約 745,910 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8250.html
前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その6 ギーシュやぶれたり! 「ワルキューレぇっ!!!」 「遅ぇ!!」 雷光のような一文字斬り、そして続けざまに縦。 二つの斬撃が、ここハルケギニアには無い漢数字『十』の形を象る。 騎士ラードから伝授された必殺技だ。 曰く、十文字斬り。 鋭く研ぎ澄まされた技は、襲いかかる銅像を4つに分断した。 「てンで歯ごたえがねえぜッ!?」 「くそ……こんな……こんな馬鹿な!!」 ギーシュの奥歯が、火花を散らすのではないかというほどに擦られる。 ここで自分は負けるのか。 年端も行かない子供が振るう剣の前に屈するのか。 武人の一家としての誇りは、すでにズタズタになっていた。 「こんな……こんな所で……グラモンの、戦でも誉れ高き一族の名を……汚すことに……!!」 焦燥に駆られ整ったヘアスタイルをかきむしるギーシュの目に、『ゼロ』のルイズの姿が留まる。 あいつが剣を渡さなければ。 いや、もともと彼女の躾が悪かったのが原因だ。 いやむしろ、あんな小僧を召喚したルイズが全面的に悪い!! 焦りに焦ったギーシュの苛立ちの矛先がルイズへ向くのには、そう時間はかからなかった。 ギーシュの薔薇が、理不尽な方角へと振るわれる。 「『ゼロ』、め……!よくも決闘に水を差してくれたなッ!」 「え!?」 最後のワルキューレを向かわせたのは、決闘相手の主の元だった。 ギーシュのプライドを守るための、苦肉の策。 「!?ルイズッ!」 「きゃあっ!!」 銅の巨像が少女に迫る。 握られているのは剣、切れ味は鈍そうだが当たればきっと痛かろう。 ルイズはぎゅっと目を閉じた。 恐怖で身がすくむも、いくら待てども痛みが訪れることが無い。 目を開けると、そこには動きを止める騎士像の姿があった。 「……ルイズにまで、手を出しやがったな」 ムサシの投げた黄金の刀が、ワルキューレに刺さっている。 不思議なことに像から光が湧いて、それが刀身へと吸い込まれているように見えた。 わずかに間を置いて、力を失ったワルキューレは崩れ消滅していった。 刀はまるで魔法のように宙を舞い、持ち主である少年の手元へ戻って行く。 その顔は、静かな怒りを秘めているようにも見える。 ギーシュも生徒たちも皆言葉を失い、見ていることしかできなかった。 「女を泣かせてあげくに手を上げるなんて、色男が聞いてあきれるぜッ!!」 「ぐ、ううッ!!」 今の不思議な出来事を問いただす気にもなれない。 終わった、とギーシュはそう思った。 初めは単なる八つ当たり、あんなチビならば赤子の手をひねるよりも容易い。 そう思ったのが、愚かな選択の始まりだったのかもしれない。 その結果がこの醜態だ、明日からは男子連中から後ろ指を刺され、麗しい女子には背を向けられるに違いない。 ルイズを笑える立場では無くなるだろう、ギーシュは絶望し、がくりと膝を折ってしまった。 予想外の展開に辺りがざわつく中、少年はツカツカと歩み寄りギーシュの手から薔薇の造花を奪い取った。 「……僕の、負けだ……さあ、どうとでもするが……」 「おし、じゃあ決闘だ!!」 「……は?」 ムサシはギーシュの杖である薔薇をぽいっと投げ捨てながら、そう言った。 手に持っていたワルキューレの剣が、差し出される。 「け、決闘ならたった今……」 「何言ってやがる!!」 ギーシュの背筋を悪寒が駆け抜ける、まさかこの少年はまだ自分を許す気は無いのだろうか。 まいったと言っても、こてんぱんに叩きのめす気なのでは無いかと想像して身震いした。 だが、その考えが杞憂であるとすぐに理解した。 「花うらないや人形遊びはここまでだ!!男の決闘ってのは……」 そう、コジローの持ちかけた花うらないでの決闘なんかでは無い。 自分が望むのはこういうものだ。 そう思ったムサシはギーシュの手にむりやり剣を握らせ、距離を取る。 振り返り切っ先を向け、白い歯を見せて笑った。 「剣でするもんだろ?お武家様なら、なおさらな」 ギーシュは剣を手にしたまましばし呆然としていた。 しかし、やがて悟って薄く微笑む。 ムサシに悪意は感じない、そしてどこまでも真っ直ぐな眼差し。 彼はただ、どこまでも決闘を欲しているのだ。 痛めつけたい、屈服させたいという自分の下卑た欲求とはまた違う、ただ、剣を振るう兵法者としての、純粋な思い。 強くありたい。 この身に流れる血故か、ギーシュにもそれが今なら理解できた。 「……我が名はギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン。一対一、剣と剣での穢れない純然たる決闘を……受けて立とう」 ギーシュの顔つきが変わった。 周囲を囲んだ女子生徒や、恋いて止まないモンモランシー、そして立ち向かうムサシにもそれが解った。 決闘を望んでいなかったルイズですら、今や言葉を挟む気にはならない。 場が、戦場のそれと同じく張り詰める。 ムサシが剣を両手で正眼に構える、ギーシュもまた、不恰好ながらその腰は引けていなかった。 「……」 「……勝負ーーーッ!!!」 動いたのは、ギーシュが先だった。 いつもの格好つけた立ち振る舞いではない、細身には似合わぬ剣を腰だめに構えて、ただ愚直に突っ込む。 二人の剣士は、交錯した。 「……」 「……ぐッ」 ギーシュが倒れた。 観衆に驚きが伝染する。 「おい、ギーシュがやられた!!」 「マジかよ!」 「ムサシ!」 「ギーシュ!ギーシュ!!」 ルイズと、金髪を巻き毛にした女子生徒が人ごみから飛び出る。 ムサシはああ、ギーシュをひっぱたいたあの子か、と思い出した。 「ムサシ、あんた……」 ルイズは迷った。 決闘に勝つだなんて思わなかった。 『勝って』と望んでしまったのは自分、しかしギーシュは犠牲となったのだ。 叱咤も激励も、喉に詰まる。 「よくも、よくもギーシュを!!」 