約 1,530,348 件
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/173.html
第二回戦【ジャンボジェット機】SSその1 1回戦終了翌日、大会本会場近くのホテルの一室。 “ケルベロス”ミツコたちは、早くも次の対戦相手の一人、猪狩誠の研究を始めていた。 テレビモニターには硫酸風呂から飛び出した猪狩が、儒楽第に連打を叩きこむシーンが映し出されている。 「…妙だな。」 画面を見ながら光吾はそう呟いた。 「まぁ確かにちょっと強すぎだよねー。」 内容とは裏腹に満子の言葉には気楽さが感じられる。 「それもだけれど、試合開始時の動きと違いすぎない?」 そう言って光吾は映像を試合開始時に戻す。 「あー。確かに言われてみると全然違うかも。」 「力を温存してたとするにもちょっと不自然な感じがしますわね。」 「うん。だからこれが彼の能力だと考えていいと思う。だとすると問題になるのは。」 「制約かー。」 「強い能力には必ず強い制約がある。これが猪狩さん攻略のカギになるということですね。」 「よーし、ミツゴ君。もっかい頭から再生!最初に見つけた人が今晩のデザート決定権ね!」 3人は真剣にビデオに見返す。しかし 「うーん。ダメだァ、何回見てもわかんないー。」 何度映像を見ても、猪狩が何かしら制約を払った様子は見つけられなかった。 「後払いか、何らかの条件を満たすタイプなのかもしれませんわね。」 「そうなのかもしれないね。それか、もしかしたら制約を支払ったのは彼じゃなくて……」 「どういうこと?」 「ううん、やっぱり考えるのは一旦やめにしよう。ちょっと休憩!」 光吾は気分転換に窓を開き、テーブルにおいてあった新聞を何気なく手にとった。 直後、一面の隅に小さく書かれていた記事に彼の目は釘付けになった。 「『ザ・キングオブトワイライト本試合会場で、8歳の男児が重症』」 「どうかなさいました?」 「見て、被害者の名前が『まさる』って書いてある。」 「あれ?確かそれってぇー。」 先ほど何度も繰り返し聴いた言葉。『まゆ、めい、まさる』 それは猪狩誠が発した言葉だったではないか。 これは偶然ではない。彼の……光吾の探偵としての勘が、そう告げていた。 「この子の居る病院を訪ねてみよう。もしかしたら猪狩の能力の手がかりが、つかめるかもしれない。」 ……数日後、彼らは確信する。 猪狩誠の能力の真の力と、その恐ろしさを。 --- 第2回戦試合場、ジャンボジェット機。 普段は多くの旅行者を安全に、速やかに運ぶそれは、 この時、3人の魔人たちが死力を以って闘う、鉄の棺桶となる。 試合場に転送された猪狩はまず、窓の外を見て驚きの声を上げた。 「これが飛行機って奴かぁ……。話には聞いてたけど、本当に飛んでんだな。」 彼が驚くのも、無理はない。 核やパンデミックの影響で今の世界では飛行機は殆ど飛んでいないのだ。 もっとも、飛んでいたとして、それに乗る金銭的余裕など今までの猪狩にはなかったわけだが。 (立ってるだけでも変な感じがする……。揺れてたりするし、なんか落ちつかねえなあ。) 初めての飛行機に、少しばかり不安を抱きながらも、猪狩は敵を探し始めた。 本来三つ巴ならば、一度身を隠すなどして、残る二人が潰しあうのを待ってから、漁夫の利を狙うのがセオリーだ。 しかし、今回の相手には“ケルベロス”のうちの一人、光吾……すなわち手芸者が居る。 手芸者は直接の戦闘に長けるだけではなく、罠や不意打ちなどの搦め手を用いる事が多い。 放っておけばそれだけ罠を仕掛けられるだろうし、不意打ちされる確率も上がる。 また、猪狩は1回戦で、優勝候補筆頭であった儒楽第を、真っ向勝負で下している。 ミツコと冷泉院が彼を警戒し、手を組む事も考えられる。 故に、時間を与えればそれだけこちらは不利になる。猪狩はそう考えたのだ。 過去の仕事で得た経験を生かし、罠や待ち伏せを警戒しながら、 油断無く、そして迷い無く、速やかに機内を進んで行く猪狩。 どうやら、進む方向は正解だったようで、道中罠が仕掛けられていた。 それらを避け、または解除しながら、更に奥へ進む。 仕掛けられた罠も結構な数になってきた。そろそろ出くわすころだろう。 そう思った猪狩の目に、また一つ新しい罠が映りこむ。 脛のあたりの高さに張られたワイヤー。触れれば罠が作動し、何かしらの手傷を負うことになるだろう。 引っ掛らないように足を上げて通過しようとする猪狩。 その時、気流の影響で、機体全体が僅かに揺れた。 「うおおっ!?」 揺れ自体は小さい物だったが、猪狩は過剰反応気味に、大きく後ろに飛んだ。 それが、彼を救った。一瞬前まで彼の頭が在った位置を、閉じた鋏が通過した。 「…………!」 よけられたのは、全くの偶然。先ほどの揺れがなければ、猪狩は何をされたか気付く事も無く、死んでいただろう。 だが、猪狩に動揺はない。すぐさま射出方向へと向き直り、構えを取る。 光吾が身を隠していたのは、天井に配備された開閉式の荷物入れの中だ。 罠を張り、それに敵が引っ掛ればよし。罠に気づかれても、気をとられている内に奇襲で仕留められれば、それもまたよし。 それが、“ケルベロス”ミツコの作戦だった。 「くっ……!外した!姉ちゃん!」 奇襲が失敗した光吾はそこから降り、すぐさま姉の蜜子へと交代。 「ヒャッハー!バラ肉にしてやんよぉー!」 蜜子は料理魔人独特の動きで肉切り包丁を振り、猪狩へと切りかかる。 だが、対する猪狩も様々な苦境を乗り越えてきた歴戦の魔人。 「……ハッ!」 僅かな動きでそれをいなし、カウンター気味に一撃を放つ。 「ミツコちゃーん!」 蜜子は満子へ交代し、驚異的なタフネスでそれに耐える。 「何……っ!?」 「……効きませんわ!」 すぐさま噴霧器を使い反撃に出る満子。猪狩はバック転でそれを回避。 「逃がさない!」 しかし、距離を取った猪狩に、リリアンによって蜘蛛の巣状に編まれたネットが襲い掛かる。 「……クソッ!」 猪狩は無茶だとわかっていながらも、網の下へ飛び込むようにして潜り抜けるしかない。 体勢を崩した猪狩に振り下ろされる肉切り包丁。初撃と違い、今度の猪狩にはそれを避けきる余裕はない。 「ヒャッハー!」 「ぐあっ!」 猪狩の腕が大きく切り裂かれる。 「……まだまだぁ!」 それに怯まず、猪狩はミツコに拳打を叩き込む。 「でりゃあー!」 「ヒャッハー!」 再び始まる両者の攻防。 状況を覆そうと猪狩は気迫をこめて攻撃するが、3人の息の合ったコンビネーションが、それを許さない。 「がっ……!」 「ぐうう……!」 「ぐあああ!」 幾度となく、猪狩の体に大きな傷が刻まれる。 今や猪狩には至るところに傷が刻まれており、その体は血だらけだ。 対するミツコは一つも有効打を食らっておらず、ほぼ無傷に近い。 「もういいでしょう。実力の差は明らかです。これ以上は時間の無駄、降参なさい。」 満子が諭すような口調で言う。だが 「………まだ、だ!」 猪狩の闘志は微塵も落ちていなかった。その目はまるで、自分が負ける事など在りえ無いと確信しているようだ。 「………自分には家族が居るから、ですか?」 「そうだ……。俺には家族が居る。勝たなきゃいけない理由がある。家族が居る限り、俺は負けない!」 力強くその問いに答える猪狩。 満子は一つため息を付いた。 「みっちゃん。教えてさし上げて。」 気配がスゥと入れ替わる。 「猪狩君、残念だけど君に勝ちの目はない。なぜなら、僕達は既に、君の真相にたどり着いている。」 入れ替わった光吾は淡々と告げ、懐から数枚の写真を取り出す。 「これ、は……!」 写真を見るや否や、驚愕に見開かれる猪狩の目。 その写真に写っていたのは、孤児院『どんぐりの家』と……そこから連れ出される、十数人の子供たち。 「既に君の武器は封じさせてもらった。この勝負、君に勝ち目はない。」 --- 一方その頃、希望崎学園、黒樺寮前。 「子供たちを、わしの子供達を返してもらおう!」 どんぐりの家の園長、松五郎はそこで家族を取り戻すため、孤独な戦いを挑んでいた。 ほんの僅かな時間、孤児院を留守にした間の失態。 幸いにも、万が一の事態のために五本指に持たせてある発信機によって居場所はすぐに知れたが、単身駆けつけた園長を迎え撃つのは十数人の希望崎魔人だった。 「ミツコの頼みだ!あんたを通すわけにはいかねえんだよ!」 園長はかつて炭夜紫会屈指の武闘派として恐れられた男。並大抵の魔人が叶う相手ではない。だがしかし 「オラッ!おっさん後ろだ!」 園長は蹴られながらも、その足を匕首で切りつける。 「残念、『身長190cmの世界』。膝より下は全部シークレットブーツでしたァ。」 弱小魔人たる黒樺寮寮生たちは真っ向勝負など挑まない。 妨害、撹乱こそ彼らの常套手段であった。 押しては引き、入れ替わり立ち代わり行く手を遮る彼らによって、園長は寮の門をくぐることすらできず、いたずらに時間だけが過ぎていった。 (いかん…このままでは、誠が) 焦りを感じた瞬間 「ヒャッハー!」スライディングタックルで足を払われ、地面に倒される。 次々とのしかかってくる魔人たちの重みで、体の動きが封じられた。 「グゥゥ、くそぉ、殺せ!わしを殺せぇ!!」 「おっと、そうはいかねえ。ミツコちゃんからは決して怪我をさせるなとも頼まれてるんでね。」 (ケルベロスミツコ、やはり誠の能力に完全に気づいておったか。……こうなれば、やむを得ん!) 「誠ぉー!後のことは、全て任せたぞ!」 叫ぶやいなや、園長は渾身の力を顎に込め、突き出した舌に向けて両の歯を噛みあわせた。 しかし、なんたることか、その歯は舌の上をツルリと滑り、そのまま上下の歯が打ち合わされる。 「!?」 何度繰り返しても、結果は変わらない。園長の舌はするりするりと歯を掻い潜る。 その様子を見て寮生の一人が得意げに語る。 「これぞ我が能力『魔術師手術中(マジシャンズオペレーション)』。極限の滑舌を持ったものは決して噛むことは無い!」 「く、クソォー!誠、誠ォーーー!」 必死の形相で叫ぶ園長。しかし、状況は絶望的だ。 園長の声は黒樺寮に虚しく木霊するだけだった。 --- 猪狩と“ケルベロス”ミツコの戦いは、もはや一方的な虐殺へと形を変えていた。 「ぐ、ぐううう……!」 「ヒャッハァー!しぶとい奴だねぇー!」 猪狩の傷は先程よりも増え、もはや息も絶え絶えといった感じだ。 もはや殆ど攻撃を仕掛ける事も無く、ひたすら逃げながら、ミツコの攻撃を防ぎ続ける。 『All for one』を封じられ、肉体的にも追い詰められている、絶望的な状況。 そんな中でも、猪狩の目は、いまだ闘志の輝きを宿していた。 なぜだ……?何故、彼はまだ諦めていないんだ? それが、絶対的に有利なはずの光吾の心に、僅かな不安を芽生えさせる。 園長が子供たちを取り返してくれると期待しているのか? それとも……もしや自分たちの推理に見落としが有ったのだろうか… 「俺の家族に手出しをするやつに、俺は絶対に負けねえ……」 真っ直ぐに自分を見据える猪狩の瞳を見ていると、彼は本当に自分たちが考えていたような外道なのだろうかという疑念が膨れあがる。 「みっちゃん!しっかり!」 はっ。と、我に返る光吾。 「やっちまったもんはしょうがねぇだろ。考えるのは倒してからやりゃあいいんだよ」 「……そうだね。ごめん、姉さん。姉ちゃん。よし、一気に勝負を決める!」 アイアンロッドを構え、猪狩を見据える。 だが、その視線の先の猪狩は、どこか遠い目で外を見ていた。 「………来た。」 ぼそりと、猪狩が呟く。そしてそれと同時、猪狩を中心に風が巻き起こる。 「なん……!?」 今度は光吾が驚愕に目を見開く番だった。 封じたはずの、猪狩の能力『All for one』が、今、発動していた。 --- 数分前、黒樺寮。 そこには、園長の叫びを、聞き届けた者たちがいた。 「ねえ、今の声……もしかして、園長じゃ?」 「いやでも、あのお姉ちゃんは園長と猪狩おにいちゃんの頼みだって言ってたし…」 それは、黒樺寮の中に連れて来られた園児たち。 (……やっぱり嘘だったんだ。あの人の言ってたこと。) そしてその中には勿論、五本指の一人、ももこも含まれていた。 (誠お兄ちゃんが、危ないんだ……。) 園長の叫びを理解したももこは、部屋の奥に目をやった。机の上にはナイフが置きっぱなしにしてあった。 ももこの脳裏に、まゆとめい、そしてまさるの顔が思い浮かぶ。 ……猪狩の能力の正体に気付いていたのは、ミツコだけではなかった。 五本指の一人、ももこは、子供達の中でもとび抜けて賢く、勘のいい子だ。 彼女はまゆ、めいのいなくなったタイミングと、猪狩の逆転のタイミング。そしてまさるが入院した事等から推理し、猪狩の能力を見抜いていたのだ。 (あの3人も……お兄ちゃんの力になれて嬉しかったのかな) 監視の目にとまらないよう、ももこはゆっくりと、机に近づく。 (お兄ちゃんは優しい人だ……。きっと3人を傷つけたのも理由がある。……それに) ナイフを手に取り、刃を自分の喉元に向ける。監視がももこの異変に気付くが、もう遅い。 (どんな理由でも。誠お兄ちゃんが望むなら、私は……。) そのまま倒れこむようにして体重をかけ、ナイフを突き立てる。喉からは温かい液体が流れ出し、体からはその分の熱が引いていくのを感じる。 同時に、周りの景色も、声も、意識も、だんだんと曖昧になっていく。 (私はどうなってもいい。だから……。勝って、誠お兄ちゃん……。) 子供達の叫び声が、黒樺寮の魔人の声が、園長の声が、遠くに聞こえる。 そして、ももこは……。 --- 猪狩の目から、一筋の涙が零れた。 「ももこが、死んだ」 「どうして……?誰ひとり傷つけるなって、僕は確かに言ったんだ。誰も傷つけずに戦いを終えられるはずだった…」 激しい動揺を無理やり押さえつけ、リリアンネットを放つ光吾。 「………はぁっ!」 猪狩はその場から動かず、手刀によってそれを切り裂く。 「こんなもので……今の俺を止められると思うな!」 「……!みっちゃん!危ない!」 猪狩は距離を一足でつめ、打撃を放つ。操作権を奪った満子がそれを防ごうとする。 「が、ぐぅ…っ!」 しかしそれよりも、猪狩のほうが圧倒的に早い。 ボディに直撃を受け、後ずさる満子。 「お前らさえ余計なことをしなければ……ももこは辛い思いをしなくて済んだんだ!」 「ああああっ!」 怒声とともに、もう一撃。満子はそのまま、数m吹き飛ばされる。 満子は蜜子に切り替わり、倒れた状態から一瞬で飛び上がって、猪狩に包丁を振るおうとする。 (ダメだ、姉ちゃん……!) 「う……!?」 だが、包丁を振るうより先に、猪狩がその手を掴む。 「こ、この……!」 蜜子は手を振り払おうとするが、猪狩に掴まれた手はピクリとも動かない。 「……でやぁ!」 猪狩が気合と共に、掴んでいた腕を勢いよく捻る。 