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Date 2006/06/15(Thu) Author SS1-169 第二章 備える者たち Happy_Happy_Greeting 土御門舞夏の朝は早い。 主人より遅く起きるメイドなど論外だからだ。今日も“義兄のベッド”で目を覚ました舞夏は、家政学校で躾けられた習慣通りに身支度を開始する。 寝起きの顔に冷水を浴びせてハリを戻し、歯をみがく。鏡の前で表情作りの練習をするのも忘れない。シンプルなように見えて踏むべき手順の多いモノトーンの制服を数分かけて身につけ、最後に短い黒髪の上にヘッドドレスをちょこんと乗せればどこに出しても恥ずかしくないメイドさんの出来上がり。 「……でも兄貴いないしなー。見てくれる人がいないと張り合いがないー」 舞夏は愚痴るようにつぶやいて、仕方なしに一人分の朝食の支度を始めた。 この部屋——“男子寮”の一室——の本来の住人、土御門元春は昨日から帰ってきていない。義兄(あにき)がふらりといなくなるのはよくあることなので心配はしていないが、とまれその間、主不在の部屋を管理するのは義妹(まいか)の役目になる。 まあ、昨日に限って言えば、この部屋に泊まったことには別の理由もあったのだけど。 (静かなもんだったなー。電気が消えるまではぎゃあぎゃあかしましかったけどー) 寝不足のため何度もあくびをかみ殺しながらも、料理する手つきに狂いはない。考え事をする余裕さえある。 フライパンに卵を落としながら考えるのは、隣の部屋のこと。 昨日舞夏が目撃した金髪の少女は、結局上条当麻の部屋から出てこなかった。ここで夜遅くまで見張っていたのだから間違いない。 ということは、昨晩はうら若い三人の男女が一つ屋根の下で過ごしたことになるわけで。 ならば普通に考えて——————————まあそういう状況を期待してしまったことに罪はなかろう。 しかし、録音の用意までして待ち受けていたにも関わらず、“そういったこと”はどうやら何もなかったようなのである。 (……連れ込んでおいてそれかー。まったく、おかけでこっちはすっかり寝不足だというのにー) 気を抜いている間に目玉焼きの底が少し焦げた。 遠目に見ただけだが、あの金髪少女はかなりの美人と思えた。先住居候の銀髪シスターも、性格と食欲と行動論理を抜きにすれば美少女と評しても支障はない。そんな二人の女の子と同室で眠って「何もなし」というのは、男性としてどうなのかと思う。 「むむむ。もしかして上条当麻って“あっち側”の人間なのかなー。源蔵さんに報告すべきかー」 目玉焼きを盛り付けながら、まんざら冗談でもなくそんなことをつぶやく。ちなみに源蔵さんとは常盤台中学学生寮の料理長で、舞夏とは顔なじみだ。 いただきます、と言おうとしたときに、ふと卓上のデジタル時計が目に留まった。義兄の趣味か黒い亀の形をしたその時計は、時刻の他に日付も表示していた。 「おー」 今さら実感する。 一端覧祭まで、あと一週間だった。 古人曰く——祭りとはその準備段階こそが最も楽しい時間であると。 いやいやそんなはずはない本番が一番楽しいだろ、でも騒がしさなら確かに負けてねーな、というのが最近の上条当麻の考えだった。 今日も耳を澄ませばいろんな音が聞こえてくる。 あちらからは釘を打つ音と失敗の悲鳴が。「痛ってー指打ったー!」 こちらからは木を組む音と失敗の悲鳴が。「てめーそっち押さえてろって言っただろーがー!」 そちらからは道を歩く音と失敗の悲鳴が。「誰よこんなとこに立て看置いたのー!」 「…………ドジっ子多すぎ」 しかし待て。これにはやんごとなき事情があったりするのだ。 上条の通うこの高校は、もともと会場指定校ではなかった。当初この区域の会場校だった学校に耐震強度偽装問題が発覚し、理事会から急遽代行を命じられたのである。 あの『学舎の園』も招待校に含まれるこの区域(『学舎の園』自体は一般公開されないのが基本なので会場校にはならない)の代表という大役を代役しなければならなくなったというのは、全校生徒、並びに教員一同にとってまさしく寝耳に水の衝撃だった。 不安もあったが、ここでいい所を周囲に示せれば第七学区での、いや学園都市全体での地位向上も夢ではない。例えるなら明日のスターを決めるオーディションに飛び入り参加が決まったようなものだ。お祭り気質の強いこの学校のテンションはうなぎ登りに上がっていった。 ——だがしかし。これまで招待参加でのん気にやってきた学校に会場校としてのノウハウがあるわけもなく、あちらこちらそちらで不具合が生じてしまっているのが現状だった。 