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一年が経ち、佐助は真田忍隊の勤めが忙しくなり戦場を駆け回る日々が続いていた。 忙しさも一段落した頃珍しく千代女から呼び出しが掛かった。 半年程前越後へ出向いたかすがと繋ぎ役が帰らないという。 千代女は大変気を揉んでおり、見つけたら必ず連れ帰る様に重ねて佐助に命じた。 ――あれには甲賀の禁術が伝授してある 脇息に凭れた千代女が握り締めている扇が、ミシッと音を立てた。 ――決して敵方に渡る事罷りならん 能面の様な千代女の顔からは、隠し切れない焦躁が滲み出していた。 佐助はいつもの如く御意、と謹んで承る以外無い。 (あいつは何をやっているんだ) 何人か二人の所在を探りに行ったらしいが、越後の軒猿は殊に忍を狩る術に長けている。帰って来た者は未だ皆無だった。 既にかすがも葬り去られているのではないか――そんな考えを佐助は降り払った。 仮にも甲賀の禁術まで会得した忍が易々と討ち取られる訳が無い。 怪我を負って身動きが取れないか、敵に囚われているか。いずれにせよ自分の助けが必要だろう。 (やれやれ、世話の掛かる) まだこの時佐助はそう思っていた。 夜明け前12
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佐助は千代女の屋敷に戻ると事の顛末を報告した。 「お前ともあろう者がみすみす取り逃がしたと言うのか!?」 千代女の扇が真っ二つに割れた。 怒りの余り千代女の顔色は青くなりワナワナ震えている。 佐助はじっと静かに頭を垂れていた。 「我が甲賀の禁術、敵方に漏れて何とする!?答えや佐助!!」 「――畏れながら」 佐助は淡々と理由を告げた。 かすがは禁術を会得しているもののまだ未熟で、とても他の忍に秘儀を伝授するだけの 能力が備わっていない事。 今突然望月が単独で上杉に戦を仕掛ければ、武田から叛意有りと受け取られかねない事。 最後に今回かすがを使ったのは千代女の独断であり、武田の意向では無い事。 「くっ……」 流石の千代女も黙るしか無かった。 「……下がって良い」 不機嫌な表情のまま、千代女は佐助を下がらせた。 誰も居なくなると千代女は割れた扇を力任せに襖に投げ付け爪を噛む。 (何と口惜しい) かすがの代わりを早急に育てねばならない。 しかしそうは言っても適当な者などなかなか居る筈もなく、千代女は臍を噛んだ。 先に織田方へ送り込むべきだったと後悔したが後の祭りだ。 (まこと口惜しい事よ) 夜明け前19
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忍びである猿飛佐助の朝は早い。 今日も今日とて貴重な睡眠時間を確実に確保しつつ(因みに前日午前二時就寝) 朝日が昇ると同時に目を覚ます。時刻は午前六時(現在(ry)を指している。 「さぁてと、今日もお仕事お仕事っと…」 破格の待遇で躑躅ヶ館の一角に設けられた自分の部屋から姿を現し、 水を汲むため井戸に向かう最中で、佐助はザバ、と言う水音に気づいた。 「ん?あの音はまさか…いやいやあの二人が寝たのはもっと遅いはず… だけどあの井戸を使う人間は限られてるし、でもあの二人以外はこんなに早く 起きないだろうし…」 昨夜が昨夜だっただけに、普通に考えれば『あの二人』では無いはずである。 「ま、いけばわかるっしょ」 意味も無く鼻歌交じりに佐助は足を勧める。 そして、暫くもしない内に井戸の手前の角を曲がった瞬間、佐助は驚愕の 瞬間を目の当たりにした。 