約 1,796 件
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/561.html
ベルグへと進出した皇国軍は、しかしリンド王国に白旗を上げさせることは出来なかった。 国王は逃亡し、皇国軍はベルグの町で食糧や一部の日用品を調達する事には成功したものの、それ以上の成果が無い。 リンド王国陸空軍は降伏し、もはや皇国軍に対抗しうる存在ではなくなったが、 リンド国王と海軍が降伏しなければ戦争は終わった事にならない。 『リンド国王は、何を考えているのか?』 皇国は焦った。 元はリア公国を巡る限定的な戦争のはずが、陸軍が全滅しても降伏を拒むとは。 面子の問題だろうか? 叩き過ぎたのが問題なのだろうか? 皇国軍は、先任の師団長が護衛を引き連れノールベルグ王宮へと入城する。 衛兵と一悶着あるかと思っていた師団長だったが、意外な事に 門を警備する衛兵は、門を開け放って皇国軍の将軍を素通りさせた。 「これはこれは、皇国軍の将軍閣下……」 「皇国陸軍少将、栗田一郎男爵です。貴殿は?」 「私は陛下の元侍従のジオ=リノークと申します。国王陛下をお探しで?」 「ええ、そのとおりです」 「ならば一足遅かったですな。陛下は夏の離宮に向かわれました」 「夏の離宮? まだ春ですが」 「私も詳しい事情は知りませんが、何でも皇国軍の砲撃で眠れず、昼寝すら出来ないからだとか……」 皇国軍は、市壁外から王都ベルグの北の森を砲撃し続けていた。 北の森は、東京で例えるなら、皇居に対する浜離宮のようなものだろうか。 王室専用の狩猟場であるため、基本的に無人である。 幾ら砲撃しても一般市民に被害が出ないだろうから、ここを砲撃する事になった。 王宮から遠からず近からずの場所を、休む事無く砲撃する事で 十分な心理的圧力を加えて降伏させようとしたのが裏目に出た形だ。 「では、リンド国王陛下は、端的に言えば王都から逃げ出したのですか」 「さようです……」 「ではもう、この王宮には大臣達も居ないのですか」 「はい。侍従長を始め、国務卿も兵武卿も内務卿も、主だった大臣達は陛下と共に」 「そうですか。貴重な情報をありがとうございます。 ですが、我等も手ぶらで帰る訳にはまいりません。 王宮内に、国王陛下を匿っていないか捜索させて頂きたいのですが」 「それはどうぞ、ご自由に。私も同行させて頂きます。王宮内の案内も出来ましょう」 栗田師団長は、部下と共に一通り王宮内部を捜索し、国王や大臣、家臣団が 居ない事を確認すると、そそくさと王宮を出て司令部へと帰還した。 「リア公国は既に我が軍とユラ軍の制空権下にあり、陸軍も進駐している。 そしてリンド陸空軍は全滅だ。海軍がまだ潜んでいるが、これも我が海軍の方で対処可能で、反撃しつつある。 今やリンド王国の戦略目標は達成不可能だ。リンド国王は、それが解らないのか? それが王の器か?」 ユラの皇国軍司令部では、将校や参謀達が呆れかえっていた。 圧倒的な武威を誇り、250年以上続いた徳川幕府すら最後は潔く“負け”を認めたのだ。 それに引き換えリンド王と来たら……。 皇国軍は、やろうと思えばいつでもベルグを火の海に出来る。 特にレジスタンス活動をしてくるでもない一般国民を巻き込むのは 心理的抵抗があるし、何より後始末が大変だからやらないだけだ。 皇国は、別にリンド王国に含むものなど無い。 だから一刻も早く、リンドの地を荒廃させないうちに戦争を終わらせたかった。 セグーニュにて発せられた“勅命”は、国内に大きな波紋を広げた。 『15歳以上40歳未満の男子は、全て最寄の連隊に出頭し、徴兵検査を受ける事』 今まででも、使えそうな人材は多くが兵士になっていたのだ。 この上、徴兵を強化したところで何になるのだろうか? だが、国王の“王国軍100万人計画”は、実行に移されようとしていた。 リア公国は、現国王の祖父王の代に奪われた土地。 それを取り返すためであれば、平民の血が幾ら流れても良いのだろうか。 いや、単に敗戦という現実を受け入れるのが怖いだけかも知れない。 戦争を長引かせるだけ長引かせて国内が荒廃するよりも、 虜囚になる(かも知れない)のが怖いのだ。 「陛下、どうかお考え直し下さい」 「くどい! ここは余の国、そして軍隊は余の軍隊だ!」 もう何度目になるかわからない、王への嘆願。 だが、王は頑なな態度を崩さず、降伏を認めようとしない。 家臣や大臣達の頭の痛くなる日々は終わりが見えない。 皇国は、ユラからベルグを経由してセグーニュへ、全権大使の名の下にリンド国王へ数度目の親書を送った。 親書の内容を要約するとこうだ。 『我々皇国は、これ以上の戦争を望んでいません。 陛下の軍隊が皇国の商船を襲うので、仕方なく戦っているのです。 陛下が矛をお納めになるならば、皇国も矛を収める用意があります。 皇国が陛下に望むのは、皇国の通商の一切を直接的にも間接的にも妨害しない事です。 陛下が矛を収められ、皇国との和平を望むなら、皇国は王国との間に自由な通商を開く用意もあります』 だが、リンド国王はこれが気に入らない。 「ええい、馬鹿にしおって! マルロー王国とアナーフ王国へ送った使者はどうなっておる!」 「両国とも、資金の援助と、少数の義勇兵の派遣が可能と申しております」 「資金の援助とは、具体的には?」 「両国合わせて凡そ、金2000万ワールです」 「それだけあれば、軍の再建も出来よう。平民どもなど、1ワールで10人雇えるだろうからな」 1ワール金貨は、ほぼ1リルス金貨と等しい価値を持つ(1ワール=20/21リルス)。 1ワール≒1リルスとは、中規模の都市の借家住まいの平民家族が1ヶ月生活に困らない程度の価値だ。 物価が違うので比較が難しいが、金自体の価値を基準にすれば、皇国円に換算して16円~17円程度だろう。 つまり、16円で兵士を10人雇おうという訳だ。1人あたり1円60銭である。勿論、これは年俸である。 ちなみに、皇国陸軍二等兵の年俸は96円、一等兵の年俸は150円である。特別手当は別途ある。 幾ら物価が違うとはいえ、皇国兵の1/60の年俸というのは安すぎであろう。 リンド国王が、兵卒の価値をその程度としか考えていない証拠である。 足りない分は戦場で戦功を立てるか、敵軍から略奪せよという事だ。 リンド王国の方で軍費として2500万ワールを足せば、合計4500万ワールになる。 拉致同然に連れてきた100万人を10万ワールで雇い、1500万ワールで2000騎の飛竜を、 1000万ワールで3000騎の戦竜を、残りの1990万ワールで、軍馬や小銃、大砲を整える。 リンド国王の頭の中では、完璧な軍隊が再編成されていた。 「陛下。この資金は是非、戦後の復興事業にお使い下さい」 「戦後? まだ戦争は終わっておらぬではないか」 「陛下……我が国は敗戦国同然です。どうか現実を――」 侍従長の願いも、国王には届かなかった。 「皇国軍は遠征で疲れきっておるだろう。次こそは余の軍は皇国を撃ち破り、リアを治めるだろう」 「…………」 国王の心には、逆転勝利しか見えていない。 まだ存在すらしない“再編された軍”を見ているのだ。 「陸空軍はそれで良いとして、海軍はどうなっておるか?」 「海軍は、皇国船を襲撃出来なくなりつつあります」 「何故だ?」 「皇国軍が、船舶に護衛の軍艦を張り付けるようになりました。 彼我の戦力差は圧倒的です。殆どが返り討ちに遭っています」 通報艦、連絡艦も行動が封じられつつあります」 「余の戦列艦を以てしてもか?」 「砲の性能、船の性能、何れも皇国軍艦に軍配が上がります。 ですから陛下、もうこの戦は――」 国王は、不満げな表情で侍従長を睨みつけた。 「決戦だ! 100隻の軍艦でもって、皇国海軍を叩き潰すのだ!」 国王の決意は揺らぐ事がなかった。 命辛々帰国し、戦況を報告する海軍の連絡艦へ、“決戦”が通達されたのはそれからすぐの事である。 現在、リンド王国の“王都”ベルグは、皇国軍によって制圧されていた。 制圧といっても、陣地や部隊は市壁の外に構え、砲兵の圧力で威圧しているに過ぎなかったが、 北の森への威嚇射撃が余程身に沁みたのか、ベルグ市民に皇国軍に対して反抗しようとする者は居なかった。 ただ、町の治安が若干悪化しつつある。 混乱に乗じた窃盗や強盗などが、微増しているのだ。 ベルグの商人は、皇国が欲しがるパンや肉などを笑顔で提供したが、その分、都市内での物価は上昇している。 貧困層には辛い状況だ。 ベルグからさらに北や東へ逃亡する市民も、少数ながら居た。 皇国軍では、ベルグ包囲をやめてセグーニュへ一直線に行き、セグーニュを攻撃すべきという意見と、 セグーニュ攻撃ではさらにリンド国王の態度を硬化させるだけで実入りが無いという意見に分かれていた。 食糧などが調達しやすいのはベルグだ。セグーニュは、近隣に大した町は無い。 しかし、王の居ないベルグを包囲しているのも何か間抜けに思えるのも仕方が無いだろう。 ユラの司令部では、佐藤中将が決裁を求められていた。 ベルグ包囲続行か、セグーニュ襲撃か。 佐藤中将の出した答えは、“ベルグの包囲続行”であった。 ベルグは皇国の京都や英国のロンドンのように歴史的に王都だから問題は少なく、 セグーニュに軍を進めるのは、相手を刺激しすぎてしまうという懸念があったからだ。 話が通じないリンド国王に、どう話を理解してもらうのか、ユラの全権大使も頭を抱えていた。 皇国もユラ神国も、リンド国王を捕えて処刑しようだなどとは一切考えていない。 ただ、リア公国の原状を回復し、皇国船への襲撃を止めさえすれば、それで終わりだ。 そして、リア公国の現状はユラ神国の側になっているのだから、 あとはリンド海軍艦艇の皇国船への襲撃をどうするかだ。 襲撃回数に比べて実害は少ないが、かといってゼロでも無い。 独航している皇国船に対して、数隻のフリゲートなどで囲まれると逃げ切れない事もある。 既にリンド海軍艦艇は出払って居るので、今さら海軍の根拠地を叩いても効果は低いだろう。 勿論、報復として叩きはするが。 また、秘密基地や秘密の補給船がある可能性があるので、それの捜索も必要だ。 広い大内洋、巡潜型の哨戒だけでは中々荷が重いという事で、水偵を搭載した5500t型がさらに5隻、 そして水偵を多数搭載可能な利根型偵察重巡2隻も、リンド海軍艦隊の捜索の為に出撃している。 敵は帆船なので、燃料の問題が無い。 水と食糧さえあれば、いつまでも跳梁跋扈される可能性があるのだ。 肝心の水と食糧は、秘密補給船からか襲撃した皇国船から奪っているのだろう。 先の欧州大戦で、敵ながら天晴れな活躍を見せたドイツ海軍のゼーアドラー号の如く活躍されてはたまらない。 皇国では、船団を組んで全ての船団に護衛駆逐艦を付けるという手で何とか被害を食い止めようとしているが、 そのために雪だるま式に増えていく石油消費量が、また頭の痛い問題であった。 勿論、備蓄はある。普通に使えば1年から1年半分の石油が。 しかし、備蓄がなくなる前に神賜島の石油開発が軌道に乗るかどうか、まだ予断を許さない。 船団の数自体が少ないのでまだ助かっている部分はあるが、 護衛駆逐艦の運用で年間数万トンという石油が余計に失われる。 リンド海軍艦艇を文字通り全滅させ、リンド王国に協力する海賊等を全て取り締まる という、かなり難しい事を実行せねば航路の安全が確保されないのが現状なのだ。 リンド王国海軍の戦列艦やフリゲート、スループ等の数は全部で200隻以上になる。 その対応に必要な巡洋艦や駆逐艦は、一体何隻になり、必要な石油や弾薬は 一体どれ程になるのか、考えただけでも頭が痛くなってくるだろう。 王都を占領すれば降伏するだろうという見通しが瓦解し、戦争の終結が見えなくなってきた。 食糧の安定供給という大目標のためには、多少の無理無茶も必要という 意見もあったが、そのために必要なコストは上がり続けている。 西大陸方面でそこそこ成功した同じ手を東大陸でもという訳には行かなくなってきた。 今や、対リンド戦争は食糧の安定供給のためのちょっとした武力支援という当初の 目論みから、皇国という国家の威信という、厄介なものが付いて回るようになっている。 これが傷付くと、大目標の達成が難しくなるだろう。 皇国軍がリンド王国から撤退し、皇国側から自主的に戦争終了という事になれば、 皇国と通商を結ぼうかどうか決めかねている多くの国が、そっぽを向く可能性がある。 現在、通商条約を結んでいる国からの目線も、変わらざるを得ないだろう。 勝たねば舐められる。 東大陸は人類発祥の地であり、強国、大国も多い場所だ。 そしてリンド王国は、東大陸でも五指に入る列強国。そこでの勝利は特別な意味がある。 下手に長引かせるよりも、人員や物資を惜しみなく使い、皇国の決定的な勝利を 諸国に知らしめる事が何より重要なのではないかという声が高くなってきた。 皇国の精強さを知れば、皇国をよく知らないが故に安易に対立してしまう国も減るだろう。 そうすれば皇国がこの世界で生きて行くに必要な資源の調達も楽に進む。 場合によっては、武威により徴発する事も出来るのだ。 統合参謀本部は、海軍の第一航空艦隊の出撃を決定した。 目的は、積極的なリンド海軍の撃滅である。 今までは、輸送船団を襲ってくるリンド王国軍の軍艦を 追い払う事に終始していたが、それでは終わりが見えない。 リンド国王と海軍が停戦と降伏を認めない以上、 リンド王国軍の軍艦を全て沈没させねば勝利とはならない。 もはや形振り構っていられないのだ。 第一航空艦隊に所属する一航戦(翔鶴、瑞鶴)、二航戦(飛龍、蒼龍)、三航戦(天城、赤城)が、 既に内地を離れて任務に就いている巡洋艦や潜水艦と共同して広い海域の索敵哨戒と攻撃を行う。 そして、北東大内洋を哨戒していた重巡利根の水偵が木造帆船の 大艦隊を発見したのは、第一航空艦隊が出撃して10日目の事であった。 「利根より入電。敵艦隊発見。位置は北東大内洋、フレータル環礁」 「敵艦隊か! よし、補給を済ませたら急行するぞ」 第一航空艦隊司令長官には、リンド王国海軍の全滅という難しい任務が 与えられていたが、司令長官は自身の持つ戦力に相当な自信を持っていた。 第一航空戦隊(翔鶴、瑞鶴。各艦、零戦24+4機、九九式艦爆24+4機、九七式艦攻24+4機)。 第二航空戦隊(飛龍、蒼龍。各艦、零戦24+4機、九九式艦爆16+4機、九七式艦攻16+4機)。 