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666 :「司書再戦」 ◆FePZUCQ9Q6 :2006/05/28(日) 03 39 01 ID ulFuBnap ガサガサガサガサ。ガサガサガサガサ。 それは総本山の千本鳥居を駆け上がる。 「説明するの大変やから、えい」 亜子の顔から生えてきた木乃香の魔力体の指が、楓の後頭部にずぶりと突き刺さり、亜子と木乃香がシンクロする に至る過程と、現在の総本山の状況を伝える。 「なんだか妙な気分でござるなー。脳に直接何かを繋げられているような……うーむ」 亜子を背負いながら半壊した総本山を駆ける楓、しかし本山はハルナの鬼蜘蛛にほぼ占領されており、逃げ道らし きものはない。 「よっ、と」 飛び掛ってくる鬼蜘蛛の、頭を踏みつけて楓は飛ぶ。すると、爪先から気を叩き込まれた鬼蜘蛛の頭はスイカのよう に割れた。 楓が軽やかに舞うたびに、鬼蜘蛛たちは爆散してその身体を散らした。 「いやー、楓ちゃん、かなりレベルアップしとるなー。鬼蜘蛛相手じゃ勝負にならんかー」 「ほんま、戦ったらウチ、負けそうや」 「冗談でも、それだけは勘弁願いたいでござる」 「……うん。…………せやな」 楓が冷や汗を垂らしながら、亜子と木乃香の声に応えた。亜子は楓の背に、少し眠そうな顔を埋める。 「不測の事態が起こるやも知れんので、意識だけは保っていて欲しいでござる」 「大丈夫、ちょっと疲れただけやから」 亜子は楓の身体に、ぎゅっとしがみ付く。 「うむ。しかし、これからどうするかが問題でござる」 無数に蠢く鬼蜘蛛、そして空には―――。 「あれの倒すのは、今の拙者たちでは無理でござるな」 半身のハルナと木乃香の魔力体が、しつこく隕石を量産して空爆を開始しようとしていた。さすがに以前の魔力は見 られないが、それでも総本山を吹き飛ばすぐらいの攻撃は繰り出せそうである。 ガサガサガサガサ。ガサガサガサガサ。 それは、総本山にいる楓たちをみつけた。 「楓ちゃん、あそこ!」 木乃香の声が響く。楓が見た先にあったのは、ぽっかりと開いた穴。それは巫女の結界内部で、亜子に撃退された ほーちゃんが逃走した穴だった。おそらく、地下深くまで続いている。しかし、出口があるかどうかは分からない。もしも、 ほーちゃんが総本山から逃走して地上に出ているのなら、それは総本山から脱出するトンネルになり得る。しかし、 その可能性は極めて低い。地下でほーちゃんに再び遭遇するか、もしくは穴が崩れて生き埋めになるか―――。 「どう見ても地獄行きのトンネルでござるよ!」 「でも、もう時間が……」 上空の木乃香は、今にも隕石の雨を降らしそうである。 そして、穴の向こうからは、雪崩のような鬼蜘蛛の大群が迫ってくる。総本山周辺に散っていた蜘蛛たちが集まって きたのだ。いくら楓でも、簡単に潜り抜けられる数ではない。 「ええい、いちかばちか! とう!」 穴に飛び込んだ楓は、暗闇の奥へ落ちていく。 「きゃあああああああああ! 待って! ちょっと待って! きゃああああああああああ!」 「亜子ちゃん!? 落ち着いて、どうしたん!」 「ウチ、こういうのアカンねん! 胸、気持ち悪……ジェットコースターみたい……!」 「お主、真祖でござろう! そこは我慢するでござる!」 「慣れやって、慣れ。ついさっきも、三条殿に思いっきり空から落とされとったやん」 「あんなんで慣れへん! よけい怖くなってもーた! ひやああああああああああ! 助けてええええ!」 ガサガサガサガサ。ガサガサガサガサ。 それは8つの眼を持ち、少女を乗せて迫りくる。 半泣きの亜子の頬を、何がが掠った。 頬が切れて血が流れ出し、血は落下する亜子の頬から、上に流れていく。 亜子の様子が一変して冷静な顔になり、背負っていた楓がその豹変に震え上がる。 恐ろしい殺気。 立派な真祖だ。 それが告げている―――。 敵がくる、と。 「銃撃、やと思う。上から。距離は100mぐらい」 上から迫り来る敵の気配を読む亜子。楓は左右に壁を蹴ってジグザグに動き、相手を撹乱する。暗闇とはいえ、楓 も周囲の気配を読んで大まかな状況は把握している。亜子が知っていてそれを言ったのは、単なる状況確認にすぎ ない。 「何者でござろうな?」 「ウチ、前に、この銃で撃たれたことがあるわ。そういえば、直接決着はつけてなかったかな」 瞬間、楓の周囲が明るく照らし出された。 地下へと続く闇。 眩い光は上から。 敵が、楓と亜子に狙いを定めるべく、光源を動かしたのだろう。 落下し続ける穴の中、逃げ場はない。 「仕留めるしかないでござるな」 * ガサガサガサガサ。 ガサガサガサガサ。ガサガサガサガサ。 「逃がさないー。今度こそ逃がさないー! 今度は、私が勝つですー」 鬼蜘蛛の巨体は土の壁を器用に駆け下りる。 そして、それに掴まる1人の少女。巨大なライトを鬼蜘蛛の背中に設置している。全身に巻きつけた銃器の弾丸に、 腰にぶらさげたモーニングスター。背中にはハルナの羽を生やし、手には巨大な魔法銃。そして、花の周りを飛ぶ蝶 のように、少女の周囲を舞う2冊の本。 一冊は少女のアーティファクトで、有効範囲内の相手の心を読む。 一冊はハルナが造った兵器で、有効範囲内の相手の心を殺す。 「ふふふふ、今度こそ蜂の巣にしてやるですよー、長瀬さん、そして、「エヴァ」さん」 前髪に半分隠れた少女の顔が、歪んだ笑みを形作る。 クラスメイトの宮崎のどかの形をした怪物は、鋭い牙を覗かせ亜子たちを見据える。 「ハルナが創ってくれた「ブラックリスト」、今こそ、その力を見せてやるですー!」 少女は微笑んで周囲を舞う本に、さらさらとペンを滑らせる。 * ブラックリスト―――。 のどかの黒い本、美砂や円には恐怖と畏敬の念を込められて「アレ」とだけ呼ばれていたその物体は、ハルナが非 戦闘員ののどかの為に創り与えた広域攻撃兵器。 モデルにしたのはのどかのアーティファクト「魔法の日記帳」である。有効射程範囲は本から200メートル。その範 囲内にいる対象の名前を唱えれば、ブラックリストは自動的に対象の脳内情報を読み込み保存する。そこで対象の 名前を墨で塗り潰すと、対象の意識は墨に染まったように暗転して停止し、そのままのどかの命令を聞く傀儡に成り 果てる。解除するには、ブラックリストから該当するページを破り取らなければならない。 即ち、攻めてくる敵の名前が分かっていれば、名前を言う→塗り潰すという数秒の動作によってその敵を精神崩壊 させて奴隷にできる。 亜子は無人都市の戦いで、のどかの持つこの本に対抗するために、名前を変えた。結果としてそれは不発に終わ り、史上最強の魔法兵器は使用されること無く消滅した。 楓も学園都市が破滅するヴィジョンを見たときに、この本の恐ろしさを垣間見ている。 「名前がばれとる! 楓ちゃん!」 「あの本は……まずいでござるな!」 楓は左右の壁を蹴ってスピードを殺すのを止め、逆に壁を蹴り上げて落下スピードを増した。 結果として、のどかの本の200メートルの射程圏内から何とか逃れる。 * 「しかし、もう、鬼ごっこも終わりのようですねー」 のどかはにやりと微笑む。それは、この穴の底が近いことが予測されるからだ。 どれだけ強力な術者であろうと、200メートル先の敵を一瞬で倒すのは難しい。ましてや、完全に足手まといの亜子 を背負った楓が、上空ののどかに反撃するのと、のどかが楓の名前を塗り潰すのはどちらが早いだろうか。楓の動き を止めてしまえば、ろくに動けない亜子を仕留めるのは容易いだろう。 「私の勝利は決定的ですー。私の特性をハルナが描き、それを私が使う。この「司書」である私が―――」 名前を知るだけで心を殺す。そこにはいかなる体格差も、腕力差もない。 圧倒的なルールがあるだけだ。 「力だけが強い人が勝つような時代は、もう終わりー。これからはー、ここの差がものを言うんです」 頭を指してのどかはにやりと嗤う。 知性に相応しい強力なアーティファクトを与えられたという自信が、そこにある。 * 「まずいでござるな……」 「どないしょう……」 亜子と楓は呆然と、迫りくる「底」を眺めていた。 幸い、ほーちゃんはいなかった。 しかし、底で止まれば、すぐにのどかの本の射程圏内に入るだろう。 「……そんな、ここまで来たのに、やっぱりアカンの?」 木乃香の声に、答えは返ってこなかった。 数秒後―――。 「ふっふっふ、あははははははははは、私の勝ちですー」 ブラックリストにより、穴の底で倒れている楓と亜子と、勝ち誇りながらそれを見るのどかの姿があった。 亜子と楓の名前を塗り潰した黒い本が、のどかの手に握られている。 彼女たちが着地して1秒後に、2人はのどかの本の射程に入った。 のどかへの抵抗は無かった。 2人は寄り添うようにして、倒れていた。 「魔法の本が叶えてくれる―――ハッピーエンドは、もうすぐそこ」 (続)
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『zip◆666loverg.』はBARギコっぽい一般の住民である たまご。◆TK345qZaVsの玩具である。 zipでくれ。 ↑圧縮すんぞ このページの訪問者 -
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RS-666 ジェットラス 種類: カテゴリ: BP: SP: 必要パワー: 追加条件: CN: 特徴: テキスト: 対応FAQ なし
