約 1,268,020 件
https://w.atwiki.jp/tohogyokureiki/pages/44.html
コダマ名 HP 攻撃 防御 速度 合計 属性1 属性2 攻撃属性 弱点 耐性 スキル 必要アイテム ちびレミィ 90 80 70 50 290 闇 - 闇闘 闘虫然 理霊闇 - レミリアカード Aレミリア 105 125 85 75 390 闇 闘 闇闘風鋼 然闘風 理闇岩霊 永遠に紅い幼き月 力の霊珠 Tレミリア 105 110 95 80 390 闇 風 闇風闘鋼 雷氷岩然 地理樹霊闇 永遠に紅い幼き月 技の霊珠 Sレミリア 95 100 85 110 390 闇 闘 闇闘風鋼 然闘風 理闇岩霊 永遠に紅い幼き月 疾風の霊珠 Dレミリア 115 85 110 80 390 闇 鋼 闇鋼闘 闘炎地 毒理無樹氷風岩霊神闇鋼 永遠に紅い幼き月 守の霊珠 青文字は属性一致、赤文字は重複弱点、緑文字は重複耐性、灰色は無効、(括弧内)はスキル効果あり #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ちびレミィ Aレミリア Tレミリア Sレミリア Dレミリア スキル 永遠に紅い幼き月 ターン終了時、相手のVPをSLv×2減らします。 スペル スペル名 属性 威力 消費 詳細 必要銭 ちびレミィ Aレミリア Tレミリア Sレミリア Dレミリア デーモンロードクレイドル 闇 80 20 通常攻撃(初期) 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ デーモンキングクレイドル 闇 100 30 通常攻撃 20000銭 ○ ○ ○ ○ ○ スカーレットデビル 闇 120 40 通常攻撃 100000銭 - ○ ○ - - 闇 150 50 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - - バンパイアキス 闇 100 30 与えたダメージの1/4、HPが回復します。 100000銭 - - - - ○ 闇 120 40 与えたダメージの1/3、HPが回復します。 禁呪 - - - - ○ ミレニアムの吸血鬼 闇 150 50 自分の防御を30%上げます。 300000銭 - - - - ○ ブラド・ツェペシュの呪い 闇 120 40 相手のスキルを無効化します。 100000銭 - - - ○ - 吸血鬼幻想 闇 150 50 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 300000銭 - - - ○ - 闇 200 80 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - - ○ - シーリングフィア 闘 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ハートブレイク 闘 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ 闘 120 40 相手の防御を20%下げます。 禁呪 - - ○ - ○ スピア・ザ・グングニル 闘 120 40 相手の防御を20%下げます。 100000銭 - ○ - ○ - レミリアストレッチ 闘 150 50 相手の防御を30%下げます。 300000銭 - ○ - - - 闘 200 80 相手の防御を50%下げます。 禁呪 - ○ - - - サーヴァントフライヤー 風 80 20 通常攻撃 3000銭 - ○ ○ ○ - バッドレディスクランブル 風 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ - 風 120 40 自分の速度を20%上げます。 禁呪 - ○ - ○ - スカーレットシュート 風 100 30 先攻で攻撃します。 500000銭 - - ○ - - 風 120 40 先攻で攻撃します。 禁呪 - - ○ - - 千本の針の山 鋼 80 20 通常攻撃 3000銭 - ○ ○ ○ ○ ミゼラブルフェイト 鋼 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ 鋼 120 40 相手の速度を20%下げます。 禁呪 - ○ ○ ○ ○ カード効果 アイテム名 装備時効果 契約コダマ 入手(金額) 備考 レミリアカード 攻撃と速度が20増加します。 ちびレミィ 大吉印の福袋・アイテムショップ(2000000銭) 17-7クリアでショップ追加
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/646.html
レミリア7 7スレ目 955 あれ、レミリア様。お一人でお酒を飲むなどめずらしい 「ええ、咲夜は 952の相手をすると言って席を外しているわ。相変わらず素直じゃない子なんだから。」 そうなんですか、同僚として冥福を祈ってます。それでは私はこれで 「あら、どこに行くのかしら。あなたは私の酒の相手をするのよ。咲夜がいなくて物足りなかったし。」 え゙!私が酒にめっぽう弱いことはレミリア様もご存じでしょう。 「だからよ。あなた私の眷属のくせに酒に弱いんですもの、スキマの式や白玉楼の料理人を見習いなさい。私が馬鹿にされてしまうわ、それに…。」 それに? 「それに私だって愛しい人と長い時間晩酌したいとおもったっていいじゃない…。」 む、敬愛する主人にそこまで言わせて断るのは使用人の、もとい恋人の名折れだな。わかったよ、今宵は朝まで付き合うさ。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 86 コンコン ○「はーい、どなたですか?」 レ「私だけど少しいいかしら?」 朝食を食べて一心地ついている所に俺の恋人であるレミリアが突然やってきた ○「レミリア?お前が朝から来るのって珍しいな、しかも咲夜さんは一緒じゃないのか?」 そう、彼女は闇の住人である吸血鬼、本来なら夜に活動し、朝は眠っている たまに昼間で歩く時もあるがそれでも朝起きていることはほとんどない レ「ちょっと咲夜には……他の皆には内緒の話がしたくて」 ○「ふーん、そういやなんか顔色悪いな、大丈夫か?」 レ「え、ええ、ありがとう心配してくれて」 ……なにか変だ、妙だ、おかしい、咲夜さんを連れず朝から家に来ることも十分変で妙でおかしいが レミリアが素直に感謝の言葉を言うなんて絶対なにかある 顔色が悪いことに何か関係しているのか? ○「なあレミリア、単刀直入に聞こう お前何か俺に隠し事してないか?」 レ「……隠して、ないわ」 ○「態度でばればれだ、まあ俺は頼りないし、弱いし、お前の支えになれてないし 畜生、自分で言って悲しくなってきた……」 レ「そんなことないわ、貴方がいてくれるだけで私は……」 そういうとレミリアは下を向いてしまった なにか変だと思ってたが今日のレミリアは妙にしおらしいのだ いつもだったらしっかりしろだろの言うのに今日はそれがない そんなレミリアの様子を見ながら俺はレミリアにもう一度何があったのか聞いてみた ○「なら、隠し事せずに喋ってくれるか?」 レ「その……子供が出来たみたい」 ○「……………why?」 レ「だから子供ができたのよ!当たり前だけど貴方の子供が!」 ○「そ、そうか子供か、だから顔色悪かったんだな で、他に知っている人いるのか?」 俺は努めて冷静に聞き返した、今俺まで混乱してはレミリアが不安がる レ「……永遠亭の薬師ぐらいしか知らないわ、今日吐いて もしかしてって思って何も言わず館を出てきたから ○「そうか……で勿論産むんだろ?」 レ「産んでも、いいの?私は吸血鬼なのよ」 ○「わざわざ聞くこうなことでもないだろう、だって俺はレミリアを愛しているんだからな」 レ「○○……ありがとう」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 162 すっかり日が暮れた川原に一人の男が座り込んでいた 先ほどからため息しか吐いてないところから見るに落ち込んでいるようだった 「はぁ・・・」 またため息を一つ 「知ってる?ため息を吐く度に幸せが逃げていくのよ?」 「!?」 そこには一人の少女が、いた 「お嬢ちゃん・・・じゃなね、同類かい?」 「私や妹以外の吸血鬼なんて久しぶりに見たわ」 「なり立てでね、ちょっと腐ってる部位もあるが気にせんでくれ」 男の身体からは僅かだが腐敗臭がすることから出来損ないである事が解かる 「何故そんなに落ち込んでいるのか・・・話してくれる?」 「えっと・・・好きな女がいたんだよ、でも吸血鬼だって知ったら逃げちまった、簡単に言うとこんな所」 「ふーん人間に恋したの?」 「ああ、俺だって最近まで人間だったんだ、人間に恋しても可笑しくはないだろ?」 自嘲気味に笑って見せるが少女はただ聞いている 「初めは殺そうと思ったわ、でも今は少し興味がわいた」 「ん?何の話だ?」 「私の館に来なさい、こき使っていや、面倒見てあげるわ」 少女は立ち上がって男に向って手を差し伸べた 「こき使うとか聞こえたんだけど気のせいかな?」 「来るのか来ないのか、此処で死ぬか、今決めなさい」 偉そうな少女は紅い眼を輝かせて選択肢のない選択肢をいいはなった 「・・・俺の名前は○○ってんだ、まぁ・・・よろしく」 偉そうな少女の手を握り返し立ち上がった、手は暖かかった 「私はレミリア、レミリア・スカーレットよ、レミリア様と呼びなさい」 ○○はこの先白黒や赤白やパッドやら引きこもりやらに大変な目に合わされるとは夢にも思わないのであった ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 474 レ「今日は何の日か分かる?○○」 ○「何の日って、十三日の金曜日だろ?」 レ「そうよ、すなわち悪魔の日でもあるわ」 ○「何そのこじ付け、そもそも悪魔じゃなくキリスト教徒にとって忌むべき日じゃね?」 レ「吸血鬼である私にとってキリスト教徒は敵よ! つまり将来私の夫で吸血鬼になる○○にとっても敵ということになるわ!」 ○「ふーん…………はぁ!? お前今なんつった!?」 レ「だからキリスト教徒は敵」 ○「その後ろ!俺の耳が確かなら夫になって吸血鬼になるって聞こえたんだけど……」 レ「確かに言ったわ、それが何か?」 ○「いつの間に決めやがったコン畜生」 レ「そんなの最初からよ」 ○「……は?」 レ「○○に初めて会ったときに決めたのよ『ああ、この人間は私の夫になるわね』って 漠然とした感じだけどね」 ○「その…なんだ、『視』えたってことか?」 レ「違うわよ、単なる私の一目ぼれ それで?返答はどうなの?」 ○「へ、返答って?」 レ「私は告白したわよ、だからその返答が聞きたいわ まあどう答えようが○○の運命はもう私の手の中だけどね」 ○「なんじゃそりゃぁーーーーー!!??」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 702 「ねぇ○○、私が貴方を本物にしてあげようか?」 いきなり呼ばれたかと思うと、いきなりわけワカメ 「本物・・・?」 「本物の吸血鬼にって事よ!なりたくないの!?」 ああ、そういうことですか、てっきり本物の男にしてくれるのかと 「・・・今はいいです、JOJOになって行こうと思います」 「せっかく役に立つと思って拾った眷族が!腐った死体で!再生も出来ない出来損ないだからこんな事を言ってるのよっ!!」 あー・・・言い返せないなぁ、腐敗はもうないけど、再生も出来ないし能力もそのままだし これじゃ日の光に弱い人間だもんなぁ、再生は出来ないけど接合治癒は出来るよ!? 「ははは・・・返す言葉もありません」 「・・・もういいわ、下がりなさい」 「はい、失礼しました」 ナイーブな俺は傷ついて家出しようと玄関を開けようと・・・灰になりかけて断念 「本物の吸血鬼か、面倒な」 「そんな貴方に!」 「うぉう!??パチュリー様!?」 「おっす!おらパチュリー!・・・ごほん、そんなに落ち込んでどうしたの?」 す、すべったーしかも自分でスルーですか 「え、ええかくかくしかじか」 「ふーん、レミィも酷いのね、こんな可愛い子を」 いきなり首筋をペロッと舐められた 「うひゃぁぁ!」 「うふふ、前に言ったでしょ?私の僕になりたかったらいつでも来なさいって」 これは・・・危険なかほりがする →逃げる 逃走 パチュリー様!もっと踏んでください!! 「失礼しましたっ!」 とりあえず逃げた 逃げた先、偶然か必然か、レミリア様の部屋の前だった しかも丁度レミリア様が出てきたし 「tgyふじこl;」 「何あわててるのよ、そんなに私が怖いかしら?」 しまった怒らせたorz 「まったく、私も貴方が憎くて説教してるわけじゃ無いのよ?貴方の事が大好きだからもっとよくなってもらおうと」 「だ、大すk!?そ、それはラヴですか!?ライクですか!?」 ドグォ!!痛恨の一撃、○○は心が砕けた、目の前が暗くなった 「そんな事・・・言わせないでよバカ」 頬を紅く染めて、ちょっと拗ね気味に・・・最高だ、可愛すぎるぜご主人さ、ま あーあ意識が戻ったらへんじをしなきゃー ○○が残った意識で考えたのは「結婚式は教会じゃできない」だったらしい ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 908 「来ないで。」 レミリアが叫んだ。 「あなたが来てなんになるというの。」 冷徹な事実。僕はあまりにも弱い。 「敵は強大、勝ち目など無い。あなたは今すぐ逃げて。」 「君を置いて逃げられるものか。」 そう言ったとたん、レミリアの表情が険しくなる。 「何を勘違いしてるのかしら? 」 夜の王が持つ威圧はあらゆる物の畏怖を呼び起こす。 「まさか、愛してるなどというのではないでしょうね。もしそんな感情を抱いてるとすれば それはまやかしよ。」 「人と妖怪の違いなど僕は気にしない。」 「そんな事ではないわ。私は吸血鬼。たとえ死しても産土、貴方達の言う所の邪な土の元で 、吸血鬼となった時に定められた定常状態へと回帰するだけ。そもそも生き物じゃない。」 「それでも、回帰するのは定常状態へ、だ。」 必死で訴える。 「僕の愛する君は、君の記憶は、君が死ねば失われる。それは生きてるという事にはならないか。」 レミリアはうつむいている。 「二人で逃げよう。紅魔館は、落ちたんだ」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 171 ○「・・・なにやってんのレミリア」 レ「・・・咲夜に言ってよ、私が誰かと会うたびにああしてるんだから」 ○「そ、そうかじゃあどこ行こうか」 レ「久しぶりに○○の家に行きたいわね」 ○「それならタイミングよくいい紅茶の葉っぱが手に入ったんだ」 レ「あら、それは楽しみね」 ○「んじゃ行こうか」 レ「・・・・・・」 ○「・・・・・・」 咲「・・・・・・」 ○「なんで咲夜さんまで付いて来てるの?」 咲「貴方がお嬢様に(バキューン!!)や(ズキューン!?)なことをしないように見張る為よ」 レ「恋人同士なんだからいいでしょうが!」 咲「そ、そんなお嬢様は私の愛がいらないというのですか!?」 レ「変愛はいらないし少なくとも今はいらないわね」 咲「ガーン!?」orz ○(いま口でガーンって言ったぞこの人) レ「さ、ほっといて行きましょう○○」 ○「ほ、ほっといていいのか!?」 レ「い い の よ」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 299 「○○ーちょっと手伝ってくれない?」 「何ですかレミリア様・・・地下室?」 大理石かなんかの重い扉を片手で軽くあげてみせる 床をめくって現れたのは地下室への階段 「ワインセラーよ、ちょっと急にお金が必要なのよ、それで」 「ワインを売ろう、というわけですな」 地下にには結構な・・・カビくせぇorz 「このメモに書いてある名前、年号、の奴を探して頂戴、見つけても触るんじゃないわよ」 「かしこまりました」 暗い、臭い、湿っぽい気がする ~青年捜索中~ 「これで全部ね、お疲れ様」 「しかし・・・売ったらそんなにお金になるんですか?」 「2~3億ぐらいには」 しんだ、一般市民には縁のない桁でですね、あはははは 「そしてこれは・・・あなたのワインよ」 年代が書いてる・・・俺が生まれた年のワインだ 「今日は特別、私と同じ席で」 「あ、ありがとうございます」 「それじゃあ早速飲みましょうか」 つれてこられたのはレミリア様の部屋 初めて入ったが・・・まぁなんと豪華な事 「其処に座りなさい」 椅子は二つ、待っていたかのようでちょっと驚く グラスに注がれる真紅の液体、ゆらゆらと、ゆれる それを口にしたとたん、周りがゆれる、ゆれる 「ぐ・・・あ」 血を飲んだ様な気がして、体が過剰に反応してしまった 「ちょっと大丈夫!?」 「だ、大丈夫です」 そういえば血飲んでないなぁ、生きちゃ居るから問題ないんだろうけど 「・・・○○、ちょっとコッチに来なさい」 「は、はい・・・?」 レミリア様の隣へ、正確に言うと行こうとした、だ ワイングラスが割れた、幸い中身は入っていなかったので 「レ、レミリア様!?大丈夫で「怪我したわ、指の先を切ってしまったようね、うっかりだわ」 「レミリア様?」 ガラス片で怪我するなど、おかしい そして傷が治らないなんておかしい レミリア様は血の滴る人差し指を、俺に 「舐めなさい」 「へ?」 「さっさと舐めなさい、怪我したら舐めて治すのが鉄則でしょ」 わけワカメな事を、しかししょうがないし逆らいようもないのでとりあえず おそるおそる、指を、くちにふくんだ 「・・・ありがたく思いなさい、私の血液を飲めるなんて、これであなたも半人前ぐらいにはなれるでしょう」 「レ、レミリア様・・・」 「自分じゃ平気だと思ってるかもしれないけど、もうだいぶ血を飲んでいないでしょう?貴方に死なれちゃ困るわ」 「あ、ありがたいお言葉ですが・・・俺みたいなのなら居ても居なくても・・・」 普通ビンタだと思う、俺の場合グーでアッパーだった 「バカッ!彼方が、彼方じゃ無いと・・・私はいやなんだから」 「レミリア様・・・それは・・・どういう風に受け取れば宜しいのでしょうか?」 「知らないわよ!自分で考えなさい!」 そっぽ向かれてしまった、後ろからでも真っ赤なのが解るけども 後ろから抱きしめてしまいたい所だが・・・命は惜しいしなぁ・・・う~ん 「レミリア様・・・失礼します」 後ろから、そーっと抱きしめてみた 特に反撃等は無いので安全と確認 「レミリア様・・・」 「今は・・・今はレミリアでいいわ」 甘い甘い、午後の一時 特に何かするでもなく、ただずっと、ずっと抱きしめていた、それだけでも、十分 後日レミリア様(レミリアって呼んだら怒られた)になんで血を飲ませてくれたのか問うたら 「だって、私の未来の旦那様がいつまでも出来損ないじゃ困るでしょ?」 だってさ、こりゃあ・・・死なないといいなぁ俺 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 372 「○○?」 「? 何でしょうか、御嬢」 「ほら、外」 「外……? あぁ、良い満月ですね」 「でしょう? 貴方がやってきた時の夜を思い出すわ」 「あの時も満月でしたか? 記憶にございませんが」 「そうだったのよ。私はよぉく覚えてるけどね」 「それは失礼。御嬢との出会いの記憶を忘れるとは、仕える者としては三流以下ですな」 「本当にね」 からかう様にレミリアは笑う。 「○○、外に出るわよ」 「どちらに?」 「庭で紅茶でも。用意しといてちょうだい」 「畏まりました」 「どうぞ」 「ありがと、○○。……咲夜のとはまた別な味ね」 「それは褒めていらっしゃるのか貶していらっしゃるのかどちらですか」 「褒めてるのよ。不味いとは言ってないでしょ」 「成程。失礼致しました」 「ねぇ、○○。貴方もどう?」 「御付き合い致しましょうか?」 「私はどう? って聞いてるの。質問を質問で返さないで」 「貴方は私の主でしょう。貴方の決定に私は全て従いますよ?」 「だから私は紅茶を飲みたいのか飲みたくないのか答えなさいと命令してるの」 「これは一本。では、折角ですし頂きます」 「血は?」 「結構です」 「私の愛は?」 「要りませ、……。御嬢?」 「愛が入れば紅茶も美味しくなるんじゃない?」 「いや、それはどうか存じませんが、愛とは」 「あぁ、言おうと思って忘れてたけど眷属になる気は無い?」 「あ、あの、御嬢?」 「更に言うの忘れてたけど、拒否権は無いわ」 「お、御じょ」 かぷ その日、一人の人間は吸血鬼になりました 館の住人に振り回されながらも執事は続けているそうです ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 999 10スレ目 46 >レミリアの半分のデレって誰に向けられてるんだ? では、未公開レミリアデレ分をどうぞ ()内はレミリアの内心です 「遅いわね○○。 よほど死にたいのかしら」(なによ、ずっと待ってたのに○○のバカッ) 「は、も、申し訳ございません!!」 レミリア様は、その細い指で俺の胸元から首筋までつつぅ…と撫で上げた いつでも俺の首を刈り取れるその体勢に、俺の本能が警鐘を鳴らす 「それで、どんな愉快な言い訳を聞かせてくれるのかしら?」(あぁん! その表情ゾクゾクしちゃうぅぅ!) 「それが、その……先ほどパチュリー様と交戦なされたため、負傷が癒えるまで入るべきではないと咲夜様が…」 「見くびられたものだな。あの程度の傷なんともないわ」(治る前に○○に手当てさせたかったのにぃ! 咲夜のバカァ!) あぁ、恐ろしい。レミリア様がお怒りになっておられる。 俺は、ただひたすらに地面にキスするほど頭を垂れ、許しを請いた。 「まぁいい。顔を上げろ。お前のような下衆に礼儀が解るなどと思ってないわ」(かわいいっ!でも顔が見えないっ!上げさせちゃえ) 「はっ!慈悲深き御言葉、ありがとうございます」 「では、着換えを持て」(○○に選んでもらうパジャマ~♪) 最初の難関だ。 レミリア様のお気に召さないものを選んだら最後、俺の命はそこで終わりだ。 迷った末、純白のネグリジェを選びレミリア様の御覧頂く。 「ふん、変わり映えしないな。 まぁいい。 着換えさせなさい」(○○は白系が好みなのねぇ。 さて、着換えさせてね♪) 決して不快感を与えぬように、そして飽きるような時間を与えることがないように素早く 指から血が滲むほど練習した手順を踏み、お着換えいただく。 「あぁ、今日は肌着も替えなさい」(そういえば、パチュリーに焦がされたのよね。お気に入りだったのに。クスン) 「は、肌着も…でございますか?」 「何を躊躇う? 奴隷ごときに肌を見せることを躊躇う王がいるものですか 早くしなさい」(やぁん!恥かしがる○○かわいすぎっ!) 決して失礼がないように、これも手早く済ませなければならない。 ミスをする恐怖で吐き気を感じながら、素早く行なう。 「ふん、手際が悪いな」(うぅっ!手がプルプル震えてる……かわいぃぃ) 次は、いつも通りレミリア様を寝所にお運びする。 俗に言うお姫様抱っこ、という奴なのだが羽がある分コツがいる。 横には持てないので、ローゼンメイデンの真紅のような抱き方をしなければならない。 「今日は、どんな戯言を寝物語にしてくれるのかな?」(○○のお話~♪) 「き、今日はデビルマンレディーというお話をさせて頂こうと思います」 「安直な題名だな」(どきどきわくわく) ~~~ 「そこで!彼女はカッターを敵に向けて―…!」 「そ、それで!それでどうなるの??」(「はっ!安直な展開だな」<と、言っているつもり) 「レディーは神の使いに向け、カッターを放つのです! そして吸い込まれるようにその羽根を絶ち、戦いに勝利するのでありました!!」 「やっと、レディーが勝利したのねっ……!!」(「つまらん話だ。 眠気を誘う」<と、言ってるつもり) あぁ、今日も何とかご満足頂けた。 明日も、というこぁとの約束は果たせそうだ。 「ところで○○、最近小悪魔と親しくしているそうね?」(これからよ……) 「は、そ、その、それは……」 「実は最近あなたに飽きてきてね。 代わりを小悪魔にしようと思っているのよ」(う・そ・よ) 「そ、それだけは……私はどうなってもいいから彼女だけは…っ!!」 「王に指図する気か? まぁそれを望まぬなら、私に飽きられないようにしなさい」(あなたは小悪魔を通して、心から私だけの奴隷になるの。 小悪魔はあなたを縛り続ける鎖よ。なんて素敵な関係なのっ!) あぁ、こぁのために、俺はこの恐ろしい悪魔相手に生き続けなければいけないらしい。 「では、○○の忠義を試そうかな? 私に接吻してみなさい…小悪魔の前で、小悪魔にするように。 面白い余興でしょう?」(虐めるついでにキスしてもらえるなんて、最高の思いつきよね?!) 「―――……はい。仰せのままに」 俺はもう、この支配から抜け出せない。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 136 深夜 紅魔館 レミリア自室 今日も彼がやって来る。 私に血を提供するために。 「失礼します」 来たわね。 ずいぶんと遅かったじゃない? 咲夜に呼ばせるまで来ないなんて。 吸血の時間だというのを忘れていたのかしら? 「申し訳ございません、主」 まあいいわ。 思えば今日が初めてね、あなたが時間内に来なかったのは。 …別に攻めているわけではないわ。 あなたにしては珍しいと思っただけよ。 「……………」 あの時からもう数ヶ月、か。 あなたも酔狂な人間ね。 望んで私に仕えたいなんて。 ただの、なんの変哲も無い人間が…呆れるわ。 「しかし、こんな私でも仕えることをあなた様は許してくださった。私にとってはそれが全てでございます」 本当に嬉しそうに言うわね。 笑顔まで浮かべて、まったく…あなたは本当に理解できないわね。 「そうですか。しかし、例え私が最期を迎えてなお主に理解されずとも、私はあなた様に仕えることができるだけで十分です」 …仕える、か。 それよりも、早く血を吸いたいのだけど。 「承知いたしました」 もう少し屈みなさい。 そう、そのくらい。 「っ……!」 んっ、ふ、ちゅぷ、ちゅう。 ぷはっ。 ふう、美味しかったわ。 でも…もしあなたが私のことをもっと恐れるようになったら、どれ程この血の旨味が増すのかしらね。 「残念ですが主、それは無いと思われます。 私はあなた様を畏れることはできても、あなた様を恐れることはできません。 私が主に吸血されるときに感じる恐怖自体は紛れも無く人間、もとい生き物としての本能です」 っ…!果たしてそうかしら? 「がっ!ある…じ…。一体…何を(怒っている?)」 あなたが本当に私自身を恐れることが無いか、ためさせてもらうのよ。 あなたはどこまで耐えられるかしら? 人間がその言葉を口にしたからには覚悟を決めなさい。 「ぐっ(痛い。さっきの吸血とは違う、乱暴な吸血だな)」 ん、んく、んく、ふ、う、ん、んぅ―――― 「あ…ぐ…(まずい、血の減りが早く感じる。意識も…朦朧として…きた)」 (おかしい、血の味が変わらない。まさか、本当に恐れていない?) (そんなはずは無い。人間なら、生きるものならば、私を…) 「(主…そんな…に、一生…懸命、俺の血を…吸われて)可愛…い」 んっ!!? ぷはっ! か、か、可愛いっ!? 何を馬鹿なことを!! 「え…?お気に…障りましたか…?」 気に障るも何も、自分が危うい状況で何をいいだすのよ! 本当にもう、あなたという人は! 「失礼しました。お気になさらずに吸血を…続けてください」 …あなたは自分の死が怖くないの? 望んで吸血されたいなんて。 「怖くないといえば嘘になります。しかし、主のお役に立てるのならば私は例え血袋や捨て駒でも構いません」 「少なくとも、それほどの覚悟で私はあなた様に仕えております」 …………。 (彼ならこういうと思っていた…) (彼が初めてここに来てから、私はずっと…) (何故、いつも私を狂わせるの?) (何故、いつも私の思い通りにならないの?) (私はこんなただの人間に…何を期待しているの?) 「?吸血なさらないのですか?」 興が削がれた。 もういいわ。 それより、二つ聞きたいことがあるの。 「はい、何でしょうか?」 あなたはどうして、私を疑わないの? 何故、私を恐れないの? 「ええと…。一つ目は単純に、私が仕えるべきお方だと認めたからです。自分が一度信じ続けると決めた者を疑いたくはありません」 「二つ目は、……もしかしたらまたお気に障るかもしれませんが、主従と言う関係以外で、あなた様が大切な存在であるからです」 っ!! それって、つまり……。 「それ以上は言えません。私と主はあくまで主従の関係。それだけは裏切れません。…やはり、さっきの言葉は取り消します」 待ちなさい。 …その言葉を今更取り消すのは許さないわ。 命令よ、さっきの言葉を取り消すのはやめなさい。 「しかし――――」 聞けないのかしら? 「…承知しました」 いい? もう一つあなたに命じるわ、一人の男としてその先の言葉を言いなさい。 敬語も使っては駄目。 これは命令よ。 「………。はい」 「俺はレミリア・スカーレット。君を愛している。当然、一人の女性として。これでよろしいでしょうか」 最後の確認の一言は要らなかったけれど、まあいいわ。 それで、何故私なのかしら? 「理屈ではありません、初めてあなた様に会い、あなた様に仕えることを望み、あなた様を見ていくうちに、少しずつこうなっていっただけです」 そう…。 「……」 ……。 …その…他に何か言うことは無いの? 「え?ええと…」 ……………。 「……………」 …ふふ 「…っふ」 気恥ずかしいだけで、やっぱり何も変わらないわね。 「そうですね」 でも、悪くないわ。 「同感です」 さて、適当に何か一つ、話をしてくれないかしら。 そうね…あの話の続きを聞きたいわ。 「承知いたしました、我が愛しき主」 と、まあそんな感じよ。 まったく、他の者に言っては駄目よ? とりあえず、あれから少し彼も積極……いや、何でもないわよ。 本当に、悪くないと思うわ。 こういう感情。 とりあえず、いつ彼を解雇しようかしら。 え?何故? いつまでも従者のままだと、彼が遠慮するでしょう? ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 155 紅魔館、時間は夕食時である。 「今日は私が皆さんの夕食を作りたいと思います」 目の前には美鈴さんと咲夜さん、パチュリー様と小悪魔さん、お嬢様と妹様がテーブルを囲んでいる。 美「○○さんは料理できるんですか?」 咲「美鈴、○○は私が教え込んだ執事よ。料理くらいわけないわ」 パ「まったくどういった吹き回しかしら」 子「まぁまぁ、期待しましょうよ」 レ「こらフラン、ナイフとフォークで遊ばないの」 フ「わーい! ○○の料理ー!」 いつもは咲夜さんが全員分の食事を作ってくれるのだが、今日は頑張って自分が作ると言ってみた。 美「で、○○さんは何を作るつもりなんですか?」 ○「昨日人里で買ってきたこれを使った料理を作る予定です」 咲「それは……カレー粉ね」 レ「咲夜、カレー粉って何?」 パ「外の世界の料理で"かれー"というのがあって、それを作るための香辛料の集合体よ」 ○「正解です。さすがはパチュリー様」 子「図書館には外の世界の料理本もありますからね」 フ「それって美味しいの?」 ○「様々な食材、香辛料を精密な分量で配合し煮込む事7日7ばn」 咲「要するにまいうーですわ、お嬢様」 ○「ゴシカァン」 最後の自分と咲夜さんのしめ方に違和感があったが、概ね全員に伝わったようだ。 ○「では調理に入ります」 レ「それは終わるまでにどれくらい時間がかかるわけ?」 ○「アバウト3日」 レ美子「「「ちょっ」」」 パ「むきゅー」 フ「出来るまで暇だね」 咲「○○、あなたは私達をどれだけ待たせる気?」 ○「冗談ですよ。予め煮込んでおいた物がありますから」 ~青年仕上げ中~ ○「はい、完成しました」 咲「改行6つで完成なんてお粗末ね」 ○「知識の欠如により大幅にはしょりました」 フ「ねーねー『はしょる』って何?」 レ「さぁ?」 子「うわー、いい匂いですね!」 美「まともな食事は3週間ぶりです!」 パ「……門番って辛いのね」 パチュリー様が微妙にうまいことを言った時、全員分の盛り付けが終わった。 ちなみに鶏肉カレーだ。本当は牛肉を使いたかったが、幻想郷では牛が貴重なので鶏になってしまった。 ○「はい、全員分盛り付けたんで食べてみてください」 レ「じゃあ私が代表して音頭を――」 フ「いただきまーす!」 レ「あ、こらフラン!」 フ「んぐんぐ……!」 ○「どうですか妹様?」 フ「おいしー!!○○すごいよ!!」 美「ではわたしも頂きますね」 パ「私達も食べましょうか」 子「そうですね」 レ「みんなで無視かい」 咲「お嬢様」 レ「あぁ咲夜だけよ、私を慕ってくれるのは…」 咲「これまいうー」 レ「お前もかっ!?」 結局お嬢様だけが取り残されてしまったようだ。 レ「まったく皆で私を苛めるんだか――!?」 フ「どうしたのお姉様?」 パ「もしかして辛いの苦手?」 ○「それは大変ですね。紅魔の主が辛いものが苦手とは……」 レ「そ、そんなことないわ!!」 咲「汗がすごいですけど」 レ「涙よっ! 美味しさのあまり泣いてるだけよ!!」 ……やりすぎたか? 美子フ「「「ごちそーさまでした!」」」 