約 971,237 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6100.html
第十四章【小悪魔テク! 女子力粉砕スーパーノヴァ!】 アフター モグモグ 照「私はね、京ちゃんの一番になりたいわけじゃないから」モッキュモッキュ 菫「そうか。まぁ、それも一つの愛の形だろう」モグモグ 照「菫は?」 菫「私に聞いてどうする?」 照「一番になりたいって思う?」 菫「……さぁな。私はまだ、好かれてもいないだろうからな」 照「そんなこと無い」 菫「そう、だと嬉しいな……やはり」 照「うん。京ちゃんに好かれたら、それだけでいいもん。仮に、私が一番じゃなくても……」 菫「照……」 カランカラーン 京太郎「おい淡、本気でこんな場所に入るのか?」 淡「大丈夫だってー! それに、ほら!!」 照「えっ!?」ビクッ 京太郎「照、さん……? 弘世さんも!?」 菫「なっ!? なぜお前たちがここに!?(わざわざ逆方向に進んだというのに)」 淡「えへへ、偶然だねー♪ じゃあみんなでスイーツ食べ放題だー!!」 照「あ、淡……?」 淡「テルー。この淡ちゃんは! 実力で奪い取ると決めたのー!」 照「え?」 淡「……見逃して貰って、勝ち逃げなんてダサイじゃん? ねっ♪」ウィンク 照「……淡。ふふ、その言葉――後悔させてあげる」 淡「望むところだー!! あちょー!」 菫「(たくっ。お互いに誰に似たんだか……)」クスクス 京太郎「照、さん」 照「……んっ」 京太郎「隣、いいですか?」 _. . ――― . . ,. ´ ` 、 / \ . ' / , 、 ヽ ヽ / / / / , | ! | ∨ ∧ , / / / / 、 .ト、 | | { | .| | . / 〃 / /| 从-、} 、 .|-从}-Ⅵ | | | / ィ { |r----从\ |, ---- ミ , / ,  ̄´ | }从 { ⌒Y ∨ ⌒Y } /}/Y ′ | / 乂_ノ 乂_ノ / イ / ,′ | { //// ////r- ' / 从 乂 ^ー( イ / / ∨ { 从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_ 从 イ / \| / \ ∨^/ />/' } / / |乂\∨_,イイ/ } {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉 {`ー∧ / ∧ .、 |- r' __________乂ノ 「iY{ /__} ./, -=- } _____  ̄`, {====}-、 ̄ ̄ ゝ ――‐ ' 照「うんっ……//」ギュッ 女の戦いはッッッ!! ドロドロばかりが能じゃないッッッ!!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/878.html
京太郎「ロン。 二本場だから5800は6400だ」 優希「あいたたー…、また降っちまったじぇー」 京太郎「よーっし、連チャン連チャン」 和「あら……いい待ちですね」 まこ「うむ、いい引っ掛けになっとるな」 京太郎「たまたまっすよ。優希だからこそ引っ掛かったんでしょうし」 優希「な、なにー!」 京太郎「ははっ」 久「最近の須賀くん……調子良さそうね」 咲「そうですねー」 久「良い練習相手でも見つかったのかしら……?」 咲「さあー? どうでしょうねー」 久「ま、私には遠く及ばないけどね」 咲「そうですねー」 久「……咲?」 咲「今日も良かったね、京ちゃん」 京太郎「そうだな。 久々に連チャンした気がするわ」 咲「引っ掛けも上手く決まったし、良い感じだよ。 部長も褒めてたし」 京太郎「部長がそんなことを? そりゃ嬉しいな」 咲「……私も…嬉しいよ?」 京太郎「ああ、そうだな。 ありがとう、咲」 京太郎「お前に褒められるのが一番嬉しいよ」 咲「……えへへ」 京太郎「今日もやるか?」 咲「勿論。 予習復習は大事だからね」 京太郎「んじゃ、また5時頃な」 咲「うん! 待ってるからね!」 咲(今日の京ちゃん。カッコ良かったなぁ……) 咲(京ちゃんに麻雀教えるのがこんなに楽しいなんて思わなかった……) 咲「もっともっと京ちゃんに麻雀を教えなきゃね」 咲(……ダメダメな京ちゃんが一番だけどっ) 京太郎「ロン。 タンピンドラ1赤1で7700」 咲「うん、いいね。 牌効率もわかってきたんじゃない?」 京太郎「ボチボチだけどなー。 基本的なことしか出来ないし」 咲「それでいいんだよ、京ちゃん。 基本無しの応用なんて出来ないんだから」 京太郎「さすが元文学少女。 言うことは真面目だな」 咲「もう……今でも本は読むよ…」 京太郎「へぇ、最近は麻雀ばっかりだと思ってたけど。 どんなの読むんだ?」 咲「え? それは……その……」 京太郎「?」 咲「べ、別に関係無いでしょ! 今は麻雀! ハイ、集中!」 京太郎「な、なんだよいきなり」 咲「い・い・か・ら!」 京太郎「お、おう……」 咲(幼馴染とのラブコメばっかなんて言えるわけないよ……) 咲「ん……カンッ!」 咲「ツモっ! ツモ嶺上開花三暗刻ドラ4……倍満ですっ」 京太郎「っ、かー! 一気に逆転された―!」 咲「ふふっ、私に勝つのはまだまだ早いよ? 京ちゃん」 京太郎「今日は行けると思ったんだけどなー……」 咲「それじゃあ罰ゲームだよ、京ちゃん」 京太郎「これも恒例化してきたな……」 咲「はい、どーぞ」スッ 京太郎「せめて楽なのでありますように……」ゴソゴソ 京太郎「っと……。 どれどれ?」スッ 京太郎「……うっ」 咲「何だった?」 京太郎「お、幼馴染に……膝枕」 咲「膝枕かー。 じゃあやろうかー」 京太郎「いや……これはちょっと」 咲「なんでー? 楽なのがいいって言ってたじゃんー。 膝枕は楽なほうだと思うけどなー」 京太郎「そうだとしてもこれは……」 咲「京ちゃんー? これは罰ゲームなんだよー?」 京太郎「鼻息荒いよお前。 落ち着け、どうした」 咲「京ちゃん、これを見て?」 京太郎「あん?」 咲「ひーざーまーくーら」 京太郎「おう」 咲「しなきゃ!!」 京太郎「……はい」 咲「あー」 京太郎「………」 咲「うー」 京太郎「………」 咲「あうあー」 京太郎「………」 咲「んふー」 京太郎「………」 咲「んふふー」 京太郎「………」 咲「ふぅ……。 お疲れ様、京ちゃん」ツヤツヤ 京太郎「……罰ゲームの途中いつもお前があげてるあの奇声はなんなんだ」 咲「え? ……ああ」 咲「ああでもしないと正気が保てなくて」 京太郎「……は?」 咲「ハイ! 今日はここまで!」 京太郎「おう、ありがとうございました」 咲「……こちらこそ」ボソッ 京太郎「ん?」 咲「な、なんでもないよー」 京太郎「また明日な」 咲「うん! 今日やったこと、明日に活かせるようにしとくんだよー」 京太郎「……膝枕をか」 咲「そ、そっちじゃないよお!」 京太郎「ははっ」 咲「……もうっ、京ちゃんはー!」 京太郎「……おやすみ、咲」 咲「うん。 おやすみなさい、京ちゃん」 京太郎「ん、きたきた」 京太郎「リーチっと」 久「あら、早いわね」 和(牌効率がわかってきてる……? もう初心者とは思えなくなってきましたね) 優希「う……うーん……。 こっち!」 京太郎「ところがどっこい、ロンだ」 優希「うげー!」 まこ「なんじゃ京太郎のやつ。 最近強うなってきたのう」 咲「えへへー。そうですよねー。 京ちゃん、強くなってきてますよねー!」 まこ「な、なんじゃ急に……」 咲(京ちゃんがまたほめられた! 嬉しいなぁ!) 咲「……えへへー」 まこ「……?」 和「ツモ。 6000オールで終了です」 久「お疲れ様。 流石は和ね」 和「どうも」 京太郎「あー……逆転されちゃったか……」 和「……あれ……」 和「須賀くん……テンパイしてたじゃないですか」 京太郎「ん……いや、そうなんだけどさ。 この点差じゃリーチかけても届かねーなと思って。 変化待ってたんだけど……」 和「ああ、でしたらこっちでリーチをかけるといいですよ。 単騎待ちとは言え出やすいですし」 京太郎「ん?でも出和了りでも届かないぜ?」 和「いえ、多分……。 ほら、裏ドラが乗ってます」 京太郎「……おお、なるほど! 裏ドラの牌効率も考えるのか!」 京太郎「やっぱ和は凄いなぁ! ありがとう和!」 和「あら……」 和「……ふふっ」 京太郎「牌効率はツモだけじゃない……っかぁ。 なるほどー」 和「須賀くん須賀くん」チョンチョン 京太郎「ん?」 和「……よかったら明日の放課後、一緒に打ちませんか?」 京太郎「えっ」 和「主に麻雀の勉強の為、ですけどね」 京太郎「そんなっ、願ってもない! いいのか!?」 和「ええ。 私なんかが参考になるといいですけど……」 京太郎「参考にならないわけない!」ガシッ 和「あっ……」 京太郎「ありがとう、和!」 和「……ふふっ」 和「どういたしましてっ♪」 咲「和ちゃんが?」 京太郎「ああ。 どういう風の吹き回しだか知らんけど」 咲「ふーん……」 咲「あ、それカンッ」 京太郎「へ?」 咲「っと、ツモ。 嶺上開花ドラ12」 京太郎「は?」 咲「責任払いでトビだよ、京ちゃん」 京太郎「……」 咲「はい、罰ゲーム」 京太郎「おかしい……。 やり始めて10分も経たない内に罰ゲームとは……」 咲「ブツブツ言わない! トんだから3つ引いてね!」 京太郎「お、おう……。 ……何怒ってんだ?」 咲「お、怒ってないもん!」 京太郎「えーっと……」 幼馴染と手を絡ませる 幼馴染と腕を組む 幼馴染にハグ 京太郎「……」 咲「やたっ」ボソッ 京太郎「あん?」 咲「な、なんでもないー」 ―幼馴染と手を絡ませる ギュッ 京太郎「……」 咲「あうっ……あうっ……」 京太郎「……」 咲「きょ、京ちゃん」 京太郎「な、なんだよ」 咲「そ、その……」 咲「もっと強くしてもいい……よ?」 京太郎「……」 ギュウッ 咲「ふわっ……」 咲「うわぁ! わーわーわー!」 京太郎「……」 京太郎( ……隣がうるさくて全然ドキドキしない ) ―幼馴染と腕を組む 咲「それじゃあその……失礼します……」 京太郎「お、おう」 キュッ 咲「あうぁ……」 京太郎「おぅ……」 咲「あう……うあ……」 京太郎「………」 咲「……きょきょ、京ちゃんが…京ちゃんが近い」 京太郎「お、落ち着け。 大丈夫だ傷は浅い」 咲「そそそそっか、京ちゃん……京ちゃんがこんなに……」 京太郎「いや、だから落ち着け」 咲「えへ、えへへへへへ」 京太郎(なにこいつこわい) ―幼馴染とハグ 京太郎「……心の準備は良いか? 咲」 咲「え? 準備って?たかがハグに準備なんて必要なの?」 京太郎「えっ……」 咲「この歳にもなってハグの一回や二回も出来なきゃ高校生としてどうなの?」 京太郎「……」 咲「意外と京ちゃんっておくびょ……」 ダキッ 咲「 ふぁっ 」 京太郎「……きょ、虚勢張ってるのバレバレだっつの……」 咲「 」 京太郎「おい、なんとか言ったらどうなんだ……? ……咲?」 咲「 」 京太郎「き……気を失ってる……」 サキー アッ,オネエチャーン コッチコッチー マッテヨー ―――― ――― ―― 咲「ハッ!!?」 京太郎「あ、起きた」 咲「今……天国でお姉ちゃんと追いかけっこをしてたような……」 京太郎「実のお姉さんを勝手に殺すな」 咲「ああでもなんか……胸がすごくポカポカする……」 京太郎「そ、そうか」 咲「それじゃあ京ちゃん。 今日やったことを明日も活かせるようにするんだよ?」 京太郎「罰ゲームやった記憶しかないんだが」 咲「き、気のせい気のせい」 咲「それじゃあ京ちゃん。おやすみ」 京太郎「おう、おやすみ」 ―翌日 放課後 咲「いい、京ちゃん? 和ちゃんの迷惑になるようなことは絶対しちゃ駄目だからね?」 京太郎「わかってるって」 咲「ホントに解ってる? ……帰ったら講義の成果、見せてもらうからねっ」 京太郎「はいはい」 咲「むぅ……」 和「須賀くーん」 京太郎「あ、はいはーい。 今いくよ-」 京太郎「それじゃ行ってくる」 咲「……京ちゃん!」 京太郎「あん?」 咲「……待ってるから……ね?」 京太郎「……」 京太郎「おうっ」 和「さて、では始めましょう」 京太郎「うん。 何からやるんだ?」 和「これといって特別なことはしませんよ」 和「須賀くんはネット麻雀をしてください。 私は横から見てます」 京太郎「ネトマかー」 和「あ、私のID使っていいですよ」 京太郎「おうサンクス」 京太郎「て……天使なんて段位があるのか……」 和「天使は10段になった後に免許皆伝試験を受けるとなることができますよ」 京太郎「へぇ……なんか難しそうな試験だな」 和「結構単純ですよ。 同じ10段の人と半日打って、ポイント総数で一位になればいいだけです」 京太郎「……半日?」 和「はい。 半日」 京太郎「……」 和「な、なんですか……」 京太郎「いや、やっぱ和はすごいんだなって……」 和「わ、私のことはいいですからっ。 早く打ってください!」 京太郎「あ、はい」 京太郎「……」カチッ 和「……ふむ」 京太郎「……」カチッ 和「……うん」 京太郎「……」カチッ リーチッ 和「……いいですね」 京太郎「……うん」カチッ 京太郎(なんか、気不味いな)カチッ ロンッ 京太郎「……」カチッ 和「……うん」 京太郎「んっ、……」 和「あ、ここはこっちを打つといいですよ」カチッ ムニュッ 京太郎「おおうっ!?」 和「?」 京太郎「あ、いやいや。 ……なんでもない」カチッ 和「そうですか? …あ、和了れますよ」 京太郎「あ、はい」カチッ ツモッ 京太郎(今、背中におもちが……) 京太郎「うぅ……」 和「?」 京太郎「……」カチッ 和「うんうん」 京太郎「……」カチッ 和「いいですね」 京太郎(もっかいおもち来ねえかなぁ……) 京太郎「っと……」 和「あ、そこは……」 京太郎「こっちだな」カチッ リーチッ 和「えっ?」 京太郎「っと来た、カンッ」 カンッ 和「ええっ?」 京太郎「んでもって……」 ツモッ 和「あれぇ!?」 和(理想的1-4-7,2-5の5面待ちを捨てての単騎待ち……?) 和(狙って打った……? いや、でも須賀くんなら打ち間違えって可能性も……) 京太郎「ツイてたよ、和」 和「そ、そうですね。 今のはツイてましたね」 和(や、やっぱりツキですよね……。 良かったぁ……) 和「す、須賀くん。 今のはツイてたから良かったですけど、こっちを切ればより多面待ちになりますよ」 京太郎「え……? ……お、ホントだ。 俺、こういうの慣れないんだよなー」 和「大抵のネトマだと待ちを教えてくれますよね。 私はあまり好きじゃないからその機能切ってますけど……、戻しますか?」 京太郎「いや、いいよ。 自分で考える方が覚えられると思うし」 和「あら……」 和(意外ですね……。 てっきり戻すと思ったんですが……) 和「ふふっ」 京太郎「?」 ―そんなこんなで。 京太郎「ありがとうございました!」 和「お、お疲れ様でした……」 京太郎「だ、大丈夫か? お疲れな様子だけど……」 和「お、お構いなく……」 和(まさか一試合で嶺上開花を4回も見るなんて……) 和(まるで咲さんのような打ち方……) 和(っ、……まさか……?)ジッ 京太郎「? 水、飲む?」 和「……」 和「はい。 ……頂きます」 和(……そんなわけないか)クスッ 京太郎「というわけだったのさ」 咲「へ、へぇー。 それはよかったねー」 京太郎「? なにニヤニヤしてんだ?」 咲「べ、別にニヤニヤなんてしてないよっ!」 京太郎「あ、そう……」 咲(うわっ、わわっ。 どうしよどうしよっ) 咲(京ちゃんが私と同じような打ち方してたなんて……) 咲「嬉しい!」 京太郎「っ、! な、なんだよ突然……」 咲(一試合で嶺上開花4回とかもう偶然じゃないよね!) 咲(むしろここまで来たら運命だよねっ! すごいすごい!) 咲「えへ……えへへへ」 京太郎「いつにも増して不気味だ……」 京太郎「あ、それロン。 8000だ」 咲「うわぁー満貫手に振っちゃったー。 でも5面待ちなんだし振ってもしょうが無いよねーえへへー」 京太郎「うーわ、ワザとっぽい口調。 つーかわざとだろ」 咲「すごいな京ちゃんいつの間にか多面待ちなんてできるようになってたんだねー」 京太郎「和と勉強したってさっき言ったろうが」 咲「すごいなぁ京ちゃんはー。 えらいえらーい」ナデナデ 京太郎「……」 咲「えへへー。えらーいえらーい」ナデナデ 京太郎「……まいっか」 京太郎「おら、連チャンだ連チャン! 次行くぞー!」 咲「はーい♪」 カンッ ! モイッコカンッ ! サラニカンッ ! ツモッ ! ギャー ! 優希「っしゃーロンだじぇー!! 16300!!」 京太郎「げっ、倍満かよ」 優希「一本場のサービス付きだじぇー♪ おらー! 点棒よこせー!」 京太郎「ぐぬぬ」 咲「京ちゃん、別に無理に大きい手を狙う必要は無いんだよ?」 和「そうですよ。 さっきのだって、ピンフで流せる手でしたのに……」 京太郎「わかっちゃいるんだけどなぁ……。 中々大きい手で和了ったことがないもんだから……」 優希「それは流れが読めない証拠だじぇ!」 京太郎「優希……。 流れか……まだ俺にはわからねえな……」 優希「ふぅ……、やれやれ。 ダメ犬を持つと苦労させられるじぇ……」 京太郎「腹立つわぁ……」 優希「ふふふっ、ペットの責任は主人の責任……」 京太郎「?」 優希「喜べ京太郎! いっちょこのアタシがしごいてやるじぇ!」 咲「明日の朝? 優希ちゃんと?」 京太郎「ああ、流れを掴む練習だとさ。 ……朝練なんて中学以来だな」ナデナデ 咲「ふぅん? 何時頃に行くの?」 京太郎「あっちが決める。 多分そろそろメールが来るはず」ナデナデ ♪~♪~ 京太郎「と、噂をすれば。 どれ」 from 優希 『明日午前6時! 麻雀部にて! お前を待つ!』 京太郎「なんで決闘風なんだよ」カチカチ 咲「……」 京太郎「……ふふっ。 アホかっ」カチカチ 咲「むぅ……」 咲「京ちゃん! 手が止まってるよ! 続けなさい!」 京太郎「あ、ああ。 悪い悪い」ナデナデ 咲「んっ……。 ~♪」 ―罰ゲーム:幼馴染の頭を撫でる。 ―翌朝 AM5 50 京太郎「おはようございまーす」ガララッ 京太郎「……あれ? いねえな、アイツ」 「お、おお……主人より先に来るとは……。 殊勝な犬だじぇ……」 京太郎「おわっ! び、ビックリした……。 いきなり後ろから話しかけんなよ……」 優希「おおう……。 きょーたろー……大きい声出すなぁ……」 京太郎「わ、悪い……。 ……随分と眠そうだな」 優希「そりゃあ……一睡もしなけりゃこうなる……」 京太郎「は? 寝てないのかお前」 優希「ベッド入ると……ドキドキして眠気が来なかったんだもん……」 京太郎「翌日が遠足の幼稚園児みてえなこと言うなよ……」 優希「だって……」 優希「京太郎と打てるの……楽しみだったから……」 京太郎「……」 京太郎「あー……。 そりゃ悪かったな」 優希「そうだ……全部きょうたろーが悪い……」 京太郎「んで?どうするよ?」 優希「あー……きょーたろー……」 京太郎「はいはい。 ここにいるよ。 どうした?」 優希「ベッドまでおぶってぇ……」 京太郎「寝る気満々っすね」 京太郎「よっと……、お前軽いなぁ」 優希「あう……ちっこい言うな……」 京太郎「言ってない言ってない。 ほら、ベッドだぞ」 優希「あー……きょーたろー」 京太郎「なんだー?」 優希「あり……がと……」 京太郎「……おう。 しっかり寝ろよ」 優希「んぅ……? ふぁ……」 優希「……タコスの匂い……」 優希「タコス!?」バッ 京太郎「タコスの匂いで起きるなんてお前らしいな」 優希「きょ、京太郎! 今何時だ!?」 京太郎「7時40分くらいか。 まだ寝足りないだろうけど、とりあえずこれ食っとけ」スッ 優希「タコス……。 わざわざ買ってきたのか!?」 京太郎「まさか。 俺特性の朝食用タコスだ。 俺なりに研究して作ってみたんだ」 優希「お、おおお……京太郎特性……!」 京太郎「ほら、冷めねえうちに食っちまえ」 優希「う、うん! 頂きますじぇ!」パクッ 京太郎「……味はどうだ?」 優希「うん! 美味いじぇ!!」 優希「毎日食べたいくらい!!」 咲「……え? 結局朝練しなかったの?」 京太郎「様子が様子だったからなぁ。 食った後は暴眠してたし」 京太郎「だからまた今度の日にすることになった」 咲「なんかふんだり蹴ったりだね、京ちゃん」 京太郎「まぁ優希だからな。 そこら辺は諦めてる」 咲「あははー」 咲(なにこの『アイツのことは俺が一番解ってる感』……) 京太郎「ああ、それと。 試食してもらってた朝食用タコスだけどさ」 咲「ああ、あれ? タコスなのに軽く食べられるから好きなんだよねー」 京太郎「明日から毎朝優希に作ってやることになった」 咲「へぇ~」 咲「………へぇ!!?」 京太郎「あいつが毎日食べたいくらい美味いって言うからさ」 咲「ええっ!?」 咲(そ、それって……) ~♪~♪ 京太郎「……っと、優希からだ」 from優希:『タコスが楽しみで眠気が来ない! どうしてくれる!!』 京太郎「んな理不尽な……」カチカチ 咲「……」 京太郎「……ったく……。 しょうがねえな……」 咲「……むぅ」 京太郎「……ははっ。 アホらしっ」 咲「~~!!」 咲「京ちゃん! メールしてる場合じゃないよ! まだ東風一回しかしてないんだから!」 京太郎「え? 今日はもう終わりってさっき……」 咲「知らないもん! ほら、卓に着いて! 早く罰ゲームするんだから!!」 京太郎「趣旨が違くなってねえか!?」 咲「うー!!」 京太郎「わ、わかったよ。 そんな睨むなって……」 咲「カン! カン! カン! カン! ツモ!」 京太郎「 」 咲「四槓子四連刻四暗刻単騎!」 京太郎「 」 咲「ロン!」 咲「大四喜字一色八連荘!」 京太郎「 」 咲「ロン!!」 咲「純正九蓮宝燈!!!」 京太郎「 」 咲「まだまだいくよ……!」 京太郎「ちょ」 咲(京ちゃんは絶対に……渡さないんだから!!) カンッ! ギャー! ―――――――――― おしまい。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/573.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338852213/ 新幹線車内 照「…」ムスッ 乗客「ねーねー。あの子怖くない?」ヒソヒソ 乗客「ほんとだ。すっごい機嫌悪そう」ヒソヒソ 乗客「彼氏にでも振られたのかな?」クスクス 乗客「しーっ!駄目だよ、聞こえちゃうって!」ヒソヒソ 照「…」ギロッ 乗客「「ひっ!?」」ビクッ 照「…」 乗客「「あわわわわ」」スタコラ 照「…ふん。悪かったな。これが素だ」ボソッ 照「…」 照「…ちっ」 ガタンゴトン 『間も無く、長野ー長野ー』 照「っ!」ピクッ 照「…」 照「…」ソワ… 照「…」ソワソワ 照「…」ソワソワソワ 照「…」キョロキョロ 照「…」ゴソゴソ←自分の鞄を漁ってる 照「…」スッ←お目当ての鏡を見つけて取り出した 照「…」カパッ←開けた 照「…」クシクシ←前髪を整えている 照「…」ジー 照「…はぁ」 照「…はは。確かに、鏡の中の女は機嫌の悪そうな怖い顔をしている。まったく、これが素だとは我ながら恐れ入るな」 照「…まあ、無理もない。長野に余り良い思い出は無いしな。自然と顔に出ているやもしれん」 照「…そうだ。京ちゃんが居なければ、こんなところ二度と来てやるもんか…」ギリッ キイーッ 照「…ふん。着いたか」スクッ 改札前 照「…思えば、東京に行ってから長野に戻って来たのは初めてだったか」 照「…咲やお父さんには…会いたくないし、連絡しないで良いか」 照「京ちゃんは…連絡先知らないしな。私がこっちに居た頃は、まだ京ちゃん携帯持って無かったし」 照「仕方ない。今は清澄高校だったな?帰り道で待ち伏せしてやろう。咲や知り合いに見つからないよう、こっそり会いに行かなければ」 照「ふふ。帰り道にいきなり私が居たら、京ちゃん驚くだろうな。…そうだ。折角だし、物陰に隠れて、わっ!ってやってやろうか」 照「京ちゃんリアクション良いからな。きっと飛び上がって驚いてくれるに違いない」クスクス 照「その後、お詫びにご飯をおごってあげよう。京ちゃんよく食べる子だし、喜んでくれるだろうな。食べっぷりがいいから、見てて楽しいし」 照「うん。お姉さんらしく、ちょっと高級なお店に連れて行ってあげよう」ウンウン 照「そ、それで、そ、その後…け、携帯の番号とメアド聞いて…」モジモジ 照「そ、そこまで出来れば、完璧だ!」 照「さあ、改札通して、まずは京ちゃんの家まで…」ピタッ 照(…けど、ちょっと待てよ?) 照(…久しぶりだしな。もし私の事見て、誰?とか言われたらどうしよう) 照(…いや、それだけならまだ良い。もし完全に忘れられてたりなんかしたら?) 照(それどころか、久しぶりに会ったのに、嫌そうな顔なんてされたらどうしよう…) 照「は、ははは。考え過ぎだな。京ちゃんに限って、そんな薄情な男に育っている訳ないだろう」 照「さあ、時間も余り無いんだし、そろそろ改札を…」ピタッ 照(け、けど待てよ?もし彼女連れだったりしたら、嫌な顔くらいするんじゃ…) 照「…ん?」 照「…」 照「か、彼女!!!?」 近くに居た人「ひっ!?」ビクッ 照「あわわわわわ」アセアセ 照(し、しししししまった!今まで京ちゃんに彼女が出来るだなんて、考えた事も無かった!) 照「うわああああ…」キョロキョロ 照(け、けどけどけど!よくよく考えてみたら、もう京ちゃんも高校生だぞ!?そろそろ彼女くらい欲しいと思ったって不思議じゃない!) 照「はううう…」オドオド 照(そ、それに、京ちゃん格好良いし、優しいし、絶対モテるに決まってるし) 照「うええええ…」グスッ 照(冷静になって考えてみたら、京ちゃんに彼女出来てない方がおかしいくらいじゃないか!)←全然冷静じゃない 照(それに、京ちゃんの事好きになるような子なら、私みたいな性格ブスはそうそう居ないだろうし)オロオロ 照(京ちゃんに釣り合うような子なら、顔だって最高に可愛いだろうし、スタイルだって良いだろうし…) 照(はっ!そう言えば、去年の全中優勝者の原村和とか、全部満たしてる上に清澄の同学年じゃないか!!!) 照「も、もしあんな子相手だったら、勝てる訳ないじゃない…」ガタガタ ハラリ 照「あ、切符っ!」スッ ガチャン ピンポーン 照「うわわっ!」 駅員「大丈夫ですか?」 照「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」 駅員「気にしないで下さい。はい、切符どうぞ。このまま改札通りますか?」 照「っ!ちょ、ちょっと待って!」 駅員「はい?」 照「こ、心の準備がまだなんで…」 駅員「は、はあ。でしたら大変申し訳ありませんが、他のお客様のご迷惑ですので一旦改札から離れて戴けませんでしょうか」 照「あ。わ、わかりました…」スゴスゴ 新幹線ホームのベンチ 照「…はあ」 照「…」 照「なんか、怖くなっちゃったな…」 照「…もし京ちゃんが誰か他の子と付き合ってたりしたら…」 照「わたしどうすればいいのぉ~?」グスッ 照「ううう~…」ギュッ 照「京ちゃ~ん…」 照井「…」 照「…もし」ボソッ 照「…もし、京ちゃんが本当に誰かと付き合ってたとしたら…」 照「どんな子か確かめなきゃいけないけど…」 照「…やっぱり怖いよ。京ちゃん」ブルブル 照「…」 プルルルル 『間も無くー。東京行きの新幹線が到着しまーす』 照「…」 プシュー 『到着ー。到着ー』 照「…」チラッ 『出発はー。2分後ー。2分後ー』 照「…」 『次ー。東京行きー。新幹線発車しますー』 プシュー ガコンガコンガコン… 無人のベンチ「」 新幹線車内 照「…臆病者め……」 ガコン…ガコン…ガコン… 照「…臆病者め。臆病者め。…臆病者め!」 照「うう…」ペタン 照「ううううう…」ジワッ 照「ううーっ!」 照「う、うう、うええええ…」 白糸台麻雀部部室 ワイワイガヤガヤ 淡「それでさー」アハハハ 照「…」ガチャッ 菫「ん?照?どうしたんだ。今日は家の用事で休むんじゃ…」 照「…」イライラ 菫「(これは相当機嫌が悪いな。巻き込まれる前に退散するか)っと、そう言えば私も今日は用事があるんだった。淡。後は任せた」 淡「へ?弘世先輩帰っちゃうんですか?けど、宮永先輩来たんなら、後は宮永先輩に…」 菫「…淡」 淡「…はい?」 菫「許せ」ドヒューン 淡「うわ。早」 淡「…まったく。なんなんだろーね。うちの三年生は。…けど、天下の白糸台が若干一年の私に部を託しちゃうかー。やっぱり私って、天才?」ニヤニヤ 照「…」 淡「今日は宮永先輩もなーんか心在らずーな感じだし?今のうちに部の影響力を上げとくのもイイ感じだよねー」 照「…でる」ボソッ 淡「さーて!そうと決まったら、みんなー!今日は私が部長代理を務めまーす!って言う訳で、今日の練習は…」 照「弛んでるぞ貴様等あああああ!!!!」ガアアアア 淡「ひいっ!?」ビクッ 照「なんだ貴様!その打ち筋は!」ビシッ 一年「ひいっ!?」 照「ふざけるな!こんな温い麻雀をするような奴に、我が白糸台麻雀部の部員が務まるか!」 一年「す、すみませ…」 淡「あ、あわわわわ」 照「お前はなんだあああ!!」ビシッ 二年「ひいっ!?」 照「貴様!今、逃げに回ったな!?ふざけるな!我等は王者だ!いついかなる時もどっしりと構え、相手を迎え撃つ麻雀をしろ!!」 二年「す、すみません!すみません!」 淡「み、宮永先輩!?落ち着いて下さい!」 照「ああん!?」ギロッ 淡「怖っ!?」 照「なんだあ?淡。貴様、さっきから聞いてれば、随分と調子良い発言を連発していたようじゃないか」クククク 淡「き、聞いてたんですか!?」 照「いいだろう。貴様のその天狗の様に伸びた鼻っ柱をへし折ってやる。卓に付け。今日は私の気が済むまで、延々付き合って貰うぞ」ゴゴゴゴゴゴ 淡「ひいい!すみません!すみません!調子乗ってすみません!謝りますからそれだけは!今晩見たいテレビがあるんです!」 照「知るか!敵前逃亡などという情けない行為、白糸台麻雀部にとって最も許されざる事だ!恥を知れ臆病者!」 淡「うわああん!何この先輩!いつにも増して理不尽だあああ!」 照「黙れ!いいから卓に付け!」ズリズリ 淡「もう私臆病者でいいですから~!」ジタバタ 照「い、い、か、ら、来~い!」ギリギリ 淡「誰かー!誰かー!この人の抑止力になる人、連れて来てー!!」ジタバタ 照「そんな人間は居らん!!」 淡「い~や~だ~!!!」 照「うおおお!来ーい!!!」グイッ 淡「ぎゃああああああ!!!」 清澄高校麻雀部部室 久「よっし!それじゃあ、今日の部活はここまで!」 まこ「ん。お疲れさん」 和「お疲れ様でした」ペコリ 咲「はあ~。今日も終わった~。お疲れ様です!」 優希「くふう~。最近、部活がハードだじぇ~。全然勝てないし…」ガクリ 和「あ、ゆ、優希…えっと…」 京太郎「お疲れ様です、みんな。特にタコス、お疲れ」 咲「…むっ」 優希「なんだー?京太郎。私に特別に労いの言葉をかけるとは、貴様も成長したのう」ムクリ 咲「うー…」ジー 京太郎「わはははは。最後の方お前フルボッコだったしな。流石にお疲れ様だぜ!」 和「え!?ちょっと、須賀君!?落ち込んでる人にそんな…」 優希「むっきー!?そういう事か!やっぱり貴様は成長の無い奴だじぇ!そこに直れ、犬め!成敗してくれる!」ガタッ 和「あれ、復活した…」 京太郎「うおっ!?」ビクッ 優希「うおおお!食らえ!必殺スリーパーホールド!」 京太郎「ぐげげげギブギブ」パシパシ 優希「このこのこの!これでもかこれでもか!」グイグイ 京太郎「ごふう」 まこ「くっくく。相変わらずあの二人は気が合うのぉ」ニヤニヤ 久「そうねぇ。ちょっと凹ませても須賀君が煽ったらすぐ復活するし、優希を鍛える分には凄く助かるわ」クスクス 和「優希なにやってるの!?だ、大丈夫ですか!?須賀君!」 まこ「そのたんび京太郎が死にかけるのは申し訳ないがのぉ。和は相変わらず本気で焦っとるし」 久「まあいいんじゃない?胸押し付けられてるようだし、役得でも有るわよ」 咲「…」ペタペタ 京太郎「何が役得ですか!こんな抉れ胸押し付けられても嬉しく有りませんから!それより早く助けて下さいって!」 優希「ほう。よくぞ吠えた小僧!よほど命がいらんと見える。ならば死ねい!!」ギリギリ 京太郎「ぐおおお!お、おい、タコス!やり過ぎだ、マジで首締まってる…か、ら…」 和「ゆ、優希、須賀君、顔が青ざめて来てるから…」オロオロ 久「さって。私は帰ろっかなー」ガタッ まこ「ワシもワシも」ガタッ 京太郎「薄情者共め…それに比べて和マジ天使…」 和「優希!もう止めて!私、貴女を殺人者にしたくない!」 京太郎「あ、和さんもサラッと酷い…?」 優希「おりゃおりゃ」ギリギリ 京太郎「わ、わかった。タコス、タコス奢るから…」 優希「その言葉が聞きたかった」ピタッ 京太郎「ちっくしょー…」 優希「なら今度の日曜、長野の方に行くじぇ」 京太郎「はぁ?」 優希「長野駅の前のデパートにな。最近超美味いタコス屋が出来たらしいのだ」 京太郎「長野駅って…毎度毎度どうやってそんな情報仕入れてんだお前は。しかも、今度の日曜?明後日じゃねーか」 優希「うむ。遠征費もお前持ちだじょ」 京太郎「はああ!?なんで俺がそこまで!」 久「あらいいじゃない。二人で行ってくれば?」 京太郎「部長!?」 優希「流石部長!話が分かるじぇ!」 和「優希、何言ってるの?部長もです!全国までもう殆ど時間が無いんですよ!今は少しでも練習しなくちゃいけないのに…」 久「優希、最近疲れてるみたいだしね。気分転換に遊びに行くのも良いと思うわ。根を詰めすぎて、精神的余裕を失うよりずっと有意義だわ」 和「うう…」 久「幸い、今は部費に余裕有るしね。二人の交通費くらい適当な名目で持ってあげるから」 まこ「悪いやっちゃな~」クスクス 久「いひ~」ニンマリ 優希「その日みんなは何してるじぇ?」 久「もち、部活。4人居れば出来るし、休む理由が無いわ。須賀君には悪いけど、優希の付き添いだと思ってくれれば良いから」 京太郎「うーん。部長がそこまで言ってくれるなら…俺は全国有りませんしね」 咲「…」ペタペタ 咲「…はぁ」 久「はい、それじゃ、決定ー。当日の予定は二人で決めておきなさい。これで私たちは帰るから」 まこ「まあ、全国が近いってのもその通りじゃ。あんま羽目外さんようにな。…ホテルでハメてくるのは黙認しちゃるか…」ニヤニヤ 久「オラァ!」スパーン まこ「あいたー」 和「?」 久「はーい。ふざけたワカメ先輩アウトー」ズリズリ まこ「ま、まちんしゃい!まだカバンが…」 久「明日の朝早起きして取りに来なさい!」 まこ「んな殺生なー」 バタン 優希「♪」 和「随分ご機嫌になりましたね。優希」 京太郎「まあ、最近部活尽くしだったのに調子悪かったもんな。部長じゃねーけど、ちょうどいい息抜きなのかも…」 和「まあ、なんでもいいです。せっかくなので、楽しませてあげて下さいね」 京太郎「あいよ」 和「それじゃあ、私はそろそろ帰りますので」 京太郎「あれ?今日はみんなで帰んないの?」 和「家の用事で、早く帰ってくるよう言われているんです。今からじゃ少し急がないと」 京太郎「なら仕方ない」 和「では」スタスタ 京太郎「また明日なー。和」 優希「のどちゃんばいばいだじぇー」ニコニコ 京太郎「さって。俺らも帰ろうか」 優希「おう!」 京太郎「咲ー?てなわけだから、帰るぞー」 優希「そう言えば咲ちゃん、さっきから静か過ぎたじぇ」 京太郎「お前がうるさいだけだっつーの…咲?」 咲「ブツブツブツ」 京太郎「駄目だ。自分の世界に入っちまってる」 優希「またかぁ…」 京太郎「ったく。仕方ない。俺らは先帰るか」 優希「大丈夫かや?」 京太郎「こうなったらしばらく帰って来ないしな」 優希「わかったじぇ。咲ちゃーん。先に帰ってるじょー」 京太郎「もう暗いし、一人で帰ろうとすんなよ、と。メモ置いとくぞ」 優希「じゃ、帰るじぇ」 京太郎「ん」 バタン 咲「ブツブツブツ」 咲(やっぱり京ちゃんって、おっぱい大きい子の方が好きなのかな)ペタペタ 咲(私みたいな貧相な子、やっぱり女の子として見てくれてないのかな…)シュン 咲(そうだよね。そう言えば麻雀部に入ったのも和ちゃんが居たのが一番の理由だったし、男の子だもんね。当たり前だよね)ガクリ 咲(和ちゃん、羨ましいなぁ。可愛いし、スタイルいいし、性格だって優しくてしっかり者で、可愛いし…) 咲(私も和ちゃんみたいだったら、京ちゃんに好きになって貰えたのかなぁ)クスン 咲(いいなぁ…) 咲(あ、けどけど、優希ちゃんは、その、私と同じくらいのスタイルだけど、京ちゃんと仲良くしてるよね!すっごく仲良いよね!) 咲(…最近は、幼なじみの私より仲良いもんね…)シュン 咲(やっぱり、明るくて可愛いからかなぁ…)クスン 咲(そうだよね。優希ちゃん、凄く可愛いもん。地味で根暗な私とじゃ、全然違うもんね) 咲(私と一緒に居たって、楽しくないだろうし…京ちゃん優しいから、今までは私が一人にならないように黙って傍に居てくれてたけど…) 咲(そうだよね。最近は部のみんなめ居るし、わざわざつまんない子の相手するより、可愛い子や楽しい子とお喋りしたいよね)ズーン 咲(うう。せめてスタイルに将来性が期待出来ればまだ希望が持てたのに…) 咲(お姉ちゃん見る限り、それもあんまり期待出来ないし…)クスン 咲(…せめて、麻雀でみんなの期待に応えられるように頑張ろう) 咲(京ちゃんに女の子として一番好きになって貰えることは出来ないけど、せめて、麻雀で格好良いところみせたいな) 咲(私の唯一の取り得だし) 咲(…京ちゃんのお陰で、また好きになれた麻雀だもん) 咲(…頑張ろう) 咲「…うん。頑張るぞっ!」ギュッ 咲(っととと!思わず声に出ちゃった!みんなに変な子って思われちゃうよ!) 咲(あうう。どうやってごまかそう。取り敢えず、何か言わなきゃ…) 咲「…あれ?」 咲「…」 咲「…」キョロキョロ 咲「…」ポツーン 咲「あ…れ…?誰もいない…」 咲「あ、お外真っ暗…」 咲「…京ちゃーん?」キョロキョロ 咲「…部長ー?」ヒョイ 咲「染谷せんぱーい…」ジワ… 咲「の、のどかちゃ~ん?」ウル… 咲「優希ちゃあああーん…」 咲「…」ウルウル 咲「みんなどこぉおお!?」ダッ 咲「あうっ!?」コケッ ドンガラガッシャーン 咲「あうううう…もうやだぁ…」シクシクシクシク 咲「うわあああん!みんなに置いてかれたぁああ!」 咲「酷いよみんな!人がちょっとぼーっとしてるうちに、みんなで帰るなんて!」 咲「うううー。いじわるー!私だって怒る時は怒るんだからね!こうなったら、私だってみんなの事もちょっと困らせてあげるんだから!」 咲「…けどまずは、散らかった机直さなきゃ…」モゾモゾ 咲「お外暗いなー…私、無事に帰れるのかな…」ゴソゴソ 咲「怖い人とか出たらどうしよう。心細いよぉ…」 咲「…あれ?なんだろこの紙」ピラッ 『気付いたか? もう暗いし一人で帰ろうとすんなよ! 最悪俺の携帯に連絡くれたら迎えに行ってやるから! 最近変質者とかも出るんだし、お前なんか格好の餌食になるからな! ぜーったい一人で帰んなよ! 京たろー』 咲「…」 咲「…うん。ありがと」ギュッ 咲「…」ピポピポ 咲「…あ、お父さん?私。咲。悪いんだけど、迎えに来てくれないかな」 咲「うん。今、学校。ちょっと部活で遅くなっちゃって…うん…うん…ごめんなさい…お願い…じゃあ、旧校舎の入り口で待ってるね。ありがとう…」 咲「…ふう」ピッ 咲「…お父さん来るまで、座ってよ」ストン 咲「…」 咲「…」 咲「…はぅ」グデン 咲「…私の、ばか」ポツリ 咲「…意気地無し……」クスン 翌日 東京駅新幹線ホーム 照「…」 照「…なんで私は、また此処に居るんだ…!」ハァ 照「ぐぅ。それもこれも、昨日長野まで行っておいて、おめおめと引き下がってしまったからだ…!」 照「部活を2日連続で休むのは心苦しいが、しかしこのまま引き下がったままというのも、具合が悪いし…」ソワソワ 照「そ、それに、昨日はあれから結局空が白むまで延々全力で淡と対局したし、いつもよりむしろ内容の濃い練習だった筈だし…」ウロウロ 照「だ、第一、こんなところで心に凝りを残して、全国で力を出し切れなかったら、それが一番部に迷惑だろうし…」グルグル 照「そ、そうだ!結局、私が京ちゃんに会って精神を安定させるのが、我が部にも一番プラスなんだ!」キョロキョロ 照「ぜ、前人未踏の全国三連覇に向けて、例えどんなに小さな芽であろうと、懸念材料は摘み取るのが王者だし…仕方ないよな!」コクコク 照「よし!そうと決まったら、早速長野まで行こ…」ダッ ガシャン ピンポーン 照「…」 駅員「すみませんお客様。新幹線に乗るには、切符を買って戴かないと…」 照「…すみません」シュン 照「…よし。切符は買った。気を取り直して、今度こそ行こう」 照「ふふ。私もすっかり東京人だな。こうして迷う事無く、一人で切符も買える」 照「ここまで至るにはさしもの私でさえ、2年半という時間が必要だったが…ふん。長野の田舎者共にはこんな高等技術、まるで理解出来まい」 ※私に長野県民をdisる意図は有りません 照「…あっ。そう言えば、お土産とか買ってった方がいいのだろうか?」 照「…京ちゃん、結構食いしん坊だしな。よし、何か東京らしいお菓子をお土産に買って行ってあげよう。喜ぶぞ」ニヤ お土産物売り場 照「…へえ。これは…凄いな」キョロキョロ 照「なんでもある。…凄いな」キョロキョロ 照「…おお。このチョコレート、小さいが、お洒落で可愛い。…凄いな」 照「さ、3,000円!?この大きさで!?」 照「す、凄いな…」 照「あっ!魚介類売り場だ!珍しい魚置いてないかな!?」タッタッタ 照「酒盗?へえ、鰹の塩辛なんてあるんだ!面白いな」ワクワク 1時間後 照「はっ!」 照「しまった。あまりに色々有りすぎて、目移りしてしまっていた…もうこんな時間か」 照「ま、まあ、仕方ないよな。東京人が自分のところのお土産を見る事など滅多に滅多に無いのだ。こんなに沢山有れば、色々見てしまうのは自明の理だ」 照「…気が付けば色々買ってしまっているな。…これ以上買っては、お小遣いが少々厳しくなる。自重するか」 照「…おっといかん」 照「ふふ。私とした事が、。最も大切な物を忘れていた」 照「折角の東京土産なのだ。ならば、選ぶのはこの近代都市からの土産に相応しい、最も洗練された品を買っておかなければ」 照「そう。文明的で、近代的で、ハイカラで、洗練された、至高のお菓子」 照「全地方民の憧れ」 照「東京バナナ」キリッ 新幹線車内 ガタン…ガタン…ガタン… 照「ふふ…良い買い物をした」 照「特にこの東京バナナ。京ちゃん、絶対喜ぶだろうな…」 照「京ちゃんが美味しそうに食べてくれたら、私はそれだけで満足だ…」クスッ 照「…」 照「…勢いで買った干物とか、どうしよう」 照「…昨日なんだかんだで付き合わせてしまったからな。詫びの気持ちも込めて、淡にやるか」 『間も無く、長野ー長野ー』 照「おっといかん。そろそろ到着か」 照「これから京ちゃんに会いに行くのだ。身嗜みを整えねば」 照「鏡、鏡…と」ゴソゴソ 照「ふん。あったか…」スッ 照「さて、と。前髪を…」 照「!!?」 照「な、な、な…なんだこれは!」 照「…隈…だと…?」 照「な、ななな、あわ、あわわわわ」ワタワタ 照「そう言えば、昨日から一睡もしていないんだった。どおりで目がショボショボすると思った!」 照「なんて目つきの悪さだ。まるで哲也の印南じゃないか!」 ※言い過ぎです 照「もしかして私は、ここまでずっとこんな顔してやって来てたのか!?」 照「くっ!どおりで、さっきの土産物屋の店員とかみんなちょっと私に怯えると思った!」 照「ど、どうする!どうすればいい!?」 照「顔を洗うか?いや、そんなんで治まるほど薄い隈じゃない!」 照「メイクでごまかす…?自慢じゃないが、私は化粧は下手だ。余計酷い顔になったら目も当てられん」 照「どこかで仮眠を取る?…ホテルで休むには、もう手持ちが…」 照「…そ、それとも、このまま会いに行くか…」 照「ゴクリ」 照お姉ちゃん脳内シミュレート ケース:もしこのまま京太郎の前に立ったら 京太郎「いやー!今日も学校楽しかったなー! 入学3日で友達百人出来たし、全校の女子にモテモテだし、参っちゃうなぁ けど今は部活も高校から始めたサッカーで一年生ストライカーでレギュラーだし、それが一番かな! 弱小校の清澄なのにスカウトの目に留まって、卒業後はバルサでメッシとツートップ確実だし!」 照「ふ、ふひひひひ。京ちゃん」ガサッ←草むらから出てきた 京太郎「うわっ!?」 照「う、うふふふ、ひ、久しぶりだね…」ウネウネ 京太郎「だ、誰だお前!」 照「だ、誰だなんて、ひ、酷いなぁ。フヒッ↑て、照だよぉ。宮永照」 京太郎「て、照さん!?」 京太郎「う、嘘を吐くな!照さんは今年高校三年生だぞ!お前みたいに、いかにもヒロポンやってそうな危ない女な訳ないだろうが!」 照「あ、ああ。私の事、覚えててくれたんだな?京ちゃん。私嬉しいぞ。この隈は、その、うちの後輩の淡が原因でだな…」 京太郎「うるさい!お前みたいな妖怪が、俺の尊敬する照さんの名をかたるな!」 照「そ、そんな…」 京太郎「クソっ!よりによって照さんの名前を利用するなんて!不愉快だ!今すぐ俺の前から消え失せろ!!化け物!」 照「違うの、京ちゃん…」 京太郎「まだ言うか!この…」 照「あ…そ、そうだ!お土産!東京バナナ!私が照だって証拠!ほら、私今東京住みだし…」 京太郎「照さんの偽物からの土産だなんて、例え当局バナナだって嬉しくねーよ!」パシッ ドサッ 照「あ…」 照「そ、そんな…駄目だよ京ちゃん。いくら私が気持ち悪いからって、食べ物を粗末にするなんて…」 京太郎「黙れ黙れ!汚らしい売女め!二度とこの地に足を踏み入れるな!」 照「そんな…京ちゃん、いつからそんな人を傷付けられるような子になっちゃったの?照姉ちゃん、それが一番悲しい…」 京太郎「ふん!人なんざなあ!付き合ってる人間によって簡単に変わっちまうもんなんだよ!」 照「…え?」 「すみません須賀君。お待たせしちゃいましたか?」 照「っ!お、お前は!」 京太郎「あっ。和。そんな事ないよ。俺も今来たところ」ニコッ 照「!?」 和「そうですか?良かったぁ…私、須賀君をお待たせしちゃってたらと思って、ガキの癖に下品なおっぱいゆっさゆっささせながら、淫乱らしく無駄に官能的な感じで汗流して、一生懸命走って来たんですよ!」 京太郎「ははは。心配しないでも良いよハニー。俺が5分や10分の遅刻で怒るようなチンケな男な訳がないじゃないか」 和「そ、そうですよね。須賀君、優しいですもんね///」 京太郎「当たり前さ。それに、天使の様に可愛らしい容姿の君を、叱れる訳ないじゃないか。そこの薬中とは天と地の差だ」 照「…え?」 和「あら?