「そ、そうだわ……はやく医務室へ」 「おいおい、落ち着けって」 モンモランシーは横たわるギーシュの頭を抱きすくめ、涙まで零して怒る。 ルイズは焦った、その叫びにようやく級友の命の危機を感じたのだった。 虐めを受けたとは言えど、ルイズはそこまで冷酷にはなれない。 と、ギーシュがかすかに身じろいだ。 「……う、う~ん……す、すまないモンモランシー君には寂しい思いをさせてしまった…… 僕という輝ける存在を失っても君はきっと輝ける最高の女性になるだろう……なぜなら 君は光を失っても輝ける、僕にとっての太陽のような女性だったから……ああ……せめて 最後は君の胸の中で……」 「ムダに長くしゃべる元気はあるじゃないのよぉーーーッ!!」 「安心しな、『みねうち』だゼ!」 「それならそうと言いなさいこのバカチビーーーーーッ!!!」 ギーシュとムサシ、二人の頭がスパーーーンと気持よく音を立てる。 ムサシはケラケラ笑い、ルイズも気づいたときには笑っていた。 ギャラリーも大いに沸き、気がつけば決闘の刺々しい空気はどこかへ立ち消えていた。 『ゲット・イン』みねうち。 雷光丸に秘められた神秘の能力、敵の力を奪いとり己がものとする魔法。 先ほどのワルキューレから奪い取った能力で、ギーシュを傷つけることなく無力化したのだった。 「あいたたた、慣れないことはするものじゃないね……ああモンモランシー、自分で立てるよ」 「いい戦いだったゼ!」 「はは、完敗だったよ……だが、不思議と悪くない気分だ」 よろよろと立ち上がったギーシュ、どうやら傷は浅いらしい。 その表情は晴れやかだった。 「おいらはいつでも相手になるからさ、またやろうぜ!!」 ムサシもまた晴れやかな表情で、手を差し出した。 この少年は今の今まで剣を交えた自分と、今度は手を取り合うと言う。 今までの自分がずいぶんと小さい存在に思えて、ギーシュは苦笑した。 すべてを反省し、少年のあたたかな手に手を重ねる。 「君には敵いそうもないが……よろしくたのむ。そしてすまなかった、ムサシくん」 「ムサシでいいぜ!それよか、謝る相手を間違っちゃいねえか?」 自分よりはるかに小さな少年に頭を下げるギーシュ。 あっぱれだという声が、周囲から乱れ飛ぶ。 今ここにルイズを、ギーシュを笑う者は、いなくなっていた。 そのギーシュはというと、ムサシの声に顔を上げる。 ルイズとモンモランシー、謝罪すべき双方がそこにいた。 「あらら、あのギーシュがルイズに謝るなんて。こりゃ明日は雨かしら、ね?」 ギーシュの謝罪は、すぐにとは言わないがきっとルイズと皆の関係を変える切っ掛けとなるだろう。 視線を落とすと、親友は少年の方をじっと見つめていて反応が帰ってこない。 春が来たのかしらとからかい半分に微笑んだ。 しかし、タバサが見つめているのは彼の武器の方だったと、誰が気づいただろうか。 向き直ってルイズを見ると、使い魔をぽかぽかとぶっている。 しかしその顔は本当に心配していたようだ、ムサシも解っているらしい。 ギーシュがモンモランシーに謝罪している、その饒舌さが災いして平手を食らっていた。 また観客がどっと沸く。 その声に紛れてキュルケは隣の友人にすら聞こえないほど小さく、つぶやいた。 ケンカ友達の、照れ混じりの祝福だった。 「ルイズ、けっこうイケてる使い魔じゃないの。……おめでと」 オスマンとコルベールは『遠見の鏡』から目を外した。 年端もいかぬ少年が、メイジに勝った。 『ガンダールヴ』の力はやはり本当、というのが二人の結論であった。 「左手に剣を持った時、輝いておりましたね」 「うむ、ルーンの効力もあるじゃろうがあの少年、かなりのもんじゃぞ」 オスマンはほっほっほと笑っている。 コルベールが笑い事ではありません、とたしなめた。 「始祖ブリミルの使い魔であるガンダールヴと同じルーンを持つ使い魔……王室に報告すべきではないかと思うのです」 「何を言うとる」 今度はオスマンがたしなめる番だった。 仮に本物の『ガンダールヴ』であればその力を利用、ないしは悪用する連中が湧いてでるに違いない。 今は他言無用、とオスマンは威厳たっぷりに言った。 「はっ、いささか浅慮でありました。オールド・オスマン」 「よいよい」 「では、私はもう少し独自に調べてまいりましょう。失礼致します」 コルベールが退室し、静まり返る学長室。 使い魔のねずみを指先であやしながら、独りごちた。 「……名前まで同じとは、偶然かのう」 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
https://w.atwiki.jp/girlsroyale/pages/483.html
ビビプロフィール カード一覧 ビビ プロフィール 名前 ビビ 系統 メイドドール(オリジナル) CV 阿澄佳奈 URD 0857 誕生日 3月10日 身長 156cm 体重 45kg BWH 87/53/86 好きな食べ物 ヤシの実 嫌いな食べ物 わさび、からし 特徴 フレンドリーな褐色メイドドール カード一覧 [南国メイド]ビビ [ビビっと一等賞だよ]ビビ [ドール]ビビ [トロピカルメイド]ビビ [みんな仲良し]ビビ
https://w.atwiki.jp/pixivrotkappchen/pages/59.html
ルイズ・ローハン 種族 アカズキン 性別 ♀ 年齢 13歳 職業 果樹園手伝い 一人称 私 二人称 君、あなた ~さん(年上) ~ちゃん、君(同年代、年下) twitter - 町外れにある果樹園の娘。葡萄の世話の手伝いや葡萄酒と葡萄ジュースの販売がルイズの主な仕事。 昼ごろはいつも町に商品を売りに来ている。(果樹園の仕事が忙しい時は来ない事もある) もちろん果樹園でも商品の販売はしているが、町外れにあるので人はあまり来ない。 気はあまり強くないが好奇心旺盛。自分の中で決めた事に対しては頑固な一面もある。 大体いつもへらへら笑っている。 元々姉が一人いたが流行り病で死去。 姉は何でもできる子で、母からも可愛がられていた。そのため姉の死後もルイズの母はその死を受け入れられずにいる。 そんな母の姿を見てきたせいもあるがルイズも姉が大好きだったので、なぜ生きているのが自分なのかと考えるようになる。 自分の平凡さへのコンプレックスと自信の無さはそのせいかもしれない。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1175.html
