約 2,183,999 件
https://w.atwiki.jp/nico2game/pages/214.html
ワ ワルキューレの伝説 ヲ ン ワルキューレの伝説
https://w.atwiki.jp/tirunanogu/pages/303.html
No シナリオ名 内容 234 魔物退治 V 寄り合い所に入ると、ワルキューレが実力を見せて欲しいと言い、この町一帯を荒らす魔物達を討伐して証明しろという。ワルキューレと共に町を出た英雄妖精の前に魔物達が立ちふさがる。この魔物達を倒すと、一帯の魔物達を統率している魔物が現れ、英雄妖精はワルキューレが見守る中戦い、勝てばワルキューレを仲間にする事ができる。 ▼噂話 「美人の護衛を雇いたいな~。い、いや、別に邪な事を考えている訳じゃないですよ!!」他 イベントNo224「君が踊る踊りを」と同じ(おそらくバグ) ▼イベント発生 発生エリア:III 発生レベル:11、16 寄り合い所で発生 ▼イベント詳細 1.寄り合い所に入るとレイヴァンに共に戦いたいのでホブゴブリン退治で実力を見せて欲しいと頼まれる。 はい→レイヴァンがNPC加入する いいえ→イベント終了 2.野外でホブゴブリン×2・ゴブリン×2と戦闘になる。 退却する→レイヴァンは英雄に失望しイベント終了 勝利する→更にトロール・オーガ×2と戦闘になる。退却する→レイヴァンは英雄に失望しイベント終了 勝利する→予想を上回る英雄の実力に感嘆し仲間にしてほしいと願い出る。はい→レイヴァンが仲間になり経験値(レベルで変動)を入手しイベント完了 いいえ→経験値(はいを選択した時の半分)を入手しイベント終了
https://w.atwiki.jp/398san/pages/1202.html
《フォーチュンチャリオット》 効果モンスター 星4/光属性/天使族/攻 1000/守 1000 1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして自分の「ワルキューレ」と名のついたモンスターに装備、 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。 この効果で装備カード扱いになっている時のみ、装備モンスターの元々の攻撃力をエンドフェイズまで半分にする事で、 装備モンスターはこのターン相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。 装備モンスターが戦闘で破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。) 光属性・天使族であるユニオンの下級モンスター。 1ターンに1度だけ装備カード扱いでワルキューレと名のついたモンスターに装備、またはその装備を解除することができる効果を持つ。このカードが装備されているモンスターはもともとの攻撃力を半分にして、相手に直接攻撃できるようになる。 リクルーターで引っ張ってくることができる。 このカードで得られる直接攻撃能力はエンドフェイズまでもともとの攻撃力がダウンするとはいえ、なかなか優秀。相手の場に戦闘破壊できなモンスターがいる時や、攻撃したくないモンスターがいる時に使おう。 発動時メッセージ「ワルキューレ・ブリュンヒルデは運命の守護を受けた!」 関連カード ワルキューレ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/452.html
同時刻、学園長の部屋。 大音響の破砕音はここまで当然届いていた。 「なんじゃ?騒々しい・・・む、これは!」 学長のオールド・オスマンが遠見の鏡で外の様子を伺うと、巨大なゴーレムが丁度拳を鉄の破城鎚へと変えて宝物庫の外壁を殴りつけている所だった。 鏡の中のゴーレムが拳を振るうたび、学長室にまで衝撃が伝わってくる。 「このゴーレム・・・さては土くれのフーケか!」 「知っているのでありますか、オールド・オスマン」 「うむ、最近トリステインで噂になっておる怪盗じゃ。ついにこの学園の宝物庫も標的になったか」 学長の驚きの声に、呼び出されていたハルペリアが問いかける。 別に聞きたいわけではない。ハルペリアに搭載された様式美あいづち機能だ。 桐条の科学者達・・・戦闘ロボを少女の姿にするだけあり、少々はじけていたようである。 ともあれ、鏡の中ではゴーレムがコレでもか!と言わんばかりに外壁を殴り続けている。 「いかんのう、あれでは流石に外壁が持たん」 「・・・いいのですか?この騒ぎに誰もあのゴーレムを止めようとする方が居ないようですが」 「教員連中は当てにならんよ。音を聞いて飛び出してもアレ見たらとっとと逃げ出すじゃろうな」 控えめなメアリの言葉にオールド・オスマンは首を振る。 実際学園の教員たちでまともな戦闘経験を持つものはほんの一握りだ。 ミスタ・コルベールがその中でも突出しており、他はミスタ・ギトーがそれなりに使える位だろう。 だがコルベールやギトーを始めとする教員は学園に住んで居るわけではなく、夜間の今はここに居ない。 唯一の教員・・・今夜の当直であるミス・シュヴルーズにあのゴーレムへの対処を期待するのは酷だろう。 あえて言うならオスマンだけだが、 「え?ワシ?・・・面倒じゃし、疲れるし」 「役に立たないであります」 「学長の資格はありませんね」 ボケた所に人外少女の二人から容赦ない突っ込みをうけて精神的に突っ伏し役に立ちそうも無い。 これで教員は全滅だ。 となれば、今度は学生に一縷の望みを託すしかないが、あの威容を前に動ける学生など居るだろうか? 実際、ゴーレムが現れてから随分経つが寮から現れる影は無い。 やはり学生では荷が重いらしい。 「宝物庫の警備は私の任務であります。迎撃に向かうであります」 「いや、待つのじゃ。あれは・・・グラモン家の小倅か?」 このまま見ている事も出来ないと思ったのか、ハルペリアが立ちあがろうとして・・・オスマンがそれを止める。 魔法の鏡の中・・・巨大なゴーレムの足元で、幾つモノ影が攻撃を仕掛けている。 それは紛れも無く、ギーシュの操る7体のゴーレムだった。 巨大なゴーレムに驚いていたギーシュだったが、そのゴーレムが自分ではなく本塔の外壁を攻撃し始めたのを見てようやく落ち着いてきた。 ゴーレムの殴りつけている場所、あの場所は確か無数の宝物が収められていると言う宝物庫ではなかったか? とすると、このゴーレムは今話題の『土くれ』のフーケの作ったものと言う事になる。 見上げると、ゴーレムの肩の辺りにローブを身に纏った人影が見える。 あれがフーケなのだろう。噂ではトライアングル級のメイジだ。ドットのギーシュでは歯が立たないだろう。 幸い、巨大なゴーレムはギーシュを気にした様子も無い。 このまま寮まで逃げてしまえば何事も無く明日を迎えられるだろう。 だが、心の奥の何かがそれをさせないで居た。 それどころか、新調した薔薇の杖を取り出し、完全武装のワルキューレを練成する。 「僕は、何をしているんだろう?こんなに強力なゴーレムに、『土くれ』のフーケに立ち向かおうとしているのか?」 不思議だった。数日前なら間違いなく逃げ出していただろう。 何故?こんな圧倒的な存在に立ち向かえるのか・・・ そこまで考えて、あの少年、キタローのことを思い出した。 「そうか、彼・・・あの力を振るわれた時に比べれば・・・こんなゴーレム、怖くも無いじゃないか」 あのキタローの力、揺らめく幻影に比べれば、このゴーレムは只巨大なだけだ。 ギーシュも魔力さえあれば作り出しうる代物だ。 むしろ、ギーシュはあの時キタローの中に居るモノを感じ取ったのかもしれない。 死をそのまま凝縮したような存在・・・タナトスを。 それに比べれば、このゴーレムは巨大とは言え・・・正体不明でもなく、絶対的な運命でもない。 「ふっ・・・なら、この学園の一員として逃げる訳にはいかないな」 先刻までの調子を取り戻したように嘯きワルキューレ達を走らせる。 それぞれの手には、巨大なウォーピックやハンマーが握られていた。 