約 1,530,380 件
https://w.atwiki.jp/moeu/pages/77.html
てんぷれ 萌えうとは 超過剰なツンデレに頭と舌が混乱して欲情する状態?w Q:今北産業 A:このスレは 暴言癖でツンデレな 『萌えう』を応援?するスレ Q:流れがよくわからんしまとめやSS読むのがめんどくさい A:まとめの画像倉庫を見るだけでもSSを絵師さんが漫画にしているのがありますので、多少は把握できるとおもいます。 ――参考SS+書き手と描き手募集SS―― 萌「つーか、萌えう~ってなったらかけろな、ヨロシクぅ♪」 PC「……キリ!萌、『かけろ→かけよ』だよ!」 先輩「あぁん♪書いてぇ♪描いてぇ♪」 子分ズ「ショウヘイヘーイ」 男「こんな、感じです……^^;」 ――kwskは下記まとめを参考にしてください。―― 新ジャンル「萌えう」まとめ@ウィキ:【http //www24.atwiki.jp/moeu/】 ※ウィキは携帯からも観覧できます。 女 舌足らずだが何か偉そう身長は低い 高一だがょぅι゛ょ扱い 基本的に他力本願 攻めたら強きだが攻められると弱い 舌ったらずで強がりなかわいい女の子 男 : 主人公、大人な感じ。別名「アキバ」 13人の萌えうクルー ①先輩 : 痴女系 ②PC : 委員長系 ③あっち系の人 : ふたなり系 ④お嬢様 : お嬢様系 ⑤ラッパー友達 : 鬱系 ⑥空手部部長 : ボクっ子系 ⑦男の従妹 : 素直系 ⑧SHITOFFの店員 : バーボンハウス系 ⑨族長 : ガキ大将系 ⑩スピード&⑪フィギュア : 双子系 ⑫喧嘩友達 : ヒーロー系 ⑬ファッション友達 : 素朴系 その他 子分ズ : 萌えうの子分達(役には立た無い)、掛け声は「ショウヘイヘーイ」 セバスチャン : お嬢様に使える執事
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/1658.html
死者たちのたまり場PART4 レス番号1~150 タイトル 登場人物 備考 新天地! 龍門渕透華、キャスター、田井中律、加治木ゆみ竹井久、福路美穂子、池田華菜、海原光貴片倉小十郎、アーニャ・アールストレイム 運動会レギュレーション会議 龍門渕透華、琴吹紬、月詠小萌、八九寺真宵伊達政宗 複雑な人々 海原光貴、龍門渕透華、福路美穂子、月詠小萌 意気込む人々 平沢唯、中野梓、田井中律、張五飛デュオ・マックスウェル、ゼクス・マーキス上条当麻、海原光貴、衛宮士郎、アーチャーバーサーカー、ライダー、キャスター、玄霧皐月ヴァン、レイ・ラングレン、プリシラカギ爪の男、ファサリナ、利根川幸雄、兵藤和尊安藤守、C.C.、アーニャ・アールストレイムマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、千石撫子 バランスなどわたくしには不要! 龍門渕透華、リリーナ・ドーリアン、月詠小萌 戦国武将の割り当て 片倉小十郎、真田幸村、龍門渕透華、伊達政宗刹那・F・セイエイ、本多忠勝、明智光秀琴吹紬、八九寺真宵 デュオ、つっこむ 刹那・F・セイエイ、ヒイロ・ユイデュオ・マックスウェル、月詠小萌リリーナ・ドーリアン、張五飛 裏ボス登場か? 妹1、妹2、R妹 第三回:ようこそ先輩!~学校組の巻~ アーチャー、御坂美琴、加治木ゆみ、千石撫子月詠小萌、安藤守 ちなみにこの回、ふじのん死亡話本投下直後にラジオ書き手代理が必死こいて書いたものである ふじのん到着~再会~ 浅上藤乃、黒桐幹也、ライダー、琴吹紬真田幸村、ヴァン ワラ人形にごっすんご(ry 八九寺真宵、千石撫子、??? 三人の妹が到着したようです 妹?、妹?、御坂美琴 ふじのん到着~贖罪と洗礼~ 千石撫子、琴吹紬、加治木ゆみ、月詠小萌浅上藤乃、伊藤開司、アーチャー、龍門渕透華八九寺真宵、利根川幸雄、平沢唯、中野梓上条当麻、ヴァン、真田幸村、黒桐幹也ディートハルト・リート、言峰綺礼 御坂当てクイズ! 御坂美琴、R妹、妹E、妹F竹井久、福路美穂子、池田華菜、上条当麻マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、C.C.ヴァン、真田幸村、黒桐幹也イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ついにひたぎさんがあのシーンを見てしまったようです 戦場ヶ原ひたぎ、八九寺真宵 上条さん、正解 上条当麻、御坂美琴、C.C.、ヴァンマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、真田幸村 禁書勢の恋愛模様 海原光貴、妹F、R妹、C.C.竹井久、上条当麻、御坂美琴、福路美穂子マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、妹Eヴァン、真田幸村、インデックスリボンス・アルマークイリヤスフィール・フォン・アインツベルン 和が壊れているようです 原村和 海原の恋愛相談~ユフィ編~ 海原光貴、ユーフェミア・リ・ブリタニア 運動会への人選:その1 福路美穂子、龍門渕透華、伊達政宗、池田華菜田井中律、中野梓、平沢唯、琴吹紬浅上藤乃、黒桐幹也 海原の恋愛相談~小萌せんせー編~ 海原光貴、月詠小萌、リリーナ・ドーリアン 運動会への人選:その2 ライダー、キャスター、バーサーカー、本多忠勝アーチャー、レイ・ラングレン、ヴァンプリシラ、竹井久、福路美穂子、加治木ゆみ池田華菜、八九寺真宵、リリーナ・ドーリアン衛宮士郎、御坂美琴、上条当麻、月詠小萌マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア 妹がストーカー被害にあっているようです 妹E、御坂美琴、妹F、海原光貴 運動会への人選:その3 ゼクス・マーキス、ヒイロ・ユイ張五飛、デュオ・マックスウェル平沢唯、中野梓、千石撫子、セイバー衛宮士郎、カギ爪の男、ファサリナプリシラ、ヴァン、アーニャ・アールストレイム玄霧皐月、ユーフェミア・リ・ブリタニア安藤守 海原と美琴の恋模様 海原光貴、御坂美琴、C.C.、平沢唯 ミサカたちの「個」 妹E、妹F、R妹 もうこっくりさんで… マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、R妹ユーフェミア・リ・ブリタニア 海原のデート 海原光貴、妹F、平沢唯、田井中律琴吹紬、プリシラ、池田華菜、八九寺真宵神原駿河、御坂美琴、アーチャー エスポワール、漂着 ヴァン、カギ爪の男、初代黒服、二代目黒服平沢唯、田井中律、琴吹紬、中野梓 資料室の刹那とデュオ デュオ・マックスウェル、刹那・F・セイエイ チーム、ついに出揃う R妹、ユーフェミア・リ・ブリタニアC.C.、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア龍門渕透華、月詠小萌、八九寺真宵、片倉小十郎 いい加減… 上条当麻、月詠小萌、妹E、御坂美琴 騎馬…レース? 龍門渕透華、リリーナ・ドーリアン、月詠小萌利根川幸雄、ライダー、セイバー、アーチャー 綱引きにバサカやホンダムが出たらという話題から それぞれの準備風景 琴吹紬、戦場ヶ原ひたぎ、神原駿河刹那・F・セイエイ、本多忠勝、平沢唯千石撫子、中野梓、ゼクス・マーキスレイ・ラングレン、船井譲次、妹F海原光貴、R妹、明智光秀、アーチャーキャスター、田井中律、池田華菜、片倉小十郎玄霧皐月、カギ爪の男、利根川幸雄、兵藤和尊マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア 競技と日程はこれだ! 伊藤開司、龍門渕透華、竹井久片倉小十郎、月詠小萌、八九寺真宵 部長とリボンス 竹井久、玄霧皐月、リボンス・アルマークイリヤスフィール・フォン・アインツベルン まとめとタマ取り 片倉小十郎、千石撫子、池田華菜 発案者曰く実は116の内容で当たりだったというから恐ろしい… 障害物競走とは? 刹那・F・セイエイ、ヒイロ・ユイデュオ・マックスウェル、リリーナ・ドーリアン千石撫子、田井中律マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア ランニング風景 琴吹紬、中野梓、八九寺真宵、千石撫子平沢唯、戦場ヶ原ひたぎ、神原駿河、キャスター池田華菜、プリシラ、福路美穂子、田井中律 凶っがーれ☆スペクタクル 浅上藤乃、??? ハロウィン 八九寺真宵、伊藤開司、利根川幸雄、船井譲次平沢唯、琴吹紬、キャスター、田井中律中野梓、神原駿河、戦場ヶ原ひたぎ刹那・F・セイエイ、福路美穂子、池田華菜 黒子到着と赤面 白井黒子、荒耶宗蓮、御坂美琴、衛宮士郎 唯のヒントコーナー 平沢唯、月詠小萌、衛宮士郎 馬イクの扱いはどうするの? 龍門渕透華、琴吹紬、真田幸村、片倉小十郎ユーフェミア・リ・ブリタニア、池田華菜伊達政宗、竹井久、福路美穂子、伊達軍の馬武田軍の馬、本多忠勝
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/4167.html
