約 2,471,489 件
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/85.html
京介「4打数2安打……俺ってけっこう野球の才能あるんじゃね?」 桐乃「あんた、今日どこいってたの?」 京介「いや、今のセリフで充分予測つくだろ? 野球だよ、草野球!」 桐乃「……誰と?」 京介「ダチとだよ。瀬菜の兄貴の赤城とか」 桐乃「せなちーのお兄さん、サッカー部じゃん」 京介「サッカーばっかだと飽きるんだと」 桐乃「……じゃあ、今度あたしに付き合いなさいよ」 京介「はぁ? 何? お前と一緒に走ればいいの?」 桐乃「なんでアンタと一緒に走らなきゃなんないのよ」 京介「だってお前、陸上部だろ……」 桐乃「サッカー部のせなちーのお兄さんと野球したんでしょうが!」 京介「わーったわーった。んで、なんのスポーツしたいんだよ」 桐乃「え? ……えーっと」 京介「考えてないのかよ……黒猫達と一緒にバトミントンでもするか?」 桐乃「そ、そんな季節感無いスポーツとか、だからアンタもてないのよ」 京介「悪かったな。んじゃ、季節感のあるスポーツ……スキーかスケートか? でもお前、滑れたっけ?」 桐乃「滑れない。だから黒いのとか沙織とか呼んじゃダメだかんね。 あたしが滑れるようになってから呼ぶの。その為にアンタと練習する。わかった?」 京介「へいへい……んじゃ、週末予定空けておけよ?」 桐乃「うん…」 ガチャ 桐乃「兄貴とスキー♪ 兄貴とスケート♪ スキー、スキー、アニキーとスキー♪ ダイスキー♪ スケート、スケート、アニキート、スケート♪ ひゃはぁん! 兄貴ってば妹とデートなんてシスコン降り積もっちゃってるぅ~♪ キモッ シスコン積もりすぎで理性が運行停止っ! 寒さに妹ホッカイロで温まる? ぎゅっとしちゃう? マジ? マジ?マジ? 兄貴の性欲エッジが効きすぎだよぉ!? キモッ 超キモッ 妹抱きしめるだけでも犯罪なのに、抱きしめて三回転半捻りとか、ありえなくない!? どんなにハッピー?! 変態っぷりが直滑降で、あたしの兄貴への思いが雪だるまっ! 重ねちゃう?! 雪だるまみたいに 兄貴とあたし、重ねちゃう?! 重なりあっちゃう!!? 大人のリフト券回数制限無しの一日券ッ!! ……っといけないいけない、兄貴のパンツ嗅いでるわけでもないのに、変な気分になっちゃった。 うん、まあ、変態兄貴に付き合う健気な妹のあたしとしては、ちゃんと準備を怠っちゃダメだよね。 アイツ、そこらへん抜けてるし……っと、確かここら辺にぃ~あった、あった、去年渡せなかったセーター。 えへへ……あいつシスコンだからあたしの手編みって知ったら鼻血出しちゃうだろ~な~。 ……スンスン……大丈夫、もうあたしの血の臭いはしない。 去年はこれ編んでる途中で兄パンで気合いいれたら鼻血でちゃって、 白い毛糸が真っ赤になっちゃって渡せなかったけど、これなら大丈夫だよね? ……スンスン……ちょっとあたしの匂いが薄いかな? うんしょ……べ、別にこれはあたしの匂い付けてるんじゃなくて、セーターが縮むといけないから広げてるだけ! はぁぁ……兄貴ってばシスコンだから、スケートであたしが転ばないように手握って離さないよね? 馬鹿じゃん? いつまでも自転車の後ろ持ってちゃ自転車乗るの覚えられないじゃん? だからあんたは成績もハンパなの。ま、まあアレでしょ? スケート滑れるようになったら、もう手握れないもんね? だからあたしに教えるつもりないんでしょ? きも~! どんだけムッツリしてんの? スキーなんてもっとでしょ? 後ろからあたしの事抱えて滑るんでしょ? あたしの背中に兄貴の胸が密着するんでしょ? 兄貴のま、股にあたし挟まっちゃうんでしょ? どんな羞恥プレイ!? 兄貴公衆の面前で妹に何してくれてるの!! 妹だからって、教え子に手出していいと思ってるの? 変態! 変態! ウィンターシーズンにウィンナー大っきくさせてんじゃない! ま、まさかカーリング!? 兄貴逆ギレして教え子の妹にカーリングブラシでそんなプレイするの!? 兄貴のストーンがあたしの100点満点突いちゃうっ!! それ虐待じゃん! 昭和の教師でもやんない熱血指導じゃん!? 熱いっ 熱いっ! 兄貴の、熱いよぉぉっ!! …ハァ…ハァ…なんか部屋暑いし。窓空けよ。なんか疲れた……ふぁぁぁぁ……」 京介「風邪引いたって? 仕方ねぇ、スキーはまた今度な」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京介「口がカサカサじゃねーか。ホラ、俺のマスクやるよ」 桐乃「はぁ? あんたの使ったマスクなんてモガモガ……」 京介「ゴーグルも付ける。吹雪いてきたからな」 桐乃「あたしの美貌が丸隠れじゃん!(兄貴のマスク!兄貴のマスク!か、か、間接キスぅ!?)」 京介「その美貌が凍傷にならないように完全防備してやってんだろーが。 ほれ、ゆっくり行くぞ……まったく、見栄張って上級者用コースに登んなよな」 桐乃「うっさい……痛っ」 京介「あーあ、またコケた。板も外れてんじゃねーか。……もういっそ歩くか?」 桐乃「やだ、絶対滑って降りる」 京介「そっか。足出せ。雪払ってやるから。そのままじゃ板付かねーぞ」 桐乃「……アンタ、先に降りててもいいよ」 京介「馬鹿、んなことできるか」 桐乃「………」 京介「俺だって親父に連れてこられた時はお前みたいにコケまくってたっての」 桐乃「アンタと一緒にしないで」 京介「あーはいはい。まあ……そん時は体中雪塗れになってロッジに着いてよ そこで食った豚汁ったらメチャクチャ旨いんだぜ?」 桐乃「食べ物で釣ろうっての? 馬鹿じゃん? アンタと違ってあたしは食い意地張ってないし?」 京介「うっせ。俺がお前に食わせたいだけだっての。ほら、いくぞ。 真っ直ぐいくなよ。コブで転けるからな。曲がって進むんだ まーお前の性格上、チンタラくねくね進むのが気にくわないってか?」 桐乃「人を猪みたいにいうな! ……あたしだって回り道している事もある」 京介「へー。することなす事一直線のお前がなぁ?」 桐乃「……気づけ、馬鹿」 京介「何か言ったか? ……って、だから真っ直ぐいくんじゃねえ!!」 桐乃「曲がれないの! 助けろ馬鹿兄貴ーー!!」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京介「ほら、豚汁」 桐乃「……食べさせて」 京介「はぁあ!? な、なんで俺がお前に豚汁食べさせなきゃならねーんだよ!」 桐乃「手がかじかんで箸握れないからじゃん?」 京介「そりゃお前が雪球作って俺に投げるからだ」 桐乃「アンタがあたしを助けないのが悪いんじゃん」 京介「お前が転げ落ちるように…っていうか実際転げ落ちていったのが悪りーだろうが 追いつけるか! 追いついたら重力の法則無視しているからね!!」 桐乃「アンタ、あたしに豚汁食べさせたいっていったじゃん。アレ嘘だったの?」 京介「うぐ……ちっ…やりゃあいいんだろ、やりゃあ!! ほ、ほら、あーん……」 桐乃「あ、あーん……モグモグ……お、美味しいじゃん」 京介「だ、だろ?」 桐乃「ん…次……」 京介「ま、まだ続けんのか!?」 桐乃「なに? たった豚肉一枚で我慢しろっての?」 京介「俺と違って食い意地張ってないって言ってたのは誰だよ……はあぁぁ……」 桐乃「な、なに恥ずかしがってんのよ!」 京介「普通恥ずかしいわ!! お前だって耳まで真っ赤だろうが!」 桐乃「これは寒いから! ハッ! どーせアンタの事だからエロい事考えてたんでしょ? キモッ 兄妹なんだから、あ~んぐらい普通じゃん? 何意識してんの? シスコン怖いんですけど だいたい、もう既に一回ヤっちゃってんのよ? 今更意識するとか、とんだチキンよね。これ豚汁なのに」 京介「それ全然上手くねーからな! つーかやったをヤったと表記すんじゃねぇ!! いいぜ、テメーがそのつもりなら、そのふざけた妹の口に豚汁をブッ放す!!」 桐乃「ごちそうさまでした」 京介「は~…なんか普通の食事の四倍ぐらい疲れた……」 桐乃「……うっさいわね、そんなに恩着せがましくしなくても、片付けぐらいあたしがやってやるわよ」 京介「別にそんなつもりはねーし、片付けをしてくれとも頼んでねーし、つーかお前お盆手で持ってんじゃん!?」 ガチャ 桐乃(ゲ、ゲ、ゲ……ゲレンデの神様ありがとうーーーー!! ナニコレ、今日最高すぎるんですけど!! 兄貴は間接キスしてくれるし、あたしに豚汁食べさせてくれるし、っていうかわざわざフーフーまでしてくれるとか もう兄貴どこまでシスコン大回転ジャンプしちゃってんの? 兄貴のシスコン山、アルペンでテッペンまで逝っちゃってるよぉ~ そ、その上、兄貴の使った割り箸までゲットしちゃったし!? ……スンスン………豚汁に混じって兄汁キタコレ!! 豚肉、人参、蒟蒻、里芋、大根、葱、兄貴、妹、味噌のパーフェクトハーモニーぃぃぃぃん!! 芋、兄、トン、兄、妹、兄、芋、芋、妹、あたしの心がにんじんじん♪ 兄、兄、蒟蒻、兄貴と婚約♪ 大根、大好き、兄貴でトン汁、トンじゃう♪♪ はぁあぁん…夢じゃないよね? これエアリアルじゃなくてテラリアルだよね!? もうここまできたら兄貴のストック、あたしにスティクしちゃってOKじゃない? 塗っちゃう? 滑りよくするために兄貴のワックス、あたしに塗っちゃう? ワックスでマックスになっちゃう!! 兄貴ガチでバイアスロン! 恋の銃弾で妹撃ち抜く変態ハンター!! バイアグラで充電完了、バイアスロンGO! ハァ…ハァ……兄貴と雪のコラボレーション最っ高…… だってよく考えてみて? アニキとユキ 同じ「キ」を抜くとアニとユ。縮めるとアニユ、つまり兄湯。 兄風呂キターーーー!! 冷えたあたしの身体を温めちゃう? 兄貴温めちゃうの? あたし妹なのに!? そんなんどうだっていいから、冬のせいにしてあたためあうの!? いいの? お湯だよ? 兄貴お湯だよ? 液体だよ? 入っちゃうじゃん! 穴とか入っちゃうじゃん! 兄貴入りたいの? 妹の穴という穴に入ってくるの!? 兄貴人間辞めたの? 兄貴人間辞めたから結婚できる。 兄妹は結婚できないけど、兄貴が人間辞めたからあたしと結婚するの無問題。ナインティナイン%問題無い!! 結婚! 結婚! 結婚! 兄貴と結婚! 結婚! 血痕! なにこれ血痕?」 京介「おい、桐乃、すげー鼻血だぞ!? スキーで転んで……いや、急に温かいところにきて皮膚が…… いや、んなことはどうでもいい、ほらこっちこい! ティッシュあるから!」 桐乃「うん! 今いくよ兄貴!! ……きゃあぁ!?」 ツルッ! 京介「桐乃ーーーーーー!!」 ※ スキー靴は滑るので、歩くときは慎重に
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/97.html
京介「4打数2安打……俺ってけっこう野球の才能あるんじゃね?」 桐乃「あんた、今日どこいってたの?」 京介「いや、今のセリフで充分予測つくだろ? 野球だよ、草野球!」 桐乃「……誰と?」 京介「ダチとだよ。瀬菜の兄貴の赤城とか」 桐乃「せなちーのお兄さん、サッカー部じゃん」 京介「サッカーばっかだと飽きるんだと」 桐乃「……じゃあ、今度あたしに付き合いなさいよ」 京介「はぁ? 何? お前と一緒に走ればいいの?」 桐乃「なんでアンタと一緒に走らなきゃなんないのよ」 京介「だってお前、陸上部だろ……」 桐乃「サッカー部のせなちーのお兄さんと野球したんでしょうが!」 京介「わーったわーった。んで、なんのスポーツしたいんだよ」 桐乃「え? ……えーっと」 京介「考えてないのかよ……黒猫達と一緒にバトミントンでもするか?」 桐乃「そ、そんな季節感無いスポーツとか、だからアンタもてないのよ」 京介「悪かったな。んじゃ、季節感のあるスポーツ……スキーかスケートか? でもお前、滑れたっけ?」 桐乃「滑れない。だから黒いのとか沙織とか呼んじゃダメだかんね。 あたしが滑れるようになってから呼ぶの。その為にアンタと練習する。わかった?」 京介「へいへい……んじゃ、週末予定空けておけよ?」 桐乃「うん…」 ガチャ 桐乃「兄貴とスキー♪ 兄貴とスケート♪ スキー、スキー、アニキーとスキー♪ ダイスキー♪ スケート、スケート、アニキート、スケート♪ ひゃはぁん! 兄貴ってば妹とデートなんてシスコン降り積もっちゃってるぅ~♪ キモッ シスコン積もりすぎで理性が運行停止っ! 寒さに妹ホッカイロで温まる? ぎゅっとしちゃう? マジ? マジ?マジ? 兄貴の性欲エッジが効きすぎだよぉ!? キモッ 超キモッ 妹抱きしめるだけでも犯罪なのに、抱きしめて三回転半捻りとか、ありえなくない!? どんなにハッピー?! 変態っぷりが直滑降で、あたしの兄貴への思いが雪だるまっ! 重ねちゃう?! 雪だるまみたいに 兄貴とあたし、重ねちゃう?! 重なりあっちゃう!!? 大人のリフト券回数制限無しの一日券ッ!! ……っといけないいけない、兄貴のパンツ嗅いでるわけでもないのに、変な気分になっちゃった。 うん、まあ、変態兄貴に付き合う健気な妹のあたしとしては、ちゃんと準備を怠っちゃダメだよね。 アイツ、そこらへん抜けてるし……っと、確かここら辺にぃ~あった、あった、去年渡せなかったセーター。 えへへ……あいつシスコンだからあたしの手編みって知ったら鼻血出しちゃうだろ~な~。 ……スンスン……大丈夫、もうあたしの血の臭いはしない。 去年はこれ編んでる途中で兄パンで気合いいれたら鼻血でちゃって、 白い毛糸が真っ赤になっちゃって渡せなかったけど、これなら大丈夫だよね? ……スンスン……ちょっとあたしの匂いが薄いかな? うんしょ……べ、別にこれはあたしの匂い付けてるんじゃなくて、セーターが縮むといけないから広げてるだけ! はぁぁ……兄貴ってばシスコンだから、スケートであたしが転ばないように手握って離さないよね? 馬鹿じゃん? いつまでも自転車の後ろ持ってちゃ自転車乗るの覚えられないじゃん? だからあんたは成績もハンパなの。ま、まあアレでしょ? スケート滑れるようになったら、もう手握れないもんね? だからあたしに教えるつもりないんでしょ? きも~! どんだけムッツリしてんの? スキーなんてもっとでしょ? 後ろからあたしの事抱えて滑るんでしょ? あたしの背中に兄貴の胸が密着するんでしょ? 兄貴のま、股にあたし挟まっちゃうんでしょ? どんな羞恥プレイ!? 兄貴公衆の面前で妹に何してくれてるの!! 妹だからって、教え子に手出していいと思ってるの? 変態! 変態! ウィンターシーズンにウィンナー大っきくさせてんじゃない! ま、まさかカーリング!? 兄貴逆ギレして教え子の妹にカーリングブラシでそんなプレイするの!? 兄貴のストーンがあたしの100点満点突いちゃうっ!! それ虐待じゃん! 昭和の教師でもやんない熱血指導じゃん!? 熱いっ 熱いっ! 兄貴の、熱いよぉぉっ!! …ハァ…ハァ…なんか部屋暑いし。窓空けよ。なんか疲れた……ふぁぁぁぁ……」 京介「風邪引いたって? 仕方ねぇ、スキーはまた今度な」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京介「口がカサカサじゃねーか。ホラ、俺のマスクやるよ」 桐乃「はぁ? あんたの使ったマスクなんてモガモガ……」 京介「ゴーグルも付ける。吹雪いてきたからな」 桐乃「あたしの美貌が丸隠れじゃん!(兄貴のマスク!兄貴のマスク!か、か、間接キスぅ!?)」 京介「その美貌が凍傷にならないように完全防備してやってんだろーが。 ほれ、ゆっくり行くぞ……まったく、見栄張って上級者用コースに登んなよな」 桐乃「うっさい……痛っ」 京介「あーあ、またコケた。板も外れてんじゃねーか。……もういっそ歩くか?」 桐乃「やだ、絶対滑って降りる」 京介「そっか。足出せ。雪払ってやるから。そのままじゃ板付かねーぞ」 桐乃「……アンタ、先に降りててもいいよ」 京介「馬鹿、んなことできるか」 桐乃「………」 京介「俺だって親父に連れてこられた時はお前みたいにコケまくってたっての」 桐乃「アンタと一緒にしないで」 京介「あーはいはい。まあ……そん時は体中雪塗れになってロッジに着いてよ そこで食った豚汁ったらメチャクチャ旨いんだぜ?」 桐乃「食べ物で釣ろうっての? 馬鹿じゃん? アンタと違ってあたしは食い意地張ってないし?」 京介「うっせ。俺がお前に食わせたいだけだっての。ほら、いくぞ。 真っ直ぐいくなよ。コブで転けるからな。曲がって進むんだ まーお前の性格上、チンタラくねくね進むのが気にくわないってか?」 桐乃「人を猪みたいにいうな! ……あたしだって回り道している事もある」 京介「へー。することなす事一直線のお前がなぁ?」 桐乃「……気づけ、馬鹿」 京介「何か言ったか? ……って、だから真っ直ぐいくんじゃねえ!!」 桐乃「曲がれないの! 助けろ馬鹿兄貴ーー!!」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京介「ほら、豚汁」 桐乃「……食べさせて」 京介「はぁあ!? な、なんで俺がお前に豚汁食べさせなきゃならねーんだよ!」 桐乃「手がかじかんで箸握れないからじゃん?」 京介「そりゃお前が雪球作って俺に投げるからだ」 桐乃「アンタがあたしを助けないのが悪いんじゃん」 京介「お前が転げ落ちるように…っていうか実際転げ落ちていったのが悪りーだろうが 追いつけるか! 追いついたら重力の法則無視しているからね!!」 桐乃「アンタ、あたしに豚汁食べさせたいっていったじゃん。アレ嘘だったの?」 京介「うぐ……ちっ…やりゃあいいんだろ、やりゃあ!! ほ、ほら、あーん……」 桐乃「あ、あーん……モグモグ……お、美味しいじゃん」 京介「だ、だろ?」 桐乃「ん…次……」 京介「ま、まだ続けんのか!?」 桐乃「なに? たった豚肉一枚で我慢しろっての?」 京介「俺と違って食い意地張ってないって言ってたのは誰だよ……はあぁぁ……」 桐乃「な、なに恥ずかしがってんのよ!」 京介「普通恥ずかしいわ!! お前だって耳まで真っ赤だろうが!」 桐乃「これは寒いから! ハッ! どーせアンタの事だからエロい事考えてたんでしょ? キモッ 兄妹なんだから、あ~んぐらい普通じゃん? 何意識してんの? シスコン怖いんですけど だいたい、もう既に一回ヤっちゃってんのよ? 今更意識するとか、とんだチキンよね。これ豚汁なのに」 京介「それ全然上手くねーからな! つーかやったをヤったと表記すんじゃねぇ!! いいぜ、テメーがそのつもりなら、そのふざけた妹の口に豚汁をブッ放す!!」 桐乃「ごちそうさまでした」 京介「は~…なんか普通の食事の四倍ぐらい疲れた……」 桐乃「……うっさいわね、そんなに恩着せがましくしなくても、片付けぐらいあたしがやってやるわよ」 京介「別にそんなつもりはねーし、片付けをしてくれとも頼んでねーし、つーかお前お盆手で持ってんじゃん!?」 ガチャ 桐乃(ゲ、ゲ、ゲ……ゲレンデの神様ありがとうーーーー!! ナニコレ、今日最高すぎるんですけど!! 兄貴は間接キスしてくれるし、あたしに豚汁食べさせてくれるし、っていうかわざわざフーフーまでしてくれるとか もう兄貴どこまでシスコン大回転ジャンプしちゃってんの? 兄貴のシスコン山、アルペンでテッペンまで逝っちゃってるよぉ~ そ、その上、兄貴の使った割り箸までゲットしちゃったし!? ……スンスン………豚汁に混じって兄汁キタコレ!! 豚肉、人参、蒟蒻、里芋、大根、葱、兄貴、妹、味噌のパーフェクトハーモニーぃぃぃぃん!! 芋、兄、トン、兄、妹、兄、芋、芋、妹、あたしの心がにんじんじん♪ 兄、兄、蒟蒻、兄貴と婚約♪ 大根、大好き、兄貴でトン汁、トンじゃう♪♪ はぁあぁん…夢じゃないよね? これエアリアルじゃなくてテラリアルだよね!? もうここまできたら兄貴のストック、あたしにスティクしちゃってOKじゃない? 塗っちゃう? 滑りよくするために兄貴のワックス、あたしに塗っちゃう? ワックスでマックスになっちゃう!! 兄貴ガチでバイアスロン! 恋の銃弾で妹撃ち抜く変態ハンター!! バイアグラで充電完了、バイアスロンGO! ハァ…ハァ……兄貴と雪のコラボレーション最っ高…… だってよく考えてみて? アニキとユキ 同じ「キ」を抜くとアニとユ。縮めるとアニユ、つまり兄湯。 兄風呂キターーーー!! 冷えたあたしの身体を温めちゃう? 