そしてゴーレムの足元へ群がると、つるはしでも振るうように柱のような足へ武器をたたきつける。 フーケが違和感を感じたのは丁度その時だ。 外壁がかなり抉られあと少しで崩壊すると言った直前、それまでなんの問題も無く壁を殴りつけていたゴーレムが空振りする。 「え? 何よ、どうしたのよ!?」 再度殴りつけさせようとするが、再び空振り。それどころか上半身が全く安定しなくなってきた。 何かと思い足元を見て・・・ようやく、ギーシュの存在に気がつく。 彼のワルキューレ達は、ゴーレムの足をかなり削り取り、不安定にさせることに成功していた。 「なかなかヤルでありますね」 「小倅のゴーレムはそれなりに力はあるしの。数も居るしあれくらいは出来るじゃろうて」 「ですが、決定打にはなりません。再生を始めました」 学長室で観戦する3人(?)の言うとおり、フーケはあっさりと削られた足を再構成する。 それどころか、土だった足を拳と同じく鉄へと変えてしまう。 とはいえギーシュ自体をどうこうする気は無いようだ。 フーケにとって、今の脅威は昼間見た宝物庫の少女達。 彼女達が学長室からここまでやってくる前にお宝を持って逃げ出さなければいけない。 ギーシュの相手をしている暇など無いのだろう。 「これでは手も足も出ないであります」 「ハルペリア、やはり貴女が行った方が・・・」 「いや、待て。あの小倅まだ何かやる気じゃぞ」 その懸念する相手が既に実況役に変わっていたりするのだが。 そんな調子で実況解説する三人が見守る中、ギーシュは効果の無くなった戦法をあっさり切り替える。 「ならば、これはどうだ!ワルキューレ、対大型モンスター形態!!!」 「おおっと、ここで合体であります!王道であります!」 「ですが、何がどう合体しているのか不明ですね」 実況のハルペリアとメアリの言うとおり、それはワルキューレ達の合体だった。 一応人体を模しているのか、大まかな形は人らしきシルエット。 よく見ると7体のワルキューレの身体が一端分離され、寄せ集められているようにも見える。 だが、どうみてもその状態で動けるようにも見えない。 どちらかと言うと何かのオブジェのようだ。 しかし、オスマンだけはそれを見て眉をピクリと動かす。 「ほう、それを元に練成するか」 その瞬間、ギーシュと同じく土の魔法のエキスパートであるフーケも彼の意図に気がついた。 同時に見過ごせない障害が現れそうな事も。 「やらせないわ!」 あわて組体操状態のワルキューレ達に向かい鉄の拳をたたきつける! だが、一瞬遅い。 ギーシュは、ドット級のメイジと言えど練成の腕はかなりのものだ・・・その速度も。 拳がワルキューレ達に届くかと思われた瞬間、一瞬でそれは姿を変えて・・・一体のワルキューレとなった。 体格はフーケの物より遥かに劣るが、それでも相応の力はあるのだろう。 襲い来る鉄の拳を両の手で受け止めきる。 それはワルキューレの対巨大モンスター用形態。 容積などの関係で一体しか維持できなくなり動きも鈍くなるが、その分パワーとボデーの強度は跳ね上がる。 キタローとの決闘など人間相手には動きが鈍すぎて使えないが、同じゴーレムを相手にするにはこれほど的確な形態は無い。 「ここで僕の名を上げさせてもらうよ。行け!僕のG・ワルキューレよ!」 「ドットのボウヤが調子に乗るんじゃないわ!!」 だが、流石に今回は相手が悪かった。 何しろワルキューレの材質は青銅。そして今のフーケのゴーレムは拳を鉄に変えている・・・それも両手を。 今ワルキューレは両手でフーケのゴーレムの一つの拳を押さえているに過ぎない。 結果は、目に見えていた。 ドグワシャァ!!!! 「ああっ!僕のG・ワルキューレが!?・・・ンガ!?」 見事に一撃で叩き潰される合体ワルキューレ。見るも無残である。 更にその壊れた破片で頭を打ち気絶するギーシュ。 「期待を裏切らんのう・・・」 「様式美でありますね」 「ですが、無駄ではなかったようです」 解説室・・・もとい、学長室もげんなりだ。 だが、メアリは魔法の鏡の向こうで更なる変化を見つけていた。 障害が無くなったとばかりに改めて拳を振り上げるゴーレム。 その腕に突如爆発が起こった。そして上空から降り注ぐ炎と氷の槍。 そしてゴーレムの足元へ疾駆する二刀を掲げた少年の姿を。 前座が終わり、役者がそろう。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5846.html
前ページ次ページサイダー&ゼロ ルイズがヴェストリの広場に到着した時、全て遅かった。 ダ・サイダーがピクリとも動かず、そしてサーベルにもひびが入っていた。 「あ……間に合わなかった……」 ルイズは、ただ立ちすくむだけだった。 「やあ『ゼロ』のルイズ、使い魔をこの僕が処刑させてもらったよ」 ギーシュ・ド・グラモンが、ルイズに話しかける。 「ちょ……!?処刑?何よそれ…アンタ…」 「ルイズ…君もこの男の事が邪魔なのだろ?」 「ちが」 ルイズの反論を許さないギーシュ。 「『違う』とでも言って、偽るつもりかい?」 「何を根拠にそんな事言うのよ!」 「あの使い魔を召喚して以来、君は恥をかかされ続けてきただろ。貴族として君のプライドは、ボロボロなはずだ」 「それは、そうだけど…でも、アイツは私の使い魔よ!アンタにあれこれされたくないの!」 必死に反論するルイズ。だがギーシュも言葉を返していく。 「ルイズ…君は知らないから、そんな事を言えるのだ。あの男の罪を……」 「罪?罪って一体何よ!」 「あの男は、貴族であるこの僕に逆らったのだよ…これは重罪だよ…この罪は、主の責任でもある。償ってもらうぞ」 ワルキューレがルイズの方向に向きを変える。ルイズも杖を抜き戦闘体制に入った矢先の出来事だった。 ワルキューレにサーベルが飛んでいき、金属音がヴェストリの広場に響き渡り、サーベルが折れた。 皆サーベルが飛んできた方向を見た。そこには、ダ・サイダーがフラフラになりながら立っていた。 「はぁ…はぁ…まだ、女に…はぁ…牙を向けようとするのか…はぁ…はぁ」 「フフフ…ハーハハハ!君は、何て愚かなんだ!そのまま寝ていれば良かったものを!」 ダ・サイダーの行為によってギーシュは、完全にその身を悪意に任せた。 「何かを守ろうとする君の行ないは立派だ…だが相手を選んだ方が良い…まあ…もう、遅いがな」 ワルキューレが、ダ・サイダーに右ストレートを放つ。 ダ・サイダーは身を屈め、攻撃をかわしそしてバックステップで距離をとった。 「メタコ…はぁ…状況分析結果は?…はぁ」 「ダーリン、ワルキューレが動かす時にアイツの薔薇が動くジャン。それを封じるジャン」 「薔薇か……ワルキューレの方はわかるか?」 「関節部分に隙間があるジャン。多分そこが弱点ジャン」 メタコの分析結果を聞き、勝機を見出すダ・サイダー。 「使い魔…話しは終わったか?…終わらせてやる…何もかも、全てなーー!!」 ギーシュが、薔薇を振る体制に入った。 「メタコ!ピンポイントで攻撃する。日本刀!」 ダ・サイダーも新たな武器を出させる。 「ダーリン……それが……無いジャン」 「は?」 「入ってないジャン…どっかに置いてきたジャン」 ワルキューレが攻撃を再開した。攻撃をかわしながら話すダ・サイダーとメタコ。 「どこかって…うわ!…どこだ…よっと!…メタコ…ほっと!」 「たしか……ダーリンの寝室だったと思うジャン」 「俺様の…あぶね!…寝室?…タイム!…アララ王国のか!」 ギーシュは、一瞬の隙を見逃さなかった。ダ・サイダーの顔に強烈なストレートを叩き込んだ。 「フッ…次は、ルイズお前だ…」 ルイズは、ただ呆然としていた。 「覚悟は出来ている様だな…」 ワルキューレが、ゆっくりとルイズへ歩みを進めていく。 ルイズはこの時、ダ・サイダーのことを考えていた。 (アイツには色々聞きたい事があんのよ!それなのに、問題を起こして…今度は私のせい?ふざけないでよ!) 「ダ・サイダー!!!アンタには色々聞きたい事があんのよ!!!」 「フフフ…ルイズ、気を失っている奴に何を言っても無駄だよ」 「何時まで、こんな奴に手間取ってんのよ!!!