レ「……」 パ「まぁ中の上かしら」 咲「できればもう少しスパイスを効かせてもよかったわね」 ○「そうですか、精進します」 子「パチュリー様、食事も済んだことですし魔道書の執筆の続きを」 パ「そうだったわね。 それじゃあお先に失礼するわ」 美「私も仕事の方に戻りたいと思います」 咲「食後の睡眠は減俸よ」 美「わかってまーす」 レ「……咲夜、フランを部屋に送ってあげて。それと食後のデザートでも作って頂戴」 フ「じゃあ私がデザート作るっ!」 咲「それではご一緒に作りましょうか?」 フ「うん! ○○に負けたくないもん!」 部屋には俺とお嬢様だけが残された。なんだか空気が痛い。 「では私も食器の方を片付けに――」 「待ちなさい……」 「なんでしょう?」 「 何 を 入 れ た ? 」 「…と仰られますと?」 「さっきのカレーよ」 「他のみなさんと同じですよ。辛さ以外」 「……」 「お願いしますお願いしますそのスペルカード仕舞ってください」 「正直に真実を話しなさい」 「お嬢様のカレーのみ辛さを300倍にしてライスのほうをのガーリックライスにしました」 「やっぱりな!! 絶対ニンニク入ってると思ったわ!!」 「流石はお嬢様、良い舌をお持ちで」 「さっきので全部イかれたわよ! 私を殺す気!?」 「『紅魔のトリックスター』によるちょっとした悪戯ですよ」 「あれのどこが『ちょっとした』なのよ!! それにその二つ名なによ?」 「妹や友人、従者が平然と食べているのに自分だけ食べれないなんて威厳に関わる。そう思いながら必死に食べるご様子はとても可愛らしかったです」 「神槍『スピア・ザ・グングニル』×300」 「すごく…多いです…」 「さぁ、小便は済ませた? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?」 「お嬢様、小便行って来てもいいですか?」 「却下」 「お嬢様」 「何?」 「300本まであと42本足りません」 「細かいこと気にするなっ! キリよくしたかっただけよ!」 「あ、妹様のデザートができたようですよ」 「!? ……何よ、誰も居ないじゃない、って逃げるの速っ!!」 長い長い漫才の中、一瞬の隙を衝いた○○は全力で逃亡した。 だが○○のいた場所には紙が落ちていた。 「何これ…『実はここ数ヶ月、料理に少しずつニンニク混ぜてました。慣れってすごいですね。 by 貴女の○○』。 よし、殺す」 この後紅魔館内でリアル鬼ごっこが行われた。 夜の王(本気モード)と紅魔のトリックスターによるその鬼ごっこは5時間23分にもおよび、紅魔館の3分の2が崩壊する事態となった。 今回の騒動を引き起こした執事は門の前に大量の神槍で磔にされていたと、館を修理中の門番が語っていた。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 11スレ目 344 今日のレミリア様は何かおかしい。 そもそも急に夜の散歩に誘われたわけだし……更にこれだ。 「……○○」 「はいなんでしょうか?」 「な、何でもない」 「……分かりました」 何かを言おうとした止める。 これが紅魔館を離れてからもう7回繰り返されていた。 ちなみにさっきのは8回目だ。 何を言いたいのか分からないのでは対応のしようもないし、何も出来ない。 従者は主人が言いたくなるまでは待たなければならないのだ。 「○○……その……お前は私が好きなのよね?」 更に3回同じやり取りがあった後、小さな丘の上でレミリア様の言葉が変わった。 だがそんなこと聞かれるまでもない。 「勿論ですレミリア様。主人としても一人の女性としても愛しております」 「……○○。その……今だけは呼び捨てにして……良い」 「呼び捨て……ですか」 「めっ命令……だ。呼び捨てに……しろ」 妙に必死なレミリア様。 ……命令とまで言われたら断るわけにはいかないな。 「レミリア。これでよろしいですか?」 「…………」 レミリアは顔を少し赤くして無言で頷く。 というかレミリアが動かないからここで散歩は終わりということなのだろうか? 「えっと……」 「○○……私は女としての魅力には欠けるかも知れない」 え? 僕が話そうとするとレミリアは不思議なことを言ってきた。 あのプライドの高いレミリアが……。 「知識もないし……まだまだ子供だ……でも……」 「…………」 「お前を……好きだと思ってる気持ちはある」 レミリアは少し泣きそうな目で必死に話してる。 きっと恥ずかしくて仕方ないんだろうけど……僕はその必死のレミリアに何も言えなかった。 「だから!……お前が嫌じゃなければ……キッキキキ……」 「……分かりましたレミリア。もう伝わりましたよ」 ……つまりはそういうことか。 確かに普通お互いの気持ちが分かれば……一度くらいはしてても良いものだった。 でもどこか僕は嫌われるのが嫌で……控えてたのかもしれないな。 それが逆にレミリアを不安にさせてたのに……。 「○○……?」 近寄った僕を不安そうな瞳のレミリアが見上げる。 大丈夫……そんなに怖がらなくて良いですよ。 「……失礼します」 そして僕はそっとレミリアのことを抱き締め、上からその可憐な唇に自らの口を合わせた。 「ん!……ん……」 一瞬驚愕の表情になったレミリアだったが、すぐに驚きはなくなり目を閉じた。 そしてしばらく時が止まり……僕は口を離した。 「あ……」 「愛してますレミリア」 「……わた……しも……」 顔を真っ赤にして、トロンとした表情ながらもレミリアは僕の言葉に答えてくれる。 そんなレミリアを苛めてみたくて……僕はもう一度レミリアにキスをした。 「んぅ!?」 驚きに目を広げるレミリア。 そんなレミリアをもっと苛めたくなり……その唇を唇で挟む。 「ふぁ……や……」 一瞬抵抗しそうになるレミリアだが、力が入らないのか少し身動ぎしただけだった。 無論そんなことで逃げられるわけもなく、僕はレミリアの唇の味を楽しんでいた。 「はぁ……あぁ」 レミリアの吐息が色っぽくなり、僕はたまらなくなってその舌に舌を絡めた。 レミリアの唾液を舐めとるように舌を動かし、レミリアを思うがままにする。 「んん!!……ぁぁ……」 さて僕自身はまだ満足はしてないが、もう足に力が入ってなく、僕に支えられているレミリアを開放してあげようか。 もう息も絶え絶えだし……凄く可愛いしね。 「……バカ」 力が入らないのか、僕に寄りかかったままレミリアは呟く。 その頬も耳も真っ赤で……レミリアが恥ずかしがってるのが良くわかった。 「……すみません。レミリアが可愛すぎるんです」 「……バカ」 僕の言い方にもう一度レミリアは呟くとギュッと僕に抱きついた。 月の浮かぶ闇夜……僕とレミリアはただ抱き合い、幸せを感じていた……。 おまけ(後日談) 「レミリア様」 「ん?どうかしたの○○……ん!?」 僕は振り返ったレミリア様の口を奪っていた。 レミリア様は驚き離れようとするが、僕が抱きしめると逃げられなくなった。 無論僕の力ではそんなこと普通不可能なんだけど。 「んん!……んんぁ……」 僕がキスをして苛めてあげるとレミリア様は力が完全に抜けてしまうのだ。 そしてそこから僕にされるがまま……。 誰かが来たら別かもしれないけど、二人きりならば全く抵抗出来ないからな。 「バ……バカ!こんな所で……しかもいきなり」 「いきなりでも良いじゃないですか。可愛いですよレミリア」 「あ……っぅ……」 呼び捨てとキスの魔力でレミリア様は翻弄。 ちょっと変な愛の形かもしれないけど、僕もレミリア様も幸せそうだから……きっと良いんだろうな。 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/230.html
「ふう……。やっと着いた」 俺は目的地に着いたので、そう呟いた。 「……何時見ても大きい屋敷だな」 目的の場所――紅魔館――を見てそう言ってしまう。 「しかし、何で俺なんかを指名したんだろう?」 俺はそう思いながら館に入っていった。 「じゃあ○○、付いて来て」 咲夜さんに部屋まで案内してもらう事になった。 目的の場所まで歩きながら俺は、ポケットに入れておいたブツを見る。 そして思う こんな物持ってきて良かったんだろうか? と。 そう思っていると部屋が見えてきた。 場所は変わって屋敷の一室。 「ところで、なんで俺なんかを呼んだんだ? 他にも友人は居るだろうに」 俺は自分を呼び寄せた元凶である少女――レミリア・スカーレット――にそう聞いた。 「ん? 理由か? 今日は知り合いは皆用事が有るらしいからな、一人暇なお前に相手をしてもらおうと思ってな」 俺が理由を聞くと、かなり自分勝手な事を言ってくれた。 「有り難いと言えば有り難いが、おまえ何か俺を馬鹿にしてないか」 その答えに幾分か呆れながら俺は言う。 「うん? そんな事あるはず無いだろう?」 俺がそう言うとレミリアは、さも可笑しそうに言う。 ……ぜってー面白がってやがる。 この際アレを渡さんでおこうか。 本気でそう思ってしまった。 「じゃあここで。ところでパチュリーさん達も居ないのか?」 俺は一手打ちながら言う。 彼女が皆いないと言ったので、あの人もどこかに行く事が有るのかな? と思ってしまったからだ。 「むう、ここだな。ああ、パチェは魔法使い同士で語り合うらしい。今日に限っては咲夜しか居ないぞ」 レミリアも一手打ちながら答えてくれる 「……。あの人が何処かに行くとはめずらしいねぇ」 まず……。 次の手が思いつかないので少し話を振って時間稼ぎする事にした。 「確かにそうだな、って○○その手には乗らんからな」 しかし彼女は、俺の思惑に勘付き釘を刺してくる。 だが俺は次の手をもう考えている。 「ち、流石にこんな手には乗らないか……」 しかし俺は、自分の思いとは反対の事を言う。 「……まあいい。さっさと打て」 そんな俺をレミリアは疑っているのか、なにやら考えながらも先を促す。 「じゃあこのナイトをここに。しかしここはクリスマスを祝わないのか?」 そう言い、一手打つ。 「……阿呆か貴様は。吸血鬼が、悪魔がキリストの誕生日を祝う訳無かろう」 レミリアはそう言い返しながら、一手打つ。 まあ当たり前の返事だなと俺は思う。 「確かにそうだな。しかし如何でもいい事なんだが、貴様と言うのは普通男からしか言わんぞ」 一つ穴があったのでそこを指摘してやる。 「そうだったか?」 するとレミリアは、一瞬キョトンとした顔になった。 この時の顔は、見た目の年齢に相応しい無邪気なものだ。 中々レアなものが見れたな。 俺がそんな事を思っていると、彼女はそう聞き返してくる。 「ああ、そうだった筈だぞ」 そして俺はそう言ってやった。 「……チェックメイトだ。」 俺は何とかそう告げた。 数十手にも及ぶ勝負の決着がやっと付いた。 「く、これで通算56戦23勝31敗2分けか……」 レミリアは悔しそうにそう言う。 「ん……。そうだな今回は何とか勝てたな」 俺は、咲夜さんに持ってきて貰ったワインを少し口に含みながら言った。 「ん、ん……。ふう、次は負かしてやるからな」 彼女も俺と同じように呑みながら言う。 「ああ、楽しみにしているよ」 そして俺は、少し機嫌よく言った。 「と、そうだ咲夜さん、これ受け取って貰えますか?」 そう言いながら俺は、ポケットから綺麗に包装された小さな箱を一つ取り出し咲夜さんに手渡した。 「私に?」 すると驚いたように聞いてくる。 「はい。何時もお世話になっていますからね」 この人には、よくお世話になっているのでそう言う。 「あ、でもそんな良いものでは無く、ただのペンダントですし……」 「……いいのよ値段なんて。とっても嬉しいわ。ありがとう○○」 俺がそう言うと、咲夜さんは少し微笑んで受け取ってくれた。 「○○、私には何も無いのか?」 するとレミリアが、期待に満ちた目で聞いてくる 俺はやっぱりな、と思う。 咲夜さんに渡せばそう聞いてくると思ってた。 ここで普通に渡しても良いが、どうせなら少しいじめてみようか。 そして俺は実行した。 「ん~。悪魔はクリスマスは祝わないのでは無かったのか?」 俺はレミリアを苛めるように言う。 「た、確かにそう言ったが、一応私もお前の面倒を見てやったりしているぞ」 レミリアは、なんとかそう言い返してくる。 「確かにそうだが、俺はお前の暇つぶしとやらに付き合って色々苦労もしているぞ」 だからそう言い返してやる。 「む……。……そうだなお前には迷惑も掛けてきたしな、私は諦めるか」 すると、レミリアは少しだけ悲しそうに言った。 「じゃあ、そろそろ俺は帰るな」 時間もだいぶ遅くなってきたので、そろそろ帰ることにする。 「……ああ○○、気をつけて帰るんだぞ」 レミリアはまだ悲しそうにしている。 そんなレミリアを一瞥して俺は部屋を出た。 「ちょっと待ちなさい○○」 しばらく歩いていると、咲夜さんが追いかけてきた。 実はここまで予想道理の展開である。 そう思いながら俺は言う。 「咲夜さん? どうかしましたか?」 すると咲夜さんは俺に聞いてくる 「本当にお嬢様には何も無いの?」 と。 だから俺は言った。 「いいえ、ちゃんとありますよ」 すると今度は、別の事を聞いてくる 「なら、なんで渡さないのかしら?」 彼女の質問は尤もなので、俺は理由を言った。 「これがクリスマスプレゼントだからですよ。これって、眠りから覚めた時に有った方が良いと思わないですか?」 俺がそう言うと彼女も理解したようだ。 「つまり、これをレミリアが寝た後に枕元に置いて欲しいんですよ」 そして俺は包装された小さな箱と一枚のカードを手渡す。 「解ったわ。本当なら貴方が置くべきだけど、貴方じゃ気付かれちゃうからね」 そして咲夜さんはレミリアへのプレゼントを預かってくれた。 「じゃあ、頼みましたよ」 俺は最後の確認にそう言う。 「ええ解っているわ」 彼女は心強い返事をしてくれた。 「では良いクリスマスを」 そして俺はそう告げて歩き出す。 「貴方もね」 彼女も俺にそう言い、送り出してくれた。 今年のクリスマスは、彼女達にとって最高の日でありますように。 俺はそう思いながら帰路に着くのだった。 あとがき レミリアを格好良く書きたかった。 しかし俺にはこれが限界だった。 まぁ、そんな事は置いておき、最後に一言。 皆さんよきクリスマスを―― 6スレ目 583 ────────────────────────────────────────────────────── 「・・・・ねえ○○」 「ん?どうした?レミリアいつになくしおらしいじゃないか さすがのお前も始めての出産に緊張してるのか?」 「・・・・・・・・・」 (図星かよ・・・まあそれもそうか、初めてだったわけだし・・・ そうなると子どもを生むのも初めてになるよな) 「あーすまん、俺が軽率だった、そりゃ不安にもなるよな でも安心しろ俺が付いてるしなにより紅魔館の皆がいるじゃないか」 「・・・ええ、そうねそれにこのおなかにいる子は○○と私の子ども その事を思うだけで私はこの500年生きててよかったって思うのよ」 「そ、そうかありがとな」 「それはこっちのセリフよ、○○と会えて本当に良かった」 「絶対に幸せにするからなお前もおなかの子も」 「ふふふふ、頑張ってね お と う さ ん」 7スレ目 170 ────────────────────────────────────────────────────── コンコン 「んー?どうぞー開いてるよー」 「お邪魔するわね○○」 「ん?どうしたよレミリア」 ある日の夕方何もせずに夕飯までごろごろしていた俺の所にレミリアが咲夜さんを連れずにやって来た 「あら、恋人の家に来るのに理由なんて要るのかしら?」 「そりゃそうだな、まあどこか適当に座ってくれ、今お茶入れるから 咲夜さんほどじゃないけど」 「期待しないで待ってるわ」 カチャ 「ほい、お待たせ」 「ありがとう、それにしてもどうしたのこの葉、結構いいものじゃない」 「ん?ああ、アリスがなんかやるって言ってんで貰った」 「……そう」 そう言うとレミリアは突然黙り込んでしまった そこまでまずかったんだろうかこの紅茶 と、そうおもったその瞬間 がしっ レミリアは俺の首を掴んで壁にたたきつけた どがっ! 「ぐぅ!?レミ、リ…ア何を?」 ぎりぎり 「……やっぱり駄目ね、貴方の口から他の女の名前が出るだけで私はこんなにも嫉妬してしまう だから、今日この場であなたを私の眷属にするわ」 そう言ってレミリアはおれの首筋に牙を付き立てた ぷつっ レミリアに血を吸われ自分の体が人ならざるものに変質していくのが分かる 「ごめんね○○、ごめんね、それでも私は貴方の事が好きなの」 「気に……する、な」 泣きながら俺に謝罪するレミリアを見ながら俺はそんな言葉しか言えずに意識を手放した 勝手に↑の続きなんぞを書いてみた。 「・・・○○、目が覚めた?」 彼に出来る限り微笑みながら私は問いかけた。 「ああ、まだ体がちょっとだるいけど・・・問題ないよ。」 「そう、良かった。」 しばしの沈黙。 「・・・・・・俺は、もう人間じゃないんだよな。」 「・・・・・・」 「俺はレミリアと同じ吸血鬼になったんだよな。」 「ええ。」 私の返事に彼は苦笑いを浮かべた。 そして彼はまた真剣な顔つきに戻るとこう言った。 「レミリアは、後悔してないのか?」 「えっ?」 「レミリアはこれから俺と長い年月を過ごすことになる。 本当に俺を選んで後悔はしてないのか?」 彼は何を言っているのだろう。 何故彼は私が吸血をしたことを責めないのだろうか。 「あなたは私に血を吸われたことについて何も思わないの?」 「思うって・・・ああ、血を座れるのはちょっと痛かったよ。 出来れば次からは勘弁してほしいな。」 「そうじゃないっ!!」 私は思いっきり立ち上がり叫んだ。 「なんであなたは私を責めないの!?なんであなたは恐れを感じていないの!? なんであなたは・・・!」 私の心配をしているの・・・? 「レミリア・・・。」 「私はあなたの了承も得ずに勝手に血を吸った。勝手にあなたを自分の物にした。 しかもただの嫉妬で!あなたが他の女の名前を出しただけで!!」 「私は・・・、私は自分一人の意思であなたの運命を変えてしまった。 500年生きていても、結局見た目と同じ、幼稚な考えしか持てない最悪な女・・・いえ、子供よ。」 再び沈黙が流れた。 彼は何も言わず、私を見ている。 「・・・そうだな、俺はレミリアを許すわけにはいかない。」 「・・・・・・。」 「レミリアが悪い、って思ってるなら一つだけ俺の願いを聞いてくれ。」 「・・・何?」 「お前の命が尽きるまでずっと隣にいさせてくれ。この願いを聞いてくれるなら俺はお前を許す。」 そう言って彼は優しい笑みを浮かべた。 私は思わず彼の胸に飛び込んだ。 「私からも・・・、私からもお願い。ずっと私の隣にいて。」 「ああ、わかった。」 そう言って彼は私を抱きしめた。 7スレ目 518 541 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「申し訳ありません、直ぐに片付けます」 甲高い音を立てて飛び散ったワイングラスの破片を、男は慌てて拾い集める。 男はまだこの紅魔館に勤めて間もない身。それに加えて、過労のためか少々熱がある。 「――何時になったら慣れるのかしら。貴方が犯した粗相の数、覚えている?」 「申し訳ありません、レミリアお嬢様」 彼が仕える主人、レミリア・スカーレットの冷たい声が男へと掛かる。 熱で頭がぼーっとしていたなど、この吸血鬼のお嬢様は聞き入れてくれないだろう。 周囲のメイドも気の毒そうに見ているが、これは彼が犯したミスだ。 「痛っ!」 挽回しようと慌てていたためか、男は迂闊にも指を破片で切ってしまう。 泣きっ面にはこの事だろうか。苦痛に顔を歪め、男は傷口を押さえる。どうにか止血しなければ、床を汚す事になりかねない。 「もういいわ。こっちに来なさい」 「はい。仰せの通りに」 それを見て呆れたのか、レミリアは呆れた様な表情で男を呼び寄せる。 男が近付くとレミリアは彼の手を取り、指先をそっと口に含んだ。 「――ん、少し熱っぽいみたいだけど、血の味は相変わらず悪くないわね。 それが貴方の生かされている理由でもあるのだから、体は大切にしなさい」 「分かっています。それだけが唯一の取り柄ですから」 男は自嘲する様に言うと、レミリアの唾液が付いた指をそっと反対の手で覆う。 血の味の良さは、メイドたちもよく知るところだ。飲まれる度に、こうして褒められているからだ。 もっとも、こうした場で褒められたのは、その事だけしかないのだが。 「自分を卑下するのは止めなさい。貴方はこのレミリア・スカーレットの従者なのよ。 自分を侮辱する事は、それは私を侮辱するのと同じ事。軽々しく口にして良い言葉ではないわ」 「申し訳ありませんでした、レミリアお嬢様」 眉を吊り上げたレミリアに、男は慌てて頭を下げる。 と、言うより下げないわけにはいかないだろう。周囲の目もあり、何よりご主人様の機嫌を損ねる。 「今日はもう下がっていいわよ。今の貴方が居ても邪魔にしかならないわ」 「はい。それでは失礼させていただきます」 溜息を吐きたいのをぐっと堪えながら、男は部屋を後にする。 せっかく気を遣ってもらったのだ。今日はゆっくり休む事にしよう。 ○○が目を覚ますと、空には月が浮かんでいた。 少し寝るだけのつもりだったのだが、何時の間にか熟睡してしまったようだ。 だが丁度良い頃合だろう。そろそろ、待ち人がやってくる頃だ。 そのために、彼の部屋の窓は何時も開いているのだから。 「体の調子はどう?」 「平気さ、少し休めば良くなる」 そうして窓からやってきたのは、この紅魔館の主、レミリアだ。 こんな夜中に一使用人の部屋行くのを見られないために、彼女は蝙蝠へと変身して窓からやってくる。 「全く、昼間と同一人物とは思えないほどの変わりぶりね。それだけ元気なら、見舞う必要はなかったかしら」 「勘弁してくれ、今はプライベートな時間だからいいだろう? お嬢様」 おどけた様に自分をお嬢様と呼ぶ○○に対し、レミリアは僅かながらに頬を膨らませる。 こう呼ばれるのを彼女は嫌がると○○は知っている。だからこそわざとそう呼んだのだが。 「プライベートの時はレミィでいいって言ってるでしょ。他に聞いてる者もいない事だし」 「カリスマを保つのも大変だな」 「ええ、大変よ。間違っても、他人が見ているところでこんな事はできないわ」 レミリアは寝ている○○の首へと腕を回し、微かに紅潮した顔を近付けると、その首筋に唇を付けた。 そしてゆっくりと、彼の味を確かめる様に舌を這わす。 その様子を微笑ましそうに眺めながら、○○はレミリアの髪を優しく撫でる。 「貴方が誰から見ても私の従者として相応しいかったら、こんな目には合わせなかったのに」 それは暗に、従者として相応しいのなら眷族としている事を言っているのだろう。 そうすれば些細な事で怪我をする事もなくなり、病気の心配もなくなる。 それに、二人の間の最大の障害である、寿命だって乗り越えられる。 少しだけ心配そうな表情を見せたレミリアに、○○は心臓を高鳴らせる。 だがそう簡単に行く事ではない。まだ紅魔館に来て間もなく、未熟な者を眷族とすれば不審に思う者も出るだろう。 できれば、それは避けたいのだ。 「努力はしてるさ。慣れない敬語みたいなの使ったり、結構大変なんだぞ」 「結果を出して欲しいわね。それも出来るだけ早くに」 「分かってる。まっ、来年までには何とか」 それに乗じて彼女の顔をこちらへ向かせ、○○は彼女の紅い唇を指でなぞる。 何時だったか遊びで決めたキスのサイン。了承ならばその指に口付けを、否定ならばその指に牙を突き立てる。 彼女は自分からは決して求めてこない。そのうえ○○が彼女の意図を汲み取り、キスを求めなければへそを曲げるという困ったさんだ。 だからこそ彼がこうして許しを請い、そっとサインを送る必要がある。 だが残念ながら、返ってきたのは彼女の甘噛み。○○は情けない顔で溜息を吐き、レミリアの顔色を伺う。 「半年よ。それ以上は待てないわ」 「随分と厳しいな。こっちは咲夜さんと違って普通の人間なんだぞ」 「これでも我慢してるんだから、早く誰もが認める良い男になりなさい」 執事など自分には向いてないと分かっているし、そもそも気配りなど○○には無縁な言葉。 もとがいい加減な人間のせいか、最近になって改めてメイド長の凄さを再確認しているところだ。 レミリアが真剣な顔をしていたので、○○の方もそれに合わせる。 何時もは昼間言った事を気にしているのか、それを取り返す様に甘えてくるのだが。 「今日はやけに積極的じゃないか。どうかしたのか?」 「……この前、貴方にフランが抱き付いたわ」 「なんだ嫉妬か。いや、結構嬉しいんだけどな、愛されてるって思えるし」 「違うわ」 「そこは否定しないで喜びに浸らせてくれよ」 説教ではない、嫉妬でもない。では何なんのか。 フランの名が上げられた時点で○○も薄々勘付いていたが、気付かない振りをして続きを促す。 レミリアの目が真剣なのは分かっていたし、その瞳が彼を心配そうに見ていたのにも気付いていたのだから。 「あの時、貴方は怪我をした。一歩間違えれば貴方は死んでたわ。人間は脆い、何時死んでしまうか分からない。だから、ね」 悲しげにレミリアが吐き出した言葉に、○○は息を呑む。 フランに抱き付かれた際に、そのまま勢い余って床に押し倒され、頭を強く打った事があった。 その他にも、骨折くらいなら日常茶飯事。そう考えると今生きているのは運が良かったからとしか言い様がない。 「……分かった、半年後な。約束する」 「ええ、期待してるわよ。さて、満足のできる返答をもらった事だし、私はもう行くわ」 「何もなしにか? せめてキスくらいは……どんな生殺しだよ」 何の力も才能も持たない彼が、吸血鬼たるレミリアと並んで立つ事は難しいだろう。何より、周囲が納得しない。 だから眷属とする事で寿命を高め、何れ誰もが納得する様な状況を作り出せばいい。 もっとも、今のままでは何年、いや、何十年先になるかは分かりはしないが。 だがレミリアの言っている事は理解できるし、二人が一緒になるには必要な事。 それくらいの苦労でレミリアと一緒に居られるのなら、○○は喜んでそれを背負うだろう。 情けない表情を浮かべる○○に、レミリアは優しく口付けをした。 彼女から○○へとしたのはそれが初めてだ。一瞬だけ目を大きく開いた後、○○は満足気に頷く。 そして二人は小指を絡め、約束を交わす。 わざわざ言葉に出す必要はないだろう。やるべき事は、分かっているのだから。 「続きは、半年後にね」 「……ああ。そうだな」 だが眷属にならない内にそこまで時間を掛ける事はできないので、専らの目標は執事として相応しい力を身に付ける事か。 満月を背後に微笑むレミリアの姿を目に焼き付けながら、○○は絡めていた指を離した。 そして彼女が窓際から飛び立つ事を確認すると、静かに瞼を閉じる。 どうやら、明日から忙しくなりそうだ。唇に残る感触を噛み締めながら、○○は眠りに落ちていった。 7スレ目837 ─────────────────────────────────────────────────────────── ある日の文々。新聞 「紅魔館に異常事態 吸血鬼異変、紅霧異変に続く大事件!?」 紅魔館がおかしい そんな噂が幻想郷中を駆け巡った 事実、紅魔館の周囲から人間の気配が消えた 以前から悪魔の住む危険な場所と認識されてはいたが、人の行き来はあった それが今はない 人間たちにとってそこは理由は分からないが留まりたくはない場所になっていたのだ 内部の面々にも変化があった 妖精たちが消えた 門番がいない 悪魔の妹と七曜の魔女は失せた 残ったのは完全で瀟洒なメイドと悪魔と客が一人 人気の失せた館の中は寂れていった どれだけ手間をかけて掃除をしても、人のいない建物は廃れていく 紅魔館は今や、死に体となっていた 紅魔館の崩壊は幻想郷のパワーバランスの崩壊をも意味していた かつて紅い悪魔の持つ存在感は霧の湖周辺に生息する妖怪たちに多大な重圧をもたらしていた それがなくなった結果、湖は妖怪の跋扈する危険地帯に変わった その影響はまわりまわって里にまで及び、妖怪側の自主的な働き掛けがなければ 長らく保たれていた人と妖怪の力関係にまで重大な変化を与えかねない状況だった ひとまず危険は去ったが、この仕事に貢献した八雲紫、風見幽香両名はそもそもの原因である紅魔館には一切かかわろうとはしなかった そしてついに博麗の巫女が動きだす 今回の異変は今までのものとは違う そう判断した巫女は途中で白黒と合流してから館のほうへと向かった 相協力して進む彼女らを阻むものはいない 二人の頭の中は長らく紅魔館に滞在している男のことでいっぱいになっていた 易々と館に忍び込んだところを迎えたのは少しやつれた頬をしたメイドだった すわ敵襲かと身構えた二人を白けた顔で見つめた彼女はプイと背を向けついてくるよう言った 紅白と白黒は拍子抜けした表情で彼女を追った 背後からではメイドの顔に浮かんだ嘲笑が見えなかったのだ 長い廊下を抜け、一際大きな扉を開けた瞬間、ひどい悪臭が室内から吐き出された 血と肉の匂い そこで二人が目にしたものは淫らに交わりながら互いの血をすすり合う悪魔と人間の男の姿だった あまりの衝撃に思わず体を折り曲げて泣き出してしまう魔理沙の横で霊夢はひどく乾いた表情をして立っていた 彼女は部屋に踏み込むと同時に事の顛末をすべて把握してしまったのだ 自分の想い人がすでに遠くに行ってしまったという事実に何の感慨も持てずにいる霊夢は 何とはなしにあのメイドもこんな気分だったのだろうなとあたりをつけた と、同時に横で感情をあらわにして泣きじゃくる友人にほんの少し、ほんの少しだけ憎しみを覚えた ここはもう終わっている あいつが彼を毒牙にかけたその日から ここで新たな事件が起こる可能性は皆無だ 永久機関という単語が不意に脳裏に浮かび、霊夢は彼女にはひどく似合わない皮肉な笑みを浮かべた そして、いまだ泣きやまぬ友の肩を抱き去って行った その後、紅魔館を訪れた者はいない 誰もあえてそのことについて話そうとはしなかったのでいつの間にか忘れられ、気がつくとかつて館のあった場所は平らな土地になってしまった 人間たちの記憶からは永遠に失われてしまったのだ だが、何かの拍子に古参の妖怪が集まると、誰とはなしにそのことについて密やかに話し合われる それによれば、彼女と彼はいまでも一緒にいて、誰に邪魔されるということもなく二人きりの時間を謳歌しているのだとさ 7スレ目 638-639 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「私はお嬢様のお役に立ててますか? お嬢様のお傍にいる事が出来ますか? 私は・・・・・・私が貴女の記憶に残ることを許してもらえますか」 7スレ目 671 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「うわっ!」 青年よりも頭2つ分ほども背の低い幼い少女が、彼をベッドに押し倒した。 少女は青年の腹の上に馬乗りになり、妖しい笑みを浮かべながら青年を見下ろしている。 「それじゃあ、いただくわね」 「い、いやレミリア様ちょっと待っ――――」 青年の懇願などどこ吹く風と言わんばかりに、少女――――レミリアは青年の首に幼いながらも可愛らしい顔を近づける。 そのまま、はむっ と咥えるように青年の首筋に唇を当てた。 そして、青年の首の一部を、唇で食んだままチロチロと首筋に舌を這わせる。 僅かな掻痒感に青年は身をよじらせるが、レミリアはその細く陶器のように白い両腕を、青年の肩と頭にかけた。 未だ、僅かな抵抗の色を見せる青年を 逃がすものか、と抑えつけるために。 続いて、レミリアの鋭く尖った八重歯が青年の首筋に軽く立てられる。 「………ッ!」 青年が、身を竦める。 もう幾度となく、この状況を味わってきていたが未だに慣れることはできない。 本能的な恐怖にを感じ、身を僅かに震わせながら固く眼を閉じた。 レミリアの八重歯が徐々徐々に強く押し当てられてくる。 そして―――― 「……ぅ…ぁ……!」 青年は情けない声を上げて、その身体がビクッ、と痙攣する。 レミリアの八重歯に皮膚を突き破られたのだ。 そして、その下に流れる熱い命の液体を、彼女に吸われてゆく。 青年は呼吸をすることも忘れ、眼を見開き身体を小刻みに震わせた。 血液を略奪されるとともに、身体を覆う倦怠感が次第に次第に大きくなってゆく。 否、吸い取られているのは血だけでは無いのかもしれない。 まるで、魂までもを吸い取られていると思わせるような脱力感が青年を苛み、意識が緩やかに掠れてくる。 「ふぅ……」 レミリアが青年の首筋から、口を離してゆっくりと息をついた。 青年の首筋には小さく穿たれた2つの穴がある。 彼女の口元からはポタポタと紅い血の滴が滴り落ち、青年の胸元を紅い水玉模様が汚した。 「はぁ……は…ぁ……」 青年は、ようやく終わったのか、と胸をなでおろす。 だが、その予想はあまりにも甘過ぎるものであった。 再びレミリアが青年に覆いかぶさって来たのを目の当たりにし、青年は 僅かに血色の悪くなっている顔を更に青白く染める。 そして、再度 首筋から広がる脱力感と倦怠感。 しかも青年が感じているそれらは先程の比では無かった。 あたかも先程の食事は前菜だとでも言わんばかりに激しく求められ、奪われる。 どうにかなってしまいそうな恐怖から、青年は自身に覆いかぶさっている吸血鬼の肩に手を置き、その幼い肢体を押しのけようとする。 だが、その腕には力がまるで入らずに、彼女の身体を押しのけることはできなかった。 もっとも、彼の体調が万全であったとしても、この紅い吸血鬼を押しのけることなどできはしないのだが。 