約 1,012,517 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1050.html
少女―――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはメイジであった。 魔法を行使し、その力をもって力を持たない人々、平民を治める特権階級。 この世界の大陸、『ハルケギニア』の「トリステイン」という国ではそういう制度であり、事実、メイジと平民の間に横たわる壁であった。 ここはその中にあるメイジを養成する魔法学院の進級試験を兼ねた使い魔召喚の儀式が執り行われていた。 (今度こそ、今度こそ成功してみせるわ・・・!) しかし、彼女は魔法の発動と行使を今まで正しく行えたことは一度たりともない。 故に、「ゼロ」という不名誉な二つ名を与えられ、雌伏の時を過ごしてきた。 先程も使い魔召喚の魔法『サモン・サーヴァント』を幾度も失敗させ、爆発現象を起こし、周囲の同期の生徒達の笑いものになっている。 それでも、彼女は諦めなかった。 自身の「ゼロ」を否定し、乗り越えるために、今一度『サモン・サーヴァント』の呪文を唱える。 「宇宙の果てのどこかにいるわたしの下僕よッ。神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ! わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさいッ!!」 その呪文に応え、現れる鏡にも似た次元の扉。 そこまでは今までとさして変わることはない。また爆発を起こし、失敗するだろう。 周囲の生徒達はそう思っていた。 しかし――― 『私に呼びかける者へ、問います。』 「えっ!?」 「な、なんだ!?」 「声!?」 「嘘だろう!?」 「まさか、精霊かなにか!?」 「『ゼロ』のルイズが!?」 「ありえないわ!」 『扉』の向こうから神聖さに満ちた声が聞こえてきたことで、ルイズと、周囲の生徒が驚きの声をあげた。 『私を呼び、望むものは何ですか?』 「嘘・・・。どうして、声が・・・?」 その問いかけに暫し呆然とするルイズ。 もし、神や精霊のような上位存在ならば、この契約は今までのようなただの使い魔とのものとは一線を隔する。 自身の返答次第ではこの契約は反故になるだろう。 だからこそ、少女は答えた。 「我が名、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの名にかけ、ここに誓うわ! 私の望みはあなたと共に在り、共に生きること! だから、私の呼びかけに応えてッ!!」 自身の精一杯の誠意と敬意を込めて。 『そう。それが答えなのね。』 慈愛に満ちた『声』がこちらに返って来ると、『扉』がいっそうの輝きを増す。 『あなたの召致に応じましょう。』 その宣言と共に『扉』は一際強く輝き、その場にいたすべてのメイジ、彼らに呼び出されたであろう使い魔達はその眩さに目を閉じた。 光が晴れ、目を開けると、一人の女性が瞳を閉じ、そこに姿を現している。 白銀の髪は太陽の光を受け、その身にまとう装束と相まって、神話にある女神を彷彿とさせる。 双眸が開かれると、そこには闇夜を晴らすかに見える金色。 そして、『女神』はルイズを目に映し、名乗った。 「私はミカヤ。貴女の呼びかけに応えた者。 貴女と共に在り、共に生きることを誓いましょう。」 ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~ 第一部 『ゼロの夜明け』 序章 『召喚(ルイズの章)』 「嘘だ・・・。」 「『ゼロ』のルイズが『サモン・サーヴァント』に成功した・・・。」 「メイジ? いや、あれはきっと女神様よ・・・。」 「いや、いずれにしてもありえない・・・。」 ルイズの召喚したミカヤと名乗る女性を見て、騒然とする生徒達。 彼らの監督役としてその場にいた壮年のメイジ、コルベールも前代未聞の事態の収拾をはかりかねていた。 『扉』越しに対話をしたことも、人間の姿をした―――神聖な気配を漂わせているが、おそらく人間のメイジであろう彼女。 いずれにしても、人間を召喚したことは前例にないことであった。 「ミ、ミスタ・コルベール。」 おずおずとした口調でうかがいを立てるルイズの声にコルベールは意識を戻す。 「何かね? ミス・ヴァリエール。」 「わ、私、あ、あのお方と『コントラクト・サーヴァント』しても良いのでしょうか?」 ミカヤの雰囲気に当てられ、動転しているのか、彼女を『あのお方』と言ってしまうルイズ。 「う、うむ。確かに恐れ多いとは思うが、決まりだよ。」 コルベールもまた、ややどもりつつもルイズに説いて聞かせる。 「二年生に進級する際、君達は使い魔を召喚する。それによって今後の属性を決定し、それにより専門課程へと進む。一度呼び出した使い魔は 変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だ。好む、好まざるに関わらず、あのお方、ミス・ミカヤを使い魔にするしかない。」 「で、でも・・・。」 ルイズは恐縮しつつ、ミカヤを見る。 すると、二人の話を黙して聞いていた彼女は、鈴を転がすような美声で、口を開いた。 「事情は概ね理解しました。」 二人、否、その周囲を取り巻く生徒達もがミカヤと正対する。 あたかも、神の啓示を受けるかのように。 「ヴァリエールさん、いえ、ミス・ヴァリエールと呼んだほうがいいでしょうか? 私は貴女の呼びかけに応え、ここに現れました。私が貴女と共にあることに使い魔になることが必要であるならば、それに応じます。」 「で、ですが、ミス・ミカヤッ。い、い、いいのですか?」 「ええ。私は先程の誓いを必ず果たします。」 「・・・・・・。」 ミカヤの言葉に沈黙するルイズ。 そこへコルベールが言葉をかける。 「ミス・ヴァリエール。ミス・ミカヤがこう申しているのだ。それに、これは伝統であり、例外は認められない。何回も何回も失敗しつつも、ミス・ミカヤのようなお方を召喚できたことは、まさに僥倖。儀式を続け、契約を。」 「そうだそうだ!」 「叶うなら僕が契約したいぐらいだ!」 「ミス・ミカヤとの契約拒否なんて始祖ブリミルの罰が下るぞ!」 「『ゼロ』のお前には勿体無いんだ!早くしろ!」 コルベールの促しに続き、周囲―――主に男子生徒からそんな野次が飛ぶ。 もはやこうなっては、ルイズも後には退けない。 「・・・わかりました。ミス・ミカヤ、屈んでいただけますか?」 「分かりました。」 ルイズの言葉に従い、彼女の背と同じ高さに屈むミカヤ。 「では、目を閉じてください。」 「ええ。」 ミカヤは目を閉じ、ルイズの次の行動を待つ。 それを見たルイズはミカヤにほんの木の棒程の長さの杖を振り、使い魔との契約の魔法、『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ。」 そしてミカヤの頬に手をそえ、契約の口付けを交わした。 ―――後に、『双月の女神』と呼ばれることになる、二人の伝説のメイジはここに契約を果たした。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1936.html
前ページ次ページゼロ・HiME 「この学院で教えているのは魔法だけじゃないわ。メイジはほぼ貴族で『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を受けているの。だから、ここも貴族の食卓に相応しいものでなければってことね」 寄宿舎から学院で一番高い中央の本塔にある食堂につくと、物珍しそうに食堂を見回す静留に向かってルイズは得意げに説明する。 「凝った内装やらテーブルの上にある豪華な料理からしてそんな感じやね……ほな、うちは外で待ってますわ」 「えっ、なんでよ?」 「テーブルの上の豪勢な食事は貴族さん達のためのものですやろ。平民でしかも使い魔のうちが同席するわけにはいかんと思いますよって」 静留の言葉にルイズはしまったという表情を浮かべる。昨日は召喚に成功したことで頭がいっぱいで静留の食事の手配を忘れていたのだ。まともに使い魔の食事も用意できないなんて主人としての沽券に関わる。 「どうしたらいいかしら……そうだ、ちょっとそこのあなた!」 ルイズは少し思考した後、配膳のために傍を通ったシエスタに声をかける。 「はい、なんでしょうか? あ、シズルさん」 「仕事中どすか、シエスタさん」 静留が気づいて駆け寄ってきたシエスタに声をかけると、ルイズが怪訝な表情でたずねる。 「ん? シズル、なんで名前知ってるの?」 「ルイズ様を起こす前、洗濯しにいった時に知りおうたんどす」 「ええ、そうなんです。それで何のご用でしょうか、ミス・ヴァリエール?」 「実はシズルの食事のことなんだけど。厨房の方に話して手配しておくのを忘れてしまって……悪いんだけどシズルに何か食べさせてあげて欲しいの」 シエスタに用件を尋ねられ、ルイズが言いずらそうに答える。 「ああ、それなら余り物で作った賄いでよろしければ」 「それでいいわ。お願いね、シエスタ」 「はい、お任せください。では、シズルさん、こちらへ」 「ルイズ様、食事終わったらすぐ戻ってきますさかいに」 ルイズに一言断ると、静留はシエスタの後について厨房に入っていった。 「ごちそうさんどす、シエスタさん」 「いえ、どういたしまして。