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きめら No,666【登録タグ GUMI き 曲 桜華】 作詞:桜華 作曲:桜華 編曲:桜華 唄:GUMI(Adult) 曲紹介 これは 悲しい 悲しい物語 誰にも言えない 誰も助けてくれない ずっと1人ぼっち 桜華氏 の6作目。VOCAROCK。 同氏初の再生数10000回を突破した。この曲をきっかけに新人Pとして注目される。 ギターは 特訓P が演奏。イラストは 煙花氏 の描き下ろし。エンコードは 自遊氏 。 歌詞 狂う程に求める 戻れなくなる 血はまだ赤い 理性残ってる 口の中にへばりつく 生きる痛みが また今日も声をあげる 食い荒らせ 爪を立てて 頭はねられ 右は潰され 左ねじられ 舌は焼かれる 鏡の姿 変わり果てたわ 奇妙な姿 これはそう キメラ 散らばる破片 これは夢の出来事? 記憶を亡くした明日なきhuman 存在否定のカラクリ召喚 暗い つらい 痛い 怖い Don't see 瞳に映ったサヨナラ Lie heart 無機質な檻と 蠢く体が 私の心(なか) 奪い去る 狂う程に求める 戻れなくなる 血はまだ赤い 理性残ってる 口の中にへばりつく 生きる痛みが また今日も声をあげる 食い荒らせ 爪を立てて ある日気付いた 消え逝く心 目が覚めたとき 飛沫 血だまり 鏡の姿 変わり果てたわ 微笑む姿 これがそう キメラ 噛み切る快感 これも 夢の出来事? 苦痛に歪んだ表情停止 高鳴る鼓動は行動開始 前菜 副菜 主菜のレシピ 思考回路はそろそろNoisy 無機質な檻と 蠢く体が 私の心 奪い去る 散らばる破片 これは 夢の出来事? 最悪の災厄のように 抗えない抜け出せないmay be 覚えてる 覚えてる そうだ私の名前は 食い足りない 食い足りない まだまだ 満たされない 満たされない All right 噛み砕く 噛みちぎる Death bite 食い足りない 食い足りない 衝動 壊れた檻を 蠢く体が 寂しそうに見つめてる "元"一つなの? "今"一つなの? それすらも わからない 狂う程に求める 戻れなくなる 血はまだ赤い 理性残ってる 口の中にへばりつく 生きる痛みが また今日も声をあげる 光見つめ求める 戻れないのに 血はまだ赤い 泣くこともある 爪の中にまだ残る 生きる痛みが また今日も声をあげる 狂うように求める 戻れないのに 血はまだ赤い 理性残ってる 腹の中にまだ残る 生きる痛みが また今日も声をあげる 「食い荒らせ 満たされない」 コメント 追加乙! -- 名無しさん (2012-01-19 07 41 34) 桜華氏凄いです(^-^) -- レイ (2012-04-15 09 33 13) すごいWIKIにうpされてる -- にゃにゃす (2012-04-21 13 19 57) 名前 コメント
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No.666「ビビヨン」 りんぷんポケモン たかさ:1,2m おもさ:17.0kg タイプと特性 タイプ: むし/ひこう とくせい: りんぷん/ふくがん/フレンドガード 特徴 序盤虫。所持しているソフトの地域によって羽の色が変る。そのため、世界中のビビヨンをコレクションする、リアル蝶ハンターがいるとかなんとか… 色違いはどうなるの! と思うが、身体の色がちょっと違うだけで、羽の色は同じである。 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 80 52 50 90 50 89 特性「ふくがん」による高い命中のねむりごなとぼうふうが特徴。 スカーフを持たせてぼうふうを使っているだけでも滅茶苦茶強い。 欠点は虫ポケモンであるが故に、ひこうタイプを先制でぶちかましてくるファイアローに弱い事。4倍弱点もかぶっているので、同じ対策でも駆除されてしまう。 生まれた時代が違えば、トップメタの一角になっていただろうに…… ちょっと変った技としてふんじんがある。優先度があり、これの対象になったポケモンが、そのターン炎技を使うと爆発して4分の1ダメージをおう。 CPUは一切気にせずに使ってくるので簡単に爆発する。キッズも気にしないで炎技を使うの簡単に爆発する。「」はさすがに爆発しない。と思いきや、時々爆発する。 育成指南 特性はふくがんを推奨。これによりねむりごなもぼうふうも90%以上の命中率で使えるようになる。 見た目通り、物理技はたいした物を持ってないので、特攻特化推奨。足も決して速いわけではないが、防御も特防も高くないので、死ぬ時は死ぬと割り切って素早さに降ってしまおう。 ただし、ステルスロックのダメージ量の兼ね合いから、HPは奇数になるように調整しておこう。 持ち物はスカーフかタスキ。自分より遅い相手しか相手しないと決めているなら、いのちのたまやこだわりメガネも十分ありうる。 わざはねむりごな/ぼうふう/むしのさざめき。タスキならちょうのまいを使って決定力をあげるのもいいし、複数戦ならアロマセラピーを覚えさせておくのもいい。 地味にエナジーボールも覚える。隠し持っておくと便利。 コメント
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登録タグ Googleフォーム復活ワード ゲーム ビックリ ホラー 危険度3 深層Web 謎 深層ウェブで見つかった謎のゲーム。制作者や制作の意図は不明。 ゲームをスタートするといきなり不気味で意味不明な映像が流れる。 その後は不気味な場所で主人公の黒い影を操作する。BGMもかなり不気味。 ゲームで表示される文章も崩れているものが多い。 また、ビックリ要素もあるので注意。 関連項目:sad satan、ZELDA 633393336、sonic.exe 分類:ビックリ ホラー 謎 危険度:3 コメント まぁ、深層webだからね -- あんかー (2018-04-08 00 21 20) このゲーム見つからないやん...あほらし -- 名無しさん (2018-04-21 13 26 49) あまりにクソゲーでむしろ笑える -- 名無しさん (2018-05-19 17 19 12) あ -- 名無しさん (2018-06-11 17 47 09) コメントに書きまくったら追加されてたやった~ -- 名無しさん (2018-07-21 19 38 20) 音楽はAmnesia ゲーム自体はまさかのRPGツクール・・・ -- 名無しさん (2018-08-11 15 42 07) LAST DAY.EXE 666...最後の日.exe666...あってます? -- 名を名乗らない (2019-07-28 16 37 10) ↑草小学生か? -- 名無しさん (2019-09-22 00 46 17) 名前 コメント
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RS-666 ジェットラス Mユニット パワー4 CN- BP3000 SP- ノーマル 追加条件 ※ウイング ※敵軍ターン中、これが撃破されて捨札になったとき、自軍パワーゾーンに置いてもよい。 航空機/炎神 オーバーテクノロジー 炎神戦隊ゴーオンジャー フレーバーテキスト 私の牙からは逃げられない。このまま一気に追いかけよう。 備考・解説 イラスト 矢薙じょう 収録エクスパンション 第9弾自販機&パック 関連カード 合体先 RS-686 セイクウオー Q&A Q: A:
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「へ、返信が来てます……!」 戦艦扶桑が小さく声を上げたのは、そんなタイミングだった。 カウント1―1。 崖の際に作られた形ばかりの球場には、低く傾いた日差しが森の陰から薄い光を差し入れている。 翳ってくるその陽光に、バッターは更なる活気を得るかのようにその巨体を蠢かせる。 対するピッチャーは、未だマウンドに倒れ伏したままだった。 耳から垂れる血液を、打席から伸びた触手がすすっている。 投手クリストファー・ロビンは、自分の渾身の魔球を打者ヒグマードがこうも容易く攻略してしまったことを、信じられなかったのだ。 彼らを見守る場外の位置で、扶桑はその大きな艤装を縮込めるように耳をそばだてている。 三塁側ベンチに相当する場所にアイドリングするグリズリーマザーの屋台バスの中は、緊張に満ち溢れていた。 穴持たず696・戦刃むくろが、扶桑の横から声をかける。 「扶桑、返信って!? 誰か助けに来てくれるの!?」 「誰だかわかりませんし、そもそも文にもなってないし、信号強度も弱い……。 でも確実に私の電報に気づき、接近してきてます……」 扶桑は南の空を見上げ、耳を澄ませるように目を閉じた。 純正の無線機からの信号ではない。 扶桑もついさっきまでは単なるノイズだと思っていたのだ。 だがノイズのようにも思えた電波の軋みは、一定の間隔を保ったまま確実にこの崖の方へと近づいてくる。 その動きで、このノイズのような軋みが、何者かからの返信であると彼女は確信していた。 「たまたま誰かが、即席の無線機になる物資を持っていたってこと……? 電報の内容わかってるのかしら……?」 「ドップラー効果から波長の遷移をみると……、だいぶ速い気がします。 グリズリーマザーさんのような車か、それともヒグマか……」 「参加者でもヒグマでもどっちだっていいよ、この状況がどうにかなるならねぇ……!」 二人の会話に、さらに隣から青毛のヒグマが唸りを加えた。 グリズリーマザーは、バスの外で立ち竦む少女を見つめながら牙を噛みしめる。 その少女、黒木智子は、目の前で倒れた少年の姿に悪寒を堪えきれなかった。 「まだ1対1だ……。まだ、勝負は決まっちゃいない……!!」 『ああ、その通りだ人間。まだ私を倒せる可能性は存分に残っているだろう?』 彼女の視界で、クリストファー・ロビンはようやく立ち上がる。 その口調は、強気ないつもの彼のように聞こえる。 「……焦っていますね、いけません……!」 「ふぅ……、空威張りはやめるのだな少年。所詮、分不相応な目論見だったのだ」 「何を言ってるんですか、神父さん……!」 だが、同じく場外で見守るヤスミンと言峰綺礼は、口々にそんな言葉を呟いた。 ロビンが言峰のセリフに噛みつくようにして振り向く。 言峰は彼に向けて、あまりにも無垢な愉悦に満ちた微笑みを向けるばかりだ。 バスの乗降口から半身を乗り出したヤスミンが、不安げな視線を両者に向ける。 勝負に集中できず、外野の発言に心を乱されたその振る舞いこそが、ロビンの焦燥をありありと物語っていた。 頭に血が上ってしまったかのように、彼はいきり立って叫んだ。 「僕の魔球が、攻略されるわけがない……!! 必ず、討ち果たしてみせるとも!!」 『そうだ、来い……!! その意気だぞ人間!!』 「だッ……、だめ、駄目だよっ!! ロビン!!」 