約 243,584 件
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/496.html
6ページ目 ゾロアークの火炎放射が四方八方に飛び散った。 火が消えると、そこには結界に守られた下っ端がいた。 そしてその間に一匹のポケモン―――アギルダーがいた。 「なっ!?」 「・・・え?」 俺や紫音だけでなく、守られた下っ端自信も驚いていた。 「お前なっついトレーナーやなぁ」 聞き覚えのある声が上から響いた。 「んにしてもポケモン使って人殺しなんて、聞いたことあらへんわ」 「・・・お前・・・・!」 その男はあの夜と同じように、そばの建物の3階から此方を見下ろしていた。 「紅恋十魔・・・!」 「こんな近い内にまた会えるなんて思うとらんかったわ。久々やな、彰!」 十魔はまた窓から飛び降り、俺の目の前で着地した。 「あれが・・・D.Dの幹部? なんで此処に?」 紫音は困惑していた。 しかし、今の俺には構ってる暇などなかった。 「そこにいるお嬢ちゃんも出ておいて。上から見ると丸見えやったぞ」 十魔は笑いながら言う。 「う、バレた・・・」 紫音は一瞬ためらったが十魔達の前に姿を表した。 「・・・なんで此処にいるんだよ」 「へ?」 十魔はわざとらしく聞き返す。 「なんでこんなとこにお前がいるんだよ・・・!」 「そら決まっとるやろ、この街の何処かにわいらのアジトがあるからや」 「!?」 彼は俺らがD.Dを潰そうとしていることに気付いていない。 だから簡単に明かした? いや…だとしても普通そう簡単に自分らのアジトを明かすか? 「紅恋様、それ言っちゃって良いんですか?」 同じ疑問を抱いたのか下っ端が恐る恐る訊く。 「こんな坊っちゃん嬢ちゃんに話したところでわいらの計画に支障はないやろ。安心せぇ」 十魔はなめきった口調で下っ端の肩を叩く。 「せや彰、この下っ端のこと許してもらえんかな? 部下が焼き殺されるってのは・・・まぁアレやし、何よりお前自信ポケモンにそんなことさせてなんとも思わんのか?」 十魔の問いに迷いなく答える。 「残念だがその話には乗れねぇ。そいつは人のポケモンを奪った上にそれを使えねぇと言った。 これはトレーナーとしてもポケモンとしても許せない行為。俺もゾロアークも気持ちは同じ筈だ! だからそいつはブッ殺す!」 ゾロアークは此方を向き、此方に同意するように頷いた。 下っ端は一瞬身震いした。 「はぁ・・・。どうやら見込み違いやったな・・・。ポケモンを利用して人殺しなんてトレーナーの道理以前に犯罪や」 「犯罪組織の幹部が正義ぶんな・・・!」 十魔の目付きが変わった。 「こりゃ、力ずくで止めるしかないわ・・・」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/srkjmiroor/pages/573.html
「あっしが、シンケンジャーに!?何てこった!」 【名前】 アベコンベ 【読み方】 あべこんべ 【声】 檜山修之 【登場作品】 侍戦隊シンケンジャー 【登場話】 第二十七幕「入替人生(いれかえじんせい)」 【所属】 外道衆 【分類】 アヤカシ 【得意武具】 筋雲重長巻(すじぐものかさねながまき) 【伝承のルーツ】 火車 【モチーフ】 上下あべこべの顔、雷雲 【他のモチーフ】 ライオン 【名前の由来】 あべこべ 【詳細】 上下あべこべの顔のような、渦巻く雷雲のような姿を持つアヤカシ。筋殻アクマロの最初の部下。 両手から撃ち出す針のような物体を人間と器物に突き刺し、胸部が光ると両者の魂が入れ替わり、微動だにしない人間と外には聞こえない悲鳴を叫ぶ哀れな器物が残る。 腹部にある顔の目鼻は上下に一対で口は1つとなっており、口から強力な火球を吐き出すので、不用意に近付いてはならない。 器物と入れ替わった他人の命を不意に奪う」という人間の弱点を利用し、この世を人間が人間の命を奪っていく地獄にしようと目論む(本人曰く「知ってても知らなくても人殺しは人殺し」。)。 アクマロの露払いとしてこの世に侵攻し、上述の能力で人々を様々な器物と入れ替えていき、過程で駆け付けたグリーン、イエロー以外のシンケンジャーも入れ替えるが、水切れで撤退。 イエローに上述の能力を利用され、グリーンと自身を入れ替えられてしまう。 半ば恐喝に近い取引を迫られ、止むを得ずに能力を解除し、スーパーシンケングリーンの「真・木枯らしの舞」により倒される。 その直後、二の目となる。 ダイカイシンケンオーと交戦、腹部の口からの火球をダイカイシンケンオーの海老刀で弾かれ、背面からの光線に怯み、最期は「二天一流乱れ斬り」を受け爆散した。 現代の伝承で『火車』という妖怪がいるとされている。 『火車』は常に人間の身体を狙う火を纏ったネコのような化け物らしく、アベコンベの火球と「魂を入れ替えよう」と人間を狙う様子が『火車』伝承のルーツになったと思われる。 【余談】 器物と入れ替えられた市民やシンケンジャー4人(グリーンとイエロー以外)は以下の通り。 ジョギング中の男性⇔街灯 サラリーマン⇔自転車 中年女性⇔看板 女子学生⇔空き缶 レッド⇔招き猫 ブルー⇔小便小僧 ピンク⇔扇風機 ゴールド⇔寿司 上述の能力で寿司と入れ替えられたゴールド/源太はネコに食べられそうになった事から寿司恐怖症になってしまう(同幕のエピソードがダイゴヨウ登場のエピソードに繋がる事になる。)。 デザイナーの篠原保氏によれば、「提出したラフ画の時点では『枕返し』をモチーフにしていたが、『魂を入れ替える』という話との関係でモチーフを変更した」らしい。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2592.html