係分けすらままならず、大半の生徒が「雑用係」という適当な役目を与えられ、昨日買出しに行かされたかと思えば今日はこうして看板のペンキ塗りをしていたりする。しかも一人で。 ろくにスケジュール表も作らず、目に留まったことを上から順にやっている感があるため、放課後の校内はひたすら空回り気味だった。 上条はペタペタペターッと刷毛(はけ)を滑らせてゆく。中庭の壁に大きな木の板を立てかけて、気分だけは画家を気取り。その足元には昨日吹寄と買いに行ったペンキの缶がいくつも転がっていた。 教室内では出来ない作業をするために、中庭にはいくつかのグループがやってきていて、上条もそのうちの一人だった——まさしく。 孤独に刷毛を振るいながら、ため息がもれる。 「はあ……こんなことなら演劇班に入ればよかったかなー」 今の学校内で、唯一まともに役割分担がなされているグループ——それが演劇班だ。役者だけでなく音響、照明なども含まれる(大小道具は演劇以外にも入用なので例外)。 自分が何やってるのかわからないほどあちこち走らされるよりは、理路整然とした活動ができる方が身が入るってものだろう。 と、その時。 「ふむふむ。それなら都合がいいのですよ」 不意に上がった声に振り返ると、そこにはビッ、とチョップみたいな挨拶をしているクラスメイトの図書委員(女子)がいた。 「やっほー。調子はどう? かみやんくん」 左右の横髪だけが長く伸びた外跳ね気味のショートボブ。実用と言うよりはアクセサリーみたいな小さな眼鏡を鼻の頭に乗っけていて、ずり落ちやしないかと気になって仕方がない。右手はビラビラと綿毛みたいにテープ付箋が貼られた紙束を持っていた。 言祝栞(ことほぎ しおり)。 通り名はアウトドア系文学少女。また、現在“とある事情”でクラス内どころが高校内での最高権力を手にしている人物でもある。 上条はペンキを塗る作業を止め、刷毛を持った手で同じようにチョップを返し、 「まあまあだな。しかし、言祝“監督”じきじきの視察とは緊張するな。ま、見ての通りのものでしかないぞ」 反対の手で期待の新鋭上条画伯渾身の作品を指し示す。 言祝はその木の板をちらと見て一言。 「絵心ないね」 「………………そう言うアンタは容赦がないな」 「あはは。気にした? ごめんごめん冗談だって。でもま、そのくらいでなきゃあの演劇班(れんちゅう)の監督なんて務まらないけどねー」 演出の巧みさ、指導の正確さ、ついでに人使いの荒さにも定評のある我らが言祝監督はけらけらと上機嫌に笑った。 彼女が演劇監督に指名されたとき、誰もが「やっぱり……」と思ったほどなのだからただ者ではない。なにせその平坦な胸に朱色で三重丸を描き、白羽の矢を受けるというか射られる前に食らいつこうとしていたくらいなのだ。 元より言祝は校内でも有名な「図書委員」だった。彼女が当番の日に図書室に行くと、例外なく「オススメ」をされる。しかもその強烈さときたら受けた者が口を揃えて「あれはもはや『布教』だ」と証言するほどである。図書委員の権限を傘に着た趣味の押しつけ行為——と思いきや、実はちゃんと人を見て薦める本を選んでいるので、こっそり好評であったりもするのだが。 上条はパレット代わりに使っていたダンボールの切れ端に刷毛を置き、 「そういや、都合がいいとか言ってたけど。またどっか人手の足りない所でもできたのか?」 雑用係が東奔西走する理由の大半はそれだ。例えば砂場に穴が見つかったとして、それを埋めるために他から砂を集めるのだが、そのせいで今度は別の場所に穴ができる。その繰り返しだった。吹寄などの実行委員も頑張ってはいるようだが、砂場がまっ平らにならされるにはまだ大分かかりそうである。 しかし、言祝の反応は単なる人手不足にしてはちょっと深刻そうだった。 「……実はねー。演劇班から抜けるって人が何人かいて、このままだと練習も立ち行かなくなりそうなのですよ。それで、雑用係から移ってくれる人いないかなーってうろついてたら、ちょうどかみやんくんがぼやいてたから」 ね? と言祝は両手の平を合わせて「お願い」のポーズをとった。 つまりは演劇班への勧誘だ。それも監督が自ら足を運んでの。 うーむ、と上条は考え込む。 今から仕事を覚えるのは大変そうだが、あれやこれやと要領悪く使われるよりはマシかもしれない。中庭で代わりを探していたのなら、おそらく力仕事の類だろう。何よりこの学校の一番の見せ所である演劇「シンデレラ」が立ち行かなくなりそうだというのなら、断るわけにはいかない。 結局、お人よしな上条当麻は引き受けることに決めた。 