そのまま投球姿勢に入ろうとしたロビンを差し止めたのは、黒木智子の裏返った叫び声だった。 ひきつる喉を震わせて、彼女は咽ぶ。 「頼む……、考えてくれ……! できる限りのあらゆることを……! 何をしても、勝って……! 勝って、くれよぉ……!!」 無様に歪んだその少女の切実な表情は、煮えたぎったような彼の心を冷ますのに十分だった。 一般的な可愛げもないこの少女のことを想うと、不思議と、静かな力が湧いてくる。 ……そうだ、落ち着けクリストファー・ロビン。 智子さんの言うとおりだ。 まっすぐに投げたのではきっと、どんな速球でもこの小父さんは打ち返してくる。 神父さんが『神』というほどの相手だ。 正面からの力勝負では、いけない。 状況を冷静に見つめろ。僕の球は、打たれた。 それは紛れもない事実だ。 このまま衝動に任せて投げてしまえば、それはきっとそのまま、僕の破滅への輪舞曲になっていたことだろう。 「……そうだね、智子さん。でも心配無用さ……!」 引き裂かれた右耳の傷は、クリストファー・ロビンの敗北の証であり、同時に彼の次なるステップへの踏み台だ。 肩は、暖まっている。 力は、漲っている。 応援は、背中を押している。 次なる一球が、ロビンの手には握られていた。 ○○○○○○○○○○ 「『スケスケ』だぜ!!」 「――!?」 そうして投球姿勢からクイックモーションで投げられた第3球に、外野の観衆は一斉にどよめいた。 それは、ただの暴投に見えた。 手からすっぽ抜けてしまったかのように、高速回転のかかった速球は、バッターボックスのヒグマードからは遠く離れた北の崖の先へと流れてゆく。 文句のつけようもないボール球だ。 だが即座に、一同はこれでいいのだと理解した。 このホームランダービーでは、何がどうなろうとバッターはボールをホームランにしなければ得点にならず、それ以外は全てアウトになる。 そのため、このまま誰もいない崖下の海へボールが落ちてしまえば、それだけでロビンはアウトを取れる――。 そして、そう考えていたのは、外野だけではなかった。 『フハハハハ、やはりそう来たか、人間――!!』 衆人が見守る視界には、その時、赤黒い綱が伸びる。 バッターボックスのヒグマードが高速で変形し、横に流れてゆく速球に追いついていたのだ。 『一式解放』によって赤黒い毛の固まりとなった彼の伸縮速度は、常人の理解を超えている。 崖の先に落ちようとする石の球を、そうして彼が打ち返そうとした、その瞬間だった。 「曲がれぇぇぇぇぇ――!!」 ロビンが放った裂帛の気合いとともに、その球は急激に方向転換し飛び戻った。 跡部景吾、ウォーズマン、火グマというこの島で出会った強敵たちによって身につけられた『スケスケ』。 それに織り込まれたのは、かつてロビンが100エーカーの森の仲間から受け取った魔球の技術だ。 俊敏なサイドワインダーのごとく炎熱と冷気を帯びて左右にくねり走る、オウルボール複合の魔球。 それが伸びきったヒグマードの体へ側面から、鎌首をもたげた大蛇か、翼を翻すフクロウかのように飛かかっていた。 『小賢しい!!』 だがヒグマードの反応は、その魔性のボールに追いついていた。 ロビンの毒牙を飲み込む、ヒグマの顎――。 伸びきっていたはずの赤黒い毛は、一瞬にしてバッターボックスへと収縮し、その反動でさらに魔球へと襲いかかる。 「くっ――!?」 咄嗟に身を捻ったロビンの体をマウンドから吹き飛ばすほどの勢いで、魔球は打ち返されていた。 右中間の延長上で場外の木々を薙ぎ倒し、ヒグマードの打球はその本塁打たる証を、この場の全ての者にありありと見せつけていた。 「あ、あ――」 『斯様な回転の差違ごときで、私が幻惑されると思っていたのなら、見くびられたものだな。 どうした? まだ魔球はあるのだろう? さぁ、まだまだ勝負はこれからだ!!』 呆然と竦み上がった黒木智子たちの前で、ヒグマードは悠然と口上を述べるのみだ。 残りは4球。 ホームランは既に2本。 もう、次を打たれてしまえば後がない――。 ロビンは、突風で叩きつけられた木々の破片に全身を切り裂かれていた。 一つ一つの傷は浅くとも、そこここから涙のように滴り落ちてしまう血液は、5歳児の肉体から気力と体力を奪っていくのに十分すぎるものだった。 それでも、彼は立ち上がる。 固唾を飲む観衆の前で、まだロビンの闘志は、死んではいなかった。 「……クマに、打たれるのは、もう、こりごりだ――。そうだろう、みんな……」 100エーカーの森の中で培われてきた友情と魔球。 ロビンはもう、そこに活路を探すしかなかった。 彼の背中を押し、腕に力を込めさせるのは、森の仲間たちから受け継ぎ昇華させた技術だけだ。 フクロウでは駄目だった。 ならば、もっと強い仲間の力を、この一球に込めるしかない。 「頼む、僕に力をくれ、『虎』よおおおおぉぉぉぉ――!!」 それはあたかも、ボークのようだった。 振り抜かれたロビンの手は、何も投げたようには見えなかった。 『むぅっ――!?』 ヒグマードですら一瞬、自分の目を疑った。 ロビンの投げたボールは、誰の目にも姿を映さず、完全に消失していた。 ヒグマードが取り込んでいた跡部景吾の眼力、そしてヒグマードの吸血鬼としての超常の視力を以てしても、その投球は全く見えなかった。 深山幽谷に潜み、伏臥した敗勢より転じて急襲する、見えざる猛虎の牙。 不可視のティガーボール複合の魔球。 場外の観衆が息を呑む。 見えない球など、打てるはずがない。 ロビンの勝利だ――。 そう、一同は思っていた。 ヾ. . . . ... . . . . ...≠ . . . . . . . . .;.;..;;.;...;.;.;;.;.; ... .. \ ヽ ≧. . . . . . . . . . .≦ . . .・;。;;.;゚。 .゚ . . . . . .;..;..;;.; . `'- \ ミ . . . . . . 。.. . . ミ :・ * . . . . . . . . .;.;..;;.;.;;;..;.;;.; .; ―― ヽ 彡 . . . ; . . . ;. . ミ. . . . . ;; ・.+ :. . .;.;;;;.;.;`''ー.; . . \ .`'-, ―― 、 彡 . . . . . . . ミ. . . . ;;・; . . . .;.;.;;;.;.;;;.;.;.;. . .`''ー. \ .`'-, 、 ヽ\ヽ 、゙_、. . . . ;; . ;;; ;; . . . . . 。;.; ゚。;;.;゚ ;.;;.: . ..;.;.;.;.;..゙'ー 、、 \ .`'-, 、 ヽ\ヽ 、.  ̄"'''―- ....,,,_ . ; .; . . . . . . . . . . . ;;;. ;.;.;.;;;;.;;;.;.;;;.;.;. `''ー..,, `'-, .\. .゙ミ、. ヽ\ ヽ . . .. .`゙゙''''― ..,,,_. . . . . . . . .;.;;;;.;.;.;;;.;.;;.;.;.; .;. ___`''-、、 \. \ .゙ \ ヽ ヽ ム. . . . . . . . ;;. . . . . .´゙''''― ..,,,_ . .;;;;;;.;.;;.;.;.; /. ニニニニ、、 \.ニニニニニニニニニニ=- 、 . . . . .. . . . . . . . . . . . . .;.;.;;;.;.;;`゙..,,,_ . ..;./.ニニニ=-/fr=ミ、ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ= ヽ.___ . . .. . . . . . . . . .;.;.;;;.;.;;;;;.;;;;;.;.;;;;;.;/.ニニニ=-/{i 八◎ 冫ニニニニニニニニニニニニ=≧x''⌒\ニ=-  ̄ ゙゙゙゙゙゙゙̄'''''''¬―-- ..,,,,__. ;.;.;.;;;;.;;;.;.;.;.;;;;/ニニニ.′ ≧=-ミ/ニニニニニニニニニニニニニニニニニ\ `ヽ、ニ\ `゙"'''―- =Vニニニニニ=-{ /ニ=/{ニニニニニニニニニニニニニニニ=\ `ー=ミ*、 {ニニニニニニニ=.ノ__ x≦斗*'“. ∨ニニニニニニニニニニニニニニ=- \ | )). ___________________{ニニニ/{ニニ=-{/ト、` r ,,__ ニニニニニニニニヽ-=ミ、ニニニニニ\| {ニ=-{ .{ニニ=-{ .Ⅵv`ー=ミ、. Vニニニニニニニニニニニニ=-, `ー=ニ | {ニ=-{ 八ニニi.{ \イノイ/ノ,イニニニニニニニニ\“''*、ニ=-, `ー=ニ _,, ー'''"゛ . /*、ニニ==-)) .ヽ{ `ー= rくニニニニニニニニニ=ヽ ヽ=- , | `ー=ニ _,, ‐''"゛._,,.. -‐゙,. / ヽニニニ=\ \ r≦ニ/\ニニニ\⌒ヽニ=-} Ⅵ=} | _,, -'''',゙,, -‐''''” / }ニニニニ=-≧x {ニニ/ ヽニニ=-ヽ .}ニ=-} . Ⅵ} _,, ;;ニニ-''''"´ | ※ ニニニニヽ ニニ/ .,// ノ,iレ/ .,/,! .l .| __ j ヒグマードニニ /ハ ニニ/ .. ,〃゛ ,/ilケ./ / .,| .i{ .! | / \ ノ ニニニ/. ;ト、_r' `!゙,r'" .,/.|″/ ./ . iリ l ! .,l .! / \ / ニニ{ / i´ / ./ . / ./ /!li!│ |! .| Χ .所 Χ | ニニ 人_ ,/ .ノ... / ./ / / ソ | .,ll .l/. 詮 \ ! ニニ / / `ー--'.... / / ./ / | リ l こ || ,イ ニニ / / / // l l .l゙l ! ん || / !\ ヽ、ニニ i / .,i./ . / l .| /,! l な || / ヽ \ / / メ" / l l゙/ ! ! 物 || /\ `ー /.... / .、 ./ ! .レ .l ./ か .||. / .\_ / , .,/ / / l ./ /.i′ 人 || !. .,'.  ̄``ヽ、__/ ノl、 / / / // 間 || / ! {..,/ .l, ./ / ./ l/. _ .|| { ', / ./ / ./ // .|| _ノ 人 . . . ! ./ / ./ . O .|| 人_ / ヽ. . . . . . .| ./ / ./ / / `ヽ_| ! . . ._, .-‐' ./ / ./ Χ / /  ̄| j / / ./ だがヒグマードは、常人には一切わからぬ突然のタイミングで、その肉体を振り抜いていた。 衝撃波の風圧だけで、グリズリーマザーたちの屋台のガラスが割れた。 左中間に流れた打球は、その猛烈な衝撃で球場の地面を抉り返し、ロビンの全身に叩き付ける。 「がッ――、ハァ――……」 空振がビリビリと大気を鳴らした。 土塊と共に宙をきりもみして落下したロビンは、壊れた人形のように球場に跳ねて、動かなくなった。 『……なるほど、確かに今のはなかなか良い筋をしていた。 だが「私」は既に今朝、お前のその球を打っているのだ。 単に速度や威力を上げただけでは、進歩が足らんな。 この姿を見ても、お前と同じかそれ以上の変化を、この私がしていないとでも思えたか?』 ヒグマードは赤黒い脈に満ちた総身を震わせて、朗々とそう語った。 『スケスケ』の速度と威力は、既にヒグマードが体感している。 『オウルボール』や『ティガーボール』の感触も、既にヒグマ9が体感している。 100エーカーの森の仲間たちは、みな『プー』というアメリカクロクマにその投球を攻略され、そのホームランの餌食になっていたのだ。 彼らひとりひとりは、みな土の付いた敗者だ。 その魔球は既に猛威を振るった時期を過ぎ、ただクマの前に餌となる小動物の寄せ集めでしかなかった。 ロビンが勝つには、どうしたって敗者でない仲間が必要だった。 まだ、どんなクマにも打たれたことのない、森の仲間が。 だがそんな動物は、もう100エーカーの森には、いなかった。 沈黙が、荒涼とした球場に満ちる。 窓を粉砕されたバスの中で驚愕する4名も、風圧で倒れてしまった言峰綺礼や黒木智子も、ヒグマードの見せた圧倒的過ぎるその力に、暫くの間、何も考えることができなかったのだ。 その沈黙を破ったのは、血塗れの腕を震わせた、クリストファー・ロビンの呻きだった。 「う、うぅ……」 「うわ、あ、あぁぁ――……。ロビン――!!」 痛みに耐えながら身を起こそうとしているその少年の元に、黒木智子は自分の土埃も払わず、涙を流しながら駆け寄ろうとした。 だがその脚は、数歩も進まぬうちに凍り付いたようにして止まってしまう。 咽び泣く声だけが、手を伸ばして宙を掻く。 だが彼女がいくら近づこうとしても、彼に届くことはなかった。 「無駄だ、暗示か何かによる結界が張られている。 お前がいくら叫んだところで、少年の元にはたどり着けぬのだ、黒木智子」 「こ、と、み、ねぇぇ……!!」 その隣から、同じく起き上がって来た言峰が声をかける。 智子は涙と土にまみれた鬼面のような形相で彼に振り向いていた。 言峰は肩をすくめるのみだ。 「私は何もしていない。これはあの少年自身が張ったものだ。どうしようもないな」 「ちぎぇぇ……、ちげぇよぉ……!!」 智子は地団太を踏んで咽び、まっすぐにロビンを指さす。 ふらつきながら立ち上がってゆく彼を横目に見ながら、智子は怨嗟を吐くように言峰へ叫びを叩き付けていた。 「なんでッ……、なんでお前は、ロビンを応援してやれねぇんだよぉぉ!!」 「わからんのか。最初から正々堂々と野球の勝負をしていればよかったものを、彼は神を殺そうとしたのだ。 挙げ句の果てに暴投に見せかけたり、隠形の小細工を仕掛けたり、卑怯な振る舞いばかりではないか。 これで神の逆鱗に触れぬ方がおかしい。逆に殺されそうになるのも当然の報いだ」 だが彼女の気焔を流すように、言峰の口調はあくまで淡泊だった。 そして追い打ちをかけるように、彼はマウンドへ戻ろうとするロビンへ声を投げていた。 「おい、クリストファー・ロビン! もう足掻くな、見苦しい!! 今すぐ悔い改めて謝罪するのだ! ことによればまだ許しをいただけるかもしれんぞ!!」 ロビンが振り向いた。 智子はその表情に恐怖を覚えた。 その目には、光が無かった。 展望を失って、諦めに満ちてしまったような顔だった。 そして言峰綺礼が、そんなロビンを優しげな声色と微笑みで迎えていた。 それが何より、智子には一番恐ろしかった。 「……それで時間が稼げるなら、謝った方がいい……!」 「ええ、この返信者が来てくれるまで持ちこたえられれば……」 「ああ、どうにか逃げる隙を作りたいねぇ……」 「それしかないのなら……、キレイさんの提案に従うしかないでしょう」 屋台バスの中がざわつく。 囁きは、言峰綺礼の言葉に賛同していた。 閉ざされた展望の中で、彼の言葉は、とても甘美で魅力的な誘いだったからだ。 諦める方向に進むことは、とても簡単で、安全なように思えた。 だがその時、智子だけは強く、強くその拳を握りしめた。 ――駄目だ。 そんなことで許される訳がない。 この『神』は、戦いを望んでいるのだ。その戦いで殺されることを望んでいるのだ。 降伏は、死だ。 ここでロビンが戦い続け、勝つことしか、恐らく自分たちが生き残るすべはない。 『諦め』は、人を殺す――。 「卑怯でも、見苦しくても、知ったことかよ!! いいから足掻けよぉぉ!! クズでもカスでも、私は、お前を、応援してるんだよ! ロビィィィィィ――ン!!」 「智子……、さん……」 諦めを拒絶した時にのみ、人間は人道を踏破する権利を得るのだ――。 この血みどろの赤黒い怪物が本当に『神』なら、きっとそんな言葉が、この神の教義に違いなかった。 黄金の伝言が、万全なほど彼に届いた。 ○○○○○○○○○○ その全身の薄汚れた、涙でぐちゃぐちゃの、髪の毛の荒れ果てた、風采の上がらない陰鬱な雰囲気の少女の姿が、クリストファー・ロビンにはとても眩しく見えた。 沈みゆく夕日が、彼女を赤々と照らしている。 その瞳の中に、彼は展望を見た。 諦めに眠ろうとしていた彼の目の前にその時、饒舌に豊穣の森が開けた。 そして彼の夢現に、あの完全な歌が聞こえた。 それはいるはずのない、『どんなクマにも打たれたことのない、森の仲間』の歌だった。 雷に打たれたように、ロビンは天空を振り仰いだ。 「――Hey! Hey! Hey! Hey! Hey! Hey!!」 4拍子の裏拍で、唐突にロビンは叫びだす。 「――Hey! Hey! Hey! Hey! Hey! Hey!!」 四小節目を開けて息を吸い、天地を震わせるような声の張りで、再び彼は叫んだ。 ヒグマードも、智子も、言峰も、誰もが彼の意図を測りかねた。 ロビンはそんな中、ゆっくりと興奮した笑みで、黒木智子へと振り向いていた。 彼は見つけていたのだ。森の仲間を。 その仲間はフクロウでも、虎でもない。いわんやカンガルーでも兎でも豚でもクマでもない。 「……智子さん。知りたがってたでしょう……。教えてあげますよ。 これがマイリトルポニーのレインボーダッシュの歌……、『Awesome as I wanna be』です……」 「――!?」 それは、ポニーだった。 彼が黒木智子に手渡していたディスクに封じられた、ポニーの歌。 その中に彼は、この戦いの活路を見いだしていた。 「お願いだ智子さん! 僕に、コールをくれッッ!!」 そんな願いだけを智子に投げ、ロビンは腕を掲げた。 その手には既に、第5球目となる石ころが握られている。 ホームランは3本。 もうロビンに後はない。 これを打たれてしまえば終わりの絶体絶命のボールなのだ。 それなのに彼は、満身創痍のそんな状態で何をしようとしているのか。 『フッ、フフ! やはり人間は素晴らしい! 一度消えた闘志を再び燃やすとは! ならば私はその炎を、今ひとたび掻き消してやるのみ!』 ヒグマードがざわざわと体を蠢かせて笑う。 それは次の一打で確実にロビンを殺害するだろう、捕食者の笑みだった。 狼狽した言峰綺礼が叫んでいた。 「何をしているのだ少年ッッ!! 正気か――!?」 「Hey! Hey! Hey! Hey! Hey! Hey――! ――Awesome as I wanna be(夢見てたくらい)!」 だが、言峰の声をも掻き消すような勢いで、ロビンは歌っていた。 そしてその歌に、黒木智子のリズムが続いた。 「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ――!」 「――『Awesome as I wanna be(僕は最高)』!」 智子とロビンの視線が、一瞬だけ重なった。 ロビンの瞳には、燃え立つような自信が咲き誇っていた。 投げられた第5球は、やはり誰の目にも見えなかった。 だが、ヒグマードは笑っていた。 『気合ばかりでは、勝てんぞ――!!』 もはや彼には、ティガーボール複合の魔球を打ち返すタイミングが完璧に理解されてしまっていた。 次の一打は、右にも左にもぶれることはなく、確実にロビンの胸板を貫き、彼の肉体ごとホームランとなるだろう。 言峰綺礼が、扶桑が、戦刃むくろが、息を呑んだ。 ヤスミンとグリズリーマザーは、思わず目を覆った。 まるでパイルバンカーのような轟音を立てて、ヒグマードの体から赤黒い毛が伸びた。 だがその渾身のスイングは、何にも触れることはなかった。 ○○○○○○○○○○ 直後、ヒグマードの体は斜め上から貫かれる。 『な、ガ――!?』 まるで天空から巨大な槍で串刺しにされたかのように、ヒグマードの肉体は普通のヒグマの右肩口に相当する位置から左脇腹にかけて、直径1メートル近い風穴が開いた。 そのまま地面にめり込んだらしいロビンの投球は、地響きを立てて北東の断崖を揺らし、その岸壁を爆破するような勢いで下の海へと貫通し、水柱を上げていた。 この場の誰にも、今起きた現象は理解できなかった。 体の中心部を破壊され崩れ落ちたヒグマードを前に、ロビンは朗々とAメロを歌っていた。 「First you see me riding on a sonic boom(御覧じろ 僕の凄さ ソニックブーム)! Got my guitar shreddin up the latest tune(僕の得物は 最新式だ)!」 「……不可視のボールに、さ、更なる変化を、加えただと――!?」 