約 3,392,682 件
https://w.atwiki.jp/game_staff/pages/177.html
ロックマンDASH 鋼の冒険心 プレイステーション版 ニンテンドー64版 プレイステーションポータブル版 プレイステーション版 対応機種 プレイステーション 発売日 1997年12月18日 開発 カプコン 発売 カプコン STAFF 監督 河野禎則 世界観設定 河野禎則 伊藤和司 シナリオ 河野禎則 黒澤真 システムプランニング 兼森雄一 門井一憲 ゲームデザイン 門井一憲 兼森雄一 イベントプランニング 黒澤真 安間正博 ミニゲームプランニング 安間正博 絵コンテ 伊藤和司 演出 河野禎則 伊藤和司 シナリオ協力 池原実 キャラクター・メカニカルデザイン 伊藤和司 リーバードデザイン 石原雄二 テクスチャーコンセプト 伊藤和司 石原雄二 テクスチャー 石原雄二 上田啓司 高橋森 土林誠 桑山美恵子 モデリング 上田啓司 木元正文 續木由佳 荒生秀子 山下透 原田雅之 イベントモーション 荒生秀子 木元正文 續木由佳 上田啓司 オブジェクトモーション 荒生秀子 上田啓司 木元正文 續木由佳 加治勇人 門井一憲 効果 野津昭弘 藤澤毅 表情アニメーション 野津昭弘 服部義史 石原雄二 BGコンセプト 木嶋美紀 川鍋由紀子 フィールドテクスチャー 川鍋由紀子 衣笠葉菜 末吉英了 竹田学 フィールドモデリング 西尾麻矢 衣笠葉菜 鍋島基 ダンジョンテクスチャー 木嶋美紀 安田晶子 末吉英了 下川明美 ダンジョンモデリング 衣笠葉菜 室内テクスチャー 竹田学 末吉英了 吉岡真弓 室内モデリング 末吉英了 鍋島基 衣笠葉菜 西尾麻矢 BGデザイン 木嶋美紀 川鍋由紀子 安田晶子 上田夏栄 竹田学 タイトルデザイン 下川明美 鵜飼敏 フィールドオペレーター 木嶋美紀 メインプログラム 伊集院勝 システムプログラム 伊集院勝 松田幸悦 石川慎一郎 サウンドプログラム 松田幸悦 3Dプログラム 石川慎一郎 伊集院勝 イベントプログラム 松田幸悦 種田克教 新垣秀和 片岡道徳 伊東壮一 眞延厚司 中尾義治 青木俊充 西村佳哲 エネミープログラム 新垣秀和 橋本圭 種田克教 伴藤弘樹 坂野光徳 石川慎一郎 三膳正 エフェクトプログラム 三膳正 ミニゲームプログラム 中尾義治 ツールプログラム 橋本圭 片岡道徳 音楽 友澤眞 音響編集・音響効果 川上朝幸 音響効果 天岸真志 音響編集・台詞編集 梶野トシオ 音響演出 梶野トシオ 川上朝幸 天岸真志 友澤眞 オフィシャルイラスト 石川秀樹 末次治樹 加藤典子 解説書制作 本間雅子 岩崎あけみ バグチェック 仲晃照 柴田誠 松本学 元山寛 横田寛之 エンディングテーマ (省略) 挿入歌 (省略) SPECIAL THANKS 桑元秀悟 津田悦己 佐藤真一 佐藤貴之 富士川記一 大野哲也 山田希男 萬裕 柳口博昭 大谷美砂子 田渕哲也 須藤克洋 青木美智代 川野毅 高野美貴 寺田歩未 白岩卓也 中谷洋 上掛英司 ブレス オブ ファイアIII スペシャルレスキューチーム 神南スタジオ スタジオ・エコー セントラル録音 Sound Ring COPCOM PRODUCER GROUP …and CAPCOM ALL STAFF 制作 稲船敬二 河野禎則 ニンテンドー64版 対応機種 ニンテンドー64 発売日 2000年11月22日 開発 カプコン 発売 カプコン 64 STAFF 荒川惣太郎 川根真也 田中健吾 倉重由香 中川大洋 角本哲也 西井崇 石塚昌博 弥冨英樹 康原良信 田中直人 寺井寿男 本田龍彦 金子清巳 梶野トシオ 山添公雄 小林成光 片桐秀朗 田村千津子 中村裕子 佃香織 長岡実 中嶋浩二 白岩卓也 竹村学 第三開発部のみなさん アドバイザー 貞本友思 ディレクター 寺西勉 プロデューサー 三並達也 プレイステーションポータブル版 対応機種 プレイステーションポータブル 発売日 2005年8月4日 開発 カプコン 発売 カプコン "PSP(R)" STAFF 企画 外川有吾 プログラム 古川裕章 遠藤有亮 荒利光 音響編集 遠藤正之 メインビジュアル 日暮竜二 解説書制作 長岡実 バグチェック (割愛) SPECIAL THANKS 船原邦夫 林明日香 南出直人 中村裕子 岩崎弘典 有満隆弘 吉岡真弓 竹田学 曲師優子 谷野泰啓 村田明紀 丹澤源太郎 制作 稲船敬二 河野禎則 小野義徳
https://w.atwiki.jp/cwc_dat2/pages/474.html
ロックマンDASH2エピソード2 大いなる遺産 ロックマンDASH2エピソード2 大いなる遺産ID+ゲーム名お金&タンク ライフ&ウエポンエネルギー 色々 好感度修正 ウエポン バスターのパラメータマックス バスターのデータ上の最大値がB マップ名変更 DASH2のアホコード。 ID+ゲーム名 _S ULJM-05216 or _S ULJM-05037 _G Rockman Dash 2 2006/08/18(金) 23 04 44 ID 1RWXTNc9 お金&タンク _C Money _L 0x205ADD24 0x0098967F _C tank _L 0x205ADD6C 0x63636363 tankはライフ ウェポン、後は自分でよろしく。 2006/09/29(金) 09 23 53 ID irhM01+5 ライフ&ウエポンエネルギー _C1 LIFE INFINITY _L 0x008579A0 0x000000A0 _C1 SP WEAPON ENERGY INFINITY _L 0x20857AC0 0x7FFF7FFF _L 0x10857ACA 0x00000100 ※修正版で適応しています。 2006/09/29(金) 16 22 42 ID irhM01+5 色々 ロックマンDASH2追加 _C1 PLAY TIME 00 00 00 _L 0x205ADD1C 0x00000000 _L 0x205ADD20 0x00000000 _C0 GOOD FEELING 65535 _L 0x105ADD3E 0x0000FFFF _L 0x105ADD40 0x00000000 _C0 GOOD FEELING -65535 _L 0x105ADD3E 0x00000000 _L 0x105ADD40 0x00000202 ※GOOD FEELINGは好感度の意 好感度については攻略サイトなどを参照 好感度はどちらか一方のみをONにすること ゲームを進めながらだから、時間がかかりそうだ・・・ 2006/09/29(金) 18 20 55 ID irhM01+5 好感度修正 _C0 GOOD FEELING _L 0x205ADD3C 0xFFFFFFFF _L 0x105ADD40 0x00000000 _C0 NORMAL FEELING _L 0x205ADD3C 0x00000000 _L 0x105ADD40 0x00000101 _C0 BAD FEELING _L 0x205ADD3C 0x00000000 _L 0x105ADD40 0x00000202 町の人とロールちゃん共通 2006/09/30(土) 10 51 36 ID A5hmbq/8 ウエポン ロックマンDASH2追加 _C0 EQUIPMENT SP WEAPON _L 0x00857ABE 0x000000xx _C0 SP WEAPON ALL _L 0x10857EB0 0x0000FFF8 _C0 BUSTOR ALL _L 0x10857EB2 0x0000FFE3 _L 0x10857EB4 0x0000FFFF _C0 BODY ALL _L 0x10857EB6 0x0000060F _L 0x10857EB8 0x00003E0F _C0 ITEM ALL _L 0x20857EC0 0xFFF07F1F _L 0x20857EC4 0xF03FFFFF _L 0x10857EC8 0x0000FFFF 03 クラッシュボム 04 バスターキャノン 05 ハイパーシェル 06 ホーミングミサイル 07 アースクリーパー 08 バキュームアーム 09 リフレクトアーム 0A シールドアーム 0B ブレードアーム 0C シャイニングレーザー 0D マシンガンアーム 0E スプレッドバスター 0F アクアブラスター 10 リモートチャージ 11 ドリルアーム リモートチャージとドリルアームは、SP WEAPON ALLで出現しない(フラグが立ってない)ので、 出現させたい場合は、ITEM ALLで開発してもらう 2006/09/30(土) 11 17 18 ID A5hmbq/8 バスターのパラメータマックス _C1 BUSTER PARAMETER MAX _L 0x20857B34 0x07070707 2007/01/21(日) 11 37 30 ID V5J6OgZm バスターのデータ上の最大値がB _C0 BUSTER PARAMETER MAX _L 0x20857B34 0x0B0B0B0B KEY1→△ KEY2→○ KEY3→□ KEY3→× _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY1] _L 0xD082DEF2 0x00001E00 _L 0x00857ABE 0x00000004 _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY2] _L 0xD082DEF2 0x00002E00 _L 0x00857ABE 0x00000005 _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY3] _L 0xD082DEF2 0x00004E00 _L 0x00857ABE 0x00000006 _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY4] _L 0xD082DEF2 0x00008E00 _L 0x00857ABE 0x0000000E スタートメニューで武器切り替えをすると有効 2007/01/30(火) 01 30 01 ID 9ZgQOjHF マップ名変更 _C MAP Name Change _L 0x205ADD0C 0x00000003 マップ名が「デモステージ」になり、マップ移動が出来なくなる。 町の門をくぐっても移動できる。行き過ぎるとMAP外に落ちてしまう。 このコードをON→OFFにしてMAP移動するとバグるので注意。 2007/07/03(火) 18 52 53 ID e+BPvJzx DASH2のアホコード。 _C AHO Code _L 0x20857b34 0x170b1b7b データ部は 17は改良の余地あり 0bは多分無い 1bは余地あり 7bを58に変えればバスターの色が赤くなる。 注意 周りに壁が全く無い場所(マスタールーム前のセンターエリア等)でバスターを打ち続けない。
https://w.atwiki.jp/cwcwiki/pages/76.html
ロックマンDASH2エピソード2 大いなる遺産 ロックマンDASH2エピソード2 大いなる遺産ID+ゲーム名お金&タンク ライフ&ウエポンエネルギー 色々 好感度修正 ウエポン バスターのパラメータマックス バスターのデータ上の最大値がB マップ名変更 DASH2のアホコード。 ID+ゲーム名 _S ULJM-05216 or _S ULJM-05037 _G Rockman Dash 2 2006/08/18(金) 23 04 44 ID 1RWXTNc9 お金&タンク _C Money _L 0x205ADD24 0x0098967F _C tank _L 0x205ADD6C 0x63636363 tankはライフ ウェポン、後は自分でよろしく。 2006/09/29(金) 09 23 53 ID irhM01+5 ライフ&ウエポンエネルギー _C1 LIFE INFINITY _L 0x008579A0 0x000000A0 _C1 SP WEAPON ENERGY INFINITY _L 0x20857AC0 0x7FFF7FFF _L 0x10857ACA 0x00000100 ※修正版で適応しています。 2006/09/29(金) 16 22 42 ID irhM01+5 色々 ロックマンDASH2追加 _C1 PLAY TIME 00 00 00 _L 0x205ADD1C 0x00000000 _L 0x205ADD20 0x00000000 _C0 GOOD FEELING 65535 _L 0x105ADD3E 0x0000FFFF _L 0x105ADD40 0x00000000 _C0 GOOD FEELING -65535 _L 0x105ADD3E 0x00000000 _L 0x105ADD40 0x00000202 ※GOOD FEELINGは好感度の意 好感度については攻略サイトなどを参照 好感度はどちらか一方のみをONにすること ゲームを進めながらだから、時間がかかりそうだ・・・ 2006/09/29(金) 18 20 55 ID irhM01+5 好感度修正 _C0 GOOD FEELING _L 0x205ADD3C 0xFFFFFFFF _L 0x105ADD40 0x00000000 _C0 NORMAL FEELING _L 0x205ADD3C 0x00000000 _L 0x105ADD40 0x00000101 _C0 BAD FEELING _L 0x205ADD3C 0x00000000 _L 0x105ADD40 0x00000202 町の人とロールちゃん共通 2006/09/30(土) 10 51 36 ID A5hmbq/8 ウエポン ロックマンDASH2追加 _C0 EQUIPMENT SP WEAPON _L 0x00857ABE 0x000000xx _C0 SP WEAPON ALL _L 0x10857EB0 0x0000FFF8 _C0 BUSTOR ALL _L 0x10857EB2 0x0000FFE3 _L 0x10857EB4 0x0000FFFF _C0 BODY ALL _L 0x10857EB6 0x0000060F _L 0x10857EB8 0x00003E0F _C0 ITEM ALL _L 0x20857EC0 0xFFF07F1F _L 0x20857EC4 0xF03FFFFF _L 0x10857EC8 0x0000FFFF 03 クラッシュボム 04 バスターキャノン 05 ハイパーシェル 06 ホーミングミサイル 07 アースクリーパー 08 バキュームアーム 09 リフレクトアーム 0A シールドアーム 0B ブレードアーム 0C シャイニングレーザー 0D マシンガンアーム 0E スプレッドバスター 0F アクアブラスター 10 リモートチャージ 11 ドリルアーム リモートチャージとドリルアームは、SP WEAPON ALLで出現しない(フラグが立ってない)ので、 出現させたい場合は、ITEM ALLで開発してもらう 2006/09/30(土) 11 17 18 ID A5hmbq/8 バスターのパラメータマックス _C1 BUSTER PARAMETER MAX _L 0x20857B34 0x07070707 2007/01/21(日) 11 37 30 ID V5J6OgZm バスターのデータ上の最大値がB _C0 BUSTER PARAMETER MAX _L 0x20857B34 0x0B0B0B0B KEY1→△ KEY2→○ KEY3→□ KEY3→× _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY1] _L 0xD082DEF2 0x00001E00 _L 0x00857ABE 0x00000004 _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY2] _L 0xD082DEF2 0x00002E00 _L 0x00857ABE 0x00000005 _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY3] _L 0xD082DEF2 0x00004E00 _L 0x00857ABE 0x00000006 _C0 WEPON CHANGE[R+L+KEY4] _L 0xD082DEF2 0x00008E00 _L 0x00857ABE 0x0000000E スタートメニューで武器切り替えをすると有効 2007/01/30(火) 01 30 01 ID 9ZgQOjHF マップ名変更 _C MAP Name Change _L 0x205ADD0C 0x00000003 マップ名が「デモステージ」になり、マップ移動が出来なくなる。 町の門をくぐっても移動できる。行き過ぎるとMAP外に落ちてしまう。 このコードをON→OFFにしてMAP移動するとバグるので注意。 2007/07/03(火) 18 52 53 ID e+BPvJzx DASH2のアホコード。 _C AHO Code _L 0x20857b34 0x170b1b7b データ部は 17は改良の余地あり 0bは多分無い 1bは余地あり 7bを58に変えればバスターの色が赤くなる。 注意 周りに壁が全く無い場所(マスタールーム前のセンターエリア等)でバスターを打ち続けない。