そこの見窄らしい方、物乞いでは無かったんですか?…おや、どこかで見覚えがある方ですね」クスクス 照「あ、あう…」 京太郎「ん?どうした?和。お前、この女印南と知り合いだったのか?」 和「…」ジー 照「あ、あわ、あわわ…」オロオロ 和「クスッ」 照「ひっ!?」 和「いえ。勘違いでした。私の知り合いではありません」 京太郎「そうか」 照(ば、バレなかった…?) 和「さあ、行きましょう?須賀君。いつまでもこんなところに居ては、目の隈が移ります」 京太郎「ん。そうだな。和。まず、どこに行きたい?」 和「私、ホテルに行きたいです!」 京太郎「ははは。和は変態だなあ」 和「うふふ。今日も須賀君のリー棒を私のマンズに責任払いして下さいね」ニコッ 京太郎「勿論さ。今日は徹マン確定だぜ」 和「うふふ。楽しみです。二人でビギニング・オブ・コスモス目指しましょう…」 京太郎「御無礼させて貰うぜ…」 照「」ポツーン 和「…それでは、失礼。チーム・虎姫エースにして高校最強雀士にして、負け犬の、宮永照さん?」クスッ 照「!」 和「クスクスクス」 京太郎「じゃあなー。印南」 和「さようなら。印南さん。…明日からの貴女の渾名、楽しみですね?」ニコッ 照「う…」 照「うわあああああ!?」ガバッ 搭乗員「あ。やっと起きた」 照「はあ…はあ…はあ…」 照「…?」キョロ… 照「ゆ、夢…?」 照(ど、どこから…?) 照(…どこからだって良い。とにかく…) 照「よ、良かった…」ボソッ 添乗員「ちっとも良くないですよ!」 照「ひゃっ!?」 添乗員「君ねぇ!制服着てるって事は、高校生!?しっかりしなさいよまったく!」 照「?…?…?」 添乗員「揺すっても揺すっても全然起きないし!やっと起きたと思ったら寝ぼけた事言って!早く降りなさい!次の電車が来ちゃうじゃないか!」 照「あ、す、すいません…」ジュル 添乗員「涎拭きなさい!良い年してみっともない!制服もシワになってる!後で化粧室で身嗜みしっかり整える事!」 照「は、はいっ!」ガタッ 照(怖っ!) 化粧室 照「…はぁ」ゴソゴソ 照「…ん。身嗜みは整ったかな」 照「…少し寝たお陰で隈も薄くなったか」 照「…それにしても、さっきの夢、最悪だ…」ガクリ 照「京ちゃんには嫌われるわ、彼女は出来てるわ…東京バナナは捨てられるわ…」 照「…」ブルッ 照「…」 照「…まさか、正夢じゃ、ないよな?」ボソッ 照「…」 新幹線車内 ガタン…ガタン…ガタン… 『毎度ご乗車、有難うございます。この新幹線は、東京行きー。東京行きー』 照「…」 照「きょ、今日は、その、日が悪い!うん!」 照「手持ちも少ないし!もうすぐ日も落ちるし!折角京ちゃんに会うなら、日が高い内に行かないとな!うん!」 照「あ、そうだ!明日!明日は日曜日だし!明日の朝もう一回来よう!それなら日の高いうちから京ちゃんに会えるし、沢山遊べる!今日はその偵察!下準備のための偵察だ!」 照「そ、それに、ほら!干物とか、チョコレートとか、日頃頑張ってる部のみんなに一刻も早く食べさせてやりたいし!」 照「だ、だから、仕方ないんだ!これは!」 照「そうだ…仕方ないんだ…」グスン 照「きょ、今日帰るのは、仕方ない、んだ…」 照「これは、仕方なく帰るから、仕方ないんだ…」ヒック 照「明日は、明日こそは、行くんだ…」 照「だ、だから、東京バナナは、東京バナナだけは、大事に取っておくんだ」 照「う…」 照「うえ…」 照「うええええん…」 白糸台麻雀部部室 淡「はひ…昨日は酷い目に合った…」 菫「大丈夫か?淡。凄い隈だぞ」 淡「弘世先輩ー…わかってましたね?絶対分かってやってましたよね?貴女」 菫「うん?何がだ?」 淡「すっとぼけないで下さいよ!昨日私に部を任せた事です!よもや只の虎への人身御供だったとは…」 菫「ああ。その話か。すまんかった」 淡「すま…!うぐぐ、なんて誠意の籠もってない…」 菫「ところで、その怪奇!虎女についてなのだが」 淡「はい?」 菫「今日、見たか?」 淡「さあ?私だって、さっき起きて来たばっかりですからね。私より2つも年上の宮永先輩じゃ、まだ寝てるんじゃないですか?その、若さ的に」 菫「お前も言うようになったなぁ」 淡「えへへ。伊達に一年生レギュラーじゃないですし」 菫「だが、いくら今日が土曜で自主練日とは言え、全国の近いこの時期にエースが練習不参加では、部の士気に関わる」 淡「スルーっ!?」 菫「まったく、どこで油を売っているんだあのお姫様は…」 淡「あの…」 菫「ん?」 淡「僭越ながら、一つ質問が」 菫「許す」 淡「ありがとうございます。えーっと、ですね。質問って言うのは、その、宮永先輩の虎姫って渾名に関してなんですが…」 菫「うむ」 淡「なんでよりにもよって、あの人に『姫』なんて感じを使ったんですか」 菫「…うん?」 淡「いや、ずっと昔から思ってたんですけどね?あの人、どう考えても『姫』って感じじゃないでしょ」 菫「だが、虎の姫だぞ?ぴったりだと思うが」 淡「甘いです!」バンッ 菫「む、むう?」 淡「甘い!甘い!甘過ぎます!チョコレートなんかより!」 菫「お、おう」 淡「虎姫!?そんなプリティーな通名、あの人には甘いって言ってるんです!」 淡「いいですか!あの人を指すなら、これくらい言わなきゃ役不足です!冷酷無比な殺戮ターミネーターとか!他者の絶望を喰らい力を増す魍魎の類とか!一人エクスペンタブルズとか!仮にどうしても姫って付けたいなら、姫路城を一撃で破壊するデカいトカゲとか!」 菫「お前がアイツをどう思ってるかはよくわかった」 淡「兎に角!あの人を姫だなんて、天と地と人が許そうとも、私が許しませ…」 ガチャ 照「すまん。遅くなった」 淡「」 菫「お。来たか虎姫」 照「?なんだ?菫。藪から棒に」 菫「何でもない」 照「そうか。…淡?どうした固まって」 菫「いや、人生相談を受けていてな」 照「?まあいい。ほら、受け取れ」ヒョイ 菫「これは…菓子か?…お台場の恋人?」 照「ああ。ちょっと野暮用で東京駅に行って来たのでな。ついでに、日頃精進を重ねている部員の皆に、と思ったんだ」 菫「珍しい事もあるもんだ」 照「ほんの気紛れさ」 淡「…」 照「淡」 淡「ひゃ、ひゃい!」ビクッ 照「昨日は済まなかったな。私の練習に無理やり突き合わせてしまって」 淡「あ、い、いえ…そんな滅相も無い…」 照「そんなお前には、特別にこれをやろう」スッ 淡「え?」 照「大した物ではないがな。感謝の気持ちを込めた、ほんの礼というやつだ」 淡「え…」 淡「あ、ありがとう、ございます」 照「どういたしまして、だ。さて。それでは私は他の部員達にも、菓子を渡さなくてはならんので、これで失礼する」スッ 淡「あ…」 照「おい、そこの一年!ちょっといいか!」スタスタ 淡「…槍が降る」 菫「まあ、そう言ってやるな」クスクス 淡「私、今ちょっと宮永先輩の事尊敬しちゃいそうになりました…安い女なんでしょうか」 菫「素直に懐柔されておけ。私が楽だ」 淡「…はい」 菫「…そう言えば、さっき、お前姫がどーのとか言ってたな?」 淡「あっ!そ、それは…」 菫「実はな。ここだけの話、あいつ、結構あの通り名気に入ってるんだぜ?」ニヤリ 淡「え…?」 菫「らしくない?」 淡「は、はい…なんか、そう言うのくだらないって切り捨てるイメージが…」 菫「まあ、実際そうなんだろうがなぁ」ニヤニヤ 淡「?」 菫「私も昔、そこが気になって、本人に聞いてみた事がある」 淡「っ!で、答えは!」 菫「断固黙秘」 淡「ありゃりゃ」ヘナ 菫「ま、それはそれで良かったんだが。なんか癪でな。騙して酒を飲ませて喋らせた」 淡(この人だけは敵に回さないようにしよう) 菫「なんでもな。アイツ、地元に二個下の弟分がいるらしいんだが」 淡「あ、私と同じ」 菫「そいつが好きらしい」 淡「ぶふううううう!!!!!!!!!」 菫「誰にも話すなよ?本人に気付かれたら、お前は消されるぞ」 淡「絶対喋りません!墓の下まで持ってきます!!」 菫「でな。アイツが言うには、その弟分ってのが、妹の同級生でもあったらしく…」 淡「ああ。例の、記者会見でムキになって存在否定した妹さん?」 菫「で、その弟分君が、その子の事をたまに姫と呼ぶらしい。…私から言わせれば、からかい半分にしか思えてならんのだが」 淡「ま、まさか…」ヒクッ 菫「羨ましかったらしい」 淡「うわぁ…」 菫「涙ながらに延々5時間語られた」 淡「ご愁傷様です…」 菫「妹さんとの不仲もどうやらその辺が絡んでるようなのだが…」 淡「おっ!重大情報じゃないですか!」 菫「語られたらしいが、どうも聞き流してたようで記憶が無いのだ」 淡「ずこー」 菫「まあ、仕方ないな」 淡「」 菫「…ま。何はともあれ、だ。そんな阿呆みたいな事情ではあるが、本人は気に入っている通り名だ。そう無碍にしてやるな」 淡「はあい」 菫「ところで、その袋、何が入ってるのだろうか?」 淡「あ、そういえばそうですね」 菫「寄越せとは言わないが、私にも見せてくれ。アイツが何を買ってきたのか興味だけはある。むしろやると言われても要らん」 淡「不安になること言わないで下さいよ。それじゃあ、開けますよ」ゴソゴソ 淡「っじゃーん!」 ジンギスカンキャラメル 淡「」 菫「」 淡「な、ななな」ワナワナ 菫「さて。練習するか。またあとでな。淡」スタスタ 淡「なななな!」 淡「なんで北海道ーー!!?」ドー?ドー?ドー?←エコー 照お姉ちゃんがお土産買ってた頃 清澄高校麻雀部部室 京太郎「おはよーございまーす」ガチャ 咲「あっ!京ちゃん、おはよう!」パタン 京太郎「おっす咲。なんだよちっくしょー。今日は一番乗りだと思ったのに」 咲「ふふーん♪相変わらず甘いねっ」 京太郎「たはは…本読んでたのか。相変わらず文学少女してるな」 咲「うん。最近あんまり本読む時間が無かったから、早起きしてここで読もうと思って」 京太郎「そうか」 咲「あ、あと、染谷先輩から電話があって、今日は部活来れないって」 京太郎「あ、確かに鞄無くなってる」 咲「早朝取りに来たのかな?」 京太郎「てか、なんで咲に…」 咲「さあ?」 京太郎「ま、いいや。二人じゃサンマも出来ないしな。誰か来るまで、まだ本読んでていいぜ」 咲「うん。ありがと。京ちゃんはどうするの?」 京太郎「早起きしたせいでまだ眠いからな。コーヒー淹れる」 咲「京ちゃん、コーヒー好きだよね」 京太郎「まーね。咲も何か飲むか?」 咲「あ、う、うん…じゃあ、私もコーヒー…」 京太郎「はい?あれ、咲。お前コーヒーなんて飲めたっけ?」 咲「えっ?」 京太郎「いや、だって、いっつもは紅茶…」 咲「…」 京太郎「咲さん?」 咲(きょ、京太郎ちゃんと同じものが飲みたいから…なんて、言える訳、無い…よね) 京太郎「咲ー?」 咲「あ…だ、だって、同じ物の方が、京ちゃんも作るの楽でしょ?」 京太郎「いや、別に、俺インスタントのつもりだったし…紅茶程度、大した手間じゃないし…」 咲「えっ!?あっ!いや、そのっ!」アセアセ 京太郎「もしかしたら俺に気を遣った?別に遠慮しなくていいぞ」 咲「やっ!ちがっ!そうじゃなくって!あのっ!」ワタワタ 京太郎「?」 咲「えっと、えっとね?そのね?あの、その、ね?」 咲(うわーん!上手な言い訳が出て来ないよー!) 京太郎「…」 京太郎「あっ。そうか」 咲「ふぁっ!?」ビクッ 京太郎「はっはーん。なーるほーどねー」ニヤニヤ 咲「ど、どうしたの?京ちゃん…?」 京太郎「いやね。今日に限って咲がなんでそんなにコーヒー飲みたがるのかって不思議に思ったんだけど…」 京太郎「わかっちまったぜ」 咲「ひゅっ!?」 京太郎「これはズバリ、あれだな。そういう事だな」ニヤニヤ 咲「あわわわわ」 咲(ど、どどどどうしよう!?京ちゃんと同じものを飲みたいから、だなんてそんな事バレたら…) 京太郎「それにしても、咲もそんな事考えるようになったかー」ニヤニヤ 咲(あ!で、でもでも!京ちゃんの事だし、全然的外れな可能性も結構あるよね。っていうか、かなり高いよね。お願いします!今回ばかりはそうであって下さい!!) 京太郎「大人になったなー。咲」ニヤニヤ 咲(うわーん!なんかやっぱりバレてるっぽいー!?) 咲「や、止めて京ちゃん!そこから先は言わないで!」 京太郎「そんなに大人の味に興味あるのか」ニヤニヤ 咲「…へ?」 京太郎「そうかそうか。コーヒー飲んでみたいのか、咲も」ニヤニヤ 咲「…はいー?」 京太郎「いやー!咲もほんっと!成長したなー!まさか、コーヒーなんて苦い物を飲んで大人ぶりたい!だなんて見栄張る事考えるようになるなんてな!」 咲「…はぁあ!?」 京太郎「けど、無理しないでいいんだぜ?咲。お前、まだ小学生じゃねーか。コーヒーなんて苦いもの飲んだら、それ以上身長伸びなくなっちま…」 咲「うっさい!馬鹿京ちゃん!」ポイッ 京太郎「いてっ!咲お前、ハードカバーを人に投げつけるとかどう言う了見だ!」 咲「べー!」 京太郎「このー!」 咲「ふんっ!だ!!」プイッ 京太郎「…」 咲「…」 京太郎「…咲?」 咲「…」プイッ 京太郎「なあ、咲」 咲「…」ツーン 京太郎「さーきー?」 咲「なんにも聞こえませーん」クルッ 京太郎「ったく、このお姫様はすぐへそ曲げるんだから…」ブツブツ 咲「…何が姫だ」プイーッ 京太郎「…一応独り言だったんだけど」 咲「…」ツーン 京太郎「はぁ…」 咲(…お姫様って言ってくれた) 京太郎「悪かったよー。咲ー」 咲(…えへへへ) 京太郎「おーい。咲ー?」 咲「…コーヒー」 京太郎「…ん?」 咲「コーヒー淹れてくれたら許してあげる」 京太郎「…りょーかい」 コポポポ… 京太郎「…」 咲「…」ペラッ 京太郎「…」 咲「…」ペラッ 京太郎「…そう言えば、咲?お前、昨日はどうやって帰ったんだ?」 咲「え?…ああ。お父さんに迎えに来て貰って…」 京太郎「そっか」 咲「うん」 京太郎「なんだよー。それならそれで連絡くれても良かったのに」 咲「あ…ご、ごめん。気が回らなかった…」 京太郎「ま、いいけどさ」 咲「本当、ごめん…ね」 京太郎「いーって大丈夫大丈夫!」 咲「…」 京太郎「…」 咲「…ねえ、京ちゃん?」 京太郎「んあ?」 咲「…もしかして、ずっと連絡待ってた…?」 ピーッ!! 京太郎「お湯沸いたか」ガタッ 咲「あ…」 京太郎「」スタスタ 咲「…」 京太郎「…」コポポ 咲「…」ペラッ 京太郎「んー。まあ、ちょっとな」 咲「…そっか」ペラッ 京太郎「おう」 咲「…」ペラッ 咲(…えへへ) 京太郎「へい、お待ち」コトン 咲「ラーメン?」クスッ 京太郎「ズズズ」 咲「あれ、砂糖とミルク…」 京太郎「あ、いけね」ガタッ 咲「…いいよ。そのまま飲んでみる」 京太郎「大丈夫か?」 咲「ズズ…」 咲「…うえ」ベー 京太郎「はは。やっぱり駄目か。今持って来てやるよ」スクッ 咲「ごめんね…」 京太郎「えーっと、ミルクどこだったかなー」スタスタ 咲「…」 咲「…」チラッ 咲(京ちゃんのコーヒー…) 咲「…」 咲「…」チラッ 京太郎「お。あったあった。えっと、あと砂糖とスプーンと…」ゴソゴソ 咲「…」サッ 咲「チュッ」 コトッ 京太郎「お待たせー…って、どうした?咲。そんなニヤニヤして」 咲「えへへ。なんでもありませーん」ニヤニヤ 京太郎「?」 咲(…えへへ。…関節キス…しちゃった) 咲「コクン。…うん!おいしい!」 京太郎「?そ、そうか?そりゃ良かった…」 咲「えへへへへ~♪」ニヤニヤ 咲(コーヒー、甘い…おいしい…)コクンコクン 京太郎「どうだ?京太郎特製コーヒーの味は?」 咲「…クスッ。普通かな」 京太郎「あら手厳しい」 咲「だって、インスタントに砂糖とミルク入れただけでしょー?」クスクス 京太郎「馬鹿にすんなよ?他にも隠し味ちゃんと入れてんだかんな!」 咲「へー。へー。何入れだのさー。私、見てたけどそんな様子無かったよ?」 京太郎「それは、愛」キリッ 咲「プッ」 京太郎「あ、受けた?受けた?よっしゃ、俺の勝ちー!」 咲「あははは!何それ、京太郎キモーい!」クスクス 京太郎「キモいはキツい!」 咲「あははは!あははははは!!も~!!京ちゃんってば、も~!」クスクスクス 京太郎「うぐ…これだけ笑われると逆に軽くショックなんですが…」 咲「こんなに笑ったの久しぶりだよ~」 京太郎「そ、そっか…うん。良かったです…」 咲「あはははは!」 京太郎「くすん」 咲(気分が和らいで、心が落ち着く…なんて優しい時間…) 咲(そろそろみんな来る時間だけど…) 咲(もうちょっと、こうしてたいな…) ガチャッ 優希「おっはよーだじぇ~!」 京太郎「お。優希か。おはよう」 咲「…」 咲「ゆ、優希ちゃん。おはよう」クスン 優希「おっ!犬に、咲ちゃんだじぇ!まだ二人しか来てないのか?」 咲「う、うん…」 優希「む?なんか芳しい香りがするじぇ」スンスン 京太郎「ああ。もう一人来るまで、暇だったからな。咲とコーヒー飲んでたんだ」 優希「ほう!朝コーヒーとな!」 咲「あ、朝コーヒーって///」 優希「何故そこで顔を紅くした、咲ちゃん…」 咲(よ、夜明けのコーヒーって連想しちゃった…) 優希「いいないいなー!私もコーヒー飲みたいじょ!」 京太郎「お前も飲むか?…って、お前みたいなちびっ子にコーヒーなんか飲める訳ねーだろーが」 優希「馬鹿にすんなよー?ブラックだって余裕だじぇ」 京太郎「うそん」 優希「ほんとん」 京太郎「信じらんねー。まじで信じらんねー」 優希「むっ!ならば証拠を見せてくれる!ブラックコーヒーを持てい!」 京太郎「えー…」 優希「どうやったら信じるのだお前…」 京太郎「うーん…そんじゃあ、これならどうだ?ちょうど俺のコーヒーがブラックだから、お前がこれを飲んでみて、大丈夫そうなら淹れてやる」 優希「受けて立とう!」 咲「えっ?」 京太郎「くっくっく。さーて。そのやせ我慢が、いつまで続くかな~?」 咲「ちょっ…」 優希「って言うか、今回はマジで楽勝だじょ。ほれ、さっさとカップ寄越すじょ」 咲「あの…」 京太郎「ほれ」スッ 咲「ああっ…」 優希「ん」ヒョイ 咲「やだ…」 優希「ゴックゴックゴック」 京太郎「あああああ!?」 咲「きゃああああああ!?」 優希「ごち」カラッ 咲「」ガーン 京太郎「お、お前!全部飲みやがったな!?」 咲「」ガーンガーン 優希「ま、貴様が淹れたにしては上出来な味だったじょ。百点満点中40点をくれてやる」 咲「」ガーンガーンガーン 京太郎「しかも低っ!」 優希「ほれ、早く新しいのを淹れるじょ」 京太郎「くっそー。タコスといい、味覚だけ変に老けやがって…」 優希「タコスを馬鹿にするでない!」カッ 和「おはようございます、皆さん…」ガチャッ 優希「あっ!のどちゃん!おはようだじょ!」 京太郎「おっ!和おはよう!今日も可愛いな!」 和「須賀君、何言ってるんですかもう…馬鹿な事言ってないで、部活しますよ」ハァ 京太郎「バッサリか…」ガクン 優希「むう…」 咲「」クスン それからしばらくして 照お姉ちゃんが駅員さんに怒られてた頃 久「ごめーんみんな!遅くなっちゃった!」ガチャッ 和「部長!」 京太郎「あ、部長。お疲れ様です」 優希「お疲れ様だじぇ!」 和「お疲れ様です。どうしたんですか?何かトラブルでも?」 久「いやぁ、ちょっと学生議会の方でトラブっちゃって。この後もご飯食べたらまた戻んなきゃで」 和「そうだったんですか…」 久「ほんと、この時期にごめんねー。なんとか早めに片付けるから」 和「仕方ありませんよ。お疲れ様です。学生議会長」 京太郎「そう言えば、そろそろ昼飯の時間か」 優希「はら減ったじぇ~」 咲「確かに、私もちょっとお腹空いちゃった…」 和「言われてみれば、わ、私も…」 和「」クーッ 和「あうう///」チヂコマリ 久「ふふっ。ところでみんな、今日のお昼はどんな予定?」 京太郎「どんなって…これから購買行って…」 優希「同じく」 咲「私は、その、お弁当を…」 和「私もです」 久「そっかそっか」ウンウン 和「?どうしたんですか?」 久「いや、迷惑かけるお詫びにね。今日はみんなに学食で奢ってあげようかなーとか思って」 優希「」ガタッ 京太郎「え!いいんですか!?」ガタッ 久「まっかせなさーい!お弁当組は、スイーツ奢ってあげる」 和「そんな!悪いですよ!」 咲「そ、そうですよ!」 久「いいからいいから!私ね。後輩出来たら、みんなを引き連れて学食で奢ってあげるっていうのが夢だったの!まこはそういうの嫌がって奢らせてくれないし」 和「う…。そう言われると…」 咲「断れない…」 久「よーっし!それじゃあ早速行くわよー!」 照お姉ちゃんが東京行き新幹線に乗り込んだ頃 学食 ガヤガヤ 優希「着いたじぇー!」 和「お休みなのに、意外と混んでますね」 久「よーし、後輩諸君!好きな物を注文するが良い!」 優希「タコス!」 久「だと思った!」 和「私は…それじゃあ、イチゴとユズとカリンのフルーツパフェで」 久「了解。私はカツ丼にしようかしら。咲と須賀君は?」 咲「えーっと…私は…あ、じゃああんみつで…」 京太郎「咲、ちょいと待った」 咲「…うん?」 京太郎「咲。悪いんだけどさ…」チラッ 咲「?」 京太郎「ほら、な?」 咲「…ああ。…も~!またぁ?」 優希「?」 久「?」 和「?」 京太郎「なー?今日のも美味そうなんだよー」ペコペコ 咲「まったく、京ちゃんは仕方ないなぁ~」ヤレヤレ 優希「…なんの事だじぇ?」 和「さあ?」 久「?ねえ二人共。どういう事?」 咲「すみません、部長。私、やっぱりレディースランチでお願いします」 久「へ?」 京太郎「で、俺があんみつで」 久「へ?」 和「…ああ。なる程」 優希「のどちゃん?どういう事だじぇ?」 和「須賀君がレディースランチを食べたいらしいので、宮永さんと注文を取り替えっこしたいそうです」 優希「ふむ。生活の知恵だじぇ」 久「…ああ。そう言う事ね。別に構わないわよ」 京太郎「よっしゃ!ありがとうございます!ここの学食、レディースランチがメチャクチャ美味いんですよ!」 久「へえ。それを知ってるって事は、常習犯ね?アンタら」 咲「あ、あははは…」 優希「ふむ。確かに美味そうなメニューしてるじぇ。まあ、最強の食べ物たるタコスには敵わんがな!」 和「それはあなたにとってだけよ。優希…」 優希「じょっ!?」 みんな「あはははは!」 その頃、東京行き新幹線の一席では 照「…」グーッ 照「…」 照「…少々、腹が減ったな…」 学食のおばちゃん「はい、カツ丼特盛りだよ」ゴトン 久「ありがとうございます。…さて。みんな、注文の品は揃ったわね?」 咲「はい!」 和「部長。空いている席、確保しておきました」 久「流石和ね。それじゃあ、みんな。せ~のっ!」 みんな「いただきまーす!」 モグモグ 京太郎「うはー!相変わらず美味いなー!レディースランチ!」 久「カツ丼も絶品よ」パクパク 優希「タコスは、もはや語るに及ぶまい」モグモグ 和「あ。咲さんの卵焼き美味しそう…」 咲「和ちゃんのタコさんウインナーも美味しそうだよ」 和「じゃ、じゃあ、取り替えっこしません?」 咲「うん!いいよ!」 その頃、東京行き新幹線 照「…何か、小腹を満たせるような土産は無かっただろうか」ゴソゴソ 照「…干物は駄目だな」ヒョイ 照「…この焼き菓子は、部員達の土産だ。私が食べる訳にはいくまい」ヒョイ 照「キャラメルは…淡の分だ」ヒョイ 照「残るは…」 照「……東京バナナ」 照「…」 照「…」 照「…」ゴゴゴゴゴ ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…ガタン… 学食 久「ハムハムハムハム。うん。美味しい。可愛い後輩達に囲まれてるから、なお美味しいわ」 優希「おおう。部長、意外といける口だじょ。私も負けられん!」パクパク 和「ふふっ。優希、あんまり急いで食べちゃダメですよ?ほら、口の周りにソースが付いちゃってます」フキフキ 優希「モガムガ」 咲「京ちゃん、レディースランチ美味しい?」 京太郎「最高。これも単に咲のお陰だぜ。ほんと、ありがとな」 咲「ふふっ。どういたしまして」ニコッ 新幹線 照「ハムッ」 照「モグモグモグ」 照「…ゴクン」 照「…うん。やはり東京バナナは美味いな…」スッ ピリピリピリ 照「…もう一個食べよう」 照「ハムッ」 照「モグモグモグ」 照「…ゴクン」ピリピリピリ 照「…ハムッ」 学食 久「ふう。お腹いっぱいだわぁ」 優希「私もだじぇ。お腹がタコスで満ち足りたじぇ。幸せだじょ…」 和「ご馳走様です、部長。パフェ、美味しかったです。誰も黒崎兄妹かよ!って突っ込んでくれなかったのだけは寂しかったですけど…」 優希「きっとスルーされたんだじぇ」 和「くすん」 久「何の話よアンタら…」 咲「あ、でもでも!本当に美味しかったりです!あんみつも!ご馳走様でした!」 京太郎「俺もです。レディースランチはいっつも美味いけど、今日のは特別に美味く感じました。ご馳走様でした」 久「ふふ。お粗末様。そうね。私もいつもの学食より美味しかった。ねえ、なんでだと思う?」 優希「?タダ飯だったからかや?」 和「それは私達だけでしょ!」 久「あはははは!」 久「答えはね。今、ここに大好きな人達が居るからよ」クスッ 優希「じぇ?」 和「部長?」 久「みんなとご飯を食べられるから、私は幸せなの」 京太郎「ど、どうしたんですか?いきなり」 咲「部長…」 久「実を言うとね。私、ずっと寂しかったの」 久「ほら、私が一年生の頃、それまであった清澄高校麻雀部はほぼ無くなっちゃったでしょ?」 和「え、ええ…」 久「本当、あの頃は寂しかった…まこが来るまで、私はずっと一人ぼっち」 久「誰も麻雀に興味無い。麻雀で遊ぶ事も出来ない。麻雀の話で盛り上がる事も出来ない。そんな中、お昼休みはずっと一人、孤独を抱えてご飯を食べていた」 久「あの頃のご飯は、信じられないくらい味気なかったなぁ」 和「部長…」 久「あ、勿論今は違うわよ!?」 久「まこが来て」 久「和と優希が来て」 久「須賀君が来て」 久「そして咲が来て!」 久「みんなで麻雀やって!」 久「麻雀の話で盛り上がって!」 久「切磋琢磨し合って、高め合って、みんなで一緒に戦って!」 久「そして今、こうして一緒に美味しいご飯を食べている!」 久「…まこが今日、居ないけどね。あんにゃろめ、なんて間の悪い」 久「…ま、それもあの子らしいっちゃらしいんだけどね」ヤレヤレ 久「…みんな、みんな、私の大切な大切な後輩。あなた達がいるから、私は今、ご飯が美味しいし、すっごく幸せよ…」 京太郎「部長ー」ウルウル 和「部長…」ジーン 咲「部長…」 優希「うわーんっ!ぶちょー!」ガバッ 久「おっとぉ!あはは!格好つけすぎちゃったかしら?」ナデナデ 和「部長!私、もっともっと頑張ります!」ガタッ 久「うわっ!和?」 和「だから、絶対!みんなで、全国、優勝しましょうね!」 京太郎「おおっ!和が燃えてる!」 和「そうと決まればぼやぼやしてられません!早く部室に戻って練習しますよ!」 優希「らじゃ!」ビシッ 久「…ふふ。そうね。頑張ろうね」 咲(…全国優勝、かぁ) 咲(…そのためには、お姉ちゃんの高校に勝たなきゃいけないんだよね…) 咲「…」 照『ふん、雑魚共が。全員粉々に叩き潰してくれる』 咲(えっ!?) 照『ロン』 咲(えっ!?) 照『ロン』 咲(いやっ!) 照『ツモ』 咲(止めてっ!) 照『清澄高校、恐れるに足らず。全員飛びだ』 咲(待って、お姉ちゃん!) 照『退屈な有象無象共め。貴様等のような塵に麻雀をやる資格等無い!疾く消え失せろ!!』 咲「ひっ!?」 咲「…あ、あれ?」 咲(ま、幻…?)ブルッ 京太郎「ん?どうした?咲」 咲「う、ううん何でも無い…」 京太郎「そうか?なら、俺らも部室に急ごうぜ。和と優がすげー燃えちまってるしな。早く行かないとどやされそうだ」 咲「う、うん…」 久「なら私もそろそろ議会の方行ってくるわ。終わったら顔出すから、頑張ってね。みんな」 京太郎「あ。はい!ご馳走様でした!」 咲「ご馳走様でした」ペコリ 久「ばいばーい」スタスタ 京太郎「…じゃ、俺らも行くか」 咲「うん…」 咲(…私達、勝てるの、かな。…お姉ちゃんに…) 咲(…怖いよ。…京ちゃん) その頃の照お姉ちゃん 照「ふう。気付いたら全体の半分食べてしまったか」 照「流石東京バナナ。実に美味い」 照「…最高に美味い」 照「最高だ…」 照「…」 照「…京ちゃんと食べたかったなぁ…」 照「…」 照「…」ジワッ 照「っ!な、泣いてなどおらんっ!」ゴシゴシ 照「…」 照「…」ジワッ 照「ふぐっ!」グスッ 照「うう…」 照「や、やはり、正解だった…今日、引き返しておいて…」 照「な、なんだ、これはっ!」 照「ふっ!不良、品、じゃ!ないかっ!」 照「おいしく…ヒック!ない!…ヒック!」 照「せっ!折角の!東京!バナナなのに…!」 照「おいしく…ヒック!ないっ!ぞっ!ヒック!…京ちゃん…!」 照「京ちゃあぁぁあん…」 照「うぇ…」 照「うえええぇ…」 照「ええええん…」 ※それはそれとして、東京バナナは完食しました そして翌日 日曜日 東京駅新幹線ホーム 長野行き新幹線始発2分前 照「…」ゴゴゴゴゴ ガーッ キキーッ プシュー… 照「…」 照「…時は来た」 照「もう後戻りは出来ない…」 照「…臆病者の私は、昨日死んだ」スッ 照「私は…誇り高き白糸台麻雀部エースとして…」 照「高校最強の雀士として…」 照「…『虎姫』の名に賭けて!!」 照「…私は!もう!もう決して逃げない!!」←両手に、まだ閉まってる売店の人に泣きついて売って貰った東京バナナ 遡って前日 夜 咲の部屋 家の電話で和と談笑中の咲 咲「あはははは。そうだったんだー!」 和『ええ。その時の優希のはしゃぎっぷりと言ったら、凄かったんですよ』 咲「本当に優希ちゃん、タコスが好きなんだねぇ」 和『まったくですね。しかも美味しいタコス屋さんの情報等も、どこからともなく仕入れきますし』 咲「あれ、凄いよね。どうやって調べてくるんだろう?」 和『どうやってるんでしょう?流石の私も、長野駅近くのタコス屋まで把握してるとは思いませんでしたし…』 咲「えー!長野駅の方まで!?凄いなー優希ちゃん。ねえ和ちゃん。そのお話詳しく教えて…」 和『あれ?』 咲「…え?」 和『あの…咲さん?その話した時、確か貴女もその場に居たような…』 咲「あれ?そうだっけ?あれー?いつしたっけ?」 和『覚えてないんですか?一昨日の話ですよ?優希と須賀君が、明日一緒に長野駅まで行くって話は覚えてますよね?その理由がタコス屋だった筈ですが…』 咲「え゙っ」 和『えっ』 咲「…」 和『…』 咲「…ごめんね、和ちゃん。ちょっとその辺詳しく…」 和『?まあいいですけど…事の発端は…』 咲「…」 和『咲さん?』 咲「あわわわわ…」オロオロ 和『咲さーん?』 咲「ど、どどどど、どうしよう、和ちゃん…」ウルウル 和『はい?』 咲「そ、それって、デデデデ、デートだよね?」 和『ああ。言われてみれば確かに』 咲「…」 和『咲さん?』 咲「…ごめん和ちゃん…私、明日どうしても外せない用事があるの思い出しちゃった…」 和『え?そうなんですか?』 咲「うん…ごめんなさい。明日、部活休まなきゃ…」 和『そうですかー。それなら仕方ないですね。気を付けて行って来て下さい』 咲「ん?う、うん…」 和『ところで咲さん?』 咲「な、ナンデショウカ…」 和『おうちの用事との事ですが、失礼ながら咲さん、方向音痴ですから。私ちょっと心配です』 咲「へ?」 和『ですから、仮に、そう、もし仮にその用事と言うのが、一人でお出かけするようなものでしたら不安ですので。予めめちょっと咲さんにアドバイスをさせて下さい』 咲「え?和ちゃん、何言って…」 和『いいですか?新幹線は、長野駅です。新幹線に乗るなら、長野駅ですよ』 咲「は、はあ…」 和『ふふっ。そして長野駅の行き方は…』 咲「え?え?え?」 和『…ちゃんとメモ取ってます?』 咲「え、あ…ご、ごめんなさい…」 和『それじゃあ、もう一度最初から…いいですか?まずは通学路にある駅で切符を買って…』 和の部屋 咲『ありがとう、和ちゃん。メモ、大事に使わせて貰うね』 和「はい。気を付けて。…もし途中で道が分からなくなったら、安易に動き回らずに近くの人に道を尋ねるんですよ」 咲『あはははは…』 和「…もうっ!笑い事じゃないんですからね!甘く見てたら、用事に間に合わなくなっても知りませんから!」 咲『それは…困っちゃうよ…』 和「なら、ちゃんと道を尋ねる事!いいですか?」 咲『はーい…』 和「…ふふっ」 咲『…和ちゃん?』 和「…私、優希の事、大好きなんです」 咲『…?』 和「元気で、明るくて、おっちょこちょいで…」 和「中学の頃からの、大切な、大切な、親友…」 咲『…』 和「出来れば、あの子には一番に幸せになって貰いたい。それくらい、大好きな、お友達」 咲『…和ちゃん』 和「…でも、咲さんも、大切なお友達です」 咲『…』 和『ふふっ。けど、やっぱり優希の方が、まだちょっと大事かな?』 咲『…』 和『…だから、私は優希の味方ですから。…敵に塩を送るのは、これが最初で最後です』 咲『…』 和「…けど、もしも。もしも咲さんが私の今回の行為に、感謝して下さる気持ちがあるなら…これだけは。これだけは、心に留めて置いて下さい」 和「私、二人とも、大好きですから!」 和「優希も!咲さんも!竹井部長も!染谷先輩も!須賀君も!」 和「麻雀部全部が!みんなが!大大大大好きですから!」 和「だから!…だから、お願いですから…例えあなた達の関係がどう変わろうとも…」グスッ 和「…お願いですから…誰の事も、嫌いにならないで…」 和「お願い…」 和「う…」 和「うえええ…」 咲『…和ちゃん…』 咲『…』 咲『…ありがとう』 咲の部屋 咲「うん。うん。ありがとう…それじゃあ、私も、もう寝るね…うん。ありがとう。」 咲「…おやすみなさい」プツッ 咲「…」 咲「…はあっ」ドサッ 咲「…」クシャクシャクシャ 咲「…はあ」 そして、時は再び日曜日 ちょうど仮面ライダーアクセルが「振り切るぜ!」とかなんとか言ってる時間 長野駅 優希「着いたじぇー!長野駅!」 京太郎「ふー。結構遠かったなー」 優希「タッコスー♪タッコスー♪」ダッ 京太郎「あ、おい!走んな優希!」ダッ ジャー 咲「ふー。すっきりした」 咲「…ちょっと早く来過ぎちゃったかな?」キョロキョロ 咲「やっぱり、そう簡単には京ちゃん達見つからないよね」 京太郎「そういえば、タコス屋のあるデパートって、どこなんだ?」 優希「ん。すぐの目の前のビルだじぇ!」 京太郎「近っ!」 優希「因みに、実際の長野駅がどんなとこかは知らん!」 京太郎「ご了承下さい」 優希「で、タコス屋は、地下一階にあるじょ」 京太郎「へー。ならすぐだな」 優希「デパート開くのが9時からだから、それまで駅を探検するじょ!」 京太郎「はいはい」 優希「よっしゃ!いくじょ~!」ダッ 咲「和ちゃんによると、タコス屋さんは、目の前のビルの…地下一階だね」 咲「まだ開いてないや。えっと、9時からだね。まだ結構時間あるなぁ…」 咲「…ウロウロしても良いこと無いし、今のうちに傍まで行っておこ」 『二番線ホーム、電車が到着しまーす』 プシュー… 新幹線座席 照「…」スクッ! ホーム 照「…」ザッ! 改札 照「…」スッ! ガシャン ピンポーン 照「!?」 照「」オロオロ 駅員「どうしましたー?」スタスタ 駅員「ああ。お客さん、これ特急券じゃなくて領収書だね。今お客さんの胸ポケットに刺さってるやつが特急券じゃない?」 照「///」ペコペコ シューッ 照「…」ホッ 駅員「ああ。通ったね。そんじゃあ、さっさと通っちゃってよ」 照「…」キッ 照「…」ガツッ 照「…」 照「ふんっ!」ガツッ 照「…」 駅員「…ほら。お土産の袋、おじさんに貸しなさい。こっちで持っててあげるから」 照「…恩に着る」 照(…遂に。遂に来てしまったか…) 照(…長野) 照(…ふん。やはり、東京に比べれば、田舎だな) 照(…記憶の中の長野駅よりは都会だったが) 照(…早く京ちゃんに会いたいな…) 照「えっと、切符売り場は…」クーッ 照「…」 照(…まずは、腹ごなしが先決だな。京ちゃんの前で腹など鳴らしたら、目も当てられん) 照「どこか軽食を取れる施設は…」キョロキョロ 照「む。目の前のデパート。昔は無かったな」 照「9時開店か…もうすぐだな」 照「よかろう。京ちゃんのところへ行くのは、あそこで何か食べてからとする」 照「そうと決まれば、早速…」 照「行くぞ」 開店5分前 デパート正門前 京太郎「そろそろ開店だなー」 優希「楽しみだじぇ~」ワクワク 3分前 デパート隣コンビニトイレ内 咲「あううう…そろそろお店開いちゃうよぉ」 咲「…けど、緊張して、尿意が…」 咲「早く済ませなきゃ…」アセアセ 1分前 デパート裏口非常用ドア前 照「…ふん。所詮田舎のデパートか。見た目は立派でも、開店直前に入口に誰も居ないとは…」 照「第一、見窄らし過ぎる。設計者の神経を疑うな」 照「ふん。これだから田舎は嫌なんだ」 デパート、開店 デパート地下一階 タコス屋 店員「いらっしゃいませー」 優希「一番乗りだしぇー!」 京太郎「だから走るなって…おっ!マジで美味そうな匂い!」 優希「これは久々の大ヒットな予感がするじぇ~」 京太郎「メニューも色々あんな。ビーフにポーク、チキン、ラム、シーフード…豆、ミックス…etc.すげー…」 優希「素晴らしい!」 京太郎「テイクアウトもあるみたいだけど…」 優希「この場で食う!そしてお代わりも有りだよな?」 京太郎「…ま、いいんじゃないか?」 優希「うっは~♪」 優希「はむっ!はふはふ!」ムシャムシャ 京太郎「おっ!こりゃやべえ!超美味い!」ムシャムシャ 優希「ふふふふ。来て良かっただろー?」ムシャムシャ 京太郎「おう!」ムシャムシャ デパート一階 咲「地下一階、地下一階…あうう。地下への階段どこぉ?」ウロウロ 同一階 照「まさかあれが非常口だったとは…。流石長野、わざわざ都会人向けに陰湿なトラップを用意してくれるじゃないか…」トボトボ 照「どれ…案内板によると、フードコーナーは地下一階か。…さっきエスカレーターを見たな」 咲「とにかく、早くエスカレーターでも、階段でも、エレベーターでもいいから、見つけなきゃ…」チョロチョロ 照「確か、あっちの方に…いや、こっちだったか…」キョロキョロ 咲「どこかなぁ…」ウロウロ 照「…む?ここはさっき見たぞ?おかしい。おのれ長野。デパート内に狐を飼って、客を惑わしてでもいるのか」グルグル 咲「あうっ!?」ドンッ 照「うわっ!?」ドンッ 咲「」ペタン 照「」ペタン 咲「いたたたた…」ジンジン 照「む…う…」サスサス 咲「あうう…誰かにぶつかっちゃった?」 照「くぅ…私とした事が、他者に迷惑をかけようとは…」 咲「はっ!あ、あのっ!すみません!私、余所見してて!お怪我ありませんか!?」ガバッ 照「む?いや、こちらこそ済まなかった。私も他の事に気を取られていてな。そちらこそお怪我は無いだ…」ムクッ 咲「えっ?」 照「ろ…う…?」 咲「…お、お姉ちゃん…?」 照「か…」 咲「え…?嘘…?な、なんでお姉ちゃんが長野に…」 照井「さ、咲!?なんで貴様がここに…」 咲「そんな…なんで…ただでさえ京ちゃんの事で大変なのに、こんなところでお姉ちゃんにまで会うだなんて…」フラフラ 照「むっ!京ちゃん!?」 咲「…私どうしたらいいのぉ…もう分けわかんないよぉ…」 照「おい咲!京ちゃんが大変とはどういう事だ!?答えろ!」 咲「…」 照「…」 咲「…ねえ、お姉ちゃん?」 照「なんだ?」 咲「…地下一階への階段…知らない?」 照「…一緒に探そうか」 再び地下一階タコス屋 優希「ふい。ポークタコス。ご馳走様だじぇ」 京太郎「お前すげーなぁ。これでビーフとチキンとポーク完食か」 優希「こんな遠くまでなんて、滅多に来れんからな!目標は全メニュー制覇だじぇ!」 京太郎「マジか…」 優希「次はラムタコスだじぇ!京太郎はいいのか?」 京太郎「俺は今食ってる一個でいいかな…これ、ボリュームあるし。あとはコーヒー飲んでるわ」 優希「むう。そうか…」 京太郎「ラムタコスだったな?コーヒー頼むついでに頼んできてやるよ。待ってな」ガタッ 優希「おう!すまん!」 タコス屋前 ザッ 咲「や、やっと着いた…」 照「ここに…ここに京ちゃんが…」ジーン 咲「…」ソワソワ 照「…」ウロウロ 咲「…」モゾモゾ 照「…」クルクル 咲「…ね、ねえお姉ちゃん」モジモジ 照「…な、なんだ?咲」キョロキョロ 咲「…行かないの?」 照「…お、お前こそ」 咲「…こ、怖いよ…」 照「…ふ、ふん。この臆病者め。情けない…」 咲「…」 照「相変わらずだな貴様は…方向音痴だし、鈍臭いし、泣き虫だし…」 咲「…」 照「ああ。格好悪い。情けない。無様だ。いっそ見ていて憐れだぞ」 咲「…お姉ちゃんだって迷子になりかけてた癖に」ボソッ 照「なにぃ!?」 咲「…」 照「おい、咲!貴様、姉に向かってなんだその口の利き方は!」 咲「ふんっ!お姉ちゃんに妹は居ないんじゃなかったの!?私にもお姉ちゃんなんか居ませんから!」 照「こいつ…!」 咲「べー!っだ!!」 照「あ、アッカンベー…だと!?この私に!?このちんちくりんが!」 咲「お姉ちゃんの方こそ、高3にもなってスタイルこっちに居る頃とあんまり変わってないじゃない!」 照「馬鹿を言うな!胸だって大きくなっているわ!その…3センチくらい」 咲「中学から3センチ!?」 照「う、五月蝿い五月蝿い!黙れこの無礼者!貴様に私を笑う権利など無いぞ!」 咲「なにさ!」 照「どうせ貴様も私と同じ宿命を負った、同孔の狢に過ぎんと言っている!」カッ! 咲「っ!」ビクッ 照「牢記しておくが良い!二年後、貴様が今吐いた言葉が、今度は貴様の喉を食い破らんと牙を剥くのだ!」 咲「くっ…」 照「ふはははは!己が言葉に羽根を切り裂かれる無様な貴様の姿が目に浮かぶわ!楽しみにさせて貰う!」 咲「ちゃ、ちゃんと牛乳、毎日飲んでるもん!」 照「甘い!それも既に私が通った道よ!」 咲「ううううー…」 照「諦めろ!運命とは…決して逆らえぬ、大河のうねりにも似たものよ!」 咲「あう…」ガクリ ※日本人は牛乳の吸収効率が悪いので、小魚等でカルシウムを採りましょう。また、同時に鉄分も 京太郎「すいませーん。追加注文したいんですけど…」 咲照「「!?」」 ヒュッ 京太郎「…ん?今、どっかで聞いた事有る声が聞こえたような…」キョロキョロ 店員「お客様ー?どうかされました?」 京太郎「…ああ、すみません。えっと、ラムタコスと、コーヒーを…」 照「…何故隠れた。臆病者」コソコソ 咲「…お姉ちゃんこそ」コソコソ 照「…」 咲「…」 照「…タコス屋の向かいは、百円ショップか…」チラッ 咲「?」 照「…付いてこい、咲。これくらい私が持ってやる」 咲「お姉ちゃん…?」 店員「お待たせ致しましたー」 京太郎「ありがとうございます」 京太郎「さって、と。優希のとこに戻るか」スタスタ 店員(さっきから何回も来てるけど、あの子達、高校生かな?よく食べるなぁ) 店員(なんか、カップルっぽいけど、初々しいし、見てて和むなぁ) 店員(ふふっ。お幸せに♪) 店員「…っ!?」ゾワッ ゴゴゴゴ 照(ピンクアフロ+☆型眼鏡+宴会用のコスプレ制服(上下)計420円)「…」ザッ! 咲(真っ黄色のロングウイッグ+ティアドロップの濃いグラサン+宴会用コスプレ軍服(USnavy空軍元帥仕様200円)計525円)「…」ザッ! 店員「い…いらっしゃい…ませ…」 照「…ラムタコスと牛乳」 咲「me too」 店員「か、かしこまり…ました…」 店員「こ、こちらで召し上がりますか?それともテイクアウト?今なら、テイクアウトが非常にお得になっておりますが…なんかもう、色々と」 照「ここで食べていく」 咲「me too」 店員「…か、かしこまりました…」 照「咲。あそこの席が良いな。多少姿の確認はし辛いが、あそこなら見つかる可能性は低そうだし、会話の聞き取りも容易だ。延長上にトイレや注文カウンターが無いのも大きい」 咲「yes I see」 照「よし。決まりだ」 店員(なんぞこれ…) 店員「お待たせしました…」サッ 照「うむ」スッ 咲「thanks a lot」←最近学校で習った言い回し 照「むっ。結構ボリュームがあるな…皿が重いのか」フラッ 咲「あわわっ」フラッ 店員「だ、大丈夫ですか?なんなら席まで私がお持ち致しますが…」 照「何。問題無い。余り目立ちたく無いのでな」フラフラ 咲「oh…oh…ちょ、待って…お姉ちゃ…」ヨタヨタ 照「英語」 咲「please wait…」フラフラ 照「頑張れ」スタスタ 咲「…じーざす」 照「ふう…無事着いたか」コトン 咲「お姉ちゃん!酷いよ!」コトン 照「咲。お前も無事着いたか」 咲「私のサングラス、お姉ちゃんのより暗いんだよ?ただでさえタコスが重いのに、これじゃまっすぐ歩けないじゃない!」プンプン 照「おい、咲。声が大きいぞ」 咲「大体、お姉ちゃんってばいっつもそう!そうやって好き勝手に…」 照(くっ…頭に血が登っている。早く落ち着かせねば、周りの注目も集めてしまうだろうし…致仕方ない…か) 照「咲」 咲「東京に行ったのだってそう!少しくらい私にだって相談してくれたら…」 照「咲。これを見ろ」スッ 咲「私だって、少しは、お姉ちゃんの…力…に…?」 照「じゃーん。東京バナナ」 咲「…」ゴクリ 照「落ち着いたか」 咲「う、うん…あの、お姉ちゃん?そ、それって…本物?」 照「ああ。…咲。そろそろ事情を説明して貰えないだろうか。何故お前が、京ちゃんに隠れて尾行する事になっているのか?そして、京ちゃんに、一体どんな大変な事が起こっているのか?」 照「納得がいく説明をしてくれたならば、この一番小さい箱の東京バナナを貴様にやろう」 咲「…」 咲「…わかった。それじゃあ」 咲「…一から…話すね」 照「…京ちゃんが…デート!?」 咲「うん…」ハムハムハム 咲「…ほわわ~」ニヘラ 照「ば…馬鹿な…そんな…!嘘だ…!」 咲「嘘じゃないよ。ほら、あっちの席に、可愛い女の子が座ってるでしょ?…片岡優希ちゃんって言うの…」ハグハグハグ 照「ほ、本当だ…」ガクガクガク 咲(東京バナナ美味しいなぁ~(*´∀`*))←自分より動揺してる人が居ると、冷静になる子 照「くっ!と、遠目からだが、確かに可愛い!」 咲「あ…もう食べ終わっちゃった…」ショボン 照「…はは。私では、とても太刀打ち、出来ん…な…」ガクリ 咲「やっぱりお姉ちゃんも、そう思う?」ガクリ 照「…ああ。成りは小さいが、アイドル級じゃないか…」 咲「だよね…私達姉妹みたいな地味な子じゃ、太刀打ち出来ないよね…」 照「ううう…」ジワッ 咲「ううー…」クスン 京太郎「どーだ?優希。ラムタコスは」 優希「うむ!独特の風味の柔らかいラム肉がタコスのスパイシーなソースに不思議なほどマッチして、それをシャキシャキの野菜が引き締め、香ばしいトルティーヤが全てを包み込んで調和させてるじょ!」 京太郎「そ、そうか。美味いか…」 優希「私は今、最高に幸せだじょ~…」 京太郎「ははは…」 優希「京太郎。お前も一口食うか?」 京太郎「お?いいのか?」 優希「勿論だじぇ。メニュー制覇の道はまだまだ長いしのう」 京太郎「んじゃ、お言葉に甘えて」パクッ 京太郎「うん!