深夜、宝物庫の扉の前に1人の人影がありました。 巷を賑わしている盗賊、『土くれのフーケ』その人でした。 「物理攻撃が弱点ねぇ・・・冗談じゃないわ。こんなに厚かったら、私のゴーレムで殴ったところで、 どうにもならないじゃないの!」 フーケはミス・ロングビルとして、コルベールがら、さりげなく宝物庫の弱点を聞き出していました。 あらかた聞き出した夜、意気揚々と宝物庫の前まで来ましたが推定5メイルの厚さの壁の前で毒づいていました。 物理攻撃が弱点と聞いていたのですが自分のゴーレムの力では短時間でヒビすらつけられそうにありません。 フーケは頭を抱えていましたが、 あることを思い出してニヤリと笑いました。 「ミス・ヴァリエールの使い魔、あの力を利用できれば・・・」 『土くれのフーケ』はおし殺した様な笑い声を出しながらその場を後にしました。 おとーさんが召喚されてから一ヶ月位たちました。 ルイズ自身気がついてないようですが、大分穏やかになっていました。その理由として、まず生徒達からゼロと言われることが減ったというのもあります。 先日のギーシュとの決闘でおとーさんが凄まじく強いことを生徒達も知っていたからでした。 しかし、おとーさんはその後ギーシュ発の噂のおかげで特に女子(貴族・平民拘らず)から人気でしたし元々あまり喋りませんが面白い行動をしますので恐れられる事はありませんでした。 また、生徒達は知りませんが使い魔なのに娘と思って接しているおとーさんにルイズも心を許し我侭も影を潜め素直になっていました。魔法が使えないのは相変わらずでしたが・・・ 「あらルイズ。今日も仲良いのねぇ」 手を繋いで歩いているルイズとおとーさんにキュルケが声をかけます。 「そう?使い魔と仲良くするのって良い事じゃない?」 ルイズは怒るでもなく恥ずかしがるわけでもなくごくごく普通に答えていました。肩透かしを喰った形のキュルケでしたがその後のルイズの言葉に戸惑いました。 「キュルケの方こそ最近フレイムと一緒の所見ないけど仲良くしてるの?」 「う、うちは放任主義だからいいのよ」 「たまには可愛がらないとすねちゃうわよ~」 ルイズはそう言うとおとーさんとどこかへ行ってしまいました。 (あの娘、前は自分の事で精一杯見たいに力んでたのに・・・周りが見えるようになってるじゃない。あの使い魔を召喚出来たのはルイズにとって良かったみたいね) キュルケはそんな事を考えながらフレイムを探しにいくのでした。 虚無の曜日恒例となったシエスタとコック長のマルトーの『特製デザート』に舌鼓を打ったルイズとおとーさんは腹ごなしに散歩で学院内を歩いていました。 それは、調度宝物庫がある塔の前でおこりました。突然地面が盛り上がると巨大な土のゴーレムになりました。土のゴーレムはルイズ達を見つけると腕を振り上げ攻撃してきました。 「きゃぁぁぁ」 突然の出来事に吃驚して悲鳴を上げるルイズを抱き寄せたおとーさんはそのまま横へと飛ぶのでした。土のゴーレムの攻撃をかわしつつ遠い間合いを取る位置まで来たルイズはおとーさんに下ろしてもらい杖を抜くのでした。 「間違いなく、世間を騒がせてる『土くれのフーケ』だわ」 土のゴーレムの肩に立っている人影を見ながらルイズはそう言いました。 「おとーさんお願い!!私が魔法で援護するから!!!」 ルイズの言葉におとーさんが頷いた時、左手のルーンが輝き始めました。あの時の鎧が出現しおとーさんの身体を包み込みます。 【重装陸戦おとーさんα】 おとーさんは自分よりも大きな土のゴーレムを殴りつけ脇の部分を破壊します。しかし、破壊したそばからすぐに再生されていきます。土のゴーレムもおとーさんを殴りますが多少後ろに下がるのみで傷などはついてないようでした。 一進一退の攻防の中でフーケは舌打ちをしていました。おとーさんに壁を殴らせ壊させようと考えていたのですが思っていたよりもおとーさんが小さく目標の壁に届かないことでした。 その時ルイズは詠唱を終え土のゴーレムに当てるために狙いを定めていました。 間違えておとーさんに当てないためでしたが、運良くおとーさんが土のゴーレムから攻撃を受け後ろに下がり離れました。 「ファイアーボール!!」 ルイズ渾身の魔法は失敗し爆発しました。しかも運が悪いことに土のゴーレムではなく後ろの壁が爆発してヒビが入っています。フーケがそれを見てニヤリと笑いました。 (予定とは違うけど結果オーライってやつかねぇ) フーケは土のゴーレムにヒビが入った箇所を殴らせて壁に穴を開けると素早く中に入りました。ルイズとおとーさんが呆然としていると中からフーケが箱を持って出てきました。 「ありがとよ、お嬢ちゃん。お礼に土くれをくれてやるわ」 そう言うと土のゴーレムをルイズに向けて倒れさせました。咄嗟におとーさんがルイズと土のゴーレムに割って入り、ルイズは目を瞑りました。 ルイズが目を開けると空中にいました。タバサのシルフィードに掴まれて助けられていたのでした。 「ルイズ面白そうな事してるじゃない」 キュルケが上から声をかけます。 「キュルケ!!どうして??」 「あんなに大きな音してたら誰だって気がつくわよ。ね~、タバサ」 タバサは無言で頷くとシルフィードに命じてルイズを背中に移動させるとフーケを追跡し始めました。 「ちょっと、おとーさんを助けないと」 ルイズが叫びます。おとーさんは土のゴーレムの下敷きとなり埋もれていましたがタバサが冷静にいいました。 「おとーさんなら大丈夫」 キュルケも続けます。 「あなたの使い魔があれしきの事でくたばったりしないわ!それよりあんな目にあわせた盗賊を捕まえないとね」 ルイズが心配そうに振り返る中、三人は空から追跡するのでした・・・・
