぶっきらぼうであった。 「何のようだ、とはつれないですね。この間は嶋田さんが気絶してしまって余り話せなかったので、ここで深く話し合おうと思っているだけですよ。」 目つきと声色は桐乃のものであったが、口調は辻政信であった。彼女(彼?)曰くあれはひどく疲れるのだそうだ。 「嶋田さんはこの世界が前世の未来だと解っていますよね?私も歴史を調べて理解したのですが、今の裏の事情、特に夢幻会関係を調べてみたのですがなかなか面白い事がわかったのでお話しようと思ったのですよ。」 「おいおい、それは危険じゃないのか?それに、夢幻会は表の政府機関と統合したはずだぞ。現在も残っているとは思えないが。」 桐乃が切り出したことは彼らの前世に関係することであった。しかし、京介の言うとおり、夢幻会は事実上解体されたはずであった。政府機関にその名残を見ることはできるが、それはもはや秘密政治結社のそれではなかった。 「その通りです。ですが、夢幻会の代わりにある組織が台頭しているようですね。全く、我々が苦労してやってきたことをひっくり返す真似をする奴らがいるとは…。」 桐乃の話は京介にとっても衝撃であった。前世の自分たちの苦労が水泡に帰したのであるから。だからといって今の自分に何かができるとは思わなかった。 922 :Monolith兵:2013/01/15(火) 16 15 47 「それで、その組織の名前は?」 「MMJです。まったく、いつから萌を広げる組織から政治結社になったのやら。」 「あんた等が原因じゃないか!」 MMJの名前を聞いて京介は頭痛がしてきた。なんといっても、妹の前世”辻政信”はMMJの幹部だったのだから。 「なんでそうなるんだよ…。」 「どうやら私の後継者、量産型辻政信と言われているらしいですが、その者たちがMMJを牛耳っていつの間にか政治結社になってしまったようですね。全く、萌を理解しない人間がそれだけ増えたなど、嘆かわしいことです。」 「その量産型辻政信を作り出してはMMJに入れてたお前が全ての元凶だよ。」 嶋田はあまりにもあまりな話にげんなりしていた。前世におけるMMJもあれだったが、現在は違う方向にあれだったのだ。 「で、MMJはなにか問題を起こしているのか?」 「私がやってきていたことですよ。国外で資金を調達し、国内の資本増強や開発に用いる。実際に政府のやっていることですよ。しかし、それをこの半世紀やっているのです。そりゃドイツやソビエトが倒れるわけですよ。いやー、○くん(元首相)はいい仕事をしてくれてましたね。」 「どう考えても世界経済の破壊者じゃないか!」 どうやらMMJは凶悪性が増大していたらしい。そのせいで世界の半分をまとめる枢軸側の盟主を滅ぼしたというのだからなおタチが悪い。そのうち世界が滅ぶぞと思ってしまうのは当然のことであった。 「ですが、彼らはやりすぎです。ドイツがいなくなった今、日本は世界の一極です。そして前々世におけるアメリカのように横暴に振る舞い孤立し衰退するかもしれません。」 桐乃の懸念は京介も思い浮かべたことであった。ただ、日本が衰退する前に世界が滅びそうだが。 「それを防ぐために嶋田さん、協力してくれませんか?」 「今の俺にできることなんてたかが知れてるぞ?」 なんとかしたいと思っていても、力がなければ何もできないのだ。だが、桐乃はその力を手に入れる策があるという。 「私の友人に新垣あやせという少女がいます。彼女の父は衆議院議員で元大蔵官僚だそうです。不本意ですが量産型辻政信と言われていますね。彼女の父を通じてMMJの懐に飛び込み、内部から改革します。」 友人の父の力を借りるという桐乃の話に京介はそんな簡単に行くものかと思った。それを読み取ったのか、桐乃は付け加えていった。 「もちろん、ただ頼みに行っただけでは意味がありません。だから、嶋田さん、あやせを落としてください。」 京介は思わず吹き出してしまった。何ということを言うのか。桐乃は京介に自分の友人を彼女にしろと言っているのだ。人生経験は豊富でも女性経験はそれほどでもない京介には難しい話だ。 「私がフォローします。嶋田さん、これは日本の未来をかけた話なんですよ。それに、あやせは素晴らしい少女です。大和撫子を体現したような。そんな少女を手に入れてみたいとは思いませんか?」 「……解りましたよ。」 あまりな言い方に京介はため息をついた。そして了承する。そして、自分は何で前世と続いてこんなに問題にばかり遭遇するのか呟く。 「ああ、それから。あやせは嶋田さんから見ると曾孫にあたります。いやー、転生してから精神的なものとは言え近親相姦をすすめるとは本当に人生は面白いですね。」 京介は今夜もまた叫び声を上げた。 おわり
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/147.html
ただ今早朝6時半、俺はイチゴ味のドロリッチを買うためにひたすら走り、売っている自動販売機を探している あの味は何故か……、いや、ドロリッチは、と言った方が良いな、とにかくドロリッチは何故か殆ど売っていない そのおかげで俺は今加奈子のパシリとしてこんなに走っている、くそっ。もう辞めてやろうか、こんな仕事。 そんな事を考えていると俺は合計29箇所目である自動販売機に辿り着いた 膝で体を支えて息を整えてから、自動販売機を見るがどんなに願っても願いは叶わないのか、そこにはドロリッチは売っていなかった 俺はもう一度走り出す為にちょっと小休止を入れようとそこにあったベンチに座った 「はぁあ、何でこんな事になったんだ?」 そんな声が俺の口から漏れるがどんなに言ったってこの現状は変わらない こんな事は昨日加奈子の相談を受けた時に覚悟していた事なんだから。今のこの状況は言わば自業自得だ。 そう、この状況は昨日の加奈子からの一本の電話から始まったのだ。 その事を俺がドロリッチを探している間に話しておこうと思う ・・・・・ 昨日、俺はベッドに潜り込み何時ものように睡魔のヤローが襲ってくるのを待っていたんだ だが睡魔のヤローは何時まで経っても襲ってきやがらなかった、何時もなら俺がベッドにもぐった瞬間に、十秒も経たずに襲ってきやがるのに、だ。 「ちっ、何なんだ?睡魔のヤロー、サボってんのか!?」 そんな言葉を深夜三時くらいにボヤくが、誰かの返答があるはずもなく、俺の言葉はむなしく部屋の空気と一体化したのだった 「ふぅ、しゃーない、何か食ったら眠くなんだろ…」 俺はそう言って勢いよく立ち上がった さて飯でも食べに行きますかぁ、と思いながら立ち上がったのはいい、だが、なんなんだろうね、俺はこういう星の下に生まれてきたのかねぇ そう心の中で言いたくなるほどタイミング良く俺の携帯は鳴っていた まさに立った瞬間ってやつだった pipipi……pipipi…… 今も俺の携帯は机の上で勢い良く鳴っている、何故だかなぁ、今の俺には携帯の音が不幸の音に聞こえてきて仕方ねぇんだけど、これって俺の勘違いかな? 内心涙目になっててもなんでか俺の手は机の上の携帯に向かって伸びていった そして手に取り着信名を見る、これが加奈子とかなら楽勝でブチッてやったんだけど、いかんせん、こんな時に限って着信名は『ブリジット』と書かれていたのだった こうなったら俺にブチるっていう選択肢は消える、消えてしまう 俺は内心だけでなく現実でも涙目になりながら電話にでたのだった 「あー、もしもし?京介だが?」 『あん?、よぉ、加奈子なんだけどぉ、ちょっくらお願いしたい事あんだけど?』 ………お前かよ!! そんなやるせなさ99%加奈子のチビ野郎1%で構成された突っ込みを心の中に押しとどめて、俺は初歩的、かつ今現在最も大事な事を聞いたのだった 「お前、なんでブリジットの電話からかけてきてんの?」 『え?だってクソマネってば私からの電話だとブチッてくんじゃん』 「当たり前だ、お前は必ずと言っていいほど俺に不幸を持ってくんじゃねえか」 それと俺の聞き間違いじゃなければ今さっきからブリジットの「お電話返してよー、ねぇってばぁ」って声がお前の後ろから聞こえて来るんだが?聞き間違いか? 『聞き間違いだ』 あれ!?、今さっき俺口に出していなかったよね!? 「もしかしてお前超能力者なのか?」 『そんなわけねぇじゃんww』 そんなわけないらしい ま、そんな事は(本当に心を読まれたならどうでもよくないけど)どうでもいいとして 「で?なんの用だ?、まぁ何か用事があっても俺はブチるけどな」 『ちょ、酷くない!?、何で加奈子の時だけクソマネは冷たいんだ!?』 そこまで聞いた所で俺はため息をついた、何を今更言ってんだ?、そんなの簡単じゃねぇか 「じゃ、理由を言うぞ? その①口が悪い。 その②口が悪い その③口が悪い …………分かったか?」 『わからねぇよ!、理由全部一緒じゃねぇか!!』 「ほら、その口調だよ、分かってねぇの?」 そこで加奈子は「うぐ……」と声を詰まらせた 『分かったよ、口調変えればいいんだろう?』 「おう」 俺がそう返事をすると加奈子は演劇の練習みたいにアーアーんんっ、と声の調整を行った 『分かりませんよ!、何で私の時だけマネージャーさんは冷たいんですか!?酷いです!!』 「前言撤回!!、即座にその口調を元に戻すんだ加奈子!!」 俺は即座に片手を口に当てた 『ちょ、何で!?、クソマネの言った通りにちゃんと変えたじゃん!声まで変えたじゃん!!』 うおぇっぷ、危ねぇ、今日の晩に食ったカツが俺の胃液と共にリバースされちまうところだったぜ 「も、もういいんだ加奈子、もう………いいんだ。」 『何この空気!、まるで私が悪いみたいになってんだけど!?』 ………え?、加奈子は自分が悪くないって思ってるの? 『思ってるよ!!』 ここで加奈子は電話越しでも分かる程荒れている息を整え始めた 「どうした?何でそんなに興奮しているんだ?」 『誰のせいだとだと思ってんの!?』 俺のせいらしい 「はぁ、で、なんなんだよ、俺に用って」 面倒くさいから俺は加奈子に続きを促した ったく、なんでこんなに話しが脱線すんだか。疑問でしかたない。 『もう突っ込まないからなぁ!!』 残念だ。 『それで、その相談っつーのは超簡単、一日私達のマネージャーに戻って欲しい、っつー事なのよ、分かる?』 「加奈子、悩んだんだが、その話し………、断らせてもらう」 『ぜってー悩んでねぇだろ!!、話して十秒も経ってねぇのに何が悩んだだ!?』 そこで俺は顔を伝う汗を手で拭った。ふぅ、久しぶりだ、こんなにボケ倒したのは 本来俺はボケの方なのに何故か俺の周りには個性的過ぎる奴らがウヨウヨいやがるからなぁ、しょうがなく突っ込みに回ってしまうのだ 『はぁ…はぁ…、も、もう満足したか?クソマネ?、それで、真面目な話しどうなのよ、来れんの?』 息を切らしながらそう言う加奈子。ま、俺としても行ってやりたい事この上無いのだが、どうも腑に落ちない、何で俺なんだ?、というかお前の一存で俺をマネージャーに戻すとか出来んの?、という疑問がどうしても沸いてきてしまう ま、聞いてみりゃわかんだろ。 俺はそう思ってさっき考えた事をそのまま口にした 「一つ疑問なんだが何で俺なんだ?、ていうかお前俺をマネージャーに戻すとか出来んのかよ?、どうも気になってな」 そこまで言ったところで会話が途切れてしまった。な、何だ?、もしかして俺聞いちゃ駄目な事聞いちゃった? そう思ってたら何やら電話から加奈子のボソボソ……、という言葉?、が聞こえてきた 「え?何て?」 『………ボソボソ』 「あん?、全然聞こえねぇって!」 『………ボソボソ』 「聞こえねぇっつってんだろ!?」 『………ボソボソ』 「ちゃんと言えやぁああああ!!!」 いい加減イラッとくるわ!! なんなの?、言いたくないのか? そんな疑問が俺の中に沸いてくる。