さっさと倒しちゃいなさいよ!!!この………スカポンタン!!!」 「フフフ…恐怖で、気が狂ったか?」 この場にいた、キュルケとタバサが敏感に反応した。 「ギーシュ…どうやらまだ、終わってないみたいよ」 「何だと!」 (ギーシュは気付いていないみたいだけど…ダ・サイダーだっけ…さっきと全然違うわね…) そこには、ダ・サイダーの姿があった。 「メタコ…武器を出せ」 「わかったジャン、ダーリン!ラムネスの独楽と…兵から奪ったハルバード、二つあるジャン」 「独楽なんて使えるか…ハルバードを出せ!」 「わかったジャン」 メタコはハルバードを吐き出し、地面に刺す。 「よし!」 ダ・サイダーは、ハルバードを両手で持ち頭上でクルクルっと回し、そして構えなおす。 「やーーーってやるぜーーー!!!」 ダ・サイダーの中に眠るヒョウ、パンサーが目覚めた。 「重量武器のハルバードか…そんな物で、僕のワルキューレを倒せると思うな!」 ワルキューレが、ダ・サイダーにまた襲いかかる。 「ダーリン!」 「てやあーーーーー!!!」 ダ・サイダーもまた、ワルキューレに立ち向かう。あの『漆黒の騎士』の様に。 ダ・サイダーのハルバードは、ワルキューレに防がれ、空いた懐に潜り込まれた。 「使い魔!これで寝ていろ!!」 ワルキューレから放たれた、アッパーによりダ・サイダーは後方に吹っ飛び、動かなくなった。 「チッ…使い魔の分際のくせに手間取らせやがって…」 そして、ギーシュはルイズの方向を見る。 「だいぶ時間を取られたな…ルイズ…もう良いだろう」 その刹那…ワルキューレは真っ二つに切り裂かれ、ギーシュの顔すれすれに炎が飛んできた。 「何だ?まだ、邪魔をするつもりか?」 「ギーシュ…みっともないわよ…止めなさい」 キュルケが止めに入った。 「キュルケ!何故止める?コイツを…コイツを今ここで…」 「メイドと主を守ろうとしたのよ。彼とアナタとじゃどっちが正しいと思うのよ?」 「メイドは、この僕の服を汚した。この男は貴族に逆らった罪もある」 「服なんて洗えば良いでしょ。彼…何時貴族に逆らったの?教えてほしいものね」 キュルケの真っ当な意見にギーシュも返す言葉も無くなった。 「そ…それは…」 「『それは』まだ何かあるの?なんだったら、私が決闘の相手になってあげましょうか?」 「わかった………終わりにしよう」 こうして、ギーシュVSダ・サイダーの公開処刑(決闘)が終わった。 ダ・サイダーは待機していた水のメイジ達によって治療を受け、ルイズに説教を受けた。 その時に、ここが『トリステイン』という国、そして『トリステイン魔法学院』だと言う事も始めて知った。 学院長室では……… コルベールと老人もとい学院長が話していた。 「ミスタ・コルベール、彼は『ミョズニトニルン』なのじゃろ?」 「おそらく………」 「見事に負けたのう?」 「ええ…」 コルベールは、ダ・サイダーが勝つと思っていたため、予期せぬ出来事に混乱していた。 「たしか…『神の頭脳』と言われているんじゃなあ?」 「まあ…」 「あてにならんのう…まあ良い、ミスタ・コルベール、考えたい事が有るので退室してもらえるかな?」 「はい」 コルベールは、学院長室を去って行った。 (ダ・サイダーか…この本のキャラと類似する点が多い…ダ・サイダーか…様子を見てみるべきじゃな…) 学院長の視線の先には、一冊の本が置かれていた。 『ラムネスと聖女の冒険記』とかかれた本が……… 前ページ次ページサイダー&ゼロ
https://w.atwiki.jp/genesis-ticket/pages/558.html
【名前】 "戦乙女の神鉄槌" 【読み方】 ワルキューレ・マルトー 【使用者】 テュレンヌ 【詳細】 「Valkyrie marteaux」。意味はそのまま「ワルキューレの槌」。 ただし「ワルキューレ(Walküre)」はドイツ語であり、フランス語では英語と同じくヴァルキリーと読む。 テュレンヌの持つ神格武装・銀十字を変形させ放たれる攻撃技。 十字架型ハンマーから変形し、石弓にも近い形状となった後、流体によって杭のような光を形成して発射する。 これは銀十字の持つ打撃力を封印したショートレンジの砲撃であり、攻撃を己が持つ高密度の筋肉で無効化する柴田・勝家に戦線離脱をさせるほどの非常に高い攻撃力を発揮する。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1134.html
決闘直前。 ナランチャの不安要素は2つあった。 1つは、体調不良。休めば治るかもしれないが、そんな時間も無く、スタンドパワーを全開にすることが出来そうに無い そしてもう1つ。『相手は魔法を使う』ということ まだ魔法についてよく知らないナランチャは、どんな魔法がとび出すか、想像もつかない 不意にとんでもない攻撃をされる可能性もある。 それが一番の不安であったが、負けるわけには行かない。決闘なのだから。 これからにも生かすことの出来る勝負だ。ある意味で好都合。 「諸君、決闘だ!」 ギーシュが声を張り上げる。 周りにはギャラリーが大勢いた。どうにもナランチャにとってはなれない雰囲気だ 「僕はメイジだ、だから魔法を使わせてもらう」 まあ、予測できていた事だ。 軽く頷くと、トントンと靴を整えた 木々の葉が擦れる音が、ザワザワと広場に広がっていく 「一応、逃げなかった事は評価に値するよ」 「まあ、なんで逃げなきゃならないのかも分からないからな」 小細工なしで本当に分かっていない ナランチャの性格からして、逃げる事はもともと考えられないし、勝てる自身もあったからだ。頭は痛いが。 ギーシュはもちろん、ナランチャの秘められた力を知る術はなかったし、あの『ルーン』のことも、知らなかった それは不幸か否か、彼に迷いなく決闘に向かわせることとなった 「そうかい、じゃあ行かせて貰うぞ。ワルキューレッ!」 薔薇の造花が振われて、花びらが舞い散る その花びらを錬金し、青銅の女戦士を2体作り出した。 ワルキューレはゆっくりとナランチャに近づいていく。 ナランチャ自身も、ワルキューレにゆっくり向かう 誰の目から見ても、勝負を捨てたとしか思えない暴挙だった 彼が特別の力を、持って居なければの話だが 「無防備だと?」 ワルキューレは拳を突き出す。風を切って進むパンチは、ナランチャがバックステップで回避した所で止まる 眼前で止まった拳に怯える様子も見せず、小さく呟いて、『スタンド』を出す それだけのことだった 後は、『撃つ』。 「エアロスミス!」 エアロスミスを覚醒させ、そして―― (万全じゃあなくとも、ある程度ならッ!) エアロスミスの機銃が光る。 ワルキューレも太陽の光を浴びて表面がぎらぎらと光っている それに比べれば小さい光だが、それでいて、ありったけの力が込められたもの。 精神が具現化したものであったからこそ、ワルキューレとは違う質の光を伴って。 「うおりゃああぁぁッ!!」 叫びを合図にマシンガンのように次々と打ち出される弾丸。精密動作性は低いので無茶苦茶に、『一応』、加減しつつ乱射した。乱射している時点で加減とは思えない。 ほんの数秒間に数十発もの機銃掃射。青銅の騎士は崩れていく 確かに一発一発の威力は低くとも、続けて撃たれれば威力は急激に上がり、溜まったものではない。青銅さえも貫いていく。 最終的には穴だらけの青銅の塊へと還す結果となった 『スタンドの硝煙』は、風に吹かれて瞬く間に掻き消えていった 尤も、それは誰にも見えることはなかったが 「………」 一気に沈黙が広がった。ギーシュは固まっている 突然として、自慢のワルキューレが穴だらけにされたのだから無理も無かった 慌てたように薔薇を振い、一度に出せる限界である7体のワルキューレを出す ズシン、と重量感を感じさせる音。それにも動じない。 ゆっくりと足を前に出し、睨みつけるのみ 「き、貴様!今、一体何を!!」 「違うね。どうせなら、スタンド使いって呼んでもらうことにするぜ」 ナランチャは自分の能力を秘密にする所まで頭が回らなかった。今後は秘密にするよう心がけていく事になるが…… そして、ギャラリーの騒ぎが大きくなった頃。 