―――――――――――――――――――――― それからというものの 彼女は呼んでもないのに毎日家に遊びに来た 闇属性のチャイムが高々と平沢家室内に鳴り響き気分を害しながらドアを開ければ中野梓 あっちで中野梓 こっちで中野梓だ 私がいくら断ってもこの媚びた野良猫は 図々しく家に上がり込もうとしてムカついた私が 会心のハイキックをこめかみ辺りにお見舞いしてあげるんだけど 「そういうトコも含めて全部好きだよ」 とかいう半ば宗教めいた台詞を熟れ過ぎたトマトみたいに真っ赤になった顔で言う始末でもう何なの お姉ちゃんはこの野良猫を(恐らくは憐れみの意志からだが)可愛がってあげているので何とも言えないが こんなこと続けても私を振り向かせるなんてできっこないのに何してるんだろう ただこの黒い猫は お姉ちゃんとも遊ぶ もう好きじゃないんじゃないの? って3連鎖までしかできないぷよぷよに夢中になる中野梓の背中に私は問いかけたかった 好きなものだけに齧り付けばいいっていう 私の考えがおかしいとは部屋の隅に溜まる埃の一粒程にも思わないんだけど そんなある日 またしても39度の破滅的な熱気は猛威を奮う 家のアイスと飲み物を全消費しても尚 暑さは容赦なんかしてくれない 勿論イフリート召喚したような灼熱地獄にか弱く可愛いお姉ちゃんが耐えられるはずもなく 私達平沢姉妹はユートピアでありアルカディアであるエデンである市民プールへ出かける気満々だった ゼウスも本妻認定しちゃうレベルの色気を潜ませるアルティメットお姉ちゃんビキニを拝めるので テンション高速エレベータで絶賛上昇・・するかと思いきや出発寸前に鳴るチャイムの音がそれを阻止する ぴんぽーん 案の定玄関に立つのは中野梓ちゃん お姉ちゃんも優し過ぎるもんだから「あーあずにゃんだー あがっていってよー」なんて言っちゃって この子は着実に 調子に乗りつつあるようだ 「ねぇ憂、今からプール行くんでしょ?」 なんで知ってんだよ今日朝決めたんだよ 「一緒に行こうよ!ね?」 私は困惑するんだけど主であり神であるお姉ちゃんが許可してしまうので断れない ああ折角お姉ちゃんの水に濡れた髪とか肌とか爪とか空気存在概念森羅万象が一人占めできるかと思ったのに なんてことを考えていると 梓ちゃんと目が合った ・・・生意気 ―――――――――――――――――――――― 中野梓のプールでの振る舞いは媚薬とマタタビとドラッグ全部一緒に呑みこんだ発情期の猫のようで 微塵の凹凸も色気もないある意味奇跡的なその身体を以て必死のセクシャルアピールを試みていた 小学二年生の女子が着るようなピンクの水着は哀しいまで似合っていて 嫌でも視界に入る 「ねぇ憂、あっちでスライダーやろうよ!」 「ほら憂、パスパース」 「唯先輩の水着も可愛いけど、私のも負けてないよね」 世界で一番市民プールを楽しんでるのは絶対的に間違いなくこの中野梓で そもそもそれはスライダーじゃなくてただの滑り台だし (そりゃあお前の体躯からしたらスライダーかもしんないけど) みるみる内に日焼けしていく様はまるで昆虫の変態する瞬間を 高速カメラで眺めているような不思議な光景だった そのせいもあってかスペシャルお姉ちゃんビキニを網膜に焼きつける暇は無く 終始梓ちゃんに振り回されて何時の間にか空が茜色カラスが鳴いて 門限ギリギリ帰宅の時間だよコンチクショウ 「たのしかったねーあずにゃん」 「そうですね。憂も、楽しかったよね?」 もう知らないよどうでもいいよ この黒猫の異様なまでの執着心はどこから来るんだろう 簡単にお姉ちゃんから私に乗り換えてよくここまでハマれるもんだ 最近根負けしてきたよ 帰り道 私の脳内は そんな一昨日の晩御飯程にどうでもいい思考でがっぷりと埋まっていた そして中野梓は 妙に不安そうな顔で空を眺めていた 我が家へ帰宅すると 頭が痛い 頭痛で痛い ズキズキズキ お姉ちゃんも似たような症状を訴えていて これは不味いなとシックスセンスで予知した瞬間体温計のアラームが鳴る 39.0 久々にはしゃいだせいかはたまた身体が弱っているのかわからないけれどこれは結構クリティカルで 何故なら今平沢家には私とお姉ちゃんしかいない 私の体調は蟻の糞程に無視していいとして何よりお姉ちゃんが苦しんでしまうのが世界崩壊並に不味い 多少無理してでも看病に勤しなければ 御粥でも作ろうか?いやまずお姉ちゃんをベッドに連れてって 官能的な汗ふいて着替えさせてあげて水分補給も忘れずに その後半分は優しさで出来てる薬を探して お姉ちゃんが飲みやすいようにイチゴ味のゼリーオブラートも一緒に渡さないといけないけど なにか栄養のあるもの食べた後の方がいいだろうか?いや ダメだ 冷蔵庫は宇宙創世期を彷彿とさせる見事なまでのがんらんどうかつすっからかんの空っぽぷりだ まず買い物 行けるだろうか てか 行かなきゃいけないんだけど お姉ちゃんは守らなきゃ お姉ちゃんを護らなきゃ ぐったりしたお姉ちゃんを背負って部屋へと運ぶ途中に着替えとタオルを取ろうと洗面所へ向かう この汗びっしょりなまま床に着いたらお姉ちゃんが可哀そうだ嗚呼可哀想可哀想 ごめんねお姉ちゃん無理させちゃって 引き出しから安物の黄色いタオルを取り出し ふと鏡を見る そこにいたのは そこにいたのはまるで人を喰らう鬼のような形相でこちらを見ているそいつはまるで暴慢な鬼のような面で こちらを睨むそいつはまるで己の欲望に酔いしれる鬼のような視線でこちらを見るそいつはまるで肉親をも 躊躇なく喰らい尽くす鬼のような佇まいでこちらを指すそいつはまるで自分以外を認めない傲慢な鬼のような 瞳でこちらを観るそいつはまるで外へ出るのを恐れている臆病な鬼のような涙を流すそいつはまるで大事な 事に気付かない振りをしながら心の奥底で自分自身を戒める鬼のような汗を流すそいつはまるで自分が 強いと思い込まないと気が済まなくて何かから逃げ続けている鬼のような悲哀を持つそいつはまるで自分の 愛が天も次元も突破するくらいに誰かに届いて実を結んでいるものと勘違いしている鬼のような恥を散らす そいつはまるで見なきゃよかったと後悔するものに直面する鬼のような愚かさを露呈するそいつはまるで 怒り喚けばそれが意味を持つと盲信する鬼のような未熟さを隠さないそいつはまるで好きでい続けることの 意味と理由を思い出せなくなって狂信するしかなくなった鬼のような虚しさを披露するそいつは 私の姉である 平沢唯の たった一人の 妹だった この意味を私は理解した 途端に意識が落ちる 目の前がブラックアウト真っ暗になってゲームオーバーのカウントダウン Continue? 0 ―――――――――――――――――――――― 少しずつ広がる視界は眼球の表面にでんぷん糊でもくっ付けたみたいに不鮮明で なんとか目を凝らすとそこに立つのは黒髪ツインテールが似合う小さな女の子中野梓ちゃん 話を聞くとお姉ちゃんに預けたままだったリップクリームを返してもらいに来たところ 家の様子がコンヒュ喰らったみたいにおかしかったから入ってきたそうだ 私は見事なまでにベッドで寝転んでいて脇を見ると見事なまでに薬と御粥が置かれていて 見事なまでに看病されてしまったようだ きっとお姉ちゃんの手当てにも手を抜いたりはしないだろう 私と違って 満遍なく好意を振り蒔けるのだ 私と違って 人間らしい人間なのだ 「憂、大丈夫!?」 親の今際の際に立ち会うみたいに必死こいた顔で私を観るこの子は きっと恐らく間違いなく清涼純粋ピュア100%に私が好きで それは素晴らしい事なんだろう 私はお姉ちゃんが大好きだ それは地球が丸いってのと同じくらい否定しよう無い絶対確実1000%の事実だけども 梓ちゃんのそれとは掛け離れた一種の逃避と引き籠りで 他の全てをシャットダウンする 一番近い存在である姉に依存して 他の好きを拒むんだ それが良いか悪いかはともかくとして 残念ながら少なくとも今はそこに身を置くことに徹しているので 梓ちゃんとは結ばれない 感謝はしてるけれどね まぁ今までの非礼は詫びた方がいいかもしれない 39度の女子高生は 中野梓と仲良くなった ただそれだけしか進展してないけど 数日数週間じゃそんなもんだろう 夏休みが終わる頃には 何かが変わっているかもしれない だってこの子 マジで毎日通ってくるからね 好き好き大好き超愛してる? Love Love Love You I Love You? ・・まだわかんない 終わり 戻る
https://w.atwiki.jp/pendange/pages/75.html
鳥取SS 『書いてて自分でもなんだかよくわからないSS』 『Fleeting dreams , more so reality』 『鳥取軍部下士官手記』 『或る少女の神話』 『書いてて自分でもなんだかよくわからないSS』 ザザッ、ザザッ。 規則正しい音を立てて大地を蹴り走る。 傍らを走る部下の顔に焦りが浮かぶ。 恐らくは皆、いや私ですら同じ顔をしているのだろう。 「隊長!!殿(しんがり)の部隊より通信!!『ご武運を』との事です。」 通信兵の鳴き声に近い叫びが響く。 「通信…途絶しました!!」 「た、隊長!!」 部隊に動揺が走る。 このままでは済まされない。 前方に光が見える。 「次郎は!!後に残った者たちは勤めを果たした!!前を見ろ、じき腐海を抜けるぞ!!」 鳥取大砂丘に突如として出現した巨大菌類の森、“腐海”。 うかつにも足を踏み入れた代償は大きかった。 希望崎学園においてもっとも砂漠環境に適応した我々が砂地以外に足を踏み入れた事が失態だったというのか。 しかしこれよりは砂地。 このまま好きにさせるものか。 多くの部下を弟を盾にしたこの報いを、奴らに味あわせてやるのだ。 「希望崎学園砂漠斥候中隊はこれより戦闘に入る。砂上で我らに勝てる者など居ないことを奴らに教えてやれ!!」 「サー!!イエッサー!!」 ザザザザザッ。 足音が渇いたそれに変わる。 菌類の領域は超えたのだ。 どおん!! 後方で砂煙が…胞子が巻き上がる。 「敵影発見!!数は3!!」 巨大な茸を食い破るようにして巨大な蟲が出現する。 鈍い光沢を放つ体。 鋭く光るシュレッダーめいた口がガチガチと金属音を発している。 その後ろを音もなく得体の知れない白い何かが蠢きながら進んでくる。 「アハ!!久しぶりの苗床!!みんな喜ぶわぁ!!」 おっとりした口調でありながら砂の上を少女が胞子を巻き上げながら爆走してくる。 頭にはキノコが生えている。 あの腐海の主だろう。 「兵を真っ二つに分ける!!敵を両翼から挟撃せよ!!」 「イエッサー!!」 あの菌類の森で多くの同胞を失った。 この事実を希望崎学園に伝えねばならない。 「新入り!!お前は先に行け!!情報を希望崎学園の仲間に伝えるのだ!!」 「…しかし!!