https://w.atwiki.jp/comeback_rockman/pages/17.html
少なくとも彼が自分の中で自覚している名前と、この狭い世界の中に存在する者達によって呼称される名称とには若干の違いがある。 自覚する名前を呼ばれなくなってからどれくらいの月日が経ったのか。それを数えるのを酷く面倒に思う。 けれど今まさに自分自身がしている”意味のない”行動と同じように、彼は一生懸命にそれを思い出してみた。そうだ、もう一年になる―― 「トリッガーよ」 トリッガー。ロックマン・トリッガー。そう呼ばれるのは懐かしい。けれどまだメモリが馴染みきっていないのか、それとももう自分という存在が決してロックマン・トリッガーに戻ることは出来ないのか。 微かな違和感に晒されるロック・ヴォルナット――それが彼の自覚する名前だ――は、手に持っていたトレイを片付けながら返事をした。 「何ですか、セラさん?」 振り返ると褐色の肌の少女が腕組みをして立っていた。緑色のツインテールがなんとも印象強い。 彼女の名前はマザー・セラ。ロック・ヴォルナット達が今こうして暮らしているヘブンの元守護者だ。 今は分け合ってもう一人のマザーであるユーナの端末を利用している。そのせいで初めは何度も呼び間違えそうになったものだ。 「私の疑問に答えよ。よいな?」 「は、はぁ」 この一年でロックは人の印象とは外見のタイプよりも寧ろ性格に依存するものだと学んだ。 その理由の一つは、本来陽気な表情を浮かべることの多いユーナの端末を使うセラが、相変わらずの取っつきにくさのプレッシャーを放っている事実であること。 「そなたは何故この地においてもそのような行いをするのだ?ここはヘブン。一切の苦しみなどない世界だというのに」 「ええっと、それは・・」 どう上手く説明したものかと面食らうロックの言葉に被せるように、もう一つの理由となる者が口を挟んできた。 この一年嫌というほど聞いた声だ。何しろこの広い世界の中で、真面なコミュニケーションが出来る存在は目の前にいるセラと彼女しかいない。聞き飽きるのも無理はない話だろう。 「甘いわよ、セラちゃん。それにそんな風に詰め寄ったら、答えられるものも答えられないじゃない。ね、トリッガー?あー・・ロック君の方がいいんだっけ?」 ショートの金髪を揺らす妙齢の女性の名はユーナ。少なくとも、ロックとセラは今現在の彼女をそう呼称している。 彼女の本当の名前はマチルダ・キャスケット。今はとある事情からマザー・ユーナがその肉体を借り受けているため、事実上彼女がユーナということになり、 そのユーナの元の肉体を使用しているのがもう一人のマザーであるセラ。事情を知らぬ者が聞けばややこしい話であるが、とにかく口を挟んできたのはユーナその人だった。 「いえ、お好きな方で呼んでもらって結構ですんで」 「お主の云うことは理解出来ん。トリッガー、そなたの行動もだ。このヘブンの地で、何故に食事などという生命活動に関わる行動をしなければならぬのだ?」 「ふー、全く。やっと最近笑うようになったと思ったら、そんなこともわからないままだったの?」 「わからぬから尋ねている」 予想通りのセラの反応に、ユーナは大袈裟に片手を上げた。やれやれなんて口で云っているけれど、その表情はどこか楽しげで、同時に何かを懐かしむような、ほんの少しの陰りがあった。 一体いつから持っていたのだろう。もしかしたらずっと片手に持っていたのに、ロックが気付かないだけだったのかもしれない。 さっきロックが下げたばかりのものと同じトレイを片付けるユーナは、一つロックに目配せをしながら続けた。 「確かにあなたの云うとおり、このヘブンにおいて食事っていう行動はしなくていいものかもしれない。それこそ食べなくても、眠らなくても、いつでも、いつまでも望む快楽を追求することが出来る世界だわ。 でもねセラ。マスターが望んだものは何だったか覚えてる?ヘブンのような満たされた世界じゃない。不完全な世界だからこそ、そこで燃える命が美しく見えるのよ」 「それとヘブンでの食事にどのような関係が」 「後はロック君の口から説明してもらいましょうね。さ、ロック君」 「えっ、僕がですか?」 抗議をするがユーナは取り合わない。そんなことはここ暫くの時間で散々思い知ったことだった。 マスターの意思を継ぐのはあなただからよ。そんな風に云われると、これ以上抗議することも出来ない。 「その・・確かに食べる必要はないし、眠る必要はないのかもしれません。でもそんなことを続けていたら、きっと僕は自分が生きてるってことを忘れてしまいそうだから。 ヘブンにいても地球に暮らす人々と同じ時間を歩んでるんだってことを実感したいから・・です」 ヘブンでの食事は正直な話、地球でのそれと比べると何となく物足りない。空腹にならないことが決め手なのかもしれないが、 元々ヘブンにおける食事とは嗜好品の一種でしかなく、生き残ったシステムが用意してくれる食事もバリエーションが少なく、味もお世辞にも地球のそれより上回っているとは云えなかった。 それでもロックが毎日食事をし、睡眠を取り、地球での生活と同じようにこの一年を過ごしてきたのは、もちろんマスターの意思を継ぎ、それに同調したということもあるだろう。 しかしそれ以上にロックの根底に根ざしているのは、地球に待つ人々を思う気持ちだった。あの星に住む皆と同じ時間に食事をして、同じ時間に眠り、同じ時間に起きたら、 遠く離れていても一緒に生活をしているような、そんな気分になれる。 「生きることの実感・・か」 「そうだ。良かったらセラちゃんも一度食べてみたらいいじゃない。お腹が空かないのがちょっと残念だけど、案外はまるかもよ?」 「・・少し考えてみることにしよう」 ぽんぽんと肩を叩いてくるユーナに、セラは苦笑混じりにそう答えてお茶を濁す。最近セラはこうしてよく笑う。 そのほとんどがユーナに対する苦笑だとか、呆れを含んだ笑みばかりだけれど、ロックの・・特にトリッガーとしての記憶に残る彼女と比較すると驚く程の変化だ。 結局セラはしつこくまとわりついてくるユーナを鬱陶しげに払うと、すたすたとどこかへ行ってしまった。 セラはいつもあんな感じだ。どこで何をしているのかロックには皆目見当も付かないが、彼女はいつでも忙しそうにしている。古き神々・・という奴だろうか。 「あらあら。ごめんねー、ロック君。セラちゃんも悪気はないんだけど」 「いえ。セラさんの云うこともわかりますから」 「本当、トリッガーにしろロック君にしろ、相手を立てるのが上手いんだから。それじゃま、私はまだ調べることとかあるから、また夕食の席でね」 「はい。また後で」 云いたいことだけを云いきって、ユーナは去っていく。外見上はロックよりもずっと年上の女性なのに、中身がユーナなせいでまるで同年代と話しているみたいだ。 それでいてしっかりと肉体的には大人の女性なものだから、ふとした瞬間にドキリともさせられるのも困りものだ。 無論それに気が付いているユーナがロックをからかう為に仕掛けてくることなのだが、生憎マチルダ・キャスケットの肉体が相手ではガッツポーズを決めるだけの余裕もない。 「まぁ、退屈しないことは救いだと思うけど」 そう独りごちるロックは居住区の一室から出ると、七色のゲートを通って中央に位置する島へと渡った。 かつてロックマン・トリッガーとしての自分が頻繁に出入りしていた場所。そして最後の人類であるマスターが永いときを過ごした場所。 この一年間、ロックが毎日のように足を運んでいる場所だった。 ――人類再生プログラム。かつて存在していた人類が、いつの日か地球の環境が回復した際、復活する為に用意されたシステムの名称だ。 現在地球に住む人々――今は『デコイ』と呼ばれている――は旧人類が自らの眠る間、地球に住まわせておく為に創り出した人工の存在だ。 その存在理由は地球環境の浄化状況を逐一確認する為のものなのか、それとも自らが眠る一瞬でさえ、地球の王たる存在が人間でなければならないという旧人類の傲慢さ故のものだったのか。 それはロック・ヴォルナットにはわからない。トリッガーならその詳細な意味を知っていたのかもしれない。それでもトリッガーとしての記憶を取り戻しきってはいないロックには、未だもってあずかり知らぬものだった。 ヘブンに残された最後の人類・マスターと呼ばれる者がデコイ達に興味を持ち始めたのはいつの頃からだっただろう。やはりその始まりの瞬間を思い出すことは出来ない。 けれどマスターがデコイ達の姿を楽しそうに見詰める時、トリッガーとしての自分は常に傍にいたことは覚えている。懐かしむような、それでいて羨むような。楽しげで、しかし悲しげな瞳をしていたことも覚えている。 一体どれくらいの時間をそうして過ごしただろう。本当に必要な記憶だけをバックアックしていた為か、トリッガーとして思い出すことの出来る記憶はマスターと共に過ごした時間が殆どだ。 とにかく長い時間だったように思う。恐らく、ロックとして行きた時間と同じかそれ以上の時を、マスターと共にデコイ達を見て過ごした。 人が悩む時間としては長すぎたくらいだっただろう。けれど今考えれば、マスターはデコイ達を観察し始めたその時から決心していたように思う。 マスターの願いを聞き届け、トリッガーとしてのロックは彼を連れて地上へと降りた。ヘブンを離れては生きてはいけない身体だと知っていたのに、下界へと降りたマスターの顔は満足げだった。 システムを破壊して欲しいと頼まれたのはその時の事だ。旧人類の傲慢さ、愚かしさ。完全無欠とまでいわれたヘブンでは決して手に入れることの出来ない、デコイ達にとっての当たり前の幸せ。 マスターにはそれがとても眩しいもののように思えたのだろう。結局トリッガーとしてのロックはシステムの破壊を阻止する為に立ちはだかったセラとの闘いで瀕死の重傷を負い、 積み重ねられた記憶と引き替えに肉体のリセットを行い、ロック・ヴォルナットとして生きることになったのだが。 赤ん坊にまで戻されたトリッガーはデコイに拾われ、デコイとして育てられた。 そしてつい二年ちょっと前まで、自分はロック・ヴォルナットでしかないと何の疑問も持たずに育ってきた。カトルオックス島でロックマン・ジュノと名乗る者と出逢うまでは。 しかし、とロックは思う。トリッガーとしての記憶、ロックとしての記憶を統合した今だからこそ理解することが出来る。マスターの考えが。マスターが何故システムの破壊を願ったのか。 もちろんトリッガーとしてもマスターの考えは理解しているつもりだった。しかし、今思えば実感していたかと云われれば嘘になる。マスターがそう云うから、マスターがそう願うから。そんな気持ちが心の奥底にあったのだ。 ロックとしての自分は違う。一年前の闘いでセラが人類再生プログラムを始動させようとした時。ユーナによって記憶の再構成を行われた時。ロックの気持ちは最初から決まっていた。 マスターの願いだから。かつての自分がその為に動いていたから。それもあるだろう。しかしそれ以上にロックとしての自分は確固たる思いでセラと対峙した。デコイ達を滅亡させるなんて、間違っている。 いやもしかしたらデコイそのものの為でも、旧人類に対する諦めでもなかったのかもしれない。ただ単にロックは大切な人々を失いたくなかっただけだった。 赤ん坊のロックを拾い、育ててくれた人。子供の頃からずっと一緒に育った子。何度も何度も小競り合いを繰り返している内に、腐れ縁のようになってしまった空族と、その家族。旅の中で出逢った人々。 全世界の人々の為なんて、そんな大規模なことを考えられるだけの力は単なるディグアウターに過ぎないロック・ヴォルナットにはなかったのかもしれない。 けれど身近な世界の為だからこそ、ロックは闘うことが出来たのだ。トリッガーとしては勝つことが出来なかった、マザー・セラを相手に。 最もその闘いが原因で地球へ帰る術を失ったロックは、セラとユーナと三人でヘブンに残る羽目になってしまったのだが。 「さて、と」 手慣れた手つきでロックはかつてマスターが使用していたシステムを起動した。一年前に通った時は壊れていて動かなかったものだが、半年かけてようやく修理して使えるようにしたのだ。 完全無欠と呼ばれるヘブンでの生活は、はっきりいって退屈だ。もちろんユーナと接していれば退屈な時間などないのだが、それにも限界がある。 毎日食事をしたり、睡眠を取ったり、ディグアウターとしての勘を失わない為の運動も続けているが、退屈なものは退屈だ。 そんなロックがこの半年間、唯一趣味と呼べるようになったものがこれだった。マスターの使っていた部屋に残されたシステムを使い、地球を観察することだ。 上手く操作すれば地球を遠目に見るだけでなく、地表のズームも、人間一人一人の表情がわかるくらいまで接近することが出来るのもわかってはいるのだが、 残念ながら操作方法がわからない。トリッガーとしての記憶にも操作方法は残されていないから、きっとマスターが個人的に構築したシステムなのだろう。 瑠璃色の地球は美しかった。セラに云わせれば毎日代わり映えのない惑星を見詰め続けて何が楽しいのかわからない、ということだが、ロックには充分過ぎるほどの退屈しのぎだ。 始めは確かに代わり映えしないように思えた地球だが、最近ではちょっとした変化にも気が付くようになってきている。今日はあの島は曇りだな、とか、あの大陸はかつて冒険したあの場所だ、とか。 そこに息づく人々と同じ時を過ごしているみたいで、何だか嬉しくなってくるのだ。それがたまらなく楽しくて、ロックは毎日地球を見ている。 ――本当はあの星から飛び出して、こっちに向かってくるものが見える日が来るのを待ち望んでいるのだけれど。 「はぁ・・・」 それを意識するとなんだか溜息が出てくる。折角心の隅に追いやっていたものが戻ってきてしまった。最近は一週間に一度くらいの頻度でこういうことになる。 とはいえ発散する方法もないので、努めて普通の生活をする他に道はない。そうしている間に、このとっかかりがまた心の隅に移動するのを待つのだ。 今日とて同じことだ。ただひたすら時間が過ぎるのを待って、心が軽くなるのを待つしかない。今日とて同じことだ。 しかし、今日はこの半年間一度も経験したことのない事柄が起きた。突然鼓膜を震わせた警告音に、思わず身体がビクンと跳ねる。 次々に鳴り響くアラーム。さっきまで地球が映し出されていたスクリーンを埋め尽くす異常報告の文字列。口々に状況を報告する電子音声が、頭の中をぐちゃぐちゃと掻き回す。 「何だ・・!?」 予想だにしなかった事態にロックは思わず声を上げた。だがトリッガーとしての記憶がそうさせるのか、身体は勝手にキーボードを叩いて状況把握に勤しんでいた。 一年前の闘いで様々な場所にシステムの不備が発生してしまっているせいで細かな状況まではわからない。そのくせ警告音や情報に不備のあるメッセージばかりが表出するので最悪だ。 とにかく一等粛正官の権限を行使してそれらを黙らせたロックは、それらの警告が指し示す場所を特定することに成功した。 「シャトルベイに問題?くそっ、出動するリーバードの数がとんでもないことに・・!」 問題解決の為に差し向けられたリーバードの数はとんでもない数値を示していた。システムの不備が原因なのか、それとも発生しか問題が原因なのか。 とにかくこのままでは大変なことになる。ディフェンスエリアのリーバードが総出動するような状況になれば、最悪はこの居住区にまでリーバードが溢れかえってしまう。 「ユーナさんは相変わらずマザー認定されないし、セラさんは本調子じゃない。ここからの操作は受け付けないし・・。やっぱり直接行って原因を取り除くしかないか」 どちらにせよここからシャトルベイの詳細な状況が確認出来ない以上、直接出向く他はない。 すぐに決意したロックはマスタールームを飛び出した。ゲートを幾つか超え、いつも使っている居住区の一室に飛び込むようにして入る。 そしてずっとしまったままにしていたアーマーを身に着けた。ゆうに一年ぶりのアーマーだが、身に着けた瞬間にブランクなどすぐに忘れた。 シャトルベイに向かう。本当なら居住区から直通でシャトルベイに移動するエレベータがあるが、生憎とディフレクターをシステムの復旧の足しにしたので今は動かない。 やはりディフェンスエリアを抜けるしか方法はないだろう。ロックは気を引き締め、バスターの奥でギュッと拳を握り締めた。 「Mission Start!」 鳴らない通信機の代わりに、ロックは初めてその言葉を口にした。 後編へ