ふむ、もういっかなぁ 嫌がってんなら別に無理に聞こうとも思わねぇしなあ 何て事を俺が考えていると加奈子は決心したのか、電話越しでも分かる程大きく唾を飲み込み、話し始めた 『あ、あ、あんたが1番……マネージャーの中で好きだから』 そしてその後の何とも言えない沈黙が訪れた お前2番目の質問に答えろよ、ま、出来るからこんな事を俺に言ってんだろうけど ていうか、い、いかんぞ?、自分で聞いといて何なんだがとてつもなく気まずいぞ? その後俺はどうやって話しを切り出そうか、と考えながら気まずい沈黙に耐えていた それから何分くらい経っただろうか、俺の精神上ではすでに一時間ほど経っている気がする、そんな時に加奈子はこの沈黙を打ち消した 『り、理由は話したぞ?、で、どうなんだよクソマネ』 ……無理、絶対断れねぇって、これ だってここで断ったら俺ってなによ、ただ人が言いたくない事を無理矢理聞いた最低野朗じゃん …………ま、別に断る気は最初から無かったんだけどな。 そこからは別にこれといった会話は無い ただ一つだけ確かなのは加奈子が最後俺が断れないようにしたのはわざとだって事だ、うん。 だってあいつ最後に言った言葉ってこんなのだからな 『へへ、マネージャー単純過ぎ!!』 という事で今俺は仕事終わりに加奈子が飲むから買って来い、って言われたドロリッチを今買いに行ってる途中っつーわけだ ったく、ちっとはブリジットちゃんを見習って欲しいね、ブリジットちゃんなんか「何でも良いですよ、マネージャーさんが美味しそうと思ったやつを買ってきて下さい」なんて事をニッコリと笑いながら言ってくれるんだぞ? そんな事をドロリッチを求めて爆走しながら考えていると目の前にまた新しい自動販売機を発見した 「ドロリッチぃいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーいいいいいいイ!!!!!」 そう叫んで自動販売機に群がっていたガキ共をおっぱらう 頼む、ドロリッチよ、あってくれ! 最後の希望と言わんばかりに俺は目を充血させながら目の前の自動販売機を見た ………あ、あ、あ、 「あったぁああああああああああああああああああ!!!」 その日、俺は合計30台もの自動販売機を巡りドロリッチ苺味を確保したのだった そして歩く事三十分、ようやく俺は仕事場へと無事帰り、ちょっと前に仕事の休憩に入ったのであろう加奈子とブリジットに向かって買ってきた飲み物を渡した 「で?、どうだったのよ、仕事のほうは」 何の気なしに加奈子達にそう聞くと、予想通りの返答が二人から帰ってきた 「あ?、クソマネは加奈子がこんな事でミスるとでも思ってんのかよ?(片方の眉を上げて)」 「はい、おかげ様で何時もより上手く出来たと思います(超笑顔)」 もうどっちがどっちなのかは言わなくても分かるだろう、てか分かれ だがそんなに態度が違うとやっぱりこっちとしても二人に対する態度が変わるのは分かって欲しい 「あ?思ってっからそう言ったんだろうが、あ?。それとお前仕事で汗かいてっからって調子に乗ってそんな物ばっかり飲んでたら太んぞコラ!」 「え?そう?それは良かった、これでこっちも来たかいがあったってもんだ、え?なに?帰りにレストランに行きたい?、よしちょっと待ってろよ?予約入れっから」 どっちがどっちに対する返事かというと上が加奈子に対する返事で下がブリジットに対する返事だ 後ろで何か加奈子が叫んでるがもはや気にしない その後すぐに後半の撮影が始まった 改めて見ると思う事がある この仕事をやっている人は皆こうなのか?、という疑問だ カメラの前だと人が変わっているのだ 時に眩しいくらいの笑顔を見せ、時にこっちまで切なくなってくる悲しい顔を見せる 大胆な格好、照れくさそうな格好 そんな、そんな姿を見てるから俺も加奈子の言う事に文句は言っても、逆らったりはしない(あまりに理不尽なのは含まない) 「やっぱ……、かっこいいな……」 聞こえないのは分かってるのに俺の口からは自然と言葉が漏れていた ま、ちょっとは認めてやってもいい、うん。 その後、特に変わった事は無く、いつも通りに撮影は終わりタオルと飲料を加奈子達へと渡す 「お、サンキュー!」 「ありがとうございます、マネージャーさん」 何でこんな時だけ加奈子は礼を言うんだか……、俺は今さっきドロリッチを買いに走った事に礼を言ってほしかったよ! ま、何はともあれ、やっと終わったな~ 思い返せば大変な事ばかりだったが、今は大切な思い出だーはっはっは! なんて感慨にふけっていると加奈子はまるで当然かの様にこんな事を言い出した 「あ、この後カラオケな~!、着替えたらすぐ行くから待ってろよ!!ブリジットにはもう話してあっから」 「よろしくお願いしますね!、マネージャーさん!」 はい?why? 俺が会話について行けずにいると加奈子は俺が状況を理解するに充分な言葉を言った 「あ、もちろんクソマネの奢りだかんな」 ………こいつ、俺にたかる気だ ヤヴァい、このままだと俺が奢るはめになりそうだ、だってブリジットが俺によろしくと言っていたって事は加奈子の野郎があらぬ事をブリジットに吹き込んだって事だからだ 俺の中の非常警報が赤いランプを灯しながら何か打開策を!!!、と言って叫んでいる 俺は頭でほとんど考えずに叫んだ 「俺は金無ぇからなぁ!!」 その言葉に加奈子は掛かった!、と言わんばかりにニヤァと笑う そして俺に対して決定的な一言を言って下さった 「今さっきみたぜぇ?、今日のギャラ、福沢諭吉さんが四人ぐらいでお前につぶらな瞳を向けてただろ?」 「おふぁ!!、何で知っていやがる!」 そんな事を言っても最早後の祭りだった、加奈子は「奢りでよろしくぅ!!」と言いながら行ってしまったし俺が悲しげな瞳でブリジットを見てもブリジットは苦笑いをしてすみませんと言わんばかりに頭を下げて行ってしまった 最早ここからの打開策は無い そんな俺の口からは、吐息と共にこんな言葉が出たのだった 「oh……no my way(オー、ノウ マイウェイ)」 ちなみに意味は逃げ道が無い、という意味だ ・・・・ 「メ~ルメルメルメルメルメルメ メ~ルメルメルメルメルメルメ!!!」 今、俺の耳に親のいない休みの日、異常に薄い壁の向こうから嫌というほど聞いた音が大音量で流れてきている 加奈子よ、何故………何故その歌をチョイスするのだ、俺はお前がオタクではないと信じているんだよ? そんな言葉を苦悶の表情に込めて俺は加奈子を見た そこにはそれはもう満面の笑みを浮かべている加奈子の顔があった ……こいつ、俺が嫌がるのを楽しんでいやがる それに気がついた俺は何かが、俺の中の何かが音を立ててプツンと切れたのを自覚した そこで俺は曲を選ぶ機械(名前を知らない)を手に取り一気に5曲程を入れる 加奈子……、いいよ?、お前がその気なら俺も付き合おうじゃないか…… 俺は!!お前がアニソンを歌い続けるならばその空気をブチ壊すために泣き歌を歌い続ける!! 「まず第一曲目!!!、Sky chord ~大人になる君へ~!!」 そう俺が言ったら加奈子の顔が引きつった、ような気がする!! それを見て俺は大きく息を吸い込んだ 『素直な歌が歌えない 飾り付けてしまうから いつからこんなに楽に自分 守る事を覚えたの? 校庭から見える空 君には何色に写る ただ真っ白な雲でも 時に真っ黒に変えたくなる 見っかんない sky chord 昔ならあったのに なくした sky chord 誰のせいでもなく 自分 きっと大人になることなんかより 大切なものがあるの きっとそれを見つけらんないまま 大人になっていくんだ』 え?、これもアニソンだって?、そんな細かい事は気にするな!! ていうかそこ!!何勝手に料理頼んでんだ!?、それ以上俺の財布を薄くする行為をすんじゃねぇ!! 俺がそんな事を言っている間に店員が来てパフェを置いていく 加奈子貴様ぁ、一体何時の間に頼んでたんだ!? ああ!ブリジットまで何て高そうなパフェを頼んでいるんだ……。 3時間後、店を出る時に俺が叫んだのは仕方の無い事だと思う、ていうか、何でカラオケだけで福沢諭吉さんが二人も俺の手元からいなくなるんだ…… 涙目の俺はポケットに手を突っ込んで不貞腐れて歩いている、その両脇には加奈子とブリジットが付いてきていた なに?両手に花だって?うるせぇ!、片方は毒花だよ! その内ブリジットは俺の前に申し訳なさそうにしながら立ちこんな事を言ってきた 「あの……やっぱり自分の分だけでもお支払いしましょうか」 ちょっと目が潤んでいる そんな様子を見て俺はフゥ、とため息をついていった 「いいよ、今回は俺が奢っから」 「でも…」 まだ申し訳なさそうにしているブリジットの頭に俺は勢い良く手をおいてグシャッと撫でた 「本当にいいから」 そういって俺は笑う それでやっと笑顔になったブリジットは俺の腕に勢い良く抱きついた やっぱ子供は笑顔が一番だな そんな事を思いながらブリジットを見ていると俺はおかしな事に気が付いた ………何かもう片方も重いと思ったら加奈子も抱き付いてきてんだけど 本当に桐乃と同級生とは思えない程、小さな膨らみが俺の腕に押し付けられていた 俺が戸惑っていると視線に気がついたのか加奈子がちょっと見上げてきてボソボソと何かを呟いた 「え?何て?」 聞こえなかったので聞き返すと加奈子はムスッとしながら上目遣いをして今度は大声で言った 「ブリジットばっかズルいぞ!、私にも構え!!」 ………はい? 俺がポカンとしていると加奈子はもう一言大声で言った 「お、お前は!!加奈子とブリジットの二人のマネージャーなんだからな!!」 そこまで言われて俺はやっと加奈子の気持ちが分かった こいつ……俺の事を 何で気ずかなかったのか自分でも不思議だ そんな事を思いながら俺が見つめていると加奈子は段々と頬を紅潮させていった そして俺は革新的な事を言ったのだった 「お前……俺の事を玩具かなんかだと思ってんな?」 そこまで言って加奈子はポカンとした、横を見るとブリジットも何か信じられない物を見る様な目で俺を見ていた 「え?なに?、お前自分の玩具を取られた感覚で怒ってたんじゃねぇの?」 え?違うの?。 ねぇ、違うの? そんな困った目で俺が皆の事を見てても皆は黙ったまま何も言ってくれない それに何だか加奈子の方を見たら桐乃が怒った時の様な顔をしている、それも普通に怒っている時ではない、静かに、ただ静かに怒っている時の顔だ 思わずブリジットの方に助けを求める視線を送るが、そこには冷たい目をしたブリジットがいて、俺をジーっと見ていた そしてブリジットの小さな口から俺に対する死刑宣告が出た 「手遅れです」 とてもニコやかに その笑顔を見て数秒後、俺は自分の男として失ってはいけない所を勢いのついた加奈子の蹴りが当たる所を見た 薄れていく意識の中、俺は思った 俺が……、何をしたっていうんだ? 「ん………」 俺は瞼越しでも分かる明るい光に当てられ瞼を開けた 目に飛び込んだのは真っ赤な夕焼け、あまりに眩しくて俺は夕日に背を向けた そしてその直後に聞こえてきたのは加奈子の戸惑ったような声だ 「ちょ、お前何処に顔向けてんだよ」 そこで俺はやっと頭が冴えてきた、そして目を開けるとそこには へそがあった 「どわひゃぁ!」 そんな声が俺の口から漏れる そして後ろに落ちると地面に尻餅をついてしまった 改めて冷静に見るとここは公園のベンチだった、そのベンチには加奈子とブリジットがチョコンと座っている 両方顔を赤くして。 何で二人がまだこんな所にいるんだ? まさかまだ蹴り足りなかったのか? これ以上蹴られたら俺は男では無くなってしまうかもしれない 俺は警戒して二人を見る すると二人はまるで練習してたかのようにハモりながら声を出した 『「あの!」「なあ!」』 な、なんだ? 一体何なんだ? 俺は戸惑うばかりだ 「か、カナカナちゃんはさっきマネージャーさんを膝枕してたんだから今度は私の番だよ!」 「それはブリジットがジャンケンで負けっからだろ!?」 そこまで言い合うと二人はこっちを意味ありげに見てきた な、何なんだ?