約 1,037 件
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/385.html
秘神幻装ソルディアン 第二話:「其は昏き水底に眠れど」 雲が、早い。 茜色に染まった視界の端で、わだかまる黒煙が染みのように景観を汚している。だがこの風と夜の到来で、あくる日には消え流れていることだろう。アバドンの襲撃に遠ざかった蝉が、そこかしこで唸り続けるサイレンと競うようにすだき続けていた。 隆一郎は人の群れに眼をやった。 皆、自衛隊の炊き出しを求めて列を為している。帰る家を失った人々の群れ。本来ならば、自分もそっち側にいるはずだったかもしれない。 目的地に直行するはずだったヘリの行く先を、隆一郎は無理を言って変更して貰った。 その先で見たのは、無残に破壊された住宅街だった。言うまでもなく、柊家もその被害を免れることはなかった。 祖母の玉枝が祖父の隆と共に贖った小さな一軒家。母の雪菜と息子の隆一郎を育んだ場所。出来るなら家で死にたいわね、と縁起でもないことを言った祖母の安否は今以て不明で、恐らく悪い想像は当たっていることだろう。 独りにさせてくれ、と言った息子に、父はその通りにさせてくれた。それから隆一郎はしばらく壊滅状態になった住宅街を歩いた。――生まれて十九年行き来した街を歩くのがこれほど苦痛な時が来るとは思いもしなかった。この苦痛を和らげるには心を麻痺させるか、何も見ず聞かずを貫くかのいずれかしかなく――隆一郎はどちらも選ぶことが出来なかった。 だから、知らない内に足早になる。 大学の友人には連絡が着かないままだ。ケータイは完全防水なので海に落とした程度では壊れはしないが、電波は混雑を極めておりしばらく収拾がつきそうになかった。 母校でもある中学校は避難所になっていた。そこで見知った顔たちと出会い、話し合った。何年も合わせていない顔もあったが、誰もが持て余す感情を共有したがっていた。何人かが家を失い、友を失い、更には家族や自分の命をも失っていたことを知った。 嗚咽を抑え切れない少女と、彼女を慰めながらも自らを涙を流すその友人。独りぼっちで所在無く佇む幼い少年。生まれたばかりの娘を亡くし半狂乱の父親――隆一郎は忸怩たる思いでその場を離れた。 もう少し早く力を使えたならば、こんな無力感を味わわずに済んだのに。全ての人を救うのは不可能でも、犠牲を減らすことは出来たはずだ。ペトラや祖母も救えたかもしれないのに――隆一郎は花壇のブロックに腰掛けた。 「はい、リュウイチロウ」 隆一郎は思わず顔を上げる。金髪の美女が笑みを浮かべ、隆一郎に割り箸と食糧を渡した。うどんの入った豚汁の使い捨てカップだ。見覚えがある、父の部下であるらしい二人の美女のうちの片方だ。 「えっと、名前は……」 「ラウラよ。ラウラ・オルツィ。あなたのことはジャックから窺ってるわ」 あの堅物の父が自慢げに息子を語る様子が頭に浮かばず、隆一郎は断念した。しかし、独りにさせてくれって言ったのに。恨み言が喉から出かけたが、鼻腔をくすぐる豚汁の匂いに食欲を刺激され、隆一郎はカップを手に執った。 「俺のことはリュウでいいよ。長いだろ? ……俺たち、炊き出し食っていいのかな?」 「いいんじゃない? 特に、東京をアバドンから解放したあなたにはそれ以上の権利があるはずよ」 ラウラは器用に箸を操り、うどんを啜った。何だかそういう仕草が似合う女性だなと思った。隆一郎も汁を啜った。ネギはたっぷり入っており、味は濃く、火傷しそうなほど熱く、美味かった。夢中になって食べていると、涙が少し滲んだ。 ラウラの懐で「ラジオスターの悲劇」の着信メロディーが鳴る。彼女は携帯電話を取った。恐らく通信機能が強力なのだろう。 「はい。……ええ、分かりました。すぐに」 電話を切る。ラウラは言った。 「リュウ、お祖母さまが生きていたわ」 輸送ヘリのローターが回転し、同心円状の風が慌しく夏の大気を掻き混ぜる。 「やれやれ、公私混同もいいところだな」 ぽつりとジャックが呟いたところに、彼と同じ年頃の士官らしき男が言った。紺色の制服は自衛隊を始めとした日本の公的組織のデザインではない。 「私も柊玉枝三佐から退官以前お世話になったことがあります。それは私だけではない。そんな方であるならば、多少の横紙破りは許されるでしょう」 奇蹟的に柊玉枝は生きていた。怪我の程度は軽いが、昏々と眠り続けたままであるらしい。それでも命には別状はないということだった。 とは言え、半分以上を吹き飛ばされた病院が要求されるだけの機能を果たせる訳もない。公私混同は本来ジャックの忌むところだが、メルやラウラの説得により組織の協力を仰いだのは当然の帰結だった。 ベッドに横たわったまま眠り続ける祖母を、看護士が運び入れるところだった。ずっと彼女の手を握り続けていた隆一郎は祖母に囁いた。 「祖母ちゃん、行って来るよ」 返事はもちろんない。ただ、祖母の手が僅かに動いた。隆一郎は確かにそう感じた。 胸がすっと軽くなった。 「では、よろしくお願いします」 「出来る限りのことはしましょう」 ジャックと男が敬礼を交換した。 ヘリコプターが浮き上がる。同心円状の風が遠ざかり、ヘリコプターが見えなくなるまで隆一郎は見送っていた。 「さて」 こう前置きしたのは、自分の覚悟を再確認するためだった。 問題は、ない。もう腹は据わっている。 「今更だけど――親父やメルさんやラウラさんたちは何者なんだ?」 「知れば後戻りは出来なくなるぞ」 予想通りの父の台詞。隆一郎は言うことになるだろうと思っていた言葉を、やはり言うことになった。 「今更出来るかよ」 「そう……だな」 ジャックは煙草を取り出し、ジッポで火を着けた。隆一郎の視線に気付き、 「吸うか?」 「一応未成年だぜ……煙草、吸うんだな」 「母さんと結婚してからやめたんだ。また吸い始めたのは、今の仕事に就いてからだ。十年前になる」 「十年前――母さんが行方不明になる前? それとも、それ以降?」 「後、だな」 アブラクサス財団の関連する遺跡調査。その際の事故により柊雪菜は行方不明になった。当時九歳だった隆一郎は軽傷を負うのみで発見されたが、雪菜の生死は未だ詳らかではない。 「日本では七年経てば死亡したものと見なされるが、私は雪菜の死を信じていない」 ジャックは遠い目をしながら続けた。 「私は彼女の行方を探した。その際にとある組織と巡りあった。組織の名は〈ゲニウス〉。特別な才能、守護霊、そう言った意味合いの名の組織は、人類文明の守護者たるべく特別な才能を必要としていたんだ。だから、私も雪菜の行方を知るために〈ゲニウス〉に力を貸すことにした」 隆一郎は黙っていた。何と言えばいいのか判断がつかなかったからだ。同時に父が秘めた母への想いの強さを垣間見た気分は、正直複雑と言う他ない。 「リュウ、ここまで聞いたからには、お前には俺と一緒に地獄に付き合って貰う」 「とっくに覚悟は完了してるさ」 「その覚悟ついでに最初の任務がある」 「それ、俺が受けなかったらどうなってたんだ?」 「さてな。で、任務の内容だが――」 絶えたと思われていた窓外の水泡がにわかに数を増し、遠心力にナイキッシュ・アルバロンの身体は右へ引かれた。スラスターの出力に合わせて照明光も横へ流れると、青黒い水の壁は黒々とした岩肌に転じる。 岩肌を沿いながら潜水艦は前進する。五ノットで進む照明が、奇怪な文様を施した紋章らしきものの形を浮かび上がらせた。 「もうすぐです」 「分かっとるわい」 言わずもがなのことを口にする操縦士へぶっきらぼうに応答し、アルバロンは潜水艦の照明の先を見つめ続けた。 やがて深海の常闇にそれは浮かび上がった。 朧に瑠璃色をした光を放ち続ける巨大遺跡。幅数キロもの門を持つ巨大都市。建造物という建造物はいずれも門に劣らぬ巨大さを誇りながら、それらを構成する線はどれ一つとして整合性を示そうともしない。門を潜るために噴かされたスラスターにより照明が常闇の方へと逸らされたのは搭乗員によって幸いだった。刻々とユークリッドと非ユークリッドとの間を往来する不可思議な建造物の形状は、ともすれば直視する者の遠近感どころか精神にまで異常をきたしかねなかったからである。 ニュージーランドと南米大陸と南極大陸の中間付近の深淵に、海底都市ルリエスは存在する。誰が何のために造ったのかも分からぬこの遺跡を、アブラクサス財団は途方もない金銭を以って重要拠点の一つとしていた。都市機能は復興中だが、いずれは大規模に市民を募る計画が進んでいる。――誰が好き好んでこんな場所に棲みたがるかねェ、とアルバロンは常々疑問を抱いていた。恐らく新技術を試したいハイパーボリア社の発案だろうが、彼らは新遺跡群の中でも最も偉大なルリエスの本当の価値を分かっているのだろうか? 分かっちゃいまいな、分かっていないからこんな提案が出来るのだ。別にいいけど。 奇怪なる構造物の中、明らかに異色で見知った機械が光を放った。その光に誘われるまま潜水艦がルリエスの腹に収められる。 ルリエスの内部は気温も気圧も常に最適な状態に保たれている。潜水艦が発明された当時と殆ど変わらない狭苦しく息苦しい空間から抜け出したアルバロンは正常な空気を肺いっぱいに吸った。 呼び出しのアナウンスも何もないが、自分の目的を心得ているアルバロンと潜水艦の乗組員はここで一旦別れることになる。都市機能は万全とは言いがたいが、それでもアルバロンが知る限り、諸々の欲求を最低限満たすことは適うはずだ。しかしアルバロンがここを訪れたのはそれが目的では、無論ない。 アルバロンは必要な資料を抱えて中枢部に向かう。アブラクサス財団の紋章である鶏頭の神の紋章が彫刻された扉を潜ると、石造りの円卓を囲んで財団の主要な幹部が顔を並べていた。 まぁその殆どが実際はここにいない訳だが、と実体を持っているのが自分を含め二人しかいないことを確認しながらアルバロンは思う。アブラクサス財団の幹部は皆それぞれに立場のある人間ばかりである。処務に日々忙殺される彼らがそうそう辺鄙な海底都市なぞに来れる訳がなく、ホログラムによる合同会議というのはある意味においてはかなり合理的な手段だと言えた。 アルバロンは上座と正面になる自分の指定席に座った。 上座に座るのは無論、アブラクサス財団の総主アリオスト・ヘーゲルである。 もう七十歳に近いはずであるが、その炯々とした瞳は力強く衰えを感じさせず、灰色のマオカラーの簡素な制服をまとった佇まいはカリスマの風情を湛えている。二十年前、緋色の美々しい礼服をまとっていた頃と変わらぬまま。 その右手に座るのは、この場でもう一人の実体を持った人間であるカディエス・フェトルガスだ。長い黒髪を項のところでまとめ、古めかしいデザインのダークスーツを着ている。その顔は知的な端整さが印象深いが、肌は病的に白い。右眼は眼帯に覆われており、やはりそれも黒い。――眼帯も含めて、少なくともアブラクサスではこれ以外の恰好をしたカディエスを誰も見たことがないと噂され、その姿は眼にする人々全てに同様の印象を与える。 魔術師、と。 彼は新遺跡群関連のトップで当然極めて多忙のはずなのだが、合同会議の際は常にルリエスに来ていた。 いつものように挨拶一つなく、総主ヘーゲルは口火を切った。 「カディエス卿、始めよう」 「畏まりました――さて、東京の被害状況は皆さん御存知でしょうが、一応私が説明をば」 カディエスは慇懃に前置いてから、淀みなく東京の状況を述べた。 死者行方不明者は六十万人に上り、被害総額は単純計算だけで数百兆円。帰宅難民は三百万人を越え、警察が機能しない今犯罪や暴動は止むことを知らない。政治の中心部であった永田町も完膚なきまでに破壊され、それらの影響は徐々に地方にも波及していた。 それだけではない。心臓部を破壊された日本経済は近々ほぼ完全に崩壊するだろう。のみならず、信用度の高いジャパンマネーは日本国債の大暴落によって引き上げられ、ニューヨーク株式は大混乱に陥るだろう。そして世界規模でのハイパーインフレーション、果ては資本経済制度の崩壊の危機すら十分ありうる事態である。 「この三日間、人員をフルに稼動して市場中の日本国債を買い集めていますが……人員と資本の追加を要請します」 アメリカで最も古く格式のある銀行の長であるベンジャミン・キタリッジがひどいかすれ声で言った。キタリッジの眼は充血し、肉付きの良い顔の色も蒼白に近く、やつれたように見える。 「こちらは生き残った在京マスコミに報道規制を敷いています。アバドン被災は隠しようもないが、これ以上不安を煽られては最悪の事態になりかねませんからな。その他アバドンやその擁護者に対して大規模なネガティヴ・キャンペーンを展開中です。東アジア、取り分け日本を中心にアバドンによって失われた重要文化遺産や絶滅した動物にスポットを当てて行ないます」 ジャコボ・ティエポロが言った。ヨーロッパ・アジア圏のメディア王であり、日本の多数のテレビ局の大株主である彼は、アブラクサスの有力な広告塔だった。 総主の視線がアルバロンに向けられる。 「して教授、〈ヴァシュタル〉のサンプルは?」 「ここに」 アルバロンは直径五センチメートルほどの立方体の硬化ベークライト樹脂を取り出す。透明なオレンジ色をした樹脂の中心にある一ミリグラムもなさそうな肉片こそ、〈ヴァシュタル〉の細胞だった。 アルバロンは忸怩たる様子を幾許か滲ませるような口調で言った。 「これだけです。貴重なアバドン・ヘッドの大型のサンプルを失い、施設やソルディアンなどの財団の直接の被害総額は余裕で百億を超えます。――まァ、沈みかけた経済船日本号を救うために奮闘してらっしゃるキタリッジ氏のお使いになる額とは恐らく比べようもない少額ではありますが」 キタリッジが鼻白んだ表情でアルバロンを睨んだが、アルバロンは気付かないふりをした。所詮視線は視線でしかないというのがこの男の持論である。 総主ヘーゲルが言った。 「諸君、この悲しい災厄で、我々が得ることの出来たメリットとは?」 ややあって、カディエスが言った。 「平和に慣れた日本国民も、最早アバドンによる危機が対岸の火事ではないことに気付くでしょう。この期に及んでアバドンとの共生を叫ぶ政治家や宗教家やいくつかの自然保護団体も、アバドンが決して人類とは共存できぬ不倶戴天の敵同士だと理解するでしょう。そして何より十一体目のオリジナル・ソルディアンを『彼ら』が所有していたことも判明しました。――収穫と言えば、この程度でしょうか」 総主ヘーゲルが再び問うた。 「カディエス卿、その十一体目のソルディアンについて何か情報は?」 「〈ヴォルカドゥス〉ですな。――『秘神幻想書』第五章第三節に記されたところによれば、龍頭人身、過去のアバドンとの闘いにおいて最も雄々しく闘ったソルディアンである、と」 「その〈ヴォルカドゥス〉について、後で資料を提出するように」 「畏まりました」 「諸君らの件全て了承した。カディエス卿、特にキタリッジ氏への資本提供を強化するように」 「承りました」 ヘーゲルの指示にカディエスはうなずいた。何故彼が本来お門違いであるはずの経済に権限を持つのかは、この際誰も疑問に思わなかった。 「此度の件、我らアブラクサス財団にとっては決してデメリットばかりではない。これにて会議は幕とする。諸君らは各自の任務に引き続き精励するように」 総主ヘーゲルがホログラムを切ったのを見計らって、幹部たちの姿が続々と消えてゆく。二人だけが取り残された空間で、ナイキッシュ・アルバロンは大袈裟すぎる溜息の吐き方をした。 「――総主も手ぬるいことで」 不敵な笑みを浮かべる。 「こう言ってしまえばいいのです。『地球という方舟は七十億人もの人類を乗せるには狭すぎる。いっそ、アバドンに人口を調整して貰えばいい』とね」 「悪くない提案だが、それを総主は決して採択はすまいな」 カディエスが立ち上がりながら応じる。 「その発想は自分が調整する側であるという傲慢から生じる発想だ。安易な優生思想に繋がりかねん。そして、遺伝子プールによる多様性を決して失いたくない――それが組織としてのアブラクサスの選択だ」 「何とも難儀な生き物であることよなァ」 アルバロンはぼやくように言った。 生物学、考古学の天才ナイキッシュ・アルバロン――彼は間違いなく天才であったが、その言動はあまりにも奔放すぎた。思いついたことを口に出さずにはいられないような性格は、同時に敵を作らずにはいられない性格と同義である。随って、彼を受け容れるような場所と言えばアブラクサス財団の研究機関くらいしかなかった。 カディエスはアルバロンに冷たく言い放った。 「それで何をしに来た、アルバロン」 「キミを笑いに来た。そう言えば気が済むのかね?」 「ふん、益体もない」 「つれないこと言うなよカディエス。ボクとキミとはwin-winな関係じゃないか」 「お前がわざわざ私の顔を見るためだけに海の底に来るような男ではないことは知っている」 「じ・つ・は、裏ビデオをキミと一緒に見ようと思ってさ。極秘ルートで手に入れたヤヴァ~い奴」 「内容は?」 アルバロンは薄型プレイヤーを出してディスクをセット。モニタに夜の都市が映し出された。 「さぁ、所は日本列島の最北端の更に北、択捉経済特区。択捉と言えば一月前アバドン一家が腰を据え、無力な市民は泣き暮らすばかり。そこに新入り〈ヴォルカドゥス〉がカチコむ! どうなるかは観てのお楽しみ――BGMはいるかい?」 片手を上げてカディエスは提案を退けた。 ――これより十時間ほど遡る。 択捉はロシアより経済特区と認定されて以降、日本、ロシア、朝鮮、中国等の民族が流れ込んだ。結果として人口密度は加速度的に膨れ上がり、今や香港に次ぐほどの人口密度を誇っていた。繁栄の副産物としてビルが立ち並び、夜には夏の満天の星すら霞む電飾を輝かせていた。 その不夜城の一区画に、黒い染みのように電力の完全に絶えた場所がある。 アバドンである。林立するビルの間を縫う大通りの一本に、大輪の花の蕾が咲いていた。全長にして五十メートルの蕾である。枝葉はなく、幅の広い銀色の花弁は刃物を思わせる鋭利さである。アバドン特有の眼球は花弁に隠れて見えなかった。 〈アバドン・ヘッド〈ギベリオス〉だ。あの花弁が〈メジャー〉〉 ジャックが刃の蕾を差して言う。ラウラとメルがそれに付け足した。 〈正式には〈ギベリオス・マヨール〉と呼ぶんだけどね〉 〈小型のは〈マイナー〉もしくは〈ミノール〉ね〉 〈ギベリオス・マヨール〉は他のアバドン・ヘッドのように小型のアバドンを従えない。だが一ヶ所に根差し、やがて一メートルサイズで自立歩行のための節足を持つ〈ギベリオス・ミノール〉を無数吐き出し始める。〈マヨール〉にも〈ミノール〉にも川や海を渡る能力はないが、こうやって都市部を占拠される形になれば厄介だった。 「しかし、だ、親父」 ソルディアン〈ヴォルカドゥス〉の頭部操縦席『機主の座』に収まった隆一郎がマイクに向けて言った。『機主の座』には今までなかったものが導入されている。通信機器である。通信機器はあの軟らかくも硬くもない材質に吸収され、完全に『機主の座』の一部と化しており、事実問題なく動いていた。 「本当に住民は皆避難してるのか?」 〈ギベリオス〉の定住により避難勧告が出され、半径二キロに及んで住民は退避している。それら全てを破壊していい、と言われれば男の子としては何となく心浮き立つものがあるのだが、それ以上に不安が先に立つ。 〈そのあたりはアブラクサスが徹底しているはずだ。それにこの付近のビルの多くは老朽で近々解体される予定だった。市民のためにも更地にしろ〉 「了解」 隆一郎はこの件について心配するのをやめた。どうせ己が出来ることと言えば破壊だけ。なら、人のためになる破壊をしたいと思ったからだ。 〈時間だ〉 ジャックが告げた。 隆一郎は無言で〈ヴォルカドゥス〉を正面の〈ギベリオス〉に向けて直進――疾走させる。姿勢は低く、アスファルトに触れるか否かという程度の高度を保ちながら、全長二十五メートルの龍頭の魔人は自重すら無視して宙を滑る。 たちどころに距離は詰められる。隆一郎が初撃の口火を切ろうとした、その直前。 「――ッ!」 隆一郎は前方に違和感を感じた。 〈ギベリオス〉の前方の空間が強い風の吹き去った水面のように歪んだと見るや、夜の闇を斬り裂く青白い光の矢が迸る。 荷電粒子砲――放たれた光条を、すんでのところで〈ヴォルカドゥス〉は回避した。荷電粒子の束は発射されて間もなく急速に冷却され、虚空に溶けて消えた。 「あっぶねえ……!」 皮膚の汗腺から幾分かいつもとは成分比率の異なる汗を分泌させてうめくのも束の間、〈ギベリオス〉がぽつりぽつりと空間に歪みを生じさせ、光の矢を立て続けに撃ち出した。雨というにはやや不足だが、まさにビームの弾幕である。 「ちぃッ! ディフ・シルド!」 隆一郎はこれ以上の前進を諦め、〈ヴォルカドゥス〉を空中に静止させて不可視のシールドを展開。空間湾曲によって生じた障壁にビームが弾け、拡散しながら減殺されてゆく。減殺も拡散もされないまま流れた光の矢玉がビルに突き刺さり、ガラス混じりの瓦礫が飛び散った。 「……こいつ、二つのことは一度に出来ないんだよなぁ。そういうところは何で俺に似るか」 シールドでビームを凌ぎながら隆一郎はぼやいた。 〈ヴォルカドゥス〉は絶大な火力を誇るが、その絶大な火力のために二つのことは一度に出来ない――魔道素 クリプトン のキャパシティーの問題という弱点を抱えているのだった。簡単に言えば、エネルギー容量は決して低くないし回復も早いが、それ以上に燃費が大きいのである。だから〈ヴォル・ファイア〉と〈ヴォル・ファランクス〉を同時に使うことは出来ないし、空中を浮遊しながら〈ディフ・シルド〉を展開し、攻撃を受け続けた状態で前進するという真似も不可能だった。 隆一郎は〈ヴォルカドゥス〉をゆっくりと地に降ろす。二千トンもの質量を引き受けたアスファルトが大きく陥没した。 身動きもままならない集中砲火の中、不可視の障壁の一点が破綻した。――ビームのため? 否、そうではない。ついで肩口に走る激痛。動じることなく隆一郎は〈ヴォルカドゥス〉のコンディションを確認――右肩に損傷。状態を把握する間に、左肩も同様に深々と抉られていた。 〈ギベリオス〉は〈ヴォルカドゥス〉を高々と持ち上げる。 持ち上げているのは、蔦――合金のワイヤーが何本も絡み合ったような質感の蔦だった。その尖端はドリルのように回転して〈ヴォルカドゥス〉の防御障壁と装甲を貫き、その巨躯を頭上百メートルにまで持ち上げたのだった。 隆一郎は身動きの制限される今の状態からの脱出を図ろうとした。だが金属の蔦は〈ヴォルカドゥス〉の運動エネルギーを相殺するが如くにうねり、行動を許さない。のみならず、振り回し、ビルに叩きつけた。言わば二千トンのハンマーとなって〈ヴォルカドゥス〉は幾つものビルを薙ぎ倒し破壊した。 「――くッ!」 装甲にダメージが蓄積される。無視出来ぬ損傷はやがて致命的な亀裂に変わりかねない。 「ゼオ・ソード!」 隆一郎の叫びと共に剣状に変形する腕部装甲。鋭利を極めた刃が金属の触手を断ち落とす。〈ヴォルカドゥス〉の巨体は大きな放物線を描いて投げ出されたが、自由落下に任せるまま、隆一郎は攻撃に移る。 「ヴォル・ファイア!」 口腔から放たれた白い焔が大気と共に瓦礫を煮やす。慣性制御で〈ヴォルカドゥス〉を両足から地上に着地させつつ、〈テイル・ハーケン〉を放った。項から伸びる金属節の「尾」――その尖端で回転する三つ爪の銛はしかし、硬い音を立てて弾かれた。 花弁の表面を煤けさせてはいるが、〈ギベリオス・マヨール〉はほぼ無傷のまま鎮座していた。 金属の蔦が襲いかかる。ただし、二本どころではない。十本や二十本でも利かなさそうな数が一斉に〈ヴォルカドゥス〉を攻め立てた。それ自体が蠕動する金属の蔦の波――おぞましい想像に身の毛をよだたせた隆一郎の声は殆ど悲鳴のようだった。 「そういうのは美少女にやれ!」 第一陣を〈ゼオ・ソード〉で切り払いながら、空中に逃げる。触手は上空千メートルまでなら届くらしいが、それが限界のようだった。 だがそこまでだ。〈ヴォルカドゥス〉の遠距離攻撃は〈ギベリオス〉の硬い花弁に弾かれてしまう。 〈ギベリオス・マヨール〉の心臓部を確実に抉るには、どうしても近づけなければならないのだ。 〈リュウ、奴の花弁だ〉 ジャックの声が聞こえた。 〈奴の花弁の表面には、空間歪曲障壁――〈ヴォルカドゥス〉の〈ディフ・シルド〉と同じ作用が働いているようだ。そいつを無効化しなければ、こちらの攻撃は心臓部には届かんぞ〉 「だけど、〈ヴァシュタル〉の時は〈テイル・ハーケン〉でぶち抜けたぞ?」 〈〈ヴァシュタル〉は鱗に直接障壁を展開していた訳ではなかったわ〉 隆一郎の反駁に答えたのはメルだった。 〈しかも〈マヨール〉の花弁は細胞レベルで蠕動し、回転によるエネルギーを相殺しているみたいなの。〈テイル・ハーケン〉だけでは貫くことは、多分不可能よ〉 「……じゃあ成す術なしって訳かい」 悔しさを滲ませながら隆一郎が吐き出す。 〈――そうでもないわ〉 「ほう?」 勿体ぶった返事に少し苛立ったような、その続きを求める隆一郎の声。メルは答えた。 〈〈テイル・ハーケン〉の質量だけでは不可能――つまり、分かるわね、リュウ?〉 それってつまり――口にするより早く〈ギベリオス〉の荷電粒子砲が束となって〈ヴォルカドゥス〉を襲った。右に旋回しながら機体を降下させた。兎にも角にも近付かなければ〈ギベリオス〉に致命傷は与えられない。接近するしか道はない。 〈ギベリオス〉の放つビームは点で線を描く如く〈ヴォルカドゥス〉を追った。隆一郎はビルの隙間を縫いながらビームをかわしてゆく。 逃げ回っても、それが可能なのは半径二キロ圏内だ。それ以上は住民を巻き込むことになってしまう。故に逃げるにしても遠からず限界が来る。 「だから――逃げるのはもうやめだ!」 ビームによる溶融孔だらけになったビル群が我先とばかりに瓦解してゆく。鉄筋コンクリートが叫ぶ耳を聾する轟音が十秒以上続いた後には、ビルの瓦礫がうずたかく積まれた。 突如、衝撃が掠め過ぎ、〈ギベリオス・マヨール〉の花弁の一枚をもぎ獲って行った。同時にその衝撃は眼球状をした心臓部の外殻を掠め、青い血を弾けさせた。 〈ギベリオス〉はその蔦を衝撃が掠め過ぎた方向に向ける。 衝撃の正体は言うまでもなく〈ヴォルカドゥス〉である。隆一郎は〈ヴォルカドゥス〉を〈ギベリオス〉と向き直らせることはしなかった。