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保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがある。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、次の事項に留意しつつ、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。 ア 子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。 イ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。 ウ 保育室は、温かな親しみとくつろぎの場となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。 エ 子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。 ①環境を通して行う保育の重要性 保育の環境については、前項までに何度か述べられていますが、それは、保育の環境が多岐にわたるものであるとともに、様々な事柄との関連性があり、たいへん重要であるからです。 保育所における保育の基本は、環境を通して行うことです。保育の環境とは保育士等や子どもなどの人的環境、設備や遊具などの物的環境、そして、自然や社会の事象などであり、こうした人、物、場が相互に関連し合って保育の環境が作り出されていきます。 子どもが環境との相互作用によって成長・発達していくことを基本的に理解し、子どもの状況により様々に変化していくなど応答性のある環境にしていくことが重要です。さらに、乳幼児期の子どもの成長にふさわしい保育環境をいかに構成していくかが保育の質に関わるものであることを保育士等が自覚しなければなりません。 環境を通して行う保育の重要性を踏まえ、「子どもの生活が豊かなものとなるよう」保育の環境に関する4つの留意点を設け、「計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない」としています。 ②子ども自らが関わる環境 まず、「子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んで」いかれるようにすることが重要であるとしています。 子どもが思わず触りたくなるような、動かしてみたくなるような、関わりたくなるような魅力ある環境を構成することが重要です。また、子どもの興味、関心などが触発され、それまでの経験で得た様々な能力が十分に発揮されるよう工夫して環境を構成するとともに、遊びが展開する中で、子ども自らが環境を再構成したり、環境が変化したりすることを子どもたちと共に楽しむことも大切でしょう。保育士等が、保育所の自然環境などを生かした環境を構成することも求められます。 ③安全で保健的な環境 次に、施設などの環境整備を通して、「保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること」としています。子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です。全職員が常に心を配り、確認を怠らず、子どもが安心、安全に過ごせる保育の環境を保育所全体で整え、子どもの命を守り、その活動を支えていきます。 ④温かな雰囲気と生き生きとした活動の場 保育所は子どもが長時間生活する「温かなくつろぎの場」であるとともに、「生き生きと活動できる場」となるよう環境を構成することが必要です。 保育所の生活全体を捉えながら活動の静と動のバランスや子どもの発達過程などを踏まえ、一人遊びや少人数での遊びに集中したり、ほっとくつろげる時間と空間が保障される環境であるとともに、友達と一緒に思いきり体を動かすなど様々な活動に取り組むことのできる環境であることが重要です。 ⑤人との関わりを育む環境 さらに、「人と関わる力」を育てていくことの重要性に鑑み、「子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境」が必要であるとしています。子どもは身近な子どもや大人の影響を受けて育ちます。子どもが様々な人と関わる状況を作り出すことが大切であり、同年齢の子ども同士の関係、異年齢の子どもとの関係、保育士等との関係や地域の様々な人との関わりなどによって様々な感情や欲求が生まれることを踏まえ、保育の環境を構成していきます。複数の友達と遊べる遊具やコーナーなどを設定するとともに、保育所内外の物の配置や子どもの動線などに配慮した保育の環境づくりが必要です。 子どもが人とのやり取りを楽しみながら、子ども相互の関わりや周囲の大人との関わりが促されるような環境を構成していくことが求められます。