美味い!」モグモグ 優希「えひひ~。だろだろ~?」パクッ 照「…」 咲「…」 照「…なあ、咲。アイツ、殺していいか?」ニコッ 咲「だ、駄目だよう!」ビクッ 照「ぎぎぎぎぎ!!な、なんだアイツ!!さり気なく京ちゃんにあ~んしやがって!」ギリギリギリ 照「し、しかも!関節キスだと!?まだ付き合ってもいないのに、なんて破廉恥な!なんだあの売女!!」ワナワナワナ 咲「…」←昨日の朝こっそり間接キスした人 照「や、やはり許せん…!あんな変態女、京ちゃんには相応しくあるまい!引導を渡してくれる!」 咲「だ、だから駄目だよ!それに京ちゃんの目の前で優希ちゃんに悪さしたら、お姉ちゃんまで嫌われちゃうからね!」 照「ぐおぉお!?あ、あのタコス女め!そこまで計算済みとでも言うのか!」 照「なんという恐ろしい相手だ…!」 咲「いやいやいや」 優希「ふう。ご馳走様!ラムタコス完食だじぇ!」 京太郎「お粗末さん。次は何食べる?」 優希「シーフード!…けど、その前にちょっとお花を摘みに行ってくるじょ」 京太郎「ん?そうか?なら、俺はこのまま待ってるぜ」 優希「すぐ戻るっ!」ガタッ 京太郎「行ってらー」 京太郎「…」 照「…小娘が席を外した。…どうしたのだ?」 咲「…」モジモジ 照「…咲?」 咲「ご、ごめん、お姉ちゃん。私ちょっとおトイレに…」 照「ああ。行って来い」 咲「行ってきます…」ガタッ 照「ああ。行って来い」 照「…」 照「…」チラッ 京太郎「」ボケーッ 照「…今なら、京ちゃん一人だけか…」 照「…」ガタッ 照「…」スチャッ 照「…」ガタッ 照「…」スチャッ 照「うう…」ソワソワ 照「くっ…や、やはり…怖い…!」 照「京ちゃんは、果たして私のような地味な女の事を覚えてくれているのだろうか?」 照「…忘れられてたりしたらどうしよう」 照「嫌そうな顔されたりしたら、どうしよう…」ジワッ 照「露骨に他人行儀な態度取られたりしたら…」 照「…だが、こうして悩んでいる間にも、時間は過ぎて行く…」 照「さっさと覚悟を決めろ!宮永照!さっきの小娘が戻って来ては、尚更声をかけにくくなるぞ!」 照「…ぐううう…!」 照「ううううう~っ!」 照「…ええいっ!南無三!」ガタッ 京太郎「ふぁ~あ。今日も早起きしたから、ちょっと眠みーや…」ゴシゴシ 「あの…京ちゃん」 京太郎「…優希が戻って来るまで、ちょっと寝ておこうかな…」 「京ちゃん…」 京太郎「…コーヒーって、あんま眠気覚ましになんねーのかな?」 「京ちゃんっ!」 京太郎「ん?」クルッ ピンクアフロの怪しい女「ああ…良かった。気付いてくれた…」ホッ 京太郎「ぶふうぅぅぅう!!?」 京太郎「え!え!うえ!?すわ何事!?え!?」キョロキョロ 照「ふふ。吃驚しただろう?私が此処に居るなど、夢にも思わなかっただろう?」ニコッ 京太郎「いや。そりゃ確かに、夢にも思いませんでしたけど…」 照(ああ…京ちゃんだ!このオーバーリアクション、京ちゃんだ!) 京太郎「え?なにこれ。ドッキリ!?」 照「ふふふ…」 照(優しそうな風貌は、ちっとも変わらないね) 照(…ううん。ちょっとキリッと…男らしくなったかも) 照(…背は、沢山伸びたね) 照(昔は私より小さかったのに、今は頭一つ分くらい追い越されちゃった…) 照(胸板も厚くなったし…) 照(うん。やっぱりだ。君は私の思い描いてた通り。いや、それ以上に…) 照「京ちゃん、カッコよくなったね」 京太郎「えっ!?」 京太郎「いやいやいや…えーっと、お姉さん?アナタ何言って…」 照「ふふ。否定する事は無い。これは私の素直な感想だ。黙って受け取って欲しい」 京太郎「は、はあ…一応…ありがとうございます…?」 照「久しぶりに会ったのだ。積もる話も有るのだが…今は都合が悪そうだしな。出来れば、また後で二人切りで会えないだろうか」 京太郎「え…」 照「…ああ、そうだ。君ももう高校生だものな。携帯は持っているだろう。良かったら、番号を交換しないか…」 京太郎「ちょ、ちょちょちょちょっと待ってる下さい!」 照「…嫌か?」 京太郎「…って言うか、あんた誰」 照「」ピシッ 照「そ、そんな!私の顔を忘れたのか!?京ちゃん!」バンッ! 京太郎「忘れたって言うか、そもそも知らねーよ!大体なんで俺の名前知ってんだ気持ち悪りい!」バンッ! 照「ひっ!?」 優希「ただいまだじょ京太郎ー…ん?誰だじぇ?この人。京太郎の知り合いかや?」 京太郎「んな訳あるか!真っ赤な他人だ!」 照「そ、そんな!」 京太郎「行くぞ優希!こんなおっかねー奴と一緒の場所に居られるか!」グイッ 優希「ああん。いけずぅ」 照「ま、待って!京ちゃん!」 京太郎「断る!って言うか、話しかけないで下さい!」 照「お、お願い!ならせめてこれだけでも!」スッ 優希「おおっ?東京バナナだじぇ。東京土産としては在り来たりだが、結構美味いよな。…私達は銀座イチゴのが好きだが」 照「お願い…せめて、これだけでも受け取って…京ちゃんが美味しそうな顔で食べてくれたら、私はもう、それでいいから…」 優希「なんかよく分からんが、良かったな~?京太郎」 京太郎「変なモノ入ってたら嫌なので、入りません!」プイッ 照「」ガーン 京太郎「では、さようなら。永遠に」ドヒューン 優希「あ、ちょっと待つじょ、京太郎~」ドヒューン 照「…」 咲「ただいまー。ちょっと迷っちゃった。…あれ?お姉ちゃん?京ちゃんは?」 照「…帰る」クルッ 咲「え?え?どうしたのお姉ちゃん…」 照「…咲」 咲「え?」 照「次会う時は、インターハイか…」 咲「え?あー…うん」 照「…次は、敵だ」 咲「…うん」 照「後日、あのタコス娘に伝えておけ」 咲「…うん」 照「お…」ジワッ 咲「…お?」 照「お…」ウルッ 照「おぼえてろ~!!!うわ~~あああん!!!!」ドヒューン 咲「あっ!待ってお姉ちゃん!さっぱり訳がわからない上に、最悪の捨て台詞だよそれ!」 照「うえ~~~~~ん!!」ダダダダダ 咲「行っちゃったし…」ポツーン そして時は流れ、インターハイ決勝先鋒戦 控え室 優希「それじゃあ…行ってくるじぇ!」 久「行ってこい!優希!」 和「優希…頑張って!」 まこ「頼んだぞ…!」 京太郎「優希!休憩時間…タコス作って持ってってやる!」 優希「サンキュー京太郎!それなら私は百人力だじぇ!」 咲(なーんか嫌な予感が…) 会場 優希「さあ!頑張るじぇ!」 照「…来たか…タコス娘…!」ギロッ 玄「ひいっ!?」 照「己が運命を呪うがいい…貴様にはッ!死んだ事を後悔する時間すら与えんッ!!」クワッ 玄「ひいいっ!?」ビクビクッ 照「死ねぇぇええ!!!」 終わり! 藍染「…ところで、いつから照がタコス屋でコスプレしたままだと錯覚していた?」 藍染「…これが私の斬魄刀『鏡花水月』の力。『完全催眠』の効果だよ」 藍染「今回の結末は、取りあえずスレの進行に帳尻を合わせたに過ぎん」 藍染「真実の物語が知りたければ、ss速報へ移りたまえ」 藍染「…但し、私は機械が些か苦手でね。携帯からこれ以上の即興は勘弁して貰おう。また、それならば、携帯からスレも立てても良いものかどうか…」 藍染「…誰かお願いですから、うちに来てネット環境設定して下さい…」 以上!!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5718.html
17 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/24(火) 23 25 13.55 ID ug0ohjboo [8/10] 夢を見ていた 俺が、暗い暗い闇の底に堕ちていく夢 人を裏切り、利用して、蔑んで 自ら孤独になっていることにも気づかず、ただ深く― 闇よりも深く 気がつけば、俺の手は赤く染まっていた 振り向けば誰もそこにはいなかった 俺は―― ??「ほら、起きぃや」ペチペチ 京太郎「……んぅ?」 ??「……」 京太郎「なんだ、起こすならもっと優しくしろよ」 ??「?」 京太郎「物覚えの悪い奴隷だな、全く」 ??「何を――」グググ 京太郎「俺の奴隷にし――」 竜華「寝ぼけとんのやぁぁぁ!!」バチコォォン! 京太郎「ぼべらっ!?」ズシャァァァ! い、いってぇぇぇぇ!? な、なんだぁ!? 竜華「ほら、もう朝やで」パンパン 京太郎「あれ? 竜華さん?」キョトン 竜華「まだ寝ぼけとるん?」ニコニコ 京太郎「いえ、すっかり目覚めました」キリッ 竜華「そっ、ならええで」 京太郎「……」テクテク 竜華「全く、あれだけ寝坊はしないようにって言うとったのにだ――」 京太郎「竜華さん」ギュゥゥウッ 竜華「ふぇっ!?」ドキッ アスナロダキィ! 京太郎「……よかった」ギュゥゥ 竜華「なっ、なぁっ……//」カァァァ 京太郎「この世界には竜華さんがいる。それだけで俺は――」ポロッ 竜華「……京太郎君?」 京太郎「おれ、俺はぁ……」ポロポロ 竜華「……」ギュッ 京太郎「りゅ……うかさん?」グスッ 竜華「うちはいなくならへんよ。だって、京太郎君のプロデューサーやもん」ギュゥゥウ 京太郎「うっ、ぐすっ……」 竜華「怖い夢見たんなら、うちが慰めたる。だから……もう泣かんといて」ナデナデ 京太郎「はいっ、すみません……すみ、ません……」ポロポロ 20 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/24(火) 23 35 44.81 ID ug0ohjboo [9/10] 【食堂前】 京太郎「……」 竜華「ほら、何しとるん?」 京太郎「えと、その」モジモジ 竜華「いいからほら、とっとと入る!」ドンッ 京太郎「わわっ!?」 ガチャッ 京太郎「あっ……」 久「あら、京太郎君。おはよう」ニコッ 煌「よく眠れたかな?」クスッ 美穂子「おはようございます、若」ニコニコ 透華「遅いお目覚めですわね」クスクス はやり「ねぼすけさんめ☆」キャピッ 菫「たるんでるな、気を引き締めよう」フフフ 宥「あったかいココア飲もうよ」エヘヘ 明華「トーストもありますよ」フフッ 霞「ジャムがいいかしら? それともマーガリン?」ウフフ ハギヨシ「ご希望とあらばピザトーストも」ササッ 和「一緒に食べましょう、須賀君」モジモジ 京太郎「……っ」ゴシゴシ 竜華「ほら、京太郎君は一人じゃないで」ポン 京太郎「はいっ!」ニカッ そうだよな 俺はこのみんなと……仲間達と一緒に 京太郎「おはようございます!!」 トップアイドルを目指すんだ!! 52 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 20 44 49.63 ID 8hoXbFyZo [2/13] 【大晦日 合宿所】 ザッザッ 京太郎「ふぅ、こんなもんかな」ゴシゴシ 美穂子「随分綺麗になりましたね」ニコ 煌「うん、充分じゃないかな?」 京太郎「結構お世話になりましたからねー」キュッキュッ この北海道の合宿所に来てはや一週間近く 今は年越し前の大掃除ってわけだ 京太郎「いよいよ残り僅かですね」 久「そうねー。いろいろ楽しかったけど、年明けの仕事もあるし」 竜華「仕事用の携帯鳴りっぱなしや」ピピピピッ 透華「うちが出す新商品のCMもありますわ!」フフフ 宥「でもそれって下着じゃ……」 菫「何も問題ないだろう」ウン はやり「無いでしょ☆」 煌「確かに」ハナジダラダラ 明華「???」 和「須賀君の女装……?」 竜華「うちらより美人やから……」ドンヨリ 久「えっ?」 霞「そうなの……?」 京太郎「???」 ハギヨシ「おや皆さん、掃除は終わりましたか?」スッ 透華「え、ええ。終わりましたわ」 ハギヨシ「そうですか。ではそろそろお昼にしましょう」ガラガラッ 宥「うわぁ、いい匂い……」 ハギヨシ「トゥーフゥーを使った料理です」カパッ トゥーフゥー料理「」モワーン キラキラ 一同「……」ゴクッ ハギヨシ「さぁ、お召し上がりください」 一同「ワーイ」ピョインッ 55 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 20 48 20.63 ID 8hoXbFyZo [3/13] 【昼食後】 京太郎「いやぁ、流石ハギヨシさんの料理は最高ですね」ニヘラ ハギヨシ「お褒めに預かり光栄です」フフ 京太郎「これは天の道を行く料理ですよ!」 ハギヨシ「いえいえ、私などまだまだです」フフフ 竜華「(これに比べたらうちの料理もまだまだや……!)」 宥「ほぁー」 和「(須賀君、こういう味が好みなんですね)」メモメモ はやり「さて、午後はどうする?」 久「そうねぇ。軽くレッスンしてから、年越しを待つっていうのは?」 京太郎「そうですね。どうですか竜華さん」 竜華「うん。それでええよ」ニコッ 京太郎「それじゃあ、レッスンルームへ行きましょう」 ハギヨシ「では私は片付けをしておきますね」スタスタ 美穂子「あ、私も手伝います」トテトテ 霞「それじゃあ私達は行きましょう」 ゾロゾロゾロ 京太郎「……よし、やるぞ!」ペチペチ 選択安価↓3 1 容姿 2 歌唱力 3 演技 4 雀力 5 スキル開発 59 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 21 01 44.20 ID 8hoXbFyZo [4/13] 【レッスンルーム】 京太郎「さて、それじゃあお願いします」ペコ 明華「はい、頑張りましょう~」ニコニコ 久「しかし京太郎君も大分上達したわね」 竜華「努力しとるからなぁ」 煌「そうですね。今までの下地がよい師によって開花した感じでしょう」フフフ 明華「んー♪」 京太郎「んー♪」 明華「いい感じですね」ニコニコ 京太郎「ありがとうございますっ!」 明華「発声に問題はないので、今日は座学を」チャッ 京太郎「お、おぉ!?」 明華(E:メガネ)「?」キョトン 京太郎「い、いえ!(やべぇ……破壊力抜群だわ)」ドキドキ 菫「メガネか」メモメモ 久「メガネね」 竜華「メガネ……」 和「メガネが好きなんでしょうか……」 宥「う~っ!」 はやり「はやりもかけちゃおっかなぁ☆」 透華(E:メガネ)「……」クイッ 霞「(早い!? いつの間にメガネを!?)」ガクガク 煌「(そう言えば素でメガネをかけてる人っていませんね)」 京太郎「それじゃあお願いします」 明華「ええ♪」 コンマ安価 ↓3 ゾロ目でソウルキャッチ 00~09 京太郎「なるほど、分からん!!」デデーン 大失敗 10~39 京太郎「ふんふむ」カキカキ 失敗 +1 40~89 京太郎「Foooooo!!」 成功 +3 90~99 明華「全然Goodじゃないですね」フゥ 大成功 +5 64 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 21 10 59.95 ID 8hoXbFyZo [5/13] 明華「――ということですね」カキカキ 京太郎「へぇー、4拍子と2拍子ってちゃんと違うんスね!」 明華さんの説明は分かり易い きっと何度も復讐したんだろう 京太郎「あとココも分かんないですけど」スッ 明華「そこは――」メモメモ 京太郎「ほへー」カキカキ 明華「つまり」 京太郎「なるほど」カキカキ 明華「ということは」 京太郎「ほむほむ」メモメモ 明華「ジュテ~ム♪」 京太郎「Foooo!!」カリカリカリカリ 明華「はい、その調子です!」ダキッ ムニュッ 京太郎「Yeah!!」キリッ 竜華「……」 透華「……」グシャッ パリンッ 菫「貴重なメガネが……」 宥「可哀想……」ホロリ 煌「ホントにどうにかならないでしょうか、このおもち脳は」イライラ 久「ええ、本当に」イライラ 透華「そのとおりですわ」ムカムカ 霞「あら、いいじゃない」 和「全くです」 歌唱力が上昇した!! テレレレッテテーレー 66 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 21 24 02.03 ID 8hoXbFyZo [6/13] 京太郎「なんだか分かってきました」ドヤァ 明華「では次はピアノを弾いてみましょうか」 京太郎「ピアノ?」 明華「指揮者はピアノが弾けるものなんですよ」ニコニコ 京太郎「ああ、そういえばドラマでそんなシーンがありました!」 明華「ふふっ。早速弾いてみましょう」ガラガガラッ はやり「どこからピアノを出したの?」 久「さぁ?」 竜華「うーん」 煌「私じゃありません」 菫「では一体――」チラッ | | /| |ヽ | / | | ヽ | / / /⌒ ヽヽヽ | / | ο | ヽ | ヽヽ ⌒ | /⌒ / | ヽヽ ノ ¥ ノ/ | \∧ M ∧/ | // _ヽ W / \ | __/_ ヽ__彡ミヽヘ |\ \/━━─┐彡 |ヽ\ ヽ 》《 | \ \ | / \ |/ / ノ / \ |/ \ / |ゝゝゝゝ\ \ \ / || / \ \ \ \/ ヽ 一同「ウェッ!?」 京太郎「よーし、やるぞ!」コキコキ 明華「ふふっ」クスクス コンマ安価 ↓3 ゾロ目でソウルキャッチ 00~09 京太郎「ムズイ……」ガクッ 大失敗 10~39 京太郎「ぐぎぎぎぎっ」ポロンポロン 失敗 +1 40~89 京太郎「おもしれェ!!」ポロポロロン 成功 +3 90~99 京太郎「だって、モーツァルトはピンク色ですよ?」 大成功 +5 ゾロ目 明華「ああ――なんて美しいラフマニノフ!!」キラキラ 74 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 21 38 52.41 ID 8hoXbFyZo [7/13] 明華「落ち着いて、ゆっくり」 京太郎「うーん」ポロロン ド、ド、ソ、ソ、ラ、ラ……ソ 京太郎「キラキラ星でもこんなに難しいのか……」ウーン 明華「初めてにしては筋がいいですよ」ニコニコ 京太郎「そうですか?」 明華「そのまま続けてください」スッ 京太郎「っ!」ドキッ 明華さんが隣に……?! しかも、スッゲェ近い!! 明華「~~~♪」ポロロロン 京太郎「!?」 明華「合わせようとしないで、ゆっくり……」ポロポロン 京太郎「おお!? なんかジャズっぽい!」ポロポロ しかもノってきたら……弾きやすい!? 京太郎「おもしれェ!」ポロロロン 明華「クスッ……」ニコニコ 一同「……」 京太郎「ありがとうござました!」 明華「いえ、これからも頑張りましょう♪」ニコニコ 京太郎「よーし! 掴めて来たぞ!」メラメラ 歌唱力が上昇した! テテテーテーテーッテッテー♪ 透華「世の中所詮胸ですわ」キッパリ 久「そうね」ムカムカ 煌「全くです」イライラ 菫「……」 霞「(ふーん?)」ニマニマ 75 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 21 52 10.59 ID 8hoXbFyZo [8/13] 【合宿所 リビング】 テレビ「デデーン 全員アウトー」 はやり「ふふっ、面白いねー」 久「なんだかんだ毎年これを見てる気がするわ」 宥「あったかいギャグ……」ホカホカ 竜華「本来やったら出れたんやけどなー、誰かさんは」ジトッ 京太郎「うぐっ」ドキッ 煌「まぁ、いいじゃないですか。まだまだこれからですよ」ウフフフ 美穂子「またすぐに若をテレビで見たいですね」クスクス 和「(須賀君とまた共演したい)」 京太郎「はい、頑張りますよ! まずはソルサキを完全にこなさいと!」」 菫「その意気だ」ウンウン 竜華「さて、そろそろ年も明けるで」 明華「年越し蕎麦美味しいです」チュルルッ 京太郎「……」 もうすぐ12時を回るのか 折角北海道に来てるんだし……何か特別なことしたいな 京太郎「(とは言っても、ここにはゲレンデくらいしかねぇ)」 どうする? 選択安価↓3 1 このままみんなと新年を迎える 2 誰かを誘ってゲレンデに行く 79 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 22 13 26.46 ID 8hoXbFyZo [9/13] 京太郎「(本当なら和を誘って……ロマンチックに年越し、なぁーんて)」チラッ 和「……須賀君?」キョトン 京太郎「っ!? な、なんでもない!」プイッ ヽ./ , ヽ ヽ冫 | / / /」 /} }゙`「丁ヽハ ! ! ! }-ィ |_,'_,,|-‐''/ / / .} /.| | | /. } | | . リ !.|. ト.、 ,. ──‐、 ト、 ィ゙ | |\/ //. / / ! !/!/ !从 /| .| !∧冫 //´ ̄ ̄ヽ', |人小|ヽ !.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′ U } } l ヾ |/{ ⊂. ′ ´ ! ィ./ ト,ムノ ! , ,' ' γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ゝ-.″ | } | //', { ` 、 レ′ !. { !..',\ ノ ! U | `ー´\ ,. , / ! ! ! ! |. ` 、 ./| . ! ! ! ! ◯ | }` .. __ , イ | | | | | | } ィ‐┤. ├ .、| | | | | { 和「??」 京太郎「……(流石にそんな空気の読めないことはできないか)」ハァ でも、こうしてみんなと年を越せるだけでも最高だ 竜華「お、そろそろやん」 俺のことをよく考えてくれる竜華さん 煌「ワクワクしますね」 こんな俺の世話をしてくれる煌さん 久「そう? 別に普通じゃない」ソワソワ 意地っ張りだけど、本当は誰よりも仲間想いの久さん 透華「こうして賑やかな年越しも悪くありませんわ」フフ 素直じゃないけど、一番期待してくれている透華さん ハギヨシ「皆様、今年もお疲れ様でした」 俺の憧れで、その夢を……背負わなければいけないハギヨシさん 美穂子「カウントダウンが始まりますよ」ウキウキ まだ過ごした時は短いけど、もう立派な仲間の美穂子さん はやり「また年を迎えるんだねー」ズーン 年長者なのに子供っぽくて、でも実は頼りになるはやりさん 菫「ふふ、来年もいいことがあるといいが」クスッ ぽんこつだけど、やる時はやってくれる菫さん 宥「京太郎君のお陰で、今年は暖かかった……」ポワー 寒がりだけど、心の内は熱血な宥さん 明華「年越しらぁめん♪」チュルチュル まだキャラがうまく掴めてないけど、俺を的確に指導してくれる明華さん 霞「来年には……ふふっ、必ず手に入れるわ」クスクスクス おもち、おもち! おもちぃぃいぃぃぃぃ!! とにかく素晴らしい霞さん 京太郎「(みんないい人達だ。そんで……)」チラッ 和「もうすぐですね……」 きっと報われないだろう……想い人 83 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 22 28 42.99 ID 8hoXbFyZo [10/13] 82 早く新刊買いたい この人達だけじゃない 応援してくれるファンの人、俺に仕事をくれる制作サイド スタッフさんや、共演者の人達 多くの人に支えられて、俺は今ここにいる 京太郎「……」 正直、今年は何度もくじけそうになった いじけて、イラついて、何かに当たり散らしたくなって それでも、ここまでこうして歩いてこれたのはきっと―― 京太郎「みんながいたから」ボソッ 一同「えっ?」 京太郎「俺がこうしていられるのは、きっとみんなのお陰だから」 竜華「京太郎君……」 京太郎「だからお礼を言わせてください」ペコリ 俺を俺でいさせてくれて、俺に生きる意味をくれて 京太郎「……ありがとうございます」 一同「……」グググッ 京太郎「……あれ、なんで皆さん拳を握りしめていらっしゃるんでしょうか?」アセダラダラ 竜華「京太郎君、今何時?」ニコニコ 京太郎「へっ?」チラッ 時計「0時1分だお!」 京太郎「」 竜華「そんなくだらない話で年明けしたんやけど……?」ニコニコ 煌「言いましたよね? 私達は好きでやってんだって」ゴゴゴッ 久「今更礼なんて言われても、ねぇ?」 美穂子「水臭いです若!」 菫「呆れて言葉も出ない」ハァ 透華「全くですわね」 京太郎「ふぇぇ」ウルウル 85 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/27(金) 22 46 15.97 ID 8hoXbFyZo [11/13] 82 行きつけの店が売ってなかった 地道に探すお 和「ふふっ、でもこんな感じが私達らしいんじゃないでしょうか?」 京太郎「和?」 竜華「せやね。京太郎君はどこか締まらない方がええかも」クスッ 京太郎「え? え?」 一同「うんうん」 京太郎「なんか腑に落ちない」ズーン 煌「京太郎くんはかわいいってことですよ」ヨシヨシ 京太郎「嬉しくないです!」 久「何にしても、年も明けたんだからそろそろやっとかない?」 霞「そうね。ちゃんと締めましょう」 美穂子「では若、今度は情けない姿を見せないでくださいね」ニコニコ 京太郎「……はい」サッ 一同「……」ジッ 京太郎「俺は……トップアイドルになりたいです」 竜華「なりたいって、あんなぁ京太――」 煌「静かに」シッ 京太郎「だから皆さんに宣言します」 和「え?」 京太郎「俺は今年以内にトップアイドルになります! だから――」 そう、もう俺は弱気になんかならない これは過去の俺との決別 京太郎「俺に付いてきてください。必ず、俺が頂上を見せます!」デデーン 一同「!!」ドキッ 京太郎「俺からは以上! よろしくオナシャス!!」ペコッ 一同「……」パチパチパチ 京太郎「……」カァァァァ 竜華「ええこと言うやん」ツンツン 煌「このこのー」ツンツン カッコイイー ダイテクダサイ ヌレルッ! オカズニシヨウソウシヨウ ケッコンシヨ ニンシンシタカモ 京太郎「ふぇぇ……」 104 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 22 12 39.39 ID NmoVx1rQo [2/11] 【元旦 合宿所】 京太郎「うーん……」ムニャムニャ 和「Zzzz」スピー 京太郎「うぇー、正月早々餅つきれすかぁ」ムニャムニャ 和「んっ……」スースー 京太郎「じゃあこねますねー」ウヘヘ モミモミモミ 和「んぁっ……」ビクッ 京太郎「んぇー、やわこいですねぇ……Zzzz」コネコネ 和「ぁっ、んっ……//」Zzzz 京太郎「ZZzzzzzz」モミモミモミモミ 和「~~~っ!!」ビクンビクンッ ガラガラッ 竜華「ほら、いつまで寝て――!」 京太郎「ウェッ!?」ガバッ 和「んぅっ?」パチッ 京太郎の手「ハートキャッチ」ワーオ♪ 和「あっ……//」カァァァ 京太郎「……」 竜華「……」ゴゴゴゴゴゴゴッ 京太郎「ちゃうねん」 竜華「……」 京太郎「こ、これはクリボーが勝手に!」 竜華「少し……頭冷やそうか?」 \ウギャァァァアァァァ!!/ モゾモゾモゾ はやり「ふあぁぁ、よく寝た」ゴシゴシ 久「結局みんなこたつで寝ちゃったのよねぇ」 宥「うぅ、ちょっと寒い」ブルブル ガラガラ 美穂子「みなさん起きました?」 ハギヨシ「朝ごはんはできていますよ」 モゾモゾ 透華「ふぁぁ、流石ですわ」ネムネム 菫「完全に寝過ごしてしまった」ズーン 明華「Zzzzz」スピー 霞「うぅ、うつ伏せで寝ちゃったから胸が痛いわ」サスサス 105 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 22 22 31.65 ID NmoVx1rQo [3/11] 竜華(殺意の波動)「はぁ、はぁっ……!」ギリギリッ 京太郎だった物質「」グチャグチャ 竜華「そ、そんなに触りたいなら、う、ううううちのにす、すすすれば!!」カァァァァ 肉塊「」 煌「●耶みたいになってるし、聞こえてないと思うな」ツンツン 肉塊「」ビクンビクンッ 和「わ、私の胸を……」ガッツポ! 久「まーた抜けがけね」ハァ 煌「完全独走ォ……」 竜華「う、うちが越えてやる!」チョウヘンシーン 透華「それよりも、初日の出を見逃してしまいましたわ」 霞「あら、ほんと。残念ね」 明華「くぁっ……」ネムネム ハギヨシ「おせちとお雑煮です、どうぞ」スッ 宥「あったかぁい♪」モチィーッ ワイワイ キャッキャウフフフ 肉塊「」ズルビタズルビタッ 霞「これタッパーに詰めてもいい?」スッ 久「しょうがないわねぇ」つ【おっぱいマウスパッドVer美穂子】 美穂子「そ、それはっ!?」カァァァァ 久「ほーら、どう? この間(無理やり)型どったばかりのホヤホヤよ」 竜華「そんなんで元気になるわけ――」 美穂子「そうですよ! 若はそんな――!!」アタフタ / / | ハ | | i 、 ヽ \ \_. i / | | | | | |、 i ゙、 、 \_ _> | i | i | | | | ハ ハ _i!_ i \ ヽ` ̄ ̄ | | |+--|、_|! | | i! ,/.ィ'|"i´ ハ | i ヾ 、 ヽ | | |.|ヽ |、_|王!ー |./i .;"´/=、!/ | ! | \ 、i 人. !. r| i.|、!,,ィ'" ._iミi! |/ /彳 r !ヽ,| ,イ | 、_ \ `Y´. | |^!. N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ ! | i、i、 ゙、 ` ̄ ̄ メ( /^|イ `、| ノi \ヾi .、、 i! i ノリ ` | ヽ__i |イ|/ ヽ i、 i ____...., |/ ヽ!、 i\ `ー-- ―'´ /、! i !i 、 \  ̄´ /!/ 人 |ハ,i、! 、 \ / ./.| `Y´ ト、! ゙、 `ー---'′ /|V 京太郎「A,HAPPY NEW YEAR!!」キリッ 一同「……」 京太郎「あ、それ貰っても」グヘヘ 久「別にいい――」 美穂子「絶対にダメです!」プンプン 108 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 22 34 04.49 ID NmoVx1rQo [4/11] 106 1/1 美穂子型おっぱいマウスパッド 和Ver、霞Ver、咲VerもNow on Not Sale! 【そんなこんなで】 ギュッギュッ 京太郎「さて、荷造りはこんなもんかな」ガサゴソ 久「忘れ物しないようにね」 菫「それにしても長い一週間だった」 霞「忘れたいことがたくさんありそうね」クスクス 菫「う、うるさいっ」カァァァ 竜華「一応今日まではレッスン出来るけど、どうする?」 京太郎「そうですね。折角ですし」 はやり「レッスン終わったら、すぐに出られるようにしておかないとね」 宥「忘れ物無いかな」 美穂子「掃除も全て終わりました」フゥー ハギヨシ「皆さんご苦労様です」フフフ 透華「折角北海道に来たのに、結局観光もありませんでしたわ」 久「まぁいいじゃない。また今度来ましょ」 明華「……」つカニ 霞「(なんで蟹を持ってるのかしら……)」ウーン カニ「オィデュエルシロヨ」カチカチ はやり「しかも生きてるんだね☆」 京太郎「カニ鍋食いてぇ」 美穂子「では戻ったら作りますね」フフ 京太郎「わーい」 煌「……」シュインシュインシュインッ 竜華「は、花田さんが怒りのあまり金髪になっとる!?」 菫「そんなに胸筋を守りたいのか……(困惑)」 109 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 22 41 36.78 ID NmoVx1rQo [5/11] 竜華「それじゃ、何のレッスンする?」 京太郎「そうですねぇ」ウーン > -─── < / ` 、 / \ / / \ ./ / ヽ / / / / l ヽ .∨ j ∨ / ル , j l Y .j Y´ ノ ,; ノ/j イハ ! } .イ ト'´Y ナ卅'‐x- zノ/j /ハ } } l ! ! ! レ'≠=≦、ノ ./ イ/.! イ ! ! ! ! ! Y .Y { んzハソ ノ ノ ノ/∧!' ! ! ハ } 〉 l | .! | ゝ-ク' ´ r=≦'.`メ ノ /ノ.リ ./ { ! ! l ん.v/.}ノ ノ' /' ./ 〉 ト-! ! ゝ.乂./ / ノ / /´∧ !`| | ` ./ /イ ノ -‐' .ヽ {. { ! r--, ./ ! j , r '´'´ .∧ ∧.、 {.`ヽ、  ̄´ ノ !リ リ´ /,r ‐ .、 .∧ ∧ヽ ゝ `ヽ -‐<r‐-、' / /r.⌒ヽ、 `ヽ、 ∧ ∧、\ゝ  ̄ /./Y ! / { ヽ 〉、∧ ∧` ,v‐ー-、 / }l | { / /.!. ヽ ∥} `} | ヽr' ´ >./ /j' j .!' .! ∨' l .} l Y´ r'´ r./ 〉' { .ト, | ∥ .j l j }ゝ-{ / \ .' }、 l .∥∨ }/ } ∨ \ .∧ 宥「たまには選んで欲しいな……」シュンッ 京太郎「容姿で」キッパリ 菫「え? 雀力じゃないのか……」グスッ 京太郎「麻雀で」キリッ 霞「ふーん?」ガリゴリガリゴリ ←くるみをこする音 京太郎「演技力で!」アセダラダラ 明華「……」ジィーッ 京太郎「……か、歌唱力」 はやり「優柔不断はダメだぞっ!」メッ 京太郎「そうは言っても!」 はやり「それじゃあスキルにしようねっ!」ニコニコ 京太郎「ほわぁぁぁぁ!」 ヤイヤイ ガヤガヤ! ギャーギャー ウッウー! 竜華「……」ハァ 和「どうするんですか?」 竜華「せやな。ここはうちが決めたる!!」クワッ 選択安価 ↓3 1 容姿 2 歌唱力 3 演技 4 雀力 5 スキル開発 115 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 22 50 25.86 ID NmoVx1rQo [6/11] 竜華「容姿や!!」デーン 京太郎「へ!?」 菫「!?」 明華「あら……」 霞「……」グシャッ パラパラ はやり「うーん、残念♪」 _,, ----- _ , r ´ ` ヽ.、 / \ / \ / \ ./ / ヽ / / i ヽ / / / ハ | | i ヽ ./ j | ハ | | | | | ヽ j | | , r ナ'ナ.|` メ, | |i_,rハ- 、i | i ヽ .i ii | / / / .j / | /1 / ! /iヽ、 リ | ヽ | || | /_ノ--i / .| /| / .V ._i / .| / |i | | | | | /r' ノ' ヽ | / i/ r'´ y ヽ| イ |i | | | | |/.{ .} レ { .レ'/ / /| リ .〉 |´| |. ゝ ノ 、 .ノ./ /| / レ / | |. ! ! ゝー''´ ゝ _.ノ / / ノ' ' / | |ゝi | \ \ \ \ \ \ \ \ \/ ノ | イ 〈 | | | | ´ i j | .ゝ | | ヽ |、 / ̄ ̄ ̄ヽ ノ ノ | ヽ | | ヽ |.ゝ、 ゝ-------'__ -- ' / / ヽ、 〉 ! | i ` ヽ------- ' ´ __, --/ / ヽ / ! i / ヽ i、 __ - ' ,,ノ / i ヽ ./ ヽ Y 〉、 ヽ、__, ´ _ -´ // .ヽ iヽリ / ヽ | ./ \ゝヽ _, r ´ r⌒ヽ ノ レ / ヽ | | `]-___, r ' ノ / ヽノ 宥「い、いいの?」ドキドキ 竜華「最近やってなかったし、それに……」ポンッ 京太郎「?」 竜華「折角東京に戻るんやし、カッコつけんとね」ニッ 京太郎「……はいっ!!」ニィッ 和「これ以上かっこよくなってどうするんですか?(正論)」 久「ロッカーで責任取りなさいよ(半ギレ)」 煌「あの胸の中で抱かれたいです(ガチギレ)」 透華「貴女達、少しは落ち着きなさいな」ドウドウ 宥「久しぶりだね」ワーイ 京太郎「頑張りましょう」グッ コンマ安価 ↓3 ゾロ目であは~ん♪ 00~09 京太郎「フゥーハハハッ!」ドヤッ 大失敗 10~39 京太郎「ふむふむ」 失敗 +1 40~89 和「う、美しい……ハッ!?」 成功 +3 90~99 竜華「なぁ、すけべしようや……」ドキドキ 大成功 +5 123 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 23 02 09.05 ID NmoVx1rQo [7/11] 宥「それじゃあやるよー!」ワキワキ 京太郎「おお、どうなるかな」ワクワク 煌「楽しみですねー」ワクワク ~~数十分後~~ 宥「できましたっ!」フフン 竜華「お、自信アリやな」 宥「今回はちょっとクールに攻めてみたんだ」ニコニコ 美穂子「寒いのが苦手なのに、クール系なんですね」 菫「それはあれじゃないか、ほら寒い日にアイス食べたくなる心理」 和「もう待ちきれません!」ハァハァ 久「ハリーハリー!!」バンバン 宥「それじゃあ、開けるね」カーテンガラガラ 透華「さて、どんな感じ――」 京太郎「……」スタスタ /| | | i | /! /i | ル-‐弋 | | /| |// |. /| | | |! |_ / | /斗匕-‐弋サX| | // |/ ! /| | | iヾ!弋牙ヽ / / ^ー―‐'''" | i| /∧ |/ /. /| ∧ i|  ̄ i | /|// ∧ |/. /| |\ | | //|///∧ |. ∧ |.∧ | | /// |.///∧ | ※京太郎 ∧ |./丶 i | /// |./// |. ∧ |///|\ ` / /// !∧| ̄\ ∧ ∨/| |\ `==‐- / /// | ∨ ∧ \. ∧ ∨| |//.\ ー // // 丿 ∨/! |\ /\ !_|//i/\ , < // ∨ | |\ / |l\ !ハノ ./ 厂 ∧ / / | | \ 和「う、美しい……ハッ!?」ドキッ 竜華「なんやこのイケメンッ!?」 明華「ふふっ」パチパチ 美穂子「わ、若……!!」フラフラ 煌「……」パシャパシャパシャ 京太郎「この顔すっげぇ疲れるんですけど」フゥー 霞「……」カシャッ ピローン メルメル ~~~~ ブーッブーッ ??「霞ちゃんから……?」パカッ カチカチ 添付:京太郎の写真 ??「ぁっ……//」キュンッ フラフラ バッターン!! 128 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 23 13 51.95 ID NmoVx1rQo [8/11] 竜華「京太郎君も幅が広くなったなぁ」ジーン 京太郎「でもこれなんか婚約者取られそうな顔だちですよね」シンドウー 久「その哀愁感がいいんじゃない?」テキトウ 霞「(絶対に手に入れる)」フフフ 宥「よし、じゃあ次にチャレンジ!」ワキワキ はやり「次はもっとガツガツ系が見たいな!」 菫「確かに京太郎君の肉食系は見てみたいかも」ウン 京太郎「肉食系ですか?」 宥「うーん」 透華「何かいい案でもありまして?」 ダダダッ 和「す、須賀君! か、かかかっこいいです!」ドキドキ 京太郎「ああ、ありがとうな」ニコッ 和「クゥーン」ボシュゥゥゥ! 宥「とにかくやってみます!」メラメラ! 京太郎「お、お願いします」アツイッ コンマ安価↓3 ゾロ目で容姿が日本一ソフトウェア 00~09 京太郎「フゥーハハハッ!」ドヤッ 大失敗 10~39 京太郎「ふむふむ」 失敗 +1 40~89 京太郎「こ、これは!?」イッケメェェェェェン! 成功 +3 容姿S!! 90~99 京太郎「……」ドドドドドッ 大成功 +5 149 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 23 41 21.23 ID NmoVx1rQo [10/11] ~~一時間後~~ 透華「随分時間がかかってますわね」 竜華「それだけ気合入れてるんとちゃう?」 久「どうかしら」 ガタッ ガサガサ 和「あ、もう準備できたようですよ」 煌「楽しみです」 タタタッ 宥「たたたた大変だよぉ!!」ガタガタガタ 美穂子「どうかしたんですか?」 菫「失敗したのか?」 宥「そうじゃなくて、そのやりすぎたというかその……//」モジモジ 一同「??」 宥「と、とにかく開けるよ!」サッ はやり「肉食京太郎君楽しみだね!」 透華「さて、鬼が出るか蛇が出るか」 明華「……」ドキドキ 竜華「京太郎君……」 ファサッ 京太郎「……」コツコツ 一同「!?」 京太郎「ふぅっ……」ザッ ,イ { ( 丶 . -┴′  ̄ ̄ \ / / \ / , ヽ、 ,′/ ,ィ 、 ___ > / / / / / .| , /Ⅳ |∨. ∧ ーイ ′ |==トミz、Ⅳ} //_,斗V ,| Ⅳ ∧ ノイ 八ヽ {うソ``//Ⅳ=ぅニア/! l V } | { ′ / '7,/ ∨/ {'∨ ! { /イ ∧Ⅳ \ Ⅳ レ′ 圦 ー― 一 八 | \ , イ ! \ /!/ _|___ ー< |′ |三三三o三| ,' | ___ |三三三三=| ,' |ニ{三o=| -=二三//三≧o=| ,' |ニ{三o=| -=二三三三三三//三三三三≧ュ ヽ圦三≧ュ/三三三∧三三三//三三三三三/ / r‐「 V三\\ニ≧ュ三三三三=∧三´-<三三三三三三/ / Ⅳ Vニ三\\三三≧ュ___三三三三三=}三三三三三三三ニ / / \ ||∨}三三三>`三三\三ヽ 一同「「「「「「んぁっ♪」」」」」」ズッキュゥゥウゥウン! 京太郎「こ、これは!?」イッケメェェェェェン! 155 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/29(日) 23 49 17.61 ID NmoVx1rQo [11/11] 151 ちょこっとだけホーンいじってる 京太郎「あの、どうですか?」ズイッ 竜華「ちょ、こっち見ないで……//」モジモジ 京太郎「?」チラッ 久「ひっ!?」ゾクゾクッ 美穂子「んっ……//」モジモジ 菫「」ジュワッ 京太郎「和?」 和「」チーン はやり「」ハナジダラダラ 煌「取り敢えず踏んでください!」ズザァァァ! 宥「こんなに危険なものを生み出しちゃった……//」ドキドキ 明華「なんという……」ドキドキ 霞「結婚しましょう。鹿児島に家を建てたの、白くてきれいなとても静かな家」ブツブツブツ 透華「お金なんて、なんの価値もありませんわ。あ、アナタの前では……//」モジモジ モワァ~ン ※発情した雌の空気 京太郎「」 ガチャッ ハギヨシ「そろそろ時間ですが――」 京太郎「……」 ハギヨシ「……」 女性人「」ポワーン ハギヨシ「……」ニッコリ バタンッ 京太郎「助けてェー!! 開けてくださいぃぃ!!」ダンダンダンダンッ! ハギヨシ「お世継ぎをお願いします」ペコリ 京太郎「イヤァァァァァァ!!!」ダンダンダンッ! 162 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 00 00 25.35 ID le0lQTnjo [1/16] ~~そんなこんなで~~ 京太郎「ひどい目にあった」ゲッソリ 竜華「ま、まぁちょっと錯乱しただけやん」ツヤツヤ 久「そうよ」ツヤツヤ 美穂子「~~~//」ツヤツヤ 透華「……」ツヤツヤ 和「須賀君が、ふふっ……須賀君の須賀君」ツヤツヤ はやり「若返ったよ☆」ツヤツヤ 菫「ゆるくなってる……」ツヤツヤ 宥「まだあったかい……//」ツヤツヤ 明華「こ、こんな気持ち……//」ツヤツヤ 霞「ご馳走様」ツヤツヤ 京太郎「もうお婿にいけない」シクシク ハギヨシ「美とはかくも罪なものですね」フフフ ブブーン 京太郎「あれ、もう一台バスが来てますね」 竜華「ああ、うちらの次にここを使う団体やない?」 京太郎「うわ、しかも可愛い子がたくさん乗ってる!」 煌「他所のアイドル事務所じゃないですか?」 久「へぇ、でもうちには関係ないわね」スタスタ ハギヨシ「時間もおしてますし、行きましょう」 京太郎「はいっ!」 スタスタスタ アイドルS「全く、このボクがどうして元旦そうそう修行なんですか?」プンプン P「そう文句言うなよ」ヤレヤレ アイドルS「そ・れ・に! 世界で一番可愛いボクにレッスンなんてそもそも必要な――」チラッ 京太郎「ん?」チラッ メトメガアウー アイドルS「」ガタガタガタガタガタ 京太郎「(可愛い子だな、同業者だろうし挨拶しておくか)」ニコッ アイドルS「」ジョバジョバジョバジョバジョバ!! P「な、72ィィィィイ!?」ゴクゴク 京太郎「(???)」スタスタ アイドルS「あ、あばばばっ!? こ、このボクが……」ガクッ 175 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 00 10 50.77 ID le0lQTnjo [2/16] 173 うむ 赤羽根Pはまた別に出る予定 ~~バスの中~~ 京太郎「なんだったんだろう」 菫「(あれも経験さ)」フッ 竜華「これがうちの京太郎の力や!」ドヤァ 久「大人気ないわよ京太郎君」 京太郎「挨拶しただけなんですけど」 和「もはや須賀君の存在が凶器ですから」 京太郎「えぇー?」 煌「さて、では帰りましょうか」 ハギヨシ「では出発します」 ブーンブロブロ 竜華「京太郎君、いよいよこれからや」グッ 京太郎「はい。今年で……やってみせます!」グググッ 目指すべきトップアイドル! 絶対に……やり遂げてみせるぜ! 和「私も、須賀君に相応しいレベルに……」ギュッ 竜華「(うちが絶対に京太郎君を――!!)」 それぞれの思惑を乗せながらバスは走る 霞「(須賀京太郎、あぁ……早く欲しいわね)」チュルリ 明華「……」 その想いの行き着く先は、果たしてどこなのだろうか 京太郎「よーし、頑張るぞー!!」 京太郎は未だ、自らを待ち受ける運命を知らない 【合宿編】 カンッ! 232 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 00 38 34.87 ID le0lQTnjo [7/16] 230 早く買いたいんやけどね というか誰も明華さんのキャラを指摘してこないということは大体当たってる?(謎の自信) 【翌日 京太郎のアパート】 京太郎「遂に戻ってきましたねー!」 シーン 京太郎「……」ポツーン えー、どうも皆さん 俺は須賀京太郎、アイドルやってます そのアイドルがなぜ、今こうして部屋でひとりぼっちなのかと言いますと ~~~ 竜華「じゃあ、二日ほど大阪に帰るから」 煌「福岡に戻ります」 久「長野に帰らないとねー」 美穂子「私もです、すみません」 和「すぐに戻ってきますから!」 透華「衣達が心配するから仕方ありませんわ」 ハギヨシ「よいお正月を」 はやり「あー、またママに文句言われるかも☆(切実)」 宥「奈良に帰らなくちゃ」 菫「私は暇だなー、初詣とか行きたいなー」チラチラ 霞「鹿児島に戻るわ。