言峰が震えた。 呆然と呟かれたその言葉に、一同は頷かざるを得なかった。 今の現象を説明するにはそれしか考えられない。 ロビンはこの窮地で、さらに一歩、自分の可能性の先へと踏み出していたのだ。 「There is nothin you can do to beat me(君が何やっても 無意味)。 ――I m so good that you can t defeat me(僕の凄さに 敵いはしない)!!」 『グ、フ、フフハハハ――!! 言ってくれるではないかァァ!!』 僕の力が素晴らしすぎて、あなたは絶対に僕を負かせない――。 ロビンが指を突きつけながら歌う歌詞は、そのままヒグマードに対する挑発だった。 胴体の大部分をくり抜かれ崩れ落ちていたヒグマードが、その挑発に乗るように身を湧き立たせる。 如才なく第6球の投球姿勢に入ったロビンを、カウンターで討ち取らんとする意気込みだった。 「いけるの、ロビンさん――!?」 「いや、駄目――! この殺気は、拙い――!!」 「何ですか、この寒気と重圧は――!?」 「アイツ、そうか――。『リリースポイントまでバットを振り抜く』つもりだね!?」 扶桑が、戦刃むくろが、ヤスミンが、グリズリーマザーが、歯を食いしばりながら球場の両者を見やる。 その場には風が吹き荒れるようにして、冷たい恐怖が渦巻いてゆく。 溶けるように真っ赤な液体と化したヒグマードが、ロビンに劣らぬ朗々とした声で、高らかに歌声を上げていた。 『荒れ樫の君は既に亡く、国境の岸もまた姿を隠しぬ。我が制御(ヴォケィション)疾うに消ゆ。 然れば私は、赤色の塔に宇宙を掘りてこの身を宣らん――! 「二式解放」!!』 「――Yeah! I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(気をつけな)! Watch out for me, I m awesome as I wanna be(よく見とけよ 最高の僕を)!!」 ヒグマードの肉体が、どぷん、と音を立てて沈む。 そしてその身は一瞬にして崖に散乱した草木土石の数々を吸収して肥大するや、真っ赤な龍のようにしてマウンドのロビンの元へと奔っていた。 リリースの瞬間に、その目の前で打ち返してしまえば、途中でボールがどんな速度でどんな軌道変化をしようと関係がない――。 ヒグマードの取った戦術は、つまりはそういうことだった。 ロビンが振り抜いた第6球のモーションに、ぴったりとヒグマードの牙は、その猛スピードのままに喰らいついてしまうかと見えた。 だが、確かにボールが放たれたロビンの目と鼻の先でヒグマードは、やはり何にも、触れはしなかった。 ○○○○○○○○○○ その見えないボールは、空中に止まっていた。 ロビンの手先から離れたその位置のままに。 これ以上ヒグマードが体を伸ばしてしまえば、ロビンに接触する守備妨害を犯してしまうそんな位置に。 シルシルシルシル……、と風を奏でる、凄まじい速度の回転だけが、目前のヒグマードにその存在を伝えていた。 今のロビンに力を貸す森の仲間は、ポニーだけでもなかった。 ラビットボールの超加速。 カンガルーボールの上下バウンド。 オウルボールの左右振動。 ティガーボールの不可視性。 100エーカーの森の全ての仲間たちが、彼の背中にいた。 ほとんど完全に停止するかのような滞空状態から、ロビンにしかわからないタイミングで急加速し、自由に上下にくねり、自在に左右を切り裂く、何者にも見えざる王者の球。 それはたちまち、球場を真っ直ぐに伸びきっていたヒグマードの肉体を縦横に貫き走り、夕日の中に幾多の血飛沫を振り撒きながら、その身をずたずたの膾に引き裂いていた。 「――やぁ!!」 「I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(絶好調)! Watch out for me, I m awesome as I wanna be(よく見とけよ 最高の僕を)!!」 黒木智子が、快哉を上げる。 クリストファー・ロビンが、大きく右腕を掲げる。 勝利の喜びが、発奮するようだった。 『跡を継がせてやる気はねえ、お前はお前で勝手に自分の国を建てろ』 『そして聞かせてみな……お前だけの氷帝コールを…』 『お前はお前で、見つけるんだ……自分自身の、自分だけのものを……』 ロビンの耳に、跡部景吾の声が聞こえたような気がした。 自分だけのオリジナルコール。 その響きで、気持ちが、力が、体に渦巻くあらゆるエネルギーが高ぶってゆくのがわかる。 北東の崖一帯、森といわず、岩といわず、熊といわず神といわず人といわず、転がっていた木の屑も、吹き散らされた血飛沫も、赫焉として燃え立つかのようだった。 歌が響く。 黄金の旋律が、旋風のように吹き上がる。 果てない夕日の色合いに染まった世界で、ロビンは端然として永遠の真理のうちに佇んでいるかのようだった。 「やった……! 勝てるかも、勝てるかも知れない……! ロビンくんが……!!」 「ええ、ええ! 行きましょうむくろさん! 応援しましょう!!」 「マスター……!! その意気だよッ――!!」 戦刃むくろと扶桑が、興奮した面持ちでバスのタラップをばたばたと駆けおりてくる。 グリズリーマザーが、割れたフロントガラスから半身を乗り出す。 「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ――!!」 「レッツゴー、ロビン――!!」 扶桑が、戦刃むくろが、グリズリーマザーが、そして黒木智子が、ロビンのために心を一つにして声援を送る。 友達はモジョ(魔法)だ。 森の全ての仲間たちが、ロビンの背を支えるのだ。 少女の語る魔法の言葉(Mojo)が、ロビンに力を与えるのだ。 黒木智子の視線の先で、クリストファー・ロビンの背中は煌々と輝いていた。 悠々とたなびく、草は勝利を象るようだった。 ○○○○○○○○○○ 「キレイさん、あなたも是非応援を……! あと一球、あと一球なのですよ!」 ヤスミンが興奮した面もちで言峰綺礼に呼びかけていた。 場外のはずれで立ち尽くしたまま絶句していた彼は、ヤスミンに震えた眼差しを向け、歯を噛み締めた。 カウントは3-3。 この最後の一球で、勝負が決まる。 最高の魔球を手に入れたロビンの一球でだ。 球場のベンチを埋める女子たちの黄色い歓声を、言峰はどこか遠いもののように聞いた。 「……断る」 「キレイさん……!」 そして彼は、ヤスミンの視線を引き千切るようにして踵を返す。 言峰の右手はずっと、怒りのやり場を探すかのように握り締められたままだった。 ……自己暗示だ。 ロビン少年に、神をも屠りかねない力をもたらしているのは、彼の人智を逸した強さを持つ自己暗示に他ならないだろう。 その力が、他者にさえ『この勝負は邪魔できない』と思いこませ、彼の状態を『夢見ていたほどに最高の自分』にしている。 ……だが夢は所詮、夢なのだ、少年。 それをわからせてやる。 暗示など、魔術師にとっては初歩の初歩だ。 一般人の腕に、魔術師が負けるものか。 神を殺そうとする大罪人の少年ごときに、この聖堂教会の代行者が遅れを取ると思うな――!! 「――令呪解放、体機能強化……。反射加速……! ――長母指伸筋、短母指伸筋、総指屈筋の瞬発力増強……!!」 彼の目には、夕日を受けて輝くかのような、ロビンの背中だけが映っている。 言峰はまるで指弾を構えるかのように、握り込んだ右手に力を込めていた。 ○○○○○○○○○○ 「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイ――!!」 「レッツゴー、ロビン――!!」 崖の球場に、涙に咽ぶ少女たちの声が響いている。 戦刃むくろが黒木智子の手をとって、一緒にマウンドのピッチャーへコールを投げる。 むくろも智子も、こんなことは初めての経験だった。 野球が楽しいものなのだと、それもただの観戦がこんなに歓喜に満ち溢れるものなのだとは、今まで夢にも思ったことはなかった。 自分たちの想いが、言葉が、はっきりしっかりと選手の背中を押す充足感。 駆け上がり高まってゆくそんな興奮に、彼女たちの声は一段と大きくなってゆくのだった。 「小父さん……。とてもいい戦いだった。この球を投げられたのは、間違いなく小父さんのおかげだ」 『ぐ、が……、ごぉぉ……!』 球場のあちこちに散乱したヒグマードは、もはや再生の速度もおぼつかなかった。 積み重なる『死(アウト)』は、確実に彼の存在を消滅へと近づけている。 ロビンは、少女たちの応援をその身に受けながら、ある種の愛しさを込めたような眼差しで、その蠢きを見守っていた。 「Step aside, now, you re just gettin in my way(邪魔しないで 立ち退きたまえ)……。 I got sick chops you can never hope to play(この神勅 聞かねばご無礼)……!」 2番の歌詞を静かに歌い出すロビンの前で、ヒグマードはようやく、その身を小さなクマの姿に纏めることしかできなかった。 第7球、最後の投石をその手に握り、ゆっくりとバッターボックスにわだかまったその打者へ、ピッチャーは厳かに宣言した。 「When it comes to makin music I m the ruler(この道では 僕が王者だ)。 You wish you could be twenty percent cooler(進歩しな あと20%くらい)!!」 『素晴らしい……、素晴らしいぞ、人間……。私は待っていた……! この時を……!!』 血肉を練り上げた彼の棍棒も、ごくごく小さな、普通のバットと変わらぬ程度のサイズでしかない。 もはや彼に、吸血羆として練り上げられた必殺技の数々はない。 それでもヒグマードはロビンに倣うかのように、勝負を投げ出すことはなかった。 彼の全身に散らばった13個ほどの眼は、それでも喜びの色に満ちていた。 智子たちの声援が、ロビンの旋律を後押しする。 「やぁ!!」 「I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(気をつけな)! Watch out for me, I m awesome as I wanna be(よく見とけよ 最高の僕を)!」 