後に『血のアフター5』と呼ばれる事になるテロ事件があった。 廃棄都市に在住していたと思われる人種、年齢、性別が異なった四人によるテロ。 夕方の買い物客でにぎわうショッピングモールの制御室を爆発物で破壊。 その後、ご禁制の質量弾丸装填銃器を一般人に乱射。偶然居合わせた管理局魔道師と交戦。 同魔道師を無力化するもの、地上本部特殊対応部隊の突入を察知して自殺……だがこれは事実ではない。 真実は先に示したとおりであり、管理局地上本部の公式の見解。しかし事実は異なる。 それを知る数少ない人間として、偶然事件に居合わせテロリストに無効化されるという失態を演じた管理局魔道師。 だが一般人の少女を守り抜いたとして有名になった ギンガ・ナカジマ。 「はぁ……」 他人よりも頑丈であり、完全に修理し終えたはずの体のダルさが抜けない。 書類をデスクに投げ出して大きく伸びをしながら、私 ギンガ・ナカジマは息を吐いた。 現場に復帰して一週間ほど経つが、最初の数日は実に酷い日々だったと思う。 別に過酷な任務がいきなり待っているわけではない。敗北した叱責を直接受けたわけでもない。 だからこそ辛かった……数日にわたる事件の状況説明という名の取調べを。 管理局魔道師が質量弾丸装填銃器を相手にした大規模な戦闘であることから、お相手は陸のエライ人だけではない。 もしそれだけならば、お父さん 現在地上本部のトップについているゲンヤ・ナカジマの力でどうにでも出来ただろう。 しかしお相手の大部分は海の人間。そして彼らはどうしても信じたくないらしいのだ。 『一線級の管理局魔道師が質量兵器を持っただけの人間に敗北した事実』が…… 「君に油断は無かったのかね?」 「判断は正しかったのか」 「バリアジャケットや障壁の構築に問題は?」 「現場での対応に対するマニュアルに齟齬があるようだが……」などなどなど よく我慢したよ、私。全ての日程が終了した時、私は本当に自分を褒めてあげたくなった。 とりあえず大好きなお菓子を買って帰り……飲めないお酒なんかも飲んでみて……不貞寝したものだ。 「私はベストの動きをした……少なくとも魔道師が相手ならば」 だが『魔力を持たない脅威』の対処法は訓練学校でも学ばなければ、現場でも遭遇する事が無かったのだ。 誰でも殺意と簡単な動作で行える、魔力反応無しで与える致命傷たる威力。 対魔法鉱石を含みバリアジャケットや簡易障壁を無効化するAMB アンチ・マギリング・バレットの存在。 それらを容易く扱い、連射できた上で弾さえ無くならなければ、消耗も殆ど無い。 魔道師の利点が通じない存在として、誰もが扱える質量兵器。 更にその兵器を製造・密売が容易に行われているという実態。それこそが陸・海を問わない新たな脅威。 なのだが……チラッとオフィスの一角のテレビに目をやれば……陸と海の討論は合いも変わらずケンカ腰だから困ってしまう。 「今回の事件の背景には魔道災害で放置された廃棄都市区画があることは明白だ」 「それが解っているのならば、取り締りもしやすいのでは?」 「ほう? 一体どれだけの広さの廃棄都市がクラナガンに広がっているかご存知か!? ソコに住む不法遊民の数も正確に把握できては居ない……何故こんな状況になったか解っているのだろう!」 「怠慢を取り繕うのは止して頂きたい。間違いなく地上本部に責があるではないか! 何度も言うが組まれる予算はお互いの真実を鑑みたもので……」 「ふざけるな! 海は更に広い次元世界を管理するから多くの予算が必要で、クラナガンの廃棄都市は放置して然るべきだと言うのか!?」 「それこそ勝手な解釈だという……」 「……では報告を続けよう。 こちらの捜査可能な限りで把握した所によると、AMBの重要な成分である対魔法鉱石はクラナガンを始めてとするこの次元世界では採掘されない。 つまり他の次元世界で掘られた物から加工されて持ち込まれるか、原料を持ち込んで生産しているわけだが……」 「何が言いたいのかな?」 「他の次元世界を管理するのは海の仕事ではなかったかね?」 「っ! それは……」 「正規の次元航行艦での密輸は不可能だと考えれば、非合法な船が往来している可能性が高い。 やはりこれらを管理するのも海の……」 「こちらとて人材や予算が完璧と言うわけではないのだ! 取締りは強化しているがソレでも限界がある!」 「だからこそ! 一旦未干渉世界へのアプローチを凍結させて取り締まりの強化をするべきだと提案しているのだ! その意見に賛同する者が海の内部にも居る事は解っている。早い答えを頂きたい!!」 「そんな事をすれば余計な危険を増やす事に成る! その未干渉世界が密造・密輸の大本だとしたらどうするのだ!?」 