約 5,503,376 件
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/179.html
魔法少女リリカルなのはForceNEXT Design05 より鮮烈に、より美しく――25歳になったフェイトの姿がここに。4期において開示される、「リリカルなのは」の新しいカタチ フェイト・T・ハラオウン×バルディッシュアサルト ライオットブレードII ライオットザンバーII バルディッシュアサルト ライオットブレードII フェイト執務官の愛機の進化機体。 もともと二刀一対だった「ライオットブレード」を連結使用できるように仕様と性能が変化しているが、 バルディッシュの本体は手を加えられることなく残っており管制を行っている。 本機はフェイトとバルディッシュの意志により第五世代デバイス運用理論および素材技術におかえる実験機として稼働している。 「魔力無効」状況における活動を行えるよう、CW社系とは別のことなる独自の変換技術を採用し、術者の魔力を機体内に蓄積、変換して活動するシステムを保有している。 バルディッシュアサルト ライオットザンバーII 大剣「ライオットザンバー」の進化形。詳細なスペックは公開されていないが、 個人武装としては完全にオーバースペックとなる「対艦/空域制圧」レベルの制圧能力を想定しているというデータが明かされている。 CW社製のAEC装備が「魔力を完全な物理エネルギーとして変換する」という思想なのに対し、 第五世代デバイスは「魔力無効化状況下でも魔力を魔法として使用できる」「魔力有効化状況下においてはさらなる強化を得る」という思想で設計されている。 このため、第五世代デバイスは魔力無効状況下でも純粋魔力によらず、衝撃・スタンなどの非殺傷効果を発生させることができるほか、 魔力有効状況下ではさらに強力な効果を得ることのできるこの「第五世代」は、しかし現状では運用が極めて難しく、 電気・炎といった「先天変換性質」保有者や、極めて精緻な魔力コントロールを行える術者以外では稼働出力が安定しない、 現状ではエネルギーロスが多く、長時間運用が難しいという欠点をもつ。 そういった意味でも、これら第五世代機は、「違法兵器」の思想として「魔力無効」が当たり前のようになりつつある現在、 「魔法」が平和を守る力として通用しうるかどうかの試金石であるとも言える。 設定画 合体シークエンス 1片方の柄尻が180度回転します。2柄尻同士を接続します。3柄の下半分を収納します。4完成!! 二刀←→ダブルブレードの切り替えは一瞬です。戦いの中で流動的に切り換えます。刃の形状は変化します。 ダブルブレード化 必要に応じてダブルブレードと二刀流を切り換える感じ
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/169.html
魔法少女リリカルなのはForceNEXT Design03 「リリカルなのは」の新しいカタチ。なのは、スバルに続いて、シリーズ第4期主人公・トーマが新たなる姿を見せる! トーマ・アヴェニール×ディバイダー996第2形態 戦闘防護服第2形態「黒騎士」 ディバイダ―996第2形態 EC因子適合者、トーマ・アヴェニールが保有するディバイダー「996」。 通常3桁の数字で表されるディバイダーのナンバリングのうち、末尾に近いこの機体には謎が多い。 通常、ディバイダーは駆動触媒である「リアクター」を介して「リアクト」を行い、術者自身とディバイダーの全機能を開放する。 しかし996はリアクター無しで形状変化を見せており、通常のディバイダーにおけるリアクト状態に近い形態を取っている。 ナイフ状だったブレード部分は「剣」と呼んでいいほどに肥大し、リボルバーやバレルの部分にも大幅な変化がみられ、 左手にも盾と刃物が一体化した形状の武装が発生している。 白銀色だった銃身は黒と赤に彩られており、この色彩や形状の変化について、 「ディバイダーの形状変化は、使用者の闘争本能や戦いへの意志が映し出される」という研究説が上がってきているが、 その検証はいまだなされていない。 戦闘防護服第2形態「黒騎士」 魔導師がバリアジャケットを、騎士が騎士甲冑をまとうように、EC因子適合者は戦闘時に独特な防護服を発生させることがある。 「戦闘防護服」と仮称されているこの服装は、ディバイダーから供給されているエネルギーによって編まれたもので、 術者の意志に応じて発生するとされている。 トーマ・アヴェニールはリアクト前の996起動時にも防護服を発生させていたが、その時の形状ともいくらか異なる。 防護というよりはより攻撃的な形状となっているのが見てとれる。 この形態を取った際のトーマ・アヴェニールは半ば以上自我を喪失したていたという報告もあり、 EC感染者の典型的な死亡例である「自己対滅」の前兆症状が発生している可能性がある。 設定画 ディバイダ―996第二形態ブレード 色の詳細は5月分のイラストを参照でお願いします。刃はチタンかなんか銀色の シャフトは鋼鉄かなんか黒いの 赤いラインが入ってます。銃口 装弾数6発 装弾手順 1スライド 2回転 魔力かなんかの砲弾 刃が射線をふさいでいて、銃口が形骸化してます。なので砲撃は刃先から出ます。 ディバイダ―996第二形態シールド 指先は出てます ガントレットは二重構造です ここに刃を接続します 戦闘防護服第二形態「黒騎士」 「鬼の侍」みたいな感じのシルエットです。色は5月分イラスト参照で… 首の部分 アーマージャケット ウエストプロテクター ベルト ぶらぶらします。右手はプロテクタをオミットしただけです 左手は指先まで 裏地も赤→黒になってます。もう全身マッ黒です。グリーブ 裏も基本同じです
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/419.html
仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI キングと天道を乗せたカブトエクステンダーは温泉を目指し、川沿いの道を疾走していた。 碌に整備もされていない道だが、カブトエクステンダーの能力のおかげだろうか、 その悪路ともいうべき道のりをキングでも難なく進めていた。 このままならすぐに温泉へと着くだろう。 キングがそう思った矢先、道の向こうから三人の姿がキングの目に入ってきた。 ズサッと驚くほどの制動距離でもってバイクを三人の前で停止させ、 キングは一人一人の顔を検分しようとする。 だが、そんな事をする前にキングの前に歩み寄る人物が一人。 「ちょうどいい。お前、俺と戦え」 カテゴリーキングに属するアンデッドを前の前にしても、 何ら臆することなく獰猛な瞳を向ける浅倉威であった。 「戦う? ちょっと待ってよ。僕はこのゲームになんか乗っていないよ」 「そんな事を関係ない。お前は強いだろ? だったら俺と戦え」 ただの人間の不遜な態度に流石のキングも幾分かの反感を覚えないわけではないが、 生憎と今は背中に大切な玩具を背負っている。 それをこんな事で壊してしまっては堪ったものではない。 それに態々デスゲームとやらを面白くしてくれそうな人間を、 自分の手で殺してしまうのも憚られる。 「いやいや、僕と戦ったってつまらないよ。それに、ほら」 そう言い、キングは背中で気を失っている天道を見せる。 「僕はこれからこの人間を手当てしなくちゃだからさ」 「そいつは……!」 「おや、知り合い?」 「俺の獲物だ。お前がそいつをやったのか?」 「まさか! 僕はそんなことはしないよ。最初に会った時から、こいつはこんなんだったよ」 「そうか……じゃあ、俺と戦え」 「いや、待ってよ。何でそんな話になるのさ。全然話が繋がってないよ」 「関係ない」 にべもない一言。 浅倉は一歩、また一歩とヴィンデルシャフトを構えながら、キングにへと歩み寄っていった。 とは言っても、相手はアンデッド、キング。 そんな事に全く動じもせずに、目の前の男を吟味しつつ、相手がどんな人間か―― いや、『CROSS-NANOHA』を持つキングは相手が誰であるかを考え始めた。 「そう言えばさ、君は天道のことを獲物って言ってたよね? ひょっとして、前からこいつのことを知ってたの?」 「さあな」 ふ~ん、と喉を鳴らしながら、キングは自らの記憶を探る。 『CROSS-NANOHA』における仮面ライダーの部分は 他の物よりはよく目を通したとはいえ、まだ全てを覚えきったわけでない。 でも、そんな斜め読みでも天道と同様に印象に残った人物が一人いた。 そしてその確認の為にも、キングはあるキーワードを歩み寄る男に告げてみた。 「そういえば、この天道って人、最強の仮面ライダーらしいんだよね」 「なに!?」 その動物のように野生じみた瞳に一瞬、驚愕の色が写ったのをキングは見逃さなかった。 「ねえ、君の名前を聞いてもいいかな?」 「……浅倉だ」 「そっか」 その答えを聞いて、キングは傍から見ても分かるような笑みを隠さず浮かべた。 「じゃあ、やっぱり君も仮面ライダーなんだね?」 その質問を聞いて、浅倉もキングに負けず劣らずの凄絶な笑みを浮かべた。 「なるほど。それなら話は早い。お前も仮面ライダーなら……」 顔に笑みを浮かべたまま、浅倉はヴィンデルシャフトをキングに向けて、振りかぶった。 「俺と戦え!」 狂気と歓喜を孕んだ一撃が、キングの脳天めがけて、勢いを乗せる。 しかし、ヴィンデルシャフトがキングにぶつかると思った瞬間、空中に盾が出現。 再び驚愕の色をその瞳に写し、浅倉はヴィンデルシャフトと共に後方に弾き飛ばされた。 「変な勘違いはしないでよ。僕は仮面ライダーなんかじゃないよ」 そんな言葉を聞いても、浅倉は笑みを絶やさず、再びヴィンデルシャフト構えて、立ち上がった。 そして今度こそは一撃をキングに見舞ってやろうと、踏み込んだところで キングは突然とバッグからベルトを取り出し、浅倉の前に掲げた。 「何のつもりだ!?」 キングの不可解な行動に浅倉も思わず足を止め、質問をしてしまう。 「仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう? こんなんじゃベルトも役に立てなくて可哀想だから、これは君に上げるよ♪」 放り投げられたベルトを浅倉は思わず受け取ってしまう。 「……お前……何がしたい?」 「いやだなー。そんなにも睨まないでよ。さっきも言ったでしょ? そのベルトを役に立てるためさ。 仮面ライダーには、やっぱり仮面ライダーらしく振舞ってもらいたいからね♪」 「仮面ライダーらしくか……」 「そうそう♪」 キングの「仮面ライダーらしく」という言葉に浅倉は愉悦を顔一杯に広げた。 そしてその様子を見て、キングも楽しげに頷く。 目の前の仮面ライダーを知る浅倉という名の人間。 キングの記憶が確かなら、連続殺人犯。 そして戦うためだけに仮面ライダーとなった狂人。 そんな人間の手に自分の大切なベルトが渡ったと知ったら、天道の心はどうなるか。 自分のベルトによって多くの人間が命を失うと知ったら、天道の仮面ライダーとしての誇りはどうなるか。 (な~にが天の道を往き、総てを司るだ? お前のぜ~んぶを滅茶苦茶にしてやるよ) キングは背中で眠る天道を我が子のように愛しげに見つめた。 「そうそう、そんなに戦いたいなら、僕より強い奴が向こうにいるよ。 いきなり鎌を持って僕に襲い掛かってきてね~。魔法も使ってくるしで、逃げるだけで手一杯だったよ」 ベルトをつけた浅倉が自分に歩み寄ろうとするのを目の端に留めたキングは 彼が自分に向かってこないように、美味そうな餌を彼に放った。 とはいえ、それが幾ら極上な料理であろうと、 目の前にある餌を見逃すほど浅倉の飢えは生易しいものではない。 浅倉はベルトに手を宛がい、変身の準備へと取り掛かった。 「それにさ、僕は天道を手当てしなきゃなんだよ。浅倉もさ、この天道とちゃんと戦ってみたいでしょ? こいつ、このままだと、死んじゃうよ?」 そのキングの言葉に浅倉の動きは止まる。 天道は浅倉にとっても是非とも戦ってみたい相手だ。 絶えず鬱屈するイライラを拭ってくれるような予感を 浅倉は天道と会った時に僅かにしろ抱いたのだから。 「どこだ!? そいつはどこにいる!?」 そして野獣はキングの放り投げた餌に齧り付くことになった。 「そんな慌てないでよ。向こうだよ、向こう。まだそんなに時間も経ってないし、まだあそこにいるんじゃないかな。 戦いたいんだったら、急いだほうがいいよ。