兄貴温めちゃうの? あたし妹なのに!? そんなんどうだっていいから、冬のせいにしてあたためあうの!? いいの? お湯だよ? 兄貴お湯だよ? 液体だよ? 入っちゃうじゃん! 穴とか入っちゃうじゃん! 兄貴入りたいの? 妹の穴という穴に入ってくるの!? 兄貴人間辞めたの? 兄貴人間辞めたから結婚できる。 兄妹は結婚できないけど、兄貴が人間辞めたからあたしと結婚するの無問題。ナインティナイン%問題無い!! 結婚! 結婚! 結婚! 兄貴と結婚! 結婚! 血痕! なにこれ血痕?」 京介「おい、桐乃、すげー鼻血だぞ!? スキーで転んで……いや、急に温かいところにきて皮膚が…… いや、んなことはどうでもいい、ほらこっちこい! ティッシュあるから!」 桐乃「うん! 今いくよ兄貴!! ……きゃあぁ!?」 ツルッ! 京介「桐乃ーーーーーー!!」 ※ スキー靴は滑るので、歩くときは慎重に 桐乃「何よ……これ」 黒猫「あら? 見て分からないのかしら? 貴方のその愉快な桃色脳内を私のこの右の目・魔眼(イービルアイ)と 自動速記(オートブラシ)の能力によって現世に具現したものよ?」 沙織「できておる、できておるのう、黒猫氏は」 桐乃「あたしはこんな事考えてない!!」 黒猫「ふ……私の左の目・千里眼(アンハイドアイ)の前では、そのような虚勢は無意味よ」 沙織「きりりん氏が要らないのであれば拙者がこの絵を貰いましょうか? 額に飾って大事にするでござるよ」 黒猫「が、額……!? ふ、ふふ……人間に闇の世界の芸術を理解する者がいたのは驚きだけど その程度の絵はタルタロスではありふれたものよ。そんなものを飾っていては笑われるわ」 桐乃「うっさい、黙れ邪気眼厨二病女! っていうかなんであたしが兄貴とスキー行ったの知ってんのよ!?」 黒猫「あら、貴方自分の放った言葉まで忘れてしまったの? 軽いのはカラダだけではなく、頭もだったのね。救いがたい愚かしさだわ。 "別にさー、あたしは行きたくないんだけどー、モデルの仕事もあるしね 兄貴がどうしてもって土下座して頼むからさ だってスキーだよ? 遠いじゃん? なんで兄貴と行かなきゃいけないの?って感じだったけど 涙流してまで頼まれちゃったらさ、アイツ他に誘う女なんていないだろうし? もうあたしも憐れに思って、つい? 一緒に言ってあげるって言っちゃったんだよね" と、貴方は喜々としてお兄さんと一緒にスキーに行くことを話していたのよ?」 桐乃「う…う……ガーーー!!」 黒猫「あら、ついに言語まで失ってしまったようね」 沙織「まあまあ、きりりん氏、黒猫氏も、落ち着いてくだされ」 桐乃「うっさい! うっさい! あたしはそんなこと言ってないし、言ったとしても喜んでた訳じゃないでしょうが! それで喜んでるって聞こえるって、アンタは厨二病より先に耳治した方がいいんじゃない? っていうか、それ以前に、この絵の説明になってない!! こっちのあたしが鼻血出してる絵は論外だけど、こっちの豚汁はおかしいでしょうが!!」 黒猫「あら? 何がおかしいというの?」 桐乃「なんで兄貴に豚汁食べさせて貰ったことをアンタが知ってんのかってこと!!」 黒猫「ふふふ……そう、お兄さんに豚汁をあ~んして貰ったの? 良かったわね」 桐乃「なっ……あ、アンタあたしを填めたなぁぁぁ!!」 黒猫「あらあら、ポセイドンの御使いたるオクトパスにも比肩する赤さね。 お兄さんに豚汁を食べさせてもらった時以上かしら? この絵の彩色の参考にさせて貰うわ」 桐乃「こ、こ、この黒いのはぁぁぁ!! 離して、沙織! もうコイツ許さない! そのゴスロリ剥いでナメ猫にしてやる!!」 沙織「お、おちつくでござるよ! 種明かしすれば、実はあのスキー場は拙者の両親が所有しているスキー場でござって 故に、拙者達はきりりん氏と京介氏を尾k……警護していたでござる!!」 桐乃「よけいタチわるいわーーーーー!!」 ガチャ 京介「おーい、ジュースとお菓子持ってきたぞ。ん? なんだソレ?」 桐乃「氏ね!!」 京介「ファァアァァァァオォォォッ!?!!?!」 ドバーン 桐乃「ちょっと、何すんのよ! ジュースかかったじゃない!!」 京介「それはこっちのセリフだ! いきなり蹴っ飛ばしやがって! それに俺の方が全身ジュース塗れじゃねーか!!」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京介「……ったく、アイツめ……洗濯機に服入れて……ベタベタするし、シャワー浴びとくか」 ガチャ 桐乃「兄貴ー(小声)……シャワー浴びてる? よし、聞こえてない。 あ、あたしも服汚れたから洗濯機に入れに来ただけだからね。変な勘違いすんじゃないわよ! ……あ、兄貴の服……だ、ダメじゃん、まだ濡れてるじゃん。ジュース残ってる…… こ、こんなにジュース残して洗濯出来ると思ってんの? 本っ当、なんの取り柄もないわね。ウザッ エロゲの主人公だったら、家事ぐらいはパーフェクトにこなしたりすんのよ? し、仕方ないわね。ここは勉強も運動もできて容姿端麗なあたしが、洗濯もするしかないじゃん。 こ、こうやって、兄貴の服を絞って……」 ジャー 桐乃「あ、兄貴一番絞りの兄ジュースキターーーー!?! 濃縮還元アニジュース、コップの中に溜まっていくよぉ…… スンスン……あぁ、リンゴの酸味と兄貴の酸味が融和した大自然のかほりぃぃぃ たっぷり溜まった兄貴とアップルのアンサンブルが始まって、るるん♪ の、飲んじゃうよ? 兄貴、これあたしに飲ませちゃっていいの? 兄貴の汗とかが混じっちゃってるんだよ? のんきにシャワー浴びてる場合じゃないでしょ? 止めないの? 止めないんだ。兄貴変態だから、自分の体液、妹に飲ませて悦んでるんだ…… ……ゴクゴク……飲んだ、飲んじゃった! 兄貴ジュース飲んじゃった!! はぁぁ……ナニコレ、兄貴の苦みとリンゴの甘みが喉にひっついて離れないんですけど? 兄貴、妹の喉犯しちゃってるんですけど?! 青森のリンゴで大盛り兄貴のタンゴが始まっちゃってるんですけど!! んふぅ……なんか引っ掛かった……糸? 兄貴の服の糸? 兄貴の服安物すぎぃ、キモ 兄貴安すぎ! 兄貴のバーゲンセール始まっちゃった! 兄貴ジュース詰めほうだい!! 兄貴ジュース買ってあげる、アンアンアン♪ アアアンアン♪ 10円以下だけど♪ そんな安売りしていいわけ? 妹のあたしまで安くみられちゃうじゃん? 兄貴経営力なさすぎ! キモッ! し、仕方ないからあたしが小売業者として兄貴ジュース仕入れるから! 兄貴から搾取するから! 品質管理とかも超優秀な妹のあたしがする。兄貴の品質保っちゃうっ! 兄貴のシスコン度保っちゃう! ……ゴクゴク……Brix値5%(BはブラザーのBね)ってトコね。まだまだ全然ダメじゃん。 兄パンの足元にも及ばない。こんな品質で消費者だませると思ってるの? 兄貴セコすぎ! やっぱりあたしが徹底的にアニキトロノーカを管理しなきゃいけない、じゃなゃ農林水産省に兄貴捕まっちゃう。 じゃ、じゃあまずは畑から、ほ、ほら、さっさとあたしを耕しなさいよ! あたしに種蒔けばいいじゃん!! 兄貴、種蒔く人になればいいじゃん! しゃ、社会運動始めれば? 兄妹婚成立への社会運動はじめちゃえば!! はぁ…はぁ……ほ、本気で土壌改良する気あんの? 農作物は酸性の土壌じゃ育ちにくいんだよ? つまりアルカリ性、兄貴のリヴァイアサンからアルカリ性の液体放水しまくりっ!! 変態! 変態! 兄貴変態ッ! 変態極まった! 農家はじめてエロ脳が濃化しちゃった!! ヤバイヤバイ、このままあたしの身体から要らない毛とか間引きされちゃう! 兄貴の手で間引きされちゃう!! もうあたしの体力限界っ! でも兄貴許さない。もう普通の兄貴じゃない、コンバインでバイストンウェルに飛んでった。 ハイパー化した兄貴、マジ鬼畜! 農業の聖戦士になった兄貴、あたし巻き付けちゃう! 蔓で巻き付けちゃう!! 一人で立てないあたしをムリヤリ立たせて光合成させちゃうっ! まじSM! オーラバトラーなのにSM! 花咲き乱れちゃうよ! 兄貴にあたしの花咲かされちゃうっ! 花が散ったら収穫される! 兄貴の手でもぎ取られるっ!! 収穫されたぁぁぁ!! あたし収穫っ! 赤い実弾けたっ! 兄貴が丹誠込めて育てた妹収穫完了っ!! はぁはぁ……こ、これで兄貴も一人前だよね? エコロジーでエロアニキー、自給自足まで始めるとか、ちょっと見直した」 ガラガラ…… ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 京介「げ!? お、おま、なんでここにいるの!?」 桐乃「あ、兄貴!? なんで裸!? ま、まさか二毛作っ!? 二毛作始めちゃうの!?!」 京介「服きてシャワー浴びるヤツいねぇ! つーか二毛作ってなんの話だよ!?」 桐乃「もう無理だって! まだ土壌の品質改良終わってないのに二毛作とか無理っ! あたしの身体持たない!!」 京介「いいからお前も服きろ! なんで上が下着なんだ……って、ジュース零したからか。 いや、んなことはどうでもいい! こんなところ黒猫や沙織に見られたらっ!!」 沙織「きりりん氏ー? 京介氏ー? さっきからデスサイズH並にジャマーがかかっておりますぞー? どこでござるー?」 京介「ぐわっ!? ぐわっ!?」 桐乃「そ、それは合鴨の鳴き声!? まさか合鴨農法まで始めちゃうの!?」 京介「さっきからお前は何を話……って、血ーーーー!! お前、また鼻血ーーーー!!!!」 ガチャ 沙織「黒猫氏、さすがにここに入るのは……?」 黒猫「ふ……まさか、あの貞操観念の薄い兄妹でも、 私達が来ているときに脱衣所や浴室でコトに及ぶような 色情狂いでは無…い……で………」 桐乃「ハァ…ハァ…」ビクビク 沙織「」 黒猫「」 京介「ち、違うんだ、二人ともっ!!」 黒猫「は、は、破瓜の血というのはこんなにも出るものなのね、ね、ね ま、まあ、闇の眷属である私は、こ、この程度の人間の下劣な営みなんて ひゃ、ひゃ、百も承知で、お、面白味にか、欠けるというものだ、だ、わ……」 沙織「もしもし警察でござるか? 赤飯を注文したいのでござるが……」 京介「お前ら落ち着けー!!」
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/324.html
「こんにちは! お兄さん、お久しぶりですね!」 「げっ」 美少女の快活な挨拶に対し、不適切な声が俺の口から洩れた。 「何ですか、『げっ』って。……まさか私に何か後ろめたい事でも? 通報しちゃいますよ?」 「な、無い無い、一切ありません! ま、は、入ってくれ」 「冗談ですよ。おじゃましまーす」 ……情けない? ……ビクビクし過ぎ? ああそうさ! しょーがねーだろ! 俺は大の苦手なんだよ! コイツ、桐乃の親友、「新垣あやせ」がな! しかし、あやせとの対談?は実にスムーズな出だしをみせた。 桐乃がこの家から居なくなって、あやせの心配事が無くなったからかもな。 「どうですか? お兄さんのお口に合えば、いいんですけど……」 「ん、美味い! これお前が作ったのか?」 「はい! ……フフッ、よかった」 何の邪気も無い素直な笑顔だった。 手土産の手作りクッキーといい魔法瓶の紅茶といい、とても上品な味がする。 ……一瞬、こんな妹がいたらな、と思っちまったよ。 いや、だって俺の妹あんなだし! 罪って程でも無いだろ!? って、誰に弁明してるんだろうね? 「で、今日は一体、どんな用件で?」 まさか俺と茶をしに来た訳ではないだろう。 「実は昨日、桐乃から写真同封でエアメールが届きまして。あ、桐乃とは小まめにメールはしてるんですけど。実家の方には、余り連絡してないって聞いてたものですから」 確かに桐乃の奴からは、数回電話で連絡があっただけだ。 親父は仕事でしかパソ使わないし、お袋に至っては触った事も無いらしい。 今度買うかどうか相談してたっけ。 まあ、それを別にしても、家族より親友の方がいろいろな話をしてるよな。 つまり、あやせは桐乃の近状を知らせに来てくれたって訳だ。 「それだけって訳じゃないですけど」 …………何か嫌な予感がするが、気のせいだと思いたい。 「へえ~、元気そうじゃん」 写真の桐乃は満面の笑顔でピースサインをしていた。 多分、同じ陸上の選手だろう、ドレッドヘアーの黒人の女の子と、肩を組んで頬を寄せ合っている。 ほっとしている自分に気づいて驚いた。 何だかんだで心配してたんだな、俺。そりゃそうか、随分手間かけさせやがったからな。 この分なら、うん、大丈夫だろう。一年しっかり頑張ってきやがれ。 「一番のライバル兼、友達らしいですよ」 友達作りが苦手って訳じゃないんだよな。こうして、あやせみたいに純粋ないい子が親友だし。 「本当、楽しそう。フフッ、私以外の女の子とこんなにも……フフフフフフフフ」 …………前言撤回! 桐乃――っ! 早く帰ってこ――い! 何だかお前の親友、大変なことになっちゃってますよ――!? 「まあ、冗談はさておいてですね」 …………やっぱり苦手かもしれない、この女。 「桐乃が頑張っている以上、私もやんなきゃ! と思ったんです!」 ……それはきっと正しい事だ。親友っていっても競い合わなきゃな。 俺は先程のあやせの冗談?を頭から追い出すように頷いた。 「いいんじゃないか? 応援するぞ」 「はい! だから私、頑張ってエロゲーやろう、と思ったんです!」 「…………………………」 「そこでお兄さんにお願いです! 私にエロゲー教えてください!!」 「…………………………」 ……どうするんだろうな、俺。 「もしもし? お兄さん、聞いてます?」 「……ああ、聞いてるよ」 そう、俺だって馬鹿じゃない。いつもいつも、突っ込んでばかりいられるか。 こういう時こそ冷静に、かつ真面目に対応すべきなのさ。 こんな成長したくなかったけどな! 「結論から言うと駄目だ」 「な、」 「理由は簡単だ。あやせ、お前は十四歳、エロゲーは十八禁だからだ」 フッ、決まった……。ちょっと俺、格好よくね? しかし、あやせは引き下がらなかった。 「そんな、お兄さんだけが頼りなんです! お願いします! このとおりですから!」 な、コイツ、土下座しやがった! 丁寧にも床に額を擦りつけてやがる! 「待て待てっ! とにかく頭を上げろ! ったく、大体なんでエロゲーなんだ? 他にも、メルル、とか、いろいろあるだろ?」 「そうなんですけど……お兄さん、公園で桐乃が私に何て言ったか覚えてます?」 公園でっつーとあれか、去年の9月のことか。あの時、桐乃は確か…… 『あんたのことも、エロゲーと同じくらい好き!!』 ……改めて思い返しても酷い台詞だよな……。 けど、そうか。あれは桐乃の魂の叫びと言っていい。あやせがエロゲーにこだわるのも当然か。 しかし……。 「私もあれから少しずつ勉強したんです!」 そう、確かにあれから半年以上経っている。あやせも成長(と言っていいのか解らんが)している。 「私も桐乃がやったエロゲーを、愛しているエロゲーをやってみたいんです!」 ………………別にいいんじゃないか? あやせは真剣だ。おまけに頑固でもある。意思を変えさせるのは骨が折れそうだ。 それに……。潔癖なあやせがエロゲーをやったらどうなるか。 興味が無い、なんてとてもじゃないが言えなかったのさ。 「これが……桐乃のコレクション……」 桐乃の部屋の秘密の襖。その奥にそびえる数々のお宝を前に、あやせは呆然としていた。 「あっ、これ……」 「ああ、お前がプレゼントしたフィギュアだな。スゲー喜んでたぜ。俺にでさえ礼を言ったからな」 「……そうですか。お兄さんにお礼を……フフッ」 「? どうした?」 「いえ、それよりこれがエロゲーなんですね」 「ああ、そうだ」 「どうしてこんなに箱が大きいんですか?」 「それは俺にもわからん。こういうもの、だそうだ」 俺は世界の謎を、厳かに口にした。 ああ、そういえば、あの時の俺も………、……、…。 「あの、お兄さん? もしもーし」 はっ、いけねえ、一年前に意識がとんでたぜ。 「あ、ああどうした?」 「こちらの開いてない襖には、」 「駄目――っ!! こっちは駄目だ!! これは流石に桐乃の許可がいる!!」 「そ、そうですか、わかりました」 ふう、……すっかり忘れてたぜ。 〝我眠り妨げる者に災いあれ〟 そんな声が脳裏に響いた。 「それで、一体どれをやれば……」 「そうだな、うーん、ってそうか、ちょっと待ってろ」 俺は自分の部屋から紙袋を持ち出し、あやせに渡してやった。 「これは?」 「ああ、桐乃からプレゼントでもらったエロゲーだ。確か、神ゲーって言ってた」 「桐乃が……? お兄さんに……? ………………」 「ああ、あいつからのプレゼントなんて初めてだ」 「これは……私がやったら駄目だと思います。お兄さんがやってください」 「そ、そうか?」 「そうです!」 …………そうかもしれない。桐乃はあれで俺の為にこのエロゲーを贈ってくれたのだから。 多分、心を込めて。 結局、俺の記憶を総動員させ、桐乃の奴が「名作」「初心者向け」と言っていたエロゲーをやることにした。 テーブルにパソコンを移動させ、セッティングをし、万事準備OK。 さて、ここまでしておいて言うのもなんだが、本当にいいのか? 確かに桐乃とは一緒にやったことはあるが。 他所ん家の御嬢さんだぞ? 何か俺、正常な判断できてなくないか? それに……あやせはどう思っているのだろう。 只でさえあれだけ嫌悪していたエロゲーを男と一緒になんて……。 それだけ信用されてるって事なんだろうな。男の心理としては微妙だが。 ゴトリッ 「ではお兄さん、これを」 床の上に武骨な音をさせて置かれた物は、あろうことか親父の商売道具だった。 そう、『手錠』である。 全っ然信用されてねぇ――!? つーか何、俺は女子中学生と一緒に、手錠をされてエロゲーやるんですか!? どんな変態だよ!! 「お兄さんの事は信用してますけど……やっぱり少し怖いので……お願いします」 くっ、いいよ、もう! こうなりゃ自棄だ。好きにしてくれ! こうしてあやせは『初エロゲー』をやることと相成った。 マウスを駈る手に緊張が見てとれる。 俺はそれを見守る。 正座をして。後ろ手に手錠を掛けて。 …………なんだかなー。 そんな訳であやせのエロゲープレイを見守っているわけだが…… 「わっ、わっ」 「あれ?」 「はははっ」 「…………(ぽっ)///」 とにかくなんと言うか、〝可愛い〟のである。 ゲームの色々なネタにいちいち反応しているのを見ると、やっぱり素直で純真ないい子なんだよな。 でもキスシーンでそんなに耳まで赤くしてたら……これからどうなっちゃうんだろうね? そうして問題のエロシーンに差し掛かった。 桐乃は、エロシーンは気にしない奴だった。でも普通はこうだよなあ。 見ろよ、可哀想なくらい赤くなっちまって。手だって震えてるぞ。 今なら言える。桐乃は変態だったと。 絶賛変態中の俺が言うことじゃないがな! しかし……初心者向けって言ってたが、これはかなりエロいぞ? あやせはすっかり無言になってしまっている。息もかなり荒い。 それと……さっきから下半身をもじもじと……。 …………だ――っ!! 俺の方が先に限界だ。手錠しててよかったぜ! 「おい! あやせ!」 「ひゃうっ!! な、何ですかっお兄さん!」 「お、お前、大丈夫か?」 「は、ははは、少しのぼせちゃったかも。御手洗い借りますね」 そうしてあやせは、熱に浮かされているように、ふらふらと部屋から出ていった。 ふう、……しかし、トイレね……。 …………ぐぁあぁあ――!! 何考えてんだ俺! ……しかし、先程擦れ違った時、あやせからはフェロモン? とにかく雌の匂いがぷんぷんした。 そして、トイレへ……。 …………くぉおぉお――!! 駄目だ!エロい妄想が止まらねぇ――っ!! かなり遅れて、あやせは部屋に帰ってきた。 お前……さっきより顔赤くないか? ……それに、なんだか、挙動不審だ。 ゴクリ、やべえ。 「す、すまん。俺もトイレ!」 俺は部屋から逃げるように立ち上がった。 慣れない正座なんてするもんじゃないよな。 俺は足を縺れさせ、そう、あやせの上に……。 去年の桐乃の時より酷かったかもしれない。なんたって手錠されてるし。 至近距離にあやせの顔があった。ぱちくり、と大きく瞬きする様子は、妙に幼い。 そして、大きく息を吸って、 「変態! 痴漢! ブチ殺しますよっ!?」 死ねェェエェェ――――! が出るまえに辛うじて俺は部屋から転がり出ていた。 ふぅ、危なかった。流石にこの無防備な状態で、あやせの攻撃を受けたら死んでいたかもしれない。 