一体俺に何を求めてるんだ? やがて二人は諦めたようでまた睨みあった 切がないと二人とも思ったんだろう 我先に!、と言わんばかりに一気に話始めた 「おい!(あの!)就職さきは決まったのか(んですか)!?」 「いや、まだです!」 雰囲気に負けて俺は目を逸らしてすぐさま答える 何か知らんけど怖い!! とてつもなく怖い!! さあ!次は何なんですかこの野郎!! どこからでも来いやぁ!!!、と言わんばかりに二人を再び見ると いきなり手を掴まれた 目を潤ませて、思いつめたように真剣な目で二人は俺を見ていた 「どうしたんだよ、二人共」 思わず漏れる俺の言葉 二人はそれに反応したようにこちらを見て大声で言った 『マネジメントに興味はない!?』 悪りぃ、赤城、俺はちっと先に就職決定のようだ 俺はこいつらとちょっくら先に青春を謳歌してくるぜ そんな事を思いながら俺は晴れやかに返事をしたのだった 「興味?」 俺を真剣に見つめる二人 「あるに決まってんだろ?」 そこで二人は飛び上がって喜んだ だが、ここで終わりじゃないぜ? 「ただし」 もう一度俺を心配そうに見る二人に俺は言った 「お前等のマネジメント限定でな!」 寒い風が俺と二人の間を通過していった。空気が死んだのは言うまでも無いだろう 最後に一言言うなら、そうだな 俺はそこで赤くなって俺の腕に抱きついている二人を見て考える そして笑った 俺のモデル達がこんなに可愛いわけがない かな。 オマケ 「なぁ、クソマネ?」 ちょっと心配そうな声で加奈子が俺に言い寄る 「何だよ」 俺が答えても一向に返事が来る気配が無い 訝しげに思い加奈子の方を見ると加奈子はニヤリと笑ってこう言ったのだった 「クソマネの男の象徴、ちゃんと機能するか見てやろうか?」 その一言で俺は真っ赤になる、ブリジットなんか気絶してしまってるじゃないか ま、その後どうなっかはご想像にお任せしよう。 終わり
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/143.html
京介には同じ高校の後輩の黒猫という彼女がいた。 ゲーム研究会という同好会に二人して参加し, 一緒にゲーム作りとかしているうちに密接な関係になり, 黒猫から告白され恋人になることになった。 しかし、京介は黒猫に振られてしまった。 で、考えてみればゲー研の活動内容そのものが好きと言う事もないので辞めようと思い、 黒猫の他に同じ頃に入会した後輩の赤城瀬菜に退会の相談をした。 退会の理由として上のエピソードを話した。 瀬菜「つまり五更さんが居たからゲー研にいたと」 京介「そういうわけだ」 瀬菜「五更さんと別れたからゲー研に居る理由がなくなった」 京介「そうだ」 瀬菜「思い出したくないので早くやめたい」 京介「まあそういうわけだ」 瀬菜「先輩はプログラミングのプの字もできないけど、誰よりも真面目にゲー研の活動しているじゃないですか。」 瀬菜「別れるような状況を作ったのは五更さんでしょ。」 瀬菜「だから先輩は辞める必要はありません。お願いですから先輩は残って下さい。」 京介「確かにそうだけどよ、なんか、こう、あいつに未練があるようで居るとカッコ悪りーんだよ」 瀬菜「うーん、なら新しい彼女をゲー研内に作れば良いじゃないですか」 京介「そんなに簡単に作れるわけなんてねーだろ。だいたいゲー研に女なんて黒猫とオマエしかいねーじゃないか。」 瀬菜「私じゃダメですか?」 京介「えー、なんだってぇー」 瀬菜は親友の赤城浩平の妹。 巨乳で可愛い顔してるけど、ホモ好きの腐女子、お洒落なし。 男の噂一切なし、優等生キャラで人望はあった。 瀬菜「私は常々先輩と五更さんのカプは志向があってないと思って居ました。」 瀬菜「もう少しゲー研に居て下さい。」 京介「はぁ」 で、次の活動の日から瀬菜は何かに取り憑かれたように 京介に対してデレデレの犬チックキャラをつくり常に傍に寄ってくる。 瀬菜「先輩の隣はわたしが座ります。」 瀬菜「ハイ、先輩にお弁当に作ってきました。食べさせてあげます、アーンしてください。」 瀬菜「入部してはじめてあったときから、先輩のことちょっといいなっておもってたんですよね。」 瀬菜「先輩となら腐女子を卒業できるんじゃないかって。」 瀬菜「五更さんは先輩のことを振りました。」 瀬菜「だからチャンスだと思って告白したらOK を貰いました。すごく幸せです。」 化粧やお洒落もし始めて 瀬菜「弾けるレモンの香りのコロンつけてみたんです、どうですか?」 瀬菜「私,生まれて初めて綺麗になりたいと思ったんですよね。頑張ります、先輩の為に。」 周りの視線はバカップルというより珍獣を見るような感じ。 だけど二人きりの時は以前のように、 瀬菜「可愛い女の子ってやってみると結構疲れますね。」 瀬菜「私の演じ方が悪いのかなぁ。もう少し先輩もデレデレしてください。」 ってオタクなキャラに戻る。 当然ゲー研のみんなはオレが黒猫とつきあっていたことなんて忘れていった。 京介「そろそろそのキャラ止めねーか?」 瀬菜「作戦成功ですね。今日親たちは旅行で,お兄ちゃんは合宿で家には私しかいなんです。 私のうちに来て下さい。」 瀬菜の部屋にお呼ばれした。 で2人でゲームをしていると突然、 瀬菜「先輩は紳士というより、鈍い男ですよね。」 瀬菜「若い男は妙齢の女性の部屋に呼ばれたら、襲いかかるものなんじゃないんですか。」 瀬菜「実は私もそろそろ経験したいと思っていました。」 まぁ据え膳は食べました。 次のゲー研の活動日には、ほぼ全員が瀬菜の部屋に京介が泊まった事を知っていた。 何となく別れるタイミングを逸して性欲に負けて何度か瀬菜の家に泊まってしまうと 瀬菜「先輩に捨てられると色情狂といわれるくらいにH好きになってしまいました。」 瀬菜「責任とって毎日抱いてください。同棲してください。」 結局瀬菜高校卒業とともに同棲開始、その2年後、 瀬菜「そろそろ籍を入れてください」 瀬菜「あなただって子供が欲しいはずです」 今でも人前ではデレ、2人になるとクール 瀬菜「実は先輩と2人だと恥ずかしくて本心を隠してしまうんです。」
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1740.html
988 :Monolith兵:2013/06/11(火) 04 55 03 ※この作品にはTS成分が含まれています。ご注意ください。 ネタSS「俺の妹が○○○なわけがない!」 閑話2 都内にあるとある雑居ビルの会議室に50人以上の男女が集まっていた。部屋の中の机はコの字型に並べられていた。 「何故だ!何故こうなった!!」 コの字型に並べられた机の中心に座る壮年の男がそんな言葉とともに、拳で机を叩いた。 「黒猫と京介が別れる。これは運命の記述(ディスティニー・レコード)にも記されている防ぎようもない未来だった。故に、我々は何もしなかった。そして、黒猫は松戸に引越し桐乃と京介との縁は続くはずだった・・・。」 「しかし、黒猫、五更瑠璃の父親が陸軍中佐であることが全てを狂わした、と言うわけか。これが原作と現実の差と言うものなのか・・・。」 原作は平和な平成日本を描いた作品だった。しかし、現実は違う。一応平和ではあるが平成日本ほどではない憂鬱日本なのだ。そして、憂鬱日本では大日本帝国は存続しており、平成日本とは比べようもないほどの軍備を持っているのだ。故に、原作では平凡な会社員であった五更瑠璃の父親が陸軍軍人であっても不思議なことではなかった。 「「「なんで、黒猫がカリフォルニアにいるんだ!!」」」 それがMMJお礼網と部会のメンバーの偽り無い本音だった。 全員で合唱した後暫く無言の時間が続いた。それを打ち破ったのは、部屋の中に慌てて駆け込んできた高坂桐乃だった。 「申し訳割りません、遅れました。」 よほど慌てていたのだろう。いつもは読者モデルらしくビシッと決めている服はどこかちぐはぐで乱れていた。髪も縺れており、額には汗が光っていた。しかし、現役陸上選手らしくどれほど走ったのかは解らないが息を乱している様子は無かった。 「全員集まったようだから早速始めよう。」 机の真ん中に座る議長役を務める男が言った。それにメンバー全員が頷くと、一人の男が立ち上がり今回の事態の説明を始めた。 「今回の事態は、五更瑠璃は父親がカリフォルニア大使館駐在武官となった為に家族とともにあちらに向かった為起きたものです。それが解ったのが1週間前。しかし、今回の事態は我々は把握できませんでした。陸軍組も青天の霹靂だったようです。」 その説明に、陸軍士官の服装をした何人かの男たちが頷いていた。 「カリフォルニア大使館では、先月交通事故で駐在武官の一人が重態に陥り全治4ヶ月の重症に陥っています。下手をすれば障害が残るかもしれないと。そこで、代わりの駐在武官を急遽送り込むことになったのですが、それに五更瑠璃の父親が選ばれました。彼は家族とともにカリフォルニアに向かった為に、五更瑠璃は高坂京介に別れを告げざる得なかったようです。むろん、辻もとい桐乃さんの働きもあってのことですが。」 説明が終わったとたん、部屋の中がざわめき始めた。 「何故こんなことに。」 「偶然なのか?」 「いや、1週間も気づかなかったんだ。誰かが妨害工作を・・・。」 「静まれ!!」 ざわめくメンバーを議長が一喝した。 989 :Monolith兵:2013/06/11(火) 04 55 34 「それで、これは偶然なのかね?それとも何か作為的なものなのかね?」 「それには私がお答えします。」 議長の疑問に桐乃が手を上げて発言を求めた。議長は頷き、それを見た桐乃は立ち上がり説明を始めた。 「結論から申せば、今回の事態は作為的なものでした。その犯人も判明して既に捕らえております。・・・犯人たちの言う事を信じるならば、桐乃派による犯行であると思われます。」 その言葉に部屋は一瞬にして静まり返った。多くのメンバーにとって理解の範疇外の事であったのだ。 「何でだ!桐乃派は高坂桐乃の中身が辻政信であるとわかった時点で自然消滅したはずだぞ!!」 「いや、中身が辻ーんでも外見は桐乃だ。何も問題はない、・・・あるな。」 「妹でTSで腹黒で前世からの付き合いなのだぞ?・・・でも、ここまでの原作レイプは酷い。」 面メンバーの言葉は全て否定的なものであった。確かに桐×京を押すメンバーはいた。しかし、それは他のヒロインたちの背中を押す為のものであって、本気で中身爺たちの恋愛を見たいわけではなかった。それ以前に、中身はともかく身体は間違いなく血が繋がった兄妹なのだ。 「彼らの言い分を要約すると、『中の人などいない。』『きりりんは京介と結ばれたくて仕方ないんだよね。原作サイコー!』だそうです。」 桐乃の言葉にメンバーは頭を抱えた。どう考えてもそいつらは現実逃避をしているからだ。高坂桐乃の中身は辻政信で、日下京介の中身は嶋田繁太郎なのだ。そんな状態で、桐京のカップリングが成立するわけがないのだ。 「私たちはどうするべきかだが・・・。」 「私はしま、京介さんと共にカリフォルニアに飛ぼうと思います。そして、黒いの、黒猫を取り戻します。」 「そんな事出来るのか?辞令は本物だぞ?」 「駐在武官の家族までが現地に行かないといけない、と言う話はありません。生活基盤さえこちらである程度用意できれば可能性は高いと思います。」 メンバーの質問に次々と答えていく桐乃を見て、皆希望が見え始めていた。まだまだ俺妹の物語を見ることが出来るかもしれないのだ。 「我々陸軍組は協力を惜しまない。とりあえず、五更家に官舎を振り分けられるよう上層部に掛け合おう。それが駄目でも住宅費用の援助くらいならば可能だろう。」 「海軍としても生活支援を惜しみません。また、我々の方から五更父の代わりになる駐在武官を派遣できないか検証してみます。」 「我々民間組は飛行機の手配を行います。至急カリフォルニアにいけるよう長距離便を押さえておきますので、桐乃さんは京介君と共にあちらへ向かってください。」 「いや、ここは空軍に・・・、乗り心地は最悪だな。」 次々とメンバーが協力の表明を始めた。他にも学校・保育所への復帰や関係書類の作成などが決定された。 「桐乃君、必ず五更瑠璃を連れ戻してくれたまえ。私はあやせ派だが、黒猫がいないと俺妹は成り立たない。だから頼む!」 そう言って頭を深々と下げる議長、改め新垣衆議院議員だった。 「ええ。必ず取り戻してみます。彼女は私の親友ですし、その妹も私にとって大切な人で京介さんの前世の妻です。私たちには彼女たちが必要なのですから。」 それではこれで失礼します、と言い桐乃は退室した。 それを見てメンバーの一人が発言を求め許可された。 「桐乃派への制裁はどうしますか?」 「そうだそうだ!こんな原作レイプ許されないぞ!!桐乃が辻ーんだった時点で原作は崩壊してるけど・・・。」 メンバーは口々に桐乃派への制裁を主張した。しかし、それに対する答えに皆は戦慄した。 「ああ、そうそう。桐乃派ですが、私が既に処分しました。身包み剥いで借金漬けにして発展場に放り込んで肉便器にしておきましたよ。では、急ぐので失礼します。」 半開きのドアから顔だけをのぞかせた桐乃の言葉に、俺妹部会のメンバーは乾いた笑いを浮かべるしか出来なかった。 (*1)) その時メンバーの心はひとつになった。 おわり