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保育の目標を達成するために、保育士等は、次の事項に留意して保育しなければならない。 ア一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。 イ子どもの生活リズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。 ウ子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。 エ子ども相互の関係作りや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。 オ子どもが自発的、意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。 カ一人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、様々な機会をとらえ、適切に援助すること。 (1)の保育の目標を達成するために、特に留意すべき保育の方法について、アからカまで6つの事項が示されています。アからオが(1)のアと同様、子どもの保育に関わる事項、カが保護者への援助に関わる事項となっています。 ①状況の把握と主体性の尊重 まず、保育の方法として、子どもの状況や生活の実態を把握するとともに、生きる主体である子どもの思いや願いを受け止めることの重要性が記されています。 子どもは保育所で生活するとともに家庭や地域社会の一員として生活しています。したがって保育士等は、その生活全体を把握するとともに、家庭での生活と保育所での生活の連続性に配慮して保育することが必要です。 また、かけがえのない存在として、一人一人の子どもの主体性を尊重し、子どもの自己肯定感が育まれるよう対応していくことが重要です。 ②健康安全な環境での自己発揮 次に、子どもの保育環境をしっかりと整えることの重要性が示されています。 保育所の長時間にわたる生活の中で、一人一人の生活リズムを大切にするとともに、次第に乳幼児期にふさわしい生活リズムとなるように努め、健康、安全で情緒の安定した生活を送れるようにすることが必要です。また、自己を十分発揮して生き生きと活動できるよう、保育の環境を適切かつ豊かに構成することが望まれます。 ③個と集団 子どもの発達について理解し、一人一人の子どもの発達過程と個人差に配慮して保育すること、また、子ども相互の関わりを重視し、集団としての成長を促すことが記されています。 個と集団の育ちは相反するものではなく、個の成長が集団の成長に関わり、集団における活動が個の成長を促すといった関連性に十分留意して保育することが重要です。その際、子どもの成長・発達について継続的に記録をとり、実際の子どもの姿や言動などから学び、保育に生かしていくことが必要でしょう。 ④生活や遊びを通しての総合的な保育 さらに、生活や遊びを通して総合的に保育することの重要性が示されています。 子どもにとっての遊びは、遊ぶこと自体が目的であり、子どもは時が経つのも忘れ、心や体を動かして夢中になって遊び、充実感を味わっていきます。遊びには様々な要素が含まれ、子どもは遊びを通して思考力や想像力を養い、友達と協力することや環境への関わり方などを体得していきますが、何よりも今を十分に楽しんで遊ぶことが重要です。その満足感や達成感、時には疑問や葛藤が子どもの成長を促し、更に自発的に身の回りの環境に関わろうとする意欲や態度を育てます。 子どもの発達は様々な遊びや生活体験が相互に関連し合い、積み重ねられていくことにより促されます。例えばある一つの遊びの中でも様々な側面が連動しています。子どもの諸能力は生活や遊びを通して別々に発達していくのではなく相互に関連し合い、総合的に発達していくのです。 こうしたことを踏まえ、保育所の保育が、見通しを持ったものとなるよう計画を立て、保育していきますが、子どもの状況により柔軟に対応することが大切です。また、短期的な結果を重視したり、子どもの活動が特別な知識・能力の習得に偏ることがないよう留意することが必要です。 ⑤保護者支援の方法 最後に、保護者への援助の方法が記されています。 保護者支援においては、保護者と一緒に子どもを育てていくといった視点が大切であり、保護者とのパートナーシップが求められます。保護者の気持ちを受け止め、子どもの成長を共に喜び、保護者の子育てを励まし援助していくとともに、日常の様々な場面をとらえながら、継続的な関わりや対話を重ねていきます。
