約 31,200 件
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/124.html
(2)保育所全体の保育の質の向上を図るため、職員一人一人が、保育実践や研修などを通じて保育の専門性などを高めるとともに、保育実践や保育の内容に関する職員の共通理解を図り、協働性を高めていくこと。 ① 保育所職員としての成長 これまで、保育所における研修では、特に一人一人の職員の専門性の向上を図ることに重点が置かれてきました。しかし、保育所の機能や役割が増す中で、組織の一員としての成長もこれまで以上に求められています。 保育所がその責務を十分に果たすために、職員がお互いに協働し、職員全体の一員としての役割をしっかりと担っていくことが期待されているのです。 この組織の一員としての成長は、従来は保育所内でのカンファレンスや職員会議を通して促されていく側面が比較的大きいものでしたが、今後は個々人の専門的な知識・技術を習得していく段階と同様、より意識的・計画的に取り組まれる必要があります。保育所職員としての役割、意識、倫理等に関して、研修の機会を設けることが求められます。 ② 組織性を高めるための条件 保育所の専門性は、組織の理念や方針等の共通理解、個人の主体性や意欲、職員間の信頼関係と協働性、評価や研修等の計画的実施などの要素によって向上します。 保育所がそれぞれに掲げている理念や方針について、職員全員が共通認識を持つことが最も大切です。保育の質を高めていくためには、なぜ、そうした理念や方針が必要なのかを、職員一人一人がしっかりと理解する必要があります。理念や方針について理解が深まれば、個人の主体性や意欲が向上し、その実現のために何をすればいいのか、どのような保育や業務が必要なのかを自ら考え判断するようになります。職員の間に目指す目標が共有されることで、その目標に向かって協力することの重要性も深く認識するようになり、職員の協働性が高まっていくのです。 ただし、理念や方針は、会議や文書などによる一通りの説明だけで、職員間に浸透するものではありません。施設長や主任保育士をはじめとするリーダー的立場の職員が常に組織としての役割や使命、目標や将来展望を、職員だけではなく保護者や社会に対して表明する必要があります。また施設案内や保育所のしおり等に掲載するなど、いつでも職員や保護者が確かめることができるようにすることも大切です。職員が常に理念や方針に触れたり、話し合ったりする機会を積み重ねることで定着していくものです。 ③ 保育の内容や職務内容の共通理解 また、保育の内容について職員の共通理解も不可欠です。職員間での密な連携による保育を実践するためには、どのような保育を行うのか、その内容全体を各自がよく理解しておく必要があります。特に、毎年作成する事業計画をはじめ、保育の内容の根幹となる保育課程や具体的な計画である指導計画のほか、実践や評価に関する記録など、保育の質の向上に関するものについては、共通理解を持つ機会を計画的に設けるようにします。 さらに職務内容についての共通理解も大切です。子どもの保育及び保護者支援は、保育所の方針のもとに組織される職務分担やクラス担任配置等によって計画的、組織的に実施されます。その際、職員同士がそれぞれの職務内容についてよく理解し合うことで、どのような場合にどのような連携が必要なのか判断できるようになり、それによって、それぞれの専門性を発揮した職員の協力体制が可能となります。 このように、職員が共通理解を深め、相互の信頼関係が強まることで、自らの実践への自己評価や研修、自己研鑽への意欲が高まっていきます。 子どもの最善の利益の実現のために、組織として高いモチベーションを共有した職員の集まりが、保育所全体の保育の質を高めていくことになります。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/99.html
健康で安全な子どもの生活を確立するためには、保護者や家族の協力は不可欠であり、常に密接な連携を図ることが必要です。 ①家庭からの情報 子どもの家庭での生活実態、健康状態、既往症や予防接種歴、過去の傷害を伴う事故等の情報は、入所時だけでなく常に収集することが必要です。 また、子どものかかりつけ医を確認し、必要に応じてかかりつけ医と連携を図るよう努めなければなりません。 ②保育所からの情報提供と説明 子どもの健康と安全、食生活や食育に関する活動については、保育所から家庭に情報提供することが必要です。特に、季節ごとの疾病・事故に関する情報、季節に応じた食事・献立、感染症の発生状況とその予防対策などについて、家庭に適宜伝えていくことが望まれます。また、保育所の子どもの健康と安全に関する基本的取組方針等については、入所時に説明することが必要です。さらに、保育現場における医療的ケアについては,入所時及び適宜、保護者との間で、嘱託医や地域の医療機関を交えた情報交換を行い、保護者に周知徹底を図ることが必要です。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/107.html
