約 1,012,678 件
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/5612.html
autolink() ZM/WE13-32 カード名:笑顔の別れ ルイズ カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:4000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《虚無》? 【永】記憶あなたの思い出置場に「途切れぬ想い サイト」があるなら、このカードのパワーを+2000。 【自】[①]このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、あなたは自分の控え室の「途切れぬ想い サイト」を1枚選び、思い出にする。 私、あなたのこと、本当に大好きだった。 あなたと出会えて、幸せだった レアリティ:C illust. 12/04/24 今日のカード。 登場時に1コストを払うことで、特定カードを思い出に送ることができる。 1回目のプレイでは1/1/7000に劣るが、一旦思い出に送ってしまえば、2回目以降は単純な1/0/6000として扱える。 相思相愛 ルイズのCXシナジーを狙う場合、途切れぬ想い サイトを思い出に送るための役割を担う。 そちらを採用するのであれば、こちらも積極的に投入したい。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 途切れぬ想い サイト 2/2 6000/2/1 赤 記憶
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/459.html
autolink() ZM/W03-102 ZM/W03-104 カード名:負けず嫌いなルイズ カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:1 コスト:1 トリガー:1 パワー:4000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《虚無》? 【自】このカードがリバースした時、このカードとバトルしているキャラのレベルが1以下なら、あなたはそのキャラをリバースしてよい。 借りはちゃんと返すのが貴族ってものよ(コミケ配布版) 魔法が使える者を貴族と呼ぶんじゃない。 敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶのよ!(大会参加賞) レアリティ:PR illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 コミックマーケット74 ブシロード物販ブースで3000購入毎に1枚配布。 トライアル大会「ゼロの使い魔」の参加賞 2009/2/14~2009/3/15に横浜/名古屋で開催された「ディスガイアカップ、なのはStrikerSカップ、Fate/stay nightカップ、クライマックスリーグ【白リーグ】、クライマックスリーグ【黒リーグ】」の物販で3000買うごとに1枚 さすがはPRカード、と言った微妙な性能。 悪くはないがこのカードを1コスト払って出すくらいなら、他に出すカードがたくさんあると思われる。 この2つは完全な同一カードであり、デッキに投入出来る枚数も合わせて4枚となっている。 違いも絵、型番、フレーバーテキストのみであり完全なファン泣かせの1枚。 ・関連ページ 「ルイズ」? ・類似カード カード名 レベル/コスト パワー/ソウル 色 ゆず&慎 1/0 3000/1 赤 素直になれない佳奈多 1/0 3000/1 赤 “クールでお茶目”唯湖 1/0 3500/1 赤 無達 1/0 3500/1 赤 セイバーオルタ 1/1 4000/1 赤
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9068.html
その他 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ がんばれ武蔵軍団 石川賢作品より『武蔵を全部召喚』武蔵伝、魔界転生、柳生十兵衛死す、ゲッターロボアーク 武蔵 うる星ルイズの使い魔1/2(仮) 高橋留美子作品 そのキャラ 面接ンデレ 2ちゃんねる ゼロのスイーツ(笑) 2ちゃんねる カーチャン召喚 2ちゃんねる さらば黄金勇者 ~ブリミルよ、永遠に~ 黄金勇者ゴルドラン 全選手入場テンプレ グラップラー刃牙 『全イザベラ様入場』 グラップラー刃牙 完結作品入場!!! グラップラー刃牙 白き塔 現実世界 大陸間弾道弾 I.C.B.M 美しき使い魔 現実世界 二式飛行大艇 孤独のグルメ・異世界編 孤独のグルメ トリステインの踏鞴法師 特定の原作を持たない だいだらぼっち おじいさんの古時計 TOSHIBA創業者、田中久重 理想的民主国家トリステイン社会主義連邦 「速水螺旋人の馬車馬大作戦」収録「ユートピア・カフェはあなたの友」 ユートピア・カフェ 国歌という概念が召喚されました 栃木・群馬の県歌 『トリステイン愛国行進曲』 『愛国行進曲』 ガンダールヴ伝説 あなたの近所の秋葉原! あの国の国旗がウェールズ皇太子に召喚されました 旗 邪気乳 邪気眼 零顧の礼 諸葛亮孔明 ブリミルの使い魔いろいろ トランスフォーマー/平成仮面ライダー/少年ジャンプ 大岡裁き 絶対可憐チルドレン 召喚!ナイトスクープ 探偵!ナイトスクープを召喚 白鳥の使い魔 ギリシア神話 ゼウス Battleship of Zero 特定の原作なし 戦艦長門 ニャンの使い魔 日光江戸村 日光江戸村のマスコット・キャラ、ニャンまげくん ニャンの使い魔 外伝 日光江戸村 日光江戸村のマスコット・キャラ、ニャンまげくん ロードオブ厨二イーター3rd LoA ミリルゥ・ゼレス・水神 狩 ルイズが変態兵器?を召喚しました 現実世界 グレート・パンジャンドラム まともに召喚させてもらえないルイズ 複数作品 ハルケギニアの伊達直人 タイガーマスク ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1965.html
