約 1,794,506 件
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2562.html
翠ちゃんの一レス短編保守 ~保守します~ 翠「ジュン!しゃーねーですから、この心が広い翠星石が保守してやるですぅ。地面にデコくっつけて平伏して感謝しやがれですぅ。 ・・・ふぇっ?宣伝荒らしがあったから今は要らない、ですか?・・・・・・くすん・・・・・・。 ・・・・・・な、何勝手に翠星石の頭を撫でてるですか!?え?べ、別に翠星石はおめーの為に保守しようとしたわけじゃ・・・あうぅ・・・その、もっと撫でやがれですぅ・・・///」 ⊂⊃ o o 。 翠「はうぅ・・・ジュン・・・///(妄想中)」 ジ「はいはい妄想乙」 翠「!!!見てるじゃねぇですぅこのチビ助平っ!(///」 ジ「妄想石は華麗にスルー、そして保守」 翠「(´・ω・`)」 翠ちゃんの一レス短編保守 ~ツンデレです~ 翠「ジュン・・・あの、ジ、ジュンはどういう女の子が好みなのですか?(///」ドキドキ ジ「素直で人なつっこい子だ。」 翠「なっ・・・そ、それは翠星石に対する当て付けですか?!」 ジ「率直な意見だ。」 翠「うー・・・そこまで言うなら、たまには少しぐらいはデレてやらんこともねぇですけど・・・///」 ジ「うむ、既にツンデレだな。僕は半端なツンデレよりもデレデレのほうが好きなんだ。じゃ、僕は帰るから。」サッ 翠「・・・保守ですぅ(つд`)」 朝の挨拶と変わらない二人 「じゃあ、行ってくる。」 「今日もしっかり働いて翠星石とチビを楽させるですよ。」 妻お決まりの朝の叱咤激励。 僕もハイハイと定例文で返す。 「寄り道せず真っ直ぐ帰って来るですよ?」 僕は子供か。 と思わないでも無いがそこは言わぬが花。 朝から変に機嫌を損ねるのも嫌なのでこれもハイハイと返しておく。 結婚した当初から然程変わらず言われてきた朝の挨拶。 変わったところは、と言うと楽させる対象が翠星石一人から翠星石と娘の二人になったぐらいだ。 「じゃあ、そろそろ行くからな。」 家を出ようとドアノブに手を掛けると 「あ、ちょっと待つです。」 翠星石に呼び止められた。 「何だよ。」 「ネクタイが曲がってるです。」 ネクタイを外す翠星石。 何となく首の後ろあたりがこそばくなる。 「おめーがだらしない格好してると翠星石が恥かくです。」 慣れた手つきでネクタイを結び直していく。 「……上手くなったな。ネクタイ直すの。」 結婚して直ぐの時は中々結べず「何なんですか。コイツは。」とか言って僕の首を絞めてたっけ。 「JUNが何時までもだらしないから嫌でも上手くなるです。」 キュッとネクタイを締め上目使いで抗議する翠星石。 これまたハイハイと抗議しておく。 さて、そろそろ出ないと不味いのだが、翠星石がネクタイから手を放してくれない。 「何だよ。」 「ん。」 僕の言葉に対し、一度顎を引きアヒルの様に唇を尖らしている。 これは学生時代から変わらない翠星石がキスをねだる時のサイン。 「ん。」 次に翠星石は目を閉じ、唇引っ込めると顎を突き出してきた。 「もう、家出ようと思ってるんだけど。」 「ん。」 早くしろと言いたげに唇を突き出す。 「だから、電車の時間が。」 「ん。」 なら早くしろ。こっちだって首が痛い とでも言いたげに眉を寄せ背伸びをする翠星石。 全く、もうとっくに新婚時代なんて過ぎてるのに。 などと思いつつも無視して翠星石の手からネクタイを引き抜いて出れない辺り僕も同じか……。 「行って来ます。」 「いってらっしゃいです。」 パタン 「ママ~。おはよ~。」 「おはようです。」 「パパは~?」 「今、会社行った所です。」 「あー、またいってらっしゃい言えなかった。」 「毎晩毎晩夜更かしするからです。」 「だってー。」 「良いから早く顔洗って来るです。」 「むー、はーい。あれ?どうかしたの?ママ。おかお赤いよ?びょーき?」 「え?そうですか?」 「うん。だいじょうぶ?」 「フフフ、大丈夫ですぅ。JUNの奴も赤かったですし。」 「パパもびょうき?」 「違うです。まあ、おめーがもうちょっと大きくなった分かるです。」 「?」 おしまい 既視夢? 正夢? 「おはよう翠星石」 「おはようです、ジュン」 「…ん、目、赤いな。泣いてたのか?」 「……はいです」 「どうしたんだ」 「…怖い夢を見たです。バカにしないで、聞いてくれますか?」 「うん。どうせ夢だもの。何でもありだしな」 「…夢で翠星石はジュンのお人形になってたです。 もっとも、人形といっても動くんですけどね。 それで、夢の内容ですけどね、やっぱり夢の中のわたしもジュンのことが好きなんです。 だからやっぱりお菓子作ったり部屋の掃除してあげたりしてアプローチするんです。 でもジュンは私の頑張りを褒めてくれるどころか、『あ~あ』って顔するんです。 わたしのことを『性悪人形』なんて呼ぶんです。しょっちゅう『うるさいからあっちいけ』とか言うんです。 おまけにわたしと同じような動く人形が他に2体もいて、その内の赤いのとベッタベタしてるんです。 で、何が怖かったって、人形のわたしは、わたしの所持者のジュンを嫌いになりそうだったんです。 尽くしてあげてるのに、全然こっちを向いてくれない、向いたと思ったら酷い事を言う。 で、本当にこんなことがあったら、わたしは現実の、本物のジュンも嫌いになってしまうかも知れない、 そう思ったら涙がとまらなくなっちゃったです。わたしはジュンのことが大好きなのに…」 「そうなのか。…お前が泣いてる原因としてコメントしづらいな」 「…」 「とりあえず言っておきたいのはさ、僕は、何があってもお前のことは嫌いにならないよ。 迷惑かもしれないけどさ、お前が僕のことを嫌っても、僕はきっとお前を好きでい続けるよ。 ずうっと、一緒にいたんだもの。今更嫌いになんてなれない。 そして、できれば、これからもずうっと、一緒にいたい。 ということで、これで涙ふきな。よし、OK。それじゃあ、学校行こうか」 「ジュン」 「何だ、翠星石」 「ありがとう。大好きですよ」 「ありがとう。僕も大好きだよ」 終
https://w.atwiki.jp/kinnikumeiden/pages/20.html
~謎の空間~ ローゼン「おめでとう…。君がアリスになれたのか、真紅…」 真紅「貴方がお父様…、お会いできて光栄です…」 ローゼン「そう恐縮することはない…。さて、これから君はアリス…究極の少女として生きるわけだが…」 真紅「そのことですがお父様、私は今アリスになるつもりはありません…」 ローゼン「ほう…」 真紅「究極の少女…それは姉妹たちを犠牲にしてなったとしても価値があるものでしょうか?」 真紅「例えなったとしても…それは究極の少女とは程遠い、修羅の姿ではないでしょうか?」 ローゼン「ほう…」 ローゼン「では、私に何を望む?」 真紅「私の体からローザミスティカを取り出し…皆を生き返らせて欲しいのです…」 ローゼン「………良いでしょう…」 ピカァァァーーーッ! ローゼン「ただし真紅、再びアリスを目指しなさい。その方法はアリスゲームだけとは限らない…」 真紅「わかりました…感謝します、お父様!」 ~キン肉ハウス~ 真紅「ハッ、夢…だったのかしら…?」 ミート「おはようございます、真紅さん!」 真紅「おはよう、ミート…スグルは…?」 ミート「王子はまだ帰ってきてませんよ」 真紅「そう…」 ミート「そんな顔をしないでください!どうせそのうち…」 ???「のわ~っ!お気に入りのシューズなのに犬のウンコ踏んじゃった~っ!ミート~!」 ミート「………ほらね?」 ガチャッ キン肉マン「ただいま、真紅!ミート!養老の滝の牛丼を買ってきたぜ!!一緒に食べよう!!」 真紅「ス…スグル…!おかえりなさい、スグル!!」 ミート「王子!上がる前にちゃんと裏でシューズを洗ってくださいよ!!」 テリーマン「ハロー!真紅、ミート!おっ、帰ってきたのか、キン肉マン!」 金糸雀「ハローかしら~!」 キン肉マン「おお、テリー!悪魔将軍を火口に落とすのは苦労したんじゃぞ!労わりの言葉があってもいいんじゃないか?」 真紅「か…金糸雀!貴女…!」 金糸雀「しっかりローザミスティカ、返して貰ったのかしら~!真紅~!」 真紅「夢じゃ…夢じゃなかったのだわ!…ということは皆も…!」 テリーマン「ああ、どうしたことかピンピンしているぜ!きっと究極のマスクの御加護だな!」 金糸雀「お父様の御加護かしら~!」 テリーマン「おっと、そうだったそうだった。すまんすまん…」 テリーマン「それより、超人集会所で皆で祝勝会をやっているんだ!早く来いよ、キン肉マン!真紅!」 金糸雀「皆もお待ちかねなのかしら~!」 キン肉マン「おおっ!