保育所においては、子育て等に関する相談や助言など、子育て支援のため、保育士や他の専門性を有する職員が相応にソーシャルワーク機能を果たすことも必要となります。その機能は、現状では主として保育士が担うこととなります。ただし、保育所や保育士はソーシャルワークを中心的に担う専門機関や専門職ではないことに留意し、ソーシャルワークの原理(態度)、知識、技術等への理解を深めた上で、援助を展開することが必要です。 ①対人援助職としての基本 ソーシャルワークの原理(態度)には、保護者の受容、自己決定の尊重、個人情報の取扱いがあります。保育所におけるソーシャルワークでは、一人一人の保護者を尊重しつつ、ありのままを理解し受け止める「受容」が基本的姿勢として求められます。受容とは、不適切と思われる行動等を無条件に肯定することではなく、そのような行動も保護者を理解する手がかりとする姿勢を保つことです。 援助の過程においては、保育士等は保護者自らが選択、決定していくことを支援していくことが大切です。このような援助関係は、安心して話をできる状態が保証されていること、つまり個人の情報が守られていることによって成り立ちます。ただし、後述するように、虐待の通告や要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)との連携や協力に関わる活動においては、秘密保持義務を超えて情報の提供や交換がなされなければならないことにも、留意する必要があります。 ②相談・助言の実際 保育所における相談・助言は、臨床相談機関・施設や行政機関のそれとは異なり、日常保育の様々な機会をとらえて行われます。育児講座や子育てサークルなどの活動を通じて実施されることも多くなっています。相談の形態も、日常場面における相談、電話による相談、面接による相談など様々です。相談の基本原理を踏まえ、関係機関や専門職との連携を密にし、その専門性の範囲と限界を熟知した対応を心がけることが必要です。 コラム: ソーシャルワークとは 生活課題を抱える対象者と、対象者が必要とする社会資源との関係を調整しながら、対象者の課題解決や自立的な生活、自己実現、よりよく生きることの達成を支える一連の活動をいいます。対象者が必要とする社会資源がない場合は、必要な資源の開発や対象者のニーズを行政や他の専門機関に伝えるなどの活動も行います。さらに、同じような問題が起きないように、対象者が他の人々と共に主体的に活動することを側面的に支援することもあります。 保育所においては、保育士等がこれらの活動をすべて行うことは難しいといえますが、これらのソーシャルワークの知識や技術を一部活用することが大切です。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/114.html
障害や発達上の課題が見られる子どもとその保護者に対しては、更に十分な配慮のもとに保育並びに支援を行うことが必要です。これらの子どもの保育に当たっては、第4 章-1-(3)-「ウ障害のある子どもの保育」に記されている事項を十分に配慮し、保護者、主治医や関係機関との連携を密にするとともに、必要に応じて療育機関等の専門機関からの助言を受けるなど、適切な対応を図る必要があります。また、保護者に対しては必要に応じて保育指導を行うとともに、他の子どもや保護者に対して、障害に対する正しい知識や認識ができるように支援する必要があります。 なお、発達障害者支援法に基づき、市町村が保育の実施に当たって発達障害児の健全な発達が他の児童と共に生活することを通して図られるよう配慮して入所を決定した場合には、特に上述の事項を踏まえて支援を行うことが求められます。また、幼稚園、小学校との連携に当たっては、学校教育における個別支援計画の策定とも関連することに留意することが必要です。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/78.html
ア 指導計画の作成 指導計画の作成に当たっては、次の事項に留意しなければならない。 (ア)保育課程に基づき、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成して、保育が適切に展開されるようにすること。 (イ)子ども一人一人の発達過程や状況を十分に踏まえること。 (ウ)保育所の生活における子どもの発達過程を見通し、生活の連続性、季節の変化などを考慮し、子どもの実態に即した具体的なねらい及び内容を設定すること。 (エ)具体的なねらいが達成されるよう、子どもの生活する姿や発想を大切にして適切な環境を構成し、子どもが主体的に活動できるようにすること。 ①保育課程と指導計画 「指導計画」は、保育課程に基づいて、保育目標や保育方針を具体化する実践計画です。指導計画は具体的なねらいと内容、環境構成、予想される活動、保育士等の援助、家庭との連携等で構成されます。 指導計画は、保育実践の具体的な方向性を示すものであり、一人一人の子どもが、乳幼児期にふさわしい生活の中で、必要な体験が得られるよう見通しを持って作成するものです。一人一人の子どもを主体としてとらえ、「環境を通して行う保育」を展開していく上で大切なのは、ねらいを達成するための環境を適切に構成し、子ども自らが環境に関わって様々な活動を生み出していくよう援助することです。したがって、子どもと保育士等との相互作用により生活を創造していく過程で、子どもと共に環境の再構成をするなど柔軟に保育を展開し、その実態を子どもと保育士等の2 つの視点で省察し、次の指導計画の作成に生かしていくことが求められるのです。 ②長期的指導計画と短期的指導計画 保育所では、子どもの発達を見通した年・期・月など長期的な指導計画と、それに関連しながらより具体的な子どもの生活に即した週・日などの短期的な指導計画を作成します。個人の指導計画、あるいはクラスやグループの指導計画など必要なものを、書式も含めて工夫して作成します。 ○長期的な指導計画(年・期・月) 年間(期)指導計画は、1年間の生活を見通した最も長期の計画であり、子どもの発達や生活の節目に配慮し、1年間をいくつかの期に区分した、それぞれの時期にふさわしい保育の内容を計画します。家庭との連携や行事等、また地域との連携などに配慮することが求められます。特に、乳児、1歳児保育については、発育・発達が著しく、個人差が大きいことから、発達過程と保育所生活へ慣れていく過程との2つの側面から構成していくなど工夫していくことが大切です。 ○短期的な指導計画(週・日) 長期的な指導計画の具体化を図り、その時期の子どもの実態や生活に即して、柔軟に保育が展開されるように、また、長期の指導計画との関連性や生活の連続性が尊重されるようにします。日課との関連では、保育時間が長時間化している今日、1日の生活の流れの中に、子どもの多様な活動が調和的に組み込まれるように配慮することが求められます。 ③指導計画の作成の基本 【子ども一人一人の育ちの理解】 子どもの実態を把握し、理解することから指導計画の作成はスタートします。なぜならば、指導計画は、保育士等から一方的にある活動を子どもに与え、させる計画ではなく、子どもと保育士等との相互作用の中で創っていくものだからです。 「~ができる、~ができない、~遊びをしている」といった目に見えることだけではなく、育っている、育とうとしている子どもの心情、意欲や態度を理解することが大切です。 【集団としての育ちの理解】 一人一人の活動する姿は、一見それぞれ異なるようですが、クラスやグループに共通する育ちがあり、集団としてのねらい、内容が見えてきます。 子どもが生活する姿や記録から、子どもの実態把握をする上で3つの視点が考えられます。一つは生活への取組(食事・睡眠・排泄など基本的な生活習慣)、二つは、人との関係(保育士・子ども等)、三つは遊びへの取組(何に興味を持ち、何をしようとしているのか)です。それぞれの視点で子どもをとらえる際、個人差を大切にすること、また、興味・関心を持っていることや得意なことにまず目を向け、次に何につまずいているかを明確にすることがポイントです。特に、子どもと大人(保育士等・保護者)の関係性と、子ども相互の関係性を読み取ることが必要です。こうした的確な生活実態の把握が、保育所における生活の基本となります。 ○次の計画に向けた具体的なねらい・内容の設定 子どもの実態把握をもとに、子どもの発達過程を見通し、養護と教育の視点から子どもの心情・意欲・態度と体験する内容を具体的に設定します。また、家庭生活との連続性や季節の変化、行事との関連性などを考慮して設定することが大切です。特に行事については、保育所と家庭での日常の生活に変化と潤いが持てるように、子どもの自主性を尊重し、日々の保育の流れに配慮した上で、ねらいと内容を考えることが重要です。さらに、家庭や地域の養育機能が低下している今日、家族が積極的に保育所での生活に参加し、子育ての喜びを共有していくための行事も大切です。 ○環境の構成 具体的に設定したねらいや内容を、子どもが経験できるように物、人、自然事象、時間、空間等を総合的にとらえて、環境を構成します。清潔で、安全な環境、家庭的な温かな環境を基盤に、子どもが環境に関わって主体的に活動を生みだしたくなるような、心ゆさぶる、魅力ある環境が求められます。「家具、遊具がある」、「素材、用具がある」、「植物、小動物がいる」ということだけではなく、そうした環境が子どもに生かされた環境になっていることや、人と人の関わりなど目には見えない雰囲気等が重要です。 環境構成には、こうした計画的な側面と、子どもが環境に関わりながら生じた偶発的な出来事を生かす側面とがあります。