「オッケー。で、どこに入ればいいんだ? つか、この時期に抜けるなんて迷惑な話だよな」 言祝は困ったように頬をかき、 「部活の出し物との掛け持ちがやっぱりしんどいってことで……もともと無理言って来てもらってたから、責めるわけにもいかないのですよ」 一端覧祭で出し物をするのは学校別でだけではない。吹奏楽部や美術部などの文型クラブにも発表のために相応のスペースと時間が与えられる。大抵は各学校の同じクラブとの合同という形になるが。例外的に、今年は文芸部と陸上部と弓道部が協同で企画をするらしい。 みんなそれぞれ頑張ってるんだなー、と帰宅部所属の上条はしみじみ思った。 言祝は一歩近づいてきて、 「というわけで。はいこれ」 手に持っていた紙束を差し出してきた。 コピー用紙をホチキスで留めた冊子で、表紙には「シンデレラ 役者用台本」と印字(プリント)されている。 上条は目を丸くする。じわじわと嫌な予感を背筋に覚えながら、 「へ? いや、これ言祝のじゃねーの? つか裏方なら役者用の台本じゃ駄目だろ」 すると言祝は、ありゃりゃ、とでも言うように表情を変えて、 「裏方なんて一言も言ってないんだけど」 「役者だとも一言も聞いとらんかったわ!」 「だって言ったら断られたと思うし」 「は!?」 「演劇部から来てくれてた役者さん達が、他校との合同公演に専念したいって言うからさ。だったらついでに前々から考えてたスペシャルキャストを採用してみようかと思い立った次第であります」 「てことはたまたま俺がぼやいてたからってのは嘘か!? 始めから騙してでも役者にするつもりでここに来たんだな!? てか演劇部の連中が抜けたのってこの腹黒文学少女(アーティスト)の野望に邪魔だったからじゃねーだろうなぁ!?」 身を震わせてわめく上条を眺めて、言祝は小首をかしげた。 「はて。なにが不満なのやら。かみやんくんには最高の役を用意しているのですよ?」 えー、と上条は全く信用していない。それに、この監督の下ではたとえ王子様役であったとしても惹かれはしないだろう。 言祝は受け取ってもらえなかった台本をペラペラと開き、 「ほらこれ」 と、ある文字を指差し示した。 ——それは確かに最高の役。 知らない者などいない伝説的キャラクター。 文句なしの、主役(プリマ)だった。 『シンデレラ』 たぶん、世界が十秒は止まったと思う。 「っっっっっっっっっっっっっっけんなぁ!? こんっなヤな汗かいたのは夏の海以来だ! ツンツンブラックヘアーでXY染色体持ち(じゅんせいだんし)のシンデレラ姫がどこの世界にいるっつーんだ!?」 「二次創作の世界ならいるんじゃないかなぁ」 「どこだよ!? 違う! そこ重要違う! 俺が言いたいのは、なんだって俺がシンデレラをやらなくちゃなんねーのかってことだ!!」 「あ、せーちゃんは王子様役だから」 吹寄制理→吹寄「制」理→「せい」→「せーちゃん」 (※注 ここ試験に出ます) 「吹寄も巻き込んだのかよ! ならあいつにシンデレラやってもらえばいいじゃん! 少なくとも俺よかは似合うって! 全国の玉の輿(シンデレラドリーム)を夢見る少女たちのためにどうかー!」 「うーん。でもさ、タキシードも似合うと思わない? あとレイピアとか」 「……………………………………い、いかん。ここで納得したら負ける、負けるというのに……!」 はっきり言って、タキシードを着てどっちが様になっているかと問うならば、答えは自明だ。女性に対して失礼だとは思うが、似合うのだから仕方ない。 しゃがみこんでしまった上条の肩に手を置き、言祝栞監督はまるで(もなにも)最後通牒のように優しく、 告げた。 「——ガンバレッ! お姫様(プリンセス)!」 「イ…………イヤダァァァァァァッ!!」 上条当麻は一方通行(アクセラレータ)や追跡封じ(ルートディスターブ)と戦った時にも決して上げなかった——本心からの悲鳴を上げた。 無理だ。いくら神様の奇蹟さえ打ち消せる幻想殺し(イマジンブレイカー)でも、他人の頭の中にある空想(わるのり)だけは殺せない。 何を以てここまでこだわっているのかは不明だが、言祝は完璧に上条シンデレラを舞台に立たせることに決めているようだ。そしてぶっちゃけた話、今の言祝に逆らえる人物などこの学校にいない。権力以前に論破することが不可能なのだ。一度こうと決めた芸術家の意思は鉄より硬く星より重い。 なら諦めるのか。諦めて、豪奢なドレスを着て余所の学校からも大勢の観客が集まる舞台でシンデレラ姫の役をやるのか。 (……………………………………………………うわぁ) 想像力なんて嫌いだ。