「早起きとは何と清々しい事よ、のう幸村ぁ!」 「まことに仰るとおりでございまする、お館様っ!!」 佐助の想像しうる限り、どう考えても自分より眠っていない筈の信玄と幸村が、 井戸の端で仁王立ちしている(何故仁王立ちなのかはわからない) その姿は実に爽やかで清々しく、ともすれば開いた口から見える歯が本当に キラリと輝き、飛び散る汗は眩しく光る勢いだ。 少なくとも、数時間前まで情事に浸り、あらん限りの体力を使い果たした筈の 人間の所業には到底見えない。実際には使い果たしていないが。 「………ウソダローン」 上司二人(一人は少女)の底無しの体力に、佐助はそう言う以外為す術も なかった。 そんな佐助の脱力感を知る由も無く、 「お館様っ」 「幸村っ」 「おやかたさばぁぁっ!」 「ゆきむるぁぁっ!」 猛々しい声が二つ、明けたばかりの甲斐の空に今日も響き始める。
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財宝 茶入 ☆5 茶入・九十九髪茄子 安土城、関ヶ原(対東軍)、関ヶ原(対西軍) ☆5 茶入・上杉瓢箪 尻垂坂、安土城、関ヶ原(対西軍) ☆4 茶入・楢柴肩衝 石垣原、関ヶ原(対東軍) ☆4 茶入・新田肩衝 臼杵城、鳥羽・伏見、本能寺の変、安土城、関ヶ原(対西軍) ☆4 茶入・初花肩衝 南蛮渡来船、安土城、関ヶ原(対西軍)、大奥、駿河湾海戦、九度山 ☆1 茶入・国司茄子 紀伊・大和、安土城、佐渡金山 ☆1 茶入・富士茄子 将軍地蔵山城 ☆1 茶入・松屋肩衝 安土城 ☆1 茶入・松本茄子 鳥羽・伏見、石見銀山、本能寺の変、安土城、佐渡金山 ☆1 茶入・稲葉瓢箪 賤ヶ岳、安土城、伊勢湾の海賊 茶壺 ☆1 茶壺・千種 南蛮渡来船、江戸城、駿河湾海戦、真田丸の戦い、裏道明寺 ☆5 茶壺・松花 鳥羽・伏見、本能寺の変、江戸城、関ヶ原(対東軍)、佐渡金山、九度山 ☆5 茶壺・三日月 鳥羽・伏見、本能寺の変、江戸城、関ヶ原(対東軍)、関ヶ原(対西軍) ☆5 茶壺・松島 鳥羽・伏見、本能寺の変、江戸城 ☆1 茶壺・四十石 江戸城、佐渡金山、伏見城 ☆1 茶壺・ルソン壷 石見銀山、南蛮渡来船、江戸城、駿河湾海戦 ☆1 茶壺・橋立 鳥羽・伏見、本能寺の変、江戸城、勝竜寺城、伏見城 ☆1 茶壺・蓮華王壺 臼杵城、江戸城、佐渡金山 ☆1 茶壺・兵庫 島原、今山、本能寺の変、江戸城 ☆1 茶壺・りんき壷 伊勢湾の海賊、石見銀山、江戸城、大奥 茶釜 ☆5 茶釜・平蜘蛛釜 多聞山城、鳥羽・伏見、本能寺の変、石橋山、佐渡金山 ☆3 茶釜・富士形釜 石橋山 ☆3 茶釜・乙御前釜 鳥羽・伏見、本能寺の変、石橋山、大奥 ☆3 茶釜・十二支釜 鳥羽・伏見、石橋山 ☆3 茶釜・芦屋釜 石垣原、石橋山 ☆3 茶釜・尻張釜 石見銀山、石橋山、大奥 ☆1 茶釜・阿弥陀堂釜 石山本願寺、石橋山、真田丸の戦い、裏道明寺 ☆1 茶釜・大講堂釜 石橋山 ☆1 茶釜・姥口釜 春日山城、石橋山 ☆1 茶釜・達磨堂釜 三木城、伊勢湾の海賊、石橋山、佐渡金山、有田城 茶碗 ☆4 茶碗・細川井戸 下田城、関ヶ原(対西軍)、真田丸の戦い、裏道明寺 ☆4 茶碗・加賀井戸 長浜城、賤ヶ岳、下田城、関ヶ原(対東軍)、関ヶ原(対西軍) ☆4 茶碗・喜左衞門井戸 引田、天霧城、下田城 ☆2 茶碗・東陽坊 榎並城、石山本願寺、下田城 ☆2 茶碗・早舟 小牧・長久手、下田城、九度山 ☆2 茶碗・大黒 白地城、天霧城、下田城 ☆1 茶碗・臨済 下田城 ☆1 茶碗・馬蝗絆 将軍地蔵山城、南蛮渡来船、下田城、駿河湾海戦、勝竜寺城、伏見城 ☆1 