それじゃあ出向かないわけにはいかんのう!!」 真紅「皆が…!スグル、モタついてる場合じゃないのだわ!!」 ミート「王子!シューズは替えていってくださいよ!!」 ~富士山頂~ 薔薇水晶「…正義超人たちは養ってくれると言ったが…今更そんなことはできない…」 薔薇水晶「…利用されていたとはいえ…取り返しのつかない過ちを犯してしまった…」 薔薇水晶「…流れよう…。…私には孤独が…似合い…」 ザッ 蛇紋石「ちょ…ちょっと待つニョロよ!」 翡翠「ホホホ…どうせならその流浪の旅、ワシらも連れて行ってくれんかのう?」 血星石「オレたちも行き場がなくて途方に暮れていたところなんだ!」 琥珀「マスターである悪魔超人たちも全滅してしまったでゴザルからな…」 黒瑠璃「同じ釜の飯を食った仲、孤独なんて言わせないよっ!」 白玻璃「お、お邪魔はしませんので…」 薔薇水晶「…あ、貴女たち…」 薔薇水晶「……………」 薔薇水晶「………孤独じゃ…なかった…」 ~超人集会所~ ロビンマスク「む、遅かったじゃないか!キン肉マン!!」 蒼星石「やあ、真紅。深く理由は聞かないけど…とりあえず、ありがとう」 ウォーズマン「やっぱりな…三日後ぐらいに帰ってくると思ってたぜ…」 水銀燈「ウォーズマンのデータは本当に正確ねぇ…。久しぶりぃ、真紅ぅ」 ラーメンマン「フフ…今回の戦いの殊勲賞者のペアだな…」 翠星石「悔しいけどそれだけは認めてやるですぅ!」 バッファローマン「さあさあ、そんな所で立ちっ放しってのも何だ!こっちに来て飲めよ!!」 雛苺「真紅は子供だから牛乳なの~!!」 テリーマン「こっちにはハンバーガーを用意してあるぜ!」 金糸雀「甘~い卵焼きもあるかしら~!!」 キン肉マン「ハハハ、皆良い具合にハメを外しておるのう!真紅、私たちも…」 真紅「言われるまでもないのだわ、スグル」 ロビンマスク「それでは…メンバーも揃った所で、正義超人とローゼンメイデンの勝利を祝って…」 全員『乾杯~~~っ!!』 ~???~ 雪華綺晶「フフフ…、…お姉様たちの絆パワー…非常に興味深いものですわ…」 雪華綺晶「あんなに強力なパワーが何らかの理由でバラバラになったとしたら…果たしてどうなるのでしょう?」 雪華綺晶「ねえ、興味はありませんこと?」 ???「……………」 雪華綺晶「そうでしょう?…フフ…少し、面白い興を考え付きましたのよ…」 雪華綺晶「このローゼンメイデン…真の第七ドール、雪華綺晶が…」 完 次回・幻のメイデンタッグ編 戻る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1891.html
「……! あんた、誰!?」 「私? 私は水銀燈。ローゼンメイデンの第一ドール」 それが彼女との出会いだった。まったくの突然。 夏のひと時、あたしに舞い降りた…… ――束の間の休息―― 「魔女?」 「ま、魔女ですって!? あなた、それを誰に向かって言っているの!」 「ていうかあんた人形? どうして自力で動けるわけ? すごいわね!!」 綺麗な人形だった。凛としていて気品がある。 「ちょっと、気安く触らないでちょうだい!」 「あんた、何でここにいるの?」 水銀燈と名乗るその人形は、あたしの問いに一瞬だけうつむくようにすると、 「ちょっと飛べなくなったから、休んでたのよ。この部屋、私の好みには合わないけど、悪くないわね」 「あんた」 「なぁに?」 「瞳が綺麗ね……」 あたしは水銀燈の瞳に見入っていた。何でできているんだろう。 あたしが見つめていると水銀燈は急に気がついたように首を振り、 「あなた。私が美しいのは当たりまえなのよ。私はローゼンメイデン。お父様が完璧な少女アリスを目指すよう、私をお作りになったのだから……」 ―― 「……なるほどね。あんたの他に6体のドールがいて、あんたはそいつらを倒さないといけないわけか」 何なのこの子。あっさりと私の説明を受け入れるなんて、どうかしてるんじゃないかしら。 「あなた、こんな簡単な説明で信じちゃうの? どれだけ能天気な頭してるのよ」 私がそう言うと涼宮ハルヒと名乗るこの部屋の主は、 「だって、面白いじゃないの! ひとりでに動く人形よ! これこそあたしの求めていた不思議なんだわ!」 そう言って大きな瞳をキラキラ輝かせた。何がそんなに楽しいって言うの。腹が立つ。 「いいわ! 何日でも置いてあげる! 丁度今は夏休みだしね。キョンは田舎に帰ってて呼び出しようがないし……」 何かブツブツとぼやいている。この子、やっぱりどこかおかしいのかしら? 「水銀燈、って言ったっけ? これからよろしく!」 無邪気な笑顔。この子、子供ね。 「私はあんたみたいな幸せそうな人間が大嫌いなのよ。虫唾が走るわ」 そう言うと涼宮ハルヒは目をばしばし瞬かせた。 「あんたってもしかして……」 「何よ」 「根暗? それかツンデレ?」 「何ですって!」 まさかこの子が私のミーディアムになるなんてね。……私もどうかしてたとしか思えないわ。 「何この指輪! 綺麗ね!」 「気安く触らないで!」 「見せてくれたっていいじゃないの!」 「放しなさ……きゃぁっ!」 「あぁっ!!」 私とハルヒはもつれ合って倒れた――。 ―― 「うーん……痛いじゃないの」 「こっちの台詞よ」 あたしと水銀燈はもつれ合って倒れた。 「……なんてこと!」 水銀燈が何か叫んでいる。 「どうしたのよ」 あたしは身を起こしつつ訊いた。水銀燈は床に立ってヒステリックに震えている。 「あなた! ちょっと指を見せて」 水銀燈に手を取られた。あれ……? 「何これ? 指輪?」 「あなた! いますぐ私の指輪に口づけしなさい!」 「何でよ? っていうかこの指輪何なの?」 「いいから早く!」 水銀燈は肩と表情をいからせてあたしに迫ってきた。顔が綺麗だから迫力があるわね。 「ははーん。さては、この指輪を外さないとここから出て行けないとか、そんな感じなんでしょ?」 水銀燈は一瞬だけ顔をひきつらせた。なるほどね。 「違うわよ。……とにかく、早くしなさい。さもないと、痛い目を見るわよ?」 もうバレバレよ。偶然とはいえラッキーだったわ。 ―― 何て勘の鋭い女なの!? ただの能天気かと思ったけど、意外と厄介ね。 「早くなさい!」 私は威嚇のために羽を一枚飛ばした――、 「……」 「あら、どこから出したの? その羽」 ひらひらと黒い羽が私の足許に舞い降りた。……そうだったわ。今飛べないんだった。 「あんた、かなり不思議な力を持ってそうね! 気に入ったわ! これからしばらく、わが SOS団臨時団員に加えてあげる!」 何を言っているの、この子。何だか嫌な予感しかしないわ。 かくなる上は……。 「はぁぁぁっ!」 「おっと! 甘い甘い! 無理矢理指輪にキスさせようったってそうは行かないわ! あたし最近ヒマでヒマでしょうがなかったから。仲良くしましょ、水銀燈!」 飛び掛った私は見事ハルヒに抱きかかえられてしまった。 ……くそ。こんなはずじゃないわ! というかこの子、どうして私のミーディアムになったのに私に力が宿らないの? それに、さっきより力が落ちている気すらするわ。 「どうしたの? 水銀燈」 「何でもないわ。ほっといて頂戴」 ―― 「ねぇ、水銀燈?」 「何よ。さっきからうるさいわね。あなた、いつもそんなやかましいわけ?」 「もうちょっと話してくれてもいいじゃないの。お茶まで出してあげたんだから。 団長の心遣いに感謝しなさい!」 「こんな出がらしみたいな紅茶、飲む気も起きないわ」 「あんた……ほんとにツンデレなのね! これは貴重な人材だわ!」 「……何言ってるのよ、さっきからあなた」 「わがSOS団にはツンデレ要員がいなかったのよ。あたしは正統派主人公キャラじゃない? キョンは巻き込まれ役、みくるちゃんが萌え担当で、古泉くんは謎の転校生、で、有希は 無口っ娘! あなた、見事に穴を埋めてくれたわ!」 「……」 「あれ、どうしたのよ水銀燈、急に黙っちゃって」 「……あなたたち、毎日楽しそうね。その、何とかって団体」 「SOS団のこと?」 「それよ。私にはままごとにしか思えないけど、それがあなたのその笑顔を作っているんでしょう?」 「……」 水銀燈は一瞬だけ物憂げな表情になった。どうしたのかしら。 楽しんでる人間が嫌いとか、そういう感じ? 「水銀燈も準団員なんだから、いくらでもあたしたちと遊べるわよ!」 「言ったはずよ。私はままごとには付き合わない」 元の強い口調に戻った。……この子、ただのツンデレドールじゃないのかもしれないわね。 ―― 「素直じゃないのねあんた。まぁいいわ。……あたしにもそういうとこあるからね」 ハルヒは少しだけ悲しそうな顔になった。何? ヒロインぶってるつもり? こんなに理解不能な女は初めてよ。真紅のほうがまだ分かりやすい性格をしてるかもしれないわね。 