第三航空戦隊(天城、赤城。各艦、零戦24+4機、九九式艦爆24+4機、九七式艦攻24+4機)。 第七戦隊(最上、熊野、鈴谷、三隈。各艦、零式水偵3機)。 6個駆逐隊、駆逐艦24隻(陽炎型12隻、朝潮型8隻、白露型4隻。陽炎型の主砲は連装両用砲)。 その他支援艦艇多数。 ※最上型巡洋艦は、15.5cm三連装砲(15門)搭載の軽巡洋艦。 合計34隻(+支援艦艇)、艦上機だけでも400+72機の大勢力である。 司令長官は、第一航空艦隊の戦力は第一艦隊すら屠れると考えるほどだ。 事実、昨年行った第一艦隊との合同演習では、戦艦5隻を大破ないし沈没させたと判定された。 対する損害は、30機程度。1割弱の損害は決して少なくないが、戦果を見れば十分以上だろう。 戦艦を始め、重巡や軽巡、駆逐艦や補助艦に至るまで対空火器の強化を急速に行うきっかけを作った大演習であった。 建造中の大和型戦艦など、設計を変更してまで対空砲の大幅な増設を行っている。そのせいで完成が遅れそうなのだが。 第一艦隊すら全滅させられる程の航空戦力。 精々大型駆逐艦程度の排水量の木造戦列艦を中心とした艦隊など、鎧袖一触であろう。 発見さえ出来れば、その敵艦隊の命運は決まったも同然なのだ。 「利根より入電。敵艦隊の詳細は、大型帆船30隻以上、中小型帆船50隻以上!」 全部で80隻以上。これは大捕り物だ。 艦隊の補給が完了すると、司令長官は艦隊の針路を2500km先のフレータル環礁へと命令した。 利根の水偵は相変わらずフレータル環礁を監視していた。 船の数は増えに増えて、大型艦(排水量2000t以上程度)38隻、 中型艦(排水量1000t以上2000t未満程度)36隻、小型艦(排水量1000t未満程度)22隻である。 戦闘艦はそのうちの2/3程度で、1/3程度は補給艦や連絡艦などであろう。 中には飛竜母艦も1隻あった。リンド王国海軍の意気が見え隠れしている。 フレータル環礁まで距離450kmに迫った頃、皇国海軍第一航空艦隊から空襲部隊に出撃命令が下った。 風上に向けて28ktで突っ走る艦隊から、144機(爆装零戦48機、九九式艦爆48機、九七式艦攻48機) の第一攻撃隊が出撃する。 出撃開始から約1時間半。 皇国海軍の攻撃隊は、フレータル環礁上空へと迫っていた。 フレータル環礁は、北東大内洋でも比較的大きな環礁の一つで、南北約12km、東西約15kmの三日月形の環礁である。 周囲にも複数の小さな環礁があり、全体では南北40km、東西60km程度の大きさの環礁群を形成している。 この地域に分布する珊瑚は、海水温15度程度の冷たい海に適応したものだ。 上空から見れば、これが寒冷な北東大内洋の島だとはとても思えないだろう。 風光明媚な環礁は、元世界の常識から考えれば赤道に近い温暖な海域にある島を思わせる。 しかし、太陽の昇る角度を測れば、ここが北緯45度の北海道と同程度の緯度にある島だとわかる。 これから、この美しい島々が戦場になるのだ。
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/1004.html
<no image...> <リンク集> 位置づけとしては「教科書・参考書」。 StarChild モーレツ宇宙海賊:http //www.starchild.co.jp/special/mo-retsu/top.html Wikipediaモーレツ宇宙海賊 <作品概要> <◆基本情報> 本ページの対象作品モーレツ宇宙海賊[パイレーツ](TVアニメ) ※原作(小説版「ミニスカ宇宙海賊」)は2012/1時点で管理人未読のため、対象外。 <◆主要人物> TVアニメ ※★:ED「LOST CHILD」の超高速データ集に登場しているキャラクター。以下、原則的に同データ集の表示順で記載。 メインの3人★加藤茉莉香[かとう まりか](声:小松未可子):主人公。白鳳女学院高等部1年生にして、私掠船免状を公布された宇宙海賊(海賊船「弁天丸」船長)。 ★チアキ・クリハラ(声:花澤香菜):茉莉香のクラスにやってきた、黒髪眼鏡の転校生。公認海賊ケンジョー・クリハラの娘。 遠藤マミ(声:小見川千明):茉莉香の友人でバイト仲間。 「白鳳女学院」宇宙ヨット部員 (1番目:加藤茉莉香/学生服版) (2番目:チアキ・クリハラ) (以下、3~17番目) ★ジェニー・ドリトル(声:佐藤利奈):部長。金髪・リボン・ロングヘア。ヒュー・アンド・ドリトル船間運輸の後継者候補。 ★リン・ランブレッタ(声:日笠陽子):副部長→部長。茶(?)髪ショート。中等部時代にクラッキングで保護観察。 ★タルヴィッキ・ラウノ(声:?):紫髪・ポニテ。 ★フローラ・チャピー(声:?):赤髪。 ★ミレーネ・セルトン(声:早見沙織):黒髪・サングラス。 ★イズミ・ユノモト(声:内田真礼):眼鏡・黒髪・ツインテール。 ★アスタ・アルハンコ(声:安野希世乃):青髪・ショート。 ★小林丸翔子(声:野村香菜子):黒髪・片目隠し。冷めた口調。 ★エイプリル・ランバート(声:巽悠衣子):金髪。 ★ベリンダ・パーシー(声:三森すずこ):赤髪ツイン。 ★原田真希(声:赤崎千夏):赤っぽい髪、長身・面長。通称「ハラマキ」 ★サーシャ・ステイプル(声:高森奈津美):金髪・ヘアバンド・ロングヘア。 ★リリィ・ベル(声:佐藤聡美):黒肌・銀髪。 ★ウルスラ・アブラモフ(声:西明日香):緑髪。 ★アイ・ホシミヤ(声:茅野愛衣):新入生1。かぶりもの。操船技術は一流。 ★ナタリア・グレンノース(声:伊瀬茉莉也):新入生2。赤髪ボーイッシュ・体育会系。 ★ヤヨイ・ヨシトミ(声:南條愛乃):新入生3。長身・内気。機関担当としては一流。 宇宙海賊・その他アウトサイダー海賊船「弁天丸」 (1番目:加藤茉莉香/船長服版) (以下、2~12番目) ★ケイン・マグドゥガル(声:松風雅也):操舵手。ヨット部顧問教師として赴任。 ★ミーサ・グランドウッド(声:伊藤静):船医。ヨット部訓練航海にも船医としても乗船。 ★百眼(声:藤原啓治):レーダー担当。 ★ルカ(声:水原薫):航法士。 ★三代目(声:松岡禎丞):機関担当。 ★クーリエ(声:堀江由衣):電子線担当。 ★シュニッツァー(声:三宅健太):戦闘指揮担当。 その他★親父さん(声:松山鷹志):空港料理街の元締め。 ★ショウ(声:安元洋貴):ハロルド・ロイド保険組合のエージェント。 ★加藤梨理香(声:甲斐田裕子):茉莉香の母。かつて「ブラスターリリカ」と呼ばれた伝説的海賊。 ★ケンジョー・クリハラ:海賊船バルバルーサ船長。チアキの父。 ゴンザエモン・加藤(声:-):弁天丸の前船長。故人。 セレニティ連合王国グリューエル・セレニティ(声:戸松遥):第七皇女。紆余曲折を経て宇宙ヨット部に入部。 グリュンヒルデ・セレニティ(声:金元寿子):第八皇女でクリューエルの妹。同じく宇宙ヨット部に入部。 ヨートフ・シフ・シドー(声:斧アツシ):侍従長。 ヒュー・アンド・ドリトル星間運輸ロバート・ドリトル(声:津田英三):現専務・ジェニーのおじ。会社の経営を巡りジェニーと対立。 ジュナイ・クールフ(声:内匠靖明):ロバートと親しい運輸省の政治家の息子。ジェニーの婚約者。 <◆使用楽曲> OPテーマ:猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 / ももいろクローバーZ EDテーマ:LOST CHILD / ももいろクローバーZ 劇中歌・挿入歌(イメージソング)Black Holy / 小松未可子(加藤茉莉香) [9話・12話・16話ED] (ゲストEDテーマ)透明な夜空~瞬く星に包まれて~ / 小松未可子(加藤茉莉香) [13話ED] <◆シナリオ> イベント時系列表モーレツ宇宙海賊 イベント時系列表(まとめ中)作品全体において重要な出来事を抜粋。ネタバレ注意。 TVアニメ公式:http //www.starchild.co.jp/special/mo-retsu/story SAILING 1 海賊、罷り通る SAILING 2 私の力、海賊の力 SAILING 3 オデット二世、出航! SAILING 4 決戦は深夜 SAILING 5 茉莉香、決意する SAILING 6 茉莉香、初仕事する SAILING 7 平穏ままならず SAILING 8 姫と海賊 SAILING 9 華麗なる船出 SAILING 10 嵐の砲撃戦 SAILING 11 閃光の彷徨者[ワンダラー] SAILING 12 永遠[とわ]よりの帰還 SAILING 13 茉莉香、招待する SAILING 14 茉莉香、募集する SAILING 15 密航出航大跳躍 SAILING 16 初仕事!白鳳海賊団 SAILING 17 意外なる依頼人 SAILING 18 打ち上げはジュース SAILING 19 四人の絆 SAILING 20 莉香[せんちょう]、波に乗る SAILING 21 決戦!ネビュラカップ SAILING 22 海賊狩り SAILING 23 目指せ!海賊の巣 SAILING 24 傷だらけの弁天 SAILING 25 開催!海賊会議 SAILING 26 そして、海賊は行く <関連情報、その他雑感> 雑多メモクジラザキウタウ星系第3惑星 海明星(うみのあけほし)、砂赤星(すなのあかほし) 私掠船免状 バイト先「ランプ館」 伝説の「オリジナル7」の生き残り クロスフィールド:二方向からレーダーをかけて空間を走査すること。「要するに挟み撃ち」 佐藤竜雄監督の一言チョイス 放映回 一言 SAILING 1海賊、罷り通る 公の海賊ってアリ?!(加藤茉莉香) SAILING 2私の力、海賊の力 決断は自分の選んだベスト!(加藤茉莉香) SAILING 3オデット二世、出航! ぽつんとしているのが宇宙(加藤茉莉香) SAILING 4決戦は深夜 心配より朝食(ケイン・マグドゥガル) SAILING 5茉莉香、決意する 戦闘、開始です。(加藤茉莉香) SAILING 6茉莉香、初仕事する だけど宇宙は、一人じゃない(チアキ・クリハラ) SAILING 7平穏ままならず 頑張っても、ダメな時はダメ。(ミーサ・グランドウッド) SAILING 8姫と海賊 船長どうする?(百眼) SAILING 9華麗なる船出 だいへんと呼ばれる非合法の特殊技術(グリューエル・セレニティ) SAILING 10嵐の砲撃戦 追いかけて出し抜いて上前をくすねる!(加藤茉莉香) SAILING 11閃光の彷徨者 船首から受ける!(ケイン・マグドゥガル) SAILING 12永遠[とわ]よりの帰還 海賊稼業は結果オーライ(加藤茉莉香) SAILING 13茉莉香、招待する まだ、わかりません(グリューエル・セレニティ) SAILING 14茉莉香、募集する 貴女が一番求めるものは何ですか?(ケンジョー・クリハラ) SAILING 15密航出航大跳躍 ぴょうぴゃん(※=ショウさん)(加藤茉莉香) SAILING 16初仕事!白鳳海賊団 本人に直接訊こう。(加藤茉莉香) SAILING 17意外なる依頼人 だったらやっちゃいましょうか(加藤茉莉香) SAILING 18打ち上げはジュース ちくわぶらぶ♡(加藤茉莉香) SAILING 19四人の絆 ゴミを集める時はG有り!ゴミを運ぶ時はG無し!書:小松未可子(加藤茉莉香) SAILING 20茉莉香[せんちょう]、波に乗る 俺の、オゴリでな。(ケイン・マグドゥガル) SAILING 21決戦!ネビュラカップ 船乗りの基本です(アイ・ホシミヤ) SAILING 22海賊狩り 時は、来た!(鉄の髭) SAILING 23目指せ!海賊の巣 このケンカ、買ったわ(加藤茉莉香) SAILING 24傷だらけの弁天 領収書は弁天丸で(クーリエ(イケイケver)) SAILING 25開催!海賊会議 親父、ぶっ殺す!!(チアキ・クリハラ) SAILING 26そして、海賊は行く 劇場で逢いましょう(佐藤監督?) <◆鑑賞記録> 2010年5月以降に鑑賞した分。◆TVアニメ(2013/4視聴完了)
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3492.html
