約 2,188,129 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1790.html
魔法少女リリカルなのはsts masked rider kabuto クロス元:仮面ライダーカブト 最終更新:08/03/08 第一話 第二話 第三話 TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2886.html
――その男は暗闇の中で覚醒した。 随分と長く意識を失っていた気がする。 或いはたった今、この世に生れ落ちたかのような。 そう言った認識を得た直後、急速に世界が広がった。 状況を把握できた、と言い換えても良いだろう。 彼は自分が金属製のベッドに横たわっている事に気付いた。 否、ベッドではあるまい。これは――手術台だ。 「やあ、目が覚めたか」 不意にガコンと音がして、彼を灯りが照らし出した。 周囲の様子が露になる――が、彼にとっては然したる意味も無い。 たとえ真の暗闇の中であろうと、彼の"眼"は見通す事ができるからだ。 手術室。手術台。何の事は無い。見慣れた光景だ。 その入り口にたたずむ白衣の男だけが、普段とは違った存在だった。 「――"博士"ではないのか。誰だ、貴様は」 「ジェイル・スカリエッティ。或いはドクターとも呼ばれるがね」 その男、およそまともな人物でない事は一目でわかった。 眼が違うのだ。爛々と輝く金色の瞳は、それだけで男の異様さを物語る。 肉体がどうかなど知らない。その精神こそが異常。 「……何故、俺はココにいる?」 「的確な質問だ。"彼ら"はキミを使ってある作戦を行い――そして失敗した。 そして大きな損害を受けたキミを廃棄する代わりに、我々に売ったのさ」 「つまり俺は……払い下げられたのか」 彼は虚ろな声で言った。ある種の虚無感が其処にある。 「ガラクタとして、残骸として、スクラップとして」 「そう悲観する必要は無いぞ。単に彼らではキミの肉体が再生できなかった、というだけの事だ」 言われてみれば、確かにそうだ。 彼と同等の損傷を受けた仲間は、皆間違いなく死亡していたのに対し、 手術台の上に横たわっている彼の身体は、全くと言って良いほど無傷。 見慣れた黒色の戦闘服も、胸部装甲も、傷一つついていない。 となれば、頭部も同様なのだろう。 ぎこちなく腕を伸ばして顔を撫でると、硬質の感触があった。 間違いない。自分は完全に回復している。 「俺を買い取ったと言ったな。そして、修理まで行った。――――だが、何の為だ?」 「私の"上司"には色々あるようだがね。私に限って言えば、夢の為だ」 「……夢、だと?」 頷き、白衣の男は大きく両手を広げた。 まるで役者でもあるかのような大仰な仕草。 「生まれた時から持っていた夢。 刷り込まれたものかもしれないが、これは私の願いだ。 私が望む世界。 私の世界。 自由な世界。 それを襲い掛かって、奪い取る。 ――それが、私の夢だ」 世界を奪い取る。 その言葉が、電撃のように彼の脳裏を駆け抜けた。 たとえ自分が今生まれたばかりであるとしても、 たった今受けた衝撃こそが、彼にとっては何よりも大切だった。 「――――それは」 ようやく絞りだせた声は、随分と震えていた。 恐ろしいのでもない。怯えているのでもない。 それは極めて明確な一つの感情によるものだ。 彼は喜んでいた。 歓喜していた。 世界を奪うという、その『夢』に。 「?」 「世界征服、という事か」 ――これが、全ての発端だった。 魔法少女リリカルなのはNumberS 『仮面の男』 「スローターアームッ!!」 二本の足で地に立つ男目掛けて、空より飛来する刃が二つ。 戦闘機人No7。セッテの固有技能および固有装備、ブーメランブレード。 空中戦闘に特化した彼女によって、意のままに操作されるその兵器は、 古代ベルカ騎士の一撃に匹敵するという威力、速度を秘めた代物だ。 当然、まともに喰らえば只では済まず、また回避する事も難しい。 だが――……それが届くよりも先に、大地が踏み砕かれた。 ――跳躍。 一瞬にして15m。恐るべき脚力である。 回避したのみならず、その男は空中のセッテ。その間近にまで迫る。 「――ッ!」 たまらず彼女は急制動をかけ、距離を取った。無論、その間にも戦闘行動は途絶えることが無い。 投擲したブーメランブレードを呼び戻しながら、両手に更に二振りの刃を生み出す。 宙に浮いてしまえば、何の装備も有さない存在は動きようが無い。狙うならば今だ。 両手に武器を握ったセッテは、背後から男に迫る刃に加え、その二刀を投擲。 前後左右からの回避不能な同時攻撃によって、一挙に畳み掛ける。 悪くは無い。 決して、悪くは無い。 だが、それはおよそ一般的な場合にのみ言える戦術でしかない。 この男は、そのようなマニュアルの範疇に入る筈が無いのだった。 しっかりとその脚が"宙を舞うブーメラン"を踏みしめる。 「反転―――……」 どん、と鈍い音。 男が更に跳躍した事を理解した瞬間には、その一撃がセッテへと放たれていた。 「――キィイィィックッ!!」 この男を一瞬にして15mの高みにまで至らせた脚力。 其処から全力を持ってして放たれるキックの威力は、およそ10トンになるだろう。 そうなれば無論、まともに喰らえば戦闘不能となる事は間違いない。 まさに一撃必殺。 空中戦特化という事もあって、比較的防備の少ないセッテでは耐えうる事は不可能だろう。 トンと脚が触れた瞬間に、模擬戦終了を告げるブザーが鳴り響いた。 「どうですか、001」 「戦術は悪くない。が、思考外の出来事にとっさに反応できないようではな」 地に降り立った彼女に対し、同様に着地した男――001は、そう答えた。 ナンバーズは異常な存在だ。だが、それを上回るほどに異常で不気味なのが、この男だった。 身に纏っているのは黒色の戦闘服。これはさして問題は無い。 基本的にはナンバーズの其れと、男女の差こそあれど大きな違いは無いからだ。 しいて言うならば肘や膝、肩などの要所にプロテクター、そして胸部には頑丈な装甲が備わっている点くらいか。 首にマフラーを巻いているのも、気にする程の事ではない。 チンクの眼帯、ディエチのリボンや、ディードのカチューシャ、或いは他ならぬセッテのヘッドギアなど、 ナンバーズと言えども戦闘行動の支障になら無い範疇で、多少のファッションは許されている。 問題は、頭部だ。 ――仮面。 ヘルメットと呼ぶことはどう考えても不可能だった。 何故なら其処には『顔』が存在していたのだから。 緑色の目を持つ、無機質な『顔』 であるならばそれは、正しく『仮面』だった。 そんな存在がどうして正常だと言えようか。 まだしも肉体が生身であったならば、そう呼べたかもしれない。 だがセッテの視界――解析システムは、男が生身の人間では無い事を伝えている。 脳の一部を含む肉体の大半が機械に置き換わっている彼こそは、まさしく最初の戦闘機人。 およそ全ての戦闘機人の原型となったが故に"001"と呼ばれている男。 ドクタースカリエッティの旧友であり、同時にナンバーズの教官でもある男。 それが、彼だった。 空戦型であるセッテの模擬戦相手としては役者不足とも思えたが、 しかし先程の跳躍を見ればわかる通り、この男は十分以上の空戦能力を有している。 このように何の問題もなく、彼女に訓練を施すことが出来るのだ。 少なくともその点については、セッテも文句は無い。 「お前の姉からも言われなかったか?」 「はい。トーレから"機械過ぎる"と」 的確な表現だな、と呟いて001は笑った。 「我々は改造人間――もとい、戦闘機人だ。兵器であるが、同時に兵士でもある」 「001。言っている意味がわかりかねます」 「つまり、人間なんだよ、俺たちは。ここに詰まっているのは蛋白質の塊か?」 そう言ってコツコツと001はヘルメットを叩いた。 緑色の複眼が煌き、セッテは奇妙な居心地の悪さを覚える。 文句があるとすれば、これだ。 セッテは彼が苦手だった。 こんな感情は、完璧な兵器であろうとする彼女にとって有り得ない事なのだが、 とにかく彼女にとって001は苦手と判断せざるをえない対象だった。 理由はと問われても、セッテには判断できない。 結局、プログラムに発生したバグ、或いは欠陥と結論せざるを得なかった。 どちらにせよ留意すべき事態であるのは間違いあるまい。 