約 1,461,826 件
https://w.atwiki.jp/poohjirou/pages/54.html
Ichiroの今週のTO DO Lists で編集の仕方について -- Ichiro 2005-10-25 00 39 00 Pooh二郎さん、週ごとの目標にたいして、コメントも週ごとにわけたいのですが、どうしたらいいですか? コメントがずーとつづいてしまっているのを分けたいです。 対処として2つ考えました。ひとつは23日の下に同じように#comment_num2を貼り付ける②は1次試験コメント記入ルールと同じようなやり方にする。・・・①を試して見たところ、どうしても、それまでのコメントをひぱってきてしまいます。よって、①での対処は厳しいと判断しました。よって②の方向になるのですがいかがでしょうか?wikiモードですので、ワープロモードに変更することで、顔文字等が使えます。・・・どうでしょう?・・・顔文字が使えるワープロモードに変更しておきます。もし、また不都合な点があればいってください。 -- pooh二郎 (2005-10-25 20 13 01) 「Ichiroさんの宣言!こんな感じは?」 -- pooh二郎 (2005-10-25 20 39 00) ↑enterになってしまった・・・「Ichiroさんの宣言!こんな感じは?」で、どうですか? -- pooh二郎 (2005-10-25 20 40 17) pooh二郎さん、ありがとうございます。これなら、私でも更新できます。ただ、ごらんの皆さんからのアドバイスをもらいたいので、なんとか投稿欄を挿入できないでしょうか? -- Ichiro (2005-10-26 01 05 04) さきほど①で検証した場合を「Ichiroさんの宣言!」で再現しています。みていただくと、どうしても前のコメントを呼び出してきます。また、「こんな感じ」はワープロモードなので、#comment_num2をはりつけても機能しません。よって、「こんな感じ」の方向で、1次試験のコメントルールのように、顔文字等つけてコメントを記入していただく方向で、できればお願いしたいのですが、、、、どうでしょう? -- pooh二郎 (2005-10-26 01 47 26) pooh二郎さん、「こんな感じ」の方向でAgreeです。ところで、「Ichiroさんの宣言!」のページの長さはどこまでいけるのでしょうか?つまり、情報の更新というか古いのをいつどういう風に消すか、というのを考えるのに教えてください。 -- Ichiro (2005-10-26 12 24 46) どうも、OKをいただいてよかったです。「ページの長さ」についてですが、まだ私も未経験で正直わかりませんが、限界が今のところないのではないかと思っています。現時点でのお答えとしては、Ichiroさんの感覚で更新されていかれるがよいかと思います。何か不都合な点が生じた場合は、またご連絡ください! -- pooh二郎 (2005-10-26 23 25 09) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/viperogeband/pages/38.html
あらすじ 翌日、美織に会いに行く怜梧。 美織は怜梧の顔を見るや否や取り付く島もなく去っていくが、怜梧はなんとか引き止める。 バンドへの勧誘をする前に、この前のことを謝る怜梧。しかし、美織はお前が謝る必要はないと言う。 わけがわからない怜梧に、美織はもうベースはやらないと言い切る。 怜梧は理由を問うが、当然教えてもらえない。 が、どうにも釈然としない怜梧は美織が未練たらたらの様子であることを見抜く。 そこで怜梧はとっさに、そこまで言うならもう一度お前がベースを弾きたくなるような曲を弾いてやると言い放つのであった。 『ベースって、なんだ?』 いつの話だったろうか。 確かあれは……初めての文化祭もとうに過ぎ、着々と押し寄せる秋の匂いが香り始めた頃だ。 俺と慎二郎は、まあこの時からおかしな縁により同じクラスに身を寄せていた。 後にその縁は、もはや予想通り2、3学年も適用されたわけだが。 そして、何の変哲もない平凡なある日のこと。 俺と慎二郎は机を並べて弁当をもりもり消費していた。 【慎二郎】「なぁ怜……」 【怜梧】「ん……?」 【慎二郎】「ベースって、なんだ?」 【怜梧】「なんだよ急に」 【慎二郎】「いやな、たまたま遊んでた女の子が軽音部でな、ベースがどうたら言ってたんだよ」 【怜梧】「……うん」 【慎二郎】「やっとうちの部活に救世主が出てきた!ってすっげー喜んでてなー」 【怜梧】「それで?」 【慎二郎】「で、俺はふと思ったんだ。ベースってどういう楽器なんだ?ってな」 【慎二郎】「ベースってさ、見てくれはギターと似てるもんだから違いがわかんねーんだよ」 【怜梧】「……似てるかあ?」 【慎二郎】「そりゃ多少なりとも音楽やってるお前はそう思うだろーよ。でもこれパンピーの質問だぞぉ?」 【怜梧】「お前パンピーだったの?」 【慎二郎】「今知った風に言うなよっ!!」 【怜梧】「んー……そうだなぁ……」 【慎二郎】「どうだ?」 【怜梧】「ギターと違ってベースは4弦だから……って言ってもわかりにくいよな」 【慎二郎】「わかりにくいな」 【怜梧】「……あぁあれだ。並べてみたらわかるけど、ネックが長くて……まぁ要するに、ギターより長い」 【慎二郎】「長いのか?」 【怜梧】「あとは……なんだろうな」 【慎二郎】「こう、ないのか?もっとわかりやすい……音の方とかさぁ」 【怜梧】「あぁ、低音部を司る重要なパートで……」 【慎二郎】「…………」 【怜梧】「ほら、ギターってさ、ぎゅいいいーーーん!!じゃん」 【慎二郎】「おお!そうだな。ぎゅいいいーーーんピロピロソーファーラウェイ!だ」 【怜梧】「うるせえよエレファントノイズ」 【慎二郎】「で、ベースはどうなんだ?」 【怜梧】「……べん」 【慎二郎】「べん?」 【怜梧】「ほら、べんべんぼぼんぶぉぉぉぉんだ」 【慎二郎】「べんべんぼぼ……なんだって?」 【怜梧】「べんべん…………いや、なんでもない」 【慎二郎】「んーまだわかんねぇな」 【怜梧】「ったくどう説明すりゃいいやら……」 【慎二郎】「ま、説明しにくいってもんなのはわかったさ。無理して頭捻らなくてもいいんだぜ?」 【怜梧】「…………」 【怜梧】「いや…………」 【慎二郎】「……怜?」 ああなんだ。簡単じゃないか。 バンドにおける、ベースの意義。 それを説明するのに、今この状況で最も適したもの。 【怜梧】「―――それだよ」 そして、俺は指差した。 慎二郎の持つ……”それ”に。 【慎二郎】「……はぁ?」 ぽかんとする慎二郎の手には、まだ半分も食べていないフレンチトーストが、ほのかに甘い香りを漂わせていた。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/15176.html
登録日:2011/02/23(水) 20 46 11 更新日:2024/08/13 Tue 14 12 51 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 「○○しなかったから今のナシ」 モラル不足の現代を象徴する現象 ルール ルールと言う名の暴力 ローカルルール 俺のシマじゃノーカンだから 大富豪 大貧民 暗黙の了解 理不尽 筒返し 缶蹴り 見えない敵 言い出したモン勝ち 鬱 「ローカルルール」には大きく2種類ある。 まず、地方独自の「条例」や習慣、しきたりのようなもの。 次に、ゲームなどで用いる独自のルール。 前者においては法律や通常のモラルをブッちぎったようなものもあり、 問題になることも多い。 有名な例としては山梨県独自の交通における暗黙のルールなどがある。 山梨の一部では、「右折する車が優先される」という暗黙のルールがあり、 これが事故を産む、と問題になっている。 (山梨では右折専用のレーンが少ないという噂が原因になっている) このように、法律で認められていない行為まで「暗黙」の名のもとに慣例化されているケースも少なくない。 法治国家である日本では優先されるべきはやはり「法」であり、「暗黙」ではないのだ。 ●ゲームなどにおけるローカルルール そのほとんどが公式で用いない、地方や団体、仲間内同士で決めたルールをローカルルールと言う。 生まれるきっかけも様々であるが、たいていの場合が「より面白くするための工夫」か「公平化」を図るために作られる。 麻雀や、トランプゲームの「大富豪」、UNO、缶蹴り、ジャンケンなどにとりわけ多くみられ、 まだ情報源の少なかった時代には、 ローカルルールしか知らずに他地方に渡り、実際のルールを知り驚くと言うケースもよく見られた。 複数の地域で見られるローカルルールもあるが、 仲間内単位、特にこども達の間で用いられるローカルルールには、 いじめに繋がる、またはそのルールそのものがいじめであるケースも多く、問題になっている。 こども独自のローカルルールはたいて言い出した者が有利に仕上がっていることが多い。 ※あくまでローカルルールであるために見識に差がある場合があります ◇大富豪でよく見られるローカルルール おそらくローカルルールと聞いて大半の人が思い浮かべるであろうカードゲーム。 驚くべき事に あなたが目にするルールのほとんどがローカルルールである。 詳しくは個別項目にて。 ◇缶蹴りでよく見られるローカルルール 掛け声 鬼が缶を踏む際に特定の掛け声が必要な場合がある。 通常は「○○見っけ!」くらいだが、その後に「ポコペン」「123(複数回踏む)」等。 数年前にブームが再燃(昭和ブーム)した際はなぜか掛け声が「ペコポン」に微妙な変化を起こしていた。 使用する缶 通常はジュースなどのスチール缶を使用するが、 場合によってはポリ容器や一斗缶を用いる。 なお、一斗缶は蹴ると非常にやかましい。 ◇その他、奇天烈なローカルルール(追記推奨) じゃんけん『グーパン』 どんな些細なじゃんけんであっても(例えばおやつの残り1コのとりあい等)、負けた方がグーパンチを食らうと言う理不尽極まりないルール。 おそらく「あっち向いてホイ」感覚。 「しっぺ」「でこピン」等も。 みそっかすルール ドッジボールなど敗退=退場の要素を含むゲームによく見られるルール。 例えばドッジボールなら弾をヒットされても退場扱いにならない。 一番弱い者に適用される救済ルールに見えるが、 正確に言えば「無敵になれる」と言うより弱すぎて無害であるから「みそっかすを許される」のである。 ゲームに参加しているようで、実質いない扱いと同義となる。 その反面「ルールを理解できない可能性があるほど年齢の低い子、例えば正規ルールで遊ぶメンバーの弟・妹を曲がりなりにも参加できるようにしたものではないか」「現代で言う知的障害や重度発達障害の子への対応として発生したものではないか」と考察されることもあり、こちらならばむしろ子供なりに全員が楽しめるように作られたものということになる。 麻雀『写し満貫』『鏡満貫』 流局の際、捨て牌が最初から最後まで親とまったく同じだったらマンガン扱いと言う奇天烈なルール。 そんなバカな…と言いたいが、ネット麻雀・麻雀ソフトで有無が選べたりすることがあるなど、ローカル役としては比較的広まっている部類。 鬼ごっこ、缶蹴り『帰る』 ルールと言うより、よくあるいじめ。 対象者が鬼のとき、探している間に皆で帰る。 ちなみに『世にも奇妙な物語』には、缶蹴り中に置いて行かれ亡くなった子供が怨霊となり数年後に復讐する話がある。 バスケ『トラベリングなし』 トラベリングとはボールを持って3歩を超えた歩くこと。 この制限を無くしたルール。 体育の時間に「みそっかす」的な扱いの者に与えられたりする。 ボールの保持歩行が完全に解禁されると半ばラグビー式になりかねないので、「少しは見逃すけれど歩きすぎたら笛を吹く」などの匙加減が採用されやすい。 バスケ自体、瞬間の行動を厳密にレフェリングするのが部活動・ストバスを多少経験した程度では難しい競技なので、 児童/生徒や、そんなに詳しくない教師が務める審判側のハードルを下げる配慮を兼ねたケースも少なくない。 野球拳『脱ぐ』 そもそも本来の野球拳は脱いだりしないもの。 酒の席などで野球拳と称して脱ぐことを強制するのは違法である。同性であっても。 挟み将棋『角』 挟み将棋なのにまさかの角が登場。 ハンデとしてはいいかも知れないが、強力すぎる気も。 高級料亭、芸妓『一見さんお断り』 いわゆる紹介制。