茶碗・稲葉天目 石見銀山、下田城 ☆1 茶碗・荒木高麗 信貴山城、南蛮渡来船、下田城、駿河湾海戦 花入 ☆3 花入・大内筒 三木城、南蛮渡来船、駿河湾海戦 ☆5 花入・園城寺 小田原城 ☆5 花入・夜長 小田原城 ☆5 花入・尺八 小田原城 ☆3 花入・松本舟 島原、今山、須古城 ☆3 花入・針屋舟 平佐城、沖田畷 ☆3 花入・淡路屋舟 越水城、石山本願寺 ☆1 花入・貨狄 小牧・長久手、鳥羽・伏見、本能寺の変、九度山 ☆1 花入・からたち 三方ヶ原、石見銀山 ☆1 花入・大曽呂利 川中島、躑躅ヶ崎館、鳥羽・伏見、伊勢湾の海賊 茶杓 ☆5 茶杓・泪 佐和山城 ☆3 茶杓・蒲生竹 臼杵城 ☆3 茶杓・一閑斎 島原、須古城 ☆3 茶杓・片桐石州 沖田畷 ☆5 茶杓・弱法師 鳥羽・伏見 ☆2 茶杓・玉霰 一乗谷、刀根坂 ☆2 茶杓・武蔵野 安詳城、久能山、花倉城 ☆1 茶杓・二尊院 道明寺、鴨野の戦い、裏道明寺、裏大阪城 ☆1 茶杓・残月 将軍地蔵山城、多聞山城、六波羅館、勝竜寺城、伏見城 ☆1 茶杓・笹の葉 白地城、天霧城、伊勢湾の海賊 香炉 ☆5 香炉・千鳥 南蛮渡来船、駿河湾海戦、伏見城 ☆3 香炉・向獅子 石見銀山 ☆3 香炉・此の世 根来城 ☆3 香炉・浅間 躑躅ヶ崎館、鳥羽・伏見 ☆2 香炉・袴腰 上田城、鳥羽・伏見、南蛮渡来船、駿河湾海戦 ☆2 香炉・獅子紐三足 手取川、春日山城、南蛮渡来船、駿河湾海戦 ☆2 香炉・瀬戸獅子 尻垂坂、七尾城、手取川、春日山城 ☆1 香炉・黄瀬戸獅子 七尾城、手取川 ☆1 香炉・七宝鴨 長谷堂城、小手森城、米沢城 ☆1 香炉・吉光 平佐城、沖田畷、伊勢湾の海賊 名刀 ☆3 名刀・童子切 伊勢湾の海賊、伊賀の里 ☆3 名刀・大包平 伊賀の里 ☆3 名刀・三日月宗近 伊賀の里 ☆3 名刀・鬼丸 伊賀の里 ☆3 名刀・大典太 伊賀の里 ☆3 名刀・数珠丸 石山本願寺、伊賀の里 ☆3 名刀・大般若長光 賤ヶ岳、佐和山城、伊賀の里、大奥 ☆3 名刀・雷切 勢場ヶ原、石垣原、伊賀の里 ☆5 名刀・村正 躑躅ヶ崎館、鳥羽・伏見、伊賀の里 ☆3 名刀・小鳥丸 有田城、厳島、吉田郡山城、伊賀の里 名槍 ☆4 名槍・蜻蛉切 石見銀山 ☆4 名槍・日本号 将軍地蔵山城、六波羅館、勝竜寺城、伏見城 ☆4 名槍・御手杵 石見銀山 名画 ☆3 名画・瀟湘八景図 厳島 ☆3 名画・唐獅子図屏風 小牧・長久手、九度山 ☆3 名画・洛中洛外図 賤ヶ岳、佐和山城、大奥 ☆3 名画・聚光院障壁画 道明寺、真田丸の戦い、裏道明寺、裏大阪城 ☆3 名画・松林図屏風 一乗谷城 ☆3 名画・祥雲寺障壁画 小田原城、鉢形城 ☆3 名画・四季山水図屏風 長谷堂城、米沢城
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もともと乳母が若君の性の手ほどきをするように、 佐助もいつかは幸村の童貞をもらってやろうと思っていた。 それが何となく惜しくなって延ばし延ばしにしていたら、 鳶に油揚げならぬ竜に油揚げをさらわれてしまった。 男にとって初めての相手は格別の印象が残る。 結ばれぬなら、せめて記憶に刻まれたいと思っていた佐助の無念さは余りあるものだ。 案の定、寝ても覚めても伊達政宗。 だから、佐助はその記憶を自分で上塗りしてやろうと企てたのだ。 記憶を消すと言う卑怯な真似ではなく、正々堂々と技巧で。 幸い向こうは生娘。大した手練ではなかったろう。勝ち目は存分にある。 なにしろ佐助は天才くのいちである。房中術の腕前にも自信がある。 激5
