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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1311182440/30-40 ・京介、加奈子メイン 他何名か登場 ・エロ無し ・若干の暴力描写有り 「クソ…なんで加奈子がこんな事しなきゃなんねーのヨ」 と、悪態を吐くツインテールの少女-来栖加奈子。 「はいはい。この設問解き終わったら休憩にするからな。 それと、いつも言ってるけど女の子がそんな口のきき方するんじゃねえよ」 そして勉強を教えているのは、俺…高坂京介である。 なんでこんな事になっているかというと、無事大学受験を終えたのだが 大学生にもなると色々と金がかかる。 性に合わないのでコンパ等は極力断ってはいるが、それでも金はかかる。 それに、高校時代であれば学校へ行くのは学生服だったが大学生ともなれば私服だ。 別にブランド等に拘りがあるわけじゃないが、それでも高校時代と比べれば服に金がかかる様になった。 まぁこれは桐乃の影響が有ると思う。悔しいけどな。 大学生になってまで小遣いを貰うのも気が引けていた為、バイトを探していた折に麻奈実が 「きょうちゃーん、あるばいと探してるしてるなら家庭教師さんやってみない?」 と、誘ってくれたのだった。 なんでも元々は、麻奈実に家庭教師の話が来たらしいのだが、既に数人の生徒を受け持っていて これ以上増えると一人一人にあてるクオリティが下がるのが嫌らしい。なんとも麻奈実らしい理由である。 もっとも俺に家庭教師なんか出来るわけが無いと断ろうとしたが 「きょうちゃんは、ちゃんと理解して覚えていくタイプだから、お勉強教えるのも出来ると思うよー。 それにねー、天才肌の人よりも努力家の人の方が、先生に向いてると思うなー」 別に自分が努力家だとは思わないが、大学に入る為に苦労したし、頑張って勉強したのは確かだ。 まぁそれも麻奈実という優秀な家庭教師のおかげで合格出来たというのは間違いでは無いだろう。 ともあれそんな我が恩人の勧めを無碍に断る事は出来ないし、家庭教師ともなれば時給もそれなりだろう。 おい!?高時給に目が眩んだとか思うんじゃねえぞ? 「解った。俺の家庭教師である麻奈実の勧めとあっちゃあ断る理由は無いし こっちも丁度バイト探してたから、渡りに船だ。ありがとな、麻奈実」 「えへへー、そんな感謝されると照れちゃうよー///」 そんなこんなで家庭教師のアルバイトをする事になった訳だが、話によると俺が受け持つ予定の生徒は 今年俺の母校に入学した新入生で、入学後最初のテストで全教科赤点を叩き出した問題児らしい。 そんな事態に親御さんが危機感を覚えたらしく、その問題児の友人の家庭教師をしている麻奈実に話が来たという事だ。 もっとも俺の通っていた高校は、進学校という訳では無いが、それなりに勉強をしていないと入れる高校ではない。 なので初めてのテストで緊張したとか、体調が悪かったとか、初めてのテストを侮って対策を怠って居たとかだろう。 地図によるとこのマンションか…「えーと来栖、来栖っと…お、ここだ」 って今気付いたが、来栖ってどっかで聞いた事あるな。 この辺りじゃあ珍しい苗字だから知り合いなら覚えていると思うのだが思い出せない。 初めての家庭教師で緊張しているのか、なかなか開かない記憶の引き出しと格闘していると、来栖家の玄関に到着した。 「よし」と気合を入れ、インターホンのボタンを押す京介。 ほどなくインターホンのスピーカーから『ガチャ』という音が聞こえ 『はい、どちらさまでしょうか?』 と女性の声が聞こえる。母親だろうか? 「来栖さんのお宅でしょうか?本日より家庭教師をさせて頂く事になりました高坂です」 『ご苦労さまですー、今開けますねー』『ガチャ』 と、インターホンの受話器を戻した音のすぐあと、『パタパタパタ、カチャカチャ』と鍵を開ける音がし扉が開く。 扉が開かれると、そこには小柄だが母親であると思しき女性が顔を出した。 「はじめまして、高坂京介です。よろしくお願いします」 「ご丁寧にありがとうございますー。娘の家庭教師をして頂けるという事でよろしくお願いしますね。 こんな所で立ち話をするのもなんですから、中に入って下さいなー」 リビングに通され、ソファに腰を掛ける。 って、え?今娘って言った?てことは女子高生かよ!?麻奈実のヤツの勧めだからてっきり男子かと思っていたが… しかも高校1年って事は、桐乃の同級生じゃねえか。 正直この年頃の女の子は難しい。 しかも、京介のよく知る女子高生というと、桐乃やあやせ、黒猫、瀬菜、沙織と曲者揃いである。 頭に浮かぶ面々を思い、思わず尻込みする京介に母親が声を掛ける。 「ごめんなさいね。今日は早く帰るように言ってあったのだけど、まだ帰っていないのよねぇ」 「いえ、まず最初は保護者の方と勉強の方針等をご相談させていただこうと思っていましたので」 これは麻奈実に言われたんだが、まずは親御さんの希望を聞いておいた方が良いだろうという事だった。 確かにスポンサーの意向を汲む事は大事だし、親御さんと話をする事で方針等を決める指針になるだろう。 もっとも話をしていて解ったのだが、この母親は特に教育ママという訳では無く、学校の勉強に着いていけなくなると 学校自体が嫌になってしまい、折角の高校生活を満喫出来ないのではないか? という気掛かりから家庭教師を着ける事にした…との事である。 であれば、主に復習に重点を置くのがいいだろうと、京介が基本方針をどうするか考えていると 『ただいまー、あー疲れたー。あれ?誰か来てんの?』 「あら、娘が帰ってきたようだわ。紹介しますね。娘の加奈子です。ほら加奈子も先生にご挨拶して」 ------ん?加奈子?来栖加奈子?って知ってる名前のような… 「あー、カテキョー来るって言ってたっけ?加奈子は勉強なんかしなくてもアイドルで食ってくって言ったじゃんかよ。ん? あ、テメー!桐乃のアニキじゃんか!?加奈子のカテキョーってお前かよ!?」 「はじめまして、高坂京介です…って、げっ!加奈子か!?」 「あらあら、二人とも知り合いだったのね」 ニコニコと穏やかに笑う母親を尻目に、驚嘆する京介と加奈子。 「じゃ、じゃあ早速べ、勉強教えてもらおうか…な?」 食って掛かった割りにいやに素直な加奈子に???な京介だったが、自分は勉強を教えに来た家庭教師だという事を思い出し 「あ、ああ。お母さん。加奈子さんもああ言ってる事ですし、早速授業に入らせて頂きます」 「ええ、宜しくお願いしますね」 「は、早く来いよ…加奈子の部屋はこっちだからよ」 「加奈ちゃん?先生に失礼のないようにね?」 「わ、わかってるよ」 ズンズンと大股で歩く加奈子。 「ここだよ。まあ入れ」 「おう」 加奈子の部屋に通された俺は、思わず感心していた。 部屋は綺麗に整頓されているが、俺の部屋のように殺風景な訳ではない。 年頃の女の子らしく、可愛い小物が所々に配置されてはいるが、どれも主張し過ぎずに良い部屋のアクセントになっている。 部屋の色調も淡いピンクがメインになっているが、色のどぎつい物等も無く、程よく落ち着いている。 そしてやはり甘い少女特有の良い匂いがした…って俺は変態か!!! 「おい、あんまジロジロ見るなよな」 「あ、ああ、すまん。だが思ったより綺麗で感心したよ」 「テ、テメー!思ったよりって何なんだよ!?」 「お前って喋り方がガサツだろ?だから部屋もそんなんなんじゃねえかってちょっと思ったんだがな。そんな事はなかった。 それになんだ…普通に年頃の女の子らしい可愛い部屋なんだな」 「そ、そうかよ…」 俺が素直に褒めると、これまたおとなしくなる加奈子。 こいつ黙ってれば可愛いのにな。 「加奈子はてっきりモテナイ男が女の子の部屋に初めて入って、「ああ良い匂いがするなぁ」とか考えてるのかと思ったぜ」 「ア、アホか!?女の子の部屋に入るのは初めてじゃねえし、そんな匂い嗅ぐなんて変態みたいな事するか! ほら、勉強するぞ勉強」 「キヒヒwww誤魔化したwwwこりゃ怪しいなぁwwwもしかして加奈子、貞操のピンチじゃね?wwwwwww」 こら!草を生やすな草を!やはりこいつは可愛くなど無い。 「誰がお前みたいなチンチクリンに欲情するかよ」 「あー、ひっでえ。オメーはシラネーかもシンネーけどよ、加奈子ってケッコーモテんだぜ?」 「はいはい、言ってろ言ってろ、俺はチンチクリンなツインテールよりも、清楚な黒髪ロングが好みなんだよ」 「けっ、いまどき清楚な女なんかイネーヨ。清楚に見えたって、裏じゃ人埋めてそうな腹黒い奴だって居るしよ」 おいおい、人を埋めるって尋常じゃねえな…最近の女子高生には、そんな犯罪者まがいが居るのかよ… 馬鹿話の甲斐あってか、加奈子の緊張もほぐれたみたいだし、俺も緊張が程よくほぐれた。 俺もこいつの勉強を見て報酬を貰う以上は、そろそろ真面目に授業をしなくちゃならん。 「さ、雑談はこれくらいにして授業を始めるぞ」 「えー?マジにやんのかよ?加奈子芸能界で食ってくし勉強なんてしなくたって大丈夫だって」 「そうはいくか。もし芸能界で仕事していけなくなったら、普通に学歴社会の中に放り出されるんだぞ?」 「ていうか加奈子芸能界諦めねーし、もし芸能界引退する事になったらお嫁さんになるからダイジョーブだって」 「お前な…嫁の貰い手が有るかわかんねーのに何言ってんだ?ひとまずこの前のテストの回答見せてみろ」 「げっ、なんでこの前のテストの事知ってんだよ?」 愚痴をもらしつつも渋々といった様子でテストの答案を渡してくる加奈子。 正直な感想を一言で言おう。 『これはひどい』である。 どうやって高校受験を突破したのだろうと不思議になるほどだ。 おいおい、こりゃ基礎からじっくりやらなきゃ駄目そうだな。 用意の良いことに、麻奈実が作ったという、基礎の確認に使える簡単な問題集を貰っておいてよかったぜ。 「まずな、この問題集から始めるぞ」 そして冒頭に至るのである。 「クソ…なんで加奈子がこんな事しなきゃなんねーのヨ」 「はいはい。この設問解き終わったら休憩にするからな。 それと、いつも言ってるけど女の子がそんな口のきき方するんじゃねえよ」 「は?いつもって何だよ?お前にそんな注意された事あったっけ?」 あ、俺が偽マネージャーやってたのは内緒だった。 危うくマイラブリーエンジェルハイキックで宙に舞うところだったぜ。 なんとか誤魔化す事に成功し、俺の説明を聞きつつなんとか問題を終わらせた加奈子。 「ていうか、マジで勉強なんてやってらんねーし」 「お前さ、そんなんでどうやってウチの学校入ったんだよ? あの程度の問題で苦労するようじゃあ、よっぽどじゃねーとウチの高校入れないだろ?」 「そりゃ加奈子だって勉強したもん。桐乃やあやせと同じガッコ行きたかったし、桐乃もあやせも一生懸命 加奈子に勉強教えてくれたんだから、そんな期待を裏切るような事デキネーッショ?」 なるほど、そうゆう事か。 メルルのコスプレイベントの時もそうだったが、こいつは興味のある事や、期待されていると力を発揮するのだ。 であれば、こいつにどうやって興味を持たせるか…だな。 「あのな加奈子、勉強は必要ないって言うけどよ、芸能界で息長く成功している人達には頭の良い人が多い。 もちろん、必ずしも皆が皆そうだとは言わないけどな。 勉強が出来る事で芸能界で成功するチャンスを広げられるなら、勉強しておいて損は無いと思わないか?」 「ちょ…おい、それマジかよ?」 「ああ、マジ山マジ男だ」 加奈子の眼の色が変わる。 ていうかマジチョロ過ぎですよ加奈子さんw そんなこんなで、加奈子の家庭教師一日目が終了した。 当初の想像とは大分違ったが、加奈子も勉強する気になってくれたし万々歳なんじゃねーかな。 「さて、初めてのバイト代も入った事だし、夏服でも少し見にいくか」 しっかし、一ヶ月で平均点を上回る位まで勉強が出来るようになるとはなぁ… それにしても、いくら加奈子の成績がよくなって色を付けてくれたとは言え、5万円もバイト代が出るとはな。 加奈子のおかげでもあるし、服を買いに行ったついでに髪留めでも買ってやるか。 夏向けのシャツと、小物コーナーに有った水色のリボンを無事購入し、折角町に出たのだから、ちょっと散策 してみようかと思ったところで、何かが聞こえてきた。 「………!……!?……ヨ!」 「こ……!……!!!……ああ!?」 ん?なんだ言い争いか? どうやらこの路地のようだが…ていうか女の子一人に男三人ってみっともねぇなぁ… 幸い親父の勤めている警察署も近い事だし、通報してお説教食らってもらうt…っておい、あのツインテールは 加奈子じゃねーか! クソッ、何やってんだアイツ!? 「ハァ!?誰がテメーらみてーなつるまねーと満足にナンパもデキネーような連中についてっかよ」 「あんまチョーシこいてっと拉致ってまわしちまうぞ?」 まったく政令指定都市になってしばらく経つってのに、この手合いは居なくならないもんだな…。 「おいおい、それ位にしとけよ。女の子一人に男が三人ってナンパにしたってタチ悪いんじゃないのか?」 「あぁん?誰だてめー?」×3 「え?なんで…お前が…」 「俺はコイツの保護者みたいなもんでね、それ位にしてやってくれないか?」 「ハァ!?横からシャシャリ出てきて、こっちの獲物かっさらおうったってそうはいかねぇんだよ!」 まったくこの手合いってのは、なんでこう直結的思考なのかね…と頭の中でごちる。 その瞬間加奈子の両目が見開かれた。 「オイ!アブねえ!!」 「??……っ!?」 ガンッ!とした強い衝撃を背中に感じたと思いきや、目の前にアスファルトの地面が迫ってくる。 いきなり後ろから蹴られた…のか?と、突然の衝撃に混乱しつつもなんとか顔面から地面に突っ込むことを回避する。 が、不意に背中を強く打たれた為、呼吸がままならない。 「ライダーキック炸裂ーwww」 「グ…カッ…ハ……」 「何コイツ?正義の味方ちゃん?ギャハッwwwwww」 後ろから蹴りを入れてきた4人目と思しき男が耳障りな笑い声を上げる。 「あーあ、お兄さんかっこ悪いの。ていうかメンドクセーからさっさと攫っちまおうぜ」 路上に停められている黒のバンを指差し男の一人が下卑た笑いを上げる。 「京介!!大丈夫か?オイ!誰か助けてくれよ!!!」 少女の悲痛な叫びが響くが、皆我関せずといった様子でそそくさと離れていく。 そりゃそうだ、こんな訳の解らない手合いに態々関わりたいといった奴はそうそう居ない。 俺だって絡まれているのが加奈子じゃなければココまでしたかは解らない。 「じゃ、正義の味方のおにーさん、さよーならっと!!!」 「!!!」 腹部に衝撃が走り、喉から酸っぱい物がこみ上げてきて、視界が白く霞む。 男の一人が去り際に蹴りをくれたのだった。 「キャッ!?痛い…!離せよ!」 加奈子のツインテールを掴み、乱暴に連れて行こうとするのが見える。 チ…クショウ…、そりゃ俺は日々平穏に過ごそうとしてきたから喧嘩なんてした事ねえ。 けどよ、目の前の女の子一人助けられなくて良いのかよ…高坂京介、お前はその程度の男なのかよ! 目は霞んでいて良く見えない。 胃から込み上げてきている物のせいで呼吸もままならない。 もろに蹴りをもらったせいで足もガクガクだ。 不意打ちを貰った上に4対1では勝てるはずが無い。 「嫌っ!痛い!離せってば!!!」 耳朶に加奈子の声が響く。 目は霞んでよく見えないが、加奈子が上げる悲鳴で方向は解る。 呼吸もままならないが、頭は驚くほどにクリアだ。 足はガクガクだが、立てない訳ではない。 4対1では勝てる筈は無いが、せめて加奈子さえ逃がせば良い!!! 「………っ!」 気が付くと俺は、加奈子の声のする方向へ走り出し、微かに見える輪郭から男の一人に背後からタックルをしていた。 「つっ!?んだこの野郎!!!」 男の一人に体当たりをした俺はそのままもんどりうって男と揉み合いになる。 が、しかし、他に3人居るのだ。 最初は何が起こったか理解できないでいた男達であったが、状況を理解した1人が俺に蹴りを入れたと同時に 他の二人もこちらへ駆け寄ってきた。 へへ…これでリンチは免れないが、加奈子は逃げられるだろ…と覚悟を決める。 「おい!京介!!!なにやってるんだよ!なんで逃げないんだよ!」 おい、お前が逃げないと俺の計画が台無しになるんだが…と何とか意識を両手で強く離さないようにしていた刹那 「歯を食いしばれ」 「え?んッガ!?」 『ドサッ』という鈍い音とともに、男が一人目の前に落ちてきた。 そして立て続けにまた例の『ドサッ』という音が立て続けに聞こえ、周囲からはうめき声しか聞こえなくなる。 「立てるか?いやそのまま横になっていた方がいいな」 「え?オヤ、ジ?」 「暴行及び傷害の現行犯で逮捕する」 「…れて。京介さんが助けに来てくれなかったら…私」 「それは大変な思いをした。なにより無事でよかった」 「…ん?ここ…は…?」 「む?気が付いたか京介」 「京介!!!」 カーテンの向こう側で事情聴取を受けていた加奈子が駆け寄ってくる。 ってここは…?なんで俺はベットで寝てるんだ? 「京介!京介!よかった、無事で…」 「え?ちょ、おま、イタタ」 「あ、ごめ…ん」 えーと、なんで加奈子が俺に抱き付いて来るんだ? 「よくやった、京介」 「親父?」 「話は来栖さんから聞いた。後でお前からも事情聴取する事になるが、まずはよくやったと褒めておこう」 「ああ、そっか…俺、あいつらと取っ組み合いになって」 「あれは取っ組み合いなんていう物ではない。オレが駆けつけた時にはリンチにしか見えなかったぞ」 話を整理すると、昼食を取りに外出していた親父が、たまたま怒声を聞き、俺がリンチされている現場に出くわし、 一人で四人の男を投げ飛ばし、制圧したということらしい。 ちなみに男達は、すでに親父の手配したパトカーに連れられて今頃警察署でこってり絞られているだろうとの事だ。 「クソ、情けねえなぁ。女の子一人守れず、挙句の果てに気を失っちまうなんてよ」 「そんな事無い!京介が助けてくれなかったら、加奈子は…加奈子は…!」 あー、だからもう泣くなって、こいつが泣いてるせいで全く持って調子がでやしねえ。 「うむ。お前の取った行動は勇気ある物で、全く恥じる必要など無い。むしろ立派な息子を持ったと嬉しく思う」 ってオイ!良い年したオッサンが頬を染めるな!気持ち悪い! ふとそこで幾つかの違和感に気が付く。 「そういや加奈子お前なんで髪の毛下ろしてるんだ?」 「あ、うん。あいつらに連れて行かれそうになったときに暴れたから落としちゃったみたいで」 なるほど、じゃあ丁度よかったかもな。 「なぁ親父、現場に服が入った袋落ちてなかったか?」 ああ、これか、ちゃんと拾ってきてあるぞ。と手渡してくれる。 洋服の入ったビニール袋から、掌くらいの大きさの小さな包み紙を取り出す。 