89 :ひゅうが:2016/07/10(日) 00 19 12 艦こ○ 神崎島ネタSS――幕間「帝国政府の憂鬱」 ――1937(昭和12)年1月9日 午後4時 閣議は、重い沈黙をたゆたわせていた。 紫煙は最盛期ロンドンの「霧」のように閣議室の空気を見たしている。 実際、シャアロック・ホウムズが見つめていたあの霧の主成分がのちにスモッグといわれるものであるから、大した違いはないのだが。 それを示すかのように、大日本帝国政府の中枢である内閣を構成する人々の顔色は一様に悪い。 「陛下は…」 首相 廣田弘毅は重苦しい口を開いた。 当年とって58歳。ひと月後には59になるあたり、政治家として脂の乗り切った時期にあたる。 彼の顔色が悪いのは、つい数日前まで帝国議会で続けられていた見苦しい二大政党の上げ足の取り合いだけが原因ではなかった。 「ことのほかお怒りであられる。」 「何と。」 陸相 寺内寿一大将が驚きの声を上げた。 「陸相もご覧になっただろう。あの惨状だよ…」 「あんなものは…」 口を開こうとして寺内は気付いた。廣田は、怒っている。 彼は、疲れた表情の中で「眼だけで」寺内を睨みつけていた。 帝国議会開会中に海軍省から駆け込んできた武官から文書を手渡されたのは昨日午後1時。 これを受けていったん休会を挟んで閣議決定で新領土編入を行ったのが同日3時だった。 それから万歳三唱に送られて帰る段になり面々は満足して帰った。 しかし、この新島対策のために翌日の参集を強く言いつけ、官邸へ集まった面々を半軟禁状態に置いたのが廣田だった。 それからが彼らの悪夢の時間だった。 彼らは、帝国が滅ぶ様子を映像で見せつけられ続けていたのだ。 途中、何度か海軍将校が往来してはいたが、誰も気にも留めなかった。 「信じられませんかな?」 「特殊撮影では?そういうものがあると聞いたことがあります。」 そう言うと思っていた。と、廣田は一冊の本を取り出す。 なぜか平仮名が多いその本には付箋がしてあり、赤い線が引かれていた。 「…!?」 評伝 廣田弘毅。 そう題された書籍の中ほどには、こう書かれていた。 「ほかならぬ宇垣に懇願し現役にとどめられた寺内は、宇垣内閣を流産に導いたのである。 これは、後年インパール作戦を黙認し…」 「で、出鱈目…」 「まだ言うか!軍部大臣現役武官制を復活させたのは君が強く望んだからだ。 だがそれを利用して政治干渉をするつもりだったとは… 『生まれる前から陸軍に育った私です』との言葉にほだされた相手に対してこの仕打ちか。」 寺内は恐怖と怒りで立ち上がった。 なぜ、まだなしていないことを理由に詰問されねばならないのだ。 いやまて。 なぜ宇垣さん相手にいったことをこの外交官上がりの小男が知っている? なぜ、一部でささやかれるという内閣倒閣の方法が… 90 :ひゅうが:2016/07/10(日) 00 21 00 「いや…まだ為していないことを理由に問うのは不公平だな。」 すまない。と頭を下げた廣田は二回りも小さくなった。 「もう一度、言おう。陛下は、たいそうお怒りであらせられる。」 はっとなった。 陛下が? 「ご覧になられて、おられたのですか…」 そうだ。と廣田はちらと海相の永野修身をみた。 そうか。報告をいれてきたのは連合艦隊の米内長官。海軍は実戦部隊の指揮官の裁量により… そうか。侍従長の百武は予備役海軍大将。 先代は肝胆相照らしたといわれる鈴木貫太郎予備役大将。その繋がりか…。 「そうだ。すべて目を通しておられる、とのことだ。」 思わず、寺内は顔を覆った。 「何たることか…」 真実か、真実でないかが問題なのではない。 この時代の日本の軍人にとって、恥という概念はすべてを超越するものだったからである。 「このままいけば、君は1月21日に『腹切り問答』といわれる議員との挑発合戦に激怒。 内閣を崩壊に追い込み、閣内不一致で内閣は総辞職する。 そればかりではない。『あの』近衛公が政権を担うことになるが…」 見たまえ。と廣田はもう一部の書籍を手渡した。 その題のは、「ゾルゲ事件」の文字。 ご丁寧に、複写版らしいものが他の面々にも配られる。 いや待て。なんだあの白い紙は? いや、今はこの付箋の先を… 「わかっただろう。近衛公のブレエントラストはアカい連中の巣窟だ。 彼らが主導する新体制運動は…考えたくもないが、わが帝国を赤く染める手段の可能性が高い。 そして、今年7月…帝国はシナとの泥沼の戦争状態に突入する。」 30分後、肩をふるわせる閣内の人々の顔にはぬぐい難い恐怖が刻印されていた。 内閣書記官長の藤沼庄平などは「そんな…そんなバカな…」とうわごとを繰り返している。 彼は、くだんの昭和研究会の一員だった。 91 :ひゅうが:2016/07/10(日) 00 21 31 「けさ早く、私は極秘のお召しにより参内した。畏れ多くも陛下は…」 全員が姿勢を正した。 「『このようにしてはならぬ』との聖慮をお示しになられた。」 「なんと。」 のちに昭和という元号を冠されることになる当代の帝は、めったにこのような意見を出すようなことはない。 田中義一が死んでからは特にそうなっている。 ただし、昨年の2.26事件のときは別だった。 かの方は烈火の如く怒り、自ら近衛師団を率いて鎮定するとまで述べられたのだった。 「すなわち、我々に安易な閣内不一致による倒閣は許されぬ。 …くだんの島の首長が親書を送ってよこし、帝都へ来ようというところではな。」 「お待ちを!得体のしれぬ…とは言いにくいまでも、外務省を通さずにこのようなことをしては…」 有田八郎外相が目を剥いて、同じ外交官出身の廣田へ詰め寄る。 だが廣田は、徹夜明け特有の据わった目で彼をはねつける。 「拙速が必要なのだ。先の記者発表後、米国大使が深刻な懸念を伝えてきた。 領有権について問題化されるやもしれぬ。」 「閣下。それは私も初耳であります。」 永野海相が苦言を述べた。 「君らは、神崎島の海軍艦艇の分析にかかりきりになっていたようだからな。」 少し皮肉交じりに廣田はそう返す。 「アメリカは、我々の発表、すでに数万単位の日本人がいるというやつを信じていないようだ。 島の『中立化』を要求してきた。どうやらわが海軍がいち早く占拠したと思っているようだな。まぁそうなるだろう。」 「と、いうことは、現地の酋長の来朝をもって領土を確定すると?」 「彼らを南方や樺太の土人たちと一緒にするな内相。列強が持つような超弩級戦艦を複数保有し、地図が正しいなら北海道に匹敵する面積の本島と合計すると四国に匹敵する付属諸島を有する強力な武装集団なのだ。」 永野海相にたしなめられた瀬恵之輔内務大臣は素直に「考え違いをしておりました」と謝った。 党派色の薄い内務官僚出身であるため、彼は昨今の革新官僚のようにガツガツとはしていないのだった。 「…ほかならぬ、陛下が親書の通り会いたいと前向きなのだ。」 つまり、陛下自らが、会うべき対象として認識したということである。 一昨年来日した満州帝国の皇帝溥儀のときのように、彼を劣位において陛下の苦言をいただくようなことは御免ということか。 「神崎島本土へ赴く米内長官からの詳細な報告を待ってからだが、間違っても早まった行動はとってはならぬ。 …たとえば、血気に逸る部隊をひきつれての『進駐』。あるいは先行探査名目での勝手な測量などは。 各自、そのように願いたい。 これは首相としての『お願い』だけではない。…左様心得られたい。」 念を押した廣田首相の懸念はあたっていた。 すでに港湾には「新領土開拓」を名目に神崎島へ向かおうとする山師や、つられた陸軍の一部部隊、さらには海軍陸戦隊や、境界画定に執念を燃やす内務省の人々が集まり始めていたのだから。 92 :ひゅうが:2016/07/10(日) 00 23 16 【あとがき】――要は、無主地なのだから先に占拠してしまおうという人たちがけっこういたというお話でした。
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/3143.html
水島 大宙(みずしま たかひろ) 担当キャラ アーメス・ウォン ヒューバート・オズウェル ネタ 実はたまにエロゲなどにも出ている。別名木島宇t。 TOGではヒューバート(青年期)役をやっていた。 人魚のアニスがお嫁さんの中坊。アニスの父親のバイロクスや構成員のジェイドに命を狙われたりと波乱の毎日。一方、アニスの親友のペリドットや幼馴染のリタ、コランダーム等多数の少女に好かれている。それでもアニス一筋な辺り、中坊ながら立派である。 ペリドットの父親のコングマンやアニスを巡るライバル?の開所恐怖症ハリー等、男の知り合いも妙な奴が一杯である。 アニメ最終話では怒りから何の外的補助も無く超戦士化。アニスを我が物にしようとしたリチャードを鉄拳制裁した。 なお、このアニメのブルーレイBOXが2010年のアニスの誕生日に発売となる。 カイルの弟。実際は記憶を書き換えられたカイルを監視する為にバルバトスから送り込まれた偽りの弟。 カイルが心の中で彼に言った「ボロ雑巾のように捨ててやる!」は有名。 最後にはカイルに弟と認められ、ロケットを墓に手向けられた。第2次超機械大戦Z再世篇では、特別なルートを通ると生存する。隠しユニットの名に恥じずエースボーナスと機体の相性がとても良いと評判。 泣ける話、寝物語、落語までこなす天才ストーリーテラー先生は常に絶望するカルセドニー 本のタイトルの付け方が直球すぎる某「誰か助けてください」で有名な本を「オーストラリアの中心で人灰を撒くはた迷惑な男」とタイトル返上した 恋愛授業なる科目のある学校愛嬌学園に通う甘い物が苦手な高校生両親のバカップルぶりを散々見せ付けられたせいなのか恋愛には関心が薄い 恋愛授業の存在を知らぬまま入学しキレそうになった(実際は恋愛授業の存在を知らなかったのは両親から何も聞かされていないまま入学が決定したため) 実際愛嬌学園に入学したのは両親の策略であるとしか言えません 死後の世界で活動する『死んだ世界戦線』に参加している。参謀のようなポジションについており知的なように見えるが本当は馬鹿。「実は私、着やせするタイプなんです!」と言いながら教師の前で脱ぐという行為をした事も。そして脱いだ後はそのままテストを受けたり、昼食を食べたりし、さらにはEDで輝きながらその姿で登場したという…。 仲間にはカルセドニー、ロンドリーネ、イオン(アニメ版)、シアン、メル(クロス版)、マリクがいる。 ホウエン地方にいる双子のジムリーダーの片割れ。弟らしい。 シャスティルとは因縁のある家系だが、実は愛しあっている。 シャオルーンのサーヴァント。主君だったグリューネの所持する剣の姉妹剣を持つ、「太陽の騎士」。日中はほぼ無敵。続編でははっちゃけるシャオルーンに合わせて、彼に借金をした主人公から取り立てを行う。「その財布を奪う!」「午前の光よ、借金を返したまえ」「この剣は太陽の映し身、かつ負債を回収するもの!」 聖杯探索においては聖都にて敵として出現。聖杯の力により常時日中の祝福を得たことで、多くのプレイヤーのトラウマとなった。 戦場でもプレゼントを届けにくるサンタさん。ネーミングセンスが壊滅的に悪い。白くてふわふわな可愛いワンコ(♀)に「特攻!バクダン野郎」や「血まみれ花たまご」と名付けようとした。結局、他者に説得されて「花たまご」に落ち着いたが。 一応、リチャードの味方。 ちょっとポッチャリしている。もいもい。 サイバーエルフと化した伝説のイレギュラーハンター。別作品でボディがあった頃はチェスター(ワルター)である。 この作品はスピンオフの側面が強いので正史と呼んでいいのかは不明である。 元ハイソルジャー。世界編ではサッカー日本代表に選ばれ、マリクが監督だった。新世代編では社長に就任した。ハイソルジャー時代はサッカーでGKである主人公(男)に向かってドリブルしながら告白する。 主人公を北海道から沖縄までストーカーする。 色々な意味でエミルと被っている。 キルケーユニットに所属するニュータイプにしてクラトスの部下。 スタン率いる弱小チームの7番。実は元々スタンの背番号でもある。重度のチキンで好不調の波が激しい。しかしスタンとディムロスの言葉で見事覚醒。 稲羽市のガソリンスタンドで働く謎の青年。なぜかリチャードと握手をするが・・・。 文化研究部の部員であり、部の仲間にはミラがいる。 ノストラダムスの大予言を回避すべく2012年から1999年に送り込まれたタイムエージェント。その昔はスプーン曲げで一世を風靡した超能力少年だったが、未来ではその能力を失っていて自己保身ばかり考えるヘタレと成り下がっていた。しかし・・・少年時代に母ジュディスに商売道具にされて来たことからカレーをスプーンで食べられず、箸を使うようになった。 有名なオーケストラのマエストロ。ヤンデレな妹が北太平洋の人魚姫の恋人セーガンを助けたことから、人魚姫達と古代人インカローズ達の戦いに巻き込まれていくことに。実はインカローズの正体は妹の別人格。父イーマイが妹の延命のために本物のインカローズのコピーを妹に乗り移らせた。 博多弁の人魚エトスを偶然釣ってからエトスやエステルをはじめとする人外に度々関わることになる高校生。無類の釣り好きだが普通の魚よりエトスが釣れることの方が多いような。そしてリッピ、パティ、キュキュ、モルモ、リヒター、ワルトゥ等様々な人外と関わることに。 上記のアニスと婚約する話然り、北太平洋の人魚姫の話然り、大宙さんはよくよく人魚と縁があるような気がする。 天空都市ネオ・ヴェローナの独裁者ドバルの息子。父に滅ぼされた一族の遺児シャスティルとお互い魅かれあうが。最終回ではシャスティルを人身御供にしようとした大樹の精ミントと相打ちになる。 藤崎女子中学・生徒会長補佐の幼馴染である男子中学生。昔、会長補佐に告白するも男子だと思われておらず振られ、再会した時には相手は彼の事はほとんど忘れていた。 とある世界ではギフトと呼ばれる能力を持つ青年。ギフトの名は「遠隔把握(ロングスコープ)」で遠くの様子などを把握する事が可能。 シングの事が大好きだったりするがシングにはうざがられている様子。 近未来の日本で海洋学校に入学する青年。お調子者の変態だが根はいい奴で主人公ともう一人の男友達と三馬鹿である。 特技は潜水。 元アイドルで歌劇学校に入学した推しを追いかけて神戸までやってくるキモオタ青年。男の人を心の中で撃ち殺しているとまで言う男嫌いの推しに謝りたい一心だったのがファンとしての熱意を感じさせる。 推しの友人や兄に散々な呼ばれ方をされる、ストーカーだのキモオタだの人権はないのか。 ちなみに本名は完全に名前負けをしているぐらいに立派な名前をしている。 「いいじゃないか2D・・・ Dを一つ失う所から女は始まる。」3年E組のメガネ少年。ラウルをメイド喫茶にハマらせた元凶。家族からはネグレクトのような扱いを受けており、親族からは「家一番の出来損ない」の烙印を押されるなど家庭環境はかなり悪い。 一度はE組と袂を分かつが、本校舎の授業の効率の悪さやE組の面々が心配で見に来てくれたこと、カイルせんせーに諭されたことで考えを改め、ウッドロウ理事長の楯を全校生徒の前で破壊してE組に戻ることに。 嵐を呼ぶ園児のスピンオフに登場する風のヒーロー。風の国の王子様でもある。 侍従長はヒューバートに早く結婚してもらいたいらしい。 エナジーネーデという人工惑星のネーデ人で動物学者、オリジナル版での声はモルモだった。原作とSE版では作戦などからヒーラーとして運用しにくく、攻撃寄りになりがちだったがR版では作戦が改善されヒーラーとしても運用出来るようになった。 ちなみに原作とSE版では最後に習得する攻撃呪文が異なる、R版では両方を習得するというR版でいろんな意味で強化されたキャラでもある。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/52204.html