シエスタとモンモランシーの二人は、ヴァリエール家に到着してすぐ、ヴァリエール公爵夫人カリーヌ・デジレの出迎えを受けた。 滞在する部屋を準備させてあるので、今晩は疲れを癒すようにと言われ、二人はそれぞれ別の部屋に通された。 シエスタにとって、ヴァリエール家は「有名な貴族」であり「大きなお屋敷」でしかない。 しかし、モンモランシーは家名の『格』を気にしてしまう、ヴァリエール家は自分より遙かに目上なのだ、よってモンモランシーは、シエスタ以上に緊張していた。 あてがわれたゲストルームは、二つのベッドルームがリビングで繋がっており、モンモランシーは片方のベッドルームに行くとすぐに寝間着に着替えて眠ってしまった。 モンモランシーは緊張のあまり疲れてしまったのだろう。 一方、シエスタはなかなか寝付けず、窓から空を見上げていた。 エレオノールから聞いた話では、カトレアは生まれつき体が弱く、今まで何人もの高名な水のメイジに治療を依頼していたらしい。 だが、体を伝わる水の流れを何度治しても、またすぐ別の場所に異常が出てしまい、根治することができないのだ。 そんなカトレアの体を治すため、エレオノールは魔法アカデミーでの研究を志したと言う。 他のメイジが見向きもしなかった『波紋』の効能に、興味を惹かれたのも当然だと言える。 シエスタとモンモランシーがシュヴァリエを賜って間もない頃、タルブ村で治癒の力を使い活躍をした二人組の話が、エレオノールの耳に届いた。 エレオノールは、すぐに関連する資料を調べ上げ、オールド・オスマンへアポイントを取った。 オールド・オスマンは、モンモランシーを『将来有望な水のメイジ』として紹介し、シエスタを『オスマンと共に波紋を研究していた人物の曾孫』として紹介した。 「波紋を受け継ぐ者…か…」 ベッドの上でシエスタが呟く。 出発前、オールド・オスマンから、『波紋戦士』の立場は盤石でないと聞かされた。 何十年も昔、リサリサと共に波紋を研究していたオールド・オスマンは、波紋が人体に及ぼす影響だけでなく、魔法への干渉をも研究していた。 『水の秘薬』の効果を劇的に高めるのも、水系統の『治癒』を促進するのも波紋作用の一つ。 応用すれば、『毒』を排出することも、『覚醒作用』を持たせることも、『安心感』を得ることもできる。 波紋を好意的に受け入れて貰うためにも、またシエスタの立場を確固たるものにするために、オールド・オスマンはあえてエレオノールの耳に『波紋』の噂が届くようし向けたのだ。 あくまでも『治癒』の力として波紋を印象づければ、カトレアを治癒できなかったとしても、ヴァリエール家とのパイプは太くなる…そう見越してのことだ。 だが、シエスタには、そんなことはどうでも良かった。 ルイズが治してくれた足をさすりつつ、タルブ村に行く途中で乗り捨てた馬を思い出す。 仮にルイズが吸血鬼だとして、ルイズが人間との共存を望むとしたら、シエスタはルイズを殺す必要はないと考えている。 オールド・オスマンは、それを許すだろうか? ルイズの血は、際限なく食屍鬼を作り出し、世界を混乱させる恐れがある。 やはりルイズを殺さなければいけないのだろうか? なぜ私が波紋使いになってしまったのだろうか? 結論の出ない思考を続けているうちに、眠気がだんだんと強くなっていく。 シエスタは用意されたネグリジェに着替え、ベッドに入った。 その日、久しぶりにルイズの夢を見た。 翌朝、シエスタとモンモランシーは、ゲストルームのリビングで朝食をとっていた。 ヴァリエール家の朝食は魔法学院よりも早いので、魔法学院での朝食と同じ時間に食事をとれるようにと、公爵が二人に気を遣ってくれたらしい。 魔法学院の料理を任されているマルトーは、学院長が直々にスカウトした程の腕前だが、ヴァリエール家もそれに引けを取らなかった。 それほど、朝の食事は豪勢で、しかも食べやすいようにと様々な工夫が凝らされていた。 「ねえ、シエスタ、あなたは緊張してない?」 「え?」 シエスタが顔を上げると、向かい側に座っていたモンモランシーと視線が重なった。 モンモランシーの瞳は力強くも見えたが、どこか儚げだった。おそらくカトレアを治療する緊張感が勝っているのだろう。 それは無理もないことだと、シエスタは理解していた。 国内有数の水のメイジに治療を施されても、病気が根治しない…そんな相手を治癒しろと言われたら緊張するのは当たり前だろう。 「大丈夫ですよ、治せるかどうか、やってみなければ解りませんけれど…ほら、オールド・オスマンが出発前に『今のミス・モンモランシーなら微細な流れも解るじゃろう』って仰っていたじゃありませんか」 「うん…そうね、そうだけど……ねえ、私が何て言われてるか知ってる?」 「え?『香水のモンモランシー』ですよね」 「そうよ、私が一番得意なのは調香。食べ物に使われてる香草や薬味は臭いで解るわ。でも…今は駄目よ、緊張しちゃって、ちょっと自信ないの。弱気になると駄目ね…私」 「そ、そんなことないです!だって、タルブ村で、どんなに酷い怪我人もすぐに治療できたじゃありませんか。今回だって、悪い結果にはならないはずです」 「……怪我と病気は違うのよ。ミス・カトレアを長年治癒していた水のメイジがいるって聞いたでしょう?その人はトライアングルなんですって。私、その人と比べられるのかと思うと…緊張して食事の味もよく分からないわ」 「それでも、私たちは私たちの役目を果たすべきです、たとえどんな結果になっても」 シエスタの言葉を聞いたモンモランシーは、驚き目を見開いた。 「強いのね」 「私は強くなんか無いです、弱いから、必死にならざるを得ないんです」 「…そっか、そうよね。弱いから必死になるのよね…」 モンモランシーは、改めてシエスタの顔を見た。 シエスタは強い、迷いがない、今ならそう思える。 平民出身のシエスタに学ぶことがあるなんて思いもしなかった、だが、今ではそれも快く受け入れられる。 タルブ村で、治療のために奔走するシエスタの行動力、そして強い意志、それは魔法学院では滅多に見られない物だった。 貴族という立場に、家名にアグラをかいている生徒達と違い、シエスタは実力だけが評価されている。 そのハングリー精神が無かったモンモランシーの父親は慢心し、水の精霊を怒らせる真似をしてしまったのではないか。 父親を悪く言うつもりは無いが、父も典型的な貴族主義の貴族であり、シエスタのような目的意識を持たない貴族だと思えた。 だからこそ、今のシエスタがとても眩しく、そして力強く見えるのだ。 「ね、シエスタ。私も波紋が使えたら自信がつくかしら?」 「それは解りませんけど…でも、モンモランシーさんが波紋を使えたら、もっと沢山の人を治せると思います。だからモンモランシーさんにも波紋を会得して欲しいです。自信なんて…その後考えればいいじゃないですか」 「…そうよね。ありがとう。シエスタ」 朝食が下げられた後、メイドから今日の予定を告げられた。 ヴァリエール公爵との面会を済ませてから、カトレアの治療に当たって欲しいとの事だった。 二人は魔法学院の制服に着替え、マントを付けて杖を携えた。 お呼びがかかるまで部屋で待機しているのだが、この時間がやけに長く感じられた。 