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2229.html
前ページ次ページルイズ・キングダム!! 「えぐえぐ……昨日はヒドイ目にあったよぅ……」 ――こわかったですね、野犬―― 「20人は美味しく食べられたかのぅ」 「…………」 いつの間にかルイズの部屋に集合している小鬼4匹+α。 朝起きてノックの音に扉を開けたら、滅亡した小鬼王国宮廷のメンバーが勢ぞろいしていたのだ。 <ルイズ・キングダム!!> 「と、言う訳で新王国「古代連合小鬼同盟」を建国するぞー!」 ――こんどはながつづきするといいですね―― 「さっきまで泣いてたクセに急に元気に。って言うか節操無いわねぇ」 ――まぁまぁ。げんざいの宮廷メンバーをチェックしますか?―― 「あー、うん。まぁ一応お願いするわ」 万が一にも自分がメンバーから外れている事を始祖ブリミルに祈りながら答えるルイズ。 彼女の前に「王国運営シート」と書かれた紙が差し出される。 なんでも自動的に国家の状況が映し出されると言う、一王国に一枚必帯のマジックアイテムだそうだ。 「国名『古代連合小鬼同盟』 人口/38人(宮廷除く) 国王/貴族「小鬼小王」クロビス 神官/料理人「ゼロの」ルイズ 神官/怠け者「話の長い」バゼバゼ 大臣/魔導師「炎蛇の」コルベール ニンジャ/迷宮職人「雲散霧消の」ムーク 従者/働き者・衛視「忠実な僕」ダッパの以上6名…… ……えーっと、まず最初に聞きたいんだけど、何で私が『料理人』なワケ?」 「サイコロのおぼしめしだな。『世界の法』によって決定されたのだ」 「次。何でコルベール先生が大臣になってるのよ?」 「本人が希望したからだな」 「自重しろコッパゲ。 それになんで先生だけ職業が魔導師とかカッコ良さげなのよ。サイコロ運良すぎ自重。 ついでにアンタも野犬に負けたのか魔法学院現役教師」 あまりの事態にヤサグレて言葉が汚くなっている。 ベッドの上に突っ伏したルイズは、このまま泣きたい気分だった。 って言うか少し泣いた。 ――いえ、野犬におそわれたときに、コルベールさんとルイズさんがいればよかったんですけどね―― 「そうだなぁ。あとやっぱり宮廷としては前線で戦える騎士が欲しいな。 神官は二人居るから、ルイズが騎士になるのはどうだ?」 「お・こ・と・わ・り・よっ! って言うか、なんでそんなに馴染んでるのよ! あと変えるんなら職業の『料理人』の方を変えなさい!」 ――どこでもいきられるカンキョウテキオウリョクが小鬼のウリですから―― 「官職は本人の意思で決定できるが、職業は転職所を建てないと変えられないから無理だぞ」 「あっそう。まぁどーでも良いわよ。転職したから魔法が使えるってワケでも無いし」 「使えるぞ?」 ――つかえますよね?―― 「へっ?」 「職業と官職に応じた技能は自動的に与えられるのが『世界の法』だからな。 宮廷に神官として所属している以上、神官と料理人の能力は使えるぞ」 ――ごじぶんのスキルをかくにんしますか?―― 「するする! 早く確認させなさいよ!」 ガバチョと起き上がって、ダッパ君の手から先程のマジックアイテムをひったくった。 ルイズは使い魔との契約のおかげかキチンと読める異国の文字を舐めるように見て、望む記述を見つけ出す。 「えーっと、ここね。「ゼロの」ルイズ・神官/料理人、レベル0……ってなんか腹が立つわね。 官職スキルの「祈り」は対象の負傷を回復する。 職業スキル「迷宮全席」が、お弁当やフルコースを食べた対象の攻撃能力を上昇させる。 レベルアップと共に覚えるアドバンスド・スキルはまだ無し…… コレって、ひょっとして回復の魔術が使えるって事!?」 「ひょっとしても何も、そうに決まっているだろ」 ――ためしてみます? ちょうど昨日イヌにかまれたキズがありますし―― ダッパ君が腕に付いた噛み跡を出してくる。 とうぜん、ルイズがやらない理由は何処にも無い。 「やるわ! ええっと、祈れば良いのよね。 始祖ブリミルよ、この者の傷を癒したまえむにゃむにゃ……」 お祈りをするとルイズの手から淡い光が生まれて―――ダッパ君の腕が爆発した。 「やっぱり使えないじゃない! って言うかダッパ君が死んじゃう!」 「治ったな」 ――なおりましたね―― 「へ?……あ、ホントだ。犬の歯型が消えてる。すごーい! やったわ! これでもうゼロのルイズなんて誰にも呼ばせないわ!!」 ぐっとガッツポーズで喜びに浸るルイズ。 魔法の現われ方が爆発と言うのは気になったが、今はそれも許せるぐらい気分が良い。 だが、事はそれだけでは終わらないと気が付く。 「ひょっとして……」という可能性、あるいは希望と呼ぶべきものがルイズの中に生まれていた。 「ねえクロビス、レベルアップって言うのをしたら、他の魔法も使えるようになるの?」 「んー、職業が『料理人』のままじゃダメだな。 『魔導師』や『迷宮職人』みたいに、魔法を使えるスキルカテゴリーの職業にならないと」 「このオババのように『怠けもの』でも魔法は使えるのぅ」 「じゃあ転職よ! とりあえず怠けもの以外で、その魔法が使える職業ってヤツに! 今すぐ!」 「だから、転職するには『転職所』を王国に建設しないと」 「じゃあすぐに建てなさい!」 「そんな事を言われても国家予算が無いから無理だ。5メガゴールド、持ってるのか?」 ――こっちのおかねだと、1MGが100エキューぐらいですね―― 「ぐっ……500エキューなんて大金は持ってないわね」 500エキューと言えば、平民の家が建ってお釣りも貰えるぐらいの金額だ。 と言うか『転職所』と言うからには、ちょっとした建物を建てるだろうから当然かもしれないと納得する。 「はぁ、仕方ないわね。お金をなんとかするのはすぐには無理だし、とりあえず着替えて食堂に行こうっと」 ――はいはい、じゃあ、したくしましょうね―― テキパキとブラウスやスカートを出してきて、服を着替えさせてくれるダッパ君。 ブラシで寝癖を調えて、脱いだ服を畳んで洗濯カゴに入れてマントを羽織らせる所まで手際良く済ませる。 (うーん、流石は『従者』で『働き者』ね。けっこう使える使い魔かもしれない。 いやまぁ、私の使い魔はクロビスの方なんだけど……吹けば飛ぶような王国とは言え、 仮にも国王を名乗るクロビスを命令に従わせるのは難しいような気がするのよね) そんな事を考えながら4匹(と、オババの輿係り)を従えて部屋を出ると、向かいの部屋からキュルケが出てきた所にばったり遭遇する。 ヴァリエールのライバルであるツェルプストーの女メイジは、なぜか腕に小鬼を1匹抱えていた。 「ねえルイズ。アンタ随分と可愛い生き物を召喚したのねぇ」 確かに、人間を三頭身にして犬っぽい要素を加えてツノをつけたような生き物である小鬼は、ヌイグルミっぽくて可愛いと言えば可愛い。 ちなみにツノが無いのも居れば、一本ツノも二本ツノも居る。 色も案外豊富で、基本は茶色っぽいけど、赤っぽいのからトラジマやブチ、果てはピンクや星柄に緑や紫なんてのまで居たり。 ――ハデなガラだとみつかりやすいんで、よくたべられるんですけどね―― 小鬼の人生はけっこう大変だ。 宮廷メンバーだとクロビスとダッパ君は茶色系で、ムークが黒。オババは灰色の長毛種。 キュルケが抱いてる子はピンクの短毛でショッキング・ピンクのハート模様が背中に付いてるというハデな小鬼だった。 (この女、前から思ってたけど派手好きよね)とか失礼な事を考えるルイズ。 「いっぱい居るみたいだし、この子1匹ちょうだいよ」 (派手好きの上に図々しい)と、思わずジト目でキュルケを見る。 が、その言葉を聞いた瞬間にルイズはあるアイデアを思いついた。 「一ヶ月レンタル、1匹でエキュー金貨1枚よ」 「なぁに、ヴァリエールは随分と守銭奴なのね? それとも貧乏なの?」 (ふん、なんとでも言うがいいわ。 私にはお金が必要なの。転職所を建造して魔導師になるためにね。 そのためなら、守銭奴にでもナニワ金融道にでもなってみせる!) 熱い決意を今ここに宣言するラ・ヴァリエールの淑女。 それを言葉にしない程度の分別は、まだ残っているようだった。 「まぁいいわ、じゃあコレで一年分ね」 チャリーンと投げ渡される金貨12枚。流石ツェルプストーは金持だ。 ゾンザイな態度にちょっとカチンとくるルイズだったが気にしないと決めた。 絶対に5メガゴールド溜めてみせる。 そして必ず、料理人などという屈辱的なクラスをやめて、魔法が使える職業に転職するのだ。 「あ、でも勝手に国民レンタルして、クロビス怒ってない?」 ――へいきですよ。小鬼払いはキホンですから―― 「うむ。相場は20匹売って1MGぐらいかな?」 「ふーん。だったら売るのと比べたらレンタルぐらいカワイイものよね」 いやしかし、それで良いのか小鬼。 一抹の不安と物悲しさがルイズの心中に隙間風のように駆け抜ける。 ――よっぽどカコクな労働させるか、ケガさせないかぎりはマジメに働きます―― 「怪我したら逃げて帰るけどな。まぁ大抵その前に死ぬけど」 (健気な種族だなぁ小鬼。ホロリ) ちょっぴり感涙しつつ廊下の窓から外を見るルイズ。 学院の中庭では、そんな健気な小鬼達による炊き出しの風景が 「―――って、ナニやってんのよアンタ達っ!」 「外は野犬が居て怖いし危ないから、この中で王国を建国したのだ」 「胸張って言う事じゃないわよクロビス。 うわぁ! よく見たらあのボロっちい小屋こと王宮が移築されてるし!」 ――じゃあゴハンたべてきますね―― ルイズの驚きと苦悩などそっちのけで、のんきに中庭へと向かう4匹。 自給自足の心構えは立派だけど、学院を勝手に王国領土にしないでもらいたいと心から思った。 思ったのだが。 「……まぁいいや。どうせすぐに滅亡するし。黙ってればバレないと思うし。 あの子達とこの先も付き合っていくんなら、細かい事を気にしてたら神経がもたないもの」 わずか二日目でそう悟ったルイズ・フランソワーズなのでした。 でした、が。 「うわあぁぁん! ルイズ、「古代連合小鬼同盟」が滅亡したぞー!!」 「なんでよ! いくらなんでも早すぎよ! 今さっき別れて、朝食のサラダ食べたばっかりだったのよ? 私まだメインデッシュに手もつけてないのよ?」 「それが、他の生徒の使い魔のメインデッシュに国民が食べられてなー」 ――ヘビとかスキュラとかにパクパクいかれましたね―― 「……ひょっとして美味しいワケ? 小鬼って?」 ――おいしいらしいですよ。ふほんいながら―― 「あと、他の生徒の所へレンタルに出した分が減ってたのが厳しかったかな」 「レンタルしてたの!? 何匹よ?」 ――あっちこっちで20にん、ぐらいですね―― 「……まぁ滅亡しちゃったモノは仕方ないわ。どうせまた直ぐに建国するんでしょ? だったら今のうちに国民が食べられない方法を考えましょう。大臣のコルベール先生にも相談して」 クヨクヨしてても始まらない。 転職所を建てるまではくじける訳にはいかないのだ。全ては魔導師になるために。 ズッポリ底無しの泥沼に浸かっているような気もするけど、とにかく頑張る健気なルイズであった。 おまけの用語解説コーナー『百万迷宮の歩き方』 【宮廷】 王国の中枢メンバー。いわゆる冒険者パーティー。 王国を建国して領土を広げる事から「ランドメーカー」とも言う。 国王・騎士・大臣・神官・ニンジャ・従者からなり、国王1名は絶対に必須。 本文中にあるように、攻撃力を担当する騎士が居ない小鬼宮廷は攻めの爆発力に欠ける。 【ルイズの職業が料理人】 サイコロ振って決定。コッパゲ先生が魔導師なのも、サイコロ運の賜物。 【国民の切り売り】 迷宮キングダムにおける『国民』は、ヒットポイントなどと同じ消費型リソース。 敵の攻撃を防御するのに消費されたり、攻撃力を増加させるのに消費されたり、 デフォルトでアイテム手に入れるために生贄に捧げられたりする。 百万迷宮では正に人情紙風船。 現代日本を舞台にした冒険が出来る追加データ集「ハレ時々迷宮」では、 迷宮事件に挑む迷宮探偵達のために「小鬼レンタルサービス」が行われていた。 何処に行っても小鬼の扱いなんてそんなモンである。 前ページ次ページルイズ・キングダム!!