「邪魔ね」 首から口を離し、そっけなく呟くとレミリアは自分の肩に置かれた――――未だに足掻く疎ましい手首を――――己の腕で掴む。 そして、そのまま青年の両腕をベッドに押し付ける。 両腕を抑えつけられ、青年は少女に抵抗する術を無くした。 レミリアはふと、その幼いながらも愛らしい顔を青年の顔に近づけた。 青年の身体の匂いが呼吸とともに鼻をくすぐり、よりレミリアを興奮させる。 一方、青年は荒い息をつきながら、霞んだ眼でレミリアを見上げることしかできなかった。 その虚ろな眼には「もう、やめてくれ」という怯えと哀願が込められている。 しかし、その瞳に――――青年自身は気付いてはいないが――――どこか喜びと期待が込められていることをレミリアは見逃さない。 ああ、この表情こそが最高の料理を彩る最高のスパイスだ、とレミリアは背筋をゾクゾクと震わせながら笑みを浮かべた。 そして、青年の首元に 三度レミリアは顔を埋める。 青年は僅かに体を痙攣させるものの、もう声を上げることすらもできなかった。 ・ ・ ・ 「ふぅ……美味しかったわ」 青年にとっては永遠とも思える長い時間の後、ようやくレミリアが青年の首と手を解放する。 彼の手首には青い痣ができており、首筋には6つの穴が穿たれていた。 「は……ぁ……は…ぁ………」 ひどく満足そうに笑みを浮かべるレミリアとは裏腹に、青年は荒い息をついて酸素を貪ってゆく。 その顔色は青白く、典型的な貧血に陥ってしまっていた。 「さい…ですか」 呼吸を整えて辛うじて返事を返すものの、それが精一杯と言わんばかりに青年は眼を閉じる。 力なく返事を返し、弱々しい姿を露にする青年の姿を目の当たりにして、レミリアの心中に危険な情欲が湧きあがってゆく。 もっと血を吸うと言ったらこの青年はどんな表情を見せてくれるのだろうか、と。 泣き叫んで……けれども力なく許してくれと哀願してくるだろうか? それとも、力の籠らない腕で自分を押しのけようと無駄な足掻きを見せてくれるだろうか? 目の前の青年を――――もっと――――もっと――――苛めたい。 そんな衝動にレミリアは駆られていた。 (ただ、これ以上吸ったらさすがに危ないわね……) ならば、とレミリアは妖しい笑みを浮かべて―――― 「そうね、じゃあ最後に甘い甘いデザートを」 「――――ッ!?」 レミリアの意図通り、青年の掠れた目にこの上ない恐怖の色が浮かんだ。 彼女が青年の首のあたりに顔を近づけると、青年はビクッと身体を竦ませる。 そして、一切の余裕のない必死な表情を浮かべ、欠伸が出るような速度でレミリアに手を伸ばす。 「もう……やめ……」 青年はレミリアの肩に震える手をかけて、彼女を押し戻そうとする。 「あら、どうしてかしら?」 レミリアは、青年の哀願を嘲笑うかのような表情でその手を払いのけ、抑えつけた。 もちろん、レミリアには青年がの哀願の理由はわかっている。 知っている上で、敢えてからかうように尋ねているのだ。 「お願い…ですから……」 「ダメよ……覚悟なさい」 青年の瞳が絶望に見開かれる。 自由の利かない肢体を精いっぱい捩り、必死にレミリアから逃げようとする。 しかし、レミリアが青年の腹に馬乗りになっており、なおかつ両腕を抑えつけられていては、逃げることなど到底叶わない。 それでもなお、無駄な足掻きを繰り返しレミリアを引き離そうとする。 ゾクゾクゾクゾクッ……!! レミリアの全身を、彼女が耐えられないほどのゾクゾクした情欲が包む。 ああ、なんて愛らしいんだろう、なんて愛おしいんだろう。 この恐怖にひきつった顔。 力なく紡がれる声。 無駄な足掻きを見せてくれる脆弱な身体。 そして、これほどに虐げてもなお ――――本人は気付いてはいないが――――彼の胸の中に隠されている、私に対する愛情。 それらは全て愛おしいこの男のものだからこそ、ここまで私を狂わせ欲情させる。 やはりこの男は――――私の肉体的な食事としても精神的な食事としても――――最高の御馳走だ…… コップから水が溢れるように、レミリアは自身の欲望を抑えることができなくなってしまう。 それほどに、目の前の青年はレミリアの理性を狂わせてしまっていた。 「いただきます」 レミリアのその言葉が耳に届くとともに、青年は覚悟して目を閉じた。 自分が逃げられないことを確信し、諦めてしまったから。 しかし、いつまでたっても首筋に歯を立てられる感触がない。 かわりに唇に何か柔らかいものが当たる。 青年が目を見開くと、僅か2センチほどの距離にレミリアの瞳があり、目と目が合った。 「!?!?」 この時点になって、青年はようやく自分の唇が、レミリアに奪われていることに気づいた。 しかし、青年の身体は動かない。動かせない。 血は足りないし、腕は抑えつけられているし、体はレミリアにマウントポジションを取られている。 ここから逃げることなど、どう考えても不可能であろう。 そんな身動きの取れない青年の閉じられた唇を、暴虐の限りにレミリアは貪ってゆく。 まず、青年の上唇を軽く咥えて舌で舐めしゃぶり、それに飽きたら下唇も同様に蹂躙する。 閉じられた唇を優しくこじ開けて、レミリアは自らの舌を口腔内に侵入させてゆく。 青年の口の中に苦い鉄の味が広がったと思ったら、青年の舌はいつの間にかレミリアの口の中に引きずり出されていた。 レミリアの口の中で青年の舌はなすがままに蹂躙され、ねぶりまわされる。 そしてその度に、青年の肢体が僅かに痙攣していく。 先程まで青白かった青年の顔は、紅く上気しきっていた。 脳髄が蕩ける様な甘い快楽の蟻地獄に嵌り、抜け出すことができない。 見た目幼い少女に好きなように弄ばれて悦んでいる、という倒錯的な快楽に飲まれてしまっていた。 そうして、たっぷり10分も経った頃―――― 「あら?」 青年の舌が全く動かなくなったことに気づいたレミリアが、素っ頓狂な声を上げる。 血液が足りなかったことも原因の一つだとは思うが―――― それ以上に、青年はあまりの快楽と――――やはり本人は気付いてはいないが――――喜びのあまりに、意識を失ってしまっていた。 「ま、いいわ……」 レミリアは、やや残念そうな表情を浮かべため息をつくも、その声に負の感情はこめられていない。 青年の身体を少し浮かして腕を通し、青年の身体にしがみつく。 「……あなたは…私に血を吸われて……私に抱かれるためにいるの」 レミリアの声が甘えたようにゆっくりと紡がれてゆく。 腹が膨れたために眠くなったのだろうか、その紅い瞳は半分ほど瞼で覆われていた ――――抱き枕ですか、俺は…… 以前、今と同じように青年を抱いて眠ったときに、青年に苦笑されたことを思い出していた。 「おやすみなさい……最愛の抱き枕…」 レミリアはそう呟き、再びまどろみの中に意識を沈めていった。 『初めてのチュウ レミリア攻編』end うpろだ422 ─────────────────────────────────────────────────────────── 何もとりえの無い唯の普通の人間の俺が幻想郷に迷い込んでから2ヶ月が過ぎた。(曖昧だが) 迷い込んだ初日早々に化け物に襲われて死に掛けた俺だがそこに偶然通りかかったメイドさん(のちに名前が十六夜咲夜だと知る)が俺を助けてくれた。 それ以降恩返しになればと紅魔館と呼ばれる館で働かせてもらっている。 だが最近この仕事が辛い。 理由は簡単だ。この館の主である吸血鬼レミリア・スカーレット様を好きになってしまったからだ。 勿論新参者で力の無い唯の人間がお嬢様に釣り合うはずも無く、この気持ちはあきらめるしかないものだと理解している。 しかしお嬢様は俺のことを気に入ってくれたらしく、よく声をかけていただいている。 それが一番辛い。 もう俺は決断した。 今夜、咲夜さんとお嬢様にこのことをお伝えして潔くこの館を去ろう。たとえ無事でなかったとしても。 今晩は昼間にお嬢様に「深夜、私の寝室にくるように」と言付けられているので丁度いい。 そして深夜。 俺はドアの前で深呼吸をし、心を落ち着けてからノックをした。 「こんばんは、○○です。言いつけ通り参りました。」 「ようやく来たか。鍵は開いている、さっさと入れ。」 「失礼致します。」 初めて入るお嬢様の寝室は予想通りの豪華さとほんの少しの寂しさを感じさせた。 「して、お嬢様。今宵は何用で自分を此処へ?」 「お前に聞きたい事がある。」 「自分に、ですか?」 「ああ、そうだ。包み隠さず全て話せ。」 なにかいけないことをしてしまったのであろうか。 お嬢様はいつに無く不機嫌だ。 「お前、私に対して何か言うことは無いか?」 言うことは勿論ある。ならば未練の残らないうちに先ほどの話をしてここを去ろう。 「自分は・・」 言い終わる前にお嬢様が割り込んでくる。 「お前は私に対して特別な感情を抱いているのだろう?」 正直、驚いたが何とか表情に出さずに済んだ。 「正直に答えろ。何故それを隠す?」 「自分は臆病者です。失うのを恐れ、本当に欲しいものに手が出せない。それに貴方は美しく、気高い。 そんな自分では手が届かないような遥か遠くの存在を求められるほど自分は強くありません。 それに、失う怖さも知っているつもりです。もし、貴方に告白し、受け入れてもらえなければ 本当に辛い。その様な思いをするくらいなら伝えないほうが良いに決まって・・」 「ほう、それは私には失うものよりも価値がないと遠まわしに言っているのか?」 「そういうわけでは・・」 「それにお前は臆病者ではない。事実、吸血鬼の館に自ら志願して働く人間などそうは居るまい。」 「それは咲夜様の恩に報いるためです。」 「では咲夜の主、紅魔館の主として、吸血鬼レミリア・スカーレットとして命ずる。私のものになれ。」 「は・・・?」 今なんと言ったか聞き取れなかった。そして返事ができないうちにものすごい力でベットに押し倒された。 「お前があくまで隠し続けるというのなら、私がおまえ自身を奪ってやる。」 「ですが・・・私は唯の人間・・・お嬢様とは到底・・・」 お嬢様は久しく見せなかった笑顔を見せた。 「ならお前を同族にしてやろう。これでお前は臆病者でも唯の人間でもない。私の・・・」 そこで急に顔を赤くして 「私の・・・生涯の伴侶となる。」 そういい終わるのと同時に首筋に甘い痺れが起こり、俺は意識を手放した。 うpろだ487 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「あ」 「・・・」 「やぁ咲夜君、こんばんわ」 夜中、巡廻していた妖精メイドからの報告を受けた 「窓から侵入した不審者がいる」と 来て見れば本当に・・・この上なく不審者だ 夜の闇にまぎれる如く、上下を黒の服に身を包んでいる 何より片手に持った私の身の丈ほどの日本刀、斬馬刀とか言うやつか 「・・・不審者、いや変質者」 「おいおい、これほどの美男子を捕まえてそれはないだろう」 「・・・館の外部は美鈴が見張ってたはずだけど?」 「美鈴?・・・ああ、あの中国拳法の妖怪ちゃんか」 「っ!まさか」 「安心しナサイな、死んじゃいないさ」 鬼のような形相で此方を睨むメイド、そして瞬間 「貴様ぁぁぁ!!」 数十のナイフが、俺にめがけて投擲された 「ああ・・・温いな」 「こんばんわ、俺の愛しい吸血鬼」 「っ!?あなた・・・○○?」 紅魔館への名も亡き侵入者 すぐに捕らえられると思われたソレは門番を倒し、メイドを倒し 館の、主の下へ・・・たどり着いた 「久しいわね、何年ぶりかしら」 「ちょうど百年・・・百年前の夜這いの続きをね」 「まさか・・・本当に・・・」 「百年前は殺されかけたからね、やっと君に相応しい男になったつもりだよ」 「相応しい?百年も待たせておいて何を」 「おいおい、せっかくいい雰囲気になったのに恥ずかしさあまり照れ隠しで体半分吹っ飛ばされたコッチの身にもなれよ」 そう、丁度百年前・・・俺はこいつのせいで体の左斜め下半分を失ったのだ、まぁ長くなるのでこの話は割愛 「だいぶ面子も変わったみたいじゃないか・・・フランやパチュリーは?」 「あなたが知ってる面子は私とフランとパチュリーぐらいしかいないわ」 「問題無い、君さえいれば、な?」 「ば、ばかっ!」 レミリアは顔を赤くして背を向けてしまう、百年経とうと変わりない あの頃から幼いままの 「なぁ、俺の気持ちは変わっていない・・・お前は?」 「百年ぽっちで変わるような気持ちで・・・貴方を寝室に招いたりはしない」 「・・・コンティニューだな、俺は何処からやり直せばいい?ここに入ったときか?口付けを交わしたときか?それとも君のドレスを乱暴に脱がせて幼い身体を(ry」 あの日の事を思い出したのだろうか、普段偉そうになんでも知ってますよーって面のレミリアが、林檎のようになって俯い・・・否、睨んでいる 「まぁまぁ落ち着け、俺としては・・・えい」 俺はレミリアを突き飛ばした 「きゃっ!?」 ぼすっと軽い音を立ててベットに倒れこんだ 俺はそのまま上から覆いかぶさって、少々強引に、唇を重ねた 「んっ、ちゅ、ふぁ、んーぷぁっ」 俺はレミリアの手首をつかんでベットに固定した 「・・・えっ?嘘」 この私が、吸血鬼である私が 妖怪化吸血鬼かもわからないこの男に、力で負けている? 何か術が?いや、単にびくともしないだけ・・・そんな事があるのだろうか 「驚いた?」 そこに種族の優劣など無いかの様に、私を押さえつける 見かけどおりの子供のように、彼に拘束される 「これでもう壊す心配はないよ、だから・・・力強く抱きしめてもいいんだ」 「○○・・・アナタ馬鹿ね、本当に・・・馬鹿だわ」 「耐久性ばっちり、水陸両用、防腐加工!守られてばっかりも癪だしな」 「ふふ、私を守ってくれるのかしら?」 「えー・・・いや・・・あと百年ぐらい時間をいただければなんとか」 彼女は楽しそうに笑う、百年前の焼き増しのように うっかり握ったままだった手首を離した 結構気合入れて握っていたのであざになっていないか、そう思ったがそこはTHE吸血鬼、なんともないぜ 「あのー・・・レミリア?」 「なあに?」 ベットにはさっきと同じような体制で倒れこんでいるんだが・・・ 「そんなにくっ付いてちゃナニも出来ないんだけど・・・」 「いいの!今夜はずっとこうしてて・・・お願い」 「そう言われちゃ・・・しょうがないな、それで・・・その・・・またお預けですか?」 「あ、明日まで我慢してよ!あなたがここにいて、抱きしめられる事を・・・もっと感じさせて」 そこまで言われちゃそうするほかないだろう 俺はレミリアをギュッと抱きしめた、彼女もそれに応えてくれる 百年越しの恋は成就した、お互いに、最良で最高のパートナーとして その夜紅魔館には甘ったるい空気が流れていたと言う 咲夜と美鈴は妖精メイドがしっかり回収しました 10スレ目 490 ─────────────────────────────────────────────────────────── レミリア分を受信した・・・長いので分けます 「○○は、ずっと此処にいてもいいと思っているの?」 唐突に、レミリアが声をかけてきた。 俺は外から迷い込んできた人間だ。 最初は見知らぬ世界へ来た事への戸惑いと驚き、そして不安に翻弄されっぱなしであった。 もちろん今もそうだ。異世界が存在したというだけでも驚きなのに、その上様々な妖怪を目にするのだから。 それは目の前に座る少女、レミリアも例外ではない。彼女は吸血鬼だというし、人の血も吸う。 それでも、当面は紅魔館にいる気なのだが。 俺はそのような事を何度もレミリアの前で口にしてきた。今も同じような事を伝える。 「……貴方って本当に危機感がないのね。そんな事を、正直に私の目の前で言うなんて」 「そうか?俺は素直に、思ったままの事を口にしてるだけだけど」 「ほとんどの人間は震えながら私を敬うわ。レミリア様、貴女は素晴らしいお方です、って」 「吸血鬼だしなあ……血を吸われるとでも思ってるんじゃないか?まあ、俺もやっぱり怖いが」 「だから……!そういうところが危機感がない、って言ってるのよ。そんな事を言って、普通の人間なら真っ先に血を吸われているというのに」 「へえ。じゃあ俺は、普通じゃないのか」 「……っ!!」 レミリアは立ち上がると、ドアの方へ向かう。出ていくようだった。 「―――覚えておきなさい。貴方はただの血袋。私の食料としてここに置いてあげているの。せいぜい、私へ捧げられる事への恐怖と栄誉を噛みしめながら待っている事ね」 そう言い残して、彼女は出ていってしまった。 ……去り際。レミリアの顔がほんの少しだけ赤くなっていたのは、何故だろうか。 「んー……女の子はよくわからんなぁ」 そんなだから外の世界でも朴念仁と言われていたのだが。 ……でもレミリア、悪い。さっきのような事をもう何回も言われているのに、俺はお前に血を吸われる日が来るということが、どうしても想像できない――― 廊下を小走りに進む。無性に腹が立っている。 それも、あの男のせいで―――ということが、また余計に腹立たしい。 なんで私が、あんな人間一人のために。 「………っ」 思えばなんであんな質問をしてしまったのだろうか。 『ずっと此処にいてもいいと思っているのか』 それは、あいつが決める事ではない。○○の命は私にかかっているのだから。 本当に、何故なのか。 ○○は私を敬うという事を知らない。 食料としてここに拾われてきた事も知っているのに、いつまでたっても恐怖心を見せない。 いや、吸血鬼に対しての恐怖はあるのだろうが、私個人となると少女扱いしてくるから手に負えない。 頭を撫でられた事もあった。苛立ったのでその日は館から追い出した。 いつも笑顔で笑いかけてくる。人間の分際で。あんな人間は見た事がない。 冷たくしても普通に接してくる。あの無神経さをどうにかできないのか。 私を怖がらない。私に優しくする。私を怖がらない。優しい。でも、それは嫌だ。だってそれ以上は、 「……あんなの……っ!」 あれは食料だ、それ以外に何がある! 早く血を吸ってしまえばいい、あの赤い血を全て、骨の髄まで貪りつくして、恐怖に怯える瞳を見て、私しか見えないようにして、全部、ぜんぶ、私のものに――― 「……なんで……」 ○○の事を考えると、いつもこうなってしまう。どこかおかしいのは自覚している。 体中が熱くなって、冷静な判断ができなくなって、彼の血を吸いたいと思ってしまって、でも吸えなくて、何故だか声が聞きたくなって………そして、そして、 彼の全てが欲しいと、……思って、しまうのだ。 月の光に照らされた紅魔館を歩く。 そこは平常時と何ら変わりのない我が館。闇に沈みながらもその尊大さを失わない、歴史の刻まれた場所。 そうだ、何も変わりない―――あの男が、来るまでは。 一人夜闇の館を歩きながら、こうして思い悩む事もなかったのだ。 ただあいつがここに存在している、たったそれだけの理由で……なんて。 「・・・馬鹿馬鹿しい」 それは、あの男に対してだろうか―――いや違う。あの男は確かに色々な意味で馬鹿だが、そんな人間一人にこうして心乱されている自分こそがどうしようもなく馬鹿に思えてならない。 そして、何故こうにもあいつの事ばかりを気にかけてしまうのか……それすらも謎だ。 ・・・本当に、あいつを拾った事が間違いだったのかもしれない。 あいつさえ来なければ、私はこれから先も変わる事無く、心動かされずにいたことだろう。 じゃあ、追い出すのか?あいつを。 そうしてまた元の生活に戻る? 「・・・そんな事するくらいなら、私が」 私が全部貰う。 勿体ない、だけだ。せっかくの食料を逃してしまうのは、勿体ない。 だから置いている。実際、今までにも血を目当てにここに置いていた人間などいくらでもいた。それだけの存在価値。 だからあいつの手の感触なんて忘れてしまえ。優しい言葉も何もかも。人間はすぐに心変わりする卑しい・・・私の血袋なのだから。 あれもきっと、嘘。私に取り入ろうとするための――― その時。 「・・・あれは」 廊下の突き当たりで、その頭痛の種らしき人影が見えた。 でもそこにいたのは、○○だけではなく――― 「あら、○○。こんな所でどうかして?」 「あ・・・咲夜さん」 廊下の突き当たりで何ともなしに呆けていると、メイド長である咲夜さんが声をかけてきた。 彼女は働き者だ。ここに来てすぐ分かった事だが、その時を操る能力を使い一日中働いている。 むしろ休んでいるところを見る方が少ない。 彼女は俺にも礼儀正しいし、レミリアに何か言われるたび声をかけてくれたりもする。 あの中国風な門番よりはやはり気難しそうだが、それでも俺にとっては数少ない相談相手でもあった。 「いや、女の子ってよく分からないな、と。またレミリアを怒らせてしまったようで」 「またですか?貴方も学ぶという事を知りませんね。お嬢様に何を言えば機嫌を損ねてしまうか、貴方ならもうよく分かっているはずでしょう?」 「まあ・・・それもそうなんですけど。でもそれは、俺の気持ちじゃないから」 正直に言えば、レミリアを怖がっていればいいのだと思う。 あいつは見るからにそういうのが好きそうだし。前にも言われたように、震えながら彼女を敬えばきっとレミリアは喜ぶだろう。 レミリアもそれを期待しているはずだ。 「きっとレミリアは、俺が怖がっていれば満足なんだと思います」 「あら、分かっているじゃない。お嬢様は自らを恐怖の対象として捉えている人間の血を吸うのがお好きよ。でも貴方が自分の意に沿わないから、それで怒らせてしまうのでしょうね」 「はあ・・・って、この話前にもされた気がします」 「正確に言えば五回目よ」 彼女は苦笑する。 「貴方だって、お嬢様がまるっきり怖くない、というわけではないのでしょう」 「それは勿論。人の血を吸う、って事は怖いのに変わりありません。・・・でも」 でも。 俺は何故かレミリアの事を、吸血鬼としてではなく、普通の少女として捉えてしまう。 それが彼女を怒らせていると分かっているのに、いつか俺が血を吸われる事も知っているのに。 『レミリア』という少女を恐ろしいとは、・・・どうしても、思えない。 「でも・・・ね。その先は言わなくてもよく分かるわ。それも、何回も言われてきた事ですから」 そうだ。 俺の気持ちは、ここに来た時から何も変わっていない。 初めてレミリアの事を聞かされた時だって、どうしても怖いとは思えなかった。 むしろ。 彼女を初めて見た時のあの鮮烈な印象を、何と言えばいいのだろう。 一瞬で目に焼きついた真紅。 深い色の瞳。 惹きつけられてやまなかった、その気持ちは――― 勿論、今でも変わる事無く。 「重要なのは、気付く事・・・かしら」 「・・・気付く、って何に?とりあえずこの馬鹿さ加減ならもう十分に理解してますけど」 「そんなだから朴念仁て言われるのよ」 「う」 それも十分に理解してるって。悲しいけど。 「もう少し、お嬢様ときちんと向き合って素直になってみなさい。・・・まあ、この一件はお嬢様にも少し非がありますけど」 「お。咲夜さんがレミリアに対して何か意見したの初めて見た」 「私の事はどうでもいいのです。あとこれは意見ではなく、煮え切らないお嬢様に対してのコメントですから、お取り違えなきよう」 「はいはい。・・・けど、これ以上何を素直になれって言うんだ?」 結構素直、というか正直なつもりなんだが。そしてまさにそのせいでレミリアを怒らせてるんだが。 百面相をしてると、彼女がまた微笑んだ。嫌みのない綺麗な笑みだった。 「まあ、私は結構応援してますよ、貴方達のこと。・・・あら、それでは私はこれで」 「え?応援って何のこと・・・行っちまった」 咲夜さんは急に仕事に戻り、続く闇の中へと消えて行ってしまった。 何かに気付いたようだったが・・・ 「って、レミリアじゃないか」 彼女が消えていった廊下の先には、話題の渦中であったレミリアが佇んでいた。 「・・・随分と楽しそうに話していたじゃない。いい御身分ね」 ・・・何故だ。こんな事ぐらいでムキになって、頭が熱くて、私はどうなっている? 咲夜とこいつが笑って話しているのを見かけただけじゃないか。たったそれだけの事。 だというのに、私はまたもや冷静な思考ができていない。最近、こういう事が多すぎる。 「楽しそう、って・・・じゃあお前も入ってくればよかったじゃないか」 いつもと同じ笑顔の○○。それもまた私を苛立たせる要因になる。 「あのね・・・!そういう問題ではないわ、大体私は今来たの。むしろ貴方が私を構いなさい、そしてせいぜい命乞いしてその短い寿命を延ばす事ね」 「・・・なんだ、構ってほしかったのか?ほれ」 ○○の手が頭上に伸びてきた。 それはもう何度も繰り返された仕草。 大きくて無骨なそれが私の頭を撫でる度に、子供扱いされているようでたまらなく嫌で、その度に私は彼を叱りつけて、でも腹立たしい事に温かな手の感触がどうにも離れなくて、それも大嫌いで――― 「―――ふざけないで」 ぱしっ、とそれを払いのける。 その手を拒否したのは初めてだ。今までは不意をつかれたりなし崩しにさせていた事もあったが、今はとてもそんな気分じゃない。 手を叩かれた○○はその痛さより先に、不思議そうな顔で私を見ていた。 「何だよ、今日はまたご機嫌斜めだな」 「私が貴方に対して機嫌が良かった日などないわ。本当に―――貴方は、私を怒らせる事だけは一級品のようね」 ・・・顔が、アツイ。 私らしい今の言葉でさえ、ちゃんと言えていたかどうか気になるくらいだ。 認めよう、今の私は少し変だ―――しかもこの男のせいで! 脳裏にちらつくさっきの二人の姿。何を話していたかは知らないがあんな楽しそうな顔で――― 「・・・違う。何も思ってなんか」 「ん?何か言ったか、レミリア」 その言葉に我に返り、何でもないような顔を取り戻す。そうしてまた取り繕う。 「何でもないわ。それより貴方、自分の立場を本当に理解しているの?」 彼には分からせなければいけない。 私の食料なのだから、私の思い通りにならなくてはならないという事を。 でなければ、私がどうにかなってしまう。 「・・・立場、か。それはまあ、一応は」 「嘘ね。それを理解しているのなら、私にあんな愚行を働いたりしないわ」 「愚行って何だよ。言っとくけど、俺はお前を不必要に敬ったりなんかしないし、こうして普通に喋る事を止めたりとかしないからな」 「―――どうして」 なんでいつまでも分からないのか。 こいつがわざとこうして私を遊んでいる、なんて事は考えられない。きっとこの馬鹿な男は、心の底からそう思っているに違いない。 「・・・ああ。もう分かってると思うけど、俺はレミリアを吸血鬼として見れない。血を吸われるなんて想像も出来ない。 いや、このままだといつかお前は俺の血を吸うんだろうが・・・こうして話している今、レミリアがそんな事をするとは思えないよ」 ○○の発言は矛盾している。 血を吸われる事に確信を持っているのに、この私に吸われるという可能性を微塵も考えていない。 私はそんな馬鹿で浅はかな発言に一瞬心を奪われて、 「・・・それは、何故?」 なんて、弱々しく尋ねてしまった。 ○○は私の目の前でいつもの笑顔になる。 いつもは無性に腹が立って、その表情が苛立つのに、でも今の私はそれを何の感情もなく見つめていた。 「ん、そうだな・・・俺はレミリアの事をとても大切に思ってる。命の恩人だし、少し話してみれば分かるけどお前はすごくいい奴だ。俺が保証する」 「・・・そんなの。それは違う。○○は、何も分かってない。私は、」 「吸血鬼、か?確かにお前は吸血鬼だ。でもそれにこだわる必要はないんじゃないか?俺はお前の事女の子として見てるし、お前だってそうだろ? それともこうして普通に扱ってもらうのは嫌いか?」 「・・・嫌いよ。今だって、こうして普通に話している事も、いつもへらへらと笑っているところも、馴れ馴れしいところも、全部、全部、何もかも・・・!」 声が震えている。 それに気付いているのに、私の口からはとめどなく言葉が溢れてくる。 「そうよ、貴方は何も分かってない・・・!何度言っても自分の立場が分からなくて、私の事を恐れないで、大人しく私に下ってしまえばいいのにそれもなくて! いつも私ばっかり気を揉んで、それに気付いてないくせにまた笑顔で話しかけてくる! 早く私のものになってしまえばいい、そうしたら私も何も悩まないですむのに、貴方のせいで、貴方がいるから、どうして私のものにならないの・・・!」 紡ぎ出す言葉はもはや悲鳴に近い。 これほどまでに早口でまくし立てたのは何十年振りか。そして、こんなに素直に自分の気持ちをさらけ出してしまった事も。 私のものにならないあいつが悪いのだ。 あいつが私の意を汲み感じ取ってくれたら、こんな思いもしなくて済むのに。 言う通りにならないあいつが悪いのだ。 この私の言いなりになって怯えながら喘いでいれば今まで通りだったというのに。 私の意のままにならない○○は嫌いだ。 大嫌いだ。 そのせいで、私はこんなにも心を乱されてしまっている・・・! 「・・・レミリアは、俺がお前の思うように動かないから嫌いなんだな」 「何度もそう言ってるじゃない、人間の分際で私にこんな・・・」 こんな、思いをさせるなんて。 何よりもその事が信じられない。 彼が何かするたびに気に障って、その行動を目で追ってしまうのも、 彼の血が無性に吸いたくなってしまう事も。 早くそうすればいいのに出来ない自分も。 何もかもが初めてだ、こんなもどかしい私なんてあり得ないのに―――! 「・・・私。きっとこのままだと、貴方を今すぐに殺すわ。本当に貴方に腹が立っているの」 血を吸うだけでは済まされない。 もう自分を制御できそうにない。 ぽつりと呟いた言葉は、確かな鋭さと冷たさを含んでいた。 しかし彼はいつまでも表情を崩さないまま。 「そりゃあ、俺はそのためにここに連れて来られたんだからな」 ・・・なんて、いつまでも呑気に。 今、自分の喉元にナイフが突き付けられている状況なのも知らないで。 ああ―――本当に、愚かな人間。 「・・・それでもいいって言うの?私は本気よ。殺すわ。 貴方がどんな口車を使ってみせても―――今度こそ、ありとあらゆる方法で殺してみせる」 今までの人間は、この牙を見せて殺すとちらつかせただけで恐れおののいていた。 それでいい。 それでこそ、私の求める『人間』の姿。 きっと○○も、最後には自分の命が惜しいはずだ。 だから貪欲に求めろ。自分の生を。 最後まで人間らしく、華々しく命を散らせ。 「―――」 微かな沈黙の間。 再び口を開くであろう○○の言う事が予想できる。 止めてくれ、か。 俺が悪かった、考え直せ、か。 「・・・・・・」 だって人間はそんなもの。 すぐに変わってしまう心。手のひらを返したように変わる、気持ち。 でも―――― 何故だろうか。 心の何処かで、この馬鹿な男は私の予想と違う答えを口にするだろうな、と思っている自分がいる。 彼が命乞いの言葉を言えば、私は嬉しく思う反面、落胆もするだろう。 彼の事を侮辱の眼差しで見るに違いない。 ・・・だって私の知っている○○は、そんな事は言わない。 いつだって自分に正直で、そんな上辺だけの言葉など口にしない。 (・・・ふ。私も少し馬鹿になったのかしら) あんなにも彼が思い通りになる事を期待していたはずなのに、心はそれと裏腹だなんて。 そして案の定。 「・・・いや、殺されてもいい。 レミリアが俺を殺すって言うんなら、それに従う」 ○○は馬鹿正直にまっすぐに、私を見据えて言った。 「馬鹿な人間。生きたいとは思わないの?」 「いや、思ってるさ。でも、それでレミリアが喜ぶのなら」 「私がいいなら自分の命はどうなってもいいと?―――は、とんだ浅はかさね。 私はそんな人間が一番嫌い」 ・・・ああ、やっぱり。 彼が何を言おうとも、私の心は静まらない運命だったらしい。 全部、○○がいるから。 結局、彼が何をしても、私の感に障るのなら――― 「・・・本当に、腹立たしい。貴方みたいな人間は、自分より誰かを大切にしようなんて奴は―――」 消えた方がいい。 私の目の前から、今すぐに。 私が殺してあげる。 血の一滴も残さないようにしてあげる。 全部、全部―――今度こそ本当に、私のものにするのだ。 もう言い残す事はない。 彼の前から立ち去ろうと歩みを進めた瞬間、 「―――レミリア」 頭上から声が降ってきた。 「・・・何?」 もう言う事は何もないし、彼の方も言い残す事はないと思うのだが。 「・・・ごめん。さっきのやっぱ、嘘だ。 俺だって、殺されそうになったら抵抗する。みすみすレミリアに殺されたりなんかしない」 ・・・やっぱり。 まあ、少しは分かっていた事だから、それで表情を変えたりなんかしない。 「そう・・・出来るなら抵抗してみなさい。十秒もったら死体はフランドールの玩具にでもしてあげるわ」 「俺は」 私の話なんか全く聞いていないとばかりに、彼が話を続ける。 「俺は―――レミリアの事、やっぱり好きだから。 好きな女の子に殺されたりは、しないつもりだ」 「・・・ふん」 たったそれだけ。 その短い問答は、そこで終わりを告げた。 彼は走り去る。 私ももう何も思わない。 殺すと決めた相手に、何を期待しろと言うのだ。 そう、今の言葉も、全てまやかしに過ぎないのだから――― ◆ 夜は更ける。 全ての密やかな想いを胸に秘めたまま、ただ夜明けが近づいてくる。 「・・・」 寝台に横たわりながら、ずっと胸の中に残り続けているものは、 『好きだから』 「・・・違う」 あれは気にしない方がいい。きっと嘘に決まっている。 でなければ―――逆に私が崩壊してしまうような、気がする。 今までの私が全て覆されてしまうような。 そんな危険な響きだったのだ、あれは。 「深く考えない方がいいわね・・・」 そして、気付かないままでいい。 結局、彼に対して抱いていたもどかしさは何なのかわからなかったけれど――― 彼を私のものにするのだから、変わりはない。 あの言葉は忘れろ。 その方が、楽になれる気がするから。 「お嬢様。よろしいですか?」 「・・・咲夜」 いつものかっちりしたメイド服を携えて、咲夜が部屋に入ってきた。 