約 1,037 件
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/3563.html
新桃太郎伝説 【しんももたろうでんせつ】 ジャンル ロールプレイング 高解像度で見る裏を見る 対応機種 スーパーファミコン メディア 16MbitROMカートリッジ 発売・開発元 ハドソン 発売日 1993年12月24日 定価 9,800円 書換 ニンテンドウパワー1997年9月30日/1,000円/F×4・B×4 プレイ人数 1人 セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ) 判定 良作 ポイント 打って変わったシリアスな桃太郎伝説サウンド、グラフィックをはじめ、ゲームとしての完成度が高いバランスは少々難あり 桃太郎シリーズリンク 概要 ストーリー 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 ハドソンの看板シリーズである桃太郎伝説シリーズの一つ。 本作はFC版『桃太郎伝説』のリメイク作としてPCエンジンで発売された『桃太郎伝説ターボ』の続編である『桃太郎伝説II』のシナリオやゲーム性を練り直したリメイク作品だが、内容は大幅に変更され、ストーリーの大筋は踏襲しつつ大きく趣の異なる作風に変化している。 ストーリーこそFC版初代のストーリーの続き(*1)となっているが、先に述べた通り、「第1作目のリメイク版の続編のリメイク作」という位置づけなので、厳密にはFC版の直接の続編ではない。(*2)。 ストーリー 桃太郎がえんま大王をこらしめてから6年の月日が流れた。 平和が永遠に続くと思われていたある時。鬼族の総大将・伐折羅王の腹心である鬼カルラの暗躍により、愛と勇気に目覚め人と鬼の共存を訴えていたえんま大王が失脚し、奈落の底に幽閉されるという事件が起きた。人間世界の侵略をもくろむ伐折羅王は、カルラの進言に従い、人間の希望の象徴であるかぐや姫を手中に収めんと魔の手を伸ばす。かぐや姫に危機が迫っていることを知った桃太郎はすぐさま月の宮殿へと向かうが、立ちはだかる伐折羅王の息子、ダイダ王子との戦いに敗れさり、全ての力を奪われて月から叩き出されてしまう。 生家で目覚めた主人公は、かぐや姫を救い、再び伸びる鬼族の魔の手から世界を守るべく、決意を新たに旅立つのだった。 評価点 シナリオ それまでの桃太郎伝説シリーズの持ち味だった牧歌的な雰囲気やギャグ要素が尽く廃された、これまでからは考えられないほど重くシリアスな展開が持ち味。昔話をモチーフにしているのは変わらないが、根底にあるのは「上座部仏教と大乗仏教の対立」である。これは公式攻略本にも明記されている。 「上座部仏教」とは「厳しい戒律と修行の果てに自己の救済を目指す」という仏教思想で、対する「大乗仏教」は「自己の解脱よりも他者の救済を重んじる」という仏教思想であり、それぞれ『実力主義と封建社会の厳しさの中で生きる鬼たち』と、『人助けと融和を重んじる桃太郎たち』になぞらえられている。 話の展開上、「鬼の支配(上座部仏教)」を「桃太郎たちが解放する(大乗仏教)」ことになっているが、もちろん現実の世界でこれらの思想に善悪のくくりがあるわけではない。(*3) 特にその物語に華を添えるのが、リメイク元の『II』には居なかった悪役『カルラ』の存在。鬼族の王である伐折羅王 (『II』での地獄王に相当)の腰巾着であり、行く先々で桃太郎たちの前に現れて様々な嫌がらせを仕掛けたり、何かあるたびに伐折羅王に虚偽の報告をしていたりする、裏の主役とも言える存在である。 その所業はネタバレとなるため詳しい記述は避けるが、作中で今までのシリーズからは想像もできないような暴悪で残忍な悪行を幾度となく行い、桃太郎シリーズはおろかRPG史上でも屈指の外道悪役として今でも名を馳せている。 作中のある場所で語られる鬼族の世界観やカルラの生い立ちの中にはそうならざるを得なかった事情もある(*4)にはあることが読み取れ、プレイヤーに複雑な感情を抱かせた。開発日記いわく「悪いけど哀れな奴」とのこと。 『ファイナルファンタジーVI』のキャラクターであるケフカとは劇中での立ち位置など共通点が多い。なお、偶然とはいえゲームの発売時期もかなり近い。 システム面 RPGとして、以下のような意欲的なシステムが盛り込まれている。 『絶好調』 フィールドを歩いていると一定確率でキャラクターが絶好調になり、戦闘中のステータスが大幅に上昇する。一定時間で元に戻ってしまうが、上手くボス戦に持ち込むことができれば大幅に有利となる。(ただしボス戦では恩恵が通常戦闘より小さくなるように設定されている。) これは、後の桃太郎電鉄シリーズや、PS版『桃太郎伝説』にて復活することとなった。 『タクティカル・ウェザー・バトル』 フィールドでの敵キャラとの戦闘には「天気」という概念がある。各キャラや一部の術に得意な天気 苦手な天気が割り振られており、天気によって戦況が変化するというもの。味方だけでなく敵にも得意な天気が設定されていて、その天気に変更する能力を持っていたりする。 一例をあげると、最序盤から出現する『カエル』という敵は、雨ごいを行って天気を雨に変えるが、雨になると攻撃力と防御力が2倍になる。また『ひとだま』という火の化身のような敵は、怒りで燃え上がる事で攻撃力と防御力を2倍にするが、雨(雷雨)が降っていると次のターンに元に戻ってしまう……といった、天気に絡んだ特徴がある。 どの天気になるかは毎回ランダムだが、南国は日照りになりやすい、海では時化が発生するなどの特徴分けがなされている。 現在の天気が得意である場合、毎ターン体力が回復する、ステータスが増加する、術の消費技量が半分になるといった効果が発生。逆に苦手な天気の場合体力が自然減少したり、術の消費量が増加する。中には全く動けなくなったり、戦闘から逃げ出してしまうという極端な仲間も。術の威力も天気によって増加したり減少したりする。 回復役として重要な浦島は苦手な天気が4つと多い。元々の体力が低いところに体力減少が加わってしまうので、戦闘の際には注意が必要となる。 なお、天気は一部のアイテムや術などで意図的に変化させることも可能。 『人気度』 桃太郎が人々からどれくらい支持されているかを示すステータス。 このステータスが高いと、店で割引をしてもらえる、利用できる施設が増えるなどの利点が生じる。逆に低いと店に高い値段を吹っ掛けられたり、お供が命令を聞かなくなってしまう。 この人気度がある程度以上高くないと入れない場所や、一定以上無いと仲間になってくれないキャラも存在するが、普通にクリアするだけなら無視しても問題はない。 人気度は困っている人の手助けをする、ボスキャラをこらしめるなどで上昇し、敵の甘言に乗せられる、嘘をつく、仲間を戦闘不能にするなどで減少する。 『II』でも“桃太郎らしくない行動”に対するペナルティはあったが、本作は悪行に対するペナルティと善行に対するご褒美をより明確にしたものと言える。 『各仙人との修行』 桃太郎はレベルアップで術を覚えないため(*5)、フィールド各地の庵に住む仙人を訪ねて術を伝授してもらう必要がある。そしてその修行がバリエーション豊富。 桃太郎一人で仙人と戦い勝利する、指定された敵キャラを一定数討伐する等定番のものから、仙人がしたオナラの数を数えるといった修行とは言い難いものまで様々。 個性的なキャラ 仲間キャラの総数は当時のRPGとしては破格の多さ。またキャラごとに癖や使い勝手も大きく異なるので、個性が大きく出ている。 重要イベントの際に特定のキャラをつれていると、仲間や敵のセリフが変化するようになっており、パターンも豊富。 また、フィールドを歩くときに仲間が好き勝手に歩く『アクティブ・ウォーキング』など、細かいところにも独自性が見られる。 敵キャラもそれぞれ独自のトリッキーな技を使うものが多く、敵との戦闘では毎回細心の注意を払う必要がある。 様々な伝承・民話や仏教用語に由来する敵が多数登場しており、雪女や海坊主のような著名どころから、「うわん」や「いつまで」のようなマイナーな妖怪まで敵の種類は実に幅広い。不喜、悪杖、はちずまびんなど変わった名前の敵は十六小地獄の名称に由来していたりする。 「一体の敵に必ず一つ以上の特殊能力を」という意気込みで作られたため、ザコからボスに至るまで皆非常に個性的。そのぶん、ややゲームバランスが犠牲になっている側面もあるが……。 シリーズ恒例のギャグ敵も健在。 パロディ表現への厳しさや作風のシリアスさゆえか、時事ネタやパロディは鳴りを潜めてしまっているが、相変わらずのコミカルなノリでシリアスな雰囲気を適度にほぐしてくれる。 その他 格調高い純和風のBGM群 作曲は旧作でおなじみのサザンオールスターズの関口和之が担当し、いずれも名曲揃いである。 中でもボス戦、ダイダ王子戦、風神 雷神戦、嵐の海戦、そしてラスボス戦のBGMは特に評価が高い。 また、効果音も非常に秀逸なものが揃っている。戦闘開始時や鹿角の術、痛恨の一撃などは印象的で、プレイヤーの思い出(またはトラウマ)を呼び起こすような、良くも悪くも一度聞いたら忘れられなくなること請け合いである。 戦闘勝利時やレベルアップ時のジングルなど、旧作でお馴染みだったものが新規の者に入れ替えられているなど、ゲーム全体の雰囲気に合わせた重厚かつシリアスな曲調で統一されている。 細かなところや妙なところへのこだわりよう、力の入れようも凄い。 本作の題字『新桃太郎伝説』は今井凌雪氏(黒澤明監督の映画の題字を手がけたことでも有名な、本職の書家)にわざわざ依頼して書いてもらっている。 桃太郎シリーズのお約束である女湯イベントなど、細々としたイベントやミニゲームにも力が入っている。 賛否両論点 旧作と比較して顕著なシリアス要素と死亡描写 『敵を殺すのではなく懲らしめる』という根底こそ貫いている(*6)が、ストーリー展開上、登場人物の殺害シーンなどのショッキングな展開が多く、殺伐とした雰囲気が顕著。 ギャグ基調から重厚かつシリアスなストーリーへの転換を好意的に受け止めて評価しているプレイヤーは多いが、ほのぼの感あふれる作風を特徴として他作品と差別化していたシリーズだけに、旧作からのファンの中には否定的に見る層も存在している。 夜店の難易度と景品のバランスが悪い 金太郎の村を解放すると夜店が出現し、4種類のミニゲームを遊ぶことができる。そして稼いだ得点に応じて景品が貰える仕組みとなっている。 一番簡単なのは「桃カルトクイズ」で、問題の種類も少なく100点を取るのも容易。更に景品のびっくり玉は序盤としてはそこそこ高値で売れる(*7)ため、一種のバランスブレイカーとなっている。 「ポコポコジャンケン」は100点を稼ぐのは難しいがその分景品も豪華で、ランダムでレアアイテムに化けるギヤマンの玉と難易度に見合った物が用意されている。 一方で「桃まとあて」はジャンケンと同等かそれ以上の難易度を誇るにもかかわらず、100点の景品が簡単に入手可能な仙人のかすみと明らかに苦労に見合っていない。 ちなみに「ポコポコジャンケン」の景品の中には仙人のかすみの上位種である仙人の桃も含まれている。あんまりにもあんまりである。 「桃ふくわらい」に至ってはドット単位で減点されるため、人力で100点を取るのはほぼ不可能(*8)。そして仮に100点を取れた場合は万能丹が貰えるのだが、このアイテムは同じ金太郎の村の薬屋で少々値が張るとはいえ普通に販売している。 これに関しては上3つのミニゲームに比べて極端に難易度が高いことから、攻略上の有用性を敢えて下げることで寄り道のやり込み要素に特化させたとも解釈できなくもない。 裏技やバグ技が非常に多い 小ネタ程度のものから中にはゲームバランスを著しく損なうものまで多種多様。ただしこれら裏技自体もやり込み要素の1つと捉える事もでき、一概に否定はできない。 代表的な例を挙げると…… 桃太郎の技数の最大値を863~865まで強化すると鹿角の術の技消費量が0になる「無限鹿角」 えんま様の1回目のコマンド入力後、ある手順を踏むと最大99回までコマンドの回数を増やせる「えんま様無限行動」 敵の体力を半減する半分の玉をボス戦で使用すると効きめがなかったと表示されるが実際には効いている「半分の玉バグ」 風神の谷でぬけだしの術を使用すると風神との戦闘をスキップできてしまう「ぬけだしバグ」 問題点 レスポンスが遅い。 特にフィールド画面が顕著である。メニュー画面を開く、仲間同士でアイテムを交換するなどの動作でイライラさせられやすい。 操作性が悪い。 町中では歩行速度の調整ができるが、フィールドやダンジョンでは遅い速度でしか歩けないなど、微妙に不親切。町での移動速度を速くしていると、ダンジョンでのノロノロした歩みに苛立つことだろう。 かと思えば、船に乗ったときの速度は勢い余って陸地に上陸してしまうほどの異常な速さ。狭い川に入った時などはとても操作しづらい。 この移動速度の調整には紆余曲折あったらしく、本編発売前に放送されたテレビCMではフィールドやダンジョンを町中と同じ速度で高速で移動していたりする。 エンカウント率が非常に高い(*9)。特に橋の上を通ると当時のプレイヤーから「橋を通る度に敵が出た。これは何かの陰謀か?」と言われたほどに高確率で敵と遭遇する(*10)。 その上雑魚敵も全体的に強く、ダンジョンでは常にギリギリの戦いを強いられる。 ただし、こちらにも敵全体に会心の一撃を繰り出し敵をほぼ一掃出来るようになった鹿角の術など、対抗手段は決して少なくはない。また一度倒した敵と遭遇しなくなる「オニよけの術」、敵との遭遇率を下げる「かくれみの」といったものもあり、こちらは逆に強力すぎるため一応のバランスはとれており、救済措置が全くないわけではない。 「しょうけら」という敵は此方の呪いを解いてくれる他、倒すと改心の証として味方1人のHPを回復してくれる。 「黄粉坊」という敵は逃げ出しやすいが、なんと 倒したキャラの体力と技を全回復 させてくれる。 wikiや攻略本によると、本作の実質の制作期間はわずか 4ヶ月 しかなかったとの事。バランスが厳しいのもこのためであり、どうあがいても難易度調整が間に合わなかったため、これらの敵を配置してしのいだらしい。 このゲームに限らず、この時期のハドソンのRPGは(バースデイなどのデベロッパー会社なども含んで)全体的にエンカウント率が高い傾向にあるので、社内の空気と言うか方針がそんな感じだったのかも知れない。(*11) 物価が非常に高い。 特に装備品の値段が際立っており、先の村へ到達するほど価格が容赦なく上がる。 また物語後半で建造した自分の城を飛行させたり、海に潜らせるために莫大な資金が必要になる。(どちらもクリアには必須) さらに城に大砲をつけようとするとそれらを上回る金額を請求される。大砲はクリアに必須ではないが…。 お供の活躍頻度の減少。 キジ、イヌ、サルのお供たちはそれぞれ固有の特技を持っており、前作『II』では無制限に使用できたのだが、今回は特技一回につき、きび団子一つを消費するようになった。 特に、その場で即エンカウントを引き起こす効果のあるイヌの「敵を呼ぶ」は『II』において経験値・資金稼ぎをする上で非常に重宝したのだが、今作では気軽には使えない。お金が増える後半でも、やはりアイテム欄を圧迫する 買い込む作業が面倒という点で変わりはない。 代わりに同じく敵を呼ぶ効果を持ち、何回使ってもなくならない「鬼の笛」というアイテムがあり、比較的簡単に入手できるのでそちらが使われる。 特技を覚えさせるにはエサを買って食べさせないといけないのだが、これが人間用の回復アイテムの何倍も高い。しかも3種類の数値がランダムで上がり(*12)、その数値が15とか30まで上がらないと使えない特技もある。早い段階で覚える特技はほんの大道芸程度だが、後々の特技は使い勝手も上がり、またそれぞれ上限の50まで上げると貴重なアイテムが最大3x3の9個まで手に入るので、一応救いはある。もっともそこまで育てるには、かなりの根気と金が要求される。 戦闘中に食べさせると毎ターン援護してくれると言う非常に助かるシステムが存在してはいるが、桃太郎の道具袋から使わないと食べさせられない。イヌサルキジを全員参加させようと思ったらそれだけで主人公の道具袋の3/8を圧迫するのである。 またイヌやサルの特殊攻撃はボスにほとんど通用せず、かといってザコ戦へ呼び出すには前述の通りコストが高い。そのためキジだけを参戦させることになりがち。 キジは味方の支援や回復術を使うので、ことボス戦だと治療の手間を減らしてくれて都合がいい。イヌやサルは弱点を突いたり怯ませたりが得意なのだが、バランス取りのためかボスに効きにくいので呼び出す意味がほとんどない。 役に立つ仲間と役に立たない仲間の落差が激しく、結果的にメンバーが固定されやすい。 桃太郎、金太郎、浦島、夜叉姫の4人で組むのがストーリー的に妥当であるが、癖はあるがオリジナルの強力な術を使えるあしゅらはこれらのメンバーを凌ぐほどの性能を持っており、旧作よりも弱体化が激しく微妙な性能の夜叉姫(*13)を抜いてあしゅらを加えるプレイヤーも多い。 サブキャラは癖の強いピーキー性能のキャラが多く、特にデメリットがきついキャラは縛りプレイでもない限り、試しに使ってみたらお払い箱になってしまいがち。 天の邪鬼や雪だるま(どちらもランダム要素が多すぎて安定しない)、貧乏神(*14)や福の神(どちらもステータスが極めて低い)、寝太郎(ステータスは最強で攻撃時は必ずクリティカルが出るが1/16の確率でしか行動しない)、といちや(メンバーの術をほぼ全部使える等、一見すると万能だが、事あるごとに大金をせしめる)、でか太郎(これらのキャラクターの様な目立ったデメリットこそ無いが、空中の敵相手でも命中率が下がらない事以外これといった長所が無く、ステータスも標準以下)などのデメリットのせいで使えない奴は本当に使えない。 一方、敵からの通常攻撃を無効化するはらだし(*15)、鍵盤のパターンさえ覚えてしまえば他のキャラでは使えない強力な効果を生み出すことができるましら(*16)、加入するのは終盤だが高ステータス+強力な術に加えてメガガルーラもびっくりの1ターンにデメリットなしで完全2回行動が可能なえんま様(*17)の3人は、プレイ方法を練ると明らかなバランスブレイカーになってしまうほど強力。えんま様に至っては特にプレイ方法を練らず普通に使っても、上記のメインキャラクター4人やあしゅらを凌ぐほど強い。 後半で風神と雷神が仲間になる。風神はパラメータが高い肉弾戦タイプで、ある程度回復術を使用可能。一方の雷神は体力と技以外のパラメータは低めだが、覚える術にかなり強力なものが揃っている。ただし雷神は、風神がPTにいる時でないと使えない術もあるため、この2人はセットで運用しないといけないので、PTの編成選択肢が狭くなりがち。とはいえ、彼らが仲間になってしばらくは海に出る機会が多く、彼らに有利な天気である雷雨や時化に恵まれやすいため、起用する価値は十分にある。奈落の洞窟でも活躍が見込めるうえ、HPが高いことから直属の上司であるえんまを幽閉している牢獄の破壊とも相性がいい。 