したがって、ある特定の活動を想定して大人主導で展開させるための環境ではなく、 子どもの気付き、発想や工夫を大切にしながら、子どもと共に環境の再構成をしていくことが大切です。 ○子どもの活動の展開と保育士等の援助 子どもの活動の生まれる背景、意味を的確にとらえ、子どもが望ましい方向に向かって主体的に活動を展開していくことができるよう、適切な援助を行なうことが求められます。保育士等の予測を超えた子どもの発想や活動に心を動かすことや、また、天候の変化などにより、ねらい・内容の修正や環境の再構成という新たな保育の展開が始まります。 イ 指導計画の展開 指導計画に基づく保育の実施に当たっては、次の事項に留意しなければならない。 (ア)施設長、保育士などすべての職員による適切な役割分担と協力体制を整えること。 (イ)子どもが行う具体的な活動は、生活の中で様々に変化することに留意して、子どもが望ましい方向に向かって自ら活動を展開できるよう必要な援助を行うこと。 (ウ)子どもの主体的な活動を促すためには、保育士等が多様な関わりを持つことが重要であることを踏まえ、子どもの情緒の安定や発達に必要な豊かな体験が得られるよう援助すること。 (エ)保育士等は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して保育の過程を記録するとともに、これらを踏まえ、指導計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図ること。 指導計画を作成することは子どもの生活を見通してデザインしていくことですが、それは「保育の過程」という考え方で理解することができます。保育実践は子どもの生活実態を理解することから始まります。そしてその生活を見通して作成した指導計画をもとに、保育を柔軟に実践していきます。さらにその保育実践を省察、評価、見直し、改善していくという一連のプロセス全体を「保育の過程」と呼んでいるのです。また、この「保育の過程」は、一度展開したら終わりというものではありません。保育の改善とは、子どもについて多様な観点からその理解を深めることであり、それはその期間の指導計画を見直し、次の期間の指導計画に生かしていくことにもつながります。こうして日々展開されていく保育実践そのものが、 つながりを持ちながら積み重ねられていきます。 【職員の協力体制による保育の展開】 保育所は様々な年齢や状況の子どもたちが一日の大半を共に生活する場であり、職員全体の協力体制が不可欠です。複雑なローテーション勤務体制、専門性・職種の異なる職員構成という状況で、施設長や主任保育士のリーダーシップのもとに、職員一人一人の力や個性が十分に発揮されることが大切です。そのためには、適切な役割分担がなされ、それぞれが組織の一員としての自覚を持てるよう、必要に応じて指導計画に職員相互の連携についての事項を盛り込みます。 【子どもの変化に応じた柔軟な展開と多様な援助】 実際の保育においては、子どもの姿に即して適切な援助をしていく必要が生じます。子どもの生活は多様な活動がからみあって展開していくものであり、保育士等の予想した姿とは異なる実際の姿が生じることがしばしば見られます。また、子どもに対する援助は、一緒に遊ぶ、共感する、助言する、提案する、見守る、環境を構成するなど多岐にわたります。その時々の状況に応じて、子どもが主体性を発揮できるよう適切な援助が求められます。こうした多様な援助に支えられて、子どもが情緒の安定や豊かな体験を得られるようにすることが重要です。 【記録と見直し、改善】 子どもは、日々の保育所の生活の中で、様々な活動を生み出し多様な経験をしています。保育を振り返り、記録すること自体が、子ども理解、保育を読み解くことになります。すなわち、記録は、実践したことを、客観化する第一歩となり、記録することを通して、保育中には気づかなかったこと、無意識でやっていたことに改めて気付くのです。そこで、子どもと保育士等の2つの視点で保育を捉え、記録することが求められます。 子どもの姿に視点をあてるというのは、一日の保育やある期間の保育が終わったときに、その間の子ども一人一人の様子を振り返り、保育所での生活と遊びの様子を、思い返してみることです。また、保育士等の保育に視点をあてるというのは、一日の保育やある期間の保育について、自分の保育実践が適切に行えたかどうかを振り返ってみることです。例えば、この期間に設定したねらいや内容が適切であったか、さ らには環境構成の見通しと援助が適切であったかなどを改めて見直すことです。 このような保育の省察により、一日、一週間、一か月などある期間の子どもの生活や遊びの実態をとらえ直し、子どもの言動の背後にある思いや成長の姿を読み取ります。そして、指導計画に基づく保育実践やそこでの一人一人の子どもに対する援助が適切であったかどうかを、自己評価に結び付けていきます。 