約 220,287 件
https://w.atwiki.jp/chipmunk1984/pages/224.html
万物理論 書名: 万物理論 著者: グレッグ・イーガン(山岸 真 訳) イメージをクリックするとamazonに進みます 紹介 すべての自然法則を包み込む単一の理論、“万物理論”が完成されようとしていた。ただし学説は3種類。3人の物理学者がそれぞれの“万物理論”を学会で発表するのだ。正しい理論はそのうちひとつだけ。映像ジャーナリストの主人公は3人のうち最も若い20代の女性学者を中心に番組を製作するが……学会周辺にはカルト集団が出没し、さらに世界には謎の疫病が。究極のハードSF。 評価 評点:★★★★☆ ( 7/10点) 他のイーガン作品同様ハードSFであることが強調されますが,タイトルにもなっている『万物理論』はガジェットの一つにすぎず,『観測問題』のツボさえおさえておけばそんなにハードではないです.物語はそんな『万物理論』の詳細ではなく,イーガン流の近未来の光景が次々に沢山のガジェットと共に描かれていきます.そして,この作品の面白さは,そんなイーガンの世界を素直に受け入れながら楽しむことで得られるものだと思います.21世紀の新しいSFの世界がここにあるとも言えます. おまけ
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/913.html
(画像:創元SF文庫<図>) <リンク集> 位置づけとしては「教科書・参考書」。 Wikipediaグレッグ・イーガン <作品概要> <◆基本情報> 著者:グレッグ・イーガン 訳者:山岸真(創元SF文庫) 主な受賞歴星雲賞(2005年/海外部門長編) <◆主要人物> アンドルーとその関係者アンドルー・ワース:主人公。ジャーナリストで シーネット 専属ディレクター ジーナ:アンドルーの恋人 アンジェロ:ジーナの兄 リディア・ヒグチ: シーネット 社員。アンドルーのクライアント セーラ・ナイト:アンドルーと同業のジャーナリスト 「アインシュタイン百周年記念会議」の関係者ヴァイオレット・モサラ:万物理論の提唱者、20代のノーベル賞受賞者。アフリカ人女性 ヘンリー・バッゾ:万物理論の提唱者。80代の老人 ヤスオ・ニシデ:万物理論の提唱者。自称仏教徒 ヘレン・ウー:モサラと共同研究を行っている研究者 カリン・デ・クロート:モサラの助手 インドラニ・リー:会議を取材する社会学者 ジャネット・ウォルシュ:会議を取材する小説家。 わきまえろ科学! メンバー ビル・マンロー:ステートレスの住人 人間宇宙論者(AC)アキリ・クウェール:AC所属の汎性 アマンダ・コンロイ:AC代表を名乗る女性 「三番」「五番」「十九番」「二十番」 その他ダニエル・カヴォリーニ:TV番組「ジャンクDNA」作成過程での取材対象。死後復活の対象者 ネッド・ランダーズ:同上。王国[キングダム]の創設者 ムテバ・カザディ:故人。テクノ解放主義者 アデル・ヴニボボ <◆シナリオ> あらすじ- 目次第一部1~8 第二部9~19 第三部20~28 第四部29~30 エピローグ <その他雑感、関連情報> 雑多キーワード一覧万物理論(TOE) 奇病「ディストレス」 本作のイーガンツール:「目撃者」「シジフォス」「ヘルメス」「カスパー」「キャリバン」 ステートレス:南太平洋上の人工島 三大カルト[ビッグスリー]「文化第一主義」「神秘主義復興運動」「わきまえろ科学!」 全位相モデル(ATM)、標準統一場理論(SUFT) 「エンジニュイティ」:米カリフォルニアのバイオテク企業 人間宇宙論者(Authrocosmologist) 基石[キーストーン] ジョン・ホイーラーの「参加方式の宇宙」 「アレフ」の瞬間 主要参考文献スティーヴン・ワインバーグ「究極理論への夢」 エドワード・サイード「文化と帝国主義」 アンディ・ロバートスン "Out of the Light Back Into the Cave"<インターゾーン>誌1992年11月号 エメ・セゼール「帰郷ノート」 三大カルトの元ネタ ブライアン・アップルヤード Understoanding the Present~Science and the Soul of Modern Man <◆鑑賞記録> 2010年5月以降に鑑賞した分。◆小説(2011年10月読了)
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/18.html
東北大学SF研読書会 グレッグ・イーガン「万物理論」Distress byちゃあしう2008.1.18 1・作者紹介 グレッグ・イーガン(ウィキペディアより) グレッグ・イーガン(Greg Egan, 1961年8月20日 - )はオーストラリアの小説家、SF作家。パース出身、病院のプログラマーなどを経て、専業作家に。ナノテクノロジー、量子論、認知科学等、広範囲な科学分野を題材としたSF作品を発表している。また、公式の場には一切出ない覆面作家としても有名。 邦訳長編:「宇宙消失」「万物理論」「順列都市」(認識三部作)、「ディアスポラ」 オリジナル短編集:「しあわせの理由」「祈りの海」「ひとりっ子」 公式サイト http //gregegan.customer.netspace.net.au/ 2・あらすじ 世界のすべてを基礎的理論で説明する「万物理論」の発表が三人の科学者によって行われる。正しいのはそのうち一人。