近況報告もしたいしね」クスクス ~~~~ 京太郎「あー、俺も長野に戻ればよかったかなー」 ゴロゴロ でもトップアイドルになるまではあまり戻りたくない うぅ、これが男の意地ってやつか 京太郎「誰か暇な人いないかな」 東京だと照さんか淡とかか でもあの二人はなぁ……色々と面倒だし 京太郎「……はぁ、どうしよ」ズーン 235 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 00 47 14.50 ID le0lQTnjo [8/16] ピーンポーン 京太郎「ん?」 誰だ? グルーポンのおせちは頼んでないし…… 京太郎「はーい、今あけます」トテトテ 一体誰だ、こんな日に? ガチャッ 京太郎「はーい」 明華「あけましておめでとうございます」ニコッ 京太郎「みょ、明華さん!?」ビクッ 明華「はい、明華です」ニコニコ 京太郎「う、うわぁ……//」カァァ すげぇ! ただでさえキレイな明華さんが、振袖を着てることによって…… 明華「?」キョトン 京太郎「めっちゃ可愛い……」ボソッ 明華「えっ?」ドキッ 京太郎「あっ! いや、これはその!」アセアセ 明華「……//」モジモジ 京太郎「……//」ポリポリ やべぇ、気まずいな でもどうして明華さんがここに? 京太郎「えと、明華さんはどうして俺の家に?」 明華「あ、そうでした。実は初詣に行きたくて」 京太郎「へぇ……初詣ですか」 初詣に行きたくてここに来たのか なるほど ふーん、なるほどなるほどー 京太郎「あの、明華さん」 明華「はい」 京太郎「ここは神社じゃないですよ」 明華「はい? ……そうですね」 京太郎「だから初詣はできないです」 明華「え? 予定があるんですか?」 京太郎「いや、ないです(半ギレ)」 明華「じゃあ大丈夫♪」ニコニコ 京太郎「???」 スッ 明華「これで一緒に神社に行けますね」ギュゥゥッ 京太郎「!?」ドキッ 237 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 00 52 08.27 ID le0lQTnjo [9/16] 京太郎「も、もしかして俺と一緒に初詣に!?」ドキドキ 明華「はいっ♪」ニコニコ 京太郎「」キュンッ! ヴァンパイアガール…… 明華「しゃなりしゃなり?」 京太郎「生きててえがった……」ポロポロッ 明華「???」 京太郎「それじゃあ今、着替えてくるので」 明華「はい」 京太郎「あ、それと」 明華「?」 選択安価↓3 1 京太郎「キレイですよ、明華さん」 2 京太郎「綺麗な振袖ですね」 3 京太郎「その格好、動きにくくないですか?」 242 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 01 00 58.42 ID le0lQTnjo [10/16] 京太郎「キレイですよ、明華さん」 明華「~~っ//」モジッ 京太郎「あはは、それだけ言いたくて」 明華「S'il vous plait prenez la responsabilite et associe.」スラスラ 京太郎「へ?」 明華「あっ」ドキッ 京太郎「今……」 明華「……//」カァァァァ 京太郎「……(よく分からなかったけど適当に返事しておくか)」 明華さんのことだし「冗談はやめてください」とか「そんなことないです」 とか言ったんだろう、多分 明華「い、今のはその!」アタフタ 京太郎「俺、本気ですから」 明華「えっ?」 京太郎「だから冗談であんなこと言わないです」キリッ 明華「」ボッ 京太郎「じゃあ、着替えてきますね」スタスタ 明華「La personne de destin♪」エヘヘ バッチリ、いい印象を与えたみたいだぞ! 243 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 01 11 17.89 ID le0lQTnjo [11/16] 【神社】 ガヤガヤガヤ ザワザワ 京太郎「うわぁ、人が多いですね」 明華「あっ……」ヨロッ 京太郎「足元気をつけてください。ほら」スッ 明華「……」ギュッ 京太郎「はぐれないようにしましょう」ニコッ 明華「はいっ」パァァ ミテミテー チョウキレイジャナーイ? シカモカレシモカッコイー イケメーン ダレカニニテルー 京太郎「(そんなカップルがいるのか?)」キョロキョロ 明華「??」 グヘヘ、オナカノコアンザンキガンピヨ スコシハオチツイテ 京太郎「大分行列が出来てますね」 明華「これは一体?」 京太郎「お賽銭ですよ」 明華「あ、知ってます」パチパチ 京太郎「折角ですし行きましょうか」 明華「はいっ!」 トテトテトテ ガヤガヤ ザワザワ ?「今の……お兄……ちゃん?」 249 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 01 17 45.10 ID le0lQTnjo [12/16] ~~そんなこんなで~~ 京太郎「ようやく俺たちの番ですね」 明華「では早速」つ5円 京太郎「お、知ってるんですか」つ5円 明華「ご縁がありますように、ですよね」クスッ 京太郎「去年はご縁ばかりだったからなぁ、今年は何を祈ろうか」ウーン 明華「ふふっ」 京太郎「うーん」 さて、どうする? 選択安価↓3 1 アイドルとして成長したい! 2 いい仕事が来るように! 3 恋愛が上手くいきますように! 259 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 01 26 53.21 ID le0lQTnjo [13/16] 258 同じコナミだが違うのじゃ 京太郎「(周りが美人の女の子ばっかりだし……)」チャリンッ 頼みます神様、俺にも少しくらいいい想いをさせてください! オナシャス! 京太郎「……」ガラガラッ パンパンッ ??「その願い、叶えてしんぜよう……」 京太郎「お、なんだか神様の声が色っぽい気がするぞ」 明華「さぁ、終わりましたね」 京太郎「そろそろ戻りましょうか」 明華「あっ!」コケッ 京太郎「危ないっ!」ダキッ 明華「あ、ありがとうございます……//」ドキドキ 京太郎「気をつけてくださいね」クスッ 明華「~~//」カァァ カラコロ スタスタ 京太郎「お、おみくじがありますよ」 明華「おみくじ、ですか」 京太郎「やってみましょうよ」 明華「面白そうですね」チャリン 京太郎「よーし、どうだろうな!」チャリン コンマ安価↓3 00~09 大凶 10~49 凶 50~89 吉 90~99 大吉 ゾロ目 博多華丸 270 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 01 35 18.06 ID le0lQTnjo [14/16] メクリ 京太郎「きょ、凶……」ガビーン なになに、あなた自身の運は最悪でーす☆ 今日死にまーす☆ 京太郎「!?」 なーんてウソウソ、本当は結構いい感じかも 京太郎「そんな嘘いらねーよ」 あなたの運はゴミクズ以下の三流だけど、周りの仲間が助けてくれる筈 京太郎「へぇ」ペラッ 黒髪ロング太ももむっちり巨乳か、ピンク神弁護士の娘巨乳が貴方の女神かも? 昔好物だったわかめも、じつは今でもあなたのこと…… 京太郎「ほえー」 でもでも、浮気はダメだぞ! 妹系金髪や超爆乳巫女に気をつけろぉ!! 京太郎「なるほど、分からん」グシャグシャポイッ 明華「ふんふ~ん♪」ニコニコ 京太郎「明華さんはよかったんですか?」 明華「はい!」パァァァ 京太郎「いいなぁ」 まぁ、俺がダメでもほかの人がよければそれもいいかもな 京太郎「さて、それじゃあ帰りましょう」 明華「そうですね」ニコニコ スタスタスタ コソコソ ?「……」ジィーッ 275 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/30(月) 01 43 50.47 ID le0lQTnjo [15/16] ?「……」ジィーッ 菫「おーい、何してる?」 照「置いてくよ」ヒュバババッ モグモグ 誠子「お腹壊しますよ」ハァ 尭深「もう手遅れになってそう」クスッ ?「……やっぱりお兄ちゃんだ」ボソッ 一週間見なかっただけのに、あんなに変わっちゃった ううん、それだけじゃない 顔以外も、演技力も歌唱力も雀力も……全然違う 成長したんだ この短期間で…… ?「ふふっ、やっぱりお兄ちゃんは……」 _, -──- .,_ '´ `丶、 / \ , / \. / . / ヽ ′ / / `、. .' / /, // /| | ` i . / 」_ ′/ | | i| . i. i | j/, /イ`メ、 | 小 || ト.! j .| ∨/ / |/ ヽ | ァT丁l | | ノ i| V j 抖竿ミ ノ ノ ,ノイjノ | i___ ____彡' , i| i| j 八| x x /ィ竿ミ 刈 | } ̄¨ え≠ / 八 i|/l | | x x / ノ | ′ / -‐ ' ハ 八 ト、 ヘ.__ ` 厶 イ ノ カッコイイなぁ……♪/ __,.斗‐=≠衣 ヽ八\ 丶.__ソ . イ(⌒ソ イく jア¨¨^\ \ \ >-=≦廴_ ア /ノヘ\ 斗ァ'′ \ \ ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ/圦 | 、\ ヽ 、∨tl `ヽ . ∨ V\ i { `| Vi \ ハ i } | } i } ∨,} }≧=- | 辻_V\`i} i } | /} iハ} 辻ノ ノ ¨〕V//リ iノ ////V〔 ¨〕 淡「私の自慢のお兄ちゃん!!」エヘヘ これからも、もっともっと頑張ってね! 照「お腹痛い……」ウルウル 菫「やれやれ」ハァ 初詣編 カン! 330 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/31(火) 21 38 10.02 ID 4UnPebNco [2/19] 【1月2日】 明華「ではまた」フリフリ 京太郎「はい。今日はありがとうございました」ペコリ 明華さんとの初詣も終わり、やることもなく帰宅 そんな俺をアパートの前で待ち受けていたのは…… 淡「おっかえりー!」ダダダッ 京太郎「淡!?」ビクッ 淡「会いたかったぁ♪」ダキッ 京太郎「ちょ、おまっ!?」アタフタ 自称、俺の妹だった ~~そんなこんなで~~~ 淡「おかわりー♪」 京太郎「はいはい」 淡「んふー、タローのお雑煮美味しいよ」ニコニコ 京太郎「そうか? なんだか嬉しいな」アハハ 淡「毎日食べたいくらい!」 京太郎「お雑煮毎日は飽きるだろ」コトッ 淡「飽きないもん」プクーッ 京太郎「いーや、絶対に飽きるね」 淡「んむぅ……」モグモグ 京太郎「しっかしお前もよく食うな」 淡「うん、一週間くらい何も食べてなかったから」フゥー 京太郎「へー、そりゃまた……」 一週間も食わないなんてダイエットかな? 京太郎「って、いやいやいや!! おかしいだろ!?」クワッ 淡「?」キョトン 京太郎「家に帰って何か食えよ!」 淡「それがね、最初は食べようと思ったんだけど……」 京太郎「思ったんだけど?」 淡「吐いちゃうの。げろげろーって」オエー 京太郎「は?」 淡「もうね、タローの料理しか食べられなくなっちゃった」ケロッ 京太郎「……はい?」 ひょっとして、ギャグで言ってるのか? 334 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/31(火) 21 45 11.50 ID 4UnPebNco [3/19] 京太郎「あの、冗談だよな?」 淡「ううん、まったくもって」フンス 京太郎「いや、普通は死ぬんじゃね?」 淡「この一週間は飲み物とサプリメントだけで乗り切った、えへへ偉いでしょ」ブイッ 京太郎「偉くないわ馬鹿ちん!」ペチッ 淡「うゅっ!?」 京太郎「あのな、俺が作っても誰が作っても一緒だろ?」 淡「……全然違うもん」 京太郎「だったらほら、このポッキー」つポッキー 淡「?」 京太郎「あーん」スッ 淡「あーん♪」カプッ ポリポリポリ 京太郎「うまいか?」 淡「美味しい!」キラキラ 京太郎「……」 淡「……」ウマウマ 京太郎「食えんじゃん!!」ビシッ 淡「食えたー!!!」ワーイ 京太郎「なぁ、さっきのは……やっぱり嘘だろ?」 淡「ううん、嘘じゃないよ」 京太郎「いやいや、今食べたじゃん」 淡「うーん、分かった。多分タローの料理は問題じゃない」 京太郎「ほら」 淡「でも」 京太郎「でも?」 淡「タローがいなきゃダメ」 京太郎「へ?」 淡「タローと一緒じゃなきゃ食べられない」 京太郎「」 淡「タローがいなきゃ生きられなくなっちゃった」エヘヘ 京太郎「ジィィィィザァァァァァス!!」 339 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/31(火) 21 52 08.71 ID 4UnPebNco [4/19] 京太郎「ま、まぁそれはおいおい解決するとして」 淡「?」 京太郎「俺は明日から仕事なんだよ」 淡「へー、そうなんだ」 京太郎「だからお前のそばにずっと付いてやるわけにもいかねぇんだ」 淡「……」シュン 京太郎「悪い、何かいい方法を考えなきゃな」 淡「……ごめんね」ウルウル 京太郎「え?」 淡「私、妹なのに……お兄ちゃんに、グスッ、迷惑、かけて、ばっかりで……」グスグス 京太郎「……」 選択安価 ↓3 +ゾロ目であわあわ復活の兆し 1 京太郎「甘ったれるな!」バチコーン!! 2 京太郎「バカ、俺達は兄妹なんだからそんなこと気にするなっての」ナデナデ 3 優しく抱きしめる 4 耳をハミハミする 351 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/31(火) 22 05 34.24 ID 4UnPebNco [6/19] 京太郎「淡」 淡「あ、ごめっ……そのっ」ゴシゴシ 京太郎「もういい」ギュッ 淡「あっ」ドクンッ 京太郎「お前は何も悪く無い」ギュゥウ 自分でも、どうしてそんなことをしてしまったのか分からなかった 淡「お、お兄ちゃ――!」ドキドキ ただ、目の前のこの少女が―― 俺の妹を名乗るこの少女が本当に、実の妹の様に思えて 京太郎「ダメな兄ちゃんでごめん」 今こいつを見放したら、きっと自分がダメになるような気がしたんだ 淡「うぁっ……お、お兄ちゃん……//」カァァァ 京太郎「これからはお前のこと、ちゃんと大切にする。しっかり守る」 ふと、思い浮かんだ 遠い昔、僅か一日だけ共に過ごした少女 自分によく似て、妹のように接した一人の女の子 京太郎「約束したからな、あの日」 淡「えっ……?」ドクンッドクンッ 京太郎「……あれ、俺今なんて」 淡「あ、あぁ……」ポロポロッ 京太郎「すまん、ちょっと混乱してて……あれ、この記憶って確か」ウーン 淡「思い出して、くれた」ポロポロ 京太郎「……そうだ」 ガキの頃、一日だけ遊んだ女の子 名前は聞かなかったけど、俺に良く似ている女の子で、確かその時―― 京太郎「カメレオン……」 淡「うん、うんっ!!」ギュゥゥ 京太郎「そうだ。思い出した、思い出したぜ淡!」ギュッ 淡「たろぉ……お兄ちゃん」ギュゥゥ あの日――俺が妹にしたのが、淡だった 俺は、そんな大切なことを忘れていたのか 京太郎「そっか、お前はずっと覚えてくれてたんだな」ナデナデ 淡「うん。私、お兄ちゃんの妹の淡だよ」ゴシゴシ 京太郎「ああ、お前は俺の妹だ。誰にも文句は言わせねぇよ」 352 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2013/12/31(火) 22 14 55.65 ID 4UnPebNco [7/19] 京太郎「……」ギュッ 淡「……」ギュッ それからは、気の遠くなるような時間が過ぎた 二人で抱き合いながら、何も話すこともなく……ただ抱き合っているだけ でも少しも苦痛じゃなかった ほんの一言も言葉はいらなかった ただ抱き合っている それだけで、今までのすれ違いを埋めるられるような気がしたから 京太郎「……もう、いいか?」 淡「うん……」スッ どこか名残惜しそうに離れる淡の頭を軽く撫でる 麻雀では魔物と呼ばれ、恐れられるコイツも……俺の前では一人の妹 飾ることも、取り繕うこともない ただ純粋に、一人の少女として俺の前にいる それがどこかむず痒くもあり、嬉しかった 淡「……でも、いいの?」 京太郎「ん?」 淡「私、本当の妹じゃないよ……?」 京太郎「馬鹿、さっき言ったろ。誰にも文句言わせねぇって」ワシワシ 淡「ひゃっ」 / / | | | | | l l | | | | | / / | |__ | | | | | l l /| | | | |. /// | |\ |‐\八 | | | |__,l /-|‐ リ リ | | / / - 、 | x===ミx|‐-| | `ー /x===ミノ// / ∧{ / | .八 _/ { { 刈`| | l /´{ { 刈\,_| イ /ー―‐ ..__. / / | |/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } / . . . . . . . . . . `「⌒ .. // /| l、 ー‐ \{ | / ー‐ j/ /}/ . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . / _,/ . ..| | \ ! j/ ′/ . | . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . . . / . . . . { |\ハ_, ノ ,___/{ . .| . . . . . . . . . . . . . . .| . . . . .∧. / . . . . . . . ′ | . .|\圦 / j/l/. . ′ . . . . . . . . . . . . . . . ./ . . .∧. /. . . . . . . . . . ′_,ノ⌒ヽ | 、 、 _ -‐' / . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . / . . / . /\ . . . . . . r‐ ' ´ ∨\/ ̄ )  ̄ ̄ / /. ./ . . . . . . . . . . . . . . / . / . . ./ . . / . . . . . .\ . .ノ ----- 、 ∨/ / 、 / ,/ . / . . . . . . . . . . . . . . / . / . / . . . . . . . . . . . . . / ‘, ‘, ./、 \ / /. . / . . . . . . . . . . . . . . ./ . // . . . . . . . . . . / . . . . .{ ---- 、 ‘, } / . . } ̄ \ ̄ ̄ ̄/ ̄ / .{/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -<⌒ . . . . . ./ . . . . ./ ‘, ‘,「l /⌒^\________/}/ . . . . . . . . . . . . . . . . . /´ \ . . . . / . . . . . .{ . . ‘, 人U{ . . . . . . .| \ / .| . . . . . . . . . . . .―‐┐ / \ . . . . . . . . } -- /\ . ノ r/ / . . . . . .| . . . \ ,/ . . . | . . . . / . . . . . . . . . . . ./ 京太郎「勿論お前にも言わせないからな」ニィッ 淡「……うんっ!」パァァァッ 京太郎「そう決まれば、これからもよろしく」スッ 淡「えへへ、タロー大好き!」ダキッ これでいい 本当の兄妹にはなれなくても、周囲から認められなくても 俺だけはこいつを裏切らない こいつを守ってやる それでいいよな? 淡「んふ~♪」スリスリ こんなにも、幸せそうな顔を見ちまったんだからさ 【ヤンデレ雀士妹(自称)に死ぬほど愛されて夜も眠れないアイドル 編】 カンッ!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4427.html
「――――また勝てなかった」 大会後、初めての休日。 いつものようにネット麻雀に興じ、例によって例の如く、手痛い敗北を喫して床に倒れ込む。 「今日は珍しく赤木さん達に遭遇しなかったから、どうにかなるって思ったんだけどなあ……【K】とか【堂嶋】ってのにとことん毟られた……」 頬に感じる床の冷たさにまったりしながら、理不尽すぎる和了りを繰り返した対局相手に不平を漏らす。 「なんで倍満、三倍満が連発すんのよ……?国士と四暗刻も連発したし……」 麻雀の役満とはあんなにも出やすいものだったか。 一、二度しか和了った記憶のない役満の直撃は、何度繰り返しても堪える。 「きゅわー?」 「ああ、ありがとなカーたん」 「パコッ……パコッ……!」 落ち込む主人を心配したのか、近くまで這ってきて顔を覗き込むペットのカーたんの背中をくすぐり、労ってやる。 「さすがにもう、ネト麻やる気にはなれんし……散歩にでも行ってくるか」 ムクリと体を起して、ベッドの上に放り出していた携帯電話と財布を手に取る。 「どこに行くかなあ」 ぼー、と天井を眺めて思案。 暇をしているなら、咲でも誘ってどこかに出掛けるという手もあったが、あいにく今はそんな気分でもない。 「公園にでも行って、まったりするか」 なんとなく決めて、立ち上がる。 たまには童心に返るのも面白い……そんな、気軽な考えからの行動だった。 京太郎が訪れたのは、自宅からそれなりに離れた場所にある公園。 自分のことを知っている近所の人がいるような公園だと、先日の県予選の話を聞かれたり、世間話に付き合わされたりしそうで嫌だったのだ。 「というわけで――――来たぜ……」 ざわ…ざわ…と、久しぶりに空気をざわつかせながら訪れた自然公園には、休日にも関わらず人の数は少なかった。 ざっと見渡した感じ、家族連れが幾組。あとは、木陰のベンチに座ってファッション誌らしき本を読んでいる、ハンチング帽を被った少女が一人。 これならゆっくり、まったりできそうだ。 「まだ右手も治りきってないし、休めるだけ休む……!」 にんまりと、ファッション誌を読み耽っている少女が座るベンチの向かい側にあるベンチに腰を下ろし、一息つく。 「そういや、飲むもの買ってなかったな……近くにコンビニってあったっけ?」 「んー?自動販売機なら、こっち行ったところにあるし」 風に揺れる梢のざわめきに耳を傾けながら、そういえば飲み物を買っておくのを忘れた――――と腰を上げた京太郎に反応したのか、雑誌に視線を落したまま、少女が自動販売機の場所を教えてくれた。 「あ、こりゃどうも御親切に」 「別に構わないし。困った時はお互い・様さ」 「――――ん?」 「どうかしたし?」 ハンチング帽の少女の声、そして口調に聞き覚えがあって中腰の姿勢のまま、首を傾げた京太郎に、ようやく少女が視線を起こす。 「…………あ、池田?」 「…………あ、須賀ナントカ?」 お互いに数秒、マジマジと相手の顔を穴があくほど見つめてから名を口にする。 「ちょっ、なんでお前がここにいるし!?」 「なんでって……」 ベンチから飛びのく勢いで距離を取って指差してくる池田、こと華菜に言い淀んだ後、京太郎は―――― 「んと、うん、俺俺。ってなんだよ池田、俺、須賀京太郎はここにいるぜ?」 「誰も捜してねーし!つか、清澄に通ってる奴が、なんで私の家の近くの公園にいるんだ――――ハッ、まさかストーカー!?ウィークリー麻雀TODAYに書いてあった相手って、まさか私だったし!?」 「おい待てコラ、全力で訴訟も辞さねえぞ」 雑誌のゴシップを真に受けられては困る。 アセアセと顔を赤らめながら髪を整える華菜に、半ば本気で否定。 「あんな面白おかしく書かれた記事を真に受けてんじゃねーよ、だからお前は池田なんだよ、池田ァ!」 「意味わかんねーし!じゃあなんでお前がこんなとこにいるのか、華菜ちゃんに説明してみろ!!」 真っ向から全否定されると、年頃の乙女としてそれはそれで納得いかないのは自然の妙理。 憮然とした表情で京太郎に、清澄のある学区から離れた公園を訪れた理由を問う華菜。 「散歩だよ、散歩。休みに出歩いたらダメなのかよ」 「散歩ねえ……まったくもってこれっぽっちも似合わないし!つーか須賀、お前、私より一個下なんだからちゃんと敬語使えー」 「ハッ!年上らしさの欠片も感じられねー」 帽子の下から猫耳のように髪を尖らせせつつ――無論、それは京太郎の幻視に過ぎないのだろうが――エヘンと偉ぶる華菜に、京太郎が冷めた目でペィッと手を振って拒絶する。 「っ……ホンット、生意気だし……!」 「お前にゃ負けるし……!」 ギリギリとお互い、妙な対抗意識を持って公園の遊歩道中央で睨み合う。 漫画やアニメであれば、バチバチと二人の間で火花や電撃が弾けているであろうガンのつけ合い。 それを中断させたのは――――小さくも強大な幼子の声三つ。 「あ!なんかにいちゃんいるし!」 「おねーちゃんとにらめっこしてるし!」 「なかよしさんだしー」 砂遊びでもしてきたのか、全身に砂と泥を纏わりつかせた状態で小池ーズ……緋菜、菜沙、城菜の三人が駆け寄り――――飛びついた。 「にいちゃんもいっしょにあそぶしー!!」 「ブランコののりかたおしえてあげるし!」 「みてみて、城菜のおきにいりオモチャー」 「ちょっ、げふぅぅぅぅっ!?」 ずどーーーーん、と勢い任せに飛び込んできた小池ーズの直撃に、京太郎がもんどりうって地面に倒れ込む。 「あぁっ、須賀……須賀ァァァァァァァァッ!?」 「く、くそ、不幸だ……やっぱり家でおとなしく、カーたんの相手でもしとけばよかった……!!」 そんなこんなで、京太郎の休日は騒がしくなることが確定した。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6134.html
京太郎主役のSS メインは有珠山 非安価(メンバーの詳細が明らかになっていないのに安価すると確実に破綻する) Qじゃあ何故書いたし? A求められた気がした 基本的にポストはやりんである真屋由暉子とHする内容 性的表現が含まれますので、未成年はご遠慮ください 不定期、遅筆。好き勝手に書く 上記の注意点に賛同できない方は、閲覧をご遠慮することを勧めます それ以外の方は、理解した上でご拝読をお願い致します 最後に非常に大事なことを言っておきます この世界では、『下着』が存在します ◆序章 両親の仕事の都合で、京太郎は生まれ育った長野と、幼なじみの少女と別れを告げることになった。 この時点で安っぽいギャルゲーのような展開を感じざるを得ないかもしれないが、寛大な目で見守って欲しい。 だがそんなメタ的なことを考える余裕もないほど、京太郎は沈み込んでいた。 短い期間とは言え、麻雀部唯一の男子として、全国大会に臨む少女たちの力になっていた京太郎。 最後まで彼女たちの仲間として残れなかったことへの悲壮感が、彼をそこまで追い込んでいるのか。 京太郎「……なんてことだ」 新たな土地に向かう電車の中で、京太郎は嘆く。 ここまで抑え込んでいた後悔の念を、独り零す。 それは…… 京太郎「もう、和のおっぱいを拝めないなんて」 周りの女性から冷めた目を向けられる慟哭であった。 京太郎は生粋のおっぱい星人である。 麻雀部に入ったのも、もともとは巨乳美少女の原村和とお近づきになりたかったため。 『大会始まれば画面越しで見れるじゃん?』という慰めも、今の彼には通用しない。 京太郎が求めるのは、実物のおっぱいである。 息づくように存在感を放つおっぱい。 僅かな動作で揺れるおっぱい。 卓に乗ってしまいそうな重圧のおっぱい。 それを肉眼で、生で見なければ、京太郎は我慢ならないのだ。 京太郎は泣いた。 わりと本気で泣いた。 おっぱい星人である彼が見つけた、理想的な二つの膨らみ。 それを、もう画面越しでしか拝めることができないのだ。 うおおおおっ! と唸るように京太郎は頬を大粒の涙で濡らした。 彼を泣く泣く見送った部員たちの厚意が、一気に冷めるだろう、最低な嘆きであった。 確かにここまで不純な動機で麻雀部に所属していたというのは、責められるべき点かもしれない。 だが、彼はただ『純粋』だったのだ。 己の欲望を誤魔化すことができない人種。 常にオープン状態という、ある意味で清々しい男。ギャグで言っているわけではない。 ――そしてなにより、それほどのおっぱいへの拘りと、欲望の抑制ができない彼でなければ、この物語は始まらないのだ。 京太郎を乗せた電車は、やがて到着点へ近づく。 トンネルを抜けると、そこは雪国…… 夏なんだからあるわけねえだろボケ。 京太郎「というわけで、来ました北海道」 京太郎はとりあえず、「あーあーあああああーあー」と歌っておいた。 ホタルー…… 京太郎の転校先は、南北海道に位置する有珠山高校であった。 ミッション系の学校らしく、制服には十字の紋様が添えられている。 どこの高校でもそうだが、あくまで教育理念を目標として生活するように、と言っているだけで、 決して入信を強制しているわけではない。 朝礼兼ミサにしっかり参加さえすれば、基本的に個性は尊重される。 それでも以前の高校とは異なる校風に、京太郎は戸惑った。 だが、元来気さくな性格のおかげで、ひと月もすればすっかり友人たちもできていた。 新たな部活仲間も。 爽「京太郎ー。この衣装スケッチ、ファイリングしといてー」 京太郎「あいあいさー」 京太郎は転校先でも麻雀部に所属した。 最初の動機は和のおっぱいであったが、やはり経験のある部活に身を置くのがベストだろうと踏んだのだ。 以前の麻雀部で雑用をこなしていたと自己紹介したら、問答無用で雑用係を命じられた。 アンマリダー、と大袈裟に泣いた京太郎だったが、後輩の役目であると言い聞かせて、実直に勤めた。 それが結果的によかったようである。 京太郎の無駄のない仕事ぶりに感心した部員たちは、あっという間に彼を信頼した。 そうして今日も、信頼と好意を持たれた上で、雑用を任せられる日々である。 衣装のファイリングって麻雀と関係あるん? というツッコミには後に答えさせていただく。 新たに入部した麻雀部は、清澄と似たメンバーで構成されていた。 まず、少数精鋭という共通点。 そして男子は都合よく京太郎だけ。本当に都合のよい。 揺杏「京太郎~。お前もよかったら、こういうヒラヒラ着てみるか~?」 京太郎「ジョークでもやめてください岩館先輩」 少人数の部活ともなると、人間というのは決められたポジションに着くものなのかもしれない。 京太郎は部員の一人ひとりに、まるで清澄麻雀部メンバーの、面影のようなものを感じていた。 二年の岩館揺杏は、度々間延びした口調で京太郎をからかう。 まるで以前の部長である竹井久のように。 爽「ふむ。京太郎のルックスなら、女装もイケルかもね」 揺杏のからかいに同調する三年の獅子原爽は、久の相棒とも言える染谷まこと言ったところか。 誓子「京くんの女装かぁ。ちょっと見てみたいかも」 穏やかにクスクスと微笑みながらお茶を用意しれくれる桧森誓子は、少しトゲの少ない原村和のようであった。 成香「あ、あのあの。京たろーくんが嫌がることは……いつも、私たちのために雑用をしてくれているのに」 控えめに京太郎のフォローに回る本内成香は、長野でもよく擁護役となってくれた幼なじみの宮永咲だ。 完全にそっくり、というわけではないが、京太郎に与える影響力や立ち回りは、やはりどこか似ている部分があった。 となると、残るのはよく京太郎に絡み、懐いていた小柄な片岡優希だが……。 確かに、小柄という点は共通している。 京太郎を振り回し、悩ましているというところも同じ。 しかし、その『振り回し』は、優希とはまったくベクトルの異なるものだった。 なにより、性格も雰囲気も……そしてその肢体も、優希とは完全に真反対である。 『彼女』は、京太郎の女装の話題にも、無表情に反応しているだけだった。 由暉子「女装ですか。私は須賀さんがそういう格好をなさっても、別にいいかと思いますよ」 そう言って真屋由暉子は興味なさげに、クールに肩を揺らした。 その瞬間、彼女の動作の反動で、大きく揺れる二つの物体。 それは、決して優希が持っていなかったもの。 有珠山麻雀部の他の部員も持たない、究極の逸品。 そう、それは…… おっぱいである。 京太郎(やっぱり由暉子の胸デカァァァァァァァァァイっ!!) 京太郎は心の中で歓喜の咆哮を上げた。 京太郎と同じ一年生である由暉子は、身長だけ見れば、まるで小学生と錯覚してしまいそうなほど小柄である。 優希も小さかったが、由暉子はそれ以上に低身長かもしれない。 京太郎と並んだら、彼の胸に届くか届かないほどである。 だが、由暉子の驚くべき点はもっと別にある。 まるで身長の成長が、すべて他の部分に行ってしまったかのように、その肉体は『たわわ』なものなのだ。 京太郎(ゴクリ……) 何度見ても、思わず唾を飲み込んでしまう。 制服越しでも輪郭がわかるほどに膨らんだ、豊かな胸部。 同じ内臓が詰まっているのか心配になるほどに細い、蜂のようにくびれたウエスト。 そしてその下では、思わず舌舐めずりしたくなるような、丸い足腰が存在を主張している。 白いサイハイソックスに包まれた太ももは、細く引き締まりながらも、適度な肉厚を備え、むっちりとしている。 肌色と白色のコントラストが、実に扇情的だ。 そんな官能美を見せつける肉体に加え、その容姿も、飛び切りの美少女と来ている。 その手の性癖を持つ男からすれば、まさしく垂涎の的と言えた。 京太郎はいままで、小柄な女性には無関心だった。 よく自分に懐いていた優希や咲も、仲良しではあるが、決して異性として意識はしていなかった。 それは、煩悩まみれな彼なりに、未成熟な少女に欲望をいだいてはならないという、良識があったためだ。 同い年であっても、見た目が幼女のような異性には、どうしても欲情などいだけなかった。 由暉子に出会うまでは……。 京太郎(うっ。また、元気になりやがった。治まれ治まれ。こんなところ皆に見られたら……) 硬く起立し始めた股間に、京太郎は意識を向けて、それ以上の脈動を抑える。 しかし頭の中に浮かぶのは、由暉子の小柄ながらも艶かしい痴態ばかり。 有珠山高校に来てからというもの、もう何度も京太郎は、彼女を想像しては分身をいきり立たせている。 制服に包まれた大きな乳房を。 ミニのスカートからチラチラと覗く尻肉を。 ソックスのゴムから溢れるむちむちの太ももを。 想像すればするほど、禁断の欲望が鎌首をもたげる。 小柄な少女に欲情などするはずがない、という彼の価値観を壊してしまうほどの魅力を、由暉子は備えていた。 あるいは、男を堕落させる魔力と言うべきか。 京太郎(由暉子……はぁはぁ、由暉子……) 結局は、豊満な胸を持った相手ならば、誰でもよかったのか? そういうわけでもない。 京太郎は、同い年ながらも、毅然と振る舞い、落ち着きを持った由暉子に、どこか憧憬に似た感情をいだいた。 その佇まいは、どこか和に似ていると言えた。 恋した彼女を重ねて、見ている節もあったのだろう。 しかし、いつしか由暉子だけしか考えられないようになっていた。 彼女への思いは徐々に肥大化し、やがて彼女のすべてをモノにしたい衝動へと昇華された。 いま、このときも、京太郎は暴れ出しそうな衝動を、必死に抑えている。 由暉子「……須賀さん」 静かに葛藤する京太郎の苦労も露知らず、由暉子は彼の制服をきゅっと握る。 感情の波が感じられない上目遣いで、じっと彼を見据える。 由暉子「須賀さん。本日も、サポート、よろしくお願いします」 由暉子が小さく会釈すると、合わせるように乳房もたわんだ。 京太郎は溢れる情欲を塞き止めながら、にこやかに頷いた。 そう、今日も彼女のサポートをする。 その役割の、なんと幸福なことか。 京太郎が、有珠山高校で雑事に専念するのは、ひとつ理由がある。 それは…… 京太郎(俺は、俺は……) このやらしい肉づきをした小柄な少女の『マネージャー』ということだ。 アイドル雀士として、現役アイドルである『瑞原はやり』のポストとなるための逸材。 有珠山麻雀部が目指す、もうひとつの目的。 京太郎は、そんな彼女のマネージャーを任せられた。 それは最も近しい立場。 彼女の日常に密着できる存在。 京太郎(俺が必要と言えば、由暉子の生活にだって、干渉することができる……) マネージャーという役割を利用して、もっと彼女と近しくなる。 それは、望みさえすれば可能なのだ。 少し勇気を持てば……。 いや、さらなる邪念があれば、の間違いか。 それが実行すれば、自分たちの距離は、今よりももっと縮まるだろう。 果ては、もっと親密に、深く……。 京太郎(あぁ。由暉子……かわいい由暉子……) 理性と本能との葛藤の裏で、下卑た欲望の種は、静かに芽を息吹き出し始めていた。 序章・了 京太郎のマネージャーとしての仕事。 仕事とは言っても、専門的なことをするわけではない。 所詮は学生がやっていることだ。プロには及ばない。 単純なスケジュール管理や、衣装製作のための材料集め。そういったものばかりだ。 細かいチェックが必要なとき、男手が必要な場合、京太郎の仕事は回ってくる。 しかし最近では、衣装作りの裁縫も嗜み始めている。 揺杏「京太郎さ~お前吸収力早いよな~」 京太郎「岩館先輩の教えがいいからっすよ」 由暉子の衣装専門である揺杏は、あっという間に裁縫のノウハウを身につけてしまった京太郎に感心の目を向けていた。 もともと要領がいい京太郎だが、そこにはある熱意がこもっているからでもある。 京太郎(際どい衣装が作れるようになれれば、由暉子がそれを……グヘヘ……) 爽「京太郎から邪念を感じるぞ」 京太郎「なぜバレたし!?」 揺杏「そりゃそんなゲス顔されればね~」 京太郎「マジですか」 成香「京たろーくん。不潔です……」 誓子「なるかは繊細だねー。それとも嫉妬かな?」 成香「……ち、違いますよ」 京太郎(ヤバい。こんなところ由暉子に見られたら幻滅される」 爽「漏れてる漏れてる」 由暉子「別に平気ですよ?」 京太郎「べ?」 由暉子「男性ファンの中には、そういう色欲の目を向けてくる方もいるんでしょ?」 由暉子「なら、そういう目にも慣れなければいけませんし、私そこまでデリケートじゃありません」 爽「さすがユキ。ゲスい男の性欲に動じないその精神力。いいねいいね」 男の性欲の対象にされても気にしない由暉子の精神力は、寛容というよりは、あまりに抵抗感がない、と言えた。 それが証拠に、揺杏が作る大胆な衣装も、彼女毎回はまったく動じずに着こなす。 京太郎(由暉子のそういうところ、男にとっては理想的だけど……) 誰でも平気そうに身を差し出しかねない由暉子の態度に、京太郎はヤキモキする。 爽「しかし、言われるまで気がつかなかったけど、確かに男のスケベ心を掴むやり方は考えてなかったな」 京太郎「え?」 爽「今までの衣装は、はやりんを意識した似たようなのばかりだったし、ここはまた別方向で挑戦してみるか」 揺杏「いいね~。ちょうどスケベ心の化身である京太郎もいることだしね~」 京太郎「ひどい言いわれよう」 誓子「違うの?」 京太郎「違いません。ごめんなさい」 純真な目を向ける誓子の前では、何故か嘘を吐けない。 誓子「素直でよろしい」 誓子に頭を撫でられる。 思わずニヤける京太郎。 京太郎「ぐへへ」 成香「むっ。えい」 京太郎「イテッ! な、なんで脛蹴るんですか成香先輩」 成香「し、知りませんっ」 成香は、ぷいっと頬を膨らませた顔を逸らす。 誓子「アハハ。ごめんね、なるか。怒らないで?」 成香「お、怒ってません」 京太郎(成香先輩、いつもは俺に優しいけど、ときどき唐突に怒るんだよな) その頻度は、彼女以外の女性と仲良くしている時に多い。 京太郎「ハッ。さては、成香先輩、俺に対して特別な思いを……」 由暉子「都合のいい妄想して違っていたら、致命的に恥ずかしいですよ?」 京太郎「はい……」 由暉子に諭され、甘い妄想を打ち消す。 爽「さて、話は戻るが。京太郎、マネージャーであるお前にひとつ仕事を頼もう」 京太郎「あ、はい。何ですか?」 爽「覚えたての裁縫で、ユキの衣装を作ってみろ」 京太郎「え? 俺が? 衣装製作は岩館先輩の担当でしょ?」 爽「だから今までのとは違う衣装を作るんだよ。それには京太郎が適任だと思うんだ」 京太郎「え~っと、つまりそれは……」 爽「うん。男の煩悩を刺激するエロ衣装を、お前の趣味全開で作ってみろ」 京太郎(なに、そのある意味公開処刑……) というわけで、京太郎は由暉子の衣装を作ることになった。 由暉子「どうぞ」 京太郎「お、お邪魔します」 由暉子の自室に案内され、緊張気味の京太郎はおずおずと入る。 今回の衣装作りは、二人で打ち合わせをして決めて欲しい。 という指示を爽から受けたのだ。 それならばと、由暉子はどちらかの自宅で話し合おうと提案した。 その提案に真っ先に反応を見せたのは、打ち合わせとは関係ない成香だった。 成香『ダ、ダメです! そ、そんなことしたら……』 由暉子『何か不都合でも?』 成香『あ、い、いえ、そういうことではなくて、あの、その……うぅ……』 何か言いたいことがあったらしい成香だが、控えめな性格が災いして、結局押し黙ってしまった。 泣く彼女を誓子がよしよしと頭を撫でていたが、京太郎にはチンプンカンプンである。 そして学校から近い由暉子の家で打ち合わせすることになった。 由暉子「お茶でも入れてきます」 京太郎「お、おう」 由暉子がリビングに向かう。 彼女の自室に一人残された京太郎は、正座をしながら身体を硬直させていた。 なにせ、意識している異性の部屋にいるのだ。これで落ち着けというのが無理な話というものである。 京太郎(意外と女の子の部屋って感じだな。そういえば和も、堅いイメージに反してファンシー好きだったっけ) 由暉子の思わぬ少女の面を垣間見たような気がして、京太郎はますます緊張した。 しかし、沈黙が続くと、逆に湧いてくるのは卑しい感情だ。 ……今ならば、好き勝手に部屋を詮索できるのではないか。 そんな欲望が起きる。 いやいや、さすがにそれは……と頭を振る京太郎だが、身体は勝手に動いていた。 欲望に忠実な手は、タンスに伸びる。 あの中に、由暉子がいつも使っている下着が入ってるのだ。 小柄な肢体に似合わない、大きな乳房を包むブラジャー。 むちむちとした尻肉を覆うショーツ。 それが、いくつもいくつも……。 京太郎「……」 ダメだ。ヤレ。いけない。やるんだよ。 理性と本能が交錯する。 これまで溜めに溜めていた劣情が、由暉子の部屋に来たことで、一気に爆発しようとしている。 俺はここまで下劣だったのか、と自己嫌悪ではなく、自己憎悪に近い負の感情が沸き立つ。 それでも、手は意識から独立したように、タンスを開けようとして…… 由暉子「お待たせしました。紅茶でよろしかったですか?」 京太郎「あ、あぁ。あんがと」 部屋の主が戻ってくると、京太郎はすかさず元の位置に正座した。 由暉子「……何か気になることでもありました?」 京太郎「い、いや別に……」 そうですか、と由暉子はテーブルに紅茶とクッキーを並べた。 途中で正気に戻れて心底安堵した。 鋭い由暉子は、京太郎の不審な態度から何か思ったらしいが、特に指摘することはなかった。 再び安堵しながら、京太郎の目線は、紅茶を並べるために屈んでいる由暉子に向かう。 屈んだことによって、大きな乳房が重力に従った形を描いている 先ほどのことを懲りず、煩悩はまだ影をちらつかせている。 彼女の動きに合わせて揺れる豊乳は、テーブルにつきそうなほどだ。 唾を飲み込みたくなるのを必死に我慢した。 いけないのに、どうしても彼女を性的な目で見てしまう。 由暉子「それでは、衣装について打ち合わせをしましょうか」 彼女のほうから本題を提示する。 京太郎は熱した頭を振って冷まし、自分がすべきことに専念する。 今日ここに来たのは、新しい衣装の作成をするためだ。 与えられた役割をしっかりこなそうと意識を働かせることで、京太郎は劣情を掻き消そうとした。 しかし、内容が内容だけに、京太郎の煩悩は増すばかりだった。 由暉子「ですから、殿方はどういう時に劣情を催すのですか?」 京太郎「いや、だから、それは、胸元とか……」 男のスケベ心を狙う衣装ということで、先ほどから話題はそっち方面ばかりだ。 由暉子「つまり、胸の谷間が見えるような衣装にすればいいのですね?」 京太郎「まぁ、そうだけど。あ、でも嫌なら、別にいいんだぜ?」 由暉子「何故? そういう目的の衣装を作るんでしょ。なら、気にしませんよ」 彼女はどこまでも抵抗感を見せない。 それが必要なことならば、とあっさり納得してしまうのだ。 本当に何でも了承してしまいそうな勢いを感じる。 それを危なっかしいと思う一方で、卑しい願望が浮上してくる。 ダメだ、と黒い欲望を打ち消して、話し合いを続ける。 由暉子「スカートも、下着が見えるぐらいがいいですかね。あとスリットも」 京太郎「いや、それは、いくらなんでも露骨過ぎないか?」 由暉子「意図的過ぎるものは、逆に冷めると?」 京太郎「ま、まぁそうかな」 由暉子「では、スカート丈はいつも通りに」 それでも短いスカートに変わりないが。 由暉子と相談しつつ、新衣装のデザインが出来上がっていく。 由暉子「こんなところでしょうか。どうですか須賀さん? 男の人から見て、興奮しますか?」 京太郎「お、おう。するよ。というか、俺の好み聞いて描いたんだし……」 出来上がった衣装スケッチは、完全に京太郎の趣味が丸出しの、際どいものとなった。 己の卑しい部分を見せ付けられているようで、京太郎は羞恥に悶えそうになった。 由暉子「了解しました。ではこの衣装で作業を進行しましょう」 そう言って、由暉子は立ち上がる。 打ち合わせが終わり、京太郎はホッとして溜め息を吐いた。 由暉子との二人だけの時間という、甘美な状況だったが、正直心臓に悪い。 語っていた内容も手伝って、変な気持ちが絶えず顔をチラつかせる。 また暴走しかける前に、京太郎は荷物をまとめてお暇しようとした。 京太郎「っ!」 しかし、目の前の光景に、京太郎は我が目を疑った。 京太郎「お、お前! な、何してんだ!?」 男の前で、由暉子は制服のボタンをプチプチと外していたのだ。 由暉子「何って、次にやることは決まっているでしょ?」 京太郎「な、何をだよ!?」 由暉子「採寸です」 ブレザーのボタンをすべて外し終わり、するりと脱いでいく。 