【保育を振り返り省察する方法】 ○記録を通しての省察 ◎子どもの育ちを振り返る 子どもと共に生活するという日常的な保育において、記録という行為は、自らの保育を意識化することです。計画に基づき、保育は展開されていくのですが、一瞬一瞬、保育士等は、「今、このとき、このようにすることが最善」という判断のもとに、子どもや保護者への多様な援助を行っています。 記録は、その後の保育の省察、そして次の計画作成へと生かされていきます。つまり、日常の保育の記録が、保育士等の自己評価、さらに、保育所としての自己評価に関連していくのです。「このことはぜひ記録に残しておきたい」、「保護者へ記録を通して子どもの姿を伝えたい」、「仲間と一緒に子どもの育ちや保育のあり方を考えたい」など保育士等の思いとともに、子どもの姿を具体的に記述することが 求められます。その際、子どもの内面の変化について職員間で話し合い、今後の方向性を探る時に、その記録が基礎資料になります。 ◎自らの保育を振り返る 環境構成・援助や職員間の連携など特に心に残っていること、また、保育の中で悩んだり、解決したいことなども記録していきます。この過程で、その後どう取り組んでいくかということも合わせて考えていくことで保育の方向性を探ることができます。その中で、どのような取組が解決につながったのかを省察していきます。 このように記録をすることは、自分の保育を具体的に振り返り省察する過程そのものなのです。また、それは自分の保育実践を日々自己評価していく過程であるともいえます。 【カンファレンスを通しての省察】 カンファレンスとは、医療や福祉などの分野で行われている話し合いの方法です。特定のケースに関連している専門家が、お互いの立場を尊重しながら、資料に基づいて解決への方向性をみんなで探っていく専門的な話し合いを意味しています。保育実践においても、気になる子どものことや保育の行き詰まり、さらには保護者との連携のあり方などをめぐって、課題に直面することがしばしば生じます。その時に、問題や課題に関係する職員が専門的に話し合う保育カンファレンスが必要になります。保育カンファレンスにより、自分では考えつかなかった視点や方向性を示唆してもらえることになります。また、保育を振り返り、組織的に解決の方向性を探っていく方法としても有効です。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/94.html
(3)子どもが自らの感覚や体験を通して、自然の恵みとしての食材や調理する人への感謝の気持ちが育つように、子どもと調理員との関わりや、調理室など食に関わる保育環境に配慮すること。保育所では、次の事項に留意して、保育所での人的・物的な環境の計画的な構成が望まれます。 ○自然の恵みとしての食材料や、それを育て、調理し、食事を整えてくれた人への感謝の気持ち、命を大切にする気持ちなどを育むこと。また、子どもの活動のバランスに配慮し、食欲を育むことができるようにするとともに、食と命の関わりなどを実感したり、体験したりできる環境を構成する。 ○情緒の安定のためにもゆとりある食事の時間を確保し、食事する部屋が温かな親しみとくつろぎの場となるように、採光やテーブル・椅子・食器・食具、また、調理室や保育室などの環境に配慮する。 ○子ども同士、保育士や栄養士・調理員など、また、保護者や地域の人々などと一緒に食べたり、食事をつくったりする中でも、子どもの人と関わる力が育まれるように環境を整える。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/89.html
ア 保育中の事故防止のために、子どもの心身の状態等を踏まえつつ、保育所内外の安全点検に努め、安全対策のために職員の共通理解や体制作りを図るとともに、家庭や地域の諸機関の協力の下に安全指導を行うこと。 イ 災害や事故の発生に備え、危険箇所の点検や避難訓練を実施するとともに、外部からの不審者等の侵入防止のための措置や訓練など不測の事態に備えて必要な対応を図ること。また、子どもの精神保健面における対応に留意すること。 ①日常の安全管理(セーフティマネジメント) 子どもの環境の安全は、重要な課題です。安全点検表を作成して、施設、設備、遊具、玩具、用具、園庭等を定期的に点検し、安全性の確保や機能の保持など具体的な点検項目や点検日及び点検者を定めることが必要です。 また、遊具の安全基準や規格などについて熟知し、必要に応じて専門技術者による定期点検を実施します。 子どもが日常的に利用する散歩経路や公園等についても、異常や危険性がないか、工事箇所や交通量等を含めて点検し記録をつけ、その情報を全職員で共有します。 ②災害への備えと避難訓練 火災や地震等の災害発生に備え、避難訓練計画、職員の役割分担の確認、緊急時の対応等について、マニュアルを作成し、その周知を図るとともに、定期的な避難訓練を実施することが求められます。 