登録日:2022/09/25 Sun 19 10 54 更新日:2024/02/19 Mon 15 39 24 所要時間:約 15 分で読めます ▽タグ一覧 SF SM エリュズニールの騎士 エルフ ゲーム ファンタジー 同人 同人ゲーム 雨傘日傘事務所 黒曜鏡の魔獣 黒曜鏡の魔獣-The Beast of Obsidan-は2006年に発売された同人ゲームである。 概要 サークル雨傘日傘事務所のゲーム作品。 闘技場という限定された舞台ながら、笑いあり熱い戦いありが込められた作風が特徴。 エリュズニールの騎士シリーズの作品であり、他の作品も振れるともっと楽しめるだろう。 なお舞台が舞台なので非処女率が高いのは御愛嬌。 カラスを主人公としたリメイク作品、『名無しの召喚士』も予定されているが……まぁ 気長に待っていただきたい。 あらすじ そこは、謀略渦巻くニフルヘイム皇国首都競技場。 主人公は、その闘技場での試合のために呼び出された召喚獣。 名は法の獣。恐るべき虚界の獣。 そこで彼を迎えたのは、無礼な召喚師とお気楽メイドエルフ。 そして、小さくて額の広い闘技奴隷の少女。 様々な思惑の絡み合う中で、 残酷な事実が錯綜する中で、 しかし、法の獣と愛すべき彼らの隣人達との日々は、 今日も優しく過ぎてゆきます。 そして、満月の日にすべてのことが重なっていくのです。 (公式サイトから一部修正) 登場人物 エルセディオ・ロウ この物語の主人公であり彼が召喚されるところから始まる。 耳が長く腕が四本ある(*1)以外は人間と変わらない姿をしているが、「法の獣」と呼ばれる召喚獣。 手から出す黒曜の剣を武器とし、あらゆる物理法則をデータとして持ち合わせるなど知識面でも優れる。 礼儀正しく生真面目であるため闘技場の人々に振り回されたり突っ込みを入れることが多いが、目の前の理不尽に怒りを見せるなど正義感も持ち合わせている。 リィ・ルゥ ヒロインその1 人間と共に生活する珍しいエルフで闘技場で働くメイドの一人。 エルセディオの世話役として抜擢され彼に様々なことを教えていく。 なぜか召喚主であるカラスやエルセディオ本人よりも詳しい知識を持っている。 気に入った人の前ではテンションが高くウザ絡みする節があり人に引かれることも少なく主にエルセディオとアーベルが 被害にあっている。 特技は目潰しである。ざくめり 最近物忘れに悩まされており、部屋には大量のメモがある。 カラスとはつきあいが長いらしく彼がイースティンを滅ぼしたそのときも彼女は変わらず彼のそばにいたという。 アーベル ヒロインその2。僕っ娘。 半年前に連れてこられたニフルヘイム闘技場の闘奴で、特殊な体術で自分の倍ある魔獣も倒すことができる。 非常に礼儀正しくエルセディオとはその点でよく気が合う。 普段からあまり感情を表に出さないように見えて、本好きな人と会うと目を輝かして話すなど実はけっこう表情豊か。 メシマズで他の魔獣が恐れるほどだがなぜかエルセディオは食べることができる。 おでこのことについては絶対に触れてはいけない。 カラス・メルヴェール 闘技場の管理を任される行政官で、十数年前にイースティンを滅ぼした張本人。 魔獣を召喚し使役することができる、数少ない召喚術士の一人でエルセディオの召喚主。 身分に似合わず軽い性格で、「けはははは」という笑い方が特徴。 ゴキブリ男爵とあだ名されるなど非常に頑丈で闘技場の面々からは結構ぞんざいな扱いを受けている。 エルセディオとは奇妙な友情を築いていくのだが、なにやら目的があるようで……? 片腕を拘束された少年 本名ディール。 闘技場で生まれたエミリアの息子。 物心つく前から闘技者として闘場にほうりこまれながらも、何とかここまで生き残ってきた。 我流で磨いた闘技は並みの闘技者をよせつけず、 魔獣の扱う魔法さえ、みようみまねの防御法術ではじき返す。 強そうな相手に喧嘩を吹っかけてその技術を盗むと言う独自の方法で鍛えており、その縁でエルセディオとは師弟関係となる。 クリステル・ドーラ 闘技場で働くメイドの一人で、侍従長を務める。 エミリアに息子の乳母でお世話係であり彼のためならその身を投げ出すことも全くいとわない。 非常に献身的で、リィ・ルゥのフォローをしたりと穏やかな性格なのだがエミリアの息子のことになると感情的になる。 彼が強くなりすぎて命を落とすことを恐れており、エルセディオに対してはやや対応が厳しくなりがち。 エミリア 亡国イースティンの王女。 現在は奴隷闘士として息子と共に飼われており、この十数年でありとあらゆる恥辱、苦痛をその身に受けている。 すべての奴隷闘士は苗字を簒奪され、略名以外を名乗ることは許されない 現在は息子ともどもデュエル家の管理下にある。 隷妃リザリア 亡国イースティンの王女でエミリアの姉。 政治的な理由でガラントの隷妃にされ日々辱めを受けているがその地位を利用して密かに権力を高めつつある。その力でディールを処刑させないよう動いているようでカラスからもただ者ではないと言われている。 バルバル&エルガル カラスが責任者になるよりも前から闘技場で奴隷をしている異国の双子。 赤い方がバルバル、青い方がエルガル。 自ら進んで闘技場での殺し合いを楽しむ奇特な性格をしており闘技場の面々からも距離を置かれている。 一方でエルセディオの不自然な面を見抜くなど単なる戦闘狂ともいえない一面を持つ。 独特の体術に加えて自然魔法の雷を用いることができ、バルバルは直線的な電撃砲を、エルガルは全方位に誘導できる電撃弾を扱う。 デュエル・ディアボロス 『悪魔』の名を持つ十騎士。 カラスとはまた違った軽薄な性格の持ち主だが、物騒な人体を精練できる技術『生物精製技術』を持つ名門の出であり真の姿も併せてまさしく悪魔にふさわしい所業をしている。 そのせいか十騎士の中でもやや浮き気味のようだ。 ロード・シャンブリングマウンド 『怨霊侯爵』名を持つ十騎士筆頭。 カラスやガラントとは旧知の中で通称はロード。 500年以上生きているダークエルフであり腕力のみでありながら反則じみた騎士たちの中でも最強と目される。 物々しい二つ名に反し普段は飄々としたショタジジイであるが逆鱗に触れた時は全てを破壊しつくす。 エルセディオに興味を示し様々な策をめぐらしていく。 ガラント・ザーミュエル ニフルヘイム皇国の皇帝で多くの国を滅ぼしてきたカリギュラの二つ名前を持つ暴君。 滅ぼした国の妃を嫁に加えて嬲るなど性格も悪辣だが、カラスと悪友同士の会話をしたり 子育てに頭を悩ませたりする一面も持ち合わせる。 用語 亜人 所謂人間の姿をした種族。 エルフは魔力が高く長い耳を持ち合わせている。 その中でも魔力を失った代わりに強大な腕力を持つ突然変異種である「ダークエルフ」も存在している。 500年前の「始まりの戦争」で敗れ各地に散っている。 召喚獣 いわゆる魔獣を召喚する技術。 基本的には、数体しか召喚することができない。 優れた召喚士であっても限界は108体だが、109体目も存在すると言われている。 闘技場 カラスが管理する闘技場で正式名称は『ニフルヘイム皇国首都タイタン大闘技場』 この作品の主な舞台。 いわゆるローマのコロッセオのように奴隷が戦わせられている場所だが 現在闘奴は五人、メイドが含めて12人、他に奴隷が25人いるなどこの手の闘技場にしては人数が少ない。 地下には九体の魔獣が暮らしている。 ニフルヘイム皇国 周辺諸国へと侵略を繰り返す大陸一の軍事大国であり、首都はタイタン。 この十年でエミリアやリザリアの故郷であるイースティンを滅ぼしている。 その強さには魔獣や十騎士によるところも大きい。 ニフルヘイム皇国第一近衛騎士団 通称十騎士。 ガラントの私兵であり、人間の身(一部は違うが)でありながら魔獣を討伐するなどいずれも一騎当千の力の持ち主。 いずれもロードを除き全身を覆うフルプレートの鎧を身に着けている。 古都 この世界で東にあるとされる国。 隠された呪いや体術を秘蔵しているとされ、ヤバイ技術などは古都由来のものが多い。 追記・修正は、109番目の魔獣を召喚してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] おお!いままでやったノベルゲームでトップクラスに面白いやつ! -- 名無しさん (2022-09-28 07 15 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dunpoo/pages/1030.html
●天皇制11-14 から 最新の記事は●天皇制へ 150409 天皇の慰霊 歴史見つめる機会に(社説) [朝日] 150408 巡視船宿泊、ペリリュー島で慰霊 両陛下が強く願い実現 [朝日] 150408 「美しい島々で悲しい歴史」パラオ訪問の陛下お言葉全文 [朝日] 150409 天皇の慰霊 歴史見つめる機会に(社説) [朝日] あの戦争は何だったのか。身近に考える機会にしたい。 戦前、日本が統治し、太平洋戦争で激戦地となったパラオ共和国を、天皇、皇后両陛下が訪ねている。戦後70年に合わせた「慰霊の旅」である。 多くの戦死者が出たペリリュー島にきょう渡り、日米それぞれの犠牲者の碑に赴く。 「太平洋に浮かぶ美しい島々で、このような悲しい歴史があったことを、私どもは決して忘れてはならないと思います」。天皇陛下は出発にあたり、こう述べた。 天皇の慰霊の旅が印象づけられたのは、戦後50年の95年の夏に、長崎、広島、沖縄、東京都慰霊堂を訪ねたときだ。 戦後60年には、海外での初の慰霊の旅として米自治領サイパンを訪ねた。日本人が海に身を投げ集団自決した「バンザイクリフ」などに赴き、元日本兵が話す当時の様子に耳を傾けた。 その年の誕生日に際した会見で、「61年前の厳しい戦争のことを思い、心の重い旅でした」と語っている。 パラオ訪問は当時も検討されたが、交通状況などで断念した。今回は海上保安庁の巡視船をホテル代わりにする異例の措置で実現した。ペリリュー島へは巡視船からヘリで向かうといい、80歳を超える両陛下にとって、たやすい道行きではない。 風化しがちな戦争の歴史と向き合わねばならないという、強い思いが込められている。 天皇陛下は今年の年頭の感想で「この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくこと」の大切さに触れている。 当時の語り部や、その伝承に取り組む人びとの声に耳を傾け、歴史と謙虚に向き合い、戦禍を二度と繰り返さない。それは、国民一人ひとりが続けねばならない営みだと感じさせる。 今ではダイビングで知られるパラオを約30年間日本が統治し、日米双方が多くの命を失ったことはあまり語られない。 戦後、94年まで国連の米信託統治領だった。ほかの太平洋諸島より独立が遅れたのは、画期的な非核憲法を81年、住民の手でつくったからだった。 米国は、その憲法を長く疎んじ、最終的に非核条項を凍結することで独立を認めた。パラオは防衛権を米国にゆだね、代わりに経済援助を受け続けるという苦しい選択をしたのだ。 終戦後もなお、安全保障などをめぐり大国との関係に翻弄(ほんろう)されてきた、その歴史から考えさせられることもまた多い。 150408 巡視船宿泊、ペリリュー島で慰霊 両陛下が強く願い実現 [朝日] 太平洋戦争の激戦地・パラオ共和国に向かった天皇、皇后両陛下。現地での宿泊先に選ばれたのが、海上保安庁の巡視船「あきつしま」だ。通常は領海警備などにあたる船で、船内の設備は宿泊には適していない。異例の措置がとられた背景に、両陛下の戦没者慰霊への強い思いがあった。 両陛下、パラオに出発 「美しい島々で悲しい歴史」陛下お言葉全文 「あきつしま」は全長150メートル、総トン数6500トンで世界最大級の巡視船だ。2013年11月に就役。沖縄・尖閣諸島の警備や東南アジアでの海賊対策や中国漁船によるサンゴ密漁の取り締まりといった重要任務を担っている。 実は、両陛下のパラオ訪問は10年ほど前に検討されながら、断念した経緯がある。日本政府が建立した「西太平洋戦没者の碑」があるペリリュー島はパラオ中心部から南に約50キロ離れた小島。両陛下と随行員、警備関係者ら一行を乗せた旅客機が離着陸できる空港がなく、船で行き来するにも片道1時間以上かかる。両陛下への負担や安全面の問題が立ちはだかった。 そこで浮上したのが海保巡視船に搭載されているヘリコプターだ。「あきつしま」には最大21人乗りのヘリ「スーパーピューマ225型」が2機搭載されている。両陛下が「あきつしま」に宿泊し、船から直接ヘリでペリリュー島に向かう計画によって、今回の慰霊の旅が実現することになった。 だが、旅行用の客船ではないため、高齢の両陛下が宿泊するには不安もある。船内には段差や仕切りが多く、転倒する危険性が拭えない。貴賓室などはなく、両陛下は船長室に宿泊するが、そこに向かうには急な階段を上がらなければならない。お世話をする職員や侍医が待機する部屋も離れた場所だ。 今回、両陛下用に船内に手すりをつけたり、通常は1人用の船長室内のレイアウトを変えたりするなどの対策が講じられた。決して快適とは言えない状況だが、両陛下は納得の上で計画を受け入れたという。宮内庁幹部は「戦没者慰霊を実現させたいという両陛下のお気持ちの表れでしょう」とみる。 前侍従長の渡辺允さん(78)によると、天皇陛下は折々に「南太平洋に慰霊に行くことはできないか」との意向を述べていた。南太平洋とはパラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦。今は観光地となっているが、陛下は「美しい海でどれだけ多くの犠牲者が出たか思い出して欲しい」とも話したという。 今回、慰霊碑にはこの3カ国の大統領夫妻も同行し、ともに拝礼する。 巡視船の運用をめぐっては、尖閣諸島周辺での領海警備の必要性が高まり、やり繰りが厳しい状態が続いている。宮内庁の風岡典之長官は会見で「(業務に)支障が無いということで利用させていただくことになった」と説明し、「戦後70年の特別な陛下のご訪問。大きな目的のために使うのは許されるのではないか」との見解を示した。別の宮内庁幹部も「巡視船からヘリで移動するのが一番円滑に日程をこなせる。ヘリがなければ今回の訪問は実現しなかった」と話している。(中田絢子、工藤隆治) 150408 「美しい島々で悲しい歴史」パラオ訪問の陛下お言葉全文 [朝日] 天皇陛下は8日午前、パラオへの出発に先立ち、おことばを述べた。全文は次の通り。 ◇ 本年は戦後70年に当たります。先の戦争では、太平洋の各地においても激しい戦闘が行われ、数知れぬ人命が失われました。祖国を守るべく戦地に赴き、帰らぬ身となった人々のことが深く偲(しの)ばれます。 私どもはこの節目の年に当たり、戦陣に倒れた幾多の人々の上を思いつつ、パラオ共和国を訪問いたします。 パラオ共和国は、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国と共に、第一次世界大戦まではドイツの植民地でしたが、戦後、ヴェルサイユ条約及び国際連盟の決定により、我が国の委任統治の下に置かれました。そしてパラオには南洋庁が置かれ、我が国から多くの人々が移住し、昭和10年頃には、島民の数より多い5万人を超える人々が、これらの島々に住むようになりました。 終戦の前年には、これらの地域で激しい戦闘が行われ、幾つもの島で日本軍が玉砕しました。この度訪れるペリリュー島もその一つで、この戦いにおいて日本軍は約1万人、米軍は約1700人の戦死者を出しています。太平洋に浮かぶ美しい島々で、このような悲しい歴史があったことを、私どもは決して忘れてはならないと思います。 この度のパラオ共和国訪問が、両国間にこれまで築かれてきた友好協力関係の、更なる発展に寄与することを念願しています。私どもは、この機会に、この地域で亡くなった日米の死者を追悼するとともに、パラオの国の人々が、厳しい戦禍を体験したにもかかわらず、戦後に、慰霊碑や墓地の清掃、遺骨の収集などに尽力されてきたことに対し、大統領閣下始めパラオ国民に、心から謝意を表したいと思っております。 この訪問に際し、ミクロネシア連邦及びマーシャル諸島共和国の大統領御夫妻が私どものパラオ国訪問に合わせて御来島になり、パラオ国大統領御夫妻と共に、ペリリュー島にも同行してくださることを深く感謝しております。 終わりに、この訪問の実現に向け、関係者の尽力を得たことに対し、深く感謝の意を表します。