実際には、着替え終えてから五分と経っていないのだが、何かを待つ時間はとても長く、緊張に満ちている時間でもある。 パタパタパタと、誰かが廊下を走る音が聞こえてきた。 お呼びがかかるのだろうと思い、二人は居住まいを正したが、シエスタはふと疑問を感じた。 廊下を『走る』。それ自体公爵の住まう館では、異常なことではないか? そして不安は的中した。 コンコン、と急ぎ調子なノックの音が鳴る。 モンモランシーはすぐさま「はい」と返事をした。 「大変です!カトレア様が発作を起こされました、すぐにカトレア様を診て頂けませんか!」 メイドの声に驚き、二人は顔を見合わせた。 二人は同時に頷くと席を立ち、カトレアの部屋へと急いだ。 カトレアの部屋に入った二人は、急ぎカトレアの容態を見るべくカトレアに近づいた。 ベッドの上で苦しそうに呼吸するカトレアの姿は、エレオノールとは正反対とも言える容姿だった。 シエスタの胸が高鳴る。 ピンク色の髪の毛はルイズを彷彿とさせる、顔つきもルイズによく似ている、姉妹だから当然かもしれないが、それでもシエスタにとっては大きな事だった。 カトレアの従医が杖を向けて小声でルーンを詠唱しているが、カトレアが落ち着く様子はない、ゼェゼェと息を切らせて苦しそうにしている。 「行きましょう」 シエスタが歩き出した。 モンモランシーが一歩遅れて続き、カトレアの傍らへと立つ。 「君たちがシュヴァリエを賜ったメイジかね?」 カトレアの従医が、杖を引き、二人に向かって問うた。 「「はい」」 男はカトレアに視線を戻すと、左手で自分の頭を押さえた、どうすれば良いのか解らないのだろう。 「今回のは特に酷い、水の濁りが治まらないんだ」 「濁りが?」 モンモランシーが聞き返しつつ、カトレアの体に杖を向ける。 窓から差し込む日差しに、間接的に照らされたカトレアの体は、姉のエレオノールよりもわずかに濁って見える。 それがどれだけ異常なことかモンモランシーにもよく解る。 「シエスタ!波紋を流してちょうだい…体の末端から様子を見るわ」 「はい!」 シエスタがカトレアの手を覆うように握る、そして、深く息を吸い、横隔膜をコントロールし、体の浄化能力を活性化させる波紋を流した。 その上にモンモランシーの杖が触れる、波紋がどういった効果を生み出すのか、水の流れから感じ取るためだ。 結果として、波紋はカトレアの治癒に効果があった、体のほんのわずかな変色と、カトレアを襲っていた強烈な悪寒が治まり、呼吸がだんだんと安定してきたのだ。 その間、モンモランシーはひたすらカトレアの体を観察していた。 『より微細な流れを感じ取りなさい』オールド・オスマンの言葉である。 タルブ村では、主に怪我人を相手に治癒を繰り返していた。 外傷の酷い者もいれば、内臓にダメージを負った者もいる、病人の場合は後者と同じで内臓に目を向けなければならない。 モンモランシーは、波紋によって浄化されていく体から、いくつかの『原因』を抽出していった。 三十分ほどすると、カトレアの体から汗が流れ出す、その汗は脂汗であり、冷や汗でもあった。 人間の体は、少しずつ毒を溜め込み、『水』と共に排出される。 尿や汗がそれだ、だが、カトレアの体は解毒作用が極端に低下している。 シエスタから『波紋』のサポートを受けることで、溜まっていた毒が汗として排出されたのだとしたら、間違いなくカトレアは浄化能力が極端に低下している。 肝臓か、脾臓か、腎臓か、それとも水の流れを生む心臓か。 ……モンモランシーは、心を落ち着ける香水を持ってくれば良かったと、頭の隅で考えていた。 「ふう…」 シエスタがため息をつく。 一時間以上波紋を流し続けていたが、全力で流していた訳ではないので体力的には疲れていない。 だが、精神的な疲労は確かにあった。 ルイズによく似ている人物が、目の前で苦しんでいるというだけでも辛いのに、それがルイズの実姉だと言うのだ。 自分が抱えている秘密…ルイズを殺すために波紋を学んだという事実を秘匿したまま、カトレアを治療すると思うと、どこかやるせない気持ちがわき起こる。 身体の様子を調べていたモンモランシーが杖を収めると、傍らで見ていた従医が入カトレアに杖を向けた。 「……ふむ、小康状態か、いや二人ともありがとう、このところカトレア様の発作が長引いておられたので、私一人では体力的にも辛いところだった。助かったよ」 そう言って額を拭う、どうやらこの医者も長く治癒を続けていたらしく、疲れが見えていた。 「カトレアは落ち着いたの?」 突然聞こえてきた声に、シエスタとモンモランシーが驚く。 声の主はエレオノールだった、いつの間にかカトレアの部屋に居たのだ。 「今のところは安定していますわ」 モンモランシーの言葉に安堵したのか、エレオノールは「そう」と呟いてため息をついた。 エレオノールは椅子を引き、カトレアの隣に座る。 汗でべたついたカトレアの髪の毛を手ですくと、寂しそうに、そして愛おしそうにカトレアを見つめた。 「ミス・モンモランシー。ミス・シエスタ。カトレアの病状は解ったでしょう…原因もよく分かっていないの。何か感じたことはある?」 「身体の中が全体的に弱まっています、毒を溜め込んでしまうような…」 モンモランシーが呟くと、エレオノールは従医に目配せをして「あれを持ってきて」と言った。 従医が退室すると、しばらくしてから何枚かの絵図面らしきモノを持って部屋に戻ってきた、エレオノールは絵図面を受け取るとモンモランシーにそれを手渡した。 「これは…日付が沢山書き込まれてる…もしかして、ミス・カトレアが今まで発作を起こした箇所ですか?」 「そうよ」 エレオノールがモンモランシーの言葉を肯定する、シエスタが絵図面をのぞき込むと、そこには人体の簡素なイラストと、いくつもの矢印と丸印、そして日付が書かれていた。 「これは…ここ一ヶ月以内のモノしか書かれていませんね」 シエスタが呟くと、エレオノールは窓の外を見つめつつ、言い聞かせるように喋り始めた。 「あの子が死んだって聞かされた時、カトレアはひどい発作を起こしたの。それから発作の頻度が多くなって……今は立ち上がることも辛そうなの」 シエスタの身体が、ぶるっと震えた。 あの子とは、ルイズのことだ。 それに気付いたとき、シエスタの身体は恐怖と武者震いで震えたのだ。 「ん…」 「カトレア、目が覚めた?」 エレオノールがカトレアの顔をのぞき込むと、カトレアは薄目を開けて、自分を取り囲む人たちの姿を見回した。 身体を起こそうとしてベッドに手をついたカトレアだが、体力が衰えているためかうまく上体を起こせない。 「だめよ、寝ていなさい。…お願いだから、ね」 エレオノールが優しくカトレアの頭を撫でると、カトレアは小声で呟いた。 「……そちらのお二人が、魔法学院のお医者様?」 「ええ、そうよ。ルイズと一緒に学んだ仲なんですって」 「そうなの……あの子が沢山迷惑をかけたでしょう?」 