トラブル…というかクレーマー気質の客回避とする説もあるがこれも不詳で、ミシュランガイド京都版初版のようにこのシステム自体が揉め事の発端となってしまったケースも存在する。 ♪いつの日かいつの日か… TCG『みなし裁定・独自裁定』 かつての遊戯王OCGのように「裁定そのものがわかりにくい・公式の裁定をほぼ確認できない」場合、子供たちのコミュニティ、果ては対戦スペースがあるカードショップの内で事実上「わからないので便宜上こう裁定する」が決まっているケースはある。先行第1ターンにドローを認めるかどうかもある意味これか(*1)。 《ポールポジション》のように、事実上こういったみなし裁定での扱いで実用性がゼロになりうる(*2)デッキが考案されたケースも存在する。 エロ関係(成年誌、エロゲ・エロアニメなど) 「~したら脱ぐ」など明らかなものが多い。部活物だと凌辱色が強くなる。 地域伝統の祭事、地域活動 地域によっては祭やイベントごとに強制参加を強いる場合がある。 地域ごとにそれぞれ特有のルールがあることは珍しくないが、人間にはそれぞれの生活があり、 祭やイベントは勿論、地域の清掃や会合に至るまで「所属」や「参加」を強制することはできないのが基本。 しかし田舎には「この町に住んでいるからには参加して当然」と言う意識が根付いていることがあり、それが「強制参加」にまでなることがあるのだ。 それを断るなどすると、最悪の場合「村八分」状態にまで追い込まれることも珍しくない。 一部の「地域活動」については条例などで義務付けられている場合があるが、だいたいの場合は「出来うる限り」が原則である。 あれ(手遊び) ルールどころかゲームの呼称すらローカルな例。 項目参照。 ◇番外:公式⇔ローカル?(追記推奨) 黒ひげ危機一発『飛ばした者が勝ち/負け』 タカラトミーの長寿シリーズ玩具。 1975年の発売当時は「飛ばした者が勝ち」と商品に明記されていた。(これにもトミー開発部内での紆余曲折が伝わっている。) 「敵に捕まってしまった仲間を助けるゲーム」というコンセプトを謳っていたためである。 ところがTV番組等で採用された際、「飛ばした者に罰則」というローカルルールで運用され、そのイメージが巷で定着してしまった。 この事態に公式側も「勝敗は自由に決めてほしい」という姿勢に変わったが、世の大勢は「飛ばした者が負け」に偏っていき、90年代にはそちらを公式化するに至った。 ゲーム(スポーツ)のルールも商品の一部であり、市井・市場により変化するものとして捉えられる事例と言える。 追記・修正のローカルルール 追記修正は全裸で行わなければならない △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] TCGでは大会に出ない友人だけの集まりで公式の裁定とは違う解釈をしたり、そもそもルールが違ってるパターンのローカルルールもある。 -- 名無しさん (2014-06-10 21 39 27) FPSじゃSG使うなとか芋砂するなとか言うやつ多いけど、それはローカルルールじゃないんだよねー。 そういうのって何て言うんだろう。 -- 名無しさん (2014-11-16 10 05 28) ウノでいう、英語カード上がり禁止ってところか? -- 名無しさん (2015-10-28 12 03 37) 大学で友達と大富豪した時、ローカルルールの多さに唖然とした。 なんだよ8切り、イレブンバックって…… -- 名無しさん (2016-04-04 23 22 27) ↑大富豪、大貧民はローカルルールの塊なので、最初のルール確認は必須。うちのところやゲーム作品だとその二つのルールはデフォだから違和感ないけど、7渡しの存在をゲームの途中で知った時はかなり焦った。革命戦術で勝ったけど…… -- 名無しさん (2017-10-08 11 47 37) 馬術大会とばんえい競馬はローカルルールが多すぎてどこからが公式ルールなのか分からない。 -- 名無しさん (2017-10-08 16 00 46) 大富豪のローカルルールは項目参照で良いと思うし、個別項目の方に詳しく書かれてたので削りました。あと気になったのが「地域伝統の祭事・地域活動」のとこ。コレはローカルルールとは呼ばないし、異論がなければ削除しようと思う。 -- 名無しさん (2018-06-30 23 05 20) ↑ついでに鬼ごっこで帰ると一見さんお断りも消したほうがいい。なんかローカルルール=いじめという認識で描いてるっぽいけど違うし、一見さん云々はとてつもなく愚痴吐きにしか見えない。そもそもタグもひどい。掲示板でのルールみたいなのにもローカルルールという単語を使ってるのになんでこんなひどいタグを付けるかもわからん -- 名無しさん (2018-07-01 00 47 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yashiki/
屋敷亭とは? ソード・ワールド2.0(SW2.0)を好きなレベルで遊ぼうぜ!というコンセプトのもとに建てられました。 基本的にはGMが指定した経験点、所持金でキャラクターを新規作成してセッション/キャンペーンを行います。 現在、ハウスルール等の考案・試行中です・・・ 変更点がある場合もありますのでご了承ください。 屋敷亭の設定 活動場所 主にどどんとふ。但し雑談やチャット・前準備などはIRCを使用。 サーバー :irc.livedoor.ne.jp (Wide系) チャンネル:#屋敷亭 参加してみたい! PL参加 SW2.0を数回プレイしたことがあり、大体の進行を理解していないと高レベルキャラクターは扱いにくいです。 余りプレイに自信がない方や、経験を積みたい方は一期一会亭をおすすめします。 このルールを採用しているGMを見つけて参加を表明してみましょう。 参加の場合は、 GMが提示している経験点程度の持ち込みキャラクター GMが提示した経験点/所持金で新規作成したキャラクター のどちらかを満たすキャラクターを使用してください。 なお、キャラクターはキャラクター保管所より作製すると簡単です。 IRCでのセッション←IRCでのセッションを行う場合の注意事項です。 例:TRGSNSの日記で屋敷亭の設定/ルールを使って居る卓に参加する。 例:IRCの#屋敷亭や姉妹サークルで屋敷亭の設定を使う募集に参加する。 なお、一見さんは誰かしら居る時間帯(主に20 00~24 00)にお越しください。 GM参加 まず、このWikiに目を通してください。 募集の際には以下の事項を普段の募集と別に記述してください。 経験点 所持金 このWikiのURL(http //www52.atwiki.jp/yashiki/) それぞれの目安はこちら 姉妹・提携サークル 一期一会亭 (Master dj_keso 氏) Lv1-4で参加可能。他セッションで使用したキャラクターも使用可能。単発セッションで、キャラの成長を応援。 風来亭(Master 晶桜 氏) Lv5-9で参加可能。蛮族PCを使いたい方はこちら。ストーリーのある単発セッションが魅力。ミニゲームも提供。 この亭を運営してる人たち x.maho(IRC xmaho) 設立者。読みは「エクマホ」です。 IRCで"xmaho_AFK"や"xmaho_SLLEPING"の時は離席中や、睡眠中です。 クロネコ(IRC BCats_neko または kuronekoBC) サブ管理人。 アクセスカウンタ 今日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/firaball/
@チームファイラボール(荻窪)へようこそ ファイラボールはMOを中心に活動する非営利団体です。 今のところ構成員は、以下の5人のようです。 浅田バオ 瀬畑太郎 ジョホールバル gg メテオ このサイトは大体誰でも編集できます。皆自由にやってねミ☆ ChannelFiraball is the free website for Magic The Gathering niconama broadcast. Our site also features Magic strategy content by the best players in the game today including both asadabao, Tarou Sebata, Johovall and gg. Check out the best strategy videos and articles for free! 二郎!二郎!二郎ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!二郎二郎二郎ぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!二郎・小豚たんのド乳化小麦ふわとろの極太麺をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!麺麺モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! 仙川の二郎たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 仙台店オープンして良かったね山田拓美たん!あぁあああああ!かわいい!二郎たん!かわいい!あっああぁああ! ニコ生店もオープンして嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!ニコ生なんて現実じゃない!!!!あ…荻窪もGG支店もよく考えたら… 二郎ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ロアイアムロットレジェンドぉおおおお!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?三田本店の山田拓美ちゃんが僕を見てる? 荻窪の二郎ちゃんも僕を見てるぞ!二郎ちゃんが僕を見てるぞ!仙川の二郎ちゃんが僕を見てるぞ!! 神保町の二郎ちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕には二郎ちゃんがいる!!やったよハリケーンウルフ!!ひとりでロットファイト!!! 仙台の二郎ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! フォッフッォフフフォカゲボォォォォォォオオリジン弁当様ぁあ!!シ、シエスター!!ジョホールバル!!!ミ⊃^ω^)バオバオっ!! ううっうぅうう!!俺の想いよ二郎へ届け!!三田本店の山田拓美へ届け!
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/5051.html
ルクセンブルクの郊外。 二人の男が殴り合いをしていた。 その傍らには何人かの遺体が転がっている。 その戦いはもう終焉を迎えようとしていた。 「……うおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!! コォクスクリュゥゥ式ィィィッ!! アァァァンッ!! 拳(パンチ)ッッ!!!」 アンパン顔の男の黴菌顔の男の腹部を殴る。 黴菌顔の男の口から血が飛び出してくる。 「馬鹿な……お前は正義の味方なんじゃ……何故殺し合いに乗った!!」 「……二郎だ、僕は二郎が食べたいだけなんだ」 「何、貴様は俺様と同じジロリアン十二神将の一人だった筈だっただろ!!」 「関係ないさ……僕は二郎を食うだけだ、どんな犠牲を払ってでもな!」 アンパン顔の男の手には二郎の丼があった。 中身は『全盛り』の二郎である。先程とある少女達が持っていた二郎だ。 それをアンパン顔の男が適当に殺して奪ったのだ。 その光景を見て、黴菌顔の男はマジ切れしたのだが、駄目だった。 「やめろ! それ以上食ったら、お前の餡子と二郎のカネシが化学反応を起こして爆発するぞ!? ジャムの親父さんも……二郎は一日二回までにしておけって言っていただろ!!」 「いい台詞だ、感動的だな……だが、無意味だ」 「うっ!」 再び腹パン(コークスクリュー)が決まる。 黴菌顔の男は再び吐血し、もう二度と動かなくなった。 「……頂きます」 そして、アンパン顔の男が二郎に口を付けた瞬間だった。 ――――凄まじいまでの爆発音と閃光が辺りを包み込んだ。 本当に爆発したのだ。 そして、ルクセンブルクはアンパンの炎に包まれた。 黴菌顔の男は嘘など言っていなかったのだ。 共に高みを目指す宿敵(とも)として、アンパン顔の男を止めたかった。 だが、ご覧の有様だよ!! 【二日目・21時00分/ルクセンブルク】 【アンパンマン@それいけ!アンパンマン 死亡】※ジロリアン十二神将の一人でした。 死因:ジャムおじさんの陰謀 【バイキンマン@それいけ!アンパンマン 死亡】※ジロリアン十二神将の一人でした。 死因:コークスクリュー式アンパンチ 【黒神めだか@めだかボックス 死亡】 死因:デンプシーロール式アンパンチ 【人吉善吉@めだかボックス 死亡】 死因:アンパンマンの膝によるアンパンチ 【不知火半袖@めだかボックス 死亡】 死因:アンパンチ・零
