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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第25話【ファイナル・リミット】 なのは「出会いは偶然。初めは何も分らなかった。ただ、目の前で泣かれると私も何だか悲しくて。 行かないでって抱きつかれると、胸が切なくて。笑ってくれると嬉しくて。 上手く言葉にできないけど、きっと大切な子。守れなかった約束を、今度はきっと守るから。 だから待ってて。ママが絶対、助けるから!」 ヴィータ「なのはもう、玉座の間についてる頃だよな。はやても、外で戦いながら船が止まるのを待ってる」 「こいつをぶっ壊して、この船を止めるんだ!リミットブレイク、やれるよな?」 「上等だよ。うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」 シャーリー「時限航行部隊の到着まで、後45分。巨大船の気道ポイント到達まで、後38分」 はやて「七分差」 シャーリー「主砲の照準はミッド首都に向けられています。七分あれば」 はやて「撃てるやろうね。防衛ライン現状維持!誰か指揮交代!今から私も突入する」 シャーリー「え!?」 はやて「軌道上になんて、上らせへん。地上に攻撃もさせへん!」 グリフィス「八神部隊長!」 アルト「割り込み失礼します!こちら、ロングアーチ03!」 はやて「アルト!?」 アルト「八神部隊長!後もうちょっとだけ待ってください!大事なお届けものを、今そちらに!」 なのは「ヴィヴィオ」 ヴィヴィオ「勝手に、呼ばないで!」 ヴィヴィオ「こんなの、効かない!」 クアットロ「あはははは、やっぱり~。陛下~、その悪魔が使ってるパワーアップ、どんどん使わせちゃって下さい~。 ブラスターとやらの正体は、術者が耐えうる限界を遙かに超えた自己ブースト。撃てば撃つほど、 守れば守るほど、術者もデバイスも命を削っていきます。うっふふ。優秀な前衛がいて、 後先考えない一撃必殺を撃てる状況なら、そりゃまぁおっかないスキルなんでしょうけど。 こんな状況では、役に立ちませんよね」 エリオ「キャロ、ルーを連れて上に」 キャロ「うん」 エリオ「地雷王たちは、僕たちが止める!!」 シグナム「同行を願います」 ゼスト「断る。ルーテシアを救いに戻り、スカリエッティを止めねばならん」 シグナム「スカリエッティと戦闘機人たちは既に逮捕。ルーテシア・アルピーノも、私の部下たちが保護するべく動いています」 ゼスト「そうか。ならば俺の成すべきことは、後一つだけか」 アギト「旦那!!何故!!」 ゼスト「じっとしていろ!!」 ゼスト「夢を描いて未来を見つめたはずが、いつの間にか、随分と道を違えてしまった。 本当に守りたいものを守る、ただそれだけのことの、なんと難しいことか」 ヴィータ「なんでだよ。なんで、とおらねぇ!こいつをぶっ壊さなきゃ、皆が困るんだ。 はやてのことも、なのはのことも!守れねぇんだ!こいつをぶちぬけなきゃ!意味ねぇんだ!!」 ヴィータ「駄目だ。守れなかった。はやて、みんな、ごめん!」 はやて「謝ることなんて、なんもあらへん」 ヴィータ「はやて、リイン」 リイン「はいです」 はやて「鉄槌の騎士ヴィータとグラーフアイゼンが、こんなになるまで頑張って。 それでも壊せへんもんなんて、この世のどこにも、あるわけないやんかっ」 シャッハ「通路封鎖?ロッサ!」 ヴェロッサ「こりゃ、自爆装置でも作動してそうな勢いだね」 フェイト「これは、一体っ」 スカリエッティ「ふふふ、クアットロが、この拠点の破棄を決意したようだ」 フェイト「止めさせて。このままじゃ、あなたも一緒に」 スカリエッティ「言ったろ。彼女の体内には、私のコピーがいる。こちらの私は用済みなのさ」 クアットロ「防御機構フル稼働。予備エンジン駆動。自動修復開始。ふふ、まだまだ。これは」 レイハー『ワールドエリアサーチ、成功。座標特定、距離算出』 なのは「見つけた」 クアットロ「エリアサーチ!!まさか、ずっと私を探してた?だ、だけどここは最深部。ここまで来られる人間なんて」 クアットロ「壁ぬき!?まさか、そんな馬鹿げたことが!?」 レイジングハート『通路の安全確認、ファイアリングロック解除します』 なのは「ブラスター3!!」 なのは「ディバイーーーン、バスターーー!!」 クアットロ「いや、いやああああ!!あ、あぁ、ドクターの夢が、わたしたちの、世界、が」 ラッド「ガジェット、完全停止。他の地点も同様です」 ゲンヤ「六課の連中がうまいことやったか!」 なのは「ヴィヴィオ?ヴィヴィオ!」 ヴィヴィオ「なのは、ママ。駄目!逃げてぇ!!」 ヴィヴィオ「駄目なの。ヴィヴィオ、もう、帰れないの」 なのは「っ!」 ゆりかご『駆動路破損、管制者不在。聖王陛下、戦意喪失。これより、自動防衛モードに入ります。 艦載機、全機出動。艦内の異物を、すべて排除してください』 はやて「いくよ、リイン!」 リィン「撃ち抜いて、進みます!」 なのは「ヴィヴィオ、今助けるから!」 ヴィヴィオ「駄目なの!止められない!」 なのは「駄目じゃない!!!」 ヴィヴォオ「もう、来ないで」 なのは「うっ」 ヴィヴィオ「分かったの、私。もうずっと昔の人のコピーで、なのはマ、なのはさんも、フェイトさんも、本当のママじゃ、 ないんだよね?この船を飛ばすための、ただの鍵で、玉座を守る、生きてる兵器」 なのは「違うよ」 ヴィヴィオ「本当のママなんて、元からいないの。守ってくれて、魔法のデータ収集をさせてくれる人を、探してただけ」 なのは「違うよ!」 ヴィヴィオ「違わないよ!しいのも、痛いのも、全部偽物の、作りもの。私は、この世界にいちゃいけない子なんだよ!」 なのは「違うよ。生まれ方は違っても、今のヴィヴィオは、そのやって泣いてるヴィヴィオは、偽物でも作りものでもない。 甘えん坊ですぐ泣くのも、転んでも一人じゃ起きられないのも、ピーマン、嫌いなのも。私が寂しい時に、 いい子ってしてくれるのも、私の大事なヴィヴィオだよ」 なのは「私が、ヴィヴィオの本当のママじゃないけど、これから、本当のママになっていけるように努力する。 だから!いちゃいけない子だなんて、言わないで!本当の気持ち、ママに教えて」 ヴィヴィオ「私は、私は!なのはママのことは、大好き。ママとずっと、一緒にいたい。ママ?助けて!」 なのは「助けるよ。いつだって、どんなときだって!!」 なのは「ヴィヴィオ、ちょっとだけ、痛いの我慢できる?」 ヴィヴィオ「うん」 なのは「防御を抜いて、魔力ダメージでノックダウン。いけるね、レイジングハート!」 レイジングハート『いけます』 なのは「全力、全開!!スターライトーー!ブレイカーーー!!!」 なのは「うっ、う、ヴィヴィオ?ヴィヴィオ!」 ヴィヴィオ「来ないで」「一人で、立てるよ。うっ、ぐ。強くなるって、約束したから」 ルキノ「巨大船、船速低下!上昇速度、激減!これなら、艦隊の到着のほうが速いです!七分差が埋まります!」 ゆりかご『聖王陛下、反応ロスト。システムダウン』 はやて「なのはちゃん!」 なのは「はやてちゃん」 ゆりかご『艦内復旧のため、全ての魔力リンクをキャンセルします。艦内の乗員は、休眠モードに入って下さい』 ゼスト「俺の知る限りの事件の真相は、この中に納めてある」 シグナム「お預かりします」 ゼスト「アギトとルーテシアのこと、頼めるか?巡り合うべき相手に、巡り合えずにいた、不幸な子供だ」 アギト「旦那!!」 ゼスト「アギト、おまえやルーテシアと過ごした日々。存外、悪くなかった。いい空だな」 シグナム「はい」 ゼスト「俺やレジアスが守りたかった世界。おまえたちは、間違えずに進んでくれ」 アギト「旦那~!!」 そして、ティアナとスバルが合流。ギンガ無事のようで何よりです。 お、シャマルだ。犬は? ヴァイス「船の上昇は止められたみてぇだが、あの中じゃまだ、戦いが続いてんだ」 シャマル「突入したなのはちゃんたちと連絡がつかなくなってるの」 スバティア「え!?」 ヴァイス「インドアでの脱出支援と救助任務、陸戦やの仕事場だぜ!」 スバティア「はい!」 次回予告 なのは「事件が終わりを告げる時」 スバル「そして、機動六課がその役目を終える時」 なのは「離れ離れになっても、消えないもの、忘れないもの」 スバル「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS最終話」 なのは「約束の空へ」 なのは・スバル「Take off!」
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第23話【Stars Strike】 ティアナ「地上でも空でも、分断されたままの絶望的な状況。だけど、ずっと傍にいてくれたあの子の馬鹿みたいな 優しさと、出来の悪い私に一生懸命、技と力を叩き込んでくれたあの人の教えが、私に、立って戦えって言ってる。 誰にも負けないって言ってくれた言葉を、積み重ねてきた時間を。信じた未来を、夢のままで、終わらせないために」 ディエチ「あの小さな子の、お母さん、なんだっけ。あんたに恨みはないけど」 なのは「…っ、ブラスターシステム、リミット1!リリース!!」 レイジングハート「ブラスターセット」 なのは「ブラスター、シュート!!!」 ディエチ「うっ、抜き打ちで、この、威力」『こいつ、本当に人間か?』 なのは「じっとしてなさい。突入隊があなたを確保して、安全な場所まで護送してくれる。この船は、私たちが停止させる!」 なのは「…っ」 レイジングハート「master」 なのは「平気。ブラスター1はこのまま維持!急ぐよ、レイジングハート!」 レイジングハート「All right」 クアットロ「あはは、ははは。なんだ~。ブラスターシステム~なんて大仰な名前がついてるから、 どんなハイテクかと思ったら、バッカらしい。ねぇ陛下ぁ?あなたのママはそうとうおばかさんですよ~?」 クアットロ「いっらしゃ~い。お待ちしてました」 なのは「…っ」 クアットロ「こんなところまで無駄足ご苦労様。さて、各地のあなたのお仲間は大変なことになってますよ~」 なのは「大規模騒乱罪の現行犯であなたを逮捕します。すぐに騒乱の停止と武装の解除を」 クアットロ「仲間の危機と自分の子供のピンチにも、表情一つ変えないでお仕事ですかぁ?いいですね。 その悪魔じみた正義感」 クアットロ「で~も~、これでもまだ平静でいられます~?」 ヴィヴィオ「う、うあ、あ」 なのは「ヴィヴィオ!」 クアットロ「んっふ。いいこと教えてあげる。 あの日、ケースの中で眠ったまま輸送トラックとガジェットを破壊したのはこの子なの。 あの時あなたがようやく防いだディエチの砲、でも、たとえその直撃を受けたとしてもものともせずに生き残れた はずの能力。それが、古代ベルカ王族の固有スキル、『聖王の鎧』。レリックとの融合を経て、 この子はその力を完全に取り戻す。古代ベルカの王族が自らその身を作り変えたという究極の生体兵器。 レリックウエポンとしての力を」 ヴィヴィオ「ママーー!!!」 なのは「ヴィヴィオ!!」 ヴィヴィオ「!!ママ!!やだ~ママ!!」 なのは「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ!!」 クアットロ「すぐに完成しますよ。私たちの王が。ゆりかごの力を得て、無限の力を振るう究極の戦士」 クアットロ「ほら陛下?いつまでも泣いてないで。陛下のママが助けて欲しいって泣いてます。 陛下のママを攫っていったこわ~い悪魔がそこにいます。 頑張ってそいつをやっつけて本当のママを助けてあげましょう?陛下の身体には、そのための力があるんですよ? 心のままに、思いのままにその力を解放して」 ヴィヴィオ「あなたは、ヴィヴィオのママを、どこかに攫った」 なのは「ヴィヴィオ、違うよ。私だよ!なのはママだよ!」 ヴィヴィオ「違う!」 なのは「!!」 ヴィヴィオ「うそつき。あなたなんか、ママじゃない!」 なのは「…っ」 ヴィヴィオ「ヴィヴィオのママを、返して!!」 なのは「ヴィヴィオ!!」 「レイジングハート!」 レイハー「W.A.S.フルドライビング」 クアットロ「さぁ、親子で仲良く、殺し合いを」 ヴィヴィオ「ママを、返してー!!」 なのは「ブラスター、リミット2!!」 ゲンヤ「市街地の防衛ラインは何とか持ちこたえてる。ガジェット共が相手なら、何とかならぁ」 グリフィス「はい!」 ゲンヤ「そっちの赤毛が鍛えてくれたうちの連中と航空隊の高町嬢ちゃんの教え子たちが最前線を張ってる。 だが、現状でギリギリだ。他に回せる余裕はねぇし、戦闘機人や召喚師に出てこられたら、 一気に崩されるかもしれねぇ」 シャーリー「戦闘機人五機と召喚師一味は、六課前線メンバーと交戦中です」 ゲンヤ「そうかい」 ティアナ『逃げ足も潰されて、カートリッジも魔力も、もう後ちょっと。頼みの綱の最後の一発勝負も、通用するかどうか』 「ほんとはさ。随分前から、気付いてたんだ。私はどんなに頑張っても、万能無敵の超一流になんてきっとなれない。 悔しくて、情けなくて、認めたくなくてね。それは今もあまり変わらないんだけど。だけど」 何だかいきなりスバルの回想シーンから始まったBパートですが、 マリエル「検査の結果、やはり間違いありません。ギンガもスバルも、二人とも、あなたと遺伝子形質が全く同じ。 あなたの遺伝子データがどこかで盗みだされて、使用されたんじゃないかと」 クイント「そう」 ギンガ「シューティングアーツの練習、スバルももっとちゃんとやればいいのに」 スバル「痛いのとか怖いの、嫌い」 スバル「自分が痛くて怖いのも嫌いだけど、誰かを痛くしたり、怖くしたりするのは、もっと嫌い。 