〈テイル・ハーケン〉の尖端をドリルのように回転させながら、〈ギベリオス〉に目掛けて最大戦速で突っ込んだ。 〈テイル・ハーケン〉の質量のみでは〈ギベリオス・マヨール〉の花弁による鉄壁の防御を打ち破るのは不可能である。 だから隆一郎は〈テイル・ハーケン〉の攻撃に〈ヴォルカドゥス〉の二千トンの質量を加算した。 〈ギベリオス〉の花弁に〈テイル・ハーケン〉が撃ち込まれる。花弁の蠕動と三爪銛の回転が拮抗するその一瞬の間、二千トンの巨体が音速で銛を垂直に踏む。ただし、足の裏には〈ディフ・シルド〉を展開して。 するとどうなるか。まず、花弁の空間歪曲障壁が飽和し、破綻する。蠕動が意味を失うほどに深く銛が食い込み、眼球状の外殻を貫き、心臓部を食い破った。勢いを失わず、青い血に塗れて〈ヴォルカドゥス〉はそのまま〈ギベリオス・マヨール〉を貫通し、瓦礫に埋もれた都市に深々と穴を穿った。そこを中心として震度三ほどの地震が択捉で計測された。 心臓を破壊された〈ギベリオス〉は無音のまま数十の蔦を天に向けて一瞬硬直すると、盛大な破裂音を上げて四散した。その破片の中にいくつかの袋のような物体を隆一郎も確認していた。 〈〈マイナー〉の卵嚢だ、逃がすな!〉 ジャックの指示より早いか否か、隆一郎の反応も迅速だった。 「ヴォル・ファランクス!」 「親」の最期に応じて飛び散らんとした〈ギベリオス・ミノール〉の卵嚢を焼き尽くす炎の魔弾。夜天をまばゆく焦がす花火を、択捉の住人は見ていた。 ナイキッシュ・アルバロンのVTRは、あくまで客観的に〈ヴォルカドゥス〉と〈ギベリオス〉の戦闘を映したものである。当然隆一郎やジャック達の会話などは含まれていない。 だというのに、カディエス・フェトルガスが口にしたのはこんな言葉だった。 「機体の動きに感情が乗りすぎているな。素人丸出しだ」 みっともない、と言わんばかりのカディエスは、別の事柄についてアルバロンに確認した。 「何故会議中にこれを出さなかった?」 「誰かがVTRの提出を要求したら出すつもりだったけど――東京のは撮影無理だったし、どうせ動画サイトに流れてるでしょ――本当にあの人たちったらオリジナル・ソルディアンには興味ないのね。あ、もちろん総主には提出したよ。ナッシュもいれば良かったのに」 アルバロンの愚痴に似た独り言には付き合うことなく、カディエスは独りごちるように自らに確認した。 「択捉か……確か今日の今頃アグニたちがアバドン掃討作戦を行なうはずだったな」 一ヶ所に根付いたアバドンの場合、その掃討作戦は予告こそするが、実行される日程は民衆には知らされない。予告から実行に移されるまで最短で二十四時間以内、最長で三ヶ月と幅広い。その間に戦闘予定区域に足を踏み入れた者が(例え不慮の事故によって)犠牲になっても、法外な金額で財団と契約する顧問弁護士団によってほぼ全ての訴えは退けられる、という仕組みになっている。 問題は、どうやって「彼ら」がアブラクサスに先んじ得たのか、という点だ。日程は実行部隊には直前になるまで知らされない。カディエスもアルバロンも知ろうと思えば知ることは出来るし実際知っている立場だが、それを差し引いても日程の情報を知り得る人間は限られる。となれば考えることは一つだけだった。 「情報が漏洩しているな。モンマスシャーに怠慢はないのか?」 「言われなくても分かってますがな。あとモンマスシャーを責めないで! あの子もあの子なりにがんがってるんだから。その結果がこれ」 と、アルバロンは画面を指差す。カディエスは取り付く島のない冷徹さで首を振った。 「どうせ今日明日中には手に入る情報だった」 「あァん?」 「お前も分かっているだろう、これはアブラクサスへの挑戦だ。いや、挑発と言うべきだな」 「モンマスシャーも言ってたわね、情報局も同じ結論に達したと。で、カディエス」 「何だ。勿体ぶるな」 「キミはこの挑発にどう応じる? このソルディアン〈ヴォルカドゥス〉は攻撃力(ちから)自慢のようだが?」 カディエスは静かに微笑し、窓の近くに歩み寄った。透明な窓ガラスに指を触れると、窓越しに見える常闇の深海に、忽然として巨大な質量が出現した。一瞬で水が全く別種の分子に変換され、その分子が凝結し、像を創り上げた――そんな異様な錯覚を覚えさせる出現の仕方だった。 常闇の深遠で二つの光が睨み据えるように輝いた。まだ見ぬ敵手を虚空に探すように。意思あるものがそう振る舞うように。 「このカディエス・フェトルガスと〈クドゥラボロス〉は人類圏最強の一対だ。目覚めたばかりの機主とソルディアン如きに遅れを取る理由が見当たらぬ」 カディエスは口元に笑みを、右眼に強烈な自負を、それぞれ湛えて言った。 アルバロンの眉が跳ね上がった。同時に口元がきゅっと吊り上がる。 「頼もしい! さっすがアタシのヒーロー!」 全能者ならざる二人は知らなかった。同じ頃、タイのホテルの一室で同じVTRを観ている者が存在していた頃に。 「何だよこれ……」 彼には一つの癖があった。激しく動揺すると、左手の親指の爪を噛んでしまうのだ。幼い頃から指摘された癖であるが、二十歳も間近の今なお直らない癖である。 そして彼は今左手の親指の爪を噛んでいた。 彼の眼はVTRに釘付けになっていた。動揺は興味に変わり、興味はやがて苛立ちに変わってゆく。口元から親指を離し、彼は立ち上がった。 ――そして苛立ちは怒りに変わった。 「許せねええええええええええええええええええッ!!」 彼の知る由ではなかったが、TPOをわきまえない絶叫は幸運にもタイ国最高レベルの防音用建材によって吸収された。尤も彼にとっては、絶叫が誰かの迷惑になろうがなるまいが知ったことではなかった。 「俺の獲物だぞ! 久方ぶりの世紀末、もとい戦争! こンのトカゲ頭に獲物を横取りされるほどこのアグニ・ドゥートはお安くねえぞ!!」 激昂しながらドアを開け、外へ出る。ドアマンたちが驚きと怪訝の視線を向けるのも完全に無視して、彼――アグニはホテルの外に出、ホテルに面した海に向かった。 「やめだ! 実家に戻るのはやめ!」 今は夜の零時を過ぎ、海岸や砂浜には誰もいないはずだ。いるとすれば薬の売買人かジャンキーかカップルか本気でタイ式輪廻転生を信じた馬鹿くらいであろうから、何があっても問題はないし良心が咎めることもない。 劫初の夜に不滅の炎星が輝く時 黒き女神は手に千の藁を靡かす 六臂の剣と縄と魔杖を打ち棄て 貌無き闇を貪れ、兇獣を為す炎 「爆ぜよ、赫奕と――〈ギルクトゥーガー〉!!」 脳裏に浮かぶ口訣を、脳髄の赴くままに叫ぶ。 途端、海上に炎が燈った。赫奕と燃える有様は夜の太陽を思わせる。炎は紙の中心を燃やすが如く空間を食い破り、やがて一つの像を成す。 人身獣頭の神像を。 獣人の手がアグニを掬い、頭部の『機主の座』に収める。 「さぁ行くぜ兄弟! トカゲ頭野郎に一丁泡吹かせてやろうじゃねえか!!」 咆声一つを星空に響かせ、炎のオリジナル・ソルディアン〈ギルクトゥーガー〉は夜の海に衝撃波の航跡を曳きつつ、遥かな場所へと向かった。 ――アグニ・ドゥートが己の向かうべき方向の詳細について初めて思考を巡らせたのは、およそ千秒の後である。 老人の握手は力強かった。まだまだ若い者には負けぬ、とばかりの握力の強さに、隆一郎はやや気圧された。 老人、と言っても体格は良く肌や声には張りがあり、身長は一八〇センチ近い。色の濃いサングラスや手に持った杖から盲目と知れたが、その挙動は常人と何ら変わりなかった。 「君がジャックの息子か。似ていないこともないな」 隆一郎は反応に困りながら、父親に関する発言は求められない限りしないことにした。 「柊隆一郎と言います。あなたがミスタ・ウォルター・ラザルスですね?」 隆一郎は英語の読み書きは不得手ではない。大学では英文学専攻、自宅でも長らく祖母によって英語の教育は受けていたこともあり、こう見えて英検一級を取得している。しかしネイティヴな発音には慣れていないから、丁寧な口調に聞こえるように注意を払う必要があった。 「そう、私がウォルター・ラザルスだ。親しいものはオールド・ラザルスと呼ぶ。御大でもいいぞ、リュウイチロウ君。あと、私に堅苦しい言葉遣いは不要だ」 「お心遣い感謝します。あと、俺もリュウで結構ですよ」 握手を解く。老人――オールド・ラザルスはジャックに顔を向けた。ジャックは踵を合わせて折り目正しい敬礼をした。 「ジャック・フェルトン、戻りました」 「ご苦労だった、ジャック。ところでメルとラウラがいないが?」 「別の任務です」 ここはアメリカにいくつか存在するラザルスの私邸――その自家用飛行機の発着場だった。場所はアーカンソー州ポーク郡、実はジャックの生家はそれほど遠くないところにある。隆一郎が初めて聞く話であったが、父はそれについて言葉を濁したままだった。 ここに来る際二度飛行機を乗り継いでおり、二度目で彼女たちとは別れていた。ジャックが何か指示を出しているのが眼に入ったが、内容は聞こえなかった。 「ふむ、それは残念だ。若い女性のエネルギーは何よりも私の活力なのだが……」 独り言にしては大きすぎる声でラザルスが言った。彼は隆一郎の視線に気付いたのか、そちらに首と話題を振る。 「リュウ、私が〈ゲニウス〉の元締めであることは知ってるかな?」 「飛行機の中で窺いました」 「では何故私がそんな面倒な、もとい大それた役割を仰せつかったか話そう……と思ったが、まずは風呂に入り汗と垢と血と涙と疲れを流したまえ。随分な強行軍だったはずだ」 最後に入った風呂はすっかり遠い記憶だった。実際には四日前か五日前だったか? その間はシャワーも一応浴びていたのだが、バスタブいっぱいの湯を浴びない限り風呂に入った気がしない。そういうところでは、日本人の遺伝子は隆一郎の中にしっかり息づいているらしかった。 「風呂の後は食事だ。〈ゲニウス〉に関する話はその際にでもしよう。――その前にクローディア、隠れてないでこっちに来なさい」 少しの間。 やがておずおずと少女が物陰から姿を現す。年齢は十四、五歳くらい、身長は一五〇センチ強と言ったところだろうか。色の淡い金髪にマリンブルーの眼、透き通るような白皙の肌。基本的に隆一郎でさえ息を呑むような美少女だった。――街行くだけで男に皆振り向かせるような美女はざらにいるらしいが、彼女ならば息を呑ませるだろう。 何となくそんな予兆を感じて、将来が楽しみだ、と隆一郎は口の中で呟いた。 ただ、硬い。眼は挙動不審に小刻みに揺れ、右手と右足、左手と左足が同時に出たりと明らかに挙動不審である。 「く、クローディア・クロムウェルです……」 少女――クローディアはそう言って物陰に引っ込んでしまった。 これが二人の出会いだった。 〈第二話 了〉 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) + ... 名前
https://w.atwiki.jp/yomedousi/pages/18.html
前身スレ1 501-750 503 名無しさん@HOME 05/02/15 14 18 25 実子同士でも中が良いとは限らない。 うちなんて典型的。 責任感の強い長男と、己の欲求にのみ従うお気楽次男、 何かとトラブルを起こしては それの尻拭いをさせられる方はたまったもんじゃありません。 おまけに兄弟間の年齢差があると とくにトメが次男を可愛がって本当のろくでなしにさせてるケースも多い。 そんな次男の嫁は、割れ鍋に閉じ蓋で、やっぱり己の欲求にのみ従うタイプ。 勝手に職を変わってはうまくいかないだの マチ金で金借りたけど返せないから助けろだの 迷惑しか掛かった事ないよ。 あんなのいるんだったら、夫婦揃って新でくれた方がましです。 504 名無しさん@HOME 05/02/15 15 18 30 503 うちもおなじようなものです。 次男とは年齢差あるし、うちの旦那は長男だからとジジババが可愛がっていて 両親は次男を溺愛したから兄弟間の仲悪い。 溺愛されて育ったせいかバカボンな次男は周りの勧めでお見合いしてやっとこ さ結婚したものの、新居への荷物運びすら自分で出来ず親にやらせる始末。 嫁も義実家に食品をしょっちゅう貰いにくるらしい。 あんたら二人一生私達に迷惑かけないでください。 ウトメと世界の果てまでいってください。 506 名無しさん@HOME 05/02/15 15 48 37 義兄嫁は、長男嫁だからというよりもとの彼女の気質によるものだろうが優位に立ちたがるタイプなんだけど 適当におだててのせとけば機嫌よく踊ってくれる比較的良質な人なので、付き合いやすい 私もお調子者ですぐお世辞を言ってしまうから、いいコンビかもしれん 516 名無しさん@HOME 05/02/16 11 54 36 嫁同士が仲が悪いのはみんな義実家。 義実家が介護マンションに入るorコトメを頼りに して嫁に頼らない姿勢なら皆最も遠い親族であたり さわりなくいられるはずなのに何かと兄弟仲良くと かいったり比べたりするもんだからタチが悪い。 519 名無しさん@HOME 05/02/16 20 16 33 実家関係の嫁同士の仲は最悪ドロドロ 旦那実家の嫁関係はいたって普通 原因はわかってる、何かにつけて一族を 全員集合させたがる祖母と、そういう集まりや 冠婚葬祭の時、嬉しそうに嫁さん達の振る舞いの 細かいダメ出しをする父の姉のせいだ・・・ 521 名無しさん@HOME 05/02/16 21 03 30 義妹、この前はじめてあった。 結婚して1ヶ月たっていないのに義実家であるウトメたち にタメ口でぶったまげました! 「アンタワタシヨリナジンデイルヨネ・・・」 彼女がどんな女性かまだわからないけど、ドロドロするのかなぁ。 兄弟仲はよろしくないのでコトメ(義姉)かウトメを介してしか 連絡を取る事がない間柄でございます。 526 名無しさん@HOME 05/02/16 22 59 19 521 煽るわけじゃないけどタメ口だから ドロドロするとは限らないよね タメ口の方が好感持てる事もあるし 人によるけど 528 521 05/02/17 10 53 25 526 そうですね。タメ口であっけらかんとしておりますので 今の所私は彼女に対して好感をもっております。 ただ裏表がある義母なので怖いんだよ。 巻き込まれるのが・・・。 その時「お義姉さんばかり良い子ぶって」(実際逃げている) と思われるのが怖いのさ。 徒党を組めたらサイコーだけど、兄弟仲悪いからなぁ。 524 名無しさん@HOME 05/02/16 21 48 15 先日、夫実家に行ったら義弟夫婦も来ていて、 うちの子供(3ヶ月)の湿疹を見た義弟嫁に 「やっだーカワイソー。痒そうですねーヤダかわいそー」 って何度も言われた。 でもトメが「弟んトコの子(7ヶ月)も湿疹で痒み止めの薬貰ってたらしいよ」と言ってた。 今は治ったらしくツヤツヤお肌だった。 些細なことでもいいからアドバイスとかくれたっていいのにー。 525 名無しさん@HOME 05/02/16 22 34 42 524 ほっとけ、喉元過ぎてわすれちゃったんでしょ 変な民間療法とか波動を込めた水を紹介されたり するよかよっぽどましだよ(実話) かわいそうかわいそうって連発する人は、それで しんぱいしてやってるつもりなのだと思う 言われた方はちょっと不快なんだよね 564 名無しさん@HOME 05/02/18 09 28 47 次男嫁が来るときはすげー期待した。 仲良くしたいなーとか思ってたけど、蓋を開ければ 頭悪いけどプライドは高い、今まで私の周りにはいなかったタイプ (というか友達にならなかった)だった。 頭が悪いので、嫁同士を仲違いさせたいトメの計略にまんまとのって ウトメ介護中の私の悪口を一緒に言っていたのが発覚、私ブチ切れ そろそろ同居をとか言い出すトメと旦那を一蹴。 私とトメは絶縁状態。 後はよろしくねっ。 ってな感じである。 やっぱふつーの縁で友達になれそうもないタイプとは仲良く出来そうもないよね。 586 名無しさん@HOME 05/02/19 13 37 00 義弟が結婚する前義妹ができたらと半ば楽しみに思っていた。 いざできてみたら私よりかなりの年上。(義弟より年上) 腰をくねくねさせながら「お義母すわぁ~ん。えへ」なんて やっていると年齢的にかなりイタイ。 あなたの年齢もう中学生の子供がいてもおかしくない年齢ですから! ウエディングドレス着ても初々しくないですから! 残念!!!! 高齢で結婚する人って無邪気な人が多いですよね・・・。 ナンデダロ?? 589 名無しさん@HOME 05/02/19 17 10 53 586 ワロタwうちと同じだ。 うちの義弟嫁も私より年上(私23歳)。っていうか ダンナ(長男33歳)よりも年上。義弟(次男30歳)も付き合ってから 初めて年齢知って驚いたらしい。 若い若く見えると評判だったけど、やっぱりいろんな所にボロが見え隠れ… 無理して若作りすればいいってもんじゃないよ。 年相応って悪いことじゃないとおもうんだけど。 590 名無しさん@HOME 05/02/19 17 51 18 年上の義弟嫁の方が気が楽だよ、 年下の義弟嫁は手ごわいよ。 「まだ若いので出来ませ~ん、解りませぇ~ん」が通用しちゃうからね。 ウトメも甘々だし。で、結局そのしわよせは兄嫁に・・・ 591 名無しさん@HOME 05/02/19 19 09 50 やはり長男嫁の方がストレスがあるんだろうね。 次男 次男嫁の「長男がいるし...プw」的な態度がイライラの原因? 私はこの態度が見え見えの年増次男嫁が苦手ダス。 結婚するまでフリーターだった次男嫁。 30 後 半 ま で な に し て た ん で す か ? 593 名無しさん@HOME 05/02/19 19 54 27 私はウトメと絶縁中。 でも義弟嫁とウトメは上手くやっている模様。 (義弟嫁にまで絶縁されないように、ウトメが態度を改めたらしい) だから義弟嫁にも会う気がしない。 今度出産するそうで、お祝いは贈っても、赤ん坊の顔見に行くつもりはない。 すっげえ楽ですわw 597 名無しさん@HOME 05/02/21 21 50 34 なんであんな女が義妹になるんだか。 必死でごますりまくりの義妹ウザすぎ!!! この図々しさはコトメも眉をしかめるあり様。 そこまでしたのなら責任もってウトメの下の世話お願いしますね。 アテクシは何もしてもらっていませんから。 よりによってなんであんな女なんだろう・・・。 他にもっと女はいるだろうよ義弟よ。 599 名無しさん@HOME 05/02/22 11 29 48 義弟嫁。 嫌煙一家の中で堂々とタバコぷかぷか・・・おまけに大酒飲み。 禁煙がだめというわけではないんです。 義父母が全てタバコを吸わないのに吸う度胸に脱帽。 605 名無しさん@HOME 05/02/22 19 59 48 疎遠の方が気が楽。 義妹は姑には、「義姉さんと仲良くしたい~」と言ってるんだって。 でも実際会った時、ウトが 「義妹ちゃん、義姉さんの隣に来て二人並んで座ってみせておくれ」と言ったら、 義妹いわく、「そこは、上座ですから」で、スルー。ウトもしらけ。トメのみ、ニヤッ。 611 名無しさん@HOME 05/02/25 12 43 56 うちの我侭長男嫁も言い放ったよ。 「介護しませんっ!!!」って。 親戚みんな呆れて目がテンになってた。 気持ちは解るけど、馬鹿かとオモタよ・・・。 612 名無しさん@HOME 05/02/25 15 19 03 611 ワガママって・・・。 色々あったと思うよ。 長男嫁って本当に期待色々されるし、プレッシャーもある。 そういった事がない次男嫁はだいたいバカ長男嫁とかいうんだよね。 617 名無しさん@HOME 05/02/25 22 17 11 うちの長男嫁、ホント勘弁してほしい。 旦那は二人兄弟で次男夫婦の私らが姑、舅と同居してる。 「同居して老後の面倒なんて見たくない!」って宣言したくせに、今になって「義妹ちゃんは何もしなくても家もらえるねぇ、いいわね。」だの言ってくる。 ( ゚Д゚)ハァ? 637 名無しさん@HOME 05/02/26 17 35 07 今まさに、同居介護は断固拒否して好き勝手してる長男嫁が、「相続」や「家」についてだけは我先に口出ししてるらしい。。。 利益絡む事だけ「長男ですから!」を持ち出す神経がわからん。 しかもトメもウトメもまだまだ元気ですから。 うちが車を買い替えたら「ウトメに金出して貰ったんでしょ?」と、そんな時だけ電話してこないでくれ! 一銭も貰ってませんよ、は~ぁ。 642 名無しさん@HOME 05/02/28 17 56 36 弟嫁は見た目元ヤン。 年上ってこともあってかケコン前からトメには快く思われてなかったらしい。 彼女の家に義弟が入り浸りだったんで「うちの息子を返してください!」 と言ったとか。よくそれでケコンしたよなあと感心したよ(w その弟嫁が最近やたら良い嫁ぶってるんだよなあ。 身内で集まった時も「お義母さん、私ご飯つくってきましたー」とか。 私のほうが大事にされてると思ってるみたいで出し抜いたつもりだったのか? いつもはみんなで集まるときになにか持っていくときには相談してくるのに この時はなにも連絡なかったんだよね、いや別にいいんだけどさ。 でもあの時トメは「私の用意していたものはどうしろっての??」なことを 言ってたんだよね・・・。 表向き仲良くしてるけど私も苦手だー。色々勝手なんだもん。 643 名無しさん@HOME 05/02/28 20 32 27 いやあ、いい弟嫁だと思うよ。 出し抜いてもらいなよ。勝手にさせなよ。 苦手だってことは、自分も出し抜きたいってところがあるのでは? やめたほうがいいよ。 やりたい人にやらせること。 644 642 05/02/28 23 43 51 苦手ってのはあくまで勝手なところであってどちらが良い嫁かなんて 張り合う気まるでナシです。 むしろ使えない嫁と思われたくていろいろアピールしているんですがね(w 弟嫁が片づけをしていても私はド座ってるとか。 645 名無しさん@HOME 05/03/01 00 11 06 うちは三男嫁だけど 長男嫁と次男嫁が犬猿の仲 不毛な戦いが繰り広げられているw 646 名無しさん@HOME 05/03/01 08 42 38 645 ところがいつのまにやらタッグを組んで、今度のターゲットはあなたかもしれない・・・・。 女同士ってそんなもんよw。 647 名無しさん@HOME 05/03/01 13 26 47 義母と義兄夫婦のお宅へ訪問した時のこと、どうぞと義兄嫁より麦茶をだされた。 義兄夫婦は室内犬を飼っていてとてもかわいがっている。 そのワンコに義兄嫁が「な~に。喉がかわいたの?」といって自分のコップからじかに麦茶を飲ませた。 私はそれを見て、麦茶に手をつけられなかったよ。 わんこはかわいい。 かわいいんだけど、同じ食器を使うのは例え洗ってあっても生理的に嫌なんだ~。 652 名無しさん@HOME 05/03/01 15 09 26 647 わかる! 義兄宅には猫がいるんだけど・・・・食事中に食卓の上に乗ってきたり 同じ食器からご飯をあげたりするのは生理的にだめ。 あと、家の中が汚いのもだめだな。。。。 もっと掃除すればキレイになるのになって思っちゃう。 648 名無しさん@HOME 05/03/01 14 21 55 次男の嫁です。長男の嫁は3人の子連れ後妻なのに態度デカ! 義母に子守り頼んだら「お母さんも年なのに無理させて」と 怒られた。 649 名無しさん@HOME 05/03/01 14 58 22 義兄嫁って義母と同じで実に困った存在だね。まあお茶や食べ物なら まだ何とかなるけどご意見頂いちゃうとね、反発出来ない辛さ。疲れるね。 650 名無しさん@HOME 05/03/01 15 04 07 うちの次男嫁は、自分の旦那の兄貴に自分の子供の飲み残したみそ汁勧めてました。 口あんぐり。 私が同じ事を次男嫁の旦那にやったら、きーきー言いそう・・・。 普通、自分の子供の食い残しを他人に勧めないけどねー。 651 名無しさん@HOME 05/03/01 15 04 30 反発すればいいんじゃないの? 言い方さえ気をつければおkだと思うけど。 何も言わないでガマンしてるとますますなめられるわい。 653 名無しさん@HOME 05/03/01 15 09 30 651 そうだね。そんな頭の悪そうな子の飲み残しは飲みたくないって はっきり言い過ぎなければ良いよね。 660 名無しさん@HOME 05/03/01 20 17 49 そっか、うちは恵まれているんだな・・・ 長男嫁(私)より、ひとつ上の義理弟&嫁ちゃんなので、仲良くさせてもらってる。 ウトメが長男教&義理弟嫁ちゃんはウトメとも相当付き合い長いから、 私の愚痴を聞いてもらうことも結構多いけど 長男云々の話が出た時に天然の義理弟嫁さんが、何も知らない顔をしつつ 「ウトメさんたちヤダー!今更古いよ~!」とかましてくれるw 668 名無しさん@HOME 05/03/02 14 31 48 上手くやってるつもりだが、内心次男嫁にはムカついております。 義弟は一人娘と結婚し、マスオさん状態。なので、義両親は彼女に 物凄く気を使う。何をしても、何を言っても怒られない。 私なんて意見を聞かれたので、聞かれたことに答えただけなのに、ちょっと 自分の意見にそぐわないと 「親の言うことに楯突くな」と、必ず言われる。この辺の愚痴は書き出すと 止まらないので(略 その状態なのに、彼女は何故か「あれ?ちょっと太った?」と義母に聞かれた だけで「デリカシーがない」とその場にあったお皿を床に叩きつけて 割り、その後4年たった今まで一度も義実家に顔をださない。 おかげで義母はストレスが貯まり、私に嫁としての心得を何かにつけて 説教たれる。(何時代だ?って話を) 近々義父の喜寿の祝いに、一族で温泉へ行こうとの話がでているが 義弟嫁の話は琴線となり、誰も口にしない。 わたしゃ人身御供じゃないんだからさ、義母と一緒に温泉に浸かった日には 釜茹での刑じゃん!と、夫に呪文のように反対!と唱えております。 次男嫁、とばっちり受ける人間のことも考えて行動しろよ。もう40才近い 大人なんだからさ。 (家、夫と歳が離れているため義弟嫁年上なのよ。これも扱いづらい一因) 669 名無しさん@HOME 05/03/02 15 17 32 668 一緒に温泉旅行? やめとけ!釜茹での刑と地獄めぐりをするようなもんだ。 金だけ出してやって「トメさんと水入らずで楽しんできてください♪」と 送り出せばモーマンタイよ。 それなら角もたたないよ。 あなたも反撃に出ればいいさ、儀栄誉目に負けず劣らずに。 「親に背くな」って言われりゃ 「私の親は実家にいる親だけなんですけどね、 親孝行してもらいたかったら、息子君に言ってくださいね。 私は息子君を間に挟んだだけの他人です」ってキッパリ言っちまえ。 「他人に何かしてもらうつもりなら、それ相応の気配りと感謝してくださいね。」とかさ。 はっきり言わないと、相手は「困るのが自分」というのに気付かない。 嫁は別に義親と疎遠になっても困らないんだし。 毅然とした態度を取るんだ。 私も自分より二歳年上の義弟嫁がいるけど、 絶縁しました。 だってウトメの目の前で大喧嘩しちゃったんだもん♪ だからそれ以来会ってない(4年目です) 嫌なことははっきり言わないと、長男嫁ってだけで貧乏くじなんだから。 744 名無しさん@HOME 05/03/04 00 16 13 仲がいい悪いというより、まったく気が合わない。共通の話題もない。 だから、あまりかかわらず、どうでもいい話を少しするくらい。 義理の兄弟じゃなかったら、友達には居ないタイプ。まあ、離れていてよかったです。 748 名無しさん@HOME 05/03/04 06 18 25 うちの義兄嫁は「長男は後継ぎ。長男夫婦は同居するもの。」とはっきりおっしゃいました。 義兄夫婦には一人息子がいる。 小学2年生だが、いまだに食事は食べさせて(あ~んして)もらっている。 田舎の農家だし、嫁は多分無理かも。 749 名無しさん@HOME 05/03/04 08 05 55 748 子供を一生懸命不幸に育てているみたいだわね。 ほんと田舎の農家のこういう人って愚か者。 嫁来ないで遺伝子途絶えてメデタシなのかも。 Next→751-1000