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/146.html
ロックマンDASH2 要約スレ1-143~144・146・148、 18-54~59・63・149~150 143 ロックマンDASH2 sage 2005/03/25(金) 00 43 51ID 9dBKHIVl 「大いなる遺産」が眠ると言われる禁断の地に向かったバレルやその友人が ユーナという謎の女性の妨害によって遭難してしまったために、 彼らを助けに行ったロックが禁断の地の中心で封印を解いて見つけたものは、 セラと言う少女とその部下の青年だった。 自らを古代人と偽った彼らは、大いなる遺産を目覚めさせるために、と言って ロックに4本の「封印の鍵」を集めさせる。 各地の遺跡をクリアし、空賊の横取り作戦も蹴散らしたロックは4つの鍵を集めたが、 セラはそれを奪って軌道上に浮かぶ宇宙ステーション「ヘブン」へと行ってしまう。 その際に青年と相討ちになったロックはユーナに治療され、その時に 「ロックマン・トリッガー」であった時代の記憶を再生される。 老いも病の苦しみもないヘブンに残った世界で最後の人間である「マスター」は、 自分自身よりオリジナルの人間に近いほどのデコイを作り地球に住まわせていた。 デコイの生命の輝きはヘブンより魅力的であると考えだしたマスターは、 システムを破壊してくれ!と仲良くしていたトリッガーに遺言する。 最後の人間であるマスターが死ぬとシステムは「人類再生プログラム」を開始し、 デコイを全粛正してから本来の人類を遺伝子記録から再生する作業に入るからだ。 トリッガーはマスターの願い通りシステムを破壊しようとしたが、 システムを守りプログラムを実行する役目であるヘブンのマザー、セラと 相討ちになって大破し、おサルのデータに記憶を預けてリセットをかけた。 そのリセットされたトリッガーを偶然バレルが見つけ、ロックとして育てたというわけ。 ちなみにユーナはプログラムのキー「封印の鍵」を管理する役目である 地上のマザーだが、デコイに好意的だった。 ユーナの助力を得てヘブンに到達したロック。 セラはマスターの真意を知り、プログラムの実行を躊躇していた。 ラスボスであるセラを倒すと、感情に溢れマスターに好まれるお前やユーナが うらやましかったなどと言い残して消滅しようとするが、 「システムが止まったせいで、システムによって封印されていた「古き神々」が 動き出しちゃったわよ。マザーとして放っておけないでしょ? それにあんたがいなくなると、私、寂しいじゃない!」 と言うユーナの言葉に思いとどまる。 144 名無しさん@お腹いっぱい。sage 2005/03/25(金) 00 48 36 ID 9dBKHIVl 書き込む前にも推敲はしたけど書き込んでから読み返すと文の変なところが気になる。 一応これで終わりです。 ロールちゃんもトロン様も切り捨てて必要最小限書いたつもりですが結構長くなった。 146 名無しさん@お腹いっぱい。sage 2005/03/25(金) 02 11 24 ID OgbTyg07 144 俺も 142じゃないが乙 時に 143の後、プチ後日談みたいのってなかったっけ? その後ロックは…みたいなの。 単に俺の記憶違いかもしれんけど、 もしあるのであればそれもお願いできますでしょかm(__)m 148 名無しさん@お腹いっぱい。sage 2005/03/25(金) 17 13 59 ID 9dBKHIVl 146 セラを説得した後、ユーナが 「シャトルが動かせないから、あなたを地球に戻す方法が無くなっちゃったのよ」 と困ったようにロックに告げる。 しかしロックは「大丈夫だと思いますよ、きっと何とかしてくれます」と ロールたちに対する信頼を見せるのだった。 ~スタッフロール~ 草原でロケット打ち上げ実験をやっている…が、失敗して爆発している。 どうやったのか一匹だけで戻ってきたデータに古代文明の技術を提供され、 それを元に何度も試作しているがなかなかうまくいっていないらしい。 バレルの孫娘であるロール(ロックの事が好き)と 空賊のボスの妹であるトロン(ロックの事が気になっている)の 二人の少女メカニックはロケットの設計について議論をしている。 ロールはシンプルで骨太な、信頼できるユニットを作ろうと思っているのだが お金がかかりすぎて現実的じゃないとトロンに突っ込まれており、 トロンは既存のパーツを組み合わせて使うことで費用を削減しようと 思っているのだが、ギリギリの調整をしないといけないエンジンなんて 不安定すぎてダメ、とロールにつっこまれている。 その二人に近づいて話しかけるデータ。 「だから~、ぼくの言うとおりにすれば大丈夫なんだってば。あのねっ…」 ロール トロン「「データは黙ってて!!」」 ピシャリと言われて聞いてもらえない。 データはすごすごと引き下がって、論争を続ける二人に背を向けて 天空にうっすらと見えるヘブンを見上げて話しかける。 「ごめんよロック~、当分、迎えに行ってあげられそうにないや~……」 END 54 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)03 05 25ID qcwbF+Ip 前スレ639で依頼があった、ロックマンDASH2~大いなる遺産~を書きます。 今手元になくて記憶だけで書くので、間違いがあったりとか、詳しく思い出せたところだけ 詳しくなったり思い出せないところは雑になったりとか、アラが出ると思いますが。 世界設定と前スレのあらすじなどは要約スレの http //game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1082540928/134 を参照してください。 DASH2の要約版はこちら。 http //game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1082540928/143 55 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)03 09 26ID qcwbF+Ip キャラ紹介 ロック・ヴォルナット 主人公。赤ん坊の頃に遺跡の中でバレルに拾われて育てられた。今では一流ディグアウター。 青いアーマーがトレードマークの黒髪の少年。右腕をバスターに、左腕を特殊武器に付け替えて戦う。 声はラピュタのパズーと同じ。 ロール・キャスケット バレルの孫で、ロックがディグアウトをしている時はナビゲーターとして、 ロック達の住まいでもある小飛空船フラッター号から通信でサポートしてくれる。 またメカニックとしての腕も確かで、特殊武器の作成や改造もしてくれる。 赤い帽子に赤い服がトレードマークの金髪の少女。 声はラピュタのシータと同じ。 データ ロックと一緒にバレルに拾われたおサル。言葉が話せる。おっちょこちょいで悪戯好き。 前作の最後で、ロック自身も知らないロックの出自について何か知っている事を匂わせた。 バレル ロールの祖父。若い頃はスゴ腕ディグアウターだったが引退している。ヒゲでハゲ。 「禁断の地」に赴いて生還したのはバレルとミュラー氏のコンビだけだと言われる。 娘夫婦(ロールの親)もディグアウターだったが、ディグアウターが禁断の地に眠ると噂する、 具体的には全くの謎の『大いなる遺産』を求めて禁断の地に挑戦し、そして帰ってこなかった。 ウェルナー・フォン・ミュラー バレルの友人で、昔のディグアウター仲間。紳士風。 ディグアウターを引退してから事業を始めて大成功を収め、大富豪になっていた。 ある時ミュラーは事業を全て整理し、全財産をかけて大型で高性能な飛行船サルファーボトム号を建造する。 再び、禁断の地に眠ると言われる大いなる遺産を探索するために。 56 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)03 10 11ID qcwbF+Ip ティーゼル・ボーン 前作から出ている空賊ボーン一家のボスで三兄弟の長。灰色の髪のおっさん。 基本は有能なようだがどこか冷酷になれないのが災いするのか、一家はロックに負け続けている。 実は彼は空賊からは足を洗ってカタギになりたいらしく、現在一家はデパート経営中。 トロン・ボーン ティーゼルの妹の、黒髪の女の子。お転婆だが根は上品らしく兄には丁寧語でしゃべる。 犬に追い掛けられているところを助けてもらって以来、ロックのことが気になっているようだが 素直になれずに憎まれ口を叩いてしまう。 メカニックの天才でボーン一家の武装などは彼女の手によるもの。 ボン・ボーン ボーン三兄弟の末っ子で、まだ赤ちゃんらしくバブーとしかしゃべれない。 しかし巨体と怪力、さまざまに付け替える腕の武装で果敢に戦う。 見た目はつぶらな目が付いて、カワイイおしゃぶりをくわえてふよふよ浮いている 直径2mくらいありそうな巨大なボールが兜を被った感じ。 この世界のヒトは人類とは少し違うらしく、このボンやロックのように体と機械の境があいまいなようだ。 コブン レゴを2頭身にして表情をかわいくしたような感じの、ボーン一家の下っぱたち。 四十数体いるらしく、微妙に性格が異なるがみなボーン一家に忠実ないい子。 グライド 空賊グライド一家のボス。薔薇を持ったキザな二枚目…に見えるがオカマ言葉をしゃべる。 嫌味ったらしい性格なようだ。 ボーン一家のコブンのように、シタッパーというたくさんの鳥を部下として持つが 上司の性格を反映してかそいつらも性格が悪い。 バンコスカス ボーラと組んで十何年も空賊をやってきたベテラン。だが最近は年齢もあって体がついていかないらしい。 鎧を着込み兜をかぶった大男なため年齢はわからないが、声や言動は口うるさいおっさん。 「大いなる遺産」にロマンを抱いている。 ボーラ バンコスカスの相棒。熱血タイプのバンコスカスと違っていい加減で冷めた性格。 覆面をしているためやはり年齢はわからないが、細身な体や声からはそれほど年とって見えない。 しかし言動によるとやっぱり年齢による衰えを感じているようだ。 ふわふわ浮いていたり、ドロンと消えたり表れたりと妙な能力がある。 57 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)03 12 25ID qcwbF+Ip 禁断の地を取り巻く巨大な竜巻に向かい空を行く巨大飛空船サルファーボトム号。 その内部の一室では、バレルが幼児を抱いた夫婦の写真を見つめていた。 そろそろ記者会見を始めよう、と入ってきたミュラーはその写真に目をとめる。 「もう十年にもなるか…娘さん夫婦があの島で遭難してから」 「馬鹿じゃよ二人とも…幼い子を残して、いってしまいよって……」 そう言って少し黙った後、バレルはぽつりと言う。 「なぁ」 「うん?」 「考え直さんか?あれに手を出すのは。」 「今更やめられんよ。私の全財産この船にかけたんだ、今更やめられるか。 …やっぱりお孫さんは来なかったんだな。」 「先越されると思ってスネとるんじゃよ。ロールもずいぶん大いなる遺産にはこだわっとるからな」 「いくらあの子が可愛くても、これだけは譲れんからな」 そう言ってミュラーは苦笑し、二人はサルファーボトム号内の記者会見会場へ向かった。 一方フラッター号の居間では、ロールがパジャマのままソファーに寝そべりぐたーっとしていた。 エプロンをしたロックが、ロールが好きな半熟ハムエッグを出しても、 机に頬を付いてふにゅぅぅー…と気のない声を出しながらフォークでつつくだけだ。 ロックは苦笑しながら元気付ける。 「大丈夫だって!大いなる遺産がそんなに簡単に見つかっちゃうわけないよ。 あっ!ほらテレビ!記者会見始まるみたいだよ!」 記者会見会場には報道陣に混ざって、大いなる遺産の横取りを狙う空賊たちも変装して紛れこんでいた。 ひそひそ声で口喧嘩をしている。 グライド「どーしてアンタたちまでここにいるのよ~、空賊足洗ったんじゃなかったの?」 ティーゼル「うるせえ、こっちにだって事情ってもんがあんだよ!」 グライド「あぁら、もしかしてデパートもう潰れちゃったのぉ」 ティーゼル「ば、馬鹿、潰れちゃいねえよ!ただちょっと経営が苦しいからバイトするだけのこったよ!」 トロン「お兄様が自分の趣味で商品を仕入れすぎるからですわ!」 ティーゼル「ぐっ…」 バンコスカス「おめえらうるせえぞ!ちったあ静かにしてろ」 ティーゼル「な、なんだとぉ?この零細空賊が!」 グライド「協定忘れたの?もめ事は後になさいな」 そうしているうちにミュラーの記者会見は始まった。 58 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)03 13 58ID qcwbF+Ip 「本日はお集まりいただきありがとうございます。今から我々が赴こうとしている禁断の地… いままで多くのディグアウターがあそこに挑戦し、そして帰っては来ませんでした。 私と、このバレル氏を除いて。我々があの時、あそこで見た物は何か!……今は、言わないでおきましょう。 なぜならあなた方もすぐに、それを見ることになるからです。」 そうミュラーが言うと、窓のシャッターが開いて報道陣から軽いどよめきが漏れる。 これまでまったく振動などを感じていないのに、すでに竜巻の近くまで来ていたのだ。 ミュラーは続ける。 「私は確信しています。我々が追い求めてきた『大いなる遺産』は、あの中に眠っていると!」 会場は大きくどよめいて、カメラのフラッシュが次々に焚かれた。 トロンは技術者として興味がわくようだ。 「風の影響をほとんど受けてない。スタビライザーが効いてるわ!」 「さて、私からは以上ですが…何か質問はございますか?」 そうミュラーが促すと、真っ先にマイクを持ってTV局の腕章を付けた金髪の女性が手を挙げた。 「よろしいですか?」 「どうぞ」 「『大いなる遺産』が禁断の地に眠っているとのことですが…ミュラーさんは具体的には遺産とは どのようなものだとお考えなのでしょうか?」 「そうですな…。ディフレクターに代わる新たなエネルギー源とか、人類に大きな飛躍を もたらしてくれる…まあ、そういったものですかな。」 「なるほど。そちらのバレルさんも、そうお考えなのですね?」 「え?あー、わしはですな…」 それまでぼーっとしていたバレルは焦って答えようとしたが、次の瞬間息を飲んで、叫んだ。 「マ、マチルダ……!い、生きとったんかぁ……!?」 ちょうどその時、武装した船員とともに記者会見場に本物のレポーターが駆け込み、 インタビューしていた女性を指差して叫ぶ。 「あーっ!あいつです!私をロッカーに閉じ込めたのは!」 緊迫する空気の中、偽リポーターの女性は窓の方へ後ずさりながら笑って言う。 「私は、あなたたちの事なんてどーでもいいの。だけど、一つだけ忠告してあげるわね。 あそこに眠ってるのは、あなたたちが思ってるようないーものじゃないわよ。 どちらかと言うと、大いなる遺産と言うより…大いなる災いなんだから!」 そう言い終えて窓の近くに立ち、「ガーちゃん!」と何者かを呼ぶ。 すると鳥型の大型リーバードが飛んできて外から窓を割り、突風が吹き荒れる中 女性は最後にまた不吉な言葉を残す。 「お騒がせしちゃってごめんなさいねぇ~?でも、あの子が起きたらこんなものじゃ 済まないと思うから。じゃっあね~!」 そして、そのリーバードの背に乗って謎の女性は去っていった。 空賊たちは、お宝の匂いがぷんぷんしやがるせ!とか、素晴らしいですわお兄様!とか盛り上がっている。 バレルはつぶやく。 「大いなる災い、あの子が起きる……、何をいっとるんじゃマチルダ……?」 59 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)03 15 36ID qcwbF+Ip フラッター号の居間のテレビでその光景を見ていたロールも驚いていた。 「ロック!あの人…あの人お母さん!」 「えっ?」 「でもどうして…お母さんがあんなことするはずないし…」 考え込んでしまったロールに、ロックは力強く言う。 「会いに行こう、ロールちゃん!」 「えっ?」 「会って確かめるんだ!」 「……そっか……うん、そうだよね!行こ、ロック!」 「うん!」 謎の女性の言葉にもめげずに、サルファーボトム号は竜巻へと向かっていた。 ほとんどの報道陣は船から降りたが、二人だけ残っている記者にミュラーが尋ねる。 「君たちは降りなくていいのかね?」 「ウチは体当たり取材が売りでね。あんな根性無したちと一緒にしねえでもらおう。」 その二人とは、ティーゼルとトロンの二人だった。 サルファーボトム号が依然として禁断の地へ向かうのを、あの鳥型リーバードの背に立って 上空から見ていた、あの謎の女性は言う。 「忠告を無視するつもりね~?」 するとリーバードが青年っぽい声で話しはじめた(普通リーバードは喋るような知能は持たない)。 『攻撃します』 「しょうがないわね~。墜としちゃダメよ。」 口からエネルギー弾を放ってサルファーボトム号を攻撃しはじめるリーバード。 