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特別編 勝った嬉しさからメールしてみました 小蒔「zzz...zzz...ん?なんですか?」ピリリリリ 小蒔「!?きょ、京太郎さんから!!え、えっと確かこうして……」 小蒔「できました!!へぇ、京太郎さんの初勝利!良かったですね!!」 小蒔「えっと……お・め・で・と・う・ご・ざ・い・ま・す、です!」 煌「ん?これはこれは京太郎くんからメール……」 煌「すばら!あの3人に勝つなんてすばらです京太郎くん!!」 姫子「花田ー?どがんしたとー?」 煌「姫子さん、このメール見てください!」 姫子「んー?京太郎からのメール……はぁ!?あの3人相手でトップ!?」 煌「そうです!!すばらですよね!!」 姫子(いやそれ以前にあの3人に勝つとか何があったのか気にならんと?普通じゃ勝てんメンツやろ) 煌「こうしてはいられません!!私ももっともっと練習です!!」 姫子「あ、あぁ、そうやね!私も付き合う!」 竜華「お、メール……おぉ!やるやん京太郎!!」 怜「どしたん?」膝枕中 竜華「いや、京太郎が初めてトップ取ったってメールが来たんよ。それも清澄の一年3人相手に」 怜「ほー、やるやん。京太郎もウチみたいになんか目覚めたんかな」 竜華「なんや、京太郎病弱キャラやないやん」 怜「普通は勝てん相手やしな。こう、一回死にかけて未来が見えるようになったり」 竜華「怜やあるまいし」 怜「何度か意識朦朧とした先に新しい境地に目覚めたり」 竜華「そんなしょっちゅう意識朦朧とせんやろー。あ、返事せんと」 怜「あ、ウチの分もー」 豊音「んー?あ、メールが来てるよー」 塞「豊音、勉強中だって」 白望「ダル……」 豊音「ちょっとだけだよー。あ、京太郎くんだー。えー!?ちょーすごいよー!!」 塞「もう、なんて書いてあったの?」 豊音「えっとねー、宮永さんと原村さんと、片岡さんと麻雀してトップだったんだってー!」 白望「……え?」 塞「……はい?京太郎って、そんなに上手かったっけ?」 豊音「でもー、勝ったのちょーすごいよー」 塞(いや、そんな普通の打ち方だったらまず原村和には勝てないって) 白望(京太郎なら……あのうるさいの相手じゃ東場で飛びそうだけど……) 塞・白望(どうやって勝ったんだろう……) 豊音「えへへー、おーめーでーとーうー、っと」 照「……京ちゃんからメール?」 照「……そっか、初めてトップだったんだ」 照「……おめでとう、京ちゃん」 照「でもあの3人相手か……成長したね、京ちゃん」 おまけ 洋榎「ん?なんやこんな遅くに……」 洋榎「ぬあっ!?」 洋榎「ぐぬぬぬぬ……性懲りもなくまたこんな写真を……」 洋榎「うっわ、うまそうなから揚げ……まだあるん!?」 洋榎「あああやめぇぇぇ……こんな時間に食うたらぁぁぁ……」 洋榎「あ?勝った?」 洋榎「へぇ、結構やるやん」 洋榎「ってまたぁ!?なんやから揚げ丼って!!ご飯はアカンやろご飯は!!」 洋榎「あああああああああ……食べたいぃぃぃぃ……」 雅枝「やかましい!!遅くに騒ぐなや!!後また夜に食う気か!?あんた食うても胸いかんやろ!!」
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『奈良県大会団体戦、ついに決勝です!』 やえ(やはり来たか、阿知賀) やえ(最後に立ちふさがるのはお前たちだと思っていたよ) やえ(先鋒の選手とは打ったことがないが、おそらく手ごわいのだろう) やえ(だがしかし! 勝つのはこの――) やえ「リーチ!」 やえ(晩成だ!) 玄「ツモ! タンヤオ三色ツモドラ9で数え役満です!」 やえ「」 穏乃「いやった! 全国進出!」 憧「なんか最後の試合だけ妙についてたわね」 灼「玄の数えとか」 玄「そんなに褒められると照れちゃうよぉ」 宥「灼ちゃんの地和もすごかったよ?」 灼「あれは……きっとハルちゃんのおかげ」 憧「ついに全国かぁ」 穏乃「和に会おう、絶対に!」 憧「当然」 玄「全国……まだ見ぬおもちに胸が膨らむのです!」 灼「でも、玄が楽しみなのはそれだけじゃないよね」 玄「?」キョトン 宥「あ、わかった。京太郎くんだ」 灼「竹井さん、今年も出場するって言ってたから」 宥「じゃあ京太郎くんもきっとついてくるよね」 玄「そ、そんな……会えたらいいなーってちょっとは思ったけど……」テレテレ 宥「うふふ、クロちゃんかわいい」 憧「あれ、でもその人って付き合ってる人がいたような……」 玄「ふぇ?」 宥「え?」 灼「……」 穏乃「どしたの、みんな?」 やえ「阿知賀の諸君!」バーン! やえ「団体戦での戦いぶり、見事だったとしか言い様がない」 やえ「君たちはにわかではないと認めざるを得ないだろう」 やえ「だがしかし! 個人戦ではこうはいかない」 やえ「覚えておくといい!」ビシッ 灼「……うちには個人戦出場者いないから」 やえ「……は?」 灼「だから、団体戦だけ」 やえ「……」ピシッ 玄「」 やえ「」 穏乃「二人して固まってるね」 宥「ど、どうしよう」アタフタ 灼「めんどくさ……」 憧「あれ、小走先輩だったような……」 穏乃「何の話?」 憧「だから、須賀って人と付き合ってるの」 玄「――っ」 やえ「――っ」 穏乃「あ、息ふきかえした」 玄「そんな……私のことおもちって言ってくれたのに色んなとこ見たり見られちゃったりしたのに……」 やえ「な、なにをにわかなことをっ! あんな意地悪で人をおちょくってくるような奴!」 憧「ふきゅっ、あ、あんなに必死に否定するってことはやっぱり……」 穏乃「? 違うって言ってるよ?」 宥「クロちゃんしっかりっ」ワタワタ 灼「はぁ……ハルちゃん早く戻ってこないかな」
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【5月第3週 休日】開始 京太郎「朝か…」 京太郎「どうしよう」 京太郎「そういえば、霞さんと約束してたな」 京太郎「行ってみよう」 【石戸宅】 京太郎「おはようございまーす」ガララ 郁乃「あれ~京太郎くんどうしたの~?」 京太郎「霞さんに料理を振る舞いにきました」 郁乃「え~じゃあ私も~」 京太郎「いいですよ」 霞「あら、どうしたの?」 京太郎「約束を果たしに来ました」 霞「約束……ああ、あれね」 霞「わかったわ、台所はこっちだからよろしくね」 京太郎「~♪」 郁乃「ええ匂いやな~なにつくっとるん~?」 京太郎「肉じゃがですよ!肉じゃが!」 霞「朝から…肉じゃが…?」 京太郎「おっ、できましたよ」 京太郎「それじゃあ、いただきます」 霞「いただきます」 郁乃「いただきま~す」 霞「ふむ」パクッ 京太郎「どうですか?」 霞「おいしい!」テーレッテレー 京太郎「そうですか、良かったです」 霞「でも、朝から肉じゃがっていうのはもうちょっと考えましょうね」 京太郎「これから何をしよう」 京太郎「郁乃さん、もう一回打ってください!」 郁乃「ええで~」 霞「あら、打つの?それじゃあ誰か呼ぼうかしら」 霞「華菜ちゃんと咏ちゃんを呼んできたわよ」 華菜「麻雀か…」 咏「よし、さっさと始めようぜぃ!」 京太郎「おう!」 開局 京太郎「今度こそは!」 華菜「久しぶりにやってやるし!」 郁乃「ほな、はじめてくで~」 京太郎「ツモ!300・500です!」 郁乃「あらら~流されてもうた~」 東2局 郁乃 24500 親 京太郎 26100 華菜 24700 咏 24700 京太郎「ツモ!1000オールです!」 華菜(まだ、これからだし) 東2局1本場 郁乃 23500 親 京太郎 29100 華菜 23700 咏 23700 京太郎「ロン!5800!」 咏(うーん、うまくいかねぇーなー) 郁乃「直撃か~」 郁乃「まあ、無駄やけどね~」 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 東2局1本場 郁乃 23500 親 京太郎 29100 華菜 23700 咏 23700 華菜と咏が同コンマのため、流局 東2局2本場 郁乃 24500 親 京太郎 30100 華菜 20700 咏 24700 京太郎「ロン!2100!」 咏「うぇぇ…マジかい」 東2局3本場 郁乃 24500 親 京太郎 32200 華菜 20700 咏 22600 京太郎「ロン!3900!」 郁乃(う~ん、まだかな~) 東2局4本場 郁乃 24500 親 京太郎 36100 華菜 20700 咏 18700 京太郎「ロン!5800の4本場は7000!」 郁乃(ストック切れるけど…ええか~) 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 東2局4本場 郁乃 24500 親 京太郎 36100 華菜 20700 咏 18700 郁乃「ツモ、8400・16400やで~」 京太郎「は……!?」 華菜「ちゅ、九連宝燈……?」 咏「やっぱり…厄介だねぃ…」 東3局 郁乃 57700 京太郎 19700 親 華菜 12300 咏 10300 京太郎「ロン、1000です…」 咏「はいよ…」 東4局 郁乃 57700 京太郎 20700 華菜 12300 親 咏 9300 京太郎「ロン、2000です」 華菜「にゃっ!?」 郁乃(もう少しやな~) 南1局 親 郁乃 57700 京太郎 22700 華菜 10300 咏 9300 華菜と咏が同コンマのため、流局 南1局1本場 親 郁乃 57700 京太郎 22700 華菜 10300 咏 9300 京太郎「ロン、1300です」 郁乃「は~い」 南2局 郁乃 56400 親 京太郎 24000 華菜 10300 咏 9300 京太郎「ツモ、1000オールです」 咏「いいようにやられてんな…」 華菜(まだ、あきらめないんだし!) 華菜「うにゃあああああ!」 京太郎「え」ビクッ 【雄叫び】発動! 南2局1本場 郁乃 55400 親 京太郎 27000 華菜 9300 咏 8300 京太郎「ロン、6100!」 咏「ほいよ」 華菜(結局ノーテンだったし…) 郁乃(なあ、華菜ちゃん…) 華菜(こいつ…直接脳内に…!) 郁乃(強く…なりたい?) 華菜(な…何を言ってるんだし) 郁乃(まあ、無理やりさせるんやけどね~) 南2局2本場 郁乃 55400 親 京太郎 33100 華菜 9300 咏 2200 京太郎「カン!」 京太郎「嶺上は…なしか」 華菜(あれ、これって…) 京太郎「もういっこ!」 咏「そんなにカンしてていいのかよ」 京太郎「知り合いに嶺上でばっか和了るやつがいるから俺もできるかなーって」 華菜(おかしいんだし!) 華菜「リーチだし!」 京太郎「え」 郁乃(ふふっ)トン 華菜「それだ!それロン!」 華菜「32600!」 咏「数え役満とか…マジですかい…まあ私もよくあるけど…」 南3局 郁乃 22800 京太郎 33100 親 華菜 41900 咏 2200 京太郎「ロン、1000…」 京太郎(咲の真似も、照の真似もするんじゃなかった…) 郁乃(もうなんもせんでええかな~) オーラス 郁乃 22800 京太郎 34100 華菜 41900 親 咏 1200 郁乃と華菜が同コンマのため、流局 オーラス1本場 郁乃 23800 京太郎 35100 華菜 38900 親 咏 2200 京太郎「ロン、1300」 京太郎(また…ダメだったか……) 郁乃「~♪」 京太郎(わけが、わからない…) 終局 1位 華菜 38900 2位 京太郎 36400 3位 郁乃 23800 4位 咏 900 華菜「それじゃあカナちゃんは帰るしー!」 咏「お疲れ~」フリフリ 京太郎「それじゃあ…昼食作ってきますね…」トボトボ 京太郎「できましたよ……」 霞「今度は何を作ったの?」 京太郎「昼食はかけそばです」 郁乃「おいしそうやな~」 京太郎「それじゃあ」 霞京郁「いただきます」 京太郎「もう夕方か…何をしよう」 京太郎「街に行ってきますね」 郁乃「いってらっしゃ~い」フリフリ 京太郎「カラオケに行こう」 イラッシャイマセー、ナンメイサマデショウカー? 京太郎「1人で」 エ? 京太郎「1人で」グスッ ア、ハイ 京太郎「歌いまくってやるよこん畜生ー!」 京太郎「いーつーかー人はひとーりになーってー」シクシク 歌が上手くなりました! 今度誰かとカラオケに来ると、その人の好感度が上がります 京太郎「ただいま帰りました…」 霞「あら、酷い声ね、どうしたの?」 京太郎「いえ、何でもないですよ……」ヘヘッ 京太郎「……夕食を作ろう…」 京太郎「できましたよ」 郁乃「お、今度はおでんか~」 霞「おいしそうね、それじゃあ」 霞京郁「「「いただきます」」」 霞「まずはもち巾着からいくわよ!」 郁乃「じゃあ私ももち巾着や~」 京太郎(もち巾着か…)ジーッ 霞「今日はありがとうね」 京太郎「いえ、約束ですから」 郁乃「そういえば、2人の約束ってなんなん~?」 京太郎「それは……」 霞「べ、別に意味なんて無いわよ!うん、無い無い!」 郁乃「なんや~つまらんな~」 京太郎「それじゃあ、おやすみなさい」 京太郎「夜は、何をしよう」 京太郎「散歩してくるか」 京太郎「もうすぐ梅雨か…この星空もあまり見れなくなるんだな……」 怜「それは、寂しいな…」 京太郎「あれ、怜さんじゃないですか」 怜「ちっ、気付かれたか……」 京太郎「今日はもう乗りませんよ」 京太郎「もう少し、この空を見ていたいですから……」 怜「せやな、それも、ええな……」 【5月第3週 休日】終 【5月第4週平日】 京太郎「朝か……」 ザーッ 京太郎「雨、降ってるのか」 京太郎「傘を持って…」 バタム バタム 照「…あ」 京太郎「よっ」 照「雨」 照「雨、降ってるのか……傘無いんだよなーどうしよっかなー」チラッチラッ 京太郎「うっ…はあ、わかったよ。ほら、入れ」 照「やった!ありがとうね、京」 京太郎「どうってこと……ねえよ」プイッ アラアラ、アメナノニオアツイコトー モウスグナツデスカラネー オホホホ 照「…」カァァ 京太郎「…」カァァ 照「ねぇ、京」 京太郎「なんだ?」 照「この梅雨があけて、夏になったら…さ」 京太郎「ああ」 照「海に行きたいな」 京太郎「海か…いいかもな、じゃあ行ってみるか」 京太郎「みんなで」 照「う…うん」 照(2人で、行ってみたかったんだけどな……) 京太郎「依然、雨降り続く、か」 京太郎「昼はどうしよう」 京太郎「雨だけど屋上に来てみたぞ」 京太郎「これもまた、乙だな」ムシャムシャ 華菜「お、須賀じゃないか」 京太郎「池田さんですか、あなたも物好きですね」 華菜「ここは好きだからな」 京太郎「そういえば、麻雀部の件考えてくれましたか?」 華菜「それか…」 部員AB「嫌です!」バタム! 華菜「お、お前たちどうしてここに」 部員A「部長がいつもここにいることは知ってるんですよ!」 部員B「それとそこのお前!我が部長を引き抜こうとはどういう領分だ!」 部員A「池田部長は!私たちの大事な部長なんだ!お前には渡さない!」 京太郎「なんだよいきなり……そういえば、あんたら何でも支援部なんだよな?」 部員A「それがどうした」 京太郎「じゃあ今から依頼をさせてもらうぜ」 部員B「何?」 京太郎「須賀京太郎が依頼する、池田華菜を俺に渡せ!」 部員A「うっ、そう来るか…」 部員B「へっ、それじゃあこうしようじゃねえか!」 部員B「お前が私たち何でも支援部と勝負して勝てたら部長を渡す!」 部員B「これでいいだろ?」 京太郎(うーん、どうしよう) 京太郎(この人達から池田さんを奪って…) 京太郎(そして、この人達を悲しませるのは…) 京太郎「ダルいんでもういいです、はい」 華菜「ダル……!?」 部員B「ふん、所詮お前の部長に対する愛はその程度だったんだな!」 部員A「それじゃあさらばだ金髪!行きますよ、部長」 華菜「その、ごめんな…」 京太郎「別に、いいですよ」 京太郎「まーだ雨降ってんのか…」 京太郎「放課後はどうしようかな」 京太郎「街に行くか」 京太郎「バッティングセンターに来たぞおおおお!」 京太郎「おや、あれは」 【80km】 泉「えいっ!」スカッ 泉「あれ?」 