「ぎっ……!?」 ごきゅり、という嫌な音とともに、蜜子の右腕がありえない方向へ曲がる。 「が、があああああああああ!?」 痛みのあまり、叫び声をあげる蜜子。形勢は、完全に逆転していた。 「オラァ!」 さらに顔面に叩き込まれる、猪狩の拳。 「あの世で……ももこに侘びろ!」 それに続いて、2発、3発と、まるで機関銃の如く、連続して拳が打ち込まれる。 「オォォォォォォォォォォォラァァァァァ!!」 「――――――ッ!」 『All for one』によって強化された連打に、耐え切れるはずもない。 “ケルベロス”ミツコは声をあげることも出来ずに、吹き飛ばされていった。 「…俺と園長に任せておけば、もっと穏やかな気持で死なせてやれたのに」 猪狩はそう呟くと、流れる涙を拭った。 「…やっぱり、どっちにしろ殺す気だったんだな」 立ち去ろうとした猪狩の背に、光吾が声をかける。 「一瞬でも君を信じようとした僕が、バカだった。…外道、お前こそが“世界の敵”だ…!」 光吾はガクガクと震える足に鞭打って無理矢理に体を立たせる。 もはや戦闘を続ける力はどこにも残されていない。しかし 「僕の能力は『世界の敵の敵』。一人の主人公の死と引換えに世界の災いを打ち消すことができる能力だ」 光吾の言葉には強い決意があふれていた。 「お前をこのまま野放しには出来ない。僕の命と引き換えにしてでも、消し去ってやる」 「ミツゴ君!」 「みっちゃん!」 「ごめん、姉さん。姉ちゃん。」 「何いってんの!ひとりだけいいかっこしてんじゃないよ!」 「そうですわ。私たちはいつも3人一緒ですわよ。」 「……ありがとう。」 光吾は左手の拳を猪狩に向かって突き出す。 「3人分の魂、お前にくれてやる!」 握られた手の中から溢れたまばゆい光が、空間を満たす。 「な、なにを…」 『世界の敵の敵!!』 全てを白く塗りつぶす、純白の闇。 永遠にも思える一瞬の後、世界は再び元の姿を取り戻した。 元の、姿を そう。世界は何一つ変わっていなかった。 眼前に立つ猪狩誠の姿もそのままだ。 「バカ…な…」 すべての力を失った“ケルベロス”ミツコは愕然としてその場に膝をつき、絶命した。 「俺が世界の敵だと?そんな訳はねえ。俺が、この大会にかける願いはただひとつ。……人類総家族化(せかいへいわ)なんだからな。」 --- 「夕霧、どうやら勝負がついたようです。」 「やはり、勝ったのは猪狩か。」 同時刻。飛行機の操縦室で瞑想を行っていた冷泉院は 猪狩とミツコの戦いが終わった事を感じ取り、ゆっくりと立ち上がった。 徹底した合理主義者である冷泉院は、乱戦を避け、最初から端に陣取って静観を決め込んでいた。 探偵である“ケルベロス”ミツコなら、猪狩の能力の秘密を暴き、打ち破れるのではないか。 そう思ったが、生憎その期待は外れに終わったようだった。 「まあ、当てが外れるのはいつもの事だ。」 トン、トンと、軽くステップを踏み、『仮面の力』が正常に働いていることを確かめる。 そして、義足を操縦席の計器類に向かって、勢いよく振り下ろした。 「さて、どこまでやれるか。」 ゴゥン、と気味の悪い音が響き、機体がぐらりと揺れた。 冷泉院は軽く頷くと、扉を開き、猪狩誠の待つ機体の後部へと移動し始めた。 --- 「うおっ……!?」 “ケルベロス”ミツコを下してすぐのこと。 猪狩が冷泉院を探して操縦室の方へ向かっていると、 突如、ジャンボジェット機の機体が、大きく揺れ始めた。 「なんだ……!?どうなってんだ……!?」 揺れは、一時的なものではない。それもそのはず。これは気流の影響などではなく、 冷泉院が制御装置を狂わせることによって起きた揺れだからだ。 「くそっ……!もしかしてこれ、落ちるんじゃないだろうな……!」 あまりの揺れにの大きさに翻弄される猪狩。そんな彼の元に、一人の男が姿を現した。 「予想通り、随分と苦労しているようだな」 「お前は……!」 真鍮製の義肢と顔を半分ほど覆う仮面という、独特の外見。 そんな特徴的な姿をしていながら、このトーナメントで最も謎が多い男。そしてこの試合の、もう一人の対戦相手。 「冷泉院、拾翠。」 現れた冷泉院は距離を取り、注意深く猪狩を観察する。 能力は既に発動しているようだが、一回戦の時とは違い、 その体には“ケルベロス”につけられたと思わしき傷が、治りきることなく残っていた。 “ケルベロス”のお陰かは判らないが、どうやら1回戦のときほどの力は、今の猪狩にはないらしい。 「この揺れを引き起こしたのは、お前か。」 「だったらどうする。」 猪狩の問いに素っ気無く答え、冷泉院が飛び掛る。 小さな動きでそれをかわす猪狩。 「ハァッ!」 「……!くっ!」 しかし、機体に起こった揺れのせいで、うまく体勢をコントロールできない。 直撃を受けることはなかったが、反撃を行うことができない。 対する冷泉院は、その動きの殆どを空中で行っていた。揺れの影響は、猪狩よりも遥かに少ない。 計算通り。 猪狩が十全の力を発揮できれば、冷泉院は敵わないだろう。 だが、この揺れがひどい機内では、空中戦を主とする冷泉院のほうに地の利がある。 時間と共に、徐々に押されて行く猪狩。 そして遂に、冷泉院の強力な一撃が、猪狩を捕らえた。 「ぐああっ!」 蹴りをまともに食らい、大きく吹き飛ばされる猪狩。 冷泉院は地面を強く蹴り、追撃を加えようとする。 同時に、猪狩が動いた。猪狩は吹き飛ばされた勢いを殺さず、そのまますばやく起き上がり、そして…… 「オラァー!」 直ぐ脇にあった飛行機の扉に、拳を突き立てる。 勢いよく外に吹き飛ばされていく扉。そして機内に巻き起こる暴風。 「な、なんだと!?」 空中にいた冷泉院は吹き飛ばされそうになるものの、とっさに座席を掴み、何とかそれに耐える。 「これでもう、あの力は使えない。俺の勝ちだ、冷泉院。」 冷泉院拾翠の能力 『仮面の力』は、地面から完全に体を離さなければ、使う事は出来ない。 しかしこの状況下でそれをすれば、暴風に体を持っていかれ、まともに戦う事は出来ない。 猪狩の言うとおり、『仮面の力』は封じられた。これ以上やっても、冷泉院に勝ち目はない。 だが、冷泉院はまだ、諦めきってはいなかった。 「降参したいところだが、勝負は最後まで……何が起こるかわからない」 1回戦でも、敗北を覚悟したところから、彼は逆転したのだ。今回もまた、何かが起こるかもしれない。冷泉院はその考えを捨てきれずにいた。 「そうか。それじゃあ……終わらせよう。」 冷泉院に止めをさそうと、猪狩は地面を踏みしめながら、冷泉院に近づいていく。 猪狩が拳を振り上げ、冷泉院を真っ直ぐ見る。 「ふっ」 冷泉院は絶体絶命のピンチでありながら、真っ向から視線を受け止める。 『白刃獲り没収EX』 何も持たず、素手で攻撃しようとしていた猪狩に対して、冷泉院のもう一つの能力が発動する。……その能力は、冷泉院にも予期していなかった、異常な事態が引き起こすことになる。 「「な、なに!?」」 冷泉院の能力によって呼び出された武器を見て、二人が驚愕の声を上げる。 「い、いったい此処は……どこじゃ!?わしにいったい何が……っ!」 そして同時に、呼び出された武器……『どんぐりの家』園長も、驚愕の声を上げた。 --- 「え、園長……!」 「ま、誠!?どういうことじゃ!」 驚きのあまり、三者の動きが止まる。 その中で最も早く次の行動に出たのは、冷泉院であった。 (……夕霧――――) 仮面の声が冷泉院の頭に響き、冷静さを取り戻させる。 冷泉院は突如現れた男、園長に飛び掛った。 「ぬう……!?」 攻撃の気配を感じた園長は振り向きながら、手に持った匕首で攻撃しようとする。だが、 「なっ……!?しまった……!魔人能力か…!」 その匕首は冷泉院の能力によって奪われ、逆にそれを突きつけられてしまう。 「………動くな。」 園長を人質に取った冷泉院が、猪狩に話しかける 「……こいつが誰だか、俺はよく知らない……。だが、俺の能力で出てきた以上、何かしらお前と関係があるんだろう。」 園長の首に匕首を更に近づけ、冷泉院は続ける。 「もしもこいつが死んだとして……果たして運営の奴らは治療するかな……?」 こいつを殺されたくなければ、今すぐ降参しろ。冷泉院はそう告げているのだ。 「かまわん、誠!わしごとやれぇーっ!」 園長が、悲痛な叫びを上げる。 この脅迫が、もしも他の、まともな倫理観を持つ対戦相手に対して行われたのなら、恐らく有効だっただろう。 だが、相手が悪かった。今回の対戦相手、猪狩誠には……そのようなまともな倫理観は、存在していなかった。 「園長!あんたなら、そう言ってくれると思ってたぜ!」 「な…………っ!?」 「う、おおおおおおおおおおおお!」 何の躊躇いも無く、園長に拳を叩き込む誠。 園長を傷つけた事で更に強化された拳は園長で止まらず、その後にいた冷泉院も、まとめて貫いた。 「なん……て……奴だ……」 園長と冷泉院。二人の目から光が消えていく。 「園長………っ!」 猪狩は腕を引き抜き、倒れかけた園長を支える。 「誠……そんな顔をするな……。これでいいんじゃ、これで……」 穏やかな顔で、園長は猪狩に話しかける。 「死ぬな……死ぬな園長!直ぐに病院に連れて行ってやるからな!」 必死に園長を呼ぶ誠。しかし、園長の顔からは見る見る血の気が引いていく。 「いいんじゃ……。子供達を手に掛けた時から、こうなる事も覚悟していた。何より……」 園長がゆっくりと手をあげ、猪狩の頬に触れた。 「我が子の手の中で死ぬというのも……。悪いもんじゃあ、ない……ぞ……」 「園長……!?おいっ!園長……!」 持ち上げられた手が力を失い、地面に落ちる。 「……園長!………えんちょおおおおおおおおおおおおお!」 飛行機内に、猪狩の悲痛な叫びが響き渡る。……それに答えるものは、もう、誰もいなかった。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/255.html
勇猛果敢ヤブレイザー!・SS 単発 第1話 DBへ SS保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/3176.html
戻る おもしろいけど、これ書いた奴病んでるだろ 痛々しい -- (名無しさん) 2010-04-07 02 32 11 笑み社はメンh(ry -- (名無しさん) 2010-04-07 03 42 08 笑み杜、とりあえずつべでタモリのジャズ桃太郎見てこい -- (名無しさん) 2010-04-07 22 25 58 なんか蛸壺みたいだな -- (名無しさん) 2010-04-07 23 19 55 叩かれすぎワロタ 盛り込むネタは考えた方がいいと思う -- (名無しさん) 2010-04-08 01 46 32 これは、いいなぁ。俺は大好きよ -- (名無しさん) 2010-04-15 01 09 24 笑み社のSS読むのはこれが初めてなんだが…なんだこれ 凄まじいキャラ崩壊、やたらと多い句読点、 何より読み手を楽しませようって気概がちっとも伝わってこん。 -- (名無しさん) 2010-04-26 10 22 45 唯が才能を発揮して単独で成功していくのは少ないから 面白く読めたが Mステはタモリ悪く無いだろwww 口パクを歌って出禁になるとかも無いんじゃないか? それ以外は面白かったと思うよ -- (名無しさん) 2010-05-09 19 07 25 あちゃー唯とうとう・・・ってなんなくてよかったw -- (名無しさん) 2010-05-10 19 58 58 ひさもとまさみ和露他wwww えむすてはまじでくちぱく -- (名無しさん) 2010-05-25 23 11 07 よかった・・・! -- (名無しさん) 2010-05-27 04 04 45 笑み社(笑) -- (名無しさん) 2010-06-19 19 58 23 なんで叩かれてんのか分かんないけど面白いと思うよこれ -- (名無しさん) 2010-08-02 19 39 01 何かと思ったら蛸壷屋のオマージュか -- (名無しさん) 2010-08-16 19 13 03 叩かれてんなー 唯が超天才っていう設定(いや原作も結構そうかもしれんが)は嫌いじゃないけど 台詞の前に名前がないとSSは若干読みづらく感じてしまう俺がいる 小説とかラノベだと感じないんだけどなー -- (名無しさん) 2010-08-31 16 45 39 完全に蛸壷屋インスパイアだな 所々表現をもろパクってるのを見ると萎える 『音楽』が上手で、上手で、上手で、上手で、上手でどうしようもな い人が―― 世界の誰からも愛される音楽家になれるのだろう。 とか -- (名無しさん) 2010-08-31 17 47 16 Mステたまに口パクだから遊んじゃう人がいるけどねwww -- (名無しさん) 2010-09-18 21 47 05 酷いな…野球部かわいそうすぎるな… 野球部不憫。 久本糞女 -- (名無しさん) 2010-09-27 02 00 17 展開は某同人に似てるけど終盤辺りからかなり好きで終わりかたも すごくいいし結構好きだ。ところで口パクって拒否できないのかw知らなかったw -- (真・けいおん厨) 2010-10-16 06 36 43 なかなか良かったぜ。 梓と憂が素晴らしかった。 -- (通りすがり) 2010-10-16 10 04 24 完全に蛸壷屋の二番煎じだな -- (名無しさん) 2010-10-16 11 13 27 ツボでしたが 最高におもしろい -- (名無しさん) 2010-10-16 20 35 21 3部でよかったかなって個人的には思うかも -- (名無しさん) 2010-10-19 12 56 08 某同人誌と違って鬱にならないだけいいや -- (名無しさん) 2010-10-21 05 58 55 二次創作の二番煎じ書いて恥ずかしくないのかね -- (名無しさん) 2010-10-21 06 32 17 パクリかよ! 確かに恥ずかしい -- (名無しさん) 2010-10-26 18 12 01 某同人より、救いがあるからこっちのがいいなぁ・・・ -- (名無しさん) 2010-10-26 20 14 35 笑み社は平沢憂の500の質問が一番好きだな -- (名無しさん) 2011-03-30 14 16 06 ジョンレノン思い出した -- (名無しさん) 2012-01-08 16 24 07 本当に耳がいいひとは物がぶつかる音、サイレンの音にも音階を見つけ出してしまうらしいな。良すぎるのもよくねえな -- (名無しさん) 2012-01-08 18 14 41 絶対音感、相対音感もいい事ばかりじゃ無いんだな…なかなか考えさせるSSだったよ‼ -- (あずキャット) 2012-01-08 20 53 10 流し読みしたら白けるかんな -- (名無しさん) 2012-08-12 10 14 37 面白かった こういうのを求めていた -- (名無しさん) 2012-08-12 13 48 44 第一部はまんま蛸壺じゃん -- (名無しさん) 2012-08-12 14 37 46 悲しいような素晴らしいような不思議な読後感。 二番煎じだろうと蛸壺のような風にならなくて本当に良かった。 -- (名無しさん) 2016-05-25 23 23 18 これ笑み社さんなの? 昔の作品にありがちなドラマチックな形式だけど… -- (名無しさん) 2016-09-19 17 29 40