サルファーボトムも機銃などで反撃するが、素早い動きを捉えられない。 そしてついにサルファーボトム号は煙を噴き、操舵不能となった。しかし針路は竜巻になっていたわけで… 黒煙をあげながらも竜巻の中へと入っていったサルファーボトムを見ながらため息をつく女性。 『す、すみません』 「あ~あ、面倒な事になってきちゃったわね~…」 63 ロックマンDASH2 sage 2005/08/27(土)15 15 34ID qcwbF+Ip 禁断の地に行くにしても、あの竜巻の中にはこのままのフラッター号では入れない。 とりあえず禁断の地の近くの、カリンカ大陸にある雪深いヨーションカの街に向かうことにしたロックたち。 データがタコヤキ作ろうとして起こした船内火事を消火したりしつつヨーションカの街に到着した。 まずは、何か改造などのヒントは無いかとジャンクショップに行くと、ジョーという暗い影のある男が ジャンクショップの主人と何か話しているところだった。 「本当に行くのかい?あそこは危険だよ」と、ジョーを引き止めようとする主人だが 「だが、あれを完成するためにはあそこにあるディフレクターが必要なんだ…」 そう言ってジョーは出ていってしまった。 主人に詳しい話を聞いてみると、ジョーは何かを作ろうとしており、その動力となる大型ディフレクターを 入手するために街の郊外にある炭鉱の奥の遺跡にディグアウトしにいったらしい。 ジョーがその何かを作っていたという作業場に行ってみると、そこにあるものを見てロールは驚く。 それは昔ロールの父さんが設計し、製作していた「ドロップシップ」にそっくりだったのだ。 ドロップシップとは、垂直方向に下降・上昇するだけの機能しかない一人乗りの船だが 飛空艇で禁断の地の竜巻の真上に行ってドロップシップで降下すれば禁断の地に降りられる、というもの。 なぜこれがここに…?と困惑しているロールだがその時、 「あなたたち誰!?ここはお父さんの仕事場よ!」 小さな女の子が不審そうにこちらを見ていた。お父さん?と聞き返すと、 「そうよ!本当のお父さんじゃないけど、きっとお父さんになってくれるんだから!」 と言う。どうやらジョーのことらしい。 街の人やバーの女主人などから情報を集めると、ジョーは何年も前にひどい怪我をして街の外に 倒れていたところをバーの女主人とその娘(さっきの小さな女の子)の母一人子一人の家族に救けられ、 それ以来記憶喪失にかかったジョーはその母娘と一緒に暮らしているらしい。 あの子はジョーに本当の親子のようによくなつき、母親の方もいつかジョーが記憶を取り戻して 本当の家族の元へ帰ってしまうのではないかと恐れながらもジョーを愛してしまっているようだ。 とにかくジョーに会ってみることにして、ロックたちも炭鉱の奥の遺跡へと入る。 遺跡の最深部、最後の部屋の手前まで行くと、ジョーが深手を負って倒れていた。 この次の部屋にいるボスの大型リーバードにやられたらしい。 すぐに地上に運んで治療しようとするが、ディフレクターを手に入れずに帰るわけにはいかないと 言うジョーの頼みを受け、ボスを倒してディフレクターを手に入れて地上に戻った。 ジョーの手当てを終えて話を聞くと、記憶喪失になっている彼が持っていた設計図、 その設計図の機械をどうしても作らなくてはならないという不思議な気持ちが消えず、 あんな命がけの挑戦をしたらしい。 彼は助けてくれたロックたちに感謝し、ドロップシップを必要としていることを聞くと 私は怪我が深くてしばらくはベッドから起き上がれないし、自由に使ってくれ、と申し出てくれた。 こうして禁断の地へ侵入する手段を手に入れたロックたちは、いよいよ大竜巻へと向かう。 (ちなみにロールの日記を見ると、「あの設計図はお父さんの書いたものだった。ずいぶん感じが 違っているけど、ジョーさんは…」というようなことが書いてある。 もしかして、と思いながらも、言いだせなかったようだ) 149 ロックマンDASH2 sage 2005/08/31(水)17 26 18ID e8HNJJJk ドロップシップによって禁断の地に降り立ったロック。そこは風の吹き荒れる氷の大地だった。 そこここに飛空船の残骸が散らばっている。禁断の地に挑戦したディグアウターたちのものだろう。 リーバードを蹴散らしながらしばらく進んでいくと、不思議なドーム状のバリアに包まれて 眠っている人間を発見した。周りを見渡してみるとそれは一つではなくいくつもある。 また、ロックたちの使ったものにそっくりなドロップシップも発見した。 中では緑色の長い髪をした女の子が死んだように眠っている。 それらには触れられないのでとりあえず先に進むロック。 襲ってくるリーバードたちを退けて辿り着いた禁断の地の最奥。そこは大きな広場になっており、 中央の空中には巨大な正八面体が浮かびその下にはディフレクターが台座に安置されていた。 ロックがディフレクターを取り外してみると、突然大型のボスリーバードが襲ってくる。 辛くもロックが勝利すると急に風がおさまってきた。 そして正八面体は崩れ、その中からは緑色の短い髪をした少女と その脇でひざまづいている長い髪の青年が現われた。 遠くからその光景を見ていた、あの謎の女性は残念そうに、やっぱり封印を解いちゃったのね、と言う。 彼女の近くには、あのドロップシップ内にいた緑色の長い髪の少女の躰を抱えた青年がいた。 青年はあの鳥型リーバードと同じ声で女性に呼びかける。 「ユーナ様、もうよろしいですよね。デコイ達は自らセラ様を起こした…」 「ちっともよくないわよ~!イレギュラーを狩る立場だったあの子がなぜ最大のイレギュラーになったのか、 マスターが何を考えていたのか、まだぜぇんぜんわかってないんだから!」 正八面体から出てきた二人はその様子を感知していたらしく、つぶやく。 女の子「ユーナか。」 青年「あの様子では、まだ鍵をお渡ししていただける気にはなっていないようですな。」 そして上空には、風が弱まったことで機能を回復したサルファーボトム号が雲を割って現われた。 ロール『おじいちゃん達の船!よかったー、無事だったんだ……』 「ふぅ、やっと揺れがおさまったか」 「やれやれ、ひどい目にあったわい」 「お前も年だなぁ。私なんかこの通り、ぴんぴんしてるぞ?」 「ふんっ!しかし、全財産かけた割りに大した船じゃなかったのう?」 「こほん!まぁ、あれは言ってみれば事故だから…」 そんな会話を交わすミュラーとバレルの近くでは、ティーゼルとトロンが揺れでダウンしていた。 「あ、あのおっさんたちなんであんなに元気なんだ…?」 とりあえず正八面体から出てきた二人から、サルファーボトム号の中で話を聞いてみることになった。 彼ら二人は自らを遺跡の時代の人類、古代人であると自己紹介し、 世界に散らばっている4つの封印の遺跡から「封印の鍵」というアイテムを一つずつ集めて 鍵が4本揃えば大いなる遺産の封印を解いてあなた方に提供することができる、と話す。 少女「……」 青年「我々は既に滅んだ文明の人間です。これから静かに暮らすことができれば、それでいいのですよ」 ミュラーやバレルは彼らになんとなくうさんくさいものを感じながらも封印の鍵を集めることにし、 ロックに封印の遺跡のディグアウトを頼んだ。 一方、ティーゼルは盗聴器でその会話を聞いていた…が、そこにいたグライドやバンコスカスも ティーゼルに耳を寄せて盗み聞きしていた。 怒りかけるティーゼルだがトロンの、 「まあまあお兄様。人数は多い方がいいし、鍵が集まってから全て横取りすればいいだけのことですわ」 という耳打ちに思い直し、協力態勢をとることにする。 150 ロックマンDASH2 sage 2005/08/31(水)18 26 09ID e8HNJJJk ロックがミュラーやバレルに話を聞くと、あの禁断の地に点在していたバリヤーのドームの中で 眠っていた人々はみな遭難していたディグアウターで、なぜドームの中に居たのかは不明だが 先程ドームが消え、救助されたらしい。 ヨーションカの街では、彼ら遭難者たちが帰ってきていた。 妻や妹のもとで感動の再会をしている者たちや自分の墓を眺めて変な気分だと言っている者など、 彼ら帰還者に話を聞いてみると、あの禁断の地で遭難して意識が薄れ倒れるとき、 謎の人物に助けられたのをうっすら覚えているらしい。 しかしある程度昔に遭難した人の話ではその人物は緑色の長い髪の少女なのだが、 ある時点より新しくなるとなぜか助けてくれたのは全く容姿の異なる金髪の女性になるようだ。 また、この街には神殿や二人の女神の像もあってそれにまつわる伝説が聞ける。 天上で書庫を守る天の女神と地上で書庫の鍵を守る地の女神。 ある時天の女神が地の女神に鍵を借りようと地上に降りてきた。 しかし地の女神は鍵を天の女神に渡さず、二人は喧嘩になった。 そして地の女神は天の女神を禁断の地に封印してしまったという。 キャラ紹介2 ユーナ サルファーボトム号での記者会見の場に現われた謎の金髪の女性。その正体は、古代文明における 地上のマザーコンピュータであり、ヨーションカに伝わる伝説における「地の女神」。 明るくはつらつとした性格で、デコイ(DASHの世界で現在生きている人々)にも好意的。 本来の端末ボディは緑色の長い髪をした少女の姿なのだが、そのボディはロールの母マチルダが禁断の地で 大怪我を負って遭難していた所を助けた時にパーツを使ってしまい自由に動けなくなってしまった。 そのため、ユーナは現在マチルダの体を端末ボディとして使わせてもらっている。 ガガ ユーナからは「ガーちゃん」と呼ばれる、ユーナの補佐的な立場の青年。 人工生命体であり、鳥型リーバードの姿にもなれたり機械と同化して支配できたりもする。 デコイに対する態度は中立的。ユーナに振り回されて苦労しているようだ。 セラ 禁断の地の最奥に封印されていた、古代人と名乗る緑色の短い髪の少女。その正体は、 宇宙ステーション「ヘブン」のマザーであり、ヨーションカに伝わる伝説における「天の女神」。 冷徹・厳格な性格で、マザーとしての職務の遂行にこだわっている。 ジジ セラの補佐的な役割を担っている、長い髪の青年。ガガと同じような能力を持っている。 セラと同じく冷徹な性格。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1892.html
ロックマンDASH2 要約スレ1-143~144・146・148、 18-54~59・63・149~150 143ロックマンDASH2sage2005/03/25(金) 00 43 51ID 9dBKHIVl 「大いなる遺産」が眠ると言われる禁断の地に向かったバレルやその友人が ユーナという謎の女性の妨害によって遭難してしまったために、 彼らを助けに行ったロックが禁断の地の中心で封印を解いて見つけたものは、 セラと言う少女とその部下の青年だった。 自らを古代人と偽った彼らは、大いなる遺産を目覚めさせるために、と言って ロックに4本の「封印の鍵」を集めさせる。 各地の遺跡をクリアし、空賊の横取り作戦も蹴散らしたロックは4つの鍵を集めたが、 セラはそれを奪って軌道上に浮かぶ宇宙ステーション「ヘブン」へと行ってしまう。 その際に青年と相討ちになったロックはユーナに治療され、その時に 「ロックマン・トリッガー」であった時代の記憶を再生される。 老いも病の苦しみもないヘブンに残った世界で最後の人間である「マスター」は、 自分自身よりオリジナルの人間に近いほどのデコイを作り地球に住まわせていた。 デコイの生命の輝きはヘブンより魅力的であると考えだしたマスターは、 システムを破壊してくれ!と仲良くしていたトリッガーに遺言する。 最後の人間であるマスターが死ぬとシステムは「人類再生プログラム」を開始し、 デコイを全粛正してから本来の人類を遺伝子記録から再生する作業に入るからだ。 トリッガーはマスターの願い通りシステムを破壊しようとしたが、 システムを守りプログラムを実行する役目であるヘブンのマザー、セラと 相討ちになって大破し、おサルのデータに記憶を預けてリセットをかけた。 そのリセットされたトリッガーを偶然バレルが見つけ、ロックとして育てたというわけ。 ちなみにユーナはプログラムのキー「封印の鍵」を管理する役目である 地上のマザーだが、デコイに好意的だった。 ユーナの助力を得てヘブンに到達したロック。 セラはマスターの真意を知り、プログラムの実行を躊躇していた。 ラスボスであるセラを倒すと、感情に溢れマスターに好まれるお前やユーナが うらやましかったなどと言い残して消滅しようとするが、 「システムが止まったせいで、システムによって封印されていた「古き神々」が 動き出しちゃったわよ。マザーとして放っておけないでしょ? それにあんたがいなくなると、私、寂しいじゃない!」 と言うユーナの言葉に思いとどまる。 144名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/03/25(金) 00 48 36 ID 9dBKHIVl 書き込む前にも推敲はしたけど書き込んでから読み返すと文の変なところが気になる。 一応これで終わりです。 ロールちゃんもトロン様も切り捨てて必要最小限書いたつもりですが結構長くなった。 146名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/03/25(金) 02 11 24 ID OgbTyg07 144 俺も 142じゃないが乙 時に 143の後、プチ後日談みたいのってなかったっけ? その後ロックは…みたいなの。 単に俺の記憶違いかもしれんけど、 もしあるのであればそれもお願いできますでしょかm(__)m 148名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/03/25(金) 17 13 59 ID 9dBKHIVl 146 セラを説得した後、ユーナが 「シャトルが動かせないから、あなたを地球に戻す方法が無くなっちゃったのよ」 と困ったようにロックに告げる。 しかしロックは「大丈夫だと思いますよ、きっと何とかしてくれます」と ロールたちに対する信頼を見せるのだった。 ~スタッフロール~ 草原でロケット打ち上げ実験をやっている…が、失敗して爆発している。 どうやったのか一匹だけで戻ってきたデータに古代文明の技術を提供され、 それを元に何度も試作しているがなかなかうまくいっていないらしい。 バレルの孫娘であるロール(ロックの事が好き)と 空賊のボスの妹であるトロン(ロックの事が気になっている)の 二人の少女メカニックはロケットの設計について議論をしている。 ロールはシンプルで骨太な、信頼できるユニットを作ろうと思っているのだが お金がかかりすぎて現実的じゃないとトロンに突っ込まれており、 トロンは既存のパーツを組み合わせて使うことで費用を削減しようと 思っているのだが、ギリギリの調整をしないといけないエンジンなんて 不安定すぎてダメ、とロールにつっこまれている。 その二人に近づいて話しかけるデータ。 「だから~、ぼくの言うとおりにすれば大丈夫なんだってば。あのねっ…」 ロール トロン「「データは黙ってて!!」」 ピシャリと言われて聞いてもらえない。 データはすごすごと引き下がって、論争を続ける二人に背を向けて 天空にうっすらと見えるヘブンを見上げて話しかける。 「ごめんよロック~、当分、迎えに行ってあげられそうにないや~……」 END 54ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)03 05 25ID qcwbF+Ip 前スレ639で依頼があった、ロックマンDASH2~大いなる遺産~を書きます。 今手元になくて記憶だけで書くので、間違いがあったりとか、詳しく思い出せたところだけ 詳しくなったり思い出せないところは雑になったりとか、アラが出ると思いますが。 世界設定と前スレのあらすじなどは要約スレの http //game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1082540928/134 を参照してください。 DASH2の要約版はこちら。 http //game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1082540928/143 55ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)03 09 26ID qcwbF+Ip キャラ紹介 ロック・ヴォルナット 主人公。赤ん坊の頃に遺跡の中でバレルに拾われて育てられた。今では一流ディグアウター。 青いアーマーがトレードマークの黒髪の少年。右腕をバスターに、左腕を特殊武器に付け替えて戦う。 声はラピュタのパズーと同じ。 ロール・キャスケット バレルの孫で、ロックがディグアウトをしている時はナビゲーターとして、 ロック達の住まいでもある小飛空船フラッター号から通信でサポートしてくれる。 