「それは陸が充分な体制を整え、廃棄都市の整備事業と平行しておこうなうだろう捜査で答えが出てから動けば……」 そんな感じである。毎日あんな場所で戦っている人たちには尊敬の念を感じてしまう。 ……考えを戻そう。テロリストは自殺などしたわけではない。 『殺された』 たった一人の、魔道師としては三流もいいところな……あの人に。 「ピーノ……いえ、ピノッキオ」 お父さんの紹介で出会った廃棄都市出身、フリーの諜報屋。何時も気だるげで、時々浮かべる憂いに似た表情を浮かべる青年ピーノ。 だけど違ったんだ。彼の名前はピノッキオ、殺し屋。つまり人を殺すのが仕事で本当ならば管理局が捕らえるべき犯罪者。 たしかに助けてもらった。鮮やかな手際で四人のテロリストの命を奪い、私と迷子の女の子を助けてくれた。 『人殺し』管理局魔道師ならば遵守して然るべき非殺傷の原則を堂々無視。 「でもお父さんの紹介ってことは……」 苦悩は続く。そんな人を雇っている。つまり……お父さんは人殺しを依頼していたという事になる。 自ら手を汚す事無く、他者に依頼して邪魔な者を消す。それは正しく『悪』だ。下手をすれば直接人を殺すよりも悪辣な行い。 そんな事をあのお父さんが行っている……信じられないし、信じたくない。でもきっとソレは事実。 だって幾ら忙しいといっても、入院している時に顔も見せに来てくれないなんて、余りにもらしくない。 「どうして、そんな事を……」 『どうして?』 理由なんて考えたところで正解は得られない。問いただすのが一番良いのは解っているけど……怖いのだ。 もし私が予想したとおりの答えが帰ってきたら……自分がどうしようもなく憎いと思ってしまうだろう。 父が目指しているのは地上の権利拡大、対等な海との付き合い。そして……戦闘機人の単独運用。 海の下にある戦闘機人の整備データや管理権限を手に入れることにより可能になる陸が全権を有する運用。 その恩恵を受けるのは更正施設にいるナンバーズたちと……私とスバルの姉妹。 実際、私がテロリストによって受けた傷も一部譲渡された整備技術により、本局に行く事も無く修復できたのだから。 「止めて、お父さん……そんなの嬉しくないから」 私やスバルが戦闘機人であると言う事実は、ずっとお父さんが海に縛られる鎖になっていた。 そんな関係も考慮に入れられて、地上本部トップへの大抜擢も実現されたのだから。 だからこそ因果を断ち切られるのならば喜ぶべきだし、ナンバーズたちにしても嬉しい事になる。 もちろん私やスバルもその事実だけならば歓迎する事が出来る。 だけどコレでは駄目だ……最近よく見せていた『疲れた微笑』の意味がようやく解った。 何の罪の意識も無く、人殺しの依頼などしているとはとても考えられない。ならば何時だって……血を吐く想いで歩く修羅の道。 『私達のために?』 あぁ……愛されて居る事がこんなに憎いと思った事は無い。 「出ないか……やっぱり」 ギンガ・ナカジマは勤務時間を終え、夜に沈み始めた地上本部を後にしながら、携帯電話を耳から離す。 呼び出していた先はピーノと登録された携帯電話。持ち主はピノッキオと呼ばれる殺し屋。 「話したいこと、いっぱい有るのに」 殺人を仕事にする職業と公言していたが、自分たちを助けた事もまた事実。 故にギンガはそんな事をしている理由を聴きたかった。聞いて如何なる?と言う疑問が無いわけではない。 それでも彼女がピノッキオを気にするのは「恋」なのだろうか? 面倒見が良くて、ズボラな人が気になる母性? 「夕ご飯……食べていこうかな?」 家に帰って料理をしても食べてくれる相手であるゲンヤが帰ってこないことは、ギンガも重々承知している。 だから行き着く先は外食という安易な答え。ふらりと繁華街の方へと向きかけた彼女の足を止めたのは、携帯電話の着信音。 「っ!?」 慌ててバッグから取り出した携帯電話、そのディスプレイを見てギンガは息を呑んだ。 そこには数秒前にかけた携帯の電話番号、そしてその主を示す名前が映っていたから。 彼女の震える指が通話のボタンを押して、耳へと携帯が移行。聴こえたのは何時に間にか耳に馴染んだ気だるげな声。 「ゴメン、忙しくて出られなかった」 ギンガの気持ちなどまるで解っていない風に軽い声。間違いなくピノッキオのモノ。 僅かに漏れたライターが火をつける音、煙を吐き出した音が何時も通りの彼であると語る。 緊張していた自分が若干バカらしくなって、ギンガは僅かに力を抜いた。 「どうして……出られなかったの? 仕事してたから?」 「さて……どうかな?」 ギンガが出会い頭に投げつけた強烈な嫌味をピノッキオは軽いステップで回避。 これまた予想通りの反応で思わず舌打ちの一つも面倒見の良いお姉さんから出るというもの。 そんな彼女の様子を理解できるはずの無い朴念仁は不意に、やっぱり大して重要じゃないと言いたげな軽い口調で呟いた。 「怪我は大丈夫だった?」 「えっ……あっうん。もう、全然大丈夫よ」 相手の事も自分の事も考えるのが苦手な殺し屋から出るには優しい言葉。 思わずクラリとしかけてギンガは自分を叱咤激励。こんな優しい会話をするために電話をしたわけではない。 