泉「えいっ!」スカッ 泉「はあ…全然当たらん…」 京太郎「よっ、二条!」 泉「うわぁ!って須賀君ですか」 京太郎「何やってんだ?」 泉「実は…」 ―――――――――――― 千里山A「ね!お願い!」 泉「ソフトボール部の助っ人ですか…」 千里山A「3人事故で入院しちゃってさ…補欠もいないからこうして助っ人を探してるんやけど」 泉「運動なら江口先輩とかの方がいいんじゃ…」 千里山A「部長と江口先輩は了承してくれたんやけど、あと1人がどうしても見つかんないねん」 千里山A「だからこの通り、な!」 泉「はぁ、わかりました今回だけですよ」 泉(ソフトボールはあんまり得意やないんやけどな…) ―――――――――――― 泉「という訳でして…」 京太郎「ふんふむ、じゃあ俺が教えてやろう!」 泉「ほんまですか!」キラキラ 京太郎「おう!」 京太郎「じゃあまずはスタンドに立って構えてくれ」 泉「はい、こうですか?」 京太郎「そうだ…うーん、もう少し腰を下げて、肘も…このくらいかな」カカエ 泉「なななな…!///」 泉(これじゃあ須賀君に抱きかかえられてるみたいやないですか)カァァ 京太郎「ん、どうした?」 泉「い、いえなんでも!」 京太郎「そうか、なら続けるぞ」 泉(うぅぅぅ……)ポシュー 京太郎「まあ、こんなものか」 京太郎「じゃあ二条、打ってみろ」 泉「はい!」 カキーン 泉「やった!やりましたよ!須賀君!」ピョンピョン 京太郎「じゃあ次は少し速い球を打ってみるか!」 泉「はい!」 泉「とりあえず120kmは打てるようになりました」 京太郎「そういえば、その試合っていつやるんだ?」 泉「来週末ですね、三箇牧とやるらしいですよ」 京太郎「そっか、じゃあ見に行けたら行くよ」 泉「今日はありがとうな、須賀君!」ニコッ 京太郎「なに、どうってことねえよ!」 京太郎「次は何をしようかな」 京太郎「よし、まだやるぞ!」 泉「いいんですか?」 京太郎「おう!」 2時間後 京太郎「ふぅ…」ゼェゼェ 泉「はぁ…」ハァハァ 京太郎「出し切った感が、凄い」ハァハァ 泉「私もです…」ゼェゼェ 泉「腰と、腕が、痛いです…」ハァハァ 京太郎「俺も…」ゼェゼェ 【5月第4週 平日】終 【5月第4週 休日】 京太郎「朝だ!」 京太郎「少し腰が痛いな…」 京太郎「今朝はナニをするかな」 京太郎「麻雀をしよう!」 京太郎「もう1度、郁乃さんと打とう!」 京太郎「たのもー!」 霞「あら、どうしたの?」 京太郎「郁乃さんと打ちに来ました!」 郁乃「お~また来たんか~」 霞「じゃあ残りの面子呼んでくるわね」 霞「じゃあまた華菜ちゃんを呼んでくるわね」 京太郎「俺も1人呼んできます」 郁乃「それじゃあ私は留守番しとくわ~」 京太郎「とは言ったものの、誰を誘おうか……」 京太郎「うーん、二条なら頼りになってくれそうだな、よし」ピッピッ prrr prrr prrr 京太郎「中々出ないな」 prrr prr ガチャ 泉『ひゃ、ひゃい!二条泉でひゅが!』 京太郎「お、出た」 泉『須賀君ですよね?』 京太郎「そうだけど「やった!」」 泉『ようやく!ようやく私の携帯に電話が………げふん』 泉『それで、何の用ですか?』 京太郎「ああ、少し二条に頼みがあってさ」 泉『頼み……ですか』 京太郎「それなんだけど……二条、俺と付き合ってくれないか?」 京太郎「…」 泉『……』 泉『はえっ?』 泉『い、今、なんて?』 京太郎「だから、俺と付き合ってくれないか?って」 泉『』ボンッ 泉『つつつ、付き合うってまさか、私が、須賀君と…ですか?///」 京太郎「そうなんだよ、少し俺と麻雀に付き合ってくれないか?」 泉『で、でも私たちまだ出会って間もないですし……って』 泉『ま、麻雀?』 京太郎「OKか、じゃあ今から地図書いて送るから来てくれ」 泉『ちょっ、須賀君!?』 ガチャ ツーツー 開局―東南戦― 郁乃「ほなよろしく~」 華菜「今日も勝つんだし!」 泉「須賀君のアホ須賀君のアホ須賀君のアホ須賀君のアホ須賀君のアホ」 京太郎「ごめん!本当にごめん!」 泉「もう知らないです」プイッ 京太郎「ロン、1500だ」 泉「はい」 泉(やっぱりさっきのが気になる…いや!集中せな!) 東1局1本場 親 京太郎 26500 華菜 25000 泉 23500 郁乃 25000 京太郎「ロン、3300だ」 泉「はいぃ…」 泉(ダメや…全然集中できへん…) 東1局2本場 親 京太郎 29800 華菜 25000 泉 20200 郁乃 25000 京太郎「ロン、6400」 泉「うぅぅ…」 泉(なんでやろ……) 東1局3本場 親 京太郎 36200 華菜 25000 泉 13800 郁乃 25000 泉(集中や、集中集中) 華菜「リーチだし!」 泉(集中)トン 泉(あれ、いまのって…) 郁乃「~♪」 泉(大丈夫でしたか…) 華菜「ツモ!4300・8300だし!」 東2局 京太郎 27900 親 華菜 41900 泉 9500 郁乃 20700 京太郎「ロン!7800の3本場は8600!」 泉「はい」 泉(もうだめや…) 東1局4本場 親 京太郎 44800 華菜 25000 泉 5200 郁乃 25000 泉(集中です…) 京太郎「よし!」 郁乃(これで…)トン 京太郎「それです!ロ…」 郁乃「またまた残念~」 京太郎(また、この感覚…) 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 東1局4本場 親 京太郎 44800 華菜 25000 泉 5200 郁乃 25000 京太郎「はっ!」 泉「どうかしたんですか?」 京太郎「いや…なんでも、ない」 華菜「なら早く打つんだし!」 京太郎「はい」トン 郁乃「お~そろったわ~」 郁乃「はい、ツモや~地和で8400・16400やな~」 華菜「地…和…」 京太郎「うげっ」 泉「」カタカタ 郁乃「トビ、やな」ニッコリ 終局 1位 郁乃 58200 2位 京太郎 28400 3位 華菜 16600 4位 泉 -3200 京太郎「まーたダメかー」 泉「すみません、私のせいで」 京太郎「いや、二条は悪くないよ…」 京太郎「だから、落ち込まないでくれ」 泉「はい…」 京太郎「昼は…何をしよう」 京太郎「いや!諦めないぞ!」 京太郎「もう1回だ!」 京太郎「郁乃さ~~~ん!」 京太郎「お願いします!もう1回お願いします」ドゲザー 郁乃「もちろんええよ~」 京太郎「じゃあ面子揃えてきます!」シュタ ガララ 霞「そろそろ意地悪はやめてあげたら?」 霞「入りたいんでしょ?麻雀部?」 郁乃「まあそうやねんけど~面白いからやめられんのよな~」 霞「はぁ……あなたは全く」 ガララ 京太郎「揃いましたよ!さあ、始めましょう!」 郁乃「お~」 開局―東南戦― 照「よろしく」 華菜「よろしくだし!郁乃も須賀も!今度は勝つんだし!」 京太郎「よろしくお願いします」 郁乃「今度は照ちゃんか~よろしくな~」 京太郎「よし!ツモ!300・500!」 郁乃(照ちゃん相手やとエグそうやから~) 郁乃(使わせてもらうわ~)カッ 【身代わりの幻影】発動! 京太郎「ぐっ」 照「…」 照(ふむ…) 聴牌判定までもどります 郁乃「はいロン~1500や」 京太郎「はい」 照「……」ズズズッ 郁乃「…へ~」 東1局1本場 親 郁乃 26500 照 25000 京太郎 23500 華菜 25000 京太郎「今度こそ!ロン!1000!」 郁乃(序盤で全部使うとはな~) 郁乃「まだやで~」カッ 照「……」 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 照「ツモ、400・600」 郁乃「あちゃ~やられた~」 京太郎(さっきまでの殺気が無くなった…) 東2局 郁乃 25900 親 照 26400 京太郎 23100 華菜 24600 京太郎「ロン!1000!」 華菜「ほいよ」 東3局 郁乃 25900 照 26400 親 京太郎 24100 華菜 23600 照「ロン、1000」 郁乃「は~い」 華菜「安手ばっかだし…」 京太郎「でも、なんだか楽しいですよ」 郁乃「うん~私もや~」 華菜「えぇ~そうかー?」 オーラス 郁乃 24900 照 27400 京太郎 24100 親 華菜 23600 照「リーチ」 華菜「まだまだだし!」 照「ツモ、500・1000」 華菜「うにゃあああ」 終局 1位 照 29400 2位 郁乃 24400 3位 京太郎 23600 4位 華菜 22600 京太郎「これで終わり…ですか」 京太郎(結局、勝てなかったな…) 郁乃「なあ、京太郎くん」 京太郎「はい?」 郁乃「私、麻雀部に入るわ」 京太郎「いいんですか?」 郁乃「まあ今までのはほんのお遊びやったしな~」 郁乃「やっぱりね~小さくなったり、大きくなったり、何歳になっても、やっぱり麻雀は楽しいんよね~」 郁乃「だから、私は楽しみたいんや、この年齢の麻雀を」 郁乃「私、赤阪郁乃は麻雀部に入るで~」 郁乃「これからよろしくな~霞ちゃん、照ちゃん、そんで京太郎くん~」 京太郎「はい!よろしくお願いします!」 京太郎「よっし!郁乃さんが入ってくれたぞ!」 京太郎「夕方か…何をしよう」 京太郎「街に来てみたけど、どこに行こうかな」 怜「お、京くんやん」 京太郎「ああ、怜さんですか、何してるんです?」 怜「これからユニクロ行くんや、京くんも一緒に行くか?」 京太郎「はい、それではご一緒いたしましょう」 【ゆにくろ】 京太郎「今日は何を買いに?」 怜「ちょっと下着をな」 京太郎「ブフォッ」 京太郎「ちょっ、怜さん!?」 怜「冗談や、今日は寝間着を買いに来たんや、もうすぐ夏やし」 怜「ってことでいいもの選んでくれな」 京太郎「俺がですか?」 怜「だってうち、病弱やし」 京太郎「はあ…わかりましたよ」 怜「ほな、ありがとなー」 京太郎「はい、さよならー」 京太郎「ふぅ…」 京太郎「やっと終わったか…」 京太郎「夜は何をしよう」 京太郎「メールをするか」 京太郎「高校生になって初のメールだ!」 京太郎「誰に送ろうかな」 京太郎「船久保さんに送るか」 京太郎「『俺の初めては船久保さんに捧げます!』っと」 ブーブー 京太郎「お、早いな」 浩子『メール来たと思えば、いきなり何いっとるんや』 京太郎「『これが俺の高校生活初のメールだったんで』っと」 ブーブー 浩子『なんや、そういうことかびっくりしたわ』 京太郎「『紛らわしくってすみません』っと」 ブーブー 浩子『ほんま、気ぃつけや誤解する人もおるからな』 京太郎「『誤解…ですか、どんな?』っと」 ブーブー 浩子『ウチに言わせるなや、アホ』 京太郎「『えー気になりますよー ぶーぶー』」 浩子『うるさいわ、それじゃあウチ寝るからな、おやすみ』 京太郎「『おやすみなさい』っと」 京太郎「誤解か、どういう誤解なんだ?」 京太郎「まあいいや、次は誰に送ろうかな」 京太郎「二条に送るか」 京太郎『なあ、二条、どうすれば友達ってできるのかな』 ブーブー 泉『そらは』 京太郎「あれ?」 泉『すみません、打ち間違えました』 泉『友達…ですか、よくわかりませんね』 泉『私自身あまり友達がいませんし……』 泉『そもそも、友達ってなんなんでしょうね』 京太郎「うおっ、なんだこの壮大なテーマは」 京太郎『俺と二条みたいな関係でいいんじゃないか?』 泉『私と、須賀君のような関係ですか…』 京太郎『そう、例えばこんな感じにメールしたり』 京太郎『この前みたいに一緒にバッティングセンターで特訓したり』 京太郎『今朝みたいに一緒に麻雀打ったり』 京太郎『そんな関係が友達なんじゃないのかな』 泉『それなら……』 泉『私からのアドバイスは、「自分の殻にこもらずに、相手に直球に接していけ!」、ですかね』 泉『私が、そうしたように』 京太郎『ふんふむ、一応わかったぞ!ありがとうな!』 泉『こちらこそ、ありがとうございます』 泉『こんな私を友達と思ってくれて』 泉『それじゃあ、おやすみなさい』 京太郎『おやすみ』 【5月第4週 休日】終 【6月第1週 平日】 京太郎「とうとう6月かー」 京太郎「そういえば6月ってなんかあったような気が…」 京太郎「やっべ、2週間後に期末試験があんじゃねえか!」 京太郎「全然勉強してないぞ!どうしよう!」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「今日もぼっち登校だったか…」 担任「さて!いよいよテスト2週間前に入ったわけで、明日から部活動制限が始まる!」 担任「もちろん赤点を取ればそのさらに1週間後に追試がある!」 担任「追試までの間は部活動に参加できなくなるから、お前ら気ぃ抜くんじゃねェぞ!」 京太郎「試験か…」 京太郎「昼はどこで食べようかな」 京太郎「屋上に来たぞ!」 京太郎「最近はずっとここに来てる気がする」 京太郎「それじゃあいただきまーす」 郁乃「あれ~京太郎くんや~ん、ここで食べとるん~?」 京太郎「郁乃さん、ええ、そうですけど」 郁乃「じゃあ一緒に食べへん~?」 京太郎「はい、いいですよ!」 郁乃「ありがとな~京太郎くん~」 郁乃「それじゃ~いただきま~す」 京太郎(郁乃さんと昼飯を食べることになったが、何を話そう) 郁乃「うん~霞ちゃんの料理おいしいわ~」 京太郎「へーその弁当霞さんが作ったんですか」 郁乃「せやで~一口いる~?」 京太郎「はい、是非」 郁乃「ほな京太郎くん、あ~ん」 京太郎「あー、って、なんでそれをしようとするんですか!?」 郁乃「え~1回くらいやってみたかったんやからやらせてくれ~や」ブーブー 京太郎「はあ、しょうがないですね」アーン 京太郎「うん、確かにおいしいですね」 郁乃「せやろ~さすがやろ~」 京太郎「郁乃さんが誇ることじゃないと思うのですが」 京太郎「そういえば、郁乃さんはどうしてそんなに麻雀が強くなったんですか?」 郁乃「どうしてか~わからんな~」 京太郎「そうですか……」 京太郎「俺も、もっと強くなりたいなぁ、あと強い雀士知りませんか?」 郁乃「強い子か~何十人かいるけど~」 京太郎「何十人!?」 郁乃「京太郎くんを強くできる子は~南浦ちゃんかな~」 京太郎「南浦ってあの、南浦プロですか?」 郁乃「そ~そ~あとは良子ちゃんとかも良さそうやな~」 京太郎「良子さん…ですか」 郁乃「お~気になる~?じゃあ試験が終わったら2人とも呼んであげるわ~」 京太郎「え、本当ですか!?」 郁乃「郁乃お姉さんからのプレゼントやで~」 京太郎「ありがとうございます!」 試験で赤点を取らなければ、南浦プロと戒能ちゃんが麻雀部、雀荘に来るようになります 京太郎「よし!俄然やる気がわいてきたぞ!」 京太郎「放課後は何をしよう」 京太郎「公園に行くか」 京太郎「公園に来たぞーっと」 京太郎「はあ、これから試験期間か……どうしよう」 竜華「やっほー須賀君、なにしとるん?」 京太郎「いやー実はですね」カクカクシカジカ 竜華「ふーん、なるほど試験かー、千里山は2期制やからもう少し先なんよなー」 京太郎「やっぱり勉強を見てもらう、とかは出来ないですよね」 竜華「うーん、ええよ、別に」 京太郎「いいんですか!?」 竜華「須賀君にはお世話になっとるしな、この前も怜の買い物に付き合ってくれたんやろ?」 京太郎「はい、怜さんに無理やり流されただけなんですけどね」 竜華「じゃあこれはお礼ってことで、どや?」 京太郎「そういうことなら!」 京太郎「是非、お願いします!」 竜華「よし、ええ返事や!ほなさっさと行くでー」 京太郎「図書館で勉強しましょうか」 竜華「せやな、あそこが1番集中できるしな」 竜華「そうすると、このモルがこうなってな」 京太郎「ふむふむ」 竜華「これで、こうなって、こうなるんや!」 京太郎「おお!なるほど!」 竜華「どや!頼りになるやろー?」 京太郎「はい!ありがとうございました!」 京太郎「次は何をしようかな」 竜華「ウチはもう帰るけど、須賀君はどうするん?」 京太郎「俺はもう少し勉強していこうと思っています」 竜華「そうかー頑張ってな!応援してるで」 京太郎「ありがとうございました」 京太郎「よし!次は社会を勉強するぞ!」 京太郎「うおおおおおおお!」 