こうして幾度か1号に戦闘訓練を受けるのも、そのバグを克服するのが目的なのだが。 どうにも、この複眼に見つめられるのだけは、慣れない。 思考の中へと陥っていたセッテを現実に引き戻したのは、1号の次なる言葉だった。 「ただの兵器では、奴らに勝てん」 「――……奴ら?」 「圧倒的な性能差。絶望的に不利な戦況。 そういった物を、いとも簡単に覆してのける存在だ」 「……わかりかねます。 性能差や戦況の悪化。別々に発生したのでしたら覆す事も可能かと思いますが、 両者が同時に発生したのであれば、それを打開するのは不可能かと」 最もな意見である。 およそ魔法に関して言えば持って生まれた素質がほぼ全てであるし、 彼女達の持つIS、先天固有技能なども、その典型的な例だと言える。 だが、それに対して001は皮肉げな呟きでもって答えた。 「それが、可能なんだよ。――――人間という奴には」 ――人間には、それが可能。 不可解な理論に彼女が頭を悩ませていると、001は笑いながら手を振った。 「まあ良い。いずれお前も逢うだろうし、今考えても仕方ない事だ。 それより、集団洗浄の時間じゃないのか? お前も行って来たらどうだ」 「いえ、可能ならばもう一戦お願いしたいのですが」 「悪いが、俺はドクターに逢いに行かなければならない。 良いから行って来い。訓練、訓練、では機械そのものだ」 「はい、ではそのように」 *********************************** ジェイル・スカリエッティの本拠地には、大規模な集団洗浄場が存在する。 より一般的な表現をするならば、大浴場と言った所か。 12人のナンバーズ姉妹全員で入浴してもまだ余裕のある規模の浴場では、 今日も今日とて幾人かのメンバーが、集団洗浄を行っていた。 話題と言えばまあ、いつも通りだ。 ノーヴェやウェンディによるバカ騒ぎから始まり、 オットーの性別について、或いはクアットロについての軽口。 この場にはいないドゥーエに対してのあれこれやらも加わり、二転三転した後、 研究施設における唯一の男性型戦闘機人――つまり001の事になる。 「あー……ダメだ。やっぱアイツは好きになれない」 「そうッスねー。あのヘルメット、髑髏みたいで、ちょっと怖いッス」 「そこじゃねぇよ。何考えてるかわかんねぇところが苦手なんだ」 浴槽にしっかり肩まで使ったノーヴェと、のんびり浮かんでいるウェンディの会話に、 さもありなんと他のナンバーズ一同、揃って頷く。 性別不明なオットー以上に謎めいているのが、あの仮面の男、001だからだ。 戦闘機人の試作品――タイプゼロよりも前に存在していたとの触れ込みであり、 ドクターとの付き合いも長く、ナンバーズ達も生まれた当初から関わっている。 更に言えばセッテならずとも訓練を指導してもらった経験は全員にある。 そしてその戦闘能力は、魔術的要素が一切無いとはいえ、特筆すべきだ。 だが――果たして"姉妹"の中で、誰か一人でも彼を好ましいと感じる者はいるだろうか? 嫌っている者はいないだろう。だが、好きにはなれなかった。 「僕も彼の事は好きになれない。――何故、顔を隠してるんだ」 「あたしも。001さんの顔、見たこと無いもの。ディードは?」 「特段、好ましいとも思ってはいませんが」 「でもさー。私、前にドクターから聞いたんだけど。 私たちの持ってるIS――先天固有技能ってあるじゃない?」 「ああ、あたしのエアライナーとか、セインのディープダイバーとかだろ?」 「お姉ちゃんのこと呼び捨てにすんな。 ともかく、戦闘機人にそれぞれ固有能力持たせようって、001の発案だって聞いたよ?」 「うわ、マジかよそれ」 「あ、それとあたしはあの仮面には爆弾が装備されてるって聞いたッス! 外すと爆発するって」 「……誰から聞いた、それ」 「クア姉から」 「そりゃ嘘だよ、ウェンディ」 満場一致でそれは嘘だ、という結論に達する姉妹たち。 しばらくしてセッテが集団洗浄に参加すると、すかさず質問攻めが始まる。 加えてウェンディによる胸部接触も行われ、解放されたディードが胸を撫で下ろす一面もあった。 つまり何が言いたいのかと言えば、単純な一言である。 ナンバーズは今日も平和だった。 ************************************** 「――――終わったぞ」 研究室。 不意に聞えた静かな声に、001の意識は緩やかに覚醒した。 またしても手術台の上。だが、特に慌てることも無い。 日に一度スカリエッティの検査を受けるのが、彼の日課だからだ。 「どんな按配だ?」 「キミのお陰で彼女達の製作も、訓練も、実に滞りなく進行している。 いや、むしろ当初の予定をはるかに上回る出来栄えだ。 だからこそ、私も努力はしているのだが――……」 「難しい、か」 「……ああ、すまないね」 ドクター・スカリエッティにしては珍しく、沈鬱そうな表情を見せた。 だが、それに対して001は特に気にした様子も無い。 元より仕方の無い話なのだ。 「拒絶反応――リジェクション、か。 最初から機械との適合を考えて生み出されたナンバーズならばともかく……。 元々がただの人間だったキミでは、機械との融合は負担が大きすぎるのだよ」 「理解している。ドクターが努力をしてくれたことも。不満は無い」 マフラーを結び直しながら001は言う。 言葉に他意はなく、まったくの本心であった。 結局のところ薬で無理やり抑え込むだけであっても、大したものだ。 そういった事すら以前は不可能だったのだから。 「こんなにも人間らしい待遇を受けたのは、久しぶりなんだ。何せ――」 その声は何処か笑っていた。 「改造人間という名の『兵器』だからな、俺は」 「戦闘機人という名の『兵士』なのだよ、今は」 ドクターの声は、何処か疲れていた。 「私にとって、生命というのは素晴らしいものだ。 その可能性を探りたいし、尊い存在だとも思う。 人は『生命を弄ぶ』などとも言うがね。だが、しかし君は――……」 「構わない。判りきっている事だ」 頷きを一つ返し、手術台の上に腰を下ろす。 伸ばした右手が手繰り寄せるのは、スカリエッティの用意した作戦計画書だった。 複製が困難であるという意味において、紙と言う情報媒体は比較的優秀なのだ。 慣れた手付きでページを繰る001の姿に、スカリエッティは苦笑を浮かべる。 「相変わらず君は、寝ても覚めても征服、征服、だな」 「当然だろう。この"組織"で戦闘経験者は俺だけだ。それに――」 「それに?」 「これは俺の『夢』だからな」 これにはスカリエッティも笑うしかない。 一番の同士。一番の友人。本当に頼りになるが、頼り切ってしまいたいわけじゃない。 と、不意に001の手が止まる。 「……スカリエッティ。ひとつ聞いても良いか?」 「ああ。一つといわず、幾つでも」 「この――タイプ・ゼロファースト、セカンドという奴だ」 001が指差した先には、カーボン複写された設計図が添付されていた。 スカリエッティの計画書において「可能であれば捕獲」と記されたそれは、 図案の人物が子供であるとはいえ、その内部構造は間違いなく改造人間――戦闘機人である。 「ああ、文字通りの存在だよ。戦闘機人のゼロ番機――もっとも、君よりは後発だが。 『誰か』が作り、奪取され、現在は管理局に所属している。私の知的好奇心から、調べてみたくてね」 「――……特徴は?」 「ファーストがテクニックを。セカンドはパワーを重要視している――らしい」 「……………」 「興味があるのかね?」 いや、と首を左右に振った001は手術台から降り、資料を手にしたまま歩き出す。 「技と、力……か」 退室する間際、ひどく懐かしげに彼が呟いた言葉の意味は、スカリエッティにはわからなかったが。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/194.html