またメカニックとしての腕も確かで、特殊武器の作成や改造もしてくれる。 赤い帽子に赤い服がトレードマークの金髪の少女。 声はラピュタのシータと同じ。 データ ロックと一緒にバレルに拾われたおサル。言葉が話せる。おっちょこちょいで悪戯好き。 前作の最後で、ロック自身も知らないロックの出自について何か知っている事を匂わせた。 バレル ロールの祖父。若い頃はスゴ腕ディグアウターだったが引退している。ヒゲでハゲ。 「禁断の地」に赴いて生還したのはバレルとミュラー氏のコンビだけだと言われる。 娘夫婦(ロールの親)もディグアウターだったが、ディグアウターが禁断の地に眠ると噂する、 具体的には全くの謎の『大いなる遺産』を求めて禁断の地に挑戦し、そして帰ってこなかった。 ウェルナー・フォン・ミュラー バレルの友人で、昔のディグアウター仲間。紳士風。 ディグアウターを引退してから事業を始めて大成功を収め、大富豪になっていた。 ある時ミュラーは事業を全て整理し、全財産をかけて大型で高性能な飛行船サルファーボトム号を建造する。 再び、禁断の地に眠ると言われる大いなる遺産を探索するために。 56ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)03 10 11ID qcwbF+Ip ティーゼル・ボーン 前作から出ている空賊ボーン一家のボスで三兄弟の長。灰色の髪のおっさん。 基本は有能なようだがどこか冷酷になれないのが災いするのか、一家はロックに負け続けている。 実は彼は空賊からは足を洗ってカタギになりたいらしく、現在一家はデパート経営中。 トロン・ボーン ティーゼルの妹の、黒髪の女の子。お転婆だが根は上品らしく兄には丁寧語でしゃべる。 犬に追い掛けられているところを助けてもらって以来、ロックのことが気になっているようだが 素直になれずに憎まれ口を叩いてしまう。 メカニックの天才でボーン一家の武装などは彼女の手によるもの。 ボン・ボーン ボーン三兄弟の末っ子で、まだ赤ちゃんらしくバブーとしかしゃべれない。 しかし巨体と怪力、さまざまに付け替える腕の武装で果敢に戦う。 見た目はつぶらな目が付いて、カワイイおしゃぶりをくわえてふよふよ浮いている 直径2mくらいありそうな巨大なボールが兜を被った感じ。 この世界のヒトは人類とは少し違うらしく、このボンやロックのように体と機械の境があいまいなようだ。 コブン レゴを2頭身にして表情をかわいくしたような感じの、ボーン一家の下っぱたち。 四十数体いるらしく、微妙に性格が異なるがみなボーン一家に忠実ないい子。 グライド 空賊グライド一家のボス。薔薇を持ったキザな二枚目…に見えるがオカマ言葉をしゃべる。 嫌味ったらしい性格なようだ。 ボーン一家のコブンのように、シタッパーというたくさんの鳥を部下として持つが 上司の性格を反映してかそいつらも性格が悪い。 バンコスカス ボーラと組んで十何年も空賊をやってきたベテラン。だが最近は年齢もあって体がついていかないらしい。 鎧を着込み兜をかぶった大男なため年齢はわからないが、声や言動は口うるさいおっさん。 「大いなる遺産」にロマンを抱いている。 ボーラ バンコスカスの相棒。熱血タイプのバンコスカスと違っていい加減で冷めた性格。 覆面をしているためやはり年齢はわからないが、細身な体や声からはそれほど年とって見えない。 しかし言動によるとやっぱり年齢による衰えを感じているようだ。 ふわふわ浮いていたり、ドロンと消えたり表れたりと妙な能力がある。 57ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)03 12 25ID qcwbF+Ip 禁断の地を取り巻く巨大な竜巻に向かい空を行く巨大飛空船サルファーボトム号。 その内部の一室では、バレルが幼児を抱いた夫婦の写真を見つめていた。 そろそろ記者会見を始めよう、と入ってきたミュラーはその写真に目をとめる。 「もう十年にもなるか…娘さん夫婦があの島で遭難してから」 「馬鹿じゃよ二人とも…幼い子を残して、いってしまいよって……」 そう言って少し黙った後、バレルはぽつりと言う。 「なぁ」 「うん?」 「考え直さんか?あれに手を出すのは。」 「今更やめられんよ。私の全財産この船にかけたんだ、今更やめられるか。 …やっぱりお孫さんは来なかったんだな。」 「先越されると思ってスネとるんじゃよ。ロールもずいぶん大いなる遺産にはこだわっとるからな」 「いくらあの子が可愛くても、これだけは譲れんからな」 そう言ってミュラーは苦笑し、二人はサルファーボトム号内の記者会見会場へ向かった。 一方フラッター号の居間では、ロールがパジャマのままソファーに寝そべりぐたーっとしていた。 エプロンをしたロックが、ロールが好きな半熟ハムエッグを出しても、 机に頬を付いてふにゅぅぅー…と気のない声を出しながらフォークでつつくだけだ。 ロックは苦笑しながら元気付ける。 「大丈夫だって!大いなる遺産がそんなに簡単に見つかっちゃうわけないよ。 あっ!ほらテレビ!記者会見始まるみたいだよ!」 記者会見会場には報道陣に混ざって、大いなる遺産の横取りを狙う空賊たちも変装して紛れこんでいた。 ひそひそ声で口喧嘩をしている。 グライド「どーしてアンタたちまでここにいるのよ~、空賊足洗ったんじゃなかったの?」 ティーゼル「うるせえ、こっちにだって事情ってもんがあんだよ!」 グライド「あぁら、もしかしてデパートもう潰れちゃったのぉ」 ティーゼル「ば、馬鹿、潰れちゃいねえよ!ただちょっと経営が苦しいからバイトするだけのこったよ!」 トロン「お兄様が自分の趣味で商品を仕入れすぎるからですわ!」 ティーゼル「ぐっ…」 バンコスカス「おめえらうるせえぞ!ちったあ静かにしてろ」 ティーゼル「な、なんだとぉ?この零細空賊が!」 グライド「協定忘れたの?もめ事は後になさいな」 そうしているうちにミュラーの記者会見は始まった。 58ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)03 13 58ID qcwbF+Ip 「本日はお集まりいただきありがとうございます。今から我々が赴こうとしている禁断の地… いままで多くのディグアウターがあそこに挑戦し、そして帰っては来ませんでした。 私と、このバレル氏を除いて。我々があの時、あそこで見た物は何か!……今は、言わないでおきましょう。 なぜならあなた方もすぐに、それを見ることになるからです。」 そうミュラーが言うと、窓のシャッターが開いて報道陣から軽いどよめきが漏れる。 これまでまったく振動などを感じていないのに、すでに竜巻の近くまで来ていたのだ。 ミュラーは続ける。 「私は確信しています。我々が追い求めてきた『大いなる遺産』は、あの中に眠っていると!」 会場は大きくどよめいて、カメラのフラッシュが次々に焚かれた。 トロンは技術者として興味がわくようだ。 「風の影響をほとんど受けてない。スタビライザーが効いてるわ!」 「さて、私からは以上ですが…何か質問はございますか?」 そうミュラーが促すと、真っ先にマイクを持ってTV局の腕章を付けた金髪の女性が手を挙げた。 「よろしいですか?」 「どうぞ」 「『大いなる遺産』が禁断の地に眠っているとのことですが…ミュラーさんは具体的には遺産とは どのようなものだとお考えなのでしょうか?」 「そうですな…。ディフレクターに代わる新たなエネルギー源とか、人類に大きな飛躍を もたらしてくれる…まあ、そういったものですかな。」 「なるほど。そちらのバレルさんも、そうお考えなのですね?」 「え?あー、わしはですな…」 それまでぼーっとしていたバレルは焦って答えようとしたが、次の瞬間息を飲んで、叫んだ。 「マ、マチルダ……!い、生きとったんかぁ……!?」 ちょうどその時、武装した船員とともに記者会見場に本物のレポーターが駆け込み、 インタビューしていた女性を指差して叫ぶ。 「あーっ!あいつです!私をロッカーに閉じ込めたのは!」 緊迫する空気の中、偽リポーターの女性は窓の方へ後ずさりながら笑って言う。 「私は、あなたたちの事なんてどーでもいいの。だけど、一つだけ忠告してあげるわね。 あそこに眠ってるのは、あなたたちが思ってるようないーものじゃないわよ。 どちらかと言うと、大いなる遺産と言うより…大いなる災いなんだから!」 そう言い終えて窓の近くに立ち、「ガーちゃん!」と何者かを呼ぶ。 すると鳥型の大型リーバードが飛んできて外から窓を割り、突風が吹き荒れる中 女性は最後にまた不吉な言葉を残す。 「お騒がせしちゃってごめんなさいねぇ~?でも、あの子が起きたらこんなものじゃ 済まないと思うから。じゃっあね~!」 そして、そのリーバードの背に乗って謎の女性は去っていった。 空賊たちは、お宝の匂いがぷんぷんしやがるせ!とか、素晴らしいですわお兄様!とか盛り上がっている。 バレルはつぶやく。 「大いなる災い、あの子が起きる……、何をいっとるんじゃマチルダ……?」 59ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)03 15 36ID qcwbF+Ip フラッター号の居間のテレビでその光景を見ていたロールも驚いていた。 「ロック!あの人…あの人お母さん!」 「えっ?」 「でもどうして…お母さんがあんなことするはずないし…」 考え込んでしまったロールに、ロックは力強く言う。 「会いに行こう、ロールちゃん!」 「えっ?」 「会って確かめるんだ!」 「……そっか……うん、そうだよね!行こ、ロック!」 「うん!」 謎の女性の言葉にもめげずに、サルファーボトム号は竜巻へと向かっていた。 ほとんどの報道陣は船から降りたが、二人だけ残っている記者にミュラーが尋ねる。 「君たちは降りなくていいのかね?」 「ウチは体当たり取材が売りでね。あんな根性無したちと一緒にしねえでもらおう。」 その二人とは、ティーゼルとトロンの二人だった。 サルファーボトム号が依然として禁断の地へ向かうのを、あの鳥型リーバードの背に立って 上空から見ていた、あの謎の女性は言う。 「忠告を無視するつもりね~?」 するとリーバードが青年っぽい声で話しはじめた(普通リーバードは喋るような知能は持たない)。 『攻撃します』 「しょうがないわね~。墜としちゃダメよ。」 口からエネルギー弾を放ってサルファーボトム号を攻撃しはじめるリーバード。 サルファーボトムも機銃などで反撃するが、素早い動きを捉えられない。 そしてついにサルファーボトム号は煙を噴き、操舵不能となった。しかし針路は竜巻になっていたわけで… 黒煙をあげながらも竜巻の中へと入っていったサルファーボトムを見ながらため息をつく女性。 『す、すみません』 「あ~あ、面倒な事になってきちゃったわね~…」 63ロックマンDASH2sage2005/08/27(土)15 15 34ID qcwbF+Ip 禁断の地に行くにしても、あの竜巻の中にはこのままのフラッター号では入れない。 とりあえず禁断の地の近くの、カリンカ大陸にある雪深いヨーションカの街に向かうことにしたロックたち。 データがタコヤキ作ろうとして起こした船内火事を消火したりしつつヨーションカの街に到着した。 まずは、何か改造などのヒントは無いかとジャンクショップに行くと、ジョーという暗い影のある男が ジャンクショップの主人と何か話しているところだった。 「本当に行くのかい?あそこは危険だよ」と、ジョーを引き止めようとする主人だが 「だが、あれを完成するためにはあそこにあるディフレクターが必要なんだ…」 そう言ってジョーは出ていってしまった。 主人に詳しい話を聞いてみると、ジョーは何かを作ろうとしており、その動力となる大型ディフレクターを 入手するために街の郊外にある炭鉱の奥の遺跡にディグアウトしにいったらしい。 ジョーがその何かを作っていたという作業場に行ってみると、そこにあるものを見てロールは驚く。 それは昔ロールの父さんが設計し、製作していた「ドロップシップ」にそっくりだったのだ。 ドロップシップとは、垂直方向に下降・上昇するだけの機能しかない一人乗りの船だが 飛空艇で禁断の地の竜巻の真上に行ってドロップシップで降下すれば禁断の地に降りられる、というもの。 なぜこれがここに…?と困惑しているロールだがその時、 「あなたたち誰!?ここはお父さんの仕事場よ!」 小さな女の子が不審そうにこちらを見ていた。お父さん?と聞き返すと、 「そうよ!本当のお父さんじゃないけど、きっとお父さんになってくれるんだから!」 と言う。どうやらジョーのことらしい。 街の人やバーの女主人などから情報を集めると、ジョーは何年も前にひどい怪我をして街の外に 倒れていたところをバーの女主人とその娘(さっきの小さな女の子)の母一人子一人の家族に救けられ、 それ以来記憶喪失にかかったジョーはその母娘と一緒に暮らしているらしい。 あの子はジョーに本当の親子のようによくなつき、母親の方もいつかジョーが記憶を取り戻して 本当の家族の元へ帰ってしまうのではないかと恐れながらもジョーを愛してしまっているようだ。 とにかくジョーに会ってみることにして、ロックたちも炭鉱の奥の遺跡へと入る。 遺跡の最深部、最後の部屋の手前まで行くと、ジョーが深手を負って倒れていた。 この次の部屋にいるボスの大型リーバードにやられたらしい。 すぐに地上に運んで治療しようとするが、ディフレクターを手に入れずに帰るわけにはいかないと 言うジョーの頼みを受け、ボスを倒してディフレクターを手に入れて地上に戻った。 ジョーの手当てを終えて話を聞くと、記憶喪失になっている彼が持っていた設計図、 その設計図の機械をどうしても作らなくてはならないという不思議な気持ちが消えず、 あんな命がけの挑戦をしたらしい。 彼は助けてくれたロックたちに感謝し、ドロップシップを必要としていることを聞くと 私は怪我が深くてしばらくはベッドから起き上がれないし、自由に使ってくれ、と申し出てくれた。 こうして禁断の地へ侵入する手段を手に入れたロックたちは、いよいよ大竜巻へと向かう。 (ちなみにロールの日記を見ると、「あの設計図はお父さんの書いたものだった。ずいぶん感じが 違っているけど、ジョーさんは…」というようなことが書いてある。 もしかして、と思いながらも、言いだせなかったようだ) 149ロックマンDASH2sage2005/08/31(水)17 26 18ID e8HNJJJk ドロップシップによって禁断の地に降り立ったロック。そこは風の吹き荒れる氷の大地だった。 そこここに飛空船の残骸が散らばっている。禁断の地に挑戦したディグアウターたちのものだろう。 リーバードを蹴散らしながらしばらく進んでいくと、不思議なドーム状のバリアに包まれて 眠っている人間を発見した。周りを見渡してみるとそれは一つではなくいくつもある。 また、ロックたちの使ったものにそっくりなドロップシップも発見した。 中では緑色の長い髪をした女の子が死んだように眠っている。 それらには触れられないのでとりあえず先に進むロック。 襲ってくるリーバードたちを退けて辿り着いた禁断の地の最奥。そこは大きな広場になっており、 中央の空中には巨大な正八面体が浮かびその下にはディフレクターが台座に安置されていた。 ロックがディフレクターを取り外してみると、突然大型のボスリーバードが襲ってくる。 辛くもロックが勝利すると急に風がおさまってきた。 そして正八面体は崩れ、その中からは緑色の短い髪をした少女と その脇でひざまづいている長い髪の青年が現われた。 遠くからその光景を見ていた、あの謎の女性は残念そうに、やっぱり封印を解いちゃったのね、と言う。 彼女の近くには、あのドロップシップ内にいた緑色の長い髪の少女の躰を抱えた青年がいた。 青年はあの鳥型リーバードと同じ声で女性に呼びかける。 「ユーナ様、もうよろしいですよね。デコイ達は自らセラ様を起こした…」 「ちっともよくないわよ~!イレギュラーを狩る立場だったあの子がなぜ最大のイレギュラーになったのか、 マスターが何を考えていたのか、まだぜぇんぜんわかってないんだから!」 正八面体から出てきた二人はその様子を感知していたらしく、つぶやく。 女の子「ユーナか。」 青年「あの様子では、まだ鍵をお渡ししていただける気にはなっていないようですな。」 そして上空には、風が弱まったことで機能を回復したサルファーボトム号が雲を割って現われた。 ロール『おじいちゃん達の船!よかったー、無事だったんだ……』 「ふぅ、やっと揺れがおさまったか」 「やれやれ、ひどい目にあったわい」 「お前も年だなぁ。私なんかこの通り、ぴんぴんしてるぞ?」 「ふんっ!しかし、全財産かけた割りに大した船じゃなかったのう?」 「こほん!まぁ、あれは言ってみれば事故だから…」 そんな会話を交わすミュラーとバレルの近くでは、ティーゼルとトロンが揺れでダウンしていた。 「あ、あのおっさんたちなんであんなに元気なんだ…?」 とりあえず正八面体から出てきた二人から、サルファーボトム号の中で話を聞いてみることになった。 