「会って話がしたいの」 「……僕がどんな人間か。教えたはずだけど?」 「殺し屋でしょ? お父さんに雇われてる」 一瞬の会話、ぶつかり合う意志。其処には様々な感情が入り乱れていて、文字で表現する事は不可能だった。 恐怖、不安、喜び、安堵。どうしても文字にすればそんなに安っぽいモノになる。 「……わかった。場所は?」 「この前のデートの続き」 そこは管理世界に区分されるが経済の発達が遅く自然が残る場所。木々の間には別荘が点在する保養地だ。 「ですから~ゲンヤ・ナカジマ氏に手を出すのは早すぎたんと思うんです」 点在する別荘の一つ、暗いリビングで豪奢なソファーの上で身を崩しながら、電話をするのは二十歳前後の女性。 優しい茶色の髪をショートカットにし、奇妙なイントネーションで語る。 「そうや、彼を失えば地上本部は文字通り暴走するでしょう。 険悪な関係とは言え、お互いのホットラインが生きている現状態の方がまだ海に有利と思いますぅ~」 女性が不意に立ち上がれば、彼女が腕を通さずに羽織っていた黒いロングコートの裾と袖がフワリと捲れる。 その僅かな風で巻き上がるのは死臭だった。女性以外にリビングに存在する者は全て死に体。 そんな辺りの様子に気を取られることもなく、女性 八神はやては電話での会話を続けた。 「一緒に飲まないかって? またまた~酔わせてナニするつもりですか? 残念やな~いま出張中なんですわ~えぇ、本局暗部のゴミ掃除……激励の言葉よりもお休みか昇給が欲しいな~て」 「はやてさん」 血みどろの場所には似合わない会話をしていた彼女に掛かる声。 はやて以外に生者がいなかったリビングへと入ってきたもう一人の生者。 金色の髪をツインテールにした浅黒い肌の少女。余計にこの場所に似合わぬ存在。 年に合わぬスーツに身を包み、着崩したはやてと対照的にピッシリと締められたネクタイ。 はやての黒とコントラストを成す白のコートを身に着けて、手に持つのは質量弾丸発射銃器に似たデバイス。 「んっ……見つかったんか? トリエラ」 「はい」 「そかそか……ほな、仕事に戻ります。終了し次第連絡を入れますさかい。さいなら~」 通信を終えた携帯電話を閉まって、はやてはトリエラと呼んだ少女に先導されて移動。 カツカツと二対の革靴が地面を叩く音が連続し、闇と血に染められた邸宅内を満たす。 二人が辿り着いたのは隠し部屋と呼ばれるような場所。それなりに広い室内は両脇を本棚が囲む。 それでは収まりきらない書類やダンボールが床で山をなし、乱雑とした印象を受けた。 「はぁ~やっぱり当たり……か」 テキトウな書類を流し読み、ダンボールの山を蹴り倒して中身を検分して、はやては疲れと失望の色濃いため息をつく。 濁った瞳が小さなランタン一つが照らす室内の一角、荒い息が聞こえる場所へと移る。 「こんばんは~」 「きっキサマら!! いったい何者だ!? 私を誰だと思って……」 荒い息の主は壁を背にして身を震わせている初老の男性。両の脚には銃痕が刻まれ、立つ事もできず血を垂れ流している。 そんな状態の人物にも、はやては律儀に語る。 「グリフ・マイヤード少将。第三管理世界出身、魔道師ランクAA」 「何故そんな事を……まさか管理局員か!?」 「そういう事や。私は本局上層部直属、特務監査部主任 八神はやてです。 さて……用件ですけど、解ってらっしゃるでしょ? 少将殿」 立ち上がれないグリフに視線をあわせるようにはやては膝を折り問うた。 その瞳は暗く、同時に冷たい。生物的な恐怖を感じさせる色を宿していて、思わず彼は視線を逸らし、言葉を濁らせ…… 「いったい何のこと…『ボキン』…グワァアア!?」 濁らせられなかった。未だに動く手を懐へと走らせようとした瞬間、トリエラが動いた。 正に電光石火で腕を極め、肘の関節を力任せに粉砕する。その作業にはまるで淀みが無く、リンゴの皮をむくような手軽さ。 のたうつ少将から視線を離して、手近な書籍に目を走らせながら、はやては問う。 「解ってるくせに……カートリッジシステムの密輸事件。アレの黒幕はアンタや…… 本局や各世界での試作品や余剰在庫を闇ルートに乗せて利益を得ていた」 「……」 「次は左腕…「そうだ! 私がやった」…うんうん、素直が一番やと思います」 先程の痛みが脳内を支配し、前線から離れて久しい老兵は簡単に口を割る。 聞きたかった答えが返ってきて、はやてが浮かべるのは亀裂のような笑み。 「あ~でも、遅かったんと違いますか?」 押さえつけていた腕を離したトリエラがショットガン型のデバイスを構える。 その切っ先に銃剣をつけた銃口は近距離からグリフの頭に狙いを付けていた。 悪いほうから最悪のほうへとシフトした状況についていけず、彼は叫ぶ。 「よせ、八神! 後生だ!!」 「この不安定な時期に本局の人間が、大規模次元間犯罪に手を出していなんて、公表できるわけないやろ」 既にそこにいる存在になど興味も無い。そう言いたげに踵を返していたはやてが背中越しに答えた。 「やっやめろ!!」 「長いお勤めご苦労様、少将殿。あとはゆっくり休暇でも取って下さい」 背中越し、肩の上で「バイバイ」と振られたはやての手を合図にして、トリエラはデバイスの引き金を引く。 