食事の際は遠慮なくおいでくださいね、シズルさんの分をちゃんと用意しておきますので」 厨房で出されたシチューとパンを平らげた静留が礼を言うと、シエスタは照れたようにはにかむ。 「コック長のマルトーさんどしたか、このシチューや食堂の料理といい、ええ仕事してはりますな」 「おっ、うれしいこと言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん! 気に言ったぜ、飯以外にも何か困ったことがあったらいつでも来な」 静留の賛辞に恰幅のいい中年のコック長のマルトーが、上機嫌で笑って答える。 「そうどすか。そんの時はよろしゅう」 「おう、いいってことよ。平民は平民同士、助けあわねえとな!」 「そうどすな。ほな、うちはルイズ様のとこに戻りますわ」 静留はマルトーの言葉に答えて一礼すると、食事が終わったルイズと合流して教室へと向かう。 ルイズが静留を連れて教室に入ると、先に来ていた生徒達から一斉に無遠慮な視線が飛んできた。 あからさまな嘲笑や囃し立てる声が沸き起こるが、ルイズはムッとしたように顔をしかめただけで、そのまま無視して席についた。その横に静留が立って控える。 (しかし……ほんに使い魔いうんは化け物やら動物しかおらへんのやね) 周囲の使い魔を見回し、改めて自分が召喚されたのは普通ではないのだと静留が思っていると、教室の扉を開いて教師が入ってきた。 「みなさん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 中年のふくよかな女性教師――シュヴルーズが教室を見回して満足そうな表情でそう言うと、ルイズは気まずそうにうつむく。 「おやおや、また変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴェリエール」 シュヴルーズが静留を見てとぼけた声でいうと、教室中から笑い声がおきる。 「おい、ルイズ! 召喚できないからってその辺に歩いていた平民の女を連れてくるなよ」 「違うわよ、きちんと召喚したもの! 喚んだのがたまたま平民だっただけよ」 「嘘つくな、『サモン・サーヴァント』ができなかっただけだろう?」 からかった生徒とルイズとの間でたちまち言い争いになるが、シュヴルーズはからかった生徒の口を塞いで強引に場を収め、授業を再開させた。 「シズル、魔法の授業なんか聴いてて楽しいの?」 授業中、シュヴルーズの講義を興味深そうに聞いている静留を見て、ルイズが不思議そうに尋ねる。 「そやね、自分が知らん知識を見聞きするんは楽しいおすな。まあ、元のとこでも学生どしたから、懐かしいんのもあるかも知らんけど」 「そう……」 どこか遠い目をして答える静留にルイズは何も言えず黙り込む。 (そういえば恋敵に好きな人を託して死んだって言ってたっけ……その人のことでも思い出してるのかしら) そんなことをルイズが考えている間にも授業は進み、錬金で小石を金属にする実習が行われることになった。 「……では、ミス・ヴァリエール、あなたにやってもらいましょう」 「え、私ですか?」 「そうですここにある石ころを、金属に変えてごらんなさい」 突然、指名されたルイズがうろたえて視線を彷徨わせていると、キュルケがシュヴルーズに声をかける。 「先生、危険です。やめといたほうが……」 「錬金に何の危険が? それに失敗を恐れていては何も変わりません。さあ、ミス・ヴァリエール、やってごらんなさい」 「やります」 キュルケの忠告は聞き入れられず、実習をすることになったルイズは硬い表情で石の置かれた教壇の前に向かう。周囲の生徒が一斉に慌てて机の陰に隠れる。 「ミス・ヴァリエール、緊張せずに錬金したい金属を思い浮かべばよいのです」 「はい」 シュヴルーズに後押しされたルイズは呪文を唱え始めると、小石に眩しい光が収束していく。 「これは……あかん!」 小石の発光に危険を感じた静留が『殉逢』を実体化させ、その刃先をムチ状にしてルイズに放った瞬間、爆発が起こった。 爆発に驚いた使い魔達が暴れ出し、逃げたり噛みついたりして教室は悲鳴が入り混じる阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 「だから言ったのよ、ルイズにやらせるなって! あれ、ル、ルイズは!?」 キュルケはそう言って教壇を指差すが、そこにルイズの姿はなかった。 「そんな、うそでしょ……」 「ここやよ、キュルケさん」 キュルケは最悪の状況を想像して呆然していたが、教室の後ろの方から聞こえてきた声に反応して振り向くと、そこにルイズをお姫様抱っこした静留の姿があった。 「この通り、ルイズ様は無事どす。安心してや」 「ちょっと失敗したみたいね」 無傷のまま静留の腕に抱かれた格好でルイズが憮然としてそう言うと、教室中の生徒から非難の声が巻き起こる。 「どこがちょっとだよ! ゼロのルイズ!」 「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないか!」 (なるほど、それでゼロいうんやね) 本人の表情と周囲の反応から、静留は何故ルイズがゼロと呼ばれているのかを理解したのだった。 前ページ次ページゼロ・HiME
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5434.html
前ページ次ページゼロの社長 所変わって、ここはトリステイン魔法学院内にあるルイズの部屋である。 強引かつ強制的な契約により,ルイズの使い魔となった(された)海馬であったが ルイズとコルベールから一通りの説明は受けたものの、今の現状が全くつかめずにいたので、 とりあえず頭の中で整理する事にした。 (遊戯とのデュエルの最中に現れたあの奇妙な鏡。あれがこの小娘の言うところの召喚のゲートとやらであろう。それにしても魔法のある世界とは…。) 海馬は過去に自分が体験した仮想現実のことやドーマとの戦いのときに垣間見た デュエルモンスターズの世界のこと、ファラオの記憶の中の古代エジプトのこと。 (感覚からすればデュエルモンスターズの世界に一番近いか…しかし、戻る手段が無いとは…) コルベールの説明によれば、契約した使い魔を送り返す方法など無い。使い魔か主のどちらかが死ぬまでこの契約は続く、故に送り返す必要が無かったために その魔法も全く研究されなかったという事である。 (なりゆきとはいえ、こう何度も異世界に飛ばされると驚きもなくなってしまうな。しかし、まずはもとの世界に戻る方法を探さなくては…。) 「あーもうっ!黙ってないでなんか喋りなさいよッ!」 海馬がまたもとの世界に戻る方法を考えはじめたころ、ついに沈黙に耐えられなくなったルイズが口を開いた。 「説明してるときも『ふぅん』だの『ほぉ』だの『なん…だと…』だの偉そうな態度で聞いてるかと思えば、 説明が終わるったあとはずっと黙りっぱなしでなんかずっと考えてるし! あんたは…っそ、その…わたしと契約したんだから、私の使い魔なのよ! 私がご主人様であんたは使い魔!使い魔なら使い魔らしく、私のことを無視してずっと考え事なんてしてないでよ!」 ぜーっ…ぜーっ…と勢いよくまくしたてるルイズ。しかし目前にいる海馬はといえば、 「勝手なガキだ。一方的に呼びつけて強引にこんなものを刻み付けるのを契約とは。 身勝手にもほどがある。俺は貴様の使い魔になど、なった覚えも無ければするつもりも無い。」 つまらなそうにルイズを一瞥してはき捨てるように言う海馬。 最も彼の言い分は正しい。強制的に連行し、もといた場所には一生戻さない。お前は永遠に自分の下で働け。 使い魔召喚とは人間を相手にしてみればこういうことを言っているのと同義である。 普通なら納得できるはずが無い。しかしルイズからしてみれば、自分がせっかく成功させて召喚した使い魔が、 自分の言う事を聞かずに反論してくる状況に納得は出来ない。 「何言ってるのよ!そのルーンが契約の印!それが刻まれている以上あんたは私の使い魔なの!」 「ふん。俺は、いや、たとえお前が別の何かを召喚したとしても、殆どの者がお前には従わん。身の程を知れ!」 「なっ…なっ…?」 ルイズは過去、自分の事を馬鹿にされた事はあれど、ここまでの侮蔑を受けた事は無かった。 それゆえに海馬の発言に言葉を返す事が出来なかった。 「他者の上に立つということは、自分自身の力量だけでなく、頭脳の回転の速さ、人望などが必要だ。 貴様のようにギャ-ギャ-とわめくだけで何を示すでもなく主を名乗る、そんな子供になど誰がついてくるものか! ましてや,俺は他者の指図など受けん!」 ルイズは絶句した。 いや,反論しようにも言葉が出ない。平民にここまで言われて、 「平民の癖に、貴族に対してなんて口の聞き方を!」と反論しようにも、貴族としても自分は魔法を成功した事が無い『ゼロのルイズ』 その程度の実の無い反論では同じことで論破される。 それでも,目の前のこの男に対して何とか言葉を紡ごうとしてもまとまらない。 言葉にできない。 むしろ恥かしいとさえ思えてくる。自分は使い魔との契約を軽軽しく見ていたのではないか。 召喚さえできればあとは勝手に使い魔が動いてくれる。 そんな風に考えていたのではないか。 違う メイジにとっての使い魔は『一生の僕であり、友であり、目で耳である』 そう,一方的な奴隷ではないのだ。 (それなのに…私は…っ!) 知らず知らずの内にルイズの瞳からは涙があふれていた。 自分のメイジとしての力量の無さに。 自分の使い魔に対する浅はかな考えに。 