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1443.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 685 輝石の価値は/コメントログ」 ……………鬱 -- 2010-07-12 01 43 41 希少種を殺したやつ 殺す -- 2010-08-11 00 57 58 希少種はまんじゅうじゃないよ! 殺すなんてとんでもない!!! -- 2010-08-12 20 03 52 ゆっくりいしめssの話のつくりかたがなってないな そもそもゆっつくりいじめの話のできかたの基本的なパターンは いじめられるゆっくりの醜悪な面をみせたりゲスなイメージを最初に読者に与えることにより、 「このゆっくりはいじめられて当然だ」などの認識をもたせることができる。 普通のゆっくりまりさやゆっくりれいむはいじめられてるssの期間が長いので、何もしてない状態で、 いじめられていても読者はあたりまえだ、と思えるが、希少種のいじめはあまりみない上にこのssの希少種は無罪、 そんなssを見ても、読者はいじめの様子を心地良くは決して、思わないだろう、 希少種のありがたみをもっと作者はみるべき、そして読者が読んで心地よいいじめを目指すべき。 と、かなりの長文になったが、ようは神奈子様信者の俺にこのssは少々鬼畜過ぎた、ということ。 -- 2010-08-12 20 58 45 ゆっくりがゲスであれば虐める大義面分が立つだろうけど、 そんなケースばっかりじゃないでしょ。 生殺与奪の権は人間が持ってるんだから、希少だろうが 善良であろうが等しく死ぬべき。 -- 2010-08-15 16 27 27 どうも自分ルールを押し付けようとする自己中心的な奴等がいるねぇ ↓↓神奈子信者なのはいいけどさ、基本ゆっくりは東方と別物なのに混同するとか、侮辱も良い所 ↓↓↓ゆっくりは例外無く饅頭、なに勝手にオリジナル設定付けてるの? SS書くのは作者の自由、話の構成はその作者の裁量に委ねられる 作者は自分の書きたいものを書く、別に金を貰ってる訳じゃない、仕事じゃないアクマで趣味の域だ とどのつまり、希少種うんぬんだの、やめろだの言って強制するのは言論弾圧にも等しい 共産主義か独裁主義かよ それに、気にいらなかったら途中で読むのを止める権利があるのにそれをせずに文句たれるとか、自衛も出来ないのかよ -- 2010-08-16 03 41 42 あれだ、ちょっと読み終えた時発狂気味だったからわけのわからん自己中コメしてしまったんだが ようはジャンル的にこのssは需要を集めにくいんじゃね?っていうことをいいたかった。 違うジャンルで書けばもっと共感できんじゃね?ということをいいたかった。 -- 2010-08-16 12 24 26 他の人もいってるけど、別に作家でもないんだから需要なんて気にする 必要ないし、書き手が思うままに書けばいい。変に共感を得ようとして 無難にまとめれば、ありきたりの文章しか出来上がらない。 -- 2010-08-16 22 51 31 うーむなるほど -- 2010-08-17 22 21 27 稀少種でもなんでも可愛いゆっくりが理不尽に虐待されるのが大好きな俺にはとてもいいSSだったよ -- 2010-08-23 04 45 25 いや、そういう意味でいったのではなく、このまま、需要など関係なしに突き進むならなにも言わないけど、 もし需要をある程度集めたくてこういうssを作ったのなら、題材変えたほうがもっとよくなると思うという、 よければ参考程度に読んでくれるとうれしい、という事を言いたかった。 -- 2010-08-24 17 35 18 ↓あんた…今さら紳士ぶってもそれは通らんだろ…。あんたのやったことはただ自分が嫌いな類のSSに自己中なけちをつけただけじゃないか。 -- 2010-09-13 00 38 13 うーむ、さなえさんの奇跡か… 痛い目に会いたくないという心が、自分が3回痛い目に会えば助かるという理性を上回ったのかな? それとも、奇跡は理性では使えないのか… 希少種苛めで私はちょっと心が痛んだけど、考察SSとして良いんじゃないかな? -- 2010-10-25 17 40 58 希少種優遇が風潮、というかもはや常識みたいになってしまって虐待種差別反対派が異端扱いされつつあるこの状況下でこのSSをあげた作者さんに拍手を送りたい。こういう流されない人は、ゆっくりSS作者の中の希少種と言えるかもな。希少性にしても能力にしてもね。 まあ…内容は好みは別れるだろうけど、希少種の虐待そのものじゃなく、それをためらわない作者さんの主体性のある態度が俺は好きだ。 -- 2011-01-06 01 43 58 これさあ作者自身が希少種虐待を好きじゃないだろ 他の人があまりやらないから希少種虐待を書いただけだろ 要は他の作者と違う事をして目立ちたかっただけの只の厨二SSだな 書くんなら書くでもっと面白く書けよ知恵遅れが 希少種を虐待したくない人間が仕事だからと だらだら虐待するだけの鬱SSを読んで面白いと思うか知恵遅れが 考察内容も実につまらん、サイコロで1が出ない奇跡?はあ? つまんねえんだよ知恵遅れが ゆっくりの心理描写もないし人間が見たままをだらだら書いてるだけ 実験内容が面白ければそれでもいいが サイコロふって人間が嫌そうにだらだら虐待するだけ・・・ びっくりするほどつまんねえんだよ知恵遅れが 2回言うくらいつまんねえんだよ知恵遅れが この知恵遅れの作者はれいむのまむまむから奇形ゆとして 生まれるところからやりなおした方がいいね!今すぐでいいよ! -- 2011-06-16 15 37 24 ↓つ他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! -- 2011-07-02 18 04 28 ↓↓どぼじでぞん゛な゛ごどい゛うのお゛お゛お゛お゛おおおおおおおおおおお!? -- 2011-08-23 15 48 50 人が嫌になる発言をする奴のほうがよっぽど中二で知恵遅れなんだねーわかるよー。 -- 2011-10-23 00 43 55 ↓↓↓↓嫌なら読むな知恵遅れ 例えつまらんくても「ああつまらんSSだな」と『思う』だけにしろよ なんでわざわざコメントするかな お前の意見なんか誰も求めちゃいないんだよ そりゃみんながみんな『おもしろい』とは思わないだろうけど『おもしろい』と思う人だっているんだよ お前だって自分の好きだったり気に入ってるものをけなされたら嫌だろ?それと同じだよ知恵遅れ それにも気づかないんだかわざとやってんだかしらんがお前のほうが知恵遅れだよ 大事なことだから3回言ったよ 【知恵遅れ】。 -- 2011-10-23 01 11 13 ↓あーうー -- 2012-01-28 22 19 57 『自分の体』だけにしか働かない奇跡っていうのは悲しいな。そのせいで壊れたさなえとすわこはこの後どうなるんだろう。 善良な家族が人間のせいで滅茶苦茶に、ってシュチュエーションは他にいくらでもあるけど、善良な希少種を虐待というのはやっぱり慣れんなぁ‥。 あとコメント欄随分荒れてるな。ゆ虐の中でもこういうのは特に人を選ぶってことか。 -- 2012-01-29 04 18 49 希少種虐待はゆっくりできるね! -- 2012-04-07 00 08 53 ちゃんと前書きされてた通り希少種虐待物だと言ったろ?それに文句を付けちゃならんよ。しかもつまらないからって知恵遅れだとかそういったコメって評価や感想じゃないんだよそれは罵倒や罵声、中傷と言うんだよ良く言って批判だ。 しかもここはあくまで感想を述べるところしかもss自体にだそんなこともわからないバカはネットでコメするな荒れるだけだし迷惑だから 俺自身ゲス以外の虐待は好きじゃないから飼育係りの鬼為山が虐待が楽しくなったら読むのをやめようと思ったが結局全部読んでしまったな で感想は俺には向かない作品だなと思ったが言うならもっとすわこの虐待過程が欲しかったなまぁあったら途中で読むのをやめてたなww -- 2012-07-27 02 05 47 希少種優遇はあんまり好きじゃない。だからこういう作品もっと増えて欲しいね -- 2013-01-09 09 59 56 というか、元のふたばにせよここにせよ 18歳未満は入ってきちゃ駄目だし、SS読んじゃ駄目だし、感想を書き込んだりしちゃだめだろう -- 2013-02-08 02 46 36 いいキセキだった・・・ -- 2013-12-16 03 22 07 希少種虐待は最高だね。もっと増えてほしい! -- 2013-12-26 21 54 34 貴重な希少種虐待作品をありがとう もっと増えると良いな♪ -- 2014-05-07 19 25 17 希少種虐待の中でも珍しい作品だな。 もっとこういうのが増えるといいのにな・・・ -- 2017-08-02 10 33 52 注意書を読んでいないお子様がいるなw 私も希少種虐待反対派だが、観察系は嫌いじゃないよ。 嫌いなのは、理由なく希少種を虐待する話かな。 数が少ないから希少種、そんな希少種を意味なく殺すのはもったいない。 -- 2018-01-11 23 14 36 さなえ自身の身の安全にしか働かない奇跡の力か 悲しいね -- 2023-05-18 17 35 55
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/403.html
「遠藤様、襲撃者が来ました」 「やはり…来たか…」 遠藤は舌打ちする。 ざわ……ざわ…… (この人間の禁忌と欲望をぶちまけた最高の娯楽を手離すのはいささか不本意だが…) 「ゲームの続行は不可能だと断定します」 「ならば致し方ない……。だが、このゲームはいつぞやまた形にしてみせる」 遠藤はスイッチを押した。 魔術師、荒耶宗蓮。 それが我が名だ。 突然体が軽くなる。 「そうか……遠藤。ゲームは失敗に終わったか。よもや、サイモエが抑止力だとはな…」 荒耶の体はワープし、元の世界へと還る。 「アニロワ4thでまた逢おうぞ」 【荒耶宗蓮@空の境界 生還】 「遠藤様、参加者は全員元の世界に還りました」 「うむ。ではサイモエが息を潜めるまで我々も待避するとするか」 【アニロワ3rd 参加者50名生還 サイモエの介入によりゲーム中止】 ―完― 【補足】 当ロワで現にあった負の産物として残しておくべきだと判断し、収録しました。 以下、が当SSの投下された際の本スレでの流れです。 487 名前: ◆fnRQEOQD1. [sage] 投稿日:2009/12/05(土) 01 59 09 ID hHZXap50 遠藤、インデックス、荒耶投下します! 488 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 01 59 31 ID P3RjyOA6 この流れをぶちこわしてくれ支援 489 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 00 28 ID 0ZkMD1Jy 同じく支援! 490 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 01 04 ID W22cAK3f あらやんは予約されてるはず 492 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 01 57 ID QLotUKi8 支援 493 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 02 03 ID oNTZQJ2B え? なにそのメンツ というかあらやん予約済みなので無理です 495 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 02 57 ID JJp/E4uX 予約してないから無理 497 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 03 37 ID CvdIsD3b やっぱりな 498 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 03 37 ID P3RjyOA6 インデックスさん空気過ぎて普通に参加者にいたのかとか思ってた 悪い意味でこの空気がぶち壊せる荒らしSSだなwww 499 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 04 47 ID QLotUKi8 501 名前: ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 18 23 09 ID t8uIlVQY 美穂子、船井、ゆい、ムギちゃん、あらや 予約したいんですが…まだ、駄目でしょうか? 502 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 18 34 29 ID UD1kAkHc 501 うん、まだダメだと思うよ 503 名前: ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 18 47 29 ID t8uIlVQY 返答ありがとうございます やっぱり、そうですよね… 504 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 19 08 11 ID eLiyeP6E 大丈夫でしょ トレ美穂SSの修正は実質破棄されたし 前の船井組SS投下から24時間たってるし 505 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 19 14 26 ID UD1kAkHc そうか、今の議論に決着付くまでダメかと思ってた。