「ほら、加奈子。お前の成績が上がったお祝いだ。そんなに高いもんじゃねえけど、良かったら使ってくれ」 「え?これ加奈子に?」 俺から包みを受け取り、おずおずと袋を開く加奈子。 「お前いつも黄色のリボンで髪の毛括ってるだろ?偶にはこういう色も良いんじゃないかって思ってな」 「ありがとう、京介!」 うわっとと、だから抱きつくなって、あと親父もその「京介もやるようになった」って顔すんなよ! 「へへ…似合うかな?」 「ああ、よく似合ってるぞ」 やっぱ加奈子はツインテールが一番だよな。 「あー、で、そういえばお前いつから俺のこと京介って呼んでるんだ?」 もう一つの違和感の正体はこれである。 今までなら、『オイ』とか『オメー』とか呼ばれてたもんな。 「え?バッ、い、いきなり何を言い出すんだよ!?」 と、顔を真っ赤にして狼狽する加奈子。 お前何そんなにうろたえてんの? いや別に俺だって『オイ』とか『オメー』等と呼ばれたい訳じゃない。 加奈子の本性を見てしまっているため、言うだけ無駄だと心の何処かで思っていたのだ。 「ま、俺は呼ばれ方に拘りがあるわけじゃねえし、好きな呼び方でかまわねえけどな」 しかし、兄さんとか、兄上とか、にぃにとか呼ぶのは、勘弁してほしいが。 「オホン、盛り上がってる所申し訳ないが、私は署に戻らないといけなくてね。来栖さんも遅くならないうちに ご両親と連絡を取って帰るようにしなさい」 「はい。ありがとうございます」 加奈子の奴、ホント外面はいいんだよな。 「京介、お前はこの後検査があるらしい。それと大事を取って一泊入院だ」 「げ、マジかよ…あ、親父この事、桐乃は知ってるのか?」 「いや、まだ知っているのはオレと母さんだけだ」 「だったらよ、桐乃には内緒にしといてくんねーか?余計な心配掛けたくねーし」 「特に隠すような事では無いと思うが。うむ、お前がそう言うのならその方が良いのだろう」 検査の結果、特に異常は無いという事で、翌日無事退院した俺に 「アンタ階段から落ちて一日入院とかチョーウケるんですけどwwww」 という桐乃の嘲笑が待ち受けていた。 ----後日---- 「フフフ、京介…か。加奈子なんかの為に一生懸命になってくれて…あ、そっか糞マネと似てるんだ」 ----さらに後日・学校---- 「あれ?加奈子リボン換えた?」 「へへ、ちょっとイメチェンしてみようかなって思ってよ。どうよ、似合うッショ?」 「うん、前の黄色いリボンも似合ってたけど今度のも似合ってるね」 「んー…でもそれだけじゃなくて、なんか雰囲気が変わったって言うか柔らかくなったっていうか…」 「あー、解った!加奈子恋してるんじゃないの?」 「え、ちょ、ま、加奈子はアイドルなんだから愛される側だっつうの!」 「えー、怪しいなー?誰なのー?もしかして例の家庭教師さん?」 「バ、バッカじゃねーの?加奈子が京介みてーな地味男に惚れる訳無い…と…思う」 「「え?」」 「「京介って…まさか」」 「アニキ…」 「お兄さん…」 01 02
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トップページ SSリスト カップリング別 ※無題となっているものは、投下スレ番号 / カプまたは登場キャラなどです。 ◆PKRuZZbTSY氏=◆8T1u5T0/rJfU氏 兄妹なら平気 スカートめくり 兄妹仲 新しい関係 01 / 02 / 03 / 04 / 05 / 06 預かりモノ ねこシス×シス ◆DXFnp2S8dk氏 無題:1スレ目197 / 京介×桐乃 ◆9DJPiEoFhE氏 パンドラの箱に残ったものは ◆HMfayUbQDs氏 迎へを行かむ 人は離ゆとも 無題:1スレ目523 / 京介×桐乃 渡る世間の鬼と鬼 ◆kirikyouEE氏 Encounter 愛妹との暮らし方 maid ◆cnAl6CXNe5FX氏=◆Vs.TiQ/ko.氏 無題:1スレ目136 / 京介×桐乃 無題:1スレ目237 / 京介×桐乃 無題:2スレ目97 / 桐乃×あやせ 「泥棒猫」ネタ ※NTR 桐乃のしっぽ 黒猫のしっぽ あやせのしっぽ 無題:3スレ目603 / 小ネタ エンジェルズ クライ 無題:3スレ目762 / 小ネタ / 続き 無題:4スレ目206 / 京介×桐乃 無題:4スレ目231 / 京介×フェイト 黒猫の逆襲 沙織のターン 黒猫のターン 300冊刷って5冊しか売れなかった …どうしてこうなった ※NTR、陵辱、複数 どーん氏 無題:2スレ目131 / あやせ ※陵辱 無題:3スレ目356 / 京介×あやせ 無題:3スレ目406 / 京介×あやせ 無題:4スレ目19 / 京介、桐乃、あやせ 無題:4スレ目45 / 京介、桐乃、黒猫、沙織 迷彩 ◆YvBQREsAIU氏 無題:2スレ目179 / 京介×桐乃 ◆zsLpyf4eEw氏 ふと思いついた桐乃がアメリカから帰ってきた後の一コマ 無題:3スレ目57 / 京介×桐乃 無題:3スレ目87 / 京介×桐乃 俺芋エロゲ化希望氏 無題:3スレ目160 / 京介×桐乃 無題:3スレ目213 / 京介×あやせ 無題:3スレ目414 / 京介×あやせ 無題:3スレ目439 / 京介×桐乃 アルカディア ◆vyCuygcBYc氏 カップリング ベルフェゴール 眼鏡 カップリング2 勘違い ノーマルorノーブル ◆AYASExLmi.氏 開放的理乃 あやせ妹萌化計画 加奈子に桐乃趣味がバレたら パンツをしゃぶるクンカたん ◆k7f/kTYrhA氏 無題:京介×あやせ 01 / 02 / 03 / 04 / 05 無題:7スレ目315 / 京介×桐乃 01 / 02 無題:7スレ目754 / 京介×麻奈実 ポッキーゲーム ◆XUsplk79ik氏 『彼女が眼鏡を外したら』 01 / 02 / 03 / 04 / 05 私に、力を…… キャッチボール とっておきの唄 前編 / 後編 無題:13スレ目403 / 京介×沙織 デルモ(※18禁) 01 / 02 無題:17スレ目19 / 京介×沙織、眼鏡 (※18禁) (01 / 02 / 03 / 04) 究極!淑女仮面 無題:22スレ目769 (※18禁) うぼあ氏 猫耳 01 / 02 / 03 ◆BxTeaDzMWc氏 桐乃視点 00 / 01 / 02 / 03 / 04 / 05 / 06 / 07 / 08 桐乃のリビドーが有頂天でとどまるところを知らない 01 / 02 / 03 俺の後輩は猫 リアの初体験 桐乃の告白でえらいものが目覚めた 俺と桐乃は 01 / 02 / 03 / 04 桐乃と黒猫と俺の萌え 01 / 02 / 03 / 04 黒猫がやたら可愛い 月明かりのあやせ 633k ◆NlHk4LIgrQ氏 俺と妹の近親相姦は文学 01 / 02 / 03 / 04 無題:7スレ目743 / 京介×麻奈実 ◆k5DlUjGI1g氏 沙織さんと京介氏の場合 01 / 02 ◆BhpObu7W.A氏 兄と妹の新しい日常 無題:8スレ目804 / オリジナル 2人きりの兄妹 ※キャラ死亡 育毛剤氏 もしも、京介が桐乃とぶつからなかったら ( 前編 / 中編 / 中編2 ) ◆bhH/AtH.kc氏 くんかの世界へようこそ! (上) / (中) / (下の上) / (下の下) / おまけ 青森のアニータ氏 無題:9スレ目237 / 京介×桐乃 無題:9スレ目502 / 京介、桐乃、赤城、瀬菜 s3ogq2Wo氏 無題:11スレ目192 / 京介×桐乃 ◆UtE9cq2Ioc氏 無題:9スレ目465 / 京介×桐乃 saiko氏 無題:10スレ目338 / 京介×沙織 ◆lcoLXoIw/.氏 季節はずれの桐乃 今だけ兄貴の虜 勇気の出るチョコ 花よりデザート 一番近くて遠い人 誰の夢? ◆ACPRLbMxAk氏 OVER WRITE 火事場の桐乃 嘘 リング おばあちゃんの昔話 理想の兄貴 自慢の兄貴 結ばれた二人 声色 キャストオフ ツインテールの操縦法 モデル・京介 ゲレンデに埋められるような恋 アメリカの空の下で 血のバレンタイン 娘めいかあEX そのウソ、ホント 仲裁人 初恋の記憶 暗転 CV:来栖加奈子 俺の嫁はこんな女(ひと) アタシの夫はこんな男(ひと) ふたりの秘密 サード・うぃっち もうひとりの天使 月と星と妹 海と空を越えて エロゲーマーの鑑 高坂家の怪談 クソガキが泣いた日 新妻の憂鬱 新人女優 誘われ攻め 付き添い 騙し・騙され・騙しあい 付き添い スターティングブロック konozama フルキャストオフ 少女誘拐未遂事件 『ひみつのまほう』 『罠に堕ちて』 アメとムチと鈍感 時計仕掛けのリンゴ (短編) 似てないふたり 短編『闇の中の二人』 短編『シスコン』 妹たちの宴 覚醒の瞬間(とき) 兄妹ゲンカ 悪魔の使い お見舞い どれがお好み? ※18禁 SL66 ◆5CEH.ajqr6 = ◆Fy08o57TSs氏 漣 01 / 02 風(前編) ( 01 / 02 / 03 / 04 ) ※オリキャラ注意 風(後編) ( 01 / 02 / 03 / 04 / 05 / 06 / 07 / 08 / 09 ) ※オリキャラ注意 ◆PNfIcqe3Nw氏 いつものようで違う景色(仮)01 / 02 ヤコロ氏 兄と猫の一日 01 / 02 3年後のif (01) ◆puaSuRdqIk氏 俺の彼女がこんなにばかなこのわけがない ドロリッチ 01 / 02 ◆FrkmMVJIQLXV氏 縞パンラプソディー クロ ◆ClAH8f7o5BVs氏 プロジェクト・セックス ◆eflqYsvdHP3V氏 それは遠い記憶のあなた まc氏 無題:14スレ目459 / 京介×あやせ ADRY氏 一つの恋が、終わるとき 全ては、その一日のために 一生の願いに、一生の幸せを ( 前編 / 中編 / 後編 ) ◆h5i0cgwQHI氏 黒の予言書 / 黒の予言書のその後 / 黒の予言書のその後2(※その後とその後2は18禁) 彼氏と親友と(※18禁) 大空の彼方へ(※18禁) 美人の遺伝子(※18禁) るりのもの (※18禁) (01 / 02 / 03) 全方位土下座外交 (沙織編) 少女の願い 初めての証(※18禁) 沙織マキシマム 01 魔法少女・まぎかなこ (小ネタ) ◆uBmhouX2sU氏 高坂家のとある日常 ◆WE/5AamTiE 俺たちの田村さん (※18禁・オリキャラ) ◆kuVWl/Rxus氏 我々の業界ではご褒美です(※18禁) デマにご注意(※18禁) ◆N1DYQE3WUpBt氏 ずっと傍に 友達の唄 純情スローペース (メール編 / 電話編 / デート編/ 告白編 ) ◆Ec95DXH7wk氏 もしも京介が黒猫の告白を断っていたら (01 / 02) あやせと京介の夏祭り (01 / 02) もしも京介と黒猫が円満な恋人生活を営んでいたら (※18禁) 「京介と桐乃の流星観察」 ◆36m41V4qpU氏 37℃ (※18禁) Antipyretic 01 / 02 (※18禁) Stummer Dialog (前編 / 後編01 / 後編02) 【Antipyreticの続き】 A Nexus (01 / 02) ※18禁・Stummer Dialogの続き 9 +1/2 Love touch 2 絶対防衛あやせたん(仮)上の続き ◆Emnm1LIQzQ氏 変わり続ける関係 (01 / 02 / 03 / 03別ルート / 04) アルアルファ@きりりん氏 ちょっと違った未来 1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/ 11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/ 21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/ 31/32/33/34/35/36/37 ※シリアス系シリーズ。完結済。NO.1~15が第一部。NO.16~33が第二部。NO.34~37が第三部。 あやせの幽体離脱 / 続・あやせの幽体離脱 / 続々・あやせの幽体離脱 ◆ebJORrWVuo氏 或る終わり 或る葛藤 或る妹の追憶 或る分岐の先 / 或る分岐の先に / 或る分岐の裏 / 或る分岐のおまけ 或る非日常1 / 2 / 3 / 結末 NfScc3nA 2012/08/24(金) ID NfScc3nA 無名氏
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「ちょっと違った未来28」 原作IF。京介×桐乃。黒髪桐乃の過去編 チチチチチ…。 窓の外から朝の光が差し込んでくる。今日は冬の気温に不釣合いな、まるで春のような晴れ晴れしい空だった。 「京介君は…」 彼の脇に挟めた体温計を起こさないようにそっと取り出す。体温は37℃…平熱まであと少しだった。 「何か…作らなくちゃ…」 彼の傍から離れる。 京介君は昨日から一晩中あたしの手を握っていた。あたしもずっと彼の傍にいた。握っている間魘される事がなかったからだ。 夜2時台になると急に発熱が始まったので、びっくりしたあたしは救急車を呼ぼうとしたが、京介君にまた例によって行かないでくれ、といわれスマホのタッチパネルを滑らす指を止めた。 それでも怖くなったあたしは人肌で添い寝をすれば熱が下がる、という言葉を思い出し、勇気をだして裸で彼の布団の中に入った。 そうしたら彼の体温はみるみる下がっていった。時間を経つ後とにどこかへ逃げていく彼の高熱。その間大量の汗を出しながら彼はあたしの胸元で眠り続けた。 あたしの人肌に反応したのか、彼の股間にあるだ、男性器が隆々とぼ、勃起していたが、治りかけの今ここで男の人のせ、精を搾り取るわけにはいかない。 「…」 昨晩の事を一通り思い出した後、何を作ろうかと思い立つ。台所を見れば食材があるにはある。が、台所がカップ麺のゴミだらけだった。ってその前に服を着なくちゃ。今度はあたしが風邪を引いちゃうよ~。 あたしは昨日脱ぎっぱなしにしていた服を再び着始めた。お気に入りの白いブラを付け始める。背中のホックを留めようとすると…。 「え?」 「…」 京介君が後ろに立っていた。あたしの体に腕を回している。一晩中汗をかき続けたからか、彼の黒い服はびっしょりと水気で重かった。 「あ、あの…きょ、京介君?」 「…」 京介君は黙ってあたしの後ろからあたしを抱きしめ続ける。そして、 「あ、あのあたし。これじゃ下着がつけれな、」 「すまなかった」 京介君は目を閉じてあたしの後ろからそう呟いた。…え? 「あ、あの?きょ、京介君…?」 「嘘なんだ」 え?何が嘘…? 「俺は…おまえを忘れることなんて…出来ないんだ…」 「…京介君…」 彼のあたしを抱きしめる力が強くなる。 「もう、もう限界なんだ…」 「…」 「この8年間、おまえを忘れることなんて出来なかった」 「え?」 「どんな女の子に成長してるのだろう…俺のこと忘れないでいてくれているだろうか…そんな事ばかり考えていた…」 「…」 「おまえは昔から可愛いから…もう誰か他の男の物になっているのかとか…あまつさえ、もし、もし結婚して子供までいたりしたらどうしようとか…。考えれば考えるほど気が触れそうだったよ…。嫌それでもおまえが幸せならそれでいいとか…自分の気持ちを騙したりして…。結局俺にはどうしようもない身も蓋もないことばかりを考えていた…」 「…」 「それでもあの日再会したおまえは…俺の想像を遥かに超えるほど綺麗になってて…。俺の理想の女の子に成長してて…。だけど俺の中じゃどうしようもなくって…。だって俺とおまえは…」 「…」 京介君はごくりと唾を飲み込み言葉をとめる。?一体何のことだろう? 「でも…でも…もう限界なんだよ…。日を追うごとにおまえへの思いが積もっていく…。日を追うごとにおまえへの思いが抑えられなくなっていく…。」 「京介君…」 「桐乃…お願いだ…もう、もう二度と…」 「…」 「二度と俺の前から…うむ?!」 「…」 あたしに向かって自分の思いを囁く彼に向かって、彼の口唇を塞いだ。 「ん…」 「…」 困惑する京介君。しかしその困惑も次第に…。 「ん…」 「好…き…」 それからあたしとおにいちゃんは昼夜を問わずお互いの身体を貪り続けた。 ~~~ 「ねえ?京介君」 「うん?」 久方ぶりに服を着ようとするが、あの日からずっと放置していたから…約一週間洗っていない。 「さすがに…これはね…」 「はは…」 脱ぎ捨てられた黒のニーソックスとショートパンツに白のブラジャーにパンティー。さすがに洗濯に出す必要がある。 「京介君、何か服を借りるね」 「ああ」 彼もあたしに合わせて服を着始める。 彼のアパートに泊まりこんで約一週間。あの日からあたし達は大学にも行かず寝食を忘れるくらいにずっとお互いの肉体を求め合っていた。 当然避妊具もないしそれまで男性経験のないあたしもピルなど飲んだことがなかったが、何もなしでまぐあい続けた。 彼はゴムがないことに心を痛め、買ってくる、もうやめようと言ってくれたが、子宮の疼きを抑えることの出来なかったあたしはそのままおねだりを繰り返した。 彼は精力絶倫でずっとあたしを休みなく犯し続けた。二人の汗と出された体液でびっしょりになったお互いの身体を洗うため、お風呂に入った時もだ。 シャワーを浴びて髪を彼の家のシャンプーで洗うあたしを後ろからまさぐり始め、そのままバックから何度も何度も犯し抜かれた。 彼の剛直な肉棒は下腹部の腹直筋ごと絶えず隆々と勃起していて、あたしを片時も休ませてはもらえなかった。 女を服従させるその男性ホルモンの塊は女なら思わずうっとりするほどのもので、それがこうして犯されたくてたまらなかった大好きな人のものだと考えると…。 頑強な雄のそんな姿とそんな彼のあたしへの想いに呼応するようにあたしの発情がとどまる事を知らない肉体も彼のすっかり男になった細身でたくましい筋肉質な肉体を求め続けた。 そしてそれから昼夜を問わずあたしが泣こうが喚こうが彼はずっとあたしを犯し続けた。 「何かないかな~?あ!」 いいものみ~つけた!うふふ…。男の人ってこういうの大好きなんだもんね。これ着て京介君を困らせちゃおうっと♪ 「ねえねえ~?京介君~?」 「うん?ってうお?!」 京介君は驚いていた。あたしが何もない裸の上から彼の男性用Yシャツ一枚の姿で現れたからだ。…やっぱり男の子って大きいなあ~。 腕の袖がたっぷり余っているし、下の裾はすっぽり下半身の大事な部分まで覆い隠せてる。それに首もとのカッターの汗の後が…っくんくん…くんくん…男の人の…くんくん…それも京介君の…くんくんすんすん…たくましい…すんすん…すえた臭いが…くんかくんか…して…。 