私たちの身体、普通と違うんだし。壊したくないものまで壊しちゃうのは、怖いよ」 ギンガ「そっか。まぁ、スバルは強くなくてもいいのかな。お父さんとお母さんがいるし。私もいるから」 スバル「うん!」 なのは「そういえば、スバルが強くなりたい理由って、何なのかな?」 スバル「え?あ、やっぱりそれは、なのはさんに憧れて」 なのは「あっはは、それは嬉しいんだけど、そうじゃなくて」 スバル「え?」 なのは「強くなって、何をしたいのかなぁって」 マッハ「練習通りです」 スバル「え?マッハキャリバー?」 マッハ「まだ動けます、私も、あなたも。まだ戦えます。なのに、こんなところで終わる気ですか?」 マッハ「あなたが教えてくれた、私の生まれた理由、あなたの憧れる強さ。嘘にしないでください」 スバル「災害とか、争い事とか、そんなどうしようもない状況が起きたとき、苦しくて悲しくて助けてって泣いてる人を、 助けてあげられるようになりたいです。自分の力で、安全な場所まで、一直線に!」 なのは「あはっ」 スバル『戦うのとか、誰かを傷つけちゃうのとか、本当は何時も怖くて不安で、手が震える。 だけど、この手の力は壊すためじゃなく、守るための力。悲しい今を、打ち抜く力』 シャマル「あなたが地上戦の司令塔で、各地の結界担当。上手く隠れてたけど、クラールヴィントのセンサーからは、 逃げられない」 ザフィーラ「大規模騒乱罪、及び、先日の機動六課襲撃の容疑で!」 シャマル「逮捕します!」 ティアナ「あなたたちを、保護します。武装を、解除しなさい!」 レジアス「オーリス。おまえはもう下がれ」 オーリス「それは、あなたもです。あなたにはもう、指揮権限はありません。ここにいる意味はないはずです」 レジアス「わしは、ここにおらねばならんのだよ」 ゼスト「手荒いらいこうで済まんな、レジアス」 レジアス「かまわんよ、ゼスト」 オーリス「ゼスト、さん?」 アギト「ここから先は、通行止めだ!」 シグナム「おまえは」 アギト「旦那は、ひどいことなんかしねぇ!ただ、昔の友達と話をしたいだけなんだ! 旦那には、もう時間がねぇんだ!そいつを邪魔するってんならぁ!!」 シグナム「こちらはもとより事情を聞くのが目的だ。事件の根幹に関わることならば、尚更、聞かせてもらわねばならん」 ゼスト「オーリスは、おまえの副官か?」 レジアス「頭が切れる分、わがままでな。子供の頃から変わらぬ」 ゼスト「聞きたいことは、一つだけだ。八年前、俺と俺の部下たちを殺させたのは、おまえの指示で間違いないか? 共に語り合った、俺とおまえの正義は、今はどうなっている?」 次回予告 エリオ「消えない傷跡も、止まらない痛みも、逃げずにまっすぐに受け止めること。教えてもらったから。 だから、僕らは。次回、魔法少女リリカルなのはStrikers第24話、雷光。勇気を込めて、Take off!」
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海沿いの街道を走る一台の車――その漆黒の車体は、今は夕焼け色に染まっている。 水平線に沈む夕陽を窓ガラス越しに眺めながら、ティアナは重い息を吐いた。 戦闘終了後、事件の重要参考人として任意同行を求められたティアナとスバルは、試験官の一人――フェイトの運転するこの車に乗って、今どこかに向かっている。 ラゼンとラガン――ティアナとスバルが偶然発見し、文字通り二人の手足となってムガン相手に戦った謎の大型ガンメンは、なのはと共に試験会場に残った。 今は時空管理局からの回収部隊の到着をまだ現場で待っているか、或いは既に引渡し手続きを完了して本部に搬送されているかのどちらかだろう。 あの二体のガンメンを本局がどう扱うか――質量兵器として解体されるか、ロストロギア扱いで封印されるか――は、末端の新人に過ぎないティアナ達には解らない。 どちらにしても、本局に没収された二体のガンメンに今後自分達が関わることは、ラゼンとラガンにもう一度会うことは不可能だろう。 結果的に乗り捨てる形で別れてしまった『相棒』達の顔は、少しだけ寂しそうに見えた気がする。 馬鹿馬鹿しい……ティアナは頭を振って己の感傷を否定した。 インテリジェントデバイスならいざ知らず、ただの機械に感情などある筈がない。 自分は些かあのポンコツ共に感情移入し過ぎている、あの悪趣味なロボに情が移ってしまっている。 そんな余裕など無いのだ……ティアナは思考を無理矢理切り替える。 質量兵器――その運用に魔力を用いない兵器の存在を、時空管理局は許容していない。 ミッドチルダでは保有するだけで重罪となる質量兵器で、しかも本来ならばそれを取り締まるべき立場の筈の自分達が、派手に大立ち回りまで演じてしまった。 穴があったら入りたい、寧ろ穴を掘って埋まりたい……暗い思考の無限螺旋に陥るティアナを、隣のスバルがじっと見つめる。 車に乗り込んでから、スバルもまた一言も口を開かず、珍しく真剣そうな顔で物思いに沈んでいた。 普段は馬鹿で能天気なこの相棒も、流石に今回は事態の深刻さに思うところがあるらしい。 言ってみなさいよ……何かを言いたそうに自分を見つめているスバルに、ティアナはそう眼で語りかけた。 「ティア、あのさ……」 ティアナのアイコンタクトに首肯を返し、スバルは神妙な面持ちで口を開く。 「――ラゼンガンの色を、赤に変えてみたらどうかと思うんだ」 その瞬間、ティアナの時は止まった。 「…………は?」 思わず間抜けな声を返すティアナにスバルは続ける。 「あたしずっと考えてたんだけど、ラゼンガンってやっぱりどう見ても見た目悪役じゃん? 顔も怖い上に色まで真っ黒で、小さな子供が見たら絶対泣くよ、アレは。 悪役ロボにも浪漫はあるけど、やっぱり乗るなら正義のヒーローっぽい方でしょ。 顔を変えるとなると装甲全部剥がさなきゃだけど、色変えるだけならペンキ塗り替えるだけでお手軽だし、赤く塗ってもあの子なら絶対似合うよ。男前だもん、ラゼンガン! それで何で赤かとゆーと、あの子って主人公よりもライバルっぽいし、だったら赤が鉄壁でしょ。理屈じゃないんだよ、これは。 赤く塗って速さ三倍、でも現実には1.3倍! その意気込みで」 真面目な顔で馬鹿なことを語るスバルに、ティアナの理性が焼き切れた。 「……こ、の、馬鹿スバル! アンタはどこまで馬鹿なのよ!! そんな馬鹿なことに頭使う前に、もっと他の大切なことに心砕きなさいよこの馬鹿!!」 「ラゼンガンを馬鹿にするなぁーっ!!」 「変なところで逆ギレするなぁーっ!!」 ぎゃあぎゃあと後部座席で揉め合う二人の新人を、はやては助手席からミラー越しに見遣り、「元気やねー」と微笑した。 小高い丘の上に、巨大な顔が乗っている……。 窓の外に見えるその風変わりな建物――螺旋研究所が、どうやらフェイト達の目的地らしい。 「ふえぇ~、でっかぁー……」 感嘆の声を上げるスバルに、ティアナも素直に同意した。 「はやてさん、……あれもガンメンなんですか?」 あんなものが動き出したら、周辺住民の混乱は一体どれ程のものになるだろう……。 畏怖と不安を多分に含んだティアナの問いにフェイトは吹き出し、はやては声を上げて笑う。 「まさか! あのデザインはただの趣味やろ」 「幾らあの人でもそこまで無茶なことはしないよ」 「え~、そんなぁー……」 笑いながらそう否定する二人の言葉に、スバルが残念そうに肩を落とす。 「「……多分」」 ぼそりと続けられた二人の呟きを、ティアナは聞かなかったことにした。 四人がそんなやり取りをしている間に車は坂道を上りきり、目的地に到着する。 フロントガラスの向こうに聳える巨大な顔、その口の部分が音を立てて開き、眼鏡をかけた赤毛の女性――シャリオが四人を出迎える。 「皆さん、螺旋研究所へようこそ。フェイトさんもはやてさんもお久しぶりです」 「シャーリー、久しぶり」 「三ヶ月ぶりやろか? 元気そうで何よりや」 友人達と挨拶を交わし、シャリオはスバル達へと顔を向けた。 「そっちの二人ははじめましてだね。私はシャリオ・フィニーノ、気軽にシャーリーって呼んでね」 そう言って人懐こい笑顔を浮かべるシャリオに、スバルとティアナも肩の力を抜く。 「あ、はじめまして。スバル・ナカジマです」 「ティアナ・ランスターです」 スバル達と交互に握手を交わすシャリオを眺めながら、ふとフェイト達はこの場に肝心な人物が欠けていることに気付いた。 「ねぇ、シャーリー。……ロージェノムさんは?」 「所長なら研究所の奥で待ってます」 研究所の責任者の姿を探すフェイトに苦笑しながらシャリオは答える。 「立場的に言えばあの人がお出迎えしなきゃなんですけど、あの髭面見て皆が回れ右しちゃったら洒落にならないから」 屈託ない笑顔で中々黒いことをのたまうシャリオに、スバルとティアナは顔を引き攣らせ、逆にフェイトとはやては納得したように目を逸らした。 夕焼け色に染まる山肌に仁王立ちするマッシヴな髭親父……嫌だ、嫌過ぎる。 「じゃあ二人も納得してくれたところで、皆中に入りましょうか?」 そう言って先導するシャリオに続いて、スバル達も研究所内部へと足を踏み入れた。 薄暗い廊下を進み、広い部屋へと抜ける……。 その最奥、巨大なモニターの前で待ち構える男の姿に、スバルとティアナは思わず固まった。 3m近い巨身、白衣の上からでも分かる筋骨隆々の肉体、濃い髭に覆われた口元は真一文字に引き結ばれ、禿頭は天井からの光を浴びて照り輝いている。 ……プロレスラーが、科学者のコスプレをしていた。 シュールを通り越してホラーの領域まで達しているその光景に本能的に回れ右をするスバル達を、オーバーS級魔導師二人のバインド魔法が拘束する。 「あ、あの……フェイトさん? はやてさん?」 「な、何か任意同行が強制連行にクラスチェンジしたよーな気がするのはあたしだけでしょーか!?」 「こらこら、どこへ行くの?」 「逃げたらアカンで? 二人とも」 狼狽えるティアナとテンパるスバルに、フェイトとはやては笑いながら釘を刺す。 その笑みは、限りなく邪悪に染まっている。 うわぁ、この人達絶対楽しんでるよ……この時になって漸く二人は、自分達がとんでもない虎穴に足を踏み込んでしまったことを知った。 「ほな、話して貰おか?」 来客用のソファに腰掛け、はやてはそう切り出した。 その漠然とした言葉に、反対側のソファに座るスバル達は顔を見合わせる。 話すとは、一体どこから、何を話せば良いのだろう……? 数秒の逡巡の後、スバル達は取り敢えず、ムガンに襲われたところから話し始めることにした。 試験中、突如ムガンの襲撃を受けたこと。 落下してくるムガンにスバルが立ち向かい、そして見事撃破したこと。 その時にスバルが見せた驚異的な「力」――ティアナはそれをスバルの秘密、戦闘機人としての力の発現と推測している――については、矛先をかわすことを忘れない。 そして地面の崩壊に巻き込まれ、落ちた地下空洞でラゼンガンに出会ったこと。 そしてそれに乗って地上に戻り、ムガンの大群をほぼ全滅まで追い込んだこと。 全てを話し終えたスバル達に、フェイト達の後ろで話を聞いていたロージェノムが口を開く。 「……それだけではないだろう」 重々しく紡がれたその一言に、ティアナ達の肩が大きく震える。 まさかスバルの秘密に感づかれたのか……? 絶望的な表情を浮かべてロージェノムを見上げるスバル達だったが、しかし目の前の巨漢の言葉は別の方向へと続いた。 「ラゼンガンは魔力炉を搭載しているが、それはあくまで補助動力だ。主動力炉――螺旋エンジンの稼動、何より中枢システムであるラガンの起動には「鍵」を必要とする。 お前達は持っている筈だ、ラゼンガンを目覚めさせる「鍵」――コアドリルを」 そう言ってロージェノムが白衣のポケットから取り出した何か――金色に輝く小さなドリルに、スバル達は息を呑んだ。 「それ、スバルのペンダントと同じ……」 呆然と呟くティアナに突き動かされるようにスバルは胸元に手を突っ込み、ペンダントを引っ張り出す。 ロージェノムの手の中を転がるコアドリルとスバルの手の中に握られるコアドリル、二つのコアドリルはまるで共鳴するように明滅を始める。 「これ……一体何なんですか?」 ティアナの口にした疑問の言葉に、ロージェノムではなくはやてが口を開いた。 「コアドリル。螺旋力――気合いをエネルギーに変える力を増幅させるロストロギアや」 「気合いをエネルギーに変える力……ですか?」 頭の上に疑問符を浮かべるスバル達に、はやては首肯と共に続ける。 「そや。このロージェノムさんの世界では魔力の代わりにその螺旋力を利用した文明が発達しとってな、この螺旋研究所ではその技術を魔法理論に応用する研究をしとるんや」 ガンメンもその研究の成果なんやでーと話すはやての言葉を、二人は感心したような表情で聞き入る。 しかし不意にあることに気付き、スバルが慌てたような顔で声を上げた。 「って、ちょっと待って下さい! このペンダントがロストロギアだってことは、コレ本部に没収されちゃうってことですか!? 嫌ですよあたし、そんなの!!」 駄々を捏ねる子供のようなスバルの突然の言動にはやて達が唖然とする中、ティアナがフォローを入れるべく口を開いた。 「このペンダントはスバルの宝物なんです。四年前の空港爆破テロの時、命の恩人から貰った大切な物だっていつも話してました」 「そうなんか?」 はやての問いにスバルは首肯し、当時の体験を話し始めた。 崩壊炎上する空港の奥に独り取り残されたこと。 熱さと苦しさと心細さに泣いている自分の前に『あの人』が現れ、そしてこのコアドリルを託してどこかへ消えたこと。 お前の拳は天を突く――『あの人』の口にしたその言葉に励まされ、上を向いて歩けというその教えに突き動かされて今まで生きてきたこと。 全てを語り終えたスバルを、ロージェノムが驚愕の表情――余りに微妙な変化だったので、シャリオ以外は気付かなかったが――で見下ろしていた。 「……シモン」 ぽつりと呟かれたその名前に、はやて達が顔を上げる。 「シモンって……所長が前に話してた穴掘りの人ですか?」 事情を知る面々を代表して問うシャリオに、ロージェノムは重々しく頷く。 「知ってるんですか!? あの人を!!」 驚愕にソファから立ち上がるスバルと、話の展開に置いていかれているティアナを交互に見遣り、はやてはやんわりとした笑みで頷いた。 「判断材料不足で断定は出来へんけどな。シモンさんっちゅーのはロージェノムさんの世界の英雄で、恋と気合いで宇宙を救った男や。 ロージェノムさんと一緒に戦っとったって話やし、その時炎とグラサンのエンブレムつけたコートも着とったって話やから、可能性としては有り得へん話やない」 はやての言葉に、スバルは放心したような顔で再びソファに身体を沈めた。 「さて、それじゃあ今度は二人の今後のことなんだけど……」 話が一段落したところで、今度はフェイトが口を開いた。 「今回ムガンの襲撃で中止になった二人の昇級試験は、近い内に再試験ってことになると思う。詳細は追って連絡するね。 ラゼンガンの無断運用については、あの状況では仕方の無い行為だったし、それにアレをあんな場所に放置したロージェノムさんが全面的に悪いから、二人に責任は無いよ」 再試験、お咎め無し。 特に後者を耳にして、ティアナは大きく胸を撫で下ろした。 「で、や。ここからが本題なんやけど……」 フェイトから話の主導権を取り戻し、はやてはそう言いながら二人に顔を近づけた。 「実はウチな、今度新しい部隊創るんよ。 なのはちゃんもフェイトちゃんも、シャーリーとロージェノムさんも、皆その部隊に入ることになっとるんやけど……二人も一緒にどうや?」 新部隊への勧誘……はやてからの突然の誘いに、スバル達は思わず顔を見合わせた。 「何で、いきなり訊くんですか? そんなこと……」 控えめに尋ねるティアナに、はやては何かを含んだような笑みでこう答える。 「元々二人のことは目を付けとったんよ。それと昼間のアンタら見てて、これは是非とも欲しいなー思うた」 逃がさへんよーと笑うはやてに、二人はまたもや顔を見合わせる。 「それで、その部隊はどんな部隊なんですか?」 良くぞ訊いてくれました……はやてはソファから勢い良く立ち上がり、拳を握りながら名乗りを上げる。 「遺失物管理部機動六課――根気と根性でロストロギアを回収して、気合いでアンチスパイラルとガチ合う超実動実戦部隊や!!」 「どっちかというと、後者の方が本音っぽいかな?」 簡略的極まりないはやての言葉に、フェイトが横から補足を入れる。 「この数ヶ月間の螺旋研究所の調査で、ムガンの出現パターンが大体分かってきたの。 レリックとコアドリルという二つのロストロギア、そしてスバルちゃんみたいな強い螺旋力を持つ人間、そのどれかのある場所に、ムガンは現れる……。 私達機動六課はムガンの出現予測地点を先読みしてこれを撃破、ロストロギアの確保やターゲットにされた人間の保護を目的としているの」 フェイトの説明を表情で聞き入るスバルが、その時口を開いた。 「……じゃあはやてさんの部隊に入れば、あの人に会えるってことですか?」 螺旋力については未だよく解らないが、コアドリルを持っていた『あの人』もきっとその持ち主なのだろう。 機動六課はそんな人間を保護するのが仕事、ならばあの人に出会える可能性は高い。 「断言は出来ないけど、可能性はあるね」 フェイトの返答に、スバルの決意は固まった。 「……やります! やらせて下さい!!」 「スバル!?」 あっさりと決断した親友にティアナが声を上げるが、スバルの瞳の奥に渦巻く決意の炎に揺らぎは無い。 駄目だ、これはもう梃子でも動かない……諦めたようにティアナは嘆息し、「アタシも」と機動六課入隊に了承の返事を返す。 「ティア?」 驚いたような顔で自分を見つめるスバルに、ティアナは苦笑しながら肩を竦める。 「アンタ一人じゃ危なっかしくて見てられないからね、アタシがフォローしなくて誰がするのよ? それにアタシにも夢がある、出来ることがあれば何でもやっとかなくちゃね」 執務官を目指すティアナにとって、現役執務官のフェイトの下という環境は大きなプラスとなる。 感謝しなさいよーと指先でスバルの頬を突くティアナに、はやては「決まりやな」と破顔する。 「それじゃー二人は今日から機動六課の前衛兼、対ムガン用魔導兵器ラゼンガンのパイロットや」 「「ラゼンガン!?」」 思いがけない名前が思いがけないタイミングで再登場したことに、二人は思わず声を上げる。 話の流れからあのロボがこの研究所の物であるということは薄々分かっていたが、まさか自分達がそのパイロットになってしまうとは思いも寄らなかった。 「ラゼンガンの起動にコアドリルは必要不可欠らしいから、スバルちゃんのそれは自分で持ってて良いよ」 「本部に行けばぎょーさんあるんや、一個や二個着服しても誰も文句は言わへんて。どーせロージェノムさんが来るまで使い方も分からん代物やったしな」 フェイトとはやての言葉に、コアドリルを握り締めていたスバルの手から力が抜けた。 「それじゃあ正式にラゼンガンを任されるおとになった二人だけど……」 ラゼンガンの所有者であるロージェノムを無視して、シャリオはスバル達に項を向ける。 「何かアレについて二人から希望とか意見とかあるかな?」 シャリオの問いに、二人は同時に口を開いた。 「シートベルトを付けて下さい!」 「ラゼンガンの色を赤にして下さい!!」 二人の答えにシャリオ達三人は爆笑し、ロージェノムは独り何かを言いたそうな顔で沈黙していた。 天元突破リリカルなのはSpiral 第5話「皆さん、螺旋研究所へようこそ」(了) その後……。 「さて、それじゃー話も終わったことやし……」 ソファから立ち上がり、はやてはその場の全員を見回しながら口を開いた。 「――皆、後片付けに戻ろか?」 そう言ってはやてが指差した先――未だ点け放しの壁面モニターには、更地と化した第七特別演習場の惨状が映し出されていた。 戻る 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第3話 【集結】 はやて「目指した夢は、少し長い時を経て…今、やっと手のひらの中」 フェイト「思いと願いは違っても、一つの場所に集まって…一つのことを、今始める」 なのは「出会いと再会も、始まりはここから」 はやて「それぞれに進んでいく道の、ここは小さな通過点」 フェイト「集まり結ぶ、新しい絆」 なのは「魔法少女リリカルなのはStrikerS……始まります」 はやて「リィンのディスクも、ちょうどええのが見つかってよかったなぁ」 なのは「本日ただいまより高町なのは一等空尉」 フェイト「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官」 なのは「両名とも、機動六課へ出向となります」 フェイト「どうぞ、よろしくお願いします」 はやて「はい、よろしくお願いしますぅ」 はやて「機動六課課長。そして、この本部隊社の本部隊長、八神はやてです。 平和と法の守護者、時空管理局の部隊として事件に立ち向かい、人々を守っていくことが、 私たちの使命であり成すべきことです。実績と実力に溢れた指揮官陣。若く可能性に溢れたフォワード陣。 それぞれ優れた専門技術の持ち主の、メカニックやバックヤードスタッフ。 全員が一丸となって、事件に立ち向かっていけると信じています。まぁ、長い挨拶は嫌われるんで、 以上ここまで。機動六課課長及び部隊長、八神はやてでした!」 フェイト「シグナム。ほんと、久しぶりです」 シグナム「ああ…テスタロッサ。直接会うのは半年振りか」 ファイト「はい。同じ部隊になるのは初めてですね。どうぞよろしくお願いします」 シグナム「こちらのセリフだ。だいたいおまえは私の直属の上司だぞ」 フェイト「それがまた…なんとも落ち着かないんですが…」 シグナム「上司と部下だからな。テスタロッサにおまえ呼ばわりもよくないか。敬語でしゃべったほうがいいか?」 フェイト「あぅ…そういういじわるはやめてください。いいですよ、テスタロッサで…おまえで」 シグナム「ふっ…。そうさせてもらおう」 なのは「今返したデバイスには、データ記録用のチップが入ってるから。ちょっとだけ、大切に扱ってね」 シャーリー「機動六課自慢の訓練スペース。なのはさん完全監修の陸戦用空間シミレーター」 シグナム「ヴィータ。……ここにいたか」 ヴィータ「…シグナム」 シグナム「新人たちはさっそくやっているようだな」 ヴィータ「ああ」 シグナム「おまえは参加しないのか?」 ヴィータ「四人ともまだよちよち歩きのヒヨッコだ。私が教導を手伝うのはもうちょっと先だな」 シグナム「そうか」 ヴィータ「それに自分の訓練もしたいしさ。同じ分隊だからな。私は空でなのはを守ってやらなきゃいけねぇ」 シグナム「…頼むぞ」 ヴィータ「ああ。そういえばシャマルは?」 シグナム「自分の城だ」 なのは「私たちの仕事は捜索指定ロストロギアの保守管理。その目的のために私たちが戦うことになる相手は…これ!」 シャーリー「自律行動型の魔法機械。これは、近づくと攻撃してくるタイプね。攻撃は結構鋭いよ」 なのは「では、第一回模擬戦訓練。ミッション目的。逃走するターゲット八体を破壊。または捕獲。15分以内」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」 シャーリー「それでは」 なのは「ミッション」 なのは・シャーリー「スタート!!」 リインフォースⅡ「ヴァイス陸曹,ヴァイス陸曹は皆の命を乗せる乗り物のパイロットなんですから、 ちゃーんとしてないと駄目ですよ!」 はやて「捜索指定遺失物。ロストロギアについては、皆さんよくご存知のことと思います」 「様々な世界で生じたオーバーテクノロジーのうち、 消滅した世界や古代文明を歴史に持つ世界において発見される、危険度の高い古代遺産。 特に大規模な災害や事件を巻き起こす可能性のあるロストロギアは正しい管理を行わなければなりませんが、 盗掘や密輸による、流通ルートが存在するのも確かです。 さて、我々機動六課が設立されたのには一つの理由があります。 第一種捜索指定ロストロギア、通称『レリック』」 フェイト「このレリック。外観はただの宝石ですが、古代文明時代に何らかの目的で作成された 超高エネルギー結晶体であることが判明しています。レリックは、過去に4度発見され、 そのうち三度は周辺を巻き込む大規模な災害を起こしています」 管理局幹部「おぉ……」 フェイト「そして、後者二件ではこのような拠点が発見されています」 「極めて高度な、魔力エネルギー研究施設です。発見されたのはいずれも未開の世界。 こういった施設の建造は許可されていない地区で、災害発生直後にまるで足跡を消すように破棄されています。 悪意ある…少なくとも法や人々の平穏を守る気のない何者かがレリックを収拾し、運用しようとしている、 広域時限犯罪の可能性が高いのです。そして、その何者かが使用していると思われる魔道機械がこちら。 通称『ガジェット・ドローン』」 「レリックを始め、特定のロストロギアの反応を捜索しそれを回収しようとする自律行動型の自動機械です」 ティアナ「バリア!?」 キャロ「違います。フィールド系?」 スバル「魔力が消された!?」 なのは「そう。ガジェット・ドローンにはちょっとやっかな性質があるの。 攻撃魔力をかき消すアンチマギリングフィールドAMF。普通の射撃は通じないし…… ティアナ「スバル、バカ危ない!」 なのは「それに、AMFを全開にされると…飛翔や足場作り。移動系魔法の発動も困難になる。スバル。大丈夫?」 スバル「っつ~。…な、なんとか…」 シャーリー「まぁ、訓練場では皆のデバイスにちょっと細工をして擬似的に再現してるだけなんだけどね。 でも、現物からデータをとってるし、かなり本物に近いよ~」 なのは「対抗する方法はいくつかあるよ。どうすればいいか、すばやく考えてすばやく動いて!」 シャーリー「へぇ~。皆よく走りますね~」 なのは「危なかっしくてドキドキだけどね」「デバイスのデータ、取れそう?」 シャーリー「いいのがとれてます。四機ともいい子に育てますよ~」 キャロ「我が求めるは、戒める物、捕らえる物。「言の葉に応えよ、鋼鉄の縛鎖、錬鉄召喚、アルケミックチェーン」 シャーリー「ほへぇ~!召喚ってあんなこともできるんですね~」 なのは「無機物操作と組み合わせてるね。なかなか器用だ」 シャーリー「魔力弾?AMFがあるのに?」 レイハー「Yes, there is an available passing method.(いいえ、通用する方法があります)」 なのは「うん」 ティアナ「攻撃用の弾体を無効化フィールドで消される膜状バリアでくるむ。 フィールドを突き抜けるまでは入るだけ外郭が持てば、本命の弾は…ターゲットに、届く!」 なのは「フィールド系防御を突き抜ける多重弾核射撃。AAランク魔道師のスキルなんだけどね」 シャーリー「AA!?」 ティア「固まれ…固まれ…。固まれ…固まれ!!」 シグナム「中央のほうはどうでしたか?」 はやて「まぁ、新設部隊とはいえ後ろ盾はそうとうしっかりしてるからな。そんなに問題はないよ」 シャマル「後継人だけでもリンディ提督にレティ提督にクロノ君。んじゃない、クロノ・ハラオウン提督」 シグナム「そして最大の後ろ盾、聖王教会と教会騎士団の騎士カリム。ま、文句の出ようはありませんね」 はやて「現場のほうはどないや?」 ヴィータ「ん?…なのはとフォワード隊は挨拶後朝から夜までずっとハードトレーニング」 ヴィータ「新人たちは今頃グロッキーだな」 ヴィータ「ま、全員やる気と負けん気はあるみたいだし、なんとかついてくと思うよ」 はやて「うん」 シャマル「バックヤード陣は問題ないですよ。和気あいあいです」 シグナム「グリフィスも相変わらずしっかりやってくれてます。問題ありませんね」 はやて「…そうか。私たちが局入りして、かれこれ10年。やるせない、 もどかしい思いを繰り返して、やっとたどり着いた私たちの夢の舞台や。 レリック事件をしっかり解決して、カリムの依頼もきっちりこなして、皆で一緒に頑張ろうな」 ヴィータ「うん!頑張る!」 シャマル「もちろんです」 シグナム「我ら守護騎士。あなたと共に」 フェイト「新人たち…手ごたえはどう?」 なのは「うん。皆元気でいい感じ」 フェイト「そう。……立派に育っていってくれるといいんだけどね」 なのは「育てるよ。……あの子達がちゃんと、自分の道を戦っていけるように…ね」 次回予告 フェイト「出動に備えて、訓練の日々を続けるフォワードメンバー」 なのは「出会うのは、共に戦うパートナー。それぞれのための専用デバイス」 フェイト「次回魔法少女リリカルなのはStrikerS第四話」 なのは「ファースト・アラート」 なのは・フェイト「Take off!」