銀次は専用装備の包丁をそろえるのにお金がかかる他、術は使えずパラメータも平凡。しかしながら「盗む」で敵のアイテムを奪えるという強みがある。 黒河童は覚える術が個性的で、特殊攻撃技も味方に有利になるものが殆ど。しかし装備が一切できない上、戦闘中に攻撃を受けると確率で『腕が抜ける』『頭の皿の水が零れる』などが発生し、その戦闘中は攻撃力が大きく低下するデメリットがある。 なお、弱いキャラが弱いとされる要素の一つに「ろくに装備ができない」というのがあるが、何故か「鎧は着れないが足袋は履ける」連中が多い(*18)。普通に考えれば逆なのでは? 大江山の暗号やあしゅらの謎かけなど、ストーリー上避けて通れない謎解きの中に異常に難しいものがある。 どちらも多少のヒントはもらえるが、はっきり言って(本作が最もターゲット層として想定しているであろう)小学生高学年あたりまでの子どもには難しすぎる。親や友達まで巻き込んで頭をひねった人も多いことだろう。 取り返しのつかない要素 終盤になるとシナリオの都合上、フィールドマップの行き先が制限されてしまい、行ける場所が愛と勇気の国、月の一部、鬼ヶ島しかなくなってしまう。こなしていないイベント、取得していないアイテムなどを残したままイベントに突入してしまう泣きを見る羽目になる。 この点を予期させる展開が存在しないため、初見プレイ時に泣きを見たプレイヤーは多い。 また、ラスボス目前まで話を進めると、今度は月にも行けなくなってしまう。 不要になった一部の装備品は捨てられない。 本作では装備しているアイテムは所持アイテムに含まれないシステムとなっている。 しかし、えんま様の装備できる武器や防具は、なぜか売る事も捨てる事も出来ない。因みに全てつづらからの入手であり店では扱っていない。 といちやに預けられるアイテムの上限もそこまで多くない本作では、最強装備である紅蓮の独鈷と黄泉の衣以外は、最終的に邪魔になってしまう。普通に進めた場合、合わせて6個ほどアイテム欄を圧迫することになるだろう。 なお、裏ワザ・バグの範疇ではあるが装備品を買う時に「下取り」を実行した場合、通常売れない装備品でも下取りできる。武器であれば全員共通で装備できる武器が店売りされているので、「下取り」で処分することが可能。 一部レアアイテムの入手場所のヒントがゲーム中に存在しない。 「四神の刀」という、ゲーム中のある場所に持っていくことで特典が得られる四振りの刀があるのだが、そのうち「朱雀の刀」以外の三本は地面に埋まっている上、その場所についてはゲーム中一切のヒントがない。攻略本などの情報なしでは、イヌの特技「ここほれ」を使って全てのマップをしらみつぶしに探索していくしかないのである。 もちろんなくてもゲーム進行には全く影響がない。また4本のうち最強の「青龍の刀」があるダンジョンはクリア後に再訪する方法が少々わかり難く、「取り逃すと取り返しがつかない装備」と勘違いするプレイヤーも多かった(補足すると、なんとなく怪しい置き方をされたつづらの近くにある)。 これらの刀は戦闘中にアイテムとして使う事で様々な術が発動するのだが、これに関しても説明が無い。これの他に使って効果が発動する武器は他に朝凪のモリと夕凪のモリと言う一対の銛が存在しているのだが、やっぱり何の説明も無い。 四神の刀は汎用の店売り刀と同じく多くの仲間が装備出来るため、専用の最強武器を持たない仲間は青龍の刀が最強武器になる。このゲームには「ものふやしの玉」と言うどんなレアアイテムだろうが複製出来る便利な道具があり、人数分用意する事もちゃんと可能なのだが、そもそもオリジナルを手に入れられなければそれも適わない。 『桃太郎伝説ターボ』にも「うごのけん」「ふしまちのけん」といった入手場所ノーヒントのレアアイテムはあったが、こちらは決して高性能とはいい難くギャンブル性の高い武器であるため、見つけなくても何の問題もなかった。 仲間ごとに設定されている「体重」の平均が48キロでないと通れないポイントがある。だが、ここがとんだ初見殺しになっている。 + どう初見殺しかというと…… 上記の定番メンバーで挑むとすんなり通れるのだが、そこを通る際にイベントで風神によって仲間(その場のメンバーのみ)がバラバラな方向に飛ばされてしまう。 特に回復担当として重要な浦島の再加入が非常に遅く、回復を浦島に任せっきりだった場合、辛くなる。 実は、この期間中にすでに仲間に入っているあしゅらが有能(*19)で、『ランダム要素があり不安定だが、期待値的には回復量が多い』「まほろばの術」を使える上に攻撃役としても優秀。なので浦島はいなくてもそこまで問題が無いのだが、あしゅらは癖の強い術が多く、防御力が低い欠点がある(*20)ため初見では強さに気づきにくい。 たくさん居る仲間キャラを色々使ってもらうための措置だと思われるが、上記の通り使えるキャラと使えないキャラの差が激しく、加入時は全員一律で一段(レベル1)のため、特定メンバーを集中的に育てていると文字通り1から育て直すことになってしまう。 また、この場合後述のじゃこつばばあ戦の難易度が高くなる可能性が出てくる。直前に夜叉姫が人質に取られるため必然的に控えメンバーをパーティに加えて戦力を補強しなければならなくなるのだが、初めて新しい村に入った時点で、夜叉姫以外にも城に残った控えメンバーが2名ランダムに人質に取られてしまう。 この時点で戦力になるメンバーは余程偏った使い方をしていない限り金太郎、浦島(*21)、あしゅら、ましら、銀次しかおらず、この5人のうちの誰かが人質に取られてしまったら弱いメンバーを1名パーティに入れて挑まざるを得なくなる。 戦闘敗北時の仕様が従来シリーズから変更された。 旧作では「ドラゴンクエスト」シリーズ同様、「全滅時はイベント進行状況、アイテム、経験値はそのまま据え置きで続行」であったが、本作では敗北すると最後にセーブした地点からやり直しとなり、それまで進めたゲーム内容や育てたステータスがリセットされてしまう。要は「敗北」=「ゲームオーバー」である。 当時のRPGとしては決して珍しくない仕様ではあるが、本作は主人公が倒された時点で仲間が残っていても敗北になってしまう(*22)。 桃太郎は仲間の中でも高ステータスであり、その上いい装備品を付けられるのだが、敵の攻撃も熾烈なため敗北の機会は比較的多い(*23)。油断は大敵、長時間セーブをしないまま進めて桃太郎をうっかり死なせてしまいゲームオーバー…という事態も起き得るため、本作をストレス低く攻略したいのなら、こまめなセーブが推奨される。 この点は『ファイナルファンタジー』シリーズのように、イベント途中で仲間が増減する機会が多かった(特に本作ではボス戦の最中に加わる仲間もいる)ことやストーリー性重視の内容に変化したことも関係あるのかもしれない。 「人気度」システムのバランスがやや不安定。 人気度が減少する条件に、仲間の戦闘不能や戦闘からの逃走といったものが含まれている。逆に上昇する条件は少ない上に、厳しかったり面倒なものが多い。 そのため、基本戦闘では仲間を殺さず、逃げずに戦うことが求められる。しかし初見でそれを成し遂げるのは少々難しいので、どうしても人気度は下がりがちになる。 一方で、面倒ささえ乗り切ればごくごく序盤で最高値の100にすることもできる。施設の利用料が安くなることもさることながら、ご褒美に貰えるアイテムが高額で売れたりするので、逆にバランスブレイカーになってしまう。 そのため、序盤の人気度をあげられるポイントは救済措置という見方が強い。 目玉システムのタクティカル・ウェザー・バトルが空気になりがち。 戦闘機会が増えるであろうダンジョンの大半は天候の影響を受けない洞窟や塔などの屋内であり、更にストーリーが進むに連れて月面や海底など天候のないフィールドが増えていくため、折角の斬新なシステムも終盤に差し掛かる頃にはプレイヤーから忘れられがちである。 また、肝心の恩恵も全体的に受け辛い。 特に『日照り』は苦手としている仲間が多いためにデメリットのほうが大きい。炎系の術の威力が上がるが、波・雷・雪系の術の威力が10分の1にまで下がる。金太郎・夜叉姫・でか太郎・寝太郎・風神などの日照りに極端に弱いキャラ(*24)は戦闘への影響が特に大きい。また、浦島は上述通り4つの天気(雨・雷雨・日照り・雪)に弱い上に、それらは遭遇しやすい天気なのも辛いところ。 有利になる一例として、設定どおり夜叉姫は雪が得意な天気なので、消費技数が減った流れ星の術で経験値稼ぎができるなどの恩恵はある。 ただし、夜叉姫が仲間に加わる時期は雪のフィールドの終盤であり、次に雪が降る地を訪れる時には夜叉姫がイベントでパーティを離脱しているのでアイテム等で天候を変更しない限りこの恩恵を受けられる機会は非常に少ない。このことも夜叉姫が不遇と言われる理由の1つとなっている。 最も恩恵を受けられるのは『日本晴れ』。得意とする仲間が多い他、桃太郎の鹿角の術が消費技数が減った状態で打てるのがその理由である。 一部の敵の能力がかなり厄介で、苦戦する場合も多い。 雑魚敵では、序盤で味方が育ち切っていない時期に徒党を組み、痛恨の一撃を頻発してくる『馬鬼』、一番弱っているキャラに痛恨の一撃を放ってくるという『じゅむへんく』、きゅうりを持っていないとアイテムや所持金を全て盗んで逃げる『黒河童』(*25)、攻撃力、防御力がかなり高い上に後述の夜叉姫戦前にはイベントで4体で現れる『黒鬼』(*26)、その他にも通常攻撃がほとんど効かない雑魚敵など。 ボスでは、竜巻を放つことにより毎ターン固定ダメージを与えてくる+強力な術を連発し、メンバーを半壊させるボス『風神 雷神』、イベントで雑魚連続戦闘からの連戦な上に戦闘中にHPが減ると自身のパラメータを強化し全体攻撃の「流れ星の術」を放ってくる『夜叉姫』、味方が一人になるまで問答無用で動きを封じてくるボス『じゃこつばばあ』、ラスボス級の体力に加え、強力な全体攻撃を容赦なく撃ってくる『三千世界』など。 特に『風神 雷神』は3回戦うのだが、最後の3回戦目はゲーム中でも最大の山場と言われるほど難易度が高い。また、2回目も3回目と比べれば幾分か楽だが、村の中で戦うため再挑戦が容易な3回目と比べて「オニよけの術」を使わなければ1時間近くもかかるダンジョンを抜けた先で戦うため負けた場合のプレイヤーのダメージは大きい。 その一方で弱いボスもいることはいるが、シナリオで一番盛り上がる部分のボスに限って弱い。 + 弱いボスの例 まず、『酒呑童子』。序盤の山場である大江山のボスとして登場。有能な四天王を配下に持ち、戦闘前に桃太郎たちを全回復してくれたりと、大物として描かれているのだが……正直、酒を呷って連続攻撃してくる以外に特殊な攻撃や能力はなく、その連続攻撃も1ターン目に金太郎の「はり手」や浦島の「まもりの術」を使えばダメージを最小限に抑えられるため別段恐れる必要もない。更にHPも低いため、塵角を3連発すれば余程低レベルでもない限り3~4ターンで決着がつく。 ちなみに酒呑童子以降のボスはHPが大幅に跳ね上がり塵角の3連発で瞬殺する戦法は通用しなくなる。 むしろ、彼が桃太郎らの力量を測るために放った四天王達とは一対一で戦う上それぞれが厄介な能力を持っており、そっちの方が苦戦する始末。特に『とらくま童子(*27)』『ほしくま童子(*28)』は桃太郎以外で勝つのは非常に難しい。ほしくま童子に至っては桃太郎でさえ勝率は5分といった所である。また、金太郎は物理攻撃を2倍にして返してくる『かね童子』にも勝つ事が出来ず、術を吸収する特性を持つ『くま童子』以外には勝つ事が出来ない。元ネタだとこいつらと戦ったのは成人後の金太郎(正確には坂田金時)達なのに… もっと酷いのが桃太郎の宿敵である『ダイダ王子』。彼はオープニングのイベント戦闘で、桃太郎の術を吸い取り、装備品を弾き飛ばし、完膚なきまでに叩きのめす。その後も、桃太郎の前に現れては幾度も刃を交えてこちらの実力を測ってくるうえ、鬼達との会話の中でもダイダ王子の強さを物語るセリフが多く、その強大さをプレイヤーに印象付ける。 しかし、満を持しての最終決戦において彼は一切特殊行動を行わず、完全に単体物理攻撃一辺倒(しかも、その攻撃力も直前のダンジョンに出てくる雑魚敵以下)。こっちは4人パーティであるため、まず負けることはない。 その為極端な話、桃太郎とはらだしの2人パーティで挑みはらだしが毎ターン桃太郎をかばい続けるとノーダメージで完封できてしまう。 強大な力を持つライバルという立ち位置にも拘らずここまで散々引っ張っておきながらのこの弱さだけに、肩透かし感が非常に否めない。 さらに、ダイダ王子との戦いに勝つと、改心して仲間に加わる…となった瞬間に、 背後に控えていたカルラから不意打ちされて殺害される(*29)という展開になるため、とことん救いがない。 セーブデータが消えやすい その際の演出は、ドラクエシリーズと同じくおどろおどろしい呪いのジングルとともにメッセージが流れるという不気味なもの。さらに意地の悪いことに、データ選択画面に入ってデータを選ぶまで消えているかどうかがわからず、選んだ瞬間に呪いのジングルが流れ、目前でデータを抹消されるという非常にいやらしい仕様になっている。 「大変です!旅の話が消えています!」「勇気を持ってやり直して下さい!」と、太い赤文字でデカデカとメッセージが出てくるため心臓に悪い。 総評 エンカウント率を筆頭にゲームバランスには多少の難があるものの、おとぎ話を題材にした和風RPGとしての完成度は高い。 特にシナリオ面は評価が高く、ボリュームもたっぷり。特にカルラは忘れられない存在だろう。 本作を「桃太郎伝説」シリーズの最高傑作として挙げるファンも多く、長く愛されている作品で、今でも移植やリメイクを望む声は多い。 余談 作者のさくまあきら氏が発売前の雑誌インタビューで述べたところによれば、「作品に文学性を持ち込みたい」という意図があったといい、本作のシナリオには現実の人間社会が投影されているという。 まずはこの意図が先にあって、とっつきやすさを重視して桃太郎シリーズの世界観とキャラクターを流用したという。 上述の通り開発期間に追われていたこともあり、さくま氏は「いずれ完全版を作りたい」ともコメントしていたが、その後の桃太郎シリーズは電鉄シリーズにほぼ一本化され、伝説シリーズは完全版開発を迎えることなくそのまま停滞してしまった(一応、本作後にPSで一作出てはいるが「新」とは別物である)。 2012年3月1日付でハドソンがコナミデジタルエンタテインメントに吸収合併され法人格を失い、さらにはそのコナミスタッフとの軋轢があったらしく、2012年9月1日には氏のツイッターにて「これが最後の桃鉄」「もう桃太郎シリーズは作らない」という宣言が出されたこともあった。 その後、電鉄シリーズは紆余曲折を経て任天堂より発売された『2017 立ち上がれ日本!』をもって復活したものの、過去作に関しては「ハドソン側が伝説シリーズのプログラムを紛失し、電鉄シリーズも11以前のプログラムを廃棄してしまったため、旧作のリメイクや移植は不可能だ」と氏自身がホームページで言及している。 偶然の一致であるが、本作の前後にハドソンが出した『天外魔境II』、『大貝獣物語』もまた、トラウマ級の虐殺展開があることで知られている。 なお『天外魔境II』において監督・脚本をした桝田省治は、桃太郎伝説シリーズの開発にも大きく関わっているため、一方はあながち無関係でもないとも考えられる。 回復系の術を使用すると使用者の素早さに補正が入り、ターンの最初に回復できる可能性が高くなる仕様がある。 これは後のハドソンの作品である『天外魔境ZERO』や『大貝獣物語』に受け継がれた。 貧乏神のモデルが当時『ジャンプ放送局』のレイアウトを務めていたデザイナーの榎本一夫氏であることは当時から知られていたが、貧乏神の名前を氏にちなんだ「えのっぴ」「えのもと」「えのん」のいずれかにすると 「ガワンバッチョ!酷い名前なのねん!ひーん!ひーん!」 と泣き出し、パーティとして連れ歩いている際に一歩進むごとにお金を落としてしまう、という迷惑な裏技が仕込まれていた。 しかし『ジャンプ放送局』の読者を中心に前述の3つの名前を付けるプレイヤーが多かったために、結局裏技としての意外性は殆どなかったという。 読者からも『榎本社長、残念ですがついに倒産です!』などといったネタ葉書が届いたり、『えのんを探せ!』というコーナーが大人気だったり、氏をモチーフにしたネタには必ずと言っていいほどお金が絡んでたりと、すっかり『貧乏だが愛されるネタキャラ』としての地位を確立していた。 そんな榎本一夫氏だが、2022年10月に引退を宣言するまで自身の設立したデザイン会社『有限会社バナナグローブスタジオ』の代表取締役として活躍していた。HPに載っている自画像も当時のタッチのまま。 当たり前だが榎本氏本人は全く貧乏ではなく、むしろ食道楽者(グルメ)として知られている。ただし、所謂B級グルメも大好きらしく、そっちの話題になると盛り上がるらしい。 当時のファンの語り草になっているダンジョンとして『怨みの洞窟』が挙げられる。 これは攻略する前に自分が1番~3番目に嫌っている人の名前を入力すると2・3番目に嫌っている人の名前の敵が雑魚として、1番嫌っている人の名前の敵がボスとして、それぞれ出現するという身も蓋もない趣向のもので(*30)、当時の『ジャンプ放送局』にも「怨みの洞窟を愛用している」旨の内容のお便りが多数寄せられたという。 微笑みの村で開催されている『天下一ダジャレ大会』の出場者の名前には当時の『ジャンプ放送局』の常連投稿者の名前が採用されている。
https://w.atwiki.jp/kisuitosuuki/pages/82.html