避難訓練は、消防署をはじめ、近隣の地域住民、そして家庭との連携の下に行うことが必要です。また、災害時に保育所が地域の避難所となることもあり、地域との連携はたいへん重要です。 ③事故防止マニュアルの整備と事故予防事故防止のために、日常どのような点に留意すべきかについて、事故防止マニュアルを作成し、その周知を図る必要があります。 ○日常的な事故予防:あと一歩で事故になるところだったという、ヒヤリ・ハッとした出来事(インシデント)を記録し分析して、事故予防対策に活用することが望まれます。 ○子どもの発達との関係:事故は、乳幼児の発達の特性と密接な関わりを持って発生することが多く、保育士等は、子どもの発達特性と事故との関わりを理解することが望まれます。 ○保育の体制:子どもの動静については、常に全員の子どもを把握するようにします。観察の空白時間が生じないよう職員間の連携を密にする必要があります。午睡を含めて、子どもの安全の観察に当たっては、一人一人を確実に観察することが大切です。 ○事故が生じた場合:必要に応じて迅速に応急処置、救急蘇生を行うとともに、緊急度に応じて救急車の手配、保護者及び嘱託医への連絡等を行わなければなりません。 ○保護者への説明:緊急時には早急にまた簡潔に要点を伝え、事故原因等については、改めて具体的に説明することが必要です。 ④危機管理 不審者の侵入や火災、地震、重大事故や食中毒の発生等、子どもに大きな影響を及ぼす恐れのある事態に至った際の危機管理についても、日常的に検討しておく必要があります。保育所内で緊急事態が発生した際には、子どもの安全に留意し適切に対処します。 緊急事態発生後の精神保健への配慮:緊急事態の際には、保育士等は子どもたちが不安にならないよう冷静に振る舞うことが大切です。また、保護者に対しても冷静に対応することを忘れてはなりません。 子どもたちが緊急事態を目前に体験した場合は、強い恐怖感、不安感を抱き、情緒的に不安定になることが見られます(心的外傷後ストレス障害:PTSD)。必要に応じて、小児精神科医や臨床心理士等による援助を受けて、子どもと家族への精神保健面への配慮をします。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/116.html
保護者に不適切な養育等や虐待が疑われる場合の保護者支援には、時に保育所と保護者との間で意向や気持ちにずれが生じたり、対立が生じかねないことがあります。何よりも重要なことは、常日頃、保護者との接触を十分に行い、保護者と子どもとの関係に心を配り、ソーシャルワークの機能を念頭に置いて、 関係機関との連携のもとに、子どもの最善の利益を重視して支援を行うことです。そのことが保護者の養育に変化をもたらし、あるいは虐待の予防や養育の改善に寄与する可能性を広げます。 しかし、保育所や保育士等による対応では不十分であったり、限界があると判断される場合には、関係機関との連携がより強く求められます。特に児童虐待の防止等に関する法律が規定する虐待に関する通告義務は、保育所や保育士等にも課せられています。このような場合は、特に児童相談所等の関係機関との連携、協力が求められます。これらに関する対応については、第5 章の1「子どもの健康支援」の内容を踏まえ、必要なマニュアルなどを作成し活用するとともに、要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)との関係を深め、参画することが求められます。 コラム: ◎「不適切な養育」とは 保護者の養育に、子どもへの不適切な関わり方が見られ、それによって子どもが苦痛を感じたり、子どもの心身に危険が生じることが予測されたり、現に心身に問題が生じているような状態をいいます。虐待よりも広い概念で用いられますが、具体的には、子どもへの暴言、不当な扱い、放任などをあげることができます。 ◎「要保護児童対策地域協議会」(子どもを守る地域ネットワーク)とは 児童福祉法の改正により平成17 年4月より法定化された協議会であり、虐待を受けた子どもをはじめとする要保護児童の早期発見や保護を図るため、地域の関係機関や民間団体等が情報や考え方を共有し、適切な連携のもとで援助していくためのネットワークをいいます。ネットワークの中心となる調整機関も定められ、また、参加機関・施設等には罰則付きの守秘義務も課せられることとなっています。保育所も、この協議会の一員となることによって要保護事例の検討会議に出席し、関係機関との役割分担の中で子どもや子育て家庭の支援をしていくことが期待されます。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/92.html