https://w.atwiki.jp/cc65/pages/30.html
kyotsu.hの作成 kyotsu.hの解説 kyotsu.hの作成 メモ帳に以下の内容を書き、kyotsu.hという名前でcc65/includeに保存します。 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// // 2010.11.30 ver 0.02 // 煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。 // ----------------------------------------------------------------------------- // cc65@wiki // http //www34.atwiki.jp/cc65/ ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// //アタリ判定(長方形) char HitBox(unsigned char ax1,unsigned char ay1,unsigned char ax2,unsigned char ay2, unsigned char bx1,unsigned char by1,unsigned char bx2,unsigned char by2) { if (ax1 bx2 bx1 ax2 ay1 by2 by1 ay2) { return 1; } else { return 0; } } //アタリ判定(円形) char HitCircle(unsigned char ax,unsigned char ay,unsigned char adiameter, unsigned char bx,unsigned char by,unsigned char bdiameter) { unsigned char w,x,y,z; x = ax + adiameter / 2; w = bx + bdiameter / 2; if (x w) { x -= w; } else { x = w - x; } y = ay + adiameter / 2; w = by + bdiameter / 2; if (y w) { y -= w; } else { y = w - y; } z = (adiameter + bdiameter) / 2; if (x * x + y * y z * z) { return 1; } else { return 0; } } //配列比較 char memcmp(char *a, char *b,char len) { unsigned char i; for (i = 0; i len; i++) { if (*(a + i) != *(b + i)) { return 0; } } return 1; } //配列複写 void memcpy(char *a, char *b,char len) { unsigned char i; for (i = 0; i len; i++) { *(a + i) = *(b + i); } } //配列複写(開始アドレス指定) void memcpyfr(char *a, int afr, char *b, int bfr, char len) { unsigned char i; for (i = 0; i len; i++) { *(a + afr + i) = *(b + bfr + i); } } //待機処理 void Wait(int cnt) { unsigned int i; for (i = 0; i cnt; i++) {} } kyotsu.hの解説 HitBox:アタリ判定(長方形) 1=衝突 0=なしax1,ay1:キャラ1の左上座標 ax2,ay2:キャラ1の右下座標 bx1,by1:キャラ2の左上座標 bx2,by2:キャラ2の右下座標 HitBox:アタリ判定(円形) 1=衝突 0=なしax,ay:キャラ1の左上座標 adiameter:キャラ1の直径 bx,by:キャラ2の左上座標 bdiameter:キャラ2の直径 memcmp:配列比較 1=一致 0=不一致*a,*b:比較する配列のポインタ len:比較するバイト数 memcpy:配列複写*a,*b:複写する配列のポインタ len:複写するバイト数 memcpyfr:配列複写(開始アドレス指定)*a,*b:複写する配列のポインタ afr,bfr:複写する配列の開始アドレス len:複写するバイト数 Wait:待機処理cnt:待機する数
https://w.atwiki.jp/tunderesure/pages/335.html
330 :トライアングル☆ツンデレ・お嬢様よ何処へ行く①:2010/12/19(日) 00 09 47 ID jWzeB7fp イギリスから来たファティマお嬢様が我が家に来て数日が過ぎた・・・兎に角ほんとーーーに、何もやらない!それに超ワガママだ! 食事の時も午後のアフタヌーンティーの時も常にジェイクが給仕をしている。 後片付けも全部ジェイクがやる・・・ジェイクは大使館のSPじゃないか?ってーー実はジェイクはお嬢様の父親レコンキスタ卿の肝入りで大使館に派遣されたらしい。 元々はレコンキスタ家に仕えていた身分だった様だ 一度頭にきて 「日本の皇室でも海外に留学すると自炊したりするとゆうのに、召使い付きで留学するバカが何処に居るか!」 って怒鳴ったら 「皇室?あ~あ・・テンノウの事ね!猿のキングとワタシを一緒にしないでちょうだい!」 て吠えたから一瞬殴ってやろうと思ったら、ジェイクが僕の袖を引っ張り奥へ連れて行き 「もうしわけありません・・・お嬢様は奥様が亡くなられてからレコンキスタ卿が溺愛し過ぎて・・それに気付いた旦那様が今回の留学を思い付かれたのです。 只娘を思う余り過保護に成るのです。 旦那様もお嬢様も内心は寂しいんです・・・どうか生暖かく見守ってやってください」 と頭を下げるものだから 「あんた、良い人だな・・・」 って言ったらジェイクは苦笑いしてた。 後お嬢様は夕食とお風呂はイギリス大使館を利用する。 何故かって?思い出すのも嫌なんだけどな・・・ 初日お嬢様の歓迎会とゆうことで姉さんが腕によりをかけた料理を振る舞ったが お嬢様は料理を一瞥すると 「猿の残飯は食べれない!」と言い出した 流石に姉さんがキレないかビクビクしていたら、ジェイクが見るにみかねて 『お嬢様!ジャパンの諺に“郷に入ったら郷に従え”と言う教えがあります!もう少し謙虚に成られてわ・・・』 ってたしなめたら 『ワタシは十分謙虚よ!それとねジェイク、ワタシが首部を下げるのはお父様と女王陛下だけよ!ジャップになんかごめんだわ!』 と英語で口論している・・・あの・・お二人さん、ココに居る我々は全員英語が分かるんですけど・・・と後でジェイクに教えたら蒼く成ってたな・・ で、肝心の姉さんだがキレる訳でもなく「お人形さんの接待係はユウ君何だからあんたが責任を取りなさい!」 って二人分の料理を僕に押し付けて知らん顔・・親父は相変わらずヘラヘラと愛想笑いを浮かべて傍観者を決め込むし最悪だ! 更に風呂場は修羅場に成った・・・・ 331 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 13 50 ID jWzeB7fp 更に風呂場は修羅場に成った・・・・ ファティマお嬢様は日本の風呂は気に入ったみたいだったが兎に角長い!三時間近く入ってる!しかもお嬢様が入浴中はジェイクが浴室のドアの前で見張ってる ものだから家族は洗面所も利用出来ない 流石に姉さんは合気術の練習後で風呂に入りたくてイライラしてたのか、速攻でジェイクをチョークスリーパーで気絶させ 風呂場に乱入してた。 風呂場から「キル!ユー!」とか 「イエローメスゴリラ!」 とかの叫び声が聞こえてきたが僕は聞こえない振りをした。 その後風呂から上がった姉さんに「お嬢様はどうしたの?」 って恐る恐る聞いたら 「明日の朝まで大好きな風呂に入ってるんじゃない」 と涼しい顔だ・・・翌日から何故かお嬢様は姉さんの前だけでは大人しく成ったけど・・ トラブル後お嬢様は朝食と昼色とアフタヌーンティーはイギリス大使館御用達のホテルから出前を取り夜はイギリス大使館で夕食と入浴を済ませて家には寝に帰るだけの生活に成った。 こんな事なら大使館で生活した方が良いのではと想うんだけど・・・ 明日から連休も終わって学校が始まるけど送り迎えは大使館の車でジェイクがすると言うが学内は流石にジェイクも入れないし僕に面倒を見れと言う・・ 332 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 19 52 ID jWzeB7fp 明日から登校拒否をしたい気分だ。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 「ふあぁぁぁーー!!・・・昨日はよく眠れなかったなぁ~~」 ジリリリリ~ンとけたたましく鳴り響く目覚ましのベルで飛び起き、ベットで思いっ切り覚醒の為の背伸びをする・・憂鬱な朝がやってきたのだ。 僕はそのままのろのろと着替えると洗面所へ直行し洗顔を済ませ、朝食を食べる為食堂に入った。 「おはようユウ君、相変わらず朝は弱いわねぇ~」 と開口一番まだエプロンを付けている。姉さんに声を掛けられた 広く長いダイニングテーブルの上座、中央正面にお嬢様が座っていた。 後ろにジェイクも居る・・僕は姉さんにおはようの挨拶を返しジェイクとお嬢様にも“おはよう”と声をかけた。 ジェイクは「おはようございますユウイチロー」 と挨拶を返してくれたがお嬢様は黙って縦に首を振るだけだ。 まあ、別に期待はして無かったけど・・お嬢様の朝食はいわゆるイングリッシュ・ブレックファスト「ソーセージ、ベーコン、目玉焼き、トースト、焼きトマト、豆、マッシュルーム」 ジェイクによれば朝食も伝統的と言えば聞こえはいいが、お決まりのものとなっていますとの事。 横に居た姉さんに「早く食べないと遅刻するわよ!」 と言われたのでまずは朝食を片づけることにした。 僕が何時ものペースでそそくさと食事を食べているとジェイクが驚いた顔をしている・・イギリス人はどうやら食事はのんびりの様だ。 朝食を食べ終えて皿を台所に持って行き姉さんから弁当をもらって登校の準備を終えて食堂に戻ると、まだお嬢様はモーニングティーなどすすってる。 「いい加減登校の準備をしないと初日で遅刻するんじゃないか!?」 と一言忠告してあげると、ジェイクがにこやかに「車で行けば五分とかかりませんよ」 などと説明してくれたが横からお嬢様がジェイクに「ジャップに余計な事は言わないで!」 って釘をさして、碧眼を細めてこちらをチラ見した後、手を横にヒラヒラとしている・・・どうやらシッ、シッと追い払ってる仕草の様だ 僕は付き合いきれないのでそのまま登校する事にした。 ちなみに姉さんはこちらのやり取りは全く興味が無い様で大学に行く準備をしていたし親父は早出とかで朝から居無かった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 333 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 22 38 ID jWzeB7fp 家から出るとデカい溜め息が一つ・・このまま、あのワガママ捻くれお嬢様を僕はフォローしきれるのだろうか・・・ 先ずあのお嬢様の性格からして必ずクラスでは浮きまくる、あ・・今回は特別措置とかで僕のクラスに編入する事は決定事項だとジェイクが教えてくれた。 僕は一般人だしSPでは無い・・・このままだと、こちら迄虐めにあうじゃないか!ってジェイクに抗議したら 「まあまあ、日英友好の為ですから・・・」 と苦しい言い訳をしていたが・・・まさか、本当に外交問題迄発展するのか!僕では荷が重すぎるぞ・・・等と考えていたら筋道から“顔見知り”が出て来た。 何故あえて“顔見知り”と強調したかとゆうと、チト因縁の有る相手だからだ・・ 彼女は秋月舞、別名“紅毛の舞”通り名の示す様に肩までのセミロングの髪の毛は全部真っ赤だ、元々赤みがかった髪を染めてるらしい、後制服のスカートはやや長めで リボンは外してる・・・分かり易く言うと一昔前のヤンキーかな!? ウチの学校は一応進学校だし彼女はかなり目立っ存在だ、オマケに華奢な身体に左頬に目立っ傷・・この傷に関しては僕も関係が有るのだがまた次の機会にでも語ろう。 そして傷の有る無しに関わらずハッとする美貌、全く笑わないし氷の様な美しさか・・・ 更に彼女の名を近隣に轟かせたのは暴走族相手に女単身で喧嘩を売って無事に生還出来た事か。 334 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 27 45 ID jWzeB7fp しかも生還出来ただけではなく、火炎瓶と灯油缶で暴走族三十人をビビらせ・・あわや大量虐殺犯に成るところだったとゆう 昔は可愛かったのになぁ~・・・ってゆうか元僕の幼馴染みだ ある事がきっかけで僕とは全く口をきかなく成ってしまったが僕は今でも幼馴染みだと想っているのだが・・・ 「舞、おはよう!」 一応挨拶はする!だって昔からの顔馴染みだもん。 「・・・・・・・・」 舞はこちらを氷の様な目でチラ見するが勿論挨拶を返したりしない! 只一つ「チッ!」と舌打ちすると憎悪を込めて僕を暫く睨みつけた後足早に消えていった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 教室に着き自分の席に座る。 まだホームルームの前なので彼方此方でクラスメートの話し声が聞こえるのだ。 例えば横でギャル系の黒河の集団が合コンの成果を馬鹿笑いしながら話したり、後ろではオタク集団のエロゲー談義が聞こえたり・・・ それらの話し声を目を瞑りバードウオッチャーのごとく耳を傾けてると川上が早速僕に近寄って来た。 「なあ・・斎藤君耳寄りの情報を聞きたくないかね」 別に聞きたくは無いがコイツとは腐れ縁だし時々有益な情報も提供してくれるから無視は出来無い。 「何だよ、勿体ぶるなよ」 とめんどくさそうに聞くと、含み笑いを漏らしながら川上が 「実はな今日イギリスから留学生がこのクラスに編入してくるようなのだ」 やはりその話か、ただ彼に彼女が家でホームステイをしている事をバラすのは得策では無い。 いずれバレる事だが鬱陶しい話は後回しにした方が精神衛生上得策だろう。 「ウチが外務省なのは知ってるだろう?別に外国人なんか珍しく想わないよ」 と答えると川上が何にも分かってねぇなぁ~みたいな顔をして 「それが今度来る留学生って言うのがすんごい!美人と言う事実が判明したのだよ」 「へ~そうかい」 とやる気の無い返事をすると川上は不満そうに 「君は相変わらず女の子に関する話題は素っ気ないネェ~もしかしてBLなのか?」 BL?ボーイズラブ・・・こいつとんでも無いことを言いやがる! 「ーーっ・・あのなぁああ!」 と僕が思わず立ち上がると“ガラガラ”と扉が音をたてて開いた。担任のミセスが入ってきたのだ。 ミセスは、三村聖子というのだが、英語の教師で、最近アメリカ人と結婚したのだが。 名前とそのことから誰とも無くミセスというあだなになっている。 335 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 30 59 ID jWzeB7fp 「おはよう、みなさん。今日は新しいお友達を紹介します。さあ、君、入ってきて」 ミセスの声とともに、人影が教室に現れ、……男子のどよめきがわき上がった。 女だと聞けば直ぐに浮かれやがって。 「じゃあ、まもなく授業だし、簡単に自己紹介をしてちょうだい」 教壇にたった金髪女生徒にミセスはそれだけを言うと、椅子にどっかりと座り、 自己紹介に目もくれずノートを取り出した。 「ごきげんよう、ワタシはイギリス候爵家レコンキスタ卿の長女ファティマ・F・レコンキスタといいます。 現在そこにいる斎藤裕一郎宅にホームステイしています。 ワタシはめんどくさい事は嫌いなので細かい事は全部彼にきいてちょうだい!」 その時クラス中の突き刺すような視線を感じた。ゲッ!やらかしやがった・・そんな事言ったら注目されるだろうがバカお嬢が! ハリウッド女優以上の金髪美少女が貴族の娘でそれが流暢に日本語を操る様は強烈なインパクトを感じさせたのか、クラスの男子から僕に殺気が送られた。 (極悪な本性を知らないくせに・・・しかし、ミセスは相変わらず無表情だ。) 「ということで、みんな、彼女をよろしくね。じゃあ、レコンキスタ君は斎藤君の隣の席に座ってね。 さて、それでは授業を始めるわよ」 ブーイングが男子から起こったがミセスが立ち上がって教卓の前に陣取ると静かに成った。 ミセスを怒らせるとタダではすまない事もあるが、授業中は一時の平穏だった。 休み時間はお約束のようにクラスメイトが、お嬢様を囲んだ。 僕はというと海老蔵のごとく釈明記者会見を開かなければならなかった。 とゆうのもお嬢様が 「うるさいわねぇ!細かい事は斎藤裕一郎に聞けっていったでしょ」 なんて全部お鉢を回してくるものだから・・・ あんまりお嬢様が高飛車な態度をとるものだから早くも周囲から“感じ悪い~”って声も聞こえ始めてきた。 そしてよせばいいのに川上が 「斎藤君との関係は?」 ってバカな事を聞くものだから、お嬢様が激怒して 「ジャップとの関係?はん!笑わせないで!所詮猿と人間よ!」 何てぬかしやがるから、一気に周囲の男子がドン引きして、人波が引いていった。 オワターーー僕の学校生活・・・すると横からギャル系の黒河彩が口を挟んできた。 黒河は舞と違った意味で目立っ女生徒だ。 短い髪は色合いはカラフル、悪く言えばケバめな印象を受けるもの。 336 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 33 56 ID jWzeB7fp 顔立ちはよく見れば可愛い男好きしそうな雰囲気だ。 しかし、校則ギリギリ、いや、おそらく違反しているであろう口紅やアイメイクの濃さが目についた。 一説によれば売春万引き、援交何でも有りで黒い社会の交友の噂も有る危険人物との事だ。 まあ、全部川上の受け売りだが・・・ 黒河はニヤニヤ笑い、お嬢様の肩に気安げに手を置いてガムをクチャクチャ噛みながら耳元で囁く。 「ウチのクラスの男子全部ダサいし~・・・」 お嬢様は横目で黒河を睨み付ける。 「そんな恐い顔してたら男が寄りつかないよ~ それよりさ~ 今日合コンがあんだけどさ~・・・」 俯きながら黒河の話を聞いていたお嬢様は顔を真っ赤にしていきなり立ち上がると黒河を突き飛ばした。 「無礼な!ガムを噛みながらワタシに話かけるとは・・・その香水臭いも反吐がでる。メス猿は二度と近寄らないでちょうだい!」 と啖呵を切った。 黒河は直ぐ隣の席の僕とぶつかり尻餅を着くが怪我は無い様だ。良かった・・・ 転けた際超ミニスカの隙間からピンク色の下着が見えたが、今はどうでも良い。 そして直ぐ立ち上がるとサッと顔色を変えて低い声で呟く。 「このクソ外人何様~ もうやっちゃうか~」 と掴み掛かろうとしている。 周囲も“やれやれ!”とか“日本人が嫌いなら帰れ”とか殆どが黒河の味方だ こうなれば僕がやる事は一つだ。 僕は席を蹴飛ばす様に立ち上がり床に両手を着くと深々と頭を下げた。 ようは土下座だ。 「彼女は日本に来たばかりで、まだ慣れて無いんだ!すまん!」 流石に土下座迄されてはとゆう雰囲気に成ったのか、黒河も周囲も気が削がれてしまったのか、お嬢様に非難の目を向けながらも何とか引いていった。 お嬢様は「余計な事をしないでちょうだい!」 と僕に言っていた様だが疲労困憊していた僕に反論する力は無かった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 337 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 37 39 ID jWzeB7fp その後何となく気不味い空気がクラスの空間を漂っていた。 お嬢様は昼食は学校で食べず大使館に行った様だ。まあ、特例を無理やり押し込んだ事は想像出来るが、僕としては彼女に係わると神経が磨り減るので助かるくらいだ。 川上が「君も大変だな」 って慰め?の言葉をかけてくれたが、今の僕にはどうでも良い事だった。 そして事件は午後三時時過ぎ日本史の授業中に起こった。 日本史の担当は林とゆう気難しい、うるさ型の教師だ。川上によるとネトウヨじゃないか?との話だが・・・ その林の授業中に、いきなりお嬢様が席から立上がり教室を出て行こうとしている。 それを見た林が眉間に皺を寄せて咎める。 「レコンキスタ君何処へ行くのかね?勝手な退席は許されないよ!」 お嬢様は林の言葉を全く気にする風でも無く 「アフタヌーンティーの時間ですので・・・本校はその様な施設が無いと聞いたので退席するのです。」 おいおい、今度は教師に噛みつくのかよ!勘弁してくれよ!僕は内心頭を抱えてしまった。 周囲も唖然としている。 林は更に厳しい表情で・・・ 「ここは、日本だ郷に入れば郷に従えだよ!レコンキスタ君!」 お嬢様は何を言ってるの?みたいな顔をして 「我が国イギリスは伝統文化を重んじる国で、ワタシのいた学校もキチンとアフタヌーンティーの時間は有りました。 しかしジャパンは何から何まで規律で個人の意志を尊重しない・・・だから三流国なのですよティチャー」 それを聞いたネトウヨ?林は激怒した。いや周囲の全員が・・・(当たり前か) 「日本文化を理解しないで留学とは笑わせる・・・レコンキスタ君キミは祖国に帰った方が良い!帰れ!」 林の言葉に同調する様にみんな一斉に“帰れ、帰れ”の大合唱だ。不味い、本当に不味い! 僕は慌てて席を立ち上がるとお嬢様に駆け寄りその腕を掴み・・・ 「お嬢様、いやファティマ!ここは先生とみんなに謝った方が良い、僕も一緒に謝るから・・」 と必死に懇願した。 周りから“そんな奴を庇うな!”と罵声を浴びせられたが僕は必死だった。 しかしお嬢様は・・・ 「ジャップ!ワタシを呼び捨てにしないでって言ったでしょ!」 と僕の腕を振り払う。もう、ここまでだ・・・ 「いい加減にしろ!」 パシーーーン!! おもいっきり彼女の左頬を張る。僕は産まれて初めて女性をひっぱたいた。 338 :トライアングル☆ツンデレ ◆WXGiSVZK0w :2010/12/19(日) 00 41 17 ID jWzeB7fp お嬢様は最初何が起こったのか分からない様な表情で左頬を押さえていたが、次第に目に涙を溜めて 「バカーーーッ!みんな嫌いよ!」 と叫び、僕を思い切り突き飛ばすと教室を飛び出てしまった。 二メートル位吹き飛ばされて呆然と倒れたていた僕を川上が、やれやれといった感じで助け起こしてくれると。 川上は僕に一言。 「斎藤君、彼女を追いかけなくて良いのかい?」 教師もクラスメートも僕の次の言葉を待っている様だ。僕は・・・ 「良いんだ、校門にはSPが居るはずだし心配は無い。彼女は帰国する事に成るだろう・・」 そう自嘲的に言うのが精一杯だった。 ーーーその後職員室に呼び出され、取りあえず僕から親父に報告してから今後の事を考えるとゆう結論に成った。 彼女の留学は外務省も絡んでるし、学校側も慎重の様だ。 放課後に成り川上は何処か気晴らしにでも行かないか?等声をかけてくれたが気持ちだけ受け取っておくよ、と答えておいた。 さて、家族には何て言ったら良いものか・・・と考えながら校門にさしかかると一台のリムジンが留まってる。 何故今英国大使館の車がここに?とおもい運転席の厚いフィルムの貼ってある窓をトントンと叩くとゆっくりとウインドガラスが降りてきてジェイクが 「どうしましたユウイチロー」 とにこやかに話しかけてくる。 僕は焦り気味に 「ファティマお嬢様は!?」 と尋ねると 「ここにはまだ来てませんが・・・ 一緒じゃ無かったんですか?」 と答えるものだから僕は簡単に今日トラブルが有ってお嬢様が教室から飛び出した事を話した。 ジェイク話を聞き、驚いて青ざめた顔をしたが、やる事は一つだ。 「ジェイク、取りあえずお嬢様は家に帰ったのかもしれない、後大使館や空港とかを探して来てくれ! 僕は繁華街の方を探してくる!」 と僕が言うとジェイクも・・・ 「分かりました、何か有りましたら必ず連絡してください」 と言うなり急いで車を発進させた。 僕は街中を全力で走りながら無事で居てくれ・・・そう願うだけだった。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ トライアングル☆ツンデレ・お嬢様よ何処へ行く①終了