主人公のジャーナリストは、そのうちの一人である女性科学者への密着取材のためバイテクとアナーキズムの生んだ人工珊瑚礁ステートレスへと向かう。一方で進歩することへの反動によるカルトの登場、テクノロジーの生み出す新たな思想、そして世界に蔓延する謎の病気「ディストレス」。理論発表はいったい何をもたらすのか? 3・おもな登場人物 アンドルー・ワース 主人公 映像ジャーナリスト ジーナ 主人公の恋人じつはあんまり「理解」し合えていない…伏線? セーラ・ナイト 主人公の同僚 途中で「死亡」したが実は○○だった ヴァイオレット・モサラ ノーベル賞受賞経験のある女性科学者 ヘンリー・バッゾ/ヤスオ・ニシデ(西出康夫?) 他の演者 ニシデは京都大学出身影が薄い上にいつの間にか退場させられている カリン・デ・グロート モサラの助手 苦労人 インドラニ・リー 社会学者 取材中 ジャネット・ウォルシュ 小説家 取材中 やや批判的立場 アキリ・クウェール 汎性。ACだがさまざまな集団に身をおく ムテバ・カザディ 「テクノ解放主義」 著者 死亡 その他大勢 4・流れ 一章 主人公のお仕事であるドキュメンタリー番組「ジャンクDNA」の取材風景を通して未来社会における技術とそれによる倫理観・思想の変化をたどる テーマ:未来社会の倫理観 …『しあわせの理由』『繭』『キューティ』『行動原理』etc 実現可能になったとき、われわれはどう変わるか? …あなたなら使う?賛成?反対? 部分的にではあるが実現しつつある時代にわれわれは来ている 「人間性」を根本から覆す時代 ガジェット 死後復活 死人から事故・事件発生の情報を得るための尋問とそのための処置。昔から似たアイデアはあるがそのグロテスクかつ難しい実情を描いているのはイーガンのお得意とするところ。 目に焼きついた被害者最後の見たものを露光するなんてネタは昔からある。もちろん現実では不可能。 物語要素事典http //www.aichi-gakuin.ac.jp/~kamiyama/me.htmによると 『イギリス製濾過機』(ロバーツ 乱歩の紹介で有名に) 『ブラック・ジャック』(手塚治虫)の「春一番」 『雪の夜の話』(太宰治)など。 映画ではダリオ・アルジェント『四匹の蝿』 あと確か『ワイルドワイルドウェスト』でもギャグシーンになっていた 科学者の切断された首の中に(!)電灯を挿入して犯人の像を浮かび上がらせるというものだが、うまくピントが合ってない。 「こいつは眼鏡を使ってる」とウィル・スミスが首に被害者愛用の眼鏡をかけることで真犯人の像が映し出されるという妙な芸コマ この話に登場する例はどちらかというとスタニスワフ・レム『砂漠の惑星』の「棺桶聴診器」(死後の脳に電流を流して最後の「結線」を確認し、うまくいけばその最後の記憶を取り出せる)に近いか? フランケンサイエンス 無知カルト側から見る現代の先端テクノロジー。遺伝子組み換え・BMI(脳と機械の直結)etc フランケンシュタイン・コンプレックス…アシモフの造語 ネッド・ランダーズ 大規模な生体改造とナノマシン・共生生物(改造ウイルス)埋め込みによって人間を超越し、ほぼ不死を手に入れようとするバイテク会社の男。しかしその後の章でも触れられるが彼は「それ以外」のウイルス改造にも手を出していた。 皮膚パッチ 仕事のペースにあわせてメラトニンなどの分泌物質の調整までもが可能となった時代。必要ならば体への負荷を無視して寝ずの番をプログラムすることも可能・・・『宇宙消失』のP3モッド・「夜警」etc 自発的自閉症者協会 求めることと得ることのバランスを求め究極の手段を模索した人間の到達点。他者理解をつかさどるラマント野を完全に切除して自ら自閉症になろうとする人々。性の不一致は性転換で解決する。では他者理解はどうか? 不完全な他者理解=理解の不一致であり、その転換には「逆」の方向も存在しうる …ここでのラマント野損傷による「自閉症」=現実世界におけるアスペルガー症候群らしい 「Hワード」・Helth(健康)とHumanity(人間性)に対する戦い 汎性(asex) 巻末参照。そのものズバリ中間的「第三の性」 ソフトウェア 脳内に「インストール」されている。基本的に太字で示される。目が入力装置・メモリは腹・臍に接続端子がある シジフォス google情報収集・管理・埋め込み・同期の総合管理システム ヘルメス おそらくシジフォスの下位。仲介やバッチ処理等を担当? 目撃者 インターセプター視覚情報の記録・分析・拡張・パターンマッチングも可能 カスパー MAGIシステムを構成する3台のうちのひとつでモサラの「女」としての人格を模している簡単な模擬人格AI キャリバン ディクシー・フラットラインハッキング集団金を積むほど詳細な情報を提供する http //d.hatena.ne.jp/ita/20041111 J GEEK logより抜粋 シジフォス(Sisyphus) ゼウスに岩を山頂に運ぶ労役を永久にかせられた者 ヘルメス(Hermes) 商業、盗みの神 カスパー(Kaspar) カスパー・ハウザー?。監禁され非人間的育てられ方をされたと思われる状態で発見された実在の少年 キャリバン? (Caliban) シェイクスピアの『テンペスト』に出てくる半人半獣。 二章 モサラを追って「アインシュタイン没後100周年記念学会」のあるステートレスへ。ステートレスの現状・モサラを取り巻くあらゆる人々のさまを知ることになる。そしてモサラの忌み嫌う「AC」なる集団との接触が待っていた。そんな中ワースはコレラに感染。