高町なのは いつまでも教導官魂を忘れないエース・オブ・エース 都筑真紀 25歳になりましたが相変わらずななのはさんです。なにげに本編の笑顔担当だったりも。 第二部は日常系描写が増えるので、戦闘以外での出番が増えるかも? 緋賀ゆかり 25歳になったなのはさんです! 前シリーズ『魔法少女リリカルなのはStrikerS』時よりも大人の雰囲気を出したいと思って描いています。 スバル・ナカジマ トーマを優しく見守る姉貴分の防災士長 都筑真紀 トーマが大変なことになっていたりティアナが別現場だったりで4巻ではいろいろ心配と苦労の連続な防災士長。 第二部ではわりとあははと笑ってられる……かな? 緋賀ゆかり ドラマCD『StrikerS サウンドステージX』の奥田(泰弘)さんのスバルの絵から数年、 時を重ねたイメージで髪型を調整しています。 フェイト・T・ハラウオン なのはとのタッグ健在 強く美しき執務官 都筑真紀 相変わらずなのはさんのピンチにはちゃんと駆けつけます、フェイトさん25歳。 BJ時には髪型も変わって、すっかり大人の女性です。 緋賀ゆかり フェイトさんも25歳ということで落ち着いた雰囲気を出すために髪型がひとつ結びになっています。 八神はやて いまだ真意は謎に包まれた特務六課司令 都筑真紀 がんばるちびたぬ部隊長、25歳ですが身長はあまり伸びてません。 気苦労と不運続きな部隊長ですが、明るいみたい目指して頑張って欲しいところです。 緋賀ゆかり 前髪に分け目ができて左耳に髪の毛をかけて後ろ髪を流しています。 実は、『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の時より少し痩せた、という設定になっているようです。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3082.html
第一話 サイファ- こちらガルム1、帰還した。 これより着陸体制に入る。 こちら、管制塔。了解、ガルム1! よくやってくれた! 通信の向こうから歓声が聞こえる。 その歓声は国境なき世界を潰し、相棒(PJ)を落とされ、かつての「相棒」を落とした血に濡れた「英雄」を称えてでもいるのだろうか。 「…戦争は終わった。じゃあ、「俺達」傭兵はどうしたら良い?」 俺はそう呟いた。 世界には争いが絶えない。きっと、なんだかんだいって「傭兵」と言う戦争屋と嘲れる物がなくなる事は無いのだろう。 相棒、俺はお前を止めて良かったのか? お前の言う通り国境をなくし、全てをzeroに戻し、次の世代に託した方が良かったのか? …答えは出る事は無く、基地は近づく。 着陸する。 イーグルが低空飛行に入る。 静電気のような物が突然走り、目眩がする。 バチッ 一瞬、何もかもが真っ白になり何も見えなくなった。 接地する。 「今一瞬目眩がしたな…」 出撃は長時間だった。 パイロットにも機体(イーグル)にも損害は大きかった。 きっと目眩はそのせいだろう。 明るく差し込む光が、そう… 「光…!?」 基地は確か、雪だったはず… しかし、イーグルのキャノピーから覗ける空の光景は晴れ晴れとした青空だった。 「…しかも明らかに基地じゃねえよココ」 管制塔、格納庫、対空火器、先に帰って来てるはずの攻撃隊、そんなものは一つも見あたらなかった。 イーグルが止まる。 「見た感じは民間施設…か?」 銃の安全装置を解除し、周りを見渡す。 どうやら駐車場に着陸したらしい。 「通信は…ダメか、GPSもダメだな。」 通信は全チャンネル応答無し。 国際救難チャンネルもダメ GPSはなんかそもそも衛星が見つからないとかなんとか これじゃあエンジンを再始動させたってどこに帰ればいいのかわからない。 「サバイバルキットは…と」 どうも何かヤバい感じがする。 そう思ってシート下に仕込んであるサバイバルキットを… 「…動かないで」 取り出せなかった。 キャノピー越しとは言え……槍みたいなもん?を突きつけられた。 …やれやれ、近づいて来てるのに気づかないたあ、我ながら不用心だ。空戦ならもう死んでるな。 自分に呆れながら、逆らえない状況で指示があったのでキャノピーを空ける。 「女の子…か。物騒な世の中だねえ。」 俺に槍を突きつけていたのは茶色の髪の毛の女の子だった。 しかし、最近の槍はこんなもんか?変なデザインだ。 …まあ、なんであれ。槍と安全装置は解除してるが弾倉を入れ忘れてる銃じゃあ勝負というかお話しにならないわけで。 「…はい、降伏。 「国境なき世界」かベルカか知らないが捕虜の扱いは条約に従ってくれよ」 今までの自分のやって来た事を考えると戯言だな。自分で苦笑しながら銃を少女に渡す。 「…で?ここはベルカなわけか?それともアヴァロンダムか?」 「あ、あの…仰ってるわけが良く…ベルカはともかくアヴァロンダムや「国境なき世界」って何ですか?」 「はい?」 「俺は"世界"から跳ばされてここにきた…と…?」 ある意味、普通の驚き方に私はほっとしていた。 "跳ばされる"事自体はあまり珍しくは無い。 ただ、跳ばされてきた来た人は大抵、自分が跳ばされてきたを否定し、話すら聞こうとしない。 それを考えれば、目の前の青年が話をキチンと聞いてくれるのは、珍しくもありがたい事である。 実際、青年は小言で「なるほど…だから急に天気が…」 とか言っている 「疑わ…ないんですか? 大抵の人は、「謀略」とか「夢」とか言いますよ?」 私は不思議に思って、彼に問うてみた。 「へ?いや自分の目で見て、考えて、実際その"跳ばされてしまった"と言う話を否定する材料が無い、それに…」 「それに?」 「虚実や謀略で無いことくらいはその目を見ればわかる。」 高町と名乗った少女の話は、確かに衝撃的だった。 俺は何らかの原因で世界から跳ばされてこの世界にたどり着いたらしい。 最初はベルカの謀略…を疑わなかったわけではない。 しかし、冷静に考えていくらベルカが有り得ない技術力を保有していた所でこんな手の込んだ事は出来ない。 それに、尋問官である高町の目は嘘を言っている人間の物では無い。と感じたのだ。 (それを言ったら、クスクス笑われたが) 「なのは、交代しよう」 突然ドアが開き、また今度は大人と言っていい年齢な感じの女が入ってきた。 「シグナムさん!」 「…ここは任せろ。新人達の所へ行ってやれ。」 シグナムと呼ばれた女にそう言われた高町は、シグナムに礼を言うと、俺の尋問内容を書いた紙を渡し部屋を出ていった。 シグナムはその紙を見ながら、俺の向かい側に座る。 「…なるほど、確かに珍しいな。 ここまで今の自分の状況を理解するのは。 」 そうシグナムは呟いていた。 「私はこれから貴君の個人情報について、聞こうと思う。 個人情報だからな。答えたくないことには答えなくてもいい。」 シグナムは紙を捲りながら、そう言うと「さて、まず名前を聞こうか?」 「ウスティオ空軍第6航空団第66飛行隊、ガルム隊一番機"ガルム1"だ。 いや、地上なら "サイファー"でいい」 世界は違えど、思いは変わらず、何が起こるかわからん新世界 とりあえず、魔法少女リリカルなのは nextgenerations 始まります。
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/111.html
魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA sビジュアルファンブック 魔法少女リリカルなのはシリーズ 魔法/世界観に関する資料
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2225.html