反射的にグリフが簡易障壁を展開するが無意味だ。ショットガン型デバイス アウグストゥスは違法な質量兵器との混合式。 カートリッジシステムにより魔力と弾丸を供給する。弾の種類は二つ。純魔力を小さな散弾状にして飛ばす非殺傷型。 もう一つはいま装填されているアンチバリア・バリアブレイク魔法でコーティングされた無数の質量散弾と言う殺傷型。 「っ■■■■……」 悲鳴など上げる暇は無い。一つ一つが充分な殺傷力を保ったままバリアを貫通し、グリフの体を蹂躙しつくす。 数瞬後、ボロボロに引き裂かれた元管理局少将は絶命した。 「ほな帰ろか? トリエラ」 「はい、はやてさん。あの約束の件ですけど……」 無数の死体と銃痕が彩る屋敷から外に出れば、二人の頬を撫でるのは血と硝煙の匂いがしない夜風。 チラリと様子を窺うように、先程の冷徹な機械のような印象を失って、歳相応の少女のような不安を浮かべた顔でトリエラは言う。 「なんや? 信頼されないみたいやな」 「そういう事じゃ……」 「忘れてへんよ、契約の事は。『トリエラが仕事を手伝う代わりに、私は体の整備と行方しれずのお兄さんを探させる』やろ? 残念な事にさっぱり見つからんけどな……」 「そうですか……」 トリエラはこの世界の人間ではない。ましてや唯の人間ではない。義体と呼ばれる後天的な戦闘機人のようなもの。 本来の世界で担当官と一緒に次元震に巻き込まれたトリエラを拾ったのが八神はやて。 汚い仕事をしてくれる腕っ節を探していた所だったはやてが出した条件が上記のモノ。 『何よりも優先せよ』と刷り込まれた担当官の安否確認と、定期的なメンテナンスが必要な体が半ば人質。 「なぁ、トリエラ。私のこと……憎いん?」 「はぁ? 別にそんな事は……」 「無理やり戦わせて、人殺しをさせて、痛い目にも会わせてるんやで?」 不意に悲しそうな目をした契約相手にトリエラは実に彼女らしい自信満々な苦笑で答えた。 なにせ『戦うこと』は何処にいても変わらない自分の運命だから、いちいち気にする必要など無いのに…… 「私が嫌いなのは身勝手な大人全般なのさ♪」 褐色の白雪姫は戦うお姫様。 目次へ
https://w.atwiki.jp/nicorap_lyric/pages/277.html
感動豊かさうたったドラマ ペラいラブソングで前向きな明日 金の卵に高カロリーな 夢つめこんだ貴重なガチョウ 大量生産つまんないフォアグラ ないんだもん仕事、しょーがねえじゃん んで、隠しごとして福祉ゲット いや得しちゃったよ、いえーい! 焼肉屋に行こう、カルビとアルコールで憩う イコール俺の価値 勝ち進む民衆王者、どうじゃ 優越感の亡者、like チャイナ 福祉と年金もらうのも当然 ボーデン、スライスチーズ、はいピース 嘘みたいなクソどもの いい気分の言い分 貴族代表マリー・アントワネットさんの言い分 「おマンコ見たことないなら アナルを見ればいいじゃない?」 ああ、だからモザイクがかかってないんだ! (コンナクニハモウホロボセ スクラップアンドスクラップ スベテヲブチコワスコトダ) 革命、革命、田中の革命 コンピュータつきブルドーザあるそうだ そうだ、全部踏み潰せ 革命、革命、田中の革命 コンピュータつきブルドーザあるそうだ ****うんこ投げまくり 鼻と口に詰めまくり、クソどもを壺にいれて ソッコー、上からくそ投げ込んで *****、レッツゴー 日本国民全員泥棒、しぼむ希望 誹謗中傷向かう企業、奇妙な自暴自棄 じきにそれも終わり、狭い国の中の ゼロサム争奪戦、なんだこの難破船? どげんかせんといけん、的な 物乞い?さえもどんとこい 感動豊かさうたったドラマ ペラいラブソングで前向きな明日 金の卵に高カロリーな 夢つめこんだ貴重なガチョウ 大量生産つまんないフォアグラ アダルト向けのマンコビデオ 分かると思うけど、AVを売り払い 世界から買いあさるカルビとアルコール ほらうまそうにフォアグラが食うよ 国内産業主に搾取、うそくせえ握手 放つ悪臭、にんにくとアルコール、 腐った内臓放つゲップ 鼻腔ストライク、うぇっぷ! そこに参上、根性すわった革命家 レボリューション・メーカー ひっくり返すんだすべてを 革命、革命、田中の革命 憂さ晴らしに人殺し 腐った社会をぶっ壊し 腹抱えて笑いたーい 革命、革命、田中の革命 憂さ晴らしに人殺し 腐った社会をぶっ壊し 腹抱えて笑いたーい 若いマンコビデオと引き換えに さかい、がんこ亭で、イイ笑顔のフォアグラ まるで人間のミンチ、人の道のピンチ もちろん漏らすウンチ セックスしようぜカンチ 鬼畜なシチュに半勃起 ハンモックの隙間からかわいいオレの突起 オレはそこに旗を掲げ、叫ぶんだ! 革命、革命、田中の革命 コンピュータつきブルドーザあるそうだ そうだ、全部踏み潰せ 革命、革命、田中の革命 コンピュータつきブルドーザあるそうだ もういいや! 田中って誰?・・・モニタの前のお前 俺とお前出会え、「前にならえ」 で整然と行進、放心するクソども尻目に 掲げるスローガンは、「うんこー」 「とにかくなにもかもがうんこー」 「おまえらが楽しんでるものは全部うんこー」 「おまえらが高い金で買ったもの、実はうんこー」 「うんこ」「うんこ」「うんこ」「うんこ」「うんこ」