こんな時間に、私の呼び付けもなしに来るとは珍しい。 「何か用・・・ああ、いいわ。私もちょうど言いたい事があったから」 「・・・はい、何でしょうか」 彼女をちらりと横目で見やる。 そこには何ら変わりのない咲夜がいる。この館にぴったりとはまったように似合いだ。 これで―――いい。 これ以上、余分なものは必要ない。 「明日、○○を殺すわ。・・・満月が一番高く昇る、真夜中に」 「了解しました。彼にもそのように伝えておきます」 「伝える必要はないわよ。どうせ、もう逃げる気力なんて失ってるんでしょう?」 「ええ・・・実はその事だったのですが。彼があまりにも静かだったもので。 しかし、お嬢様が何か言われていたのなら、もう言う事はありません」 「何よ。何か文句でもあるの?」 「いえ、そのような事は。では、私はこれで」 いつもの慇懃無礼な調子を崩さぬまま、咲夜は部屋から出ていこうとする。 ・・・いや、そのはずなのだが、今日はなかなか出ていこうとしない。 「まだ何かあるの?」 「・・・いえ。ですが、お嬢様も少し元気がないようでしたので」 元気がない、か。 「見間違いよ」 吸血鬼の私に元気も何もない。元から人間とは違う作りだ。 「もう下がっていいわ」 「・・・はい」 ・・・何故だろうか。 今日は咲夜もおかしい。何がとは言えないが、いつもとは違った。 「まあ、どうでもいい事だけど」 明日で全部終わるのだ。 このわけのわからないもどかしさも。思い悩んでいた気持ちも。 全て、終止符が付く。 彼の首筋に牙を立てたその瞬間、私は何も考えられなくなってしまうだろう。 眷属にするまでもなく、首ごと引きちぎってしまうかもしれない。 それほどまでに、私は彼を欲しがっている。 このままだと―――本当にあいつを壊してしまう。 そのうち抑えがきかなくなって、滅茶苦茶にしてしまう。 腹が立つ。苛立たしい。 あいつの行動全てが。私に優しくしようと接するその全てが、どうしようもなく憎い。 「・・・だって、そんなものを貰っても、私は何も返せない」 温かな手のひらが打算でない事を知っているから、余計に嫌いになる。 あんな温もりを貰った事なんてなかったから、バラバラに壊したくなる。傷つけたくなってしまう。 そんな自分がもっと嫌で、彼を自分の思い通りにさせたくなってしまう。そうすれば彼は私の言いなりになり、心乱される事もない。 でもそれも叶わないから、何もかもが嫌になって――― 「○○は、私のものにならない。なってくれない」 ・・・優しくしないでほしかった。 最後にあんな言葉を言わないでほしかった。 そのせいで、私はこんな土壇場になっても苦しんでいる。 ・・・本当に。 私の言う事を聞かない○○が、何より大嫌いだった――― ◆ ―――・・・。 そして、満月の夜になり、約束の時間が来て―――、 「―――嘘」 扉を開けても、そこには誰もいなかった。 そこには○○がいるはずだったのに。 「なんで、なんで、なんで・・・・ここにいるはずなのに」 ○○が、部屋のどこにもいない。 今夜、貴方を殺しに行くから、と。 しっかり伝えさせておいたはずなのに。 もう逃げる気も失せていたはずなのに・・・・・! 「・・・咲夜」 傍らに控えていた彼女を恐ろしい形相で睨みつける。 「貴女が見張っていたのよね」 「・・・は。申し訳ございません。 これは私の失態です、どんな罰でも受ける覚悟で・・・」 彼女は何の言い訳もせず、静かに申し訳なさそうに首を下げただけだった。 ―――その程度の謝罪で治まるはずがない。 だって、私が本当に聞きたいのは・・・!! 「貴女・・・逃がしたのね、○○を」 「・・・・・」 咲夜は何も言わず俯いている。 沈黙は肯定と同議だ。 その仕草に、私の熱が高まっていく。 「主人を裏切ったのね・・・貴女!! ○○は私が殺すはずだったのに、どうして貴女が・・・!何故逃がしたりしたの!!」 怒りは抑えきれず、直接彼女へと向かう。 渾身の力を持って、何も考えられない真っ白な頭のまま、咲夜を壁へ叩きつけた。 「くっ・・・」 「どうして!?・・・貴女も知っていたのに、私が○○を殺すんだって事・・・! 一番、一番殺したかったのに・・・殺して私だけのものにしたかったのに・・・!!」 怒りは止まらない。 憤りはそのまま言葉となって降り注ぐ。 体の熱は収まらず、目は憤怒の表情に染まっている事だろう。 ぎりぎりと、彼女の首を締め付ける。もう力の加減も出来ない。 だが―――そのような怒りを目の当たりにしてもなお、咲夜は私から目を逸らさない。 「何よ・・・何か言いたい事があるのなら、言ってみなさい」 「く・・・はっ・・・お、嬢様・・・・っ」 このままでは、先に彼女の首から引きちぎる事になるかも知れない―――それでも、力は緩まない。緩もうとしない。 「・・・っ、お嬢様、も・・・、期待、していたのでは・・・ないので、すかっ・・・」 「・・・期待?何のことかしら」 「わざわざ、私に・・・、彼を殺す事を、お教え、なさったのは・・・! 心の、どこかで・・・っ、私に彼を、逃がすように仕向ける、事を、考えていたからでは・・・ないのですか・・・っ?」 「―――っ!」 あまりにも馬鹿なその言葉に、一瞬力が緩む。 それでも彼女の細い首を解放するには十分だったようで、彼女は地に伏し呼吸を荒げていた。 「・・・私が、貴女に彼を逃がすように仕向けた、ですって?冗談は止めなさい、そんなつもりは微塵もなかったわ」 「うっ・・・く、それは、どうでしょうか・・・・。 実際、お嬢様は今、安心なさっているのではありませんか・・・? 彼が約束通りここにいたのなら、自分は彼を滅茶苦茶に壊してしまっていた・・・ ・・・でもこれでまだ、彼が生きているという希望が持てる」 「―――咲夜。それ以上そんな戯言を吐くようなら、今度こそその首を引きちぎる」 どこまでも冷たい双眸が、彼女を射抜く。 だが彼女はそれにも怯む事無く続ける。 「・・・ええ、これで私が罰を受けるというのなら、どのような責め苦にも耐えてみせましょう・・・ しかし、私はこれ以上お嬢様が苦しんでいるのを黙って見過ごすわけにはいきません」 「苦しんでいる?私が? これから○○を殺せると思って興奮していたのに?」 「・・・お嬢様が○○を殺せば、彼はいなくなります」 当然の事だ。 今更そんな事を言って何になる? 「何が言いたいのよ」 「お嬢様は本当に、それでいいのですか・・・? 彼は確かに貴女の思い通りにならなかったかもしれません、そのせいでお嬢様を怒らせた事も多々あったでしょう・・・ ・・・でも。それがなくなったらどうなるか、考えた事がありますか・・・?」 そんな事は知らない。いや、分かりきっているのか。 彼がいなくなってもまた元の生活に戻るだけだ。そこに彼がいた頃との何の差異もない。 ・・・ただ、少し。 私を悩ませていたものが一つなくなるだけ。 いつも私を撫でていた温かい手のひらと、 冗談混じりに話しかけてくるあの声と、 優しく私を見つめていた瞳と、 私に殺される事なんて少しも考えていなかった馬鹿で愚かな男が消えるだけだ。 そう たった それだけ―――― 「・・・っ」 何でこんな時に限って、あいつの残像がちらつくのか。 憎い。私のものにする。私の思い通りにする。 でもそれが出来ないから、殺す。 「・・・お嬢様?」 「あいつを探してくるわ。殺してくるけれど―――もう今更文句なんてないわよね?」 「・・・はい。どうか、ご無事で」 咲夜を一人残し、窓から飛び出す。 真紅の羽を羽ばたかせ、高く高く、何も考えなくていいように、ずっと高い所へ。 「・・・もう、どうにもできないなら。殺すだけ」 前からそうだった。 あいつの事を考えるだけで冷静な判断が出来なくなった。 それが何故かはわからない。あいつが馬鹿で変な行動ばかりとるせいだと思っていた。 私の方にも原因はあった。 ただ、今はその気持ちがよくわからないだけで。 ・・・どうして私は、○○の全てが欲しいと 思い始めたんだっけ―――。 ◆ 「・・・寒いな」 いつのまにか雨が降っていた。 雨は冷たく、肌を直接刺してくるかのような鋭さを持っている。 最初は小降りだったものがどんどん激しさを増し、今では到底止まないような大雨になっていた。 空は曇天、灰色のまま。依然として変わる気配を見せない。 「それにしても、どこだ?ここ」 咲夜さんにわけもわからぬまま逃がされ、館を出て辿り着いた先は木の生い茂った森だった。 いや、迷い込んだ、の方が正しいかもしれない。この森は相当深く、道も道を成しておらず戻るにも戻れない状況だった。 「そういえば、あんまり紅魔館から出たことなかったな・・・」 こんな時に地理を学んでおかなかった事を悔む。 しかし進まなければ何事も始まらない。 というわけで傘も持たぬ濡れ鼠のまま、俺は森を彷徨い歩いているのだった。 「・・・レミリア・・・怒ってるかな」 逃がされた時は本当に突然だった。 『レミリア様は次の晩に貴方を殺す、と仰っています。どうかその前に逃げてください』 『え、いやその、咲夜さん?』 『私の事は構いません。お嬢様はお怒りになるでしょうが・・・』 「『お嬢様が自らの手で貴方を手にかければ、きっととても悲しまれるでしょうから』・・・か」 レミリアは本当に俺を殺したがっているようだった。 あれで悲しむというのだろうか。 ・・・しかし、悲しんでくれるのなら不謹慎だが嬉しい。 それは、レミリアの中に俺という存在が少しでも残ってくれていた、という事なのだから。 「考えてみれば、一目惚れだったんだよな」 今まで気付いていなかったのが恨めしい。 あの時は勢いに任せてしまい「好きだ」などと言ってしまったが、よくよく考えてみればあれはとても重大な事だった。 レミリアに出会い、レミリアという少女を知り、そして好きになった。 でもそれ以前に、初めて彼女を見た時から、俺の心は奪われていたに等しい。 あの真紅の羽を見た時から。 あの瞳で射抜かれてから。 あの存在を目の当たりにした時から。 ・・・全てに、惹かれた。 今まで見てきた他の「綺麗なもの」が霞むほどに鮮烈に焼きついたその姿。 二重の意味で俺の世界が変わった日。 「・・・本当に、何やってるんだろうな俺」 だというのにこのザマだ。 レミリアを怒らせた挙句本当に殺されそうになっている。 そういえば、咲夜さんは大丈夫だろうか。 レミリアは何かあるとすぐに彼女に当たるから、何もなければよいのだが。 「・・・でもごめん、咲夜さん」 せっかく貴女が逃がしてくれたのに、馬鹿な奴なのは分かってる。 このまま逃げてどこかの里で暮らした方が安全なのは分かってる。 でも俺は、紅魔館に帰らなくてはならない。 帰って、レミリアにもう一度自分の気持ちを伝えなくてはならない。 命乞いというわけではないし、それに今更何を言ったって変わらない。 俺がどんなに「違う」と思っていても、レミリアは人を殺す事に何も厭わないのだから。 だけど――― 「・・・うん。やっぱり、好きだしな」 何よりもう一度、会いたい。 そして叶うものなら、彼女をまた撫でてあげたい。 レミリアは嫌がるだろうが、一番最初に頭を撫でた時、不意を突かれて少し満更でもなさそうな顔だった事を知っている。 ・・・俺だって死にたいわけではない。レミリアがそれで喜ぶと知っても、やはり何事も生きていないと始まらない。 けど、この大馬鹿者は自ら死にに行くような選択肢を選んだ。 咲夜さんの気遣いも無駄にして、結局ふり出しに戻るという、それしか出来ない木偶の坊。 ・・・でも、それでも。 こいつは目の前の安全より、一瞬先の死を選んだのだ。 そこにどんな理由があったかなんて、そんなのは彼女の事しか考えてないに決まってる。 自分に自信が持てた日などないが、今だけはこいつの選んだ道を信じたい。 ―――それは決して、間違いではないはずだから。 激しい雨の中進む。 ここがどこだかなんて分かるはずもないけれど、歩いていればいつか届くものもある。 それが強く願っていたものなら尚更だ。 ―――だが。 俺はそこで、本当にアリエナイものを見た。 ・・・森の中、少し開けた場所にあった赤い塊。 「―――おいおい、あれはまさか」 でも見てしまったからには幻覚とかでは済まされない。 済まされないので――― 「レミリア―――――――――――っ!!」 その、レミリアらしき塊目がけて、全速力で走って行った。 ◆ 「―――」 温かい。 さっきまではとても冷たくて暗かったのに、今はとても優しい温かさが私を抱いている。 これは、知っているようで知らないような微妙な温度。 でもいつも傍にあったような、懐かしくて近いぬくもり。 ・・・そうだ。 急に雨が降ってきて、でも今はそんな事考えられなくて、あいつを探そうと躍起になってて、でも結局ふらついてきてしまって・・・ それで、手頃な広場で休んでいたのだっけ。 羽で冷たい雨から身を守っていたのだが、それも限界で、突然眠くなってきて、それで――― 「・・・ア、リア・・・」 誰かが呼んでいる。私の、名前。 ・・・そうだ、この声も知っている。 本当に近かった人、でも思い出せない―――思い出さなくちゃいけないはずなのに。 「リア、レミリア・・・!!」 その人は必死に私を呼んでいる。 心の底からの訴えのように、ものすごく懸命に。 ・・・私が目覚めるかどうかも分からないのに。ほんとうに、ばかな、ひと。 ・・・私が一番馬鹿だと思って、一番愚かだと思って、 そして最後まで私の思う通りにならなかった、そうだ・・・彼は、初めての――― 目を開ける。 「レミリア・・・!よかった、無事か!?」 「・・・・・」 そして、虚ろな瞳で彼を見つめた。 ああ―――どうして彼がこんなところにいるのか―――これだけ時間があったならもっと遠くへ行けただろう―――いや、そんな、ことより。 こいつは―――私に殺されに、出てきたとでも言うのか。 「・・・放しなさい」 「え?」 「放せ、と言ったのよ」 彼に抱きすくめられていた体を無理やりよじり、その拘束から抜け出す。 「レミリア?それより大丈夫か、お前」 「私の心配をしていていいの?そんな事より、逃げる事を考えなさい。 ―――まあ、どうせ逃がさないけれど」 「・・・っ!」 一息で彼をぬかるんだ地面に押し倒す。 鋭く尖った爪は彼の首元に突き付け、もう一方の手は肩をしっかりつかんで放さない。 これでもうチェックメイトだ。 行動に移してみれば、何という事のない、実にあっけないものだった。 「・・・レミリア」 「何?遺言なら聞かないわよ」 これでようやく―――彼を殺せる。 それで、言う事を聞かない心も静まってくれるはずだ。 今まで苦しんだこと。 こいつを思うだけで苛立たしかったあの感情も、これで終わりになる。 言う事を聞かないのなら、全部私のものにしてしまえ。 「レミリア・・・お前」 「―――煩い。もう喋らないで」 その声も。 何もかも、壊してやる。 「・・・ずっと、貴方に悩まされてきた。 貴方が傍にいて、何かしてくる度に煩わしかった。 貴方が変に私に構うから―――いつまでも私の言う通りにならないから。 こんな人間一人に悩まされているという事実が嫌だった。 どうにもならないのに貴方の事で悩んでしまうのが、一番嫌だった」 「レミリア」 「でもそれもこれで終わる。 ・・・貴方を殺せば確実に何かが変わる。それなら、殺してみるのも悪くない」 感情のない声。自分でもぞっとする。 「・・・○○。あなたを、ころす」 あくまで静かに。 ・・・この心の内が痛いくらいに叫んでいるのは気にしない。 そんなもの気にしてはいられない。 本当に、こいつのせいで・・・ずっと、こいつを壊したいというこの衝動と戦ってきて、 壊してしまえば―――○○は永遠に私のもの。 ・・・爪を突き立てる。 あと少し力をいれてしまえば、ここから血が噴き出て首は飛び○○はいなくなり――― 「・・・さようなら。○○」 すっ、と爪を滑らせ――― ぽたり。 血が、彼の首から滴った。 「――――え?」 それは、ほんの数滴だった。 首を飛ばすにはあまりにも足りない量。 爪がかすった程度の傷。 なぜなら――― 「・・・○○」 彼の腕が私を包み込む。 私が行動を仕掛ける前に―――、○○が、私を抱きすくめていた。 「・・・体、冷えてるだろ」 真横に見える彼の耳は真っ赤で。 こんな状況なのに―――こんな状態なのに! 「○○、何、を」 「だから。体が冷えてるって! このままだと風邪ひく。いや、吸血鬼って風邪とかひくのか?そもそも・・・」 「―――ふざけないで!」 もがき脱出を試みるが、彼は意外とがっしりと私を捕まえており、びくともしない。 ・・・こんなに、力が強い、男の人の体であったことを実感する。 「貴方、今の状況が分かってるの!?私は貴方を殺「分かってるさ、そんな事」 遮られるように言葉が入り込んでくる。 「でも・・・レミリア、寒いだろ。 俺はお前が寒い思いをしてるのは我慢ならない。だから、こうした」 「さ、寒くなんか・・・!」 「体が冷えてるって。芯から冷えてるから、こうした方が早い」 ・・・なんて理由だ。 彼は本当に、それだけの理由で、あそこで一歩間違っていたら死んでいたのに、それなのに、それなのに――― 「・・・・」 彼の腕の中に収まっていて初めて、本当に体が冷えていた事を知った。 彼も雨の中を歩いていた筈なのに―――私とは正反対で、じんわりと温まってくる。 さっきまでは、彼の事で必死で、こんな事全然気が付かなかった。 でも、○○は―――。 「・・・貴方って本当に馬鹿」 「ん・・・」 「馬鹿中の馬鹿よ、今こうしている時だって、私に殺される事なんか考えていないんでしょう!?」 「・・・ああ。レミリアは今そんな事をするような子じゃないからな」 「貴方に、私の何が分かるって言うの・・・っ」 彼の馬鹿さと自分の愚かさに腹が立ってくる。 今だ。今、殺してしまえばいい。 距離はないのだから、容易く殺せるはずだ。 それなのに、それなのに・・・!! 「・・・離してよ」 「嫌だ」 「放しなさいって言ってるでしょう」 「まだ温まってない。・・・俺はレミリアが好きだからな、ここで放す訳にはいかないんだよ」 「・・・・っ」 まただ。 またそんな風に簡単に、私の心を乱していく。 乱すだけ乱しておいて、そして自分は何もしないのだ。 迷惑極まりない。 人の心に土足で踏み込んでおいて、○○のせいで私はこんなに苦しいのに・・・! 「○○は、何も分かってない・・・っ! 私の言いなりにならないし、すぐ頭とか撫でてくるし突飛な行動ばかりとるし! 私にも予想がつかないから、悩んで悩んで、すごくすごく苦しいのに・・・!」 いつも○○の事で悩んできた。 私の言う事を聞かない人間なんて、初めてだったから。 優しくされる度に、○○を思う度に、○○が他の女と一緒にいるのを見る度に、 苛々は募っていった。 その何もかもが本当に苛立たしくて、何故苛々しているのかよくわからないから余計に悩んで、 私一人じゃどうにもできなくなって、○○を私のものにしたいと思って―――、 そして、殺すという行動に出た。 「○○は、私の気持ちなんて知る由もないからっ」 「・・・馬鹿言うな。俺だってずっと悩んでたんだぞ!」 耳元で必死な声が響く。 その声は、今まで聞いたどんなものより辛そうで―――苦しそうで。 「・・・俺はいつもレミリアを怒らせてばかりだった。 普段通りにしてるだけなのに、レミリアは俺が何かすると怒るし。 どうすればお前が怒らないのか、何をすれば喜んでくれるのか―――ずっと、不安だった」 「・・・あ」 「俺はレミリアの笑顔が見たかった。 一度も見たことがないし、それに―――笑ってほしかった。 お前に、幸せだと感じてもらいたかった。 俺がお前を幸せにしてやりたかった。・・・レミリアの事が、好きだから」 「あ・・・」 「でもお前は何をしても逆に怒る。 それどころか―――お前をここまで追い詰めた。 お前を信じていたから殺されないと思っていたけど、ここまで俺が追い詰めた。 ・・・・本当に、ごめん」 「え・・・○○」 ○○がまっすぐに、私の瞳を見据えてくる。 申し訳なさそうな表情で、今にも泣き出しそうな表情で。 「でも、俺がレミリアの事を好きなのは、間違いじゃない」 「・・・っ」 「好きだ。レミリア」 ・・・なんで。なんでいつも、そんな事。 お願いだからこれ以上言わないでほしい。 これ以上深く私の中に踏み込んできてしまえば―――また私は滅茶苦茶になってしまう。 ○○への感情が抑えきれなくなって、私、わたし、は――― 「私・・・もう、どうしたらいいかわからない」 「レミリア・・・」 「○○がいるから、○○のせいで悩んでるのに、○○なんて大嫌いで、今も憎いのに――― また○○のせいで悩んじゃう。心を乱されてしまう。 もう、これ以上悩むのは、嫌なの・・・・っ!」 嗚咽を繰り返す。 なんで泣いてるかすら分からないのに、こうして○○の前で涙を見せている事がとてつもなく恥ずかしい。 酷く―――心を乱されていた。 その涙の意味も分からないのに、止まる事はない。 すると――― 「あ・・・」 「ん、よしよし」 ○○の手が、私の頭を撫でている。 ・・・一番嫌いな行為。 見下されているようでいつも嫌だった。 でも拒否したのは一回だけ。 止めさせよう止めさせようとずっと思っていたのに、最後まで自由にさせていた大きくて温かな手のひら。 本当に、嫌、なのに。 ・・・何故なのか。 今はこの温かさを拒否する事が、どうしてもできない――――。 「・・・ほら、な?やっぱり嫌じゃないだろ?」 「何、勘違い、してるのよ・・・嫌よ、こんなの、一番大嫌い・・・っ!」 今は何を言っても虚勢にしかならない。 私はひどく惨めな泣き顔のまま、○○の朗らかな笑顔を見つめていた。 ・・・あたたかい、手のひら。 それはまるで私を守ってくれているようでもあり、 大切にしてくれているようでもあった。 見上げればそこには必ず○○の笑顔があって、 そしてそれを叱りつける私がいる。 それはもう、他愛ない日常の一部。 もう二度と帰ってこないような、素晴らしかった日々の欠片。 そうだ――― 私が一番欲しかったものは、 「・・・レミリア、今は悩んでもいい。俺も悩んでるんだからな。 でも、そうだな・・・俺も勇気を出して言ったんだから、レミリアもちょっとだけ勇気を見せてほしい」 物言わぬ死体として私のものになった○○じゃなくて、 「・・・馬鹿、私から言う事なんて、何にもないわよ・・・っ! なんで言わなくちゃいけないのよ、嫌い・・・なんだから・・・っ」 「はは、そっか。まあ、いつか素直になってくれることを祈ろう」 この温かな笑顔でいつまでもいてくれる○○だ。 きっと、そう。 今はよくわからないけれど、これが私に必要なものなのだと、感じ取ることができるから。 だから、もう少しだけ。 あともう少しだけだから、撫でていてほしい。 私はもうこの温もりを知ってしまったから、簡単には手放す事ができなかった。 ・・・きっと、これからもできないだろう。 ○○が悪いのだ。 私にこんなに悩ませて、きっとこれからも悩んでいく。 この手のひらのことも。全部。全部。 でも今は、ただこの温もりを感じていたい。 どうか、今だけは―――― ・・・最近、少し変わった事がある。 それは俺からしてみれば何の変わりもないけれど、 それでも確実に何かが動き出した特別な日々。 それはレミリアからしてみればきっと大きく変化した日々。 ・・・いや、そう思いたい。 そしてそれは俺がいるからなんだと・・・少しだけ自惚れてもいいんだろうか。 まあ、とにかく。 俺は相変わらず背の低い彼女を笑顔で見下ろしていて、 彼女は顔を赤くしてそれに怒って、 でもその表情が可愛いから思わず抱きしめたくなって、本当にそうしようとするともっと赤くなってしまって、 ・・・まあ、結局俺がひっぱたかれて終わりなんだが。 それはそれは愛しい彼女と俺の、他愛もないやり取り―――。 ◆ 話は少し前にさかのぼる。 「う~・・・」 「何変に唸ってるのよ、少しは静かにしてちょうだい」 ・・・あの激しい雨の中、レミリアを連れて帰ったその次の日。 当然といえば当然なのだが、俺はばっちりと風邪をひいてしまった。 そんなわけで俺がいるのはベッドの中だ。 たくさん服を着こんで(咲夜さんに着こまされて)、情けない事に鼻水をすすりながらベッドで大人しくしている。 さっきまで咲夜さんが付きっきりで看病していてくれたのだが、その時から一緒にいたレミリアは今も俺の隣で悪態をつきつつも傍にいてくれている。 レミリアも雨で少しばかり弱っていただろうに、それでもここにいてくれる事が素直に嬉しい。 はっきり言ってベッドはふかふかだし、部屋はなんか豪華で暖かいし、レミリアがいてくれるしでいい事づくめな状態なのだ。 ・・・でもここ、レミリアの私室じゃなかったっけ? 熱出してぶっ倒れて目覚めたらここにいたから詳しい事が何も分からない。 いや、そんな事ないと思うが・・・熱で朦朧としているのかもしれない。 そうだとしたら大変だ。主に俺の精神が耐えきれない。 「・・・る、○○・・・何ボーッとしてるのよ」 「ん、レミリア・・・」 「もう、さっきよりひどくなってるんじゃないの?とっとと治しなさい。じゃないと許さないわよ」 「・・・もしかして、心配してくれてるのか・・・?」 「っ!! ・・・それくらいの減らず口が叩けるなら、もうここにいて様子見る必要もないわねっ」 それは困る。 今の俺にとってレミリアだけが命綱のようなものなんだ。 レミリアを見ているといくらか元気が出る気がするから。お願いだから傍にいてくれ。 せめてレミリアと一緒にいたいんだ。それだけなんだ。 ぼごっ 「い、痛っ!!」 「な、なんて事言ってるのよっ!!」 殴られた。 ・・・どうやら思っていた事がそのまま声に出ていたらしい。 とりあえず、レミリアの顔は林檎みたいに真っ赤でした。 「・・・ふん。そこまで謝るなら許してあげない事もないわ」 「お前が謝らせたんだろうが・・・っと、もうグーは勘弁してくれ。スペルカードを出すのもナシだ」 ああもう、なんだって俺は風邪をひいて辛いというのにレミリアを命がけでいさめなくちゃならんのか。 お願いだから今はあんまり気苦労をかけすぎないでくれよ。 「・・・人間って、弱いのね」 「・・・ん?なんだいきなり」 さっきまでの威勢の良さもどこへやら、レミリアは立ち上がると物憂げな顔をしてそう言った。 「少し雨に打たれただけで風邪なんてひくし、脆いからすぐ死んじゃうし」 「何をそんなに心配してるか知らんが、俺は今のところ丈夫だから死ぬ予定はないぞ。風邪もすぐ治る」 「・・・はあ・・・そこは『心配するな』とか言うところじゃないの? 真面目な雰囲気を進んで壊しに行かないで頂戴」 「なんだよ、言って欲しかったのか?結構ロマンチックだったんだな、レミrぐはっ!!」 蹴られた。 痛い。真面目に痛いですレミリア様。 貴女に蹴られて回ってる頭が高い熱と相乗効果で俺を苦しめてきやがります。 「・・・もういいわ。はぁ、やっぱり悩んでるのは私だけか・・・」 「いや、ちょっと待てレミリア。あの雰囲気を戻す訳じゃないが、一つ頼みがある」 うん、やっぱり風邪で寝込んでる女が看病してくれてる男にお願い事をするのはセオリーだよな。 ・・・ちょっと男女が逆転してるが。 「何よ、改まって・・・別に本気で出て行くわけじゃないわよ、・・・その、貴重な非常食の世話をするのも、やぶさかじゃないし」 とりあえず俺は非常食という立ち位置に収まったらしい。 まあ、それはともかく。 「・・・あのさ」 「な、何?えっと、ご飯ならもう食べたわよね。それとも別に食べたい物があるとか? 持ってきてほしい物でもあるのかしら。暇つぶしの道具が欲しいの? で、でもその、えっと・・・」 妙に慌てているレミリア。さっきから背中の羽が落ち着かない様子でパタパタやっている。 その悩ましげな表情は非常に愛らしいのだが、言いたい事があるなら言ってくれ。 「そ、その―――か、体を拭いてほしいとか言うのはダメよっ! 私にそんな事できるわけないじゃない、それに軽々しく肌を晒すのもいけないわ、そういうのはメイドに頼んで・・・ ・・・・・・や、やっぱりメイドもダメっ!」 「・・・俺が女の子にそういう事を言うわけないだろうが」 大体まだお互いの肌を見せ合ってすらいないのに。 「そ、そう・・・じゃあ、何かしら」 どこかホッとした様子のレミリア。 俺はそんな彼女の手を取って言う。 「・・・手、少しでいいから貸しててくれないか」 「え・・・って、ええっ!?ま、○○、手っ」 「・・・ダメか?レミリアの手、冷たくて気持ちいいんだけど」 そして、その白くて小さい手のひらを自分の頬にそっと当てる。 ・・・うん、やっぱりひんやりして気持ちいい。 火照った頬が少し落ち着いてくる気がする。 レミリアはまだ動揺していた。 「な、なんで、その勝手にっ、私の手を無断で借りるなんていい度胸ねっ・・・!」 「いいだろ、少しくらい。俺は病人だ」 頬に当てた小さな手が震えている。 心なしか、レミリアの頬も赤いようだ。 「・・・ふん、仕方ないわね。少しの間貸してあげる。人間の分際で私を独占できる事、光栄に思いなさい」 「はいはい。ありがたき幸せ。・・・あ、もう一個も貸してくれないか?そしたら幸せになれるんだけど」 「なっ・・・」 今日は熱でボーッとしているせいなのか、えらく積極的だと自分でも思う。 驚いているレミリアのもう一方の手も取り、空いている頬にくっつけた。 ・・・熱のせいにしといてもらいたい。元気になって理性が戻ればやった事を思い出して恥ずか死ぬだろうから。 「んー・・・気持ちいいよ、レミリア」 「今日はとことん勝手ね、○○」 「あと・・・少しで、元気になるから。だから・・・今はそうしててくれ」 「・・・わかったわよ、もう・・・まるで幼子みたいなんだから」 レミリアが薄く笑った。 ・・・ん、何気に始めてかも知れない。レミリアが素直に微笑んでくれたのって。 それが俺が風邪の時だというのが惜しまれるが・・・。 「ほら、こうしててあげるから・・・少し寝なさい」 「サンキュ、レミリア・・・じゃあ少し寝させてもらうかな」 レミリアはずっとここにいてくれるというし、冷たい手はこのまま触れ合ったままだし。 よく考えてみれば人生に一度あるかないかのすごい幸福なのだが、今は素直に寝た方がよさそうだ。 体もそれを訴えている。 それに、早く治して、レミリアにこの恩返しをしなくちゃな・・・ 「・・・ん、でも、その前に」 「レミリア・・・?」 彼女の突然の声に、眠りに移行しかけていた意識が再び浮上する。 ・・・俺を上から覗き込むその視線は、どこまでも熱かった。 「・・・貴方、顔が真っ赤よ。血よりも赤いわ」 「おいおい、それはないだろ・・・それに、レミリアも赤いぞ?」 「私の事はどうでもいいのよ・・・それより」 何故だろう。 その時、確かな確証もないのに、俺はレミリアが熱に浮かされていると思ってしまった。 瞳は熱く蕩けるように俺を見据え。 そして、赤い顔がゆっくりと俺に近づいてきて――― 「って、ちょっと待てレミリアっ」 「何よ」 今度は俺が驚く番だった。 「あのさ、その、顔が近、」 「―――熱」 「え?」 「熱を―――測ろうとしてるのよ」 「・・・額をくっつければ、熱が測れるんでしょう? ○○が、あまりにも赤いから・・・測るだけよ、それだけだからね」 囁く声は甘く。 うってかわって毒のように、脳に直接響く。 「いや、その―――」 「断るなんて許してないわよ。・・・今くらい、私の言う事を聞きなさい」 心臓の音が、やけにうるさい。 みっともないくらいにバクバクとその鼓動を高鳴らせている。 ええい、落ち着け。こう言って落ち着いた試しなどないがとにかく落ち着くんだ。 そうだ、こういう時はアレだ、奇数、じゃなくて素数を数えればいいんだっけ?1、2・・・・・・ ・・・ダメだ、続きやしない。 ・・・ぐらぐらと、湯気が立ち上っているような錯覚。 熱い。 顔が熱くて、ふらふらする。 確実に、熱が出ているせいだけではなく――― 「・・・レミリア」 「ん・・・じっとしてなさいよ」 レミリアの両手は俺の頬に添えられたまま。 彼女の顔はどんどん近付いてくる。 これでは、傍から見るとまるで、彼女の方から俺に、 「・・・・・」 言葉はもうない。 彼女の顔が驚くほど近く、少し動けば口づけ出来てしまうそうな距離。 そんな―――何よりも近い距離。 静まり返った部屋には時計の針の音だけが緩やかにこだましている。 お互いの息遣いが何よりも鮮明に聞こえる幸福。 彼女の吐息が俺にそっとかかり、ああもうどうにでもなれと小さな勇気を振り絞って――― 「レミリア様ー!!永遠亭から追加のお薬届きましたよーっ!! あ、やっぱりここにいた。もう門番の仕事ほっぽり出して来ちゃいましたよ、○○さんもお見舞いしたいし! でもこれ注文間違いじゃないんですか、精力増強のお薬なんです、けど・・・・・・・・ ・・・・・・・・・あ」 ・・・・いや、まあ。 こうなる事を予想していなかったわけじゃない。 でも。 でもだな。 ・・・これだけは、言わせてくれ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この」 「ひっ・・・そ、その、レミリア、様? わ、私何も見てませんから、見てないったら見てないですから、メイド長にかけて誓いますから、だから、どうか落ち着いて・・・!!」 「こ、の・・・・・・・・・・・・!!」 「ひぎぃっ!!だ、弾幕やめてくださいっ、それだけはーーーっ!!!」 ぴちゅーん。 ・・・それはあまりにも、ベタすぎやしないか・・・・・・・? ◆ 「―――だからっ、○○がすごく腹が立つのよ!聞いてるの、パチェ」 「ええ、聞いてるわよ一応は」 今日は久しぶりにレミィとお茶会である。 ダージリンの紅茶にちょうどいい焼き加減のサブレ。 この二つをお供にレミィと色々語り合う事は結構楽しみな私の定例行事―――だったのだが。 「何をしても言う事を聞かないし、私を子ども扱いしたような態度を取るのよ」 「はいはい。