約 1,012,636 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4509.html
注)本SSは『HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました』スレに掲載された作品です。 ここはトリステイン魔法学院。トリステイン王国の、全寮制メイジ養成機関だ。 メイジが用いる魔法には、火・水・風・土の四系統がある。 そして扱える系統が増えるにつれ、ドット(1系統のみ)、ライン(2系統)、トライアングル(3系統)、スクウェア(4系統全て)の使い手と呼ばれる。 火の系統の使い手 『微熱』キュルケ 水の系統の使い手 『香水』モンモランシー 風の系統の使い手 『雪風』タバサ 土の系統の使い手 『青銅』ギーシュ ――――そして彼女は―――― 少女は憂鬱だった。 今日は、今年晴れて二年生へと進級した者達の、「使い魔召喚の儀」。つまりは「サモンサーヴァント」が行われる日だ。 使い魔は、メイジにとって、「目」であり「足」であり「盾」でもある。よってこの召喚の儀も、必然的に重要なものとなる。 彼女の名は、ルイズ。「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 名門公爵家、ヴァリエール家の三女。 本来なら、おいそれと話しかけることも出来ないほどの身分だが、今彼女は、朝からずっと周囲の生徒から皮肉を浴びせられている。 「おい『ゼロ』のルイズ!お前本当にやるのか?間違っても俺達を爆発に巻き込むんじゃないぞ~」 「ダメもとでやってみたら、もしかしたら成功するかもしれないぞ?原形をとどめてたらいいけどなぁ!はははは!!」 (はぁ・・どうしてこんな目に・・・) この罵詈雑言は、なにも今日に限ってのことではない。理由は一つ。 彼女が「魔法の使えないメイジ」だからである。 彼女は有名貴族の出でありながら、これまで一度も魔法が成功したことはないのだ。 ゆえに『ゼロ』。「ゼロのルイズ」だ。 「ルイズ~ごきげんようー」 怪しげな微笑を伴なって現れた、ルイズと対照的の豊満な肉体を持つこの女性の名は、キュルケ。 火の系統を得意とする、トライアングルメイジだ。 「あぁあんたね・・いったいなんの用?」 ぶっきらぼうに返すルイズ。キュルケとはいわゆる、犬猿の仲だ。出来れば早々に退散したいと思っていた。 「あらつれないわねぇ。今日はいよいよ召喚の日じゃない。あなたにはいったいどんな素敵な使い魔が現れるのかしらねぇ~。くすくす・・・」 「・・・・・言いすぎ・・・」 キュルケの横に立つ、青い髪の少女が言う。 だが、他人に哀れまれるなど、ルイズのプライドが許さなかった。 「・・・見てなさい・・・。絶対にあなたたちより高貴で!美しくて!そして強力な使い魔を召喚してみせるんだから!!!」 「おいおい。ルイズが吹いたぞ」 「ははは召喚の時間が楽しみだな、ゼロのルイズ」 負けてなるものか。ルイズは胸に固くそう誓った。 もともとプライドの高い少女である。このようなことを言われて、黙っていられるわけがないのだ。 そして召喚の時・・・ キュルケはサラマンダーを、タバサはなんと風竜を召喚した。 「おいルイズ。次はお前の番だぞ。どうせ何も召喚できないだろうけどな」 (どうしよう・・これで成功しなかったら・・・) ルイズがそう苦悩する中でも、野次はとびつづける。 (・・・みてなさい・・!) 詠唱が始まる 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!」 (・・・・お願い・・・!!) 「私は心より求め、訴える! 我が導きに、応えなさい!!」 すると突如、少女のまわりで、本来召喚の儀式では起こりえるはずのない爆発が起きた。 人々が驚き叫び、逃げ惑う 体中に纏う頑強な鎧 腰に携えた長剣 真黒の長髪 真紅のマント 爆発によって巻き起こった粉塵が晴れたとき そこにいたのは 一人の男だった (に・・人間!?どうして・・・そんな・・・) 片膝をついたその男は、鎧やマントを身に纏ってはいるが、杖を持っていなく、剣しか所有していないように見える。 おそらく、裕福な平民なのだろう。 だが次の瞬間、ルイズは自分の浅はかさを後悔した。 「お・・おい!ルイズが平民を召喚したぞ!!」 「は・・・ははは流石ゼロのルイズだ!やることが違うな!!!」 とりあえず差し迫る害がないと判断すると、途端に周りがざわめき始める。 「ねぇタバサ。いったいどういうことかしら、これ」 「・・・危険」 「え?どういうこと?タバサ」 今この場で、自分たちがどういう状況にあるのかを把握出来ているのは三人。 タバサとコルベール。 そしてルイズだけだ。 (・・まずい・・・!!あの男は・・危険だ!!) これまで数多の死線を越えてきたコルベールだが、そんな彼でさえ、体中の細胞が警告を発している。 ただ一つ「逃げろ!!!」と。 「あ・・あなた・・いったい誰・・・?」 生まれて初めて感じる、言いようのない恐怖を感じながらも、少女は言った。 貴族としてのプライドが、この場から逃げ出すことを許さなかったのだ。 『彼』もまた困惑していた。 自分は完全に消滅したはずなのだ。 なぜ生きている?そしてここはどこだ? 目の前に広がるこの光景は何だ? 彼自身、何故そう言ったのかはわからない。 もはや捨てた名だ。 だが彼はゆっくりと。しかしハッキリとこう答えた。 「Wladislaus Drakulya」 そして続けてこう言った。 「アーカードだ」
https://w.atwiki.jp/darthvader/