真紅……。なぜあなたがお父様の愛情を独占できるの? あなたはいつだって私の上にいた。妹なのに、どうして? 歩けなかった私を見ていた時のあの笑顔。……憎らしいったらない。 最初から私を見下していた。 自分がお父様の愛情を一番に注いでもらえると知っていた。 その上で私がお父様に会えないとも分かっていた。 なのに真紅、あなたは私に何て言った? ……あなたなら会えるわ、きっと。お父様に。 「だから私は幸せそうにしている人間が大嫌いなのよ!!!」 私は苛立ってティーカップを壁に叩きつけた。カップは割れ、紅茶が辺りに散った。 「水銀燈……?」 ハルヒは私を見ていた。私が何を考えていたのか読み取ろうとしているような表情。 「私に構わないでって言っているでしょう! 早く契約を解除しなさい!」 私はハルヒが空にした二つ目のカップを手に取る。 ―― 「水銀燈。何があったのか知らないけど、あんまり家の食器に当たらないでくれる?」 あたしは水銀燈の小さな手に触れた。……柔らかい。本当に人形なのかしら。 「私はあんたのような幸福な運命とは無縁なのよ! あんたみたいなのは目障り! 私は……真紅を許さない。必ず倒してアリスになる。だから――」 「落ち着きなさいよ水銀燈。あたしはあんたと出合ってまだ一時間だし、何がどういうことなのか全然さっぱりだけど、あんたの敵にも味方にもなるつもりないわ。あんたは貴重な団員で、ツンデレ補完要員なんだからね」 「私は……真紅を……っ!」 「あのね。何て言ったっけ? その……、アリスゲーム? それがそんなに大事なわけ? 他のドールを倒すって、どうしてそう闘いばっかりしたがるのか分からないわ。あたしも 勝負事は大好きだけどね、誰かを憎んでまで闘おうなんてこれっぽっちも思わない。 他に楽しいことを見つけなさいよ。そうすれば――」 「うるさい! 私に偉そうにお説教しないで!」 相当歪んでるのね……この子。何がここまでこの子を追いつめているんだろう。 アリスゲームってそんなに重要なことなの? こんなに綺麗な顔しているのに、どうして一度も笑わないのかしら。 この子には笑顔が一番似合うと思うのに。 「わかったわ。それじゃ落ち着くまで部屋の中を好きなように荒らしなさい。あたしは口出ししないから。でも、契約を解除するつもりはまだないわ。このままじゃあたしの気分が悪いからね」 水銀燈は強張った顔のまま無言でいた。ふたつ目のティーカップを握り締めて。 ―― 永い時間。 私は夢を見て眠っていた。 お父様、真紅……。目が覚めたのはどうしてなの? あの時……私はお父様に愛されずに見捨てられたと思っていた。 深い海の底で、終わりのない眠りに就くのだと覚悟していた。 それなのに、お父様は私にローザミスティカを授けてくださった。 一緒に言われた言葉と、お父様の声を、私は今も覚えている。 「……」 ふとハルヒのほうを見る。 窓辺から外を見ている。夏の夕陽が、ハルヒの顔を照らしている。 この子、大人しくしていれば綺麗なのね。 私と来たら、力が使えなくなったからって感情的になりすぎた。 この子は何も関係ない。闘いとは無縁。 なのに私に余計な心配をしている。 ……どうして? 「これから話すのはあたしの独り言よ」 出し抜けにハルヒが言った。窓の外を見たままで。 何を言い出すのかしら。 ハルヒはしばし黙り、それから少し言いづらそうにして、 「あたしがSOS団をつくった本当の理由」 夕陽が、部屋の中を黄金色に染めている。 ―― 何を話しているんだろう。あたしったら今日はどうかしてるわね。 相手が人形だから? ううん、そんなことない。……きっと、気まぐれね。そんな日もあるのよ。 「キョンって団員がいるのよ。さっきも言ったけど。そいつはあたしの話を馬鹿にしなかった最初の人だったわけ。呆れてはいたかもしれないけど、それでもあたしの考えをどうにか理解しようとしてたように見えた。それまで、宇宙人なんかいるわけないって、ハナっから決めてかかるような奴や、自分が未来人だってからかってくるような冷やかしばっかりで、誰もあたしが本気で不思議な現象を探してるなんて思ってなかった。いつも頭のおかしい人扱いよ。だからってへこたれたりしなかったけど。むしろ余計に腹が立った。必ずこの世の不思議を見つけてやるって、高校に入るまでの三年間ずっと躍起になってた。来る日も来る日も、不思議なことなんて起こらなかったけど、あきらめたくなかった。気付いたら中学を卒業して高校生になってた。入学式の日に宇宙人や未来人は自分のところへ来いって言って、間もなくクラスの人と距離を感じ始めたわ。そんな時に現れたのがキョンだった」 一瞬だけ水銀燈の方を見た。無表情にあたしの隣に視線を落としている。 「……独り言なんでしょ。続きを言いなさいよ」 「え。あ、うん」 水銀燈のつぶやくような台詞に目を覚まされたような感覚になった。 「……あたしはその時には、これで何も起こらないんだったら、不思議探しはもうおしまいにしようって思ってた。だから、話相手になってくれるだけでも、キョンがいることはありがたかったのよ。なかなか素直に答えてあげられなかったけどね」 ……水銀燈は大人しくあたしの話を聞き続けた。 ―― この子。底抜けに明るいだけの女かと思ったら、違ったのね……。 むしろ、今まで孤独と闘っていた。一人きりで。 ハルヒが見せる表情は溜息の色に満ちていた。 三年間。鞄の中で眠っていればほんの束の間。 けれど人間にとってそれは有限の一生の一部。 ハルヒは話を続ける。 「イライラしてた矢先に、キョンの一言であたしは部活を作ることを思いついた。あたしが これだって思った人を集めて、自ら不思議を探しに行ったり、謎を募集したりするわけ。 そんなこと考えたこともなかった。不思議な現象は、あたしの身近に用意されてるとば かり思ってた。あたしはそれを一人で見つければいいって、そう思ってた……。キョンは、 あたしから消えてしまいそうだった希望を戻してくれた。面白いことを探す場所を作るき っかけを与えてくれた」 話の間中、辛そうに見えた表情は、最後だけ薄い微笑になった。 「だからあたしは、自分が楽しいと思うことや、不思議に思うことをこれからも探し続けるの。 そうしている限り、笑っていられる。あの時みたいに、孤独にもならない」 ハルヒは膝に顔を埋めるようにした。表情が分からない。 私は何を言えばいいのか分からなくなる。こんな感情、知らないはずだった。 「……」 私はめぐの顔を思い出す。 今、あの子はどうしているだろう。私はどうしてあの子から逃げたのだろう。 あの子の苦しむ顔は、見たくなかった。 あの子は、私を必要としていた。 私には、それが苦痛だった。 誰かに必要とされたことなんか、今まで一度もなかったから。 めぐ……。 「あなたも、ずっと闘っていたのね」 私はハルヒに言った。 ―― 水銀燈の言葉にあたしは顔を上げた。 自分のせいかもしれないけど、中学時代の憂鬱を思い出してしまった。 「ごめんね。不幸自慢なんかするつもりはないのよ! あんたこういうの嫌いそうだし! そうね、あたしといるのが本当にイヤなら、今契約を――」 「二日」 「え?」 水銀燈はうつむき気味につぶやく。 「二日間だけあなたをミーディアムにしておいてあげるわ。でも、二日経ったら私はあなたの元を離れる。私には戻らなければならない場所があるから」 「……」 あたしはぽかんとしていた。……どうして? 「ほんとにいいの?」 「同じことを繰り返すのは好きじゃないわ。どうするの。私をここに置くか、置かないか」 ―― 私ときたら、本当にどうかしてるわ。 この家にたどり着いたのも運が悪かったわね。 まったく、どうしてか自分でも分からないもの。 「それはもちろん……」 ハルヒはぽつんと言う。その表情が見る見るうちに明るくなる。 最初に、私を見たときのように。 「あんたはSOS団の夏季限定団員! 二日間? ちょっと少ない気もするけど、特別にそれで勘弁してあげるわ。サマーバーゲン半額セールよ!」 ……分かりやすい子ね。ほんとに理解できない。 一時的にでもこんな子をミーディアムとして選ぶんだから、私も理解されないかしら? 「水銀燈、今……」 「……な、何よ! あらかじめ言っておくけどね。そんなお涙頂戴話、反吐が出るのよ。 次にそんな事言うようだったら、今度こそあなたを痛い目にあわせてあげる」 「望むところよ! あたしだって、人形相手に手加減したりしないんだからね」 「それじゃ、まずは紅茶の葉を買ってきなさい。話はそれからよ」 ―― 早速の憎まれ台詞。なかなか見所のある子じゃないの。気に入ったわ。 「団長をこき使おうだなんていい度胸してるじゃない。いいわ、買ってきてあげるわよ。 