私とルッスーリアはキッチンにいた。 「ま~!櫻ちゃん、上手ね!」 『いやいや、ルッスの生地が上手いんだって。じゃなきゃ、こんなに綺麗に型抜きできないよ』 「褒めても何も出ないわよ~ん。大体生地だって、最初は櫻ちゃんが混ぜてたんだから~。私は最後の仕上げを手伝っただけよ~ん」 作っているのは、クッキー。 まぁ他にもタルトとフィナンシェを同時進行で作っている。 どうしてこんな事をしているかと言うと、ベルフェゴールの一言から始まった。 「で、何作ってくれるの?」 たったこれ一言であるが、それに眉を顰めたザンザスが、何か作れと言ってきて、マーモン、スクアーロ、ルッスーリアの順に彼に呼応したのだ。 思えば、私が街に出た時にベルフェゴールにそうしてあげるからと言ったのを、彼は覚えていたのだろう。 ザンザスがなぜそれに乗っかたのかわからない。 ただ言えることは、作らねばザンザスの怒りを買うという事だ。 それを阻止するために、他のヴァリアーメンバーは呼応したに過ぎない。 ちなみに、レヴィはいるが今ワイン倉庫に行っている。 ザンザスが所望したからだ。 この場所もボンゴレ本部ではない。 街に行ってきた三日後、ティモッテオおじいちゃんがザンザスに城のような別邸を与えたのである。 これは、原作のような危険排除の為ではなく、和解とヴァリアーのボスとしての矜持を保つためであった。 ザンザス自身もそれがわかり、穏やかな気持ちでそれを受け取った。 私としては”本来これでよかったのだろうな”と思いながら、将来を少しだけ不安に思っていた。 で、引っ越し作業をたった半日で完了したヴァリアーは、ティモッテオおじいちゃんと共に訪れた私にお菓子を作れと言ってきたのである。 『でもさ、ルッス。なんでザンザスがあんなムキになってるの?』 オーブンに入れた生地が少しづつキツネ色になっていくのを見ながら、問う。 「あら?わからないの~ん?」 『……うん』 「うっそ~ん!ああ、ボス。ご愁傷さ・まっ!」 ?? 「あ、タルトがそろそろ焼き上がりね!櫻ちゃん見てちょうだい」 『はーい』 焼きあがったタルト生地にフルーツを盛り付ける。 それが終わると、クッキーとフィナンシェが焼きあがった。 それらを皿に盛る。 ルッスーリアがそのあいだに珈琲をいれ、彼と共に皆のところへと戻る。 「お待たせ~!」 『出来たよ~』 気配に気づいたスクアーロに、ドアを開けてもらってからそう言う。 「できたかね?」 「ししし」 「早く置きなよ」 ティモッテオおじいちゃん、ベルフェゴール、マーモンの順に口を開く。 「ヴォオイ!うまそうな匂いだな」 私達がテーブルに置くのを見ながら、スクアーロがソファに座る。 ザンザス以外のヴァリアーメンバーは横のソファに座っており、上座のソファにはティモッテオおじいちゃんとザンザスが座っていた。 ちなみに、下座のソファもあるが、そこに座っているのはレヴィである。 クッキーなどを置くと、私はどこに行けばいいかなと考えながら、席を見渡す。 空いているのは、スクアーロの横とレヴィの横。 うわぁ、悩む。 「おい」 ザンザスが手招きをしたので、横まで行く。 すると、膝上に抱っこされた。 おいおい! 横にティモッテオおじいちゃんいるのに!! というか、みんな見てるんですが……。 『おにいちゃん?』 「いいから、そこにいろ」 えー、そう言われましても。 皆、ガン見しているわけで……。 というか、レヴィが顔を歪めて泣きそうです。 ルッスーリアはスクアーロの横に座り、レヴィに睨みを利かせていた。 って、その顔で睨みはちょっと無理が……。 どっちかと言うと、スクアーロがした方が様になるんじゃ…………。 メンバー的にどうにもならないので、大人しくそこで珈琲を飲みはじめる。 珈琲といっても、エスプレッソだ。 イタリアかフランスでいう珈琲とは、このエスプレッソなのである。 もちろん、豆の種類やトッピングもあるから、ある程度の自由がきく。 酸味が好きな私は、ルッスーリアにモカにしてもらった。 牛乳か、バニラアイスを入れるという提案もしてくれたが、気分ではない為やめてもらった。 まぁ、ザンザスはワインを片手にそれらを食べているのだが……。 あ、ティモッテオおじいちゃんもワイン飲んでる。 「おいしいよ、櫻ちゃん。上手いね」(ティモッテオ) 『いえ、麺棒まで手が届かなくってルッスーリアに手伝ってもらいましたから』 「いや~ん、櫻ちゃん。生地は既にあなたが作ってたんだから~ん。味は貴女の配合よ~」(ルッスーリア) 「おいしいよ」(マーモン) 「しし、上手いんだからいいじゃね?」(ベルフェゴール) 「あんま悲観すんなぁ」(スクアーロ) 「……うまい(くそ、反論できない)」(レヴィ) 『う~ん、いいのかなぁ。かなり前世の知識フル活用して作ってみたものだから、どうかと思ってたくらい微妙な選択してた気が……』 「何をだ?」 『フルーツの種類』 「……良い色合いだと思うが?」 ザンザスが不思議に思ってくるので教えると、さらに首をかしげた。 前世でも日本生まれだから色々なフルーツが乗っているものにしたが、こちらでは一種類だけ使うというのが主流だ。 「櫻ちゃん、やはり家光は来ないね」 『……まったく、あの人は』 「ちっ」 ひと息ついて、本題に入る。 『家光さんやっぱり、分かってないんだね』 「それと、厄介な事が起こり始めている」 「なんだじじい」 ザンザスが問う。 ティモッテオおじいちゃんの顔があまりにも真剣だ。 「エンリコとマッシーモが病にかかった。見た事の無い奇病で、医者も匙を投げだした」 『なっ!?』 「っ!」 抗争で打たれるばずの彼らが、病に倒れる。 それは私にとってもショックが大きかった。 『ウソ。じゃ後の候補二人しかいないの?!』 「そうだ。しかし、本来どちらもボスの資質はあまり望ことは出来ない。そこで、櫻ちゃん。君に聞きたい。私はどうすればよいのだろう?」 問われた私は、その場にいた全員に視線を注がれることになった。 ………… …………………… 『私が知る物語は、あくまで、最悪の未来を何とか繋いでいくもの。もし、この地にいる候補者が死ねば、その未来に繋がるが……果たしてそれは良い事なのかどうか』 「やっぱり、君の知る未来とはそういうものだったか。弟に関する物語と聞いた時に、何となく気づいていたが……」 『だけれど、その後の軌跡を考えれば、その人が重責に耐えられれば良いのだけど……』 「なぜだい?」 『私の知る物語は、最悪といった最大の理由。それはこのボンゴレファミリーを一度ならず、何度も壊滅の危機が襲うからだよ』 「「「「「「!!?」」」」」」 「おい、どういうことだ。櫻」 そこにいる全員が目を見開くのを見て、ザンザスが聞いてくる。 『もちろん一度目は、私が止めたお兄ちゃんの暴走。土台に、親子のすれ違いがあるから、それを正した』 「……なるほど。俺の炎なら確かにそれくらいの事にはなる。それ以外に危機は?」 『言えない。多分言ったら、そのきっかけも変わる。助かる道筋も……』 「っち、厄介だな」 『ごめん』 「おめぇを責めてるわけじゃねぇ。ただ単に、そんなものを持っていることが厄介だと言っているだけだ」 「そうじゃ。櫻ちゃん、君自身は悪くない。それに危機は外から来るのじゃろう?」 『――当り』 「内側の最大の危機を止めてくれて、ありがとう」 『うん』 そう、内側からの危機はザンザスの乱。 それ以外はすべて外部だ。 「それでどうすればよい?」 『当面は、このまま行ってくれればいいと思ってる』 「ならば、私は動かなくてもいいという事だね」 『ええ』 それでその日の相談が終わる。 ヴァリアーメンバーは成り行きを見守っていて、誰も言葉を発する事は無かった。 そんな会話をした二日後、事態は急展開した。 秘蔵っ子のフェデリコが毒殺されてしまったのである。 「どうなっていやがる」 『スクアーロ、マーモンは?』 「後から来る」 スクアーロといっしょにボンゴレ本部の廊下を早足で進む。 「待たせたね」 背後からマーモンが追ってきた。 相変わらず飛んでいる。 彼は既に幻術を展開し、私達の移動をみんなに見られぬようにした。 『で、守備は?』 「君の懸念通りだよ」 『くそっ!』 「おい、そう悔しがるな。俺たちが何とかする」 『……そう、だね。起きちゃったものは仕方ないよね』 言っている間にティモッテオおじいちゃんの部屋につく。 部屋に入れば、既に他のヴァリアーメンバーとティモッテオおじいちゃんとその守護者がいた。 「来たか」 『ティモッテオおじいちゃん……』 「サービスで、幻術をかけておくよ」 事がことだからと、マーモンが周りに気づかれぬようにしてくれる。 「さて、我々がここに集まったのは、今後どうすべきかという事だ」(ティモッテオ) 「私達の代は既に年老いてしまっている。あとどれくらい生きていられるものか……」(コヨーテ) 「じじい達なら、かなり長生きできるだろう?櫻」(ザンザス) 『ザンザスおにいちゃんの言う通りだよ。でも、今回は精神的にまいっているね……』 「ああ、よく分かっているね櫻ちゃん」(ティモッテオ) 「だが、困ったな。沢田家の人間は家光以外一般人だ」(ブラバンダー) 「ああ、そうだな」(ガナッシュ)*雷の守護者 「どのあたりで鍛えはじめればよいかだね」(マーモン) 「あら~、じゃ櫻ちゃんも鍛えなきゃ」(ルッスーリア) 「……今のうち音を上げてもいいぞ?(そして、さっさとボスから離れろ)」(レヴィ) 「しし、櫻ちゃんは胆が据わってるから、レヴィの心配は杞憂だよ」(ベルフェゴール) 「交代でヴァリアーの皆に鍛えてもらえばいい」(二―)*晴の守護者 「ま、あと一週間もないが、やらないよりかはいいだろう?」(ビスコンティ) 「それがよいだろう」(クロッカン)*霧の守護者 「必要ならやってやるぜぇ?」(スクアーロ) 「では、櫻ちゃん。まずは君が強くなるということでいいかね?」(ティモッテオ) 『もちろん。そのつもりでしたし。知識は前世で大量に詰め込んだから大丈夫だよ』 皆の意見をまとめたティモッテオおじいちゃんは、本題に移る。 「可愛い甥たちを殺したのは、本当にオッタビオなのかね?」(ティモッテオ) 『ええ。マーモンに調べさせたわ』 「少し手間取ったよ。何しろ彼は、軍に接触していたくらいだからね」(マーモン) 「ししし、マジでか。じゃ、毒とやらもそこから?」(ベルフェゴール) 「やっかいじゃない」(ルッスーリア) 「……どう処理するおつもりで?」(コヨーテ) 「――かっ消す」(ザンザス) 「ヴォオイ!俺がやる!」(スクアーロ) 「……どうします?九代目」(ビスコンティ) シーンと静まった一同。 守護者の大半が黙ってその決定を待っていた。 「そうだな……。身から出た錆だ。ヴァリアーで処理してくれ」(ティモッテオ) 「いいんだな、じじい」(ザンザス) 「ああ」(ティモッテオ) 「ヴォオイ!そう決まったら、誰がどうするかを相談だぁ!」(スクアーロ) 「ま、この子ったら気が早いわ~」(ルッスーリア) どうやら、今回守護者は動かないらしい。 その方がザンザス達、ヴァリアーに良いのだろう。 踏ん切りと矜持の為に。 次ページ:鍛練と処理へ
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3934.html
「…決めた」 シエスタがヴァリエール邸に押しかけてきた次の日。 肘関節を脱臼して右腕を三角巾で吊られている才人に『あーん』するシエスタをテーブルの対面からジト目で見ていたルイズは、不意にそう言った。 「あら、婚約は時機尚早だとようやく悟りました?」 『サイトさんのメイドでいます』とか言いながら、やっぱり虎視眈々と才人を狙う黒髪のメイドは、スプーンを握り締めて嬉しそうにそう言い放つ。 あにいってんのよ婚約は決定事項なの、いい加減諦めたらどうなのこの平民女、ナニを言うんですか、まだ『婚約』ですから破棄する自由もサイトさんにはありますよミス平面胸、とか言い合いながら朝食をほっぽって取っ組み合いを始めた二人に、才人は。 「で、何を決めたんだよ?」 シエスタの上に馬乗りになって、お互いの髪を引っ掴んで引っ張り合っていたところでルイズは止まる。 それに合わせたようにシエスタも動きを止める。 そしてルイズは言った。 「…お父様に報告するわ。 姉様たちのことも、シエスタのことも含めてぜーんぶ、ね」 才人の顔から血の気が一気に引く。 今となっては二人の新居の目の前となった、湖での一件が思い出される。 やばいまずい俺殺される。 「あら、そんなことしたら一直線に婚約破棄ですわね♪ やっぱりサイトさんには私のような大き目の」 「だまんなさいこのバカ乳娘」 「ぐえ」 シエスタの口を手で塞ぐと、ルイズはシエスタの頭を床に押し付ける。 シエスタはもがもがと暴れるが、何故かルイズの手を振りほどけないでいる。 そしてルイズは、才人から顔を逸らしながら言う。 「い、言っとくけど婚約は破棄なんかしないかんね! わ、私の経歴にそんな傷付けられちゃたまったもんじゃないわ! い、いいこと、お父様に報告するのは、アンタを反省させるためなんだから! 婚約破棄なんか絶対しないんだから!分かってる?」 才人からは見えなかったが、下に組み敷かれているシエスタからは、ルイズが真っ赤になっているのが見て取れた。 ほんと、こういう見栄っ張りな所直せばもう少し可愛げもあるんでしょうけどー、などと抑え付けられながら思うシエスタだった。 そして舞台はヴァリエール本邸。 ルイズの申し出により、ヴァリエール家の一同がその食堂に勢ぞろいしていた。 まだ細かい事情を知らないヴァリエール公爵は才人と逢うなりにこにこしながら『久しぶりだな婿殿!』と言いながら才人の肩をばしんばしん叩いていた。 才人が三角巾で腕を吊っている事はあまり気にしていないようだ。 その公爵が最も上座の席に座り、その右側に公爵夫人、その隣にエレオノール、カトレアと続く。 そして公爵夫人の対面にルイズが掛け、その下座に才人、その脇にシエスタが控える。 前菜が運ばれてくると、ヴァリエール公爵が口を開いた。 「で、何だねルイズ、家族みんなで話し合いたい事とは」 ルイズは呼吸を整え、そして目の前に座る姉二人に、まるで敵対する氏族を見るような視線を送る。 二人はその視線に、エレオノールは赤くなって目を逸らし、カトレアは笑顔で受け止める。 そして、空気を全く読まずに才人の口に前菜を運ぶメイドにガンを飛ばした後。 ルイズは事の次第を話し始めたのだった。できるだけそういう描写は伏せて。 そしてルイズが話し終わると、公爵は眉間に皺を寄せ、その皺を右手で揉み解した。 「なるほど…」 はぁ、と公爵は深いため息をつく。 心なしか怒りを抑えているようにも見える。 死んだ。俺死んだ。絶対死んだ。 さようならお母様。才人は日本から説く離れた地で星になります…。 そしてルイズ。短い間だったけど、幸せだったぜ…。 才人は天を仰ぎ、涙する。 「サイトさんっ?どうしたんですかサイトさんっ?」 急に泣き出した才人にシエスタが声を掛けるが、才人は聞いていない。 シエスタ…君にも、世話になったっけなぁ…。 「エレオノール。例え研究に必要だからといって、妹の婚約者から採取するのは感心せんな」 「は、はい、お父様…」 しかし。 才人の想像とは裏腹に、公爵の言葉は、なんとエレオノールに向いていた。 「ちょ、ちょっと、お父様っ?」 ルイズは思わず立ち上がり、公爵に食って掛かる。 しかし公爵は涼しい顔で応える。 「ルイズは黙っていなさい。 エレオノールは単に研究のために、婿殿から採取を行った。そうだろう?」 「え、ええ…そうです」 赤くなって俯きながら、エレオノールはそう応える。 驚いてエレオノールを見つめる才人と、ちらりと顔を上げて、なんと才人の方を見たエレオノールの視線が見事にぶつかる。 ぽんっ、と音を立てそうな勢いで真っ赤になって、エレオノールは才人から視線を逸らした。 え、なに?今の反応なに? メガネ美人のお姉さんが俺の方見て赤くなってるよ?つか軽く萌えたんですケド。 さっきまで死を覚悟していた人間とは思えないほどデレった顔で、才人はエレオノールを見る。 その二人の間に流れるなんだからストロベリィな空気に、ルイズは苦虫を噛み潰したような顔になる。 そうして才人の方を見ていると、同じように苦虫を噛み潰しているシエスタと目が合う。 そしてルイズがこくん、と頷くと、シエスタは涼しい顔で。 ぶぎゅる。 「いだっ…!」 思い切り才人のつま先を踏み潰した。 才人は必死に声を抑え、シエスタにあにすんだよ、と視線を送るが、シエスタは知らん振りを決め込む。 三人がそうしている間にも、公爵は話を進めていく。 「そしてカトレア。元気になったというのは本当かね?」 「はい、お父様♪」 公爵の質問ににっこりと答え、カトレアは懐に隠していた杖を取り出し、呪文を詠唱する。 すると、食べ終わった前菜の皿がふわりと浮き上がり、控えていた給仕の牽くワゴンの上にかちゃかちゃと重なる。 「この通り、カトレアは元気になりました」 以前なら気軽に魔法など使えないカトレアだったが、今は魔法を使ってもけろりとしている。 「でも…」 不意に、カトレアの表情が曇る。 そして続ける。 「定期的に『お薬』を摂取しないと、ダメみたいなんです」 「そ、そうなのか?」 「はい」 もちろん『お薬』というのは才人の精液なのだが、直接的な表現はアレなので避けている。 「そういうわけでルイズ、定期的にサイト殿をお借りする事になるけど、いいかしら?」 言って笑顔をルイズに向けるカトレア。その笑顔には一切他意はない…ように見える。 「え、あの、その」 一瞬戸惑うルイズであったが、カトレアの笑顔に思わず。 「い、いいけど…」 そしてその返答を聞くなり、カトレアは才人の方を振り向く。 「と、いうわけでこれからもよろしくお願いしますね、サイト殿♪」 にっこり笑うカトレアにつられて、だらしなくにへらと才人も相好を崩す。 ルイズが親指で首を掻き切るジェスチャーをすると、シエスタが目にも留まらぬ速さで手刀を才人の喉笛にクリーンヒットさせる。 「げほ!げほ!」 咳き込む才人に全員の視線が集まるが、その時にはシエスタは既に才人の斜め後方に涼しい顔して下がっており、何が起きたのかは当人達にしか知る由はない。 さらに公爵は続ける。 「で、だ。そこに控えるメイドとのことだが」 その言葉にシエスタは一瞬ぎくりとする。 そしてルイズに、私たち友達ですよね、見捨てたりしませんよね、と笑顔を向ける。 あにいってんのよ誰が友達よこの淫乱メイド、屋敷の外に放り出されるがいいわ、としたり顔でルイズは視線を外す。 しかしルイズの思惑は見事に外れる事となる。 公爵はにっこり笑って言ったのだった。 「英雄色を好む、というではないか。 妾の一人や二人、いて当たり前だよ。なあ婿殿?」 そして才人にウインクなどする。 正直親父のウインクなど気持ち悪いものでしかなかったが、才人はなんとなく笑顔で相槌を打つ。 公爵は気をよくしたのか、席を立ってすたすたと才人の所まで歩いていき、肩など組んで語りかける。 「なぁに、わしも若い頃はぶいぶい言わしたもんだ。 婿殿はまだ大人しいほうじゃて。わしの若い頃なんぞ妻と同時に四人と」 その瞬間。 ばこん!とすごい音を立てて、食堂の大テーブルが揺れた。 公爵夫人が犯人だった。 公爵夫人はゆらりと立ち上がると、満面の笑顔を公爵に向けた。 それと同時に三姉妹の喉がごくりと鳴る。 公爵夫人は、にっこり笑いながら言った。 「あなた。すこぉしお話したいことがございます。 ちょっと外出ろやゴルァ」 笑顔のまますごい迫力でそう言って、ものすごい黒いオーラを身に纏い、すたすたと軽快に公爵夫人は食堂から出て行く。 ぱたん…とあまりにも静かに食堂の扉が閉じ、公爵夫人の姿をかき消した。 公爵は才人の肩を抱いたまま真っ青な顔で固まっている。 そして、部屋の扉の外から大音声が響いた。 『駆けあーーーーーーしッ!』 「い、いえす、まむ!」 真っ青な顔のまま、公爵は駆け足で妻を追った。 一瞬で静かになった食堂で、給仕達が何事もなかったかのように三姉妹と才人の前にメインディッシュを持ってくる。 三姉妹は全員そろってほう、とため息をついた後、気を取り直して食事を始めた。 才人は呆気に取られ、何も言葉が出ない。 そんな才人に、ルイズは警告する。 「食べておいたほうがいいわよ」 そしてそれにエレオノールがメインディッシュの鴨肉にナイフを入れながら続ける。 「これから、長時間の公開処刑が始まるから」 カトレアはあらあら困ったわ、という顔をしていたが、すぐに執事のジェロームを呼びつけて、言った。 「部屋と温室のお花たちに、水やりをお願いねジェローム。あと動物達の餌も」 「かしこまりました、お嬢様」 才人は我に帰ると、ルイズに尋ねた。 「も、もしかして、このウチで一番怖いのって…」 「母様よ。間違っても逆らわないようになさいサイト。 あと早めにソレ片付けたほうがいいわよ。たぶんあと半日はモノを口に入れられないから」 そう言うルイズの皿の上は、すでにつけ合わせの温野菜が残るのみだ。 そして才人は慌てて皿の上の料理に手を出そうとする。 その瞬間。 ばたぁん!と物凄い音を立てて扉が開く。 そこから現れたのは。 騎士装束に身を固めた公爵夫人と、その手に吊り下げられてぼっこぼっこにされて原型を留めていない公爵がいた。 「さてそれでは」 にっこり笑いながら公爵夫人は。 「家族会議を始めましょうか♪」 公開処刑の開始を告げたのだった。 結局、家族会議は公爵の過去のおいたを散々暴き立てる事に終始して、終了を迎えた。 別邸に戻ったルイズと才人は、疲れきってベッドに横になる。 「つ、疲れた…」 「あ、あんな荒れた母様初めて見たわ…」 仲良くベッドに伸びきって二人は同時にため息をつく。 そしてルイズは気付く。 「あー!アンタの処遇をどうするか忘れてたじゃないのっ!」 言って才人の鼻先にびしっ!と指を突きつける。 「ま、まあいいじゃないか、婚約破棄にならなかっただけ」 「そうです、ありがたいと思わないと」 いつの間にかベッドに腰掛けていたシエスタが才人に続ける。 「なんであんたまだ居るのよ!出て行きなさいよ!」 「私はサイトさんのメイドですっ!サイトさんがお暇を出さない限り私はサイトさんと一緒ですよーだ!」 掴みかかるルイズに、あっかんべーで応えてシエスタは言う。 そのまま、二人は取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。 才人はベッドの上で、大の字になって思った。 結局、変わらないまんまかぁ。 ため息をついて、喧嘩を続ける婚約者とメイドを眺めて、才人はまどろんでいった。 これから始まる、苦難の日々を想像すらせずに。 〜つづく
https://w.atwiki.jp/amizako/pages/45.html
弁財天の使 江戸初期の寛永年間、人の心が、まだおだやかで素朴であった頃の話である。 本郷四丁目の丁度加賀様の赤門前に住んでいた住吉屋藤兵衛は、この界隈《かいわい》切っての豪商であった。 当主の藤兵衛は、六十を越していたが品《い》のよい好《こうこう》々|爺《や》で、永年加賀様にお出入りをしていた。 加賀からお伴をして来た町人の一人で、名字《みようじ》帯刀までお許しになっていたが、加賀様へお出入りをする時以外、刀など帯びたことがない。もうとっくに隠居すべきなのだが、男の子が二十になったばかりなので、まだ家業を見ていたが、仕事は大抵番頭まかせであった。 藩地と江戸の間の通信金融に当る飛脚問屋であったから、店間口はそんなに大きくはなかったが、店の裏手にある住居は立派で間数も多く、庭は一丁四方もあり、深い水を湛《たた》えた池があつた。 池の汀《みぎわ》に添うて、五ツ戸前の蔵が並んで、白い壁を池水にうつしていた。店の出入口とは別に、門もついていた。 藤兵衛は、豪商の当主として、茶の湯謡曲などの、多少の趣味はあったが、それも凝ると云うほどではなかった。 たゞ藤兵衛に変ったことがあるとすれば、若い時から弁財天のたいへんな信者であると云うことだ。 だから、その庭の池には、不忍池の弁財天になぞらえた小さいお社が作ってある。そのお社に毎朝お参りするばかりでなく、十日に一度位の割で、不忍池の弁財天にもお参りした。 年に一度は、妻女や子供達を連れて、江の島の弁財天にお参りした。当時では三日四口、少しゆっくりすると、五日位の旅行である。 弁財天に対する信仰は、商人《あきんど》として普通であるが、藤兵衛の場合は、父祖三代に渡っている。その頃の不忍池の弁財天の社は、先代の藤兵衛が建立寄進したものである。 その頃の不忍池は、竣工《しゆんこう》したばかりの上野寛永寺の外苑のようなもので、お成道寄りの岸には、料理屋や水茶屋が並んで、江戸町人達の遊園地 であった。現在と同じように、蓮《はす》の花が季節ごとに美しく咲いていたが、今と違って蘆荻《うてき》が生い茂っていて、もしこのまま捨てゝ置いたら、 名所の蓮までが、根絶《ねだや》しになるのではあるまいかと思われた。 第一、風致の上から云っても、よくなかった。将軍が、寛永寺へお成りの時にも、目ざわりになるだろうと云うので、蘆荻を根絶しにするために、一度池を浚 《さら》おうと云うことに、寺社奉行が決定していた。そして、池に近い下谷本郷の町人達に対し、合力の人夫を出すよう、人夫一人に対し一日米五合|宛《ず つ》下さる上、池の魚類は手取り勝手次第と云うお触れであった。 元来、釣魚禁止の池であるだけに、鯉、ふな、なまず、うなぎなどが一杯いた。米五合よりも、この方が人々の興味をそゝった。人夫に出ると云う希望の者が、町年寄の所へ毎日のように届け出た。 池の水量が一番少くなる七月一日から始められることになっていた。 六月の十口頃、藤兵衛は丁稚《でつち》一人連れて、不忍池の弁財天へお参りしたが、中途でこのお触れの立札を見て、すっかりゆううつ《、、、、》になっ てしまった。池の蘆荻が刈りとられることは、彼も賛成だったが、そのために彼にとっては、聖地である池が踏み荒され、しかも池に住んでいるうろくずまで が、根絶しにされると云うことは、神慮の程も怖しいと思った。いつも水面の此処彼処《ここかしこ》に、小波が立ったり、水音がしたりするほど、魚が多かっ た。三尺ばかりの緋鯉が水面近く浮んでいるのを見たこともいく度もあった。亀もすっぽんなども沢山いた。 (みんな弁財天の御けん族だ。それをとりつくしてしまうとは……) と、彼は思った。なぜ上野の御|門主《もんず》から寺社奉行に御注意がないのだろうかと思うと、彼はくやしいような気がした。 その夜のことである。商家の常として、大抵亥の刻には、床につくのである。彼が、丁度寝衣に着換えようとしている時に、店の方を隠退して、奥の方の取締をしている吉兵衛と云う老番頭が、寝室へはいって来た。顔色が、尋常でないので、 「どうした?」 と、藤兵衛の方から声をかけた。 「御来客でございぎす。」 声が少しふるえている。 「こんなに遅く、何方《どなた》様じゃ。」 「見知らない御女中様でございます。」 いよノ丶面妖である。 「どちら様の……」 「何とも仰せられません。御主人にじき/丶に会ってからと、仰せられます。加賀様のお奥の方かとも思われます。お伴の方も、お籠衆の外は、お女中衆ばかりでございます」 「うゝむ。」 夜中の客と云えば、親戚縁者以外は、よほどの入懇《じゆつこん》の人である。それも、大抵男子である。見知らない女性が、しかも深夜にと思うと、不思議でならなかった。しかし、女中ばかりだと云えば、強盗でないと云う安心はあった。 加賀のお奥と云う番頭の想像も、一応うなずかれる。藤兵衛は、奥方にもお姫様にもお目通りしたことがある。内密の火急の用事で、わざ/丶お使者が立ったのかも知れない。 「とにかく、対客の問へお通し申して置け。またどんな事になるかも知れぬほどに、店の若い者を起して、万一に備えるように……」 と、云った。 藤兵衛は、相手がどんな高貴な人か分らぬと思ったので、紋服に着かえ、羽織袴をつけて対客の間へ出て行った。 そして、上座に着いている女性を見たときに、彼はアッと思わず声が出ようとするのを危く制したほどだった。彼は、今までにこんな美しい女性を見たことがないほどだった。 年は十八、九だろう。美しい目鼻立で、眉は、当時のならわし通り、青陽の霞の隙に、タ張月のいる有様を似せて美しく描かれている。髪は、おすべらかし で、ふさくと垂れている。紅梅の小袖に濃いみどり色のかいどりを着ている姿は、ろうたけて、まるで描いたようである。藤兵衛は、その美しさに打たれて思わ ず、平伏してしまった。 「これは、これはよくいらせられました。私が当家の主人藤兵衛でございます。」 と、云った。 すると、相手はニッコリ笑って、年の割には、しとやかで落ち着き払った声で、 「深夜を、おさわがせして、すみません。」 と、云った。 「どちら様からの御使か、またどんな御用でございますか、仰せきけられますよう。」 と、藤兵衛は、いよ/丶堅くなっていた。 「他聞をはゞかることでござりますゆえ、もう少し近うお寄り下さいませ。」 と、相手は声をひそめて云った。藤兵衛は、二間ばかり進んだ。 が、まだ、一間位離れていた。相手は、またえん然と笑って、 「今少し……」 と、云った。 藤兵衛は、また二、三尺すり寄った。相手は急に真剣な顔になったかと思うと、 「藤兵衛どの、妾《わたし》が、これから申し上ぐることは、妻子けん族にも御他言無用でござるぞ。御誓言下さいますか。」と、云った。 藤兵衛は、再び平伏した。 「まことは、妾《わたし》不忍池に鎮座ある弁財天からの御使者でござる。妾が、人間であるか、何者かの化身《けしん》であるかは、貴殿御所存にお委せいた します。たゞ、妾が申しあぐることは、弁財天女の思召《おばしめし》であることを、ゆめお疑い遊ばしますな。思召の旨は、外の事ではございません。今度の 池浚いのことでございます。たとい、池が干上りましても、神変不思議の天女様の御身には、つゝがは御ざいません。たゞ、あの池を命のつなとして、生きて居 ります八万四千の御けん族のことを、思召されて、いたくお心を痛めて居られます。」 「御尤もで……」 藤兵衛は、自分が心配していた通りであったので、尚更帰依の心をふかくした。 「ついては、貴殿のことでございます。父祖三代御信仰の御一家のことを、天女様にも、仇《あだ》やおろそかに思召されては居りません。まして、こうした御 危難の時には、一入《ひとしお》心頼みに思召されます。幸いのことに、お宅の池でございます。あの池のお社にも、天女様はいく度も、おこし遊ばして、池の ことは御存じでございます。不忍池の周囲十町の問に、あの池ほどの大きい池はございません。たといありましても、天女様をお祭りしてある社などは、ござい ません。ついては、この度の御危難から、御けん族どもをお救い遊ばす思召で、近々御けん族どもを、引きつれて、お宅のお池に当分の間おひき移りになること に、決定いたしました。」 「ほゝう。」 藤兵衛は、有頂天であった。 「ついては、それについて打ち合わせがございます。その夜は、神変を以て、雨をおふらせになります。夜中、雨がふりましたら、その夜こそ、お引き移りの日 だと、お覚悟下さいませ。人目にふれることは、禁物でござりますゆえ、その夜は、日暮と共に家人をいましめて、戸外《そと》へお出しになってはなりませ ん。何しろ、八万四千の御けん族ゆえ、時ならぬ物音が、いたすでございましょうが、かまえて戸外へは、何人もお出しにならぬよう。それが天女様より貴殿へ の、御言葉でございます。くれぐれも御違背遊ばさぬように、妾よりもお願いいたします。天女様が、この邸内に鎮座ありましたならば、御家門の繁昌はどんな でございましょうか。おめでたいことが、次ぎノ丶に起るでございましょうが、万一御違背遊ばす……」と、云いかけたが、すぐ、 「御帰依ふかい貴殿のことゆえ、左様のことは、万一ございますまい。」 そう云って、口をつぐんだ。 藤兵衛にとっては、夢の中で、夢を見ているような、ありがたさであった。藤兵衛が控えさしていた女中達が酒肴《しゆこう》を運んで来たが、御使者は、それをふり向きもしないで、暇をつげると、帰って行った。 藤兵衛は、その使者については、妻女にも、息子にも語らなかった。越えて、六月二十五日、夜に入ってから大タ立となった。藤兵衛は、家中を見廻って、今夜は戸外に出ぬよう、たといいかなる物音がしても、怪しんではならぬことをこんくと云い渡した。 戌《いぬ》の刻を廻った頃から、雨は小降りとなったが、その頃から、池の水面に、水音がしきりにし出した。藤兵衛は、さては御けん族達が、飛び込むのだ と思って、随喜《ずいき》の涙をこぼしていた。時々、物を叩くような、物がこぼれるような音がした。藤兵衛は、天女の特別の恩寵にあずかる自分が、うれし くてたまらなかった。 翌日は、晴天であった。藤兵衛は、奉公人達よりも早く起きて、池の渚《なぎさ》に出た。さぞかし池は一杯の魚類だと思っていた。が、澄んでいる水の中に は、鮒|一疋《いつぴき》泳いでいない。どこにも、水音一つしない。不思議に思って、池の周囲を見渡していると、五つ並んでいる土蔵の壁が、みんな外から 切られているのに気がついた。驚いて、家人を呼んで、検べて見ると、金銀を初め、めぼしい重宝は、跡形もなく盗み去られていた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3348.html
back/ 薔薇乙女も使い魔menu/ next ~対アルビオン戦争 一日前、早朝 ―――アルビオン軍事施設、ロサイス 朝日に照らされた空軍工廠。 送電線のような鉄塔型桟橋には、ずらりと軍艦が並んでいる。どれも今すぐにでも出航 可能な状態にされている。どの戦艦も、せわしなく出入りする人々、運び込まれる荷物、 整列する貴族と傭兵達で一杯だ。特に旗艦『レキシントン』号の威容は、それを見る人々 全てを圧倒している。 そしてそれ以上に、警備する人間・使い魔の数も桁違いだ。文字通りにアリが入り込む 隙間もない。軍港の内も、外も周囲数リーグに渡って、『どうしてここまで』と頭を捻り たくなるほどの警備をひいている。港に出入りする人も荷物も、これでもかと言うほどし つこく調べられていた。 警備の邪魔になる木々は全て切られ、民家は潰され、野原は灰にされ、港は荒れ地の中 にポツンと取り残されたかのようだ。その中に、様々な使い魔を引き連れたメイジ達と平 民の兵士達が立っていた。 荒れ地の中を巡回する上官に、付近のメイジと兵士が次々と敬礼していく。 「異常は?」 「はいっ!何もありません!」 「そりゃ、そうだろ・・・正直、なんでここまでしなきゃならんのだか」 「やはり、例の噂ではありませんか?」 「ああ、あれか?『ガリア王宮がトリステインの平民使い魔を怒らせて城ごと消された』 てやつか。・・・まさか偉いさん達は、こんなよた話を信じてるのかねぇ?」 「やはり、ただのデマでありますか?」 「当たり前だ。非常識にもほどがある。大方、トリステインのスパイが流した流言の類だ ろ」 「ですが、やはりこの警備は異常としか・・・」 「それは…確かにな。遠征に参加しない陸軍連中の暇つぶし、にしても変だしなぁ」 上官も部下達も、あまりに異例な警備態勢に首を傾げていた。 第五部 第2話 その炎は罪深く アルビオン首都ロンディニウム、王城ハヴィランド宮殿。この宮殿も、非常識なまでの 警備で囲まれ、守れている。 白一色に塗られた荘厳なホワイトホール。16本の円柱が取り囲み天井を支え、白い壁 は傷一つ無く輝いている。ホール中心の円卓には、明日公式に樹立が宣言される神聖アル ビオン共和国の閣僚・将軍達が着席していた。 上座に座り、後ろにシェフィールドを従えたクロムウェルは、シェフィールドから手渡 された報告書に目を通しながら、肉を刺したフォーク片手に閣議を黙って聞いていた。そ の閣議は朝食と共に、ゆったりと和やかな空気の中で進んでいく。 「・・・以上が式典の進行予定表であります」 「うむ、その通りで頼むよ。特に正午の式典最後、出陣式を兼ねた艦隊パレード。これが 一番重要だよ」 「その点は滞りなく手はずは整っております。艦隊は正午のパレードを終え次第、トリス テインへ向かいます」 「トリステイン到着は次の日の昼頃か。地上へ滑空するだけだし、もっと速くいけるかも な」 「ダータルネスからの輸送船等との合流と艦隊編成、それに船足の遅い民間船も多いです ので、昼が限界ですね」 「そうか、まぁ急ぐ事もないか。さて、あちらさんは、どう出るかな?」 「普通に考えればラ・ロシェール前の、タルブ辺りで迎撃というところだな。あそこを押 さえられたら、我らの艦隊に地上補給拠点を与える事になるからだ」 「その時はラ・ロシェールで艦隊戦、別働隊でトリスタニアだ…といっても、この程度は 向こうも考えてるだろうが」 「うむ、そして勝敗は戦う前から決まっている事も、百も承知だろうよ」 「トリステインとしては、どの程度負けた所で白旗をあげて戦力を温存させるか、少しで も有利な講和条約を結ぶか、だな」 「そうだな。正直、ここまで念入りに準備するのは、もはや外道かとすら思える。・・・ 閣下、失礼ながら、本当にこの作戦でよろしいのか?」 閣下、と呼ばれたクロムウェルはフォークも机に置いて、一心不乱に報告書を読み続け ていた。 「あ~、閣下。よろしいでしょうか?」 「…ん?・・・あ、ああ、失礼。なんだったかな?」 「え~、もともと軍事力で天地の差があるトリステインを相手に、ここまでする必要があ るのか、ということです」 「ふむふむ、続けてくれたまえ」 「はい。あまりヤツらに被害を与えると、その後の講和条約締結や占領政策に支障をきた すと思えます。我らレコン・キスタの地上拠点となるのですから、出来る限り無傷で手に 入れるべきでは? それに、この桁外れな警備の件です。この異常な警備態勢に、軍内部のみならず国民か らも不審の声が出ています。例の、トリステインの魔法人形の噂が真実では、と面白おか しく吹聴する者も」 「ふむ、そうだね、そういう噂、だね・・・」 クロムウェルは、再び報告書に視線を落とした。 「まぁ、君の言う事ももっともだ。だが、我らとしても、一刻も早くハルケギニアを統一 し、聖地を奪還しなければならない!そのために一日でも早くトリステインを降伏させ、 我らの力を広く世に知らしめる必要がある!これは、そのための作戦だよ」 「ふむ・・・確かに」 「それと、噂の件。皆、これを見て欲しい」 そう言って、クロムウェルは手に持っていた報告書を隣の席に手渡した。その報告書が 回されると、手に取った将軍と閣僚の顔色が次々と変わっていった。食事を机に置き、食 い入るように読み続ける。 「読んでの通りだ。ガリアの同志からの報告書だよ。・・・全て、真実だ。 かの少年使い魔と魔法人形達は、確かに3日前にヴェルサルテイル宮殿を襲撃。王宮で 散々ふざけた悪戯をして、最後にプチ・トロワを消し飛ばして帰ったらしいよ!誰にも姿 を見られることなく、ね。彼等は、なんと臭いすら残さなかったそうだ!鼻の効く使い魔 が追えなかったと。 唯一手がかりになりそうだった遺留品の懐中時計も、いつの間にか消えてしまったそう だよ。残ったのは落書きやら、ゴミばかり」 「まさか、そんな・・・」「魔法も使えない、平民の、それも子供が?」「これは、すぐ 箝口令を」「ガリアだって箝口令くらいひいていたろう、それでもこの有様・・・」「ガ リアからアルビオンまで、僅か2日で噂が広まるとは」「トリステインのスパイによる情 報操作では?」 先ほどまでの和やかな空気は消えた。円卓は不安と緊張感に塗り替えられている。 バンッと円卓を叩いてクロムウェルが立ち上がった。 「諸君!恐れる事はない!この作戦はもともと、トリステインの秘密兵器をも計算に入れ て立案してある!そのために『レキシントン』号のみならず、多数の民間船を接収して改 造したのだから!」 おお…と円卓に感嘆のどよめきがあがる。 「確かにヤツらは謎だ!恐るべき戦力だ!しかし、所詮は大海に浮かぶ小舟!聖地回復運 動という大きな歴史の流れに、使い魔一匹ごときが逆らえるものか!なんのことはない、 あの使い魔がどこか一つの戦場で暴れ回るというのなら、それ以外の戦場を全てレコン・ キスタの旗で埋め尽くしてしまえばいい!やつらは、しょせん主と使い魔の二人だけでし かないのだから! 無論、艦隊にそれなりの被害は出るだろう。だが、それも聖地回復という大義の前には 些細な事でしかない!! それに、その報告書が正しければ…ヤツらには、致命的弱点があるのだよ!」 円卓を覆おうとしていた暗雲はどこかへ消え去り、閣議は終了した。朝食を追えた一同 はクロムウェルへ一礼し、皆ホールを後にした。 ―――トリステイン魔法学院、昼前。 分厚いカーテンのひかれたルイズの部屋には、キュルケとタバサがいた。二人が見つめ る鏡台の鏡が輝き、真紅・ルイズ・デルフリンガーを背に担いだジュン・翠星石が這い出 してきた。 「おっでれーたなぁ。あんな警備、見た事ないぜぇ」 「ううう、悔しいですぅ~。おんのれぇえ~~おくびょーもの共めぇええ」 「どうなってんの!?どうみても僕らがガリアの宮殿で暴れたのを知ってるとしか思えな いよ!ガリアからアルビオンまで、情報が渡ったぁ!?あっという間にぃ!?」 「そうね。この様子じゃ港や宮殿内部へのルートを見つけてもダメね」 「あー!ムカツクわねえー!あたしのエクスプロージョンで、艦隊丸ごと吹っ飛ばしてや ろうと思ったのにぃー!」 悔しさを露わにするルイズ達に、キュルケとタバサも様子を聞くまでもなく状況は理解 出来た。 話を聞いていたキュルケも腕組みして溜め息を吐く。 「はぁ~…ホントにレコン・キスタの情報網は凄いわねぇ。それかホントに裏でつながっ てるのかしら?とにかく、昼食にしましょ」 「あ、ゴメン。僕、トイレ行ってるから、先に行ってて」 と言って部屋を出ようとしたジュンの襟を、ルイズががしっと捕まえた。顔は笑顔、で も目が笑っていない。 「あの・・・ルイズさん、何?」 「ねぇ~ジュう~ん~、どーこいっくの?」 「だ、だから、トイレ・・・」 「ふぅ~~~~~ん」 真紅と翠星石も、笑顔なのに目が笑ってない。三人に取り囲まれ、ジュンも冷や汗。 キュルケはそんなルイズ達をニヤニヤと笑っている。タバサはやっぱり無表情だが、首 を傾げている。 「スぅイぃ~、ジュンを見張っててくれるかしらぁ~?」 「まっかせるですよー」 「な、なんで!?トイレくらい一人で」 「いーから来るですぅ!お前を一人で行かせるわけにはいかねーですぅ!!」 ジュンは、翠星石を頭に乗っけたままトイレに行かされた。 そんな様子を見て、首を傾げたタバサがキュルケをチラと見上げた。 「ああ、ジュンちゃんったらねぇ~。昨日、警護のオネーサン達やぁ、メイドさんやぁ、 近くの村に避難してきたイケナイお店のお嬢様達とねぇ…とぉ~っても仲良くしてたんで すってぇ!」 「うっさいわよキュルケぇ!」「お黙りなさいっ!」 ルイズと真紅がハモりながら、キュルケを睨み付けるのであった。 「・・・第一、どうしてお前等が昨日の僕の事、そんなに詳しく知ってるんだよぉ!?」 ジュンは頭の上の翠星石にブツブツ文句を言いながら石畳を歩いていた。 「あ、まさかデル公!?」 「ちっちげーよ!俺ッちはンな事いわねーよぉ!」 「ふっふーん!教えてあげるですよぉ~」 翠星石がジュンの頭の上で、腰に手を当ててふんぞり返る。 「かーんたんですぅ!お前の背中にスィドリームつけといたですぅ~」 「なーっ!なんでそんな事をー!」 「あーんなフツーの人間達に、お前の護衛を任せてらんねーからですぅ!そしたら、お前 と来たら、おおまえと来たラあァー!ち、ちちち!チビ人間のクセにぃ!!!」 ポコポコと翠星石が頭を踏みつける。 「ぶぅえっ、べぇっ!別に僕は悪くないだろお!?」 「うっせーコンチキショーですぅっ!お前に悪い虫が付かないようにするのも、あたし達 の役目ですぅーだ!」 「人権侵害だあー!」 ジュンがフトウなタイグウに抗議していると、警備の女性武官数人とすれ違った。皆、 ジュンを見るとニッコリ笑って手を振り、ジュンも少し赤くなってペコリと礼をする。 ぎゅうぅにいいいい~~~ ジュンの頭の上から、翠星石がほっぺたを思いっきりつねりあげる。 「お・ま・え・と…いうやつわぁああああ」 「ひぃっひたひ!ひゃめれえーっ!」 「お・・・おでれーた、女は怖いねぇ」 遠くから眺める女官達も、朝食に向かう女学生達も、二人の姿をクスクス笑っていた。 昼食中、ジュンと真紅と翠星石は、いつものように入り口横のテーブルで食事をしてい た。ただ最近は、ルイズも一緒。 そして少女達三人は、ジトォ~とジュンを睨んでいた。 「あの、さぁ・・・お前ら、いい加減にしろよなぁ」 「そーれはこっちのセリフですぅ!ねー、ルイズ?」 「そーよねー、ジュンったらこう見えて、イロオトコですもん。ねー、シンク?」 「そうね、さすが私のミーディアムね。本当に、誇らしいったらないわ」 アルヴィーズの食堂では、他の生徒も教員も食事している。メイドなどの平民や、警護 もいる。ただし、そのほとんどが女性。男性はほとんどみんな軍へ志願し、残っているの はコルベールやジュンなど、ごく少数。 ジュンはトリステインの戦力としても、数少ない男性としても、目立っていた。なので 周囲の視線も集まってくる。ジュンがちょっと視線をずらせば、自然に周囲の女性と目が 合う。 その度にジュンは、真紅と翠星石にバターやパンを投げつけられ、ルイズに足を踏んづ けられた。 「・・・なんで、こんな目に・・・」 そんなジュンのつぶやきも、冷たく睨み付けてくる三組の目に潰されてしまった…。 ―――夕刻、トリステイン王宮会議室。 「・・・城下の避難、完了致しました」 「艦隊は既に臨戦態勢にあります」 「全軍、予定通りに展開しております。明日には陣の形成を完了致します」 「よろしい。それでは、あとはアルビオン艦隊が来るのを待つばかりですね」 会議室では、上座のマリアンヌと、隣に座るマザリーニが全軍の配置と市民の避難状況 などについて報告を受けていた。 豪華な夕食と貴重な年代物ワインも並べられていく。同時に、扉からはヴァリエール公 爵やラ・ラメー伯爵、その他将軍達も次々と入室し、席に着いていく。その表情は暗くは ない、だが陽気でも無かった。皆、悲壮な決意を秘めてこの晩餐に臨んでいた。 全ての将軍や大臣達が机を囲んだ後、最後に入ってきたのはアンリエッタとウェールズ だ。二人は手を取り合い、末席に肩を寄せ合って着席した。 居並ぶ重臣達を見渡したマリアンヌが、ワインを手に立ち上がった。 「皆、よくぞこれまでトリステインを支えて下さいました。まずその事に感謝します。 そして、このトリステイン存亡の危機に臆することなく、この晩餐にも席を並べて下さっ た事、誇りに思います」 「女王陛下!何を弱気な事を言われますか!?」 そう言って立ち上がったのは、デムリ財務卿だ。 「このデムリ、武官でありませんので前線には立てません。ですが必ずや陛下を、王家を お守り致します!金勘定しか出来ない非力な身ではありますが、なればこそ!軍資金につ いてはお任せ下さい!」 「よくぞ言われた!デムリ殿!」 今度は魔法衛士隊マンティコア隊隊長ド・ゼッサールが立ち上がる。 「不肖、私も衛士隊隊長として、陛下の盾となる所存にございます。王家に降りかかるあ らゆる魔法から、陛下も姫もお守りして見せましょう」 そんな二人の後に続くように、居並ぶ重臣達も次々とワイン片手に立ち上がり、気勢を 上げる。 「全くですぞ陛下!確かに空軍力では劣りますが、なあに!ヤツらもいずれは地上に降り なければ占領が出来ンのです!そこからが本番ですぞ」 「そうそう!第一、あやつらは聖地回復などと掲げてはおりますが、しょせん烏合の衆! 利権目当てに集まったダニ共に過ぎません!」 「その通り、我らが地上で粘り続ければ、やつらは内部分裂を起こし、瓦解して自滅しま す。我らはその時を待てばよいのです」 「何よりここは我らの国!やつらが土足で踏み込んだ所で、この国の民がヤツらの支配を 良しとはしません。民衆と共に、各地で解放の旗を上げるとしましょう!」 「これこれ諸君、まずは艦隊戦ですぞ。まだ我が艦隊が、負けると決まったわけではあり ません」 そういって苦笑いと共に皆を制したのは、艦隊司令長官ラ・ラメー伯爵だ。 マザリーニが手を挙げて、皆を一旦着席させる。 「・・・諸君、ともかく決戦の時は刻一刻と近づいておる。我らはその時まで牙を研ぎ、 力を蓄えよう。そしてなによりこの一戦において、トリステインは弱国ではないこと、他 国の侵略には一丸となって立ち向かうという意思と誇りと力、何より王家への忠誠を示し ましょうぞ」 おおっ!という喊声と共に、一同はワイングラスを高く掲げた。 そんな晩餐の中、アンリエッタとウェールズは静かに微笑みあっている。 「ウェールズ様…明日、行かれるのですね」 「うむ、アルビオンから来てくれた貴族達も、既に大勢が『イーグル』号に乗り込んでい る。 ニューカッスルで死に損ねたこの身だが、生きて姫と共に過ごして、目が覚めた。アル ビオン王家の誇りを示す、なんて言わない。ただ姫を守るため、明日は全てを賭けて戦う とするよ」 「どうか、どうか生きてお戻り下さい。このアンリエッタを、再び一人にしないで下さい まし」 「分かっている。必ず、必ず生きて帰る。二度とそなたを一人にするものか」 二人は机の下で、固く手を握り合っていた。 ―――シャン・ド・マルス練兵場、深夜。 トリスタニアの中ほどにある、この練兵場には、数多くの連隊が駐屯していた。 戦いを前にたき火を囲んで気勢を上げたり、武器を磨いたり、詠唱の練習をしたり、馬 や使い魔を撫でながら語りかけたり、皆思い思いに夜を迎えている。 そんな練兵場の隅に、若い貴族の姿があった。薔薇の造花をキザッたらしく口にくわえ たギーシュが、じっと地面を見つめて意識を集中している。 ぽこっぼこぼこ 彼の足下の地面が盛り上がり、大きなモグラが顔を出した。 「お疲れ様、僕のヴェルダンデ。本当によく頑張ったねぇ。これで君のお仕事は終わりだ よ。さぁ、遠くへお行き。トリスタニアは危ないからね」 ギーシュは優しく自分の使い魔の頬を撫で、労をねぎらった。だが、遠くへ行けと命じ られたジャイアントモールは、動こうとしない。ただ円らで愛らしい瞳が、主をジッと見 上げている。 「ダメだよ。君はとてもとても素晴らしい使い魔だけど、戦場では役に立たないんだ。君 は、もっと素晴らしい働きを、既にしてくれたんだよ。 さぁ行くんだ!短い間だったけど、君を召喚出来て本当に僕は幸せだったよ!僕は世界 一の幸せ者だったよ!」 それでもモグラは去ろうとしない。潤んだ瞳が、若い主を見上げ続けた。 「ヴェルダンデ・・・ああ、ありがとう!僕の一番の友達よ!」 ギーシュは膝をつき、モグラの頭を抱きしめて涙を流した。 そんな主と使い魔の姿も、城下に駐屯する数万の軍勢の中では、よくあるワンシーンの 一つでしかなかった。 平民も貴族も人間も動物も、等しく夜の闇に包まれる。 アルビオン~トリステイン戦争 開戦初日 アルビオン首都ロンディニウム、ハヴィランド宮殿前大通りは、朝から群衆で埋め尽く されていた。 石造りの整然とした町並みの中に色とりどりの旗が翻っている。楽隊の勇壮な演奏の中 を、人々の歓声を受けて華やかな騎士隊の隊列が進んでいく。宮殿内でオリヴァー・クロ ムウェルの初代神聖皇帝戴冠式も滞りなく、神妙に執り行われていた。 正午、宮殿テラスからクロムウェルが姿を現し、民衆へ手を振る。同時に大歓声がわき 起こり、皇帝自身の口から神聖アルビオン共和国樹立とトリステインへの遠征が宣言され た。 そして宮殿奥、ホワイトホールでは、遠見の鏡から式典の進行を眺める人物の姿があっ た。それは本物のクロムウェルだ。 「ふむ…さすがに影武者で戴冠式をするのはやり過ぎかとも思ったけど、まぁいいか。念 には念を、とも言うしな」 ほどなくして鏡には、上空を悠然と進むアルビオン艦隊が映された。数多くの竜騎兵に 周囲を警護された艦隊は、ゆっくりとトリステインへ船首を向ける。 港町ロサイスとロンディニウムを繋ぐ交通の要衝、サウスゴータ。 そのサウスゴータの森の中、ロサイスから北東に50リーグほど離れたウエストウッド 村には、丸太と漆喰で作られた民家があった。村といっても、ある篤志家の援助で作られ た孤児院みたいなものだったが。 そしてその篤志家と、その友人と、村を運営する女性が、孤児達と共に昼食を囲んでい た。 「あー!見てみてぇー!」 一人の子供が上空を見上げると、アルビオン艦隊が竜騎士を引き連れて通過する所だっ た。 「うわぁー!すっごおーい!」 「今度はどこいくのかなぁ?」 「しらねーのかよ、トリステインだってさ」 子供達は、無邪気に艦隊を珍しがり、その後を追って駆け出した。 「こらあー!みんなー、まだ食事中よー!」 「はーい!」 「ごめんよテファ姉ちゃん!」 テファと呼ばれた耳の長い少女に止められ、子供達はみんな食卓へ戻ってきた。 「まったく、あのティファニアといい、子供達といい、平和なものだな」 そう言って麦酒を口にしたのは、篤志家の友人であるワルドだった。マントを外して衛 士隊の制服も脱ぎ、今はただの村人にしかみえない――その鋭い眼光と鍛え抜かれた肉体 を除いて、だが。 「本当だねぇ・・・内戦直後のトリステイン遠征で、高い税金やら焼け出された民衆やら で貴族への恨みがつのっているって言うのに。 杖で民衆を脅しての戴冠式典に艦隊パレードを兼ねた出陣式、ほ~んとにご苦労なこっ たよ」 ぼやき混じりにパンを頬張っているのは、土くれこと篤志家のフーケ。 「で・・・あんたはどうすんだい?」 「どう、とは?」 「しらばっくれてんじゃないよ。今朝はずっと、あれの横でじぃ~っと考え込んでたじゃ ないか」 そう言ってフーケが指さした先には、体を丸めてうたた寝するグリフォンがいた。その 大きくてフカフカの体の上では、小さな女の子も一緒に昼寝している。 「今の俺は、ただの子守だよ。子供達と遊ぶのに精一杯さ」 「ぬけぬけとまぁ、よく言うねぇ!子育てにグリフォンなんか連れてくるもんか!まった く、あんなでっかくて目立つのをここまで連れてくるのに、どんだけ苦労したと思ってる んだい!?」 「意外だな、お前からそんな事を言ってくるとは。こういう平和で穏やかな生活は嫌い か?」 「そっ!そんなことはないけど、ねぇ・・・って、からかうんじゃないよ!」 「んもぉ~、マチルダ姉さんもワルドさんも、子供達の前でケンカしちゃだめです!」 「いや、別にケンカしてるワケじゃ」「ふふ、すまんなティファニア」 ティファニアに怒られ、二人とも黙って昼食を済ませる事にした。 昼食をモゴモゴと食べながらも、ワルドの目は遠くを見つめていた。 ―――夜、ルイズの部屋 薔薇乙女達がトランクで眠りについた頃、ベッドの上ではルイズが寝返りをうち続けて いた。 ・・・寝れないなぁ・・・ もう何度も何度もコロコロ寝返りをうってるが、目が冴えて全然寝付けない。 ぼんやりと天井を見つめても、いつもの天井があるばかり。 「弱ったなぁ、グッスリ寝なきゃいけないのに」 ふと床を見れば、わら束の上にひいた毛布にくるまるジュンの背が見える。 「おーい」 返事なし。 「こらー、ジューン」 やっぱり返事はない。 「・・・女ったらし」 「…誰がだよ」 「やっぱり起きてるじゃない」 ジュンは背を向けたまま、小声で抗議した。 「ジュンも寝れないの?」 「う…ん、まあね」 「床で寝てるのがまずいんじゃない?」 「もう慣れたよ。他に寝る所なんて無いし」 「あるわよ」 「どこに?」 「ここに」 ヒョイとジュンが頭を上げると、ルイズがベッドの、自分の隣を指さしている。 「・・・冗談はよせよ」 慌てて毛布にくるまりなおすジュンの顔は、一瞬で真っ赤になっていた。 「あら、冗談じゃないわよ」 ルイズは悪戯っぽく微笑みながら、ジュンの背を見つめている。 「明日は大事な日だもの。ぐっすり寝てくれないと、こっちだって困るわ」 「そりゃお互い様。バカ言ってないで、早く寝ようぜ」 「ふーん、来てくれないんだぁ」 「あ、あったり前だろ」 「じゃあ~、オネーサンがジュンのトコに行ったげようかなぁ~?」 「かーっからかうなよ!」 「うふふ、ゴメンね。それじゃ、お休みなさい」 「ああ、お休み」 ルイズはジュンに背を向けて布団にくるまる。 ほどなくして、二人は夢の世界に旅立っていった。 「やれやれまったく…ジュンはやっぱ、まだまだお子様だねぇ・・・」 壁に立てかけられたデルフリンガーの言葉も、聞く者はもういなかった。 back/ 薔薇乙女も使い魔menu/ next
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/837.html
967 名前:朝食その1投稿日:2007/11/05(月) 15 13 29 ID ??? ども、922です。 残りレス少ないですが、暖めていたSSの中から一つ短めの小ネタをUPさせていただきます。 シンとシュウトも無理やり出演させました。 見れるような作品じゃありませんが、暇つぶし程度に楽しんでいただけたら、ありがたいです。 では、前置きもこのくらいで… 本編スタト! 朝の6時… 家族の朝食を用意するロラン。 今日の朝食は、代表的な朝食「納豆」であった。 一人用のパックに入っている納豆を各々の席に置いていき、それに入れる為の薬味を用意する。 薬味の用意が終わると味噌汁やご飯などをお椀に盛りテーブルに運ぶ。 丁度その頃、ドモンが朝のランニングから帰ってきた。 「お?今日の朝食は納豆か!」 ドモンの大好物である。 「もう少しで出来ますからね」 「うむ、顔を洗ってくる!」 ドモンがキッチンから離れると、朝刊を片手にギンガナムが家に入ってきた。 「おはよう!」 「おはよう御座います」 すでに我が家のように振舞うギンガナムに、いちいち突っ込んでいられないロラン。 もう家族同然である。 「今日の朝食は、白シャリに豆腐の味噌汁、漬物盛り合わせに………ほほぅ…納豆か!」 「はい」 「キング・オブ・朝食!大好物である!!」 「皆が揃うまで待っていてくださいね」 「うむ!」 ギンガナムは自分の席(上座)にすわり、持ってきた朝刊を読む。 そしてアムロが部屋からやってきた。 「おはよう」 「おはようございます」 「おっはーである!」 「ギンガナム…おっはーってなんだ?」 「黒歴史時代、日本という国で流行った挨拶なのである!」 「あっそう…」 アムロはギンガナムの脇に座る。 「なあ、ギンガナム…朝刊見てもいいか?」 「構わないぞ。小生は番組覧だけが目的であるからなぁ!」 「ありがと」 番組覧だけを抜き、残りをアムロに渡すギンガナム。 「おはよう」 シローが起きてきた。 シローはギンガナムの脇(アムロの対面)に座り、テレビを点ける。 「シロー兄さん、今日は休暇なんでしょ?」 ロランがキッチンから出てきてシローに話しかける。 「ああ、休暇だよ」 「だったら、隣町に買い物に行きません?あの駅前のスーパー得売りしてるんですよ」 「悪いロラン!今日はアイナと約束してるんだ」 「そうですか…わかりました」 ちょっと残念そうな顔でキッチンに戻るロラン。 968 名前:朝食その2投稿日:2007/11/05(月) 15 16 30 ID ??? そして静かにカミーユ、シーブック、ヒイロ、キラ、シンが降りてきた。 その直後、騒がしい一団、コウ、アル、ジュドー、ガロード、ウッソ、シュウトが降りてきた。 ジュドー「おはよー!」 ガロード「今日の朝飯は、なにかな?…納豆だ!!」 カミーユ「納豆か…苦手なんだよなぁ」 シーブック「俺もだよ…」 ヒイロ「………」 ジュドー「じゃあ、俺にくれよ!」 ガロード「俺にも俺にも!!」 キラ「シン…お前に俺の納豆やろうか?」 シン「いや、俺も要らない…」 アル「ぅわー!納豆だー!!」 コウ「アル、お前納豆好きだよな」 ウッソ「久しぶりの納豆だな…あの粘り気がなんとも」 シュウト「いっぱい粘り出すぞー!」 十五人+一人が勢ぞろいし、朝食が始まった。 「「いただきまーす!!」」 一斉にパックの蓋を開ける。 そして皆一目散にかき混ぜ始めた。 ヒイロはパックの蓋を開けると箸を斜めに突き刺し、マイペースにかき混ぜていく。 程よい粘りが出た時点で、ロラン特性のダシとネギを入れ数回かき混ぜる。 そしてどんぶりにドバッとかけると静かに食べていった。 まさに見本のような食べ方… しかし他は騒がしいものだ。 ジュドーとガロードに至っては、カミーユ、シーブックの納豆も入れているから量が半端ではない。 勢い良く回す度に、納豆が飛び散っていく。 ギンガナムも負けてはいなかった。 キラとシンから貰った(奪い取った?)納豆も混ぜ、通常の三倍の量になっている。 其処でドモンとギンガナムが動いた! テーブルの中央にある練り辛子を二人が同時に掴んだのだ。 その手を離せとばかりに睨み合う二人… ドモン「ギンガナム……その手を離せ…」 ギンガナム「貴様こそ手を離さんか!」 ロラン「はいはい、ケンカはいけませんよ。もう一つ練り辛子ありますからね~」 ロランの仲裁で練り辛子を手にしたドモンとギンガナムは納豆目掛け大量にかける。 その脇でシローは、ロランが特別に調合した秘伝の七味を大量にかける。 それに続くように、ウッソはゴマとシソの葉を納豆にかけ、アルは卵を割り、納豆にかけた。 シュウト「なんか…皆、納豆にかけてるね…美味しいの?」 ウッソ「ゴマとシソは美味しいよ。後はこれにポン酢をかける!」 アル「卵を入れるとまろやかになるんだよ。大人の味さ!」 ロラン「ちりめんやカツオ節。シンプルに塩で頂くのも美味しいですよ」 ギンガナム「いや!そんなものを入れるのは子供のやる事!!納豆には練り辛子である!坊主も大人になればわかるぞ!!」 ドモン「その通り!あの鼻にクル風味…程よくしびれる舌!香ばしさも相成って最高の一品となる!!」 ギンガナム「ドモン!お前、中々に通だな!!」 ドモン「ギンガナム…貴様もな!!」 シロー「いやいや、この七味こそが至高の薬味!!なんせロラン秘伝の七味だからな!!」 ギンガナム「なんだと!?」 コウ「俺は普通に、ダシ醤油だけで…」 シロー、ドモン、ギンガナム「「「この、お子様がぁ!!」」」 コウ「な、なんだよぅ…いいじゃないか、ノーマルでも」 ドモン「だから、お前はガキなのだー!!」 ギンガナム「貴様にも大人の味を教えてやる!!」 そう言うと、ギンガナムは手に持っている練り辛子をコウの納豆目掛け大量にぶっかけた。 コウ「あー!?俺の…俺の納豆が!!」 シロー「これを食えばお前も大人の仲間入りだ…観念しろ」 969 名前:朝食その3投稿日:2007/11/05(月) 15 19 39 ID ??? ジュドー「辛子?七味?甘い…甘すぎるね!」 シロー「なに!?」 ガロード「そんなオーソドックスの調味料なんざ、当の昔に卒業さ!!」 ドモン「なんだと!?」 ジュドー「俺達は納豆に対し色々と研究していった…」 ガロード「そして終に最強の調味料と付け合せを発見した!!」 ギンガナム「最強の調味料と付け合せだと!?」 ジュドー「これこそが最強の調味料…子供から大人まで誰もが大好きな味!!」 ガロード「これを発見した時は盲点だったよ…当たり前すぎて誰も試さなかった!」 ガロードがテーブルにドンッ!と出したそれは、マヨネーズ!! ギンガナム「マヨネーズだと!?」 ガロード「しかも唐辛子入り!!」 ギンガナム「…なるほど…そうきたか!黒歴史時代に文明人が開発した究極とも言える調味料… その何にでも合う万能さと味の美味さからマヨラーなどと言う人種も存在したと聞く…」 ジュドー「フハハハハッ!我々の勝利だ!!」 シン「なにがやねん…」 キラ「盛り上がってるなぁ」 カミーユ「俺達にとばっちりが来る前に、学校行くか…」 シーブック「そうだな」 ヒイロ「…朝食……美味かった…」 ロラン「はい、お粗末様でした。気をつけていってらっしゃい」 何時の間にかヒイロ、カミーユ、シーブックはそそくさと朝食を終え、学校に出勤。 ウッソとアルとシュウトはワクワクしながら事の成り行きを見とどけている。 ガロード「でも今回の納豆にはマヨネーズだけじゃないんだよな…」 シロー「なんだと!?」 ガロード「焼肉のタレもかけるんだよ!!」 ドモン「マヨネーズだけじゃなく…焼肉のタレもだと!?」 ガロード「マヨネーズと焼肉のタレ。こいつはベストマッチだぜ!」 シロー「確かにマヨネーズと焼肉のタレは絶妙に合う……だからって納豆に合うとは限らないだろ?」 ジュドー「更に俺達は冒険をする!!」 ジュドーがあるものをテーブルに出した。 モズクとオクラである! ギンガナム「モズクと…オクラ?」 ドモン「それは…どう言う意味だ?」 ジュドー「食べ物の粘々は体にイイとあるTV番組で知った…だったら他の粘々も混ぜてみようと思ったわけさ!」 シロー「お前等、考え極端過ぎ…」 ジュドーとガロードは、納豆に刻んだオクラとモズクをぶっかけた。 ドモン「なあ、ロラン…あのモズクって」 ロラン「あれは、三杯酢で味付けされたモズクですよ…」 ドモン「その事、あいつ等知ってて混ぜてんのか?」 ロラン「さあ?………でも、あの二人には最後までしっかり食べてもらいますけど……ニィ…」 そう小さく呟いたロランの言葉はドモンの耳には届かなかった。 971 名前:朝食その4投稿日:2007/11/05(月) 15 33 09 ID ??? オクラとモズク入りの納豆を勢い良くかき混ぜるジュドー。 物凄い粘り気が器を支配する。 それにガロードが唐辛子入りマヨネーズと焼肉のタレをぶっかけた。 高速でかき回すジュドー。 あまりの高回転に、中身が遠心力で飛んでいく。 そしてかき回す事、一分… この世のものとは思えない物体が完成した。 ガロード「ジュドー…これ、想像以上にやばくね?」 ジュドー「だ、大丈夫!………たぶん…」 明らかに食べ物とかけ離れたソレを只見つめるだけのジュドーとガロード… 其処にロランがやってきた。 ロラン「自分が作ったものは責任を持って食べてくださいね」 おふざけが過ぎたジュドー達にロランがそっと話しかける。 ロランの口調は何時も通りの優しい口調だったが、雰囲気からは恐ろしげな殺気が感じられる。 ドモン(ぬう、ロランの殺気…中々に凄まじい…!) ジュドー「食うしかない…」 ガロード「マジか!」 ジュドー「じゃないと、ロラン兄に殺されるぞ」 ガロード「確かに…食べ物を粗末にした時のロラン兄の怒りようは恐ろしいからな……仕方ない…食うか!」 ジュドー「そうだな!もしかしたら当たりかもしんないし!!」 ガロード「そ、そうだよな!マヨネーズに焼肉のタレかけてるんだ!不味い訳がない!」 シロー「単体ならな…」 ジュドーとガロードはご飯にそれをぶっかけ、箸とどんぶりを手にした。 ドモン「食べるのか!?それを!!…いや、食べざるを得ないか…」 アムロ「当然だ!」 朝食を食べ終えたアムロが爪楊枝をくわえ不機嫌そうな顔でジュドー達を見ている。 ジュドー「いくぞ、ガロード!」 ガロード「覚悟は出来てるぜ、ジュドー!!」 そしてジュドーとガロードはソレを勢い良く食べた! 972 名前:朝食ラスト投稿日:2007/11/05(月) 15 36 51 ID ??? ロラン「もしもし、ジュドーとガロードの兄、ロランと申します。ハマーン先生は…あ、ご無沙汰していますハマーン先生。実は、ジュドーとガロードの事なんですけど、今日は学校をお休みにさせて頂きたいと……… 今日の朝変なものを食べてしまって……はい、そうなんですよ。………はい、分かりました。 本当、ご迷惑をおかけして……はい、それでは失礼します」 ガチャン… ロラン「ウッソ、アル、シュウト。食べ物は大切に食べてくださいね」 ウッソ、アル、シュウト「は~い」 食べ物は大切にしましょう(^^ 駄文でスンマセン。 誤字、脱字は大目に見てくださいwww 納豆ネタ好きの皆さんスンマセン (´・ω・`) また、その内投下させていただきます 兄弟スレの活性化を願って… link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ ガロード・ラン ガンダム一家 ギム・ギンガナム ジュドー・アーシタ ドモン・カッシュ 朝食
https://w.atwiki.jp/halbkatze/pages/51.html
キライになれないと自覚すればするほど、抱いてはいけない感情にのめりこむ。 対象が摩り替わり、アブノーマルな愛情が、ノーマルなそれになれば、もう、何の歯止めも存在しないとわかっていて。 醜い感情 4人での別荘での休暇が終わると、溜め込まれていただろう仕事が一斉にやってきた。ベアトリス特務総監からは、山のような書類が送られてきて、それを僕とアーニャが苦戦しながら片付けていく。 その傍らで、ジノとヴィクトリアは、さらりと書類を書き上げて、何度も書き直しを指示される自分たちを尻目に、二人でナイトメアの調整に出かけていた。 ジノのエスコートを当然のように受け入れるヴィクトリア。 傍らに立ち、リードすることを自分の立ち位置と自認するジノ。 その二人の姿を、廊下の端に見つける度に、もやもやとした納得できない感情が心を満たすのだった。 「やぁ、久しぶりだね。スザク君」 「シュナイゼル殿下! お久しぶりです」 ラウンズのロビーで仕事をしていると、先触れも何もなく、多忙なはずの第二皇子が現れた。 慌てて騎士の礼をとると、 ぴろりろり~ん。 出かけていく二人の背をいつまでも視線で追う自分に、無機質無感動な携帯のカメラが音をたてる。 「アーニャ、いきなりは…」 「気にしないよ。パパラッチに比べれば、まだ可愛いものだ。アールストレイム卿は、相変わらずだね」 にこにことアーニャの行動を受け流すシュナイゼルに、首をかしげた。 「殿下は、アーニャとは…」 「アールストレイム卿は、ヴィクトリアの古い友人だからね。長い付き合いになる」 写真の写り具合を確認して、アーニャがようやく顔をあげる。 「ヴィッキィなら、ジノと留守」 ぶっきらぼうにも聞こえる言い方だが、それにも第二皇子は鷹揚に答えた。 「そうか、それは残念だ。せっかくラウンズの皆を夜会に招待しようと思ったんだが…」 「殿下が主催ですか?」 「いや、主催は一応、兄上なのだがね。ヴィクトリアは、直接話を通さないと、いつも来てくれないから。皇籍を返上したとはいえ、兄妹なのだから、夜会に出るくらい構わないと思うのに」 曖昧に笑う。 そういえば、ヴィクトリアが皇族と接するところをみたことがない。本宮にいるのだから、皇族の一人や二人、出会いそうなものなのに。 「スザク君。招待状を預かってもらえないかな?」 「自分が、ですか?」 「ダメだろうか?」 「いえ。でも、お預かりしても、ヴィクトリア様が出席される保障までは……」 「そう思ってね。君たちの分も用意してあるんだ」 用意がいい。というよりも、読んでいる。 綺麗なカリグラフィーで宛名の書かれた封書が4通。 僕と、ヴィクトリア、それからアーニャとジノの分。 「本来なら、ラウンズ全員に用意したかったんだが、警備上、本宮から根こそぎラウンズを連れ出すというのもさすがに兄上主催でもまずいのでね」 「本当に、自分たちも行ってよろしいのですか?」 「勿論だよ」 穏やかな笑み。 だから気がつかなかったのだ。彼が何を考えていたのか、を。 「あまり平時にジノの前で呼び出すな、ビスマルク」 後にも先にもないであろう、禁色を許されたラウンズのマントを翻し、人払いされた区画へと入る。 そこにいたのは、膝を折るナイトオブワン。 自分と同じラウンズの騎士。 自分と似て非なる、皇帝の駒。 「姫様のご様子を確認するのが、私に与えられた任務のひとつでもありますので」 「確認?監視の間違いだろう。私がルルーシュのように飛び出さないように、ブリタニアがこれ以上巫女を失わない為に」 酷薄に笑ってやると、ビスマルクは眉をひそめた。 「皇族として、巫女として、姫様の双肩に今の情勢がかかっております。安定した“盾”の力を姫様がお持ちだからこそ、我らラウンズが外へと力を伸ばせるのです」 「わかっている。そのことは。今更だ。お前に言われることではない」 用意されていた空の椅子につくと、真っ先にビスマルクを見下ろした。 絶対的な支配の色で、格下にいる彼を見下す。 個対個であれば、どのような関係なのか、はっきりと示すために。 「それで、何か言われて来たのだろう?御父様に。伝言か?」 「はっ。枢木の状況と、姫様ご自身のお力の具合をお聞きしたく」 足を組み、肘を突いて、またそれかとため息をつく。 「数日前にも報告したはずだ。私の力に揺るぎは無い。そして、今のスザクは使えない。自らを“剣”と思い込んでいるようでは、こちら側の戦力にはならない。これは一朝一夕で変わるものではないぞ」 「皇帝陛下は、姫様の半身に傾倒する故自らの力を誤認したのではないかとお考えのようですが…」 「あれも自らの力を履き違えている節があるからな。が、あれは無意識に力を暴走させることがある。そこを想定せずに放逐したのは、御父様のミスだ。私に押し付けられても困る」 「陛下の失策であったとしても、なんとしても姫様には枢木の力を制御していただかなければなりません。それが、姫様自身の為です」 「わかっている…」 父の代理人でしかないナイトオブワン。 その父ですら、最早ブリタニアという国にどれほど関心があるか。 そして、この円卓の一の騎士でさえ、父のやりたいことをどれほど理解しているか。 常々の疑問は残るが、確実に思うことはひとつ。 「ビスマルク。御父様にこう伝えられよ。シュナイゼル兄上が薄々気取っている。全てが決する“そのとき”まで、努々“俗世”をお忘れなきように、と」 「承知仕りました」 要件を済ませれば、関心など無いようにワンは立ち上がり、さっさとどこかへ去っていく。 空虚な椅子の上で、両の手のひらを開いて眺めやる。 『父やビスマルクがどう動こうと、私はブリタニアに殉ずるのみ…』 それしかないのだ。 いかに父やその騎士たちが、破壊を望んでいたとしても、自分はこの国に縛られている。 「そのとき、か…」 全てが終わるそのときまで、自分はこの手で、迷い無く全てを守っていけるだろうか…… 「スーザクぅ!すごいな、人が大勢いるぞ!!」 「……あんまりはしゃがないでくれないか、ジノ」 「スザクは慣れてるのか?こういうとこ」 「そういうわけじゃないけど、僕の対応が普通だろう」 ジノがあちこちはしゃぎ回るので、静止をかけるのが段々面倒になってくる。 入り口でヴィクトリアが別室に案内されてしまい、ジノの手綱をとれるのが僕しかいなくなっていた。 「そうなのか…」 しゅんとなるジノに、 「君、貴族だろう。僕より場数踏んでるんじゃないのか?」 と問い返す。 はしゃぎまわられて、名前を連呼されて、馬鹿さ加減を宣伝して回られるよりは、相手にしている方が何十倍も楽だった。 「ん~、俺は四男だし、こういう場所は兄上たちが行くものだとずっと思っていたから。姫も主催することはほとんどなかったし、あればあるで、ずっと姫の護衛だからね。参加する側なのは、珍しいぞ」 「そう、なんだ」 「スザクはどうなんだ?ユーフェミア様はこういうところによく来たのか?」 逆に問われて、自分自身に驚く。 何故だろう、騎士として仕えたはずなのに、彼女との経験が全く頭に登っていなかった。ましてや、ジノのそれと比較しようなどとは。 「……ユーフェミア様と本国に来る事はなかったからね。向こうで小さな夜会に出ることは、何度か」 「そうか。いいなぁ…俺も姫をエスコートして夜会に来たかっ……」 そこまで言って、ジノの動きが止まる。 纏っていた、どちらかといえば愛玩犬に似た雰囲気が、闘犬のような鋭い眼によって一気に切り替わる。 「なんで気がつかなかったんだ……」 「ジノ?」 「スザク、姫は今どこだろう!?」 「はぁ?」 「ヴィッキィなら、もう来る」 いつぞやの白いドレスを持ち出してきたアーニャが、いつのまにか側にいた。 「着付けてもらうの終わったんだ。似合ってるよ」 「ありがとう」 「なー、アーニャ。姫は?」 「控え室で捕まって、ドレスに着替えてる」 「はぁっ!?」 ジノが盛大に驚いたところで、ファンファーレが鳴る。 長く踊り場の多い階段をパーティ会場にしたそこで、一番下座に当たる入り口から、 「第二皇子シュナイゼル殿下、ナイトオブラウンズ第二席、ナイトオブツー、ヴィクトリア様、御到着です」 と声が張り上げられる。 上座で主賓として、椅子に座ったまま談笑していた第一皇子オデュッセウス殿下が立ち上がるのが視界の片隅で見えた。 階段の下に、悠然と立つシュナイゼル殿下。その傍らに、髪を結い上げて着飾ったヴィクトリアがいた。 その瞬間、心に暗い感情が沸きたった。 貴族たちが、自分をみて口々に何かを言っている。内容まで聞く気はなかったが、あまりの注目度に改めて小さくため息をつく。 「恨みますよ、殿下。陛下のお耳に入ったら何と仰るか…」 「つれないね。こういう場所でも、兄妹として振舞ってはくれないとは」 ドレスになったのは何年ぶりか。 兄の誘いで来ざるを得なかったここに、まさかこんな罠が待っているとは思わなかった。 到着後、着付けてもらうアーニャに着いていったら、そのまま自分まで着替えさせられてしまった。それも、一度も着たこともないドレス。恐ろしいことに、サイズはぴったりだった。 どこから服のサイズが漏れたのか、後できっちり調査の必要がありそうだ。 『本当に、こんな場所に来ていることがわかれば、ビスマルクになんと告げ口されるか…』 スザクやジノがだしに使われ、時間も時間で逃げることも叶わず、こんな場所までやってきてしまった。 視界の端でジノの長身が、こちらをみている。 大きなため息をつきそうになるのを堪えながら、じっと前を見て兄のエスコートに任せて歩を進める。 「やぁシュナイゼル。それにヴィクトリアも。よく来てくれたね」 視線を集めながら階段を登っていくと、兄の一人であるオデュッセウスが笑顔で待っていた。 シュナイゼルとは別の意味で、苦手な人物だ。 「オデュッセウス殿下、この度はお招きいただき、恐悦至極にございます」 騎士の礼をとるにはドレスが邪魔なので、とりあえず、貴婦人の礼を尽くす。 「兄上も言ってやってください。私にも臣下の礼をとるのですよ」 「久々に会った兄妹じゃないか、堅苦しくそういう態度をとる必要はないよ。今日は寛いでいっておくれ」 答えることが出来るはずもなく、礼を解かずに待ち構える。 苦笑されながらも、妹として接することがないようにと、空気を一枚そこに挟むことを忘れなかった。 「気になる?」 突然隣から振って沸いた問いに、どう答えていいかわからなくなる。 「最近ずっとヴィッキィを見て、スザクが怖い顔をする」 「そう…ですか?」 いつのまにかジノはどこかへ消えていて、アーニャが僕の側に取り残されていた。 「ヴィッキィが誰かと一緒にいるのが嫌なら、側にいれば?」 アーニャの言葉がわからない。 「ジノは、怖い顔しないように、一緒にいる」 見上げると、兄二人からヴィクトリアを掻っ攫うジノがいた。 先ほどまでの人懐っこい子犬のような雰囲気など忘れたように、完全に騎士のスイッチが入ったらしい彼は、二人の皇子からヴィクトリアを救い出している。 周囲の人々が二人の関係を口々に囁き合う。 永遠の忠節。 報われぬ片思い。 純愛を利用する小娘。 ひとつの風景を、角度を変えた様々な憶測。 ただでさえ浮き立つラウンズ。そして皇族。 本人の覚悟とは別に、彼女は今も皇族として周りに認知されていて、それでもラウンズの称号を得ていて。ずれが生み出す立場の乱用の如き周囲との関係が、美しいものに非難の影を落とす。 光の加減でブルーパープルの光沢が、すべるように白いドレスの上を滑る。 ジノのマントのなか、彼の手で肩を抱かれて、階段を下りてくるその姿が、錯覚ではない彼に見えた。 その自然な二人の姿に、醜い感情がわいた。
https://w.atwiki.jp/tetuarei/pages/13.html
基本スペック ※「王様」になる前(ブラックめがね、ブラメガ、ぶらめが、フレッシュ社会人)→http //www25.atwiki.jp/futsu_netradio/pages/88.html 王様という名前の由来は、正社員になる事が決定後のバイト先の送別会で上座に座らされ「王様、王様」と呼ばれてオモテナシを受けたはいいものの、「王様、王様ってしつけぇなあ」という気持ちを名前を変更するにあたってぶつけた名前らしい。※王位を継承したからという説も有る スカイプID:tetuareiの由来 目の前に有った鉄アレイから。 プロフィール 名前 王様 現生息地 東京都調布市(23区じゃない!割と田舎!)実家が狭かった反動か「狭い家は嫌だ」と頑なに1LDK以上を選び家賃現在約6万円! 年齢 34歳、1981年12月27日誕生(バレンタインデーセックスの子) 出身地 群馬県(グンマー) 職業 自称倉庫作業員 |~|BGCOLOR(#DCDCDC) 自己紹介|顔:http //ousamama.sblo.jp/article/165727957.html http //ousamama.sakura.ne.jp/sblo_files/ousamama/image/robo.jpg https //www.youtube.com/user/ousama1227/videos http //www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5002077.jpg 性別:♂身長:171cm体重:83.9kgウエスト:100cm血液型:B型年収:189万に届かない程度→230万前後薬物依存:酒・タバコ(MildSeven?)・ステロイド・バブ・牛脂・バイアグラ| 味覚【好き】ビックボーイのハンバーグ、ラーメン二郎、うな重(ウナギ無しのタレご飯でいい派)、焼き鳥(タレかかっててナンボ派・塩も一応食べれる)、ポテチ(ノリ塩)、求肥の中にチョコ入って系お菓子【嫌い】イナゴの佃煮、魚の皮、豚レバー| 来歴 198X年、世界は核の炎に包まれた。破壊され、荒野と化した地球に生き残った人類は、再び暴力に支配された。一滴の水さえも奪い合う時代が到来し、弱者は虐げられるだけの過酷な運命を負わされた。そんな、ある日。一人の赤子が産み落とされた・・・ 尾崎豊に影響されて高校中退、モ○バーガーでバイト三昧の生活を送りつつ大検取得。そこでM美と出会う。しかし一身上の都合で上京し専門学校へ進学 彼女にフラれて寂しさを紛らわすためにねとらじデビュー カラオケ店などアルバイトしメガネ屋の正社員としてMAX手取り16万3000円(バイト時代のほうが生活は潤っていた) 仕事が忙しくなった事と、最寄り駅を特定された事やラジオのマンネリ化によりセミリタイア 「一ヶ月に一回やるようにすると言いつつ」三ヶ月ぐらい全くラジオをしなかったが、iphoneのねとらじ放送アプリより久し振りに放送。メガネ屋を辞めて倉庫で働いている事などを明かす。徐々に放送頻度を以前ほどに戻して行くが、以前の様に「倉庫勤務」以上は語らず、月収や借金額に関しても「個人情報は出さない事にした」とレスで聞かれても答えなくなった。「引越したかもしれないけど、個人情報だから教えられない」という事も言うようになった}} あんて先生と居酒屋で飲んで語った事をきっかけ(?)に、「今までの俺ならネットの人間とか怖くて有り得なかったけど、オフ会を開いてみようと思うコレが最初で最後になるかもしれない。俺のラジオを聞いているリスナーの顔を見てみたい」と語る。同時に「厳正審査をする」「一番遅く来て参加者全員にハグをする」「刺しそうなヤツは追放する」「俺だけ先に帰ってお前らは俺が帰った後に帰れ。追跡はするな」などトンチンカンな事も発言。 2014年11月9日、吉祥寺の居酒屋にて王様ラジオオフ会開催。ラジオで中継もされる。参加者2名。オフ会開催前は他DJが参加表明をしたり、変態めいたリスナーが参加するようなそぶりを見せていたが、結果としては普通に男3人が居酒屋で普通に楽しんで終わる。 特徴 カマキリっぽい、糸目、デブ、巨乳、手足が短い、邪悪、どす黒い乳首、何か入れてるんじゃないかってぐらい丸々としたお腹、紫色というか土気色の唇、水虫の足 オカマっぽい(妙に可愛さアピールをする見た目が見た目なのでただ可愛くはなく気持ち悪い) 女子受けを狙ってるつもりがやってる事がホモ臭い(無駄なチンコアピールなど) ファッションセンスが悪い(本人曰く「お兄系」、「お前らが素直じゃないだけでかっこいい」) 似ている人物:辛抱治郎、(良くて)なべやかん、えびっさん、なべやかん(それでもイケメンを自称したり、イケメンの顔を見ても「俺と変わらない」と言ったり「俺の方がかっこいい」と言う。目が腐ってる) 漢字どころかひらがなもカタカナも読み間違える!ぶっちゃけレスをちゃんと読んでない!もちろん英語もわからない! レスをちゃんと読まない・読み間違えによっておかしな脳内変換をして自分で勝手に内容を歪曲したり自爆する有様。文章によっては理解出来ない 時々シンガーソングライターになる 女の真似をすると全部ラリった頭のおかしい女になる 暴力が格好いいと思っている。20歳までかめはめ波は打てると信じて練習をしていたというほどの中二病。本人は今は中二病ではないと言うが34歳の社会人とは思えないぐらいに重度の中二病。 レスによくいじられるほど印象的な黒ずんだ乳首。 自称「妻夫木聡似のイケメン」だが、実際は糸目の太ったなべやかん。 すぐ流行りに乗っかる口だけ3日坊主男子。「俺ホームページ作ったよ」「医者になりたい」「作家になりたい」「会社を興したい」「アフィで大儲け」 このwikiも作ったものの、あんまり編集に関わってない。 fc2liveに移動してからはコメント書き込みは基本的に無視。お金をくれるコテハンリスナーと女性(ネカマっぽいのも含む)コテハンリスナーの書き込みだけは真剣に目を通す。 性格 ヤリチンでフリーセックス派(ブサイクでもてないからほとんど経験はない) ※テンガにはコンドームを付ける 約束が守れない 飽きっぽい(例外がギャンブルと出会い系) 遅刻魔 たまに威勢のいい事を言うが、根は人見知りで極度の心配性。住民税の督促状が来ると差し押さえが怖いからと借金してまで全額払う 怖がりだが、怖い話や陰謀論、アンダーグラウンドの話は大好き。 2chやまとめサイトはこまめにチェックするが、「ネットはネットと割り切ってる」「ネットの人間を普通の人間と同じく見る・信じる事が出来ない」「ネットの人間と会うのは抵抗が有る」などの発言から、ネット依存症ではない模様 以上のことから仕事場では怒られてばかり 趣味 自分より成功している人の悪口を言う イケメンだと思い込む 出会い系(食った女は数知れず)、しかし何かを学んだのか、「単発セックスなんて糞だよ。愛あるセックスがしたい(2011/09/15 23 00頃)」との発言が。 女の趣味はロリコンではない事を強調している。19~20代前半狙い。 近年では30歳を過ぎても年齢より若く見えるロリババアがストライクゾーン オナニー スポーツ(サッカー)観戦 アニメ鑑賞(※イカ娘とけいおんぐらい) 漫画・DVD鑑賞 ネットサーフィン!2ch(VIPとニュー速)!エロ画像!エロ動画! パチスロ セクハラ カラオケ(オープニングが王様のカラオケであるほど、はい!) ドーピング 神社・寺院・パワースポット巡り 怖い話・民話・陰謀論・アングラ話探し ピンサロ 禁煙 王様の思い出のアイテム 女子の上履き(匂い) 女子のブルマ(匂い) 妹のパンツ(被りプレイ) 使用済みナプキン(中学生の頃女子トイレから盗んだもの) 王様のオナニー歴 獣姦(猫)は途中で断念 コンニャク TENGA セブンティーン アナニー イメージ無し ※よくオナホールを貫通させて壊すらしい 次挑戦するもの 片栗粉X アットフィフティーン イメージ無し 王様のラジオについて 時間帯は王様が寝る直前の23時~1時前後の場合が多い。サッカー実況をする時は19時あたりから始めることも コテハン非推奨 名前欄をコロコロ変える。支離滅裂なスレタイが多く、スパム広告も多い。広告は書き込み元IPを見てBANしたりNGワードを設定したりせず、書き込まれるたびに王様が手動で消している。それどころかスパムスレをそのまま利用する事も 毎回何らかのテーマや企画をしていた。今は昔ほどの情熱は無い模様。 今欲しがってるもの http //www.amazon.co.jp/registry/wishlist/1RFPSEF7A5ZKE/ref=cm_wl_sortbar_v_p_page_1?_encoding=UTF8 page=1 祝・乞食デビュー 現金!WEBマネー可! 女! PC!ハイスペックな奴! WEBカメラ 王様のPCのスペック eMachines J2928(稼動中) 名称 解説 CPU IntelⓇ CeleronⓇ D 340 (2.93GHz/L2 256KB)/シングルコア 史上最悪のCPU、Pentium4(90nmのプレスコットコア)の更に選別落ち! メモリ DDR333 256MB(+1GB増設) 合計で1,280MBしかない。ラジオ配信してブラウザ立ち上げるだけで辛い! チップセット IntelⓇ 865GV 865Gの廉価版!廉価版だけど865Gと大差ない!凄い! GPU チップセット内蔵 youtubeやニコニコで重さを感じるレベル! HDD 7,200rpm ATA100 80GB 容量が少ない! ODD DVDスーパーマルチ エロDVD以外再生しない!すごい! PSU 300W eMachines品質! OS Windows XP まだまだ現役!Vista厨涙目! eMachines J4516(故障中)、電源を交換するも起動せず。マザーボード交換を目論んでいる。 名称 説明 CPU IntelⓇ Core 2 DuoⓇ E7200 (2.5GHz/L2 3MB/デュアルコア) そんな悪くない!でも動かない! メモリ DDR2-667 2GB(最大4GB) なんとか使えるレベル!でも動かない! チップセット IntelⓇ G33 Express 微妙!良くも悪くも無い!でも動かない! GPU GMA 3100 (チップセット内蔵) あくまでもオマケなのでゲームは出来ない!そもそも動かないけどね! HDD 7,200rpm SATA 320GB 凡庸過ぎる!動かないけどね! ODD DVDスーパーマルチ DL対応 エロ動画のバックアップもバッチリ!動かないがな! PSU 不明 電源のスペックわからないとか怖くね? OS Windows Vista Home Premium Vista厨涙目! HP DC7800 詳細不明。中古で一万二千円。 名称 説明 CPU Core™2Duoの何か 今更デュアル… メモリ PC2-6400 3GB 標準1GB、2GB増設、しょぼい。DDR3が標準の今ではDDR2はむしろ高く付く! チップセット インテル® Q35 Express そろそろ経年劣化的に寿命。 GPU GMA3100 チップセット内蔵。動画が見れれば御の字 HDD 7,200rpmの何か まぁ、普通だよね ODD 多分DVDドライブ AV再生に必須、でもBDは見れない!残念! PSU 多分マウスコンピュータよりマシ。でも中古だしなぁ OS XPかVista どっちにしろサポート期限切れ間近!オワコン! 王様の乗り物のスペック 49ccの原付スクーター、ホンダ スーパーDio (A-AF27)を個人売買で3,000円で購入。しかし前輪ブレーキ固着中、ステアリングが異常に重い!2ストロークエンジンなので白煙をモクモク上げて空気を汚しながら走る。現在は売却した為存在しない。ちなみに3,200円で売れたらしい。 EKワゴン。リスナーのおさがり。アクセルとブレーキを踏み間違えて破損し、車検が通るか微妙。 王様の家電 PS3(HDD160GB)。ウィイレばかりしている。2コンは持ってない! PCが死んでるからゲーム実況もできない! タワー型扇風機。自慢の一品。でも普通の丸い扇風機のほうが風力強い!無駄買い! ref(画像入れろ豚) 焼肉マシーン。頻繁に焼肉ばかりして、体重は増えて健康面も不安になって部屋中焼肉臭いらしい。
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1154.html
陸遜シグムント (4) 陸遜シグムント 面会 改作 疲れた足を引きずって、互いに抱えあうようにして、人の列は進む。 道すらない森の中を、幾筋もの列は進んでゆく。進んだとしても、その先に安らえるところなどない。 それらの列は、どこまでも続いていて、鞍の上から見ても、尽きる先がうかがえない。すべてがバルタスの民だ。うしろめたさが胸を締め付ける。その列を横目に見つつ、シグムントは森の道に馬を進める。母の分の馬も得られたのは、幸いだったが、それに安堵している己もまたうしろめたい。 フィンゴルド大公姫ヒルデガルドは、母だけでなく、シグムントにも馬を与えた。そして付き従ってくるようにといった。今もみちびくように先を行く。軽やかな早足のすぐ後ろには、側仕えの壮年の男がやはり騎乗でぴたりとついている。そしてシグムントも追って進む。 先にはフィンゴルド軍の陣営があった。 「・・・・・・」 フィンゴルド軍は、早いうちからこの周囲に先遣隊を送り込んでいたらしい。それがヒルデガルド大公姫らの一団であったらしい。 このあたりに避難してきた最初のバルタス民は、フィンゴルド側ともつながりのある漁民たちで、用心深く漁具や船などを動かしていたらしい。 もっとも、先にある封じはヒルデガルド大公姫の先遣隊よりももっと大きなものであるらしい。 封じの衛士が腕を上げた。止まれの合図だ。明らかに大公姫であると判るものを止めさせる。またヒルデガルド大公姫も、従い馬の足を止める。 騎乗のまま誰何は短く済み、ふたたびヒルデガルドは進み始める。シグムントには嫌も応もない。ただ付き従って進むだけだ。 両脇の森には、一機ずつの機装甲が片膝をついて潜ませてあるのもわかる。フィンゴルドの機装甲は初めて見た。左の肩に大盾をつけているのは、目新しく見える。 機装甲の背後に少し離れて、森の中に柵が立てられている。再び封じが大公姫を止め、今度は卒ではなく、士格らしいものと話をしている。その封じも滞りなく抜ける。 柵の背後には軍勢の営地となっていて、天幕が立てられ、士卒が思い思いに休んでいる。フィンゴルド大公は武功で知られる人であったし、フィンゴルドもまた従う武人武侠の集う国だと聞かされていた。フィンゴルド軍の陣営は、確かにそれらしく見えた。天幕は立てられているが、装具が散らかっている様子は無い。良く鍛えられているからなのだろうし、ここは一時の営地に過ぎぬからなのだろう。 そして士卒らは、ヒルデガルド大公姫の姿に気付くと立ち上がり、敬意の礼を示す。 徒歩組の背後には、機装甲らが片膝をつき、休んでいる。機装甲は隊ごとに同じ色に塗られているらしい。道の右には青、左には黒の機が集っている。さらに正面には、白の機装甲らがある。そこが本陣であるらしい。 「・・・・・・」 シグムントは大きく息をつく。フィンゴルド軍がここに動いてきたということは、やはりバルタスは見捨てられたのだ。あの空飛ぶ物の怪は、ゴーラの船を次々に沈めていた。ヨーテルボリ海峡を渡る時にも、流れてくる板子や膨れ上がった兵士の遺体を見た。 ハルムスタッド将軍の軍勢のみでなく、スヴェルスガルド将軍の軍勢のものだとも聞いた。ゴルム皇帝の旗本の二将軍が送り込まれてもなお、帝國軍と戦い、勝つことができなかった。あの空飛ぶ物の怪のせいだ。日差しを浴びてきらめくその姿は美しくはあったけれど、やはり物の怪なのだとシグムントには思えた。 ハルムスタッド将軍勢がバルタス上陸の際、すでに少なからぬ兵を失っていたことは、父からの書状で知っていた。 「・・・・・・」 再び封じがあり、白の印をつけた旗本らしい士格が大公姫を止める。今度は大公姫は馬を下りた。壮年の側仕えもだ。彼は馬を下りた後、シグムントへと振り返り、下馬するように示す。降りた馬の轡は、封じからやってきた従卒がとった。 「・・・・・・」 本当に、フィンゴルド大公に引き会されるのだ。それがヒルデガルド大公姫のやり方だと判っていても、やはり驚きもする。そのヒルデガルドへ向けて、士格の者が歩み寄り、何かを耳打ちする。珍しくヒルデガルドは驚いたようだった。すぐに振り返る。 「アノー卿、急いだ方がよさそうだ」 ヒルデガルドの足は速く、シグムントでも半ば小走りになってゆかねばならぬほどだった。目指す先はすぐにわかった。ひときわ大きな天幕だ。それが大公のものなのだろう。思っていたよりずっと質素なものだ。 外に衛士が立ち、大公姫を前にしてさえ、槍の封じを行う。けれどそれは、どうやら常のことではないらしい。 先までの一言二言のやり取りでは通れぬ様子だった。ヒルデガルドが言う。 「構わぬ。わたしが連れ行くと決めたのだ」 言ってヒルデガルドは振り返り、衛士もまたシグムントを見る。 それにまた少し驚いた。封じられたのは大公姫ではなく、シグムントであったらしい。 やむなく、といった風に衛士は槍の封じを解き、ヒルデガルドは天幕を進む。明り取りが開かれているらしく、中はそれほど暗くは無い。何人もの将格、准将格の姿が詰めかけている。謁見の間に似ていた。 そして実際、謁見に似た事が行われていた。口上が聞こえる。 「・・・・・・よってゴルム陛下の御命令により、我らがスヴェルスガルド将軍が軍勢、ケックスホルン港城塞を退くこととあいなりました」 一瞬、耳を疑った。ケックスホルン砦と言えば、大港を守る城だ。そこから先に退くところなど無い。スヴェルスガルド将軍の軍勢が、バルタス王国を見捨てて退こうとしている。 踏み出そうとしたところを、肩と背中が阻む。まるで肩を打ち当てるようにだ。ヒルデガルド大公姫の側仕えの男だ。 「・・・・・・」 肩越しにわずかに振り向き、その青の瞳でシグムントを射るように見る。その目は鎮まれと言っていた。 「承知した」 上座に設えられた、たった一つの席に座る人影が太い声で応じる。座についてもまた、まっすぐに背を伸ばす壮年の男だった。白髪は混じっているけれど、豊かな頬髯と顎髭を蓄えていた。赤ら顔だけれど元は色白なのかもしれない。そこはヒルデガルドに似ているのだろうか。 シグムントにも、その人こそフィンゴルド大公ハーラルなのだとわかった。 ハーラル大公は言う。 「このハーラル、確かに承知した。スヴェルスガルド将軍にもお伝え願いたい。ゴーラの大義の任、まことに御苦労であったと」 使者は右の拳を左掌に包み、眼前に合わせる武人の礼を行う。 「使者の任、ご苦労であった。休むがよい」 使者の装束はそれなりに整えられていたようだったけれど、振り返るその面は、やはり疲れ切って黒くすら見えた。あれが敗戦の将兵の顔なのだろうか。父はどうしたのだろうか。生きているなら、スヴェルスガルド将軍の軍勢と共に退いたのだろうか。ゴーラ北岸の本国へだろうか。 「アノー殿」 声にシグムントは顔を上げた。ヒルデガルド大公姫だった。 「大公殿下への御報告の折に、アノー殿を大公殿下にお引き合わせする。忌憚なく語られよ。大公殿下は率直な報告こそお求めになる」 応じる暇も有らばこそ、ヒルデガルドは振り返り、進み出る。 「右府将軍ヒルデガルドより大公殿下に申し上げます」 「右府将軍、申せ」 「はっ」 許しと共にヒルデガルド大公姫は、ハーラル大公の座の前に進み出ると、片膝をつき、武人の礼を行う。これが大公とその娘のやり取りなのだろうか。家臣の見る前であるからなのだろうか、ヒルデガルド大公姫は、臣下のものとしての言いようをする。 バルタス難民の多くが行き場もなく留まっていること。その数は数万に達していること。それらはフィンゴルド軍背後へと移しつつあるが、女子供も多く、進んでいないこと。 「また難民らは、暮らしに関わるものをほとんど携えておらず、飢えたるもの、病みたるもの、増えつつあります」 うむ、とハーラル大公は応じる。ヒルデガルド大公姫はさらに続ける。 「それらのもの、いかにかの手、差し伸べられずんば、このフィンゴルドもまたバルタスの民の墓場になりかねぬところございます」 さらにヒルデガルド大公姫は、顔を上げ、シグムントへと振り向く。 「あれにあられるは、バルタス王国アノー伯レズリー殿が御子息シグムント殿。御母堂、郎党らと共に何を逃れられたとのこと。難民らの中にあって、御郎党らは難民らの集まりにあって秩然を保ちおられます」 うむ、と応じ、ハーラル大公は赤ら顔をシグムントへと向け、まっすぐに見る。大きなその瞳はヒルデガルドにどこか似ていたが、瞳の色は違う、黒曜石のような黒だった。 「苦難の道、大義であったことだろう。アノー殿」 もう引き下がれない。シグムントは踏み出した。 「ありがたきお言葉、感に堪えませぬ。アノー郎党、またバルタスよりの流着の民として、大公殿下に御礼申し上げます」 あえて、また、と言葉を続ける。 「また、大公殿下の御厚情給われればとここにお願い申し上げるものにございます」 「フィンゴルドとバルタスとはおなじゴーラの同胞である。バルタスに苦難あれば、ゴーラの紐帯により、これ助けるはやぶさかではない。だがまずは、バルタスに起きたることにつき、貴兄の口より語られるが良かろう」 胸には父よりの書状がある。道中に、何度も何度も、そらんじられるほどに読みふけった。それが目前の苦難からシグムントを解き放ってくれていた。 「・・・・・・」 その父の言葉を、今、勅使と大公の前に語らねばならない。 「申し上げます」 父ならば行っただろう。父ならば、バルタスの民のため、母や妹のため、それを語っただろう。 「わたくしの知りうるのは、父より報せのあったゼーガペイン王城落城前までのことにございます」 父の代わりに語れよと、父はシグムントに書き送ったのだから。 ボルタヴァ会戦 その1に合わせて改作したのは、時系列を考えたらアレだったなあ、と思ったからw 時系列はたぶんこんな感じ。 大北方戦争、バルタス王国での時系列。 帝國軍越境攻撃開始。 国境突破。 バルタス王国軍、国境会戦に敗北。 ハルムスタッド将軍船団、発条音に攻撃される。 ハルムスタッド軍、帝國軍と会戦、敗北、ハルムスタッド将軍、戦死 残存軍、後退。 スヴェルスガルド将軍、上陸。 もちろん発条音の攻撃を受けている。 スヴェルスガルド軍、帝國軍と交戦、敗北。 このころ、シグムントら、バルタス王国脱出。 スヴェルスガルド軍、王都ゼーガペイン籠城。 シグムントら、フィンゴルド到着。 フィンゴルド軍、すでに対岸に展開。 スヴェルスガルド軍、王都脱出 ケックスホルン港城砦籠城 スヴェルスガルド軍、バルタス王国脱出 スヴェルスガルド将軍、ミラクゴルド帰還 ヴェストラ大将軍出陣決断。 というわけで、調整し直した感じ。 フィンゴルド軍は初めから対岸に布陣したのではなく、 ヒルデガルド軍が先遣として移動した後、本隊は状況に合わせてバルタス王国を増援渡洋する予定だったのだけれど、たぶん、マル子の鑓の機神はこちらも偵察していたはず。 フィンゴルド軍だって攻撃を受けていたんじゃないかとは思っている。というか、ヒルデガルド軍を輸送した船団は一定の損害を受けてたんじゃないかと思う。ただフィンゴルド軍の船団の自由度は、ハルムスタッド軍より高かったはずなので、分散して上陸後、集結したんだろう。 ハーラル本隊は、途中で報せを受けてヘルシンボイ島東北の湾に中途上陸せざるを得なかったんだろう。 つまりバルタス増援は行えず、対岸展開ということになったんだろう。 そういう感じで。
https://w.atwiki.jp/zero-flora/pages/366.html
再調査箇所 学問 地図名 目的地 必要スキル ランク 発見物 予定日 完了日 クレタ島内陸 考古学 古代文字の粘土板の地図 カンディア郊外のクレタ島内陸、巨大枯れ木の近く。 探索、考古学 9 クレタ文字の粘土板 2018/06/09 2018/06/09 マケドニア地方 考古学 古代の金装飾の地図 サロニカ郊外のマケドニア地方、大岩のちかく。 探索、考古学 8 古代マケドニアの金装飾 2018/06/16 2018/06/16 パフォス郊外 考古学 王家の墓の地図 ファガマスタ外のパフォス郊外、廃墟の近く。 探索、考古学 4 カトパフォスのネクロポリス 2018/06/17 ☆レモンパイ☆さんが報酬をもらった日 ビブロス郊外 考古学 割れた石碑の地図 ベイルート外のビブロス郊外、逆さ岩の近く。 探索、考古学 4 ビブロス文字の石碑の破片 2018/06/30-2018/07/01 2018/07/01 ルクソール地方 考古学 そびえ立つ石柱の地図 ナイル川の中流で上陸、奥地のとんがり岩の北の建物の近く。 探索,考古学 5 トトメス1世のオベリスク 2018/07/07 2018/07/07 ビュルサの丘 考古学 豊穣の女神像の地図 チュニス郊外のビュルサの丘、大きな木の近く。 探索、考古学 3 アスタルテ像 2018/07/28 2018/07/28 アナトリア高原 宗教学 十字架の首飾りの地図 トルコ北岸で上陸。奥のアナトリア高原。大岩の近く。 探索、宗教学 6 十字架の首飾り 2018/07/29 2018/07/29 レプティス 考古学 大理石の女神像の地図 トリポリ郊外のレプティス、とんがり岩の近く。 探索、考古学 3 レプテス・マグナのヴィー ナス像 2018/08/04 2018/08/04 ソールズベリー平原 考古学 太陽を指し示す石の地図 ブリテン島南岸で上陸。奥のソールズベリー平原。北西。 探索,考古学 3 修道士のかかと 2018/08/05 2018/08/05 カルナック 考古学 森の中の巨石の地図 ナント郊外のカナルック、白い花の近く。 探索、考古学 3 マニオの巨石 2018/08/05急遽実施 2018/08/05 ガラパゴス島奥地 考古学 南米の土器の地図 ガラパゴス島南岸で上陸。奥のガラパゴス島奥地。南東。 探索、考古学 7 インカの土器 2018/09/01-2018/09/02 2018/09/01 マヤ低地 考古学 王のレリーフの地図 ヴェラクルス南の郊外、マヤ低地にある南の神殿の近く。 探索、考古学 12 パカル王のレリーフ 2018/09/02 2018/09/02 エチオピア北部 考古学 王の石碑の地図 マッサワ郊外のエチオピア北部、テーブル岩の近く。 探索、考古学 5 エザナストーン 2018/09/08 2018/09/08 ウル地方 宗教学 ウル王朝の法典の地図 バスラ郊外のウル地方、逆さ岩の近く。 探索、宗教学 6 ウル・ナンム法典 2018/09/15 2018/09/15 タンジャーウール地方 宗教学 寺院のレリーフの地図 ポンディシェリ南の奥地、南の大岩の近く。 探索、宗教学 5 カーリーのレリーフ 2018/09/16 2018/09/16 パガン地方 宗教学 パガン王朝の仏典の地図 ペグー郊外のパガン地方、赤い花の近く。 探索、宗教学 8 上座部仏教の仏典 2018/09/29 2018/09/29 コナーラク地方 考古学 インドの技芸書の地図 カルカッタ郊外のコナーラク地方にある哺乳類の骨の近く。 探索、考古学 4 古代インドの建築技芸書 2018/09/30 2018/09/30 ジンバブエ内陸 考古学 儀礼用剣の地図 アフリカ南東岸で上陸。奥のジンバブエ内陸。南西のほう。 探索、考古学 5 青銅の儀礼用剣 2018/10/06-2018/10/07 2018/10/07 長崎北 考古学 英雄譚の地図 長崎の門の外、斜め岩の近く。 探索、考古学 6 百合若 大臣 2018/10/13 2018/10/13 淡水河西 考古学 契約文書の地図 淡水郊外の淡水河西、重ね岩の近く。 探索、考古学 12 新港文書 2018/10/14 2018/10/14 台湾島南東岸 考古学 並んだ石柱の地図 台湾島南東岸で上陸。東にある赤い花の近く。 探索、考古学 12 掃叭石柱 2018/10/27 2018/10/27 朝鮮半島北岸 生物学 可憐な花の地図 朝鮮半島北岸で上陸。北北東にある重ね岩の近く。 生態調査、生物学 6 オオバオオヤマレンゲ 2018/10/28 2018/10/28 雲台山西 宗教学 泰山の女神像の地図 雲台山の門の外、テーブル岩の近く。 探索、宗教学 6 碧霞元君像 2018/11/03 2018/11/03 公州北 考古学 百済王の石碑の地図 朝鮮半島西岸で上陸。奥の公州北。北東の赤い花の近く。 探索、考古学 10 武寧王の誌石 2018/11/04 2018/11/04 黄土高原 宗教学 石製の仏塔の地図 黄河の下流で上陸、奥の黄土高原、巨大枯れ木の近く。 探索、宗教学 9 石製の浮屠塔 2018/11/10 2018/11/10 近江 考古学 土色のつぼの地図 日本列島南東岸で上陸。奥の近江。西のとんがり岩の近く。 探索、考古学 12 信楽のつぼ 2018/11/11 2018/11/11 ポンペイ島奥地 考古学 古代のカヌーの地図 ポンペイ島南岸で上陸。奥のポンペイ島奥地。南西のほう。 探索、考古学 8 オロシーバ兄弟のカヌー 2018/11/24 2018/11/24 ヴィンランドの岬 考古学 ヴァイキングの盾の地図 テラ・ノヴァ北岸で上陸。奥のヴィンランドの岬。北西のほう。 探索、考古学 12 ヴァイキングの鉄盾 2018/12/01 2018/12/01 コパン川北岸 考古学 祭壇のレリーフの地図 グァテマラ郊外のコパン川北岸の重ね岩の近く。 探索、考古学 12 祭壇のレリーフ 2018/12/02 2018/12/02 ここから下は1つの再調査地点につき陸地再調査地図は3枚あります。 西シベリア平原 地理学 書きかけの地図 黒海東岸で上陸。奥のコーカサス地方、南東のほう。 視認、地理学 5 カスピ海 2018/12/08-2018/12/09 2018/12/09 西シベリア平原 地理学 書きかけの地図 黒海東岸で上陸。奥のコーカサス地方、北西のほう。 視認 地理学 6 コーカサス山脈 西シベリア平原 宗教学 病除けの首飾りの地図 バルト海北で上陸。奥の西シベリア平原。東のほう。 探索、宗教学 7 ズメエヴィク コーカサス地方 生物学 俊敏なイヌの地図 バルト海北で上陸。奥の西シベリア平原。北東のほう。 生態調査、生物学 3 ロシアンウルフハウンド 2018/12/15-2018/12/16 2018/12/16 コーカサス地方 生物学 水辺に住むモグラの地図 バルト海北で上陸。奥の西シベリア平原。東のほう。 生態調査、生物学 5 ロシアデスマン コーカサス地方 財宝鑑定 変色する宝石の鉱脈の地図 バルト海北で上陸。奥の西シベリア平原。南西のほう。 探索、財宝鑑定 6 アレキサンドライトキャッツアイ サハラ 地理学 書きかけの地図 アフリカ北岸で上陸。奥のサハラ。哺乳類の骨付近。 視認、地理学 4 ウニアンガ湖群 2018/12/22-2018/12/23 2018/12/22 サハラ 考古学 古代壁画の地図 アフリカ北岸で上陸。奥のサハラ。南西の大岩の近く。 探索、考古学 6 タドラルト・アカクスの岩絵 サハラ 生物学 クモのような虫の地図 アフリカ北岸で上陸。奥のサハラ。南のテーブル岩付近。 生態調査 生物学 7 ヒヨケムシ ザンベジ川中流 考古学 古代石器の地図 アフリカ南南東岸で上陸。奥のザンベジ川中流。西側。 探索、考古学 5 ホモ・ハビリスの石器 2019/01/05-2019/01/06 2019/01/06 ザンベジ川中流 宗教学 アフリカ南部の神像の地図 アフリカ南南東岸で上陸。奥のザンベジ川中流。北の端。 探索、宗教学 7 ニャミニャミ像 ザンベジ川中流 生物学 奇抜なトカゲの地図 アフリカ南南東岸で上陸。奥のザンベジ川中流。赤い花。 生態調査、生物学 6 レインボーアガマ アマゾン奥地 生物学 実のなる木の地図 アマゾン川上流で上陸。奥のアマゾン奥地。入ってすぐ西。 生態調査、生物学 6 アサイー 2019/01/12-2019/01/13 2019/01/13 アマゾン奥地 生物学 大きな目の鳥の地図 アマゾン川上流で上陸。奥のアマゾン奥地。南の大岩付近。 生態調査、生物学 6 タチヨタカ アマゾン奥地 生物学 奇妙なカエルの地図 アマゾン川上流で上陸。奥のアマゾン奥地。南西のほう。 生態調査、生物学 8 グラスフロッグ パラグアイ川上流 財宝鑑定 奇妙な道具の地図 南米南東岸で上陸。奥のパラグアイ川上流。 探索、財宝鑑定 6 ボンビーリャ 2019/01/26-2019/01/27 2019/01/28 パラグアイ川上流 生物学 茶葉にする植物の地図 南米南東岸で上陸。奥のパラグアイ川上流。北のほう。 生態調査、生物学 5 イェルバ・マテ パラグアイ川上流 生物学 走る鳥の地図 南米南東岸で上陸。奥のパラグアイ川上流。北の隅。 生態調査、生物学 8 アカノガンモドキ ナイアガラ川流域 地理学 書きかけの地図 北米大陸東岸で上陸。奥のナイアガラ川流域。門から南。 視認 地理学 6 エリー湖 2019/02/02-2019/02/03 2019/02/03 ナイアガラ川流域 地理学 書きかけの地図 北米大陸東岸で上陸。奥のナイアガラ川上流。門から南。 探索、地理学 7 オンタリオ湖 ナイアガラ川流域 地理学 書きかけの地図 北米大陸東岸で上陸。奥のナイアガラ川流域。門から南。 視認 地理学 8 ヒューロン湖 ロッキー地方 生物学 小さなウサギの地図 ロッキー地方で上陸。門から出て東。 生態調査、生物学 7 ナキウサギ 2019/02/09-2019/02/10 2019/02/10 ロッキー地方 生物学 奇妙なトカゲの骨の地図 タコマ門の外。奥のロッキー地方。門から出て北。 探索、生物学 9 胴が扁平なトカゲの骨 ロッキー地方 生物学 奇妙なトカゲの骨の地図 タコマ門の外。奥のロッキー地方。門から出て南。 探索、生物学 7 頭頂部が丸いトカゲの骨 ウスチュルト台地 財宝鑑定 中央アジアの楽器の地図 黒海北東岸で上陸。奥のウスチュルト台地。北東のほう。 探索、財宝鑑定 4 コムズ 2019/03/02-2019/03/03 2019/03/04 ウスチュルト台地 地理学 書きかけの地図 黒海北東岸で上陸。奥のウスチュルト台地。北のほう。 視認、地理学 10 カラ・ボガス・ゴル湾 ウスチュルト台地 生物学 巨大な魚骨の地図 黒海北東岸で上陸。奥のウスチュルト台地。東のほう。 探索、生物学 3 サメの歯の石 ベンガル湾北岸 地理学 書きかけの地図 ベンガル湾北岸で上陸。南のほう。 視認、地理学 6 パンゴン湖 2019/03/09-2019/03/10 2019/03/10 ベンガル湾北岸 宗教学 古代の聖典の地図 ベンガル湾北岸で上陸。逆さ岩の近く。 探索 宗教学 9 テルマ ベンガル湾北岸 生物学 植物の生息地図 ベンガル湾北岸で上陸。とんがり岩の近く。 生態調査 生物学 4 ワタゲトウヒレン ヒマラヤ山脈周辺 地理学 書きかけの地図 ベンガル湾北岸で上陸。奥のヒマラヤ山脈周辺 視認 地理学 5 ランタン谷 2019/03/23-2019/03/24 2019/03/24 ヒマラヤ山脈周辺 地理学 書きかけの地図 ベンガル湾北岸で上陸。奥のヒマラヤ山脈周辺。北のほう。 視認 地理学 7 イエローバンド ヒマラヤ山脈周辺 地理学 書きかけの地図 ベンガル湾北岸で上陸。奥のヒマラヤ山脈周辺。西のほう。 視認 地理学 7 イムジャ湖 バイカル湖周辺 地理学 書きかけの地図 オホーツク海西岸で上陸。奥のバイカル湖周辺。南東の方。 視認、地理学 4 オリホン島 2019/03/30-2019/03/31 2019/04/05 バイカル湖周辺 地理学 書きかけの地図 オホーツク海西岸で上陸。奥のバイカル湖周辺。西の方 視認、地理学 7 アンガラ川 バイカル湖周辺 宗教学 古びた書き物の地図 オホーツク海西岸で上陸。奥のバイカル湖周辺。南のほう。 探索、宗教学 8 古儀式派祈祷法本 シベリア地方 生物学 白黒の鳥の地図 シベリア地方で上陸。重ね岩の近く。 生態調査、生物学 6 ソデグロヅル 2019/04/06-2019/04/07 2019/04/07 シベリア地方 生物学 奇妙な獣の骨の地図 シベリア地方で上陸。とんがり岩の近く。 探索、生物学 5 コブのある獣の化石 シベリア地方 生物学 シベリアの花の地図 シベリア地方で上陸。大岩の近く。 生態調査、生物学 8 シベリアヒナゲシ