銀河共和国元老院議長、いや、いまや銀河帝国の皇帝となったシスの暗黒卿、ダース・ シディアスことパルパティーンは目の前で起こったことがにわかには信じられず、彼にし ては珍しく呆けた表情を浮かべていた。 パルパティーンの新しい弟子ダース・ベイダーは死闘の末にジェダイマスターのオビ= ワン・ケノービに敗れ、四肢と大部分の循環機能を失った。 瀕死のヴェーダー卿を回収し、長時間に渡る再生手術を施して機械人間として彼をどうに か蘇らせた矢先にそれは起こった。 装甲服にヘルメットと黒マント、銀河中を恐怖させるべきダークサイドの化身として生まれ 変わったヴェーダー卿の肢体を拘束した手術台。 その手術台が水平から垂直に立ち上がる最中、突如として現れた光のゲートの中にベイ ダー卿の姿が掻き消えたのだ。 主を失った手術台だけが、仰々しい機械音と共に空しくパルパティーンの前にそびえ立っ た。 ゼロの使い魔の世界にベイダー卿が使い魔として呼び出されてしまったという設定で話は進んでゆきます。 有志で勝手に編集しちゃってね 以下スレ内ルール↓ 予測レスはNG 設定の矛盾は深く考えてはならない。感じるんだ。フォースで。 フォースと共にあらんことを・・・ 184 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [] 2007/05/02(水) 00 51 32.36 ID 5RtRgVVd0 一応第三部「シス卿の帰還」まで構想してはいるのだが、そこまで読者を飽かせることなく ついてきてもらえるかどうか… 196 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 [] 2007/05/02(水) 00 54 29.46 ID 5RtRgVVd0 まあとりあえず今日はここまでかな。 第二部はスレが残ってたらそこに投下するけど、落ちてたらまた立てるよ。 あと、ベイダー強すぎという意見もあるけど、ゼロ魔の才人も一巻じゃ全然苦戦してないしな。 歴代スレ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1177343414/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1177502416/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1177679802/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1177862566/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1177949691/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178026355/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178190688/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178298198/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178435143/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178621401/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178719378/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178896847/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1179065354/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1179223925/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1179590273/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1179756668/ 【作者は】ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです【ドS】 http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1179850267/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1180445055/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1180887325/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1181151694/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1181583845/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1182092562/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1182529992/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです 24 http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1182636495/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183210347/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183392330/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです http //wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183902660/