学院長、オールド・オスマンは、コルベールの報告を受けていた 何でも、ナランチャのルーンは極々珍しいものだというのだが。 とはいえ、オスマンはそれほど興味を示すわけでもなく、うんともすんとも言わない状態である そこへ、秘書であるミス・ロングビルが息を荒げて駆け込んできた 「大変です、オールド・オスマン!」 「なんじゃね?尻でももんでべッ!?」 コルベールが容赦ない肘打ちを顔面にくれる。 上下関係もへったくれもない、無慈悲な一撃であった 「黙ってください。で、ミス・ロングビル、何があったんですか?」 「広場で……生徒同士が決闘をしているので、『眠りの鐘』の使用許可が欲しいと」 オスマンは眉をしかめ、それを拒否する。 「そんなもんに秘宝を使えるかい、放っておけ」 「相手は……誰です?」 「ミス・ヴァリエールの使い魔と、ギーシュ・ド・グラモンです」 だが、その言葉を聞くなり、そばにあった『鏡』に向き合う 急変した態度にたじろぐが、コルベールは問う 「ど、どうしたんです?」 「珍しいルーンの力が見れるんじゃと。ほれ、一緒に見んか?」 興味がないといったくせに、と、コルベールは一人愚痴を言う その後、ロングビルの尻に手を伸ばしてオスマンは撃沈 あまりにもあっけなさすぎる結末であった ナランチャは、エアロスミスで攻撃を仕掛けようとする だが、今のこの体には負担が多い。なんとかなるか分からないが、ナイフを懐から取り出した それと左手の甲のルーンが光るのは、ほぼ同時。 劇的に向上した瞬発力であっという間に接近していく 「?」 いつもと違う感覚に頭を傾げると、髪が揺れる。 新たに生み出され、なおも向かってくるワルキューレ3体を相手にし、真横へジャンプ。 拳は地面を叩き、しぶとく獣のように追いすがるワルキューレをひょいひょいとかわす。 パンチが背中を掠め、その反動で回転し、ナイフを、突き立てる。 甲高い金属音が、空気を震わせる 「硬い……、うあ、イッテェ!?」 ジーン、と手に響く痛み。ナイフに少しひびが入っているのが見える。 だが、ワルキューレには、かすかに穴が開いていた。 追撃で繰り出されるパンチ。腕の上に乗り、頭の上に陣取った ナイフでは決定力に欠ける。ならば。 あの一体のワルキューレが持っている剣を奪うべきか。 明らかに運動力の上昇している体で跳躍。頭を踏みつける形でその剣を持ったワルキューレに乗り、奪い取る 首の付け根に当たる部分を剣で斬る。パカァッっと一太刀でワルキューレは両断された 中身が空洞であったため、幾分か斬りやすい。 降りるナランチャを狙うワルキューレのパンチは空振り。 たった今突き出された腕の下で、ナランチャがにやりと笑う。アッパーを模した構えで腕を切断 だが、それで剣は限界に達し、折れて刀身は地面に突き刺さった もう一本のナイフも、ワルキューレの拳を受け止めるのに使い、折れた 投げ捨てると左手の甲のルーンは消え、いつもの身体能力へと戻る 「武器は……ないか」 何故か戻ってしまった身体能力を惜しむ。 こうなっては仕方がないと、エアロスミスで再びワルキューレに攻撃しようとした瞬間、自分の体が異変を訴えた 先ほどスタンドを全力ではないとは言え、打ち砕く為に結構な力を使ったためだ さらに、限界を超えた派手な運動もした。体の節々が痛むのを感じる 頭痛がひどくなってくる。 「……?ふぅん、体調でも悪いのかい?遠慮なくやらせてもらうよ」 (コイツ外道だ) ギーシュの非道な宣告も、耳に入らない。 周りのギャラリーも流石に異議を唱え始めるが、ギーシュは聞き流している (……コレぐらいの痛み、あってもおかしくはねーよな……あんだけこき使われたし) 確かに、今は生きているから、寝て休めば回復するだろう。 だが、そんな時間が有るはずがない。『頭が痛いので休憩させてください』など言えるはずもないのだ 傷の痛みはそれほどでもないが、頭痛が一番ひどい。 容赦ない一撃。軽いナランチャの体は2メイルぐらい吹っ飛んだ ギャラリーの悲鳴。鮮血が空を染めた なぶるようにワルキューレがナランチャを殴る。 「ちょっと!何やってんのよ!?」 そこへルイズが駆けて来る。ギーシュに問うが、まともに取り合ってはくれない やれやれといった様子で嗜める。 「ルイズ、平民との決闘は禁止されていないぞ?君が口出しできる問題ではない」 「あれは私の使い魔よ!」 「あっちが了承したんだ、引っ込んでいたまえ」 そう言って遮ると、またナランチャを甚振り始める エアロスミスで反撃をする、だが、たかが数発で破壊できるわけが無かった (負けるか……こんなヤツに負けたら……何か嫌だ) ……そうではなく、恐らく誰にも勝てない。 意地を見せようとした瞬間だろうか、ついに意識を失う。 体中から力は抜ける。 力なく倒れるナランチャの体を見て、ギーシュは笑った それを見て、ルイズもその場にへたり込んだ (ナランチャ……) 倒れこんでいるナランチャに、確かに声は聞こえた。耳ではなく、精神に直接。 目の前に映し出される鮮明なビジョンは、自分が尊敬していたリーダーを形作った 何故ここに彼が居るのかは分からない。だがここは自分の精神世界であり、そこに彼が居るという事は―― 「ブチャラティ……まさか」 「死んだよ。だが、満足は出来た。それよりも……」 全てが白黒の世界で、二人は対面した。 地面は波を立てない水面のように静かで、周りには何一つない。 唐突に『リーダー』に会ったのは驚いた。 だが、彼は、変わらない。優しい声を発してくれる。 「死んだ俺よりも、生きているお前の方が重要だ」 「そ、そんなこと……」 「生き抜け、ナランチャ。どんな世界でもお前は生きていけるはずだ。例え異世界でもな。学校に行けて、よかったじゃないか」 死んでなお意思のこもった強い声を発するブチャラティ。苦笑する素振りを見せる ナランチャは少し悩む素振りを見せるが、彼は話を続けた 「そのためにも、ここで負けるわけには行かないだろう?」 たかが言いがかりによる決闘だが、されど決闘。 ナランチャは知らないが、最低クラスのドットであるギーシュに負けるようならば、この先、さらに強力なメイジに歯が立たないだろう 戦うような事があれば、だが。 確かに体調不良もあるが、それを言い訳にする気は、ナランチャにはない 「なら立て、ナランチャ。勝って見せてくれ」 「……分かったよ」 「そして……意思を強く持て、これで最後だ……ナランチャ」 消え行くブチャラティ。ナランチャは、その姿を見送る 急浮上しつつある自分の意識。 そこへ、どこからか言葉が聞こえた 誰のものでもなかった、不思議な声が。 いつの間にか自分は、バスへ乗り込んでいた。それも一瞬の光景に過ぎなかったが。 ――目覚める事で……何か意味のあることを切り開いていく『眠れる奴隷』である事を……― 死んだブチャラティは、どうやってか、自分に会いに来た なら、その『意思』も、無駄にするわけには行かない。 ここで、打ち勝って、生きる意志を見せ付ける もし戦いがあれば、その全てに打ち勝っていこう。 ゆらりと、満身創痍の体を強引に持ち上げる 唇が切れていたのか、血が顎をつーっと流れた 「……」 一度死んだ少年は、ブチャラティの思惟を見た。 それは無駄なことではなかった。 エアロスミスが鋭敏な動きを見せる。極限まで高まった精神がスタンドを『強制的に武器と認識』させ、瞬間的に左手の甲のルーンが激しく光る いつの間にか、一時的に頭の痛み消えた。濃霧のようなもやもやも全て消えた。さっぱりした。 今は『勝つ事』、それだけが脳を支配。立ち上がる。鼻血を拭い、汗を拭い。 「ほう、立てるか?だが、今更……」 「ボラボラボラボラボラァァッ!!」 少年は、空を仰ぎつつ叫んだ。ラッシュの構え。思いっきり距離を取る エアロスミスが加速しつつ、怒涛の機銃掃射。ワルキューレが軽く宙に浮く。 けたたましい金属音と共に風穴が開いていき、今度はワルキューレが吹っ飛ばされていく ギーシュは唖然とした表情で、ナランチャを見た 急いでワルキューレを作り出すも、機銃掃射が続く。 体調不良さえなければこっちのものだ 「ボラボラボラボラッ!」 