カトレアはほほえみを浮かべた、どこか懐かしむような笑みはルイズの笑顔を彷彿とさせる。 厳しさのあったルイズと違い、カトレアは慈愛に満ちた瞳をしている。 だからこそ解る、ルイズが目指していた憧れの人とは、きっとこの人に違いないと、直感的に感じるのだ。 「私はカトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ 。まずはお礼を言わせていただきますわ…。ところで、お二人の名前も聞かせてくれないかしら」 「はい。私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ」 「私は、シエスタ・シュヴァリエ・ド・リサリサです」 「あら、貴方がシエスタさんね、ルイズからの手紙に貴方のことが書いてあったわ」 「えっ」 静かに微笑むカトレアの瞳は、とても優しかった。 魔法学院で、自分に声をかけてくれたルイズのように、慈愛に満ちた瞳だった。 この場にいる誰も気付かなかったが、カトレアの隣に座るエレオノールの表情が少し強ばっていた。 ルイズはカトレアに懐いていた、対して自分はルイズに恐れられていた。 手紙を貰っていたカトレアが、とても羨ましく思えた。 一方、場所は変わり、トリステインの首都トリスタニア、その一角。 『魅惑の妖精亭』では、相変わらずロイズ(ルイズ)とロイド(ワルド)の二人が仕事に追われていた。 ルイズは高くもなく低くもない、中堅どころの人気を得ていた。 ワルドは表に出ることなくひたすら裏方仕事を続けている。 店主のスカロンが『訳ありなのに顔を出しちゃまずいでしょ』と気を利かせてくれたのだ。 ワルドは、自分の心境の変化に驚きつつ、これが当然だとも思えていた。 ルイズと再開して母を蘇らせ、リッシュモンに復讐すると誓ったあの日から、価値観がすべて一度崩れ去った気がする。 一度崩れた価値観は、ルイズを中心として再構築され、今は自分でも驚くほど皿洗いが気に入っている。 つかの間だと解っていても、平和なのだ、この場所が。 魔法衛士隊に正式に入隊する前は、実力を見せつけるために無茶な任務に志願し、何度も死線をくぐり抜けて仕事をこなした。 時には農村を襲うオーク鬼を退治したり、はぐれの火竜を退治するなどもした。 その時、村人から感謝されたりもしたが、正直なところ何の感慨も涌かなかった。 たが今は違う、皿洗いをしたり重い荷物を運んだり、閉店後の後かたづけをして、ルイズや他の店員から礼を言われるのがとても嬉しかった。 トリステインの腐敗も、己の名誉欲も、母を蘇らせるという目的も、すべて過去のもの。 今自分がやるべき事は、リッシュモンに復讐する機会が来るまで、ここで与えられた仕事を全うすることだ。 つかの間の平和であったとしても、平和は尊い。 暗闇に光が差し込んだような晴れ晴れとした気分で、ワルドは今日も皿洗いを続けていた。 ルイズは、そんなワルドの変化を感じ取っていた。 仮面のように張り付いた作り笑いではなく、飾り立てもしない健やかな笑みがとても嬉しかった。 思い出の中の、青年時代のワルドよりもずっと魅力的に思えるのだ。 閉店時間が近くなり、ルイズが厨房へと入ってきた、ワルドの隣に並び顔をのぞき込む。 「手伝うわ」 「いや、いいさ、すぐに終わる」 「こんなに沢山皿が残ってるじゃない、私も手伝うわよ」 水場に積み重ねられた食器はかなりの数だった、タワーのように積み重なる食器を一枚一枚手に取り、洗っていく。 ワルドの付けている義手は人間と見紛う程のものだが、精密な動作は完璧ではないので不意に力がかかってしまう。 昨日、それで二枚も皿を割ってしまったので、ワルドはおそるおそる食器を洗っていた。 ルイズが横から手を伸ばすと、皿を左手に持ち、右手でキュッと音を立てて拭う。 すると不思議なことに、ルイズが手で拭った箇所が、汚れ一つ無いほど綺麗に磨かれていた。 「…?」 ワルドが首をかしげると、ルイズは掌を見せた。 ルイズの手のひらは、銀色の毛で覆われており、ブラシのようになっていた。 手首に仕込んだ吸血馬の骨が、黒と銀色の毛を掌に伸ばしていたのだ。 毛の先端は微細で、堅すぎず柔らかすぎない、どんな細かい汚れも落としてしまう。 「便利だな」 「でしょう」 カチャカチャと音を立てながら、食器を洗い続けていると、不意にワルドの動きが止まった。 ルイズは、どうかしたんだろうか?と思いつつワルドの表情を見た。 そこに居るワルドは、かつてニューカッスル城で見たような、感情の見えない顔をしていた。 ルイズの肘がワルドの腕を軽くノックする、ワルドはハッと我に返り、ルイズの方を見た。 「どうしたの?」 「耳を貸してくれ」 ルイズがワルドに密着すると、ワルドはルイズの耳元に口を近づけ、小声で呟いた。 「『遍在』がラ・ロシェールに居るんだが、フーケが何者かに襲われているのを見つけた。相手は……」 「相手は?」 「おそらく、クロムウェルが蘇らせた、ウェールズの近衛兵だ」 「…!」 ルイズの表情が、心なしか厳しくなり、髪の毛がほんの少しだけ逆立つ。 「洗い物は頼むよ、僕は先に部屋に戻る」 手の汚れを軽く洗い落として、ワルドは部屋へと足を向けた。 「…助けてよ、お願い」 ルイズの呟きが、やけにハッキリと聞こえた。 ワルドは、他の店員達に顔を見られぬよう、俯いたまま部屋へと戻っていった。 怒りでも悲しみでもない、目の前の敵を排除するという目的のために、ワルドの表情は凍り付いていく。 その顔を見られたくないのだ。 部屋に入ると、ベッドの上に転がり、目を閉じた。 マチルダ・オブ・サウスゴータは、魔法学院での名をロングビルといい。盗賊としての名を土くれのフーケという。 彼女がどんな理由でラ・ロシェールにいるのか解らないが、とにかく今は彼女を助けるために尽力せねばならない。 ワルドは、トリステインで最も多く、また長距離にわたって遍在を使えると自負している。 『魅惑の妖精亭』で本体は身を隠し、遍在を使って各地の調査に当たらせていたのだ。 だが、遍在ばかりに頼っては居られない、レコンキスタからの暗殺者や、そのあたりのごろつきに『魅惑の妖精亭』が襲撃されるかもしれないのだ。 だから本体にもある程度の精神力を残しておく必要があった。 だが、今はそんなことも言ってられない。 全精神力を遍在に配分し、本体が気絶するまで精神力を使い、全力でフーケを助けるつもりなのだ。 ルイズは、フーケを信頼している。 そしてフーケもまたルイズを信頼している。 仮に、フーケがレコン・キスタに捕らえられたとしたら、水の魔法などで『騎士』の正体がルイズだと知られてしまうだろう。 それを防ぐためには、フーケを殺してしまうのが一番良いのだ。 だが、ルイズは『助けてよ』と言った。 甘い、甘すぎる。 