俺はあやせが部屋から追って来ないかビクビクしながらトイレの前に立った。 「さて、コイツをなんとかしないと」 当たり前だが俺の道祖神はこれ以上ないくらいに荒れ狂っていた。 こんなのどうやって鎮めるんだよ。 俺は考えうる全ての手段を試してみたが、全てが徒労に終わった。 あ~~もういい! 知るかってんだ! 今日の俺、何かおかしくないか? いくらなんでも流され過ぎている気がする。 そんな、ふとした疑問も桐乃の部屋に入った瞬間、綺麗に消え去った。 桐乃の部屋なのに別な匂いがする。 そうか、これはあやせの匂いだ。 あやせは立ってこっちをみていた。先程までとは随分様子が違う。 ……さっきの事、かなり怒ってやがる。わざとじゃねーての。 「わかっているとは思いますが、足も縛らせてもらいます」 「な、」 「いいですよね、お兄さん」 そう言ってにこり、と笑うあやせには、有無を言わせぬ迫力があった。 って早っ。 俺が呑まれている隙に、あやせは、あっという間に足を縛りあげていた。 両手足を拘束され、俺はいも虫のような有り様だ。 「しょうがないですよね、お兄さんは変態だもの」 ヒィッ! コイツ、本当に虫けらを見るような目をしてやがる! 「変態には罰を与えないと」 そう呟いて近付くあやせから、遠ざかろうとして壁に追い詰められた。 「まずはそうですね、さっき私に押し付けた、汚いモノを晒してもらいます」 「なっ、洒落になってねーぞ、それ! ま、待て、ちょ、おま、それ、いやー!」 ベルトを外され、ズボンとトランクスを一気に下げられた。 「け、結構、立派なモノが付いてるじゃないですか」 そう、俺のナニはすでに先程から御立派様と呼ばれてもいい状態になっている。 「き、気がすんだか、チクショー」 「まさか、これからですよ」 「な、ま、待て、お前はそんな子じゃなかったはずだ。正気に戻っておふぅ」 剥き出しのナニにあやせの足があてられた。知らない間に素足になっている。 「少し煩いですよ、お兄さん」 口に何か布を押し込められた。……多分脱いだソックスだろう。 「フフッ、この変態! こんな風にされて喜んでるなんて! 気持ち悪い! 死んで下さい!」 あやせは罵りながら足を器用に動かしていく。 俺の反応を愉しむように体重をかけたり、指で挟んだりする。 くっ、こんなの、人間として終わってるっていうのに、が、我慢できねえ! なんとか身体を捻って逃げようとしてもあやせの瞳に睨まれると、蛇に睨まれた蛙状態だ。 実際、あやせの足は蛇のように俺のナニを追い詰める。 逃げ場は無かった。 「こんなにいっぱい臭い汁を出して恥ずかしくないんですか!? この変態!」 あやせの足で放出してしまった……グスッ、ちくしょう……。 俺はもう人格崩壊の危機にさらされていた。頭の中に薄い靄がかかっているようだ。 そのくせ、まだカチカチに反り返っているモノを摘ままれる感覚に一瞬覚醒する。 あやせが跨がって腰を落とそうとしていた。 先程とは打って変わった恥ずかしげな表情で聞いてくる。 「お兄さん、挿入れたいですか?」 その魅力的な美貌に思わず頷く。 「……ふっ……ふっ…………んんっ」 きつく狭い、それでいて暖かで柔らかい肉の中に呑み込まれていく感覚があった。 なんだかおかしい。自分が自分でない気がする。記憶もあやふやだ。 俺はいつ、手錠をはずしたのか。足の拘束も解かれている。 目の前には少し怯えた感じのあやせがいた。 俺の中の野獣の部分が表に出てくる。代わりに思考が深く沈んでいった。 立っているあやせの手をベッドに着かせ、足を開かせる。 制服のスカートを捲り上げると幼い秘所が露になった。白濁液と鮮血がこびりついている。 俺がやったのか? 構いやしない。記憶に無いのでじっくり観察してやる。 「み、見ないで下さい」 何言ってやがる。見て、見て、と腰を突き出しておいて。 指でいじくりまわしてやる事にする。開いたり引っ張ったり、摘まんだり捻ったり。 その度にあやせは悲鳴に似た、甘い声をあげる。 中に指を突っ込んで掻き回してやると、散々ぶち込んでやったザーメンが出てきた。 あやせが立ってられなくなったようなので、そのまま突き飛ばし、後ろから犯してやる。 「も、もうやめて、お願いします」 無視して構わない。だってほら、挿入されやすいように角度調整をしてるだろ? 先端を入り口に当て、ゆっくりと根本まで埋め込んでいく。 「あ、………あ、………んっぐ」 俺はあやせの穴を味わうように、最初は浅く、そして徐々に深く往復し、回転させる。 「ひっ、もういやあ、あん」 全く嫌がってなどいない。俺が動きを止めるとあやせの腰がくいっ、くいっと動いた。 「うるせえ!」 まだ幼い、しかし形のいい尻に平手をかます。 パアン! という小気味のいい音と共に、あやせのま○こがきゅっと締まった。 ああ愉しくてしょうがない。 気がついたときには夜の10時を過ぎていた。 「げっ」 俺はベッドから跳ね起きた。ちなみに全裸である。 「あ、お兄さん、起きました?」 「あ、あれ?」 「そろそろ、起こそうと思ってたんですよ」 夢……じゃ無いよな。俺、まっぱだし。あやせ素足だし。 と、いうことは………… ぐわぁぁあぁぁあ――っ!! 全部本当にあったことか!? なんで? なんであんなことに? 「あ、服はそこにありますから」 「ああ、すまない、ってそうじゃねー!! あ、あやせ、お前と俺……その、したんだよな?」 「はい! あ、でも私なら平気ですよ。お兄さんは嫌ですか?」 「いや、そーゆーことじゃなくてだな、」 「ならいいじゃないですか。もし、私との事を無かった事にするなら通報しちゃうとこでした」 冗談、だよね? 「あっと、そろそろ私帰らないと」 そう言うとあやせは俺に近づき唇を重ねた。 「では、また」 狐につままれる、とはこんな時使う言葉だよな? 俺にはこういう時に使う言葉は一つしかない。だからそれを呟いてみる。 「ま、いいか」 …………いいわけねェエェ――っ!! あやせ> 初体験の後は、がに股になる。 そんなよく聞く話を、私は今実感していた。 とにかく、凄かった、の一言に尽きる。私があんなにやらしかったなんて。 クッキーや紅茶のせいだけじゃない。 桐乃の部屋で、桐乃のベッドで、桐乃の大切なお兄さんと、という背徳感が、私をあんなにやらしくさせた。 「桐乃、ゴメン、あなたのお兄さん奪っちゃった」 海の向こうに行ってしまった親友に謝罪する。 けれど桐乃はきっと許してくれる。……少しだけ傷ついて。 近親愛に世間は厳しい。だからこれでよかったのだ。大きく傷つくよりは。 なんてね。 私は今、とても御機嫌だ。 なんといっても計画の第一歩が成功したのだ。 あの人は押しに弱い。このまま私に溺れさせるのは容易いと思えた。 そう、この計画が成功したなら桐乃と家族になれる。 桐乃に 「義姉さん」 と呼ばれることを思うとゾクゾクする。 その時私はきっとこう思うんだろうな。 「私の義妹がこんなに可愛いわけがないってね♪」 【END】
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/668.html
「ちょっと違った未来35」 ※原作IF 京介×桐乃 <第三部・桐乃の精神世界> 「――貴、――貴!!」 …。 「――貴、――貴!!」 …。誰かが俺を呼ぶ声がする…。 ――そんなに必死にならなくても。じきに目が覚めるわ。 ――あんた…京介は本当に目をさますんでしょうね?!もしこのまま、 ――あらあら。『自分』を相手に嘘なんてついてどうするのかしらね。 ――く! …。長い…長い夢を見ていた気がする…。長い長い誰かの夢を…。俺のではない誰かの夢を…。 「桐乃…か…」 「京介!」 うっすらと目蓋を開く。どうやら長い間熟睡していたみたいだ。 「京介!大丈夫?!どこか変なとこはない?!」 「…。なんともないけど…?」 何を俺の妹はこんなにあせっているのだろう?もう見慣れた光景。朝いつも走っているこいつは俺より早く起きることが多いから俺を起こして…こいつが帰ってくるまでに朝食を作り終えて…。 少し癖のある明るく染めた茶色の髪。意思の強そうな目。だけどあの冷戦が溶けてからここ4年の間に見せるようになったその笑顔。俺にしか見せない甘えた顔もある。 一体どうしたってんだ?大学生にもなって。また人生相談か?そういえばあのフレーズも懐かしいな。中学の時はよくこの言葉をこいつは使ってたもんな。まあ今でも面倒事があるとあの時と同じように奔走してるわけだからやってることは全く変わってねえけどよ。 「よかった…!よかった…!あたし、どうしたらいいのかわかんなくって…!」 …? 何を言ってるんだこいつ? 「だって…だって…こんなことって…こんなことって初めてなんだもん…。こんな場所でこんな…」 …? 『あたしが目の前に二人も居るなんて』 「ッ!」 その言葉で俺の身体に電気を流すようで脊髄反射的に飛び跳ねた。 そうだよ!俺は何をこんなところで暢気に寝てやがる! 確かあの時桐乃と俺が事故にあって、桐乃が記憶喪失になって…。 瑠璃が倒れて、その病院の帰り…。 「あ…」 情報が瞬く間に俺の脳内にスパークするように広がっていく。脳細胞に電気を流されているみたいだ…。記憶が蘇る。 「くぅ…」 脳のシナプスに電気信号が乱電するようにジグザクに走る。俺の意思など関係なしに疾走する。 「あの時…痛ぅ…」 瑠璃が運び込まれた病院の非常用階段を桐乃が落ちたこと。それに助けに向かったこと。そして…。 「…この世界…」 さらさらと流れる砂のような記憶。それ以外何もない暗い静かな世界。 「桐乃の…世界…」 現実の俺達が落ちた後、目を覚ました先はこの桐乃の内面の精神世界だった。信じられないことだが人の精神に俺という個人の精神が入り込んでいる状態なのだ。いや、それだけじゃない。 「どう?具合の方は?気分はどうかしら?」 俺の恋人と全く同じ姿をした者が二人いた。一人は、 「まあ良い気分では無いでしょうけれど必要なことだったから。現状を理解するための情報は充分に伝わったんじゃないかしら?」 「あんた…!あんな強引なやり方で!京介が死んじゃったらどうするつもりなのよ?!」 「物理的にどうこうしているわけではないもの。精神体に記憶を流し込んだところで死ぬわけがないわよ。それにあなたのように時間をかけてゆっくりと流し込んでいたら日が暮れるもの。なにより…」 その『魂の座』と自らを名乗った桐乃は、目線を『もう一人』に向けた。 「なにより…もうあの子がもたない」 「…」 「桐乃…」 そこにいるのは桐乃だった。『もう一人の世界』の桐乃だった。 「…」 桐乃はじっと俯いている。俺より先に目が覚めていたのだろう。ぺたんと地に座っていた。黒髪が地面に向かって下に流れていて顔が見えなかった。 「…」 「桐乃…」 高坂桐乃。俺の妹。もう一人の…黒髪の俺の妹。別の世界においての俺の妹。 彼女の過去の記憶を全て見た俺は目の前の黒髪の妹が一体どのような人生を送りどのような思いを抱き、そしてどのような結末を迎えたのかを知っていた。 「…あんなことって…」 桐乃が呟く。その顔は先ほどまで俺が、俺達が見ていた彼女の過去の回想の全てを知っている顔だった。この世界の桐乃もあの黒髪の妹の過去の記憶を俺同様に見ていたというのか。 今まで見たのは目の前に静かに佇む黒髪の妹、桐乃の過去だった。電流のように流れる映像、奔走する記憶、ありえない『IF』の世界。 そこには今の俺と全く違った過酷な人生を送り最後に非業の死を遂げた俺ではない俺。そしてもう一人の俺の幼馴染みと聞かされ今までその恋心を胸に秘めて生き、しかし実は血の繋がった兄妹であるという真実を聞かされお互いの為にその恋に終止符を打ったもう一人の桐乃。 今の俺と全く違った俺に成長し、今の桐乃と全く違った桐乃に成長し…。そして今その桐乃は…。 「…」 ずっと俯いていてその表情は伺い知れなかった。 一体今彼女は何を思い何を考えているのだろう? 今まで過ごしてきた記憶の一切を失い、顔だけが同じでも『知らない』人達の住む世界に送り込まれ、そしてそこで過ごしてきて…。 それでも親父やお袋、瑠璃や沙織にあやせ達のおかげでようやく一緒に心の底からの笑顔で暮らしていくことが出来そうな気がした。 なのに、なのに突然こんなことになって…。 「…」 黒髪の桐乃は動かない。ずっと顔を伏せたままだ。そこへ。 「貴方達が…」 『魂の座』が俺と桐乃に向かって口を開く。 「貴方達が…恋人になれる可能性は限りなく低かった」 「え?」 「もう理解しているでしょうけれど、世界は1つだけではない。これは気の利いた観念でもないし慰めの為の抽象論でもない。物理的なレベルで現実に世界は無数に存在する。それこそ数え切れないくらい」 「…」 「…」 「少し踏み込んだ話になるけれど、世界というのは個々の魂毎に存在するものでもある。世界の中に貴方達が存在する、ではないのよ。貴方達が文字通り世界を構築しているの。ほら、自分が死んだ後、ってどうなるのか考えたことないかしら?死んだ後の自分の行き先ではなくて死んだ後の残してきた世界のこと」 「…」 「…」 「『死』というのはね、個の存在の終わりではないのよ。その人だけの黄泉路への旅立ちではすまされない。その『世界の終わり』なの。これは貴方達が考えているよりずっと大きい意義を持つ」 「…」 「…」 「その中でも…」 「?」 「その中でも貴方達の絆はとても強い。とてもとても強い。貴方達の『兄妹』という縁はどの世界でも絶対に途切れることはなかった。お互いのお互いが顔も知らない全くの他人、なんて世界は私がいくら探しても、いくら見渡しても存在しなかった」 「…」 「…」 「そして今の貴方達のように血の繋がらない義理の兄妹で恋人同士にまで成れた、という例はこの数多のパラレルワールドの中でも格別に確立が低い…」 「…」 「…」 「わかる?今の貴方達は数え切れないほどの世界を踏み台にして存在しているのよ」 「…」 「どちらかが死亡する世界も珍しくない。戦争になっている世界も存在するし核によって人がもはや生存できない世界すら存在する。平和な世界においてさえ仲睦まじく暮らすこともあればいがみ合ったままもう会えなくなった世界も存在する」 「…」 「そして…」 『桐乃』は黒髪の桐乃に目を向ける。 「あの子のような世界も存在する」 「桐乃…」 「…」 「どうして…」 俺の妹の桐乃が『魂の座』に向かって尋ねる。 「どうして…あの黒髪の違った世界のあたしがこの世界に?」 「…」 「そして、どうしてあたしの身体の中に…?」 「…」 『魂の座』はすぐには答えなかった。それは自分の口から言ってもいいのだろうか、というある種の逡巡が能面のような顔から少しだけ見えていた。 そして…。 「この子のあの時の『もう一度やり直したい』という想いがこの結果を生んだとしか…」 そう、何か核心を隠すような言い振りで俺達に告げた。 「…」 横に居る桐乃は納得していないような顔をしている。当然だ。俺でさえこいつが何か言い難いことを言い含んだまま今の発言をしたんだな、ってわかるんだし。『同じ人間』である桐乃が気づかない筈がなかった。 それでも桐乃は彼女の言いたくても言えない、といった表情から解る意図を汲み、すぐに反論することもなく、何も言わず次の句を待った。 「この子は死んでしまった『おにいちゃん』ともう一度やり直したかった。絶対に結ばれることの無い兄と妹ではなく今度は血の繋がらない他人として一から出会いたかった」 「…」 「だから京介、貴方に関する記憶は全て消えていたのよ」 「ッ」 「けれど…」 「貴方達の『兄妹』の絆は凄く凄く強い。これは呪いといってもいいわね。この子もその『兄妹の呪縛』から逃れることは出来なかった。それでもこの子は大好きなおにいちゃんとどうしても結ばれたい。その結果が…」 「血の繋がらない兄妹だった俺と桐乃の世界…」 「そう…。数多の平行世界においても高坂京介と高坂桐乃が『兄妹』でなかった世界は一つとして存在しない。だけれども極低い確率において血縁のない義理の兄妹だった世界は存在する」 「だからあたし達のこの世界に来たんだ…」 桐乃がそう呟いた。 「そう。悪い言い方だけど貴女の身体の中に『空き』が出来たのよ。こちらの世界のトラック事故のあと、桐乃の意識は深く深く潜り込んだ。そこへ貴方達のあのトラックによる衝突事故に乗じた。びっくりしたでしょう?いきなり自分の身体が乗っ取られた形になっていたのですものね」 「そりゃびっくりしたっつーの。あんなわけわかんない部屋に閉じ込められてさ。でもなんでかしんないけど外でのあたしの身体が何やってるかだけは把握出来てた。はじめはわけわかんなかった。だからいつもいつも叫んでた。それ以外何も出来なくて、どうしようもなくて」 「…」 「桐乃…」 「それでも…」 桐乃は俺の顔を見て。 「それでも、兄貴が、京介がいつもと変わらずあたしの事を…記憶を失ったこの子のことを大切に思ってくれているのは…嬉しかったよ」 「桐乃…」 「それが例え本当のあたしじゃなくても…。いつもと変わらずあたしに接するあんたが愛おしかった」 「…」 「ありがとね、兄貴」 「…おう」 俺はぽりぽりと頬をかく。彼女の、桐乃の気持ちがストレートに伝わってきたからだ。…いつまで経っても慣れねーな。こういうの。 「もういいかしら」 目の前の『魂の座』は俺達に声を掛ける。 「さっきの話に戻るわ。この子、別世界の黒髪の桐乃は…さっきも言ったけれど…もうもたない」 「…」 「それって…」 あの非常階段での転落。あの怪我。そして『もうもたない』の言葉。そこから考えられるのは…。 「安心なさい。今はまだその命を取り留めているわ」 「え?」 「それじゃあ…」 「ええ。でもこの子の精神その物がこちらの世界に来てしまっていてあちらの世界でのこの子の身体は抜け殻になってしまっている。宿主不在というところね」 そしてやや厳しい声音で。 「だから、もう長くは持たない」 「…」 「桐乃…」 俺は黒髪のもう一人の桐乃の方を見て、彼女の名前を呟いた。 「もうこうして何もかもを明かしてしまっている以上、既にルール違反だからついでに言っておくわね。あのままいけばこの子は失意の内にそう遠くない未来で死亡するはずだった。『彼』の後を追うようにね。…別れたる無限のパラレルワールドの中でそんな世界も未来に確かに存在するのよ…」 「…」 「で?どうするの?本当の記憶が戻ってショックなのはわかるけれど、もう本当に時間が無い」 「…」 そう『魂の座』は黒髪の桐乃に切り出した。 「今、決断して頂戴。この世界に残ってこの世界の高坂桐乃として生きてあの世界の桐乃を終わらせるのか…もう『おにいちゃん』の居ない世界に戻るのか」 「…」 「決断、して頂戴」 「…」 「…」 「桐乃…」 少しの時間が経った。その間ずっと俯いていて動かない。 そして、その長い黒髪が目元を覆って表情が伺えなかったが、ようやく顔を上げ…。 「うん。今までありがとう」 何故かこの状況に似つかわしくない、そして最もするはずのない笑顔を、当の本人の黒髪の桐乃が見せた。 「…」 「桐乃…」 「ごめんね。貴女の手を沢山わずらわせちゃって」 「…」 す、っとした表情で黒髪の桐乃は『魂の座』に声を掛ける。 「ありがとう」 「…」 「それから…京介さん…お兄ちゃんやあたしにも…」 「…」 「桐乃…」 隣のライトブラウンの髪の桐乃は思いつめた顔でもう一人の自分、黒髪の桐乃の顔を見詰めていた。 「お兄ちゃん…今までありがとう。こんなあたしにいつもいつも構ってくれて。今までありがとう。あたしが辛くて耐え切れない時も、全力で助けてくれて」 「桐乃…」 「お兄ちゃんがあたしの事を俺の妹だ、って言ってくれた時は本当に嬉しかった…嬉しかったよ。こんなあたしでもここに居てもいいんだ、って。皆と一緒に居てもいいんだ、って」 「…」 「黒猫さんや沙織さんも…嬉しかったなぁ…。何も出来なくても、何も出来ないあたしでも、皆と一緒に居てもいいんだ、って」 「…」 そして改めて俺に向き直って。 「お兄ちゃん。最後に我がままを言ってもいいですか?」 「…ああ」 「黒猫さん達に…今までありがとう、って。それだけは伝えて欲しいの。だって、だって…あたし…」 ――彼女達の事…本当のお姉ちゃんみたいに…。 そう、言葉にならない声で、彼女はそう言った。 「お願い、出来ますか?」 「…」 「あと、お父さん達や、まなちゃん達。それから…この世界のあやせにも…」 「…」 「あたしの世界じゃあんな事になっちゃったけど…あたし、あやせにこっちの世界でとても助けてもらったから…」 「…」 「いつもいつも気にかけてくれてありがとう、って。