周りのワルキューレは全て飛んで行く。中が空洞のその体は機銃掃射に耐えられなかった 宙を浮かび、勢いがなくならないように機銃で押し続けられるワルキューレもあり。 地面を滑走路にし、ズリズリと引きずられるように飛んでいくワルキューレもあった。 それさえも撃つ、撃つ。何の変哲もない金属片になったワルキューレは良く飛ぶ。そして、ギーシュへと誘導し 「ぶあッ!?」 当てた。 ギーシュも巻き添えになって飛ぶ。 エアロスミスの機銃を受けたものが全部吹っ飛んでいく 穴だらけになって細切れになる。 しぶとく生き残ったワルキューレには爆弾を投下した。 高ぶった精神は、威力と、加えて若干ながら連射力さえも上げている。あちらこちらにはスタンドの硝煙が舞い上がり、共に舞い上がった砂煙は、ガラクタとなった青銅の騎士へと降りかかる そして、ギーシュの杖である薔薇の造花も粉々に打ち砕く。 空を舞う花びらを、弾丸が撃ちぬいた。ついでにギーシュにも数発命中 ここで、左手のルーンは光るのをやめた。 「ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)」 あっという間の終幕。唐突に、圧倒的な展開となった。どんでん返しだ。 ナランチャの腕を沿ってエアロスミスが消えていく。 凛とした瞳は、しっかりとギーシュを捉えている と、思えば、うっすらと口元に笑みを浮かべ、『あの顔が出た。うっかり。』 「テメェよぉ……さっき俺が体調悪いの知って、調子に乗ってやがったな……?」 いつものナランチャではない。 完璧な裏ンチャ――真・裏ンチャである! 通常は頭が悪い事などをバカにされたときに発動する『真』。 今回は何故か普通に発動していた。要するにキレてます。 「ええ、おい?それによ、決闘仕掛けた理由……自分でよーく考え直してみろ、クソ野郎」 プッツン来ていた。喧嘩をする前は抵抗があるが、一度相手に殴られるとこちらも本気で殴り返して我を忘れる。こんな経験はないだろうか。 それはもう自分の髪型をサザエさんと呼ばれた青年の如く いきなり近づいて、ぐわしっと首を掴んで締める 「ぐ、ぐるじい……」 「テメェーッ!俺は17だこの……」 エアロスミスを構えたまま、地面に向かって…… 『友人』にされていたことを思い出しつつ、咆哮する ちなみにギーシュはナランチャの年については全く言及してない。現実は――実に非情であった 友人の力を借りて!今、必殺の! 「腐れ脳ミソがァーーッ!!」 ちょっと違ったが、コレであっているのだ。ある意味 派手な音と共に地面の土が飛び散った。しかも、赤く染められて。 そして、機銃を顔のそばに数十発打ち込んで、決着。 頭に当ててはいない。殺すのは彼の良心が踏み止めた。 ギーシュは考える。 降参する事は、貴族としても恥ずべき事だろう。 だが、どう見ても勝ち目はないし、杖も無い。 言えることは、一つしかなかった 言い訳ではない、真実を言うことで、自分のプライド(命含める)は保たれる 流れ弾と精密動作性皆無故、頭を狙った弾丸がいくつか命中した体でギーシュは必死に言う 「降参じゃないから!君の勝ちだからもう撃たないでアッー!」 ギャラリーから歓声が聞こえる。 ただの平民が、『魔法のような何か』を使って、貴族のメイジに打ち勝った ボロボロの布キレのように横たわるワルキューレがその破壊力を示している。その傍らにはギーシュ。彼の体に出来た穴にハチが移住し始めていた。 瞬間、ナランチャは痛快といわんばかりの表情で指を鳴らした 体の限界と、再発した頭痛で、その場に倒れたが。 (これでさ、メイジにも勝てるって、証明したぜ、ブチャラティ……) (いや、ナランチャ、それは方向性が違うと思うぞ……) 天国でブチャラティは泣いていた。 その一方で、ルイズは見直したように、倒れたナランチャを「むー」と見つめる 自分との差が広がった気がするが、ポジティブな思考で逆に考えてみたのだ 『こんな使い魔を召喚した自分には、何かしらの力があるに違いない』と。 そして『キレさせると結構恐い』。 それがうぬぼれであるか真実であるかがハッキリするのは、まだ先のことである…… 実はキレるとナイフを振り回したりするのは事実だが(今回ナイフがひび割れた……というか、取り出そうとして、気づいたら完全に割れていたために不使用) 「カッコ……いいじゃない」 それを影で見つめる怪しい人。と、火を灯した使い魔一匹 次回、ナランチャが大変なことに。 To Be continued ...
https://w.atwiki.jp/tencho/pages/82.html
わがまま戦隊ブルームハート! 2巻(続) 石田敦子 幻冬社 この町の平和だけ守ります <あらすじ> ATM強盗からいじめっ子まで、身近な悪を見逃さずご町内の正義だけ守る女の子だけの戦隊、それがブルームハート。 チームワークであらゆる事件を解決していた彼女達だったが、同じような戦隊・ブラックブルームの出現によりチームに不協和音が出始めた。 2008年11月現在も連載中。 <紹介> 美少女戦隊ものだ。しかしただのパロディではなく、任務を選べない正義の味方の辛さや、それぞれに抱えている事情がしっかりと描かれている。 小学生ながら苛立ったり嫉妬したり、揺れ動くキャラの心理を描くのが上手い。 ブラックブルームが全員眼鏡っ子というのは何かの伏線だろうか。次の巻への引きが気になる。 ワルキューレの降誕 2巻(全) 冨士宏 マッグガーデン わたしはワルキューレ そう呼んでくれ <あらすじ> マーベルランドの上空に現れた巨大な槍の矛先のような幻影の調査のため、天上界からある若くて元気な女神が使わされた。この世の始まる以前に作られた鎧を身に着けて旅立った彼女は、空中に浮かぶ巨大な棺の中でドルツァ大学のバルク教授とサンドラ族のマルマノと出会う。そこで二人を召喚したトシュカに案内され、彼女の主である黒い最後の戦乙女と戦う前時代の巨人が元凶である事を知らされる。 <紹介> ナムコのゲームでおなじみのワルキューレ。そのオリジン・ストーリーとも言うべき話をキャラクターデザイナーの冨士宏氏が描いた。 独自の絵柄で紡ぎ出される世界は、ファンである人ならもちろんそうでない人にもお勧めのファンタジーとなっている。 もちろんゲームの内容を知っている人にはニヤリとさせられるネタもある。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1372.html
「「決闘(デュエル!!)」」 決闘が始まった。 先に動いたのは青銅のギーシュ。 口にくわえた薔薇の造花を右手に持ち替え、かれはその造花を振る。 「ゼロのルイズ! 君自身が魔法を使えなくとも、僕まで魔法を禁止したりはしまいな? 出でよ! 青銅のゴーレム ワルキューレ!!」 ギーシュは芝居がかった口調でそういうと、くすんだ色の青銅人形を召喚する。 青銅のワルキューレ 土属性 岩石族 攻撃力? 守備力? 一方のルイズは右手に6枚の札を構えたまま動かない。 「……っく」 しつこく言うが、ルイズの右手には6枚の札が握られている。 だが、悲しいことにその札全てが、今現在使うことの出来ないものばかり。 (いいか、相棒。おれのこの40枚の札……デッキは3種類のカードから構成されている。モンスター。魔法。罠の三種類だ) ルイズは己の手札を確認する。 緑の手札が4枚。 黄土色と濃い褐色の札が一枚。 緑は魔法。 黄土色は効果を持ってはいないモンスター。 対して褐色は特殊能力を発動するモンスター。 本来なら大衆の目の前で、モンスターを召喚し、ギーシュのゴーレムをボコボコにのしてからシエスタに謝らせるつもりだった。 だが、それは適わない。 なぜか? 黄金錘に眠る、自分の使い魔の言葉を思い出す。 (いいか。相棒。モンスターカードは色々な種類がある。効果を持たない通常モンスターと特殊能力を持つ効果モンスター。 力は弱いが、何の代償なしで召喚できるモンスターを下級モンスター。 たいしてその召喚に生贄を必要とするのを上級モンスターというんだ) ルイズの手の内にあるカード。 