https://w.atwiki.jp/398san/pages/601.html
《八卦の侍従》 効果モンスター 星4/地属性/戦士族/攻200/守2000 自分フィールドに「[[八卦衆]]」と名のついたモンスター、または「鉄甲龍-ハウドラゴン」が存在する場合、 このカードは手札から特殊召喚する事ができる。 自分フィールドの「八卦衆」と名のついたモンスター、または「鉄甲龍-ハウドラゴン」が破壊される場合、 代わりに自分フィールドに表側表示で存在するこのカードを破壊する事ができる。 オリジナルカード5期で登場した地属性・戦士族の下級モンスター。 八卦衆が場に存在する時手札から特殊召喚できる召喚ルール効果と、八卦衆が破壊される場合に身代わりとなれる効果を持つ。 久々に登場した【八卦衆】のサポートカードのひとつであり、 リリース要員不足と序盤の守備要員不足、そして全て上級以上であるため破壊された時のアドバンテージ喪失が大きいという 従来の【八卦衆】の弱点を見事に補ってくれる、守備的ではあるものの強力なサポート用モンスターである。 第一の効果では特殊召喚により召喚権を失わず即座にこのモンスターをリリースして八卦衆をアドバンス召喚できるのに加え、 特殊召喚であるため表側守備表示で召喚できるというのがかなり大きい。 第二の身代わり効果は当然このカードが表側表示で存在しなければ使えないため、明らかな守備用ステータスを持ったこのカードなのに すぐに「保険」として効果を発動できるためには(表側)攻撃表示で召喚をしなければ……というジレンマを解消するのに成功しているのだ。 また特殊召喚であるため《八卦衆 天のゼオライマー》のデメリット効果の対象外であり問題なく召喚できるのも嬉しい。 第二の効果は実質八卦衆が1度の破壊耐性を持つに等しい。八卦衆は各々がなかなか強力な起動効果を有しているため、 相手のターンさえ無事に凌げればその効果で戦局を盛り返す事も可能なモンスター群である。そこにおいて、このカードの存在は頼もしい。 ただし《ライトニング・ボルテックス》《激流葬》といった全体除去系カードには無力なので注意しよう。 (《聖なるバリア-ミラーフォース-》は、このカードが恐らく常に守備表示であるため範囲外となり身代わり効果を使えるため怖くはないだろう。) ついでに《八卦衆 地のディノディロス》のコストにもなる。 このカード自身は八卦衆と名がついていないため他の八卦衆サポートを受ける事は出来ない。このカードだけで《八卦衆 天のゼオライマー》の召喚条件を満たせないようにするための処置なのだろう。 《六武衆の侍従》と種族やステータスが全く同じである。あちらは効果なしの通常モンスターなのだが、六武衆と名がついているため関連効果の範囲内にあるという違いがある。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6757.html
前ページ次ページゼロと魔砲使い そしてそこから遠いガリアでは。 「約束を違えて申し訳ない」 「気にするな。意図してのことではあるまい」 ガリア王ジョゼフの前に、久方ぶりにビダーシャルが姿を表していた。 「それにしても時間が掛かったものだな。傷か深かったのか?」 「いえ、怪我はありませんでしたが、シームルグの羽根を使う羽目になりまして」 それを聞いたジョゼフは事情を察して大笑いした。 「そうか、アレは確か故郷への帰還しか出来ぬもの。そなた、エルフの里まで帰る羽目になっておったのか」 「どのみち即座に報告せねばならぬ事があったゆえ、僥倖であったともいえましたが。ただそれ故、連絡と帰還が遅れたことについてはお詫びを」 「よいと言ったではないか」 再び頭を下げるビダーシャルを、ジョセフは諫めた。 「だがそういうことだとすると、彼の使い魔は」 「はい、紛れもないシャイターン、それも最悪のものでした」 「最悪、とは?」 問うジョゼフに、ビダーシャルは普段決して見せない感情の揺らぎをあらわにして、歯を食いしばりながら言葉を続けた。 「最低最悪、かつてエルフに致命的な被害を与えたシャイターンの魔法……彼女はその使い手でした。伝承のシャイターン同様、本人の人柄は決して邪悪なものではない……ですがそれ故に、自らの悪を自覚することがない」 ジョゼフは思わずそのシャイターン、タカマチナノハの方に同情した。 「本人は邪悪ではない。それ故に自らの悪に気づかず、認めようとしない。皮肉なことに邪悪でないが故に返って言葉が届かない……無邪気に、自覚なくこの世界にとって致命的な毒となる。それ故のシャイターン」 「わしからすればそちらの言い分が一方的なものに聞こえるがな」 皮肉るように言うジョゼフ。 対するビダーシャルは、表情一つ動かさぬまま、答えを返した。 「これは大いなる者により定められた天理。蛮人には理解及ばずとも、守らねばならぬ絶対の法。それ故に本来不干渉を定められた人の営みに、我らは干渉することになるのだ」 「で、協力がほしいと」 「ああ。残念ながらこちらから打って出たのでは、シャイターンに勝つのは我らであっても難しい。そもそも我々の魔法は、拠点を定め、そこを守るためのもの。打って出てしまっては普段の半分の力も出せぬ」 「それでも我らよりは強いと思うが?」 不敵な笑みを浮かべつつ言うジョゼフ。対して苦い笑みを浮かべ、ビダーシャルは返す。 「買いかぶりだ。地を定めず、契約抜きでは我らとてそなたらと大して違いはない。そちらのスクウェアなら、対一で我らを討ち取ることも出来よう」 「そんなモノなのか?」 「その程度のモノだ。我々の力は契約に大きく依存している。そしてあのシャイターンは、そんな我を正面から打ち砕くだけの力があるのだぞ」 そこには一切の過大も過小もなかった。ただ彼我の戦力差を冷徹に見つめる目があった。 「ただでさえそれだけの力があるのに、奴にはこちらのすべてを崩壊させるあの呪文がある。あの滅びの呪文を使われたら、我々には為す術がない」 「そこまでやっかいなのか、その呪文は」 「ああ。威力も桁違いだが、それ以上にその特性が恐ろしい。あの魔法が発動するとき、周辺の精霊がことごとくシャイターンに『喰われて』しまう。つまりあの魔法の発動地点の周辺では、すべての魔法が根こそぎ破壊されてしまう。 例外は器物などにがっちりと食い込んでいる魔法くらいであろう。いわゆる魔法道具のたぐいだな。その本体までは破壊はしないものの、発動している効果や、我々の契約、そちらの使う系統魔法などはすべて無力化されてしまうのだぞ」 「スキルニルのたぐいも元に戻ってしまうと言うことか」 「そうだ。いわばすべての守りをはぎ取られたところに、それらの分の力をすべて喰らってふくれあがった攻撃が炸裂するのだ。何人たりとも耐えられるものではない」 ジョゼフはその言葉を肯定しつつ、追加するように言葉を重ねた。 「その上その攻撃は、人は殺さぬもののある種の魔法道具などまで破壊するそうだな」 「ああ、特に精霊の力を結晶させたようなものは根こそぎやられてしまう。手持ちの風石が全滅する羽目になった」 「それでシームルグの羽根を使うことになったのか」 納得するように言うジョゼフ。 「そのとおりだ。それはともかく、本題に入ろう」 その言葉にジョゼフも姿勢を正す。表情も友人としてのものから為政者としてのものに切り替わる。 「我々長老会議は、ガリア王に対して一つの協力を要求したい。対価として我らの地の通行と交易、及びサハラの地における風石の採取を認めよう。 「これは厳しい要求のようだな」 エルフ側の対価はまさしく『大盤振る舞い』と言ってよかった。これほどの対価を差し出す以上、要求の方も半端ではあるまい。 そしてそれは文字通り半端ではなかった。 「要求はただ一つ、シャイターン・タカマチナノハの抹殺に対する全面協力。たとえトリステインを初めとする他の国すべてを敵に回してでも、その完遂を要求する。なお、先の対価はあくまでも報酬。必要経費として、エルフの戦士及び魔法具などを随時提供する用意もある」 さすがに一瞬ジョゼフの顔にも驚愕が浮かんだ。エルフ達は、たった一人の人間を殺すために、部族のすべてを掛けると言っているのだ。 「くっ……くっくっくっ、はっはっはっ!」 ジョゼフの口から、何とも名状しがたい笑いが漏れる。 「そうか、おまえ達はそこまであれにこだわるのか。いいだろう」 その返事を聞いて、「報告が有りのますので」と言って退出するビダーシャル。 彼が退出して一人になった室内で、ジョゼフはひとしきり哄笑を続けていた。 笑いながらも脳裏に浮かぶのは、かつての思い出。 彼が玉座を継ぎ、そして狂王と言われるようになるまでの出来事。 それは平穏なる過去。 いまだ自分が皇太子であり、弟もまだ少年であった頃。 今とは全く違う、笑いに満ちた時。 それが初めて崩れたのは、父から自分と弟が、真新しい本を渡されたときであった。 「父上、これは?」 表紙になにも書かれていない、手製本と思われる本を見てシャルルが問う。 近年開発された印刷と製本の技術によって、まだまだ高価ではあるものの、書物はある程度裕福な平民の手にも届くものになりつつある。もう数年もすれば、真面目に働いている平民なら月に一冊程度の書に手が届くまでになろう。 この流れはジョゼフも後押しをしていた。何より彼自身、読書が大好きだったと言うこともある。 だが、今手渡されたものは、明らかに個人の手によって作られたものだ。紙こそ使っているが、これが羊皮紙だったら昔の筆写本そのものである。 そして父は、弟の質問に答えた。 「これはわしが手ずから引き写した本じゃ」 「父上が、自分で?」 ジョゼフは驚くより先に訝しがった。決して暇ではなく、健康も害している父王が、わざわざ手ずからの筆写で本を作るというのは、決して愛情だけのこととは思えない。 だがシャルルはそうは思わなかったらしい。父が息子達のためにわざわざ、と思ったようだ。 「父上、ありがとうございます! お忙しいのに、わざわざ」 少年らしい満面の笑顔を父に向ける弟。 そして父は何故か笑みを--明らかに臣下や使節向けの、作られた笑みを、二人の息子に向けていた。 シャルルは気がつかなかったようであるが、ジョゼフは気がついた。 そのことを疑問に思っていた彼の上に、父王の声が降りかかる。 「その本はの、非常にためになる智恵の泉なのじゃが、残念ながら記載の一部に始祖の教えに逆らっている部分があってな。一応禁書の扱いになっておる。じゃから決してこの場にいない人物に見せてはいかんぞ」 「父上、そのようなものを……」 心配そうに上目遣いで父を見る弟に対して、父はさらに言葉を掛けた。 「安心しなさい。おまえが一度読んだ程度では、どこが始祖の教えに反しているかなど判るものではあるまい。実際、その問題部分というのはごくわずかなものでしかないのじゃ」 「でも……」 「読んでみれば判るのじゃが、この本は『大賢者』と呼ばれるものから語られたことをまとめた説話集のようなものなのじゃ。内容には問題ないとわしも思うのじゃが、後にこの賢者が異端とされてな」 そういわれてジョゼフにも何となく事情がつかめた。おそらく書の内容……賢者の語りはごく真っ当なのに、その当人が異端とされたためせっかくの智恵まで異端とされたのだろう。 憚りながらも読ませたい、という父王の心遣いが、ジョゼフにも伝わった。 ……と、この時点ではジョゼフもそう思い、父に感謝の言葉を述べていた。 ……実際に自分の部屋で、書を読んでみるまでは。 『大賢者プレシアの語り』 それが書のタイトルであった。内容は筆者が幼少の頃、地元を訪れた物知りの美女・プレシアから聞いた雑学をまとめたものだと書かれている。 『○月○日のプレシアさんのお話』 という、いかにも子供っぽい書き出しで各章が始まるこの説話集は、ものすごく斬新な目で世の中を見つめている物語であった。 読んでいるだけで、プレシアという知的な女性が、田舎町の少年少女達に、井戸端あたりで様々な知識を、子供にも判るような語り口で教えている情景が目に浮かんだ。 お堅い父の字面と内容の落差が激しいのが唯一の難点であったが。 初めは驚きの連続であった。ほんの身近な、子供が何気なく聞いてくるような質問に対して、賢者は驚くべきような視点と理屈で答えを返す。 たとえば、『何故雨が降るの?』という質問に対して、賢者は海と太陽と大地と風の間にある、莫大な規模の水の循環で答えていた。 これなど些細な始まりに過ぎない。100近くにも及ぶ質問は、子供の気まぐれのようにいろいろなところに飛び、そのすべてに対して賢者はこのようなとてつもない答えを返していた。 