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/111.html
あやせ「やっぱり京介さんは仕事を辞めてもらって家から一人で出さないべきですね」 あやせ「安心してください、私の収入で十分ですし京介さんが仕事を辞めても問題ありません」 あやせ「私が仕事してる時、京介さんは部屋の片付けとか簡単な家事でもしていて待っててください」 あやせ「私がご飯も用意しますしテレビも観みたり本を読むのも自由です、一応手錠は掛けていきますけど」 あやせ「そして毎日私を見送り出迎え、帰ってきたら二人でご飯を食べたり話をしたり……そして夜は……えへへ」 あやせ「ほら、他の女の子と会う危険も無いですし京介さんに文句一つない暮らしですよ、幸せだと思いませんか?」 あやせ「ああ、そっかー……なんで今までこうしなかったんだろ、これが一番いい方法だって分かってたはずですのにね」 あやせ「とにかく、それは明日からとして…………今夜は手錠を掛けておしおきしますね」 手錠?冗談じゃない、新婚のプレイって言ったって限度がある 混乱しながらも俺は部屋を出ようと後ずさる しかし、 「―待って!!」 直後あやせの大声が雷鳴のように轟いた 逃げる気まんまんだった俺の足がビクッと強制的に止まってしまう 部屋中がびりびり震えている気さえする あの大人しい外見から、よくぞこんな― 気がつくとあやせが俺の手首をガッチリと掴んでいた まるで逃がすまじとでも言うように 「あ、あやせ…?」 「京介さん、どうして逃げるの?」 「え…あの…逃げようとしたワケじゃ…」 「ウソ」 断定 あやせは俺の言い訳を押し潰すように瞬時に否定を被せてきた 「それはウソ…」 「ウソウソウソウソ…ウソ吐かないでよ…」 「だって逃げたじゃない?」 「逃げたでしょ?逃げたよね?」 「…なんでわたしにウソを吐くの?」 …えぇ?な、なんだ突然、この妙な迫力は…? 「ごめんなさい、いきなり大声出したりして」 「…でも私、京介さんのこと――心配で」 反転、今度は優しい声で詫びるあやせ 耳の中を羽毛でくすぐるような口調で 「だから京介さん――」 「逃げないで、私の質問に答えてくれない?」 「何 か 隠 し て る よ ね?」 「違うんだ。あやせ、これは…だから、その…怒らない…で」 「京介さんこそ言い訳しないでくれる?わたし、真剣に聞いてるんだよ?」 「いま、逃げたよね?わたしから逃げようとしたよね?」 「言い訳じゃなくて――本当に誤解ならそう言って?」 「言 え る も の な ら」 「う、うう…」 呻いて俯いてしまう俺 いや、あの迫力であんなこと言われたら誰だってそうなるだろう たとえ、桐乃だとしても そんな俺の姿を虚ろな瞳で見つめていたあやせは、そこで噛みつくようにキバを剥いた 「ほら言えない!知ってるよね?京介さんは知ってたはずだよね?」 「わたしがウソ吐かれるの大嫌いだってこと」 「ウソ吐く人が大っ嫌いだってこと!」 「――なのにどうしてそういうことするの?ウソ吐くの?ねぇどうして?」 「わたしたち夫婦じゃなかっの?」 俺は何も言い返せず、俯いていた 俺の掌は熱くて、汗をかいていて、震えていた 「――黙ってないでなんとか言ったら?」 「…っ」 「…そう、なにも言えないってことはやましい事があるってこと?」 「それともわたしなんかとは話したくもないってこと?」 「ショックだな、夫婦だと思っていたのに。全部わたしの勘違いだったなんて」 「ち、違が…」 「違う?なにが?ねぇなにが違うの?…ほらまた黙り込む。いい加減にしてよ」 あやせはぐっと俺の顔に自分の顔を近づけた 手首を固くロックしたままで あやせはがらりと一変痛ましい表情になる そして綺麗な瞳をうるませて訴えてくる 「京介さんらしくないじゃない…いったいどうしちゃったの?」 「ねぇ、わたし、なにかおかしいこと言ってる?間違ったこと言ってる?」 「なんで逃げようとしたのか、なにをごまかそうとしたのか、教えてもらいたいって思うのが、そんなに悪いこと?」 俺は耐えられなくなり繋がれた手を引き離し距離を取った 「その辺にしてくれよ、夫婦だって隠し事の一つや二つあるもんだろ?」 俺の台詞にあやせは少し鼻白んだように見えた が、 すぐに微笑みをたたえ 「ごめんなさい、痛かった?」 素直に詫びた 俺は薄ら寒い思いで赤く腫れた手の痕を見つめた 「そうですね――夫婦だって隠し事の一つや二つありますよね」 あやせは決して嘲るような調子ではなくあくまで真剣な表情と口調で言う 「でもわたしは京介さんといつも二人きりでいたいんです」 「いつまでも二人きりで…」 京介さんはわたしにとって大切な旦那さまなんですよ―― あやせの言葉からはなんの裏も、作意も、感じられなかった 心の底から俺が好きで本当に好きで だから 二人だけでいたい そう心から言っていた 「京介さんが何を隠していて、それをわたしに言いたくないというのは態度を見ていればわかります」 「でも、だからこそ、どうしても『あの人』との事、見過ごせなかったんですよ」 ふいに視線を部屋の隅の紙袋へ向ける 「――その紙袋」 「中に何が入っていると思います?」 あやせはその紙袋を射殺すような眼差しで睨みつけながら今までで一番恐ろしい声で聞いてきた 「最期まであの人は」 「『きょうちゃん助けて』『いたいよ、きょうちゃん』ってしつこかったの」 「だから――」 あまりの絶望に俺はじわ…と目に涙を滲ませた 手を握りしめたまま固まる 「―――」 あやせははっきりとそう言った 心なしか笑っているようにさえ見えた 俺は大口開けて目ぇ見開いて唖然とするしかなかったね だってよ いくらなんでもありえねえだろうが 自分の目と耳を盛大に疑いながら俺はこう思ったのさ 俺の嫁がこんなに恐ろしいわけがない――ってな
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/569.html
第5話「俺の妹がこんなに守銭奴な訳がない」 ーーー次の日ーーー 京介「おはよう」ニコニコ 大介「おはよう」 佳乃「おはよー」 桐乃「おはよ」ボソッ 京介「今日は珍しく朝練ないんだな」ニコニコ 桐乃「っさい!あんたには関係ないでしょ!」 京介「そうだな」ニコニコ 桐乃(なんでこんなに上機嫌なのよ。ムカツク) 京介「どうだ?久しぶりに一緒に登校しないか?」 桐乃「ごちそう様」カチャカチャ 京介「ふっ」ニコニコ 「いただきます」 桐乃「行ってきまーす」ガチャ 佳乃「行ってらっしゃい。あなたも京介も急ぎなさいよ」 京介「おう」 大介「そうだな。そろそろ出るか」 ーーー京介・学校ーーー 京介「おはよう!」ニコニコ 麻奈実「京ちゃん、今日は先に行っちゃってごめんね」 京介「いいよいいよ」ニコニコ 麻奈実「・・・何かいい事でもあったの?」 京介「おぉー、やっぱり分かるか?」ニコニコ 麻奈実「そんなににこにこしてたら、誰だって気付くよー」 京介「家族には何も言われなかったけど?」 麻奈実「」 「そ、そんな事より何があったのか聞きたいなー」アセアセ 京介「実はなー・・・」 麻奈実「へぇー、桐乃ちゃんも知らない事があるんだねー」 京介「まあ俺も意外だったけどな」 麻奈実「ところで、なんで京ちゃんはヤフオクなんて知ってたの?」 京介「沙織という桐乃の友達からたまたま聞いてたんだよ。本当に沙織には感謝だよ」ニコニコ 麻奈実「ふぅーん。桐乃ちゃんのお友達なのに、なんで2人っきりで遊んでるのかなー?」 京介「いや、2人っきりじゃないぞ。あの今年入学してきたあの、黒髪ロングの奴も居たよ!お前も会った事あるだろ?」 麻奈実「ふぅーん。じゃあ3人で遊んでたんだー。ずいぶん仲が良いんだねー」 京介「ま、まぁな」アセアセ 麻奈実「」ジィー 京介「そ、そういう事があって桐乃は俺の事を少しは見直したと思うんだよなー」アセアセ 麻奈実「そうだねー。頼りにならない私なんて必要ないよねー」 京介「い、いや、そんな話はしてないぞ、麻奈実大丈夫か?」アセアセ 麻奈実「ダイジョウブダヨー」 京介「そ、そうだ!麻奈実にも聞きたい事があったんだった!」 麻奈実「役に立たない私でもいいの?」 京介「いや、麻奈実にしか話せないんだ!」キリッ 麻奈実「私が答えられる事ならなんでも聞いてね」ニコニコ 京介「実はなー・・・」ホッ ーーー桐乃・学校ーーー 桐乃「おはよー」 あやせ「あ、おはよー。桐乃」 加奈子「おはよー」 あやせ「どうしたの?浮かない顔して、もしかして気分悪い?」アセアセ 桐乃「大丈夫。それより2人で何話してたの?」 加奈子「桐乃ー!聞いて驚くなよー!」 桐乃「もったいぶらないで早く教えてよー」ニコニコ 加奈子「実はな、桐乃がいきなりお小遣い減るのは可哀想だから、私とあやせで少しずつお金を貸そうかって話てんだー」 あやせ「いきなり減るのは桐乃もストレス溜まるだろうからって加奈子が提案してくれたの」 桐乃「そ、そう。ありがとう」 加奈子「なんだ嬉しくねーのか?」ションボリ 桐乃「う、ううん!すっごく嬉しいよ。だけどやっぱりお金の貸し借りはあまりしたくないし、本当に必要な時になったらお願いするかもしれないけど」 「今は気持ちだけ受け取っておくっていうのじゃ駄目かな?」 あやせ「そうだよねー。私も実は反対してたんだよ?」 加奈子「なんだよーあやせも乗り気だったじゃねーか」 あやせ「そんな訳ないでしょ!嘘付かないでくれる?」プンスカ 加奈子「まー、本当に困ったら言ってくれよな。桐乃ー」 桐乃「うん、2人共ありがとう!」 加奈子「それでさー、提案したのはあたしだけど、あたしもあんまりお小遣いとか貰えないからー、要らない物を売ろうと思って・・・」 桐乃「それならヤフオクに出品してみたらっ?」フンフン 加奈子「う、うん。今そう言おうと思ってたんだけど・・・」 桐乃「あ、ごめん」アセアセ 加奈子「別にいいぜー。それでさー、出品がてらになんか安いアクセ無いかなーって思って見てたんだけど・・・」 桐乃・あやせ「だけど?」 加奈子「アクセ1つを10万円で出品してる奴がいてさー」ゲラゲラ 桐乃(あれ?) あやせ「10万円はさすがに私達でもなかなか手が出せないねー」 加奈子「だろー?そんでちょっと気になったから、そのアクセのページ見たんだけどこれがまた傑作でさー」ゲラゲラ あやせ「なになに?なんか面白い事でも書いてあったの?」ニコニコ 加奈子「説明の部分にアクセの名前しか書いてねーの、こんなの誰も買わなねーって思ったね」ゲラゲラ あやせ「それは酷いねー。けど実は高価な物かもしれないよ?」 加奈子「あたしもそんなにアクセに詳しい訳じゃないからあやせに見てもらおうと思って、わざわざ写メ撮ってきたんだぜー!ほらっ」 あやせ「う、うーん。これは確かに10万円もしないかなー」 「ほら、桐乃も見てみたら?」 桐乃「う、うん」(これってもしかして・・・) あやせ「桐乃的にはどう?」 桐乃「うん、確かにこれで10万円はないわー、アハハ」アセアセ 加奈子「だよなー」ゲラゲラ 桐乃「ち、ちなみにだけど、加奈子はいくらだったら入札したの?」 加奈子「うーん、そうだなー。高くても5千円ぐらいだと思うぜー。オークションだから値段はもっと上がるだろうしなー」 桐乃「そ、そうだよねー」アセアセ ーーー高坂家ーーー 桐乃「ただいまー」イライラ (ムカツクムカツクムカツク) 佳乃「おかえりー」 バンッ 桐乃「とりあえずオクの値段変えないと・・・」ポチポチ 「ん?あれ?・・・・・・変えられないじゃん」ショボーン 「ふむふむ・・・・・・一回オクを終わらせないと駄目なのね」 「もーっ!このっ!このっ!」ポチポチ 桐乃「あー、疲れたー」 「全部で25個も出品し直したなんて私、頑張った!」 「これで入札もバンバン!私の財布もホッカホカに」ニヤニヤ つづく