人影にいち早く気がついたガロードはティファを連れて素早く岩陰へと隠れた。 岩に背を預けたまま顔を覗かせ、背後の様子を窺う。 彼の視線の先には四人の魔導師がいた。 内、二人は金髪の若い男。 もう二人は女性で、片方はどう見ても子供だ。 そのことに一瞬戸惑いを感じたがガロードだが、時空管理局は才能と本人の意志さえあれば入局出来ることを思い出す。 恐らくあの子供もそういう者の一人なのだろうと結論付け、再び様子見を始めた。 幸いにもまだ誰にも見つかってはいないようで、ガロード達を探して辺りを見回している。 更に後方にはガロードが潜入した白い船が停泊しており、それを見た彼には魔導師らの目的が容易に想像出来た。 (あいつら……ティファを連れ戻しに来たな) 一難去ってまた一難。 ガロードは緊張を解いた体を再度引き締め、GXを持つ手に力を入れる。 手と額にはうっすらと冷や汗が滲んでいた。 一方、ティファを追って来た四人の魔導師達――正確には二人の魔導師と二人の騎士―― 大破したガジェットを囲み、燦々たる有り様を目の前にしていた。 「I型とは言え、AMFを持ったガジェットをここまで見事に破壊するとはな」 その内の一人、ヴォルケンリッターが将・シグナムはその場にしゃがみ込み、ガジェットの破損具合を見極めていた。 ガジェットの状況や傷口から、破壊した人物の情報を少しでも得るためだ。 先程まで激しく燃えていたであろう炎も今は納まり、今は黒い煙だけが立ち上っている。 しかし破損状況は思ったよりも酷く、ガジェットの残骸から得られる情報は無いに等しかった。 唯一解ったことと言えば、鋭利な刃物で両断されたということ位。 ある意味予想通りの結果に溜め息をつき、シグナムは立ち上がった。 「こりゃ、久々に骨のある相手と戦えそうだぜ!」 その横で、白と赤が目立つバリアジャケットを着た魔導師が己の闘志を燃え上がらせていた。 彼の名はウィッツ・スー。 ジャミルに傭兵として雇われおり、二丁のライフル銃型ストレージデバイス『ガンダムエアマスター』を操るフリーの魔導師である。 根が熱い性格であるウィッツは強い相手と戦えるとあり、任務を忘れて気分を高揚させていた。 そんなテンションの上がるウィッツを、少し離れた所から冷めた目で見ている魔導師がまた一人。 「ウィッツの奴、張り切っちゃってまぁ。やることだけちゃっちゃとやって、ギャラ貰うのが大人じゃないのかねぇ?」 濃い緑のバリアジャケットを身に纏い、腕、肩、足など体中を兵器型のデバイスで武装しているのは、ウィッツと同じくフリーランスで魔導師をやっているロアビィ・ロイ。 体中に装備された様々な兵器型デバイスの管制・運用を行っている高処理性能ストレージデバイス『ガンダムレオパルド』の所有者で、彼もまたジャミルに腕を買われ雇われていた。 ウィッツとは対照的にクールな性格のロアビィは敵の魔導師に大して興味がなく、一見するとやる気がないようにも見える。 「お前! 口動かしてないでさっさと探せよな!」 「はいはい、分かってるって」 その姿勢が癪に障ったのか、すぐ側でティファの捜索をしていたヴィータはロアビィに向かって怒声を浴びせた。 愛機グラーフアイゼンを振りかざして懸命に威嚇するも、残念な事にあまり怖くない。 ロアビィはヴィータを軽く受け流し、ティファの捜索を再開した。 四人はゆっくりと、ゆっくりと、ガロード達へ着実に近づいて行く…… 第二話「あなたに、力を…」 (来る……っ!) スラッシュフォームに変形させたGXを握り、ガロードはシグナム達の動きを伺っていた。 少しずつ近づいてくると同時に緊張も高まってくる。 相手は四人、こちらは実質一人。 圧倒的に不利な状況の中、現状を脱出できる最良の策を必死になって考える。 (ここから逃げても見通しがいいから見つかっちまう。見つかっても逃げきれる方法! なんか、なんかないか!?) 考えれば考えるほど思考は泥沼化し、一向に良い案など浮かばない。 更に刻刻と近づく足音がガロードから落ち着きを奪っていく。 すぐそこまで迫る複数の足音。 頭を抱えて悶え苦しむガロードだったが、ふと、一つの名案が迷走する頭に閃いた。 ……この場合、迷案と言った方が正しいのかもしれないが。 兎にも角にも、もう一刻の猶予も残されていない。 ガロードはこの状況を脱するべく立ち上がった。 横ではティファが心無しか不安げな表情を投げ掛けていたが、安心させる為に笑顔で答える。 シグナム達がいるであろう方を向き、ガロードは隠れ蓑にしていた岩に飛び乗った。 「やーいっ!! お前達!!」 開口一番、大声を張り上げその場にいる全員の視線を集めた。 見た目からして腕利きの魔導師三人(ヴィータは数に入れていない)を前にしても、ガロードの声色は全く変わらない。 一人でアフターウォーを生き抜いてきた彼にとって、こんな状況はさして珍しくないのだろう。 大きな賭は慣れっこなのだ。 「出やがった、なぁっ!?」 「が、ガキンチョだぁ!?」 対するウィッツ達は未知の魔導師の登場に驚愕し、同時に落胆した。 ガジェットを撃破した魔導師がこんな子供という事実に。 特にシグナムとウィッツは久々に実戦で魔導師と手合わせ出来ると踏んでいただけに、落胆の具合も半端ではなかった。 ロアビィとヴィータに関しては呆れ果てて物も言えない。 目の前がそんな状態になっているとは露知らず、ガロードは一世一代の賭け始めた。 「もし攻撃したら恐ろしい事になるぞ! いいか、よーく聞けよ! このデバイスにはなぁ、おっそろしい魔法が記録されてるんだぞ!!」 「ほぉ……それは興味深いな」 かかった! シグナムの呟きを耳にしたとき、ガロードはそう確信したという。 残念な事に、その言葉に含まれていた大きな皮肉の意を全く理解せずに。 妙な自信をつけたガロードは更に続ける。 「だから! それを使われたくなかったら大人しく……」 『Rifle bullet』 『Grenade launcher』 「ん?」 不意に、デバイスの音声が響いた。 ガロードが音声の発生源を見ると、ウィッツとロアビィが自分に向けてデバイスの銃口を見せている事に気がつく。 銃口にはそれぞれ魔法陣が展開されていた。 ……まさか。 冷や汗が頬を伝った瞬間、光の銃弾と高密度魔力弾がガロードを襲った。 「おわああぁっ!? ととっ!?」 急に仰け反った為バランスを崩し、そのまま岩の横へと倒れ込むガロード。 それが幸いし、ウィッツのライフルバレット、ロアビィの放ったグレネードランチャーを奇跡的に避けることが出来た。 が、代わりに左半身が硬い地面に直撃。 少し高さがあった事も手伝い、鈍痛がガロードの体を駆け巡る。 「馬鹿か! んな見え透いた嘘が通じるワケねぇだろ!!」 「嘘はイケないなぁ、嘘は!」 くだらない嘘を聞かされ怒りが増し、今にもガロードを撃ち殺さん勢いで怒鳴るウィッツ。 続くロアビィも言葉こそは軽いが、強い呆れが聞いて取れる。 「く、くそぅ……なんでバレたんだ?」 バレていないとでも思ったのか。 ウィッツ達は痛む脇腹をさすりながら立ち上がるガロードに冷めた視線を向けた。 ……人を騙すにはそれなりの材料とシチュエーションが必要になる。 今回ガロードには、相手に秘密兵器を持っていると思い込ませるだけ材料の不足していた。 更に騙す側が冷静さを忘れてしまっていたのだから、この結果は至極当然と言えるだろう。 一世一代の賭け、早くも終了である。 それでもガロードは立ち上がり、GXの刃先をウィッツ達に向けた。 飽くまでも対抗する気らしい。 「ったく……さっさと伸して船に連れ帰っちまおうぜ。ガキの相手なんかしてられっか」 「待てよ」 「あぁ?」 痺れを切らしたウィッツがエアマスターの銃口を再びガロードに向けようとした時、その行動を止める人物が現れた。 邪魔をされたウィッツは露骨に嫌そうな顔で止めさせた人物を睨み付ける。 意外にもそれは、普段血の気の多いヴィータであった。 ウィッツの睨みにも全く動じることなく、寧ろ睨み返している。 「相手はまだ子供だ。んな目くじら立てなくても、話し合いでどうにかなんだろ。ここはあたしが説得してやる」 エアマスターの銃口を無理やり下ろさせると、ヴィータはウィッツを押し退け一歩前へ出た。 ウィッツは不満に顔を歪めていたが、言い争うのも面倒だと早々に諦める。 因みに、「お前も子供だろ」と思ったのはここだけの秘密だ。 「ヴィータにしては珍しいな。高町なのはに触発されたか?」 「るせぇ」 シグナムの嫌味を流しつつ、ヴィータはグラーフアイゼンを待機フォルムへと変形させた。 実際、ヴィータは『高町なのはの一件』以来確実に大人の対応が出来るようになってきている。 『話し合いの場には武器を持ち込まない』という10年前の自分の言葉を律儀に守っているのも、その影響なのだろう。 発端はともかく、シグナムはヴィータがこの数年で変わってきた事を、将として内心嬉しく思っていた。 「おい、お前」 「な、なんだよ!?」 ガロードはGXの魔力刃を見せつけ、急に声をかけてきたヴィータを威嚇する。 だが彼女は全く気にした様子もなく、涼しい顔で言葉を続けた。 「誘拐、並びにデバイスの窃盗。これだけでも結構な罪だ。普通だったら即逮捕、だな。だけどな、おまえが浚った少女をこっちに渡せば、お前にはまだ弁護の余地ってやつがある。武装を解除して素直に」 投降しろ、とヴィータは言おうとしていた。 ――この後数分間押し問答を繰り返し、最後には自首させる。 どうしても話し合いに応じない場合にのみ、なのは流で『お話する』―― それがヴィータの考えだった。 