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/627.html
「殺してやるよ、殺人狂ども」 性別 男 年齢 17歳 能力 【不死鳥刃】 赤く燃える翼を模した剣を操る。刀身はは複数の羽状の刃で構成される。 不死鳥の名を持つように折れても壊れても再生する。 刀身をはずしてブーメランやナイフに出来る。 また、体内に取り込んで翼にも出来る。 概要 【泡沫ノ唄】の転生した姿である が、あまりにも酷い死に様のせいで発狂。能力者達への強い復讐の念に囚われており、その面影は薄い …………だったけど、更正しました。よかったねー 人殺しまくりなのに【不殺同盟】の一員。世の中不思議なこともあるもんだね 戦歴 【超跳発指】殺害。こちらは気絶 【惑星指輪】と拳で語り合う。同士討ち、気絶 【高速弾丸】殺害。その際足を折る。その後【天彩黒蜴】に右肩を切断される 【月光官能】に更正させられた。主人公すごい
https://w.atwiki.jp/rowamousou/pages/491.html
【名前】駆け抜ける者 【性別】雌 【年齢】十歳 【職業】虎 【特徴】4m級。一般的な虎よりもやや大きい 【好き】聳え立つ者 【嫌い】黒井龍太 【特技】人間狩り 【趣味】不意打ち、奇襲 【詳細】山の神が環境破壊への警告として生み出された生物。龍太と同じ山育ち。 とはいえ、実際はただの巨大なだけの人殺し虎であって、神秘化物の類ではない。 前任にするつもりだったドラゴンが下手に知恵と感情があったことによりヘタレた反省によるものである。 超常の力を要する時は聳え立つ者がその都度サポートしてきた。 尚、あくまでも使命として人間を狩るのであって、食べるために殺すわけではない。
https://w.atwiki.jp/mangaroyale/pages/608.html
【バーロ】 交流雑談所から転載。 名探偵コナンの主人公から参戦。 『人殺しは絶対にいけない』という正義感から、いわゆる足手まといキャラになってしまう。 考察系キャラは服部にもってかれ、本人は覚悟に迷いを持たせたり新八の死の原因を作ったりともう散々。 というか書き手もわざと足手まといにさせている可能性すらある。 何故か毒吐き名前が出るたびにその話題で盛り上がる。 追記。 よく巷でコナン=バーローと言われているが、意外にコナンがバーローと言う機会は少ない。 というか、普通にバカヤロとかバーカとか本人が使ってる上、元々バーローと始めて使ったのは毛利小五郎の方である。 さらにはバーロ、バーロォ、バーーロと様々な類義語が存在している。 先入観って怖いですね。
https://w.atwiki.jp/jojost/pages/112.html
[[ディアボロ]]の動揺⑤ それは肌寒い夜だった。現在俺は妹にパシらされアイスを買いに行ってる。 俺が食べているのを見て欲しくなったらしい 俺もこんな寒い日になんでアイスなんか食べるんだよ。 寒いわりには11月だというのに紅葉も少ししか染められていない、これも地球温暖化が原因か? でも寒いってどういう事だ?俺はテレビに踊らされているのか? まぁ考えてもしょうがない ぞわり、と毛虫が背中を這うような悪寒を感じた。 何だ?何か嫌な感じがするぞ 「こんばんわ」 聞いた事がある声。キレイな声なんだが、俺はこの声が……気味が悪い 違うと心に念じながら振り向いた。 紺色の腰まである長い髪で、北校の制服を着た女が立っていた ――朝倉だ 「何でお前がここにっ!」 「あ、待って誤解よ! 私は確かに朝倉だけど貴方が知っている朝倉じゃないわ。 機関が姿形同じようなのを作ったの、つまり私は改良版ね」 朝倉は前見たのと同じような笑顔で笑った 「それより、ここのプロテクトを外したわ 長門さんと……ディアブロさんだっけ?が待ってるわよ」 「長門とディアボロが?」 ええ、と頷かれ俺は突き飛ばされた。 「私でもプロテクトを解除できたんだから、長門さんはきっと止めてもらいたかったのね」 地面に激突する前に朝倉は嘲笑うようにそう言い、俺はその空間に入り込んでしまった。 前見たことがある赤と青が混じった歪んだ空間に、ぐるんと視界が周り痛みが頭に走る。 「いてぇじゃねぇか!」 朝倉に文句を言おうと起き上がると、長門とディアボロが居た。 手にぬめりのある感触がする……違うよなまさかそんな事って、俺の手は赤く染まった 「うわぁあぁあああっつ!!」 情けない声をあげて後退りする。 でも、そうなったら誰でも叫ぶだろ?あんただってきっとそうさ、 荒くなった息を整えようと必死になり俺は長門を見た。 長門の手には異様な形をした刃物が握られている。 今まで見たことも聞いたこともないので名前が分からない、刃先には血がついていた。 「ごふっ」 ディアボロさんの口から血が溢れた。おいおい血を吐くなんてヤバいんじゃないのか? 「長門どうしてこんな事」 「……彼はイタリアのギャングのボス。 麻薬の売買、裏切り者には死を与えた。自分の正体を探るだけでさえ殺した。 あまりの非道に部下達もついていけず反旗を翻し、彼は破れた。