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7491.html
元ネタは『サガ2秘宝伝説GOD』からエスパーガール ルイズと彼女と運命の糸 前編 ルイズと彼女と運命の糸 後編
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/921.html
戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (3)水のルビー 慌てたコルベールが教室に入ると、中では異常な光景が広がっていた。 焦げたミスタ・ギトーを、「治癒」の魔法が使える生徒達が囲んで治療しているのであった。 「ななな、何があったのですかな!?」 「えー、…気にしないで下さい、ミスタ・コルベール。 それよりも……その格好はどうなされたのですか?」 応えるルイズ、しかし、その顔は困惑気味。 無理も無い。 彼は頭に大きなカツラを被り、ローブの胸にはレースの飾り、その他全てが普段と同じ格好ではない。 そんな珍妙な格好のコルベールを見た生徒は、皆一様に同じ顔つきをしているのだった。 「そうでした!皆さん、本日の授業は全て中止でありますぞ!」 そのコルベールの一言に教室は歓声に包まれる。 「皆さん!お静かに、お静かに!お知らせです、お知らせですぞ!」 手を必死にばたつかせて、歓声に負けじと声を上げるコルベール。 「アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問のお帰りに、このトリステイン魔法学院に行幸なされます!」 トリステイン魔法学院正面門。 そこで、左右に整列した生徒達が高貴なる馬車の到着を待っていた。 やがて、馬車が到着すると一斉に杖を掲げる、例外の無い忠誠の証。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなぁぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」 まず最初にマザリーニ枢機卿、そして、枢機卿に手をとられて美しい―まだ少女と呼んでも構わない年頃の―娘が馬車の中から現れた。 一斉に、湧き上がる、生徒達の歓声。 アンリエッタは生徒達の歓声に応えるように微笑むと、優雅に手を振った。 王女に微笑みかけられて、更に涌く生徒達。 ルイズは正面を向き、真面目な顔をして王女を見ている。 アンリエッタ王女、幼少のみぎり、ルイズと親しかった少女。 時間と距離が二人を引き離したが、ルイズはアンリエッタを忘れたことは無かった。 (王女様……ご立派に、ご立派になられて…) 遠い昔の話、既に王女は忘れているかもしれない。 それでも構わないと、ルイズは思う。 遠くから、遠くから王女の姿を見ているだけで、満足だと。 そして、熱心に王女を見ていたルイズであったが、視線を外したふとしたときに見事なグリフォンに跨った貴族の姿が眼に止まった。 気付く、そう…その姿は、あまりにも、あの頃の面影を残していて…ルイズは胸が切なくなるのを感じて、瞳を閉じた。 そして、その日の夜。 ウルザはいつものように机に向かい、何かを作っている。 一方、部屋の主であるルイズは、ベットに腰掛け、ほぅと息を吐いた。 「………これで十三回目だ、ミス・ルイズ。何か心配事かね」 「え、あ、ううん、そんなことじゃなくて………」 振り返らないウルザ。 背を向けたままのウルザとの会話は、既に普段の日常と化している。 「なんでもないの、…なんでも…」 無言、カチャカチャと机からウルザが何かを組み立てている音。 そんな中、扉をコンコンとノックする音が部屋に響いた。 初めに長く二回、そして短く三回。 ルイズがはっとする、記憶の中の大切な思い出。 慌てて立ち上がると、ドアを開いた。 そこに立っていたのは、黒いずきんを被った小柄な人影。 ルイズはすぐさま部屋に招き入れると、後ろ手に扉を閉めた。 「あなたはっ!」 ルイズが驚きに大きな声をあげそうになると、人影は人差し指を唇に当てる。 そのまま、懐から杖を取り出すと、何事かを呟き魔法を使う。 「ディテクトマジック?」 探知の呪文。 「どこに、眼が光っているか分かりませんからね」 人影が、頭巾を取る。 現れる、忠誠を誓うべき王族、懐かしい思い出の人、アンリエッタ。 「姫殿下!?」 「ルイズ!ルイズ!ああ、懐かしいルイズ!」 感極まったように、膝をついたルイズを抱きしめるアンリエッタ。 「ああ!姫様、このような下賤の場所へ、いらっしゃるなんて…」 「ルイズ・フランソワーズ!そんな堅苦しい他人行儀はやめて頂戴! わたくしとあなたはおともだち、おともだちではないですか!」 「勿体ないお言葉…」 「やめて、やめて頂戴、ルイズ。ここには枢機卿も母上も、欲の皮のはった宮廷貴族もいないのです 私とあなたは、幼い頃に、一緒に宮廷の中庭で蝶を追いかけて遊んだ仲ではないですか」 「ええ……お召し物を泥で汚して、侍従様に叱られてしまいました」 「そう!そうよ!ルイズ。クリーム菓子を取り合って、つかみ合いの喧嘩になったこともあったわね!」 「ええ、あれは………」 少女達が抱き合い、思い出話に花を咲かせている間も、部屋の隅では黙々と作業をする男の背。 「ねぇ、ルイズ……ところで、そこの方を、紹介して頂けないかしら」 「はい?あ!ミスタ・ウルザ!」 「………何かね?ミス・ルイズ」 こほんと咳払い一つ、なけなしの威厳を振り絞る。 「挨拶を、挨拶をして頂戴、アンリエッタ姫殿下に」 そこで、始めてウルザが椅子を立ち上がり、ルイズ達に向かい合う。 そしてその場で深々と礼を取る。 「お初にお眼にかかります、アンリエッタ姫殿下。ウルザと申します」 「え?ウルザ、さん?え?え?」 きょろきょろと、ルイズとウルザ、二人の間を交互に移動させるアンリエッタ。 「…もう、言って下さればいいのに、ルイズ。 それにしてもこのようにお歳が離れた方となんて………ああ、そういえばわたくしも変わりませんね。お忘れください。」 「ひ、姫殿下?あの、何か勘違いを…」 「いえ、いいのですルイズ。このように遅い時間、貴族の部屋に二人の男女。わたくしも分かっております」 「姫さま!?違います!違います!ミスタ・ウルザは私の使い魔です!」 「使い魔…?