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(4)保育所における保育士は、児童福祉法第18条の4の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものである。4番目の項目では平成15 年に改正された児童福祉法第18 条の4を踏まえ、保育士の専門性に言及しています。 保育士の専門性としては、①子どもの発達に関する専門的知識を基に子どもの育ちを見通し、その成長・発達を援助する技術、②子どもの発達過程や意欲を踏まえ、子ども自らが生活していく力を細やかに助ける生活援助の知識・技術、③保育所内外の空間や物的環境、様々な遊具や素材、自然環境や人的環境を生かし、保育の環境を構成していく技術、④子どもの経験や興味・関心を踏まえ、様々な遊びを豊かに展開していくための知識・技術、⑤子ども同士の関わりや子どもと保護者の関わりなどを見守り、その気持ちに寄り添いながら適宜必要な援助をしていく関係構築の知識・技術、⑥保護者等への相談・助言に関する知識・技術などが考えられます。 こうした「専門的な知識・技術」をもって子どもの保育と保護者への支援を適切に行うことは極めて重要ですが、そこに知識や技術、そして、倫理観に裏付けられた「判断」が強く求められます。日々の保育における子どもや保護者との関わりの中で、常に自己を省察し、状況に応じた判断をしていくことは、対人援助職である保育士の専門性として欠かせないものでしょう。
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ア 子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること。 子どもが安定し、充実感を持って生活するために、保育士等は以下の3つの点に配慮する必要があります。 一つ目は、乳幼児期の子どもの発達は心身共に個人差が大きいことに配慮することです。同じ月齢や年齢の子どもの平均的・標準的な姿に合わせた保育をするのではなく、一人一人の発達過程を踏まえた上で、保育を展開する必要があります。 二つ目は、子どもの活動における個人差に配慮することです。同じ活動をしていても、何に興味を持っているか、何を求めてその活動をしているのかは、子どもによって異なります。そのため一人一人の活動の実態を踏まえて、その子どもの興味や関心にそった環境を構成していく必要があります。 三つ目は、一人一人の子どものそのときどきの気持ちに配慮することです。 保育士等が様々に変化する子どもの気持ちや行動を受け止めて、適切な援助をすることが大切であり、常に子どもの気持ちによりそい保育することが求められます。 イ 子どもの健康は、生理的、身体的な育ちとともに、自主性や社会性、豊かな感性の育ちとがあいまってもたらされることに留意すること。 心と体の健康は、相互に密接な関連があります。大人との信頼関係を拠りどころに、子どもは安心感を持って自ら積極的に環境に関わっていくようになりますが、このことが、生理的、身体的な発達を促し、子どもの心と体を更に育てていきます。保育士等は、子どもの心と体の関係を十分に理解した上で、子どもの存在をまるごと受け止め、丁寧に関わることが大切です。 また、子どもは、自分の感じたことや思いを自分なりに生き生きと表現し、その表現を受け止めてもらい、認めてもらうことで、更に表現したい気持ちを高めます。他者と共感することにより更に自己発揮していくことが、子どもの心と体の健康につながっていくのです。 さらに、子どもは、保育士等に受け止めてもらうだけではなく友達にも認めてもらいたい、一緒に活動したいと思うようになります。保育士等は、子どもが、様々なものを感じることができるような環境、また十分に体を動かして表現することができるような環境を構成するとともに、子ども同士の関係を仲立ちし、関わりが促されるよう配慮することが重要です。 ウ 子どもが自ら周囲に働きかけ、試行錯誤しつつ自分の力で行う活動を見守りながら、適切に援助すること。 子どもは周囲の環境に対して、自ら主体的に関わって生活しています。保育士等は、子どもが遊びを通して積極的に環境に関わる中で、多様な経験が重ねられるよう配慮しなければなりません。また、子どもにとって魅力的な環境を構成し、意欲的に取り組みたくなる活動を子どもと共に計画していくことが大切です。 子どもの環境への関わり方は様々です。常に積極的に行動できる子どももいれば、関心を示さなかったり、保育士等や友達がすることを眺めている子どももいます。保育士等は、子どもの気持ちを尊重し、一人一人の子どもに「自分でやってみたい」という気持ちが現れるのを待つことが大切ですが、子どもの興味や関心に沿って環境構成を変えたりするなどの工夫をすることも必要です。また、活動に取り組む中で、子どもは、うまくできない悔しさを感じて様々に試行錯誤を重ねたり、自分でできたという達成感を味わったりします。保育士等は、子どもの気持ちを受け止めながら、自分で行うことの充実感が味わえるように、行動を見守り、適切に援助することが必要です。 エ 子どもの入所時の保育に当たっては、できるだけ個別的に対応し、子どもが安定感を得て、次第に保育所の生活になじんでいくようにするとともに、既に入所している子どもに不安や動揺を与えないよう配慮すること。 