一瞬でも思い浮かべてしまったことを吐くほど後悔する。ビジュアルだけでも十分死ねるが、その後の未来予想はまさに世界の終わり(カタストロフ)。校内では後ろ指を指され、校外ではまだ乙女の心を残していそうな超電磁砲(レールガン)とか空間移動(テレポート)とかに絵にもできないような目に合わされる…… 駄目だ。三日ももたない。 (だったらどうする、だったらどうする上条当麻! 逃げるのは駄目だ、この場でなんとかしないと勝手に話を進められてやがては学校全体が敵になる。くそっ、文学少女のこだわりがこれほどまでに強敵だったとは! あえて言おう! 不幸だー!) のたうつ上条を一言で表現するのなら、「崖っぷち」以外にありえない。後は堕ちるのを待つばかり、と言祝は余裕の表情だ。この状況をひっくり返すのは、もはや上条一人の力では不可能だった。 誰か、誰か救いの神はいらっしゃらないのかー! とよりにもよって右手を伸ばした上条だが、 珍しいことに今回ばかりは、幸運の天使が舞い降りたようだった。 カツン、という足音。 首を上げて見ると、校庭に通じる道から誰かが中庭に入ってきたらしい。目を凝らせば、どうやら余所の学校の女生徒らしかった。 小さくレースが入った白いブラウスに、真っ赤なスカーフが映えている。膝丈のスカートも同じ赤だった。両手で持っている手提げ鞄はあまり可愛げのないデザインだから、学校指定のものかもしれない。 (…………………………え?) 上条の頭が疑問符で埋め尽くされる。 別に、他校の生徒が校内にいることが不思議だったのではない。会場の下見目的で訪れている学生を何度か見かけたこともある。だから“彼女”も、“上条を確認して近づいてくる彼女も最初はそうだと思っていたのだけど”————! 「……問一。トーマ、地面に這いつくばっているのは修行か何かか?」 断じて違う、と答える声も出ない。 ゆるく波打つ金髪(ブロンド)。ヘアピンで上げられた前髪の下から白いおでこが覗いている。ここまで近づいてようやく気づいたが、手提げの中身はやはり大工道具。 その名もサーシャ・クロイツェフ。 上条さん家の赤シスター。 上条は精神的なダメージから起き上がることのできないまま、 「あのー、サーシャ? なぜにウチの学校へいらっしゃるので? 確か家でインデックスと『灰姫症候(シンデレラシンドローム)』探しの計画を立てていたはずでは?」 「回答一。そのインデックスから言伝を承ってきた。——今日の夕飯はオムライスがいいと」 それだけかーい! と叫ぶ勢いで立ち上がる。 と、そして気づいた。ある場所からある場所へ、ものすごい視線が送られていることに。 送信元、受信元共に上条ではない。しかしその二点を結ぶ線上に彼は立っていたのだ。熱量を伴っている気さえする視線を背筋に浴びながら、ゆっくりゆっくりとジャングルで猛獣に遭遇したときのように慎重に体をずらしていく。 そして、遮る物はなくなった。 「……………………………………、」 言祝栞からサーシャ・クロイツェフへ。 注がれる視線は熱く、それでいて静かで、ありえないほど運命的だった。 やがて震える唇がやっとの思いで言葉を紡ぐ。 「……………………採用」 「……問二。何のことだかさっぱり不明なのだが」 困ったように首をひねるサーシャに、しかし上条は返す言葉もなく、果たしてこれは本当に幸運だったのだろうかと真剣に悩み始めていた。
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第3話 【集結】 はやて「目指した夢は、少し長い時を経て…今、やっと手のひらの中」 フェイト「思いと願いは違っても、一つの場所に集まって…一つのことを、今始める」 なのは「出会いと再会も、始まりはここから」 はやて「それぞれに進んでいく道の、ここは小さな通過点」 フェイト「集まり結ぶ、新しい絆」 なのは「魔法少女リリカルなのはStrikerS……始まります」 はやて「リィンのディスクも、ちょうどええのが見つかってよかったなぁ」 なのは「本日ただいまより高町なのは一等空尉」 フェイト「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官」 なのは「両名とも、機動六課へ出向となります」 フェイト「どうぞ、よろしくお願いします」 はやて「はい、よろしくお願いしますぅ」 はやて「機動六課課長。そして、この本部隊社の本部隊長、八神はやてです。 平和と法の守護者、時空管理局の部隊として事件に立ち向かい、人々を守っていくことが、 私たちの使命であり成すべきことです。実績と実力に溢れた指揮官陣。