「…おい」 「は?!」 我に返ったあたしが最初に視認するは、じとーと目の前であたしを見つめる京介君であった。 「…」 「は、はう~。ご、ごめんなさい…あ、あまりにもいい臭いだから…」 じと~っとあたしを見つめる京介君。ううう…その冷たい視線が痛い…。 あたしが申し訳なさそうに俯いていると、 「ぷっ!!ははははははははは!!」 「え?え?ええ~?!」 彼はさっきまでのじと~とした顔をどこへやら、一気に破顔した。そして…。 「おまえってさ…そういう性癖でもあるのか?」 「う…うう~」 にやにやと嬉しそうに笑う京介君。…そうだった。かつての彼もこんな風にしてあたしをからかうことが度々あった。そんなかつての彼と今の彼がぴったりと重なり…。 「ふふふ」 「?なんだよ。どうしたいきなり笑って」 やっぱりおにいちゃんはいつまでたっても桐乃のおにいちゃんで。 「ふふ…なんでもないよぉ」 「…ほんとか~?」 彼はあたしの目を見つめながら迫ってくる。 あたしは黙ってそれを受け入れる。 「桐乃…」 「京介君…」 もう一度熱い口付けを交わそうとしたその時…。 「ふふふ…続きを続けたらいかがです?お兄さん」 ~~~ 「…」 「ッ!」 「え?!」 振り向くと部屋の入り口にあやせが立っていた。今までどこかへ出かけていたのであろうか、大きなキャリーケースが玄関に立てかけられており、白いボトルネックコートに黒のロングブーツを履いていた。そして…。 「…」 あやせは笑顔だった。穏やかな笑みをその清楚で綺麗な顔に貼り付けていた。そしてそれがこの状況とあまりにも不釣合いで…普段の彼女からは想像もつかないほど不気味だった。 「こんばんは。お兄さん。私がいない間どうでしたか?楽しくしていましたか?」 「…」 「ふふ。何をそんなに緊張してるんです?私の帰国の日は今日だって、前々から何度も言っていたじゃないですか?」 「…」 「向こうでも大変でしたよ。東洋人って顔立ちが幼いから小学生と勘違いされて。中学生ならまだしも小学生ですよ?ふふ、これは喜んでいいのかな?私もまだまだ若いってことなのかな」 「…」 「向こうでも沢山ナンパされて…。そうそう!ハリウッドでよく出入りしている男の人にも熱心に声を掛けられたんですよ?君のためなら日本にだってどこだって行ける、ってまで言われちゃって…。その上とってもイケメンなんです!ふふ…すごく情熱的でしょう?あ~あ、お兄さんもあれだけアタックしてくれたらなあ」 「…」 「たくさんメールも送ったんですけどね。あっちの綺麗な景色や楽しかったこと…携帯の写真をメールに添付したんですけど、読んでくれましたか?」 「…」 「ふふ…読んでるわけ、ありませんよね…」 あやせは今までのどこか楽しそうな穏やかな笑顔から、一転。暗転し、 「気持ち悪い」 ぽつり、とそう呟いた。 「…」 「え?」 「気持ち悪い」 光彩を失った大きな瞳で、すべての表情を失くし体温のない氷のような顔で。 「気持ち悪い」 「…」 「え?あ、あやせ…」 「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…」 「…」 「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い………」 そう、壊れた蓄音機のようにあやせは呪詛を肺腑から搾り出すように繰り返した。 「あ、あやせ…お、落ちつい、」 「うるさいッッッッ!!」 あやせに一喝され身体が瞬間的に萎縮する。そして… 「何を…何をやっているんですかッッ!!」 「…」 「貴方達は…貴方達は!!実の兄妹でしょうッッッ??!!」 あやせは悲壮感溢れる声を、あたし達にそうぶつけた。 ~~~ 「え?ど、どういうこと…なの…」 「…」 あやせは部屋にブーツを履いたまま上がりこんでくる。え?今何て言ったの?言葉の意味がよくわからない。京介君はあたしの幼馴染でおじさんの子供で…。 「どういうこと?」 「…」 京介君は黙ってあやせを睨んでいる。しかし何も口を開かない。 「どういうこと、なの?」 「言葉通りの意味よ!!」 あやせは叫ぶ。こんなにも怒りの感情を露にするあやせをあたしは見たことがない。それはあたし以外もそうであるはずだ。 「貴方達は血の繋がった実の兄妹だって、そう言っているのよっ!!」 「っ?!」 「…」 京介君は何も答えない。え?何これ?一体どういう…。 「汚らわしい…」 「…」 「汚らわしい!!汚らわしい汚らわしい!!汚らわしい女!!」 「っ!!」 あやせは未だかつて見せたことのない、焼き殺さんばかりの憎悪をあたしにぶつける。 「この泥棒猫!!その体で誘惑して…!!一体お兄さんに何をした!!」 そして…。 「おまえが…!!」 「ひ!!」 白いロングのボトルネックコートのポケットからスタンガンを取り出す。そのままあたしに…。でも…。 バチバチバチ!! 「ぐ!」 「おにいちゃん!!」 その放たれる電撃を代わりに受けたのは京介君だった。背中からあたしを庇い、体が一気に弛緩し緩慢な動作で地面に膝から落ちて仰向けに倒れる。 「お、おにいちゃん!おにいちゃん!!」 「ひ、ぅ…お、お兄さん…」 あやせはがちがちと震えだす。そんなはずじゃなかったと言わんばかりに目じりに涙の粒が一つだけ溜まっていた。 「あ、あやせぇええ!!」 反射的にあたしはあやせに叫び掴みかかっていた。あやせもあたしに突然突進されて倒れこむ。 「ぐ…ぅ…きり…のぉ…!!」 「ううううう~!」 もつれ合い揉みくちゃになる。あたしはあやせの手からスタンガンを必死に奪おうとする。あやせはそんなあたしを突き放そうとスタンガンを持っていない片手であたしの頭を上から押さえつける。 あやせはあたしがこんな荒事なんて縁がないだろうと高をくくっていたのだろうか、しかし予想外の反撃に面食らって明らかに動揺していた。 「それを…手から…離して…!!」 「桐乃のぉ…癖にぃ…!!」 ぐぐぐ…。 あやせはなおもあたしの頭を押さえつけ、 「桐乃は…いつもいつも…私のこと馬鹿にして…!」 何を? 「私が必死で…頑張っても…これだけしか出来ないのかって…内心小ばかにしてたん…でしょう?!」 「な、なにを…わけの…わからない…こと…!」 意味がわからない。それなら、それならそっちだって…! 「あ、あやせ…だってぇ…!!あたしのこと…いつもいつも…見下してたこと…全部…知ってるんだか…らぁ…!!」 「!?桐乃…貴女…貴女そんな風に今まで私の事…!!」 そのままスタンガンの所有権をお互いに制そうと、奪いにかかるあたしと守りにかかるあやせ。しかし…。 「きゃあ?!」 バチバチ! スタンガンが一瞬だけあたしに触れてしまった。あたしの体は一瞬で沈黙する。 「ふん…はあ…はあ…あはは…。あはははは!!思い知ったか、雌猫!!」 「うう…」 駄目だ…ぴくりとも動かない。悔しい…。 「あは、あはは…!あはははは!!鍛え方が、鍛え方が違うのよ!いくら、いくらダイヤの原石でも磨かなければ路傍の石ころと何ら変わらないのよ!?」 「ぐぅぅ…」 「ふふ。でも安心して?こんなスタンガンくらいで死にはしないから。所詮護身用だし既に自分の体でどのくらいの威力か実験済みだしね。安心してくたばっているといいよ?」 「…!」 「それよりも…」 あやせは京介君の方へと向き直り、 「ごめんなさい、お兄さん。痛かったでしょう?」 「あやせ…おまえ…」 あやせは京介君の体を愛おしそうにさすりながら…。 「もう、あの不埒な雌猫は私が退治しましたから」 そう、にっこりと。この場に似つかわしくない笑顔でそう告げた。 ~~~ その場の勝負を制したのは私だった。桐乃のいきなりの横からの襲撃と思いもしない馬鹿力には驚いたが、それでも桐乃の作戦は愚の骨頂だと言えた。 近接戦闘で武器を、ましてやスタンガンを持っている相手に掴みかかるなんて愚かの極みなのよ!! しかしこれは自明の理だともいえた。天が、神が私の見方をしているのだ。天の理が兄妹間の禁忌を否と言っているのだ。従ってこの女のお兄さんに対する想いなど芽吹くはずもない。そんなことは世の常識が、この世界が…、そしてこの私が絶対に許しはしない!! 「ぐ…ぅ…き、りの…」 お兄さんが呻く。スタンガンの威力が痴漢撃退用の威力しかないとはいえ、突然でびっくりしたはずだ。けれど威力が威力だからすぐに体の自由が回復するはずだ。 「お兄さん」 「あやせ…おまえ…」 「ごめんなさい。痛かったでしょう?もう大丈夫です。安心して下さい。あの女は私が成敗しましたし、お兄さんの体もじき回復するはずです」 「…」 あの女は後で衣服を剥いて道端にでも捨ててやろう。見てくれだけはいいからきっとたくさんの男達に可愛がってもらえるはずだ。よかったね?桐乃。男に飢えた貴女のその願い、簡単に叶えられちゃうんだよ? 私は仰向けになっているお兄さんの腰の上にまたがって、 「さあ…すこし他の女の性が付着して汚れてしまいましたね。今…綺麗にしてさしあげます」 「…」 私はお兄さんの首筋に下を這わせる。唾液をふんだんに使い、薄くしかし凹凸のある引き締まった胸板にまで舌を這わす。 「お兄さん…んあ…美味しい…ふふ…」 「…」 「んふっ、どうですかお兄さん?こんなこと実の妹には、桐乃には出来ませんよ?」 「…」 「んふふ…」 しかしお兄さんは、 「どけ」 「…え?」 お兄さんは私の目を見つめながら。 「どいてくれ」 「ッ!」 なんで…どうして…お兄さん…。 「お、お兄さ、」 「俺が愛しているのは桐乃だけなんだ」 「ッッ!?」 そう、はっきりと宣言した。 ~~~ 「な、んで…」 「…」 「あの子と結ばれることがどれほどの罪なのか…貴女が一番わかっているはずでしょう?」 「…」 「周りの人も、あの子も、そして何よりあなた自身が不幸になる…。絶対に誰からも祝福してもらえない…」 「…」 「それなのに、なんで…」 「…」 京介君は答えない。あやせの動揺する瞳を真っ向から受け止め、それでも視線をそらさない。 「…」 あやせは沈黙する。そして倒れているあたしの目の前であやせは光彩の全く欠いた瞳を京介君に向けて、 「気持ち悪い」 「…」 「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…」 「…」 「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…」 「…」 「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!」 「…」 「でも!!」 あやせは京介君の腰の上にのしかかりながら、 「そんな人をどうしようもなく好きになってしまった私はどうすればいいんですか!!??」 「あやせ…」 「答えて下さいっ!!お兄さんっ!!」 あやせの咆哮。行き場の失った感情。あの誰にでも優しく、綺麗で美しく、皆の憧れの的だったあやせが…。髪を振り乱し必死に京介君答えを求める。 「…すまん」 「ッ!」 「俺は…もう…騙せない…」 「何を…ですか…?」 京介君は感情を搾り出すような声で。 「俺はもう…自分を騙せない…」 「…」 京介君はあやせの目を逸らさずしっかり見て、 「俺は…おまえを…利用した…」 「…」 「あの時あきらめたはずの…桐乃が…突然目の前に現れて…」 「…」 「もう…これ以上は無理だと思っていたから…二度と会うことがないと思っていたから…。でも…」 「…」 「それでも俺の前に現れた桐乃は…どんどん俺の心の裡を…空白を埋めていって…」 「…」 「それがどうしようもなく怖くて…」 「…」 「それで…それでおまえを…」 「…」 あやせは京介君にのしかかり、じっと俯いている。彼女の艶やかな黒髪に顔を隠されて表情が見えない。 「あやせ…俺は…!」 「お兄さん」 顔を上げたあやせは今までの激情はどこかへ、再びあの穏やかな、しかしどこか艶然な笑みを浮かべていた。 「お兄さん。私と、やり直しましょう?」 「…」 「ふふ…お兄さんったら。酷いんですから。私のいない間に他の女の子に手を出すなんて…」 「…」 「この一回だけですよ?ふふ…私お兄さんのためなら何でも出来ますけど浮気には厳しいんです。英雄色を好むなんて言葉…私達にはないんですよ?」 「…」 「けれどこの責任の一端は私にもありますよね。愛する彼を一人にさせていたのですから…」 「…」 「ふふ…お兄さん見てください。どうですか?」 あやせは京介君の腰の上で着ていたボトルネックコートを脱ぎ始め、下に履いているミニスカートのボタンを外し始めた。 「…」 「ふふ…」 そのまま中に履いている黒のストッキングを破き始める。その中からピンク色の下着が露になる。そして…。 「ほら。よく見てください。私のここ、こんなに濡れてるんです…」 「…」 彼女の下着の奥は濡れていた。左右の指で自らの秘処を拡げるあやせ。てらてらと光を反射して綺麗に光るそれは、年齢にふさわしくない成熟した妖艶さを醸し出していた。 「…」 「んふ…。お兄さんのことを想うと私…こんなになっちゃうんです」 そう胸をまさぐりながら、あやせは京介君の腰の上で自分の腰をくねらせる。 「あの日…私とお兄さんが出会った、私にとっての運命だったあの日…。あの日からずっとお兄さんのことを一人想って自分で自分のことを慰めていたんですよ?」 「…」 「でもご安心下さい。私はまだ処女です。周りの子達って皆早くって…。皆すぐに恋愛したら肉体関係をもってどこの誰ともわからない人に処女をあげてましたけど…私は違います」 「…」 「いつも…いつもお兄さんのことだけを考えていました。出会ったあの日から…。ふふ…わたしって一目ぼれとか甘い恋愛とか全く信じないドライな性格だったんですけど、価値観が変わりました。何故だと思いますか?」 「…」 「お兄さんのせいですよ。お兄さんがすべていけないんです。私はすっかり、ふふふ…お兄さんの色に染まってるってことなんです」 「…」 そうしてあやせは京介君の手を自分の胸に当てる。 「ぁ…ん。ふふ、どうですか?柔らかいでしょう?男の人は皆ゴツゴツしてるから…。女の子の体ってみんな柔らかいんです」 「…」 「もちろん私の肉体は全て貴方のものです。おっぱいだって毎日好きに使ってくれたって構いません。赤ちゃんのようにたくさんおしゃぶりしてくれても…ふふ…どんないやらしい行為もすべて喜んで受け入れます」 「…」 「それに、ほら…。子宮だってもうこんなに育っているんです。これもすべてこれから先お兄さんだけのものです。いくらでも楽しんでください。旦那様にご満足いただくのは妻の役目ですから。それに元気な赤ちゃんだってたくさん産むことだってできるんです。いくらでもお兄さんの欲望の赴くまま孕ませてください」 「…」 「なんでしたら繋いで下さっても構いませんよ?お兄さんが求めるならどんなことだってすべて受け入れます…。首輪と両手両足を鎖に繋いでお兄さん専用の性奴隷、なんていかがですか?お兄さんの臭いをすべて私につけて飼ってみたいと思いませんか?毎朝毎晩お兄さんの望みのままに御奉仕いたします。お兄さん専用の奴隷なんですもの…当然ですよね?」 「…」 「私は永遠に貴方だけのものなんですから…。雌が強い雄に媚びるのは、尽くすのは当然のことなんです。私のこの肉体はすべて貴方のもの…。欲望の赴くままどんな時でもどんな場所でも調教して下さい。ずっと…ずっと私の心も体も貴方に明け渡しているんですから…」 「…」 京介君は答えない。じっとあやせの瞳を見つめたまま答えない。それを…。 「…どうしてなんですか」 あやせは艶然とした笑みを一転、 「どうしてなんですかっ!!」 そう、再び、その激情を京介君にぶつけた。 「…」 「こんなの…こんなの…」 あやせの体は震えだす。もう耐えられない、といわんばかりに。 「こんなのあんまりにも私がみじめじゃないですかッッ!?」 「…」 「惨めすぎるじゃないですか…!」 「…」 「答えてっっ!!」 「桐乃を愛してるんだ」 「ッ!」 京介君はあやせの視線を逸らさずに受け止めてはっきりとそう言った。その言葉に他の意味を解釈する余地はどこにもなかった。 あやせは瞠目する。京介君を、信じられないことを聞いたかのように。聞きたくないことを聞いてしまったように。 「桐乃を…愛してるんだ」 「…お兄さんは疲れてるんです。いつもいつも連日頑張ってましたから」 あやせは優しく微笑みかける。女の私から見ても、慈愛に満ちた聖母のような輝きだった。 「桐乃を…愛してるんだ」 「そうだ、一緒にお風呂に浸かりましょう。お背中流させて下さいな。いい香りのする石鹸を仕事場でいただいたんです。ベルギーからのお土産なんですって。お兄さんの筋肉質で広い背中…私の小さな手のひらに納まりきるかなぁ」 「桐乃を、愛してるんだ」 「ふふ…こんなにたくさんの隈までつくって…。今晩は一緒に寝ましょう?私の事抱き枕代わりにして下さいな。この日の為に今まで身体の隅々まで磨いてきたんですよ?抱き心地だってお兄さんのご満足いただけるものかと」 「俺は!」 京介君は叫ぶ。痺れて動けない身体を精一杯振り絞って。 「俺は桐乃が!桐乃だけを愛してるんだ!!」 「…うるさい」 「どうしようもなかった…絶望しかなかった子供時代から今まで…。俺の心を支えてくれたのは桐乃だったんだ!!」 「うるさいッッ!!」 あやせが激高する。そのまま… ガスッ! 京介君にのしかかったその姿勢から拳を振り下ろす。いつも皆が憧れていた彼女のピアニストのような綺麗で繊細な線をもつ手…。それが皮で破れみるみるうちに赤く染まり上がる。 「どうして!?どうして桐乃なんですか?!ほんの少し、「ほんの少し」出会うのが先だっただけじゃないですかっ?!」 それでも…それでも京介君は…。 「桐乃は俺のすべてなんだよ!!俺の存在のすべてなんだ!!」 京介君もあたしへの思いのたけを思い切りぶつける。 「俺は…!桐乃を…桐乃のことを…」 「うるさい!!しゃべるなッッ!!耳が腐るッッ!!あの女の、あの女の名前を口に出すなッッ!!」 ガスッガスッガスッ!! あやせは京介君の口から出るその言葉を封じようと左右の拳を何度も何度も振り下ろす。彼女の指から流れる血が弧を描き空中に飛び散る。それでも…。 「俺、は…」 ガスッガスッガスッ!! 「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいッッ!!ぐうう…!もう…ひっく…ひぇっ…もう…うぇっ…!!もう…もうやめてぇ…!!やめてよぉ…!!」 次第に攻撃の手が緩やかに止まっていき、泣きじゃくるあやせ。下には血まみれになってもなおあやせを見つめ続ける京介君がいた。 「…」 あやせの攻撃をすべて黙って受け入れていた京介君。あやせの情熱を、どこまでも熱く煮えたぎる彼女の深すぎる想いをすべて受け止めたはずだ。それでも…。 「…」 京介君のその瞳の中には目の前にいるあやせではなくあたしの姿が映っていた。その事実が、彼の一向に揺るがないあたしへのその思いが、彼女にとっては何よりも認めがたく…。 「もうやめてええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 鬼女のような姿から、幼子のように泣きじゃくるその見るに耐えない姿を延々と見せた後…あやせは糸が切れたように気を失った。 続く