ジョゼフは興奮した。幼心、というにはいささか歳を食い過ぎていたが、そうとしか言えないものに火が付いた。 その日だけで七度は読み返した。三日後には内容をすべて暗唱できた。 そして四日目……それに気がついてしまった。 「あ、兄さん」 普通の家庭と違い、王族は家族が顔を合わせる頻度がどうしても一般家庭や貴族に対して低くなりがちである。今のように、家族で顔を合わせるのが四日ぶりなどと言うことも珍しくはない。 「シャルル、そちらは大過ないか」 「うん、今回の野外鍛錬でも、怪我一つなかったよ。そうそう、僕、初めて獲物を仕留められたんだ! あの本のおかげで」 「あの本の?」 ジョゼフは首をひねる。獣の仕留め方は書いてなかったはずだが……ああ。 思い当たる節があった。獣ではなく、森についての部分だ。内容はもっと大きいもので、森や川は単独でそこにあるのではなく、お互いが影響を及ぼし合っているという教えがあった。 案の定、シャルルの答えもその部分についてであった。 「ほら、森や獣は、お互いに与え合い、奪い合って生きているってあったじゃない。だから僕は、猟師さん達みたいに獲物の来そうな場所とかを見抜けたんだ」 「それはすごいな」 「うん、カーター達もびっくりしてた」 だろうなあ、と、ジョゼフはシャルルお付きの武官達の顔を思い浮かべた。 「獣の通る道を推測して、出てきたところをマジックアローで仕留めたんだ!」 「そうか、それはすごいな」 シャルルは自分と違って魔法が得意だからなあ、と思いつつも素直に弟をほめるジョゼフ。が、次の瞬間、ジョゼフはあることに気がついてしまった。 「……? 兄さん、どうかしたの?」 そんな兄の様子を不思議そうに見るシャルル。 ジョゼフは慌ててその場を取り繕った。 父はあの本が『異端』だといっていた。が、すっかり暗記してしまった内容を思い返してみても、あの書に異端と思われる記述は全くなかった。ただ、普通とは少し違う角度から、始祖に匹敵しようかという深い叡智で森羅万象について語っているだけであった。 が……今思い返してみれば。 あの書の記述の中には、『魔法』がただの一言も出てきてはいなかったのだ。 ジョゼフには判る。あの書に書かれていた知識は、どれも合理的で、且つ実に納得のいくものばかりであった。夢物語にしては実に筋が通りすぎていて、その内容は真実としか考えられなかった。 だが、そこに『魔法』の言葉はない。それはすなわち……この世の真実を解き明かすのに、『魔法』は必要ない、もしくはさして重要ではないということになる。 今こそジョゼフはあの書が異端とされていた理由が、そしてそれの意味する危険性が理解できてしまった。 貴族は魔法を持ってその根幹と為す。それは王であっても変わらない。 だがこの書は、間接的に魔法を否定している。いや、否定はしていない。が、魔法というものが今の世で考えられているような『絶対』のものではないと証明してしまっている。 そしてそれは、魔法をもたらしたもの……偉大なる始祖の御技の否定に繋がる。 なにが大したことはないだ。おそらくあの書は最大級の危険文書として教会が目の敵にしているに違いない。あの書に書かれた叡智が広まれば、今の貴族と宗教に対する最大の脅威となる。あの書に書かれた叡智とその応用は、平民であっても可能なのだ。 自分は弟のように魔法は使えない。だからあの本の叡智を素直に受け入れてしまった。 だからこそ気がつけたとも言える。 あの物言いからすれば、シャルルはこの危険性に気がついていないのかも知れない。 そしてそれは、数日後、再び父王があの本について聞いてきたとき、決定的なものになった。 「そうそう、二人とも、この間の本は読んだかな?」 父の言葉に、先にシャルルが答えた。 「はい! とてもおもしろく、ためになりました! 何で異端になったのかが不思議なくらいすばらしい本だと思います」 「はっはっはっ、じゃろうな。だが一応異端は異端。みだりに内容について人に話してはいかんぞ」 「判りました……残念ですけど」 ジョゼフは二人の様子を冷静に観察していた。そして父王の表情に、そうと意識していなければ気がつかない影が落ちたのを、ジョゼフは見逃さなかった。 「ジョゼフはどうかな?」 ここでジョゼフとシャルル、二人の資質の差が出た。 「はい、私もシャルルと同じく、すばらしい本だと思いました」 「そうか」 やはりほんのわずかに影が落ちる父王。それを確認した上で、ジョゼフは言葉を重ねる。 「ただ、私はシャルルほど聡明な質ではないので、いささか疑問に思ったこともありました。出来れば父上に詳しいお話が聞きたいのですが、時間は取れますでしょうか」 「うむ……いささか難しいが、息子にそう言われては父として応えぬ訳にもいかんのう」 「あ、兄さん、それはずるいです! 出来れば僕も父上のお話は聞きたいです」 シャルルが子供らしい焼き餅で割り込んでくる。王は、 「まあ、すぐにはいずれにせよ無理じゃ。じゃが何とか時間は作ろう」 「約束ですよ!」 そう意気込むシャルルを、ジョゼフは醒めた目で見つめていた。 シャルルにはまだ早いのだろうか、と思いつつ。 そしてその夜、ジョゼフは内密のうちに呼ばれたのである。 「……シャルルは気づかなかったようじゃな。さすがにまだ早かったか。あるいは、資質か」 父がジョゼフに向かって最初に言ったのが、この言葉であった。 ジョゼフはため息混じりに告げられた言葉に、やはり、と思った。その日の夜、シャルルが寝ている時間に呼び出されたことが、その裏付けであった。 「この書には魔法のことが全く書かれていない、ということでしょうか」 そうずばりと問い掛けるジョゼフに対して、王は頷くことで答えを返した。 そして壁の書棚に向かうと、なにやら怪しげな操作を行う。と、書棚の一部が動き、そこから隠し階段が現れた。 「父上、これは……」 「おまえには、これを見る資格がありそうじゃな」 ジョゼフの質問には答えず、王は階段を下りていった。 そこにあったのは、小さな部屋であった。魔法による明かりによって照らされた隠し部屋の壁には、たくさんの書物が置いてあった。 「すべて禁書じゃ。そしてほとんどが、おまえに見せたあれと同じ、大賢者プレシアの教えを綴ったものでもある」 「なんと……」 ジョゼフの思いは、その時これだけの書を残した、大賢者の元に飛んでいた。 「好きに読むがいい。この書には王として立つために覚えておくと役立つ知識がたくさん詰まっている。そしてよく考えよ。直接的には書かれていないが、その書の内容には、大きな謎が隠されている」 「謎、ですか?」 「うむ。おまえなら読み取れるであろう。そしてどうするかは、おまえ次第だ」 「父上は……読み取れたのですか?」 当然の疑問に、王は疲れたように答えた。 「何とか、な……だが私はそれを見なかったことにした。私にはどうすることも出来ないほど、大きなものだったからな。だがひょっとしておまえなら、わしを越えられるかも知れぬ」 そう言って父は、階段を上がっていった。 その時はまだ気づかなかったが、この日王は自分の後継者をジョゼフに定めていたのであろう。 しばらくの間、ジョゼフは父の示した大賢者ゆかりの書物に没頭した。 それはあまりにも深い叡智であった。自然だけではなく、社会のあり方や、市場経済などに関しても、いくつもの見方が語られていた。賢者の語りは、あくまでも『そういうものがある』ということを示すだけであり、どれが理想であるかなどとは決めつけていなかった。 そこから読み取れたのは、賢者はあくまでも『知識』としてそれを語ったのだ、ということであった。こんなものもあるよ、と例を示してくれただけなのであろう。 ただ、それはこの地にはない発想の知識だったので、それを聞いた人は驚いたのだろう。 そして是非とも記録しようと思い、こうして語録や説話の形で、記録が残されたのだと判る。 そして幾多の書を通して、ジョゼフは二つのことに気がついた。 一つは、この書が書かれたのが約六三〇〇年前、すなわち、始祖がこの地に降臨する前の時代であるということ。 そしてそれだけの長い間、これだけの叡智が、地に埋もれていたということ。 そう、ジョゼフは気づいてしまった。 人間の持つ可能性に。知性の持つ可能性に。 人はもっともっと先に進めるはずであることに。 それからのジョゼフは勉強を重ねた。歴史を学んだ。 そして気がついてしまった。 この世界が、呪われていることに。 それは不可思議なことであった。 人には知恵がある。これだけの年月があれば、もっと先に進めるはずである。 だが、この世界は全く変わっていない。 いや、正確には一度変わっていた。始祖以前と、始祖以後で。 始祖のもたらした魔法。これによって以前と以後の歴史は明らかに変わった。始祖以前の歴史はほとんど資料も残っていないが、わずかな資料から、今の世界から貴族と魔法を除いた、平民だけの社会があったらしいことは判った。 そして始祖によってもたらされた魔法によって、生活の水準は上がり、社会にも大きな変化が訪れた--わずか百年ほどの間だけ。 それ以降は今とさして変わらない、貴族による統治がずっと続いていた。 六千年の永きにわたって。 そう、六千年、だ。 始祖が魔法をもたらした百年。その百年の間に、劇的に社会が、文化が、生活が激変したのは残された資料が物語っている。大賢者に関わっていない資料--すべて禁書扱いのもの--のほとんどは、『魔法による社会と生活の変化』に関して、驚きと喜びを持って語った随筆のようなものが多い。 魔法がもたらされ、生活水準が上がって、飢えや怪我で命を失う人が激減している様子が手に取るように読み取れる。 だが、その手の記録の最後の方……魔法伝来から百年あまり経った時点での社会の様子は、まるで今の時代の記録を読んでいるかのようであった。 ジョゼフはこの点に、強い違和感を持った。 表の書庫に行き、『固定化』の恩恵で今に残る数千年前の記録を読み解く。 そして理解してしまった。 この六千年、世界はずっと、昨日と同じ今日、今日と同じ明日を過ごしていたことに。 停滞の呪い。 ジョゼフはそんなモノを信じたくなってしまった。 時は無常にも過ぎる。変わらぬ日々の中、父は少しずつ体調を崩し、文字通りの『崩御』が目の前に迫ってくるのを感じる。 宮中の諸勢力が、徐々に二つに割れていく。 そして運命の日は訪れる。 病床で王は、ジョゼフを後継者に指名した。 そしてその後まもなく、彼は始祖の元へ還っていった。 それは長子相続という面から見れば、ごく真っ当なものであった。ただ一点を除けば、ジョゼフには為政者としていかなる問題もなかった。 その問題も、本質的には問題はなかった。が、同時に最大の問題になった。 彼が、まともに魔法を使えない。その一点こそが。 宮中は大きく二つに割れた。王の意を尊重し、ジョゼフを王と認めるものと。 魔法が使えないという一点から王の資格無しとし、シャルルこそが正統なる王であるとするものと。 そしてその勢力比は……圧倒的に後者が勝っていた。 王位を継いで後、ジョゼフはすぐにそのことに気がついた。ごり押しせねば通らない自分の意。それすらも実現の段階で官僚達の手によってねじ曲げられていく。 特に何かを変えようとする動きに対してそれは顕著に表れた。 表だって反乱のようなものが起きないのは、為政者としてのジョゼフは先の一点以外全く瑕瑾が無く、政務能力を持って貶めることが出来なかったからであろう。 加えてシャルルが自分の登極を祝福を持って受け入れていたのが大きい。 反対派が内心王に掲げているのはシャルルである。そのシャルルが賛意を示している以上、表だった行動に出ることは出来ない。 そう考えているのは見え見えであった。 しばらくはそのままだった。だが、すぐに気がついてしまった。 こいつらは変わらない。今のままでは、自分を含めて、何一つ。 彼は日々政務をこなす裏で、ひたすらに考えづけた。停滞を、呪いとも言えるこの停滞を打ち破る何かを。 それほど時を得ずに、一つの答えに気がついた。 大きな力が必要である。世の中に衝撃を与えるには、いずれにせよ、大きな力がいる、と。 ガリアは大国であるが、世の中を動かそうとしたら大きな力がいる、と。 だが現状では、それは難しかった。国内をまとめるには力が足りない。反対派を粛清しても、結局は己の力をそぎ落とすことになるだけなのも判っていた。 それが変化を迎えたのは、些細な気まぐれがきっかけであった。 始祖の香炉、という秘宝がある。名前だけは知っていた。今自分が常に手にはめている、『土のルビー』と並ぶ初代の頃より伝わる宝。 だが、常に王の指にある土のルビーとは違い、香炉は厳重に秘蔵されている。 この時、王宮で宝物庫の整理点検・目録更新があり、ジョゼフは初めてその香炉を目にすることになった。 そして侍従長より聞いた、香炉に関するおもしろい逸話。 「これは香炉としては、不思議なことに役立たずなのです」 「役立たず? 香炉が?」 「はい。見たとおりの簡素な作りなのに。誰かがいたずらか呪いかで魔法を掛けたようで。香炉でありながら、この香炉にくべられた香は、一切の薫りを失うのです」 ジョゼフは唖然としてしまった。誰だ、そんなとんでもないいたずらをしたのは。 ……決まっている。この香炉が『始祖の香炉』である以上、犯人は一人しか考えられない。 「偉大なる始祖のいたずらなのか?」 「かも知れません。あるいは教訓ともいわれています」 「ほう?」 ジョゼフは少し興味がわいてきた。侍従長に続きを促す。 「始祖の名を冠する宝物は四つあると伝わっています。トリステインに伝わる『始祖の祈祷書』、アルビオンに伝わる『始祖のオルゴール』、ロマリアのとある家に伝わる『始祖の彫像』、そして我がガリアの『始祖の香炉』です。ですが……」 「ですが?」 言い淀んだ侍従長に、さらなる催促をする。 「どれも不思議なことに『意味のない』ものばかりなのです。 トリステインの祈祷書は、中に一切の文字が書かれておらず。 アルビオンのオルゴールは、いかなる調べも奏でず。 ロマリアの彫像は、何を象ったのかが誰にも理解できず。 そしてガリアの香炉は、いかなる薫りも発せず、です」 「なるほど。一つだけならともかく、そろいもそろって、となれば、始祖が謎かけの一つ位しておるのかもな」 ジョゼフの言葉に、侍従長も力強く頷いた。 「我が国を初めとする研究機関で、謎の解明に挑んだこともありましたが、結局のところ何も判らなかったそうです。