若く可能性に溢れたフォワード陣。 それぞれ優れた専門技術の持ち主の、メカニックやバックヤードスタッフ。 全員が一丸となって、事件に立ち向かっていけると信じています。まぁ、長い挨拶は嫌われるんで、 以上ここまで。機動六課課長及び部隊長、八神はやてでした!」 フェイト「シグナム。ほんと、久しぶりです」 シグナム「ああ…テスタロッサ。直接会うのは半年振りか」 ファイト「はい。同じ部隊になるのは初めてですね。どうぞよろしくお願いします」 シグナム「こちらのセリフだ。だいたいおまえは私の直属の上司だぞ」 フェイト「それがまた…なんとも落ち着かないんですが…」 シグナム「上司と部下だからな。テスタロッサにおまえ呼ばわりもよくないか。敬語でしゃべったほうがいいか?」 フェイト「あぅ…そういういじわるはやめてください。いいですよ、テスタロッサで…おまえで」 シグナム「ふっ…。そうさせてもらおう」 なのは「今返したデバイスには、データ記録用のチップが入ってるから。ちょっとだけ、大切に扱ってね」 シャーリー「機動六課自慢の訓練スペース。なのはさん完全監修の陸戦用空間シミレーター」 シグナム「ヴィータ。……ここにいたか」 ヴィータ「…シグナム」 シグナム「新人たちはさっそくやっているようだな」 ヴィータ「ああ」 シグナム「おまえは参加しないのか?」 ヴィータ「四人ともまだよちよち歩きのヒヨッコだ。私が教導を手伝うのはもうちょっと先だな」 シグナム「そうか」 ヴィータ「それに自分の訓練もしたいしさ。同じ分隊だからな。私は空でなのはを守ってやらなきゃいけねぇ」 シグナム「…頼むぞ」 ヴィータ「ああ。そういえばシャマルは?」 シグナム「自分の城だ」 なのは「私たちの仕事は捜索指定ロストロギアの保守管理。その目的のために私たちが戦うことになる相手は…これ!」 シャーリー「自律行動型の魔法機械。これは、近づくと攻撃してくるタイプね。攻撃は結構鋭いよ」 なのは「では、第一回模擬戦訓練。ミッション目的。逃走するターゲット八体を破壊。または捕獲。15分以内」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!!」 シャーリー「それでは」 なのは「ミッション」 なのは・シャーリー「スタート!!」 リインフォースⅡ「ヴァイス陸曹,ヴァイス陸曹は皆の命を乗せる乗り物のパイロットなんですから、 ちゃーんとしてないと駄目ですよ!」 はやて「捜索指定遺失物。ロストロギアについては、皆さんよくご存知のことと思います」 「様々な世界で生じたオーバーテクノロジーのうち、 消滅した世界や古代文明を歴史に持つ世界において発見される、危険度の高い古代遺産。 特に大規模な災害や事件を巻き起こす可能性のあるロストロギアは正しい管理を行わなければなりませんが、 盗掘や密輸による、流通ルートが存在するのも確かです。 さて、我々機動六課が設立されたのには一つの理由があります。 第一種捜索指定ロストロギア、通称『レリック』」 フェイト「このレリック。外観はただの宝石ですが、古代文明時代に何らかの目的で作成された 超高エネルギー結晶体であることが判明しています。レリックは、過去に4度発見され、 そのうち三度は周辺を巻き込む大規模な災害を起こしています」 管理局幹部「おぉ……」 フェイト「そして、後者二件ではこのような拠点が発見されています」 「極めて高度な、魔力エネルギー研究施設です。発見されたのはいずれも未開の世界。 こういった施設の建造は許可されていない地区で、災害発生直後にまるで足跡を消すように破棄されています。 悪意ある…少なくとも法や人々の平穏を守る気のない何者かがレリックを収拾し、運用しようとしている、 広域時限犯罪の可能性が高いのです。そして、その何者かが使用していると思われる魔道機械がこちら。 通称『ガジェット・ドローン』」 「レリックを始め、特定のロストロギアの反応を捜索しそれを回収しようとする自律行動型の自動機械です」 ティアナ「バリア!?」 キャロ「違います。フィールド系?」 スバル「魔力が消された!?」 なのは「そう。ガジェット・ドローンにはちょっとやっかな性質があるの。 攻撃魔力をかき消すアンチマギリングフィールドAMF。普通の射撃は通じないし…… ティアナ「スバル、バカ危ない!」 なのは「それに、AMFを全開にされると…飛翔や足場作り。移動系魔法の発動も困難になる。スバル。大丈夫?」 スバル「っつ~。…な、なんとか…」 シャーリー「まぁ、訓練場では皆のデバイスにちょっと細工をして擬似的に再現してるだけなんだけどね。 