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/114.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1257382677/647 京介「なあ、読モって色んな表情やポーズを即座に出来るんだよな?」 桐乃「あによ、まあ。それが仕事なんだし…」 京介「なら、ちょっと…『キラッ☆』なポーズ見せてくれないか?」 桐乃「なっ…何言ってんだか……、『キラッ☆』…orz…。」 京介「ホントにマジでやるとは…」 桐乃「!!? 何!?、今のジョーク?フザケンナっ!キモッ!!フンッ!!」 京介「ワリィワリィ、…桐乃が余りに可愛かったから…、ついな、」 桐乃「!!?、なっ、なななな、何言ってんのよ全くもう…(明後日の方向いて顔真っ赤)」 京介「…なら、次は『股間突き出しM字大開脚、パンツ超クイコミ』を見せてくれないか?」 桐乃「はぁ…全く…って!、何どさくさに紛れて、妹にエロい要求して来るのよ!死ねエエエェェェェェエエエェエエ!」 京介「桐乃それあやせ混じってぶぺらっ!!(桐乃に顔面ドロップキック)」
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/86.html
俺の名前は高坂京介何処にでもいるごく平凡な学生だ 「おまたせしました。お兄さん」 「おっ、結構早かったな」 この一見すると可愛い女の名前は新垣あやせ。俺の知り合い女で彼女にしたらヤンデレ化しそうな女NO1の怖い女なのだ 「お兄さん、ブツブツ一人ごとばかり言ってると危ない人がいるって通報しちゃいますよ」 うおっ、声に出てたのかよ 「悪い・・・最近ゲームばかりしててあまり寝てなくてよ」 「趣味の方もいいですけど、ほどほどにしといた方がいいですよ」 「そ、そうだな」 哀しいことに、俺はあやせに超ド級のオタクだと思われているのだ。もっとも趣味でも何でもなく妹様からの命令だったりする 「今日は本当にあやせが出場すんのか?」 「はい、桐乃のためですから仕方ありません」 桐乃がテストで県内1位をとった&桐之に助けてもらった時のお礼を改めてだとかで あやせはコスプレ大会の優勝賞品EXタトナス・スペシャルフィギアを狙って参加するのだ ちなみに、あのくそガキこと来栖加奈子は喫煙で新聞に載ったため出場停止をくらっているらしい 「優勝できそうか?」 「問題ありません秘策を用意してきました」 目がすわっている完全にやる気みたいだ 「そいつは頼もしいな。期待してるぜ」 あやせのタトナスの衣装なんて本当に楽しみだよな 「あっ、お兄さんは控え室の外で待機してて下さいね」 「なっ、何言ってんだ。それはあんまりじゃねーか!!」 「お兄さんは私のHなコスプレが見たいと?」 あやせの目から光彩が消え失せた 「おう、俺がこの日をどんなに楽しみに」 「下心丸出しじゃないですか死ねェェェエェェー!」 ラスボスそっくりの形相で俺の顔面にハイキックを炸裂させるあやせ。俺は無様にひっくりかえった 「お待たせしました」 俺が控え室の前でションボリ体操座りで待っていると中からあやせが出てきた。手にはEXタトナス・スペシャルフィギアがあり、上着きてがっちりガードを固めている こいつ、本当に優勝したんだな 「やはり桐乃が来ていました私には気付かなかったみたいですけど・・・」 「・・・そうか」 あやせはどこか遠い目をしている。あやせのタトナスのコスプレに歓喜する桐乃の姿が浮かんできた。さすがに少し同情してしまう 話してるうちに更衣室の前まで到着した 「お兄さんはそこで待っていて下さいね。覗いたらブチ殺しますよ」 安心しろ間違ってもそんなに恐ろしいことはしねーからよ 俺はしばらくボーっと突っ立ってると、突然 「キャーーーーーーッ!」 更衣室の中から悲鳴が聞こえてきた俺は何があったのかと急いでドアをあけると中から飛んだゴキブリが出てきた。うおっ、ゴキブリって飛ぶんだな 「おい、大丈夫か、あやせ」 あやせは床にへたりこんでいた 「ええっ、大丈夫です。驚いて、少し腰をぬかしただけですから」 「無事で何よりだ」 良かった、てっきり痴漢が紛れこんでると思って心配したよ 「ところでお兄さん・・・いつまで視姦なさるつもりですか?」 あやせの目から光彩が消えている 「えっ?」 今になって俺はタトナスの衣装を手にもってるだけの裸のあやせを凝視してることに気付いた。思わず見惚れてしまうほどの美しさだった 「わ、悪い」 そういって俺は更衣室の外に出た荒れ狂う俺の青龍をおさえるために静かに流れる小川をイメージしながらあやせを待った。5分くらいして、あやせは更衣室の中から出てきた。俺はビクッとして思わず身構えてしまった 「お兄さん、何やっているのですか?行きますよ」 「あれっ・・・怒ってねーの?通報しますよとか死ねェェェエェェエーは?」 「何言ってるのですか?お兄さんは私のことを心配して入ってきてくれたんです。怒るわけないじゃないですか」 「ああ、本当に悪かったな」 何て心の広い奴なんだ俺は感動しちまった。これが桐乃や黒猫だったらただではすまなかっただろう 「その代わり行きたい場所があります。付いてきてもらいますからね」 「そんなことなら全然構わねーよ」 後程、俺はこの時あやせを甘くみていたことを後悔することになるのであった 「なあ、あやせ、俺達なんでラブホにきてんの?」 あの後俺はあやせにラブホに連行されたのだ 「既成事実を作るためです」 「・・・誰と?」 「もう、いじわる言わないで下さいよ高坂京介さんとに決まってるじゃないですかー」 ふー、良かったぁ、てっきり、俺って言われると思ってヒヤヒヤしたじゃないか ハッハッハ!誰だよ高坂京介って~ 「俺のフルネームだよくっそぉ~~!?」 この状況から考えて俺ですよね 「な、な、な、何で俺とオマエが既成事実作らなくちゃならんのだよ」 それって彼氏彼女の関係になるってことか? 「やだなぁ、お兄さんが私の裸を見ちゃったからに決まってるじゃないですかぁ」 確かに良いものを拝ませてもらったな 「って、それだけで既成事実作る必要性がどこにあるんだよ!?」 「はい、私、結婚する相手にしか裸を見せないって決めていましたから。既成事実を作っちゃおうと思います。何か問題でも?」 つまり結婚しろってことか やめろよ不思議そうな顔で見んじゃねえ。俺がおかしなことを言ってる奴みたいじゃないか 「問題ありだよ。勝手に決めやがって、だいたい俺にも選ぶ権利ってもんがあるだろ!」 偶然、裸を見たくらいで結婚相手決められてたまるか! 「確かにそうですね。まさかとは思いますが・・・お兄さん・・・私の裸をあれだけ視姦しておいて責任を取らないとか・・・いい出しませんよね?」 あやせの瞳から光彩が完全に消えている 「・・・・・・」 えーっと、あやせさん・・・怒らないで下さい。とても怖いんです 「わ、悪いかよ」 俺はなんとか勇気を振り絞った あやせは表情を崩さず、そのまま続けた 「それは困りましたね・・・お兄さんもう一度考え直してくれませんか?」 あやせは困ったように首をかしげる。さすがに、いきなり結婚なんて無理だからありえねーよ 「悪いがさすがにそれは無理だ」 『もしもし桐乃。実はあなたのお兄さんにお犯さ・・・』 「ストォッープッ!!」 俺は慌てあやせの携帯をきった 「何てことしてくれんだよ!」 「冗談ですよ。今のは携帯繋いでませんし」 おい、次のは繋げるつもりなのかよ 「そもそも俺は覗いただけだろうが」 「・・・はい、でも、目で私を犯しましたよね」 「・・・・・・」 「お兄さんもう一番だけお尋ねしますが責任をとって頂けますか?」 「・・・・・・・」 「せ、責任をとらせて下さい」 俺は、その場にひれ伏した 「良かったぁー、もしかしたら断られるかもって思って私ドキドキしてたんですよぉー」 あやせはほっとしたように胸をなぜおろした 奇遇だな俺も性犯罪者されるかもって思ってドキドキしちまったよ 「だいたい、オマエ、結婚相手が俺なんかでいいわけ?」 だってこいつは俺のことを変態シスコン野郎と思ってるわけだしよ 「お兄さんならぜんぜん問題ありませんよ。それに桐乃が義妹になるっていう魅力的な特典もつきますから。フフっ」 あやせが嬉しそうに微笑む。要するに俺はビックリマンチョコにおけるチョコってことか? 「お兄さん、少しあっちを向いててくれませんか」 俺が言われたとおりあっちを向く、何のつもりなんだ 「もう、いいですよ」 「うおっ」 振り返るとあやせは何一つ纏ってない状態だ。俺の心臓はバコンと動き思わず息が止まりそうになった 「やっぱ、ヤっちゃうの?」 まだ、心の準備ってもんが・・・ 「はい」 あやせはそう言って俺の手を取り、そして、そのまま唇を重ねてきた 「んんぅ・・・」 唇が触れあうだけのキス。たどたどしくて、いかにも経験がないって感じのキスだ。しばらくするとあやせが口を離してくれた 「お兄さんと・・・キスって変な感じですね・・・」 「確かに・・・考えたこともなかったな」 まさか妹の親友とするとことになるとはな。あやせの甘い臭いが俺の脳を刺激してくる 「ん・・・んんっ・・・」 今度は俺の方からさっきと同じように唇を合わせあやせのなかに舌を入れた 「んっ・・・!」 あやせは、ちょっと身体を震わせるてそのまま俺を受け入れてくれた 「あんっ・・・、んんっ・・・」 舌と舌を絡めあわせる。これがエロチューってやつか? 「んちゅっ・・・、んんっ」 あやせはうっとりとした顔をする。つい夢中になっちまうじゃんか 「ちゅっ・・・、んっ・・・、んぅ・・・、ん・・・、んんっ」 そのままどれくらいの時間が経ったんだろう? 俺はゆっくりと唇を離すと口と口の間に糸を引いていた 「はぁはぁ・・・お兄さんの舌Hです」 あやせの目の焦点はあってないみたいだな 「あやせの唇が気持ちよくってよ・・・もっとしていいか・・・?」 「はい・・・お兄さんの好きにしてください」 俺はふたたびあやせの唇に舌を入れた 「んふ・・・、んん・・・、ちゅ・・・、んく・・・」 あやせの胸が俺に当たる。そんなもんくっ付けてくると触っちまうぞ 「はぁん・・・、んぁ・・・、んんっ、んちゅ・・・、ん・・・」 水風船みたいな感触だな 「んふっ・・・、んんんっ、・・・、・・・、んぅ」 俺はあやせと舌を絡め唾液を交換しながら胸を好き勝手にこねるように動かしていく 「んふ・・・、んん・・・、ちゅ・・・、んく・・・、ん・・・」 あやせは感じてんのか? 「うぅんっ・・・うんっ・・・んぁっ」 こいつの美人でスタイルのいい身体は病み付きになっちまいそうだ 「あやせ、そろそろ準備にかかるからな」 俺は直にあやせの割れ目に触れる 「きゃっ!」 驚いてんな? 「何をするんですか!!」 「エッチする準備だよ。ここをよく濡らさないと痛いらしいぜ。あやせは自分で触ったこととかねーの?」 「はい・・・そこを触ると気持ちいいと耳にしたことはあります。実際に自分で触ったことはないですけど」 あやせは真っ赤な顔で答える。 可愛いやつだ あやせの肉の溝に慎重に力を入れて、指先を少し沈める 「は・・・っ、あ・・・!うあ、あ・・・お兄さんの・・・指入って・・・ふあ、あぁぁ・・・!!」 「痛かったから言えよ」 はっきりいって俺もよく分からないし 「ゃ、あ・・・はぁぁ・・・!」 あやせの中の指が厚い粘膜にギュッと締め付けられる。 「やっ、・・・お兄さん・・・何を!」 あやせは恥ずかしそうに身を捩る。 俺はあやせの股関に顔を近づけて舌先で割れ目を舐めあげる 「やぁん・・・お兄さん・・・そこ汚い・・・ぁあぁん!」 あやせが頭を必死で押し離そうとする 「悪い、あやせこういうもんなんだ・・・」 指でやってもいいんだけどな頑なに閉じようとする肉襞をこじ開けて、熱くとろけた柔肉の中に舌を差し入れた。 「はぁぁ・・・っ!あく、ん・・・っ!舌、はぁ、舌ぁ・・・ふぅんんっ、にゅるにゅる入ってきます・・・っ」 」 ぐるぐると性器の入口で舌を回す。だらだらと溢れた蜜が口の回りを汚す 「はぁ、あ、・・・お兄さん・・・っ!は、ああ、あぅ・・・っ!ぁ、ぁぁ!」 舌を引き抜くと、中に溜まっていた泡立つ愛蜜が溢れきた。大分濡れ来たみたいだな 「あやせ・・・そろそろ大丈夫そうか?」 「わかりません、でも何とかなると思います・・・」 だったら、そろそろ、始めるとするか。せっかくだから・・・ 「あやせ騎乗位って知ってるか?」 「初耳ですね。なんでしょうか、それは?」 本当に知識がないのな 「俺の上に乗ってあやせが動いてくれればいいんだ。そっちの方が痛くないって聞いたこともあるし」 俺がやってみたいだけですけどね 「わ、わたしがお兄さんの上で動くのですか?恥ずかしいです。でも、お兄さんがそういうなら・・・」 すまん、あやせ、おまえを俺好みの女にするためには必要なことなんだ 服を脱ぎ仰向けになる 「俺にのっかてくれ、あやせ」 あやせが俺のちんこを覗き見る 「これが男の人の・・・私の中に入っちゃうんですね」 あやせはぺニスを恐る恐る掴み。俺に股がった 「お兄さん・・・いきますよ」 あやせは少し震えてる。やっぱこいつ怖いんだよな 「あまり無理するなよ」 「そうさせてもらえます」 あやせは、そう告げると腰をおろしたが、ずるりとお尻の方へとずれちまった 「・・・うまく、いきませんでした。もう1度やってみますね」 「おう、焦る必要なんてないからな」 あやせは俺のものをしっかり掴み腰を下ろす 「~~~~!」 少しだけ俺のペニスが侵入すると。あやせは眉を寄せ、苦しげな表情を浮かべた。俺は、すぐにあやせを引き離した 「無理すんな。なんだったら今日はやめておくか?別に今日しなくてもいいんだしよ」 もう、おまえから逃げようなんて考えてないし 「いえ。・・・お兄さんと、今日・・・結ばれたいって・・・思っちゃいましたから」 以外に可愛いこと言ってくれるやつだな 「本当に大丈夫か?」 「大丈夫ですよ・・・お兄さん」 あやせは俺に軽くキスをし再び俺に股がり腰をおとし始めた 「ん・・・く・・・あ、ああ・・・」 先端が、ゆっくりとあやせの秘裂を押し開きながら、入っていく 「できるかぎり力を抜けよ。でないと痛いからな」 「あ、く・・・う、んぅ・・・」 先端はめりこんでいるけれど、まだ先が入ったわけはないみたいだ 「はぁ・・・はっ、はぁ・・・いっ・・・!」 荒い呼吸を繰り返し、あやせは痛みに表情を歪めていた。大きな瞳は、涙の粒で潤んでいる本当に最後まで我慢できるのかよ? あやせは体重をのせズブズブ腰をしずめてくる 「あ、ん・・・く、ぅ・・・あ、ああ・・・」 あやせの体内へ、俺のモノが埋まっていく 「ぐ・・・くっ、ぅぅっ・・・!」 これ以上ないくらいに張りつめている俺のモノが、あやせの中へ埋まっていく 「ぁ ・・・くっ!ん、う・・・ぁ、ぁぁ・・・はっ、ぅ」 それと同時にあやせの顔がきつく歪み、苦悶の声が漏れ出てくる。限界まで広がったあやせの秘所から赤いものが滲みだしてきた 「ん・・・いっ、あ、んっ・・・!」 さらに腰が落ちていく。あやせは眉を寄せ、目を硬く閉じ、唇を噛み締めている。そしてついに限界まで俺のモノがあやせの体内へと埋まった 「はぁ、はぁ・・・んっ、はぁ・・・」 荒い呼吸を繰り返すあやせは目からポロポロと涙を溢す 「だい・・・じょうぶですから」 大丈夫のわけないだろう 「ごめんな・・・」 「なんで・・・謝るんですか?」 「痛かったんだろ?」 「これは、お兄さんと私がつながった証ですから・・・痛くてもいいんです」 あやせは嬉しそうな笑顔を浮かべる 「そっか・・・」 俺は思わず見惚れてしまう 「お兄さんは私の初めて奪っちゃたんですから本当に責任をとってもらいますからね」 「・・・そうだな」 その笑顔のためなら悪くない気もするな それから少したって 「そろそろ動いてもよさそうです」 まだキツそうじゃん 「つらくないのか?」 「気にするほどの痛みじゃありませんから」 あやせはすぐに自分の手を伸ばして、俺の手を握り締めてきた。指と指を絡めあって、はずれないようにする そして、あやせは腰を浮かせ動かし始める 「んっ・・・あっ・・・ふっ・・・あん・・・太いです・・・あっ・・・」 性器同士が触れ合う。くちゅりと水温が響いて、あやせが腰をかすかにくねらせた 「大丈夫か?別に無理はしなくても・・・」 「いいえ・・・もう、あまり痛くないみたいです」 あやせがゆっくり腰を落としていく。ぺニスの先があやせの中へと潜り込んでいった。 「あぁっ!・・・なんか・・・はぁあ・・・ふわふわ・・・あふっ・・・してます・・・ぁんっっ!」 あやせはリズムよく腰を上下に動かした 「あっ、ああっ、いやっ・・・だめっ・・・いやらしい音がして・・・やぁっ」 俺のモノを根元まで飲み込んであやせが身体を振るわせる 「くっ・・・!あやせの中・・・気持ちいいっ・・・!!」 これが女の中ってやつか 「ふぁっ・・・ぁっ・・・んっ、く・・・お兄さんのおち○んが私の中に潜り込んできて・・・ぁぁぁっ・・・ 」 あやせは、そのまま腰を振り続ける。 「・・・お兄さんを・・・あくっ・・・もっと気持ちよくして・・・んふぁぁっ・・・あげますからっ・・・ぁあぁぁっ」 握り締めたあやせの両手を引き寄せるようにしながら、俺も負けじと腰を振り始めた。あやせの一番奥に俺のナニが勢いよく突っ込まれていった。がくがくと、あやせの身体が揺れる 「やんっ・・・お兄さん・・・あまり・・・激しく動かさないでください・・・ぁぁっんっん」 腰を動かすスピードを上げると、あやせの声も短く断続的に発せられる。目をつぶったあやせは、来るべき快感の波を待ち構えているようにも見えた 「んあぁっ!だ、だめぇっ・・・ひぅぅっ!」 「・・・可愛いぞ、あやせ」 「お、お兄さんのバカぁ・・・」 あやせは恥ずかしげに首を振る。容赦なく、あやせを突き上げる。膣内を勢いよく擦りあげるたびにあやせの中がきゅっと締まりを増し、俺に快感を叩き込んでくる。 「うあっ・・・くぅ・・・!!」 すごい快感だな 「ああぅっ・・・!!お兄さんのおちん○んが・・・ひゃうっ・・・私の中で大きくなっちゃって・・・んんんっ!!」 動きを遅めていたあやせの腰が再び早まり始めた。俺が突き上げるのに上手く合わせて腰を落としていった 「やっ、やっ、なんかぁぁっ・・・込み上げてきて・・・っ!・・・ぁあぁっ!!・・・飛びそうです・・・ふぁぁっ」 奥深くまでぺニスを打ち込むとコツンと固い感触をし、あやせが身体を激しく震わせた 「くうぅぅんっ、ふあっ、あああぁぁぁっ!!」 あやせが背筋を仰け反らせて掠れた声を上げる。絶頂を迎えた膣内が、きゅっと締まる 「くぅっ・・・」 俺は、その快感に我慢できなくなった熱い精液が勢いよく吹き出してあやせの膣内を汚していった。 「はぁっ、はぁっ、はぁ・・・はぁっ・・・」 「あやせっ・・・よかったぞ」 「はぁ・・・はぁぁっ・・・はぁ・・・こんなに・・・気持ち、いいものなのですね・・・」 「ならまた・・・しような」 「そうですね」 荒い息を吐きつつ俺とあやせは重なりあった それから数日後の話だ。 「こんにちは、お兄さん」 俺は家の近くであやせに合った 「おうっ、あやせ、桐乃と遊んでいたのか?」 「いえ、たまたま近くを通りかかっただけですよ」 「そうか、奇遇だなぁー」 その割にはタイミングが良すぎやしねーか? 「ところで、お兄さん。昨日は何をしていらしたのですか?」 あやせの瞳の光彩が消えている。手には何故かバットを持っている 「えーと、本を買いに行ってただけど」 確か黒猫に偶然合ったんだよな 「女性の方とデートをしていませんでしたか」 はっ、んなわけねぇーだろ 「何言ってんだよ黒猫って娘と偶然あって一緒に買い物して帰りに食事とっただげだよ」 あれっ? 「十分デートじゃないですか!死ねェェェエェ!!」 あやせのバットが俺の鼻先をかすめた 「うおっ、危ねぇ、当たったら怪我じゃすまねーだろ!」 「うるさい黙れ死ねッ!あれだけわたしにエッチなことをしておいて・・・まさか!あの娘にもエッチなことをしてるんじゃないでしょうね」 俺は全力でその場を駆け出した 「あいつとはただの友達だよ。そんなわけねぇーだろ」 「逃げながら言っても説得力ありませんっ!」 あやせがもの凄いスピードで追いかけてくる。なんでバット持ってるのにこんなに速いんだよ 「おまえが物騒なもんブン回すからだろおまえが!」 ちなみにこの後小1時間ほど追いかけっこは続いたのだがたまたま通りかかった警察に補導され、2人で仲良くしぼられるハメになった