どうすればいいのかわからない悔しさに。 「どうすれば…いいのよ…?魔法が成功しないから…一生懸命勉強したっ! それなのに!魔法は成功しない!成功率『ゼロ』!『ゼロのルイズ』! クラスのみんなにも馬鹿にされてっ!せっかく召喚した使い魔にまで拒絶されて!それじゃあ私はどうしたら良いのよっ!」 涙に濡れた顔をぬぐいもせず海馬に食いかかるルイズ。 わからない!どうすればいい!誰か答えて!おしえてよ! 私はどうすればいいの!? 「なに勘違いをしている?」 「ふぇ」 「貴様は今、魔法が成功しないといった。では、どうしてこの俺がここにいる? それは貴様の召喚魔法が成功したからではないのか?」 そうだ。 ここに海馬がいる以上、ルイズのサモンサーヴァントは成功している。 そう、ルイズの魔法は成功しているのだ。 「私の…魔法…?」 「俺はこの世界の魔法とやらの知識は無い。だが、俺がここにいる以上、貴様の魔法は成功しているのだろう? 俺にとっては迷惑この上ない魔法だが、成功した以上、お前は『ゼロ』ではないだろう。」 「私は…ゼロじゃ…ない?」 「少なくとも1は成功した。ならそれが2にならないとどうして言い切れる? 貴様は既にゼロではない。ならば次はさらに前へと進むのみだ。 全力で、貴様の目指す未来へのロードを突き進め。そして,前へと進む気があるのならば…」 海馬はそこで区切り,ルイズを正面から見据え 「俺は貴様を助けてやる。怠惰に現在を食いつぶし、我侭を言うだけのガキには興味は無い。 が、貴様は既に目指す場所を見つけているのだろう。そして貴様の進む道のりに、 俺の力が必要だというのなら、俺は力を貸してやる。 俺は貴様の『使い魔』なのだろう?」 まっすぐな瞳で見つめてくる海馬 そう、海馬は確かにこの理不尽な契約に怒りを覚えていた。 だが、決して海馬はただの自分勝手な男ではない。 異世界に召喚され、使い魔として契約させられる。それだけでも怒りを覚えるというのに、 その主と言い張るルイズは、何を示そうともしない。 そんな一方的な押し付け、子供の我侭に付き合っている暇などない。 …だが、もしルイズが自分で道を歩こうとするのなら。 そこに自分の手が必要とするのなら。 いつのまにか止まっていた涙 ルイズはその瞳に答え、まっすぐに海馬を見つめ 「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ド・ル・ブラン・ラ・ヴァリエール。」 そう、これこそが本当の使い魔との契約。 同じ道を進み、同じ未来を見据えるもの同士の契約。 「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」 その呪文とともに口付けをするルイズと海馬。 ルーンは既に刻まれている、故に肉体的変化は起こらない。 だがそれでも、ルイズと海馬の間に小さな、目には見えない絆という契約が生まれたのだった。 「これからよろしくね、セト!」 「いいだろう、ルイズ。元の世界に戻るそのときまで、貴様と共にいてやろう。」 前ページ次ページゼロの社長
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3286.html
ゼロの悪魔召喚師 第六話 <ルイズ> 「に、逃げたわねっ!!あの馬鹿使い魔!!」 朝起きたらあの使い魔がいなかった。 あれだけ従順だったのは、この時の為か! こうしてはいられない、すぐに探し出して捕まえなければ。 このままだと、キュルケに何を言われるか…いや、それどころか学院を退学させられるかも… マズイ、実にマズイ… 実家に帰ったときにどうなるか……母と姉の顔が思い浮かぶ…… 「必ず捕まえる!命が危ない!」 こぶしを振り上げて決意を掲げる…ってこんなことしてる場合じゃない。 私はネグリジェをベットへ脱ぎ捨てると、テーブルの上にあった制服にこれ以上ないという速さで着替えていく。 アイツはこの場所に来て二日目…どこへ行こうというのかしら? 「流星は甘わね…町の場所もわからないのにこの私から逃げられるわけがない!!」 その時枕元に置いておいた乗馬鞭が目に入る。 「うふふふ~~折檻タイムよ!流星、必ず捕まえるからね~~。」 笑いがこみ上げてくる。 それにしてもどこに行ったのかしら?普通なら町だろうけど…? ……しまったぁ!!アイツ土地勘がないからどこに行ったのか予測もできない。 聞いて回るしかないの!?やっぱ捜査は足なの!?でも、急げば誰にも知られないで済むかもしれない。 あ~~~!!なんでこんなことになってんのよっ!! 「おはようございます。ご主人様」 ドアが開いて流星が顔を出した、あろうことかキュルケと一緒に。 「えっ?な、なんで?」 わけがわからない、頭に浮かんだ言葉をそのまま声に出す。 「私は朝の散歩の帰りです。キュルケ様とは部屋の前で一緒になりました。」 流星が相変わらず笑顔で答えてくる。 「おはよう、ミス・ヴァリエール。あなたも貴族なんだから、朝から騒ぐのはよした方がいいわよ。」 キュルケまで笑いながら声をかけてくる。 「こ、これには深い理由があるのよっ!」 恥ずかしさで自分でも顔に血が上ってくるのがわかる。 「どういう理由なのかしら?もしかして使い魔に逃げられたと思ったとか?うふふふふ」 「そ、そんなわけないじゃない。いやあねぇ、下世話で。おほほほほ」 キュルケと乾いた声で笑いあう…やっぱコイツは敵だ。 「仲よきことは美しきかなと、そろそろ朝食の時間なのでは?」 この馬鹿は目が腐ってるわね。 「そうね、流星、ついてきなさい。食堂に行くわ。ミス・ツェルプストー鍵をかけるから出て行ってくださる?」 「わかったわよ、あと部屋は片付けたほうがいいわよ。脱ぎ散らかしててだらしないわ。」 「流星!!」 怒鳴り声を上げながら振り返ると傍でネグリジェなどを手早く畳んでいた。 片付けさせようとして呼びつけたのに… 「さて行きましょうかご主人様」 「え、ええ。そうね」 命令する前に仕事は終わらすし、物を取り上げても怒らないし、常に命令には従順なのにイラつくのはどういうことかしらね…… 流星に部屋の鍵をかけさせていると 「そぉいえば、私も昨日使い魔を召喚したのよ。おいで、フレイム~」 キュルケが自慢げに呼び出した使い魔を見せつけた。 「ふ、ふ~ん。サラマンダーね、よかったわね」 「これがサラマンダー?少し触ってもいいでしょうか?キュルケ様」 コ、コイツ私が不機嫌なことはどうでもいいのかっ!ってかキュルケに様付けっ!? 「ん~、別にかまわないわよ」 「では、失礼して」 流星はそういうと丹念にサラマンダーを調べ始めた。 キュルケと一緒になってそんな流星を見ながらなんとなく 「サラマンダーを見るのがはじめて?」 「いえいえ、ノモスと大分違うので…」 そういえばノモスってどんなところなのだろう? マジックアイテムとかの勉強に留学してたらしいけど。 フレイムの足の裏や口の中を覗き込んでいる流星に質問をつづける。 「どんな風に違うの?」 「そうですね、まず浮いてます。それから魔法を使います。」 「「えっ!?」」 驚きの声を上げてキュルケと顔を見合わせる。 「さすがに炎を吐くことは無いですけどね」 サラマンダーは普通火を吐いて、魔法は使えないものでしょ!? 「ちょ、何よそれ?」 思わず聞き返す。 「からかわれてるんでしょ。ホントだとしたらアナタは火トカゲに劣ってることになるわよ。馬鹿な事言ってないで、早く行かないとご飯食べ損ねるわよ。」 キュルケがため息をつきながら急かしてくる。 「りゅうせ~~~い」 「本当なんですけどねぇ。信じられませんか?」 「信じられるわけ無いでしょ!!早く食堂に行くわよ!!」 まったく、コイツは…… それでアルヴィーズの食堂に着いたわけなのだけど… 「どうしました?お座りにならないので?」 「す、座るわよ」 平民の見たことのないぐらいの豪華絢爛なこの食堂で平然としてるのだ! テーブルの上には立派な食事が並んでいるのに! すこしは驚くとか凄いですねとかコメントするとか! 何にもなくてふつーに椅子を引いて待ってるのだ…気が利いてるところがなおのこと癪に障る 「ねぇ、アンタこの食堂見て何か言う事ないの?」 「え?無駄に豪華ですね」 辺りを見回して答えてくる。 「アンタね…、日本だっけ?アンタの故郷にこういうところある?」 「一応似たようなものとして純金の茶室ってありますよ。壁も部屋も道具も全部純金で作られてますけど…それがどうかしましたか?」 不思議そうな顔でこっちみんなっ! 「じゃあ、料理はっ?」 「これではカロリー過多、栄養の偏り、ご主人様は成長期なのでもっと野菜を取ったほうがよいと思います。ついでに言えば朝からアルコールの摂取は体の成長の邪魔をするような気もします。」 そーゆーことじゃない!!そーゆーことじゃないのよーーっ!! 「ちょっと、ミス・ヴァリエール。もう食事前の祈りの時間なんだから静かにしなさいよ。」 「だってコイツがっ!」 キュルケに怒られるなんて!全部コイツが悪いっ!! 「では、私は端のほうに控えておりますので」 流星は私とキュルケに一礼すると壁際の方に向かっていった。 体よく逃げられたーーっ!! 「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よっ!今朝もささやかな糧をわれに与えたもうたことを感謝いたしますっ!」 「…アナタねぇ」 隣に座ったキュルケがため息とともにあきれた声を出してくる。 「始祖と女王に喧嘩でも売ってるの?」 