容赦なく敵兵を殺す吸血鬼でありながら、心を許した仲間には甘い。 だからこそ自分はルイズが好きなのだろう。 そんなことを考えながら、ワルドは目を閉じて意識を集中させていった。 ロングビルは、シエスタとモンモランシーを送り出した後、オールド・オスマンに頼み休暇を貰っていた。 アルビオンに残している身内が心配なので、休みが欲しいと申し出たのだ。 ロングビルの故郷はアルビオンである、現在はなりを潜めているが、戦争をしていることに違いはない。 ラ・ロシェールからアルビオンに行くには、密航しか方法がない。 オールド・オスマンはロングビルを引き留めたが、ロングビルの決意を崩すことはできなかった。 事実、ロングビルは焦っていた。 ティファニアに物資を援助している商人と、このところ連絡が付かない。 その上、ルイズから渡されたメモには、ティファニアが虚無の使い手であり、レコン・キスタが虚無の使い手を捜していることまで書かれていた。 レコン・キスタからワルドに与えられた任務の一つに、『始祖のオルゴール奪取』があった。 レコン・キスタが虚無の使い手と、キーアイテムを探しているのは間違いない。 ルイズはロングビルに気を利かせたつもりだが、逆にそれがロングビルを焦らせることになった。 ロングビルの熱意に負けたオールド・オスマンは、ついに休暇を認めたが、危険を感じたらすぐに帰ってくるようにと何度も念を押した。 そして今、ロングビルはラ・ロシェール近くの旅籠で盗賊に襲われ、街の外に逃げ出していた。 森の中で、左の上腕に火傷を負い、荒く息をついている。 ただの盗賊が相手なら、ここまで後れを取ることも無かったが、メイジ崩れの盗賊があいてでは分が悪い。 その上、かなりの訓練を積んでいるのか、統率のとれた動きでじわりじわりとロングビルを追いつめている。 「はぁッ…はぁ…ちくしょう、ちくしょうっ…」 絶体絶命だった。 一人、二人、三人、四人と、敵が姿を現していく。 相手はおそらくトライアングル、それが四人。 火、土、水、風で構成された部隊が相手では、フーケの勝ち目は皆無だった。 「…ただじゃやられやしないよ…!」 そう言って、折れた杖を構える。 すると、距離を置いてフーケを取り囲んでいた四人も、杖を構えた。 フーケは、正面にいるメイジの姿を凝視した、薄汚れたローブは胸の前が裂けており、鉄でできた角が深々と刺さっている。 この盗賊達は、フーケが練金で作り上げた槍を食らい、一度は倒れたのだ。 それで安心していたのがいけなかった、死んだはずの盗賊達が内蔵を引きずりながら起きあがり、魔法を使ってきたのだ。 風の魔法を防ぎきれず、フーケは杖を折られてしまった。 「冗談じゃないよ、ゾンビかい?」 心なしか、フーケの声は震えていた。 ゆっくりと、フーケを囲う包囲網が狭まる。 正面にいる男がぴたりと歩みを止めると、不意にフーケの視界が白く濁った。 「ふあ…」 身体から力が抜け、あくびが出る。 まずい!と思ったフーケは、頭をかきむしり、髪の毛を引っ張って眠気に耐えた。 (ああ、これはスリープ・クラウドだ、私を眠らせる気なのか、このゾンビどもは) 強烈な眠気に耐えきれず、意識を失いそうになったその時。 目の前のから、ごろりと首が落ちた。 「!?」 驚いたフーケの後ろで、ドンッと爆発するような音が聞こえた。 後ろを振り向くと、もう一人の盗賊が、何かの魔法で吹き飛ばされ宙を舞っていた。 突風が吹き荒れ、風の刃が盗賊を切り刻む、特に念入りに首と胴を切り離され、ズタズタになった体が地面に落ちた。 残った二人の盗賊は、フーケではなく、突然現れた敵に向けて杖を構えた。 「死人を使って女を襲うとはな」 (どこかで聞いた声がする、そうだ、ルイズの連れていた男の声だ) 薄れゆく意識の中で、フーケはワルドの戦いを見つめていた。 エア・ニードルとエア・スピアーを駆使して、容赦なく首をはねるその姿は、死神のような雰囲気を身にまとっていた。 手際よく切り落とされた首が転がり、フーケを見る。 ぱくぱくと数秒間口を動かすと、それっきりピクリとも動かなくなった生首が、フーケをじっと見つめていた。 フーケは、生首の瞳を眠そうな眼で見返すと。 (ざまあみな) と呟いて意識を闇に落としていった。 To Be Continued→
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/15878.html
【検索用 るいすぅぅうううわぁあああああんP 登録タグ 作り手 作る 作曲家】 + 目次 目次 特徴 リンク 曲 CD 動画 関連タグ内の更新履歴 コメント 【ニコニコ動画】 特徴 作り手名:『ルイズぅぅうううわぁあああああんP』 2chで有名なルイズコピペに曲をつけた「ルイズぅぅうううわぁあああああんの歌(仮)」でデビューしたP。そして、デビュー曲のタイトルそのままなP名が付けられた。 「ウミツキ」、「sazabie」とも呼ばれる。現在の活動名義は「lily」。 曲はともかく、歌詞はかなりカオス。 リンク Twitter 曲 仮にリアルで女装美少年が迫ってきたら ルイズぅぅうううわぁあああああんの歌(仮) CD まだCDが登録されていません 動画 関連タグ内の更新履歴 + 関連タグ内の更新履歴 関連タグ内の更新履歴 ※「ルイズぅぅうううわぁあああああんP」「ルイズぅぅうううわぁあああああんPCD」タグ内で最近編集やコメントのあった記事を新しい方から10件表示しています。 仮にリアルで女装美少年が迫ってきたら ルイズぅぅうううわぁあああああんの歌(仮) コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pmvision/pages/1820.html
「ルイズ」 ルイズ/7弾 ルイズ/13弾 ルイズ/16弾
https://w.atwiki.jp/tamakagura_battle/pages/270.html
無振り80族はS185、90族はS205、乱数で20変動するのでS225あれば無振りなら抜けます。極振りの場合はルイズを極振りにしても足りないので装備で補う必要があります。極振りの速度装備の場合は相手側最低乱数、ルイズが最高乱数引けばわずかに抜ける可能性はありますがほとんどの場合は抜けません。 - 名無しさん 2016-04-22 02 15 20 ↓間違えた S80~90のコダマを抜くにはSをどのくらいに振れば良いのですか? - 名無しさん 2016-04-15 17 09 52 S80~90no - 名無しさん 2016-04-15 17 08 19 とりあえず作成しました、至らない点など御指摘いただければ - 名無しさん 2014-09-28 21 13 06