でも、現物からデータをとってるし、かなり本物に近いよ~」 なのは「対抗する方法はいくつかあるよ。どうすればいいか、すばやく考えてすばやく動いて!」 シャーリー「へぇ~。皆よく走りますね~」 なのは「危なかっしくてドキドキだけどね」「デバイスのデータ、取れそう?」 シャーリー「いいのがとれてます。四機ともいい子に育てますよ~」 キャロ「我が求めるは、戒める物、捕らえる物。「言の葉に応えよ、鋼鉄の縛鎖、錬鉄召喚、アルケミックチェーン」 シャーリー「ほへぇ~!召喚ってあんなこともできるんですね~」 なのは「無機物操作と組み合わせてるね。なかなか器用だ」 シャーリー「魔力弾?AMFがあるのに?」 レイハー「Yes, there is an available passing method.(いいえ、通用する方法があります)」 なのは「うん」 ティアナ「攻撃用の弾体を無効化フィールドで消される膜状バリアでくるむ。 フィールドを突き抜けるまでは入るだけ外郭が持てば、本命の弾は…ターゲットに、届く!」 なのは「フィールド系防御を突き抜ける多重弾核射撃。AAランク魔道師のスキルなんだけどね」 シャーリー「AA!?」 ティア「固まれ…固まれ…。固まれ…固まれ!!」 シグナム「中央のほうはどうでしたか?」 はやて「まぁ、新設部隊とはいえ後ろ盾はそうとうしっかりしてるからな。そんなに問題はないよ」 シャマル「後継人だけでもリンディ提督にレティ提督にクロノ君。んじゃない、クロノ・ハラオウン提督」 シグナム「そして最大の後ろ盾、聖王教会と教会騎士団の騎士カリム。ま、文句の出ようはありませんね」 はやて「現場のほうはどないや?」 ヴィータ「ん?…なのはとフォワード隊は挨拶後朝から夜までずっとハードトレーニング」 ヴィータ「新人たちは今頃グロッキーだな」 ヴィータ「ま、全員やる気と負けん気はあるみたいだし、なんとかついてくと思うよ」 はやて「うん」 シャマル「バックヤード陣は問題ないですよ。和気あいあいです」 シグナム「グリフィスも相変わらずしっかりやってくれてます。問題ありませんね」 はやて「…そうか。私たちが局入りして、かれこれ10年。やるせない、 もどかしい思いを繰り返して、やっとたどり着いた私たちの夢の舞台や。 レリック事件をしっかり解決して、カリムの依頼もきっちりこなして、皆で一緒に頑張ろうな」 ヴィータ「うん!頑張る!」 シャマル「もちろんです」 シグナム「我ら守護騎士。あなたと共に」 フェイト「新人たち…手ごたえはどう?」 なのは「うん。皆元気でいい感じ」 フェイト「そう。……立派に育っていってくれるといいんだけどね」 なのは「育てるよ。……あの子達がちゃんと、自分の道を戦っていけるように…ね」 次回予告 フェイト「出動に備えて、訓練の日々を続けるフォワードメンバー」 なのは「出会うのは、共に戦うパートナー。それぞれのための専用デバイス」 フェイト「次回魔法少女リリカルなのはStrikerS第四話」 なのは「ファースト・アラート」 なのは・フェイト「Take off!」
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魔法少女リリカルなのは Blu-ray BOX Blu-rayBOX発売日:10月1日 ●映像特典 ・記者会見映像 ・パイロットフィルム ・ノンクレジットオープニンング ・TV-CM集 ・ノンクレジットエンディング ・店頭用プロモーション映像 ・発売記念イベント「リリカル☆パーティー」ダイジェスト ・出演声優インタビュー 2004年放送。続編に魔法少女リリカルなのはA sが、劇場版に魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1stがある。 2014年10月1日、初のBlu-rayBOXが発売。 http //www.nanoha.com/archive/ 監督 新房昭之 原作 都築真紀、ivory 脚本 都築真紀 キャラクターデザイン 奥田泰弘 美術監督 片平真司 色彩設計 田崎智子 撮影監督 森下成一 編集 関一彦 音響監督 亀山俊樹 音響効果 高梨絵美 音楽 佐野広明 アニメーションプロデューサー 上村修 アニメーション制作 セブン・アークス 脚本 都築真紀 絵コンテ 一分寸僚安 田所修 こでらかつゆき 阿部雅司 演出 草川啓造 秋田谷典昭 守田芸成 阿部雅司 斉藤良成 上坪亮樹 西山明樹彦 中山岳洋 作画監督 奥田泰弘 田中千幸 高梨光 大田和寛 斉藤良成 高鉾誠 