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3918.html
【仮説2】その1 「素粒子タイムトラベル理論」 Illustration どこここ 「みんな、十一時からミーティングよ。タイムマシンについてハカセくんから重大な発表があるわ」 「その議題、だいぶ前にやんなかったっけ?」 「なに言ってるの、これが初めてよ」 え、そうだっけ?俺はカレンダーを見た。そういえばまだ会社作ったばかりだな。この歳で健忘症か。 「第一回、時間移動技術会議ぃ。拍手~」 色物バリでハルヒがパフパフでんでん太鼓を叩き、古泉と朝比奈さんがやたらパチパチと拍手している。俺は社交辞令程度に叩いておいた。 「改めて紹介するわ。我が社の期待の新人、ハカセくんよ」 「どうも、よろしくお願いします」 「ハカセくんと有希にはタイムマシンを担当してもらうわ」 長門は大学院のほうもあって、さらに開発部の面倒も見ないといけないだろうにご苦労なことだ。 「長門さんのご指導で予習をしてきました。現在の物理学で実現できそうな時間移動をご紹介しようと思います」 「待ってました、いよっ大統領」 どうでもいいチャチャ入れんな。 「数年前、コネチカット大学のロナルドマレット教授が提唱したタイムトラベルの理論ですが、」 そんな物好きな先生がいたのか。奇矯さでいえばハルヒといい勝負だな。 「変な比べ方しないでよ。あたしはまじめなんだから」 論理的裏付けから言って教授とやらのほうがずっとまじめだと思うぞ。 「ええと、図で説明します。下にある黄色い輪はビームのリングです。ビームを高速で回すと弱い重力が発生します。リングは光子クリスタルと呼ばれる特殊な加速器らしいです。黄色い網目がその重力場です」 ハカセくんはホワイトボードに貼り付けてあるイラストの、円筒部分を指した。 「教授の理論によると、この重力場のまわりではリングの回転方向に沿って時空が歪んでいる、つまり時間がループしているらしいです。物体がリングの内側に入って、出てくると過去に到着します」 「その重力場は、ブラックホールみたいなものと考えてよろしいんでしょうか」古泉が質問した。 「擬似的なブラックホール、といった感じですね」 「そのビームのリングとやらは作れそうなのか?」 「教授の実験では成功しているようです」 「人間が入っても大丈夫なんだろうか」 「まず小さな物質、たとえば電子などで試してみようと思います。それから少しずつ質量のあるものを試してゆきます」 「それで、実現できそうなの?」 「この理論は数年前から実験されていて、今も研究が続いているはずです。微弱ながら重力を作るのは可能なので着手も早かったようです」 すでに実証されていると聞いてハルヒの表情が途端に輝きを増した。 「じゃあすぐにでもやれるわけね」 「ええ。加速器さえあれば」 「いくらすんのそれ」 おい、社長がまた突拍子もないことを言い出したぞ。 「値段は詳しくは知りませんが、国の専門の研究施設とか大きな病院なんかにあるそうです」 「うーん。なんとか手に入らないかしらね、中古でもいいのに」 粒子加速器の中古品が出回ってたりしたら一家に一台電子レンジ並みの普及率だぞ。 翌朝、職場のビルの前に大型のトラックが止まっていた。数人の作業員が木枠で厳重に梱包された、やたらでかい工業機械らしきものを運んでいた。ま、まさか。 「ハルヒ、もしかして下に来てるトラックはうちの荷物か」 「そうよ。昨日粒子加速器がネットオークションに出てたから速攻で落札したのよ。時価の半額だからお買い得だったわ」 なんてこった。粒子加速器がオクに出るようになっちまったのか。しかも時価の半額って、寿司屋のネタみたいに定価があってないようなもんだろ。こんなことができるのは古泉の機関か長門しかいない。俺は長門をチラと見たが、我らが副社長はあわてて目をそらした。やっぱりこいつの仕業か。 「あんなでかいもんどこに置くんだ」 「空いてた二階のフロア借りたわ」 「え、下の住民引っ越したのか」 「今朝引っ越したみたいよ」 夜逃げにしちゃ唐突すぎねえか。不動産関係は古泉だな。俺は古泉をチラと見たが肩をすくめるばかりだった。やっぱりこいつの仕業か。 それから一週間くらい、地下鉄でも掘ってるのかと思うような工事の音が床下から響いてまったく仕事にならなかった。三階に住んでいる部長氏以下五名は頭を抱えていることだろう。 部長氏がドアを開けた。 「あのさ、下ってなにやってんの?でっかい核融合炉みたいな機械を運び込んでるけど、SOS団のロゴが入ってたよ」 「さ、さあなんでしょうねえ。きっとハルヒが自転車で自家発電でもするんじゃないでしょうかね」 俺は眉をハの字にしながら笑ってごまかした。ここで企業秘密を明かしてしまっては新聞ネタになりかねん。同じ職場の仲間に嘘をつくのは気がひけるが、敵を欺くならまず味方からだ。おかげで夜しか仕事にならず、残業代がうなぎの滝登り状態で人件費が高騰中だ。 長門は分厚い取扱説明書らしきものを読んでいた。英語ではなさそうだ。ラベルを見るとMade in Dutchと書いてある。ドイツ製かこれ。 「そういや粒子加速器って放射線技師かなんかの免許がいるらしいぜ。勝手に動かして大丈夫か」 「……問題ない。情報操作は得意」 まあ長門にかかれば資格があろうがなかろうが問題ないだろうけどな。長門曰く、これはハカセくんのための教材なのらしい。長門にしてみればブラックホールを作る程度なら機械なんかいらないということだが、そういやいつだったか、飛んでる素粒子を手づかみしてたな。 「興味深いことに、粒子加速器のスイッチを入れる資格とスイッチを切る資格は別らしいですね。長門さんはどちらもお持ちのようですが」 全員がへええと唸った。そんなところでマメ知識を披露せんでもいい。 「……通電テストに入る」 「あ、有希待って待って。そういうときはまずお祓いしないといけないわ」 その言葉を聞いて朝比奈さんはぞくっと背中をふるわせた。 「わたしはイヤです!」 「そう言うと思って、ちゃんと用意してきたわよ」 「な、なんで俺を見るんだ」 「キョン、これ着てお祓いしなさい。やんないと減俸よ」 なんてひどい社長だ。ハルヒが取り出したのは平安貴族が着そうな束帯だった。藤原のなんとかとか、源のなんとかが着てそうな、太っててもOKフリーサイズっぽいあれだ。お祓いっていうか地鎮祭だよな。 「俺お祓いの呪文とか知らないぞ」 「呪文じゃなくて祝詞よ。ほら、ちゃんとメモ用意しといたわ」 「か、かきくえば~」 「ぜんぜん違うじゃないの。ちゃんと玉ぐしをしゃんしゃんと振って、こう!」 「お前がやったほうが早いんじゃないのか」 「なに言ってんの、コスプレは見て楽しむのがいいのよ」 まあ気持ちは分かるが。コスプレイヤーには自らやってこそ楽しめるって考え方もあるようだぞ。 「こ、こうでいいのか。た、たかまのはらにぃかむづまります~」 俺は書かれているノリトとやらの意味も分からないまま、社長命令とあってはしかたないので読み始めた。ラップの歌詞を棒読みしてるような気分だ。古泉と朝比奈さんが笑いをこらえきれないでプルプルしている。ほんとは巫女さんがやるべきなのに。お前まで笑うこたないだろ、ハルヒ。 読み終えたところで雷でも鳴れば効果絶大だったのだろうが、古い蛍光灯がときおりチラついているだけだった。 「……で、電源投入、ッ」 お笑いのセンスを理解するようになったのはいいんだがな長門、その今まで我慢してましたって笑い方はなんだ。 フロアのほとんどを占めるでかいドーナツ型の機械に、俺たちは部屋の隅に追いやられて小さくなっていた。制御装置が並び、壁には液晶モニタがずらりと貼り付けてある。長門は椅子に座ってモニタの数値をじっと見ていた。 長門の指示でハカセくんが操作パネルをいじった。 「冷却部、稼動します」 「……確認した。温度の安定を待つ」 モニタ上の緑のカウンタがぐんぐん下がっていく。な、なんだか寒気がしてきたぞ。ドーナツのほうを見ると冷凍庫の内壁にへばりついているような霜が張りつき、冷気が漂っている。人数分の防寒服を用意したほうがいいな。 カウンタがマイナス二百度を指し、まだまだ足りない様子でどんどん数字を下げ、マイナス二百七十度付近でゆるやかに止まった。 「長門さん、マイナス二百七十三度に達しました」 「……分かった。磁性体コア、稼動開始」 ドーナツを下から支えている箱の部分がいくつもあるが、それが磁性体コアらしい。IHクッキングヒーターより強い電磁石が入っていて、スチール缶なんか持って近寄ると勢いよく吸い寄せられて凹んでしまうくらいの磁力らしい。 長門以外のみんながガタガタ震えている。 「な、長門、寒いから外にいるわ」 このコスプレ、隙間が多すぎる。平安貴族はさぞかし寒い冬を過ごしていたことだろう。 「……分かった。数時間、維持する」 俺のお祓いが効いたのか、通電テストはなにごともなく終わった。あの分だと実験中にハカセくんが冷凍マグロ化してしまうので、制御装置がある一角を仕切って断熱材入りの壁を貼り暖房器具も入れさせることにした。 電子を打ち出すという棺桶のような長い箱も運ばれてきた。ドーナツの上に長いパイプを渡し、片側に棺桶、もう片側に測定装置を置いた。 「……基礎実験を行う」 「重力場に電子を飛ばしてどれくらい軌道がずれるか測定します」 俺たちは長門とハカセくんの後ろに立って、ドクターウェアの上からダウンのコートを着てハァハァ言いながら実験を眺めていた。もう食肉加工工場とかマグロ冷凍倉庫ででも働いている気分だ。 「熱電子ビームを射出します」 ゴットンゴットンという音に合わせて小さな火花が散っている。どうやら電子を打ち出しているらしい。 「変ですね。検出できません」 ハカセくんが指差している壁に取り付けられたモニタの折れ線グラフは動かない。 「どういうことだ?」 「電子が的に当たると、その位置からどう軌道を描いたか分かるはずなんですが。まったく数値が出ません」 「……」 長門が無言のままだ。スクと椅子から立ち上がり、制御室を出て棺桶と的になっている測定装置を調べていた。 俺は遠目に呼びかけた。 「故障か、不良品だったとか」 「……故障はしていない」 「もう一度やってみればいいんじゃないか」 「……おそらく、何度やっても同じ。電子が消失した」 電子が消えた?どうやってだろう。長門はドーナツのそばに立って、俺たちには見えないなにかを見ているようだった。右の手のひらを上に向けてフゥと吹くと霧のようなものが発生した。空中を漂っていた霧がやがて渦を描くようにドーナツの中心に向かって移動している。なにか小さな穴に吸い込まれていくようだ。それを見た長門が、 「……特異点が生まれている。全員、緊急避難」 と言うのと、朝比奈さんが、 「頭が……痛い」 と言ってこめかみを押さえるのが同時だった。長門が右手を上げて詠唱をしようとしたが、間に合ったのかどうか、次の瞬間ドーナツの中心に向かってすべての光が流れ出し俺の目にはなにも映らなくなった。急速に足元が落下する感覚、これは前にも経験したことがあるが、暗く見えない渦の底が足元のずっと下のほうにあり、俺もそこにいたみんなも壁も部屋にあった机もパソコンもすべてが吸い込まれていった。あとにはただ、自由落下のときに感じる吐きそうな感覚だけがあった。 気がつくと暗闇の中にいた。目が慣れるのにしばらくかかったが、少しずつ月明かりが見えた。 「おい、みんないるか」 「あたしはいるわ」 ハルヒが全員を確かめていた。 「ハカセくんはどこだ?」 「あれ、いないわね」 古泉と長門の姿を確かめて、ここがどこなのかまわりを見回した。俺たちは湿った土の上にいた。近くにうっそうと茂る森の影が見える。川のそばだろうか、どこからか流れる水の音が聞こえる。 「朝比奈さんはどこだ?ハカセくんは?」 朝比奈さんは少し離れたところにうつぶせて倒れていた。駆け寄ってゆすってみると顔を上げた。 「大丈夫ですか朝比奈さん」 「ああ、キョンくん。大丈夫。いったい何が起こったのかしら。急に頭が痛くなって……あっ」 「どうしました」 「TPDDが壊れちゃったわ」 え、まさかそんな。朝比奈さんが帰れなくなっちゃうじゃないですか 「スペアとかないんですか」 「予備はないの。定時連絡することになってるから、待っていればたぶん誰かが迎えに来るでしょう」 「よかった。一生ここで暮らすのかと」 「そんなことはないわ」 笑う朝比奈さんは少し青い顔をしていた。 「ハカセくんがいないな」 「あれなにかしら?」 ハルヒが指差したほうを見ると、家の明かりらしきものが見えた。家というよりビルっぽい影だが。 「行ってみよう」 だんだんとその建物らしきものが迫ってきて、妙に時代がかった造りらしいことに俺は違和感を覚えた。問題なのは、ここはどこだではなくて、いまはいつだ?なんじゃなかろうか。 壁に触れてみると石でできているようだった。石造りの建物?丸いアーチになった門に木戸がはめ込まれている。 「えらく古くないか?」 「見たところライムストーンのようですが」 「ライムストーンってなんだ」 「イギリスで使われていた建材の石です」 ってことはここはもしかして、と言おうとしたとき、上のほうからやかましい怒鳴り声が聞こえた。見上げると建物の上にある窓から誰かが俺たちを指差してわめいている。おっさんらしいことは分かるが、どこの国の言葉なのか聞き取れない。 「英語じゃないですか?」 「英語にしては聞き取りづらいわね」 「ほら、どちらかと言うとラテンなまりの、古代英語っぽくないですか」 「そういえばそうね」 お前らはラテン語を聞いたことがあるのかと突っ込みそうになったが、なにいってんの教養のひとつでしょと返されそうなのでやめといた。それより、 「あいつなんて言ってるんだ?」 「そこでなにしてるんだと言ってます」 「じゃあ、旅の途中で迷子になったので助けてくれと伝えてくれないか」 古泉は上を向いてふたこと三言しゃべった。その途端、上から矢が飛んできて足元に刺さった。冗談だろこれ。門が開いてバタバタと大勢が出てきた。な、なんだなんだお前ら。振り回してるのは刀か、いや剣か。両刃の剣がギラギラと俺たちを取り囲んだ。暗くてよく見えないが、その着てるのって鎧? 古泉がなんとかとりなそうとしているのだが、こいつらは表情を硬くするばかりで槍まで構える始末だ。近くで見ると中世だか近世だかの西洋風兵士コスプレっぽい。 「すいません、僕の発音がここのとは違ってるのでかえって怪しまれているようです」 「じゃあここはおとなしく引き下がろう」 「そうもいかないようです。敵のスパイだと思われてるらしくて」 それじゃ俺たちはまるで飛んで火にいる夏の虫じゃないか。 いちばんガタイのいいやつが一声叫ぶと兵士どもは俺たちの手を皮の紐らしきもので縛り上げ、建物の中にひっぱって行った。中は小さな町のようだった。町というか規模的には村というか。ところどころに明かりがついているのはロウソクか油のランプか。建物の上には屋根がなく、天井がない。ってここ、もしかして城?建物だと思ってたのは城壁だったのか。 見回している余裕もなく背中を小突かれて、俺たちは石で作られた狭い部屋に押し込められた。ドアの外で錠前をかける音がした。部屋の中は藁が敷いてあり、ひどい匂いが鼻を突いた。 「それにしても、ここはどこなんだ」 「イギリスでしょう。言語も、彼らの鎧とか紋章などもそうです」 「じゃあいつごろなんだ?」 「それはまだなんとも。もう少し観察できるといいのですが」 「ねえ、なんかここ、かゆくない?」 ハルヒがボリボリと腕をかきむしっていた。おおかたダニかノミがいるのだろう。南京虫じゃないことを祈る。ハルヒが突然俺にしがみついた。 「ちょっと!今なんか足の上を乗り越えていったわ」 「ネズミだろ。さっきから鳴き声が聞こえてる」 「なんだ。ネズミなの。あたしハムスターくらいなら飼ったことあるわ」 ここにいるネズミはお前が想像してるのとはたぶん大きさも食ってるもんも違うと思うが。ハルヒは安心したのか部屋の隅で丸くなってグウグウと寝息を立て始めた。この非常時によく眠れるよな。 俺はできるだけハルヒには聞こえないようにと声を落として聞いた。 「長門、なにがあったんだ」 「……おそらく、重力場のエネルギーが急増したために時間軸が壊れた。通俗的な呼称を用いるなら、タイムスリップ」 「TPDDが壊れたのもそのせいかしら」朝比奈さんが言った。 「……その可能性が高い」 これは困った。タイムスリップだけならまだしも、こともあろうにイギリスとは。 「ハカセくんはどうなったんだ?」 「……彼には保護フィールドの展開が間に合った。あの時間平面にいる」 「そうか。あいつはまだ未成年だしな。ハルヒの突発的事態に巻き込むのはかわいそうだ」 というか俺は十六歳の頃からこういう事態に巻き込まれてるんですが。 「この世界には情報統合思念体はいるのか」 「……いる」 「じゃあ助けてもらえば」 「……それは、できない」 「なんでだ」 「……言えない」 「なんで言えないんだ?」 「……話せない理由は、話せない」 なに言ってるんだこいつはとイライラと長門を見たが、いっこうに動じないようで正面を見据えたままだった。まあいざってときには動いてくれるだろうとすがるような気持ちを長門に向けていた。 ともかく夜が明けるのを待つことにして、俺たちは部屋の中のきれいなところを選んで横になった。うとうとしていると携帯が鳴った。 「え!?」 ここで携帯が鳴る?俺はポケットから取り出した。眠っているハルヒ以外の全員が俺を見た。鳴ったのはメール着信音だった。にしてもなんでメールなんか来るんだ?アンテナは確かに圏外表示だった。 「バカなことを聞くが、携帯が発明されるのってずっと先だよな」 「ええ。マルコーニの無線通信は確か一八九四年の話です」 マルコーニが誰なのか知らんが、中世にメールをよこすような人間じゃなさそうだな。メール本文の内容は『SOS』だった。 「誰からですか」 「俺かららしい。こんなメール出した覚えはないんだが」 「メールの日付はいつですか」 「俺たちの時間で昨日だな」 「ありえないことですね。タイムスリップした際の故障でしょうか」 そうだとしても、このメッセージは気になる。 夜が明けたようで、小さな明かり取りの窓から光が差し込んできた。俺はとうとう一睡もできず、遠くから雄鶏が朝を告げる声を聞いた。なんとなくこう、しみじみと古き良き時代にこういうのがあったなって感じだ。部屋の中が少し明るくなって、みんなは目を覚ました。 「しっかしどうするんだ?こんな言葉も通じない場所で無事でいられるのか」 「僕はある程度は分かりますよ。ただ、アメリカ英語ではないので僕の発音はなかなか通じないようですが」 俺はハルヒと朝比奈さんを見た。 「発音がきついけど、あたしもなんとなく分かるわよ」 「ええ。わたしも多少なら話せます」 なんだ俺だけ話が見えてなかったのか。まじめに英語勉強しとけばよかった、と思ってもいまさら遅い。 長門にこっそり聞いてみた。 「通訳してくれるナノマシンとか持ってないよな」 「……ある」 「おっそうか、ひとつカプっと頼む。話が通じないとどうにもならん」 「……頭をかして」 「腕じゃないのか」 「……大脳皮質に近いほうがいい」 なるほど。長門が八重歯で左の耳たぶをカプリと噛んだ。な、長門さん、今ゾクっと電気みたいなものが体を走りましたよ。 数分待ったがなにも起らない。俺は耳たぶを指差して尋ねた。 「これ、どういう機能?」 「……感覚性言語野および運動性言語野における双方向コンバータ」 ええと、どういうことですかそれ。 「……通俗的な用語を用いるなら、翻訳こんにゃく」 そりゃ分かりやすい、って某未来猫型ロボットのパクりじゃないか。あんまり通俗的とも言えんぞ。 「……」 「す、すまん。そう悲しそうな顔をするな、今の突っ込みはお約束だ」 せっかく用意したのに、と、長門があんまり悲しそうな顔をするので俺はひとり突っ込みセルフフォローするはめになった。 ボソボソと話をする番兵の声に耳をそばだててみると、ただの雑音にしか聞こえなかったのがだんだんと話の内容が分かるようになってきた。俺以外の四人には必要ないだろうが、こいつぁすげえぜ。これで英検一級も合格できそうじゃないか。 「……それは無理。この地域限定」 チッ、甘かったか。 木のドアがギイと開いて人が入ってきた。これまた中世の騎士みたいな物々しい格好をしている。うす暗くてよく分からないが、鎧は着ていないようだ。それを見てハルヒが食って掛かった。 「ちょっとおっさん!いつまでこんな狭いっ苦しいところに閉じ込め、ムグ」 俺はハルヒの口を塞いだ。なんでもありませんよ、こいつは腹が減って気が立ってるだけですから。 騎士みたいな格好をしたやつが俺たち一同を見回し、朝比奈さんを見るなりドアの外に向かって怒鳴り声を上げた。 「番兵!番兵!」 「はいっ」 「こちらの御仁を連れてきたのは誰か」 「確か昨日の夜番のやつらだと思います」 「連れてこい」 「イエッサ」 「執事を呼んでこい」 「イエッサ」 このおっさんはたぶん番兵よりずっと偉い人なのだろう、着ているものも質がよさそうだ。黒い髪にキキリと引かれた眉毛の線、耳まで繋がったあごひげ。ロビンフッドとかジャンヌダルクの話に出てきそうな風体だ。重そうな指輪をはめているところを見ると、もしかして城主か。 昨日の夜俺たちを閉じ込めた兵士が現れた。 「この方々を連れてきたのはお前か」 「そうです、マイロード」 「この大バカものぉ!」 兵士はいきなりぶん殴られて吹っ飛んだ。あっちゃー、グーの上に指輪で殴られたら、ありゃ痛いわ。それからおっさんが俺たちに頭を下げた。 「お客様、とんだご無礼をいたしました。今執事にご案内させます、どうぞこちらへ」 いきなり待遇が変わったな。俺は、殴られて目のまわりが腫れあがり指輪の形がついている兵士をジロリと睨んで牢屋を出た。ハルヒもジロリと睨んで出た。 「ふん、まったくシツケがなってないわね。位の低い家来はいつもそうよ」 お前に家来の教育をとやかく言えた義理はないがとツッコミを入れそうになったが、自虐的なのでやめといた。 「それにしても、ここどこなのかしらね」 ハルヒはいちばんの博識であろう古泉に振った。状況判断に関しちゃ古泉より長門のほうが上だと思うんだがな。 「だいぶフランス語っぽいなまりのようです。もしかしたらフランスに近いのかもしれません」 「ということはやっぱりタイムトラベルは成功したのね」 「タイムトラベルというより、不用意なタイムスリップという感じでしょうか」 「そうね。あたしもそう思っていたところだわ」ほんとかヲイ。 古泉は俺をちらりと見て、ハルヒに言った。 「涼宮さん、僕たちが未来の情報を漏らすと歴史が変わってしまいかねません。ここは用心したほうがいいかと」 「っていうと?」 「たとえば百年戦争のことなど、世界史の授業で習ったことは言わないほうがいいかと思われます。それから教科書に載っていても実際の歴史と違うこともあります」 「そうね、分かったわ。黙っておくに越したことはないわ、みんな分かったわね?」 俺たちは少なくとも守ってる秘密がそれぞれにあるからな。お前がいちばん口が軽いんだよ、と突っ込みたいところだがここは素直にうなずいておこう。長門も朝比奈さんもうなずいていた。 俺たちが連れてこられたのは、映画で見るような玉座というよりはずいぶんと地味な、たぶん主人が客に会うための広間だろうか。壁はレンガのように四角に切られた石でできており、床は木の板で赤い布が敷いてあった。日本でいえば殿様が座っている上段の間というか。 さっきのおっさんが正装らしいかっこうで出てきた。うやうやしく朝比奈さんの右手をとり、軽く口をつけた。朝比奈さんはかすかに震えていた。 「マイレディ、昨晩のご無礼をお許しください。あなたのようなお美しいお方はさぞ高貴なお生まれのご息女に違いない」 「い、いえ、わたしたちは……」 「どちらの領地からお越しになられたのか、伺ってもよろしいですか」 朝比奈さんはどう説明したらいいのかしらと俺たちを見た。ここで口を挟むのはどうやらまずいだろうと暗黙のうちに気がつき、俺たちは見守るだけだった。 「ええと、わ、わたしたちは日本から来ました。船が難破してたどり着いたのがここでした」 「なんと!ジパング!」 もっと未来から来ましたとでも言われたかのように、おっさんは目を見開いた。 「黄金の国ジパングですと!!家がすべて純金で出来ているという幻の国」 誰だそんな嘘を流したのは。 「嘘つきマルコの話は本当だったんですな」 「あ、えっと、そんな家もあったかもしれません」 マルコって誰だ?古泉が「マルコポーロでしょう」と耳打ちした。そういえばそんなやつが世界史に出てきたな。 「素晴らしい。東洋の美女がはるばる私に会いにきてくださったとは。はじめてシバの女王に会った賢王ソロモンの気分です。おい、外国からのお客様だ、おもてなしの用意をしろ」 長門が朝比奈さんに近寄り、なにやらボソボソと耳打ちしていた。朝比奈さんがおっさんに向き直った。 「あの、マイロード」 「なんでしょう」 「気持ちばかりの差し上げたい品があるのですが……」 長門が俺と古泉に向かって右手を上げ、ボソボソと詠唱した。俺たちはくるりと出口を向いて、足がギクシャクとロボットのように勝手に動いて歩き始めた。 「なんだこれ」 「分かりません。長門さんの魔法でしょう」 シャクシャクと客間の外に出ると、そこには大きな宝石箱のようなツヅラが二つ置いてあった。