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――ならばせめて彼女に寄り添い支えよう。傍に居る事なら自分にも出来る。 かすがを伴って以来、佐助は忙しい合間を縫って何度も千代女の屋敷を覗いた。 既にかすがは千代女からの任務をこなしていた。 閨の中で己を愛した男を悉く斬り捨てる――まだ若い彼女は、たった独りで その重荷に堪えねばならなかった。 あのかすがにそんな事が出来るだろうか。独りで泣いているんじゃないか。 余計なお節介だとは思いつつも佐助はそう心配していた。 案の定、いつも人気の無い場所でかすがは膝を抱え声を押し殺して泣いていた。 近付いて声を掛けると彼女は腕の中に飛び込んで泣いた。 顔を埋めて「もう堪えられない」と言いながら佐助の胸で泣きじゃくる。 取り縋るかすがを佐助はそっと抱き締めた。 何も訊かない、何も言えない。そんな苦い逢瀬を二人は幾度も繰り返した。 最初からこうなる事は分かっていた。 千代女の企みも、かすがの哀しみも、自分の無力さも。 今は凍て付く夜の世界だ。でも必ず夜明けは来る。彼女が解き放たれる日がきっと来る。 佐助はそう信じて前にも増して戦に没頭した。 かすががもうこれ以上、誰かを殺さなくても良いように。 夜明け前16
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甲斐・躑躅ヶ崎館 ステージ開始 信玄 「フッフッフ…虎の館と知って、飛び込んで来るか その度胸やよし! 歓迎するぞッ!」 幸村 「お館様ァッ!今日(こんにち)までの鍛錬ッ! この幸村めに、示させて頂きたくッ!!」 信玄 「よかろう…やってみせよ、幸村ァッ!!」 ステージ途中「風」 幸村 「武田が心得ひとぉつ! 疾きこと風の如くッ! これ即ち、先手必勝なりぃッ!」 信玄 「ほう? では問うが、その疾さに兵法はあるのか?」 幸村 「へ、兵法…? そ、それは…それは…」 撤退 信玄 「出直せい!幸村ァ!」 幸村 「ぐうっ…ふ、不甲斐なし…!」 「風」撤退後、幸村反省中 幸村 「この幸村、意志なき風に事は運べぬと知り候…!」 佐助 「反省だけなら猿にもできるってね この機だ、しっかり学びなよ、大将」 佐助とプレイヤーが交戦開始 佐助 「闇に紛れてこっそり…ってのが、趣味なんだけどねえ」【4】 「徐かに癒すこと、林の如く… 大将!俺様が時間稼ぐ間に、気合入れ直してよ!」【皇】 佐助の体力減少 幸村 「ヌッ!?大事ないかあッ、佐助ぇッ!?」 佐助 「ちょ…声がでかすぎだって、大将!恥ずかしいっての」 佐助撤退 佐助 「…はい、俺様のお仕事、本日はここまで 後は任せたぜ、大将」 幸村 「よしきた、佐助ッ!この幸村、任されたァッ!」 ステージ途中「火」 幸村 「フッ!フン!(スクワットの掛け声) 負けられぬ!」 幸村 「武田が心得ひとぉつ!滾ること火の如くッ! 漢のたぎる肉体こそ、明日を繋ぐ架け橋なりぃ!」 信玄 「ほう…? では問うが、 その炎は何の為に燃やすものか?」 幸村 「な、何の為…? そ、それは…それは…」 幸村撃破 幸村 「この幸村…今一度、 己の風林火山を見つめ直し候…!」【皇】 ステージ途中「山」 信玄 「フッフッフ…動かざること、山の如しじゃ!」 【分岐】幸村3度目登場 幸村 「お館様ァッ!この幸村、己の風林火山をついに 見出して候ォーーーッ!!」 信玄 「ウム! ならば示してみよ、幸村ァーーーッ!」 幸村とプレイヤーが戦闘中 信玄 「幸村!武田式熱血噴火準備体操は、済ませておるかァ!」 