その代わり、お茶のいれ方をあたしが完璧に覚えるまであんたはあたしの臨時教 師よ。今さら後悔しても無駄なんだから!」 「あら、あなたにまともな紅茶がいれられるのかしら? 30000時間かかっても無理な んじゃなーい? 言っておくけど、私は厳しいなんて言葉じゃ甘すぎるくらいビシバシ 行くわよ?」 やってやろうじゃないの! これで面白くなってきたわ。ひさびさにいい勝負ができそうね。 「それじゃ握手しましょ! 弟子と師匠の誓いってことで!」 あたしは水銀燈に片手を差し出した。 水銀燈は後ろを向くと、 「嫌よ。言ったはずじゃない。馴れ合いはうんざりなのよ。さっさと買い物に行くといいわ」 「分かったわよ。待ってなさい! 五分で帰ってきてあげるから!」 ―― ハルヒはそう言うとドアを下品に閉めて出て行った。……疲れる子ね。 私が紅茶のいれ方を教えるですって? 自分で自分を嘲笑したくなるわね。 今なら真紅を容赦なく八つ裂きにできそうな気分だわ。 私はあらためて室内を見渡す。 黒い羽が一枚。割れていないカップと割れたカップ。飛散した紅茶。 そういえばこれは私に非があるわね。謝るのは癪だからあの子が帰ってくる前に片付けましょう。 西日が真夏の夕方を金色に染めて、私にはまぶし過ぎる光を室内に運んだ。 これは束の間の休戦。そして束の間の偶然。 その間だけは、この羽を使わなくてもいいかしら。 アリスゲームやお父様のことも、考えなくていいかしら。 私はふっと息を吐くと、ティーカップの破片を集め始める。 欠片が誰も、傷つけないように。 それが彼女との出会いだった。まったくの突然。 夏のひと時、私に舞い降りた……束の間の休息。 (おわり)
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/198.html
何時何処で何が起こるのかわからない。だから、人生とは楽しいのだ。 たとえソレが災厄でも幸福な事でも何時何処で起こるかわからないからこそ楽しい。 人生とはそう言うものである。 そう、今回は有栖学園の職員室でソレは起こった。 事の始まりはそう、やっぱり我が愛すべき校長ローゼンの馬鹿馬鹿しい発言である。 こう言うことに限っては、この有栖学園は不足するという事が無い。 むしろ、不足してくれと願う教師が多い事だろう。 「よし! 今日は大掃除な!」 馬鹿馬鹿しいのかよくわからないが、まだ夏休み前でも冬休み前でも……無論春休み前でもない。 なのに、この校長はにこやかな笑みを浮かべてそう言った。何故か女性のスーツを着ているのが違和感。 まぁ、ボディービルダー顔負けの体格無く、男らしい顔も女性らしく…… 何をどうやれば、そんな体格を変形させれるんだ? と、ヨガ真っ青な状態である。 ちなみに、ラプラスはとうとう胃をおかしくして入院してしまった。 ラプラスが入院する前の最後の言葉は「仕事しろよ……馬鹿……校長」である。 その言葉を聴いた生徒ならびに教師一同は目頭が熱くなったのを覚えている。 とりあえず、今日は全ての授業がつぶれ校内大掃除になった。 大掃除……とは、言うモノの本格的な大掃除は大晦日を過ぎてから数日後に業者が来てちゃんとするのだが 生徒と教師による大掃除は年に三回。春休み・夏休み・冬休みの前日である。 つまり、この大掃除を入れれば四回する事になる。 ぶっちゃけ、生徒ならびに教師は乗り気でない。 真紅のクラスを見てみても分かる。 「○○君。紅茶のお代わりをお願い」 「先生、それで三杯目ですよ?」 「やる事が無いからいいのよ。大掃除だなんて優雅でないわ」 「まぁいいっすけど」 こんな感じである。無論掃除といっても教室掃除と担当箇所の掃除を終えただけで終了している。 他のクラスもそんな感じであるのだが…… 一つだけ、違ったクラスがあった。 それは雪華綺晶が担任のクラスである。 何故か、シンと静まり返っている教室に響くカチャカチャと言う小さな金属音。 男子生徒の約半分と女子生徒の三分の一が、その作業に没頭している。 他の生徒達は、思い思いにグラウンドで掃除と言う名目で遊んでいたり 図書室でやっぱり掃除と言う名目で、本を読んでいたりしている。 ソレはおいておいて……さて、この教室に残っている生徒と雪華綺晶を含め全員『射撃部』の部員である。 雪華綺晶は、部員じゃなくて顧問なので間違えないように(当たり前だろ) さて、その射撃部一同が何をやっているのかと言うと…… 「……………あと、二、三発でジャムる所だった……」 「げっ……銃口んとこが欠けてる」 「○○君。油」 狙撃……射撃部らしく、愛銃の手入れである。 確かに、大掃除には部室や部活動で使用する道具の掃除とあるが…… テニス部なら、テニスラケットのガットを張りなおすとかボールを綺麗にするとかなのだが…… 射撃部ゆえに、銃。 まぁなんで、射撃部なのにMP5-A3(サブマシンガン)とかPROJECT-90(P90)とか 射撃にほぼ確実に使わないモノまであるのは謎であるが…… しかし、ラドム(ポーランド軍制式ピストル)とかガリル(イスラエル国防軍制式突撃銃)とかスチェッキン(大型自動拳銃)とか なんだこの万国銃博覧会みたいな品揃えって感じである。 ちなみに全てモデルガンであるが……本物は雪華綺晶が所持しているという情報が出ている。 そんな感じで、次々と銃の掃除をしていく面々。 非常に暗い。つーか、間違えたら犯罪者予備軍とか危険物所持者として逮捕されてもしょうがない。 アストラ(短機関銃)チェスカ(セミオートマチックピストル)エルマ(エルマ・ベルケMP40短機関銃)ドラグノフ(セミノート狙撃銃) 出るわ出るわ……本当に、万国銃博覧会開けるんじゃないかぐらいに銃が出てくる。 「よし……皆、各々の獲物を持て」 カシャンッと、雪華綺晶は自分の愛銃ベレッタに弾を装填すると教室に居た生徒にそう告げる。 射撃部の生徒全てが、思い思いの銃を手に取る。 「残りの銃を全てしまえ………しまったな? よし、行くぞ……敵はローゼン」 雪華綺晶の言葉に、ザワッと生徒達の間に同様が見える。 このまま射撃場へ行き、試し撃ちをするのかな? と、思ってた矢先に敵はローゼンと言われたらそりゃ驚く。 「教官。何故ローゼン校長が?」 生徒の一人が、雪華綺晶(部活動中は教官と呼ばせている)に問いかけると、雪華綺晶はギラリとその生徒を見る。 「ヤツは、我が妹にセクハラをした」 女子生徒一同はその言葉に、無言で銃に弾を込める。薔薇水晶のファンの男子生徒も同じく。 「ゴーグルをしていないモノには、銃を撃ってはいけない……だから……○○。貴様に重要な任務を任せる」 「はっ!」 要するに、無理やりゴーグルつけて狙い打ち。と言うわけである。 「な?! ちょっ!? 何を!??!!」 突然の出来事に、対応できないローゼン。ラプラスだったらすぐさま逃亡するのだが そのラプラスは、神経性胃炎が酷く現在入院中。しばらくは俺の天下だな。とのんきに思ってた矢先の出来事である。 無理やりゴーグルをつけられたローゼン。 「教官!」 「第一軍撃て!!」 すぐさま、ローゼンから離れた○○は影に隠れていた雪華綺晶にそう声をかけると直ぐに号令をかける。 ローゼンめがけて飛んでくるBB弾の嵐嵐嵐。 「いてぇ! いてててて!! ちょっ!? ま?!」 「続けて第二軍撃て!!」 弾が切れたのを見計らって直ぐに、第一軍を引かせ、後ろに控えていた第二軍に狙撃を命ずる雪華綺晶。 織田信長が、使った有名な陣は、こんなところで有効利用。 「よ、よくわからんが。俺がわるかった!! だから、やめ! ちょっ! 人のはな!」 ローゼンの言葉を無視して、狙撃は続く。 ローゼンの目には、何故か入院中のラプラスの笑みが見えたりする。 あぁ、俺、ちゃんと仕事しとけばよかったなぁ……と、いまさらな事を思って床に倒れるローゼン。 「敵の殲滅終了。各自弾の回収と共に帰宅」 「了解しました」 雪華綺晶の言葉に、シンプルにそう答えて生徒達はBB弾を回収しその場を去っていく。 雪華綺晶は、倒れているローゼンに一枚の紙をペシッとつけた後、気が晴れたのかさっさとその場から去っていった。 『この者、セクハラにより成敗』 それから、ラプラスが退院してくるまでちゃんと仕事をこなすローゼンの姿があったとか。 この事が、薔薇水晶にしれて薔薇水晶から怒られる雪華綺晶の姿があったとか。
https://w.atwiki.jp/rozen-yuri/pages/116.html