失礼 507 名前: ◆PV.nOaaCrQ[sage] 投稿日:2009/12/04(金) 19 45 06 ID t8uIlVQY ん、予想おkなんですか? なら、予約お願いします とのことです。残念ながら無理ですね。 500 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 05 07 ID oNTZQJ2B ま、いんでないの自分は荒らしですって証明を自らしてくれたんだし 501 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 05 47 ID P3RjyOA6 あ、さっきから最萌えでゴネればいいんだなとかいうレスを延々繰り返してた人か 502 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 06 01 ID zCgU+x35 荒耶は既に別の書き手が予約中 既に予約が入っているキャラを含む予約と投下は禁止 予約なしでの投下は禁止 結論:荒らし乙 504 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 07 58 ID QqZfqCPN なにこのネタSS 505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 09 08 ID KYYl2N0O いや今までのSSの中で一番面白いわ ◆fnRQEOQD1. 乙 誰かwikiに追加してくれよ 506 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 09 24 ID P3RjyOA6 釣り針がでかすぎる 508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 10 32 ID hHZXap50 投下終了です。 問題点があれば修正します。 509 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 10 33 ID Y1N9cEnU 黒服「はっ……夢か」 510 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 11 51 ID P3RjyOA6 509がオチだな 512 名前:エピローグ ◆fnRQEOQD1. [sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 18 04 ID hHZXap50 ピンポーンッツ! 呼び出し鈴がなる。 私は胸を高鳴らせ、玄関へと駆ける。 「ピザ○ットで~す」 箱を受け取り、テーブルへと持っていく。 箱を開くと中にはピザが入っていた。 ――ああ、これが幸せなんだね。 荒耶さんは悪くないと呟きながらピザを口にする。 私、中野梓もピザを一切れ頬張る。 きっとこれからもこんな幸せが続いていくのだろう。 【中野梓@けいおん! PIZZA END】 513 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/12/05(土) 02 31 47 ID hHZXap50 支援ありがとうございました。 Wiki収録の際のタイトルは「最萌襲来!」でお願いします。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17513.html
…… ……… 梓「――憂は、憂だけは…一緒に連れて行っていいかな」 梓?「……ダメ」 梓「ど、どうして!? あなたと憂が一緒に居たって、何もいいことなんてないでしょ!?」 梓?「……憂が、『中野梓』の存在の何よりの証明だから、だめ」 梓「っ!?」 梓?「『中野梓』は、憂を好きだった。憂に愛された。憂の存在自体が中野梓の証だよ。わかるでしょ?」 梓「で、でもっ!」 梓?「確かに、私は憂より唯先輩が好き。だから問題となるのは『あなたの隣に憂がいる』こと。それだけであなたは『中野梓』の要素を得てしまう」 梓「っ……」 それは…そうかもしれない。 私が憂を好きなように、憂は『中野梓』が好き。つまり憂の隣にいるのは『中野梓』であり、憂が隣にいたがるその人は必然的に『中野梓』になってしまうんだ。 元々は両想いではなかったとはいえ、今は両想い。そしてそれを皆が知っている。 全員を騙すことが出来ないと、“私”は私になれない。つまり、憂は『中野梓』の隣にいないといけないんだ。 『中野梓』を譲り渡すと言い、そして誰よりも憂に好かれていた私に、その理屈を否定することは出来なかった。 梓?「……人を好きな気持ちはよくわかるよ。だから憂を悪いようにはしない。それだけは約束する。けど、一緒に行くことは許してあげられない」 梓「そしたら……憂は…どうなるの? 憂は、きっと気づくよ……?」 恋心に敏感な憂なら、きっと隣にいる『私』の恋心の向く先が変わってることにすぐに気づくだろう。 梓?「…死なせはしないよ。あなたが悩み、苦しんで、決断したことはちゃんと伝える。ちゃんとわかるように言うよ、あなたが憂に手を汚させたくないが為に、こうして来た事も含めて」 梓「………」 梓?「あなたの弱さも、そしてそれ以上の優しさと愛情も、ちゃんと伝える」 つまり、憂にはちゃんと理解してもらうように努力する、と言っているんだろう。 私の選択の意味を理解して、受け入れて、平穏無事に生きてもらう、と。 梓?「恋人がいない事に絶望して自殺…なんて絶対にさせない。あなたは憂に生きて欲しいんでしょ?」 梓「……うん」 憂の隣に居られないのなら、あとは望むことはそれだけ。 “私”もやっぱり憂のことは恋愛感情こそ抱かずとも大切に想っているんだろう、私の答えに僅かだけ微笑んだ。 梓?「……来年まで私が生きてたら、唯先輩のところに進学したいと思ってる。その時まで純にバレてなければちゃんと話して、憂と純とは別の道を歩もうと思う」 梓「……うん」 梓?「……それまであなたも生きてれば、また会えるかもしれない」 梓「………」 やっぱり“私”が求めるのは唯先輩の隣。あの家を出るのは必然と言える。今がその時期ではないというだけで。 そしてその時が来れば、純に話して憂と一見自然に見えるように別れ、唯先輩と付き合う、ということだろう。 だからその別れの時が来れば、私はまた憂に会える…かもしれない、と言う。もちろん、『中野梓』としてではないけど。 でも、本当にそうなれば全てが丸く収まる、と思う。私が『中野梓』じゃない以外全てが元通りで、そして唯先輩達の望みも叶う。理想のカタチに思える。 そんなものを“私”は提示してくれた。 それは、優しさなのだろうか。 それとも、慰めなのだろうか。 梓?「私は、憂を好きだと言いながら私を殺せないあなたを軽蔑するよ」 梓「っ……」 そこまで言われても、私の手は動かない。 この手は、命を奪うことを良しとしない。 梓?「……けど、その優しさにも感謝してるから、生きて欲しい。あなたにとっては屈辱だろうけど、私はあなたから居場所を『譲って貰った』形になるんだから。この手を汚さずに『中野梓』になれるんだから」 だから、感謝はする、と言う。 弱さを感謝されて嬉しい人なんていないと思うけど、それでもこの感謝は本物なんだろう。 ……そして、私の悔しさもわかってる。 弱さに、情けなさに感謝される側の屈辱をわかってて尚、お礼を告げる。 言われた側が惨めな気持ちになることをわかってて、それでも偽らない思いを告げる。 梓?「二度と、私と唯先輩の前に現れないで欲しい。けど、優しい決断をしてくれたあなたに、もう私は「消えろ」なんて言えない」 梓「………」 梓?「殺したいのに殺せないと言ってくれた優しい人を、私は殺せない」 梓「……それは、弱さだよ」 梓?「…私は助けられた。だから、それは優しさだよ」 優しさと言い切り、私に情けをかける“私”。 優しさを貰ったなら、優しさを返してあげたい。私は常々そう思ってる。 きっとこの“私”が言うのも似たようなことなのだろう。 梓?「……あなたのことは大嫌いだけど、絶対に生きて欲しい」 やっぱり、この“私”も、私達と何ら変わらない『人』なんだ。 「――さよなら、私……――」 ………… ……… 【#30】 梓「――変わってないね、何も…」 電車を降り、駅から一歩歩み出て、そんな言葉が口をついた。 当然といえば当然だ。ほんの数ヶ月で目に見えて変わるものなんて、そうそうない。 この街、桜が丘も当然、数ヶ月程度では何も変わらないに決まってる。 ただ一つ大きく変わったのは、この街にはもう私の戻れる家すらないということ。 この数ヶ月間、両親との関係は好転しなかった。悪化こそしなかったものの、特に何かしらの動きがあったわけでもなかった。 家の事なんて気にかける暇すらないほど毎日に必死だった。他に考える事が多かった。 でも、失ってみれば、それは確かに私の手の中から零れ落ちたモノの一つとなって、私の心に影を落とす。 人は失って初めてその大切さに気づく、とよく言うけど、本当だと思う。 考えもしなかったのに、見向きもしなかったのに、目を逸らし続けてきたのに、今、私は確かに寂しいと感じている。 純との生活、憂との関係、全てが失敗しても私にはまだ帰る家があった。 プライドを捨て、反省し、泣きながら土下座すればきっと迎え入れてくれるはずだった家が。 確かにあったはずなんだ、暖かく、温かかった家が。今はもう戻れない家が。 梓「っ……」 強く目を瞑り、袖で涙を拭う。 ううん、涙じゃない。私は泣いてなんていない。認めるわけにはいかない。 ……泣いている自分を認めてしまったら、きっと涙が止まらなくなる。 自分から『私』を捨てた私に、涙を流す資格なんてない。 それでなくても、私は強くなろうって思ったんだ。憂達を守ろうって思ったんだ。結果は伴わなかったけど、それでもこれは私のそんな選択の結果なんだ、泣いちゃいけない。 当初の予定とは違うけど、誰も命を落とさず、誰も手を汚さなかった。理想的な『終わり』なんだから泣いちゃいけないんだ。 ……それでも、涙が溢れ出て来そうになる。寂しさが胸の奥から湧き出てくる。 でも、そんな気持ちと決別するために私はこの街に戻ってきたんだ。 家を、お父さんお母さんを一目だけ見て、それでも涙を流さずにいられれば私は大丈夫のはず。 それが出来れば、私は一人ぼっちでも生きていける。憂とまた会えるその時まで生きることが出来るはず。 ――そう思っていたんだけど、やっぱり無理かなぁ、とも思い始めている。 ちゃんと涙を流さず駅から歩いてきた。でも、この曲がり角を曲がれば我が家が見える、そんなところで一時間近く立ち止まっている私には、いざ家や両親を目にしたら泣かないことなんて無理かもしれない、と。 今のこれは涙じゃないと言い張れる程度の量だとしても、その時は我慢できないんじゃないか、と。 とはいえ、これ以上立ち止まってはいられない。不審に見えるのももちろんだし、そもそも帰ってきた意味がない。 意を決し、首を伸ばして曲がり角の向こうを覗いてみる。すると…… 梓「……? 今、誰か……」 家の前に人影が見えた気がして、尻込みしていたのも忘れて静かに家に近づいていく。 時刻はたぶんお昼時。憂に見つからないよう早朝に純の部屋は出たけど、移動と、そしてさっきまでの躊躇いできっとそれくらいの時間になっているはず。 両親は平日休日の区別なく不定期に家を空ける人だから両親の姿を見た可能性もあるけど、どうにも違うような気がした。そんな気がしたからこそ恐る恐る近づいているんだ。 そして、家に数メートルというところまで近づいたあたりで話し声が聞こえてきて、その相手に驚いた。 中野母「――ごめんね、まだ……」 菫「……そうですか」 直「……ありがとうございます、おばさん」 梓「――!?」 間違いない。一年間一緒にバンドを組んだ、愛すべき後輩の声だ。斉藤菫と、奥田直。忘れるはずがない名前。 透き通るような綺麗な外見に違わない透明な声と、最初の印象よりずっと歳相応に感情豊かな、細かい起伏の多い声。聞き間違えるはずがない。 どうやら家に居るお母さんと向かい合って玄関で話しているようだから、顔を出して覗くことこそ出来ないけど。それでも会話の内容はちゃんと聞こえてきた。 中野母「こちらこそありがとう。毎日毎日」 菫「いえ、ただ一目会いたいだけですし……言わば私達のワガママです」 直「今は向こうで元気でやっていると聞いてます。本当はそれだけで充分なんですから」 中野母「……ごめんなさいね。あの子、いろんな人に迷惑かけてるわね」 菫「迷惑なんかじゃないです。だって…私達は、先輩を支えきれませんでしたから、迷惑をかけてもらえる資格さえないんです」 直「………」 中野母「……山中先生から話は聞いてるわ。あなた達も先生も、梓の同級生の子達と、そして先輩に遠慮してたんだって」 菫「遠慮なんて……そんなものじゃありません」 直「力不足だったんです、私達では。私達の声は、先輩に届かなかった……」 中野母「そんなこと……」 菫「いえ、やっぱり出会って一年も経たない私達じゃ、ダメだったんです」 直「……悔しいですけど、やっぱり一緒に居た時間の差には勝てなかったんです」 梓「っ……!」 痛い。 胸の奥が、とても痛い。 そんなわけがないと、出て行って否定したい。 時間の差なんて関係ない。大事な大事な後輩なんだって伝えたい。心配かけてごめんねって謝りたい。 でも、それは出来ないんだ。 今の私は『中野梓』じゃないから……とか、そんな些細なことは問題じゃなくて。 あの時の私は、実際に皆の声を無視していたんだから。実際、私を助けてくれたのは純だったんだから。 その二つの事実が、私の招いた事実が、二人の言うことを肯定してしまっている。 そんな中で薄っぺらい言葉だけで否定したところで、何が伝わるというのだろう。 きっと逆に、「他の先輩方にはちゃんとお礼を言ったんですか?」と返されるのがオチだ。 自ら身を引いた二人だからこそ、他の人を立てようとするだろう。そして実際、私はまだムギ先輩と律先輩には何も告げていない。そんな私が二人の前にどんな顔をして立てばいいというのだろう。 それにそもそも話を聞く限り、二人が会いたいのは元気にやっている私だ。立ち直った私だ。今の私では、到底その純粋な想いに報いることはできない。 梓「っ……ごめんね……」 この胸の痛みは、きっと報いなんだ。 憂と恋人として歩んで行きたいとか、純に隣に居てほしいとか、私はこれから何をするべきかとか、一見前向きな綺麗事ばかりを並べていたけど、それは全部自分のためのこと。 前を向いた気になって、その実自分のことばかり見てて、後ろの過去に置き去りにしてきた人達の想いを見なかった私に対する報い。 梓「そ、っか……」 ようやくわかった。 私がするべきことは、過去や『私』や寂しさとの決別なんかじゃない。 自らが為した事、招いた事、全てを受け入れ、抱え込み、痛みに耐えながら生きることだ。 あの時からずっと弱いままの私は、多くの人を傷つけてきた事実を直視しないといけない。傷つけたことに気づき、傷つかないといけない。 私が『私』であったなら、まだ償いようもあったのかもしれない。 でもそうでない今、償う手段すら残されていない。『中野梓』が犯した罪を死ぬまで抱えながら生きるしかない。 今の私は『中野梓』ではないとはいえ、見て見ぬフリなんて出来ない。目を逸らせない。 だって、それは私が招いたものなんだから。ドッペルゲンガーではない、『人間』の私がやったことなんだから。 今となっては責任も取れないし償いも出来ないけど、投げ捨てて目を背けるなんてこと、出来るはずがない。 人間は、自分の心に嘘は吐けない。人間の心に、逃げ道なんてない。 ……ドッペルゲンガーなら、多少は言い訳が効くのだろうけど。 【#31】 ――これからどう生きるのか。それを痛いほど思い知らされた私は自分の家に背を向け、ただフラフラと歩いていた。 ただフラフラと歩き、足は自然とここに向かっていた。 梓「……変わってないね、ここも」 内心ホッとしていた。目の前にある家の表札が『平沢』から変わっていないことに。 純と危惧していた通り、そう簡単には買い手が付かなかったのだろうか。答えは私にはわからないけど、とにかくここが変わっていないことが嬉しかった。 憂の暮らしていたこの家を、変わらぬまま在るこの家を、最後に一目見れることが嬉しかった。 そう、最後に、だ。 やっぱり私は、この街に居てはいけない人間だ。元よりここで暮らすつもりなんてなかったけど、もう少しはゆっくりしていくつもりだった。家を見た後に思い出の場所を巡ろうかと考えつつあったくらいには。 でも、今となってはそんな気も起きない。フラフラと歩きながらも求めたこの場所を目に焼き付けたら、すぐにでもこの街を出ようと思う。 私はこの街の全てを捨てたようなものなんだ。この街にいた頃に受けた想いを全て置き去りにしたのだから。 そんな私がここにいていいはずがない。もっと厳しい処で、足を震わせながら独りで生きて行かなくちゃいけないんだ。 だから、憂のいたこの家だけでもせめて目に焼き付けて、この街を出よう。 もう涙も我慢する必要はない。涙を流しながら悔いながら情けなく生きるのが私にはお似合いなんだから。 いっそいつぞやの純みたいにドアノブまでガチャガチャ回してみようか。 あの日憂が鍵はかけたはずだけど、もし、もしも開いてたら、私は…… 梓「……なんて、そんなバカな事考えたってしょうがない――」 と、どうしようもない自分を嘲っていると。 不意に。 後ろから。 梓「っ――!?」 肩越しに、腕が回され。 「……――――……」 その腕と、背中に押し付けられた身体から温もりが伝わってきて。 それらはそっと優しく、ぎゅっと大切そうに、私を包み込む。 そして 囁かれる。 「――会いたかった……」 反射的に振り払おうとしたけど、その声によって私の動きは止められた。その声の持ち主を、私が振り払えるはずがなかった。 ここにいるはずがない、いや、考えなかったわけではないけど、それでもここに『居てほしくない』人。 そしてそれでもずっと心のどこかで願っていた、隣に『居てほしかった』人。 しかし私は、それを願うことは許されない。だから私は、私も貴女もそれを願わずに済むように仕向けたはずなのに…… 梓「――どうして……」 肩越しに振り向いた、その先。 そこには、微笑みと共に涙を流す、憂の優しい笑顔があった。 20
https://w.atwiki.jp/debutvselder/pages/175.html
~4ターン目先手終了後の分岐世界(パラレル・ワールド・エンド)~ 新参Bチーム戦勝記念SS ~4ターン目先手終了後の分岐世界(パラレル・ワールド・エンド)~ 新参Bチーム戦勝記念SS もうちょっとだけ続くんじゃ 懲りずにD&D ~4ターン目先手終了後の分岐世界(パラレル・ワールド・エンド)~ 新参Bチーム戦勝記念SS 緑風「――んん……ん?」 梨咲「ああ!緑風さん!!」 緑風「あれ?梨咲?えーっと俺は……ここはあの世か?え?お前成仏したの?」 梨咲「何言ってるんですか。ここは保険室ですよ」 緑風「え?だって俺、古参のヤツに殺されちまったんだよな?」 梨咲「それがですね、あの後D・Pさんがやってきて緑風さんのこと治してくれたんですよ!」 緑風「え?」 梨咲「だから……緑風さんは今、ちゃんと生きてますよ!」 緑風「え?あれ?D・Pってアイツ女しか治せないんじゃなかったか?」 梨咲「なんでも時間と設備があれば男でも治せるとか言ってましたよ。戦闘中なんかじゃ女しか治せないけどな、って」 緑風「なんだそりゃ……あ!?ってことは覇竜魔牙曇(ハルマゲドン)は決着ついたのか!?」 梨咲「はい!緑風さんのおかげで、新参Bチームは皆無事です!覇竜魔牙曇は古参陣営の降参で決着しました!」 緑風「おお!ってことは俺たち新参陣営の勝利か!」 梨咲「はい!完勝です!」 緑風「いよっしゃあ!」 梨咲「本当に……緑風さんも助かってよかったです……私……すごく……」 ダビ「佐座!目を覚ましたか!」 緑風「ダビデ!お前も無事だったんだな!」 ダビ「ああ。と言っても俺も一度は死んだようなものだったけど……な」 緑風「あん?どういうことだ?」 ダビ「俺も古参のヤツに殺された、という記憶はあるが、気付いたときには殺される直前に古参陣営が降参していた」 緑風「は?何を言ってるかわからねーぞ」 夢追「事象の改竄……ですよ」 緑風「……誰?」 ダビ「俺の台詞を取るな。夢追」 緑風「夢追!?ああ、夢追か!……着物なんて着てるし眼鏡かけてねーし、髪型も違うからわからなかったぜ」 夢追「覇竜魔牙曇で服がボロボロになっちゃいましてね。大至急着替えたんです」 ダビ「ボロボロになったというか」 夢追「ストップ!服持ってきてくれた親友にも泣かれちゃいましたし、反省してるんですよ!」 ダビ「反省……ね」 夢追「と、とりあえず今度からもうちょっと破れにくいようスパッツじゃなくてハーフパンツにでもしようかと」 ダビ「ほう」 緑風「あ!アレは!?」 夢追「えっ!?なんですか!?」 緑風「……」 ダビ「……」 夢追「……」 緑風「よくわからねーがどうせ夢追がいつも通りのことやって、そしてさっぱり反省してないってことはわかった」 ダビ「ああ、そうだな」 夢追「は、反省はしているのですが条件反射で……というか話を本筋に戻しましょうよ!」 緑風「ああ、事象の改竄だっけ?」 夢追「はい。どうやら古参陣営には既に起こった出来事を時間を遡ってなかったことにする能力を持った魔人がいたようでして」 緑風「はあ!?無茶苦茶じゃねーか!」 夢追「まあ自由に使えるようなら無茶苦茶もいいところですが、どうやら改竄できるのは途中経過くらいで結果は変えられない能力のようです」 緑風「あー、つまり、古参陣営がこっぴどく負けた。事象改竄能力を使って時を戻し、こっぴどく負ける前にさっさと降参した。そういうことか」 ダビ「どうやらそのようだ。まあ、おかげで俺は無事に生き延びれたわけだが」 緑風「結局死んだのは俺だけかよ。格好つかねーな」 夢追「まさにD・Pさんの言った通りってわけですね」 緑風「ああ?D・Pのやつが何か言ってたのか?」 夢追「はい、彼の完全蘇生ですが……対価があることをお忘れですか?」 緑風「対価?……あぁ、そいつが死んでも成し遂げたかったこととかなんとかだっけか?」 夢追「そうです。命を賭したその理由、それを対価として蘇生させる能力です」 緑風「見たとこ俺には何の変化もねーけど……俺は何を支払ったんだ?」 夢追「“ヒーローの死という見せ場”です」 緑風「……は?」 夢追「D・Pくんは緑風くんの格好良く死ねる見せ場を対価に生き返らせてくれたんですよ」 緑風「……」 ダビ「クク……」 夢追「ふふ……」 緑風「……ぷっ!あっはっは!あー……なんだそりゃ。あいつそういうこと言うやつだったのか」 のも「傑作だね!あるいはツンデレ!」 緑風「おお、阿野次」 ブロ「緑風お前の今回の活躍は見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない」 緑風「武論斗さん!」 ブロ「お前の活躍に免じてジュースをおごってやろう」 緑風「俺、そんなに活躍したのか?一人で突っ走ってさっさと死んじまっただけのような」 ブロ「活躍しようとして活躍するんじゃない活躍してしまうのがナイト」 ダビ「お前が囮になってくれた。それが今回の新参陣営の勝利につながった。それは事実だ」 のも「格好良かったよ!さっすが主人公!」 緑風「へへっ……そうか……って、なあ?あっちの隅っこで稲荷山は何やってるんだ?」 和理「……私の……究極の……握り寿司……」 ダビ「ああ、転校生の魂で究極の握り寿司が完成するはずだったんだが」 のも「私が転校生をひきつけてね」 ダビ「だがいざ寿司を握ろうという直前で古参が白旗をあげて」 のも「転校生もどっかいっちゃって」 和理「……完成すると……思ったのに……」 緑風「ああーなるほど……おい!稲荷山!」 和理「あ、緑風君。もう大丈夫?」 緑風「おう!お前もまあ寿司は残念だったが新参は完勝したんだろ!チームリーダーなんだからもっとシャキっとしろよ」 のも「そうそう!和理のこの通信機を使った戦術ラジオ作戦はすっごい役に立ったんだし、胸はっちゃいなよ!」 和理「そうね。できなかったことを悔やんでも仕方ないし、折角古参に勝ったんだからもっと喜ばないとね」 夢追「ということは当然、この後……?」 和理「ええ!転校生握りは出来なかったけど、とびっきりのお寿司をみんなに振舞ってあげるわ」 のも「やったあー!」 緑風「おおーっし!なんか安心したら腹も減ってきたし、思いっきり食うぜ!」 ダビ「待てよ佐座。ひとつ忘れているぜ」 緑風「あん?何をだ?」 夢追「ああ、そうですね」 ダビ「ほれ、お前を心配してくれていたヒロインに何か言ってやれよ」 梨咲「……」 緑風「あー……梨咲……」 梨咲「緑風さん……」 緑風「なんか心配掛けさせてごめんな。一人だけ死んじまって、結局生き返って、ほんとD・Pの言うとおりかっこ悪く生き残っちまって」 のも「カーット!」 梨咲「えっ!?」 緑風「な、なんだよいきなり」 ダビ「おいおい佐座!お前の中二力はその程度だったのか?」 緑風「は?どういうことだよ?」 ブロ「おいィ?お前らは今の言葉聞こえたか?」 のも「聞こえてない」 夢追「何か言ったの?」 ダビ「俺のログには何もないな」 緑風「みんなしてなんだよ!?」 夢追「ほら!今は緑風くんの見せ場なんですよ!」 のも「心配するヒロインに掛ける主人公の台詞ってものがあるじゃん!」 緑風「……あー、なんかお前らの言いたいことが分かった……」 ダビ「ほれ、事象の改竄だ。もう一回」 のも「テイクツー!アクショーン!」 梨咲「え、ええっと?みなさん?」 緑風「あー……梨咲」 梨咲「あ、はい」 緑風「心配してくれてありがとうな。だが、俺のことなら心配無用ってやつだ」 梨咲「で、でも本当にあの時はもう駄目かと思って……すごく悲しくて……」 緑風「大丈夫だ。ほら、現にこうしてぴんぴんしているだろ」 梨咲「そうですけど……」 緑風「心配するなって。俺には主人公補正って奥の手だってあるんだ」 梨咲「ど、どういうことですか?」 緑風「つまり、だ」 緑風「主人公は何があっても死なないんだよ。だから俺のことはいつでも安心して見ていろ」 梨咲「…………はい!」 のも「ひゅー!」 夢追「熱いですね!」 ダビ「世話の焼けるやつだな」 緑風「っておい!そっちに話を持っていくなよ!折角格好良く決めたところじゃねーか!」 梨咲「そ、そんな、私、その、あの……」 緑風「梨咲もここで乗っかっちゃうの!?」 和理「みんな!お寿司ができたよ!」 ダビ「おっとそれじゃあ続きは寿司を食べながらだな」 夢追「それじゃお先に……って武論斗さんもう食べてる!?」 ブロ「もぐもぐ」 のも「はやい!」 夢追「メイン盾きた!……じゃなくて速さなら私も負けませんよー!」 のも「私も私もー」 緑風「……」 梨咲「……緑風さん?食べに行かないんですか?稲荷山さんのお寿司すっごく美味しいですよ?」 緑風「ああ……もちろん食べるぜ……ただ……な」 梨咲「どうかしたんですか?」 緑風「覇竜魔牙曇の前ではヒーローとして格好良く死のうなんて考えてて、結局生き延びて、まあ主人公だから当たり前だけど」 梨咲「はい」 緑風「実際、格好良く死ねなくて、無様に生き延びて、それでわかったけどさ……」 梨咲「……はい」 緑風「ありがとな」 梨咲「えっ?」 緑風「お前の『死ぬ』はやめようよ!って言葉と……あとは一級ツンデレ師のD・Pのおかげでわかったんだよ」 梨咲「……」 緑風「無様に生き延びるってのも偶にはいいもんだな!」 梨咲「!!……はいっ!」 緑風「さ、俺たちも行こうぜ」 梨咲「あ、そうですね!早くしないとお寿司がなくなっちゃいます!」 和理「それでは新参陣営完全勝利を祝しましてー」 一同「かんぱーい!」 さんきゅーおーるきゃらくたー さんきゅーおーるぷれいやー そして……さんきゅー魁!!ダンゲロス! ――魁!!ダンゲロス――ハッピーエンド!! 「納得いかないわ……」 地の底から響き渡るような、底冷えのする声音に、勝利の祝杯を飲まんとしていた新参陣営の面々は凍りついた。 この声、このシチュエーション、このパターンは、 皆が皆、どす黒い予感を胸に、油の切れたロボットのようにぎこちない動きでギギギ……と声のした方へ首を向けると―― ――あれ?このお話ってハッピーエンドじゃなかったの? ――結局、格好良く終わらせてはくれないの? この物語の主人公である――否、先程まで主人公であった緑風は、疑問と諦観をないまぜにした気持ちで不穏な空気の発生源へと振り返ると―― はたして、嫉妬の炎を身にまとう、緑眼の怪物がそこにいた。 ~4ターン目先手終了後の分岐世界(パラレル・ワールド・エンド)~ 新参Bチーム戦勝記念SS もうちょっとだけ続くんじゃ 埴井「なんで!?どうして!?なに緑風ばっか目立ってるの!?」 和理「は、埴井さん、あなたもすっごく活躍してたわよ?あなたが睨みを利かせてくれていたお陰で」 埴井「なによ!それじゃ私がヒロインポジにならないのはなんで!?あたしなんて、その……ゴニョゴニョ……してまで戦ったのに!」 ダビ「落ち着け埴井。俺もまだケツが痛いんだ。アレは野良犬にでも噛まれたと思って忘れろ」 夢追「わ、私も親友に泣かれちゃいましたし、皆さん頑張ったってことで」 埴井「うるさいうるさいうるさーい!みんなそうやってあたしの恥ずかしいところ思い出して笑ってるんでしょ!」 緑風「すまねぇけど誰か俺にも話の流れを教えてくんない?」 埴井「もういいわ!あんた達!こいつらみんなやっちゃいなさい!」 ブロ「おい馬鹿やめろ」 和理(どうするの?この事態?) ダビ(いつものパターンから考えるとやばいな) 緑風(え?ハッピーエンドじゃなくて全滅エンドフラグ?俺が死んでる間に何があったの?) 夢追(話すと長いんです) のも(よし!ここは私にまかせて!いいこと思いついた!) 夢追(阿野次ちゃん!頼もしい!) 和理(何する気?) のも(まあまあ見ていてちょうだい) 埴井「なによ!?」 のも「落ち着いてアッシーナ!皆アッシーナが一番目立ってたって思ってるんだよ!」 埴井「適当なこと言わないでよ!私が黙っててもみんな無視して話進めてた癖に!」 のも「そりゃあアッシーナのことはわざわざ言うまでもないくらい目立ってたからだよ」 埴井「後から調子のいいこと言ったって騙されないわよ!あんた達!さっさと」 のも「ちゃんと証拠もあるよ!」 埴井「証拠……?」 のも「アッシーナが一番目立ってたし、これからもアッシーナが一番目立つって証拠」 埴井「ふ、ふーん?そんなものがあるなら見せてみなさいよ。3分待ってあげるわ」 のも「じゃじゃーん!新参Bチーム戦術ラジオー!」 埴井「覇竜魔牙曇のときの通信機じゃない。そんなのがなんだっていうのよ」 のも「うふふ……これには実は録音機能もあるのでしたー!だ・か・ら」 和理「ちょ」 ダビ「おま」 緑風「?」 ブロ「おいィ!?」 のも「ぽちっとな」 裏声『ひゃーん』 のも「……ぁやぁだ///」 埴井「なっ……」 のも「ほら!コイツをユメにでも頼んでお昼の放送で流せば全校生徒の半分……いや、4分の3は一発でアッシーナのファンになるね!」 埴井「……」 のも「あれ?アッシーナ?」 埴井「……」 のも「もしもーし?」 埴井「……」 のも「返事が無い、ただの屍のようだ?」 埴井「……」 ――よくよく考えてみたら阿野次ちゃんにまかせた時点でこの結末は分かりきってましたね…… ――誰だよ、阿野次にまかせたやつ…… ――俺の寿命がストレスでマッハなんだが…… ――お寿司とっても美味しいです♪ ――喜んでくれるのは嬉しいけど梨崎さん、お願いだから状況に気付いて…… ――未だに状況がよく掴めてねーけど、一個だけわかったことがある…… ――これ、ハッピーエンドでも全滅エンドでもねーわ…… ――この物語のオチは…… こうして新参陣営総本部は爆発した。 fin 懲りずにD&D 「はぁ……何よここ。暗くてジメジメして……息が詰まるったらありゃしない」 「そーお?そこがドキドキして素敵だと思うけどなぁ」 「あたしはあんたみたいに珍しいものが見れたらそれで幸せーなんて頭してないのよ」 「おおっと落とし穴」 「ああやだやだ……私は輝く日の光の下で沢山の聴衆から注目を浴びているべきなのに」 「でも一緒に来るって言い出したの埴井ちゃんだったよね」 「ああやだああやだ……ぁやぁだ……」 薄暗い洞窟の中に、トーンの違う女の子二人の姦しい声が反響している。 ここは希望崎学園地下に広がる巨大迷宮。通称『狂頭の試練場』。 そして今、その中を緊張感の欠片もないような会話と共に闊歩しているのが今回のお話のメインヒロイン達。 希望崎学園新参一の目立ちたがりにして蜂使いの一族・埴井家の後継者候補、嫉妬魔人・埴井葦菜(はにい あしな)。 希望崎学園報道部員にして飽くなき魔人能力・凄いことの探求者、年中無休の夢追厨・夢追中(ゆめさこ かなめ)。 二人は先日地上で開催された覇竜魔牙曇(ハルマゲドン)で共に新参陣営の一員として戦い、血と臓物と魔人能力の飛び交う戦場を生き抜いてきた間柄である。 ――そんな激動の日々も今は昔。 新参陣営の完全勝利で幕を閉じた覇竜魔牙曇以降、学園は再び平穏な時間を取り戻していた。 寝る間も惜しんで戦術を練りあい、時にぶつかり、時に励ましあった新参陣営の面々も、今では日常生活に戻っていた。 命のかかった戦場から開放されてまだ間もないこの時期、折角生き延びられたのだから、しばし切った張ったの荒事とは無縁の生活を送ろう……と、普通ならばそう考えるであろうが…… 「もし、あたしが地下迷宮から教頭の預金通帳を見つけてきたら……目立つんじゃない!?」 埴井と…… 「さーて、覇竜魔牙曇も終わったし!まだ見ぬ地下世界へGO!」 夢追は…… 端的に言って、普通じゃなかった。 既に迷宮出入口は遠く、地上の明かりも喧騒も届かない、深い闇と獣達の不気味な唸り声が時折聞こえるだけの地下空間。 そこにブーンブーンと空気を細かく振動させる蜂の羽音が木霊する。 埴井が周囲に放った斥候役の蜂達が戻ってきて、状況を主人に報告しだしたのだ。 「あーあ、こんな辛気臭い場所だって知ってたら初めから来やしなかったのに……はい、こっちは安全っと」 「埴井ちゃんと蜂さん達って本当に凄いねー。索敵に攻撃に情報連携に大活躍って、迷宮探索にいつでもいて欲しいなぁ。頼りになるよ」 「そ、そお?……ふ、ふん!当たり前じゃない!」 「ところでそろそろ何か凄いイベントでも起こりそうな場所は見つかってないかな?」 「あんたさっき、わー宝箱のイデアみたいな宝箱だー!とかなんとか言って罠にひっかかったの全然反省してなさそうね」 「それはそのええと」 「あたしは危険な目に遭うのはまっぴらよ」 「い、以後気をつけます……」 「あ!あんなところに凄いものが!」 「え!どこどこ!?」 「……」ズビシッ 「痛いっ!」 働く蜂にため息をつく埴井。 褒める夢追に照れる埴井。 期待に目を輝かせる夢追にあきれる埴井。 じゃれあう二人に見守る蜂達。 地下迷宮の重く不気味な空気も、ここの周囲だけは避けて通っているようである。 「でもまあ……」 埴井は仕切りなおすように洞窟の闇の先を見据えながら口を開いた。 「確かにもうだいぶ奥まで来たんだし、そろそろお宝のひとつでも出て欲しいものね」 並居るモンスターをなぎ倒したり、トラップに引っ掛かったりに食傷気味になっている埴井の本心であったが、その言葉に目をきらきらと輝かせながら夢追が身を乗り出して食いついてきた。 「もしかして何か見つけたの!?」 「ああもうそんなにひっつかないで!……そうね。一応このコが怪しい場所を見つけてるけど……」 夢追の勢いに押され、今まであえて黙っていた情報を口にしてしまった埴井。それを聞いて喜び、その場でくるくると回る夢追。 埴井はなぜ既に見つけていた怪しい場所のことを黙っていたのか。それは―― 「やったぁ!さぁさぁいこいこ!」 「ああもう!そんなに腕をひっぱらないでよ!言っておくけどそこは何か危険そうな唸り声が……」 「こっち!?こっちだよね!」 「人の話を聞けー!」 ――多分コイツに伝えたらろくでもない結果になるだろうな、と直感していたからである。 「で、この扉がそう」 「わー……ここだけずいぶんと頑丈そうというか立派な扉だねー」 地下迷宮の奥まった場所に、ひときわ異彩を放つ扉が鎮座していた。 その様はまるで、扉自身が「さあここを開けたらイベントが待っているぜ!」と言っているかのようである。 その扉を小突きながら、埴井は扉を見て浮かれる夢追にあらかじめ釘を刺す。 「で、言っておくけど、この扉の向こうからモンスターの唸り声が聞こえてくるからトラップの可能性も大ってわけ。十分注意しないといけないわ」 「うん!それじゃ開けるよ!埴井ちゃんは下がってて!」 人の忠告聞けよ!と突っ込みを入れたい埴井であったが、ぐっと飲み込んで大人しく扉から距離をとる。 どうせ夢追がこの扉を見たら何を言っても止まらないであろうことは予測済みであったから、せめてトラップであったとしても全滅だけは回避しようという考えである。 夢追が扉に手をかけ、ゆっくりと押し開ける。 ギギィと金属のこすれる重い音が鳴るが、特に何も起こることなく扉は開け放たれた。 その様子を見た埴井はほっと息をつき、さて扉の向こうに何があるかと覗き込んでみたその先には―― 強靭な四肢で迷宮の床をえぐり、 銃弾をも弾き返しそうな分厚い鱗に身を包み、 10m四方ほどの部屋を覆いつくさんとばかりに翼を広げ、 鋭く伸びた爪と牙を煌かせ、 腹に響く重低音の唸り声と共に火炎を吐き出す―― まごうことなき、ドラゴンがいた。 「……はっ?」 眼前の巨大生物に対して、埴井は思わず間抜けな声を漏らしてしまった。 えっ?何それ聞いてないんだけど。これまでの触手とかうさぎとかモヒカンザコとかなんだったの? 明らかに危険度違いすぎでしょこれ。初見殺しとかほんとやめてよね。理不尽、よくない。 ……等々、あまりのことに少々思考が片言になる埴井であったが、ドラゴンがまだこちらに気付いていない様子であることを見て取るや冷静さを取り戻し、隣に立つ夢追の手をとった。 「今ならまだ逃げれるわ!さっさとここから離れるわよ!」 声をかけ、そのまま踵を返そうとした埴井が、ここで夢追の様子がおかしいことに気付く。 さっきから夢追は棒立ちで、ドラゴンの方を見てぽかんと口を開けたままでいる。 何をしているのかともう一度声をかけようとした埴井であったが、 「……だ……」 「え?何て言ったの?ぼーっとしてないでさっさと……」 「ドラゴンだぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!」 「へっ!?」 突然歓声をあげる夢追に、本日二度目の間抜けな声を漏らす埴井。 そんな埴井の様子を気にも留めず、夢追は頬を紅潮させ、恋する乙女のような瞳でドラゴンに向かって走り出そうとした。 「ちょっ!?あんた何やってんの!?」 思わず掴んでいた手を強く握り、その無謀な行為を引き止める埴井であったが、対する夢追は興奮状態のまま暴れだした。 「離して!離してください!ど、どらごん……ドラゴンがっ!」 「バカ!どうみたってあんなのに近づいたら死ぬでしょ!」 「お、お願い!せめてあの首に……あの首に抱きつかせてー!」 「アホ!そんなことする前に死ぬわよ!」 「どどどどどらごんがー!」 「いいから落ち着けー!!!」 30分後、ドラゴンのいた部屋からいくらか離れた場所で息を切らせてへたりこむ二人の姿があった。 「……あんた……地上に出たら覚えときなさいよ……」 「あ、は、ふぅ……ご、ごめん……なさい……」 何とか暴れる夢追を抱え上げ、走り続けられる限界まで全力疾走して逃げてきた埴井と、 どこか焦点もあわず、小刻みに体を震わせ、ときどきビクンと大きく痙攣しつつ、荒い息の間に夢見心地のような声で返事をする夢追。 「はぁ……」 もともと突っ走る奴だとは思っていたけど、まさかこれほどとは……驚愕というよりむしろドン引きしながらため息をついた埴井であった。 『オレたちの日ごろの心労……ちょっとはわかってくれるかなぁ……』 「何?あんたたち何か言った?」 『いえ……』 そんな埴井の様子を見ながら、蜂達もまた、こっそりとため息をつくのであった。 「ご、ごめんなさい。私、神話とか大好きで……特にドラゴンなんかは」 「はいはい、言い訳は後でたっぷり聞かせてもらうから。それより今はこの辛気臭い場所からさっさと脱出するわよ」 内股をもじもじさせながら、うつむき加減に謝ってくる夢追を適当にあしらい、埴井は蜂達に指示を飛ばしていた。 先程のドラゴン騒動で一目散に逃げ出したものだから、現在地がわからなくなっているのである。 とにかく、下手に動かず周囲の状況をしっかりと把握して、最短経路を通って地上へ脱出しないと。あんな物騒なモノがいる場所なんて1秒も長く居たくないわ。 そうつらつらと考える埴井へ、蜂達が『気になるものを見つけました』と報告してきた。 「……ふーん?そう、それじゃちょっといってみようかしら」 「えっ?何かまた見つけたの?」 「……」ズビシッ 「痛いっ!」 「ほら、行くわよ」 蜂達の報告によると、なんでも近くにライブハウスのようにステージと客席に分かれた部屋があり、そこに正体不明の人影が大量に集まって集会を開いているらしい。 その人影達に攻撃的な雰囲気はなく、集会の内容も迷宮を訪れる冒険者といかに仲良く接するかというものであったので、もしかしたら迷子の自分達を助けてくれるかもしれないと考えたのだ。 今までにも何度か迷宮内で友好的なモンスター達に出会っているため、少なくともいきなり襲われることはないだろう。 「ここね……」 「おー、確かに幽霊さんなのかな?いっぱい集まっているねー」 ちょうど部屋のステージ袖にあたる部分から集会の様子を窺う二人。 「おや?これはこれは実に可愛らしいお嬢さんがたがいらっしゃったようですね」 特別気配を殺していたわけでもないので、すぐに気付かれたようだ。 二人に気付いたステージ上で進行役をやっていた人影がこちらに話をふってきた。 「遠慮せずにこちらまでどうぞ。今、我々はあなた方のような冒険者といかに親密な関係を築くかについて話し合っていたところでして。是非とも冒険者視点からのご意見もお聞きしたいと思っていたところなんです。しかもその冒険者がこのように可愛らしい方々でしたらもう大歓迎ですよ」 一気に言いたいことを喋りきった進行役に、よく口が動くもんだと半ばあきれつつ、それでもおだてられて悪い気はせず埴井はステージ中央へ歩み寄った。 「で?あんたたちはどうして私達と仲良くしようとしてるの?」 「はい、それが我々は見ての通りしがない幽霊なのですが、昔からどうも冒険者達に執拗なまでに付け狙われているのです。元々、我々はここではない世界の迷宮に住んでいたのですが――」 「ふーん。要するに昔住んでいた場所で酷い目にあったから新しくここに来た。ここでは同じ目に遭わないよう用心しよう。そんな感じ?」 「はい、そういうことです」 埴井はふむ、とうなずきつつ、そういえば当初の目的を忘れてたと、交渉を持ちかけることにした。 「とりあえず色々あたしも考えてみるからさ、ひとまずあたしたちを地上まで案内してくれない?」 「それならばお安いごようです」 「あ!どうせならあんたたち迷宮で迷ってる冒険者達を地上に送り返す仕事でもしてみれば?そうすりゃ冒険者達から狙われることもなくなるんじゃない?」 「おお!なるほど!冒険者視点の貴重なご意見をありがとうございます!」 地上への案内を得てよしっ!とガッツポーズをとる埴井。 その拍子に思いついたアイデアも、どうやら受けが良かったらしい。 ステージの下に居る幽霊達からもおお、なるほど、その発想はなかった、脚線美が実にけしからん、等、賞賛の声が上がっている。 「いや、あなたのような素晴らしい人に出会えて本当によかった。その見目麗しいお姿と、それに負けない清く澄んだお心をお持ちだ。私も本当に多くの冒険者を見てきましたが、あなたほどのお方に出会ったことは一度としてありません」 「ふ、ふん!大げさね!」 「いえいえ、大袈裟ではありません。私が幽霊をやってきた30年、出会ってきた400万人の冒険者の中で、あなたこそが最も優しい心と、優れた知恵と、美しいお姿をしています。宇治の橋姫もかくやとはまさにこのこと」 「宇治の……何?」 自分を褒め称える言葉の中に耳慣れない単語を聞いて困惑する埴井に、夢追がそっと耳打ちしにきた。 「宇治の橋姫っていうのは古い御伽噺に出てくる、都を守る神様ですよ。美人として有名なんです」 「へえ。……ってことはつまり?」 「あの幽霊さんは埴井ちゃんがとんでもなくかわいいって言ってるってこと」 夢追の話を聞き、思わずにやけそうになる顔を引き締めながら、埴井は心の中でグッとガッツポーズを決めていた。 やっぱり……私は目立つべくして目立つ存在なんだ! なるべく冷静を装いながら、念を押すように埴井は幽霊を見据えた。 「へ、へえ。……私、そんなに綺麗?」 「はい、それはもう。とても言葉で言い表せるものではありませんが、あなたの前では野に咲く薔薇も頭(こうべ)をたれ、空にかかる虹も姿を隠し、そのお声の前にはどのような楽器も鳴りを潜め、その瞳の輝きと比べればエメラルドもただの土くれ同然……」 「ちょ、ちょっと!もういいから!さすがに恥ずかしいわよ!」 「は、左様ですか……」 耳まで真っ赤になりながら身をくねらせる埴井と、そんな埴井を見て女子高生カワイイ、けしからん、実にけしからん、いいぞもっとやれ、等、ステージ下の幽霊達が異様に盛り上がっている。 そんな様子を見ながら、何この状況どうしようと口を出せずに傍観する夢追と蜂達。 三者の思惑が入り混じる、熱気の篭った空間の中、少しだけ落ち着いたらしい埴井はステージ下を見下ろしながらうっとりとした表情を見せた。 「ふふ……やっぱり私、目立つわよね!目立ちまくってるわよね!」 そんな埴井を見た進行役の幽霊は、何やら怪しげなものを横にいるサポート役の幽霊に持ってこさせ、そのアイテムをうやうやしく埴井へと差し出した。 「あなたはどうやら“目立つ”ことへ並々ならぬ情熱を傾けているご様子。こうしてお近づきになれたしるしに、我々の秘蔵のアイテムを差し上げましょう。これを身に着けていれば、いつでも周囲の視線を集めることが出来るといういわくのあるマジック・アイテムです」 差し出されたものは―― ねこみみバンドと肉球てぶくろであった。 「えっ」 埴井葦菜、本日三度目の間抜けな声を漏らした。 「いや、ちょっと何よこれ。これのどこがマジック・アイテムなのよ。こんな恥ずかしいもの着けられるわけないでしょ!」 慌てる埴井に対して、進行役の幽霊はどこまでも落ち着いている。 「いえいえ、これは確かにマジック・アイテムです。なんとこれを身に着け“にゃんにゃん”と喋った場合の視線釘付け率は100%!母数は我々幽霊仲間のみですが」 「それあんたらの性癖暴露してるだけでしょ!」 「しかし今これを使われれば目立つことは確かですが」 「うっ!」 目の前の幽霊の話を聞いて、その目立つという単語に心惹かれるものがあるのは確かだ。 しかし、流石にねこみみバンドに肉球てぶくろは…… 欲望と理性の狭間で揺れ動きながら、ふと埴井がステージ下に目をやると…… 女子高生のにゃんにゃん!、けしからん、本当にけしからん、あああの足に踏まれたい…… 皆の注目が自身に一点集中していることを感じ…… ああ、私は今、確実に目立っている…… そう実感したとき、埴井の手は自然とねこみみバンドのほうへと伸ばされ―― 『正気に戻ってくれー!』 「ダメよ埴井ちゃん!」 緊急事態と見て取った蜂達と夢追が慌てて埴井のことを取り押さえた。 「な、なにすんのよあんたたち!私が目立つのを邪魔しようっての!?」 「ダメだよ!それで目立っても人間の尊厳とか、色々大切なものを失うよ!」 「あんた人に人間の尊厳とか言えるクチ!?」 『頼むから少し頭を冷やしてくれ!』 「なによあんたたちまで!離しなさい!私は今ここで最高に目立つ存在へと進化するのよ!」 「それ悪目立ちって言うんだよー!」 沈みゆく太陽に照らされ、オレンジ色に染まった希望崎学園の校庭。 帰宅部の生徒達は既に帰り、部活動に勤しむ生徒の声が近く、遠く聞こえる。 校庭隅の木陰に、くたくたになった体を投げ出して倒れ伏す女子生徒が二人。 互いに相手の顔を見ることもなく、木の枝越しに見える赤い空を眺めている。 「旅行ってさ」 「うん」 「なんかテンション上がるよね」 「うん」 「後で思い返すとなんでこんなもん買っちゃったんだろってお土産とか買い込んでさ」 「うん」 「……旅行のテンションってさ」 「うん」 「怖いね」 「……うん」 「帰ろっか」 「そうだね」 互いに互いの恥ずかしいところを見せ合ってしまった埴井と夢追。 何も言わずとも相手が言わんとしていることは通じ合った。 ――今日のことは歴史の闇に葬り去ろう。 こうして少女達は思い返すと胸が痛くなり、それでもどこか懐かしく切ない青春の一ページをその心に刻んだのであった。 次の日。 「ちょっとあんた!何その校長みたいなボディスーツは!」 「いえこれは耐熱・耐衝撃に優れたただの防具ですが何か」 「あんた昨日ので懲りたんじゃないの!?」 「それを言うならあなたの右手に握られたそのねこみみバンドと肉球てぶくろはなんでしょうか?報道部員魂が騒ぎますね」 「いえこれは昨日持ってきちゃってたから今日返しにいこうとしてるだけですが何か」 「……」 「……」 「……」 「一緒に行こっか」 「うん!」 『本当に懲りないんだから……』 ――fin 「あれ?昨日と様子が違うよ!?」 「何ここ自動生成ダンジョン!?」 「私のドラゴンはーーー!?!?」 「私の晴れ舞台はーーー!?!?」 ――こんどこそfin
https://w.atwiki.jp/futanari/pages/363.html
半陰陽の少女のみが通う中学校に通う少女、神崎美香(かんざき みか)はある悩みを抱えていた。 普通の女性とは違い女性器と男性器を持つ彼女は、1ヶ月に1回だけ異常なほど性欲が強くなってしまう日がある。 普段は性欲など皆無で股間に生えた短小ペニスは皮が余っていて萎えていてる。 しかし、その日だけは萎えたペニスもギンギンに怒張し、萎えている時の約二倍近い巨根ペニスへと生まれ変わるのだ。 巨根ペニスが勃起しているときは、普段はなんてこともない小さな刺激でも甘い声を口から漏らしてしまう。 歩くときも座っているときもどちらかの手は常にペニスを抑えている。 ちょっとでも動くと勃起してむき出しになった亀頭がショーツの生地と擦れあって、その刺激で先端からピュッと白い液体が漏れでてしまう。 学校にいる間、休み時間はトイレの個室にこもって自慰にふけていた。しかし、その程度収まるわけわなかった。 美香は次第に同級生達を性の対象として見るようになっていた。半陰陽の彼女にとって男も女も等しく性の対象になってしまう。 同級生も例外ではない。普段、着替えなどで裸を見る機会があるのでなおさらだ。 性の対象である同級生達を見ているだけでは我慢できなくなり美香はついに強引にでも犯したいと思い、実行に移した。 放課後、クラスメイトを1人空き教室に呼び出す。呼び出すクラスメイトを選ぶとき、自分より小柄で握力の低そうな子を選んだ。 空き教室で2人きりになったところで、クラスメイトの少女をおもいっきり押し倒し性交に及んだ。 美香はクラスの中では握力が強い方だったため、力ずくで相手を押し倒すことができた。 流石に無理やり犯したことが親や教師にバレればたいへんな事になってしまうのは予想がついたため、 口封じのために性交中に写真を取り脅した。 その日の夜は、珍しく気持ちよく寝ることとができたが、次の日学校に行ったときはさすがに気まずかった。 その子の顔を見るたびに罪悪感がこみ上げ気が気でない。罪悪感でいっぱいだ。 流石に強引に犯されれば嫌がるだろうし後味も悪い。そう思っていた。 だが、放課後犯された少女が美香の元へとやってきて、また犯してほしいと頼んできたのだ。 犯された少女は美香の巨根ペニスの虜になってしまったのである。 相手を気持よくしてしまえば相手は嫌がらなくなる。そう思った美香は次第に犯すことに抵抗がなくなっていった。 そして、クラスメイトを強引に犯す興奮をまた味わいたくなり、1ヶ月に1回だけ性欲が強くなるその日の放課後に誰かを犯そうと考えた。 今度は、前回とは違い協力者を集めた。美香と同じように性欲が強く口が固い女子を集め仲間にした。 放課後になり美香は人が少なくなるのを待ち獲物を物色しようと廊下を歩いていると、向こうから2人の少女が歩いてきた。 一人は小柄で髪を後ろで束ねた少女、もう一人はショートヘアの少女だ。 美香は2人とすれ違った後、隠し持っていた携帯電話で他のメンバーにこっそりメールを打って指示を出す。 2人が歩いて行った方向からトイレに向かったと予測でき、仲間をトイレに先回りさせた。 そして、2人の少女がトイレのドアを開けた瞬間――中から美香の仲間達が2人の少女を力ずくで捕まえる。その後は、いつもの手順で空き教室に2人を連れ込んだ。 連れ込んだ時に2人から奪った生徒証に書いてあった名前によると、小柄な方が恵利(えり)でショートヘアの方が真緒(まお)らしい。 ショートヘアの少女、真緒は捕まえた時に大声で騒ぎ抵抗したため、数人がかりで抑えこみ猿轡をかませ身動きが取れないようにガムテープで拘束して床に転がしていた。 小柄な少女、恵利は美香の仲間達に床に押し倒され両肩、両足を抑えられている。 「や、た、助けて……」 「だいじょぶ、怖いことはしないよ。私達全員を満足させてくれたら開放してあげるから」 怯えた表情の恵利に対して、美香は軽い口調で話しかけた。 「さ、美香。早く食べちゃってよ。私だって我慢できないんだから」 仲間の一人が股をムズムズと動かしていた。おそらく彼女も溜まっているのだろう。 だが、順番的には発案者である美香が一番最初に少女を犯す権利がある。 目の前の少女を犯すことができる。そのことにドキドキしながら恵利に近づく。 「恵利ちゃん。ひとつ聞いていいかな?恵利ちゃんと真緒ちゃんは恋人同士なのかな?」 半陰陽の少女たちが通うこの学校では、女の子同士のカップルはさほど珍しくはない。 美香が廊下ですれ違ったとき、恵利と真緒は手をつないでいた。そのことが美香には気になっていた。 もし付き合っていれば、性交の経験があるかもしれない。美香としては当然処女の方がありがたい。 「な、ないです」 「本当に?嘘ついたら、股間を蹴り飛ばしちゃうよ」 恵利のかわいらしい顔が真っ青になる。おそらく、股間を――ペニスを蹴り上げられる痛みを想像したのだろう。 「ほら、私が少しでも足を動かせば恵利ちゃんのかわいいちんちんが踏みつけられちゃうよ。 蹴られるのも痛いだろうけど踏まれるのはもっと痛いだろうね~」 自分の右足を恵利の股間の上まで持っていく。本当は踏むつもりも蹴るつもりもない。 男性器を踏んだり蹴ったりされる痛みは美香自身も知っており、人を痛がらせるのは好きではない。 ただ、半陰陽の少女を脅すときこれほど有効な脅しは他にはないので言っているだけである。 「ご、ごめんなさい。い、言うから、言うから踏まないで……」 「じゃあ、教えてくれる?」 「つ、付き合ってます……」 美香が予想していた通りの答えが返ってきた。恵利は恥ずかしいのか顔を紅潮をさせている。 「じゃあ、エッチしたことあるの?」 恵利は無言で首を横に振る。脅しを掛けた後、嘘をつくとは考えにくいので信じていいだろう。 「じゃあ、私が初めての相手になるのかな?その体にエッチなことたくさん教えてあげるよ」 美香は恵利のブレザーのボタンを外しはだけさせ、 ベストを脱がせてブラウスを脱がせると中学生らしい水色のキュートなデザインのブラジャーが視線にさらされた。 続いてブラも外すと、小ぶりな乳房が姿を表した。 「可愛いおっぱいだね、今からいっぱいいじってあげるよ」 美香の手が恵利の乳首を摘まれる。 「ひゃぁ……や、やめてぇ」 効果は抜群のようで、恵利は体を仰け反らせた。 美香はそのまま手を休めず、乳房の先端をいじめ続ける。 指で押し潰したり、引っ張ったり、つねったり、乳首をいじめるたびに恵利は可愛らしい反応を返してくれた。 そして、そんな反応を見るたびに美香は興奮し同時に自身のペニスもムクムクと膨張する。 勃起したペニスは自らのショーツに押さえつけられて苦しさを感じていた。 「あー、もう我慢できない!」 恵利は恵利の乳首を弄るのをやめ、急いでショーツを脱ぎ、邪魔なスカートを外した。 押さえつけていたショーツがなくなり、股間が開放感で満ち溢れる。股間から生える肉棒は少しでも動けばゆさゆさと上下に跳ねるくらい元気だ。 「恵利ちゃんの可愛い姿見てたら我慢できなくなっちゃったよ……私のおちんちんおっきいでしょ。 今度はおちんちんでお相撲さんごっこしよっか。恵利ちゃんのおちんちん、私に見せてほしいな」 恵利のスカートを脱がそうと手を掛けた。 だが、そのとき違和感を感じた。感触が違う。チェックのスカートの下に何かモコモコするようなものがあったのだ。 気になってめくると、そこにあったのはショーツでなく中学生用のおむつであった。 「あれれ~恵利ちゃん中学生なのにおむつ履いてるんだー」 「中学生なのにおむつとかありえないよねー」 美香がからかうと、仲間もそれに便乗する。 恵利はそれに屈辱を感じたようで、恥ずかしさのあまり目尻に涙を浮かべ始めた。 「なんでおむつなんか穿いてるのかな?」 美香の問に対して恵利は固く口を閉じ何も答えない。数秒間、誰も話さない時間が続いた。 「なんで黙っちゃうの?5秒以内に話し始めないと本当に蹴るよ?」 美香は5、4……とカウントを始める。 カウントダウンが1に差し掛かったとき、恵利が口を開いた。 「……私のおちんちんは、敏感で……ちょっとした刺激でイっちゃって……パンツだとぐちゃぐちゃになっちゃうから……」 そこまで話すと恵利は堰を切ったように泣きだした。恵利にとってよほど恥ずかしい告白だったのだろう。 「あ、あぁ、やだぁ、でるなぁぁぁ……」 恵利がそんな声を上げた時、ビュッと音がした。 その音が聞こえた後、遅れて白いおむつに黄色いシミが浮き出る。 恵利は泣いたショックで尿を漏らしてしまったのだ。彼女はトイレで用をたしに行こうとしたとき、 美香たちに拉致されずっと尿意を我慢していた。そして、遂に我慢できなくなったというわけである。 「あぁ、いぁ、いやぁ、止まってぇぇぇ……」 恵利が懇願するも虚しく、黄色いシミは少しずつ面積を広げていく。尿が肉棒の先端から水音を立てて飛び出し、おむつの仲を満たしていく。 「……あ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁ……」 尿がおむつを完全に黄色に染め上げ、周囲にアンモニア臭を放っている。恵利はショックのためか放心状態で目がうつろだ。 「あーあ、後で新しいおむつにかえてあげないとね。さて、恵利ちゃんの可愛いおちんちん、見せてもらうよ」 放心状態の恵利のおむつを開け、可愛らしい肉棒が外気へと晒した。 本来、クリトリスのあるべき場所にちょこんと乗っかっている彼女のペニスは、 美香が萎えている時と同じくらいの小ささで、長さにすれば6cmぐらいだろう。 さくらんぼのような小さな陰嚢が2つぶら下がっている。亀頭は半分ほど皮で覆われている剥けかけの状態で、 薄ピンクの色っぽい亀頭が顔を出している。亀頭を覆う皮も白い透き通るような色で可愛らしい。 「恵利ちゃんのおちんちん、子供っぽくて可愛いね。皮も剥けてなくて赤ちゃんのおちんちんみたいだよ。 約束通り、おちんちんでお相撲さんごっこしよっか。私の大人おちんちんと恵利ちゃんの赤ちゃんおちんちん、どっちが強いかな?」 美香は恵利の肉棒を握った。 「お相撲さんごっこをする前に、可愛い亀さんを皮から出してあげないとね」 尿でベトベトになったペニスの皮を掴み、ゆっくりと亀頭が見える位置まで下ろした。皮に守られていた薄ピンクの亀頭がぷるんと飛び出す。 美香は右手に自分の肉棒、左手に恵利の肉棒を持ちその2つを近づけた。 「これで準備はOKだね。はっけよ~い……残った!」 彼女は両手に持った肉棒の先端をこすり合わせた瞬間、恵利の肉棒からピュッと液体が飛び出した。恵利は体をビクビクと震わせている。 ペニスが敏感でほんの少しの刺激でイってしまうのは事実らしい。 「もうイっちゃったんだ、なんかツマラナイな~。そうだ私達全員と順番に勝負して、私達より先にイクのを我慢できたら恵理ちゃん達を開放してあげるよ。これならどう?」 美香の提案に恵利はコクリと頷いた。交渉成立。 彼女は恵利の肩を押さえつけていた仲間、柚羽(ゆずは)に手招きして呼んだ。 「じゃあ、最初は柚羽からね。ほら、準備して」 「やったー、ありがとー美香!やっと私の番ね」 柚羽はニカッと笑い、自らのショーツを脱ぎ自らの自慢の肉棒をさらけ出す。 「柚羽よ。恵利ちゃんよろしくね」 今度は恵利自身に自らの肉棒をもたせ、柚羽の肉棒に近づけさせた。 「いい、恵理ちゃん。柚羽より先にイっちゃダメよ。あと、イクときは必ず『イきます』って言うのよ。言わないといつまでも続けるからね」 美香はそういった後、真緒にかませたのと同じ猿轡を恵利に噛ませる。 「いーい、必ず『イきます』って言ってね」 「ン!ンーンー」 恵利は自分が声を出せなくなったのをわかると、ひたすら首を横に振りじたばたと暴れた。だがすぐに美香の仲間に押さえつけられてしまう。 「美香ー、もう始めてもいい?」 「うん、いいよ」 「よし、恵理ちゃんいくよ。はっけよ~い……残った!」 恵利の様子をよそに無情にも柚羽は自分の肉棒と恵利の肉棒をこすり始めた。 柚羽の勃起した肉棒は美香の勃起時の肉棒よりも小さいものの中学生にしては大きいサイズである。 美香は柚羽に日頃から柚羽自身の肉棒の皮を剥いた状態で生活させ、刺激に慣れさせていた。 そのおかげで彼女の亀頭の粘膜は厚く、ちょっとやそっとの刺激じゃイかないペニスになった。 しかも皮を剥いたおかげで大きく太いペニスに成長したのだった。 そして、恵利は先ほどと変わらず少しこすれ合っただけでイってしまった。 「あれー、恵利ちゃんもしかしてイっちゃったー?」 「ンンー!ンンー!」 「柚羽、恵利ちゃんはまだイってないから続けていいよー。『イきます』って言うまで続けてあげてー」 「わかったよ、美香。続けるね」 「ン、ンンー!」 柚羽が再び腰を使い肉棒をこすりあわせ始めた。 当然、恵利は猿轡をかませられている限り『イきます』ということはできず、やめることができない。 恵利には体が動かなくなるまでイってもらうつもりだ。 恵利の喘ぎ声と精子の飛び出す音が交互に何度も聞こえ、そして5分が経過した。 彼女はすでに軽く60回以上はイっている。肉棒に添える手も喘ぐ声も弱々しかった。 美香は恵利の体を抑えていた仲間に呼びかける。 「ほら、恵理ちゃんはご覧のとおり疲れちゃってるからもう体を押さえていなくても抵抗できないから、 抑えなくていいよ。それよりも恵利ちゃんがなかなかイかないから、柚羽の手伝いをしてあげて」 「OKー」 「まかせて!」 元気な返事が返ってきた。美香の仲間たちは一斉にショーツとスカートを脱ぎ捨て肉棒をあらわにすると、恵利の肉棒に近づき柚羽と共にこすり合わせる。 恵利の肉棒は柚羽達の肉棒に囲まれ、四方八方から責め立てられた。 逃げ場を失い複数の肉棒に犯され、ピュルピュルと何秒おきに噴水のように白い液体を吹き上げる。 「あーもう限界。恵利ちゃんにかけるよ」 柚羽の肉棒が限界に達し、先端からシャワーのようにアーチを描き噴射する。飛び出した白い液体が恵利の亀頭を白く染め上げた。 柚羽がイったのを皮切りに1人ずつダウンし始める。恵利の肉棒をいじめる人数は少しずつ減っていったが、 3人ほどダウンしたところでペニスが回復した柚羽が再びいじめに加わった。 ローテーションのように何人かが休んでいる間、他の人たちが恵利の肉棒の相手をする。恵利にはほぼ無限に続く快楽地獄のように感じただろう。 美香はぐったりとしている恵利に近づき猿轡を外した。 「何か言いたいことはある?」 「も、もぉ……イき、ました……もう、や、めてぇ……」 生きも絶え絶えのような状態で弱々しく言う。彼女の精子の大半が絞り尽くされたことは周りに飛び散った白い液体から想像できた。 「でもまだ、メインディッシュが残ってるよね?」 美香の目配せで柚羽たちが恵利から離れる。彼女は自慢の太い肉棒を手に握り、恵利の股間へと近づけた。 「恵利ちゃんのぷにぷにのすべすべまんこ、もう精子でぐちゃぐちゃだよ」 精子と我慢汁でデコレーションされた割れ目をなぞるように肉棒をこすり合わせる。 美香は発情した動物のように腰を振り、何度も何度も肉棒でなぞりあげた。 はちきれんばかりに大きくなった肉棒も生き物のようにピクピクと動き、挿入の時を今か今かと待ちわびている。 「……あぁ、こするの気持ちいいよぉ」 恵利ほどではないものの、美香の肉棒も刺激に敏感であり割れ目にこするだけでとろけるような快感が訪れた。 その感覚が病みつきになり、腰を動かすのに夢中になる。 「あぁ、入れたい、入れたいよぉ」 あえてすぐ挿入はせず、こすりつけるだけで焦らす。挿入したくてもできない、 このもどかしさが彼女に更なる快感を与え猛獣のように股間で暴れる肉棒をさらに怒張させた。 肉棒の先端からは我慢汁が溢れでて割れ目とこすれるたびにねちゃねちゃ、ねちゃねちゃと淫靡な音を奏でる。 もうすでに彼女のペニスは限界に近く噴火寸前であった。 「いいよね、いれちゃうよ、もう我慢できないよぉ」 「い、いや……止めて――」 その言葉と同時に、すでに割れ目へと照準を合わせられたペニスを突き上げた。 いままでの行為ですでに濡れていた恵利の女性としての陰部が美香の肉棒を受け入れ、締め上げる。 「――いぁ、あぁぁ!ひっ、いたぃ……あぁぁ……」 「は、あん……あぁぁ、すごい締め付け……」 美香の肉棒が恵利の陰部に対して大きいせいか、陰部が肉棒を強烈に締め上げ挿入しただけで美香は軽くイッてしまった。 「……んっ、気が紛れるようにおちんちんも一緒にいじってあげる」 破瓜の痛みを紛らわせてあげるため、美香の右手が恵利の亀頭を優しく刺激する。 決して亀頭だけでイッてしまわないように慎重にトントンと指先で刺激し、その刺激を強くしたり弱くしたりと調整した。 イカせてもらえない恵利の肉棒は切なそうにそそり立ちピクピクと震える。 「ぁあ、っん!はぁ……、イ、イカせて、私のおちんちん、イカせてよぉ!」 「っぁん、ダメ、今度は、んっ、私のおちんちんで、はぁ……ん、イきなさい」 美香は激しく腰を動かし、肉棒の出し入れをし始めた。勢い良く奥まで突き上げるたびに彼女の口から甘い声が漏れる。 恵利も最初は痛がっていたものの、次第に気持ちよさの方が強くなっていき喜悦の声をあげていた。 「ほら、真緒ちゃんに私達が繋がっているトコロ、見せつけてあげようよ」 「……い、いやぁ!見ないでぇ!」 恵利の締め付けが一段ときつくなる。真緒に見られていると意識したからだろうか。 真緒は美香を睨むような目で、悔しそうに見つめていた。恋人を無理やり犯されているのだから当然といえば当然の反応だろう。 「あ、あ、あ、いやぁ、イっちゃう!」 「んっ、一緒に……、イ、あぁぁ、こうよ……っん」 恵利が叫ぶと同時に美香は恵利の肉棒を指で弾く。恵利が体をガクガクと震えさせたかと思うと、 を向いて直立した肉棒から白い液体を噴射し果ててしまった。 美香も精巣に溜め込んだ白いミルクを下の口へと勢い良く注ぎ込む。 しかしまだ、彼女の肉棒は衰えておらず陰部から引き抜いてもまだピクピクと生き物のように動いていた。 「むー、1回じゃ満足できないんだけどなー」 ぐったりと倒れた恵利を見つめる。彼女はすでに余力を使い果たしてしまったのか静かに寝息を立てて寝てしまった。 「次は、真緒ちゃんに相手してもらおっかな」 美香はくるりと回り床の上に寝かせていた真緒へと近づき、彼女に覆いかぶさるような体勢になる。 ショートヘアで中性的な顔立ちのいかにもボーイッシュな雰囲気の真緒は、美香をキッと睨みつけているが肩が少し震えていた。 「ふふっ、怖がらなくてもいいよ。すぐに私のおちんちんの虜にしてあげるから」 恵利を落としたことにより、更に自信を増した美香はすでに真緒をどういじめてやるか頭のなかでシミュレートしていた。 気の強そうな彼女を屈服させ、普段は絶対に見せないような淫乱な一面を引き出し犯してやりたい。そんな気持ちが美香を支配する。 新たな獲物を前に疲れを知らない美香の肉棒は一段と張りつめるのであった。
https://w.atwiki.jp/huta_love/pages/35.html
まとめる為のテンプレートが欲しいので、案を募集。 最低限必要なものから挙げていくのがいいかな。 作品名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 属性・趣向(フタナリ) 2 (100%) 2 属性・趣向(フタナリ以外) 0 (0%) その他 投票総数 2
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1626.html
シリーズもの 鼻血みゆきさんの今後について考える会(壊れ・オリキャラあり)(妄想屋氏『えす☆えふ』・7-896氏『こな☆ふぇち』設定借用) 鼻血)ry会2☆いつもと違う1日(〃) 鼻血)ry会3☆人工少女の興味(〃) 鼻血)ry会4.5☆高良家へ行こう! 1(〃) 鼻血)ry会5.1☆栗色奮闘記(みさお兄×あやの×オリキャラ) 鼻血)ry会5.5☆さんぽびより 鼻血)ry会5.8☆鼻血少女の思惑 鼻血)ry会6?☆あわせかがみ(オリキャラ、オリ設定あり) 鼻血)ry会4.8★ コアクマ(〃)(鼻血)ry会4.5の裏の話) コワレルセカイ★1\決意(オリキャラあり、鼻血)ry会☆4.5~6と同時間軸、6?☆とリンク) コワレルセカイ★2\高良家に行こう!2//Party(〃) コワレルセカイ★3\Rainy Hawk(〃、みなみ×ゆたか、5.5☆とリンク) コワレルセカイ★4\月曜日、-黒に溶けゆく-(鼻血5.5☆後半と少しリンクあり、若干鬱注意) コワレルセカイ★5\Endless Nightmare(鼻血)ry5.8☆の終盤とリンクあり、グロ、鬱、流血描写有り) パティ職人への道! ひよりん。パティ職人へのみち? ひよりんっ!がパティ職人になるきっかけまでの道(一部TSあり)<完> ふたみゆ☆~実験編~☆(ふたなり注意) ふたみゆ☆~合体編~☆(ふたなり注意、↑の続き、みゆ×つか、つか×みゆ) ふたつか☆~発情編~☆(〃)<未完> それぞれの年末年始☆1:おふろでやりたいほうだい!(こなた×かがみ) 太陽なカノジョ(桜藤祭主人公×みさお) 太陽なカノジョ☆2:きっかけ、 太陽なカノジョ☆3:はじめての、 かりのじかん。(こなた×パティ)(キャラ崩壊あり、ネタ多め) かりのじかん。2:みなみside(みなみ&ゆたか)(キャラ崩壊あり) 妄想マシーンin(ほぼ)無人バス ひよりサイド(みなみ×ゆたか〈ひよりの妄想〉) 単発もの びーえるのえほん すこーぷかめら?(こなた×デレデレかがみ) おんせんりょこう(ゆたか&みなみ) としょしつノふたり(こなた×ゆたか) びたーきす/すいーときす(ひより×ひかる、ひかる×ひより) ほろにがレイニーディ(つかさ&みさお)(男性注意) くれいじーず!(あやの みさお兄&ふゆき みさお×かがみ)(ソフト拘束、調教、媚薬、放尿、アナルプレイあり、キャラ崩壊あり) 単に新妻あやのを書いて見たかったというSS(あやの&みさお兄)(若干壊れ気味) 日下部みさおのはげしい1日(こなた かがみ ???×みさお)(壊れネタ/ネタ(特に特撮ネタ)多め) カオスな夢のハナシ(ネタもの) マボロシの本物(みさお兄×ロリあやの) 4人+αであそぼう!(ゆたか×みなみ×ひより×パティ、いずみ)(キャラ崩壊あり) 年明け早々(みく×たまき) Nの快感/やすらげるばしょ(いずみ×ななこ)(特撮ネタ注意) ベジタリアン(ほのか×ゆたか、ゆたか×ほのか)(調教?)(食べ物使用) 懲りないひと(こう&やまと、若干ネタ) 名前で呼び合うという行為(ひかる&ひより、ショートSS) 今夜はあなたと(ほのかさん自慰) あわあわしゃわしゃわ(みさお×こなた、風呂場プレイ、若干変態気味?) 路地裏のヒメゴト(あやの×かがみ、かがみ視点、露出、調教) せんたくき(いずみ×ひより、ひより視点、洗濯機オナニー) Bunny,bunny(みさお兄×バニーあやの) ひよりとパティといずみのぐだぐだ☆マンガナイト(ネタ満載、いずみ視点/後半1レスひより視点) あるトイレでの出来事(ゆたか×いずみ、調教?、いずみ視点/後半1レスゆたか視点) 残暑見舞い。(ゆたか&みなみ、ショートSS) 止まらないひより(ひより×ひかる、ひかる視点) 若瀬いずみは考えない(いずみ兄×いずみ、8巻ネタバレあり、いずみ兄視点、シックスナイン) コメントフォーム 名前 コメント