幸村 「無論にござりまする、お館様ぁっ!」 幸村撃破 幸村 「この幸村…道場でまた鍛え直しでござる…!」【皇】 信玄 「おぬしの方が一枚上手であったか…!」 信玄戦闘開始 信玄 「フッフ…おぬしに見せてやろう このワシの風林火山をッ!」 【分岐】甲斐双虎戦の場合 信玄 「もうよい、幸村!ワシの元へ来ぉいッ!風鈴火山の 何たるか…おぬしに直接、見せてくれるわッ!」 幸村 「お、お…お館様…! あ、有難き、幸せ…ッ!」 武田主従登場デモ 信玄 「風林火山、それは兵法のみの教えにあらず 己の志、そして、民の心にも通ずると知れ!」 幸村 「はいィ! ぅお館様ぁあ!」 甲斐双虎戦開始 信玄 「征くぞォオオオ、幸村ァアアアアアッ!」 幸村 「はいぃィイイイ、お館様ァアアアアアッ!!」
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「……その、破廉恥な話なのだが、その、な」 「…はぁい」 『違うよ旦那。これはお味噌汁なんだ。朝食べたやつ』などという苦しい言い訳で幸村を誤魔化し そしてそれに誤魔化される主を心配しつつ、佐助は幸村の隣に腰を下ろした。 等の本人は、落ち着かないのか、先ほどからそわそわしながら、手を組んだり組み替えたりしている。 「そ、そのなんだ。最近、ここここここここここ恋人というものができてな!!!」 「…はぁい」 「む、佐助。また味噌汁がでとるぞ」 予想はしていた。覚悟もしていた。それこそ幸村に仕えるようになった時から。 以前から、その影はあったのだ。文をやりとりしているような形跡はあったし、物思いに耽ることが多かった。 何より、外泊するようになった事が一番大きかった。 しかし、実際にその事実を突きつけられる衝撃は、想像を遙かに超えていた。正直、死にたくなった。 「その人を…俺様に紹介したいのね…」 「う、うむ。あちらは将来的にはけけけけけけけ結婚を、考えていると!それで、あ、挨拶を、と」 「わぁいだんなーだんなのしろむくはおれさまにしたてさせてねー」 「気が早いぞ佐助!は、は破廉恥な!というかお前、味噌汁が出しっぱなしだぞ。見苦しいからとっとと拭け」 そう言うと幸村は懐からてぬぐいを取り出し、佐助の顔を優しく拭う。 以前なら、てぬぐいを持ち歩くなどといった細やかな配慮はできなかったはずだ。 こういった些細な変化に、幸村が「女」になったという事実を感じさせられる。恋が幸村を変えたのだ。 再び死にたくなった。 「そいつはもう来てるの?」 「うむ。客間で待っていただいている」 「……大将には、もう言ったの」 「いや、まだだ。まず佐助に、と思ってな」 「…そりゃ、光栄だねぇ」 尊敬する主君より、草の者である自分を優先してくれたことに喜びを感じながら、佐助は最も大切なことを尋ねた。 「……旦那」 「何だ」 「旦那は、今、幸せ?」 「―――――――――あぁ」 「………そっか」 花が綻ぶような―――とびきり甘い蜜のような、そんな、幸せそうに笑う幸村。 何よりも大切で、ずっと大事にしてきた。 この人が幸せなら、間違いは、ない。 それだけだ。 そう思い、佐助はようやく、笑みを浮べた。 「でさ、どこの誰なの」 「ああ!大事なことを言っていなかったな!」 「ははっ、旦那ったら」 「伊達政宗殿だ!」 「そうかー伊達あqwせdrftgyふじこlp 」 「佐助!今度は口から味噌汁が!!」 お館さまがみてる6