あたしとの時間を大切にしてくれて、嬉しかったって」 「…」 「お願い、出来ますか?」 「…わかった。任せとけよ」 俺は涙で前が見えない。言葉が何も出ない。 目の前の桐乃は俺を見詰める。いつもと変わらない、あの事故以来変わらなかった柔和で人懐っこい、穏やかな顔。そして今は…。 「ありがとう、お兄ちゃん」 ただただ感謝に溢れた顔をしていた。去っていくこの世界に対する、別れざるを得ない俺達に対する、今までの目一杯の感謝。 彼女が俺達の住む、ひと時だけ一緒に過ごしたこの世界のことをどれだけ愛してくれてくれていたのか手に取るようにわかったから。 「それから…」 そして黒髪の桐乃は、もう一人の桐乃に向き直って。 「それから…『あたし』にも…」 「…」 桐乃は答えない。じっともう一人の自分の顔を切なそうな顔で見詰めていた。 「今まで長い間、ごめんね?辛かったでしょう?ずっとあの部屋の中に閉じ込められて、あたしは好きなだけ貴女の身体を使う事が出来て…」 「…」 「でも、でも、もう返すね。この身体だってやっぱり本当の持ち主じゃないと喜ばないと思うし…」 「…」 「あはは…何言ってるんだろあたし…。やっぱり瓜二つの自分が目の前に居るっていうのは変な感じだね?自分でも何言っていいのかよくわかんないや」 「…」 「今まであたしのわがままの為に我慢してくれて…ありがとう…」 「ッ!」 そう黒髪の桐乃が笑顔で言った途端、桐乃は耐え切れなくなったのか。 「…」 「あ、あの…痛いよ…?」 強く、強く、目の前の『自分』を桐乃は抱きしめていた。 「もう…無理しないで…」 「え?」 「あんたが…あんたがこの世界の兄貴や黒猫達にどれだけ感謝してるかも知ってる。どれだけ楽しかったのかも知ってる。でも…」 「…」 「本当の記憶を思い出したあんたが…楽しくて心地良かった世界と離れて元の世界に帰らなきゃいけないのに、そんな笑顔ばっかりなわけないじゃない!」 「…」 「もっと…泣いてよ…」 「…」 黒髪の妹は桐乃に抱きしめられたまま。 「あはは…」 少しだけ、困ったような笑顔を見せた。 「やっぱり『自分』には嘘つけないか…」 「あたしを誰だと思ってんのよ?自分の気持ちくらいわかるっつーの。なめんな、ばか…」 「えへへ…」 そしてその困ったような笑顔から、涙をひと筋。そしてまたひと筋と頬を伝わせていく。 「ひえっ…ふぇっ…ふえぇっ…」 「…」 その涙は滂沱のように流れていき…。 「怖い…怖いの…」 黒髪の桐乃は、溜め込んでいた感情を全て吐露した。 「帰っても…あたしには…あたしには何にもなくって…おにいちゃんももう居なくって…!」 「…」 「一体これからどうすればいいの…?あたしこれからどうやって生きていけば…?!」 「…」 「もう…もう…あの人のいない世界なんて…あたし…あたし耐えられないよ…!!」 「…」 「どうして…?どうしてあの時あたしも一緒に連れて行ってくれなかったの?どうしておにいちゃんの傍に最期も居させてくれなかったの?!」 「…」 「もう…無理だよ…限界だよ…。あの人が…おにいちゃんが居ない世界なんて…いっそ…いっそ…!!」 「それは違う!」 泣きじゃくる黒髪の桐乃を抱きしめたまま、そう、桐乃は叫んだ。 「あんたの、あんたの兄貴は最後に何て言ったの?!何て言って眠っていったの?!」 「…ぁ…」 「最後まで…自分が消える最後まで…あんたの幸せだけを願って消えていったんでしょ?!」 「…」 「確かにさ…」 「…」 「確かにあんたの兄貴はあたしの兄貴と違った。同一人物とは思えなかった。平凡で普通で頭も冴えないあたしの兄貴とは大違い」 「…」 「だけど…」 「…」 「だけど、決してスーパーマンなんかじゃないあんたの兄貴も…あんたの…妹のことだけは何よりも大切にしてくれるどうしようもないシスコンで…」 「…」 「そんな『彼』が最期まで願っていたのは…あんたのこれからの幸せで…」 「…」 「ごめん…あたしなんかがこんな事いえる立場にないってのはわかってる…。あんたはとても辛い思いをしてきた。あたしなんかとは比べ物になんないくらい…。あたしだって兄貴が、京介が同じように死んでしまったらと思うと…。きっと耐えられない…」 「…」 「でも…でも…」 「…」 「お願いだから…お願いだから生きて…。この世界は幸せばかりじゃない。ううん、悲しい事、辛い現実の方がたくさんある。何で自分が…っていう理不尽なことの方がたくさんある。だけど…だけど…」 「…」 「だけど生きなくちゃ。だってあたし達は生きてるんだから」 「…」 「それに…あんたにはあんたの帰りを待ってくれている人達がたくさんいる」 「…ぁ…」 「それに…それにもう…あんた一人だけの身体じゃ…ないんだから…」 「あか…ちゃん…」 ぐるりと自分のお腹を撫でさすった。 「あたしと…あの人の…」 「…」 「おにいちゃんとの…あかちゃん…」 ~~~ そうしてあたしは『あたし』に抱きしめられながら、様々な想いを胸の中に去来させた。 いつもあたしを置いていくことなくどこまでも連れて駆け巡った、幼い頃のおにいちゃん。 初めてのプロポーズ。そして、キス。 でも彼と離れざるを得なくなって…。 それからの平凡だった日々。精彩を欠いた中学生活、高校生活。そんなあたしにもやっと出来た大学生活での初めての友達、仲間。そして…。 幼い頃あたしを連れていつも駆け回っていたあの少年。その成長した姿。再会と繰り返した蜜月の日々。 そこに昔友達だったクラスメイトに告げられたあたしと彼が実の血の繋がった兄妹だという真実。 結果、あたし達はお互いが離れあうことを告げた。仲のよかった、ううん、仲の良すぎた兄妹からの互いの自立。それが…。 (もういない) 京介君は、おにいちゃんは…もうこの世には存在しない。 あたしは彼が死んだ日からその事実を認めたくなくて、認めがたくて…。どこかに自らの心を置き去りにして夢中で彼を求めた。 だけどいくら求めても彼に会えるはずがない。そんなこと、出来るわけがなかったんだ。だって彼はもう…死んでしまったのだから。 「…」 世界は残酷だ。神様は本当に残酷な人なのだ。 けれど…。 「…」 ただ…ただちょっとだけ優しくて…。 それがあたし達をいつもいつも迷わせる。 「…」 神様は一体何を考えてあたし達人間という種を生み出したのだろう?何故『恋をする』ということを人間にプログラムしたのだろう。何故兄妹間で愛し合うことを永遠の禁忌としたのだろう。そして何故『死』という別れを創ったのだろう? わからない。あたしにはわからない…。 案外…近親相姦を禁じたのは神様ではなく人間自身かもしれない。だとしたならば何故?生命倫理?古来より通念?家庭内での道義上の問題?優生学的な問題? ならば死は?何故人にこの世で謳歌することを許し、それを死という残酷な結末をもって終焉とさせるのだろうか? …近親相姦を禁じた理由がなんであれ、禁じた者が誰であれ、そして死を創った者が誰であれ、もはやあたし達にはどうすることも出来なかった。それほどまでにあたし達はちっぽけで無力で。そして相手は途方も無く大きくて。 何もかもわからない。あたしにはわからない。そして同時に確信する。この答えを得られる日が永遠に来ないということにも…。 でも…。 「…」 それでも生きていかなければならない。だってあたし達は…生きているのだから…。 例え兄妹での恋愛という禁忌を犯し、その罪の対価が死をもって償うものだとしても…あの日おにいちゃんを愛したその気持ちだけは…あの感情だけは…紛れも無い本物なのだから。その気持ちだけは誰にも否定できない、絶対の真実だ。 神様にだって覆せるもんか。 …。 「…ねえ」 「…なに?」 あたしは目の前に居る、もう一人のライトブラウンの髪の自分に声を掛ける。彼女はあたしを強く優しく抱きしめる力を緩めた。 「京介さんの事…お兄ちゃんのこと、よろしくね」 「…」 「桐乃…」 「やっぱり同じ『おにいちゃん』だから…。わかるんだ。この人、『妹』のことになると見境なくなるから…」 「…」 「…」 「あと、案外頼りないところもあるしね…」 「うん。知ってる」 「おい?!」 目の前のあたしの少し笑んだ顔。それに突っ込むお兄ちゃん。それが、それがあんまりにもいつもいつも繰り返してきた光景のように思えて…。それが何故か無償に懐かしくって…。 「『あたし』が居なくちゃやっぱり危なっかしいから。いつまでも…いつまでも傍にいてあげて…」 「…」 「うん、わかった!任せて!!」 そう言って目の前の『あたし』は八重歯をちょこんと出した自信満々の笑顔で頷いてくれた。 …よかった。こんな凄い『あたし』になら、何だって任せられる。 「じゃあ、そろそろ行かないと」 そういって、あたしは『桐乃』の腕の中から離れた。 「…二人とも今まで…ありがとう」 「…」 「…」 二人はあたしの顔を見詰めながら見送ってくれている。その目に涙をためて。 「あたし…忘れない。この世界のこと…。あたし…忘れない。この不思議な世界で皆と一緒にいた日々」 「…」 「…」 「あたし…忘れない。皆のあたしにくれた、優しさ」 「…」 「…」 「いつまでも…忘れない。『大好き』なこの世界のこと」 「…」 「…」 「忘れないから」 二人は。お兄ちゃんと『あたし』は涙だらけ。だけど、去り行くあたしのことを思って、目一杯の笑顔で見送ってくれている。 「じゃあ…お願い…」 「ええ…」 あたしは目の前のもう一人のあたし、『魂の座』に声を掛ける。 それと同時にあたしの身体が光の粒子となって天に昇っていく…。 最初から事の成り行きを静かに見守ってくれ、既にあたしの意を汲んでくれていたのか、彼女はそれに応じる。…もう時間は残されていない。自分の身体のことだからわかる。これ以上はあたしがもたない。そしてあたしの赤ちゃんももたない。 …これで本当にこの世界とお別れだ。 「桐乃!」 目の前の、涙で顔をぐしゃぐしゃにしたお兄ちゃんが大きな声で。 「俺も!俺も忘れないから!」 「…」 「俺も忘れないから!」 「…」 「俺には!大切な!大切なもう一人の妹がいたってこと!」 「…」 「この先十年二十年三十年経っても!例えこの記憶が薄れても!この想いが色褪せても!」 「…」 「絶対に!お前という妹がいた事を!俺は忘れないから!!」 ――『桐乃』 その姿が。 「いつまでも!忘れないから!!」 あたしのことを『忘れない』と言ってくれる、彼のそのあたしへの想いが。 かつての彼とその姿が被る。今でもその想いが途切れることのない、遠い遠い世界の住人になってしまったあの人と。大好きで大好きで今でも愛しているあの人と。 ――『桐乃、帰ろう』 あ…。 この目… ――『おまえはいつまでたっても俺の妹だよ』 この顔… ――『お前の幸せだけを考えていたよ』 この表情… …。 そっか…。 ようやくわかった…。あたしが何故この世界に来たのか。何故この世界での束の間の生活を許されたのか。 ――『今ここにある月の光が、世界の光が粒子となって、目を閉じると波になって色んな想いを光の粒と共に乗せていく…』 彼はここに居た。彼はここにも居たのだ。 彼の想いが、彼の生きた証が、光となって、粒子となって飛んでいく…。色んな世界を旅して色んな世界を構築して…。 彼は死んではいなかった。彼は本当の死を迎えてはいない。 確かに彼の生命は死をもってその終わりを迎えた。そして『魂の座』の言うとおり世界の中にあたし達が存在しているんじゃなくあたし達一人ひとりが世界を創っているのだとしたら…。『彼』の世界は本当に跡形もなく、もう既に終焉を迎えているはずだ。 けれど彼はまだ生きている。『ここにも』生きている。 だとしたら死は終わりだとしても消滅ではない。だって彼の生きた痕跡がこんな遠くにも残っているのだから。 ――『色んな世界の桐乃に、色んな世界の俺に。この世界の、俺達の生きた証を光となって乗せていく…』 所詮人は一人だと生きていけないのだ。人という生き物はとてもとても寂しがり屋で…。 だけど意地っ張りで強がりだから、一人で世界を創ってしまう。 ――『そうやってずっとつながっていくんだ。永遠に…』 けれど、やっぱり一人じゃ生きて行けなくて…。やっぱりとてもとても寂しくって…。だから誰かと繋がりたいって思う。誰かに話を聞いて欲しいって思う。誰かと何気ないことに笑い合って。傷つけ合って。けれどまた笑い合って…。 誰かの、皆の手が合わさってこそ、その人の人生は本当の輝きを見出す。 それは死という個の終焉を迎えても尚、その生きた証は光の粒子というパーツとなって、愛する人の世界を助ける為にその人と一緒に構築する。 不思議な不思議なとても不思議な、生命の連鎖。人と人との、想いの連鎖。 もしかしたら死という現象もちっぽけなあたし達人間から見た物の見方で…。死すらも生の一部で…。それは連綿と繋がる次の生という続きへの新たな出発なのかもしれない。 「ふふ…」 彼は本当に生きていた。光の粒子となってこの世界のお兄ちゃんとなって生きていた。物理的なレベルで本当に生きていたんだ。 だとしたら彼はまだ本当の死を迎えていない。 「本当に…最期の最期までどうしようもないシスコンなんだから…」 いつまでも泣いている妹が気になってしょうがないのだろう。おにいちゃんは。 例えその身がもう二度と触れ合うことの叶わない遠い遠い世界に旅立っても、泣いてばかりいる妹が心配で心配でたまらなかったのだろう。 だからこうして気づかせたかったのかもしれない。 俺はどこにいても元気だぞ、って。俺はいつまでもお前と一緒だよ、って。 生きることの希望を教えたかったのかもしれない。 …それがあたしがこの世界に来た、本当の意味。 ありがとう、おにいちゃん。最後の最後まで…。 …。 「さようなら。あたしのもう一人のおにいちゃん…」 最後のあたしの言葉は目の前の『彼ら』に届いてくれただろうか。 そうしてあたしの存在のすべては光の粒子となってその世界からいなくなった。
https://w.atwiki.jp/orenoimoutoga/pages/165.html
桐乃「…あいつがいなくなった。」 あやせ「えっ?」 桐乃「京す…兄貴が家を出ていったの。」イラッ あやせ「お兄さんが? どうして?」 桐乃「受験勉強に集中するため、ってお母さんが言ってた。」イラッイラッ あやせ(桐乃が朝から不機嫌なのはそういう事なんだ…) 桐乃「お父さんからも、一切連絡も接触もしてはいけないって何度も釘を刺された!」イラッイラッ あやせ「連絡も接触も…って」 桐乃「どこに引越したかすら教えてもらえないのが、むかつく!」バンバンッ あやせ(重症だー!!) 桐乃「携帯に連絡いれても着拒されて…何考えてんの、あいつはっ!!」ガンガンッ あやせ「だったら、メールなら何とかなるんじゃ?」 桐乃「メールしたら、『お前のためだ、すまない。』って返信されてそれっきり…」ショボーン あやせ「あれ、受験勉強なのに、桐乃のためって理由は、おかしくない?」 桐乃「そう、そうなの! 絶対に何か裏がある…!!」ギリィ あやせ「うーん、もしかして…」 桐乃「何!? あやせは、何か知ってるの!?」ガクガク あやせ「い、いや知ってる、と、いうよりは、とりあえず、揺らすの、止めよ!?」 桐乃「はっ!? そ、そうね…で、あやせはどう思う?」 あやせ「受験勉強、っていうは建前な気がする。わたしも調べてみるから、ね?」 - 放課後 - あやせ(何となく理由は分かるんだけど…はっきりさせておきたいなぁ…こーゆうときは…) プルルッ 麻奈美「はい、麻奈美です。どうしたの、あやせちゃん?」 あやせ「あ、お姉さん。お忙しいところすみません、実は折り入ってご相談したい事が…」 麻奈美「んー…もしかして、きょうちゃんの事かな?」 あやせ「…はい、その通りです…お姉さんなら、何かご存知ではないかと。」 麻奈美「うん、きょうちゃんのお母さんから事情は聞いてるよー。」 あやせ「その事情、教えていただく訳には…」 麻奈美「うーん、あやせちゃんならいいかなぁ…みんな、特に桐乃ちゃんには内緒だよ?」 あやせ「はい、桐乃に隠し事は後ろめたいですが、お姉さんの言う事でしたら、必ず内緒に。」 麻奈美「きょうちゃんのお母さんね、きょうちゃんと桐乃ちゃんの仲を疑ってるみたいなの。」 あやせ「(やっぱり…)そうでしたか…。でも、兄妹の仲がいいのは別に…?」 麻奈美「それがね、きょうちゃんが桐乃ちゃんに手を出したと思われてるみたいで?」 あやせ「なっ!?(あのシスコンの変態っ!!!)」メキィ 麻奈美「きょうちゃんのお母さんが心配して、事前に隔離したみたいなの。」 あやせ「そ、そういう事でしたか…色んな意味で安心しました。」ホッ 麻奈美「あやせちゃんも心配、なんだね。きょうちゃん最近もてもてだし~。」 あやせ「そそそ、そんな事はっ! わたしは、桐乃の事が心配でっ!」アセアセッ 麻奈美「んー、実はね? わたし、きょうちゃんの引越し先、知ってるよ。」 あやせ「えっ!?」 麻奈美「今日も、晩御飯を作りにいってあげる予定です。」 あやせ「きょ、『今日も』って!?」 麻奈美「合鍵、預かってるんだぁ。あ、きょうちゃんのお母さんからだけどね?」 あやせ「ご、ご両親も公認なんですかーっ!?」オロオロッ 麻奈美「あ、えっとね、餓死しないようによろしくって…」テレッテレッ あやせ「…その、お姉さんさえよければ、お付き合いさせていただいても、よろしいでしょうか…?」 麻奈美「んー、あやせちゃんなら…いいよ。一緒に行こうか?」 あやせ「はいっ! 是非、お願いしますっ!!」 あやせ(桐乃に内緒というのは心苦しいですが、事態が事態ですからね…) 麻奈美「あ、あやせちゃん~。こっちこっち~。」 あやせ「お姉さん、お待たせいたしましたっ。」 麻奈美「きょうちゃん、まだかなぁ。今日は赤城くんのところ寄るって言ってたし。」ピンポーン あやせ「いない、みたいですね、お兄さん?」 麻奈美「じゃあ先にご飯だけ作っておこうかな。」ガチャリ あやせ「ほんとに合鍵、お持ちなんですね…」 麻奈美「嘘はつかないよー。あやせちゃんも手伝ってね。きょうちゃんも喜ぶよー。」 あやせ「そんなっ…わたし、お兄さんに…酷い事、してますし…」 麻奈美「そんなの、きょうちゃんは気にしないよ、きっと。」 あやせ「そうですかねっ…そう、ですよねっ。」 京介(よくぞ死守してくれた赤城。いつぞやのDVDと交換条件だったが仕方ないっ!) 京介「あれっ、何故部屋に灯りが…また麻奈美のやつかなぁ…ありがたいけど。」ガチャ 麻奈美「おかえりなさい、きょうちゃん。ご飯、作って待ってたよー。」 京介「ただいま。麻奈美、そんな毎日こなくても俺は餓死したりしないぞ…って、ん?」 あやせ「お、おかえりなさい。お兄さん…///」 京介「ただいま、って! どうして、あやせがここに! 俺はまだ何もしていないぞっ!!」 あやせ「お兄さん、どうしてそんなに怯えるんですかっ…///」 麻奈美「きょうちゃん、今日のご飯はあやせちゃんも手伝ってくれたんだよー。」 あやせ「///」 麻奈美「ほら、早く食べよ? 後『まだ』って何か気になるから聞かせてね?」ニコニコ 京介「…事情はまあ、大体分かった。桐乃が荒れるのも無理はない。」 あやせ「それで、ここの事は桐乃には当面秘密に?」 京介「そうしないと、必ず桐乃がきて、趣味ぶっちゃけて好き放題するから、頼む。」 麻奈美「知ってるのはわたしとあやせちゃんだけだからね。それで『まだ』って何?」ニコニコ 京介「うっ、それは、だなぁ…麻奈美さん、最近キツいっすね?」 あやせ「秘密の件は分かりました。それで、『まだ』って何ですか、お兄さん?」ニコニコ 京介「今日のご飯はとてもおいしかったです。二人ともありがとうな。」 麻奈美「うん、ありがとう。だから『まだ』って何かな?」ニコニコ あやせ「お兄さんのためにがんばったんだから当然です。ところで『まだ』とは?」ニコニコ 京介「ごめんさない、言いますから、二人共、その怖い笑顔は止めてくださいっ!!」ドゲザァ!! あやせ「この、紙袋の中身、ですか?」 京介「はい、親友の赤城に預かっていただいていたモノにございます。」 麻奈美「でも、中身は別に…? ファッション雑誌とノートパソコン?」 京介「はい、何とか半ば強制的に家を追い出される前に避難させたものです。」 あやせ「あ、このファッション雑誌…お兄さんたら、もう…///」 麻奈美「あやせちゃん、知ってるの?」 あやせ「はい、わたしと桐乃がモデルしてるファッション雑誌なんですよ。」 麻奈美「へー、どれどれ。わぁ、ほんとだ。二人共綺麗だねー。憧れちゃうなー。」 京介「麻奈美さんは季節による部分的な増減が激し…ごふっ!!」 麻奈美「もー、きょうちゃんたら、あやせちゃんの前でそんな事言ったらだめー。」 京介「…だからって手加減なしの拳はねぇよ、拳は…」 あやせ「あ、新しいのもありますね。最近は桐乃、モデル活動休止してるのに…」 麻奈美「あれ、よく見たら、雑誌は全部、付箋が付いてるよ? どれどれ…」 京介「や、やめてくださ…ごふっ…麻奈美さん、マジ痛ェ!!」 あやせ「…気のせいか、わたしが載ってるページばかりのような…///」 京介「それは多分、あやせのファンだという赤城が…」 麻奈美「きょうちゃん…『随分』と使い込まれた付箋だね?」ゴゴゴゴゴ… 京介「それは多分、赤城が勝手に…いやすいませんでした麻奈美さん。もう拳は止めてください。」 あやせ「あの、お兄さん…一つお願いがあるんですけど、いいですか?」 京介「はい、言い訳すると命に関わりそうなので、何でも聞かせていただきます。」 あやせ「すいません、その無理言って…///」 京介「合鍵一つで秘密が守られるなら、命に比べれば安いもんだよ。」 あやせ「それに、家まで送ってもらって…お兄さん、受験勉強もあるのに…///」 京介「夜、暗い中、女の子一人で帰す方が危ないだろう。麻奈美も送っていったし。」 あやせ「あのですね、お兄さん…だったら、もうちょっとだけお願いが…///」 ギュッ あやせ「危ないから、手、繋いでてください…///」 京介「あ、あやせさん? 急に何、どうしたの!?」 ギュゥッ あやせ「(もう、鈍感ですね…お兄さんは…)///」 京介「じゃあ、玄関で転んだりするなよ?」 あやせ「家の前まで送ってもらったのに、そんな事しませんっ///」 京介「じゃあ、またな?」 あやせ「はい、また…です…///」 あやせ(お兄さんと、手、繋いじゃったっ…♪)ゴロゴロ あやせ(~~~~~~~~~~~~~~~~♪)ゴロゴロゴロゴロ あやせ母「あやせ? 何、ぬいぐるみ抱えてベッドで悶えてるの…?」 あやせ「はっ…!? いや、これはその、仲直りできたのが嬉しくて、つい…///」 あやせ母「嬉しいのは、分かったから、早くお風呂入って…って聞いてないわね…」 あやせ(~~~~~~~~~~~~~~~~♪)ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ - 翌日 - あやせ「おはよー、桐乃…って今日は元気だね?」 桐乃「んふふーっ、分かるぅ? 今日のあたしは絶好調よっ!」ニコニコ あやせ「昨日はあんなに調子(というか機嫌)悪そうだったのに?」 桐乃「ようやく、あいつから連絡があった。確かにこれなら親にバレにくい。」ニコニコ あやせ「お兄さんと、話できたんだ?」 桐乃「オンライン対戦ゲームのチャットでね、『待たせてすまなかったな』、って♪」ニヤニヤ あやせ(ああ、それでノートパソコンだったんだ。) 桐乃「でも、どこに引越ししたかまでは約束もあるから教えられないって…」ショボーン あやせ(お兄さんも、桐乃の事、気にしてくれてたみたいですし…報告しておこうかな?) 桐乃「後、気のせいか、あいつの周りに女の匂いがする…!!」キッ あやせ「…! 桐乃、どうしてそう思うの…?」 桐乃「今まで、ずっとデフォのキャラ使ってたのに、急にエディタキャラ使ってきた!」プンスカ あやせ「桐乃、それがどうして、お兄さんの話に?」 桐乃「あいつの趣味で、黒髪ロングに眼鏡まで装備して、ちょー気合入ってたしっ!!」ギリィ あやせ(黒髪ロングに…眼鏡ね、ふむふむ…早速、眼鏡は調達しましょうか。) 桐乃「しかも、ちょーやり込んでて、コテンパンにされたしっ!! 今度は負けないっ!」バンバン あやせ(何だか怒ってるようだけど、嬉しそうだし…これはこれで…) 桐乃「む、眼鏡が気になって見逃しそうだったけど、あやせに似てた気がする…かな?」ボソボソ あやせ(…! それは聞き捨てならないよ、桐乃…///) あやせ「…という訳で、桐乃はそれなりに満足してました。嫉妬もすごかったですけど。」 京介「事情はまあ分かったが、何故、今日もあやせが俺の部屋にいる?」 あやせ「お姉さんに聞いたら、今日は来れない、という事でしたので…///」 京介「いや、それは答えになってないだろう!?」 あやせ「眼鏡がお好きらしいので、伊達ですけど、かけてみました…///」 京介「確かに眼鏡は好きだが、あやせだと、反則すぎるくらい似合うなっ、畜生っ!」パシャ あやせ「いきなり何をっ!!」 京介「貴重な、可愛い眼鏡あやせを秘蔵のコレクションとするため、素早く写メに記録した。」 あやせ「っ! 可愛、い、なんて…そんな急に…じゃあ部屋にいるときは常備しますね///」 京介「…あの、あやせさん? いつもなら、こう冷めた目で見下してる所ですよ?」 あやせ「あっ、えっと、こほん。今日はお兄さんに聞きたい事があって来ました。」 京介「条件反射で正座して土下座できる体勢になってる、この俺の習性が恨めしいよ。」 あやせ「返答如何によっては、色々と不都合なイベントが発生しますので、そのおつもりで。」 京介「それはもう脅迫ですよね!?」 あやせ「お兄さんがゲームで使われてたキャラのモデルって誰、ですか?」 京介「はい?」 あやせ「ですから、誰がモデルですか、と聞いてるんです。もしかして、泥棒猫ですか?」ジトーッ 京介「泥棒猫って、その元後輩の、黒ね…いや五更の事かっ!? ち、違うぞ!?」 あやせ「そうですか。で、誰なんですか?」ジトーッ 京介「本人を目の前にして言うのも何だが、あやせさまです、すいませんでしたぁっ!!」ドゲザァ 京介(ああ、死んだね、もう死んだね。覚悟完了。すまん、桐乃…ってあれ?) あやせ「そ、そうですか。わたしが、モデル、なんですね…///」 京介「あ、あれ?」 あやせ「じゃあ、今日のわたしなんか、もうばっちりですよね…///」 京介「はい、文句つけたら神様に怒られると思います。」キリッ あやせ「今日のご飯は、お姉さんにお聞きしていた、お兄さんの好物にしますね…///」タタタッ 京介「あの、あやせさん?」 あやせ「~~~~~~~~~~~~~~~~♪」 京介(どこかで見た事ある雰囲気だけど、触れないでおこう…) あやせ「~~~~~~~~~~~~~~~~♪」 京介「ごちそうさまでした。」 あやせ「こちらこそ、お粗末様でした。」 京介「すげーうまかった。」 あやせ「その、喜んでいただけたなら充分です…///」テレテレッ 京介「こんなに美人で、可愛くて、料理もできるなら、すぐにでもお嫁にいけそーだな。」 あやせ「…!」ツツツッ 京介「あの、あやせさん!? さっきから、すごく、そのですね…っ!」 あやせ「その、何ですか…? ///」ピトッ 京介「桐乃に見られたら、何を言われるかと思うと…でも、今のあやせはすごく、可愛い。」 あやせ「~~~~~~~~~~~~~~~~♪」ギューッ 京介「ほら、あんまり遅くなると親御さんが心配するから、今日は帰ろう、な?」 あやせ「も、もうちょっとだけですからっ♪」ギューッ 京介「もうちょっとだけ、って言いながらもう一時間は抱きつかれてるぞっ、俺はっ!」 あやせ「し、仕方ありませんね…じゃあ『今日は』これで満足して、帰ります…///」 京介「やっと、帰る気になってくれたか…一応、これでも受験生なんで…」 あやせ「じゃあ、その、無理にとは言いませんが…一つ欲しいものが…///」 京介「た、高いモノは勘弁してください、あやせさまっ!」 あやせ「その、お兄さんのお古のワイシャツを…///」 京介「えっ?」 あやせ「後、今日は、腕組ませてください、ね…///」 京介「どうしてこーなった…」 あやせ「お姉さんとは、もっとすごい事、毎日してるって聞きましたよ?」 京介「その情報源はどこだ…?」 あやせ「えーと、先日、お姉さんの家にお泊りさせていただきまして。」 京介「田村さん家の方々かぁっ!! 信じるなよ、事実を誇張した捏造だからなっ!!」 あやせ「でも、お姉さんと同じ部屋でお泊り、したんですよね?///」ツネッ 京介「そんな可愛い顔して照れても、痛ェもんは痛ェ!!」 あやせ「じゃあ、こうします♪///」ギュー 京介「両腕を絡ませてきて、どうするつもりだっ!!」 あやせ「わたしがドキドキした分、お兄さんにもドキドキしてもらいます♪」ギュー あやせ(とりあえず、お兄さんのお宝アイテムをゲットしてしまった訳ですが。) あやせ(そういえば、この大きなクマさんのぬいぐるみにはまだ名前をつけてませんでしたね…) あやせ(…せっかくだし、モノは試しという事で、よいしょ、よいしょ…) あやせ(できましたっ、ワイシャツのサイズが少々大きいですが、お兄さんのですし♪) あやせ「今日から、このクマさんは『きょうすけ』さんにしましょう☆ミ」ギューッ あやせ「…!!」ギューッ、クンカクンカ! ←ありったけの知識を総動員して妄想中。 あやせ(~~~~~~~~~~~~~~~~♪)ゴロンゴロンゴロンゴロン あやせ「はっ! わたしは今、何を…///」 あやせ「…きょ、きょうすけ、さん♪ ~~~~~♪///」バンバンバンバン あやせ(少女マンガの知識しかないわたしには、もうこれが限界~♪)ゴロンゴロンゴロンゴロン - 翌日 - あやせ「き、桐乃に…相談したい事がっ!」 桐乃「どーしたの、あやせ…そんなものすごい形相でっ!」 あやせ「桐乃の趣味の領分だから、こんなの桐乃にしか頼めないのっ!」ゴニョゴニョ 桐乃「あたしの趣味とな! それなら放課後とかの方が…教室ではさすがに…」ゴニョゴニョ あやせ「その、かなり切実なので、じっくりとご相談させていただきたいのです。」ゴニョゴニョ 桐乃「帰りにどこか、という訳にもいかないし、ウチにくる?」ゴニョゴニョ あやせ「是非、お願いいたします。」ゴニョゴニョ 桐乃「では、そーゆー事で。わたしもちょうど、あやせに相談したい事が。内密に。」ゴニョゴニョ あやせ「では、その件も含めてというのはどうかな?」ゴニョゴニョ - 放課後、高坂家 桐乃の部屋 - あやせ「実はですね、わたしもオンライン対戦ゲームに興味を持ちまして。」モジモジ 桐乃「ついに、あやせも分かってくれたのねっ!!」ガシッ あやせ「桐乃っ、落ち着いて! その、食べず嫌いは良くない、と。」ワタワタ 桐乃「その考えだけでも充分よ、あやせ。分かった、まずはやってみよー。」ソワソワ あやせ「やってみよー。」ワクワクドキドキ 桐乃「ところでわたしの相談なんだけどね…あやせ、地味子…麻奈美と仲いいよね?」 あやせ(…! まさか気がついた!?) 桐乃「お母さんが地味子に電話してるの、聞いちゃって。その、バカ兄貴の世話焼いてる、とか…」シュン… あやせ(わたしの事までは、まだバレていないようだけど…?)ドキドキ 桐乃「もしかして、地味子はバカ兄貴の住んでる所、知ってるのかなぁって。」グスッ あやせ「あのね、それならお姉さんに聞いてみたよ。学校で様子見て、連絡してるんだって。」アセッアセッ 桐乃「そう、なの…ありがと、あやせ。少しだけ安心した。」 あやせ(事前にお姉さん達と打ち合わせしてなければ、今のは避けられなかったーっ!!)アセッアセッ 桐乃「あやせ、また新しい情報があったら教えてねっ!」 あやせ「大切な桐乃のためだから、ね。できるだけ、がんばってみる。」 桐乃「こーゆー時、黒猫が転校しなければ…貴重な情報源がっ!」 あやせ「黒猫って、お兄さんの彼女を詐称した泥棒猫の事?」ムッ 桐乃「詐称した、とゆーか、一時期、確かにバカ兄貴の彼女だった訳で…それに友達だし…」モジモジ あやせ(桐乃の友達をあんまり悪くいうのもなんですし、この話題はここまでにして…) 『いえにかえるんだな。おまえにも、おにぃちゃんがいるのだろう』 桐乃「…その、あやせ、さん? すごくお上手ですね?」ワナワナッ あやせ「や、これは本当に初めてだし、そのまさか、こんなにおもしろいとは…」 桐乃「ノーハンデ同キャラ対決で、もうわたしの腕に追いついてるなんて!?」 あやせ「こう、動かすだけなら、そんなにも難しくないというか…ね?」 桐乃「あやせ、センスあるよ。すっごい悔しいけど。」フルフルッ あやせ「でも、これ、そのエッチなゲームなんだよね…?///」 桐乃「ゲームとしてはどっちの目的でも遊べるけど、わたしは可愛い絵が好きだから☆ミ」 あやせ「でも、こうやって人と遊ぶ分には、それ程…」 桐乃「とりあえず、明日にでもコレ買ってきて、あやせもオンラインデビューしようか?」ニヤッ あやせ「オンラインデビュー?」 桐乃「そうそう。そうすれば、わざわざウチに来なくても一緒に遊べるし、ね、ね?」 あやせ(ん、つまり表に裏に、お兄さんに群がる女の人を監視できますね?)キュピーン 桐乃「それに、あやせの腕なら、すぐに黒猫とだってやれるよ、だから、ねっ?」 あやせ(泥棒猫も正面から叩き潰せるチャンスですか…ふふっ、うふふふふ…)ニヤリ あやせ「分かったわ、桐乃。桐乃の言う通りにする…けど、これって18禁、だよね?」 桐乃「大丈夫、手配ならもう済ませたわ。」 あやせ「早いし! しかもさすが、ネット通販…明日には届くって…」 桐乃「エロゲーデビューする親友への、わたしからのプレゼントよ。感動した?」キリッ あやせ(嬉しいけど、そこには感動できないよ、桐乃…) - 翌日の放課後、高坂家 桐乃の部屋 - 桐乃「ふっふっふ。さあ、あやせ、パソコンはもってきた?」 あやせ「ノートパソコンだけど、大丈夫だよね?」 桐乃「バカ兄貴も同じようなの使ってるから、それは大丈夫。さあインスコしちゃおうねー。」ムフフ あやせ「うーん、結構時間かかるんだね。それにエッチなのはゲームで躊躇してるのもあるし。」 桐乃「ここまできて文句言わなーい。それに、別に見たくなければスキップできるから。」 あやせ「確かに絵は可愛いよね…」 桐乃「そうそう、リプレイも見れるんだ。あいつとの対戦リプレイ見る?」 あやせ「桐乃とお兄さんの? それは見てみたいかも(主に私がモデルのキャラが)。」ワクワク 桐乃「あいつのキャラ、眼鏡なかったら、あやせそっくり。性癖でキャラ作るとかキモっ!」イラッ あやせ(…なるほど、お兄さんが土下座したのも分かる。わたしに似てるなぁ…でも、ね?) あやせ「気のせいとは思えない程、露出度高くない? 後、桐乃の方も、桐乃そっくり…」 桐乃「あー、えっとね、こーゆーの作るのが得意な知り合いにいてね?」 あやせ(ん、この露出度の高いコスチューム、見覚えがあるような、ないような…?) あやせ「もしかして、わたしに似てるのってEXタナトスだっけ…メルル、だったかな?」 桐乃「ほほう、あやせも『星くず☆うぃっちメルル』をご存知かね、ん?」キュピーン あやせ(桐乃の前で、コスプレする寸前まで覚悟を決めてた、とは言えない…!)タジタジ あやせ「き、桐乃、何か変な事、考えてない?」ジリジリッ 桐乃「あやせも『星くず☆うぃっちメルル』を一気見して、一緒に感動しよっ!」キリッ あやせ(結局、その日はゲーム云々よりも桐乃のメルル講座&鑑賞会に費やされたのでした…) 京介「…で、何が悲しくて、受験生の俺が、あやせとエロゲーの協力プレイをせにゃならんのだ?」 あやせ「桐乃から『週末までにキャンペーンモードをクリア』するよう宿題が、と説明を…」 京介「確かに協力プレイでレベル上げしないと面倒だしなぁ…」 あやせ「一人で黙々やってもクリアできないから、頼んでるんじゃないですかぁ…///」 京介「まあ、わざわざ麻奈美と二人で晩飯作りに来てくれてる分くらいは手伝うよ。」 あやせ「ちゃんとクリアできたら、きちんと別のお礼を差し上げますから、ね?」 京介「参考までに、どんな人参か教えてもらえると、やる気の意味でありがたい。」 あやせ「わたしと桐乃の、雑誌に載った写真の元データ、と言ったら?」 京介「全身全霊を尽くして、あやせさまの課題攻略につきあう所存だ。」 麻奈美「きょうちゃん、優しいねー。」ニコニコ あやせ(わざとパソコンはお兄さんの部屋に置いてきましたし、明日も口実は充分ですね♪) あやせ(それに、毎回、腕組んで、ちゃんと家まで送ってくれるし♪) あやせ(セクハラもしてこないし、もう『きょうすけ』さんって呼びたい♪) あやせ(クマさんじゃなくて、お兄さんを『きょうすけ』さんって呼びたい♪) あやせ「…!!」ギューッ、クンカクンカ! ←桐乃から渡された薄い本の知識を総動員して妄想中。 あやせ(~~~~~~~~~~~~~~~~♪)ゴロンゴロンゴロンゴロン あやせ「…きょうすけ、さん♪ ~~~~~♪///」バンバンバンバン あやせ(桐乃に押し付け、もとい、借りた薄い本…同人誌がいけないのよー!) あやせ(タナトスだっけ、が…エッチな事、されてるのを厳選してる桐乃ぉ…絶対ワザとだった!) あやせ「…きょ、京介さん…~♪///」ギューッ、クンカクンカ! スハースハー! - 翌日の放課後 - 桐乃「あやせ、最近、悩み事ない? 時々、思い出したように真っ赤になってるけど?」ジー あやせ「それは、桐乃が…っ! 桐乃がわたしに、あの、薄い本なんて渡すからっ!」ゴニョゴニョ 桐乃「気に入ってもらえたようね。うへへ、ようこそ、あやせ。こちら側の世界へ。」ゴニョゴニョ、ニヤニヤ あやせ「ううっ。もう少ししたら『宿題』終わりそうだから、対戦、できるからね?」ゴニョゴニョ 桐乃「その時は、前みたいに、手加減しないからね(…手加減してないけど)?」ゴニョゴニョ あやせ「ところで桐乃。風の噂で聞いたけど…お兄さん、シスコン勝負に負けたとか?」ゴニョゴニョ 桐乃「…! どこから、そんな最高機密情報をっ!」ゴニョゴニョ あやせ「桐乃が、お兄さんに、ほっぺにちゅーしてあげたら勝ってたとか?」ゴニョゴニョ 桐乃「あ、あ、あやせっ! 一体、どこまで知ってるの…!!」アセアセッ あやせ(桐乃が、どこまでお兄さん、いえ京介さんに迫ったかは分かりましたっ!) あやせ(噂の泥棒猫も、京介さんに、ほっぺにちゅーまでした不届き者っ!) あやせ(お泊りっこしてたお姉さんには敵わないまでも、桐乃と泥棒猫には負けられないっ!) あやせ「…これでっ! ふぅ、やっと『宿題』終わりましたぁ…」グッタリ 京介「これで、桐乃もあやせも喜んでくれるなら一石二鳥だ。がんばったな、あやせ。」 あやせ「じゃあ、その…がんばったご褒美、もらっちゃいますね。ちゅっ☆ミ」 京介「な、何をっ! 今の不意打ちだろっ! 俺の初めてをだなっ!」ワタワタ あやせ「わたしも…初めて、でしたから、良かった。京介さん…///」モジモジ 京介「あやせ、お願いがあるんだが…不意打ちじゃなくて、もう一回、してくれ。」 あやせ「はい、お兄さん、じゃなくて…京介さん…ちゅっ☆ミ」ギューッ 麻奈実「ごめんねぇ、スーパー混んでて…あれ、どうしたの二人共?」ガチャッ 京介「いや、やっと桐乃の『宿題』をあやせが終わらせて一安心してたところだ。」アセアセッ あやせ「はい…京介さんの、おかげです。あの、これお約束のデータです。」モジモジ 麻奈実「むふふぅ、『京介さん』ですかぁ。ふぅん。」ニヤニヤ 京介「あの、麻奈実さん? 何ですか、その妬ましそうな羨ましそうな顔は?」 麻奈実「わたしも、きょうちゃんの事、『京介さん』か『あなた』って呼ぼうかなって。」 京介「なんで!? 急にそんな話に飛躍しちゃう訳!? ねぇ!?」 麻奈実「だって、あやせちゃん、うっとりしてて、すごい幸せそうだもん…」ジーッ 京介「ちょっとまって、ねぇ!? おーい、あやせー!? 戻ってこーい!!」 あやせ「うふふ…京介さん…きょーすけさぁん…すぅっ…はぁっ…」ギューッ、ウットリ、クンカクンカ あやせ「お、お恥ずかしいところをお見せいたしまして、申し訳ありません…」モジモジ 京介「いや、とりあえず現実に戻ってきてくれて助かった。」 麻奈実「はい、『あなた』☆ミ ご飯ですよ♪」 京介「麻奈実…もう少し歳を考えて、言葉は使った方が、ごふぅっ…っ!!」ビクンビクン 麻奈実「だめだよー、きょうちゃん。わたしだってぴちぴちなんですからねー!?」ニコニコプンスカ あやせ「ああっ、京介さんっ!? 今のはさすがのわたしも…」タジタジ 京介「麻奈実さん、お願いだから、その怖い笑顔はやめてー!?」 麻奈実「あやせちゃんも、今日はきょうちゃんの味方かなー?」ニコニコニコニコ あやせ「味方もなにも、わたしの素敵なお兄さんとお姉さんなんですからー!?」 あやせ(目の前の惨劇をわたしは見なかった事にした。) あやせ「あの、大丈夫ですか? 