https://w.atwiki.jp/gedotaxi/pages/39.html
米俵 スグル ニンニク、入れますか? 米俵スグル(こめだわら‐)は、西武警察署捜査一課所属(未完成作品で、鷹勇次が上司と判明するため)の警察官。階級は巡査。担当地区は、行きつけの二郎や映る電柱などから、中野区江原町から池袋近辺にかけてと思われる。「ラーメン二郎」の提供する麺類「二郎」を食べることで「二郎仮面」という怪人ヒーローに変身する能力を持っており、都内だけで千人を超えるというヒーローの一人として、街の平和を守っている。初登場は『SH2 -The Snow Hiding 2-』。変身後の二郎仮面は数作品かけて存在を匂わせ、『みんなのヒーロー二郎仮面』にてようやく登場を果たした。 注意:以降の記述には米俵スグルに関するネタバレが含まれます。 略歴 ヒーローとして活躍していたころの影山剣に憧れ、警察官を志す。しかし判定は芳しくなく、周囲からは「受かったら警察の不祥事」と言われるほど。そんな時、番組打ち切りによって傷心中の影山(無職)に出会い、ヒーローとして再起するきっかけを与える。時は流れ、なんと無事警察官になった彼は、ニケ・マダイーニの逮捕を担当。同僚の荒矢断共々返り討ちにあい、逃亡を許してしまったものの、鱈場蟹了によって倒されたマダイーニを今度は逮捕に成功する。前後関係は不明だが、「二郎仮面」への変身能力を得ており、憧れだったヒーローの一人として活動を開始。ピーターやレオン・G・マクイーンと交戦し、一度は死の淵をさまうことなどもあったが、二郎仮面の父の助けを受けてパワーアップを果たして凱旋。みごとわるいやつらを懲らしめ、街の平和を守った。あと、どこかでサンタにボコられたりした。 人物 ヒーローを夢見ていただけあって正義感はそれなりにあるようで、進んで街の平和を守ろうとはしており、ダメージもいとわず戦い、お腹を空かせた人にも親切に二郎をふるまう。が、変身に時間がかかり被害者を助けるのが大幅に遅れる時であっても「ま、しょうがないよね!」とバッサリ切り捨てるマイペースかつ適当な性格。その性格は勤務態度にも表れており、パトロールにかこつけて開店前の二郎に並びに行くなど、税金泥棒な一面もある(ただし、同僚であろう越前京子の蛮行と比べれば、被害者が出ない分可愛いものであるし、後述するように遠方の悲鳴を聞きつける能力を持っているため、いつでも変身して駆けつけられる準備をしていると好意的に解釈することもできる)。また、基本的に私服警官であり、高倉蜂とまるで散歩のようなのんびりとしたパトロールを行っていることから、もしかすると特に招集や命令の無い限り、西武署の日常の活動は任意なのかもしれない。 二郎仮面は一部の子供達や、彼のことをよく知らない人からは不審者がられたり、あまつさえ怪人扱いされることもあるが、地道な活動が実を結び、実際に助けられた人からは「すごく強くてカッコイイ」と絶大な支持を得ている他、一時期居なくなっていた間は「いつ帰ってくるの」とファンの子供が毎日泣くほどの人気ぶりである。 見た目通りオタク趣味があるようで、キチ○イになった際に「(らき☆すたの)こなたと結婚したい。脇の下を舐めたい。髪の毛の匂いを嗅ぎたい」などとうわ言を言っていた他、サンタクルス・ライバックに「みなみけのDVD」をねだったりしていた。ニコニコ動画やyoutube、アメーバピグも良く観ているとのこと。 逸話 初登場時には語尾に「~だプー」とつけていたが、上司に怒られたので止めたらしい。 ハシコフ・ロジンスキーにも一瞬だけ登場しており、高倉と連れションをしている。 月に千杯もの二郎を食べている。一日に30杯以上、鍋二郎を駆使しても睡眠時間を引くと約30分に1杯という驚異的なペースと、月に60万円以上を費やす財力が必要になるが、「変身のために食したばかりにも関わらず、戦闘後すぐに二郎を食べに向かう」「食後に歩いていたところに影山剣に出会ったのに、少し話をしただけですぐ腹の虫が鳴き二郎へ向かう」など、ペースとしてはほぼその通り描写されている。また、若き日の財源は定かではないが、現在は殉職率の非常に高い危険な西武警察署捜査一課所属であるため、ある程度高額の給与が支給されているとみられる他、変身前の彼の身体能力で西武警察に配属されるとは考えづらく、二郎仮面に変身する能力を上層部が把握している可能性は高い。もしそうであれば、変身のための二郎の代金はある程度公費から支給されているということも考えられる。 ラーメン二郎に警察手帳を置き忘れたうっかりおまわりさんがニュースになったことがあるが、99%彼であると思われる。豊島区と表示されていたので、池袋店か。ラーメン二郎で警察手帳を出す必要性を考えても、やはり身分を明かして無償提供を受けているか、経費で落としている可能性は高い。 bladeへのリクエストから、『Edge Of The Blade SPECIAL』当時は東京都練馬区在住だったことが分かっている。現在も二郎仮面への変身には主に池袋店やひばりヶ丘店を利用しているため、西武池袋線沿線に住んでいると思われるが、ひばりヶ丘店まで一時間程度かかるとのことから、おそらく仕事上の担当地域は駅から少々離れている。 「二郎の場所」として、真っ先に「江古田」を挙げており、長編シリーズ世界には我々の世界にはない「ラーメン二郎 江古田店」が存在するとみられる。普段池袋店を利用しているならば次に近いのは江古田店であるはずのところを、定休時の代替店舗としてわざわざ一時間もかかるひばりヶ丘店を挙げていることから、この江古田店の定休日は池袋店と重なっているか、もしくはど○と屋のように臨時休業が非常に多く変身用としては信頼性に欠ける店舗であると思われる。若き日の米俵スグルは臨休を非常に恐れており、その点でも変身時の江古田店敬遠の理由は臨休の多さではないかという疑惑が深まる。 キチ○イになった際、「キラーオークションなんか一生完成しねぇよwwww」とうわ言を言っているが、撮影から公開まで5年も経った現在、予言は現実のものとなってしまった。あなざちん完成マダー? なお、最近編集が再開されたもよう。 能力 「二郎」を食べることで「二郎仮面」という黄色いスーツに覆面姿、大きなサングラスをかけた、某昭和の有名ヒーローを黄色くして横に伸ばしたようなヒーローに変身することが出来る。変身プロセスは本編では描写されておらず、本編公開前にmixiにてアップロードされた動画に収められているのみ。変身コードは「ブラブラアブラカラカラカラメヤサイドカモリニンニク」という呪文を二度繰り返した後「チェンジ 二郎仮面!」と叫ぶ。 変身後は「二郎」のようなどんぶり姿で「ブラブラアブラカラカラカラメヤサイドカモリニンニク」の呪文とともに戦う現場に飛来(仮面ラ○ダーメ○オのような感じ)し、閃光を放ち実態を現す。また、戦闘後は二郎仮面の姿のまま飛び去っており、飛行能力も有している。 遠方で助けを求めている声を聴き取ることが出来る。この能力と上記の飛来能力が組み合わさることで、迅速な救助活動が可能となる。ぶっちゃけ直接目撃してから二郎を食べに向かうより早い。 二郎仮面に変身中はどこからともなく二郎を取り出すことが出来るようであり、ニンニクなどのオプションも自由自在。お腹を空かせた人々にふるまっている。 ラーメン二郎三田本店で「本当の二郎」を食べることにより、「二郎仮面 三田本店モード」に変身することが出来る。こちらは技も身体能力も全てがパワーアップしている。 彼の力の源は、二郎に含まれるニンニクから得られる「ニンニクパワー」。弱点として、ファブリーズなどの消臭スプレーを吹きかけられると、この力が失われてしまう。「三田本店モード」の場合は、その程度では無力化されない(ただし、この時使用されたスプレーはファブリーズではなくリセッシュであったため、スプレーの性能による違いだった可能性も否定できない)。 必殺技・得意技 二郎仮面 支店モード(仮称)時 アブラキック 「あっち向いてホイ」で相手を横に向かせることよって隙を作った後にキックを叩きこむ。そのため、まずじゃんけんに勝利出来なければ発動出来ず、さらに負けてしまった場合逆に自分が攻撃されるというリスクの大きい技。また、複数人が相手だと使いづらい。 ニンニクブレス 口から放たれる、強い悪臭を伴った黄色い可燃性のガス。通常はとても耐えることが出来ず逃走を強いられるが、毒性があるわけではないので、事前にニンニクの臭いに慣れておけば対抗出来る。先述の通り可燃性であるため、相手が発火を伴う技を使用した場合は引火して大爆発が起き、必殺の一撃となる。 カラメパンチ ただのパンチのような見た目だが、装着重甲状態のレオンに一定のダメージを与えており、思いの外威力は高いらしい。 ヤサイ体当たり 見た目、ただの体当たり。レオンにあっさりかわされており劇中では不発のため、その威力のほどは不明だが、多分たいしたことはないだろう。 二郎仮面 三田本店モード時 まるで中の人が変わったかのような俊敏さ(スーツアクター:中澤まさとも)と、何倍にも強化された各必殺技を手に入れた、二郎仮面のパワーアップ形態。変身前に食べる二郎を、三田本店の「本当の二郎」にすることで変身可能となる。 ニンニクブレス・タイフーン 巨大な竜巻を発生させ、敵を巻き上げ遥か彼方に吹きとばしてしまう技。もちろん悪臭も伴っているようだが、もはやそんなの関係ない。 ヤサイ体当たり・ハリケーン 某悪魔の猛牛のようなアフロと角を生やして敵に突っ込んでいく。ちなみに、この時とるポーズは(少々異なっているが)某百獣戦隊の鋼の猛牛のもの。猛牛繋がりで仕込んでくるとは、スーツアクター:中澤まさとものこだわりが光る。 じゃんけんぽん あっち向いてウィー!!! アブラキックの一部であった「あっち向いてホイ」のくだりが独立。まずじゃんけんにおける最強の禁じ手「スタン・ハンセン(親指・人指し指・小指を立て、中指・薬指を折った形。この手の前では、グーもチョキもパーもただ蹴散らされるのみ)」によりじゃんけんに確実に勝利した後、「あっち向いてウィー!!!」の掛け声とともにウエスタン・ラリアットをぶちかます。 アブラキック 唯一名前がパワーアップしていない、かわいそうなキック。ただし性能はかなり向上しており、「あっち向いてホイ」は必要とせず、遠距離から脚をあげたポーズをとるだけで、敵の方が吸い寄せられて勝手にキックが決まるという、まるで馬場さんの十六文キックのような強力な技となっている。 麺固キック ドロップキックのような、両脚で行うジャンプキック。これのみ、支店モード(仮称)での下位技が劇中では披露されていない。カラメパンチ・アパカーッに繋がるコンボの最初の一手として使用された。 カラメパンチ・アパカーッ カラメパンチを途中でキャンセルし、カラメアッパーに切り替える連携技。いわゆるキャンセル技であるため、カラメパンチの戻りのモーションが確認できず、続くカラメアッパーを回避するのは非常に困難。 全マシドロップ 高く飛び上がり、何度も「マシ」のコールを繰り返してパワーを溜め、どっさりと盛られた巨大な二郎ラーメンの姿に変身し、相手を爆発とともに押しつぶす攻撃。名前からしておそらく三田本店モードの最強の必殺技であり、実際にレオンへのトドメとして使用した。 登場作品 SH2 -The Snow Hiding 2- ハシコフ・ロジンスキー Edge Of The Blade SPECIAL 沈黙の聖鐘 みんなのヒーロー二郎仮面 関係キャラクター 高倉蜂(ともだち) 荒猪都也(助けたびんぼうにん) 荒矢断(同僚) 鷹勇次(上司) ニケ・マダイーニ(逮捕) サンタクルス・ライバック(ボコボコにされた) レオン・G・マクイーン(交戦したらんぼうもの) ピーター(交戦したろくでなし) 二郎仮面の父(???) 影山剣(しつぎょう しても くじけずに まけないで!)