特に我が国の香炉の場合、他と違って明らかに魔法の介入がありますからな」 文字のない書は子供にでも作れる。 意味不明な彫像も何とでもなる。 だが、音のしないオルゴールとなると細工物の知識が必要になるし、ましてや薫らない香炉は明らかに異常だ。 香炉はただの入れ物で、香が薫るのは香自身の働きだ。なのにそこに入れると薫りがしないというのは明らかに何か別の力が働いている。 「おもしろい。少し見てもいいか」 思えば、これこそがジョゼフにとって、最初の分岐点であった。もしここで彼が香炉に興味を示さねば、後の歴史は大幅に変わっていたことであろう。 他の人では許されないことであっても、王ならば通る。 管理のものは難渋を示したが、それでも王の意向がまかり通った。 そしてこの日、ジョゼフの人生は第一の激変を迎えた。 「まさか、この俺が、な……」 ジョゼフは悩んだ。自らの内に眠っていた魔法の力、『虚無』。 始祖の直系たる証。最高峰の魔法。 この事実を公開すれば、ガリアのすべてが自分になびくことは明白であった。 だが一つだけ懸念があった。 前例がなさ過ぎる。始祖の秘宝に秘められていた謎は、虚無である自分にしか理解できない。 すなわち、自分が『虚無の担い手』であることを証明することが難しいのだ。 自分が得た『虚無』は『加速』。すばらしい力であるが、いささか弱い。万人に自分が『虚無』であることを証明するには、ある意味わかりやすさが足りない。 魔法具のたぐいであろうといわれる可能性も高い。 証拠がいる、とジョゼフは考えた。 一つだけ幸いなことがあった。虚無に目覚めると同時に、コモンマジックが使えるようになったのだ。とりあえずそのへんは秘密にしたまま、ジョゼフは始祖に関する文献を調べまくる。 結論として思い至ったのが『使い魔の召喚』であった。 かつて始祖は、『四人の人間』を使い魔として持っていたと伝えられている。そして今の世に、『人』を使い魔として持つメイジは存在していない。もし自分が正しく『虚無の担い手』、始祖の後継たる存在ならば、『人』を使い魔として召喚できるのではないだろうか。 そう考えたジョゼフは、密かに準備を整え、召喚に挑んだ。 それが第二の激変となった。 「ここは……」 術は成功し、召喚のゲートから現れたのは、紛れもない『人』であった。 やはり、と思う中、ジョゼフは現れた人物に注目した。 若い女性であった。やや儀式張った服装からは、ロマリアの神官を思い起こさせる。 だがそれ以上に注目すべき点は、彼女が血にまみれていた点であった。 彼女自身には外傷は見あたらない。混乱はしていたが、その手に凶器を持っている様子もない。 だとすると、これは護衛か敵の返り血であろう。 ジョゼフは使い魔召喚の儀式における注意事項を脳裏に思い浮かべながら、ゆっくりと話しかけた。 「言葉は、通じているようだな」 「……あなたは? それにここは」 「私はジョゼフ。結果的にだが、そなたを召喚したものだ」 幸い彼女はきわめて理知的な性格であり、冷静に状況を受け止めた。 情報が交換され、そしてジョゼフは驚くべき事を知った。 「そちらも……か」 「私としては、うらやましい話ですけれども」 彼女の名はシェフィールド。但し本名ではなく、地位に付随した、役名のようなものらしい。真の名前は、明かさない風習があるらしい。 身分は神官。そして出身地は、東方--ロバ・アル・カリイエだという。 だが、そんなことはジョゼフにとっては些細なことであった。 彼に最大の衝撃を与えたのは、東方の現状であった。 東方は、戦争の中にあるという--一万年を遙かに超える、永遠の闘争の中に。 ジョゼフの問いに、シェフィールドは答えた。 東方は永遠の闘争の中にある、と。 彼女は神官の家系であり、過去の記録を知ることが出来る立場にあった。 生まれた時より続き、一度は終わったはずの戦いが、その直後より再び繰り返された。その光景に心を痛めた彼女は過去を調べ、そして知ったという。 誰も気にしていないこの戦いが、遙か過去より延々と続いているものであると。 ジョゼフは思わずそのことを詳しく聞いていた。 彼女も問われるがままに答えた。 彼女の調べによれば、まるで誰かがわざわざこの地に戦いを起こし続けているようだ、と。 これに対してジョゼフは、ハルケギニアを覆う、永遠の停滞について思うことを語った。 平和なのがうらやましい、と彼女は言ったが、ジョゼフの真意を誤解したりはしなかった。 ジョゼフの方も、永遠の闘争に、一つ不審な点を感じた。 戦争は文明を加速する。大賢者の知識から、ジョゼフはそれを悟っていた。 それは本能に直結した意志である。死にたくないという原初の本能が、武器を、防具を、戦術を、戦略を進化させる。 だが彼女の語る永遠の闘争には、それがなかった。いや、『意図的に抹消』されていた。 ジョゼフの問いに、彼女は語った。そういうものが萌芽することはあったらしいが、たちどころに対抗策が打たれて、定着することはほとんど無かったと。 これが決定的な疑惑になった。彼女から過去の記録を聞き、新戦術の発見とそれが潰えるまでの経過を聞く限り、発見はまれなのに対抗手段の確立があまりにも早すぎる。 まるで誰かがそれを望んでいないような様子であった。歴史に介入して、意図的に抹消したような印象を色濃く覚える。 そうでなければ、これほどの長い間、戦争が続くことはあり得ない。 戦争は巨大な消費だ。人か、物か、意志か。いずれかが不足して、戦いは終わる。正確には続行不能になる。 なのにそれが続けられるということは、そのためのシステムが出来上がっていることに他ならない。 戦争をするためにのみある世界。そんな世界でもない限り、そこまでの永きにわたって戦争状態を継続することなど、出来るはずもない。 それははからずしも、ハルケギニアのあり方に似ていた。永遠の闘争と、永遠の無変化。 意図は違えど、一つの世界を永遠に保つという点では全く同じであった。 そうしたことを二人は話し合った。そしてシェフィールドは、ジョゼフの使い魔となることを受け入れた。 現れた証は『ミョズニトニルン』。すべての魔導具を自在に使いこなす、始祖の使い魔が一つ。 ここにジョゼフは、虚無の担い手たる確かな証を得た。 だが、彼はそれを持ってガリアの掌握を行うことをしなかった。 なぜならばそれは…… ミョズニトニルンの力により、彼に第三の激変を与える事実が判明したからであった。 ミョズニトニルンはあらゆる魔道具を使いこなす。 それは始祖の秘宝といえども例外ではないはず。 そう考えたジョゼフは、彼女に『始祖の香炉』の力の解析を望んだ。 その結果-- ジョゼフは、知ってしまった。 この世界の真実の一端、大賢者の残した言葉の意味。 「この世界は『大いなる者』の遊戯場である」 はっきりと理解できたわけではない。そこまで踏み込むには、ジョゼフの智でも及ばなかった。 難しいのではない。足りないのだ。 異国語で編まれた文献は、その異国語を読めねば理解できない。そういうことだ。 彼に理解できたのは、ハルケギニアの停滞も、ロバ・アル・カリイエの戦争も。 自然のことではなく、意図的に為されていた、という事実。 この事を知った時、ジョゼフは狂った。 いや、ある意味正気に返ったとも言える。 「シェフィールド……壊そう、この世界を」 「御意」 「まずはエルフか……この軛を断ち切るには、奴らの存在を利用せねばなるまいな」 そしてガリアの地に、「狂王」が出現した。 弟を暗殺し、 その妻を辱め、 娘も、姪も利用し尽くす、慈悲を忘れた王が。 そして、そんな王の前に現れた、最大の「駒」。 あのエルフが心底より恐れる、絶対の力。 文字通り世界そのものを『物理的』に破壊できる存在。 「もうすぐだ。もう少しで、力が集まる。ロマリアも動いた。ゲルマニアも機を見て動くであろう……我々が動けばな。アルビオンに、すべてを集める。手向かうがよい、異界のメイジ、タカマチナノハよ」 ガリアの王は哄笑する。 「その力で、我諸共、すべてを破壊するがよい。ためらわば、我が壊すのみ」 そして、時空の間では。 「どうして、ここで待機なんですか!」 金髪紅眼の女性が、黒髪黒眼の男性にくってかかっていた。 女性の名前は、フェイト=T=ハラオウン。 男性の名前は、クロノ=ハラオウン。 名前からも判るとおり、二人は家族である。クロノは結婚して家を出ているし、フェイトは養子であるのである意味他人でもあるが、兄妹であるのもまた事実である。 二人が今いるのは次元航行艦『アースラ』のブリッジ。 未知の次元空間を旅してきたこの船は、あとわずかで目的の世界に接触をする、その寸前で停止していた。 「慌てるな、フェイト」 一刻も早く親友の元に駆けつけたい妹をなだめるべく、クロノは言葉を綴った。 「まず初めに、ここでいくら待機をしていても、向こう側での到着時間は変わらない。つまり、相手を待たせることにはならない」 「でも!」 「逆に、慌てて突入したら、むしろ大幅な遅延をもたらす可能性が高い」 「う……」 言葉を途切れさせるフェイト。 ここぞとばかりにクロノが言葉を重ねていく。 「向こう側の世界とこちらの時間の流れには、大幅な差違があるんだ。ここまではよかった。だが、最後の接触……相手の世界への突入は、やり直しがきかない。 最初の接触で、相手の時間流のどの位置に接続できるかが決まる。現時点の観測結果では、推定誤差五十年……うまくいけば彼女の召喚直後になるが、最悪だと五十年後になる」 フェイトの目に疑問が浮かぶ。何か方策はないのかと。 「いま最新の観測データを元に正確な進路を算定しているが、それでも誤差を五年以内にするのが精一杯だ。だが、一つだけ希望はある」 「何、それは!」 希望、の一言に弾けるように反応するフェイト。 「この世界は魔力の反応がきわめて大きい。そんな中に、明らかに彼女が発したと思われる魔力の残滓があるんだ。今現在においてもこれが大きな手がかりになっている」 「魔力の残滓って……なのはが、大規模な魔法を?」 「おそらく。負担が心配になるくらいの物らしい。明らかにリミット3を外している」 「そんな……」 よろめくフェイト。 「彼女がそこまでするとなると、平穏に過ごしている可能性は低い。だが、皮肉にも、それが希望になっている」 「どういうこと?」 問うフェイトに、クロノは図を空中に提示しながら説明した。 「三角測量だよ。後一度、彼女が大規模な魔力を放出してくれれば、そのデータを元に補正を掛けながら突入できる。そうすれば、間違いなく、その直後の時空にピンポイントで突入できる。諸刃の剣だけれどね」 「なのは……」 親友の嘆きをよそに、『その時』は着実に近づいていた。 前ページ次ページゼロと魔砲使い
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/938.html
※投稿者は作者とは別人です 119 :711:2007/11/15(木) 18 00 50 ID Ku8It7s20 >ヨークタウン氏 おっつ~ 久々にキャラ表貼るよ 北大陸 シホールアンル帝國 F世界最強国家。現在南大陸に侵攻しているが、南大陸連合軍が自由と正義を愛する某合衆国を召喚してからケチが付きはじめる 首都 ウェルバンル 最近敗北が続いており、亡国の始まりである情報操作が始まっている 皇帝 オールフェス・レリスレイ 亜麻色の長髪の若い男。敵には残虐に成れるが国民にはやさしい。しかし最近負けが込んでるので民意が軽く 離れてきている。最近ちょっと戦線が心配で心に余裕がない 国内相 ギーレン・ジェルクラ 国内省は治安や政治を担当する、裏では政治犯の投獄・処刑、 敵勢人物や団体の摘発、鍵の捜索も担当している 国外相 フレル 相手の苦悩ぶりを見て楽しむサディスト、一応国内では敏腕外交官である 有能だが、力押し外交に慣れ過ぎてすっかりアホの子に相手の狼狽を見て楽しむ変態 陸軍総司令官 ウインリヒ・ギレイル元帥 海軍総司令官 レンス元帥 侍従長 ブラル・マルバ 厳しい人だが仕事以外の時には陽気な好々爺として振舞っている。 オールフェスもこの人には頭が上がらない 南大陸東艦隊司令長官 ジョットル・ネーデンク大将 アメリカ艦隊の侵攻を受け、東艦隊で迎撃に行った 南大陸東艦隊魔道参謀 ヘイ・イーリ大佐 西艦隊司令長官 カランク・ラカテルグ大将 大陸西方の司令長官、 第2艦隊司令官 ワルジ・ムク少将 第3艦隊司令官 イル・ベックネ少将 アメリカ艦隊侵攻時、ちょうど主砲の交換をやっていて艦隊決戦に遅れて出港した。 そのあとアメリカ第2任務部隊に挑むも撃退された レンベラード艦長 ロスグタ大佐 第3艦隊所属戦艦レンベラードの艦長 第6艦隊主任参謀 ファルン・ジャルラ少将 第12艦隊司令官 マリングス・ニヒトー少将 船団護衛艦隊指揮官 第22竜母艦隊司令官 ヘルクレンス少将 南大陸東艦隊隷下の機動部隊。 第24竜母艦隊司令官 リリスティ・モルクンレル中将 第22竜母艦隊よりも規模が大きい、ハルゼーと同じタイプ、皇帝とは15年以上前からの付き合い、 第2部隊司令官 ワルジ・ムク少将 第24竜母艦隊所属第2部隊の司令官。 ホロウレイグ艦長 クリンレ・エルファルフ大佐 第24竜母艦隊所属第2部隊旗艦ホロウレイグの艦長。 チョルモール艦長 ルエカ・ヘルクレンス少将 32歳。体つきはがっしりとしており顔は端整な顔立ちである。 ルンガレシ艦長 ヴェンバ・ラガンガル大佐 対空巡洋艦ルンガレシの艦長 防空軍団司令官 デムラ・ラルムガブト中将 ウェンステル領ルベンゲーブ精錬工場の防空司令官 第16空中騎士飛行隊長 ヌバレク・ラジェング少佐 第16空中騎士隊飛行隊長、北大陸統一戦争時撃墜78騎のエース 第16空中騎士隊 ヴェレンジ大尉 第34空中騎士軍司令官 ベルゲ・ネーデンク中将 カレアント公国ポリルオ基地に司令部を置いている。4月8日の空襲で司令部の幕僚ともに戦死 第49空中騎士隊隊長 ジャーバン大佐 第72空中騎士隊 レネーリ・ウェイグ中尉 シホールアンル軍エース、B-17を個人で2機、共同で4機撃破または損傷。 またB-25を1機。A-20を3機。P-38を2機撃破している 第1戦闘隊指揮官 レガルギ・ジャルビ少佐 飛空挺のテストパイロットだった。現在は第1戦闘隊指揮官。 