郁乃「お~ちゃんと勉強しとるやん~偉い偉い」ヒョコ 京太郎「あれ、郁乃さんじゃないですか」 郁乃「せやで~郁乃お姉さんやで~」 郁乃「社会ならお姉さんが教えてあげよか~?」 京太郎「えー、大丈夫なんですかー?」 郁乃「あ~今私のことバカにしたやろ~!これでも元高校教師だったんやで~!」ブーブー 京太郎「わかってますよ、始めましょうか」 郁乃「まずはこれ観よな~」ドサッ 京太郎「このDVDは?」 郁乃「これはちょうど京太郎くんの範囲にある人種差別問題の教材用DVDなんやで~」 郁乃「結構エグいもんばっかやけど~頑張ってな~」 2時間後 京太郎「差別はダメだ差別はダメだ差別はダメだ差別はダメだ差別はダメだ」 郁乃「やっぱり刺激的すぎたかな~」 【6月第1週平日】終 【6月第1週 休日】 京太郎「朝だー!」 京太郎「何をしようかな」 京太郎「勉強をしよう!」 京太郎「数学をやろう!」 京太郎「そうと決まれば、数学だけが得意な照のところに行こう!」 照「悪かったね、数学だけ得意で」プイー 京太郎「なんで照がここに!?」 照「京が勉強で困ってるかもって思ってきたらこのざまですよ」 京太郎「いや、そんなつもりは…」 照「で、数学だけが得意な私に教えてほしいの?」 京太郎「是非お願いします!」 照「じゃあ勉強中は私を京の膝の上に座らせること、いい?」 京太郎「いいよ、そのくらい」 照「それじゃあ」ポン 京太郎「…」 照「…」 照「なんだか、恥ずかしいね」 京太郎「さっさと始めようぜ」 京太郎「昼はなにをしようかな」 京太郎「そういえば二条の試合が昼からか、どうしよう」 京太郎「二条の試合を見に行こう」 京太郎「勉強は……なんとかなる…はず」 京太郎「三箇牧のグラウンドでやってるらしいな」 【三箇牧高校】 京太郎「練習試合って聞いてたけど、案外人集まってるんだな」 怜「そりゃあそうや、何てったってこれは三千戦なんやからな」 京太郎「怜さんいたんですか!」 怜「なんや、酷いなあ。病弱少女が1人でここにいるっちゅうんに」 京太郎「どうせ竜華さんもいるんでしょう。それで、三千戦って?」 怜「三箇牧と千里山は仲が良くってな、度々こんな風に試合するんよ」 怜「お、そろそろ始まるで」 実況「さあ始まりました!毎年恒例の三千戦!」 実況「まずは三箇牧ナインのご紹介!」 実況「先発ピッチャー荒川憩!」 京太郎「憩さん!?」 怜「それだけやないで」 怜「1番は宮永さん、4番は三尋木ちゃん、6番はエイちゃん」 京太郎「なんでそんなに麻雀部員が!?」 郁乃「なんでも、ソフトボール部員が4人と監督まで事故に遭って出られなくなったんやて~」 京太郎「郁乃さんは観戦ですか」 郁乃「お、今度は千里山の紹介やで~」 実況「麻雀部のエースにして、学校一の体育会系!江口セーラ!」 実況「お次は、麻雀部主将!清水谷竜華!」 実況「そしてこれまた麻雀部からの刺客!二条泉!」 実況「間も無く試合開始です!」 京太郎「誰かと話して来ようかな」 京太郎「解説の怜プロはこの試合をどう見ますか?」 怜「そうですね、『迫り来る怒涛の火力』の三尋木選手と江口選手の打ち合いになりそうですね」 怜「私個人としましては三箇牧のエース荒川選手に注目しています」 京太郎「そうですか、試合が実に楽しみです」 怜「なあ、私も乗っといてあれやけど…」 京太郎「はい?」 怜「なんやこれ」 京太郎「でっすよねー」 【1回裏 三箇牧の攻撃】2アウト 1塁 咏「さぁて、私の出番だねぃ」 竜華「さっさと終わらせるでー!」 京太郎「頑張れー!清水谷さーん!」 竜華「おー須賀君おるんかー」 竜華「やる気出てきたわ!」 竜華「よっし!」ビュン 咏「そんな球!ホームラン一直線だぜぃ!」カキン 咏「あ」 セーラ「キャッチャーフライガキタデー」ポスッ アウトー 【4回表 千里山の攻撃】 千里山 0-0 三箇牧 1アウト 1塁・2塁 泉(これがチャンス!) 泉(須賀君も見に来てくれてる!) 泉(打っていきます!) 憩(最近出番ない気がする…) ストラーイク! 憩「これで、2ストライク」 憩「次で、終わりや!」 泉(2連続空振り…) 泉(やっぱり私じゃヒーローにはなれないんですか…) 京太郎「諦めるな!」 京太郎「諦めるなよ、二条!」 京太郎「頑張れ!俺が教えたことを思い出せ!」 泉(須賀君……)グッ 泉(私は!) 憩「これで、アウトや!」 泉「もう負けません!」ブンッ カキーン 実況「おおっと、打球がスタンドに伸びていくー!」 実況「そして、3ランホームラン!」 泉(やりましたよ、須賀君) 憩「そ、そんな…嘘やろ…」 【7回裏 三箇牧の攻撃】 千里山 3-1 三箇牧 2アウト 3塁 実況「さて、三千戦もいよいよ佳境!」 実況「三箇牧が1点を返した後のこの打席に立つのは!」 実況「エイスリン・ウィッシュアート選手だ!」 エイスリン「ヨロシク、デス」 竜華(アカンなあ、このままだと逆転されるわ) 竜華(でも、このくらいの方が面白いわ!) 京太郎「エイスリンさん頑張れー!」 エイスリン「スガクン、ワタシ、ガンバル!ウン!」 竜華(今度は応援してくれないんやな、こうなったら) 竜華「とっておき!ドラゴンナックルや!」 ジュゥゥゥゥゥン エイスリン「エイ!」 ストラーイク! エイスリン「アレ?」 竜華「さすがにドラゴンナックルは打てへんようやな!」 竜華「まだまだ行くでー!」 ストラーイク ストラーイク バッターアウト 【9回表 千里山の攻撃】 千里山 4-2 三箇牧 0アウト 1・2・3塁 実況「とうとう9回、3人のランナーを残して荒川選手が降板しました」 実況「そして次の打者は」 実況「先ほど3ランホームランを放った二条泉選手だ!」 実況「そして迎え撃つは宮永照選手!投球練習では普通のピッチャーに思えましたがその力量やいかに!」 泉(私はもう、大丈夫です!) 照(肩慣らしはあれで十分、やってやろう)ギュル 泉(ここで私が打てば、チームは逃げ切れる、勝てる!) 泉(気張っていきますよ!) 照(そういえばあの子、京と仲良かったな……よし) 照「まずは、1ストライク!」ギュルルル バシーン! ストラーイク! 泉(なんですか、今の球!ジャイロボールどころじゃないじゃないですか!) 照「まだまだ、だ!」ギュルルルル バシューーーーン ズバァーーーン ストラーイク 実況「宮永のジャイロボールが刺さる!ただいまの球速は!200km/hでした!」 実況「何という豪速球!これで千里山の猛攻も止まるか!?」 照「次で、キメる!」ビギィィィィィン 泉「ひっ!」ゾクゾク 泉(アカン…このままじゃ、また前に逆戻りやないですか) 泉(もう嫌だって思ったのに…) 京太郎「二条!お前ならできる!200km/hがなんだ!」 京太郎「お前はたった1日で150km/hまで打てるようになったんだ!このくらい打てなくてどうする!」 京太郎「俺の友達なら!頑張れ!」 照(そう言われると、やる気が無くなるじゃないか) 泉(そう、ですよね、友達、ですからね!) 泉「宮永さん!私はあなたに勝ちます!」 照「どっちにしろ、これでキマるさ」 照「いけっ!」ギュルルルルルル カキーン 照「なっ!?」 実況「おーっと、二条選手打ったー!が、ファールです」 泉(確かに、もう見えてきましたよ) 照(この子、私の球を打てたのか……) 照(ふむ、面白い) 照「いいだろう!この宮永照全身全霊をもって!お前を抑える!」 照「喰らえ!」ギュルルルルルルル 泉「うおおおお!」 カキーン 実況「二条の打球はまたもやスタンドへ飛んでいくゥ!」 実況「そして!満塁ホームランだああああ!」 オオオオオオオオオ!!!!! 泉「やっぱり……できましたよ、須賀君」グスッ 【9回裏 三箇牧の攻撃】 千里山 8-5 三箇牧 2アウト 満塁 実況「裏に入り、三箇牧の逆転劇が開始しました」 実況「現在、千里山のマウンドに立つのは江口選手」 実況「そして、バッターボックスに立つのは現在無安打の三尋木選手!」 実況「逆転サヨナラ満塁ホームランなるか!」 実況「それとも今年の三千戦、最後の打席となるか!?」 セーラ「よーし!ちゃっちゃと終わらせるでー!」ビュン! 咏「くっ」スカッ ストラーイク! 咏「うええ…調子わっりぃーな…」 京太郎(咏、調子悪そうだな、応援するか!) 京太郎「咏ー!燃えろー!焼き尽くせー!」 セーラ「あんの金髪、どっちの味方やねん」 咏(今頃応援し始めるって、結構意地悪だねぃ) 咏(でも、応援されたら、頑張りたくなるよねぃ、知らんけど) セーラ「ほな、いくでー!」ビュン! 咏「てりゃっ!」 カキーン 実況「三尋木の打球はきれいなアーチを描いていく!そして!スタンドイィィィィン!」 実況「決まったあああああ!逆転サヨナラ満塁ホームランだああああ!」 ゲームセット! 千里山 8-9 三箇牧 京太郎「ゲームセットか、白熱したいい試合だったな」
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龍門渕さんの人達とも交流しよう! 純 龍門渕さんの人達とも交流しよう! 智紀 龍門渕さんの人達とも交流しよう! 一 龍門渕さんの人達とも交流しよう! 衣 龍門渕さんの人達とも交流しよう! 透華 阿知賀1 憩とデート 清澄1 千里山1 怜外伝 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら 咲 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら 咲さん 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら 和 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら まこ 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら 優希 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら 久 京太郎の秘蔵のえちぃ本が見つかったら 久アフター もし全国大会個人戦二位の彼女が京太たろーの『マネジメント』を読んだら 愛宕姉妹と開拓……開拓? ミッション 許嫁 優勝インタビュー 憩とロッカーに閉じ込められたった 対姫松レギュラー戦について 劔山 コーヒーブレイクという名の息抜き 代行とイチャイチャデートでかわいい嫉妬ネキ 代行とイチャイチャデートwith末原ちゃん バット 怜と透華と荒川さんの修羅場に巻き込まれる末原先輩 龍門渕の龍門渕による透華のための祭り 瑞原はやりちゃん その頃の恭子ちゃん あと、怜のオモチが膨らんでヤバイと聞いたので 麻雀TODAYに出たけれど 休日の過ごし方~公園編~ みつごとね 京太郎「まったく、小さいオモチは最高だぜ!!」~清澄編~ シミュレーションソフト 桃、膝枕 雀荘 楽屋裏ネタ 麻雀TODAYに出たけれど2 麻雀TODAYに出たけれど3 アルバイト 麻雀TODAYに出たけれど4 池田は可愛いいなあ! 咲とクリスマスデート? クリスマス小ネタ・透華編 クリスマス小ネタのネタ・クリスマス(イヴ)の夜に ワハハクリスマス フライング新年 穏乃 フライング新年 松実姉妹 麻雀どうでしょうとは! 巨乳勢の現在の京太郎に向ける思い 松実旅館へようこそ1 巨乳勢の現在の京太郎に向ける思い 松実旅館へようこそ2 巨乳勢の現在の京太郎に向ける思い 名前で呼んでもいいですか? 末原さんが愛宕姉さんに嫉妬 バレンタインデー 優希 バレンタインデー まこ バレンタインデー 和 バレンタインデー 久 バレンタインデー 咲 バレンタインデー 池田 バレンタインデー 智美 バレンタインデー 穏乃 バレンタインデー 宥 バレンタインデー 透華 7月第1週
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765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/09/30(日) 04 59 55.60 ID 3XVD5SURo 【塞ちゃんが京太郎を一日監禁】 塞「あっ、京太郎君、起きてたんだ」 塞「側にいられなくてごめんね。朝ごはん作ってたから……」 塞「おはよう。よく眠れた?」 京太郎「……おかげさまで」 京太郎「手錠がなければもうちょっと安眠出来たと思うんですけど」 塞先輩の手作り弁当を食べたら、強烈な睡魔に襲われて。 目が覚めたら拘束されてました。 塞「あー……、ごめんね、痛かった?」 塞「手錠の内側にクッションとか入れたらちょっとはマシになるかなぁ……」 塞「後で買い出しに行くから、その時に探してみるよ」 塞先輩の、あまりにもいつも通りな様子が、逆に空恐ろしい。 塞「他に何か欲しい物はある?」 京太郎「……自由」 塞「ふふっ、哲学的だね、京太郎君」 京太郎「いやいやいやいや、欲しいのは肉体的自由ですから」 塞「んー、とりあえずご飯にしよっか」 京太郎「聞いちゃいねぇ!」 774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/09/30(日) 19 37 37.72 ID 3XVD5SURo 塞「多めに作ったから、たくさん食べてー」 京太郎「どうやって食べれば……」 塞「心配しなくても、ちゃんと食べさせてあげるよ」 塞「あっ、口移しの方が良い?」 テレ 京太郎「……ノーマルコースでお願いします」 塞「そ、そうだよね。まだそういうのは早いよね」 京太郎(まだ……?) 塞「美味しい?」 京太郎「あ、はい」 京太郎「やっぱ先輩って料理上手いですよね」 塞「あはは……、ありがと」 京太郎「ごちそうさまでした」 塞「はい、お粗末様」 京太郎「で、そろそろ手錠外してくださいよ」 塞「あっ、うん、そろそろ行かないと部活遅れちゃうもんね」 ガチャガチャ 塞「はい、外れたよ」 京太郎「ありがとうございます……って」 京太郎「そこは外しちゃ駄目でしょ!?」 塞「えっ」 778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/09/30(日) 20 21 49.68 ID 3XVD5SURo 塞「そっちが外してって言ったんじゃない」 京太郎「もっと自分を強く持ちましょうよ」 塞「だって、京太郎君に嫌われたくないし……」 京太郎「じゃあ最初から手錠もやめてください!」 塞「……あ、もしかして手錠嫌いだった?」 京太郎「好きなヤツなんているんですか」 塞「……」 ポッ 京太郎「あ、いるんだー……」 塞「でも困ったな、手錠が駄目となると……縄とか……?」 京太郎「どうしてまた拘束するつもりなんですか」