兄さん!!」 「隊長と呼べ!!今は通信兵としての務めを果たせ!!お前の補給能力はここよりも仲間のために役に立つ!!」 「…了解…しました!!」 「安心しろ。俺たちが砂上で負けることなど有り得ない!!行け!!」 「はいッ!!」 やつはまだ若い。 しかも戦闘向きの能力を持たない。 通信、補給としての能力はこの戦後にこそ生きるはずだ。 まだ戦闘経験も少なく新入りと呼ばれている。 我々の部隊ではある程度の任務を経験してから名前が与えられるからだ。 新入りが走っていく。 新入り…弟の背中を見送る。 「隊長…」 「すまないな、副長。私も身内に甘い。」 「いえ、気になさらないでください。我々は隊長の判断を信じます。」 「ああ、帰ったらヤツにも名前をつけてやらないとな。フッ…さあ逝くぞ!!反転せよ!!我ら希望崎学園砂漠斥候中隊は砂漠戦のプロフェッショナルだ!!」 「サー!!イエッサー!!」 部隊を二つに分け一気に反転左右より敵を攻撃する。 「あれ?苗床がもどってきたよ?アハハ、しあわせ~」 「…、んふぇおうぃ…」(虚空から響くような虚ろな音。蠢く白い者から発せられた) 「ギチギチ!!」 やつらは油断している。 我々を見た目で判断して侮ったか。 砂漠では有利だと思ったか。 敵に迫る。 ここだ!! 「サンドクロスフォーメーション!!」 「イエッサー!!」 更に兵を二つに分け敵の直前で進路を変更。 敵とすれ違い交差する。 「あれ~?」 「にえおぃ…もぅづさ?」 待ち受けていた敵の攻撃を紙一重で避ける。 これこそが砂漠での機動力を活かした我々の必殺陣形。 動揺した敵を前後左右から一気に襲い殲滅する。 「敵を十字に切り裂け!!我らの圧倒的な勝利だ!!」 勝った!! 次郎!!お前の犠牲は無駄では…。 「敵をfree!にすると思ったのか?」 「な、なんだと…」 足を掴まれた。 砂の中からスイムキャップとゴーグルを装備した若い男の顔が除く。 「ぎやああああああああああああ!!」 「た、助けてください。隊長!!隊長ォ!!」 なんだ、なんだこれは。 敵を後方から襲うはずだった部下たちの体に、みっしりと黒い何かが蠢いている。 小さな蟲、蟻だ。 右の部隊の体には無数の針が突き立っている。 あのサボテンは…動いているのか? 謎のロボットが電撃を放っている。 副隊長のメガネがハンマーで打ち砕かれそのまま頭を割られて死体となっている 無数のキノコを体にから生やして倒れこむ者たち。 巨大な金属甲鱗のワームに食いちぎられる者たち。 白い異形に飲み込まれる者たち。 それらは希望崎学園砂漠斥候中隊。 私の部下だった。 「まったく…伏兵も読めないとはな。お前たちは誘い込まれたのだ。その程度で砂漠戦のプロフェッショナル気取りか?」 軍服を着込んだ少女が呆れ顔で部下たちを駆逐しながら歩いてきた。 「ナチスのロンメル将軍の伝記でも読んで砂漠戦を勉強しなおすのだな、もっとも、いまからお前たちは生きたままキノコの苗床だが」 「馬鹿な、馬鹿な。」 「君たちは囚われのバタフライだ…RAGE ON…」 砂の中を自由に泳ぐ男が呟く。 私は、砂の中に引きずり込まれた。 希望崎学園砂漠斥候駱駝中隊。 隊員、ラクダ135匹死亡。 生き残りラクダ1匹。 生き残ったフタコブラクダのオスはこの事実を希望崎学園に立派に伝えた。 彼は戦闘能力を持たない。 給水するのみである。 顔はなんかムカツクし、モノ食う時クッチャクッチャ言う。 しかし、家族を仲間を失ったというのにその瞳は意志の光を失っていない。 何故かメンタルが異常に強い。 彼の名前は…まだ、ない。 『Fleeting dreams , more so reality』 ――鳥取砂丘高校、談話室 様々な大小の魑魅魍魎に合わせたサイズの椅子と机(と、キノコ)が用意されたこの巨大な部屋環境は、普段から生徒たちの憩いの場として人気を博している。 だが、現在の部屋の主はただ一人である。部屋の隅の小さな椅子に掛け、腕を組み沈思黙考する少女のみ。 彼女を恐れ、その周りに近づくものはない。 正確には、彼女の取り巻きを恐れて。 「おい、見ろよ……“女王”だ」 「“女王”が御機嫌斜めだな……恐ろしい……」 「おいおい、迂闊な話は止せよ……“近衛兵”がどれだけ見回ってるかわかりゃあしない」 その近づく者無い談話室に、一人近づく姿がある。 凛とした印象を抱かせるその少女は、対異邦(きぼうさき)戦を見越して集められた魔人集団の一人である。 そして机に突っ伏し、うんうん唸り始めた少女も、同じく招集された魔人であるのだ。 「新垣さん」 新垣と呼ばれた少女、新垣華は顔を上げ、入ってきた少女――南崎秀華を漸く認める。 「ニャn……南崎先輩」 「今の噛み方は何……。まあいいわ、もうすぐ作戦会議が始まるわ。 こんな所で油を売ってないで、みんな待ってるから」 「…………はい」 返事もそぞろな新垣の顔は、お世辞にも明るいとはいえないものである。 ――学級委員長である私なら、人並みくらいに相談に乗ってやる力も、その義務もあるだろう。 後輩を前に、南崎はそう思索を巡らす。 できる限り刺激しないような、最大限努力した優しい声音で、新垣へ問いかける。 「悩み事?聞いてあげてもいいけど?」 「先輩……」 潤みかけた目で、南崎を見つめる新垣。どうやら彼女の努力は実を結んだらしい。 「……先輩、私、夢があったんですよ」 抗争を控えているにもかかわらず、いや、だからこそか。 稚気じみた話をする、と南崎秀華は微笑ましく思いかけ、 「――私、女王になりたかったんですよ」 すぐに冷淡な平静さを取り戻した。 「みんなそう呼んでるじゃない」 「違うの!」 机をバンバンと叩き、新垣は反駁する。 「女王ってのは……王砂さんみたいな感じがよかったんですよ! ああやって、砂泳部の女みたいな名前のマッチョイケメン四人衆に神輿担がせたり! ショタっ子侍らせたり、ああいうイケメンパラダイスを!そういうのがよかったの!」 拳をうち、滔々と語る新垣。ただ彼女の目は、微かに憂いに曇っていく。 「それが、にゃんで……」 「ニャン!?」 「すみません!なんで! なんで蟻にたかられてるんですか……?」 「……さあ?」 新垣は更に声を荒げる。 「こんな仕打ちがありますか!?こんな境遇に置かれたことのある人が他に居ますか……?」 「……蛭神さんは?」 「蛭神さんは別です」 「そうね」 「とにかく、私だって普通の女王に戻りたいんですよ。王砂さんみたいにああいう憧れの感じの――」 それを普通とは言わないと思うけど、という疑問を飲み込み、彼女は談話室のすぐ外に警戒をやる。 彼女らを取り囲んでいる、複数の影。 人間サイズの巨大な昆虫めいたシルエット。 鳥取において勢力を広げる、エンジニアリ(学名:Tottorius TechniciAnts)が搭乗する二足歩行兵器である。 顎の巨大な牙(ブレード)が禍々しく煌めくその姿は、近寄ろうとする意志を削ぎ落とすには十二分である。 「げっ」 「そうか、そうだったのか……」 蟻甲兵の一人が、感慨深げに呟く。 「我々は思い違いをしていたのかもしれない……姫、あなたは」 深刻そうに話を切り出す蟻達を見て、新垣華もしおらしく体勢を縮め声を絞りだす。 「あ、はいそうなんですよ……すみません今までずっと黙ってて……」 「――高みより見下ろしたかったとは。今まで気づかず済まなかった。さあ、私の肩に乗りたまえ」 「え、いやいやいやそういうことじゃないんですけど……!」 蟻たちは新垣に詰め寄り、南崎を輪の外へと追いやっていく。 「貴様!抜け駆けは許さんぞ!私の方に乗るのだ!」 「殿方は下がっていてくださる?選ばれるべきはこの私ですわ!」 「待ちたまえ、この僕こそが姫の騎士に最も相応しい筈だ!さあ!さあ!」 「……先に行くわね」 そそくさと退出する南崎秀華。 自分の背中に呪詛の言葉を投げかける少女を残して、彼女は会議の場へと歩を速めた。 『鳥取軍部下士官手記』 我が鳥取砂丘高校は厳しい自然に囲まれた、決して快適とは言えない環境の中にある。辺りに広がるのは緑なす豊穣の地とは程遠い不毛の砂丘地帯。ここではコップ一杯の水を巡って殺し合いが起こる光景さえ、取り立てて珍しいものではない。 だが、決して無法地帯ではない。 荒れ果てた地に秩序をもたらすのは、鉄の規律で統制された武装集団『軍部』。学内の治安を守り、外敵を撃退する任務を果たす存在。本来はただの部活動の一つに過ぎなかったそれを圧倒的なカリスマで纏め上げ、近隣の諸校にも類を見ない卓越した武力を持つ戦闘組織へと生まれ変わらせたのが現在の『軍部』指揮官である一七千(にのまえ・なち)その人である。 苛烈にして冷静、暴力と策略を両輪の戦車とする彼女は『軍部』を率いて度重なる戦果を上げ、瞬く間に我が校に反抗する敵を制圧し、鳥取砂丘高校が実質上の鳥取の支配者となる立役者となった。その功績と軍事力を背景にした発言力は鳥取砂丘高校の指導者さえ決して無視できない。『軍部』の中でも血気盛んな新兵(いちねんせい)等はクーデターによる政権奪取を口にして憚らない者も居るが、七千司令官自身は「軍人は戦闘こそがその本分であり、統治は我らが責務ではない」と野心を膨張させる事なく『軍部』の組織熟成と任務達成に情熱を注いでいる。──────────少なくとも、そのように振舞っている。 『軍部』の戦闘力の高さは、敵に対するよりもなお激しい兵士訓練に支えられている。烈火の如く熱く、氷雪の如く険しいと恐れられる入部調練を受けた後では、中学では番長でならした暴れ者の戦闘魔人も従順な軍犬と化し、生まれてこの方取っ組み合いの喧嘩などした事もない内向的で貧弱な非魔人の少年でさえ勇猛果敢な兵士へと変貌する。調練の指揮を取るのは無論、七千司令官である。 『軍部』内外で無慈悲なる戦闘機械として恐れられる七千司令官だが、その強圧的ながらも自信に満ち溢れた言動に魅せられて密かに慕う者も少なくない。