「うっさいわね」 答えつつ受け皿に肉料理を盛り付け、がつがつとウップンを晴らすように食べる。というか、やけ食いをしているのだけど。 「よく胸焼けしないわね…それより何でそんなにイラついてるのよ。」 あきれた声を出してくるキュルケに答えず黙って流星を見る。 「使い魔?人を使い魔なんて聞いたこと無いけど見てる限りじゃ礼儀も知ってるし、気も利く、命令は守る。何が不満なのよ?」 キュルケはサラダをパクつきながら聞いてくる。 肉をワインで胃に押し込みながら「わかんないけどそれがムカつく」とは言えず 「床」 「床?」 キュルケが床を見て 「なにこれ?」 「皿」 「なんか貧しいものが入ってるわね?」 「使い魔の餌」 「…………」 キュルケの目が点になり無言になる。 「しつけって必要でしょ」 「…………」 「しつけって必要でしょ」 「…………」 「しつけって必要でしょ」 「…………」 「しつけって必要でしょ」 「……彼のどこに躾が必要なのよ……。イラついてるのってアナタの言う躾ができなかったから?」 思考が飛んでいたキュルケが帰ってきた。 「私がそう思うからしつけは必要なの。イラついてんかいないわ。」 「はいはい、わかったわよ。でもこれじゃ平民以下の食事よ。使い魔に倒れられたら、ゼロ以下になるわよ。」 「むぅ…」 流星にこっちに来る様に指で合図する。 「何でしょうか?」 「アンタの食事、厨房の方に行って食べなさい。そこのアナタ。こいつを厨房に連れてって食事を与えてくれる?」 そばを通りかかったメイドに流星を連れて行くように頼む。 「わかりました。こちらにどうぞ。」 流星はメイドに連れられて厨房の方へと消えて行った。 「それにしてもアンタずいぶんやさしいのね。流星に惚れたの?」 キュルケの方を振り向くとあきれた顔で 「異邦人っていいけど、ただの平民じゃねぇ。」 「あら、ただの平民じゃないわよ。」 昨日の夜巻き上げ…もとい上納させた魔力の篭っている石を見せる。 「石?」 怪訝そうな顔で石を覗き込む。 「マジックアイテムなんだって、あと銃も持ってるらしいわよ」 「よくマジックイアテム譲ってくれたわね。そんな人間にあんな扱いしてるわけ…」 キュルケはそう言いながらも目が石から離れない「真贋を見極めてあげるわ」とか言いながらディテクトマジックをかける。 これが偽物だったらどうしてくれよう。また馬鹿にされるんだ。でもいまさら引っ込みがつかないし。 そんな葛藤をよそに魔法をかけられた石が輝く。 「どうやら本物みたいね。」 「どう、凄いでしょ。」 胸を張ってキュルケを見やる。 「確かに凄いわね。で、銃のほうはどうなの?」 「じ、銃なんかに興味があるの?」 「当たり前でしょ、見たことの無いマジックアイテムなんだから。どんなものを持っているか好奇心を刺激するわね。」 うぅ、私銃に興味ないから見てないし…って何で私キュルケの興味を煽ってるのよ。 「あら、知らないの?」 「知らないわけ無いじゃない!ただ持ってないから説明できないし」 「本当かしらね」 目を細めながら笑顔を浮かべる。 「失礼します。流星様には厨房の方で賄い食を食べて頂いていますが、よろしいでしょうか?」 さっきのメイドが声をかけてくる。 「かまわないわ、丁度良いから流星呼んできてくれない?」 「えっ?流星様をお連れするんですか?」 「急いでね。」 「わ、わかりました。」 メイドが急いで厨房の方へ走っていく。 「これでいいわね、本人に聞けば問題ないでしょ。」 「間違ってはいないけど、間違ってるわ。」 キュルケが首を振りながらため息をついている。 ん、何を言ってるのだろう。色ボケが頭にまで回ったのだろうか? 「お呼びでしょうか?」 「ちょっと、銃の説明をしてほしいんだけど」 「銃についてですか?」 すこし固まったわね 「そうよ」 「食堂で、食事中に?」 「私は終わったもの。黙って従いなさい。」 「わかりました」 腰の後ろに手をやり、銃をテーブルの上に置く。 「ゲルマニアのものとは違うのね、トリスティンのものとも違うし」 キュルケが銃を手にとってしげしげと眺める 「銃の違いなんてわかるの?」 「ゲルマニアは技術の国でもあるのよ」 あきれた顔でこっちを見てくる。 「って何勝手に人のもの持ってるのよ!」 「別に良いではないですか。減るものではありませんし。フレイムのこともあります。これくらいで騒いでいては器量が狭いと思われますよ。」 「気が利くわねぇ。いい使い魔じゃない。」 私を差し置いて和やかに会話進めるなぁ! 「でも重いわね…」 「そうなの?」 キュルケから渡され持ってみる。 「本当に重いわね、これで撃てるの?」 「安全装置がかかっていますから今は撃てません。」 「威力はどれくらいなのかしら?」 「拳銃の中では最高峰の威力ですよ。」 「それじゃわからないわよ。鎧とか撃ち抜ける?」 「鋼鉄製で厚みがあれば撃ち抜けないでしょう」 「ちょ、ちょっとそんな威力のある銃聞いたこと無いわよっ」 キュルケが慌てている。うわ~~いい気分ね~~。 上機嫌で質問を続ける。 「どこから弾を込めるの?」 「ここです。グリップの中に弾を込めます」 「どうやって?」 流星は銃を持つと説明を始めた。 「ここがグリップ、これがマガジンボタン、これを押すか弾切れになるとマガジンが落ちます。それで次のマガジンを入れます。」 グリップからまがじん?が落ちて流星が手馴れた手つきで次のマガジンを入れる。 「それで?」 「終わりです。」 「ちょっと、そんな弾込めの仕方聞いたこと無いわよ」 キュルケが更に慌てている。 うふふふ~~勝った、キュルケに勝った。生きてて良かった~~~。 こんなにうれしいことは無いわ。コイツ召喚して本当に良かった。 「どうやって撃つの?」 「ここが安全装置、これを外してフロントサイト、リアサイトこれで狙いをつけ引き金を引く。これで撃てます。」 「私もその銃撃ってみたいんだけど?」 「銃の反動で的に当たらないと思います。その上強力な反動でご主人様の体格だと肩か手首の骨が外れるかもしれません。」 「なによそれ!?あんたは撃てるわけ?」 そんな銃使えないじゃない。 「ええ、もちろん。この銃デザートイーグルは威力の分扱いにくいんですよ。」 「私に撃てる銃はないの?」 「無いことも無いですが…」 笑顔で右手を出す。流星が持っている銃よりすこし小さい銃を手の上に乗せる。 「それで?」 「名前はベレッタ92F、装弾数は15発。使い方は安全装置がこっちに移動してるだけです。」 今度は左手を出す。 ため息とともにまがじんを2つ手の上に乗せる。 笑顔で鞄にべれったとまがじんをしまう。 「流星、教室に行くわよ。」 「ま、待ちなさい!あなた教室に持って行くの?それ!!」 キュルケがこれ以上無いくらいに慌てている。 「部屋に戻るの面倒でしょ?じゃあ、私は先に行くわね~」 キュルケに告げると流星に鞄を持たせ教室に向かう、今までに無く足どりが軽いわね。 「ま、待ちなさいって!」 キュルケが叫んでいるけど気にしない~~~。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2024.html
「わあ…綺麗ですね、キラキラしてる」 シエスタがラグドリアン湖を見下ろして呟いた。 丘の上から見たラグドリアン湖は、陽光を反射し、ガラス粉をまいたようにきらりきらりと輝いている。 以前シルフィードの背から見た時よりも、ずっと綺麗な気がした。 シエスタ達は竜車を使ってラグドリアン湖にまでやってきた。 竜の力は凄まじい物で、今までシエスタが操った馬とは比べものにならないパワーとスピードを出して、籠を引いていた。 それなのに、道中は音も振動もあまり気にならない、よほど質の高い籠なのだろう。 モンモランシーとシエスタは、つくづくラ・ヴァリエール家の力を思い知らされた気分だった。 水辺に近づくと、竜車はゆっくりと動きを止めた。 少し間をおいて御者が扉をノックし、静かに車の扉を開かれた。 カリーヌが「行きましょう」と呟いて馬車を降り、モンモランシーが降り、シエスタが最後に降りた。 ちらりと御者の顔を覗くと、なるほどゴーレムというのも納得がいく、近くでみるとその顔は「肌色」ではなく「陶器に塗りつけたような肌色」をしているのだ。 ゴーレムはシエスタが降りたのを確認すると、扉を閉めて御者の席に戻る。 シエスタは「へー」と呟いて一人感心していた。 「間近で見ると、本当に綺麗な湖ですね……青く、深く澄んでいる湖なんて、見るのは初めてです」 シエスタが湖面に手を当てて、水を手ですくい取る。 手に絡みつく水の感触は、何か神秘的な力が籠もっているように思えた。 「この湖に来るのは何年ぶりかしら、園遊会以来だから…三年前…ですわね」 カリーヌは湖面を見つめ、懐かしそうに目を細める。 三年前、ラグドリアン湖で園遊会が開かれた、それは太后マリアンヌの誕生日を祝うためのもので、各国の重鎮、高名な貴族達が招かれた盛大なものだった。 噂では、女王アンリエッタとウェールズ皇太子が出会ったのも、その園遊会だったと囁かれている。 あの時、ルイズが何をしていたのか、カリーヌはよく覚えていた。 園遊会の夜アンリエッタに呼ばれ、遊び相手を務めていたルイズ。 実際にはアンリエッタが羽を伸ばすため、影武者として呼ばれていたのだと何となく気づいていた。 魔法が使えないと言われていたルイズが、唯一心を開いていた遊び相手、それが当時のアンリエッタだった。 以前、太后マリアンヌはカリーヌ・デジレに、個人的に礼を言われたことがある。 