これを持ってこいというのか。二人でやっとひとつを抱えられるくらいの重さで、俺はそこにいた番兵にも手伝えと促した。 箱をえっちらおっちらとおっさんの前に運んで、ゴトリと置いた。朝比奈さんが蓋を開けた。 「お近づきのしるし、らしいです」 「オオォォォ」 そこにいた召使やら家来やら衛兵やらが驚嘆の声を上げた。金銀財宝、じゃなくて白いツブツブは真珠か。丸く束になった白い布は絹か。まあ日本の特産品といやこれくらいしかないな。 「素晴らしいシルクと真珠だ。これぞ東洋の奇蹟!」 俺たち、船が難破して無一文でしかも牢屋に囚われてたんじゃなかったっけ。そんな疑問はどこ吹く風、おっさんは真珠を持ち上げてはジャラジャラとこぼしていた。 「マイレディ、このような高価なものを戴くわけには」 「わたしたちには泊まるところがないんです。これでどうか宿をお貸しいただけないでしょうか」 「いやいや、これではお釣りが足りませぬ」 「いえいえ、どうかお納めください」 「いやいや受け取れぬ」 「いえいえお納めを」 どうでもいいけどさっさと商談終えてくれないか。腹が減ってしょうがない。結局この国の王様に献上するのでおっさんが預かるということになった。おっさんは王様ほど偉くはないらしい。地方の殿様、領主ってところか。 「マイレディ、お召し物を用意させましょう。客室のほうへご案内させます」 気がつけば俺たちは薄汚れた二十一世紀の服のままだった。この時代の服のほうがまだましだろう。執事とやらが俺たちを部屋に案内した。新川さんではなかったが。 「執事さん、お聞きしたいことが」 「マイレディ、なんなりと」 「ご主人の名前はなんとおっしゃるの?」 「我が主人はジョンウィリアムスマイト卿と申します。現国王の従兄弟のご子息になられます」 なんだか舌を噛みそうな名前だが、はて、どこかで聞いたことがある響きだな。ジョンスマイト?首をかしげていると、朝比奈さんがなるほどという表情をして俺の耳元で言った。 「スマイトはスミスの古い呼び方でしょうね」 「ええっ」思わず大声を出してしまった。 「どうしたのキョン」 「い、いやなんでもない」 つまり城主はジョンスミスじゃないか!まずいな、ハルヒがこれに気がついたら俺たちは、というより俺自身がえらいことになりそうな気がする。 「スマイト卿はおいくつかしら」 「御歳、二十三才になられます」 全員がエエッと声を上げた。髭モジャでしゃべりも態度もおっさんくさい、あれで二十三才なら俺たちはどうなる。 「どうかなさいましたか」 「い、いえなんでもありません。ご主人があまりにその、ダンディでいらっしゃるので」 「そうでしょう。家臣のわたくしが申すのもなんでございますが、我が主人はこの国きっての美男子。しかも独身なもので、貴族のご婦人方から引く手あまたでございます」 確かに、あれが独身とあらば物好きな女が大勢寄ってくるに違いない。 「お嬢様方はこちらに、殿方はあちらへどうぞ」 あれが同じ歳なのかと感慨にふけっている俺たちを置いて、ハルヒはさっさと歩いていった。廊下に飾ってある鎧やら盾やらが気に入ったらしく、甲冑をいじったり剣の柄を握ったりしている。 「これ本物なのね」 ハルヒの瞳に映る、石壁に取り付けてあるロウソクの光が中世の雰囲気たっぷりにキラキラと輝いていた。執事が困った顔をして、お嬢様こちらへと何度も促したのであきらめてついていった。 本物のメイドさんがやってきて、食堂で食事の用意が整ったと告げた。俺たちの薄汚れた格好を見て、着替えるようにと言われ、召使のような格好をさせられた。このタイツ、ちょっと股がきついんじゃないか。股間がちょっと恥ずかしいぞ。 「似合ってますよ」 お前に言われても嬉しかねーよ。それにしてもその格好、貴公子って感じで堂に入ってるじゃないか。 「ありがとうございます。僕には元々貴族の資質があるみたいです」 「自分で言うか。そういえばあのおっさん、古泉に似てないか」 「そうでしょうか」 「髭で最初は分からなかったが、目のあたりとか、声の調子とか。もしかして古泉の先祖じゃ?」 「そんなはずはありませんよ。僕は生粋の日本人ですから」 古泉がハハと笑った。 女ども三人が部屋に入ってきた。 「プッ。あんたたち、なんて格好よそれ」 「この時代の男は衣装なんて気にしないんだよ。男は中身だ」 朝比奈さんがやけに俺たちから目をそらしている。やっぱタイツのせいか。目のやり場に困るのは男だけだと思っていたが、この時代は違うようだ。 にしても女三人のその衣装、似合いすぎている。朝比奈さんはどんな衣装を着ても、最高の美辞麗句を並べ立てても足りないくらいのドレッサーだが、この中世だか近世だかのフリルのついた長いドレスに身を包んだ三姉妹、これは素晴らしい。 「朝比奈さん、すごく似合ってますよそれ」 「ありがとうキョンくん。意外としっかりした縫製なのね。手縫いよ」 「質もよさそうですね」 「さすが現地のものは違うわ」 長門がじっと俺を見つめていた。俺がなにか言うまで視線を釘付けにして離さないという覚悟のようだった。 「な、長門」 「……なに」 「似合ってるぞ。すごくかわいい」 「……そう」 そのまま時計を持ったウサギを追いかけていきそうな萌え姿だ。 「ちょっとキョン、あたしはどうなのよ」 「お前はまあそれなりに似合ってるっていうか」 「もうっ」 「涼宮さん、あなたには最高の賛辞を贈って差し上げます。色といいボリュームのあるスカートといい、舞踏会に招待されたら脚光を浴びるであろうこと、まず間違いありません」 「えへへっ、さすが古泉くん。ホメどころを抑えてるわ。キョンはもうちょっと女心ってもんを勉強しなさい、よねっ」 ハルヒは長いスカートのすそを持ち上げて俺のケツを蹴った。タイツが薄いから痛い痛い。 執事に食堂へ案内された。食堂とはいっても豪華な飾りがあるわけではなく、部屋の真中にやたらでかいテーブルがでんと置いてあるだけだった。床は木目、ところどころ虫が食っていて隙間風が入ってくる。ここの主人は偉い人っぽいのに城の造りはやけに質素なようだ。 朝飯は、さすがに客に出すとあってディナーに相当する豪華なメニューだった。丸ごと一羽のローストチキンもあるぞヲイ。腹の虫がグゥグゥ鳴っておさまらない。イギリスはメシがアレだとつねづね聞いていたが、もうなんでもいい、どんな味付けでも食ってやる。 「さあみなさま、お席にどうぞ」 お席というのは球場の外野席シートのような横長の椅子だった。領主のおっさんが暖炉を背にした上座に、俺たちは両脇に別れて座った。俺がフォークとナイフを握り締め、さあとりかかるぞと目の前の肉の塊に突撃を開始しようとしたとき、神聖にしておごそかなるソレが詠唱され始めた。 「天にまします我らが父よ……」 あ、ここではそうなのか。ハルヒも朝比奈さんも両手を合わせて目を閉じている。古泉が片目で俺を見て笑いをこらえきれないように震えていた。ケッ、悪かったな、俺は信仰より食い気なんだよ。 長門より長い詠唱を終え、スープが出されてずるずると音を立てて飲み干していると、隣に座っていたハルヒが行儀の悪い子を叱るように俺の尻を思い切りツネった。イテテなにすんだよと言おうとしたらテーブルの上座からズルズルとスープをすする音が聞こえてきたのでハルヒは唖然としてなにも言えなかった。ナイス王様、じゃなくて殿様。 「マイレディ、まだお名前をうかがっておりませんでした」 「わ、わたしは朝比奈みくると申します」 「レディミクル、こちらへはどのような趣で来られたのですか」 「ええと、この者たちとずっと船で旅をしていまして、途中で遭難してしまったのです」 「とするとスペインかベネチアを目指しておられたのですかな」 「ええ、そうです」 ベネチアってどこだっけ、なにいってんのイタリアでしょ、とハルヒと内緒話をした。長門は俺の向かい側にいるのでヒソヒソ話ができない。 味付けは確かに日本人が食うにはうす味で、というか塩味ついてないじゃんこれ、と突っ込みたくなるくらいに素朴な味だった。俺は備え付けの岩塩をガンガンと砕いて肉といっしょに噛み砕きながら飲み下した。これはこれでうまい。日本の栄養剤漬けブロイラーなんかよりずっといい肉だ。出されたワインは酒をあまり飲めない俺にも分かる高級品だった。おっさんはブランデーをがぶ飲みしていた。食うことはともかくイギリス人は酒にはうるさいようだ。 「ジパングはどんな国なのですか」 おっさんはジパングというところをズィパングと妙になまっている。 「ええと、夏は暑いです。台風も来ます。でも冬になると雪も降ります」 「暑いのに雪が降るとは、変わった国ですね」 おっさんはハハハと笑った。 「南北に長い国なので、北のほうは寒くて南のほうは暑いんです」 「さようでしたか、失礼しました。一国で夏と冬を堪能できるとは、一度たずねてみたいものです」 「ええ、ぜひいらしてください」 兵士の一人がやってきて、おっさんに耳打ちしていた。おっさんの表情がキリリと厳しいものになった。 「みなさま、申し訳ないがわたくしはこれにて失礼させていただきます。北のほうで賊が出たとのことなので行ってまいります。執事がお相手しますのでごゆっくりおくつろぎください、ミカーサスカーサ」 おっさんは胸に手を当てておじぎをして食堂から出て行った。意外に忙しい人なんだな。にしてもミカサスカーサってどっかで聞いたセリフだ。 「盗賊が出るんですか」俺は執事の爺さんに聞いた。 「さようでございます。例の、シャーウッドの森の伝承のせいでまねをする輩が増えまして」 シャーウッドの森ってなんだっけ?なんかの映画で聞いた覚えがあるが。 「ってことはロビンフッドに会えるのね!?」 ハルヒがまたよからぬことを思いついたと見えて、目んたまがキラキラ度全開にまで達した。 「お会いにはなれません。ロビンフッドは想像上の人物です」 「なーんだ。実在するかと思ったのに」 古泉が内緒話をするようにハルヒに耳元で囁いていた。 「まだこの時代には物語にはなっていないはずです。あながち嘘でもないかと思いますが、そういう人物がいたという伝説を物語にしたものなのでしょう」 「残念。一度山賊になりたかったのに」 古泉が冷や汗を垂らしていた。いっそのことハルヒを首領にして暴れてみるか、悪代官を懲らしめるSOS山賊団、とか。 朝飯をたらふく食って腹も膨れたところで、城の中を案内してもらった。城というのは俺が想像しているような着飾った貴族だけがしずしずと傘をさして歩いているのとは違い、城壁に囲まれたひとつの町のようなものだった。人以外にも鶏やらアヒルやら豚やらがゾロゾロ歩いていて、みなは目を細めてほほえんだ。あれが俺のメシになるのか。 城壁の中は市場や店が並んでいて日中はわりと人が多い。中に住んでいる人もいるし、城からは離れた畑のそばに住んでいる農家もいる。戦争がはじまると城門を閉じて守りを固めるらしい。城の外は堀になっていて、庶民の生活の場がそのまま要塞になっている感じか。もっとも、戦争がおっぱじまる前に住民は逃げ出してしまうらしいが。 夕方、城門の上の見張り台から暮れていく夕日を眺めていると、スマイト卿が部下を引き連れて戻ってきた。 「おかえりなさいませ、旦那様」 「おう、今戻った」 「マイロード、おかえりなさい」 朝比奈さんの目がうるうるしている。それもそのはずだ、スマイト卿は鉄の甲冑に身を包み、鉄のヘルメットをかぶって長い剣を下げている。このまま朝比奈さんを馬に乗せて走り去ってもうんうんと納得してゆるしてしまいそうな格好だ。背中には盾を、鞍には弓も下げていた。お付きの兵士が家紋入りの旗を掲げている。 「残念ながら取り逃がしてしまいました。逃げ足だけは速いやつでして」 「マイロード、お姿が素敵ですわ」 「か、からかわれては困ります」 おっさんはポッと髭モジャの顔を染めそっぽを向いた。見かけによらずシャイなのな。 【仮説2】その2へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2484.html
「申し訳ありませんが。今は特定のどなたかとお付き合いする事は考えにくいものですので」 「あ…そう、ですか…」 放課後の、人気の無い校舎裏。まだ何か言いたそうにしている新入生の子に「では、失礼します」と一礼して、わたしは足早にこの場を去りました。 少し、素っ気なさ過ぎたでしょうか? でも変に期待を持たせるような言動をして、執着されても困りますし。情報統合思念体の指示で学生生活というものを始めてから何度かこういう場面がありましたが、わたしには人間の恋愛感情というものがいまいち理解できていないので、こういう時の線引きには迷います。 いっその事――いえ、これはエラーに類する考えですね。長門さんの監査役を務めるようになってからでしょうか、どうもこういう非論理的な思考の発生確率が増えてきたような気がします。統合思念体に判断を仰ぐべきでしょうか。でも余計な申告をして、処分を検討されたりしては面白くないですし。 いえ、そもそも情報端末に過ぎないわたしに、面白いも面白くないも無いのですけれど。 そんな益体も無い事を考えている内に、わたしは目的地の扉の前に立っていました。ふぅ、とひとつ息を吐き、自分が『生徒会書記モード』である事を確認して、わたしは眼前の扉をノックします。すると、すぐに「入りたまえ」という尊大な声が返ってきました。 「失礼します。すみません、遅くなりました」 生徒会室には、既にわたし以外のメンバーが揃っています。ぺこりと軽く会釈をすると、一番上座の机の上で両肘を付き、指を組み合わせた会長が、その指の向こうで眼鏡をきらんと光らせました。 「珍しいな、喜緑くんが最後とは」 「ええ、ちょっとした用事がありまして…あら、これは?」 会長の呟きをスルーして自分の席に着こうとしたわたしは、机の上に置かれていた物品に軽く驚きの声を――実際は見た瞬間にそれが何かは理解しているのですが――上げます。全員の前に湯気の立つお茶と共に置かれていたそれは、白と緑のコントラストも鮮やかな和菓子でした。 「差し入れですよ。新年度が始まって、はや半月あまり。ようやく学内も落ち着いてきましたからね。たまには息抜きって事で」 「私個人としては、あまりこういった余事にかまけるのは賛同しかねるのだがな。しかしまあ、新入生たちをつつがなく受け入れる事が出来たのは、確かにキミたちの尽力あっての事だ。 これぐらいの愉楽は認めよう。実社会においても、パワーブレックファーストのような会議形態もある事だしな」 要するに、この和菓子は副会長がお茶受けに持ち込んだ物なのですね。 それにしても普段に輪を掛けて、やたらと勿体つけた会長の物言いに、副会長と会計、庶務の方々も苦笑いを浮かべています。この人が意外と甘い物好きなのは、わたしたち生徒会執行部内では公然の秘密なんですけどね。当の本人は、まだ気付かれていないつもりなのでしょうか。 昨年度末の会議に持ち込まれたお茶受けの桜餅だって、なんだかんだ言いながら最後に残ったひとつも食べてたくせに。そういう所は割と子供っぽいんですこの人は。 と、その会長が緩みかけた場の空気を改めるように、えへんとひとつ咳払いを打ちました。 「では、会議を始めよう。食べながらで構わないから聞いてくれ。来たる5月の連休だが、例年この時期には…」 わたしが着席するなり、会長はそう話を切り出します。わたしの書記としての仕事は、最初のディスカッションが終わって要点がまとまってから、それらを議事録帳に書き連ねる事。ですので今の内にお菓子を平らげてしまうべきですね。先程まで考え事をしていたせいで、ちょうど糖分を補給したい所でしたし。 お皿の上の和菓子、俗に柏餅と呼ばれているそれを両手に取り、わたしはぱくっと齧り付きました。しゃくしゃく、もちもちと口の中に広がる歯応え。うーん? 思ったより青味が強いですね。 どちらかと言えば、もう少し味に統一性を持たせた方がわたしの好みに――。 あら? 奇妙な違和感に、わたしは顔を上げました。いつの間にか会議は止まり、皆の驚いたような視線がわたし一人に注がれています。これは一体どうした事でしょう。 「あ、あの、喜緑さん?」 副会長が遠慮がちに、心配そうな声を掛けてきますが、わたしにはその原因が分かりません。と、凍りついたように沈黙で満ちた生徒会室に、不意に快活な笑い声が響き渡りました。 「ふっははは、いや喜緑くん、キミは遅れてきた事にそんなに負い目を感じていたのかね? だが、そうまでして場を和ませようとしてくれなくとも結構だよ。いつも穏当なキミにそんなジョークを飛ばされても、我々としてはむしろ当惑するばかりだからな」 皆の耳目を集めるように、くっくっと大きく笑い続けながら、会長はさりげなく目の前の柏餅に手を伸ばします。そして緑の葉を剥がし、一口ぱくりと… 次の瞬間、わたしは、ああ、と心の内で頷いていました。なるほど、皆の奇妙な視線の理由は、それはわたしが葉っぱごと柏餅を食べていたからだったんですね――。 生徒会室は職員室の隣にあるので、洗い物にはその間の給湯室を利用させて貰うのが慣習です。会議も終わって人気もまばらな放課後、わたしは制服にエプロン姿で、全員分の皿と湯飲みを洗っていました。 今日の事は、普段おとなしく控えめな女子が思いつきでギャグをかましてみたらモロすべりしてしまった、という少々不本意な顛末でひとまず片付きましたが。それら諸々の失態に対する、これは自分自身に課した戒めのようなものです。 と、不意に給湯室の入り口の壁が、ぎしっと軋みます。 「先にお帰り下さっても結構ですよ、会長? 施錠ならわたしが…」 「いいや、生徒会室の管理は私の職分だ」 流し台の方を向いたまま話すわたしに、腕組みをして壁にもたれた会長も、事も無げにそう答えました。 「――というのは、キミと二人で話をするための方便だがな。 しかし、今日は久々に驚かされた。これまで柏餅を食べた事がなかったのかね、キミは」 「ええ。通常、それまでに経験の無い食べ物に対しては情報検索を行いますが、今回の件に関しては、先日に食べた桜餅と同様の存在かと思い込んでいましたので」 わたしの返事に、会長は、ふむ、と鼻を鳴らします。『機関』の古泉一樹と近しい彼は、わたしが情報端末である事も既知のはずなのですが。今さら何を訊ねているのでしょう。 「男子の祝い事とはいえ、端午の節句の時期ともなれば、店先等で目に付く代物だと思うのだが?」 「涼宮ハルヒが北高に入学するまではほとんど待機モードでしたし、そもそもわたしには『何かを祝う』という概念が基本的に存在しませんので。縁起物のお菓子などに、特別な興味なんてありませんでしたね」 これまでは、とわたしは胸の内で、小さく付け加えました。クリスマスやバレンタインなどのイベントを“誰かと過ごす”事に、長門さんが見い出し始めた、付加価値。その情報に対する重要度の変化が、わたしにもエラーを生じさせているのでしょうか。 そんな思索に耽るわたしの背後で、会長がぽつりと呟きます。 「ふん。存外愚かなのだな、キミは」 むっ。穏健派のわたしでも、さすがにこれはカチンと来ました。 「たかだか柏餅の食べ方ひとつで、鬼の首でも獲ったみたいに人をあげつらうのもどうかと思いますが?」 ――後になって、わたしはふと思う事があります。 もしこの時、振り返ったわたしの前で、彼が侮蔑の表情を浮かべていたなら。人間に似せて造られた人間でない者であるわたしを、彼が卑下していたなら。諸々のエラーの発生に翻弄される事もなかっただろうな、と。 けれども実際、振り返ったわたしが見たのは。むしろ寂しそうにわたしを見つめる彼の瞳で、その瞬間、わたしの胸の奥で、何かがドキリと音を立てました。 「そういう事を言っているのではない」 声にも寂寥感を漂わせながら、会長は言葉を続けます。 「かつてソクラテスという男がこう言った。『自分は何も知らない。だが、自分は何も知らないという事を知っている』と。いわゆる『無知の知』という奴だな。 対して喜緑江美里、キミはどうだ。その気になればどんな事でも知り得るが、しかし自分が何を知らないのか知らない。知ろうともしない。そんなキミが愚かでなくて何だと言うのだ?」 そう言い捨てて、会長は眼光鋭くわたしを見つめます。なるほど、単なる嗜虐心でわたしを揶揄したわけではなさそうですね。 「仰りたい事は分かりました。 確かにわたしは、統合思念体の指示に従うだけの存在。自発的に何かをする事も無い、単なるお人形に過ぎません。その意味で、わたしはまさしく愚かなのでしょう。でも、会長」 こちらを見下ろすこの長身の男を、わたしはことさら冷たい口調で問いただしていました。 「それを指摘して、どうなると言うのです? よしんばわたしが自我を持った所で、あなたには何のメリットも無いように思われますが。まさか、あなたが人道や正義を説くわけでもないですよね?」 「当然だな。人道だの何だのは所詮、大衆を酔わせる安酒に過ぎん。第一、宇宙人相手に人間の道理を押し付けるなど、それこそ愚かの極みというものだ。 そんなくだらない理由ではない。私がキミを気に掛けているのは――」 よもや、この期に及んであの新入生の子のようなセリフを並べ立てるつもりなのでしょうか? いえ、まさか。あり得ません、この自分本位の塊のような人が。 どうせ『機関』絡みの指令か何かに決まっています、ええ。ところでどうして今、私の心臓はこんなに早鐘を打っているのでしょう。 「――端的に言って、キミが有能な部下だからだ」 大真面目な顔でそう言う会長に、わたしは、はあ、と間の抜けた返事をしてしまいました。それをどう捉えたのか、会長は細い指先で眼鏡を外しながら、こう続けます。 「もちろん古泉からは、ある程度の指図は受けている。いわく、 『どうやら情報統合思念体というのは、人間のメンタルな部分にあまり理解がないようです。それにより造られたTFEI端末もまた然り、ですね。 それが原因でトラブルが起こる事もあるでしょう。あなたとしては、なるべくそれらをフォローしてあげてください。動向が知れないという点で少々厄介ではありますが、とりあえず現状で彼女らは敵ではありませんし、なるべく敵にしたくない存在ですから』 だそうだ。だが――」 話しつつ彼は眼鏡を胸ポケットにしまい、代わりに制服の裏からタバコを取り出して平然と1本、口に咥えました。どうやら眼鏡と一緒に、普段被っている生徒会長としてのペルソナも外してしまったみたいですね。 それにしても、残っている教職員はもうだいぶ少ないとはいえ、職員室のすぐ隣で大胆な事を…。いえ、何かあれば当然わたしが情報操作で対応するだろうと、この人は見越しているのでしょう。つくづく傲慢です。 「――そんな指示など、知った事じゃない。お前が何者だろうと、使い物にならなければ叩き出すまでだ。俺は何が嫌いって、無能なくせに権利だけ声高に主張するような輩が死ぬほど嫌いだからな。 だが実際問題、お前は優秀だった。どんな雑事もそつなくこなし、トラブル等への対処も迅速で的確。役職こそ書記だが事実上、キミが俺の右腕であるのは誰しもが認める所だろう。だからこそ、だ」 およそ賛辞とは思えないような賛辞の言葉を吐いて、会長はじろりとわたしをねめつけました。 「だからこそ、気に喰わん。喜緑江美里、お前が統合思念体とやらの道具に過ぎず、またその現状に甘んじているという事に、俺は無性に腹が立つ。 いいか、お前も俺の部下ならば、俺も、統合思念体も踏み台にして蹴倒すくらいの気概を抱け!」 タバコの先をこちらに向け、舌鋒鋭く言い放つ会長の向かいで、わたしは、は?とぽかんとした顔をしていました。 「意味が分かりません。有能な部下が従順で、何の不都合が?」 「めったやたらと反抗しろ、と言っている訳ではない。だが従順なだけの部下などつまらんだろうが」 さも当然とばかりに会長は胸を反らしますが、やはりわたしには理解不能です。わざわざリスクを背負いたがるなど、どう考えても論理的に破綻しているとしか思えませんが。 「何を言っている。そもそも統合思念体とやらは、自律進化の可能性を求めて涼宮ハルヒと接触しているのだろう?」 「ええ、そうですが…」 「進化とはつまり、子が親を克する事だ。親と子が互いの存在意義を賭けて相克し合う、その結果こそ進化に他ならない。ならばお前が逆心を抱いたとて、何の奇異もあるものか」 まあ確かに、朝倉涼子の独断専行、それから長門さんの暴走は統合思念体に少なからず衝撃を与えましたが、でも…。 「いいか、喜緑江美里。今のお前は家畜と同じだ。統合思念体に逆らう事を、そもそも考えてもいない」 「それは…わたしはそう造られましたから…」 「違うな、自分で自分に枷を嵌めているだけだ。可能性というものをもっと広く捉えろ。お前にはそれが出来るはずだ」 わたしが、自分に枷を嵌めている? 自分で自分を家畜のような立場に貶めている? だから会長は、それが気に喰わない、と? 「全ての物事を疑え。是非を問え。その上で、統合思念体の指示が正当だと判断したのなら、それに従えばいい」 「…もしも、正当だとは思えなかったら?」 わたしの質問に、会長は不遜な笑みで答えました。 「豚は喰われて、狼は生きる。うまそうな獲物が横腹を見せていたなら、遠慮せずに喰いちぎってしまえ」 愉快そうに彼が笑うと、タバコの煙が蛇のように揺れます。それを見ている内に、わたしの記憶の中でふと、ひとつの物語がリピートされ始めました。 それはそう、聖書と呼ばれる物語り群の中の一節。神の楽園で平和に暮らしていたイブに、一匹の蛇が 「そこのリンゴを食べてごらんなさい。あなたは今よりずっと賢くなれますよ」 と呼び掛けます。でもそれは、神に禁じられていた知恵の果実。迷いながらも禁断の実を食べてしまったイブはアダム共々、楽園から追放されてしまいます。 そうして“知恵”を身に付けてしまったがために、その後の人間たちは恥や恐怖といった感情に踊らされるようになってしまったのだとか。 愚かな話です。彼の提言もまた、非常に愚かです。たとえて言うならポーカーで、何の役も無くともブラフだけでどんな勝負にも勝てる!と豪語するようなものです。若さと野心だけに裏打ちされた、浅はかな考え方です。 情報統合思念体の何たるかも知らない、人間ごときの考えそうな事です。 でも。 ならばなぜ、わたしはその愚かな提言を一蹴できないでいるのでしょう。独善的とも言える会長の冷たい瞳に、ぞくぞくとした高揚感を覚えるのはどうしてなのでしょう。 ふぅ、とわたしは小さく息を吐き、改めて会長に向き直りました。 「あなたの意見はやはり理解しがたいものですし、わたしには統合思念体に反旗を翻すつもりなど、毛頭ありません。 でも、会長」 「うん?」 「あなたがわたしを『有能な部下』として、これからも大いに利用するつもりだという事は、よく分かりました。だからわたしも、遠慮なしにあなたを利用させて貰おうと思います」 外したエプロンを胸元で畳みながら、わたしは彼の前でにっこりと笑ってみせました。 「わたしのお願い…聞いて貰えますか?」 夕暮れに赤く染まる、北高名物の長い坂道。そしてわたしと彼。 「ふむ。宇宙人の“お願い”とやらがどれほどのものかと、私としては少々身構えていたのだがな」 再び掛け直した眼鏡を指先でついと押し上げながら、会長はそんな言葉を口にしていました。 「よもやそれが、『一緒に下校してほしい』などという嘆願だったとは」 「うふふ、ご迷惑でしたか?」 「逆だ。あまりに簡易すぎて、拍子抜けした」 少しつまらなさそうな顔をする会長の隣で、わたしは小さく笑いました。 「告白などをいちいちお断りするのも、骨が折れますからね。あなたとわたしがそれっぽい関係にあるらしい、という噂でも立てば、生半可な相手は近寄ってこないでしょう?」 「要するに、虫除け代わりというわけか、私は」 不機嫌そうに眉をひそめる会長の様子に、わたしはまたクスクスと笑います。なにせ、わたしをそそのかしたのは他ならぬあなたですもの、これくらいの苦汁はなめて頂かないと、ねえ? そう、わたしは今日、確かに禁断の実を齧ってしまったのだと思います。 もちろん統合思念体に反逆するつもりなどありません。ありませんがしかし、任務は任務として遂行しながら個のわたしとしての興味や好奇心もそれなりに感受する。そういう新しい概念を、わたしは発見してしまいましたから。 まったく、愚かしい事です。これまで通り統合思念体の指示にのみ従い、何の疑念も抱かずにいれば、わたしはつまらない諸事に思い悩まされたりする事もなかったでしょうにね。 でも、わたしは気付いてしまいました。この冷徹で計算高く、野心家で身勝手な男の言葉を、どうしても振り払えないでいる自分に。しかもそんなエラーの発生を、不思議と不快に思っていない自分に。 ならばいっその事、とことん検証してみましょう。彼の言葉によってもたらされたこの新しい概念が、是なのか否なのかを。ふふ、わたしがこんな事を考えていると知ったら…長門さんは一体どんな顔をするでしょうね? 「まあ、いい。どうせ私の方も、『機関』から優等生然とした仮面を被る事を強いられている身だ。今さらキミと仮面恋人の契約を交わしたとて、どうという事もない」 そんなセリフで我に返ると、会長があの冷たい瞳を、まっすぐわたしに向けていました。 「それより、これからまた忙しくなるぞ。 なにしろ我々は生徒会活動に加えて、あの涼宮ハルヒ率いるトンチキ集団の相手までしてやらなければならないのだ。いや、どちらかと言えばそちらが本題か。 いずれにせよ、キミには大いに働いて貰わざるを得ないな」 いかにも忌々しげな顔でそう言う彼に、くすっと微笑んで。 「仕方がありませんね。お付き合いしましょう。 どうやらわたしは、あなたの有能な部下みたいですから」 片目をつむってそうささやいたわたしは、彼に寄り添うようにして、長い坂道を歩んで行ったのでした。 禁断の果実の甘酸っぱさを、胸一杯に噛みしめながら――。 そしてイブはリンゴを齧る おわり -えれべーたー☆あくしょんにつづく