上級モンスター「ブラック・マジシャン」 効果を持つ上級モンスター「ギルファー・デーモン」 魔法カード「融合」 魔法カード「死者蘇生」 魔法カード「魔法移し」 魔法カード「サウザンド・ナイフ」 現状ではルイズにはモンスターを召喚することも、ギーシュのゴーレムを破壊することも出来ない。 モンスター二体は生贄が必要になるため、召喚することが叶わない。 融合は決められたモンスター同士を合成させる魔法だが、ギルファー・デーモンとブラック・マジシャンでは融合は出来ない。 死者蘇生は『墓地』と呼ばれるカードゾーンにモンスターがいなければ使う事が出来ない。 魔法移しは自分や相手のモンスターにかけられた魔法を、別の対象に移し変える魔法。 サウザンド・ナイフはブラックマジシャンが場に召喚されることで初めて効力を発揮できるカード。 専門用語では今のルイズの状態をこう表す。 『手札事故』と。 「どうしたんだい? ゼロのルイズ。降参するかい?」 「馬鹿を言わないで! あたしの辞書に降参の二文字は無いわ!」 「……残念だよ。この僕がレディに手を挙げねばならないとはね。 ワルキューレ! 彼女の手から『使い魔』を奪い取れ!!」 ゴーレムがルイズに迫る。 (3分……3分持ちこたえれば私にも勝機がある!) 相手から目をそらさず、ルイズは考える。 自分の内に眠る使い魔は言っていた。 (いいか? 相棒。魔法や、罠、モンスター効果を使わない限りモンスターの召喚やデッキからカードを引く(=ドローする)行為は自分のターンに一回しか許されない。 だが、こういう乱戦じみた決闘では自分のターンとよべるものは存在しないだろう。だから本来の自分のターンである3分が過ぎるのを待つんだ。そうすれば、また新たな可能性が開ける!) ルイズが回想を終えると同時、ワルキューレが自分のデュエルディスク目掛け、サーベルを振る。 バックステップを取り、ぎりぎりでかわすルイズ。 とはいえ、かわせたのはまぐれのようなものだ。 ギーシュはまだ本気を出してはいないはず。 「ルイズ。君もほとほと頑固だね」 「ええ、自覚しているわ」 ギーシュはため息をつくと、薔薇の造花を振った。 青銅の戦士がまた新たに2体。 一方 ルイズに必要な時間はあと、40秒。 「もう面倒だ。ワルキューレ。その円盤を破壊しろ」 ワルキューレはサーベルの切っ先をデュエルディスクに向ける。 そのままの体勢で、スピードをつけて襲い掛かる青銅人形。 (――ッ間に合わない!) ワルキューレの移動速度は並の人間よりも遥かに速い。 ルイズは反射的に腕を抱え、守った。 ――己の体ではなく、デュエルディスクを。 ざく、と音を立てて、青銅の細剣がルイズの腕を切り裂く。 「ぐうぁぁっ!」 「なっ!?」 痛みに顔をしかめ、おもわず声を漏らすルイズ。 だが、慌てたのはギーシュの方だ。 誓って言うが、彼はルイズを傷つけるつもりは無かった。 青銅のメイジが破壊しようとしたのはあくまで「ゼロの使い魔」である。「ゼロ本人」ではないのだ。 「ああ、ルイズ! 何をやっているんだい! すぐに棄権したまえ!! 今から治療すれば、すぐ治るはずだ!」 ギーシュは貴族の女性を傷つけたとあってえらく狼狽している。 だが、駆け寄ろうとしたギーシュをルイズは手で制した。 「断るわ! これは決闘よ!!」 ゼロと呼ばれた少女はデッキに手をかける。 ギーシュはその少女の言葉を聞いて顔を引きしめると、再びワルキューレを召喚した。 「僕が一度に召喚できるワルキューレは6体までだ。この子達を使って君を無理やりにでも医務室へ連れて行く!!」 ルイズは深呼吸する。時は来た。 おそらくこのドローを逃せば、自分は6体のワルキューレに敗北するだろう。 (お願い。私を導いて!!) 「ドロー!」 懇親の力を込めて、ルイズはデッキからカードを引き抜いた。 その札を手にしている腕から血が滴り落ちる。 ルイズは血の気を失い、青い顔になりつつも凄絶な笑みを浮かべた。 「ギーシュ!」 「な、なんだい?」 「悪いけど、この決闘 私の勝ちよ! 私は手札より、魔法カード『強欲な壷』を発動!」 ルイズはドローカードを、魔法、罠を発動する場所に叩き込む。 ヴェストリの広場に、『ソレ』が召喚された。 つぼである。 ただ、とてつもなく趣味が悪い。 なんとも不細工な男がにんまりと笑った顔が掘られているのだ。 そのつぼには。 「キャアアァァア!」 「ゼ、ゼロのルイズが呪いの壷を召喚したぁぁぁ」 「目、目を合わせるなぁぁ! 呪われるぞぉぉ!」 『強欲な壷』のあまりのヴィジュアルイメージに外野は大混乱に陥る。 だが、当のルイズはそんなことは関係ないとばかりに、再びデッキに手をかける。 「強欲な壷を使用したプレイヤーはデッキからカードを二枚ドローできる。ドロー!!」 一方のギーシュは、ただ狼狽している。 彼には、この状況が理解できない。 Qあのつぼは何でしょう? Aゼロのルイズの魔法らしいです ルイズがドローすると同時、つぼは消えた。 そして…… 「私は! 手札から魔法カード『融合』を発動する!」 ルイズは二枚のカードを墓地に送る。 さきほど、強欲な壷の効果でドローした二枚のカード。 そのカードとは。 「出でよ! 悪魔族の先鋒 バフォメット! 駆けなさい! 幻獣王 ガゼル!」 よりにもよってルイズ・フランソワーズは一番召喚してはマズイ者を呼び出してしまった。 その体には4本の人間の腕。 その背には白い羽。 頭には禍々しくねじれた二本の角。 その顔は優しさなど微塵も感じさせぬ獣のような顔。 まさしく悪魔。 名をバフォメット。 「ル、ルイズが悪魔を召喚したァァァ!」 「ギャアアアァァアァ!!」 ギャラリーも、ギーシュも、一緒になって絶叫した。 ルイズは笑みを浮かべる。 そしてもう一体。 額に角を戴き広場にふく一陣の風が、彼のたてがみを撫でる。 一角の黒きたてがみを持つ獅子 幻獣王ガゼル。 不動の如く土の属性を持つ獣族の戦士。 「げ、幻獣まで召喚したぞぉぉ!」 「ど、どうしちまったんだぁぁ!」 「ル、ルイズ。君は一体……」 「ギーシュ。貴方が馬鹿にしたこの40枚の札にはね、数多くの魔法、モンスター、そして罠が封印されているの」 「な!?」 「心配しないで、命まで取りはしないわ。 さあ、ガゼル。バフォメット。その体を一つにし、翼持つ幻獣となりなさい!!」 二体の姿が空間に溶け込むように消えた。 入れ替わりに現れるのは、バフォメットの羽にガゼルの体。 二体の頭を備えた幻獣。 「有翼幻獣 キマイラ 召喚!!」 ルイズの声に合せるようにキマイラは低く遠吠えをあげた。 その咆哮に怯える人々。 ルイズの瞳が輝く。 彼女は召喚された使い魔の目を通して見通す。 「見えるわ。あなたの青銅でできたゴーレムの強さが」 ワルキューレ 攻撃力1200 守備力1000 効果 一度に6体まで特殊召喚できる。 ちなみに、キマイラの攻撃力は2100。 ワルキューレの攻撃に比べ、遥かに高い。 「さあ、ギーシュ。行くわよ。キマイラの攻撃!」 ルイズの声にあわせ、キマイラの二つの頭が鋭い角をワルキューレと、ギーシュに向けた。 「GO!」 突進する有翼幻獣。 その攻撃はワルキューレの一体を粉々に粉砕する。 キマイラがワルキューレの一体に攻撃を加えたことで、他のワルキューレがキマイラに攻撃を開始する。 だが、青銅の剣は容易く幻獣の剛毛にへし折られ。 そ鈍い色の体は鋭い爪と牙に跡形も残すことなく大地に還った。 「あ、あ、あ、あ」 未熟なメイジはぺたん、と尻餅をつく。 彼の腰は抜けて、歯の音ががちがちと奮えていた。 もう、『青銅』には手段が残されては居ないのだ。 「降参なさい。ギーシュ・ド・グラモン。命までは取りはしないわ」 「………そ、そうさせてもらうよ」 かくかくと、まるで自身が使役していた青銅のゴーレムの様に彼は頷いた。 そして、その宣言を聞き入れると同時、青い顔をしたまま我らがヴァリエール嬢は地面に伏し、意識を手放した。 ヴェストリの広場の決闘はこれにて終着を迎える。 だが、他でもないルイズ・フランソワーズの決闘はここから始まるのだということを 彼女も、彼女の使い魔たちでさえも予測は出来なかった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1393.html
