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「カード復活!?おま、そんなの有りかよ!?」 「目には目、歯には歯、反則には反則だよ」 デストワイルダーがガイを捕らえる。そしてタイガの方へと引きずっていった。 その当のタイガはデストクローを構えている。腹に突き立てるつもりだ。 「くそ…殺られてたまるかよ!」 だが、ガイも黙ってやられはしない。一枚のカードを取り出し、バイザーへと放り込んだ。 『ADVENT』 メタルゲラスが再び現れ、デストワイルダーを弾き返す。そして、メタルゲラスがデストワイルダーとの戦闘を始めた。 「く…あれ?あのライダーは?」 ガイがいない。どうやら逃げたようだ。 「帰ったのか…ま、いいや」 タイガはそう言うと、ミラーワールドを出て現実世界へと戻っていった。 「ったく、こいつまだ寝てるよ」 翌朝、眠っている真司の部屋にヴィータが現れる。どうやら起こしに来たようだ。 「さぁて、今日はどうやって起こすかな?」 いや、あの…頼むから穏便な起こし方にしてくださいね? そしてヴィータは何かを思いついたらしく、物置へと向かう。 1分ほど後、一枚の布をマントのように身につけ、ヴィータが戻ってきた。 そして真司の部屋にある椅子や鞄などを積み、その上に乗る。 次の瞬間、ヴィータが跳んだ。そして落下までに布をドリルのように纏い、回転を始める。 どこからどう見てもナイトのファイナルベント技『飛翔斬』だ。起こすのにこんな大技使うなと言いたい。 回転をし始め、真司に向かって落下していき、そして… 「起きろぉ!」「ごはっ!」 直撃である。 「起きねーとギガントで潰しちまうぞー…あれ?真司?おーい…」 少しおかしいと思い、ヴィータが真司を見ると…白目をむいて痙攣していた。泡まで吹いている。 さすがにやばいと思い、青ざめる。そして、 「シャマルゥゥゥ!真司が大変だ!早く来てくれぇぇぇぇ!!」 第十一話『完全復活』 「ヴィータ、さすがにあれはやりすぎやと思うで」 現在の状況を簡単に説明しよう。 真司を起こそうとしてあれだけの状態にしたことは、すぐに八神家全員の知るところになった。 で、正座したヴィータに向かってはやてが説教をしている状態である。 ちなみにシャマルは真司の手当てをしている…あ、目を覚ました。 「…あれ?俺…」 「あ、気がついたのね。えっと…実はかくかくしかじかで」 これで通じるのだから物語とは便利である。 そして事情を理解した真司がはやてを止めに入った。 「まあまあ、はやてちゃん。ヴィータも反省してるみたいだし、その辺で…」 「…せやな。被害受けた真司君もいいって言ってるみたいやし、もうええやろ。 ヴィータ、ちゃんと謝っとき」 そう言われ、ヴィータが真司に向き直る。 「…真司、さっきは悪かった」 「ごめんなさいは?」 横からシャマルが口を出す。 「…え?」 「『ごめんなさい』は?」 「…ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」 どう見てもモモタ○スです。本当にありがとうございました。 その数時間後、アースラ食堂。 「しっかし、平和だねぇ」 「確かにな…モンスターはたまに出ることさえ除けばの話だが」 クロノとエイミィは、平和を享受しながら昼食を取っていた。 ちなみに、クロノはきつねうどん、エイミィはカレーを食べている。 「それはそうだけどさ、でも今ならモンスターくらい、結構簡単に倒せるでしょ?なら問題ないって」 「それはそうだが…」 ヴィー!ヴィー!ヴィー! アラートサイレンが鳴り響く。何かが起こったようだ。 「エイミィ!」 「分かってるよ、クロノ君!」 二人揃って艦橋へと急ぎ向かった… と思ったら、クロノが戻ってきて代金を払って行った。どうやら代金を払うのを忘れていたらしい。 そして艦橋にて。エイミィがすぐにオペレーター席につき、オペレートを始める。 「この反応…モンスターじゃない!傀儡兵が多数出現!」 「傀儡兵だって?迂闊だった…最近出ないから忘れていたな」 そう、どういう訳かミラーモンスターが出始めた頃、それに反比例するかのように傀儡兵の出現が減っていったのだ。 そしてここ最近は全く出ないので、みんな忘れていたようだ。 「…と、とにかく、なのはさん達に連絡して傀儡兵の迎撃を!」 指示を出すリンディ。それまでに多少間があったことから、彼女も傀儡兵を忘れていたのだろう。 「ん?なんか外が騒がしいな。真司、お前ちょっと見て来い」 「あ、はい。分かりました。じゃあ行ってきます」 そう言うと真司は、鞄を持って外へと駆け出していった。 そして外が見えたとき…驚きで鞄を落とした。 「何だよこれ…鎧?」 傀儡兵がいる。それも大量に。そして、そのうちの一体が真司へと向かってきた。 「くっ、このっ!」 とりあえず向かってくる傀儡兵を蹴り飛ばし、鏡を探す。だが、それより先に傀儡兵が真司へと迫る。 やられる。真司がそう確信した次の瞬間、向かってきた傀儡兵数体が両断された。 傀儡兵が崩れ落ちた向こう側には、それを行った張本人、フェイトがいた。 「真司、大丈夫?」 「あ、ああ。こいつら一体何なんだ?」 「これは『傀儡兵』。魔力で動く鎧みたいなものかな」 「そうか…こいつらは敵ってことでいいんだよな?」 黙ってうなずくフェイト。それを見た真司は編集部へと駆け戻る。 「遅えぞ真司。で、どうだったんだ?」 「と、とにかく隠れてください!」 真司のただならぬ様子に、ただ事ではないと察する一同。 「まさか…モンスターが出たの?」 「似たようなもんです!じゃ、俺はそいつらと戦ってきますから!」 そして編集部の窓ガラスにカードデッキをかざし、右腕を左上にピンと伸ばす。そして、 「変身!」 Vバックルにカードデッキを装填し、龍騎へと変身。そして窓を開け、一枚のカードをバイザーに装填した。 『SWORDVENT』 窓からドラグセイバーが飛来する。それをキャッチした龍騎はこう言った。 「じゃ、行ってきます」 そう言うと、その開いていた窓から飛び降りた。驚いてその窓に駆け寄る一同。 そこから見えた光景は、傀儡兵の集団と、それを片っ端から両断するフェイト。 そして飛び降りてから着地までの間に傀儡兵をなぎ払う龍騎の姿だった。 「準備はいいね?じゃあ行くよ!」 フェイトが着地した龍騎にそう言い、そして傀儡兵の集団に飛び込んだ。 その頃、翠屋では。 「何て数なの?これじゃキリが無いよ…」 「確かに。これは少し骨だ」 なのは・ライア・ユーノが同じく集団を相手に戦っていた。 この日は偶然翠屋にアリサとすずかが来ていて、この二人となのはの家族を守りながらの戦いとなっている。 それぞれが傀儡兵よりはるかに上の実力があるといっても、数が数。さらに家族や友人を守る必要がある分、多少不利だ。 まあ、それでもかなりの数を減らしたのだが。 パリィィン 翠屋の方から窓が割れる音。傀儡兵が入り込んできたのだ。 「まずいよ!あそこにはまだアリサ達が残ってるのに…」 だが、次の瞬間、その傀儡兵が何かに貫かれた状態で飛び出してきた。 その傀儡兵を貫いている物体に、なのはとライアは見覚えがあった。 「あれは…オメガゼールの杖?何でこんな所に?」 そう、かつて戦ったモンスター『オメガゼール』が使っていた杖だ。 そして、他の傀儡兵の数もどんどん減っていっている。それを遂行しているのはモンスターの群れだった。 「どういう事だ?なぜモンスターが傀儡兵を…」 「…お見事。いい腕ね、佐野さん」 中から聞こえたアリサの一言が、その疑問を解消することになった。 それを言った時、近くから人影が現れる。 「アリサちゃんを守るように、って念を押されてますからね」 その人影が姿を現したとき、モンスターとその『佐野』の関連が分かった。 