あ~、あとゲームにも乗っているみたいだから、気をつけてね♪」 キングの言葉を聞き届けると、浅倉は慣れぬ武器、ヴィンデルシャフトをゴミのように放り投げ、 それからジェットエッジと自分が立つ悪路とも言うべき地面を交互に見比べ、 やがて忌々しそうにそのローラーブレードも捨てた。 今、彼の手にはライダーベルトがある。 その喜びで顔を狂気に彩らせた浅倉は、キングの指差した方向へと歩みを進めていった そしてそんな勝手な浅倉と気絶している天道を、おろおろと交互に見比べる少女が一人。 「あの、その人を助けてくれるんですか?」 やがて意を決したかのように少女、ヴィヴィオはキングに訊ねた。 「……その前に君の名前は何ていうの?」 「えっと、私の名前はヴィヴィオです」 ヴィヴィオと名乗る少女の名前と容姿を頭の中に刻み込み、キングは笑みと共に質問に答えた。 「ふ~ん、ヴィヴィオね。僕の名前はキング。え~と、それで何だっけ? あ~そうそう、うん、勿論、助けるつもりだよ」 「そうですか」 キングの答えにヴィヴィオは笑顔を広げる。 「えーと、それじゃあ、その人の事をよろしくお願いします」 ペコリと頭を下げ、後顧の憂いを無くしたヴィヴィオは浅倉の捨てた「ゴミ」を拾いながら 急いで彼の後を追いかけていった。 その影二つを優しく見送りながら、キングはバイクのエンジンを点け、 再び走り出そうとするが、不意にそれを制止する声が耳に入った。 「待ってください」 キングが目を向けてみると、オレンジ色の鮮やかな髪の色をした女性、シャーリーがいた。 「なに?」 「ゼロのことを、その人のことを、どうするつもりですか?」 「どうするって……そりゃあ、助けるさ。こんな様じゃ、可哀想だろう?」 「その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?」 「そうなの?」 「そうです!」 天道はゼロでありテロリストであるという命題を解くのには、キングの情報が不足していた。 ゼロという単語は確かに目にした記憶はあったが、それが何だったかいまいち思い出せない。 それに天道の部分もまだ完璧に網羅しているわけではない。 もしかしたら、彼女の言うことは本当なのかもしれない。 しかし、仮面ライダーとゼロは別個の話だったような気がしないでもないし やはり、彼女の言うことは狂言、もしくは単なる思い込みなのだろう。 といっても、だからキングが何をするという話でもない。 彼女の言葉の調子からゼロという者に恨みを抱いているのが見受けられる。 それも相手が死んでも構わないくらいに。 彼女を壊すのは簡単だ。 天道を殺させた後に、彼はゼロではなかった証明してやればいい。 そうすれば、無関係な人を殺したという罪悪感に勝手に押しつぶされて、愉快な姿を曝け出してくれるだろう。 だけど、それだとキングが困る。 何故なら、天道はキングにとって、自分が壊すべき大切な玩具なのだから。 「ん~、まあ、このままだと死んじゃうかもしれないしね~。それだと、つまんないから助けるよ」 つまんないから。 そんな予想だにしてなかった理由にシャーリーは思わず口を噤んでしまう。 「で、もう行っていい? 早くしないと、こいつ死んじゃいそうだからさ」 「え? えーと、これからどこに行くつもりなんですか?」 「ん~、温泉。日本人といったら、やっぱり温泉でしょ?」 「そう……ですか。それはいい考えだと思います」 「でしょ? 最後に君の名前を聞いてもいいかな?」 「……シャーリーです。シャーリー・フェネット」 「シャーリーね。覚えたよ」 最後に子供のような無邪気な笑顔を残し、キングはバイクで走り去っていった。 そしてそれを見送るシャーリーはキングの「つまんないから」という言葉を思い出し、一人頷いた。 確かにキングの言うとおり、ゼロがこのまま簡単に死んでいってはつまらない。 彼はおおよそ悪とはかけ離れた民間人を多数殺したテロリストだ。 その大罪を購う為にも、ゼロは精一杯苦しまなきゃならない。 自分の手で殺していった人間の命の重さを知るためにも、これでもかというほどに。 それを今、ここで簡単に殺してしまっては、死んでいった彼らの痛みなど伝わらない。 それでは父の、ゼロによって死んでいった人々の無念が晴らされることはないだろう。 だから、彼女は天道を殺さなかった。 (ゼロ、私はあなたを決して許さない。だから精一杯苦しんで) ゼロの容態、そして彼の向かった温泉には治療に使えそうなものなど 何一つ残っていなかったのを思い出し、 彼女はほんの少しの罪悪感を覚えながらも、ほんの少し笑った。 【1日目 朝】 【現在地 C-7】 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)、気絶中 【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 0.気絶中 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。 2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。 3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。 4.感謝するぞ、加賀美。 【備考】 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。 ※身体がいつものように動かない事を知りました。 【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】 【状態】変身による疲労(中)、一時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)、非常に上機嫌 【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ソリッドシールド@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする 1.温泉に向かう 2.天道で遊ぶ 3.『CROSS-NANOHA』でヴィヴィオ、ゼロ、シャーリーを調べる 4.浅倉とキャロに期待 5.はやてとの合流は後ででも良いかな 6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ 7.とにかく面白いことを探す【備考】 ※制限が掛けられている事に気がつきました ※ゴジラにも少し興味を持っています ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。 ※カブトの資格は持っていません ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。 【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】 【状態】健康、悲しみ 【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル 【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~2(元シャーリー 0~1(一見して治療に使えそうなものはありません)、元ヴィヴィオ0~1) 【思考】 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。 1.ヴィヴィオの為にフェイトを探す 2.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる 3.浅倉と行動を共にしヴィヴィオを守る 4.ルルやスバルや六課の人を捜す 5.この人(浅倉)って……実は良い人? 6.デュエルアカデミアって……決闘の学校? 【備考】 ※天道のことをゼロだと思っています ※ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました ※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています ※ザフィーラを大型犬だと思っています ※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています ※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています ※2つあるなのは、フェイト、はやての名前から同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています ※デュエルアカデミアを物騒な所だと思っています ※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています 【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】 【状態】右手に火傷 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式 【思考】 基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物 1.鎌を持った奴(キャロ)と戦う 2.1の後は市街地にある施設に向かってみる 3.回復した天道、キングと戦う 4.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する 5.この二人がウザい。鬱陶しい。 【備考】 ※自分から二人に危害を加えるつもりはありません ※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです ※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています ※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません ※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません 【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、深い悲しみ 【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本 フェイトママや、六課の皆と一緒に脱出する 1.なのはママ…… 2.フェイトママを探す 3.浅倉とシャーリーに着いて行く 【備考】 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています ※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています ※キングのことを天道を助けてくれるいい人だと思っています ※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 時系列順で読む Next バイバイ Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 投下順で読む Next バイバイ Back Deathscythe キング Next 暇をもてあました神々の遊び Back Deathscythe 天道総司 Next 暇をもてあました神々の遊び Back 混濁の純血 この身は汚れても 浅倉威 Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても ヴィヴィオ Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても シャーリー・フェネット Next 三人の印象
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1840.html