前ページ次ページゼロの使い魔・ブルー編 「貴様……」 「ルイズ、君は逃げたまえ」 ルイズはそういわれると、震える足でよろよろと逃げ出していく。 ワルドがギーシュに向けて、杖を振る。 杖の先から放たれた雷光は、先ほどのようにワルキューレに阻まれる。 「土のドッド如きが私に勝てると思っているのかね?」 「やってみれば解るさ!」 ギーシュが跳ぶようにして距離を詰め、粗いながらも速く、剣を振る。 ワルドはそれを杖で受け止める。 「メイジが剣を使うか!」 「使っちゃいけない理由もないと思わないかね」 ギーシュは剣を打ち込みながらも、詠唱を完成させる。 剣を防いでいたワルドも同じように、詠唱を完成させ、 ほぼ同時というタイミングで魔法を放つ。 「『錬金』!」 「『エア・カッター』!」 だが、ギーシュの方が速い。 ワルドの足下が粘土のように柔らかくなり、 ワルドは体勢と狙いを崩す。 外れた『エア・カッター』が礼拝堂の椅子の角を切り落とした。 「今だ、ワルキューレ!」 「く……」 ワルドは迅速に粘土から足を抜くが、そこにワルキューレが襲いかかる。 詠唱が間に合わないのを見て取ったワルドは、 腰に下げていた紅い剣を左手で器用に引き抜き、ワルキューレに振りかぶる。 「遅いッ!」 ワルキューレの拳が直撃して、ワルドは倒れ込みそうになる。 だが持ち直すと、左手に持った剣を再びワルキューレに向けて振った。 ギーシュはその剣が何か揺らぎのようなものを纏ったのを見た。 それは膨れあがるとその剣をそのまま大きくしたような形を取り、 ワルキューレを切った。切断面が赤熱している。 ギーシュは危険を感じ、とっさに飛び退く。 先ほどの斬撃と交差するようにワルドが再び剣を振るう。 剣がワルキューレを通り過ぎる。交差した赤熱の線が十字の様に見えたかと思えば、 次の瞬間にその線が膨れあがり、ワルキューレが爆発する。 「な、何だって……」 ワルドがギーシュの方を睨みつける。 ギーシュは細剣では打ち合えないと考え、 ワルキューレを全て出し、 剣を細剣から長剣に変え、薔薇をしまい込む。 ワルキューレを散開させ、複数方向から攻め込ませる。 ワルドは前から来た殴りかかってきた二体の腕を巨大化した剣で切り裂き、 右から来た一体を杖でいなし、左から来た二体を風で吹き飛ばした。 しかし、背後から来たワルキューレの一撃を受ける。 「ぐっ……」 しかし俊敏に身を翻し、そのワルキューレに向け斬撃を繰り出す。 そのワルキューレは先ほどのものと同じように十字に切り裂かれ、吹き飛んだ。 「な、なんだあの剣は……」 ギーシュは恐怖におののいた。爆発するのも不思議ではあるが、 ワルキューレをあっさり切り裂いてしまうそれはブルーやアセルスのそれを彷彿とさせたからだ。 切り裂かれたワルキューレを見回す。 と言っても、消し飛んだので五体しかないが。 (あれ?) そこで疑問に思った。消し飛んだのは先ほどの二体だけなのである。 何故なのか、先ほどの剣を使えば全て消し飛ばすことも出来たはずだ。 なら、使えない? (……なんでだ?) 「呆けている余裕があるのかね?」 ワルドが巨大化した剣を振り下ろす。 ギーシュはそれをとっさに剣で受け止めた。 そう、受け止めた。 (ワルキューレをあっさりと切れるのなら、剣ごと僕は切り裂かれているはずだ) やはり、使えないのだろうと考えた。剣を押し返して弾き、 吹き飛ばされていたワルキューレを再びワルドに向けて、 自身は距離を取る。そして、何故使えないのかを考え始めた。 (なにか条件があるのか?) それが解るまでは、距離にはいるのは危ないと判断し、遠くから機を狙う。 二体を相手しているワルドに生じたその隙をギーシュは見のがさなかった。 「今だ!」 杖でいなされ、倒れ込んでいたワルキューレが跳ねるように起き上がり、 ワルドに蹴りを飛ばす。ワルドは不意の一撃を食らう……が、倒れなかった。 「……魔法衛士隊の連中は化け物か」 そして、またワルキューレが十字に切られ、消し飛ぶ。 そこでようやくギーシュは気付いた。 あの斬撃を出した時と、出してないときの相違点に。 (もしかしてあれは、殴られないと使えないのか?) 最初の時も、二番目の時も、今の時も消し飛ばされたのは 攻撃を成功させたワルキューレだった。 ならば、とギーシュは残った二つと自分自身で三方向から攻撃を試みる。 ただし、自分の攻撃はわざと外して。 一体目を剣で無理矢理倒したワルドは、 ギーシュのフェイントに引っかかって背後のワルキューレの一撃を食らう。 するとギーシュには目もくれず、紅い剣を振りかぶり、 背後のワルキューレを同じように十字に切り裂く。 切られたワルキューレは、やはり爆ぜた。 「やっぱりか、その斬撃は攻撃を受けないと使えないようだね!」 ギーシュは笑いながら勝ち誇った声で言う。 ワルドはそんなギーシュに冷静に返す。 「解ったところでどうしようもあるまい」 「へ?」 「攻撃せずにどうやって勝つというのだ?」 ギーシュが固まる。 ワルドはそんなギーシュに向けてゆっくりと一歩ずつ歩み寄って来る。 ギーシュは今度は汗を流して、必死に頭を回転させる。 (え、えーと、冷静に考えればそうじゃないか! どうしようも――?) そこで、一つの閃きを得て、剣を構え直す。 ワルドはそれを見て、一度立ち止まる。 「死ぬ覚悟が出来たのか?それとも逃げる気か?」 「どちらでもないね」 「そうか」 そう言うと、片手で剣を振り上げる。 ギーシュはそれを集中して見つめていた。ワルドが剣を振り下ろす。 ギーシュはそれに対して剣を斜めに構えて受け止める。 そして、そのままワルドの懐まで入った。 「何――?」 ワルドが右腕の杖を振り上げる。 ギーシュはそれは無視し、剣を回して左手を絡め取り、 そのままその手に在った剣を弾き飛ばす。 紅い剣が宙に舞い、風を切る音を鳴らして礼拝堂の固い床に突き刺さる。 ギーシュは振り上げた形になった剣を右腕にたたき付けようとする。 が、ワルドは『ウィンド・ブレイク』を唱え、ギーシュを吹き飛ばす。 当然、剣を振り下ろすことは出来ず、ギーシュは床にたたき付けられる。 「……どうやら私は君を見誤っていたようだな。 だが、もう油断はせぬ」 ワルドは呪文を唱え、杖を振る。 杖の先から雷光が迸り、ギーシュに向かって飛ぶ。 「があっ……!?」 ギーシュの前進に激痛が走り、あまりの痛みに崩れ落ちる。 ワルドはそれを冷酷な目で見つめて、小さく唱えた。 「『エア・ニードル』」 杖が青白い光に包まれる。 先ほど、ウェールズを貫いたものだろう。 ワルドは、電撃を喰らって動けないギーシュに一歩一歩近づく。 そして、すぐ前で一旦立ち止まり、杖を振り上げる。 「君を殺したら、ルイズを追うとしよう。 この城の包囲から逃げられる筈もない」 そして、杖を振り下ろす――が、それは一本の剣によって途中で遮られる。 ワルドは咄嗟に、彼が入ってきたであろう扉とは反対側の、始祖像まで飛び退く。 杖を防いだ人影は、剣を構え直す。左手に刻まれたルーンが光り輝いている。 「ブルー!」 「相棒、ようやく出番か!」 「貴様……どうやって此処まで!」 ブルーは答えずに、短く呟く。 数本の剣が現れ、ワルドに向かい飛ぶ。 ある意味、もの凄い解りやすい返答かも知れない。 ワルドは呪文を唱えて風を巻き起こし、それを弾き飛ばす。 ギーシュは誰かの手が自分の手を引っ張るのを感じた。 その力を借りて、何とか立ち上がりその手の先を見る。 「ルイズ……」 「間に合ったみたいね」 ボロボロで、まだ感覚がはっきりしない状態でも、ギーシュは何とか笑いを作る。 「逃げなかったのかい?」 「貴族は背中を見せないわ」 ギーシュは今度は笑いを作らず、心の底から笑いを浮かべる。 「逃げるとき、足が震えてたよ……」 「……そ、その時はその時よ!」 ルイズが顔を赤くして騒ぎ立てるが、 ギーシュは笑いを止めて、正面を向く。 ワルドと、彼らが対峙していた。 