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6540.html
春の使い魔召喚の儀式。そこで『ゼロのルイズ』が呼び出したのは、一頭の熊だった。 否、それは熊というにはあまりにも大きすぎた。大きく、太く、超重量、そして大雑把すぎた。それはまさに怪獣だった。 爛々と光る隻眼は、それの凶暴さを語り、あと、なんか口元が血で汚れていたりした。 「ミス・ヴァリエール!」 「なんですか。ミスタ・コルベール」 「召喚のやり直しを。これはなかった事にして召喚のやり直しをしてください」 そんな言葉に、ルイズは、ありありと不満を顔に浮かべる。 何度も失敗して、ようやく召喚をしたのに、どうしてやりなおさなくてはいけないのか。 「それはダメです。ミスタ・コルベール」 「どうしてですか?」 「決まりだからです。一度呼び出した使い魔は変更することはできません。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからです」 「いや、しかしですね。いくらなんでも、これは物騒すぎます。今すぐ、猟友会を呼んで始末してもらうべきです」 そんなコルベールの説得に、ルイズは「はあ?」という顔をする。 自分はちょっと普通より大きな熊を召喚しただけである。なんか体長15メイルくらいの大きさがあるように見えるけど、それだけである。 これが危険なら、某赤毛胸デカが召喚したサラマンダーや、青髪ペッタンが召喚したウィンドドラゴンだって危険なはずだ。 そう思ったルイズは、それをそのまま口にする。 さあ、殺すならわたしごと殺しやがれとでも言うような態度に、コルベールは折れ、ルイズはその巨熊と契約を交わす。 以外にも、巨熊は大人しくコントラクト・サーヴァントを受け入れ、ファーストキスは血の味がした。使い魔のルーンは熊の胸に刻まれた。 ルイズの使い魔になった熊は、知能が高く彼女の言うことをよく聞いた。 使い魔のルーンは時に対象となる獣の知能を人間並みに上げることがあると聞く。 これも似たようなものだろうと、ルイズは思ったが、実は巨熊は召喚した時点からルイズとコルベールの会話を理解していた。 そんな巨熊は、夜になるとよく学院から出て行った。 衛兵はそれを止めなかった。というか、止めたら喰われそうで怖かった。帰ってくるときは、口元を新鮮な血で濡らしていたし。 巨熊は、凶悪な外見とは裏腹に、とても大人しくルイズのいうことを聞いた。 だからまあ、学院の他の生徒の使い魔が何匹か消えても誰も疑わなかった。学院で働く平民も何人か行方不明になっていたが、巨熊にお前が犯人かと問い詰めるものもいなかった。 というか、知能が高いといっても獣である。犯罪の隠匿なんてものをするとは誰も考えない。 そんなわけで、しばらくは平和な日々が続いた。その平和な日々の中、巨熊は更に大きくなったが、それを気にしても仕方がなかろう。 そんな日々の中、ある夜、土くれのフーケという盗賊が現れた。 フーケの操る土ゴーレムは30メイルもの巨大なものであったが、気がついたらそれと同じ大きさまで成長していた巨熊によって、あっさりと破壊された。 そんな事件のおかげで、ルイズはますます巨熊を可愛がるようになった。 そうして更に月日が流れ、トリステインでは、いつしか平民が野生の熊に襲われる事件が勃発するようになった。 その熊の目撃者の証言からして、それはルイズの使い魔に酷似した姿であり、さらに今までにハルケギニアにはいなかった巨体であると聞き学院の人々は、もしやと思ったが、その疑いはすぐに晴れた。 更に大きく育ったルイズの使い魔は、目撃された熊とは比べ物にならないほどに大きく、また被害の範囲は広く、一頭の熊に回れる範囲を超えていた。 更に月日は流れる。ルイズの使い魔が、もはや人知を超えた巨体に育ったとき、それは牙を剥いた。 トリステインだけでは留まらずハルケギニア全土を襲うようになった巨大熊の群れ。それは、ルイズの使い魔の血を引く者たち。 それらは、ただ巨大なだけではなく高い知能を持ち、メイジたちの戦力を測り、戦略を持って人を襲う。 かくして、ハルケギニアは、かつて赤カブトと呼ばれた巨熊とメイジたちが大地の覇権を賭けて争う戦場と化したのであった。
https://w.atwiki.jp/dai_zero/
ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました スレ の仮まとめサイトです 本日は - 人の召喚がありました 昨日は - 人の召喚がありました 現在までに - 人の召喚がありました 元ネタについて ゼロの使い魔(wikipedia) ダイの大冒険(wikipedia) 現行スレ ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました8 過去スレ ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました7 ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました6 ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました5 ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました4 ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました3 ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました2 ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3202.html
