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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第十一話「天覇絶槍」 「周りのすべての人間は、自分のための道具に過ぎん。そのくせ君達は、自分に向けられる愛情が薄れるのには臆病だ。 実の母親がそうだったんだ・・・。君もいずれ、ああなるよ・・・。間違いを犯すことに怯え、薄い絆にすがって震え、 そんな人生など、無意味だと思わんかね・・?」 「あ・・・あ・・・・。」 スカリエッティの言葉に顔を歪めるフェイト。 その体はスカリエッティの生み出した赤い線で縛られている。最初はトーレ、セッテ相手にもなんとか太刀打ちできたのだが。 「さて・・・・私はどうしたものかな。」 彼の横にいる男が現れたせいで一気に形勢が逆転してしまったのである。男の名は松永久秀。この世界に飛ばされてスカリエッティに協力している男だ。 彼等の拘束と爆破のコンボで次第に押されはじめ、今に至る。 バリアジャケットは煤にまみれ、いたるところに切られた跡が。一方の二人は無傷。 まさに圧倒的、という所だろうか。そんな中に少年と少女の声が響く。 「違う!!」 叫んだのはモニターの向こう側にいるエリオとキャロ。横には伊達政宗と片倉小十郎の姿も見える。 二人は少し笑っている。そして次に口を開いたのは政宗だ。 「HEY!そこのフェイトとか言う嬢ちゃん!今のアンタに必要なモン・・・それは勇気だ。」 そう言うとエリオとキャロの頭にポン、と手を乗せる。 「それにこいつら、利用されてるなんて微塵も思っちゃいねぇ。ほら、言ってやんな。」 手を離し、政宗は鼻で笑うと腕を組んで背を向ける。二人は互いの顔を見て頷く。 再びモニターへ目を向け、口を開いて自分達が今、言わなければならないことを言葉にする。 「無意味なんかじゃない!」 「僕達は、自分で自分の道を選んだ!」 「フェイトさんが、行き場のなかった私にあったかい居場所を見つけてくれた!」 「たくさんの優しさをくれた!」 「大切なものを守れる幸せを教えてくれた!」 「助けてもらって、守ってもらって、機動六課でなのはさんに鍛えてもらって。」 「やっと少しだけ、立って歩けるようになりました。」 政宗は二人の言葉を聞き、普段の彼にはない、穏やかな微笑をする。 フェイトの心には少しずつ、少しずつ。希望の光が。 「フェイトさんは、何も間違ってない!」 「不安なら、私達がついてます!困ったときは助けに行きます!」 「もしも道を間違えたら僕達がフェイトさんを叱って、ちゃんと連れ戻します!僕達が・・・皆がついてる!」 「だから負けないで!迷わないで!」 そして二人の声が、重なる。それはフェイトの心に、光を灯す言葉。 「「戦って!!」」 言葉を聞いた瞬間、フェイトの体の中で何かが爆発したかのように魔力が溢れる。魔力はフェイトの体を包み込むように展開している。 「オーバードライブ…真・ソニックフォーム。」 『SONIC DRIVE』 フェイトの声を聞き、バルディッシュが金色の光を放つ。魔力はさらに上昇。そして魔力の柱へと形を変えた。 思わず身構えるトーレとセッテ。フェイトはゆっくりと目を開いて今の思いを言葉に。 「ごめんね・・・ありがとうね。エリオ、キャロ。」 バリアジャケットは今までのとは違い、マントを無くし、レオタードに近いものとなっていた。 魔力で少し浮いていた足をしっかりと地につけ、バルディッシュを優しく抱える。 「疑うことなんて・・・ないんだよね。」 金属音とともにカートリッジがリロードされるとバルディッシュが二本に分かれ、二本を両手に握る。 「私は弱いから・・・迷ったり、悩んだりをきっと、ずっと、繰り返す。だけど、いいんだ・・・・!」 体を回転させて双剣を構える。目は絶望という汚れは消え、光が宿る。その光は決して消えることのない、強い信念の表れ。 目の前にいるスカリエッティ達を睨む。 「これも全部・・私なんだ!」 スカリエッティが手を動かすと地面が爆発。しかし爆風の中からフェイトが現れバルディッシュを横に凪ぐ。 突然のことにセッテは回避しきれずに手に持っていたブーメランブレードを破壊され、倒れる。 手を握る動作をすると地面から赤い線がフェイトを捕らえようと迫る。赤い線を避け、斬り、敵へと進む。 次に立ちふさがったのはトーレだ。インパルスブレードとバルディッシュの刃がぶつかり合い、火花を散らす。 フェイトは宙で一回転、トーレはその隙を突こうとIS、ライドインパルスを発動。紫の光となってフェイトを追う。 空中で激しく激突する金色の光と紫の光。トーレの頬が切れ、フェイトの肩にも軽い切り傷が。 一回止まると二本に分かれたバルディッシュを一本に装着。大剣の姿、ザンバーフォームとなる。それでも迫ってくるトーレに向かいバルディッシュを振り下ろす。 「はぁぁぁぁぁぁっ!!」 防御したトーレだがしばらくするとインパルスブレードが砕け散った。スカリエッティと松永の横を過ぎ、壁に激突して倒れる。 次にスカリエッティへと向かうが顔に何かがかかる。 「うっ・・・!!」 目に入ってしまい、そのまま落下するフェイト。かろうじて目を開けると松永が立っていた。手には砂のようなもの。 「それは火薬かね?」 「そういうことだ。ものは使いよう・・・とも言うだろう?」 目を擦りながら立ち上がり、再び構えようとする前に顔面の真横に小さな爆発が起きる。 「ああぁっ!」 小さいとはいえ吹き飛ばすには十分威力がある。壁にぶつかり、うなだれるフェイト。 額からは血が流れ、ゆっくりと目を開けるとフェイトを守るように赤い魔方陣がそこにあった。まさに溶岩の如く。 赤い魔法陣から何か出てきた。揺らめく火の粉。火の粉は火に。火は炎に。炎は火炎に。どんどん大きさを増す。 そして爆発。 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 中から出てきたのは人。赤いコート、赤いハチマキに槍二本。首にかけているのは六文銭。 若き虎が、フェイトの前に降り立つ。槍の切っ先をスカリエッティと松永に向ける。 「忠勝殿との色々な義により、助太刀いたす!!うおぉぉぉぉぉぉっ!!」 槍を交差させ、天に掲げる。 「天!!」 交差させた槍を一回離し、足元でまた交差させる。 「覇!!」 切っ先をまた二人に向ける。 「絶槍!!」 さすがの二人も突然のことで少し驚いているようだ。とはいっても少し目を見開いただけでたいしたリアクションではないのだが。 若き虎はあたりに炎を揺らめかせ、鋭き眼光を向ける。 「真田幸村、見ッ参ッ!!」 突然現れた赤き武将、真田幸村。そんな乱入者にも冷静に対処し、手を動かし赤い線を出現させるスカリエッティ。 襲い来る赤い線を槍で切り裂く。槍の先端には炎が宿り、描いた軌道には火の粉が降り注ぐ。 最後に火薬を投げて腰に挿してあった刀で地面を擦り、生じた火花で火薬を爆発させる。 だが、それぐらいで幸村は止まらない。煙を掻き分け尚も雄たけびをあげながら二人に向かってくる。 交わるスカリエッティがはめているグローブの刃と槍の刃。 「燃えよ・・・我が槍、我が魂!!命の限り道を開けぇ!!」 主の雄叫びに答えるように槍に宿った炎が大きくなる。スカリエッティの刃が焼け、溶けていく。 幸村は槍を引き、相手の体勢を崩すと二本の槍を一本に連結させて回転。スカリエッティを宙へと飛ばす。 「大ぃ車輪!!」 飛んできた方向にはフェイトがいる。バルディッシュを構えてまた打ち上げる。 幸村はスカリエッティの落下している真下に走る。大地を蹴り、跳んだ後に回転、槍二本の横凪ぎでスカリエッティを叩き落す。 「朱雀翔!」 叩き落してバウンドした後も幸村は逃さない。降りて目の前に立つとまた槍を一本に連結。拳に炎が集まっていく。 「虎炎!!」 炎の拳はスカリエッティの顔面に直撃、宙で人形のように吹き飛び、やっと倒れることを許された。 直撃した顔は火傷だけではなく、大きく歪んでいた。 「ほう・・・・真田幸村か。これはこれは、予想外の客だな。」 「永松久秀ぇ!今までの悪行、この真田が許さん!!」 「はっはっは、相変わらず熱いな。卿は。」 「問答無用!!虎炎!!」 炎の拳を突き出すが刀で防御され、押し返される。直後に刀を振り下ろすと胸に切り傷が入る。 素早く切り傷に火薬をかけて刀を擦り火花を当てる。至近距離の爆発を避けれるはずもなく吹き飛んだ。 「うぐ・・・ごふっ・・・・!!」 胸から溢れる大量の血。それでも幸村は立ち上がり、槍を構える。 フェイトもそんな彼を見てバルディッシュを構える。 「!?」 「貴方だけに戦わせるわけにはいきません・・・・!!」 幸村とフェイトは顔を見合わせると少しだけ笑い、また真剣な表情で松永を見る。 まず先手を切ったのは幸村だ。槍から炎を吹き出し、自身は回転。回る速さはどんどん増していき、松永に近づく。 爆発で押し返そうとするが炎に守られ、止まらない。 「ぐあぁぁぁあ!?」 炎は松永を身を包み、焼く。幸村は横を通り過ぎて槍を連結。腰を低く構えてじっと待つ。 続いて接近したフェイトはバルディッシュを振り上げて松永を宙へ。落ちてきたところを炎を纏った槍を斜めに斬り上げて吹き飛ばす。 「千両花火ぃ!!」 「はぁぁぁぁあぁぁっ!!」 千両花火でまた吹き飛んだところをバルディッシュの一撃が襲う。気を失った松永は壁をぶち抜いて倒れた。 勝負はついた。フェイトが笑顔で駆け寄ると幸村の表情も笑顔に変わる・・・・が、次第に赤くなっていく。フェイトが首を傾げて近寄る。 「ななななななななんと破廉恥な格好をしとるのだお主はぁ!?」 戦いの最中で気がつかなかったがフェイトの格好はレオタードのように露出が高いバリアジャケット。 まぁ、これで反応しない人がいるとしても女性に慣れていない幸村には多少刺激が強かったようだ。 「え・・・・えぇぇぇぇっ!?」 思わずフェイトも顔を赤くして腕を組んで胸元を隠す。 赤くなり硬直する幸村と同じように顔を赤くして体を縮みこませるフェイトという、戦いの後とは思えない光景が後に駆けつけた伊達政宗のツッコミがあるまで続いたという。 戻る 目次へ 次へ
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仮面ライダーリリカル電王sts第九話 「ドラゴンズ・ダンス」 二匹の龍がオウルイマジンRに迫るなか、倒れているティアナに迫る影。名はオウルイマジンL、つまり同型の二号実験体である。 「見てろよ、電王。」 そしてオウルイマジンLは突如、ティアナを無理矢理掴むと大声で叫んだ。 「こいつがどうなってもいいのか!」 「ティア!」 「電王、これで手を出せまい?」 余裕の笑みを浮かべながら喋るオウルイマジンL。しかし二人共まるで何かに気付くと微笑んだ。 「何がおかしい?」 「あなたは、何処を見てるの?勝ち誇るなんて馬鹿げてる…」 「ふ、フザケンナァ!」 『sonic move』 「な、しまった!」 そう言って右手のガトリングガンを向けるオウルイマジンL。しかしその時、蒼き閃光がその場を駆けティアナを助け出した。 その閃光の正体は赤き髪に青のメッシュを入れ、眼鏡を掛けた少年。 「全く、何で僕が…。ま、楽だったけど」 名はエリオ。いや、今は、Uエリオと言うべきだろう。 「仕方ないなぁ。なのはちゃん達はそっちを片付けてよ。僕がこっちをやるから」 「分かった…」 Uエリオは勝手に宣言するとオウルイマジンLの前に立ち塞がった。 そしてクルリと一回転して一言。 「お前、僕に釣られてみる?」 「ざけんなぁ!」 こうして、二つの戦いの火蓋が切って落とされた。 《UエリオVSオウルイマジンL》 UエリオはオウルイマジンLを持ち前のスピードで撹乱していたが今一つ攻めきれない。 何故か?それは簡単だ。エリオは元々スピード型の為、防御力はそこまで高くない。その為相手が連射型の武器を使っている場合、接近が困難となるのだ。 つまり相手がガトリングという点と防御力さえあればいいのだ。 「やはり、今使える防御じゃ足りない…。エリオ、アレ使うよ」 『でもアレはまだ搭載されたばかりでテストも…』 「でも、やるしかないでしょ?それに上手くやればテストの代わりになるし」 『そうですね、やりましょう!』 エリオと話をしたあとUエリオは立ち止まり、魔力を集中させた。 「ハァァァッ、ストラーダ!」 『aurasystem set up』 その音声と共に放たれるは蒼きフリーエネルギー。それはアーマーへと変換、装着される。 オーラシステム、それはすなわち、電王のフォームチェンジの魔導師版フリーエネルギーを肉体の強化及びアーマーとして使用するというものである。 「さあ、いくよ!一度釣り上げかけた獲物は逃がしたくないんでね」 その声と共に腰につけられた四つのパーツを組み立て、長いロッドにする。それはデンガッシャーに酷似していた。名はオーラロッド。 Uエリオはロッドとストラーダを巧みに使い、相手にガトリングを撃たせない。 それは槍とロッドの蒼き二重奏。 右のロッドを避ければ左のストラーダが裂き、左のストラーダを避ければ右のロッドが突く。 一方的に攻めたてるコンビネーションであった。 一気加勢に攻めたて距離を少し取ると腰からパスの様な物を取り出す。すると腰にベルトの様な物がセットされる。 ベルトにパスをセタッチさせると電子音が響いた。 『fullcharge』 音声と共にロッドにチャージされるフリーエネルギー。 「ハァァァッ!」 Uエリオはフリーエネルギーがチャージされたロッドを振りかぶると気合いと共に投げた。 ロッドはオウルイマジンLを貫くと亀甲の網で動きを封じる。 そして、Uエリオはストラーダを構え、自身最速の魔法ソニックムーブを使用しオウルイマジンLへと突撃、そのまま激突する寸前で地面にストラーダを突き刺した。 超高速からの急激な減速。それにより発生する暴力的なまでのエネルギー。 それを全て自らの身体にのせ、UエリオはオウルイマジンLへと回し蹴りを放つ。 解放されたエネルギーはオウルイマジンLを爆散させた。 「フゥッ、終わった。さて、後はティアナちゃんを届けるだけか」 そう言ってティアナを抱き抱え医務室へと運ぶUエリオであった。 《なのは 電王GUNformVSオウルイマジンR》 さて、白き魔王と紫の狂人の戦いは一方的に戦いであった。 オウルイマジンRは右手をライフルからマシンガンに切り替え、乱射する。 しかし、掠めさえもしない。 電王は、ダンスのステップを踏むように飛んでくる弾丸を全弾かわしていく。 それは、まるで楽しむように…。 それでいながらさながら暴れ狂う龍のごとく無数のエネルギー弾を叩き込んでいた。 一方のなのははというと空中にて乱射された弾丸を天使が舞うかのようにかわしていく。 しかし、ひとたび攻撃に転じればたちまち悪魔の様な砲撃を放つ。 それは天地を支配する魔王のようで天を翔ける龍のごとく。 二匹の龍はもはや暴龍の如く暴れ狂い、オウルイマジンRを破壊しようとしていた。 「クソッ、クソッ、クソォォ!お前らはなんなんだ?」 「あなたは許されない。だから質問する権利はないから…」 「お前は僕達を怒らせた…。だからここで倒す!」 「だから何…ウグッ、ウググッ」 「うるさい…」 オウルイマジンRが喋ろうとした瞬間、桜色のバインドで口が塞がり喋ることが出来なくなった。 そのバインドはなのはが睨み付けながら発動させていた物。 そして、ここからが、怒り狂う暴龍のステージ。 「限定解除…」 『exceed mode』 全力のなのはの魔力のオーラはまさに白き魔王。 「許さないよ。絶対に」 怒り狂う電王の放つオーラはまさしく狂人。 二人はユラリとオウルイマジンRに近づく。 そして、なのはは幾重にもバインドを張り巡らす。 「いくよ、なのはお姉ちゃん…」 「うん、分かってる…。レイジングハート、カートリッジ全弾ロード…」 『cartridge load』 鳴り響くコッキング音。増大する膨大な魔力。そして精製されるは50発以上の魔力弾! そして、その魔法は放たれる。 『クロス…ファイヤァァーシュゥゥトォォ』 50発以上の魔力弾は全てオウルイマジンRへと一直線に向かっていた。 何とか避けようと動きまわる姿はまるで踊り狂う人形。 レイジングハートにマガジンをセットしたなのはとパスを取り出した電王は二人同時に己の得物をつきつけた。 「これで終わり…」 「決めるから…」 「ウンッウグッ!」 『最後いくよ、いい?』 「ウググ、や、め…」 『答えは聞いてない…』 「レイジングハート…」 『cartridge load』 「ディバィン…」 『fullcharge』 収束される魔力。セタッチされるパス。激しくうねる怒りのオーラ。それは即ち死刑宣告! 「バスタァァァッ!」 「いっけぇぇぇ!」 放たれる桜色の奔流と紫の光弾は一つとなり破壊の奔流とかす。 「ウアァァァッ!」 そして叫びをあげながら、オウルイマジンRを灰塵ときした。 「終わったね…」 「うん…」 「ティアナのことも気になるし、帰ろっか!」 「うん、分かったよ。なのはお姉ちゃん!」 戦い終わり、BJを解除したなのはと変身を解除したR良太郎は帰路へとついた。 夕日をバックに歩くその姿はまるで本当の姉弟のようであった。 「へぇ、私が倒れてる間にそんなことが…」 「うん、大変だったんだからね」 ここは医務室。ティアナはここで眠っていた。 傷が思ったより浅かったことと早めに治療したことが重なり大事にはいたらなかった。 そしてティアナはたった今、目を覚ましたのだ。 「でも、ティアナさん傷が浅くてよかったですね」 「ホント。ティアが倒れた時はどうしようって思ったんだよ」 スバルは本当に心配してたらしく、倒れた後、運んだ後もずっとついていた。 「もう、大丈夫だから」 「でもぉ」 「でもじゃない」 「本当二人は仲がいいね!」 二人が話していると、Uエリオが二人の様子を見て呟いた。 「でも凄かったなぁ、なのはちゃん」 「へぇ~、どんな風に凄かったの?」 「うん、なんていうのかなぁ。怖い?」 「怖い?」 「おい、亀公!珍しく気があうな」 ティアナとUエリオが話しているとMスバルが話しに入って来た。 「あれは、怖いよ。もしかしたら怒ったハナちゃんより怖いかも」 「あ、あぁ…、確かにな…」 「聞いた話何だけど、なのはちゃん、『白い悪魔』とか『魔王』とか呼ばれてるらしいよ」 「マジかよ…」 「でもよ、あれ魔王なんてもんか?そうだな『破壊神』とかどうだ!」 「先輩にしては格好いいね」 「だろ!」 『二人共、いい加減にして下さい』 『そうだよ!なのはさんは天使みたいな人何だから!』 「いや、それもどうかと思うぜ…」 「二人共、まったく…」 二人の話を聞き、ため息をつく、ティアナ。 ここで仮定しよう。 もし、この話をしなかったら… もし、もう少し時間をずらしていたら… この後、二人に振りかかる地獄はなかっただろう…。 しかし、不幸なことに偶然は重なり、二人の後ろには地獄が迫っていた…。 二人が話している途中、ティアナはふと二人の後ろを見た。 そして、目があった。恐怖の根源と…。 「あ、あああ…」 「どうしたの?ティアナちゃん」 「どうした、傷が痛いのか?」 「ふ、二人共。う、後ろ…」 「後ろ?」 「何がある…、あ、ああ…」 「先輩!?何が…、嘘、な、なのはちゃん!?」 二人の後ろ、そこには膨大な魔力と怒気を剥き出しにしながら、満面の笑みを向けている高町なのはの姿があった…。 「魔王?悪魔?あげくのはてには破壊神?」 「やべぇ!」 「もしかして、僕達危険なんじゃあ…」 「ティアナ。少し、こっちに来て…」 「は、はい!」 「お、おい、見捨てんのかよ!?」 「自業自得…」 ティアナはなのはの後ろへと行って、呟く。 それを確認し、いつの間にかセットアップしたレイジングハートをMスバルとUエリオに向けた。 「二人共、覚悟はいい?」 「ま、待てよ」 「答えは聞いてない。少し、頭冷やそうか…」 『ギャアァァァッ!』 その日、機動6課に二人の悲鳴と爆音が轟いた。 さて、これにて二匹の龍の闘争は終わり、機動6課に再び平穏が訪れる。 次回はそんな休日ともう一人の仮面の戦士の物語。 次回予告 ハナ「度重なるイマジンの襲撃。疲弊していく機動6課」 なのは「でも、そんな日々に訪れた一日限りの休日」 ハナ「そして、暗躍するイマジンの影と一人の少女」 なのは「二つは新たな出会いを呼ぶ」 ハナ なのは『次回仮面ライダーリリカル電王sts第十話「機動6課のある休日《前編》」お楽しみに』 Mスバル Uエリオ『二大魔王揃い踏み…』 なのは ハナ『何か言った?』 Mスバル Uエリオ『ヒッ!』 なのは ハナ『少し、頭冷やそうか…』 Mスバル Uエリオ『ギャアァァ!』 戻る 目次へ 次へ
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仮面ライダーリリカル電王sts外伝第二話 「貪欲なる捕食者」 ここは次元犯罪者ジェイル・スカリエッティのアジトの一廓。クアットロは目の前にある四人分の食事を一人で食べていた。ガツガツ、クチャ、クチャ、ガブ、ゴクン!という音を立てながら。 「チッ、足りねえなぁ」 瞬く間に皿の数は減っていく。全てを喰らい尽くすその様子はさながら、野獣の様であった。 『牙王様ぁ、どうですぅ?』 「足りねえなぁ、こんなんじゃあ」 『そうですかぁ』 一見、独り言のようだが確かに二人は話していた。時さえも喰らおうした男と一人の男の夢のカケラは。 順調に食べ続け、四人分の量を食べ終わった直後、クアットロは突如動きを止めた。 「チッ、時間切れか」 そう言うとクアットロの周りの野獣の様な雰囲気は突如消えた。 「今の牙王様が表に出られる時間はせいぜい五分、まだまだ全開というわけじゃありませんねぇ」 『フンッ、その程度なんてことねぇ。それより、ガオウライナーはどうした』 「完成度は82%ってところですわぁ」 『チッ、早く完成させろ』 「分かりましたぁ。ドクターにそう伝えておきますねぇ」 さて、こんな風に話をする二人の出会いについて、語ることとしよう。 二人の出会いはほんの数年前のことである。 その日クアットロは、自室にいた。何をするわけでもなく只、そこに居た。自分の見たものを、その気持ちを再確認をするために。 その日の朝、クアットロが自室から出て、ラボの中を歩いていると足元に四角い金色の物体を見つけた。 (何なのかしら) そうクアットロは思った。あの光を見るまでは。 それは、突然現れた。禍々しい黒き光。その光は呟くように言葉を発していた。 足りねえ、足りねえ。 と。 その言葉はまるで呪祖の様に、繰り返し、繰り返し続けられていたのだから。 「喰らい足りねえ!」 クアットロはその様子をまるで引き込まれるように魅せられていた。 己を生み出した男。ジェイル・スカリエッティの様な狂わんばかりの喰らうことへの執着心。それでいて、ドクターとは違う野獣の様な猛々しきオーラ。 そしてその場を支配する圧倒的な存在感。 クアットロは動けなかった。いや、むしろ動こうとしなかった。ずっと見ていたかった。 「女、俺のマスターパスを返しやがれ」 「こ、これですの?どうぞ」 いつもの彼女なら皮肉を一つは言っただろう。しかし、彼女はこの光の前では何故か素直だった。 「それでいいんだ」 そう言うと光は消えた。クアットロはその部屋に戻り今に至る。 部屋に戻ったクアットロが考えるのはあの光のことばかり。そして、あの光のことを考えると胸が締め付けられる様に痛むのである。 (何なのよぉ、これはぁ) そう考えながら眠りについたクアットロ。 彼女が感じたこの気持ちは、誰もが一度は経験したもの。そう、世間で言う、〈初恋〉と言うものなのだから…。 目を覚ますと彼女の前にはあの黒き光が鎮座していた。 「お前が俺を呼んだってことか」 黒き光はそう言った。 「呼んだぁ、私がですかぁ」 「確かに呼んだんだ。だから、奪う。お前の身体を、な」 そう言うと光はクアットロの身体へと吸い込まれた。そして、目を一瞬閉じ、再び開いた目は、黒き光に包まれていた。 「これで、また喰らいつくす。全てを時も、だ!」 確かに身体を奪うことは出来た。しかし、それはほんの一瞬。次の瞬間、クアットロは苦しみ倒れた。 「どうしたんですのぉ?」 『チッ、俺の力が弱ってるのか…』 「でしたら私の身体の中で休むと良いですわぁ。これからは私があなたと共にいますからぁ」 『お前は俺に尽くすってわけか。』 「えぇ、そうですわぁ」 『俺は牙王。俺は全てを喰らい尽くす』 「私は、ナンバーズNo4、クアットロですわぁ」 こうして、二人の男女は出会った。 男の名は牙王。時さえも喰らおうとした男。 女の名はクアットロ。無限の欲望に生み出されし女。 この二人の出会いが後の世界の終末と呼ばれたJ S事件、最大最悪の悲劇『黒き空』を引き起こすことを一体誰が予想出来たであろうか…。 目次へ
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仮面ライダーリリカル電王sts外伝第五話 「ある日のシャーリー」 「う、う~ん!終わったぁ」 一人の女性、シャリオ・フィニーノは書類を完成させ、くつろいでいた。 彼女は自分が作り上げたシステムの書類を作っていたのだ。 「終わったのか…。コーヒーだ飲むといい」 「あ、ありがとうございます、アインさん」 銀髪に黒い帽子を深くかぶった女性、アインからコーヒーを受け取りシャーリーは再び書類に目を向けた。 「それにしてもすごい。画期的なシステムです。これならイマジンも…」 「ああ…。元よりその為のシステムだからな」 「そう言えば、アインさん」 「なんだ?」 「アインさんは起動後の姿は知らないんですよね?」 「そうだな…。実際に見たことはないからな」 「じゃあ、見ます?」 「良いのか?なら、見せてくれ」 「御安いごようです!」 そう言うとシャーリーはキーボードを操作し複数のモニターを出した。 「まずはスバルから。スバルのはややスピード特化してます」 「どんなアーマーなんだ?」 「スバルのは胸部、脚部、肩部に赤色のアーマーが装着されて鉢巻きも赤くなります。 後、これは全てに共通するんですけど顔に仮面はつけてないんです」 「何故なんだ?」 「だって仮面つけたら可愛くないじゃないですか」 「それだけの理由か…」 「後、泳げません♪」 「良いのかそれ…」 「次はエリオ」 (流したな…、確実に) 「エリオのは青色の亀の甲羅の様なアーマーが装着されて、顔の横にアンテナがセットされるんです」 「なんだそのアンテナは?」 「デンソナーと言って言わばソナーシステムですよ」 「小型のレーダーと言う訳か」 「後、このアーマーだけ背部にデンスクリューと言う物があって泳げるんです。ただ…」 「ただ?」 「キック力と防御力以外スペックは、最弱なんです」 「おい、良いのか?」 「いいんですよ。ほら、可愛い男の子がボロボロになるのが良いんですよ♪」 (段々、危なくなってるのは気のせいだ、気のせい。) 「次はキャロ。キャロの場合は金のアーマーが装着されて、帽子が黄色になるんです。 この帽子は自動で飛んだりするんですよ。後…」 「後?何があるんだ?」 「帽子にはリイン曹長が乗り込んでて空を飛んだり盾になったりするんです♪」 「どこのスーパーロボットだ!どこの!」 「て、言うのは嘘で本当は防御力とパワーが高いんです」 (まともなのがないのか) 「で、ラストがティアナ。これは紫色のアーマーでキック力と起動力が最も高いんですよ」 「最後が一番まともだな…」 「あと、ターゲットスコープも搭載してるんですよ。後はキャストオフをつければ…」 「待て、それ以上は色んな意味で待て!」 「性能が…」 「少し、静かにしろ。いいな!!」 「は、ハイッ!!」 有無を言わさぬ口調でシャーリーを黙らせるアイン。 そこへ、ドアをノックする音と共に声が響いた。 「シャーリー、差し入れ」 「入っていいよ!」 シャーリーが返事をすると一人の人、いやイマジンが入って来た。 黒いローブを身に纏い黄金のカラスの様な顔立ちのイマジンであった。 「はい、どうぞ。差し入れのおにぎり。さあ、召し上がれ」 「いつもありがとう、デネブ!アムッ、美味しい~っ!!」 「ささ、アインもどうぞ」 「いただこう」 そう言って一口おにぎりを食べ、アインはこう洩らした。 「美味しいな…」 彼女は感慨にふけっていた。昔を、思い出し…。 (思えば、十年前まではこうやって食べることもなかったな…) 「あれからもう十年、か…」 「どうしたんですか?気分でも…」 「大丈夫、少し考えこんでいただけだ」 「なら、いいんですけど…」 感慨にふけっていたアインにシャーリーは心配し声をかけてきた。 アインが答えると少し安心したようにそれ以上は聞いてこなかった。 ちなみに余談だがアーマーのデザインはシャマルとシャーリーがノリノリでデザインしたらしい。 目次へ
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第2話 魔法のある世界 剣崎達はティアナ達に連れられて、この世界のことを知る人物がいるという場所に向かっていく途中である。 「すみません。剣崎さん、飲み物持ってもらっちゃって。」 「いいっていいって。」 「ところで、この場所知っている人ってどんな人?」 橘がそう聞くとスバルが答えた。 「え~と、元々はこの世界に住んでたって聞いてます。今は任務があるからって私たちも来たんです。」 スバル達が会話しながら歩いていると、その人物がいるところに着いた。 「ここなのか?」 「はい」 剣崎達が着いた瞬間この世界の住人なのはとフェイトとはやてが剣崎達のところに来て 「あなた達がティアナが話してた人たち?」とフェイトが問いかけた。 「はい。そうですけど・・・。」「じゃあ、名前教えてくれるかな?」 「俺は剣崎一真だ。」「橘だ。」「・・・相川始だ。」「俺は上城睦月です。」 と剣崎達は自己紹介を終え、はやて達も紹介を終えこの世界のことを説明を始めた 「では説明します。ここはあなた達がいた世界とは違います。」とはやてが言う 「え?そんな・・・」「バカな・・」剣崎達はショックを隠せない。 「でも、ここは日本ですよね?」「はい。ここは日本の海鳴市。ティアナから報告があったんやけど、 あなた達が戦ってたのは一体なんです?もしかしたら私たちも協力しますんで。」 剣崎達は先ほど戦ったアンデット達のことそして、バトルファイトのことをはやて達に話した。 「もしかしたら、スカリエッティが関係してるかも・・・」 「スカルエッティ?誰だそいつ?」フェイトはスカルエティや今まで起きたことを剣崎達に話、そして 「よし、じゃあ俺たちの世界が危ないけどこっちも危ないから、俺は協力するよ。」と剣崎が言った。 「け、剣崎?」「剣崎さん?本気なんですか?」橘と睦月は協力には否定して、始は「俺は剣崎に 賛成してる。今の状況を考えてみろ。」それは始が珍しく橘と睦月に言って 「もしかしたら、 あなた達が追っている天王路って人もスカリエッティに協力している可能性があると思うんだけど」 フェイトがそういって「たしかに・・・今はここで争っている場合じゃない。」 橘がはやてに向かってこういった 「俺たちしばらくの間協力する。それでいいか?」橘が言って「本当ですか~?ありがとうございます。」 「だけど、そのまえに、任務があるんだけど協力してくれるかな?」となのはがいい。 「あなた達の力もみたいしね」フェイトもこういい。 「じゃあ、剣崎さんと始さんはスバルとティアナのところで、橘さんと睦月さんはエリオとキャロのところでいいですか?」 「「「「ああ」」」」 始と睦月は何かに気づいた 「なあ、いつから俺は相川さんから始さんになったんだ?」「俺もそう思った。」 「え?ああ、それはやね、え~と・・・」とはやては顔真っ赤になっていた。 「始さんてお兄さんって感じがするんよ~。うち兄弟いなかったから」 「そうか・・・悪いことをした」始は謝った瞬間 「はやてちゃん。クラールヴィントが対象をキャッチ」 「みんな。頼むよ」 「「「「はい」」」」と新人フォワード達がいい 「俺たちもやるぞ。」 「「ああ」」「はい」 剣崎達も戦闘の準備を始めた。 そして、任務が開始された。 「マッハキャリバー」 「クロスミラージュ」 「ストラーダ」 「ケリュケイオン」 「「「「SET UP」」」」 彼女たちが自分たちの相棒をの名前を呼んで。先ほどの服が代わった。 そして剣崎達は自分たちのバックルを出し 「「「「変身」」」」 剣崎、橘、睦月の前にカテゴリーAが描かれた光が現れ剣崎はブレイドに、 橘はギャレン、睦月はレンゲルに変身し、始はマンティスアンデットの力を借りカリスに変身した。 「これが、剣崎さんたちの力なんや・・・」そうはやてがいい。 ブレイドとギャレンはラウズアブゾ-バーにQとJを入れ。 「「アブソーブクイーン」」「「フュージョンジャック」」 ブレイドとギャレンはジャックフォームとなった。 そして、その相手が剣崎達にとっての初出撃となった。 「よし。今だ。」 「サンダー、スラッシュ」 「ドロップ、ファイアー」 「トルネード、ドリル」 「スクリュー、ブリザード」 「ライトニングスラッシュ」 「バーニングスマッシュ」 「スピニングアタック」 「ブリザードゲイル」 「ディバインバスタァァァァー」 「クロスファイアー・・・・シューーート」 「一閃必中・・・・はあああああああ」 「フリード、ブラストフレア、ファイア」 「対象からレリックを確認リィンお願いできる?」 「はいですぅ。」 剣崎達のお陰で任務が終わり剣崎達はなのは達が今住んでいる、ミッドチルダに移動した。 戻る 目次へ 次へ
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Lyrical in the Shadow クロス元:SHADOWRUN 4th Edition 最終更新:09/03/30 第1話「ウィザーズ・ストライク!」前編 第1話「ウィザーズ・ストライク!」中編 第1話「ウィザーズ・ストライク!」後編 第2話「アウェイクンズ・マッドパーティー!」その1 第2話「アウェイクンズ・マッドパーティー!」その2 第2話「アウェイクンズ・マッドパーティー!」その3 短編 炎、氷、そして、光 クロス元 世界樹の迷宮Ⅰ アイドル管理局リリカルなのはStrikerS クロス元 アイドル防衛隊ハミングバード 魔法少女リリカルなのはCST クロス元 Cute Sister TRPG なのはのバーニングクリスマス 前編 クロス元 Burnin X mas(TRPG) なのはのバーニングクリスマス 後編 クロス元 Burnin X mas(TRPG) コメントはこちらに このページの先頭へ TOPページへ
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火照った身体に夜風が心地よい。 灼熱地獄からどうにかこうにか這い出してきた彼は、ふと空を見上げる。 月だ。 自分の知るものと寸分違わぬ、淡い燐光を闇夜に示す円。 安堵しかけて、 ―――ちょっと待てよ 気付いた。 間違いであって欲しいという願いを込めて再度天を見上げる。 ああ、そんなに要らないのに。 ――――――果たして月と言う物は二つもあったのだろうか? リリカル.exe 第二話 それはミッドチルダのどこか。深い深い闇の底。機械の起こす、獣の唸り声にも似た重く低い音が充満するそこに、蛍火のような灯りが一つ。写し出されるのは、二つの人影。 大柄な壮年の男と、幾分か禿げ上がった白髪の老人だ。壮年の男は目を伏せたまま微動だにしない。寝ているわけではなく、瞑目といったほうが正しい。 老人は空間に浮かぶコンソールを一心に叩いている。接続先は、一つのデバイス。槍にも似たポールウェポン――――――壮年の男の持ち物である。 何も知らぬ一般人が見たとしても速いと感じられるほどの速度で、老人はその槍の調整を行っているのだ。 無音。 静寂が淀み、澱み、どこまでも積み重なっていく。 「―――――――――――」 声を発するものは居ない。 次々と空間に走るデータの羅列へと視線を送りつつ、老人がただただタイプを続けるだけ。 時間の感覚が麻痺してしまいそうな光景。何分か、何十分か、それとも何時間か経った頃か。 ―――――――――――静寂を破るコール。 不愉快極まりない表情で眉を上げた老人は、しかし作業を中断する事も無くそれを無視。こんな時間に連絡を取ってくる者など分かりきっているからである。 と、瞑目していた壮年の男が目を開く。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・出ないのか」 「フン、こんな夜中に連絡してくるヤツなど決まっておるじゃろう。あんな奴と話したところで一文の得にもならんわ。・・・・・・・・・それよりゼスト、調整が終わったぞ」 「そうか。・・・・・・いつもすまんな、ワイリー」 小気味いい電子音と共にデバイスとコンソールをつないでいたバイパスが外れる。ゼストと呼ばれた男はそのデバイスを手に取ると、試し振りを数回。大気を裂く鋭利な音が鳴った。 ワイリーと呼ばれた老人はわずかに眉尻を下げ、しかしそれも一瞬。尊大さと妄執を足して二で割ったような表情に戻ると、淡々と言う。 「阿呆、お前のデバイスを弄るようになって何年経ったと思っておる。そのデバイスの事ならお前や開発者よりもよく知っておるわい」 「・・・・・・・・それもそうか。月日が経つのは早いものだ・・・・・・・・・・・もっとも、俺の中の時間は既に止まってしまっているが」 「一々面倒な奴じゃな。何のためにワシがあの変態科学者とわざわざ手を組んだと思っておる。さっさとあのレリックとやらを回収して嬢の・・・・・・・・・」 ―――――――――――またもコールが響く。 大きな舌打ちを一つ、ワイリーはコンソールを叩く。無数に展開されていたスクリーンが掻き消え、後に残るのはたった一つの大きめなもの。 「ゼスト、お前はそのデバイスの試運転に行ってこい。あんなのと話しておったら余計にお前の命が縮まる気がするのでな」 「・・・・・・・・・・・・・・そうか、それでは行ってこよう。何かあったならすぐに連絡をくれ」 背を向けたままワイリーは答えない。さっさと行け、といわんばかりの態度だ。が、ゼストはそれに気を害する事も無く歩を進める。相変わらず感情が読めない表情のまま、その姿は外へと消えていった。 息を吐くと、ワイリーはうんざりしたような表情で点滅しているパネルを叩く。 ● 数刻後。 ―――――空調の効いた部屋。机があり、ソファがあり、まともな空気のある場所だ。 腰を下ろしたロックマン.exeの対面には同じようにソファに腰掛けた、制服姿の茶のショートカットの女性―――――八神はやてがいる。 机には広げられた資料――――紙、データファイルなど様々――――が散らばっており、ここに来てからそれなりの時間が経っている事が分かる。 「・・・・・・・・ええと、とりあえず今のロック君の状況なんやけどな」 いきなり人の名前を短縮しますか、などと突っ込む人は居ない。開幕の問答で「ロック君でええ?」と聞いてきたからロックマンは二つ返事でOKしただけである。 はやては続ける。 「次元漂流者・・・・・・・・・・・・簡単に言えば世界単位の迷子、ってことなんよ」 「迷子、ですか?」 「そ。たまーにあることなんやけどな、大規模な次元震とか巨大なエネルギーの暴走とかそんな感じのに巻き込まれたときに、何らかの作用が起こって次元世界を移動してしまった人の事を言うんや。 まあ、モノとかそーゆうのもあるんやけど、全部ひっくるめてそういうのを保護するのがウチ等――――――時空管理局の仕事やから安心してな」 一息。 「・・・・・・でな、なんで迷子って言われとるかはちょっとした事情があってな。次元世界ってのはそりゃもうぎょーさんあってな、転送だけならぱぱっと済むんやけど、その中から少ない情報で一つの世界を探すのは結構 難しいんよ。あ、難しい言うても調べきれへんってわけやなくてな、絞り込むのに必要な情報が漂流者本人からしか得られへんから時間がかかる、ってことなんやけど」 「・・・・・・・・つまりすぐには帰れないってことですか?」 「御免な、こればっかりはウチが発破かけてもどーにも出来へんのよ」 そう言ってふう、とため息をつくはやて。ロックマンの目には何故かそれが連日徹夜の後ようやく家に帰ってきた多忙な父親とダブって見えた。 ――――――まさかこの年でハードワーカーなのかな 時空管理局は実力主義。二十歳以下のまだ少年少女と言っても差し支えの無いような年齢のものであっても、有能であれば迷わず教官クラスに任命する事もあるという。 その点で言えばロックマンの世界のオフィシャル―――――とは言っても該当するのはあの伊集院炎山くらいなものだが―――――と似ているのかもしれない。通常警察とは一線を越した戦力を持ち、有事の際には被害を抑えるべく 惜しみなく戦力をつぎ込む。犯罪者達の取引の妨害、摘発。その他にも、要請を受ければ警護なども行う。 使うものが魔法かネットナビか、その違いがあるだけだ。 もっともオフィシャルは非常に門戸が狭く、魔導師で無い人間でも役職に就くことの出来る管理局と違って精鋭のみが集まっているという点があるのだがそこはあえて無視をしておく。 人海戦術というのは非常に有効なものであるし、何より一人一人の負担を減らす事が出来るのは良いことだからだ。。 閑話休題。 とりあえずロックマンは出された冷たい茶を飲み、落ち着いたところで口を開く。 「あの、一つ聞きたいんですけど、帰るまでの間僕はどうすればいいんでしょうか?」 「衣食住の心配はせーへんでええよ。遠足は帰るまでが遠足、うち等は保護したものを無事に帰すまでが仕事やからな。・・・・・・・・時々ここに残りたいとか言う人もおるんやけどね」 「へ?そういう人もいるんですか?」 「うん。なんか嫌ーな事があった人とか、魔法に魅せられた人とか、そんな感じの人ばっかりやね。ま、それは本人の意思やからうち等としては止める理由もあらへんしな。逆に戦力とか人手が増えてラッキー、とまで思う人もおるで」 「色んな人がいるんですね・・・・・・・・・・・・・・・・・と、そういうことじゃなくて。その間何か僕に出来る事って無いですか?」 「・・・・・・・・・・・どういう意味や?」 「いや、その、流石にここまでしてもらって何もしないっていうのは、なんかこう良心が痛むというか・・・・・・・・・・・と、とにかく一方的に好意を受け取るってのは何か間違ってる気がするんです!」 思わず声を張り上げる。なんというか上手く表現できなかったが、これはロックマンの本心だった。本気で『いい子』である。 しばらく考え込んでたはやてだったが、顔を上げるとまっすぐにロックマンを見て、優しい笑顔を浮かべる。 「・・・・・・・・・・・ほんまにええ子やなぁ。そこまで言うならロック君、管理局に入ってみる気はあらへん?」 「え、いいんですか?」 「別に魔法が使えなくても仕事は色々あるから、そこならロック君でも働けるはずや。最低限ミッドの言葉覚えてしまえば後はどうとでもなるしな」 と、はやては思い出したようにポンと手を打ち、 「そや、なら早よ身分証明書とか作らなあかんな。健康診断とかちゃっちゃっと済ませよか」 「そ、そうですね。それじゃ、案内してもらってもいいですか?」 「ん。任せとき!」 そういって立ち上がったはやてを追って、ロックマンも歩き出す。 ――――――この話し方する人って皆テンション高いのかな? 自分の世界に居たアキンドシティ出身者も基本的にテンションがアッパー入ってた事を思い出して苦笑いする。親近感を感じた理由はそれか、と思いながらも歩は緩めない。 元の世界に帰るまで、やれることをやろう。 ● 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 暗闇にて、一人思考に耽る老人が居る。アルバート・W・ワイリー。その年からは考えられぬほど覇気に満ちたその視線の先にあるのは、中空にて固定された一つのモニタ。 先程『変態科学者』から送られてきた、消滅寸前のフレイムマンの記憶データ。二、三の嫌味を言った後、ワイリーはその中から抜き出した動画に集中すべく会話を打ち切り回線を閉じた。 そこに映っているのは、最後の戦闘。 最初のほうはどうでもよさそうな表情で見ていたワイリー。しかし、後半に差し掛かった頃、その目が大きく見開かれる。突如乱入してきたその青い影。的確にフレイムマンの弱点をつき、背に燃える蝋燭を破壊する。 そのブレード状だった腕は一瞬で姿を変える。バスターと呼ばれるエネルギー弾を発射する兵器。連射しながらフレイムマンの視界を塞ぎ、そこでまた右腕を変形。朧のように揺らめく不定形の刀身が出現する。 連続して四回振り抜かれたそれから放たれるのは、四色の斬閃。 画像が乱れる。だが音声は生きている。聞こえて来るのは声ではなく音だったが、それでもワイリーの耳にはそれが誰のものであるか理解できた。 あの速さ。あの強さ。――――――自らの生涯のライバルであった科学者、光正の孫が操るナビだと、ワイリーは確信した。 くつくつと、喉が鳴る。堪えきれぬ歓喜を抑えることなく、ワイリーは哄笑を上げはじめた。 「・・・・・・・・・・・・・・く、はははは、はははははははは・・・・・・・・・そうか、ようやく、ようやく来おったか!あの時プロトに飲まれてこの世界へやってきてから何年たったかのう!? しかもこやつ、おそらくはこちらへ来たときにフルシンクロしておった影響かの、自分一人でバトルチップまで使っておる!成程、なんたる僥倖と言うべきか! 楽しくなってきたのう・・・・・・・・・・・・貴様もそう思うじゃろう、カーネル!」 暗闇へと声を投げかけるワイリー。その先にいるのは―――――――否、あるのは黒一色の外套に身を包んだ、堂々たる体躯を持つヒトガタ。カーネルと呼ばれたそれは機械仕掛けの重く低い声で答える。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は。ワイリー様が楽しいのならば、私もそうですから」 「そういう意味ではない、カーネル。お前はロックマンと戦ってみたいと思わんのか?」 「・・・・・・・・・いえ、思いません」 即答。清々しいほどの否定にしかしワイリーは気を悪くする事無く問いを重ねる。 「・・・・・・・・・ほう、何故じゃ?」 「私は将です。将とは負ける事を許されぬもの。故に、敗北などありえません」 カーネルが答える。抑揚の無い、しかし強い声だ。ふむ、と満足したような口調でワイリーは頷き、動画を終了。またも空間にコンソールを展開し、作業を始める。 モニタに映るのはデータの羅列。C、S、B、D、F、N、M、Q、と表示されたアルファベットには様々なタグが付いている。 ワイリーはFのタグに『Delete』と入力する。しばし思案し、 「・・・・・・・・・次は何を使うべきかの?」 答えるものなどいない闇の中に、その声は響いていった――――――― 戻る 目次へ 次へ
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「ドクター、少しよろしいですか?」 とある遺跡の地下に建てられた研究所、スカリエッティは今までの研究の成果を纏めていると、後ろから呼ぶ声がした。 「どうしたんだい?ウーノ」 「あの男の話、本当に信用なさっているのですか?」 あぁ、あの話か…と思い返しながらも、ドクターはデータを纏め続けていた。 だがしかし…確かにウーノが言う通り、彼レザードが話した話はまるで、おとぎ話のような信じられない内容だった。 リリカルプロファイル 第二話 魂 レザードが居た世界は、世界樹ユグドラシルを中心に形成された三重世界で、 人間の世界ミッドガルド、死者の世界ニブルヘイム、神の世界アスガルドとそれぞれ呼ばれていた。 ある時、神の世界の王オーディンは、やがてくると予言された神々の黄昏“ラグナロク”に備え、 とある神をミッドガルドに派遣、その神は人々から“魂を選定する者”と呼ばれ、その名の通り魂を選定し、 選定された魂は、神の先兵エインフェリアとして神の世界に送られ、神の為にその力を振る事を約束されていた。 そして“ラグナロク”が訪れた日。神の王オーディンは裏切りの神の手によって倒れ、 世界は海に沈み、滅んだかに見られたが“魂を選定する者”が新たな創造神として世界を再生させたのだ。 一方レザードは“ラグナロク”を乗り切るため、賢者の石と呼ばれる石の力を使い乗り切るのだが、 “ラグナロク”後の世界は、レザードにとって望まぬ世界だった。 其処でレザードは過去へと飛び、とある王女の旅に同行、 目的である神の力を得ると、自らが望む世界を創った…というものだ。 「ウーノの気持ちはわかるが、彼は嘘をついて無いよ」 レザードの中に封じられている力、見た事の無い術式など、レザード自身が証明であるとスカリエッティは答える。 だが…神が住む世界、過去へと飛ぶ術式、魂の存在など、今まで比喩的表現でしかなかったものが証明されている世界。 …スカリエッティは思わずつぶやいた。 「もしかしたら、彼が住んでいた世界こそ、我々がアルハザードと呼んでいる世界なのかもしれない……」 アルハザード…かつて魔法を究めたとされる古代世界… その住人の可能性がある人物が目の前に、それも計画に一役担っている。 …今まで休むことなく動いていた手が急に止まり、考えにふけるスカリエッティ。 「……ドクター?」 「…………うん、すまないウーノ、残りのデータを纏めておいてくれたまえ」 「分かりました……それでドクターはどちらへ?」 「ちょっとレザードと話をしてくるよ」 ウーノにそう告げると、足早に部屋を後にする。 彼の話を耳にしてから去来する一つの想い…それを可能に出来るのは彼しかいない、とスカリエッティは思っていた。 此処はスカリエッティによって割与えられた部屋、レザードは此処でこの世界の魔法及び技術を調べていた。 まず、この世界の魔法はデバイスと呼ばれる道具によって使用する事が一般である事。 更に魔法をプログラム化させる技術により詠唱を大幅に短縮出来る事、魔力を属性に変換させて使用するのは珍しく、 むしろ魔力そのものを圧縮、放出、また形状、性質を変化させて攻撃するのが主流だということ。 そしてデバイスには、非殺傷設定が存在することである。 非殺傷設定とはどれだけ強力な攻撃でも、たとえその攻撃が死に値する攻撃であっても、 気絶、もしくは昏睡にとどめるシステムだという。 「非殺傷設定…まるで生粋のマゾヒストかサディストが考えたような設定ですね」 そんなことを考えて苦笑いる時、後ろでレザードを呼ぶ声が聞こえ、 振り返るとスカリエッティが部屋に入って来ていた。 「ドクター何か用で?」 「君に聞きたいことがあってね、率直に聞きたい……造られたモノにも魂が“宿る”事はあるのかい?」 「やれやれ…いきなり来て、何を言い出すのかと思えば……」 両手の平を広げ肩をすくめ、小馬鹿にした表情を見せるが、スカリエッティは真剣な目レザードを見つめていた。 …レザードはため息を一つ吐き、眼鏡に手を当て問いに答える。 「造られたモノに魂が“宿る”という事は………あり得ません」 レザードがかつて造ったホムンクルスしかり、神の器もしかり、そして戦闘機人も同様だろう。 しかし造られたモノに魂を“宿す”事は出来るという。 レザードによれば彼が得た力の一つに、輸魂の呪と呼ばれる呪法が存在し、 それを活用すれば、モノに魂を宿す事が出来るだろうというものだった。 「なるほど……」 「しかし、なぜその様なことを?」 「…レザード私はね、魂を得たいのだよ」 するとスカリエッティは自分の出生を話し始める。 自分はアルハザードと呼ばれる世界の超技術によって造られた“無限の欲望”と呼ばれる存在で、 名の通り欲望のまま、様々なモノを造り上げ、生命をも研究して来た。 そして次にターゲットにしたものは魂だった。 魂を知る為にあらゆる生物を解剖してきたが、魂の存在を確認する事が出来なかった。 魂など存在しないただの偶像と考え始めた矢先、レザードと出会い、話を聞き胸が高鳴ったという。 「私はね…君の話を聞いてから、魂が欲しくてたまらない!何故ならそれこそが人とモノを分かつ絶対条件だと確信したからだ!」 クローン技術、人造魔導師、遺伝子改造、記憶のコピーなど 生命操作を次々に手掛けていくと、人とモノの境界線が曖昧になっていく。 人とモノの境界線をハッキリさせる必要なファクター、それが魂だとドクターは主張する。 「どうだろうレザード、人とモノの分ける証明の為に、 私に魂を与えてはくれないだろうか?…私は人になってみたいのだよ」 いや、なりたいのかもしれない。造られた存在はただの“物”として取り扱われるこの世界。 それからの脱却の為に魂を得る…むしろこれは革命と言っていいのかもしれないと、 熱く語るスカリエッティの言葉を、黙って聞くレザード。暫くして考えが纏まったのか口が開き始める。 「……特に問題はないですが、一つ条件があります」 そう答えたレザードは左胸の裏ポケットから一つのケースを取り出す。中には銀色の髪が数本入っていた。 「この髪の毛を元に戦闘機人を造って貰いたいのですが」 「ふむ、それは別に構わないが、一体誰の毛なんだい?」 「まぁ、“神の毛”…とでも言っておきましょう」 両手の平を開きながら肩を竦め、おどけるレザード。 …これはひょっとしてギャグなのか?と考え込むスカリエッティだが、 戦闘機人製作で魂を得られるのなら、安いものだと、レザードの依頼を快く引き受けた。 レザードにとって無垢の魂を造り出す事は造作もなく、 横になっているスカリエッティの記憶、情報をとある神の技術を応用した術式で読み込み 無垢な魂に刻むと、続いて輸魂の呪の詠唱を始める。 「全てを断ち切る糸よ我其に願う、意を持ちて絡め取りたる魂よ…血と肉と骨を与え、新たなる傀儡をここに紡がん」 これにより魂は、吸い込まれるようにスカリエッティの体に結び付き無事完了。 早速スカリエッティは自分の体を確かめる様に動かし始める。 「………あまり代わり映えしないもんだね」 「まぁ、そんなものですよ、それより約束忘れないで下さい」 あぁ解っている…と頷いて返事し、手渡された髪の毛を持ってスカリエッティは意気揚々と自分の部屋へ帰って行った。 そんな姿を見たレザードは頭に手を当て、やれやれ…と言った表情で見送る。 …暫くしてウーノ達がレザードの部屋にドッと押し掛けてきた。 どうやら、ドクターが自慢するように魂の話をしていたようで、 それに影響されたのか、自分達もまた魂が欲しくなったのだという。 レザードは呆れた表情を浮かべるが、彼女達もまたスカリエッティと同じく造られた存在、 魂という存在に憧れ、欲しがるのは仕方がない事なのかもしれないと考え、一人ずつ丁寧に魂の処置を施した。 「ありがとう“博士”」 「トーレ?その“博士”と言うのは何ですか?」 「ドクターが言っていたんだ。レザードは“博士”だと」 「“博士”………ですか」 レザードは眼鏡を抑え笑みを浮かべる。どうやら本人も満更ではない様だった。 前へ 目次へ 次へ
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―――かつて、戦争があった。 一つのコロニーの独立運動に端を発した紛争が、世界全土を巻き込む全面戦争となったのだ。 世界は地上の『地球連邦軍』、そして宇宙(そら)の『宇宙革命軍』とに二分された。 両軍は魔導師と魔導支援機器・『デバイス』を戦争の主力にし、それに伴い魔法科学を急速に進歩させていった。 戦火が日を追うごとに拡大していく中、この戦争に介入してきた一つの勢力があった。 次元世界管理組織・『時空管理局』である。 介入の主な理由は、管理世界内で行われた戦争の仲裁、並びに使用が禁止されている質量兵器の存在が確認された為であった。 時空管理局は両軍の内部に停戦と質量兵器使用の中止を要求。 だが、戦争に勝つことのみを考えている両軍がそんな要求を飲むはずもなく、管理局の意思とは裏腹に戦争は激化していった。 局員達の間で全く好転しない世界情勢が延々と続くのではと囁かれ始めた頃、一つの事件が起こった。 連邦軍の軍事施設を訪れていた時空管理局局員が、革命軍の仕掛けたテロにより死亡したのである。 この事件を切欠に管理局最高評議会メンバーはついに武力行使での停戦強制を決定。 連邦軍、革命軍に時空管理局を交えた三つ巴の争いが始まった。 もちろん、時空管理局の提唱する『停戦の実現』はその兆しを見せることはなく、ただ悪戯に、魔導師達の死体が増えてゆくだけであった。 時空管理局の武力介入が始まって八ヶ月。 戦争は膠着状態に陥り、世界全体に張り詰めた空気が満ちていた。 そんな中、最初に動いたのは革命軍だった。 革命軍は次元世界そのものに甚大な被害を及ぼす『コロニー落とし作戦』、並びに悪魔のロストロギア・『闇の書』を切り札に、地球連邦政府と時空管理局に対して降伏を迫った。 これに対して時空管理局は闇の書の封印を最優先事項と捉え、XV級船艦三隻を投入。 戦時中ということもあり、早々に闇の書をアルカンシェルで葬り去ろうとしていた。 一方、連邦軍は極秘に開発していた決戦兵器・高性能デバイス『ガンダム』を導入。徹底抗戦の構えをとった。 導入されたガンダムの、その中でも『ガンダムX』の戦果は目覚ましかった。 革命軍のコロニーを搭載したサテライトキャノンで次々と撃ち落とし、単機でおよそ35%を破壊したのだ。 ……だが、このサテライトキャノンの一撃一撃が、新暦史上最大の悲劇の銃爪となった。 勝利を焦った革命軍は守護騎士吸収により闇の書を強制起動。 闇の書は過去の例に漏れず暴走を開始し、管理局のXV級船艦を全て制圧した。 更には革命軍のコロニーの管制までをも乗っ取り、戦争の二大勢力をいとも簡単に鎮圧したのだった。 この事態に恐怖した連邦軍は、ガンダムXのサテライトキャノンで闇の書の管制人格を破壊。 一瞬勝利を確信した連邦軍だったが、司令塔を失ったコロニーはそのまま暴走を続け…… ついには、第15管理世界の人類の故郷である地球に、致命的なダメージを与えてしまった。 更にコロニー落としの衝撃による大規模次元震までもが発生。 100億を誇った人口のほとんどは失われ、次元世界自体の存続さえ危うい状態となった。 もはや、戦争に勝ちも負けも無かった。 戦後、戦争の舞台となった第15管理世界は時空管理局の完全な指揮下に置かれ、戦後世界――『アフターウォー』と称されるようになった。 この名は新暦最大の悲劇の象徴として、次元世界中に広まっていった。 そして、15年の時が流れた――― 魔導新世紀リリカルなのはXtrikerS―エクストライカーズ― 目次へ 次へ
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リリカル・グレイヴ エイプリルフール編 「魔道戦屍 リリカル・ファンゴラム 魔法の呪文はケルベロスなの♪」 時空管理局地上本部のある一室、そこに二つの影が佇んでいる。 一人はレジアス・ゲイズ、管理局に長く務める中将。そしてもう一人は彼の秘書であるオーリス女史である。 二人は空中に展開したモニターで、とある管理外世界で入手した死人兵士の各種データを眺めていた。 「オーリス、ファンゴラムの調子はどうだ? すぐにでも実戦に投入できそうか?」 「はい、身体能力や使用火器センターヘッドの整備も万全です。ですが一つ問題が‥‥」 「なんだ?」 「確かにファンゴラムは単純な戦闘能力でならば最強の死人なのですが、何分あの気性ですから他の部隊や魔道師との連携が上手くいっていません‥‥」 「そうか、よし! ではこうしよう‥」 △ 「え~‥‥その‥では紹介します、今日から機動六課に配属された田中・ファンゴラムさんです」 「グウウウレエエイイイヴウウウゥゥッ!!!」 恐怖・緊張・困惑その他諸々の感情でヒクヒクと頬を震わせながらはやてが脇に立った死人を紹介する。 紹介された最強最悪の死人兵士は幽鬼の如く低い声で意味不明の呻きを漏らした。 ファンゴラムを紹介された機動六課の面々は一様にはやてと同じく顔をひくつかせている。 まあ無理も無いだろう。 なんせ黒い帽子とコートに身を固め、顔には口元を覆う拘束具を付け、背中に2メートルは優に超える超巨銃を携えた死人が突然やって来たら普通の人間なら腰を抜かしてもおかしくはない。 ファンゴラムは通常魔道師との連携を養う為に機動六課に一時出向という形で配属になったのだ。 言うまでも無くこれはレジアスの差し金であるが、上層部で決められた事情をなのは達が知る由はない。 「ねえ、はやてちゃん‥‥」 「なんやなのはちゃん?」 「“何”から突っ込めば良いの?」 「‥‥‥できればあんま突っ込まんで欲しいんやけど‥」 「無理だよ! それ絶対無理だよ!! そもそも“田中”って何!? どう考えてもやっつけ仕事で考えてるよ!!!」 「まあ‥‥なのはちゃん‥少し落ち着いて」 「落ち着けないよ! しかもあの人(?)なんでスバルやティアナの隣にいるの!?」 「ああ、それなんやけどな。ファンゴラムさんはスターズに配属‥」 「ちょっ! こ、困るよ!! 私あの人と上手くコミュニケーションとる自身ないよ」 「そんな事言ったら誰だって同じやと思うんやけど‥‥ともかくよろしく頼むっちゅう事で‥」 「ま、待ってよぉ~」 はやて、そう言うとそそくさと立ち去っていく。 後には機動六課前線メンバーと最強最悪の死人兵士がぽつんと立っていた。 なのははチラリと異形の死人に視線を移す。 ファンゴラムは“指示待ち”とでも言いたげな様子でジ~っとなのはを見つめていた。 ぶっちゃけなのはは泣きたかったが、9歳のころから鍛え続けた鋼の精神で恐怖心を捻じ伏せてファンゴラムに笑顔で話しかける。 「そ、それじゃあ‥‥訓練を始めましょうか‥えっと、ファンゴラムさん」 「ぐるううああぁぁっ‥‥了ぅぅぅ解ぃぃぃっ」 ファンゴラムの言葉は完全に人外のレベルに入るくらいの滑舌の悪さであったが、その様子からなんとか最低限の意思疎通を図ることが出来た。 こうして奇妙な新人、スターズ05が生まれた。 △ 「ぐるうううぅぅあああああぁぁっ!!!!」 野獣のような死人の叫びと共に、空気を震わせる超爆音が響き渡り地獄の番犬が壮絶な咆哮を上げる。 吐き出された巨銃の弾丸は大気を切り裂きながら正確に標的である訓練用ガジェットに命中する。 絶大なる破壊力を持つ無慈悲な弾頭は、容易く敵の装甲を貫き抉り爆ぜ飛ばす。 こうして機動六課の訓練場には死人の築き上げた無数の鉄屑の山が出来た。 その光景を確認した教導官は若干頬を引きつらせながらも、笑顔でこの日の訓練の終了を告げる。 「仮想敵ターゲットを全て撃破。よし、今日の訓練はこれで終了だね」 「「「「はいっ!」」」」 「ぐるあぁぁっ!」 フォワード5人(?)は元気良くなのはに挨拶して訓練を終える。 最初は不安だらけだったファンゴラムの機動六課への配属は思いのほか問題なく進んでいた。 訓練を終えたフォワード一同は食堂に行き食事の時間にする。 正直に言って、年頃の少女達に混ざってファンゴラムが食堂で食事をする姿はどこまでも悪夢的だった。 椅子のサイズは明らかに合ってないし、背中に背負ったセンターヘッドが邪魔極まりない、そして何よりも彼の食事風景は見るに耐えない惨事である。 ファンゴラムは食事を取る為に顔につけていた口を覆う拘束具を外す、すると頬から顎まで肉の抉られた顔が露になった。 筋肉やめくれた皮の内側の晒されたファンゴラムの顔はもはやホラー以外の何ものでもない。 あまりのグロテスクな光景に最初の内は吐く者さえいた程だ、今でこそ少しは慣れた光景とはいえど多くの者は青ざめた顔で頬をヒクヒクとさせていた。 「はははっ(乾いた苦笑い)、いつも大変ですねファンゴラムさん‥」 「そうでもぉぉないぃぃ」 ファンゴラムはスバルの言葉に相も変らぬ重低音の不気味な声で返す。 彼が同じテーブルにいるとかなり空気が重い気がするが、そこは鍛えた精神で耐え切る。 「そう言えばどうしてそんな風なケガしてるんですか?」 キャロのなんでもない質問にファンゴラムは突然カタカタ震えだす。 そして血涙でも流しそうな強い眼光で睨み、口を開いて腹の底から搾り出すような重低音の声で話だす。 「グウウウレエエイイヴウウゥゥッ!!!」 「グレイヴ?」 「仲間ぁぁぁ、殺しぃぃたあぁぁぁ、同ぁじいいぃぃ死人がぁぁぁ、このおぉぉ悪魔ぁぁめええええ!!!」 ファンゴラムの顔は目玉が飛び出そうな程見開かれ、口は筋肉とめくれた皮を大きくさらけ出して牙を剥く。 あまりの迫力に気を失うキャロとエリオ、スバルとティアナ涙目、食堂に集まったその他機動六課の一同も逃げ出す始末。 なのはとフェイトはこの惨事にいつもは決して出さない情けない声で泣いた。 「もうイヤ~! はやてちゃんレジアス中将に言ってなんとかしてもらってよぉ、このままじゃフォワードが壊れちゃうよぉ~(精神的に)」 「むしろ私はもう壊れかけだよぉ~」 しかしはやては既にリインや守護騎士達と一緒に逃げていた。 後にはただなのは達の悲鳴とファンゴラムの雄叫びが食堂に響き渡っていた。 終幕。 目次へ