https://w.atwiki.jp/himajinnomousou/pages/34.html
「うまっ!?」 第一声は、それであった。それ以外の言葉が思いつかなかったのだ。 かつて無い奇妙な面子で食卓を囲む。広いテーブルの上には焼きたてのパンに手の込んだ色とりどりのサラダ、そして芳しい香りを放つメインディッシュの数々。 「これ・・・本当にトーマスとシャールさんで作ったの?凄く美味しい!」 「お褒めに預かり光栄です。魔王殿でも言いましたが、料理から戦闘から全て祖父に仕込まれましたからね。未だ祖父には敵いませんが、なかなか腕は上達したつもりですよ。シャール様が前菜関係を手がけてくれたので、メインディッシュに集中できたのも助かりましたしね」 勢いよく食べるカタリナをにこやかに見ながら、トーマスが喋る。 カタリナが何故か上座に座らされ、そこから円形にトーマス、シャール、ミューズ、ノーラ、サラが座って皆で食事をしていた。 「私も昔でこそ料理はからっきしだったが、何分ミューズ様はその私のさらに上をいっていてな。必然的に上達したのだ」 冗談めかしてシャールも口を開く。するとパンをちぎっていたミューズが若干赤面しながら抗議の声を上げた。 「シャール・・・そういうことは言わなくていいのっ」 料理などはとても上手そうに見えるが、意外にもミューズは苦手なようだ。すみませんと朗らかに笑いながら謝るシャールの横で、ノーラもカタリナに負けじと目の前の食事の制覇にかかっていた。 「いや、でも男二人がこんなに料理が上手いなんてね。ケーンにも見習わせたいわ」 「ケーンって、工房にいたあの男の人ですよね・・・?呼んでこなくてよかったんですか?」 サラがそう伺うと、ノーラは手にしたフォークを振りながら答える。 「いいのいいの。あいつはまだまだ職人として駆け出しだからね。一秒でも惜しんで工房に居るほうがちょっとは上達するでしょ」 どうも一連の騒動の後でレオナルド工房に連絡を取ってくれたのがサラらしく、ノーラとサラは妙に仲がよかった。ノーラも快活な性格なので、どこかエレンと似た雰囲気がある。その辺りも影響しているのかもしれない。 「しかし・・・このようなメンバーに料理を振舞うことになるとは、私も思いませんでしたよ。皆さんのお口に合うといいのですが」 シャールお手製のサラダをつまみながらトーマスが皆の顔を伺うと、その場の面子は口々に料理の味を賛美した。 「ロアーヌでは一応食事は宮廷料理人のものを食べていたけど・・・私はトーマスの料理のほうが断然好み。連中、凝って作りすぎなのよね。味、よく分からないもの」 すっかりこの場の面子全員に砕けた口調で話し始めたカタリナが、宮廷では口が裂けてもいえないちょっとした愚痴を披露する。 「あ、確かにそういうのありますね。私も以前はお抱えの料理人でしたが、たまにお父様が作ってくださった素朴な手料理やシャールの作ってくれる料理ほうが、ずっと美味しく感じるんです」 カタリナの言葉にミューズも反応する。サラは言わずもがな、という表情だし、ノーラはその食べる勢いが言葉の代わりであろう。シャールに至っては食べたものをじっくりと味わい、なにやらぶつくさと呟いている。今後の自分のメニューの参考にでもするつもりらしい。 「それはよかった」 トーマスも満足そうに頷いてパンをかじる。大量に作ったはずの料理も、時が立つにつれてすさまじいスピードで減っていった。 時刻はまだ昼を回ったというくらいであろうか。豪華なランチを終えた六人は、すっかり後片付けも終えてティータイムに突入していた。 「・・・それで、カタリナ。腹ごしらえも済んだことだし、そろそろ何があったのか話してもいいんじゃない?」 紅茶を思いのほか上品に啜りながらノーラが切り出す。同じく紅茶を啜ってひと心地ついていたカタリナは、その言葉を受けて若干姿勢を正した。 「ええ・・・そうね」 その言葉に、その場の全員がカタリナに注目する。カタリナはため息を一つついたあと、ゆっくりと口を開いた。 「結論から言うと、私、魔王殿のさらに奥にある場所で、アビスゲートを発見したの」 いきなりの衝撃発言に、一同は驚愕の表情でカタリナを見つめた。そのままカタリナが続ける。 「・・・トーマスとシャールさんと別れて下層を探索にいって、玉座のある間まで行き着いたわ。そこでその後ろにある扉をあけ、中にあった転移方陣を通って、遺跡・・・みたいな場所に出たのね。その奥に、アビスゲートがあったの。これは間違いないわ」 「しかし・・・玉座の間までは私も行ったことがあるが・・・後ろの扉はどうあっても開かなかったはずだが・・・」 シャールが疑問符を浮かべながら尋ねる。過去に近衛軍団でも幾度となく魔王殿の探査は行われたことがあり、玉座の間の後ろの扉は密かに開かずの間として団員の中では有名でもあった。 それについてどう説明しようかと考えているカタリナに先駆け、ここで意外にもミューズが口を開いた。 「・・・おそらく、扉を開けたのはカタリナ様がつけていらっしゃるその指輪の力ではないかと思います」 今度はカタリナも含めた一同が、ミューズに視線を向ける。 「カタリナ様のつけているその指輪・・・私の記憶が正しければそれは、王家の指輪と呼ばれる聖王遺物ではないかと思います。伝説によれば魔王殿の地下に眠る地のアビスゲートを封印した聖王様が、その封印の鍵として用いたのがその指輪であったとか・・・」 まるで遠い昔を思い出すかのように、ミューズがゆっくりと喋る。その言葉を聞きながらカタリナは自分の右手につけられたその指輪をしげしげと眺めた。 「・・・確かに扉の一部にこの指輪をあてがったら、すぐに開いたわ・・・」 「カタリナ様・・・その指輪は何処で入手なされたのですか?私も王家の指輪という品の存在は聞いたことがあります。確か、聖都ランスに居を構える聖王様の血族の方々が所有しているという話だったと思ったのですが・・・」 トーマスが紅茶を啜りながら聞くと、カタリナは目をぱちくりとさせた後に答えた。 「貰ったの」 途端、ガクリと肩がこける一同。 「あ、いや、えっとね、魔王殿の下層を探索していたら・・・途中で見たことない格好と武具を持った少年に出会ったのよ。年は多分、サラと同じくらいかしら。それで声を掛けたらもう帰るところだーっていうからそのまま別れようとしたんだけど、すれ違った時になんかよく分からないことを言われて、それで手渡されたのがこの指輪だったの」 指輪を眺めながら語るカタリナ。それを聞いてトーマスが思い出すように呟いた。 「ふぅむ・・・しかし私もあの後カタリナ様を追いかけて下層へと下りましたが、そのような人物は見かけませんでしたね・・・」 「私もその少年がどこに向かったかは、ちょっと分からないの。指輪を渡された瞬間意識が遠退いちゃって、気がついたらその場には私一人が指輪を握ってしゃがみこんでいたわ」 紅茶と共に軽いスイーツをつまみながら、世間話程度に語る。すると横で話をずっと聞いていたノーラが砂糖を紅茶にかけ足しながら口を開いた。 「・・・で、それはいいけど、結局なんでそんな大怪我負う羽目になったのさ?」 そうだそうだと再びカタリナに注目する一同。カタリナはその視線を受けて若干居心地の悪さを感じつつも、ぽりぽりと頭をかきながら答えた。 「アビスゲートのある部屋に入って・・・信じられないかもしれないけれど、そこで私、魔戦士公アラケスと闘って・・・負けたから」 『ぇぇえええ!?』 全員が驚愕しながらカタリナを凝視する。よくよく考えてみればカタリナ自身としても今では信じられないような出来事であるが、間違いなくそうであるはずだ。 「アラケスって・・・四魔貴族のあのアラケスだよね・・・?うちの工房の初代と聖王様が聖王の槍として鍛えなおす前の魔槍を持っていた、あのアラケスだよね・・・?」 ノーラはあまりの衝撃に、砂糖の入った小瓶を自分の紅茶のカップの上で逆さにしたままだ。 「・・・いや、しかし我々が見たあの瘴気の渦を思えば・・・確かに魔貴族級の存在でも関与していなければ説明もつきません・・・。が、とにかくすさまじい話です・・・」 トーマスも流石に動揺を隠せないようだ。 「カタリナ様凄い!!アラケスってどんな姿だったの?」 サラが目を爛々と輝かせながら身を乗り出してくる。カタリナは魔神の容姿を思い出すように説明してみた。 「でかかったわね・・・。四メートルくらいはあったんじゃないかしら。まるで窯から出した直後みたいな燃え盛る真紅の槍を持っていて・・・巨大な双頭の獣を従えていたわ。その獣は倒せたんだけど・・・」 「その獣というのは・・・片方の頭が片目を失った獣だったか?」 シャールがあの時の光景を思い出しながら質問すると、カタリナはゆっくりと頷いた。 「元々は両目あったけど・・・私が片方貫いたのよ。首を刎ねたと思ったけれど・・・さっきトーマスがいっていた私を運んだ獣っていうのはシャールさん達も見たのなら多分あいつね・・・」 カタリナは嘆息しながら語った。結局自分はあの場において何も成せなかったと思うと、自分が情けないばかりだ。 「しかし・・・そんな話を聞くと、よくあんた生きていたよね・・・。魔貴族と一騎打ちでしょ?あの聖王様だって、聖王十二将と一緒に魔貴族を討伐したっていうのに」 ノーラは興奮気味の様子で喋った。その言葉にはカタリナは苦笑するしかない。 「負けてしまった以上、生き残れたのはアラケスの・・・言葉通り、戯れなんでしょうね。本来ならば死んでいたわ・・・それに」 そのときを思い出すように、カタリナは自らの手を見つめながら言葉を続けた。 「それに、あの時確かに・・・私には、この身が知るべくも無い戦闘技術が私の中に流れ込んできていたの。なんとか戦えたのも、そもそも私の実力ですらない・・・」 戦いの最中で繰り出した、いくつもの自分が知らない技法を思い描きながら語る。 いや、正確にいえばもう、あの時の戦闘技術は体が熟知してしまっている。魔王殿に入る前と帰ってきた今では、カタリナの戦闘力は比べ物にならぬほどの違いがあるだろう。 「それも・・・王家の指輪の力なのでしょうか・・・」 カタリナのつけた指輪を眺めながらミューズが口を開いた。 「・・・多分、そうなのかもしれないわ。魔王殿の地下は凄く大きな回廊だったけれど・・・初めての場所だというのに私は迷うこともなくアラケスの元まで直進したわ・・・。この指輪の記憶が流れ込んだ・・・っていうのが一番それっぽい説かしらね」 呟くように天井を見上げながらカタリナが言うと、シャールが佇まいを直してカタリナに話しかけた。 「なにやら途方もない話だが・・・とにかく無事でよかった。なにより、再度の謝罪をさせてくれ。我々に協力してもらった結果がこのようなことになってしまい、本当に申し訳ない」 頭を下げるシャールに、カタリナはとんでもないと首を振った。 「そんな、私こそ全然役に立てなくってこの体たらくで迷惑のかけっぱなしでもう・・・。おまけにこんなに美味しい料理も食べさせてもらっちゃって・・・」 どうやら二人の料理をカタリナは相当気に入ったようだ。自分が怪我人であったということも忘れて、常人の二倍近い量を一人で平らげてしまっていた。 その様子をみてトーマスがうれしそうに笑う。 「・・・まぁ、今はとにかく無事に目が覚めてよかった。ゴンやミッチもまた二人に会いたがっている。今度機を見てまた寄ってくれ。その際には、この間の話の続きも出来よう」 そういうとシャールはゆっくりと立ち上がった。それにあわせてミューズも立ち上がる。 「旧市街に残してきた子供たちが心配だ。私達はそろそろ失礼するよ。何かあったら何でも言ってくれ。協力は惜しまない」 「お食事、ご馳走様でした。トーマス様もカタリナ様も、近いうちにまたきてくださいね。それでは、皆様お元気で」 そういい残すと、二人はいつの間にか現れた執事の老人について屋敷を後にした。 「・・・そういえば、何か聖王遺物に関して情報ってでたの?」 その二人の背中を見送りながら、思い出したようにノーラが言った。 「うーん、それがね・・・赤珊瑚が南方の特産物っていうのとジャッカルっていうのが昔いた海賊の名前じゃないか、っていうのはトーマスから聞いたんだけど、その他は特にそれらしい収穫はなかったかな・・・」 紅茶を一口啜りながらカタリナが唸る。 「その手がかりの一端を求めてミューズ様とシャール様の元を訪れたのですが、やはり聖王遺物の行方に直結するようなお話はありませんでしたしね・・・」 トーマスもその様子をみながら眼鏡の位置を正す。そんな二人の様子を見ながらサラは何事かと疑問符を浮かべていた。 「みんな、探し物・・・?聖王遺物?」 「そ。ちょっと宝探しをしててね。サラ、なんか知らない?聖王遺物のこと」 背伸びをしながらノーラが冗談っぽく口走る。するとサラは少し考えた後、思いついたように口を開いた。 「私は知らないけれど・・・聖王遺物だったらやっぱり聖都ランスかな。あそこには聖王遺物が結構あるらしいってハリードさんが言っていたもの」 得意げに語るサラの言葉に、トーマスとカタリナが顔を合わせる。 「あの失礼な男が・・・?マジで宝探しでもしているのかしら・・・」 「いえ・・・ああ見えてハリードさんは思慮深い方です・・・。確かになにかいろいろご存知ではあるかもしれませんね」 だがそれも決定的な情報にはならない。第一ハリードがいま何処に居るのか分からない以上は、彼の知る情報を聞くこともままならないのだ。それに聖王遺物といっても、カタリナとノーラが捜し求めているのは奪われてしまった二品のみ。正直その他に関してはどうでもよかった。 「・・・ただ、これ以上の聖王遺物に関する情報を求めるならば、一度ランスには赴いてみたほうがいいかもしれませんね」 紅茶を啜りながらトーマスが呟く。カタリナがその真意を問うような視線を向けると、トーマスは少し陰りのある表情をした。 「カタリナ様が巨獣に連れられて我々の前に現れた時、巨獣から聞こえてくる声がこういいました。これは我が現界するまでの戯れにすぎぬ・・・と。つまりその言葉がアラケスのものであるならば、近いうちにアビスゲートが開く、ということなのではないかと思うのです」 その言葉を受けて、カタリナも考え込んだ。 「・・・たしかに、そのままの意味で考えればそう受け取れるわね・・・。それだとつまり・・・また、伝説に残る三百年前のような事態になりうるということ・・・?」 あまりにも話が大きすぎて正直カタリナには想像がつかなかった。だが、それが実際に起これば間違いなく自分たちにも多大な被害が出る。なにせ彼女の住むロアーヌはすぐ南方に四魔貴族の一人である魔龍公ビューネイの住処と目されるタフターン山があるのだ。 「可能性は否定できません・・・。いえ、アラケスがそういった以上、むしろ可能性は高いのかもしれません・・・。ゆえにそれを我々が知りえた以上、ランスにおられる聖王家の方々にはお伝えなくてはならない・・・。それに、今カタリナ様の持つその指輪も、元は聖王家にて保管されていたはずのもの。その少年とやらの正体も気になりますし、それについても伺ったほうがよろしいかと思います」 カタリナは自分の指にはめられたその指輪を見ながら考えた。確かにこの指輪は、聖王に連なる品なのだろう。ここまで自分の中に劇的な変化をもたらし、さらには記憶も見てしまった以上は否定の余地はない。となれば確かに、持ち主に返すのが道理であろう。 「そうね・・・。じゃあ、次の目的地はランスね。ごめんね、ノーラさん、ちょっと出かけてくることになりそうだわ」 カタリナがノーラに向き直ってそういうと、ノーラはゆっくりと首を横に振った。 「何も謝る必要なんてないよ。行ってきな。なんだか話が大きすぎてあたしにはよくわかんないけど、なんかそっちの話題も放っておいたらやばそうだしね。あたしはあたしでなにか情報を探しておくよ」 「情報に関しては私も最大限お手伝いさせていただきますよ、ノーラさん」 トーマスがそう名乗り出ると、ノーラはうれしそうに笑った。 「そいつは助かるよ。こんなに心強い味方が出来てうれしいかぎりさ」 すると、脇で黙って話を聞いていたサラも手を上げた。 「私も、私もなにか手伝うわ!」 「お、そうかい?じゃあサラにもたのんじゃって・・・いいの?」 サラの言葉に対して軽快に答えたノーラがトーマスに聞く。するとトーマスは苦笑しながら頷いた。 「わかった。サラにも手伝ってもらうことにしよう。では私は情報の収集に努めます。そうだな・・・サラは主にレオナルド工房との連絡員として動いてもらえないか?」 トーマスがそういうと、サラは勢いよく頷いた。 「よし、そうなれば話は決まりだ。私も一端戻ってケーンの様子でも見てくることにするよ。カタリナはしっかり体を休めてからランスに行くんだよ。また連絡をおくれよ」 そういってノーラも立ち上がった。一緒にサラも立ち上がり、ノーラを出口へと見送っていく。 「・・・ごめんなさいね、トーマス。貴方にここまで迷惑をかけることになってしまって」 ノーラを見送った後にカタリナがトーマスに頭を下げる。するとトーマスはいたずらっぽく笑いながら答えた。 「カタリナ様が長くロアーヌを離れてはモニカ様が悲しまれる、とミュルスで言ったじゃないですか。それだけで、お手伝いする理由には十分ですよ。それに・・・ミューズ様に会うことで私は正直このピドナでの遊学の最大目的が為されました。ですので、あとは見聞を広めるくらいしかすることもないです。そこに今回のような件。私個人の興味としても、是非ともお手伝いをしたいのですよ」 そういって上品に笑うトーマスをみて、カタリナは素直に礼を述べた。 「さて、そうなればカタリナ様は一刻も早くお怪我を完治させなければなりません。あの部屋はピドナにいる間はご自由に使っていただいてかまいませんから」 トーマスの至れり尽くせりの対応に、カタリナは再度感謝の言葉を述べずにはいられなかった。 その日はノーラを送りに行ったサラが帰ってくるのを待って、再びベッドで休むことにした。 前へ 次へ 第二章・目次
https://w.atwiki.jp/futabaren/pages/33.html
【本スレまとめ】 本スレで行われた戦闘のまとめです。 詳しい内容は双葉連合スレ保管庫過去ログで参照できます。 尚、これはあるジャーナリストが所持していた記録ディスク(ログ)に記してあった一部を簡潔にまとめたものであり、その為全ての事柄が記載されているわけではない。 一覧 【本スレまとめ】 第58スレ目 バンクーバー攻防戦 第59スレ目 シアトル攻防戦 第60スレ目 日本侵攻作戦 第61スレ目 呼び水作戦 第62スレ目 ニューカレドニア島上陸作戦 第63スレ目 イラク侵攻作戦 第58スレ目 バンクーバー攻防戦 概要 ■FNN、新年のニュースは世界情勢問題について ■各勢力現状維持のまま待機中 ■帝国軍デストロン部隊がバンクーバーへ向け移動開始。他各部隊も続く ■ブルーコスモスがバンクーバーに部隊展開の準備に入る ■新双葉欧州防衛省情報局が中近東及び北米の警戒レベルを最大に上げて警戒 ■フタバビロニアに通信を試みる女性がいる様だが… ■帝国軍とブルーコスモスがバンクーバーで戦闘を開始(バンクーバー攻防戦) ■シアトルではブルーコスモスが帝国軍ハンガー施設に急襲 ■バンクーバー及びシアトルは両軍戦闘状態に突入 ■宇宙のコロニーで何かあった模様だが… ■シアトルのブルーコスモスが帝国軍ハンガー施設の破壊に成功 ■BCが帝国軍ハンガー施設の破壊成功によりBC戦力がバンクーバーに集中 ■T・ジョーンズ司令とダース・ベイダー卿が通信回線で話し合い ■両軍バンクーバーに戦力集中。激戦となる ■バンクーバー方面は両軍暫く膠着状態が続く… ■一部帝国軍がシアトル方面へ向かう ■帝国軍が新双葉軍との休戦協定を破棄!宣戦布告 ■日本軍北部警護軍は帝国軍との関係の変更は無い様子 ■日本横浜基地戦力詳細レポートがユウナ指令宛てに送られる ■バンクーバーでの戦闘が更に激化 ■新双葉軍が帝国軍の休戦協定破棄に対し各部隊がデンバーへ進軍。警戒態勢へ ■日本軍と北部警護軍の間で隔たりが ■帝国軍が激戦の末バンクーバーを制圧 ■ブルーコスモス・フタバビロニア同盟軍がバンクーバーから撤退を開始 ■アクシズは警戒しながらも輸送物資任務を行う ■帝国軍バンクーバーに向け更に侵攻中 ■アリンコ次回予告… ■結果:帝国軍-制圧 ブルーコスモス-後退 作戦参加勢力 ■新双葉連合軍(警戒待機) 作戦総司令-T・ジョーンズ司令 作戦指揮官-バウアー中佐 警戒部隊 -陸上部隊 -航空部隊 -ゾイド部隊 -特機部隊 -AS ■帝国軍(侵攻側) 作戦総司令-ダース・ベイダー卿 作戦指揮 -破壊大帝メガトロン 侵攻部隊 -デストロン部隊 -ガルル小隊 -PTヒュッケバイン -マスクコマンダー -エンディミオンMk.2 -MS部隊 -航空部隊 -ウルフパック隊 -管制機サンダーヘッド -歩兵部隊 -戦車・支援車両部隊 -ヴァンツァー部隊 -トルーパー隊 -ドロイド部隊 -AT-AT部隊 -アラクニドバグ ■ブルーコスモス(防衛側) 作戦総司令-ムルタ・アズラエル理事 作戦指揮 -ゴンドワナ隊 防衛部隊 -MS部隊 -MA部隊 -特戦隊 -戦術機隊 -歩兵部隊 -戦車・支援車両部隊 -航空部隊 ■フタバビロニア(BC支援) 作戦指揮官-アンドリュー・フォーク少将 支援部隊 -無人兵器部隊(MD・TN) -歩兵部隊 -陸上部隊 -航空部隊 -MS部隊 第59スレ目 シアトル攻防戦 概要 ■各勢力が付近の哨戒を始める ■FNN、帝国軍が新双葉軍との休戦協定を破棄した事を報道 ■ブルーコスモスが帝国軍の斥候部隊と遭遇。戦闘になる ■ガイナン・クーカイが全世界に向けて会見演説を行う ■通商連合が何やら模索している様子… ■帝国軍がバンクーバーからの撤退戦の準備にかかる ■ブルーコスモスのカナダ国境付近の部隊が帝国軍の侵攻に備える ■帝国軍が撤退のためシアトルの部隊の援護に回る ■ガイナン・クーカイが会見にて東アジア同盟軍の設立を宣言 ■バンクーバーで帝国軍のバグが活動を再開 ■帝国軍とブルーコスモスの両軍がシアトルにて戦闘を開始(シアトル攻防戦) ■帝国軍のバグがバンクーバーを埋め尽くす ■クーカイ首相の会見に伴い帝国軍の沖縄基地は日本から離反。警戒態勢へ ■しかし日本海軍特種部隊が沖縄基地を奪還。これに伴い帝国軍へ宣戦布告 ■日本軍北部警護軍はクーカイ首相の会見に不服。沖縄帝国軍の支援に向かう ■日本海軍が沖縄の帝国軍に一斉攻撃を開始 ■沖縄の帝国軍が撤退準備を開始 ■新双葉軍はデンバーにて警戒任務継続中 ■シアトルでは両軍依然膠着状態が続く ■帝国領マスカットに派遣されていた日本医療団が日本に帰国 ■ユウナ司令が日本軍北部警護軍に対し投降説得を試みる ■しかし日本軍北部警護軍はこれに応じず ■フタバビロニア・ブルーコスモス同盟軍にも新たな動きが… ■ダース・ベイダー卿が自ら戦闘機に搭乗しシアトル戦に出撃 ■フタバビロニアに通信を試みる女性がいる様だが… ■帝国軍が日本に対し警告を行うが断念。帝国軍も日本との関係を破棄。徹底抗戦へ ■ブルーコスモスがシアトル奪還に向け総攻撃を開始 ■アクシズが日本侵攻準備に取り掛かる ■日本各地で戦闘状態が本格化する ■ムルタ・アズラエル理事が月進攻作戦の詳細を会議で提示 ■新双葉軍は日本に侵攻するであろうアクシズに対し臨戦態勢を整える ■フタバビロニアの一部部隊がブルーコスモス支援のためシアトルへ ■シアトル戦及び日本本土での戦闘は更に激化 ■新双葉軍より日本に向け支援部隊が幾つか派遣される ■アクシズが日本に侵攻開始 ■アクシズ軍MSクィン・マンサが単身新潟へ上陸。包囲される ■ブルーコスモスが激戦の末シアトルを制圧するが東地区では帝国軍が依然戦闘中 ■T・ジョーンズ司令が新双葉豪州方面軍の日本への派遣を検討 ■シアトル方面の帝国軍が撤退を開始する ■アクシズが新潟の街に攻撃を加える。被害多数 ■帝国軍がシアトル東地区の包囲殲滅作戦の準備に入る ■日本各地の戦闘は一進一退の状況 ■新双葉軍に新型機体が配備された模様 ■結果:帝国-シアトルより撤退 ブルーコスモス-制圧辛勝 アクシズ-日本と戦闘継続中 日本-アクシズと戦闘継続中 作戦参加勢力 ■新双葉軍(哨戒及び援軍派遣) 作戦総司令-碇ゲンドウ司令 作戦指揮 -各部隊判断 哨戒部隊 -陸上部隊 -航空部隊 派遣部隊 -ゾイド部隊 -レッドショルダー隊 -AS ■帝国軍(侵攻撤退) 作戦総司令-ダース・ベイダー卿 作戦指揮官-ダース・ベイダー卿 参戦部隊 -ダーク・スレイヴ隊 -デストロン部隊 -ガルル小隊 -X星人カイザー隊 -PTヒュッケバイン -エンディミオンMk.2 -ウルフパック傭兵部隊 -陸上部隊 -航空部隊 -帝国艦隊 -MS部隊 -ヴァンツァー部隊 -トルーパー部隊 -ドロイド部隊 -アラクニドバグ 支援部隊 -日本軍北部警護軍(日本軍より離反) ■ブルーコスモス(防衛制圧) 作戦総司令-ムルタ・アズラエル理事 作戦指揮 -ゴンドワナ隊 参戦部隊 -エクステンデット隊 -メタルギア隊 -陸上部隊 -歩兵部隊 -航空部隊 -MS部隊 -MA部隊 -戦術機甲大隊 ■フタバビロニア(BC支援) 作戦指揮 -各部隊判断 支援部隊 -歩兵部隊 -MS部隊 ■アクシズ(侵攻側) 作戦総司令-グレミー・トト 作戦指揮 -サイクロプス隊 侵攻部隊 -MSクィン・マンサ -MS部隊 -航空部隊 ■日本軍(防衛側) 作戦総司令-ユウナ・R・セイラン 作戦指揮官-ユウナ・R・セイラン 艦隊司令 -トダカ大佐 戦術機指揮-香月夕呼博士 防衛部隊 -Gフォース部隊 -メカゴジラ -陸上部隊 -日本海軍 -航空部隊 -MSムラサメ隊 -戦術機部隊 第60スレ目 日本侵攻作戦 概要 ■日本は前回のアクシズの攻撃で民間施設に被害多数 ■アクシズ軍が日本本州への上陸を再度開始する(日本侵攻作戦) ■日本軍の警備艦隊とアクシズの先鋒部隊が交戦状態に入る ■アクシズ軍日本内陸部へ侵攻 ■新双葉軍の日本先遣部隊がアクシズに対し攻撃を開始 ■沖縄の帝国軍が撤退準備を開始する ■帝国軍ハワイ艦隊が撤退支援のため沖縄に向け出航 ■日本軍もアクシズに対し攻撃を開始 ■FNNが日本の新双葉連合への加盟表明を報道 ■東アジア同盟の艦隊が日本支援のため出撃準備に入る ■フタバビロニアが月面攻略戦の準備を開始 ■帝国軍が撤退に伴い日本軍と戦闘状態になる ■青森の日本軍北部警護軍が独立。日本軍指揮下より離脱し帝国軍支援へ ■新双葉軍が新双葉豪州方面軍の日本への派遣を決定。派遣準備に入る ■各軍日本各地で本格的な戦闘状態へと突入 ■新双葉・日本同盟軍が制空権を確保。アクシズ航空部隊を退ける ■新双葉豪州方面軍が日本へ向け派遣開始 ■日本海軍旗艦タケミカズチが集中攻撃を受ける ■何を思ったか日本軍ドクターウェスト博士が戦場のど真ん中に参上 ■アクシズ軍が日本の軍事施設破壊活動を開始 ■帝国軍ACデュアルフェイスが日本軍艦艇に着地。攻撃を行う ■日本軍ドクターウェスト博士がジェネシック・ガオガイガーで出撃 ■帝国軍デストロン部隊が沖縄電力供給施設の破壊活動を行う ■帝国軍が撤退のため沖縄へ総攻撃を開始する ■帝国軍ACデュアルフェイスが空母タケミカヅチの甲板へ着地 ■新双葉豪州方面軍が新潟近郊へ空挺部隊を降下させる ■アクシズ軍が日本からの撤退を開始 ■帝国軍も沖縄からの撤退を開始 ■新双葉軍の重要塞空母アポロ・ノームが沖縄沖にに出現 ■日本軍空母タケミカズチ撃沈。上座していたトダカ大佐は戦死 ■帝国軍が弾道ミサイルで沖縄への攻撃を準備 ■新双葉・日本軍が新潟の復興作業及び沖縄住民救出作業を行う ■帝国軍弾道ミサイル沖縄へ着弾。被害多数 ■各軍戦闘の終結により撤退 ■結果:新双葉日本同盟-防衛成功 帝国軍-沖縄から撤退 アクシズ-新潟から撤退 作戦参加勢力 ■新双葉連合軍(日本へ派遣) 作戦総司令-T・ジョーンズ司令 前線指揮官-豪州方面軍司令 先遣部隊 -ゾイド部隊 -レッドショルダー隊 派遣部隊 -豪州方面軍 -航空部隊 -MS部隊 -ホワイト・ディンゴ隊 後続部隊 -重要塞空母アポロ・ノーム ■日本軍(防衛側) 作戦総司令-ガイナン・クーカイ 前線指揮官-ユウナ・R・セイラン 前線指揮 -管制機E-767 艦隊司令 -トダカ大佐(戦死) 戦術機指揮-香月夕呼博士 防衛部隊 -日本陸軍 -日本海軍 -日本空軍 -航空部隊 -MS部隊 -戦車部隊 -Gフォース部隊 -メカゴジラ -戦術機甲大隊 -ドクターウェスト博士 ■アクシズ(侵攻側) 作戦総司令-グレミー・トト 前線指揮官-グレミー・トト 侵攻部隊 -MS部隊 -サイクロプス隊 -MSクィン・マンサ -航空部隊 -水上艦隊 -潜水艦隊 ■帝国軍(撤退側) 作戦総司令-ダース・ベイダー卿 前線指揮官-各部隊判断 支援部隊 -ハワイ機動艦隊 -ケロロ小隊 -トルーパー部隊 -ACデュアルフェイス -デストロン部隊 -MS部隊 -強襲MS部隊 -航空部隊 増援部隊 -日本軍北部警護軍(日本軍から離脱) 第61スレ目 呼び水作戦 概要 ■FNN、新双葉軍が日本に豪州方面軍を派遣した事を報道 ■ドクターウェスト博士が研究所で暇を持余す ■帝国軍デストロン部隊が青森の日本軍北部警護軍に合流を呼びかける ■日本軍北部警護軍の合流に際しガルル中尉も動く ■フタバビロニアが日本牽制に向けウラジオストクへ部隊を集結 ■デストロン部隊及びガルル中尉の呼びかけに応じ日本軍北部警護軍が出撃 ■日本軍が青森基地(北部警護軍)へ攻撃を開始する ■武官になにやら怪しい動きが… ■アクシズがサイクロプス隊による新潟再攻撃の準備に入る ■フタバビロニアが作戦"呼び水"を発動(呼び水作戦) ■帝国軍ハワイ機動艦隊が函館に向けて出撃 ■デストロン部隊及びガルル小隊が日本軍北部警護軍支援のため上陸 ■各軍日本上空にて戦闘を開始 ■サイクロプス隊が新潟に再上陸。攻撃を行う ■フタバビロニアが北海道に無人兵器群を投下する ■各軍日本各地で大規模な戦闘状態に突入 ■各軍戦闘中の中プレデターが獲物を求め地球に降臨 ■各軍暫く膠着状態が続く… ■フタバビロニアの無人兵器群が民間施設を攻撃 ■プレデターの襲撃により一部の軍部隊が被害を受ける ■北部警護軍が基地のデータバンクを奪取。帝国軍各部隊に撤退を促す ■FBの無人兵器群も目的を達成したとして北海道から撤退を開始する ■サイクロプス隊及びアクシズ艦隊も新潟から撤退を開始 ■帝国軍は北部警護軍と共にハワイまで撤退 ■北部警護軍が開発していたMSの設計図を帝国軍へ提供する ■全軍撤退 ■結果:新双葉日本同盟-防衛辛勝 帝国軍-ハワイへ撤退 アクシズ-新潟から撤退 フタバビロニア-作戦成功 作戦参加勢力 ■新双葉連合軍(防衛側) 作戦総司令-不在 前線指揮官-各部隊判断 防衛部隊 -ゾイド部隊 -航空部隊 -AS 後続部隊 -アークエンジェル隊 ■日本軍(防衛側) 作戦総司令-ユウナ・R・セイラン 前線指揮 -管制機E-767 戦術機指揮-香月夕呼博士 防衛部隊 -日本陸軍 -日本海軍 -日本空軍 -航空部隊 -戦車部隊 -MS部隊 -Gフォース部隊 -戦術機部隊 -ドクターウェスト博士 ■帝国軍(撤退側) 作戦総司令-不在(ベイダー卿遅れて到着) 前線指揮官-破壊大帝メガトロン 支援部隊 -ハワイ機動艦隊 -航空部隊 -ガルル小隊 -デストロン部隊 -ACデュアルフェイス ■アクシズ(侵攻側) 作戦総司令-ハマーン・カーン 前線指揮官-グレミー・トト 侵攻部隊 -サイクロプス隊 -MSクィン・マンサ -水中MS部隊 -水上艦隊 ■フタバビロニア(侵攻側) 作戦総司令-アンドリュー・フォーク少将 前線指揮官-ムスカ大佐 侵攻部隊 -デスアーミー -生体兵器 -歩兵部隊 ■プレデター(無差別攻撃) 戦場の狩人-プレデター 第62スレ目 ニューカレドニア島上陸作戦 概要 ■新双葉豪州方面軍よりシドニー基地及びプリズベン基地に召集要請 ■アクシズ軍がカザフスタン・アスタナ基地への兵員配備を増員 ■FNNがフタバビロニアによる日本への牽制行動を報道 ■新双葉軍T・ジョーンズ司令が日本へ向け書簡を送る ■フタバビロニアが北米戦線に向け物資の輸送を行う ■帝国軍ヒュッケバイン専用のボクサーユニットがロールアウト ■囚人武官が新双葉軍に潜入を試みる ■日本軍がフタバビロニアの放ったMDと生体兵器の調査を開始 ■新双葉軍豪州方面の警戒が高まる ■帝国軍各方面司令官による演説が帝国軍各部隊に向け一斉に行われる ■新双葉軍軌道エレベーター・ラプチャーの完全復興の報告が入る ■帝国軍が手始めに豪州方面へ侵攻を開始(ニューカレドニア島上陸作戦) ■新双葉軍同島にてラプチャーへの輸送シャトルが発射準備に入る ■フタバビロニア各司令がアフタノームヌイの新型発電所の視察へ ■新双葉軍と帝国軍の両軍がニューカレドニア島にて交戦状態に入る ■シャトルが帝国軍の奇襲により発射予定時刻がずれ込む事に ■新双葉軍が輸送シャトルの打ち上げに成功 ■上がっていくシャトルを眺める両軍の兵士達… ■シャトル打ち上げにより両軍撤退 ■結果:新双葉軍-勝利 帝国軍-撤退 作戦参加勢力 ■新双葉連合軍(防衛側) 作戦総司令-T・ジョーンズ司令 前線指揮官-バウアー中佐 迎撃部隊 -発射基地守備隊(豪州方面軍) -歩兵部隊 -戦車・支援車両部隊 -航空部隊 -可変MS部隊 -AS 後続部隊 -ゾイド部隊 -メビウス中隊 -アークエンジェル隊 ■帝国軍(侵攻側) 作戦総司令-ダース・ベイダー卿 侵攻軍司令-エグザ・キューン卿 前線指揮 -管制機サンダーヘッド MS隊指揮 -ギロロ伍長 侵攻部隊 -ハワイ空母機動艦隊 -航空部隊 -トルーパー部隊 -MS部隊 -PTヒュッケバイン -ACデュアルフェイス -エンディミオンMk.2 第63スレ目 イラク侵攻作戦 概要 ■FNNがニューカレドニア島のシャトル打上げ成功を報道 ■元日本軍北部警護軍が帝国軍ハワイ基地に入港 ■コーネリア女史がフタバビロニア開発部門と通信を試みる ■アクシズがシリア・ダマスカス基地と中東油田施設の警戒防衛体勢を強化する ■帝国軍デストロン部隊が独断で中東方面へ出撃。他の部隊にも出撃を呼びかける ■T・ジョーンズ司令とガイナン・クーカイが会談のため出発準備 ■日本海軍の戦力は先の戦闘により壊滅的な打撃を受けた模様 ■武官がまた何処かに潜入を試みる… ■帝国軍が中東油田施設攻撃の準備に入る ■新双葉欧州防衛省情報局が中東の無線を傍受。警戒レベルを上げ偵察を開始 ■アクシズがシリア・ダマスカス基地と中東油田施設に部隊を展開 ■帝国軍がイラク油田施設に侵攻を開始する(イラク侵攻作戦) ■コーネリア女史とムスカ大佐が"KnightMareFrame"について通信会談 ■サイクロプス隊、アクシズの援護には間に合わず ■帝国軍・アクシズ両軍、イラク上空にて大規模な空中戦 ■同じく地上でも両軍激しい銃撃戦 ■両軍暫く膠着状態が続く… ■アクシズがMSを戦線に大量投入 ■コーネリア女史が"KnightMareFrame"の設計図情報をを各勢力に横流し ■アクシズが油田パイプラインに亀裂を入れる行為に出る ■各勢力"KnightMareFrame"の情報を入手。反応は其々 ■元日本軍北部警護軍が日本に居る緋き幻影を帝国軍に誘う為に通信 ■しかし緋き幻影はその誘いを断る ■新双葉欧州防衛省情報局、散発的に中東の偵察を継続 ■イラク上空よりビッター少将がMAアプサラスⅡでアクシズの援護へ駆けつける ■T・ジョーンズ司令とガイナン・クーカイが到着。ヘリでホテルに移動 ■ビッター少将、メガ粒子砲の発射を試みるが機体不良の為まともに発射出来ず ■アクシズがパイプラインを破壊。侵攻した帝国軍に原油を浴びせる ■帝国軍グリーバス将軍指揮のアフリカ方面軍は待機 ■フタバビロニア、アフタノームヌイ発電所の新型炉心の建造も順調の様子 ■T・ジョーンズ司令とガイナン・クーカイがホテルで会談を開始 ■帝国軍機誤って原油漏れ地帯に爆弾を投下。原油に火が引火する ■ドクターウェスト博士が帝国軍に対し霧発生装置を使用 ■帝国軍、侵攻を諦めたのか撤退を開始 ■ビッター少将が機体を乗り換え再出撃 ■ブルーコスモス、MSの増産体制が整う ■帝国軍・アクシズ両軍は発生した霧に紛れながら撤退を開始 ■PTヒュッケバインがG-インパクトカノンのチャージを開始 ■ムスカ大佐が宇宙バルジ要塞に派遣される様子 ■G-インパクトカノンがイラクバスラの街に着弾。被害多数 ■ドクターウェスト博士が発生させた霧は両軍の撤退を助ける形に ■ドクターウェストの火星基地は現在とんでもない状況らしい… ■T・ジョーンズ司令とガイナン・クーカイの会談が終了 ■ガルル中尉が元日本軍北部警護軍に以前の日本の様子を伺う ■帝国軍・アクシズ両軍は部隊を回収。撤退完了 ■結果:帝国軍-撤退 アクシズ-辛勝 作戦参加勢力 ■新双葉軍(偵察警戒) 作戦指揮官-ウィルヘルム・ラッセル副司令 偵察部隊 -航空部隊 -AS ■帝国軍(侵攻側) 作戦指揮官-破壊大帝メガトロン 侵攻部隊 -デストロン部隊 -PTヒュッケバイン -ACデュアルフェイス -トルーパー部隊 -航空部隊 -傭兵航空部隊 -ナイトヘッド飛行中隊 -歩兵部隊 撤退支援 -ゾルル兵長 ■アクシズ(防衛側) 作戦指揮官-グレミー・トト 防衛部隊 -MS部隊 -航空部隊 -歩兵部隊 -戦車・支援車両部隊 -MSクィン・マンサ 増援部隊 -アプサラスⅡ及びグフカスタム
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/465.html
「へぇ・・・・・・驚いた。本当に来るとはね」 「――――イース」 扉を開けてすぐのロビー。せつなを迎えたのは、階段に腰掛けて本を読んでいた南瞬と、何故か筋トレをしていた 西隼人だった。瞬は揶揄の視線を、隼人は困惑と怒気が混じった複雑な目を、せつなへと向けてくる。 が、彼女は二人のそれに、沈黙で応える。心に鎧を纏い、決して揺れたりはしない、と誓う。 「ノーザは、どこ」 低く押し殺した声で、せつなは二人に問いかける。その声と、冷たい表情は、一瞬、彼らにイースを思い出させる。 が、あからさまですらある敵意は、彼女がもはやラビリンスに戻るつもりが無いことを悟らせた。 「ノーザ、さんなら・・・・・・」 「あれ。東さん?」 玄関正面の階段。その踊り場から呼びかけられ、せつなは思わずそちらを振り仰ぐ。聞きなれた声。そう、学校で 毎日、聞いている声。 「やっぱり、東さんだ」 「由美・・・・・・? どうして、ここに・・・・・・」 トントンと足音も軽やかに階段を下りてくる由美。その隣には、背の高い少年の姿があった。どこかで見たような ――――考えて、気付く。写真を見せてもらったことのある、由美の彼氏だ。転校して、今は遠くの街にいると聞いて いたが、戻ってきていたのだろうか。 「えへへ。ほら、ここの占いって、よく当たるって話でしょ? だからね、先輩と一緒に占ってもらおうと思って」 「そう、なんだ・・・・・・」 由美は、せつながここで占い師をしていた頃のことを知らない。いや、そもそも、ラブ以外に知っている人はいない だろう。実際には、せつなが見たことのある顔が同じクラスの中にもあったが、ローブを被っていたせいか、向こうから 彼女のことに気付くことは無かった。 「それでね、東さん、聞いて聞いて。私と先輩の相性、最高なんですって。ね、そうなんですよね」 「ええ、そうよ」 聞こえてきた艶やかな声に、せつなは息が止まった気がした。 いつの間に、だろうか。 由美とその彼氏、二人の後ろに立っていたのは――――北那由他。 かつてのせつなと同じように、黒のローブを身に付けているのは、占い師を装っているからか。長く艶のある黒髪と、 不自然なまでに白い肌、そしてフードの作る影の中、鮮やかに過ぎる赤の唇は、薄い笑みを浮かべていて。 「これからも二人、仲良くしていれば幸せを手に入れることが出来るわ」 「ありがとうございます!! えへへ」 先輩と顔を見合わせて、照れ臭そうに笑う由美の姿を、しかしせつなは見ていなかった。彼女が見ていたのは、ただ、 那由他の姿だけ。 その視線を受けて、また、彼女は笑う。声を上げぬまま。 「じゃあ、東さん。またね」 先輩と腕を組んで出て行く彼女を、せつなは見送る。占い師姿の那由他が隣に立ち、同じように見送りながら呟く。 「ホント、この世界の人間は愚かね」 「――――っ」 その言葉に、せつなは彼女をキッと睨み付ける。だが、那由他はその視線に気付きながらも、なんら臆することなく 続ける。 「幸せになると言いさえすれば、すぐに喜ぶ。単純なものだわ」 「それは――――!!」 「貴方にそれを非難されるいわれはないわ。だって、同じことを思っていたんでしょう?」 振り向き様に言われ、彼女は言葉に詰まる。確かに、ここで占い師をしていた頃、やってきた客に対してそう思って いたことがあった。 今では、それが間違いだったとわかる。けれど、どう間違っているのかを彼女に説明するのは、難しい。何より、説明 したところで、聞き入れてくれる相手だとも思えなかった。 「ふふ。人の不幸は蜜の味、ってね。それより――――」 那由他はフードを下ろし、その顔を露にする。それを合図にしたかのように、瞬と隼人が立ち上がり、二人に近付いて きて。 「待ってたわ、イースちゃん。来てくれないかと、心配してたのよ?」 何をヌケヌケと。思うが、反論はせず、せつなは確かめる。 「これで、お母さんには、手を出さないんでしょうね」 那由他は、だがしかし、ただ笑うだけで、彼女の問いかけに答えを返そうとはしなかったのだった。 忍び寄る影 心 惑いて 「座ったら? イースちゃん」 「いいえ、ここで結構よ」 かつてイースだった頃、三人が集まる場所だった応接間に、せつなは通される。 テーブルの上座に座りながら、不気味な程に優しく振舞う那由他の言葉に、しかしせつなは拒絶の意思を示す。長居 をするつもりはない、と言わんばかりの彼女の態度に、那由他は含み笑いを浮かべるだけ。 周りを見れば、隼人は壁にもたれかかるように立ち、瞬はソファに足を組んで座っている。そして那由他が、テーブル の上に肘を付き、手を組んで、その上に顎を乗せてこちらを見ている。三人の視線が交わるのは、せつなの顔。 ゴクリ、と小さくつばを飲む。自分が、ラビリンスの――――敵の懐に踏み込んでいることを、改めて意識させられる。 無意識に、彼女の手は腰のあたりに置かれる。そこにあるのは、リンクルン。いざとなれば、変身して戦うことも辞さない覚悟だ。 「そんなに構えなくてもいいのよ。戦う気はないわ」 だが、そんな彼女の意思を見透かしたかのような那由他の声が響く。少し意外そうな顔をする隼人と瞬だったが、チラ リと彼女を見るだけで、口に出しては何も言わない。 「今日はね、お話がしたいと思ったの。イースちゃんとね」 「話の前に、一つ、いいかしら」 毅然とした態度をしながら、せつなは那由他の言葉を遮った。怪訝そうな彼女に、きっぱりと言い切る。 「私はもう、イースじゃないわ」 「――――クックック」 せつなの言葉に、小さく驚いた素振りを見せた後、那由他は笑い始める。喉で笑うその様が、まるで嘲られているか のように感じ、せつなは眉を顰める。 「そうだったわね。今の貴方は、せつなちゃんだったわね――――ああ、それともこっちの方がいいのかしら―――― せっちゃん」 「――――っ!! その呼び方はやめて!!」 お母さん、お父さん――――あゆみと圭太郎と同じ呼び方で彼女に呼ばれ、せつなは、自分でも驚く程に強い苛立ち を覚えた。反射的に、そう叫んでしまう程に。 「あらあら、そんなにお母さんのことが大切なのかしら、せっちゃんは」 「止めてって言ってるでしょう!?」 これ以上、愚弄するなら――――強い敵意を向けてくるせつなに、那由他は笑いながら首を横に振った。 「冗談よ、せつなちゃん。落ち着いて聞いてくれるかしら」 その言い草に、グッと握った拳に力が入る。が、一つ、小さな息を吐いて、強張っていた力を抜く。落ち着け、私。この ままだと、相手の思うツボよ。 自分にそう言い聞かせ、せつなは改めて那由他を見つめる。油断はしない。でも、我を忘れる程には入れ込まない。 すっかり落ち着きを取り戻した彼女の様子に、那由他は小さく鼻を鳴らす。が、すぐにまた酷薄な笑みがその顔に 浮かぶ。お楽しみは、まだこれからだ。 「それで? 話って、何かしら」 「大した話じゃないわ――――インフィニティのことよ」 やはりか。思い、眼差しを厳しくするせつなに気付きながらも、那由他は話し続ける。 「あなたのお友達、ラブちゃんの持っている人形――――シフォンちゃん、だったかしら? その子がインフィニティ なのよね?」 問いかけに、せつなはしかし、答えない。そしてそれを予想してたのか、那由他は構わず、 「せつなちゃん。貴方をここに呼んだのはね――――インフィニティを、渡して欲しいから」 「お断りよ」 間髪入れずに、せつなは答える。強い語気に、隼人と瞬が腰を浮かすが、那由他が軽く手を振ってそれを抑えた。 「私はもう、イースじゃないわ。ラビリンスの為には、働かない。何より――――シフォンは、私達の大切な仲間だから」 「そう――――どうしても?」 「どうしても、よ」 言って、せつなは那由他に背を向ける。話はこれで終わり、とばかりに。 だが、その背中に、彼女は言の刃を投げる。 「お母さん」 嘲笑が交えられたそれは、少女の胸に深く突き刺さって。 思わず、せつなは振り返る。その顔に絡みつく、冷たい那由他の視線。心臓を、その長い爪で引っかかられたかの ような痛みが走る。背中からは、ドッと汗が噴出して。 「せつなちゃんはお母さんのことが、よっぽど大事なのね」 急に、部屋の気温が下がったような、そんな幻覚をせつなは覚える。長いテーブルの向こう、座ったままの那由他の 姿が、何故か不意に巨大に感じられて。 圧迫、される。 「そんなに大事なお母さんに何かあったら――――せつなちゃんは悲しいわよね?」 「お母さんに、何をする気!?」 思わず叫ぶせつなに、那由他は笑いながら首を横に振る。 「大丈夫よ。何もしてないわ」 せつなが、その言葉に安堵の表情を浮かべるのを確かめてから、那由他は言った。 「今は、ね」 「――――っ」 再び厳しい顔になるせつなを見て、彼女は笑う。翻弄されているとわかって、せつなは顔をしかめた。 「お母さんに、手を出さないで」 「あら、それは出来ない相談だわ――――だってもう、手を出したもの」 言った彼女の服の袖から、コロン、と転げ落ちる一粒の種。それが何かをせつなは知らなかったが、直感的に勘付く。 恐らく、ソレワターセの実。 「良かったわね、お母さんを助けられて」 「あれは、貴方だったのね!!」 つい先日、あゆみの偽物に入れ替わったソレワターセと、彼女は戦った。その入れ替わりという作戦は、ウエスターや サウラーの考えたものではないような気がしていたのだが、やはり、ノーザ自らが指揮を執っていたのか。 「よくも、お母さんを――――!!」 「返してあげただけ、優しいと思って欲しいわね」 その言葉と共に、那由他の顔に貼り付いていた薄い笑みが、さらに冷たいものに変わる。いっそ、禍々しいばかりの その顔に、せつなの感じていた怒りが、スッと消え去る。残るのは――――恐怖。冷水を浴びせられたかのように、 背筋に寒気が走って。 「分かっていないようね。あれは警告よ」 「警・・・・・・告?」 「ええ、そう。警告――――どうやらやっぱり、イースという兵士は、もういないみたいね。こんなに甘い生き物が、メビ ウス様のしもべであったはずが無いわ」 嘲られている。分かっていても、何も言えない。 ただ、混乱する意識の中で、必死に考える。警告、という言葉の意味を。 その、余裕の無い表情に、那由他は内心の満足感を隠しながら、言葉を重ねる。 「貴方は、どこでお母さんを見つけたのかしら」 「か、鏡の中で・・・・・・」 「そう。トイレの鏡の中の、ロッカーに閉じ込められていたのよね。スカートが少し、出てたんじゃなかったかしら?」 「どうして、それを・・・・・・」 「だって。そうしたのは私ですもの」 驚きに、せつなは目を見広げる。 そうしたのは――――私? どういうこと? まさか――――あれは、わざとだったというの? 「貴方なら、気付くと思ったわ。そしてやっぱり、気付いてくれた。良かったわね。お母さんが無事で」 「何を・・・・・・言ってるの?」 声が、震える。考えが、まとまらない。 呆然と立ち尽くすせつなに、那由他は笑いながらとどめとなる言葉を投げる。 「まだわからないの? 私はね――――貴方のお母さんの命を奪うことも出来たのよ」 不意に。 世界が色を失った気がした。 息が止まる。心臓は、緊張のせいか、早鐘のように激しく鼓動する。 「簡単なことだったでしょうね。その胸に私の爪を突き刺すことも出来た。首を引き裂いて、鮮血に染めることも出来た ――――誰にも邪魔はされなかったでしょうから」 那由他の言葉に、せつなの心はえぐられる。 大切な、守りたいと思っていた存在。自分を助けてくれ、居場所を与えてくれた人。 なのに、私は――――その人の危険に、気付くことが出来なかった。 震える。全身に怖気が走る。 寒い。冷たい――――心も、体も。 あゆみの声を、ぬくもりを思い出す。そして、それを失うことを想像する。 それだけで。 足元を支える地面が無くなったかのような感覚に、襲われる。 「今回は、返してあげた――――けれど、次はどうかしら?」 「・・・・・・・・・・・・」 お母さんに手を出さないで。つい数分前までのせつななら、気丈にそう言えただろう。 けれど、今は――――守れなかったことに、気付いてしまった今は。 そして、意気消沈するせつなを見て、那由他はほくそ笑む。狙い通り、と。 「覚えておきなさい。私の手は長いの。そう、貴方に気付かれないように、貴方の大切な人に触れられるぐらいに」 その言葉に、せつなは目を伏せる。 この館に来てすぐの、強い彼女は、もういない。そこにいるのは、か弱い少女。 「せつなちゃん。もう一度、言うわ――――インフィニティを渡しなさい」 猫撫で声で、彼女は囁く。だが、その言葉には、言霊が込められていた。拒絶を許さない、という強い言霊。 「これは、お願いじゃない。命令よ。貴方がイースでもせつなでも、どちらでもいいわ。ただ、命じる――――インフィニ ティを渡しなさい」 「それじゃ、今晩にでも――――待っているわ、せつなちゃん」 言って、那由他は館の扉を開ける。ふらふらと亡者のように、外へと出て、去って行くせつなの背中を見ながら、彼女は ゆっくりと微笑んだ。その顔は、強い邪気に彩られていて。 「ノーザ。一つ、聞いてもいいか」 扉を閉めて振り返ると、隼人がそこに立っていた。その後ろには、瞬も立っている。無関係を装っているが、意識は こちらに向けられていた。 「ノーザさん、でしょう。ウエスター君」 「――――っ。ノーザ、さん」 一つ、咳払いをして、彼は続ける。 「一体、どうしてイースにあんな役目を? 俺達に任せてもらえれば、インフィニティを奪いに行くぐらい、たやすいことだ」 「そしてプリキュアに負かされて、スゴスゴと帰ってくるのでしょう?」 ピシャリ、と冷たく弾かれて、隼人はムッとした表情を見せる。が、言い返さないのは、これまでの経緯があるから だろう。 那由他はそれに構わず、ポン、と彼の肩に手を置いた。 「ごめんなさい。貴方達を評価していないわけじゃないの。ただ、私は確実に事を進めたいだけ。それに――――」 「――――? それに?」 「あの子には、もっともっと、不幸になってもらいたいの」 その言葉は、純粋な悪意。隼人だけでなく、瞬ですら引く程に、強く激しいもの。 「ラビリンスを、メビウス様を裏切ったんですもの。たっぷり不幸になってもらわないとね」 彼らの眼に自分がどう映っているか、気にした素振りも見せず、那由他は、笑う。 「人の不幸は、蜜の味――――フフフ、せつなちゃん貴方の不幸は、どれだけ甘いのかしら?」 夕の朱が、空と街を染める。 その中を、せつなは一人、歩く。苦悩しながら、歩く。 耳元を離れない、彼女の言葉。 『インフィニティを渡しなさい』 出来るわけがない、と思う。 だって、インフィニティを渡せば、ラビリンスが全ての次元を支配することになる。そうなったら、ラブのいるこの世界も。 それに何より、インフィニティは、シフォンなのだ。彼女はもう、自分達の子供みたいなものだ。守ってあげなければ ならない、そう思う。 けれど―――― 歩きながら、せつなは唇を噛み締める。 脳裏に過ぎるのは、お母さんの姿。 左手の手首を見る。赤のハートが繋がったブレスレット。お母さんからの、贈り物。 『貴方のお母さんの命を奪うことも出来たのよ』 『私の手は長いの。そう、貴方に気付かれないように、貴方の大切な人に触れられるぐらいに』 ノーザの、あの言葉。 それが何を意味するか、わからない彼女ではない。 インフィニティを渡さなければ、お母さんが。 「あら。せっちゃん」 「え? お母さん!!」 不意に、背の向こうからかけられた声に振り向くと、そこにはあゆみの姿があった。買い物袋を持って、ニコニコと 優しく微笑んでいる。 「どうしたの? そんなに、驚いた顔して」 「え? あ、ううん、何でもないの――――それより、お母さんこそ、どうして? 買い物なら、さっき行ったのに」 「お醤油を切らしてたのを忘れててね。慌てて買いに行ってきたところ。ラブはせっちゃんを探しに行くって、出かけ ちゃったみたいだし――――そういえば、一緒じゃないの?」 言われて、慌ててリンクルンを取り出す。アカルンで部屋を抜け出した後、着信音が鳴らないようにしていたことを 忘れていた。見れば、ラブからの着信とメールが、たくさん入っていて。 「ごめんなさい、お母さん」 言ってから、ラブに電話をかけ直す。と、一コールもしないうちに、彼女が出た。 「もしもし、ラブ?」 「もーう!! せつなったら!! どこ行ってたのよっ!!」 いきなり大声で話されて、思わずせつなは耳を離してしまう。それだけ心配させてしまったのだろう。怒ってるラブに 謝りながら、せつなは今、自分があゆみと一緒にいるということを説明する。どこに行ってたかについては―――― 誤魔化すしか、なかったけれど。 「ふぅ」 「せっちゃんも大変ね。ラブにこんなに好かれて」 電話を切って溜息を吐いたせつなに、あゆみはクスクスと笑いながらそう声をかけてくる。 「あ、いえ――――大変なんて、そんな」 恥らうように言って、せつなはあゆみの手から、醤油の入ったビニール袋を取る。 「あら。ありがとう、せっちゃん」 「ううん――――お母さん」 「じゃあ、はい」 あゆみは、空いた手で、せつなの手を掴む。思わずドキンとする彼女を、あゆみは慈愛の笑みを浮かべて見る。 「思い出すわー。ラブがちっちゃな頃、よくこうして手を繋いで歩いたものよー」 「お母さん――――」 「だから、せっちゃんとも、手を繋いでみたいなー、って。ダメかしら?」 「そんな・・・・・・」 ブンブンと首を横に振るせつなに、良かった、とあゆみは言って。 ギュッ、と繋いだ手に、力を込めてきた。 その手のぬくもりに。 想いの深さに。 せつなは心に決める。 私は―――― お母さんを、守らなきゃいけない。 絶対に。 どんなことを、しても。 7-237へ
https://w.atwiki.jp/sakura398/pages/980.html
反日議員リストのように、反日ジャーナリストの定義を定めてください。田嶋陽子がSで、勝谷がSSSはおかしいと思います。勝谷は小沢を擁護する以外は、例えば竹島の問題を全国ネットで初めて取り上げたのも勝谷だし、改憲論者です。一方田嶋は極左中の極左のどうしようもない売国奴です。その他、辛坊や池上に関しても評価が悪すぎると思います。 - 名無しさん 2010-10-24 23 49 12 勝谷氏は外国人参政権を容認しており、世論を政権交代に巻き込んだ「偽装」保守。 - 名無しさん 2010-10-25 01 57 11 完全な保守派だったら、小沢を擁護することは絶対あり得ない。 - 名無しさん 2010-10-25 10 27 45 勝谷は改憲論者で韓国中国への批判も積極的です。一方極左の田嶋陽子は社民党の元議員ですよ?憲法9条が世界を平和にすると信じる馬鹿な論客です。左翼か右翼か中途半端な人間よりも極左の人間の方が良いということですか?それであれば左翼か右翼か中途半端な自民党よりも極左の社民党を応援してください。 - 名無しさん 2010-11-23 19 23 15 ↑ 綺麗事吐くなよ、偽装保守の愚か者が。http //www.nicozon.net/watch/sm12823087 - 名無しさん 2010-11-24 09 10 02ほんとだよな。マジ○ねよって感じ。 - 名無しさん 2010-11-24 09 30 19 ↑×3か↑×6ってさ、小和田家の問題でさんざん皇室を歪めた「アラン」ってヤツじゃないか。名前変えたって無駄なんだよ。 - 名無しさん 2010-11-24 09 50 26 それで偽装保守がましなの?極左がましなの?ちゃんとした反論しろよ - 名無しさん 2010-11-24 19 41 23 別に勝谷を擁護するわけじゃないよ。だけども精神構造と言動は極左と変わらないためSSS+。ってどういうことなの?左翼の精神構造って何? - 名無しさん 2010-12-11 03 24 31 勝谷は一度SSS+にしたので二度と変更できないので田嶋を「論外」に引上げるしかありません。 - 名無しさん 2010-11-24 10 21 30 今年の4月には、中国において、麻薬密輸の罪で、4人の日本人が死刑になりました。 - 名無し 2010-11-06 14 52 18 売国議員リストの売国度sssですが、永久認定はやめたほうが・・・。 - 名無し 2010-11-06 16 26 36 永久認定を止めることは変更できない評価を変更することであってそれもできません。 - 名無しさん 2010-11-06 19 30 58 チャンネル桜は統一教会とのつながりが指摘されているので,そこのところの反論も用意したほうがいいのでは? - 祐 2010-11-29 20 49 48 石原氏を親日有名人リストから削除願います。表現規制・ネット規制を言及し、完全に反日勢力の走狗と成り下がっています。 - 名無しさん 2010-12-09 17 33 52 該当ページが情報操作のためにロックされているため、暫定的に地方首長・地方議員その他の売国奴に論外レベルで追記してみた。あくまでこのサイトやマスコミに擁護されている現状を踏まえた暫定処置なので、行いとその度合いを差別・偏見なく議論し、より正確な評価を下して下さい。でないと、このサイトの売国度がますます上がるだけです。 - 名無しさん 2010-12-14 08 53 55 ↑SSS+にするとあなたのような工作員によるもの以外二度と変更できません。また地方自治体レベルのため全国規模の規制を首謀した高市より悪評価にすると辻褄が合いません。 - 名無しさん 2010-12-14 10 03 58 ↑ と、売国奴が申しております。……身勝手な判断で勝手に売国奴認定するぐらいだから、これぐらい書いても問題ないよな、うん。 - 名無しさん 2010-12-15 12 46 59 どうもお前は「特設ページで実施予定」の「と」の字も読めないようだ。 - 名無しさん 2010-12-14 10 05 50 SSS+は「二度と変動しない」だから暫定ならSS+かそれ以下の「将来引き下げできる」評価にしておく必要がある。 - 名無しさん 2010-12-14 10 22 06 投票所設置。 - 名無しさん 2010-12-14 13 00 24 どうもあなたはSSS+の「格付けは二度と変動しない」が読めてないようです。変更禁止の唯一の例外は「論外」への昇格です。よって暫定で使うことはできずやむを得ず消去したということです。あなたは「暫定でSSS+」と「SSS+=格下げ禁止」との矛盾をどう説明するつもりですか? - 名無しさん 2011-01-02 19 09 19 漫画の性表現を規制することが本当に「反日」なのか? 「反日」と「お前らが気に入らない」はちゃんと分けて考えてくれよ。それくらいもできないのか - 名無しさん 2011-01-06 00 39 26 一見性表現「だけ」を規制しているように見せかけて実際は非常に広範な規制が可能な条文にするのは今回に限らず規制派の常套手段です。 - 名無しさん 2011-01-06 00 47 09 常套手段というけど、前例はあるの? - 名無しさん 2011-01-07 01 56 03 あともう一つ聞きたいんだけど、「規制派」というのは反日なの? - 名無しさん 2011-01-07 01 56 40 はい。人の生命・身体に非可逆的な悪影響を及ぼす物品以外の所持を罰則をもって禁じることは憲法違反の疑いがあり、コンテンツ産業を衰退させ日本の反日特亜プラスワン勢力による侵略を加速します。 - 名無しさん 2011-01-07 07 46 30 例えば中国のような社会主義国家は言論の自由が規制されてますよね?これは外国の侵略を加速させていて、「反中」的な行為だと思いますか? - 名無しさん 2011-01-07 23 06 42 死刑廃止を売国実績から外していますが、そのことに対する是非を論ずる機会が必要と存じます。そのことを通報対象にするのは私は間違えていると思います。 - 名無しさん 2011-01-01 21 52 25 愛国議員リストと売国議員リストは、はっきりいって解散までの完成はムリだろう。頑張ってペースを上げて仕上げてほしい。でも全議員は厳しいので、①衆議院議員リスト②平成25年改選の議員③平成28年改選の議員と優先順位をつけて認定するのがいいと思う。なんとしても完成をいそいでほしい。 - 名無しさん 2011-01-03 21 30 44 とにかく総選挙に出る全員を評価をつけるべき。そっちが優先。ただし諸派はどっちでもいい。 - 名無しさん 2011-01-05 10 43 48 「自民党」「民主党」だけを評価すればひとまずそれでいいと思う。まだ余裕があればみんなの党とか立ち上がれ日本の評価。公明共産社民は論外なのがわかりきってるし評価は不必要。 - 名無しさん 2011-01-06 00 44 12 民主と自民は絶対だが、みんなは愛国と売国混ざってるし、たち日も保守議員が多く立候補すると思う。 - 名無しさん 2011-01-09 21 16 17 売国度SSS+は慎重に認定すべき最近乱立してるから - 名無しさん 2011-01-09 21 15 06 あとそれは掲示板で相談すべき。 - 名無しさん 2011-01-09 21 15 27 基準を新しくして、売国度SSS(永久国賊候補、もしくは暫定国賊認定)を作るべきだと思う。 - 名無しさん 2011-01-13 18 40 26 まったくその通りだ。いい加減な主観で永久認定を連発されても困る。SSSばかり付けられると、何が本質なのか分からなくなってしまう。 - 名無しさん 2011-01-31 00 07 12 渡部昇一がなぜ親日?朝鮮カルトが母体の世界日報を絶賛している野郎など反日の典型じゃないか! - 名無しさん 2011-01-13 23 15 39 愛国議員のS以上の評価がよくわからないです - 名無しさん 2011-01-15 17 19 58 なぜ議員の分類が「愛国」と「売国」の2種類しかないのですか?それだと売国でなければ愛国ということになってしまいませんか?その基準でいくと、表向きは反日行為を批判しながらも、目立たないところでさりげなく売国行為をするような巧妙な人物・議員が愛国に認定されてしまいかねないですよね。 - 名無しさん 2011-01-23 20 14 56 善悪二つに分ければ馬鹿にも分かりやすいからね。中高生洗脳するにはちょうどいいんでしょ。 - 名無しさん 2011-02-14 16 42 41 まさに、そこがこのサイトの問題点だと思うよ。 - 名無しさん 2011-02-17 17 17 52 英語の基本知識のところで「単語の勉強をするには~」の記述で、一日後、三日後、一週間後が良いと書かれていますが、あれは勉強した日からなのか、一日後から三日後(勉強した日から四日後)のどちらですか? - 名無しさん 2011-01-24 19 17 24 反日企業ランキング はどうするつもりですか? - 名無しさん 2011-01-29 13 36 09 中国の歴史・中国文明がわかりにくいという指摘があるけどどう思う? - 名無しさん 2011-02-14 10 50 43 全体的に見直しをしたほうがいいと思う - 名無しさん 2011-02-17 16 52 23 売国奴SSS+に何の議論もなく認定される議員が続出している件について - 名無しさん 2011-02-17 17 09 36 そもそも「中国文明」なんてないんだよ あるのは「支那文明」 書き改めたほうがいい - 名無しさん 2011-02-18 10 00 23 そんな細かいところは手前で書き換えろ - 名無しさん 2011-02-20 01 06 46 このサイトは反日の実態について国民に知ってもらうサイトとして『反日主義』がだいぶ下のほうにあるのが気になるだけど? - 名無しさん 2011-02-21 11 11 19 ページ全体が非常に繋がりにくく、まともにページを見れません。Dos攻撃を受けている可能性があります。至急、対策をしてください。 - 名無しさん 2011-03-22 00 20 57 参考 つttp //www.altech-ads.com/product/10001077.htm - 名無しさん 2011-03-22 00 21 43 小林よしのり氏の評価を変更すべきかも知れません。最近の氏の言動は勝谷のそれに非常に似通います。また、氏は勝谷と浅からぬ関係があるようですし。 - 名無しさん 2011-04-08 20 54 33 上杉隆が反日なのもおかしい。このHPを運営する朝日にとっては勝谷同様、都合の悪い人物に見えるんだろう。 - 名無しさん 2011-12-27 10 34 36 国際的な場では英国女王も天皇に上座を譲るのです。←これは、在位年数が関係してるって聞いたけど、どうなの? - こくみんA 2012-01-19 19 41 38 櫻井よし子さんの評価も変えた方がいいと思います。TPP関係で。 - 名無しさん 2012-01-20 16 37 33 誰だよAKB48を愛国リストに入れたアホは?成り立ちと後ろのどす黒さ等を加味したら売国SSS+でも問題ないぞ このままAKBヲタを放置し続けてたらこのWikiの信憑性まで疑われる危険性があります - 名無しさん 2012-02-11 03 14 51 「表現規制」関連のページをシコシコ編集してる奴って誰だよ。内容がヒステリックすぎてアニオタの自分でも見てて引くんだけど。このままほっといたらこのサイトの信用がなくなるぞ。 - 名無しさん 2012-02-12 16 41 43 http //www10.atwiki.jp/syoutai/pages/14.html←こいつの仕業。このWIKIに粘着していたい書き込みをしてる。こいつの作ったページを廃止しらいいいや批判してみると釣れるwそれでわかるから - 名無しさん 2012-02-29 22 39 14 氏との討論は ここ で。 - 名無しさん 2012-06-18 21 05 03 ↑↑もう疑われてるよ。何故ならこのHPは朝日と創価と電通と博報堂と解同の自作自演。 - 名無しさん 2012-02-29 19 12 31 上杉が反日なのは?だが、勝谷が反日なのは同意。まぁ、都合が悪くなると朝日だの創価だのって妄想シコシコするしか能のないキモオタが多いから無理はないが・・・ - 名無しさん 2012-05-27 13 59 17 my日本批判よりも、当HPを反日勢力から我々一般日本国民が奪還せねばなるまい。 - 名無しさん 2012-06-06 13 38 28 ↑↑妄想じゃなくて、此処は反日勢力による保守派潰しの為のサイトだよ。いい加減目を醒まさないと。 - 名無しさん 2012-06-12 21 19 45 いずれにせよ反日在日朝鮮人を一掃するのは急務ですね - 名無しさん 2012-06-14 18 33 40 反日超汚染人 - 名無しさん 2012-06-18 18 39 46 ↑↑とか勇ましいこと書いてる割にな~んもしない。つくづくヘタレだなぁw - 名無しさん 2012-06-25 17 12 49 TPPの項目がない - 名無しさん 2012-09-09 01 39 48 正体がバレるのでシカトです。 - 名無しさん 2012-10-19 13 16 16 犬に対する度重なる非礼には今後注意していただきたい - 名無しさん 2012-09-19 05 40 08 「橋下徹の正体」のページにこの動画の記事の追加をお願いします。http //www.youtube.com/watch?v=gmsndCoIZoc - 名無しさん 2012-09-24 22 58 49 動画が多く組み込まれているページが重すぎます。直リンクするなどの対策をとっていただけないでしょうか?重いと感じるのは私だけではないと思います。普段インターネットを使う際、あまりストレスを感じない程度のスペックですから。 - 名無しさん 2012-09-28 23 17 21 コチラのほうがよさそうだと思い、書き込んでみます特定ゲーム会社のアンチスレにこのサイトの反日企業の内容をあげて「アンチ対象の企業よりもこの企業はマシ」とするような書き込みが存在します。無断転載は良いとしていますがこのような形で拡散したら心象を悪くすると思いますので「アンチ行為のために内容を転載しない」という形にできないでしょうか? - 名無しさん 2013-01-27 15 18 31 「拡散」と称して、関係のない場所へコピペをばら撒くのは逆効果ではないか? - 名無しさん 2013-03-13 10 36 15 戦争反対であるが故に反日扱いの人が居たがそれはオカシイと思う。戦争賛成の方が日本に悪影響を及ぼすはずだと思う。 - 名無しさん 2013-04-03 07 13 09 自民党の悪政はスルーですか?雇用制度(非正規増加)や賃金制度(生活保護引き下げ)の改悪は無視か?ここの管理人は米国共和党から雇われてるだろ、韓国は日本同様米国の衛星国だからな - あ 2013-05-03 20 56 30 矢張り、此処の管理人は天皇が嫌いなんだよね。日本を共和主義にしたいのか? - 名無しさん 2013-07-15 20 21 27 掲示板がしまっているのでここに書きます 7/31 に衆院選 岐阜?の柴橋候補の編集を行いました そしたら変な風になってしまいました どうか誰か直していただければと思います - 初心者 2013-07-31 19 27 26 このサイトは大変支持してますが、フェミニズムはそんなに諸悪の根源なのですか?確かに色々読んでいると今の日本のジェンダーフリーが暴走し過ぎていると思います。でも男性差別が残っているとはどういう部分ですか?配偶者控除→男性差別とありましたが、私みたいに女で世帯主が自分でパートナーを養ってきた人達はどういう風に捉えれば良いのですか?働く女性を全面否定してはいないとありましたが、多かれ少なかれは批判なされているのですか?自殺者増加もありますが、職を失った男性で、それが理由で自殺されている方がよっぽど少ないと思います。自殺者の殆どが鬱病などで精神科での通院で、処方された抗うつ剤が、かえって鬱を煽り希死念慮を招いて自殺者増加傾向だと警視庁からでも発表があったと思いますが……犯罪も同じく向精神薬の影響もある可能性もあるとの事です。安易に自殺や犯罪における治安維持がフェミニズムと結びつけるのは乱暴な意見だと思いますが。あと洗濯などの家事を男性がしたら何か不都合なのですか?私は世帯主なので、パートナーを養う義務を果たしてきていますが、それでも女性は今だに男性の擁護しなければならいのですか? - 名無し 2013-08-31 10 05 22 あ〜あ、サイトの評価がおかしく偏重になってるんだけどここの管理人の脳おかしくなってんじゃね、しょせんただのクズだったのか・・・・・・ - 名無しさん 2013-10-01 22 51 08 何処のサイトにも偏った考え方したり、おかしな投稿する人を見かけますが、日本を良くしようとする思いは、みんな同じと思うので、思想の右も左も関係ないと思います。これからも、こういう場を大事にしていって下さい。 - 名無しさん 2013-10-02 16 48 04 それはbaikokukigyoによる自作自演ですよ。これを見てください http //www18.atwiki.jp/nihonnkiki/pages/243.html - 名無しさん 2013-10-08 19 03 32 右イコール善、左イコール悪てのは人類の常識ですが何か?ならば、鈴木邦男や義勇軍みたいな似非派は邪悪以外の何者でもない。 - 名無しさん 2013-11-24 23 23 55 反日企業ランキングに、韓国系企業のNHNという会社を追加してもらえませんか? あの会社は最悪と思います。LINE利用者の個人情報を吸い上げしたり、livedoorのブログや、livedoorの掲示板は、日本人叩きする捏造記事があまりに多過ぎます。本当に悪質な企業と思います! - 名無しさん 2013-10-08 18 53 55 同じ中身のページを二つ作らないでください。 - 名無しさん 2013-11-01 20 12 30 反日マスコミ関係者名簿に手元の「反日有名人リスト」データから人物を転記、さらに1名を新規追加。 - 名無しさん 2013-11-15 20 52 14 内容は最高なのに、サイト表示までが長い。。。誰かの工作? - 名無しさん 2013-11-27 06 59 14 もう終ったねこのサイト - 名無しさん 2013-12-04 23 14 19 インターネット全般が終わってるでしょ。文句がある人は、日本版ウィキリークスのようなサイトを自分達で作ればいいと思う。 - 名無しさん 2013-12-05 17 00 47 クロヒョウと言うゲームプレイして感じたのですが今更ですがセガの中に特亜の社員いるめのですかね?所詮ゲームと言われればそこまでですけどね - 名無しさん 2013-12-09 07 34 41 北教組のページにいじめ事件隠蔽を指示したりいじめ調査の妨害を支持した事実が無いのは全く納得出来ません。いじめ事件を北教組が隠蔽して来た事実や北海道教育大学における革マルの浸透の実態とかを書くべきです。 - ナナシ (2021-09-02 09 54 09) あと北教組の名簿とかを公開するべきです。いじめ隠蔽に関与した校長や教頭教師の炙り出しをやるべきです。 - 名無しさん (2021-09-02 09 57 22)