その証拠に「校内踏んで欲しい美少女ランキング」「校内唾を吐きかけて欲しい美少女ランキング」共に堂々の第一位を獲得している人気ぶりで、昨日投票結果が公開された「校内アナルを犯したい美少女ランキング」でもトップの栄冠に輝いている状況である。 ちなみにそれぞれの秘密投票の首謀者は直ちに特定逮捕され、いずれも背骨粉砕骨折するまで軍靴で踏み潰されたり、一晩中硫酸を頭頂部に少しずつ垂らされたり、肛門に大砲の砲弾をぶち込まれて悶絶失神する等、それ相応の報いを受けている。 全く、愚かな者たちだ。 司令官殿の魅力は何よりもあのおっぱいだと言うのに! 開催するコンテストが間違っている! おっぱい! おっぱい!! おっぱい!!! 「…………と、この手記には書かれている訳だが。これは貴様の私物で間違いないな?」 駱駝の革を鞣した表紙の革手帳を鋼鉄の義手で摘み上げ、女軍人は底冷えする瞳で部下の伍長を見やった。 「あががががが…………!?」 失禁寸前で意味のない呻き声を上げる伍長。砂丘に棲む魔獣さえ恐れさせる強烈な単眼邪視に、彼は全身麻痺を起こしたかのようにただ震える。 「貴様にはどうやら特別調練が必要なようだな。何、命までは取らん。貴様のように低俗で下劣な品性の持ち主であろうと、戦場では弾除け程度の役割は果たせよう」 至極あっさりと女軍人は言い放つと、鋭い眼光を放つ。 「怯えているようだが、心配する必要はない。今から貴様は『早く戦場に出て一思いに名誉の戦死を遂げさせてください』と泣いて頼む程度の目に遭う訳だが…………何か最後に言いたい事はあるか?」 地獄の盟主よりも酷薄な最後通告に、伍長は追い詰められた人間が浮かべる奇妙な絶望と諦念、そして歓喜の入り混じった表情を浮かべた。 「連れて行け」 引き連れていた部下の一人に伍長の処分を命じ、七千は思考を巡らせた。 ──────────このところ、軍紀が乱れている。 それは恐らく、いや間違いなく希望崎学園の影響だった。かの集団には退廃と逸脱を促進する負のカオスが満ちており、悪疫の如く砂の地を蝕んでいた。 逼迫する水情勢。だが、それ以上にこの地を脅かす危険思想。 ──────────最早、開戦は避けられない。 小競り合いでは済まない、血と鉄による本気の闘争。お互いの存在、生き残りを賭けた戦い。 七千の口元に愉悦の微笑が浮かぶ。その身体に流れる血は、熱い。 懸念が一つ有るとすれば、それは戦いの勝敗ではない。 あまりの非現実的事態に皆、思考を放棄している事実。 何故。 如何にして。 或いは──────────誰が。 遠く離れた地から、希望崎学園を此の地へと招き寄せたのか。 その真実を知る為の手がかりは未だに現れず──────────聡明な七千をして、知るすべはない。いや、他の誰を持ってしても叶わないだろう。 何故ならば、それは──────────。 『砂漠ダンゲロス本編』及び『????』に続く 『或る少女の神話』 「あれ? 先輩、今日は帰りですか」 「珍しいですね。どうかしたんですか?」 二人組の少女に背後から声をかけられて、一刀両断はびくりと肩を震わせた。 「う、うん……。ちょっと、体がだるくって……」 必死に目をそらしながら答える先輩を、じーっと疑いの目で見て、二人は、 「ほら、てるこ、昨日さ……だから、きっと……」 「あ、そゆコト……?」 顔を見合わせ、にひひー、っと同時に笑った。 「うひひ、先輩。じゃあ、また明日」 「おさるみたいになっちゃダメですよ~」 と、いたずらっぽく念押ししてからトテテと走っていく。一人残された一刀両は真っ赤な顔をしながらも、彼女も飛ぶようにして下宿へ戻った。 *** 「うッ、ひいっ……あふっ……」 下宿に戻った一刀両はすぐさまセーラー服を脱ぎ捨てお布団の中に潜り込んでいた。 そして、中指で自らの股間をおそるおそる刺激し始める。 ――うう……しゅ、しゅごおい、しゅごいよ……これ……ひゃ、ひゃふう……! そう、純情な少女、一刀両断はついに知ってしまったのだ。己の股間を刺激するという行為を! それは昨日の部活明けの着替え中のことだった。ふとした弾みから、てるこに「先輩って、白金先輩のコト考えながら股間いじったりしないんですかぁー?」と訊かれた一刀両は、その場では何がなんだか分からずに、ただただ鼓動ばかりを脈打たせていたのだが、訳も分からぬまま夜に布団の中でそのことを試してみたところ、これが、なんだかとにかくスゴかったのである。 これまでの一刀両はお布団の中で白金のことを考え、悶々とする夜を過ごすのが常だった。「先輩のことを考えると、どうしていつもおぱんつが濡れてるんだろう……」と不思議に思ってはいたが、自らの力で股間を刺激するという発想には至らなかった。大体、毎日アベレージ4時間ほど布団の中で悶々としてから眠りに落ちていたのだが、昨日からはそれに指先の動きが加わったのだ。 当然、彼女の興奮は凄まじいものがあった。とてもじゃないがやめられなかった。こんなことがあるなんて彼女は知らなかったのだ。今日の学校もよっぽど休もうかと思った。それでも彼女は鉄の自制心で登校し、日中も「部活が終わったらすぐにおうちに帰ってやろう……」と思っていたのだが、昼過ぎた頃から頭がフットーしそうになり、もういてもたってもいられず、教室の中で誰にも悟られぬように少しだけ股間を触って、漏れそうになる声を必死にこらえたりしていた。そんな具合だから、もう辛抱たまりません!とばかり、彼女は授業が終わるや否や部活になど目もくれず下校しようとした。その最中、先に書いたとおり、てることムツキの後輩二人に呼び止められたのだが、その時の一刀両は、家路までの僅かな時間さえも我慢できずに右手が股間にセッティングされていたため、二人の後輩に己の心理をズバリ見抜かれてしまったのであった。 いまや、家でひとりで布団にくるまれ、もはや誰にも邪魔されることがなくなると、一刀両の行為に歯止めをかけるものはいない。彼女はいつもどおりに妄想する。大好きな白金先輩と真剣で立ち会う己の姿を。自分の一刀があえなく交わされ、先輩の固くて長いものが己の体に深々と突き刺さる様を。先輩の刀が内蔵をぐりぐりとえぐり、幾度となく繰り返し突き刺さる絵を――。最初はシミュレーションのはずだった。来るべき先輩との決闘に備えてのイメージトレーニングのはずだった。いつからだろう。一刀両がこの妄想に囚われて股間を濡らし始めたのは。そして今、彼女の指先はその妄想に更なる刺激を加えているのである。 普通の少女であれば、このような妄想に遊びがら股間をいじくる己を変態だと自覚し深い絶望に襲われたかもしれない。しかし、純情素朴な少女、一刀両にはそのような理解すらなかった。今、自分が激しく興奮し、おぱんつをびしょびしょにしていることの意味さえ分からなかったのだ。「おさるのようにならないように」との後輩の助言もまるで無駄である。魔人の体力をもって、一刀両は16時に帰宅し、23時を過ぎた今となってもなお「イメトレ」を止めぬのだから。 しかし、流石の彼女も興奮が度を極めてきた。既に白目を剥き口から泡を吹いている。絶頂に達するのは目前と思われた。 ――だが、その時、彼女を異変が襲ったのだ! いつものとおり、大好きな白金先輩を脳裏に思い浮かべ、先輩の長くて硬いものが自分の体に深々と突き刺さる様を妄想していた一刀両だが、その先輩の姿が…………ああ! どうしたことか!! 唐突に、33歳の知らないおっさんの姿に変わってしまったではないか!!! だが、もう彼女には止められない!!!! 「ひ、ひゃあぁあん!!!! し、知らない、おじさんッ! 知らないおじさん大好きぃいい!!! しィ、知らないおじさぁんッ!!!」 彼女は絶頂に至る直前まで、必死に白金翔一郎の姿を脳裏に呼び起こさんとした。だが、ダメなのだ! どうしても白金の顔が33歳の知らないおっさんの顔になってしまう!! しかし、一刀両の指先の動きはもう止まらない! 「しィ、知らないおじさあああん!! あッ、あああッ!! ら、らめぇえ! 知らないおじさん、らめえええっ!!!」 知らないおじさんの胸の中で抱かれ、一刀両はついに絶頂へと達した。そんな……どうして……こんなはずじゃ……そう思いながらも、彼女は仄かな幸福感を覚えて、知らないおじさんの腕の中で安らか眠りに就いたのである……。 *** だが、異変は、ただ一刀両断ひとりに生じたのではなかった。この日から世界は変わった。輝く未来へ向けて、女子高生たちは最初の一歩を踏み出したのだ。 そして、二百年後――。 「高校を卒業するとね、私たち、どんな人のことでも妄想しながらオナニーできるようになるんだって」 「えっ、そうなの……!?」 クラスで女子高生たちがたわいないおしゃべりに興じている。 「中学生まではそうだったでしょ? クラスメイトの男の子とか、ジャニーズのコトとか、考えながらオナニーしてたじゃない?」 「うん、それはそうだけど。……え。でも、知らないおじさんは、どうするの?」 「別に禁止されるわけじゃないから。知らないおじさんのコト、考えながらオナニーしてもいいんじゃない?」 「知らないおじさんから離れちゃうのって、ちょっと寂しいよね」 「なんていうか、知らないおじさんって安定感があるっていうか」 「ウン、なんだか、おうちみたいだよね。いつでも帰れるっていうか」 「辛いことや悲しいことがあっても、知らないおじさんはいつもいてくれるし……」 少女たちは知らないおじさんの話で盛り上がっている。これは日本だけのことではなかった。世界中で同じような光景が繰り広げられているのだ。だが彼女たちは知らない。自らを犠牲にすることも厭わず、概念となってまでも女子高生の幸せを願った一人の男がいたことを――。彼女たちは知らないし、それを知る必要もないのだ。名を残す必要はない。感謝される必要も、愛される必要もない。ただ、ほんの少しでも世界が女子高生たちに優しくなるならば。それだけで男は幸せなのだから――。
https://w.atwiki.jp/sig-suer220/pages/14.html
現在対応中のイベントで提出する予定のSS・RPをまとめる場所です。 イベント80対応?