「ザッ……俺は望んで――ザザッ―なった……!お前は――」 戦いの終幕を報せる爆音。 勝者はこれからの歴史を作り、敗者は記憶にのみ残り、いずれ消える。 どれだけ美句を並べたところで、歴史に選ばれなかった敗者たちの願いは叶えられない。 彼らが望んだのは、きっと結果だけではなかったのだから―― スカリエッティに纏わる事件から数ヶ月、落ち着きを取り戻しつつあった機動六課のもとに現れたのは 「騎士を名乗るのならばもう少し冷静になるべきではなくって?」 「貴様っ!」 護るべきものを失った騎士――あるいは主を護る新たな騎士――と 「あたいはティス!よろしくね!」 「痛いっ痛いっ!わかりましたから離してっ!」 母を失った人でない少女――あるいは新たな家族――と 「ん……こんな美人さんの隣で目を覚ますとは、ラッキーなんだな。これが」 「……なのは……この人誰?」 「……だれ?」 「え……えええっΣ!」 信念と愛するものを奪われた戦士――あるいは二人の愛を阻む(?)お邪魔虫――だった。 魔法少女リリカルなのは―外伝ARJ 始まりません 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1644.html
魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER 第十三話「黒龍伝説」 アギトを飲み込もうとしてその不気味な姿を現した飛竜「フルフル」。 フェイトは写真を通じてみたことはあるがやはり間近で見るとかなり不気味。 キャロ達はまさに未知との遭遇を感じている。体が凍ったかのように動かない。 目のない顔をずっとこちらに向けてきている。そして身を屈め、飛び出した。 「来るぞ!!」 ゼクウの言葉にハッとした皆は四方八方にステップして回避。 フルフルは地面に降り立ち、顔を動かして臭いを探っている。その姿も不気味。 ぐるりとゼクウ達の方に顔を向ける。だが、見ていない。 しかし顔はまっすぐゼクウ達を捉えていた。 「皆…準備はいいか。行くぞ!!」 ゼクウが先陣を切って飛び出した。対するフルフルは咆哮を上げる。 奇怪な声を上げて突進してくるフルフルの巨体を回避、キングテスカブレイドで一番攻撃が入りやすい首の箇所を攻撃。 当たりはしたのだが手ごたえがあまり感じられない。肉質がブヨブヨしているものだから並大抵の攻撃では衝撃を中和されてしまう。 だったら?……手は一つ。『中和できないほどの衝撃を与えればいい』。たったそれだけだ。 絶大な破壊力。それはゼクウが愛用する大剣のメリットの一つ。速さを捨て、その一撃だけに全てを注いだ単純にて奥が深い武器。 腕が光り、鼓動が早くなる。 ―一撃は、無防備なその頭に振り下ろされる。 「波ぁっ!!」 刃は肉に抉りこむことはなかったが、頭の内部に振動と衝撃を叩きつけた。 よほどの衝撃だったのか、頭を上げたフルフルは反撃せず、フラフラとよろめいている。 これも極限まで体を鍛え驚くべきほどの体の丈夫さ、力強さを生み出した狩人だからこそ成せる業か。 「おぉぉおぉぉぉぉぉぉっ!!」 続いて振り下ろされたのはエリオのストラーダ。 細身の刀身がブヨブヨの皮に傷をつける。それだけで皮と肉を切り裂くことは敵わなかった。 エリオはスピード主体の戦闘スタイルでおまけにフルフルには電気も通じない。 ガジェットや今まで戦ってきた敵とは何もかもが違いすぎる。そして、調子がどこかで狂わされる。 エリオはらしくない舌打ちをしてフルフルを見据える。 と、ここでやっとフルフルは動き出した。数回、エリオの方に足踏み。すると急に二歩踏み出して首を突き出した。 「伸びたっ……!?」 「エリオ!!」 フルフルの首が伸び、エリオを捕らえようと迫る。 しかしエリオは跳んで首にストラーダを刺した。肉を切り裂くという不快感がどうしても拭えないが今はそれどころではない。 ともかくこれでちょうどちゃんとした攻撃となったわけだ。すばやく距離を取り、離れた場所へ着地。 「はぁぁぁっ!」 そして次はフェイトのハーケンスラッシュが縮みきってないフルフルの首に直撃した。軽く悲鳴に似た泣き声を上げる。 次に飛び出すのは先ほどの動作の間にアギトとユニゾンしたシグナム。 手にするレヴァンティンにはすでに炎が纏っていた。 「飛竜一閃!」 フルフルを襲うは放たれた業火。さすが弱点属性の攻撃だからか、ダメージが大きいように見える。 必死になってのた打ち回り火を消そうとしている。 だが、そのフルフルに追い討ちが。 「フリード!ブラストフレア!」 「キュクルー!」 火達磨になって暴れるフルフル。壁に体を打ちつけ、のた打ち回り。 火を消そうとしている姿を見ていると何故かこちらまで顔を歪めてしまう。胸の中には不快感。 しばらくすると体のあちこちが黒くなったフルフルが立ち上がり、白い吐息を漏らす。 「オゴォォォォォォォアァァァァァァァァァ!!」 辺りに響くのは大音量の咆哮。 その音量は、大きすぎる。そして長い。その場にいた全員が耳を塞いだ。 しかし耳をふさいでも少しも音量は下がる気配はなく、結局は塞いでも塞がなくても変わらないんじゃないか、とまで思い始めた。 目を開けるとゆらぁり、ゆらりと迫り来る巨体。キャロとフリード以外、皆急いで武器を構えて飛び出すが、それが命取り。 尻尾の先が突然広がり地面に繋げ、自分は低く構える。ゼクウはその動作を知っているため止まろうと思ったが、遅かった。 体中から蒼白い光が放たれる。フルフルの攻撃の中で危険な攻撃に分類される放電。稲妻が体から発せられる。 悲鳴を上げる間もなく吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。 「み……皆……」 助けようと動き出したキャロとフリードの方へとフルフルの顔が向く。 口の中には先ほどよりも蒼白い光が溜まる。他の皆は電撃を直撃して、麻痺していた。つまり今のキャロは無防備。 雷のブレスを吐いた。が、速度は遅くそんなに大きくもないため避けようとした。 刹那、そのブレスが三つに分かれて一つがキャロの体に直撃。 「あ…あっ…ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」 突然体中を駆け巡る言いようの無い痛み。後から襲う痺れ。 今まで味わったことのない痛みに目には涙が溢れ、麻痺で体がピクン、ピクンと痙攣している。 皆が自分の名前を叫ぶが聞こえない。感じるのは痛みのみ。 ゆらりとフルフルがキャロに近づき、そこに横たわるキャロの存在を確かめるべく臭いを探る。 時折滴り落ちる酸性の唾液がバリアジャケットをほんの少し溶かした。 皆は動けない。だが、一人の男は違う。 「今この時に使わなくて……いつ使うんだ…。」 フェイト達と同じように麻痺で動けないはずなのに、手が動く。鎧の背中に手をかける。 「今一度…俺は狂おうじゃないか…。」 取り出したのは竜を模した形の兜。それをゆっくりと、頭に被る。 被ると、力が抜けてしばらく停止した。 フルフルがキャロの小さな体を飲み込もうとした時、大きな衝動が辺りを駆け巡る。 同時に響く、男の咆哮。 「おぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 男、ゼクウの咆哮は普段の彼の声とは違っていた。それはまさに竜の咆哮……否、 ゼクウと竜の咆哮が重なって響いていたのだ。容姿は、全身漆黒の竜の如き鎧。「ドラゴンS」のフル装備。 ―数多の飛竜を駆遂せし時 伝説は蘇らん 「でぇぇえぇぇぇぇいっ!!」 キングテスカブレイドを”片手で”振りかざし、フルフルを吹き飛ばした。かなり先へ、そして壁へ。 ―数多の肉を裂き 骨を砕き 血を啜った時 彼の者は現れん 「つおおおおおおおおお!!」 壁に叩きつけられても尚、キングテスカブレイドで斬りつけ…否、殴りつけると言った方が正しいだろうか。 鈍い音が辺りに響く。壁が破れ、壁の向こう側にフルフルが飛ばされても、追う。 ―その者の名は 宿命の戦い その者の名は 避けられぬ死 喉あらば叫べ 耳あらば聞け 心あらば祈れ 「でぃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 ヒーローというにはあまりにも禍々しく、悪というにはあまりにもらしくなくて。 だったら今目の前にいるのは誰なのか。 ―天と地を覆い尽くす 彼の者の名を 「我………断つ……!!」 キングテスカブレイドの刀身から業火があふれ出し、包む。 狂った狩人と化したゼクウの辺りには魔力とは違う言いようの無いオーラ。 低く呻き声を上げるフルフルのその巨体、その上半身、そしてその首に地獄の業火を振り下ろした。…一つの命が、散った。 「ハァ…ハァ…オォォォォォォォォォォォォォッ!!」 気高く吼えるゼクウを見て皆は確信する。今フルフルを狩ったのは竜。漆黒の体を持つ、黒龍。 彼の者の名は ミラボレアス フェイト達の胸に渦巻くのは恐怖か、それ以外の何かか。 麻痺が解けたのも忘れゼクウの戦いに見入っていた。これが狩人の戦い方か、と。 刹那、崩れ落ちるゼクウ。 「ゼクウさんっ!」 先ほど感じていた何かを忘れゼクウへと駆け寄り、急いで容態を確かめるべく顔を見る。 やけにだるそうな顔をして苦笑していた。それ以外おかしいところは見当たらない。 数回咳をしてから何事もなかったかのように立ち上がると兜を拾い、何事もなかったかのように話しかける。 「すまないな、俺としたことがヤケになってしまったらしい。さ、報告してさっさと合流しよう。」 いつもどおりの笑みを浮かべ、いつもどおりの態度で接する。 最後まで不信感に思いつつも本部に戻ることにした。ちゃんと終わったらシャマルに診てもらおうと。 ゼクウは血が付いた手の平を隠しながら、皆の隣を歩く。 いきなり後の話になるが、シャマルに診てもらったは診てもらったのだが何も異常は無かったという。 ゼクウ・ローレン。ジェイ、スカリエッティの三人の中で唯一『黒い伝説』と戦い、勝利した男。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/149.html
タカヤはどこかベッドの上で目を覚ました。 見慣れない場所。だが恐らくどこかの病院だろう。 まさかまだこれほどの設備が揃った病院があったとは、タカヤにとっても軽い驚きだった。 ん?ちょっと待てよ……「これほどの設備が揃った」? どういうことだ?いや、それよりも…… 「ここは?……俺は……誰だ……?」 タカヤは起き上がり、一人呟く。確か……自分は…… 過去の記憶を少しずつ思い出していく。 木星へと旅だったアルゴス号の中、ラダムのテックシステムに自分の家族達が取り込まれる。 父は最後の力を振り絞り、自分を助け、そして自分は『テッカマンブレード』となり地球に降り立った。 そして取り込まれた家族や友人達はラダムの『テッカマン』として肉体を改造され…… 「……ラダムッ!」 思い出せば思い出す程憎悪が込み上げてきた。タカヤは憎き敵の名を呟き、拳をにぎりしめる。 そうしていると、この病室のドアが開き、二人の子供が入って来た。一人は金髪で髪をツインテールにした少女。 もう一人は黒髪で、少女よりも少し大人びた雰囲気の少年だ。 「あ……もう、大丈夫?。」と、金髪の少女が話し掛けてくる。 「……お前らは?」 「それはこっちの台詞だ。キミこそ何者なんだ?」 タカヤは二人に質問するが、逆に少年に聞き返されてしまう。 「……わからない……。」 「何?」 「何も思い出せない。俺が誰なのか……」 タカヤは少年に記憶喪失だと偽る。いや、本当は覚えているが、言いたくないのだ…… 「え……つまり、記憶喪失って事?」 「……そうみたいだな。」 少年は「はぁ」とため息をつきながら言った。 第1話「天駆ける超人」 アースラ、艦長室。 「私が艦長のリンディ・ハラオウンです。あなたは……記憶喪失なんですって?」 「……ああ。」 「そう……。ではあなたが何故ここにいるのか、その経緯もわからないかしら?」 「気付いたらここにいた。」 「……そう。」 リンディは何を聞いても「わからない」の一点張りのタカヤにため息をつく。 「じゃあ……これに見覚えはあるかしら?」 「これは……」 そう言いリンディが差し出したのは、緑のクリスタルのようなもの。 これはテッカマンに変身するために必要なシステムボックス。タカヤはそれを受け取り、眺める。 「悪いけど、このクリスタル、私達で調べさせてもらったわ。」 「何?」 「これはデバイスに近いみたいだけど、どうにも構造がわからない謎の物質みたいなの。これもわからないかしら?」 「……。」 タカヤはデバイスという単語が気になったが、余計な事は言わない方がいいと判断した。 「……まぁ、一応あなたのモノっぽいからあなたが持ってるといいわ」 リンディはクリスタルを見ながらそう言う。……まぁ、もし返してくれなければ奪うつもりだったが…… 「で、あなたの体についても色々と気になる点があるの。」 「…………。」 「……って言っても、記憶が無いあなたに言ってもわからないわよね……。」 そう言いこれ以上の言及を諦めるリンディ。