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/278.html
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 19 41 39.83 ID aNI0gf2f0 桐乃「ちょっと、人生相談があるんだけど……」 シロッコ「ほぉ、やっと私のことを頼り始めたか。可愛い奴め」 桐乃「は、はぁ。何いってんのよ、このスケコマシ!」 シロッコ「強がらなくていい。君は癒しの場所が欲しいだけなのだろう、私にはわかる」 桐乃「そ、そんな訳ないでしょ……! いい加減なこと言うじゃないわよ!」 シロッコ「私に人生相談しようと考えた、君の判断は実に正しい。 君の野望を叶えられるのは私だけだ。これからもそれだけは覚えておいてくれ」 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 20 03 25.33 ID aNI0gf2f0 シロッコ「なるほど、エロゲーかい」 桐乃「それだけじゃないわ。メルルとかこういう系の DVDいっぱい持ってるのよ」 シロッコ「ほぉ」 桐乃「……。このことについてどう思う。 やっぱりアンタ、私のことオタクでキモイとか思ってる!?」 シロッコ「フフフ。あまり私を見くびらないでもらいたいな」 桐乃「え?」 シロッコ「オタク趣味で気持ちが悪い。それは俗人の考え方だ」 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 20 18 01.67 ID aNI0gf2f0 シロッコ「むしろ私は、私の妹である君がこのような 趣味を持っていたことに敬意を表したいくらいだ」 桐乃「ど、どういうことよ……?」 シロッコ「私は、今の時代を支配するのは女だと思っている。 君の行動はそれを見越して、仮想世界の女性を 携えているのではないのか。そう、 いつか君がその支配者になるであろう時に備えて」 桐乃「べ、別にそんなつもりじゃないけど……。アンタ、 私のこの趣味のことおかしいと思わないの。本当に?」 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 20 28 22.07 ID aNI0gf2f0 シロッコ「無論だ」 桐乃「信じらんない……。心の中じゃ笑ってるんじゃないの?」 シロッコ「くどいな。血判でも欲しいか?」 桐乃「血判?」 シロッコ「いいだろう。私、パプテマス・シロッコは我が妹のオタク趣味 に対し、何一つやましい心を抱かんことをここに約束する。 もし違約した場合は、君に私の命を差し上げよう。これで満足か?」 桐乃「……う、わ、わかったわよ。そこまでするのなら信じてあげるわよ!///」 シロッコ「ありがたきお言葉」 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 20 57 04.94 ID aNI0gf2f0 シロッコ「しかし、人生相談と言うほどだ。これだけではないのだろう?」 桐乃「……」 シロッコ「無理に今話せとは言わん。話したくなったときに いつでも私を呼んでくれ」 桐乃「……いないの」 シロッコ「よく聞こえなかったな」 桐乃「この趣味について一緒に話せる友達がいないの!」 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 21 08 53.69 ID aNI0gf2f0 桐乃「友達には私がこんなアニメとかゲームやってること 隠しているから……。話せない」 シロッコ「フフフ。隠すということは少なからず疚しいことを しているという自覚がある訳なのか」 桐乃「うるさい! 仕方ないじゃない、あんたみたいに 物分りいい人ばかりじゃないんだから、あやせたちに こんな趣味ばれたら絶対軽蔑されるし……」 シロッコ「しかし、語りたいか」 桐乃「悪い!?」 シロッコ「とんでもない。やはり世の中を動かしていくには 同志というものが必要になってくる。正しいものの考え方だろう」 桐乃「でも、どうすれば」 シロッコ「簡単なことだ。ないものは作ればいい。少し待っていろ。 私に良い当てがある」 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 21 18 07.60 ID aNI0gf2f0 シロッコ「よし、事態は整った。あとは簡単だ」 桐乃「ちょっと。なんなのよ勝手になんかすすめちゃって。 ちゃんと説明しなさいよ。当てって何なわけ!?」 シロッコ「待てばわかる」 ピンポ~ン シロッコ「どうやら、来たようだな」 桐乃「来たって……誰が?」 シロッコ「構わん。入って来い」 ガチャ ヤザン「……」 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 21 33 14.45 ID aNI0gf2f0 桐乃「な、なんなのよ、コイツ……」 ヤザン「コイツだとォ?」ギロ 桐乃「うっ」ビク ヤザン「チッ」 シロッコ「ヤザン、ご足労だったな」 ヤザン「いきなり呼びつけて何のようだァ、シロッコ!?」 シロッコ「今日、君を呼んだのは他でもない。 実は君に紹介したい子がいる」 ヤザン「どこのどいつだ?」 シロッコ「私のすぐ隣にいる」 桐乃「ちょ、ちょっと!」 47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 21 44 09.77 ID aNI0gf2f0 ヤザン「なんだとォ!? こんな人形紹介するなんざぁ シロッコ、ふざけているのかァ!」 桐乃「はぁ? 人形なんかじゃないわよ!」 シロッコ「まぁ、聞け。なにも私とて、無作為に君たちを会わせた訳ではない。 同じ志を持つ者同士だからこそ、この場に会するに相応しいと思っただけだ。」 ヤザン「同じ志だとォ!?」 シロッコ「ヤザン、確か君は先日の有給休暇に秋葉原へ 行ったのだったな?」 桐乃「え」 ヤザン「それがどうしたってんだァ」 51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 21 58 33.83 ID aNI0gf2f0 シロッコ「そこでだ。次秋葉原へ行くときは このキリノも連れて行ってくれないか?」 ヤザン「なぜそんなことをせにゃならん!?」 シロッコ「何分、キリノは一度も秋葉原の地に踏み入れたことがない。 そうだったな?」 桐乃「……そ、そうだけど」 シロッコ「そこでだ、君のような頼りがいのある水先案内人が必要なのだ」 ヤザン「ハンッ。こんな奴、聖地に連れて行ったところで何になる」 シロッコ「ヤザン、言ったはずだ。君たちは同じ志を持つ者だと」 ヤザン「じゃあ、まさかコイツ……」 シロッコ「そうだ。あまりこのような表現は好きではないが、 俗に言う『オタク』なのだよ。ヤザン、君と同じでな」 53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 22 07 36.27 ID aNI0gf2f0 ヤザン「……」 桐乃「……」 ヤザン「ハッ。女がオタクなんざ気に入らないんだよ、消えな!」 桐乃「は、はぁ!? なにそれ、男女差別じゃない! そういうのマジうざいんだけど! つーか、キモイ!」 ヤザン「ギャンギャン吠えんなよォー! なら、貴様の好きなアニメを言ってみなァ!?」 桐乃「メルルよ。星くずうぃっちメルル!」 ヤザン「メルルだぁ? ヌハッ、魔法少女ごときに熱を上げてるなんざ まぁだ子供の間合いだなァ~!」 60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 22 29 29.82 ID aNI0gf2f0 桐乃「くぅー! アンタ、メルルの魅力が理解できないなんて頭沸いてるんじゃないの!?」 ヤザン「ぬかせ。女が戦場にいるアニメなんざ底が浅いってんだよォ」 桐乃「い、言ったわねぇー! じゃあ、あんたは何が好きなのよ!?」 ヤザン「そんなもん、黒執事が至高に決まってんだろーが」 桐乃「うわー、アンタ男のくせにBL好きな訳? しかも よりによってあんな三流アニメ。ドン引きなんだけど」 ヤザン「言いやがったな……? 手篭めにしてやるゥ!!」 シロッコ「もう充分だろ。そろそろこのくらいにしておけ」 74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 23 27 34.22 ID aNI0gf2f0 シロッコ「どうだ。お互い価値観をぶつけ合った感想は」 桐乃「楽しい訳ないじゃない。こんなわからんちんと話したって」 ヤザン「ハンッ、にわかがほざくなァ」 シロッコ「ヤザンよ。そこで、もう一度君に問う。 キリノを秋葉原へ連れて行ってくれはしないか? ヤザン「この後に及んでどういうつもりか!」 シロッコ「何を言う。先程の論争を聞いた後だかろこそのことなのだよ。 秋葉原こそ二人の雌雄を決するには絶好の場だと思わんか? そう、君のBLを愛する気持ちが確固たるものならば、 この私の頼みを素直に聞き入れてくれるだろうと信じている」 ヤザン「ええぃ……。パプテマス・シロッコ、お前は汚い奴だな!」 75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 23 36 35.51 ID aNI0gf2f0 シロッコ「引き受けてくれるか」 ヤザン「仮に引き受けたのなら、俺にもその見返りが来ると考えてよいのだな?」 シロッコ「もちろんだ。期待してくれていい」 ヤザン「んじゃあ、仕方ねぇ。今回ばかりだけだからな」 シロッコ「さすが私の見込んだだけのことはある。やはり君を呼んで正解だった」 桐乃「ちょっと、勝手に決めないでよ。私はまだ行くとは言ってないんだけど!」 76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /17(金) 23 46 55.33 ID aNI0gf2f0 シロッコ「この機会を逃せば、君は一生メルルの魅力を ヤザンに示すことができなくなるだろう。それでもいいのか?」 桐乃「む……」 シロッコ「行けばきっと、良い経験になる。行って来るがいい」 桐乃「……。わかったわよ。わ、私は別に行きたくないけど、 アンタがそこまで言うなら行ってあげるわよ!」 