その佐野とは、銀の仮面に茶の鎧、そして二本の角を持つライダー、『インペラー』だった。 「じゃ、俺も行くか」 そう言うと、インペラーは飛び上がり、数体の傀儡兵を蹴る、蹴る、蹴り飛ばす、蹴り壊す。 着地後、カードデッキから一枚のカードを取り出し、足のギガバイザーに装填した。 『SPINVENT』 そして大きな二連ドリル『ガゼルスタッブ』を手に、さらに片っ端から穿つ。 「ユーノ君、手塚さん、私達も負けてられないよ!」 そう言ったなのはが、レイジングハートを構える。 『Load Cartridge.』 「ディバイィィィン…バスタァァァァァァ!!」 『Divine buster. Extension.』 特大のディバインバスターが、傀儡兵を一気に消し去った。 よくロボットアニメなどで、特大のビームで敵の群れを蹴散らす演出があるが、今のはちょうどそんな感じである。 それから30分ほど後、あらかた片付いたので一度全メンバーが合流していた。 「しかし、久しぶりに現れたと思ったらこの大群、一体何が起こってるんだ?」 クロノが率直な疑問を口にする。その直後、エイミィから念話が入った。 『どうも、その原因が出てきたみたいだよ。 海鳴市の近くの海に、大きな魔力反応。その近くには大物モンスターの反応もある』 「何だって?分かった。すぐに…」 『待って!その魔力反応、そっちに近づいてる。多分戦うことになるんじゃないかな…気をつけて』 「そうか…分かった。みんな聞いたな?」 「いや…俺には何のことだか…」 そう言って手を上げる真司。 「…そうか、ライダーとはいっても、魔力があるわけじゃないんだったな」 そしてクロノが真司に今の念話の内容を説明した。 多分手塚や佐野にも聞こえていなかったのだろう。二人ともその念話の内容を今聞いたような表情をしている。 『大きな魔力反応、来るよ!』 そのエイミィの言葉とともに、翠屋付近の空間が歪んだ。 そして、その歪みから現れたのは…P.T事件の関係者なら知っている、しかしこの場にいるのが信じられない存在だった。 「母…さん…!」 そう、現れたのはプレシア・テスタロッサだった。 次回予告 「プレシアァァァァァ!!」 「勘違いするな、俺はそのライダーを倒しに来ただけだ」 「傀儡兵呼んでたのこいつだったのか!」 「それじゃあ…死になさい」 仮面ライダーリリカル龍騎 第十二話『プレシア・テスタロッサ』 戻る 目次へ 次へ
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魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第一話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第二話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第三話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第四話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第五話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第六話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第七話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第八話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第九話 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典 第十話
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ズゥン… 轟音が鳴り響く。音とともに煙が巻き上がる。 煙が晴れたとき、そこにいたのはプレシア一人だけだった。 誤解の無いように言っておくが、決してクリアーベントで姿を消しているわけではない。 その証拠に、服のポケットにベルデのデッキがしまわれている。 「待っていて、アリシア…必ずあなたを生き返らせてあげるから…」 そう言うと、プレシアは去っていった。 後に残っていたのは、高見沢逸郎『だったもの』だけである。 「やれやれ、神崎士郎も人が悪いよ。あんなこと聞かせて発奮でもさせようって言うのかね?」 神崎が去った後、北岡がそう呟いた。 「先生…」 「だーいじょぶだって。まだ時間はあるしさ」 北岡の中にある病、それが彼の命を喰らい尽くすにはまだ時間はある。 それまでに終わらせないと、その病が北岡を消す…神崎はそう言ったのだ。 「大丈夫、俺は死なないよ。俺が死ぬより先に、この戦いに勝ち残るからさ」 北岡はそう言って、残りのスパゲティを完食した。 平日の昼だというのに、なのは達5人が大通りを歩いている。 というのも、今日は修了式で、学校は午前中で終わりだ。だからこんな時間帯に大通りを歩いていても不思議ではない。 「わっ!?」 なのはが青年にぶつかり、盛大に転ぶ。 「あ、ごめん。でも大丈夫だよね?」 青年は謝りはしたものの、そのまま歩き去っていった。 それを見たアリサが悪態をつく。 「何よあれ!ぶつかっておいてあれ?」 「いいよ、アリサちゃん。あの人も謝ってくれたし…」 そういって立ち上がるなのは。その時、聞き覚えのある声がした。 「…今日の運勢は最悪だな」 その声に振り返る一同。その先には手塚がいた。 いつの間にか今日のなのはの運勢を占っていたらしい。 「え…手塚さん、それ…」 「ん?ああ、これは俺が勝手にやっただけだからな。代金はいらん」 「いや、そうじゃなくて」 運勢は最悪。思い当たる節はいくらでもある。 午前中だけでバケツの水直撃、筆記用具を忘れる、人にぶつかり転倒、etc…とにかく不運なことが満載である。 そしてこの日の午後も不運なことが多々起こり、なのはにとって人生最悪の厄日となるのだが… とりあえず今回は先ほどの青年…東條悟がメインの話なので、しばし置いておこう。 第十話『香川研究室』 「えっと、401号室…ここだね」 東條悟は、校内で半ば伝説と化している部屋の前にいた。その伝説とはこうだ。 「かつて存在した『江島研究室』と呼ばれる研究組織。そこは鏡の世界の研究をしていた。 ある日、401号室で、鏡の中の怪物を鏡の外に引っ張り出す実験を行った。 結果的にその実験は成功したが、その怪物の手によって一人が重態となり、未だに入院中。一人はその後失踪し、残りのメンバーも学校を去り、散り散りになった。 それ以来、この部屋は封印されている」 …伝説というには多少新しい。なぜならこの伝説は、ライダーバトルの発端となった事件の一つだからだ。 そして、東條はその伝説の部屋『401号室』の門を叩こうとした。 …馬鹿馬鹿しい。伝説の真偽はともかく、この部屋は封鎖されている。門を叩いたところで誰かが出るとも思えない…東條はそう思い、門を叩くのを止めようとした。 だが、その予想は裏切られることになる。 「…人の気配がする」 封鎖されていて誰も入れないはずの部屋、それなのに人の気配。 それが意味するのは、この部屋に人間がいるという事実だ。 多少の恐怖心もあったが、何があるのかの興味が勝る。そして部屋の門を改めてノックした。誰も出ない 数秒ほどの間を置き、再びノックする。さすがに「気付かれている」と察し、出てきたようだ。 「…東條?お前、どうしてここに?」 「仲村君こそ…」 「で、東條君?