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/27.html
失恋第六番 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)何誰《どなた》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)田|父子《おやこ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「目+旬」、第3水準1-88-80] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] 「東邦合成樹脂の連絡課でいらっしゃいますか」 「はい、さようでございます」 「恐れいりますが課長の千田さんをお願い致します、こちらは楠田と申します」 「何誰《どなた》さまですか」秘書の宮田俊子嬢はちらと空っぽの課長席を見る、「もしもし、貴女《あなた》は何誰さまでいらっしゃいますか」 「楠田と申しますの、マクスエルの楠田と仰《おっ》しゃって下さればわかりますわ」 「少々お待ち下さいまし」秘書はすぐに了解し、顰《しか》め面をする。銀座のマクスエルという店のレジスターに可愛い娘《こ》がいて、課長が近頃ねつ[#「ねつ」に傍点]をあげているということを、――なにほどの事やあらん、秘書は手帛《ハンカチ》で鼻を掩《おお》い、作り声のバスでこう答える、「――ああ千田です、千田二郎です、何誰ですかな、ごほんごほん、なに、ええよく聞えんですがな、くすだ、はあ、……まり子さん、はて知らんね、ごほん、人違いじゃね、此の頃よくこういう電話が掛って来るが、誰かわしの名を騙《かた》って婦女を誘惑する者があるんじゃね、ごほん、先週なぞは赤坊を抱いた婦人が泣込んで来たくらいじゃ、わしはすぐに警察へゆけと教えたがね、貴女もそいつに騙《だま》されたんじゃろ、ふむ、――うむ、いやそんな精神だから色魔にひっかかるんじゃ、ごほん、きっぱりと手を切りなさい、さもないと酷《ひど》いめにあいますぞ」 扉を明けて千田二郎が入って来た。宮田秘書は慌てる、急いで会話を結ばなければならない、「――とにかくそんな訳ですから、こちらも調査をするが貴女も注意して下さい、では」受話器を措くとすぐ印字機《タイプライター》に向う。二郎は秘書の奇怪な声に吃驚《びっくり》して、立ったまま眤《じっ》とこっちを瞶《みつ》めている、秘書はキイを叩きながらにっ[#「にっ」に傍点]とあいそ笑いをし、そら咳《ぜき》をする。 「いま喉《のど》へ蝶々がとび込み、いいえ蝶々じゃございませんわ、こほん、蚊でございますわ、喉へ蚊がとび込んだんですの、こほん」 「メンソレでも塗るんだねすぐに」二郎は安心して椅子へ掛ける、「もう蚊が出るのかね、僕に電話が掛って来なかったかい」 「こほん、こほん、喉の中へ、電話はございません、メンソレは塗れませんわ、社長さまはどんな御用でしたの」 「竺葉《じくよう》で晩飯を喰べるんだってさ、今夜六時からね、おふくろも一緒だってよ」二郎は時計を見る、四時十分前である、「僕は約束があるんだ、電話が掛って来る筈なんでね、三時半頃には間違いなくって約束なんだ」 秘書は打ち終った紙を抜き、呼鈴を押し、前に打った物と重ねて揃《そろ》える、それから机の上を手早く片付け、印字機の蓋をし鍵《かぎ》を掛ける。給仕が入って来ると揃えてあった書類を渡してやり、椅子から立つ。 「ではわたくし今日はお先に帰らせて頂きます、これが金庫の鍵、こちらが仕切室《ブース》の鍵でございますから、ここへお置き致します」 そして外套《がいとう》と帽子を取る。二郎は珍しそうに眺めている、外套も帽子も流行おくれの型だし恐ろしく地味な色だ、身に着けると五つも老けてみえる、おまけに抱えた鞄《かばん》は古ぼけて黒い男持ちのような品である。二郎は我知らず自分の鼻を摘んで捻《ひね》る。 「ふむ、外套に、帽子に、鞄か、――然しあんまり外套であり帽子であり鞄であり過ぎるじゃないか、そいつは犬儒派か急進思想だよ」 「電話をお待ちになるのでしたら応接室へいらっしゃいませ」宮田嬢はこう言いながら扉を明ける、「四時限りで交換台は閉りますから、ではお先にごめんあそばせ」 二郎は応接室へ移って待つ。隣りが宿直室で時間過ぎの電話はそこだけにしか通じない、社員たちが去り、掃除婦が椅子をがたがたさせ始めた。二郎は煙草に火をつける、四時十五分、脚を組んで反る。待つのはお手のものだ、なにしろ固い約束がしてあるんだから、――然し四時四十分、彼は立って外套を着る。 午後五時、彼は人混みの数寄屋橋を渡っている。五分後、洋菓子喫茶店マクスエルの扉を明ける、レジスターは別の少女である。彼は混雑している店内を見やり、レジスターへいって訊《たず》ねる、少女は婦人客に釣銭を渡しながら「楠田さんはお休みでございます」と答える。二郎はすぐに外へ出る。どうも訳がわからない、ランデヴーというと定《きま》ってこれだ。ぼんやり銀座へ出て、尾張町の交岐点を越す、向うの街角で群衆が騒いでいる、わっと崩れたち、武装警官の走ってゆくのが見える。 「銀行ギャングだそうだ」こんな話をしながらゆく者がいる、「丸ノ内の三昌銀行で、五十万円の札束を」「拳銃をばんばん射って」「五人組だとさ」「こっちへ一人追い込んだそうだ」こんな断片が聞えた。 時間はまだ早い。彼は三原橋を渡って右へ曲る、倶楽部《クラブ》でジン・カクテルでも一杯やってゆこう、料飲停止とあれば恐らく酒は出まいから、――が樹緑ビルの酒神《バッカス》倶楽部は扉が固く閉って、誰のいるけはいもなかった。 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] 六時十五分、竺葉の座敷に千田|父子《おやこ》が対座している。鰻《うなぎ》料理で名高いこの家は、戦後に建てたにしては凝った数寄屋造りで、周囲にぐるっと黒板|塀《べい》が廻してあり、庭も念入りに出来ている。――仁一郎氏は頭の毛が白い、然し眉毛と口髭《くちひげ》は黒い、二郎によく似たなかなかの好男子である。卓子《テーブル》の上にはグラスが二つ、昔なつかしい銀の大型のポットを置いて、すばらしい香気のある琥珀《こはく》色の酒を注いでは飲む。父子とも余り饒舌《しゃべ》らない、話はいわゆる「白文」で、頗《すこぶ》る飛躍的であり、まったく友達同志のようである。 「もう早くはなかろう、二郎、おまえ貰わないか、嫁をさ」 「そうだな、悪くはないが、もう二十分過ぎだよ、遅いじゃないか、おふくろは」 「遅くはないさ、おい、話をそらすな」 「僕はいいけれど、先方が災難だろう」 「それに就いてはキケロが言ってる、いやキケロといえば聞いて置きたい事があるんだが、どうも解せないんだがね、この頃、なにか有るのかい、おふくろが心配しているぜ、二郎」 「嫁だって心配するさ、貰えばね、六時半じゃないか、飯にしないかね」 「はぐらかすなよ、なにか有るんだろう」 「すぐわかるさ、大した事じゃない」二郎は暢《のん》びりと立上る、「手洗いはどっちかね」 廊下を曲っていって突当る。窓から見える街に灯が点《つ》いている、植込の女竹の葉に風がわたり、空はいちめんの星だ。――戻ってみると母親が来ている。若い着飾った日本髪の娘が母親の脇に俯向《うつむ》いて座っている。 「遅くなって御免なさいよ二郎さん、美容院で時間を取っちまったもんだから、それに車をみつけていたのでよけい暇を潰《つぶ》しちゃったのよ、これなら歩いて来ればよかったわ、ねえ」 伴《つ》れのほうへ振返る、娘は「ええ」と頷《うなず》くが顔は上げない。女中が喰べ物を運び始める、おふくろは独りで饒舌る、仁一郎氏はさっそく箸《はし》を取り、二郎はまだグラスを放さない、時どきじろっと親父の顔を見る、――へんな真似をするなよと云いたい訳だ、親父はそ知らぬ顔で鰻をつついている。おふくろは娘に喰べ物を勧めながら、近頃の美容師が日本髪を結う恰好はうどん屋が棹《さお》へうどんを干すようだ、などわからないことを云っている。 「なんだ、――」二郎がとつぜん眼を瞠《みは》る、「どこかで見たようだと思った、君かい」 娘が顔をあげる、宮田俊子嬢である。 「君かいって、二郎さん」母親が吃驚してこちらを見る、「貴方《あなた》いままで気がつかなかったんですか」 親父が失笑《ふきだ》した。俊子嬢も赤くなって笑う、おふくろは最後に、――二郎の戸惑いをした眼つきを見て笑いだす。「まさか今まで気がつかないなんて」こう云って笑う、それから俊子嬢を見て云う、「だから貴女も少しはお洒落《しゃれ》をなさらなければだめですよ、このとおりすぐに証拠が、――」二郎はグラスを措いて鰻の皿をひき寄せる。 不意に障子が明いて若い男が入って来た。黒いジャンパーに護謨《ゴム》の短靴を穿《は》いている、その靴のまま部屋へ入って後ろ手に障子を閉め、右手の拳銃を見せながら、「静かにしろ」と云う、凄《すご》いほど蒼《あお》ざめた顔で、左の頬に泥混りの乾いた血が付いている。肩で苦しそうに息をしながら、仁一郎氏の後ろを廻って、半間の戸納《とだな》の開きを明ける、 「話を続けろ、動いたり、おれのいることを教えたりするとぶっ放す、来るまでに三人もばらしているんだ、いいか」 男は中へ入って開きを閉める。ぶすっと音がして襖《ふすま》へ穴が明く、「ここから見ているぞ、話を続けろ」そして喘《あえ》ぐ。――仁一郎氏は息子を見る、おふくろはまっ蒼《さお》になり、箸を持つ手がひどく戦《おのの》いている、俊子嬢の額も白くなった、二郎は畳の上を眺める。 「おい君、畳に靴の跡があるぜ、どうする」 「拭いて呉《く》れ」戸納の中からだ、「但し変なまねをするとそれっきりだぞ、他の者は動くな、早くしろ」 二郎は立つ、俊子嬢が手帛《ハンカチ》を出す、それを受取って、彼は畳の上を拭く、障子を明けて、廊下も拾い拾い拭く、庭からすぐに来たものである、――済ませて障子を閉めると、庭のほうへ人がどやどや走って来た。 「蚊取線香を買わなくちゃいけないな」二郎が箸を持ちながら云う、「父さん、窓へ網戸を入れるんですね、今年は、でないと」 「どこの話だいそれは、まだ三月だぜ」 「事務所ですよ、喉へとび込んだから、社員が、みんな変挺《へんてこ》な声になっちまう、本当ですぜ、僕は吃驚しちゃった」 「丸ビルの三階に蚊が出るかね、そんな話は聞いたこともないぜ」 宮田君が知ってますよ、こう云おうとしたとき廊下へ人が上って来た。「失礼します」とう云って障子を明けた、私服と武装警官が六七人いる、部長の腕章を付けた人がすばやく室内を見まわした。 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 「いや誰も来ません」二郎が答えた、「さっきから四人で食事をしていますが、――なにか間違いでもあったんですか」 「慥《たし》かにこの庭へ追込んだんですが、拳銃を持った兇暴な奴なんで、おかしいなあ」 二郎は上衣の裏を返して見せ、※[#「目+旬」、第3水準1-88-80]《めまぜ》をした。部長は緋色のバッジを見、彼の眼配せを認めた。二郎は笑いもせずに箸を置く。 「ほかをお捜しになったらどうです、もし此方へ来たら知らせますよ」 「それではお願いします」部長は睨《にら》むような眼をした、「然したいへん兇暴な奴ですから注意して下さい、お邪魔しました」 彼等は庭へ去った。二郎が饒舌りだす、仁一郎氏だけはさすがに落着いたが、母親も俊子嬢もまだ恐怖のために身動きもできない。二郎は母親の前にある風呂敷包を解いた、重箱で、中には握飯が入っている、「出て来たまえ」と戸納の男へ呼びかける。 「腹が減ってるんだろう、もう大丈夫だ、出て来て飯を食いたまえ、心配はないぜ」 開きを明けて、拳銃を持ったまま男が出て来る。野獣のような眼だ、震えている。二郎は皿の上へ鰻を集め、握飯を三つ載せて出してやる。男は明けたままの開きの前まで、後ろ退りに戻って座り、片手でがつがつ喰べ始める。 「此方《こっち》を見るな、話を続けろ」 「女たちを帰したいんだがね」仁一郎氏が云う、「怖がっていて可哀そうだが、どうだね」 「うるせえ、じっとしてろ、動くとぶっ放すぞ」 「茶を貰おうか」二郎が訊《き》く、「それとも気付けにブランデイをやるか、あるぜ」 「此方を見るな、自分たちだけで話してろ、欲しけれあ自分で取る、――断わっておくが詰らねえ真似をするなよ、九人組の強盗団というのを、新聞で読んでるだろう、そこいらのちんぴらとは違うんだ、話を続けろ」 二郎はまた饒舌りだす。