ルイズは、王女として生まれ、「お飾り」と「カリスマ」の板挟みにあっていたアンリエッタの心の支えになってくれたと。 あの園遊会の日、何年ぶりかで再開したルイズとアンリエッタの、子供の頃と変わらぬ微笑みが思い浮かぶ。 カリーヌは過去に思いを馳せ、静かに湖面を見つめていた。 無言で湖面を見つめているカリーヌの隣で、モンモランシーもまた、じっと湖面を見つめていた。 だが、なにか気になることがあるのか、首をひねって「うーん…」と小さく唸る。 「どうしたんですか?」 シエスタが訪ねると、モンモランシーは湖面を見つめたまま答える。 「ヘンね…。 ラグドリアン湖の水位があがってるわ。岸辺はもっと、ずっと向こうだったはずよ」 「ほんとですか?」 「ええ。ほら見て。あそこに屋根が出てる。村が飲まれてしまったみたいね」 モンモランシーが指差す先には、藁葺きの屋根が見えた。 シエスタが湖の中をまじまじと見つめる、すると澄んだ水面の下に家らしき建物が沈んでいることに気づいた。 モンモランシーは波打ち際に近づき、指先で水面に触れた。 目を閉じてしばらくしすると、不意に立ち上がり、困ったように首をかしげた。 「あの噂通りよ、水の精霊はずいぶん怒っているみたい」 「今のは?」 シエスタが問うと、モンモランシーは右手の人差し指をピンと立ててシエスタに見せつけた。 「わたしは『水』の使い手。香水のモンモランシーよ。前にも言ったとおり、古い盟約で結ばれているトリステイン王家と水の精霊……その交渉役をモンモランシ家が代々努めてたの。水に触れれば感情が流れ込んでくるわ」 「へえー…」 シエスタが身をかがめて、水面に手を触れる。 「あ、波紋は止めておいた方がいいわ、水の精霊にどんな影響があるかわからないもの」 「あっ。そうですね。すみません…」 シエスタが慌てて手を引っ込めて謝る、モンモランシーはシエスタの仕草にくすりと笑って、再度湖面を見つめた。 不意に、湖面を見つめていたカリーヌが後ろを振り向く。 木の陰から三人を見つめている者が、カリーヌの視線に射竦められびくりと体を震わせた。 だが、カリーヌも殺気を感じたわけではないので、興味なさそうに湖面へと視線を戻した。 それに安堵したのか、木の陰にいた初老の農夫は、意を決して三人に声をかけた。 「もし、貴族のご婦人様方でございますか」 シエスタとモンモランシーが振り向くと、初老の農夫は、困ったような顔で一行を見つめていた。 「そうだけど…何かしら?」 モンモランシーが尋ねると、農夫は地面に膝を突いて、手に持った帽子を足下に置いた。 「水の精霊との交渉に参られたかたがたで? でしたら、はやいとこ、この水をなんとかして欲しいもんで…」 一行が顔を見合わせる。 困ったような口ぶりからすると、この農夫は湖に沈んでしまった村の住人だと想像できる。 「わたしたちは、その……」 この大変な時期に、秘薬の元となる、水の精霊の涙を取りに来たとは言いづらい。 モンモランシーが口ごもりそうになったところで、カリーヌがすっと前に出た。 「残念ながら王宮からの命を受けた者ではありません。水の精霊を怒らせた者がいると聞きましたが、知っていることを離して頂けますか」 カリーヌの言葉は丁寧さの中にも、威圧感を感じる。 農夫はカクカクと首を縦に振り、ラグドリアン湖で起こったことを話した。 農夫の話では、ラグドリアン湖の増水が始まったのは二年前だという。 船着き場が沈んでから、湖面に近かった寺院、畑、住居が沈むのはすぐだったと言う。 「領主はこのことを知ってるの?」 モンモランシーが聞くと、涙ながらに農夫が答える。 「領主さまも女王さまも、今はアルビオンとの戦争にかかりっきりでごぜえます。こんな辺境の村など相手にもしてくれませんわい。畑を取られたわしらが、どんなに苦しいのか想像もつかんのでしょうな……」 よよよと農夫が泣き崩れたが、涙を流しているようには見えない。 どちらかというと愚痴をこぼすようなしゃべり方で、今度は水の精霊への恨み言を言い始めた。 「水の精霊が人間に悪さをしてるんですわ。湖の底に沈んでおればいいものを……。どうして今になって陸に興味を示すのか聞いてみたいもんでさ!水辺からこっちは人間さまの土地だって…の…に………」 農夫の声が切れ切れになる。 シエスタとモンモランシーは、頭に?を浮かべた。 農夫の顔から血の気が引いていき、手がプルプルと震え出す。 「言いたいことはそれだけですか」 カリーヌが静かに呟いた。 カリーヌの刺すような視線に射竦められた農夫は、「へへぇ」と平伏すると、まるで逃げるように立ち去っていった。 モンモランシーは、改めてカリーヌの恐ろしさを知った気がした。 懇願ならともかく、愚痴を聞かされて気分の良い物ではないが、愚痴を言っただけでカリーヌの鋭い視線に晒されると思うと、冷や汗が吹き出そうになる。 シエスタはカリーヌを怖いと思わなかったが、とっつきにくそうな人だなと、改めて感じた。 モンモランシーが気を取り直し、腰にさげた袋からなにかを取り出した。 「…カエル、ですか?」 手のひらをのぞき込んだシエスタが呟く。 シエスタの見たとおり、モンモランシーの左手に乗っているのは一匹の小さなカエル。 鮮やかな黄色に、黒い斑点がいくつも散っている。 「ロビンって言うの、私の大事な使い魔よ」 ロビンと呼ばれたカエルは、モンモランシーの手のひらの上で、まっすぐにモンモランシーを見つめていた。 モンモランシーは右手の人差し指を立てて、ロビンに命令する。 「いいこと? ロビン。あなたたちの古いおともだちと、連絡が取りたいの」 モンモランシーはポケットから針を取り出し、片手で器用に指の先を突く。 指先に赤い血の玉が膨れ上がると、その血を一滴ロビンに垂らした。 小声でルーンを唱え指先の傷を治すと、残った血をぺろっと舐めて、再びカエルに顔を近づけた。 「私の臭いを覚えていれば、これで解ると思うわ。ロビン、偉い精霊、旧き水の精霊を見つけて、盟約の持ち主の一人が話をしたいと告げてちょうだいね。わかった?」 ロビンはぴょこんと頷くような仕草をすると、ぴょんと大きく飛び跳ねて、水の中へと消えていった。 モンモランシーがシエスタとカリーヌの方に向き直り、口を開く。 「今、ロビンが水の精霊を呼びに行ったわ。見つかったら、連れてきてくれるでしょう」 シエスタがモンモランシーの隣に立ち、湖面を見つめる。 「この中に水の精霊がいるんですよね…どんな姿をしてるのか、ちょっとドキドキしますね」 「水の精霊は人間よりもずっと、ずーっと長く生きている存在よ。六千年前に始祖ブリミルがハルケギニアに光臨した際には、すでに存在していたというわ。その体は、まるで水のように自在にかたちを変えて、陽光を受けるとキラキラと七色に輝き…」 と、そこまで口にした瞬間、30メイルほど離れた水面がぼんやりと光り輝き始めた。 岸辺からそれを見つめていると、輝きはどんどんと増していき、まばゆい光が水面から放たれる。 水面はまるで意志を持ったかのように蠢き、巨大な水滴が空に向かって落ちるような、幻想的な光景となっていった。 シエスタはあっけにとられ、口を半開きにしたままその様子を見つめていた。 盛り上がった水は、うねうねと様々な形に変わっていく、巨大な粘菌とでも呼ぶべきだろうか、陽光を取り込み七色に光るその姿は確かに綺麗だが、形そのものは怖い気もした。 湖面から顔を出したロビンが、ぴょんぴょんと跳ねてモンモランシーの元に戻る。 しゃがんで手をかざしロビンを迎え、指で頭を撫でてやると、ロビンは嬉しそうにゲコッと鳴いた。 「ありがとう。きちんと連れてきてくれたのね」 モンモランシーは立ち上がり、水の精霊に向けて両手を広げ、声をかけた。 「わたしはモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で、旧き盟約の一員の家系。 カエルにつけた血に覚えはおありかしら。覚えていたら、わたしたちにわかるやりかたと言葉で返事をしてちょうだい」 水の固まりのような、水の精霊がぐねぐねと蠢き、人間のような形を取り始める。 その動きをじっと見ていたシエスタは、驚きのあまり目を丸くした。 水の塊は、モンモランシーにそっくりな姿を取ったのだ。 モンモランシーそっくりな水の固まりは、表情をころころと変えていく。 笑顔、怒り、泣き顔……それはまるで表情を試すような動きだった。 表情が一巡すると、水の固まりは無表情になって、体全体を奮わせて声を出した。 「覚えている。単なる者よ。覚えている。太陽よ。貴様の体を流れる液体を、貴様の体を流れる太陽の波を、我は覚えている……」 「太陽? と、とにかく、私のことは覚えていてくれたのよね?」 モンモランシーが内心の焦りを隠しきれず、ついつい強い調子で質問してしまう。 だが水の精霊は無表情のまま「覚えている。単なる者よ」と繰り返しただけだった。 「……コホン。…水の精霊よ、お願いがあるの。あつかましいとは思うけど、あなたの一部をわけて欲しいの」 水の精霊は、表情を変えずに声を出した。 「断る、単なる者よ」 「そんな!」 モンモランシーが思わず声を上げた、心なしかカリーヌの眉がぴくりと動いた気もする。 シエスタはモンモランシーの隣に並んで、胸の前で両手を合わせて握りしめ、水の精霊に向かって叫んだ。 「お願いです… ある人を助けるために必要なんです!」 「ちょっ…!やめなさいよ! 怒らせたらまずいわよ!」 モンモランシーはシエスタを後ろに下がらせようとしたが、シエスタはひるまず真っ直ぐに水の精霊を見つめている。 