彼ら二人は自らを遺跡の時代の人類、古代人であると自己紹介し、 世界に散らばっている4つの封印の遺跡から「封印の鍵」というアイテムを一つずつ集めて 鍵が4本揃えば大いなる遺産の封印を解いてあなた方に提供することができる、と話す。 少女「……」 青年「我々は既に滅んだ文明の人間です。これから静かに暮らすことができれば、それでいいのですよ」 ミュラーやバレルは彼らになんとなくうさんくさいものを感じながらも封印の鍵を集めることにし、 ロックに封印の遺跡のディグアウトを頼んだ。 一方、ティーゼルは盗聴器でその会話を聞いていた…が、そこにいたグライドやバンコスカスも ティーゼルに耳を寄せて盗み聞きしていた。 怒りかけるティーゼルだがトロンの、 「まあまあお兄様。人数は多い方がいいし、鍵が集まってから全て横取りすればいいだけのことですわ」 という耳打ちに思い直し、協力態勢をとることにする。 150ロックマンDASH2sage2005/08/31(水)18 26 09ID e8HNJJJk ロックがミュラーやバレルに話を聞くと、あの禁断の地に点在していたバリヤーのドームの中で 眠っていた人々はみな遭難していたディグアウターで、なぜドームの中に居たのかは不明だが 先程ドームが消え、救助されたらしい。 ヨーションカの街では、彼ら遭難者たちが帰ってきていた。 妻や妹のもとで感動の再会をしている者たちや自分の墓を眺めて変な気分だと言っている者など、 彼ら帰還者に話を聞いてみると、あの禁断の地で遭難して意識が薄れ倒れるとき、 謎の人物に助けられたのをうっすら覚えているらしい。 しかしある程度昔に遭難した人の話ではその人物は緑色の長い髪の少女なのだが、 ある時点より新しくなるとなぜか助けてくれたのは全く容姿の異なる金髪の女性になるようだ。 また、この街には神殿や二人の女神の像もあってそれにまつわる伝説が聞ける。 天上で書庫を守る天の女神と地上で書庫の鍵を守る地の女神。 ある時天の女神が地の女神に鍵を借りようと地上に降りてきた。 しかし地の女神は鍵を天の女神に渡さず、二人は喧嘩になった。 そして地の女神は天の女神を禁断の地に封印してしまったという。 キャラ紹介2 ユーナ サルファーボトム号での記者会見の場に現われた謎の金髪の女性。その正体は、古代文明における 地上のマザーコンピュータであり、ヨーションカに伝わる伝説における「地の女神」。 明るくはつらつとした性格で、デコイ(DASHの世界で現在生きている人々)にも好意的。 本来の端末ボディは緑色の長い髪をした少女の姿なのだが、そのボディはロールの母マチルダが禁断の地で 大怪我を負って遭難していた所を助けた時にパーツを使ってしまい自由に動けなくなってしまった。 そのため、ユーナは現在マチルダの体を端末ボディとして使わせてもらっている。 ガガ ユーナからは「ガーちゃん」と呼ばれる、ユーナの補佐的な立場の青年。 人工生命体であり、鳥型リーバードの姿にもなれたり機械と同化して支配できたりもする。 デコイに対する態度は中立的。ユーナに振り回されて苦労しているようだ。 セラ 禁断の地の最奥に封印されていた、古代人と名乗る緑色の短い髪の少女。その正体は、 宇宙ステーション「ヘブン」のマザーであり、ヨーションカに伝わる伝説における「天の女神」。 冷徹・厳格な性格で、マザーとしての職務の遂行にこだわっている。 ジジ セラの補佐的な役割を担っている、長い髪の青年。ガガと同じような能力を持っている。 セラと同じく冷徹な性格。
https://w.atwiki.jp/game_staff/pages/268.html
ロックマンDASH2 エピソード2 大いなる遺産 対応機種 プレイステーション 発売日 2000年4月20日 開発 カプコン 発売 カプコン STAFF 企画 河野禎則 中井実 渡辺順也 田中将史 江口正和 オブジェクト 石原雄二 上田啓司 荒生秀子 佐藤和隆 橋永智幸 木元正文 續木由佳 高橋森 浅野鉄平 佐藤史法 BGデザイン 加治勇人 木嶋美紀 川鍋由紀子 竹田学 吉岡真弓 末吉英了 清水奈津子 望月昌和 吉川隆 酒井太一 プログラム 伊集院勝 新野恵貴 種田克教 橋本圭 北村元 辻利彦 坂野光徳 伊東壮一 片岡道徳 大囿祐示 音楽 友澤眞 音響効果 天岸真志 藤谷淳子 台詞編集・調整 瀧本和也 オフィシャルキャラクターイラスト 石川秀樹 タイトルデザイン 鵜飼敏 ソフトウェアマニュアルデザイン 豊永みづほ デバッキングテストプレイ統括 松本学 SPECIAL THANKS TO 黒澤真 中村裕子 山田希男 田中徳良 川野毅 関根則幸 竹村学 白岩卓也 東浦宏行 尾山明 北原隆 古別府宏充 浜亘 川上朝幸 門井一憲 篠原佳奈子 神南スタジオ 文部省認定 漢検 CAPCOM PRODUCER GROUP …and ALL CAPCOM STAFF ディレクター 河野禎則 プロデューサー 稲船敬二 PRESENTED BY CAPCOM
https://w.atwiki.jp/ggmatome/pages/221.html
Wiki統合に伴い、ページがカタログに移転しました。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/7203.html
ロックマンDASH2 エピソード2 大いなる遺産 【ろっくまんだっしゅつー えぴそーどつー おおいなるいさん】 ジャンル フリーランニングRPG 対応機種 プレイステーションWindows 98/Me/2000/XPプレイステーション・ポータブル 発売・開発元 カプコン 発売日 【PS】2000年4月20日【Win】2002年8月23日【PSP PKG】2005年9月20日【PSP DL】2009年12月16日 定価 【PS】6,090円【Win】5,280円【PSP PKG】3,990円【PSP DL】700円 レーティング CERO 全年齢対象 廉価版 【PS】PlayStation the Best for Family 2001年4月5日/2,940円【Win】カプコンPCお得シリーズ 2003年5月30日/1,980円【PSP】カプコレ 2006年12月21日/1,980円 判定 良作 ロックマンシリーズ あらすじ 概要 評価点 賛否両論点 問題点 総評 移植 余談・その後の展開 あらすじ 前回のカトルオックス島の冒険の後、ロック達は変わらず「大いなる遺産」を探して旅を続けていた。しかし「大いなる遺産」が「この世界のエネルギー源であるディフレクターに代わる、無限大の新エネルギー」である、という説を最初に提唱した事業家、ウェルナー・フォン・ミュラーが「大いなる遺産」を手にいれる為の一大プロジェクトを開始。巨大飛行船・サルファーボトム号で、「大いなる遺産」が眠ると噂ながらも誰も生還できなかった、常に嵐吹きすさぶ危険地帯「禁断の地」に乗り込もうとしていた。 ずっと追い求めていた夢であり、行方不明の両親の唯一の手掛かりだと信じていた「大いなる遺産」を先に見つけられてしまうのかと失意に暮れるロール。ロックはそんな彼女を慰めながらミュラーの会見の様子をテレビで観ていたが、その最中、会場にいた記者の女性が「あれは大いなる遺産と言うより、大いなる災いなんだから!」と意味深な言葉を残し、白銀のリーバードに乗って飛び去って行った。その女性は、行方不明になっているロールの母・マチルダであった。 突然の出来事に始めは戸惑っていたロールだったがロックの後押しを受け、真実を知る為に自分達も禁断の地へと向かう事を決意する。様々な思惑が交錯する中、「大いなる遺産」を巡る冒険に身を投じたロックは、やがてこの世界の真実、そして自身の正体に対面する事になる。 概要 『ロックマンDASH 鋼の冒険心』の直接的な続編。 シナリオは前作と比べてスケールが大きくなり、多くの謎が明かされるなど核心に迫るものとなっている。 システムも改良され、グラフィックのクオリティアップなど、前作の様々な要素がレベルアップしている。 新たに持ち上げ・投げというアクションが追加され、戦闘の幅が広がった。 タイトルに「エピソード2」とあるが、これは『ロックマンDASHシリーズ』のエピソード2という事ではなく、『ロックマンDASH2』のエピソード2という意味である。 「エピソード1」は前作『鋼の冒険心』ではなく、『トロンにコブン』収録の本作体験版『「ロールちゃん危機一髪!」の巻』を指す。 あくまで体験版である為、ストーリーはおまけ程度。プレイしていなくても本作のストーリーを理解するのに支障を来す程ではない(トロン戦のイベントで軽く触れられる程度)。勿論、プレイ済みならニヤリと出来るが。 『トロンにコブン』のストーリーも引き継いでいるが、こちらも未プレイでもそれほど大きな問題は無い。 評価点 大まかな長所は前作と同様。3Dフィールドの探索、戦闘と言った基本的な面白さはしっかり健在である。 PS後期だけあってグラフィックはトップクラス。トゥーンレンダリングによらないアニメ風表現は一見の価値あり。 前作から単純にクオリティが上がったのは勿論の事、キャラクターデザインも変化しており、ロック達の顔つきがデフォルメの利いていた前作よりやや大人びて落ち着いたものに。また、OPではアーマーを脱いで普段着になったロックや、パジャマ姿のロールと言った珍しい姿を見る事も出来る。 シナリオのボリュームの増加。 登場キャラが大幅に増え、ストーリーも前作よりかなり長くなっている。 一つの島のみが舞台だった前作に比べると格段に世界が広がった。雪国や砂漠地帯、一つの建造物の中にある町、果ては宇宙と、様々な世界の冒険を楽しめる。 ストーリー自体も物語の核心に迫るものになっており、世界の真実、ロックの出生の秘密、ロールの両親の行方など、多くの謎が明かされる。動きが少なかった前作と違って目まぐるしい展開が続き、プレイヤーを飽きさせない。 お馴染みの「ボーン一家」に加え、『トロンにコブン』から登場の「グライド一家」(*1)、中年空賊コンビの「BBブラザーズ」と言った新たな敵が登場し、戦いも激しくなった。 舞台が広がった事でスケールが一気に大きくなり、シリアスな描写も増した事でより本シリーズの壮大な世界観に没入する事ができる。 勿論、コミカルな展開も健在。ボーン一家やグライド一家との攻防は終始愉快なものとなっている。 例えば序盤で戦うトロンは、ロックを惑わせる為にボイスチェンジャーでロールの振りをしながら襲いかかってくる(*2)。しかしプレイヤーにはバレバレなのでひたすらシュールで笑えるボス戦に。 ミッションも大幅に増えている。最初の消火活動に始まり、防衛戦、市街戦、ボーン一家との共闘、爆発する要塞から女の子を持ち上げながら脱出、など様々なミッションが立ち塞がる。 前作に比べてシステム面が改良され、より快適なアクションを楽しめるようになった。 ロックオンシステムの改良。 ロックオン対象へのマーカー表示、空中などでもロックオン可能、ロックオンしながら移動してもカメラが常にその敵を向き続けるなど。 特殊武器の改善。 前作の特殊武器は、立ち止まっていないと使用できないものがほとんどだったが、今作では走りながら使用できるものや、空中でも使用できるものが格段に増え、より快適に特殊武器を使えるようになった。一種の個性として、立ち止まっていないと使用できない特殊武器も存在する。 前作よりも個性的な性能の特殊武器が多くなった。終盤まで使っていける特殊武器も増えた。 落下からの着地時の硬直が無くなり、移動が快適になった。 方向転換が自然によりスムーズになった。また、前作であった正面を向いて走るより斜めを向いて走る方が早いという不自然な現象もなくなった。 ローラーダッシュ中に崖っぷちに差し掛かると、高速で大ジャンプできるようになった。この時のシュパーンという効果音が気持ち良く、爽快感が大きい。 減速している時は大ジャンプせず、前作同様に落下することも可能。 その他 人々の好感度による色の変化も健在。今回は「ダークロック(好感度が低い黒ロックマン状態)」の状態でしか手に入らないアイテムも存在する。 それならば黒くなった方が得そうだが、今回はショップで値上げされたり漢検が受けられなかったりと言った実利面でのデメリットもある。逆に「ライトロック(好感度が高く光に包まれた状態)」ならショップで値引きしてもらえる。 教会に寄付する事で好感度を何度でも上げられるので、善行イベントをやり尽くした後にライトロックになりたくても(かなりの金額が必要だが)大金を積めば何とかなる。 今回はロールにも好感度が設定されており、その度合いによってロックへの態度が変化するようになっている。あんまりイジワルばかりすると…? フラッター号のロールの部屋では彼女の日記を読む事も出来る。ストーリー進行に応じたロールちゃんの心境を事細かに知る事が出来る他、ロックの取った行動で内容が変化する事も(*3)。 インテリアを買ってフラッター号の船室に飾る、と言ったお楽しみ要素もある。 今回はディグアウターのランクを上げる為の試験が登場。合格する事でサブダンジョンが解禁され、同時に敵も強くなる。 どの試験も曲者で、限られた装備とアクションで進まなければならない。合格の為には試行錯誤が必要であり、歯応えは十分。 更に高ランクのライセンスを所持してゲームをクリアすると、「むずかしい」「しんどい」と言った更なる高難易度のゲームモードが解禁される。 PS版・PC版ではミニゲームとして漢字クイズに挑戦可能。なんと「漢検」(公益財団法人 日本漢字能力検定協会)監修であり、スタッフロールにも明記されている。 ただしPSP版では代わりに雑学クイズに差し替えになった。 賛否両論点 バスターの仕様変更。 「弾数」と「連射」のパラメータを強化する意味が薄れた。 「一発発射 → 一瞬だけ移動 → 一発発射…」と繰り返すことで、本来の連射間隔を遥かに上回る速度でバスターを超連射可能になった。 これらの原因は二つある。一つは地上バスターや地上移動の挙動が速くなり、即座に他の行動に移れるようになったこと。もう一つは「弾数」のパラメータの仕様が変更され、間を置かずにバスターを連発しやすくなったこと(*4)。 前作の「弾数」は、一度に連射できる弾数のことであり、一度の連射で弾数を撃ち切った後は、少しの間だけバスターを発射できなくなるという仕様があった。 今作の「弾数」は、画面内に同時に存在可能な弾数のことであり、画面内に存在するバスターの弾が「弾数」を上回らない限りは延々と連射し続けられる。 「連射」のパラメータは、バスターの連射間隔の速さを表す。 よほどバスターの「射程」や「連射」を強化しない限りは「弾数」で悩まされることがなくなった。 「射程」も「連射」も大きければ良いに越したことはないが、「射程」はある程度までの強化で事足りてしまう。「射程」を最大まで強化しないと届かないほどの長射程が必要になる場面は少ないし、長射程の攻撃は特殊武器でもカバー可能。 フリーランニングRPGとして。 前作は一つの島に舞台を絞っており、スケールこそ小規模だが殆どのマップが扉や地続きで繋がっていた為、島全体を一つの巨大なフィールドとして駆け回る楽しさがあった。 一方、本作は前作より世界が広がったのは確かなのだが、陸続きではない各大陸・島にフラッター号で移動するシステムになっており、それぞれの移動範囲も限定的である。特に前半に行くマンダ島とニーノ島はほぼ街とダンジョンしか無い為、フィールドを自由に駆け回る事は出来ない。 移動に制約があるというだけで、開放的なフィールド自体はいくつもあり、総合的な面積は前作より広くバリエーションにも富んでいる。しかし地続きという訳ではなく、広さの割に一本道のフィールドが多い為、前作のような開放感や移動の自由さは味わいにくいのも事実である。また、地理的に当たり前の話だが、前作と違って各ダンジョンが繋がっているという事は無い。 ゲームとしてはどちらが良い、悪いという訳ではないが、前作に慣れ親しんだプレイヤーは「スケールが大きくなったが故の物足りなさ」と言う、奇妙な感覚を覚えるかもしれない。前作未プレイであれば気にならないだろうが。 問題点 シナリオ面。 物語が大きく動き、多くの謎が解明されるののは良いのだが、前作で動かなかった分を一気に消化しようとした為か、特に終盤はストーリーが駆け足気味である。 エンディングも戦いそのものには決着は付けたとは言え、また新たな戦いの始まりが示唆されるなどやや中途半端な終わり方である。また、回収しきれていない伏線もあり「新たな謎が増えてしまった」という声も多い。 こう言った不満点も、より続編を望む声を強める一因だったのだが…(後述)。 前作同様、特殊武器周りのバランスにやや難がある。 特殊武器を改造(強化)するための費用が前作以上に高い。この開発費の高さは本編中でもネタにされている程(*5)(*6)。 中にはフル改造するまで2回カンストする程度までのお金が必要な武器があったり改造費用のバランスが非常に悪い。 と思いきや、最も安価でフル強化できる武器がトップクラスの攻撃力を誇ったりと無茶苦茶である。 金策もミニゲームをやり込む等より無限湧きする雑魚をひたすら倒す方が圧倒的に効率が良いので、作業的なプレイ時間が多くなりがち。 アクアブラスター、リフレクトアーム、シールドアーム等はあまり使い物にならない。 元々戦闘用ではないアクアブラスターはともかく、リフレクトアームは弾道が地形を反射するという個性的な性能にもかかわらずその反射能力を活かせる場面がほぼ皆無であり、あまり練られてない。シールドアームは特定の弾を吸収してエネルギーを蓄積し、衝撃波による攻撃に転換できるという個性的な性能だが、吸収可能な弾を使ってくる敵が少なく、必ず使ってくるとも限らないので使いにくい。終盤付近になって入手することもあり、ほとんど活躍できない。 前作同様、ダンジョンの特定の壁を壊せるドリルアームを必要とする場面が少なからずあるため、やはり特殊武器の選択の自由度を損ねている部分がある。 前作のドリルアームはゲーム終盤で入手する、寄り道の探索用の特殊武器といった扱いだった。一方で今作のドリルアームは序盤で入手し、またゲーム前半のメインストーリー上のダンジョンには「ドリルアームでなければ壊せない壁」がいくつか存在するため、前半のダンジョン攻略に持っていく特殊武器はほぼドリルアーム一択となっている(*7)。 ドリルアームの性能自体は前作よりも格段に強化されており、戦闘で有効活用することはできる。中盤で戦うライバル空賊「バンコスカス」に対して決めると、文字通り一瞬で撃破出来る。 ライフゲージの仕様 今作ではライフの黄色のゲージがなくなりライフが尽きる寸前となるとゲージ全体が赤いメモリ表示となるが、初見では「ここからこの赤いメモリが尽きてゲームオーバーになる」と勘違いしやすい。実際はこの時点で攻撃を喰らえばゲームオーバー。 一度覚えてしまえば何てことはないが、やや紛らわしい表示でもある。 前作に比べて、ローラーダッシュ中の減速時の煙のエフェクトや、方向転換時の火花が散るエフェクトが無くなった。 新要素である水中ダンジョンが面倒。 水中では動きがかなり鈍くなる。敵の攻撃を受けてダウンした時などは長時間行動不能に陥ってしまう。 ジャンプ力が強くなる、落下速度が緩やかになる、浮力により重い物を持ち上げられるという要素を利用して攻略するダンジョンであり、全くメリットが無い訳ではない。 これが少しだけなら「制限の多く科せられる新ギミック」で済んだであろうが、クリアに必須の水中ダンジョンは結構長い。そのダンジョンだけ妙にクリアに時間が掛かってしまう。 一応水中での操作をしやすくする装備もある。と言うか、これが無ければ最早ただの苦行である。 特殊ダメージに関してのバグ。 本作では特定の攻撃を受けた際や特定の床を踏んだ際に「燃え」「しびれ」「エネルギーもれ」の各三種あるいずれかの特殊ダメージを受けることがあるが…。 説明書にはこれらは「激しく方向キーを動かすことでダメージ時間が短縮されます」と書かれてあるが、実際にはバグにより方向キー連打を行っても一切ダメージ時間が短縮される事はない。 これは後の移植であるWindows版でも修正されておらず、PSP版にてようやく修正された。 サブイベントが少ない。 本編のストーリーはかなり長くなったが、逆にサブイベントは少なくなっている。 その分、本筋に集中しているので仕方ない話ではあるのだが、シナリオが進む毎に様々なイベントが発生し、前作のようなイベントやアイテムを探したり町の人々と交流を深める楽しみは薄く、前作を知っていると寂しさは否めない。 あくまで「少なくなった」のであって全く無い訳ではない。また、オブジェクトを調べた際のロックのコメントなどの小ネタや、NPCの個性的なキャラクターも健在で、NPCに至っては殆どのキャラに個別のグラフィックが用意されている。 ミニゲームの漢検の「特別問題」が非常に難しい。 その数何と100問、しかも出題内容はランダム。更に途中で一問でも間違えると一発アウトという厳しすぎる仕様。おまけにクリアしないと手に入らない特殊武器の素材アイテムがある。 救済として大量のゼニーを支払う事でアイテムは手に入れられるが、その支払う額は何と200万ゼニー。こちらはこちらであまりに多額である。 PSP版では雑学クイズに差し替えになったがジャンルが多岐に渡り、しかもDASH以外の他ロックマンネタやカプコン製の別ゲームネタの問題まで含まれ、下手をすると漢検よりも難易度が上がっている。 ショッキングな怖いゲームオーバーも健在。 但し、前作と違って文字は水色になっており、BGMも氷のような寒々しい音に変わっている為、前作に比べれば幾分衝撃は和らいでいる。 あるキャラのボイス。 終盤に登場するとあるキャラの声は、当時グラビアアイドルで本作のCMソングとエンディングテーマを歌唱している女優・原史奈が担当しているが、この手の起用の例に洩れず棒読み気味。 聞くに堪えないほど酷い訳ではなく出番も少ないのだが、他の出演声優が軒並み大手のプロである為、かなり浮いてしまっている。 総評 フリーランニングRPGとしての面白さは健在で、前作の不満点も概ね改善されている。 メインストーリー重視の作風など前作との若干の方向性の違いはあり、それ故の突っかかる点は所々にあるが、 総合的に見ても完成度は良好で、良作の続編としての出来栄えは安定している。本作もまた十分良作と呼べる作品だろう。 エンディングや残された謎などから現在も続編を望むファンは多い。 移植 Windows、PSPに移植されている。 Windows版 設定画を収録。 バグが多く、中にはゲームが強制終了してしまうものも。 PSP版 デモに字幕追加。 画面が16 9のワイド画面に。 やはり版権の問題か、漢字検定がクイズ特訓に変更。 特殊武器の開発費用が減額されている。特に最強クラスの武器は殺人級の高さだった費用が大幅に減額された(それでもまだ高いが)。 水中ダンジョンでのゲームスピードが多少速くなった。 トロンにコブンに体験版として収録されていた『エピソード1「ロールちゃん危機一髪!」の巻』を収録。 余談・その後の展開 作中の漢検の出題者の一人「ヤイト」は『ロックマン エグゼ』シリーズに登場するレギュラーキャラ「綾小路やいと」の元になったキャラである。 同じく、カルバニア島に住むシューという女の子は、『ロックマン エグゼ4』以降に登場する「城戸舟子」の元キャラである。双子の弟達「アッポとダー」も、エグゼ4にて「アツホとタイチ」として出演。 今作でのロックの外見上の変化として挙げられる、背中の特徴的なバックパックは、アイテムを小型化して収納しておくという設定のもの。 またPS版のパッケージイラストや一部設定画ではアーマーに加え皮のマントを着ているロックが描かれているが、ゲーム中では残念ながらその姿は見られない。 本作序盤のみ、ロールちゃんが同行者として追随するパートが存在する。 途中、リーバードが襲ってくるエリアも通過するのだが、ここでロールがリーバードに攻撃を受けても悲鳴を上げるだけでダメージは受けない。後の日記にも「ロックのおかげでケガ一つせず」と書かれる。 …が、ロックの攻撃が当たるとケガをさせてしまった事になり、しかも専用イベントがある。それも「わざと当てたのか否か」を選択肢で選ぶというもの。 そしてこのイベントを起こすと日記に「リーバードよりロックが怖かった」「何度も撃たれて死にそうになった」と半ば恨み言のように書かれる。 また、ロールを持ち上げようとすると「きゃあ!」「やめて!」と殴られてダメージを受ける。勿論、体力が1の時に喰らうと死んでゲームオーバー。ヒロインに撲殺されるという、シリーズでも類を見ない事になっている。 クロスオーバー作品に本シリーズが何度か関わっている。 『NAMCOxCAPCOM』に本家シリーズを差し置いて参戦。 『プロジェクトクロスゾーン』にもトロンにコブン、リーバードが参戦した。 『マーベルVSカプコン2』同『3』にはトロンにコブン、『タツノコVSカプコン』シリーズにはロックが参戦した。 「『DEAD RISING』は開発当初『ロックマンDASH』新作のつもりで作っていた」というスタッフコメントがあった。 当作中には巨大なコブンオブジェとコブンの被り物が登場している。 ちなみにディレクターの河野禎則氏は本シリーズで監督を務めた人物である。そのほかのスタッフも数名参加している。 『2』以降長年ファンに続編が待ち望まれていたにもかかわらず、採算が取れない理由でなかなか登場しなかった。携帯ゲームなどの外伝作品を経て2010年になってようやく「ニンテンドー3DSで『ロックマンDASH3 PROJECT』が進行中」と発表された。 が、「発表から半年経ってもプロジェクトが承認されていなかった」「体験版が有料&土壇場で配信延期」「その売れ行き次第ではプロジェクト中止」などなど、とにかく「採算が取れない」と言う事に対する危惧が痛いほどに窺えた。 体験版については、当時ニンテンドーeショップが体験版の無料配信そのものをやっていなかったという事情も有る。しかし「お金を出してまで試作版をプレイしたい」というファンの人数を実際に数字として出せる重要な機会で有った事は想像に難くない。 そして挙句の果てに、2011年7月にPS3/X360『メガマン ユニバース』と共に突如開発中止が発表された。「体験版の反応次第で本制作承認を判断する」としておきながら、その体験版の配信すら待たずの中止決定であった。 ちなみに体験版は3月に試遊会→5月にeショップで配信という予定だったが、震災やら諸々の理由で結局日の目を見ることは一切無かった。 かなりの部分が完成していた様なのだが……開発責任者の稲船氏が退社した事情もあるだろうが……。 当時のカプコンは『モンスターハンター3G』『スーパーストリートファイターIV 3D EDITION』『バイオハザード ザ・マーセナリーズ 3D』など安定した実績を持つシリーズに非常に力を入れており、PS2やDS/PSPくらいの時代からあまり勢いを作れなかった『ロックマン』シリーズ自体が社風と合っていなかったのかもしれない。 そのロックマンシリーズの中でもとりわけセールス面で鳴かず飛ばずに終わったDASHシリーズに対しては、非情ではあるが数字を全てとする経営陣側が消極的になるのも仕方がないとも言える。 新ボーンメカ、新リーバード、三人目のヒロインとなる新キャラエアロのデザイン、サブイベントの内容などの募集、投票による声優のオーディションなど、ユーザー参加型として積極的なプロモーションが行われていた。それだけにファンの落胆も大きく、現在では有志による『3』開発再開運動や『ロックマンDASH3』再起動プロジェクト(『DASH』シリーズにゆかりのある歌手森下玲可も参加)が始動してたりするが、公式は「『3』開発再開は無い」と断言している。 後から考えてみれば制作承認が下りていないのにやたら積極的かつ実験的なプロモーションであったため、カプコンのお家事情の中で何が何でも『DASH3』を作りたいスタッフが暴走気味に宣伝していたのでは、という推測も広まっている。これについてもシリーズの売上が芳しくなかった原因の1つである「宣伝の少なさ」への危惧とも考えられなくもないが。 エアロについてはモバイルゲーム『オトレンジャー』にて何とか日の目を見ている。 また、「『DASH3』のノウハウを用いて作られたのが『エクストルーパーズ』」だとも言われている。 コンシューマにおける『ロックマン』シリーズは完全に白紙となってしまっていたが、シリーズ30周年記念として2018年10月に本家『ロックマン11 運命の歯車!!』が発売された。
https://w.atwiki.jp/comeback_rockman/pages/18.html
長い廊下を走る。本当なら小刻みに重力が変わるエリアが続いている筈の場所だが、今は作動していない。 見かけるリーバードもまだ小型のものばかりで、数も少数だ。どうやらこちらを敵だと判断しているようだが、生憎と小物を相手にしているだけの余裕はない。それらを全てスルーして走り抜けた。 時々避けきれないものもいるが、キックで軌道を逸らしたり、持ち上げて同士討ちさせたりと、適当にあしらうことにした。 『・・――える?聞こえる、トリッガー?』 「あ、はい。聞こえますよ、ちょっと調子悪いけど」 暫く走ったところで通信が入る。ユーナだ。既にこの状況に気が付いていることはわかっていたが、流石はマザーの名を冠しているだけのことはあり、行動は早かった。 『まだシステムが本調子じゃないから、こっちからもスキャンしようと思ったんだけど、上手くいかなくてね。あなたに調査をお願いしようと思ってたところなのよ』 「えぇ。マスタールームからも上手くアクセス出来ませんでした」 『そうね。あなたもわかってるとは思うけど、ディフェンスエリアを抜けてくしか方法はなさそう。今出逢うリーバード達は小物ばっかりだけど、数が多いから注意してね』 「わかってます」 そう云った矢先、眼前にホロッコが飛び出してきた。最下級リーバードの一体だが、全身が炎に包まれているせいで迂闊に触れることは出来ない。 おまけに移動速度はなかなかのものだ。完全スルーというわけにはいかないだろう。 初手の突進を側転することで避け、起き上がり様にバスターを放つ。ホロッコならば数発のバスターでも簡単に倒せる筈だ。 「くっ・・!?」 しかしホロッコはバスターを受けつつも、それをものともせずに突っ込んできた。予想外の出来事に回避が遅れ、体当たりを受けて近くの壁へと叩き付けられる。 ホロッコはそれでも止まらない。すぐにターンをすると続けざまに攻撃しようとロックに向かって猛然と向かってくる。 『トリッガー!』 「くそっ!」 反応の遅れによる回避失敗に二度目はない。飛び込み前転でホロッコの頭上を飛び越え、すれ違い様にバスターを連射する。 放たれた光弾は一発、二発、三発とホロッコに炸裂した。体勢を立て直しつつ、更に連射を浴びせ続ける。ホロッコが爆裂したのは数えて七発目の光弾が直撃した瞬間のことだ。 ロックは思わず大きく息をついた。アーマーを着るのが一年ぶりだったせいで、肝心なことを忘れてしまっていたのだ。 『大丈夫?前にも云ったけど、あなたのアーマーはセラちゃんとの闘いでボロボロなの。見た目は綺麗になってるけど、武器の出力とかはかなり低くなってるってこと忘れないで』 「すみません、肝に銘じます」 かつて最高クラスにまでカスタマイズしていたバスターも、今では最低出力だ。これでは確かにホロッコを倒すことさえ難しい。極力戦闘は避けるべきだろう。 一応持ってきている右手のシャイニングレーザーもエネルギー残量はほとんどゼロ。恐らく撃てて一発が限度だ。それでも最大出力が出るかどうか怪しい。 割と状況を甘く見ていた自分をロックは反省した。今の装備では強力なリーバードには太刀打ち出来ない。それどころかディフェンスエリアの地形さえ忘れかけているのだ。 『まっ、私がナビして上げるんだから道に迷う心配はないわよ、ロック君』 「人の心を読むのはやめて下さい・・」 『おーっと、暢気に会話してる時間はないみたいよ!続々来るから気をつけて!』 「は、はい・・!」 ユーナに指定された扉を開くと、そこは見事にリーバードの山だった。 見渡す限りのホロッコの大群。それらのあちこちににょっきりと頭を出すフィンゲリー。騒々しい音を立てて駆け寄ってくるのはクルグルだ。その奥には扉を守るガンブリーの姿も見える。 それらはロックの姿を確認すると、一斉にロック目掛けて殺到した。かつてディフェンスエリアを抜けてきた時よりも遙かに凌ぐ数だ。とても最低出力のバスターと一発しか撃てないシャイニングレーザーでかき分けられる状況ではない。 しかしロック・ヴォルナットは地球ではSS級ディグアウターだ。そしてロックマン・トリッガーは一等粛正官の名を冠するイレギュラーハンター。 例え武装が貧弱だとしても、たかがリーバード如きに尻尾を巻いて逃げる男ではない! 「えーいもうっ・・こうなったら正面突破だ!」 『トリッガー、がんば!』 殺到するリーバードの軍勢目掛けてバスターを連射する。最低クラスまで威力と連射力の落ちたバスターではその中の一体すら仕留められはしない。 だが掃射するバスターは破壊するのが目的ではない。それらを受けたホロッコ達の足を一瞬でも止める為のものだ。 「最弱のバスターでも!」 足を止めたホロッコの一体を引っ掴み、すぐ近くの一体目掛けて放り投げる! 「使い道は!」 更にそれで吹き飛ばされたホロッコ達を端から掴み、とにかく手近なホロッコへとぶつけ、同士討ちを狙う。 足下を掬うようにして突っ込んでくるクルグルは頭上を飛び越えて躱した。そしてフィンゲリーの眼前に着地したロック目掛けて、クルグルは更に追撃を仕掛けてくる。 それをギリギリまで引き寄せ、側転で離脱。急旋回の出来ないクルグルはフィンゲリーに激突すると、両者は爆炎を上げて四散した。 「あるんだっ!」 背後からゆっくりと歩み寄ってくる二体目のフィンゲリーに足払いをかけ、その体勢を崩す。 重心が高く腕を持たないフィンゲリーはそのまま起き上がることさえ出来ず、ただじたばたと足を動かすだけだ。