シロッコ「いい子だ」 ヤザン「ハッ、いちいち可愛くねぇ野郎だ」 81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 00 19 39.04 ID k6EgRDaz0 その夜 桐乃「ねぇ」 シロッコ「どうした。日程なら、一週間後に決まったはずだが」 桐乃「そうじゃなくって。あのさ……えと。アンタは一緒に秋葉原に行かないの?」 シロッコ「やはり私が一緒に居なければ心細いか?」 桐乃「な、何、勘違いしちゃってるの。私はただあんな 男と二人きりじゃ、アイツ何しでかすか心配なだけよ! バカ、アホっ!」 83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 00 22 45.11 ID k6EgRDaz0 シロッコ「覚えておいた方がいい。それを心細いというのだよ」 桐乃「だ、だから違うっつてんでしょ!///」 シロッコ「私はヤザンを信頼している。そうでなければ、大切な妹の身を 見ず知らずの男にやすやすと委ねる訳がなかろう」 桐乃「……」 シロッコ「とは言っても、無理ないかもしれん。キリノはヤザンと 今日あったばかりだからな。いいだろう、その日は私も同伴するとしよう」 桐乃「ほ、本当!?」 88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 00 25 48.43 ID k6EgRDaz0 シロッコ「嘘はつかん。しかし、よく私に本当の気持ちを話してくれた。 この調子で寂しいと感じたらいつでも私を頼ってくれていい。 私の胸ならいつでも……」 桐乃「ちょ! な、なれなれしく触るんじゃないわよ、この変態っ!!」 バシッ!! シロッコ「うっ」 桐乃「もういい、寝る!」 バタン シロッコ「やれやれ……。決められた役割を演ずるというのは難しいものだな」 115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 15 46 50.98 ID k6EgRDaz0 当日・秋葉原 桐乃「わぁ~。噂には聞いてたけどやっぱりすごいわー、あは!」 シロッコ「どうだね。赴いたかいがあったろう」 桐乃「うん。ねぇねぇ、早くどっか入ろうよ!」 シロッコ「ならば希望はあるか?」 桐乃「えーとね。あ、そうそう。私、まずとらのあな行ってみたい!」 シロッコ「とらのあなか。初めてにしては良い選択だ。 そういうことだ、ヤザン。頼む」 ヤザン「わあったよ、案内すりゃいいんだろうが。 メロンブックスから廻るつもりだったのによォ、ケッ」 117 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 16 01 00.69 ID k6EgRDaz0 ヤザン「着いたぞ。ここだ」 桐乃「大きーい。秋葉のとらのあな、一度行ってみたかったのよねぇ!」 ヤザン「ええぃ、はしゃぐのは中に入ってからにしやがれ」 シロッコ「……ん。何だこのプレッシャーは。何か良くないものが来る?」ピキーン 桐乃「ちょっと、何ブツブツ言ってるのよ。アンタも早く店に入るわよ」 シロッコ「ああ、すまない。今行く」 カミーユ「あの、すみません。ちょっといいですか?」 桐乃「え。なに、私?」 120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 16 14 47.22 ID k6EgRDaz0 カミーユ「はい。もしかして、あなたモデルの高坂桐乃さんじゃありませんか?」 桐乃「え、あ……そうだけど」 カミーユ「やっぱりそうか。感激だな。僕、あなたの大ファンなんです」 桐乃「そ、そう」 カミーユ「ビックカメラまで部品を調達しに来たかいがあったな。 あの、よければこの色紙にサインしてもらえませんか」 桐乃「そ、それは……」 シロッコ「そこまでだ少年。桐乃が困惑しているのが君には見えないのか?」 カミーユ「な、なんなんです。あなたは!?」 122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 16 31 31.95 ID k6EgRDaz0 カミーユ「キリノさんのマネージャーか何かですか?」 シロッコ「そんな生暖かい関係ではない。私は正真正銘キリノの兄だ」 カミーユ「身内だったのか。でも、僕はただ妹さんにサインを もらうだけのつもりだったのに、お兄さんまで割って入ってくる なんて過保護すぎやしませんか! それが兄のやり方なのかよ!」 シロッコ「フンッ、賢しいガキが……」 カミーユ「もらうものもらったらすぐに立ち去りますので それまで干渉しないでください。それで、サインの方お願いできますか?」 桐乃「……べ、別に。いいけどさ」 カミーユ「ありがとうございます」 123 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 16 46 53.02 ID k6EgRDaz0 桐乃「はい。これでいい?」 カミーユ「これ、一生大切にします。そういえば今日は キリノさんどうして秋葉原へ?」 桐乃「え。そ、それは……その」 シロッコ「いい加減にしたまえ、少年。貴様は 用が済んだら消えるのでなかったのか」 カミーユ「性懲りもなくまた来る! 自分以外の男が 妹に寄り付くのがそんなに嫌だっていうんですか!」 126 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 16 50 12.59 ID k6EgRDaz0 シロッコ「貴様はもう消えていい!」 カミーユ「身勝手な兄のわがままで妹を殺すこともある ってこと、覚えておいてください! それでは、キリノさん失礼します」 タッタッタ 桐乃「……」 シロッコ「気にするな。あらぬ邪魔が入ったが、 こういうことも多々あるものだ」 129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 17 16 06.44 ID k6EgRDaz0 店内 桐乃「うはー。エロゲといい、DVDといいすごい品揃えじゃない。 まさかここまでだとは思わなかったわ!」 シロッコ「気に入ってもらえて私も嬉しい」 桐乃「あ、これ買い。あれも。それも!」 ヤザン「だぁー。どうでもいいが、とっとと終わらせて 同人コーナーに行くんだよォ」 桐乃「うるさいわね。アンタも少しはエロゲやギャルゲ やってみたらいいじゃないの」 ヤザン「断るゥ!」 130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 17 30 22.26 ID k6EgRDaz0 同人コーナー ヤザン「ヌハッ。いいねぇー、やはりBLコーナーは活気が違う」 桐乃「うげぇー……」 ヤザン「この同人誌のわんこ、たまんねぇなァ、おい!」 桐乃「理解できないわー」 ヤザン「んん~。そりゃ、ケツの穴小せぇガキの女にはわからんだろうよォ」 シロッコ「やはり、お互い譲らんか。フフッ、面白い。なら」 133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 17 38 27.36 ID k6EgRDaz0 桐乃「大漁大漁。今日だけで随分遣っちゃったわー。でも、悔いなし!」 ヤザン「ヌハハ、俺の方もとんだ大物が引っかかったもんだぜ」 シロッコ「ヤザン」 ヤザン「なんだ」 シロッコ「今日君が購入した中で一番、気に召している 同人誌をキリノに見せてやってくれないか?」 ヤザン「正気か!?」 135 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 17 47 38.72 ID k6EgRDaz0 シロッコ「やはり魅力を訴えるには直に作品を 見せた方がいいだろう」 ヤザン「……。いいだろう。汚すなよ」 桐乃「い、いらない。こんな不潔そうなの別に見たくないし」 ヤザン「あぁん!?」 シロッコ「キリノよ。いつまでも頑なに拒んでいては 新境地に踏み出すことなど絶望的だ」 桐乃「……。わ、わかったわよ。ちょっとだけなら読んであげる」 136 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 17 53 29.98 ID k6EgRDaz0 シロッコ「フフッ。それでこそキリノだ」 ヤザン「ほらよ。いいか、絶対に汚すなよ!?」 桐乃「……」 ヤザン「なんだ。怖いのかァ?」 桐乃「は、はぁ。そんな訳ないじゃない。 こんな薄い本ごときで! フン、どうせ 1分もしない間に飽きちゃうんだろうけどね!」 ヤザン「いいから、減らず口叩いてねぇでとっとと読みやがれってんだよォ!」 138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 18 03 46.00 ID k6EgRDaz0 ・ ・ ・ 桐乃「こ、これは……ゴクリ」 シロッコ「見たまえ、ヤザン。キリノはあの本に引き込まれているようだ」 ヤザン「ヌハッ、当たり前だろうがぁ。よぉし、ビビってるようだから 少し喝を入れてやるかァ」 桐乃「え、えぇー。こんなことまでしちゃうの……///」 ヤザン「縮んどるぞぉ、まだ本番前だ! しっかりせぇい!」 桐乃「ひっ。わ、わかってるわよ。今、読んでる途中なんだから 驚かせるんじゃないわよ!」 シロッコ「フフフ。この流れ、悪くない」 144 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 18 42 28.58 ID k6EgRDaz0 桐乃「……ふぅ。やっと読み終わった」 シロッコ「新境地に踏み出した気分はどうだ?」 桐乃「べ、別に特に面白いわけじゃなかったけどさ。 まぁ、及第点くらいはあげてもいいかな」 ヤザン「言うに事欠きやがって。素直に最高だったと言いやがれ」 シロッコ「目くじらを立てることはない。今の表現はキリノからすれば 立派といって良いほどの褒め言葉なのだからな」 146 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 18 45 01.58 ID k6EgRDaz0 ヤザン「ホォー」 桐乃「バカ! 褒めてなんかないわよ!」 ヤザン「どうやらやっと貴様もこちらの世界に味を占めたようだなァ? いいだろう。俺がもっといいところへ連れて行ってやる」 桐乃「いいところ? どこよそれ?」 ヤザン「それは着いてからのお楽しみってなァ」 148 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 18 50 45.79 ID k6EgRDaz0 ヤザン「ここだ」 桐乃「何よここ。メイド喫茶?」 ヤザン「そんなつまらんところと一緒にすんな。 いいから着いて来い」 桐乃「なんなのよ、もぉ」 ガチャ カランカラン ダンケル「お帰りなさいませ、お嬢様」 ラムサス「お帰りなさいませ、旦那様」 桐乃「ちょ、ちょっと。ここってもしかして……」 ヤザン「そういうこったァ!」 150 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 19 02 59.11 ID k6EgRDaz0 ラムサス「これはヤザン隊長。また俺たちの執事喫茶に いらしてくれるとは光栄であります」 ヤザン「バカヤロウ。ここで俺のことはそう呼ばないだろォ!」 ラムサス「失礼しました、旦那様」 ヤザン「そうだ、ラムサス。それでいいんだ、ヌハハハハ。 いいかお前ら、今日は俺より特にこの女をもてなしてやれ」 桐乃「え……?」 151 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 19 05 59.02 ID k6EgRDaz0 ラムサス「了解です」 ダンケル「さぁ、こちらへどうぞ。お嬢様」 桐乃「ちょ、ちょっと、お嬢様って……。やめなさいよ、恥ずかしいわね!///」 ダンケル「それは失礼いたしました。では、どのようにお呼びすればよろしいですか?」 桐乃「……。ああ、もお! 面倒くさいからお嬢様でいいわよ!」 ラムサス「かしこまりました、お嬢様」 152 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 19 15 58.98 ID k6EgRDaz0 ダンケル「それでは、ただいまお飲み物をお持ちいたしますので 少々お待ちください、お嬢様」 ラムサス「他に何かありましたら何なりとお申し付けください、お嬢様」 桐乃「うぅー、なんたって私がこんなところに……///」 シロッコ「その割にはまんざらでもないような顔をしているな」 桐乃「ち、ちがっ。そんな顔してないっ!」 154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 19 18 08.52 ID k6EgRDaz0 ヤザン「どうやら少しはこちらの世界の良さがわかったようだなァ」 桐乃「……うん。本当にちょっとだけど、わかった気がする」 ヤザン「ヌハハ、初めから素直に認めておけばいいものォ!」 シロッコ「さて、次はヤザン。君の番だな」 ヤザン「あん?」 159 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 19 34 44.24 ID k6EgRDaz0 シロッコ「キリノが君の趣味を認めた以上、君も キリノの趣味の理解に努めるべきだと思わんか?」 桐乃「そうよ。メルル見てみなさいよ」 ヤザン「ええぃ、骨のない幼女が戦うアニメなど誰が見るものかァ!」 桐乃「いいから、騙されたと思ってやってみなさいよ。 ほら、ちゃんと今日ノーパもDVDも持ってきたんだから」 ヤザン「いやに準備がいいときやがる。どいつの差し金だァ?」 シロッコ「フフッ……」 160 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 19 44 21.52 ID k6EgRDaz0 桐乃「はーい。注目! メルルの始まり始まり~」 チャチャラチャー 『星くずうぃっちメルルー!』 ヤザン「チッ。くだらん」 視聴から5分 ヤザン「ん……。まぁ、少しは骨がありそうだが」 視聴から10分 ヤザン「幼女の変身シーンだとォ!? ええぃ幻覚などに俺が騙されるものかァァ!」 視聴から15分 ヤザン「こ、こいつはなんだァー……!?」 視聴終了 ヤザン「……」 桐乃「どうだった、メルルは?」 ヤザン「このアニメ、俺の弱点を知ってるというのか……!」 165 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 20 03 22.64 ID k6EgRDaz0 桐乃「言っておくけど、今アンタが見たのはほんの初めの一話よ」 ヤザン「なにぃ?」 桐乃「話が進むにつれてどんどん熱くて可愛い展開が繰り広げられるわ」 ヤザン「頼みがある」 桐乃「何よ、いきなり?」 ヤザン「一期だけでいい。メルルのDVDを全巻、貸してくれ!」 166 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 20 05 15.32 ID k6EgRDaz0 桐乃「え、まいったわねぇ。私は全然構わないんだけど 今、一巻しか持って来てないのよ」 ヤザン「ええぃ、使えん野郎だ」 シロッコ「それなら、心配する必要はない。先程アニメイトに寄ったとき メルルをBOX買いしてきた。ヤザン、これを君に進呈しよう」 ヤザン「なんだとォ! シロッコ、本当にいいのか!?」 シロッコ「キリノをここへ連れて来る見返りを期待していい と申したはずだ。日頃の君への感謝も含めている。遠慮はいらん」 ヤザン「パプテマス・シロッコ、お前は最高の男だ!」 170 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 20 48 51.07 ID k6EgRDaz0 秋葉原駅 シロッコ「さて、日も暮れてきたことだ。そろそろ帰還するとしよう」 ヤザン「ヌハッ、今日は思いのほか楽しめたぜ。 シロッコ、キリノ礼を言うぞ」 桐乃「……」 シロッコ「どうやらキリノも君に言いたいことがあるそうだ」 桐乃「私も、今日読んだような同人誌、もっと読んでみたくなったから……だから」 ヤザン「ん?」 171 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 20 50 19.68 ID k6EgRDaz0 桐乃「今度は夏コミに連れてって!」 ヤザン「ホォ~。先に言っておくがあそこは戦場だぞ」 桐乃「わかってるわよ、それくらい」 ヤザン「戦場ではビビった方が死ぬんだ! それでもいいのか!?」 桐乃「覚悟しているわ!」 ヤザン「よし、そこまで言うならいいだろォ」 桐乃「マジ? やったー!」 176 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 21 08 18.83 ID k6EgRDaz0 ヤザン「じゃあなァー。また会おうぜ、お嬢ちゃん」 桐乃「次会うときはちゃんとメルルの予習しておきなさいよねー!」 桐乃「えへへ。やった、やったー。コミケ、コミッケー♪」 シロッコ「どうやら満足してくれたようだな」 桐乃「当然よ。夏ミケにも連れてってくれるみたいだし、 メルルの良さもやったわかったみたいだし、 アイツ、意外といい奴じゃない」 シロッコ「そのことだが、私は今非常に驚いている」 桐乃「どうして?」 177 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 21 10 55.53 ID k6EgRDaz0 シロッコ「散々敵視していたあのヤザンに君が頭を下げて あのような約束をこぎつけたことについてだ」 桐乃「大したことじゃないわよ」 シロッコ「いや。以前の君からは到底考えられない行動だと 言っても過言ではない。自信を持っていい、君の 人間性は着実に成長している。私が保証しよう」 桐乃「なっ……/// 気取ってんじゃないわよ。 あ、あんたなんかに褒められたって、ちっとも嬉しくないんだけど!」 シロッコ「そうか。それは残念だ」 178 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 21 18 47.23 ID k6EgRDaz0 シロッコ「さぁ、我々も引き上げるとしよう」 桐乃「……」 シロッコ「どうした? そんなにこの場所が名残惜しいか」 桐乃「そ、そうじゃないけど。あのさ……」 桐乃「……」 桐乃「今日はありがとう……///」 シロッコ「フフフ、ハッハッハッ!!」 桐乃「な、なにバカ笑いしちゃってんのよ!!/// い、い、一回礼言われたくらいで、舞い上がっちゃって 変態なんじゃない!?」 180 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 21 32 02.95 ID k6EgRDaz0 シロッコ「すまない。気分を害したのなら、謝ろう」 桐乃「あ、当たり前だっつーの! たくっ!」 シロッコ「礼には及ばんさ。私はいわば君に忠誠を誓っている身だ。 その所存はこれからも変わることはないだろう」 桐乃「……」 シロッコ「そう。この身を滅してでも、君に尽くしていくつもりだ。 だから、安心してくれていい」 サワッ 桐乃「あ……///」 シロッコ「決して、君の元から黙って居なくなったりはせん」 桐乃「……うん」 182 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 21 39 49.20 ID k6EgRDaz0 数日後 公園 スタッフ「よし、今日の撮影は終了だ。お疲れさん、桐乃ちゃん」 桐乃「はーい!」 桐乃「ふんふふんふ~ん♪」 あやせ「最近、機嫌いいわね。桐乃」 桐乃「あ。あやせ」 あやせ「何かいいことでもあったの?」 桐乃「う、ううん。別に」 185 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 21 51 41.46 ID k6EgRDaz0 あやせ「ふーん、何か怪しい。さっきから自分の手提げの 中のぞいては笑っちゃって」 桐乃「そんなことないって。あはは……」 あやせ「ならいいんだけど。あ、そうそう、桐乃。 あなたに是非会いたいっていうファンの子が来てるわよ」 桐乃「え?」 カミーユ「お久しぶりです。今日、公園で雑誌の撮影が あるって本当だったんですね」 桐乃「あ、あなた……確か、あのときの」 189 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 22 02 43.65 ID k6EgRDaz0 あやせ「あら。桐乃、知り合い?」 桐乃「ち、違う。全然違うって。いいから、 あやせはもう先に帰っててよ。ね、さぁさぁ!」 あやせ「変な桐乃……」 桐乃「そ、それで今日は何の用……? サインはもうあげたはずだけど」 カミーユ「はい。今日はそれのお礼をしたくて。これ、ペットロボットの ハロっていうんだけど。桐乃さんに差し上げます」 ハロ「ハロ、ハロ。キリノ、ダイスキダ、キリノ」 カミーユ「こら、余計なことしゃべるな」 195 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 22 13 10.29 ID k6EgRDaz0 桐乃「い、いいわよ、別に。何か高そうだし……」 カミーユ「気にしないでください。この前のお礼ですから。どうぞ」 桐乃「……。あ、ありがとう」 ハロ「ヨロシクナ、キリノ、カワイイヨ、キリノ」 カミーユ「今日はお兄さんはいらっしゃらないようですね」 桐乃「べ、別にいつも一緒な訳じゃないし」 カミーユ「少し安心しました。いたらあなたとおちおち話も できないですから。怖いんです、独占欲の強い人は」 198 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 22 20 38.24 ID k6EgRDaz0 桐乃「あの、私そろそろ帰るから」 カミーユ「え、もうですか? 今、仕事終えたばかりでは」 桐乃「私、色々と忙しいの。それじゃ」 スタスタスタ ハロ「マッテ、キリノ、マッテー」 カミーユ「あ……。やっぱり、モデルは忙しいんだな」 カミーユ「ん? この手提げ、キリノさんの忘れ物か?」 199 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 22 28 17.42 ID k6EgRDaz0 カミーユ「届けないとな。中に住所とか書いてあるものは入ってないだろうか」 ゴソゴソゴソ カミーユ「ん。なんだ、これは……」 カミーユ「『星くずうぃっちメルル』の新作DVD!? なんだって、キリノさんがこんな気持ちの悪い子供向けアニメを?」 ゴソゴソゴソ カミーユ「まだ、何かあるな。これは……ゲームソフトか? いや、ただのゲームソフトじゃない。 ど、どういうことなんだよ、キリノさんが18禁のゲームって!」 