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/3413.html
虚無の担い手ルイズ 光/火 アンコモン (5)2000 アーク・セラフィム ■このクリーチャーが攻撃する時、相手とジャンケンをする。自分が負けた場合、自分の他のクリーチャーを1体選び、破壊する。 ■パワーアタッカー+7000 ■スピードアタッカー ■W・ブレイカー ■このクリーチャーは可能なら毎ターン攻撃する。 (F)わたし、きっと、あなたがいなくなるのだけは、耐えられそうにない ‐虚無の担い手ルイズ 作者:rular 元ネタありのカード。 テキストには出てこないけど、虚無の使い魔サイトは必須。でないとジャンケンに負けた時が酷い。 スピードアタッカー・Wブレイカーでパワーアタッカーだから、運がいい人ならかなりの鬼カードになりますが。 同じ私の元ネタつきオリカながら、翔天護聖ハヤテとの組み合わせは最悪w 評価
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1665.html
トリステインの郊外には、動物を食肉に加工するための場所があった。 屠殺場といっても規模はそれほど大きくないが、質は高い。 時々、トリステイン魔法学院のコック長マルトーが、注文しに来るほどだ。 アニエスと、フードを深く被った女生が、平均的な馬よりも二回りは大きい馬に乗って、屠殺場を訪問した。 「この屠殺場には衛生面で不備があると噂があった、よって緊急の視察を行う、異存はないな?」 アニエスの掲げた羊皮紙が、長身の筋張った身体をした男に突きつけられる。 男は、白髪交じりの頭を手ぬぐいで覆っており、髪の毛を隠しているが、眉毛や口ひげに白髪が交ざっている。 顔には、頬と眉間に深いしわが刻まれており、樹液と膠でコーティングされた革のエプロンが熟達した年季を感じさせていた。 初老に差し掛かっているこの男は、屠殺場の所長であった。 「…へ、へえ、ここ数年うちから出した肉で食中毒なんて起こしてないはずですが」 所長がうろたえ気味に答えると、アニエスは視察の旨が書かれた羊皮紙を丸めて懐にしまい、態とらしく肩の力を抜いて笑った。 「だから、その実態調査だと言っている。…まあ、形式上の視察だ、よほど不衛生な扱いをしてなければ罰則を適用することもない」 口調はともかく、アニエスのくだけた雰囲気で少し気が緩んだのか、所長もまた笑顔で答えた。 「わかりやした。解体場所から見て貰いましょう、こちらです」 所長がアニエスを案内している頃、フードを被った女性は馬を引き連れて、裏口に並べられた樽を物色していた。 「…ふむ、特に問題は見受けられないな」 「そうでしょうとも、うちの肉は魔法学院にも卸します、生徒さん達の口に入る物をぞんざいには扱えませんでさぁ」 「わかった、問題ないと報告しておこう。何、私もステーキは大好物だ、これなら私も安心して食べられるよ」 「お褒め頂きありがとうございます、あ、そうだ、折角ですから…肉の良いところをローストにしますが」 所長は嬉しそうに顔をほころばせて申し出た、アニエスはローストと聞いて口の中に涎が溜まるのを感じたが、ここは我慢すべきだと考えて、ごくりと唾を飲み込んだ。 「それは賄賂になる、お断りしよう」 「へ、へい、わかりやした!」 所長は恐れ入ったとばかりに、右手で自分の頭を押さえた。 所長が視察に来た騎士を見送り、屠殺場に戻ると、そこで働く若い男が所長に声をかけてきた。 「所長、今日はもう血は捨てましたっけ?」 「ああ?血がどうしたって」 「いや、豚の血を貯めておいた樽の中身が、ぜーんぶ無くなっちまったんですよ」 「何だそりゃ。まさか、誰か、勝手に捨てたんじゃあるめえな」 「工場には全員居ましたし…樽に穴でも開いてたんですかねえ?」 「かもしれねえなあ、おい、しっかり修理しとけよ」 「へい!」 その頃、フードを被った女性が盛大なゲップをして、アニエスは眉をひそめたとか。 シエスタ達が『竜の羽衣』の安置されているタルブ村へと向かった頃。 ルイズとアニエスの二人は、ラ・ロシェールにほど近い森の中を歩いていた。 「街道を通らずにラ・ロシェールにまで来たのは初めてだよ」 ラ・ロシェールの巨大な桟橋がいよいよ近づいてくると、感慨深そうにアニエスが呟いた。 アニエスはルイズと一緒に、吸血馬に乗ってラ・ロシェールまで来たのだ。 人目を避けるため、街道ではなく森の中を通って来たのだが、道無き道を進んできたのにもかかわらず二日で到着してしまった。 「ごめんなさいね、森の中だと乗り心地悪かったでしょう?」 「いや、そんなことはない、この馬は大きくて安定感がある、おかげでさほど疲れてもいないよ」 アニエスの言葉を聞いて、吸血馬がブルルルルと、声を上げた。 「あら、この子喜んでるわよ」 「…吸血馬も、喜ぶのか?」 「吸血鬼の私にも喜怒哀楽はあるわよ、この子にもきっとあるわ」 「そうか…そうだったな、浅慮な言葉だった、すまない」 「気にしてないわ、この子も私も特別だしね」 ルイズは、吸血馬のたてがみを撫でた。 ラ・ロシェールに到着した二人は、吸血馬を森の中で待機させ、宿を取った。 まだ日が昇っているうちに、アニエスは情報収集を努め、ルイズは森の奥で何か捜し物をしに行く。 夜になって宿屋で合流し、ルイズはアニエスから潜入工作のレクチャーを受けた。 「…で、戦災孤児なら文字を読めないことも多いのね?」 「そうだ、骨の長さを変えて子供に変装するなら、その点に注意した方がいいだろう」 「言われてみれば、そうねえ…」 ルイズが顎に手を当てて、考え込む。 アニエスは辛い過去があり、復讐のために傭兵をやっているそうだ。 細かいことは聞かなかったが、とにかくその執念たるや並のものではない。 ルイズは、アニエスの豊富な知識に、素直に感心していた。 「と、まあ、以上が私からの注意点だ、役に立ってくれれば幸いさ」 「ありがとうアニエス、貴方って優しいのね…食べちゃいたい」 「…え、遠慮しておく、その、捕食の意味でも、性的な意味でもお断りする」 「うろたえてるわね? アニエスったら…けっこう可愛いところあるじゃない」 「バッ、馬鹿!おまえこの間16だって言ってただろう、年上をからかうなっ!」 「ほんの冗談よ、冗談…でも、好意を持っているのは本当よ」 「…好意だけなら頂いておくよ…そろそろ時間か?」 アニエスが窓から空を見ると、半分ほど重なった月が爛々と輝いているのが見えた。 その様子を見て、ルイズはフードを被り、デルフリンガーを背負った。 「それじゃ、そろそろ行ってくるわ。アンによろしくね」 「私は明日の朝、早馬で宮殿に戻る…ラ・ロシェールで貴公を待つことはできないので、くれぐれも気をつけてくれ」 「ええ、ありがとう」 ルイズはアニエスに礼を言って、部屋を出て行った。 