(2)乳幼児期にふさわしい食生活が展開され、適切な援助が行われるよう、食事の提供を含む食育の計画を作成し、保育の計画に位置付けるとともに、その評価及び改善に努めること。 ①計画の作成と評価 「食育の計画」の作成に当たっては、平成19 年11 月に取りまとめられた「保育所における食育の計画づくりガイド」を参考に、次の点に留意し、子どもが主体的に食育の取組に参画できるよう計画していきます。 ○保育所における全体的な計画である「保育課程」と具体的な計画として作成される「指導計画」の中に位置付ける。 ○保育所での食事の提供は食育の一部であることから、食事の提供を含む食育の計画とする。 ○作成に当たっては柔軟で発展的なものとなるように留意し、各年齢を通して一貫性のあるものにする。 ○食育の計画を踏まえて実践が適切に進められているかどうかを把握し、その経過や結果を記録し、実践を評価することを通して、次の実践に向けて改善するように努める。 ○食事内容を含めて食育の取組を保護者や地域に向けて発信し、食育の計画・実施を評価し、次の計画へとつなげる。 ②食事の提供の留意点 日々の食事提供に当たっては、子どもの状態に応じて摂取法や摂取量などを考慮します。特に次の点に留意し、子どもが食べることを楽しむことができるよう計画することが望まれます。 ○入所前の生育歴や入所後の記録などから、子どもの発育・発達状態・健康状態・栄養状態・生活状況などを把握し、それぞれに応じた必要な栄養量が確保できるよう留意する。また、子どもの咀嚼や嚥下機能等の発達に応じて食品の種類、量、大きさ、固さ、食具等を配慮し、食に関わる体験が広がるよう工夫する。 ○授乳・離乳期においては、食べる意欲の基礎をつくることができるよう家庭での生活を考慮し、一人一人の子どもの状況に応じて時間、調理方法、量などを決める。母乳育児を希望する保護者のために、衛生面を配慮し、冷凍母乳による栄養法などで対応する。 ○安全で安心できる食事を提供するために、食材料の選定や保管時、調理後の温度管理の徹底など衛生面に配慮する。 ○地域の様々な食文化等に関心を持つことができるよう、食事内容や行事等の内容にも配慮する。 ○子どもの喫食状況の実態などを随時把握し、計画・実践過程を全職員で評価し、給食が子どもにとって美味しく魅力的なものであるよう食事の質の改善に努める。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/86.html
ア 保育中に体調不良や傷害が発生した場合には、その子どもの状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、嘱託医や子どものかかりつけ医等と相談し、適切な処置を行うこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。 イ 感染症やその他の疾病の発生予防に努め、その発生や疑いがある場合には、必要に応じて嘱託医、市町村、保健所等に連絡し、その指示に従うとともに、保護者や全職員に連絡し、協力を求めること。また、感染症に関する保育所の対応方法等について、あらかじめ関係機関の協力を得ておくこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。 ウ 子どもの疾病等の事態に備え、医務室等の環境を整え、救急用の薬品、材料等を常備し、適切な管理の下に全職員が対応できるようにしておくこと。 保育所における子どもの疾病等への対応は、保育中の体調不良のみならず、慢性疾患に罹患している子ども等を含めて、子どもの生命保持と健やかな発育・発達を確保していく上で極めて重要です。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応ができるようにします。 ①保育中に体調不良や傷害が発生した場合 子どもの状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、嘱託医やかかりつけ医と相談するなどの対応が必要です。特に、高熱、脱水症、呼吸困難、痙攣といった子どもの症状が急変や事故など救急対応が必要な場合には、嘱託医・かかりつけ医または適切な医療機関に指示を求めたり、受診します。必要な場合は救急車の出動を要請するなど、迅速に対応する必要があります。なお、このような子どもの症状に対して、全職員が正しい理解を持ち、基本的な対応等についても、熟知していることが望まれます。 ②感染症の集団発生予防 【予防接種の勧奨】 予防接種は、子どもの感染症予防にとって欠くことのできないものです。特に保育所においては、嘱託医やかかりつけ医の指導のもとに、計画的に接種することを奨励することが望まれます。 【予防接種歴、感染症歴の把握】 入所の際には、母子健康手帳等を参考に、一人一人の子どもの予防接種歴や感染症の罹患歴を把握しておくことが大切です。その後、新たに接種を受けた場合や感染症に罹患した場合には、保護者に伝えてもらうようにします。 