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「ボイス!どういうことだよ、これは!?」 新メンバーの面接ということで誰が来るのかと思いきや、現れたのは小さな子供。真墨でなくとも、驚くのは当然だろう。 「ブラック君。そう怒らないでほしい。彼女達はサージェス・ヨーロッパからの推薦なんだよ」 「サージェス・ヨーロッパの紹介!?あのガキが!?」 指を指された少女はムスッとした顔で、真墨を睨んでいる。反対に隣の女性は全く表情を変えず、涼しい顔だ。 「まあまあ、いいじゃないですか。僕としてはメンバーの女性比率が高いのは大歓迎」 「菜月も可愛い子が一緒なのは嬉しいよ」 「お前らそういう問題かよ!」 蒼太と菜月が真墨の両肩を叩く。 最初は二人とも驚いていた癖に、いつの間にか不満思っているのは真墨だけになっていた。この二人は比較的こういったことに無頓着なタイプである。いつもつっこみ役だ。 (やれやれ……。さくら姐さんがいたなら俺と同じことを言っただろうなぁ……) 真墨は宇宙に旅立ったボウケンピンク――西堀さくらを思い出した。 「ともかく、能力に関しては問題ない。そこら辺は実際にミッションで確かめてもらうしかないね」 ミスター・ボイスがこう言うなら真墨もあまりしつこくは言えないのだ。さて、あの二人がどれほどのものか――真墨は一抹の不安を隠せなかった。 ――命懸けの冒険に今日も旅立つ者がいる。秘かに眠る危険な秘宝を守り抜くために、あらゆる困難を乗り越え進む冒険者達―― 魔法少女リリカルなのはVS轟轟戦隊ボウケンジャー ExtraTask02 隠されし術 周囲に張られてた結界は消え、今は気配も感じない。ユーノと映士は、カース達と戦った場所でお互いの情報を簡単に交換した。 アシュはユーノの知るどの世界にも存在しない。だが、不思議と各世界に伝わる伝説や伝承に登場する魔人や鬼の類と彼等のイメージは重なった。 ユーノは砕かれたカースの欠片に目をやる。欠片を取り、目を閉じてしばらく意識を集中させ、微かな魔力を感じ取る。 「何やってんだ、ユーノ?」 後ろから映士がそれを覗き込んだ。知らない彼からすれば不自然に見えるのだろう。 「高岡さん。これは石に魔力を注ぎ込んで形を形成した後、仮初めの命を与えたものですね。」 「ああ。古代ゴードム文明の大神官、ガジャって野郎が使ってたもんだ。」 「はい、この破片からは魔力を感じます。でも、高岡さんの話だと、ガジャは海の底……」 ユーノは口に手を当て考え込む。これを形成した魔法がこの世界のものなのか、それとも他のものなのか――それはわからない。 この世界には魔法は存在しないとなっているが、映士から聞いたアシュの術やガジャの術、そして高岡の術。管理外のこの世界で、かつて魔法が存在した可能性は十分にある。 それも管理局の全く知らない魔法体系―― 「おい……おい!」 「うわっ」 突然、眼鏡を弾かれ仰け反るユーノ。一瞬視界が歪む。 眼鏡を直すと目の前には映士の顔があった。どうやら声を掛けられていたのに気付かなかったらしい。 「ったく、さっきからずっと呼んでるのに気付かねぇのか?」 「すいません……それで高岡さん、アシュについては大体わかりました。それじゃあ肝心の百鬼界の封印を解く方法はあるんでしょうか?」 今度は映士が考え込んでしまった。教えていいものか、といった様子にも見える。 「俺様も全部を全部受け継いでる訳じゃあねぇしな……。だが、アシュの封印に使った神器を奉納してる寺なら知ってるぜ」 「それじゃあすぐに行きましょう。あまり時間はないかもしれません」 そう言って駆け出そうとするユーノだったが、襟首を映士に掴まれた。 「まあ待てよ。このことはサージェスに報告しとかねぇとな。アシュが関わっているならなおさらだ」 「ですが――」 あまり時間がないというのは、あくまで憶測の範疇を出てはいない。 それに、ユーノが急ぎたがるのは――正直なところ、憧れが大きかったりする。 発掘者の一族として多くの遺跡を発掘し、古代の遺産に触れてきた。ジュエルシード等、いいことばかりではなかったが、それでも発掘が好きだと今は思う。 無限書庫の司書になってからは数多の知識に触れ、想像と思索を繰り返してきた。 未知の術や世界は、彼の知的好奇心を刺激するには十分すぎるものだった。それを目の前にしては、走り出そうとするのも無理はない。 「わかりました。それじゃあそのお寺の場所を教えてください。僕は先に行ってますから、高岡さんは後から追いかけてきてくれれば」 ユーノの言葉に映士は頷き、寺の地図を渡す。 「爺さんと孫の二人だけだ。俺様の名前を言えば多分わかるだろ」 「ありがとうございます。それじゃあ――」 と、数歩走り出したところで足を止め、振り向く。 「あ、それと……今回の件ですが、まだ確実な段階でないことや、情報が漏れることを考え、管理局から魔導士の存在は極力明かさないよう言われています。ですからボウケンジャーの皆さんにも、今はまだ秘密にしておいてください」 それだけ捲くし立てて今度こそ走り出した。映士が後ろから呆れ半分の笑みを浮かべていることにも気付かなかった。 その日、ボウケンジャーのサロンの空気は最悪と言ってもよかった。 主な理由は新人のシグナムとヴィータにある。 紹介の後、シグナムは一言も喋らずサロンに座っている。蒼太が何やらモーションをかけているが、ほぼ無反応だ。 ヴィータの方はもっと問題だ。菜月も彼女と打ち解けようと頑張ってはいるが、当たり散らしては不機嫌そうにしている。 このままではまずいか――真墨はそう思い、シグナムとヴィータに話し掛けた。 「なあ、なんでお前らはボウケンジャーに入ったんだ?」 彼なりに親睦を深めようとの質問だったのだが―― 「それが命令だからだ」 と、シグナム。 「はやての頼みじゃなきゃこんなとこ……」 と、ヴィータ。 彼女らの答えを聞いた真墨は机を叩いて立ち上がった。サロン内にその音が響き、険悪な空気が漂う。 睨み付ける真墨の視線を二人は無言のまま真っ向から受け止め、見えない火花を散らした。 そのまま固まる時間。沈黙は菜月や蒼太にも広がる。 数十秒ほどなのに、それは随分長く感じられた。 「チッ!」 先に動いたのは真墨だった。軽く舌打ちしてサロンを立ち去る。 蒼太と菜月も顔を見合わせ、後を追いサロンを出た。 「ねえ、真墨。ちょっと言われたからって気にするなんてよくないよ?」 廊下を歩く真墨に菜月が駆け寄る。それでも歩みを止めないと、真墨の前に立ち塞がった。 「そうそう蒼太。彼女達もまだ慣れてないんだと思うけど?」 菜月に遅れて蒼太もゆっくりと近づいてくる。 「そんなことはわかってるんだよ。ただ……俺達はみんな理由はそれぞれ別でも、自分の意思でボウケンジャーに入隊したんだ。明石も言ってただろ?俺達は皆なにかを求めて冒険しに集まった、って」 それ故に、嫌々ここに来たような口振りの彼女らについ腹が立ってしまった。 歩くうちにいつの間にか外に出ていた。真墨は腕を頭の後ろで組み、空を仰ぐ。太陽が眩しくて目を細める。 「やっぱり明石のようには行かねえな――」 前ボウケンレッドの明石暁から受け継いだチーフの位置。これまでは知ったメンバー同士で問題なくミッションも遂行できたが、新人の相手はこれが初めてである。 最初からこれで大丈夫だろうかと不安にもなるというもの。 「でもさぁ、ヴィータちゃん達にここに来るように言った人って誰なんだろうね?」 「はやて、って言ってたね。ボウケンジャーの仕事を知ってて、サージェスに顔が利く人なのかな?」 それは真墨も気になった。だが、聞いたところで教えてくれるだろうか? 彼女達にはなにやら秘密がある――真墨の勘がそう告げていた。 シグナムとヴィータは二人、サロンに取り残されていた。 「なぁ、シグナム……なんであたし達二人なんだろうなぁ?」 だが、今のシグナムにその疑問に対しての答えは持っていなかった。なにしろ彼女自身もそれが気になっているのだから。 ――時空管理局、次元世界の管理をする機関に彼女達は所属している。 管理局はロストロギアと呼ばれる危険な古代遺産の確保に力を注いでおり、彼女達がここにいるのも、その調査のためである。 だが、本来二人はこういった任務をすることはほとんどない。それにそれぞれが別の部署に仕事を持っているのだが、何故かロストロギアの潜入調査に選ばれてしまった。 "彼女"から任務のことを聞いた時は正直、驚きを隠せなかった。なにせ現地の組織に短期間とはいえ素性を隠して所属しろというのだから―― 「シグナムとヴィータに行ってもらいたいねん。うちが二人を推薦しといたから」 それは八神家のリビングでのことだった。 八神はやて――ロストロギア『闇の書』もとい『夜天の魔導書』の主であり、同様に自分とヴィータの主でもある少女。かつては足の麻痺に苦しんでいたが、今ではそんなことは感じさせず中学校にも通っている。 「何故、我々なのですか?」 確かそう聞いたはずだ。確かに自分達は生身での運動能力にも優れている方だし、生半可なことではやられはしないだろう。 だが、それでも彼女があちこちに根回ししてまで、自分とヴィータを派遣する理由にはならない。その疑問はヴィータも同じだった。 「そうだよ。なんであたし達なんだ?そもそも管理局の仕事はどうするんだよ」 「それについては心配せんでええ。上手く埋め合わせしてくれるはずや」 彼女はニコニコしながらお茶を啜っている。この笑顔で頼まれると正直断りにくい。 「わかりました。ですが……任務を終えた際はその理由を聞かせてもらえますか?」 彼女は笑みを絶やさず、しかし、その眼はまっすぐにこちらの眼を見ている。長い付き合いで自分もヴィータもわかっている。それは誤魔化しなどでは決してなく、彼女は自分達を信頼して言っているのだ、と。 「行けば解るはずや。二人ならきっと――」 次の日、ボウケンジャーはミスター・ボイスによってサロンに集められた。シグナムとヴィータも昨夜は他のメンバーと同様に、与えられたサージェスの個室で休んだらしい。 「それで、どうしたんだボイス」 真墨の問いにモニターに写ったCGが答える。 「うん。先日、サージェスヨーロッパのプレシャスバンクから、『バジリスク』の化石が盗まれた。石化し、複数の部位に分かれたものだ。それが日本に渡った可能性がある」 「バジリスクって……何だ?」 ヴィータが首を傾げた。真墨が昨日確認した限りでは、彼女達は身体能力はずば抜けている。もしかするとボウケンジャーのメンバー以上かもしれない。だが反面、サバイバル能力や地理、宝や伝説についての知識は著しく欠如していた。 「バジリスクっていうのは、伝説上の魔物でね。八本足のトカゲで猛毒を持ち、睨んだ生き物を石に変える。色々伝説はあるけど、大体こんな感じ」 蒼太がパソコンを開いてヴィータに説明した。 「へぇ~、そんな生き物がいるんだ」 ヴィータは蒼太のパソコンを見て目を輝かす。真墨には、その仕種は歳相応のものに思えた。 「バジリスクの眼球だけは、過去に日本に渡ったとされている。化石とはいえ、ものがものだ。瞳は特にハザードレベルが高い。大まかな場所は調べてあるから、君達には先に眼球を確保してもらいたいんだ」 「ものがもの――か。探すのも十分注意が必要だな。ボウケンジャー出動だ。早速現地に向かうぞ!」 「了解!」 真墨の号令に菜月と蒼太が応じる。 「ああ、ちょっと待ってください」 中年の男性がサロンに入ってきた。ボウケンジャーの装備やビークルの開発やメンテナンスを担当しているメカニックの牧野森男だった。 プレシャスの解析も行う、ボウケンジャーを支える最も重要な裏方といえる。 「ヴィータ君とシグナム君のアクセルラーです。持っていって下さい」 そう言ってアクセルラーを手渡す。 ――アクセルラー。携帯電話型のそれは、アクセルスーツの装着のためのアイテムであり、その他にも通信や各種のツールが仕込まれた、いわばボウケンジャーの証とも言える。 だが、真墨に言わせれば、それは『ボウケンジャー』の証でこそあれ、『冒険者』の証ではない。 