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京太郎(牌に愛された奴らってのがいるらしい) 京太郎(咲とかもそいつらの一部とかなんだとか) 京太郎(……) 京太郎(俺も牌に愛されたい) ―部室― ガチャッ 京太郎「ちーっす」 シーン 京太郎「……ありゃ」 京太郎(誰もいないのか……皆遅いのかな) スタスタ ガタ、ストン 京太郎「ふー……」 京太郎「……」 京太郎(皆が来るまで暇だな……) 京太郎「……」 京太郎「……」チラッ 牌「……」 京太郎「……」 京太郎(……“牌に愛された奴ら”……か) 京太郎(俺もそんな星の下に生まれたかったな……) 京太郎(……) 牌「……」 京太郎(……ん) 京太郎(待てよ……) 京太郎(確かに、牌は俺を愛してないみたいだけど) 京太郎(俺が牌を愛したことがあったか?) 京太郎(いや、無い) 牌「……」 京太郎(……そうだよ) 京太郎(自分の事を愛してくれない奴を、愛せはしないんだ) 京太郎「……そうか」 京太郎「俺が……牌を愛すればいいんだ」 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「……こんにちわ」 牌「……」 京太郎「……いい天気だな」 牌「……」 京太郎「…………突然だけど」 牌「……」 京太郎「……好き、です」 牌「……」 京太郎「ずっと、好きでした」 京太郎「第一印象から決めてました」 京太郎「フォーリンラブというヤツです」 京太郎「オナシャス」 牌「……」 京太郎「……へへっ、照れるな」 牌「……」 京太郎「でも……本当の事だから」 牌「……」 京太郎「なんだよ……なになに、何か言えよ~」ツンツン 牌「……」 京太郎「ははっ、お堅いヤツだぜ」 牌「……」 京太郎「……ふっ、もう半荘ってとこか」 ―部室外― 咲「……」 和「あ、咲さんいらしてたんですか」 咲「和ちゃん、帰ろう」 和「えっ」 咲「帰ろう、今日の所は帰ろう」 ―次の日― ガチャ 京太郎「ちーっす」 シーン 京太郎「……」 スタスタ ガタ ストン 京太郎「はぁ……また今日も」 京太郎「俺とお前だけか」 牌「……」 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「……ふたりきり、だな」 牌「……」 京太郎「……」 京太郎「……お前って、綺麗だよな」 牌「……」 京太郎「嘘じゃねえよ?嘘じゃねーって」 牌「……」 京太郎「……なんていうか、すげえ、白いし」 牌「……」 京太郎「丸っこくて、可愛いし」 牌「……」 京太郎「竹みたいに、しなやかで」 牌「……」 京太郎「鳥っぽいし……」 牌「……」 京太郎「東西南北揃ってるし……」 京太郎「最強、じゃん」 牌「……」 京太郎「……なあ」 京太郎「…………触っても……いいか?」 牌「……」 京太郎「……いいん……だな……?」 京太郎「……」ゴク 京太郎「さわ……る、ぞ」 ソッ 牌「……」 京太郎「……っ」 サワッ 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「……すべすべ、してる」 京太郎「……」サワ 牌「……」 京太郎「……っふ……ん」サワワ 牌「……」 京太郎「……」サワサワ 牌「……」 京太郎「……」ピタ 牌「……」 京太郎「や、わりぃわりぃ……つい熱中しちまったよ」 牌「……」 京太郎「……いつも、乱暴に触れてただけだったけど……」 京太郎「お前を想って触れたら……」 ニコッ…… 京太郎「こんなにも……愛おしいもの、なんだな」 牌「……」 京太郎「……はは、悪かったよ悪かったって」 牌「……」 京太郎「……少しずつ」 京太郎「少しずつ……近づいていけばいいから」 京太郎「今日は……ここまで、な」 牌「……」 京太郎「……なんだよ、何か言えよ~」ツンツン ―部室外― 和「……」 優希「お?のどちゃんどうした?入らんのかー?」 和「優希」 優希「ん?」 和「帰りましょう」 優希「え?」 和「疲れてるのは彼じゃなく私なんでしょうか……いえ、帰りましょう」 ―次の日― ガチャッ 京太郎「ちわす」 シーン 京太郎「また皆いないのか」 京太郎「……まあ」 スタスタ ガタッ ストン 京太郎「そっちの方が……好都合とか思ってたり……する?」 牌「……」 京太郎「……ちぇっ、無反応なヤツー」 京太郎「…………ま、そこが……可愛いんだけどな」 牌「……」 京太郎「……ふふっ」 京太郎「しっかし、今日もあっついなぁー」 京太郎「服が汗びっしょりだぜ」パタパタ 牌「……」 京太郎「……」 京太郎「……あ」 京太郎「…………もしかして、今」 京太郎「俺のYシャツのはだけた所、じっとみてたろ」 牌「……」 京太郎「え、何」 京太郎「もしかしてお前って、むっつりさんなワケ?」 牌「……」 京太郎「おいおーい、だんまりかー?」 京太郎「いやーん、牌ちゃんのスッケベー」 牌「……」 京太郎「ははははっ、冗談だって!悪かったよ、そんな怒るなよ」 牌「……」 京太郎「だから悪かったって言ってるだろー」 牌「……」 京太郎「……えい」ツン 牌「……」 京太郎「……何か言えよ」 牌「……」 京太郎「……もしかして、本当に怒った?」 京太郎「…………ごめん、な」 牌「……」 京太郎「……つい、さ」 京太郎「好きなヤツには……ちょっかいだしたくなるんだよ」 京太郎「……お前の事、本当……好きなんだ」 牌「……」 京太郎「……」 ソッ… ギュッ 牌「……」 京太郎「ふふ……冷たいヤツだな……」 京太郎「ま……でも、丁度いいのかもな」 牌「……」 京太郎「この俺の……すげえ、熱い想いと」 京太郎「お前の冷たさで……きっと、丁度いいんだよ」 京太郎「二人で、一つなんだ……俺達」 ―部室外― 優希「……」 まこ「お?なんじゃそんなところで」 優希「先輩、帰ろう。帰りましょう、本当、冗談抜きにして」 まこ「どうしたんじゃ、ってか口調おかしい」 ―次の日― ガチャッ 京太郎「おーっすっす」 シーン 京太郎「……おはよ」 スタスタ ガタッ ストン 京太郎「寂しかったか?」 牌「……」 京太郎「……素直じゃないヤツだな」 京太郎「……」 京太郎「俺は……寂しかったよ」 京太郎「お前に…………会えなくて」 京太郎「………………寂し、かった」 牌「……」 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「……なぁ」 牌「……」 京太郎「あのさ……」 牌「……」 京太郎「お前、お前ってさ……」 京太郎「他に……好きなヤツとか、いるのか……?」 牌「……」 京太郎「やっ、あの、違うんだ、なんていうか、その、さ!」 京太郎「……なんていうか」 京太郎「…………お前、結構、素っ気無いっていうか」 京太郎「なんていうか……無機質っていうかさ……もしかして……」 京太郎「……俺の他に……好きなヤツがいるから……そんな態度、なのかな、とか、思ったり、したワケ、です。はい」 牌「……」 京太郎「……そ、そうなの、か?」 牌「……」 京太郎「……な、なぁ、なんとか言ってくれよ」 京太郎「不安になるじゃんか……」 牌「……」 京太郎「……っ!」 京太郎「何とか言えよぉっ!」ガシャーン!! 牌「……」ガラガラ 京太郎「お前がそんな……思わせぶりな態度じゃ……」 京太郎「もう……俺……!」 京太郎「もっと……もっと、お前の事、好きに……なっちまうよ……!!」フルフル 京太郎「迷惑なら!迷惑だってハッキリ――……!!」 京太郎「……――え?」 牌[中] 京太郎「……」 京太郎「……この牌……」 京太郎「……え?」 京太郎「中…………って」 京太郎「……」 京太郎「えぇ~~~~~っ!!!?」 牌 [中] 京太郎「ちゅう、ちゅうって」 京太郎「俺と!?お前がか!!?」 牌 [中] 京太郎「い、いやいや!!いやいや!!嫌なわけないし!!!!」 京太郎「で、でもっ!!でもでも!……」 京太郎「………………俺、で……いい、のか……?」 牌 [中] 京太郎「わ、わかってるよぉっ!そんな急かすな!」 京太郎「お、お、俺……初めて、なんだからな?」 牌 [中] 京太郎「わかってるってば!!」 スッ 京太郎「……い、いきます……よ?」 牌 [中] 京太郎「……っ」 京太郎「あ、あの、さ」 牌 [中] 京太郎「……キスの前に……コレだけ、言わせてくれ……」 京太郎「……………………大好き」 チュッ 京太郎「……――ん……!」チュゥッ 牌「……」 京太郎「……んはっ……んぅ」チュッ 牌「……」 京太郎「……っは、駄目、止まらな……んぷ」チュパァ 牌「……」 京太郎「牌……んぅ、んぴゅ、牌っ……ぷふ」チュポ 牌「……」 京太郎「んっ、んっ、んっ……」キュポキュポ 牌「……」 京太郎「ん――…………っは」キュポキュポ ポン 牌「……」 京太郎「はぁ……はぁ……」 牌「……」 京太郎「……ごめん……なんか、好きすぎて……わからなく、なっちまった」 牌「……」 京太郎「……」モジモジ 牌「……」 京太郎「……しちゃっ……た……な」 牌「……」 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「…………しばらくは」 京太郎「しばらくは……自分に歯止め効かなくなりそうだから……おあずけ、な」 ―部室外― まこ「……」 久「あら?どしたのまこ」 まこ「帰ろう、きっとアンタがこき使いすぎたせいじゃ」 久「えっ?な、何が?え?」 ―別の日― ガチャ 京太郎「……」 スタスタ ガタ 京太郎「ふう……びしょ濡れになっちまった」 牌「……」 京太郎「すげえ雨だよ……こんな時間なのにまるで夜だ」 牌「……」 京太郎「っくし!……あー……ん?」 牌「……」 京太郎「あはは、大丈夫だっての。この俺にかかれば風邪なんて」 京太郎「っくし!!」 牌「……」 京太郎「わかったよ……ちゃんと体拭くっての」 ゴソゴソ 牌「……」 京太郎「っと……ん?」 牌「……」 京太郎「……別にいいだろ、脱がなきゃ体拭けないし」 牌「……」 京太郎「へーへー、私がわるうござんすよー」 牌「……」 京太郎「……」ゴソ 京太郎「……」 京太郎「……何」 牌「……」 京太郎「…………何、見てんだよ」 牌「……」 京太郎「……お前、ほんとにスケベな」 牌「……」 京太郎「いや、だって実際そうじゃん!この前もさ!」 牌「……」 京太郎「俺は別に誘ってねえよ!なんだよその目!」 牌「……」 京太郎「なんだってのその冷たい態度は!っていうか」 京太郎「そうやって色目で俺を見てきて……誘ってるのはお前のほうだろ!!!」 牌「……」 京太郎「まーた御得意のだんまりですか!」 京太郎「そうやっていつもいつも――……!」スタスタ ガタッ 京太郎「わっ!?」 ガシャーン パラパラ…… 京太郎「いてて……」 京太郎「すまん、置いたバッグに躓いて――……」 京太郎「!!」 牌「……」 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「……わ、悪い」 牌「……」 京太郎「すぐ、どく」 牌「……」 京太郎「…………ごめん」 京太郎「体………………動かせないや」 京太郎「………………――お前から…………目が、離せない」 京太郎「……」 牌「……」 京太郎「……お前」 牌「……」 京太郎「……やっぱり、肌……凄く」 京太郎「………………白い」 牌「……」 京太郎「……」 ガバァッ!!!! 京太郎「牌ぃ!!!!」 牌「」 ゴソゴソ 京太郎「牌ぃ、牌ぃっ」ハァハァ 牌「」 京太郎「ごめ、も、止まらない……!」 京太郎「気持ちっ」 京太郎「抑えらんな……っ!!」 牌「」 京太郎「はぁっ、んちゅっ」 京太郎「んはぁっ」 京太郎「牌っ、牌っ」 牌「」 京太郎「な、いいだろ?いいだろ?なぁっ」 京太郎「いいだろ!?な!?」 牌「」 京太郎「んちゅっ!!」 京太郎「ぷはっ!!!!はぁっ!はぁっ!」 京太郎「お前の、真っ白で……綺麗だ……!!」 牌「」 京太郎「う、くっ……!」 京太郎「も、駄目」 京太郎「もう、抑えられねえっ!!」 ボロン 京太郎「ふーっ……!ふーっ……! 京太郎「お前を…………抱く……!」 牌「」 京太郎「へ……へへっ……!」 京太郎「こんな時までだんまりかよ……!お得意のよぉ!」 ゴソッ 京太郎「ほら!お前がそんなだから……!こんな事になってんだ!!」 京太郎「何か言わねぇのかよ!!」 京太郎「“嫌だ”とか“やめて”とか!!」 牌「」 グイッ 京太郎「“離せ”とか!“死ね”とか!!!」 グイッ 京太郎「“お前の事なんて、好きじゃなかった”とか!!」 グイッ! 京太郎「“今までのは遊びだった”とか!!」 グイッ!! グイッ!! 京太郎「“京太郎の事なんか”……!オレの事なんか……っ!!」 グイッ!! ピタ…… 京太郎「……“嫌い”……とか……!」ポロポロ 牌「……」 京太郎「言え……よ……!!」ポロポロ 京太郎「ひぐっ……!!ぐすっ……!!」 京太郎「オレを……オレを……!!」 京太郎「愛して、くれないならっ!!!!」 京太郎「嫌いだって!!!!言っでぐれよぉ!!!!!!!!!」 グイッ グイッ 京太郎「ぐぞぉっ!!ぐぞぉっ!!!」 京太郎「ぐぞぉっっ!!!!入らねぇっ!!!!!!」 牌「……」 京太郎「お前は!!」 京太郎「お前はオレの事なんか!!!!!」 グイッ パタン 京太郎「愛して――……」ピタ 牌「……」 京太郎「………………――え?」 牌 [萬子] 京太郎「……」 牌 [萬子] 京太郎「……おま、え」 牌 [萬子] 京太郎「……」 牌 [萬子] 京太郎「……」 京太郎「自分から……見せるって」 京太郎「そんな大事な所見せるって……ことは」 京太郎「……」 京太郎「…………いい、のか?」 牌 [萬子] 京太郎「……牌!!」 グニュッ!!! 京太郎「うっ……!!」 牌 [萬子] 京太郎「うっ、くっ!!あぁっ……!いいっ……!!」グイッ グイッ!! 牌 [萬子] ―部室外― スタスタ 久「だからー、なんなのよー」 咲「ですから!部室はなんというか駄目なんです!」 和「多分須賀君、今日も部室にいます!!」 久「須賀君が部室に居たっていいじゃない。みんないじわるねぇ」 優希「そういう問題じゃないんだじぇ!!」 まこ「とにかく悪い事は言わん!!今日はわしらだけでわしん家で部活を!!」 久「だーめだってば。理由も教えてくれないし」 久「それにこの雨じゃまこの家まで行くので疲れちゃうわよ」 まこ「それは、そうじゃがっ」 久「もう、皆変よ?気持ちをビシっと入れ替えて部活するわよ!」 ザッ 久「さあ、着いt」 ギュッ ギュッ ギュッ!! 京太郎「あああああ――――っ!!!!!!!!」 ヘコヘコヘコヘコヘコヘコヘコ 京太郎「いっ……いいっ……!!!!」 京太郎「いいよぉ!!!気持ちっ!!!!!」 京太郎「気持ちいいっ……!!!!牌っ!!!!!!」 京太郎「 愛 じ で る ッ ッ ッ !!!!!!!」 久「 」 咲「 」 和「 」 優希「 」 まこ「 」 京太郎「はぁっ!はぁっ!」 牌「」 京太郎「お前の、肌っ!!!」 京太郎「眼差しっ!!匂いっ!!」 京太郎「全部、全部っ!!」 牌「」 京太郎「万子も……!!!!索子もっ!!!!」 京太郎「筒子も!!東西南北白發中も!!!!!!」 牌「」 京太郎「全部!!!全部!!!」 京太郎「全部全部っ!!!!あぐっ!!!!」 京太郎「全部!!!!!愛おしい!!!!!!」 牌「」 京太郎「あひぃっ!!!!!!めくれるッッ!!!!!!」 京太郎「牌!!!!!……うっっ!!!!!」 京太郎「イグッ!!!!イグゥッ!!!!!!」 京太郎「牌ィ!!!!!!出すぞっ!!!!!!!」 牌「」 京太郎「牌!!!!!」 ドポォォォ!!!!!!! 京太郎「愛してるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぁアァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!」 ボピュゥゥッ!!!!ピュパァァァッ!!!! 京太郎「アァァァアアアア」 牌「 」 久「」 咲「」 和「」 優希「」 まこ「」 ビュルゥッ ピュフッ ピチュッ…… 京太郎「オォォアアアアアアア」 京太郎「オアアアアアアアアアアア」 京太郎「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」 ガシッ!!!! 京太郎「こんなんでッッ!!!!!!!!!!!!」 ガッッッッシャアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 京太郎「麻雀が上手ぐなるがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」ゴッシャアアアアアアン!!!!!!!! 久「ちょちょっ!!!!須賀くん!!!!!」 京太郎「ボゲがあぁぁぁああああ!!!!!!!!!!!!」ガッシャアアン!!!!! まこ「お、落ち着け!!落ち着くんじゃ!!!!!」 京太郎「ごんなもんっっ!!!!!!!!!!!」ガシィ!!!!! 咲「あぁっ!!!!!雀卓が!!!!」 京太郎「ベランダに"っっっっ!!!!!!!!!!!!!!」 ゴシャアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 京太郎「こうじゃああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!」 