何故君がここに?」 「…最近、おかしな事があったんです。その場にいないはずの人が出てきて、変な四角いものを僕に渡してきました。 それ以来、鏡の中の怪物が見えるようになって、そのうちの一体…虎みたいなのなんですけど、それに狙われてるみたいで… それで、ここの噂話に鏡の世界の研究というのがあったのを思い出して、何か分かるかと思って来たんです…どうかしたんですか?」 それを聞いた二人の男性…香川英行と仲村創が、驚いたような表情をして、顔を見合わせている。 「…東條君、その『四角いもの』というのを見せていただけませんか?もしかしたら、力になれるかもしれません」 「先生…分かりました」 いくら同じ学校の教授とはいえ、ほとんど初対面に近い香川を信じた東條。 そうさせるだけのカリスマ性が香川にあるのだろうか、それとも東條が「解決するなら何でもいい」とでも思っているのか。 それはともかく、東條が鞄からその四角いものを取り出す。 読者の皆さんにはお分かりだろうが、その四角いものとはカードデッキだ。ただ、モンスターと契約していないブランクのデッキである。 それを見た香川は、仲村と話し出す。 「仲村君、これはやはり…」「でしょうね…おそらく例の…」 何を話しているのか東條には聞こえていない。 そして話が終わると、仲村が後ろの戸棚から一冊の資料を取り出し、東條に渡した。 「東條、何も言わずにそれを読め」 言われた通り、東條がそれを読む。中身は東條にとって…いや、普通の人なら信じられない事ばかりだった。 「ミラーワールド、仮面ライダー、モンスター、願い…先生、これは一体?」 「…それが、あなたの参加している戦いの真実ですよ」 その言葉と資料で、東條は全てを理解した。 「東條君、いい物を見せてあげましょう」 そう言うと、香川はポケットからあるものを取り出した。 パッと見ると、それはライダーのカードデッキに似ていた。だが、細部が違う。 そして香川が鏡へとそれを向けた。すると、ライダー同様に腰にベルト(以降、ライダーのベルトはVバックルと呼称)が巻きつく。 そして、カードデッキを上に放り投げ、肩を突き出し、こう言った。 「変身!」 そして、落ちてきたカードデッキをキャッチし、Vバックルに装填。 その瞬間、黒いライダー…いや、ライダーとは少し違うが。それに変身した。 「先生、それは…」 「これが我々の作った擬似ライダー、オルタナティブです」 そう言うと、変身を解いた香川が言う。 「東條君、私達はミラーワールドを閉じ、戦いを終わらせる。そのために動いています」 それを言い出すということが何を意味するか、東條はすぐに悟った。 「東條君、私達に力を貸してください。我々でミラーワールドを閉じましょう」 やはり。予想通りである。 そして、東條はあることに思い至った。 「先生、ミラーワールドを閉じれば、僕は英雄になれるでしょうか…?」 「ええ、なれます。戦いを終わらせた英雄に、私達がなるのです」 東條の返事は決まった。 (僕は…いや、僕達は英雄になる…英雄になれるんだ!) それから数日後。東條が市内のビルの鏡から出てきた。 ちなみに例の虎のモンスター、デストワイルダーとはあの後契約を済ませ、東條は仮面ライダー『タイガ』となった。 「ふう、今回のは少し手ごわかったかな?」 そう言って401号室…いや、香川研究室へと戻ろうとした。 だが、後ろからの声でそれは中断されることになる。 「へえ、こんな所でライダーに会うなんてね」 声に気付き、振り返る東條。 そこにいたのは、仮面ライダーガイの芝浦淳である。 「もしかして、君もライダーなの?」 「そーゆーこと。じゃ、さっそく戦ろうか」 そう言ってカードデッキを取り出す芝浦。そして戦いが始まる。 東條は拳法の構えのようなポーズを、芝浦はガッツポーズのようなポーズを取り、そして… 「「変身!」」 互いに変身し、ミラーワールドへと入っていった。 ガイがメタルホーンを構え、タイガへと向かっていく。 そのタイガは手甲『デストクロー』を盾にし、受け止めた。 「ねえ、何で君は戦うの?」 突然の質問にガイが面食らう。 「はあ?何言ってんの?こんな楽しいゲーム、他に無いからに決まってんじゃん」 何という輩だ。ガイはこの殺し合いを、ただのゲームとしか思っていない。 「そう、分かった。ならそのゲーム、終わらせてあげるよ」 『ADVENT』 許せない相手は倒す。それがタイガ…いや、東條悟である。そしてガイはその許せない相手だったようだ。 ガイを倒すべく、デストワイルダーを呼ぶ。 それを見たガイは、肩のメタルバイザーにカードを放り込む。 『CONFINEVENT』 デストワイルダーの姿が消えた。驚いてガイの方を見るタイガ。 「こういうカードもあるって事」 こういうカード。つまり、他のライダーのカードを無効化するカードである。正直言って、かなり反則くさい。 それで焦ったのか、もう一枚のカードをデストバイザーに装填するタイガ。 …いや、焦ったのではない。普通ライダーが持つカードは、一種類につき一枚。ならばもうコンファインベントは使えない。そう判断したのだ。 もっとも、例外はあるのだが… 『FINALVENT』 再び現れるデストワイルダー。そしてガイを爪で捕らえ、引きずろうとした。 『CONFINEVENT』 どうやらガイのコンファインベントは、その例外だったようだ。 デストワイルダーが再び消える。もはやタイガの対抗手段が潰えたかのように思えた。 「カードは一枚じゃないんだよね。じゃ、死んでよ」 そして、一枚のカードをバイザーに放り込んだ。 『FINALVENT』 メタルゲラスが現れ、タイガにヘビープレッシャーを喰らわせようとする。 だが、タイガはそれを待っていたかのように、デストバイザーにカードを装填した。 『FREEZEVENT』 メタルゲラスが凍りつく。それを見て感心するガイ。 「へえ…こんなの隠してたのか。やるじゃん」 「こういう反則みたいなカード…君の専売特許じゃないんだよ」 そして、もう一枚装填した。 『RETURNVENT』 三度、デストワイルダーが現れた。 リターンベントのカードは、コンファインベントやフリーズベントで封じられたカードを復活させるカードである。 今回は、先程打ち消されたファイナルベント『クリスタルブレイク』を放つつもりだ。 さすがにカード復活は予想外だったらしく、ガイも大いに驚く。 「カード復活!?おま、そんなの有りかよ!?」 「目には目、歯には歯、反則には反則だよ」 デストワイルダーがガイを捕らえる。そしてタイガの方へと引きずっていった。 その当のタイガはデストクローを構えている。腹に突き立てるつもりだ。 「くそ…殺られてたまるかよ!」 だが、ガイも黙ってやられはしない。一枚のカードを取り出し、バイザーへと放り込んだ。 『ADVENT』 メタルゲラスが再び現れ、デストワイルダーを弾き返す。そして、メタルゲラスがデストワイルダーとの戦闘を始めた。 「く…あれ?あのライダーは?」 ガイがいない。どうやら逃げたようだ。 「帰ったのか…ま、いいや」 タイガはそう言うと、ミラーワールドを出て現実世界へと戻っていった。 次回予告 「起きろぉ!」「ごはっ!」 「迂闊だった…最近出ないから忘れていたな」 「お見事。いい腕ね」 「母…さん…!」 仮面ライダーリリカル龍騎 第十一話『完全復活』 戻る 目次へ 次へ