「お願いします!何でも言うことを聞きます。だから『水の精霊の涙』をわけて頂けませんか? どうか、どうかお願いします……」 モンモランシーの姿をした水の精霊は、なにも返事をしなかった。 シエスタは膝をつくと、地面に頭をこすりつけるほど下げて、まるで土下座のような格好で水の精霊に言った。 「お願いです…! 私は恩人に報いたいんです! ルイズ様にとって大切な人は、私にとっても大事な人なんです…、『水の精霊の涙』がどうしても必要なんです! だから…」 シエスタの必死の懇願を見て、モンモランシーはシエスタを制止しようとしていた手を止めた。 シエスタにとって、ルイズはそんなに大事な人だったのか? モンモランシーにも、ルイズをバカにしている気持ちはあった、だがフーケを追って死んだ級友は、ある意味で誇り高いとも言える。 だが、ルイズを茶化す気持ちは、ゼロのルイズをバカにする気持ちは、心の何処かに残っていた。 シエスタは、ルイズを恩人だと言っていたが、これ程までにルイズに心酔しているとは思わなかった。 カトレアを治すために土下座までするとは思っても居なかった。 もしかしたら、ラ・ヴァリエールからの援助を受けるため、オールド・オスマンが指示した行動かも知れない。 シエスタの行動は芝居かも知れない…… けれども、今この場で、水の精霊を恐れず懇願するシエスタの姿に、少なからず衝撃を受けた。 モンモランシーは水の精霊に向き直り、自分からももう一度頼んでみようと意を決した。 だが水の精霊は、突然ふるふると震えだし、姿かたちを何度も変えた。 うねうねと形を変え、モンモランシーの姿から、見たこともない女性の姿に変わった。 それはとても美しく、凛々しい女性の姿であったが、シエスタにとっては何処か懐かしい女性のような気がしてならなかった。 「よかろう……しかし、条件がある。世の理を知らぬ単なる者よ。何でもすると申したな?」 「はい、いいました」 いつの間にか顔を上げていたシエスタが、水の精霊を見上げて返事をする。 「ならば条件を出そう。我に仇なす貴様らの同胞を退治してみせよ。」 シエスタとモンモランシーは顔を見合わせ、呟いた。 「「退治?」」 「さよう。我は今、水を増やすことで精一杯で、襲撃者の対処にまで手が回らぬ…。そのもの共を退治すれば、望みどおり我の一部を渡そう」 要は、水の精霊を相手にするようなメイジと戦って、勝てと言っているのだ。 モンモランシーの額に冷や汗が浮かんだ。 「…………やるしかない、わよね」 「そうです、ね」 二人は顔を見合わせて、苦笑した。 水の精霊が住む場所は、はるか湖底の奥深くだと言われている。 襲撃者は夜になるとやって来て、魔法を使い水の中に侵入、水の精霊を襲撃する。 水の精霊によれば、襲撃者が来るのはガリア側の岸辺だという。 シエスタとモンモランシーの二人はガリア側の岸辺に隠れて、襲撃者を待つはずだった。 だが二人は、トリステイン側の岸辺に停められた竜車の中で、寂しく夕食を取っていた。 カリーヌは客人を危険な目に遭わせられないと言って、単独でガリア側の岸辺に向かったのだ。 どこからか調達したバスケット一杯のサンドイッチを渡されたが、食欲が湧かないのか中身はほとんど減っていない。 この竜車は、緊急時の外泊を考えられており、椅子を引き出すとシエスタとモンモランシーが寝るには十分な広さのベッドになる。 貴族の馬車という寄り、軍人の馬車と言うべき設備だった。 「…大丈夫なんでしょうか」 「あんなに強く『一人で行きます』なんて言われたら断れないわよ」 シエスタは、一人でガリア側の岸部に向かったカリーヌを案じて、車の窓から外を見渡した。 ルイズが魔法で爆発を起こし、土くれのフーケごと木っ端微塵に吹き飛んだと言われているあの日も、こんな夜だったかもしれない… シエスタの胸に、ルイズへの憧れと、石仮面への恐れが去来した。 カリーヌ・デジレは、持参した軍服に着替え、木の上に座り瞑想していた。 マンティコア隊の服ではなく、それよりもっと昔、まだ魔法衛士隊に入隊する前の服だった。 ルイズと同じぐらいの年代、16の頃だっただろうか、その頃から魔法衛士への憧れがあった。 カリーヌは静かに過去を思い出し、静かに微笑んだ。 それから一時間ほど経った頃だろうか、岸辺に近づく人の気配に気づき、薄目を空けてそれを視認した。 人数は二人、漆黒のローブを身にまとい深くフードをかぶっている。 男か女かもわからないが、その二人は水辺に立つと杖を抜きルーンを唱えていたので、襲撃者には間違いなさそうだった。 カリーヌは小声でレビテーションを唱え、ゆっくり着地する。 ローブを身に纏った二人組は、硬直したように動きを止めた。 「!」 襲撃者の一人が杖を掲げる、と同時に空中に作られた炎がカリーヌを襲う。 同時に、もう一人の襲撃者が距離を取りつつルーンを詠唱し、地面に『エア・ハンマー』が打ち込まれた。 土が跳ね上がり、カリーヌの視界が塞がれる。 無数の炎の玉が作り出され、雨のようにカリーヌの頭上を覆う。 氷の刃が竜巻のようにカリーヌを包み、その肉を引きちぎり骨を砕く。 ……はずだった。 ギュン!と音がして周囲の空気が圧縮され、土煙と氷と炎は一つの固まりとなった。 無数の魔法に晒されたはずのカリーヌはまったくの無傷であり、土埃の汚れ一つとして無い。 カリーヌは直立不動のまま、右手に持った杖に力を込め、ルーンを詠唱する。 ただ「風を起こせ」という意味のルーンであり、風系統ではもっとも初歩のもの。 それはまるで、鉄砲水のような粘りを持った風となり、遠く上空で待機していた風竜を巻き込んで、襲撃者二人の体を巻き上げた。 空中で竜巻に飲まれた二人の手から、杖が離れる。 150サントはありそうな大きな杖と、20サント程度の小さな杖が風に乗ってカリーヌの手元に届けられた。 カリーヌは、腰から下げたロープを空中に放り投げると、風に乗せて宙に舞わせた。 ロープは風に乗って襲撃者の両手両足に絡みつき、その動きを封じる。 そして襲撃者の二人はゆっくりと地面に降ろされ、風竜は目を回して地面に倒れ込んだ。 『烈風』の異名を持つ彼女は、感情の読めぬ冷たい瞳で、襲撃者を見下ろしていた… To Be Continued→ 戻る 目次へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/19.html
>>next (やった、ついに……ついに成功したんだわ!) 使い魔を呼び出す「サモン・サーヴァント」の儀式……いつものように「ゼロのルイズ」とクラスメイトたちに囃し立てられる中、 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは杖を振った。 お約束の爆発と白煙に、湧き上がるクラスメイトたちの嘲笑。 しかし、もうもうたる白煙が次第に薄れると、笑いはさあっと波が引くように静まっていった。 煙の中から姿を現したのは、およそ2メイルにも達する巨大な金色の幻獣であった。 「まさか、成功したのか!?」 「ゼロのルイズがあんな幻獣を……」 クラスメイトのざわめきを、ルイズはこのうえなく心地よく受け止めていた。 (私だって、私だってやれば出来るのよ。これだけの幻獣を召喚できるメイジなんて、そうはいないわ!) 「ほう、これはお見事ですな、ミス・ヴァリエール! さあ、『コントラクト・サーヴァント』を済ませるのですぞ」 コルベール師がにこにこと相好を崩した。 劣等生で手のかかるルイズが見事に「サモン・サーヴァント」を成功させたことは、人のよいコルベールには大きな喜びだった。 「はい、コルベール先生」 ルイズは、すう、と息を吸うと、召喚した幻獣に向かって歩み寄る。 目の前にうずくまる使い魔は、見るほどに見事な幻獣だった。黄金に輝く体毛、力強い四肢に鋭い爪。そして、こちらをじっと射抜く視線―― この幻獣を自分が召喚したのだ、という喜びに、ルイズの胸が震える。 「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」 杖を幻獣の額に置こうとした瞬間だった。 「人間か……」 幻獣が、ニヤリと口を開く。口の中には獰猛な牙がずらりと並んでいるのが見えた。 (――ししし、しゃべったー!?) ルイズの目が驚愕に開かれた。人語を解する幻獣が居ないわけではない。例えば韻竜は先住魔法や人語を操るという。 しかし、実際に幻獣がしゃべるのを見るのは初めてであり――ルイズはペタンとその場でしりもちをついた。主人の威厳台無しである。 「あああんた、しゃ、しゃべれるのね。なな名前は?」 それでもルイズは、震える声で精一杯威厳を取り繕って幻獣の名前を聞く。 「やれやれ…相変わらず人間はやかましいな。まあ、いい……わしは……長飛丸――いや、ちがうな」 幻獣は、ずい、と身を乗り出し、ルイズの顔を見据えた。 「わしは、とらだ。小娘――覚えときな!」 ルイズは必死の表情で、コクコクと頷いていた……。 「驚きましたな……人語を操るとは。いやはや、わたくしでも見たことがない珍しい幻獣ですぞ! ふむ……サラマンダーでも、ドラゴンでもない。あえて言えばキマイラかスフィンクスでしょうか……」 コルベールが興味深々といった様子で近づいてきた。研究熱心な彼の目は好奇心で輝いている。彼の頭もまた、光を浴びてさんさんと輝いていた。 (コイツ、光覇明宗のボーズか……? まあ、いいやな) 「とら」と名乗った幻獣はルイズに向き直った。 「おい小娘……るいずといったか? 