ブラウスに包まれた胸部が現れた。目を凝らせば、奥の下着の色もわかってしまいそうだ。 京太郎は思わず目を逸らした。 衣擦れの音が続く。 由暉子「今日の内にできることは、済ませてしまいましょう。時間は有効に使うべきです」 京太郎「だ、だからって、俺にやらせることないだろ!」 由暉子「衣装製作を任せられたのは須賀さんですよ? あなたが全部やらないでどうするんです」 スカートのホックを外した音がした。 見てはならないと京太郎は思う。 しかし視線は音に釣られるように、発生源の元へ向く。 桃色のショーツが目に入った。 かわいらしい色だが、デザインは中々に過激だ。 際どいラインを描くそのショーツは、ぷっくりと膨らんだ豊かなヒップを包んでいる。 パサッと脱ぎかけのスカートが床に落ちた。 白いサイハイソックスと、ショーツだけの下半身が丸出しになる。 京太郎の視線を浴びても、由暉子は躊躇せず、ネクタイを外し、ブラウスのボタンにも手をかけ始めた。 プチ、プチ、と、スローモーションのように、外されるボタンの動きが鮮明に見える。 胸の谷間が見えてくると、外される反動で、ぷるんと揺れ始める。 ブラはショーツと同じ色とデザイン。 やはり、小さな身体に不釣合いな、凶悪過ぎる膨らみがそこに実っていた。 アンバランスな大きさが、逆にエロスでもある。 すべてのボタンを外し、ブラウスも脱ぎ捨てる。 これで完全に半裸となった。 小柄で凹凸の激しい肉体には、桃色の下着と白のソックスだけが残された。 京太郎は見惚れた。 完成された肉体美が、目の前にあると思った。 艶かしいラインを描き、膨らむべきところがしっかりと膨らみ、引っ込むところが引っ込んだ奇跡の肉体。 それは、想像していたよりも、刺激的だった。 無表情なまま、由暉子は下着姿を京太郎に曝す。 由暉子「早く計ってください。夏とは言え、風邪を引きます」 京太郎は、まるで誘蛾灯に引き寄せられるように、コクリと頷いた。 もう、理性の均衡は崩れつつあった。 メジャー測定器を由暉子の身体に回していく。 まずはバスト。 桃色のブラに包まれた巨峰がたわむ。 由暉子「ん……」 メジャーの紐によって歪んだバストが目の前にある。 視覚的に興奮を煽られる光景だ。至近距離だと、彼女のいい香りも感じ取れる。 京太郎は過剰に分泌される唾液を飲み込みながら計測をする。 数字を読み込むのにそんなに時間はかからないのに、京太郎は長い時間、メジャーをバストに巻きつけていた。 由暉子も文句を言う様子はない。調子に乗って強く締めつけて、紐から乳肉が溢れ出しそうになっても黙っている。 広い胸の谷間が、白い光沢を放っている。触れていなくても、艶のいい質感を秘めているのがわかる。 紐から零れんばかりの乳肉も、その柔らかさを物語っている。 由暉子「まだですか?」 さすがに長い時間バストの計測をしているため、由暉子が声をかけてきた。 慌てて次はウエストを測る。 やはり細い。乳房が大きい分、余計に細さが際立つ。 バストのカップ数は、身長とウエストの数値によって大きく変わる。 ただでさえ数字の大きい由暉子のバストは、低身長とウエストの細さのせいで、とんでもないカップ数を誇っていた。 数値によって具体化された由暉子の肢体の豊満さに、京太郎は改めて圧巻する。 欲望の火が沸々と理性を蒸発させていく。 最後にヒップだ。 低身長の下半身に寄るため、京太郎は床に這いつかんばかりに、低姿勢となる。 下から由暉子の半裸を見上げる。 胸元の肉が大きな山を作り、由暉子のかわいらしい口元を隠している。 くびれたウエストと、健康的な生足も実にセクシーだ。 鼻の息が荒くなるのを自覚しながら、京太郎はヒップにメジャーを回していく。 尻肉も豊かだ。 きゅっと引き締まっているにも関わらず、丸いラインを描き、程よい肉づきをしている。 太ももの付け根が目に眩しい。サイハイソックスから上の肌色が、絶妙な存在感を放っている。 思わず、そのムチムチとした太ももに頬ずりしたくなる。 それを必死に堪えながら、京太郎はヒップを計測する。 ショーツと共にたわむ尻肉。 電車に乗っていれば間違いなく痴漢の対象になっているだろう、実に悩ましい形だった。 京太郎「……」 下着の桃色に感化されるように、京太郎の脳内も色欲に染まっていく。 もう頭の中には由暉子のことしかない。 京太郎(由暉子……) 恋愛感情と呼ぶには、あまりに露骨な性的衝動。 しかし、それに対する自己嫌悪も、忌避の感情も、やがて磨耗して消えていく。 寧ろ、これほどの肢体を前にして欲情しないというのが失礼じゃないか、という都合のいい思考に向かう。 計測が済むと、京太郎は結果数値を書き込んでいく。 その数値は、彼女のデリケートな部分に踏み込んだ証だ。 まるで由暉子が自分のものになったかのような錯覚を起こさせる。 衣装作りのためとは言え、同い年の少女のスリーサイズを測る。 とても経験できるようなことではない。 彼女の下着姿を拝め、淫靡な数値まで知ることができたのだ。 それだけでも少年にとっては、しばらくの間使える自慰のネタだ。 ……しかし、火の着いた性欲は、どこまで貪欲だった。 溶けきった理性は、とうに働いていない。ただ煩悩のままに、彼を衝き動かす。 もっと欲しい。触れて、その温もりを感じたいと。 由暉子「須賀さん。もう服を着てもよろしいですか?」 数値を書き込んだ京太郎を見て、計測は済んだと判断した由暉子は制服を拾い上げる。 京太郎「……いや」 そこで京太郎は待ったをかける。いやに冷静な声で。 自分の声と思えなかった。 京太郎「もっと、詳しく、細かく調べたい」 特殊な衣装だから、メジャーだけではなく、実際に身体に触れてみないと、ちゃんとしたものを作れない。 そんな下心が丸見えな提案に、由暉子は躊躇なく頷いた。 由暉子「マネージャーさんが必要と言うなら、その通りにしましょう」 彼女はあくまで合理的だった。 そして抵抗しない。心配の種だった由暉子の警戒心の薄さは、今の京太郎にとっては好都合でしかない。 下種なのはわかっている。それでも止められない。 由暉子と二人きりの空間で、彼女の下着姿を見て、スリーサイズを測った。 それだけでもう、彼は限界だった。由暉子も抵抗しない。 ならいいではないか。もうどうにでもなってしまえと、本能に従うだけの野獣と堕ちる。 京太郎「じゃぁ、そのままの格好で、じっとしてて」 由暉子「はい」 言われたとおり、由暉子は直立不動で京太郎の前に立つ。 まるで精巧に作られた人形のようだ。それも卑しい目的のために作られた愛玩人形。 感情の機微が感じられない態度が、余計にそう思わせる。 しかし彼女は確かに生きた少女なのだ。艶かしい肉体を息づかせる美少女だ。 その少女の柔肌に、卑しい男の手が伸びる。 由暉子「ん……」 最初は少し触れるだけ。それこそ、本当に素手で計測するような動きだ。 なめらかなウエストから、下へ滑らして、腰元に手をあてがっていく。 だがその動きはやがて撫でさするような露骨なものとなる。 腰元から後ろへ手を回し、豊かなヒップを撫で回した。 掌にたっぷりとした肉感が広がる。ショーツの生地が手に心地いい。 そのまま豊満なヒップを弄る。由暉子はそれでも抵抗しない。 解放された情欲が調子に乗り出す。 ショーツの中に手を差し込んだ。布のない柔肉が直に感じられる。 最早計測とは言い難い撫で方でも、彼女は動じない。あくまで手による計測だと思い込む。 京太郎「はぁ、はぁ……」 息が荒くなる。由暉子の素肌に触れているという事実が、より彼の興奮度を上昇させる。 存分に尻肉の感触を味わうと、そのままねっとりと舌で舐めるように、手を太ももへと滑らせ、上へと昇っていく。 彼の目的はただひとつである。 ブラに包まれた豊乳を鷲掴んだ。 由暉子「あ、ぅ……」 強く掴みすぎたせいか、さすがの由暉子も眉を歪ませた。だが文句は言わない。言われたとおりじっとしている。 由暉子の態度に満足した京太郎は、夢にまで見た彼女の豊乳を揉みしだく。 京太郎よりもひと回りもふた回りも小さな身体だと言うのに、二つの乳房は彼の手から溢れんばかりのボリュームだ。 ブラ越しでもその柔らかさがはっきりとわかる。生地からこぼれる乳肉が、男の劣情をさらに煽る。 いつまで揉んでいても飽きがこない。まさしく世の男の願望が結集したような至高の逸品だった。 下から持ち上げて、たぷたぷと揺らす。波打つ谷間が目の保養となる。 京太郎はもう夢中で由暉子の乳房を揉みしだく。 情欲の火は止まらない。 京太郎「由暉子、後ろ向いて」 彼女の背後から、豊満な乳房を両手で揉む。 起立した男根を、彼女のヒップや太ももにすりつける。 柔らかすぎる肢体。そして女子特有の甘い香り。 彼の怒張はもう破裂せんばかりにいきり立っていた。 由暉子「須賀さん……」 これまで黙っていた由暉子が、とうとう口を開く。 由暉子「あの、後ろから硬いものが……」 それがどうしたと言わんばかりに、京太郎は片手で乳房を揉みこね、もう片手はムチムチの太ももを撫でさする。 由暉子「須賀さん」 明らかに計測でない行為に、由暉子も気づく。 由暉子「エッチなことを、したいんですね?」 京太郎「そうだよ」 彼はもう開き直った。 京太郎「由暉子が悪いんだぞ」 そのまま由暉子な小柄な身体を抱え、ベッドに放り投げる。 すぐにその上を取った。 京太郎「二人きりで、平気で下着姿になって、スリーサイズ測らせて、その上触れることにも抵抗しないんだから」 逃げ場を与えないよう、彼女の手首を拘束する。しかし拒む様子は感じられない。 京太郎「男なめてんのか? ここまでされて、普通にしていれる奴はいねえぞ」 股間は痛いほどに膨張している。早く目の前の少女を味わいたいと、熱く脈打っている。 ズボン越しでもわかる京太郎の怒張に、由暉子は目を向けつつも、表情を崩さない。 本当に感情がないのか、そう思わせるほどの鉄面皮だった。 由暉子「舐めてはいませんよ。というか……」 しかし、そんな彼女が口にした言葉で、すべての均衡が完全に崩れ去る。 由暉子「ここまで鎌をかけたのに、反応されないと私がヘコみます」 視界が熱く染まった。 己の心臓の鼓動が、うるさいくらいに響く。 由暉子「どうでもいい男の人を部屋に招くほど、私、警戒心が薄い女じゃありません」 プツリ、と確実に何かが切れた音がした。 京太郎「由暉子」 由暉子の身体にむしゃりぶりついた。 乳房に顔を埋め、豊かな谷間に舌を滑らせる。 舌先から乳肉の柔らかさと温もりが伝わってくる。 下から持ち上げた乳房に唾液をコーティングし、陶磁のように白い谷間に光沢を広げてく。 やがて舌先はブラ越しの乳首の部分を、ツンと刺激する。そこはすでに、硬く膨張しているように思えた。 ブラの裏に息づく、生の乳房を想像して、ゴクリと喉を鳴らす。 ブラの生地に手をかける。一度由暉子の顔をうかがう。 京太郎「いいか?」 それは最終的な確認だった。ここで待ったをかけられなければ、この先は絶対に止まれないだろう。 由暉子は、相変わらず毅然として、ベッドに身を預けている。しかし、若干頬が上気しているようにも見えた。 小さな口が、言葉を紡ぐ。 由暉子「どうぞ、お好きに」 オスの情欲が完全に露わとなった。 ブラを上側へずり上げると、ブルンと大きな乳房が揺れて、空気のもとに解放される。 どういう育ち方をすれば、これほどの大きさが実るのか。 目を疑いたくなるほどの豊満な膨らみが、京太郎の前で広がっている。 前に突き出るような形をした乳房は、横たわっていても丸い形をたもち、お椀方に広がっている。 細いウエストと相まって、物凄い存在感をずっしりと主張している。 乳首は膨らみに反して、かわいらしい大きさだった。 薄桃色の綺麗な先端が、ぷっくりと乳輪から突き出ている。 円錐の形を描く乳首は、幼さを象徴しているようで、愛らしくさえある。 だがその下ではオスを刺激して止まない雫のような豊乳がふるふると揺れている。 幼さと扇情的な肢体が合わさった見た目が、極上のエロスと化して少年を衝き動かす。 乳首に吸いついた。 下乳を揉み上げながら、ねっとりと舌で舐め、口に含み吸引していく。 由暉子「んぅ、あぁう」 小さく鳴く少女の声に耳を澄ませながら、頬を窄めて吸っていく。 赤ん坊が母乳を飲むように吸うのとは違う、情欲一色に染まった性的な吸引だ。 チュウチュウと吸引音を響かせて、乳房を引っ張ったり、押し潰したりする。 おいしい、と京太郎はうっとりと乳首を吸い続ける。 味覚的なおいしさではなく、感覚的な甘さが京太郎の舌を悦ばせる。 顔中に広がる柔らかい感触や、乳肉のムッとしたにおいに、脳が蕩けそうになる。 ちゅぽんと乳首から口を離すと、レロレロと舌を動かして先端を弄くり回す。 由暉子「は、ぅうん」 唾液に濡れる乳首を転がし絶えず刺激を与えると、由暉子はくすぐったそうに身をくねらせ始めた。 しかし火照った顔から、ただくすぐったいと感じているだけではないことがわかる。 普段ならば聞けない、由暉子の悩ましい嬌声。もっと聞きたくて、乳房への愛撫を激しくする。 乳首だけではなく、乳輪、白い乳肉も舌でなぞっていく。 わざとらしく唾液の音を響かせながら、巨乳全体にむしゃぶりつく。 乳肉は歪にたわみ、強欲な男の舌であちこちを舐め回される。 由暉子「ひぅ、んぅ、あぁ」 好き勝手に舐められ、吸われ、揉みしだかれ、由暉子は声だけではなく瞳も艶っぽく彩らせていく。 乳房の感触と味。そして由暉子の情欲に染まっていく様子を見て、怒張がさらに唸る。 京太郎(もう我慢できない!) 乳房から顔を離した京太郎は、忙しなくベルトに手をかける。 限界まで起立し下着に引っかかっている怒張に難儀しながらズボンを脱ぎ去り、ボロンと外へ解放させる。 由暉子「あ……」 乳房を唾液で濡らした由暉子は、現れた京太郎の分身をまじまじと見つめる。 グロテスクな男のモノは、目の前の少女を求めて生き物のようにひくついている。 怒張に向ける由暉子の視線は、だんだんと自分の胸元に続いていく。 怒張が彼女の豊かな乳房に迫ってきたのだ。 京太郎「はぁはぁ、は、挟むぞ」 上乗りの状態で、京太郎は怒張を由暉子の巨乳の間に挟んだ。 たまらない心地が、怒張に広がる。柔らかな温もりで、ヒクヒクと先端が脈打つ。 京太郎は手で巨乳を中央に寄せ上げながら、男根を前後させた。 さんざん舐め尽くしたおかげか、唾液が潤滑剤の役目を果たし、スムーズな挿入ができた。 ぬぷぬぷと、前後する度に谷間から亀頭が顔を出す。 しかし大きすぎる乳房のせいで、出てくるのは鈴口ぐらいだ。 肉樹と亀頭のほとんどが埋まってしまうほどの巨乳の間で、京太郎はだらしなく涎を垂らした。 その追い討ちをかけるように、鈴口に快感が奔った。 由暉子「ちゅぱ、ちゅる」 谷間に顔を寄せた由暉子が、亀頭の先端を舐め回していた。 股間にさらなる快感が広がる。 由暉子「じゅるじゅる、ちゅぱぁ」 もっと彼女の口淫を味わいたくて、巨乳を上側へと寄せる。 亀頭が口内に埋まってしまうほどに、怒張を前後させる。 由暉子「じゅっ、じゅっ、じゅちゅるるるるる」 鈴口を刺激する舌先と、亀頭全体を吸引する力。 そして淫猥にたわむ乳肉で怒張を扱き続け、限界だった情欲が臨界点を突破する。 京太郎「うっ、出る」 亀頭を由暉子の口内に押し込んだまま、滾った欲望を解放した。 由暉子「んぅ、んじゅうう」 容赦なく放出された淫液を、由暉子は抵抗なく飲み込んでいった。 普通ならば、いきなり少女に精液を飲ませるなど、できることではない。 しかし何事にも躊躇しない由暉子の態度を見ていたら、自然とそのまま放出してしまったのだ。 何よりこちらが指示したわけでもないのに、亀頭を口に含んでくれた由暉子を見て、好きにしても構わないと思ったのだ。 由暉子「んぐ、んっ、んっ……」 現に、由暉子は流れ込む精液を飲み干している。 京太郎が口から怒張を引き抜いても、彼女は追うように、白く染まった舌で先端を舐め回した。 そのせいで、射精したばかりの怒張はすぐに回復した。 口内で精液を転がす由暉子の姿を、改めて眺める。 大きな乳房がなければ、本当に幼女と間違えてしまいそうな身体。 本来ならば、忌避の感情が勝り、欲望の矛先など向けられない相手のはずであろう。 しかし、京太郎の怒張は彼女を強く求めている。 彼自身の本能も、少女が愛しくてしょうがないと訴えている。 すべてを、彼女のすべてをものにしたい。 そうして、自分なしでは生きられない身体に……。 京太郎は、由暉子のショーツに手をかけた。 由暉子「あ……」 スルスルと刺激的な下着を、むっちりとした美脚に滑らせ、足首のところで止める。 由暉子の秘所が丸見えとなった。 陰毛は少ない。 そこだけは見れば、あどけない少女の下半身としか例えようがない。 それでも怒張は萎えなかった。 京太郎「由暉子」 由暉子「はい」 小さな身体は、男の情欲を感じ取って、艶かしく昂揚していく。 由暉子の短い言葉は、もうすでに覚悟が決まった証のように思えた。 京太郎「いくぞ」 先端を淫裂にあてがった。 ぬぷぬぷと小さな膣口に、怒張が埋没していく。 京太郎「くぅ」 由暉子の膣内はきつかった。 まるでそこだけは身長と同じように未発達であるかのように。 果実の繊維を無理矢理引き剥がしていくような感触。 由暉子「ふ、ぅう、ぁん」 痛みがあるのは間違いない。しかし由暉子は苦痛の表情を浮かべず、黙って成り行きを見守っている。 決して受け身というわけではない。彼女も男を受け入れるために、努力しているのだ。 ならばいつまでも立ち止まって苦痛を与えるよりは、一気に押し進んでしまったほうがいい。 京太郎はそのまま腰を前進させた。 ズプズプと怒張の姿が消えていく。 由暉子「は、あぁ」 プツリ、と何かを破いた感触を突破し、最奥に辿り着いた。 由暉子「んんんんぅっ!」 初めて由暉子の甲高い声を聞いた気がした。 ベッドのシーツを強く握り、足を動かしている。 生暖かい感触が、怒張を通り抜けた。 膣口から漏れた赤い筋は、破瓜の証だ。 途方もない優越感が、彼を満たす。 この子の初めてになれたのは自分だ。 今自分と彼女はひとつになっているのだ。 傍から見れば、身長差がありすぎる二人の結合は、痛々しいものだろう。 無抵抗な幼女を、大の男が強姦しているようにしか見えない。 事実、それは強姦に近いものかもしれない。 挿入した瞬間、京太郎は相手の体調も考えず、腰を動かし始めていたのだから。 由暉子「ひぅ、あぁっ」 小さな肢体が、ベッドの上で跳ねる。 限界まで詰まった怒張に貫かれて、か弱い身体は抵抗もできず、好き勝手にされる。 京太郎「あぁ、あぁ、気持ちいい。気持ちいいよ由暉子」 どこか虚ろな光を瞳に灯して、本能のまま抽挿していく。 由暉子はただ小さく声を上げる。 しかし、その声もただの悲鳴ではなく、やがて蠱惑的なものを含んだ音色に変わる。 強姦されると、女性の肉体は通常の性交よりも興奮するという話がある。 無理矢理犯されるような形であっても、由暉子の身体は確かに喜悦し興奮を覚えているのだ。 なにより、少女にとっては力ずくでも構わなかった。 由暉子「あっあっ、あっ、ああぁっ」 パンパンと肌同士がぶつかる音が響く。 抽挿の勢いが増せば増すほど、豊かな乳房がゆっさゆさと波打つ。 揺れを抑えつけるように、腰の抽挿を続けながら乳房を鷲掴む。 結合部から瑞々しい音が響く。 由暉子自身も、京太郎の動きに合わせるように腰を揺すり始めた。 ムチムチの美脚を彼の腰に絡め、より深い抽挿を求める。 もう痛みは快感によって上書きされたようだった。 由暉子「ああああぁっ、あぁぁっ」 京太郎「うおおっ。最高だ、由暉子。気持ちよすぎて、止まらねえ」 細い腰を掴んで、大きく揺れる乳房を眺めながら、京太郎はフルスピードで腰を前後させた。 本能を昂ぶらせるのは何も肉体の快感だけではない。 この一瞬にしか聞けない由暉子の嬌声が、京太郎をより衝き動かしている。 膣肉は複雑に脈動し、前後する怒張をきつく締めつける。 初めての体験に、慣れない京太郎はもう限界だった。 京太郎「あぁ、ぁ、ダメだぁ、イク。出るっ出るっ!」 射精の宣言をしても、由暉子は絡めた足を解かない。 そのまま結合したまま、怒張は爆ぜ、ありったけの欲望を膣内に注ぎ込んだ。 ドクドクと注ぎ込まれる樹液は、膣奥を目指して流れ込んでいく。 京太郎「はぁはぁ……」 立て続けに二度の射精をした京太郎は、脱力して由暉子の身体にもたれかかった。 なるべく体重を預けないように力を入れようとするが、別に構わないとでも言うように由暉子は彼の背中に手を回した。 互いに息を荒くしながら、身を重ねる。 結合部からビュッビュッと、入りきらなかった精液が隙間から漏れ出た。 由暉子「須賀さん、気持ちよかったですか?」 京太郎は機械じかけのように何度も頷いた。 至高の快感によって、意識が朦朧としてしまっている。 そんな彼の頭を、由暉子は愛しそうに撫でた。 そして『かぷり』と吸血するように京太郎の肩に歯を立てる。 びくっと京太郎の身体が跳ねる。 痛みというよりは、快楽による電気信号だ。 由暉子はちろちろと、噛みあとに舌をあてがう。 京太郎の耳元で、くすりと笑う声が聞こえた気がした。 脱力した身体では、彼女の顔を見ることができないが、微笑んでいるような気がした。 由暉子「責任取ってくださいね。マネージャーさん」 そういう彼女の声には、今後の展開を楽しむような、妖艶的なものを含んでいた。 121 名前: ◆Mo0KvHoaic[saga] 投稿日:2013/07/07(日) 11 27 25.30 ID IySrJlbI0 [29/29] 以上。 始まりとか書いたけど、要はひたすらエッチするだけ。 ストーリーのカケラもなし。 ヘタなAV感覚で読んでくれるとありがたいです。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4380.html
8月某日……午前7時30分 晴絵「……ぐぅ」スヤスヤ ピピピピッ……ピピピピッ 晴絵「……むぅ……ん、むにゃ……うるしゃい……」モゾモゾ ピピピカチッ 晴絵「………ぐぅ」スヤー  ̄ ̄ ̄ 午前10時15分 晴絵「………」ボーッ 晴絵(………うーん、久々の休日だからって少し寝すぎたかな……こんなに寝たのって学生のとき以来かも)ポリポリ 晴絵「仕方ない……とりあえず起きるとしますか………」モゾモゾ 晴絵(……そういえば、昨日は望(憧の姉)が家に来て一緒に飲んでたんだっけ……やば、思い出したら頭痛くなってきた……)ガンガン 晴絵「まぁしばらくしたら治るでしょ……ひとまず部屋の片付けから始めようかなぁ……」ズルズル  ̄ ̄ ̄ 午後12時50分 晴絵「……あー、よーやく終わった!」ドサッ 晴絵「我ながらよくこんなにゴミ溜めてたわねぇ……ま、これで部屋もスッキリしたから良いか」ぐぅ? 晴絵「……って、朝から掃除してたらすっかりこんな時間か……さすがにお腹減ってきたかなぁ」ガチャッ 晴絵(……うーん、冷凍庫にはなにも無いし……仕方ない、買い物でも行こうかな……ついでに今日の昼ごはんは外食にでもするか)ウンウン 晴絵「そーと決まれば財布……うわ、こりゃお金も少し下ろしとかないとなぁ」 晴絵「あとは車の鍵っと………え?」ガサゴソ 晴絵「あ、あれ?無い!?うそ、カバンの中に入れといたのに!?」 晴絵「……ど、どうしよう」ズーン 午後13時45分……某ファストフード店 晴絵「……まいったなぁ」ハァ… 晴絵(結局鍵が見つからないから諦めて徒歩……朝ごはん食べてないから我慢もできずとりあえずハンバーガーで空腹を満たす……と)モグモグ 晴絵「ってなんか久し振りの休日なのにどんどん悪い方向に進んでいってる気がする!?」ハッ 晴絵(とりあえず早く買い物終わらせて車の鍵を探そう!車が動かせなかったら休日なのにドライブすらできないじゃない!!) 晴絵「あーもう、ふぁふぁしのふぁか……」モキュモキュ  ̄ ̄ ̄ 午後14時 アリガトウゴザイマシター! 晴絵「さてと、とりあえずコンビニでお金下ろして……あ」ピタッ 晴絵「そういえば今度の小テストで使うプリントまだ途中のまんまだっけ……」 晴絵(プリントは確か学校よね…………仕方がないか、先にそっちを終わらせよう)ハァ…  ̄ ̄ ̄ 午後15時30分 晴絵「……はぁ、しんどかった」ガラッ 晴絵(まさか坂道でこんなに体力削られるとは思わなかったなぁ……学生時代は苦でも何でもなかったのに……)フゥ… 他先生「……おや、赤土先生?今日は部活はおやすみではなかったのでは?」ガラッ 晴絵「いやぁー、課題の製作がまだ終わってなかったので今日中に終わらせちゃおうと思いまして……」アハハ 他先生「そうだったのですか、仕事熱心なのは良いですがあまり無茶をしてはいけませんよ?インターハイが終わってまだ間もないのですから…」 晴絵「これくらいなら平気ですよ、それに頑張ってくれたのさあの子達ですからね……」 他先生「……そうですね、私も歳ながらテレビの前で興奮したもんですよ、あの子達は本当によくやってくれた」 晴絵「ええ……自慢の教え子ですよ」フフッ 他先生「羨ましい限りです、……それでは私はこの辺で」スッ 晴絵「はい、お疲れ様でーす」 晴絵「…………ふぅ」ギシッ 晴絵(……そうね、灼やしず、須賀くん達は本当によくやってくれたわ……けど、私は?) 晴絵(私はあの子達に何かを残せたんだろうか……いや、それ以前に) 晴絵(私は自分自身のトラウマにけりをつけれたんだろうか?) 晴絵「……わかんないなぁ、自分の事なのに」ハァ 晴絵(……まぁ、一つわかることといえば)チラッ 晴絵「目の前のタスクを一つずつ……か」 晴絵「考えてても仕方ないし、まずはプリント製作だけでも終わらせておきましょうか」トントン 午後17時45分 晴絵「……すっかり遅くなっちゃったわね」 晴絵(まさかこんなに遅くなっちゃうなんて……ダメだなぁ私……) 晴絵「なんかご飯作る気が起きないなぁ……コンビニ弁当で済ませちゃおうかな」 晴絵(……なんだろ、どんどんダメな方向に進んでいってる気がする……)スタスタ  ̄ ̄ ̄ 午後18時15分 アリガトウゴザイマシター 晴絵「……はぁ」 晴絵(せっかくの休日なのに朝から掃除やって朝ごはん食べ損ねてお昼はファストフード) 晴絵(午後は結局、テストの準備で全部潰れたし、夜は一人寂しくコンビニ弁当……) 晴絵「…………なんだかなぁ」ハハ… 晴絵「なにやってんだろ……私………」 晴絵(………こーやって灰色の日々を過ごしながら歳だけとってくのかな……はは、おっかないなぁ)ジワッ 晴絵「……優雅な休日なんて、ほど遠いわね…………」ポツリ 京太郎「あれ?赤土先生じゃないですか!」 晴絵「」ドキーン 晴絵「す、すすす須賀くん!?な、なんでここに!!?」ザザッ 京太郎「夕ごはんの買い物帰りっすよ、今日はおばさん達が旅行でいないんで俺が食事当番なんです」 晴絵「へ、へー……そうなんだー」 京太郎「赤土先生は何でここにいるんですか?」 晴絵「え!?わ、私も……夕ごはんの……買い物を、ちょっと……」カァァ 京太郎「そうなんですか」チラッ 京太郎(夕ごはんがコンビニ弁当……) 晴絵(とか思われてるんだろうなぁ……いい歳の大人が夕飯にコンビニ弁当ってカッコ悪いなぁ……)ハハッ 京太郎「そうだ!赤土先生、うちで食べていきませんか?」 晴絵「えっ!?」 京太郎「弁当だけですと栄養とか偏っちゃいますし、正直材料買いすぎて灼さんと二人じゃ余しそうだったんですよね」 京太郎「もちろん赤土先生が良ければですけどね」 晴絵「い、いやぁーでもこの時間によそ様の家にお邪魔するのはちょっと……」シドロモドロ 晴絵(さ、誘いは嬉しいけど……教師が生徒の世話になるなんてダメすぎるわよね) 京太郎(とか思ってるのかなぁ……よし) 京太郎「あー、保護者がいないのに子供二人だけじゃ不安だなー」棒読み 晴絵「う……」 京太郎「どっかに頼りになる大人の人はいないかなー」棒読み 晴絵「うぅ……」 京太郎「赤土せんせーが来てくれたら買いすぎた材料もはけるし灼さんも喜ぶのになー、困ったなぁー!」チラッ 晴絵「……ああもう!わかったわかった私の負けよ!」 京太郎「へへ、ありがとうございます!」 晴絵「まったく……どういたしまして」ヤレヤレ 午後18時30分 晴絵(やれやれ……まさか自分の教え子に気を使われるなんて思ってもみなかったわ)スタスタ 京太郎「……それじゃあ灼さんは先に食器を用意しててください、それじゃあまた後で」ピッ 京太郎「灼さん喜んでましたよ、『ハルちゃんが来るの!?』って言ってました」 晴絵「なんか悪いわね、わざわざ気を使ってもらっちゃって……」 京太郎「別に気なんか使ってませんよ、俺も灼さんも純粋に赤土先生が来てくれて嬉しいですしね」 晴絵「ほぅ、嬉しいこと言ってくれるねぇ……ま、お世辞でも嬉しいよ、ありがとう」ニコッ 京太郎「……お世辞じゃないんてすけどね」ボソッ 晴絵「んー?何か言った?」ニヤニヤ 京太郎「なんでもないですよ!……さ、行きましょう、赤土先生」ニッ 晴絵「ええそうね、遅くなる前に帰りますか!」 晴絵(……どんなに惨めでも、私を慕ってくれる子達がいてくれる)チラッ 晴絵(そんなこの子達に私ができることってそんなに無いかもしれない……) 晴絵(だけど私は……)グッ 京太郎「どうかしたんですか?赤土先生」 晴絵「んん、何でもない……ただね」 晴絵(もしこれから先みんなが悩んだり迷うような事があるのなら、それを解決するのは私でありたい!) 晴絵「……ただ、悪くない休日だったなーって思っただけ」 京太郎「……」ジーッ 晴絵「……ってなに人の顔ジロジロ見てるのよ?」 京太郎「いや、だって赤土先生……」 京太郎「なんか凄く良い笑顔してましたから」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6129.html
__ , . . . . . . . . . , / . . . . . . . . . . \ . . . . . . . . . . . . . . ., , . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ‐-ヽ . . . . . . ./ . . . . ./ . .ヘ . . .ヘ . . ., 7 . . / . . ./ ./{ .ハ . ヘ . . } . . . . . . ./ . . /// ヾ \ . ヘヽ . ! . . ., i . . ,' . . / 〃 `ーゝ ヽi . . . あら? 須賀君ってば . .〃 . . /_/ __ ! . . } 私とイイコトしたいの……? . 〃 . , ' _ {`` -‐'"´_ ! . . .〃 . {イ笄示㍉ ,ィ升刑ヾ 川 . i i〃{ . ハ‘ V ij リ` ち ij リ.ノ ハ . ., 〃 .i . .ハ `ー'’ `ー'’ ノ . . リ 、 >'"{{、 .ヘ . .ヘ , , ' . . . ノニニ>s、 /ニニニ||ム . ヽ . ヘ 、 , ゝ . . イ ニニニ≫"=ヽ ,'ニニニiiニニ\ . . .>  ̄ イニヽ . .ヽニ/ニニニニム ニニニ=i!ニヽニ} . . . } i` __ ´ /ニニニヽ . }ニニニニニニニム ニニニニニニニニヘノ . . /^ヽ //¨\ノ /ニニニニニニニニ} ムニニ≫、ニニニニ{ハ . ./ニニ7ニ7 {ニマニニニ'"}ニニニニニニニ≫"} マニニニニ≫、ニニヘニヽ {ニニ7o7 」o',ニニ/´ニニニニニ≫"ニニ ノニニニニニニニ≫、ニ} ̄`iニ7ニ7` ー― '" マニ',ニヘノ/≫"ニニニニ_7 {ニニ≫==≪ニニヘ{__/ニ7ニ7 >-} o',ニ{ニニニニ--= ̄ ノニニニニニニニニニニニニ7ニニニ7o7 > '" ´ `` ー、ニニニニニニニニニ }ニニニニニニニニニニニニ7ニニ> '" ´ 〉ニニ/ニニニニ7 ノニニニニニニニニ> '" ´ _, ⌒` ー-ァ ィ }>'"⌒`ヽ、ニ7 {ニニニニニニ>'" ,ィ-‐ ―― ¨ ̄ ̄ ⌒``ヽ ヾ. ̄ ̄〉ニ>"/ ,..ィ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ {/;;{ , ィ _ ,' \;;;i , ィ }}  ̄ -- _ _/___≧', , ィ 〃_____________ ̄__________ ー '" `  ̄ 京太郎「ヤりたいです」 久「直球ね」 京太郎「だって部長エロいですもん」 久「まぁ」 京太郎「可愛いですもん」 久「ふふ、ありがとう」 京太郎「でも、一つ注文を付けるとすれば」 久「すれば?」 京太郎「する時はおさげにして欲しいです」キリッ 久「おさげ好きか!」ポンッ 久のAAがッッ!! かなり増えてるんですよッッッ!!! やったぁぁぁぁっっっ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/5720.html
745 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/07(火) 01 28 29.08 ID nYJgAx2bo [8/9] 【次回予告】 謎の男、赤羽根・ニコラス・健治と出かけた竜華 二人きりでの外出、これはデートなのか? そして、それを追う京太郎 この胸のざわつき、苛立ちの正体は一体なんなのか? 竜華「うち、どうしてもアカバネさんに――」 アカバネ「話してごらんよ。僕は……君の味方だから」ニッコリ この二人の密会の意味は―― そして、この二人を追う京太郎と―― ??「これは浮気ピヨ!!」デデーン 復讐に萌えるアラサー(妄想おばさん)の行く末とは!? 霞「あーあー、捨てられちゃったわねー」クスクス 煌「事件ですねぇ」パシャパシャ 京太郎「……」イライライライラ 事件は事務所で起きてるんじゃない、現場で起こってるんだ!! 京太郎「やい、このへなちょこ野郎!!」ガシッ アカバネP「えっ?」 竜華「きょ、京太郎君!?」 京太郎「竜華さんはな!! 竜華さんは俺の――!!!」ギリッ 竜華「!!」ドクンッ 次回―― ファミレスの中心で愛を叫んだアイドル お楽しみに!! 836 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 21 24 48.63 ID HXZiHKGRo [2/18] 【前回までのあらすじ】 修行を経て確実な力を身につけた京太郎 仕事も獲得し、これから順調なアイドルライフかと思いきや―― 竜華「……」ソワソワ どこか様子のおかしい竜華P そして―― アカバネP「~~~」ニコニコ 竜華「っ!? ~~//」ブンブンッ アカバネP「~~~」スッ 車「」ガチャッ アカバネP「~~~?」ニッコリ 竜華「……//」コクッ バタンッ 車「」ブロロロロロッ 謎の男とともにどこかへ出かける竜華 それを見た京太郎の行動は…… 京太郎「うぉぉぉぉぉ!!」ダダダッ 果たして竜華の真意とは!? 842 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 21 34 58.01 ID HXZiHKGRo [3/18] 【街中】 美穂子「んしょ、よいしょ……」フラフラ 煌「随分とたくさん買いましたね」フラフラ 美穂子「ええ。若に美味しい物を作ってあげたいの」ニッコリ 煌「……本来なら私がの仕事だったんですが」シュン 美穂子「ふふっ。清水谷さんはああ言ってるけど、好きな時に来ていいのよ?」ニコニコ 煌「えっ!?」パァァァ 美穂子「はい。その方が若も――」 ドドドドドッ 煌「? この音は……」 京太郎「うぉぉおぉぉぉおぉおぉぉ!!」ダダダダッ ビュゥゥウゥゥン!! 美穂子「きゃっ!?」サッ 煌「スカートが!?」サッ 美穂子「今のは若……?」 煌「どこか様子が変でしたし、少し気になりますね」ウーン 美穂子「……」 ~~~ 【ファミレス前】 京太郎「ゼーゼーッ」グッタリ 竜華さんを追って事務所を飛び出して30分近く ほぼのストップで走り続けていた京太郎はエネルギーを使い果たしていた 京太郎「ぐぐっ、こんなことしてる場合じゃねぇってのに……」フラフラ 早々に車を見失いはしたが、こっちの方面に来たのはわかっている どうにかして竜華さんを見つけ出さねば―― ウワッ、ミテ! スガクンダヨ! フーン、ナナヒカリハアイウノガスキナワケ? カレヲミテルトポカポカスルワ ウーン、マサシクリリンノウミダシタビノキワミダ チョーッチサイントカオネガイシチャオウカシラ ガンメンノデータサイシュ! シンクロリツ99パーセント ドウヤラホンモノヨウネ カレダナ アア、モクヒョウヲゼンリョクデホソクスル ザワザワザワザワ 京太郎「や、やばい!?」 まだ新人と言えど流石に名の知れたアイドル こんな街中を無用心に歩けばこうなってしまうのだ 845 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 21 46 12.32 ID HXZiHKGRo [4/18] サインモロタデー! オトナシクサインスルニャー! オレノザビーゼクターカエシテクレヨォォォオオ! ワラワラワラ 京太郎「ひぃっ!?」ビクッ ?「こっちよ!!」グイッ 京太郎「!?」サッ 数多くの野次馬に飲み込まれる直前 間一髪のところで京太郎は誰かによって救い出された 京太郎「おわっとと!」 ?「この路地に逃げ込めば追ってこないわ」 京太郎「あ、ありがとうございます……」ハァハァ 息も絶え絶えに助けてくれた恩人を見上げる その人の正体は―― 霞「全く、少しはアイドルとしての自覚を持ちなさい」クスッ ドタプーン 須賀ホーン「」ビィィィィインッ! 京太郎「霞さん!!」 霞「全く、何をそんなに急いでいたの?」 京太郎「あ、えと……」 そう言われると言葉に詰まる 元を正せばただ竜華さんが出かけただけなんだ それを俺が必死に追いかける理由なんて無い筈 京太郎「動機の言語化か、難しいな……」ブツブツ 霞「まどろっこしいわね。じゃあ当ててあげましょうか?」 京太郎「え?」 霞「清水谷さんがメガネのいい男と二人きり出かけたことが気になるんでしょう?」 京太郎「な、なぜそれを!?」 まさか霞さんは本当に霊能力をもった巫女なのか!? それで―― 霞「ふふ、アレを見れば簡単にわかるわ」スッ そう言って霞さんが指差したのは、通りを挟んだ先にあるファミレスだ 京太郎「ファミレス?」 霞「よく見てみなさい。ほら、窓側の席よ」 京太郎「……あっ!?」 言われた通りに眼をこらしてみると……いた 竜華「~~~//」モジモジ アカバネ「~~~」ニコニコ 京太郎「……」イラァッ ファミレスの中で、仲睦まじく話す二人の姿だ 848 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 02 50.06 ID HXZiHKGRo [5/18] 京太郎「……」メラメラメラ 霞「京太郎君?」 京太郎「へっ!?」 霞「あらあら、もしかして私は邪魔?」 京太郎「いえ、そんなことは……」アセアセ タタタタッ 京太郎「ん?」 煌「はぁ、はぁっ……探しましたよ」 京太郎「煌さん!」 煌「もう、久しぶりに会ったと思ったら……」 京太郎「す、すいません」 煌「それで、これはどういうことなのかな?」 京太郎「それは……」 ~~~~ 京太郎「ということでして……」 煌「なるほど」フムフム 霞「それで、どうするつもり?」 京太郎「えっ?」 霞「このまま出歯亀してても仕方ないでしょ?」 京太郎「……」 そりゃそうだ そもそも、こうして覗いていること自体悪いことなんだ 京太郎「でも……」 なぜかは分からないけど気になる 竜華さんのことが…… 霞「とは言っても、外に出ればまたやじうまが沸くわね」 煌「それならいいものがありますよ」ニコッ 京太郎「え?」 ゴソゴソゴソ 煌「こんなこともあろうかと、今日買っておいたんですよ!」バーン そう言って煌さんが取り出したモノは…… 選択安価↓3 1 アフロヘッド+サングラス 2 女装セット 3 着ぐるみ 855 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 16 11.80 ID HXZiHKGRo [6/18] 煌「じゃーん♪」ニコニコ 着ぐるみ「」 京太郎「ど、どっから出したんですか……これ」 煌「いやぁ、可愛くって」エヘヘ 霞「あら、いいわね♪」ニコニコ 京太郎「……これ着るんですか?」 煌「しょうがないですよ。下手な変装してもその美形は目立ちますから」 霞「まぁ、当然ね」 京太郎「……」 仕方ない これも竜華さんのことを…… 京太郎「着ます!!」モゾモゾ 煌「その心意気、すばらっ!!」 霞「ふふっ」ニヤリ ~~~~~ 【ファミレス】 カランコローン 店員「いらっしゃいま――」 ,>-、_ `ー、;;;;;;| ... `ヽ, / ..{ ̄`ヽ,_ | }_ノ ̄`、 ヽ ./ ...,ri | `~' 〕 _,,,-一! i i { ....{;;;\_ノ} ´~| .{ `、 i i l ! ...(_);;;;;;ノ. i | r!、_ハi .. } i _}_ ...`ー´、ノ | |;;;;ノ. ! i ..... ノ i `ー-、;;;ム |0-'. i ト--'´ .. / ´"''~゙゛、、,r-一ー、 !、;;;;/ i ゙゛ ノ / 'v´ ̄`ヽ 、L_;;;-ー´\/ { . `,゛ `, ../\ '、 .. ,i .. ノ i ,-一、.. `ー-一´`ー-一'´ / /;;;;;;;;;;;`ー、_ ..._ノ_ _ノ´`|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`、;-、_;-´;;;;;;`i´ !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;へ;;};;;;;;`i;;;;;;;;;;;;;}\ 店員「せぇぇぇぇっ!?」 ザワザワ ガヤガヤ 霞「ねぇ、これ逆に目立つんじゃない?」コソコソ 煌「そうでしょうか?」コソコソ 竜華「? なんか騒がしいですね」 アカバネP「何かあったのかな?」ウーン 860 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 26 11.12 ID HXZiHKGRo [7/18] 店員「お、お客様は一体――!?」 京太郎「……ふんもっふ」 店員「えぇ!? そんな事情が!?」 ナンダボンタクンカー シャアナイワー ソダネー ウンウン 店員「分かりました。ではお席に」 京太郎「もふもふ」ペコリ 煌「どうやら目立ってないようですね」 霞「どういう神経してるのよ東京の人は……」ハァ 竜華「あっちにボン太君がおる……」ソワソワ アカバネP「ああいう可愛いのが好きなのかい?」 竜華「あ、えと……はい」カァァァ アカバネP「女の子らしくていいと思うよ」クスッ 京太郎「……」ゴゴゴゴゴッ アカバネP「(何か殺気を感じるけど……)」アセダラダラダラ ※ここから()内の京太郎セリフは全て筆談です 普通に喋っているわけではありません 京太郎「(なんとかバレずにこれましたね)」 煌「しかし、これからどうしましょう?」 霞「取り敢えず盗み聞きする?」 京太郎「(でも結構離れてますよ)」 煌「どうすれば……」 ??「私の出番ピヨ」フッフッフ 京太郎「ふもっふ!?」 霞「何奴!?」 _ __ _ . < >ヽ> . . `\ ヽ / / 「N | .i ∧ / 廾_| Ⅵ_土二トノ . /イ| r'≡≡ ≡≡.| ト. | |⊂⊃ ⊂⊃ }ノ .| 八 | i | {> ⊂ニニつ ,' イ ノ L ゞっ 「己≠乙`Yイ- 、 ̄ rj |/.◎//| イ、 i .l / /ー――.'\ \ !. / { ヘ ヾ! / .∧ o 〉、_j. 廴ノ ,' 〈 / o ∧. ト、__∧___ ムヘ i////////////∧ L/////////_/_/∧ |_ ̄「 ̄ ̄∨_〈 ´ l///! V/ ∧ Ⅶ/j! ヽ/ ∧ Ⅷ/l ∨/ム }//l .∨/| ぴよ「私ピヨ」 863 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 32 50.30 ID HXZiHKGRo [8/18] 京太郎「(アナタは確か……)」 ぴよ「私の事はどうでもいいの。それよりも……」チラッ 竜華「~~~」 アカバネ「~~」 京太郎「(もしかして、あの男の人は?)」 ぴよ「そう。私の夫ピヨ……」 霞「うわぁ……」 煌「そのカメラ中々いいですね。触らせて貰っても?」ワキワキ 京太郎「(それは……中々大変そうですね)」 ぴよ「ぐぬぬ、最近私を抱いてくれないと思ったら……あんな小娘に」グギギギッ 京太郎「そんな夫婦事情を聞かされましても」アセアセ ぴよ「とにかく、これは浮気ピヨ!!」デデーン 京太郎「!?」 霞「それどころか不倫ね。あ、私はパスタで」 煌「ストロベリーパフェにしようかな?」 店員「かしこかしこまりましたかしこー!」 京太郎「(食ってる場合か!! あ、俺はハンバーグ定食で)」 ぴよ「話聞いてよ……」シクシク / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\ ヽ . . . . \ / . . . . . | . .l、 . . . . . \ . . . . . . . . . . . .\ ' ;. . . . . ., / | . . . . . . !、 | \ . . . . . . ' , . . . . . . . . . . . . . ,‘; . . . . . .',. / . . . ! . . . . . Λ\ ` < . .V . . . . . . . . . . . Λ! . .| . . . . . / . . . . | . .| . . . .Λー- ―  ̄V . . | . . . . . . . . . V . | . . . . } l . . . . 八 .| . . . . .ム ヽ . | .。 . . . . . . . V ! . . . . ! | | . . . . . N`¨´ _=__ム ` | . . . . . . . . . . V . . . . | | | . . . . . | ノ 7/⌒○ ! . | . 人 . . . . ', . . . .{ V〉 . . . . ', /// | . | .`Y´| . . . .| . . 八 . . .| . . .ヘ ,.ニ | . | . .。 . ! . . . .| . . . . .\__/ | /| . . . . . . 7/¨′ __ ! . ! . . . . .ハ . . . | . . . . . . . . . ./ | | ! . . . . . .