入所時に子どもは、心の拠りどころとなる保護者からも、慣れ親しんだ家庭からも離れ、見知らぬ保育士等や友達と、慣れない場所で生活することになります。 入所時の保育に当たっては、こうした子どもの不安な思いを理解して、特定の保育士等が関わり、その気持ちや欲求に応えるよう努めます。また、保護者との連絡を密にし、子どもの生活リズムを把握することも大切です。子どもは、保育士等との関係を基盤にして、徐々に保育室の環境に馴染んでいきますが、保育士等は、子どもが自分の居場所をみいだし、好きな遊具で遊ぶなど、環境にじっくりと関わることができるよう積極的に援助することが大切です。 既に入所している子どもにとっても、新しい友達との出会いは不安と期待が入り混じり、自分と保育士等と新しい友達との関係に敏感になることもあります。保育士等は、既に入所している子どもと入所してきた子どもの双方と関わりながら、子ども同士が安定した関係を築けるよう援助していくことが必要です。 オ 子どもの国籍や文化の違いを認め、互いに尊重する心を育てるよう配慮すること。 前述の1のイ「人間関係」の(イ)内容の⑭にもあるように、保育所では外国籍の子どもや様々な文化を持った子どもが共に生活しています。保育士等はそれぞれの持つ文化の多様性を尊重し、多文化共生の保育を進めていくことが求められます。 例えば外国籍の保護者に自国の文化に関する話をしてもらったり、遊びや料理を紹介してもらったりするなど、子どもが異なる文化に触れる機会を通して文化の多様性に気付き、興味や関心を高めていくことができるよう、子ども同士の関わりを見守りながら、適切に援助していきます。 外国籍の子どもの文化を尊重することだけでなく、宗教や生活習慣など、どの家庭にもあるそれぞれの文化を尊重し、十分に認識することが必要です。 保育士等は、自らの感性や価値観を振り返りながら、子どもや家庭の多様性を積極的に認め、互いに尊重しあえる雰囲気をつくり出すことに努めましょう。 カ 子どもの性差や個人差にも留意しつつ、性別などによる固定的な意識を植 え付けることがないよう配慮すること。 保育所において、固定的なイメージに基づいて子どもの性別などにより対応を変えたり、固定的な意識を植え付けたりすることがないようにしなければなりません。子どもの性差や個人差を踏まえて環境を整えるとともに、一人一人の子どもの行動を狭めたり、子どもが差別感を味わったりすることがないよう十分に配慮します。子どもが将来、性差や個人差などにより人を差別したり、偏見を持つことがないよう、人権に配慮した保育を心がけ、保育士等自らが自己の価値観や言動を省察していくことが必要です。 男女共同参画社会の推進とともに、子どもも、職員も、保護者も、一人一人の可能性を伸ばし、自己実現を図っていくことが求められます。
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ア 保育士等は、保育の計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返り、自己評価することを通して、その専門性の向上や保育実践の改善に努めなければならない。 イ 保育士等による自己評価に当たっては、次の事項に留意しなければならない。 (ア)子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮すること。 (イ)自らの保育実践の振り返りや職員相互の話し合い等を通じて専門性の向上及び保育の質の向上のための課題を明確にするとともに、保育所全体の保育の内容に関する認識を深めること。保育士等が行う自己評価は、保育実践の改善のためにあります。保育は計画、実践、省察、評価、改善、計画という循環を重ねながら展開します。改善のための評価には、評価の視点として「子どもの育ちをとらえる視点」と「自らの保育をとらえる視点」の二つが含まれています。 ①子ども一人一人の育ちをとらえる視点 保育士等は子どもと生活を共にする中で、個々の育ちをしっかりととらえることができる専門性が何よりも大切です。特に第2章に示される発達の特性とその過程を踏まえ、ねらいと内容の達成状況を評価します。そのとき留意したいのは、一人一人の発達に個人差があること、生活や遊びの中で目に見えにくい心の動きなど内面の育ちをとらえること、子どもの活動の結果だけに目を向けるのではなく、どのようなことに興味や関心を持ち、どのような活動に取り組もうとしているのか、また取り組んでいるかを理解することです。また、保育の環境や、子ども同士及び保育士等との関係など、周囲の状況との関連も視野に入れながらとらえることも大切です。 さらに、それまでの生育歴や保育歴をはじめ、家庭や地域社会での生活の実態にも目を配るようにします。 ②自らの保育をとらえる視点 保育士等は、指導計画に書かれたねらいと内容、環境構成、保育士等の援助などが適切であったかなど、「保育の過程」の全体を振り返ります。指導計画をはじめ保育実践記録などをもとに、保育士等の間での省察を通じて、保育の目標やねらいの達成状況、課題となっていることを明らかにします。