この出動は彼女らの入隊テストも兼ねている。真墨は心の中で気を引き締め直した。 ボウケンジャーが出動し、サロンには牧野とボイスのみが残った。 彼らを見送った牧野は誰にともなく呟く。 「行きましたか……」 「牧野さん……。シグナム君とヴィータ君の身体データ……牧野さんならわかりましたね?」 ボイスから牧野に話しかけた。普段とはまるで違う、ひょうきんでもなければ事務的でもない。どこか憂いを秘めた口調。 「ええ、やはり彼女達……」 「牧野さん、それ以上は――」 ボイスが牧野の言葉を遮った。 「失礼しました」 牧野もすぐにその意図を察して軽く頭を下げる。 「何かが起ころうとしているのは確かでしょう。ダークシャドウも侵入できないプレシャスバンクから痕跡も残さず、複数の場所に分けて保存してあるバジリスクをほぼ同時刻に盗み出す――プレシャスを超える古代遺産と魔法でもなければ不可能な芸当……」 「彼女達の入隊も当然関係しているのでしょうね……」 牧野も、ボイスも、そしてボウケンジャーも。今はただ、災いの影を照らす術を模索していた―― 雄大な山々が幾つも連なる、未だ自然を多く残した山脈。霊峰と呼ばれるような山もある。 その麓からボウケンジャーの3人とヴィータ、シグナムは見上げている。 「この山のどこかにバジリスクの瞳があるのか……」 「絞り込んであるとはいえ、探すにはちょっと骨が折れるなぁ」 「でもでも、その方が冒険らしいじゃない」 ボウケンジャーの三人がそれぞれの感想を述べる中、シグナムとヴィータは無言で付き従う。 「とりあえず俺と蒼太、シグナムは東側から、菜月とヴィータは西からそれぞれ調査だ。近くまでくれば反応があるだろう。」 シグナムとヴィータは無言で頷く。昨日ほどは不機嫌でもないようだった。 菜月とヴィータはアクセルラーを片手に山中を進む。山の緑はちょうど色濃くなる時期で、むせ返るような精気を放っている。 「なあ……」 「菜月だよ、間宮菜月」 名前を思い出せなかったのを察したのか、菜月から自己紹介をした。 「菜月はなんでボウケンジャーなんてやってんだ?昔の映像や資料には入隊の時に目を通したけどさ。大変だし、何度も死にかけてるだろ?」 「う~ん、やっぱり……楽しいからかな」 「楽しい?」 「元々菜月はね……自分の過去を探すために入ったんだ――」 菜月は自らの出自をヴィータに話し出した。 10万年前の古代レムリア文明の生き残りであること―― 生れ落ちてすぐにプレシャスの力で老化を遅らせながら眠っていたこと―― 真墨に拾われトレジャーハンターをしながら過去を探していたこと―― そしてボウケンジャーに入って過去を知ったこと―― 彼女は辛い過去だっただろうに、まるでそれを感じさせない。むしろ大事そうにゆっくりと語った。 「何ていうか……大変だったんだな」 「でも今は皆と冒険するのが楽しいよ。それに思い出があったから、真墨や蒼太さんや映ちゃんが大事に思えるもん」 かつては使命しかなかった。だが、今は家族がいて仲間がいる。 ヴィータは菜月に、どこか自分と似たものを感じた。 「それに今度は、ヴィータちゃんとシグナムさんも一緒に冒険できるよ」 「な、なに言ってんだよ!」 ヴィータは赤らんだ顔を隠すために顔を背けた。 何故、彼女はこんなに素直に笑えるのだろう。――少し彼女が羨ましい。 「それにいっぱい不思議なプレシャスに会えるよ。物を大きくする小槌とか、動物の言葉が解る指輪とか、どんな姿にも変身できる反物とか」 「すげ~、本当か!?」 打出の小槌、ソロモンの指輪、虹の反物――。菜月の話す冒険譚にいつしかヴィータは引き込まれていた。 東側からは真墨と蒼太、シグナムが黙々と山上を目指していた。 「ところで何て呼べばいいかな?シグナムさん?ちゃん、って感じじゃないよね」 真墨、シグナム、蒼太の順で、真墨は二人よりやや先を歩いている。 「シグナムでいい……」 シグナムは少々うんざりしていた。さっきから蒼太が何かと話しかけてくる。それでもこちらが不機嫌そうにすると、すぐに引き下がるあたり、かなり手馴れている。 「それじゃあシグナム。昨日も真墨が聞いてたけど、ボウケンジャーにはあんまり興味が無いのかな?」 「私は主から言われてここに来ただけだ。宝探しには興味は無い」 シグナムの言葉に、前を歩く真墨が振り返った。 「おい!俺達の任務は単なる宝探しじゃない。プレシャスってのは危険な物なんだ。それを利用して世界制服や滅亡を狙う連中までいるくらいにな。 何も知らない癖に勝手なこと言うんじゃねえっ!」 激昂する真墨を、蒼太が無言で片手を出して止める。 「シグナム、確かに僕達のやってることはただの宝探しだよ。でもプレシャスに限らず、宝を探すのは大抵が危険と隣り合わせ。これでなかなか大変なんだ。」 穏やかな口調。だが、その目は笑ってはいない。 「ならば何故、何を求めてお前達は冒険をしている?」 蒼太は頭を掻いて、少し困った素振りをする。 「僕は前はスパイをやっててね。スリルはあったんだけど、楽しんでたのは僕だけだった。 幾つも国や企業を崩壊させて――僕の情報が多くの人を悲しませてるのに気付いて、それからスパイを辞めた。皆の笑顔を守って、僕自身も笑顔でいたかったから、ボウケンジャーに入ったんだ」 シグナムは 「そうか……」 としか答えられなかった。 そして己の勝手な先入観を恥じた。気楽な宝探しなどではなく、彼らにも譲れないものがあったのだ。 「まっ、何を求めてるかは、皆それぞれ違うよ。前のチーフが言ってた、"俺達は皆、自分だけの宝を探して集まった"ってね。君には無いのかい?」 「宝なら既にある。命に代えても守るべきものが――」 宝、という表現が正しいのかはわからない。だが、最も大切なものは一つしか思いつかなかった。 「私達にここにくるよう言った人――私とヴィータの主人だ」 真墨が再び振り返る。表情にはもう怒りは無い。 「大事な宝が一つじゃなきゃいけない、なんてことはないんだぜ?形のあるものでなきゃいけない、ってこともな」 「形の無い宝……?」 「お前らが何か目的があってきたのは大体察しがつく。でもな、他の宝を探すのもいいんじゃないか?」 「そんなものがあると?」 「さあな。それに関しては、俺は命令しない。自分で考えてみろ」 それだけ言うと、また歩き出した。 虫や鳥の声がする。耳を澄ますとせせらぎも聞こえてきた。 見回すと近くに沢が流れていた。見たこともない魚が泳いでいる。 振り向くと眼下には街が広がっている。 (風が気持ちいい……) この景色を見れば、きっと主はやても喜ぶだろう。いつか皆でピクニックに来るのも悪くない。 (私がこんなことを思うとはな……) 考えてみると可笑しくなり、自然と笑みがこぼれた。 菜月、ヴィータ組は徐々に山頂に近づいていた。近くからは鐘の音が聞こえる。 「おい、菜月!あれ見ろよ!」 菜月がヴィータの指す方向を見ると、少し前を三人――いや、厳密には人ではない。 「ジャリュウ一族!」 恐竜の遺伝子により生まれた恐竜人類。赤いゴツゴツした皮膚に鎧を纏っている。 だが、一体見慣れないジャリュウが混じっていた。 皮膚は赤と緑の混ざった色、顔つきも全体的に恐竜よりもトカゲに近い。眼は鈍色でくすんでいる。だが、最大の特徴は頭頂部の鶏の冠に似た襞。そして両手、両足の他に、身体の中心から生える四本の腕だろう。 「なにあれ……」 思わず菜月が呟く。それはこれまでのジャリュウの中で最も異形なフォルムだった。 「どうするんだよ、菜月。あいつらバジリスクの目玉ってのを狙ってるんじゃないのか?」 「待って、ヴィータちゃん。とりあえず後をつけよう。真墨達にも連絡して」 アクセルラーを通じて連絡した後、二人は息を殺して付かず離れずの距離を保つ。 そのまま、10分程歩いただろうか。小さな洞窟の前で彼らは立ち止まった。 洞窟の前は開けた平地のため、これ以上は近寄れない。 会話に意識を集中し、なんとか聞き取ろうとする。 「ここに……バジリスク……確かなのか……」 やはり、狙いは『バジリスクの瞳』だ。 「菜月!」 声に振り向くと、真墨達三人が追いついてきていた。 「遅いよ、真墨!」 「悪い悪い」 軽口を叩き、五人が足を踏み出す。 「待て!ジャリュウ一族!」 尾行に驚くジャリュウ一族。だが、中心の邪悪竜だけは不気味に落ち着き払っていた。 「レディ!ボウケンジャー、スタートアップ!!」 同時にアクセルラーのタービンを左腕で滑らせる。 真墨は黒、蒼太は青、菜月は黄、シグナムはピンク、ヴィータは赤の光にそれぞれ包まれ、光が消えると、アクセルスーツを身に纏ったボウケンジャーが現れる。 「迅き冒険者!ボウケンブラック!」 「高き冒険者!ボウケンブルー!」 「強き冒険者!ボウケンイエロー!」 「深き冒険者……ボウケンピンク……」 「あ、熱き冒険者、ボウケン、レッド」 シグナムとヴィータを除く三人が思い思いのポーズを決めるが、シグナムとヴィータは恥ずかしいのか随分と動きが小さい。 一帯に静寂が流れる。 「ヴィータちゃん、ダメだよ!もっとはっきり言わなきゃ!」 「こんな恥ずかしいことできるかよ!」 「シグナム。恥ずかしがってると、余計に恥ずかしいよ?」 「とはいえ、これは……」 「お前らそんな場合か!」 ブラックによって、ようやく全員が戦闘態勢を取る。やはりつっこみ役か。 「貴様らがボウケンジャーか!俺は邪悪竜『バジーク』!」 他のジャリュウとは違う、中央のジャリュウが名乗った。口からは鋭く尖った牙が見え隠れしている。 「邪悪竜だと!?」 邪悪竜――同族との殺し合いで生き残ったジャリュウにリュウオーンが力を与えたもの。 リュウオーン亡き後、新たな邪悪竜や大邪竜は確認されていなかった。少なくとも真墨の知る限りでは。 「我らジャリュウ一族は新たな力を手に入れた!少々遊んでやるとしよう!」 バジークが指を弾くと同時に、茂みからカースが現れた。数は10体、少してこずる数だ。 ブルーとイエローでカースを。シグナムとヴィータでジャリュウを。そしてバジークの前にはブラックが立ちはだかった。 「アタック!」 ブラックの号令とともに全員が動く。 ブルーとイエローはサバイブレード――ボウケンジャーの標準装備。ビームガンのサバイバスター、剣のサバイブレードの形態を切り替えることができる――を抜き放ち、背中合わせに死角を補いつつカースを攻撃する。 シグナムとヴィータは一人ずつ、ジャリュウと戦っている。武器は同じくサバイブレード。 シグナムはジャリュウの剣を的確に捌きつつ、ヴィータは小柄な身体を活かし、ジャリュウを圧倒していく。 そしてブラック――サバイバスターを構え、機会を窺う。 バジークは六本の腕に剣を握っていた。それぞれの腕が別の意思を持っているかのように蠢く。 バジークは洞窟を背にして、ブラックはバジークを中心にして左右に動く。 「サバイバスター!」 意を決してサバイバスターを連射。オレンジの光線が銃口から放たれる。 「ふんっ!」 だが、全てのビームが六本の剣に防がれてしまう。 そして、ブラックがサバイブレードに切り替えた瞬間、既にバジークはブラックの懐にまで潜り込んでいた。 「ぐぁぁぁ!!」 サバイブレードが弾かれ、残った腕の斬撃で大きく吹き飛ばされた。 アクセルスーツからは激しい火花が散り、激痛に悶える。 バジークがブラックにとどめを刺そうと近づく。その時―― 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」 戦場に悲鳴が響き渡った。 悲鳴はバジークの背後――洞窟の入り口から。そこには幼い少年が顔を青ざめ、腰を抜かしていた。 何故こんな山奥に少年が?何故洞窟から? 誰もが一瞬動きを止め、状況を認識する時間を必要とした。 最も早く回復したのはシグナム。だが、彼女の手が少年に届く前に、バジークは素早い動きで少年を締め上げ、剣を突きつける。 「動くな!!」 シグナムは急ブレーキをかけ、ブルーとイエローはカースから飛び退く。 「言わずともわかるだろうが……動けばこのガキはどうなるかなぁ……」 「くっ……!」 少年はバジークの腕の中で泣きじゃくっている。 ボウケンジャーを睨んだまま、洞窟に入ろうとするバジーク。 だが、銃声と同時にその足元に火花が散り、土煙が舞い上がる。 「どうも騒がしいと思ったら……やっぱりネガティブだったか!」 その声は高岡映士――ボウケンシルバーのものだった。その手にはサガスナイパーが握られている。 再びの硬直――そして最大の好機をシグナムとヴィータは見逃さなかった。 「もらった!」 「そこだ!」 シグナムがサバイブレードで、少年を掴んだ腕を斬る。同時にバジークの肩をヴィータがサバイバスターで狙い撃つ。 バジークの体液が飛び散り、少年の腕に付着する。バジークの腕は外れ、少年はシグナムによって助けられた。 だが―― 「くそっ!こうなれば……!」 バジークは背を向け、洞窟の中へと駆け込んでいく。誰も追うことはできなかった。 何故なら、助けられた少年の顔は真っ青に染まり、顔中に汗を掻いているのだ。 「どうした!大丈夫か!?」 シグナムが少年の肩を揺さぶってみても返事はなく、苦しそうに頭を振るだけだった。 「シグナム!後ろだ!」 ヴィータの声に振り向くと、ジャリュウがシグナム目掛け剣を振りかぶっている。 「くっ!」 咄嗟にサバイブレードで受け止める。ブルーもイエローも、そしてヴィータも目の前の相手に精一杯のようだった。 シルバーとブラックの二人で少年を診ている。だが、会話の全てを聞き取ることはできない。 「どうだ……映士」 「真墨……多分……しかないぜ」 「本気か?……子供を……するなんて」 「経験者……だ」 真墨はしばらく何か考えていたようだが、しばらくして叫んだ。 「全員!