メイジにしか見えませんが」 「…メイジです、姫さま」 その後、ウルザの口も借りて、何とか誤解を解くことが出来たルイズであった。 「本当に、昔からあなたは人とは違った子でしたが…相変わらずですね」 「今からお話しすることは、誰にも口外してはなりません」 アンリエッタがそう切り出すと、ウルザが席を立とうとする。 「あ、いえ、メイジに取って使い魔は一心同体。席を外す必要はありません」 そして、もの悲しい調子で、アンリエッタは語り始めた。 自身がゲルマニア皇帝と結婚すること、それが望まぬ結婚であること、しかしそれが不可欠である政治情勢。 ゲルマニアに一人娘を嫁がせることで、同盟を結び、来るアルビオンとの戦いに備えるトリステイン。 トリステインとゲルマニアとの同盟締結を防ごうとするアルビオン貴族達の暗躍。 そして、それを可能とさせる、一通の手紙の存在。 手紙はアルビオン、抵抗を続ける最後の王族、ウェールズの手に。 「分かりました…このルイズ、ルイズ・フランソワーズが必ずや手紙を取り戻してまいります!」 「ああ、ルイズ、私のルイズ!この様に危険なことに巻き込んでしまう私を許してください」 「いいえ、姫さま、気になさらないで下さい。 ………ミスタ・ウルザ…?」 勝手に危険、しかも内乱の最中であるアルビオン王国、その中に潜入しようという話を進めていることに気付き、ルイズはウルザの顔を窺う。 「私は使い魔、君が決めたことに従うだけだ。君が友達の窮地を救いたいというなら、力を貸そう」 拍子抜けするような了解、むしろ、多少の気遣いが感じられるような……… 「それよりも、彼をどうするか、考えた方がいいのではないかね?」 ウルザはそう言うと、部屋の扉を開け放つ。 すると、バランスを崩して雪崩れこむように部屋に転がり込んでくるギーシュ・ド・グラモン。 「………やあ」 結局、覗いていたギーシュが一緒についていくと言い出し、秘密を知られてしまった以上同行させる他ないというアンリエッタの配慮で、ギーシュも同行することとなった。 話が纏まると、アンリエッタは一通の手紙をしたためた。 そして、その封をする直前、思いつめたように一文を書き加える。 「始祖ブリミルよ……。国を憂いても、この一文を書かざるをえない、この自分勝手なわたくしをお許しください」 改めて、手紙に封をし、それをルイズに手渡すアンリエッタ。 「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに……件の手紙を返してくださるでしょう」 それから、とアンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜くと、それをルイズに差し出した。 「母上から頂いた『水のルビー』。きっとこれがあなた達をお守りくださるでしょう。 どうか、あなたたちに始祖ブリミルのご加護がありますように………」 誰が気付いたであろうか。 この時、『水のルビー』を見つめるウルザの瞳が、驚愕に見開かれていたことを。 出来ないじゃないの、やるのよ。 ―――虚無魔道師の見習い ルイズ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/269.html
ここは、トリステイン魔法学院の第一演習場。穏やかかな春の気候ででしたが、そろそろ夕暮れに差し掛かり少々肌寒くなってきました。 生徒たちは、羽織っていたマントを体に巻きつける様にしながら無言で待っていたのでした。 話は少しさかのぼるりますが、今日の午後から二年に進級した生徒たちによる「サモン・サーヴァント」が行われていました。 今後の魔法使いとしての一生を決めるといっても過言ではない重要な儀式なのでした。 生徒たちの殆どが成功を収め「コントラクト・サーヴァント」 も済ませることが出来ていました。一人の例外を除いて・・・・ 一人の例外とは桃色の髪をした少女の事でしたが、この少女」同じ事を何十回となく繰り返しているのです。 詠唱→爆発→失敗→詠唱→爆発→失敗→詠唱→爆発→失敗→詠唱→爆発→失敗・・・・ 「目の前繰り広げられるある少女の行動にそろそろ飽きてきていた。」 これは、一人の例外を除いた生徒・教師全員の心理とも言うべきものでした。最初の頃は嘲笑や冷やかし等を送っていましたが回を重ねるごとに流石に黙ってしまったのでした 頭が涼しげな中年の教師らしき男性が少女に声をかけます 「ミス・ヴァリエール、そろそろ日も暮れてきました。サモン・サーヴァントは明日やり直す事として、今日の所は魔法学 院に戻りましょう」 「コルベール先生、後一回だけ・・・どうか後一回だけ挑戦させてください」 顔も服装も泥や煤だらけとなった少女は、やや涙目になりながら嘆願したのでした。 教師らしき男性は少し考えた後 「わかりました。ミス・ヴァリエール、落ち着いてからゆっくり集中してやってみなさい」 ルイズは教師に礼を述べるとゆっくり深呼吸し今までで一番の集中を始めるのでした 「諦めの悪さは私でも負けるかもね~」 褐色で豊満な胸を持ち赤毛の生徒が、先ほど自ら召喚したらしいサラマンダーを撫でながら呟いた 「タバサはどう思う?」 「興味ない」 自分の背丈より長い杖を持つ幼く青い髪の少女はそっけなく答えるのでした 「全宇宙のどこかにいる私の僕となる者よ! 比類なき力を持つ使い魔よ! わたしは心より求め、訴える!! 我が導きに答えよ!!」 力が入ったためか少々変わった詠唱の後、轟音とともに盛大に広がる爆発。先ほどと殆ど同じ光景、違うのはその爆発の大きさと幽かに見える何かの影・・・・ 「おい、何か居るぞ」 「ゼロのルイズが召喚に成功したのか!?」 「そんなまさか・・・・信じられん・・・」 遠巻きに見守る生徒達の声など耳に入らない少女は(やったわ! あたしはやったのよ!! ついに召喚に成功し たんだわ!!!) 徐々に煙が晴れてはっきりとその姿が見えてきます。そこには奇妙なゴーレムと思しき白い何かが存在していました。 コルベールが唸りながら呟きます 「ゴーレムの様ですが・・・浮いている上に・・・持っているあれはほうき???」 確かに、白いゴーレムらしき者は宙に浮いていました。それだけでも珍しいのだがなぜかほうきの様な物を持っていた。さながら掃除をしているかの様なその姿。 「掃除するゴーレムを召喚するなんて珍しいや」 「流石はゼロのルイズ!!一味違うぜ」 召喚したものを見ながら、嘲笑する生徒たち。