また、保育を展開していくうえで、保護者との連携が十分に図られていたかについても振り返ります。 ③保育士等の学び合いとしての自己評価 自己評価は、保育士等が個別に行うだけではなく、相互理解が大切になります。そのためには、保育実践を互いに見合うことや、カンファレンスを通して、子どもの行動の見方や自己の保育の意味を検討することなどは、一人では気づけなかった保育のよさや課題の発見につながります。ときには保育所外部の専門家を交えたカンファレンスを行うことも大切です。同じ保育場面でもとらえ方は様々であり、自分の保育が同僚や他の専門家にどう映るのか、自分と異なる子ども理解や保育の視座に出会うことで保育の視野を広げ、自らの子ども観や保育観を見つめ直す機会となります。 こうしたことを通して、自己評価が保育の質の向上に欠かせないものであることを実感できるようになると、そこに共通の保育への見通しを持って、お互いに意見を交わし合う関係が形成されます。保育実践の意味を共有化したり、ときには自分の不十分な点や修正が必要な点に気付く機会になったり、あるいは保育のマンネリ化に陥ることを防ぐことにもつながります。それぞれが専門性を持ちながらチームワークを向上させていこうとする姿勢によって、組織として前向きに取り組むことが可能になります。このような自己評価のあり方により、学び合いを継続していく基盤が形成され、自分と異なる他者の意見を受け止め自らの保育を謙虚に振り返る姿勢や、保育に対する責任感と自覚など保育の専門性の向上が図られていきます。
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保育所に入所している子どもの保護者に対する支援は、日常の保育と一体に行われるところに特徴があります。保護者に対する支援の内容、方法の例を示すと、以下の通りです。 ①日々のコミュニケーション 連絡ノート、送迎時の対話、園内の掲示などで、保育の内容や子どもの様子などを知らせることは、保護者への支援と深くつながっています。日々の活動や子どもの言動に関する小さな報告をする場合であっても、保護者の子育ての自信や意欲を高めることにつながる伝え方を工夫することが望まれます。特に、一人一人の子どもの発達を見守る専門職の視点から、子どもの気持ちや行動の理解の仕方、心身の成長の姿などを知らせることは、保護者を励まし子どもへの理解を助けるという意味で、重要な支援と考えられます。 ②保護者が参加する行事 保護者懇談会、個人面談、家庭訪問、保育参観、保育参加(体験)、その他の特別な活動や行事(親子遠足、運動会など)などにおいても、保育の意図、日常の保育や子どもの様子、課題などを保護者に伝えるとともに、保護者の気持ちや悩みを直接聴き取る機会としたり、保護者同士の交流の場となるように配慮したりするなど、保護者支援の視点からの内容や実施方法の工夫が求められます。 様々な行事は、保育所の保育の方針や保護者の状況に応じて、保護者の希望を取り入れたりすることも望まれますが、保育の一環として、子ども自身の満足感や主体性が尊重されるようにします。 ③保護者の自主的活動の支援 保護者会、その他の保護者の自主的活動についても、保護者同士の交流を促し、子育てを支え合う視点からの支援が行われることが望まれます。 ④相談・助言 保護者から明確に相談・助言を求められた時に限らず、送迎時の対話、連絡ノート、意見や要望、苦情の内容などから、必要があると判断される場合は、相談・助言のための面談の機会を積極的に設けることが望まれます。担任の保育士がすべて対応するのではなく、内容によっては、主任・施設長などが対応する必要があります。保護者の様々な疑問、気がかりなどに対して、相談を受ける保育士・施設長は、まず傾聴することを基本とし、保護者の心情をとらえながら、理解、共感に基づき説明、助言などを行い、その中で保護者自身が納得や解決に至ることができるように援助することが大切です。 また、他の専門機関との連携を密にし、必要に応じて紹介・情報提供などを行います。
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ア 特に感染症にかかりやすい時期であるので、体の状態、機嫌、食欲などの日常の状態の観察を十分に行うとともに、適切な判断に基づく保健的な対応を心がけること。 この時期の子どもの保育では、不機嫌な状態や食欲不振、急な発熱や嘔吐など、わずかな様子の異常や変化にも注意を払い、感染症の早期発見に努めることが特に必要です。普段と比べて、過度に水分を欲しがったり、だるそうに生あくびをしたりする時も、要注意です。症状により必要があれば他の子どもから離し、嘱託医や看護師等の指導の下で、保護者と連携をとりながら対応策を考えます。 保育士等は、普段から、室内の気温や湿度及び換気に注意を払い、手洗いやうがい、消毒等、衛生面にも十分に注意をしておくことが重要です。