静かになった部屋の中、アニエスはベッドに転がり、大きくため息をついた。 「不思議な奴だな…」 おもしろい、実に面白い。 『石仮面』という人…いや、吸血鬼は、とても不思議な魅力を持っている。 アニエスは復讐のため傭兵となり、軍隊に入って、何人もの人を殺してきた。 場合によっては、吸血鬼討伐にかり出される可能性もあっただろう。 吸血鬼は、狡猾、残忍であり、しかも人間を食料とする恐怖の存在だった。 しかし彼女『石仮面』はどうか? 食屍鬼は作らないと約束し、わざわざ屠殺場で動物の血を飲み、そして冗談も言う。 プライドで凝り固まった貴族よりもずっと面白い。 圧倒的な力を持ち、それを行使する存在…アニエスは、ルイズの持つ”危険な力”と”幼さ”のギャップに、惹かれていた。 そしてアニエスは、『復讐』のために『石仮面』の協力を得られないだろうかと、深く思惟するのだった。 ラ・ロシェールの街を離れ、森の中へと入ったルイズは、口笛で吸血馬を呼んだ。 「グルルルルルル…」 主を気遣って、優しく喉を鳴らしたつもりだが、その音はとても低く力強い音だった。 「…大丈夫よ、ちょっと不安だけど、何とかなるわ」 だがルイズには吸血馬の言わんとしていることが判る。 コントラクト・サーヴァントをしていなくとも、同じ『吸血鬼』として感じるものがある。 吸血馬が、ルイズを心配しているのだと、十分に理解できた。 「さ、行きましょう」 ルイズがそう言って吸血馬にまたがると、吸血馬は行き先を知っているかのように走り出した。 巨体が、足音を殺して森の中を走った。 しばらく走ったところで、目印となる岩が見えた。 周辺に生えた木々は、何かが衝突したのだろうか、不自然に折れている。 岩の裏側に回ると、そこには骨と皮となって、腐ったと言うよりはミイラ化した竜の死体があった。 「やっぱり、この間の戦いで何匹か墜落していたのね、よく探し当てたわ…偉いわよ」 吸血馬はルイズに撫でられて、グルルルルルと、まるで竜のように鳴いた。 『なー、嬢ちゃん、このミイラで何すんだ?』 「見ていれば判るわよ、…さ、やって頂戴、あなたなら出来るわ、私を大空に運んで」 デルフリンガーの問いに答えるかのように、吸血馬が竜の死体にまたがる。 この竜はそれほど大きくなく、タバサの乗るシルフィードよりも一回り小さい。 飛行能力は風竜に劣るが、それでも人一人を乗せて飛ぶには十分な大きさだった。 吸血馬は、その身体をミイラの上に乗せると、徐々にミイラを身体に取り込んでいった。 乾燥し、骨が露出していた翼に生気が戻る。 吸血馬がミイラと融合し、血液が巡り、竜はだんだんとその身体を完全な物にしていった。 「グアアア…ゴアアア…」 脳にまで血が回り、再生されかけたところで、吸血馬は竜の脳を噛み砕き、咀嚼した。 そのまま身体を完全に竜の身体へと浸透させ、鱗を身に纏う。 大した時間もかからずに、吸血馬は、吸血竜へと姿を変えてしまった。 「グルルル」 『…ホント、おめえら何でも有りだな』 「何言ってるのよ、喋る剣なんて”何でもあり”の筆頭格じゃない」 『まーな』 吸血竜は、馬よりも大きな目でルイズを見ると、首を動かしてルイズの身体にこすりつけた。 「偉いわ、ちゃんと私のことが判るのね…血は足りる?足りるならアルビオンに出発しましょう」 その言葉を聞いて、吸血竜はしゃがんだ姿勢のまま翼を折りたたんだ。 ルイズが背中に乗ると、吸血竜は翼を勢いよく広げ、ぶわさっ、と飛び上がった。 「きゃっ! まだ慣れてないの?大丈夫よ…大丈夫、私のテンポに合わせて」 吸血馬が竜の身体をコントロールしているので、翼の動かしかたが微妙にちぐはぐになってしまう。 ルイズはそれを押さえるために、背中に指を突きさして、竜の脊椎に触れた。 ビクン、ビクンと信号を送り、翼のタイミングを計る。 五分ほどすれば、すぐにその信号を覚えてしまい、吸血竜は勢いよく空に飛び上がった。 「…イメージ…そう、雲と、空…」 ルイズは太ももに指をずぶりと突き刺し、肉と骨の間に仕込んだ杖を引き出した。 右手に持って空に掲げ、詠唱を開始する。 想像するのは、夜空。 誰もいない夜空。 竜も、雲も、船も、『誰もいない空』をイメージして、ルイズは『イリュージョン』の呪文を唱えた。 翌日。 アルビオンの周辺には、アルビオンに出入する船や竜を監視している龍騎士がいた。 クロムウェルが皇帝になってから、アルビオンから逃げ出そうとするものが後を絶たない。 しかも明け方の雲に紛れて、間者が竜などに乗ってアルビオンに潜入する可能性があった。 竜騎士隊は、昼夜を問わず空を監視していたのだ。 その龍騎士の耳に、ばさっ、ばさっ、と、翼のはためく音が聞こえた気がした。 「……今の音は、何だ?」 周囲を見渡すが、だれも居ない。 アルビオンから落ちる滝が水蒸気となり、雲を作っている以外には、周辺には雲も見あたらなかった。 こんな見通しの良い場所で竜が通れば、一目でわかるだろう。 「気のせいか…」 龍騎士は、自分の乗っている竜が出した翼の音だろうと勝手に納得し、哨戒を続けた。 「グルル…」 龍騎士の操る竜が、静かにうなる。 どこからか漂ってくる、同族の死体の臭いを嗅いで、竜が怯えていのだ。 たが、龍騎士がそのことに気づくことはなかった。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1318.html
「…とまぁ、それがワシとリサリサ先生の出会いだったんじゃよ」 オールド・オスマンが水パイプを取り出しつつ、感慨深そうに話す。 「へぇ、その人の血を、シエスタは一番濃く受け継いでる訳ですか、何ともまぁ…」 マルトーが驚き半分、呆れ半分といった感じで呟く。 オールド・オスマンの話では、シエスタの曾祖母リサリサは、波紋という先住の魔法を使って吸血鬼を打ち倒したと言う。 念のためにとディティクト・マジック等で調査させて貰ったが、特に反応はない。 話を聞いてみると、リサリサは東方のロバ・アル・カリイエからやってきた人間であり、エルフではないということだ。 だが、いくら人間とはいえ先住魔法の使い手が注目されないわけはない。 オールド・オスマンは、魔法アカデミーにリサリサの魔法を報告した場合、エルフに対抗するためののサンプルとして拉致され、タルブ村にもその被害が及ぶであろうと考えた。 命の恩人を危険にさらすのは忍びないとして、誰にも報告せずにいたのだ。 「マルトーや、彼女が先住の魔法を使うからといって恐れずにいてくれんか」 「はい、そりゃもう。…それよりもシエスタにも危険な目に遭わせないでやって下さい」 「分かっておるよ、なあに安心せい、王宮を煙に巻くのはワシの得意技じゃからのう!」 話が終わり、マルトーは厨房へと戻っていったが、その横でロングビルは頭を悩ませていた。 