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1392.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 661 クリスマス心暖まる愛でSSの様なもの/コメントログ」 良いゆっくりが無謀な行動で自滅するのを見ると楽しいのはなぜなんだぜ? -- 2010-03-22 18 24 49 ↓ まりさは鬼意山なんだねー わかるよー -- 2010-06-27 00 56 29 ↓ らん「ちぇぇぇぇん!そんなゲスまりさに近寄っては危ないぞ!! ゆかりさまも心配している。早く帰ろう!! (汚らわしい下等種の分際で、私のちぇんの周りをウロウロしやがって…あのまりさは後で殺しておこう)」 -- 2010-06-30 00 59 49 やっぱこの人は引退させるべきじゃなかったよ。なぜ叩いたし -- 2010-07-06 02 18 21 せっかくゆっくりできるSSも腐れたゆっくりの真似する感想が目に入って不快になったわ -- 2010-07-13 03 09 45 こち亀みたい -- 2010-07-21 18 22 33 らん邪魔 -- 2010-07-25 13 13 53 れいむもお姉さんも可哀想。人間でも子供が親のために何かしようとして悲劇に見舞われることはよく聞くね。 父親に弁当を届けに行って踏切で電車にはねられたり、母親を助けようと食事の用意を手伝うつもりが火災をおこしたり… ゆっくりでも人間でも善意や少しの不注意が取り返しのつかない悲劇につながることがある。 ゲスゆもゲス人間もいないのに、どうしようもなく悲劇はおきる。 こういう話を読んだり聞いたりするたびに、「ひどいよ神様…」って思ってしまう。 -- 2010-07-25 15 07 00 馬鹿ごみ饅頭がつぶれただけの事。 こういう堕ちる作品いいですね。 -- 2010-07-26 16 13 19 じゃあ貴方の家族が死んでも馬鹿なヒトガタが静かになっただけですねー -- 2010-08-01 22 49 45 人間と饅頭を一緒にするって頭可笑しいんですねぇー 愛でにしても末期だなお前 -- 2010-08-03 18 29 12 たかがゆっくりの話で人の家族の生き死にとかに言及するべきじゃない。 あとこういう場所だからゆっくりを擁護して善人ぶるのはやめた方がいい。 -- 2010-08-07 01 05 23 おおっと!コメントが荒れているぞ!注意書きをよく読んで投稿してね! -- 2010-08-21 02 06 30 れいむはざまあwwだが お姉さんにはちょっとだけ同情してしまった。鬼意山までの道のりはまだまだ長いな… -- 2010-08-21 09 26 43 可哀想だなーれいむもお姉さんも。 可愛がってたれいむが死んだ事をお姉さんは知らないまま、なんだろうな。 貼り紙作って必死に探したりするのを想像すると泣ける;; -- 2010-10-23 22 40 53 れいむざまあ -- 2010-11-03 08 25 08 れいむもお姉さんも可哀想。人間でも この時点で基地愛護団体と同じ臭いしかしねえw -- 2010-12-09 20 00 37 それよりクリスマスを糞饅頭と過ごすおねえさんがかわいそう… -- 2010-12-19 16 05 02 てかこの世界にはバッジ制度は無いのか -- 2011-01-07 22 29 42 ははは!ざまあれいむ!てめえなんざまだ幸せだ!ゴミ箱に捨てられてだけなんだからな。本来ゆっくりなんぞは虐待の限りを尽くされて朽ち果てる物なんだぞ!この幸せモノが!! -- 2011-01-10 04 48 45 ヒトガタが静かになったとか言い出してる人、普通にすげえ馬鹿だな…論理の欠片も無い。小学校出てるのか本気で心配だ。 -- 2011-01-22 17 54 36 子れいむが死んだのはゆっくりできたが 即興で書いたというだけあって思いついた文だらだらと書き 全てが中途半端のままで子れいむの死をもって終わらせただけだね -- 2011-06-08 01 21 53 ↓すごい上から目線 -- 2011-07-08 12 25 46 ↓↓ものすごい上から目線 -- 2011-09-01 20 30 59 ↓↓↓ものすごーく上から目線-- -- 2011-11-05 23 51 28 下から6番目の米失せろや。そーいうの見て苛ついてる奴もいるから。そんなこともわかんないの?愛でで何が悪いんだよ。 -- 2012-04-18 17 45 35 失礼しました 4番目の米でした。すみませんでした。 -- 2012-04-18 18 08 31 とりあえず絵が良いな。作品も素晴らしい出来だった -- 2012-04-18 22 29 09 おねえさん可哀想。今回は、珍しくまともな、子ゆっくりだったんに!後、れいむざまぁとか言ってる奴、そんな、悲しいこと言うんだだったら、愛でスレみて来いや。ボケ∑(゚Д゚) -- 2014-05-31 11 54 27 今更ながらバッチ無しなのが悪い -- 2016-07-13 15 11 07 自分の読解力がなくて以下の点がわからない。すまないが誰か教えてくれ。 ・飼い主がお姉さんと分かるまでの文章が長い。 ・子れいむはどうやって台所の窓まで登れた? ・「地面に着地」の前に、室外機の上も十分に硬くて痛いと思うのだが? ・そもそもお姉さん家は一軒家?アパート?(文章全体的に風景がわからない) ・お兄さんはいつ子れいむを部屋に入れた? ・お姉さんは結局どうしたんだ? -- 2018-02-12 13 25 59 おねえさんはれいむががいないことに気づかなかったのか -- 2023-05-20 00 00 53
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/2336.html
大ゲート祭を記念してスラヴィアにて開かれるバトル大会! それに関連したSSのページです。 作品に付ける《タグ》は、予選や前日譚後日談などは《 前 》、大会の試合は《 バ 》でお願いします。 作品の投下については、作品投下の準備を参考に行ってください。 バトル大会の内容や説明については大バトル大会inスラヴィア 説明&準備ページを参考にしてください。 【四周年TOPに戻る】 バトル大会試合SS。 戦闘以外の勝負もアリアリアリ! 【カナヘビvs瑪瑙&イスズ】 【パン・ダー舞う】 【シキョウ&スイメイ ○ ― ● セイラン&テンコウ】 【ディエルvsティータ&清浄】 【ネビオラvsラニ 給仕の戦い】 【一回戦のまとめ1】 【ネビオラvsラニ 給仕のシカケ】 【一回戦のまとめ2】 【二回戦のまとめ】 【バトル大会決勝戦! 前半】 大会出場権をかけた予選や出場者などの前日譚やら関連するSSなどなど。 【陵山の火精、炎を願うのこと】 【最強決定トーナメント】 【大延国の通関司、時を超えるのこと】 【死体細工師、絶後の作を仕上げるの事】 【大延国の通関司、大いに学ぶのこと】 【蘇生皇帝、無銭飲食をとがめられるの事】 【皇帝の第三十七子、ご先祖様と邂逅するのこと】 【まみむめもっさん・おねがいエンチャント!】 【まみむめもっさん・シノギの饗宴】 【まみむめもっさん・スラヴィアンなんなん】 【神の薬はアヤシイ薬】 大会の試合カードと結果はこちら 【一回戦】 アデーレ&ユイ ● ― ○ ミルミ&ルミル カナヘビ ○ ― ● イスズ&メノー シキョウ&スイメイ ○ ― ● セイラン&テンコウ 髑髏王 ○ ― ● トゲオ ネビオラ ○ ― ● パン・ダー・グゥレイトォ バルバンクール ● ― ○ ラニ ディエル ○ ― ● ティータ&清浄 岩窟王&監獄姫 ○ ― ● サバーニャ 【二回戦】 ミルミ&ルミル ● ― ○ カナヘビ シキョウ&スイメイ ○ ― ● 髑髏王 ネビオラ ● ― ○ ラニ ディエル ● ― ○ 岩窟王&監獄姫 【準決勝】 カナヘビ ● ― ○ シキョウ&スイメイ ラニ ○ ― ● 岩窟王&監獄姫 【決勝】 シキョウ&スイメイ ● ― ○ ラニ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/270.html
第一回戦【雪山】SSその3(大会後修正版) 白と黒の世界である。幾重の吹雪が影をなす。 山の中腹部から見下ろす景色も山も空も四葉のオムツも白い。オムツ? まだおしっこ少女(おねしょうじょ)なのだろうか? まさか。 200Kを下回る世界で下半身を露出し体内の体温安定剤(おしっこ)を放出する必要はない。五重の防寒具を着たまま股に力を入れたり抜いたりして四葉がぶるぶるっと震えると暖かい小便が下腹部に広がり、ほのかな母体回帰願望を思い起させる。じゅわじゅわ滴る前に手早く取り替えて外に出す頃には既に凍りつく。まさに「極寒の雪山」そのものだ。下見としてGoogleMAPで確認したことも無意味すぎた。佐倉光素を信用するなら雪山の(戦闘範囲内の)中腹な筈だ。 パキパキに凍ったオムツを洞窟の隅にほうって入口に近づく。雪のカーテンの合間合間にちらつく「黒点」に向かって念じる。 「モア」「モア」「モア」 何も反応しないことを見て四葉は息をつく。口腔に侵入する空気が痛い。 ――寒いな。この自然め。私を殺す気か。 四葉は指を振り念じる。 「モア」 パッと空中に生み出された白い塊は濃霧を生み出しながら落下する。 目線を落として塊を観察する。どうやらこの極寒の地で蒸発しているようだ。 「すごく冷たいものかや?」 雪に対して「炎」が得られるわけではない。 自然が「雪」という「寒さ」を武器にしているのならより強いより冷たい武器を得るだけだ。 極寒の雪山でさえ瞬時に昇華するような個体――固形窒素が召喚された。 「これをぶつければダメージ与えられるか?」 という考えは刹那で忘れた。相手も防寒しているだろう。露出が少ないことは命中範囲の狭さを意味する。持って投げれないだろうし、投擲武器類もない。せめてつまんで投げられれば……四葉は思い出した。 殺すべき敵の一人・聖槍院九鈴(せいそういんくりん)の奇天烈な武器を。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖槍院は雪山頂点から高速移動で駆ける――滑る。 巨大トングの下刃をソリ代わりにしている。見事な体捌きだ(しかし48の大トングで1024つの小トングを自在に同時に操れる究極体トンゲリスト(トング・ジツ・マスター)と比べれば未熟だ)。 目指すは小さな洞穴。人が隠れられる程度の――人影がちらついてみえた洞窟。 下刃はソリ、上刃は屋根がわりにして滑走する。雪は当たらないが風がひどく冷たいだろう。しかし加速する聖槍院は平静である。なぜか? 彼女の魔人能力〈タフグリップ〉はつまんだものを決して離さず、保持し続ける。それは「掴んだものが失われない」と同義である。ゆえに、麓(ふもと)の空気を捉えた巨大トングの刃間は絶対に暖かいのだ。 ぐんぐんと洞窟が近づく。速度は加速の一途。トング滑走術は音速を超えうる。マッハ0.8直前の加速度。目前に目標が。音と並走する聖槍院。 