そのひから 彼女は わたしの たったひとりの おねえちゃん。 朝のにおいで、目を覚ます。窓辺から差し込む、朝陽のにおい。 がちゃりと音を鳴らし、私は再び鞄の外の世界に触れる。 小さなあくびとともに、閉じていた目をゆっくりと開く。 ふと、上下の瞼の隙間に、見慣れぬものが映りこんできた。 何故…?この家に、私とお父様以外の存在があるはずがないのに…。 これは、一体なんだろう?という表情で私を見つめる「それ」。 「はじめまして、かしら。貴方は、一体どちら様かしら?」 口を開き、言葉を発した「それ」、いや、「彼女」。 (なァにこの子、サエないカンジぃ…) ――――人に名を訊くときは、まず自分から名乗るものよ。 だがその言葉は、まだ幼く見える彼女の前では、しまっておくことにした。 「…私は、ローゼンメイデン第一ドール、水銀燈。」 「第一ドール?じゃあ、貴方は私のお姉ちゃんなのかしら?」 彼女の顔がぱあっと明るくなるのと同時に、自分の顔が驚きに満ちてゆくのを感じた。 満面の笑みを湛えながら、彼女は名乗った。 「私は、ローゼンメイデン第二ドールの、金糸雀!よろしくね!お姉ちゃん!」 勢いよく、私の胸に飛び込んできた、彼女。 ほろりと綻んでゆく、私の、口元。 「うん…よろしくね。…カナ。」 そのあたたかいいきものを、むねにぎゅっと、だきしめた。 そのひから 彼女は わたしの たったひとりの いもうと。 商店街の福引で温泉旅行券(二人分)を当てた水銀燈であった 銀(さて、誰を誘おうかしら) 銀(真紅だったら…) 銀「…その本面白いの?」 紅「ええ」 銀「どんなとこが?」 紅「全部」 銀「そ、そう…」 紅「・・・・・・」 銀「・・・・・・」 銀(・・・とてもじゃないけど耐えられる気がしないわあ、とうことで却下) 銀(翠星石だったらどうかしらあ) 翠「温泉旅行ですか?」 銀「ええ、商店街で当たったの。一緒にどう?」 翠「そ、蒼星石も一緒なら行ってやっても良いですよ///」 銀「ああ、この招待券二枚しかないかr」 翠「じゃあいいです」ガチャッ 銀「・・・・・」 銀「はあ…無いわね」 銀「となるとやっぱあの子しかいないわね」 プルルル 金「もしもしー何か用かしら?」 金「温泉旅行?」 銀「ええ、一緒にどう?」 金「行くに決まってるかしらー」 銀「そ、そうじゃあ詳しいことは後で連絡するから」 金「うん、楽しみに待ってるかしらー♪」 銀「ええ、じゃあまた」ガチャッ 銀「なんで私にやついてるの…ばっかみたい///」
https://w.atwiki.jp/rozen-templa/pages/14.html
2 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■「Rozen Maiden」と「ローゼンメイデン」 「Rozen Maiden」 …コミックバーズ誌上で連載されていた作品。物語の第一部にあたる。 「ローゼンメイデン」…ヤングジャンプ誌上で連載中の作品。物語の第二部にあたる。 ■「バーズ版」と「新装版」 「バーズ版」…バーズコミックスから刊行された「Rozen Maiden」の単行本。現在絶版。 「新装版」 …「バーズ版」の内容をヤングジャンプコミックスから刊行しなおした単行本。 漫画の内容は「バーズ版」と同じだが、描き下ろし表紙・扉絵・ポストカード、 連載時のカラーページを再現などの特典が盛り込まれている。 ※なお、「ローゼンメイデン」の単行本は現在発売未定。 ●詳しい説明 : ttp //(説明ページ) ■掲載・発売日情報 【YJ掲載情報】 次回は39号(8/28発売)に掲載予定 ●集英社 週刊ヤングジャンプ公式サイト - Web YOUNG JUMP : ttp //yj.shueisha.co.jp/ ●ローゼンメイデン - Web YOUNG JUMP : ttp //yj.shueisha.co.jp/manga/rozen/ 【新刊発売情報】 ●新装版4巻の発売日 : ttp //comics-news.shueisha.co.jp/common/shinkan/#yjump ●新装版5巻の発売日 : ttp //comics-news.shueisha.co.jp/common/shinkan/index2.html#yjump 2 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■新規読者にありがちな質問 Q.新装版はBIRZ版と内容が違うんですか? A.話の内容は同じです。新装版の特徴は表紙・扉絵が書き下ろしであること、連載時の カラーページがカラーで再現されていること、巻末にポストカードがついていること、 BIRZ版にあった誤植などが直されていることです。値段は¥780とやや高めですが、 上記の特徴に価値を見出せるのであれば買う価値は十分にあるでしょう。 Q.BIRZ版は全8巻で、新装版は全7巻の予定のようですが、どうして巻数が違うのでしょうか? A.7人のドールを第1ドールから順番に1人ずつ表紙に載せるために全7巻にしたものと思われます。 1~3巻は新装版とBIRZ版共に収録話数は同じですがでは4巻から若干ズレています。 従って、4巻以降で新装版とBIRZ版とを混ぜて買いそろえると読めない話が出てくるので要注意。 Q.YJで連載している「ローゼンメイデン」は新装版(BIRZ版)の続きなのですか? A.その通りです。新装版は”巻いた世界”の中学生の桜田ジュンの話、YJで連載している 「ローゼンメイデン」は今のところ”巻かなかった世界”の大学生の桜田ジュンの話です。 現在連載されている話は新装版を読んだことのないYJからの読者でも内容が理解できるように 配慮がなされていますが、内容をより深く理解したい人には新装版の購読をお勧めします。 Q.新装版7巻のBOXって何ですか? A.詳しくはこちらをご覧ください → ttp //yj.shueisha.co.jp/info/rc7box/ Q.ドールの名前の読み方がわかりません。 A. _をご覧ください。 2 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■言葉の説明 ●「Rozen Maiden」(タイトルはローマ字表記) ・月刊コミックバーズ(幻冬舎コミックス)誌上で2002年から2007年まで連載された。 真紅を“まいた”中学生の桜田ジュンの物語。 ○バーズ版(旧版・幻冬舎版とも呼ばれる) ・バーズコミックスから刊行されていた「Rozen Maiden」単行本。全8巻。 現在は絶版となっている。 ○新装版 ・ヤングジャンプコミックスから刊行されている「Rozen Maiden」単行本。全7巻(予定)。 連載が週刊ヤングジャンプに移籍してから、バーズ版「Rozen Maiden」を刊行しなおしたもの。 ・収録されている話の内容はバーズ版と同じであるが、表紙・扉絵が描き下ろしであるほか、 連載時のカラーページがカラーで再現されており、巻末にはポストカードが付いている。 2008年4月から11月まで一ヶ月に一巻ずつ刊行中(ただし10月は刊行されない)。 価格は各巻780円(税込)。 ・最終7巻には完全予約限定の初回限定版も刊行される。 ※詳細 : ttp //yj.shueisha.co.jp/info/rc7box/ ・バーズ版より巻数が減っているのは、バーズ版8巻の収録話数が少ないため、 4巻から一巻あたりの収録話数を増やして全7巻にまとめるものと思われる。 現時点では、4巻はバーズ版より一話多く収録されている。 ●「ローゼンメイデン」(タイトルはカタカナ字表記) ・週刊ヤングジャンプ(集英社)誌上に移籍し2008年4月から月一で連載中。 真紅を“まかなかった”大学生の桜田ジュンの物語。 ストーリーは「Rozen Maiden」からの続きとなっている。 なお、現在のところ単行本の発売は未定である。
https://w.atwiki.jp/rozen-templa/pages/11.html