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魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典1巻 魔法戦記リリカルなのはForce 第1巻後書き 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典2巻 魔法戦記リリカルなのはForce 第2巻後書き 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典3巻 魔法戦記リリカルなのはForce 第3巻後書き 魔法戦記リリカルなのはForce 魔導辞典4巻 魔法戦記リリカルなのはForce 第4巻後書き
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魔法少女リリカルなのは GG ver.β duel 1 KEEP YOURSELF ALIVE 2.5 duel 2 It Was Called Victim duel2.5 Sack A Sage duel 3 The Mask Does Not Laugh duel 4 Walk in the dusk
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魔道戦屍 リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 第九話「夢」 守りたかった、大切な人をただ守りたかった。 見ず知らずの人間に鉛の弾を叩き込み屠る、その理由はたったそれだけだった。 「ブランドン」 暗い闇の中で懐かしい声が聞こえる。 それは守るべき組織の掟、慕うべき組織の長、組織(ミレニオン)のそのものとでも言うべき“あの人”の声だった。 「どうしたんだ、ブランドン?」 懐かしい声に俺は目を覚ます。 開かれた“両の瞳”に映るのは見覚えのある景色“あの人”と共によく過ごした緑と川のせせらぎだった。 そして俺の前にはかつての尊敬すべきボスがいた。 「どうしたんだねブランドン?」 「ビッグ・・ダディ・・・」 小川のほとりに立った初老の男は俺に語りかける。 それは俺の最愛のファミリーの一人だった尊敬すべきボス、ビッグダディ。 ビッグダディは不思議そうな表情で俺の顔を覗き込んできた。 気付けば、俺はビッグダディと一緒に川のほとりで竿をたらしていた。 「ボーっとして、最近はそんなに仕事が忙しいのかね?」 「・・・・いえ・・」 これは夢だとすぐに気が付いた。 俺の右目はハリーに撃たれた、ビッグダディは死んだ、これはあの日の・・・俺がまだ生きていた頃の記憶だ。 周囲を見渡せば記憶に残る森と小川が鮮やかな光景を映し出している、夢とは思えないくらい鮮明だ。 よくビッグダディとこの川で釣りをしていた事を思い出すのにそんなに時間は必要なかった。 俺はビッグダディに視線を戻す、ダディはあの頃と変らず。 「ビッグダディ・・」 「なんだねブランドン?」 「ビッグダディは・・・・守れなかった事はありますか? ファミリーを・・愛する者を・・・」 俺の質問にビッグダディは少し虚を付かれたのか少しだけ、本当に少しだけ俯き黙った。 そして顔を上げると静かに、本当に静かに口を開いた。 「ああ、あるさ。何度も・・・そう、数え切れない程にあるよ」 「・・・・」 重い、ただ言葉の残響が重いんじゃない。 そこに込められた後悔が悲しみがそして過去が重かった。 「なあブランドン。私はこう思うんだ、人は無力だと・・・」 「・・・無力・・ですか?」 「マフィアのボスであり、この街の・・・いやこの国の多くの権力を掌握する私ですらそう思う・・・人は無力だ。例えどんな力を以ってしても全てが守れる訳ではないのだとな・・」 「・・・」 俺は何も言えなかった。 人の身を捨て死人になってなお、多くの仲間をファミリーを守りきれなかった俺にその言葉はあまりにも重く濃い。 「だがブランドン・・・私はこうも思う、人は無力だとしても守るという行為は決して無意味ではない。一握りでも良い、たった一人でもファミリーを守れるのならそれは有意義なものだよ」 「ビッグ・・ダディ・・・」 瞬間、夢の像は幻と霧散した。 意識は再び元の時間へと飛び、ただ当てどない闇を彷徨い始めた。 △ 「彼の具合はどうだい?」 地下深くにその居を構える研究施設、そしてそこの主ジェイル・スカリエッティはいつものと変わらぬ声の調子でそう尋ねた。 質問を投げられた機人の長女もまたいつもと変わらぬ冷静な声で返答した。 彼らの目の前に映るモニターには隻眼の死者ビヨンド・ザ・グレイヴが座して静かに眠り、死人兵士の命綱である血液を交換している。 ここはスカリエッティが居を構える地下施設。 先の戦いで傷ついた死人の様子をこの施設の主であるスカリエッティ、そして彼の秘書である機人長女ウーノとグレイヴの身を案じるチンクが眺めていた。 「血液交換、体組織再形成ともに問題なし。すべて順調です」 「ふむ、流石は死人兵士だ。死に難さ、いやこの場合は表現が間違っているかな? 壊れ難さは想像以上だねぇ」 スカリエッティの言葉に、その場にいたチンクが少しばかり敵意を込めた鋭い視線を隻眼から投げた。 ナンバーズの中でも戦闘経験ならば二番手にはなるチンクの眼光、流石にこれにはスカリエッティも少しばかり肝を冷やす。 「ハハッ、そう睨まないでくれよチンク」 スカリエッティはそう言いながら苦笑した。 彼はこれでも生みの親である、チンクは理性で心の内に点火された怒気を消火、同時に眼光から鋭さを消す。 チンクは視線をモニターに移して眠る死人を心配そうに眺めた。 常人ならば致死必至の重症でも、彼にとっては血を入れ替えるだけで修復できる筈だ、現にもう全快に近づいている。 だがそれでも機人の少女の不安な心は消えない。 先の戦闘でオットー・ディード・トーレは行方不明、ルーテシアとゼスト・アギトも通信途絶、それ以外の多くの姉妹はチンクを含めなんとか帰還しながらも謎の第三勢力との戦いで傷ついた。 そして地上本部での戦闘の際、自分を逃がす為に傷ついたグレイヴの事を思うとチンクの胸は張り裂けそうだった。 「ん? このパターン、脳波の波形が妙だねぇ」 「なっ! それは何か異常でもあるのかドクター!?」 スカリエッティがモニターに映る数値を見ながら何気なく言った言葉にチンクが顔を蒼白に染めて詰め寄る。 スカリエッティはその剣幕にいささか目を丸くしたかと思えば、また嘲笑めいた苦笑を浮かべた。 「いやいや、そんなに心配する事じゃあないよチンク。たぶん彼は見ているのさ・・夢をね」 「・・・夢?」 「ああ。しかし興味深いねぇ、死んだ人間はいったいどんな夢をみるんだろうか」 スカリエッティはそう言いながら心底興味深そうに眠りに付く死人をモニター越しに眺めた。 チンクはそんな産みの親にまた鋭い視線を向けるが、彼はお構い無しに好奇の目をグレイヴに向け続ける。 そのスカリエッティにウーノがおもむろに口を開く。 「ところでドクター、オットーやディード、それにルーテシアお嬢様は確認できるのですが・・・やはりトーレの生体反応をトレースできません。作戦撤退からの経過時間を考えるとやはり・・・」 「ああ。死んだんだろうね」 まるでさも当然の事のようにスカリエッティは答えた。 その言葉には一切の感情が込められてはおらず、一片の淀みも無く言い放たれた。 チンクは思わず眉を歪めて苦々しげな表情になる。 確かにトーレの生存は絶望的だ、帰還したセッテの話や混乱した状況から収集した情報を元に判断すればそれが当然だった。 それでも姉妹の死を受け入れたくないという思いは強かった。 「ドクター・・一つよろしいですか?」 「ん? なんだいチンク?」 「トーレの事は・・・他の姉妹にはまだ伏せていても良いですか?」 「まあ別に構わないよ、結果がどうあれいつかははっきりする事だ」 「ありがとうございます・・・・ドクター」 呆気なくとれた了承にチンクは安堵した、これで姉妹も彼も少しの間・・・本当に少しの間だろうが悲しまずに済む。 