撤退だ!」 「ええ!?」 その言葉にブルーやイエローも振り向く。驚きの声を上げるが、少年の顔を見てすぐに理解したようだ。 「早くしろ!ヴィータとシグナム、お前らもだ!」 「プレシャスはどうするんだよ!?」 「俺は既に命令した!!」 ヴィータはまだ何か言いたそうにしていたが、しぶしぶ走り出す。シグナムとシルバーも無言で従い、ブラックも少年を担ぐとその後を追う。 ブラックやシグナムよりも洞窟から遠くにいるイエローとブルーが、カースとジャリュウに向けサバイバスターを乱射する。撤退の援護だろう。 ビームは地面に着弾し、激しく土煙を上げた。逃げるにはちょうどいい。 だが、ブラックだけは洞窟を向いたまま、動かない。まるで洞窟から何かが出てくるのを待っているかのように。 土煙の向こう――洞窟の暗闇から『それ』は現れた。 赤と緑の混ざり合ったどす黒い皮膚――邪悪竜バジークだ。 唯一違ったのは、鈍色だったはずの瞳は金色に輝き、怪しい光を放っている。 シグナムは直感的に危機を感じ、身を隠す。 バジークの視線はしばらく宙を彷徨い、ゆっくりとボウケンブラックへと向けられた。 その時、ブラックの取った行動に、シグナムは己の目を疑った。 彼は――ブラックは抱えていた少年を盾に視線を防ぎ、その陰からサバイバスターを撃ったのだ。 視線を受けた少年は手足から徐々に色を失ってゆき、やがて苦悶の表情もそのままに完全に石へと変わってしまった。 「何やってんだ!早く逃げるぞ!」 重さを増した少年を担ぎなおし、ブラックは斜面を滑り降りていく。 「何なんだよ……!危なくなったら子供を盾にして逃げるのが冒険だってのかよ!ボウケンジャーなのかよ!!」 シグナムの横を走るヴィータが叫ぶ。どうやら彼女も見ていたらしい。 その声には怒りと悔しさ――悲しさが込められていた。 「主はやて……何故あなたは我らを……」 もう幾度となく呟いた台詞――それでも思わずにはいられなかった。 聞こえなかったのか、それともヴィータもまた答えを持たないのか。 その問いに答える者はいなかった。 次回予告 「子供を盾とするのが貴様らの冒険か!」 「無能な管理局に何ができる……」 「僕は食べられませんよ~!」 「あたし達にはあたし達の戦い方がある!」 「ヴォルケンリッターが将、シグナム!参る!」 「全車、轟轟合体だ!!」 ExtraTask03 「新たなる冒険者」 おまけ はやて「それにしても……あの二人は今頃どないしてるんやろか?」 シャマル「サージェスは家からは通えませんもんねぇ。そういえば、どうしてあの二人なんですか?」 はやて「う~ん。ほら、あの二人は頑丈やし、身体を動かすのも得意やん?」 シャマル「でもそれならザフィーラでも良かったんじゃないですか?」 はやて「せやけど、ザフィーラやと色が被ってまうやんか」 シャマル「はやてちゃん……髪の色は多分関係ないんじゃないかしら……」 はやて「え……?」 シャマル「もしかして一番の理由って……それなんですか?」 はやて「…………」 戻る 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第14話【Mothers&Children】 なのは「一人ぼっちの切なさと、普通と違うことの寂しさ。きっと、皆知っている。 大切な人がいて、色んなものを分け合えて、支えてもらったから…私は今ここにいる。 だけど、魔法の力以外で、戦うこと以外で、私は何ができるんだろう。行き場のない小さな瞳に、 私は…どう答えればいいんだろう。魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」 なのは「今日は目立ったミスもなく、いい感じでした。今後も、この調子でね」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「ありがとうございました!」 スバル「セカンドモードも、だいぶ馴染んできたかなぁ~」 キャロ「そうですね~」 スバル「変化の少ない私とキャロはともかく、ティアとエリオは大変そうだよね~」 キャロ「形から変わっちゃいますし」 ティアナ「あたしは、別に。ダガーモードはあくまで補助だしね」 クロスミラージュ『Yes』 ティアナ「複雑なのはエリオのほうでしょ」 スバル「ストラーダのセカンド。過激だもんね」 ストラーダ『そうでしょうか』 キャロ「私はかっこいいと思うよ、ストラーダ」 ストラーダ『ありがとうございます、レディ』 エリオ「ストラーダと一緒に鍛えていきます。頑張ります!」 なのは「おはよう、ヴィヴィオ。ちゃんと起きられた?」 ヴィヴィオ「うん!」 なのは「おはよう、フェイトちゃん」 フェイト「うん。おはよう、なのは。ヴィヴィオ、なのはさんにおはようって」 ヴィヴィオ「おはよー」 なのは「…おはよう」 フェイト「朝ごはん、一緒に食べられるでしょ?」 なのは「うん!」 ヴィヴィオ「あさごはん?」 なのは「そう。さ、いこっ。…今日のメニューは何だろうね~」 はやて「いやぁ~実はな。今日これから本局に行くんやけど、よかったらティアナも一緒に来とくか?って相談や」 ティアナ「あ…はい」 はやて「今日会う人は、フェイト隊長のお兄さん。クロノ・ハラオウン提督なんよ」 ティアナ「はい」 はやて「執務官資格持ちの艦船艦長さん。将来の為にもそういう偉い人の前に出る経験とか、しといたほうがええかなって」 ティアナ「! ありがとうございます!同行させていただきます!」 なのは「あれ?ティアナは?」 スバル「八神部隊長と同行だそうです。本局行きとか」 なのは「そっか」 スバル「なのはさんも、今日はオフィスですか?」 なのは「そうだよ。ライトニングは今日も現場調査だし、副隊長たちはオフシフトだし、 前線メンバーは私とスバルの二人だけだね」 スバル「…あはは…。何も起きないことを祈ります」 ヴェロッサ「しかし、君の依頼通り、内密で地上本部の中身…ゲイズ中将の周りを調べてみたけど…。 なんというか。本当に面白いくらい、豪腕な政略家だよね」 クロノ「実力者であり、人を惹きつける牽引力もある。優秀な方だとは思う」 ヴェロッサ「本部長からして、彼の後輩だしね」 クロノ「黒い噂が絶えないとはいえ、彼が地上の正義の守護者であるのも事実だ」 ヴェロッサ「企業や政界からの支援も山ほどあり、管理局最高評議会の覚えもめでたい。 こりゃ、確かに、本局としちゃ、扱いの難しい人物だ」 クロノ「そう。うかつな介入はできない。ただでさえ、海と陸。本局と地上本部はことあるごとに仕事…」 クロノ「臨時査察を受けたそうだが、大丈夫だったか?」 はやて「うん。即時査問は回避できたよ。あ、そや。紹介しとくな。うちのフォワードリーダー、執務官志望の…」 ティアナ「ティアナ・ランスター二等陸士であります!」 クロノ「ああ」 ヴェロッサ「よろしく~」 クロノ『前線メンバーにまで、今回の全容を?』 はやて『予言関連はぼかしてあるよ。地上本部が襲われる可能性だけ』 クロノ『なるほどね』 キャロ「テロ行為って…地上本部にですか?」 フェイト「まぁ、そういう可能性がある、って程度だけどね」 エリオ「でも、確かに…管理局施設の魔法防御は鉄壁ですけど、ガジェットを使えば…」 フェイト「そう。管理局法では、質量兵器保有は禁止だからね。対処しづらい」 キャロ「しつりょうへいき?」 フェイト「ああ。おおざっぱに言えば、魔力を使わない物理兵器…でいいのかな。質量物質を飛ばしてぶつけたり、 爆発させたり、先史時代のミッドや古代ベルカは、そういう兵器がほとんどだったの」 エリオ「聞いたことあります。一度作ってしまえば、子供でも使えるとか。指先一つで都市や世界を滅ぼしたりとか」 フェイト「そう。管理局は創設以来、平和のため、安全のためにそういう武装を根絶して、 ロストロギアの使用も規制し始めた。それが、150年くらい前。でも、色んな意味で武力は必要。さて、どうしたでしょう?」 エリオ「あ。比較的クリーンで安全な力として、魔法文化が推奨されました」 キャロ「うん、うん」 フェイト「正解。魔法の力を有効に使って、管理局システムは今の形で各世界の管理を始めた。 各世界が浮かぶ海、次元空間に本局。発祥の地、ミッドチルダに地上本部を置いて」 キャロ「あ~!それが新暦の始まり。75年前」 フェイト「そう。で、新暦前後の一番混乱してた時期に管理局を切り盛りして、 今の平和を作るきっかけになったのが…?」 エリオ「かの、三提督」 キャロ「はぁ~」 エリオ「なるほど~」 フェイト「と、世界の歴史はおいといて」 キャロ「あ、すみません」 フェイト「ガジェットが出てくるようなら、レリック事件以外でも六課が出動になるからねってこと。しっかりやろうね」 エリキャロ「はい!」 フェイト『本当は、エリオとキャロにはもっと平和で、安全な道に進んで欲しかったんだけど』 カリム「情報源が不確定ということもありますが。管理局崩壊ということ自体が、現状ではありえない話ですから」 はやて「そもそも。地上本部がテロやクーデターにあったとして、それがきっかけで本局まで崩壊…… いうんは、考えづらいしなぁ」 クロノ「まぁ、本局でも警戒強化はしてるんだがな」 カリム「問題は、地上本部なんです」 クロノ「ゲイズ中将は予言そのものを信用しておられない。特別な対策はとらないそうだ」 カリム「異なる組織同士が協力し合うのは、難しいことです」 クロノ「協力の申請も内政干渉や強制介入という言葉に言い換えられれば、即座に、諍いの種になる」 はやて「ただでさえ、ミッド地上本部の武力や発言力の強さは問題視されてるしなぁ」 フェイト「だから、表立っての主力投入はできない、と」 クロノ「すまないなぁ。政治的な話は現場には関係なしとしたいんだが」 はやて「裏技気味でも、地上で自由に動ける部隊が必要やった。レリック事件だけで事がすめばよし、 大きな事態に繋がっていくようなら、最前線で事態の推移を見守って」 なのは「地上本部が本腰を入れ始めるか、本局と教会の主力投入まで、前線で頑張ると」 はやて「それが、六課の意義や」 なのフェイ「うん」 カリム「もちろん、皆さんに任務外のご迷惑をおかけしません」 フェイト「ああ、それは大丈夫です」 なのは「部隊員たちへの配慮は、八神二佐から確約を得てますし」 カリム「はい。改めて、聖王教会騎士団騎士、カリム・グラシアからお願いいたします。 華々しくもなく、危険も伴う任務ですが、協力を、していただけますか?」 なのは「非才の身ですが、全力にて」 フェイト「承ります」 フェイト『地上と海の平和と安全。この子達も含めた部隊の皆の安全と将来。 はやての立場となのはが飛ぶ空。全部守るのは大変だけど、私がしっかりしなきゃ。力を貸してね、バルデッシュ』 スバル「でも、ヴィヴィオって…この先、どうなるんでしょうか?」 なのは「ちゃんと受け入れてくれる家庭が見つかれば、それが一番なんだけど」 スバル「難しいですよね。やっぱり、普通と違うから」 なのは「そうだね。……見つかるまで、時間がかかると思うんだ。 まぁ、だから当面は私が面倒見てけばいいのかなって」 スバル「あっ」 なのは「エリオやキャロにとってのフェイト隊長みたいな、保護責任者って形にしとこうと思って」 スバル「いいですね!ヴィヴィオ、喜びますよ!」 なのは「う~ん…喜ぶかな?」 スバル「きっと!」 ヴィヴィオ「???」 なのは「ほら。やっぱりよく分からない」 スバル「えっと…なんていえば分かるのかな?う~んと。つまり、しばらくはなのはさんがヴィヴィオのママだよってこと」 ヴィヴィオ「ママ?」 スバル「え!?いや~その…」 なのは「いいよ、ママでも。ヴィヴィオの本当のママが見つかるまで、なのはさんがママの代わり。 ヴィヴィオは、それでもいい?」 ヴィヴィオ「……」 なのは「うん?」 ヴィヴィオ「ママ」 なのは「はい、ヴィヴィオ」 ヴィヴィオ「ふぇ……うわぁぁぁん~!!」 スバル「え!!ぇ……」 なのは「何で泣くの~。大丈夫だよ、ヴィヴィオ」 ヴェロッサ「ティアナだっけ?」 ティアナ「はいっ」 ヴェロッサ「君から見て、はやては、どう?」 ティアナ「それは…優秀な魔道師で、優れた指揮官だと…」 ヴェロッサ「うん、そっか。はやてとクロノ君、僕の義理の姉カリム。三人は、結構前からの友人同士でね。 その縁で僕も仲良くしてもらってるんだけど」 ティアナ「あ、はい。存じ上げています」 ヴェロッサ「古代ベルカ式魔法の継承者同士だし、何よりはやてはいい子だ。優しいしね」 ティアナ「はい」 ヴェロッサ「妹みたいなものだと思ってる。だから、色々と心配でね」 ティアナ「はい…」 ヴェロッサ「レアなスキルや強力な魔法、高い戦力。人を使える権限や権力。 そういう力を持つってことは、同時に孤独になっていくってことでもある。僕はそう思う」 ティアナ「はい」 ヴェロッサ「もちろん、必要とはされる。頼られもする。だけど、それは人間としてじゃない。 その人が持っている力そのものが必要とされてるだけ。ああ、もちろんこれは極論だよ。 実際は、そんなにデジタルじゃない」 ティアナ「あ、はい。分かります。強い力を持つ者には、そういった重圧や寂しさが付きまとう、と」 ヴェロッサ「そう、それ。コホン。まぁ、つまり、僕の言わんとしてることは、だね。 部隊長と前線隊員の間だと、色々難しいかもしれないけど、上司と部下ってだけじゃなく、 人間として、女の子同士として、接してあげてくれないかな?はやてだけじゃない。君の隊長たちにも」 ティアナ「了解しました。現場一同、心がけるよう努めます」 クロノ「部隊データを改めて確認したが、はやては身内と部下に恵まれてるな」 ヴェロッサ「だね。