タカヤはテッカマンだ。普通の人間と違っていてもそれほど驚くことはないだろう。 「……俺は……何故ここにいる?それにお前らは何者だ?」と、今度はタカヤが質問する。 「私達は時空管理局という組織の者です。あなたがここにいる理由ですが……」 その後タカヤは長々と訳のわからない話を聞かされた。どうやらどこかの次元世界で、次元振とやらが発生し、そこでタカヤは倒れていたらしい。 そしてタカヤの周囲にはその世界のモンスターの死体が転がっていたという。 それから一番信じがたいのが、魔法やデバイス、魔導師といったファンタジー系の話だ。 とりあえず、記憶が戻るまではこの時空管理局がタカヤの面倒を見てくれるらしい。 数分後、アースラ食堂。 ようやくリンディから開放されたタカヤは食堂に向かった。 そこには、さっきの子供二人と、大人っぽい女性が二人いる。 「私はフェイト・テスタロッサっていいます。」 「あたしはアルフ。フェイトの使い魔だよ。」 「僕は執務官のクロノ・ハラオウンだ。」 「で、私がオペレーターのエイミィ!よろしくね」 それぞれが自己紹介をしてくる。皆はタカヤに名前を聞きたがっているようだが、記憶喪失の男に聞いてもわからないだろうと、名前を聞きづらいようだ。 「あの……私達はあなたの事、なんて呼べばいいかな?」 フェイトが困った顔で質問する。 「……何でもいい。」 「じゃあ、Dボゥイってのはどうかな?」 「「Dボゥイ?」」 エイミィが「ひらめいた!」という表情でタカヤに言う。その場の皆も「は?」という顔をしている。 「うん♪デンジャラスボゥイの略だよ。一人であの化物達を全滅させちゃったみたいだし。なんか危険な雰囲気だし」 エイミィは笑いながら言う。特に他意は無い無邪気な表情だ ちなみに化物とはさっきリンディが言っていたモンスターと見て間違いないだろう。 「エイミィ……もうちょっとマシなのを……」 「いや……それでいい。」 「え?」 クロノがエイミィに突っ込もうとした時、タカヤ……いや、Dボゥイが割り込んだ。 「Dボゥイでいい。」 「「…………。」」 こうしてタカヤはDボゥイと呼ばれる事となった。これが、この世界でのDボゥイ誕生の瞬間である。 海鳴市、図書館。 八神はやてが車椅子に座ったまま少し高い場所にある本へと手を延ばす。 だが微妙に届かずに困っていた所、一人の少女が変わりに本を取ってくれた。 「これですか?」 「はい。ありがとうございます」 はやての顔が「ぱぁっ」と明るくなる。そして紫の髪をした少女にお礼を言う。 「実は時々見かけてたの。あ、同じくらいの年頃の子がいるなって」 「あ、実はうちもそうなんよ。」 二人は図書館の椅子に座り、話を始めた。同じくらいの年頃の女の子だから、という理由で意気投合したのだ。 「あ、私は月村すずか」 「うちは八神はやて。ひらがなではやて。変な名前やろ?」 お互いに自己紹介する。はやては少し笑いながらそんな質問をする。 「ううん!とってもきれいな名前だよ!」 すずかは自虐的なはやてを弁護する。本当にきれいな名前だと思ったのだ。 しばらくたって、すずかがはやての車椅子を押しながら出口へ向かうと、金髪の女性-シャマル-がおじぎをしてくる。 「もうここまででええよ」 「うん、じゃあ私はこれで」 はやてがすずかに言い、すずかもシャマルがいるからここからはついていかなくて大丈夫だろうと判断し、その場から立ち去った。 今度はシャマルがはやての車椅子を押して歩く。 「寒くないですか?」などと他愛もない話をしながら図書館を出ると、今度はピンクの髪をポニーテールにした女性-シグナム-がいた。 「シグナム!」 「はい。」 シグナム、シャマル、はやての三人は家に向かって歩き出す。 晩御飯の話や、材料の話など、いろいろな話をしながら。 「そういえば、ヴィータは今日もどっか行っとるん?」 「……。」 はやての言葉に少し困惑した顔をするシャマル。そこでシグナムが、「ヴィータは毎日遊び歩いてるから」と言い、なんとかごまかす。 「まぁザフィーラもついてるし、大丈夫でしょう。」 「そぅやなぁ。そういえば、シンヤはどないしたんやろ?最近夜まで帰ってこぉへん事よくあるけど……」 はやての言葉に今度はシグナムもシャマルも「うっ!」という顔をする。 「シ……シンヤ君も、年頃の男の子だし、色々あるのよ……ね、シグナム?」 「ん?……ああ。だがあまり主に心配をかけさせるものでは無い。今度私から言っておこう。」 「うん。お願いするわぁ、シグナム。」 シャマルとシグナムはなんとかこれもごまかすことに成功する。 「(まったく……主に心配をかけさせるなとあれほど言ったのに……)」 「(まぁまぁシグナム。シンヤ君のおかげでページの収集量が著しくアップしたんだから)」 「(まぁ……それはそうだが……)」 これはシグナムとシャマルの念話だ。はやてに聞かれる訳にはいかない会話等は念話で行われることが多い。 海鳴市、オフィス街。 「ぐぁあああ!」 路地裏から聞こえる叫び声。赤い装甲に身を包み、片手にランサー状の武器を携えた戦士-いや、悪魔といった方が相応しいか-『テッカマンエビル』と、それに倒された時空管理局員2名だ。 「フン……つまらないね。お前達なんか倒しても大した足しにはならないけど……」 エビルはそう言いつつも闇の書を開き、二人の局員から魔力の源である『リンカーコア』を抜き取り、闇の書の餌として与える。 そしてリンカーコアを抜き取られた局員達の悲痛な叫び声が再び夜の街にこだまする……。 「どこだ……?」 ヴィータはザフィーラと共に空中で強い魔力の持ち主を探していた。 最近ちょくちょく現れる強力な魔力の反応。あれを倒せば闇の書も一気に20Pは増えるだろう。 そこでザフィーラが「二手にわかれよう。」と提案する。 ヴィータはその提案に乗り、真っ直ぐに飛んでいく。 『対象、接近中』 しばらく飛んでいると、グラーフアイゼンの機械音が聞こえる。対象が近くにいると言うのだ。 一方、アースラ。 「艦長!海鳴市で空間結界が観測されました!」 「何ですって!?」 「……さっきから海鳴市がモニターに写らないんです!」 エイミィがリンディにそう報告し、ブリッジに複数のモニターが展開される。どれに写る映像も砂嵐だ。 「なのはさんは?」 「それもだめです!さっきからやってるけど、なのはちゃんとも連絡とれません!」 「そんな……。」 リンディは考え込む。今、アースラスタッフは別件で出払っているため、出動できる者はいない。 ならクロノやフェイト達は?これも無理だ。彼らは今、PT事件の裁判で判決待ちなのだ。 本局から局員を回してもらおうにも時間が掛かりすぎる。 リンディは「…………」と考え込み、万策尽きたかと思われた、その時…… 「俺が行こう……!」 ブリッジのドアの方向から声が聞こえる。 「「Dボゥイ!?」」 どうやらブリッジまで走ってきたのか、少し息切れしている。 クロノ達は前述の通り判決待ちだから、Dボゥイはアースラ個室で待機していたはず。突然の出現にエイミィもリンディも驚いている。 「……却下します。民間人であるあなたにそんな無茶はさせられません」 だがリンディはすぐに却下する。 「そんな事を言ってる場合ではないだろう。今あそこに向かえるのは俺だけだ……!」 「でも、Dボゥイ……あなた魔法は?」 今度はエイミィがDボゥイに質問する。確かにデバイスらしき物は持っているが、それはデバイスでは無い。 その体からは魔力らしきものも確認されたが、それも魔力とは違う何かだ。 「魔法など必要無い。」 「そんな無茶な……」 「それなら尚更行かせる訳にはいきません!」 リンディはさらにきつく言う。 「……頼む、行かせてくれ!俺は行かねばならないんだ!」 今度は真剣な面持ちでリンディに頼み込むDボゥイ。ここまでしなくともDボゥイならこんな戦艦一隻くらい破壊して脱出することもできる。 だがそれでは駄目だ。何故ならここは異空間だからだ。脱出したところで現場に向かえなければ意味が無い。 「……頼む!」 「……敵が魔導士でも……勝てる見込みがあるの?」 「ああ。俺は死なない!」 リンディはそこまで言うならとDボゥイに逆に質問する。 「はぁ……わかりました。そこまで言うからには、何かあるんでしょうね。」 Dボゥイの自信に満ち溢れた表情を見ると、何故か信じてみたくなった。リンディはため息をつきながらもDボゥイの出撃を許可する。 「……感謝する!」 「頑張ってね、Dボゥイ!」 エイミィもDボゥイに激励の言葉をかける。 Dボゥイは一瞬エイミィを見た後、転送ポートへと走る。その時、エイミィの目に写ったDボゥイの顔は、とても死ににいく男の顔には見えなかった。 「……ラダムッ!」 Dボゥイは転送ポートに入り、そう呟く。ラダム同士はお互いに引き合う性質を持っている。 海鳴市から感じる波動はまさしくラダムのものだ。 「(……ラダム!貴様らは俺が一匹残らず倒す!)」 Dボゥイはそう強く念じた……。 高町なのはは何者かが展開した結界と、こちらに向かってくる魔力に対抗するため、家を出てとあるビルの屋上に立っていた。 『来ます。』 レイジングハートの声。なのはは魔力が向かってくる方向を睨む。すると何かが高速でこちらに向かってくる。 『誘導弾(ホーミングボール)です』 「!?」 なのはは飛んできた誘導弾を防ぐために障壁『ラウンドシールド』を使う。 誘導弾一発なら、ラウンドシールドでふせげるだろう。そう思っていた。 だが誘導弾は予想以上の威力で、凄まじい衝撃がなのはに伝わる。 そして…… 「テートリヒ……シュラークッ!!」 誘導弾の方向から赤いバリアジャケットを身に纏った少女が飛んできた。 振り下ろされるハンマー、グラーフアイゼンを受けるために今度は右手でラウンドシールドを展開した。 「……っ!?」 だがこれも想定以上の威力。 なのはは吹っ飛ばされ、そのままビルから落下する。 「レイジングハート、お願い!」 『Standby ready』 なのはの掛け声に首にかけられたレイジングハートが呼応する。 そしてなのはの姿は変わっていく…… 「……この波動はまさか……ブレードか?」 エビルはこちらに向かってくる波動にテッカマンの力を感じた。 そのテッカマンが兄、タカヤことブレードである確証などどこにもない。だが本能がそう告げているのだ。 ブレードが来た、と。 「フフフ……そうか。やっと兄さんも来たんだね……。」 エビルはそう言い、「フフフ」と笑い始める。 「……クックック……アッハッハッハ!!今会いに行くよ、兄さんっ!!」 エビルはついには大声で笑いだし、ブレードが現れると思われる方向に向かって一気に加速する。 「いきなり襲い掛かられる覚えは無いんだけど!」 そう言いアクセルシューターでヴィータを追い詰めるなのは。まぁ、全て回避されているが。 「話を、聞いて!」 『divine buster』 なのはの言葉に聞く耳を持たないヴィータに対し、今度はディバインバスターを放つ。 放たれた桜色の光はヴィータをかすり、ヴィータの帽子を飛ばす。 そして飛んでいく帽子を見て、ヴィータの目付きが変わった。簡単に言うと、キレた時の目付きだ。 「……こンのやろぉー!!」 グラーフアイゼンを変型させ、カートリッジをロードさせる。 「ラケーテン……!」 ヴィータは変型したグラーフアイゼンを手に回転を始め…… 「ハンマァー!!」 一気になのはに飛びかかる。 なのははラケーテンハンマーをラウンドシールドで受けるが、凄まじい威力に障壁を破壊されてしまう。さらには障壁を貫き減り込んだグラーフアイゼンがなのはのバリアジャケットにヒットする。 「きゃぁぁぁぁああああ!」 なのははそのまま吹っ飛ばされ、ビルの窓ガラスを破り、倒れ込む。 ヴィータはゆっくりと床に転がるなのはを追い詰める。 一方なのはは障壁を破られた上にバリアジャケットの装甲まで貫通され、魔力も大幅に削られているため立ち上がることすらままならない状態だ。 ヴィータはグラーフアイゼンを構えゆっくりと歩いてくる。それに対抗し、震えた手でチカチカと点滅するレイジングハートをヴィータに向ける。 「(こんなので……終わり……?)」 なのははぼやける視界に映るヴィータを見ながら思った。 そしてなのはの目に映るのはグラーフアイゼンを振り上げるヴィータの姿。 「(嫌だよ……ユーノ君……クロノ君……フェイトちゃん……!)」 なのはがヴィータの攻撃に目をつむろうとしたその時- 「テックランサァーーーッ!!!」 遠くから聞こえる叫び声。 「!?」 「なんだ!?」 なのはとヴィータは声の方向を向く。ヴィータにとっては背後だ。 その方向から物凄い速度で何かが飛んでくる。 それもそのはずだろう。テッカマンは超音速を越えた速度で空を駆け、核兵器にも耐え得る体を持った超人なのだから。 そしてヴィータはそれを知っていた。 「なっ!まさか……!白いテッカマン!?」 「う……テッカ……マン?」 なのははヴィータが言う『テッカマン』という言葉に反応する。聞き慣れない言葉だ。 そして次の瞬間には白いテッカマンはヴィータの眼前にいた。手に持つランサー状の武器、『テックランサー』をヴィータへと構えて。 「(……白い……魔神……)」 なのははその白と赤の装甲を身に纏った戦士を見てそう思った。 白き魔神、テッカマンブレードの復活である。 「白いテッカマン……何者だ、テメェ?」 「…………。」 ヴィータはテックランサーを突き付けられながらもブレードを睨み付ける。 そしてその直後、なのはの周囲に魔法陣が現れる。 「なのは……遅れてごめん。」 現れたのはユーノとフェイトだ。ユーノはなのはの後ろでなのはに右手をかざしている。 「ユーノ君……フェイトちゃん……」 一方、フェイトはバルディッシュをヴィータに向けている。 「なんだテメェらは……こいつの仲間か?」 『サイズフォーム』 フェイトはバルディッシュをサイズフォームへと変型させる。「ガシャン」と音をたて、魔力の刃が鎌の形を形成する。 「……友達だ。」 フェイトはマントを翻し、バルディッシュを構える。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/335.html