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仮題 02 『ストーカー』とは、一体何なのだろうか。 難しいことはさて置き、ここでは、事実を体系的に並べていこうと思う。 まず、『ストーカー』という言葉は、英語の『stalk』という単語からきているのはご存知だろうか。 『stalk』とは、獲物などに忍び寄る者を表す語のことであり、つまりは、狩猟に携わって生計を立てている人々のことを指すものなのだ。 そこに『――er』という、人物を表す接尾辞を加えることによって、『stalker』、ひいては、『ストーカー』、という語が生まれ、そこから俺たちが現在認識している意味での『ストーカー』へと近づいて行ったのだ。 また、『ストーカー』の歴史については大して造詣に深くないので割愛とさせてもらうが、個人的な意見を言わせてもらえば、人類が長い歳月の中で築き上げてきた英知と同様、長い歴史の中には然るべき『何か』がたくさんあったはずだと、俺は信じている。 ……敢えて、その『何か』を答えることは控えさせていただくがな。 近年の『ストーカー』被害についても、軽く触れておくべきだろう。 知っての通り、『ストーカー』被害という問題は深刻だ。 犯罪件数は年間に1万2千から1万5千の間を推移しており、主に若い女性が被害の対象となっている。 男性についても、件数は全体の総和から見れば事件数自体は少ないものの、約1割以上の方が被害に遭われているのが現状だ。 だからこそ、両性の被害者に共通する点はと言えば、加害者に並々ならぬ好意を抱かれているということくらいだろう、と俺は勝手に結論付けている。 ご存知の通りこの顔なので、被害にあったことがないことは恐縮だが、恐らくは、とても精神的にきついものがあるのだろう、と、俺は思っている。 いくら自分のことを好いているからこその行動なのだと言っても、執拗に無言電話をかけられたり、捨てたごみを漁られたりしたら堪ったものではないからだ。 そんなことをされてもその人物に好意を抱けるわけもなく、むしろ二度と関わってほしくないと思ってしまうのが関の山なのではないだろうか。 つまり、被害者と加害者、両方ともに何のメリットもない訳で。こう言っては何だが、プラスを生み出すことのない、お互いへの傷つけ合いの連続なのだ。 だからこそ、そのような生産性のない行為は、即刻にもやめるべきものなのだ。 そう。やめるべき、ものであるのだが……――。 「――俺が言えた義理じゃ、ねぇんだよなぁ……」 はぁ、と、本日何度目かしれない溜息を、俺は、勿体なげに吐いた。 ……今日の自分の行為を思い返しながら。 「……なーにが悲しくて、あいつらの後をこそこそつけまわんなきゃなんねぇんだよ、俺は……」 小さく毒づく。 全くもって遺憾だ。はなはだしく遺憾だ。 ――そりゃ、あやせはストーキングしたくなる位可愛いけどさ。 何ッッで、あんのクソ生意気な妹様の後を、こんな平日の夕方にまで……。 ……まぁ、だからと言って別にあやせの後をつけようとは思わないのだが、それにしたって、何というか、気分っつーものがある。 うまくはいえねぇけどさ。 「……」 俺は、近隣の方に不審に思われないよう、なるべく普通の格好、そして様子で、二人の後を追っている。 あらかじめあやせに帰宅するときの通り道を聞いているので、見失うか失わないかという距離を保ったままに、だ。 なぜなら、この距離ならば万が一桐乃に見つかったとしても、『”偶然”通りかかっただけだ』という言い訳が出来るかもしれないし、なにより、桐乃をつけているとかいう不審人物と遭遇する可能性がある、というあやせの持論に基づいているからだ。 そううまくいくかねぇ、と内心訝りながらも、俺はあやせの指示に従っている。 その理由は、ま、後に語ることにするけどな。 やるからには不真面目にするつもりはない(というか、不真面目にしたらあやせにガチで殺される)ので、一応周囲には目を配らせているのだが、まだ、これと言った怪しい人物は見つかっていないのが現状だ。 「……アツイ」 夏本番、というにはまだまだなこの時期。しかしながら、額から流れる汗が止まることはない。このジメッとした空気に汗腺がやられているからだろう。 延々と歩いているというのも、その一端を担っているかもしれない。 ――だってあいつら、ぐるぐるぐるぐる色んな所を回っているからサァ、いい加減キツイ訳よ、俺も。 「……ふぅ」 自前のハンカチで、汗を拭う。 ポケットに戻す時にふと見えた布の表面は、歪な斑模様で一杯だった。 じっとりとシャツに滲む汗も、なんだか異様に鬱陶しかった。 「……」 俺はハンカチをポケットにしまい、あの二人の姿を見ることのできるすぐ手前の角を、右に曲がった。 「――っ」 曲がった先は西の向きだったらしく、眩しく、そして濃い赤光が、立ち昇る陽炎の揺らめきと共に俺の目に差し込んだ。 「……ったくよぉ~」 俺は眉毛の辺りに手で陰りをつくって、そして目を細めた。 思ったよりも小さくなっていたあやせと桐乃の後ろ姿に少し驚きつつ……、 『ストーカーのことなんか忘れてんじゃね?』、と思わずにはいられないほど、仲睦ましげな様子で帰宅している二人の影を遠目に見つめて、俺は、思った。 ――あんな約束、かっこつけてするんじゃなかった、と。 ――昨日(さくじつ)の昼過ぎから、午後6時半ばまで。 先日のあやせとの熱いあつい逢瀬から帰宅した俺は、心機一転、入試に向けての勉強をするというとても有意義な時間を過ごしていた。 ……別に気が変になったわけじゃねぇよ? ただ、『今年一年くらいは悔いが残らないようにしよう』と思ったからこその行動なんだ。 ……だってさ、入試に落ちたら親父とお袋にも悪ぃし、麻奈実との約束もあるしよぉ。 それになにより、茶髪の誰かさんの、努力に裏打ちされた華やかな輝きに触発されたのも大きいからってのは、否定できないわけで……。 ……オホン。 とまあ、そんなこんなで、夕飯までの5時間弱を、俺はなんということもなく勉強に注ぎ込んでいたんだ。 だけどまぁ、このようにやり始めるまでは気乗りのしない勉強も、案外集中しだすうちに苦にならなくなってくるもので。 小休止を挟みながらの勉強はいい感じにはかどった。 ただ分からない箇所も多々あったので、『後で麻奈実に電話して教えてもらおう』と、ぼんやりと考えながら勉強していたのも事実だった。 カリ、カリッ、と、一心不乱にシャーペンを握りしめていた俺。 そんな俺の集中が途切れたのは、階下から聞こえたお袋の、「京介~、桐乃~、晩ごはんよぉ~!」という間延びした声が聞こえた時だった。 ちょうど切りの良いところまで進んでいたので、適当に返事をしながら、食事の席へと着くためにドアに向かって足を運んだ。 「……あ」 「っと」 そこでドアをひらくと、当然というべきか、バッタリと桐乃に出くわした。 幸いにもぶつかることはなかった。 けれども、出くわしたのが妙なタイミングだったことと、昼のあやせとの一件があったため、主に俺が原因の気まずさを含んだ一瞬の間がこの場に発生してしまった。 「……」 なんとなくいたたまれなくなった俺は少し視線を下ろした。 目に映ったのは、白を基調に黒の水玉がのったドルマントップス、そしてその下にのぞくピンク色のタンクトップ。 下は、豊かな脚線美を強調する黒色のフリルショートパンツ。さらには、どっかのピアスやらネックレスやらなんやらが一堂に会す、という、かなり気合いの入った装い。 どっかに出かけてたのだろうか、とも一瞬思ったが、こいつにとっては普通の私服なのだろうと思い直した。 ま、天下の読者モデル様だしな。こんくらい普通なんだろ。 「……何、アンタ。家の中にいたの?」 「……はい?」 桐乃は俺のいたたまれなさなど無視して、唐突に話しかけてきた。 ……ていうか、俺、家にいちゃいけねぇのかよ。 「……朝、急いでどっか行ってたジャン」 「……あー」 ――なるほど。 つまり、いつの間に帰ってきたのか、ということを聞きたい訳なのだろう、コイツは。 どうしてそうつっけんどんな言い方しかできないのかね、うちのお姫様はよ。 俺はいちいち話すようなことでもないと思ったので、無難に、 「……その用事は昼過ぎぐらいに終わったからな。 そのあとは部屋でずっと勉強してたよ」 とだけ返しておいた。 桐乃には言わない、という内容の約束をあやせとしたというのもあるが、コイツに余計な心配をかけたくなかったのも本音だ。 ストーカーなどといったデリケートな話題は、出来る限り避けておいた方が賢明だからだ。 相手にされなかったりパニックに陥ったりと、どちらにしろ良くないリアクションが返ってくるのは目に見えてるしな。 「……ふーん」 「そういうお前は?」 「……は?」 「お前もどっか行ってたんじゃねーの?」 一応聞いてみる。 すると桐乃は、口を尖らせながら、ちらりとこちらを見て、 「……ナニソレ? アンタにカンケ―なくな~い?」 と、言葉を紡いだ。 そしてすぐにそっぽを向かれた。 「……そりゃあ、まぁ、そうだけどよ……」 お前、知ってんのか。結構なストーカーに付きまとわれてんのかもしれねぇんだぞ? それにあやせはそんなお前のこと心配してくれて、嫌いな筈の俺にまで相談してきたんだぜ? なぁ、ホントに大丈夫なのかよ? 「……」 口に出すのには、憚られた。 そんな俺の歯切れの悪い返事と沈黙を見て、なぜか、先ほどまでの桐乃の不機嫌さが一転した。 桐乃は唐突に、ニヤ~、と口元を緩ませてこちらに詰め寄りながら、 「そうだけど……って、な~にィ~? やっぱりィ~、あんたってェ~、そんなに妹のこと気になるワケェ~?」 ププッ、と、俺や黒猫をからかう時特有の表情と、妙に間延びした声で尋ねてきた。 「……そんなんじゃねーよ。つか、まだ根に持ってんのかよ、あん時のこと」 『あん時』というのは、アメリカで俺が桐乃に泣きついた時のこと。 「は? 忘れるわけないジャン。 ……それにィ~、あれのことだけじゃないしィ~」 「じゃあ他にどんなのがあんだよ?」 「……自分の胸に手を当ててみれば?」 俺は黙って、胸に手を当てて、 「……心当たりがねぇな」 と、すっとぼけた。 なぜならこれ以上は都合が悪いから。 「……フン、忘れたとは言わせないから」 「……わ、分かってると思うが、言わなくていいからな?」 言いながら、しまった、これじゃあフリになっちまうじゃねぇか、と思ったのはご愛嬌だ。 俺の葛藤などつゆ知らず。桐乃はその丸い顔を僅かに膨らませ、バッチリ決めたメイクの下から綺麗な赤い頬を表にだして、 「……あ、アンタ、が……あ、アタシの胸、を……さ、触ってきたこと……とか」 「だから言わなくて良いって言っただろうがよぉ!」 やっぱりこうなるお約束! ていうかやめて! あれは全部過去の過ちなんだよぉ! それに、言ってる自分が恥ずかしがってんならそもそも言うなよなっ! 桐乃の暴走はさらに続いて、 「アタシを抱きしめて、い……『妹が、大ッッ好きだぁぁぁ』とか、叫んでたこと……とか」 「それはお前も理由知ってるよなぁ!?」 曲がりなりにもお前を助けたんだぞ? それにそのおかげでおかげであやせたんに嫌われちまったじゃねぇか! どうしてくれんだよ、この人生で最大の過ちをよぉ! 「それにこないだだって、いきなり電話してきて『おまえさ、俺のことどのくらい好き?』とか聞いてきたし」 「それっ! ……は……」 黒猫のことが、あったからで……。 でも、コイツには…………いえねぇ。 「それは…………なに?」 「え、と……」 「ねぇ…………何でなの?」 「……な、なんでもいいだろっ?」 すると桐乃は「ッチ」と舌打ちをしたあと、何故かまたも唐突に不機嫌な様相を表情の全面に表した。山の天気みたいな顔面だ。 桐乃はクルリ、とこちらに背を向け、小間使いにかけるような声で、 「…………つーかサァ、出かけるなら出かける、昼過ぎに帰ってくるなら帰ってくる、ってちゃんと言っときなさいよ」 「……え?」 「……今日の予定、狂っちゃったジャン」 と、言ってきた。 ……うっっっっっっっぜえぇぇぇぇぇ!! なに、さっきからよぉ!? 俺何も聞かされてないんですけど!! つか、俺は出かける度にいちいちお前に許可を取って、何時に帰ってくるかってことまで言わなきゃなんねーわけ? それに自分のことは差し置いて、なんで俺がお前の予定に合わせて行動しなきゃなんねーの? 今日も変わらずにお美しくて、そしてそれ以上に理不尽ですこと! いつものこととはいえちっとばかしカチンと来たのだが、予定がどうのこうの言ってたので気持ちを鎮めながら、俺は、 「……それはスマンな。 ……で? どんな予定だよ」 とだけ、尋ねた。 それを聞いた桐乃は、先ほどの表情に、器用にも不満げな様子までつけ加えて、 「メルルの3期に備えてのDVD鑑賞会に決まってんでしょ。 家でやる予定だったのに、アンタがいなくなったせーで中止になったんだから。 沙織と黒いのとアタシにメーワクかけた分、今度なんかしてもらうから」 「何が決まってんだよ!初耳だよ、んなことはよぉ!! つか、そういうイベント事があるときは前もって言っとけよ!!」 いつにましても無茶振り飛ばしてんなぁ、おい! ついつい大声で反応しちまったじゃねぇかよ! 「昨日の夜にチャットで決まっちゃったんだから仕方ないジャン。 ……どーせアンタ”地味子”ぐらいしかつるむ相手いないしぃ~、だったら一日中暇なハズっしょ? ……てゆ~か~、何? なんで出かけてる訳? マジ信じられないんですケドッ!」 こちらを見ずにそう吐き捨てた。 「仕方なくねぇし、地味子って言うんじゃねぇっ! あと、俺にだって麻奈実以外に友達はいんだよ!! だからお前にバッカ構ってられっほど暇じゃねぇの!」 主にシスコン兄貴(俺のことじゃないぜ?)とかな。 それに、最近はあやせに着拒解いてもらったし、相談だってされてんだぜ? ……ま、あやせのことは秘密だけれども。 「っ!……あっそ!」 ぷいっ、と、すげなく返される。 なんかもぉ、ツッコミ所が多すぎで、どこから手を付けていいのやら。 ……ただ、なんで俺がいなかっただけで鑑賞会を中止にしたのか、という理由だけが良く分からない。 でも、それ聞いたら怒るんだろうなぁ、コイツ。 ま、触らぬ神に祟りなしって言うし、ここは全部まとめてスルーしておこう。 「……あーはいはい。 後であいつらには謝っとくから」 俺が話を切り上げて結論をまとめようとすると、そのことにまた腹を立てたのか、桐乃は、顔だけをこちらに向けて、 「……謝るだけじゃなくて、行動で示しなさいっていってんのっ! あと、ハイは一回って小学校で習わなかったの、アンタ?」 と、訳わかんねぇことを口走った。 ……もうツッコマねぇぞ? 俺は。 このメンドクサイ妹様をどうやって言いくるめようかなぁ、と思案していると、「ふたりともぉ、何してるの? はやくしなさーい!」、というお袋の声が階下から響いた。 ――久々にナーイス、お袋! 「……ほら、飯だってよ。早く行こうぜ」 にやけてしまいそうになる口元を必死に引き結びながら、俺は桐乃にそう言った。 桐乃は言い足りなさそうな様子だったが、俺の言うことにも一理あったためか、 「……この続きは後でするから」 ブスッとした様子でそれだけ言って、ポスポス、とスリッパで大きな音を鳴らしながら階段を降りて行った。 「……ふぅ」 なんとなく勝利の余韻に浸りながら……、 俺は、部屋の電気を消した後、自室のドアを閉めてから桐乃の後に続いた。 今の俺なら、カレーに味噌汁とかいう訳の分からん組み合わせでも、嬉し泣きしながら食べられそうだった。 ――夕食後。桐乃の自室。時刻はおよそ、7時ジャスト。 先ほどのものは負け惜しみを隠すためのポーズだと思っていたのだが、どうやら考えが甘かったようだった。 食べ終わった食器を流しへと運び、その足で階段を昇ってきた俺だったが、ピタリ、と、歩調を止めて、階段の途中でしばらくの間立ち止まってしまった。 なぜかって? そりゃ、 「……何してんだよ、んなとこで」 桐乃が俺の部屋の扉に寄りかかり、訳の分からない証明問題でも解いてそうな難しい顔して佇んでいたからだ。 俺からしたら不機嫌な顔して怒っているようにしか見えなかったが。 「……フン」 桐乃は、ちらり、と、大きな瞳を細めてこちらを一瞥すると、無言で自分の部屋の前まで歩を進めた。 醸し出される雰囲気から察するに、どうやら”ついてこい”という意味らしかった。 あってんのかどうか知んねぇけどさ。 「……やれやれ」 どうやら高坂家きっての可愛いお姫様は、まことにご立腹のようだ。 背筋をピン、と伸ばした、その細っこい背中をしげしげと見つめつつ、俺は、いそいそとあいつの後に続いた。 ばたん。扉を閉める。 