【PEACH-PIT】ローゼンメイデン TALE 26 2 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■このスレは、PEACH-PITの漫画ローゼンメイデンの単体スレッドです。 ■連載ネタバレは、YJ通常発売日(木曜0時以降から)、原作ローゼンメイデン以外の話題は該当スレでお願いします。 なお、掲載日直前は、漫画サロン板にネタバレスレがたちます。 ネタバレ会話はそちらへお越し下さい。 ※とはいえ、ネタバレが晒される場合もありますので、自己自衛を徹底して下さい。 ■次スレは 960を踏んだ人が必ず宣言した上で立てて下さい。 立てられない場合はその旨を報告して下さい。 30分以上、反応ない場合は代理に立候補し、宣言して立ててください。 ※新スレが立ったら、前スレが埋まってから使用して下さい。 1000取ったら、いい事あります。 ■専ブラ導入することで、人大杉、荒らしなどで不快な思いを軽減することが出来ます。 ■なお、ここは原作準拠のスレです。 アニメと原作は内容が違うのでご注意下さい。 【前スレ】 【PEACH-PIT】ローゼンメイデン TALE 25 http //changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1215933046/ 【関連スレ】 PEACH-PIT総合スレ Part17 http //anime3.2ch.net/test/read.cgi/comic/1208886556/ ★ ヤングジャンプ総合スレ Part57 ★ http //anime3.2ch.net/test/read.cgi/comic/1214556300/ ローゼンメイデン ネタバレスレ 10 http //anime3.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1213455807/ 【漫画】「ローゼンメイデン新装版」3巻発売 表紙は「ツンデレ兵器 翠星石」 http //news24.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1214543746/ 【外部HP】 原作者・公式サイト「もものたね」 :ttp //p-pit.net/ ヤングジャンプ :ttp //www.s-manga.net/mens/yj.html 過去ログ倉庫 : ttp //rozen-thread.org/ Rozen Maiden AA集:ttp //i.cool.ne.jp/rozen-aa/ Rozen Maiden AA集2 :ttp //www.mangaaa.net/index.php?%BA%F7%B0%FA%2F%A5%ED 3 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■掲載・発売日情報 【ヤングジャンプ掲載情報】 次回は33号(7/16水曜日発売)に掲載予定 ※発売日に注意 集英社 週刊ヤングジャンプ公式サイト - Web YOUNG JUMP ttp //yj.shueisha.co.jp/ ローゼンメイデン - Web YOUNG JUMP ttp //yj.shueisha.co.jp/manga/rozen/ 【新刊発売情報】 新装版4巻の発売日 ttp //comics-news.shueisha.co.jp/common/shinkan/index2.html#yjump 4 :名無しんぼ@お腹いっぱい ---------------------------------------------------------------------- 人大杉回避のため専ブラ使ってNE ?NGID、レスの抽出色々出来て便利 ---------------------------------------------------------------------- ●JaneStyle:ttp //janestyle.s11.xrea.com/ ●Live2ch?:ttp //www8.plala.or.jp/uro/live2ch/ ●ギコナビ?:ttp //gikonavi.sourceforge.jp/top.html 携帯専ブラ ■iMona?ttp //imona.k2y.info/taio/ ■べっかんこ?ttp //u.la/ 5 :名無しんぼ@お腹いっぱい ★NG推奨コテ フェイト ◆Fate///C26 党員 ◆SUIGINtLCk ※注意事項 金糸雀の話題に1つずつアンチレスをする荒らしがいます。 絶対に触れないようにしましょう。 金糸雀関連に限らず、アンチや荒らしににイライラした人はこちらでストレスを発散して下さい。 【ローゼンメイデン】金糸雀アンチ【Rozen Maiden】 http //tmp7.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1215173813/ 6 :名無しんぼ@お腹いっぱい ■真紅とみんなのお約束 ____ ______ _______ |書き込む| 名前: | | E-mail(省略可): |sage |  ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .ィ/~~~ 、 。 、_/ /  ̄`ヽ} / ,》@ i(从_从)) / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||ヽ|| ゚ -゚ノ| ||/ < ここに「sage」(半角)といれるのよ || 〈iミ 介 ミiつ \______________ ≦ ノ,ノハヽ、≧ テ ` -tッァ- テ ●ここは基本的にsage進行よ。 ●他作品のスレを荒しに逝くのは許さないわ。 ●個人サイトの画像の直リンは良くないわ。専用の画像掲示板を利用して頂戴。 ●安易な他作品との比較は自重することね。それを利用した煽りもスルーしなさい。 ●次スレは 950が立てるのよ。重複を防ぐためにしっかりと『宣言』しなさい。 ●次スレは立ってもスレ立て人が前スレにリンクを張るまで書き込みは我慢することね。 ●新装版5巻は1人10冊買いなさい。これは「命令」よ 7 :名無しんぼ@お腹いっぱい 【ドールの説明】 第1ドール:水銀燈 (すいぎんとう) 人工精霊:メイメイ 契約者:柿崎めぐ 第2ドール:金糸雀 (かなりあ) 人工精霊:ピチカート 契約者:草笛みつ 第3ドール:翠星石 (すいせいせき) 人工精霊:スィドリーム 契約者:桜田ジュン (phase43で契約解除) 第4ドール:蒼星石 (そうせいせき) 人工精霊:レンピカ 契約者:結菱一葉 第5ドール:真紅 (しんく) 人工精霊:ホーリエ 契約者:桜田ジュン (phase43で契約解除) 第6ドール:雛苺 (ひないちご) 人工精霊:ベリーベル 契約者:柏葉巴 (phase6で契約解除) 第7ドール:雪華綺晶(きらきしょう) 人工精霊:? 契約者:オディール・フォッセー
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1962.html
「……! あんた、誰!?」 「私? 私は水銀燈。ローゼンメイデンの第一ドール」 それが彼女との出会いだった。まったくの突然。 夏のひと時、あたしに舞い降りた…… ――束の間の休息―― 「魔女?」 「ま、魔女ですって!? あなた、それを誰に向かって言っているの!」 「ていうかあんた人形? どうして自力で動けるわけ? すごいわね!!」 綺麗な人形だった。凛としていて気品がある。 「ちょっと、気安く触らないでちょうだい!」 「あんた、何でここにいるの?」 水銀燈と名乗るその人形は、あたしの問いに一瞬だけうつむくようにすると、 「ちょっと飛べなくなったから、休んでたのよ。この部屋、私の好みには合わないけど、悪くないわね」 「あんた」 「なぁに?」 「瞳が綺麗ね……」 あたしは水銀燈の瞳に見入っていた。何でできているんだろう。 あたしが見つめていると水銀燈は急に気がついたように首を振り、 「あなた。私が美しいのは当たりまえなのよ。私はローゼンメイデン。お父様が完璧な少女アリスを目指すよう、私をお作りになったのだから……」 ―― 「……なるほどね。あんたの他に6体のドールがいて、あんたはそいつらを倒さないといけないわけか」 何なのこの子。あっさりと私の説明を受け入れるなんて、どうかしてるんじゃないかしら。 「あなた、こんな簡単な説明で信じちゃうの? どれだけ能天気な頭してるのよ」 私がそう言うと涼宮ハルヒと名乗るこの部屋の主は、 「だって、面白いじゃないの! ひとりでに動く人形よ! これこそあたしの求めていた不思議なんだわ!」 そう言って大きな瞳をキラキラ輝かせた。何がそんなに楽しいって言うの。腹が立つ。 「いいわ! 何日でも置いてあげる! 丁度今は夏休みだしね。キョンは田舎に帰ってて呼び出しようがないし……」 何かブツブツとぼやいている。この子、やっぱりどこかおかしいのかしら? 「水銀燈、って言ったっけ? これからよろしく!」 無邪気な笑顔。この子、子供ね。 「私はあんたみたいな幸せそうな人間が大嫌いなのよ。虫唾が走るわ」 そう言うと涼宮ハルヒは目をばしばし瞬かせた。 「あんたってもしかして……」 「何よ」 「根暗? それかツンデレ?」 「何ですって!」 まさかこの子が私のミーディアムになるなんてね。……私もどうかしてたとしか思えないわ。 「何この指輪! 綺麗ね!」 