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(あああっ!そこを、やられちまったら…もう…) 一刻も早く果ててしまいたくなる。とにかく楽になってしまいたい。 「(だが、これ以上…はっ…)くっ……いけねえっ…だめだっ…」 忍ごときが主人に何かをせがむなど、出過ぎた振る舞いである。 それに、為されるがままにされるのは仕方ないと観念していたが、 自分から欲しがるようなみっともない真似だけはしたくない。 佐助の葛藤に気付いた謙信は、彼の本心を聞き出してみようと思い立つ。 「だいじょうぶですよ……きにすることなど、ないというのに」 「あ、あんたにさせられるわけ…ないでしょっ……うあぁっ…」 本当はもっと尻の穴をいじっていかせて欲しいところなのだが、 そんな恥晒しなことは口が裂けても言えない。言えないはずなのに、気持ちよく なってしまいたいという欲の方が勝ってしまう。 (早く…楽にしてくれっ……いや、耐えろ…っ!) 「おくするな、さすけ…どうされたいのか、いってごらんなさい」 謙信は既に佐助の望んでいることを大方見通しているくせに、 わざわざ佐助に言わせようとする。 「…言えねぇ…だめ…だ…っ!」 佐助が口をつぐむので 「どうしてもいえませんか…それはざんねんですね…」 そう言うが、ちっとも残念そうではない。また悪戯心が湧いてきたのか 「おまえがいやがるのなら、むりじいするのはよしましょうか」 今更ながら佐助の意志を尊重してやる。 「かすが、てをはなして…つかれたでしょう」 「いいえ、謙信さ」 「はなせ」 「は…はい…」 かすがの手淫をやめさせ、しかし自分の指は突っ込んだまま指先を僅かに動かし、 弱い刺激を与え続けて焦らしてみる。 (うわあぁぁ…ここまできていきなり止めるヤツがあるかっ…) 佐助の焦燥感が表情からも態度からもにじみでてくる。こうなってしまっては 謙信の思うつぼである。 (…くっ…畜生っ…もっと…んんっ…) 尻の中がむずむずするだけでは焦れったくなり、自分でも気付かなぬうちに腰を 動かしてしまう。 「んっ!いけませんよ…じぶんのことばでいわなくては」 謙信がわざとツボを外して手の力を抜くので、佐助がどれだけ腰を揺らして 頑張っても自分の望む刺激がなかなか得られない。無言を貫く限りは謙信の手で 焦らされ続けるだけだ。 (ああ…もうっ…そんなんじゃ足りねえっ…足りねえんだって!) 佐助の苛立ち具合を見計らって謙信が揺さぶりをかける。 「だまっていては、わかりませんよ……ほら、どうされたいのか…いえっ!」 謙信の言葉に誘導され、一瞬だが佐助の理性が完全に吹き飛んでしまう。 その瞬間に、言うまい、言うまいと抑えていた言葉が口を衝いて出てしまった。 「ぁああ…尻の中をもっと……ああ、そこ…もっと押してっ、強くっ!突きながらっ、 しごいて!激しく!」 とんでもなく卑猥な言葉の連続を、感情に任せて吐き出してしまってから我に返る。 「うああぁ!何言ってんの!なんて事言ったの俺!」 違う、今のは決して自分の意志ではないと首を振るが、言ってしまったことを取り消す ことなどできない。三人の好奇の目に追いつめられ、激しい後悔の念に駆られる。 「…最低な…事……言ってら………はは…」 心が挫けてしまって、涙が出そうになる。 武田軍×上杉軍35