和「きゃあああああ!!!!!」 久「なんて事を!!!!」 京太郎「やあああああああ!!!!!!!!!!」ガシィィィッ!!!!!! 優希「ロッカーが!!!!」 京太郎「全部!!!!!!!全部!!!!!!!!!!!!」ブォン!!!!!!!! 京太郎「ごうじゃボゲエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!」ガッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!! 咲「あぁっ!!染谷先輩が巻き添えに!!!!!!」 和「落ち着いて下さい!!須賀君!!落ち着いて!!!!」 京太郎「死ね糞があァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!」 優希「京太郎!!お願い!!落ち着いて京太郎!!!!」 京太郎「うあぁぁっ!!!!!!うぁああああアアアアアアアアアアアアアアアアああああ!!!!!」 咲「京ちゃん!!京ちゃぁん!!!!!」 ピタ 久「……え?」 咲「……きょ、京、ちゃん?」 京太郎「……」 京太郎「……呼んでる」 咲「え?」 京太郎「…………呼んでる」 京太郎「牌が……俺の、名前……呼んでる」 バッ!!!!! 和「あっ!!!?」 優希「京太郎!!!?」 京太郎「牌ぃ!!!!!牌――――!!!!!」タッタッタ 久「須賀君!!!?」 咲「京ちゃん!!!?京ちゃ――ん!!!!!!」 タッタッタ…… ッタ…… … ・ ザァァァァ…… 和「……」 優希「ひぐっ……!!ぐすっ……」 久「……行っちゃった……わね……」 咲「…………京、ちゃん……」 ザァァァァァァ…… タッタッタ… 京太郎「はぁっ……はぁっ……!!」 京太郎「頑張っちゃったっ」 京太郎「頑張ったわれわれっ」 京太郎「東西南北っ」 京太郎「ワ――――イ!!!ワ―――――イ!!!!!!」 タッタッタ…… …… … 壊れたベランダから飛び出して 全裸で雨の中を走って それから、京ちゃんはもう……帰ってこなかった ………… …… … ・ スタスタ…… ピタ… 咲「ふう……」 ヒュゥゥ…… 咲「……」 和「咲さん?」 咲「あ、和ちゃん」 和「大丈夫ですか?早く部室に行きましょう」 咲「うん」 咲「……」 でも、きっと京ちゃんは帰って来る あの日、あの時……牌と過ごした日々は 京ちゃんの中で、偽りでもなんでもなく……存在していると思うから ビュゥゥゥ… 咲「……」 ――――冬が来る 和「咲さん!」 咲「あ、ごめんっ、すぐ行く!」 咲「……」 タッ 咲「待ってー」タッタッタ ――――――全裸の京ちゃんが、凍えないといいのだけれど カン
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特別編 あこちゃー日記 ※短めです ×月○日 今日新しい友達ができた 少しだけこっちにいるっていう京太郎って奴 なんかすぐに仲良くなれた でも、麻雀はすぐには覚えなかった 早く京太郎とも打ってみたいのに △月□日 今日もシズ、和、玄、京太郎と遊んだ 京太郎は玄と胸の話ばっかりして和に怒られてた そんなにいいのかな 男子って、よく分からないことに夢中になる ……玄は昔からああだったっけ ●月◇日 京太郎にそんなに胸がいいのって聞いたら、良い!って大きな声で言ってきた 胸がある女の子がいいの?って聞くと、胸がある女の子らしいのがいいって言ってた サイテーだ。そう言ってやると、胸大きくなってから言ってみろって言ってきた 悔しいから、胸大きくして女の子らしくなってやろうって決めた 京太郎にギャフンって言わせてやる!! 憧「なっつかしいなー……こんなの書いてたっけ」 憧「……胸、はおっきくなったけど……玄や宥さんと比べるとなー」ムニムニ 憧「女の子らしく……か……」 憧「おはよー」 京太郎「おっす、憧。今日は早いな」 憧「まーねー……ね、京太郎。あたしって女の子らしい?」 京太郎「?まぁ、昔よりずっと女の子らしいと思うぞ?」 憧「そう?ふふっ、ありがと!」 カンッ!!
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五月下旬。 春が終わりを告げ、梅雨を迎える時期。 衣替えの日が近付き、寒さとは無縁の季節が迫る。 だが、松実館のある一室では―― 「うぁっつう……」 エアコンの暖房設定。 十重二十重に重ねられた毛布やタオルケット。 曇る窓ガラス。 そして、自分の上に覆い被さるように眠っている姉。 「あったか~い……」 こんな環境でありながら健やかな寝顔を晒せるのは、日本広しと言えども自分の姉くらいのものだろう。 勿論、自分は違う。このままでは暑さでやられる。 姉の安眠を妨げるのは心苦しいが、起こさなければ。 「ほら、姉さん。起きろよ」 「んぁ、むぅ……」 宥姉判定直下 1~40 おはようの、ちゅー…… 41~60 やだぁ…… 61~98 もっと…… ゾロ目 ??? おはようの、ちゅー…… モゾモゾと身じろぎする姉。 目を擦っているが未だ寝惚け眼であり、覚醒しきっていないようだ。 「ちゅー……」 「ハァ?」 「おはようの、ちゅー……」 「……」 宥が瞳を閉じる。 そっと唇を付き出し、言葉の通りのものを求めている。 「……姉、さん」 それに対して、京太郎は。 そっと、姉の肩に手をかけて。 「アホかーっ!!」 「ひゃぁっ!?」 思いっ切り、押し飛ばした。 汗を流すためにシャワーを浴びて、朝食をとり、身支度をすればあっという間に登校時刻。 憂鬱な休み明けの通学路を、欠伸を噛み殺しながら歩く。 そんな京太郎の様子を見て、幼馴染の新子憧は苦笑した。 「ちゃんと寝たのー? 今日、テストだけど」 「いや、宥姉さんがさ……」 「……あぁ」 松実姉妹の弟への溺愛っぷりは。 阿知賀に通う生徒なら、誰でも知っている。 あこちゃー判定直下 1~30 お願いだから法に触れるのは止めてよね 31~60 ……相変わらず、ねぇ 61~98 私だって……京太郎と…… 姉と弟。 近親相姦。 常識として、倫理として普通ならば考えられない。 法律で禁じられていることだ。 だけど、あの姉妹は、実の弟に、異性としての感情を向けている。 「寝苦しいけど……姉さんほっとけないしなぁ……」 そして、この隣を歩く幼馴染も。 気持ちが傾きつつあるのを、憧は知っている。 「……ズルい……」 神様。 お母さん、お父さん。 どうして私を。 京太郎の姉として、産んでくれなかったの。 髪を伸ばした。京太郎がドラマの髪が長い女優に見惚れていたから。 化粧を覚えた。京太郎が年上の女性に憧れていたから。 急に色気づいたと馬鹿にするヤツはいたけれど、姉に習って、雑誌を読んで、必死に勉強した。 だけど。 「いやさー、玄姉さんも玄姉さんで……」 勝てない。 京太郎と一緒にいられる時間でも、京太郎の好みの体つきでも。 あの姉妹には、勝てない。 不公平だ。 こんなにも、京太郎のことを見ているのに。 神様は、時間も、体も、幸運も。 憧にはくれなかった。 「おーい、憧……?」 「……」 「おーい! あっこちゃんやい!」 「ふきゅっ!?」 勢いよく肩を叩かれて、憧は我に帰った。 「止まれって。車来てる」 「え? あ、あぁ、うん」 京太郎に手を引かれて、道の端へ。 幼馴染の手のひらは温かくて、優しいけれど。 ほんの一瞬、鼻腔を擽ったシャンプーの匂いは。 「……京太郎」 「ん?」 「ありがと」 「ん」 憧の心に、小さくない引っ掻き傷を作った。 「んー……大丈夫かな、あいつ」 昇降口で憧と分かれ、別のクラスへ。 二人が通う教室は廊下の反対側にある。 様子のおかしかった幼馴染は心配だが、自分にも授業がある。 ずっと側にいてやることはできない。 「……む!」 教室の入り口に差し掛かった辺りで。 京太郎は、背後から近付いてくる足音に気が付いた。 朝昼晩を問わずやたらとやかましいこの音は、絶対にアイツだ―― 穏判定直下 1~30 どーん!! 31~60 おっはよー!! きょーたろー!! 61~98 どーん!! むー? あれれー? ゾロ目 ??? どーん!! 京太郎の脇を擦り抜ける、弾丸の如き小さな影。 ぎゅぎゅっと急ブレーキの音を響かせて、京太郎へと振り向く彼女。 「おっはよー!! きょーたろー!!」 黒いジャージに白い上履き。 ぱっと見で小学生にも見える彼女の名前は高鴨穏乃。 憧と同じくらい付き合いの長い、もう一人の幼馴染。 「……む? おっはよー!!」 「いや、聞こえてるから」 相変わらずの様子に、苦笑する。 全身全霊全然オッケー。 元気があれば何でも出きる。 そんな言葉を体現したような少女だ。 「んー? 憧は?」 「そりゃ別クラスだし」 「あ、そっか」 ポンと手を叩く穏乃。 小学生まではずっと同じクラスだったが、中学からはクラスが変わってしまった。 ……思えば、その時から。 憧の、今朝のような様子を見ることが増えたかもしれない。 「なあ、穏」 「んー?」 「なんか憧が元気ないみたいでさ、後で話聞いてやってくれないか? 男の俺より話しやすいだろうし」 「んー……そんなことは無いと思うけど……わかった!」 元気よく頷く穏乃。 これで、憧の曇りを晴らすことができればいいのだが。 予鈴が鳴っても、京太郎の思考は授業ではなく幼馴染の方向を向いていた。 休み時間。 「ふぅ……」 雉打ちを済ませ、晴れやかな気分で廊下を歩く。 爆弾処理を無事に済ませた後は、誰だって気分が良い。 「……む?」 目の前を歩く小柄な後姿は、見覚えのある――というか、自分の異性の知人はみんな小柄だ。 多くのファイルを抱えた姿は少し危なっかしい。 「あの、手伝いますよ」 「む……」 あらたそ判定直下 1~30 いいの……? 31~60 ありがと…… 61~98 だ、ダメだと思…… ゾロ目 ??? ありがと…… 「ありがと……」 「いいっすよ。むしろドンドンこき使って下さいよ」 鷺森灼。 小柄でおかっぱ頭の彼女を初めて見た時、『こけしみたい』だなんて感想を抱いた事は、墓場まで持っていかなければならない。 「須賀くん……」 「だからいいっすよ、これぐら――」 「ドエムさん?」 「なんで!?」 彼女のノリは、少し独特だ。 レジェンドを前にした時はかなりわかりやすいのだけれど。 灼と一緒に職員室へと授業用のファイルを送り届けた京太郎。 「じゃ、また……」 「うす、次は部活で」 灼と京太郎のクラスも反対方向にある。 振り向いて、自分の教室へ戻ろうとした京太郎は、深刻な表情を浮かべて職員室の戸をくぐる赤土晴絵に気が付いた。 すれ違いになったので灼は晴絵の様子に気付いていない。 自分の机に座り、腕を組み、深々と溜息を吐く晴絵。 「はぁ……」 「どうしたんすか、先生」 その様子が放っておけなくて、京太郎は晴絵に話しかけた。 ハルちゃん判定直下 1~30 (おいしそう) 31~60 (食べたい) 61~98 (いただきます) ゾロ目 ??? 「なぁ、京太郎? 覚えてる?」 何故か、晴絵に生徒指導室へと連れ込まれた京太郎。 あまり広くない空間に二人きり。 教師とはいえ小さい時から知っている相手なのであまり緊張はしないが。 なんだろう、このままいると。 「な、なにを……?」 「『ハルちゃんスキー! いっちゃヤダー!』」 「そ、それ間違えて酒飲んだ時の……」 「いやー、おもいだしちゃったよ。うん」 大切なものを、失いそうな気がする。 「まさか、その白いのは……!」 「なぁ、お見合いってさ。何だろうね。幸せって、なんだ」 「落ち着きましょう、先生」 「ハルちゃんって呼んでもいいよ。昔みたいに、さ」 いただきます。 そんな声が、聞こえた気がした。 「なにやってんの、二人とも」 底冷えのする声と共に開かれる扉。 憧が、恐ろしいほどの無表情で立っていた。 「あれ、鍵かけた筈なんだけど……」 「普通に開けたけど。で、何やってたの、京太郎」 「うっ……」 じろり。 憧の目線が京太郎を捕らえる。 責められているわけではないのに、言葉に詰まる。 「言えないようなこと? まさかとは思うけど――」 「し、進路相談! 進路相談だよ、二人で。な、京太郎!」 「え? あ、ああ、うん! そうそう! ちょっとこれからの話を!」 嘘は言っていない。 どちらかと言えば相談に乗っていたのは京太郎で、あまりにも一方的なソレは対話の体を成してすらいなかったが。 嘘は、言っていない。 玄と宥は、姉妹と一目でわかる見た目をしている。 玄が髪の毛を染めてコートとマフラーを着込んだら家族以外には誰も見分けが付かないだろう。 対して、京太郎は全く二人に似ていない。 男と女の違いがあるとはいえ、面影すらない。 そんなことを、酒の席で父親に酌をしながら話したら 「そういや俺と姉さんたちってあんま似てないよな」 「ああ、それな――お前、橋の下で拾ってきたから」 「……え?」 松実京太郎。 齢十五にして知る、衝撃の真実だった。 「す、すごいコト、聞いちゃった……!」 くろちゃー直下判定 1~30 今夜は眠れないよぉ……! 31~60 な、なら、大丈夫……だよね? 61~98 おねーちゃんにも知らせなきゃ!! ゾロ目 ??? おねーちゃんにも知らせなきゃ!! どっと疲れる一日だった。 浴室でシャワーを浴びて、汗を洗い流す。 朝の宥に始まり、昼には晴絵と憧に迫られて、そして先程明かされた衝撃の真実。 「まぁ……でも……」 納得できる部分はある。 まずあの二人と全く似ていないし、それに。 あの二人を、異性として意識したことも―― 「……いかん、いかん」 頭を振って邪な考えを追い出す。 血が繋がっていようがいまいが、あの二人は姉だ。それ以上でも以下でもない。 「えっと、シャンプー……」 「はい、どうぞ」 「あ、ども――え?」 えへ、と笑う松実玄。 勿論ここは風呂場であるのだから、衣服など身に付けている筈もなく。 「お姉ちゃんが、背中流してあげるね!」 「あったかく、してあげる……」 逃げ場など、あるわけがない。 前には宥が、後ろには玄が。 玄から逃げれば宥が、宥から逃げれば玄が。 二人の姉妹に挟まれて、京太郎はただ縮こまることしかできなかった。 「どうしたの、きょーちゃん?」 「あったかく、できない、よ……?」 「い、いや……だって……」 二人の肢体は京太郎には刺激が強過ぎる。 なんて事、言える筈がない。 「ほら、こっち向いて……」 「や、ダメだよ! 姉さん!」 「なんで?」 「なんでって、そりゃ――」 「何も、問題ないじゃない。血が繋がってないから……」 「っ!! それ、は」 「おとーさんが言ってたもんね!」 「でも、俺たちは姉弟で――」 「でも」 「赤ちゃんは、産めるよ?」 「う、あ、あ……」 京太郎判定直下 耐えて逃げる 1~50 負ける 51~00 負ける 響く嬌声も、流れる血も。 浴室の壁に阻まれて、シャワーに洗い流されて。 そこで何があったのか。 知っているのは、松実姉弟の三人だけだ。 ――ただ、薄れていく意識の中で。 ――最後に、憧の顔が見えた気がした。 「……」 「どうしたの? 大丈夫?」 「ん、ああ。ちょっと考えごとしてた」 「そう……なら、いいけど」 「……」 「ねえ」 「ん?」 「今度さ、旅行に行かない? 休みにさ」 「あ、ああ。いいな、みんなと――」 「いや」 「え?」 「二人がいい。京太郎と、二人で行きたい」 「……」 「……」 「……そう、だな」 【プロローグ 了】