201 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 22 37 00.30 ID k6EgRDaz0 カミーユ「なんてことだ。清楚なはずのキリノさんが、こんな……」 カミーユ「こんな趣味して嬉しいのかよ……」 カミーユ「満足なのかよ……」 カミーユ「モデルがオタクで誰が喜ぶんだよーーー!!」 カミーユ「はぁはぁはぁ……」 カミーユ「あいつだ。キリノさんをこうまでさせたのは あいつの仕業に違いない!!」 ダダダダダダダダダダ 207 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 23 09 25.42 ID k6EgRDaz0 シロッコ「キリノめ。仕事の帰りにヤザンの元を訪れるほどの 仲になるとは。よほど意気投合したか。 読んだとおりだ、時の運はこちらへ傾いてきた」 シロッコ「……なんだ。また異質なプレッシャーがこちらに近づいてくる」 カミーユ「待て!」 シロッコ「ん。貴様は確か秋葉原で妹に付きまとっていた小僧」 カミーユ「お前だ。兄でありながらキリノさんを自分好み 染めては弄んで!」 シロッコ「フンッ。なんのことだ」 213 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 23 19 52.44 ID k6EgRDaz0 カミーユ「知らないとは言わせないぞ。これは 一番兄が妹にしちゃいけないことなんだ!」 シロッコ「子供がほざくかー! 私はキリノの兄だ。 私にはそういう資格がある!!」 カミーユ「まだ、口ごたえするのならば!!」 ダダダダダダダダダダ グサッ!! シロッコ「ぐおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ……ぉぉ!!」 カミーユ「ここからいなくなれぇー!!」 221 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 23 29 57.76 ID k6EgRDaz0 シロッコ「うぐぐぐぅ……がはっ」 ピチョピチョ… カミーユ「やったのか……?」 シロッコ「わ、私だけが死ぬ訳ではない……。 貴様の心も……一緒に染めてやるぅぅ。 カミーユ・ビダン……!!」 ドサッ カミーユ「え……。俺の周りに映像が広がっていく? こ、これは、星くずうぃっちメルル?」 225 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 23 39 02.48 ID k6EgRDaz0 そしてまた数日後 加奈子「なぁー、あやせー。桐乃の兄ちゃんって 最近亡くなったんだよなー」 あやせ「ええ。私はそう聞いたけど」 加奈子「それにしちゃさぁ、桐乃全然動揺してない ように見えるんだけど、なんで~?」 あやせ「さぁ。私にもわからない」 桐乃「それじゃ、私、用事あるから先に帰るね!」 タタタタタタ あやせ「あ、ちょっと桐乃!」 加奈子「それどころか前にも増して元気のような」 229 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 23 54 02.47 ID k6EgRDaz0 桐乃「おまたせ!」 カミーユ「やっと、来たな。それじゃあ、早く劇場版メルルの 先行試写会に行くぞ」 桐乃「うん。それにしても、あんた大丈夫なの? ここ最近、私放課後振り回してばかりだけど」 カミーユ「空手部には病欠といってあるから平気さ」 桐乃「ならいいんだけど」 231 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12 /18(土) 23 55 03.21 ID k6EgRDaz0 桐乃「初めて会ったときは、アンタがまさか こんなメルルオタクなんて思わなかったわ」 カミーユ「俺にとってメルルは幻覚でもなければ意識だけの存在でも ないんだ。キリノと同じくらい愛していられるのだから」 桐乃「や、やめなさいよ、そういう恥ずかしいセリフ!/// 気持ち悪いんだけど!」 カミーユ「あはは、ごめん。それじゃ会場に急ごう」 桐乃「うん」 -Fin-
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/612.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1330012485/300-304 桐乃。 俺の妹。容姿は淡麗で、兄の目から見ても美人で、少し丸顔の、妹。 生意気で、くそむかつく女で、我儘で、自己中で、それで、 とても素直じゃない、妹。 そんな妹の姿を何故か後ろめたい気持ちが邪魔をして見る事が出来ない。 「……なんで、あやせがここにいるわけ?」 その妹が、じろりと俺を睨む。 「な、なんでって……」 なんでだ? 特に理由は無かった。いや、俺と桐乃が二人きりだから? それを邪魔、しにきた、と説明したら、なんで邪魔をしにくる訳、となるよな? そうすると、こうあやせが俺の事を好きだと告白して、とかそういう説明になる訳で。 「……」 「なに黙ってんの?」 俺の後頭部にひしひしと視線を感じる。 これを真っ向から受けてたら、苛々度数が一気に高まる事は確実だが、 幸いにして俺は背を向けている。お陰で、落ち着いて思考が出来るってもんだ。 「あやせがここにいたら、何か不味いのか?」 そう俺は冷静に切り返す。 「ま、不味いに決まってるじゃない。何考えてんの?」 お、少し動揺してるようだ。その動揺が俺を更に冷静にする。 「なんで不味いんだ?」 「それは……」 ついに桐乃が口籠る。勝った。ふふん、と笑みを浮かべてやりたくなる。 よし、ここに勝利宣言を告げよう。 「キスしたりとか抱きあったりとか、そ、そういう破廉恥な事が 起こる可能性を心配してるんですよね、桐乃は」 「「ぶはっ!」」 言っておくが、破廉恥云々は俺の台詞じゃないぞ。寧ろその台詞を聞いて、 俺と桐乃が同時に口を抑え頬を赤らめるなんていうシンクロをしてしまった。……やっぱ兄妹だな。 「だ、だだだ、抱きあうって!」 桐乃がめちゃくちゃ動揺している。 「は、破廉恥だなあ、ああ、実に破廉恥だ!」 俺も色々動揺している。 「因みに聞いてたとは思いますけど、わたし、お兄さんとキスしました」 「「なっ!」」 「更に舌まで入れました」 「「えぁっ!?」」 い、入れさせてませんよっ!? いかん、あやせの独壇場になりつつある。 ここは止めねば。流れを我が手に。 「え、ええええ、えっちは?」 「ぶっ!」 桐乃から予想外の爆撃発言。 聞いてどーする! 「こ、これからです!」 「マジでっ!」 驚く俺。 驚いてどーする! 「え、えええ、えええと、あの、その、え、誰と誰が!?」 少なくとも俺とお前じゃねえ事は確かだ! 「お、おお落ち着け、桐乃」 俺を落ち着かせてくれ! 「わたしと、お兄さんが」 ここで冷静にあやせが、とんでもない事を言い切る。 「あ、あたしは!?」 え、そこ台詞違くね!? 「近親相姦をわたしが許すとでも?」 ですよねー。というか、何か色々とズレてねえ? この部屋の中、世界の常識と凄い勢いでかけ離れていってね? 「ず、ずるいっしょ。あたしだってその、権利ぐらいあるし」 「ねえよっ!?」 何いってんだこの女。これがエロゲ脳か。 「じゃ、じゃあ見る。見るだけでいいから!」 なんだその食いつきは。おい、妹、本当にお前は桐乃か?! 妹スイッチがよく分からない方向に入っちゃったみたいだな。 まあ、しかし桐乃がここまで混乱していると逆に俺は冷静になれる。 あやせもきっと、冷静さを取り戻してるだろう。 「仕方ないですね。親友だから特別に許可しちゃいます」 しちゃいますじゃねえよ!? 駄目だ、こいつら何とかしねえと。 ガチャ。 ん? ガチャガチャ。 そうだった。俺、手錠を掛けられているんだった。 ……あれ? 何か、あやせと桐乃の目が怖いんだけど。 待って、おかしい、おかしいだろ。ヤバい、なんか泣きそう。 美少女に貞操の危機を狙われているのに何か泣きそう。 「……お兄さん、気持よくしてあげますね」 ひぃっ! あやせは、淫靡な笑みを浮かべると、動けない俺の首筋へ舌を這わせた。 ぞくぞくとする感じ。頭の後ろの方がピリピリと痺れる。 これが快感という奴なのか。全身に力がはいるようではいらない感覚。 「ぁ…あ」 ぬめり、舌の感覚が直接的に肌を刺激する。生暖かい。息が間近で聞こえる。濡れた箇所に息が当たりひんやりと。柔らかい唇の感触。ぬめり。 ヤバい、と俺の脳内で警鐘が鳴る。 この状況になって、俺の愚息はまるで立っていない。 怯えてるのか、違う、言うなれば嵐の前の静けさ。分かる、本能的に。 こいつは来るべき時に備えてやがる。 俺に覆いかぶさるようにあやせ。 耳たぶをはむり、くわえる。背筋がぞくぞくとする。力が抜けていく感じ。もどかしい。身体が変な動きをしてしまう。俺キメエ。 「ん…きょうすけぇ」 桐乃が悩ましげな声を出す。お前、何をし……がっ!み、見てないぞ。俺は見てない!! 「ふふっ」 あやせは、俺に覆いかぶさった状態で、ブラウスのボタンを外し始める。 月明かり。あやせの白い肌が、綺麗に映し出される。 胸元の露出度が、…あがった。 「……綺麗、だ」 たったそれだけで、動悸が激しくなる。控えめな胸。ただ、少しボタンが 外れていくだけ。それなのに、なんて、綺麗なのだ。 「…な、何を言ってるんですかあなたは」 あやせが照れたようにそっぽを向く。 よく見ると白い肌が少し赤みを帯びている。それが、とても扇情的で。 「……!」 俺の愚息が、のそりと起き上がった。 上に覆いかぶさっているあやせにはそれがすぐ分かったようだ。 そしてあやせの反応を見て、桐乃にも分かったようだ。 「うぁ…兄貴変態馬鹿死ね」 人の営みを視姦してるてめえには言われたくねえよ! 「……」 ここで何かコメントをすると思いきや、あやせは顔を真赤にして、俺を見たり下の愚息が当たっている当たりを見たりしている。 「お、お兄、さん」 白い肌。美少女。頬を上気させ。肌蹴たブラウス。月明かり。ベッドの上。俺の愚息。そこに当たる彼女の躰。太もも。湿った。熱い。 「……あやせ」 世界が嫌に鮮明に見える。けど、思考はまるで浮かされたよう。 「お……にいさん」 呼びかけに静かに答え、る。あやせ。 手錠がモドカシイ。興奮が不規則。鼓動がウルサイ。 あ、ああああ、あああ! がちゃがちゃがちゃがちゃ 飢えた獣の様に。 「見て、ください」 止まっていた手。動き出す。ゆっくりと。時間が止まったような。でも動いていて。 肌が、肌が、肌が。白い、赤い、下着、ずれて。 美しい? そんな言葉など。 ただただただただ。触れたい。触れたい。触れたい。 「あ、やせ」 俺の静かな慟哭。だが内心が崩壊したような欲求。 あやせは静かに笑うと、その控えめな白い胸を。 俺の顔に。触れさせ。触らせ。そして、舐めた。 柔らかい、しっとりとした。月明かりは確かな色は分からない。 だがそれはあやせの、あやせの間違いない、色で。 含み、舌を、転がし。吐息。あやせの吐息。 「あやせ、気持ちいいの?」 イモウトの言葉。あやせは首を振る。そして頷く。俺の頭を腕で抱き寄せて。 「気持ち、良いです、よ?」 しっとりと。少し汗ばんで。柔らかくて、いい匂い。甘い、女性の匂い。 がちゃがちゃがちゃがちゃ 拷問だ。褒美だ。 あ、ああああ、ああああ! 気が狂いそうになる。目の前のもの触れたくて、触りたくて。もどかしい。 舌じゃ駄目だ、手で感じたい、抱きしめたい、触れたい。 「まだ、駄目です」 あやせは言う。 わたしが先です。 あやせが言う。 いたずらっぽく笑って、あやせは少し躰をずらす。 愚息が擦られる。たったそれだけで、凄く気持ちよくて。漏らしてる錯覚すらした。 「まだまだ、焦らしてあげますね?」