また感染症に関する知識を習得し、流行状態を把握しておくことも大切です。 イ 食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなど、生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行うようにし、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること。 基本的な習慣については、安心できる保育士等との関係の下で、一人一人の発達過程に合わせ、無理なく行うことが大切です。食事は、楽しい雰囲気の中で、スプーンや箸などを使い、自分で食事をしようとする気持ちを大切にし、嫌いなものでも少しずつ食べられるように言葉をかけていきます。 排泄は、トイレの環境に配慮し、子どもがゆったりとした気持ちで自分から便器に座ったり排泄したりできるよう丁寧に見守ります。優しく声をかけるとともに、一人一人の排泄の間隔や発達過程等に応じて対応していきます。 睡眠については、一人一人が安心して休息をとることができるよう、子どもの生活リズムを踏まえ、その日の状態に応じて環境を整えます。休息をとるための空間や雰囲気などの環境を確保し、職員間で協力しながら対応します。 衣類の着脱に当たっては、丁寧にやり方を伝えながら自分でしようとする気持ちを励まし、徐々に手伝いの手を放していきます。子どもが自分で着やすい服や心地よい素材などにも配慮し、保護者に伝えていきます。 清潔の習慣を子ども自身が身に付けていくことも大切であり、保育士等が一緒に関わりながら、食事の前後や排泄の後の手洗いなどをしていきます。 いずれの習慣も、家庭との継続的な連携を図っていくことが大切です。 ウ 探索活動が十分できるように、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整え、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れること。 歩行の獲得に伴い子どもの行動範囲が広がり、探索活動が活発になります。 また、予測できない行動も多くなります。そのため保育士等は、安全な環境や活動の状態、子ども相互の関わりなどに十分注意を払い、事故防止に努めることが必要です。 子どもの手が届く範囲の物はその安全性などを点検し、危険な物は取り除き、安全な環境を確保するとともに、歩行や遊びの障害にならないようにしていきます。また、十分に全身を動かして活動できるよう、子どもの動きやすい服装を保護者に準備してもらうことも必要です。 エ 子どもの自我の育ちを見守り、その気持ちを受け止めるとともに、保育士等が仲立ちとなって、友達の気持ちや友達との関わり方を丁寧に伝えていくこと。 2歳頃になると、「自分で」と言ったり、「いや」と拒否したりするなど、自己主張が強くなりますが、これは、自我が順調に育っている証拠であり、保育士等はそのような子どもの気持ちをしっかりと受け止めます。自我の育ちとともに、保育士等の手を借りずに何でも自分で意欲的にやってみようとしますが、現実には思いどおりにいかず、多くの場合、保育士等の援助が必要となります。子どもの意欲や自分でやりたい気持ちを尊重しながら、さりげなく手を貸していくことが大切です。 また、子ども同士の関わりが多くなりますが、まだ言葉が十分ではなく、自分の欲求が伝わらないと手が出てしまったり、泣いて訴えたりする姿が見られます。友達とのトラブルやけんかの場面では、保育士等が互いの気持ちを受容し、その気持ちを分かりやすく伝えながら、関わり方を教えたり、仲立ちをしたりしていくことが必要です。保育士等は子どもの遊びや行動、心の動きに十分配慮し、トラブルを未然に防いだり、状況が悪化しないよう見通しを持って対応するようにします。 オ 情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を促していくこと。 自我が育ってくると、自分の思いどおりにいかないことや周囲の人に自分の気持ちが伝わらなかったりすることに対し、反抗的な態度を示します。保育所が、子どもにとって安心して自分の気持ちを表せる場であることはたいへん重要です。保育士等は子どもの気持ちを十分に受け止め、触れ合いや語りかけを多くし、情緒の安定を図るようにします。そして、子どもが適切な方法で自己主張できるように、その主体性を傷付けることなく、言葉を補いながら伝えていきます。 子どもは気持ちが安定すると、好奇心が広がり、新たに気付いたことや、自分で成し遂げたことを伝えようと保育士等に働きかけます。このような子どもの姿を十分に認め、共感を示していくことが、子どもの自発的な活動を支えます。子どもが安心感、安定感を得て、身近な環境に自ら働きかけ、好きな遊びに熱中したり、やりたいことを繰り返し行うことは、主体的に生きていく基盤となります。 