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特別編 清澄高校麻雀部の人々 いつもと大分違った特別編です 1週目とも2週目ともまた別の世界で、とあるゲームのパロです 京太郎は清澄の麻雀部にいます。時期は年末くらいです ※キャラ崩壊などアリ、そういうのがNGな人は数レスほどスルーでお願いします バサッ 京太郎「ん?なんだこれ?」 年末の、大掃除前 みんなより先に来て早めに掃除をしていたら、それを見つけた 棚の牌譜やノートの整理中、端っこの方に隠すように置かれたいたそれは、他の物を動かした拍子に倒れていた 表紙は見えなかったが、ページが開いた状態で出てきたそれは大学ノートのようで、何か書かれていた ○月○日 久 最近須賀くんに雑用を任せっぱなしになってる 今度なにか奢ってあげよう ○月○日 まこ 京太郎がうちの店の手伝いまでしてくれた 給料多めにするよう言うとこう 京太郎「……先輩たち、いや、女の子の日記か日誌か?」 それは竹井先輩、染谷先輩、和、優希、咲の5人みんなで書き込む日記のようなもので、主に俺のことが書いてあった ○月○日 優希 京太郎がタコスを作ってくれたじぇ! 最近また美味くなってる!! ○月○日 和 ☆ 須賀くんがまた私の胸を見ていました 夏服になってから、以前より視線を感じます ちょっと控えてほしいです ○月○日 咲 ☆ 京ちゃんに迷子から見つけてもらった 嬉しかったけど、帰り道に私がいると教えてもらったという女の人にお礼に行っていた 迷子になったのは私のせいだけど、女の人の胸を見て鼻の下を伸ばさないでほしい 京太郎「……こんなこともあったなー」 女の子の日記を読むことに多少いけないとは思うが、書いている内容にその時のことを思い出し、懐かしく思う なんでこういう風に書いているのかは分からないが、あの時ありがたかった、嬉しかった、と書かれているのは悪い気はしない 京太郎「さて、こっそり書いてる物っぽいけど、あんまり見てると悪いし……アレ?」 無言でページをめくる ノートには、まだ続きがあったようだ ○月○日 久 ☆☆ 最近須賀くんに他校の知り合いが増えたみたいだ 美穂子やゆみからもよく話を聞く いつの間に連絡先を交換したのかしら ○月○日 まこ ☆☆ ここ数日京太郎が店の手伝いをしてる時、高校生の客が多い気がする 今日なんて鶴賀の妹尾や風越の吉留、龍門渕の沢村まで来ていた 執事服にしたせいか? ○月○日 優希 ☆ クラスの人から京太郎のことを聞かれた いっそウチの部のマネージャーに欲しいとか言われたけど、渡す気はないじぇ ○月○日 和 ☆☆☆ 玄さんから須賀くんのことを聞かれました 玄さんと胸の話をしていたらしいです そんなに胸がいいんですか ○月○日 咲 ☆☆☆ 東京で京ちゃんと出かけようとすると、用事があると言われて断られた 和ちゃん達と出かけると、他校の女の人達と仲良さそうな京ちゃんを見つけた 他校の人と仲良くなるの早くないかな? ○月○日 久 ☆☆☆ 東京に来てから須賀くんを訪ねる他校の女の子が多い 東京でナンパでもしたのかと思ったが、女の子達の様子からして違うらしい 何をやっているのかしら ○月○日 まこ ☆☆☆ 京太郎に冗談半分で執事服を渡したら、見事に着こなしおった そのせいか、何人もの女子が来た 写真まで取って、有料にすりゃ良かったか ○月○日 優希 ☆☆ 京太郎のタコスを花田先輩に渡したら、かなり評判が良かったみたいだじぇ ただ、わざわざ新道寺の人、それ以外の学校の人もレシピを京太郎に聞きに来た 京太郎はわざわざ全員に振る舞っていた。おかげで私の分が無くなった くうくうおなかがなった ○月○日 和 ☆☆☆☆ 須賀くんが他校の胸が大きい女の子たちといました 視線は明らかに胸にいっていた。なのに女の子たちは気にしていない様子でした 宿舎の戻ってきても、私の胸を見ていまいした なんともいえない気持ちになりました ○月○日 咲 ☆☆☆☆☆ 京ちゃんがお姉ちゃんと、お姉ちゃんの学校の人達と仲良さそうにしていた お姉ちゃんと、お姉ちゃんのとこの大将の人は京ちゃんの腕にわざとらしく抱き着いていた 許せない 何かに急かされるようにページをめくる 危険だ この先は見てはいけない 今すぐノートをしまって、何も見なかったことにしないといけないと俺の本能が言っている でも、ページをめくる手が止まらない ○月○日 久 ☆☆☆☆ 須賀くんは他校の3年生と盛り上がっていた わざとらしくうちに転校しないか?なんて言われてて悩んでいる様子だった 冗談なのに、何を言っているのかしら ○月○日 まこ ☆☆☆☆ 次鋒戦で当たった奴らと飯を食っていた 似顔絵か何か書いてもらってデレデレしよって 胸とかわしと差無いじゃろ ○月○日 優希 ☆☆☆ 他校のちっこいのと京太郎が話していた いきなり抱き着かれて、慌てて赤くなりながら振り払っていた 私の時はそんな素振り見せなかったくせに…… ○月○日 和 ☆☆☆☆☆☆ 今日の須賀くん 2人でテレビの試合を見ながら真面目な話をしているのに胸を見てきます やんわりと注意をすると、テレビで試合に出ている胸の大きい選手を見ていました 許せません ○月○日 咲 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日の京ちゃん わざわざお姉ちゃんとそのチームメイトにお菓子を作っていた 私には試作品というをくれた でも許せない ○月○日 久 ☆☆☆☆☆ わざとらしく体を寄せてくるプロ相手にもデレデレしていた 許せない ○月○日 まこ ☆☆☆☆☆ 他校の眼鏡を掛けた巨乳の娘と眼鏡を外すかどうかの話 許せない ○月○日 優希 ☆☆☆☆ ちっこい奴らに囲まれていた なんで私だけ扱いが適当なんだ 許せない ○月○日 和 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ また胸を見てきます 胸の大きい娘の試合ばかり見ています 許せません ○月○日 咲 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 今日の京ちゃん 迷子になっていたお姉ちゃんを見つけて手をつなぐ 転びそうになったお姉ちゃんを抱き留める 絶対に許さない 須賀くん(許せない) 京太郎(許せない) 京太郎(許せない) 須賀くん(許せません) 京ちゃん(絶対に許さない) 許せない許せない許せない許せません絶対に許さない許せない許せない許せない許せません絶対に許さない許せない許せない許せない許せません絶対に許さない ノートを閉じる その表紙を、俺は今、やっと見た りゅうもんふちグループ発行、よいこのめっさつしりーず、ジャ●ニカ暗殺帳「ふくしゅう」 そして、やっと気付く 背中に感じる、5人の気配を…… なんてこった 俺に伝統の不条理デッドエンドが用意されていたなんて――― 「須賀くん?」「京太郎?」「京太郎?」「須賀くん?」「京ちゃん?」 カンッ!! 京太郎「……はっ!?」 不意に飛び起きる どうやら俺は麻雀部のベッドで寝てしまっていたらしい 時間は、まだみんなの来る前だ 早めに来て、掃除を先に始めようと思ってはいたが 京太郎「……うわ、なんだこのすごい汗」 全身に冷や汗をかいている 変な夢でも見たか? 京太郎「……やめとこ、ロクな夢じゃない気がするし。顔洗って、掃除でもやっとくか」 俺は起き上り、顔を洗うために部室の外に出る まだみんなは来ていない 早いとこ、済ませてこよう 「ふふっ」「ははっ」「あはっ」「くすっ」「ふふふっ……ねぇ、京ちゃん?あんまり、悪いことしちゃ、駄目だよ?」 カンッ!!
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519 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/25(月) 22 25 10.59 ID NE2j6i/Ao [17/32] HAHA-!ヘイ、マイハンド! なんでそんなご立派なおもちを捏ね繰り回してるんだい? 愚問だなボーイ、そこにおもちがあるからさ! 京太郎「すいませんっしたあああああああ!!!」 その日、俺はきっと初めて空中バク転土下座を行った人になっただろう。 ゴンッと。 額が地面と打つ。 痛い。 でもまずい。 今の、明らかにセクハラだよね? アウトだよね? いや、俺だけがアウトならいい! いや良くないけどもだ! 俺だけがアウトなら、まだ皆に迷惑かけない。 だから、だからここは一つ! 京太郎「お慈悲を!お慈悲を!!」 衆目とか関係ねぇ! もう俺にはプライドなんてないしな! ……やべぇ、本当に涙が流れてきたぞこれ。 そんな俺にかかる影。 見れば、俺の前に膝立ちする小蒔さんの姿があった。 小蒔「京太郎様、頭を上げてください」 京太郎「いやでも、小蒔さん」 小蒔「お忘れですか?」 手を握られる。 そのまま、小蒔さんの頬に手を。 まるで猫が体を摺り寄せるように、頬ずりする。 小蒔さんは、にこりと、笑っていた。 小蒔「私の全ては、京太郎様のものなんですよ……?」 そう、何処か10代の少女が放つとは思えない。 妖艶な笑みを以って。 笑っていた。 526 名前: ◆VB1fdkUTPA[!red_res] 投稿日:2013/02/25(月) 22 26 53.17 ID NE2j6i/Ao [18/32] チッ 547 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/25(月) 22 37 59.34 ID NE2j6i/Ao [19/32] 京太郎「え?」 宥「ど、どうしたの?京太郎君?」 何か、聞こえたような。 いや、気のせいか。 そこで気づいた。 妙に意識がはっきりしている。 さっきまで、何かに“魅了”されてたみたいに、目の前の女の人にしか目が行かなかったのに。 兎に角――――どうやら、小蒔さんは問題ないらしい。 俺は謝罪を一つ。 そのまま宥さんと店へと行く。 背中に、笑顔でこちらに手を振る小蒔さんの視線を受けながら。 俺は妙な違和感と共に。 そこから、立ち去っていった。 ……あれ? 何で、俺はあの人の名前を―――― シロ「……知り合い?」 小蒔「はい!とても大切な人です!」 シロ「そっか……だる……」 小蒔「“今回”はシロさん、気にしないんですか?」 シロ「え?」 小蒔「いえ――――それなら、いいんです」 シロ「ふぅん……」 シロ(なんか、知ってる顔だったなぁ、きょうたろー) 555 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/25(月) 22 41 08.92 ID NE2j6i/Ao [20/32] 【8月20日:昼】……昼と夜は鶴賀と風越の皆さんと練習ですのよ 朝の出会いはさて置いて。 俺は部屋の片隅で宥さんのマフラーを補修しつつ、今も賑やかに卓を囲む面々を眺めていた。 偶然、と言うには運命的かも知れない。 今、卓を囲む面子。 それは清澄高校と決勝戦で争った強豪たちなのだ。 明日に迫る準決勝。 阿知賀は白糸台、千里山、新道寺と卓を囲む。 2回戦ではしてやられた、というのが本音だろう。 千里山一校に弄ばれたという感が否めない試合だった。 そのための対策。 一日で何処まで出来るか。 そう問われれば、俺に答えれることは無い。 全員、俺以上のセンスを持つ人ばかり。 それに俺の常識を当てはめる方が間違ってるだろう。 そんなことをちくちくと編み物しつつ考える俺。 ……うん、まぁあれだ。 時期が夏なのにマフラー弄ってるとか、女の子ばかりの部屋で男が編み物してるとか、言いたいことは分かる。 浮いてるってレベルじゃないよな、うん。 正直言うと視線がそろそろ辛いです…。 そんな俺だったが、今現在。 丁度空き時間なのだろうか。 こっちに穏乃、鷺森さん、玄さんが来るのが見えた。 穏乃「京太郎、何やってるのー?」 京太郎「見りゃ分かるだろ」 灼「相変わらず器用だね、須賀君」 それぞれがからかうように。 しかし興味有り気に俺の手元を覗き込んでいる。 京太郎「掃除に洗濯、料理に作法、悲しいけど何でかこういうのだけは身につくのが異常なんですよねー」 灼「……主夫にでもなるの?」 京太郎「それもいいかも知れませんね……」 ふふふ、と笑う俺。 でっかい汗を浮かべる鷺森さんと穏乃。 そんな俺に唐突に、あっけらかんとした声が割り込む。 玄「じゃあ京太郎君、ウチの旅館でよければ就職面倒見るよ?」 784 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 21 11 23.27 ID 1uZxanBCo [4/29] 京太郎「へ?」 穏乃「京太郎、玄さんところで働くの?」 灼「……大胆?」 玄さんの発言。 それに三者三様の反応を見せる俺たち。 いやいや、いきなり過ぎるいきなり過ぎる。 玄さんは玄さんで「?」というマークを頭上に浮かべてるし、鷺森さんはジト目だし、穏乃は普通にそういうもんだと思ってるし。 玄「え?え?なにその反応?」 灼「いや、なんというか…ちょっとこっち」 玄さんが鷺森さんに手を引かれていく。 数秒後、ぽんっと。 顔を赤くする玄さん。 はて、なんだろう? 勢いよくこっちに来てるんだけど。 玄「違うからね!?そういう意味じゃないからね!?」 京太郎「何がですか?」 うん、わかんねーわ。 わっかんねー全てがわっかんねー。 788 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 21 17 12.44 ID 1uZxanBCo [5/29] 【8月20日:夜】 少女、新子憧にとって――――正直に語ろう。 須賀京太郎という存在は、信用におけない存在だった。 昨年まで女子高。 その中に入ってきた、未だに異物である男子。 見た目も金髪と、チャラそうだ。 そんな第一印象だったのは認めよう。 男慣れしていないからこその距離感。 京太郎が麻雀部に入った当初。 その距離感を作って接していたのは、事実だった。 憧(ま、そんなの考えすぎだってのは今だからこそ言える話なんだけど、ね…) 憧は、己の前を行く京太郎を見る。 明日の試合中に消費する物の買い出し。 そうして外に出ようとした京太郎に散歩名義でついて行く自分。 気づけば、気心知れた仲―――流石にシズや玄さんほどじゃないけど―――になっている。 こいつは―――京太郎は、不器用だ。 人の好意に気づかない不器用な奴だ。 今日の昼間だって、普通に聞こえるような玄さんの言葉。 それも彼女の表情と合わせれば、別の意味があるように感じるだろう。 京太郎は優しい。 皆に接する時は何時も笑顔。 そうして無自覚に、こうして当てられていく。 所謂、魅力、という奴だ。 京太郎は不思議な魅力に満ちている男の子だった。 だから玄さんも、ああしてそんな言葉が出てしまうのだろう。 それがとても悔しい。 自分は素直じゃないから。 素直になれないから。 玄さんという男女変わらず笑顔を振りまける、積極的な人。 京太郎とはお似合い、なんだろう。 それがたまらなく憎い。 846 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 22 34 33.53 ID 1uZxanBCo [12/29] 憧「え……」 京太郎「どうした?」 憧「な、なんでもないわよ!」 京太郎「そ、そうか?なんか顔、怖いぞ」 憧「大丈夫……大丈夫よ」 何を、考えてしまったのだ? 今、とても。 ……とても、考えちゃいけない。 そんなことを、考えてしまわなかったか? 思わず、額を触れる。 冷たい。 おかげで、正気に戻れた。 大丈夫。 うん、大丈夫。 私は私、何時もどおりだ。 何時もどおりになれる。 きっと明日も、笑って。 笑って、京太郎や皆と会話できるだろう。 それが、楽しいのだから。 本当に? 860 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 22 42 50.52 ID 1uZxanBCo [15/29] 【8月21日:朝】準決勝ですのよ 穏乃「準決勝だー!!」 憧「はいはい、シズ。行くわよー」 京太郎「やれるだけはやったしな、二人とも」 朝。 ホテルのロビーに真っ先に集まった俺たちはサービスのコーヒーが入った紙コップ片手に佇みつつ、会話を交わす。 準決勝だ。 もう、決勝戦の手前。 その日が来たんだ。 そう思うと、妙な高揚感がある。 なんというか、あれだ。 京太郎「気づけば、こんなとこまで登ってきちまったんだなぁ…」 憧「実際に登ったのは私たちだけどね」 京太郎「ぐふぅ!?」 こ、言葉の槍…。 ……泣いてないぞ。 穏乃「まったまた~、憧ってば照れちゃって」 京太郎「へ?」 