第四話「ハラオウン家(後編)」 『ご馳走様でした』 やがて夕食が済み、空になった皿に手を合わせる一同。 食後のお茶(もちろんアレ)を飲んでいたリンディ。 ホッと一息ついて椅子から立ち上がると、 「さてと、お腹もいっぱいになったし。フェイトさん、お風呂いただきましょうか」 「え?」 言われた意味をよく理解できないフェイトは首を傾げる。 「だ・か・ら。一緒に入りましょう♪」 ニコニコ顔のリンディさん。明らかに『娘とのスキンシップ』を楽しみにしている。 (これは・・・断れる状況じゃないかな・・・?) 彼女の表情と無言の呼びかけにそう判断したフェイトは、 「ご、ご一緒します・・・」 顔を朱色にしながら同意した。 正式にハラオウン家の仲間入りしたものの、本人としてはまだ恥ずかしいらしい。 「ふふっ、それじゃ行きましょうか♪」 いかにも上機嫌で浴室へ向かうリンディ。 それにしてもこの艦長さん、ノリノリである! 「母さん、食器の片付けはどうするんです?」 未だに食卓に並んでいる皿・・・後々は洗い物になるであろう食器類を見て クロノが問う。 まさか風呂を済ませたあとに洗おうなどと考えているのでは、と不安になる。 「あら?クロノ。あなたレディに上げ膳据え膳させるつもり?」 「な!?」 「今どき家事の一つもできないと、男としてやっていけないわよ?」 色々な意味で衝撃的な言葉を放つ母に絶句するクロノ。 男として否定されたような気分になり、おもわず1、2歩ほど後ずさった。 「リンディさん。その単語、使い方が間違ってるんじゃ・・・」 それを言うなら下げ膳ですよ、とフェイトが真面目に訂正を入れる。 リンディの言い放った単語だと微妙に妖しいことになってしまうのだが、 人一倍に無垢な心と知識を持つ彼女は、まだ恥じらいを覚えなかった。 その後、洗い物お願いね~と言い残し、リンディはフェイトと共に浴室へ。 やや広いリビングには男性陣のみが残された。 しばらく沈黙が続く。 「で、どうすんだよ?」 沈黙に耐え切れなくなったのはイッキだった。 腕を組み考えるクロノ。といっても、やるべきことは一つしかない。 「・・・片付けるしかないだろう。キミも手伝え」 「はぁ!? なんで俺が~!」 「やっかいになっている身だろ、それぐらいはしてもらわないとね」 「ちぇ・・・」 正論を言われたため、不満げながらもイッキは食器を運び始めた。 「ん~。メダロットがいない他は、オレたちの世界とちっとも変わんないな」 「ん?」 パサリ 「なになに・・・27時間テレビ?『今回のテーマはなまか』か、面白そ~」 「おぃ、メタビー」 パサリ 「あれ?この記事はさっき読んだっけ・・・」 パサ 「こらーー!!お前も手伝え!」 ガツンッ!! 「ふんぎゃっ!?」 脳天への一撃。 頭を抱えてうずくまったメタビーはすぐさま拳を振り上げる。 「おい!人が新聞読んでるのに殴るやつがあるかっ!」 「うるさいな。お前ばっかり楽させられるかってんだ、ほら」 イッキは目で食卓を示す。 4人分の食器類はけっこうな量がある。それをイッキはせっせと運んでいた。 「えー?やっぱりオレもやるの?」 椅子の上で足をプラプラさえてメタビーがぼやく。すると今度はクロノが、 「イッキと同様、キミもやっかいになってるんだ。少しは手伝ってくれ」 エプロンを着け、泡のついたスポンジで皿を洗いつつ背中ごしに言った。 「ったく仕方ねーな」 これも義理だと言いながらイッキに倣い、流しまで食器を運ぶメタビー。 ちなみに、エプロンをつけたクロノの姿に違和感を覚えたメタビーだったが、 そのエプロンはリンディのもの(明らかに女性モノ)だったからなわけで。 「ふぅ~」 白く曇った空間のなかでフェイトは息を吐いた。その音にエコーがかかって響く。 やっぱりお風呂はいい。一日の疲れが暖かいお湯に吸い込まれていく感じだ。 はやてが言ってたっけ、シグナムはお風呂大好きやねんっ!って。 今ならその気持ちがよく分かる。いつまでも入っていたいって思う・・・ 湯船に身をゆだねてそんなことを考えていたため、気付けなかった。 「フェイトさん?」 「え?は、はい!」 リンディが自分を呼んでいることにようやく気付き、慌てて返事を返すフェイト。 「もう、今日はよっぽど疲れてたようね」 「あ、いえ。ちょっとボーっとしてて・・・」 呼ばれているとき自分はどんな顔をしてたんだろうと考え、少し顔が赤くなる。 「ところで」 リンディは小さい椅子に腰掛け、体を洗っている。 泡でよく見えないが、ラインのはっきりした彼女の肢体を眺めていたフェイトは 「あ、何ですか?」 視線をリンディの顔に戻した。 いつかは私もあんな風になれたら、などと頭の隅で想像する。 まぁ、結果として将来は・・・みなさんもご存知のように成長するのだが。 「クロノとあの子たち、ちゃんとやってるかしらね?」 「イッキたちのことですか? うーん、なんだか仲悪いみたいでしたけど」 「そうなのよねぇ・・・」 アースラで話をしてから今までのやりとりを思い返す。 見る限り、彼らはちっとも噛み合っていない。互いにケンカをふっかけてばかりだ。 そんな2人、いや3人を残して正解だったのだろうか。 「でも、イッキもメタビーも根はいい子だし、きっと大丈夫ですよ」 食事中に色々と話をしたが、二人とも素直に喋ってくれていた。 そのことを思い出し、リンディの不安顔を見るフェイト。 それにクロノももう15歳なんだし、と付け足す。 「そうねぇ、まぁリビングに行けば分かることよね」 と言ってリンディは再び体を洗い始めた。 「あ、そうだわ!フェイトさん背中流しっこしましょうか!」 「え・・・あ、あの、それは・・・」 一方、話題の元である彼らのいるキッチン。 流しの前に3人で並び、洗い物をする野郎たちがいた。 誰が喋るわけでもなく、ただカチャカチャと食器のぶつかる音だけがしている。 クロノとイッキが食器を洗い、乾いた分からメタビーが戸棚にしまっていく。 それを数回ほど繰り返したとき、クロノが口を開いた。 「そういえばイッキ、一つ言いたいことがあったんだが」 「何だよ?」 また嫌味でも言うつもりか、と身構えるが返答はなかなか来ない。 「だから~、なんなんだよ言いたいことって!」 イッキがイライラしながら催促すると、クロノは彼の目を見据えた。 「キミ、フェイトと自己紹介をしたとき、鼻の下を伸ばしていただろう」 「な!? 伸ばしてねぇよ!」 本人としては自覚はないらしい。ただ「可愛いな」と思っていただけなのだが、 「いーや、確かに伸ばしてたぜ? オレも見た」 相棒が追い討ちをかけてきた。 「ほら、証人もいる。正直に言わせてもらうと、こちらは非常に不愉快だった」 「なんだよ!人の顔見て失礼なこと言いやがって!」 「いや、キミがどんな顔をしようと別に構わない。ただ・・・」 と、いったん言葉を切るクロノ。そして訝しがるイッキをジッと睨み、 「妹の前でああいう顔をされたのが、非常に不愉快だということだ!」 グイと顔を近づけて言い放った。その迫力にイッキは思わず気押される。 彼はそれを追うように更に口を開く。 「もし今度ああいうことをしたら・・・覚 悟 し て も ら お う」 完全に迫力に負け、カクカクと頷くイッキ。しかし、 (あれ? こいつもしかして・・・) 一つの思考が頭をよぎる。もしかしてこれは―― 「妹が心配だ、とか?」 「なにっ!?」 バッと顔が赤くなるクロノ。見るからに「図星です」と言っているようなものだ。 それを確信したイッキはニマーっと顔をニヤつかせる。 「そうかそうか~! ただの固いやつだと思ってたけど、いいとこあるじゃん!」 バシバシと彼の背中を叩くイッキ。 「や、やめろ! 別にそういう意味で言ったんじゃないっ!」 「いいっていいって! 妹思いのいい兄貴じゃねーか、オレは気に入ったぜ!」 真っ赤になったままイッキを振りほどくが、今度はメタビーが肩に手を乗せる。 急に馴れ馴れしくなった二人に、彼は動揺を隠せない。 (くっ、こいつら!) 何とか状況を打開しようと考えるが、 「まぁ心配すんなって。こいつが変なことしようとしたらオレが止めるからさ」 「おいメタビー、なんだよ変なことって?」 「そりゃお前、ストーカーしたり、こっそり覗きをしたりだな・・・」 「俺がそんなことするわけないだろ~!!」 元の話題から脱線してギャアギャア言い合う二人。 そんな彼らを見て、クロノは自分が無意識に彼らを警戒していたことに気付く。 (なんだ、僕のとり越し苦労か) 何に対してこんなに気を張っていたのか分からないが、フッと息を吐く。 おそらく、フェイトに変な虫が付くのを防ごうとしていたんだろう。 「あいつらの言う通り、僕はいつからこんな妹思いになってしまったんだか・・・」 クロノは自嘲気味に呟く。そして軽く咳払いして、 「イッキ、メタビー。母さんたちが来るまでに終わらせないと大変だぞ?」 「あ、そうだった洗い物の途中だ。メタビー急ぐぞ!」 「あたぼうよ!」 仕事を再開する3人。ちょっと前までのギスギスした空気は消え失せていた。 その光景をリビング入り口の壁から傍観する者が2人。 「うまくいってるみたいですね」 気付かれないように少しだけ顔を出して様子を窺うフェイト。 その横でリンディも満足げに頷く。 「よかったわ。でもフェイトさんも幸せよね、あんなに妹思いの兄さんがいるんだから」 「えと・・・はい」 そう言われたフェイトも、どことなく嬉しそうだった。 その後、タイミングを見計らって女性陣がリビングへ入ると同時に 4人分の洗い物は無事終了した。 リンディからクロノと一緒にお風呂に入るよう勧められたイッキは躊躇ったが、 以外にも彼の方から誘ってきた。そして2人で浴槽に浸かることに。 「そういえばクロノって何歳なんだ?」 「いきなり呼び捨てか・・・まぁいい、僕は今15歳だが」 「えーー!!?」 「なんだその驚きは? 15歳じゃ何かおかしいのか?」 「い、いや・・・身長とか見た目とか・・・」 「な!? やっぱりキミは信用できない・・・覚 悟 ぉ ! !」 「わーっ! やめろって風呂の中で!」 「うるさい! 人が気にしてることをーー!!」 バッシャン! ドバーッ!! 「なんだよアイツら、風呂なのにうるっせーなぁ」 「お湯でもかけ合って遊んでるのかな? クロノにしては珍しいけど」 「ま、なんでもいいさ」 パサリ 「ところでメタビー、なんで一週間分の新聞読んでるの?」 「いやぁ、4コマ漫画が面白くてな」 数分後。 リンディが様子を見に行くと、入浴前より薄汚れたイッキとクロノが発見された。 翌朝、カーテンの隙間からの日差しでイッキは目を覚ました。 昨日は空き部屋に布団を用意してもらい、風呂から上がったあとすぐに寝てしまった。 パジャマはクロノのお下がりを貸してもらったが、貸した本人は微妙な表情だった。 起き上がると、体のあちこちがズキズキする。 「ったくクロノのやつ・・・」 痛む体を引きずってリビングへ行くと、すでに人がいた。 「あ、おはようイッキ。顔洗ってきてね、朝ご飯あるから」 「お前なぁ、相変わらず起きるの遅ぇぞ」 フェイトはトーストを用意している。 メタビーは朝刊を広げていた。相変わらずなのはお前もだぞ、メタビー。 そして、 「おはよイッキくん、寝グセ立ってるよ?」 椅子に座りお茶を飲んでいたのは、昨日の白い服の子。なのはだ。 「ん~、あれ?なんでなのはが居るの? ふぁ~」 未だ眠そうにアクビをするイッキ。チョンマゲもなんだか元気がない。 「うん、ちょうどお休みだからみんなに紹介しておこうと思って」 「紹介する? 誰を、誰に?」 寝ぼけ眼をこすりながらイッキが聞くと、キッチンにいたリンディが出てきた。 「あなたたちの世界なんだけど、見つかるまでしばらく時間がかかりそうなの。 だから、八神家やなのはさんのお友達にも紹介しておこうと思ってね」 あなたたちのことをね、とリンディは言うが、その『八神家』というものが 分からないイッキとメタビーは「はぁ」と応えるしかない。 朝食を終え、昨日の服に着替えたイッキ。一張羅なのでこれしかない。 「はい!ここが八神家、はやてちゃんの家だよ」 なのはたちについて行くことしばらく、表札に「八神」と書かれた家に着いた。 珍しい名字だなと思っていると、フェイトがインターホンを押す。 ピンポーン 「はーい、今開けます~」 「ナダ子?」 なまりの入った独特の喋り方。 ふと、カネハチを相棒に日本一のたこ焼き屋を目指す少女が頭に浮かんだ。 自分の知っている関西弁を話す人といえば、彼女一人だけだ。 しかし、彼女がここにいるはずがない。 (いったいどんな子なんだ?) と、玄関が開きショートカットの女の子が出てきた。 「おはよう、はやて。朝早くにごめんね」 「構へんよ。なのはちゃんもおはよ~」 「うん、おはよ! あ、そうそう昨日言ってた二人も一緒だよ」 ほら、と言ってイッキとメタビーの背中を押すなのは。 あれ? 昨日もこんなことがあったような気がする。 「あんさんらが、なのはちゃんの言うてた子たちやね? 八神はやてです、よろしゅう頼むわ」 小学生にしては落ち着いた雰囲気で、はやてはニコッと笑った。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/503.html
リリカルなのはs.CRY.ed 嘘最終話 カズマたちアルター使いと、なのはたち魔導師たちが目の前にいる変わり果てた聖王と対峙する。 「お前たち…我の家来となれ」 「絶対にノゥ!」 「そんなの無理だよ。私たちは…この世界が大好きなの!」 親しき者たちに拒絶され荒れ狂う聖王。 「どうして、私のモノになってくれないのぉ!!」 「当ったり前だろうぉ!」 「えっ?」 カズマの迫力のある声に怯える聖王。 「本当の手前ェを助け出す!そんな偉そうな態度なんて、お前らしくねぇんだよぉ」 懸命に呼び戻そうとするカズマに、心が揺れる聖王だったが…スカリエッティによって心を閉じられ傀儡へと成り下がる。 「これ以上の茶番は時間の無駄なのでね」 「手前ぇ!!絶対許さねぇ!!」 全身を黄金の装甲で覆った獣の姿をしたアルターを装着するカズマ。 「その姿は!?」 「さぁ!決着を着けようぜぇ!!糞野郎ぉぉぉ!!!」 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3196.html
「オルタドライブ?」 シャーリーの言う単語は、デバイス関係を多少は齧ったわたしにも聞き慣れないものだった。 カズマ君のデバイス、チェンジデバイスと言うらしい箱か又は物々しいバックルとでも形容するしかないそれは、下手なロストロギアより謎だらけのものだった。 もちろん普通のデバイスとは全く違う。機能もよくは分からない。おまけに厳重なプロテクトとダミープログラムによって内部データは閲覧できず、ブラックボックスな中身故にコピーも難しかった。 「ええ、カズマさんが何度か使用した後に調べてみたら幾つかプロテクトが解除されていたんです。それで調べてみたらそんな名前が」 シャーリーにしては珍しい、聞いたことのない専門用語みたいだ。彼女に分からないなら、わたしにも分かる筈がない。 「それで、そのオルタドライブって何のことなの?」 名前からして動力機関みたいな気はする。けれど動力機関が搭載されたデバイスなんて聞いたことがなかった。 「このデバイスに搭載された魔力精製機関のことみたいです。これのお陰でリンカーコアのないカズマさんでも魔法が使えるみたいなんですけど……」 魔力素を変換出来る装置自体を聞いたことがない、とシャーリーは続けた。 簡単に言えば人工のリンカーコアということだと思う。けどそんなもの、一体誰が作ったの? リリカル×ライダー 第五話『鉄槌』 訓練、訓練、また訓練だった。 機動六課隊員、特にフォワードメンバーは頻繁にヘリで任務に向かっていた。復興支援や、ガジェットと呼ばれる自立戦闘機械の掃討などを行っているらしい。JS事件の傷痕は、未だあちこちに残っているらしかった。 一方の俺はまだ任務に従事出来るだけの訓練を積んでいないため、一人居残り練習という有り様だった。一応、教官としてなのはが残っているのは不幸中の幸いか。 すでに俺が目覚めてから、一週間も時間は経過していた。 「飛行魔法に魔力付与攻撃、それにベルカ式防御魔法だけかぁ」 なのはが訓練データを見ながらぼやく。 薄々気付いていたが、俺は相当不器用らしい。基礎的な射撃魔法はもちろん、魔力スフィアの形成も出来なかった。というより、射撃魔法自体が向いていないのだろう。他に補助魔法や戦闘以外に使用する魔法も試したが、いずれもダメだった。 唯一、飛行魔法だけは利点になるらしいが。 「まぁ、カズマ君はどちらかというと騎士だしね」 騎士という言葉は聞き覚えがあるが、彼女の言う騎士はおそらく違う意味だろう。 「なのは、騎士って?」 「えっと、わたし達魔導師がミッド式魔法を使ってるのは教えたよね? ミッド式はね、攻撃魔法は主に射撃魔法が得意で他にも補助魔法や様々な魔法を使うのにも向いた万能な魔法体型なの。一方、ミッド式と対を成す魔法体系にベルカ式と呼ばれるのがあってね。そっちは格闘戦用の魔法を中心に戦闘に特化してるんだけど、それを扱うのが『騎士』」 ……分かったような、分からないような。 まぁ、斬り合いや殴り合いの方が向いてるのは事実だ。 「似たような戦い方をヴィータちゃんとシグナムさんがするから、帰ってきたら習うといいよ」 そのヴィータちゃんとやらは知らないが。 「それよりなのは、もう一度ガジェットってのと戦わせてくれ。実戦形式が一番伸びるのが早い気がするんだ」 俺の案をしばし顎に手を当てて考えた後、溜め息と共に首肯した。 「大体のことは分かったしね。でもガジェットじゃ、物足りないんじゃない?」 なのは曰く、殴り合いや斬り合いが主な俺はガジェットに対し相性が良いらしい。AMFと呼ばれる魔力を阻害するフィールドを持つガジェットは並みの魔導師には天敵となるものの、自分のように殆ど魔力を使わないものには何の障害にもならないのだ。故にガジェットは自分に取って少々役不足な敵だった。 「でも他にないんだろ?」 「そういうわけでもないんだけど……」 いつまでも顎に手を当てて悩むなのは。段々イライラしてきた。 「おい、そこまで悩むんならさっさとその隠し玉出せよ!」 「うーん、後悔しても知らないよ?」 なのはは、にこりと笑った。 ・・・ 「フェイトちゃんお帰り。ここんとこ忙しいのに厄介事押し付けちゃってごめんな?」 「平気だよ。それにはやてだって大変なんでしょ?」 「私は何時ものことや」 フェイトちゃんが一週間ぶりに帰ってきていた。 彼女に依頼したのはカズマ君の調査。執務官という立場を生かして本局で調査してもらっていたのだ。未だ記憶が戻らない以上、こっちが地道に調べていくしかないのだから。 「それでどうやった? カズマ君の世界は見つかった?」 「管理世界と把握している管理外世界からここ最近急にいなくなった人をリストアップしたんだけど、該当する人はいなかった」 「そっか……」 思わずほっとしてしまう自分が嫌いになりそうだ。けど、せっかく六課とも馴染み始めたカズマがいなくなったら寂しいというのは事実だ。そういって自分を誤魔化すことにする。 「けどね」 「ん?」 カズマ君の偽造の身分証明書を提出するために封筒に纏めていた手を止める。珍しい、彼女が言い澱むことがあるなんて。もう一人の親友ほどではないけれど、彼女も正義の人故に何でもはっきり言うのだ。 「実はそっくりな顔の人が15年前に日本で行方不明になったって情報があったんだ」 「なんやて!?」 まさかだった。確かにカズマ君の顔は東洋系だし、名前も日本人っぽいとは思っていた。しかし本当に日本人、つまりは私やなのはちゃんの故郷、第97管理外世界の出身だったとは。 「でも15年前だから今とは顔が違うはずなんだよね」 「あ……そうやね」 確かにそうだった。15年前に似ていただけなら今はずっと老けているはずだ。早とちりだった。 「そっか、ありがとな」 「いいよ、私も気になってたから」 そう言って微笑を浮かべた後、彼女はここを退室していった。 ・・・ 「はぁぁぁ!」 円筒形のガジェットを真一文字に切り裂く。薄っぺらな装甲は容易くひしゃげ、内部機器を粉砕しながらオイルを撒き散らして爆散した。まぁ、魔力を物質化させて、ホログラムで見た目をリアルにしているだけの偽物なのだが。 「これで、15体か」 訓練再開から10分、最初はガジェットと戦っててと言われて戦闘を続けていたが、数にキリがなかった。 そしてまた、ビルの屋上から三体のガジェットが顔を覗かせる。 「くそっ、おりゃあ!」 『Fly Booster』 俺の声に続き、バックルから電子音声が鳴る。それに呼応して背中にある二本のブースター先端に発動した魔法陣から青い魔力光が噴き出し、俺の体が浮かび上がった。 ちなみに、俺は今の体を見て思うことがいくつかある。 まずはバックル。本来はこんなものじゃなかった気がするのだ。他にも腹や肩のアーマーが不自然に感じる。本来ここには何かマークが描かれていたはずなのに。今は無機質な装甲だけだ。 そしてこの背中にあるこのブースターも違和感の原因の一つだ。 「おりゃあああ!」 『Slash』 飛び上がった俺の剣が蒼い魔力光を帯びる。 俺はビルに着地しながら右足を軸に体を回転させ、三体のガジェットを一度に切り裂いた。――そして一歩遅れて爆発する。 「これで、18体かよ」 違和感が何なのか、俺には分からない。今は精一杯生きるしかないのだから。 再び床から四体のガジェットがせり上がる。まだまだ休ませてはくれないか。 「りあぁぁぁあ!」 フライブースターを噴かせ、一気に突進する。いや、しようとした。 それを、轟音が遮った。 「だ、誰だ!」 ガジェットを粉砕した影。背は低い。だが赤い衣装と右手のハンマーが、俺の恐怖心をくすぐる。いったい誰だ? 「なのは、これは一体――」 「お前がはやてを誑かしたのかぁぁぁあ!」 「えぇぇぇ!?」 その赤い影が、俺に襲いかかってきた。 ・・・ 鬱だった。 何故彼をあそこまで罵倒したか分からない。犯罪者と勝手に決めつけ、彼に辛くあたった自分が堪らなく憎い。 任務の合間、つかの間の休憩時間に、あたしは何をやっているんだろう。あの模擬戦以来、考え事ばかりしている気がする。 「ティア?」 声がかかる。スバルだ。あたしに元気がないのを察して来てくれたんだろう。 「ねぇ、スバル」 「何?」 スバルになら、悩みを吐いてもいいかな? 執務官になるために、あまり他人を頼ったりはしたくないのだけれど。 「どうしてあたし、カズマさんにあんなに辛く当たっちゃったんだろう」 「ティア……」 理由は無いわけじゃない。ナンバーズを捕まえた際に、しかるべき罪を課せられるかと思ったら驚くほど軽くて管理局に不信感があったとか。最近良くしてくれているなのはさんを蹴飛ばしたことが許せなかったとか、はやて部隊長が庇ったのが信じられなかったとか。この頃アレの習得が上手くいかず溜まったストレスも原因かもしれない。ホントに、いろいろ。 けど本当は、この機動六課という輪を壊してほしくなかっただけかもしれない。そんな小さな事のために辛く当たった自分が、本当に小さく見えた。 「ティア」 「何よ?」 「一緒に謝ろうか」 「えっ?」 まさかスバルがそんなことを――と考えて、あたしよりもずっとそういうことを気にするやつだったのを思い出した。 「あたしも最初はまだ本調子じゃないなのはさんに暴力を振るったあの人が許せなかったけど、今では反省してるんだ。なのはさんがあの人は悪い人じゃないって言ってたの、早く信じておけば良かったって、今頃になって思ってる」 目に涙を滲ませ、顔を伏せながら言うスバル。きっと任務中も悩んでいたのだろう。それを気付かせないように空元気を出していたに違いない。あたしがいつも通りだったら分かってあげられただろうに。それが悔しい。 「だから、その」 「分かった。スバル、一緒に謝りに行くわよ」 「ティア……」 あたしはなるべくいつも通りに笑いながら、 「くよくよ悩むなんて、アンタらしくないでしょ」 あたしは、そう言った。 ・・・ 何故だか俺は、ティアナとスバルのことを思い出していた。 ティアナとスバルが謝りに来たのは昨日の話だ。こっちはかなり驚いたが、願ってもないことだったので俺も喜んで受け入れた。 何故、今そんなことを思い出すのだろう。 「ぐあっ!」 「どうした! その程度かよ!」 赤い服を着る人影は少女だった。ドレスのような派手なフリルがいくつも付いた服を来ていて、年は小学生くらいだろう。可愛らしい顔立ちをしている。 そんな少女が憤怒の形相を浮かべて、ハンマーを振り回しながら襲いかかってくるなんて悪夢としか思えない。 「グラーフアイゼン!」 『Jawohl!』 威勢の良い彼女の掛け声と、ハンマーから鳴る同じく威勢の良い機械音声が重なる。それと共にハンマー基部のコッキングレバーが動き、薬莢が排出される。 「カートリッジ!?」 「ラケーテン、ハンマー!」 『Raketenhammer!』 赤い魔力がハンマーを包み込む。一瞬の後、ハンマーのヘッド部分は異形の姿に変貌していた。 叩き付ける部分には鋭い突起が、反対側にブースターが付いた新たなハンマーヘッド。見るからに危険そうだと分かる凶悪な外見だ。 それを彼女は、ジェットを吹かして自分の体を軸に回転させながら俺に叩き付ける! 「あぁぁぁぁぁあ!」 俺はそれを右手に発動させた小さな三角形の魔法陣型の盾、パンツァーシルトで受け止める。 甲高い耳が馬鹿になるような音が鳴り響き、ハンマーから生えた突起が俺の盾をガリガリと削っていく。 凄まじい衝撃と突起による追加ダメージ。 俺を守る盾は、限界に達しようとしていた。 『お願い! わたし達の六課を守って!』 その時、なのはの声が耳を震わせた。 ――守る……? そうだ、守らなければ。今六課隊舎を守れるのは俺だけなんだ。 ――そうだ、俺は。 俺が、俺が戦わないと。六課を、ティアナやスバル、エリオ、キャロの帰る場所を守るために。 ――俺はもう、誰も失いたくない。 そうだ、俺は―― ――“全ての人を、守ってみせる!” 「おぁぁぁぁぁっ!」 右手が輝き出す。眩い群青の光は、右手に展開されている三角形の魔法陣を包み込んでいき、亀裂をみるみる修復させていく。 「な! コイツ、いきなり魔力量が――」 少女が表情を変える。だがそんなことはどうでもいい。 俺はフライブースターを最大出力にして押し返す。 均衡する力と力。 「バリア、バースト!」 その状況を、俺はあえて粉砕する。 「なぁっ!?」 盾となっていた魔法陣が爆発し、彼女とそのハンマーを吹き飛ばしながら噴煙で包み込む。これで一時的だが眼は潰した。 俺は死角に一瞬で飛び、青い光を帯びさせた剣を降り下ろ―― 「そこまで!」 ――そうとした所で、戦いは終わりを告げた。 ・・・ 「なのは! てめぇ!」 先程まで戦っていた赤髪の少女が、なのはに掴みかかっていた。 「ごめんね、ヴィータちゃん。ああ言ったらカズマ君と良い戦いをしてくれるかと思って」 「にしてもやり方が悪過ぎだ!」 おそらくなのはの言っていた秘策はこの少女の事だったのだろう。確かにえらく強い相手だった。 ちなみに今いる食堂で夕食がてら事情を聞くということで集まったのだが、彼女がキレ出してしまったため俺には何も出来なかった。 しかし俺はなのはの少女みたいな甘い声にまんまと乗せられたということか。考えてみれば俺が戦わずとも彼女がいた訳なのだから、責任感を持つ必要はなかったのだ。くそ、あの高い声と必死さのある口調は反則だ。思わず守りたくなってしまった。 でも、俺は何か思い出しかけた気が――。 「ホントごめんね。今度はやてちゃんが休み取れるようにわたしが仕事引き受けるから。一緒に遊園地とか、この頃行ってないんじゃない?」 「ほ、ホントかなのは? やったー! はやてと久しぶりのお出掛けだー!」 単純な奴だな、と思ったのは内緒だ。なのははもしかしてこうやって彼女“で”遊ぶことを目的としていたのではないか? そうは思いたくないが……。 「ところでなのは。この子はどういう?」 「あたしか?」 なのはに対して散々怒りをぶちまけたからか、先程よりはずっと爽やかな自信に満ちた笑顔をこちらに向けた。 「あたしはヴィータ。はやての守護騎士ヴォルケンリッターにして機動六課スターズ分隊副隊長のヴィータだ」 赤髪の少女、ヴィータはそう名乗った。 ・・・ ようやく仲直りをしたティアナはカズマへの詫びとしてクラナガンの案内を志願する。二人での奇妙な買い物は、しかし平和には終われない。 ついに物語は始動する。最悪の方向へと。 次回『覚醒』 Revive Brave Heart 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1078.html
リリカル遊戯王GX 第七話 レイ救出作戦! 恋する相手はなのはさん!? 「十代、そういえばスバルに何か渡してなかったか?」 オブライエンが通風口からのルートを考えている間に、ヨハンは先ほど見たことを思い出して問いかける。 フェイト達を二人に任せ逃げる直前、十代はスバルへ一枚のカードを渡していたのだ。 「ああ、スバルが『モンスターに囲まれた時に一掃できるようなカードってないの?』って潜水艦で聞いてたんだ、それでさっきつい……」 「だけど、スバル達に魔法カードが使えるのか? ディスクもないんだろ?」 「それは大丈夫だと思うよ」 二人の会話になのはが入ってくる。 先ほどと比べ、大分落ち着いたようだった、ゆっくりとだがはっきりと自分の考えを話し始める。 「私たちが三沢君を助けた時に戦ったモンスターが、途中で三人に増えたり、何もない場所から突然装備をつけたりしてたんだ」 「あ、そういえば言ってたな……ハーピィ・レディが三沢を襲ったって」 「ということは、万華鏡―華麗なる分身―と何かの装備カードを自分で使ってことか……」 「うん、だからもしかすると、外部からデュエルに介入できる私たちにも使えるかもしれない」 なのはの説明に「なるほど……」と二人は頷き、突然自分たちのカードを取り出しじっくりと見始める。 「ど、どうしたの?」 「いや、それなら俺達の余ってるカードを渡しといた方が何かあった時いいんじゃないかな、って」 「ああくそっ、ほとんど寮に置いてきちまったぜ……お?」 目ぼしいカードが無く顔を顰めていた十代は、見慣れないカードがあることに気づいた。 「薄幸の美少女に恋する乙女に……十代、こんなカード持ってたのか?」 「わぁ、可愛いね、こんなカードもあるんだ」 「い、いや、これ俺のじゃないって!」 HEROカードがメインの十代からは、まったく想像できないカードに困惑する二人へ十代は慌てて否定し、 次の瞬間には真剣な顔でそのカード達を見つめ、ぽつりと呟くように説明する。 「これ……レイのカードなんだ」 「レイちゃんの……?」 「あいつ、結構俺にデッキの相談してくることが多くてさ、たぶんその時に紛れこんじまったんだと思う」 十代は神妙な面持ちでカードを見つめる、 そんな姿を見て、なのはは少し考えた後そのカードを手に取った。 「なのはさん?」 「このカード……使わせてもらっていいかな?」 「えっと、でも、レイのカードは攻撃向けの物は少ないぜ?」 「十代君……別に私、攻撃好きってわけじゃないんだけど~」 冗談半分に言ってみるが、十代は「え!? マジで!?」という表情を慌てて直し、 ヨハンも「そ、それだったらこっちも使えるな……」とカードの選定をし直すのを見て自分の行いを反省する。 ――そういえば、こっち来てから壁を撃ち抜いたりばっかりだったっけ…… 「と、とにかく使わせてもらうね。ありがとう」 「あ、ああ、でも効果とかよく見た方がいいぜ、結構分かりづらいのもあるし」 「うん、そうだね。時間ができたら見させてもらうよ」 なのはがカードをしまったところで丁度オブライエンがやってくる。 無理矢理開けた通風口へと入りこみ、思った以上に広いスペースで動きを止めた。 「こんなところにまで……!?」 十代達の前にゾンビ生徒が現れ、デュエルを迫ってくる。 どうするべきか思案していると、アモンが前に立ってデュエルディスクを展開した。 「アモン!?」 「こいつは僕が引き受けよう、みんなは先へ急ぐんだ」 「だけど、こいつは……!」 「大丈夫、危なくなったらすぐに逃げるさ」 「アモンさん……ありがとうございます!」 後ろ髪を引かれながら、その場をアモンに任せて十代達は先を急ぐ、 アモンはゾンビ生徒と向き合いながら内心ほくそ笑んでいた。 ――十代達に恩を売って信用を得ておいた方が動きやすい……まったく、これさえなければもう少し楽なんだが。 一瞬忌々しげにデスベルトに視線を向け、デュエルを開始する。 「クロスファイア、シュート!」 「はぁぁぁぁぁ!」 無数の魔力球をフェイトはザンバーフォームのバルディッシュで一気になぎ払う、 いくつかの魔力球を牽制に置いておきながら、ティアナは後ろへと下がり続けていた。 「動けないスバルから引き離そうとしてるんだ、優しいね」 「っ!」 「だけど、無駄だよ」 『Sonic move』 高速移動魔法でティアナの背後に回って斬りかかるが、まるでそこに攻撃されるのがわかっていたかのように、 ティアナはダガーモードのクロスミラージュで一撃を受け止める。 「その言葉、そっくりお返しします」 「なっ……」 「ゾンビになると思考能力も低下するみたいですね……いつものフェイトさんなら、何度も同じ攻撃はしてこない!」 叫びながらバルディッシュを弾き体勢が崩れたところへ魔力球を放つ。 一瞬で作り上げたため粗悪な代物だが、これでも顎に当たれば脳震盪を起こすことぐらいは可能だ、 決まった――そう思った直後、ティアナは彼女が一部で何と呼ばれていたのかを思い出す。 即ち――『金色の閃光』 『Sonic form』 「楽しいよティアナ……今のは、ちょっと焦っちゃったけどね」 「そん、な……!」 ティアナの戦術は完璧だった。 冷静に相手を観察し、以前にはなかった弱点をしっかりと見抜いて撃ち抜こうとした。 ただ一つだけ、見誤っていたのだ。 躊躇いを無くした彼女と自分の、生半可な戦術では埋めきれない能力差を、ソニックフォームの視認さえ不可能なスピードを。 「ティア!」 「っ!?」 スバルの声に我に返り、よろめくように一歩後ろに下がる。 その目の前をやはり視認できるか否かの速さでバルディッシュが通り抜け、ようやくこの状況を切り抜けようと思考が回り始めた。 「ティア、クロスシフト……!」 「無理に決まってるでしょ!? 少しは自分の状況を考えなさい!」 ダメージの残る体を無理矢理起こして言うスバルにティアナが叱責を飛ばす。 危機的状況にお互いのチームワークが乱れてきた……知らない者ならそう思うだろう、 だが、二人は口で言い争いながら念話で作戦を立て直していた。 『ソニックフォームのフェイトさんについていくのはまず不可能……切り札を使うしかないわ』 『でも、受け取っておいてあれだけど本当に使えるのかな……?』 『それは大丈夫だと思うわ、問題は発動条件ね』 スバルが十代から受けとったカードを中心に思考を回す。 そのカードは「ライトニング・ボルテックス」手札を一枚捨てることで相手の場の表側表示のモンスターを全て破壊する魔法である、 使用できるならばこれはかなり強力だ、例え相手がどれだけ強くても無条件で倒すことができる。 だが――その強力すぎる効果が逆に不安だ、もしもフェイト達がモンスターを倒した時のように消滅してしまったらなのは達とは二度と顔を合わせることができない、 それに『手札を一枚捨てる』という発動条件、これをどう支払うか? ――最初に思いつくのは魔力を消費する……だけどこれだけの威力なら、カートリッジ数発分は必要かもしれない。もしくは装備の破棄……こっちは後に響くわね…… 思考を巡らせながらもティアナはだんだんと下がり始める。 ソニックフォームのフェイトの攻撃は繰り出された瞬間には終わっている、 勘と経験から基づく予測でなんとか防いではいるが、一撃一撃がギャンブルなこの状況に精神の方がまいってしまう。 ――後一つ、発動してくれるかどうか賭けだけど……これなら、必要な魔力も最低限ですむし、リスクもない。これに賭ける! 「スバル、貸して!」 「うん!」 一気に無数の魔力球を生み出し、フェイトが思わず足を止めた瞬間スバルからカードを投げ渡される。 目の前にあるのが魔力球の形を模しただけのほんのわずかな魔力の集まりであることに気づき、一気に切り崩そうとしたフェイトへカードを突き付けた。 「マジックカード! ライトニング・ボルテックス発動!」 ティアナの宣言と同時に、その体が消えていく。 「自分を、コストに……!?」 フェイトはまったく予想していなかった光景に呆然とし――その体に容赦なく雷が襲いかかる。 「うわぁぁぁぁぁぁ!?」 「ふぇ、フェイトさん……」 想像以上の威力にスバルは呆然と呟く。 幸いにも考えていたように消滅はしないらしく、今のアカデミアの状態ならば問題は無いだろう。 ……自分たちが受けたら一発でゾンビの仲間入りだろうが。 「スバル、動ける? 復活される前に拘束しておかないと」 「あ、うん! 今のでバトル終了ってことかな、怪我は治ってるよ! ……まだ痺れるけど」 消えたはずのティアナが傷が本当に治っていることを確認しながら問いかける。 種を明かすなら、フィエクシルエットによって生み出した分身をコストとして使えないかどうか試し、それに成功したというわけだ。 そのままフェイトとエリオへバインドをかけ、一瞬動きを止めた後に慌ててスバルの側に駆け寄る。 「スバル、まずいわよ……」 「うん、気づいてる……囲まれてる、ね」 あれだけ派手に戦闘をしていたのだから当然かもしれないが、ゾンビ生徒達の気配がこちらへ集まりつつあった、 怪我こそないものの、ダメージは抜けていないし魔力も消費している、頼みの魔法カードも先ほど消えてしまった、どうやら自分たちが使えるのは一回限りらしい。 かなりつらい状況の中、二人はゾンビによる包囲を突破しようとフェイトとエリオを抱えながら駆け抜ける。 「くっそー、こっちには時間がないってのに……!」 通風口で大分距離を稼いだ十代達は、少しだけ空いたドアの陰に隠れながらゾンビ生徒をやり過ごす、 だが、次々とやってくるせいで中々前に進むことができなかった。 焦れる十代達だったが、突然カレンが鳴き出してジムに何かを訴える。 「カレン?……そうか、俺達の番だな、OK!」 「ジム!?」 ジムが突然飛び出し、側にいたゾンビ生徒の注意を引く。 慌てて駆け寄ろうとした十代を制し、ジムは叫ぶ。 「十代、先に行ってくれ! ヘイ、ゾンビボーイ、俺が相手になるぜ!」 「ジム……くそっ!」 「フリード、ブラストフレア!」 キャロの指示でフリードが火球を吐き、進路上のゾンビ生徒達を下がらせる。 そのまま明日香達と共に駆け出し、ある通路に来たところで明日香が立ち止まる。 「どうしたんですか?」 「その、余計な御世話かもしれないけど……こっちからあの二人が足止めに残ってくれた場所まで行けるのよ」 「っ!」 「そうザウルス、こっからなら俺達だけでも大丈夫ドン! 助けに行ってあげて欲しいドン!」 二人の言葉にキャロは悩む、スバルとティアナだけではない、エリオとフェイトもキャロにとって何にも代え難い人物だ、 今すぐにでも駆け出していきたいところだった、だが―― 「いえ、私は皆さんの護衛を続けます……フリード、お願い!」 「キュルゥ!」 キャロの声にフリードが一声鳴いてスバル達の下へ向かう。 「キャロちゃん、どうして……?」 「私はなのはさんに二人の護衛を頼まれました、私の今の任務はお二人を守ることです……それに、スバルさん達ならきっと、大丈夫です!」 「……わかったドン、キャロちゃんがそういうなら、俺達もあの人たちを信じるザウルス!」 「そうね……なら急ぎましょう、またゾンビ達が集まってくるわ」 「はい!」 ――エリオ君、フェイトさん……また、一緒にいられますよね…… 十代達は保健室のすぐ近くまでやってきていたが、またも多数のゾンビ生徒によって足止めを喰らう。 「くそっ、いったい何人がやられちまってるんだよ!?」 目的地は目の前だというのに動きが取れない、そんな状況に十代は焦りを募らせる、 いつあのゾンビ達が保健室の中に突入するかもわからないのだ、今すぐにでも飛び出していきたいところだろう。 「十代、こっちだ」 「え? オブライエン?」 オブライエンが呼びかけてくるが姿が見えない、 ふと頭上を見上げると、天井裏からオブライエンが顔を出していた。 「俺が表の連中を引き受ける、その間にお前たちはここから内部へ突入しろ」 「で、でも、それじゃオブライエンが危険だ!」 「問題ない、うまくやる」 「だけど……」 「大丈夫、私も一緒に行くよ」 なのはがレイジングハートを起動させながら言い、十代とヨハンは仕方なく頷いて天井裏へと昇る。 入れ替わりに降りてきたオブライエンとなのはは、通路の影から保健室の前の様子を窺いながら作戦を立てる。 「どうする? 陽動なら私が一発撃つだけで相当来ると思うけど」 「いや、それではあの数が一斉にそちらに向かってしまう。デュエルはほとんどの場合一対一で行われる、複数に迫られても影響の少ない俺が出る」 「わかった、何人か足止めして、撃退したら援護に行くね」 「頼む」 無愛想だが、冷静に判断を下していくオブライエンになのはは感心する。 留学生とは言っていたが、彼とてこのアカデミアの一員だ、 仲間があのようになってしまっても冷静さを失わないというのは多少冷たいとも思うが、それ以上に今の状況を把握しているからだろう。 なのはは自分が情けなく感じてしまう、フェイトがやられた時、何も考えずにエリオを吹き飛ばしていた、 結果的によかったものの、もしもゾンビだったのがフェイトで、エリオはそれを迎撃していたのだとしたら目も当てらなかっただろう。 「どうした? 準備はいいか?」 「あ、うん、いつでも!」 「ならば……行くぞ!」 オブライエンが飛び出し、口笛を吹いてゾンビ達の注意を引き付ける。 そのまま駆け出すオブライエンをゾンビ達は追いかけ、後方にいた五人ほどがなのはのバインドによってその場に拘束される。 「私のバインドじゃこの人数が限度……後は、アクセルシューター!」 更に数人を魔力ダメージで昏倒させようとするが、すでに一部のゾンビ達がオブライエンよりもなのはを狙ってディスクを構えていた、 そのうちの一人が前に出て、一体のモンスターを召喚する。 「これは……魔道士!?」 ―熟練の白魔術師― 攻撃力1700 防御力1900 効果モンスター 更にカードが伏せられるのを見てなのはは焦る、 マジック・ジャマーのような罠を使われてはかなり厳しくなる、その焦りから一気に片付けようと単調な攻撃になってしまう。 「ディバインバスター!」 「トラップカード……魔法の筒(マジックシリンダー)……」 魔力砲撃とモンスターの間に巨大な二本の筒が現れ、そのうちの一本になのはの魔法が吸い込まれていく。 未知の物質になのはは警戒し、もう一本の筒からディバインバスターがなのはに目がけて撃ち出された。 「相手の攻撃を跳ね返す罠!? レイジングハート!」 『ProtectionEX』 咄嗟に障壁を張って自らの砲撃を受け止める。 正直想像以上の威力に、つい今まで模擬戦などで直撃させた人たちに心の中で謝りつつ砲撃を凌ぎ切った。 そのまま相手を見るが、ゾンビ生徒はわずかに笑みを浮かべているように見えた。 「魔法カード……エルフの光……」 モンスターが淡い光に包まれ、なのはは何かの攻撃が来ると身構えたが、ゾンビ生徒はそのまま言葉を続ける 「熟練の白魔術師の効果……魔法が使われるたびに魔力カウンターを乗せ、三つ溜まった時生贄にすることで……」 言葉と共にモンスターの姿が消え、新たな騎士のようなモンスターが現れる。 なのはの本能が、そのモンスターが今までの相手とは比べ物にならない相手だという事を告げていた。 「バスターブレイダーを、特殊召喚する……」 ―バスターブレイダー― 攻撃力2600 防御力2300 効果モンスター バスターブレイダーは有無を言わせずなのはに斬りかかり、なのはは近づかせないように砲撃を放つ。 なのは一人のこの状況で、自分の懐に飛び込まれたら終わりなのを彼女は誰よりもわかっていた、だからこそ迎撃しようとしたが―― バスターブレイダーの剣は魔力砲撃を斬り裂き、その衝撃波がなのはを襲いかかる。 「あうっ……!」 「連弾の魔術師召喚……」 なのはが目の前の相手の対処に思考を巡らせる間にも、別のゾンビ生徒によって新たな魔道士モンスターが召喚される。 ―連弾の魔術師― 攻撃力1600 防御力1200 効果モンスター その光景を視界に入れながら、なのはは思考を巡らせ続ける。 自分が最も得意とする砲撃魔法が撃ち負けた、まだ彼女にはエクシードモード、更には切り札のブラスターモードもあるが、 それで勝てる確証がない以上危険だ、万が一撃ち負けた場合今度は確実に間合いに入られてしまう。 ――そうなると、これに賭ける! なのはは後ろに下がり続けながら懐からカードを何枚か取り出しざっと目を通す。 ――十代君の言った通り直接戦闘に向いたカードは少なそう……相手のモンスターを自分のコントロール下に置く!? テキストを流し読みしていると、その一文に目が止まり迷わずそのカードを使う。 「魔法カード、キューピッド・キス発動!」 キューピッド・キスのカードが消滅し、なのはの右腕にハート型の可愛らしい弓矢が装着される。 目に止まった一文以外よく見ていなかったなのはは一瞬きょとんとするが、バスターブレイダーが迫って来たのを見て慌ててその矢を放つが、 あっさりと矢は弾き飛ばされ、なのはは再び衝撃波で吹き飛ばされてしまう。 発動条件を間違ったか? そう思い諦めずに別の手段を模索するが、その暇もなくバスターブレイダーはなのはへと迫り―― 「好きだぁぁぁぁ!!」 告白した。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぇ?」 言うまでもなく、なのはは美人の部類に入る。 局でも人気はかなり高いのだが、いかんせん高根の花というイメージや、某金色の閃光の影響から告白されたことは今まで一度もなかった。 そして今、人生初の告白というものを受けたのだ――モンスターから。 ――えっと、え? 好きってあれだよね、所謂likeっていう……だってこの人モンスターだもんね? そういえばモンスターも喋るんだ、そういえばおじゃまトリオも喋ってたっけ……ってそうじゃなくて! 全力全開で現実逃避に走っていた思考を無理矢理戻し――現実を見つめた自分に後悔する。 「ええっと、あの……?」 「あんたの決して諦めないその姿勢に惚れた! 俺はあんたに協力する!」 「そ、それはありがたいんですけど……す、好きってどういう……」 「だから、結婚を前提に付き合ってほしい!」 ――助けてフェイトちゃぁぁぁぁん!! 思わずスバル達と戦っているであろう親友に助けを求めるが、バスターブレイダーは突如振り返って剣を振るう。 その一太刀で連弾の魔術師は切り裂かれ、なのはをかばうように剣を構える。 「彼女には指一本触れさせん! かかってこい!」 ――た、頼りにはなりそうだけど……ど、どうしよう…… 続く 十代「レイを救うんだ……そのためにも、こんなところでやられてたまるか!」 ティアナ「戻らなきゃ……みんなを、守らないといけないんだ……!」 次回 リリカル遊戯王GX 第八話 恐怖のバーンデッキ! 守り抜けブラストフレア! レイ「じゅう、だい……!」 ティアナ「頼りにしてるわよ、チビ竜!」 十代「今回の最強カードは二枚!」 ―スターズ2 ティアナ=ランスター― 風属性 魔法使い族 ☆4 攻撃力1400 防御力1100 自分の場に「スバル」「なのは」「フェイト」という名が付くモンスターがいる時、その枚数×200ポイント攻撃力がアップする。 このモンスターが表側表示でいる時、魔法カードの発動条件を無視して発動することができる、この効果は一度しか使えない。 ―高町なのは(キューピッド・キス)― 光属性 魔法使い族 ☆6 攻撃力2400 防御力2300 このカードは「スターズ1 高町なのは」として扱う。 このカードは「キューピッド・キス」を装備した「スターズ1 高町なのは」を生贄にすることでのみ召喚できる。 このカードが表側攻撃表示でいる限り、戦闘では破壊されない。 このカードが攻撃したモンスターは、ダメージステップ終了後破壊されていない場合自分のコントロール下に置く、 そのカードが自分の場にいる限り、このカードは表示を変更できず攻撃もできない。 このカードが破壊された場合、「スターズ」「ライトニング」と名のついた魔法使い族以外の自分の場のモンスターは破壊される。 なのは「うう、これからどうしよう……」 十代「じ、次回もよろしくな!」 前へ 目次へ 次へ