その時にスタンド能力をくらった」 「生死を……繰り返す?」 「そう。私達も殺されるかもしれない、そうならないうちに彼を殺す」 殺すなんて聞きなれた言葉なのに今初めて聞いたみたいに凄みがある。 それだけ長門は本気なのだろう。 「彼は母親を生きながら地下に埋め、村を焼き自分の娘を殺そうとした。貴方だって殺される」 そんなディアボロさんが人殺しでしかもギャングのボス……嘘だろ?じゃあ犯罪者?! ハルヒだって人殺しは喜ばない、それに長門の言うとおり 俺達も殺されるかもしれない、ならここで殺した方が得策か? 「……」 長門は俺の心を読んだかのように、刃物を構えた。 「やめろ長門!」 叫ぶと長門は手を止めた。 くそっ、俺はなんて最低な奴だ人を殺して解決するのがいいわけない! 「ディアボロさんは、確かにお前の言った通りなら前科者だ! しかも、かなり重い、遺族だって死刑じゃないと納得しないだろう」 俺が説得していても長門は刃物を収めようとはしなかった。 つまり失敗したら殺すつもりなんだ!!説得して止めさねぇと! 「俺達だって殺されるか分からない! でも、こいつは孤独の最中で痛みのある死を繰り返したじゃないか! それは平凡な俺にはとてもじゃないが想像できない、こいつは十分に罪を償ったよ」 長門は真っ直ぐ俺を見ている。視線をそらさないように、ジッと。 ディアボロさんはまだ死んでいない。傷が修復していないし、まだ動いている。 けれど目には生気がない早くしないとヤバいぞ。 「それに、いくらディアボロさんが生き返るからといって長門に人殺しなんかしてもらいたくない!」 金属音が響き渡った。長門が刃物を落としたのだ。 刃物は朝倉が消えた時と同じように粒子となり跡形もなく消えた。 空間も壊れさっきまで俺が居た風景へと戻った。成功したのか? 俺は力が抜けてその場にへたりこんだ。 「おめでとう」 ふりむくと朝倉改良版が立っていた。腰がぬけ立てない俺を横切り、長門は嬉しそうに笑ったあと、申し訳なさそうにディアボロを見ると帰っていった。 「これは、私からのお祝いよ」 朝倉は笑いディアボロの傷にふれた。すると血は収まり傷は修復された……こいつもできるのか。 「結局長門さんは一回も殺さなかったわ。 ちなみに私達の組織とは関係ないの長門さんの独断ね。よっぽど貴方を守りたかったのね」 改良版朝倉は、くるりと周り髪をなびかせスカートがふわりと浮かぶ。 「それじゃあね」 朝倉は手をふり、そのまま長門と同じ方向に帰っていった。 ディアボロさんはいまだに虚ろな目をしている。俺は深いため息を吐いた。 to be continued...
https://w.atwiki.jp/aruniji/pages/66.html
18 戦況は完全に消耗戦状態に陥っていた。どちらの兵が先に尽きるか、その行方は誰にも判らない。結社と帝国の合同軍は防毒薬こそあるものの、薬とはそもそも服用者の体質で如何様にも効能や持続期間が変わるものである、必ずしもフィンレーテの毒の前に生き残れるとは限らず、時が経るにつれ雪の上にばたばたと転がる者が出て来た。それ以前に薬の効能は12時間、もうすぐ時間切れの時刻であった。また、そもそも雪原での戦闘に馴れていない帝国兵は雪に足を取られ、巧く身動きが出来ないでいた。その為、チャーチの白兵隊の前にいとも簡単に倒されてゆく。 一方のチャーチも苦境に陥っていた。どんなに雪の上での戦闘に馴れていようと、防毒マスクを剥がされてしまっては彼等の命は無いに等しい。防毒マスクが命綱であり、これを剥がされてしまえば一巻の終わり。 「老師!今すぐ大砲の発射を中止すべきです!このままでは我が方にのみ被害が・・・!」 チャーチ幹部の兵が進言しても、メタトロンとサンダルフォンは首を縦には振らなかった。 「いざとなったら儂等が出る。下っ端がいくらやられようが詮無き事」 その物言いと指揮の非情さに、チャーチの士気は徐々に削がれていった。 分厚いコートの下から、どぼどぼと温い血が溢れて止まらず、その鮮血はナイフを握るシベルのグローブをべっとりと濡らした。 「コロ!今のうちだ!・・・フィンを助けに行けえええええっ!!」 チャーチ兵ののど頸を鋭い牙でかっ切っていたコロがシベルの方を向き、そして遠くの・・・しかし遠目から見ても巨大な鉄の筒の先端に括り付けられたフィンレーテの方を見る。しべ、しべ、とフィンがシベルを呼ぶ声が小さく聞こえる。コロはシベルの命通り、立ちはだかるチャーチ兵の間を器用に縫う様に奔って凄まじいスピードで踏み固められた雪の大地を駆ける。 フィンちゃんが泣いてる。悲しんでる。怖がってる。 フィンちゃんを助けるのは、オレだ。 コロはそう言わんばかりに、唯々フィンレーテの方角を見上げて走った。途中途中でぱぁん、ぱぁんっ、と、銃声が響く。コロの骨が見える身体に幾つかの穴を開ける。しかしコロは怯まなかった。痛みなど感じないアンデッドの身体故か、それともそんな事に思いも及ばぬ程焦っているのか。 シベルはギリリと歯噛みして、男の影腹により深くナイフを押し込んだ。防毒マスクの下の口から絶叫がくぐもって聞こえる。 この男の実力ならば、避けようと思えば避けられた筈だ。