憧「ちょ、シズ!!」 穏乃「京太郎の頑張りを何気に一番評価してるのって憧じゃ―――」 憧「ふんっ!!」 穏乃「いったぁぁぁい!?」 振り落とされる拳骨。 それが直撃した穏乃が頭を抱えてしゃがみ込む。 うん、あれはマジだったな。 憧「余計なこと言わないの!!こいつが調子に乗ったらどうすんのよ!」 こいつって俺か? 俺のことなのか? ……俺だって聖人じゃないぞ。 こうまで言われれば、反撃だってしたくもなる。 憧め、目を見開くといいわ…! 913 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 23 06 28.22 ID 1uZxanBCo [20/29] 憧「全く、シズったら……」 京太郎「憧……」 憧「何よ?言っとくけど、さっきのは全部シズの出任せ―――」 京太郎「お前、本当にいい奴だな」 憧「ふきゅ」 にこやかにそう笑いかける。 恐らく生涯で一番の笑みだろう。 その自負がある。 なぁに、向こうが俺を調子に乗らせないって言うなら簡単だ。 俺はただ素直に感謝すればいい。 がはははは、憧め! 罪悪感でも感じてくれればやりやすいぞ!! 京太郎「憧、ありがとな。俺、もっと憧に認めて貰えるように頑張るからさ」 憧「……」 京太郎「……?あ、憧ー?」 憧「――――きゅぅ」 穏乃「憧が倒れたぁぁぁ!?」 京太郎「何ぃぃぃぃぃ!?」 え、ちょ、何で!? 919 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 23 09 04.85 ID 1uZxanBCo [21/29] 【8月21日:昼】準決勝ですのよ 準決勝。 現在は中堅戦の真っ最中、というところだ。 俺は穏乃と一緒に会場内を移動しつつ、あとどれくらいだろうか、と考えた。 京太郎「白糸台の渋谷さんの役満も怖いけど、千里山の江口さんがやばいよなぁ」 穏乃「火力あるからねー、先鋒で取れなかった分稼ぎ直してるって感じだね」 俺と穏乃の手にはジュースのボトル。 買った量が少なかったこともあり、結構早く切れてしまった。 そんなこんなで穏乃に手伝って貰い、買いにきたのだ。 だけど宥さん、この時期にホットは厳しいっすよ、探すの。 いや、なんとか見つけましたけどね。 しかし、あれだ。 こう暑いと海とか行きたくなるな。 長野に住んでた頃なんか、海なんて新潟にでも抜けないと行けなかったしなぁ。 個人的には川なんかでもいいんだけど。 川水浴とか、案外風流な気がしなくもない。 小蒔「海でしたら、昨日タイミングが会えば一緒に行けましたのに」 京太郎「いやぁ、そいつは残念でしたよ」 小蒔「はい、とっても」 京太郎「はっはっは……」 小蒔「うふふ……」 京太郎「……」 小蒔「………」 京太郎「………何時の間に?」 小蒔「京太郎様が海に行きたそうな顔をしていた時からです」 すげぇな神代さん。 ステルスと読心術使えるのか。 って違う!! 穏乃「あれ、その人誰?京太郎」 京太郎「え、えっと……」 小蒔「さあ……ご想像にお任せしますね?」 京太郎「……いや、本当にどういう関係でしたっけ!?」 おかしい! なんかおかしいぞ!! 俺、この人がこうだっての受け入れてねぇか!? あ、あれー? 951 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/02/28(木) 23 31 24.23 ID 1uZxanBCo [25/29] 【8月21日:夜】準決勝終了ー 長い戦いが、終わった。 ああ、なんというか。 見てるだけで疲れる、というような展開だった。 それは確かだろう。 かなりの激戦だったのだ。 準決勝大将戦という戦いは。 京太郎「まぁ……」 穏乃「うん…」 灼「そうだね……」 宥「終わった、んだよね……」 そうだ、終わった。 あの長い戦いは。 俺たちが、決勝に足を進める、という形で。 胸にあるのは、寂しさにも似た感情なんだろう。 燃え尽き症候群。 そういうのと似てるかも知れない。 穏乃は、大将戦の熱が冷めてしまったから。 鷺森さんは、師の思いを決勝に繋げれたから。 宥さんは、きっとそんなことはなく、ふんわりと微笑んでるだろう。 誰かが言った。 頂上が見えると、人は安心する。 それと同時に、虚無感を覚える。 有名なプロ雀士の言葉だったような、違ったような。 それを置いても、俺は顔を叩き「よっしゃ!」と声を張り上げた。 京太郎「次、決勝ですよ!決勝!!」 穏乃「お、おー…?」 灼「あ、そうだね……そっか、決勝だ……」 宥「うん、決勝だね」 京太郎「穏乃、鷺森さん、しっかりしてくださいよ……」 ……いかんなぁこれ。 気力を回復。 それが明日にでもやんなきゃいけないことかも知れないな。 540 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/04(月) 21 34 38.90 ID CR+GJ5Z2o [14/39] 【8月22日:朝】 準決勝から一夜明けて。 俺は眠りが浅かったせいか、妙に早く目を覚ましていた。 シャワーでも浴びれば良い時間になる。 そんな思いもあったが、結果としては本当に時間に変化は無い。 カラスの行水。 そんなつもりは無いけど、あれだ。 女子の入浴と比べればやっぱりそういう時間差はあるだろうな、うん。 飯まで時間あるし、散歩でも行くか。 そう思って俺は部屋を出る。 しかし、あれだな。 昨日の熱気がまだ体に残ってるみたいだ。 寝つきが悪かったのも、きっとそれだ。 極度の興奮状態、とか。 そういう感じ。 他の皆は寝れたんだろうか? 俺であれだから、あんまり寝れてない気がするんだけども。 そんなこと考えながらホテルの外に出ると、見覚えのある背中。 宥さんと、穏乃だ。 その二人並んだ間から見える少女。 なんというか、絵本の中から出てきたような、そんなふわふわな……あれだ、ゴシックロリータ?とかいうファッションだろうか。 そんなレースを多く使った服に身を包む小柄な少女と、目が合う。 目が合ったのは片目だけ。 眼帯のように、リボンで少女は右目を覆っているのだ。 前者の服装と合わせ、個性的。 いや、個性的というかもはや属性の塊みたいな感じだ。 そう、これで中高年生がかかるという一種の選民的思想。 所謂中二病だったら数え役満だ。 例えば、「“ご機嫌いかが(ハロー)”――――“怪物さん(モンスター)”」とか。 ……怪物で白糸台の照さんが思い浮かんだ俺は、悪くない。 京太郎「二人とも、どうしましたー?」 この間、わずか数秒ッ! そんなナレーションを合間に挟みつつ、俺は宥さんと穏乃に声をかける。 二人も気づいたのだろう。 こちらに振り向くと、それぞれ声をかけてくれた。 穏乃「おはよ、京太郎」 宥「おはよう、京太郎君」 567 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/04(月) 22 15 03.71 ID CR+GJ5Z2o [18/39] 京太郎「うっす、おはようございます……それで、そちらの人は?」 宥「前に、練習に付き合ってくれた東海王者の対木さん」 穏乃「個人戦にも出てるんだよ!」 京太郎「あ、その節はどうも…」 俺が居なかった時の知り合いだったか。 ぺこりと俺が頭を下げると、向こうもぺこりと頭を下げる。 服装はあれだけど、髪型と体格が知り合いに似ている。 今のお辞儀も、何故かあいつを思わせた。 ぺっこりん。 もこ「………」 その思い返すような視線。 それに気づいたのか、こちらを見上げる片目がくりりと丸い。 思わず見返す。 見つめあう俺と対木さん。 ……何故か、急に顔を逸らされたけど。 何でだろうか。 573 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/04(月) 22 22 43.89 ID CR+GJ5Z2o [19/39] 【8月22日:昼】 何やらぼそぼそと呟きつつ、ふらふらとどこぞに行ってしまった対木さん。 それを見送った俺たちは皆と朝食を済ませ、それぞれ自由行動となっていた。 とは言っても、俺は個人行動にならないのだけれど。 宥さんと穏乃。 その二人とよく接触するのだ。 俺は今も一緒にいた。 やってることはそれぞれ別だけど。 京太郎「あの」 穏乃「え?どうしたの?」 宥「京太郎君?」 京太郎「あ、穏乃。用事は宥さんにあるんだ」 穏乃「あ、ごめん…」 宥「それで、何かな?」 妙にうれしげな宥さん。 しょぼくれる穏乃。 それからしばらくして、今度は逆パターン。 穏乃に用事があると、宥さんが落ち込む。 そんな循環に陥っているのだ。 なんでだろう。 俺、何も悪いことしてないよな? 実に居心地悪いぞ、これ。 いや、そんなことないか? 二人とも笑顔だし。 うん、あれだ。 気のせいだな。 二人のタイミングが妙に被った。 それだけに過ぎないんだろう。 うんうん。 仲の良い姿しか見えないし、きっとそうだろうな。 619 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/04(月) 22 47 00.42 ID CR+GJ5Z2o [23/39] 【8月22日:夜】 灼「ということで、明日は予定通り決勝に向けての調整、ってことで……」 灼さんの一言。 それによって会議が終わる。 風呂がまだだったのだろう。 穏乃と玄さんが真っ先に部屋を出て行き、残ったのは俺、灼さん、憧、宥さんだ。 何するか。 そう思ったが、ここは俺の部屋。 皆が居なくならないと私事も出来ないだろう。 見れば、宥さんは俺のベッドの布団に包まって震えている。 憧は牌譜と睨めっこ。 灼さんはグローブの手入れ中だ。 というか宥さん。 それかなり雀の涙な気がします。 夏の布団なんて薄いもんばっかりですしおすし。 そんな願いは通じる訳も無い。 無為に過ぎていく時間。 不意に、灼さんが口を開いた。 灼「決勝……」 その呟き。 一日が過ぎて、実感する。 今は、決勝に備えている。 その事実に。 それぞれ、敗退していった相手高校との知り合いも出来ていた。 負けるな。 そう背中を押された人も居る。 阿知賀はそれが特に顕著だろう。 全国各地で、そう背中を押されていったのだから。 憧「やれるだけ、やるしか無いですよね」 宥「うん……そうだね」 灼「色んな人の思いを背に、受けてるからね」 くすりと、笑う。 なんというか、うん。 なんか、気持ちのいい空気だ。 これがずっと続けば、いいな。 675 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/04(月) 23 08 51.47 ID CR+GJ5Z2o [32/39] 【8月23日:朝】 ――――京太郎君は、ひどい子だ。 いつも皆の視線を集めている。 ほら、今日もまた。 シズちゃんも、憧ちゃんも、玄ちゃんも、灼ちゃんも。 京太郎君に視線を向けている。 無自覚な優しさ。 それに気づけば惹かれているのだ。 皆も。 私も。 それがとても嫌なことだ。 そう思う自分が居る。 最初は認めたくなかった。 嘘だ。 こんなことを考えるなんて、私じゃない。 きっと私の中にもう一人の私が居るんだ。 そうじゃなきゃ、あんなこと思わない。 皆が京太郎君に向ける顔。 その笑顔がとても汚いものに見えたなんて。 ああ、駄目。 そんなのは嘘にしか思えない。 でも。 こうも思うと、納得してしまう。 『皆は、敵なんだ』 その一言。 それだけで何も悩まず、断じることが出来る。 玄ちゃんも、シズちゃんも、憧ちゃんも、灼ちゃんも。 そして、もう一人増えた巫女さんも。 全部敵。 全部、敵。 820 名前: ◆VB1fdkUTPA[!red_res] 投稿日:2013/03/06(水) 23 59 15.57 ID xgRrhZ2go [2/2] そっか。 敵は、倒さなきゃいけない。 京太郎君を私から離してしまうのなら。 “○○”しても、離さなきゃ。 だって、京太郎君はあったかいから。 あったかいから。 他の人にそれを取られたく、無いなぁ。 ………そうだ。 取られたくないなら、取られない方法を取ろう。 例えば、京太郎君を取られないように隠しちゃうとか。 例えば、もうあの子たちが京太郎君の前に出れないようにしちゃうとか。 例えば、京太郎君が私を必要としてくれるようにするとか。 ふふふ、と。 口元をマフラーに隠して笑う。 そうだ、そうしよう。 いっしょに、あったかくなろう。 そうすれば、京太郎君だって。 京ちゃんだって、“私”から離れていかないよね? ね……? 823 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/07(木) 00 03 37.32 ID 7H4LaEISo [1/17] 【8月23日:昼】 朝。 俺はまた偶然と出会った巫女さんこと、神代さんと会話を交わした。 言ってることは何かとあれだったが、そこに悪意なんてものは無い。 むしろ何処までも楽しげで、微笑ましい気持ちになる。 そんな気持ちのまま迎えた、今日。 俺は穏乃と会話したり、また今では宥さんと会話していた。 やることはある。 というより、ここまで来ると慌てて動く方が逆効果だ。 決勝は明日。 それに備えるというのも、メンタル面での調整の仕事だ。 まぁ、と俺は思う。 穏乃が一番リラックスしているだろう。 逆に玄さんはまだ固い。 それを払拭するため、憧と灼さん、赤土さんが付きっ切り。 宥さんと共に過ごしている時間が長いのも、それが理由かも知れない。 しかし、あれだな。 なんというか、二人っきりってのは恥ずかしい。 宥さんがにこにこしてる、というのもある。 それもあるが、なんというか。 ……なんというか、宥さんが近い。 距離が妙に近いのだ。 ソファーは3人がけ。 余裕はあるけど、近いぞこれ。 宥「京太郎君」 京太郎「な、なんでしょう」 宥「……ごめんね、何でも無いの」 くすくす、と笑う宥さん。 からかわれた、のか? 子供っぽく笑う宥さんにそんな感情が浮かぶ。 いや、むしろギャップがあって非常にいいのだけれど。 それからまた時間は過ぎていく。 気づけば、宥さんは俺の肩に頭を預けて眠っていた。 ……やばい、ちょっとずつずれておもちが当たってる……!! 848 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/07(木) 00 28 51.67 ID 7H4LaEISo [4/17] 【8月23日:夜】 京太郎「………はっ!?」 いかん、寝てた!? 俺はソファーに背を預けたまま上を向いた状態で寝ていたらしい。 ゆっくりと、妙に固まった首を解しつつ曲げる。 そうだ。 宥さんが寄りかかってきて、動こうにも動けなかったからそのままにしていて。 気づけば、寝てた……のか? たぶん。 きっと。 俺は腕時計を見る。 だいたい、一時間くらいか? そんなには寝ては無いらしい。 そこまで考えて、体が違和感を感じる。 なんか、体に乗ってる。 視線を、下に。 見れば、そこには宥さんの顔。 ……ああ、そういうことか。 ずれて、俺にしな垂れかかってる感じなのか。 いやーっはっはっは。 京太郎「憧に見られたら殺される……!!」 宥さん!宥さん! お願いします! 起きてください!! ああくそ体全体があったっけぇな!! 宥さんの体やわらけぇなぁ!! しかも「ん…」とか色っぽい声漏れてますから! やめてください、しんでしまいます。 宥「あったかぁい……」ギュッ さらにきつくホーミタイ入りましたぁ!! 893 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/07(木) 00 56 04.16 ID 7H4LaEISo [10/17] 【8月24日:朝】決勝戦は朝~昼なのよー 決勝戦、当日。 思えば、遠くに来たものだ。 そう俺は思っていた。 決勝戦だ。 決勝戦。 この時点で、阿知賀の皆は全国において4位の地位。 そこに納まっている。 その道。 思い返せば数ヶ月しか俺には無い。 だけど、その中で皆が積んできた努力。 