隻眼の少女はその小さな胸の内に仮そめのやすらぎを感じた。 場には少しばかりの沈黙が流れる。だがそれを打ち破るようにけたたましいアラームが鳴り響く。 緊急通信回線が繋がった事を伝える警報音が空気を震わせる、モニターは自動的に通信相手を映し出した。 「これはこれは・・・しばらくぶりだねえ」 『そうだな。ところで今、お前の施設のメインハッチの近くに来ているのだがな・・』 そこには太目の体系にヒゲを蓄えた中年の男。 管理局中将にして今回の一見の黒幕、レジアス・ゲイズの姿があった。 「ああ、すぐに開けよう。お茶でも用意しようか?」 『いらん』 「そうかい」 聞くだけなら単なる会話にしか聞こえないがスカリエッティとレジアスの視線には明らかに敵意や警戒が含まれていた。 まあ、先の地上本部襲撃の件を考えれば無理からぬ事だろう。 会話はそこで打ち切られ、モニターはまた静かに眠る死人へと戻った。 スカリエッティは視線をウーノへと向けて口を開く。 「ではハッチを開けてくれウーノ。ああ、もちろんレーダーや魔力スキャンで周辺の警戒も忘れないでくれ」 「よろしいのですか? このタイミングであの男が現われたというのは・・」 「間違いなく先の一件が絡んでいるだろうね。だがここは私の城だよ? もしもの時は暴力的に解決させてもらうさ」 スカリエッティは自信をもってそう言うと、手にグローブ型デバイスを装着。 宙に展開したモニターで施設内に投入可能なガジェットドローンの起動を開始する。 「クアットロを呼んでくれ、あの子のガジェット運用と幻影が必要だ」 「了解しました」 「よし、ではチンクは下がりなさい」 「なっ!? ですがドクター・・・」 「君はこの前の戦闘での傷をまだ修復できてないだろう? 他の姉妹と待機していたまえ。それに・・」 スカリエッティはそう言いながらモニターを展開して訪れた客達を映し出す。 そこにはレジアスを含めた奇妙な男達が4人ほどいた。 「魔力量もほとんど無い人間が4人。遅れを取る相手ではないさ」 彼のその言葉にチンクは渋々ながらも指示に従い下がった。 だがスカリエッティは知らない、今回の事件にて現れた謎の怪人“オーグマン”を操り管理局に反逆する者こそがレジアスであり。 彼と共にいる者の一人である死人、ティーダがトーレを殺したという事。 そしてその彼らと共にいる残る2人がGUNG-HO-GUNSという名の超異常殺人能力集団であると事を・・・ 続く。 前へ 目次へ 次へ
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十二月二十四日――クリスマスイブ。 勿論ミッドチルダにはそんな風習は無く、その存在を知るものも極々稀にしかいない。 そして、『彼』はそんな極稀な例の一人だった。 「……クリスマスであるか」 異世界から迷い込んだ彼がミッドチルダとは別の、とある管理外世界の暦など知る由も無いはずなのだが、天の啓示によって彼はそれを知る。 「世間は未だカボチャの素晴らしさを知らぬ。これは、由々しき事態である。 ならば、緑黄色野菜の真価を知らしめるためには、我が一仕事せねばなるまい――!」 ――恐怖のイブまで、あと三日。子供たちにカボチャの魅力を伝えるため、彼は準備に取り掛かり始めるのであった。 リリカルパンプキン外伝 『ハロウィンサンタの復活である』 夜も更け、良い子はみんなは眠る頃、良い子の例に漏れず暖かなベッドに身を沈めていたヴィヴィオは、寝ぼけ眼でむくりとその身を起こした。 「……トイレ」 誰に言うともなしに呟き、彼女はふらふらと廊下へ出る。 学校も冬休みに入り、なのはママやその友人たちも偶然一緒に休暇をとれたという事で、なのはの家にみんな集まってちょっとした宴会があった。 それは数時間前にお開きになり、ヴィヴィオは寝かしつけられ、客人たちもそれぞれの家に帰っていき、なのはの恋人(?)であるユーノが残っているだけのようだった。 そして、ヴィヴィオが子供部屋を出た、その直後―― 窓ガラスが音もなく切り抜かれ、外から何者かが侵入してきた。 その何者かは、異様なシルエットの頭を揺らしながら、背負った袋の中をごそごそとかき回している。 そう、それは紛れもなくカボチャが大好きなあの人。彼は真っ赤な衣装と三角の帽子に身を包んでいた。 その姿はまさに、クリスマスの代名詞ともいえるあの人そのもの。その頭だけはかなりハロウィンだったのだが。 え? なんで仮面があるかって? だってアレが無いと無茶やらせられないし。 「ふむ。いつも良い子なヴィヴィオには、冷めてもおいしい我特製、このパンプキンスイーツセットを、――おや?」 空のベッドを見つめ、野菜頭のサンタさんは首を傾げる。 「はて、ヴィヴィオはいずこに?」 そうして部屋を見渡そうとくらくらと首を揺らす。 ちょうどその時、トイレから戻ってきたヴィヴィオが扉を開け―― 彼女はその場で、息を呑んで固まってしまう。 『クリスマス』を知らない彼女にとっては、カボチャ頭と真っ赤な衣装のダブルパンチ。 いや、そんな不審者が自分のベッドの傍に立っていたことも会わせてトリプルパンチだろうか。 ゆっくりとトラウマが刻み込まれつつあるヴィヴィオに、サンタさんはゆっくりと――その大きな頭をコマ送りに振り返らせた。 「……見…た…な?」 押し殺した低い声。ギ、ギ、ギと聞こえそうな不気味な動き。 可愛らしい顔を真っ青にして怯えるヴィヴィオは、必死に首を振った。 「……み、見てない……! 見てないよ……!?」 震える声で誤魔化そうとしても、目が合ってしまった後では、それも無駄な抵抗だった。 サンタさんは肩を揺らして、低く静かに嗤う。 「クックック……今宵のサンタクロースの正体を知ってしまった者を、このまま放置しておくわけにはいかぬ。 ――見られたからには是非もない。汝には悪いが……」 「……ひっ………!」 息を詰めるヴィヴィオに、サンタさんは歩み寄り、カボチャ頭を眼前に突きつけ、小さな肩をがっちりと掴んだ。 「……汝には悪いが、我が崇高なる使命を、手伝って頂くとしよう」 「え」 そこでヴィヴィオは気づく。目の前の不審者の声や口調が、みんなに大人気で自分も慕う『教会のパンタおじさん』のそれだという事に。 そういえば、よくカボチャの仮面がどうの、と言っていた気もする。 「て、手伝うって……?」 「うむ。汝の人を惑わす可愛らしさは、今宵の我にとって心強い味方である。 さぁ、汝も共に、子供たちへ愛と希望と美味しいカボチャを振りまくサンタさんへと変身するのだ!」 サンタさんがくるりとその場でターンするや、まばたきをする程の間に、 ヴィヴィオはパジャマからサンタさんの姿へと変わっていた。 それは、彼女の母親たちの服がBJに切り替わる一瞬さえも上回る、恐るべき早業。 真っ赤なミニスカートに可愛らしいちんまりとした帽子を被り、マスコット的な空気をこれでもかと醸し出す。 当然ながらヴィヴィオは慌てた。 「え、で、でもパンタさん、ママもう寝なさいって……」 「我はパンタではない! 今宵だけは、真の名であるパンプキン……いやいや正真正銘のカボチャなサンタさんである。 さぁ、いざ共に聖夜の使者として参らん!」 問答無用でヴィヴィオを抱え、サンタさんは窓から夜の大都会へとその身を躍らせた。 ◆◇◆ 一方その頃、なのはさんの家では―― 「それじゃ、そろそろヴィヴィオの枕元にプレゼントを置いてこようかな」 「クリスマスって、君の世界の風習だろ、なのは。あの子知らないんじゃ……」 「いいの!」 細かい事を気にするユーノにそう声をかけ、なのはは隠しておいたヴィヴィオへのプレゼントを取り出す。 クリスマスの風習を知る極稀な一人であるなのはも、常識的な手段で我が子にプレゼントを贈ろうとしていた。 