しかし、それはガロードの爆弾とも言える発言の前に脆くも崩れ去ったのだった。 「うるせえっ! 『チビ』の癖に難しい事ゴチャゴチャ言いやがって! 『ガキ』はお家に帰ってお人形遊びでもしてろよっ!!」 ブツンッ。 ガロードが言い放った刹那。 その場に、張り詰めた糸が、千切れたような音が響いた。 直後、先程まで涼しい顔をしていた筈のヴィータの様子が急変。 腕が微弱に痙攣し、額には血管が浮き出る。 目もつり上がり、まるで鬼の形相かと見紛う程だ。 そして何より、怒りの対象であるガロードだけでなく、無関係のウィッツやロアビィまでもが鳥肌を感じる程の、炎のように赤い殺気を全身に漲らせていた。 「お前ら、引っ込んでろよ……」 腹の底から絞り出したような低い声で後ろの三人を威圧するヴィータ。 既に彼女の手にはハンマーフォルムとなったグラーフアイゼンが握られている。 そして次の瞬間。 「こいつはあたしがぶっっっっ殺す!!!」 阿修羅と化したヴィータがガロードに突撃した。 話し合いを持ち掛けた方がこれでは、もう話し合いも何もあったものではない。 後ろで傍観していたシグナムは、己の考えを直ちに訂正したという。 やはりヴィータはヴィータか……と。 一方、急に襲われたガロードはヴィータを迎えうち、激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。 「くっ……!」 「うぉおりゃあああ!!」 ヴィータのとてつもない気迫に押されて行くガロード。 グラーフアイゼンとGXの刃の交差部からは激しい火花が飛び散っていた。 ――このままじゃやられるっ! 危機感を覚えたガロードは全力を持ってグラーフアイゼンを押し返す。 しかしヴィータが後退する気配は微塵もない。 寧ろヴィータの力は増していき、ガロードの方が更に押し返されていた。 それに気づいたガロードはとっさに分が悪いと判断。 押し返すのではなく受け流そうとGXの刃を傾ける。 「うおっ!?」 これは思いの外うまく行った。 真正面に膨大な力が掛かっていたグラーフアイゼンが魔力刃の上を滑るように振り下ろさる。 そのままガロードの体ギリギリを素通りし、地面に小さなクレーターを作った。 ヴィータもグラーフアイゼンと共に大きく前へ仰け反り、大きな隙が生じる。 チャンス到来だ。 ガロードはがら空きになったヴィータの背にGXを振り下ろした。 だがヴィータもこのまま黙ってはいない。 地面を抉って無理やりグラーフアイゼンを引っ張り出し、柄でGXの刃を防ぐ。 「なっ!?」 「ヌルいんだよっ!!」 ヴィータの力技に驚愕し目を見開くガロード。 その瞬間今度はガロードに隙が生まれた。 ヴィータの鋭い目線がそれを捉える。 GXをガロードごと押し返すとグラーフアイゼンを大きく振りかぶった。 「しまっ……!!」 「おらあああああああ!!」 「飛龍一閃!」 鉄槌の一撃がガロードを襲うかと思われたその時。 二人を紫の光龍が襲った。 光龍を素早く視界の端に認めたヴィータはその場から後ろへ跳躍し難なく交わす。 しかし反応が遅れたガロードは直撃こそ免れたが、衝撃波をまともに受けた。 吹き飛ばされ、背中から地面に滑り落ちる。 そのままティファの隠れている岩陰まで砂埃を上げながら引き擦られていった。 「引っ込んでろっつっただろ!!」 今のでヴィータの怒りの矛先が変わったのか、彼女は魔法が飛んできた方を睨みつける。 視線の先にはシグナムが涼しい顔で立っており、愛機であるレヴァンティンを鞘に納めていた。 「お前こそ熱くなりすぎた。我々の任務は飽くまでティファ・アディールの保護。このままお前が暴れれば、近くに隠れているであろう彼女にも危険が及ぶぞ」 「ちぇ! わぁってるよ!」 シグナムの忠告をすんなりと受け入れたものの、やはり怒りの熱(ほとぼり)は冷めないらしい。 つまらなそうに吐き捨て、グラーフアイゼンを肩に担いだ。 吹き飛ばされたガロードはというと、シグナムがヴィータに説教をしているうちに岩陰のティファの下へ戻っていた。 ヴィータの怒りが籠もった攻撃を受けた手は、デバイド越しだったというのに未だに少し痺れている。 ガロードは手を強く振って痺れを紛らわし、同時にヴィータを戒めるシグナムの言葉にしっかりと耳を傾けていた。 そしてシグナムの説教が終わった直後、新たな策がガロードの頭に閃く。 (そ、そうか、あいつらティファを狙ってるんだっけ。それじゃあ……) なんとかこの場を切り抜けるため、ガロードはティファに向き直った。 一方、ヴィータの暴走により蚊帳の外へ追いやられたウィッツとロアビィは、ティファが隠れている岩陰のすぐ側まで近付いていた。 既にティファを視認しており、今にでも確保出来る程の距離だ。 (しっかし、シグナムさんも策士だねぇ。ヴィータちゃんの暴走餌にして、その隙に俺達が目標を確保しろってんだから。出来る女って、俺好みかも) (そうかよ。……そろそろ行くぜ、あのガキ戻って来やがった) (おっ、それはちょっと不味いね。じゃ、1、2の3で行こうか?) (ガキか。まぁいい……1) (2の……) ――3っ! 念話をそこで切り、ウィッツとロアビィはガロード達へと襲いかかる。 いや、襲いかかろうとした。 「っ! 待て!」 「何ぃ!?」 ロアビィが声を張り上げウィッツを引き止めた。 ウィッツも目の前の光景に思わず目を見開く。 なんと、再び岩の上へと躍り出たガロードがティファの首に魔力刃を突きつけているのだ。 驚いたのはウィッツ達の反対側にいるシグナム達も同じで、絶句したまま動けないでいる。 「これでどぉ? 撃てるもんなら撃ってみる!?」 「このヤロっ!」 「おおっと動かない。この子に傷がついちゃってもいいわけ?」 「くっ!」 ティファの首に突きつけられた魔力刃を強調するようにちらつかせ、ガロードは強気の態度でヴィータを脅す。 頭に血が上っていたヴィータも、今度ばかりは迂闊に手が出せないでいた。 そしてヴィータの反応を目の当たりにしたガロードは、今度こそ自分が優位に立ったことを確信し、更に畳み掛けるように言葉を続ける。 「やっぱ撃てないよねぇ? なんたって、あんた達の狙いはこの子なんだから! 少しでも下手なことしたら、どうなるか分かってるよね?」 「ちぃっ! 卑怯なマネを!」 「なかなかやるじゃない」 「ハートのエースはこっちが握ってるって事、お忘れなく!」 『Reflector wing』 シグナム達四人にただならぬ緊張感が漂う中、ガロードの背に銀色に輝く『X』を象った魔力の翼が現れる。 するとどうだろう。 ガロードの体がティファと共に二、三センチ程地面から浮き上がった。 「じゃあね!」 シグナム達に軽くウインクし、ガロードはティファを抱えたまま岩の上から飛び上がった。 そのまま地面に着地し、ホバリングのように地面から少し浮いて一目散に森へ疾走する。 スピードはなかなか速く、滑走した後に砂埃を巻き上げていった。 しかし、それを黙って見つめている程ウィッツの気は長くはない。 「あの餓鬼っ! 馬鹿にしくさって!!」 「待てっ!」 エアマスターの銃口を向け今度こそガロードを狙撃しようとした時、今度はその行動をシグナムによって制止させられた。 「何回も何回も止めんじゃねぇっ!!」 「今攻撃すればティファ・アディールにも確実に当たるぞ!」 「っ! ……くそっ!!」 いい加減に嫌気がさしたウィッツは激情し、シグナムに食ってかかる。 だがシグナムの尤もな意見の前に、ウィッツの怒りはまたも不発に終わった。 溜まった鬱憤をぶつけるように足下の小石を思い切り蹴飛ばす。 そうこうしている内にガロードの姿は既に無くなり、舞い上がった砂埃だけが虚しく漂っていた。 その光景に溜め息をつき、ロアビィはウィッツに話し掛ける。 「俺は一度フリーデンに戻るよ。契約がある間はデバイスのメンテとかタダだし。あそこの技師、腕いいんだよね」 「俺も一服するぜ。……ったくよぉ、一休みしないと腹の虫が収まらねぇ!」 「あたしもだ!」 内から湧き上がる殺意を隠そうともせず、ウィッツとヴィータはフリーデンへ向かって飛び立った。 そんな二人に呆れたのか、シグナムは小さな溜め息をつくと同じくフリーデンへと飛び立つ。 ロアビィはその後を追うように、足に装備したローラー型デバイスで地面を疾走していった。 その頃、上手くシグナム達を撒いたガロードはすぐさま魔力刃を消し、抱えていたティファを降ろた。 辺りの安全をしっかり確認し、バリアジャケットを解除する。 青白い光がガロードを包み、一瞬の内に元の赤いジャケット姿へと戻った。 そしてティファへと向き直り、すこし不安げな表情で彼女の顔を見る。 「……ごめんな、怖くなかったか?」 首に傷がついていないか確認し、心底済まなそうに謝るガロード。 それ対し、ティファは口元を緩ませ仄かに微笑む。 「信じて、いたから」 ティファのこの一言に、ガロードの心が一気に軽くなる。 不安は安心へと変わり、こそばゆい気持ちにティファを直視できなくなる。 「……うん」 照れくさそうに頬を掻きながら、ガロードもティファに微笑み返した。 人質にしたのだから流石にティファも自分に不信感を抱いたのではと不安に思っていたガロードだったが、それはいらない心配だったようだ。 そんな和やかな雰囲気の中、二人を茂みの中から見つめる人影が一つ。 鋭く光るその視線は、ガロードの手にしているGXに注がれていた。 (へへへっ……こりゃ、久々に透き通った酒にありつけるぜ) AFTER WAR LYRICAL NANOHA XtrikerS- 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/190.html
表紙の折り返しコメント 藤真拓哉 この度は、「魔法少女リリカルなのはvivid」第2巻を購入していただきましてありがとうございます。 4期シリーズとして始まった「リリカルなのはVivid」、皆様の応援のおかげで2巻も無事出すことが出来ました。 これからもよろしくお願いします! この2巻からはオフトレ編がスタート、3日間の様々な出来事の中でヴィヴィオとアインハルトの2人がどのように成長していくのか、注目です。 またこの巻から出てくる《新技》も楽しんでいただけたら嬉しいです^^ それでは本編をお楽しみください!「魔法少女リリカルなのはVivid」第2巻はじまります。 都筑真紀 無闇に作家歴が長い分、すでに相当な数の「主人公」を生み出しているはずの自分ですが、 ヴィヴィオほど明るくて屈託ゼロな主人公って初めてだな、って事に、ついさっき気がつきました。 そんなヴィヴィオは今後も曲がる事なく、リリカルでマジカルにがんばっていく予定です。 帯の武内崇のコメント 可愛いはもちろん正義。だけど、正しいだけでは勝てない戦いがある!可愛く、しなやかで頼もしい!これが最先端の熱血魔法少女活劇!! 長谷川光司のあとがきコメント コロナいーですよね。 いよいよ2巻ですねぇ。すっきりした線と柔らかい質感が大好きです。この先の展開も楽しみにしてますですよ。 長谷川光司先生から応援コメントをいただきました。 あとがき 2巻です。合宿編です。 相変わらずゆるっとまったり、時々懸命路線で進んでいっております。ところで制作秘話というか、ViVidのもう一人の主人公、アインハルトが生まれたいきさつとか。 娘TYPE誌上での「Force」は新規主人公で「重大事件」を描くストーリーとして、コンプエース誌上の「ViVid」はヴィヴィオが主人公であんまり重くならない話。 ここまではあっという間に決まったのですが、実は一番最初の企画段階では「スポーツ格闘」のラインはまだ存在しておらず、 「ヴィヴィオメインの学園&ホームコメディもの、時々事件」くらいの方向性で考えていました。 そんな叩き台状態で組んだストーリープロットは、まだ格闘技やスポーツの要素はそれほどなく、 ヒロイン役として置いていたキャラも、「無口系で受け身型で謎多きヒロインだけど、実は戦闘力が高くて、 主人公(ヴィヴィオ)と闘う事になる」というくらいしか決まっておらず、かなりふんわりしていました。 でも、そんな叩き台状態のストーリープロットを見てくれた藤真先生が、初回打ち合わせの時に「ちょっと描いてきてみました」 と見せてくれた「少女」が今のアインハルトでした。 頂いたその「少女」の絵からはすぐに今の設定や「ViVid」が目指す作品ジャンルやストーリーラインが出来上がっていって なんだかかなりあっという間に今の「覇王っ子」アインハルト・ストラトスが完成しました。 2巻では大分、素の天然度合いも披露されてきてヴィヴィオとの会話やかけあいは、書いていてとても楽しいです。 そして成長過程まっさかりのヴィヴィオや生まれたてのクリスはもちろんとして、アインハルトも「作中で育っていく子」だったりします。 過去と向き合ったり、前を向いたり上を見上げたりしながらヴィヴィオやリオコロ・周りの大人達と一緒にアインハルトも日々育っていきます。 のんびり見守っていっていただけたら嬉しいです。 都筑真紀 追記…いろんな人に「いったい何があったの?」と心配(?)されたルーテシアですが 特に何もありません。もともとこんな子です。 アギトあたりに言わせると「性格変わった」という印象すらないらしいです。「そういえば声が大きくなったかな」くらいで。 藤真です。「魔法少女リリカルなのはViVid」1巻の発売から半年、ついに2巻が発売になりました!! これもたくさんの応援をしてくれているみなさんのおかげです。 ツイッター、ミクシィ、ブログ、はがき、とても暖かいコメントを本当に、本当にありがとうございます! いっぱいの元気を頂いていますよ!! さて、この2巻からはオフトレ編スタート!ということでたくさんのキャラが登場し、ますます賑やかになって来ました。 ついにヴィヴィオの友達、リオ、コロナもバリアジャケット姿をお披露目。 次巻ではヴィヴィオ、アインハルトとともになのはやフェイトにどう立ち向かっていくのか、ますます 白熱するバトル 合宿を楽しんでいただければと思います(笑)! たくさんのキャラといえば少し前、都筑先生に、「ViVid 好きに書いちゃってますが作業量とか大丈夫ですか?」とおっしゃて頂きました。もちろん大丈夫です!! 藤真も全力全開で楽しく描かせていただいてますよ!だって「せーの!」で12人全員変身ですよ! 藤真のテンションも上がるというものです(笑)。これからもテンションアップでがんばりますっ!! そして3巻ではなんと、限定版が出ます!「ヴィヴィオのねんどろいどぷち」が付きます! 祝!ヴィヴィオ初ですよ!!この本が発売している頃には予約が始まっていることと思いますので こちらのほうも合わせてよろしくお願いしますね! では、また3巻でお会いしましょー! 2010.06 藤真 拓哉
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/33.html
魔法少女リリカルなのはStrikerS 第7話 【進展】 ティアナ「最初の出動の時も、それなりに上手くはいったけど、ただそれだけだった……。 毎日の訓練も、あんまり強くなってる実感がしない。手の中には、優秀すぎる相棒がいて、 私の周りには天才と、歴戦の勇者ばっかり。今も疑問に思ってる。自分が何でここにいるのか。 あの人は何で、私を部下に選んだのか。魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」 はやて「これまで謎やったガジェットドローンの製作者、およびレリックの収集者は現状ではこの男、 違法研究で広域指名手配されてる次元犯罪者…ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進めている」 フェイト「こっちの捜査は、主に私が進めるんだけど、皆も一応覚えておいてね」 一同「はい!!!」 リイン「で、これから向かう場所がここ。ホテル・アグスタ!」 なのは「骨董美術オークションの会場警備と人員警護。それが今日のお仕事ね」 リイン「取引許可の出ているロストロギアがいくつも出品されるので、 その反応をレリックと誤認したガジェットが出てきちゃう可能性が高い。ということで、私たちが警備に呼ばれたです」 フェイト「この手の大型オークションだと、密輸取引の隠れ蓑にもなったりするし、色々油断も禁物だよ」 キャロ「シャマル先生。その箱、何が入ってるんですか?」 シャマル「隊長たちのお仕事着」 はやて「会場内の警備はさすがに厳重、と」 なのは「一般的なトラブルには十分に対処できるだろうね」 はやて「外は六課の子達が固めてるし、入り口には防災用の非常シャッターもある。 ガジェットがここまで入ってくるんいうんはなさそうやしな」 なのは「うん。油断はできないけど、少し安心」 はやて「ま、どっちにしても私たちの出番は非常事態だけや」 スバル「八神部隊長が使っているデバイスが魔道書型で、それの名前が夜天の書っていうこと。 副隊長たちとシャマル先生、サフィーラは、八神部隊長個人が保有してる特別戦力だって、こと。 で、それにリィン曹長合わせて六人揃えば無敵の戦力…ってこと。 ま、八神部隊長たちの詳しい執事とか能力の詳細とかは極秘事項だから、私も詳しくは知らないけど」 ティアナ「レアスキル持ちの人は皆そうよね」 ティアナ「六課の戦力は、無敵を通りこして明らかに異常だ。八神部隊長がどんな裏技を使ったのかは知らないけど、 隊長格全員がオーバーS…副隊長でもニアSランク。他の隊員たちだって、 前線から管制官まで未来のエリートたちばっかり。あの歳で、もうBランクをとってるエリオと、 レアで竜召還師であるキャロは二人ともフェイトさんの秘蔵っ子。あぶなかっしくあっても、 潜在能力と可能性の塊で、優しい家族のバックアップもあるスバル。 やっぱり、うちの部隊で凡人なのは私だけか。……だけど、そんなの関係ない。 私は、立ち止まるわけにはいかないんだ」 ゼスト「おまえの探し物は、ここにはないのだろ?……何か気になるのか?」 ルーテシア「うん。……ドクターのおもちゃが、近づいてきてるって」 シャマル「前線各員へ。状況は広域防御戦です。ロングアーチ1の総合管制と合わせて私、シャマルが現場指揮を行います」 ヴィータ「新人たちの防衛ラインまでは一機たりともとおさねぇ。速攻でぶっつぶす」 シグナム「おまえも案外過保護だな」 ヴィータ「うるせーよ!」 なのは「フェイトちゃん。主催者さんはなんだって?」 フェイト「外の状況は知らせたんだけど、お客の避難やオークション中止は困るから、開始を少し延ばして様子を見るって」 なのは「そう…」 ティアナ「これで…能力リミッター付き…」 ルーテシア「ゼストやアギトはドクターが嫌うけど、私はドクターのことそこまで嫌いじゃないから」 ヴィータ「急に動きがよくなった」 シグナム「自動機械の動きじゃないな」 シャマル「有人操作に切り替わった」 シャーリー「それが、さっきの召還師の魔法?」 スバル「召還って、こんなこともできるの?」 キャロ「優れた召還師は、転送魔法のエキスパートでもあるんです!」 ティアナ「証明するんだ。特別な才能や凄い魔力がなくたって、一流の隊長たちの部隊でだって、 どんな危険な戦いだって…私の、ランスターの弾丸はちゃんと敵を打ち抜けるんだって!」 ヴィータ「ティアナ!このバカ!無茶やったうえに味方打ってどうすんだ!!」 スバル「あの!ヴィータ副隊長。今のもその、コンビネーションのうちで」 ヴィータ「ふざけろタコ。直撃コースだよ、今のは!」 スバル「違うんです!今のは私がいけないんです!よけ…」 ヴィータ「うるせーバカ共!もういい!後は私がやる!二人まとめて、すっこんでろ!!」 ヴィータ「ティアナは?」 次回予告 スバル「後悔も、悲しみも、立ち上がる力に変えて…。私たちはずっと、そうやって歩いてきた。 次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS…第8話、願い、ふたりで。…私は、ティアのパートナーだから!」
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/188.html
ViVidのあとがき 都筑編 ViVidは「スポーツ格闘少女まんが」です 本作がコンプエース誌上で連載が決まったのは、実はわりと急な話でした。 そんな中、作画を、当時「ネギま!?neo」でブレイク中だった藤真先生にお願いできると言う事が決まって ヴィヴィオを主役にして、シリーズの原点回帰っぽい、2人の少女を主軸に置いたお話にしようと言う事がその時に決定しました。 で、自分の作品作りは、上記のようなメインの項目が決まった後に「実際どういった話にするか」は既存のジャンルを2つ3つ錬金釜に放り込んで 「ちょっと変なジャンル」を練成することから始まります。 ViVidの時に釜に入れたのは「少女と少女の心の触れあい、そして成長もの」と「スポーツとしての格闘技」でした。 アニメのリリカルシリーズは、比較的「重くて痛い」事件がベースにあります。 (そんな中、誰よりも強い大人になりたいと願い、ある意味で「そうなる必要があった」少女がシリーズの主人公であり、 本作主人公ヴィヴィオの母親「高町なのは」その人なのですが) でも「ViVid」では、重くて痛い話はなるべく避けよう、というのをメインテーマとして置きました。 同時連載中の「Force」がわりと重痛い展開になるからというのもありましたが、戦争や、人殺しや、悲惨な事件や心と体を重く傷つけ、 深い傷跡を残すような「戦い」でなくても心のありかた、悲しみに立ち向かう強さを描くことはきっとできるということ。 技と心を磨いて、定められたルールの中で相手と競い合い、高めあう。 そんな「ピュアスポーツとしての戦い」の面白さと清清しさを、この作品では主軸として書けたらいいなと思っています。 まあそんな固い話はさておいて、ヴィヴィオを中心とした、 どこかゆるっとしたこの平和な「次世代型魔法少女」の空気を楽しんでいただけたら、それだけで幸せです。 きっと長いつきあいになるこの作品、藤真先生と一緒に、リリカルマジカルがんばります。 ViVidのあとがき 藤真編 この度は「魔法少女リリカルなのはViVid」第一巻を手に取っていただき誠にありがとうございます! 連載開始当初、藤真は他誌での連載を2本抱え月刊3本の連載をしており かなり必死な思いで漫画を描いていたのを思い出します。今でもあまり変わりませんが(笑。 それでも「ViVid」におきましては雑誌連載当初からみなさまのハガキなどの 応援、かなりの反響を頂き、勇気づけられながらここまでやってくることが出来ました。 本当に本当にありがとうございます! そのため雑誌では沢山の付録を付けて頂くことが出来ました。 下敷きに始まり、クリアファイル、ポスター、スティックポスター、カレンダー、 最後のカレンダーにつきましては全部ではないものの、これまでのカラーが沢山使われているので是非見て頂けると嬉しいです。 この連載のお話を頂いたとき、「魔法少女リリカルなのは」の新作を漫画で、ということ、 「なのは」、「フェイト」の娘である「ヴィヴィオ」を主人公にする、ということで、 もちろんこれまでのシリーズを全話見ている自分としては、話を聞いているだけで緊張とワクワクが止まりませんでした。 都筑先生から第一話のシナリオを頂き読み終えて、ああ、まさしく自分は「なのは」を描くんだ。とドキドキしながら描きましたね。 そんな緊張感も伝わっていただけるといいなと思います。 そして新作、ということでもちろん新キャラも登場しています!「 アインハルト」「リオ」「コロナ」この3キャラについては藤真がデザインを担当させていただきました。 ブログ等にも描いたことがありますが、中でもアインハルトは都筑さんに シナリオ案をもらって読んで、直後にはキャラ案がもう出来ていました。 そのくらい印象の強いキャラでしたね。 都筑先生にもお会いしたときに、実はもう描いてあるんです。と(笑。都筑先生にも一発OKを頂いた奇跡のキャラです。 この3人が今後、ヴィヴィオと一緒にどう成長していくか、楽しみにして頂ければ幸いです。 アインハルトはもちろん、コロナとリオについてもいろいろ活躍があるらしいですよ(コソっ。 長期連載も決まっていますよ(コソコソっ。 また「なのは」につきましてはこの「ViVid」にとどまらず、いろいろとやらさせて頂いています。 「ラジオストライカーズHPトップ画像」、「ラジオストライカーズ体験リポート漫画」 「なのはASポータブルイラストストーリー(絵)」「劇場版しおりイラスト」などなど。 これからもいろいろあるかもしれませんので、そちらのほうも見て下さいね。 それでは、これから長いお付き合いになると思います。「魔法少女リリカルなのはViVid」、 作品のほうはゆるっと、そして時には熱く!と言う感じですが、 こちら制作サイドではガンガン熱く(笑、がんばっていければと思いますので、今後ともよろしくお願いします!!
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/164.html
原作 都築真紀 対談 作画 緋賀ゆかり 「StrikerS(ストライカーズ)」「X(イクス)」を経て3年後の世界へ――第4期シリーズ「Force」誕生までの秘話を明かす! ―「なのは」の新シリーズとして「Force」が始動するまでの経緯を教えていただけますか? 都築 リリカルなのはシリーズをTVアニメシリーズで続けていまして、今まで角川書店さんとは あまり接点がなかった状態だったんですけど、劇場版に合わせて作品を取り上げていただけることになりました それで、なのはに関して何かやれたらいいですねということで、どちらからともなくコミックのお話に。 だから、今回のコミックについては、なのはの続編をやりたいのでそれを、と言うようなお話ではなくて、 角川書店さんとのめぐりあいとご縁があってのお話で、さらに「Force」に関しては緋賀先生との出会いで生まれた作品になります。 緋賀 いえいえ、そんな……。 都築 単行本、全部買っています(笑) 緋賀 私は最初、すごく不安だったんですよ。やっぱり「なのは」は大きい作品なので、作家の中にもごまんとファンがいるんじゃないかって。 だから、私よりも適任者がいるのでは?と思い、一度はお断りしようとも思ったんですが……。 都築 緋賀先生のお名前が挙がった時点で自分が「緋賀先生が描いてくださるならこれで!」と言うふうに、 内容や展開周りを一気に作って、編集さんにお送りしてしまって。 緋賀 そこまでしてくださったので、それなら私も自分にできる限りの範囲で頑張ろうと思って、お引き受けさせていただきました。 キャラクターデザインに時間がかかって、さっそくご迷惑をおかけしてしまったんですけど(笑)。 「『なのは』に出てくるキャラに見えますか?」みたいなことは、最初のうちはよく話していたような気がしますね。 都築 見えますよ!と(笑)。でも新主人公3人に関しては、緋賀先生の絵柄やキャラクターを規律にイメージしていったところが大きいです。 今までのチームで普通に「なのは」の新作を作ったとしたら、この子たちや「Force」の物語は生まれていないですね。 ―なのはが主人公ではないということで、驚かれた読者も多いのではないかと思いますが……。 都築 なのはは主人公とはひと言も言ってないんですけどね。まだ現役です、というだけで(笑)。 緋賀 私もなのはが新しい主人公だと想像していたので、「新しい主人公たちで」と聞いたときにはびっくりしましたし、 しかも男の子と聞いて「大丈夫なのか?」って(笑)。 都築 なのはは「StrikerS」のとき以上に、見守る・導く・救い出す、という役割で、はっきりと師匠系キャラの立ち位置です。 「force」では物語を作っていくのは新主人公のトーマたちに任せる形で、 なのはやスバルらシリーズキャラは物語の進行に合わせて順次、それぞれの立場で出てきて、物語に関わります。 ―では、「Force」の今後の展望について教えてください。 緋賀 読者の方に、「この人なら大丈夫かもしれない」と思ってもらえるくらいに、ちゃんと描いていきたいと思っています。 だからといってファン心理炸裂で描くのではなくて、冷静な目で見ていきたいですね。 都筑先生のイメージをうまく拾えるように、頑張っていきたいです。 都築 物語的にはもう「第一部完」の部分までほぼ固まっています。 あとはそれを形にしていきながら、同時に読者のひとりとして、緋賀先生が作ってくれる新しい「Force」を楽しみにしようと思います。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 少女から戦記へ 「リリカル」シリーズ第4シリーズとしてスタートしたこの漫画。 完全新主人公、なおかつシリーズ初の少年主人公なわけですが…。 Force・ViVidの「ダブル4期」には、どちらも「新メンバーで原点回帰」という目標があったりします。 そして「Force」がピックアップする「原点」は「戦う力を持たなかった主人公が、大きな力を手にすることで 自分自身の世界が変わってゆく、周囲を変える影響力を持つようになってゆく」という部分です。 本作のアニメシリーズにおける主人公達とその周囲の主要人物達は、 いずれも「力そのもの」を望んでを手に入れたわけではありませんでした。 目的があって、それを叶えるために必要な術(すべ)として手に入れ、磨いた力です。 出会った少女を、愛する母を救いたいと願って空を駆ける力を手にした「1st」の2人のエース。 幼い頃に定められた力を、否定することなく受け容れるために使う事を決めた「A s」の夜天の主。 弱い自分を変えるため、助けを求める誰かの声に答えるために、壊す力と向き合う事を決めた少女と 自分の夢に向かうため、夢を夢で終わらせないために強さを求めた「StrikerS」の2人のストライカー。 トーマは、そんな歴代主人公達とは少し違った形で「力」と向き合う事になります。 それは「ViVid」のヴィヴィオが「競技者としての強さ、心の強さ」を 目指してゆくのとまた違った、新世代……そしてトーマという少年ならではの「力」への向き合い方でもあります。 「少女」ではなく「戦記」のタイトルを冠した「Force」では、魔法の力や戦いを「怖いもの」として描いてゆきます。 そしてそれは、緋賀先生の「絵」でしか描けない物語でもあります。 序盤のトーマは、力や状況や自分の過去、敵対勢力……いろんなものに振り回されたり困ったりしてゆくことになると思います。 でも、シリーズ中随一の「等身大に近い主人公」として、きっと四苦八苦しながら生きてゆくトーマと、 トーマのそばで、これから関係性を作っていく事になるリリィやアイシス そんな3人の前に立ちふさがるフッケバイン一家や元機動六課メンバー達の様子を見守っていただければ嬉しいです。 緋賀先生と一緒に精一杯、この物語を描いてゆきます。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき はじめまして、こんにちは。緋賀ゆかりと申します。 「魔法少女リリカルなのはForce」1巻をお手に取ってくださりありがとうございます! 「リリカルなのは」シリーズはとても大きな作品で自分にとっても特別な作品でしたので、 Forceのお話をいただいた当初は自分なりに不安もありましたが、原作の都筑真紀先生をはじめ編集部の方々、読者の皆様、 身の回りの方々の温かいサポートのおかげでこうして無事に発売をむかえる事ができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 「リリカルなのは」ファンとして、「都筑真紀先生ファン」としてこうして公式の場で関わらせていただく機会に恵まれ、とても光栄に思います。 作画面は至らない点も多いのですが、日々精進し努力してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします…! それではまたお会いしましょうー。