「気安く触らないで!」 「見せてくれたっていいじゃないの!」 「放しなさ……きゃぁっ!」 「あぁっ!!」 私とハルヒはもつれ合って倒れた――。 ―― 「うーん……痛いじゃないの」 「こっちの台詞よ」 あたしと水銀燈はもつれ合って倒れた。 「……なんてこと!」 水銀燈が何か叫んでいる。 「どうしたのよ」 あたしは身を起こしつつ訊いた。水銀燈は床に立ってヒステリックに震えている。 「あなた! ちょっと指を見せて」 水銀燈に手を取られた。あれ……? 「何これ? 指輪?」 「あなた! いますぐ私の指輪に口づけしなさい!」 「何でよ? っていうかこの指輪何なの?」 「いいから早く!」 水銀燈は肩と表情をいからせてあたしに迫ってきた。顔が綺麗だから迫力があるわね。 「ははーん。さては、この指輪を外さないとここから出て行けないとか、そんな感じなんでしょ?」 水銀燈は一瞬だけ顔をひきつらせた。なるほどね。 「違うわよ。……とにかく、早くしなさい。さもないと、痛い目を見るわよ?」 もうバレバレよ。偶然とはいえラッキーだったわ。 ―― 何て勘の鋭い女なの!? ただの能天気かと思ったけど、意外と厄介ね。 「早くなさい!」 私は威嚇のために羽を一枚飛ばした――、 「……」 「あら、どこから出したの? その羽」 ひらひらと黒い羽が私の足許に舞い降りた。……そうだったわ。今飛べないんだった。 「あんた、かなり不思議な力を持ってそうね! 気に入ったわ! これからしばらく、わが SOS団臨時団員に加えてあげる!」 何を言っているの、この子。何だか嫌な予感しかしないわ。 かくなる上は……。 「はぁぁぁっ!」 「おっと! 甘い甘い! 無理矢理指輪にキスさせようったってそうは行かないわ! あたし最近ヒマでヒマでしょうがなかったから。仲良くしましょ、水銀燈!」 飛び掛った私は見事ハルヒに抱きかかえられてしまった。 ……くそ。こんなはずじゃないわ! というかこの子、どうして私のミーディアムになったのに私に力が宿らないの? それに、さっきより力が落ちている気すらするわ。 「どうしたの? 水銀燈」 「何でもないわ。ほっといて頂戴」 ―― 「ねぇ、水銀燈?」 「何よ。さっきからうるさいわね。あなた、いつもそんなやかましいわけ?」 「もうちょっと話してくれてもいいじゃないの。お茶まで出してあげたんだから。 団長の心遣いに感謝しなさい!」 「こんな出がらしみたいな紅茶、飲む気も起きないわ」 「あんた……ほんとにツンデレなのね! これは貴重な人材だわ!」 「……何言ってるのよ、さっきからあなた」 「わがSOS団にはツンデレ要員がいなかったのよ。あたしは正統派主人公キャラじゃない? キョンは巻き込まれ役、みくるちゃんが萌え担当で、古泉くんは謎の転校生、で、有希は 無口っ娘! あなた、見事に穴を埋めてくれたわ!」 「……」 「あれ、どうしたのよ水銀燈、急に黙っちゃって」 「……あなたたち、毎日楽しそうね。その、何とかって団体」 「SOS団のこと?」 「それよ。私にはままごとにしか思えないけど、それがあなたのその笑顔を作っているんでしょう?」 「……」 水銀燈は一瞬だけ物憂げな表情になった。どうしたのかしら。 楽しんでる人間が嫌いとか、そういう感じ? 「水銀燈も準団員なんだから、いくらでもあたしたちと遊べるわよ!」 「言ったはずよ。私はままごとには付き合わない」 元の強い口調に戻った。……この子、ただのツンデレドールじゃないのかもしれないわね。 ―― 「素直じゃないのねあんた。まぁいいわ。……あたしにもそういうとこあるからね」 ハルヒは少しだけ悲しそうな顔になった。何? ヒロインぶってるつもり? こんなに理解不能な女は初めてよ。真紅のほうがまだ分かりやすい性格をしてるかもしれないわね。 真紅……。なぜあなたがお父様の愛情を独占できるの? あなたはいつだって私の上にいた。妹なのに、どうして? 歩けなかった私を見ていた時のあの笑顔。……憎らしいったらない。 最初から私を見下していた。 自分がお父様の愛情を一番に注いでもらえると知っていた。 その上で私がお父様に会えないとも分かっていた。 なのに真紅、あなたは私に何て言った? ……あなたなら会えるわ、きっと。お父様に。 「だから私は幸せそうにしている人間が大嫌いなのよ!!!」 私は苛立ってティーカップを壁に叩きつけた。カップは割れ、紅茶が辺りに散った。 「水銀燈……?」 ハルヒは私を見ていた。私が何を考えていたのか読み取ろうとしているような表情。 「私に構わないでって言っているでしょう! 早く契約を解除しなさい!」 私はハルヒが空にした二つ目のカップを手に取る。 ―― 「水銀燈。何があったのか知らないけど、あんまり家の食器に当たらないでくれる?」 あたしは水銀燈の小さな手に触れた。……柔らかい。本当に人形なのかしら。 「私はあんたのような幸福な運命とは無縁なのよ! あんたみたいなのは目障り! 私は……真紅を許さない。必ず倒してアリスになる。だから――」 「落ち着きなさいよ水銀燈。あたしはあんたと出合ってまだ一時間だし、何がどういうことなのか全然さっぱりだけど、あんたの敵にも味方にもなるつもりないわ。あんたは貴重な団員で、ツンデレ補完要員なんだからね」 「私は……真紅を……っ!」 「あのね。何て言ったっけ? その……、アリスゲーム? それがそんなに大事なわけ? 他のドールを倒すって、どうしてそう闘いばっかりしたがるのか分からないわ。あたしも 勝負事は大好きだけどね、誰かを憎んでまで闘おうなんてこれっぽっちも思わない。 他に楽しいことを見つけなさいよ。そうすれば――」 「うるさい! 私に偉そうにお説教しないで!」 相当歪んでるのね……この子。何がここまでこの子を追いつめているんだろう。 アリスゲームってそんなに重要なことなの? こんなに綺麗な顔しているのに、どうして一度も笑わないのかしら。 この子には笑顔が一番似合うと思うのに。 「わかったわ。それじゃ落ち着くまで部屋の中を好きなように荒らしなさい。あたしは口出ししないから。でも、契約を解除するつもりはまだないわ。このままじゃあたしの気分が悪いからね」 水銀燈は強張った顔のまま無言でいた。ふたつ目のティーカップを握り締めて。 ―― 永い時間。 私は夢を見て眠っていた。 お父様、真紅……。目が覚めたのはどうしてなの? あの時……私はお父様に愛されずに見捨てられたと思っていた。 深い海の底で、終わりのない眠りに就くのだと覚悟していた。 それなのに、お父様は私にローザミスティカを授けてくださった。 一緒に言われた言葉と、お父様の声を、私は今も覚えている。 「……」 ふとハルヒのほうを見る。 窓辺から外を見ている。夏の夕陽が、ハルヒの顔を照らしている。 この子、大人しくしていれば綺麗なのね。 私と来たら、力が使えなくなったからって感情的になりすぎた。 この子は何も関係ない。闘いとは無縁。 なのに私に余計な心配をしている。 ……どうして? 「これから話すのはあたしの独り言よ」 出し抜けにハルヒが言った。窓の外を見たままで。 何を言い出すのかしら。 ハルヒはしばし黙り、それから少し言いづらそうにして、 「あたしがSOS団をつくった本当の理由」 夕陽が、部屋の中を黄金色に染めている。 ―― 何を話しているんだろう。あたしったら今日はどうかしてるわね。 相手が人形だから? ううん、そんなことない。……きっと、気まぐれね。そんな日もあるのよ。 「キョンって団員がいるのよ。さっきも言ったけど。そいつはあたしの話を馬鹿にしなかった最初の人だったわけ。呆れてはいたかもしれないけど、それでもあたしの考えをどうにか理解しようとしてたように見えた。それまで、宇宙人なんかいるわけないって、ハナっから決めてかかるような奴や、自分が未来人だってからかってくるような冷やかしばっかりで、誰もあたしが本気で不思議な現象を探してるなんて思ってなかった。いつも頭のおかしい人扱いよ。だからってへこたれたりしなかったけど。むしろ余計に腹が立った。必ずこの世の不思議を見つけてやるって、高校に入るまでの三年間ずっと躍起になってた。来る日も来る日も、不思議なことなんて起こらなかったけど、あきらめたくなかった。気付いたら中学を卒業して高校生になってた。入学式の日に宇宙人や未来人は自分のところへ来いって言って、間もなくクラスの人と距離を感じ始めたわ。そんな時に現れたのがキョンだった」 一瞬だけ水銀燈の方を見た。無表情にあたしの隣に視線を落としている。 「……独り言なんでしょ。続きを言いなさいよ」 「え。あ、うん」 水銀燈のつぶやくような台詞に目を覚まされたような感覚になった。 「……あたしはその時には、これで何も起こらないんだったら、不思議探しはもうおしまいにしようって思ってた。