京介、さん…///」テレテレッ 京介「麻奈実にぽかぽかされてるのは慣れてるが、マウントでごっすごっす殴られるのは初めてだ。」 あやせ「やっぱり、お姉さんも、京介さんの事、大好きなんですよ…」ギューッ 京介「今日は初体験がたくさんあって大変だった。特に、あやせのは効いた。」 あやせ「あの、それはどういう…(ちゅっ)んっ…」ポワーン、ウットリ 京介「その、なんだ。年下にされてばっかりというのは気に入らん///」 あやせ「あ、あの! 不意打ちは卑怯だと思うんです、京介さぁん…」ポワーン 京介「じゃ、やり直し、する?」 あやせ「も、もうすぐ家ですから、その、是非、今、お願いします…っ!」テレテレッ 京介「じゃあ、あやせ。少しだけ、背伸びして…ちゅっ☆ミ」ギューッ あやせ『あややん:色々あって、やっとオンラインにデビューです。』 桐乃『きりりん:まってたよーぉwww早速、対戦しよっか、あややーん☆ミ』 あやせ『あややん:えっと、桐乃…だよね?』 桐乃『きりりん:もっちろん、きりりんがあたし、桐乃って携帯で伝えたじゃん?』 あやせ『あややん:ところでその、ハンドルネーム?で呼び合った方がいいのかな?』 桐乃『きりりん:そっちの方がお互い気にならないからねー。』 あやせ『あややん:では、きりりん。早速、お手合わせをお願いね?』 桐乃『きりりん:うっへへっ、しっかりカモらせてもらうよーwwwあややーんwww』 あやせ(京介さんと、二人でがんばった成果、桐乃に全力でぶつけますっ!!!) 桐乃『きりりん:あたしの輝かしい勝率のために、敗北の味を思い知れっ、あややんっ!!!』 『いえにかえるんだな。おまえにも、おにぃちゃんがいるのだろう』 桐乃『きりりん:ねぇ…あややん? どこでそんなに強くなったの、ねぇ…?』 あやせ『あややん:それは黙秘を行使させて…これまで色々とあったのよ…』 桐乃『きりりん:でも、一勝もできないなんて…しかも、後一押しで負けるのが悔しいっ!』 あやせ『あややん:でも、きりりんだって、本気だったから悔しいんでしょ?』 桐乃『きりりん:そう、そうなのよっ! 悔しい…けど、友達と本気で遊べるのがすっごく楽しい!』 あやせ『あややん:きりりんが楽しいんだったら、必死に宿題こなした甲斐があったわ。』 桐乃『きりりん:んー、何だろうなー、あややんの攻め方、誰かに似てる気がする。』 桐乃『きりりん:黒猫でもないし、沙織とも違うし…うーん?』 あやせ『あややん:ほら、今日はもう遅いし、わたし寝るねっ! また明日っ!』アセアセッ あやせ(ふぅ、危ないところでした。練習相手が京介さん、でしたからね。) あやせ(とにかく、今日の事を思い出すと…顔が真っ赤になる…キスしたしっ!)テレテレッ あやせ「よし、このモヤモヤを吹き飛ばすためにも、いつもの日課を…っ!」 あやせ「…きょ、京介さん…~♪///」ギューッ、クンカクンカ! スハースハー! チュッチュッ! - 同時刻 高坂家 京介の部屋 - 桐乃「京介ぇ…どこいったのよぉ…寂しい時くらい傍にいてよぉ…」グスッグスッ 桐乃「まだ、このベッド…京介の匂いがするぅ…///」クンカクンカ! 桐乃「あやせも、次は負けないかんねっ!」クンカクンカ! 桐乃「明日は休みだし、今日はこのまま、京介のベッドで寝ようかな…///」クンカクンカ 桐乃(京介分、補充ぅ…)スヤスヤ - 翌日 - 京介「親父に模試の結果を見せに来ただけで、何故俺はこんなのを見なければならんのだ!?」 桐乃「うへへ…みやびちゃん、きりのおにぃちゃんのとこおいでぇ…」ムニャムニャスヤスヤ 京介(おねぇちゃん、じゃなくて、おにぃちゃん、かよ!?) 京介(しかも何故、俺の部屋で、桐乃が怪しい寝言を、幸せそうに言ってる状況が分からん!!) 京介(親父への報告は済んだし、何も見なかった事にして、さっさと逃げよう、そうしよう!) 桐乃「ん、きょーすけぇ…さみしーよぉ…」グスッ 京介「…あーもう! 仕方ねぇーなぁ! 起きるまでだからなっ!」 京介(とはいえ、昨日あやせと色々あったせいで、ニヤニヤして、ほとんど寝れてないしなー)ウトウト 京介(麻奈実にやられた所も痛ェし…ちょっとだけ付き合ってやるか…)ウトウト 桐乃「う、うーん…何かいい夢見たような気がする…うへへ…」ボケー 京介(ん、桐乃、起きたのか?)ウトウト 桐乃「よぉしっ、少し充電できた気がす…るっ、て、京介!?」 京介(お前のエネルギー源は妹モノのエロゲーだろ…)ウトウト 桐乃「なんで、ここに京介が…しかも寝てるっぽいし…チャンス?」 京介(チャンスってなんだよ…)ウトウト 桐乃「京介分、充電開始ぃ…///」ギュッ、クンカクンカ、スハースハー! 京介「桐乃っ、おまっ、何をやって! 目ェ覚めたじゃな…もうちょっとだけだぞ…」ナデナデ 桐乃「チッ、そのまま寝てればいいのにぃ…じゃあ、フルチャージしたいなぁ…」グスッ 京介「すまんが元気の源であるエロゲーなら一人でやってくれ。」ナデナデ 桐乃「もう、空気読めないヤツっ…おはよう、京介。ちゅっ。///」 京介「黒猫といい、お前といい、どうしてそういう不意打ちしてきやがるんだ…」ナデナデ 桐乃「エロ猫はほっぺだったんでしょ、同じとこはヤだから、あたしはおでこっ…ちゅっ。///」 京介「言いたい事は分かったから、今はお袋がドアを開けない事を祈れ。」ナデナデ 桐乃「それってさぁ…もっと、すごい事してもいいって事?」ニヤニヤ 京介「お前のすごい事は、俺の想像の域にないから、困…んんっ!!」 桐乃(ちゅーっ。)←唇から急速充電開始!! … ←急速充電中。 桐乃「ぷはっ…京介分、充電完了ぉ…後、遅くなったけど、おかえり、京介…///」 京介「おおお、おう、ただいま。桐乃。」ナデナデ 桐乃「へ、部屋で着替えてくるから、それまで帰んないでよねっ!!///」テレテレッ 京介「お袋が晩飯くらい食ってけ、って言ってたから、それは安心しろ。」 桐乃「じゃあ、ソッコーで着替えてくるっ!!///」ダダダッ 京介「リビングで待ってるからなー。」 桐乃(えへへへぇ…京介と、キス、しちゃったょぉっ!!!///)デレデレ 桐乃(ああ、今のあたし、ちょーキモい!! ニヤニヤが止まらないっ!!///)デレデレ 桐乃(『ただいま、桐乃。』キリッ(乙女補正有)、だってさーっ!!///)クネクネデレデレ 桐乃(しまったなぁ、写メでも撮っておくべきだった…)ガックシ 桐乃(後で、も一回、言ってもらって録音するか動画にしておこ。///)ウヘヘヘ 京介「そうだ。今日は自宅だって、麻奈実とあやせにメールだけしとこ。」ポチポチ、ピローン あやせ(ううっ、ほとんど眠れませんでした…///) あやせ(今までは、クマさんのきょうすけさんで落ち着いたというのに…///)クンカクンカ あやせ(わたしから仕掛けておきながら、あの生の感触は卑怯ですっ!///) あやせ(まだ、デートもしてないのに、キス、しちゃったし…) あやせ(! そうだ、お休みなんだし、デート…にお誘いしてっ!) あやせ(…待って待って。キスはもうしちゃったし、後はその…///)ピローン あやせ(あ! 京介さんからのメールっ! …そっか、今日は自宅かぁ…)ショボーン あやせ(自宅…桐乃に薄い本を返す名目で自宅訪問! これはいい手です!)バタバタッ 桐乃「黒猫には教えておこっかな、京介が帰ってきてるって。」ポチポチ、ピローン 黒猫(やっと出番…主役は最後に登場するものだわ。待ってなさい、京介。)ルンルン♪ あやせ「深呼吸、深呼吸…よしっ!」ピンポーン 桐乃「はーい、黒猫、早かったじゃ…って、あやせ?」 あやせ「ゴメンね、桐乃。いきなりで。その、借りてた本、返しに…///」 桐乃「あ、そーゆー事なら。せっかくだし上がって上がって。後ろのエロ猫も。」 黒猫「…お邪魔します。」 桐乃「二人共、あたしの部屋でいいかな? 今、バカ兄貴、自分の部屋で寝てるから。」 黒猫「…そう、それはいい事を聞いたわ。」スタスタ、ガチャ、バタン 桐乃「あんのエロ猫ぉっ!!」 あやせ「この泥棒猫っ!!」ドタドタドタドタッ! 黒猫「…うふふ、今日こそ『契り』を…京介…」ドキドキ 桐乃「エロ猫ぉっ!! ナチュラルに添い寝しようとすんなぁっ!!」 あやせ(どうしてこんな事に…京介さんの部屋で、お互いを牽制しあう状況に…) 麻奈実「あれ、みんなも、きょうちゃんに会いに来たんだ、もてもてだねぇ。」 あやせ「お姉さん! どうしてここに!?」 麻奈実「きょうちゃんのお母さんにね、お呼ばれしたのー。はい、ウチの和菓子。」 あやせ「と、とりあえず、桐乃…借りてた本を…///」 桐乃「んふっ♪ その様子だとお楽しみいただけたようですなぁ、あやせさま♪」ニヤニヤ 黒猫「…桐乃、あなた、普通の人に何を押し付けたの?」 桐乃「ん? メルルのタナトス陵辱本。ハードなやつ。ほら、あやせ、似てるっしょ?」キリッ 麻奈実「りょーじょく、って入浴の事だっけ?」 あやせ「お姉さん、この話はここまででっ!!!」アワアワッ 桐乃「しっかし、よくこの状況で寝てられるわね、このバカ兄貴は。」イラッ 黒猫「ここは運命の人である私が、目覚めのキスを…」スック あやせ「ま、待ちなさい、この泥棒猫っ!!」 麻奈実「みんな、きょうちゃんの事、大好きなんだねぇ。」ニコニコ 「「「///」」」 桐乃「な、何よ、みんなして、その反応は…あやせ、まで…? ま た か!」ムカァッ 黒猫「仕方ないわね、ここは京介を賭けて勝負しましょうか、正々堂々と。」 麻奈実「勝負はいいけど、きょうちゃんを景品にしちゃだめだよー?」 あやせ「そうですよ、きょ…お兄さんはモノじゃないんですから!」 黒猫「…勝負する事はいいのね。じゃあ勝者の特典はどうするの?」 桐乃「じゃあ、兄貴の引越し先を教えてもらう、というのは?」ウヘヘ 黒猫「勝者の名前付きで愛の言葉を囁いてもらって録音する、のはどうかしら?」ドキドキ 麻奈実「きょうちゃんと一日デート、お泊り付きってどうかなー?」ニコニコ 「「「その勝負乗った!!!!!」」」 あやせ「…こほん、落ち着きましょう。全部やってもらえばいいじゃないですか。」テレテレッ 黒猫「異論はないわ。むしろ素晴らしい提案よ。」 桐乃「い、いいじゃない。その代わり、敗者は手出し無用、アリバイ工作にも協力する事。」 麻奈実「でも、げぇむだと黒猫さんが圧勝だよねぇ。」 あやせ「だったら、トランプとか、どうでしょう? シンプルにババ抜きとか。」 黒猫「この私が、そんな単純なゲームで引けを取るとでも? 受けましょう。」 京介「ふぁぁっ…なんだこの状況は。誰か、分かりやすく説明してくれ。」ボケー 桐乃「ようやく起きたわね、バカ兄貴。あんた、今日の景品よ。」フフンッ 京介「ゴメン、桐乃。何を言ってるのか全く分からない。」ボケー あやせ「これから、わたし達四人で、ババ抜き一本勝負をします。」モジモジ 黒猫「勝者には、京介の引越し先を知る権利が与えられるわ。」モジモジ 京介「はい?」 桐乃「後、勝者の名前付きで、愛の言葉を囁いて、録音するのよ…///」テレテレッ 京介「そんなにお前は俺の黒歴史を増やしたいのか!」 麻奈実「勝者には、『きょうちゃんと一日デート、お泊り付き』が贈呈されるんだよー。」ニコニコ 京介「誰が何言ったか知らんが、最後のは絶対に麻奈実が言っただろー!?」 京介(だいたいババァ抜きなら真っ先に麻奈実が脱落するだ…)ゾクゾクッ!!! 麻奈実「…きょうちゃん…今のは『本気』で、怒ってもいいかな!?」ニコニコ、メキィ 京介「まだ何も言ってないけど、何だか申し訳ございませんでしたー!!」ドゲザァッ!! 麻奈実「きょうちゃん、『何』が言いたかったのかな!?」ゴゴゴゴゴ 京介「あ、あの、麻奈実さん!? ごめんなさい、許してぇー!?」 - しばらく残虐なシーンが続くので、和やかな映像でもご想像ください - 桐乃(黒猫はプレッシャーに弱い。あやせは普段から表情をよく見てる。となれば…) 黒猫(桐乃は分かりやすいからいいとして、後の二人は強敵ね…) あやせ(桐乃は敵ではないわ。泥棒猫も心理戦には弱いらしい。となると…) 麻奈実「さあ、きょうちゃんも、大人しくなったし- 始めましょうか。」ニコッ 桐乃(席は時計回りにあたし、黒猫、地味子、あやせ。妥当なところだけど…)スッ 黒猫(桐乃から引いて、ベルフェゴールに手札を渡す…やっかいな位置だわ。)スッ、ポイッ 麻奈実(黒猫さんは素直ないいコだけど、あやせちゃんは強敵ね。色々な意味で。)スッ、ポイッ あやせ(…最悪の位置ですよ、ここ。お姉さん、絶対に本気だし…)スッ、ポイッ 桐乃(くっ、あやせ、もしかしてあたしの手が見えてるの!?)スッ、ワナワナ… 黒猫(まずは手札を減らさないと。ジョーカーなんて後からでも分かるわ。)スッ、ポイッ 麻奈実(序盤は気にせず引いていきましょうねー。)スッ、ポイッ あやせ(わたしが問題とするのはお姉さんだけで、よさそうですね。)スッ、ポイッ 桐乃(…!! あ、あやせぇ…ちょっとくらい協力してよぉ…)スッ、フルフルッ… 「「「桐乃、オワタwww」」」 桐乃(あたしが不甲斐無いばかりに、あやせの手札が後一枚に…!)スッ、ポイッ 黒猫(おかしいわね、誰もジョーカーを持ってる気配がない…)スッ 麻奈実「んー、そろそろわたし、『9』が欲しいなぁ。」ニコニコ 黒猫(…!)ビクンッ 麻奈実「あ、これかなー? ありがとー。わたしも後二枚だよー。」スッ、ポイッ あやせ(間違いない! ジョーカーは最初からお姉さんが持ってたんだ!) 麻奈実「はい、あやせちゃんが引く番だよー。」ニコニコ あやせ「くっ、なんてプレッシャー…これが年の功なの…」タジタジ 麻奈実「あやせちゃん? 心の声が聞こえてるよー?」ゴゴゴゴゴ あやせ(ひぃっ!? わたしとした事が…強敵をラスボスにしてしまったー!?)アワアワッ 麻奈実「はい、あやせちゃん? 引いて?」ゴゴゴゴゴ あやせ(どっち!? どっちがいいの!? ババ抜きで命の危機なんて初めてだよー!) あやせ「こっち!? …いや、こっちかな!?」オロオロ 黒猫「これがベルフェゴールの真の姿…なんて恐ろしい!!」ナムナム 桐乃「あやせ、何かごめん…お見舞いにはちゃんといくから。」ナムナム あやせ(もう何もかも終わった事にされてるしー! 誰か助けてー!?)オロオロオロオロ あやせ「もう覚悟を決めて…こっちに…!?」チラッ あやせ(京介さんが首を振ってる…お姉さんの手札が見えてるんだ…! 信じます!)ゴクッ あやせ「えい、こちらにしますっ! …ふぅ、揃いました…わたしの、勝ちです。」ポイッ、ホッ 麻奈実「うー、残念。わたしは二番かなぁ…」ショボーン 桐乃「もう地味子とか、言いません。麻奈実お姉さん。最下位として土下座でお許しを…」ペコペコ 黒猫「はい、麻奈実お姉さん。もうベルフェゴールとか言いません。許してください。」ペコペコ 京介(唯我独尊の二人が麻奈実に土下座するのも、何かシュールだな…) 麻奈実「もぅ、二人共、その辺りで、ね? ところで、あやせちゃん?」ジロリ あやせ「は、はいっ!? なんでしょう、お姉さん!?」ビクビクッ 麻奈実「最後、ちょっとだけ、目線が泳いでたよね? あれは何かなー?」ニコニコ あやせ「ぐっ、それは、そのぉ恐怖、じゃなくて、そのですねぇ…///」 麻奈実「あやせちゃんは悪くないよ。ね、きょーぉちゃーん!?」ニコニコ、ギロッ 京介「あ、あの、麻奈実さ…もう、何も聞いてくれそうにないですよね、今!?」 - 残虐なシーンですので、桐乃と黒猫とあやせのムフフなシーンでも妄想してください - 京介「いいか、俺が身を以って示したが、麻奈実だけは怒らせたらダメだぞ…」 「「「はい、麻奈実お姉さんには決して逆らいません。」」」ガクブル 麻奈実「もー、こんな事するのは、きょうちゃんだけだから、ね?」ニコニコ 京介「その笑顔は確かに本物だけど、誤解して怯えてるのは、俺じゃないからなっ!」 麻奈実「そんな事ないよねー?」ニッコリ 「「「はい、麻奈実お姉さんの仰る通りです。」」」ガクブル 麻奈実「勝ちたかったんだけど、それが残念…はい、あやせちゃん、景品どうぞー。」 あやせ「あ…ええと、その、お兄さん。不束者ですが、よろしくお願いします…///」 京介「どうしてそうなるっ!?」 あやせ「その、じゃあ、お兄さんと皆さんに、お願いがあります…///」 <さるさんしてました。ご支援に感謝です。> あやせ「お兄さんの住んでる場所はいいので、わたしにもちゃんと『名前』で呼ばせてください…///」モジモジ 桐乃「…どうなのよ、京介。」ムカッ 黒猫「…どうなの、京介。」ムスッ 京介「いやまあ、それくらいなら(って桐乃と黒猫の機嫌が滅茶苦茶悪いじゃねーか…)。」 あやせ「だったら皆さんの前でも、『京介さん』、って呼ばせてくださいね…///」テレテレッ あやせ「後ですね、みんなにも『参加賞』で、『愛の言葉』の録音を贈呈してください…///」 京介「俺の黒歴史が1ページじゃなくて4ページ増えるんですね。分かります。」 あやせ「後、デートなんですけど…急ですが、明日でもいいですか?」ジーッ 京介「それは構わないんだが、俺、完全に景品になってますよね?」 あやせ「京介さんには、わたしとのデートが『参加賞』、です。ダメ、ですか…///」ジーッ、モジモジ 京介「桐乃と黒猫を黙らせるためとはいえ、黒歴史が増えた事には変わりない…」シクシク あやせ「みんな喜んでたし…明日のデートの邪魔はしないって約束させましたし…///」 京介「それにしても、やりすぎじゃないか? 俺の部屋に鍵つけたのは?」 あやせ「桐乃はとにかく、泥棒猫はナチュラルに京介さんの部屋に入っていきました。」ジロッ あやせ「それに、桐乃のご両親も、京介さんの部屋に鍵つけるのに賛成してくれました。」 京介「あやせが『夜な夜な桐乃が俺の部屋でいかがわしい事に耽ってる、かも』とか言うからだろ。」 あやせ「桐乃がすごく慌ててましたから、想像でも捏造ではなく、客観的事実だと思います。」 京介「まあその騒動のドサクサに紛れて、こうやって、あやせを家まで送ってる訳だし。」 あやせ「でも、もう家…着いちゃいますよ、京介さん…さよならとおやすみのキス…///」テレテレッ 京介「じゃ、また明日。実はもう今から、すごく楽しみにしてる。」チュッ - その夜 - 桐乃「あやせの巧妙な策略によって、京介の部屋に入れなくなったのは痛い…」ショボボボーン 桐乃「しかし、咄嗟に京介のパンツだけは確保しておいたっ、あたし偉いっ!」クンカクンカ! 桐乃「京介もたまには帰ってくるっていうし、それまでは『愛の囁き』とこれで!」クンカクンカ! 黒猫「ふふふ…『愛の囁き』…私が『高坂瑠璃』に生まれ変わる日も遠くないわね…」 黒猫「…!!」ギューッ、ゴロゴロゴロゴロッ! ←都合のいい未来予想図を激しく妄想中。 珠希「ねえさま、どうかしたんですかー?」 日向「る、ルリ姉…たまちゃんは、今こっちにきちゃだめー。とっても危ないからねー。」ホロリッ 麻奈実「きょーぉちゃーん♪ 『愛の囁き』、これ、すごいよぉ♪」ゴロゴロゴロゴロ 麻奈実「これからは毎晩、これ聞いて『きょうちゃん(枕)』とで、快眠間違いなしだよー♪」 - 翌日 - あやせ「ぉ…ください。もぉ、お寝坊さんです、京介さんは…///」クンカクンカ! スーハー! チュッ 京介「うわっ! …なんだ、あやせか…一瞬、また昨日の悪い夢かと…」 あやせ「せっかく、おはようのキスだったのに…朝御飯もできてますよっ。」プンプン 京介「いや、あやせだと思ったら、安心した、というか朝から幸せになった。」 あやせ「そうですか、それは…よかったです。わたしも幸せですよ…///」テレテレッ 京介「それに、あやせの服、すっごく似合ってる。あやせらしくて、可愛い。」 あやせ「わたしも、その、初めてのデートですから、張り切りすぎて。」 京介「それに、あんな起こし方だったら、毎日でもお願いしたいくらいだ。」 あやせ「はい、では毎日でも。でも、『悪い夢』の話を聞いてから、ですよ?」ニコニコ あやせ「なるほど、桐乃がそんな『充電』を…わたしも何かで『京介さん分』を毎日補充しないと。」ムムム 京介「毎日て…ところで、あいつらが後をつけてきたりとか、そういう心配は?」 あやせ「桐乃と泥棒猫は、昨日の『愛の囁き』と引き換えに田村屋で労働してます。」 京介「…あいつらは、もう二度と麻奈実に逆らおうなどと思わないだろう。」ナムナム あやせ「そんな訳ですので、心置きなくデートを楽しみましょう♪」ルンルン 京介「ついでなんだが、外に出た途端、何故、急にいつもと違う眼鏡と帽子なんだ?」 