仁一郎氏は煙草に火を点け、おふくろと俊子嬢もようやくまた箸を手にした。間もなく廊下へ足音が聞えた、男は皿を突返し、すばやく戸納へ入って開きを閉める。障子を明けたのは茶を持って来た女中である。 「なんだい今の騒ぎは」 「どうも相済みません、なんですか銀行ギャングが逃込んだとか申しますの、――横の木戸から入るのを見た人があったんだそうですけれど」 「怖いことね」おふくろの声は顫《ふる》える、「それでまだ捜しているんですか」 「いいえ今しがたみんな帰りました」 「車を呼んで呉れないか」二郎が云う、「僕と親父だけ先に帰るからね」 承知しましたと云って女中が去る。 「出て来たまえ君」二郎が呼ぶ、「服を変えて一緒に出よう、こんな処にいたってきりがないぜ」 男が出て来る。二郎は父親の外套と帽子を指さしてやる、「おれはどうするんだ」仁一郎氏が不平をもらす、男は拳銃を持ち替えながらすばやく外套を着、帽子を冠る、それから靴を脱いでジャンパーの懐中《ふところ》へ入れる。足が震え、眼がつり上っている、最も危険な瞬間だ。「すぐ車を返しますから、父さんの外套と靴はそれで取りにやって下さい」二郎は気分をそらすために態《わざ》とさりげなく言う、「宮田君、その握飯と鰻の余ったのをお重へ入れて呉れないか、――風呂敷へ包んでね」それから自分も外套を着る。 午後七時十五分、二郎と男を乗せた自動車が竺葉を出る。「千住駅まで」男が命ずる、「八百円やる」 運転手はいい顔をしない、男は二百円増す、車は廻って循環道路へ出る。二郎の左の脇腹には固い物が当てられている、男は頻《しき》りに胴震いをし、口の中でなにか呟《つぶや》く。江戸橋の袂《たもと》でカーブを切った、反動で二郎の躰が男へのめりかかった。そのとき二郎は左の手で例の物を下へ押しつけ、右手で男の顔を殴った、ま正面から、眼と眼との間へ、正確を極めた直打《ストレイト》である。外套の下でぶすっと拳銃が鳴った、然し二郎の拳は猛烈な勢いで二撃三撃、男は眼が眩《くら》み、悲鳴をあげて顔をそむけた。――二郎は落ちた拳銃を拾う、男は鼻血を流し、傷ついた犬のように頭を振る、 「眼が見えねえ、畜生、殺せ――」 「大げさなことを言うなよ」二郎は男の両腕を後ろへ廻し、それを絞るように抱え込む、「――運転手君、済まないが丸ビルへやって呉れないか、千住はもういいよ」 「おどかさないで下さいよ、どうしたんです、喧嘩《けんか》ですか」 「酒癖の悪い奴なんでね、酔うと暴れるんだ、然しもう大丈夫だよ、――じっとしているほうがいいぜ、君、こんどは本当に眼を潰すよ」 七時四十分。二郎は男を伴れて丸ビルの階段を登っている、男は手帛で鼻を押え、眼をつぶったままに曳《ひ》かれてゆく、眼は両方とも紫色に腫《は》れ塞《ふさ》がり、絶えず涙が流れる。――三階の事務室。宿直の社員が吃驚して立つ。 「いやなんでもない、友達が酔ってね」 「けがでもなすったんですか」こう云ってすぐ思いだしたらしい、「ああ三度ばかりお電話がありました、梶原さんという方からですが」 二郎は連絡課の仕切室《ブース》の鍵を出す。中へ入ると、男を窓際の長椅子に掛けさせ、扉に鍵をおろして宿直室へ戻った。 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 「梶原から三度も電話だって」二郎は救急箱を取出しながら訊く、「伝言はなかったかね」 「お邸のほうへも掛けたんだそうです、ここに番号が書いてありますが、みえたらすぐ電話を欲しいということでした」 二郎は洗面所へゆく、タウェルを水で絞り、仕切室へ入る、「じっとしていたまえ、いま手当てをしてやる」彼は血を拭いてやり、救急箱を明ける、「ひとつ悠くり話をしよう、殴ったりなんかして失礼したね、しみ[#「しみ」に傍点]るかも知れないが、ちょっと辛抱したまえ」薬を塗ると男はするどく咆《ほ》え、頭を反らした。 「よして呉れ、気障《きざ》なまねはたくさんだ、片をつけろ、仲間がこの礼はして呉れる、そのとき、ああっ」男は凄まじく咆え、顔をそむける、「ああっ、眼が潰れちまう、やめて呉れ」 両眼から頭へ包帯を巻く。「安静に頼むよ、さもないと本当に盲人《めくら》になるからね、いいかい、僕はちょっと飯を食って来る」二郎は扉に鍵を掛けて出る。洗面所で顔を洗い、宿直室へいってお重を開く、彼は竺葉では食事をしなかったのである、「――その番号を呼出して呉れたまえ」鰻はもちろん冷たかった。 電話は間もなく通じた。梶原が出ている、だが毎《いつ》もの貴族的な調子はなくて、力のないひどくせかせかした言葉つきだった。 「いま築地の聖ヨセフ病院にいるんだ、来られたらすぐ来て呉れないか、沼井が怪我をしてね」 「沼井が、――よほど重いのかい」 「まだはっきりしないが、事に依るといけないかも知れない、みんな来ているんだ」 「問題は車だが、然し、いやすぐゆくよ」 二郎は食事を片づけ、宿直の社員に仕切室《ブース》の監視を頼んだ。もう五十に近いその社員は、拳銃を渡されたとき生唾をのみ頬の筋を痙攣《ひきつ》らせた、「眼が見えないんだから大丈夫なにもしやあしないよ、時どき部屋の前で靴音をさせればいいんだ」然し万一のときは射ってもいいから逃がさないようにと言って、二郎は事務所をとび出した。――有楽町まで走り、そこで車を拾った。病院では受付のところに橋本五郎が待っていた、横浜の夜以来はじめて会うのである、握手をすると彼は「二階だ」と云って案内した。 磨いたように清潔な廊下を、二階へ登って曲ると、ついそこの扉の外に森口乙彦が立っていた。彼は二郎の手を握ると、そのまま廊下の端にある喫煙室へ伴れていった。電燈が明るいので雪白の椅子|掩《おお》いが眩《まぶ》しい、森口は煙草を出す。 「拳銃で射たれたんだ、一発は腹から脇へ貫けたが、一発は脊椎《せきつい》骨で止っている」森口はライターを点ける、「剔出《てきしゅつ》のため開腹したんだがいけなかった、心臓もひどく弱ってるらしい、いまちょっと眠ってるが」 「然しどうして、どこで射たれたんだ」 「丸ノ内の三昌銀行で強盗事件があった、五人組が自動車で乗着け、金庫を明けさせて八十万円強奪した、給仕の一人がうまく脱け出して、近くの日比谷署へ知らせたので、彼等が銀行から出るとたんに警官たちが駆けつけた、射ち合になり三人は車で逃げ、一人は捕えられ、一人は銀座方面へ逃走した、――沼井は偶然その近くを歩いていた、映画を観た帰りだそうだ、人の騒ぎと、拳銃の音を聞いて走っていった、すると向うから毬《まり》のようにとんで来る奴がある、無帽で、黒いジャンパーを着ていたそうだ、そいつがいきなり」こう云って、森口は持っている煙草の火をじっと見た、「……沼井はまだなにもしないし、なにを云いもしなかった、それをいきなり二発やった、沼井は射たれたとは思わず、なにかに躓《つまず》いて倒れたと思ったそうだ、すぐ起き上りながら見るとその男は有楽町のガードのほうへ走ってゆく、沼井はもがいたが足が立たない、そこへ警官が追って来たので、逃げていった方向を指で教えた、――そして気絶した」 銀座の街角で騒いでいた群衆、通行人の話していた「銀行ギャング」という言葉、――二郎がそれを眺めながら歩いていた数分前に沼井は兇弾を浴びて路上に倒れていたのだ。……無帽で黒ジャンパーの男、竺葉の座敷。 「九人組の強盗団というのは有名かね」二郎がこんどは煙草を出す、「ライターってやつは壊れるように拵《こしら》えてあるんだな」 「去年の春ころからだね」森口が自分のライターを点けて出す、「銀行専門にあらしていたが、最近ちょっと鳴りをひそめているようだ」 「今日のはそれとは違うのかね」 「さっき一課の部長が見舞いに来て云っていたが、違うらしいね、彼等はこれまで必ず九人で組んで仕事をした、今日のは五人だからね、――捉まえた一人を調べてるが、今のところ九人組とは別のものらしいということだった」 廊下に靴音がして、梶原宗助が扉口から覗《のぞ》いた、彼は二郎に軽く目礼すると、「来ないか」と低い声で云った。三人はすぐ喫煙室を出た。――二人の看護婦と入れ違いに病室へ入る、鉛色になった沼井の顔が、ぞっとするほど大きく眼を瞠ってこっちを見ている、二郎は暢びりと片手を挙げながら、枕|許《もと》へ近寄っていった。 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] 「ああ千田、君か」沼井裕作は頷いて歯を見せる、「どうした、ランデヴーは、うまくいったか」 「それがね、こんどは待ち呆《ぼう》けさ、こっちがね、――鰻を喰べちゃったよ」 「鰻をどうしたって」沼井はぎゅっと眉をしかめる、「相変らず、妙なことを云うな」 「妙なことはないさ、少なくとも鰻には妙なことはないんだ、まごついたのは、寧《むし》ろ」二郎はちょっと口籠《くちごも》る、「あれだよ、珍しい偶然なんだろうがね、いきなり云ったんでは信用できないだろうが、――君は、鰻は嫌いかい」 「頼むから、いまおれを笑わせないで呉れ」沼井は歯をくいしばる、「放っといて呉れ」 二郎は頷く、そして静かに後ろへ退る。沼井は頭を揺り、ちょっと三人の顔を見る、然しすぐに低く呻《うめ》きながら眼を閉じる。鉛色の額に膏汗《あぶらあせ》が浮いて、垂れた髪毛が粘り付いている。ふと沼井が大きく喘ぐ、そしてこう呟く。 「W……間索……O《オーバー》……7」頭がぐらっと片方へ傾《かし》ぐ、「さっぱりと、いこう」 三人の表情が石のように硬くなる、室内を颯《さっ》と風がはしったようだ、二郎は頭を垂れ、静かに病室から出る、梶原がついて来た。 「医者は絶望だとはまだ言わない、よくわからないが問題は心臓らしい、――腹膜の炎症の昂進が停ったら、もういちど弾丸の剔出をやるそうだ、出来るだけの手は尽すと云っている」 廊下はほの暗く、寒い、二郎は外套の釦《ボタン》をかける。 「僕は帰らなくちゃならない、一緒にいたいんだがね」彼は帽子を冠る、「ふしぎな偶然で、黒ジャンパーの男を捉まえた、訳はあとで話すが、事務所に押籠《おしこ》めてある、沼井を射った奴なんだ」 「君がそいつを、捉まえたって――」 「九人組の強盗団だって威張っていた、それで警官に渡さないで、僕が貰ったんだ」二郎は階段のほうへ歩きだす、「彼等の本拠を知りたいと思ってね、――だが沼井を射った男とは知らなかった」 「容易なことじゃないぜ、やつらはその点ばかげて口が固いからな、然し、――それじゃあずっと社にいるんだね」 「帰りにちょっと警視庁へ寄るが、それからはずっといる、変った事があったら」こう言いかけて二郎は梶原の手を握る、「頼むよ」 外へ出ると膚を切るような風だった。彼は外套の衿《えり》を立て、帽子の前をひき下げた、夜眼にも白く道から埃《ほこり》が舞立っていた。 待たせて置いた車で警視庁へゆく。捜査一課で三十分ほど話して出る。風は依然として強い、十一時五分前に事務所へ帰る、そしてすぐに男を休養室へ移す、――社内に急病人などが出たとき休ませる室だ、窓は金網入り硝子《ガラス》、寝台の他に脇卓子と椅子、狭いのにがらんとした感じで暗い。そこは事務室の西の端に当り、元来は物置場であった、窓の外は非常|梯子《ばしご》になっている。……二郎は男を寝台に掛けさせ、自分は椅子をひき寄せた。 「君は大乃木太市という名を知ってるね」彼はこう口を切った、「彼はいま警視庁に捉まっているんだがね、――然し僕はいま別のことを話したいんだ、聞いて呉れるかい」 明くる朝の七時。二郎は寝不足の眼をして出て来る。応接室から食堂へ電話を掛け、朝食の弁当を取寄せる。届けて来ると、丼《どんぶり》と茶道具とそれを載せた盆をきれいに拭き、手で持って休養室へ持ってゆく。――男は(既に包帯をとって)寝台に寝そべっている。 「飯を喰べたまえ、そして眠るんだね」彼は弁当を脇卓子の上へ置く、「――断わって置くが逃げるなんてことは考えないほうがいいぜ、僕が大乃木太市のことを警視庁で聞いて来た、それだけで説明は充分だろう、またあとで来る、そしてもっと仲良く話をしよう」 午前十一時、二郎は車を聖ヨセフ病院へ乗着ける、梶原と橋本は寝ていた。森口乙彦と喫煙室で十分ばかり話す、沼井はまだ危険状態を脱しない、然し心臓の調子がよくなり、腹膜の炎症の昂進が停ったという。羅漢さんの眼も腫れぼったいが、顔にはやや明るさが出ている。二郎は帽子を持ったまま自分のほうの経過を話す。 