『さぁ投げろ……! 投げてくれ!! 決着をつけようではないか!!』 棍棒を構えたヒグマードに応えるように、そうしてロビンは投球姿勢に入った。 夕日が、なぎ倒された森の上から彼らを照らす。 黄金の時が来て、万全なほどに彼に降る。 彼の最後の一球は、まさにその楽曲の、最後のサビと同時だった。 「やぁ!!」 「I m awesome(僕はサイコー)! Take caution(絶好調)! Watch out for me, I m awesome as I want to be(夢見てた 最高の僕だ)――!!」 最高の、渾身の一球が、その右腕から放たれる――。 その時、ロビンの右肩に、激痛が走った。 ○○○○○○○○○○ ――故障!? リリースの直前に自分を襲った原因不明の痛みに、瞬間、ロビンはそう思考した。 短時間で、自分の限界を超越したような魔球を連用したのだ。 その行為は、確かに自分の投手生命を急速に削るものだった。 リトルリーグ肘や腱板断裂、障害がいつ起きてもおかしくない。 そんなことは分かっている。 だがこの一球。 この一球だけは、死んでも投げなければいけなかった。 ……智子さん――ッ!! ロビンは、自分の魂を吐き出すかのような気迫で、その腕を、振り抜き切っていた。 「おおりゃぁぁぁ――!!」 「えっ――!?」 その瞬間、智子たちは自分の眼を疑った。 ロビンの投げた球が、見えていたのだ。 音速を優に超えている弾速だった。 尋常ならざる回転が掛かっていた。 冷気と熱を同時に帯び、ただの小石が、あたかも紅蓮地獄のような様相を呈していた。 だがその球は、先程までの最高の魔球では、なかった。 『むおぉぉおぉぉ――!!』 ヒグマードのスイングが、そのボールを噛む。 骨肉が軋むようなインパクト音を立てて、その打球は、一直線にピッチャーの元へと撃ち返されていた。 「ひっ――」 投球でバランスを崩したロビンへと、真っ直ぐに飛礫が襲う。 ロビンごと森の奥へ叩き出してしまうような勢いの、ホームラン性の当たりだ。 智子が、むくろが、扶桑が、恐怖と絶望の予感に息を詰めた。 「――シャァッ!!」 その瞬間、ロビンは吠えた。 崩れた体勢をさらに崩すようにして、ロビンはグローブも嵌めぬ左手を、飛び来る打球に向けて突き出す。 魔球を放つ彼のモーションに劣らぬ勢いで、左腕が振り抜かれる。 激しい衝突音と共に、彼の体はセンター奥の森へ、紙屑のように吹き飛ばされていた。 「ロ、ロビン――!!」 土埃を上げて転がり、場外の森の地面をこすり、ロビンの体はようやく止まった。 倒れ伏す彼を見た智子の声は悲鳴のようだった。 だがロビンの体は、ゆっくりと起き上がる。 そしてふらつきながらも、彼はその左手を、真っ直ぐ上に掲げていた。 「……僕の。勝ち、だ……――」 掠れた声で、それでも彼はニヤリと口角を上げた。 彼は撃ち返された打球を、キャッチしていた。 ヒグマードとロビンのホームランダービー。 目標 4本。 ホームラン 3本。 残り 0球――。 ○○○○○○○○○○ 短くも長かったその試合は、決着を迎えていた。 黒木智子も、むくろも扶桑もグリズリーマザーも、一斉に勝利の快哉を上げようとした。 だが彼女たちが異変に気づくのに、それほど時間はかからなかった。 掲げられたロビンの左手には、大穴が開いていた。 打ち返された石の打球はロビンの掌を貫通し、その胸に深々と食い込んでいた。 一筋の血が、ニヤリと笑う彼の口からこぼれた。 そして彼は仁王立ちの体勢のまま、ゆっくりと背後に倒れ込んでいた。 「――ロビン!! ロビィィン!!」 悲鳴と共に、黒木智子は走り出した。 もうその脚は、何かに遮られることはなかった。 それは確かに、この場に暗示を敷いていた勝負が、終わってしまったことを意味していた。 「勝ちましたよ……、智子さん……。僕は、勝ちましたよ……」 「ロビン、死なないで、死なないで……、ロビン……!!」 喉を鳴らしながら駆け寄った智子が、倒れた彼の体を抱きしめる。 だがうわごとのように呟くロビンの視線は、もはやどこか遠くの、ここではない場所を見つめていた。 「何言ってるんですか……。僕はこれから、王朝を作るんですから……。 見えました。僕にははっきりと……、最高の王朝が……」 咽喉から言葉が零れるたびに、真っ赤な血が彼の口からは溢れた。 胸の穴からじわじわと血が染み出て、彼を抱く智子のツナギを濡らした。 その命をこぼしてしまわぬよう、智子は強く、強く細い5歳児の体を掻き抱こうとする。 「いなくならないで……!! いなくならないでくれよぉ……!!」 「それは僕のセリフです……。ずっと、考えてたんですよ……。 どうすれば、智子さんに、ずっと観客で居てもらえるか……」 ロビンは大きな穴の開いた左手を、智子の頬に差し伸べた。 彼はにっこりと微笑みながら、そうして智子を、撫でた。 「僕の王朝で……、どうか、僕の、お妃さまに……」 まるで眠りにつくかのように、彼の声は小さくなっていった。 彼の手は、智子の頬に血の筋を引いて、地に落ちた。 その表情は、とても満ち足りた笑顔だった。 「……返事する前に。……行くなよ――」 血の色をした夕日の中に、智子の呟きは、たちまち掻き消された。 涙が、赤く燃えた。 ○○○○○○○○○○ 『クリストファー・ロビン……。お前に倒されても良かった。 あの日なら。……あの日暮れの荒野なら。もう遠い、遠いあの日なら……。 お前に心臓をくれてやってもよかった……』 「あ、あ……」 泣いていたのは、智子だけではなかった。 夕日に照らされた断崖の血飛沫が、蠢いている。 ヒグマードは、引きちぎられていた自分の肉体を次々と引き戻し、元のように巨大な吸血羆の姿へと肥大化してゆく。 彼の目が。 全身に30は下らぬほどに開いた彼の目が、涙のように血を流していた。 その異様な姿に、グリズリーマザーたちは、恐怖しか感じなかった。 ヒグマードは、すぐにも襲ってくるだろう。 逃げなければいけない。 そうわかっているはずなのに、固化してしまったような空気の中に、彼女たちは動くことができなかった。 「――よくご覧ください!」 そんな中ただ一人、言峰綺礼だけが、この異様な雰囲気をものともせず球場に歩み出ていた。 「この少年は自分の身体を張って、このボールを最後まで保持していたのです。 いわゆるスーパーキャッチだ……! この球はホームランではなくアウトだったのだ!!」 そして彼はヒグマードの正面に立ち、滔々と演説をぶった。 まるで彼は、ロビンの意志を無駄にしないように立ち上がった、正義の人であるかのようだった。 「あなたのホームランは過半数に届かなかった……! 神よ、あなたは命を落とすことなく敗北したのです。大人しく我々に従ってください!!」 言峰はそうして、自信に満ちた表情で、ヒグマードへと手を差し伸べた。 彼の言い分によれば、こうだ。 この『本塁打競争(ホームランダービー)』のスコアは、ロビンが自分の胸でとはいえ最後までボールをつかんでいた以上、このボールはホームランではなくアウトと見なされるはずである。 その場合、7球の過半数はアウトとなり、ロビンの勝利、ヒグマードの敗北となる。 この強大な力を持つ『血の神』は、契約に従って彼らに服従せざるを得なくなるだろう。 それはとても平和的で魅力的な、言峰の理想の結末に思えた。 だがヒグマードは、4つ生えてきたその首を、静かに横に振る。 『……駄目だな。この勝負は彼の……、人間の負けだよ』 「――何を!? そんなはずはありません!」 言峰は動揺した。 ロビンのキャッチしたボールは、確かにホームランではないはずだ。 ここに審判がいるのなら、間違いなくその判定になるだろう。 だが、ヒグマードの表情は、とても寂しげだった。 『……何か勘違いしているようだから教えておいてやろうか。 死んだ方が負けだったのだよ、ヒューマン……。この戦いは最初からな』 ひとつ、賭けるものは己の身命の全て。 ひとつ、勝負は本塁打競争(ホームランダービー)形式である。 ひとつ、球数はこの島の施設であった『ストラックアウト7』にならい、7球。 ひとつ、スタンドと場外に相当する森の奥に打球を飛ばした時のみホームランとカウントされ、それ以外は全てアウト。 ひとつ、バッター側が過半数の打球をホームランにするか、ピッチャー側が過半数の投球でアウトをとるか、最終的に生き残ったものが勝者となる。 ――賭けるものは己の身命の全て。 ――最終的に生き残ったものが勝者となる。 この勝負は、形こそホームランダービーの格好をしていた。 だがホームランの数など、最初から問題ではなかった。 むしろホームランなど、ピッチャー返しの打ち損ないと言っても過言では無い。 デッドボールで殺し切るか、ピッチャー返しでその命を屠るか、この勝敗は二つに一つだった。 ロビンはヒグマードに、『死(アウト)』をもたらしきることが、できなかった。 そしてロビンは、死んだ。 それが厳然たるこの死合いの結果だった。 勝者が誰なのか、それはもはや、疑いようもなく明らかだった。 「な、あ――……」 『ああ……、思えば恨みを買ってしまったのも、この少年の実力のうち、だったのだろうな……』 言峰を見下ろすヒグマードの瞳は、何もかも見透かしてしまったかのように、ひたすら寂寥感に満ちていた。 彼はそのまま厳かに、言峰へ絶望の言葉を降らせていた。 『……それとな、人間(ヒューマン)。私はただの化物(フリークス)だよ。 神などではない。……人間でいることにいられなかった、ただの、化物だ』 「は……!?」 目の前でざわざわとその身を膨れ上がらせたヒグマードの神勅を、言峰はしばらく、理解することができなかった。 「マスター! 逃げるよ!!」 『ああ、さらばだヒューマン!! 私は永遠に、この栄光と屈辱の日を忘れぬだろう!!』 グリズリーマザーが発憤してバスのエンジンを吹かせたのと、ヒグマードが高らかに6つの口から唸りを上げたのは、ほぼ同時だった。 東側の崖から急速に転回した屋台バスは、そのまま西のセンター奥に位置する智子とロビンの方へ走り出す。 「智子さん、来て!」 『オリバーも去れり、リチャードも去れり。我が拘束(コモンウェルス)特に死にたり。 然れば私は、荒れ樫の花に林檎を結びてこの身を宣らん――』 呆然とする智子の体を、戦刃むくろが駆け寄りながら掴む。 朗々と詠唱を始めるヒグマードから溢れる殺気は、彼女が今までどんな戦場で経験してきたものよりも強かった。 「乗って――、早く私の上に乗ってください!!」 「キレイさんッ――!! あなたも早くッ!!」 続いて扶桑が、ヤスミンから投げ渡されたヒグマの体毛包帯を掴みながら走り寄る。 ロビンの遺体と智子、そしてむくろの全員を彼女が抱え上げる中で、ヤスミンは一人遅れた場内の言峰へ、その包帯を投げ込んでいた。 ヒグマードの身が鳳仙花のように弾けたのは、その瞬間だった。 『「一式解放」』 赤黒い毛が、遙か遠くの崖の先端から、槍のように突き出された。 それはすぐさま、逃げようとする屋台のバスにも追いすがっていた。 「扶桑――ッ!!」 「ええ、『螺旋櫂(スクリュー)』ッ!!」 むくろが、扶桑の肩の上から背後へと、抜き放った拳銃を連射する。 同時に、ヒグマの体毛包帯に引っ張られながら逃げる扶桑の足が、地面を蹴り上げる。 彼女の下駄の底部で高速回転するスクリューが、地面を巻き上げて後方に土塊を跳ね飛ばした。 追いすがってくる赤黒い毛は砕かれ、弾き飛ばされながらも、依然として追ってくる。 「キレイさん! 早く――、――ッッ!?」 「……ははッ、ははははッ、何なんだ私は!」 言峰へ投げた包帯を継ぎ続けるヤスミンの悲鳴が上がり、そして絶句が続く。 当の言峰は、まったく逃げてなど、いなかった。 そして直後、彼の周りに殺到していた毛が爆裂する。 ――令呪解放、体機能強化。練精化気。 ――上肢屈筋、二頭筋、回外筋の瞬発力増強……。 令呪2画を使った双撞掌が、ヒグマードの赤黒い毛を吹き飛ばしていた。 彼の奇形化した八極拳は、ロビンの技術と同じく、吸血鬼にも対抗できる技能に昇華されていたのだった。 ――令呪解放、体機能強化。練気化神。 ――下肢筋群、背筋、腸腰筋の筋力増強……。 そして続けざまに踏み込んだ震脚とともに繰り出された鉄山靠が、ヒグマードの本体を爆裂させた。 バスにまで追いつこうとしていた赤黒い毛が、宙から地に落ちる。 「こ、言峰さんがやったの――!?」 「い、今のうちに、早く乗んなァ!!」 グリズリーマザーの声に急かされるまでもなく、むくろと扶桑は智子とロビンを抱え、ヤスミンに支えられながら屋台バスの中に乗り込む。 『荒れ樫の君は既に亡く、国境の岸もまた姿を隠しぬ。我が制御(ヴォケィション)疾うに消ゆ。 然れば私は、赤色の塔に宇宙を掘りてこの身を宣らん――』 「……こんな歪んだ汚物が、よりにもよって言峰璃正の胤から生まれたと?」 そんな中、再生してゆくヒグマードを前に言峰はくつくつと笑っていた。 遠くなってゆくバスから投げられた包帯など、彼の目にはもう、映っていなかった。 信じたくなかった。 自分がこんな背徳的で非人道的な生物の有り様に心惹かれてしまったのだということを。 それは尊敬する父の存在すら貶めるものだった。 だから、言峰は必死に思い込んでいた。 自分の本心と教義とを共に正当化させるために、彼はヒグマードを神だと自己暗示することしかできなかった。 歓喜があった。 絶望があった。 見よ、聖堂教会の代行者の自己暗示は、確かに大罪人の少年を上回った。 この真紅に染まった断崖がその証だ。 言峰はこの時この場において、ようやく自分の本性を悟った。 夕日が血の色を躍らせて、ヒグマードと言峰綺礼の慟哭を照らしていた。 『「二式解放」』 「あははははっはっは――! 有り得ん! 有り得んだろうッ? なんだそれは!! 我が父は――、父は、狗でも孕ませたというのかァッ!!」 その悟りは、無上の幸福であり、最低の悲嘆だった。 言峰は全身全霊の感謝と憎悪を込めて、その拳を振り上げていた。 ――令呪解放、体機能強化。練神還虚。 ――大腿二頭筋、右手伸筋、腹斜筋の勁力増強……! ――八極小架・『進歩単陽砲』!! その拳は自身との決別であり、同時に、この吸血鬼へとどめを刺す、渾身の一撃だった。 令呪と共に練り上げられた気が、彼の手を通って噴き上がる。 言峰綺礼はそうして、汚れた神の幻影と決別するはずだった。 だがその手は、天空に伸び上がり、真っ赤な竜のごとく降り注いだヒグマードの身に、飲み込まれていた。 その手に、先ほどまで吸血鬼をも穿っていたほどの膨大な魔力は、宿っていなかった。 言峰の令呪は、このホームランダービーが始まる前、7画あったはずだ。 2画の一撃。 2画の一撃。 2画の一撃。 合わせても6画目だったはずのこの一打は、本来ならば令呪が足りないことなど、有り得ないはずだった。 言峰は静かに理解した。 有り得ないはずの敗北を招き寄せてしまったそのものの正体を。 応報の錆は、身に寄った因果の皺だった。 言峰の死は、そんな赤黒い錆の色をしていた。 ○○○○○○○○○○ ヤスミンの掴んでいた包帯は、ついに向こう側から引かれることはなかった。 それはその向こうの、言峰綺礼の死を意味していた。 二式解放をしたヒグマードは、まるで赤い滝のように、北東の崖に降り注いだ。 そしてその上からさらに、なぜか本物の滝のような大量の水がさらに降り注ぐのを、一同は目にした。 崖はその重量を受けてか、一瞬にして崩れた。 球場はまるごと下の海に崩落し、そこにいたはずのヒグマードも言峰綺礼も、何もかもが見えなくなった。 「……返信が、来ました。あの、ノイズのような電波で……。 『よくやった、これで時間稼ぎにはなっただろう』と……」 西へ走り続けるバスの中で、扶桑がその時、ぽつりと呟いていた。 今さっき崖を崩した謎の水流を降らせた人物が、その電報を打っているのだろう。 「助けは、来てたんだね……」 「せめて、もう少し早ければ……」 ガラスの割れた屋台を走らせるグリズリーマザーも、手応えのなかった包帯を巻き戻すヤスミンも、牙を噛み締めていた。 「また襲い掛かってくるかも……。誰かが大仕掛けで海に突き落としたみたいだけど。 あんな絶望的なヒグマ、見たことない……」 後部座席に腰を落として、戦刃むくろも神経を張り詰めている。 彼女の隣で、俯いていた黒木智子が、呟いた。 「また、来るに決まってる……」 智子が膝の上に抱く少年は、幸せな夢の中で眠っているかのように、微笑んでいた。 だが彼の胸には、大きな傷跡が開いていた。 全身はかまいたちに巻き込まれたかのように傷だらけで、その上、右肩は砕けていた。 その肩には、背中から小さな枯れ枝が猛スピードで突き刺さったらしく、肩甲骨が完全に砕けていた。 いつ、どうして刺さったのか。 もはやこの場の者にそれを知るすべはないが、その状態であのような魔球を投げ続けていたのだとしたら。 それは想像を絶する超人的な、何か大いなる力が成せたものだとしか、考えられなかった。 胸の傷跡に、智子の眼から、涙が落ちていた。 「『最強のアンデッド』……。『死なずの君(ノーライフキング)』……。 あいつは、吸血鬼『アーカード』だったんだ……。あんなやつと戦っちゃ、駄目だったんだ……!!」 「……何か知ってたのね。智子さん。……そうか、だからあなたは、最初からあんなに、必死に声をかけていたんだ」 むくろは、智子の震える肩に、手を伸ばそうとする。 だが、彼女は智子を抱きしめて、その悲しみを慰めてやることは、できなかった。 そんなことを友達にするのは初めてで、戸惑いがその手を躊躇わせたからだ。 そして智子の表情が、むくろが今までで見たことがないほどに、悲しみに満ち溢れていたからだった。 そんな表情をする友達に、一体何をしてやればいいのか、むくろにはわからなかった。 『オリバーも去れり、リチャードも去れり。我が拘束(コモンウェルス)特に死にたり。 然れば私は、荒れ樫の花に林檎を結びてこの身を宣らん――』 『荒れ樫の君は既に亡く、国境の岸もまた姿を隠しぬ。我が制御(ヴォケィション)疾うに消ゆ。 然れば私は、赤色の塔に宇宙を掘りてこの身を宣らん――』 オリバー。リチャード。 イギリスの人名だとすれば、それはコモンウェルスの概念を生み出したオリバー・クロムウェルだ。 そしてその息子の護国卿、リチャード・クロムウェル。 ――『拘束制御術式(クロムウェル)』だ。 あれかしのきみ。こっきょうのきし。 『そうあれかしと叫んで斬れば世界はするりと片付き申す』、アンデルセン神父の言葉だ。 そして国教の騎士とは、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングのことだ。 ともに恐らく、今は亡き人であり、そして、『彼』の最も親しい人間だっただろう人々だ。 黒木智子はあの赤黒いヒグマが、確信をもって吸血鬼『アーカード』であることを理解していた。 「なぁ、ロビンよぉ……。作ってくれよ、王朝を……。私の中に……。 私の中は、もう、空っぽだ……。いくらだって土地は空いてるんだからさ……」 智子は周囲の者が見守る中、震える呟きをロビンの唇に重ねていた。 そして彼の咽喉を詰める血を吸い出すように、彼の魂を救い上げるかのように、口に溢れる血を啜り上げた。 それは錆臭く、むせるような苦い味だった。 だが智子はその血液を、涙目のまま飲み込んだ。 「頼む、ロビン……。私の中に……、お前の命のひとかけらだけでも……、息づいていてくれ……」 彼女にはようやく、あの歌の意味がわかった。 どうしようもなく人を愛し、どうしたって人の敵でしかいられなかった、あの男のラブソングが。 【クリストファー・ロビン@プーさんのホームランダービー 死亡】 【言峰綺礼@Fate/zero 死亡】 【H-1 崖 午後】 【黒木智子@私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!】 状態:血塗れ、ネクタイで上げたポニーテール、膝に擦り傷、悲嘆 装備:令呪(残り2画/ウェイバー、綺礼から委託)、製材工場のツナギ 道具:基本支給品、制服の上着、パンツとスカート(タオルに挟んである)、グリズリーマザーのカード@遊戯王、レインボーロックス・オリジナルサウンドトラック@マイリトルポニー、ロビンのデイパック(手榴弾×1、砲丸、野球ボール×1、石ころ×69@モンスターハンター、基本支給品×2、ベア・クロー@キン肉マン )、ロビンの遺体 [思考・状況] 基本思考:モテないし、生きる 0 ロビン……。