ちなみに抱えているプレゼントはぬいぐるみ。 「ちょっと早いんじゃないかな? 少し前にトイレ行ってたみたいだけど」 「寝つきのいい子だから大丈夫。でも、静かにしないとね」 なのはがユーノを連れ、足音を消してそっと子供部屋の扉を開けると―― 目の前のベッドに、ヴィヴィオの姿は無かった。 「ヴィヴィオ……?」 思わずなのはは息を詰める。 ベッドの枕元には、プレゼントの箱と『メリークリスマスである』と書かれたカード。 更にその向こうには、切り抜かれた窓ガラス―― かつて愛娘を連れ去られた事を思い出し、慌てるなのはの鼻腔を『カボチャ』の匂いがくすぐった。 ◆◇◆ 『八神』という表札の掛けられた、一軒家の前で二人のサンタがボソボソと話し合っていた。 「よいであるか、ヴィヴィオ。先ほどと同じように汝がインターフォンを押し、 八神部隊長らが注意を向けている隙に、我が二階に侵入してプレゼントを置いてくるのである」 「わかった」 もともと明るく活動的な性格のヴィヴィオは、サンタさんと夜の街を跳ね回っているうちに、 どうにも楽しくなったらしく笑顔で頷く。 先ほどフェイトの家に侵入した時も同様の手口で、エリオとキャロにルーテシア、 ついでにクロノの子供たちへのプレゼントを置いてきたのだった。 サンタさんが家の壁に手をかけるのを見計らって、ヴィヴィオはインターフォンを押す。 ピンポーン♪と音が鳴ってはやてとシグナム、ザフィーラが玄関から出てきた。 「あれ? ヴィヴィオ、どしたん? 一人でこんなとこまで来たんか? それにその格好……」 訝しげなはやて達を見上げるヴィヴィオの視界の隅では、不気味なカボチャ頭が窓から侵入するところだった。 もう少し時間を稼がなくては。 そう考えヴィヴィオが適当な言葉を紡ごうとした瞬間、 ドゴンッ!! と、重い物を振り下ろしたような衝突音と振動が、二階から響いた。 「な、なんや!?」 それに応えたのは頭上からの二つの声。 「何モンだ、てめぇっ!?」 「カ、カボチャのお化けですぅ!」 それとともに二階からはサンタさんが飛び出し、ヴィヴィオの真横に着地する。 シグナムとザフィーラが身構えるより早く、サンタさんはヴィヴィオを抱え、向かいの家の塀の向こうへと跳ね飛び姿を消した。 一瞬遅れてベランダに、ヴィータとリインフォースⅡが現れる。ヴィータは既に相棒たる鉄槌を構えていた。 「てめぇ、待ちやがれ!」 「ヴィータ! 深追いしたらあかんっ!」 「だってアレが部屋で何かゴソゴソやってたから……」 「不審者でギリギリ犯罪者って感じやなぁ……。でもアレ、シグナム達は気づいたか?」 主の問いに、控えていた守護騎士たちは揃って答える。 「動きがパンタでした」 「匂いがパンタだ」 「やっぱりな……。カボチャ被ってたし間違いないんやろけど、何でサンタの格好なんや?」 答えは、二階から降りてきたシャマルが持っていた。 シャマルの手には大小二つの箱と一冊の本。 「『ユニゾンデバイス用カボチャマスク』に『カボチャランタン製作キット』。『八神家の下の子たちにプレゼントである』って。 こっちは『カボチャ料理百選』。『シャマル医師には是非とも料理の腕前を磨いて欲しいと考え、特別に大人用である』、だそうよ。 どういう意味かしら?」 「そういえばクリスマスイブやったね今日は……」 頭痛を堪えるようにこめかみを押さえるはやては家の中へと戻っていく。 とりあえずヴィヴィオの母親である親友へ連絡しなければならないな、と考えながら。 ◆◇◆ その後も、サンタさんの理不尽な活躍は、ひっそりと、大胆に続いた。 スバルとティアナを襲撃したり、 妹と水入らずの団欒を過ごしていたヴァイスにカボチャ頭を的にされたり、 どのような手段を用いたのか、更生施設のナンバーズたちにまでプレゼントの山を贈りつけた。 年末で賑わう繁華街を通る時に通報され、管理局員に追い回されたりもしたが、サンタさんにとってさしたる問題でも無かった。 ◆◇◆ 「――かーぼちゃー♪ かーぼちゃー♪ たぁっぷぅりぃー、かぁぼちゃー♪」 不気味なまでに低い声でどこか聞き覚えのある、無数のカボチャが迫ってきそうなメロディの歌を歌いながら、 ヴィヴィオを体に括りつけたサンタさんは、最後の目的地であるベルカ自治領・聖王教会の壁を、 カサカサと這うようによじ登っていた。 当初の予定では、警備の網をかいくぐって普通に建物の内部から侵入するはずだったのだが 隠密であるべきサンタの本分を忘れ本来容易くかわせたセキリュティにあっさり引っ掛かり、 巡回していたシスターや、騎士たちが警戒態勢に移行してしまったのだ。 ……生来目立ちたがり屋な彼に隠密行動など、もとより不可能だったのだろう。 当初は楽しんでいたヴィヴィオは、慣れない夜更かしに疲れてしまったのか、彼の背中でうつらうつら。 「かーぼちゃー♪ かぼちゃーたぁっぷり、かーぼちゃーが、やぁって来ぅるぅー♪」 どこか誇らしげに歌うサンタさんは、突起などほとんどない壁を危なげなく這い上がる。 仮面に隠され見えないはずだというのに喜色満面だと分かる顔と、ギラギラとした眼光が素敵なサンタさんはようやく目的のフロアの窓へ辿り着く。 そこは、孤児院の子供たちが暮らす区画。 子供たちの眠る部屋が並ぶ廊下で、サンタさんは腕組して考える。 目立ちたがり屋であり、これまで派手にプレゼントを配っていた彼だが、穏やかに夢見る子供を起こすほど無粋でもなく、 本来のサンタクロースがそうであるように、そっとプレゼントを置いて去るべきかと思案し始める。 そうして一分が過ぎた頃、サンタさんの真横のドア――幼稚園に通っている年頃の子供の部屋から、目をこすりながら一人の男の子が現れた。 男の子がまず目にするのは暗い廊下で、首をくらくらと揺らし愉快げにクックッと笑うカボチャ頭。 ヴィヴィオと同様にクリスマスを知らない男の子は――否、たとえクリスマスを知っていたとしても、 確実にサンタと認識できないであろうそれを見て悲鳴をあげる。 「お化けぇぇぇっ!!!」 その悲鳴に、まず眠っていた他の子供が起きる。次に灯りが点る。 サンタさんが配り始めたプレゼントに子供たちがはしゃぎ、興が乗ったサンタさんは自慢の手品や大道芸を披露。 それを聞きつけてシスターがなだれ込んで来る。 先頭には、監視カメラに移るカボチャが何者か即座に看破したシスター・シャッハ。 青筋を浮かべ、双剣のデバイスをカボチャに向けるも、その間にははしゃぎまわる子供たちの群れ。 どうにかそれを掻き分けようとする間に、サンタさんは 「メリークリスマスである、子供たちよ! プレゼントを受け取ったら、早々に床に就くのであるぞ」 当の自分が子供が起きた原因でありながら、しゃあしゃあとのたまい侵入した窓から飛び降り姿を消した。 ◆◇◆ クラナガンのとあるビルの屋上で、サンタさんはもう一人の小さなサンタに礼を述べる。 「ヴィヴィオよ、協力感謝するのである」 「うん……」 かなり眠そうなヴィヴィオにサンタさんは、袋に一つ残った大きめの箱を取り出す。 「これは、手伝ってくれた御礼である。我お手製のハロウィン・パンプキン人形、愉快に歌って踊る逸品であるからして、大切にするのであるぞ」 「ありがとう……」 「それと、今夜の事は他言無用。誰にも話してはならぬぞ? 特に……なのは隊長に話す事は厳禁である」 「へぇ~、誰に秘密なの?」 さんざん目撃されておいて、ふざけた事を言う彼の背後。 濃密な殺気に、サンタさんは振り向きざまその場を飛び退く。 直後――彼がいた場所に吹き飛ばす桜色の魔力光。 上空には、白いBJを着込んだ茶髪の女性。――高町なのはその人である。 