「警視庁に捉まっている奴は大乃木太市といって、強盗の前科がある、当人は絶対無言の行《ぎょう》でなんにも云わないが、指紋台帳でわかったんだそうだ、――おれのは懇談を始めたばかりさ、躰当りだ」 「事務所なんぞに置いては危ないな、専門家に任せたほうがいいじゃないか」 「それも悪くはないが、懐中《ふところ》へはいって来た鳥だからね」二郎は椅子から立つ、「それに、沼井の事があるからね、こいつだけは自分の手でやってみたいんだよ、――じゃあ」 帰る途中、二郎は銀座で車を下りる。なんの積りもない、ぼんやり歩きたかったのだが、ふと思いついて横町へ曲る。他の店と同じように「マクスエル」も婦人客が四五人いるだけで閑散だ。扉を明けて二郎が入ると、レジスターの少女が突然つん[#「つん」に傍点]とそっぽを向く、楠田まり子嬢である。彼はちょっと戸惑いをする、呼びかけようとして、だが不決断に奥へゆき、椅子に掛けて珈琲《コーヒー》を命じた。 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 二郎は珈琲を三杯のんだ。楠田嬢は全然こっちを見ない、つん[#「つん」に傍点]と鼻を反らして往来を眺め、指でカウンターを叩いている。「そうしたら驚くじゃないの」婦人客の一人が能弁に話している、「あの人ズロースを穿《は》いていないのよ、シュアー、幾らなんだって」「そういう人なんだがん[#「がん」に傍点]ちゃんていう人は、それでどうして」「どうしてったって――」二郎は伝票を持って立つ。まり子嬢はえへんと咳をする。 「昨日はどうしたの」伝票を出しながら彼が訊く、「ずいぶん待ったんだぜ、電話を」 「お珈琲三杯でございますね、六十円頂きます」 「急用でもあったのかい、僕は四時四十分まで待って、それから此処へも来たんだよ」 まり子嬢は邪険に出納器を鳴らし、断子《だんこ》としてそっぽを向き、つん[#「つん」に傍点]として釣を出す。 「四十円のお返しでございます、――余計なことですけれど、わたくしなんぞより赤ちゃんのある御婦人を大事になすったら宜しいでしょ、えへん」 「赤ちゃんのある御婦人だって、――へえ、なんのことだいそれは」 「人間は偶には自分の居間を硝子窓の外から覗いて見るものだと、ステファヌ・マラルメが申しておりますね、えへん、色魔なんて、女性が解放され自覚した現在ではアナクロニィズムだわ、これでわからなかったら合成樹脂の連絡課へお訊きになったらいいでしょ、課長の千田二郎さんが精《くわ》しく説明して下さいますわ」 客が入って来る。奥から婦人客たちが(まだがん[#「がん」に傍点]ちゃんの話をしながら)立って来る。次に入って来た客が菓子の飾棚《ケース》を覗く。二郎はしぜん後ろへ退る。まり子嬢はあいそよく婦人客の勘定を受取り、別の客の質問に答える、――二郎は不決断に外へ出る。なんだか訳がわからない、不味《まず》い珈琲だ。それに女というものはなんと、いやてんで訳がわからない。たぶん急にヒステリイでも起こしたんだろう、おまけに罪もないマラルメなんか引合に出して。――十二時二十分、彼は工業倶楽部の地下室へ食事をしに入った。 午後一時十五分、二郎は社へ帰る。仕切室《ブース》では宮田嬢が忙しそうに仕事をしている。昼食の休みに買って来たのだろう、彼の机の上に花が挿《さ》してある。外套と帽子を脱ぎ、届いている弁当の盆を持って出る、宮田嬢が眼尻で見ているのを無視しながら、――休養室では男が高鼾《たかいびき》で寝ている。二郎は持って来たのを脇卓子の上に置き、眠っている男の容子を暫《しばら》く眺めた。眼はまだ両方とも紫色に腫れているが、手足を投出し顔を傾《かし》げて、たいへんよく熟睡している。二郎はそれと離れる、そして今朝喰べた弁当の載っている盆を、手帛で持って廊下へ出、扉に鍵を掛ける。……仕切室《ブース》へ戻って、空の弁当箱や湯呑や盆を汚さないように包む。 「あの男をどうなさいますの」宮田嬢がペンを動かしながらこっちを見ずに言う、「なんのためにあんな人を此処へお置きになりますの」 「服を新調するんだね」二郎は包んだ物を抱える、「君は若くて、吃驚したぜ、縹緻《きりょう》よしじゃないか、ゆうべ初めてだが、おふくろもそう云っただろう、少しはお洒落もしなくちゃね、本当だぜ、すぐ帰って来る」 彼は車で警視庁へゆく。捜査一課で昨夜の部長に会い、包んで来た物を渡す。部長は包を明け、手でそっと盆を取る。 「前によく拭いてあるんですな、ほう、ではたぶん採れるでしょう、お待ちになりますか」 「待たせて貰います、急ぎますから」 「自動車がみつかりましたよ」部長はそれらの物を鑑識課へ持ってゆくように命じ、椅子へ戻りながらこう云う、「今朝早く池袋駅近くの焼跡に乗捨ててあったのです、ええ例の三人の乗って逃げた車ですよ、番号で調べると三河島の共栄商会という店の所有で、昨日の午前四時頃にガレージから盗まれたものだそうです」 三河島という地名が二郎の耳に強く響く。昨夜あの男は、「千住駅へゆけ」と運転手に云った、千住と三河島、方向は同じだ。――部長は更に大乃木太市が相変らず口をきかないこと、三人の足取りがまだ不明なことなどを告げる。二郎はじっと聞いている、「アナクロニィズム」という言葉がふと頭にうかぶ、無連絡だがひどく可笑《おか》しい、それで咳をして煙草を取出す。……四十分後。鑑識課の者が報告に来る。指紋は検出されたけれども、台帳には該当するものがない、前科はないようだ、二郎は礼を言って立った。 持ち帰った物を食堂へ返し、三階へ上るとすぐ社長室へいった。「今夜も此処へ泊ります」と断わる、仁一郎はふきげんに息子を見る。こちらはさあらぬ顔で、「一本頂きます」と、壁際の戸納を明けて酒壜を取出す。そして仁一郎氏のやや烈しい咳ばらいを聞きながして廊下へ出る。――仕切室《ブース》でも彼を迎える秘書の眼は温かくない、外套と帽子と酒壜を置き、話しかけられないようにすばやく脱出する。休養室では男は、寝台に腰掛けて、両手で眼を押えていた。飯は喰べてある。 「いい加減にどっちか片をつけて呉れ」男は脇を見ながら云う、「どう間違えたって仲間の居どころなんど云やあしねえ、無駄なまねは止したほうがいいぜ」 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 「君は昨夜からそれを言い続けている」二郎は平然と呟く、「仲間の義理、……なるほどね、君は慥《たし》かにそれを守るだろう、だが君に対して仲間が、同じようにその義理を守るかね」 「おまえさん達にあ、ふっ――」男は嘲《あざけ》るように唇を歪《ゆが》める、「まるっきり別の世界さ」 「そうかも知れない、僕には君たちの仲間に友達がないからね、……だが、それでもやっぱり信じ兼ねるんだ、殺人強盗、人を殺し物を盗む人間が、――仲間の義理に限って、固く守る、……事実なら見たいもんだ」二郎は悠《ゆっ》くり煙草を出し、点かないライターを頻《しき》りに擦る、「ところで、君には前科がない、年も恐らく二十四か五だろう、こんな仲間に入ったのもそう古いことじゃない、だが他の者は常習者だ、職業的犯罪者だと云ってもいいだろう、……そういう仲間が、自分を犠牲にして君に対する義理を守る?――奇蹟だ」 「それが誘導訊問ってやつかい」男は乾いた笑い声をあげる、「はっは、笑わしちゃあいけねえ」 「いや遠慮なく笑いたまえ、大乃木太市君などはたいへん元気に笑ったよ」ようやく煙草に火が点く、二郎は悠くり二三度ふかして、いともさりげなく呟く、「――君とはまるで違うね、……大きな差だよ」 「大乃木がどうしたっていうんだ」 男の眼が鈍く光る。二郎は静かに立つ。煙草を手に持って、赤い火をじっと瞶《みつ》める。 「いやなんでもない、……彼はどうもしやしないよ」二郎は扉口のほうへゆく、「晩飯のあとでまた来る、一杯やろうかね」 扉へ手を掛けたとき、男が後ろから跳びついた。両手で二郎の首へ掴みかかり、死にもの狂いに絞めあげる。二郎は下半身を前へ滑らせる、男の獣のような暴い呼吸が耳をうつ、二人の躯《からだ》が傾き、煙草の火が男の顔でぱっと光る、「熱《あつ》ッ」という叫びと共に、組んだまま脇卓子を押倒し寝台へのめる、そのとき条件が逆になる、二郎の拳の片方が男の腹へ片方が眼と眼の間へとぶ、男は悲鳴をあげながら身を捻《ひね》る、だが二郎はその衿を掴み、真正面から直打《ストレイト》で鼻柱を殴る、がんがんと容赦なしの、思い切って痛烈な打撃である、男は両腕で面を塞ぎ、呻き叫びながら床の上へ倒れたが、二郎はそれをひき起こし、顎《あご》をめがけて更に猛烈な一撃をくれた。――男ははね飛ばされるように横倒しとなり、「痛え、眼が見えねえ、悪かった、やめて呉れ」こう喚きながら転げまわった。……二郎は暢《のん》びりとネクタイを直し、ズボンをはたきながら廊下へ出る、なにか向うへ大きな声で命じていたが、間もなく救急箱を持って戻り、男を援け起こして、椅子へ掛けさせる。 「今夜いっしょに美味《うま》いブランデイをやろうと思ったのに」こう云いながら二郎は脱脂綿へオキシフルを浸《し》ませる、「これじゃあ君は飲めやしない、手を放したまえ、こんどは僕のせいじゃあないぜ、眼が潰れたって、そう断わってあるんだからな、もっと上を向くんだ」 再び腫れ塞がった眼と、鼻とから血が流れている、唇も切れている。脱脂綿を当てると男は声を震わせて呻き、身を捻る。 「君は三昌銀行から逃げるとき、有楽町駅へ曲るところで一人の男を射った」二郎は手当てを続ける、「一発は脇腹へぬけたが、一発は腹から入って背骨で止っている、……腹部の盲貫銃創は、有ゆる苦痛の中で最もひどいものだ、――その男はいま激烈な苦痛にさいなまれながら、病院のベッドで死とたたかっている、……膏汗をたらしながらね、だが君のように音はあげないぜ、少しは我慢したまえ」 男の全身が硬直した。腫れあがった唇が垂れて歯が見えた。二郎はガーゼへ軟膏を塗り、男の顔の上半へ当てる、それから新しい包帯を出して巻きながら、暢びりした調子で続ける。 「ゆうべ君は、色いろ熱をあげたね、罪は社会にある、政治や経済が責任を負うべきだ、うん、慥かに理屈だ、――然し僕はやはり賛成しないね、君と君の仲間には賛成できないよ、頭をこっちへ向けたまえ、……君は軍閥に騙《だま》されて戦争へ狩出されたと云った、戦場で兄さんを殺され、お母さんと妹を戦災で殺されたと云った、――絶望し棄鉢になるのは当然かも知れない、だがそれならなぜ当の相手をやらないんだ、……君を騙して戦争へ狩出し、母や兄や妹を殺した、曽ての軍閥や官僚になぜ向わないんだ、――君たち仲間が殺したり強奪したりする相手は、君と同じように軍閥官僚の犠牲になった人たちだぜ、君と同じように兄弟を戦死させ、良人《おっと》を父を我が子を死なせた人たちだぜ、……嘘だよ、君の言うことは嘘っぱちさ、そんなことを云って自分の悪事をごまかそうとするのさ、君はお母さんも兄さんも妹も死なせやしない、みんな口から出まかせさ」 「本当です嘘じゃありません」男は歯をくいしばった、「本当に兄は、兄は、――」 [#6字下げ]八[#「八」は中見出し] 「さあ終った」二郎は相手の言葉に耳もかさず、立上りながら悠くりと続ける、「煙草の火が眼へゆかなかったのは仕合せだったね、僕は眼を覘《ねら》ったんだがね、うん、――煙草でした火傷《やけど》は痛いそうだ、然し頬ぺただからまあ我慢するんだな、ちょっと手足を借りるぜ」 二郎は男の両手を後ろへ廻して、包帯できりきり椅子の背へ縛る。それから両足をそれぞれ椅子の脚へ、――男はもう反抗する容子がない、ひどく思い詰めるもののように、頭を垂れ、歯をくいしばって、されるままになっている。 「晩飯はおそくなるかも知れない、それまで悠くり考えるんだね、君や君の仲間が、射ち殺し奪い取った人たちのことを、それが大なり小なり君と同様に戦争の被害者だということをね、……大多数の同胞が、住む家に苦しみ着る物に苦しみ、喰べる物に苦しんでいる、八方塞がりの苦しい中から、どうかして立直ろうと悪戦苦闘しているんだよ、――そういう同胞を、君たちは、拳銃で射ち殺し、重傷を負わせ、物を奪ってゆくんだ、……考えてみたまえ、お母さんや兄さんや妹さんを、戦争で殺されたというのが本当なら、考えてみたまえ」 二郎は脇卓子を起こし、その上に救急箱を置いて出ていった。――両眼を塞がれ、椅子に縛り付けられている男にとって、経ってゆく時間がどんなにながく、いかに退屈で苦しいかは想像以上であろう。