カ 担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの経験や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること。 進級などで担当の保育士等が替わる場合には、子どもが不安にならないよう、職員間で一人一人のそれまでの経験や発達の状態などに関する情報を共有し、関わり方が大きく変わらないように注意します。発達過程における個人差が大きな時期であり、特に配慮を必要とする関わりについては、十分に話し合うことが必要です。また、担当が替わることを保護者にも伝え、お互いの情報を交換することで、保護者に安心してもらえるよう配慮します。 子どもが、それまでの保育を通して育ってきた自我や人への信頼感などを基盤に人と関わる力を発揮しながら、新しい担当保育士等との関係を築くことができるよう、職員全体で配慮することが大切です。
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(1)子どもが生活と遊びの中で、意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う子どもに成長していくことを期待するものであること。 ①食育の目標 保育所における食育は「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うために、毎日の生活と遊びの中で、自らの意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、大人や仲間などの人々と楽しみ合う子どもに成長していくことを期待するものです。食育の実施に当たっては、家庭や地域社会と連携を図り、それぞれの職員の専門性を生かしながら、共に進めることが求められます。 ②食育の内容 「保育所における食育に関する指針」が示す食育の5項目を参考に、保育の内容に食育の視点を盛り込むよう努めることが必要です。食に関する体験がこれらの項目の間で相互に関連を持ちながら総合的に展開することができるように援助します。 食育に関連する事項は、第3章(保育の内容)及び第4章(保育の計画及び評価)に深く関わります。特に、保育の養護的側面(生命の保持・情緒の安定)と教育的側面(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の内容に、食育の視点が盛り込まれています。これらの内容を踏まえ、各保育所で計画的に食育に取り組むことが必要です。 コラム: ◎「食育の5項目」 「保育所における食育に関する指針」では食と子どもの発達の観点から食育の5項目を以下のように設けています。 1)「食と健康」:健康な心と体を育て、自らが健康で安全な生活をつくり出す力を養う 2)「食と人間関係」:食を通じて、他の人々と親しみ支え合うために、自立心を育て、人と関わる力を養う 3)「食と文化」:食を通じて、人々が築き、継承してきた様々な文化を理解し、つくり出す力を養う 4)「いのちの育ちと食」:食を通じて、自らも含めたすべてのいのちを大切にする力を養う 5)「料理と食」:食を通じて、素材に目を向け、素材にかかわり、素材を調理することに関心を持つ力を養う
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保育所における食育は、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標として、次の事項に留意して実施しなければならない。 子どもが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくために、また、子どもの健康支援のために「食」はたいへん重要です。乳幼児期における望ましい食習慣の定着及び食を通じた人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、保育所では食に関する取組を積極的に進めていくことが求められています。 「食育基本法」(平成17 年法律第63 号)を踏まえ、「保育所における食育に関する指針」(平成16 年3 月29 日雇児発第03290015 号)を参考に、保育の内容の一環として食育を位置付けます。そして、施設長の責任のもと、保育士、調理員、栄養士、看護師などの全職員が協力し、各保育所の創意工夫のもとに食育を推進していくことが求められます。 また、子どもの保護者についても、食への理解が深まり、食事をつくること、子どもと一緒に食べることに喜びが持てるよう、調理室などの環境を活用し、食生活に関する相談・助言や体験の機会をつくることが望まれます。 (1)食育の基本 (2)食育の計画 (3)食育のための環境 (4)特別な配慮を含めた一人一人の子どもへの対応
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(1)保育課程 (2)指導計画 (3)指導計画の作成上、特に留意すべき事項