ティアナも、いい子だった。でも、罪の意識はなかなか消えないんだろうね。 はやては相変わらず、生き急ぎすぎてると思う」 クロノ「この件を無事にクリアすれば、はやての指揮官適性は立証される。闇の書事件についても、言える者は少なくなるさ」 ヴェロッサ「うん」 クロノ「なのはとフェイトがついているとはいえ、心配ではある。こっちでもフォローしてやりたいが」 ヴェロッサ「本局が表だって動いちゃまずいって言ったばかりじゃないか。僕に任せて。 査察官って立場は、秘密行動に向いてるしさ」 クロノ「すまないな。頼む」 ギンガ「現場検証とあわせて、改めて六課からデータを頂きました」 マリエル「この魔方陣状のテンプレート。使ってる動力反応。これまでのものと桁違いに高精度です」 ゲンヤ「間違いなさそうだな」 マリエル「はい。この子たち全員、最新技術で作り出された…戦闘機人です」 ゲンヤ「ふむ… ゲンヤ「やっぱりと言やぁ、やっぱりか。まだ何にも、終わっちゃいねぇんだなぁ」 フェイト「そう。なのはがママになってくれたんだ」 ヴィヴィオ「うん」 フェイト「でも実は、フェイトさんもちょっとだけヴィヴィオのママになったんだよ?」 ヴィヴィオ「ん?」 フェイト「後見人っていうのになったからね。ヴィヴィオとなのはママを見守る役目があるの」 ヴィヴィオ「……なのはママと、フェイトママ?」 なのは「うん」 フェイト「そう」 ヴィヴィオ「ママ」 なのフェイ「はぁ~い」 エリオ「それにしても、なのはさんとフェイトさんがママって…」 キャロ「ヴィヴィオ…ものすごい無敵な感じ…」 スバル「あはは。それなら二人だって、フェイトさんの被保護者で、なのはさんの教え子じゃない」 エリオ「えっと…それはそうなんですけど」 キャロ「えへへ」 ギンガ『あの時の事件は、まだ終わってない。…母さんを殺した、戦闘機人事件』 次回予告 ギンガ「真相に近づいていく事件」 フェイト「親子と姉妹と、ひと時の平和と…それぞれの絆」 ギンガ「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第15話」 フェイト「Sisters&Daughters」 フェイト&ギンガ「Take off!」
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ここでは、第1期について書いてあります。 第2期、第3期、第4期、劇場版に関しては↓を参照してください。 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 魔法少女リリカルなのはA s 魔法少女リリカルなのはStrikerS 魔法少女リリカルなのはViVid 魔法戦記リリカルなのはForce ゴメン、準備中
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魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA sビジュアルファンブック 魔法少女リリカルなのはシリーズ 魔法/世界観に関する資料
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第5話 信じるものの戦い 爆発がテーマパークのあちこちで起こる。 ピエロ仮面が乗るテーマパークの華やかなパレードの車に取り付けられた重火器による攻撃に、バットマンは近づくことが困難となっていた。 ジョーカーは、そもそもバットマンを倒そうという気持ちはない。 時間さえくれば良い…。 そこでバットマンは、思い知るのだ。 自分はいかに無力か…そこで光は闇に墜ちていく。 それを見ることができる…まさに、笑いが止まらない光景を見ることができるのだ。 都内では、ジョーカーから解放された人たちが、口にはガムテープ、手を縄で縛られた状態で彷徨っている。 助けを求める、その人間たち…その身体には爆弾が仕掛けられたもの、逆に、まったく無害なものが混在し…街を歩く。 一般市民は怯え、どうして良いのかわからずに戸惑い、立ち尽くす。 助けるべきなのか?自分の命のために逃げるべきなのか? 本当なら、答えはない。だが…ジョーカーはこう思うだろう。 見捨てるものは、結局、わが身可愛さで、その人間を殺めた殺人者となんら変わりはないと。 光と闇は常に正反対でありながら、密接に関係している。 人間の心は、この二つの存在に揺れ動かされながら…存在しているのだ。 目の前で、助けを求める存在…。 だが、それには、爆弾が仕掛けられているかもしれない。 自分の身を危険に晒すことになったとしても、助けようとするものが、この安全の国、日本において…どれだけいるだろうか? ジョーカーの問いかけは、そこにある。 テレビを前にして戦争の光景を見て、『可哀想だ』『戦争はやめよう』と容易くえるのは、所詮は第三者としての視線でしかない。 その環境、情勢を知らずに、容易く言うことは、そこにいるすべてのものに対しての冒涜なのだと…。 さんざん自分を笑いものにした第三者の国は、今まさに自分たちが、その当事国となった。 今度は自分たちが他の国に、興味の目に晒され『可哀想だ』『何も出来なかったのか?』と言われることになる。 「…結局は、俺たちのやっていることなんかショーなのさ!バットマン。誰もお前に同情するものなどいないし、誰もお前を助けるものなんかいないのさ」 ジョーカーの部下であるピエロ仮面の機銃掃射を前にして、人間爆弾の制御スイッチを持つジョーカーに近づけないでいた。 時間はあまり残されていない。 「フハハハハハ!焦っているか?焦るだろうな、お前は無力だ、たった一人で、何も出来ずに、くたばれ!!」 ジョーカーは頭をあげて、大声で笑う。 そんなジョーカーの視線に入るもの…笑い声は途切れ、目を丸くする。 視界に入ったのは、月が見える夜空に浮かぶ、白き女の姿。 その女は、槍のようなものを握り、こちらに標準を定める。 そして空から放たれた巨大な光が、ジョーカーの乗るパレードの華やかしい車を貫き、少しの間をおいて、爆音とともに、火の玉となる。 「はああああ!!!」 他のパレード用の車も、黒き女の持つ巨大な剣の形をした道具により、切り裂かれる。 ピエロ仮面は爆発に逃げ惑いながら、爆風に巻き込まれ吹き飛ばされる。 空から降り立つ白い服の女…高町なのは。 切り裂いた、黒き服の女…フェイト・T・ハラオウンがバットマンの前に立つ。 なのはとフェイト…2人の視線の先にいるジョーカーは、立ち上がり、埃を払う。 「……ックックック、素晴らしい、素晴らしいな~~その力…。君たちの力を持ってすれば、俺など容易く殺せるだろう?」 ジョーカーは拍手をして、目の前の二人に頭を下げる。 ジョーカーは、自分の前に集ったバットマン、そしてなのはとフェイトを見つめながら、 紅蓮の炎の光に照らされつつ、ゆっくりと歩き出す。 「ここまできたお嬢さんたちには、ひとつ、教えてあげないといけないな」 ジョーカーは、歩きを止めて振り返りなのはとフェイトのほうに視線を向ける。 「お嬢さんの、娘…名前はヴィヴィオだったか」 フェイトは怒りを感じ、拳を強く握る。 自分たちのせいで巻き込んでしまったヴィヴィオ。 彼女を早く救い出したい。彼女を助けたい…。 その気持ちを抑えこむ反面、相手に対する憎悪は増していく。 「かわいらしい子だ。フフフ…、お嬢さんのことを何一つ話そうとはしなかった。 きちんと教育をうけたいい子だったな。どんなに痛めつけようが、苦しめようが…… 涙を堪えて話さない姿……俺は、感動さえ覚えたよ。フフ…フハハハハハハハ」 「くっ!!」 聞くに堪えないその言葉にフェイトは道具であるバルデッィシュを握り、距離を縮め相手を切り裂こうとした。 だが、そのフェイトの行動を察知したのか、 なのはが握るレイジングハートがフェイトの身体を抑えるように前に出される。 「…怒り、憎悪を表に出せばあいつの思う壺だ」 後にいるバットマンは、冷静に告げる。 「わかってはいるけど……」 「いや、君じゃない。本当に怒りで我を忘れかけているのは、むしろ…もう1人のほう」 フェイトは隣にいる、なのはを見る。 なのはは冷静そうな顔をしているが、レイジングハートを握っていないもう1つ手は怒りを抑えるために、 強く拳を握りすぎたためか、血が流れて、地面にと落ちている。 「…何も躊躇う必要はないぞ。俺は丸腰も同然…。お前の力を持ってすれば、俺など蝋燭の火を吹き消すように、 一瞬で終わらせられるだろう。フフフフ……」 ジョーカーは、高町なのはにターゲットを定めた。 怒りと憎悪は、あの黒き女よりも強く根深い…。 バットマンに見せてやれる、光が闇に落ちていくさまを…。 「それは、俺にだけ向けられるものではない。この国の警察官が、お前の娘を助けるためになにをした? 動揺を煽り、今も事態は進行中……誰も助けられない、誰も、救えない。 クフフフフ……、お前たちの力を持ってしても、1人の人間を助けることも出来ないんだ。 ならば、なんのために戦う。なんのために…。 お前が倒すべき敵は俺ではなく、無能で理不尽なこの世界じゃないのか?」 「あいつの話を聞くな…」 バットマンは正面に立っている、なのはに言う。 怒りにすべてを忘れてはいけない。 ジョーカーのペースに乗ってはいけないのだ。 だが、彼女は、それができるのか? やはり…ここは、自分がジョーカーを止めるしかない。時間も迫っている。 「…私は」 なのはは、ジョーカーに向かって語りかけるように声を出す。 それは憎悪も怒りも感じられない…。 「…私の力は、そんなに強いものじゃない。私1人の力でできることは、あまりにも少ない。 だけど…、大切な仲間がいれば、1人じゃ出来なかったことも…できるようになる。不可能が可能となる」 なのはは、隣にいるフェイトを見つめる。その表情は、穏やかなもの……。なのはは、知っている。 今まで戦いで…フェイトから、そして、はやてと戦って得た強い絆。 1人で苦しんでいたことも…同じように受け止めてくれる人がいること… それがどれだけ自分にとって強い力となるか。 「…私は、あなたのようにはならない」 強い眼差し…その眼を見て、ジョーカーは唸り声をあげる。 なのはが自分を見る目、それは…哀しみの目。 そう自分を哀れむ目…。 「そんな目で俺をみるなぁ!!!」 ジョーカーは、そういうと以前、フェイトに使った手榴弾のようなガスをだすものを投げつける。 しかし、それはフェイトにより、切られる。 ガスをださないように、起爆装置だけを完全に…。 「なに!?」 驚くジョーカーは、逃げ出そうとするが、その足にワイヤーが巻きつけられる。 バランスを崩し倒れるジョーカー。 バットマンの放ったそれに、ジョーカーは今度こそなすすべなく、捕まる。 バットマンは、なのはとフェイトを追い抜き、ジョーカーを見下す。 「フハハ…、アハハハハハハハ…。気持ちがいいだろうな、蝙蝠男。 俺が、あんなガキにやられるさまは?」 「……ジョーカー、人質を解放しろ」 バットマンはジョーカーの問いには答えず、時間が迫っている人間爆弾について聞く。 「…ヴィヴィオは、どこ?」 なのはも、ジョーカーに問い詰める。 ジョーカーは…心のどこかでは焦っているであろう二人に向かって、笑いながら…。 「いいだろう、教えてやる…起爆装置はジェットコースター内にある。 お嬢さんの娘が座っている座席そのものだ。 お嬢さんが座席から降りた瞬間、どかーんと吹き飛ぶ、だが…ジェットコースターも一定速度が落ちると爆発するようセットされている。 どっちを助けたいか、お前たちで選べ…。 おっと、二つとも、時間が来れば勝手に爆発することも忘れずにな。 フフフ…フハハハハハハハハ」 ジョーカーの襟首を捕まえ、身体を起こさせる、バットマン。 「貴様、他に方法はないのか?」 「ない。一人の命を助けるか、多くの人の命を助けるか、好きなほうを選べばいいさ~ヒヒヒヒャハハハハハハ」 バットマンはジョーカーの襟首を離す。 テーマパークにあるジェットコースター…。 ジョーカーとバットマンが戦いはじめたときから、動いているそれは、もう既に30分以上が経過しようとしていた。 ヴィヴィオは目を伏せて、酔わないようにしている。 そのヴィヴィオの座っている真下…そこに起爆装置が赤く点滅している。 ヴィヴィオの重さにより、1つの起爆装置は止まっているが、もう1つ…それはジェットコースターの速度に反応している……。 「…卑劣な」 フェイトは吐きすてるように言う。 なのはは、ジェットコースターがある方角を見る。 「どうするつもりだ?」 バットマンはなのはと、フェイトに問いかける。 なのはとフェイトは、バットマンのほうを見て 「…両方を助けます」 「今までそうしてきたように……」 バットマンは二人の言葉を聞き、なのはとフェイトが空を飛んでヴィヴィオを助けにいくのを見送る。 今の彼女達に言うことは何もない。 強き心…自分の行いを信じ、そして今の自分にはない、大切な強い仲間がいることが……その心の力を何倍も倍増させる。 普段、人を信じることをしない、私も今日だけは信じてみよう。 信じる心を持つものの、力を。 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第13話【命の理由】 はやて「失くしてしまったもの。起こってしまった出来事。過ぎ去っていった過去の時間は、 変えることができない。だから、失いたくないと思う。守りたいと思う。守るために、強くなりたいと思う。 選んだのは、戦って勝ち取ってゆくこと。見えない未来を、望んだ形に変えてゆくこと。 魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」 アギト「生まれた時のことなんて覚えてないし、人間で言う親…マイスターが誰かなんてこともあたしは知らない。 ただ静かに、たぶん随分長い間、眠ってただけ。気がつけば、白い部屋で実験動物。 自分が、何のために生まれたのかが分かってただけに、辛かった。 死ぬ自由すらなく、苦しいまま、いつか…心と身体が壊れて終わるんだって、思ってた。 それが変わったのは…何だかひどくごつごつした手のひらと、小さな女の子が、あたしの前に現われてから」 ゼスト「なんだ?」 ルーテシア「おいてっちゃうの?」 ゼスト「あれは、古代ベルカ式。レプリカではない。純正の融合機だ。火災に気づいてやってくる局員が見つければ、 丁重な保護を受けるはずだ」 ルーテシア「そこでもまた、実験動物?」 ゼスト「ここの連中ほど、ひどいものではない。…そう、思いたいがな」 ルーテシア「ゼスト。連れていってあげよう?」 ゼスト「…いいのか?」 ルーテシア「うん。この子もきっと、私たちと同じだから」 アギト「あんなん思い出したのは、あいつらのせいだな。氷結魔法を使ってた、変なバッテンマークをつけた白い融合機。 たぶん、あいつのロードの…赤い、騎士。あいつは…ロードのいない融合機の寂しさとか、知らねぇんだろうな。 くっそぉ!!何かムカつく!!あんのバッテンチビめ!今度会ったら、絶対燃やしてやるぅ!!」 なのは「すみません、シグナムさん。車出してもらっちゃって」 シグナム「何。車はテスタロッサからの借り物だし、向こうにはシスターシャッハがいらっしゃる。 私が仲介したほうがいいだろう」 なのは「…はい」 シグナム「しかし、検査が済んで何かしらの白黒がついたとして、あの子はどうなるのだろうな」 なのは「あー。当面は六課か教会で預かるしかないでしょうね。受け入れ先を探すにしても、 長期の安全確認が取れてからでないと…」 シャッハ「騎士シグナム。聖王教会、シャッハ・ノエラです」 シグナム「どうされました?」 シャッハ「すみません。こちらの不手際がありまして。…検査の合間に、あの子が姿を消してしまいました」 シャッハ「申し訳ありません!」 なのは「状況はどうなってますか?」 シャッハ「はい…。特別病棟とその周辺の封鎖と避難は済んでいます。 今のところ、飛行や転移。侵入者の反応は見つかっていません」 なのは「外には出られないはずですよね?」 シャッハ「ええ」 なのは「では、手分けして探しましょう。シグナム副隊長」 シグナム「はいっ」 シグナム「検査では、一応危険反応はなかったのですよね?」 シャッハ「ええ。魔力量はそれなりに高い数値でしたが、それも、普通の子供の範疇でした」 シグナム「しかし、それでも」 シャッハ「悲しいことですが、人造生命体なのは間違いないです。どんな潜在的な危険を持っているか……」 シャッハ「逆巻け!ヴィンゲルシャフト!!」 なのは「ごめんね。ビックリしたよね?大丈夫?」 ヴィヴィオ「あ…」 なのは「立てる?」『緊急の危険はなさそうです。ありがとうございました、シスターシャッハ』 シャッハ『あ…はい』 なのは「始めまして。高町なのはって言います。お名前、言える?」 ヴィヴィオ「…ヴィヴィオ」 なのは「ヴィヴィオ…。いいね。かわいい名前だ。ヴィヴィオ、どこか行きたかった?」 ヴィヴィオ「ママ…いないの」 なのは「!!…ああ、それは大変。じゃあ一緒に探そうか」 ヴィヴィオ「……うん」 フェイト「臨時査察って…機動六課に?」 はやて「うん…。地上本部にそういう動きがあるみたいなんよ~」 フェイト「地上本部の査察は、かなり厳しいって…」 はやて「……ぅぅ。うちはただでさえ、つっこみどころまんさいの部隊やしな~」 フェイト「今配置やシフトの変更命令が出たりしたら、正直、致命的だよ?」 はやて「う~ん…何とかのりきらな…」 フェイト「……。ねぇ、これ、査察対策にも関係してくるんだけど。六課設立の本当の理由、そろそろ聞いてもいいかな?」 はやて「……そやね。まぁ、ええタイミングかな。今日、これから聖王教会本部、 カリムのところに報告に行くんよ。クロノ君もくる」 フェイト「クロノも?」 はやて「なのはちゃんと一緒についてきてくれるかな?そこで、まとめて話すから」 フェイト「うん」 フェイト「あの…何の騒ぎ?」 なのは「あ、フェイト隊長。実は…」 ヴィヴィオ「やだぁ~!!!行っちゃやだぁ~!!!!!」 はやて「エース・オブ・エースにも、勝てへん相手はおるもんやね~」 なのは『フェイトちゃん、はやてちゃん…。あの…助けて!』 はやて「スバル、キャロ。とりあえず少し落ちつこか?離れて休め」 フェイト「こんにちわ~」 ヴィヴィオ「え?」 フェイト「この子は、あなたのお友達?」 なのは「ヴィヴィオ。こちらフェイトさん。なのはさんの大事なお友達」 フェイト「ヴィヴィオ、どうしたの?」 ヴィヴィオ「……」 なのは『とりあえず、病院から連れて帰ってきたんだけど、何か、離れてくれないの』 フェイト『ふふっ、懐かれちゃったのかな?』 なのは『それで、フォワード陣に相手してもらおうと思ったんだけど…』 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ『すみません…』 フェイト『ふふっ、いいよ。任せて』 フェイト「ねぇ、ヴィヴィオはなのはさんと一緒にいたいの?」 ヴィヴィオ「……うん」 フェイト「でもなのはさん、大事なご用で、お出かけしなきゃいけないのに、 ヴィヴィオが我侭いうから困っちゃってるよ?この子も、ほら」 ヴィヴィオ「うぁ…ぅ」 フェイト「ヴィヴィオは、なのはさんを困らせたいわけじゃないんだよね?」 ヴィヴィオ「…うん」 スバル『な、何かフェイトさん。達人的なオーラが…』 エリオ『フェイトさん、まだちっちゃい甥っ子さんと姪っ子さんがいますし…』 キャロ『使い魔さんも育ててますし』 ティアナ『あー!更にあんたらのちっちゃい頃も知ってるわけだしねぇ~』 フェイト「だからいい子で待ってよう?ね」 ヴィヴィオ「…うん」 なのは「ありがとね、ヴィヴィオ。ちょっとお出かけしてくるだけだから」 ヴィヴィオ「…ぅ…うん」 なのは「ごめんね~。お騒がせして」 はやて「いやぁ~。ええもん見せてもらったよ」 なのは「ぅ……」 フェイト「ふふっ」 はやて「しかし、あの子はどうしよか?何なら、教会に預けとくんでもええけど」 なのは「平気。帰ったら、私がもう少し話して、なんとかするよ」 はやて「そぉか」 なのは「今は、周りに頼れる人がいなくって、不安なだけだと思うから」 スバル「書類仕事苦手ぇ~」 ティアナ「今日はライトニングの分も引き受けちゃったしね~。…それでも、保育士もどきよりは楽だわ」 スバル「え~。私は結構楽しかったけどなぁ~っと」 ティアナ「…ああ。それ昨日の」 スバル「アルトが記録した、各種の詳細データ付き。あれだけのことをしでかして、 使ってたのは魔力じゃなくて別系統のエネルギー。そんなの、身体の中に内包してるってことは… やっぱり、こいつら…。ん?あぎっ!!…ティ、ティア?」 ティアナ「馬鹿ねぇ。こいつらが何なのか考えるのなんて、あたしらの仕事じゃないでしょ? 判断するのはロングアーチスタッフと隊長たち。あたしらが作ってんのは、その判断材料としての報告書。 分かったらさっさと作業」 スバル「んん……はぁい」 ティアナ「それに確定が出たとしても、あんたが悩むことじゃないでしょ?ちゃんとしてなさい」 スバル「ティア…。うん、ありがと」 ティアナ「うっさいっ」 カリム「どうぞ」 なのは「失礼します。高町なのは一等空尉であります」 フェイト「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官です」 カリム「ああ、始めまして。聖王教会教会騎士団騎士、カリム・グラシアと申します」 カリム「私たちは個人的にも友人だから、いつも通りで平気ですよ」 クロノ「と、騎士カリムが仰せだ。普段と同じで」 はやて「平気や」 なのは「じゃあ、クロノ君、久しぶり」 フェイト「お兄ちゃん、元気だった?」 クロノ「!!それはよせ。お互い、もういい歳だぞ?」 フェイト「兄妹関係に年齢は関係ないよ、クロノ」 はやて「さて、昨日の動きについてのまとめと、改めて、機動六課設立の裏表について。それから、今後の話や」 キャロ「何か、本当に普通の子供だよね」 エリオ「うん…」『この子が人造魔道師素体だとするなら、知識や言語がはっきりしすぎてる。 人工受精子なら、こうはならない。たぶん、記憶があるんだ。元になった人物の』 キャロ「エリオ君?」 エリオ「!」 キャロ「どうかした?」 エリオ「あ、ご、ごめん!何でもない!」 キャロ「?」 エリオ『プロジェクトFは、まだどこかで続いてる』 クロノ「六課設立の表向きの理由は、ロストロギア・レリックの対策と、独立性の高い少数部隊の実験例。 知っての通り、六課の後見人は僕と騎士カリム。それから僕とフェイトの母親で上官、リンディ・ハラオウンだ。 それに加えて、非公式ではあるが、かの三提督も設立を認め、協力の約束をしてくれている」 なのは・フェイト「!」 カリム「その理由は、私の能力と関係があります。私の能力、プロフェーティン・シュリフテン。 これは最短で半年、最長で数年先の未来。それを詩文形式で書き出した、預言書の作成を行うことができます。 二つの月の魔力が上手く揃わないと発動できませんから、ページの作成は、年に一度しかできません。 予言の中身も、古代ベルカ語で、解釈によって意味が変わることがある難解な文章。 世界に起こる事件をランダムに書き出すだけです。解釈ミスも含めれば、的中率や実用性は割とよく当たる占い程度。 つまりは、あまり便利な能力ではないんですが…」 クロノ「聖王教会はもちろん、次元航行部隊のトップもこの予言には目を通す。 信用するかどうかは別にして、有識者による予想状況の一つとしてな」 はやて「ちなみに、地上部隊はこの予言がお嫌いや。実質のトップが、この手のレアスキルとかお嫌いやからなぁ」 なのは「レジアス・ゲイズ中将。だね」 クロノ「そんな騎士カリムの予言能力に、数年前から少しずつ、ある事件が書き出されている」 カリム「古い結晶と無限の欲望が集い交わる地。死せる王の下、聖地より、かの翼が蘇る。死者たちが踊り、 なかつ大地の法の塔はむなしく焼け落ち、それを先駆けにあまたの海を守る法の船も砕け落ちる」 なのは「それって…」 フェイト「まさか」 カリム「ロストロギアをきっかけに始まる管理局地上本部の壊滅と…そして、管理局システムの崩壊」 レジアス「査察の日程は決まったのか?」 オーリス「人員は確保しました。週明け早々に行います」 レジアス「連中が何をたくらんでいるやら知らんが、土にまみれ血を流して地上の平和を守ってきたのは我々だ。 それを軽んじる海の連中や蒙昧な教会連中に、いいようにされてたまるものか! 何より、最高評議会は私の味方だ。そうだろ?オーリス」 オーリス「はい」 オーリス「機動六課について、事前調査をしたのですが、あれはなかなか巧妙にできています。 さしたる経歴もない若い部隊長を頭にすえ、主力二名も移籍ではなく本局からの貸し出し扱い。 部隊長の身内である固有戦力をのぞけば、後は皆新人ばかり。そして何より、期間限定の実験部隊扱い」 レジアス「ふん。つまりは使い捨てか」 オーリス「本局に問題提起が起きるようなトラブルがあれば、簡単に切り捨てるでしょう。そういう編成です」 レジアス「小娘は生贄か。元犯罪者にはうってつけの役割だ」 オーリス「まぁ、彼女はそれさえ、望んで選んだ道でしょうけれど」 はやて「ほんなら、なのはちゃん、フェイトちゃん」 なのは「うん」 フェイト「情報は十分。大丈夫だよ」 はやて「……あのな!」 なのは・フェイト「?」 はやて「私にとって、二人は命の恩人で、大切な友達や。六課が、どんな展開と結末になるかは、まだわからへんけど」 なのは「その話なら、出向決める時に、ちゃんと聞いたよ?」 フェイト「私もなのはも、ちゃんと納得してここにいる。大丈夫」 なのは「それに、私の教導隊入りとか、フェイトちゃんの試験とか、はやてちゃんや八神家の皆、 すごくフォローしてくれたじゃない」 フェイト「だから今度ははやての夢をフォローしないとって」 はやて「あかんなぁ。それやと、恩返しとフォローの永久期間や」 なのは「あはははは!」 フェイト「友達って、そういうもんだと思うよ」 なのは「八神部隊長。今のところ、部隊長は何も間違っていないであります」 フェイト「だから大丈夫。いつものように、堂々と命令してください。胸をはって、えへんと」 はやて「……うん!!」 なのは「ただいまぁ~」 ヴィヴィオ「!!」 フェイト「ただいま~」 なのは「ヴィヴィオ。ただいま。いい子にしてた?」 フェイト「ありがとね。エリオ、キャロ」 エリオ「いえ」 キャロ「ヴィヴィオ、いい子でいてくれましたよ」 なのは「そう」 はやて「グレアムおじさん……。あたしの命は、グレアムおじさんが育ててくれて、 うちの子たちが守ってくれて、なのはちゃんたちに救ってもらって。 あの子が、初代リインフォースが残してくれた命や。あんな悲しみとか後悔なんて、 この世界の誰にもあったらあかん。あたしの命は、そのために使うんや」 次回予告 スバル「出動待機の日々。続く訓練と、日常と」 なのは「機動六課の行く先と行き場のないあの子。私に今できること」 スバル「次回魔法少女リリカルなのはStrikerS第14話」 なのは「Mothers&Children」 なのは・スバル「Take off!」