何故避けなかったのか、避けられなかったのか、その疑問すらシベルの頭に浮かばない程激怒は深かった。 「・・・っ、これで・・・満足か」 男の脆弱な呟きが、シベルの頭を一気に冷やした。 「・・・」 「これで・・・君も立派な人殺しだ」 人殺し。その一言で身が竦んで、シベルは男の腹からナイフを抜き、蹌踉めく様に後退った。男の血で足許の雪は赤く染まり、その上に男は伏した。シベルの頭は完全に思考停止していた。人殺し。人殺し。 「何をやっている、シベル!さっさと狼に続いて敵陣を分断しろ!!」 息の荒くなってきたシベルの背後から、戦線を押し上げて前に来たベロニカの声が聞こえた。シベルが振り返った瞬間、その表情のなさにベロニカは一瞬息を呑んだ。 しかし、シベルが何をやったのか、何にショックを受けたのか、すぐにベロニカは察して・・・シベルの肩を叩き、喝を入れる様に叫んだ。 「殺らなければ殺られる!貴様は間違った事は何一つしていない!・・・貴様が真っ先に死ぬつもりで此処に居るなら邪魔なだけだ、後方に下がれ」 「・・・戦争、なんだよな」 「そうだ。これが戦争だ」 ベロニカは自分に言い聞かせる様に、再びシベルの肩から手を放し、剣を振りかぶって目の前のチャーチ兵を斬りにかかる。シベルは頭を振った。初めてひとを殺した。けれど、そんな感傷や何やらに浸っている暇はないのだ。立ち止まれば自分が倒れる。・・・そして何より、フィンを助けてやれない。 マーヴェラスは敏感に、チャーチの兵共の統率が取れていない事を感じ取っていた。その隙を縫う様に、結社の兵が敵兵を次々と薙ぎ倒し、段々と結社と帝国の合同軍をチャーチ中枢へと近づけてゆく。 不思議と憎さはなかった。相手はゾンビキメラ、という事実からかもしれない。これが只の人間相手なら、マーヴェラスはその非道さに激昂し、あの時、初めて双子の捕食行為を目にした瞬間、廊下から部屋に飛び込んでいただろう。だが相手はゾンビキメラである。浄化すべき存在である。マーヴェラスは嘗て教え子に事ある毎に、我々の目的は帝国やゾンビを打ち砕く事ではない、帝国の死霊術や自然の摂理に反したゾンビ達を在るべき姿に還す事だ、と解いていた。 マーヴェラスは哀れみさえ感じていた。しかしながら、胸の内に滾る憎しみからではない激怒・・・義憤とでも言えばいいのだろうか、そんなものを消そうとしても、あの食い殺された部下の顔が頭の中を過ぎってたまらなかった。 気付けば結社と帝国の合同軍の戦線は、大砲近くにまでせり上がっていた。 「ぎゃうっ!ぎゃうんっ!!」 襲いかかってくるチャーチ兵を薙ぎ倒しながら、コロは器用に蔦に爪を引っ掛け、大砲の発射口に括り付けられたフィンレーテの高さにまで鉄の壁を昇ってゆく。 その時。一閃。 コロの身体を、青白く光る剣が切り裂いた。 「調子に乗るでないわ、この犬ッコロがっ・・・!!」 防毒マスクの下の貌を激怒に歪め、サンダルフォンが前線に飛び出してきたのだ。コロもその一閃の勢いに耐えきれず、雪の上にぼふんと大きな身を墜落させた。 再びサンダルフォンが跳躍する。コロは言うことを聞かない身体に鞭打って、なんとか一撃を躱した。しかし思いもよらない、コロの背後から、全く同じ勢いの剣戟が襲いかかってきて、コロは背中をばっさりと斬られた。およそ人間業とは思えない軽々とした挙動で、メタトロンが助太刀に入ってきたのだ。 「トロン!お前さんは指揮に集中を!」 「がううううっ!!」 威嚇する様に吠え、コロは一瞬動きを止めたサンダルフォンに飛びかかり、その貌からマスクを剥ぎ取った! 「ふざけんな犬があああああ!!」 真っ白な肌に一筋、コロの牙か爪でつけられたひっかき傷を浮かべた顔を憤怒の表情に変え、黄石の瞳を殺意にぎらと光らせ、サンダルフォンは再び間合いを取ったコロに斬りかかった。 その瞬間。メタトロンははっとした。サンダルフォンの背後に居た彼・・・他でも無い彼等が放逐したマーヴェラスが、サンダルフォンを指さし、戦争に加わっている友軍敵軍全員に響き渡る様な大声で叫んだ。 「見よ、皆の衆!何故あの双子はマスクも防毒薬もないのにこの毒を目の前にして生きていられるのか! 他でも無い!彼奴等は人間ではない!キメラだ!我々の同胞を、故郷を滅茶滅茶にした化け物なのだ!!」 前ページ 戻る 次ページ
https://w.atwiki.jp/kutinasi666/pages/45.html
名前:神無月 香(かんなづき かおり) 性別:女 年齢:14 身長:153cm 武器:2丁拳銃またはナイフ(刃が黒くて持つところが白い) 服装:黒いベストに白い長袖シャツ(黒いリボンつき)で黒いショートパンツ。そして黒いタイツに黒いブーツ 黒いブーツ参考画像:http //blog-imgs-31.fc2.com/j/u/s/justicecream/g17.jpg 容姿:黒髪でミディアム。そして目は金肌は白い 渇望(罪):「自分のために強くなりたい」 1運動能力を強化する 2身体能力を強化する 備考:ナイフを扱うのが達人。独自の短剣術「ヴァルトコネクト」を使う。情報屋を営んでいる。その気さえあれば人殺しもかまわないが、最近は殺された人の死体の処理をしたりなど。