初めのうち男はひどく考えこむようだった、彼等の頭脳は一般に単純で、――刺戟《しげき》に対する条件反応は極端に傾き易い、ある時は過敏にはたらき別の時は遅鈍に過ぎる、然もどちらも長続きがしない。男は二郎の言葉につよく動かされたようだ、それは或る時間、肉躰的な束縛の苦痛をさえ忘れさせたようにみえる、その思考をもう少し続けることができれば、彼の自覚は多少なりとも変らずにはいないだろう、然しそれは間もなく中断される、精神的|欠伸《あくび》が起こり、思惟はばらばらに崩れる、そして肉躰的な苦痛が彼の全部を捕える。……室内が暗くなり、遠い事務室の物音や人声がしだいに少なく低くなってゆく、だが二郎はまだ現われない。 たぶんもう七時か八時にはなるだろう、男は頭を反らせて椅子の背に凭《もた》れ、なにか口の中でぶつぶつ独り言を言っている。然しふと頭をあげる、足音が聞えるようだ、「やっと来やがった」こう呟く。だがその足音は廊下ではなく、窓の外から聞えて来るらしい、建物ぜんたいが森閑としているので、それが下から上へ登って来るのだということがわかる。 「非常梯子だな、――ちぇっ、夜番か」 男は舌打をする。足音はこの階へ達する、そしてこの部屋の外へ近づく。なんだ、突然がっ[#「がっ」に傍点]と窓硝子が破られる、がしゃん、がしゃんと叩き破る、金網入りなので一遍にはいかない。男は愕然《がくぜん》と硬直する。――がしゃん、硝子の破片が床で音を立てる。 「あっ此処だ」外で低く囁《ささや》く、「そこにいる」 男は身を震わす、「仲間だ」助けに来て呉れた。彼は叫ぼうとする、だがそれより早く破《わ》れた窓硝子の穴から拳銃を持った手が現われ、消音器《サイレンサー》を付けた鈍い音が起こる、暗い室内に閃光《せんこう》がとび、銃声が壁をうつ。 「おれだ、待って呉れ」男は絶叫する、「早川大吉だ、饒舌りあしねえ、射たねえで呉れ」 だが射撃は続く、壁へ、寝台の枠《わく》へ、弾丸がぶすぶす刺さる、男は悲鳴をあげ、椅子といっしょにがっと横倒しになる。 銃声が止む。倒れた男は呻く。――窓の外でひゅっと口笛が鳴る。なにか囁く声がする、そして足音が窓から離れる。……男の呻き声を縫って、かたかたかたとなにかが床を打つ細かい音が起こる、男の躯が激しく戦慄《せんりつ》するので、椅子の脚が床に触れるのだ。呻き声は弱まり、強く波をうち、長くひき伸ばされる、「畜生、あいつら」こんな呟きが聞える。 千田二郎が事務所へ帰ったのは午後八時十分である。宿直の社員が彼を見て呼止める、さっきから二度も電話だったと云う。「森口さんと仰しゃいました」こう聞いて二郎は息を詰める、すぐに電話器を取って聖ヨセフ病院へ掛ける。橋本五郎が出た。 「急に容体が変った、どうもいけないらしい、梶原がいないんだ、すぐ来て呉れ」 二郎は廊下へ出る。そこに停って、右手で外套のポケットを叩く。「ここで間を与えてはまずい」とう呟く、「どうしよう、――」そして不決断に歩きだす。二歩、三歩。こんどは急に大股《おおまた》になる、「そうだ、伴れてゆこう」二郎は休養室の扉を明ける。 「ああ点けないで、電燈を点けないで下さい」低く押しころした声が床の上から起こる、「今あいつらが来たんです、私は殺されます」 「誰がどうしたって、――なんだ、君は転げているんだな」 「そんな声を立てないで下さい、お願いです、私をそっと向うへ伴れていって下さい、あいつらは私を殺しに来たんです、――ああその窓から、拳銃で、……静かにして下さい」 [#6字下げ]九[#「九」は中見出し] 二郎は毀《こわ》れている窓硝子を見る。肩をすくめる、それから男の手足を解き放し、腕を取って援け起こす。男の足は痺《しび》れてすぐには立てない、彼は二郎の腕へ縋《すが》りついて離れない。 「お願いです、早く向うへ伴れていって下さい」 「騒ぐことはない」二郎は廊下へ伴れ出す、「僕の側にいるあいだは安心したまえ、――だが、訳がわからない、誰がどうして君を……」 足探りに歩きながら、男はがくがくとひどく震える。 「あいつらです、私がなにか、饒舌ると思ったんです、それで殺しに来たんです」 「気をつけたまえ、階段だ」二郎は腕を抱えてやる、「あいつらとは、――然し、まさかね、だって仲間じゃないか、また階段だよ、……それに君が此処にいることをどうして知ったんだ」 「でもその他にあるでしょうか、いいえわかってます、畜生、――あのけだもの」 下りきると裏口へ出た。 「外へ出るんですか」男は身をもがいた、「厭《いや》です、あいつらはまだ張ってるに違いありません、私ばかりじゃない貴方も」 「僕が付いてる、車だ、乗りたまえ」 力任せに男を乗せる。車は走りだす、男は小さく身を縮め、怯《おび》えた小犬のように震えている。どんなにひどい衝撃《ショック》だったろう、絶えず口の中で独り言を言う、「にこ[#「にこ」に傍点]の奴だ、きっと、そんな声だった、……畜生、みていろ」車は橋を渡る。男はくいと顔をあげる。 「私は、私は云います、――」 「待ちたまえ」二郎は冷やかに遮《さえぎ》る、「僕は今それどころじゃない」 「でも貴方は云ったでしょう、私に」 二郎は手を振り、そっぽを向く。男は両手を握り合せ、なにかを絞るように揉《も》む、汗の音がする。「急いで呉れ」二郎は二度も運転手に叫ぶ。車は大きく曲り、広い道へ出て速度をあげる。――病院へ着くと、森口が受付のところに待っている、彼はけげんそうに同伴者を見る。二郎はその眼に頷きながら、「どうだ」と訊く。 「うん、やっぱり」羅漢さんの眼は暗い、「今夜いっぱいどうかって、――梶原は来た」 男の腕を抱えて階段を登る、男の全身をまだ間歇的に戦慄が走る。疑惑と危惧《きぐ》が彼を圧倒し、新たな恐怖で息苦しくなる。……病室へ着く、扉を明ける。梶原と橋本が振返る、――沼井は口をあけて喘いでいる。げっそりと頬が落ち、額が骨だってみえる。 二郎は男の包帯を解く、沼井がぎろりとこっちを見る。梶原も橋本も、二郎の伴れて来た人間がなに者であるかを了解する。包帯は解き終った。 「あの人を見たまえ」二郎は男を病床のほうへ向ける、「あそこに寝ている人を」 男の両眼は腫れ塞がっている、彼は手で暫く眼を押える、それから努力をして瞼《まぶた》をみひらく。いちど閉じて、頭を振り、指で脇を押える、病床と、瀕死《ひんし》の人の姿が見える。 「君の射った相手だ、三昌銀行から逃げるとき、あの街角で君の射った相手だ」 ふいに男の靴の踵《かかと》が床を打つ。そのとき沼井がああと声をあげた。無帽で、黒いジャンパーの男。 「君か、――」痛いたしく嗄《しわが》れた声で沼井が呼びかける、起きようとする、「よく来て呉れた、よかった、……ひと言、云いたかったんだよ、手を握らせて呉れ」 男は慄然と身ぶるいをする。二郎が肩を掴んで枕許へ押しやり、その右手を沼井のほうへ差出させる、それから沼井の鉛色の手を取り、二つを合わせる。――男は葦《あし》の葉のように震え、頭を垂れる。沼井は頭を傾けて見る。 「僕はなんとも、思っちゃあいない、君は、まちがったんだ、……ほんの過失さ、僕は偶然、ながれ弾丸《だま》に当ったんだ、此処にいる友達が、君のために証人になる、……大丈夫僕の分は、決して、罪にはならない」 男の膝《ひざ》が大きく揺れる。彼は呻きながら床へどしんと膝をつき、号泣の声をあげて、赦しを乞う、リノリュームへ両手と額をすりつける。「勘弁して下さい申し訳ありません」そして意味不明の言を続けさまに叫び、衝動のように号泣する。 「Adoramus te. Christe!」沼井が喘ぐ、「ああやめたまえ、泣くのは、たくさんだ、君は……悪くはない、少しも、勇気をだして――取返したまえ、君は、これから、生きるんだ」 医者が助手と看護婦を伴れて入って来る。二郎は男を引起こし、抱くようにして廊下へ出る、森口が後から来る。三人は喫煙室へゆく。男は喉を詰らせ頭を振り、眼を押える。――二郎は彼を長椅子に掛けさせる。 「聞こう、――九人の巣はどこだ」 「一つは野田です」男は呟く、「けれど、九人が集まるのは、浦和の市外です」 「精しく云いたまえ、野田はどうゆく」二郎は手帳を出す、「集まる日もあるんだろう」 男は話す。野田は五人だけの巣で、恐らく当分そこへは寄りつかぬであろう、九人のうち四人はいま関西へいっている、十七日には帰る。その日は必ず浦和でみんな顔を合わせる筈だ、さもなければ神田小川町の「ラム」という喫茶店が連絡所になっている、……二郎はすべてを手帖へ書きとめていった。然しまだ終らないうちに、廊下を走って来る足音が聞え、扉が明いた。橋本がひきつったような眼をして、こちらへ頷く。 「来たまえ、あぶなそうだ――」 [#6字下げ]十[#「十」は中見出し] 窓硝子の向うに見える空は青い、然し紛れもなく春の青さだ。鉢植の杉の若芽にさしている日の色も慥かに春である。二郎はジン・フィズのタムブラーを持ったまま、話を途切らせて茫然と空を眺めている。――梶原は大型アルバムを披《ひら》き、そこへ一葉の写真を貼《は》っている、森口はその手助けをしながら、「それでどうした」と話を促す。二郎は酒を啜《すす》る。 「それで終りさ、謎だよ、――ステファヌ・マラルメがうまいことを云って、色魔はアナクロニィズムだそうだ、四十円のお返しでけり[#「けり」に傍点]さ」 「君の云うことのほうがよっぽど謎だ、相変らず訳がわからねえ」森口は糊壺《のりつぼ》を片付ける、「いったい成功しそうなのかそれとも失敗なのか」 「赤坊のある婦人を愛したらいいだろう、こうも言ったよ、おまけに合成樹脂の連絡課長の、千田二郎さまに訊けばいいってさ」 「頭がちらくらしてくる、まるっきり寝言だ」 「女は謎だ、神秘だ、寧ろ手品だ、沼井はクリスチャンだったのかい」 「どうだか知らないが」梶原が指を拭きながら身を起こす、「――主よ、われらなんじを讃《たた》う、いい言葉だった、……本音だったよ」 十秒ほど三人は沈黙する。二郎は酒を啜る。それから脚を組む。 「ところが拾いものさ、マラルメがね、人間は時には自分の居間を窓の外から眺めるものだ、こう言ってるんだとさ」二郎は暢びりと微笑する、「――窓の外からね、……こいつがぴんときたんだ、いいかい、彼は眼を包帯している、見ることができない、窓の外から窓硝子を毀《こわ》して、がんがんとやれば、――ね、詰るところ、楠田まり子嬢の啓示という訳さ」 「それは悪知恵というやつだ、こんな場合でなけれあ絶対に、――」森口がインク壺を明ける、「然し千田にそんな知恵が働こうとは思わなかった」 「こっちへ来ないか、千田君、書くよ」 梶原がペンを持つ。二郎は立ってゆく、森口も頭を下げる。梶原はいま貼った沼井裕作の写真の下へ、一字ずつ彫るような字で書き始める。――前例の如く簡潔で、決して長くはない、「彼はその責任を果したり」という句で終る。 三人は写真に向って不動の姿勢をとり、それぞれのタムブラーを挙げる。 「W……間索……O……7」二郎がささやくように云う、「全軍直チニ突入セヨ、――承知したよ、沼井君、今日がその日だ、見ていて呉れ」 そして一緒に、三人は酒を乾《ほ》した。南方の基地では遂に掲揚されなかった信号、W・間索・O・7(全軍直チニ突入セヨ)が、いま酒神《バッカス》倶楽部のメムバーの上に掲げられたのである。――二郎はタムブラーを置いて悠くり踵《きびす》を返す、そして窓際へいって外を眺める。電話のベルが鳴りだし、森口が出る。二郎は外を眺め続ける。電話はすぐ終る。 「野田からだ、まだなにもないと云ってる」 「三時だね」梶原が時計を見る、「なるべく夜にはしたくないな――」 三十分経つ。階段を駆け上って来る足音が聞える、乱暴に扉を明けて、橋本五郎が入って来る。帽子を脱ぐと汗で額へ髪がねばり着いている、彼は、「浦和だ」と云いながら、まず卓子へいってコップを取り、サイホンの炭酸水を注いで飲む。噎《む》せて咳きこみ、手を振る。 「浦和だ、小川町のラムの張込が当った、本庁からは一課長がゆくそうだ」 「みんな集まりそうか」 「連絡のようすではそうらしいと言ってる、浦和へ知らせたから情報が来る筈だ」 梶原が二郎へ振返る。二郎は頷いて外套を取る。森口が椅子の上にある帽子を取り、二郎の頭にのせながら、「マクスエルへ寄ってゆくか」と云う。二郎は大股に出てゆく。 五時二十分。二郎は浦和駅から志木へゆくバスを土合で下りる。畑地と枯田のまん中で、道沿いに十二三軒の鄙《ひな》びた家がある。むかし掛茶屋でもやっていたらしい店を殆んどそのまま、川魚料理と書出した家へ二郎は入る。