し// //⌒\ ‘; .|; . . . . | \弋 > | | V . . . . . ハ V } ヾ\ . ..| 个 ゝ / | | V . . . . 从 \ _ ' \ト-式`¨´ | |. \ . . . . . 、 . / / \_ _ ___ _ r 、 `\ V .| . . . . . > . /_ / /三三三三/ / \ | } ヽ V| . . . . . . . | 个爪 . ム / ./三三三三/ / \ . √¨ス .{ ヽ \ト、 . . .Λ .レー´/У /三三三三/ \ 「 ̄ フ ヽ_ ‘、 、 \`<ム / ´ . -―-、/ . . . . . . . ./ / \ 「 ̄ノヽ ヽ-’ \ | /ヽ/ }. . . . . . . . . / / \ | ー-――- ` ヽ x―<|_|_/ ’. . . . . . . . .{ / ` ー--.、 } .’ / /. . . . . . . . . .∨ ` 、 ' { 人 、 /\_ _. . . . . Λ \ |_ ハ 厂| 、 /. \__|. . . . . .Λ 人 / | レ`| , 1 ! ー ’ イ. . . . . . . . .Λ `Y´ |\L__ / .| Λ / | Λ /_人_ . . . . . . Λ + .| |/ N. . \ /人  ̄Y ̄ . . . . . . . Λ 煌「浮気調査をしたいんですか?」 霞「がっぽり慰謝料もらわないとね」 ぴよ「そうは言っても、お腹にはもう二人の愛の結晶が……」 三人「……」 ぴよ「哀れまないで!!!」クワッ 865 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 40 48.91 ID HXZiHKGRo [9/18] 京太郎「(そもそもまだ浮気と決まったわけじゃ)」 ぴよ「それを暴く為に来たぴよ」 煌「それで、どうやって話の内容を聞き出すんです?」パクパク 霞「盗聴器でも使う気?」チュルチュル ぴよ「ふっふっふ、そんなもの必要無いわ」ニヤリ 京太郎「??(この格好じゃハンバーグ定食食えないな)」 ぴよ「実はこんなこともあろうかと読唇術を学んていたのよ!!」 煌「暇人」 霞「他にやることないの?」 ぴよ「ピヨォォォォ!?」 京太郎「(何にしてもこれで内容を聞き出せますね)」 煌「本当に大丈夫ですか?」 霞「胡散臭いわね」 ぴよ「(本当は一週間で投げ出したけど、なんとかなるわよね)」ドキドキ ※ ここからは実際の会話とぴよちゃんの通訳の二重音声でお送りします 「」→本物 ()→ぴよ通訳 アカバネ「それにしても驚いたよ、急に呼び出されて」 (それにしても驚いたよ、急に呼び出されて) 竜華「ごめんなさい」ペコリ (ごめんなさい) アカバネP「でも、よかったのかい?」 (でも、よかったのかい?) 竜華「え?」 (え?) アカバネP「好きなんだろう? 彼のこと」ニッコリ (好きなんだろう? 俺のこと)ニッコリ 竜華「そ、それは……//」カァァァ (そ、それは……//)カァァ ぴよ「ぴよぉぉぉ!?」 京太郎「」 煌「なんと」パクパク 霞「面妖ね」チュルチュル 870 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 22 53 56.90 ID HXZiHKGRo [10/18] ぴよ「」シッシン 京太郎「」シッシン チーン 煌「ああもう、いいところで」 霞「早く起きなさい」ペシペシ ぴよ「う、うーん」ムニャムニャ 竜華「どうして、そんな……」 アカバネP「分かるよ、同じプロデューサーじゃないか」 竜華「でも……自分ではわからなくて」シュン アカバネP「……」 竜華「せやから……」 アカバネP「どうして?」 竜華「だって、アカバネさんはあんなにアイドルに好かれとるのに……最終的には事務員さんと」 アカバネP「ああ」 竜華「だから、その……」 アカバネP「……」 竜華「うち、どうしてもアカバネさんに――」 アカバネP「話してごらんよ。僕は……君の味方だから」 竜華「どうして……あの人なんですか?」 アカバネP「……」 竜華「他にも魅力的な人、たくさんおったのに」 アカバネP「……それは」 竜華「やっぱり、アイドルやから?」ブルブル アカバネP「……」 竜華「自分のアイドルとは、付き合えないから?」ジワッ アカバネP「それは違うよ」 竜華「え?」 アカバネP「確かに、あの子たちはみんないい子だし……全員可愛いと思う」 竜華「せやったら――」 アカバネP「でも、アイツを一番好きになった」 竜華「!!」 アカバネP「アイドルだとか、プロデューサーだとか……そういうことって、関係無いよ」 竜華「……」 アカバネP「それを言い訳にして、逃げているのは君の方なんじゃないか?」 竜華「っ!」 ぴよ「はっ!? ここはどこ!? 私は誰!?」 京太郎「ふもっふ」パチクリ 霞「ほら、早く通訳しなさい!」 煌「ハリーハリー!」 872 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 02 30.21 ID HXZiHKGRo [11/18] 竜華「うちは……」 アカバネ「結局は自分自身が決めることだよ」 竜華「……」 アカバネ「勿論、アイドルとプロデューサーがそうなるのは業界的にタブーだ」 小鳥「うぅ、続けるピヨ」 京太郎「……」 アカバネ「確かに二人の関係は許されないだろうね」※芸能界的な意味で (確かに二人の関係は許されないだろうね) ※浮気的な意味で 竜華「はい……」 (はい……) アカバネ「でも、僕はそんな関係になってもいいと思う」 ※アイドルとPの恋 (でも、僕はそんな関係になってもいいと思う) ※不倫関係 竜華「!?」 アカバネ「二人が本当に愛し合っていれば」 ※竜華と京太郎 (二人が本当に愛し合っていれば) ※竜華とアカバネ 竜華「あ、アカバネさん!」ジワッ (あ、アカバネさん!)ジュンジュワー アカバネ「その想いは君だけのものだ。誰にもそれを止める権利なんてないさ」 ※応援してるよ (その想いは君だけのものだ。誰にもそれを止める権利なんてないさ) ※ヤろうぜ!(ゲス顔) 竜華「うち……もう迷いません!」 ※京太郎と向き合う覚悟 (うち……もう迷いません!) ※不倫を続ける覚悟 ぴよ「」ガタガタガタガタ 霞「あーあー、捨てられちゃったわねー」クスクス 煌「事件ですねぇ」パシャパシャ 京太郎「……」イライライライラ ガタッ 874 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 07 50.45 ID HXZiHKGRo [12/18] 煌「きょ、京太郎君?」 霞「どうしたの?」 京太郎「……」 ツカツカツカツカ 竜華「へ?」 アカバネP「ん?」 京太郎「ふもふもふもっふ!(やい、このへなちょこ野郎!!)」ガシッ アカバネP「えっ?」 ザワザワ ガヤガヤ ナニアレー ケンカー? 煌「だ、ダメー!!」ダダッ 霞「やめなさい!!」 竜華「(あの二人がいるってことは……まさか!?)」ハッ 京太郎「……」 竜華「きょ、京太郎君!?」 アカバネP「き、君は!?」 京太郎「ふもふもふもーふんもっふ!!(竜華さんはな!! 竜華さんは俺の――!!!)」ギリッ 竜華「!!」ドクンッ コンマ安価↓3 00~49 俺のプロデューサー 50~89 俺の大切な仲間 90~99 俺の大切な人 ゾロ目 きゃんゆーせれぶれいと 885 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 14 33.61 ID HXZiHKGRo [13/18] 自分でも何がなんだか分からなかった ただ、竜華さんが俺の前からいなくなってしまうことが、悲しくて……苦しくて 訳も分からず、飛び出していた そして、気がついた時には…… 京太郎「ふんもっふ!!(俺の大切な人なんだ!!)」 そう、叫んでいた アカバネP「!!」 竜華「!!」 京太郎「……ふも?(あれ、俺は今なんて……)」 ダダダッ 霞「破ァッ!!」バシッ 京太郎「ふぐもっ!?」バタッ ガシッ 煌「し、失礼しましたー!!」バビューン アカバネP「……」ポカーン 竜華「……」 ズルズル ぴよ「うぇぇぇっ……あなたぁ」ズルズル アカバネP「小鳥!? どうしてここに!?」 ぴよ「捨てないでください……なんでもしますからぁ」シクシク アカバネP「???」 竜華「さっき、京太郎君……なんて?」 ~~~~ 【アクセル1】 久「ということなのよ」 京太郎「」ズーン 煌「まさか、ただ先輩Pに相談していただけだなんてー(棒)」 霞「気がつかなかったわー(棒読み)」 久「あんた達ねぇ……」ハァ 京太郎「お、俺はなんて勘違いを……!!」ガタガタガタガタガタ 887 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 23 35.27 ID HXZiHKGRo [14/18] 京太郎「竜華さんになんて謝ればいいんだ……」ガックリ 煌「きっと笑って許してくれますよ」ポン 霞「そもそも向こうも勘違いされるような態度だったしねぇ」 久「……」ギロリ 霞「あら、本当のことじゃない」ニコニコ 京太郎「……」ズゥゥゥゥゥン ガチャッ 京太郎「!」 竜華「ただいまー」 久「お帰り、大変だったわね」 竜華「まさかファミレスで襲われるなんて……アカバネさんもビックリしてたで」 京太郎「……」 煌「あ、あはははっ」アセダラダラ 竜華「ほんま誰やったんやろなぁ、あの着ぐるみ」チラッ 京太郎「!!」ビクッ 竜華「何やらようわからんかったけど……」トテトテ 京太郎「……」 ムギュッ 京太郎「!?」ドキッ 竜華「ふふっ、ヤキモチ妬いてくれたん?」クスクス 京太郎「あ、その、柔らかいのが当たって……!!」アセアセ / / / // ´ ̄ ヽ / / / | l | | . i. / / | / / > ´ /, ′ | l | | . l / /... | i /ァ===ミ、 ヽ /イ . j_| | . │. ′. リ、 ;《 ん干ハ\ 〃 j\ イ / . /|. / . / ∨ | { ト ノ ' ,ノ / ヾ }/} \ __/ .′ ′ { ヽ{ ゝ こソ =ァ=/ / ソ/ / \ / / ! ∧ 。 ん干ハ㍉ / / ヽ.′ ′ |... ∧__ . ' .' . { ト ノ ′|} / / /// . i|.. | { 、 ゝ こソ //彡 //..... i|. |∧ ヘ / / ノ... i| l ∧ 「 、 . ' .' .° ′ノ┬=ァ ´ i| | / . ` -- ′ , イ / / あてとるんよ♪ / j| l / \ / / // j| |/ 丶 ___,,.. イ ../ / i| ト / / i| ../ /-=ニニニム {ニ\ / / i| . ,′/ 京太郎「りゅ、竜華さ――」 竜華「うちは京太郎君の事が好き」ボソッ 京太郎「!!」 竜華「だから、これからも……ずっとずっと大好きでいさせてな」ニコッ 京太郎「い、今のは……?」 ガバッ 竜華「さ、さぁて仕事や仕事ー!!」タタタッ 889 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 33 06.45 ID HXZiHKGRo [15/18] 久「……暑いわね」 煌「はい、暑いです」 霞「……やっぱり邪魔ねぇ、あの子」ハァ 京太郎「ね、ねぇ! 今竜華さん俺のことを――!!」タタッ 竜華「あーあー! 聞こえんなぁぁぁ!!」マッカッカ 京太郎「逃げないでくださいよ! ねぇ!!」 竜華「う、うるさい!!」タタタ 京太郎「竜華さん!!」 竜華「ああもう!! しつこいっ!!」バキィィッ 京太郎「ウルガモスッ!?」ズザァァァッ!! 竜華「……ふんっ」プイッ こうして、少しばかりズレてしまった歯車は元通りになりました ガチャッ 美穂子「只今戻りましたー」 宥「うぅっ、寒いよぉ」ガタガタ 久「あら、みんないるのね」 菫「途中で会ったんだ」 明華「ついでに買い出しのお手伝いを」 はやり「ふふっ、楽しみだね☆」 透華「当然ですわ! メインはこの私が用意した高級食材でしてよ!」つカニ カニ「オイ、デュエルシロヨ」 霞「あら、パーティでも始めるつもり?」 煌「あれ、聞いてませんした? 今日はアイドル組で新年会をするって」 霞「……」 久「ごめんねー、伝え忘れてたわ♪」 霞「そう……」 久「……」 バチバチバチバチッ 和「私も混ざっていいんでしょうか?」 煌「勿論!」 竜華「賑やかな方がええやん」ニコッ 和「はい!」 竜華「それと……」 和「?」 でも、本当にそうなのでしょうか? 竜華「うちな、京太郎君のこと好きなんや」 和「!!」 歯車は、以前よりもはるかにその速度を増して…… 竜華「せやから、もう原村さんには負けへん」 時計の針を……進ませるのでした 892 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 41 57.55 ID HXZiHKGRo [16/18] 和「そう、ですか」 竜華「……ごめん」 和「いえ、謝る必要はありません」 竜華「でも……」 和「だって、勝つのは私ですから」 竜華「!!」 和「……」 竜華「……」 和「負けません」 竜華「うちやって負けんから」 和「私が勝ちます」 竜華「うちや!」ツカツカ 和「いいえ私です!」ツカツカ 竜華「うちったらうち!!」グイッ 和「私と言ったら私です!!」グイッ ムニュン グニュン!! 竜・和「分からずや!!」 オッパイズモウ!! 京太郎「う、うーん」パチクリ 煌「ほら、起きてください!」 京太郎「えっと?」 久「パーティの主催がいなくちゃね」ニッコリ 京太郎「そうだ! 今日は新年会だった!」 宥「鍋あったかぃ」ポワー 菫「いい出汁が出るといいが」 透華「カニはどうやっていれますの?」 はやり「そのままぶち込んじゃえ☆」 明華「やめた方が……」 美穂子「では調理しますね」ニッコリ 選ばれるのは……きっと 京太郎「よっしゃ!! みんな揃ったことだし!」 竜華「いつもの、アレやな」 煌「では京太郎君、いつものを」 一同「……」コクリ 京太郎「今年も頑張って頑張りぬいて!! 目指せ!!」 一同「トップアイドル!!」 竜華の浮気? カンッ!! 895 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 53 29.43 ID HXZiHKGRo [17/18] 【数日後 京太郎のアパート】 京太郎「Zzzzz」スピー トントントントン 京太郎「むにゃっ?」 ジュージュー 京太郎「なんだこのいい匂い……?」ムクッ トタタタッ 美穂子「あ、起きましたか?」 京太郎「美穂子さん!?」 美穂子「もう朝食は出来てますよ」ニッコリ 京太郎「は、はいっ」 美穂子「ふふ、布団は畳んでおきますから」パッパッ 京太郎「いや、そんな! 自分でやります!」セッセッ 美穂子「えらいですね、若!」ジィーン 京太郎「これぐらい普通ですよー」エヘヘ そうだ。 今日から美穂子さんが家政婦としてうちにやってくるんだった 京太郎「そう言えば、美穂子さんは学校はいいんですか?」 美穂子「もう進学も決まって、学校ではやることもありませんから」ニッコリ 京太郎「でも……」 美穂子「それより、朝ごはんですよ」スッ 京太郎「うわ、うまそう……」 美穂子「どうぞ」ニッコリ 京太郎「あむっ……うん、おいしい!!」 煌さんの料理もうまかったが、美穂子さんも負けずとも劣らないレベルだ 京太郎「うまうま」モグモグ 美穂子「喜んでいただけて嬉しいです」ホクホク ,.-───- ., ,.' \ / / / / ., \ / ./ / .〃 〃, ハ ヘ, / ./ / .// /// } | | | リ, ,' / ′! /イ /// / /l } | }. ′ イ ノ 八匕丁「「`7/,イノノミ, l リ | .| | ! f,≫rテミァ " ,ムZ; イイ | .| l | . 「 ._{トtリ イrリj},イ| | | .| l | . | xx `¨,仆 | | | .| l | j! 、 _. ' / || | | | .| ._レヘ | |\ , イ | || | |. 八 「 リ | え,ー≦升| | || | | / \乂 从リ\_〕 `寸リ リ .リ リノ / ,r=======ヘ V/》, 》∨ / 〃. /,イ / ̄ ̄>z_》r彳 ∨彡゙ 897 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/09(木) 23 58 21.77 ID HXZiHKGRo [18/18] 京太郎「ふぅ、ご馳走様でした」 美穂子「では朝のメニューを」 京太郎「はい! まずはスクワット500回からでいいですか?」 美穂子「え?」 京太郎「?? 腹筋200回の方ですか?」 美穂子「」 京太郎「あれ、火曜日だから腕立て300回の方か?」ブツブツ ギュッ 京太郎「ふぁっ!?」ドキッ _, -─-、 -― ―ー 、 , '´ ヽ、 / \ / / / .i ヽ ヽ \. ヽ / // / / / ト | i ヽ ヽ ヘ / // / i / / / .ハ i ! || ハ ハ. / // ./ i / イ .ll | | | .|i || ハ ハ ,' , i l | ! | レ l|`ト!、_|__.|_|_ /リ イ| ハ i | | | | N_,戈´!ヽ!V ヒ! レレ'メノリ l. i |. ', ! i ヽ ヾ、ゝ弋 __ | | i | _ --― 、. \!\\ゝ _, - '´ ̄ `ミ、o. | | i | ハ i 二⊃ ノ , -― | ! io'⌒ , . | | i | i l ハ .ヘ ( ⊂二 ̄ |.' / | | | i | | l ハ ヘ. / / ,| ___. -― 、 ! ! |.| | l ハ ヘ / / ノl ヽ. . . ._ . _ .} ,-、 .l | l | |i i| ハ 、ヘ //⌒Yヽ ヽ V .ノ / ノ-、 l l .l | | | i| ハ ヘヘ /, ィ‐ 、 | } ! \  ̄ ̄ /-く V/l ////| i| i ト、 ト、\. ,〃| ´, ィ‐-| | | ノ i \ ,-' 、 \ ',/ //, --― 、i .| l } } } }. // ,.| ´ __ト' ヽ'⌒ マ^`iニ,へ \_ ` } /./ \!リ リ .ノノ / l/ ! ´ , } } ./ ( _ \ / ノ/ _ ____ ヽ. /. ! ハ イ-'、 ,ノ / !Y{` ./ /./, ' `ヽ、 ヘ \ } /__/ /| / ´/ /' / ヽ .} / ィ'/ |/ .{ / i .| / ヘ |. / / .! / | レ' __,____ ヘ.| 美穂子「もういいの、休んでいいの……」ポロポロ 京太郎「???」 美穂子「若は若のペースで上を目指しましょう」ニッコリ 京太郎「は、はい」ドキドキ 美穂子「(花田さんには後でちゃんと言わないと)」プンプン 一方その頃、当の本人はというと ~お隣~ 煌「うぐぐぐっ……京太郎君エキスが……」ゴロゴロゴロッ! 割と天罰を受けているのだった 902 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 04 24.16 ID CbhRK/Kto [1/6] 京太郎「それじゃあ、学校に行ってきます」 美穂子「はい、お気を付けて!」 ,. - ──‐- 、 /,,.-‐‐──- 、 ゙ 、. ∠/´ `.、 ヽ /./ / / ハ ヽ ' ,ィ゙ {. ム--.、l | | !ハ! i .i , ゙ / ヾヽ|人|ヽィリヽ! !ナ'リメ、_ノ.} | } ! / / ヽ| ィ==、 ___ ",ィノ リ |/ {. ヽ7 l  ゙̄ヽ / |__'、_ { |. ' /} i| {/ | {\. v ̄リ ./小 | | | ||" \ `ー , <二| ! ! | ||ィ=| ` _..!≧_i_/| } リ/ ̄ ̄ ̄¨二二 ̄ ̄`゙ー-、_r‐‐'"´/´′/ ,>リ ./リ /、 .二二/, ─-、\___)〉 /-‐/ , .ィ " ─ 、"、∨ミ==!ミ 、___..冫 )__..)/∧/ /, .// / '. | | `ー- 、.ミ.`──‐} ̄\_/ /, ' }.| | `゙ 、 `' 、ノ 〃 ,'. | | ` 、 ` 、../ ./// | | __ヾノ"´ /゙./__」 ! 〆 〃 /_____」 ─-‐'" `ー─ " ./i/ 京太郎「それじゃあ」ガチャッ 美穂子「いってらっしゃい――」 バタンッ 美穂子「……あ、アナタ……//」ボソッ …… 美穂子「っ~~~!!」ボフボフ!! ~~~~ キャアアアアア!! キョウタロウクゥゥゥン! ダイテー!! エッチシテー!! イチャイチャサセテー!! 京太郎「変装忘れてたぁぁぁぁぁぁ!!!」ダダダダッ 煌「京太郎くぅぅぅんん!!」ダダダッ 京太郎「あとなぜか煌さんも混ざってるうぅぅぅう!?」 905 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 14 31.95 ID CbhRK/Kto [2/6] 【白糸台高校】 京太郎「ふぅ、なんとか着いた」 白もやし「おい三下ァ、もうちょっと自分を大事にしろよォ」 ウニ頭「ファンってのは結構過激だからな」 馬面「また何かあったら俺のバイクに乗せてやるよ」 京太郎「おう、ありがとな!」 白もやし「さて、飯にすっぞォ」 ウニ頭「残念ながら財布の中が空でして」シクシク 馬面「嫁に握られてます」シクシク 白もやし「俺のおごりだァ……京太郎きゅんのサイン貰えたしよォ」ニマニマ ウニ・馬「ワーイ!」 京太郎「平和だなぁ」ホクホク ダダダダダッ 京太郎「ん?」クルッ 照「京ちゃぁぁぁぁん!!」 ジャーンジャーン! 京太郎「げぇっ!? 照さん!?」 照「京――」 バナナの皮「俺、将来マリオカートに出たいんだ」 フミィッ 照「」ズルンッ ゴッチィィィィン! 京太郎「バナナの皮ァァァァァァァァ!!!!!」 / /. / j | ト |. | | | _i ∧ |i / /. | i | |. / `ヽ | |i | '´ | / V .| / ! i |ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .| 八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 | / |. 八 | 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | \{ ! {斗ニ刀 {斗ニj匀. i | ハ 气l∪iリ 气l∪ikリ. l | i l{',、 乂Zソ 乂ZZソ | | j , | | { | | ヽ ,ィ⌒ー'⌒ヽ. | /| | > . `-⌒ ⌒'‐′ . < | / 乂| ∧ | 、 ≧= ___ <--- 照「京ちゃん……」ウルウル 京太郎「冗談だっての」ナデナデ 照「んふー♪」 908 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 22 31.38 ID CbhRK/Kto [3/6] 京太郎「それにしても、こうやってのんびり話すのも久しぶりですね」 照「うん。それにしても京ちゃん、かっこよくなったね」 京太郎「そうですか?」 照「うん。でも、そんなこと関係無い」 京太郎「?」 . ´ ` 、 / / . / ,イ ∧ / / | l / | |! | | ,  ̄ ̄ ̄| N /__ | ト、__| | | ′ i| | ∨ 八 ト、 | N リ |l |. 八 { l ____ ` \| ___|/ | 八 |l / リ \N '~⌒`` ´⌒``〕/ ;__ 八. / / ハ """" ' """" '// / 〔、 、 . / __ 圦 lヽ r ┐ // / /) \ / l l\\ | .! ノ . '_/ 厶 "/ ト、 ヽ .' |八 \\__| .!> __ . イ´ 、__フ‐ ヽ. | \ |. .′ V.rヽ _|___ | /_〔 ̄ | V 〕 //.へ`ー- .、Υ 八 l | |{/´ ̄〕 !、___/ヽ /' \. 八 '′ l / ∧ 〈 、 \ / \ .'. / /_ ∨´ \ / -‐== / ∧ / / _ ./⌒ヽ. \............./ =- V / -‐=' ._ ∨ヽ__/ Υ⌒/ .′. 〔二〕´ ._ V´/ |ニ/ ∧〔\ 八 ∨ |_V .! / N' \ 个 、_/ 照「京ちゃんは京ちゃんだから」ンヘヘ 京太郎「……はい」ニッ スタスタ 淡「おっにぃっちゃーん♪」 ジャーンジャーン 京太郎「げぇっ!? 淡!?」 ど、どうする!? 照さんならともかく、淡を受け止めるとなると―― 選択安価↓3 1 抱きとめる 2 避ける 3 照さんを差し向ける 4 あ、あれはSSS!? 917 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 30 10.18 ID CbhRK/Kto [4/6] 淡「わーい!」ダダダッ 京太郎「フッ!!」シュバッ 淡「!?」 スカッ ドグチァッ!! 淡「メメタァ!」 京太郎「あ、淡!? 大丈夫か!?」スタスタ 淡「うぅっ……」 照「大丈夫?」 淡「お兄ちゃんが避けた……」ジワッ 京太郎「あ、いや! それはだな! 一応俺はアイドルだからであって」 淡「避けたぁ……」ウルウル 京太郎「違う、人前だからだって!」 淡「……本当?」グスッ 京太郎「あ、ああ。そうだ」 淡「じゃあ、家でならシテくれる?」ウワメヅカイ 京太郎「……」 選択安価↓3 1 ああ、なんでもしてやるよ 2 いや、流石にそれは…… 3 照さん、助けて! 4 あ、あれはSSSさん!? 923 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/10(金) 00 39 14.82 ID CbhRK/Kto [5/6] 流石に家でもマズイもんはマズイ どうする……? 取り敢えずごまかすか 京太郎「あ、アレはSSSさん!!」 淡「え?」チラッ 菫「呼んだか?」 京太郎「本当に来ちゃった」 照「おはよう菫」 淡「おはよー」 菫「ああ、おはよう」 京太郎「(なんとかごまかせたか?)」 淡「……あむっ」 京太郎「いてっ!」 淡「んふふ」アマガミ 京太郎「なんで腕噛んでんの?」 淡「さっきの罰♪」ハムハム 京太郎「くすぐったいからやめてくれ」 菫「こら淡、話してやれ」 淡「はーい!」 京太郎「助かります」 菫「何、気にすることはない」クウキオー 京太郎「それじゃあ、教師に行きましょうか」 菫「ああ。っとその前に」 京太郎「え?」 菫「ほら、襟が曲がっているぞ」クイッ 京太郎「っ!」ドキッ か、顔が近い…… それになんだかいい匂いも―― ,r‐─===‐- _ / ´ `ヽ \ `ヽ . "/ . / / / .. / / / / |i | li } . //イ /⌒i | | |i l⌒|i } i .'/ ∨ ,,__|i_| 」_八_/i リ } |. 〔// 〔 ̄` =ミ、/ } . //| | ′ "" / リ ′ /_ | 从 / / / / / 〔 |_ /ハ t ァ /___ / _/ ' / .*゚ / . ./ , |i ′ ゚+'.. / / ーr‐ ´/ ハ |i | '% / ' _.ノ〕 . //> | . 〔´ / ' / `ヽ ' 〃 / / ' \. / | ∧_/ / /⌒\/ | .′/ / / ヽ 菫「よしっ」 京太郎「は、はい」ポワーン 菫「それじゃあ、また後でな」 京太郎「……」ドキドキ 967 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 22 50 49.13 ID GSC5vTmko [4/9] 【第三回 ポンコツ会議】 パンパカパーン! 久「やってまいりました、第三回ポンコツ会議!」 はやり「一回、二回と白熱した戦いを繰り広げてたねっ☆」 久「今回もまた、このポンコツ達に戦ってもらうわよ!」 はやり「選手入場!!」 \ワーワー/ \パチパチ/ 咲「……」 照「……」モグモグ 菫「……」 久「あら、テンション低いわね」 はやり「早くも戦意喪失?」 咲「だって……ぽんこつでもいい事無いですし」イジイジ 照「そもそも私はぽんこつじゃない」キリッ 菫「いい加減に私の扱いを統一してほしい」ハァ \オモラシッ!/ \ヌレルッ/ 菫「」 久「まぁ、優勝すれば扱いはよくなるわよ」 はやり「ただ負けるよりはいいんじゃないかな?」 咲「そういうことなら……」 照「私はただ京ちゃんへの愛を貫くだけ」ドヤァ 菫「(まぁ、このメンバーなら優勝できるだろう)」フフ 久「そうそう、今回三人じゃ物足りないからゲストを用意したわ」 照「ゲスト?」 咲「誰だろう……」 はやり「この方ですっ☆」 \パパパパーン/ 和「どうも」ペコリ ポンコーズ「「「」」」 969 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 04 45.94 ID GSC5vTmko [5/9] 久「えー、前回で優勝した和だけど、ファンの熱い要望で復帰するわ」 \ノドッチー!/ \オレダー! スガトケッコンシロー!/ 和「頑張ります!」 咲「……」 照「……」 菫「……」 はやり「どうかしたのかなっ?」 咲「これ、出来レースじゃないですか……」 照「訴訟不可避」 菫「また私はスルーされるのか……」ガタガタガタガタ 和「……?」キョトン \キョウサキガナンバーワン!/ \テルテルカワイーヨー/ \スミレニョウゴクゴク/ 久「大丈夫、ぽんこつ勝負なんだから勝目はあるわよ」 はやり「前回はぽんこつ関係ありませんでしたけどー☆」 和「お互い、正々堂々頑張りましょう」ニッコリ 三人「……」 和「?」 久「和への印象はどう?」 咲「和ちゃん? 強いよね、序盤、中盤、終盤隙が無いと思うよ」ユラユラ 照「だけど、私は負けないよ」ユラユラ はやり「ぽんこつ会議への抱負をお願いします☆」 菫「えー、ぽんご、ぽんこつ達が躍動する勇姿を皆さんに見せたいな」ユラユラ 和「……(何言ってるんだろう?)」キョトン ポンコーズ「……」メラメラメラ 久「それじゃあ、そろそろ始めるわよ」 はやり「前回と同じ、解答方式♪ 一番よかった解答が優勝っ!」 照「商品は何?」ゴゴゴゴッ 菫「それを聞かずにはやってられない」 久「ふふっ、それは……」サッ \ピカーン!!/ ~~京太郎のパンツ「」~~ 四人「」 971 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 11 01.93 ID GSC5vTmko [6/9] 970 勿論パラレルゥ 久「採りたてピチピチの京太郎パンツよ!」 はやり「ちなみに獲得後にすぐ真空パック詰めしてあります」 \スゲー/ \ホシィー!/ 久「(とは言っても、四人ともこんなの欲しがるかしら……?)」チラッ 三三三三ニ≠三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三=\三三三ニ≠三三三三三三三_,.-、 f=|´|三三三三三三三三ニf!三三三r‐‐ュ、三三ニ≠/三三三三ニ_,..-'´ | | |_,.! | { / ィ ヘ \三三/|//三三三r‐'´ _,..-! | `¨ __,..--レ' ̄~7 \ ヽヽ (='==! ̄!=\/三r-、/ヘfー‐、 | _,..-'´ | | j | |; / __,ヽ ノ! } } ==キ fニニ、ハニニフ rュ、) f! !_fl レ'´ _,..' | |__j--7 /、 { f´ !.ヽ`¨ro' =r==、 r、_ィ=ニハニァ=f |=ノ===、¨ __,.-‐'´ | | ゝ≠}. . i!ト、ゝ、'⌒V__ノ =、=キ=、| i! /ニハニ / ,. r、_) v く /_ _,.. ' |ヽⅥj.. i!l. .. i! . !( ( =ゝノレ'=| iK三ニヽニゝ'^|_|__,ィ ヘ、__ァ ! ,.. '! ! Ⅵ|.. !|. . i!_.jゝ‐、 ノ r、 |`¨rュネ| f!ヽ三ニニi 、___コ`ヽ=、 Ⅶ| レ' | i !.. ..Ⅵ_j レ'リ´ | ムノ/ |/ ∨ |__,=、__j__j=='三ニ三ヽ=テ= {‐‐' Vj ト. .、 ! i.. ...Ⅵ斗≠リ㌣!. /卞、≧j ∧三三ニr、ヽ三! {ゝ' } Ⅵ !、..、 、 ハ ! .. !| フセイ _ ソハ 心 | ∧三三三ハ三 、__ノ_ノ Ⅵ、 ト、 \、 、 | レ' i! i、ゝ'_ノ | ソ. | / |三三三|ハ三ニ` ̄=、r=、 Ⅵ\ ',.. ... \ 、 ゝ、 ` ノノ // , / /三三=|ⅵハ三三} / .| / .ヽゝ'\ \. \`ヽ `¨ ¨ / | /三三三| リ三三|_/ |_/ 、丶、 ヽ‥'`ー ヽ .レ'三=ト三リ三ハr=、 r=、、 \\ゝ 、 ' ` /三≠V∨/三!、ゝ' ゝ'\`ヽ \ .  ̄` , ∧三≠ |/Ⅵl \三三∧ ., ' ` / /ノ . ´ ` 、 . , , ,. / ′. / , / ′. ∧ .i. | i| . | 、 i /_\ | .| | i| . | | ハ l |i | ./ ,イ '| .| _|_ il ト、 . | }/_, ∨ |i | / /' | l| .|_l |__ x、八. | \} '",,_ i´) |i | .// | 八 | 乂_弋ツ>\ |<弋ツ.ノ . ∧ リ. | ′ | \| ハ  ̄ \{  ̄´ / ∨ | |l λ , ハ | i| 込、 __ __,. ,イ ! 、 | __| |__,. ー‐ ´ ./| | ハ |-‐= ' | .l| | . /> . イ.>| | / ‐ | |l 八 |. ′ / | /| /_ '} 八 / \ | |-- 、 --/ . | / | / \| ト-========イ }' .ノ'| |. ',| l ',| | ', , -=<ヽ| | ', / / ` ⌒ヽ| | ', イ> } .! ', ノ/ 、///_人_/ ノ i ', /〃 ', _ / i ヽ Y// / Ⅵ∨/、 __',__>- 、--=彡-- 込 < / √ V ノ _ ̄彡⌒/ {斗r≦ニニ≧s=- r彡イ / / i 0 |ヽ -=彡 /--- /⌒Yニ=----====彡 / /__乂ノ、 \¨ < __/ 乂ノ /ノ-  ̄i '__ , '/ヽ i==ミx 、 /ニ (__ 八 i '/ i八 ̄ ̄ ̄\\ ノ =ミ / | / /i ∧ \\/´ / ⌒ ヽヽ / | ,/ /_i| / ∧ r ', / /-=彡⌒ |)Ⅹ(彡ヽ / ∧__ >彡ヘ イ / / |/∧ =≦=/_ ヽ<_/ ', ´ / / |/ ゞ' ノ〃/ _ }i_ノ- ≦ ', \ / / |i | ゝ'_/- ノ / ', _ \ / |i | '/ ∧' // ヽ |i | '/ / ∧ // ',  ̄ ̄ ̄ ̄ 久・はやり「」 973 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 22 56.95 ID GSC5vTmko [7/9] ポンコーズ「……」ゴゴゴゴゴッ 久「(逃げ出したい)」ブルブル はやり「仮にも乙女なのに……」ドンビキ 久「和だけはマシかしら?」チラッ ヽ./ , ヽ ヽ冫 | / / /」 /} }゙`「丁ヽハ ! ! ! }-ィ |_,'_,,|-‐''/ / / .} /.| | | /. } | | . リ !.|. ト.、 ト、 ィ゙ | |\/ //. / / ! !/!/ !从 /| .| !∧冫 |人小|ヽ !.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′ l ヾ |/{ ⊂ ! ィ./ .ト,ムノ ! γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ' ゝ-.″ | } |', { ` 、 .レ′ !...',\ ノ ! | `ー´\ ,____.,. / ! ! ! ! |. ` 、 `ーi!′ /| . ! ! ! ! | }` .. __ , イ | | | | | | } ィ‐┤. ├ .、| | | | | { 和「……」ティヒヒ 久「あ、ダメだわー。これもう手遅れだわー」 はやり「早く終わらせて帰りたいよぉ」 四人「ハリーハリー!!」バンバン 久「あー、はいはい。そんじゃ、お題出すわよ」ナゲヤリ デデドンッ 【須賀京太郎に聞いた 昨晩のオカズ(性的な意味で)】 四人「!?」ガタタッ 久「はーい、これを当てた人。もしくは一番近い人が正解よー」 はやり「わーお♪」 咲「はいっ!!」ビシッ 久「どうしたの咲?」 咲「あの、その……// 本当に京ちゃんが、その……ひ、ひとりで、えと……//」モジモジ 久「大丈夫、ちゃんとナニしてたってのは判明してるから」 ※回想 K・H「間違いないですね。夜中に隣から押し殺した声が……あぁっ、すばらぁ」ハナジダラダラ 照「テープぷりぃず」バンバンッ! 久「ちなみに聞き出したのはこの人ね」 ※回想 R・S「き、ききき昨日は……// な、ナニでナニ……したん?」カァァァァ 京太郎「」 四人「……」イライラ 975 名前: ◆RwzBVKdQPM[saga] 投稿日:2014/01/11(土) 23 37 16.31 ID GSC5vTmko [8/9] 久「その調査の甲斐もあって、一応聞き出せたわよ」 照「聞き出した人が気に入らないけどよしとする」 咲「……」 和「(これは複雑な勝負……)」 菫「(確かに、解答によってはこちらが傷つくことになりかねない!)」 久「くふふふ、気づいたようね」ニヤリ 四人「!?」 久「そう! これはどうこのゲームで真の勝者はおかずにされた者!!」 はやり「自分と解答すれば、外した時が痛いんだよねっ☆」 久「かといって他の女の名前を挙げることははばかられる……」 菫「なんて恐ろしい……」 はやり「そりゃ三回目だからねっ」 咲「勝者以外は誰も得しない……」 久「確実に勝ちたいなら、ビデオとかエロ本って解答でもいいわよ?」ニマニマ はやり「でも、それでいいのかな?」ニコニコ 和「(仮に自分以外の名前で当てても……それは勝利じゃない)」 照「(正直、自分と答えたい。だけど固有名詞での回答は正答率が下がる)」 四人「(それに、それに……!)」 ギュィィィン! 四人「(しかしパンツは欲しい!!)」ドッギャァァァン! ※あくまでこの世界戦はパラレルです 久「それじゃあ解答タイム行くわよー!」 はやり「自分のボードに、答えを書いてね!」 一同「……」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3445.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361874491/ ――控え室―― 京太郎「ここに来るのも1週間ぶりかー。やっぱ移動も疲れますね」 佳織「私たちの住んでるところからだと遠いよね」 京太郎「ほんとですよね。明日も来るんだから泊まらせてくれればいいのに」 桃子「こんな狭い部屋で女子5人とお泊りなんて何するつもりっすか!」 京太郎「何もしねえよ!! というかなんでここで泊まるんだよ!」 智美「ウチの部じゃホテルとかは難しいなー」ワハハ 睦月「風越はホテルで泊まってるみたいですね。羨ましい……」 京太郎「やりくりすればなんとかなったりしませんかね。その……ゆみ先輩」カアァァ ゆみ「あ、ああ。で、出来なくはないだろうが……」カアァァ 京太郎「?」 ゆみ「その、全国へ行く……んだろう? ただでさえ部費が足りていないのに、ここで使ってしまってはな」 京太郎「っ! そ、そうですね。ちゃんと考えてませんでした……」 智美「まだそれやってるのかー?」 桃子「まあ最初に比べたら良くなったじゃないっすか」 佳織「目を合わせる度顔真っ赤にしてたね」 睦月「その割にお互いがお互いを見ようとするんだよね」 智美「さすがの私もどうしてやろうかと思ったなー」 ゆみ「うぅ……」カアァァ 京太郎「あなたたちがからかうからでしょ!? っていうかなんでみんな知ってたんですか!」 桃子「そんなのあんなところで大声で告白すれば当然じゃないっすか」 京太郎「あんなふうに送り出しといてついてくるか普通!?」 智美「ゆみちんと京太郎を2人きりで遊びに行かせたとき、私たちが何をしたか忘れたようだなー」ワハハ 京太郎「開き直らないでください!!」 睦月「まあでも、ついていかなくてもその内知ることにはなってたと思うよ?」 ゆみ・京太郎「……え?」 桃子「いや当たり前じゃないっすか。あんな人の多い所であんな告白したら噂になるに決まってるっす」 佳織「あなたが欲しいって告白は中々ないよね。聞いてて恥ずかしくなったよ」アハハ 京太郎「……で、でももうみんな忘れてますよね!?」 ゆみ「そ、そうだな。一週間も経っているのだし……」 智美「それは難しいかもなー。鶴賀の大将が金髪に告白されてたってちょっとインターネットで話題になってるぞ」 桃子「さすがに一時期程じゃないっすけど、グラマスって人がまだまだ飽きそうになくて目立ってるっすね」 佳織「私も見たけど執念みたいなのを感じたよ……」 睦月「ちょっと怖かったね。文字だけなのに……」 京太郎「お、俺そんなの知らなかったんですけど!?」 ゆみ「私もだ。なんで教えてくれなかったんだ」 智美「いやー大会前に見せるにはちょっと怖くてなー」 京太郎「じゃあ終わってからにしてくださいよ!?」 桃子「今からなら見ないだろうからいいかなーと思ったっす」テヘペロ 京太郎「見なくても気になるんだよ!」 智美「まあ別にテレビで映ったとかじゃないし、知らない人は知らないから大丈夫だろー」ワハハ 桃子「ちょっとからかっただけっすよ。気にするほどじゃないっす」 ゆみ「それならいいんだが……」 京太郎「そうですね……」 京太郎「初めての公式試合……というか部員以外の人と戦うの初めてだ。緊張するなあ」 桃子「ネトマでいくらでもやってるじゃないっすか」 京太郎「そりゃそうだけど、現実にやるとやっぱり緊張するよ」 桃子「ネトマでやってるんだから大丈夫と思えってことっすよ。緊張してもいいことないんだから、解消しようと思わないとダメっす」 京太郎「あ、なるほど。発想の転換だな」 睦月「個人戦じゃ仲間がフォローしてくれないからね。私も個人戦が先だったらと思うと……うぅ、気分が」ヨロッ ゆみ「想像でダメージを受けるな」 智美「来年までには直すんだぞー」ワハハ 佳織「でもそっか。他の人たちはほとんど団体戦で慣れてるけど、京太郎くんは個人戦が初めてなんだね」 桃子「そう考えると少し不利かもしれないっすねー。まあ普通1試合くらいで緊張も解けるとは思うっすけど」 智美「逆に調子崩して引きずることもあるかもなー」 京太郎「縁起悪いこと言わないでくださいよ……」 智美「そこで私から提案だ」 京太郎「はい?」 智美「ゆみちん、京太郎の緊張をほぐす一言をどうぞ!」 ゆみ「なっ!?」 京太郎「えっ!?」 睦月「」ドキドキ 佳織「」ドキドキ 桃子「ドキドキ」 京太郎「声に出すのやめい!」 ゆみ「そ、その。京太郎くん」 京太郎「は、はい!」ビクッ ゆみ「団体戦の後に君が言ってくれたこと、凄く嬉しかった」 ゆみ「団体戦で感じた他校の高い壁。それを私なら乗り越えられると言ってくれて、たとえお世辞でも勇気づけられた」 京太郎「それはお世辞なんかじゃ――」 ゆみ「自分の実力ならよくわかっているよ。私は個人戦で1位にはなれない」 ゆみ「だから京太郎くんが本気で言っていても、それはお世辞だ」 京太郎「……」 ゆみ「……私が一番嬉しかったのは君が全国を目指すといってくれたことだよ」 京太郎「え?」 ゆみ「私は長野で1番強いなんて思っていない。けれど、それでも京太郎くんに比べれば、全国に出られる可能性は遥かに高いだろう」 京太郎「あ、あはは……」 ゆみ「……き、君は私に、その、こ、告白、をしただろう?」カアァァ 京太郎「は、はい」カアァァ ゆみ「そ、それがどれほど決意が必要か私も分かるつもりだし、きっと返事もすぐ聞きたいと思う」 ゆみ「そんな大事なことを全国に出ることを条件にした」 ゆみ「……君が部で過ごす時間をそんなに大切に思っていてくれたことが、本当に、本当に嬉しい」 ゆみ「私も君も、けして長野で1番強い雀士ではない。だけど、麻雀は強い者が必ず勝つものじゃない」 ゆみ「君ともっと長い時間を過ごしたいのは私も同じだ。一緒に全国へ行こう。私と、君で」 京太郎「ゆ、ゆみ先輩……」プルプル ゆみ「……」 京太郎「……」プルプル ゆみ「……? どうかしたか?」 京太郎「い、いえ、その。必死で耐えてます」 ゆみ「何をだ?」 京太郎「その、えーと……やっぱりやめときます」 ゆみ「気になるじゃないか」 智美「察してやるんだ。多分ゆみちんを抱き締めたいんだと思うぞ?」 ゆみ「えっ!?」 京太郎「ちょ、ちょっと部長!!」 桃子「気持ちはわかるっす! 私は今みたいなこと言われたら迷わず抱きつくっすよー!」 ゆみ「そ、そういうものなのか?」 睦月「そういうものというか、さっきのはそうしたくなる台詞だったかなと……」 佳織「私は嬉しくて逆に動けなくなっちゃいそうです」アハハ 智美「全然一言じゃなかったしなー」ワハハ ゆみ「……」 京太郎「お、俺は嬉しかったですよ! やる気もめちゃくちゃ出ましたし! 緊張してる場合じゃないなって感じで……」 ゆみ「……いいぞ?」 京太郎「……え?」 ゆみ「そ、それが君のためになるのなら、私のことを、だ、抱き締めてもいい」カアァァ 京太郎「」 ゆみ「た、ただ! あ、あんまり強くはしないでくれ。痛いのは……いや、君ならいいか」 ゆみ「……私のことを好きにしてくれ、京太郎くん」ウワメヅカイ 京太郎「……う」プルプル ゆみ「うん?」 京太郎「うおおおおおぉぉぉぉ!!」ダダダダッ ゆみ「あっ、おい! ……行ってしまったか」 桃子「行ってしまったかじゃないっすよ!! いきなり何してるんすか!?」 