しかし、ルイズの耳には届かないのでした。 (宙に浮いてるゴーレムなんて結構レアかも。ほうきなんてこの際どうでも良いわ!はやくコントラクト・サーヴァントを済ませて使い魔にしなきゃ) ルイズはサモン・サーヴァントが成功したこと。宙に浮くゴーレムを召喚できたことの喜びでいっぱいだった。大急ぎでゴーレムまで駆けつけると更に驚くべき出来事が待っていました。 「わたくし、庭を掃いていました。しかし、どこまで庭かわかりません。わたくし・・・」 「あんた喋れるの???」 白いゴーレムの呟きを聞いたルイズは驚いて声をかけました (よくわからない事言ってるけど言葉も喋れるゴーレム・・・かなりいいわ!!) さらに喜びを増したルイズはささやかな胸を張り貴族の威厳をかもし出しながら質問をするのでした 「あんた誰?名前は?」 「おとーさんです」 「へ?」 さらに、白いゴーレムはこう続けたのでした 「クイズ。私は誰でしょう?」 「へ?」 「ヒント。サンタさんではありません」 ルイズは少し考えた後、 「お、おとーさん?」 「当たり」 白いゴーレムはどこから出したのか右手でベルをカランカランと嬉しそうに鳴らしていました。 ルイズは白いゴーレムの左手からほうきを奪い取ると 「あああ、あんた!!あ、あたしの事バカにしてるでしょ~~~~!!!」 と顔を真っ赤にしながら叫び白いゴーレムをペシペシ叩きながら追い回すのでした・・・
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4467.html
「天体戦士サンレッド」から「怪人組織フロシャイム」と「正義の味方のサンレッド」を召喚 秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ-01 秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ-02 秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ 外伝?
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1691.html
前ページ次ページ仕切るの?ルイズさん 春――ここに悩める女生徒が一人 「うーん………」 「どうしたの? そんな顔をして。」 「あ、おはようキュルケ。 いや、昨日私が召喚した使い魔の事なんだけどね………」 「ああ、あの四角い形をした使い魔ね。 ……ひょっとして何かすごい能力とか見つけたとか?」 「いや、あの憎き使い魔をどう煮ようか、どう焼こうか、どう蒸そうか………って考えてたらいつの間にか朝になっちゃって………」 「………それは大変だったわね。」 時はサモン・サーヴァントの儀式の翌日。 つまりキュルケが昨日召喚したばかりの使い魔を連れて朝食に向かう途中でクラスメートのルイズに遭遇したのである。 「ところでさ」 キュルケが突然ルイズに話題を振る。 「あなた……何か忘れ物とかしてないかしら?」 「えっ?いきなり何言い出すのよ。 私が忘れ物なんてするわけないじゃない。」 「つまり、その………」 「なっ、何よ。そりゃいつもよりぼーっとしてるかもしれないけど、私は忘れ物なんかしてないわよ! 本当よ!」 珍しくキュルケが言葉に躊躇していたのでルイズはいささか動揺していた。が――― 「じゃああなたのその格好はファッションなのよね?」 なぜか室内に冷たい風が吹いた。いつもより下がスースーした。 (あああああああーーーーーー!!!!!私、スカート履いて無い! どうりで下がスースーすると思ってたら!) 「××××恥ずかしぃーーーー!!!!」 「ルイズ………あなたが何を言っているのかあたしにはわからないわ………」 「……………」 「あっ、タバサ。おはよう。」 キュルケの挨拶を軽くスルーしたタバサは、 目の前のルイズの姿を見て一言。 「若手芸人?」 「ウケ狙いでも、罰ゲームでもないわよっ!」 むしろその方がまだマシなんじゃ………と思ったが口には出さないキュルケであった。 「あんた誰?」 「おう!俺の名前はモロヤマ1号だ! 文部科学省が生み出したラララ科学の子なのさ! もっと俺の事について知りたかったら『10万個』と10k 「ミスタ・コルベール! 今すぐこれを私の魔法で破壊します!」 「おいおい、いきなりこれ扱いなんて酷いぜセニョリータ。 これから俺はお前の使い魔になって生着替え見てはぁはぁしてやるからさ。」 「誰があんたを使い魔にするって言ったのよ!」 時は遡って1日前の春の使い魔召喚の儀式の時である。 他の2年生は難無く使い魔を召喚し、ルイズも失敗はしたが召喚に成功した。 それが、顔がパソコンのモニターの形をしていて耳には高性能っぽい何かが備え付けられていて首から下は学ラン姿のロボット、モロヤマ1号だった。 「ミス・ヴァリエール。これは伝統なんだ。 たとえ何かの臓器であっても黒タイツを履いた私そっくりのおっさんであったとしても契約が成立する。もちろん、これも例外ではない。」 「お前もこれ扱いかっ!」 かくしてルイズはモロヤマとコントラクト・サーヴァントの儀式を行った。 「なんでそこまでして俺との契約を嫌がったんだ?」 「だって………」 ルイズは頬を赤く染めてぽつりと本音を漏らした。 「契約したらあんたの馬鹿がうつりそうで………」 「うわっ、なんて失礼な。」 そして呆然としていた生徒達に向かってモロヤマはこう言った。 「お前達! 俺が超美少女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとチューしたこの唇と間接チッスする権利を買うとしたらいくら出す?」 「いっ、いきなり何言い出すのよあんたは!」 「全くだ。僕たちを馬鹿にするのにもほどがある。」 そう突っ掛かってきた男子生徒の名前はギーシュだった。 「そうよ! いくら男子生徒が馬鹿だからって得体の知らない何かとキスするわけないじゃない!」 「そうだよ! 間接キスと言えばラップ越しに決まってるだろうが!」 「あんた達怒るところはそこなの?」 キュルケの冷静なツッコミが飛んだ。 しかしルイズは自分の見通しの甘さに気付いていなかった。 一つは、馬鹿は自分だけでなく学院の皆にうつってしまっている事。 もう一つは馬鹿だけでなく変態にもなっている事―― 前ページ次ページ仕切るの?ルイズさん