教えな、わしはどうしてここにいる? 冥界の門をくぐったとばっかり思ってたがな」 「コ、ムスッ……コホン、いいわ、おお教えてあげる。アンタは、わわ私が『サモン・サーヴァント』で使い魔として召喚したの! こ、ここれから『コントラクト・サーヴァント』の魔法で契約を結ぶのよ」 びびりながらもルイズは台詞を最後まで言い切った。それにしても、「とら」とは奇妙な名前だった。 いや、人語を解する幻獣だ。どんな名前だろうと不思議ではないのかもしれない。 とらは冷静に目の前に立つ人間を見つめていた。桃色の髪の娘は、西洋風の服を着て手に小さな杖を持っている。 (法具、じゃねえな。錫杖にしちゃ小さすぎる。どうやら、大陸の「魔術」ってやつか……) 妖怪を使い魔として召喚する術者たちのことは、とらにも聞きおぼえがあった。以前戦った「お外堂」たちのようなものだろう。 (ち、さっきからわしが動けねえのは、そのせいかよ……) 使い魔か、と考えてとらは少々うんざりした。できることならさっさと空に飛び出し、思うさまに暴れてみたいところである。 とはいえ、自分は確かに白面との戦いで消滅したはずだ。 状況から考えて、一度消滅した自分をここに召喚したのは、まぎれもなく目の前の小さな娘だった。 「……まあ、暴れたらまたうしおがうっせーだろーしよ……それにオマエには借りが出来たようだな、小娘――」 「ははは、はいっ!」 「さっさと済ましちまいな、その契約とやらを」 そう言って、とらは舌を突き出しながら凶悪に笑った。ルイズは失禁をこらえながら、ギクシャクととらに近づく。 そして、震える手で杖を差し出すと、とらの額にあて、そっと背伸びをしながら、とらにキスをした。 「こ、これで終わりよ。あああと、体のどこかに使い魔のルーンが刻まれるわ」 ルイズの言葉通り、とらの左手が熱を帯び、やがて金色の体毛にルーンが浮かび上がる。……やれやれ、呪印かよ、と呟くとら。 「ほほう、珍しいルーンですな……いや、まったく面白い。とら君、あとでぜひいろいろお話を聞きたいですぞ! 幻獣から直接話を聞ける機会など、そう滅多にありませんからな!」 にこにこと笑うコルベール。しかし、その姿は、どこか不思議な力に満ちていた。ちょうど、法力を放つ直前の法力僧のように―― (そうか、こいつ、うしおのオヤジに似てやがるんだな。普段は笑っているが、こいつ、つええな) とらはニヤリと笑った。強いものが好きな性格だけは死んでも変わるまい。 「……ボーズ、わしはその幻獣てのじゃねえ。バケモンよ。大キレーな呼び方だが、大陸じゃ字伏と呼ばれた妖怪だ」 「おおお! アザフセ、ですか。まったくの新種だ、素晴らしい、とら君! ……ハッ、いかんいかん、忘れておった」 メモを取っていたコルベールは、慌てて生徒たちを見回した。 「皆さん、教室に戻りますぞ」 生徒たちは次々と、「フライ」の魔法で飛んでいった。とらは感心して飛んでいくメイジたちを見ていた。 この連中はなかなか法力――いや、魔力が高いように見える。法力僧でも空を飛ぶような者はそう居なかった。なのに、子供まで―― 「む、小娘――オメーは飛ばんのか?」 一人取り残されたルイズは、ふるふると震えていた。 「飛べないのよ……あああと、あたしの名前はルイズよ。小娘は、やや、やめて」 しゃーねえなあと、とらは頭をかく。そのまま、むんずとルイズの細い腰をひっつかんだ。 「きゃあ、ちょ、なにーっ!?」 「つかまってろ、るいず。飛ぶぞっ!」 日本で長飛丸の異名を持ち、そのおそるべき速さを恐れられた妖怪は、ルイズをつかんだまま風のように飛び上がった。 耳元で風が猛々しくうなりをあげる。 (ああ……ひょっとして、わたし、やばいの、召喚、しちゃった、か…も……) 「ひょおおおおおおおおおっ!!!」 薄れていく意識の中で、ルイズはとらの歓喜の雄叫びがトリステイン魔法学院に鳴り響くのを聞き…… 気を失った。 >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2462.html
俺の名前は平賀才人。ルイズの『二人目』の使い魔だ。 元々俺は地球の日本にいたのだが何の因果かハルケギニアっていう場所に呼び出されちまった。 召喚されたときはそりゃ泣いたりしたが『住めば都』っていう言葉通り結構環境が良かった。 ご主人様であるルイズは以前までは結構厳しい性格だったらしいが。 『最初に召喚した使い魔』のおかげでその性格を改善したらしい。恩に着るよ。 俺がルイズに怒ったことは、初めてルイズの部屋に入った時にドアを開けたら本の山が俺に襲いかかってきたことだ。 そのとき俺は本の中に埋まって危うく死にかけるところだった。 部屋の中も凄まじく、ところせましに本の塔が建てられていた。 俺はルイズに少しは片づけたらどうだって言ったらルイズは返事をしただけで以来ちっとも片づけようともしない。 しょうがなく使い魔として掃除しようとしたら乗馬用の鞭で叩かれちまった。痛かったぜ…。 そんなあくる日のこと、ルイズのいない部屋でのんびりしていたらふとある物が目に入った。 それは『帽子』だった。よく魔法使いが被る黒い帽子、それがベッドの横に置いてある。 俺は何故かそれが気になったので帽子を手に取ってみると帽子の下に日記が置いてあった。 タイトルが書かれてあったがこの国の言葉はまだわからなかったら何なのかさっぱりだった。 俺は気になったのでページを開いてみると…そこには懐かしい日本語が書かれていた。 俺はプライバシーに関わりそうな事を理解して、日記を読む事にした。 ○月○日 (これは私が元いた世界の日にちだが) 私を召喚したルイズって奴から日記を借りた。 こんなに珍しい事は無い、珍しい事があったら日記に書き取っておこう。 しかしルイズから聞いた話だけだがこの世界には珍しい物がたくさんありそうでワクワクするぜ。 ▽月⊿日 今日ルイズやキュルケ達と一緒に『土くれ』のフーケとか言う奴を退治しにいった。 そいつはでかいゴーレムを作って襲いかかって来たが私の『マスタースパーク』であっという間に倒してやったぜ。 その後にノコノコと出てきたフーケの正体はなんと学院長の秘書だった。あの時は驚いたぜ。 『破壊の杖』は手に入れたかったが学院長が断固として断ったため代わりに『遠見の鏡』をもらった。 ★月★日 アルビオンから久方ぶりに帰ってきた。 まさかあのワルドって野郎が敵だったとは知らなかった。まぁすぐに倒してやったけど。 後帰るついでにアルビオンの宝物庫からいろいろと拝借してきたぜ。 でもそのせいでお姫様の愛人をむざむざ見殺しにしてしまった。 あの時気づいていれば助けられたのに…本当に情けないぜ。 ☆月☆日 やっと元の世界に帰れる方法を見つけた。 ルイズはそれを聞いて帰らせまいと私にしがみついたが仕方なく自作の眠り粉をかがせた。 この日記は置いておこう、短い間だったがルイズは私のことを本当の親子か何かのように慕ってくれた。 だから私がここにいたことをここに残しておくぜ。後、名残惜しいが良く喋る剣も残しておこう。 本当ならすぐにでも帰りたいがなんかこの国にレコン・キスタとかいう連中が近づいているらしい。 どうせ最後だ、この霧雨魔理沙がハルケギニアにいたことを記録に刻んでやるぜ。 追伸、恐らく次に召喚される奴。人間で日本語が分かる奴に伝えておく。 私の代わりにルイズの世話を見てくれ。 『タルブ会戦』の折、箒に跨りたった一人でレコンキスタの旗艦『レキンシントン』号を沈めたうえに竜騎兵を全滅させたメイジがいた。 その者の名は……キリサメマリサ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔、霧雨魔理沙。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5644.html
『風子、参上!』 トリステイン魔法学院恒例、二年生への進級試験を兼ねた使い魔召喚。それは神聖なる サモン・サーヴァントの儀式。 ハルケギニアのメイジなら必ず行い、運命に導かれた主従となるべき生物が召喚の門を 通ってやってくる儀式だ。それは、このトリステイン王国の魔法学院でも変わりはない。 ただ変わっていたのは、この儀式で最後に召喚を行っていたのは『ゼロ』の二つ名を持つ ルイズであった事。 ルイズは延々と召喚を失敗し続けた。何度も召喚魔法を唱えたが、使い魔となるべき生 物なんか現れない。ひたすら爆発が続くばかり。 既に召喚を終えて使い魔を従えた他の学生達がヤジを飛ばすのも飽き始めた頃、土煙の 中に影があった。 『どうやらお困りのご様子。ですが、この風子が来たからにはご安心を!』 その影は、人影だった。 ルイズは、目の前に召喚された存在が理解出来ない。 召喚の儀を取り仕切っていた教師コルベールは唖然呆然としてしまう。 それは、間違いなく人間。小柄なルイズと同じくらい小柄な少女。 長くて黒っぽい髪を揺らす、小さな三角帽を被った、ミニスカートの女の子。 使い魔はメイジが従える動物。人間は召喚されない。そんな記録は存在しない。 だが、間違いなく召喚されたのは、人間だったのだ。 『困った人を見過ごす事など出来ません。この風子、お姉ちゃんの結婚式に出てくれた人 達への恩返しのため、そして世のため人のためにやって参りました!』 周囲の生徒達は言葉を失った。 人間が召喚された事自体が異例なのだ。 しかも少女の格好は奇天烈の極みだ。木彫りの星形を右手に掲げ、白玉をてっぺんに付 けた緑と赤のストライプ模様な三角帽を被り、やたら上質そうなクリーム色の上着に紺色 のストッキングを履いている。