【感染症の疑いのある子どもを発見したときの対応】 ○保育中に、感染症の疑いのある子どもを発見したときには嘱託医の指示を受けるとともに、保護者との連絡を密にし、医務室等にて他児と接触することのないように配慮します。 ○保護者には、かかりつけ医等の診察、治療や指導を受けるように助言します。 ○感染症に罹患していることが確定したときには、嘱託医の指導のもとに、他の保護者にも連絡を取り、感染の有無、経過観察等について理解を求めます。 ○感染症に罹患した子どもについては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10 年法律第114 号)にそって嘱託医やかかりつけ医の指示に従うように保護者に協力を求めます。 【出席停止期間】 ○いわゆる学校伝染病として定められた感染症に罹患した子どもが登所を再開する時期については、その出席停止期間を守ることを基本とします。 ○感染症が発生した場合には、嘱託医などの指示に従うとともに、必要に応じて市町村、保健所等に連絡し、その指示に従います。 ③医務室等の整備 体調不良の子どもが安静を保ち安心して過ごせるよう、また他児への感染防止を図ることができるよう、医務室の環境を整備しなければなりません。また、救急用の薬品、包帯等の材料を常備し、全職員が適切な使用法を習熟するようにします。 ④与薬への留意点 保育所において薬を与える場合は、医師の指示に基づいた薬に限定します。その際には、保護者に医師名、薬の種類、内服方法等を具体的に記載した与薬依頼票を持参してもらいます。 ○保護者から預かった薬については、他の子どもが誤って内服することのないように施錠のできる場所に保管するなど、管理を徹底しなければなりません。 ○与薬に当たっては、複数の保育士等で、重複与薬、人違い、与薬量の誤認、与薬忘れ等がないよう確認します。 ○座薬を使用する場合には、かかりつけ医の具体的な指示書に基づき、慎重に取り扱う必要があります。 ⑤個別的な配慮を必要とする子どもへの対応 【慢性疾患児への対応】 慢性疾患を持つ子どもの保育に当たっては、その主治医及び保護者との連絡を密にし、病状の変化や保育の制限等について保育士等が共通理解を持つことが必要です。また、対象となる子どもの扱いが特別なものにならないように配慮し、他の子どもまたは保護者に対しても、病気を正しく理解できるように留意します。 【肢体不自由児等への対応】 肢体不自由児等、療育が求められる子どもに対しては、保護者及び療育機関と密接に連携し、保育の中でも可能な限り療育の課題に留意することが大切です。 【アトピー性皮膚炎への対応】 アトピー性皮膚炎が疑われる場合には、保護者にかかりつけ医等の指示を受けるよう助言します。誤食に伴う急性の発疹の場合は、直ちに専門医に救急受診します。 【乳幼児突然死症候群(SIDS)】 乳幼児突然死症候群(SIDS)は、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されていない、原則として1歳未満児の突然の死をもたらした症候群」と定義されています。 主として睡眠中に発生し、日本での発生頻度はおおよそ出生4,000 人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多く、稀には1歳以上で発症することもあります。SIDSのリスク因子として、「両親の喫煙」「人工栄養」「うつぶせ寝」の3点が指摘されており、うつぶせ寝にして放置することは避けなくてはなりません。うつぶせにする際には、子どものそばを離れないようにし、離れる場合には、仰向けにするか、他の保育士等が見守るようにします。特に入所初期の観察は十分に行います。 【その他の医療的ケアを必要とする子どもへの対応】 在宅医療の普及に伴い、様々な医療的ケアを必要とする子どもの入所が求められることもあります。 保育所で医療的ケアを必要とする子どもを受け入れる場合には、主治医や嘱託医、看護師等と十分に協議するとともに、協力医療機関とも密接な連携を確立します。また、市町村からの支援を受けるなどの体制を整えることが重要です。 保育所における医療的ケアの限界と困難度等について、保護者の十分な理解を得るようにすることも大切です。 ⑥救急蘇生法等について 救急蘇生を効果的に行うためには、子どもの急変を早期に発見することが重要であり、日常的な保健管理のあり方が大きな意味を持ちます。保育士をはじめ全職員は、各種研修会等の機会を活用して、救急蘇生法や応急処置について熟知しておくようにします。 ⑦病児・病後児保育事業を実施する場合の配慮 保育所に併設して病児・病後児保育事業を実施する場合には、専従の看護師等を配置し、嘱託医、連携医療機関と密接な連携を図ります。また、他の子どもへの感染予防のため、通常の保育室とは分離された専用室(保健室・静養室・保育室等)を整備することが必要です。保育中に急性期の病状が見られた場合には、保護者に連絡し、早期にかかりつけ医を受診するように助言するなどの対応も必要です。