「すみれ会はどこ」と訊くと、若い女中が先に立って、土間を脇へぬけ、池をまわって裏へ案内する。藁葺《わらぶ》きの古ぼけた百姓家を改造した別座敷に、五人ばかり背広服の男たちが雑談している、二郎は緋色のバッジを見せながら靴を脱いで上った。「ずいぶん遅いな」「まだ誰それは来ないか」「始めたらどうだ」出まかせの高声をあげて、彼等は二郎に席を与える。 「五人めがさっき入りました」男たちの中の一人が二郎に云う、「この店から蒲焼を注文しています、七時ころにと言ってました」 「そうですか、五人、――もう二人来れば」 二郎は煙草を出す。箱を三つ、男たちにすすめてライターを擦る。側にいた一人が自分のを出して点けて呉れる。「部長のライターはよく点きますね」向うでそう云う者がある、部長はすすめられた煙草を取る、「ライターは点くが煙草はたいていきれてる」和やかに笑い声が起こった。 [#6字下げ]十一[#「十一」は中見出し] 六時近く梶原と森口が来た。その少し前に、「七人集まった」という報告が入っている。二十分過ぎて橋本が捜査一課長と一緒に到着する。うちあわせはすぐ済み、女中が料理を運び始める。 七時五分前、「蒲焼が届いた」と知らせがある、芸妓らしい女が三人来ているという。二十分経つと四人が立上る。 すっかり昏《く》れている、曇っているので暗い。二郎が先になって街道を左へ折れ、細い道を南へ一町あまりゆく。低い猫柳の並んだ田川の畔に出ると、そこを東へ折れて林の中へ入る。なんのことはない四角形の他の三辺を廻るようなものだ。千田二郎が二度来て踏査した道である。それはやがて坂になり、小高い丘へ登る。――上には中流住宅が三十戸ばかり、庭を広くとってとびとびに建っている。二郎は畑の中へ入って、防風林をめぐらせた農家のような構えの一軒へ近寄る。どこかで犬が咆えている。 「泥溝《どぶ》があるよ」二郎はこう云いながら垣になっている珊瑚樹《さんごじゅ》の隙間から中へ入る、「少しくらい音をさせても大丈夫だよ、倉庫の裏だ」 三人も続いて垣をくぐる。暗くてよく見えないが、五六間さきに大きい倉庫がある。二郎はその壁に沿って北側へまわり、三人をそこに待たせて置いて独りで東側へゆく。――倉庫の向うに住居が見える。二階造りで、階下は暗いが二階の障子に電燈が明るい。そこまで三十間はあるだろう、微《かす》かに女の笑い声が聞えている。二郎は暫く見ている。それから更にそっちへ向って進む、が、……戸の滑る重そうな音が聞えたので、ぴたりと壁へ貼り着く。倉庫の中から出て来た者がある。出て来る後ろから(即ち倉庫の中から)呼びかける声がする。 「いっそ伊野も呼ぶか、――然しあいつは、いや、あいつはいい、伊野はやっぱり飲ましとけ、あいつはごててうるせえ、来ると云ったらしようがねえが」 「おはんがいるから動かねえでしょう」表の男がそう答える、「今夜あたり大乃木がいたらおさまらねえところだ、太市もおはんにあいれあげてましたからね」 男は住居のほうへ去る。――二郎は戻る。そっと三人のところまで戻って、ごく小さく声をひそめて囁く、「倉庫の中に一人いる、彼等はこの中へ集まる、もう少し見ているから」そしてすぐに東側の角へ引返して見張る。……空気が冷えてきて寒い、煙草がほしくなる。二階の障子に人影がうつり、大きく揺れて消える。けたたましい女の笑い声が起こる。間もなく階下の暗い玄関から人が出て来る、二人、三人。風邪ひきらしい咳をしながら、「あまた名所のあるところ――」妙な節で唄う、「やっぱり東京のほうが寒いぜ」そして倉庫の中へ入ってゆく、四人五人はいる。ごろごろと重たげに戸の滑る音がする。……向うの二階でまた女の笑い声が起こり、男がだみ声で喚く。二郎はそっと三人のところへ引返した。 「入った」二郎はこう囁く、「住居のほうに一人いる、橋本に頼むか」 「よかろう」橋本は振返る、「もう来ているだろうな」 梶原が畑のほうへ向けて懐中電燈を点滅する。闇の中からぱっぱっと点滅の答えが見える。三度、応酬が繰り返されて、間もなく人が近寄って来る、一課長と部長が二人だ。二郎は簡単に説明して、彼等を東側の角へ導く。配置のうちあわせはすぐ定る。一課長が四人の手を、順々にかたく握る。 「非常に兇暴ですから、――そのお積りで」 二郎が先頭で森口と梶原が続く。例の渇きが始まる、石段を三つ上ると戸口だ。二郎は大股に戸口を入る、暗い土間で、閉っている中戸《なかど》の隙間から光りがもれている。 「僕にまかせて呉れ」二郎が云う、「死ぬばかりが贖罪《しょくざい》じゃあないと思う」 「千田――」と森口が言った。 二郎は黙って引戸へ手を掛ける、ごろごろと鈍い音を立てて戸が明く。明るい電燈の下に、卓子を囲んでいた六人の男が振りむく。 「誰だ」肥えた口髭のある男が叫ぶ、「伊野か――あっ」 六人が総立ちになる、そのとき二郎の右手で拳銃が火を吹く、文句なしの、断平たる射撃だ、銃声が凄まじく室内に反響し、物の砕け飛ぶ音と、悲鳴が起こる。肥えた男がまず倒れ、一人は逃げようとして椅子もろとものめる。二郎は中へ入り、最後の二発を射つ。 「身動きもしちゃあいけない」彼はやや震える声で、然し静かに云う、「外は武装警官が取巻いている、今夜は容赦なしだ、へたに動くと命はない、そのままじっとしていたまえ」 ××× 新聞に「九人組強盗団検挙」の記事がでかでかと出た日。東邦合成樹脂の連絡課へ、中年の洋装婦人が訪れて来た。――秘書の宮田嬢が出る、婦人は、「銀座のパリジャンからまいりましたが」と云う。 「どういう御用でございましょうか」 「千田さんと仰しゃる課長さまの御注文で、お子様服の寸法を取らせて頂きにまいったのですけれど」 「子供服のですか」俊子嬢は首を傾げる、「いま課長がちょっと出ていまして、わたくしなにも伺っておりませんのですが、――子供服といっても此処にはそういう……」 「慥かにそう仰しゃいましたわ」婦人は機嫌を損じたようだ、「たいへん忙しくて、手前共では出張は致さないのですが、ぜひというお話で特別にまいったんざんすの、お出先はおわかりにならないでしょうか」 「はあちょっと、わかり兼ねますけれど」 「それらしい子供さんはいらっしゃらないんでしょうか」婦人は部屋の中を見まわす、そこらに隠してあると思ったのかも知れない、それからつん[#「つん」に傍点]と顎をあげる、「手前共は本当に多忙なのですからね、銀座でも第一流で、決して出張はしないんざんすから、……ではいらっしゃいませんのね、ふむ、なんというこったろう、忙しいのに、ふむ」 パリジャン女史は顎を反らしたまま出てゆく。秘書は自分の机へ戻る、子供服、――なんのことだろう。ペンを取ると電話のベルが鳴る。 「ああ僕だよ」二郎の声である、「忘れていたんでね、出るとき云おうと思ったんだが、あれをさ、急いだもんでねえ、聞えるかい」 「はい、よく聞えますわ」 「君のところへ洋服屋がゆくんだ、もういった頃だと思うが、寸法を取りにね、僕の贈物だよ、遠慮はいらないからね、好きなように注文して呉れたまえ」 「有難うございますけれど、その方はいま帰りましたわ」俊子嬢は笑いだす、「たいそう怒ってお帰りになりましてよ」 「なんだってまた、どうしてさ」 「だってしようがございませんわ」俊子嬢は一言ずつはっきり云う、「わたくしに子供服は着られません」 底本:「山本周五郎全集第二十一巻 花匂う・上野介正信」新潮社 1983(昭和58)年12月25日 発行 底本の親本:「新青年」 1948(昭和23)年3月号 初出:「新青年」 1948(昭和23)年3月号 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/poohjirou/pages/117.html
06.11.18 関東遠征メンバーの皆さん&2007受験生の皆様 -- pooh二郎 2006-11-19 00 56 24 今家路に着きました。 ほろ酔い加減で あと3分で気持ちよく寝ま~す(*^^)v 関東遠征メンバーの皆さん&2007受験生の皆様 今日はありがとうございました!(^^)! みなさん、元気MORIMORIで、また新たなパワーを いただきました(^^ゞ またよろしくお願い致します。 ps.関西メンバーの方々もお疲れ様でした(^^ゞ はじめて寄らせていただきました。WIKIにはたまに遊びに来ようと思います。 -- DANDY (2006-11-19 22 42 33) 上記途中でした。ネット上は勿論、LIVEでなお一緒に楽しみながら切磋琢磨できたら理想的と思っています。これからもどうぞよろしくお願いします。 -- DANDY (2006-11-19 22 44 09) pooh二郎さん、ありがとうございました!楽しかったですわぁ!! -- juicy_reds (2006-11-20 01 28 28) テニスの試合は、雨であいにく中止となりました。 -- pooh二郎 (2006-11-20 10 29 29) jibunn -- pooh二郎 (2006-11-20 10 29 47) 本人間違い連発コメント、すいません(~_~;)・・・雨で中止となり、残念でした。/DANDYさん、こちらこそ、おたがい切磋琢磨できるのを楽しみにしていますwwこれからもよろしくお願いします(^^ゞ/juicy_reds さん、こちらこそ楽しかったですwwありがとうございました。これからもよろしくお願いします!(^^)! -- pooh二郎 (2006-11-20 10 40 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hanatoma95/pages/67.html
サウス・バウンド とある友人が「面白かった」と貸してくれたのですが、面白かったです。小学生の男の子二郎が主人公で、彼の目から見た世界が綴られています。夢のある話ではありませんが、小学生の世界に懐かしさを覚えたり、冒険譚のような箇所もあり、社会の理不尽さが描かれていたりで、読んでいる間全然飽きませんでした。読み応えのある本でお勧めです。直木賞をとったとか。 主人公二郎の父親一郎は元過激派で、年金は払わないし二郎の担任に向かって国歌斉唱の議論を吹っかけたり修学旅行費の明細を開示せよ!と迫る、変わったおっさんです。母親が小さな喫茶店を経営しており生計を得ているようですが、父親はいつも家にいる様子。私は学生運動あたりは全然詳しくなく、二郎が右なのか左なのかも最初よくわかりませんでしたが、なんせ事なかれ主義で生きている大人にとっては、扱いづらい存在であることは確か。これはそんな親父に家族が振り回されるお話です。 舞台は大きく二つ。普通の町中と、南の島でのできごとです。最初は二郎の日常生活が中心で、彼が経験する小学校時代を懐かしく読んでいました。女子を疎ましく思ったりまた気にかかる存在だったり、男子と一緒にいるほうが面白いやって思ったり。男子ってこんな感じだったんだ~と思いながら読んでいました。懐かしさとは違うかな、その女の子はこんな風に思ってんだよって思いながら。学校の先生が大好きで、恐喝があっても、親や先生には言えなくて。子供には子供の世界があり、それを子供のころは知っていたのに、もう忘れてしまっていることに気づきました。今ならもっとスマートな解決方法を知っているけど、子供のときは世界が狭くて、でもそれなりに方法を模索していたなぁ。 結局二郎のトラブルとは無関係に、父親の巻き起こしたごたごたから二郎一家は沖縄へ移住することになります。ここでだいぶ雰囲気が変わりました。二郎の世界中心だったお話が、父中心の出来事を傍観するお話に変わります。小学校時代にノスタルジーを感じていただけに戸惑いましたが、こっちも面白かったです。 一郎は破天荒ですが一本筋が通っていて、他人だったら絶賛すると思います。が、身内だとどうかなぁ。二郎が一郎を疎ましく思いながらも受け入れているところが面白かったです。どんなに変な人でもそれが日常的であれば、普通として受け止められちゃうもんなんですよね。二郎が「父はいつも家にいるから、普通お父さんは家にいるものだと思っていた」と思う場面があるのですが、子供にとって自分が育った家庭こそ「普通」なんですよね。普通ってなんだろう。血のつながりではなく「日常の異常」を共有するのが家族なのかもしれませんね。なんだかんだいって、生活に馴染んでいく二郎兄妹が面白かったです。 (2006/11/29) 名前 コメント [カウンタ: - ]