ゆみ「いや、見ての通りだが」 佳織「そういうことじゃないと思います……」 睦月「なんであんなことを?」 智美「さすがにちょっと京太郎がかわいそうだぞー」 桃子「そうっすよ! 確かにヘタレとか思ったっすけど!」 睦月「そこは真面目って言ってあげようよ」 ゆみ「……もちろんわかっているよ。だからこそだ」 佳織「どういう意味ですか?」 ゆみ「京太郎くんが全国へ行けなかったら返事をしない。私はあれを厳密に守る」 桃子「いやもうほとんどしてるようなもんだと思うっすけど……」 ゆみ「……付き合うかどうかはまた別だ」プイッ ゆみ「ともかく、だから私は京太郎くんに抱き締めてもいいと言ったんだ」 ゆみ「……私自身も出来ないと思うと寂しいしな」ボソッ 智美「そ、そこまで本気だったのか?」 睦月「正直なんだかんだで負けても付き合うんだと思っていたんですけど……」 ゆみ「それは京太郎くんにも失礼だろう」 桃子「それはそうかもしれないっすけど、全国っすよ? しかもあの怪物がいる長野男子個人戦っすよ?」 ゆみ「だからこそ可能性も出てくるだろう? 普通なら可能性はないと言っていいくらいだ」 桃子「それはそうっすけど、モノは言いようって感じで……」 佳織「でも信頼してるってカッコいいですね! 憧れます!」 ゆみ「ああ……だ、大丈夫かな?」ウルウル 桃子「そこでヘタレるんすか!?」 ゆみ「い、いや。心配される分にはいいんだが期待されると急に不安に……」 智美「そういえば前に考えがあるって言ってたなー。それはなんなんだ?」 ゆみ「うん? それは……まあ追々な」 桃子「むぅ、気になるっすね」 ゆみ「大したことじゃないから気にするな」 --------------------------------------- 京太郎「ああもう、ゆみ先輩何考えてんだ! 試合前だってのに心臓が!」ドクドクドクドク 京太郎「……まあ緊張は吹っ飛んだな。さすがに戻れないしこのまま別館の試合会場に行くか」 京太郎「でも惜しいことしたかなあ。ゆみ先輩があんなこというなんて夢みたいなこと、もうねーだろ絶対……」 京太郎「はぁ……あれ、おーい咲ー!」ブンブン 咲「」ビクッ 京太郎「また迷ったのかー!? まだ時間あるし控え室に連れてってやるぞー!」 咲「……っ!」タッタッタッ 京太郎「あ、おーい! ……聞こえなかった……にしちゃ不自然だよな」 京太郎「まさかまだ気にしてんのかな。先週からメールも全然してこねえし……いい加減普通に話して欲しいんだけどなあ」 ピンポンパンポーン 「男子個人戦、予選が始まります。出場選手の方は対局室へ集合してください」 京太郎「ついにか……」ブルッ 京太郎「うわ、震えてきた。……ゆみ先輩にあんなこと言って予選落ちなんてシャレにならないしな。やってやる!」 京太郎「おお、男子ばっかりだ。鶴賀は女子が多いからこの感じ久々だなー」 京太郎「……しかしなんか視線を感じるな。噂されてるような……」 「おい、あいつだろ? 先週ロビーで告ったってやつ」 「あんな話題にされてるのに普通に出てくるなんてすげえな。俺はとても来れないわ……」 「あなたが欲しいってそもそも告白なのか?」 「その告白でも許される顔だな……クソッ、許せねえ!」 京太郎「な、なんかここにいるとマズイ気がする」ブルッ 京太郎「さっさと対局室に行くか……」 京太郎「ふう、対局室の辺りはさすがに静かだな……そういえば対戦相手見てなかったっけ。誰だろ?」テクテク モブA「」ガタガタガタガタ 京太郎「あれ、すげえ震えてる。緊張してるの……」 アカギ「ククク……」 傀「どうも」 京太郎「」 アカギ「どうした? 席はそこだ」 京太郎(神様。いくらなんでも、初戦からこれはあんまりではないでしょうか……) ………… ……… …… … 京太郎「戻りましたー!!」 ゆみ「……お、お疲れ様。京太郎くん」カアァァ 京太郎「え、あ、ありがとうございます」カアァァ ゆみ「……見ていたよ。予選突破は出来ると思っていたが、それでもよくやった。おめでとう」 京太郎「は、はい!」 睦月「……もういいと思いますか?」ヒソヒソ 智美「もうちょっと待ったほうがいいと思うぞー」ヒソヒソ 京太郎「聞こえてます! いつでもいいですから!!」 睦月「うむ、お疲れ様。予選突破おめでとう」 佳織「凄いよ京太郎くん!」 桃子「最初の組み合わせ見たときはもうダメかと思ったっすよ。2人で牽制しあってくれてよかったっすね」 京太郎「みんな何事もなかったかのように……! まあそうだなー。最初見たときは生きた心地がしなかったぜ」 ゆみ「あの2人が揃った卓は散々に削られるか、牽制しあって膠着状態になるかどちらかだからな。日頃の行いがよかったんだよ」 京太郎「ほんと最初は生きて帰れるかどうかの心配してましたからね……」 睦月「さっきからそんな大袈裟だよ」アハハ ゆみ「いや、天江衣かそれ以上が2人と考えるとあながち大袈裟では……」 京太郎「ほんとですよ。なんなんですかあのプレッシャー!? 物理的な圧力を感じましたよ!!」 ゆみ「それが魔物と呼ばれる雀士なんだろうな。私も天江や宮永からそれを感じたよ」 京太郎「咲もそうなんですか……」 ゆみ「天江に勝ったのは伊達ではないさ」 智美「初めての試合の感想はどうだー?」 京太郎「そうですね……意外とやれる! ってのとまだまだだ……ってのが半々くらいです」 桃子「半々とは大きく出たっすね!」 京太郎「1ヶ月必死でやったし、ゆみ先輩にも鍛えられたからこれくらいはな」 京太郎「……ただ俺より強い人もいくらでもいるんだってのも実感したよ」 京太郎「わかってはいたけど化物2人ほどじゃなくても俺より強い人たくさんいるんだなあ……」 桃子「当たり前っすよ。上には上がいるっす。まして京太郎は初めて1ヶ月の初心者じゃないっすか」 京太郎「そりゃそうだけど、俺は今ここで勝たないと……!」 桃子「勝つつもりではいるんすね。よかったっす」 智美「うんうん、弱気になってないのはいいと思うぞ。ゆみちんも全国に行かないと返事しないって宣言してたしなー」ワハハ ゆみ「……ああ、それについては考えを変えるつもりはないよ」 京太郎「覚悟はしてます。自分で言ったことですから」 ゆみ「そうか。……それじゃあ次は私たちの応援を頼んだぞ」 京太郎「はい、先輩たちに負けないように5人分応援しますよ!」 智美「素直にゆみちんの応援を一番頑張るって言ってもいいんだぞー」ワハハ 桃子「所詮友情なんてこんなもんっすか」シクシク 京太郎「何も言ってねえよ!」 佳織「まあまあ、私たちのことも加治木先輩の10分の1くらいは応援してね」アハハ 睦月「同じくらいとは言わないからよろしくね」 京太郎「先輩たちまで! ……まあその、8割くらいで何とか」ボソッ ゆみ「バ、バカっ。う、嬉しくないとは言わないがみんな同じように応援を――」カアァァ 桃子「あ、いやそういうのいいっす。ほんとに」 智美「惚気に付き合わせるのはやめて欲しいなー」 ゆみ「ああもうっ! 京太郎くん、君がどうにか……」 ピンポンパンポーン 「女子個人戦、予選が始まります。出場選手の方は対局室へ集合してください」 佳織「じゃ、じゃあ行きましょうか」 睦月「うむ、ここにいるといつまでも巻き込まれそうだしね」 ゆみ「ま、待て。このまま行かせては……!」 桃子「ほらほら、遅れるっすよ」 智美「行くぞー」グイッ ゆみ「こ、こら。引っ張るなー!」ズルズル 京太郎「……」 京太郎「よし、応援頑張るぞ!」 ………… ……… …… … 睦月「うぅ、負けてしまった……」 佳織「私も。……技術も経験も足りてないのはわかっていたからしょうがないけど、でも悔しいなあ」 睦月「実力がまだまだ足りてなかったね……」 京太郎「でも佳織先輩が国士無双和了ったときは盛り上がってましたよ! 睦月先輩も最後まで諦めてなくてカッコ良かったです」 睦月「ありがとう、京太郎くん。でも私たちより先輩たちにおめでとうって言ってあげて」 京太郎「……はい! 部長、モモ決勝進出おめでとうございます!!」 智美「いやーなんとか残れてよかった」ワハハ 桃子「東風戦はつらいっすね。中々点を伸ばせなかったっす」 京太郎「ステルスが長く使える東南戦のほうがやっぱり好きなのか」 桃子「当たり前じゃないっすか! 明日が楽しみっす。言っとくけど私も全国狙ってるっすよ?」 京太郎「知ってるよ。明日も頑張れ」 桃子「もちろんっす!」 京太郎「それで……えっと、ゆみ先輩。決勝進出おめでとうございます。予選4位ですし全国まで後一歩ですね!」 ゆみ「ああ、ありがとう。……しかし試合開始前は凄い視線を浴びせられたよ」ハァ 京太郎「ゆみ先輩もですか。俺も見られましたよ。というか多分睨まれてたに近いですね」 ゆみ「うん、やはり一週間程度では噂は収まらないんだな……」 京太郎「その、俺のせいで、すみませんでした」 ゆみ「……君はしなければよかったと思っているのか?」 京太郎「そんなことないです! 俺はしたことも言ったことも後悔してません!」 京太郎ただ、それでゆみ先輩に迷惑をかけてるならやらなければよかったと……」 ゆみ「私は迷惑だなんて思っていないよ。あんな場所でしたのはまああまりいいことではないだろうが。だから気にするな」 京太郎「ゆみ先輩……はい!」 ゆみ「そんなことより、ちゃんと応援してくれていたか?」コホン 京太郎「もちろんですよ! 熱くなりすぎってくらい応援してました」 京太郎「東風戦なんて短い間にも相手の癖を見抜いて即対応して……」 京太郎「そういうときは見惚れて応援できてなかったですね。カッコ良かったです」 ゆみ「……ありがとう。4位とはいえ全国に行くには届いていない」 ゆみ「少し不安になっていたが、君がそう思ってくれているなら頑張らないとな」フフッ 京太郎「3位の風越のキャプテンは恐ろしく安定してましたね」 京太郎「でも2位の片岡は団体戦見る限り、多分東場で異常に強いタイプですよ」 ゆみ「そうだな。風越の福路を上回るのは難しいと思わされたが」 ゆみ「片岡は東場で恐ろしく強い分、東南戦になれば付け入る隙はありそうだ」 ゆみ「……しかし、その東場で無類の強さを誇る片岡ですら2位とはな」 京太郎「歴代最高得点塗り替えたのに2位ですからね。……咲、そんなに強かったなんて」 ゆみ「私もほとんど何も出来なかったよ。せっかくの親番も嶺上開花の親被りが怖くて他家への差し込みに使ってしまった」 京太郎「あのときの咲は三倍満くらい狙える手牌だったんで正解だったと思います」 ゆみ「そうか……。宮永はあまりにも圧倒的だ。彼女は間違いなく1位になる。全国へは実質2席を奪い合うことになりそうだよ」 京太郎「一緒に頑張りましょう。大丈夫、俺は1席ですからそれに比べれば!」 ゆみ「……フフッ、そうだな。君に比べればチャンスは2倍か」 京太郎「そうですよ! ……俺は明日どう戦えばいいんだろう」ガクッ ゆみ「それについては少し考えが――」 智美「いいところ悪いけど、電車の時間がまずいからそろそろ帰るぞー」 桃子「2人の時間もいいっすけど、電車の時間もちゃんと考えなきゃダメっすよー!」 京太郎「ふ、ふた……! 上手いこと言ったつもりか!?」 睦月「それは置いといて時間がちょっとまずいから」 佳織「次の電車に乗れないと帰るのが2時間くらい遅くなっちゃうよ」アセアセ 京太郎「も、もうそんな時間ですか? ゆみ先輩、すみません話はまた後にしましょう」 ゆみ「……そうだな。私も気づかなかったしまた後で」 智美「それじゃ早く帰るぞー」ワハハ ――帰り道―― 京太郎「今日はお疲れ様でした」 ゆみ「ああ、君もな」 京太郎「電車間に合ってよかったですね。遅くなると明日に疲れが残っちゃいますし」 ゆみ「あんなに走ったのは久しぶりだったよ。……走って疲れるのと遅く帰って疲れるのではどちらのほうがいいんだろうな」 京太郎「どうなんでしょう。俺は精神的に疲れるよりは走ったほうがいいですね」 京太郎「それでその……帰りがけに言いかけたことってなんですか?」 ゆみ「ああ、君の打ち方についての話だよ」 京太郎「俺の打ち方ですか? まさかどこかおかしかったり……」ズーン ゆみ「ああいや、今のところ京太郎くんの打ち方に問題はないよ」 ゆみ「経験や技術はまだ足りていないだろうが、少なくとも私の教えた通りに打っている」 ゆみ「将来的にもそれでは困るが、まあ今の時点では何の問題もないし、よくやっている」 京太郎「それじゃあ一体何についてなんですか?」 ゆみ「……君は全国へ行きたいんだろう?」 京太郎「えっ……はい! もちろんです。ゆみ先輩と約束してますし!」 ゆみ(あの一方的な言い捨てを約束と言うか……) ゆみ(まあ、私も京太郎くんの言ったとおりにするつもりだが、言われた私が一体どう感じたと思って……!)ゴゴゴ 京太郎「え、えっと、ゆみ先輩?」ビクッ ゆみ「あ、ああ。すまない。……君も今日戦ってわかったと思うが、現時点の君では全国へ行くには力不足だ」 ゆみ「たとえあの2人がいなかったとしても、君が全国へ行くのは極めて難しいだろうと私は思う」 京太郎「……はい。俺もそう思ってます」 ゆみ「京太郎くんの今の実力では届かない。それなら実力以外のものを使えばいい」 京太郎「え?」 ゆみ「君が前に言っていただろう? この牌は切れるとかこの牌を切ればマズイとかがなんとなくわかると。今日はどうだった?」 京太郎「確かに今日も感じましたけど……でも部でやっても全然勝てなかったじゃないですか」 ゆみ(ふむ、技術ではなかったか……羨ましいな) 京太郎「ゆみ先輩?」 ゆみ「ああ、すまん。私が言いたいのは感覚に頼れということだよ」 ゆみ「大負けする可能性が高いが、しかし全国へ行ける可能性も間違いなく高くなる」 京太郎「それはそうかも知れませんけど……」 ゆみ「まあ1%が5%になる程度だろうが」 京太郎「そんなもんですか」ガクッ ゆみ「そんなものだよ。……それでも君が全国へ行きたいのなら、これが最良だと思う」 京太郎「上手くいくかどうか博打ですね……」 ゆみ「普通に打っても全国へ行ける可能性は低いのだから、どちらも博打に変わりないさ」 ゆみ「要は君が何を目指すかだよ」 ゆみ「少しでも高い順位を目指すのなら今のやり方を続けるべきだし、全国を目指すのなら感覚を頼りにしたほうがいい」 京太郎「なるほど……。確かに今までのやり方よりよさそうですね」 ゆみ「ああ……私だって君には全国へ行って欲しいんだ」 京太郎「はいっ! 朝も言ってくれましたしね!」 ゆみ「うるさい」プイッ 京太郎「な、なんか地雷踏みました!?」 ゆみ(2人きりで言っているんだから、告白の返事をしたいという意味だと分かれ……というのは私のわがままか)ハァ ゆみ「君が全国へ行けたら教えよう」 京太郎「ハードル高いですね」 ゆみ「わからない君が悪い」 京太郎「えぇー」 ゆみ「……泣いても笑っても明日で全てが決まる。私も、君も」 京太郎「はい」 ゆみ「どうなるかわからないが、悔いのないよう頑張ろう」 京太郎「……なら俺は勝たないとダメですね」 ゆみ「何?」 京太郎「昨日も言ったじゃないですか!」 京太郎「ゆみ先輩といられる時間が短くなるなんて嫌です。そうなったらどれだけ健闘したって悔いは残ります」 ゆみ「……」ポカーン 京太郎「……あれ、またなんか変なこと言いました!?」アセアセ ゆみ「いや、君はそういうやつだったな」フフッ ゆみ「……実はさっき走って少し疲れているんだ。少し腕を貸してくれ」 京太郎「はい? 肩じゃなくてですか?」 ゆみ「んっ」ウデクミ 京太郎「ちょ、ゆ、ゆみ先輩!?」アセアセ ゆみ「疲れているからあまり騒がないでくれると嬉しい」 京太郎「あ、う……」カアァァ ゆみ「嬉しかったよ。京太郎くん」ボソッ 京太郎「うぅ……え? すみません、今ちょっとよく聞ける状態じゃなくて」 ゆみ「何でもない。明日期待しているよ」ギュッ 京太郎「……期待に応えられるよう頑張ります」 京太郎「……決勝リーグか。ここまで来れるなんて思わなかったな」ブルッ 桃子「何緊張してるんすか。昨日勝ち抜いたんだから自信持つっすよ」 京太郎「いや、昨日は初めての試合で緊張したけど、今日は勝たなきゃってプレッシャーが……」 桃子「負けて元々じゃないっすか。当たって砕けろっすよ!」 京太郎「負けたら砕けちゃダメなところもまで砕けるんだよ!」 智美「ハートブレイクだなー」ワハハ 京太郎「多分物理的に砕けますね」 佳織「死んじゃうよ!?」 京太郎「それくらいの勢いで砕けそうです……」 桃子「全然物理的じゃないっすね。……そんな情けない京太郎に代わって、私が負けたときの案を考えてあげたっすよ!」 京太郎「不吉なこというなよ……で、どんな案だ!?」ガタッ 睦月「食いつきすぎじゃない!?」 佳織「そんなに必死に……切実なんだね」 京太郎「今の俺に見た目を気にする余裕なんてないんですよ! モモ、さあ早く!」 桃子「イラッと来るっすねー。まあ教えてあげるっす」 桃子「京太郎は全国へ行ったら返事をくださいと言ったっすけど、いつとは言ってないっす」 桃子「つまり今回負けても次を目指せばいいんすよ!」 京太郎「……」 睦月「さ、さすがにそれは……」 京太郎「……アリだな」 佳織「ありなの!? 次は秋だよ!?」 京太郎「い、いや。だって勝てるかわからないっていうか昨日戦った感じだとむしろ……」 智美「まあアリかナシか以前に、それはゆみちんが待っててくれないとダメなんだけどなー」ワハハ 京太郎「あっ」 智美「さっきから全然喋ってないけど、ゆみちん的にはどうなんだー?」 ゆみ「ん? ああ。そ、そうだな……」 ゆみ「ま、待つ待たない以前に負けることを前提に考えるのは感心しないな。うん」コホン 智美(ていよく逃げたなー)ワハハ 京太郎「ですよねー! いやー俺もそんなのいいって言ったんですけどモモが無理矢理」 桃子「ゆみ先輩がいるところで話したのにそういうこと言えるのは尊敬するっすよ」 智美「ところでゆみちん静かだったのはなんでだー?」 ゆみ「まあ……その、緊張してな」 睦月「団体戦のときも昨日も全然そんな風に見えませんでしたけど、先輩でも今日は緊張するんですね」 佳織「大丈夫ですよ! 加治木先輩なら勝ち抜けます!」 ゆみ「いやそれで緊張しているわけじゃ……」ハッ ゆみ「そ、そうだな。ありがとう、落ち着いてきたよ」 桃子「?」 智美「……? まあいいかー」 ピンポンパンポーン 「男子個人戦、決勝が始まります。出場選手の方は対局室へ集合してください」 京太郎「もう始まるのか……」 桃子「暗いっすねー。もっとやってやる! みたいな意気込みで行くっすよ」 京太郎「や、やるぞー」 桃子「だからテンション低いっすよ」 智美「ゆみちん、出番だぞー」 ゆみ「ま、また私か!?」 桃子「それはまあゆみ先輩しかいないっすよ」 ゆみ「そ、そうなのか……それじゃあ京太郎くん」 京太郎「は、はい」 ゆみ「言うべきことは昨日言ったから、今日は一言だけ。……勝ってこい」 京太郎「……はい!!」 ………… ……… …… … アカギ「ロン、12000だ。トビだな」 モブ「は、はい……」 京太郎(……よし! 最終戦前の山場を何とかしのいだ!!)グッ 京太郎(俺より順位が上だった人が飛んだから、今大体6,7位くらいか……最後1位になればまだ可能性も!) 京太郎(しかし信じられないくらい絶好調だな。部活じゃあんな酷かったのに……) 京太郎(ゆみ先輩の返事聞きたいから、実力以上の力が出てるのかな)ハハ アカギ「……おい、そこの金髪」 京太郎「は、はい!?」ビクッ アカギ「昨日と打ち方が違うな……今は上手くいっているようだが、どんな武器を持ってようが何も考えずに打ってると怪我するぜ」 京太郎「な、なんでそんなこと……!?」 アカギ「まるで別人だ。誰だって分かる」 京太郎「……俺は今勝たないとダメなんです。だから、変えるつもりはありません」 アカギ「ククク……人の話を聞くのは苦手か? ……まあいい。残り1局、頑張りな」 京太郎「は、はい……あの、なんでいきなり俺に声かけたんですか?」 アカギ「飛ばそうと目を付けた相手が、昨日と全く違う打ち方をしていたから興味が湧いた。それだけだ」 京太郎(俺飛ばされるところだったのか……)ブルブル アカギ「せいぜい楽しませてくれよ」スタスタ 京太郎「……あー緊張したぁっ!」 京太郎「やっぱ今の打ち方危ねえのかな……まあ、変えてなかったら飛ばされてたみたいだけど」 京太郎(どっちにしろ俺に出来るのは全力で打つだけだ。次で決まるんだ。やってやる!) --------------------------------------- ゆみ「」ジッ 智美「いくら見てても最終戦はまだ始まらないぞー」ワハハ 桃子「京太郎めちゃくちゃ調子いいっすねー」 睦月「うむ、非効率な打牌もあるけど、それがことごとくいい結果になっている」 佳織「相手の当たり牌を抑えててカッコいいね」 ゆみ「……とはいえあまりにも上手く行きすぎだ。最後までこの調子で行ってくれればいいが……」 桃子「いや、最後までこの調子じゃダメっすよ!」 智美「そうだなー。最後はもっと調子を上げないと全国へは行けないなー」 睦月「今が6位ですか……」 佳織「初めて1ヶ月の初心者で6位なんて凄いなあ」 桃子「確かに凄いっすけど、全国へは届いてないっすから……」 ゆみ「……運良くというべきか、決勝の同卓に3位の選手がいる。そして例年通りトップの2人が図抜けていてその下は接戦だ」 智美「ここで1位が取れれば3位になれる可能性はあるなー」 睦月「まさに天王山ですね」 桃子「京太郎は乗り越えられるっすかね?」 佳織「きっと大丈夫だよ。応援しよう」 アナ『全国高校生麻雀大会長野県予選、男子個人戦決勝最終局。いよいよ始まります!』 ゆみ「ついに始まるか……」 桃子「京太郎は……お、映ったっすね」 アナ『男子個人戦、全国への切符は3枚。そのうち2枚はほぼ決まっているので、残り1枚を争う形になっています』 靖子『現在3位がいるのがこの卓か』 アナ『はい。それに同じ卓には現在6位の須賀選手もいますね』 靖子『須賀は……鶴賀の選手か』 智美「おお、京太郎の名前が出たぞ」 睦月「注目されてるんですね」 智美「全国3位ってのはどの相手だー?」 睦月「京太郎くんの下家です。上家と対面は両方共10位中盤くらいみたいです」 佳織「3位って強いんですか?」 桃子「少なくとも京太郎よりはずっと強いっすね」 ゆみ「だが最低でも下家に勝たないと全国へは行けない……厳しいな」 アナ『女子の決勝に残った高校で、男子でも決勝に残っているのは須賀選手だけのようです』 靖子『彼を褒めるべきなのか他の高校の男子が情けないと思うべきなのか……』 アナ『ちなみに風越は女子校ですし、龍門渕と清澄は共学ですがそもそも男子麻雀部がありません』 アナ『鶴賀も男子は彼1人のようですね』 靖子『……凄いことは凄いんだが、何かこう……』 アナ『男子と女子の強豪はあまり被っていないようですね』 靖子『身も蓋もないことをいうな。というかなぜそんな話を振った』 アナ『ダークホースと騒がれた鶴賀ですが、今後男女共に長野の強豪となることは出来るでしょうか?』 靖子『完全に無視か……まあ数人が強いくらいでは継続して強くなるというのは難しい。実績を残さなければ厳しいだろうな』 アナ『なるほど。6位とはいえ3位までは接戦です。全国まで行けば十分な実績と言えますね』 靖子『そうだな。厳しいことに変わりはないが、可能性はある』 アナ『そういった意味でもこの試合は注目ですね。では次の卓を見て行きましょう』 ゆみ「何だったんだこの解説……いや解説というか……なんだ?」 桃子「まあ注目されてるってことっすよ」 智美「ウチが強豪って呼ばれるなんて全然考えてなかったなー」ワハハ 佳織「全国行けたらかあ。厳しいね」 睦月「まあ強豪って言うならそのくらいは必要だよね……」 桃子「女子は私たちが行ってやるっすよ! 問題は京太郎っすね。根性見せるっすよー!」 ゆみ「……頑張れ、京太郎くん」ギュッ --------------------------------------- 京太郎(ここで稼げないと全部終わりか……やべ、緊張してきた) 京太郎(二向聴で三色も狙えるな。配牌は悪くない。まずは最初に上がって流れに乗って――) 下家「ツモ。1000・2000」 京太郎「うっ……」 京太郎(くそ、好配牌だったのに! ……落ち着け。こんなの事故みたいなもんだ。次だ次!) ………… 京太郎「ロン、3900」 京太郎(よし、この調子で……) 下家「ロン、12000」 下家「ツモ、2000・4000」 京太郎「……っ!」 --------------------------------------- 桃子「……京太郎も決して悪くない、というかむしろ絶好調なのに……!」 ゆみ「ああ、上家も対面も全く寄せ付けていない。……だが下家がそれ以上だな。打点、速さともに凄まじい」 睦月「点は稼いでるけど、3位の下家に勝てなきゃ全国へは行けない……」 智美「京太郎ももどかしいだろうなー。自分が今までにないくらい絶好調なのに、それでも上回れないなんて」 佳織「京太郎くん、勝てますか?」 ゆみ「……点差をひっくり返すためには、満貫の直撃以上で和了らなければならない」 ゆみ「今日の京太郎くんの調子は最高だ。だからきっと諦めなければ逆転手も入ってくるはずだ……!」グッ 智美「ゆみちん……」 桃子(自分に言い聞かせてるんすね……) 智美「京太郎が諦めるわけないさ。私たちは京太郎が勝つことを祈ってよう」ワハハ ゆみ「ああ、そうだな……」ギュッ --------------------------------------- 京太郎(くそっ、結局差を縮められないままオーラス……) 京太郎(頼む、逆転手が入ってくれ……っ!!) 手牌 一四四七七七⑥⑧888西西 ドラ九 京太郎(刻子が2つ、対子が2つ! 四暗刻二向聴!! これなら逆転できる!) 二巡目 一四四七七七⑥⑧888西西 ツモ西 打⑧ 京太郎(よし来た!) 下家「……」タン 対面「っ……」タン 上家「ちっ……」タン 七巡目 一四四七七七⑥888西西西 ツモ⑥ 打一 京太郎(聴牌だ! ツモれば最高、直撃でも逆転!! 4位の人がよっぽど稼いでなければ全国に行ける!) 京太郎(後は他家だけど……)チラッ 京太郎(……捨て牌を見る限り上家と対面は今のとこ大丈夫そうだ) 京太郎(下家は微妙か……まあだからって変わらない。後は早く和了るだけだ!) --------------------------------------- アナ『須賀選手、四暗刻聴牌しました! 1位へのロン和了りで逆転です!!』 藤田『まくるための最低条件は諦めないこと。和了っても和了っても追いつけない中よく耐えたよ』 アナ『このまま須賀選手は逆転できるでしょうか』 藤田『聴牌とはいえ待ちは4枚。1つは溢れそうにないから実質3枚だ』 藤田『1位の選手も好形の聴牌になりそうな形だ。このまま終わるとは思えないな』 アナ『なるほど。長い試合も最終盤。最後まで白熱した戦いが続きそうです』 ゆみ「よしっ!」グッ 桃子「きたきた、来たっすよー!!」 智美「ここであんな手が入るなんて持ってるなー」ワハハ 佳織「六筒は下家が1つ持ってますけど、四萬は生牌です!」 睦月「京太郎くん早く和了って……!」 ゆみ「くっ……なかなか引けないな」 桃子「京太郎か1位が引かないと意味ないっすからね。なかなか……あ!」 下家『……』ピクッ 手牌 455678⑥⑦⑧東東東白 ツモ5 打白 智美「下家が聴牌しちゃったかー……」 ゆみ「しかも四門張……厳しいな」 アナ『須賀選手に少し遅れましたが聴牌しましたね』 藤田『ああ。だが待ちの広さが段違いだ。先に聴牌したとはいえ須賀は苦しくなったな』 アナ『須賀選手は直撃かツモらなければならないですが、どんな形でも和了ればいいとなるとその差は大きいですね』 藤田『ここからはどちらの運が上回るかという戦いになるだろうな。もちろん追う須賀のほうが厳しいが』 アナ『果たして須賀選手は逆転全国行きを決めることが出来るのか。注目です』 佳織「だ、大丈夫ですよね?」 睦月「うむ……そう信じたいな」 智美「後は京太郎の運を信じるだけだ……って、え?」 桃子「待ちを変えた……っすか?」 下家『……』タン 手牌 4555678⑥⑦⑧東東東 ツモ五 打4 ゆみ「この待ちは……!」 アナ『四門張を捨てて五萬単騎待ち!! 藤田プロ、これはどう考えますか?』 藤田『普通に考えればありえないな。メリットはほとんどない』 アナ『ほとんどと言いますとゼロというわけではないんですね?』 藤田『ああ、捨て牌を見てみろ』 アナ『捨て牌……ですか?』 藤田『二萬と八萬が捨ててあるから五萬は両筋になる』 藤田『さらに自風の東も切っているし、どの役牌も最低1つは見えているから目眩ましになっている』 アナ『誰かが振り込むのを狙っているということですか?』 アナ『それにしても待ちが狭くなるデメリットのほうが大きいように思いますが……』 藤田『ああ、それは間違いない』 藤田『こればかりはその場にいなければわからんが、あの待ちでは和了れない、もしくは須賀に負けると思ったんだろう』 アナ『雀士の勘というやつですね。これが吉と出るか、それとも凶と出るのか!』 藤田『そういえば、この待ち方は女子団体戦で加治木が天江から直撃を取ったものとよく似ているな――』 ゆみ「……私の場合は和了るために手を進めていたら、たまたまああいう形になっただけだ。意味がまったく違う」 桃子「そうっすよね。京太郎がここからオリるなんてそもそもありえないっす」 睦月「それでもやったってことは勝算があるってことですよね?」 ゆみ「……そうだな。私にはわからないが、何らかの確信があるんだろう」 佳織「天江さんみたいな人なんですね」 智美「さすがにあそこまでじゃないと思うけどなー」 睦月「それでも自分のことを信じきるのは凄いです。私だったらあそこで四門張は捨てられない」 ゆみ「それが津山の麻雀なんだろう? 自分を貫くという意味では同じ……っ!」 桃子「……掴まされたっすね」 --------------------------------------- 十二巡目 手牌 四四七七七⑥⑥888西西西 ツモ五 京太郎(くそっ、まだ揃わないか。もう十二巡目なのにっ!) 京太郎(次だつ――)ピタッ 京太郎(……下家の捨て牌。そして今俺がツモった牌。ゆみ先輩が決勝で天江から直撃取ったときと似てるな……) 京太郎(って、待て。何考えてんだ俺。別に俺の感覚が危ないって言ってるわけでもないのに) 京太郎(そもそも、デジタルで考えてもここで引くなんてありえない) 京太郎(もう十二巡目だぞ!? ここから手を崩してまたテンパッて和了るなんて……!) 京太郎(……くそっ! 頭じゃ分かってるのにどうしても切れない!) 京太郎(……そういえばさっき考えないと怪我するとか言われたな……少し落ち着いて考えるか) 京太郎(レベルは全然違うけど、天江が咲に振り込んだときもこんな感じだったのかな。あれは間違いなく迷ってたと思う) 京太郎(そして天江は咲に負けた……あれはきっと感覚に頼ったからだ) 京太郎(俺は何をしてんだ? 感覚は大丈夫と言ってるし、デジタル的にもここで引くのはありえない) 京太郎(……なのに、ゆみ先輩の打ち筋が頭から離れない) 京太郎(天江から直撃を取った、あの打ち筋。ゆみ先輩の集大成のような綺麗な麻雀) 京太郎(この場面で突っ張るのはゆみ先輩を信じてないみたいな、そんなことになる気がする) 京太郎(……どう考えても言うこと聞かないほうがそうなのに、バカみたいなこと言ってんな)ハハッ 京太郎(それでも、俺の感覚はあくまで俺のもので、ゆみ先輩の打ち筋はゆみ先輩のものだ) 京太郎(どっちを信頼するかなんて言うまでもない) 京太郎(……俺がここまで来れたのはゆみ先輩のおかげだ。なら、最後までそれを貫こう) 京太郎(自分の感覚を捨てるより、効率を無視するより、俺はゆみ先輩の麻雀を裏切るほうがずっと嫌だ!) 京太郎(ゆみ先輩、言うこと聞かずに、これで負けたらすみません。全部俺の責任です。それでも俺は、これを切ります!)タンッ 打⑥ --------------------------------------- ゆみ「えっ……」 アナ『須賀選手、なんと四暗刻聴牌を崩して六筒切り! 絶体絶命の危機を回避したーー!!』 藤田『……驚いたな。あの状況から止めるとは』 アナ『須賀選手はなぜ止めることできたのだと思われますか?』 藤田『感覚的に当たり牌を察知したとしか思えないな』 藤田『これ以外にも効率的には間違っているが上手く回避しているという場面がいくつかあるようだし』 アナ『なるほど。須賀選手、素晴らしい打ち筋を見せました』 藤田『もっとも、厳しいようだが終わりが遠のいただけともいえる』 藤田『須賀には狙った牌をツモる才能はない。ここからまた聴牌をして直撃かツモを狙うにはのは厳しいな』 アナ『ファインプレイではありましたが結果的には聴牌から一歩引いた須賀選手。果たして全国へ行くことは出来るのか!?』 桃子「おおっ! よく避けたっす京太郎!」 智美「切っちゃダメだっていう感覚があったんだなー」ワハハ ゆみ「……違うと思う。きっとあれは京太郎くんの感覚では大丈夫な牌で、それを自分の意思で止めたんだ」 桃子「え? なんでそう思うんすか?」 ゆみ「今日の京太郎くんが明らかにおかしい打牌をするときはほぼノータイムで切っていたが、さっきのはだいぶ迷っていたからな」 智美「聴牌崩したらほとんど和了れないんだぞ? 迷わないほうがおかしいと思うけどなー」ワハハ ゆみ「……凄く、辛そうな顔をしていたからな」 ゆみ「当たり牌だという感覚があるのならあんなに辛そうな顔はしないさ。感覚に頼れといったのは私だ」 ゆみ「自分で言うのもなんだが、私は京太郎くんにそれなりに信頼されていると思う」 ゆみ「私の言ったことを守るだけならあんなに迷うことはない」 桃子「……け、結構すごいこと言ってるっすね」 智美「自分の言うことなら役満聴牌だって迷わず諦めるって言うとはなー」ワハハ ゆみ「そ、そういうつもりで言ったんじゃ……」アセアセ 睦月「言ってますよ」クスッ 佳織「でも合ってると思いますよ。きっと京太郎くんならそのくらいには加治木先輩のこと思ってます」 ゆみ「うぅ……」カアァァ 桃子「……さて、じゃあ後は京太郎がここから和了れるかどうかっすね」 智美「こればっかりはなー。京太郎にその運があるかどうかだ」 睦月「下家のほうを止めたとはいえ、自分が和了れなければどうにもならないですしね……」 佳織「そうだね……あ、下家の人が待ちを変えた!?」 桃子「むぅ、もう出ないと思ったんすね。凄まじい勘の良さっす」 ゆみ「しかも引いたのが9索か……フリテンとはいえ両面待ちだ」 桃子「厳しいっすね……」 ゆみ「……」ギュッ ………… ……… …… … 対面「聴牌」 上家「ノーテン」 京太郎「……聴牌、です」 下家「聴牌。和了り止めします」 京太郎(ああ、クソ。俺は間違ってなかった。間違ってなかったけど、それでも勝てなかった……!) 下家「……なあ、なんであそこで止められたんだ?」 京太郎「え?」 下家「俺が五萬の単騎待ちに切り替えたところだよ」 下家「なんとなくこっちのほうが和了れそうな気がしたんだけど、まさか引いたのに止められるとは思わなかった」 京太郎「……先輩がおんなじような打ち筋で天江から直撃取ってましたから。どうしても踏み込めませんでした」 下家「……それだけで役満聴牌を崩したのか?」 京太郎「あそこでそれ以上に信頼出来るものなんてありませんでしたから」 下家「ハハハッ! あーすげえなお前。勝たせてもらったけど勘弁しろよ!」 京太郎「え? ……ああ、告白のことですか」ハァ 京太郎「まぁ、自分で言ったことですからしょうがないです。悔いは山ほどありますけど」ハァァァァ 下家「え? あれ本気だったのか……気を落とすなっても無理だろうけど、秋に会えるのを楽しみにしてる」 京太郎「はい、今度は負けません!」 下家「ああ、またな」スタスタ 京太郎「はい……はぁ」 --------------------------------------- 智美「お互いに和了れなかったなー」 桃子「後一歩だったっすね……」 ゆみ「そう、だな。聴牌までは行けたのに……」ギュッ 智美「ゆみちん……」 睦月「で、でも京太郎くん凄いじゃないですか! 初めて一ヶ月で6位ですよ!」 佳織「そ、そうですよ! 入賞するなんて凄いです! だから……」 ゆみ「……京太郎くんが言ったことだからな。私から曲げさせるわけにはいかないさ」 佳織「でも!」 ゆみ「……少し早いが決勝の会場へ行ってくる」 智美「京太郎が来るの待ってからでも遅くないぞー?」 ゆみ「きっと今会いたくはないだろう」 桃子「そんなこと……」 ゆみ「……私だって今会いたくはない。だから京太郎くんもそうだよ」 一同「……」 ゆみ「私と京太郎くんの話だ。みんなはあまり気にするな……巻き込んでいるほうが言う台詞じゃないか」 ゆみ「京太郎くんに、よくやった。入賞おめでとうと伝えておいてくれ」 智美「それはゆみちんが言わないとダメだと思うなー」 ゆみ「……それもそうだな。わかった。直接言うよ」 ゆみ「それでは、先に行っている」スタスタスタ …… … 京太郎「はぁ……」バタン 桃子「ドアを開くなりため息ってどういう了見っすか」 京太郎「しょうがねえだろ……あれ、ゆみ先輩は?」 桃子「先に行ったっす。京太郎は今会いたくないだろうし、私もそうだからって」 京太郎「まあそうだよなあ」ハァ 智美「やっぱり会いたかったか?」 京太郎「ホッとしたのが半分、残念なのが半分です」 京太郎「あんなこと言って負けたのは気まずいですけど、声かけて貰いたかったなってのも少し」 佳織「全国惜しかったね……でも、入賞したのは凄いと思うよ!」 京太郎「ありがとうございます……ああ、後一歩だったのにな」ハァ 睦月「四暗刻聴牌を諦めてまで振り込まなかったのはカッコよかったよ。もう少しだったね」 睦月「……そういえばあそこで五萬を止めたのは……」 京太郎「ゆみ先輩が天江から直撃取ってたじゃないですか。あれと似てたんでどうしても切れませんでした」 一同「……」 京太郎「ど、どうかしましたか? いや自分でも滅茶苦茶なこと言ってるなとは思いますけど」 智美「いや、よくお互いのことわかってると思ってなー」 京太郎「えっ」 桃子「京太郎、ゆみ先輩のこと諦めるんじゃないっすよ」 京太郎「いや、そりゃまあ諦めるつもりはないけど、なんだいきなり」 桃子「惚気に巻き込まれそうで説明するのは嫌っすから、後でゆみ先輩と話すといいっす」 智美「それじゃ私たちも行くかー」スタスタ 桃子「はいっす!」スタスタ 京太郎「ちょっと、気になるんだけど! 睦月先輩と佳織先輩は知ってます?」 睦月「うむ、ただまあ……」 佳織「後で加治木先輩と2人で話すといいと思うよ?」 京太郎「先輩たちまで!」 佳織「もうすぐ決勝始まるね。加治木先輩たち映るかなあ」 京太郎「ん、そうですね……」 睦月「……妹尾さん、ちょっと飲み物買いに行かない?」 佳織「え?」 京太郎「あ、俺が買いに行きますよ」 睦月「ううん。京太郎くんは疲れてると思うから、京太郎くんの分も私たちが買ってくるよ。ね、妹尾さん」 佳織「……あ、そうだね。一緒に行こう」 京太郎「いやそんな……」 睦月「頑張った後輩をねぎらうのも先輩の仕事だから。京太郎くんはここで待ってて」ギィ 佳織「それじゃあ行ってくるね」バタン 京太郎「……1人にしてくれたんだよな」ハァ 京太郎「ああ、くそっ。ほんと後もう少し。少しだけ俺に運があれば……!」ドンッ アナ『いよいよ女子個人麻雀決勝が始まります!』 藤田『男子に負けず熱い戦いを期待したいな』 京太郎「始まったか……あ、ゆみ先輩」 京太郎「……勝ちたかったなあ」 睦月「京太郎くん、お待たせ。飲み物買ってきたよ」 京太郎「ありがとうございます」 佳織「みんなはどんな感じ?」 京太郎「モモとゆみ先輩は調子いいですね。モモはステルスが長く使えるのが単純に強いですし」 京太郎「ゆみ先輩は……鬼気迫るというか、凄い気迫が」 睦月「京太郎くんが後一歩届かなかったから、きっと思うところがあるんだよ」 京太郎「そう、なんですかね。俺のことなんかあんまり気にしないでやって欲しいんですけど」ハハ 佳織「京太郎くんが全力を尽くしてたの伝わったから、頑張らないわけにはいかないんだと思うよ」 京太郎「な、なんか照れくさいです」 佳織「ふふ……ところで智美ちゃんはどう?」 京太郎「……厳しそうです。なかなか上手く和了れてないですね」 佳織「そっか……やっぱり決勝はみんな強いんだね」 京太郎「そうですね。団体に出ていなかった人にも強い人がいますし」 睦月「平滝高校の南浦さんだね。お爺さんは元プロなんだよ」 京太郎「へー、英才教育とか受けてそうですね」 睦月「実際受けてるみたいだよ。スタイルも似てるみたいだし」 京太郎「そうなんですか。詳しいですね。一体どこでそんな……」 睦月「プロ麻雀カードには往年のプロシリーズもあるんだ! 今ちょうど持ってるから見せて……」 京太郎「い、いえ。大丈夫です」 睦月「そう? 若いころの大沼プロとかもあるんだけど」 佳織「あ、加治木先輩と桃子さんが同じ卓みたい」 睦月「ほんと? それは見ないと」クルッ 京太郎(佳織先輩! さすがです!!) 京太郎「……ってモモとゆみ先輩が同卓ですか!?」 佳織「うん。今始まったところみたいだよ」 アナ『ここは鶴賀の加治木選手と東横選手が同卓になりましたね』 藤田『ああ。鶴賀以外の生徒はこの卓をよく参考にしたほうがいいだろうな』 アナ『といいますと?』 藤田『東横はどうも対戦相手に自分の捨て牌を隠すことが出来るようだ』 アナ『捨て牌を隠す……ですか? 物理的にということではないですよね』 藤田『それは反則だろう……。要するに東横の対戦相手は東横の捨て牌を認識することができなくなるということだ』 アナ『そんなことが出来るんですか。対処が難しそうですね』 藤田『ああ。だからこそ普段から対局をしているだろう加治木の打ち方をよく見たほうがいい』 アナ『なるほど。東横選手への対抗策を学ぶということですね』 藤田『そういうことだ』 アナ『ちなみに藤田プロならどのような対策をされますか?』 藤田『ふむ。まあいくつか考えてはいるが、ここで喋ってしまっては不公平だからな。やめておこう』 京太郎「モモのステルスも有名になってきたのか……にしても見逃すところだった。危ない」 佳織「普段から部活で戦ってるけど、やっぱり見逃せないよね」 睦月「そうだね。いつも以上に真剣勝負って感じだし。……今のところどっちの順位が上なんだろう」 京太郎「ええと、モモのが少し上みたいですね」 佳織「ほんとだ。2人とも一桁かあ。凄いなあ」 睦月「……私も来年はこの2人みたいになれるかなあ」 京太郎「一緒に頑張りましょう。今日の俺は運が良すぎましたし」 睦月「うん。それじゃあまずはこの試合をしっかり見てようか」 京太郎「はい!」 ………… ……… …… … 京太郎「東場はゆみ先輩がリードしてましたけど、南場はやっぱりモモが強いですね」 佳織「絶対に振り込まないのはやっぱり強いんだね」 睦月「うむ。……わあ、加治木先輩あれ鳴くのかあ」 京太郎「まだ点数で勝ってるうえ三向聴で……」 京太郎「急所が残っちゃいますけど、やっぱりモモ相手だと少しでもスピードを上げるんですね」 佳織「桃子さんは普段戦ってるからっていうのもあるけど、それでも加治木先輩は対応が早くて凄いなあ」 京太郎「そうですね。あんなふうな麻雀やってみたいです」 睦月「私も。後一年であれって考えると少し大変だけど」ハァ 佳織「私は早く麻雀のルールちゃんと覚えないと……」 京太郎・睦月(ちゃんと覚えたら凄いことになりそうだなあ……) 佳織「ど、どうかした?」 京太郎「いえ。なんでもないです」フイッ 睦月「もう対局が終わりそう。これは加治木先輩の早仕掛けが成功するかな?」 佳織「反応してくれないんだ……ええと、風越の人が切りそうかな?」 京太郎「そうですね――あ、ゆみ先輩が和了りました!」 睦月「さすが加治木先輩。モモは悔しそうだね」 京太郎「部活じゃ東南戦だとゆみ先輩とモモは大体互角か」 京太郎「モモが少し成績よかったですけど、ここ一番で勝ち切るのは最上級生の意地ですかね」 佳織「そうだね。実力以上ってわけじゃないけど、いつもより負けそうにない感じがする」 京太郎「これでゆみ先輩は……今5位ですね! モモもまだ9位です!」 睦月「1位はちょっと厳しいけど、まだ接戦だし加治木先輩もモモも3位以内目指せそうだね」 佳織「2人とも頑張れー!」 ………… ……… …… … アナ『長かった全国高校生麻雀大会長野県予選もいよいよ終わりが近づいております。女子個人戦決勝最終戦、まもなく開始です!』 藤田『女子もなかなかレベルが高いな』 藤田『風越の主将の福路、インターミドルチャンプの原村は注目していたが、それに勝るとも劣らない選手も多い』 アナ『はい。福路選手はやや余裕を持って2位ですが、現在3位の原村選手は7位まで接戦。まだまだ安心は出来ません』 藤田『最終戦次第では一気にひっくり返ることもあるだろうな。……しかし1位の宮永は凄まじいな』 アナ『昨日歴代最高得点を大きく塗り替えた宮永選手ですが、決勝でもその実力を遺憾なく発揮していますね』 藤田『決勝でも記録を更新するのは確実だろうな。ただ、少し気になるところもある』 アナ『盤石に見えますが何が気になるのでしょうか』 藤田『団体戦のときと比べて和了る速度が少し遅くなっている』 藤田『それでも大抵の場合対戦相手よりは速いが、何度か速度で負けている局があるようだ』 アナ『そう言われますと確かにそうなっていますね。何が原因なんでしょう?』 藤田『カンの回数が増えていることだろうな』 アナ『カンが増えているからですか? しかし宮永選手はカンをして有効牌を持ってくることが多いように思いますが……』 藤田『それはその通りだが、カンをしようとすると最低刻子を手牌に入れなければならない』 藤田『宮永でも最初から刻子をいくつも抱えているわけではないからな。必然的に手は重くなる』 アナ『なるほど。つまり早和了りに勝機があるというわけですね』 藤田『気になるところではあるが、一概には言えないな』 藤田『速度が落ちた分、打点が大幅に上がっているから少々のリードではすぐ逆転されてしまう』 藤田『早和了りを続けられればいいが難しいだろう。何も考えないよりはマシという程度かもしれないな』 アナ『それだけでは足りないということですね。他にはどのような戦い方が考えられますか?』 藤田『カンをするということはこちらの打点も高くなりやすい。それを狙うのも一つの手だろう』 アナ『しかし宮永選手は嶺上開花で和了ってしまうのではないでしょうか』 藤田『まあ主導権を奪われるということだからな。リスクはあるが、そもそも不利な状況でどう戦うかという話だから仕方ない』 アナ『藤田プロでも宮永選手相手では不利なんですか?』 