「……」 相っ変わらずの甘ったるい匂い。ここ最近、まぁ、数えられる程度のことだけれども、こいつの部屋を訪れたものだ。だが、なぜだか一向に、この匂いにだけは慣れることが出来ないでいる。 これから先も慣れることなどないと思うが。 「あんたはそこね」 ベッドに腰掛けながら桐乃は、ポイっ、と、見覚えのある猫のクッションをこちらに投げて寄越し、剥き出しのフローリングに座るよう俺に要求した。 少し既視感を覚える。最近のものだ。だけどそれは勘違いだともすぐに分かった。 ……もう、一年も前のことになったんだな。 一年前……初めてコイツに人生相談をされた時とは、同じ様で、ほんの少しだけど違う状況だった。 あのときはこちらから座布団を要求した。けれど、今回は、桐乃が何も言わずに座布団を渡してくれた。 「……」 もしかしたら気まぐれなのかもしれない。 もしかしたら偶然近くに座布団があっただけなのかもしれない。 だけど俺は、この一年間で僅かに変わった俺と桐乃との間にある距離を見て、こみ上げてくる嬉しさを隠せずにはいられなかった。 だってよぉ、”ほとんど”変わってねぇんだもん、一年前とさぁ。 「……何? なんでいきなりニヤケてんの?」 桐乃は、疑惑半分困惑半分、と言った様子を表情全面に出した。 いや、しかめっつら成分の方が若干多いのかもしれないな。 そしてまぁ、そのしかめっつらには、『超キモいんですケド……この変態』とでも書かれてありそうだった。 「……くく」 その気持ちは分かるよ。お前からすれば、お前が座布団を投げた瞬間俺がにやけだしたんだから。俺だってお前と立場が逆ならお前と同じことを思うだろうよ。 ……けど、仕方ねぇだろ、表に出てきちまうもんはよぉ。 「……あぁ、いや……なんでもねぇんだ。ホント」 ホント、なんでもねぇ。 ただ、悪くはなかったな、って思っちまっただけだからさ。 こんな風に変わらない関係がいつまでも続けばいいなってさ。 「……ま、アンタがキモいのなんていつものことだケド」 そうだな。 今回ばかりは反論の余地もないよ。 だから俺は話題を変えることにした。 「……で、何したらいいんだ?」 「……ホント、アンタ一体どしたの? マジでキモいんですけど……」 人生相談ではないことはもちろん知っている。ただ、今の俺は気分がよかったのだ。 ついつい尋ねてしまう。 「……ふん。ま、イイけどさ。……さっきの続きに決まってんでしょ」 「さっき?」 「そ。さっき廊下で言ったっしょ? この埋め合わせはとってもらうからって」 「……あー」 「で? なにしてくれるわけ? 言っとくけどぉ、アタシ、結構期待してるんだよね~」 ふふん、と口元を綻ばせながらにやけだす桐乃。その姿だけ見ると、年相応に幼くて非常に可愛らしかった。 発言自体は全然可愛らしくなかったがな。 ……てか、やっぱりその話はしないといけないのか。 つくづく面倒な話だ。気分が良いからって、何でもかんでもモノを言うもんじゃねぇな。 また面倒事に巻き込まれそうだ。 あーあ、失敗した。発言には、今度からはもっと気を付けないとな。 漠然と、そんな風に思った俺だった。 だが、言葉にする以上にそんなに嫌な気分でもなかったことも、なんだかちょっとくやしかったのは事実だ。 「……じゃあ例えば、どんなことしたらお前は喜ぶんだよ――?」 俺と桐乃の大声交じりの交渉は、30分もの長い時間に及んだ。 ―――7時半、自室。 先ほどまで桐乃の部屋に連れて行かれていた俺は、ようやく自室に帰ることが出来たことで、少し安心していた。 フゥ、と、ベッドの端に腰かけながら、一息を吐く。 緩慢な動作で、俺はポケットから携帯を取り出し、アドレス帳から”田村麻奈実”の項目を見つけ出す。先ほどの勉強で分からなかった所を質問するためだ。 ……ちなみに、俺は桐乃との一方的な交渉の末、秋葉原でメルルのグッズを買うことを約束させられた。 メルル関連の商品をほとんど網羅している桐乃には意味ねぇんじゃ、と思ったのだが、そこは桐乃。抜かりはなかった。 一緒についていき、その場で持っているかいないかを判断するのだそうだ。 だが、そこで当然のように疑問も生じたわけで。 『だったら俺いらねぇじゃね?』と思って、 『金やるから自分で行けっ!』と、言うと、 『それじゃあ意味ないジャン。……何言ってんの?』と、蔑んだ視線で逆にバカにされてしまった。 ……なんなんだかなぁ。 最近、ドンドン理不尽になっていってるような気がするぞ、俺は。 「……」 ……ま、それはそれ。別のはなしだ。 俺は無機質なコール音をカウントしながら、パラパラ、と分からなかった箇所を捲った。 先ほど解いた時、後で復習をしやすいように、と付箋していた問題のほとんどが、数学。 ……しょうがねぇだろ? 数列とか三角関数とかわからねぇんだもん。 ノートを開いたままにしておく。 4回目。5回目。6回目。コールのカウントが淡白に過ぎていった。 7回目で、ピッ、と、音の趣が変わり『は~い』という、妙に聞き慣れた声がスピーカーから聞こえた。 ……ほっとする。 俺は、どうしようもない落ち着きを押さえきれずに、 「よう、麻奈実」 と、平坦な声色で切り出した。 『こんばんわ~。……どうしたの、きょうちゃん?』 そしてそのまま、会話を続けた。 「ちょっと、な。……今、時間だいじょうぶか?」 『うん。だいじょーぶだよ~』 例え機械越しだったとしても、やっぱり、こいつの声は落ち着く……。 声だけじゃなく、こいつの持つ雰囲気も一役買っているのかもしれないが。 「あー。まぁ、数学の話なんだけどよ。……分かんねぇ問題がいくつかあってさ」 『うんうん』 「ヒントっていうか、解法の方針みたいなものを教えてくんねぇか?」 『ふふ。うん! もちろんだよ~!』 「サンキュー」 『その、それで……どんな問題なの?』 「あー……ちょっと待っててくれ。……あぁ、あった、これだ。えー、携帯越しで悪いけど、えっと……ⅡBのチャート式の412ページに載ってる――」 分からなかった問題と同じものが載っているページを口頭で説明していった。 麻奈実がそれに、逐一答えてゆく。 「……なるほど――」 『……そうそう。それでね~、そのnが――』 そんな調子の会話が続き、一通り聞き終わると、気付けばくだらない日常会話に。 ふとした拍子に覗いた壁時計を見ると、短針がひとつ進んでいた。 要するに、8時30分くらい。 これ以上はあいつの邪魔になってしまうと思い、俺は、 「――じゃあ、そろそろ自分でやってみるわ。邪魔したな」 と、申し出た。 『そんなことないよ~。 ……それじゃあ、勉強頑張ってね、きょうちゃん』 「おう。お前もな」 『うん。……ありがと』 ピッ。 終わりも始まりと同様、無機質な効果音で終わった。 だけど心は無機質なんかじゃなく、穏やかな気持ちで一杯だった。 ――こういうの、郷愁って言うのかな。 やっぱおばあちゃんっていいなぁ、なんてことを思わず思ってしまうほどに、全てが満たされた。 そんな柔らかな気持ちの中、俺は携帯の通話終了ボタンを押そうとした。 押そうとして、しかし、ふと、何かが脳裏をかすめた。 ――何だろ。 ……何か、もの凄く大事なことを忘れているような……。 「……ま、いいや」 その内思い出すだろ。 そう思い直して、俺は件のボタンを押した。 通話中の画面が待ち受け画面へと戻り、俺は安心しながら携帯を閉じた。 そのまま携帯をベッドに放り出し、携帯と同じように、ベッドの上でごろんと横になった。 目を軽く閉じて、つかの間のまどろみに溺れる。 麻奈実との会話で得た穏やかな感情が、余計、俺を深海へと誘う。 そんな夢と現との間をゆらゆらと彷徨いながら、俺は今日一日の出来事を、ぼんやりとながらも、軽く思い返してみた。 ――あやせと会って、桐乃の話を聞いて。 桐乃のストーカー被害に悩んでいたあやせ。 神経質になりすぎるほどに、頑張って解決しようとしてたっけ。 だからこそ、心の底から互いのことが好きなんだってことが分かるくらい、一途な友達関係を築けている二人。 性別や容姿。その他諸々の要素を全て差し引いたとしても、俺は、あいつらが羨ましかった。 無条件にあそこまで俺のことを思ってくれる人。 そんな人は、いままで、俺の周りにいただろうか……。 「……なに言ってんだか」 他人と比較するなんてことは間違っている、か。 それに、こんな受動的な態度じゃあ出来るものも出来ないだろう。 例としては悪いが、俺と桐乃の今の関係も、受動的なものだった場合はありえなかったものだろう。 「……それに」 それに、少なくとも……。 親父と、お袋。 それと、もしかしたら、麻奈実や、沙織。黒猫。あやせ。赤城。……桐乃。 両手で数えられる程度の人数。 だけど、俺にだっている、大事な人たち。 こいつらを守るためだったら、何だって出来るって思えるほどの、かけがえのない人たち。 ちゃんと、いるじゃんか……。 「……」 ――やば。 より深くに溺れる。これ以上溺れると、沈み込んでしまうほどのところまで。まだ勉強をするつもりだったのに、これじゃあできなくなっちまいそうだ。 ……でも、たまには、こんな日があっても……。 プルルルルッ。 「っ!」 耳元に轟く着信音。 深海から強制サルベージされて、意識が覚醒する。 思わずベッドから跳ね起きて、微かに焦点の合わない目で、誰からなのかを確かめた。 「……あや、せ?」 表示されたデジタルは、”新垣あやせ”。奇しくも俺の、マイエンジェル。 ……いかん。自分でも何言ってんのかわかんねぇ。 ここは寝ぼけているせいだということにしておこう。 とりあえず無視するわけにもいかなかったので、おそるおそる携帯を開き、俺は通話ボタンに指をかけた。 ピッ。 再度聞くこととなった効果音。それにあわせて、俺は、寝起きを隠すため、努めて明るく声を出そうと――。 「――おにいさんっっ!!」 ――して、無理だった。 耳を劈くほどの大きな声。それは、あやせが紛れもなく怒っている証拠で。 だから俺は、情けないながらも、小さな声で、 「……はい?」 と、返すので精一杯だったからだ。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/529.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1308729425/757-778 八月の初旬。 俺は妹を流星観察に誘った。 「ペルセウス座流星群?」 「ああ、名前くらい聞いたことあるだろ?」 「……知らない」 「そうか?流星群の中じゃ結構有名なんだぜ?」 「だから、知らないって言ってるじゃん。バカにしてんの?」 「バカになんかしてねーよ。とにかく、一緒に見に行かないか?」 「……なんで?」 「あん?」 「なんであたしを誘うの?」 「兄貴が妹を誘うのに、理由がいるかよ」 「大学で気になってる女の子でも誘えばいいじゃん」 「生憎、俺の周りには一緒に星を観に行ってくれるような女がいなくてな」 「ふぅん。それで、妹のあたしを慰み者にするんだ?」 「ネガティブ思考も大概にしとけよ。 行きたくないならハッキリそう言え」 「だ、誰もそんなこと言ってないじゃん」 「お前、さっきから、のらりくらりと質問かわしてばっかりじゃねーか。 行くのか?行かないのか?どっちなんだよ」 「あたしは……兄貴がどうしてもあたしと一緒に行きたいって言うなら、行ってあげてもいいケド?」 「はぁ……俺はどうしても、お前と一緒に行きたい。どうだ、これで満足か」 「………………うん」 「日時は明後日の夜。車で迎えに行く。 着く直前にメール送るから、玄関先で待っててくれ」 「……あ、あのさ。流星群は、あたしたちだけで観に行くの?」 「そのつもりだ。大所帯で観に行くようなモンでもねえしな。 なんだ、誰か誘いたいヤツでもいるのか?」 「ううん。あやせも加奈子も、その日は予定があって忙しいって言ってたし……」 「そっか。じゃあ、明日の朝早いから、切るぜ。おやすみ、桐乃」 「うん。……おやすみ、兄貴」 携帯電話を充電器に挿し、ベッドに寝転がる。 耳を澄ませば、隣の部屋から桐乃の声が聞こえるような気がした。 でも、それは錯覚だ。 ここは安普請のアパートの一室。両隣に住まうは赤の他人。 今年の春から、俺は一人暮らしをしている。 大学への通学時間を短縮するため。 自由気儘な独身生活を満喫するため。 理由はいくつか挙げられるが、最後に背中を後押ししたのは、やはり、妹の存在だった。 ――『どうして、何も言ってくれなかったの?』―― 耳許で蘇る、湿った声。 ――『嘘でしょ?ねえ、嘘って言ってよ』―― 碧眼が潤み、涙が頬を伝う光景は、今でも瞼の裏に焼き付いている。 ――『やだっ、取り消して!無かったことにして!』―― 痣が残っているわけでもないのに、叩かれた胸が痛んだ。 家を出てから、もう四ヶ月が経というとしている。 時の流れを早く感じるのは、充実していた証だろうか。 大学、バイト、一人暮らし。 環境の変化に追われて、慣れることで精一杯だった。だから、過去を顧みる余裕がなかった。 違うだろ、と誰かが心の裡で言った。 順序が逆だ。お前は過去を顧みることを避けていた。だから、忙殺されることを望んだ……。 「……もう、許してくれてるよな」 独りごちて、目を閉じた。 その夜、俺は久しぶりに、ガキの頃の夢を見た。 時は流れ二日後。 バイトを早上がりさせてもらい、俺はその足で実家に向かった。 車は中古のトールワゴン。無数の擦り傷はご愛敬。 『あと五分で着く』 と桐乃にメールを送ると、 『お母さんとお父さんに会ってけば』 と返ってきた。 そこから一度も赤信号に遭わなかったために、返信することなく自宅に到着する。 遠目に見えた三つの人影は、お袋と、親父と、桐乃だった。 助手席側の窓を開けて、俺は言った。 「一家総出かよ。大げさだな」 お袋が言った。 「あんたねえ、夏休みくらいは顔を見せに帰ってきなさいよ。 あたしはそうでもないけど、お父さんなんか京介が出てってから、ずっと寂しそうにしてるんだから」 「なっ、でたらめを言うな!」と親父が慌てて否定する。 「ほらね?」 親父は咳払いを一つ、衰え知らずの眼光で俺を射貫くと、 「……京介、学生は学業が本分であることを忘れてはいないだろうな」 「酒にもギャンブルにも溺れてねえよ」 もちろん女にも、な。 「健康には常に気を遣え。体が資本だ、若い内は特にな」 「へいへい」 いい加減、電話で耳にタコができるほど聞かされたセリフだ。 なんだその返事の仕方は、ちゃんと分かっているのか、と憤慨する親父を宥めながら、 「気を付けて行ってらっしゃい」 とお袋が桐乃の肩から手を離した。 コクリ、と肯く桐乃の様子は、まるで借りてきた猫のよう。 「くれぐれも危険のないようにな」と親父。 「あんたが変なことしちゃダメだからね」とお袋。 「分かってるっつーの。……行ってきます」 桐乃が乗り込んだことを確認し、俺は車を発進させた。 バックミラーに映る親父とお袋の姿が、どんどん小さくなっていく。 今度バイトの休みをもらって、ゆっくり帰省するか……。 そんな思いを巡らせつつ、俺は助手席の寡黙な妹に話しかけた。 「今日は随分とめかし込んでるな」 「……悪い?」 「悪かねーけど、お前、これからどこ行くか、ちゃんと分かってんのか?」 「知らない。ていうか、あんただって教えてくれなかったじゃん」 「星を見るなら、光害の少ない田舎と相場が決まってんだよ」 ファッションセンスを競い合う都会の街角じゃねえぞ。 それに、いくら夏とは言え、あんまり露出度の高い格好は感心しねえな。 大きく胸元が開いたシャツも、ピチピチ丈のミニスカートも、 ちょいと派手な動きしただけで、大事な部分が見えちまうぞ。 「うっさい、エロい目で見んな! あたしがどんな服着ようが、あたしの勝手でしょ? それよか、あんた、他に言うことがあるんじゃないの?」 「……髪、黒に戻したんだな」 「反応遅すぎ」 「気づいてなかったわけじゃねえよ。 お袋からも電話で聞かされてたしな。 にしても、いったいどういう心境の変化だ。 俺は茶髪の時より、今の方が断然好みだけどよ?」 「べっ、別に、あんたを喜ばせるために戻したワケじゃないし! これからは清純系がウケるってプロデューサーの人に勧められたから、その通りにしただけ」 じゃ、俺はその人に感謝しねえとな。 ついでに清純系の流行が長続きしますように、と祈っておくか。 県道に入るためにハンドルを切ると、ふと、左手の甲に視線を感じた。 「……車の運転、もう慣れたんだ」 「そりゃあ、毎日使ってるからな。 ついでに言うと、料理の腕もかなり上達したんだぜ」 「ドヤ顔で言うのやめてくんない?」 「毎日自炊してんだ、少しくらい自慢してもいいだろ。 お前もモデル業に飽きたら、俺みたいにキッチンで働けよ。嫌でも腕が上がるぞ」 その前に客の苦情で辞めさせられなければ、の話だがな。 桐乃が作った料理の不味さは、実兄の極書つきだ。 「モデルの仕事に飽きるとか有り得ないから。 ていうか、なんでこのあたしが暑苦しい厨房に立たなくちゃならないワケ? フツーに考えて、ウェイトレスでしょ?適材適所って言葉知ってる?」 「料理が出来ない女は、いい嫁さんになれねえぞ。 花嫁修業だと思ってやってみたらどうだ」 「女の子は可愛ければ、結婚できるし。 それに……料理ができなかったら、料理ができる男捕まえればいいだけじゃん」 なんつー安直な思考回路だ。 しかし桐乃が中学の頃と比べ、さらにワンランク上の美貌とプロポーションを手に入れているのは事実、 このまま順調に歳を重ねれば、成人する頃には男を侍らす小悪魔系女子になっていること請け合いである。 同じ母親の腹から生まれたってのに、俺とはえらい違いだよな、まったく。 懐かしの劣等感に溜息を吐きつつ、俺は言った。 「高校はどうだ。楽しくやってるか」 料理下手をからかわれたことをまだ根に持っているのか、 「お父さんみたいなこと、訊いてこないでよ」 と桐乃はつれないことを言う。 「妹の学校生活を気に掛けるのは、何も親父だけの特権じゃねえだろ」 「さっきみたいなアバウトな質問が、一番答えにくてウザいの」 「じゃあ、質問を変える。高校生入ってから、何人に告白された?」 「ちょ……いきなり何聞いてきてるワケ!?」 「可愛い妹を持つ兄として、至極まっとうな疑問だろうが。ほら、言ってみ」 「……手紙とかメールとかも合わせたら、十人くらいかな」 俺は堂々のゼロ人だというのに。 ここに顔面偏差値による格差社会の縮図を見た。 「で、返事はどうしたんだ?」 「全部断ったに決まってんじゃん」 桐乃は声を尖らせて言った。 「前に言ったよね? 最低でも三つ以上年上の男じゃないと、あたしの眼中には入んないって。 いきなり告白とかしないで、普通に喋りかけてくる男もいるケド……。 下心見え見えで、相手にしてらんないっつーの」 「お前な……、その調子じゃいつまで経っても男の友達できねえぞ」 「できなくていい」 即答かよ。 