そしてそれは上空へと移動することの出来ないホロッコをせき止める障害物にもなる。 ロックを追いかけようと次々突進してくるホロッコは、横倒しになったフィンゲリーに阻まれて動くことが出来ず、あまつさえ後から後から突っ込んでくる仲間達の衝撃に耐えかね、やがてはフィンゲリー共々破壊されていった。 『ひゅー!やるじゃない!でもガンブリーはどう切り抜けるの?』 「こうします!」 空中に浮遊し、四つの腕を飛ばしてくるガンブリーを倒さなければ扉は開かない。そして扉を開かなければ、すぐにまたこの部屋はリーバードでいっぱいになってしまうだろう。 ロックの決断は早かった。次々に飛んでくる四つの腕を紙一重で躱し、一気にガンブリー本体にまで肉薄する。 そして戻ってくる腕が再びエネルギーを充填する為に纏う光を消した瞬間、それらを足場にしてガンブリー本体の上に飛び乗る。 後は頭部の影に隠れるだけだ。再びエネルギーで満たされた腕は、ターゲットを破壊しようとロックオンした者へと一直線に向かっていく。その軌跡の間に自分のメインコンピュータが存在していようとも。 『・・トリッガーの頃からは考えられない闘い方ね』 「今は一応ディグアウターですから」 爆裂するガンブリーに巻き込まれないようにして離脱し、着地する頃には扉が開いていた。そうなればもうリーバードの山を相手にする意味はない。 すぐに扉をくぐり抜けたロックは、追いかけてくるリーバードの大群に「ごめんね」とだけ挨拶をすると、すぐに扉を閉じて再び駆け出した。 『ねぇ、前々から聞きたかったんだけど』 「何です?」 リーバードの勢いが若干だが緩んだ為か、それともロックが今の装備で闘う術を確立したのを確認した為か、通信機の先のユーナが切り出してきた。 突進と共に鋭い片腕の突きを放ってくる二体のシャルクルスを同士討ちにしつつ、ロックはメットのイヤー部分に片手を当てて返事をする。 こうしていないとまだ少しだけ残っているノイズが邪魔をして、ユーナの声を上手く聞き取れないのだ。 『ディグアウターって楽しい?遺跡から使えるものを掘り出すってことは知ってるけど、それって割に合わないと思うんだけど』 「よっ・・!そうですね。はっ!楽しいかどうかはわかりませんけど・・っと!僕達にとってはそれしか手立てがありませんし、それが仕事ですから!」 『ふうん、僕達ね』 「えっ?」 『いや、何でもないの。それよりも前よ、ロック君!』 云われた瞬間、ロックは腰を屈めた。反瞬前にロックの頭部が存在していた場所を、シャルクルスの突きが貫いていく。 腰を屈めた勢いを利用し、バック転の要領でシャルクルスの腕を両足で挟み、そのまま後方に回転する勢いを以て地面にその頭部を叩き付ける。 シャルクルスは強力なリーバードだ。しかしメインコンピュータを破壊されてはもはやどうしようもなかった。二、三度震えたシャルクルスはそのまま静かに沈黙していった。 「ふぅ、危なかった。すみませんユーナさん」 『・・・・』 「ユーナさん?」 『えっ?あぁ、ごめん。そのまま真っ直ぐ進んで。曲がり角にはリーバードがいるかもしれないから気をつけてね』 「・・?は、はい」 ユーナは基本的にロックをトリッガーと呼ぶ。その方が呼び慣れているからだとは彼女自身の言葉だ。 彼女がロックをロック君と呼ぶのは何か特別な意味を持つ時か、もしくはロックをからかう時だけだ。特に地上に残してきた人々の話をする時、ユーナはロックをロック君と呼ぶ。 ロックには気が付いていないことだが、これ以降ユーナはずっとロックをロック君と呼び続ける。 それはロックがディグアウターというデコイ達の職業に対し、僕達という表現を使ったことで、彼がトリッガーの記憶を持とうが持つまいが、デコイ達の社会の一員なのであると思い知らされたからだった。 『・・ごめんなさいね』 「どうしたんですか、いきなり?」 『アハハ。なんだか君はヘブンにいるべき人じゃないって、今わかっちゃったからかな。 本当ならあなただけでも地上に帰して上げなければいけないのに。 そんなことも出来ないなんて、私・・マザー失格かな』 「なんだ、そんなことですか」 ユーナの警告とは裏腹に、曲がり角にリーバードはいなかった。その代わりに巨大な扉がずっしりと構えている。 シャトルベイに繋がる扉だ。無我夢中でリーバード達の中をくぐり抜けてくる内に、いつの間にかこんなところにまで辿り着いていたのだ。 幸い扉はロックされていない。こちらから触れてやれば簡単に開き、発生した異常事態の正体を教えてくれることだろう。 しかしロックはすぐに扉を開けることはしなかった。片手をメットに当て、努めて明るい声でユーナに返事をする。 「ユーナさんは立派なマザーだと僕は思いますよ。セラさんも。普通マザーみたいな位の高い人がたった一人を自分のパーツを使ってまで助けようとはしないと思います。 例えそのせいで後々大変なことになるってわかってても、一人を見殺しにすることが出来なかったなんて、まさに『マザー』じゃないですか」 『・・そ、そうよね!マザーだもん、命と何かを天秤にかけるなんて出来ないわよね!おほほ、おほほほ』 それは単なる向こう見ずであって、ユーナはそこまで考えてはいない。この通信を傍受しているだろうセラはきっとそう思っている。 「それに僕のことは心配しないで下さい。必ず地上に帰れます。前にも云ったじゃないですか」 『・・・・そうね』 そこで会話を切り、ロックは扉を開けた。 むわっとした空気が一気に流れ出てくる。この一年間ずっと使っていなかったせいで、酷くこもったような空気だ。 それに加えて何かが爆発した後みたいにほこりっぽい。思わずくしゃみが出そうだ。涙のせいで視界も悪くなる。 それでもなんとか片手で目を拭ったロックは、少しずつ晴れ始めた埃の先に見覚えのないものを二つほど見つけた。 「何だ・・?」 一つは巨大なリーバードだ。背丈はロックの二倍から三倍くらいある。 人型をしているが、腕の付け根が胴体の前面についているという不思議な形をしていて、そこから伸びている腕を背中側にぐにゃりと曲げて、胴体の横に持ってきている。 見覚えがないと思ったのはどうやら記憶違いだ。出逢ったのが随分前だったせいで忘れてしまっていただけらしい。確かヨーションカの廃坑で闘った経験がある。名前はジャイワンで間違いなかっただろう。 もう一つは恐らく異常の正体だ。シャトルベイの壁を突き破って顔を出している金属の塊。あちこちがつぎはぎだらけで、形も不格好で何を象っているかはわからない。 リーバードの類だろうか。いや違う。しかしロックとしての記憶も、トリッガーとしての記憶も、あれを象徴する呼び名を知らなかった。 『ック・・ん・・なに・・見え・・』 「ユーナさん!全くこの通信機は肝心な時はいつもこれなんだから」 ノイズと共に通信機からの声が途切れた。 とはいえ黙って見ていることは出来ない。ジャイワンはのしのしと歩きながら、壁を突き破っている正体不明の金属の塊の方へと向かっている。 後ろに回していた腕をダランと下ろし、今にも金属の塊を攻撃しそうだ。 確かにリーバードにとっては正体不明の異物以外の何者でもないだろう。しかしロック達にとってはその正体を突き止める義務があるものでもある。 少なくとも勝手に破壊させるわけにはいかない。ジャイワンを止めなければ。 「止まれ!」 手始めにロックはバスターを連射した。威力が最低にまで落ちているバスターではジャイワンの装甲に傷一つつけられないことは百も承知だが、同時にジャイワンの弱点たる場所も知っている。 それは背中に生えている棘状の物体だ。そこなら低威力のバスターでも充分にダメージを与えることが出来る。 案の定弱点を叩かれたジャイワンはもんどり打って尻餅をついた。射程距離ギリギリの射撃だったお陰でダメージそのものはほとんどないが、相手はこちらに気が付いてくれたらしい。 リーバード特有の赤い瞳をこちらに向けると、ロック目掛けて駆け出した。 「ヨーションカの街で闘った時は割と簡単に倒せたけど・・」 だがここはヘブンだ。同じ外見のリーバードといえど、地上にいるものは比べものにならないほど強い。 ジャイワンもその例に漏れず、地上で闘ったものと比べてスピードは段違いだった。初めから身構えていなければ一気に眼前にまで迫ってきたジャイワンの両腕の打撃を躱すことは出来なかっただろう。 「弱点を集中攻撃すれば!」 バックステップからの側転、更に突進を横に躱しての前転がジャイワンの背後に回り、コアに向けてバスターを連射する。 またジャイワンはもんどり打って尻餅をついた。だがそれほど効いている様子はない。そして立ち上がって旋回するスピードも桁違いだ。 一度の攻撃チャンスで叩き込める光弾の数は今の状態では一発か二発が限界だろう。頼みの綱のシャイニングレーザーも、今のスピードを見る限りでは射出するまでの隙にコアを隠されてしまって意味がない。 それでもロックは諦めなかった。とにかく攻撃を躱し、少ないチャンスにひたすらバスターをコアへと浴びせ、また攻撃を躱す。このサイクルを何度も何度も繰り返した。 しかし流石はヘブンの高級リーバードだ。こちらの動きを徐々にだが学習し始めたらしい。数えて二十度目の攻撃を試みた頃には、既にバスターを一発当てる隙を見つけ出すことさえ難しくなってきていた。 「せめて・・シャイニングレーザーを当てることが出来れば・・」 息が上がっている。いかにヘブンの内部といえど、持久力まで無限大になるわけではないらしい。 さてどうしたものかと、ロックは思考した。見た限りではジャイワンはまだまだ活動を続けられるだろう。対してこちらは攻撃チャンスもほとんどなく、与えられるダメージも微々たるものしかない。 勝つ為にはどうすればいいのか。SS級ディグアウターとしての経験と、一等粛正官としての戦闘センスがフル回転で勝機を探す。 探しているが、その思考を妨害するアクシデントは不意に現れた。 「・・!?」 ジャイワンの攻撃を紙一重で躱した瞬間の出来事だ。金属の塊の一部ががたがたと音を立てている。まるで内部から何かが装甲を突き破ろうと動いているみたいに思える。 そちらに一瞬意識を向けたのが間違いだった。次の瞬間、ロックは巨大な二本の腕による打撃を受け、遙か遠くの壁にまで叩き付けられていた。 「ぐはっ・・!!」 壁にめりこみ、それからずるずると床に滑り落ちる。セラとの闘いで大破していたアーマーは、ユーナの云うとおり綺麗なのは外見だけだった。 能力が落ちたのはバスターだけではない。強度もだ。セラと闘った時なら何てことはない攻撃だが、今のロックのアーマーにはほとんど命取りに近かった。 申し訳程度に展開されていたライフシールドも破壊された。次に攻撃を受ければ、間違いなく二度目のリセット・・いやそれすら出来ない状況へと追い込まれるだろう。 「こんな・・っ・・」 視界がぶれる。ジャイワンが二重に見え、やがてあり得る筈のないものまで見えてくる。 こちらが動けなくなったことをいいことにゆったりと歩いてくるジャイワン。その横に、なんだか小さくて黄色い子供が見える。 愛嬌のある可愛らしい子供だ。どこかで見覚えがある。すぐに思い出した。確か、何度も小競り合いを続けた空賊達が連れていたロボットだ。 こんな時にそんな幻覚を見るなんて、思っていたよりもずっと印象が強かったのかもしれない。そういえば銀行強盗に間違えられた彼等を追いかけたり、 彼等からこっそり兄弟になってくれなんて手紙を貰ったこともあったから、そのせいかもしれない。 「ところでっ・・」 なんとか立ち上がるロック。しかしジャイワンはもう目の前にまで迫ってきていた。視界が元に戻る。黄色い子供達の姿はもう見えなくなっていた。 ジャイワンが腕を振り上げる。もう躱すだけの時間はない。もはや残された手立ては、真っ正面からシャイニングレーザーを叩き込むことだけだ。 それでジャイワンを倒せるか否かなど問題ではない。ただ一つ残された選択肢だ。そしてこんな場所で倒されるわけにはいかないロックは、躊躇いなくその選択肢を選んだ。 ・・選んだ瞬間だった。 「うわー!危なーい!」 「諦めちゃ駄目ですー!」 「退避退避ー!!」 聞こえたのはやたら甲高い子供のような声。そして同時に身体が自分以外の力で持ち上げられ、移動していく。 ジャイワンの腕はタッチの差でロックの真横をくぐり抜けると、今までロックが立っていた位置の床を大きく穿つ。そして跳ね返ってきた瓦礫を受け、ほんの一瞬だけ動きを止めた。 「大丈夫ですか、青い人さん!」 「危なかったですー!」 「これを使って元気になって下さーい!」 「き、君達は・・!?」 その声は幻聴などではなかった。姿も、幻覚ではない。床に降ろされたロックは、間一髪で助けてくれた者達の姿を見た。 ロックの腰くらいまでの身長しかない小さな身体。黄色い大きな頭に、青い色のボディ。ぴょんぴょんと忙しなく跳ねる子供達が三人。 ロックは彼等を知っていた。確か名前は・・・そう、コブンだ。空賊ボーン一家の一員で、やたらと数のいるロボット達。見た目の通り可愛らしくて、いつも倒すのに罪悪感が付きまとっていたこともよく覚えている。 「早く早く!またアイツが来ちゃいますよー!」 「う、うん」 エネルギーボトルを差し出してきたのは三人の中で唯一頭の天辺のパーツが赤い色をしているコブンだ。 ロックは素早くそれを受け取ると、エネルギーをボディへと流し込んだ。破損していた箇所が少しだけ修復され、ライフシールドも復活する。ふらふらだった意識も完全に安定した。 「うわー、来たー!」 「みんな、しっかり掴まって!」 何故彼等がここにいるのか。どうやってここまで来たのか。聞きたいことは山ほどある。だが、ジャイワンをなんとかして止めることが先決だった。 猛スピードで向かってくジャイワンの突進を、三人のコブンを抱えてのジャンプでなんとか躱す。そしてすぐにコブンを降ろして退避を命じ、再びジャイワンと対峙する。 エネルギーボトルで回復したとはいえ、状況に余り変化はない。相変わらずバスターは最弱だし、シャイニングレーザーを放つ隙もない。 ならばどうする。どうやってジャイワンを倒す。再び二人のロックが勝機を探すが、そのチャンスはロックがアイデアを練るよりも早くに外部からやってきた。 「照準セット!発射ー!」 対峙するジャイワンの背が不意に爆裂したのだ。ロックバスター以上の攻撃力を叩き込まれたジャイワンは、そのまま為す術もなく前面に向かって倒れる。 ジャイワンに攻撃を加えた者の正体は、ジャイワンというベールを脱いだことで姿を現した。 ピンク色の外装をした人型のロボットだ。その左腕には大きなドクロマークが飾られたバズーカが搭載されていて、そこから狼煙が上がっている。 あれの名前は確か――ロックがそれを思い出そうとした時、それを遮るようにしてロボットが喋った。女の子の声だった。 「ロック、今よ!がーんとやっちゃいなさい!」 「あ・・・・う、うんっ!」 考えている時間はない。ロックはシャイニングレーザーをジャイワンの背のコアに向けて照準すると、残された全てのエネルギーを一点に集中させた。 一年ぶりの発動だ。セラとの闘いでどこか壊れているかもわからない。一発どころか、不発。或いはその場で爆発する危険性すらある。 しかしロックは躊躇わずにそれを発砲した。絶対に大丈夫だという、確固たる自信があった。何故なら、これはロックの最も信頼するメカニックが生み出した最強最大の特殊武器だからだ。 「シャイニングレーザー!!」 ピンク色のロボット――グスタフが退避すると同時に、光は放たれた。 「ふぅ・・・」 光が晴れた頃、残されていたのは半分以上が蒸発してしまったジャイワンの残骸と、貫かれた壁だけだった。 思わず肩を落とすロック。しかしすぐに思い出して、ふと後ろを振り向いた。そこには―― 「・・・あ・・・」 そこには、見慣れた者達の顔があった。 「おお、ロック。一年ぶりじゃのう。元気にしとったか?」 「バブー!」 「青い人だー!」 「全く相変わらず危なっかしい奴だなあ、お前ぇはよぉ」 「いやー随分時間かかっちゃってごめんよぉ、ロックー」 何度も夢の中で見た光景。 何度も頭の中で思い描いたシーン。 でもこれは夢じゃない。 頬を抓っても、いつものように目は醒めない。 目を擦っても、いつものように消えてなくならない。 聞こえてくる声も、目に見える皆の顔も、全てが現実だ。 「ほ、本当に世話の焼ける子ね、あなたは!わ、私の助けがなかったら今頃どうなってたか、わからないんだからね!」 グスタフのハッチが開いて、声の主の女の子が姿を見せた。 そして、何かに気が付いたようにして皆がそっと横に退く。 皆の影になっていた位置から、一人の少女がゆっくりと前に踏み出してきた。 「ロック・・・」 ――何度このシーンを思い描いたことだろう。 ――何度夢とわかって落胆したことだろう。 ――何年でも待つつもりでいた。 ――いくらでも待てる自信があるつもりでいた。 ――でも、きっともう限界だったのかもしれない。 ――何を話せばいいんだろう。 ――何から語ればいいんだろう。 ――どんなことを云えば、いいんだろう。 ――いや、僕が云う言葉は決まっている。 ――きっと最初から決まっていた。 「お帰りなさい、ロック」 「――ただいま」 ――願わくば、この風景が夢で終わらないことを....... fin