モサラ暗殺を狙った生物兵器か? いったい何のために? テーマ:『知』の探究と対立 『痴』への到達? 「無知カルト」の勃興・・・科学への「反抗」 説明責任?精神的危機? 市民に説明責任を果たさせる等ではなく、純粋に「神秘」と科学の線引きを要求する無茶な人々 「AC・人間宇宙論」の登場 宇宙を記述する存在の有無 荒唐無稽にしか聞こえない人間中心の考えだがその真相は?? マイクル(無神論者)との対話 死の淵まで行った後、主人公はささやかな哲学的議論から新たな価値観を得る 神にすがって生きる・・・足が悪くもないのに松葉杖によりかかるようなもの イーガンの宗教観? ガジェット ステートレス ハフマン島バイテク企業の社員が持ち出した研究成果から誕生した太平洋の人工珊瑚礁。この島では先進国の持つバイテク関連の特許は無効になるため、日本を筆頭に厳しい貿易・入出国規制が敷かれている。基本的に行政組織等はない。ちなみにこの小説出版当時ティモール問題は佳境だったため現状とは違う面がいくつかある。 AC・AnthroCosmology「人間宇宙論」とanthrocosmologist人間宇宙論者 「人間原理」(宇宙の構造の理由を人間存在にもってくる考え)の最大級の拡張版。 「参加方式の宇宙」→「説明されることで存在する宇宙」へ。 参加方式の宇宙なのに宇宙論が違っている=誰か一人の宇宙論が正しく、それが宇宙すべてに意味を与えている その説明できる人間=「基石」(キーストーン) 「正しい」TOEを知る人間 過去・未来においても同様(「現在」が存在するのは「基石」が作ったから!) ○ 基石 × 碁石 自分は最初間違えて読んでました(映画「π」の影響?) 用はTOEを完成させる人間=「SOS団長」(違) 三章 汎性・クウェールとの接触から、AC(人間宇宙論)とその中の対立を知る主人公。非主流派とも接触し、宇宙の行方を左右しかねないという彼らの言い分を聞く。そして突如発生するTOE演者の死亡とステートレスへの「侵略」 。事態は大きく動き始める。 混合化 「アレフ」 説明によるビッグバンがもたらす(と非主流派が信じている)人間、そして宇宙の情報の組み換えと「終わり」 AC論者内でも「宇宙が説明できなければ宇宙は存在しない」としてモサラを援護する(崇拝する?)側と、TOE完成で既成の物理的概念や人間の概念が崩れる恐れがあるとしてTOE完成の妨害を狙うものがいる。 ウイルス兵器 トロイの木馬 FOXDIE個人識別可能な暗殺向け生物兵器 証拠を残さない。高度なものはトラップ式で酵素が他要素を 有毒化させて対象を死に至らしめる…『ルミナス』のゾンビ系トラップ 『繭』etc 傭兵撃退作戦 ステートレスの人工珊瑚を再プログラム。ステートレスは一種の「環礁」になってしまったが敵主戦力を壊滅させることに成功。 四章 仕掛けられていた遅発性ウイルス兵器でモサラが死亡する。しかしモサラは「こんなこともあろうかと」最後の論文を時間差でネット上にポストするよう設定していた。そして全世界でのディストレス患者が爆発的に増大を始める。果たしてTOEによる世界の「説明」はなされるのか。それとも宇宙は文字通り終焉を迎えるのか。 テーマ:宇宙の「説明」の完成とディストレスの加速 …説明した(「する」)「基石」はいったい誰か? →究極のセカイ系? (反対意見)到達点の相違 「説明」をした人間の存在 「ひとくくり」にされることへの反発 性に対する汎性、国家に対するステートレス、健康・人間性に対する自発的自閉症 宗教に対する無神論 思想 etc 「他者理解」の限界・・・自由の拡大の行き着く先は? 「ディストレス」の正体 …タイトルもDistress Distress:1・苦悩、悲嘆、苦痛、悩み(の種)、嘆き。2・疲労困憊。3・遭難、災難。 4・経済的困窮、貧苦。5・〔舗装などの〕損傷。 当然複数の意味合いをもつはず。 …「遭難」が一番近い? カスパーによる説明の「不足」。説明に必要な因子とは? エピローグ 50年後:説明後の世界。皆がTOEの完成に必要だった「要素」を知っている、真の「参加型宇宙」の時代 …じつは全員が「基石」だった 他のTOEが完成しなかった(そして「死」へつながった)理由 ラマント野…一章「自発的自閉症」の項を参照。キーワード 「理解」の不確実性と「錯覚」 5・感想 前作「宇宙消失」では観測宇宙論から始まる量子論を恐ろしい方向で解釈してついには「幼年期の終わり」をやってのけたイーガンがまたやってのける作品。イーガンといえばアイデンティティの問題を描かずにはいられないことで有名だが、今回も「自発的自閉症」という集団を通して透けて見える。そしてそれがラストの到達点にもつながる。 さすがに長いので各エピソードは独立して楽しんでもいいけれどもそれだけではラストにいたることはできず、何度も行っては返しを繰り返すことになる。このへんはちょっとやっかいか。なんにせよ、現代のテクノロジーから生じる問題だけでなく、そこから宇宙の存在へいたる道と「個人」の行く末を描いた本作はイーガンの中でも外に思いっきり開いた「順列都市」「ディアスポラ」とは違う方向で突き抜けていると言えるだろう。 6・追記 例の中編版『ワンの絨毯』に登場する本作のキーワードとは(ネタバレ注意)「AC(人間宇宙論)」のこと。 主人公を筆頭に電脳セカイに移植してるのに現実宇宙の探索を続ける理由のひとつとして登場。たしかに納得。 ただし長編『ディアスポラ』に統合・掲載されるにあたり省かれた。これはまぁ、ヤチマ君の根幹にも関わるからか? 部会メモ 拡大表示
https://w.atwiki.jp/sfthsummary/pages/1168.html
373 名前:万物理論[sage] 投稿日:05/01/02(日) 02 25 08 やっぱこの世は専制君主制より民主主義だよ うんうん 440 名前:万物理論[] 投稿日:2005/05/05(木) 08 56 00 宇宙は実は人間が作った。 535 名前:万物理論[sage] 投稿日:2006/03/14(火) 17 49 38 ひょっこり もみじまんじゅう島 【ネタバレ】名作を要約するスレ【上等】
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/164.html
東北大SF研 長篇部会 『万物理論』 グレッグ・イーガン/山岸真 著者紹介 グレッグ・イーガン(Greg Egan) 1961年オーストラリアのパース生まれとされている。代表作に長篇では『ディアスポラ』、『万物理論』、『順列都市』など、中短篇では『しあわせの理由』、『祈りの海』など。 言わずと知れた現代SF二巨頭のひとりであり、対となるテッド・チャンとは対照的に、精力的な執筆活動で知られる。また覆面作家としても知られ、西オーストラリア大学で数学の理学士を取得したのち映画専門学校に進学するも中退、病院付きのプログラマーとして勤務していたということ以外はほとんど伝わっていない。 あまりにも顔出しをしないために、世間ではイーガンの正体に関して様々な議論がある。有名どころでは「AI説」「意識をもった脳腫瘍説」「宇宙人説」「美少女説」「複数人説」などがある。「ただの普通の白人のおっさん説」も存在するが多分嘘である。 個人的には「集合的無意識説」を推したい。全人類が潜在的にもつ「イーガン的なもの」が集まり、イーガンの作品を創り上げているのだ。人類皆イーガン。 本作『万物理論』は「SF本の雑誌」上で「SFオールタイムベスト100」の第1位に輝いたほか、「SFが読みたい!2005年版」の「ベストSF2004」第1位、2005年度星雲賞海外長編部門、2004年度SFマガジン読者賞など日本で絶大な支持を集めている。また、海外でもティプトリー賞参考作(候補作)、クルト・ラスヴィッツ賞(ドイツのSF文学賞)海外長篇部門受賞、オーリアリス賞(オーストラリアのSF・FT文学賞)長篇部門受賞など高い評価を受けている。 訳者紹介 山岸真(やまぎし まこと) 1962年新潟県長岡市生まれ。主な訳書にイーガン『万物理論』『ディアスポラ』『しあわせの理由』、コニイ『ハローサマー、グッドバイ』『パラークシの記憶』など。主な編書に「80年代SF傑作選 上・下」(小川隆と共編)「20世紀SF 1‐6」(中村融と共編)「90年代SF傑作選 上・下」「SFマガジン700 海外篇」など。 SF翻訳者には珍しい専業翻訳者で、主にグレッグ・イーガンの作品を中心に翻訳している。邦訳されたイーガン作品はほとんど全て山岸真の手によるものである(直交三部作のみ、中村融との共訳)。またアンソロジストとしても活躍しており、海外SF傑作選の編纂などを手掛けている。 主要登場人物 アンドルー・ワース 本作の主人公。科学ジャーナリストで、専門はバイオテクノロジー。 ジーナ アンドルーの彼女。浮気の末アンドルーを捨てた。ワースはジーナと心が通い合っていると思っていたが、それは幻想にすぎなかった。 ヴァイオレット・モサラ “基石”の最有力候補と目される若き天才物理学者。南アフリカ出身で、20代でアフリカ出身者初となるノーベル賞を受賞した。 非主流派ACの生物学的襲撃によって死亡。 カリン・デ・グロート モサラの秘書。苦労人。モサラの死後もアンドルーに協力してくれるいい人。 ヘンリー・バッゾ “基石”の候補とされる物理学者。しかしバッゾの理論はモサラに脆弱性を指摘されている。物語途中で暗殺された。正直あまり物語に絡んでこないので印象が薄い。 ヤスオ・ニシデ(西出康男、原文ではYasuko Nishide) “基石”の候補とされる京大出身の物理学者。日本出身。しかし病気療養中のため、会議の舞台であるステートレスには姿を見せなかった。非主流派ACであるセーラ・ナイトの手により、病死に見せかけ暗殺された。こっちはさらに物語に絡んでこないので覚えていない。 山岸さんは訳者あとがきで「間違いではないか」としていたが、私はニシデが転男性である説を考えたい。転男性であるならば、元が女性で女性名であったとしても不思議ではない。まあイーガンがうっかり間違えてしまったと解釈した方が、イーガンの人間味を感じられていい気もする。 セーラ・ナイト アンドルーと同じ科学ジャーナリストで、専門は物理学、特に宇宙論。 実は非主流派ACと内通しており、“基石”によって世界認識が変容してしまうことを防ぐため、暗躍していた。畑違いのアンドルーに万物理論ネタを奪われるまでに、執拗なほど入念に準備を重ねていた。 アキリ・クウェール 主流派ACの汎性。しかしながら、様々な集団に身を置いて活動をしている。 ローク 自閉症患者協会の広報担当幹部。無論ローク自身も自閉症者。アンドルーに自閉症の脳手術による治療法や、ラマント野、ふたつのHワードについて語った。 直接的には物語にはかかわらないが、理論的な面でかなり重要な位置を占める。 作中用語解説 無知カルト 科学を信じられない人たちの信奉する反科学宗教の総称。無知でカルトと言う通り、科学に関して暗愚な人たちの集団となっていて、文学者などの科学に疎い文化人をまつりあげて世界各地で活動している。 AC(人間宇宙論者) 謎めいた無知カルトのひとつ。 教義から察するに、物理学用語でいえば「人間原理」を信仰しているものと思われる。 Hワード この『万物理論』で展開される議論の中で、最も面白い部類の議論。小さいHワードと大きなHワードが存在し、それぞれHealthとHumanityが該当する。 まずHealth、「健康」という言葉であるが、伊藤計劃好きの多いこのサークルでは『ハーモニー』で展開された議論を思い出した人も多いのではないか。『ハーモニー』において、人々のプライバシーは「健康のために」制限されていた。伊藤計劃の得意とするところの、「ある自由を得るために、ある自由を放棄した」という現象の代表例である。(『虐殺器官』では「テロからの自由」を得るために「プライバシーの自由」を放棄している)特にこの「健康のために」という言葉が権力的に振る舞う(生政治)、という指摘はフランスの哲学者ミシェル・フーコーの主著『監獄の誕生』によるものである。(イーガンは一体何者なの?) 次にHumanity、「人間性」という言葉であるが、これはヒトラーが多用したことで有名である。本文にもあるように、論敵を「人間性が欠如している」という言葉で非難することは、相手の言論を圧殺することのみならず、論敵の過去から未来に至るすべての言動を一瞬で粉砕することが出来る最強の「権力」としてふるまう。 ちなみに、伊藤計劃は一時期までポストモダン哲学の信奉者だった(後に批判)ので、ポストモダン哲学者のひとりに数えられることもあるフーコーの著書も恐らく読んだであろうと考えられる。一方イーガンが読んだかどうかは、定かではない。 自発的自閉症者協会 まず、医学的には「自閉症」という診断名は存在せず、「広汎性発達障害」の中に「自閉性障害」という診断名がある。具体的な診断方法は省略するが、あくまで症状から診断される病気であり、病理学的検査によって診断される病気ではない。この「広汎性発達障害」のなかでも、全般的に知的な能力や言語に遅れが見られない場合、医学的には「アスペルガー症候群」と診断される。[1] ここで、ロークの語る部分的自閉症者の特徴を挙げると、「人間関係の構築に障害がある」「知的能力にはなんら影響がない」というものなので、作中の「自閉症」は現実の医学的にはアスペルガー症候群に近いと言えるだろう。 また、作中では自閉症がラマント野の損傷によって発症するとされているが、これも現実における自閉症・アスペルガー症候群の原因とは異なる。自閉症の発症率は、日本人では一万人当たり96.7~161.3人であるとの報告があり、おおよそ1%前後の発症率とされ、それほどまれな障害ではない。自閉症の発症原因としては遺伝的要因との関連が深いと考えられている。発症に関しては複数の遺伝子が関係している可能性があり、また胎児期から生後2年ほどの間のウイルス感染などもひとつの要因とされている(これは作中でも言及されている)など、単純には捉えられない。現在のところ、自閉症と特定部位の脳損傷との明確な局所的関連は認められていないものの、偏桃体を中心とした神経ネットワークと小脳の障害を伴うとされる。[2][3] 話を作中に戻して、自発的自閉症者協会では、部分的自閉症の治療方法として、既存の自家組織移植によるラマント野の治療以外に、新たにラマント野の完全切除によって部分的自閉症を完全な自閉症に「治療」することを法律によって規定しようという政治的主張を行っている。エピローグでの描写から、“基石”の発生後はラマント野の切除手術が広く行われているようだ。 各種ソフトウェア 脳内に「インストール」された各種支援ツールで、必要に応じて利用される。メモリは体内に存在し、へそに端子が露出している。 シジフォス 情報収集・管理・同期が出来る総合情報管理システム。 元ネタはギリシャ神話に登場する人物、シーシュポスから。シーシュポスは都市コリントスの建設者で、後に神を二度欺いた罪で永久に岩を山頂に運ぶ労役を課せられた。 ヘルメス 多分シジフォスの下位システムであると考えられる。仲介・パッチ処理を担当か。 元ネタはギリシャ神話に登場する神。オリュンポス十二神のひとりにして、ゼウスの使い。盗人、賭博、商人、交通、体育、音楽など多くの事柄を象徴する神でもある。 目撃者 視覚情報の記録・分析のほか、AR的な機能を備えている。 カスパー 簡単な模擬人格AI。 元ネタは新約聖書に登場する東方の三博士のひとり、カスパールだと思われる。『新世紀エヴァンゲリオン』にも開発者赤城ナオコ博士の「女」としての人格を模した人格AIとして、同じく東方の三博士を元ネタとするCasperが登場するが、関連は不明。『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビ放映が1995年、『万物理論』の原著が1995年末、邦訳が2004年なので関連性は限りなく低いと考えられる。 あるいは、19世紀にドイツで発見された正体不明の孤児カスパー・ハウザーが元ネタか。16歳で保護されるまで地下牢に幽閉されており、人間的な行動が出来なかったとされている。教育によって言葉を話せるようになり、自身の過去を語ろうとした矢先、何者かに暗殺された。そのため芸術作品などでしばしば題材にとられる。(これも教育心理学・発達心理学などの心理学分野では有名な話) ステートレス バイオテクノロジー企業の社員が違法に持ち出した技術を基に作られた太平洋の人工島。この島では科学技術に関する特許がすべて無効になるため、日本を筆頭に先進諸国から貿易・出入国に関する厳しい制限がかけられている。 ステートレスはサンゴ礁を基礎とした人工島であり、水素合成細菌が生じる水素で浮力を得ている。第二章で明かされるこのステートレスの構造は、最終盤で大きな意味をもつ。大量にばらまいた技術的なネタのうちで、ちゃんと伏線として活用される数少ない例のひとつ。 ディストレス 世界中で患者が急増している精神病。あまりにも発症者の増え方が激しいので感染性なのではないかと考えられているが、人口に対して平等に感染者が発生(世界中どこでも人口に対する患者の比率が同じ)するので、感染症だとも考えにくい。 その正体は万物理論に触れてしまったことで起こる唯我論的狂気であり、万物理論の理解に先立って発生していたものだった。 『万物理論』の原題は”Distress”であり、意味としては(1)大きな不幸、不安、苦痛を感じること(2)貧困、飢餓に苦しむこと(3)遭難 がある。(Oxford Advanced Learner’s Dictionaryより、下村訳)これらの意味を複合させたものがもっともらしく感じられる。 物理学的解説 万物理論(Theory of Everything、TOE) 万物理論とは、本文にも登場したように「すべての物理現象をその式のみで記述する究極の物理法則」のことである。 現代の物理学では、この世のすべての「力」は重力、電磁力、弱い力(原子核を崩壊させる力)、強い力(原子核を結び付ける力)の4つで表されるとしている。この4つの力は、宇宙が始まった際(ビッグバン、超高温・超高圧)はすべて同じで区別出来なかったはずだと考えられていて、この統合された1つの力の作用を表す法則を万物理論と呼んでいる。 現在、電磁力と弱い力を統合した電弱力を記述する理論(統一理論、またはワインバーグ=サラム理論)は既に完成しており、電弱力と強い力を統合する大統一理論の整備が進んでいる。 人間原理 「この宇宙に私たち人間がいて、この宇宙が人間に理解出来るものであるのは、すべて私たちがそう観測して理解出来るからに過ぎない」という仮説のこと。はっきり言ってしまうと、科学的反証性が確保出来ないため、科学の扱う問題ではない。そういう面では非常に非科学的な言説である。 哲学者カール・ポパーによれば、科学の条件とは「反証可能性が確保されていること」である。反証可能性とは、ある科学的仮説に対して、それを否定するような現象が存在する場合、仮説は否定されることである。すなわち、科学とは、それによって説明出来ることと出来ないことを明確にするプロセスを指す。なお、これは自然科学だけでなく、社会科学や人文科学にも適用される。[4] テンソル テンソルは相対論の計算などで頻出するのだが、私自身正直よく分からないまま天下り式に使っているという部分が大きいのであまり詳しく解説することが出来ない。平たく言うと、スカラーをベクトルに拡張したように、ベクトルをさらに拡張したものである。詳しい解説は是非数学科の人にお願いしたい。 考察 私の予想だが、アンドルーは自閉症なのではないかと考えている。嘘が下手であることと、“基石”になったことがその論拠だ。これに関しては、SF研のみなさんの意見を聞きたい。(正直、自閉症でないとすると、わざわざ自閉症患者を登場させて自閉症に関して語らせたことの必要性が薄れる)また上述の通り、エピローグにおける描写でラマント野の切除手術が一般化していることを考えると、アンドルー自身も自閉症であると考えた方が自然だ。 所感 最高。これこそSFにおける最高傑作のひとつである。 600頁に及ぶ物語の中で、イーガンはいくつもの魅力的なアイデアを提示して読者を魅了し、また困惑させる。少なくとも長篇を7本は書けそうなアイデア(ジェンダー、死後復活を利用したミステリ、バイオテクノロジー【遺伝子組み換え植物の存在】、バイオメカトロニクス【遺伝子組み換えによる身体改造】、Hワード、ノートパッドなどの現在の技術を予知したかのようなガジェット、無知カルト、ディストレスのパンデミック)を贅沢にも1本の長篇に押し込むその重厚さは、流石イーガンといったところ。最後の大仕掛けも、物理理論と情報理論の結合による万物理論の完成とは、これまた時代を先取るようなイーガンの圧倒的な思考の成せるアイデアだ。 またイーガンの中・短篇を読んだことがある人は、それらの作品の内容を思い出すことがあったのではないか。代表例として、未来の倫理観・幸福感を扱った名作『しあわせの理由』が挙げられるだろう。『万物理論』以前に発表されたイーガン作品に頭をのぞかせていた多くの要素がこの作品で集大成を迎えたということになろだろう。 この『万物理論』のテーマとして、新しい科学的発見の発表による社会の変容と、それに対するイーガンのものの見方が挙げられるだろう。『万物理論』は、今やSFにおける科学技術の代名詞ともいえる存在となったイーガンの、科学に対する姿勢が明確に表されたまぎれもない傑作だ。私自身、「科学的な新発見なんていつかは解明されるものであるし、そもそも科学的な法則はビッグバン以前から規定されたものであるし、それによって価値観が揺らぐ方がおかしい」という感覚なので、本作を読んでいて文中における無知カルトに対して批判的な言及には共感を覚えた。 また自閉症をSFガジェットに用いるSFとして、フィリップ・K・ディックの『火星のタイム・スリップ』を思い出した。近年だと宮内悠介の『エクソダス症候群』も精神病を扱ったSFであり、精神病をテーマとしたSFは昔から人気があるのかもしれない。(これは精神病を従来の一般文芸や純文学では扱いづらいというのも背景にあるのかもしれない) 付録 イーガンの他作品と、他作家のハードSF作品を紹介する。 『しあわせの理由』(イーガン、山岸真訳、ハヤカワ文庫SF) SFマガジン700号記念の人気投票において、海外短編部門第2位に輝いた名作『しあわせの理由』を表題とした、イーガンの入門的作.品集。 個人的には、イーガンらしくないとされる『愛撫』、イーガンお得意の科学技術を全面に押し出した科学探偵もの『チェルノブイリの聖母』がおすすめ。(無論表題作はいちばんのおすすめ) 「無常の月 ラリイ・ニーヴン傑作選」(ニーヴン、小隅黎・伊藤典夫訳、ハヤカワ文庫SF) ヒューゴー賞受賞作『無常の月』『中性子星』『ホール・マン』『太陽系周辺空域』を含む、文字通りニーヴンの傑作選。基本的には宇宙を舞台とした懐かしい雰囲気の作品が多いが、宇宙に関する描写は科学知識を基にした、なるべく正確なものになっている。 『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン、池央耿訳、創元SF文庫) SFミステリの金字塔。月で発見された人の遺体は、なんと5万年前のものだった。豊富な科学的発想とミステリ由来の強固な論理展開によって明らかになっていく物語は必読。はじめ1/3は布石パートなので若干読み進めるのが大変だが、のこり2/3は息つく暇もない魅惑の世界が広がっている。はじめ1/3だけ何とか頑張ってほしい。 「老ヴォールの惑星」(小川一水、ハヤカワ文庫JA) 現代日本におけるハードSFといったらこの人。星雲賞受賞作『老ヴォールの惑星』を筆頭に、一水の特色が結晶した『ギャルナフカの迷宮』や人気の高い『漂った男』、時代を先取りした拡張現実ものの『幸せになる箱庭』の4作が収録されている。一水の作品の中ではかなり読みやすい上、特色も出ていて非常に面白い。一水作品の特色は「科学知識を身につけた人たちが、困難な状況に対して希望を捨てずに立ち向かう」というものだ。一水の作品にバッドエンドはほとんど存在しないので、安心して読むことが出来る。 参考文献 [1]シードブック教育心理学 本郷一夫・八木成和編著 建帛社 [2]心理学 第4版 鹿取廣人・杉本敏夫・鳥井修晃編 東京大学出版会 [3]自閉症スペクトラムとは 笹沼澄子編 医学書院 [4]科学哲学への招待 野家啓一 ちくま学芸文庫 [5]『万物理論』レジュメ ちゃあしう 東北大学SF研究会 下村思游
https://w.atwiki.jp/brunner/pages/59.html
https://w.atwiki.jp/foretdusud/
「万物理論」グレッグ・イーガン 帯にはハードSFと書かれているが、もちろんそんな代物ではない。 統一場理論の先をいく「万物理論」の発表者が、なんと創造主になるというオカルト宗教小説!! 一神教の信者にしか思いつかないビックバン理論のSF版? 「とんでも本」の有力候補だろう。 これはアマゾンに書いた短評。 ハードSFではないこと。 オカルト宗教小説であること。 「とんでも本」の愛好者にはこたえられない本かもしれないこと。 これらを簡潔に指示している。----かも?
https://w.atwiki.jp/chipmunk1984/pages/33.html
グレッグ・イーガン 祈りの海 宇宙消失 しあわせの理由 ディアスポラ 万物理論
https://w.atwiki.jp/tohokusf/pages/76.html
東北大学SF研読書会 「紫色のクオリア」 担当:刺身 作者 うえお久光 2000年度に行われた第8回電撃ゲーム小説大賞に『みークルズサジェスチョン/ポリッシュアップルズ』を応募、〈銀賞〉を受賞する。2002年2月、同作品は『悪魔のミカタ 魔法カメラ』と改題されて電撃文庫より出版され、小説家デビューを果たした。 2005年7月からは新シリーズ『シフト』を単行本(ハードカバー)にて発表している(後に電撃文庫に移籍)。 イラスト 綱島志朗 代表作は「ジンキ」シリーズ。「オリハルコン・レイカル」。 ジンキシリーズはアニメ化しているほどの人気シリーズ。しかし連載誌が月刊ガンガンWING→月刊コミックブレイド→月刊コミック電撃大王→月刊ドラゴンエイジ、と流浪するなど苦労が絶えなさそうな人 登場人物 波濤マナブ 主人公。特に変哲のない女の子だったがゆかりと出会い、事件に巻き込まれ、左手が「左手でありながら携帯電話でもある」なんてことに。そして友達になってみたり母親になってみたり魔法少女になってみたりして最終的には人外に。ゆかりの目には周辺機器が多そうでスーパー系的デザインに見える。換装によって汎用性最強。きっとF90(こいつはリアル系だけども)のようにジョイント部がいっぱいあるのだろう。 毬井ゆかり ヒロイン。ニンゲンがロボットに見える目を持っている。その人のパーツを見ることで相手が得意としていることがわかる。趣味はプラモデル作り。また機械の修理も得意。さらには人を「修理」することもできる。 天条七美 ツンデレ。作中に出てくる用語の多くはこの子の仕入れてきた情報。小さいころにゆかりに体をジャングルジムで修理されたことでゆかりに恐怖心を持ち、何かと突っかかっている。 アリス・フォイル ロリ担当。ゆかりを連れて行くためにジョウントから送られてきた留学生。マナブに脅されたり篭絡されたり束縛されたり何気に一番ひどい目にあってる気がする。数式が「絵」として見える目を持っている。そうした力を持たない人間のことを凡人と言って蔑している。 加則智典 モブ担当。リアル系の見た目なのに漢のロマン、ドリルをもっている。お前のドリルで天を貫け!ある世界ではマナブと付き合ったり、別な世界では七美と付き合ったり、ゆかりにも好かれていたりと、きっとこいつを主人公にしたらギャルゲーができるに違いない。名前が「かそくちてん」と読める。 あらすじ 第1章毬井についてのエトセトラ 主人公、マナブの友達であるゆかりはニンゲンがロボットに見えるという不思議な目を持っていた。ゆかりを目の敵にしている天条七美と知り合いになったり、ゆかりの意外な一面を知ったりしながら日々をすごしていた。だがそんなある日、マナブは「東京バラバラ殺人」事件の犯人にゆかりに対する人質として誘拐されてしまう。 第2章1/1,000,000,000のキス マナブとゆかりの衝撃的な出会い、七美との小難しい話、そしてアリスの留学。アリスの目的は「天才」であるゆかりを『ジョウント』へと連れて行くことだった。しかしゆかりはジョウントで不審な死を遂げる。ゆかりの死の真相を知るため他の世界の自分と協力してアリスを追うマナブ。無限の可能性の世界を経てアリスへとたどり着いたマナブは過去を変えられることに気づく。 第3章If アリスが三年生になっても留学を続ける世界。マナブは「左手」の「通話機能」を封印してもらうのだった。 用語 クオリア 心的生活のうち、内観によって知られうる現象的側面のこと、とりわけそれを構成する個々の質感のことをいう。日本語では感覚質と訳される。→コウモリであるとはどのようなことか 逆転クオリア 同等の物理現象に対して、異質のクオリアが伴なっている可能性を考える思考実験。同じ波長の光を受け取っている異なる人間が、異なる「赤さ」または「青さ」を経験するパターンがよく議論される。 平行世界 一般的な解釈(コペンハーゲン解釈) シュレーディンガーの猫は観測者が観測するまで(観測者にとって)、「生きている猫」と「死んでいる猫」の重ね合わせの状態にある。観測者が観測する過程で(観測者にとって)、猫の状態はどちらか一方に定まる。これがいわゆる波動関数の収束である。 パイロット解釈 「パイロット波」なる未知の波が粒子の運動に影響を与えているとして、量子力学を古典力学の枠内で説明しようとする試みであり、シュレーディンガーの猫の 問題は完全に解決できる。一時は成功したかのように見えたが、二個以上の粒子の運動を想定すると古典力学にない非局所的長距離相関が強く現れることが分か り、現在では完全な下火となっている。 エヴェレットの多世界解釈 シュレーディンガーの猫のいる世界は、「猫が生きている世界」と「猫が死んでい世界」に分かれる。当然、「猫が生きている世界」にいった観測者は猫が生 きていと観測し、「猫が死んでいる世界」にいった観測者は猫が死んでいると観測する。もちろん、観測者は、猫を観測するまで自分がどちらの世界にいたのか知ることは出来ない。 万物理論 自然界に存在する4つの力、すなわち電磁気力・弱い力・強い力・重力を統一的に記述する理論(統一場理論)の試みである。この理論が完成すれば、素粒子のあらゆる性質が説明できるばかりか、宇宙(=時間と空間)が誕生し、消滅する様子さえも理解できる、究極の物理理論になると期待されている。ただし、心の哲学の世界の研究者たちからは意識の主観的な側面(専門的には現象的意識、クオリアなどと呼ばれる)が説明から抜け落ちることになるだろう、と考えている 感想 1章を読み終わったあたりで、次はまた何か事件に巻き込まれて、それを解決するためにマナブにパーツくっつけたりして、という話になるのだろうと思っていた。(羽着けて空を飛ぶとか、とか思ってたらあとがきマンガでやってたね・・・)ところがいきなりゆかりが死んだとかまったく考えていなかった展開になって、と思えばマナブのほうは無限の世界を旅し始めて・・・と想像もしなかった方向に話がぶっとんでいって非常におもしろかった。そしていい加減トラトラ読まんとなぁ・・・ 補足 ジョウント→アルフレッド・ベスター「虎よ、虎よ!」におけるテレポーテーションの呼び名、フォイル→同上、主人公の名前 万物理論→グレッグ・イーガン「万物理論」 余談1:ドラゴンマガジン11月号にてこの作品を楽しむために読むといいよ!ってな作品として次のものが挙げられてる→玩具修理者(小林泰三〔おそらくこれに収録されている、酔歩する男〕)、虎よ、虎よ!、万物理論、あなたの人生の物語(テッド・チャン) 余談2:ラ管連(ライトノベルサイト管理人連合)が行った読書会の結果、「結論 紫色のクオリアは、ラブプラスだ」、だそうで・・・ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kakuran/pages/25.html
ここでの格付けの定義 大どんでん返しのあるSF小説作品に対して、意外性の高い順に、格付けを行う。また、非SF作品が実はSFであるというネタバレになる場合は、実はSFだったというオチがあるアニメ漫画や小説に載せること。 格付け表 A (予測が不可能) アイ アム レジェンド 宇宙消失 新世界より 星を継ぐもの B (予測の難しい展開がある) ハイぺリオン(の没落) 宇宙戦争 禁じられた惑星 猿の惑星 月の裏側 2001年宇宙の旅 2010年 万物理論 マイナス・ゼロ c (伏線などで予測可能) アルジャーノンに花束を エンディミオン (の覚醒) 消えた子供たち 死者の代弁者 ドゥームズデイ ブック 夏への扉 幼年期の終わり 補足 誤字、脱字があったら修正をします。他の作品も追加してください。