あやせ「その、クラスメイトにみつかったりすると恥ずかしいので…」ギュッ 京介「すごい納得した。ちみみに今、俺がその状況に直面しているところだ。」 あやせ「え?」 赤城「…高坂? お前、田村さんはどーした。シスコンの分際で、いつもお前ばかり…」 京介「まあ落ち着け、赤城。俺は別にシスコンではない。妹が可愛いとは思うがな。」 赤城「シスコンではないだと、高坂…語るに落ちたな! その携帯のプリクラは何だ!?」 京介「ぐぅ!? この最悪の状況で、最も痛いところ的確に突いてきやがった!?」 あやせ「京介さん、プリクラって、桐乃との…あれ、ですか!?」ツネッツネッ 京介「痛ぃ!? あやせさん、今のは全く手加減してないですよねぇ!?」 赤城「ん、今、すごく気になる名前を、高坂が呼んだ気がするのだが…?」 京介「気のせいだ。ところで赤城、ものは相談だが…例のDVD、譲ってもいい。」 赤城「例の、とは先日、ようやく俺の手元に渡された、例のヤツか?」 京介「その通りだ。今見た事を忘れるなら、全ての所有権を赤城、お前に譲る。」 赤城「…そうか。高坂、分かった。俺は何も見なかった。行くがいい、親友よ。」 京介「ふぅ、開始早々危ないところだったが、単純なヤツで助か…って痛ェ!?」 あやせ「京介さん、携帯。見せてください…ね?///」ギューッ、ツネッツネッ 京介「あやせさん、可愛くおねだりしても痛ェもんは痛ぇ! 見せるからやめてー!?」 あやせ「むっ、確かに例のプリクラですね…羨ましい(ボソッ)…待受画面はっと…」パカッ 京介「そこまでチェックしないでー!?」 あやせ「桐乃とわたしの水着グラビアの…これは…嬉しい、です…///」 京介「あの、あやせ…どうしたの、顔真っ赤にして?」 あやせ「な、何でもありませんっ。さ、行きましょう、京介さんっ♪」ルンルンッ 京介(あやせ『も』写ってたグラビアだったので、命拾いしたようだな…) 京介「じゃあ、改めて、デートを楽しむとするか。」 京介「とりあえず、街中まで出てきたものの…まあ定番は映画、かな?」 京介(…と、同じ事を言って桐乃に怒られたのを急に思い出した…) あやせ「何か、おもしろそうなもの、上映してますか?」 京介「最近、話題の恋愛映画やってるはずだ。朝一番なら混んでなさそうだし。」 あやせ「恋愛映画って…視たいですけど、いつもは友達同士だと入りにくくて…」 京介「あやせ。今日はデートなんだろ? 視たいなら、行こう。」 あやせ「はいっ、でも…京介さんは、わたしと、視ても大丈夫なんですか?」ジーッ 京介「そんな上目遣いしなくても大丈夫だ。俺はあやせとだから、視たいんだ。」 あやせ「わたしと、一緒だから、ですか?」キョトン 京介「だって、デートって『彼女』とするもんだろ? それって、あやせじゃないか。」 あやせ(~~~~~~~~~~~~~~~~♪) 京介「あやせ、随分ご機嫌だな? そんなにおもしろかったのか?」 あやせ「はいっ、でも…京介さんと、一緒に視たから、嬉しかったんですっ♪」ギュッ、ピトッ 京介「お、おい、あやせっ! そんなにぴったりされると、だなぁ。」 あやせ「そんなにぴったりされると、何ですか?」ピトーッ、ジーッ 京介「すごく、ドキドキする。いつも、家に送ってる時とは全然違う意味で…///」ドキドキ あやせ「今までは、そんなにドキドキしてくれなかった、と?」 京介「ドキドキするっていうより、ちゃんと家までお送りしないとって使命感がだな。」 あやせ「じゃあ、今はどうしてドキドキしてくれるんですか?///」ドキドキ 京介「そんなの、可愛い彼女に腕組まれて、寄り添われてるからに、決まってるだろ。」 京介「軽くランチだけ取ろうか? 調べたんだけど、ちょっと裏にいい場所がある。」 あやせ「ファーストフードとか、ファミレスとかでも京介さんと一緒なら…///」デレデレ 京介「でも、あやせ。出発する時に知り合いに見つかると恥ずかしいって言ってたろ?」 あやせ「はい、それは…そうですけど…///」モジモジ 京介「表通りだと、どこも目立つ。それに、あやせとはゆっくり食事したいから。」 あやせ「出発早々、お知り合いに会ったばかりですしね…」 京介「俺も、つい最近、見つけたばかりなんだけど、値段以上の価値はある。」 あやせ「あ、ここですか? ケーキ屋さんの裏に併設されてる喫茶店?」 京介「表がケーキ屋で女の子ばっかりだけど、裏の喫茶店は静かな雰囲気だよ。」カランカランッ あやせ「…何だか、すごく、いい雰囲気ですね。表とは全然違います。」 京介「じゃあ、ここでいい? 席は見ての通り空いてるし。」 あやせ「せっかくの、京介さんのおすすめですから、わたしはいいですよ。」 京介「でも、あやせがどんなの好きか先に聞いておけば良かった。」 あやせ「突然のご褒美デート、ですから…でも、この雰囲気は好きです。」 … あやせ「…すごく、おいしかったです。デザートなんか、もう特に。」 京介「表のケーキ屋さんの職人がね、趣味でやってるお店らしくてさ。」 あやせ「あ、それで…でも、何だか凝ってた割にはお安かったような。」 京介「趣味でお金取るつもりはないんだってさ。ゆっくり過ごしてくれって。」 あやせ「じゃあ、もうちょっとゆっくりお話してたかったかも、です。」 京介「また、今度来ればいいさ。あやせが来たいなら何度でも付き合うから。」 あやせ「はいっ、その時は、京介さんの話、たくさん聞きたいですっ♪」 京介「俺の話なんて、平々凡々としたようなものしかないぞ?」 あやせ「わたしが聞くのは、桐乃とお姉さんから聞く話ばかりですから…」 京介「分かった。そんなの、あやせが聞きたい時にいつでも話してやる。約束だ。」 あやせ「はいっ、約束、です♪」ニコニコ 京介「あやせ、すまん。今の笑顔は、最高に可愛かった。」 あやせ「な、何を、ととと、突然に言うんですか!? 京介さんっ!」ギューッ、ピトッ 京介「そうやって腕組んできて、顔伏せて真っ赤になってるあやせも、可愛い。」 あやせ(くぅーっ…幸せすぎて、顔が上げられませんー!!///)ギューッ 京介「ところで、あやせ。さっきの笑顔、もう一回見せてくれる自信ある?」 あやせ「さっきのって、最高に可愛いって言ってくれたのですか。一応、モデルですし…」 京介「じゃあ、俺の恥ずかしいけど大切な想い出のために、後でもう一度だけ、頼む。」 あやせ「恥ずかしい想い出って…何なんですか?」ジーッ 京介「その、あやせが羨ましそうに見てたプリクラをだな…」 あやせ「ラブラブツーショットプリクラですか!? それは魅力的なお誘いですね…///」テレテレッ 京介「モデルの、じゃなくて、さっき女の子のあやせが見せてくれた、自然な笑顔がいい。」 あやせ(なんて高難易度で、とても断れない要求を、してくるんですかー///)ポワワーン 京介「えっと、あやせさん? その、恥ずかしいなら別に無理しなくても。」 あやせ「いえっ! 是非っ! 今すぐに行きましょうっ!!!」ズルズル あやせ(勢いでカップル御用達のプリクラに突入したのはいいけれど…) あやせ「何だか、閉鎖空間なのに、とてもドキドキしますね…///」ドキドキ 京介「俺は過去の痛ましい記憶しかない。でも、あやせとなら、ちょっと違うかな?」 あやせ「その、違うのって、お聞きしてもいいですか?」ドキドキ 京介「やっぱり、大切な女の子と一緒だと、優しい気持ちになれる。」 あやせ「…!!」キューンッ 京介「だから、恥ずかしいっていうのはなくて…あやせさん?」 あやせ「じゃあ、早速、撮りましょうっ…///」チャリンチャリン あやせ(フレームはもちろんハートで…文字もわたしが書いちゃいましょう///) あやせ(後は、そう! 自然な笑顔ですっ///) あやせ「あの、京介さん…その、撮影ボタンを押す前にお願いしたい事が///」 京介「ここまで来たら引き返せないし、あやせのお願いなら。」 あやせ「さっきの、『大切な女の子』って、ボタン押す前に言っていただけませんか///」 京介「それくらいだったら。でも、最高の笑顔で頼む。」 あやせ「じゃあ、その、お願いします///」 京介「あやせは俺の、大切な女の子だよ。」 あやせ「…!!」キューンッ、ギュッ、ポチッ、パシャッ 京介「…はい、あやせ。半分コ。」 あやせ「あ、ごめんなさいっ! 今、眼鏡、かけてませんでした…」ションボリ 京介「いや、あやせの、こんな素敵な笑顔なんて見たことないよ。これでいい。」 あやせ(これは…京介さんもすごく優しい顔だし、わたしも…いつもと違う笑顔だ…///) 京介「えーっと、あやせが不満なら、撮り直す?」 あやせ「いえっ、とんでもない、です…これ、わたしの宝物にします。」ギュッ 京介「デートだから、何かプレゼントの一つでもしてやれればいいんだけど…」 あやせ「もう、もらいましたよ。それも、たくさんです。」 京介「俺、あやせに何かしてやれたかな?」 あやせ「それはもう。プリクラもそうですけど、わたしを『大切な女の子』って。」 京介「でも、それって『彼女』なんだから、当たり前じゃないか。」 あやせ「…彼女って!!」キューンッ 京介「あやせは、俺にとって、もう特別で、大切な女の子なんだ。」 あやせ「いつも歩いてる街なのに、今日は全然違って見えます。」ギューッ 京介「俺もそんな気分。隣にあやせがいてくれるだけで、今は幸せだ。」 あやせ「最初は恥ずかしかったんですけど、もう嬉しさの方がすごくて…///」 京介「あやせの初デートで、そんなに喜んでもらえたなら俺も満足だ。」 あやせ「…もしかして京介さん、何か忘れていませんか?」 京介「いや、そろそろいい時間だし、ちゃんとあやせは家まで送るぞ?」 あやせ「忘れてる、というか勝手に決まった事だから覚えてないですね、きっと。」 京介「まてまて。黒歴史のような愛の囁きも、こんな楽しいデートもしたし。」 あやせ「…デートは、京介さんのお泊り付き、までが条件ですよ…///」モジモジ 京介「…ちょっとまって。ねぇ、それは絶対条件なんですか!?」 あやせ「残念ながら、証拠写真を撮って、悔しがらせるまでがお勤めです。」 京介「だいたい、お泊りって麻奈実の家じゃあるまいし、どーするの…」 あやせ「そういえば、まだ、ちゃんと、その件はお話してませんでしたね。」 京介「いや、お話も何も、そもそもお泊りなんて、麻奈実さんの冗談だと。」 あやせ「実は、今週末、両親が不在なんです。今、家はわたし一人でして。」 京介「あやせの家、そーゆーのは心配しそうなのになぁ。」 あやせ「そこで、友達と一緒に留守番をするという条件で、妥協してもらいました。」 京介「桐乃辺りが、適任じゃないのか? ゲームも一緒にできるしさ。」 あやせ「でも、タイミングよく、素敵な『彼氏』ができましたので…///」モジモジ あやせ「だから、デートも今日がって…京介さん、ダメ、ですか?」ギュッ、ジーッ 京介(あやせに、あんな上目遣いで見つめられて、断れるハズがないっ…!!) 京介「ごちそうさまでした。いつも食事に関しては申し訳なく思っております。」 あやせ「わたしは、もう、京介さんのお嫁さんのつもりですから…///」ゴニョゴニョ あやせ「あの、お風呂も沸いてますから、お先にどうぞ。」 京介「いや、そんな替えの服とかパジャマもないし…」 あやせ「お姉さんにお願いして、『きょうちゃんセット』をお借りしてきてます。」 京介「なんて準備のいいというか、計画的というか。」 あやせ「アリバイ工作に対する全面協力も勝利者特典でしたので。」 京介「では、お断りしても堂々巡りしそうなので、ありがたく。」 あやせ(ふふふ、これはまだ第一のトラップ…///)ポワワーン 京介「あー、なんか広い湯船も久し振りだなぁ…」ノビノビー あやせ「…京介、さん…お背中流しに、きました…///」ガラッ 京介「まってまって! それは聞いてない! 不意打ちすぎるっ!」 あやせ「だ、大丈夫ですよ…わたしは、京介さんの彼女、ですから…///」チャプン、ピトッ 京介「年頃の女の子が、そんな格好で、けしからんですよっ!」アセッアセッ あやせ「お風呂にタオルとかつけるのも無作法だと思います…///」ギューッ あやせ「それにお姉さんとは、一緒にお風呂入ってたんですよね?」ジーッ 京介「麻奈実ぃっ! あやせに何を吹き込んだんだぁっ!」 あやせ「その、わたしとは、嫌でしたか?」ジーッ 京介「…嫌どころか嬉しいから、理性さんが負けそうで困ってる…」 あやせ「だったら、理性さんはどうやったら、負けてくれますか?」モジモジ 京介「あやせ、今日は、その、どうしてそんなに積極的なの…焦ってるというか。」 あやせ「だって、わたしはいつも、京介さんに酷い事してばかりで…」 あやせ「桐乃やお姉さんみたいに傍にずっといてあげられないし…」 あやせ「泥棒猫みたいに、学校の後輩でもなくて…その…///」ブクブク 京介「気持ちはよく分かった。あやせ、焦らなくていいから。」 あやせ「はい、今はそれで充分です…ところでその、お腹に何か…」カァッ 京介「申し訳ありません。理性さんが負けそうな、ギリギリのところなんです。」 あやせ(…どーして、今、私は桐乃に借りた薄い本を思い出しちゃうかなっ!!) あやせ「京介さんの言葉と、お風呂で、のぼせちゃいそう、です…」ポワワーン あやせ(危うくわたしが陥落しそうでしたが、まだ第二のトラップが…///)ポワワーン あやせ「京介さん、今日はわたしの部屋で寝てくださいね?」ジーッ 京介「だから、今のあやせに、そんな目で見られたら、断れないんだってばっ!!」 あやせ「では、早速。明日も早いですし、ね。」パタパタ、ガチャン 京介「あの、あやせ、さん? いつものあやせさんの部屋、ですよね?」 あやせ「はい。あ、でも一つだけ違いますよ。ほら、これです。」 京介「クマのぬいぐるみ…見覚えのあるワイシャツですね?」 あやせ「このコは『きょうすけさん』という名前で、毎日、一緒に寝ています。」 京介「それも、麻奈実から聞いた話じゃないでしょうね、あやせさん?」 あやせ「お姉さんのはただの抱き枕ですが、わたしのは京介さんの代わりです。」キリッ 京介「すいません、何を言ってるのか、さっぱり分からないんですが。」 あやせ「目の前に、本物の京介さんがいるのに、代わりが必要でしょうか?」 京介「つまり、同じベッドであやせと一緒に寝ろ、とそういう訳ですね。」 あやせ「最近の京介さんは、モノ分かりが早くて助かります///」テレテレッ 京介「まてっ! さっきのお風呂で、あやせの言う通りにしたじゃないか!」 あやせ「はい、身体の隅々まで洗いっこしましたね///」 京介「理性さんが負けなかったら危ういところだったんだぞっ!」 あやせ「ですから、遠慮なく、お隣へどうぞ。」ポンポン 京介「うっ、仕方ない…じゃ、お邪魔します…」モゾモゾ あやせ(ふふふ…今度こそ、その理性さんに負けてもらいますよ…///)モゾモゾ あやせ「京介さん~♪///」ギューッ、クンカクンカ! スハースハー! 京介「あやせ、お前は毎晩クマのぬいぐるみとこんな事してるのか…」 あやせ「桐乃に借りた薄い本のおかげで、わたしも勉強しましたから///」ギューッ 京介「桐乃の薄い本って、ほぼ妹モノかメルルのハードなエロ同人誌じゃねぇかっ!」 あやせ「桐乃厳選、タナトス陵辱本ですから、安心してください…///」 京介(桐乃、お前はとんでもない化け物を生み出しているぞ…!!) あやせ「ところで京介さん、気づきませんか…///」 京介「あやせがクマのぬいぐるみに欲情してるのは、よく分かった。」 あやせ「わたし、今…裸、なんですよ…///」ギューッ、ガチャリ 京介「この慣れた金属の感触は、手錠ですよねー…って片手だけ?」 あやせ「もう一方は、わたしの手の方に…ほら、お揃いですよ?」チラッ 京介「もう絶対逃がすつもりなんて、ないですよね、あやせさん?」 あやせ「そうではなくて、怖いんです…だから、安心、させてください。」 京介「あやせは、俺の大切な女の子だ。大好きだよ。」 あやせ「はい、わたしも京介さんの事が、大好き、です。」 あやせ「だから、わたしからのプレゼント、受け取って、ください…///」モゾモゾ 京介「あやせっ! それはダメっ! 落ち着けっ! 服脱がさないでー!?」 あやせ「もう、抱きついても、キスしても、京介さん分が足りないんです…」 あやせ「それに大好きって言ってくれましたし、気持ちは問題ないですよね?」 あやせ「だから、後は…わたしを、京介さんのモノに、して欲しいんです…」クチュリ… 京介「マウントを取られて初めて気がついたんだが…準備万端ですね。」 あやせ「京介さんも、お風呂からずっと、かちかち、ですよ…」ヌギヌギ、ボロン 京介「だから、理性さんとずっと俺は戦い続けてるんだって…んんっ!」チュッーッ あやせ「んんっ…こーゆー激しいキスもいいけど、やっぱり京介さんが欲しい…」 あやせ「京介さんと一つになりたいから、理性さんは、いい加減、負けてください。」クチュ あやせ「んっ…先っぽだけ、入りましたから、後は、わたしが腰を落としていけば…」クチュリ 京介「あやせに、そんな可愛い顔で言われると、とても抵抗できない…」 あやせ「初めて、だから、そのゆっくり…やりますね…」ズッズッ 京介「俺も初めてだけど、あやせのためにも、最後の砦だけは、何としても守りたい…」 あやせ「じゃあ京介さんに魔法の言葉を。わたし、今日、『安全日』ですからっ。んんっ!」ズズッ あやせ「んんんんっ!!!!」ビクンビクンッ 京介「おい、あやせ! そんな急にしたら…その、痛いんじゃないのか!?」 あやせ「んっ…ちゃんと京介さんと一つになれましたし、今のは、その…」 あやせ「すごくお腹が熱くなって…とっても気持ちよかったんです…///」 京介「通りで…俺も、実はすごく危ないところだった…」 あやせ「だから、京介さんも気持ちよくなって、ください。」 あやせ「その、男の人は…出さないと溜まっちゃうんですよ、ね?」 あやせ「ですから、今日はいっぱい、わたしの中に、出してください…///」ズズッ、クネクネッ 京介「もう降参するからっ! 理性さん、さようなら…うっ…ふぅっ。」ビクンビクンッ あやせ「あっ…京介さんので、お腹の中あったかぁい…クセになりそう…」ポワワーン 京介「…で、結局一晩中繋がったままっていうのはどうなんだ?」 あやせ「京介さんだって、二回目からはすごかったじゃないですかぁ…///」 京介「何回したか、数えてられないくらい、あやせが可愛いのが悪い。」 あやせ「うぅっ/// あ、そうだ。お泊りの証拠を収めないと♪」パシャ 京介「ちょっとまて。今の写メを、何に使うつもりだ?」 あやせ「ちゃんとお泊りの証拠を、敗者達に示す約束なんですよ♪」 京介「あやせ…裸で幸せそうに抱き合ってる写メは、さすがにマズいぞ?」 あやせ「…はっ! 桐乃もですが、お姉さんが見たらと思うと…」ガクブル 京介「構図は一緒でも構わないから、せめて服だけは着て、取り直してくれ!」 あやせ「お互い、命の危険がありますからね…では、改めて。」パシャ - 朝、桐乃の教室 - 桐乃「…で、この一つのベッドで幸せそうにしてる二人が証拠、だと…」フルフルッ あやせ「それは約束だから…桐乃には、これを特別に。」ピローン 桐乃「おおっ!? 何、この幸せそうなあいつの寝顔は!? お宝じゃん!?」ウヘヘ あやせ「入手ルートは極秘なので、そのつもりで、ね?」 あやせ(今朝、わたしのベッドで仮眠してた京介さんを撮ったモノとは言えない…) 桐乃「証拠の方は黒猫にも送ってやるとして、お宝の方は秘蔵コレクションだわ♪」ウヘヘ - 同時刻、京介の教室 - 麻奈実「きょーぉちゃーん、とりあえず屋上、いこうか?」ニコニコ 京介「…うん、なんとなく覚悟はしてた。」シクシク あやせ「なんといいますか、お勤めご苦労様でした。」 京介「麻奈実が屋上で本性を剥き出しにしたときは死んだと思った。」 あやせ「でも、わたしは心が広い女ですから。」 京介「ほほう、命に直結しそうな話題なので正座で拝聴しよう。」 あやせ「桐乃の『京介分補充』や、お姉さんとのスキンシップは黙認します。」 あやせ「ですが、それより先については、一切認めません。」 京介「心が広い、とか言いながら、可愛い顔して、割と狭いな、あやせの心。」 あやせ「ちなみに昨晩のような『京介さん分補充』についてはわたし限定です///」テレテレッ 京介「…あくまで、例え話なんだが、もし今の基準を超えるような事があったら…?」 あやせ「もちろん、例え誰であろうとも相手を-『ブチころします』よ?」ニッコリ fin.