長い髪を薄紫色の大きな可愛いリボンでまとめている。 聞いた事もない言語で、なにやら高らかに宣言しているのだ。 「見ろ、平民だ!しかも異国の女の子だぞ!」 「人間を召喚するなんて、さすがルイズ?」 「にしても、かなり良い服を着ているわ。メイジじゃなさそうだけど、ただの平民という わけでもなさそうね」 周囲の生徒達は、ある者はゼロのルイズが召喚を失敗したと囃し立てる。またある者は どこの国の女の子だろうと訝しむ。そしてまたある者は、これって使い魔を召喚した事に なるの?と首を捻った。 「ミ、ミスタ・コルベール!やり直しを、召喚のやり直しを要求します!」 しかしコルベールは、生徒の視線から気の毒そうに目をそらし、小声で答えた。 「それは出来ません、召喚の儀は神聖な儀式で、やり直しは―――」 「で、でも、人間が召喚されるなんて―――」 そんな周囲の人々のやりとりに、自分の世界に入って口上を叫んでいた風子はようやく 気が付いた。キョロキョロと周りの学生達、そして彼等の傍らに控える見た事もない動物 たちに。 『な、なんと!風子は外国に来てしまっていたのですね!?これは困りました。風子は高 校入学初日に事故で入院して以来、ずっと英語の授業を受けていないのです!これでは伝 説の競技、ヒトデヒートのルールを説明する事が出来ません』 そう言って、風子は必死に抗議するルイズと困り果てるコルベールの隣にトコトコと歩 み寄ってきた。 『というわけで、帰って良いですか?』 申し訳なさそうに、風子は二人へ申し出た。日本語で。 ルイズは、そんな少女をギロリと睨み付ける。 そして――― 「こ、これは使い魔の儀式なんだからね!だから、ノーカウントだからねッ!」 ぐわしっと風子の頭を左右から捕まえる。 『な!?何をするんですか!放してく』 ちゅっ ルイズは、風子の言葉を自分の唇で遮った。 風子の大きな目は更に大きく見開かれ、体が驚きのあまり硬直する。 周囲の男子生徒は、思いもかけぬ眼福に感激の歓声を上げてしまう。 ようやく我に返った風子が、服の右袖で唇を拭きながら思いっきり後ずさった。そして 突然ハルケギニア語を話し始めた。 「な、何と言う事をするんですか!いきなりこんな事をするなんて、あなたは悪人だった のですね!?…って、え!? 痛い、イタタタ!キャアッッ!!」 瞬間、風子は左手を押さえながら悲鳴を上げる。 自分の唇をハンカチで拭いていたルイズが冷たく言葉を投げかけた。 「使い魔のルーンが刻まれてるのよ。すぐ済むから安心なさい!まったく、なんで女の子 とキスなんか…」 そんな愚痴を言っている間に、風子の左手にルーン文字が浮き上がった。 「ふむ、珍しいルーンだな…」 と言ってコルベールはルーンのスケッチを取ろうと、左手を押さえてうずくまる風子に 近寄ろうとする。が、慌てて風子は二人から思いっきり跳びはねて、二人から距離を取っ た。 ちょっと転びそうになった風子は、二人をズビシッと指さす。 「なんて人達ですか!助けに来てあげた風子をいじめるなんて、信じられません!そんな 人達には、この風子のサイン入りヒトデはあげられません! さよならです!」 言うが早いか、風子は広場からトトトーと学院正門まで走っていく。そして門から外に 駆け出してしまった。 「あ!ちょっと待ちなさい!使い魔のクセに、勝手にどこへ…」 そう言ってルイズは慌てて風子と名乗った少女を追いかけて、学院の門を出た。 だが、そこには誰もいなかった。 ルイズは右を見る。 慌てて左も見る。 目をこらして遠くを見渡す。 だが、少女の姿は全く見えなかった。 ふと上を見ると、コルベールが宙に浮いていた。『フライ』で空から少女を捜している らしい。しばらくして、コルベールは地上のルイズへ向けて、すまなそうに首を横に振っ た。 魔法も使えないはずの女の子が、ついさっき学院の門をくぐったばかりのはずなのに、 完全に消えてしまった。何の痕跡も残さず、まるで最初からいなかったかのように。 「というわけで、坂上智代さん!」 風子は、夕暮れの桜並木を歩く生徒会長の前に立っていた。 「私をいじめた悪人を、懲らしめて下さい!」 「・・・はぃ?」 智代は困惑した。 この目の前の女の子は、いきなり何を言い出すんだろう。以前から町のあちこちで何度 も遭ってるけど、誰なのかどうしても思い出せない風子と名乗るこの子は誰なんだろう、 と。 助けを求めて後ろを振り返る。そこには一ノ瀬ことみ、藤林姉妹、古河渚といった彼女 の友人達、そして自称ライバルの春原陽平に、岡崎朋也などがいた。皆それぞれに、一体 全体この風子という子は何者で、なんでいきなりこんなことを頼みに来たのかと頭を捻っ ている。 「あ~…その、ねぇ…風子さん、だっけ?」 「はい!」 ほとほと困った生徒会長の呼びかけに、元気よく当然のように風子が返事する。 「事情がよくわからないのだけど…いじめられたって、どう、いじめられたのか?」 「これです!」 風子が智代の眼前にズビシッと左手の甲を突き出す。そこには使い魔のルーンが描かれ ていた。 「こともあろうに、あの人達は私の左手に落書きをしたのです!許せません!是非あの人 達に天誅を下して下さい!」 なるほど彼女の左手には、なにやら字が書かれていた。 だからといって、なぜ智代が風子の仇を討つのだろうか。一同は混乱するばかりだ。 「確かに…我が校の生徒がいじめられたのなら、生徒会長として許しがたい事だが…一体 誰にやられたのだ?」 尋ねられた風子は、顎に手を当てて考え込む。 そして、ポンと手を打った。 「分かりません!」 全員、ズッコケた。 「よく考えたら、私は彼等の名前も聞いていませんでした!外国語で話していたので、尋 ねる事も出来ないのでした! なので、今から確認してきます!」 そう言って、風子はトテトテ~…と桜並木の向こうに消えていった。 「一体、あの子は誰なのだ…?どこかで会った気がするんだが…」 生徒会長の疑問に、その場の誰も答える事は出来なかった。 「と、言うわけで、悪人め!正々堂々名乗りなさい!」 「誰が悪人よ、ていうか、どっから現れたのよー!」 寮塔、ルイズの部屋。 使い魔に逃げられ、椅子に座ってしょげかえっていたルイズが振り返ると、そこには腰 に手を当てて仁王立ちする風子がいた。
https://w.atwiki.jp/yggdrasillwar/pages/97.html
【マスター】 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔 【令呪】 左手の甲。 ガンダールブのルーンに近似する。 【マスターとしての願い】 魔法の習得。 ただし今のところそれを聖杯に願うつもりはない。 【weapon】 杖 魔術行使のための霊装。 【能力・技能】 虚無の魔術 始祖ブリミルのみが行使したという失われた魔術形態。 地水火風の四属性いずれにも当てはまらないもののうち、人間が行使する魔術の多くをルイズの世界、ハルケギニアではそう呼ぶ。 空間転移、記憶操作、幻術、解呪、固有時加速など多彩な術がある。 しかし現時点のルイズは自らがこの使い手であることは自覚しておらず、術式の一切を行使できない。 僅かに『エクスプロージョン』の片鱗を暴走のように発動させるのみ。 それでも始祖直系の6000年続く魔術師の家系であり、優れた魔術回路を持つ。 特に強い感情によって励起する回路で、何もなくとも1日あればかなり回復するが、怒りや嫉妬などの負の感情を覚えると魔力を一気に生成できる。 【人物背景】 6000年前にハルケギニア式とでも呼べる魔術方式を編み出した魔術師、始祖ブリミルの子孫、ラ・ヴァリエール公爵家の三女として生を受ける。 父母も二人の姉も優秀な魔術師にして堂々たる貴族であり、ルイズも気高い精神と豊富な知識を持つ。 魔術学院において座学や理論においては優秀な成績を示すのだが、実践だけはうまくいかず、なぜかどんな術を行使しても爆発を引き起こしてしまう。 幼少期からそれは続き、魔術のできない「ゼロ」のルイズと蔑まれ、劣等感に苛まれる人生を16年送ってきた。 最後の希望として使い魔召喚の儀に臨んだ瞬間の参戦。 本来の時間軸においては使い魔の召喚に成功し、様々な経験を経て人間的に成長。 後にハルケギニアの多くの魔術師とは扱う術式が根本から異なるために魔術行使ができなかったことが発覚。 国でも有数の魔術師として目覚める。 長年のコンプレックスと貴族としての誇り高さが相まって若干面倒な性格。 特に宿敵のツェルプストー家の人間や、平民(魔法を使えないもの)、大切なものを奪おうとするもの(恋敵など)にはかなりきつく当たるところがある。 とはいえ根本にあるのは名門貴族の娘らしく、「貴族は平民(力のないもの)を守らなければならない」、「守るためには魔術という力が必要である」というノブレス・オブリージュからくるところが大きい、齢16にして立派な貴族である。 【方針】 なのはに師事し、魔術を学ぶ。
https://w.atwiki.jp/otassya2/pages/4666.html
陰陽師 攻撃術 式神召喚・壱 目録 召喚術・壱 必要気合 420 必要アイテム 呪符 ウェイト 2 効果時間 式神が倒れるまで 発動準備 なし 使用場所 戦闘専用 効果 ランク1の式神を召喚し、ともに戦わせる。 特徴 憑依攻撃(敵単体に若干ダメージと確実に呪い。ウェイト?)が使える 敵の攻撃の対象になる その他情報 名前 コメント