藤田『……うるさい』 京太郎「いよいよ最後ですね。ゆみ先輩は今6位か……」 睦月「でも3位との差はあんまりないね。ちょうどさっきの京太郎くんと似たような感じかな。ただ、最後の相手が……」 佳織「宮永さんが相手だね……。プロの人も不利って言う相手なんて」 京太郎「ま、まあ咲に勝たなくても点数稼げれば3位にはなれますよ! どのくらい稼げれば行けます?」 睦月「元々点数で負けてるからどのくらいっていうと難しいけど……」 睦月「原村さんはこういう状況で負ける人じゃないから、きっと1位になると思う」 睦月「そうするとオカが入っちゃうから、加治木先輩も1位にならないと厳しい……と思う」 京太郎「そうですか……」ガクッ 佳織「で、でも宮永さんも振り込まないってわけじゃないし、きっと勝てるよ!」 京太郎「けど昨日の予選では……」 睦月「……京太郎くん、これから宮永さんと戦うのは誰?」 京太郎「……? ゆみ先輩ですよね?」 睦月「そう。私たちの頼れる先輩で、麻雀始めてたったの2年であんなに強くなった人」 睦月「そんな加治木先輩が、戦うのが3度目になる相手に何も出来ないなんて思う?」 京太郎「それは……思いませんけど」 睦月「相手は宮永さんだから、私も絶対勝てるなんて言わないよ。でも京太郎くんが弱気になっちゃダメ」 睦月「加治木先輩は最後まで諦めずに京太郎くんのこと見てた。だから京太郎くんも諦めずに応援しよう?」グッ 京太郎「……ありがとうございます。そうですよね。応援してるほうが先に諦めるなんて絶対ダメですね」 京太郎「目が覚めました! ゆみ先輩が勝つって信じます!」 睦月「うん。私たちの分も頑張ってもらおう!」 --------------------------------------- ゆみ(最終戦、そして相手は宮永か。……団体戦を思い出すな。まあ再現になってしまっては困るが) ゆみ(予選ではどうにも出来なかった。今回はどうにかしないとな……あ) 咲「……」 ゆみ(私もそこそこ早かったと思うが、さすがに私より速いか) 咲「……あ」 ゆみ「よろしく。こうして君と戦うのは3度目だな」 咲「はい……」ウツムキ ゆみ(緊張しているのか? そういうところは1年生らし……私も大会は初めてだったな。大差はないか)フッ 咲「……いつから……」ボソッ ゆみ「? いつから? 麻雀のことか?」 咲「ふぇ、聞こえ……! な、なんでもないです!」 ゆみ(麻雀ではないのか。なら一体……)ハッ ゆみ(バカか私は。彼女と私の共通点なんて、麻雀を除けば1つしかないだろう) ゆみ「……もしかして京太郎くんのことだろうか?」 咲「っ! ……はい」 ゆみ「……私が京太郎くんと初めて会ったのは大体ひと月前だ。それからは部活で大体毎日会っていたが」 咲「そう、ですか。たったのひと月前……」 ゆみ(……やはり、彼女も京太郎くんを) 咲「……私、京ちゃんに昔からよく助けられてたんです」 咲「高校生になって離れてからも、麻雀をまた始めるきっかけをくれたり、相談に乗ってくれたりして」 咲「ずっとこんな関係でいるのかなって思ってました」 咲「……ううん、今でも私が今まで通りに接したら、きっと関係は変わらないんだろうなって思います」 ゆみ「……」 咲「一緒にいるときは気づかなくて、離れてもそれがなんだかわからなくて。……失くして初めて知りました」 咲「だから悪いのは私です。恨んでるとかじゃないです。だけど、これで麻雀まで負けたらあんまりだから……」 咲「……試合前に関係ない話してごめんなさい。でも、私は負けられません。原村さんと一緒に全国に行くって約束したんです」ゴッ ゆみ「……そうか」 ゆみ「だが、私も負けないよ。全国へ行けなければ引退だ。ようやく5人揃って大会に出られんだ」 ゆみ「たとえ団体で行けなくなっても、まだ夏を終わらせたくはない」 咲「……お互い、負けられないですね」 ゆみ「ああ。団体決勝と個人予選のリベンジ、果たさせてもらうぞ」 咲「絶対負けません!」 --------------------------------------- 京太郎「ゆみ先輩のところが映りました!」 睦月「うん、点数は……ちょっと差が開いてるね」 佳織「宮永さん以外の対戦相手は天竜の人と裾花の人なんだ」 京太郎「加治木先輩もちょっと削られてますけど、他の2人のほうがだいぶ点数低いですね……」 睦月「宮永さんは断トツだ。さすが……」 佳織「あ、ダイジェストが始まるみたいだよ」 アナ『宮永選手のいるこの卓。先制したのは意外にも加治木選手でした』 藤田『強引な仕掛けをしていたがそれが上手く嵌っていたな』 アナ『藤田プロのおっしゃっていた宮永選手の隙を上手く突いた形でした』 アナ『しかしその後試合をリードしたのはやはり宮永選手。嶺上開花での和了りは実に4回!』 藤田『その間に加治木も何度か和了っているが、やはり打点の差はいかんともしがたいな』 アナ『はい。宮永選手と2位加治木選手との差は約5万5千点。厳しい点差となっています』 藤田『宮永以外に和了っているのは加治木だけだったと思うが、それでもこの差か』 アナ『そうですね。天竜女学院、裾花は両者とも1万点を割っています』 藤田『どちらもけして実力がない選手ではないんだが……相手が悪かったな』 京太郎「こう改めて見ると咲凄まじいですね……」 睦月「手がつけられないってこういうことを言うのかな」アハハ… 佳織「あ、加治木先輩この局は和了れそうだよ!」 京太郎「ほんとですか! ……あ、でもこれだと」 佳織「え、どうかしたの?」 睦月「ちょっと点数が低くなりそうだね。仕方ないんだけど……」 アナ『現在は南3局。加治木選手にとってはここで点差を縮めたいところでしょうか』 藤田『宮永も加治木も南4局では子で、役満でもツモ和了りでは逆転が出来ないからな。せめて4万8千点以内にはしたいところだろう』 アナ『おっと、言っている間に加治木選手が和了りましたが……これは5200ですね』 アナ『宮永選手からではないので、依然として三倍満が直撃してもでも逆転は出来ません。勝利には役満の直撃が必須です』 藤田『少しでも稼ごうと思ったか、それとも宮永に和了られると思ったか。おそらく後者だろうな』 アナ『宮永選手がポンをしているのを見て、直撃を待つ時間はないと判断したわけですね』 藤田『ああ、宮永の場合はそこから加槓で有効牌を1つ引いてくるからな』 アナ『なるほど。加治木選手の判断が光ります。……しかし点差は依然として大きい。いよいよ南4局。決着はもうすぐです!』 --------------------------------------- ゆみ(まったく、予選のように逃げられないのがつらいな) ゆみ(さて、最後の配牌は……!!)ピクッ 手牌 14一九九①⑨東東南西白發 ツモ7 ドラ七 ゆみ(国士無双二向聴……宮永と打つときはよくよく国士に縁があるようだな) ゆみ(……さてどうするか。この状況、普通に考えれば、というより正気なら続けないという選択肢はありえないが) ゆみ(特に宮永に対して、国士無双は暗槓でも直撃を取れる。おそらくこれ以上ない配牌だろう) ゆみ(しかし……)チラッ ゆみ(宮永はカンによる有効牌の引きや嶺上開花が目立っているが、おそらくそれだけじゃない) ゆみ(池田への差し込み、最終局近くでの細かい和了り、天江に掴ませた当たり牌) ゆみ(天江と同じく配牌やツモにも影響を与えていると考えるのが妥当だろう) ゆみ(ならばこの配牌も……) ゆみ(……天江に対して普通に和了ろうとしても無駄だった。宮永に対してもそれは同じではないだろうか) ゆみ(団体戦の決勝では実際に止められている。まあ、あれは捨て牌が露骨だったが) ゆみ(なまじ天江に比べて和了れるから勘違いするが、それは宮永に届かない範囲でしかないのでは……?) 天竜「あの、すみません。そろそろ……」 ゆみ「ああ、すまない。もう少しだけ待ってくれ」 ゆみ(……いずれにせよ普通に和了りを目指しては敵わないだろう) ゆみ(京太郎くんもこんな気分だったのかな。確かにこれは辛い表情にもなる)フッ ゆみ(彼は自分を盲信するでもなく、効率を追求するでもなく、自分の打ち方を見出して貫いた) ゆみ(ならば私がすべきことも1つだ。これでは勝てない。そう考えよう) ゆみ(最善手ではないかもしれない。馬鹿げた選択かもしれない) ゆみ(けれどそれが如何に無謀に見えても、自棄になったように思えても、私は私の感じるベストを尽くす) ゆみ(それが後輩に、京太郎くんに示せる私の麻雀だ!) ゆみ「九種九牌。……流局にしてくれ」パタン 天竜「……はあ!?」 裾花「えっ、それで……?」 咲「!?」 --------------------------------------- 睦月「え!? なんで九種九牌なんて!」 佳織「1つずつ……あれってもう少しで役満だよね?」 京太郎「そうですね……国士無双です」 佳織「なんで加治木先輩は国士無双目指さなかったんだろう?」 睦月「うーん……あ、解説やるみたいだよ」 アナ『まさかの九種九牌。驚きましたがこれはどのような理由で流局にしたのでしょうか』 藤田『普通に考えればありえないな。何ひとつメリットがない』 アナ『先ほどの男子個人戦決勝で、同じ鶴賀の須賀選手も気になる打牌をしていましたが……』 藤田『それはメリットが薄いというだけでなくはないからな。これはそもそもメリットがないと言っていい』 藤田『ただ加治木は大胆なところはあっても基本的に手堅い選手だ』 藤田『博打ですらない判断だが、その場にいなければ感じられない何かがあったのかもしれないな』 アナ『須賀選手のように危険を感じた結果ということでしょうか』 藤田『そうではないだろうな。加治木のこれまでの牌譜は理に適ったものだ』 藤田『これも感覚ではなく、団体決勝でやった宮永への槍槓のように加治木なりの筋を通した結果が九種九牌なんだろう』 藤田『私には理解できないがな』 アナ『なるほど。ありがとうございました。仕切り直しの南4局。勝利の女神は誰に微笑むのか!』 睦月「話題に出てたけど京太郎くんは加治木先輩の判断はどう思う?」 京太郎「そうですね……ゆみ先輩が考えないであんなことやるわけありませんから、正しいって信じてます」 睦月「そっか……私はやっぱりあのまま続けてたほうがいいと思う。間違ってるとまで言わないけど……」 京太郎「それも正しいと思います。変える必要なんてない場面ですし」 睦月「うむ……ただ団体戦の決勝で2回もあんな形のを和了れなかったから、続けたくなかったんだろうなとは思うよ」 京太郎「そうですよね。あそこまで揃うのもめったにないのに、そこから和了れないなんて……」 佳織「え? そんなに珍しい?」 京太郎・睦月「……」 佳織「えっ、え?」 京太郎「さあ応援しましょう!」 睦月「頑張れ加治木先輩!」 佳織「うぅ。前もこんなことあったような……」 --------------------------------------- ゆみ(さて、あんなことをしてケチがついていなければいいが……)カチャッ 手牌 279一四七①⑧⑨南西北中 ドラ北 ゆみ(……自分でやったこととはいえ気が滅入るな)ハァ ゆみ(本当に団体戦の再現になってしまいそうだが、まあ弱音を吐いてはいられないか) ゆみ(その前に、天竜と裾花の2人は……) 天竜「……」ギラギラ 裾花「……」フゥ ゆみ(2人とも絶望的な点差だが諦めてはいないようだ。団体戦終盤の池田と同じような目をしている……ありがたい) ゆみ(最初のツモは……む、上手く自風の南が重なったか)タン 打2 天竜「……」タン 裾花「……っ」タン 咲「ポン!」 ポン九 ゆみ(随分仕掛けが早いな。ポンは九萬か。こんなに早いうちに仕掛けたということは……!) ゆみ(最終形は決まった。後は私にそれを和了りきる力があるかどうかだ!)タンッ 打西 咲(加治木さん、なんで九種九牌なんてしたんだろう。確かに北と九索は嶺上牌にあったけど……) 咲(ううん。もう流局したんだから、さっきのは関係ない。私は今ここで勝たなきゃ) 咲(和ちゃんのために。……それと、自分のために) 咲(京ちゃんのおかげでまた始められた麻雀だもん。京ちゃんが好きに……)ズキッ 咲(……好きになった人には負けられない!) …… … 十一巡目 咲手牌 三三三五六六七發發發 ポン九 咲(うん、揃った。嶺上牌に發と九と六があるから、後は三萬が出れば和了れる) 咲(天竜と裾花の2人は和了らないよね。後は加治木さんだけど、加治木さんも役満の直撃じゃないと和了れない) 咲(捨て牌を見る限り国士無双ではなさそう。大三元とか發が必要なのは出来ないし清老頭も多分違うよね) 咲(やっぱり四暗刻かな。単騎待ちのはずだから気をつけるのは難しいけど……) 咲(……どっちにしろカンしちゃえば問題ない! それで勝てるんだ!)タン 天竜「……」タン ゆみ「っ! 立直!」タンッ 咲(え、立直? 立直すれば届くってことかな。清一色とか……?) 咲(まあ私が萬子を揃えてるから、清一色でも萬子じゃないはず。三萬さえ出れば……!) …… … 天竜「うー」タン 咲(来たっ! 三萬!) 咲「カン!」 カン三 嶺上ツモ發 新ドラ3 ゆみ「っ!」 咲「もいっこカン」 カン發 嶺上ツモ九 新ドラ⑤ 咲(これで……!) 咲「もいっこカン!!」 カン九 嶺―― ゆみ「ロン!」 咲「……え?」 ゆみ「ロンだ。……上手くいってよかった」ホッ 咲「そ、そんな! 槍槓じゃ足りるはずが……」 ゆみ「そうだな。このままでは足りないよ」パタッ 手牌 789七八⑦⑧⑨南南南北北 ロン九 ゆみ「立直、槍槓、三色同順、場風、自風、混全帯?九、ドラ2。10翻だ」 咲「じゃあなんで……!」ハッ 咲「まさか裏ドラ狙いで……?」 ゆみ「カンで出てくれると心臓に良かったんだが……まあどちらでも同じか」 咲「そんな無謀なことするより初めから役満狙ったほうが……」 ゆみ「普通の相手ならそうしたが、なにぶん相手は宮永咲だからな」 咲「私は別に――」 ゆみ「……すまない、そろそろめくらせてもらうぞ」 咲「……」 ゆみ(私が乗り越えなければならないハードルは3つあった) ゆみ(1つは九萬を引かないこと。2つ目は宮永が和了るより先に聴牌すること) ゆみ(宮永がカンをするのは分かっていたから、これでほぼ確実に宮永から和了ることが出来る) ゆみ(……そしてこれが3つ目。カンドラ、もしくは裏ドラで3翻を得ること) ゆみ(幸い九萬の加槓は3回目のカンだった。おかげで3枚裏ドラをめくれる)ドキドキ ゆみ(ここまで分の悪い賭けに勝ってきたんだ。最後も頼むぞ……!)ドキドキ ゆみ「……っ」 裏ドラ② ゆみ(次は……!) 裏ドラ中 ゆみ(数牌3つや数牌と北と組み合わせは色々あるが……まさか5つドラがあるのに1つも出ないとは)フゥ ゆみ(後は東をめくるしかない。幸い東はまだ1枚も見えていない。頼む……!)ドキドキドキドキ 咲「……」ギュッ ゆみ「――」スーッ 裏ドラ南 『数え役満ーーーーー! 加治木選手の逆転で決着!!!』 ゆみ「――――よしっ!!」グッ 咲「……あ」 天竜「……はぁ、まったく良い物見せてもらったわ」テクテク 裾花「……信じられない」テクテク ゆみ「……まあ、私も二度とやりたくはないな」 咲「そっか。負けちゃったんだ。……絶対負けたくなかったのに」 ゆみ「まあまだ原村を上回ったわけでは……いや、上回っていなければ困るんだが」 咲「……負けられなかったのは和ちゃんのためでした。でも、負けたくないのは私のためです」 ゆみ「……そうか」 咲「その、加治木さんが全国へ行ったら……あ、えっと、行けなくても、もう一度打ってもらえますか?」 ゆみ「……もちろん。負け越しているのは私の方だからな。まあ、全国で戦えることを望んでいるが」 咲「ありがとうございます! ……それと、1つだけ聞いていいですか?」 ゆみ「答えられることなら」 咲「……先週の京ちゃんの告白。京ちゃんは全国に行けなかったですけど……」 ゆみ「……京太郎くんの言ったとおりだよ。彼は全国へ行けなかった。だから返事はしない」 咲「そう、ですか。……ごめんなさい。もう1つだけ聞かせてください。加治木さんは――」 --------------------------------------- アナ『裏ドラが乗って数え役満! 加治木選手、見事宮永選手から役満を和了りました!!』 アナ『これで加治木選手は逆転。宮永選手を抜きトップとなりました』 アナ『早和了りやドラが増えるところを狙うなど、試合前に藤田プロが言っていた点を突いての勝利でしたね』 藤田『まあ特別な作戦というわけではないからな。誰しも考えるが実践は難しいという類いのものだ』 アナ『そうですか。まくりの女王と呼ばれる藤田プロから見てこの逆転劇はどうでしたか?』 藤田『カンでドラが増えるとはいえ、九萬が最初にカンされるかもしれない。最後のカンでもドラが出るかはわからない』 藤田『しかし実力が上の選手に勝つには無茶も必要だ』 藤田『結局は勝つと信じ切れなければまくることは出来ない。泥臭いがいいまくりだった』 アナ『加治木選手、素晴らしい逆転劇でした。……あ、どうやら全ての卓で試合が終わったようです』 アナ『最終結果が発表されます……1位は宮永選手、2位福路選手。そして3位は……』 アナ『……加治木選手です!加治木選手、僅差で原村選手を逆転!』 アナ『総合順位でもまくりを決め、全国行きの切符を手にしました!!』 藤田『原村も最終局は1位か。2人とも見事だな』 アナ『数々のドラマがあった女子麻雀個人戦決勝、ハイライトで振り返りたいと思います――』 京太郎「すっげえ……」 睦月「あれで逆転するなんて、しかも宮永さんに」 佳織「私もあんなにドラが乗ったことはないなあ。凄いや」 京太郎「シビレました。もう鳥肌が立っちゃいましたよ」 桃子「鳥肌が立つって言葉にいい意味はないんすよ」 京太郎「しょうがねえだろ実際立ったんだから……ってモモ、いつの間に」 桃子「いつの間にって……私の体質だからしょうがないじゃないっすか……」 京太郎「そういう意味じゃねえよ!?」 桃子「冗談っす。ついさっきっすよ。……にしても凄いっすね。考えてもやらないっすよあんなこと。まして和了りきるなんて」 智美「まあウチの部で一番無茶するのはゆみちんだからなー」 智美「たまに冷静さをどこかに置いてっちゃうんだ。そこがいいところなんだけどな」ワハハ 京太郎「そういえば俺たちが入ったのもそれででしたね」 智美「私も今来たところだけど、私には何も言わないんだなー」 桃子「やっぱり私が見えないから……」 京太郎「2度目はもういいでしょ!?」 智美「緊張をほぐすために重ねてみたぞー」ワハハ 京太郎「はい? 今さら何に緊張を……」 智美「ゆみちんのとこ行くんだろー?」 京太郎「えっ……」 桃子「いやまあ、ここで私たちに見られながら振られるのがお好みっていうならそれはそれでいいっすよ」 京太郎「嫌だよ! というか振られるわけじゃねえ! ……でもそうですよね。俺は行かないと」 睦月「うむ、加治木先輩も真っ先に京太郎くんに会いたいと思うよ」 佳織「頑張って!」 京太郎「まあ返事は貰えないんですけどね……」ハハ… 京太郎「それじゃ一足先に全国大会出場を祝ってきます!」タッタッタ 智美「頑張るんだぞー」ワハハ --------------------------------------- ゆみ「……あ、京太郎くん」ドキッ 京太郎「ゆみせんぱーい!」タッタッタ ゆみ「こ、こら。ただでさえ注目されているんだからあまり大声を出すな」 京太郎「す、すみません、早く伝えたくて。全国大会出場、おめでとうございます!」 ゆみ「――! そうか、私は原村に勝てたのか……」 京太郎「はい! 槍槓からの数え役満凄かったです! 俺じゃとても出来ないですよ」 ゆみ「私も2度やろうとは思わないな」フフッ ゆみ「……これで麻雀部のみんなで過ごせる時間が長くなった」 京太郎「そうですね。全国大会が終わるまでは一緒にいられます」 ゆみ「ああ……君と同じ部に、長くいられる」 京太郎「……」 ゆみ「……」 京太郎「……」 ゆみ「……京太郎くん」 京太郎「はい」 ゆみ「よく頑張った。入賞おめでとう」 ゆみ「ずっと見ていたよ。君の先輩として、君に麻雀を教えた1人として、君のことを誇りに思う」 京太郎「ありがとうございます」 ゆみ「こう言っては何だが実力以上の力を出していたと思う。ただ、本番でそういうことが出来るのも才能だと私は思う」 京太郎「いつもこのくらい出さればいいんですけどね」ハハハ ゆみ「まったくだな」フフッ ゆみ「……だが、それでも全国には届かなかった」 京太郎「……はい」 ゆみ「君が言った条件だから、私が勝手に破るのはよくないと私は思う」 京太郎「……俺からもやっぱりなしでとは言いません。一度言ったことですから」 ゆみ「そうか……それなら私も返事はしない」 京太郎「……はい」 ゆみ「だから、ここからは私の話だ」 京太郎「はい?」 ゆみ「」スゥーッ ゆみ「私は君が欲しい!」 京太郎「!?」 --------------------------------------- 咲『加治木さんはこれからどうするんですか?』 ゆみ『どうとは……』ドキッ 咲『えと、京ちゃんに会ったら何をするんですか?』 ゆみ『……やっぱりわかるものなのか』 咲『それはまあ。同じ人を好きになったんですから』 ゆみ『そんなものか……まあ君にならいいか』 ゆみ『告白するよ。返事はしないと言ったが、告白しないとは言っていないからな』 咲『凄い屁理屈』クスクス ゆみ『京太郎くんが勘違いしているのが悪い。返事をしないというのがどういう意味だと思っているんだろうな』 咲『同感です。基本的に気配りしてくれて優しいんですけど、たまに抜けてるんですよね』フフッ ゆみ『まあ彼も私から言ったら意地を張ったりはしないだろう』 咲『そうですね。……すみません。最後にあと1つだけいいですか?』 ゆみ『……意外とグイグイ来るな。まあ構わないが』 咲『ごめんなさい。どうしても聞きたかったんです』 咲『……加治木さんが全国へ行けなかったら、どうしてましたか?』 ゆみ『……変わらないよ。たとえ全国へ行けなくても、私は私から告白していた』 咲『……そうですか。ありがとうございました。おかげで最後勝ってれば、なんて悔いは残らなかったです』 ゆみ『……そうか』 ゆみ『さて、それでは私はそろそろ控室へ戻るよ』 咲『はい。今日はありがとうございました。今度は負けません!』 ゆみ『それは私の台詞でもある。それじゃまた。次やるときもいい試合にしよう』スタスタ 咲『楽しみにしてます! ……』 咲『……』グスッ --------------------------------------- 京太郎「え。え、えっ?」 ゆみ「……思った以上に恥ずかしいなこれは。前と違ってなまじ理性が残っている分つらい」カアァァ 京太郎「い、今なんて……」 ゆみ「君がこの前言ったのと同じだ。もちろん意味も」 京太郎「で、でも俺勝てませんでしたし」 ゆみ「だからこれは返事じゃない。私からの告白だ」 京太郎「けど俺、情けない姿しか見せられなくて……」 ゆみ「もし、それが君の麻雀のことだとしたら、私は本気で怒るぞ」 京太郎「……ゆみ先輩はそう言ってくれても、ゆみ先輩と比べると俺は……」 ゆみ「……」ハァ ゆみ「なあ、京太郎くん」ズイッ 京太郎「は、はい」ドキッ ゆみ「告白の返事をしないでいいというのはどういうつもりで言ったんだ?」 京太郎「どうってあのときは……」 ゆみ「いやまあ焦っていたのはわかるが……きっと一種の罰みたいなものと考えていたんだろう」 京太郎「罰っていうと大げさですけど、まあ勝てないようなら返事貰う資格なんかないっていうハードル的な……」 ゆみ「分かってはいたが、やっぱりそういうつもりか……」ハァ 京太郎「ゆみ先輩?」 ゆみ「あのな、京太郎くん。告白の返事をしなくていいというのは、私と君が付き合えないということだ」 京太郎「そりゃまあ、俺はゆみ先輩と付き合えないという意味で言って――」 ゆみ「君がじゃない。私と、君がだ」 京太郎「……え? い、いやでもそれ」 ゆみ「私の気持ち、知らなかったとは言わせないぞ」ポスッ 京太郎「……」 ゆみ「京太郎くんは1年生だからわからないと思うが、3年生になると残りの高校生活の短さを実感するんだ」 ゆみ「全国へ行けるのは早くても半年近く経ってから」 ゆみ「近くにいるのにそんなに長い間君とこれ以上親しくなれないなんて、私は耐えられない」 京太郎「ゆみ先輩……」ドキッ 京太郎「俺だってそんなの嫌ですよ!」 ゆみ「……そうか。それなら、返事をしてくれ」ドキドキ ゆみ「一応言っておくが、これは私が私のためにした告白だからな」 京太郎「はい。……ゆみ先輩、俺も、あなたのことが大好きです!! こんな俺でよければ、よろしくお願いします!」 ゆみ「京太郎くん……ありがとう。嬉しい」ポロ 京太郎「俺のほうこそですよ……ってゆ、ゆみ先輩? 涙が……」 ゆみ「え?」ポロポロ ゆみ「あ、あれ。気を張っていた反動か……ヒクッ 安心したら止まらないな……エグッ」 京太郎「……ゆみ先輩、落ち着くまでこうしててください」ギュッ ゆみ「わっ……ありがとう、少し……ヒクッ 胸を借りる」ポスッ …… … ゆみ「……今日は、朝から緊張していたんだ」 京太郎「今日で引退かどうか決まっちゃいますから、そりゃしますよ」 ゆみ「いやそうじゃなく。君がもし全国へ行けなかったら告白しようと決めていたんだ」 京太郎「……ああ、そういえば朝、最後なのとは別に緊張してるとか言ってましたね」 ゆみ「ああ。……君に告白することは決めていたが、断られたらどうしようって頭の中をグルグル回っていたんだ」 京太郎「俺だってゆみ先輩に告白したじゃないですか」 ゆみ「告白されたからって断られる可能性は0じゃない。君が俺はまだ勝ててないからなどというかもしれないしな」 京太郎「うっ……」 ゆみ「……まさか本当に言うつもりだったのか」 京太郎「い、いえ。ただその、頭をよぎらなかったといえば嘘になるかなーと……」アハハ ゆみ「笑い事じゃない。まったく……」 ゆみ「まあ、これで緊張するのもわかっただろう。OKされて一気に緊張が解けたんだ」 ゆみ「……本当に嬉しかった。ありがとう、京太郎くん」 京太郎「俺のほうこそ、というかほんとは俺からちゃんと言いたかったんですが」 ゆみ「君がバカな条件なんてつけるからだ」ムゥ 京太郎「あはは……ゆみ先輩。涙、もう大丈夫ですか」 ゆみ「ああ、ようやく収まってきた。これで君の顔を見れるよ……京太郎」 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「ゆみ……さん」 ゆみ「さん?」 京太郎「今すぐはちょっと……」 ゆみ「私は呼び捨てのほうが嬉しいんだがな」 京太郎「すみません、俺の問題です」 ゆみ「そうか……まあ追々直してくれ」 ゆみ「……京太郎。もう一度呼んで貰っていいか?」 京太郎「ゆみさん……」ジッ ゆみ「京太郎……」ジッ 京太郎「……」 ゆみ「……ん」メツブリ 京太郎「! ……」ソーッ ゆみ「……」ドキドキ 京太郎「……」ドキドキ 京太郎「――」スーッ 桃子「はいそこまでっすよー」 京太郎「うおぉっ!!??」バッ ゆみ「も、モモ!?」バッ 桃子「お楽しみのところ悪いっすけど電車の時間が迫ってるから帰るっす」 京太郎「お、お前ステルス悪用するなよ! 全然気づかなかったぞ!」 桃子「今回ばかりはステルス関係ないっすよ」チラッ 京太郎・ゆみ「え?」 智美「ワハハー」 睦月「えっと……」 佳織「あはは……」 京太郎「い、いつの間に……!」ガタタッ 智美「入賞おめでとうの辺りかなー」ワハハ ゆみ「ほぼ初めからじゃないか!!」 桃子「少し離れてただけなのに気づかないのが悪いっす」 睦月「ちなみに他校の人も周りに結構いましたよ。先輩が泣いた辺りから辛くなったのかいなくなりましたけど」 智美「私達も置いて帰ってやろうかと思ったなー」ワハハ ゆみ「うぁ……」バタバタ 京太郎「ぐおぉ……」バタバタ 佳織「でもなんにせよよかったです。おめでとうございます!」 桃子「そうっすね。ゆみ先輩には上手く騙されたっすけど」 ゆみ「……あれだけ答えないと言っていれば、気を使って来ないだろうと思って誤魔化してたんだがな。私が甘かったよ」ハァ 智美「あれだけ人前でイチャついておいて隠そうだなんて甘いぞー」ワハハ 京太郎「イチャついてなんかいませんて!」 桃子「……動画でも録っておけばよかったっすかね」 睦月「それはさすがに……」 佳織「で、でも効果はありそうだよ!」 京太郎「佳織先輩!? モモのフォローのつもりですかそれは!」 佳織「えと、半分はそうかな」 ゆみ「待て、残りの半分はなんなんだ」 智美「そんなのわかりきってるだろー。それよりほら、いい加減時間がないぞ」 京太郎「お願いですからしっかり反論できる時間を……!」 ゆみ「……まあ時間がないのは確かみたいだし、残りは帰りの電車の中ででも話そう」 桃子「私たちを先に帰らせて、2人は残って楽しんできてもいいんすよ?」 京太郎・ゆみ「するか!」 佳織「え? 意が……あ。それじゃあ私たちは玄関で待ってますね」 ゆみ「何か言いかけたのが気になるが……もういいか」ハァ 京太郎「あはは……それじゃ荷物取ってきますね。行きましょうゆみさん」 ゆみ「ああ、京太郎」フフッ 京太郎「……」キョロキョロ ゆみ「どうかしたのか?」 京太郎「いえ、ちょっと周りの確認を……よし」 ゆみ「?」 京太郎「」ギュッ ゆみ「きょ、京太郎!? て、手を……!」アワアワ 京太郎「その、周りに誰もいないみたいなんで……ダメですか?」 ゆみ「ダ、ダメじゃない! た、ただ驚いただけだ!」ワタワタ 京太郎「ありがとうございます!」ギュッ ゆみ「……」テクテク 京太郎「……」テクテク ゆみ「……」テクテク 京太郎「……な、なんか緊張しますね」アハハ ゆみ「あ、ああ。もっと見られて恥ずかしいことはやっているのにな」 京太郎「なんでこんな気分になるんですかね?」 ゆみ「……きっと恋人らしい行為だからだろうな」 京太郎「な、なるほど……」カアァァ ゆみ「……京太郎」 京太郎「はい」 ゆみ「全国大会が終わって私が引退しても、出来るだけ一緒にいような」 京太郎「はい。学校であんまり会えないのが寂しいですけど」 ゆみ「……部室で勉強するのはありだろうか」 京太郎「嬉しいですけど、集中できますか?」 ゆみ「集中力はある方だと思うが……」チラッ 京太郎「?」 ゆみ「……君に見惚れるかもしれないな」ボソッ 京太郎「~~~!!」カアァァ 京太郎(やべえ、抱きしめたい!) ゆみ「コホン……京太郎、大好きだよ。これからもよろしく」ギュッ 京太郎「ゆみさん、俺も大好きです。よろしくお願いします」ギュッ 京太郎「……そういえばなんで俺は先週怒られたんですか?」 ゆみ「先週? ……君が大声で叫んだときか?」 京太郎「せめて告白と言ってもらえると……いやまあそうなんですけど」 京太郎「さっきゆみせんぱ……ゆみさんも同じ告白したじゃないですか!」 ゆみ「なんだそんなことか」 京太郎「そんなことって……」 ゆみ「私が言おうとしていた台詞を京太郎に言われたんだ。あのくらい言わせろ」プイッ 京太郎「……え? ゆみさんも告白しようって思ってたんですか。しかも同じ台詞で……」 ゆみ「……京太郎が私を好きな気持ちと同じかそれ以上に、私は君のことが好きだよ」 ゆみ「それに私が君に告白するならあの台詞しかないと思った。理由は君と同じだ」 京太郎「」ポカーン ゆみ「……どうした?」 京太郎「ああいえ、今めちゃくちゃ嬉しいんです。もうなんか、顔が緩まないようにするのが大変なくらい」ニヤニヤ ゆみ「十分緩んでるぞ」 京太郎「ヤバイ、すっげえ嬉しいです。ゆみさんと同じこと考えてるってだけでこんなに嬉しいんですね……!」ニヤニヤ ゆみ「私も嬉しいが、京太郎は少し緩みすぎだ」ニコニコ 京太郎「ゆみさんも口元ニヤついてますよ」クスッ ゆみ「なっ!」ワタワタ 京太郎「ほら、急ぎましょう。電車遅れちゃいますよ」 ゆみ「お、おい。言いっぱなしにするな!」 ゆみ(……同じことを考えている、か) ゆみ(こんなことでドキドキしてしまうなんて、本当、私もどうしようもないな)ドキドキ ……… …… … ゆみ「京太郎だけか?」ガラッ 京太郎「はい。先輩たちもモモもまだ来てないですよ」 ゆみ「ふむ。まあちょうどいいか」 京太郎「何かあったんですか?」 ゆみ「ああ。推薦が決まったんだ。早く君に伝えたかった」 京太郎「ほんとですか! おめでとうございます!」 ゆみ「ありがとう、京太郎。これで大学も自宅から通えるよ」 京太郎「はい。……卒業してからも一緒にいられますね」 ゆみ「うん、素直に嬉しいよ」フフッ 京太郎「俺も嬉しいです! にしてもやっぱり不安がることなんてなかったじゃないですかー」 ゆみ「君もこの立場になってみればわかる。第一、私の実績なんて大したものではないからな」 京太郎「全国大会で決勝リーグまで行ったじゃないですか。十分凄いですって」 ゆみ「行ったからこそわかる実力の差というのもあったよ。順位もよくなかったしな」 京太郎「でも少なくとも全国で2桁以内の実力じゃないですか」 ゆみ「それはまあ、うん」 京太郎「じゃあ自信持ちましょう! プロ目指すんですから、謙遜しすぎるのもよくないですよ」 ゆみ「……そうだな。私のことを評価してくれたわけだし」 京太郎「そうですよ。それに推薦が出た大学って藤田プロが推薦してくれたとこでしたよね?」 ゆみ「ああ。合宿で少し話したときに、ちゃんとした指導は受けたことがないと言ったら藤田プロの出身校を紹介してくれたんだ」 ゆみ「まあほんとに紹介だけだったんだがな」 京太郎「自分の力で受かれってことですか。藤田プロらしいですね」 ゆみ「そうだな。プロを目指すならこのくらい他人に頼るなということなんだろう」 京太郎「……プロ目指したのって、やっぱり藤田プロに大学紹介されたからなんですか? 聞いたのは全国終わってからでしたけど」 ゆみ「いや、全国大会が終わってからだよ」 京太郎「そうなんですか? 差を感じたって言ってたような……?」 ゆみ「だからこそかな。悔しかったんだ。特に宮永には一度手が届いた分なおさらな」 京太郎「全国大会の咲凄かったですね。特に最後の照さんをまくったところ、長野の決勝のゆみさんみたいでしたよ」 ゆみ「総合順位で上回ったというところが私と違うがな」フフッ 京太郎「仕方ないですよ。逆転できる点差じゃなかったですし」 ゆみ「わかってる……少し話がそれたな。その宮永や宮永照のような圧倒的に格上の相手に負けて悔しいと思ったんだ」 京太郎「? そりゃ悔しいですよ。俺だってアカギさんや隗さんに負けたときも、当然ってわかってても悔しかったです」 ゆみ「それが君のいいところなんだろうな」 ゆみ「私は団体戦で負けたときも、悔しいというよりは寂しいと感じてたよ」 ゆみ「だからこそ、悔しいと感じたことは自分でも意外だった。勝てるなんて思っていなかったはずなんだがな」 京太郎「……麻雀をするとき、心の底から勝てないと思ってする人なんていませんよ」 京太郎「一度勝てたからそれが表に出ただけです。きっと」 ゆみ「……そうだな。まあ、だから全国大会のあとこのままじゃ終われないと思ってプロを目指そうと思ったんだ」 ゆみ「大体だな……そんな大事なこと、決めたらすぐ君に話すに決まっているだろう」 京太郎「」 ゆみ「ど、どうかしたか?」 京太郎「いえ、愛されてるなあと」ジーン ゆみ「あ、愛っ!? へ、変なことを言うな!」カアァァ 京太郎「……俺は愛して貰えてなかったんですね」ガクッ ゆみ「誰もそんなこと言ってないだろう!」 京太郎「冗談ですよ」アハハ ゆみ「まったく。……そんなこと冗談でもあまり言って欲しくはないな」 京太郎「う、反省します」 ゆみ「ああ。ちゃんと反省してくれ」 京太郎「でもゆみさんがプロ目指してくれてよかったです」 ゆみ「うん? 受験するにせよ麻雀をやめるつもりはなかったが」 京太郎「それはそうですけど……」 ゆみ「けど?」 京太郎「俺はゆみさんの、技術と対応力で相手を倒す麻雀が大好きなんです」 京太郎「牌に愛された子みたいな特別な力がなくても、麻雀を愛してれば対抗出来るんだなって思えて……」 京太郎「これからも全力で打ち込んでるところを見ていたかったんです。……まあ、俺の勝手な押し付けですけど」 ゆみ「……君は恥ずかしいことを平気でいうな」カアァァ 京太郎「ゆみさんが言いますかそれ」 ゆみ「まるで私が恥ずかしいことを言っているみたいな言い方じゃないか」 京太郎「言ってないとは言わせませんよ!?」 ゆみ「……まあいい」プイッ 京太郎(自覚ないわけじゃないんだな) ゆみ「京太郎にそこまで言われたら私も頑張らないわけにはいかないな。だからその……」 ゆみ「わ、私をその気にさせたのは京太郎だ。だから、責任をとってちゃんと最後まで一緒にいてくれなきゃ嫌だぞ」カアァァ 京太郎「……当たり前じゃないですか。俺こそ一緒にいさせてください」 ゆみ「京太郎……」 京太郎「……」 ゆみ「……」メツブリ 京太郎「……」ソーッ ゆみ「ん……」ドキドキ 京太郎「――」スーッ ゆみ「……んっ」チュッ 京太郎「……な、なんか恥ずかしいですね」カアァァ ゆみ「そ、そうだな」カアァァ ゆみ「……でも、嬉しい。ようやく君と出来た」 京太郎「モモとかに邪魔されてなかなか出来ませんでしたもんね。……」ジーッ ゆみ「? ……っ! あ、あまり唇を見つめるな。恥ずかしいだろう」バッ 京太郎「す、すみません! つい……」 ゆみ「……実は、さっきは嬉しさでいっぱいでな。あまり感触がわからなかったんだ」 京太郎「! お、俺もです」 ゆみ「だからな、その……」チラッ 京太郎「……目、閉じてください」 ゆみ「……うん」スッ 京太郎「――」ドキドキ ゆみ「――」ドキドキ 睦月「……」ドキドキ 佳織「……」ドキドキ 桃子「……」ニヤニヤ 京太郎「……え?」 ゆみ「どうかし――っ」 桃子「こんにちはっすー!」ニヤニヤ 京太郎「っ!」ガタタッ ゆみ「っ!」ガタタッ 睦月「あ、ご、ごめんなさい。気にしないでください!」 佳織「ど、どうぞ続けてください!」 ゆみ「続けられるか! いつからいたんだ!?」 桃子「最初はドアの窓から隠れて見てたっすから、どこからかはわからないっす。まあキスする前っすね」 京太郎「隠れるなよ! というか見るなよ!」 睦月「うむ。それはもっともだけど、今まで何度も邪魔しちゃったから今回は見守ろうと思って……」 京太郎「見る必要あります!? 気を使って見るのもやめてくださいよ!」 睦月「そこはまあ……好奇心?」 京太郎「素直ですね畜生!」 桃子「でもキス終わってからドア開けて入ったのに、気づかれなかったのは予想外だったっす」 ゆみ「え?」 桃子「だからキスした後冷やかそうと思ってドア開けたのに、気づかなかったじゃないっすか。おかげでいいもの見れたっすけど」 佳織「集中してましたよね。2人だけの世界って感じでした」 ゆみ「……うぅ」ガクッ 京太郎「ゆみさん!? しっかりしてください!」 ゆみ「どこかに消え入りたい気分だ……」 京太郎「俺がついてますから。恥をかくときは2人一緒ですよ!」 ゆみ「京太郎……」ジーッ 京太郎「ゆみさん……」ジーッ 桃子「そこのバカップルはほんと懲りないっすねー」 ゆみ「ひゃっ!」バッ 京太郎「うおっ!?」バッ 睦月「邪魔して悪いけど、そろそろ部活始めよう?」 京太郎「い、いえ。全然悪くないです! むしろ歓迎です!」 佳織「三麻やっててもいいけど……」 京太郎「大丈夫ですから!」 睦月「加治木先輩はどうされます? 久しぶりに打ちますか?」 ゆみ「いや、邪魔になっては悪いから。ここでおとなしくしているよ」 睦月「わかりました……じゃあ皆、始めよう」 一同「はい!」 …… … 智美「遊びに来たぞー」ガラッ 京太郎「あ、ぶちょ……智美先輩」タン 智美「そろそろ慣れようなー。部長はむっきーだぞ」 睦月「ちゃんと私のことも部長って呼んでくれてますよ。智美先輩は1日ぶりですね」タン 智美「昨日は来れなかったからなー。毎日来たいんだけ……」 ゆみ「お前、そんなに来ているのか」 智美「ゆ、ゆみちん!? め、珍しいじゃないか」ワハハ ゆみ「今日は推薦が決まったからその報告にな」 智美「おお、決まったのかー! ゆみちんおめでとう!」 ゆみ「ありがとう。後は蒲原だな。さあ勉強をするぞ」 智美「ちょ、ちょっとくらい息抜きも」 ゆみ「来たばかりで息抜きも何もないだろう。早くノートを出せ」 智美「ワハハ……」 智美「ゆみちん、ここ教え――」 ゆみ「……」ジーッ 京太郎「……」タン 智美「……ゆみちん?」 ゆみ「はっ! どうした?」ワタワタ 智美「京太郎と何かあったのかー?」 ゆみ「な!? な、なにもないぞ」 智美「ゆみちんはいつも京太郎のこと見てるけど、今日はいつもより見てる時間が長いからなー」ワハハ ゆみ「うっ、無意識にそんな……」 智美「それで何したんだー?」ワハハ ゆみ「……キスした」ボソッ 智美「ワハッ!?」 ゆみ「な、なんだ。悪いか!」 智美「いやーちょっと驚いたぞー。そうかついにかー」ワハハ ゆみ「誰のせいだ誰の」 智美「確かに何度か邪魔したけど悪気はなかったんだぞ?」 ゆみ「信じられるか」 智美「まあまあ。それで1度目は告白のときで、2度目は全国大会だったかー?」 ゆみ「その次は公園。その後は学校でだったな。……4回だぞ!」 智美「不幸な偶然だなー」ワハハ ゆみ「どれだけ気まずくなったことか……」 智美「まあ遅くなったけど出来てよかったじゃないか」 ゆみ「……あ、ああ」カアァァ 智美「ちなみにモモたちは知ってるのかー?」 ゆみ「……まあ、見られたしな」プイッ 智美「そうなのかー」ワハハ 智美(後で様子を聞いておこう)ワハハ 睦月「お疲れさま。今日はこれで終わりにしよう」 京太郎「お疲れさまでした! くそー全然勝てなかった」 桃子「あんなとこ見せられたら麻雀で勝たせるわけには行かないっすよね」 京太郎「ちくしょう、いいとこ見せたかったのになあ」 ゆみ「大丈夫。結果には出ていなかったけどよくなってるよ」 京太郎「ありがとうございます!」 智美「むっきーも部長が板についてきたなー」 睦月「いえ、まだまだ先輩たちのようには」ハァ 智美「まあ私にはゆみちんがいたからなー」ワハハ 智美「そうだ。推薦も決まったんだし、ゆみちんも手伝ってあげたらどうだ? 自分の練習も必要だろー?」 ゆみ「いや、引退した私がいては津山もみんなもやりづらいだろう」 睦月「そんなことないですよ。まだまだ教わりたいこともありますし、加治木先輩の練習の手伝いもさせてください」 ゆみ「しかし……」 佳織「えっと、加治木先輩は今も京太郎くんに教えてるんですよね?」 ゆみ「……それは、うん」チラッ 京太郎「ゆみさんも忙しいからずっとってわけじゃないですけど」 佳織「それなら私たちにも教えてくれると嬉しいです」エヘヘ ゆみ「……わかった。それならもう少しお世話になるよ」 桃子「決まりっすね!」 智美「それじゃあ私もお世話になろうかなー」ワハハ ゆみ「……蒲原の勉強を見ながらになるが、よろしく」 一同「よろしくお願いします!」 蒲原「ワハッ!?」 ………… ……… …… … ゆみ「じゃあまた明日」 京太郎「お疲れさまでしたー」 一同「さよならー」 ゆみ「さて、私たちも帰ろうか」 京太郎「はい」 ゆみ「……今日は家まで送ってもらっていいか?」 京太郎「もちろんです! というか毎日送るって言ってるじゃないですか」 ゆみ「君が大変だろう」 京太郎「そんなことないって言ってるのに……」 ゆみ「私の家がもう少し近ければ別なんだが……京太郎に無理をさせたくないという私の気持ちもわかってくれ」 京太郎「それは嬉しいですけど」 ゆみ「まあいいじゃないか。週に1回くらいは君に送ってもらってるんだから」 京太郎「……そうですね。それじゃたまにしか一緒に帰れない分、頑張って送りますよ!」 ゆみ「ああ……いや、ゆっくりでもいいぞ」 京太郎「……はい、じゃあゆっくりめで」 …… … ゆみ「――それは君らしいじゃないか」フフッ 京太郎「そんなことないですって」ムゥ 京太郎「……そういえば今日はなんで送らせてくれたんですか?」 ゆみ「うん?」 京太郎「今週は一度送ったじゃないですか。だから珍しいなって。いや嬉しいですけど」 ゆみ「ああ、なるほど。それは……その、今日君と、しただろう?」カアァァ 京太郎「? ……っ! は、はい」カアァァ ゆみ「あ、あのときはすぐモモたちが来ただろう? だからその、余韻というか、君と2人の時間が欲しかったというか……」 ゆみ「と、ともかく! だから君に送って貰いたいと思ったんだ」 京太郎「は、はい! その……俺も一緒にいたかったです」 ゆみ「そうか……嬉しい」ギュッ 京太郎「!」ドキッ ゆみ「……久々にこの状態でドキドキさせられたかな」フフッ 京太郎「くっ……今度俺がドキドキさせてリベンジしますからね!」 ゆみ(いつもさせられてるんだけどな)ギュッ 京太郎「ゆみさん?」 ゆみ「いや、楽しみにしてるよ」フッ ――加治木宅前―― 京太郎「ゆみさん、着きましたよ」 ゆみ「ああ、もう着いてしまったか」 京太郎「話してると早いですよね……やっぱり俺が毎日送りますよ!」 ゆみ「それはダメだ」 京太郎「強情ですね」グヌヌ ゆみ「それは君の方だろう」 ゆみ「……まあ、その代わりに」 京太郎「?」 ゆみ「……」コイコイ 京太郎「? はい」テクテク ゆみ「――」グッ 京太郎「えっ――!」 ゆみ「」チュッ 京太郎「」 ゆみ「…………」スッ ゆみ「……お、送ってくれたお礼だ。どう、だったかな」カアァァ 京太郎「えっと……」スッ ゆみ「うん? ――!」 京太郎「」チュッ ゆみ「!?」 京太郎「…………」フゥ 京太郎「こんな感じです」ニコッ ゆみ「ば、馬鹿か君は!?」カアァァ 京太郎「ち、違いますよ! 突然されたからよくわからなかったんでもう一度しようと……」 ゆみ「すぐやり返すやつがあるか!」 京太郎「で、でもちゃんと感触はわかりましたよ。柔らかくて……」 ゆみ「……ふぁ」カアァァ 京太郎「……や、やめましょうか」カアァァ ゆみ「あ、ああ。思った以上に恥ずかしいなこれは……」カアァァ 京太郎「それじゃそろそろ帰ります」 ゆみ「うん……なんだか寂しいな。いつもはこんなことないのに」 京太郎「俺もです」 ゆみ「……寄っていくか?」クイッ 京太郎「……ご両親いらっしゃるんですよね?」 ゆみ「母だけな」 京太郎「ま、まだ勘弁してください。心の準備が……」 ゆみ「まあそういうと思ってたよ」 京太郎「明日からはまた毎日部活で会えますね」 ゆみ「そうだな。……今度こそ全国へ行けるように鍛えるから覚悟するように」 京太郎「うっ。甘い部活生活はないんですかっ」 ゆみ「そういうのは部活の後だ」 京太郎「厳しいですね……まあ、俺も強くならないと」 ゆみ「ああ、私も頑張るから京太郎も一緒に頑張ろう」 京太郎「はい!」 ゆみ「……これからもよろしく。大好きだよ、京太郎」ニコッ カン!