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ため息をつきながら、政宗は書房にある文机の前に座った。行儀が悪いと分かりつつ頬を机に預ける。 「元気ないね。どしたの」 蝙蝠よろしく佐助が天井裏からさかさまになって登場する。悲鳴を上げる気力も沸かず、 政宗は顔を向け、よお、と手を上げた。 「帰還早々、屋根裏警備か。ご苦労なこったな」 佐助はくるっと宙で回転し、書房の床に立った。犬のように手足をまとめて座り、政宗を見上げてくる。 「忍びの習性っていうか職業病っていうか。変わってないか確認しないと気持ち悪いんだよねー。 ――で、どしたの? 帰還早々喧嘩でもした?」 「……拒まれた。それだけ」 佐助から顔を背け、政宗は机に顔を寄せる。 佐助は目をぱちくりと瞬かせると、視線を文机の隣にやった。 物凄い量の本がある。孫子と六韜、それに源氏物語。 「何これ? 旦那の本……もあるし、昌幸さまのもあるし、これは……源氏物語?」 「……奥の箱から引っ張り出して読んでた。なんかしてないと、落ち着かなくて。――笑えよ」 ひらひらと手を振って失笑を促すが、佐助はちらりと見ただけですぐに視線を書の山に戻す。 孫子に六韜に源氏物語のフルセット。百冊はあるだろうか。 「源氏物語なんてあったっけ」 「あったぞ。割と古かったな。写し直ししておいたぜ」 佐助は口笛を吹いて感心する。行儀悪いなぁと政宗は顰め面を作った。 何かしていないと落ち着かなかった。執務といっても、上田のことは勝手が分からず 下手に手を出せない。現状維持に努めたためあまりすることがなかった。 時間が空いてしょうがなかったので、沢山本を読もうと思った。しかし真田の書房にあった本は 全部読んだことがあるものばかりだったので、すぐに飽きてしまった。そこで古くなっている 本を新しく書き写す、という作業を行った。 書房に籠り過ぎて季節の移り変わりに気づかなかった。いつの間に桜は終わったのだろう。 折角、幸村と桜を見る約束をしていたのに。 幸村に上田の桜のことを伝えようにも、知らないのだから伝えられない。どれほど美しいのか。 どれほど妖しいのか。聞いていたというのに。 「可愛いことするねぇ。おにーさん気に入っちゃったぁ」 政宗は顔を上げ、生気のない顔を佐助に向ける。佐助はにっと笑っている。 「前から気になってたんだけど、お前いくつなんだ? birthdayとか知ってるのか?」 「ええー、生年なんて俺知らないよぉ。だってぇ、生まれた日とか時間とか分かってるとぉ、 呪術に使われちゃうしー」 「聞いた俺が莫迦だった……」 佐助は本を閉じて積み上げた。寝る前に読もう、と孫子を懐に入れる。 「旦那、結構気にしてたよ。桜の季節に間に合わないって」 「……それで焦って、上杉に突っ込んだりしてねぇだろうな」 「うちの旦那はそこまで莫迦じゃないですってば。一番槍を務めるって騒いでたけどさあ、 結局戦らしい戦しなかったし」 「そうか」 政宗は顔を文机に落とした。 ひたすら本を読んでいたはずなのに、何を読んだのかまるで覚えていない。目の前にある 本の山は全部自分が書き写したもののはずなのに、何を写したのか思い出せない。ずっと上の空だったせいだ。 何か夢中になっていないと、心が潰れてしまいそうだった。眠れない夜の方が多かったし食事の量も減った。 一緒に行けばよかった。戦場で妻が夫に従うのは、珍しいが非常識な話ではない。 正室を武田家中から娶っていない幸村の立場は微妙だった。 お館さまの意思に背こうとしているのではないか、という噂すらある。 そんなときに自分がでしゃばれば、幸村の立場が益々危うくなる。そう判断しての留守居役だった。 すぐに後悔した。 待つという行為はとても辛い。前田や織田の奥方が戦場で夫を助ける理由が分かった。 大切な人の無事をすぐに知りたかった。共にありたかった。 それほどまでに待ち望んだ再開なのに、幸村は沈んだ顔をしていて無事を素直に喜んでくれない。 会いたくなかったのではないか、と思えてくる。 花影ワヤン5