飛空挺開発部の技術主任カイベル・ハドとは昔なじみ 第3特殊軍 ルイクス・エルファルフ少将 シホ軍精鋭部隊 第17軍司令官 アルズワク・ルーカリア中将 上陸軍司令官 第5砲兵連隊 ムッル・ピルネ一等兵 第10歩兵師団所属第5砲兵連隊所属 第5補給中隊長 ラッヘル・リンヴ大尉 第152補給旅団第1補給大隊所属、第5補給中隊長 第2小隊長 ポイエンク・リルンカ中尉 第66特殊作戦旅団第2小隊長 元第72魔法騎士師団 エフォルト・ラランバグ軍曹 第72魔法騎士師団第2歩兵連隊第3大隊の第4中隊所属。現在はアボルヅランクィ収容所 開発部長 クナルク・アーベレ陸軍少将 飛空挺開発部の部長 技術主任 カイベル・ハド 飛空挺開発部の技術主任。テストパイロットのレガルギ・ジャルビ少佐とは昔なじみ 船長 リィルガ中佐 高速輸送船のレゲイ号の船長 尋問師 レガル・チェイング チェイングの兄妹の兄、兄妹そろって拷問が趣味の変態 尋問師 セルエレ・チェイング チェイングの兄妹の妹、尋問が趣味というサディスト、鍵の捜索班員でもある 元ヒーリレ公国 北大陸ではシホールアンルに次ぐ強国にであったが、シホールアンル帝國の脅迫外国にひれ伏した 南大陸 南大陸連合軍(大陸の北側順) シホールアンルの侵攻を受け絶体絶命。某合衆国を召喚して一発逆転を狙い、現在進行形 レンク皇国 ヴェリンス共和国 カレアント皇国 露天商 クグラ・ラックル ルーガレックから避難し、ロゼングラップの知人の家に逃げ延び露天商をやっている 陸軍軍人 エリラ・ファルマント軍曹 エンタープライズのカーチス大尉に発見された行き倒れ人 ミスリアル王国 魔法に関しては世界一 首都 レルケインツ 第4皇女 ベレイス・ヒューリック ミスリアル王国の第4皇女。ダークエルフ。同時に特別諜報部の局長でもある、 グンリーラ島沖海戦の戦勝パーティーでスプルーアンスと踊ったひと。伝令の途中で討たれる。 第12連隊長 フルク・キルラン大佐 ミスリアル陸軍第37歩兵師団の第12連隊長 第3大隊長 バルシスク・ランドアルク中佐 第19歩兵旅団第3連隊隷下第3大隊隊長 料理屋 ミルロ・ランガード ダークエルフの民間人、ミンス・イレナの山の麓で料理屋を経営 バルランド王国 現在シホールアンル軍の南大陸侵攻に対して派兵している。 首都 オールレイング 国王 アルマンツ・ヴォイゼ 財務大臣 ミルセ・ギゴルト 内務大臣 ガヘル・プラルザー 労働商業副大臣 ハバル・スカンヅラ 国防軍総司令官 グーレリア・ファリンベ元帥 首都防衛軍副司令官 ウォージ・インゲルテント大将 陸軍大将でバルランド王国有数の名門貴族の当主。兵の受けは良くない 1483年に入ってからシホールアンル討伐軍司令官を兼任 海軍総司令官 ウルング・ヴィルバ大将 参謀副長 クー・アールンク少将 司令官 ベルージ・クリンド中将 グンリーラ島に残されている精鋭部隊司令官 主任参謀 クリンド中将 ↑の主席参謀。特徴のあるごつい顔から、闘魂のレンネルとあだ名されている 第112歩兵師団 エルッカ・ロークッド中尉 レルス大佐とシホールアンル侵攻時から共に戦って来ている。年齢は24歳 第27連隊長 リーレイ・レルス大佐 ↑の隷下である第112歩兵師団隷下の第27連隊長 折衝役 ガンク・ルンキ大尉 ヴィルフレイングに出向していたがグンリーラ島駐留部隊救出に出た米軍との折衝役 折衝役 リワン・フリック少佐 ↑と同じ 魔道士 ラウス・クレーゲル ベテラン魔術師。その腕はミスリアルの魔術研究者らも認めているほど 今は首都の海軍総司令部特別要員である。 魔道士 リエル・フィーミル 明朗闊達な女性であり、ラウスと幼馴染みの魔道士である。1483,9にラウスと入れ替わり第5艦隊司令部連絡員 に任命される。 魔道士 ヴェルプ・カーリアン ラウスとリエルの同僚。リエルと同じくして第5艦隊司令部連絡員に任命される エルフ ルィール・スレンティ レイリーよりは明るい、冷静沈着であり、レイリーよりも早く仕事をこなす事も。原子力研究チーム ダークエルフ レイリー・グリンゲル ミスリアルでトップクラスの魔道士、頭が切れ、運動神経抜群というパーフェクトマン、見た目は冷たい感じ 研究チームのムードメーカー的存在 グレンキア王国 首都 レルペレ レーフェイル大陸 マオンド共和国 レーフェイル大陸の覇者、シホールアンル帝國と同盟関係にある 首都 クリンジェ 国王 ブイーレ・インリク 48歳。痩せ型で、病弱そうな体つき。黒い髪は短く刈り上げられ、顔は理知的であり、 普通の人よりは数段頭がよさそうに見えた。 首相 ジュー・カング 大陸南艦隊司令長官 テレッグ・オンポロア大将 海軍総司令官 バグメタ・ラムイオ元帥 第72軍司令官 ギャン・チルムク中将 ユークニア島総指揮官である 第61特戦隊指揮官 ハニジ・リゴア大佐 ベグゲギュスの研究施設の指揮官。大敗し士官学校教官に左遷 第97空中騎士軍司令官 ルポード・ウェギ中将 陸軍の第97空中騎士軍の司令官であるである 駆逐艦艦長 ルロンギ少佐 旧ヘルベスタン王国 十年前にマオンド共和国に占領され、今ではマオンド共和国の地方 領主 ジヘル公爵 エルケンラードの領主、良くある悪役領主、若い娘の精神壊すような変態 諜報員 クルッツ・ラエク 米国の送り込んだ諜報員、マオンド共和国の反体制派 その他 鍵 フェイレ この物語のキーパーソン?特殊な力を持っている。 6年前にこの力が暴走して村人200人が亡くなった 単位 距離 1ロレグ=15mm 1グレル=2m 1ゼルド=3km 速度 1リンル=2kt 1レリンク=2km 質量 1ラッグ=1.5t 違っていたら指摘ヨロ
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/4091.html
294 :弥次郎:2016/10/24(月) 22 55 49 大日本企業連合が史実世界にログインしたようです-4- 「日企連の胎動」 -起- 舞台裏 記者会見場から出た神崎はわき目も降らず、護衛を引き連れて移動する。 質問をぶつけようとする記者も多くいたのだが、全てブロックされていた。 「報道の自由を守れ!」 「逃げるのか、卑怯者!」 「横暴だぞ!このことは記事にするからな!」 後ろから聞こえてくる罵声は、英語であれ他の言語であれ、全て神崎に届いていた。 しかし、一顧だにしない。そんな価値もないからだ。話すだけ時間の無駄。 新聞記者はこの時代においては権力者であった。日企連の指導が及ぶ国内ならばなんとかなるが、流石に海外の記者はどうにもならない。 だが、そのツケはいずれその国の国民が払うのだ。精々言わせておくのが一番である。 経済戦争になれば、この星の資産家の中に日企連に勝てる資産家や企業家など存在しない。 それだけの経済の怪物(エコノミック・ビースト)なのだ。 「……事前の警告を受けながら、我々と争うつもりですか。やれやれ、無知とは悲しい」 一人呟く神崎はそれとなく時計をそっと触る。 スイッチが入り、無線機がその機能を働かせる。 「どうでした?」 『無粋な客人が30名はいました。出口で確保します』 「派手にお願いします。ついでに広報部にも連絡を」 『もちろんです』 唇を殆ど動かさず、天鶴の一室にある監視室と会話する。 別に神崎が腹話術を心得ているわけではない。耳の中にイヤホンがあり、モーニングスーツのネクタイにセットされた 骨伝導式の通信機による会話だった。記者会見の会場においても神崎に向けられた言葉は全てマイクによって拾われ、通訳が逐次それを翻訳して伝えていた。神崎がその気になれば、会場にいた人間の拍動さえも聞き取ることができた。 故に、悪態であろうとも言葉を一つ一つ掬い取ることはできた。 また会場にあまりチェックもなく通されたように見えたが、その実態としては綿密なほどにチェックされていた。 X線 赤外線 サーモセンサー 通常のカメラなどなど、出入り口にはそれ相応の監視システムがあって一瞬で検査されていた。 カメラに限らず、聴覚や視覚を強化する外科的な施術を受けていた警備兵がその義眼などで逐次チェックもできた。 結果、明らかに目的にそぐわない物品の持ち込みがあった。大方、日企連についてあれこれと調べようとしたのだろう。 しかし残念なことに日企連はその手の戦いにも慣れていたし、技術的にも先行しているだけあってより経験を経ていた。 (高い授業料になったと思ってもらいますか……) 彼らは困惑するだろう。隠していたはずのそれらがなぜ容易く見破られたのか、理解できないから。 いや、正確に言えば理解したくないからかもしれない。彼らは常識外の例外(イレギュラー)を嫌う。 自分達の地位や名誉、あるいは権益などが揺らぐと思っているから。 だからこそ小さいのだ。彼らは。どうしようもなく、矮小。 既に日企連にはイレギュラーが存在している。 UnKnownなども良い例だが、企業の成り立ちそのものが「本来の歴史」から見ればイレギュラーだ。 だから、覆されることも覚悟の上。無論、覆されないように注意と警戒をしているのだが、蹂躙されるだけの覚悟はある。 嘗ての盟友企業であるレイレナード社が、自らが滅ぶことさえも計算に入れて世界と相対したように。 (そんな程度の覚悟もないなら、大人しく耳と目を閉じ、口をつぐんで、無為のまま死ねばよいだろうに) 神崎は思う。プレイヤーとなるということは、奪い奪われる地位になるということ。 ただ口だけが達者な論者(観客)が状況を動かすのではない。プレイヤーこそが状況を動かすのだ。 だからこそ、メディアなどはプレイヤー気取りの観客に過ぎない。 前世で、あるいはそれ以前の人生の出来事が古い機械に記憶された記憶(Mechanized Memories)のように思い出される。 何時の時代であれ、何処の国であれ、そういったメディアは自らの権力に溺れていた。そのように、神崎は記憶していた。 そんな神崎の背後でバタンと扉が閉まる。 記者会見場から響いていた声などは全てシャットアウトされた。 あとには神崎から立ち上る、怒りとも呆れとも取れる空気だけが残り続けていた。 295 :弥次郎:2016/10/24(月) 22 57 15 「これでよかったと、そう思いたくないのはぜいたくな悩みなんだろうか」 東京府の首相官邸にはノーマルも含む厳重な警戒が敷かれていた。 2.26事件の後からいくらか外出の制限は解除されているが、事実上厳戒令は維持されたままだ。 むしろ、今回の会見の後からが本番であった。解除されているのは要するに息抜きである。 首相官邸で話をするのは岡田内閣代行大臣と鈴木貫太郎侍従長。 ラジオ放送を聞いていた岡田の元を鈴木が訪れたのはつい先ほどの事。 録音していた会見を聞きながら、岡田は窓の外を闊歩するVシリーズACを眺めていた。 「あの会見、まさかあそこまで言うとはな……」 「日企連の人間の言い方を借りれば直球、というのかな。いや、見事に啖呵を切ってのけていた」 一方でソファーに身を委ねる鈴木は笑みを浮かべている。 実に痛快、と言わんばかり。実際、彼は神崎代表の大胆な物言いにむしろ心地よさを覚えていた。 「陛下は笑っておられた。変に卑屈にならず、あのような態度をしてのけねば、日企連らしくないと」 「豪胆な……見習いたいものだ」 しばし考えた岡田は、やがて漏らした。 「これは、ある意味反逆なのだろう」 「は?」 「こうなる運命なのだと、こうなってしかるべきなのだと、そういう流れに抗う行為だ。 本来ならば、あと数か月で日中戦争がはじまる。それがどうなるかも、分からなくなっている。 本来の歴史から如何に剥離できるか。それは全て我々の双肩にかかっている……」 「それは、まあ、確かに」 「仮にも内閣代行総理大臣を拝命した私が躊躇ってはならぬとは分かっているのだがな……」 弱音だ。 代行という形にせよ、絶大な権力と国力を握る地位についている岡田はこの帝国で言えば2番目の地位にある。 しかし、いきなり舵取りの意味が変わった。このまま流れに任せることは危険だと教えられたのだ。 どうすればいいのか、見当がつかなくなる。ただ、終わりだけがぽっかりと浮かんで見える。 「岡田啓介代行総理大臣」 不意にフルネームを呼ばれ、振り返る岡田。 皇居の方向へと一礼した鈴木は真剣な表情でここに来るまでにあったことを話す。 「陛下は一言私に問われた。『朕は王道を進めているだろうか』と」 「それは……」 王道。それは、理想の政治。理想の王がとる政治の道。政の道。 幾多の君主がそれをなさんとした、民も国も豊かになる治世の事。 「歴史を見れば、覇道を進み、凋落した君主は星の数だけおり、それは今日の歴史が示している。 日企連の持ち込んだ資料にもそれは記されておりました。当然、陛下もご存じの筈。その上で、私に問われた」 その意味は、おのずと分かる。 「陛下さえも、躊躇いや迷いを持たれたということ。日企連に命じることを、最後まで躊躇われた。 日企連によれば、陛下が決断を下されたのは今年の2月24日。この意味はお察しいただけるだろう」 しばしの沈黙。 そして、岡田は、笑った。 大きな笑いだ。ともすれば、滑稽にさえ見える笑い。 鈴木はその笑いの意図するところをつかめずにいた。 暫く笑いを収めた岡田は、ややせき込みながらも言い放った。 「ならば、我々は結末を覆して見せる。陛下のお選びになった道が、覇道ではなく王道であると証明してみせればよい。 呵々と笑った岡田は、溜まっていた涙を振り払う。 「そう、日企連の言葉を借りれば、例外(イレギュラー)であったか、その例外ならば、それができるはずなのだ。 王道を進まんとするならば、我々はその礎となり、道となろう。この体も命も、何もかもが陛下の物なのだから。 その力を我々が発揮できなければ、この国は本当の意味で滅びる」 故に、と岡田は宣言した。 「故に、戦って見せよう。そして、証明するのだ。陛下が正しかったのだと」 「微力ながらも、この鈴木も御助力しましょう」 二人の臣民は、固く誓い合った。 全ては陛下の為、この国の為に、そしてすべての臣民のために。 日企連を利用してでも、彼らの目的を理解してでも、この帝国に尽くす。 彼らに残された道は、それだけなのだから。 296 :弥次郎:2016/10/24(月) 22 57 49 以上です。wiki転載はご自由に。 マスコミの話題が出たので速攻で書いてみました。 そして覚悟完了な臣民お二人。