https://w.atwiki.jp/imas/pages/2514.html
スキップフロアP(すきっぷふろあ) 最新作 代表作 ニコ動一覧 タグ-スキップフロアP タグ一覧: P名 P名_す デビュー2008.9下旬 投稿数10作品以上
https://w.atwiki.jp/site_jump/pages/18.html
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/476.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1303394673/143-154 もしも、京介が桐乃とぶつからなかったら の三次創作 育毛剤氏の復帰を祈って投下します。本人じゃないのであくまでもifです。 「なんでそう思うんだ?」 「なんでって……そんな気がしたから」 カンかよ、まあ、あながち間違っちゃいない。俺は妹が嫌いだった。 勉強もスポーツも何でも出来て、それどころか容姿も上の方。 当然、近所のおばさん連中からはもちろん、親からの評価も俺より断然良かった。 わかるか?この惨めさが。3つも年下の妹に何一つ勝てなかったんだ。 嫌いだと思うどころか居なくなっちまえばいいとさえ思っていたんだ。 しかし、もうそんなことは過去の話だ―― 「別に、もう6年も会ってないんだ。好きとか嫌いとか、そんな感情ねーよ」 「ふーん………ずいぶん薄情なんだね」 「あぁ?」 「居ても居なくてもどうでもいいってカンジじゃん」 「………ちげーよ。居ないんだからどうしようもねーだろが。割り切るしかねーんだよ」 「じゃあ、もし妹に会えたらどうする?」 「………謝る。許してくれるかどうかわかんねーけどな」 「え?なんで?」 「俺が妹をシカトしてたのも嫌ってたのも、結局俺のくだらねー嫉妬が原因なんだよ。 なのにあいつを一方的に悪者にしてたからな……………兄貴なのに……」 「……………後悔してるの?」 「……まぁな」 そりゃ、この歳にもなれば変なプライドなんていらないさ。 俺があいつを避けたりしなければこんな事にはならなかったんじゃないか? 何か俺に出来ることがあったんじゃないだろうか? 妹が出て行ってから後悔しなかったわけがない。 あいつの悩みも、あいつの気持ちも、何一つ汲んでやれなかった。 俺がこいつみたいな家出少女を放っておけないのも、そういう気持ちがあるからなんだろう。 「――だから、会いたいよ……会えるなら……」 親父はたぶん居場所を知ってると思う。なんてったって現役の警察官だ。 家出した娘の居場所を調べて把握しておくくらいのことは出来ただろう。 本当に会いたいなら聞けばいい。でも、それは違う気がする。 ずっとほったらかしていたのは俺の方だ。だから、俺が自分で見つけないと意味がないんだ。 ……なんで俺はこんな話してるんだろうな? やっぱり酒のせいかそれとも睡眠不足のせいか。 「それで警察になったんだ」 「ふん!その通りだよ。もういいだろ、いい加減寝せろ」 リノに背を向けて本格的に寝に入ろうとする。 もう満足したのだろうか話しかけてこなかった。 ――――シュル… ―――シュル…… ――パサッ…… 衣擦れのような音が聞こえる。布団が合わずに頻繁に寝返りでもしてるのだろうか? 「………ねぇ」 またかよ!いつまで相手すれば寝させてくれるんだこの女は! もういい加減無視を決め込んで寝ないと明日がキツイ。放っておこう―― ――そう思っていたらベッドの軋む音の後、足音が聞こえてきてリノがコタツに入ってきた。 何を考えてるんだ、俺からベッドを奪っておきながらそれを捨てるだと?まったくふざけてやがる。 本来の用途とは違う為に二人も布団に入ると相当狭い。 必然的に、リノは俺の体に抱きつくような形で横になっていることになる。 「……何考えてんだよ」 「いいじゃん、一緒に寝よ?」 「人をベッドから追い出しておいて何言ってやがる」 「じゃ、ベッド行く?あたしもそっちの方がいいし」 「あのなぁ…」 顔を見て話をしようと寝返りをうちリノの方へ顔を向けると、そこには驚愕の景色が広がっていた。 「んな、な、なななななななんでハダカなんだよっ!?」 「ちょっ!ばか!声が大きいって!」 服はさっき乾かしていたはずだから着れないなんてことは無い。 普段着だから寝苦しいといったって下着まで脱ぐことないだろ? しかも俺にしがみついてくる必要がどこにある!? 「何考えてんだおまえは!?」 「そっちこそなにそんな狼狽えてんの?あ、もしかして童貞?」 「ひ、人をからかうのもいい加減にしやがれ」 「い、いいじゃん。あ、あたしも一緒だし」 「は?」 「だから!あ、あたしもそういうコトしたことないし……」 つまり処女ってことか?ふざけんな。 よく知りもしない男の家にホイホイ上がりこんで傍若無人な振る舞いをして、 寝てる男に自分から裸になって抱きついてくるような家出少女が処女だと? 説得力ねーにもほどがあるだろ! 「……だったらなんでいきなりこんなことしてんだ?」 にもかかわらず、処女だというリノの言い分を信じたのは、 抱きついたこいつの胸から伝わってくる心臓の鼓動が、こっちが驚くくらい激しかったからだ。 「や、なんていうかさ。チャンスだと思って」 はあ?ふざけてんのかコイツは! 処女捨てるチャンスがありゃ誰でもいいってことかよ!? 「あ、あたしさ、今まで処女でいられたのって奇跡かもしれないんだよね」 「………何の話だよ」 「ホラ、あたしっていわゆる家出少女ってヤツだし、 ソレ目的で声かけてくるオトコとかいっぱいいるじゃん? ママのお店に来る連中からそういうことされそうになったこともあったし…… あ、もちろんママは知らないよ。自分で何とか逃げてたから」 「ヘヴィだな……」 「うん、やっぱり初めてってそんな相手にとられたくないじゃん。 みっともないかもしれないし綺麗事かもしれないけど、初めては好きな人に…… それが無理でもちゃんと“いいな”って思える人にあげたいじゃん」 「……それが何で今日会ったばっかりの俺なんだよ」 「初めてをあげるなら……あんたみたいな男がいい」 「……お前に俺の何がわかるっていうんだ?」 「優しいことぐらいわかるよ」 しがみついてくる手が震えている。怖いなら無理しなけりゃいいのに。 コイツは一体何に怯えて、何を求めてるんだろう? 「いざって時に責任とれねーからやめろ」 「あはっ、言うと思った」 「なんだと?」 「きっとあんたならそう言うと思ってた」 「じゃあ、さっさと服着て寝ろ!」 「やだ」 「テメっ、いい加減にしろ!大体そんな危ない目に会うくらいならおとなしく家に帰りやがれ!」 我ながら馬鹿なことを言ってしまった。 誰も好き好んで家出なんてしない。家に居ても安心できないから家出するんだ。 「………あたしだって帰れるなら帰りたい」 「……泣くくらいなら帰ればいいだろうが……」 「……居場所がないだもん……」 『居場所がないなんてお前の思い込みだ。両親はちゃんとお前を待ってる――』 そう言えたらどれだけラクだろう?でも俺はそんなことを軽々に言えない。 ごく僅かとはいえ、居るからだ。ロクでもない親が。 「……それでも……一度帰ってみたらどうだ?」 「勇気が出ない……」 「一人で生きていくって思う方が、よっぽど勇気がいると思うけどな」 「一人なら……誰にも裏切られずにすむよ?」 「……世の中裏切るような奴ばっかじゃねーよ」 「じゃあ、あんたが教えてよ。優しい人もいるって証明してよ」 「………意味わかんねーよ」 「鈍感!」 「悪かったな」 そっと髪をなでてやる―― こいつも色々あったんだろう。泣きたくなることも怒りたくなることも。 それこそ、人間不信になりかけるようなことも…… しがみつく腕の力をゆるめたリノは涙で濡れた顔をそっと近づけてきた―― ん…ちゅ…ちゅぷ……ちゅ…… 初めてキスした相手がロクに知りもしない女子高生ってまずいなぁ…… そもそも警察が未成年に手を出すなんてヘタすりゃ懲戒免職モノなのに…… 「っはぁ…」 顔を赤らめたリノがこちらの心配を見透かしたように見つめてくる。 「あ、あのさ、なんか誤解してるみたいだけど、あたし一応ハタチだからね」 「……そうなのか?」 「そだよ、………だからママは気兼ねしないであたしを置いて逃げたんだと思う」 ………………そういうことか。 もうわかったから。だからそんな泣きそうな顔するな。 「だからお願い……勇気をちょうだい」 「………ここでいいのか?」 「……どっちでもいいけど………ベッドがいい」 どっちだよw素直じゃねーなあ、この性格じゃ苦労することの方が多かっただろうに。 意地を張りたい気持ちもわかるが、つらい時にはつらいと言った方がいいんじゃねーか? 「やめて欲しくなったらちゃんと言えよ?」 「うん……」 ギシッ――― 「あ、あんまりジロジロ見ないでよねっ!?」 「見なきゃ出来ねーよ、お前の言う通り童貞なんだよ俺は!」 「へ、へぇ、やっぱりあたってたんだ」 「ああ大正解だよ。……彼女作ろうとか、そういう気になれなかったからな」 ベッドに座るリノに覆いかぶさるようにしてもう一度キスをする。今度は俺からだ。 俺の人生にこんな展開があるなんて思ってもいなかったが、 相手が自分以上にパニくってるのを見てると逆に冷静になれるもんだな。 「っふぅ…」 服を脱いでお互い全裸になった俺達はそのままベッドに倒れこんだ。 最初に見た時にも思ったことだが、コイツ相当美人だな。 自分でも言っていたがこの容姿で一人家を飛び出して暮らしてきて、 誰にも手を付けられなかったのは本当に奇跡なんじゃなかろうか…… 「な、なに?あたしの美貌に見とれてるの?」 「ああ、そうだよ。……お前綺麗だな、顔も、体も」 「な、な、なっ…!」 「返されて照れるくらいならアホなこと言うな」 「…んっ!」 恥じらうリノにキスをする。目を閉じればこいつも少しは落ち着くだろ。 頬を撫でながら優しく唇を離す―― リノのちょっと拗ねたような表情が印象的だ。 「あんたホントに童貞?やけに落ち着いてるじゃない」 「お前があんまり慌ててるから逆に落ち着いちまったんだよ」 「く、なんか悔しい…! っあ!!」 そっと胸に右手を当てる―― さっき抱きつかれていた時に感じた鼓動が手のひらから強く伝わる。 内側からの波打ちと、その肌の滑らかさと柔らかさに俺は心奪われた。 「ふっ…ん…!」 リノの様子を見ながら出来るだけ優しくそのふくらみを揉みしだく。 左手で頬と髪を撫でながら右手でその左右の乳房を交互に愛撫していく―― やがて俺はその頂上にある突起の誘惑に負けて、そっと口を近づけた。 「ひゃあ!!―あっ!はンッ!!」 甘い―― いや、実際には甘くなどないのだろう。 ただリノから立ちのぼるどこか懐かしい香りが、俺の味覚を支配しているんだ。 ――ちゅ……れる……れる… 舌先でサッカーでもするように口の中で乳首を転がす。 そのたびにリノが嬌声を上げてその体が跳ねる―― 「あっ…!やあぁっ…!!」 俺の頭を抱きかかえるようにリノの手が伸びてきたが、俺はその手をとってしっかり握り、 舌を次第に下半身へと移動させていった―― 「ぁんっ…んっ…」 ヘソ、脇腹、足の付け根―― 全ての部位に優しく口づけをしながら、リノの反応が良い部分を重点的に責める。 強く握ったその手にはリノの指と爪が食い込んでくる。 だが、その手のひらから伝わる熱が俺の行動をさらに促していた―― うっすっらとした茂みの中のワレメに舌を伸ばす―― リノのソコはもう既に湿っていた。 「――っあ!? ひゃんっ!!んっ!んーーっ!!」 ぴちゃ…ぴちゃ… 水音を立てながらリノの秘所を舐め回す。初めて味わうその蜜の味を堪能しながら―― 「あ…あぁ…っ!!」 リノの反応を窺いながら続ける。鼻先にあたる小さな突起にも刺激を加えながら―― 「ひっ! いっ…! ぁあっ!!」 両側にある足が俺の顔を締め付けてくる。 止める為か、離さないためか――どっちなんだろうな? 閉じようときつく締め付ける足と違って、 さんざん舐め回したそのワレメはパックリと口を開き始めた―― 顔を上げて握りしめていた手を離す。脇から足にかけて優しく撫でながらそっと足を開かせる。 リノ上気した顔を見つめながら、最後にもう一度だけ聞く。 「いいんだな?」 「……うん」 息を荒げながら受け入れる返事をする。ならばもう何も言うまい。 俺は自分のいきり立った分身をリノの中に埋めていった―― 「ひっ! いたっ!! あぁ!!」 俺のソレにブツリと何かを引き裂いてしまったような感覚が伝わり、 見てみると二人の結合部から色のついた体液が流れているのが見えた。 「血が……、痛むか?」 「…うん、ちょっと痛い…けど、平っ気ぁ!!」 大丈夫そうな様子を見て根元まで押し込んだ。 「ひっ! くぅ!! ――あぁっ!!」 暴れるリノに体をぴったりと重ねて腕を回し抱きしめる。 優しく、それでいて強く。 「ふっ うぅ~!! んっ! んっ!」 唇でリノの口を塞ぎながら、少しずつ動く―― ゆっくりと引き抜いて、また埋める。その繰り返しだ。 「はぁ! あっ! んっ!」 頬に流れる涙を舌でそっとすくいながら優しく体を撫でる。 だが俺自身、初めての快感に限界はもうすぐそこまで来ていた。 「…クッ! リノ、俺もそろそろ…!」 「うんっ…! 来て、京介…!」 名前を呼ばれた時、コイツの髪に付いているヘアピンが目に付いた。 どこかで見たことがある気がする、これは――? 「き…リノ……!?」 「あ、ああ!!京介っ!京介っ!!」 一瞬、意識が別のところに飛んだ間に、リノの足が俺の腰に巻きついて来て 射精の瞬間に引き抜くことが出来なかった――― 「……どうすんだよ俺」 避妊具もつけずに行為に至ってしまったのは明らかに俺の落ち度だ。 そもそもそんな準備がなかったのならするべきじゃなかった。 「何落ち込んでるの?」 「……これで後悔しない奴が居たらただの馬鹿だろ」 「ちょっ!?それって失礼じゃない?相手があたしで不満だっていうの!?」 「ち、ちげーよ馬鹿!!お前みたいな可愛い子が相手なんだから不満なんてないっつーの! ただ……、その……、避妊を…しなかったワケだろ?それを公開っつーか反省してんだよ…」 「ああ、いざという時のセキニンってやつ?」 「そうだよ!!っていうか何で男の俺が狼狽えて女のお前が落ち着き払ってるんだよ? どう考えてもこの状況で焦るべきなのは女のお前の方だろが!!」 「あ、あたしは出来たら出来たで別にいいかな~って」 「何言ってやがる……犬猫拾うのと訳が違うんだぞ」 「誘ったのあたしなんだし別にあんたに責任とってもらおうなんて思ってないよ?」 「俺が嫌なんだよ!そういう無責任なことはしたくなかったの!!」 こういう事は後から後悔するんだ。いや、後から悔やむから後悔って言うんだ。 もし俺の妹がこいつみたいなことになってたらと思うと胸が張り裂けそうだ。 頭をバリバリと掻き毟りながら自責の念にかられていたところ、 背中に柔らかいものが当たってきた――― 「本気で悩んでるんだ?」 「………わりーかよ」 「ううん、嬉しい。あんたやっぱり優しいね」 さっきまでとうって変わって今度は俺がリノに慰められてるような状況だ。 ただ、だからと言って解決するわけでもない―― 「ちゃんと見つけれたから良かった」 「……何の話だ?」 「あんたが聞いたんでしょ?なんでこんなところに居るんだ?って」 「………そうだよ、お前彼氏探してたんじゃなかったのか?」 「男探してるっては言ったけど、彼氏探してるっては言ってない」 「じゃあ、誰を探してたんだよ」 「ん~?あんたみたいに優しい男」 甘えるようにギュッと抱きついて摺り寄せてくるリノに、不覚にもドキドキしてしまう。 隠そうにも鼓動が早まってるのは聞こえてるんだろうなぁ…… 「……おだてたところで何もでねーぞ?」 「ううん、ちゃんと勇気が出たよ」 「勇気?」 「うん」 ひょっとして家に帰る気になってくれたのか? それなら、それはそれでめでたいことだ。 だが家出した娘が妊娠して帰ってきたとなれば、またひと悶着あるに違いない。 さっきの話を聞く限り、リノの父親はかなり厳格な人物のようだし―― 「帰るのはいいけど、もし何かあったらちゃんと俺にも連絡しろよ?」 「何かって何?」 「……また家に居られなくなりそうだったら、相談くらいには乗ってやる。 それにその…万が一妊娠してたりしたらおおごとだろうが」 「気にしなくていいって言ったのに……、でもアリガト」 リノに引き寄せられるまま体を寄せて二人で横になる。 こいつの年齢が二十歳過ぎてるというのであれば、 仕事や住むところを見つけさえすれば普通に生きていくこともできるだろう。 保証人が必要な場合は俺がなってやればいい。 万が一の場合は……責任をとる。こいつの居場所になってやればいい。 場合によっては子供だけ引き取ることもあるかもしれない。 何にせよリノ一人に負担を押し付けるような真似だけはしないように… 色々と先のことを考えながら俺は眠りに落ちて行った――― pppppppppppppppppppppppppppppppp……………… 強烈な電子音に頭をかき回されながら目を覚ます。 やけに寒いと思ったら裸じゃないか。昨夜はあのまま寝てしまったのだ。 リノはどうなんだとベッドを見渡すも彼女の姿は無い。 「あれ?どこに行ったんだ?」 部屋を見渡し、耳を澄ましても、俺以外に人の気配はない。 それどころかあいつの服も無くなっていた。 「帰った……のか?」 コタツの上にある書置きを見ながらひとりごちる―― 「『またね』かよ。」 不思議と置いて行かれたような気はしない―― それどころか、ずっと探していた誰かを見つけたような気がするのはなぜだろう? 窓を開けて朝日を入れる―― いい予感がする、なにかとても楽しいことが待っていそうな、ワクワクした予感。 こんな明るい気持ちになったのは久しぶりだ。 「さて、仕事に行かないとな」 昨日までの疲れもどこ吹く風に、気力に満ちた調子で家を出る準備をする。 次に家に帰った時、きっとそこには何かとてもいいものが待ってそうな気がする―― 【Fin】
https://w.atwiki.jp/generation-crossrays/pages/607.html
性能 搭載 COST SIZE EXP HP EN 攻 防 機 移 宇 空 地 水上 水中 2 740000 5×7 740 35000 150 250 200 100 6 A - - - - 武装 名前 射程 威力 EN MP 属性 命中 CRI FX 使用適性 対応適性 備考 宇 空 地 水上 水中 宇 空 地 水上 水中 対空攻撃 1~3 3000 16 0 物理射撃 80% 0% 対空 ○ ○ ○ ○ ○ 半減 ミサイル一斉射撃 2~5 3200 20 0 物理射撃 75% 0% 爆発 ○ ○ ○ ○ ○ 艦砲射撃 3~7 4000 22 0 物理射撃 75% 0% ○ ○ ○ ○ ○ アビリティ 名前 効果 備考 ナノラミネートアーマー BEAM属性を持つ武装によるダメージを3500軽減する 生産登録条件 シナリオ名 彼等の居場所 備考 登場作品『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 アリアンロッド艦隊の旗艦。 ハーフビーク級戦艦の2倍という全長約800mの超特大の艦体の中に無数のモビルスーツを格納できる。 名前の意味は「カツオ」。 「鉄血」最強の艦だがゲーム本編中では各種イベントやムービーにしか登場せず、自軍がラスタルと直接矛を交える機会は存在しない。 武装・アビリティ共に「鉄血」のオーソドックスなものだが自軍で利用できる戦艦としてはHPが抜きん出て高く、ナノラミネートアーマーによる軽減もあり堅実。 エターナルやプトレマイオス2といった水準と比べると攻撃値は互角ないしわずかに劣るが、艦砲射撃のPOWはこちらが少し上。 ただし機動が100と上記の2隻に比べてかなり低く、通信手・操舵手に相応の手練を連れてこないと本領は発揮できない。 最大の特徴は自軍で使用できる戦艦としては最大サイズの5×7。 サイズの大きい戦艦は指揮範囲が広くなるので戦艦連携や支援攻撃、補給技能などを活用しやすいメリットがある。 長所はそのまま欠点となり、移動・回頭で引っかかりやすく、移動した先で戦艦連携したい場合などに敵も味方も邪魔になりやすい。 交じり合う線と線のように多数の障害物が立ち並ぶマップではほとんど動けなくなり、甦りし伝説では上下にしか移動できない。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1749.html
288 :Monolith兵:2013/07/14(日) 23 47 14 ※この作品にはTS要素が含まれています。ご注意ください。 ネタSS「俺の妹が○○○なわけがない!」 閑話5 あやせ派の策謀により、京介は新垣母娘と奇妙な共同生活を送ることになった。その1月は3人にとってかけがえの無い思い出となった。 だが、新垣あやせはそれ以上を求め、京介に告白をした。しかし、その答えは残酷であった。あやせはつい「中身爺になってやる!」と叫んでしまったが、そんなものになろうと思ってなれるわけが無く、改装された家で一人枕を濡らすことしか出来なかった。 そんなあやせを見て父親である新垣議員は胸が張り裂けそうな思いだった。彼はあやせに幸せになって欲しかった。その為には、よい伴侶が必要となるが、恭介はそれにうってつけの少年であった。原作云々ではなく、前世のこともあるが、桐乃から聞く限りでは自分などよりもしっかりとした少年であると思っていた。妻も京介のことはべた褒め立ったが、彼女は根っからの曽祖父っ子なので当てには出来なかった。 「己、高坂京介ぇ!」 つい娘が泣き崩れる原因を作った忌々しい男の名を口にしてしまった。新垣議員は娘が振られるということを想定していなかったわけではない。だが、ここまで心を痛めている娘の姿を見てしまうと、京介のことを逆恨みしてしまうのだ。 彼は頭を振り、とぼとぼと娘の部屋の前から自身の書斎へと移動した。部屋の椅子に座ると「はぁ。」とため息が漏れてしまった。 「俺妹部会は解散。そして、娘は京介君に振られ傷心。原作が等と騒いでいた頃の自分が懐かしい・・・。」 彼は原作厨というわけではなかったが、登場人物たちが次々と中身爺になっていくのを見て焦ってしまっていたのだ。もし、原作の存在など知らずに2人の仲を自然に任せていたら・・・。と何ともならない事を考えてしまうのだ。 その時、部屋の扉がノックされた。入るように言うと、入ってきたのは桐乃だった。 桐乃は挨拶して部屋に入ると、来客用のソファに座り口を開いた。 「こんにちは。貴方もかなり参っているようですね。」 「ああ。娘が悲しいと私も悲しいんだ。何と言ってもあやせはラブリーマイスイートエンジェルだからな。」 そう言って力なく笑う新垣議員は、年以上に老けて見えた。 「まあ、恋愛はすべてが自己責任ですよ。互いに好き合っていても温度のずれとか、環境とかで付き合えるわけではないですから。」 「そうだな。」 「所で、先程あやせの所に寄って来たのですが、あやせはまだ諦めきれないようですね。」 「まあ、あれだけ大泣きしているからな。こればかりは娘自身の問題だ。」 「そうですね。しかし、諦められないという事は、チャンスがあればまた立ち上がる気があるということです。」 「何が言いたい?」 新垣議員は顔をしかめつつ桐乃に尋ねた。桐乃は不敵な笑みを浮かべ、「あやせと嶋田さんとをくっつける取って置きの策があるのです。」と言った。ここまで着て新たな策が出てくるなど、新垣議員にとっては想像の外であった。 「嶋田さんはあやせを妹のように、娘のように面います。愛しているといっても良いでしょう。それに対して、彼が女として愛している日向さんはまだ小学生。付き合うことは到底出来ません。ですが、嶋田さんとあやせとが付き合っても変には思われません。」 新垣議員は桐乃の言葉に相槌を打った。言われるまでも無い事であるが、これは策に重要なものなのだろう。 「そして、あやせの父親は衆議院議員です。その選挙事務所に、アルバイトとして最高学府の学生が雇われたとしても不思議ではありません。また、その働きに感心して議員が『見所のある若者だ。』や『彼のような若者が後継者になってくれれば私も安心だ。』等と呟いても不自然ではないでしょう。」 確かにそうだ。政治に関心のある大学生が選挙事務所に出入りするのはよくあることだ。また、有能な若者を後継者候補や補佐として囲っておくことも多々あることだろう。 289 :Monolith兵:2013/07/14(日) 23 47 46 「そして、あやせが新垣議員の選挙事務所に出入りするのも普通なことです。そこで、嶋田さんとあやせの親しい間柄を見た人たちはどう思うでしょうか?それに、選挙事務所には当然地元の人も出入りします。その中には双方を知っている人もいるでしょうし、奥様方は二人の仲を面白おかしく広めるでしょう。・・・その頃には当人たちが否定したとしても、2人が付き合っているのは真実として周りには広まっているでしょうね。」 「素晴らしい!私はあやせの幸せと有能な後継者という二つのものを手に入れることができるのか!」 「ええ。嶋田さんには既に新垣議員の選挙事務所で働かないか、と声を掛けています。悪くない感触でしたよ。」 新垣議員は椅子から立ち上がり、桐乃のほうへと歩み寄った。桐乃も立ち上がった。そして、2人は固く握手をした。 「ありがとう。君のおかげで光明が見えてきたよ。」 「いえいえ。私も嶋田さんとあやせには幸せになってほしいですからね。」 「「全ては」」 「MMJの為に!」 「あやせルートの為に!」 「え?」 「え?」 おわり