ルイズは召喚された『それ』を見ていた。 「なんなんだろこれ?」 周りのギャラリーは『それ』の正体が分からないので反応に困っている。 ルイズもこんなものは見たことも無い。 召喚された『それ』はルイズの前で僅かに上下している。 『それ』をなんと表現したら良いのだろうか。 変で、黒くて、でかくて、ずいぶんと硬そうだ。 「とりあえず触ってみようかしら」 ルイズは恐る恐る『それ』に触ってみた。 ルイズが触ると『それ』はピクっと反応した。 「すごーい・・・生き物みたい・・・それに不思議な感触・・・柔らかいようで固いようで・・・」 それにルイズの目の前に現れた『それ』は微かに熱を帯びている。 「とりあえず、よく分からないけど・・・契約しないとね」 ルイズは小さい声で呪文を唱え『それ』に接吻した。 すると、『それ』は更に熱を帯び動き出した。 モンスターファームよりモノリス召喚
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5135.html
前ページ次元の使い魔 執念があった。 強靭な精神に裏打ちされた目的意識。 その意思は、妄執ともいえるほど確固たるもの。 目的を遂げるまでは、どれだけの年月が経とうと消え去る事はない。 「俺は……」 虚数空間に呟きが漏れる。 言葉とは存在の証明。 形を持ち、紡いだ者を人たらしめていく。 ぼやけていた視界が晴れると同時に、自分自身の存在が再構築されていく。 曖昧だった意識はようやく知覚できるほどに浮上した。 だが、まだ足りない。 この程度では足りない。 もっと、もっとだ。 腕を伸ばし、この先にある何かを掴むイメージをする。 それをこの手に掴み取り、引き寄せる。 「俺は……死なんぞッ!」 言葉に応えるかのように、更に意識がクリアになっていく。 狂おしいほどの感情のうねりが、奔流となって空間に迸る。 因と果が重なったのを感覚的に理解できた。 淡い光が満ちてくる。 どこか別の世界への扉がゆっくりと開いていく。 ──次元が、繋がる。 「あ、あんた誰……?」 抜けるような青空をバックに、一人の少女が彼を見下ろしていた。 どこか怯えたような表情で、少し距離を取っている。 少女の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 トリステイン魔法学院に通う、貴族の子女である。 春の使い魔召喚の儀式で、目の前の彼をたった今召喚したのだ。 ルイズが怯えたのも無理はなかった。 彼女が行った『召喚』は、明らかに異常事態だったからである。 「早く答えなさいよッ!?」 ルイズの叫び声が響いた。 実際は、半ば虚勢であった。 大きな声でも出さなければ恐怖にのまれてしまいそうだったのだ。 このルイズの金切り声に、召喚で喚びだされた彼が反応した。 倒れていた体を緩慢な動作で起こして立ち上がり、気だるげに辺りを眺める。 まず最初に、足元からあちこち煙が上がっているのに目に付いた。 鉄と油の混じった、焼け焦げるような独特の臭いもする。 何度も嗅ぎ慣れた臭いだ。 その臭いと煙の元は、大きな鉄の塊が発していた。 歪な鉄の塊が、無造作に煙を吐きながらそこら中に散乱している。 元は大きな『何か』であったそれらの鉄塊は、異質な存在感を示していた。 「……どこだ、ここは?」 今度は、少し視線を上げてみる。 こちらを注視するような視線を向ける、奇妙な服を着た子供達の群れがあった。 その人垣の向こうは、見渡す限りの草原だ。 穏やかな風に、草が揺れている。 豊かな緑が目に眩しい。 見慣れない形の大小様々な草が競うように生えている。 ……草? 「草だと?」 自分が最後に見た光景は、ゴビ砂漠の不毛な土地だったはず。 乾ききった死の大地だ。 決してこんな緑溢れる草原地帯ではなかった。 草原の向こうには、西洋風の城まで見える。 何の冗談かと思った。 元いた場所とは明らかに違いすぎる。 足元に散乱する金属の断片と、見慣れない風景。 脳裏を過ぎるのは自分の記憶の最後の光景。 そして、虚無の中で揺う意識とその覚醒。 まさかここは……? 唐突に閃く。 脳内で瞬時にいくつかの仮説が組み立てられた。 確証はないが、現状の情報を判断すると間違いはないだろう。 「クク……」 彼の顔が愉悦に歪んだ。 まだ少年とも呼べるその外見からはありえないような、歪な笑み。 少年の顔は狂気に染まっている。 そんな少年を、呆然としたようにルイズは見つめていた。 「あんた、誰なのよ……?」 三度目の問い。 ようやく少年がルイズへと顔を向けた。 黒い髪に黒い瞳の、まだ幼さの残る風貌だ。 一見すれば凡庸な印象を受けるだろう。 さっきの歪な笑みは一体何だったのかと思うほどだ。 どこにでもいるようなごく普通の少年というのが、ルイズから見た第一印象だった。 ルイズと少年の視線が交錯する。 「ひッ!?」 見つめられた瞬間、ゾクリとした。 思わず背筋に冷たいものが走ったルイズは、身震いをした。 先ほど自分が下した少年への判断が間違っていた事が、一瞬で理解できた。 ──その目だけが、違った。 明らかに普通の少年がする目ではなかった。 侮蔑とも、哀れみとも違う、ある種の視線。 氷のような目で、少年はルイズをじっと見ている。 それはまるで研究者がモルモットでも観察しているように冷淡で、冷酷な瞳だ。 口元に嘲笑を張り付かせながら、少年が口を開いた。 「俺か? 俺は……」 そこで言葉を区切った。 一呼吸置いて、自分自身の言葉を確認するかのように喋る。 「俺の名は……木原マサキだ」 世界に宣言するかのように、木原マサキの言葉は放たれた。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、不安でいっぱいだった。 春の使い魔召喚の儀式でルイズが喚び出したのは、一人の少年。 そして、煙を吐いている大量の鉄の塊。 前代未聞の出来事だった。 人間が使い魔として召喚されただけでも異常なのに、鉄の塊までセットで付いてきたのである。 もう訳が分からない。 不安になるなと言う方が無理だった。 一応少年に名前を聞いてみたら『木原マサキ』だと返事はしたが、それっきり。 名乗った後はルイズに興味を無くしたかのように視線を外し、辺りを眺めては何かを考え込んでいる。 呆然と立ち尽くすルイズとは、もう目も合わせようとしない。 どうやら完全に無視されているようだった。 何だか腹が立ってきた。 さっきは目つきに驚いたが、よくよくこのマサキという少年を見てみると、明らかにただの平民である。 貴族の証である杖も持っていないし、マントもない。 鉄屑と一緒に平民を呼び出してしまった……。 そう思うと、腹が立った後は今度は自分が情けなくなり、今度は悲しくなってきた。 「ルイズが平民と一緒にゴミを呼びやがったぞ!」 ルイズの召喚を遠巻きに見ていた生徒の一人が声を上げた。 他の生徒達も次々と囃し立てる。 「しかも、平民には無視されてるぜ!」 「さすがはゼロのルイズだ!」 煽る声は止まらない。 「違うわよ! ちょっと間違っただけだもん!」 立ち上がって怒鳴り返す。 しかし、自分でも反論は無駄だと理解していた。 「お前はいつも間違ってばっかりだろ!」 人垣がどっと爆笑する。 「違うもん! そんなんじゃないもん!」 「じゃあ、あの平民は何なんだよ?」 「そ、それは……」 言葉に詰まる。 上手い言い訳が見つからない。 「やっぱり『ゼロのルイズ』の名前通りだな!」 「召喚まで失敗とは、さすがだぜ」 「違うもん……」 蔑む様な視線が無遠慮にルイズに突き刺さる。。 生徒達の笑い声が、ルイズの耳にいつまでも木霊した。 ルイズはうなだれたまま、結局何も言い返す事はできなかった。 悔しくて仕方なかった。 生徒の中にはドラゴンを召喚した者もいた。 あのツェルプストーでさえ、サラマンダーを召喚していた。 せめて、犬や猫のような小動物でもいいから、普通の使い魔を召喚したかった。 いくらなんでも、平民の使い魔なんてひどすぎる。 目の前が涙で薄っすら滲んできた。 強く噛み締めた唇からは、かすかに血の味がした。 「ミスタ・コルベール。もう一度召喚をやり直す事はできないのでしょうか?」 ルイズは、こちらを気の毒そうに眺めていた禿頭の教師に声をかけた。 「それは駄目だ。ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!?」 「これは決まりだよ。二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。今、やっている通りだよ」 木原マサキと名乗った少年が『使い魔』という単語にぴくりと反応した。 ずっと無視してきたくせに、今度は探るような目でルイズを見ている。 コルベールの話は続く。 「この春の使い魔召喚は、伝統ある神聖な儀式です」 「それは分かってますけど……」 「いいですか、ミス・ヴァリエール。あなたが好む好まざるに関わらず、彼を使い魔にするしかないのです」 「でも先生! 平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 ルイズの言葉に人垣がどっと笑った。 うなだれるルイズに、コルベールが優しく声をかける。 「平民であろうと、君にとってきっといつか素晴らしい使い魔になるさ」 「でも……」 「これ以上話す事はないよ、ミス・ヴァリエール。さぁ、儀式を続けなさい」 「分かりました……」 コルベールに促され、ルイズは使い魔の少年へと足を向けた。 「ちょっと」 ルイズはマサキに声をかけた。 「俺に何か用か?」 「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんな事されるなんて、普通は一生ないんだから」 「何がだ?」 ルイズは何も答えず、手に持った小さな杖をマサキの前で振った。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」 早口のように唱え、自分の唇をマサキの唇へと重ねる。 マサキは多少面食らった顔をしたかと思うと、ルイズの背中に腕を回した。 「──んッ!?」 ルイズの口内にマサキの舌が侵入してくる。 蛇のように絡みつき、こちらの舌を激しく求めてくる。 ルイズの顔は一瞬で真っ赤に沸騰し、頭の中は真っ白になった。 気が付けばマサキを突き飛ばしていた。 「あ、あ、あ、あんた!? 何すんのよッ!?」 「何を慌てている?」 平然と返すマサキ。 「あ、あんたねぇ!?」 「先に誘ってきたのはそちらだ。気取る事はなかろう。俺に惹かれているのを隠す事はない」 「あんたに惹かれてなんかないわよッ!?」 ルイズが叫ぶが、マサキは話を聞いていなかった。 どうやら左手の甲に突然襲ってきた痛みに、顔をしかめているようだ。 「おい。何だこれは?」 「何って、使い魔のルーンが刻まれただけよ」 「使い魔のルーンだと?」 火傷跡にも似た奇妙な線が、マサキの左手の甲に刻まれていく。 「ほほぅ、これは珍しいルーンですな」 コルベールがやってきて、マサキの甲に刻まれた傷をしげしげと眺めた。 「見た事のない形ですな。一応、写しておきましょうか」 そう言うと、懐から紙とペンを取り出してスラスラと書き写した。 マサキは無言でその様子を観察していた。 「さてと、じゃあみんな教室に戻りましょうか」 コルベールはきびすを返すと、宙に浮いた。 他の生徒達もコルベールに続いて次々と浮かび上がる。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「『フライ』も『レビテーション』も使えないと不便で仕方ないな!」 「平民の使い魔一緒に歩くのがお似合いよ!」 口々にそう言って、笑いながら飛び去っていく。 残されたのは、ルイズとマサキの二人だけになった。 「飛んだ……?」 内心では驚きつつも表情を崩さないマサキの前で、ルイズが仏頂面のまま言う。 「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。今日から私があんたのご主人様よ。覚えておきなさいよ!」 「ご主人様だと?」 「そうよ。あんたは使い魔として私が召喚したのよ。平民が貴族に仕えられるんだから、光栄に思いなさい」 「使い魔? お前に従えというのか?」 憮然とした表情のまま、ルイズが答える。 「そうよ! 何か文句あるの!?」 「……いいか、言っておくぞ」 マサキはおもむろにルイズに近寄ると、胸倉を掴み上げた。 小柄なルイズの体が持ち上がり、爪先立ちになる。 「な、な、何すんのよ!?」 気丈に振舞って見せるが、ルイズの声は震えていた。 「俺に命令するな。操ろうなどと思うな。俺は好きなようにやらせてもらう」 それだけ言うと、投げ捨てるように掴んだ手を離した。 「きゃあッ!?」 尻餅をついたルイズを、マサキは冷たい目で黙って見下ろしていた。 ルイズとマサキ。 異界にて交わってしまった二つの運命の鎖。 物語は、ここより始まる。 動き出した流れは止まる事はない。 ──冥府の王は、再びハルケギニアの地で目覚める事となる。 前ページ次元の使い魔
https://w.atwiki.jp/pgbr-himmel/pages/66.html
7.灼眼のルイズ (ルイズ) 女 髪が短くボーイッシュな外見。性格も少し威圧的であるが、精神的には弱い。打たれ弱く、状況に混乱することも多々ある。 外見や性格の割には運動神経が乏しいため、自分の中で葛藤を抱えている部分も見られる。 自信をなかなか持てず、ひとりという環境が苦手なため、必ず誰かに頼ろうとする。その部分が他人にとっては迷惑、鬱陶しがられることもしばしば。言われたことは出来る、だが自分からするのは苦手。人に暴力を振るうのは平気だが、傷を負わせるレベルまで行くと強い罪悪感に襲われる。 頭はそれなりに働く方で、臨機応変な判断が出来る(ただしそれを行う実行力はあまりない) 武器の扱いに関しては出来ない方だと言える。 過去にいろんなことから逃げてきたのか、何事からも逃げだそうとする姿勢がときどき見られる。
https://w.atwiki.jp/marowiki001/pages/3587.html
目次 【時事】ニュースルイズ・フロイス 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース ルイズ・フロイス gnewプラグインエラー「ルイズ・フロイス」は見つからないか、接続エラーです。 【参考】 ブックマーク サイト名 関連度 備考 ピクシブ百科事典 ★★ 関連項目 項目名 関連度 備考 参考/織田信奈の野望 ★★★★ 登場作品 参考/佐藤利奈 ★★★ キャスト タグ キャラクター 最終更新日時 2013-12-14 冒頭へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6615.html
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 危険に対する感覚は人間よりも動物のほうがはるかに鋭敏なものを持つ。 それは他の動物よりも強靱な肉体を持つ竜でも例外ではない。むしろより優れているかも知れない。 騎手からの操縦が突如失われた風竜はすぐさまシルフィードの追跡をやめ、この危険を感じる空域から離れるべく進路を変えた。 そんな追跡者の事情など知る由もなかったが、飛び去っていく風竜の姿にキュルケはほっと胸をなで下ろした。 「やったわ!うわくいったわよ」 竜騎士は完全に自分達を見失ない、ふらふらと全く見当外れの方向に飛んでいる。 レコン・キスタに捕らえられる危機からは脱したのだ。 そう考えたキュルケはまだ前を見続けている親友を抱きしめた。 「ねえ、でしょ?タバサ」 こんな事をしても、この青い髪の下の表情を滅多に変えない親友が自分と同じように感情をあらわにするとは思っていない。 だからタバサが頭を胸にぽんと落としてきたのには驚いてしまった。 「ちょっと、タバサ」 思いがけない仕草に顔を赤らめながらも慌ててしまったが、様子がおかしい事に気付いた。 タバサの体は力を失っているる上に白い制服が透けるくらいに汗でぬれてしまっている。 「どうしたの?どうしたのよタバサ!」 頬を軽く叩いて体をさすってもタバサは答えない。 目をぎゅっとつぶり、荒く呼吸をしている様子は病にかかったかのようにも見える。 「タバサはどうしたんだい?このままでは!」 「静かにしなさい!」 ギーシュが騒ぐのもわかる。 タバサが倒れてしまったなら誰もシルフィードを操れない。 シルフィードの主人でもなく竜騎士でもないキュルケやギーシュにはそんなことできっこない。 「ねえ、お願い。シルフィード。私の言うことを聞いて」 もう、やれることをやるしかない。 ダメ元でキュルケはシルフィードに向かって悲鳴の混じりの声で叫んだ。 「きゅう」 シルフィードが頷いたように見えたのは気のせいだろうか。 使い魔となった動物は次第に知能が得て、言葉を理解するようになるが、主人以外の言葉を理解するには時間がかかる。 だが今のシルフィードはまるで次の言葉を待っているように見えた。 「お願いよ。ゆっくり降りて。ゆっくり」 2人が落ちないようにタバサとユーノを抱く手に力を入れて待った。 「きゅっ」 するとキュルケの言葉に従って、シルフィードがゆっくり地面に近づいていく。 シルフィードは言葉が理解できたのだ。 これなら無事に下に降りられるかも知れない。 「キュルケ、あそこだ。あそこを見てくれ」 シルフィードの背びれにしがみつきながら首を伸ばしているギーシュの視線をキュルケは追ってみた。 すぐにはわかった。 森を切り開いて作った空き地の中に数件の藁葺きの小屋が建っている。 「ねえ、シルフィード。わかる?あそこの小屋の前よ。あそこに降りて」 この少し複雑な指示をシルフィードは理解してくれるだろうか。 その不安にシルフィードは 「きゅい」 と小さく鳴いて翼をばさりと動かす。 風の音が大きくなると、雲が高く上っていく。 キュルケの腕に抱かれるタバサはいつにも増して小さく見えた。 小屋の前に降りたシルフィードは地面に足を着く寸前に羽いっぱいに空気を掴んで大きく羽ばたいた。 キュルケは砂埃を心配したが、森の湿り気を含んだ地面はそれを巻き起こすことなく空からの侵入者を迎え入れてくれた。 シルフィードの背中かから下りるキュルケには無数の視線が向けられる。 その一つ一つに笑顔で返しているうちに眉をぴくりと動かした。 怯えている者、好奇心が勝っている者、いろいろあるがその視線は全て子供の目から出ているのだ。 「ねえ、誰か大人の人はいないの?お父さんやお母さんは?」 その声に驚いたのか子供達は一斉に隠れて姿を隠してしまう。 もっとも、やっぱり好奇心の勝っている子供もいるらしく、建物の影や木の後ろからそっと出した顔が見えてはいた。 