「あの、さ……、仕事場でもそういうの、全然ないから。 変なのが寄ってきても、先輩が追い払ってくれるし……あたしも隙見せないからね」 「仕事と言えば、この前、御鏡がお前の仕事ぶりを誉めてたぞ」 「御鏡さんと?この前って、いつの話?」 「先週、一緒に飯を食った時の話だ」 「御鏡さん、あたしのことなんて言ってた?」 「んー、そうだな……お前が毎回質の高い仕事して、エタナーブランドの売上に貢献してくれてる、とか、 これからも良き仕事のパートナーとして、趣味を語り合える友達として、末永く付き合いたい、とか」 「……なんか、照れる」 「お前はどう思ってるんだ、御鏡のこと」 「どうって、すっごくいい人だよ。 新作できたら、一番にあたしのところに持ってきてくれるし、 仕事場で趣味を明け透けに話せる、唯一の人だし……」 「それだけか?」 「……言っとくけど、あの時みたいなことは、有り得ないから。 御鏡さんには好きな人いるし、あたしにもそういう気持ちはない。これっぽっちも」 車中に微妙な沈黙が立ち込める。 ストレートに探りすぎたか、と後悔したそのとき、桐乃が砕けた調子で言った。 「てか、さっきからあたしが質問されてばっかりじゃん。 兄貴は、大学どうなの?」 「お前、さっき自分が言ったこともう忘れてるだろ」 「あっ、ごめん。……兄貴は確か、地味子と同じサークルに入ってるんだよね」 「そのこと、お前に話したっけ?」 「お母さんが言ってた」 なるほど。 「でも、正直ありえなくない?サークル、文芸系でしょ?創作とかできんの? 兄貴は運動系の緩いトコ、地味子は料理同好会にでも入ると思ってたんだケド」 「最初はお互い、そのつもりだったんだけどな、 それじゃあ余りに接点が無くなるってことで、一緒に無難なところを選んだんだ。 俺も麻奈実も、サークルじゃ専ら読み手に回ってるよ」 「ふぅん。……兄貴と地味子、学部は別々なんだよね」 「ああ」 「前から聞きたかったんだけど、なんで同じ学部に入らなかったの?」 「それは聞くな」 同じ地元の大学に通う――麻奈実との約束を果たすため、致し方なく取った安全策だ。 「他に、高校から一緒に行った人、いないの?」 「瀬菜の兄貴も一緒だぞ」 「その人の学部は?」 「麻奈実と同じところだ」 「……兄貴、その人に地味子取られちゃうかもね」 「ハハ、なにバカなこと言ってんだ」 と笑い飛ばしつつも、それはない、と言い切れないのが苦しいところである。 『どうすれば田村さんの気を引けるんだ?』と赤城に泣きつかたのが先日の話、 なげやりに答えた『和菓子屋巡りでも誘えよ』の一言をあいつが真に受けていれば、 近日中には麻奈実から、『京ちゃんどうしよう、赤城くんからね……』と相談電話がかかってくるはずだ。 高二の時から麻奈実が気になっていた、と赤城に聞かされた時は心底ビックリしたっけ。 おかげで俺は今、恋のキューピッドなんて柄でもない役回りを押しつけられている。 「大学でも、あんたと地味子の関係、周りから誤解されまくりなんじゃない?」 「まあな。でも、その都度、ただの幼馴染みだってちゃんと説明してる。 それに色眼鏡で見られるのは、中学、高校の時から慣れっこだしよ」 「……兄貴、サークルで、あんまり女の子から話しかけられないでしょ?」 「どうしてそう思う?」 「フツー遠慮するって。彼女じゃなくても、彼女みたいな女があんたの隣にひっついてたら」 「そうかぁ?俺も誤解されないように、ちっとは努力してんだぜ」 「例えば?」 「具体例を挙げるのは難しいな」 「ぷっ……全然努力できてないじゃん」 桐乃は小馬鹿にするように笑い、話題を変えてきた。 「ね、兄貴のバイト先って、大学から少し離れたところにある居酒屋だよね」 「ああ」 「今度、撮影で近くまで行くんだけど……、寄ったら、何かサービスしてくれる?」 「バカ、居酒屋は高校生が来るようなところじゃねーよ。 そもそも、俺はキッチンで仕事してんだ、お前が来ても分からないと思うぜ」 「大きな声で兄貴の名前を呼んだら、聞こえるんじゃない?」 「恥ずかしいからやめろ」 「冗談だって。……ね、兄貴が一緒に働いてる人って、どんな人たち?」 「んー、厨房はおっさんと、俺と同い年か、少し上くらいの男ばっかだな。 ホールは店長の趣味で、若い女の子で固められてる」 「……バイト上がりに、みんなでどこか遊びに行ったりするの?」 「いいや。毎日鬼のように忙しくて、上がる頃にはクタクタで、遊ぶ体力なんて残ってねえよ」 「ホールの子たちと、話したりはしないんだ?」 「事務的な会話ばっかりだ。キッチンの奴らとは、だいぶ打ち解けてるけどな」 「……あんたさぁ、知らない間に何かやらかして、ホールの子たちに嫌われてるんじゃないの?」 「なわけねーだろ。 店長曰く、俺が入るよりも前から、ホールとキッチンは仲が悪かったんだとよ。 ホール側からしたら、新人の俺に罪が無くても、キッチン側にいるってだけで、 話しかけにくいところがあるんじゃねえ?」 と信じたい。 「ふぅん、そうなんだ。 残念だね、大学でもバイト先でも女の子と話す機会がないとかさぁ」 残念がってくれている割には、声からまったく同情の念が感じ取れないんだが 「一昨日に電話で言ってたコト、嘘じゃなかったんだね」 「なんの話だ?」 「兄貴の周りには、一緒に星を見に行ってくれるような女がいない、って話」 「…………」 実を言えば、新しくできた女の知り合いには、誘えば肯いてくれそうな候補が二人いた。 サークルで、好きな作家が同じで話が盛り上がった同期の子と、バイト先で、帰りが一緒になったホールの子。 が、それを明かせば、桐乃が機嫌を損ねるのは目に見えている。 「どうしたの?急に黙り込んで」 「別に。運転に集中してただけだ。 そういやお前、最近は沙織や黒猫と、連絡取ってるのか?」 「沙織は受験勉強で忙しいみたいだから、たまにだけど、黒猫とはほぼ毎日電話で話してるよ」 「ほー、ラブラブだな、お前ら」 「いいじゃん、友達なんだから」 黒猫が松戸市に引っ越して以来、桐乃と黒猫は、互いに素直になることを覚えたようだった。 呼び方も「黒いの」から「黒猫」へ、「ビッチ」から「桐乃」へと変わり、 さっきのように、逡巡無く相手を友達と認めるデレっぷりである。 「兄貴はどうなの?沙織や黒猫と連絡取ってる?」 「や、最近は全然だな。 沙織はお前も言った通り、受験で忙しそうだから遠慮して、黒猫は……」 「……黒猫は?」 「俺さ、今あいつから着拒食らってんだよ」 「へ?それ初耳……なんで? あんた、何か黒猫怒らせるようなことした?」 「さあな。今度電話したときにでも、聞いといてくれよ」 「な、何その言い方。自分で聞かなきゃ意味ないじゃん。 後であたしの携帯貸すから……」 「いいって」 知らず、語気が尖っていたのか、桐乃が萎縮する気配がした。 「……着拒されてんの、いつから?」 「四月の頭からだ」 「あっ……」 桐乃は少し考え、俺が黒猫から着拒されている理由に思い当たったようだった。 ――『失望したわ。臆病で、懦弱で、弱虫で……なんて、意気地のない雄。 わたしが拱手傍観を決めた理由を、あなたは何だと思っているのかしら? その貧相な頭が答えを出すまで、金輪際、わたしには連絡をしてこないで頂戴』―― 最後の電話で浴びせかけられた、辛辣な言葉を思い出した。 車内に、再び居心地の悪い沈黙が降りる。 文字通り空気を入れ換えるべく、俺は運転席側の窓を開けた。桐乃もそれに倣う。 緑と水が豊かな土地のせいだろうか、真夏の夜にしては涼しい風が、肌に心地よかった。 周囲に人工の明かりはなく、道の両脇に広がる梨畑を、月影が静かに照らしていた。 舗装された山道を、安全運転で走ること十分。 小さなログハウスが見えてきた辺りで、俺は言った。 「着いたぞ」 「……看板に休憩所って書いてあったけど、ホントにここで合ってんの?」 「ああ。俺たちの他にも、星を見に来てる奴らがいるはずだ」 駐車場に車を停め、用意してきた荷物を、荷台から引っ張りだしていく。 手持ち無沙汰そうにしている桐乃に、俺は虫除けスプレーを手渡した。 「しっかり吹っ掛けとけよ」 シュッ、と三秒にも満たない噴霧音が聞こえ、 「はい。兄貴もすれば」 「……お前な、香水の匂いが消えるのと、ヤブ蚊に噛まれまくるの、どっちがイヤなんだ?」 「どっちもイヤ」 「ワガママ言うな。じっとしてろ」 俺はスプレー缶を振り、桐乃の無駄に露出した肌に、満遍なく吹きかけていった。 虫取りの前に、夜祭りの前に、花火の前に――今と同じことを、幼い桐乃にもしてやっていたことを思い出した。 自分でやれと言うと嫌がるクセに、俺がしてやると大人しくなるところは、あの頃とちっとも変わっていない。 「かけすぎ。ベタベタして気持ち悪い」 「大げさなくらいが丁度いいんだよ。すぐ乾くから我慢しろ」 俺は自分にも虫除けスプレーをかけ、荷物を抱えてログハウスの裏手に回った。 裏手は斜面が横にせり出した、小さな平地のようになっていて、 既に結構な人数の先客が、流星観察の準備に取りかかっていた。 望遠鏡も星図も持たない俺たちは、ブルーシートを引き、蚊取線香を焚いて、それで準備完了である。 靴を脱いで寝っ転がる。 ややあって、俺から体一つ分を空けて、桐乃が寝転がる気配がした。 息を呑む音が聞こえ、隣を見なくても、桐乃が星空に見入っていることが分かった。 「こんなに綺麗な星空見たの、生まれて初めてかも……」 「いいトコだろ。中々の穴場らしいぜ」 「どうやって知ったの?Beegle?」 「学部に、高校で天文学部だったヤツがいてな。そいつから仕入れた情報だ」 「じゃあ、その人も、ここに来てるワケ?」 「いんや、そいつは別の場所で見るそうだ。ここは初心者向けなんだとよ」 「――あっ」 不意に桐乃が、空の一点を指さして言った。 「流れ星!ねっ、兄貴も見た?今スーッて流れてった!」 「見逃した」 俺はそもそも、夜空を見ちゃいなかった。 星空に魅入る桐乃の横顔を眺めていた。 見逃した理由を明かさずに、俺は言った。 「流星群は、まだまだこれからだぜ。 一時間に三十から六十は星が流れるらしいからな。 運が良けりゃ、一分に一つ見られる計算だ」 「そうなんだ。……じゃあ、お願いし放題だね」 「……くっ」 「なんで笑ってんの?あたし、何か変なこと言った?」 「やっぱり桐乃は、桐乃だと思ってな」 「い、意味わかんない」 「ガキの頃にも、親父に連れられて流れ星見に行ったこと、覚えてるか?」 「覚えてない」 「そっか。あの時のお前、小さかったもんな。 で、流星観察に行く前から、お前は大はしゃぎしてたんだよ。 親父にたくさん流れ星が見られるって聞かされて、紙に願いごとを山ほど書いてた」 「……こ、子供の頃の話でしょ。 流石に今は、流れ星が流れる間に三回願いごとを念じれば、それが叶うなんて話、信じてないし」 「そうか?別に信じてても、俺は笑ったりしねえぞ。 せっかくなんだし、あの日のリベンジを果たせばいい」 「リベンジ?」 「親父に連れてってもらった時は、結局一回もお願いが成功しなかった、って大泣きしてたんだぜ、お前」 「もうっ、昔の話蒸し返すの、やめてくんない?」 桐乃が八重歯を剥いてこちらを向く。 視線が交錯し、手が触れた。が、それも一瞬のことで、 「…………」 威勢を失った桐乃は、再び夜空に視線を戻す。 横顔を見ていたことがバレた俺も、夜空に視線を移した。 一口には表現できないほど、素晴らしい情景がそこにはあった。 深い暗黒を背景にした、無数の星の瞬き。 夜空には一筋の雲霞さえ見て取れず、月は主役の座を譲るかのように、端で鳴りを潜めている。 北の空に、黒地のキャンバスにナイフで切れ込みを入れたかのような、白い筋が見えた。 次に星が流れたら、話を切り出そうと決めていた。 「桐乃」 「なに?」 「話があるんだ。そのままの姿勢で聞いてくれるか」 「……その話をすることが、あたしを流星観察に誘った理由?」 「ああ」 四ヶ月ぶりに電話がかってきて、いきなり流星観察に誘われて、戸惑ったよな。 でも、俺はお前の目を見ながら、この話を最後まで話し終える自信が無かったんだ。 「ごめんな、桐乃」 「…………」 「お前に相談もせず、勝手に家を出て、悪かった」 「…………」 「あの時の俺は、お前に――」 告解は、零下の声で遮られた。 「やめてよ」 「桐乃……」 「なんで兄貴が、あたしに謝るワケ? その言い方だと……、まるであたしが、傷ついてたみたいじゃん。 あたしが兄貴のこと、ずっと恨んでたみたいじゃん」 「…………」 「あたしは……兄貴が出てって、せいせいしてる。 壁が薄いの、気にしなくて済むし、 友達だって好きなときに呼べるし、 楽なカッコしてても、お父さん以外に文句言われないし……それに……」 その言葉が嘘で、強がりだということを、俺は知っている。 桐乃は傷ついていたし、俺のことを恨んでもいた。 なんでそう言い切れるかって? 逆に言わせてもらうが、俺が何年、桐乃の兄貴をやってると思ってる。 それに何より、俺が家を出るときに桐乃が見せた涙が、全てを物語っていた。 ――『勝手に行くなっ、バカ兄貴っ!あたしを……あたしを一人にしないでよっ!』―― そうだ。あの時の俺は、本当に勝手で、独り善がりな大バカ野郎だった。 距離を置くことが、妹の兄離れのための、最良の選択だと信じていた。 でも、違ったんだ。やっと分かったんだ。 溢れそうになる思いを押さえて、俺はもう一度言った。 「ごめんな、桐乃」 「だから、やめてってば。 もう、あたしに気を遣わなくていい。優しくしてくれなくていい。 兄貴はさ、あたしが近くにいるのが、イヤだったんだよね? あたしの気持ちが迷惑で、気持ち悪かったんでしょ? あたしと一緒にいるのが堪えられなくて、それで、家を出たんでしょ?」 脳裏に、桐乃に告白された時の情景が浮かぶ。 大学の合格祝いに、家族で外食に出かけた日の夜。 胸に重みを感じて目を開けると、目の前に桐乃がいた。 暗闇の中、思い詰めた妹の表情を仰ぎ見ながら、 俺は初めて、桐乃が人生相談を持ちかけてきた時のことを思い出していた。 それから長い時間をかけて、桐乃は言葉を紡いでいった。 小さい頃から、俺のことが好きだったこと。 冷戦を隔てて、関係が修復されてからは、兄としてではなく、男として好きになったこと。 思いの丈を語り終えた桐乃に、俺は返す言葉を持たなかった。 沈黙を貫く俺の頬に、一粒の熱い雫を落として、桐乃は部屋を出て行った。 翌日、俺たちは何事も無かったかのように接した。 しかしその日から、俺は一人暮らしのための準備を整え始めた。 桐乃に悟られないよう、こっそりと……。 「あんなこと言うなんて、どうかしてた。 フツー有り得ないよね、兄妹で……好き、とか あたしも後から冷静になって、自己嫌悪で死にそうになってたんだ」 「…………」 「あはっ、あんたからしたら、超キモイよね。 いくらシスコンでも、ドン引きだよね。 だからさ、謝らなきゃいけないのは、あたしの方。 兄貴がいっぱい優しくしてくれて、それを勝手に、 兄貴もあたしのことを好きなんじゃないかって勘違いした、あたしが……ひくっ……悪かったの……っ……」 俺は言った。 「勘違いじゃねえよ、桐乃」 「えっ」 「……俺も、お前のことが好きだった。 お前と仲直りした二年前から、妹じゃなくて、女として、お前のことを見てた」 はっきりと自覚したのは、つい最近のことだ。 俺はずっと、俺は桐乃のことが妹として好きなのだ、と自分に言い聞かせていた。 その自己暗示に、桐乃の告白がヒビを入れた。 漠然と、家を出なければならないと感じた。 自分の臆病さを、桐乃のせいにした。 これ以上桐乃に好かれないために、桐乃から離れなければならないと思った。 でも、実際は違ったんだ。 俺が本当に恐れていたのは……俺が本気で、桐乃を愛してしまうことだった。 「兄貴……」 手が触れ合い、指が絡んだ。 洟を啜って、桐乃は言った。 「あたしね……今でも、兄貴のことが好き」 「そうか。じゃあ、俺たちはめでたく両思いだな」 ぎゅ、と桐乃は俺の手を握りしめながら、 「でも、さ……やっぱり兄妹で恋愛とか、おかしいのかな」 「世間様から見りゃあ、異常だろ。 でも、二年前、お前に人生相談を受けるまで、俺とお前は他人同然だった。 そっから仲直りして、ガキの頃みたいな兄妹関係を再開する、っていうのが、土台無理な話だったんだよ」 「あたしが兄貴のことを男として見るようになったのも、仕方ないことだったってコト?」 「そういうことだ」 「ぷっ……変な慰め方」 「俺の溢れんばかりの魅力のせいだ、なんて言っても馬鹿にするだけだろ、お前」 「馬鹿になんてしない。 だって、あたしは、あんたが兄貴だったから、兄貴のことを好きになったの。 趣味を守ってくれて、友達を作るのに協力してくれて……」 「あーあー、それ以上言うな」 真面目に返してくるとは、予想外にも程がある。 「……あたし、これから週末は、兄貴のアパートに行く」 「どうやって?結構な距離があるぞ」 「あんたが車で、あたしを迎えに来るの。当然でしょ?」 「別に構わねえけど、俺の部屋に来て何するんだよ?」 「何って……掃除とか、料理とか?」 料理、という単語に不穏なものを感じつつ、俺は言った。 「なんか通い妻みたいだな。お前って尽くすタイプだったのか」 「う、うるさい」 「それにお前、俺の部屋に来てやることで、大切なことを忘れてるぞ」 桐乃の体が強張る気配があり、 「俺が家を出る時に、お前、こっそり段ボールにエロゲ詰めただろ。 あれ、忙しくて全然手を付けてなかったんだ。一緒にやろうぜ?」 はぁ、と溜息を吐く音が聞こえた。 「……うん。あと、シスカリの新作、持ってくね。久しぶりに対戦しよ?」 「おう」 「でも、一人暮らしの大学生の部屋に、超可愛い女子高生が通ってたら、変な噂が立っちゃうかも」 「問題ねえよ。表向きは仲の良い兄妹だ」 俺たちは同時に笑い、 「あっ」 同時に空いている方の手で、夜空の一点を指さした。 「見た?」 「見た」 それからしばらく、夢中になって流れ星を探した。 童心に還って、見つけた流れ星の数を競った。 三十も数えた頃だろうか。 「……できたっ」 と、桐乃が嬉しそうに言った。 何ができたんだ、と尋ねると、 「今、流れ星が消える一瞬の間に、心の中でお願いを言えたの。一回だけ」 「一回だけなら、叶う確率は三分の一だな」 「……あと二回、別の流れ星に一回ずつ祈れば百パーセントになるし」 「どんな願いごとをしたんだ?」 「ひ、秘密」 「いいじゃねえか、隠さないで教えろよ」 隣を見る。 蒼白い星明かりの下、桐乃は顔を真っ赤にして言った。 その声に、今のように夜空を見上げた、幼い桐乃の声が重なった。 「兄貴と、ずっと一緒にいられますように……」 『お兄ちゃんと、ずっといっしょにいられますように……』 おしまい!