・・・それもう三回目」 ぼそりと呟く。 案の定レミィは今の呟きに気付いていないようで、つまりはこのままだと話が無限ループに陥ってしまいそうだ。 うん、仕方ない。 彼女が思う存分語りつくすまで、この甘いサブレを味わっているとしようか。 レミィの話題の渦中にある、彼の事を考えながら。 ・・・○○という男は、ある日ふらりと紅魔館にやってきた。 いや、連れて来られた、の方が正しいかもしれない。実際彼は自分でそう言っていた。 『レミリアに連れて来られたんだ。あれは有難かったな、右も左もわからなかった俺を館に入れてくれて』 ・・・それは決して親切心ではないという事を私は知っていた。 今まで何人も同じような人間がいたから。 彼女は外から来る、後腐れのない人間の血を好むから。 だから教えた。 彼は見るからにお人好しそうでこのままだとすぐにレミリアを信じ切ってしまうだろう。 そうなる前に、せめて自分を喰う者の正体くらいは見定めておけるように、そんな何の手助けにもならないような忠告をした。 もう手遅れだと分かっていながら。 (・・・ああ、でも) その時から、彼は少し変わっていたのかもしれない。 そしてだからこそ―――レミリアの目に止まった。否、止まってしまった。 『俺は、レミリアはそんな事しないと思うよ』 『理由は何?信じるに足る根拠を貴方は持ち合わせているの?』 『いや、ないけど・・・これは俺の直感。 なんでだろう。・・・そうだな、ちゃんと理由はあるんだろうけど、今の俺じゃまだそれに気付けない。 でも、それでもいいから、今の俺は彼女を信じ続けていたいんだ』 ・・・そんなの、理由にもなっていない。 言い訳としては三流以下。 いくらでもその隙間をついて疑心暗鬼を呼び起こす事は出来た。 でも、そう言いきった彼の瞳が全てを物語っていて。 ・・・悔しいけれど、その時の私には、何も言い返す事ができなかったのだ。 (信じ続けていたい・・・か) 目の前の友人は、はしたない事に彼への怒りを言いながらサブレに噛り付いている。 ・・・彼の事となると、見事に見境がなくなるらしい。 まあ、もうこんなのは慣れっこだったが。 何せ、彼が来てからこの方、その一挙手一投足が話題にのぼらなかった事などない。 正確に言えば、レミィが一方的に怒って私はそれに相槌を打っていただけだったのだが。 見境がなくなると言えば、つい一週間ほど前まで彼女は別の意味で見境がなくなっていた。 とにかく、情緒不安定だったのだ、あの頃は。 お茶会の度に○○への恨み事を聞かされるこっちの身にもなってほしかった。 いや、恨み事というのなら今でも同じなのだが、あの頃はどこか違った。 雰囲気・・・とでも言えばいいのだろうか。 今なら感じられる微笑ましさというものが、全くもって皆無だったのだ。 彼が欲しいという、衝動。 一人の人間に悩まされているという嫌悪。 そして、それを解決できない自分へのもどかしさ。 これらがない交ぜになって、・・・つまり、人間でいう軽い鬱状態だったのだと思う。 でも、私にはどうする事も出来なかった。 私が何と言っても、「どうにもできない」「どうしたらいいのかわからない」とかぶりを振るだけ。 そこに私が何を言おうとも根本的な解決にはならないような気がしたのだ。 本当に、彼の事で頭がいっぱいだった。 彼女の表面上は正常に見えても、心の奥底に何を潜ませているのか不安になった事もあった。 けれど。 それを解決したのも、また○○だったのだ。 「そうそう、この前の看病の時だって・・・!」 顔を赤くしながらレミリアは熱弁している。 そう、変わったのはそこだ。 ○○の話をしている時は決まって頬が紅潮し、照れ隠しするように俯き、そしてその時の表情といったらまるで――― 「・・・恋する乙女、ね」 これは手がつけられないのも納得だ。 まあ、乙女・・・と称するには少し素直さが足りない気もするが。 「何?何か言った、パチェ」 「ううん何も。いいから続けて、レミィ」 「・・・もう、パチェはどうしたらいいと思う?○○ってばね―――」 何処からどう見ても惚気。 他人の惚気は聞いていて決して良いものではないらしいが、彼女の惚気は聞いていて気持ちがいい。 気持ちがいい・・・というか、まるで娘を見る母親の目線だ。 昔は人間になんて興味がなかったというのに、この成長ぶりと言ったら。 (本当に、○○のおかげね) レミィは少し丸くなったような気がする。いや、体型ではなく性格が。 それもこれも、彼がいてくれたからなのだろうか。 レミィは彼の事でとても悩んでいるというが、それはむしろ幸せな悩みだ。 ・・・吸血鬼にも青春はあったらしい。 ・・・でも、少しだけ悔しい。 今の私は母親目線だから、例えるなら娘を男にとられてしまったようだ。 お茶会という二人きりの時間でさえ、○○はレミィの心を支配して離さないのだから。 だから、友人がどこか遠い所にいってしまったような気がして、少し・・・寂しい。 「私もまだまだなのかしら・・・」 「ぱ、パチュリー様、真顔で私の羽を引っ張るのはお止めください~っ」 「あら、いたの小悪魔」 「ひとの羽引っ張っておいて何言ってるんですか!」 いつのまにか私の手は小悪魔の羽をつまんでいたようだ。 くいくい。 ・・・何だろう、この気持ちは。 ちょうどいい手触りだ。 「結構いいわね。暇つぶしに使えそう」 「暇つぶしって・・・れ、レミリア様まで!なんなんですか二人して私の羽をっ」 「(くいくい)・・・あら、何か気持ちいいじゃない」 「でしょ?この伸縮性もいい感じだし」 「だから、お二人とも放してください~っ!!」 小悪魔はすでに涙目である。 ・・・少しくらい構ってくれてもいいんじゃないだろうか。 どうせこれからこの友人は、さらに彼につきっきりになってしまうだろうから。 その前に人間と吸血鬼じゃ釣り合わないだとか、寿命の問題とか色々山積みだが――― きっとレミィは何とかするのだろう。 私が思うに。 もう、二人は離れられない気がする。 ・・・特にレミィのこの執着心を見てると。 ○○も朴念仁に見えてあれはあれで、レミィの事をしっかり愛しているし。 あと何年かしたら挙式かしら。なんか複雑。 「それはそうと、その○○はどこにいるの?」 ぴくり。 緩やかな笑顔だったレミィの顔が突然強張った。 「・・・レミィ?」 「・・・・・・・・・の、・・・ろ」 「何?」 「・・・フランの、ところ・・・・!」 おや。 それはそれは大層な表情でレミィは震えながら言い放った。 その威圧にティーカップも震えている。 小悪魔なんか青ざめてるし。 「それはまた、どうして?」 「知らないわよ!どうしてか知らないけどフランが○○の事気に入った、とか言って・・・!! おかげで朝から付き合わされっぱなしなのよ・・・っ、全く・・・私を放っておいて何を・・・!」 「いいい痛たたたたレミリア様っ、そんなに強く引っ張るとっ」 レミィの怒りはそのまま指先へ、ひいてはつままれている小悪魔の羽がヤバイ事になっている。 ・・・あれは結構薄そうだし、そんなに強い力で引っ張ると破れてしまうんじゃないだろうか。 でも今は何を言っても無駄だ。それにレミィの八つ当たりを止めるとこっちに被害が及んでくる。 「○○もなかなか大変ね、あの妹の相手をするなんて」 妹にとっては遊びだろうが、そのままだと彼はいつか死んでしまうと思う。 今頃は弾幕を避けるのに大忙しな事だろう。 「で、レミィは大事な○○が妹にとられて悔しいと」 「だ、誰もそんな事言ってないじゃない!あいつは私のものなんだから、まず私を優先しなさいって事よ」 つまり自分の事だけ考えていろと。 この傲慢ぶりが今は微笑ましい。 「ちなみに、○○が毎朝中国と門の所で太極拳の練習してるのは知ってる?」 「・・・もちろんっ、知ってるわよ!ああもう苛々するわ! ちゃんとお仕置きはしたけどねっ!」 ぎゅぎゅぎゅーーっ 「あう、だ、だから痛いですってばレミリア様ぁ!!これ以上するとホントにもげ・・・」 ぎゅぐぐぐーーーっ! 「うぎゃああああああぁぁぁ理不尽!」 余談だが○○は私のいる地下図書館にも通っている。 なんでも幻想郷の事をたくさん勉強したいんだそうだ。本当にここにいる決意を固めたらしい。 あと魔理沙も○○と知り合いだったりする。彼女が本を狩りに(誤字にあらず)来た時に仲良くなったらしい。 ・・・でもそれを言うと大変な事になるから絶対に言わない。君子危うきに近寄らず。 でもそれでも彼を束縛しきれないのがレミィらしい。 本当は、自分以外の女と話してもらいたくはないんでしょう? ずっと傍にいてほしいんでしょう? 咲夜の手伝いも、中国との修行も、妹とも遊んでもらいたくはないんでしょう? ・・・だったらそう言えばいいのに。 お人好しな彼は言っても聞かないだろうけど、 少しはレミィの真剣さが伝わるんじゃないかしら。 この調子だと、言えるようになる日が来るのかどうかわからないけど。 「・・・本当に、素直じゃないんだから」 呟く。 本当に、素直じゃなくて怒りっぽくて嫉妬深いレミィ。 でも、そんなレミィだからこそ○○が愛した。 貴方の彼女はとても我が儘だけれど。 ・・・私の大切な友人をこれからもよろしくね、○○。 ◆ 「・・・宴会?」 「何呆けてるのよ○○。これから神社に行くんだから、早く支度なさい」 そろそろ夜かという頃、レミリアが唐突にそんな事を言った。 レミリアらしい、尊大な物言いで。 しかし宴会?この俺が? 「・・・宴会って、俺が行くんだよな。レミリアと」 「さっきからそう言ってるじゃない。何?それとも○○は私と行くのが嫌だって言うの?」 「いや、そんなつもりじゃないけど・・・」 「ならいいでしょう。ほら、急ぐわよ。咲夜はもう行っちゃったし。 それに大勢人が来るんだから、遅れないようにしないと」 情けないのだが、まだ状況がつかめていない。 レミリアが俺を宴会に誘ってくれたのは分かる。レミリアはこの世界に顔が広そうだし、きっとたくさんの妖怪もお呼ばれしてるんだろう。 だが、しかし。 何故レミリアはそんな気になったのだろう。 「あのさ、レミリア。お前この前まで咲夜さんと二人で行ってなかったか?」 「そうだけどそれがどうかした?」 「なんで俺を連れていくんだ?俺を連れて行って得になるような事なんか何もないだろ? 妖怪だらけの中に俺が突然入っていくのは変じゃないのか」 「人間もいるわよ。少し特殊な奴だけど」 「そういう問題じゃなくて・・・お前、今まで俺を外に出さないようにしてたのに、どうして」 レミリアは俺を外に出したがらなかった。 譲歩して湖の周囲を歩くだけ、そこから先は絶対に出さないようにしていた。 非常食である俺に逃げられるのを防ぐため・・・だと思っていたのだが、今になってどうして急に。 「・・・それは、その・・・そろそろいいかなって」 「何がさ」 「・・・紹介。しても、いいかなって」 レミリアは、頬を染めてそんな事を言った。 ・・・やばい。 つまり、紹介って事は、その――― 「何勘違いしてるのよっ」 殴られた。 「ぐっ・・・馬鹿な、俺の考えてる事が何故分かった!?」 「あんたの思考なんて穴だらけで見破れない方が難しいのよ!・・・ふん、紹介は別にそういう意味じゃないわ」 なんだ、違うのか。 実は少し期待していたのだが・・・肩を落とす。 「まあ、あながち間違いじゃないけどね」 「何っ!?」 「・・・そ、そんなに喜ばないでよ・・・調子狂うじゃない」 レミリアはこほんと咳払いを一つ。 「・・・今のところは、そうね・・・私の従者として紹介しておこうかしら。 私のモノだって言っておけば、誰も手を出したり取って食ったりしないものね」 「・・・レミリア」 まずい、かなり嬉しい。 だってそれは、つまり。 「―――俺の事信頼してくれてるってことだよな?」 「当たり前じゃない。こんなの・・・○○しかいない。 だから、光栄に思いなさい」 レミリアが、自信に満ちた眼差しを俺に送ってきた。 ・・・珍しい事もあったものだ。 レミリアが怒らずに俺に応えてくれるなんて。 もちろん嬉しくないわけがない。むしろ飛び上がってしまいそうだ。 「その代わり、私の従者として恥ずかしくない振舞いをしなさいよ。 幽霊とか鬼とか獣娘とか色々いるけど、その一つ一つに驚いていてはダメよ」 「げ、そんなに・・・」 いやその他にも色々いるのか。この世界は広い。 「まあ、お手柔らかにお願いします」 「どうかしらね?ここで生活していくんだから、多少の事は慣れておきなさい。 ・・・じゃないと私の隣にいるなんてもたないわよ」 そんなの、とっくに知ってる。 その全てを知って、それでもレミリアの隣にいたいと思った。 「それじゃ、行こうかレミリア」 「何勝手に私の前を歩いてるのかしら。むしろ貴方が私について来るのよっ」 それはいつものやり取り。 でも、明らかに何かが変わった会話。 二人でこれから歩んでいく道。 俺は何事も勇んでしまう急ぎ足だからすぐすっ転ぶ。 しかし彼女はそれにも動じず悪態をつきながら隣に来てくれる。 そして、相変わらず素直じゃないなと思いながら差し出された手を掴むのだ。 そうしてまたそれを繰り返しながら歩んでいく。 ちぐはぐな二人。 でも、俺の隣にはレミリアがいて、 レミリアの隣には俺がいる。 そしてそこにどんな壁があっても、手を繋いでいれば二人が離ればなれになってしまう事はない。 だから――― 「○○っ、何で手を繋いでるのよ!」 「こうしとけば迷子にならないだろ?それに―――」 俺が、いつまでもレミリアを感じていたいから。 これからも、ずっと。 あとがき 一応完結編。 そしてレミリア様別人。前作品とも別人。 相変わらず足りないイチャ分。オチのつかない話。 それはともかくレミリア様は俺の嫁、というお話でした。 愛は十分だぜ! 10スレ目 377-378 414 434 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/airsarg/pages/6.html
レミリア=ゾディアック [英雄の騎士?] マルール大陸全土に平和をもたらした七英雄の一人。 銀色の髪と瞳を持つ。冷静沈着。 女性ではあるが、素早い動きと正確な太刀から繰り出される剣の腕は他の追随を許さない。 科学者オフィーリアが自ら手掛けたゼロシリーズの弐機体目。 王を護ることを何よりも優先する。 「滅びの呪文」より 騎士は秩序を護るために剣を揮い (その剣が護るのは王であり、その力が示されるのは民のために― 『栄光の騎士』『英雄の騎士』)
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/301.html
■レミリア5 ○「・・・なにやってんのレミリア」 レ「・・・咲夜に言ってよ、私が誰かと会うたびにああしてるんだから」 ○「そ、そうかじゃあどこ行こうか」 レ「久しぶりに○○の家に行きたいわね」 ○「それならタイミングよくいい紅茶の葉っぱが手に入ったんだ」 レ「あら、それは楽しみね」 ○「んじゃ行こうか」 レ「・・・・・・」 ○「・・・・・・」 咲「・・・・・・」 ○「なんで咲夜さんまで付いて来てるの?」 咲「貴方がお嬢様に(バキューン!!)や(ズキューン!?)なことをしないように見張る為よ」 レ「恋人同士なんだからいいでしょうが!」 咲「そ、そんなお嬢様は私の愛がいらないというのですか!?」 レ「変愛はいらないし少なくとも今はいらないわね」 咲「ガーン!?」orz ○(いま口でガーンって言ったぞこの人) レ「さ、ほっといて行きましょう○○」 ○「ほ、ほっといていいのか!?」 レ「い い の よ」 9スレ目 171 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○ーちょっと手伝ってくれない?」 「何ですかレミリア様・・・地下室?」 大理石かなんかの重い扉を片手で軽くあげてみせる 床をめくって現れたのは地下室への階段 「ワインセラーよ、ちょっと急にお金が必要なのよ、それで」 「ワインを売ろう、というわけですな」 地下にには結構な・・・カビくせぇorz 「このメモに書いてある名前、年号、の奴を探して頂戴、見つけても触るんじゃないわよ」 「かしこまりました」 暗い、臭い、湿っぽい気がする ~青年捜索中~ 「これで全部ね、お疲れ様」 「しかし・・・売ったらそんなにお金になるんですか?」 「2~3億ぐらいには」 しんだ、一般市民には縁のない桁でですね、あはははは 「そしてこれは・・・あなたのワインよ」 年代が書いてる・・・俺が生まれた年のワインだ 「今日は特別、私と同じ席で」 「あ、ありがとうございます」 「それじゃあ早速飲みましょうか」 つれてこられたのはレミリア様の部屋 初めて入ったが・・・まぁなんと豪華な事 「其処に座りなさい」 椅子は二つ、待っていたかのようでちょっと驚く グラスに注がれる真紅の液体、ゆらゆらと、ゆれる それを口にしたとたん、周りがゆれる、ゆれる 「ぐ・・・あ」 血を飲んだ様な気がして、体が過剰に反応してしまった 「ちょっと大丈夫!?」 「だ、大丈夫です」 そういえば血飲んでないなぁ、生きちゃ居るから問題ないんだろうけど 「・・・○○、ちょっとコッチに来なさい」 「は、はい・・・?」 レミリア様の隣へ、正確に言うと行こうとした、だ ワイングラスが割れた、幸い中身は入っていなかったので 「レ、レミリア様!?大丈夫で「怪我したわ、指の先を切ってしまったようね、うっかりだわ」 「レミリア様?」 ガラス片で怪我するなど、おかしい そして傷が治らないなんておかしい レミリア様は血の滴る人差し指を、俺に 「舐めなさい」 「へ?」 「さっさと舐めなさい、怪我したら舐めて治すのが鉄則でしょ」 わけワカメな事を、しかししょうがないし逆らいようもないのでとりあえず おそるおそる、指を、くちにふくんだ 「・・・ありがたく思いなさい、私の血液を飲めるなんて、これであなたも半人前ぐらいにはなれるでしょう」 「レ、レミリア様・・・」 「自分じゃ平気だと思ってるかもしれないけど、もうだいぶ血を飲んでいないでしょう?貴方に死なれちゃ困るわ」 「あ、ありがたいお言葉ですが・・・俺みたいなのなら居ても居なくても・・・」 普通ビンタだと思う、俺の場合グーでアッパーだった 「バカッ!彼方が、彼方じゃ無いと・・・私はいやなんだから」 「レミリア様・・・それは・・・どういう風に受け取れば宜しいのでしょうか?」 「知らないわよ!自分で考えなさい!」 そっぽ向かれてしまった、後ろからでも真っ赤なのが解るけども 後ろから抱きしめてしまいたい所だが・・・命は惜しいしなぁ・・・う~ん 「レミリア様・・・失礼します」 後ろから、そーっと抱きしめてみた 特に反撃等は無いので安全と確認 「レミリア様・・・」 「今は・・・今はレミリアでいいわ」 甘い甘い、午後の一時 特に何かするでもなく、ただずっと、ずっと抱きしめていた、それだけでも、十分 後日レミリア様(レミリアって呼んだら怒られた)になんで血を飲ませてくれたのか問うたら 「だって、私の未来の旦那様がいつまでも出来損ないじゃ困るでしょ?」 だってさ、こりゃあ・・・死なないといいなぁ俺 9スレ目 299 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○?」 「? 何でしょうか、御嬢」 「ほら、外」 「外……? あぁ、良い満月ですね」 「でしょう? 貴方がやってきた時の夜を思い出すわ」 「あの時も満月でしたか? 記憶にございませんが」 「そうだったのよ。私はよぉく覚えてるけどね」 「それは失礼。御嬢との出会いの記憶を忘れるとは、仕える者としては三流以下ですな」 「本当にね」 からかう様にレミリアは笑う。 「○○、外に出るわよ」 「どちらに?」 「庭で紅茶でも。用意しといてちょうだい」 「畏まりました」 「どうぞ」 「ありがと、○○。……咲夜のとはまた別な味ね」 「それは褒めていらっしゃるのか貶していらっしゃるのかどちらですか」 「褒めてるのよ。不味いとは言ってないでしょ」 「成程。失礼致しました」 「ねぇ、○○。貴方もどう?」 「御付き合い致しましょうか?」 「私はどう? って聞いてるの。質問を質問で返さないで」 「貴方は私の主でしょう。貴方の決定に私は全て従いますよ?」 「だから私は紅茶を飲みたいのか飲みたくないのか答えなさいと命令してるの」 「これは一本。では、折角ですし頂きます」 「血は?」 「結構です」 「私の愛は?」 「要りませ、……。御嬢?」 「愛が入れば紅茶も美味しくなるんじゃない?」 「いや、それはどうか存じませんが、愛とは」 「あぁ、言おうと思って忘れてたけど眷属になる気は無い?」 「あ、あの、御嬢?」 「更に言うの忘れてたけど、拒否権は無いわ」 「お、御じょ」 かぷ その日、一人の人間は吸血鬼になりました 館の住人に振り回されながらも執事は続けているそうです 9スレ目 372 ─────────────────────────────────────────────────────────── >レミリアの半分のデレって誰に向けられてるんだ? では、未公開レミリアデレ分をどうぞ ()内はレミリアの内心です 「遅いわね○○。 よほど死にたいのかしら」(なによ、ずっと待ってたのに○○のバカッ) 「は、も、申し訳ございません!!」 レミリア様は、その細い指で俺の胸元から首筋までつつぅ…と撫で上げた いつでも俺の首を刈り取れるその体勢に、俺の本能が警鐘を鳴らす 「それで、どんな愉快な言い訳を聞かせてくれるのかしら?」(あぁん! その表情ゾクゾクしちゃうぅぅ!) 「それが、その……先ほどパチュリー様と交戦なされたため、負傷が癒えるまで入るべきではないと咲夜様が…」 「見くびられたものだな。あの程度の傷なんともないわ」(治る前に○○に手当てさせたかったのにぃ! 咲夜のバカァ!) あぁ、恐ろしい。レミリア様がお怒りになっておられる。 俺は、ただひたすらに地面にキスするほど頭を垂れ、許しを請いた。 「まぁいい。顔を上げろ。お前のような下衆に礼儀が解るなどと思ってないわ」(かわいいっ!でも顔が見えないっ!上げさせちゃえ) 「はっ!慈悲深き御言葉、ありがとうございます」 「では、着換えを持て」(○○に選んでもらうパジャマ~♪) 最初の難関だ。 レミリア様のお気に召さないものを選んだら最後、俺の命はそこで終わりだ。 迷った末、純白のネグリジェを選びレミリア様の御覧頂く。 「ふん、変わり映えしないな。 まぁいい。 着換えさせなさい」(○○は白系が好みなのねぇ。 さて、着換えさせてね♪) 決して不快感を与えぬように、そして飽きるような時間を与えることがないように素早く 指から血が滲むほど練習した手順を踏み、お着換えいただく。 「あぁ、今日は肌着も替えなさい」(そういえば、パチュリーに焦がされたのよね。お気に入りだったのに。クスン) 「は、肌着も…でございますか?」 「何を躊躇う? 奴隷ごときに肌を見せることを躊躇う王がいるものですか 早くしなさい」(やぁん!恥かしがる○○かわいすぎっ!) 決して失礼がないように、これも手早く済ませなければならない。 ミスをする恐怖で吐き気を感じながら、素早く行なう。 「ふん、手際が悪いな」(うぅっ!手がプルプル震えてる……かわいぃぃ) 次は、いつも通りレミリア様を寝所にお運びする。 俗に言うお姫様抱っこ、という奴なのだが羽がある分コツがいる。 横には持てないので、ローゼンメイデンの真紅のような抱き方をしなければならない。 「今日は、どんな戯言を寝物語にしてくれるのかな?」(○○のお話~♪) 「き、今日はデビルマンレディーというお話をさせて頂こうと思います」 「安直な題名だな」(どきどきわくわく) ~~~ 「そこで!彼女はカッターを敵に向けて―…!」 「そ、それで!それでどうなるの??」(「はっ!安直な展開だな」<と、言っているつもり) 「レディーは神の使いに向け、カッターを放つのです! そして吸い込まれるようにその羽根を絶ち、戦いに勝利するのでありました!!」 「やっと、レディーが勝利したのねっ……!!」(「つまらん話だ。 眠気を誘う」<と、言ってるつもり) あぁ、今日も何とかご満足頂けた。 明日も、というこぁとの約束は果たせそうだ。 「ところで○○、最近小悪魔と親しくしているそうね?」(これからよ……) 「は、そ、その、それは……」 「実は最近あなたに飽きてきてね。 代わりを小悪魔にしようと思っているのよ」(う・そ・よ) 「そ、それだけは……私はどうなってもいいから彼女だけは…っ!!」 「王に指図する気か? まぁそれを望まぬなら、私に飽きられないようにしなさい」(あなたは小悪魔を通して、心から私だけの奴隷になるの。 小悪魔はあなたを縛り続ける鎖よ。なんて素敵な関係なのっ!) あぁ、こぁのために、俺はこの恐ろしい悪魔相手に生き続けなければいけないらしい。 「では、○○の忠義を試そうかな? 私に接吻してみなさい…小悪魔の前で、小悪魔にするように。 面白い余興でしょう?」(虐めるついでにキスしてもらえるなんて、最高の思いつきよね?!) 「―――……はい。仰せのままに」 俺はもう、この支配から抜け出せない。 9スレ目 999 10スレ目 46 ─────────────────────────────────────────────────────────── 深夜 紅魔館 レミリア自室 今日も彼がやって来る。 私に血を提供するために。 「失礼します」 来たわね。 ずいぶんと遅かったじゃない? 咲夜に呼ばせるまで来ないなんて。 吸血の時間だというのを忘れていたのかしら? 「申し訳ございません、主」 まあいいわ。 思えば今日が初めてね、あなたが時間内に来なかったのは。 …別に攻めているわけではないわ。 あなたにしては珍しいと思っただけよ。 「……………」 あの時からもう数ヶ月、か。 あなたも酔狂な人間ね。 望んで私に仕えたいなんて。 ただの、なんの変哲も無い人間が…呆れるわ。 「しかし、こんな私でも仕えることをあなた様は許してくださった。私にとってはそれが全てでございます」 本当に嬉しそうに言うわね。 笑顔まで浮かべて、まったく…あなたは本当に理解できないわね。 「そうですか。しかし、例え私が最期を迎えてなお主に理解されずとも、私はあなた様に仕えることができるだけで十分です」 …仕える、か。 それよりも、早く血を吸いたいのだけど。 「承知いたしました」 もう少し屈みなさい。 そう、そのくらい。 「っ……!」 んっ、ふ、ちゅぷ、ちゅう。 ぷはっ。 ふう、美味しかったわ。 でも…もしあなたが私のことをもっと恐れるようになったら、どれ程この血の旨味が増すのかしらね。 「残念ですが主、それは無いと思われます。 私はあなた様を畏れることはできても、あなた様を恐れることはできません。 私が主に吸血されるときに感じる恐怖自体は紛れも無く人間、もとい生き物としての本能です」 っ…!果たしてそうかしら? 「がっ!ある…じ…。一体…何を(怒っている?)」 あなたが本当に私自身を恐れることが無いか、ためさせてもらうのよ。 あなたはどこまで耐えられるかしら? 人間がその言葉を口にしたからには覚悟を決めなさい。 「ぐっ(痛い。さっきの吸血とは違う、乱暴な吸血だな)」 ん、んく、んく、ふ、う、ん、んぅ―――― 「あ…ぐ…(まずい、血の減りが早く感じる。意識も…朦朧として…きた)」 (おかしい、血の味が変わらない。まさか、本当に恐れていない?) (そんなはずは無い。人間なら、生きるものならば、私を…) 「(主…そんな…に、一生…懸命、俺の血を…吸われて)可愛…い」 んっ!!? ぷはっ! か、か、可愛いっ!? 何を馬鹿なことを!! 「え…?お気に…障りましたか…?」 気に障るも何も、自分が危うい状況で何をいいだすのよ! 本当にもう、あなたという人は! 「失礼しました。お気になさらずに吸血を…続けてください」 …あなたは自分の死が怖くないの? 望んで吸血されたいなんて。 「怖くないといえば嘘になります。しかし、主のお役に立てるのならば私は例え血袋や捨て駒でも構いません」 「少なくとも、それほどの覚悟で私はあなた様に仕えております」 …………。 (彼ならこういうと思っていた…) (彼が初めてここに来てから、私はずっと…) (何故、いつも私を狂わせるの?) (何故、いつも私の思い通りにならないの?) (私はこんなただの人間に…何を期待しているの?) 「?吸血なさらないのですか?」 興が削がれた。 もういいわ。 それより、二つ聞きたいことがあるの。 「はい、何でしょうか?」 あなたはどうして、私を疑わないの? 何故、私を恐れないの? 「ええと…。一つ目は単純に、私が仕えるべきお方だと認めたからです。自分が一度信じ続けると決めた者を疑いたくはありません」 「二つ目は、……もしかしたらまたお気に障るかもしれませんが、主従と言う関係以外で、あなた様が大切な存在であるからです」 っ!! それって、つまり……。 「それ以上は言えません。私と主はあくまで主従の関係。それだけは裏切れません。…やはり、さっきの言葉は取り消します」 待ちなさい。 …その言葉を今更取り消すのは許さないわ。 命令よ、さっきの言葉を取り消すのはやめなさい。 「しかし――――」 聞けないのかしら? 「…承知しました」 いい? もう一つあなたに命じるわ、一人の男としてその先の言葉を言いなさい。 敬語も使っては駄目。 これは命令よ。 「………。はい」 「俺はレミリア・スカーレット。君を愛している。当然、一人の女性として。これでよろしいでしょうか」 最後の確認の一言は要らなかったけれど、まあいいわ。 それで、何故私なのかしら? 「理屈ではありません、初めてあなた様に会い、あなた様に仕えることを望み、あなた様を見ていくうちに、少しずつこうなっていっただけです」 そう…。 「……」 ……。 …その…他に何か言うことは無いの? 「え?ええと…」 ……………。 「……………」 …ふふ 「…っふ」 気恥ずかしいだけで、やっぱり何も変わらないわね。 「そうですね」 でも、悪くないわ。 「同感です」 さて、適当に何か一つ、話をしてくれないかしら。 そうね…あの話の続きを聞きたいわ。 「承知いたしました、我が愛しき主」 と、まあそんな感じよ。 まったく、他の者に言っては駄目よ? とりあえず、あれから少し彼も積極……いや、何でもないわよ。 本当に、悪くないと思うわ。 こういう感情。 とりあえず、いつ彼を解雇しようかしら。 え?何故? いつまでも従者のままだと、彼が遠慮するでしょう? 11スレ目 136 ─────────────────────────────────────────────────────────── 紅魔館、時間は夕食時である。 「今日は私が皆さんの夕食を作りたいと思います」 目の前には美鈴さんと咲夜さん、パチュリー様と子悪魔さん、お嬢様と妹様がテーブルを囲んでいる。 美「○○さんは料理できるんですか?」 咲「美鈴、○○は私が教え込んだ執事よ。料理くらいわけないわ」 パ「まったくどういった吹き回しかしら」 子「まぁまぁ、期待しましょうよ」 レ「こらフラン、ナイフとフォークで遊ばないの」 フ「わーい! ○○の料理ー!」 いつもは咲夜さんが全員分の食事を作ってくれるのだが、今日は頑張って自分が作ると言ってみた。 美「で、○○さんは何を作るつもりなんですか?」 ○「昨日人里で買ってきたこれを使った料理を作る予定です」 咲「それは……カレー粉ね」 レ「咲夜、カレー粉って何?」 パ「外の世界の料理で"かれー"というのがあって、それを作るための香辛料の集合体よ」 ○「正解です。さすがはパチュリー様」 子「図書館には外の世界の料理本もありますからね」 フ「それって美味しいの?」 ○「様々な食材、香辛料を精密な分量で配合し煮込む事7日7ばn」 咲「要するにまいうーですわ、お嬢様」 ○「ゴシカァン」 最後の自分と咲夜さんのしめ方に違和感があったが、概ね全員に伝わったようだ。 ○「では調理に入ります」 レ「それは終わるまでにどれくらい時間がかかるわけ?」 ○「アバウト3日」 レ美子「「「ちょっ」」」 パ「むきゅー」 フ「出来るまで暇だね」 咲「○○、あなたは私達をどれだけ待たせる気?」 ○「冗談ですよ。予め煮込んでおいた物がありますから」 ~青年仕上げ中~ ○「はい、完成しました」 咲「改行6つで完成なんてお粗末ね」 ○「知識の欠如により大幅にはしょりました」 フ「ねーねー『はしょる』って何?」 レ「さぁ?」 子「うわー、いい匂いですね!」 美「まともな食事は3週間ぶりです!」 パ「……門番って辛いのね」 パチュリー様が微妙にうまいことを言った時、全員分の盛り付けが終わった。 ちなみに鶏肉カレーだ。本当は牛肉を使いたかったが、幻想郷では牛が貴重なので鶏になってしまった。 ○「はい、全員分盛り付けたんで食べてみてください」 レ「じゃあ私が代表して音頭を――」 フ「いただきまーす!」 レ「あ、こらフラン!」 フ「んぐんぐ……!」 ○「どうですか妹様?」 フ「おいしー!!○○すごいよ!!」 美「ではわたしも頂きますね」 パ「私達も食べましょうか」 子「そうですね」 レ「みんなで無視かい」 咲「お嬢様」 レ「あぁ咲夜だけよ、私を慕ってくれるのは…」 咲「これまいうー」 レ「お前もかっ!?」 結局お嬢様だけが取り残されてしまったようだ。 レ「まったく皆で私を苛めるんだか――!?」 フ「どうしたのお姉様?」 パ「もしかして辛いの苦手?」 ○「それは大変ですね。紅魔の主が辛いものが苦手とは……」 レ「そ、そんなことないわ!!」 咲「汗がすごいですけど」 レ「涙よっ! 美味しさのあまり泣いてるだけよ!!」 ……やりすぎたか? 美子フ「「「ごちそーさまでした!」」」 