友岡新平 中山岳洋 金子誠 水上ろんど ■関連タイトル 魔法少女リリカルなのは Blu-ray BOX DVD 魔法少女リリカルなのは Vol.1 魔法少女リリカルなのは オリジナルサウンドトラック 魔法少女リリカルなのは Sound Stage 01 藤真拓哉画集 Vividcolor 魔法少女リリカルなのは原画集 魔法少女リリカルなのはtype 2011年 01月号 アルター 高町なのは STAND BY READY 1/7スケールPVC塗装済み完成品 アルター フェイト・テスタロッサ -PHANTOM MINDS- 1/7 PVC塗装済み完成品 ねんどろいど 高町なのは The MOVIE 1st ver. ムービック ぬいぐるみ 高町なのは フィギュア・ホビー:魔法少女リリカルなのは メガミ文庫 都築真紀・奥田泰弘・長谷川光司/魔法少女リリカルなのは
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「あ」 相沢美奈子(a) 朝倉泉(え) 熱田ゆい(N) 雨宮京助(N) 雨宮敬子(え) あやめ型ロボット(プロトタイプ3号機)(a) 井笠京(え) 井川三朗(え) 一色幸恵(N) 歌登民(え) 内部慶二郎(え) 王滝真(え) 大湊(し) 大西知美(a) 奥山歩(え) 奥山翔(え) 尾小屋螢(え) 「か」 北勢慶一郎(え) 協田三紗(え) 頸城恵(え) 黒野恋花(N) 「さ」 西大寺鼓(え) 酒井紫苑(え) 坂川睦(え) 佐世保(し) 下津井圭輔(え) 白瀬美雪(N) 仙北慧(え) 「た」 高田恵子(a) 田中瑞香(a) 樽見さやか(N) 築地祐樹(N) 九十九里津海(え) 土合まひる(え) 栃尾啓吾(え) 「な」 中村律子(N) 根室拓(え) 沼尻馨(え) 「は」 橋本和美(a) 花巻繋馬(え) 保田亀造(え) 本間秋絵(し) 「ま」 舞鶴(し) 向丘楜(え) 村岡美由紀(a) 守山(し) 「や」 魚染瀬槇(え) 山口霞(え) 横須賀(し) 「ら」 「わ」
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女装を含みます。 2012年8月23日(バニーさんの日)に合わせてpixivにアップしたもの。動物繋がり→コウノトリ繋がり。ダブルパロ率高いけど、本編パロディと女装も含んでるし分類に困った。 目次 目次 コメント コメント 名前
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暖かな空気が、泥沼の底に沈んでいたセインの意識を覚醒させた。 白く清潔に保たれた室内に、かすかに漂う消毒液の臭い。セインは医務室のベッドに寝かされていた。 セインが上体を起こすと、三枚重ねて乗せられていた毛布がずり落ちる。 「来たか、一輝」 小さな呟きに振り向くと、室内の色に溶け込むように、キグナスの聖衣をまとった氷河が窓辺にたたずんでいた。 氷河は遠い眼差しを窓の外へと注いでいた。まるでよく知る誰かがそこにいるかのように。 その瞬間、セインは絶対零度の凍気によって自分が倒されたことを思い出した。 蘇ってきた寒気と恐怖に、セインは震えながら毛布を抱き寄せる。もしやと思って指先を調べるが、凍傷にかかった様子はなかった。 セインはひとまず胸を撫で下ろす。 「気がついたようだな」 氷河が視線だけをこちらに向けてきた。キグナスの聖衣の氷はまだほとんど解けていない。セインが敗北してから、さほど時間は経っていないようだ。隣には、水瓶を抱えた乙女のオブジェとなった黄金聖衣が置かれている。 「黄金聖衣とコスモに感謝するんだな」 氷河が突き放すように言う。その二つのどちらが欠けても、セインは凍死していたはずだった。 しかし、セインは毛布に包まりながら、にっこりと氷河に笑いかける。 「優しいんだね」 「何のことだ?」 氷河はとぼけるが、セインにはお見通しだった。 セインが意識を失っていた時間はごくわずかだ。なのに、アクエリアスの聖衣は表面に結露こそ生じているが、どこも凍結していない。 黄金聖衣を凍結させるには、絶対零度が必要となる。つまり最後のオーロラエクスキューションは、絶対零度にわずかに足りていなかったのだ。氷河が手加減してくれたのだろう。 仮にセインを倒すのにそこまで必要ないと判断していたとしても、同じことだ。凍傷にすらかかっていないということは、氷河はセインをあの極寒の室内からすぐさま連れ出し介抱してくれたのだ。 三枚重ねの毛布に、室内の気温はエアコンによりやや高めに保たれている。セインが寒くないようにという配慮だろう。敵である自分にここまでしてくれるのだ。どんなにクールを気取ろうと、氷河が人情家であることは疑いようがない。 (そして、甘いんだね) セインは心の中で舌を出し、ディープダイバーの準備をする。 助けてくれたことには感謝しているが、それはそれ、これはこれだ。連行される前にとっとと逃げ出すに限る。 セインはにこにこと愛想笑いを浮かべつつ、慎重に氷河の隙を窺う。 氷河はしばらくセインを見ていたが、やがて興味を失ったように窓の外に視線を戻した。 セインは即座にディープダイバーを起動させた。ベッドを突き抜け、一息に床下まで潜行しようとする。 ピタリと氷河の人差し指が、セインの額に突きつけられた。 セインの体は、わずかにベッドに沈んだだけだ。いつの間に隣まで移動したのか、セインにはわからなかった。聖闘士のスピードの凄さを改めて実感する。 「逃げるつもりなら、動きを封じさせてもらうが?」 氷河の指先に凍気が集中する。カリツォー、またの名を氷結リング。氷の輪で相手の動きを封じる技だ。 「……あ、あははは、冷たいのはもう勘弁」 セインは両手を上げて降参の意を示す。どうやら逃亡は無理のようだ。 凍結の恐怖はセインにしっかりと植え付けられていた。セインが冬を好きになることはもうないだろう。 その頃、通路の中で、聖闘士の兄弟とナンバーズの姉妹が互いに牽制しあっていた。 「兄さん、気をつけて。彼女たちは黄金聖闘士の技の他に、魔法を使うんだ」 チンクから視線をそらさず、瞬が一輝に警告する。 「魔法か。どうりで面妖な術を使うわけだ」 「ピスケスは僕に任せて。兄さんはスコーピオンをお願い」 一輝の問いかけるような眼差しに、瞬は笑顔で応える。 「僕もアテナの聖闘士だ。一人でも大丈夫だよ」 「そうか」 一輝がドゥーエに拳を向ける。 チンクとドゥーエは素早く通信を交わすと、ドゥーエはその場から身を翻した。 「逃がさん!」 一輝がドゥーエを追いかけ、二人は建物の外へと走り去っていく。 瞬とチンクが通路に取り残された形になる。瞬が鎖を構えると、 「すまない。私の姉が無礼をした」 いきなりチンクが頭を下げてきた。 「えっ?」 まさか謝られるとは思っておらず、瞬は意表を突かれた。 「信じてもらえないだろうが、私はこの戦いを誰にも邪魔させるつもりはなかった」 チンクは瞬の目をまっすぐに見据えて言った。 これまでチンクは戦いに信念など持っていなかった。そもそもナンバーズは闇討ちや破壊工作など、聖闘士からすれば卑劣と罵られる行為を、平然と行ってきた。 もしドゥーエの行動が最初からの計画通りならば、それは知略の勝利だろう。しかし、ドゥーエはチンクに何の説明もなしに潜んでいた。別にチンクが劣勢になっていたわけでもない。これではチンクの力量を信じていないようではないか。 チンクは戦う為に生み出された戦闘機人だ。己の性能を限界まで引き出せるアンドロメダとの戦いは、存在意義を認められたような気分にさせてくれる。この上で、勝利を得られるならば、それは最高の栄誉となるだろう。 もしかしたら、知らず知らずのうちに聖衣や聖闘士に感化されているのかもしれないと、チンクは自嘲する。 「さあ、仕切り直しと行こう」 ドゥーエにこの場から去ってもらったのは、チンクの意思だ。邪魔をされたくなかったのも理由だが、これでランブルデトネイターを思う存分使うことができる。 黒バラを両手に構えるチンクに対し、瞬は両腕をだらりと下げたままだった。 「どうした? 決着はまだついていないぞ」 「……わからない」 瞬のコスモが急速に勢いを失っていく。 「やっぱり君からは邪悪な気配が感じられない。なのに、どうしてスカリエッティに協力しているんだい?」 ネビュラチェーンを地面に垂らしたまま、瞬は尋ねる。 「我らはドクターの夢を叶えるために生み出された。それ以外の理由など必要ない」 「そうか…………君たちと僕らは似てるんだね」 瞬たちは、アテナの養父、城戸光政によって聖闘士の候補生として集められた孤児たちだった。兄弟からも無理やり引き離され、この世の地獄と呼ばれる修行の地へと送り込まれた。生きて日本に帰るには、聖闘士になるしかなかった。 子供は無力だ。大人の言いなりになるしかない。 それでも、瞬は自分をまだ恵まれている方だと思っていた。修業はつらく苦しかったが、師にも修行仲間にも恵まれ、兄とも再会できた。そして、今はアテナの聖闘士。戦いは嫌いだが、地上の愛と平和を守る礎となれる。 「知った風な口を。もういい。戦わないと言うならば、この場で倒す!」 チンクが右腕を振りかