約 2,184,035 件
https://w.atwiki.jp/namcochronicle/pages/31.html
No. ステージ名 出撃可能人数 備考 4 ここが地獄の入り口 1人 毒の沼注意!! 強制出撃 玲馬 ベラボーマン ワンダーモモ たろすけ コアクマン 敵軍 NAME 人数 リバイバルデッド 2 トレント 3 増援 初期配置の敵軍を撃破 NAME 人数 ブラックワルキューレ 1 ビギーマン 6 ゾンビバガン 4 リバイバルデッド 8 会話イベント たろすけVSブラックワルキューレ あちこちに毒の沼があるので、気をつけていこう。 ビギーマンは倒せばたくさんの経験値が手に入るので。 幻想編からスタートの場合、LVの低いキャラを出撃させよう。 たろすけの地獄丼はベラボーマンの福引券より強力な 回復技なのでぜひ活用しよう。 なおリバイバルデッドは毒攻撃が得意なので、 毒消しを持っておこう。 ボスのブラックワルキューレは、攻撃はかわされがちなので。 できれば必殺技で一気に倒してしまいたい。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1958.html
前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ 使い魔。それはメイジにとって一生のパートナー。 それは家族も同然の存在。 だから認めない。 変な仮面を着けたこんな奴が私の使い魔だなんて、絶対に認めない。 私の使い魔は巨躯の幻獣だけ。 そう、自分に言い聞かせていたのに――。 第4話 白皇~ハク・オロ 六体のワルキューレは短槍を使おうとせずに殴りかかってきた。 どうやらギーシュが慌てて造り出したため基本武装として短槍を持っているようだが、 平民相手の決闘で本気を出すつもりは無いらしく、 短槍を逆さまに持たせて殴打するための棒として利用してきた。 さすがに平民相手でも斬ったり刺したりをすれば騒ぎになると考えているのだろうか。 七体のワルキューレは四方八方から襲いかかって来るがちっとも連携が取れておらず、 必死に逃げ回る仮面の男をなかなか捕まえられないでいた。 (しかし一体や二体ならともかく、この数が相手ではいつまでも逃げ切れるものではない。 一か八か大将首を獲るしかないが、囮となる兵も無ければ、 自らこのワルキューレを倒すための武器も無い……。いや、武器なら) 近くにいたワルキューレが逆手に持った短槍を突き出した瞬間、 最初のワルキューレを転倒させた時のように短槍を両手で掴んで捻り上げ、 青銅の手のひらから青銅の槍を奪い取りると同時に脇腹を蹴り飛ばして距離を取る。 槍を奪われたワルキューレは、槍を取り戻そうと慌てて両手を広げて掴みかかってくる。 「でぇいっ!」 掛け声と同時に腹の高さから斜めに突き上げられた槍の一撃が、 ワルキューレの右目に突き刺さると同時に首をもいだ。 そして顔を貫いた時の感覚から中身が空洞であると解る。 中まで青銅が詰まってるのならともかく、外殻だけならば同じ素材の槍で十分破壊可能。 頭を失ったワルキューレはその場に尻餅をついて倒れ、 素早く後ろに引かれた槍は空中に青銅の頭を残して仮面の男の前面に構えられる。 「ぼ、僕のワルキューレが……!」 二度までもワルキューレを倒されたギーシュの顔が朱に染まった。 しかも今度は転倒させられたのではなく、頭部を破壊されてしまったのだ。 野次馬達からは歓声が上がったが、平民に不覚を取ったギーシュへの失笑も混じっている。 恥をかかされ頭に来たギーシュは、頭に来てがむしゃらにワルキューレ達で攻め立てる。 今度は短槍を奪われたため、自らも槍を持ち替えて鋭い刃を仮面の男に向けて。 しかし仮面の男の表情に臆するものは無かった。 「むうん!」 力強く突き出された槍頭を、己の槍の柄で跳ね上げて軌道をそらした仮面の男は、 そこからけさ斬りにしてワルキューレの胸部を切り裂き中の空洞を露出させる。 (これでふたつ! だがこいつ等につき合う必要は無い!) 胸を裂かれたワルキューレの首を槍の柄で突き飛ばすと、 彼はその上を飛び越えてギーシュへと駆ける。 慌てたギーシュは手近にいたワルキューレを自分と仮面の男の間に移動させた。 「このぉっ!」 ワルキューレが槍を上段から真っ直ぐに振り下ろしたため、 男は足を止めず半身を引いて槍を回避すると、自分は下から槍を斬り上げる。 肩当ての下にある脇を狙い、胴体とをつなぐ間接を切断して槍を持っている右腕を落とす。 そうするためには強く踏み込まなくてはならなかったため、彼の足はそこで一瞬止まる。 好機とばかりに背後から二体が襲い掛かってきた。 足音でそれを察した男は、反射的に足音の近い方へと振り向き様に一閃。 ワルキューレの首を刎ねた槍は男の腰まで素早く引かれ、 もう一体へのワルキューレに向き合うと同時に弾丸のように突き出された。 (四つ!) 数えると同時に細い腹部と、腰当てをつけた下腹部の隙間を貫通する。 だが力強く突きすぎたせいで抜くのが困難になったため、 即座にその槍を刺しっぱなしで手放すと、目の前のワルキューレから槍を奪う。 (身体が自然に動く。自分は武芸の心得があるようだ) 残ったワルキューレ三体は、二体が屠られている間にハクオロを三方から取り囲んだ。 うち一体は最初に造られたワルキューレで、槍は元より持っていない。 「来るかっ」 三体が同時に迫る。右前方の一体が両手を突き出し、後方の一体が槍を振り上げた。 左前方の一体は槍を低く構えて隙をうかがっている。 まず右前方の一体は、槍対素手という距離の差を生かして素早く首を刎ね飛ばす。 それとほぼ同時に背後から斜めに振り下ろされた槍を、 彼は左肩を下げるようにしてしゃがんで、背中すれすれで回避する。 左前方にいたワルキューレがその瞬間を狙って突っ込んできたが、 彼は後ろに振り向くと同時に斬り上げてワルキューレの顔を真っ二つにして、 即座に左前方のワルキューレへと向き直り突き出された槍を、己の槍で跳ね飛ばす。 流れるような体さばきに歓声が上がった。 ほぼ一回転する間に二体のワルキューレを屠り、もう一体の攻撃もさばき切るなんて。 「七つ目!」 声に出して数えると同時に彼は槍を振り上げ、左の肩のつなぎ目へと穂先を振り下ろす。 跳ね飛ばされた槍に続いて、そのワルキューレの左腕もその場に重く転がった。 (残るは敵将のみ!) 彼が、視線をギーシュに向けた瞬間。 「後ろよ! 危ない!」 野次馬達の歓声の中から、はっきりとルイズの高い声が聞こえた。 そしてギーシュが薔薇の杖を振ってこちらに向けている。 まさか。 振り返った瞬間、胸を斜めに裂かれたワルキューレが彼の仮面に青銅の拳を叩きつけた。 甲高い音が鳴り響き、脳を揺さぶられ、よろよろと後ずさる。 「ぐっ……。か、仮面が無ければ死んでいたかもしれん」 さすがに青銅の拳で額を割られては命に関わる。 男はトリステインで目覚めてから初めて外れぬ仮面の存在に感謝した。 とはいえ頭部を殴られたショックでめまいを起こし、足取りもおぼつかなくなっている。 その隙をついて、二番目に倒された右腕無しのワルキューレが、 無事な左手で背後から槍を持ち繰り出してきた。 その攻撃をかわし切れず、彼は左脇腹の肉をえぐられてしまう。 「ぐっ……しまった」 ただでさえめまいがする最中に攻撃を受けた彼は、その場に片膝をついてしまう。 そうこうしている間に、彼の周囲に倒れていたワルキューレが次々と起き上がる。 槍を奪い胸を斬った一体目。 右腕を切断した二体目。 首を刎ねた三体目。 腹部を貫通し槍を奪った四体目。 素手で挑まれ首を刎ねた五体目。 下から上へ顔を真っ二つに割った六体目。 槍を跳ね飛ばし左腕を切断した七体目。 すべてが、彼の周囲に。 「命無きゴーレム、頭や腕を破壊されても活動可能という事か」 見れば、破壊された箇所は直っていない。 だとすれば、足を壊して動けなくすべきだったと彼は悔いた。 一方ギーシュは七体すべてのワルキューレで包囲できたため、安堵の笑みを浮かべている。 「フフフッ、ここまでメイジに楯突く平民がいるとは、褒めて上げるよ」 「だったらここいらで手打ちにしてもらえないか? 自分は元々、争う気は無いんだ」 「駄目だね。僕の美しいワルキューレを傷つけたんだ、この程度で手打ちにはできない」 だったらワルキューレに反撃なんかしなければよかったと仮面の男は悔いたが、もう遅い。 仕方なしに短槍を構えたが、その槍は突然土になって崩れ去った。 「なっ……」 「それは元々、この広場の土から作った物だからね。貴族の物を盗むなど許されないよ」 だったら奪われた時すぐ土に戻していればよかっただろうと思ったが、 多分気が動転してそこまで頭が回らなかったのだろう。 もっとも下手に指摘して余計に怒りを買いたくはないので口にはしない事にする。 「さて、お仕置きの時間だよ。仮面男君」 ギーシュが杖を振ると同時に、男の前にいたワルキューレが殴りかかってきた。 相変わらず直線的な軌道だったため簡単に避けられたが、 避けた先にいた別のワルキューレに脇腹を殴られる。槍で浅く切られた脇腹を。 その時、殴られた痛みと同時に、異なる衝撃が男の身体を走り鈍い音がする。 いつの間にかルイズの隣から決闘を見ていたキュルケが、小声で呟く。 「……折れたわね」 「えっ!? 嘘、そんな」 ルイズは指が痛くなるほどに拳を握りしめた、その手にはまだフォークがあった。 (あいつは、私の使い魔なんかじゃない。でも、でも) あばらが折れたせいで足が止まった仮面の男は、もはや抵抗するすべを持たなかった。 武器を失い、策も味方も無い。 殴られる痛みよりも、孤立無援という状況が、やけに痛烈に響く。 顔を、肩を、胸を、腹を、次々に殴られ呼吸もままならず、悲鳴すら上げられない。 だが許しを請う気にはなれなかった。 争いをしたくないという気持ちに偽りは無い。 だが二股をして少女を傷つけ、責任を転嫁し、自分だけでなくルイズをも馬鹿にされた。 ルイズ、という名が頭に浮かんだ瞬間、彼は野次馬の中にいるだろうルイズを探した。 (いた) わずかに視線を動かしただけで、すぐルイズは見つかった。 視線が合う。 同時に背後からワルキューレに殴られ、男は倒れ込む。 だがその倒れた先に、偶然、別のワルキューレの持つ短槍があった。 それに気づいた彼は咄嗟に左手を盾にしようとした。 「キャアァァァッ!」 悲鳴を最初に上げたのは誰だっただろうか? 甲高いその声は女性のものだったが、ルイズとキュルケではなかった。 むしろ二人は、その悲鳴のおかげで何が起きたのかに気づく事ができた。 「血、血が……手が……」 「貫通しているみたいね。でもあの角度なら、運がよければ骨を避けてるかも」 二人の視線の先、いや、野次馬達の視線の先には、仮面の男の左手があった。 左の手のひらにワルキューレの短槍が突き刺さり、反対側の甲まで貫通してしまっている。 男の手と、貫いた槍は赤く染まり、その赤は地面に生える草を汚していった。 その光景にギーシュは焦った。 わざとじゃない。 しかし仮面の男は平民とはいえ、仮にもヴァリエール家の使い魔だ。 ルイズ自身は魔法の使えない落ちこぼれのゼロだが、彼女の家名は自分よりずっと上。 家ぐるみの問題にまで発展したら非常に困る事になるし、 流血騒ぎなんかをみんなの前で起こしてしまったのだから、自分の評判も落ちかねない。 ギーシュはギーシュなりに引き際を悟った。ここで手打ちにして、早々に立ち去ろう。 「ギーシュ! ここまでやる事ないじゃない!」 が、それをさえぎるようにルイズが叫び、ワルキューレを押しのけて仮面の男に駆け寄る。 男は歯を食い縛りながら、槍から自分の左手を引き抜いた。 「ぐっ、うぅ」 「だ、大丈夫!?」 「ルイズ……か。すまない、心配をかけてしまって」 「酷い……血がこんなに」 ドクドクとあふれ出す血を見て、ルイズは双眸を釣り上げギーシュを睨みつけた。 そして握りしめた得物を突きつけて宣言する。 「これ以上やるっていうなら、私が相手になるわ!」 「え、ええっ!?」 ギーシュは先日の教室爆発を思い出して青ざめた。 なぜかは知らないが、ルイズの失敗魔法の爆発力の威力は格段に上がっている。 一番間近で爆発を受けたシュヴルーズは、まだベッドの上から動けない。 怯え出したのはギーシュだけでなく、周りの野次馬達も同様だった。 ルイズの爆発は今まで『迷惑』というレベルだったが、昨日のはシャレにならない。 遮蔽物の無いこのヴェストリ広場であんな魔法を使われては、自分達も危ないのだ。 そんな空気を読み取った仮面の男は、何とかして場をおさめようとして、気づいた。 「……あの、ルイズさん?」 「何よ。今から魔法であいつ吹っ飛ばすから、邪魔しないで」 「無理だと思うぞ。さすがにフォークで魔法は使えないだろう」 「え」 言われて、ルイズはようやく気づいた。握りしめてるの、杖じゃなくて、フォーク。 食堂で仮面の男を突っついてから、ずーっと持ち歩いていたのだ。 慌ててフォークを地面に叩きつけ、自分の杖を取り出そうとするルイズ。だが。 「いや……ルイズ、この決闘は自分と彼のものだ。だから自分に任せてくれ」 「なな、何言ってんのよ! その怪我で、あんた、正気!?」 「ああ。下がっていてくれていい」 「でも!」 仮面の男は、まるで我が子供に優しく言い聞かせるような優しい眼差しと口調で言った。 「自分は君の使い魔であり、パートナーであり、家族なのだろう? ……信じて欲しい」 「あっ……」 ――メイジと使い魔は一生のパートナーで、家族も同然だっていうのに。 それは出会ったその日に一度だけ口にした言葉。 それを彼は覚えていた。 ルイズは、仮面の男が使い魔だなんて認めていないのに。 けれど仮面の男は、そんなルイズの事を家族同然に思ってくれている? 嬉し――くなんかない。 でも、彼の言葉はなぜかとても信頼できる。 「……解ったわ。でも、無理したら怒るからね」 「ああ」 ルイズが下がり、ワルキューレ達の間を抜け、キュルケのかたわらまで戻る間に、 仮面の男は地面に右の手のひらを置いて、握りしめた。 そして未だ血のあふれる左手を震わせながらも握りしめ、穴の空いた甲で口元を隠す。 「ま、まだやる気なのか? その傷でまだ戦おうだなんて、侮辱しているのかい?」 怯えながら言うギーシュを、仮面の下から睨みつける裏で、彼は思案していた。 (さて……作戦は決まったものの、果たしてうまくいくかどうか。 打撲が酷いし、左手には穴、骨も何箇所か折れている。 それに自分は武術の心得があるようだが、果たして命中させる腕があるかまでは……) 彼はゆっくりと立ち上がり、包囲するワルキューレの隙間からギーシュの右手を見る。 薔薇を持った手は、甲をこちらに向けて胸の前にある。甲、か。ここで妥協すべきか否か。 「黙ってないで何とか言いたまえ! それとも――」 その後何と続けようとしたのかは本人しか解らないが、 言いながらギーシュは右手を前に突き出し、薔薇を使って仮面の男を差した。 薔薇を握る五本の指が、見え、同時に仮面の男は右腕を跳ね上げた。 その挙動にギーシュの目が見開く。構わず彼は右手を振るった。 指先から銀の輝きが一直線に飛び、ギーシュの人差し指に当たった。 刺されるような痛みに襲われたギーシュは、反射的に手を広げながら後ろに引いた。 薔薇と一緒に銀のそれが落ちる。 いったい何が指に当たったのかという疑問に視線は本能的に銀の軌跡を追い、 地面に落ちて動きを止めるのを見てようやく何であるかを認識した。 「……フォーク?」 何でこんな物が。そういえばルイズが持ってたような。ああそれを拾ったのか。 と納得したところで視線を戻してみると、ワルキューレの間を仮面の男が通り抜けていた。 ワルキューレ達は棒立ちで仮面の男を見逃している。 当然だ、ワルキューレは魔法で作られたゴーレム。自我など無い。 動くにはゴーレムを生み出したメイジの力が必要だ。 そして命令を下すために必要なのは杖、それは今ギーシュの足元に落ちている。 仮面の男は負傷した箇所が痛むのか表情は険しく、唇をきつく結んでいた。 それでも右手で左の脇を圧迫して手のひらの出血を抑えながら、 たどたどしい足取りでギーシュに向かってきている。 怖い。 仮面の下から鋭く睨みつけてくる双眸が、きつく閉じた唇から顎へと垂れ落ちる血が。 歩いた跡を記すように地面に血をポタポタと落とし続ける左手が。 ギーシュは杖を拾って応戦すべくしゃがもうとしたが、その瞬間、視界の中に赤が広がる。 「ヒィッ!?」 赤は、仮面の男の口から吹き出されていた。 何が起きた? あの赤いのは何だ? 血? 何で!? あんな風に血を吐くような怪我させてないぞ! クラスメイトの使い魔を殺したとなったら、退学させられるかもしれない! 完全に混乱したギーシュは全身を硬直させ、見開いた目で吹き出された血を見つめていた。 血が、ギーシュの顔に、髪に、目にかかる。 「うっ、わぁ……」 視界が赤から黒に染まり、真っ暗闇の中ギーシュは両目をおおう。 目をこすると、手にぬるぬるとした血液が付着して気持ち悪く、ギーシュは唇を歪めた。 何とかぼやける程度の視界を確保して、地面に落ちている薔薇の造花を探す。 あった。 手を伸ばす。 伸ばされた手が薔薇の造花を、杖を拾う。 手は、ギーシュから離れるようにして引っ込んでいった。 「さて、確かメイジは杖が無ければ魔法が使えないはずだが……」 ギーシュは地面に手を伸ばしたまま、先に杖を拾い上げた手の持ち主を見上げる。 仮面の男が薔薇の手を右手で持っていた。 負傷しているとはいえ、相手はワルキューレを軽くあしらう実力者。 そして自分に向かってきた時の鬼気迫る表情。恐怖にギーシュは屈する。 「ま、参った」 まさかの大逆転に大歓声が上がる。 その信じ難い光景をルイズが呆然と見つめていると、仮面の男がこちらを向いて微笑んだ。 次の瞬間、仮面の男は糸の切れた人形のように崩れ落ちる。 オスマン、コルベール、ロングビルは、遠見の鏡で一部始終を見終えると顔を見合わせた。 「オールド・オスマン。あの平民、勝ってしまいましたが」 「うむ。彼の粘り勝ち、作戦勝ちといったところかのう」 オスマンは顎ヒゲをさすりながら、鏡の中でルイズに駆け寄られている仮面の男を見つめる。 「……驚きました。魔法も無しに、七体のゴーレムを出し抜くなんて。 でも代償は大きかったですね。あんな大怪我をして、治療費が高くつきそうです」 ロングビルも驚いていたが、致命傷はしてないようなので仮面の男への心配は軽かった。 「そうじゃのう。昨日のように授業中の事故ならともかく、禁止されとる決闘での怪我。 ミス・ヴァリエールには悪いが、治療費は自腹じゃな。 ところでミスタ・コルベール。彼をディテクトマジックで平民かどうか確かめておるな?」 「ええ、召喚されたすぐ後に。正真正銘ただの平民です、魔法の反応はありませんでした」 「魔法の反応が無い……か」 懐かしむようにオスマンは目を細め、水パイプを一口吸うと、のんびりとした口調で言う。 「彼が目を覚ましたら、ただちに私に報告するように」 「は……? あの平民が、何か?」 「いや、ちょっと見舞いをしてやろうと思ってな」 学院長のオールド・オスマンが、わざわざ平民の使い魔を見舞うなどありえない事だ。 コルベールは、あの仮面の男にはやはり何か秘密があるのではと考えた。 熱イ……焼ケル……。 身体ガ……喉ガ……焼ケル……。 「もう大丈夫だから、安心して寝てていいの」 オ前ハ――! 目を開けると、見慣れぬ天井があった。 そして揺らぐ視界の中、黒髪の少女が自分に寄り添ってくる。 「まだ動いちゃ駄目ですよ」 少女は、起きようとする自分を押しとめ、再び床に寝かせた。 「まだ痛むんですね」 「君ハ……」 すると少女は優しく微笑んで名乗った。 「私、エルルゥっていいます」 目を開けると、見慣れぬ天井があった。 そして揺らぐ視界の中、黒髪の少女が自分に寄り添ってくる。 「まだ動いちゃ駄目ですよ」 「……エル、ル?」 何度かまばたきをして、彼はようやく目の前にいるのがシエスタだと気づく。 「よかった、目が覚めて」 首を傾けてみると、ここがルイズの部屋であると解った。 そして自分は身体中に包帯を巻かれ、ルイズのベッドに寝かされているらしい。 シエスタはベッドの横に立っていて、こちらを見ている。 ルイズは、別の椅子に座り机に突っ伏して眠っていた。 「シエスタ。自分はいったい?」 「あれから、ミス・ヴァリエールがここまであなたを運んで寝かせたんです。 先生を呼んで『治癒』の呪文をかけてもらいました。大変だったんですよ」 「治癒の呪文……昨日、ルイズが教室で爆発を起こした後に見たな」 「昨日じゃないです。もう、三日も経っていますから」 「三日……そんなに眠っていたのか」 「治癒のための秘薬の代金はミス・ヴァリエールが出してました。 ですからお金の心配をする必要はないですよ」 「……そうか。心配かけてすまなかったな」 「いえ……私の方こそ、ごめんなさい」 「どうして君が謝るんだ?」 仮面の男が疑問を投げかけると、シエスタは暗い顔をしてうつむいてしまった。 「……あの時、逃げ出してしまって」 「それは、別に謝るような事ではないだろう」 「貴族は怖くて……私みたいなただの平民にとっては。で、でも」 そこで、シエスタはぐっと顔を上げた。 「でも、少しだけ怖くなくなりました。私、あなたを見て感激したんです。 平民でも、貴族に勝てるんだって! 厨房のみんなも驚いてました!」 シエスタの表情がパッと明るくなったため、仮面の男は微笑を浮かべながらも、 ふと思い出した気になる事を訊ねてみようと思った。 「しかし……あの時逃げ出したのは、他にも理由がある気がする」 「あっ……」 シエスタが身体をすくめる。訊かない方がいいだろうか? だがシエスタは側頭部の髪を撫でなると、それをゆっくりと後ろへ引く。 あらわになったそこは、あるべきはずのものが無かった。 「……すまない」 「いいんです。普段は髪で隠れてますから」 髪を元に戻し、ただ穴だけが空いているそれを隠したシエスタは、 ちょっとだけ無理した笑顔を浮かべた。 「私がまだ赤ん坊だった頃、両耳に悪い出来物を膿んでしまったんです。 けれど貴族に治療の魔法を頼んだり、秘薬を買ったりするお金がありませんでした。 そこで仕方なく、お父さんは私の耳を切り取ったそうです」 「……そうか」 あの時、シエスタの髪を撫でた時に違和感を持ったのは、耳が無かったから。 切り取った傷跡はだいぶ薄くなっていたが、やはり傷跡ははっきりと解るし、 耳が無いという特徴は奇異の視線にさらされるだろう。 「……不思議です。お父さん以外には、誰にも見られたくなかったのに、 あなたが相手だと、別に見せても構わないっていう気になって……。 ごめんなさい、気持ち悪かったですよね、こんなの」 「自分は気持ち悪いなどとは思わないし、そういった身体の人を差別する気も無い」 「……ありがとう、ございます」 涙目になってお礼を言うシエスタを見て、彼は保護欲を刺激された。 さみしがりの兎を愛でるような、優しい感情が芽生えてくる。 それに、なぜだろう、彼女からはどこか懐かしい気配を感じる。 「礼を言うのは自分の方だ。わざわざ看病をさせてしまって」 「違います。私じゃなくて、そこのミス・ヴァリエールが……」 「ルイズが?」 仮面の男は驚いて、机に身体を預けて眠っているルイズへと視線を向けた。 「あなたの包帯を取り替えたり、顔を拭いて上げたり、ずっと寝ないで……。 そのおかげでお疲れの様子です」 ルイズは静かな寝息を立てていて、閉じたまぶたの下にクマができていた。 そして。 「ん……大きい。こんなに大きくて……黒々とした……」 「だから、いったい何の夢を見ているんだ」 呆れながらもツッコミを入れた途端、ルイズのまぶたがゆっくりと持ち上がる。 「ふぁああ……ん……うん? あら、起きたの」 「ああ。迷惑をかけてすまない」 ルイズは机から身体を起こして、ベッドのかたわらに立つと、プスリ。 「イダッ! ……る、ルイズさん?」 「使い魔の分際で、よくもご主人様に迷惑かけてくれたわね」 不機嫌な顔で、ルイズは毛布越しに仮面の男の足を刺していた。フォークで。 「な、なぜフォーク……」 「何か使い心地がよくて」 仮面の男がこの瞬間頭痛を起こしたのは、絶対怪我のせいではないだろう。 「だからってそんな……。ん? 使い魔?」 ルイズが先ほど、そう口にした事に気づき、彼は目をしばたかせた。 「そうよ。あんたは私の使い魔なんだから、私に迷惑かける事、禁止」 これはつまり、自分を使い魔として認めてくれたという事か。 大きくて強そうな幻獣との落差のせいで、ルイズは失望や怒りにさいなまれていたが、 それも多少ではあるが解消されたと見ていいのかもしれない。 そんな風に思っていると、突然部屋の戸がノックされる。 「誰かしら? 入って」 ドアを開けて入ってきたのは、オールド・オスマンだった。 ルイズとシエスタは慌てて姿勢を正し会釈する。 「ん……? おおっ、目が覚めておったか」 「あなたは?」 「私はオスマンというものじゃ。一応ここの学院長をしておる。 君が一行に目を覚まさんのでちょっと様子を見に来たのだが、 まさか起きておったとはな……いつ目が覚めたのかね?」 彼が起きたら知らせるよう言われていたルイズとシエスタは青ざめる。 学院長への報告を怠ったとなったら、どんな罰則を受けるか解らないからだ。 そんな二人の事情を知らず不思議に思いながらも、仮面の男は答えた。 「ついさっきです。二人から、自分が気を失った後の事を聞かされていました」 それを聞き納得するようにうなずくオスマンを見て、ルイズ達はホッと胸を撫で下ろす。 目を覚ました彼に事情説明していた最中というなら、報告を怠ったとはならないだろう。 「しかし、学院長ともあろうお方が、なぜわざわざ自分などの所に?」 「メイジを倒した平民とやらを見てみたくてのう」 穏やかな口調でオスマンは言うと、おおらかな笑みを見せた。 釣られて仮面の男も笑い、寝たきりでは失礼かと上半身を起こす。 「あれは、運がよかったというか……痛ッ」 「もうしばらく安静にしておった方がよさそうじゃな」 「お気遣いありがとうございます、学院長」 「ところでお主、記憶喪失らしいの。自分の故郷などは覚えておらんのか?」 問われて、仮面の男はしばし自分の記憶を探り、首を振る。 「いえ……。ですがぼんやりと浮かぶ風景は、ここのものとはだいぶ違います」 「ふむ、名前も思い出せんのかね?」 「ええ」 すると、オスマンは男の着けている仮面をジロジロと見つめた。 何だか居心地の悪さを感じて、男は視線を泳がせる。 しばらくして、オスマンはニンマリと笑顔を浮かべる。 「いつまでも名無しでは不便じゃろう。これからは『ハクオロ』と名乗るがよい」 突然の名づけに、仮面の男だけでなくルイズとシエスタも驚いた。 「ハク、オロ?」 「そうじゃ。不服かの?」 「いえ、とんでもありません。しかし……」 ハクオロ。 どこかで聞いた事があるような、懐かしい響き。 そして口にしてみて、なぜか違和感がまったく無い。 「自分は、その名前を知っているような気がします」 「ほほう? もしかしたら、お前さんの本当の名前もハクオロと言うかもしれんのう!」 愉快そうにオスマンは笑ったが、ルイズは眉根を寄せて不服そうに訊ねる。 「あの、オールド・オスマン。ハクオロとは、どういった意味の名前でしょうか?」 ルイズの質問はもっともだった。 記憶喪失の仮面の男はハクオロという名前を自然と受け入れているが、 トリステイン、いや、ハルケギニアの住人が聞いたら誰もが首を傾げる珍妙な名前だ。 とはいえ学院の長、高名なオールド・オスマンがつけた名前となれば何らかの意味が――。 「何となく閃いただけじゃ」 「何となくで人の使い魔に妙ちくりんな名前をつけないでください!」 プスリ。オールド・オスマンの脇腹をフォークが襲う。 「あわびゅ!?」 脇腹を押さえてうずくまるオスマンを見て、シエスタの表情が蒼白に染まる。 「おおお、オールド・オスマン! 大丈夫ですか!?」 そしてルイズも自分がしてしまった事に気づき、大慌てて頭を下げる。 自分は病人なのだから静かにしてもらえるとありがたいと仮面の男は、 いや、ハクオロはそう心の中で愚痴りつつも、ほのぼのとした光景に微笑を漏らす。 私の使い魔。 白い仮面の変な奴。 平民のくせにギーシュのワルキューレを物ともしない腕前。 でも。 ――自分は君の使い魔であり、パートナーであり、家族なのだろう? そんなの私は認めてない。 認めてないけど、でも、悪い気はしなくて。それでいいかと思ってしまう。 どうしてそう思っちゃうんだろう? ――我トノ契約ヲ望ム。ソレガ汝ノ願イカ、小サキ者ヨ。 私の使い魔はあの大きな幻獣のはずなのに。 ――ナラバ、我ニ汝ガスベテヲ捧ゲヨ。 こいつ、ハクオロを心から否定できない。 ――ソノ身体、髪一本、血ノ一滴ニ至ルマデ、ソノ穢レ無キ無垢ナル魂。 そしてふと思い出す。 ――汝ノスベテヲ、我ニ差シ出セ。 黒く霞んだあの夢を。 前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8210.html
前ページ次ページゼロのチェリーな使い魔 「ギーシュが本気を出したぞ!」 熱狂するギャラリー。 ワルキューレが槍を装備しているのを目の当たりにしたフリオニールは 「武器を使うのか!?」 「これは決闘だよ?まぁ、生きるか死ぬかは君次第だがね」 勝敗は決したといわんばかりにギーシュは言い放つ。 「人間同士が殺しあっていいものか!お前といい皇帝といい人の命を何だと思っているんだ!」 「平民風情が貴族であるこの僕に説教かい?相変わらず無駄口の多い男だよ君は」 「人の命を粗末に扱う奴は許さない。絶対にだ!」 フリオニールは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の・・・とフリオニールは歯を食いしばり 両方の拳を力強く握り締めた。その時、左手に浮かぶ紋章が微かに光を帯びたがフリオニールは気付かない。 すると、息を切らせて走ってきたルイズが2人の間に割って入った。 「ギーシュ!バカな真似は止めて!決闘は禁止されているはずよ!」 「それは貴族同士の決闘だろう?ミス・ヴァリエール。これは貴族と平民の決闘だ。それに・・・」 ギーシュはフリオニールが破壊したワルキューレを指差し、 「君の使い魔はものすごい馬鹿力のようだ。災いの芽は摘んでおいた方が良い。 メイジ殺しになられても厄介だからね」 冷たく言い放った。 地面に転がるワルキューレの残骸を見て驚愕するルイズ。 「これ・・・あんたがやったの?」 「ええ。硬かったけど」 「あんたが強いのはわかったわ。けど、相手はゴーレム6体よ。いくらなんでも無茶だわ」 「あいつは人の命を軽んじている。俺はそれを正したい。どいて下さい「ご主人様」」 フリオニールは厳しい表情を変えることなく言うとルイズに下がるよう促した。 「いい?やばくなったら逃げるのよ。後はわたしが何とかするから」 何だかんだで自分のことを気にかけてくれているんだな、と嬉しい気持ちになる フリオニールであったが、ルイズが引き下がるのを合図に決闘は再開した。 6体のワルキューレは二手に分かれてフリオニールを囲い込み槍を構えた。すると、フリオニールは 一呼吸置いて『ブリンク』の魔法を唱えた。すると、分身が作り出されフリオニールは 計3人となった。(成功した!よかったぁ、と心で安堵するフリオニール。熟練度は2前半)。 「なに!『偏在』だと!」 「奴は『風のスクウェア』なのか!?」 「いや待て!あいつは杖を持っていない!」 「『先住魔法』か!?」 フリオニールの『ブリンク』を目の当たりにしたギャラリーは騒然となった。 『ブリンク』に一瞬戸惑ったギーシュであったが、気を取り直してワルキューレに号令を かけるとワルキューレ達は一斉に槍を突き出した。その内4本の槍は2人のフリオニールを 捕らえたがそのまま透過した。 残りの2本。フリオニール本体は1本を避けたが最後の1本を避けきれず左腕を切りつけられた。 フリオニールは痛みに顔をしかめたが、猛スピードで自身を傷つけたワルキューレに 接近すると拳の連打で砕いた。 すると、残りのワルキューレ5体は素早く槍を構え直して本体のフリオニールを狙う。 だが、同時にフリオニールの分身2体も本体に近づき高速でシャッフルを始めた後 ファイティングポーズをとる。 5対3の攻防。今度は幸いにも本体を狙った槍は1本のみだった為、フリオニールは 難なく突きを避けてワルキューレに拳を見舞った。 4対3。徐々に差を詰められるギーシュ。 フリオニール達(?)を眺め「ゴクッ」と生唾を飲むギーシュ。 (まさかここまでとは!落ち着け、落ち着くんだ) 辛うじて平静を保ち、深呼吸をしてフリオニールをじっくり観察すると、 (!!!よく見ると2体だけ若干色合いが薄いぞ!) 「見破った!」 ギーシュは興奮して叫び、すぐさまワルキューレに号令をかけフリオニール達を取り囲む。 そして、突き出された4本の槍は1人のフリオニールに狙いを定めていた。 (しまった!) それでもフリオニールは諦めることなく瞬時にリッパーナイフ(ゴートスのおたから) を抜刀し、 1回転することによって全ての槍をなぎ払うことを試みた。 すると、フリオニールの左手の紋章がまばゆい光を放ちナイフを持つ右手に力がみなぎると、 渾身の太刀で前方、右方、後方の槍の柄を切り落とすことに成功した。 しかし、左方の槍には間に合わずフリオニールの右腕を突き刺した。鮮血がだらだらと 流れ落ちフリオニールの顔は苦痛に歪むが、熟練度1でここまで出来たのは上出来だと思った。 命を繋いだのだから。 「小賢しい真似を!」 あと一歩のところでチャンスを逸してしまったギーシュは地団駄を踏んだ。 「危なかったぜ。俺の『ブリンク』を見破るなんてやるじゃないか(本当は熟練度が低いだけなんだけど)」 フリオニールは激痛をやせ我慢してドヤ顔を作ると、リッパーナイフを左手に持ち替え 右腕に刺さった槍を切断した。 「ふん!それでは自慢のパンチを出せまい」 槍を失ったとはいえワルキューレは4体ある。分身の判別方法も判っている。左右の腕を 傷つけることもできた。まだ流れはこっちにあるとギーシュは分析する。 「そうか、そんなに素手がいいのか」 フリオニールはリッパーナイフを上空へ投げ右手でキャッチして左腰につけている 鞘に納めると、左手で刺さった槍頭を引き抜いた。出血が一段と酷くなる。 「もう充分でしょ!やめなさい!」 フリオニールの出血を悲痛な面持ちで見つめ叫ぶルイズであったが、お構いなしに最終ラウンドは始まった。 柄のみとなった槍を棒代わりにしてフリオニールの全身を叩きつける4体のワルキューレ。 フリオニールは頭部をガードしながら打撃に耐え、隙を見つけては1体また1体と両腕の 痛みに耐えてよく頑張っ(ryワルキューレを砕いていった。 そして、残るはギーシュのみ。 フリオニールは打撃のダメージなのか貧血の為なのか、ふらふらとした歩調でゆっくりと ギーシュに接近する。 「やばい!ギーシュが殺られる!」 ギャラリーは一斉にフリオニールに杖を向ける。 「待って!」 それを静止したのはギャラリーに紛れていたキュルケであった。 「ギーシュがどうなってもいいのか!」 混乱するギャラリー。 「彼は大丈夫よ。でなきゃミス・シェヴルーズを助けたりなんてしない!」 キュルケは確信を込めて叫んだ。 (燃えたよ・・・まっ白に・・・燃えつきた・・・まっ白な灰に・・・) 自慢のワルキューレを全て素手の平民に破壊され(ナイフも使っていたが)自信を失った ギーシュは膝をつくとorzの格好になった。 すると、フリオニールは 「むやみに人を殺めようとしないと誓え!」 「くっ!・・・」 ぎゅっ、と唇をかみ締め顔を上げるギーシュ。目の前のフリオニールはボロボロだ。 自身が殴り合っても今なら勝てるのではないかという思いが一瞬頭をよぎったが、 ワルキューレの残骸が視界に入るとその着想をすぐに捨てた。 「このギーシュ・ド・グラモン、武人の誉れ高いグラモン家の男だ!祖国の為なら 命は惜しくないし蹂躙する者あれば容赦なく切る!」 「よくぞ言った!って言いたいけど、これは祖国の為じゃないよね」 「・・・わかったよ、僕の負けだ。君にも彼女達にも謝るよ」 「俺も茶化したりして悪かった」 そして、フリオニールはギーシュに手を差し出した。ギーシュは戸惑ったがその手をとり 握手を交わすとゆっくりと立ち上がった。 その光景を見て呆気にとられるギャラリー。 「な、なんだ?終わったみたいだぞ?」 「結局どっちの勝ちなのよ?」 「平民の方だろ」 「いや、奴はボロボロでギーシュは無傷だ」 「でもギーシュのあの様子じゃ・・・」 困惑するギャラリーを傍目にルイズは急いでフリオニールに駆け寄る。 「もうバカバカバカ!このバカ犬!」 「いいじゃないか!タダ、じゃなかった済んだことだし」 フリオニールはルイズに微笑を浮かべると『ケアル』の魔法を自身に唱えた。 全身が淡い光に包まれフリオニールの傷を次々に塞いでいく。 しかし、突かれた右腕の傷だけは流血を多少抑えることができただけで塞ぐことが出来なかった。 全身には痛覚もまだ残っている。 「あ、あんた、いいいい今何したの?」 「これですか?後で説明しますよ。って「ご主人様」俺の話ぜんぜん聞いてくれないじゃないですか」 「う、うるさいうるさい!後でたっぷりお仕置きだわ」 「勘弁して下さいよ。そうだ、俺かなり出血してるから栄養取らせて下さい。栄養」 「誰がご褒美なんてやるもんですか!」 丁々発止のやり取りをしながら『ヴェストリの広場』を後にする主人と使い魔。 その後ろ姿を見てギャラリーは勝者がフリオニールであることを悟った。 (ああ、タフな上に『先住魔法』(?)まで駆使する使い魔なんて、ちょっと羨ましい) 相手が悪かったなぁ、とぼやくギーシュであった。 前ページ次ページゼロのチェリーな使い魔
https://w.atwiki.jp/aigistd/pages/68.html
入手方法プレミアム召喚、レア召喚、ベース召喚 概要 ユニットデータ レベル HP 攻撃力 防御力 ブロック数 コスト 好感度上限 ワルキューレLv1 1 1 ~15 ワルキューレLv50 1230 353 252 ユニコーンナイトLv1 1 ~ ユニコーンナイトLv50 攻撃力は好感度補正を含む レベルMAXでクラスチェンジした場合の数値 スキル ワルキューレ 攻撃強化II レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5 ユニコーンナイト レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5 クラスチェンジ素材 寝室データ セリフ 0% 今まで磨いてきた腕を王子の為に発揮してみせます! 25% ひゃ…い、今触りました? % % 100% シーン 第1回 第2回 雑感 シーン1は後背位です -- 名無しさん (2014-01-08 21 31 25) 名前 コメント 合計: - 今日: -
https://w.atwiki.jp/devilchildren_ld/pages/128.html
マキ LV14 LV18 LV22 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Cclass05_1.png) 人の 心のやまいを治すために 心理学を勉強する 女性主に 天使族のデビルを あやつる #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Cclass05_2.png) 人の 心のやまいを治すために 心理学を勉強する 女性戦いでも かいふくをユウセンしている #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Cclass05_3.png) 人の 心のやまいを治すために 心理学を勉強する 女性勝ち負けは あまり気にしていないようだ 対戦デビル 対戦デビル 対戦デビル 番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル ネットライザ|1 24 ニケー ネットライザ|1 - (LV1~LV10) ネットライザ|1 536 ニケー - (LV11~LV20) 281 ハナエル - (LV11~LV20) 26 ハナエル 282 ハナエル 538 ハナエル 27 エンゼル 283 エンゼル 539 ハナエル 28 アドナキエル 284 アドナキエル 540 アドナキエル 29 ワルキューレ 285 ワルキューレ 541 ワルキューレ ネットライザ|2 (ダミー) ネットライザ|2 (ダミー) ネットライザ|2 (ダミー) (ダミー) (ダミー) (ダミー) (ダミー) (ダミー) (ダミー) 8勝 24勝 32勝 景品 景品 景品 番号 デビル 番号 デビル 番号 デビル 35 アドナキエル 64 エンゼル 92 ワルキューレ
https://w.atwiki.jp/yu-gi-oh-dialog/pages/518.html
海馬。ワルキューレの呪いはまだ始まったばかりだよ。 ニーベルングの指輪の効果によって、君はカードを2枚ドローする。 その中にモンスターカードが含まれていれば、1枚墓地へ送らなければならない。 フン! だが君の場にある「XYZ-ドラゴン・キャノン」はニーベルングの指輪の効果によってコントロールすることはできない。 私のターン!ドロー!ゆくぞ!海馬! 私はワルキューレ・ツヴァイトでプレイヤーにダイレクトアタック! リバースカードオープン!「ヴォーダンの裁き」! このカードはモンスターが攻撃してきたときに発動! 手札の魔法カード1枚とデッキの一番上のカードを交換することでバトルフェイズを終了させる。 フン!小賢しい手を。 だがそのおかげで運命を司りし三姉妹の女神たちが揃った。 見よ!永続魔法「女神ウルドの裁断」!「女神ヴェルダンディの導き」!「女神スクルドの託宣」! それは違う。私が運命に愛されていればこそそのささやきを聞くことが許されるのだ。 未来を司りし女神スクルドよ!来るべき未来を私に示せ! (な…!「青眼の白龍」が3枚だと…!) くっ…!デッキはそのままだ。変更はしない! 女神ヴェルダンディの導きによって私は現在を知る! 一番上のカードを言い当てよう!モンスターカードだ! 当たっていたらカードを裏守備表示で場に召喚してもらおう。 そして過去を司る女神ウルドがそのカードを裁断する! 正解すればこのカードはゲームから除外される。 さあ!ヴァルハラへ旅立て!「青眼の白龍」! ターンエンド。 (海馬。その引きの強さが逆にお前を苦しめることになる。) (次にお前が引く2体のブルーアイズのうち、1体はニーベルングの指輪の効果によって墓地にゆく。) (そしてアルテストの特殊効果が墓地のブルーアイズと同じ攻撃力をアルテストは得る。) (アルテストとフォーチュンチャリオットの攻撃が決まればそれで終わりだ…!) 海馬!私には分かっている! ニーベルングの指輪の効果により君が引いたモンスターカードを墓地へ送ってもらおう! (これで奴がエンド宣言をすれば…!) なに?! く…フォーチュンチャリオットの犠牲によりワルキューレ・ツヴァイトの破壊は免れる! くっ…! 私のターン!ドロー! 三姉妹の女神たちの効果発動! 3番目のカードを1番上に置け。 そのカードはモンスターカード! 消えろ!エメラルドドラゴン! さらに手札から魔法カードグリフォンの羽根箒を発動! このカードは私のフィールドにある全ての魔法・罠カードを破壊し、破壊したカード1枚につきライフポイントを500回復する。 さらに私は場のワルキューレ・アルテスト、ワルキューレ・ツヴァイトを生贄に!ワルキューレ・ブリュンヒルデを守備表示で召喚! ターンエンドだ。 海馬、次のカードを知る楽しみを奪って悪いが1枚はモンスターカードだよ。 ニーベルングの指輪の効果発動。 モンスターカードを墓地へ送れ! ブリュンヒルデの特殊効果発動! 守備力を1000下げることでバトルによる破壊を免れる。 残念だったな、海馬。 もちろん承知しているよ。 私のターン。ドロー! ワルキューレ・ブリュンヒルデを攻撃表示に変更! ブリュンヒルデの攻撃力は場のドラゴン族モンスター1体につき300ポイントアップする! さらに手札から装備魔法「霊剣ノートゥング」を発動! この剣が装備されたとき、相手のドラゴン族のモンスターは全てゲームから取り除かれる! そして装備モンスターは攻撃力を400ポイントアップする! ノートゥングの力はそれだけではない。 バトルする全てのドラゴン族を破壊し、一切のダメージを受けない! そう!この剣はドラゴン抹殺の剣! さらに手札より魔法カード「天馬の翼」を発動! このカードは墓地にフォーチュンチャリオットがあるときに発動。 ワルキューレと名のつくモンスターはこのターン半分の攻撃力で相手プレイヤーにダイレクトアタックすることができる! それでも君から500ポイントのライフを削り取ることができる。 ゆけ!ブリュンヒルデ!プレイヤーにダイレクトアタック! 構わぬ!
https://w.atwiki.jp/398san/pages/270.html
《時の女神の悪戯》 速攻魔法 自分フィールドの「ワルキューレ」と名の付いたモンスター3体を生け贄とする事で発動できる。 次の相手ターンをスキップし、以後の自分のドローフェイズを2回スキップする。 自分フィールド上のワルキューレ3体を生け贄に捧げることで相手ターンをスキップする通常魔法。 コストは非常に重く、更に自分のドローフェイズを2回スキップするという凄まじいデメリットを負う。 《ワルキューレ・アルベスト》や《ワルキューレ・ドリッド》を《地獄の暴走召喚》すればコストを確保することができる。 ただ重いコストを払い、デメリットを負ってまでターンスキップする必要があるのかは微妙なところ。 継続的に効果が使えてデメリットの無い《アルカナフォースXXI-THE WORLD》に遅れをとるのは否めないだろう。 発動時メッセージ「時の女神の悪戯により、次の相手ターンと次の自分のドローフェイズはスキップされる!」 原作・アニメにおいて― 海馬VSジーク戦にてジークが使用。 原作ではノーコストで発動し、次の自分のターンのバトルフェイズまでスキップするという反則的な効果だった。 効果により《Walkuren Ritt》のデメリットを回避し、2度のバトルフェイズを行った。 アニメGXでも同じ効果で斎王VSオージーン王子戦にてオージーンが使用。 効果により先攻1ターン目に攻撃できないデメリットを回避し、 攻撃力4000となった《サテライト・キャノン》で1ターンキルを狙った。
https://w.atwiki.jp/398san/pages/1037.html
《ローゲの焔》 永続罠 フィールドに存在する攻撃力2000以下のモンスターは攻撃を行う事が出来ない。 このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に1500ライフポイントを払う。 このカードが破壊され墓地へ送られた時、デッキから「ワルキューレ・ブリュンヒルデ」1体を特殊召喚する。 相手モンスターの攻撃を制限する効果と、破壊された時《ワルキューレ・ブリュンヒルデ》を特殊召喚する効果を持つ永続罠。 攻撃力2000以下のモンスターの攻撃を制限する効果は《下克上の首飾り》を使うデッキやデュエルの序盤くらいしか使えない。一応《強者の苦痛》や《邪神ドレッド・ルート》などで対象を広げることができるが、ほとんどの場合《邪神ドレッド・ルート》にぶつかってくる相手はいない。《ボマー・ドラゴン》などの自爆特攻くらいか。 また、強制的にスタンバイフェイズに1500ポイントのライフを支払わされるので経済的では無い。やはり《ワルキューレ・ブリュンヒルデ》特殊召喚用として使ったほうがいいだろう。 自分フィールド上のこのカードを《大嵐》で破壊するのもいいし、《マジカルシルクハット》でデッキからサーチし、バトルフェイズ終了時の破壊効果によって破壊して二体特殊召喚してやるのもいい。 この効果は破壊され墓地に送られることによって効果が発動するため、《マクロコスモス》には注意しよう。 発動時メッセージ「攻撃を遮断する天界の焔が現れる!!」 関連項目 《ワルキューレ・ブリュンヒルデ》
https://w.atwiki.jp/namcochronicle/pages/34.html
No. ステージ名 出撃可能人数 備考 7 ミミクリ救出戦 2人 強制出撃 玲馬 コアクマン ベラボーマン NPC ワルキューレ サンドラ 味方増援 わや姫(敵)のHPを50%以下にする わや姫 敵軍 NAME 人数 わや姫(敵) 1 アマゾーナ 4 モドキ 11 ピストル大名 3 増援 わや姫(敵)のHPを50%以下にする NAME 人数 ミミクリ 1 Bワルキューレコピー 4 ブラックサンドラ 5 勝利条件 ミミクリの撃破 敗北条件 玲馬、ベラボーマン、わや姫、ワルキューレが撃破
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2652.html
前ページ次ページルイズと無重力巫女さん 「失礼しますオールドオスマン、大変なことが起こりました。」 オスマンがパイプを吸っているとドアをノックして秘書のミス・ロングビルが入ってきた。 「何なんじゃミス・ロングビル。その大変なこととは?」 「決闘です。」 その言葉を聞いたオールド・オスマンは口にくわえていたパイプを口から出し、大きくため息を吐いた。 「ふぅむ、どうしてこう最近の若者は血気盛んなのかのぉ…?して一体誰が?」 「はい、あのグラモン元帥の息子ギーシュ・ド・グラモンが……ミス・ヴァリエールの召喚した変わった服を着た少女に…。」 「何?」 【ミス・ヴァリエールの召喚した変わった服を着た少女】という言葉を聞いたオスマンは目を丸くした。 「ヴェストリの広場で決闘が行われるようですがどうします?」 「……わかった。とりあえずミス・ロングビルは広場の方に向かってくれ……それとここにミスタ・コルベールを呼んでくれんか。」 ミス・ロングビルがこの部屋を出てから数分後に、ミスタ・コルベールがドアをノックせずに慌ただしく部屋に入ってきた。 「オールド・オスマン。ミス・ロングビルから聞きましたが決闘とは本当ですか!?」 そのまま口づけしてしまうような距離まで迫ったコルベールを両手で押しとどめながら持っていたパイプを机に置いた。 「まぁまぁ落ち着けミスタ・コルベール。今から『遠見の鏡』で見るところじゃ。」 そういってオールド・オスマンは小さい置き鏡を机に置くと杖を振った。 その鏡に今のヴェストリの広場が映し出された。二年生が円を作り、ギーシュを囲んでいる。 「しかし大丈夫ですかねぇ…」 不意にコルベールが呟いたので。オスマンはコルベールの顔を見た。 「君はあの子の事を言っているのか…?それともグラモン家の息子?」 その言葉を聞いたコルベールは窓の外に目をやった後オスマンの方に顔を向けた。 「あの少女が果たしてうまく加減してくれるか心配ですよ。」 最初にあったとき、ルイズの足下目掛けて投げられた針を見てコルベールは「戦いに慣れている」と判断していた。 そんな者と二年生の中ではなかなかの実力者であるが戦い慣れしていない生徒が戦うのだ。 オールド・オスマンは不安がっているコルベールに顔を向け「大丈夫じゃ。」と言った。 「心配には及ばんじゃろうて。……では早速あの少女が本物の『ガンダールヴ』なのかどうか見せて貰おうじゃないか。」 オールド・オスマンはそう言い鏡の方に向き直った。 「諸君、決闘だ!!!!」 先にヴェストリの広場に着いていたギーシュは手を高らかに上げるとそう叫んだ。 それにつられその場にいた二年生達は歓声を上げた。 それから数秒後に上空から霊夢が降りてきてギーシュの目の前に立った。 「随分とまぁ…。こんなに野次がいると決闘というよりまるで見せ物ね。」 周りの異様な熱気に霊夢は嫌な目で辺りを見回す。 「舞台は整った。皆の者、静粛に!」 ギーシュが左手を高々に上げてそう言うと歓声を上げていた生徒達は一気に静まりかえった。 彼は左手を下ろすと右手に持っている薔薇の造花を振った。 するとどうだろう、地面から体が青銅で出来た一体の戦乙女、ワルキューレが現れた。 「君が負けと言ったら僕の勝ち。逆に君が僕の手に持っている造花を取ったら君の勝ちだ。」 霊夢は針を取り出して両手に持ち、ワルキューレとギーシュを見据えた。 「ちなみに僕の二つ名は「青銅」、「青銅」のギーシュ・ド・グラモン。」 大袈裟に右手を掲げながら名乗るギーシュに霊夢はつまらない物を見るかのような目で見つめていた。 「僕はメイジであるが故肉弾戦には自身がない、だからこの青銅で出来たワルキューレを操り君と戦う…異議は無いかね?」 「無いわよ。」 「それは結構………そうだそうだ、勝者は敗者に一回だけどんな命令でも下せるというサービスも追加しておこうか。」 ギーシュは薔薇の造花を持った右手を空高く掲げて―――― 「グラモン家の息子。ギーシュ・ド・グラモンの力を見せてあげよう!」 振り下ろし、それを合図にワルキューレが霊夢目掛けて突撃した。 (来る…!) ワルキューレは攻撃範囲に入ると右手で握り拳を作り、殴りかかるがそれに対し霊夢は地面から少し足を浮かせ――ホバリング移動というものである――で後ろに下がった。 (力はあるけど攻撃パターンは単純ね。) 隙が出来たワルキューレ目掛けて左手に持った針を全て投げた。 針はワルキューレの胸と肩の部分に命中したがワルキューレは二、三歩後退っただけに終わった。 霊夢はホバリング移動を止め着地すると今度は右手に針を持つ。 周りの観衆が霊夢の素早い攻撃と無駄の無い回避動作に オオッ! とざわめく。 「ん?なかなかやるようだね…。ならこちらは武器を出そう。」 そういってギーシュはワルキューレを自分の所にまで下がらせると薔薇の造花を振り、地面から出した青銅の短槍をワルキューレに持たせて再び突撃をさせた。 ワルキューレは素早い動作で突いてきたが霊夢はそれをジャンプして避けると右手に持った針をワルキューレの頭上から全て投げた。これは頭部に当たった。 頭部に針を喰らったワルキューレは持っていた槍を手放して大きくよろめき、地面に片膝を下ろした。 (よし、まずは一体!) 霊夢はワルキューレの動きが止まるのを確認するとギーシュの方に体を向ける。 ギーシュは新しく三体のワルキューレを生み出しており、三体とも手に青銅の大きな盾を両手に持っている。 (周りを固める気ね…!なr…) 瞬間、背中から物凄い衝撃と痛みが襲い、霊夢は地面に激突した。 「どうやら君を見くびっていたようだ。少し本気でいかせて貰う。」 ギーシュは薔薇の造花を霊夢に向けて言った。 霊夢は地面に寝そべったまま背後を見てみると倒したはずのワルキューレが前進ハリネズミ状態で立っていた。 (油断した…!相手はゴーレム=動く石像…つまりあれは一時的な停止か…!) なんとか痛みを堪え立ち上がった瞬間、ワルキューレが青銅の体とは思えない軽快な動きで飛びかかった。 「今から本気…?……私はてっきり…今までのが本気だと思ってたんだけどっ……。」 霊夢は痛みに堪えながらも皮肉たっぷりに言い返すと足を浮かせて距離を取って攻撃をかわし、針を再び両手に持ち一斉に投げた。今度の目標はワルキューレではなくギーシュである。 針は数十本。ギーシュは針だらけのワルキューレを急いで自身の元に駆け寄らせ盾を持たせているワルキューレを前面に出し、持たせていた盾で防ぐ。 ギーシュは反撃しようとしたが息づく暇もなく再び襲い掛かる針が数十本、盾でまた防がせる。 3回目の針の弾幕は先ほどよりも広範囲で迫ってきたため。思わず全てのワルキューレを前面に出して防いだ。 針が止み、ワルキューレを自分の側面に配置させた後にギーシュは気づいた。 霊夢が彼の目の前からいなくなっていたことに。 そして何が起こったのかわからなくうろたえているギャラリー達。 「………一体何処に…「ギーシュ後ろだ!!」何?……っ!?」 外野から聞こえたマリコルヌの声と同時に、ギーシュの背中に霊夢の飛び蹴りが炸裂した。 吹き飛ばされたギーシュは地面とキスし、体中土まみれになりながらもなんとか立ち上がり口の中に入った土を ペッペッ と吐いた。 (い、いつの間に…!) 少なくとも彼にはあの少女が素早く自分の背後に移動できたとは思えなかった。 蹴りを食らうまで全く気配がつかめなかったのだ。 「さっき殴られたお返しよ。」 霊夢は地面に降り立ちそう言い、頭に付けている大きな赤リボンの中から札を数十枚取り出して勢いよく投げた。 投げられた札は一瞬にして空色の半透明状の薄い板になった後、扇状に広がった。目標はギーシュと周りのワルキューレである。 「くぅっ!ワルキューレ!!」 ギーシュは急いで全てのワルキューレ達に前面を固めさせるがここで驚くべき事がおこった。 先ほどまで針に耐えていたワルキューレ達と青銅の盾は半透明状の薄い板にあっさりと粉砕されたのだ。 誰もがその光景に驚く前に、ギーシュは咄嗟に身をかがめ。そのまま通り去った板はギーシュの後ろにある城壁と激突した。 城壁は大爆発を上げて粉砕した。ルイズよりもすごい爆発である。 (な、なんだよあれは…!あんな攻撃聞いてなi……痛っ!?) 杖を持っている右手に鋭い痛みが走った。 ふと上を見てみると自分の杖である薔薇の造花は目の前に立っている霊夢が右手に持っていた。 「チェックメイト、と言ったところかしら。」 ギーシュは顔を俯かせると「負けだ…。」と小さく呟いた。 それを聞いた霊夢は小さく息を吐くと薔薇の造花を空高く放り上げた。 放り上げた薔薇の造花は空中で四回転をし、ギーシュの座っている横の地面に突き刺さった。 「確か勝者は敗者に一回だけ命令を下せるんだっけ?ならねぇ…。」 霊夢は顔に少し笑みを浮かべて頭を捻った。 「あぁ…。(あんなこと言うんじゃなかった。)」 ギーシュはどんな事を言われるのか恐怖してガタガタと震えていた。 そして霊夢はギーシュと目を合わせて命令を言った。 「アンタが馬鹿にしたルイズと今まで付き合ってた女の子達に謝ってきなさい。」 「…………は?それだけ?」 あまりにも予想外な命令にギーシュは口をポカンと開けた。 「それだけよ。なに?満足いかないの?なら顔面一発殴らせろっていう命令にするけど?」 霊夢は悪魔の様な笑みを浮かべ握り拳を作る。 「いえいえいえ!是非謝らせてください!いや本当におねがい!」 ギーシュは首を横に振りながら大急ぎで広場を抜け出していった。 その後霊夢はワルキューレに殴られたところを手でさすりながら広場を後にした。 広場から少し離れた通路の柱の影で決闘を見ていたオールド・オスマンの秘書であるミス・ロングビルはその場から離れ明かりが灯っていない通路の奥へと消えていった。 「ふぅむ…。」 オールド・オスマンは杖を振り『遠見の鏡』をしまうと横にいるコルベールに顔を向けた。 「ミスタ・コルベール。さきほどの少女が出したアレ…どう思う?わしには未知の魔法に思えたのだが。」 「私もです。オールド・オスマン…しかし詠唱無しで出すとは…さらには瞬間移動まで…。」 二人は先ほどの攻撃魔法に驚かされていた。 杖はおろか詠唱無しであのような破壊力を持つ魔法を出した少女に。 「のぉ…ミスタ・コルベール。わしはアレを失われし『虚無』の魔法と思うのだが?」 「えっ!あの失われし系統の魔法…しかし唯一それについて書かれている本にはあのようなことなど…。」 「『書を捨てよ、町に出よう』と言うことわざがある。字で知るより実際に見て知る方がいいのじゃ。」 それを言ったオスマンは机で寝ているモートソグニルの体を静かに撫でながら心の中でぽつりと呟いた。 (先ほどの瞬間移動…あの少女何者じゃ。そしてそれを召喚したミス・ヴァリエールも…) ふとコルベールの声がオスマンの耳に入った。 「しかし、『ガンダールヴ』の特徴は見れなかったものの、もしあれが本当に『虚無』の魔法ならばミス・ヴァリエールは……早速王室にこのk」 コルベールが言い終わる前にオスマンはコルベールの口を自らの手の甲で塞いで言った。 「いや、それはよせ。今の王室の貴族どもは戦争をしたがっておる。そんなことを報告したら奴らはなにをしでかすか…。」 と、そのとき部屋のドアからノックの音が聞こえてきた。 そっとオスマンは手をどかすと机からパイプを取り出し口に入れた。 「………この件はわしと君だけの秘密じゃ?いいな。」 「は、はい。では失礼しますオールド・オスマン。」 そういってコルベールは部屋を退室し、代わりにミス・ロングビルが入ってきた。 「オールド・オスマン。先ほどの決闘で粉砕された城壁は如何いたします?」 次にオスマンは修理代の事で頭を抱えることになった。 「いやぁ~、それにしてもさっきの決闘はいいものを見れたわね。久々に興奮したわ。」 そういってキュルケはドア付近からベッドで本を読んでいる青い髪の女子生徒の側に寄った。 今キュルケがいる場所はタバサという同級生の部屋であちこちに本が積み重ねられており全て彼女が読破した物だ。 たまにキュルケはこうして暇になればタバサの部屋に来て本を読んだりタバサとお話ししている。 「さっきの瞬間移動。」 タバサは微かに聞き取れる程度の声でそう言うと読んでいた本を閉じ窓の外を見ながら先ほどの光景を思い出していた。 針を数十本投げた後突如彼女の姿が掻き消え、数秒後にはギーシュの背後から蹴りを食らわしていた。 今まで様々な魔法を見てきたがあのような瞬間移動は生まれて初めて見た。 部屋に帰ってきてからありとあらゆる魔法関連の書物を読みあさり。先、魔法について書かれている本も読んだが瞬間移動については書かれていなかった。 「あぁ、あれは凄かったわね。あれであの紅白ちゃんがあの子の言うことを良く聞ける子だったらルイズも満足してたかしら?」 「………紅白、ちゃん?」 タバサは初めて聞いたその言葉に首を傾げた。 「あぁ、さっき私が決めたのよ。良いあだ名でしょ?」 「私にとってはナンセンス。」 そういってタバサはベッドから降りるとドアの方へと歩いていく。 「そろそろ夕食の時間。」 「あぁそうだったわね。今日は何かしらね~♪」 キュルケはスキップしながらタバサと共に食堂へと向かっていった。 「なぁモンモランシー許してくれよ!もうこれからは君一筋で…ごふっ!!」 「あんたみたいな女たらし信用できるわけ無いでしょ!?」 「だからって鳩尾蹴りはないよモンモランシー…。」 霊夢がルイズの部屋に帰ってきたのは夕食間近になってからであった。 決闘の後霊夢は暇なので空中散歩をしていたという。 一方のルイズは霊夢に手を振りほどかれてから部屋に戻って不貞寝していたらしく、数十分前位に起きたと言った。 「……ギーシュが謝りに来たわ。」 ベッドに座っているルイズは窓から二つの月を見ている霊夢に話しかけた。 「なんて?」 「「君に魔法の才能が無い「ゼロ」のルイズ…って言ってすまない。」って……。」 「そう、良かったじゃない。」 ルイズは一度顔を俯かせると顔を上げて霊夢にもう一度話しかけた。 「あんた、どこか怪我してない?」 「別に…何処も怪我してなんか無いけど。」 霊夢は素っ気なく答えた。 それを聞いたルイズはベッドから立ち上がり霊夢の傍によると袖首を引っ張った。 「うわっ!何するのよ!?」 「いいからちょっと背中見せなさい!」 霊夢はルイズにされるがまま服とその下に付けていたサラシの背中部分を取られた。 彼女の背中には大きくとも小さいとも言えない大きさの痣が出来ていた。それはワルキューレに殴られた時に出来た傷である。 「全く…キュルケが言ってたのは本当だったのね…。」 ルイズは大きくため息を吐くとタンスから小さい缶を取り出すと中から独特な香りのする薬を指ですくい、霊夢の背中に出来た痣にすりこんだ。 背中に薬を塗られている霊夢は背中から急に発した痛みに目を瞑った。 「いたっ!!なによこれ…。」 「我慢しなさい、痣を早く直せる秘薬だから。その代わり凄く痛いけど…」 「ならもうちょっとゆっくりしなさいよ…テテ。」 霊夢は小さく唸りながらもルイズに秘薬を塗って貰った。 「ハイ終わり……。でもあんた良く耐えたわね?大の大人でももうちょっと大きい声出すけど。」 ルイズは薬がはいった缶をタンスに戻しながらベッドに座ってサラシを付け直している霊夢に聞いた。 「これくらいの痛みなら……少しくらいは耐えれるわ……いてて。」 「もう…同居人が部屋の主を心配をさせてどうすんのよ。」 ルイズが頬をふくらませながらベッドに座っている霊夢の顔を見た。 霊夢はジト目でルイズに言った。 「……アンタは自分のこと馬鹿にされて痛くも痒くもなかったの?」 それを聞いたルイズはムッとしたような顔をしてこう言った。 「そりゃ確かに腹立たしかったけど…。あんなのもう慣れたわ。」 ルイズはそう言うと椅子の背もたれに掛けておいたマントを手に取って背中に付けると指をパチンと鳴らして蝋燭を消し。 ドアを開けて霊夢に顔を向けた。 「そろそろ夕食の時間よ。というかアンタ歩ける?」 霊夢は「大丈夫」と言うとそのままスクッと立ち上がり ドアを開けて外に出たルイズの後を付いていった。 食堂へと行く途中。ふとルイズが霊夢に話しかけた。 「アンタって…元いた世界で巫女をやってたんだっけ?」 「そうだけど?」 「その巫女さんの仕事って何だったの?」 その質問に霊夢は頭を掻きながら答えた。 「そうねぇ~、一日一日をのんびりと有意義に過ごして…なにか異変が起こったときはそれを解決しにいく事かしら。後結界を張る仕事ね。」 「その異変とやらを解決する時はいつも一人で解決してたの?」 「いや、いつも一人くらいはついてくる奴がいて。つい最近二人がかりでとある異変を解決した事もあったわ。」 「へぇ…。」 それで会話が終わると思ったがルイズが一呼吸置いて口を開いた。 「あんた。なんであの時ギーシュに話しかけたの?」 「あの時?あぁ、あいつが女の子二人に振られた時ね。」 霊夢もルイズと同じく一呼吸置いてこう言った。 「うーん…「厄介事に首を突っ込んでしまう性格」ってやつかしら?そういうものよ。」 ルイズは小さくため息を吐いて呆れた風に言った。 「あんたよくそれで長生きできるわね。」 「こう見えても体力と素早さには自身があるわよ。」 既に食堂の入り口は目の前であり二人は軽く笑いながらも中へと入っていった。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん