約 1,012,674 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1434.html
不思議な光景だった。 首都を覆い尽くす五万の兵が、二つに割れる。 この世界に石版を携えた予言者が居たとしたら、その再来だと思われただろう。 「KUAAAAAAAAAAAA!!!」 「BUAAAAAAAAAAAA!!!」 吸血鬼と吸血馬の雄叫びが戦場に響く。 反乱軍五万の先端は、真っ先に手柄を立てようとする傭兵達で構成されていた。 彼らはは眼前に迫る馬を見て、喜んでいた。 しかしその喜びは、馬の接近と共に打ち砕かれる。 ニューカッスルの城壁を飛び越えて反乱軍の眼前に降り立った巨馬は、ハルケギニアで軍馬として使われる馬より、一回り大きい程度の馬。 巨馬と呼ぶにははるかに小さいが、この戦いを生き残った傭兵達は口々に『あれは見たこともない巨大な馬だった』と伝えている。 それは、吸血馬の圧倒的なパワーが印象づけた『伝説』だったのかもしれない。 ニューカッスルへと続く街道を、吸血馬が行く。 五万の大群をものともせず走り抜ける。 吸血馬の前では、人間の身体は血袋と同じようなものだった。 大通りを埋め尽くすような傭兵の群れを踏みつぶすと、反乱軍の兵士達が槍を構えていた。 上空には竜、地上には槍衾。 ひるむことなく突撃してくる吸血馬を見て、隊列の一部が崩れるが、そんなことはお構いなしに馬は空を飛んだ。 地震のような揺れが兵を襲う、馬は翼もないのに空へと舞い上がり、今まさに火のブレスを吐かんとしていた竜を踏みつけた。 「陛下!」 「………!」 「手綱はありません、たてがみをしっかり握って!」 「…!」 ルイズはウェールズの手を取って、吸血馬のたてがみを握らせると、自身も宙へと飛んだ。 竜騎兵は、あまりの出来事にブレスを吐くタイミングを失っていたが、目の前に飛んできたルイズを見て、慌ててその向きを変えようと手綱を引いた。 だが、思ったよりも早くルイズの腕が竜騎兵の胴を貫いた。 右手は竜騎兵の血を吸い、左手は竜の首へと突き刺さる。 食屍鬼のエキスを注入せず、ただ勢いよく竜騎兵の血を吸い尽くす。 左手の指先が竜の脊椎へと到達すると、ルイズは落下しながら竜の神経を浸食した。 きりもみ状態で地上へと落下する竜は、地上すれすれで体制を立て直す。 地上に群がる傭兵達と、つい先ほどまで主人だった竜騎兵に向けて炎のブレスを吐き、竜は空へと舞っていった。 ウェールズは吸血馬の背で、不思議な感覚に包まれていた。 ニューカッスル城で死ぬつもりだと覚悟していたのに、いざ槍衾の中を駆けると、その槍がいつ自分の身体を貫くのかと恐ろしくなる。 だが、この巨馬は槍衾を飛び越え、竜の飛ぶ高さにまで跳躍し、メイジの魔法を避けるように走る。 『死ぬか、助かるか』 ウェールズは、まるで夢を見るように戦場を駆け抜けた。 上空ではルイズが竜を操り、他の竜騎兵を翻弄している。 しっかりとした戦術など無かったが、その非常識な戦い方は誰もが恐ろしいと感じてしまう。 脳のリミッターを破壊された竜は、疲れや痛みを忘れて羽ばたき、他の竜に突撃する。 ルイズはすれ違いざまにデルフリンガーを振り、竜の翼を切り裂いていく。 地面を走る吸血馬は、パワーと体力こそグリフォンや竜に匹敵するが、速度は劇的に速くない。 その強靱な脚力が、人間も、建物も、オーク鬼も、魔法の刃すらもものともせず駆けていくのだ。 メイジが作り出した炎の壁があっても、動物の枠組みを外れた『吸血馬』は、決してひるまない。 ルイズは竜騎兵の一群を混乱状態に陥らせると、吸血馬の前に竜を飛ばした。 血を吸われ、疲弊しきったはずの竜が五匹、他の竜よりも早く力強く飛ぶ。 ルイズはこの先にある、反乱軍の本陣と思わしき場所に向けて竜を突撃させる。 一騎の巨馬で戦列を分断された上、竜が司令部へと飛び込み、反乱軍は未曾有の大混乱なり統率を失う。 ルイズは、私の役目は戦うことではない、逃げることだと自分に言い聞かせ、最短のルートを通って首都ロンディニウムを後にした。 この日『竜を操る鉄仮面』と『巨馬を操る騎士』の噂が、瞬く間にアルビオン中に広まった。 「陛下?」 「………」 「ウェールズ陛下、どこか怪我でも?」 「え? あ、いや…驚いていたんだ」 場面はアルビオンから、ラ・ロシェールからそう離れていない森の中に移る。 ルイズは逃げる途中に奪った竜のうち一体に、港まで来いと命令していたのだ。 竜は風竜ではないため、馬一頭と人二人を運ぶのは難しいが、アルビオンからトリステインに向かうのなら滑空だけで済む。 体力的にも問題はないと思えたが、竜は体力の限界を迎えてしまい、地面に着地してすぐ身体を横たえてしまった。 食屍鬼のエキスは注入していないので、殺すのは躊躇われた。 ルイズは髪の毛から作り出した触手を竜の脳髄に差し込んで、この場所で休ませることにした。 しばらくすれば、また飛べるようになるだろう。 二人は、トリステインの宮殿を目指し、森の中を進むことになったが…。 ルイズはウェールズの乗った吸血馬を先導して、森の中を歩いていた。 途中、ウェールズが口を開く。 「奇妙な事だが…夢を見ていたようだ」 「夢?」 「ああ、戦場を一騎で駆け、突破するなどと、誰が信じようか。トリステインの”烈風カリン”殿でもこうはいくまい」 ルイズはふと気づいた。 自分は『石仮面』と名乗ろうとしていた。 だが考えてみれば、これは一種のコンプレックスかも知れない。 ルイズは甲冑のマスクを外すと、それを宙に投げた。 「仮面は、もう外すのか」 「鉄の仮面を付けていたら、カリーナ・デジレ様に怒られますもの」 「……不思議な人だな、君は。最初は平民かと思ったが、使い魔を従えている上、”烈風カリン”殿の名前まで知っているとは」 「強者の名前は自然と耳に入るのよ」 「ところで、着の身着のままで来てしまったが、このままでは君に報酬を払うこともできないな…願わくば、トリステインの城まで同行して頂けるだろうか、そこで『風のルビー』を君に差し上げたい」 「気遣いは無用よ、ほら」 ルイズがローブをめくり、身体の至る所にくくりつけた革袋を見せた。 報酬代わりに貰った食器類や、他宝物類もそこに入れられている。 「そんな沢山身につけて戦っていたのか?」 「まあね、本当は私とブルリンの分だと思ってたんだけど…」 「ブルリンとは、その馬のことかい?」 「馬?また、へんな冗談を言うのね、私と一緒にいた髭面の男よ」 「いや、パリーからは、傭兵は君しかいないと聞いて……髭面と言われても記憶にないのだが…」 「……えっ…」 ルイズの呟きは木々の間に吸い込まれて、静かに消えていった。 まるで、最初から存在していなかったかのように…… 一方、シエスタはある村の村長宅で、傷ついた身体を休めていた。 隣のベッドには、トリステイン魔法学院の教師、疾風のギトーがこれまたボロボロの姿で眠っている。 つい数時間前までの戦いが嘘のよう。 シエスタは体力を回復させようと、波紋の呼吸を意識しながら、意識を闇に落としていった。 昨日シエスタは、ラ・ロシェールとは別方向、ガリア寄りの村落を目指して馬を歩かせていた。 オールド・オスマンは、シエスタの曾祖父の残した日記と『太陽の書』の内容を照らし合わせ、解読を進めていたが、そこには気になることが書かれていた。 『波紋はそのままでは戦闘に役立たない』 日記には、波紋の利用法についてかなり細かく書かれており、コルベール先生が見れば興奮すること間違いなしだろう。 だが、吸血鬼に対しては驚異的な効果のある波紋も、困ったことに対人戦闘、対メイジ戦闘に於いては有効とは言い切れない。 日記に書かれていた利用法のほとんどは、メイジを敵と仮定している。 仮に『メイジの食屍鬼』が作られたとしたら、今のシエスタでは全く相手にならず殺されてしまうだろう。 リサリサのような『達人』ほどの波紋があれば話は違ってくるのだろうが、とにかく今はシエスタの使える『武器』を探すのが第一だった。 今回、シエスタが目指しているのは、特殊な繊維の産地。 山奥に生える蔓草の樹液は、乾燥しても波紋に反応するらしい。 それを採取して、今後に役立てることが、旅の目的だった。 シエスタに同行するのは『疾風のギトー』。 「まったく何で私がこんな…ブツブツ」 「ミスタ・ギトー先生、道しるべの石が見えました」 「ん?ああ、地図の通りだな、よし、目的地までもうすぐだ」 「はい!」 ギトーは困っていた。 なにせシエスタに同行させられたのは、オールド・オスマンの皮肉たっぷりな言葉が原因だからだ。 『風は最強なんじゃろ?なら途中でオークに囲まれても君なら何とかなるじゃろう』 他の先生の前で、こんな事を言われては拒否も出来ない。 悪くない額の特別手当が支給されると言うが、泊まりがけで辺鄙な村に植物採集しに行くのは辛い。 ただ、シエスタは他の生徒と違い、嫌われ者のギトーを素直に慕ってくれているので、少しだけ救われたような気がしていた。 「…何で私はあんなに嫌われているのだろう…そもそも風は最強だし、強さに憧れる年齢なら私を慕ってくれても…ブツブツ…」 「……先生、先生!」 「ん?」 「村が見えましたよ」 ギトーは、せめて美味しい名物料理でもあればいいのだが…と考えながら、馬を村へと進めた。 二人は、村長宅で事の次第を説明した。 この土地で魔法薬の原料になりそうな物を採取するためトリステイン魔法学院から来たと告げると、村長は顔をほころばせた。 この近くには薬草類が多いため、薬の原料を採取しに来る人も少なくはないのだとか。 トリステインの城下町『ピエモンの秘薬屋』の店主もここに来ていたそうだ。 先代の村長の話だと、オールド・オスマンも何度か訪れているのだとか。 「この近くの森は、魔法薬の原料になるコケ、キノコが採れます。オールド・オスマン様は先代村長が一度お会いしたそうで…」 応接室らしき場所で楽しそうに語る、この村の村長は、顔に深いしわを蓄えた骨太の人で、体格もよく、髪の毛が黒々としている。 壁には魔法薬の原料となる植物類のイラストが沢山描かれており、この村が何を自慢にしているのか一目で分かった。 ギトーは『平民の家などこんなものだろうな』と考え、 シエスタは『応接室に通されるなんて、どうしよう…』と考えていた。 「ところで貴族様、今日はもう暗く、森の中は危険です。明朝にご案内しますが、それでかまいませんでしょうか?」 「ああ、かまわんよ」 「お願いします」 ぺこり、と頭を下げるシエスタを、村長は驚いたような目で見た。 それを見てギトーが一言告げる。 「この子はね、訳あって平民の家で生まれたが、怪我や病を治す魔法が使えるのでね、魔法学院で預かっているのだよ」 「そ、そうでございましたか、いや、貴族様に頭を下げられるなんて、ちょっと驚いてしまいまして」 ふと、部屋の外から誰かの視線を感じた。 扉の方を見ると、タバサと同じかそれより小さいぐらいの少女が、応接間を覗き見していた。 村長はそれに気づき、その少女を見る。 すると少女はぱたぱたと足音を立てて、逃げるように去っていった。 「あの、今の子は?」 シエスタが質問すると、村長は応接室の扉を閉め直してから、二人に話し出した。 「はい、今のはうちの村で預かってる子供でして…どうも商人の子供らしいんですが」 「らしい? …親が分からんのか」 ギトーも興味を牽かれたのか、話を聞く。 「はい、ここから離れた街道で、物取りに襲われたらしいんです。馬車の中で泣いているのを村の者が発見しまして」 「そうだったんですか…」 シエスタが残念そうに呟く。 波紋が生命を癒せても、心まで癒すことは出来ない。 それが少しだけ悔しかった。 「ああやってお客様を見てるんです、きっと親を捜しているんでしょうが…」 「ふむ…可哀想にな、物取りなど風のメイジがいれば一網打尽だろうに」 ギトーもまた、残念そうに呟いた。 心底、風系統に自信を持っているらしい。 自信と、それなりの実力があるはずなのに、自分では戦おうとしないのがギトーの困ったところだが。 村長もシエスタもそんなことは知らない。 「さ、湿っぽい話をしていては料理が不味くなります、特産キノコのたっぷり入ったシチューを出しましょう」 そう言って村長が立ち上がる。 「貴族様のお口には合わないかもしれませんが、このキノコはハゲや胃腸の弱まりに効果がありまして………」 自慢げにキノコの効能を説明する村長。 この土地の人間がハゲないのは、希に採取されるキノコのおかげらしい。 「コルベール先生が聞いたら喜びそう…」 「確かに…」 先ほどの少女が、今度は窓の外から二人を見つめていた。 少女は、長すぎる八重歯を剥き出しにして、にやりと笑った。 To Be Continued …… 21< 目次
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/162.html
前ページ次ページとある魔術の使い魔と主 「何で月が二つあるのですかー!?」 頭を両手で抱え、演技ではないかと思えるぐらいの驚きを放つ。 「当たり前じゃない。というか何でそこで驚くのよ?」 月が二つある事になんら疑問を沸かないルイズに、いやいやいやいやありえないですからー、と言葉に合わせるかのように片手を左右に振る。 「いや、だって月は一つしかないでしょ? それともあれですか、月がなんらかの手違いで分身しちゃいましたテヘッ、とか言っちゃうんですかあんたは!?」 「知らないわよそんなの……そんな事より貴族に対してそんな口の聞き方していいと思ってるの?」 ルイズがやや怒りを篭った口調を上条当麻は無視し、一つの確信を得た。ここは今まで暮らしてきた世界とはわけが違うのを。 あの後、歩いて城もとい学校に着いた当麻は、一緒にいたルイズに状況把握の為色々聞いた。 ここは何処なのか? あんたらは何処の魔術団体なのか? てかさっきは何の術式だったのか? それはもう沢山聞き、気付けば夜に変わっていた。 その間に、なんとなくここが別世界だと感づいたのだが、ありえない! と何度も当麻は自分に言い聞かせて来た。 そしてルイズは疲れに疲れて、今の当麻の変わりやすいテンションを半ば流すようにしないと身が持たない。一方の当麻は、必死に普段使わない頭を回転し始める。 (くそっ、ええい、まさかこういう不幸フラグが立つなんて!?) 不幸その一、異世界へと飛ばされた事。 不幸その二、自分が何やら『使い魔』とされた事。 良い子の皆はその場の幸福に騙されないように気をつけるんだぞ! いや、ホントに気をつけるべきだよ……、と当麻は体験した今素直にそう思えた。 (しかし……) 当麻はちらっと右手を見る。 幻想殺し、それが異能の力であるならば、超能力であろうが魔術であろうが神様の奇跡であろうが、触りさえすれば打ち消す力。 今まで、『御使堕し』といった神レベルの術式は、当麻の知らない間に右手が打ち消してくれた。では今回の術式に関しては何故発動しなかったのだろうか? 考えられる理由としては、『御使堕し』といった術式は、対象者は全員とされている。それと違ってルイズが行ったのは当麻だけへの術式。 言うならば当麻だけを狙った魔術、故に知らず内に右手が勝手に打ち消す事はない。そして、あろう事か当麻は右手であの契約の証の術式を触らなかった。 これならば筋が通っているであろう。術式を形成したのはルイズ自身、そして当麻は右手をずっと地面につけていたのだ。 というわけで見事ルイズの使い魔にへと変わったのでした。パチパチパチ、 (じゃねぇよ! うぉぉぉぉ、神様よ! 俺が何か悪い事をしましたか!?) 『いやカミヤン自分で神様の力打ち消しとるし』 『ホント、不幸の一言で締め括るにはもったいないぐらいだにゃー』 本日二回目の登場の青髪ピアスと土御門をほって置き、受験に失敗した三浪君レベルに落ち込むのであった。 (はぁ……なんだってこんな平民を召喚しちゃったのかなぁ……) 一方のルイズはルイズで、今更ながらも自分の使い魔に不満をもった。せっかく何回も挑戦して成功したのに、その相手がただの平民だなんてショックを受けるには大きすぎる。 人前では感情を隠せるが、こういった一人きりの時はそれが出来ない。 熱いものが目から込み上がってくる。それが流れ落ちる前に裾でササッと拭き取る。 (わかってる……、こんな所でへこたれるわけにはいかないわ) 決まった事項はもう変えられない。ならばこれからを見据えればいいだけ。ルイズは一人で決心する。決して使い魔に頼るようにしない立派なメイジになろうと。 と、気付く。自分の使い魔が極大な負のオーラを発している事を。 何やら体から出てきているように見えるのが余計に怖い。ルイズはとりあえずこのままでは自分も圧し負けてしまいそうなので、声をかける。 「とりあえず私の使い魔として恥をかかないようにしてよね」 が、決して慰めの言葉は与えない。当麻を人間として扱っていないからだ。 その時、当麻の頭にいい閃きが舞い降りた。とりあえず元の世界に戻る方法は後にして、まずは使い魔についてなんとかしよう。 とりあえず契約の証であろうこの左手にあるルーンを右手で触ればいいのでは? そうすれば幻想殺しの力で消え去って使い魔という役職から解放される! ルイズから使い魔としての仕事――掃除、洗濯、その他雑用をヤレといわれた当麻にとってこれほど幸福な事はない。 「はっはっはっ、この上条当麻まだ屈したわけじゃないですよ! こちらはあんたとの関係を断ち切る切り札があるのさ、あるんだ、あるんです三段活用!」 当麻の急激なテンションの変化とは逆に、ルイズは絶えず同じ状態で小さく首を傾げた後、 「別にしてくれるならいいけど、そしたらあんた誰に養って貰うの?」 「……………………………………………………はい?」 「言っておくけど、ただの平民を貴族が養うわけないわよ」 「…………………………………………………………」 「でもまぁ私としても使い魔を変えたい思ってるから、是非やってくれないかな?」 「ルイズ様、私が悪うございました。上条当麻は是非ともここであなたの使い魔として過ごしたいとお思いです」 良い子の皆はその場の幸福に騙されないように気をつけるんだぞ! 当麻は自分のモットーにしようか真剣に悩む事にした。 前ページ次ページとある魔術の使い魔と主
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/64.html
>>back コルベールは頬を打つ冷たい風を感じて、目をゆっくりと開いた。 ぼんやりとしていた頭もすぐに覚醒し、状況を確認しようと身を起こす。 やけに地面がごつごつとしていると思ったらそこは竜の背中だった。 隣には青い髪の小柄な少女が、本を読みながら座っている。 「ミス・タバサ。私はどうなったのかね」 「過労です」 答えはすぐに返ってきた。それによって自分が最後に見た光景が目に浮かんでくる。 触手に捕縛された八雲紫、その紫に上空からコントラクト・サーヴァントしたルイズ。 それを見て安心した自分は目の前が真っ暗になり、倒れたのだった。 今は恐らく治療のため、この使い魔の竜に運搬されている途中なのだろう。 「そうか、行き先は学院だね。ミス・ヴァリエール達はどうなった?」 「オールド・オスマンを交えて話し合いを」 「……ふむ。ヤクモユカリは大人しくなったのか」 「……」 「うん?」 タバサは無言でシルフィードに速度を上げるよう命令した。 何も答えないタバサから関心を外すと、彼に再び眠気が襲ってきた。 もう気を張る必要もあるまい、と考え安心して眠りにつくコルベールであった。 倒れたコルベールをタバサに送らせ、今現在この元草原に立っているのは三人。 オールド・オスマン、ルイズ、そして八雲紫だけだった。 あちこち穴だらけとなった無残な地面を見て、オスマン氏は苦笑を浮かべ、対面に立つ紫に向かって口を開いた。 「派手にやったもんじゃの」 「決闘ですもの」 答えになっているのかなっていないのか判別しがたい返答をし、紫はそっぽをむく。 決闘を邪魔された挙句に唇まで奪われ、少々不機嫌だった紫は左手の甲に目を向けた。 先程の出来事のあと、この部分に鋭い痛みが発し、蛇がのたくった様な紋様が現れたのだ。 興味深くその紋様を観察する紫だが、その表情が段々と険しくなっていった。 その様子を、ルイズはオスマン氏の後ろに立ち、無言で見つめている。 視線に気づいた紫は、表情を笑顔に戻しルイズへと話しかけた。 「改めて挨拶するわね。私の名は八雲紫。私を呼び出したのはあなた?」 「……そうよ。私が貴女を召喚した、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 「ルイズ、ね。何の意図を持って私を召喚したのかしら?」 「使い魔召喚の儀式を行っていたら貴女が現れた。狙ってやったわけじゃないわ。 それと私の事はご主人様って……えぇと、何でも無いです」 ルイズの言葉を聞いて目を丸くした紫は、期待が外れた事に落胆した。 どんな理由をもって自分は召喚されたのかと楽しみにしていたのに、使い魔ときた。 しかも無作為にやったという。単なる偶然だったのかと、納得しかけた紫の脳裏に疑問が浮かんだ。 普通、術者は自分より強いものを使役したりはしない。 八雲紫にとっての式神・八雲藍のように、自由自在に操ろうと思っても、 術者の実力が伴っていなければ、最悪使い魔に術者自身が殺されてしまうこともある。 余程強力な呪によって、ある決まった行動だけをさせると言うのならともかくだが、今、左手にある紋様には 術者に対する好意を刷り込もうとする不愉快なものを除けば大した強制力は感じられない。 となれば、目の前に立つ少女には八雲紫を使役するに足る実力がある事になるが…… 「そうは見えないわよねぇ」 「? 何よ」 「実はあなた、滅茶苦茶強かったりする?」 「……意味分かんない」 ルイズに自覚が無い様なので、とりあえず左手の紋様を調べる事にした。 少しは分かる事もあるだろうと、紫は目を閉じ意識を手に集中させる。 方術と境界を操る能力を活用させ解析をしてみたが、収穫は芳しくない。 まずこの紋様が恐ろしく精密な術式によって編まれている事。 そしてこの紋様『ガンダールヴ』のルーンの効果である『ありとあらゆる武器、兵器を扱う程度の能力』の事。 最後に断片的な単語、エイジス、神の左手、ブリミル。そして虚無。これらの事しか分からなかった。 虚無とは何だろうか。このように便利な力を他人に分け与えることの出来る力など 自分の境界を操る能力以外には中々存在しない。 先程失われた好奇心が蘇り、ルイズに問いただそうとして振り向き、紫は見た。 ─なんて事。これが虚無! オスマン氏は紫について考えていた。 結局ルーンを刻む前も後も目立った変化は見られず、もちろん敵意を向けてくることも無かった。 ─やはりコルベールの勘違いか。事態を大きくしおって……減俸三ヶ月。 生徒を守るために命を張った行為を、勘違いの一言で切り捨てるオスマン氏。恐ろしい男である。 哀れコルベールはしばらく貧しい生活を送る事となったのだった。 ─まぁ、後で休暇ぐらいはくれてやるか。 意識を戻し再び彼女について考える。 ヤクモユカリという奇妙な名前。背後に見える不気味な『裂け目』 裏では実力派で通っているコルベールを軽くあしらう力を持ち、尚も底を見せることは無い。 メイジの実力は使い魔ではかれ、という言葉がある。劣等生で通っている『ゼロ』のルイズにそんな力が? 「ミス・ヴァリエール。わしに君の魔法を見せてくれないかね」 突然のオスマン氏の言葉に驚いたルイズは、恥を晒したくないのか何とか断ろうとした。 しかし結局彼の放つ圧力に押され、渋々と杖を振るい、そして当然のように起こる爆発。 それを興味深げに見るオスマン氏と、恥ずかしさで顔から火が出そうな様子のルイズ。 そんな二人へ向けて紫から声がかけられた。 「……成る程。私を呼ぶだけの理由はあるわね」 一体何の事なのか、ルイズには紫の言葉の意味が理解できない。 「どういう意味?」 「あなたの虚無が私を引き寄せたと言うことよ」 「はぁっ?」 突然出てきた伝説の系統に驚くルイズと、何故か黙したままのオスマン氏。 紫はルイズに対する推測を述べた。 「この『ガンダールヴ』のルーンとやら、これを作り出したのは『虚無』という力の使い手よ。 そしてその『虚無』の正体は『物質の根源に作用し、ありとあらゆる現象を引き起こす程度の能力』。 私の境界を操る力も系統は違えど根源に作用する能力。その強力な力がお互いを引き合い、召喚された。 私はそう考えたわ。あなたも似たような事を思っていたのではなくて、ご老人?」 「君のような強力な存在を呼べるのは、虚無くらいだとは思っておった。確信は無かったがの。 しかし、虚無とは驚いた。生きている内に見られるとはな」 二人の会話に全くついて行けないルイズだったが、元々頭の回転は悪くない。 話を総合すると……使い魔凄い→召喚者凄い→しかも伝説の虚無→それが私。 ルイズは咆えた。 「とうとう私の時代がやってきたのね!」 そんなルイズをオスマン氏と紫は生温かい目で見ていた。 「さて、疑問も晴れたことだし、私はそろそろお暇させて頂きますわ」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 今の会話の流れでどうしてそうなるのよ!」 「私が帰らないと幻想郷が危険ですもの。あと眠いし」 「え? 何よそれ。貴女は私の使い魔でしょう!?」 用は済んだとばかりにその場を離れようとする紫と、憤るルイズ。 一人は激しく、一人はのらりくらりと言い合いを始めた。 そんな様子を暫く見ていたオスマン氏だったが、そろそろ助け舟をだしてやることにした。 「まぁまぁ。落ち着きたまえ二人とも。 ヤクモユカリ殿、我々メイジにとって使い魔は、一生を共にするとても大事なものなんじゃ。 君にルーンが刻まれてしまった以上、ミス・ヴァリエールの使い魔は君以外にありえん。 どうか彼女についてあげてくれんかの」 「この子に興味はありますけど、私はこれでも忙しいので。 ルーンがいけないというのなら、お返ししますわ。そーれ」 何とか紫を引きとめようとしたオスマンの台詞に対し、紫は左手の甲をルイズに向けて振った。 すると驚くべき事に、ルーンの文字が薄れていき、消えてなくなってしまった。 唖然とするルイズとオスマンだったが、事態はまだ深刻だった。 ルイズが突然苦しみだしたかと思うと、『ガンダールヴ』のルーンがルイズの左手の甲に刻まれていたのだ。 「な、ななななによこれーーーーーっ!?」 「主と従の境界を弄くってみましたの。まぁ、メイジで使い魔、一回で二度お得ね。 それではごきげんよう~」 「待って待って待って! メイジが使い魔になっちゃ本末転倒じゃないの!」 『裂け目』に入ろうとする紫の腰にしがみつくルイズ。必死である。 「もう、煩いわね……いいわ。一緒に居てあげる」 「ほ、本当に?」 途端に目を輝かせるルイズに苦笑しつつ、紫はルイズの襟首を引っ掴んだ。 え? とその行動を理解できないルイズに紫は言う。 「私は幻想郷から長い間離れられない。ルイズは使い魔にいてもらわなければならない。 ならば逆に考えるのよ。使い魔が主と共にあるのではなく、主が使い魔と共にあればいいの。 一緒に居るという目的は果たされるわね? じゃあ行きましょう」 え? え? と目を瞬かせるルイズと。余りの展開に開いた口が塞がらないオスマン氏。 二人が反応出来ないのを良い事に、紫はルイズをそのまま『裂け目』に放り込み、自身もその中に消えた。 『裂け目』はすぐに塞がり、そこに残るのは立ち尽くすオスマン氏のみだった。 幻想の大妖怪・八雲紫は時として様々な呼ばれ方をする。 「境目に潜む妖怪」 「幻想の境界」 「気味の悪い微笑み」 「妖怪の賢者」 そしてその中でも最も有名な呼び名は── 『神隠しの主犯』である。 ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールはその日、ハルケギニアより跡形も無く消え去った。 「……」 「……」 「……それで、紫様。『ソレ』は一体何ですか?」 「可愛かったからつい拾ってきちゃった。飼ってもいーい?」 「元の場所に帰してきてあげて下さい……」 主の我侭に式神・八雲藍は深く溜息をつき、ルイズはしくしくと泣くばかりであった。 ルイズが消えてから、トリステイン魔法学院は大騒ぎになった。 いくら魔法が使えないとは言え、かの高名な公爵家の三女。 いなくなったではすまされない。 最初の頃は学院に緘口令を敷き、何とかルイズを探し出して 学院内の問題で済ますつもりのオスマン氏だったが、一向に見つからない。 それもそのはず。その時ルイズは遠く離れた幻想郷にいたのである。 あの日から三ヶ月の時が過ぎたが、人の口に戸は立てられず、ルイズが居なくなった事が公爵家に知れたのがつい先月。 それからは毎日のように使者が訪れ、事実確認を求めてきた。 そして今日、全くまともな返事を出さない学院に業を煮やし、ラ・ヴァリエール公爵と公爵夫人が直談判に訪れた。 一応事実は伝えたのだが信じてもらえなかったようだ。 「弱った弱った。どうしたもんかのう」 「もうどうにもならないのでは?」 困った顔で髭を撫でるオスマン氏に冷たく返す秘書のロングビル。 既に彼女はこの学院から逃げ出す算段を纏めていた。 一方のオスマン氏は誰に責任を押し付けるか悩んでいた。 どうしようもない二人である。 ─今までのわしの功績から見ても、免責されそうに無い失態じゃしなぁ。 国家権力は恐ろしいし、いっそ身分を捨てて旅にでようかのー。 若い頃を思い出すわい。 そして学院長室にノック音が響き渡る。 妄想の中でオスマンの大冒険を繰り広げていた老人と、 逃げる前に宝物庫の中身を頂こうと考えていた秘書兼盗賊は現実に引き戻された。 「ラ・ヴァリエール公爵御一行の、おな~り~」 扉が開くと同時に既に白髪に近い金髪の厳しい顔をした壮年男性と 桃色の髪をまとめあげた美しい貴婦人が現れた。 深い怒りが感じられる腹の底に響く低い声で、公爵はオスマン氏に問いかける。 「さて、オールド・オスマン。 此度の訪問、何の用かは理解しておられるだろうな」 「……それはもちろん」 「娘はどこだ」 「ええと、そのですな」 「そちらの報告書によると『裂け目の化物』とやらがルイズを連れ去ったそうだが」 正確には裂け目を操る化物なのだが、揚げ足を取る必要はあるまい。 「その通り。ミス・ヴァリエールは裂け目の中に消え、今も行方は分かりませぬ」 「……そんな下らん言い訳は良い。魔法の使えないあの子の事だ。 きっとここの生徒にイジメ殺されたのだろう? 何故正直に言わずそんな戯けた嘘をつく。 責任ならばルイズを殺した貴族に取らせればよかろう」 既に公爵の中ではストーリーが出来上がっているらしい。 そもそも殺した生徒などいないのだから責任の取らせようが無い。 どうしようかと頭を抱えたオスマン氏を見て、額に青筋を浮かべた公爵が詰め寄ろうとした時。 中庭から爆音が響き渡った。 中庭で本を読んでいたタバサは、目の前の出来事に理解が追いつかなかった。 突然周りの空気が振動し、目に見える風景が歪んだ時は流石のタバサも驚いた。 続く爆発。濛々とした煙が吹き上がり、向こう側に影が見える。 丁度一陣の風が吹き、煙を吹き飛ばしたかと思うとそこには人間がいた。 しかも見覚えのある桃色の髪を持った人間が。 やけにひらひらしたおかしな格好の上、剣を担いでいたがその人物こそ誰あらん、三ヶ月前に行方不明となったはずの、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールその人だった。 「憎きスキマ妖怪に嵌められ、幾星霜。私は帰ってきた! このハルケギニアに! あーいむばーっく! あげいん!」 ルイズってこんなキャラだっけ?タバサは眼鏡を拭きながらそう思っていた。 epilogue ルイズの帰還によりラ・ヴァリエール公爵の怒りは治まったものの、 消えていた三ヶ月については、誰が聞いてもルイズは答えようとしなかった。 ただ遠い目をして「私は一つ大人になった」だの「生きてるって素晴らしい」としか言わないのだ。 そして、ルイズ本人に大きな変化があった事が皆に困惑を与えた。 彼女は魔法が使えるようになっていたのだ。 『弾幕』と名づけられたその強力無比な魔法が、失われた虚無系統である事を知るのは、その時点ではオスマン氏のみである。 さらに一つ。ルイズはどこへ行くにも剣を背負い、手放そうとしない事が挙げられる。 貴族にもかかわらず、剣を持ち歩く彼女をからかうクラスメイトも居たが、 その時はルイズの左手が光って唸り、轟き叫んで剣を振り回すため、やがて誰もその事に触れなくなった。 後の出来事は本来あるべき史実とそう変わりが無い。 ただ配役が置き変わっただけである。 噂の盗賊を打ち倒すのがルイズで、裏切り者の婚約者を真っ二つにしたのもルイズ。 レコン・キスタと名乗る組織を『文字通り』潰したのもルイズならば 『聖地』を陥落せしめ、東の世界『ロバ・アル・カリイエ』まで踏破したのもルイズであった。 いつしかルイズは『伝説の再来』だの『虚無で使い魔』だの『妖怪』だのと呼ばれるようになり 現代の英雄として崇められる事となった。 いつも単独で行動していたと思われるルイズだったが、彼女の行く先々では必ず謎の金髪少女が現れ 仲良く一緒に旅をしていると思えば、時には殺しあっていたという噂も聞かれる。 真偽は定かでは無い。 やがて彼女は伝説となりハルケギニア史上最高のメイジ(或いは剣士)として名を残す事となる。 … …… なによ、また来たのあんた。 えぇ。ご主人様が心配ですので。 ふん、だったらもう少し使い魔らしくしなさいよね。 あら? 私ったらこんなに尽くしてるのに? 毎回毎回、付きまとって酒をたかってるだけでしょうが! さっさと幻想郷に帰りなさい。藍が泣いているわよ。 藍は泣かないわ。ちゃんと躾けてあるもの。 ……可哀想に。いいわ、今回もまた送り返してあげる。 BGM First kiss あらあら、聞き分けの無い使い魔はお仕置きね。 いつの間に主従逆転してるのよ! ルーンをつけてるのはあなたでしょう? うるさい! 「あんたが目覚めさせたこの虚無の力、その身に味わうが良いわ、妖怪!」 「あなたが呼び出したこの境界の力、その身に刻むと良いわ、人間!」 SET SPELL CARD ATTACK ! ゼロの使い魔×東方Project 『異聞零魔郷 ~ Servant of Interstice』完 >>back
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6955.html
前ページ次ページウボァーな使い魔 ルイズとマティウスが寮の部屋を出たのは、他の生徒に比べて随分と遅かった。 目を覚まし「*ゆかのうえにいる*」ことに気がついたルイズは、即座にマティウスを叩き起こし、 使い魔のありかたというものについて改めて説教を行ったのだ。もちろん、皇帝陛下に全く反省した様子はない。 この調子では明日の朝も、床の上で目を覚ますことになるかもしれない。 そんな無駄な説教を終えて気づいてみれば、間もなく授業が始まる時間だ。 のんびりと食堂で朝食を食べている暇はない。 「マティ、授業に行くわよ!!」 ルイズは己の使い魔に声をかけ、急いで部屋から出る。今日の授業は必然的に使い魔のお披露目を兼ねている。 数日前のルイズの予定ではこの日の自分は凛々しいグリフォンや勇猛なドラゴンを従えており、皆を見返すはずだったのだが、 後ろからついてくるのは、自称元皇帝という問題児…ならぬ問題魔だ。 一方のマティウスとしても、この世界の情報が手に入る機会を逃すつもりはない。 新たな魔法の知識が増えることは喜ばしいことだ。 現在行使できる魔法とこの世界の術式とを組み合わせれば、新たな魔法も開発できるかもしれない。 そんな2人が教室に入ると、他の生徒たちが一斉にルイズとその使い魔に注目する。 もっとも、注目されることに慣れ切っているマティウスは、視線の集中砲火を然して気にする様子でもなく、 そのまま適当に空いている椅子に腰を下ろす。 豪華な衣装をまとったマティウスが、小さな椅子に座っている様子はいささか奇異な光景だ。 「おい、あれがルイズの…」 「貴族っぽいけど…ホントに平民なのか?」 「メイジじゃないらしい」 「しかし、平民を召喚するなんて流石はゼロだな」 他の生徒達はルイズとマティウスを中心として遠巻きに囁き合っている。 確かに、教室にいる数多くの使い魔と見比べると、改めてマティウスの異常さがわかる。 犬や鷹に始まり、火トカゲや竜に似た姿の幻獣までいるが、当然人間などいない。 そんな他の生徒の使い魔たちを見て、ルイズは無表情のまま わずかに目を細める。 その時、一人の女生徒が囁き合う生徒らを押しのけながら、マティウスに向かってきた。 「アナタがルイズが召喚した使い魔さん?」 マティウスに声をかけた彼女の名はキュルケ。隣国ゲルマニアからの留学生である。 燃えるような赤い髪に真紅の瞳、褐色の肌を持つ美女だ。 彼女の実家のツェルプストー家は、ルイズの実家であるヴァリエール家と国境を挟んで隣接しており、 トリステインとゲルマニアの戦争ではしばしば杖を交えた間柄でもある。 二つ名は「微熱」であり、その名の通り火の系統魔法を得意とする。 「マティウスだ」 キュルケの問いに名を名乗ることで返答するマティウス。 流石にそこは美女を100人単位で侍らせてきた皇帝陛下だ。 美女1人を前にしても、その冷たい表情には変化がない。 「ちょっとキュルケ、人の使い魔に何か用なの?」 ルイズが横から割って入る。何しろキュルケは家系レベルの敵である。 そんな相手から使い魔にちょっかいを出されて黙っていてはヴァリエールの名が泣くというものだ。 もっとも、ここで引き下がるキュルケではない。 「だって、素敵なお方じゃない?ルイズにはもったいないんじゃないかしら」 「こんなヤツ、ちっとも素敵なんかじゃないわよ!!」 主人を床に寝かせる使い魔を「素敵」と評するのは間違いだと言わんばかりに否定するルイズ。 その騒ぎ立てる様子はいつも通りの「ゼロのルイズ」だった。 周囲の生徒もキュルケとルイズの「日常」を半ば呆れつつ見守る。 話題の中心のはずの皇帝陛下に至っては見てすらいない。 「それじゃね ミスター・マティウス」 そう言い残し、ひとしきりルイズとの「日常」を繰り広げたキュルケが立ち去ったのと教師が教室に入ってきたのはほぼ同時だった。 他の生徒たちも慌てて席に向う。ガタガタと椅子を動かす音が教室に響いた。 入ってきた教師の名はシュヴルーズ。「赤土」の二つ名を持つ土のトライアングルメイジである。 彼女は教卓から教室を見渡し、満足そうな笑みを浮かべた。 「毎年、この時期になると皆さんの立派な使い魔を見るのが楽しみです。」 彼女はそのまま視線を滑らせ、マティウスの姿を捉える。 「なんだか珍しい使い魔を召喚された方もいるようですね」 シュヴルーズもすでにマティウスの噂を聞いていたのだろう。 何も知らなければ、使い魔どころかどこぞの貴族が授業に紛れ込んでいるようにしか見えないはずだ。 もっともマティウスがメイジではないと思っているクラスメイトは、 「平民にも衣装ってヤツだな…見た目は貴族だよ」などと囁き合っている。 「それでは、授業を始めますよ」 シュヴルーズの授業の間、マティウスは無表情のままで顎に手を添えて椅子に座っていた。 真面目に教師の話を聞いているところをみると、得られる情報は余さず得るつもりなのだろう。 シュヴルーズの説明によるとこの世界の魔法は彼の居た世界とは随分と異なる構成だという。 その系統は『火』『水』『土』『風』の4つに分かれているらしい。 授業の中で、シュヴルーズは『土』の系統魔法である『錬金』を行ってみせた。 彼女は杖をひと振りし、ただの石を金色の光沢を持つ真鍮に変化させたのだ。 彼女の言葉によると、トライアングル程度では金を錬金することはできないらしいが、スクウェアクラスになれば可能だという。 「では、実際にやってもらいましょう。 えー、では…ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズがそう言った途端、ほんの一瞬 教室の時間が止まった。 そしてすぐに教室の空間が緊張で満ち溢れ、生徒がざわざわと騒ぎ始める。 「はい、静かに。 では、ミス・ヴァリエール。この小石をあなたの望む金属に変えてみてください。」 「はい」 ルイズの返答とともに、教室がどよめいた。 少し離れた席に座っていたキュルケが手を上げて発言する。 「先生、危険です。」 「危険?何故ですか?」 「彼女の魔法をご覧になるのは初めてですよね?」 「ええ。ですが、彼女が努力家と言うことは知っていますよ。 失敗しても構いませんから、やってみてください。」 その言葉を受けて、前に進むルイズ。 他の生徒たちは机から立ち上がりつつある。 (呼んだのはあんなヤツだけど、召喚には成功したんだから… だから、きっと成功するわ…きっと…) 何度も自分に言い聞かせながら、教卓の前に立つ。 心臓がドキドキしている。乾いた唇を舐めて湿らせる。掌に汗をかいているのがわかる。 マティウスも何が始まるのかとルイズに視線を向けている。 すでに彼女が無能者だとは見当がついている。 だが、周囲の慌て方を考えると、どうやらただの無能者ではないようだ。 その答えはルイズが杖を振り下ろすとともにやってきた。 爆音と閃光。そして衝撃。 マティウスは「ほぅ」と思わず声を出していた。 純粋な魔力の爆発。エネルギーの変換効率もその変換速度も申し分ない。 通常、魔法で相手を殺傷する場合は魔力を何らかの形に変換しておこなうものだ。 炎であったり、稲妻であったり、場合によっては核反応であったりする。 それによって威力や扱い易さが変化するわけだが、ルイズの引き起こした爆発は、 純粋に魔力を爆発させたもので、無駄がなく、何よりも速度に優れていた。 (無能者と思っていたが、これは逸材かもしれぬ) 錬金が失敗したことはどうでもよかった。 あの現象を引き起こすには、かなり高純度な魔力を扱う必要があるのは明らかだ。 興味を失いかけていた召喚主に、思わぬ才能を発見したマティウスはニヤリと笑った。 その何らかの企みを秘めたような妖しい笑みは、爆発によって舞い上がった粉塵に隠れ、誰も見ることはなかったが。 前ページ次ページウボァーな使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/53.html
小ネタ 短編・一発ネタなど。 ※召喚される側の原作のあいうえお順となっています あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 ??? あ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 記憶の残滓 R-TYPE TACTICS 暴走戦艦コンバイラ(提督) 虚無の雀士 スーチーゼロ Special ・ Remix アイドル雀士 スーチーパイ スーチースティック 妖精からの伝言 アイドルマスター XENOGLOSSIA 風が揺らす翼と冠 悪魔狩り ウリエル あしたのルイズ あしたのジョー 丹下段平 一撃必殺の使い魔 あなうめくん ハラワタマン 暴れん坊使い魔 暴れん坊将軍 徳田新之助 不屈の使い魔~Love Hunter~ あやかしびと 愛野狩人 ゲヘナ・ゼロ アラビアン・ダーク・ファンタジーTRPG ゲヘナ シェヘラザード 人を超えた使い魔 アルカナハート ミルドレッド・アヴァロン そは愛の種子の御子 アルトネリコ2 インフェル あるゾンビ少女の思いがけぬ災難 あるゾンビ少女の災難 ユーフロジーヌ ご主人様は承認せず!前編 後編 委員長は承認せず! 隠野玖郎 行け!!ガリア王国 行け!!稲中卓球部 ダンボール箱 一休さん! 一休さん 一休さん いつもちこくのまほうつかい いつもちこくのおとこのこ ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー いぬかみっより古城の精霊を召喚 いぬかみっ 3個の玉子 いらない王女 いらない王様 道化師 裁きの後に ヴァルキリープロファイル2 レザードヴァレス ゼロの使い魔シナリオ4・ワードナの逆襲 ウィザードリィ4 ワードナの逆襲 ワードナ 桂正和アワー ウイングマン ドリムノート メガネの使い魔 うえきの法則 キルノートン ツェルプシュトー嬢の狂気 ヴェノマニア公の狂気 ヴェノム・ソード 使い魔の名は うしおととら 白面の者 うらにわのつかいま うらにわのかみさま クトゥーラ かっとび!使い魔 ウルトラ怪獣かっとび!ランド ウルトラマン Zんの使い魔 ウルトラマン 宇宙恐竜ゼットン ホヤ ウルトラマン ブルトン 侵略者が使い魔 ウルトラマン 宇宙忍者バルタン星人 地底の小心者 ウルトラマン 地底怪獣マグラ 愛と勇気の使い魔 ウルトラマン80 ウルトラマン80 風の鮫 ウルトラマンティガ 地の鮫ゲオザーク 滅亡(ゼロ)の使い魔 ウルトラマンマックス 完全生命体イフ ワルドマンが倒せない エアーマンが倒せない (替え歌) Zeroの使い魔 ACECOMBAT ZERO 円卓 聖剣と、ルイズ ACECOMBAT ZERO エクスキャリバー ナンダイ エースコンバットシリーズ オーシア・ユークトバニア(5の後) サモン・サーヴァントの恐怖 Alien エイリアン The Zero エウレカセブン アネモネの機体 ジ・エンド 「大決戦! ジョセフVSみんな」 SDガンダムフォース キャプテンガンダム ゼロメロディ エターナルメロディ ウェンディ・ミゼリア ゼロのルイズが巨大隕石を召喚して人類滅亡 N○Kスペシャル 地球大進化 直径400㎞の巨大隕石 エリートヤンキー三郎から三郎 エリートヤンキー三郎 大河内三郎 ゼロと妖精 エルフェンリート ルーシー ゼロを狩るモノたち エルフを狩るモノたち 淳平、愛理、律子、セルシア ゼロのキバヤシ MMR キバヤシ 最『恐』の使い魔 エンジェル伝説 北野誠一郎 虚無(ゼロ)しんぼ 美味しんぼ 山岡士郎 ゼロの経営者 王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ ベアトリーチェ・パスコリ ゼロの仕立屋 王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ 織部 悠 ゼロのかじり虫 おしりかじり虫(みんなのうた) おしりかじり虫 押忍!闘え!応援団 押忍!闘え!応援団 応援団 虚無のしおり 弟切草 おねがい☆メイジっ! おねがい☆ティーチャー 風見みづほ ハルキゲニア男とゼロのルイズ 俺の足には鰓がある ハルキゲニア男 或る屍を越えてゆかれ損なった使い魔の独り言 俺の屍を越えてゆけ 主人公一族の一人 愛、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール戦記 俺の屍を越えてゆけ 主人公一族の赤ん坊 少女と【愛人】 愛人【AI-REN】 愛人の歌姫 ページ最上部へ か行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ ルイズと不思議な魔法の本 カードキャプターさくら ケルベロス ゼロと捕獲者 カードキャプターさくら さくら ゼロヒーロー カードヒーロー ジャレス(+α) 虚無使いと少年 帰ってきたウルトラマン 帰ってきたウルトラマン世界にルイズが転移 ゼロのススメVoltex 覚悟のススメ 葉隠散 零の使い魔 覚悟のススメ 葉隠覚悟 その者 青き衣をまといて 風の谷のナウシカ ナウシカ 魔法学院のコワイうわさ 花子さんがきた!! 学校のコワイうわさ 花子さんがきた!! ごわごわ ROOTS OF THE FUNG 仮面ライダーキバ サガーク 灰色の悪夢 仮面ライダー555 北崎/ドラゴンオルフェノク ゼロの破壊者 仮面ライダーディケイド ディケイドライバー Kタバサ 仮面ライダー電王 キンタロス ゼロの使い魔~オデレタロス参上!!~ 仮面ライダー電王 野上良太郎 ゼロの電王 仮面ライダー電王 野上良太郎+α トリステインの電王 仮面ライダー電王 モモタロス ウラタロス キンタロス リュウタロス ぶっちぎりな来訪者 仮面ライダーBLACK RX 南光太郎 零狼伝説 餓狼伝説 秦の秘伝書・ナイトメアギース(の記憶や経験) 零狼伝説 Special 餓狼伝説 ヴォルフガング・クラウザー・フォン・シュトロハイムの気の残滓(記憶など) これでいいのだ 元祖天才バカボン 目玉のおまわりさん ZEROのSENTINEL ルイズの懺悔 ガンダムセンチネル SガンダムA、BパーツとALICE ルイズガキタ! ~「キガタガキタ! 『恐怖新聞』より」より~ キガタガキタ! ~「恐怖新聞」より~ 鬼形冥 アナザーブラッド 機神飛翔デモンベイン アナザーブラッド 『右手』のガンダールヴ 寄生獣 ミギーとシンイチ 運命から解放された子供たち 機動戦士ガンダム SEED エル、他 0080の使い魔 ~ポケットの中の召喚~ 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 バーナード・ワイズマン ゼロの戦鬼 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ノリス・パッカード 使い魔は Hの王様 機動武闘伝Gガンダム ドモン・カッシュ ゼロの旅人 キノの旅 キノ ゼロの使い魔消失事件 ギャグマンガ日和 ソードマスターゼロ ギャグマンガ日和 ソードマスターヤマト 魔法のプリンセス・イザベラ ギャグマンガ日和 ラーメンの精 ゼロのトモダチ キャプテン翼 ボール君 アネゴな使い魔 ギャラクシーエンジェル フォルテ・シュトーレン よいこのこわ~い食育SS 学食の飯田さん 給食の飯田さん 飯田さん 無能の恐怖症 恐怖症博士 恐怖症博士 召喚 恐竜戦隊ジュウレンジャー バンドーラ一味封印の壺 ゼロのハンター 巨乳ハンター 巨乳ハンター ゼロのおめん 清村くんと杉小路くんと おめん 虚無(ゼロ)戦記 虚無戦記 ラ=グース 異世界の空に流星ひとつ 銀牙 熊犬・銀 赤い使い魔 銀牙 赤カブト 冷徹なる義眼 銀河英雄伝説 パウル・フォン・オーベルシュタイン ゼロの英雄伝説 銀河英雄伝説 ヤン・ウェンリーとトリグラフ 第六の系統魔法 銀河英雄伝説 ヤン・ウェンリー 鉄郎と魔法の星 銀河鉄道999 星野鉄郎 頭をかきむしる癖のある使い魔 金田一耕助シリーズ 金田一耕助 ゼロの傀儡人形 金田一少年の事件簿 地獄の傀儡師 高遠 遙一 マダオな使い魔 銀魂 長谷川泰三 ゼロ魂 銀魂 坂田銀時 覆面の使い魔 キン肉マン キン肉マン はばかりのある使い魔 キン肉マン ベンキマン 使い魔ツマラナイ キン肉マン2世 マンモスマン ゼロの豹頭将軍 グイン・サーガ グイン ある少女の手記 クトゥルフ神話 魔導書 ある神官の手記 クトゥルフ神話 ナイ神父 『風子、参上!』 CLANNAD 伊吹風子 トリステインの森の中 グリンスヴァールの森の中 学園の精霊 シャルロット 不思議な大晦日 クレヨン王国の十二か月 ユカ 塩沢さんならこいつだな クレヨンしんちゃん ぶりぶりざえもん ゼロと0歳児 クレヨンしんちゃん 野原ひまわり 使い魔王 黒いラブレター 魔王 平行世界 クロノクロス 星色のお守り袋 ゼロのカエル クロノトリガー カエル ゲームセンターゼロ ~ルイズの挑戦~ ゲームセンターCX 有野課長 ゲーム帝国ハルゲギニア出張版 ゲーム帝国 語り部 双月のカプリツィーオ 月光のカルネヴァーレ カルメロ 虚無に響く山彦 外道忍法帖 天草 扇千代 ゼロと大王 ケロロ軍曹 アンゴル=モア 元気が出るメイジ 元気が出るテレビ ビートたけし ゼロの風使い魔 幻想水滸伝3 ルック 正月特番・ゼロの正月 県立地球防衛軍 正月仮面 使い魔は黄金の剣 轟轟戦隊ボウケンジャー 大剣人ズバーン ゼロの鋼鉄天使 鋼鉄天使くるみ くるみ ゼロのガルーダ、のひよこ GS美神 ガルーダのひよこ 恐怖の使い魔 GS美神 おキヌちゃん 極楽ルイズ 極楽りんご 極楽りんご ガイガン ゴジラ対ガイガン他 ガイガン ガイガン逆指名 ゴジラ対ガイガン他 ガイガンetc ゴジラ+ゴジラ~逆襲のシエスタ~ ゴジラ ゴジラ コノ身ハ平和ノ礎トナロウ コズミックブレイク「平和のスクラップ」 キャノンボール 召喚! 妖怪モットクレ! 秋桜の空に 新沢靖臣 零の牛頭馬頭 子連れ狼 拝一刀 コブラ コブラ(COBRA THE SPACE PIRATE) コブラ かかって来いよワルド!! コマンドー ジョン・メイトリクス大佐 ゴルゴ13 ゴルゴ13 デューク東郷 デューク・トウゴウ ゴルゴ13 デューク東郷 13の混沌 ゴルゴ13 デューク東郷 マゾの使い魔 殺し屋1 垣原雅雄 殺し屋さん【0】 殺し屋さん 佐々木竜一 ページ最上部へ さ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 笑われる犬の冒険 円環少女(サークリットガール) 「砂の猟犬」瀬利ニガッタ 異界を召喚 SIREN いんふぇるの silent hill~Nihility~ サイレントヒル サイレントヒル(逆召喚) 闇の廊下、裁きの者。 サイレントヒル2 レッド・ピラミッド・シング これでまた一緒になれる。 サイレントヒル2 白の香油 書『失われた記憶』 黒曜石の酒杯 書『赤の祭祀』 ケダモノー! サウスパーク エリック・カートマン 樹氷の王~虚無の魔女~ 前編/中編/後編 Sound Horizon (「[457p] 樹氷の君 ~凍てついた魔女~」、「樹氷の花」、「樹氷の君」) 樹氷の王 ルイズと彼女と運命の糸 サガ2秘宝伝説GOD エスパーガール アセルス或いは魅惑の君 サガ・フロンティア 妖魔エンド後のアセルス サガフロ的 サガ・フロンティア ゲンさん ゼロの君 サガ・フロンティア 裏・解体新書 時の君 魁!!ゼロマティ高校 魁!!クロマティ高校 神山 使い魔は不良高校生 魁!!クロマティ高校 メカ沢新一 外伝 使い魔は不良高校生? 魁!!クロマティ高校 竹之内豊、他 ゼロのルイズ 3×3EYES 獣魔『哭踊(クーヨン)』 単なる酒場の短い話 ザ・シンプソンズ ホーマー・シンプソン ストームゼロ予告編 The・地球防衛軍 カツオがルイズに召還されました サザエさん 磯野カツオ 平穏な日々 サザエさん フグ田サザエ 生春巻き作りの名人 the world of golden eggs 桂トリゾー ルイズが子山羊を召喚しました 三匹の山羊のがらがらどん 三匹の山羊 ジオブリーダーズから流星の・・・田波くん ジオブリーダーズ 田波洋一 使い魔は外道 地獄甲子園 外道高校監督 心剣士ソウマ短編 Shining Tears × Wind ソウマ シャドウゲイト・オブ・ゼロ シャドウゲイト 主人公「しんの ゆうしゃ」 使い魔の口上 シャドウハーツ ウルムナフ・ポルテ・ヒュウガ クヴァーシルは月輪に飛ぶ 邪眼は月輪に飛ぶ ミネルヴァ ゼログゥ ジャングルはいつもハレのちグゥ グゥ ゼロの素晴らしき使い魔 OVA版「ジャイアントロボ」 素晴らしきヒィッツカラルド ゼロのおじさま ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日 幻惑のセルバンテス ゼロの署長 ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日 大塚署長 凶鳥 獣拳戦隊ゲキレンジャー 空の拳魔 カタ 瞬撃の虚無 藤田和日郎短編集「暁の歌」収録「瞬撃の虚空」 ケンジロウ・サキサカ プロレス万歳 修羅の門 破壊王 純情伝説 純情パイン みつおと古の交換日記 少女人形使い魔(ドールサーバント) 少女人形店 メグ 小宮山さんがトリステイン学院で立派な男性・女性に更生させるそうです 『少女流幸福攫取論』小宮山さんシリーズ 小宮山さん 小宮山さんがトリステイン魔法学院で頑張っておられるようです 『少女流幸福攫取論』小宮山さんシリーズ 小宮山さん 使い魔は地獄のコックさん 職業・殺し屋。 死織 使い魔(るい)は友を呼ぶ 真・女神転生シリーズ ルイ・サイファー ハルケギニアは衰退しました 人類は衰退しました 妖精さん ジョン・スミスの消失 涼宮ハルヒの憂鬱 キョン 涼宮ハルヒの憂鬱からキョン 涼宮ハルヒの憂鬱 SOS団 間久部字楽(マクベ アザラク)を召喚 進め!!聖学電脳研究部 間久部字楽 STAR GÅTE SG-0 スターゲイト SG-1 ジャック・オニール、ダニエル・ジャクソン、サマンサ・カーター、ティルク しゃがむ使い魔! ストリートファイター ガイル カトレア似 人工少女3 T型 二人のルイズ スクラップドプリンセス 竜機神No7 グロリア ゼロのツカイマ ~The Servant~ ストレイト・ジャケット レイオット・スタインバーグ 貴き使い魔 ストレイト・ジャケット ミュリエナ・パル・メイソン 鏡のなかのルイズ ストラグル・フィールド~鏡のなかの戦魔~ 戦魔ヴァレル=アワ-ド ゼロの蜘蛛男 東映版「スパイダーマン」 スパイダーマン(むしろニコニコ動画のスパイダーマッ) ゼロの蜘蛛男2 同上 同上 何気にブロスより厄介? スーパーマリオRPG カメザード(カメック) 正義の雪風 ジャスティス☆シャルロット 正義の妖精 ジャスティス☆マリー 猫天使タマエル セキララ!から主人公の妄想小説のヒロイン火琉奈を召喚 セキララ! 火琉奈 THE ZERO OF DIS -虚空からの使い魔- スーパーロボット大戦αシリーズ ゼロの使い魔掌編――我はウォーダン―― スーパーロボット大戦 ウォーダン 究極のゴーレム スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION ゲシュペンストMk-II 人付き合いのできる使い魔 スーパーロボット大戦D ジョシュア=ラドクリフ 騎士の使い魔 スーパーロボット大戦J 紫雲統夜 騎士の使い魔(2) スーパーロボット大戦J 紫雲統夜 ゼロスペランカー スペランカー 使い魔でドッコイ 住めば都のコスモス荘 桜咲鈴雄/ドッコイダー ゼロのレゾ スレイヤーズ コピーレゾ 虚無を望む死霊の王 スレイヤーズ 冥王フィブリゾ ゼロとサボテン 聖剣伝説LOM サボテン君 ゼロゼロ 聖剣伝説LOM シャドウゼロ ゼロの聖おにいさん 聖☆お兄さん ブッダ 赫炎の使い魔 赫炎のインガノック ギー ルイズのニワトリ・夢を見るコケコッコー ゼルダの伝説シリーズ ニワトリ ~嘘予告~ 二人はルイキュア ゼロの使い魔 ルイズがルイズを召喚 ゼロの姫様 ゼロの使い魔 アンリエッタ王女を召喚 戦闘妖精雪風タバサ 戦闘妖精雪風 メイヴ 痛い愛 戦国BASARA2 ザビー 最低のララバイ 装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ ダレ・コチャック ゼロの侠者 蒼天航路 張飛 ゼロの侠者・魔王編 蒼天航路 董卓 スイフリー召喚 ソードワールドRPGリプレイ スイフリー アンパンマンからバイキンマンを召還したら… それいけ!アンパンマン バイキンマン Let s GO ! ZEROPANMAN! それゆけ!アンパンマン アンパンマン(?) Let s GO ! ZEROPANMAN!~The Reverse~ それゆけ!アンパンマン アンパンマン(?) Let s GO ! ZEROPANMAN!~魚眼の侍は闇夜に笑う~ それいけ!アンパンマン かつぶしまん Let s GO ! ZEROPANMAN!~そして世界は回り始める~ それいけ!アンパンマン あかちゃんまん ページ最上部へ た行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ ゼロの猟犬 タイタス・クロウの帰還 ティンダロスの猟犬 ダイハード・ゼロ ダイハード ジョン・マクレーン 零魔法峠 大魔法峠 田中ぷにえ 使い魔ゼーロ 太臓もて王サーガ 百手太臓、阿久津宏海 コンプレックスとアレルギー ダ・カーポ 芳乃さくら 流星の双子 外伝 -加速×加速- DARKER THAN BLACK 流星の双子 バーガーさんことゴラン 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー 第0話「ゼロの使い魔」 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー スタースクリーム ダーティー・ルイズ ダーティハリー S W M29 ゼロの使い悪魔 ダブルクロス “ディアボロス”春日恭二 たのしいトリステイン 第一話~わたしがルイズです~ たのしい甲子園 たのしいトリステイン 最終回~伝説そしてさらばルイズさん~ たのしい甲子園 ターミネーター ターミネーター ターミネーター 終焉の使い魔 ターミネーター2 T-1000 VITアップの使い魔 タクティクスオウガ オクトパス ジョゼフと鋼鉄の女神(ミューズ) ダライアス外伝とGダライアス 海洋生物型戦艦 Cheetah Men Zero チーターマン2(Cheetah Men 2) アポロとヘラクレス ハルケギニアの宇宙少年 地球防衛企業ダイ・ガード 赤木駿介 ゼロのエスパー(モテモテ) チャッピーと愉快な下僕ども 笛座輪芸 使い魔参謀 超時空要塞マクロス エキセドル 超神ネイガー 超神ネイガー 超神ネイガー 友よ君はなぜ!? 超獣戦隊ライブマン 武装頭脳軍ボルト 輝け!世界のライブマン 超獣戦隊ライブマン 武装頭脳軍ボルト 鏡の中の使い魔 超人ロック ロック 1スゥの力 超絶倫人ベラボーマン 中村等(ベラボーマン) 沈黙の魔法学院 沈黙シリーズ ケイシー・ライバック ついでにとんちんかん から間抜作を召喚 ついでにとんちんかん 間抜作 空と君のあいだに 帝都物語 加藤保憲 ゼロの癒し手 テイルズオブファンタジア ミント・アドネード 死神の使い魔 DEATH NOTE 魅上照 DTC(デトロイト・トリステイン・シティ) デトロイト・メタル・シティ 根岸崇一 トリステイン・メタル・シティ デトロイト・メタル・シティ 根岸崇一 ゼロ、フロスト5! デビルサマナーソウルハッカーズ フロストファイブ ビバ!パトロール デビルサマナーソウルハッカーズ モコイ 虚無と電霊 デビルサマナーソウルハッカーズ ネミッサ(電霊) 天才と何とかは紙一重というかむしろ完全にハルケギニアに行きました デモンベイン ドクターウェスト 白の使い魔 デュエルセイヴァー イムニティ 英雄は二度死ぬ 天元突破グレンラガン カミナ モグラよドリルで天を突け! 天元突破グレンラガン カミナ ゼロのドリル 天元突破グレンラガン コアドリル むしょくのつかいま 天体戦士サンレッド サンレッド 香霖堂日誌 ハルケギニアにて 東方Project 森近霖之助 ノンディレクショナル・ゼロ 東方Project 霧雨魔理沙 ぶんぶんぜろしんぶん 東方Project 射命丸文 零と永遠 東方Project 蓬莱山輝夜 ⑨な使い魔 東方Project 氷精チルノ ときめきゼロの使い魔 ときめきメモリアル 主人公 ルイズのドッキンばくばくあにまる ドキばぐ 柴田亜美とチップス小沢 どげぜろ どげせん 瀬戸発 『風上』のしっとマスク 突撃!パッパラ隊 しっとマスクのマスク 特攻野郎0チーム 特攻野郎Aチーム 特攻野郎Zチーム 特攻野郎Aチーム 超流麗凄艶究極使い魔 .hack//G.U. ぴろし3 ゼロの7号 トップをねらえ!2 ノノとバスターマシン色々 おかしな使い魔 ドラえもん くりまんじゅう あんあんあん…とっても大好き ドラえもん ドラえもん ゼロのドラえもん ドラえもん ドラえもん ゼロのガキダイショウ ドラえもん 剛田剛 のび太の魔法 ドラえもん 野比のび太 ルイズが世界を征服するようです ドラゴンクエスト りゅうおう ルイズクエスト‐悪霊の神々‐ ドラゴンクエストⅡ ルイズがDQ2へ逆召喚 お散歩ルイズ ドラゴンクエスト3 はぐれメタル DQな使い魔たち ドラゴンクエスト 色々 画像化されたことのない使い魔 ドラゴンクエスト とてつもなくおそろしいもの ゼロの挨拶 ドラゴンボール ナッパ 神龍への願い ドラゴンボール シェンロン 使い魔は『コンボイ』 トランスフォーマー スーパーリンク グランドコンボイ 黒王様ハルケギニアに降り立つ 漫画『ドリフターズ』 黒王(?) ♪ル、ル、ルイズの大爆笑 ドリフ大爆笑 ザ・ドリフターズ お山の大将 ドンキーコング ドンキーコング ページ最上部へ な行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 虚無と夜闇の魔法使い ナイトウィザード 柊蓮司 ウィザード・ルイズ ナイトウィザード アンゼロット 南波とルイズ 南波と海鈴 南波 サービス召喚 南国少年パプワくん サービス 沈黙の使い魔 南国少年パプワくん ちょうちんアンコウのマミヤくん 使い魔は神犬 南総里見八犬伝 八房 ドラゴンウォーター 女犯坊シリーズ ばくれつな使い魔 リューイーグル ニンジャコマンドー 使い魔さま 猫神さま 猫神さま ぜろめ~わく ねこめ~わく シマシマ・ハヤカワ 他 ツガイノツカイマ 前編 後編 鼠と竜のゲーム 竜 のんきな使い魔 のんきくん のんきくん ページ最上部へ は行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ ルイズの日記~二年生からの内容~ バイオハザード T-ウイルス 暴君の零 バイオハザード2 タイラント 死刑囚だった使い魔 バキ ドリアン 壺の使い魔 ハクション大魔王 ハクション大魔王 待つのと待たせるのとどちらが辛いね 走れメロス メロス 発明使い魔イッシン 発明軍人イッシン 市奥一真 華の使い魔 花の慶次 -雲のかなたに- 前田慶次 ゼロのバイオリン弾き ハーメルンのバイオリン弾き ハーメル+オーボウ ゼロの執事 ハヤテのごとく! 綾崎ハヤテ スキスキおじいさんガンダールヴ ハレのちグゥ ダマばあさん ゼロダマインパクト ハレのちグゥ ダマばあさん Trick or treat ハロウィン 殺人鬼(サイコキラー)ブギーマンことマイケル・マイヤーズ 臆さないものを、貴族と呼ぶのよ!! パンプキンシザーズ ランデル・オーランド伍長 狂信的な使い魔 HUNTER×HUNTER シャウアプフ 働くゼロ劇場 働くおっさん劇場 野見 つぶれあんまんな使い魔 パタリロ! パタリロ・ド・マリネール8世 きょむコン! ぱちゅコン! パチュリー=ノーレッジ 熱き使い魔 ヒートガイジェイ ジェイ K1伝説 ひぐらしのなく頃に 前原圭一 ルナが使い魔 美少女戦士セーラームーン ルナ ゼロの破壊大帝様 「ビーストウォーズ」シリーズ メガトロン 魔王の使い魔 姫狩りダンジョンマイスター リリイ ハヤめにネ! ヒューマンヘルスケア エーザイ『スカイナーAL錠』のCM スカイナーさん ゼロの使い魔の種 不安の種 Phoenix Saga episode ZERO ファーレントゥーガ アルテナ 誰がために ファイアーエムブレム トラバント王 八本腕の使い魔 ファイナルファンタジーⅤ ギルガメッシュ ギルガメッシュ召喚モノ余談 ファイナルファンタジーⅤ ギルガメッシュ 道化化粧の使い魔 ファイナルファンタジーⅥ ケフカ 光の射さない場所へ ファイナルファンタジーⅥ シャドウ 使い魔のハリセンボン ファイナルファンタジーⅥ サボテンダー バハムート『ゼロ』式 ファイナルファンタジーⅦ バハムート零式 SeeD戦記 ファイナルファンタジーⅧ スコール・レオンハート SeeD戦記・ハルケギニア if situation ファイナルファンタジーⅧ スコール・レオンハート SeeD戦記・ハルケギニア if situation(タルブ上空戦) ファイナルファンタジーⅧ スコール・レオンハート 剣王ジョゼフ ファイナルファンタジータクティクス 雷神シド ルイズの回顧録 another ファイブリアシリーズ「ティルトワールド」 カタリナル・カトリネス 雪風のパレット Forget me not -パレット- B・D 風来のルイズ 風来のシレン ゼロとクイズの部屋 不死身探偵オルロック 野沢ウォーケンとクイズの部屋 ゼロの男爵 武装錬金 大戦士長 坂口照星 小ネタ:核金 武装錬金 シリアル61番の核金 ふたりぼっち伝説より ふたりぼっち伝説 マチルナ ふたりぼっち伝説から骸骨 ふたりぼっち伝説 骸骨 特攻のルイズ 特攻の拓 武丸 魔法少女ラジカルイズ ブラックラグーン レヴィ&ロベルタ ルイズの憂鬱 (魔法少女ラジカルイズ~双子編~) ブラックラグーン ヘンゼル&グレーテル 生まれえざる0 BLOODY ROAR3~4、EX シオン 男爵 プラネテス ΠΛΑΝΗΤΕΣ 男爵 彼とルイズ フランケンシュタイン対地底怪獣<バラゴン> フランケンシュタイン ゼロと豹王 BLEACH グリムジョー・ジャガージャック ゼロメタルパニック! フルメタルパニック! 相良宗介 魔法の国のボン太くん フルメタルパニック?ふもっふ ボン太くん(一小隊分) ブレス オブ ファイア 0 ~虚無ろわざるもの~ ブレス オブ ファイアIV -うつろわざるもの- フォウル ゼロのルイズと大いなる子(ダイジェスト版) ブレンパワード プレート 怠惰な使い魔 封神演義(藤崎竜版) 太上老君 ギーシュが土行孫を召喚したようです 封神演義(藤崎竜版) 土行孫 完全懲悪ダンザイバー・ZERO 予告編 封神領域エルツヴァーユ 神鏡衝(ダンザイバー) ANGEL DUST HELLSING アンデルセン ゼロの伯爵 HELLSING アーカード 虚無の石 ベルセルク ベヘリット(覇王の卵) 使い魔は闇の守護神 MMORPG『ベルアイル』 闇属性のガーディアンを召喚 最強なる使い魔 ペルソナ 3 エリザベス さよなら使い魔、こんにちわ ホーンテッド! 白咲深春 革命的な使い魔 僕と彼女のホント 狩谷広樹 ルイズとハート様 北斗の拳 ハート様 ゼロのジョインジョイントキィ 北斗の拳 AC版トキ 世紀末使い魔伝説―虚無の拳― 北斗の拳 妖星のユダ様 今日も朝からのんびりと ポケモン ソーナノ ゼロの進化~可能性~ ポケモン イーブイ ゼロの真実(?) ポケモン ……? 『ぶん♪ぶん♪ぶん♪』 ポケモン スピアー マリコルヌの日記☆抜粋 ポケモン ポッポ 『醜いアヒルの子』 ポケモン ヒンバス ポスタル2からポスタル・デュード召還 ポスタル2 ポスタル・デュード ゼロのリミックス ポップンミュージック 神様 ゼロのウンコ~ハルケギニアにソフトクリームってあったっけ?~ ボボボーボ・ボーボボ ソフトン ゼロの超インチキな使い魔 プロアクションリプレイ プロアクションリプレイ ページ最上部へ ま行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ まじかる☆るいずん ねこねこソフトの『麻雀』 魔法少女判定の棒と魔法少女の服 マイケル召喚 マイケルジャクソンズムーンウォーカー マイケル・ジャクソン 本スレpart120-60 魔王(Erlkönig) 魔王(Erlkonig) 語り手、父親、息子、魔王 ルイズとペンギン(みたい)な使い魔 魔界戦記ディスガイア プリニー ゼロの神罰 魔界塔士Sa・Ga かみ バラバラになった使い魔 魔界塔士Sa・Ga かみ ゼロは使い魔と共に強くなる 魔界塔士Sa・Ga グレートドラゴン 変態な天使? 天使と言う名の変態? まかでみ・らでぃかる 能天使ハプシエル ダイナマイト・エクスプロージョン マクロス7 熱気バサラ おかあさんのうた MOTHER ギーグ まじかるメイジ エンジェルタビィ まじかるトワラー エンジェルラビィ サーリア まじかるメイジ エンジェルタビィ傑作選 まじかるトワラー エンジェルラビィ サーリア ゼロの守護者 Magic the Gathering(マジック・ザ・ギャザリング) ルアゴイフ オーフェン短編 魔術士オーフェン無謀編 オーフェン 造作もない使い魔 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL シュウ・シラカワ Louise s servant s silver hammer Maxwell s silver hammer マックスウェル・エジソン 悲しき使い魔 魔法少女リリカルなのはA s 闇の書(ヴォルケンリッター付き) ゼロのキタキタ 魔法陣グルグル キタキタ親父 しかし繰り返す出オチ 魔法陣グルグル ザムディン 魔法留学生ゼロま! 魔法先生ネギま! ネギ きょうだいなる使い魔 まほろまてぃっく πdealα 力持ちの使い魔 まんが日本昔ばなし「力太郎(岩手県伝説)」 力太郎 姫と龍 まんが日本昔ばなし「八郎潟の八郎(秋田県伝説)」 八郎龍 虚無義士伝 壬生義士伝 吉村嘉一郎 無責任な使い魔 無責任艦長タイラー ジャスティ・ウエキ・タイラー(富士見版) メイジさんと大きな剣 メイドさんと大きな剣 バルムンク(グラム) ゼロの大統領シリーズ メタルウルフカオス ゼロがタンクでやってくる! メタルサーガ~砂塵の鎖~ アルファ メトロクロス0 メトロクロス 傷だらけのランナー 燃えよ零 燃えよ剣 土方歳三 使い魔にはお供がいた 桃太郎 虚無の遊び モンスターエンジン メンフィスとメンフェンティス 暇をもてあました神々とツンデレ娘の戯れ モンスターエンジン メンフェンティス モンコレから色々 モンスターコレクション 各種モンスター 板前服を着たネコ モンスターハンター アイルー モンモンとトトス モンスターハンター ガノトトス ゼロの鎧竜 モンスターハンター グラビモス モンハンで書いてみよう モンスターハンター 各種モンスター 喰うか、喰われるか モンスターハンターポータブル 名も無きハンター もしもビダーシャルが別のエルフだったら モノノ怪 薬売りの男 モノノ怪「枕返し」 モノノ怪 薬売りの男 モノノ怪『絡新婦』 モノノ怪 薬売りの男 ゼロのボンビー 桃太郎電鉄 ボンビー アンリエッタ大活劇 前半 後半 水戸黄門? 水戸黄門ご一行様? ページ最上部へ や行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ パンくいてえ 焼きたて!!ジャぱん 諏訪原 血風党異聞 前編 後編 闇の土鬼 土鬼 偽伝シャルロット 前編 後編 柳生十兵衛死す(石川漫画版) 邪阿弥 闇ルイズ 遊戯王 千年パズル 虚無の太陽 遊戯王 ラーの翼神竜 消去(ゼロ)のルイズ 遊戯王R キース・ハワードのデッキ(邪神イレイザー) ゼロの万丈目サンダー 遊戯王GX 万丈目準 ゼロの大地 遊戯王GX 三沢大地 使い魔は甦る 遊戯王GX 黄泉ガエル ゼロの青空署 遊撃警艦パトベセル パトベセルと青空署の一同 使い魔カタストロフ!! 勇者カタストロフ!! 究極の妖精【ハチ】 藍色の怪物 酉陽雑俎 藍色の怪物 ぜろにっき ゆめにっき 鳥人間(ロウソク世界) 宵闇の使い魔IF ラスキンVSフーケ 宵闇眩燈草紙 アーノルド・ラスキン 使い魔はきちんとつないでおきましょう 宵闇眩燈草紙 本 ゼロの妖美獣 妖美獣ピエール ピエール ハルケギニアにも奇妙な物語 世にも奇妙な物語 ずんどこべろんちょ My name is…? 余の名はズシオ ズシオ ページ最上部へ ら行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ ゼロのたい焼き屋サン LIVE A LIVE アキラ もってけ!水兵ふく らき☆すた 泉こなた もってけ!水兵ふく その後 らき☆すた 泉こなた ゆるーい使い魔? らき☆すた 泉こなた 超時空放浪の使い魔 ラングリッサー ヘイン リさん一家 つげ義春の『李さん一家』 李さん一家 ART OF FIGHTING ZERO 龍虎の拳 タクマ・サカザキがシエスタの祖父 (・||・)な使い魔 輪道 高虎校長 虚無の紳士録 リヴァイアサン 闇の紳士録 魔法の国、向日葵の少女 リトルマスター2 サンフラワー ゼロのマリア ルーンクエスト 『病の母』マリア ルパン小ネタ ルパン三世 銭型警部とルパン三世 Jackal00 redEyes グラハルト・ミルズ サイン・オブ・ゼロ レジェンズ シロンとランシーン 使い魔E レベルE バカ王子(本編終了後) ゼロの使い魔竜 ロードス島戦記 『魔竜』シューティングスター 指輪を使わない使い魔 ロックマンシリーズ Dr.ワイリー 小ネタ-伝承法 ロマンシング・サガ2 伝承法 ねんがんの 使い魔 ロマンシング・サガ2 アイスソード 溶けない氷 ロマンシング サガ3 ゆきだるま ゼロと怪傑 ロマンシング サガ3 ライム 不幸を呼ぶ使い魔 ロマンシング サガ ミンストレルソング シェリル ページ最上部へ わ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 零と異界の英雄たち ワールドヒーローズ2 フウマ 盗賊退治の使い魔 WILD ARMS the Vth Vanguard レイドバスター 吾輩は使い魔である 我輩は猫である(夏目漱石) 猫 我が竜を見よ 我が竜を見よ 竜 ゴムと虚無 ONE PIECE モンキー・D・ルフィ ワルキューレの誓約 ワルキューレの降誕 ドゥンケル・イナー・ドゥンケルハイト ページ最上部へ その他 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ がんばれ武蔵軍団 石川賢作品より『武蔵を全部召喚』武蔵伝、魔界転生、柳生十兵衛死す、ゲッターロボアーク 武蔵 うる星ルイズの使い魔1/2(仮) 高橋留美子作品 そのキャラ 面接ンデレ 2ちゃんねる ゼロのスイーツ(笑) 2ちゃんねる カーチャン召喚 2ちゃんねる さらば黄金勇者 ~ブリミルよ、永遠に~ 黄金勇者ゴルドラン 全選手入場テンプレ グラップラー刃牙 『全イザベラ様入場』 グラップラー刃牙 完結作品入場!!! グラップラー刃牙 白き塔 現実世界 大陸間弾道弾 I.C.B.M 美しき使い魔 現実世界 二式飛行大艇 孤独のグルメ・異世界編 孤独のグルメ トリステインの踏鞴法師 特定の原作を持たない だいだらぼっち おじいさんの古時計 TOSHIBA創業者、田中久重 理想的民主国家トリステイン社会主義連邦 「速水螺旋人の馬車馬大作戦」収録「ユートピア・カフェはあなたの友」 ユートピア・カフェ 国歌という概念が召喚されました 栃木・群馬の県歌 『トリステイン愛国行進曲』 『愛国行進曲』 ガンダールヴ伝説 あなたの近所の秋葉原! あの国の国旗がウェールズ皇太子に召喚されました 旗 邪気乳 邪気眼 零顧の礼 諸葛亮孔明 ブリミルの使い魔いろいろ トランスフォーマー/平成仮面ライダー/少年ジャンプ 大岡裁き 絶対可憐チルドレン 召喚!ナイトスクープ 探偵!ナイトスクープを召喚 白鳥の使い魔 ギリシア神話 ゼウス Battleship of Zero 特定の原作なし 戦艦長門 ニャンの使い魔 日光江戸村 日光江戸村のマスコット・キャラ、ニャンまげくん ニャンの使い魔 外伝 日光江戸村 日光江戸村のマスコット・キャラ、ニャンまげくん ロードオブ厨二イーター3rd LoA ミリルゥ・ゼレス・水神 狩 ルイズが変態兵器?を召喚しました 現実世界 グレート・パンジャンドラム まともに召喚させてもらえないルイズ 複数作品 ハルケギニアの伊達直人 タイガーマスク ページ最上部へ ???(ネタバレにつき元ネタ秘密) 作品タイトル たくさん食べたら大きくなった 使い魔の絵描き歌 一発ネタ-せんべいやの主人 紅の使い魔 滅びのルイズ 用意の良すぎる使い魔と破壊の船 伝説の使い魔(悪い意味で) 伝説の使い魔(悪い意味で)2 雅な使い魔 BUSINESS FAMILIAR YAMAZAKI ゼロのナイト 薔薇男と穴を掘る使い魔 ゼロの雪風 デルフリンガーの憂鬱 デルフリンガーの憂鬱2 ゼロのルイズの独白 ゼロ魔術師殿の使い魔 ゼロと一緒にランランルー♪ ゼロの歌姫 真赤な使い魔 ルイズの回顧録 雫零 雫零BADEND 〇な使い魔 FFの使い魔 色々と台無しな使い魔達 魔法学院は今日も平和 剣を探してハルケギニア 其は華麗なるガンダールヴ ルイズパラドックス ハンマー サーヴァント 24の使い魔 じゅるり 正体不明の謎の使い魔 平民Aの使い魔 ひらけ! その蛙が何なのか 彼女の名は ぼくは天才だ! 黒いアレの山 野に咲く花のように 真実は、いつも一つ ママの使い魔 最先端ロボット科学の使い魔 政治屋 黒くて、でかくて、硬い使い魔 ゼロのプリンセスメーカー ゼロのFカップ 伝説の少年 100の使い魔 ゼロと云う名のワタリガラス 鋼鉄の巨人 無敵で不死身の使い魔 タバサの手記 平気で人を撃つ使い魔 零と黒 戦いは時空を越えて… 護り手たる使い魔 使い魔は高笑う 真夜中のルイズ リファインな使い魔 いちめんのつんでれ クレアアアアアアアの使い魔 負け使い魔 ショータイムだ、酔っ払うんじゃねーぞ I feel COKE! 悩みも苦しみも無い世界 ゼロ達の沈黙 虚夢の盾と剣 ソビエトの悪魔 トリステイン魔法学院Z ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/994.html
雪と氷に覆われ、周りを巨大な山脈に囲まれ、魔物達が徘徊する雪原。 その雪原のほぼ中央に、邪悪なる神を崇める神殿がそびえ立っていた。 神殿の最上階では、世界の命運を賭けた最後の戦いが繰り広げられており、今まさに決着がつこうとしていた。 「お、おのれ・・・ロトの末裔共よ・・・」 白いローブを纏った神官は息を切らせながら目の前の少年達を睨んでいた。 蒼い鎧、兜、盾を装備し、それぞれに不死鳥の紋章を掲げた少年。 見た目はとても軽そうな細剣なのに、全てを破壊する剣と同じオーラを纏った剣を持つ少年。 こんな極寒の地なのに、水で出来た羽衣を纏った少女。 三人はそれぞれ武器を構え、神官と対峙していた。 「こ、こうなったら・・・・・破壊神よ、我が身をイ・・・ケ・・・ニエに「させるか!」 神官の行動に気づいた蒼い鎧を着た少年が飛びかかり、神官に不死鳥を象った剣を突き刺した。 神官は血を吹き出しながらその場に倒れていった。 「・・・やったか?」 倒れた神官から離れながら蒼い鎧を着た少年が呟くが、誰も答えることはできない。 神官の姿が消え、辺りに気配がなくなったのを感じると、三人はようやく気を緩めた。 その瞬間、突如三人と祭壇の周りを灼熱の炎が取り囲んだ。 そして辺りに禍々しい気配が漂い始めた。 「まさか、間に合わなかったのか?」 「そ、そんな・・・」 「サマル、ムーン!気をつけろ!来るぞ!」 再び武器を構えた三人の前に、鏡の様な物が現れた。 鏡からは禍々しい波導が溢れ出し、今にも何かが現れそうであった。 三人は武器を握り直した。 そして、その鏡の様な物は爆発を起こした。 爆煙により視界が塞がれても、三人は警戒を緩めなかった。 しかし、これまで数々の戦いを繰り広げ成長してきた勇者達も、こんなことが起こるとは予想できなかった。 「・・・アンタ達、誰?」 「「「・・・はい?」」」 煙が晴れ、現れたのは桃色の髪の少女であった。 三人は思わず息を揃えて聞き返してしまった。 こうして、勇者ロトの末裔達はアレフガルドに平和を取り戻した。 余談だが、ルイズと入れ替わりにハルケギニアに召喚された破壊の神は、ハルケギニアの全てを破壊しようとした・・・のだが、 青い髪の少女が唱えたパルプンテという魔法により逃げ出したのはまた別の話である。 トップページへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8572.html
前ページ次ページルイズと無重力巫女さん それは捜していた。果てしない森の中を飛び回りながら捜していた。 ゛それ゛は指の先に生えた鉤爪で木に抱きつき、辺りをギョロギョロと見回していた。 顔から半ば飛び出した様な目が忙しく動き回り、自分の視界に゛動くモノ゛がいれば、ソイツに注目する。 そして『捜しているもの』がいなければ、近くの木に狙い定めて、自分の身体を投げるようにそちらへ飛び移る。 飛び移った先にある木でも先程と同じように抱きつき、ギョロギョロと目を動かす。 何故そんなことをしているのか?一体なにを捜しているのか? 何処かの誰かがそんなことを゛それ゛に聞いても、答えることはないだろう。否、答えすら浮かばないだろう。 ゛それ゛に組み込まれた脳の中には『指示された命令を完璧にこなせるか』という事と『ある程度の判断力』しか入っていない。 やがて木から木へと飛び移る内に、゛それ゛の視界に、山道に沿って建てられた一軒小屋があることに気が付いた。 自分の目を上下左右と激しく動かしながら、小屋の中に゛二人のニンゲン゛がいることを知った。 小屋の窓から見える部屋の中では、大きなニンゲンと小さなニンゲンがいる。 それだけなら、゛それ゛はすぐに山小屋から離れるつもりであった。 しかし、見つけたのだ。゛それ゛は捜し物を見つけたのだ。 小屋の中から『捜しているもの』の体を流れる血の匂いと、『あの場所の匂い』が鼻をつく。 自分を閉じこめていた大きなニンゲンたちが嗅がせた、『あの場所の匂い』をハッキリと鼻で感じたのだ。 とどのつまり、自分は一歩前進したのである。『与えられた命令を完遂する』という自分の道を。 「クル…クックゥ?クゥルル…!」 まるで鳥の鳴き声にも似た声を上げながら、゛それ゛はゆっくりと口を開けた。 そして奈落の底を彷彿とさせるような真っ暗闇の口の中から、赤い舌が少しずつ出てくる。 その舌はまるで、林檎の皮のように真っ赤で、とても長かった。 「リッンゴォ♪リンゴォ♪真っ赤なリーンゴォ~♪」 ニナの口ずさむ唄をBGMにしつつ、男は林檎の皮を剥いている。 剥いた皮はまるで口から垂れ下がった舌のような赤い部分がテーブルの上にとぐろを巻いている。 常日頃からこういう事や家事をしているのか、男の手つきはかなりのものである。 男が林檎の皮を剥き終えた頃には、身から剥かれたばかりの皮がテーブルの上に山を作っていた。 「ニナ、お皿を持ってきてくれないか。これより二回り小さめのヤツでいいよ」 いつの間にか唄うのをやめていたニナはコクリと頷き、トテトテと台所へ向かう。 その間に男は白い身をさらけ出している林檎を小さく切り分ける。 六等分に切り分けた林檎は、目の前にある大きな皿の上に盛りつける。 それから一分もしないうちにニナがトテトテと歩きながら小さな皿を両手に持って戻ってきた。 男は大皿に盛りつけた一口サイズの林檎を四個手に取り、ニナの持っている皿の上に盛りつけた。 「ニナ、この林檎は右の寝室で寝てるあの子に食べさせてあげなさい」 「うん!わかった!」 男の優しい言葉にニナは返事をすると、右側の寝室へと向かう。 片手でドアノブを捻る彼女の後ろ姿を暖かい目で見つつ、男はリュックに手を伸ばした。 「ふんふふ~ん♪ふんふふ~ん♪」 上機嫌で鼻歌を口ずさみながら、ニナは寝室へと入った。 この山小屋には寝室が二つあり、多数の遭難者がここを訪れても大丈夫なように作られている。 毛布やシーツの他に乾燥させた薬草や包帯といった医療品等が入っている箪笥もあり、有事の際にも事欠かない。 更にリビングと違って鉄格子の付いた大きな窓があるお陰で、陽の光が良く入ってとても明るかった。 そしてその寝室に置かれている二つあるベッドの内一つの上で、赤いリボンを着けた黒髪の少女が寝ていた。 規則的な寝息を立てている少女の身体に掛けられた薄いタオルケットが、寝息に合わせて上下に動いている。 ニナはニコニコと笑みを浮かべながらもトテトテとそちらの方へ駆け寄った。 両手に持っていた皿はベッドの側に置いてある小さなテーブルの上に置き、ついで盛りつけられていた林檎を一つ手に取る。 美味しそうな色をしたそれを暫し眺めた後、勢いよく口の中に入れた。 まるで野に咲く花の如き美しさを持った少女の口が、歪に動きながら林檎を咀嚼していく。 シャリシャリ…シャリシャリ…とスコップで土を掘ると聞こえてくるような音を立てながら、林檎はニナの口の中で粉々になっていく。 林檎独特の酸味や甘みを一通り堪能したニナは可愛らしい笑みを浮かべ、かみ砕いたそれを一気に飲み込んだ。 ゴクリ、と擬音がつきそうなくらいの勢いで飲み込んだ彼女は満足そうな笑みを浮かべ、プハー…と一息ついた。 「ん…んぅ…うぅ…」 その時、ベッドで寝ていた少女の口から呻き声が聞こえてきた。 「あっ!目ぇ覚ましたんだね?」 ニナは素早くその声に気が付きそちらの方へ目をやると、少女が瞬きをしていいるところであった。 何回か目をパチクリさせた後、黒みがかった赤い瞳が自分の顔を覗き込んでいるニナの姿を捉える。 その時一瞬だけ目を丸くしたものの、すぐに元の眠たそうな目に戻るとゆっくりと口を開いた。 「こ…ここは…」 「ここ?山小屋だよ」 少女の口から出た質問を簡潔に答えるとニナは林檎を一つ手に取り、少女の前に差し出した。 一方の少女は、目の前に差し出された林檎か何なのか分からず、突然の事に怪訝な表情を浮かべる。 「アーンして?アーン…」 ニナはそんな表情を浮かべている少女に対し、催促するかのように言った。 彼女の言葉を理解した少女は、少しうろたえながらも口を開けた。 「…?あ、あ~…――…む!」 瞬間、開いた口にニナが容赦なく一口サイズの林檎を三分の二程突っ込んだ。 突然の事に少女は再度目を丸くしたもののそれが食べ物だとわかったのか、林檎が入った口をゆっくりと閉じていく。 シャク…シャリ…シャリ… 一定の間隔を置いて口を動かし、少女は林檎を咀嚼していく。 その顔に浮かべた表情は、怪訝なものからキョトンとしたものへと変わっていた。 「ねーねーおいしぃ?ニナはとっても美味しかったけど、お姉ちゃんはおいしぃと思う?」 一方のニナはニヤニヤと笑みを浮かべながら、捲し立てるように聞いてくる。 とても酸味と甘みが利いた林檎を噛み締めながら、少女は何が何だかよく分からない表情を浮かべつつ、頷いた。 ◆ 一方リビングからニナの楽しそうな声を聞いていた男は、その顔に笑みを浮かべていた。 「今日はニナと一緒で本当に良かった。僕だけじゃうまいこと対応できそうにないからな…」 自虐ともいえる言葉を呟きながら、男は二個目になる林檎の皮を剥いていく。 十五の頃から山に入って木の実やキノコの採取、シカ狩りを行ってきた彼は女性の扱い方というのを知らなかった。 特にあの少女のような、思春期真っ只中(?)の女の子をどう扱って良いか全く知らないのである。 それにひきかえニナは分け隔て無く、他人と接することができる良い子だ。 あんな良い子もやがては大人になっていく過程で、世の中がいかに残酷なのか理解していくのだろう。 そんな事を考えていた男の気分は憂鬱なものとなっていくが、ふとある事が思い浮かんだ。 「それにしてもあの子、見たことのない服を着てたな…」 男は林檎をグルグルとゆっくり回す左手とナイフを動かしていた右手を止め、ポツリと呟く。 彼の言うあの子とは、いま隣の部屋で起きたばかりの黒髪の少女の事である。 少女が水飲み気絶したあの後、仕方なくベッドへ運ぼうと抱き上げたようとして身体に着けていたボロ布がズレ落ちた。 ボロ布の下に隠れていた彼女の服は、ニナと男が初めて目にする異国情緒漂う奇妙なものであった。 ハルケギニアは各国ごとに服の主旨は違うものの、結構似ているものが多い。 それ故にだろうか、二人には少女の着ている服はどうひいき目に見ても『趣味の良い者が着る服』とは思えなかった。 (まぁその事は別に良いとして…これからどうするか…だな) ひとまずその事は頭の片隅に置いておくことした男は、ニナの笑い声が聞こえてくる部屋の方へと目を向ける。 ニナは初めて会う少女に優しく接しているが、男はどうにも信用する事が出来なかった。 こうして自然と長く付き合っていると、人を惑わしその血肉を糧とする人間と瓜二つの亜人を見かけたという話を良く耳にする。 オーク鬼、トロール鬼、コボルド…そして吸血鬼や翼人にエルフの他、この大陸にはマイナーながらも亜人が数多く生息している。 その大半が樹海や洞窟、渓谷や高原地帯に砂漠など人が滅多に来ない場所に好んで住む。 そして言うに及ばずこの小屋のある場所も、人が大挙して押し寄せてこない山中だ。 そんな山の中にある小屋で、しかも日中に迷い込んでくる人間はいるものだろうか? 勿論いるのかも知れないが、男は万が一の事も考えて目を細める。 (もし最悪の事態になったとしても…オレがニナを守らなければ) 男は心の中でそう呟きながら、手に持った果物ナイフをまじまじと見つめていた。 カラ…カラン… 「―――…ん?」 その時、ふと背後から物音が聞こえてきた。 思わず後ろの方へ向けると、背後にある暖炉の中に見慣れた物が一本、落ちているのに気が付く。 「…木の枝?」 それは山で日々の仕事をする男にはありふれた、一本の木の枝であった。 森の中や道ばたで見かけるならいざしらず、この枝は何故か暖炉の中に入っていた。 たまたま折れたモノが煙突を通して入ってきたというのなら説明はつくが、それにしてもおかしい。 訝しげに枝を睨み付けながら男は腰を上げると剥きかけの林檎を皿の上に置き、右手にナイフを持ったままそちらの方へ近づく。 そして暖炉の側に来ると腰をかがめ、中に落ちている木の枝を左の手で取る。 (まだ若くて丈夫な枝だ。それにこの折れ方…明らかに人の手によるものだ) 男が落ちてきた枝をマジマジと見ていると、暖炉と外を繋ぐ煙突の中から奇妙な音が聞こえてきた。 ペタ…ペタ……ペタ… 先程の音とは違う、明かに異質な音である。 何処か粘着質漂うそれはまるで、誰かの足音にも聞こえた。 その音を耳にした男は素早く起ち上がると、二、三歩後ろへ下がった。 左手に持っていた木の枝をすばやく放り投げ、ナイフを両手で握りしめる。 何だ?一体何がいるんだ? 男は自らの呼吸が段々と荒くなっていくのを自覚しながら、暗い暖炉の中を凝視した。 後ろに下がった後も尚ペタペタ…という音が暖炉をとおして聞こえてくる。 やがて十秒もしないうちに音は大きくなり、こちらに近づいてくるのがハッキリとわかった。 最初はペタ…ペタ…と間隔を開けていた音がペタペタ…ペタペタペタ…とその間隔が短くなっている。 音が近づくに連れ男の呼吸も荒くなっていき、ナイフを持った手の力もどんどん強くなっていく。 男は覚悟を決めたのか、握りしめていたナイフをテーブルに置くと、素早くリュックの中に手を入れた。 (何が来るのか知れないが…来るなら来い!) 男は力強く心の中で叫び、リュックの中から無骨な鞘に入った大きな獲物を取り出す。 それは、山仕事をするような者達が常日頃持ち歩いている一振りの大きな鉈であった。 薪を割ったり小さな木の枝を切り落とす事もでき、時には襲い来る獣たちを倒すことも出来る。 木こりや旅の平民にとって、その鉈は絶対に欠かせないモノであった。 男は鞘から獲物をスラリと抜き、左手に持った鞘をナイフ同じくテーブルに置いた。 ゆっくりと、音を立てぬように置くと右側の寝室へとつづくドアへ視線を向ける。 あのドアを越えた先には、無垢な心を持つニナと素性の知れない行き倒れの少女がいるのだ。 (あの子たちを怖がらせるワケにはいかない…出来るならば一発で仕留めてなければ) 男は心中で考えつつ、血痕一つ付いていない綺麗な鉈の刃先を火がついていない暖炉の方へ向ける。 日々の手入れで鉈は綺麗ではあるものの、その刀身はこれまで多くの命を断っていた。 野犬や狼、時には毒蛇の身体を切り刻みその頭を切り落としてきた。 男の方も鉈で戦うという経験は一度や二度ではない、山で仕事をするのならばそれなりの覚悟は必要なのだ。 でなければ襲い来る獣たちに殺されるか、荷物を纏めて故郷を飛び出して街へ行くかの二つしかない。 男はその選択で山に残ることを決め、ここにいるのである。 「フゥ…!…フゥ!」 段々と大きくなっていく自分の呼吸音に焦りながらも、男は待ちかまえる。 ペタペタという音は段々と大きくなり、もうすぐこの暖炉から音の主が出てくるのは目に見えていた。 自分がやらなければ隣の部屋にいる少女達の命が危なくなるのだ、やるしかない。 再度決意を固めた彼は鉈を振り上げ、そして――― シュッ…!――――― ※ ―――――ゴトリ… 「…?」 寝室で寝ていた少女に林檎を食べさせていたニナの耳に、変な音が入ってきた。 まるで、胸の高さにまで持ち上げた大きな岩を地面に落としたときの音と似ている。 しかし今聞こえた音には何処か湿っぽい、粘着質な音も含まれていた。 まだ幼いニナにはその違いがわからないものの、リビングからの異音に首を傾げた。 一方、ニナに林檎を食べさせてもらっていた黒髪の少女も、その音に気づいてドアの方へと顔を向ける。 口の中に入った林檎をモグモグと噛みながら、目を丸くしてドアを見つめている。 「お兄さんが林檎でも落としたのかな?」 丸くて可愛い目をパチクリさせながら、ニナはリビングへと続くドアを凝視していた。 木造のドア一枚越えた先にあるリビングだが、ドアがあればリビングの様子は全く分からない。 ニナはリビングで何が起こったのか気になったのか、「おにーさーん!」と男を呼びながらドアの方へ近づこうとしたが… 「…駄目よ」 「えっ?」 歩き出す前に後ろから聞こえてきた声の主が、ニナの肩を掴んだのである。 何かと思いニナが後ろを振り返ると、ベッドで横になっていた黒髪の少女が自分の肩を掴んでいるのに気が付いた。 村へ帰る前の小休止にと入った小屋の中で倒れていた彼女はドアを凝視していた。 特徴的な黒い瞳は鋭く光り、可愛らしい10代半ば相応の目をキッと細めている。 一方、肩を掴まれたニナは訳が分からないという表情を浮かべながらも、そんな少女に話し掛けた。 「お姉ちゃん何するの?はなしてよ」 その言葉に少女は反応せず、ニナの肩を掴む手の力も緩めようとしない。 尚もリビングへと通じるドアを凝視しているその姿は、まるで何かの動きを読もうとしているかのようであった。 肩を掴まれているニナは突如豹変したかのように表情が変わった少女に、僅かばかりの恐怖を覚えた。 「お姉ちゃん…ねぇ…いい加減離し――――え?」 なんとか離して貰おうと苦しそうな声で言いかけた言葉を、ニナは飲み込まざるを得なかった。 先程まで片方の手でニナの肩を掴んでいただけであった少女は、突如ニナの腰を両手で掴んだのである。 一言も発さず素早い手つきでニナの身体を抱きしめた少女は転がるように、横になっていたベッドから飛び出した。 埃がうっすらと積もった床に足を着けた少女はニナを抱えたまま何かを捜すように辺りを見回し、すぐに目当てのモノを見つけた。 それは寝かされる前に脱がしてくれたのだろうか、ベッドの下に一足の黒い革のブーツが置かれている。 少女はニナを抱えたまま器用にブーツを履くと、先程まで二人が凝視していたドアがミシッベキッ!と音を立て始めた。 そこへ視線を向けてみると、丁度ドアの真ん中当たりからもの凄い音と共に木片が飛び散っていく。 「え…?なに、何……きゃ!」 不吉な音をたて始めたドアにニナが気づいた瞬間、一切れの木片が彼女の頬を掠る。 掠っただけで幸いにも血は流れていないが、珠のように白くて綺麗な肌に赤い一筋のかすり傷が付いてしまった。 尚も激しい音を立てて壊れていくドアにとうとう一つの小さな穴が開いた瞬間、そこから一本の腕がものすごい勢いで出てきた。 そしてある程度出たところでピタリと止まり、何かを掴もうとするかのようにジタバタと滅茶苦茶に動かし始める。 それは平均的な成人男性の立派な腕であったが、その肌はとても人間のものとは思えなかった。 人間の腕にしてはやけにゴツゴツとしており、所々に爬虫類のそれとそっくりな鱗も貼り付いている 肌の色も普通の人間と違い、とある世界では『FLORA(フローラ)』と呼ばれる系統の迷彩と類似していた。 これだけ見ればとても腕の持ち主が人間とは思えないが、それらを無しにしても十分に人間のモノとは思えない証拠を持っていた。 その証拠は、飛び出してきた腕の五本指にそれぞれ付いた長く、鋭利な鉤爪であった。 まるで火竜の手からもぎ取ってそのまま移植したかのような鉤爪には――――赤い血がベットリと付着していた。 「……!?キャアアアアアアアアアッ!」 突如ドアを突き破ってきた手に、とうとうニナがその小さな口を大きく上げた悲鳴を漏らした。 瞬間、その悲鳴を合図に黒髪の少女は片足で勢いよく床を蹴った。 トンッ!と気持ちの良い音を立てて少女の身体が床から離れ、そのまま背後にある窓へと向かって飛んでいく。 そして、窓の割れる大きな音と共にニナを抱えた一つの影が、山小屋から離れていった。 シ ャ ア ァ ァ ァ ァ ! キ キ ィ イ ィ イ イ イ イ イ ィ ! 少女とニナが消え、『人のいなくなった山小屋』を中心に、この世の物とは思えない鳴き声が響き渡る。 その声は森と周囲の山々に伝わり、獣たちは恐怖に駆られて鳴き声の聞こえた場所から離れようと走り出す。 オーク鬼たちも謎の鳴き声に驚いたのか、獲物を求めて山の中をうろいていた何匹かが仲間達のいる塒へと戻っていく。 ふとした事が死に繋がる野生の世界において、この選択は正しいものである。 そして山の中にある村に住む人間達も同じで、皆が皆不安に駆られていた。 しかし、その様な状況になっても平然としている人間はいることにはいた。 その少女は森の中に出来た広場のような場所に佇み、空を見上げていた。 周りの景色から明らかに浮いている黒と白の服装は、彼女の存在をこれでもかとアピールしている。 太陽のように輝く金髪はさながら超一級のアンティークドールのようであるが、正真正銘彼女は生きた人間だ。 つい先程までここで昼寝をしていた少女の耳にも、あの甲高くおぞましい怪物の鳴き声は聞こえていた。 それが原因でついつい目を覚ましてしまい、ふと起ち上がって今に至る。 「ふぅ…人が折角昼寝と洒落込んでたってのに…迷惑な奴だ」 その口から出た言葉はおしとやかなお嬢様のそれではなく、まるで男のような言葉遣いであった。 だが少女の瞳に宿る強い意志と少々不機嫌そうな表情の前では、その言葉遣いがしっくりと来る。 この少女の名前と性格を良く知るものなら、誰もがそう思うだろう。 相変わらず森の奥から怪物の鳴き声が聞こえ、鳥の囀りすら消えてしまっている。 「こんな真っ昼間から鳴くなんて迷惑もいいところだぜ」 自分以外誰もいないのにもかかわらず少女は一人呟き、足下に置いてあった箒を拾い上げた。 ちゃんと手入れが行き届いているが扱いが手荒いせいかところどころに傷が入っているソレは、単なる掃除道具には見えない。 それはこの少女が数多く持つ゛大切な持ち物゛の一つであるからだ。その内の一つで最も大切な物は今手元に無いが。 「まぁ、人が寝静まってる夜中に鳴いても…迷惑だ」 少女は尚も呟きながら右手に持っていた黒い大きなトンガリ帽子を頭に被った。 まるで絵本の中の魔女か魔法使いが被っているようなそれは、少女には何故か似合っている。 何故なら、彼女がその帽子を被っているような゛魔法使い゛をしているだからだ。似合わないはずがない。 少女は頭に被ったソレを左右上下に動かして調節しながら、箒を持つ左手に力を込める。 この世界で使われている力とは全く異なる、自らの身体に溜まった魔力を少しだけ箒の中に入れていく。 「人様に迷惑かける奴は、懲らしめてやらないとっ…――な!」 少女、魔理沙は最後にそう呟くとその場でピョンッ!とジャンプした。 そして空中に浮遊している間に素早く箒の胴体部分に腰掛け、箒に込めた魔力を放出させる。 すると驚いた事に箒は地面に落ちず、魔理沙を乗せたまま空中に浮かんでいる。 数秒ほどその場で浮遊した後、箒が出せる力とは思えないほどの早さで上空へと飛び上がっていった。魔理沙を乗せたまま。 その箒もとい魔理沙が目指す所は無論、鳴き声の主の元であった。 前ページ次ページルイズと無重力巫女さん
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3952.html
7万のアルビオン軍。 それをただ一人で撃退した彼女は、しかし力尽き、その場に崩れ落ちた。 「あ……申し訳、ありません、マスター」 うわごとのように、彼女は呟く。 「……自己診断プログラムによると、このままでは、全ての機能が停止。再起動は不能……のようです」 見ればその姿は、既に片腕を失くしている。両足にも数箇所大きな傷を受け、既に歩くことすら出来ない。更に言えば、全身が傷だらけ。焦げたような痕もあれば、凍りついた痕もある。失った片腕の断面からは、ばちばちと火花が散っていた。 「申し訳ありません……。これ以上、マスターのお役に、立てそうにはありません……」 その呟きを聞く者は、誰かいるだろうか。 荒野に倒れ臥した彼女は、一人呟き続ける。 「……私には、感情というものがありません。ですが……。 マスターと過ごした時間は……短い間でしたが、とても、印象深いものでした……。 さようなら、ルイズさま。 わたしの、マスター……」 その呼びかけを最期に、彼女は動かなくなった。 ルイズが召喚したのは、ひとつの大きなカプセルであった。 高さは1.5メイル、長さは3メイル程もあろうか。上面は透き通った硝子のようなもので覆われており、中には一人の少女が横たわっていた。 ルイズがよく中を見ようと、しかし恐る恐るカプセルに触れた時、突如カプセルから声が聴こえてきた。 「アルファX02D、起動開始。 システムチェック、動力チェック、各種センサーチェック、各部駆動チェック……オール・グリーン。 アルファX02D、起動します」 思わず後ずさったルイズの目の前で、ゆっくりとカプセルが開き、中の少女が身を起こした。カプセルから降り立ち、軽く辺りを見渡す。 紺の髪をポニーテールに束ね、白いゆったりとしたワンピースを纏った少女。頭から伸びる二本の紐のようなものは何だろうか? その可憐だがどこか異様な姿の少女は、目の前にいる桃色の髪の小柄な少女……ルイズと目を合わせると表情ひとつ変えることなく尋ねた。 「あなたが……私のマスター・コマンダーですか?」 「マスター……そ、そうよ。私があんたのご主人様よ」 「マスター」、すなわち、「主人」。 全くの無表情で問うその少女に気圧されたのか一瞬口ごもるが、ルイズはしっかりと頷いた。 「了解しました。 パーソナルインフォメーションの取得を開始します」 「はぁ?」 突然わけのわからない事を言い出したその少女に、ルイズは怪訝な顔をする。 「……収録完了、識別子生成完了。貴女をマスター・コマンダーと認識します。 はじめまして、マスター。私はアルファX02Dです」 そう言って、ポニーテールの少女は軽く会釈した。 ……それが、ルイズとアルファの出会いだった。 端的に言ってしまえば、アルファは人間ではない。地上を襲った『大破壊』以前に建造され、暴走を続けていた巨大地上戦艦『ティアマット』の中で眠りについていた、人間型の戦闘兵器である。 従って、彼女は食事を必要とせず、まずは食事から躾けようとしたルイズの怒りを買う羽目になった。 睡眠も必要としない。当然藁のベッドも毛布も使わず、ルイズの部屋の一角に佇むその姿は当然ルイズの常識を超越しており、気味悪がったところもあっただろう。 結局、彼女の素性がはっきりしたのは、『土くれのフーケ』と呼ばれる盗賊が学院の宝物庫にある『破壊の杖』を狙い、30メイルはあろうかという巨大なゴーレムを差し向けた時であった。 ゴーレムに立ち向かおうとするルイズの前に立ち、アルファは勢いよくワンピースを脱ぎ捨てる。そこにあったのは、見たこともない薄い鎧のような肩当て・胸当て・腰当で構成されたプロテクターを身に着けた、戦乙女の姿だった。 片腕をゴーレムに向け、アルファは一言。 「レーザーライフル、発射」 ばくん、とゴーレムに向けた腕が上下に分割され、その間から光が迸る。それは正確に、ゴーレムの片足に直撃し、見事吹き飛ばした。 ……その光景を見て、ようやくルイズは、そして彼女の友人達は、彼女が人間でないことを理解するのであった。 アルビオンとの戦いから数日後。 トリステイン魔法学院には、奇跡的に生き延びたコルベールからアルファの戦死を聞かされ、泣き崩れるルイズの姿があった。 確かに彼女は人間ではなかった。その上感情を持たず、淡々と自分に付き従うアルファだったが、それでも彼女はルイズにとってかけがえのない存在となっていたのだ。友とすら、思えていたのだ。 コルベールは涙を流すルイズに、静かに告げる。 「アルファ君から、貴女に渡すよう頼まれたものがあります。ミス・ヴァリエール、ついて来なさい」 そう言って彼がルイズを連れて行った先は、タルブ村から回収した『鋼の地龍』が置かれている格納庫であった。 「彼女はこれを一人で乗りこなしていましたが、これは本来、車長・操縦手・砲手の3名で使うのだそうです」 地龍に手を当て、コルベールは言う。 「それを一人で使えるようにしたのが、Cユニットという部品なのだと、彼女は言っていました」 「……それが、アルファと何の関係があるんですか」 泣きはらした瞳を、ルイズはコルベールに向けた。 「アルファ君が人ではなかった事は、今更言うまでもありませんね」 コルベールも、ルイズに向き直る。 「彼女本人から聞いた話によれば、形や使い方が違うだけで、彼女もこの地龍と同じようなつくりになっているとのこと。 特に思考を司る部分は、このCユニットとほぼ同じなのだそうです。 ……彼女は恐らく、自分が早晩こうなることを予見していたのでしょう。彼女の思考と記憶を司る部品の外し方を、教えてくれていました。 そして、その使い方も」 そう言って、コルベールはルイズの手に何かを握らせた。小さくて硬い感触。 ルイズが手を開いて目を落とすと、そこには小さな鍵があった。 「彼女の身体は回収され、私に預けられました。そして私は彼女の意志に従い、貴女にこれを託します」 ルイズは視線を地龍に向ける。その地龍を動かす為の鍵こそが、今ルイズの持っている鍵であった。 「動かし方は解りますね?」 コルベールの問いに、操縦席で小さく頷くルイズ。何度かアルファが動かすのを見ていたので、鍵の使い方は把握していた。 鍵を差込み、軽く捻る。力強い咆哮を上げ、地龍が吠えた。その時である。 「――『零式』管制システム・アルファX02D、起動開始。 システムチェック、動力チェック、各種センサーチェック、各部駆動チェック……オール・グリーン。 『零式』、起動します」 ノイズが混じった少女の声。聞きなれたその声に耳を疑う。 「あ……アルファ!? あんた……」 「お久しぶりです、マスター。『零式』管制システム、アルファX02Dです」 ……鋼の地龍、いや、零式と呼ばれた戦車のCユニットとして、身体を失いつつも復活を遂げた、アルファの目覚めだった。 その後の彼女たちの活躍については、語るまでもないだろう。 『ゼロのルイズ』と『零式の戦車』。その奇妙な符号も手伝い、彼女らの名と姿は対『無能王』ジョゼフの旗印として長く語り継がれる事となる。 また、人々の生活を脅かす魔の手からの鋼の守り手、『ハンター』としても。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8643.html
前ページ次ページ使い魔ヨシヒコと零王の城 「ミス・ヴァリエール、前へ」 「はい……」 眼鏡をかけた頭髪の少し寂しい壮年の男性 コルベールに名を呼ばれ 桃色がかったブロンドの少女 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは僅かに表情を強張らせた。 今日は春の使い魔召喚の儀式の日 トリステイン魔法学院に在籍する生徒たちにとって、最も重要な儀式のひとつである。 何をやらせても、どんな魔法を使わせても失敗に次ぐ失敗 コモンマジックすら爆発させてしまう学院きっての劣等生のルイズではあったが、今日だけは違っていた。 彼女には自信があった。 否、それは確信と言ってもいいほどのものであった。 “必ず成功する”などというあいまいな感覚ではない“どのような使い魔を召喚するか”まで、思い描けていたのである。 ルイズは目を閉じ、静かに杖を頭上に掲げた 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」 緊張気味の表情とは裏腹に、心の奥は暖かな感情で満たされていった。 (…見える、見えるわ。私の使い魔となるものの姿が……!) 「五つの力を司るペンタゴン……」 心の奥底から湧きあがった熱は、少しずつ全身へ広がっていった。 (ドラゴン、グリフォン、マンティコアにバジリスク、バイコーンなんかも捨てがたいわね……) 「我の運命に従いし……」 熱は体の隅々まで駆け巡り、末端神経にまで到達していた (でも……) 「この世界……」 (だけど……) 「…ではない、異世界に住まうもの……」 そう、ルイズは確信していたのだ。 自身が呼び出す使い魔が、この世界の動物や幻獣などではなく、異世界より来るものであるという事を…!! サモン・サーヴァントはこの世界、彼女たちの住まうハルケギニアのどこかから動物なり幻獣を召喚する魔法である。 何が召喚されるかは、術者の実力と属性に応じて、ある程度の傾向が見られるが、具体的に「何が召喚されるか」は、召喚されるまでは分からない。 まして、ここではない「異世界」から召喚されるなどあり得ないし、そもそも異世界が存在するという事すら、彼女たちの常識ではありえないことなのである。 しかしルイズには見えていた。 異世界からやってくる、自分の使い魔の姿が。 (……「異世界の魔法学校」で校長を務めていた大魔法使い、白い装束に身を包んだ悪魔のような魔力を持った妙齢の女性魔導師 もしくは謙虚な騎士や、最強の戦闘民族、空を飛ぶ程度の能力を持った巫女さんを召喚するってのも悪くないわね……) そう、ルイズは「異世界」から「人間」を召喚するつもりなのだ! 「異世界」という時点で荒唐無稽に過ぎるのだが、まして人間の召喚ともなれば前例がない。それ自体はルイズ自身も重々承知していた。 しかし、それでもなおルイズは自分が「異世界から人間を召喚する」ことを確信していたのである。 …召喚するであろう対象をえらく具体的に想像したのは、まあたぶんどこかでアカシックレコードでもひも解いてしまったからであろう。 異世界へのアクセスには付き物の珍事である(んなわけあるか)。 それはともかく、彼女は自分の中で召喚対象のイメージを固めていった。 「我が導きに答えし…」 (…だけど、だけどね……) 「身長は170サント前後、黒髪黒目で私と同年代、ちょっとスケベだけど、とても頼りになる…平民!!」 (そう、平民!平民の男の子!!平民を召喚するのよ! 人間の、しかも平民を召喚なんかしたら、それこそ「ゼロのルイズがやりやがった」って馬鹿にされるでしょうね …でもいいの!“彼”は絶対に頼りになるんだから。最後まで私の力になってくれるんだから!! “彼”はちょっとスケベで…もしかしたら、私以外の女の子に目移りしちゃうこともあるかもしれないけど それでも最後には私のところへきて、私を助けてくれるわ。 だからそんなときでも、私は“彼”のことを叱っても、心から謝れば許してあげるわ。 …あっ、でも“彼”が私を巡ってワルド様と死闘を繰り広げるようなことになったらどうしよう。 いやん、こまっちゃうわ) などなど、取り留めもない妄想を働かせつつも、ルイズの詠唱は最終段階を迎えた。 「その者を、我に従いし使い魔として召喚せよ!」 そう叫びつつ杖を振るうと、その杖の先には果たして、銀色に光り輝く鏡が中空に浮かんでいた。 「…やった!成功した!!」 彼女の『サモンサーヴァント』は成功した。 あとは、この鏡を通り抜けてやってくる異世界からの使い魔を待つばかりである。 待つこと数瞬、「その者」は光の中から現れた。 身の丈170サント程度で黒髪黒目、肌はやや黄色がかっている。年齢は…一見すると彼女より数歳年上、20代前半くらい。 ただ、黒髪黒目で肌が黄色がかっている人種は、実年齢よりやや幼く見える傾向があると聞いたことがある。 であるならば、20代後半かもしれない。 …頭に巻かれた紫色のターバンとマントという出で立ちを見たときは、まさか「伝説の魔物使いの王様」でも召喚したかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。 全体的に見て、「大体は」予想通りであったが、やや狙いと外れていた。 そんな青年の出で立ちを見ながら、ルイズはしばし逡巡していたが、やがて結論を出した。 (……ちょっと予想とは外れていたけれども、概ね狙い通り。とりあえず良しとしよう!) そう結論付け、ルイズは後ろに控えていたコルベールを一瞥した。 コルベールは彼女と視線を合わせ、何も言わず、こくりと頷いた。 異世界…かどうかは分からないが、平民が召喚されるという前代未聞の珍事を目の当たりにし、コルベール自身少なからず驚いてはいたものの 学院の教師であり、伝統あるサモンサーヴァントの監督者でもあるという立場上、動揺を生徒たちに見せるわけにはいかなかった。 また、それ以上に「あの」落ちこぼれルイズがかなり異例とはいえ、ほぼ彼女の口にした通りの人物を召喚したということに、とても感心していた。 だからルイズの意志を尊重し、召喚の儀式を続行させることに決めたのである。 それを見てとったルイズは僅かに笑み、もう一度正面に向き直り、“彼”のもとへと歩を進めた。 “彼”とおよそ一歩の距離まで歩み寄り、今度はじっくりと観察した。 “彼”の瞳は、まっすぐルイズを見据えていた。 そして、何よりも“彼”は落ち着いていた。 「異世界に召喚される」という世紀の珍事を、今まさに実体験しているにもかかわらず、である。 (……よっぽど肝が据わっているのね。もしくは、前にもそんな経験をしてるのかしら?) そんな“彼”の様子に感心しつつ、これから自分が“彼”にたいしてすることを想像し、少し頬を赤らめた。 「か、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。」 自分で呼び出しといてそりゃないだろと言いたくなるが、彼女も年頃の少女である。やはり気恥ずかしさはあるのだ。 そんなルイズの様子を、“彼”は何も言わず、ただじっと見つめていた。 ルイズは“彼”の瞳に吸い込まれそうになる錯覚を感じながらも、気持ちを引き締めて儀式を続行した。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」 そう言い終わるや否や、ルイズは眼を瞑り、精一杯背伸びをして“彼”と唇を重ねた。 かくして、コンクラクト・サーヴァントは成功し、晴れて“彼”はルイズの使い魔となったのである。 唇を離し、赤みがかっていた頬をさらに朱に染めつつ、ルイズは使い魔となった“彼”を見た。 “彼”は相変わらず真っ直ぐな瞳で彼女を見つめていた。 いささかの動揺も見て取れない“彼”の様子に若干の悔しさを感じつつ、ルイズは自分の使い魔に対してまず何よりも初めに知るべき情報を得るために、彼に語りかけた。 「あなた…名前は?」 その質問を投げかけられ、“彼”は力強く、はっきりと答えた。 「私の名はヨシヒコ。勇者ヨシヒコです!」 (…ヨシヒコ…) 彼の名を心の中で反芻しつつ、ルイズはこれから彼との生活を思い描いていた。 ……しかし、ルイズが先ほど“彼”…ヨシヒコに対して感じた“違和感”が実際はとんでもなく大きな食い違いであったことに気付くのに そう長い時間はかからないのであった…… ――――――――――予算の少ない異世界活劇―――――――――― 使い魔ヨシヒコと零王の城 前ページ次ページ使い魔ヨシヒコと零王の城
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4131.html
「超少女明日香」シリーズより砂姫明日香 超少女明日香召喚-01 超少女明日香召喚-02