「うちのヴィヴィオを一晩中連れ回してたみたいですけど、お話聞かせてくれませんか? パンタさん」 言葉とは裏腹に、その杖には光が充填されていき、 「うむ、話せば長いのであるが、今宵我は世にカボチャの魅力を知らしめるべく、サンタクロースとして――」 その状況でなお饒舌に語ろうとするサンタさんだったが、流石に砲撃は喰らいたくないのか、なのはから距離をとる。 彼の身体能力ならば、発射までにタイムラグのある砲撃魔法をかわす事など容易く、 サンタさんは冷汗を滲ませながらも、回避後にいかにして逃走を図るか思案する。 だが、その足元から湧き出すように現れた銀鎖が彼を縛めた。 「む?」 「今夜は久しぶりになのはと過ごせたはずだったんですよ? でも、あなたがヴィヴィオを連れてったお陰で、一晩中駆けずり回る事になって……。 これはそのお礼です」 いつの間にか忍び寄っていたユーノのバインドによって、サンタさんの動きは完全に封じられた。 何か思うところがあるのか、その中性的な顔は笑顔でありながらどこか寒々しいものを漂わせている。 「ま、待つのである! 天が人に言葉を与えたもうたのは、言い訳をせよとの思し召しであろうと我は愚考する――」 「ディバイィィィン バスタァァァァァ!」 尽くした言葉も空しく、発射された桜色の砲撃。 サンタさんは、かっくんと項垂れ、 「無念である」 吹き飛ばされた。 ◆◇◆ 後日、『真っ赤な衣装を着た、子供を脅かすカボチャ怪人が深夜の町を徘徊する』という都市伝説が生まれたり、生まれなかったり。
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魔法少女リリカル外伝 すごいよ!なのはさん クロス元:セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん 第一話 TOPページへ このページの先頭へ
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リリカル遊戯王GX 第二話 魔法とデュエルと謎の敵なの! 「保健室が無事なのは不幸中の幸いだったわね」 保険医である鮎川は十代の体に聴診器を当てながら呟いた。 十代とオブライエン以外のメンバーは生徒たちを体育館へ集めている、 二人はこの異世界に飛ばされる前に酷く消耗していた。 デス・デュエル――デュエルをするたびに、身に付けさせられたデスリングにその闘気を吸い取られてしまう恐ろしいデュエル、 十代はそんなデュエルを何度も繰り返すはめになっていたのだ。 最後にデュエルをした時、この世界に飛ばされる直前の事を十代は思い出す。 「あのオレンジの人影……あいつが何かをしたんだとは思うけど……」 「考えるのは後よ。それにしても、困ったわね」 「鮎川先生?」 「保健室のベッド、2つしかないのよ」 すでにここのベッドには先客がいた。 一人はオブライエン、崩落する瓦礫から身を呈して十代を助けた時の怪我で今は寝込んでいる、 そしてもう一人は万丈目 準、黒いコートを着た彼もまた、デス・デュエルの犠牲者の一人だ。 鮎川が悩んでいると、万丈目は突然目覚めてベッドから降りる。 「俺はもういい、貴様が眠れ」 「万丈目、大丈夫なのか?」 「サンダー、貴様のような腑抜けと一緒にするな。……ん!?」 万丈目は自分が寝ていたベッドに目を向け声を上げる。 そこにはどうにも気持ち悪い小さなモンスターが三匹存在していた。 「あら、兄貴お目覚めぇ?」 ―おじゃまイエロー― 攻撃力0 防御力1000 通常モンスター 「なんだ貴様ら! 何故実体化している!?」 「俺達に聞かれてもなぁ」 ―おじゃまグリーン― 攻撃力0 防御力1000 通常モンスター 「どう? 実体化したら俺達も結構イケてない?」 ―おじゃまブラック― 攻撃力0 防御力1000 通常モンスター 心の底から嫌そうな顔をする万丈目だったが、三匹のおじゃま達は楽しそうにその周囲を飛び回る。 はねクリボーまでそれに交ざり、万丈目はさらに驚きを深くする。 「お前の精霊まで!? いったいどういうことだ!」 「外はもっと大変な事になってるドン」 「剣山、みんなは大丈夫だったか?」 「デス・デュエルで倒れていた人も含めて、百人以上の生徒がここに飛ばされてるみたいザウルス。今頃丸藤先輩たちがみんなと話してる頃だドン」 その頃体育館ではちょっとした騒ぎになっていた。 無理もない、ここに来るまでの間に砂漠と化した外の世界を見てしまったのだ、恐怖と不安でいっぱいだろう。 「みんな、落ちついてくれ!」 「落ちつけるわけないだろ! いったい何が起こったんだよ!」 「小惑星が落ちて海が全部蒸発したとか……」 「俺はモンスターを見たぞ! 冗談じゃない、こんなとこいられるかよ!」 ヨハン達の声を聞かず、パニックになった何人かの生徒が外に向かって走り出すが、 いつの間にか出入り口にいたワニ(ジムが背負っていた奴である)によって阻まれる。 「Stop! こういう時は冷静さを欠いた者から倒れていくぞ!」 「でも、これからどうするの? 食糧とか、寝るとことか……」 小柄な少女、早乙女 レイが不安そうにヨハン達へ訪ねる。 彼女は中学一年になったばかりなのだ、デュエルでかなりの腕を持つことから高等部であるアカデミアに特別に編入されたが、 まだ13歳の少女にこの状況はかなり厳しいだろう。 ヨハン達もこの問いにはすぐに答えられなかったが、助け舟が出される。 「食糧に関しては大丈夫だよ、食糧保管庫とかは無事だったからね」 「トメさん!」 「寝床は毛布とかが用意されてるノーネ、人数分以上あるから平気なノーネ」 食堂のおばちゃんとして親しまれているトメさんと、 どこからか大量の毛布を持ってきていたクロノスの言葉に生徒たちは僅かに希望を見出す。 だが、続く会話にまたも落胆してしまった。 「トメさん、食糧はどれぐらいもちそうなんですか?」 「そうだねぇ……節約すれば、一週間はもつかね」 「一週間か……」 ヨハン達は「一週間猶予ができた」と考えるが、 他の生徒たちは「一週間しか時間がない」と考えてしまい、また騒ぎが大きくなっていく。 ヨハン達は再びこの騒ぎを止めるため動くこととなるのだった。 「……あら?」 「明日香さん? どうしたの?」 「そういえば、アモンがいないわ・・・…」 普段からほとんど使われず、こんな状況では誰一人として見向きもしない図書室に一人、アモンはいた。 明らかに人間の物ではない腕が入ったカプセルを目立たない場所に置いて、一人笑みを浮かべる。 「……ん?」 ふと外の様子を見ると、見覚えのない複数の人間がアカデミアに向かって歩いてくるのが見えた。 アモンはしばらく様子を窺い、モンスターの類ではない事を確かめると体育館へと向かう。 アモンに教えられてヨハン達はアカデミアに近づいているという者達を見に外へ出る。 大半が見慣れぬ格好をした女性だったが、意の一番にボロボロの格好の男が大きく手を振りながらこちらへ駈け出した。 「おーい! みんな、俺だー!」 「あれ、この声どこかで聞いた覚えが……」 「確か……誰だっけドン?」 「二人とも、同じ寮の人なんだから思い出してあげて……み、えっと、あれ?」 翔に剣山に明日香まで、誰も男の名前を思いだせないのを見てその男はその場に座り込んでいじけ始める。 「ふっ、いいんだ、わかってさ……どうせ半年以上いなくても誰も気にせずにいたんだ……」 「み、三沢さんしっかり!」 「きっと度忘れしちゃってるだけですって、た、多分……」 慌てて回りの女性――なのは達が男、三沢を励ます。 翔達も名前を聞いてようやく思い出したようで、「ああ、そういえば最近見なかったような……」と頷いて納得する。 「ヘイ、スモールガール、あの三沢って奴はいじめにでもあってるのか?」 「私も会ったことないから……って、その呼び方何だか嫌なんだけど」 ジムとレイが話してるのを横目に、ヨハンは三沢やなのは達に歩み寄る。 ……誤解の無いように言っておくが、遊戯王GXの主人公はヨハンではなく今保健室で寝ている十代なのであしからず。 「俺はヨハン、このデュエルアカデミアの留学生だ。あなたたちは?」 「私たちは時空管理局の魔道士です、えと、自己紹介は後々ということで、とりあえず中に入れてもらって構いませんか?」 十代やオブライエンも話を聞きたい、ということだったのと、 体育館に行ってまた無用な混乱を起こすのを避けるために、ヨハン達は保健室へと集まっていた。 さすがに全員は入れないので、剣山やジム、フリードなどのスペースを取る者は外にいる。 「えっと、その時空管理局っていうのが何なのかはわかったけど……」 なのは達から説明を受け、明日香は困ったように呟く。 確かに今までも異世界だったり、カードゲームをするだけで命を奪われかけたりと非常識な生活だったが、 真正面から堂々よ「魔法使いです」などと言われても信じにくい。 モンスターは信じたじゃないか、という声が上がりそうだが、やはり自分たちと同じ姿かどうか、というのは偏見ではあるが大きいのだ。 「皆さんは三沢さんがこの世界に飛ばされた事故とは違う理由でこの世界に飛ばされたんですよね?」 「はい、あくまで予測でしかないですが」 「そうか……帰る手段は無いんだな」 ヨハンとのやり取りを聞いていた三沢が項垂れる。 彼はシュタイン博士という量子力学の研究をしている人に憧れ、 半年以上前からずっとその研究をしていたらしい(その間誰一人としていないことに気づかなかったのは伏せてある) ある日、実験中の事故によってこの世界に飛ばされてしまいモンスター達から逃げ回っていたそうだ。 「シュタイン博士は、この世には12の次元世界があるとおっしゃっていたが……実際にはもっと無数にあるんだな」 「でも、個人レベルでそこまで見つけるなんて並大抵のレベルじゃないわ、天才なんて言葉じゃ足りないかも」 ティアナの言葉に三沢はどこか嬉しそうな表情になる、自分の憧れの人間が褒められるのはやはり嬉しいのだろう。 それまで黙っていた翔が、恐る恐るなのはへと尋ねる。 「あの……もしかして僕ら、無断で別の世界へ飛んじゃった、ってことで何か罪になったりするんですか?」 「ああ、そんなことは無いですよ、悪意があったというならともかく、皆さんは被害者ですし」 「それにこの世界はまだ管理局の管理下にありません。私たちに強制力はないですよ」 なのはとフェイトの言葉に一同胸を撫で下ろす、 やはりどこか不安だったのだろう、こんな見知らぬ世界で犯罪者扱いはごめんである。 「本局に連絡して皆さんの元の世界を探してもらいますね」 「元の世界が見つかったら、俺たち帰れるのか!?」 「よ、よかったぁ、一時はどうなる事かと……」 十代達は安堵感から一気に緊張が解けるが、 なのは達は逆に表情を強張らせる。 万丈目がそれに気づき、聞きたくないと思いつつも問いかける。 「お、おい……どうした?」 「……フェイトちゃん」 「ううん、私もダメ、エリオ達は?」 「僕たちもダメです……」 「私もです」 「本局との通信が、通じない……」 呆然と呟いたスバルに、十代たちに再び絶望感が蘇ってしまう。 「ど、どういう事だ!?」 「わ、わからない、念話をしようとするとノイズが……ジャミング?」 「みんな、少し離れて」 なのはの言葉に従い、全員が保健室から出る、 十代とオブライエンも大分回復してきたようだ。 なのはの足元に魔方陣が現れ、十代達は「おお!」と驚き――乾いた音を立てて魔方陣が砕け散る。 「な、何が起こったザウルス?」 「ダメ……転移魔法もキャンセルされる」 「そ、それじゃもしかして、私たちも帰れない……?」 「そうなる、ね……」 『んなっ……!』 なのは達の会話から、十代達は希望が断たれた事を知る。 一度期待を持たされてから叩き落とされる方が答えるものだ、翔は沈み込んでしまっているし、レイに至っては不安で顔が青くなってしまっている。 だがヨハンやアモン、オブライエンに明日香といった冷静なメンバーもショックは受けていたもののまだ思考を巡らせる余裕は残っていた。 「と、とにかく、そういうことなら俺達は同じ立場ってことだな」 「そうなるとまずいな、食糧の配分等を考えるとまた騒ぎになるかも……」 「あ、食糧なら大丈夫です」 「数日分なら持ってきていますし、その気になれば一週間ぐらいは水だけでも」 「なるほど、未知の場所へ向かうなら必須のスキルだな」 「そ、そういうものなの?」 食事の心配はしなくていい、というのは助かるが、だからといって状況が変わった訳ではない。 ゴール直前で振り出しに戻ってしまったようなものだ。 「体育館のメンバーにも人数が増えたことを伝えないとな……」 「いつモンスターが来るかわからん、単独行動は控えさせるべきだ」 「俺は全員でいるなど御免だぞ! 窮屈でかなわん!」 全員で話し合い、数人のグループ毎に行動することを決定する。 なのは達は色々試し、念話を始めとした通信手段と転移魔法のみが使えなくなっていて、他の攻撃・防御呪文などは使える事が判明した。 十代達は自力で自分の世界へ帰る方法を、なのは達は魔法を封じている存在を探すことをそれぞれの方針とする。 ――時は過ぎ、夜 「……?」 「えっと、ごめんマルタン君、ちょっと着いて来て欲しいんだけど……」 毛布に包まり寝ていた男子生徒、加納 マルタンは突然レイに起こされゆっくりと立ち上がる。 「どうしたの……?」 「や、えっとそのー……とにかく一緒に来て!」 レイは何故か頬を染めながら無理矢理どこかへ連れて行こうとする。 マルタンは首を捻りながらついて行くのだった。 「馬鹿な!?」 自らの組んだグループから密かに離れ、アモンは図書室へ来て驚愕の声を上げた。 カプセルに入っていたはずの腕がなくなっていたのだ、無論一人でに出ていくわけがない――とは言いきれなかった。 「馬鹿な、俺以外を選んだというのか……!?」 アモンは歯を食いしばり、とても十代達の前にいた時からは想像できない怒りの表情に変わっていた。 オレンジ色の人影、そうとしか形容できない「それ」は跳ぶようにアカデミアの廊下を進んでいた。 『闇……心に大きな闇を持つ者……』 突然現れた魔法使い達にもそれぞれ闇はあったが、どれも光に抑え込まれてとても憑けそうにない。 とりあえず外部との連絡手段は断ってやった、あいつらがいるだけなら構わないが「彼」まで連れていかれては困るのだ。 その影は更に進んでいき、二つの人影を発見する。 『見つけた……』 影はスピードをあげ、人影――レイとマルタンへと近づく、そして…… 「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」 レイの悲鳴が夜のアカデミアに響き渡った。 続く なのは「本局との連絡は途絶え、十代君達の元の世界の人達も手だしができない……」 十代「それでも諦めないぜ! デュエルも人生も、最後の1ターンまで分からないんだ!」 次回 リリカル遊戯王GX 第三話 飛べスバル! ペガサスに乗る魔法拳士! 十代「こ、こんなデュエルもありなのかぁ!?」 十代「今回の最強カードは、って今回はデュエルしてないんだったか」 なのは「なら、今回はこれで!」 機動六課 フィールドカード 「スターズ」「ライトニング」「ロングアーチ」の名前がつくカードの攻撃力と防御力が300ポイントアップ そのカードが破壊された場合、デッキからカードを一枚除外することで破壊を無効にする 十代「次回もよろしくな!」 なのは「ガッチャ! なんちゃって♪」 前へ 目次へ 次へ
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