轟音におびき寄せられ洞窟から人が顔を出す。人影は敵の侵攻に気付くや洞窟の中へ逃げ込む。 聖槍院はトング斜角を大きく傾けた。岩壁に思い切りぶつかる! しかし聖槍院は止まる気も――ましてや死ぬ気もさらさらない。 聖槍院は自身の体ごと洞窟にぶつけた。衝撃は超合金巨大トングであってもぐにゃぐにゃに。しかし聖槍院自身はまったくの無傷である。なぜか? 今は伏せておく。 さて、洞窟に隠れたる者――赤羽ハル。彼は熟練の殺し屋ではあったが、激しい爆発音と衝撃と、UFOを思い起こさせるひしゃげた巨大トングとのダブルインパクトで反応が0.5秒ほど停止。聖槍院は鰐の構え――トングの刃部を両手で添える、聖槍院流古式トングの超攻撃型(スタイル)。 「死ね」 言葉が打出るのと同時にトングのバネを8倍活用した打撃を放ち、みぞおちと頸にめり込む拳。さらに手を引きながらトングで両肩を固定(タフグリップ)。 聖槍院の奇襲&不意打ちは見事成功した。吐血する赤羽ハル。並みの魔人なら――いや、どんな魔人であっても鰐の構えがクリティカルに決まれば死ぬ、自(そうじ)負している。聖槍院は警戒心をさらに上昇させ、懐の脇に挟んでいた2ndトング〈YiSe〉を引き抜く。 ――なぜ赤羽ハルが聖槍院の攻撃に耐ええたか? 理由は一点。赤羽ハルが「日本銀行拳」の使い手だったことだ。彼は腹部と頸部に受けた衝撃をストップ高としてこらえ、株価と肉体のダメージは全身を覆う紙幣帷子に流す。 暴落した「呑気(情)」が即時上場廃止し「殺意(激おこ)」が上向きになる。この市場混乱により約1億個の細胞(パンピー)が負債を被ったが脳細胞(トレーダー)は「殺意(激おこ)」を大量購入したのだ――。 追撃を食らわせようとした聖槍院。それよりも早く赤羽は手を胸前でクロスし防御する――そのかたちで肩のトングを掴み、〈ミダス最後配当〉により換金した。力で外さなかったわけは、防御のかたちが崩れることと、素早く貨幣(ぶき)を手中に収めるためだ。これは考えたことではなく、経験則に基づいた行動だった。考える暇などない――聖槍院が突撃してまだ2秒も経っていない。 ――硬貨に換金し即撃ち込む。 そしてトング〈カラス〉が換金された。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 四葉はそう遠くない北北西から轟音を聞く。ラピュタの動力室が爆発した音だ。雪崩の危険を察知し外へ出る。雪は降っているが風は弱まっている。 上で雪崩が起こっていた。異様にきらめく色付きの雪崩が向かってきた。 「死ぬ!」 四葉は反射的に自らの能力〈モア〉を発動する。 雪崩に対してならより強い雪崩が生まれる。彼女が飲み込まれることはない。自身に対して安全なのが〈モア〉の能力の一部である。 ――より強い雪崩で下に誰かいたら殺す。 だが彼女は誤認していた。 色付きの雪崩は「雪崩」ではなく「換金」あるいは「発行」である。 より強い発行。 四葉は建物の中にいた。 召喚したものは「日本銀行」。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖槍院の持っていたトング〈カラス〉。 素材は隕鉄であり色も黒っぽいのでダークパワーが宿ってそうで強い。闇トング道者・トング太郎Jrは有り金はたいてでも欲しがっている。彼の総資産は約1兆円。 聖槍院九鈴は1兆円の中に埋もれ、押しつぶされた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 四葉が日本銀行を召喚した直後。 召喚した本人とはいえ、あらわれた日本銀行に驚いた(当然だ)。 何をすべきか――。どう勝つべきか――。 真っ先に思い浮かんだのは「対魔人用の金庫の中に閉じ込める」と「買収」。 前者の実現性は低いと判断。後者は二秒ほど真剣に考えた。 ――赤羽ハルは莫大な借金を負っているらしい。この銀行には金、金、金の山! 金「だけ」であれば買収も可能だろう……が不安も残る。どちらにしよう――二者択一で考える狭さは子供らしい。結局「できそうならどっちも」に。とかく新たなるMAP・日本銀行を知る必要がある。 コントロール室的な場所を探し出す前、四葉は服を脱ぎだした。すべて。幼児体型をあらわにしても寒くはない。むしろ空調がガンガン効いてて暑いくらいだ。すっぱだかになった四葉は床にゴロゴロ転がる。サービスシーンではなく、足跡を消すため、水を吸わせている。すっくと立ち上がって部屋札を見ながら小走り。すたこらさささ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 四葉が想定外の召喚をしたように、赤羽もまた想定外の換金をやってしまった。彼にとってはトングはトングであって、多少高くても1000円、安くて50円。ならば確実に10円に換金して即打ち込むべし――しかし実際は1兆円。 自らが換金した硬貨の雪崩に飲み込まれている。 彼は硬貨(10)を次々と紙幣(10000)に換金し、呼吸の確保に努めるが数(450000000t)には勝てない。流され飲み込まれ圧死する――かに思われたが、幸運にも流された地は日本銀行。 赤羽は、体中を覆っていた圧力の塊が朝露のように消えていくのを感じた。目をカッ開(ぴら)いて動物めいた半回転で立ち上がり周囲を確認する。正面、大きな受付の役所感、大手感、銀行感。背後、雪山ではなく硬貨の雪崩。しかし、雪崩は入った途端に消滅してゆく。なぜ? 答えは出ない。 悩むというのは答えがないからであり、答えがないものをいくら考えても無意義だ。 この銀行のような建物が何らかの結界として作用しているのだろう。それは金銭の侵入、つまり入金にのみ発動することかもしれない。銀行の力とうまく合致する。貨崩(なだれ)がやめば、この空間にも雪は入るのかもしれない。かもしれないかもしれない……想像だけを重ねることは無意味ではない。魔人同士の戦いであるから常識は通用しないが、あらゆるを密に対処するにはファジィに包み込む必要がある。抽象的に。 しかし、それにしても雪山に日本銀行とは。異常な空間だ。空調は暑すぎるほどバッチシ。赤羽はやや思案して防寒具を脱ぐ。室内戦ならば消音に努めなければならない。待つを待ちつづけるソファにジャケットをほおる。コッと音。 「おっと」濡れたジャケットの中から黒い――M10(ミリタリー&ポリス)――拳銃をつまみ出す。 「知ってるヤツ対策のつもりだったんだがなァ、銀行で金が使えんったァ、俺が負債者だからか、なァ?」 問いかけ。返事はなく、受付をひょいと乗り越え彼はふだん入らない領域へ足を踏み入れた瞬間に背後で爆発音が鳴り響く! 硬貨と硬貨がぶつかりあう高い破壊衝動が湧き上がる背後を注意、そこには「おおっ!」聖槍院九鈴が! 赤羽は急襲者の心臓狙い引き金がガチャリ。 !ダッ!ダッ! 二発の弾丸は聖槍院の合トング術にいなされる。 聖槍院は足を緩めず。無表情には少しの躊躇いも焦りも怒りも疲れも見えない。 3発目は頭部を狙い、はずす、4発目は頭部を狙い、かわされる。 やはり聖槍院はなおも赤羽に猪突猛進。両手にはトング。トング。そのトング。 「ちぃっ!」 赤羽は六発まで撃ち切り懐の紙幣帷子の一枚(10000円)を一万枚(1円)に換えて銀(アルミ)幕の煙幕を張らんと手をかけるがなんと紙幣帷子も消滅している! ――しまった。 動きを止めることはできない敵はすぐそば。服を破いて換金→わずか7円を、散弾銃のように噴射しつつ後ろに飛び退き、回れ右で建物の中へ。 男の脚力とはいえ、初速は遅く、つかまる――ことはなかった。 (赤羽の脱税はなかば合法のもので、7円は聖槍院の足肉をびしびしえぐりるのだ) 聖槍院は顔を苦痛に歪める前に、その端正な顔を思いきし絨毯に叩きつけた。こけた。起き上がるころには、赤羽の姿はない。 赤羽は左の戸を壊し右の戸に入る。500で人が通れる程度の穴を開けながら逃走しつつ思考―― ――奴の能力はなんだ! 巨大で超加速のトング、弾丸を止めるトング、全身に無数個張り付けたトング。能力の仕掛け自体は分かってる、固定だ。あの超高額トングを換金したとき、異常なほど肩の動きが鈍かった。おそらく関節レベルで固定されていて、だからこそ、無意識的にとはいえ、ミダスを使ったんだ。それはいい、それはいいとして問題はさっきだ、一発目と二発目はトングに「固定」された、三発目は俺が外して、四発目はかわされた。その次。五発目と六発目はたしかに命中したんだ、だけどまったく顔色を変えなかった! 赤羽は口から4万円を取り出す。金歯を換金。 ナイフを持つように4万円をかまえつつ、走る。階段。下りはない。駆け上がる。二階。三階はない。そう広くない。 長くのびる通路にかかる絵画。そのそばに、なにか服がある。雪解けでぐっしょりと濡れた、防寒具と、もこもこと、さらさらと、スポブラとパンティ。 「やはり高島平もいる、か」 敵:高島平四葉=小学生の情報は事前に仕入れていた。不可解なのは、その能力と、彼女の服がこんなところにほおり捨てられていることだ。どちらも同じくらい推理すべき情報だが、同時にこなさなければならない責務がある。 「……82000円か、ガキにしちゃあ高いな。ブルセラ込みか?」 赤羽は、廊下正面に立つ全裸の少女に向かって笑った。 ――挟み撃ちかよ。 「あのトングほど高くはないよ」 一兆円のトングを理解していったわけではない。あの銭の雪崩を起こした者は赤羽だが、原因は聖槍院にあると推測しただけだ。聖槍院についてはトング使いだとしか知らない。 動揺を隠す赤羽。 高島平四葉がゆっくりとあげる細く白い手、伸びきる寸前に地面が揺れた。 床が崩壊した! そして空へ吹き飛ばされる! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― おおっこれは赤羽にとっては想定外であったし、四葉にとってもまさか地がブチ壊れるとは思いもしなかった(億単位を手にした赤羽ならこれくらいできるだろうとは思ったが)。 張本人である聖槍院にとっても予期せぬ成果であった。 彼女は一階の待ち受け室に、まだいた。 彼女は両腕をクロスし、手のひらを伸ばし、四股を踏んだような格好のまま、きっかり一分、待った。 エネルギィが溜まるのを。 気が「固定」されずに流水のごとく流れるのを。 体内を駆け巡る気を、水が低きに流れるように、両手に貯める。 彼女の手には何も入っていない。 しかし彼女の手には、彼女の両腕がある。 両腕。 二本の腕。 お気づきだろうか? ――人間の両腕は、まさしくトングの形状である。 「聖槍院『九鈴』流奥義・沌殻螺死(トングアラシ)!」 叫べるものなら、きっとそのように叫んだであろう。 全身を挟むトングの大部分を「タフグリップ:解除」する。九鈴の身体は爆発的に弾け、回転とバネをフルスロットル。抑圧されて暴発寸前のエネルギィが、空を切る、渦を巻く、螺旋気流を放つ。身体が激しく回転する、巨大な竜巻を生み出す、肉体はボロボロになれども。竜巻は、違法建築の銀行を浮かび上がらせてしまうほど! 聖槍院が新たな地軸になったような錯覚を覚える間もなく、体に固定されていたトングがミサイルの速度で順々に発射され――単価2200000円の威力! 