話を聞く限りでは、シエスタはルイズの天敵なのかもしれないのだ。 「ミス・ロングビル、浮かない顔をしとるの」 「あ、いえ……ただ、ミス・ヴァリエールが気にかけていたシエスタに、そんな魔法の才能があったという話が、運命の悪戯のようで……」 「うむ、そうじゃろうなあ」 そこでロングビルは考える。 一介の秘書に過ぎない私に、それも家名を失った私に、こんな重要な話をしたのは何故? 嫌な予感がした。 重々しく、オールド・オスマンが口を開く。 「ときに、ミス・ロングビル」 「ミス・ヴァリエールが生きているとしたら、君はどうするね」 その頃、タルブ村では突然現れた風竜に村人が驚いていた。 「ここがタルブ村?」 「そうです、ここが…あ、お父さん!」 広場に降り立った風竜の背に、マントを着けた貴族が乗っているのを見て、村人は仰天した。 お父さん、と呼ばれた人物が風竜を見ると、その背から貴族の格好をした娘が降りてくるのを見て、再度驚いた。 シエスタは父に駆け寄ると、抱きついた。 「お父さん!」 「シエスタ!?お前、いったいどうしたんだ、そんな格好をして」 「あ、あのー、これは……オールド・オスマンが曾祖父の件だって言えば分かるって」 それを聞いたシエスタの父は、ああ、と呟いて、シエスタを見た。 「お父さん、ひいお婆ちゃんは、気が触れて村を飛び出したって言っていたのは、嘘だったの?」 「許してくれ、これを他言できない理由は聞いただろう、そちらの貴族様もご存じなのかい?」 シエスタの父はちらりと、キュルケとタバサを見る。 「うん…」 「そうか…」 久々の父娘の再会に水を差すようだが、このままでは話が進まない。 キュルケはワインを要求し、タバサはシルフィードに寄りかかって読書を再開した。 シルフィードはこんな所でも本を手放さない主人に呆れたが、いつものことだと思って諦めた。 「あの、ミス・タバサ」 読書しようとしたタバサに声をかけたのは、シエスタだった。 いつも通り無言で済まそうと思ったが、シエスタの傍らにいる少女に目が移る。 年の頃10歳ほどだろうか、少女の持つカゴには野草がたくさん摘まれていた、もちろんハシバミ草も入っている。 「何?」 興味を牽かれたタバサは、思わず返事をした。 「ひいお爺ちゃんが伝えた料理で、ヨシェナヴェという料理があるんです、お口に合うかどうか分かりませんが、よろしければ一緒に昼食を」 「止めて」 「あっ、ご、ごめんなさい、村の料理を薦めるなんて、私無礼なことを…」 「違う、かしこまらないで」 「え?」 「あなたもメイジ、私のことは呼び捨てでいい」 シエスタはタバサの言葉に、タバサはハシバミ草を使うであろう料理に心を打たれ、二人して笑顔を見せた。 「お前ら、よっぽど王党派のことを嗅ぎ回ってたみてぇだな、噂になってるぜ」 ルイズとブルリンは目隠しをして、椅子に座らされている。 宿屋で捕縛され、猿ぐつわを噛まされて二人は連行された。 ルイズはここに連行されるまでのことを考えていた。 それなりの距離を歩いた歩かされた気がするが、曲がり角を二十カ所以上曲がった上に、周囲の気温が微妙に変化していた気がする。 足の裏から伝わってくる感触は、均整のとれた石畳の感触だった。 日陰と日向を歩かされたのも分かっているので、まだアルビオン首都の中にいるのだろう。 ある点から石畳の感触が変化し、繋ぎ目がほとんど感じられなくなった。 そして更に歩くと石畳は微妙に柔らかい感触になる、これは倉庫などに使う湿気を吸収する石だろう。 おそらく、大きな屋敷の倉庫に監禁された状態だ。 「おいおい、だんまりじゃわからねえよ、まあしばらく頭を冷やすんだな、貴族派に付くなら解放してやってもいいんだぜ」 「誰が、誰が貴族派なんかに付くかってんだ」 隣でブルリンが言う、威勢がよいとは言えないが、いつ殺されるか分からない恐怖の中でこれだけ言えるならたいしたものだと思う。 「そっちのお嬢ちゃんも考え直すんだな」 ルイズ達を尋問していた男は、部屋から出て行った。 「ちくしょう…」 ブルリンが悔しそうに呟く。 「あんたよっぽど目立ってたのねえ」 「そ、そんな事言われてもよぉ、すまねえ姉御、迷惑かけちまって」 ミキッ ブチン 「あ、あれ?手かせが外れたぞ?」 ブルリンは慌てて自分の目隠しを外す、するとルイズがブルリンの手かせを握って立っていた。 手かせは、無惨にも引きちぎられている。 「………すげえ」 「鉄じゃ役に立たないわよ」 「でも姉御、ここからどうやって逃げるんですかい」 ブルリンの言葉ももっともだ、この部屋はルイズが睨んだとおり倉庫らしい、窓には格子がはめられている。 ルイズは地面に耳を当てて、周囲の音を拾い始めた。 「…外に見張りはいるけど、少し離れてるわね、今足を組み替えたかな…椅子に座ってるのかしらね」 「すげぇ、姉御、何でもできるんだなあ」 「静かにしなさい」 ルイズに注意され、ブルリンは慌てて自分の口を手で塞いだ。 「………一人………四人………十一人…ん?」 足音からこの建物内にいる人数を数えようとしたが、廊下から奇妙な音が聞こえるのに気づいた。 ただの足音だが、どうもその足音が気になる、上手く表現できないが、何か奇妙なのだ。 「…。…。…。…。…。…。」 地面に耳を当てたまま、ルイズは小声で何かを呟いている。 ブルリンは心配そうにそれを見ていたが、ルイズが立ち上がったのを見て、口から手を離した。 「ブルリン、傭兵に従軍経験のあるメイジって、けっこう見かけるもの?」 「いや、そんな奴ら滅多にいねえよ」 「そう…なら安心ね、たぶんこいつら王党派よ」 「えっ!?」 「足音の間隔が揃いすぎてるのよ、ちょっと歩くぐらいならまだしも、廊下を歩く音のほとんどは足並みをそろえるように歩いてるわ、たぶん60サンチ程度の間隔でね」 「ど、どうしてそれが王党派だと分かるんで」 「儀仗隊よ、王族や貴族の親衛隊は能力が高ければいい訳じゃ無いわ、統率された行動のとれる者でなければ親衛隊にはなれないの」 「それが足音から分かった…って事か」 「そうよ、奴らが貴族派の兵隊なら、傭兵のフリなんかしないはず…自分たちは傭兵だと偽ったのは、貴族派の目をくらませるためでしょうね」 「すげぇなあ、姉御、ホントにすげぇや」 「とりあえず、ここで待ちましょう、今外に出ても騒ぎを大きくするだけよ」 「わかったよ」 ルイズは椅子に座り直し、大きく深呼吸した。 足音を聞くと、母親の姿が思い出される。 規律を重んじる母は、マンティコア隊隊長として隊員から強く慕われていた。 何度かマンティコア隊の姿を見たことがあるが、突風が吹いても微動だにしない儀仗隊にこれ以上ない程、一糸乱れぬ規律の採れた動きだった。 ルイズは久しぶりに、自分の生まれの良さを思い返し、母に感謝した。 [[To Be Continued …… 仮面のルイズ-16]]