それは知っている。 努力した。 苦心した。 足掻いた。 上を向き続けた。 決して諦めなかった、時間だった。 その努力が。 願いが。 報われる時が来たんだろう。 俺は朝早くから自分の仕度を終え、一人牌譜を眺めていた。 今の俺が出来ることは無い。 これだって、落ち着くためだ。 ふぅ、と息を吐く。 こういう時、何か出来ればいいんだけどな。 一つのことに集中すると気がまぎれるし。 そう思ってたとき、部屋をノックする音。 はて、誰だ? そう思いつつ、俺はドアを開く。 そこには、シャツとスカート姿の宥さんが居る。 ……あれ? セーター着てないぞ? 宥「こ、こここにわすれれちゃっててて……!」ガクガク 京太郎「ちょ、取り合えず中に入ってください!」 身を抱いてガタガタ震える宥さん。 シャツ一枚だからこそ分かるおもち。 実にすばらである……って違う!! 974 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/07(木) 01 47 10.16 ID 7H4LaEISo [14/17] 俺は宥さんを部屋に招き、そして部屋を探す。 セーター、セーター。 あった、椅子の裏。 それを拾い上げて、俺は宥さんの元に。 ちょっと目を離した隙に人の布団に丸まってる宥さんの前にセーターを持っていくと、セーターがすっぽりと引き込まれていった。 あれだ。 巣穴にひまわりの種を溜め込むハムスターみたいな、そんな感じだ。 もぞもぞと脈動する布団。 内部から微妙に聞こえる衣擦れ音。 なんというか、うん。 青少年の育成に多大な影響を及ぼしそうな感じだ。 きっとそうだろう、そうに違いない。 しかし、その脈動は止まる。 それに思わず、不審顔。 はて、一体どうしたんだ? 宥「………すぅ…」 京太郎「寝ないでください!!」 宥「あう」 こ、この人。 油断も隙もねぇというか、なんか変だぞ!? 誰だって、負けたくない。 負けて悔しいと思わない人間なんて、いない。 その感情の変化する先。 それが怒りなのか、悲しみなのか、屈辱なのか。 それは千差万別、人それぞれだ。 玄さんは、その中では“悲しみ”へと感情が向かう人だった。 本選第二回戦でも、悲しみに包まれた人だった。 今回の、試合。 決勝卓。 それは言うならば、殲滅だった。 照さん―――宮永照。 彼女によって、決勝卓の先鋒は今まで以上の混沌を示していたのだ。 玄さんは火力を抑えた。 清澄―――片岡選手は火力を捨て、速度を上げた。 臨海―――辻垣内選手はその両者のサポートを受け、照さんを押さえ込んだ。 恐らく、千里山の園城寺さんや花田さん以上に。 だけども、それは届かない。 結果としては。 点を失う清澄と阿知賀。 少しながらも+出資に持ち込んだ臨海。 そして、2回戦、準決勝と同じように稼いだ白糸台。 それに明確に分かれた、試合だった。 絶対王者。 それがまさに白糸台なのだと。 そう示すように、無言で試合終了のブザーに耳傾ける照さんの姿が、印象的だった。 宥「―――それじゃあ、行ってくるね」 宥さんが立ち上がる。 その時、俺に小さく目配せ。 それが意味するものを理解して、俺も立ち上がる。 見れば、とぼとぼと。 歩いてくる玄さんが見えた。 宥さんを視界に、玄さんが移したと同時にぽたりと。 涙が零れ落ちる。 あんなに頑張ったのに、と――――そう叫ぶように。 玄さんが、宥さんの胸に顔を落としていた。 209 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 22 07 55.35 ID jKLDaReGo [4/17] 《間もなく、決勝戦次峰戦が開始します。選手は卓に移動してください》 京太郎「……宥さん」 宥「うん……玄ちゃんを、お願いね」 アナウンス。 それと同時にゆっくりと、宥さんが玄さんの肩を押す。 引き離すように、しかし、優しげに。 玄さんはまだ泣いていた。 泣いていたが、自分のやるべきことも理解していた。 震える声で。 宥さんへ、笑いかけていた。 玄「がんばって――――お姉ちゃん!!」 宥「うん、お任せあれっ♪」 そう、お茶目に笑みを浮かべる宥さん。 それに小さく、玄さんが笑う。 そうして、宥さんが去っていった後。 俺は小さく笑みを顔に貼り付けたまま玄さんに話しかけようとして――――その表情に、体が硬直する。 玄さんの表情。 先ほどの小さな笑みはない。 あるのは、暗い感情だろうか。 恐怖とも言えるだろう。 自分の全てを否定された、そんな顔だ。 玄さんの全てを否定し、排除された。 そういう、試合だ。 今、玄さんは所謂虚脱状態。 無力感に包まれているのだろう。 言葉をかける、ということが出来ない。 俺は何も出来ないのだから。 今、この場で彼女を理解できる人である宥さんは試合へと行ってしまった。 だから。 だから、今の俺が出来ること。 それは――――。 京太郎「………玄さん、散歩にでも、行きませんか?」 210 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 22 16 56.49 ID jKLDaReGo [5/17] 会場の外に出る。 少し曇り空。 もしかすると夕立になるかも知れないな、と思う。 前を行く俺。 後ろについてくる、玄さん。 暫く歩く。 歩いて、立ち止まる。 ベンチ。 そこに何も言わず腰掛けると、玄さんも隣に腰掛けた。 さて。 会場内に居るよりは開放的。 そう思って連れ出してみたが、どうしようか。 正直、ノープランだ。 ただ言えるのは、俺は女の子の涙が苦手であるということ。 そしてもう一つ。 俺には、これくらいしか出来ないということ。 気づけば、玄さんの肩を抱き寄せて。 俺は自然と、頭を撫でていた。 怒るかな? そう思ったけれど、そうじゃなくて。 静かに、とても静かに。 涙を流す、玄さんの嗚咽。 それが俺の耳に、響き渡っていた。 時間は、そろそろ中堅戦になるだろう。 でも、今は。 今くらいは、皆を信じてここに居たい。 玄さんが、笑顔で皆の下に戻れるように。 きっと。 { | | 〃〃 .. ; .. 〃〃 ! | } { i | |i ′ | } リ | 从 ____ 从 j } { | . {个 ... `ー´ ... 个 / リ ニタァ… { 八 乂........〕ト r<......} / 八 { \(⌒^..........`"""""´.........ノイ / \ 八 「`.................................................八 /"', 丶 / V V.............................................../ /......} ,. / √V V゙"*。.,.............................../ /"""`ヽ ′ / | V V i""""了i'""""/ / Y , 237 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 22 38 00.94 ID jKLDaReGo [6/17] そうして、俺たちの夏は―――終わる。 決勝卓、決勝戦。 そこで起こる、一つの戦い。 その結果は、語るべきじゃない。 誰も、知っている。 そこには勝者と敗者。 そのどれかに分かれていたのだから。 一つ、最後に言うとすれば。 俺たち、阿知賀は。 全員が全員、笑顔で。 笑顔で、その結果を受け入れていた。 その事実が、あった。 ホテルへと戻る。 どんちゃん騒ぎをしてからで、皆部屋に戻っていた。 当然、俺も。 しかし、こう終わってしまうと寂しい。 花火も、桜も。 ぱっと咲いて、ぱっと散る。 そんな刹那的な輝きに魅せられる日本人の感性だろうか。 今もそんなものだ。 祭りは行くまでが一番楽しく、終わった後は空しい。 そういうのは、本当に楽しめたから。 きっと、そうだからだ。 京太郎「………はぁ」 ぼふん。 ベッドに倒れこみ、俺はため息を一つ。 これはこれで、妙な感覚だ。 俺だって、阿知賀の一員なんだ。 それを再度実感するような、そんな感覚。 きっと、来年も。 来年は、きっと。 京太郎「……って、ノック?」 なんだなんだ? 今朝に似たような展開があった気がするぞ? そう思いつつ、俺はドアの鍵を解除した。 239 名前: ◆VB1fdkUTPA[!red_res] 投稿日:2013/03/09(土) 22 40 47.84 ID jKLDaReGo [7/17] / `ヽ, / , ′ / / { ′ , / ′ { │ ′ │{ │ | | { ノ !八 トミ ! | } ―――こんばんは、京太郎君 │ { | | \ | l\ . | | } { | 从 |\|i \|\| \ | | } { | ! 斗云f f云ミ `| | } { | | しzノ しzノ | | } { | | 〃〃 .. ; .. 〃〃 ! | } { i | |i ′ | } リ | 从 ____ 从 j } { | . {个 ... `ー´ ... 个 / リ { 八 乂........〕ト r<......} / 八 { \(⌒^..........`"""""´.........ノイ / \ 八 「`.................................................八 /"', 丶 / V V.............................................../ /......} ,. / √V V゙"*。.,.............................../ /"""`ヽ ′ / | V V i""""了i'""""/ / Y ,. / | V | 乂___ノ ,乂___/ / / } ′ / | }ノ} | {_____} {_____{ { / 八. / { | } 八 V / { { .′ /.....\j } {/i{ 叭i jイ八` ∨ / 乂{ヽ{ /.............} ノ { 八 {...{ ´ \ V / /}.............八/\. /......\ {...V ヽ δ / }.........ノイ........... \. /.................`.....V } / ノ.................................. \ 264 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 23 02 40.66 ID jKLDaReGo [8/17] 京太郎「ゆ、宥さん?どうしたんです、こんな時間に」 宥「ごめんね、昼間のことなの」 入っていい? そう尋ねる宥さんに俺は「部屋に変なものないよな……な?」と、自分の脳内を思い返し、どうぞ、と頷く。 今出てるのは何枚かの服と、雑誌。 それも週間漫画のそれだ。 問題ないだろう。 部屋に入る宥さん。 お茶でも入れますよ、と俺。 それににこりと、宥さんが笑った。 宥「ありがとうね、京太郎君」 京太郎「いえいえ、これくらいしか出来ませんから」 紅茶でいいかな。 そう考えたが時間を見て改める。 紅茶のカフェイン含有量はコーヒーよりも多い。 コーヒーにしておこう。 ミルク大目のカフェオレ仕立てにすれば、そんなに気にならないだろうし。 そんなこと思いつつ、俺は手元で作業を続けながら声をかけた。 京太郎「それで、昼間のことなんですけど……」 宥「うん。玄ちゃんに接しててくれたよね?玄ちゃん、それですっごく楽になったみたいなの」 京太郎「そうですか……うん、よかったです」 宥「だから、そのお礼を言いに」 えらく“らしい”理由だ。 となると、お茶は長いさせるような理由になってしまうか。 そうは思ったが、何か含みある。 そんな気配を感じた。 俺は少し身構えつつも、カップを渡す。 宥さんはそれを両手で受け取ると、「あったかい…」と。 そう漏らしていた。 275 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 23 11 20.52 ID jKLDaReGo [9/17] 俺も一口。 砂糖は抑え目のカフェオレだ。 俺はこういうミルクたっぷりの砂糖少な目。 そういう飲み物を好む。 ココアの砂糖少な目ミルク大目とか、実に好物だ。 カロリーも抑えれて、なおかつ味もしっかり、カルシウム摂取も出来る。 効率的ではあると思う。 京太郎「それで、何ですか?」 宥「……終わっちゃったな、って思って」 終わっちゃった。 それが意味するのは今日の試合。 大会が、ということだ。 「そうですね」と俺。 一口、またカフェオレを啜り、「でも」と口を開いた。 京太郎「でも、また来年があります。来年には絶対に全国一位に……っ!!」 宥「……」 自分の喋る内容。 それに慌てて口を噤む。 そうだ。 宥さんは、三年生。 もう、来年は無い。 これが最初で―――これが最後だったのだ。 宥さんが笑みを浮かべる。 自然と、「すみません」と。 俺は頭を下げていた。 京太郎「すみません……俺、無神経なこと……」 宥「ううん、大丈夫……それでね、話はそのことなの」 京太郎「は、はあ……」 困惑する俺。 来年のこと。 それを言われると、俺は何のことだろうか、と考える。 そんな俺に、宥さんは微笑んだ。 宥「来年は、もう私が居ないから……玄ちゃんも、皆も……京太郎君が支えて上げて」 283 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 23 19 31.06 ID jKLDaReGo [10/17] 京太郎「宥さん………」 宥「私は、皆とは一番付き合いが浅いから……それでも、玄ちゃんとはよく接せれたけど…」 つまりは、皆を支えて欲しい。 そう、宥さんは言っているのだ。 確かに、と。 俺は考える。 宥さんは、皆から頼りにされていた。 それこそ、本当のお姉さんのように。 でも、自分は居なくなる。 近い内に、確定した未来だ。 だからこそ、自分の分も。 宥さんは皆の支えをと、俺に頼んでいる。 そういう、ことなんだろうか。 京太郎「なんで、そんなに……」 そんなに、嬉しげなんですか。 そう問いかけようとして。 宥さんが俺の唇に人差し指を当てることでその先を言わせない。 そのまま、その指を自分の口元に、シーッ、のポーズ。 片目を閉じた宥さんが小さく、笑みを浮かべていた。 宥「―――私、お姉ちゃんだから」 京太郎「……!」 ……少し、どきりとした。 というかドキドキしてる。 宥さんの新しい面を多く見せられた。 そんな気分が、あった。 だから、だろうか。 俺は気づけば、口を開いている。 自然と。 宥さんの顔を、見つめて。 まるで引き込まれるように。 宥さんの手を、しっかりと握って。 京太郎「そんなこと、言わないでくださいよ!」 京太郎「俺が、宥さんと皆の絆を断ち切らせませんから―――!!」 293 名前: ◆VB1fdkUTPA[saga] 投稿日:2013/03/09(土) 23 28 28.33 ID jKLDaReGo [11/17] .| | |ハ | | | \ ||| .}′ \ヽ/ Ⅳ . _ハ ド、 |ヽ、| | ,\ ヽ _, ────―――――。 { 、 { ヽ 、____ ハ \ ー-- ̄>-- | | \ 、 ___, | \  ̄ ̄ ̄ ふと。 宥さんの唇が、歪んだように見えた。 だけど、次の瞬間には表情は違う。 まるでどう言えばいいか分からない。 そんな、そんなもやもやとした可愛らしい表情。 気のせい、か。 うん、きっとそうだ。 気のせいだろう。 俺は未だに宥さんの手を握っているせいか、少し恥ずかしげな宥さんと目がまた合う。 慌てて、手を離す。 少し、目を逸らしてしまう。 くそ。 何だ俺、顔赤いぞ。 そんなことを知ってか知らずか。 宥さんはことん、と。 俺の肩に、まるでそれが当然のように。 ゆっくりと頭を預けて、呟くのであった。 宥「あったかい……」 《END:限りなく自分の手を汚さないで男を墜とす方法その1》