全身の気を込めた奥義で九鈴の体は奇妙な形に折れ曲がっているし、上腕骨は内部で一回転している。肉体の損傷を顧みない奥義。 嵐の中心にあった聖槍院の衣服はカマイタチに切り裂かれているし、頸部の自傷がひどい。大嵐のカマイタチで、自身の頸を綺麗にスパッと切断している。 目が、ぎょろぎょろと回る。 わお。 首に一文字の赤色が滲む。 彼女の背を見ると、カマイタチでズタボロになった上着が、いま、美しい切れ目に促されて、するりと落ちた。あらわとなったのは、銀色。銀色の鎧。肩と腰とを四点で固めた『トング帷子』。 トング帷子は、「聖槍院そのもの」をタフグリップする。帷子がきらめく。 光沢は一瞬で消える。 空が暗くなる。 顔をあげる間もなく、押しつぶされる。 塗りつぶされる。 正体は、雪。 聖槍院奥義の副作用で、雪崩が―― ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 宙に投げられた高島平四葉。彼女はまったく状況を把握できていない。 ぐるんぐるるぅうんと回転する視界で彼女は発動した――モアモアモア。 とかく目を見開いて。とかく感覚を研ぎ澄ませて。 巨大な岩巨大な岩お札巨大な岩固形窒素お札巨大な岩巨大な岩巨大な岩爆風爆風爆風トング巨大な岩 さまざまなものを召喚しつつ飛ばされる。 まだまだ上空へ、上空へ、上空へ。 明記しておくが高島平四葉は全裸である。 「モア――瓦礫瓦礫瓦礫瓦礫」 四葉の背に大岩が現れ、風を遮る。まだまだ上空へ。まだまだ上空へ。 四葉は閉じそうな目、凍えた瞼を気合入れて見開く。 閉じてしまえば発動できない。 発動できなければ四葉にはなにもない。 モア以外、なにも、一切、ないのだ。 四葉らが浮かび上がって五秒たつ。 視線が俯瞰で、山をやや見下ろす。真っ白な山肌にごちゃごちゃした場所があり、それが銀行跡地だと脳の片隅でぼんやりと認識する。 ぼんやりとでしか認識できない。 四葉は歯を食いしばり、発動。 「モア――」 ざっ、と音がした。 音がした気がした。 山の斜面を、狼が横に列をなして駆けるような影が走る。 あれは―― あの影は―― ふっ飛ばされる体が、ゆるりと、スピードを緩める。 四葉は賭けに出た、わらにもすがる思いで。 ――私にとっては安全なはずだ! 「無限回召喚(モア∞モア)!」 四葉は『無限回』のモアを発動した。 そして、 聖槍院の奥義の副作用で、雪崩が生まれ―― モアによって無限の雪崩と変貌した。 無限の雪崩とは? 「わぁ……」 邪気あるいは無邪気な感嘆を呟く。 無限回の能力発動して0.9秒後、上昇の頂点にあった四葉は、その二本足で、その裸足で立っていた。 足元は、雪。 景色は、雪原。 あたりに山はなく、雪、パラノマ。雪しかない。一面が雪だけ世界。あと青空。 見渡す限りの、大雪原。 ――状況を説明しよう。 まず、四葉は空中で『雪崩』に対してモアを発動した。 そのため、より強い雪崩が『四葉にとって安全な状態で』召喚された。 四葉にとって安全というのは、まず、四葉より低い位置で発生する雪崩である。山頂にいるものにとっては、いかなる雪崩も「安全」である。 よって、上空に浮かぶ四葉より低い位置で、無限回のモアが試行された結果、雪山は雪原と化した。雪崩が「崩れない」状態まで、均された。もっとも、山頂部だけが小山となって残っているが。 「おい審判! 聞こえてんのか勝ち決まったろうが私で! ア゙!?」 銀行壁の瓦礫の影でぶるぶるして歯がガタガタなっている。ふるえふるえの声で現れたのは光、と声。 「まだ決着はついておりません……」 空から忘れ形見の瓦礫やなにやらが落ちてきてズヌリと雪にめり込む、そのいくつかの内に人影がある。 「埋めれてなかっ…………た……?」 四葉は瓦礫の影から立ちあがりとどめをささんとした――が、咄嗟の動きに体がついていかない。膝が『タフグリップ』されたかのように、つんのめる。(寒さにやられたためであり、聖槍院は関係ない。) オイルではなく雨粒ばかりさしたブリキ人形のような動作で、巨大な銀行壁の成れ果てに手をついて立ち上がる。 「……動け、足ィ……」 苦闘むなしく膝からがくりと落ちる。 歯をむき出しに、怒る。身体から力が漏れていく。無理に心を焚きつけなければ今にも命の炎が凍ってしまいそうだ。 四葉はキッと天上を見上げる。宇宙を考える。 地球のことを考える。 地球は温暖化している。 地球が温暖化している「原因」を遡ってのぼってのぼりつめれば、犯人は太陽である。 敵は太陽。 「モア――太陽」 太陽がひとつ。 「モア――太陽」 太陽が、もう一億。 もはや地球に青空はない。空はミラーボール。空一面が黄色あるいは白色。太陽。太陽のみ! 夜なし! バカみたいな日差しが雪原に反射して、目も開けられない。色がなくなった世界に塗り替わる。だが四葉には関係ない。四葉にとっては『安全』であるからして。 「きもち、あったかくなったかな……」 えいっと四葉は立ち上がる。 視界は白塗りで、目に痛い黒が、いくつか散らばっている。その中で、ゆらりゆらりと動く影が1つ。人影、赤羽ハルの影。 「四葉ちゃんよ、いま、なにがどうなってる? なんだこの天気は、地面は、山はどこ行った、空はなにが起きた?」 四葉は一歩一歩距離を縮めていく。億の太陽が照っても、全裸の雪原では、体感気温は氷点下を超える。 ゆっくりと一歩ずつ一歩ずつ、歩み寄る。 「敵にそんなこと聞くなんて、スーパー殺し屋の名が泣きますよ?」 「そんな通り名、ねェよ」 赤羽は、落ちていた二本の棒――いや、一対の黒いトングを拾い上げる。 「さっき――そんなに前の話じゃないはずだ、銀行にいたとき、あのとき、お前、なんてった?」 ――あのトングほど高くはないよ。 「憶えてないよ」 「何年も昔のような気がするぜ、こんなおかしな空間だとよ」 赤羽の手中の黒いトング――四葉が混乱空中で召喚した聖槍院のトング、彼女の控えである「二番目のトング」より強い「一番目のトング」――すなわち〈カラス〉。 その値段はご存知の通り―― しゅるしゅるしゅると赤羽の手のひらで一枚の紙切れになる。 「一兆円札だ」 一兆円札! ――仮に一兆円札があるとするなら、それは、「赤羽自身の能力によって1兆円1枚=1万円1億枚に変換できる」。適切に換金できるものは適切な紙幣である。逆説的に一兆円はその価値を認められる。 一兆円札は一万円×一億の威力! 赤羽が一兆円札を横薙ぎにすると、はるか地平線――太陽と雪のはざまに糸のような裂け目が生まれ、広がり、ズレ、天球のふたはとれた。そこからのぞくコスモ。さらに宇宙の奥の奥まで斬撃は届く。点と点とが輝く地域、ノーマル宇宙をも、ズパッと切裂くと、外側、液体のオーロラが感触を持って燃え続ける空間がのぞき見える。 大宇宙すら切裂く〈桁違い〉の、核より恐ろしいオブ・ザ・最強兵器・カネ。 ――最強より「ちょっと」強いものは? 「こんなにお金、あってもね。使えないよね」 ゼロ秒で発現した、姿を隠すほどの十兆円札ピラミッドが四葉を守った。全宇宙で最も欲磁場の強い空間がポンと発生されている。 赤羽は、もう、驚くほかなかった。 ……言ってしまえば、赤羽の「殺し屋」という職は、サラリーマンである。 サラリーマンは奴隷である。奴隷をつかさどる商人は金の奴隷である。金はすべての王である。その王を、奴隷とすら思わず、空気とすら思わず、神のような振る舞いをしているこの小娘は――。 「モア」 四葉が掲げた手のひらの上に、黒玉がひとつ浮かぶ。 「全額、入金せよ。暗証番号は四葉ナンバーワン(4281)」 黒玉は渦を巻いて稲光を散らす。内部から槍のような影が走り、ピラミッドの山をとらえ、引き込み、闇の中へと取り込む。 赤羽の一兆円札を、闇がつかむ。物理的な力とは別の力によって、手のひらの金が奪われた感触がする。手から離れかける瞬間にミダス最後配当で換金。あの銭崩(なだれ)が再び発生した――一瞬だけ。すぐに、暗黒の中に、吸い込まれる。 四葉が鼻で笑う。 「きみが息巻いて使ってた一兆円札って、モアで出したトングでしょう? なら私のだね」 全てを飲み込んだ黒玉が、今度は立方体に形を変える。 「まっ、手間賃くらいはあげるよ。口座番号は――」 赤羽が青ざめる。四葉が唱えた番号は、赤羽が6000億円を支払うべき口座。 ――なにをする気だ! 「振り込んであげるよ6000億円!」 黒い物体から竜のような札束――札列が飛び出す。 赤羽は反射で身体を動かす。動きつつある身体を思考によってよどみなくサポートする。上着を換金して400円分の衝撃で地面にクレーターを作り、もぐりこむ。 思考。 ――あの暗黒物体は「出金モード」なんだ。奴は金を操る能力なのか? なら雪や空はなんだ? さっきは入金。だから今はミダスが使える、地面を経由して下から襲う。まめに換金していけば服代で殺れる。雪は柔い! ドン、ドン、と地が揺れる音が、四葉に近づいてくる。 雪原に浮かぶ6000億円の竜が、赤羽の作った坑道を追って遡る。 ドン、ドン、の衝撃は、四葉の前方1メートル前で止まる。 と同時に地表から金龍が奔出! 龍の頭は赤羽の肛門から侵入、そのまま突き上げるかたりで雪原上に姿を見せている。 「もいっちょ6000億!」 四葉が放った第二の龍が、赤羽の口から入り込む。悶絶する赤羽の腹が膨らむ。 「ああっ、口座(クチとケツ)がパンクしそうです!」 ついに赤羽の腹は、約3000億ほど呑みこんだあたりで破裂(バースト)した。 四葉の持つ黒い物体は、預金クレジット一体型カードより強い「なにか」である。銀行を発生させたとき、買収などの戦略上に役立つと思い作成した。カード作成中に分かったのだが、銀行になだれ込んだ小銭は、すべて、ある口座に入金されていた。 現在の入金相手と同一であるから、追尾機能で、赤羽を経由して振り込みできた。 「借金、返せてるといいけど」 四葉は爆散した赤羽の四肢から、服の形をしているところをはぎ取った。靴はぶかぶかだが、無いよりましである。 元銀行壁に戻って少しでも寒さを和らげようとしたら、元壁は、あたたかい。 ――あっ太陽一億はやりすぎたかな。 とか思いつつあおむけに。日向ぼっこ。うたたねいい気分。 太陽の大きさと星の大きさと、空の広さと地球の丸さを、足して掛けて割って引いて、いろいろ混ぜ合わると、後悔の念が強まってきた。 「まあ、私のせいじゃないし……」 明らかに自分のせいなんだけど。 「地球温暖化でも……でも……たくさん雪崩したから……イーブン……………」 疲労と寒暖の差。安心感。強敵の殺害。勝利の余韻。 四葉は深い眠りに落ちる。 二十分後。 まだ寝てる。 爆睡。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ……勝利してしまった! 忌々しい小娘! ……四葉(あれ)の能力って死んだら消えるんですかね。 ……あの憎きあれを殺すチャンスですよ! ……殺すなら今の内ですよ! なに躊躇ってんですか審議長! ……いや君たちが焦っているんだ。もしあれが起きていたら……あれが演技でないなら、即座に我らWL社が、あれの敵となってしまう。 「…………白ぶた……いや……」 ……絶対寝てます! ……確かにあれが死んでも天が元通りになるとは限りません! が! あれを殺せる数少ないチャンスなんですよ!? 