だから、話相手になってくれるだけでも、キョンがいることはありがたかったのよ。なかなか素直に答えてあげられなかったけどね」 ……水銀燈は大人しくあたしの話を聞き続けた。 ―― この子。底抜けに明るいだけの女かと思ったら、違ったのね……。 むしろ、今まで孤独と闘っていた。一人きりで。 ハルヒが見せる表情は溜息の色に満ちていた。 三年間。鞄の中で眠っていればほんの束の間。 けれど人間にとってそれは有限の一生の一部。 ハルヒは話を続ける。 「イライラしてた矢先に、キョンの一言であたしは部活を作ることを思いついた。あたしが これだって思った人を集めて、自ら不思議を探しに行ったり、謎を募集したりするわけ。 そんなこと考えたこともなかった。不思議な現象は、あたしの身近に用意されてるとば かり思ってた。あたしはそれを一人で見つければいいって、そう思ってた……。キョンは、 あたしから消えてしまいそうだった希望を戻してくれた。面白いことを探す場所を作るき っかけを与えてくれた」 話の間中、辛そうに見えた表情は、最後だけ薄い微笑になった。 「だからあたしは、自分が楽しいと思うことや、不思議に思うことをこれからも探し続けるの。 そうしている限り、笑っていられる。あの時みたいに、孤独にもならない」 ハルヒは膝に顔を埋めるようにした。表情が分からない。 私は何を言えばいいのか分からなくなる。こんな感情、知らないはずだった。 「……」 私はめぐの顔を思い出す。 今、あの子はどうしているだろう。私はどうしてあの子から逃げたのだろう。 あの子の苦しむ顔は、見たくなかった。 あの子は、私を必要としていた。 私には、それが苦痛だった。 誰かに必要とされたことなんか、今まで一度もなかったから。 めぐ……。 「あなたも、ずっと闘っていたのね」 私はハルヒに言った。 ―― 水銀燈の言葉にあたしは顔を上げた。 自分のせいかもしれないけど、中学時代の憂鬱を思い出してしまった。 「ごめんね。不幸自慢なんかするつもりはないのよ! あんたこういうの嫌いそうだし! そうね、あたしといるのが本当にイヤなら、今契約を――」 「二日」 「え?」 水銀燈はうつむき気味につぶやく。 「二日間だけあなたをミーディアムにしておいてあげるわ。でも、二日経ったら私はあなたの元を離れる。私には戻らなければならない場所があるから」 「……」 あたしはぽかんとしていた。……どうして? 「ほんとにいいの?」 「同じことを繰り返すのは好きじゃないわ。どうするの。私をここに置くか、置かないか」 ―― 私ときたら、本当にどうかしてるわ。 この家にたどり着いたのも運が悪かったわね。 まったく、どうしてか自分でも分からないもの。 「それはもちろん……」 ハルヒはぽつんと言う。その表情が見る見るうちに明るくなる。 最初に、私を見たときのように。 「あんたはSOS団の夏季限定団員! 二日間? ちょっと少ない気もするけど、特別にそれで勘弁してあげるわ。サマーバーゲン半額セールよ!」 ……分かりやすい子ね。ほんとに理解できない。 一時的にでもこんな子をミーディアムとして選ぶんだから、私も理解されないかしら? 「水銀燈、今……」 「……な、何よ! あらかじめ言っておくけどね。そんなお涙頂戴話、反吐が出るのよ。 次にそんな事言うようだったら、今度こそあなたを痛い目にあわせてあげる」 「望むところよ! あたしだって、人形相手に手加減したりしないんだからね」 「それじゃ、まずは紅茶の葉を買ってきなさい。話はそれからよ」 ―― 早速の憎まれ台詞。なかなか見所のある子じゃないの。気に入ったわ。 「団長をこき使おうだなんていい度胸してるじゃない。いいわ、買ってきてあげるわよ。 その代わり、お茶のいれ方をあたしが完璧に覚えるまであんたはあたしの臨時教 師よ。今さら後悔しても無駄なんだから!」 「あら、あなたにまともな紅茶がいれられるのかしら? 30000時間かかっても無理な んじゃなーい? 言っておくけど、私は厳しいなんて言葉じゃ甘すぎるくらいビシバシ 行くわよ?」 やってやろうじゃないの! これで面白くなってきたわ。ひさびさにいい勝負ができそうね。 「それじゃ握手しましょ! 弟子と師匠の誓いってことで!」 あたしは水銀燈に片手を差し出した。 水銀燈は後ろを向くと、 「嫌よ。言ったはずじゃない。馴れ合いはうんざりなのよ。さっさと買い物に行くといいわ」 「分かったわよ。待ってなさい! 五分で帰ってきてあげるから!」 ―― ハルヒはそう言うとドアを下品に閉めて出て行った。……疲れる子ね。 私が紅茶のいれ方を教えるですって? 自分で自分を嘲笑したくなるわね。 今なら真紅を容赦なく八つ裂きにできそうな気分だわ。 私はあらためて室内を見渡す。 黒い羽が一枚。割れていないカップと割れたカップ。飛散した紅茶。 そういえばこれは私に非があるわね。謝るのは癪だからあの子が帰ってくる前に片付けましょう。 西日が真夏の夕方を金色に染めて、私にはまぶし過ぎる光を室内に運んだ。 これは束の間の休戦。そして束の間の偶然。 その間だけは、この羽を使わなくてもいいかしら。 アリスゲームやお父様のことも、考えなくていいかしら。 私はふっと息を吐くと、ティーカップの破片を集め始める。 欠片が誰も、傷つけないように。 それが彼女との出会いだった。まったくの突然。 夏のひと時、私に舞い降りた……束の間の休息。 (おわり)
https://w.atwiki.jp/rozen-yuri/pages/265.html
「酷い雨だわ…」 憂鬱そうに灰色の空を見つめ、ひとつ溜め息を吐いた。 とある中学に通う少女、柏葉巴は部活の帰りだった。だが、途中で大雨に襲われ、慌てて雨宿りしていた。 「……すぐに止んでくれれば良いけど…」 何気無く呟き、暫くボーっとしていると、ふと気付いた。 「……?」 視線の先には、草むらがあった。その草むらが、微かに青く光っていたのだ。 「……何かしら…」 何故か気になり、草むらに歩み寄った。屋根がないので、冷たい雨は体を打ち始める。だが、大して気にせず光に向かっていった。 草むらを覗くと、青い発光体が何かの周りをぐるぐる回っていた。 「! これって…」 巴は見覚えがあった。発光体が周りを回る何かに、手を伸ばした。 「雛苺が寝てた…鞄……」 正しく言えば、伝説の人形、ローゼンメイデンが眠りに使う鞄だった。 「どうしてこんなところに………あ」 巴は鞄の異変に気付いた。鞄を開閉する留め具が壊れており、鞄は二つに別れていた。そのせいか、上の部分と下の部分との間に隙間が出来ており、雨が入り込んでいた。 「……とりあえず、放ってはおけないわね……」 周りに人気がない事を確認すると、巴は鞄を持って家に向かった。 ――――― シャワーからあがり、数枚のタオルを手に自分の部屋へ戻ると、青い発光体が何かを訴えるように鞄の周りを回っていた。 「やっぱりこの光と鞄は関係あるのね。人工精霊、だったかしら…」 呟きながら、鞄の上の部分を退かした。その中身を見て、思わず息を呑んだ。雛苺とは違う美しさを持った人形が横たわっていた。 「…………いけない、拭いてあげなきゃ」 我に戻ると、一旦人形を鞄から出し、広げたタオルの上に横たわらせた。 その間に、鞄に溜った水をタオルで拭き始める。 「………うん、こんな感じでいいかな。後は人形を……」 タオルごと人形を抱き、新たなタオルで軽く拭いた。その間、少しドキドキしたのは内緒である。 「………よし。後は……ん?」 突然、今までおとなしくしていた青い発光体が、鞄の中の何かを示すように回り始めた。 「……ゼンマイ?巻けって事?」 雛苺の事もあり、少しだけ抵抗があったが、手をゼンマイに伸ばした。 「事情は説明しないといけないわよね。起きてくれないと話せないし…」 ゼンマイを穴に差し込み、回し始めた。 昔は何度も回していた。が、今では回す事もなく、少しだけ懐かしく感じた。 ゆっくりと、人形の瞼が開く。 (…オッド、アイ…?) 「……だ、れ…?」 「…柏葉巴。雛苺の元ミーディアム。…あなたは?」 「…ローゼンメイデン、第四ドール……蒼星石………」 続かない
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/1260.html
Story ID cyzjuoaL0 氏 (301st take) ローゼンメイデンステッカーセット 500円 ローゼンメイデンのバンドロゴを初めに水銀燈の逆十字架、薔薇水晶の薔薇眼帯などバンドに由来したステッカーセットです! 楽器に貼るのも良し、車に貼るのも良し、PCや家具、バッグに等使い道は様々。 このシートで色々な物をローゼンメイデンテイストにカスタマイズしてみては? 短編連作SS保管庫へ