ロビン……!! 1 グリズリーマザーと共に戦い、モテない私から成長する。 2 グリズリーマザー、ヤスミンに同行。 3 アーカードは……、あんな攻撃じゃ、死なない……。 4 超高校級の絶望……、一体、何ジュンコなんだ……。 5 即堕ちナチュラルボーンくっ殺とか……、本当にいるんだなそういう残念な奴……。 ※魔術回路が開きました。 ※グリズリーマザーのマスターです。 【穴持たず696】 状態 左腕切断(処置済み) 装備 コルトM1911拳銃(残弾4/8) 道具 超小型通信機 基本思考:盾子ちゃんの為に動く。 0 智子さん、一体どうしたら……。 1 智子さんは、すごく良い友達なんだから……! 絶対に守ってあげる……! 2 言峰さんとロビンくんの殉職は、無駄にしてはいけない……! 3 智子さん、あなたの知っている情報は……!? 4 良かった……。扶桑は奮起してくれた! 5 盾子ちゃんのことは絶対に話さないわ! 6 盾子ちゃん……。もしかして私は、盾子ちゃんを裏切ったりした方が盾子ちゃんの為になる? ※戦刃むくろ@ダンガンロンパを模した穴持たずです。あくまで模倣であり、本人ではありません。 ※超高校級の軍人としての能力を全て持っています。 【扶桑改(ヒグマ帝国医療班式)@艦隊これくしょん】 状態 ところどころに包帯巻き、キラキラ、出血(小) 装備 鉄フライパン 道具 なし 基本思考:『絶望』。 0 この絶望から、浮上しましょう……、智子さん……。 1 この、電信を返して下さった方は……? 2 ああ、何か……、絶望から浮上してくるのって、気持ちいいですね……! 3 他の艦むすと出会ったら絶望させる。 4 絶望したら、引き上げてあげる。 【グリズリーマザー@遊戯王】 状態:健康 装備:『灰熊飯店』 道具:『活締めする母の爪』、『閼伽を募る我が死』、穴持たず82の糖蜜(中身約2/3) [思考・状況] 基本思考:旦那(灰色熊)や田所さんとの生活と、マスター(黒木智子)の事を守る 0 またあのヒグマが襲い来るとか冗談じゃないよ……! 1 マスター! アタシはあんたを守り抜いてみせるよ! 2 あの帝国のみんなの乱れようじゃ、旦那やシーナーさんとも協力しなきゃまずいかねぇ……。 3 とりあえずは地上に残ってる人やヒグマを探すことになるかしら。 4 むくろちゃんも扶桑ちゃんも難儀だねぇ……。 5 実の姉を捨て駒にするとか、黒幕の子はどんだけ性格が歪んでるんだい……? [備考] ※黒木智子の召喚により現界したキャスタークラスのサーヴァントです。 ※宝具『灰熊飯店(グリズリー・ファンディエン)』 ランク:B 種別:結界宝具 レンジ:4~20 最大捕捉:200人 グリズリーマザーの作成した魔術工房でもある、小型バスとして設えられた屋台。調理環境と最低限の食材を整えている。 移動力もあり、“テラス”としてその店の領域を外部に拡大することもできる。 料理に魔術効果を付加することや、調理時に発生する香気などで拠点防衛・士気上昇を行なうことが可能。 ※宝具『活締めする母の爪(キリング・フレッシュ・フレッシュリィ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1~2人 爪による攻撃が対象に傷を与えた場合、与えた損傷の大きさに関わらず、対象を即死させる呪い。 対象はグリズリーマザーが認識できるものであれば、生物に限らず、機械や概念にまで拡大される。 ※宝具『閼伽を募る我が死(アクア・リクルート)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、自身を即座に再召喚できる。 または、自身が攻撃を受けて死亡した場合、マスターが令呪一画を消費することで、Bランク以下の水属性のサーヴァント1体を即座に召喚できる。 【穴持たず84(ヤスミン)@ヒグマ帝国】 状態:健康 装備:ヒグマ体毛包帯(10m×8巻) 道具:乾燥ミズゴケ、サージカルテープ、カラーテープ、ヒグマのカットグット縫合糸、ヒグマッキー(穴持たずドリーマー・残り1/3)、基本支給品×3(浅倉威、夢原のぞみ、呉キリカ)、35.6cm連装砲 [思考・状況] 基本思考:ヒグマ帝国と同胞の安寧のため傷病者を治療し、危険分子がいれば排除する。 0 全員を生還させる手立てを考えなければ……。 1 帝国の臣民を煽動する『盾子』なる者の正体を突き止めなければ……。 2 エビデンスに基づいた戦略を立てなければ……。 3 シーナーさん、帝国の皆さん、どうかご無事で……。 4 ヒグマも人間も、無能な者は無能なのですし、有能な者は有能なのです。信賞必罰。 ※『自分の骨格を変形させる能力』を持ち、人間の女性とほとんど同じ体型となっています。 ○○○○○○○○○○ My head is the apple without e er a core, My mind is the house without e er a door. My heart is the palace wherein he may be, And he may unlock it without any key. 私の頭は 芯の無いリンゴ 私の気持ちは ドアのない家 私の心は 彼の住む城 彼が開けるのに鍵はいらない (イングランド民謡『I Will Give My Love An Apple』より) ○○○○○○○○○○ 『……喜べ。お前たちは役に立ったぞ、人間。 これで少なくとも、時間稼ぎはできただろうからな』 崩れ落ちた崖の縁に、佇む影がある。 それはヒグマン子爵だった。 遠くから聞こえた難関に泣く声。 ここから南の温泉地帯にいたヒグマン子爵は、刀の手入れをしている最中、その刀身に共鳴する扶桑の電報を捉えていた。 ヒグマン子爵は、モールス信号などうろ覚えだった。 だが電波の受信状況から三角測量で送信地点を特定すると、それは先だって彼が『血の神』ヒグマードと戦っていた地点にほど近かった。 そこで誰かが、ヒグマードと目下戦闘を行いつつ助けを求めていると考えて間違いない。 それならば、この機に乗じてヒグマードをしとめられるかもしれなかった。 断崖に立つ影を完膚無きまでに粉砕し消滅させうるそのタイミング、その一瞬を、彼は耽々と狙い続けていたのである。 ヒグマードが降り注ぐタイミングに合わせ、真上から正宗の吸収していたエリア一つ分の温泉水を解放し、その質量で崖を崩落させる。 ロビンが地盤を一度貫いていたおかげで、その作戦は、見事なほどに成功を収めた。 その上、彼は仕事の報酬として、死にたての人間の肉すらかすめ取ることができた。 巨大質量に押し潰され、全身の骨が砕かれた言峰綺礼の死体を掴み、彼は崖から踵を返す。 これだけの収穫があれば、当座のところは十分だ。 取り立てて、逃げていった電報の送信者を追う必要もない。 『あとは、ミズクマが奴の存在を喰い尽せるか否か、だな……』 再び南の森へと歩きながら、彼は裂きイカのようにして言峰綺礼の死肉を食らう。 腹ごなしをしつつ、ヒグマン子爵は正宗とヒグマ殺しを規則的に打ち鳴らしていた。 『よくやった、これで時間稼ぎにはなっただろう……、と』 彼はモールス信号などうろ覚えだ。返信はこうして落ち着いた時に作るに限る。 【H-2 枯れた森 午後】 【ヒグマン子爵(穴持たず13)】 状態 健康、それなりに満腹 装備 羆殺し、正宗@SCP Foundation 道具 言峰綺礼の死体 基本思考 獲物を探しつつ、第四勢力を中心に敵を各個撃破する 0:撤退だ。 1:狙いやすい新たな獲物を探す 2:どう考えても、最も狩りに邪魔なのは、機械を操っている勢力なのだが……。 3:黒騎れいを襲っていた最中に現れたあの男は一体……。 4:この自失奴を助けてやったのはいいが、足手まといになるようなら見捨てねばならんな。 5:これで『血の神』も死んでくれるといいのだが。 [備考] ※細身で白眼の凶暴なヒグマです ※宝具「羆殺し」の切っ先は全てを喰らう ※何らかの能力を有していますが、積極的に使いたくはないようです。 ○○○○○○○○○○ 『オォォォオォォオオォオォォォォ――……!!』 その後しばらくして、水底より、海を揺るがせて湧き立つ声があった。 真っ赤な水柱が、島の崖の傍に吹き上がる。 黒い船虫のような生物を吹き散らし、飲み込みながら、その真っ赤な流体は低い唸りを上げて斬り落とされた崖に喰らいついた。 『おのれ……、一度ならず二度までも無粋な邪魔立てが入るとは……!! どこだ……、化物(フリークス)の風上にもおけぬ小賢しい輩は……?』 体中に喰らいついたミズクマたちを振り落とし、逆に喰らい、ヒグマードは巨大なウミウシかアメーバのようにその赤黒い体で崩れた崖を登ってゆく。 『お前たちがそのつもりなら、ああそうしよう、私も全力でお前たちの振る舞いに応じよう!』 怒りとも歓喜ともつかない声で、彼は高らかに吠えた。 彼の体から幾万もの命が、戦いの予兆に歓呼と怨嗟の叫びを漏らす。 『さぁ待っているがいい、私はすぐにでも行くぞ!!』 赤い火のように、沈みゆく血の色の中をそれは駆けた。 【I-1 崩落した崖 夕方】 【ヒグマード(ヒグマ6・穴持たず9・穴持たず71~80)】 状態 化け物(吸血熊) 装備 跡部様の抱擁の名残 道具 手榴弾を打ち返したという手応え 0 私も全力でお前たちの振る舞いに応じよう! 人間!! 1 また戦おうじゃあないか! 化け物たちよ! 2 求めているのは、保護などではない。 3 沢山殺されて、素晴らしい日だな今日は。 4 天龍たち、ウィルソン上院議員たち、先の人間や化物たちを追う。 5 満たされん。 [備考] ※アーカードに融合されました。 アーカードは基本ヒグマに主導権を譲っていますが、アーカードの意思が加わっている以上、本能を超えて人を殺すためだけに殺せる化け物です。 他、どの程度までアーカードの特性が加わったのか、武器を扱えるかはお任せします。 ※アーカードの支給品は津波で流されたか、ギガランチャーで爆発四散しました。 ※再生しながら、北部の森一帯にいた外来ヒグマたちを融合しつくしました。
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