「………………ちくわだあ~……三人くらい来るのか」 ……森田はどう思う? ……思うに、高島平四葉は脆く、暗殺やスナイプで殺しうる、と思われます。いま強権発動して勝手に信用を落とす必要は感じられません。 …………ですが、僭越ですが私としては ……僭越だ。私を誰だと思っている。 …………自害いたします。 (ウッと息が詰まる音。砂袋が倒れる音) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 三十分後。 雪がこんもりと持ち上がり、日を遮り、人影が立つ。 いや、それは人影とは呼べない。 足があり、胴があり、肩があり、腕があり。 だが首がない。 頸から上が、スッキリ、ない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ……し、し、し、審議長! ……実審を呼べ。 ……おります。 ……あれは? 聖槍院の死体が動いているようだが? ……ええ、いまでも確かに心臓は動いています。 ……首がないぞ! 一体どういうことなんだ! ……雪に埋もれていた拍子に、ぽろっと取れてしまったのでしょう。 ……んなことがあり得るか! ……みなさま誤解なさっておられますが、私は、聖槍院九鈴が敗退したと宣言した覚えはございません。彼女はまだ「生存」です。心臓は動いていますし、脈もありますし、脳みそ――思考自体もあるようです。肉体で考えいるのでしょうか、魂(ファントム)があるのでしょうか。私は、魂がある、と推測しています。 ……魂? ……はい。彼女の能力『タフグリップ』は固定です。背中のトングで、肉体と魂を固定しているのでしょう。そう考えれば理屈は通ります。 ……なっ、そんな……。 ……そうか。ならば試合開始直後の、 ……洞窟への体当たりでおそらく死んでいますね。もっとも、以前から――彼女の言う核体験の時から、いえ、より前から死んでいる可能性もあります。すでに死んでいるために、首がとれた程度で死亡していると裁定するわけにはいかないのです。 ……奴を殺すには――殺すと判断されるには、トングを破壊するしかないのか? ……破壊も不可能(むつかしい)でしょう。私はボディチェックで彼女の身体に『触れ』ました。彼女のトング帷子は三枚重ねになっており、そしておそらく、背中の一部にトングを埋め込んでいる――あるいは肉体をトングの一部だと認識して、パズルのように組み合わせて、お互いがお互いを補強しあっています。首は落ちてしまいましたが、固定されている肩から腰は、彼女が望むままに「保持」され続けるでしょう。決して損なわれずに。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― むにゃむにゃと眠る四葉。 その頸に容赦ないトング(ギロチン)が落ちる! ……。 寝返りをうつように、ころりと四葉の首が、どんぐりころころ。 「勝者、なんと、首なし聖槍院九鈴、決着ゥウウ!」 モニタで見ている会場の全員が、悲鳴であれ歓声であれ(笑)であれ絶叫であれ、なにか声を、なにか感情を、吐き出さずには入られなかった。 会場自体が喚くように揺れ響き、肝心の、中継の音すら聞こえないほどの轟音。 「……」 会場は一瞬で静まり返る。 勝者である聖槍院九鈴、 彼女は、四葉の頭を――――――――――――――――自分の首にタフグリップ! ■勝者:聖槍院九鈴(?) 億の太陽が「彼女」の怪笑を照らす。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/453.html
餡小話の感想れいむ・その後 4KB ※『ふたば系ゆっくりいじめ 41 餡小話の感想れいむ』の続きです ※独自設定垂れ流し れいむはすごくゆっくりできませんでした。 ここは餡小話。 ゆっくりがゆっくりできないお話が語られる場所です。 廊下みたいに細長いお部屋。その奥にあるガラス戸の向こうでは、ゆっくりがとてもとて もゆっくりできない様が今も公開されています。 「ゆうう……」 れいむを苦しめているのはみっつのこと。 ひとつは、部屋の奥に見える光景。 とてもとてもゆっくりできない有様。虐待SSです。SS作家さんが趣向を凝らし技巧を 尽くした様々な虐待は、ゆっくりには正視に耐えないほど恐ろしい光景なのです。 もうひとつは、れいむに刺さった「感想」。 ここ餡小話では、虐待SSを見た人が感想を書いていきます。それは杭の形でれいむに突 き立てられるのです。突き立った杭は、今もれいむを痛みで苛んでいます。 最後の一つは、 「ゆうう……」 「ゆぐぐぅ……」 「ゆっぐじ……ざぜでぇ……」 れいむが一匹ではないこと。 何匹もの、れいむ、れいむ、れいむ。 ここ餡小話では、一つの感想につき一匹のれいむが割り当てられます。 かつてはれいむでも数えられるくらいのの数でした。ですが最近は、あっというまにたく さんの感想がつき、その分たくさんのれいむが苦しむようになりました。 それがなおさられいむをゆっくりさせてくれないのです。 こんなにたくさんのゆっくりが苦しんでいるなんて大変なことです。 でも、大丈夫。誰も文句は言いません。それどころか気にもしません。だってれいむです から。他のゆっくりでなくてよかったですね? 「ゆっくりしたいよぉ……」 れいむはつぶやきます。 ですが、その願いは叶いません。部屋の奥の虐待SSが削除されることは滅多にありませ んし、「感想」も同じ。れいむをゆっくりさせないことは減るどころか増える一方なので す。 れいむはずっとずっとこのまま、ゆっくりできないかと思いました。 でも、そんなれいむに転機が訪れました。 「ゆああああ!?」 「やべぢぇえええええ!」 「どぼじでごんなごどずるのおおお!?」 部屋の入り口の方から悲鳴が聞こえてきます。 れいむは部屋の一番奥にいる、一番最初の感想れいむ。だから、入り口の方の様子はよく わかりません。 ただ、悲鳴は徐々に大きくなってきます。つまり、ゆっくりできないことが近づいてきて いるということです。 そしてそれは、ようやくれいむの見える位置にその姿を現しました。 「ゆあああっ!? なにこれええええええ!?」 ゴロゴロと転がる巨大な鉄の塊。床に固定さえたれいむからは鉄の壁のように見えました。 「ヒャッハー! ロードローラーだっ!」 ゆっくりを潰すのにずいぶん大層なモノを持ち出したものです。 れいむの悲鳴も身体もなにもかも押しつぶし平らにして、ロードローラーは感想れいむを ペシャンコの餡子にしてしまいました。 「ふう……」 ロードローラーを運転するおにいさんは一息つきます。部屋のれいむはすべて潰しました。 ロードローラーの重量で綺麗に潰れて広がった餡子は、さながら黒の絨毯。なかなか珍し い、愉快な眺めです。 せっかく作った感想れいむ。それを、どうして潰してしまうのでしょう? それには当然、理由があります。最近、たくさんの感想がつくようになりました。それは 虐待SSを読む人にとっても書く人にとっても大変ゆっくりできることなのですが、そこ で問題が発生しました。 れいむです。 感想がたくさんつくと言うことはれいむがたくさん並ぶということです。数が少ないうち は良かったのですが、増えすぎては少し見づらくなってしまいます。それに誰だって、そ んなにたくさんのれいむが並んでいたら気分が悪いですよね? そこで新システムの登場です。 れいむを潰して餡子を伸ばす。その餡子の量で、その虐待SSがどのくらいゆっくりでき るか、一目でわかるようにしたのです。 どんなに不愉快なれいむも潰せば餡子。餡子は役に立ちます。れいむが役に立つなんて、 とても希有で稀少で貴重で珍しい、大変に素晴らしいことですよね? だからおにいさんは、これからも感想れいむを引き延ばします。 その引き延ばされた様はグラフのよう。これなら気分良く一目でわかります。 「あー、やっぱりあのへんのれいむは餡子の延びが悪いなあ」 言葉の通り、餡子があまり広がっていないところがあります。 そこの感想は「次回に期待!」だったところです。 「やっぱりゆっくりしたゆっくりのほうが、餡子の質も高くて綺麗に広がるもんだな」 感想が「ゆっくりできたよ!」のれいむの餡子は、どれも綺麗に広がっています。 「できることなら、綺麗にのばしたいモノだなあ」 そうつぶやくと、おにいさんはれいむをロードローラーで引き延ばす作業に戻るのでした。 了 by触発あき 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! 上記以前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね! 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 続きがあったんだな、知らなかった -- 2012-12-18 17 50 14 メメタァ(part2) -- 2012-12-02 18 47 29
https://w.atwiki.jp/irosumanoss2/pages/210.html
「189系を甘く見ない方が良い。」 189系とは JR東日本所属の電車。 中央線、信越本線などで活躍していた車両。 電車としての189系 1975年に登場した。 主にあさまやあずさなどに使われていた。 また、ムーンライト越後、ホリデー快速などにも使われていた。 現在は団体列車とかに使われる。 サイドストーリーにおいての189系 1章から登場。一人称は不明 当時はE257系と共にドラッグに洗脳されていた。 かずきマンやモリトを苦しめたがテムジンの攻撃により大破する。 しかし、E351系が修理をして復活を果たした。 そのあとは2章で沖縄に旅行に行ったりしている。 シーズン2でも登場する。 シーズン2以降では活躍が増えている。 愛しの仲間においての189系 スフィアデバイスに吸収された仲間(正式に言うと中野梓)を助けるため、一人でドラッグ革命軍の基地に乗り込んだ。 その後、怒りでE531系を大破させた。 その後は大要塞に逃げたドラッグを倒すためにバート達と協力する。 趣味 趣味は梓のグッズ集めの模様 補足 中野梓のファンであり、その恋人の半田真一をかなり恨んでいる。 183系と言う兄がいるらしい。 技 トレインタックル かなりのスピードで突っ込む技。威力は高い。 警笛 警笛を鳴らして攻撃する。 高速進行 すごいスピードで突っ込む技。結構吹っ飛ぶ。 ミサイル発射 偵察型の小型ミサイルで攻撃する。 新宿松本 元は梓の技である。梓が使っているところを何回か見て使えるようになった。梓と比べると、とても威力が高くなっている。 あずさの雷 彼の最後の切り札である。 パンタグラフと言う所から巨大な電気を出して攻撃する。 ヘル・アンド・ヘブン(化身技) ハンマーヘル・アンド・ヘブン(化身技) 勇者王ガオガイガー(化身) 関連 中野梓 半田真一:189系を恨んでいる。 183系 189系の兄 189系(あさま) 189系の弟 E257系:同じ中央線で活躍する電車。189系とは親友関係である。 E351系:後継車両であり、親友関係。 205系 親友関係の車両。 根津次郎 半田と同じく189系を恨んでいる。