レ「……」 パ「まぁ中の上かしら」 咲「できればもう少しスパイスを効かせてもよかったわね」 ○「そうですか、精進します」 子「パチュリー様、食事も済んだことですし魔道書の執筆の続きを」 パ「そうだったわね。 それじゃあお先に失礼するわ」 美「私も仕事の方に戻りたいと思います」 咲「食後の睡眠は減俸よ」 美「わかってまーす」 レ「……咲夜、フランを部屋に送ってあげて。それと食後のデザートでも作って頂戴」 フ「じゃあ私がデザート作るっ!」 咲「それではご一緒に作りましょうか?」 フ「うん! ○○に負けたくないもん!」 部屋には俺とお嬢様だけが残された。なんだか空気が痛い。 「では私も食器の方を片付けに――」 「待ちなさい……」 「なんでしょう?」 「 何 を 入 れ た ? 」 「…と仰られますと?」 「さっきのカレーよ」 「他のみなさんと同じですよ。辛さ以外」 「……」 「お願いしますお願いしますそのスペルカード仕舞ってください」 「正直に真実を話しなさい」 「お嬢様のカレーのみ辛さを300倍にしてライスのほうをのガーリックライスにしました」 「やっぱりな!! 絶対ニンニク入ってると思ったわ!!」 「流石はお嬢様、良い舌をお持ちで」 「さっきので全部イかれたわよ! 私を殺す気!?」 「『紅魔のトリックスター』によるちょっとした悪戯ですよ」 「あれのどこが『ちょっとした』なのよ!! それにその二つ名なによ?」 「妹や友人、従者が平然と食べているのに自分だけ食べれないなんて威厳に関わる。そう思いながら必死に食べるご様子はとても可愛らしかったです」 「神槍『スピア・ザ・グングニル』×300」 「すごく…多いです…」 「さぁ、小便は済ませた? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?」 「お嬢様、小便行って来てもいいですか?」 「却下」 「お嬢様」 「何?」 「300本まであと42本足りません」 「細かいこと気にするなっ! キリよくしたかっただけよ!」 「あ、妹様のデザートができたようですよ」 「!? ……何よ、誰も居ないじゃない、って逃げるの速っ!!」 長い長い漫才の中、一瞬の隙を衝いた○○は全力で逃亡した。 だが○○のいた場所には紙が落ちていた。 「何これ…『実はここ数ヶ月、料理に少しずつニンニク混ぜてました。慣れってすごいですね。 by 貴女の○○』。 よし、殺す」 この後紅魔館内でリアル鬼ごっこが行われた。 夜の王(本気モード)と紅魔のトリックスターによるその鬼ごっこは5時間23分にもおよび、紅魔館の3分の2が崩壊する事態となった。 今回の騒動を引き起こした執事は門の前に大量の神槍で磔にされていたと、館を修理中の門番が語っていた。 11スレ目 155 ─────────────────────────────────────────────────────────── 今日のレミリア様は何かおかしい。 そもそも急に夜の散歩に誘われたわけだし……更にこれだ。 「……○○」 「はいなんでしょうか?」 「な、何でもない」 「……分かりました」 何かを言おうとした止める。 これが紅魔館を離れてからもう7回繰り返されていた。 ちなみにさっきのは8回目だ。 何を言いたいのか分からないのでは対応のしようもないし、何も出来ない。 従者は主人が言いたくなるまでは待たなければならないのだ。 「○○……その……お前は私が好きなのよね?」 更に3回同じやり取りがあった後、小さな丘の上でレミリア様の言葉が変わった。 だがそんなこと聞かれるまでもない。 「勿論ですレミリア様。主人としても一人の女性としても愛しております」 「……○○。その……今だけは呼び捨てにして……良い」 「呼び捨て……ですか」 「めっ命令……だ。呼び捨てに……しろ」 妙に必死なレミリア様。 ……命令とまで言われたら断るわけにはいかないな。 「レミリア。これでよろしいですか?」 「…………」 レミリアは顔を少し赤くして無言で頷く。 というかレミリアが動かないからここで散歩は終わりということなのだろうか? 「えっと……」 「○○……私は女としての魅力には欠けるかも知れない」 え? 僕が話そうとするとレミリアは不思議なことを言ってきた。 あのプライドの高いレミリアが……。 「知識もないし……まだまだ子供だ……でも……」 「…………」 「お前を……好きだと思ってる気持ちはある」 レミリアは少し泣きそうな目で必死に話してる。 きっと恥ずかしくて仕方ないんだろうけど……僕はその必死のレミリアに何も言えなかった。 「だから!……お前が嫌じゃなければ……キッキキキ……」 「……分かりましたレミリア。もう伝わりましたよ」 ……つまりはそういうことか。 確かに普通お互いの気持ちが分かれば……一度くらいはしてても良いものだった。 でもどこか僕は嫌われるのが嫌で……控えてたのかもしれないな。 それが逆にレミリアを不安にさせてたのに……。 「○○……?」 近寄った僕を不安そうな瞳のレミリアが見上げる。 大丈夫……そんなに怖がらなくて良いですよ。 「……失礼します」 そして僕はそっとレミリアのことを抱き締め、上からその可憐な唇に自らの口を合わせた。 「ん!……ん……」 一瞬驚愕の表情になったレミリアだったが、すぐに驚きはなくなり目を閉じた。 そしてしばらく時が止まり……僕は口を離した。 「あ……」 「愛してますレミリア」 「……わた……しも……」 顔を真っ赤にして、トロンとした表情ながらもレミリアは僕の言葉に答えてくれる。 そんなレミリアを苛めてみたくて……僕はもう一度レミリアにキスをした。 「んぅ!?」 驚きに目を広げるレミリア。 そんなレミリアをもっと苛めたくなり……その唇を唇で挟む。 「ふぁ……や……」 一瞬抵抗しそうになるレミリアだが、力が入らないのか少し身動ぎしただけだった。 無論そんなことで逃げられるわけもなく、僕はレミリアの唇の味を楽しんでいた。 「はぁ……あぁ」 レミリアの吐息が色っぽくなり、僕はたまらなくなってその舌に舌を絡めた。 レミリアの唾液を舐めとるように舌を動かし、レミリアを思うがままにする。 「んん!!……ぁぁ……」 さて僕自身はまだ満足はしてないが、もう足に力が入ってなく、僕に支えられているレミリアを開放してあげようか。 もう息も絶え絶えだし……凄く可愛いしね。 「……バカ」 力が入らないのか、僕に寄りかかったままレミリアは呟く。 その頬も耳も真っ赤で……レミリアが恥ずかしがってるのが良くわかった。 「……すみません。レミリアが可愛すぎるんです」 「……バカ」 僕の言い方にもう一度レミリアは呟くとギュッと僕に抱きついた。 月の浮かぶ闇夜……僕とレミリアはただ抱き合い、幸せを感じていた……。 おまけ(後日談) 「レミリア様」 「ん?どうかしたの○○……ん!?」 僕は振り返ったレミリア様の口を奪っていた。 レミリア様は驚き離れようとするが、僕が抱きしめると逃げられなくなった。 無論僕の力ではそんなこと普通不可能なんだけど。 「んん!……んんぁ……」 僕がキスをして苛めてあげるとレミリア様は力が完全に抜けてしまうのだ。 そしてそこから僕にされるがまま……。 誰かが来たら別かもしれないけど、二人きりならば全く抵抗出来ないからな。 「バ……バカ!こんな所で……しかもいきなり」 「いきなりでも良いじゃないですか。可愛いですよレミリア」 「あ……っぅ……」 呼び捨てとキスの魔力でレミリア様は翻弄。 ちょっと変な愛の形かもしれないけど、僕もレミリア様も幸せそうだから……きっと良いんだろうな。 11スレ目 344 ─────────────────────────────────────────────────────────── それは、いきなりやってきた。 何ともなしに紅魔館の廊下を歩いていると。 「さくや~」 奥の方から、ふわんふわんな声が聞こえてきた。 いや、もうほんとふわんふわん。 「さくや~、さくや~」 声はどんどん大きくなる。どうやら俺の方へと来ているようだ。 誰が来ているのかは分かっている。 いつもはその溢れんばかりのカリスマを持ってしてこの紅く塗りたくった館の主を務める。永遠に幼き紅い月――レミリア・スカーレット。 この館のメイド長を務める十六夜咲夜さんとは互いに全幅の信頼を寄せている。 何より、彼女は吸血鬼である。紅い満月の時だと凄く調子が良いらしい。 その時に一度遭遇してしたことがあり、その時は生きている心地がしなかったのをよく覚えている。 それほど凄い。 しかし、今回のレミリアは一味違う。いや、だいぶ違う。っていうかほぼ別人。 いつものカリスマはどこへやら、その外見年齢相応の女の子へと変化してしまっている。 凶悪な程の幼さと可愛さを持つ吸血鬼――れみりゃ・すかーれっと。 同じ存在ではあるが、まるで別人のようなので、なぜかこう呼ばれているらしい。 ちなみに、レミリアがこのれみりゃになってしまう事を「れみりゃ化」と言うらしい。 何故かは、分からない。 メイドさんたちはれみりゃに会っただけで、可愛さのあまり鼻血を噴出して気絶。 咲夜さんに至っては鼻血を垂らしながら世話をしている事もあるらしい。 この紅魔館は、その鼻血によって紅くなっていった――そういう一説もあるらしく、相当な出血量である事が窺える。 「――あ、○○」 「ん?」 いつの間にか、れみりゃが俺の目の前にいた。 俺を見上げ、頭に?を出しながら首を傾げている。 彼女の後ろを見ると、メイドが全員が倒れていた。 「ねぇねぇ、さくや、しらない?」 「咲夜さん? 呼べばすぐに来るんじゃないかな?」 「よんでもきてくれないの。でもね、さくや、きっとどこかにいるの」 話してみると、普通の女の子だ。いつもの威厳が感じられない。 母を探している女の子みたいだ。向こうではよく見る光景だったけど、まさかここでも見れるとは。 咲夜さんは母親か。じゃあ父親は誰だって話になるが、今はそんな事どうだっていい。 と、服の裾を引っ張られた。れみりゃの方に倒れそうになるのを、慌てて堪える。 なんだよ、と言いかけてれみりゃの方を見ると、穢れの無い純真無垢な瞳が俺を捉えた。 「○○。いっしょにさくやさがして?」 「…………」 「○○?」 反応が無いのを怪訝に思ったのか、首を傾げられた。 れみりゃに限らず、いつもの出来事。 レミリアの時だって、咲夜さんがいない時に一緒に探して欲しい、と頼まれる時がある。半強制的にだけど。 だから、変わらないのだ。いつもとは。余裕があるときは冗談めかして断ったりするものだが。 だけど、これはやばい。断れない。 っていうか、何だ、メイドさんたちがこっち見てるのよ。鼻から血垂らしながら見てるのよ。 "断ったら殺す"ってオーラが滅茶苦茶出ている。冗談すら言える空気じゃない。 「……い、いいよ。一緒に、咲夜さんを探そうか」 「!! うんっ!」 俺が頷いた瞬間、その顔に満面の笑みが宿る。 そんなに嬉しかったのか。いつもの事なのに。 いこ、と言いながら手を握ってきた。 それだけで断らなくて良かったと思えた。 言っておくが、俺はロリコンじゃない。 「ねぇ、○○」 「ん、何?」 「さくやってね、すごいの」 「へぇ、どんな風に?」 あぁ、またこの話か。もう何度目だろう。このパターン。 ほんと、大好きだな。 で、話題の我らがメイド長、咲夜さんはどこにいるんだろう。探し回っても見当たらない。 真っ先に部屋のドア叩いたけど、返事無かったんだよな。 「○○、つかれた」 「……ん、じゃあどっかで休むか?」 「…………」 れみりゃは何も言わずに、俺の方をじーっと見つめてきた。 その瞳には、なんの感情も篭もっていない。ただ、見つめてくるだけだ。 それがかえって怖い。 なんか、失言してしまったんじゃないかと思ってしまう。 いや、今の言葉に間違いなんて、何一つ無いはずだ。 女の子が疲れたから、休むことを提案する。 実にベストアンサーではないか。もっと自信を持っていこう。 自分に自信を取り戻した所で、れみりゃの密着。 俺の足にくっついてきたかと思うと。 「……おんぶ」 「……へ?」 「おんぶして、○○」 上には上があった。俺の回答は間違ってはいない。しかし、正解でもなかった。 しかし、果たしてこのベストアンサーを自分から言ったらどうなるか。 どう考えても変態認定である。 「○○、おんぶ……」 だからと言って、言わないままでいたら、トップには立てない。 つまり、変態という不名誉な称号をもらう覚悟でこれを言うか、それとも言わずにトップの座を誰かに明け渡すか。 「○○……ぅー」 しかし、ここで逆転の発想。ここからは俺のやり方ではあるが、ベストアンサーの一つランクを下げた言葉を相手にかける。 相手はそれを良いな、と思いつつも、ここまで言ってくれる人ならきっと私がやって欲しい事言っても大丈夫! と思わせる。 完璧だ。ある意味紳士ではないか。 っていうか、何か主旨間違ってないか。まぁいいか。 「ぅー!」 れみりゃが目の前にいると思ったら突進してきた。 軽さの為か、後ろに倒れることも無く、だっこの形となってその状態は維持される。 目の前で、悪魔の羽がぱたぱたとせわしなく動いている。 これは怒っているのかもしれない。 「ごめんごめん、おんぶだっけ」 「もうこのままでいい」 どうやら俺が思考している間に、れみりゃはご機嫌ななめに。 何とか挽回しなきゃ、な。 とりあえず、頭でも撫でておく。 「ん……」 れみりゃがさらに擦り寄ってくる。 効果覿面なのかもしれない。 しばらく、そうしながら咲夜さんを探していると、れみりゃが突然口を開いた。 「○○……」 「ん?」 「だいすき」 「……ありがとう」 れみりゃの突然の告白に戸惑うことなく、不思議と穏やかな気持ちで言えた。 きっと、れみりゃの持つ別のカリスマなのだろう、と勝手に納得する事にする。 未だに見つからない咲夜さんを探していると、今度はその理由を話し始めた。 「○○、ちゃんとかまってくれるし、やさしいもん……」 「……ここの人たちの方が優しいよ」 「そんなことないもん、○○のほうがやさしいもん」 ムキになって俺を褒めてくれるれみりゃ。 かまってくれるの意味は、他の人たちは忙しくて相手をしてやれないだけなのだろう。 俺はここに居候気味で何もしていない。正直、迷惑以外の何者でも無いと思っている。 だからこそ、れみりゃの純粋なその言葉に涙が出そうになる。 「あはは、多分あれだよ。俺はみんなより弱いから、その分優しくできるのかもね」 「○○はよわいの?」 「よわいよ。れみりゃなんかよりもずっと」 この間、チルノと遭遇して数秒で意識吹っ飛んだしな。彼女は十分強いよ、俺の中では。 あれを軽々と打ち返せる人たちはおかしい。もう、なんていうかみんな最強だよ、俺の中では。 「じゃあ、れみりゃがまもってあげる」 「え?」 「れみりゃが○○のことまもってあげる」 「そっかそっか。……ありがとう」 お礼のつもりで、頭を撫でてあげる。 小さいことかもしれないけど、それが俺に出来る精一杯のお礼だった。 もうどのくらい歩いたか分からない。俺の足もそろそろ限界に近づいたとき、救世主の声が聞こえた。 『お嬢様~! どこですか、お嬢様~?』 「あ、さくやのこえ」 「やっとか……」 れみりゃが気付いたので、降ろしてあげる。 声から察するに、向こうも探し歩いていたのかもしれない。入れ違いの可能性が凄く高い。 れみりゃが咲夜さんの所へと行こうとしているのを止めて、ふと思いついた妙案をれみりゃに端的に教える。 あまり意味はないので、深く突っ込まれたらどうしようもないが、そこは流石れみりゃ。快く首を縦に振ってくれた。 「いいか、れみりゃ。俺が合図したら行くんだぞ」 「うんっ!」 咲夜さんの声が少しずつ大きくなる。目を閉じて、声の大きさから距離をある程度計算する。 よし、良いだろう。 「れみりゃ、いいよ。でも、次の合図で走るんだ」 「うんっ!」 第一段階が展開。 陰に隠れているれみりゃを咲夜さんの目に止まる様にする。 「さくや~」 「お嬢様っ!? あぁ、どこに行っていらっしゃ――」 れみりゃを見つけて、咲夜さんが走り寄る足音が聞こえる。 時間を止める事はしないらしい。これならいける! 「今だ! れみりゃGO!」 「さくや、だいすき~!」 ヒュン、という音と共にその位置かられみりゃが消えたのを確認して、陰からチラりと顔を出す。 咲夜さんの上半身にしがみ付いたれみりゃを確認。これで最後だ。 チュッ れみりゃが咲夜さんの頬に口付ける。 「――――」 一瞬の間の後、メイド長は本物の幸せを手にしたような顔で、鼻から豪雨となるほど血を噴出し、天へと召された。 だから、言ったじゃないか。特に意味はないって。 敢えて言うなら、この紅魔館をもっと紅に染めたかったこと、かな。 「○○」 数日後、レミリアが俺の部屋に来た。 横にはもちろん、咲夜さんがいる。 「――レミリアか。珍しいな、俺の部屋に来るなんて」 「えぇ、暇だから、貴方と一緒にお茶でも飲みたかったのよ」 「それは……光栄な事だな」 ベッドに寝転がっていた俺は、慌てて起き上がりながらも、口では冷静を装う。 やはり、その姿は滑稽だったのか、レミリアにはクスクスと笑われてしまった。 「やっぱり面白い。来て正解だったわ」 「それは……光栄な事だ……な?」 たまに、レミリアから褒められているのか貶されているのか分からない言葉が出てくる。 きっと褒められているのだろうと、前向きに考えるようにしてはいるが、どうしても首を傾げざるを得ない。 そんな中、お茶会の用意は既に完了されていた。 流石はメイド長。仕事の早さで言ったら、誰も勝てる者はいない。 そして、俺たちに一度頭を下げると、部屋から出て行った。 「……二人だけでお茶会か。寂しいな」 「静かな方が、良いじゃない。そっちの方がお茶の香りも楽しめるというものよ」 「確かに、そうかもしれない。でもさ、だったらいつものように一人で――」 「いつも一人じゃさすがに飽きるのよ。だから、今回は貴方の所へ来てあげたのよ」 「……そいつはどうも」 「それじゃ、始めましょう。まずは乾杯から」 「いや、それは違うだろ」 こうして小さな小さなお茶会は開かれた。 始まる寸前のあの時、俺の返しに笑ったレミリア。 その時の表情に、吸血鬼のような残酷さは無く。 年相応の少女の笑みだった。 11スレ目 351 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○は、ずっと此処にいてもいいと思っているの?」 唐突に、レミリアが声をかけてきた。 俺は外から迷い込んできた人間だ。 最初は見知らぬ世界へ来た事への戸惑いと驚き、そして不安に翻弄されっぱなしであった。 もちろん今もそうだ。異世界が存在したというだけでも驚きなのに、その上様々な妖怪を目にするのだから。 それは目の前に座る少女、レミリアも例外ではない。彼女は吸血鬼だというし、人の血も吸う。 それでも、当面は紅魔館にいる気なのだが。 俺はそのような事を何度もレミリアの前で口にしてきた。今も同じような事を伝える。 「……貴方って本当に危機感がないのね。そんな事を、正直に私の目の前で言うなんて」 「そうか?俺は素直に、思ったままの事を口にしてるだけだけど」 「ほとんどの人間は震えながら私を敬うわ。レミリア様、貴女は素晴らしいお方です、って」 「吸血鬼だしなあ……血を吸われるとでも思ってるんじゃないか?まあ、俺もやっぱり怖いが」 「だから……!そういうところが危機感がない、って言ってるのよ。そんな事を言って、普通の人間なら真っ先に血を吸われているというのに」 「へえ。じゃあ俺は、普通じゃないのか」 「……っ!!」 レミリアは立ち上がると、ドアの方へ向かう。出ていくようだった。 「―――覚えておきなさい。貴方はただの血袋。私の食料としてここに置いてあげているの。せいぜい、私へ捧げられる事への恐怖と栄誉を噛みしめながら待っている事ね」 そう言い残して、彼女は出ていってしまった。 ……去り際。レミリアの顔がほんの少しだけ赤くなっていたのは、何故だろうか。 「んー……女の子はよくわからんなぁ」 そんなだから外の世界でも朴念仁と言われていたのだが。 ……でもレミリア、悪い。さっきのような事をもう何回も言われているのに、俺はお前に血を吸われる日が来るということが、どうしても想像できない――― 廊下を小走りに進む。無性に腹が立っている。 それも、あの男のせいで―――ということが、また余計に腹立たしい。 なんで私が、あんな人間一人のために。 「………っ」 思えばなんであんな質問をしてしまったのだろうか。 『ずっと此処にいてもいいと思っているのか』 それは、あいつが決める事ではない。○○の命は私にかかっているのだから。 本当に、何故なのか。 ○○は私を敬うという事を知らない。 食料としてここに拾われてきた事も知っているのに、いつまでたっても恐怖心を見せない。 いや、吸血鬼に対しての恐怖はあるのだろうが、私個人となると少女扱いしてくるから手に負えない。 頭を撫でられた事もあった。苛立ったのでその日は館から追い出した。 いつも笑顔で笑いかけてくる。人間の分際で。あんな人間は見た事がない。 冷たくしても普通に接してくる。あの無神経さをどうにかできないのか。 私を怖がらない。私に優しくする。私を怖がらない。優しい。でも、それは嫌だ。だってそれ以上は、 「……あんなの……っ!」 あれは食料だ、それ以外に何がある! 早く血を吸ってしまえばいい、あの赤い血を全て、骨の髄まで貪りつくして、恐怖に怯える瞳を見て、私しか見えないようにして、全部、ぜんぶ、私のものに――― 「……なんで……」 ○○の事を考えると、いつもこうなってしまう。どこかおかしいのは自覚している。 体中が熱くなって、冷静な判断ができなくなって、彼の血を吸いたいと思ってしまって、でも吸えなくて、何故だか声が聞きたくなって………そして、そして、 彼の全てが欲しいと、……思って、しまうのだ。 10スレ目 377-378 ─────────────────────────────────────────────────────────── 用があって昼間にしか紅魔館に来ない人間○○ ○○を気に入ってるお嬢様はいつも「就寝時間」を過ぎても起きていようとする で、ある日テーブルで話をしている時に眠気が限界に来て、机にほっぺをつけて寝てしまう 普段の威厳を保とうとする雰囲気など無かったかのように幸せそうな寝顔をしている そんな姿に○○は思わず微笑んでしまう ・・・それからしばらくして○○は出来るだけ夕方に紅魔館に行くようになりましたとさ 11スレ目 100 ─────────────────────────────────────────────────────────── フ「えへへ、○○あったかーい・・・・・」 ○「まったく、フランは甘えん坊だなぁ・・・・」 フ「別にいいでしょ? こうしてると気持ちいいんだもん」 ○「いや、一応俺ってば君の姉の恋人なんだがねぇ・・・・・」 フ「未来のお兄ちゃんに甘えてるだけなんだから、気にしない気にしない♪」 レ「気にしなさい、というよりも今すぐ○○から離れなさいフラン!」 フ「あ、お姉様」 ○「ようレミリア、お邪魔してるぞ」 レ「○○はよく来てくれたわね、フランはどっか行きなさい」 フ「えー、やだ」 レ「・・・・・・」 ○「まあまあ、そんな妹を邪険にすることもないだろ」 レ「あなたもなに無抵抗にされるがままになってるのよ!!」 ○「だって脆弱な人間さまは強大な吸血鬼さまに勝てるわけないだろー?」 フ「そうだよねー♪」 レ「ああもう、○○は私のモノなの!フランはさっさと離れなさい!!」 フ「お姉様ってば、未来のお兄ちゃんに甘えるくらいいいでしょー?」 ○「未来の『お兄ちゃん』、なんて素晴らしい響きだ・・・・・」 レ「○○に甘えていいのは私だけなのよ! ○○も何に感動してるのよ!!」 フ「むう、いいもんお姉様のいぢわる、お姉様のいない時に甘えるからいいもん(ボソッ」 レ「ハァ、ハァ・・・・やっと行ったわね・・・・?」 ○「随分お疲れのようだなレミリア、ちゃんと寝てるのか?」 レ「・・・・・・誰のせいだと思ってるのよ?」 ○「(無視)ああ、レミリアは今日も可愛いなぁ・・・・」 レ「そ、そんなんじゃ誤魔化されないんだからね!!(////)」 ○「レミリア・・・・・・・」 レ「あ・・・・○○・・・・・」 11スレ目 310 ─────────────────────────────────────────────────────────── 負けたら何でも言う事聞く賭けに負けたレミリア様。 欲望丸出しで○○が「一日専属メイドになれ」と命令し しぶしぶ従いメイド服を着用するレミリア様てのを最近バイト中に妄想してばかりで困る 11スレ目 396 ────────────────────────────────────────────────────────── ○「今日はクリスマスイブか」 レ「明日はクリスマスね」 ○「年に一度とは言え、サンタの大仕事だな」 レ「フランにちゃんとプレゼント置いていってくれるかしらね」 ○「おや、レミリアはいらないのか?」 レ「な……っ! い、いるわけないでしょ!? 私だってもう子供じゃないのよ」 ○「フランが貰えるんだったら、レミリアが貰ってもいいんじゃないか?」 レ「いいわけないでしょう? 何度も言わせないで、私はもう子供じゃないの」 ○「はいはい、そう言う事にしておくよ」 レ「……そういう○○はどうなの? 何か、欲しい物はないの?」 ○「ん……俺は特に無いな。今でも充分だしな」 レ「今……?」 ○「レミリアといるだけで幸せなのに、これ以上何を望めと?」 レ「! ……ぅー、○○のバカ」 ○「で、もう一度聞くけど、何か欲しいものは?」 レ「……血が欲しい」 ○「血っておま……物騒だな」 レ「し、仕方ないでしょう!? 他に思いつかなかったんだから……」 ○「は、はは……貰えるといいな、B型の血」 レ「……ぅー」 咲「で、私のところに来たわけね?」 ○「お願いします。あの二人のサンタになってやってください」 咲「安心なさい、貴方に言われなくてもやるわ」 レミリアは「(○○の)血が欲しい」と言った訳だが、どうやら伝わらなかったようだ 11スレ目 426 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ね、ねぇ○○?聖夜って……吸血鬼には関係ないものよね?」 「え?……まぁ関係ないと言えば関係ないですが」 「……そうよね」 ……う~んそのまま答えただけなのに何故かレミリア様は気を落としてしまったぞ。 聖夜か……たしか幻想郷にもクリスマスあるんだよな。 ……ん?クリスマス?クリスマス……ってまさかな。 「あの……レミリア様?」 「ん?な、何かしら?」 「間違っていたら申し訳ないのですが……聖夜は恋人同士で過ごす日ですよね?もしかしてそれが関係し」 「してないしてないしてない!」 僕の言葉を遮って顔を赤くしながら首を振るレミリア様。 可愛いですけど、それじゃバレバレですよ? でも嬉しいな……そこまで考えてくれてたなんて。 「レミリア様……」 「ふぁ!?……○○?」 いきなり僕が後ろから抱き締めるとレミリア様が驚いたような声を出して縮こまった。 ふふ、怯えるレミリア様も可愛い。 「……吸血鬼が聖夜を祝ったって良いじゃないですか。そんなことに縛られるなんてレミリア様らしくないですよ?」 「…………」 僕の言葉をしっかり噛み締めるように聞いているレミリア様。 でも僕は間違ったことを言ってるつもりはない。 「僕も吸血鬼ですけど……祝いましょう?一緒に」 「……えぇ○○」 僕に体を預け、首を上げて見つめるレミリア様。 その顔はとても可愛くて……僕はそっとその額に口付けをした……。 結局紅魔館で聖夜を祝うのをどこで嗅ぎ付けたのか、魔理沙が現れ。 そのまま次々と皆さん現れると、紅魔館で宴会の流れになった。 始めにレミリア様が望んだものではなかったかもしれないけど……これはこれで良い聖夜だったと僕は思う。 ただレミリア様に一言だけ……。 レミリア様……メリークリスマス。 11スレ目 493 ─────────────────────────────────────────────────────────── 妖怪たちがうごめく闇夜の時間。 私はいつものように気ままな散歩に出かけた。 風が頬をなで、景色は次々と移ろってゆく。 その途中で、平原に何かが立っているのが見えた。 普段ならそんなものは気にも留めないだろう。 だが、そのときの私はなぜかそれに興味を抱いた。 後になって思えば、私はそいつから不思議な運命を感じ取っていたのだろうと思う。 「こんばんわ、今日もいい夜ね」 そんな言葉を投げかけ、そいつの前に降り立つ。 それは、見た感じ4~5歳であろう人間の子供だった。 彼の服は幻想郷のものとは大きく違い、彼が外から来た人間であるのは明白であった。 今までにも外から来た人間には何度か会ったことがあった。 ただ、そいつらは大抵、私の翼を見て恐れおののき、逃げるか襲いかかってくるかのどちらかだった。 しかし、その子供はそのどちらでもなかった。 私の向けた視線を真っ向から受け止めていた。 その目には何の光も宿っておらず、顔からはあらゆる表情が消えていた。 いや、まるでそんなものは元から持ち合わせていなかったかのようだ。 おもしろい人間だ。 よくよく見れば、彼の服はところどころほつれており、体には見える部分だけでもかなりのあざがあった。 この少年はどれほどの闇を味わったのだろうか。 私は口の端がつりあがるのを抑えることができなかった。 「坊や、私と一緒に来ない?」 自然とそんな言葉を口にしていた。 彼は無表情でうなずいた。 と、不意に意識が反転する。 「レミリア姉さん、こんなところで寝てたら体に毒だぞ」 目の前に無愛想な顔が現れる。 その顔は先ほどの少年と似ていて、けれど全く違う顔だった。 ああ、さっきのは夢か。 ようやく、思考が澄み渡ってきた。 「○○、咲夜はどこかしら?」 「咲夜姉さんは香霖堂へ出かけてる」 「そう」 彼の顔を見つめてみる。 顔立ちはそこそこ、最も無愛想な表情が全てを台無しにしている感はあるが。 さらに彼の瞳をのぞいてみる。 その目には、はっきりと光がやどっており、彼は今確かにここにいるのだと私の頭へ訴えかける。 「どうしたんだ、姉さん?」 「何でもないわ」 そっけなく言い、明後日の方へ向く。 時間はこうも人を変えるものなのか。 私は心の内でつい一人ごちる。 かつては何の色も見せなかった瞳が、今ではまるで虹のように色鮮やかだ。 これもここで色々な人々に囲まれて育ったせいか。 そういえば昔、誰が彼を最初に笑わせられるか、なんて賭けをしていた気がする。 誰が勝ったかは覚えていないが。 いや、変わったのは私もか。 かつての私は彼がどれほど歪に成長するかを楽しみにしていたのだから……。 しかし、私の予想は外れた。 彼は誰よりも真っ直ぐに、誰よりも馬鹿正直に育った。 そしていつしか、私の大切な弟になり、この紅魔館の一員となった。 本当に変わるものだ。 今では私はこの状況に幸せすら感じているのだから。 「○○、一つ聞いてもいいかしら?」 彼の方に向き直る。 「何だ?」 答える彼は相変わらずの無愛想。 しかし、私は知っている。 彼は私の自慢の弟で、誰よりも優しいことを。 「あなたは今、幸せかしら?」 彼の瞳をまっすぐ見つめる。 「ああ、幸せだ」 その顔はさっきと変わらなかったが、どこか朱がさしたように見える。 「俺はこの館もここに住む人たちもみんな大好きだからな」 続けて彼は語る。 「美鈴姉さんはよく昼寝して、咲夜姉さんに怒られてるけど誰よりも仕事に誇りを持ってる。 小悪魔姉さんはドジでおっちょこちょいだけど、いざってときはすっごく頼りになる。 パチュリー姉さんはいっつも引きこもってるけど、色んな話を聞かせてくれる。 咲夜姉さんは一見厳しい人に思えるけど、それは全部俺を思ってのこと。 フラン姉さんは怖く見られてるけど、実はとっても優しい。 他にもここに住んでる人たちには、皆それぞれいいところがあるって知ってる」 一旦、息を吸う。 「そして何よりレミリア姉さんは俺に居場所と家族をくれた」 彼もまた私の瞳をまっすぐ見つめる。 その顔はうっすらとだが、微笑んでいるように見えた。 「俺は色んな人たちのおかげでここにいる。だから俺は幸せだって言える」 そう言う彼の姿はどこか誇らしげだった。 「そう。それは良かったわ」 私もつい微笑みながら答える。 かつて彼と初めて会ったとき、私はこの運命を感じ取っていたのだろう。 彼が私の大切な家族となることを。 そして、私がこの満ち足りた感情を手に入れることを。 今なら言える。 私はこの世の誰よりも幸せだってことを。 12スレ目 504 うpろだ840 ─────────────────────────────────────────────────────────── 『レミリア、今日は俺の淹れた紅茶を飲まないか』 「貴方が淹れたの?珍しい」 『稀少品もちゃんと入ってるぞ。世界に2つとない代物だ』 「それは気になるわね。何を入れたのかしら?」 『お前へのありったけの愛、だよ』 「ぶーーっ!!?」 11スレ目 990 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「咲夜、居る?」 「お嬢様? どうなさいました、厨房などに来て」 「少し、ね」 どうも歯切れの悪い返答に、咲夜は首を傾げる。 「○○はいないでしょうね?」 「いませんよ。ああ、明日はバレンタインでしたね。チョコを作られるのですね?」 「声が大きいわよ」 「大丈夫です、○○さんなら図書館で読書か蔵書整理していますから」 主の微かな動揺を微笑ましく思いながら、咲夜はそう切り返した。 ○○。紅魔館の客分にして、レミリアの眷族。 元は外から落ちてきた只人の青年に過ぎなかった。 博麗神社にしばし世話になっていたこの青年を、あろうことかレミリアが気に入ってしまったのだ。 何に惹かれたのかは言語化し難いところのものだろう。 敢えて言うならば、レミリアが吸血鬼と知りながらも、どこか飄々としたというか暢気というか、そういった態度が崩れなかったから、かもしれない。 一方青年の方でもレミリアに惹かれたのか、少しずつ紅魔館に来る回数が多くなり――いつしか、公然の仲となっていた。 いつだったか、いろいろと事件があった後にレミリアの眷族になると宣言。 それからしばらくは騒動になったが、とりあえず丸く収まって、今に至る。 少し普通とは違う、中途半端――はっきり言って弱い吸血鬼ではあるが。 ちなみに○○自体は背が高いくらいで、外見については特に取り立てて言うこともなく。 (まあ、人は中身ってことかしら。妙にのんびりしてるけれど) と、咲夜はそんなことを思ってみる。いい加減失礼なのだが、本人が別に構わないという様子なのでついつい好き勝手に言ってしまう。 (それにしても、お嬢様にこんな表情させるなんてね) 罪作りな人、と胸中で微笑する。咲夜とて、○○を気に入ってないわけではないのだ。 そうでもなければ、大事なお嬢様の相手として認めるわけがない。 「咲夜?」 「いえ、少し考え事を。では作りましょうか」 簡単にトリュフでいいですね? と問うと、レミリアは意外なほど素直に頷いた。 「……○○が菓子作りが巧いのが腹立つのよね」 作りながら、レミリアはぽつりと呟いた。 「妖精メイド達にもたまに作ってやってるでしょう?」 「嫉妬ですか?」 「まさか、何でそんなことしなきゃいけないのよ」 声と反対に、表情が咲夜の言葉を肯定している。 「それでも、一番よく出来たものはお嬢様に持って行ってますよ」 「そうなの?」 「ええ。嬉しそうですね」 「そんなことないわ」 気配と表情の両方を隠せていないまま、レミリアは再び口調だけで否定した。 「あら、レミィ、珍しいわね」 「パチェこそ……って、魔理沙も一緒なのね」 「私はおまけか?」 「おまけでしょう」 あっさり会話を切って、パチュリーはレミリアの手元をのぞきこむ。 「ああ、バレンタインね」 「いいでしょ、別に」 「ほー、○○にやるのか」 「うるさい」 絡んでくる魔法使い二人をあしらう間にも、トリュフは順調に出来上がっていく。 「後は冷やしておいたらいいですわ。お疲れ様です」 「ん、ありがとう、咲夜。料理って大変なのね」 「でも、出来上がると達成感もあるでしょう?」 「……そうかもね」 「私はたまに失敗するが」 「会話を台無しにするな」 どこまでも傍若無人な魔理沙に突っ込むが、当の本人はどこ吹く風。 「ところでレミリア、知ってるか?」 「知らないわよ、魔理沙の与汰話なんて」 「そんなこと言ってていいのか? バレンタインチョコの渡し方なんだが……」 数分後、○○に一両日は厨房に近付かないよう厳命するよう咲夜に告げたレミリアは自室に戻って行った。 「……さっきの嘘でしょう?」 「ああもちろんだ」 「あっさり認めるわね貴女も」 もう伝えて来たらしい咲夜が呆れた声を上げる。 「まさか本当には……しそうか?」 「するわね」 「しますね」 「なら教えてやれよ」 自分のことを遠い棚の上に放り投げて魔理沙が呆れた。 バレンタイン当日。○○は自室で借りてきた本をパラパラめくっていた。 「厨房に入室禁止、か。僕何かやったかなあ」 料理が趣味の青年は何すると言うこともなく、だらだらと時間を過ごしていた。厨房は主に彼のテリトリーなのだ。 「無闇と掃除とかやってると、妖精メイド達が怖がるしなあ」 中途半端とは言え吸血鬼。まあ前から出入りしてたので大分慣れてはくれてるようだが。 そして立場が客分というのもまた微妙。本来彼は、館内の仕事をする必要性がないのである。 それは逆に、レミリアにとって彼の順位が高いことを意味してもいるのだが。 「○○、いる?」 「いますよー」 ベッドにだらしなく寝転がっていた○○は、ひょいと起き上がって扉を開けた。 そこには最愛の主の姿。思わず、頬が緩む。昨日あまり構ってもらえなかっただけになおさら。 「どうしました?」 「今日は何の日か知っているでしょう?」 少し考えて、ああ、と頷く。 「バレンタインでしたか。何も作ってなくてごめんなさい」 「……なんで○○が私に作るのよ」 「女性から男性というのはこの国独特の形ですよ。お菓子というのも。でもどうせだから作ってたんですよね」 「……誰か女性に?」 一瞬不機嫌になったレミリアに、○○は首を傾げる。 「うーん……みんなでチョコケーキパーティとかやってましたからねえ」 「……それってバレンタインなの?」 「それにかこつけて騒いでたって感じでしょうか」 のんびりと微笑う姿に、レミリアは一つ息をつく。とりあえず、誰か特定の女性に、ということでなくてほっとしているようだった。 「って、今はそうじゃなくて。貴方と話してるとどうも話がずれていくわね……」 「すみません」 謝ってきたが、この青年はどこまで理解しているのだろうかと、そういう表情をレミリアは浮かべていた。 ふと、○○はレミリアの持っている箱に興味を移す。それに、レミリアも気がついたようだった。 「ああ、これ? 貴方に、よ」 「僕に?」 「Happy Valentine、とでも言うのかしらね」 そして、彼の部屋にするりと入ってくる。ふと見ると、後ろに咲夜が控えていた。 「すみません、二人とも立たせっ放しで」 「いいのいいの。咲夜」 「はい」 ○○とレミリアが椅子に座る間に、紅茶を二人分淹れて、咲夜は部屋を出て行く。出て行った瞬間は見えなかった。 「開けていいですか」 「いいわよ」 頷いて開けて、中の綺麗なトリュフに少し感動を覚えてみる。美味しそうだ。しかも手作りみたいで。 「レミリアさんが?」 「ええ、そうよ。感謝なさい」 「はい、ありがとうございます」 嬉しくなって微笑むと、レミリアの白い頬が少し紅くなった。ふいと顔を逸らした後、あ、と呟く。 「待って」 「え?」 食べようとした○○の手からチョコを奪い取る。 「レミリアさん?」 「ええと、確か……」 レミリアは小さく呟くと、○○の側まで来て膝の上に乗り、トリュフを自分の口に咥える。 そして、目を閉じて彼の方を見上げてきた。 (え、と。これは) 何をしろ、と言われているのかはわかる。よくわかる。でも咄嗟に反応できない。というか出来るか。 す、とレミリアの眼が開く。早くしろ、と視線が言っている。言っている、が。 (それは、反則……) 恥ずかしいのか、顔を紅くしていて、かつ眼を潤ませている。自分の膝の上で。無意識にやっているとしたら、本当に恐ろしい。 「で、では、いただきます」 理性が持たなくなる前に、○○はレミリアのチョコを頂くことにした。その口唇と一緒に。 「ん……あ……」 「……御馳走様です。ん、美味しいですよ」 口唇まで存分に味わって、○○はそう評した。そして、ん、と気が付く。 「何か入れました?」 「ああ、私の血を少し」 「なるほど、それは余計に美味しいはずですね」 「……真正面から言われると恥ずかしいわね」 顔を紅くして眼を逸らすレミリアは可愛くて、思わず微笑んでしまう。 「まだ、もらっていいですか?」 「ええ、いくらでも」 再び咥えたレミリアを、抱き寄せるようにしてチョコを頂く。 今年のチョコは、かなり甘いものになりそうだ。 「ところで、どうしてこんなことを?」 「え? 魔理沙がこうして渡すものだって言ってたけど」 「…………信じたんですね。可愛かったし、美味しかったから僕としては大満足なんですけれど」 「……? …………!」 12スレ目 966 うpろだ921 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「咲夜、○○は部屋にいる?」 「いけませんよ」 紅魔館当主である私の問いに、 忠実なメイド長からはかみ合わない答が返ってきた。 「何を言っているのかしら」 「また○○の血をお吸いになるのでしょう? 近頃多すぎますよお嬢様」 外から流れてきたのを気まぐれで拾った○○は、 冴えない男だと言われながらもその実好意的に、 紅魔館の住民として受け入れられている。 が、そんなことはどうでもいい。 ふと気が向いて吸ってみた○○の血は 私にとって非常に美味だった。 「……偏った食生活はお身体に障りますわ。 ○○の血を吸うのでしたら、今日のおやつは抜きですからね」 そう言って、咲夜は部屋を出て行った。 ―やめろと言われてやめられる味ではない。 だが、時には臣下の顔を立ててやることも、 カリスマを保つためには必要だ。 ……決して、おやつ抜きが嫌なわけではない。 「そうだわ」 チョコレートを食べ過ぎると、鼻血が出ると聞いたことがある。 折りしも今日はバレンタインデーだ。 『○○、チョコレートをやろう』 『ありがとうございます、レミリア様。 ……すみません、鼻血が』 『情けないわね。 仕方ない。その血、私に捧げなさい』 ……完璧だ。 吸血するのではなく、「やむをえず」○○の血を口にする。 咲夜にも文句は言わせない。 「○○、入るわよ」 ドアを開け、中に入る。 簡素な部屋だ。 ちょうど○○は部屋にいて、ベッドに腰掛けて本を読んでいた。 「あ、レミリア様。どうなさいました?」 「日頃私と紅魔館のためによく働いているお前を 労ってやろうと思ってね。これをあげるわ」 パチェの実験室でこっそり作ってきた 巨大なハート型のチョコを取り出す。 「これは……バレンタインの?」 ○○は、予想以上に喜んでいるようだった。 「ありがとうございます……大事に少しずつ食べます」 私は慌てた。少しずつ食べられては意味がない。 「今食べなさい」 「え?……全部、ですか?」 「そうよ。私の言うことが聞けないというの?」 「いえ、そのようなことは」 ○○は端からチョコレートを食べ始めた。 ハート型の1/4ほどがなくなった。 ○○は、まだ一向に鼻血を出す気配がない。 「……まだか」 「……急いで食べた方がよろしいですか?」 「そういう意味ではない!」 ついに私は痺れを切らした。 「ええい、まだ鼻血を出さないのか!」 ○○はぽかんと口を開けていたが、 やがて食べかけのチョコをベッドの脇にあったテーブルの上に置いた。 居住まいを正し、口の端のチョコを拭うと 落ち着き払っていった。 「レミリア様。それは迷信です」 「……何?」 「ですから、チョコレートと鼻血に因果関係はありません。 全くの俗説です」 頬が赤く染まる。……これでは、私はただの⑨ではないか。 「……○○。お前今、私を見下げていただろう」 「いいえ!決してそんな」 「うるさい!!」 乱暴に、○○をベッドに押し倒す。 「○○。私は、私を恐れる人間の血しか飲まないわ。 自らを恐れる人間の儚い命を吸うことで、 私達吸血鬼は永遠に君臨する夜の王でいられるのよ」 ○○が私を愚か者として侮る。 私を恐れなくなる。 そうなれば、私は○○の血を飲むわけにはいかなくなる。 「だから、○○」 至上の美味を失うことになるという、それ以上に。 「例え私が、全てを失ったとしても」 もはや血を吸う相手たりえなくなった○○との 繋がりがなくなってしまうことを考えると、 何故だかひどく怖くなった。 だから、 「―お前は、お前だけは、ずっと私を恐れ続けろ」 私は、いつもより力を込めて○○の首筋に牙を立てた。 勢いよく○○の血を吸い取ったが、 例によって、あまりたくさんは飲めない。 だが、紅く、熱く、甘いそれは私の焦燥を確実に癒していった。 「……レミリア、様」 ○○の腕が、背中に回される。 急に血を失ったせいか、弱々しい力の腕を 私はなぜか振り払う気になれなかった。 「ご心配には、及びません。 初めてお会いしたときからずっと、 この命が尽きたとしても」 かすかに、○○は微笑んだ。 「私はレミリア様を畏れ、敬い ……心から、お慕い申し上げます」 私はベッドから降り、○○に背を向けた。 「……そうか」 せいぜい威厳を保ったつもりだったが、 安堵と喜びは隠せなかったと思う。 「さて。私は部屋に戻るわ」 当初の目的は一応達成できたし、 俗説でなかったとしてもこれ以上チョコを 無理に食べさせる理由はない。 「残りはせいぜい大事に食べなさい。 ああ、来月には三倍返しを忘れないようにね」 からかい半分で言ったのだが、 ○○は面白いくらい困惑した表情を見せた。 「三倍、ですか… …私には差し上げられるようなものもありませんし、 普段の三倍血を吸っていただくぐらいしか……」 その答えに、私は思わず笑ってしまった。 「○○……そんなに血を吸ったら、 私は貴方を眷属に加えなければならなくなるわよ?」 「!!……す、すみません。 出過ぎたことを」 顔を真っ赤にしてうろたえる○○。 だが私は、それも悪くないと思い始めていた。 「そうね。私への畏敬の念を抱いたまま、 一方で私の伴侶として恥ずかしくないところまで 力をつけねばならないのだもの。 たったの一ヶ月でなんて、思い上がりも甚だしいわ」 「……レミリア様、それは」 「あまり私を待たせないように、精進することね」 ドアを開け、部屋を出る。 「……はい!」 後ろで○○が、力いっぱい返事をするのが聞こえた。 「さてお嬢様。何かおっしゃることはございますか?」 「……咲夜」 ドアの外には咲夜が立っていた。 当初の予定では押し切れるはずだったが、 結局普段どおりに血を吸ってしまったので 何も言い返せない。 「お約束どおり、お嬢様の分のおやつは パチュリー様と妹様にお分けしますね」 「ちょ、咲夜待ちなさい!」 歩いていく咲夜を追いかける。 「……ご心配なさらずとも、 ○○だけと言わず、私も最後まで お嬢様の側にお仕えいたしますわ」 咲夜は立ち止まると、そんなことを言ってきた。 「……ずいぶんしっかりと部屋の中の話を 聞いていたものね、咲夜?」 嬉しいことを言ってくれるが、 全く油断のならないメイドだ。 「差し当たり、○○を鍛えなければなりませんね」 「ええ、よろしく頼むわ。 ……それにしても本当にしっかり聞いてるわね」 今なら何となくわかるが、 ○○の血が美味だったのは、 私への恐れだけでなく、思慕の気持ちが 流れていたからなのだと思う。 私が○○の血を吸いたくなったのも、 どこかで彼に惹かれていたからなのだろう。 同族同士の愛情表現として互いの血を吸い合う分には、 吸血鬼の威厳は問題にならない。 いつになるかわからないが、○○には 早く美味しい人間から 美味しい旦那様に昇格してもらいたいものだ。 12スレ目 968 うpろだ923 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「お嬢様、今日の御昼食です」 「そう」 最近、紅魔館における食事事情がかなり改善されたきた。 というのは、外から来たある人間が調理主任に就いたからである。 最初は、その男のことを他の人間と同じように単なる食糧程度にしか思っていなかった。 それが変わったのは、私が気まぐれに彼に外の料理を作らせたときだ。 元々、料理人だったという彼の料理には、非の打ちどころがなかった。 味や見た目は文句なかったし、何より私の高貴であるべしという矜持を満たしてくれた。 そう、文句はない。たまに運ばれるこういうものを除いては……。 「今日は何の料理かしら?」 「○○曰く、外の世界にあるものだと……」 私は、咲夜の運んだきた料理へ目をやった。 金細工の施されたランチプレート。館のように真っ赤で、山型に盛られたチキンライス。 ハンバーグ、ポテト、ナポリタン、デザートにはプリンまで付いていた。 そして何より、目を引くのがライスの頂上に立てられた小さな旗。 その料理を、私は外の世界の本で目にした気がした。 「……咲夜、この料理の名前は?」 「私には存じかねます」 この料理の名前は……確か……。 そう、あれだ! ……。 あの男、無自覚でやってるのか? 「咲夜、○○を今すぐここに連れて来なさい」 「かしこまりました」 「で、これはどういうことかしら?」 「どういうこと、と申されますと?」 白い調理服に身をつつんだ○○が私の前に立つ。 「だから、この料「あ、○○だー」」 私の言葉を遮る形で、フランが部屋に入ってきた。 「○○、さっきのごはんおいしかったよ。それに、この旗もかっこいいし!」 「お褒めに預かり、光栄です」 私そっちのけで、会話を進める二人。 「ああ、もう! とにかく、次からはもっとちゃんとしたのを作りなさい!」 私はカッとなり、立てられた小さな旗を○○に投げつけた。 次の日 私は、咲夜の運んだきた料理へ目をやった。 金細工の施されたランチプレート。山型に盛られたチャーハン。ハ(ry 「これはどういうことかしら?」 「日本国旗はお気に召さなかったようなので、アメリカ国旗に……」 「そういうこと言ってんじゃないわよ!」 私は○○を思い切り殴り付けた。 その日から、調理主任が長期休暇を取ることになったのは言うまでもない。 これが後に起こる、第一次紅魔館食糧危機の始まりとなる、お子様ランチ事件の全貌である。 13スレ目 276 うpろだ965 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○、何してるの?」 珍しく○○の部屋に遊びに来ていたレミリアが、○○が耳に細い棒のようなものを入れているのを不思議そうに見ていた。 「ああ、これですか? 耳かきですよ。里で見付けたんです」 「耳かき?」 「耳掃除するとき使うんです。耳は垢がたまりやすいですから」 懐紙に耳垢をまとめて捨てながら、○○は首を傾げる。 「レミリアさんのもしましょうか?」 「え?」 「人にやってもらうと綺麗に掃除できるんですよ。それに、興味あるんでしょう?」 ベッドに座って、○○は膝をポンポンと叩いた。 「そ、そんなことはないけど……そこまで言うならさせてあげるわ」 羽だけを楽しそうにはためかせながら、レミリアが膝に頭を乗せる。落ち着く体勢になるのを待って、○○が手を伸ばした。 「では失礼して」 「……ひゃうっ!?」 声に驚いて、○○は耳に触れた手を離す。 「びっくりした……」 「それは僕のセリフですよ……続けて大丈夫ですか?」 どうもくすぐったいようだ。下手に動かれると危ない気がする。 「だ、大丈夫よ。続けなさい」 「わかりました……でも、危ないから動かないでくださいね。手元が狂うと怪我しますし」 「大丈夫よ、すぐに治るのはわかってるでしょう?」 「それは身をもって。でもそういう問題じゃないです。レミリアさんを傷付けるのが嫌なんですから」 「……わかったわ」 少しの空白の後、レミリアはそう頷いた。そういうことをさらりと言うなとか何とか聞こえた気がしたが、よく聞き取れなかったのであえて訊かない。 とはいえ、耳に触れるとビクリと震えるため、危なくて仕方がない。 「耳かき、中に入れられないですよ」 「し、仕方がないじゃない」 「うーん、では失礼します」 ○○は片手でレミリアの肩を押さえ付けた。これなら安定する。 「さ、これなら大丈夫でしょう。続けますよー」 「……何だか楽しそうね」 さてどうしたものか。 ようやく耳掃除をしながら、○○は困惑した表情を浮かべていた。 無事に始められたまでは良かったのだが―― 「ん……ひゃ……」 くすぐったいのが我慢できないのか、レミリアが微かに震えながら、小さく声をあげているのだった。 身をよじるのは何とか身体を押さえて止めてはいるが、何だかこのままではいろいろな意味でまずい気がする。 「痛くないですか?」 「それは、大丈夫……ん」 他愛も無い会話でもしていないと、何だか自分がやましいことでもしているかのような錯覚に陥ってしまう。 いや、会話していてもどうかという話なのだが。 「あ」 少し陰になって見えないので、身体を押さえていた手を離して耳に触れる。 「ん……っ!」 「ちょっとじっとしていてくださいねー」 びく、と身体が震えるのが大きくなったが、大人しくじっとしている。丁度いいので、このまま掃除してしまおう。 誰かの耳掃除というのはそう経験はなかったが、なかなか面白いものなのだ。 「いっ……」 「すみません、ちょっと我慢しててください」 「う、ん……んん」 「はい、取れましたー」 懐紙に取って、ふむ、と○○は呟く。そろそろこちらはいいかもしれない。 「ん……終わり?」 「こちら側は終わりです。次は反対側をしましょうか」 「ま、まだやるの?」 少し息が荒いまま紅い顔を向けたレミリアに、○○は笑顔を向ける。 「片方だけだと気持ち悪いでしょう?」 「……まあ、そうだけど」 「だから、はい、反対側」 「…………楽しんでるわね?」 「いえいえそんなことは」 まったく誤魔化す気の無い返答に、レミリアは微かに涙目になった目で上目遣いに睨みながら、一言だけ言った。 「後で覚えてなさいよ……」 逆側の耳に触れるときにも身体をびくと震わせたが、諦めたのか慣れたのか、時折震えながらもレミリアは○○の成すがままになっている。 (……とか言うとものすごく変なことしてるみたいだけど) そう心に思いながら、掃除を始める。 「ん……ん」 「痛かったら痛いって言ってくださいね」 「……うん」 こちらに顔を向けているが表情は見えない。それでも何となく可愛らしくて、○○は顔を綻ばせた。 「……何、ん、笑ってるのよ」 「いや、可愛いなと思いまして」 「……そういうこと、さらりと言わない」 さらに紅くなったのだろう顔を○○に擦り寄るように伏せて、レミリアは○○の服を握った。 「こっちはくすぐったいんだから、早く終らせなさい」 「はいはい」 大人しいうちに、○○は手早く掃除を続けていく。時折漏れる声を少しばかり楽しみながら。 「んー、何だかすっきりした気がするわ」 「でしょう? 気持ちいいものですよ、耳掃除って」 「ちょっとくすぐったかったけどね」 くすくすと笑いながら、だが機嫌は悪くないようで、○○は安堵する。 「またしてあげましょうか?」 「そうね、また気が向いたら」 膝の上で横になったまま、レミリアは○○を見上げた。 「どうしてあんなに楽しそうだったの?」 「いやだって可愛かったですし。それに」 「ひゃ!?」 「耳が敏感だなんて知りませんでしたしね。新たな発見です」 レミリアの耳を、つっ、と指でなぞって、○○は楽しそうに笑う。 「……っ……」 びくっとなった後、レミリアは○○を睨み上げ、そして、えいとばかりに手を跳ね除けて起き上がった。 「貴方が横になりなさい」 「はい?」 「私が耳掃除するから、貴方が横になるの」 「でも、僕さっきまでやってましたが……」 「いいから! やられっぱなしは気に喰わないの。さっさと横になりなさい」 言われるままされるがままに、○○はレミリアの膝の上に頭を乗せる。さっきとは逆の体勢だ。 「……レミリアさん、やったことは?」 「ないわよ。でも今されたばかりだからわかるわ」 「……では、お願いします」 一抹の不安を抱えながら、○○はレミリアが気が済むまで大人しくしていることにした。 後日、図書館にて。修行の休憩中の会話。 「……それで、どうだったの?」 「は? 何がですか?」 「耳掃除。レミィにしてもらってたって聞いたけど。レミィが誰かに何かするなんて珍しいから」 「……あのときほど、自分が吸血鬼になってよかったと思ったことはありませんでしたね……まあ、悪くなかったというかむしろ良くはあったんですが」 「……そう。仲が良さそうで何よりね」 うpろだ1020 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/644.html
レミリア5 7スレ目 837 「申し訳ありません、直ぐに片付けます」 甲高い音を立てて飛び散ったワイングラスの破片を、男は慌てて拾い集める。 男はまだこの紅魔館に勤めて間もない身。それに加えて、過労のためか少々熱がある。 「――何時になったら慣れるのかしら。貴方が犯した粗相の数、覚えている?」 「申し訳ありません、レミリアお嬢様」 彼が仕える主人、レミリア・スカーレットの冷たい声が男へと掛かる。 熱で頭がぼーっとしていたなど、この吸血鬼のお嬢様は聞き入れてくれないだろう。 周囲のメイドも気の毒そうに見ているが、これは彼が犯したミスだ。 「痛っ!」 挽回しようと慌てていたためか、男は迂闊にも指を破片で切ってしまう。 泣きっ面にはこの事だろうか。苦痛に顔を歪め、男は傷口を押さえる。どうにか止血しなければ、床を汚す事になりかねない。 「もういいわ。こっちに来なさい」 「はい。仰せの通りに」 それを見て呆れたのか、レミリアは呆れた様な表情で男を呼び寄せる。 男が近付くとレミリアは彼の手を取り、指先をそっと口に含んだ。 「――ん、少し熱っぽいみたいだけど、血の味は相変わらず悪くないわね。 それが貴方の生かされている理由でもあるのだから、体は大切にしなさい」 「分かっています。それだけが唯一の取り柄ですから」 男は自嘲する様に言うと、レミリアの唾液が付いた指をそっと反対の手で覆う。 血の味の良さは、メイドたちもよく知るところだ。飲まれる度に、こうして褒められているからだ。 もっとも、こうした場で褒められたのは、その事だけしかないのだが。 「自分を卑下するのは止めなさい。貴方はこのレミリア・スカーレットの従者なのよ。 自分を侮辱する事は、それは私を侮辱するのと同じ事。軽々しく口にして良い言葉ではないわ」 「申し訳ありませんでした、レミリアお嬢様」 眉を吊り上げたレミリアに、男は慌てて頭を下げる。 と、言うより下げないわけにはいかないだろう。周囲の目もあり、何よりご主人様の機嫌を損ねる。 「今日はもう下がっていいわよ。今の貴方が居ても邪魔にしかならないわ」 「はい。それでは失礼させていただきます」 溜息を吐きたいのをぐっと堪えながら、男は部屋を後にする。 せっかく気を遣ってもらったのだ。今日はゆっくり休む事にしよう。 ○○が目を覚ますと、空には月が浮かんでいた。 少し寝るだけのつもりだったのだが、何時の間にか熟睡してしまったようだ。 だが丁度良い頃合だろう。そろそろ、待ち人がやってくる頃だ。 そのために、彼の部屋の窓は何時も開いているのだから。 「体の調子はどう?」 「平気さ、少し休めば良くなる」 そうして窓からやってきたのは、この紅魔館の主、レミリアだ。 こんな夜中に一使用人の部屋行くのを見られないために、彼女は蝙蝠へと変身して窓からやってくる。 「全く、昼間と同一人物とは思えないほどの変わりぶりね。それだけ元気なら、見舞う必要はなかったかしら」 「勘弁してくれ、今はプライベートな時間だからいいだろう? お嬢様」 おどけた様に自分をお嬢様と呼ぶ○○に対し、レミリアは僅かながらに頬を膨らませる。 こう呼ばれるのを彼女は嫌がると○○は知っている。だからこそわざとそう呼んだのだが。 「プライベートの時はレミィでいいって言ってるでしょ。他に聞いてる者もいない事だし」 「カリスマを保つのも大変だな」 「ええ、大変よ。間違っても、他人が見ているところでこんな事はできないわ」 レミリアは寝ている○○の首へと腕を回し、微かに紅潮した顔を近付けると、その首筋に唇を付けた。 そしてゆっくりと、彼の味を確かめる様に舌を這わす。 その様子を微笑ましそうに眺めながら、○○はレミリアの髪を優しく撫でる。 「貴方が誰から見ても私の従者として相応しいかったら、こんな目には合わせなかったのに」 それは暗に、従者として相応しいのなら眷族としている事を言っているのだろう。 そうすれば些細な事で怪我をする事もなくなり、病気の心配もなくなる。 それに、二人の間の最大の障害である、寿命だって乗り越えられる。 少しだけ心配そうな表情を見せたレミリアに、○○は心臓を高鳴らせる。 だがそう簡単に行く事ではない。まだ紅魔館に来て間もなく、未熟な者を眷族とすれば不審に思う者も出るだろう。 できれば、それは避けたいのだ。 「努力はしてるさ。慣れない敬語みたいなの使ったり、結構大変なんだぞ」 「結果を出して欲しいわね。それも出来るだけ早くに」 「分かってる。まっ、来年までには何とか」 それに乗じて彼女の顔をこちらへ向かせ、○○は彼女の紅い唇を指でなぞる。 何時だったか遊びで決めたキスのサイン。了承ならばその指に口付けを、否定ならばその指に牙を突き立てる。 彼女は自分からは決して求めてこない。そのうえ○○が彼女の意図を汲み取り、キスを求めなければへそを曲げるという困ったさんだ。 だからこそ彼がこうして許しを請い、そっとサインを送る必要がある。 だが残念ながら、返ってきたのは彼女の甘噛み。○○は情けない顔で溜息を吐き、レミリアの顔色を伺う。 「半年よ。それ以上は待てないわ」 「随分と厳しいな。こっちは咲夜さんと違って普通の人間なんだぞ」 「これでも我慢してるんだから、早く誰もが認める良い男になりなさい」 執事など自分には向いてないと分かっているし、そもそも気配りなど○○には無縁な言葉。 もとがいい加減な人間のせいか、最近になって改めてメイド長の凄さを再確認しているところだ。 レミリアが真剣な顔をしていたので、○○の方もそれに合わせる。 何時もは昼間言った事を気にしているのか、それを取り返す様に甘えてくるのだが。 「今日はやけに積極的じゃないか。どうかしたのか?」 「……この前、貴方にフランが抱き付いたわ」 「なんだ嫉妬か。いや、結構嬉しいんだけどな、愛されてるって思えるし」 「違うわ」 「そこは否定しないで喜びに浸らせてくれよ」 説教ではない、嫉妬でもない。では何なんのか。 フランの名が上げられた時点で○○も薄々勘付いていたが、気付かない振りをして続きを促す。 レミリアの目が真剣なのは分かっていたし、その瞳が彼を心配そうに見ていたのにも気付いていたのだから。 「あの時、貴方は怪我をした。一歩間違えれば貴方は死んでたわ。人間は脆い、何時死んでしまうか分からない。だから、ね」 悲しげにレミリアが吐き出した言葉に、○○は息を呑む。 フランに抱き付かれた際に、そのまま勢い余って床に押し倒され、頭を強く打った事があった。 その他にも、骨折くらいなら日常茶飯事。そう考えると今生きているのは運が良かったからとしか言い様がない。 「……分かった、半年後な。約束する」 「ええ、期待してるわよ。さて、満足のできる返答をもらった事だし、私はもう行くわ」 「何もなしにか? せめてキスくらいは……どんな生殺しだよ」 何の力も才能も持たない彼が、吸血鬼たるレミリアと並んで立つ事は難しいだろう。何より、周囲が納得しない。 だから眷属とする事で寿命を高め、何れ誰もが納得する様な状況を作り出せばいい。 もっとも、今のままでは何年、いや、何十年先になるかは分かりはしないが。 だがレミリアの言っている事は理解できるし、二人が一緒になるには必要な事。 それくらいの苦労でレミリアと一緒に居られるのなら、○○は喜んでそれを背負うだろう。 情けない表情を浮かべる○○に、レミリアは優しく口付けをした。 彼女から○○へとしたのはそれが初めてだ。一瞬だけ目を大きく開いた後、○○は満足気に頷く。 そして二人は小指を絡め、約束を交わす。 わざわざ言葉に出す必要はないだろう。やるべき事は、分かっているのだから。 「続きは、半年後にね」 「……ああ。そうだな」 だが眷属にならない内にそこまで時間を掛ける事はできないので、専らの目標は執事として相応しい力を身に付ける事か。 満月を背後に微笑むレミリアの姿を目に焼き付けながら、○○は絡めていた指を離した。 そして彼女が窓際から飛び立つ事を確認すると、静かに瞼を閉じる。 どうやら、明日から忙しくなりそうだ。唇に残る感触を噛み締めながら、○○は眠りに落ちていった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目 638-639 ある日の文々。新聞 「紅魔館に異常事態 吸血鬼異変、紅霧異変に続く大事件!?」 紅魔館がおかしい そんな噂が幻想郷中を駆け巡った 事実、紅魔館の周囲から人間の気配が消えた 以前から悪魔の住む危険な場所と認識されてはいたが、人の行き来はあった それが今はない 人間たちにとってそこは理由は分からないが留まりたくはない場所になっていたのだ 内部の面々にも変化があった 妖精たちが消えた 門番がいない 悪魔の妹と七曜の魔女は失せた 残ったのは完全で瀟洒なメイドと悪魔と客が一人 人気の失せた館の中は寂れていった どれだけ手間をかけて掃除をしても、人のいない建物は廃れていく 紅魔館は今や、死に体となっていた 紅魔館の崩壊は幻想郷のパワーバランスの崩壊をも意味していた かつて紅い悪魔の持つ存在感は霧の湖周辺に生息する妖怪たちに多大な重圧をもたらしていた それがなくなった結果、湖は妖怪の跋扈する危険地帯に変わった その影響はまわりまわって里にまで及び、妖怪側の自主的な働き掛けがなければ 長らく保たれていた人と妖怪の力関係にまで重大な変化を与えかねない状況だった ひとまず危険は去ったが、この仕事に貢献した八雲紫、風見幽香両名はそもそもの原因である紅魔館には一切かかわろうとはしなかった そしてついに博麗の巫女が動きだす 今回の異変は今までのものとは違う そう判断した巫女は途中で白黒と合流してから館のほうへと向かった 相協力して進む彼女らを阻むものはいない 二人の頭の中は長らく紅魔館に滞在している男のことでいっぱいになっていた 易々と館に忍び込んだところを迎えたのは少しやつれた頬をしたメイドだった すわ敵襲かと身構えた二人を白けた顔で見つめた彼女はプイと背を向けついてくるよう言った 紅白と白黒は拍子抜けした表情で彼女を追った 背後からではメイドの顔に浮かんだ嘲笑が見えなかったのだ 長い廊下を抜け、一際大きな扉を開けた瞬間、ひどい悪臭が室内から吐き出された 血と肉の匂い そこで二人が目にしたものは淫らに交わりながら互いの血をすすり合う悪魔と人間の男の姿だった あまりの衝撃に思わず体を折り曲げて泣き出してしまう魔理沙の横で霊夢はひどく乾いた表情をして立っていた 彼女は部屋に踏み込むと同時に事の顛末をすべて把握してしまったのだ 自分の想い人がすでに遠くに行ってしまったという事実に何の感慨も持てずにいる霊夢は 何とはなしにあのメイドもこんな気分だったのだろうなとあたりをつけた と、同時に横で感情をあらわにして泣きじゃくる友人にほんの少し、ほんの少しだけ憎しみを覚えた ここはもう終わっている あいつが彼を毒牙にかけたその日から ここで新たな事件が起こる可能性は皆無だ 永久機関という単語が不意に脳裏に浮かび、霊夢は彼女にはひどく似合わない皮肉な笑みを浮かべた そして、いまだ泣きやまぬ友の肩を抱き去って行った その後、紅魔館を訪れた者はいない 誰もあえてそのことについて話そうとはしなかったのでいつの間にか忘れられ、気がつくとかつて館のあった場所は平らな土地になってしまった 人間たちの記憶からは永遠に失われてしまったのだ だが、何かの拍子に古参の妖怪が集まると、誰とはなしにそのことについて密やかに話し合われる それによれば、彼女と彼はいまでも一緒にいて、誰に邪魔されるということもなく二人きりの時間を謳歌しているのだとさ ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目 671 「私はお嬢様のお役に立ててますか? お嬢様のお傍にいる事が出来ますか? 私は・・・・・・私が貴女の記憶に残ることを許してもらえますか」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 初めてのチュウ レミリア攻編(うpろだ422) 「うわっ!」 青年よりも頭2つ分ほども背の低い幼い少女が、彼をベッドに押し倒した。 少女は青年の腹の上に馬乗りになり、妖しい笑みを浮かべながら青年を見下ろしている。 「それじゃあ、いただくわね」 「い、いやレミリア様ちょっと待っ――――」 青年の懇願などどこ吹く風と言わんばかりに、少女――――レミリアは青年の首に幼いながらも可愛らしい顔を近づける。 そのまま、はむっ と咥えるように青年の首筋に唇を当てた。 そして、青年の首の一部を、唇で食んだままチロチロと首筋に舌を這わせる。 僅かな掻痒感に青年は身をよじらせるが、レミリアはその細く陶器のように白い両腕を、青年の肩と頭にかけた。 未だ、僅かな抵抗の色を見せる青年を 逃がすものか、と抑えつけるために。 続いて、レミリアの鋭く尖った八重歯が青年の首筋に軽く立てられる。 「………ッ!」 青年が、身を竦める。 もう幾度となく、この状況を味わってきていたが未だに慣れることはできない。 本能的な恐怖にを感じ、身を僅かに震わせながら固く眼を閉じた。 レミリアの八重歯が徐々徐々に強く押し当てられてくる。 そして―――― 「……ぅ…ぁ……!」 青年は情けない声を上げて、その身体がビクッ、と痙攣する。 レミリアの八重歯に皮膚を突き破られたのだ。 そして、その下に流れる熱い命の液体を、彼女に吸われてゆく。 青年は呼吸をすることも忘れ、眼を見開き身体を小刻みに震わせた。 血液を略奪されるとともに、身体を覆う倦怠感が次第に次第に大きくなってゆく。 否、吸い取られているのは血だけでは無いのかもしれない。 まるで、魂までもを吸い取られていると思わせるような脱力感が青年を苛み、意識が緩やかに掠れてくる。 「ふぅ……」 レミリアが青年の首筋から、口を離してゆっくりと息をついた。 青年の首筋には小さく穿たれた2つの穴がある。 彼女の口元からはポタポタと紅い血の滴が滴り落ち、青年の胸元を紅い水玉模様が汚した。 「はぁ……は…ぁ……」 青年は、ようやく終わったのか、と胸をなでおろす。 だが、その予想はあまりにも甘過ぎるものであった。 再びレミリアが青年に覆いかぶさって来たのを目の当たりにし、青年は 僅かに血色の悪くなっている顔を更に青白く染める。 そして、再度 首筋から広がる脱力感と倦怠感。 しかも青年が感じているそれらは先程の比では無かった。 あたかも先程の食事は前菜だとでも言わんばかりに激しく求められ、奪われる。 どうにかなってしまいそうな恐怖から、青年は自身に覆いかぶさっている吸血鬼の肩に手を置き、その幼い肢体を押しのけようとする。 だが、その腕には力がまるで入らずに、彼女の身体を押しのけることはできなかった。 もっとも、彼の体調が万全であったとしても、この紅い吸血鬼を押しのけることなどできはしないのだが。 「邪魔ね」 首から口を離し、そっけなく呟くとレミリアは自分の肩に置かれた――――未だに足掻く疎ましい手首を――――己の腕で掴む。 そして、そのまま青年の両腕をベッドに押し付ける。 両腕を抑えつけられ、青年は少女に抵抗する術を無くした。 レミリアはふと、その幼いながらも愛らしい顔を青年の顔に近づけた。 青年の身体の匂いが呼吸とともに鼻をくすぐり、よりレミリアを興奮させる。 一方、青年は荒い息をつきながら、霞んだ眼でレミリアを見上げることしかできなかった。 その虚ろな眼には「もう、やめてくれ」という怯えと哀願が込められている。 しかし、その瞳に――――青年自身は気付いてはいないが――――どこか喜びと期待が込められていることをレミリアは見逃さない。 ああ、この表情こそが最高の料理を彩る最高のスパイスだ、とレミリアは背筋をゾクゾクと震わせながら笑みを浮かべた。 そして、青年の首元に 三度レミリアは顔を埋める。 青年は僅かに体を痙攣させるものの、もう声を上げることすらもできなかった。 ・ ・ ・ 「ふぅ……美味しかったわ」 青年にとっては永遠とも思える長い時間の後、ようやくレミリアが青年の首と手を解放する。 彼の手首には青い痣ができており、首筋には6つの穴が穿たれていた。 「は……ぁ……は…ぁ………」 ひどく満足そうに笑みを浮かべるレミリアとは裏腹に、青年は荒い息をついて酸素を貪ってゆく。 その顔色は青白く、典型的な貧血に陥ってしまっていた。 「さい…ですか」 呼吸を整えて辛うじて返事を返すものの、それが精一杯と言わんばかりに青年は眼を閉じる。 力なく返事を返し、弱々しい姿を露にする青年の姿を目の当たりにして、レミリアの心中に危険な情欲が湧きあがってゆく。 もっと血を吸うと言ったらこの青年はどんな表情を見せてくれるのだろうか、と。 泣き叫んで……けれども力なく許してくれと哀願してくるだろうか? それとも、力の籠らない腕で自分を押しのけようと無駄な足掻きを見せてくれるだろうか? 目の前の青年を――――もっと――――もっと――――苛めたい。 そんな衝動にレミリアは駆られていた。 (ただ、これ以上吸ったらさすがに危ないわね……) ならば、とレミリアは妖しい笑みを浮かべて―――― 「そうね、じゃあ最後に甘い甘いデザートを」 「――――ッ!?」 レミリアの意図通り、青年の掠れた目にこの上ない恐怖の色が浮かんだ。 彼女が青年の首のあたりに顔を近づけると、青年はビクッと身体を竦ませる。 そして、一切の余裕のない必死な表情を浮かべ、欠伸が出るような速度でレミリアに手を伸ばす。 「もう……やめ……」 青年はレミリアの肩に震える手をかけて、彼女を押し戻そうとする。 「あら、どうしてかしら?」 レミリアは、青年の哀願を嘲笑うかのような表情でその手を払いのけ、抑えつけた。 もちろん、レミリアには青年がの哀願の理由はわかっている。 知っている上で、敢えてからかうように尋ねているのだ。 「お願い…ですから……」 「ダメよ……覚悟なさい」 青年の瞳が絶望に見開かれる。 自由の利かない肢体を精いっぱい捩り、必死にレミリアから逃げようとする。 しかし、レミリアが青年の腹に馬乗りになっており、なおかつ両腕を抑えつけられていては、逃げることなど到底叶わない。 それでもなお、無駄な足掻きを繰り返しレミリアを引き離そうとする。 ゾクゾクゾクゾクッ……!! レミリアの全身を、彼女が耐えられないほどのゾクゾクした情欲が包む。 ああ、なんて愛らしいんだろう、なんて愛おしいんだろう。 この恐怖にひきつった顔。 力なく紡がれる声。 無駄な足掻きを見せてくれる脆弱な身体。 そして、これほどに虐げてもなお ――――本人は気付いてはいないが――――彼の胸の中に隠されている、私に対する愛情。 それらは全て愛おしいこの男のものだからこそ、ここまで私を狂わせ欲情させる。 やはりこの男は――――私の肉体的な食事としても精神的な食事としても――――最高の御馳走だ…… コップから水が溢れるように、レミリアは自身の欲望を抑えることができなくなってしまう。 それほどに、目の前の青年はレミリアの理性を狂わせてしまっていた。 「いただきます」 レミリアのその言葉が耳に届くとともに、青年は覚悟して目を閉じた。 自分が逃げられないことを確信し、諦めてしまったから。 しかし、いつまでたっても首筋に歯を立てられる感触がない。 かわりに唇に何か柔らかいものが当たる。 青年が目を見開くと、僅か2センチほどの距離にレミリアの瞳があり、目と目が合った。 「!?!?」 この時点になって、青年はようやく自分の唇が、レミリアに奪われていることに気づいた。 しかし、青年の身体は動かない。動かせない。 血は足りないし、腕は抑えつけられているし、体はレミリアにマウントポジションを取られている。 ここから逃げることなど、どう考えても不可能であろう。 そんな身動きの取れない青年の閉じられた唇を、暴虐の限りにレミリアは貪ってゆく。 まず、青年の上唇を軽く咥えて舌で舐めしゃぶり、それに飽きたら下唇も同様に蹂躙する。 閉じられた唇を優しくこじ開けて、レミリアは自らの舌を口腔内に侵入させてゆく。 青年の口の中に苦い鉄の味が広がったと思ったら、青年の舌はいつの間にかレミリアの口の中に引きずり出されていた。 レミリアの口の中で青年の舌はなすがままに蹂躙され、ねぶりまわされる。 そしてその度に、青年の肢体が僅かに痙攣していく。 先程まで青白かった青年の顔は、紅く上気しきっていた。 脳髄が蕩ける様な甘い快楽の蟻地獄に嵌り、抜け出すことができない。 見た目幼い少女に好きなように弄ばれて悦んでいる、という倒錯的な快楽に飲まれてしまっていた。 そうして、たっぷり10分も経った頃―――― 「あら?」 青年の舌が全く動かなくなったことに気づいたレミリアが、素っ頓狂な声を上げる。 血液が足りなかったことも原因の一つだとは思うが―――― それ以上に、青年はあまりの快楽と――――やはり本人は気付いてはいないが――――喜びのあまりに、意識を失ってしまっていた。 「ま、いいわ……」 レミリアは、やや残念そうな表情を浮かべため息をつくも、その声に負の感情はこめられていない。 青年の身体を少し浮かして腕を通し、青年の身体にしがみつく。 「……あなたは…私に血を吸われて……私に抱かれるためにいるの」 レミリアの声が甘えたようにゆっくりと紡がれてゆく。 腹が膨れたために眠くなったのだろうか、その紅い瞳は半分ほど瞼で覆われていた ――――抱き枕ですか、俺は…… 以前、今と同じように青年を抱いて眠ったときに、青年に苦笑されたことを思い出していた。 「おやすみなさい……最愛の抱き枕…」 レミリアはそう呟き、再びまどろみの中に意識を沈めていった。 『初めてのチュウ レミリア攻編』end ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ487 何もとりえの無い唯の普通の人間の俺が幻想郷に迷い込んでから2ヶ月が過ぎた。(曖昧だが) 迷い込んだ初日早々に化け物に襲われて死に掛けた俺だがそこに偶然通りかかったメイドさん(のちに名前が十六夜咲夜だと知る)が俺を助けてくれた。 それ以降恩返しになればと紅魔館と呼ばれる館で働かせてもらっている。 だが最近この仕事が辛い。 理由は簡単だ。この館の主である吸血鬼レミリア・スカーレット様を好きになってしまったからだ。 勿論新参者で力の無い唯の人間がお嬢様に釣り合うはずも無く、この気持ちはあきらめるしかないものだと理解している。 しかしお嬢様は俺のことを気に入ってくれたらしく、よく声をかけていただいている。 それが一番辛い。 もう俺は決断した。 今夜、咲夜さんとお嬢様にこのことをお伝えして潔くこの館を去ろう。たとえ無事でなかったとしても。 今晩は昼間にお嬢様に「深夜、私の寝室にくるように」と言付けられているので丁度いい。 そして深夜。 俺はドアの前で深呼吸をし、心を落ち着けてからノックをした。 「こんばんは、○○です。言いつけ通り参りました。」 「ようやく来たか。鍵は開いている、さっさと入れ。」 「失礼致します。」 初めて入るお嬢様の寝室は予想通りの豪華さとほんの少しの寂しさを感じさせた。 「して、お嬢様。今宵は何用で自分を此処へ?」 「お前に聞きたい事がある。」 「自分に、ですか?」 「ああ、そうだ。包み隠さず全て話せ。」 なにかいけないことをしてしまったのであろうか。 お嬢様はいつに無く不機嫌だ。 「お前、私に対して何か言うことは無いか?」 言うことは勿論ある。ならば未練の残らないうちに先ほどの話をしてここを去ろう。 「自分は・・」 言い終わる前にお嬢様が割り込んでくる。 「お前は私に対して特別な感情を抱いているのだろう?」 正直、驚いたが何とか表情に出さずに済んだ。 「正直に答えろ。何故それを隠す?」 「自分は臆病者です。失うのを恐れ、本当に欲しいものに手が出せない。それに貴方は美しく、気高い。 そんな自分では手が届かないような遥か遠くの存在を求められるほど自分は強くありません。 それに、失う怖さも知っているつもりです。もし、貴方に告白し、受け入れてもらえなければ 本当に辛い。その様な思いをするくらいなら伝えないほうが良いに決まって・・」 「ほう、それは私には失うものよりも価値がないと遠まわしに言っているのか?」 「そういうわけでは・・」 「それにお前は臆病者ではない。事実、吸血鬼の館に自ら志願して働く人間などそうは居るまい。」 「それは咲夜様の恩に報いるためです。」 「では咲夜の主、紅魔館の主として、吸血鬼レミリア・スカーレットとして命ずる。私のものになれ。」 「は・・・?」 今なんと言ったか聞き取れなかった。そして返事ができないうちにものすごい力でベットに押し倒された。 「お前があくまで隠し続けるというのなら、私がおまえ自身を奪ってやる。」 「ですが・・・私は唯の人間・・・お嬢様とは到底・・・」 お嬢様は久しく見せなかった笑顔を見せた。 「ならお前を同族にしてやろう。これでお前は臆病者でも唯の人間でもない。私の・・・」 そこで急に顔を赤くして 「私の・・・生涯の伴侶となる。」 そういい終わるのと同時に首筋に甘い痺れが起こり、俺は意識を手放した。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 10スレ目 490 「あ」 「・・・」 「やぁ咲夜君、こんばんわ」 夜中、巡廻していた妖精メイドからの報告を受けた 「窓から侵入した不審者がいる」と 来て見れば本当に・・・この上なく不審者だ 夜の闇にまぎれる如く、上下を黒の服に身を包んでいる 何より片手に持った私の身の丈ほどの日本刀、斬馬刀とか言うやつか 「・・・不審者、いや変質者」 「おいおい、これほどの美男子を捕まえてそれはないだろう」 「・・・館の外部は美鈴が見張ってたはずだけど?」 「美鈴?・・・ああ、あの中国拳法の妖怪ちゃんか」 「っ!まさか」 「安心しナサイな、死んじゃいないさ」 鬼のような形相で此方を睨むメイド、そして瞬間 「貴様ぁぁぁ!!」 数十のナイフが、俺にめがけて投擲された 「ああ・・・温いな」 「こんばんわ、俺の愛しい吸血鬼」 「っ!?あなた・・・○○?」 紅魔館への名も亡き侵入者 すぐに捕らえられると思われたソレは門番を倒し、メイドを倒し 館の、主の下へ・・・たどり着いた 「久しいわね、何年ぶりかしら」 「ちょうど百年・・・百年前の夜這いの続きをね」 「まさか・・・本当に・・・」 「百年前は殺されかけたからね、やっと君に相応しい男になったつもりだよ」 「相応しい?百年も待たせておいて何を」 「おいおい、せっかくいい雰囲気になったのに恥ずかしさあまり照れ隠しで体半分吹っ飛ばされたコッチの身にもなれよ」 そう、丁度百年前・・・俺はこいつのせいで体の左斜め下半分を失ったのだ、まぁ長くなるのでこの話は割愛 「だいぶ面子も変わったみたいじゃないか・・・フランやパチュリーは?」 「あなたが知ってる面子は私とフランとパチュリーぐらいしかいないわ」 「問題無い、君さえいれば、な?」 「ば、ばかっ!」 レミリアは顔を赤くして背を向けてしまう、百年経とうと変わりない あの頃から幼いままの 「なぁ、俺の気持ちは変わっていない・・・お前は?」 「百年ぽっちで変わるような気持ちで・・・貴方を寝室に招いたりはしない」 「・・・コンティニューだな、俺は何処からやり直せばいい?ここに入ったときか?口付けを交わしたときか?それとも君のドレスを乱暴に脱がせて幼い身体を(ry」 あの日の事を思い出したのだろうか、普段偉そうになんでも知ってますよーって面のレミリアが、林檎のようになって俯い・・・否、睨んでいる 「まぁまぁ落ち着け、俺としては・・・えい」 俺はレミリアを突き飛ばした 「きゃっ!?」 ぼすっと軽い音を立ててベットに倒れこんだ 俺はそのまま上から覆いかぶさって、少々強引に、唇を重ねた 「んっ、ちゅ、ふぁ、んーぷぁっ」 俺はレミリアの手首をつかんでベットに固定した 「・・・えっ?嘘」 この私が、吸血鬼である私が 妖怪化吸血鬼かもわからないこの男に、力で負けている? 何か術が?いや、単にびくともしないだけ・・・そんな事があるのだろうか 「驚いた?」 そこに種族の優劣など無いかの様に、私を押さえつける 見かけどおりの子供のように、彼に拘束される 「これでもう壊す心配はないよ、だから・・・力強く抱きしめてもいいんだ」 「○○・・・アナタ馬鹿ね、本当に・・・馬鹿だわ」 「耐久性ばっちり、水陸両用、防腐加工!守られてばっかりも癪だしな」 「ふふ、私を守ってくれるのかしら?」 「えー・・・いや・・・あと百年ぐらい時間をいただければなんとか」 彼女は楽しそうに笑う、百年前の焼き増しのように うっかり握ったままだった手首を離した 結構気合入れて握っていたのであざになっていないか、そう思ったがそこはTHE吸血鬼、なんともないぜ 「あのー・・・レミリア?」 「なあに?」 ベットにはさっきと同じような体制で倒れこんでいるんだが・・・ 「そんなにくっ付いてちゃナニも出来ないんだけど・・・」 「いいの!今夜はずっとこうしてて・・・お願い」 「そう言われちゃ・・・しょうがないな、それで・・・その・・・またお預けですか?」 「あ、明日まで我慢してよ!あなたがここにいて、抱きしめられる事を・・・もっと感じさせて」 そこまで言われちゃそうするほかないだろう 俺はレミリアをギュッと抱きしめた、彼女もそれに応えてくれる 百年越しの恋は成就した、お互いに、最良で最高のパートナーとして その夜紅魔館には甘ったるい空気が流れていたと言う 咲夜と美鈴は妖精メイドがしっかり回収しました ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/tamakagura/pages/208.html
コダマ名 HP 攻撃 防御 特攻 特防 速度 合計 属性1 属性2 攻撃属性 弱点 耐性 スキル1 スキル2 必要アイテム ちびレミィ 90 85 70 55 70 50 420 闇 - 闇 闘虫 理霊闇 永遠に紅い幼き月 - レミリアカード Aレミリア 100 140 90 80 80 70 560 闇 闘 闇闘 闘風 理闇岩霊 永遠に紅い幼き月 運命を操る程度の能力 力の霊珠 Tレミリア 120 115 90 60 90 85 560 闇 風 闇風 雷氷岩 地理樹霊闇 永遠に紅い幼き月 運命を操る程度の能力 技の霊珠 Sレミリア 120 100 90 50 90 110 560 闇 闘 闇闘 闘風 理闇岩霊 永遠に紅い幼き月 運命を操る程度の能力 疾風の霊珠 Dレミリア 110 110 120 60 110 50 560 闇 - 闇鋼 闘虫 理霊闇 永遠に紅い幼き月 運命を操る程度の能力 守の霊珠 ※太文字のみは禁呪、青文字は属性一致、赤文字は重複弱点、緑文字は重複耐性、灰色は無効、(括弧内)はスキル効果あり ちびレミィ Aレミリア Tレミリア Sレミリア Dレミリア スキル 1.永遠に紅い幼き月(Lv25習得) 相手の消費VPを20%増加させます。 2.運命を操る程度の能力(Lv50習得) 相手のスペルの追加効果の発動率を10%下げます。 スペル スペル名 属性 分類 威力 命中 消費 詳細 ちびレミィ Aレミリア Tレミリア Sレミリア Dレミリア デーモンロードクレイドル 闇 物理 70 100 5 10%の確率で、相手を怯ませます。 初期* 初期 初期 初期 初期 サーヴァントフライヤー 闇 物理 100 - 10 使用から2ターン後のターン冒頭に攻撃します。ダメージはその場にいるコダマのステータスで決定します。このスペルは属性、装備、スキルの影響を一切受けません。 15 15 15 15 15 デーモンキングクレイドル 闇 物理 90 100 25 30%の確率で、相手の速度を1段階下げます。 20 20 20 20 20 ハートブレイク 闘 物理 80 100 15 30%の確率で、相手の防御を1段階下げます。 レンタル限定 30 - - - スカーレットマイスタ 風 物理 90 100 25 急所に当たりやすいスペルです。 - - 30 - - レッドマジック 闇 特殊 100 100 10 30%の確率で、相手の命中を1段階下げます。 - 35 - - 30 スカーレットシュート 風 物理 70 100 15 先攻で攻撃できます。 - - 35 - - ミレニアムの吸血鬼 闇 物理 80 100 15 与えたダメージの1/3、自分のVPが回復します。 - - - 35 - バンパイアキス 闇 物理 70 100 15 与えたダメージの1/2、自分のHPが回復します。 - - - - 35 スピア・ザ・グングニル 闘 物理 100 100 30 30%の確率で、相手の防御を1段階下げます。 - 40 - 40 - ブラド・ツェペシュの呪い 闇 変化 - 200 0 相手のスキルを2つ同時に無効化します。 - - 40 60 - 千本の針の山 鋼 物理 80 100 15 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 - - - - 40 シーリングフィア 闘 物理 80 100 5 1ターン目に飛び上がり、2ターン目で攻撃します。空中にいる間は、時間差スペルなど一部のスペルを除くほとんどの攻撃を回避します。 - 60 - 30 - デーモンロードアロー 風 物理 100 100 10 1ターン目に飛び上がり、2ターン目で攻撃します。空中にいる間は、時間差スペルなど一部のスペルを除くほとんどの攻撃を回避します。 - - 60 - - 吸血鬼幻想 闇 変化 - 200 10 相手を混乱させます。 - - - - 60 ミゼラブルフェイト 闇 物理 70 200 15 2ターンの間、相手の交代を封じます。 - 禁呪 - - - スカーレットデビル 闇 物理 150 100 150 - - - 禁呪 - - レミリアストレッチ 闘 物理 150 100 100 後攻になります。 - - - 禁呪 - ドラキュラクレイドル 闇 物理 120 100 30 与えたダメージの1/3、自分もダメージを受けます。 - - - - 禁呪 カード効果 アイテム名 装備時効果 契約コダマ 入手(金額) 備考 レミリアカード 闇属性スペルで与えるダメージが25%上昇します。 ちびレミィ 紅魔印の福袋美月堂(3,000,000)
https://w.atwiki.jp/toasera/pages/60.html
レミリア軍 レミリア家臣団については、レミリア家臣団についてクリック・タップ。サハラン砂漠の戦士達は、砂漠の盗賊から産まれた蛮族。サハラン砂漠は、今日も熱く太陽は、照りつけている。 民兵(剣士) 民兵(弓兵) 軽装歩兵(剣士) 軽装歩兵(弓兵) 重装歩兵(剣士) 重装歩兵(弓兵) サハラン剣士 サハラン弓兵 ダークヴァンガード (ダークヴァンガードは、サハラン剣士もしくは、サハラン弓兵から クラスチェンジできる。勇者なので剣もしくは、弓もあつかえる。)
https://w.atwiki.jp/marisa-kirisame/pages/34.html
対レミリア・スカーレット レミリアの魔理沙対策についてはレミリア @ウィキ キャラ対策-霧雨魔理沙を参照。 基本的過ぎるがガードの徹底 J2A多用なら確実にミアズマで落とす 牽制Bを読んで6Cで刺し可能なら追撃 特殊な地上ダッシュやグレイズ突進、無敵昇竜を持つスピードキャラ。 地上空中ともに迂闊な行動は打撃の餌食、慎重な立ち回りが要求される 警戒したいスキルとスペル デーモンロードウォーク(デフォ236 グレイズ突進技。山なりにBで1回Cで2回突進する。 割り込みの他、反撃のしにくさを利用してグレイズ狩りに使われる事が多い。 速いので見にくいが気合いでガード。反撃のさいはスペカでのフォローに注意。 デーモンロードクレイドル(デフォ623 打撃無敵昇竜だが、多段なので対空には使いにくい。BとCで角度が違う。 壁背負いでB版を喰らうとバッドレディスクランブルが繋がる。3200近く減る。痛いので要警戒 ガードで反確なので落ち着いて。 紅符「不夜城レッド」(3コスト 完全無敵付きの射撃スペル。脅威の発生5Fを誇る。 切り返しはもちろんJAやJ8Aから繋がれる事もよくある。 ガードやグレイズで反確なので落ち着いて。 夜符「バッドレディスクランブル」(3コスト 通称悪女。壁に張り付き高速で突撃。グレイズ付き。 判定が強く打撃での撃退は困難、ヒットすると追撃が可能で場合によっては5000近く飛ぶ。 これが見えたらとりあえず空中でJA以外の行動は控え、いつでもガードができるようにしておくこと。 地上の場合めくりになることがある。ガード方向をよく見極めること。ジャンプしてガードすると安全か・・も? こちらが地上にいる場合スペカで返せる場合がある。マスパ、エスケープ、Fスパークあたりで。 ブレイジングは見てから撃っても当たらない。終了時にしゃがみになるので。 ガードしても大抵反撃は無理、というか昇竜で逆に反撃を狩られる事もある。ジャンプで逃げるかガンガード推奨。 昇竜読みの射撃はウォークの餌食になるかもしれない 立ち回り 遠距離 相手のB射を警戒しつつ布石を置いて近づく。対B射ではこちらのB射は消されC射では消しきることはできない。 射撃戦をする場合、BC射の後にデブリを撒くのがおすすめ。 悪女が飛んでくる事もある。手札に見えるなら要警戒。 中距離 基本空中で牽制。地上にいても相手の前D打撃の餌食になるだけ。 B射に警戒しつつ相手の前ダッシュやJ6Aを迎撃。6Aやレイラインがおすすめ こちらの空打撃は持続が薄いので少々厳しいが気合いで。 J6Aをガードした時はとりあえずレーザーで反撃。ヒットしてマスパがあるなら繋いで3700おいしいです。 相手が地上の場合、軸を上にずらしてレイラインが非常に有効。 相手の射撃後のHJを狩るのはもちろん、レミリアは前ダッシュで浮く必要があるので こちらの牽制射撃をグレイズしようとしてレイラインに当たる光景がよく見られる 多段なので昇竜はカス当たりしたり牽制射撃で潰れる。不夜城には警戒が必要だが。 近距離 お互いの近Aは7Fで互角だが遠Aはこちらが有利。密着では強気に立ち回れる。 が、それより離れた微妙な距離では相手のJ2Aが強すぎて厳しい。というか何もできない。 対地JAは大抵2Aで迎撃されてしまうので振ってもあまり意味がない。J2AもJ6Aも同様。 前D打撃からのJ2Aが厄介、毎回ガード方向が違うなんてよくあること。落ち着いてガード。 しゃがみでスカせる事がある。その場合遠Aの距離になるはずなので蹴る。 固め抜けは・・・気合いと慣れで。。6Aやら3Aが振られて結界できるまで抜けるのは厳しいかもしれない。 B射が見えたら前ダッシュで。ウォークも最速近Aや蹴りで潰せるはず。C射を見てから跳ねてガードできると抜けやすい 参考になるレス + クリックで表示します 攻略スレからのコピペ 54 名前:名前が無い程度の天候[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 13 46 58 ID y8lOa.yUレミ戦では地上戦に付き合わないことにしている自分グレイズ狩りのウォークやらガードした瞬間に泣きたくなるC射撃のせいで地上戦でペースを握るのはかなりキツいレミは飛翔とダッシュの特性ゆえに空中戦では制御がききにくいので意外と空対空のJAが決まったりするだけどJ6Aは勘弁な!55 名前:名前が無い程度の天候[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 13 54 30 ID KKaLWG6U私的な対策だけど対空でB射振ってるよ。相手もB射だしてたら弾数負けするけど、飛び込みの抑制にはなる。レミB射のダメージは微々足るものだし、打撃食らうほうがよっぽど痛いからねレミのダッシュ軌道頂点あたりに空中レイラインも要所で使えるあとは深追いしすぎないことかな。逃げたと思ったらJ6Aで急に戻ってきて食らっちゃうなんてのもあるので541 名前:名前が無い程度の天候[sage] 投稿日:2008/06/30(月) 16 33 47 ID 3UgP7tkoレミリア有利つけられるのJA・遠Aくらいしかないんだけど助けて。遠距離→射撃してくるレミは魔理沙対策できてない人。前グレでどんどん来る奴は魔理沙対策してる人。C射撃と一緒に動いていけるのがベストじゃないかな、お互いにいえる事だが。レミ側魔理沙の射撃、弾幕少ないから怖くないんだよね。中距離→問題の距離。ダッシュ読みJ6AとかPhでやれ。射撃打つ→デーモンウォーク(笑)様子見る→J2Aやら6A→B→HJ→J2Aぶっちゃけデーモンウォークぶっぱられるとなんでも殺されるのは皆一緒。ダッシュには2C置け。あれはいい技。上手い具合にダッシュ中に当たってくれれば爆風で相手なんもできんからJAとか重ねる。こっちが固められたらそのまま有利を続けるくらいの勢いで貼り付け。JAは向こうのJ2Aポイントに置いとく。相手の間合いに付き合わずに戦えば結構苦しい展開は何度か避けられると思う。大事なのは相手の飛び込み間合いで隙を見せないこと。レミは固められない・割れない・崩せない。無理だと思ったらガンガードから穴見つけていいと思う。近距離→Aの速さは負ける。遠距離Aは魔理沙がなんと片足にしか喰らい判定がないため下段すかせる!おいしい!遠A→ヒット確認3A→スペカとかできると激アツ。ガードされたらもっかい遠Aとかでもいいんじゃない?後固めに2C。その後デーモンウォークとかされるの怖いなら2C後様子見でもいいと思う。起き上がり→めくりJ2Aなんだけど、あれ位置関係決まってるから移動起き上がり何度か見せておいて・・・で、起き上がりの位置を揺らす。しゃげき置かれててもその場を嫌わず敢えてそこで起き上がるのも勇気。置いたところで霊力減らすの一苦労するの向こうだから落ち着いてガード。近A負遠A勝JA勝J6A勝(位置関係による?)まぁ大体はJ2Aで台無しにされがちだから空中は付き合わない。J2ACHがいっちばんもらっちゃいけないこと。アリスになった気持ちで戦え。やったことないなら知らんけどw463 :名前が無い程度の天候:2008/07/16(水) 12 01 12 ID MfcHiDYEレミリアは6C J2A入りにくいんだっけ? 464 :名前が無い程度の天候:2008/07/16(水) 12 10 19 ID iMPdqLnwかなり入りにくい相当慣れていない限りはC J2Aの方がいい同じく小さい萃香にも入りにくいと思われるかもしれないが意外にそんなことはなかった 495 :名前が無い程度の天候:2008/07/16(水) 23 44 14 ID 1bS493Ek上の方にも書いたけど、誰かレミのJ6Aをガードした後の最良の行動を教えておくれ。 497 :名前が無い程度の天候:2008/07/16(水) 23 53 58 ID cQqzzmWU地上でガードした時は6Cを置いておくだがほとんどの場合B射キャンセルかガードしてくる空中はガンガードだな。Cを置いておくくらいしかないかも。どっちも射撃したら即キャンセル飛翔で間合いを保つ J6Aは同時出しの6Aで大体勝てる 立ち回り考察
https://w.atwiki.jp/fantasicfarmeryaruo/pages/26.html
レミリア・スカーレット 職業:前魔王の娘、やる夫の母 説明 DIOの娘。やる夫の母。永遠のロリ。かりちゅま。 運命を操ることができるらしい。 承太郎に一目惚れして、DIOとの戦いで瀕死となった彼の看病をする。 承太郎と駆け落ちして専業主婦(という名のNEET)となる。 親バカ兼孫バカ。家出したやる夫の運命を『常に都合が良い方向にむかう』ようにしておいた 現在は極楽浄土と言う名の蛇園で孫に囲まれ絶賛カリスマ低下中 なお、やる夫と嫁のハッスルに当てられ、自分も承太郎とハッスル。やる夫の年の離れた妹であるフランドールを出産した