いつもならそれをからかって遊んでやりたくもなったのだが、今は続いて降りてきたギーシュが背負っているタバサのほうが心配だ。 荒い息に交じってうめき声まで聞こえてくる。 「ねえ、誰かいないの?ねえ」 それに応えるように開かれた扉はちょうど真正面にあった。 そこから出てきたのはキュルケ達を見ていた子供達よりはずっと年上ではあるものの、まだ大人にはなりきれていない少女だった。 ただの少女ではない。誰の目でも引いてしまうような少女だ。 輝いているような金色の長髪に、美しいという言葉が陳腐に感じるような顔立ち。 宮廷の婦人達もうらやむようなきめの細かい肌。 身につけている粗末な草色のワンピースと白いサンダルも彼女が身につければ美しさを引き立てるアクセサリーとなる。 耳まで隠せそうな大きな帽子はそれらより上等であったが、それもアンバランスではなくミスマッチとなっていた。 だが、実のところそんなものはどうでもいい。 いや、ほんとにどうでもいい。 ギーシュの目を釘付けにしているのも、キュルケを絶句させてしまっているのもそんなものではないからだ。 それは何か……胸だ。 その少女の胸だ。 いや、胸と言っていいのかどうか。 とにかく反則的に大きい胸をその少女は備えていたのだ。 キュルケも男を惹きつける要素の一つとして自分の胸には自信を持っていたが、さすがにこれほどではない。 「そこのあなた」 といっても、その驚きに浸っている場合ではない。 「は、はい」 恥ずかしがり屋なのか、その少女は一番人の目を引く胸ではなく、顔を帽子で隠して答えた。 「私の連れが倒れてしまったの。休ませてもらえないかしら?」 「あ、はい。どうぞ」 首を伸ばすようにキュルケの後ろを見た少女はギーシュに背負われてぐったりしているタバサに気づき、扉を大きく開けてキュルケ達を招く。 シルフィードも入ろうとしたが、扉をくぐれるはずもなく窓の外で悲しげにきゅいきゅいなくばかりだった。 たった一通の手紙。 それがこの危険な旅の始まりであり目的だった。 偶然に助けられ、その手紙はアルビオンのニューカッスル城にてウェールズ・テューダーより渡され、今ルイズの手の中にあった。 求めていたものを手に入れたのだ。 それなのにルイズは喜びを感じることができずにいた。 この手の中にある手紙にはアンリエッタの思いが込められている。 もし、それが重さを持つとしたらルイズの手には余るほどの重さになるに違いない。 なのに、それ程のものを持ってしてもアルビオン王家最後の王子として圧倒的な兵力を持つ叛徒レコン・キスタと戦い、それによる死を持ってしてトリステイン侵攻を遅らせようとするウェールズの気持ちを変えることができなかった。 しかしウェールズの命こそアンリエッタが本当に望んでいたもののはず。 「だったら、私がここに来た意味はあったの?」 ──ユーノが命をかけたことに意味はあったの? それに答える者はいない。 ルイズは溜息ととも立ち上がり、傍らに置いていたドレスを手に取った。 今夜、この城で行われるパーティにはこのドレスを着て出るつもりだ。 それは華やかなものになるだろう。 だが、そのこともルイズの心を晴らすようなものではなかった。 じわっと広がるスープの味を口の中で転がす。 高価な香草や肉を使っている学院で食べるスープとはまた違う素朴な美味しさをキュルケは味わっていた。。 さして自覚はしていなかったがお腹の中はもう空っぽだったようで、キュルケはスプーンをいつもより早く動かしている。 ギーシュに至ってはうまいうまいと皿に口をつけて直接かき込んでいるような有様だ。 皿を空にして一休みしていると、帽子をかぶったティファニアが部屋に入って来た。 「あの、おかわりはいかがですか?」 室内でも帽子を取らないティファニアにおかしさを感じはしたものの、もう少し物足りなかったキュルケはその言葉に甘えてもう一杯食べることにした。 「タバサのこと、ありがとうね」 「あ、いえ。そんな」 貴族にお礼を言われたせいかティファニアは大げさなほどにどぎまぎして帽子の鍔で耳を押さえた。 「で、タバサはどうだった?」 キュルケはトライアングルのメイジではあるが怪我や病気の治療に使える水の魔法を苦手としている。 ギーシュに至ってはドットで土以外には不案内。 借りたベッドに寝かせたものの突然倒れたタバサをどうしたらいいか分からないでいると、キュルケ達を出迎えたティファニアが看病をかってでてくれていた。 「何か酷く疲れているようです。お薬を飲んでいただきました。」 「薬?水の秘薬があるのかい?」 いち早くもらったおかわりを口の中に入れたまま驚くギーシュにティファニアは頭を振って答えた。 「いえ、そんなものじゃないんです。この辺りで採れる薬草です」 孤児院をしているというこの村の子供達が病気や怪我をした時のためにおいていた薬をわけてくれたのだろう。 「今は?」 「寝てしまわれました」 薬がよほどよく効いたのか、ここに来た時は息も荒くうなされていたタバサが、もう寝てしまうくらいに良くなったのだ。 安心したキュルケはおかわりのスープを落ち着いて口に運んだ。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6364.html
前ページ次ページ重攻の使い魔 第1話 『赤き人形』 透き通ったさわやかな青空の下、トリステイン魔法学院の校庭では本日幾度目かの爆発が起きていた。爆発の原因となっていると思われる少女は諦めずに再度声を張り上げる。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」 必死になるルイズとは裏腹に、周囲にいる生徒達の反応は心底冷ややかなものだった。ルイズを指差しこそこそと笑う者、悪意を隠そうともせずに侮辱する者、どうでもいいとばかりに文句を言う者。この場にルイズの味方はおらず、彼女は孤独だった。 ルイズの必死の思いを裏切るようにまたしても魔法は失敗、爆発し周囲は灰色の煙に包まれる。今までの爆発に比べて一際大きな爆発だった。油断していたために煙を吸い込み、咳き込む生徒達からは抗議の声が聞こえてくる。 「いい加減にしろよ! 失敗するのはいいけど俺達を巻き込むな!」 「これからはゼロのルイズじゃなくてマイナスのルイズって呼んだ方がいいな……ゲホッ」 爆風を間近で食らい、煤け乱れた髪を払いながらルイズは悔しさに唇を噛み締める。地面に爪を立て、その細い指が血に滲む。 「……どうして、どうして成功しないのよ」 使い魔すら召喚できない貴族。普段から魔法の成功率は極めて低かったが、召喚の儀式すら満足にできないとは。これではメイジになる以前に問題外である。ルイズは己の余りの不甲斐無さにどうしようもなく惨めな気分に陥っていた。これまで決して他人の前では弱みを見せまいと努力をしてきたが、それも限界に達し、今にも泣き出しそうな表情になる。煙に覆われ、周囲から顔は見えなかったが、その煙も風に流され徐々に晴れていく。 完全に煙が晴れ、ルイズが瞳を涙で潤ませながら顔を上げると、爆発で盆状に削れた爆心地には予想外なものが立っていた。 「……こ、これってもしかしてゴーレム?」 そこには鮮やかな赤色を基調とし、見るからに厳つい体に幾何学的な模様が刻まれた、軽く2メイルを超える大柄な人形が佇んでいた。腕と思わしき所には見たこともない筒状の棍棒が握られている。 人形は微動だにしないが、それは未だに契約がなされていないためかもしれない。ルイズの顔からは涙が消え、反対に日光を受けた蕾が花開くように明るくなっていく。 「やったぁ! こんな強そうなゴーレムを召喚できるなんて!」 飛び跳ねながら全身で喜びを表現しているルイズとはうって変わり、先程まで文句を言っていた生徒達は一様に驚いていた。 「ウソだろ!? ゼロのルイズがあんなゴーレムを召喚できるなんて!」 「ちくしょう、なんであいつが!」 「ふん、ルイズが高位のゴーレムを使い魔になんてできるかよ」 生徒達が嫉妬の声を上げるのは仕方の無いことだった。通常召喚される使い魔は生物であり、ゴーレムのような無機的なものを使い魔にすることは稀である。また、ゴーレムを召喚したとしても、精々が土くれの人形であり、今しがたルイズが召喚した精密に構築されたゴーレムを使い魔にするなど前代未聞である。修行中の身でも明らかな質の違いを感じ取ることはできた。 「あー、ミス・ヴァリエール。喜ぶのは構わないが早く契約の儀式を行いなさい。君の所で大分時間を食っているんだよ」 「あ、ハイ。すいません、今すぐやります!」 頭の禿げ上がった40歳前後の教師に軽く注意され、ルイズは顔を引き締める。しかし体の中から湧き上がってくる喜びを抑えきることはできず、引き締めたはずの顔は微妙に歪んでいる。早く契約の儀式を行って使い魔にしよう。ルイズはうきうきとしながら赤いゴーレムへと近付く。と、そこでちょっとした問題にぶつかった。 「あの、ミスタ・コルベール。頭に背が届かないので私にレビテーションをかけてもらえますか?」 「仕方がありませんね。はい、これで届くはずですよ」 「ありがとうございます」 コルベールが軽く杖を振るうとルイズの体はふわりと浮き上がり、大柄なゴーレムの頭(と思わしき部位)に届くようになった。ルイズはコモンマジックが使えないこともどこへやら、目の前のゴーレムを使い魔とできることに狂喜していた。早速杖を振るい、契約の呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 ルイズがゴーレムの頭に口付けをする。ルイズがしばらく沈黙していると、おもむろにゴーレムの頭や体の各所にあるクリスタル状の物質がカッと光り輝いた。 「きゃっ、なになになに!? ぅおえっぷ!」 ルイズがきゃあきゃあと騒いでいると、次はゴーレムの体中から白い蒸気が吹き出した。その蒸気をまともに受け、ルイズは咳き込んでしまう。しかしそれも短時間のことで、すぐにゴーレムの異常は収まり、クリスタルの輝きも落ち着いた光度になった。 「サモン・サーヴァントは何度も失敗したけど、コントラクト・サーヴァントはしっかりと成功させたね」 コルベールは嬉しそうにうんうんと頷いた。出来の悪い子ほど可愛いとはよく言うものである。 「マジかよ……。ルイズが契約まで成功させやがった」 一方、生徒達にはまたしても大きな衝撃が走ったようであった。今まで下に見ていた人間が大きな成功を収めたことに同様を隠し切れないのも無理からぬことかもしれない。 「ちょっと失礼するよ。ルーンのスケッチを取るからね。……ふむ、珍しいルーンだな」 さらさらと簡単にスケッチを取ると、コルベールは教室に戻るよう生徒達に号令をかける。生徒達は一斉に浮かび上がり、教室の方向へと飛び去っていった。幾人かの生徒は去り際にルイズへ侮辱の言葉を吐いていく。 「ルイズ! お前は歩いて帰ってこいよ!」 「ちょっとばかりいい使い魔を手に入れたからって思い上がるんじゃないわよ!」 生徒達が全員立ち去り、校庭にはルイズとゴーレムがぽつんと立つだけになった。今のルイズにとって、負け惜しみの中傷など何の痛痒も与えるものではなかった。自分はこんなにも立派な使い魔を手に入れたのだ。 「名前を付けてあげたい所だけど、早く教室に戻らなくちゃね。ね、あんた、私を乗せて教室に連れて行きなさい」 そう言うと、ゴーレムはルイズの小柄な体を軽々と持ち上げ、その太い左腕に腰掛けるように乗せた。そこでゴーレムの動きが止まった。ルイズがどうしたのかと怪訝に思うと、具体的な指示を出していないことに気付いた。 「私が指示するからあんたは言うとおりになさい。とりあえずあの棟に向かってちょうだい」 するとゴーレムが歩くでもなく、地面をすべるように移動し始めた。かなりの速度が出ているようで、風を切る音が耳を叩く。もしかしたら自分は今まで誰も手に入れたことのない使い魔を召喚したのかもしれない。ルイズは見た目に反して軽快な動きを見せるゴーレムを見下ろしながらそう思った。 この日、ルイズが召喚した赤いゴーレムの正確な呼称は高性能光学兵器装備重攻機体であり、かつて世界中の戦場で伝説と恐れられた特殊重戦闘VR大隊に配備されていたHBV-05の後継機。HBV-502、通称ライデンと呼ばれる機体だった。 前ページ次ページ重攻の使い魔