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/607-615 七月末の未明。 夏休みという学生にとっての最大級の休日も、受験生である俺にとっては全く関係ないものであった。 この時期を逃すようなら合格はあり得ないと、皆参考書を片手に意気込むのだ。 はっきり言っちまうと、周りの奴らには良くこんなに蒸し暑い時期にどうしてそこまで張り詰めて勉強できるのかと呆れながら感心している。 そんな他人事のように言っている俺も現在立派な大学受験生なのだが。 とろとろになるぐらいの暑さでぐったりしながら受験勉強に励んでいたある日の夜、俺の携帯電話の着信が鳴った。 確認すると、沙織からだった。 「もしもし」 「あ、京介氏でござるか! どうもお久しぶりです!」 「よう、元気にしていたか?」 「はい、お陰様で私は元気にやっておりますぞ」 電話に出たのはいつものござる口調の沙織からだった。 確かに桐乃や黒猫たちと遊んでいる時の様な声の高さからして悪くないみたいだ。 以前沙織からとある相談を受けてからしばらく経つから心配していたが元気そうで何よりだ。 「京介氏こそ受験勉強ははかどっていますかな? こんなに暑くてはシャーペンを持つのも億劫にはなりませんか?」 「本当その通りだ。今すぐにでもこの身を投げてプールにでも入りたい気分だよ」 「ふふふ、そんな京介氏に朗報ですぞ。今月末に大イベントを開催しようと思いましてな」 「お、また桐乃と黒猫となにか計画しているのか?」 「いえいえ、今回はSNSのイベントではありません。私自身が身内とやろうと思って主催するオフ会です。もちろんきりりん氏や黒猫氏にもこれから教える予定です」 「へぇ。で、なにをやるんだ? やっぱり海や山でキャンプとかバーベキューでもやるのか?」 「さすが京介氏鋭いですな。そうです、ここから少し遠いですが山間部へと赴いてキャンプ場で二泊三日のアウトドアを満喫しようというわけなのです」 「はは、また面白い事をするな。しかしまたなんでそんな大事な事を桐乃や黒猫の前に先に俺に言うんだ?」 「ええと……実は京介氏に頼みたい事がございまして」 「まあいいんだが、内容によるな」 俺は一応受験生だし、引き受ける内容がえらく難しかったりすると勉強にも大きな影響が出てくるからな。 沙織には悪いがあまり面倒な事は引き受けられないのが現状だ。 「いや、そこまで面倒ではありません。ですが、ちょっとした問題がありまして」 「なんだ? とりあえずどんなことなのか言ってみろよ? 話はそこからだろ?」 「……わかりました。実は……」 … … … … 「……ということでして、これを京介氏に」 「すまん、切る」 「ちょっと待ってください! そのような反応をされる事は重々承知しておりました! ですがもう少しだけお話を!」 「切るのは冗談だ、悪かったよ。しかしだな、沙織よ」 「?」 「何で……『俺たちと面識のない奴』限定で誘う必要があるんだ? 別に俺たち四人だけでも十分楽しめるじゃないか?」 「えっと、こ、これには深い訳がありまして」 「つーかこの事を桐乃や黒猫に言ってもはいそうですかってすんなり受け入れるとは思えないぞ? 桐乃はともかく、黒猫なんか断固拒否しそうだぞ」 「そ、その事は既に考えました。もし私たち以外、オタクとはかけ離れた『一般人』まで誘うとなると、嫌でもそういう人たちと対面して交流しなければならない。 私も恐いですが、京介氏が仰る通り黒猫氏が一番拒否を示すでしょう。……正直凄く悩みました。しかしこのまま逃げてばかりではいつまでも進歩できないと思ったのです。 私は……それを、このイベントで乗り越える足枷としたいのです」 「沙織……」 そうか、そうだよな。桐乃や黒猫に言えなかった事をわざわざ役に立つか分からない俺に相談したんだもんな。 沙織の意思を無視してしまったら、それこそこいつの勇気や努力を摘んでしまうかもしれない。 「分かった。俺の知り合いをできる限り集めるからそれでいいか?」 「京介氏……。どうも、ありがとうございます! あの……私のためにここまでしてもらって」 「いいってことよ。こんなこといつものことだろ? 桐乃なんて唐突にそれこそ脅迫するような勢いで人生相談された時があってそんときは大変だったんだぜ?」 「ぁ……そうでござるか」 ん? 俺なんか変なこと言ったか? 沙織の声が暗くなったような気がしたが以前の事は極力話さない方がいいのだろうか? ここは少し話を戻してみるか。 「そういえば人数を集めるとして、いつ頃までにやっとけばいいんだ? そっちだって準備するべきことがあるはずだからそんなに長く待てないよな?」 「そうですね。こちらの準備はそこまで時間はかからないので、できれば一週間以内に集めて頂けないでしょうか?」 「一週間以内だな? 分かった、できる限り早く集めとくから任せとけ」 「繰り返しますが本当にありがとうございます。いつもいつもご迷惑をお掛けして本当に」 「だーかーら、何度も言ってるだろ? 友達なら当たり前のことだって」 「……そうでございましたね。すいません、これから用事があるのでこれで失礼しますね」 「お、おぉ」 それでは、と一言言ってプツッと電話が切れた。 何故か今の言葉だけはいつものござる口調ではなく、お嬢様口調になっていた気がした。 そしてやはり少し暗い印象を受けた。 やっぱり俺、また変な事でも言ったかな? 桐乃のことを話した後に暗くなったのは覚えているがそれは笑うかと思って話題にしたんだが逆効果だったか? それとも沙織から相談を受けたのは最近のことだから、まだまだ現在進行中で自信を持つには日を要するのだろうか。 ……くそ、わかんねぇ。 とにもかくにも乗っかった船だ。やるからにはできるだけ多く集めた方が良いだろうな。 正直なところ受験勉強と暑さが相まってあまり乗り気ではないが今更やっぱり無理でした~なんて言えないよな。 さて、誰から攻めていこうか。と考えてみたものの、最初に誘う相手は既に頭の中に入っていた。 まあ……あいつらしかいねぇよな。同類的な意味で。 一方その頃。 早く切りたいという気持ちを抑えて静かに電話を切った。 軽く深呼吸をして椅子にもたれながら天井をぼーっと眺め先程の事を振り返る。 嫉妬してしまった。きりりん氏に。京介氏の実の妹なのに。 京介氏がとても嬉しそうに彼女の事を話しているのを想像すると、本来ならば仲が良い兄妹だなあという風な笑い話になるはずなのだが 彼女の京介氏に対する感情は並みの兄妹のものではないことはお二人方と接してきて気がついていた。 いや、もしかするとそれ以上の……考えたくない。考えたくもない。 もう寝よう。今まで感じた嫌なものを抑え込むようにベットで丸くなりがら目を閉じた。 眠ることによって少しでもこの感情が減ってくれればいいと願いながら。 次の日学校にて。 というわけで今日は学校で受験生専用の補習を終え、現在ゲー研部室なうだ。 分かっているだろうがここはゲーム制作を目的とした部活なのだが、れっきとしたオタクの奴らの集まりだ。 その証拠に新作のエロゲやアニメのDVD、漫画などがあちこちに散乱していた……はずなのだが 今年入部してきたお節介好きなとある一年女子によって、今は綺麗に整理整頓されている。 ちなみにその一年女子はいつかの俺たちの策略にはまり、腐女子という他人に知られざるべき属性を自ら暴露してしまったために ゲー研の一人の男子部員に深い傷を負わせてしまった経験があるのだが、本人はむしろ以前よりも開放的になったみたいだ。 ……その男子部員はその後どうなったかって? 彼のことを心配するなら頼むから放っておいてくれ。 と、部室に入ると黒猫が何やらノートに書き込んでいる様子が目に映った。 「よう」 「あら先輩、こんにちは」 色っぽさのある笑顔で挨拶し、すぐさま目の前の作業に入った。 黒猫には悪いが、今やっている作業は一旦止めてもらい昨日の沙織の話をさせてもらおう。 「作業中悪い。昨日沙織から何か話しかけられなかったか?」 「ああ聞いたわ。確か大勢で集まってキャンプをしようだとかなんとか」 「そうだ、それなら話は早いな。お前も暇だったら是非参加を……おい、黒猫?」 黒猫のペンを握っている手がぷるぷると震えていた。それどころか手、足と体全体に広がっていき大量の汗が滴り落ちていた。 ……この様子だと沙織と話している時も同じ反応をしたみたいだな。 「せ、先輩は人をど、どのくらい集めるつもりなのかしら?」 「うーん、とりあえず知り合いだけを集めるつもりでいるから十人程度だな」 「じ、十人!? あ、あの本当に私たちだけじゃ……駄目なのですか?」 今にも泣き出しそうな顔で問いかける黒猫。 やはり以前の沙織と同様に、俺たち以外の人との交流を極端に嫌がっているみたいだ。 「ああ、いつものように桐乃と俺、それに沙織と黒猫のメンツだけでも楽しいだろうな。 ……しかしだな、俺たち以外の奴らと交流したらもっと楽しくなるかもしれないだろ?」 「それはそうですけど……」 「それに沙織が何でこの企画を考えたのか分かるか? 多分お前と同じ心境だろうけどそういう自分が嫌で克服したいだそうだ。 ……俺は沙織が頼ってくれたことは嬉しいし、何より前向きになっている姿を応援してあげたいんだよ」 「むぅ……」 黒猫は俯きながら何か小言のようなものを漏らしていたが、何と言っているのかは残念ながら聞き取れなかった。 潤んだ瞳で顔をあげた黒猫は弱々しくもはっきりとした口調で発した。 「わ、わかりました。考えておきます」 「ありがとよ、頼んだぞ」 やっぱり昨日沙織から連絡がきたときに断ったんだろうか。それが事実なら、黒猫なら十中八九そうするとは思っていたが 予想以上に泣きべそをかくくらいに拒否反応を示したことにこれで本当に良かったのかと胸が痛くなってきた。 だって、今俺が黒猫にした事は説得しているようにも見えるが相手に無理矢理自分の価値観を押し付けている状況にも見えなくはないだろう。 俺のした事って、本当にこれで良かったの? と不安に駆られている最中に突然訪問者が現れた。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1281447547/479-485 「……んで、これからどうする?一応当面の目的は果たしたみたいだけど」 改めて今後の方針をカフェ内で協議した。今は4時前、もう一遊びできるようななんともいえない時間帯だ。 「そうですね……じゃあウインドウショッピングでもします?」 「お、いいんじゃないか?こりゃ沙織のファッションショーが見れて眼福だな」 「そういう悪さを言うのはこの口ですか?」 沙織はにんまりとしながら俺の両頬をつまんで左右に引っ張る。体の前で組んでいた腕が急にほどけたため、たわわに揺れる胸に俺の視線は釘付けになった。 「いひゃいいひゃい」 「まったく、兄様ったら公共の場ではしたないんですから」 頬が伸びきって手がするりと左右に抜ける。さっき公共の場で腕を絡めながら相合傘してたのは誰だよ、と頬をさすりながら思ったが、流石に俺に非があるので黙っていた。 「すまん、今のは軽口が過ぎた」 「そうですわ。それにそんなことは二人きりで……」 「え?」 「な、なんでもないです。じゃあ行きましょうっ」 俺達は夕暮れの元町をのんびりと歩きながら、時折アパレルやブティックに入ってはお互いに気に入った服を探したり試着してみたりした。 さっきああは言われたものの、やはりこいつは何を着ても映えてしまうから、なかなか粗探しをするのも一苦労であったりする。 贅沢な悩みだと我ながら思うが、画一的なコメントだと沙織も生返事のように受け取れてしまうらしく、機嫌を損ねてしまうからこれでも案外必死なのだ。 そうこうして何着か沙織が気に入った服を買い、俺はそれを受け取って今は彼女のトイレ待ちである。 「ふぅ、結構な時間になったもんだな……ん?」 腰掛けたベンチからの視線の先に面白いものを見つけた。宝石店だ。 「ふうん……これは……」 ショーケース内に飾られている指輪の数々に首をかしげ目を泳がせると、店員とおぼしき女性が話しかけてきた。 「こんにちは。どれか気になるものはございますか?」 「いえ……俺は……」 単なる冷やかしというのもばつが悪いと思い、思わず返答に困る俺。しかし贔屓目に見ても大学生だろう俺に話しかけてくるとは流石プロだと思う。そこへ後から助け舟がやってきた。 「お待たせしました、京介さん……あら?」 「あ、沙織」 用を済ませてきた沙織が俺の元に歩み寄ってくる。突如として店員さんの目が輝きに満ちた気がした。やばい、これはカモを見つけた目だ、と俺は直感した。 「ははあ、これはこれは。つまり貴方は彼女に捧げる指輪を品定めしてたわけね?ふふっ」 「「――――!!」」 俺(と沙織)の顔が瞬時に赤くなる。今何を弁解しても彼女のペースに引きずりこまれるだけだろう。ここは早々に撤退するに限る。 「す、すみません。また日を改めて来ます!」 「あっ……」 「では、またのご来店をお待ちしております♪…………ちぇっ」 沙織の手を引き寄せて言われなくともスタコラサッサと逃げ出した。最後に舌打ちらしきものが聞こえたのはきっと気のせいだろう。 「ふぅ……とんだヤブヘビだった」 こっちはまだ心の準備が出来てなかったというのに。海千山千のプロというのは怖いものだ、あの場に留まっていたら間違いなく何かしら買わされていたに違いない。 「あ、あの、京介さん……」 「ん?」 沙織がジャケットの裾を掴みながらおずおずと尋ねてくる。 「そ、その……さっき見てたのって……」 「え?ああ……その……」 まいったな、なんと説明してよいものやら。とはいえあんな強引に逃げたんだからちょっとフォローが必要だろう。 「沙織にはどれが似合うのかなって……」 「そ、それって……」 沙織の目が潤みを帯びてくる。だ、だめだこれ以上は気恥ずかしくて言えねえ! 「……ま、まぁそういうことだ」 我ながら急にヘタレてしまったようで情けないが、実際に渡す日までこの気持ちはとっておきたかった。 「京介さん……私、待ってますから。京介さんのくれるものなら、なんでも」 そしてどちらからともなく手を差し出し合い、指を絡めて俺たちは歩き出した。 店を出ると、そろそろ日も没しきろうとしていた。 「さて、そろそろ帰ろうか?」 「……えっと、あの……もう一つだけ、行きたいところがあるんですが」 「ふぅん?どこだって付いて行くけど」 そうして、沙織の先導で(といっても手は繋いだままだが)柵のある公園の脇づたいの丘を登っていくと、やがて目的地が見えてきた。 「港丘公園?」 「はい。ここの夜景を昔両親に見せてもらったことがあって……いつか、恋する人と二人で一緒に見たいと思ってたんです」 奥の展望台に向かうと、確かに素晴らしい夜景が広がっていた。湾岸の港と高速道路の光と、湾岸の流れるような闇のコントラストが例えようもなく美しい。何組か俺らと似たような目的のカップルもちらほら見える。 「綺麗だ……確かに」 「喜んでもらえてよかったです……って、え?」 目の前に広がる光景に恍惚としながら、俺は無意識に沙織を抱き寄せていた。 自然にお互いの瞳が瞳を吸い寄せ、無言のまま俺達はゆっくりと口付けを交わした。 「沙織……俺、もう我慢できないや」 「え……って、きゃあぁっ!?」 唇を離して軽く力の抜けた沙織をお姫様抱っこで担ぎ上げ、丘の下の人目につきにくい木陰に移動する。 「きょ、京介さん……そんな、こんな外でなんて……」 「大丈夫、周りは俺たちみたいなカップルしかいないみたいだし。沙織が嫌ならやめるけど?」 「そ、そんな……んんっ!」 背に木の幹を背負った沙織の胸と股間を優しく撫で上げる。しかし少なくとも実力行使に出ようとする気配は見えない。 「で、でも……声が、漏れちゃいます……あっ、はぁん!」 「沙織が我慢すれば大丈夫だよ。というかここですること自体には異論はないんだ?」 「それは、その……あぁぁっ!?」 シャツの下に片手を滑り込ませ、ブラもずらして乳首をこねる。沙織が乳首が弱いのは経験で知っている。 と同時に再び唇を奪い、舌を絡めて更に情欲を煽る。 「んっ、んんっ……ぷはぁ」 「声が出ちゃうならずっとキスしててもいいんだけど?」 「え!?んぁっ……!」 沙織の返答を聞かずに間髪いれず俺は再び唇を貪る。更には沙織のパンツのベルトを外し、ショーツの中にもう片方の手を滑り込ませる。 「!?んっ、んんんんん……!!」 感じてくれているのを体の震えから十全に感じ取り、そのことがますます俺のリビドーを高めていく。 本来ならもっと愛撫してから本番といきたいところだが、あまりにも沙織が可愛いので少しいじめたくなってきた。 陰核や乳首を弄んでいた指をするりと離し、唇を離して俺は自分のモノを取り出した。もちろんコンドームは忘れない。 「はぁ、はぁ、はぁっ……京介さん……どうして……?」 「どうして、って何だ?」 「そ、それは……お、おっきい……」 「沙織が嫌そうだったからもうやめよっかなと思ったんだけどどうかな?」 「そんな……京介さん、ひどいですわ……」 「ひどいって何が?」 「そ、それは……その……」 もはや完全に発情している沙織を見て、嗜虐的な笑みを浮かべながら俺は宣言した。 「これが欲しいんだろ?欲しくないなら別にいいけど、欲しいならちゃんと欲しいと言わないとやらないぞ」 「え……あ……」 「どうした?早く言いなよ、イかせてくださいってさ」 「ぅ……で、でも……恥ずかしいです……」 「なら別に俺はこれで終わりでも良いんだが?」 全く言いことはないんだが、今の主導権は完全に俺が握っているので全く問題はない。沙織がおねだりしてくるのを待つだけだ。 やがて体の痺れに耐えられなくなった沙織が、涙目で喋り始めた。 「は、はい……わかりました……京介さんの熱くて硬いのを……京介さんのおち○ち○をわたくしの膣内でかき回してくださぁぁい!!」 「……良い子だ。じゃあご褒美をやろうか」 例えようがない征服感に正直俺が先にイってしまいそうになったがぐっとこらえて、自分から後を向いた沙織の腰を左手で掴み、右手でワレメにモノをあてがった。くちゅくちゅと濡れそぼったそこにモノを何度かこすりつけ、十分に濡れたところでじっくりと挿し込んでいく。 「あ……ああああぁっ!!」 「くうぅっ!相変わらず気持ちよすぎる……!」 もはや回りに人がいるかどうかなど気にする余裕もなく、完全に周囲を二人の時間と化し一心不乱に腰を振った。 ずちゅっ、ずちゅっ、とゴム越しにもかかわらず中から蜜が溢れてくるのが感じ取れた。 「こんなに溢れさせちゃうなんて沙織はえっちな子だな……っ!」 「そ、そうです!わたくしは京介さんのことを想うとえっちな汁が溢れちゃうえっちな子なんですっ!あっ、はぁっ、んっ、ああぁっ!」 「俺だって沙織といつだって繋がってたいと思っちゃうスケベ兄貴だよ!……うぅっ!」 「じゃあわたくしたち、あぁっ、一緒じゃ、はぁっ、なきゃ、だめですねっ! 「さ、沙織、イ、イくぞっ!沙織もっ!!」 「は、はいっ!わたしも一緒にっ、京介さんと一緒にイきますっ!」 「くうぅぅっ!!」 沙織の膣中で俺は白い欲望を吐き出す。 相変わらず引き抜くとか考える余裕がないほどの名器だ。コンドーム様様である。 「あああああああああぁぁぁーーーーーっ!!!!!」 力なくくたっと倒れこみそうになる沙織の体を両手で抱え、こっちに向かい合わせる。そうして抱きかかえたままの姿勢で、最後に今一度俺たちは唇を重ねあった。 「も、もう、補導されたらどうするんですか京介さんったら……」 「す、すまん。これでも一応反省はしている」 行為が終わった後、俺たちは沙織が立てるようになるまで少しベンチで休んでいた。 確かに最終的にあそこまで大声でやってたら結果はどうあれ結構危なかったのかもしれない。 周りのカップルから何も言われないのは経験があるのか、『若さゆえの過ちというもの』と片付けてくださっているのか。 「でも、これでまた1つ記念日が増えましたね」 「これも書き加えるの!?」 「いいじゃないですか。『初めて京介さんが激しくしてくれた日』にしてもいいですよ?」 「そういう問題かよ!?ま、まあなんとでもしてくれ」 そうして帰路に着こうとする直前に、沙織が爆弾を投下してきた。 「じゃあ、家に帰ったら今度は京介さんを私が責める番ですね♪ 私えっちな子ですから、京介さんとならまだあと何回かは全然いけますから」 「…………」 いや俺も別にまだいけるけど、沙織は結構根に持つタイプなのかもしれないとちょびっと恐怖した。 今日の夜はまだまだ眠れなさそうだ。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1281447547/213-216 「……38.4℃。モロ風邪だな」 京介は桐乃が脇から取り出した体温計を読み取り、溜息をついた。 「こ、このあたしが夏風邪なんかに……それもあんたなんかに看病されるなんて」 「親父は仕事で出払っちゃってるし、母さんも町内会の集まりなんだ。不本意でも我慢しろ」 「べ、別に嫌だなんて言ってないじゃない」 それ以外にどういう意味に取れというのか、と京介は内心で再び嘆息した。 「お前最近モデル業が重なってたから、疲労につけこまれたんだろうさ。ま、病人は病人らしく安静にしてな」 「余計なお世話……ゴホッ、ゴホゴホッ!」 「こんな状況でも意地張るか……お前らしいけどさ。とにかく無理すんなよ」 「うう……いつもの力が出せれば……くやしい……」 「なんとでも言いやがれ。何か食いたいもんあるか?」 「リゾット」 きっぱり。 「んなもん俺に作れると思ってんのか?」 「思ってないけど?」 「そうはっきり断言されると妙に腹立つな……」 意地悪そうな笑みを浮かべる桐乃。堪能したかのように笑みの質が柔らかいものに変化していった。 「食べられそうなもんなら何でもいいわよ、あんたが作ったもんなら」 「は?」 「え?あ……な、何か変な事考えたんじゃないでしょうね?キモ」 「(別に俺は何も言ってないんだが……)」 顔を赤く染めて桐乃が俯くのを見て、京介は妙な罪悪感に駆られた。この場に居続けるのは何か面倒臭いことになる気がしたので、京介は店じまいを始めた。 「じゃあ適当に消化のいいもんでも見繕ってくるわ。そんじゃな」 「あ……」 桐乃の返答を待たずに京介は立ち上がり、部屋のドアを丁重に閉めた。 京介が簡単な食事をこしらえて桐乃の部屋に戻ってくると、桐乃は眠っていた。 流石に安らかにとはいかないようで、何かうわごとのようなものを言っているらしく、京介は料理を置いて耳を傾けてみた。 「うぅ……おにいちゃん……待ってよぉ……」 (……!?) 「……ぅう……ん!?きゃあああ!何あんた勝手に覗き込んでんのキモキモキモッ!!」 「うおぁっ!?痛えっ!!」 桐乃から往復ビンタに枕投擲の追い討ちをくらい危うく後ろに吹っ飛びそうになる京介。 「す、すまん。しかしお前のような病人がいるか!」 「怒りが風邪を破ったのよ!って、ぁっ……」 「桐乃!」 桐乃がゆらりと体をへたらせるのを反射的に抱き留める。 「……本当に悪かった」 「ま、全くよ……ふん……」 「(こいつ汗だくじゃないか……俺が言えた義理じゃあないが)と、とりあえずお茶漬け粥を作ってきたから食べろよ。ポカリも用意してあるから」 「あ、ありがとう……」 「素直でよろしい」 「張っ倒されたいの?」 「(何この理不尽!?)」「じ……じゃあ……ほら……」 「……?」 「食べさせてくれるんでしょ?…………嫌ならいいけど……」 桐乃らしくない素振りに京介は僅かにうろたえたが、やがて意を決した。 「わかった」 「え……」 「なんだよ自分から振っといて」 「ほ、本当に……?」 「俺はお前の兄貴だからな」 「……」 京介はレンゲで粥を掬い取り、息で冷ましながら一口食べた。 「あっ……」 「ほらよ、あーん」 「あ、あーん……」 桐乃がレンゲの残りを恐る恐る口に入れ、それを確認してから矢継ぎ早に粥を掬っていった。 「ごちそうさま……美味しかった」 「そりゃどうも。顔が赤いけど熱でも上がったのか?」 「うっさいわね!……で、でも、あ、ありがとう……」 「お、おう……それじゃ、な」 桐乃のはにかむような微笑みに思わず京介はドキッとしたが、平静を装いつつ部屋から出ていった。 「ありがとう、おにいちゃん……」 京介は昔桐乃から目を背けてきたことで、たくさんの桐乃を見逃してきたことを改めて感じた。あいつはいくつもボールを放って来ていたのに。 もっとも、素直じゃないあいつのボールは暴投気味のものも多いのだが。 俺のすべき事は、あいつの投げる球を必死に追って捕ってやる事なんだろう。京介は、桐乃にもう少しだけ優しくなれた気がする日だったな、と思った。