「……そうか、主人の危機が目に映ったか」 「ルイズを騙したのか?」 彼らは歩みながら、ルーンを刻む。ワルドは動かない。 「目的のためには手段を選んではおれぬのでな」 「それは勝手だ。だが、他人を巻き込むな」 ルイズはその様子を見ていた。 ブルーは……いや、ルージュか……? どちらとも解らないが、怒っているように見える。 どちらも、そういう人には思えないのだが。 それに、ルイズのために怒っているのとも、違う気がする。 むしろ、ワルドの行為そのものを憤っているような……。 と、そこで彼が動いた。目に追えぬほど速い……とまでは行かないが、 それなりに速く、ワルドに突っ込み、剣を振り下ろす。 ワルドは身体を翻してかわし、青白く光ったままの杖を突き出す。 ブルーが剣で受け止めると、ワルドは飛び退いて距離を取る。 そして、一度『エア・ニードル』を消し、再び唱える。 「く……ユビキタス・デル・ウィンデ……」 その呪文を唱え、ワルドが杖を振ると、 ワルドが分身する。突如出現したとも言える。 数を増やして、最終的にワルドは5人に分身した。 それを見て、彼らは剣を止めて、飛び退く。 「風の遍在だ……知っているとは思うが」 「知らん」 その言葉を聞いた途端、短く返してブルーは再び斬り込む。 刻まれたルーンから発せられた光が彼らを覆うと、 今度こそ目にも見えぬほどの速さになった。 ワルド達の内の一人が、呪文を唱える。 「『ウィンド・ブレイク』!」 風が、彼らめがけて放たれる。 彼らは反射的に、デルフリンガーを前に突き出す。 剣で風が防げる道理はないが、それでも防御しようとした。 「ちょ、相棒」 「剣で魔法が防げるはずが――」 その言葉を言い終える前に、魔法の威力が到達する。 しかし、身体に伝わってくるはずの衝撃は来ない。 少々困惑していたがそれでも考えると、 手に持った剣が風を吸い込んでいる事を発見する。 「何だと……!」 「おお、なんだこりゃ……そういや……なんかそんな事も出来たような……」 自分でもよくわかっていないらしいデルフリンガーに、彼らは問い詰める。 「どう言う事だ」 「いや、ちょっと待って。今思い出すからよ……」 「『ウィンド・ブレイク』!」 「……取り敢えず、防いでもらうぞ」 ワルド達が放った突風を、今度は意志を持ってデルフリンガーで防ぐ。 先ほどの雷撃と同じように、突風は吸い込まれ、彼らに届くことはない。 「その剣……一体何だというのだ!」 「……そうだ、思い出した!」 彼らはその声は無視して狼狽しているワルド達に切り込む。 「い、いやちょっと、聞いて欲しいかなー、なんて」 「聞いてやれる余裕はない」 「……まぁいいさ、今はやりたいようにやっちまいな、『ガンダールヴ』!」 そう叫ぶと、デルフリンガーが光り出す。 ワルド達が再び『エア・ニードル』を唱える。 「…杖自体が魔法の中心!打ち消すことは出来ぬ!」 そういって、五人のワルドが杖を突きだしてくる。 それを受け流し、回避し、いなす。 最後に振り下ろされたのを受け止めると、デルフリンガーを包んでいた光が弾ける。 そこには、磨き抜かれたように輝きを返す、錆びの混じらぬ鋼の刃があった。 「何なんです?」 「……細かいことは気にすんな!行くぜ!」 懐に入れたワルドのうちの一つを切り上げる。 それは悲鳴も上げずに消滅した。 ワルドの遍在達が彼らを取り囲んで、杖を突き出してくる。 彼らはそれを軽く跳躍して、回避する――軽くと言っても、 人一人飛び越せるぐらいの高さだったが。 そのままワルド達の内の一人の頭を足場に大きく飛んで、包囲から離脱する。 その動きを見ていたギーシュは呟く。 「やっぱり、凄いな……彼は」 軽い音と共に地面に着地する。 次にその音を大きく、激しくしたような音と共に剣を振り抜く。 一気に距離を詰めて、勢いを乗せた斬撃がワルドの内もう一人を斬る。 が、それも斬られると消滅する。 人一人斬っても尚余る勢いを、床を滑るようにして制動をかける。 バランスを崩しかけて、途中で片手を付いた。 「どれが本物か解ったりしないか?」 「それは無理」 「……全員叩けばいい話だな」 立ち上がり、後ろを振り向く。 ワルドが始祖像の下で杖を構えている。 青白い光は、既に消したようだ。 呪文を唱えて、彼らに向け杖を振り下ろす。 「『ライトニング・クラウド』!」 杖の先に、青い光が灯り、放電する。 後ろから、かすれた小さな叫び声が聞こえてくる。 「気をつけたまえ、ブルー! それを喰らえばただでは済まないぞ!」 轟音と共に、杖先から雷が放たれる。 デルフリンガーで受け止めるが、吸い込みきれない。 それどころか勢いに押されてだんだんときつくなってくる。 「相棒、このままだとジリ貧だぞ!」 その言葉に対して、彼らは剣を握る手を強めるどころか、 片手を離してしまう。デルフは思わず叫びかけるが、叫べなかった。 器用に、回転させる。今まで押されていた雷を押し返し始める。 そして最後には雷を弾くと同時に、青白い光と唸るような低い音を放ち始める。 「な、なんか嫌な感じがするんだが!?何というか折れそうな」 「確かかなり摩耗するからな」 「……もう少し優しく扱ってほしいな俺」 そのまま、地面を蹴ってワルドまで跳ぶように駆けよる。 ワルドは咄嗟に呪文を唱えて、『エア・ニードル』を纏わせる。 それで剣を受け止めようとするが、 デルフは何も遮る物が無いかのようにワルドの身体をあっさりと切り裂く。 だが、その姿もかき消える。 残り一人、本体であるだろう最後のワルドを探すために、辺りを見回す。 「離して!」 声のした方へ振り返ると、ワルドがルイズを捕らえて、杖を此方に向けていた。 ギーシュは突き飛ばされたのか、少し離れたところで倒れている。 「ルイズを離せ」 「そうはいかない。彼女は僕の目的のために必要なのでね ……君は優秀なメイジのようだ。 どうかね、君も『レコン・キスタ』……いや、私と共に来ないかね?」 「お断りだ」 「そうか、なら此処でお別れだ」 ルイズを捕らえている手とは反対の右手で杖を軽く振り、唱える。 「『ライトニ――』」 そこで唐突に、銀色が一閃。何かが宙を舞う。 解放されて、倒れ込むルイズ。彼らはそれを抱き上げて、駆け去る。 呪文を唱えていたワルドはそれを不思議そうに見て、詠唱を止める。 「『――ング…』……?」 そして、何かやわらかい物が落ちる音に対してそちらを振り返り、呟く。 「……何……だと……?」 落ちていたのは、左腕。 ワルドは自らの左腕があるはずの場所を見やる。何もない。 忘れていたものを今思い出したかのように、血が噴き出す。 「私のっ……腕がぁ……!?」 傷口を抑えて、ワルドはうずくまる。 ブルーも纏っていた光が霧散すると、胸を押さえてうずくまる。 左手のルーンの光も消えていた。 ギーシュがよろよろと立ち上がって、礼拝堂の椅子にもたれかかる。 しばらく、そのまま時間が流れた。 静寂は破壊音によって打ち砕かれる。 どこからか飛んできた砲弾により、礼拝堂の一角が崩れ落ちた。 遠くからの喧噪や爆音が聞こえてくる。 ワルドがそれを聞いて顔を上げる。 「な、何が起こってるの……?」 「攻撃が始まったか……!」 ワルドは立ち上がると、傷口から手を離し、血だらけの手で杖を握る。 「私はこんな所で死ぬわけには行かぬ……さらばだ」 「待ちなさい!」 ワルドは『フライ』を使い、崩れ落ちた一角から飛び去る。 制止などは、当然聞くはずもない。 遠くから聞こえてくる戦闘の音に、ブルーが呟く。 「逃げるか」 「どうやってよ」 「かなり先だが、タバサ達が来ている。 そこまで『保護のルーン』を使って行く」 ルイズはそれにうなずいて、歩き出そうとして立ち止まる。 そして俯いてから、振り返って始祖像の方に歩き出す。 「ルイズ?」 「ちょっと待って」 ルイズは始祖像までは歩かず、 その手前の事切れたウェールズの前でかがみ込む。 「…ご無礼をお許し下さい」 そう言ってから、ウェールズの手から『風のルビー』を外す。 外すときに、ルイズの手の『水のルビー』との間に光を作り出した。 なんとも場違いな、美しい虹色の光だった。 前ページ次ページゼロの使い魔・ブルー編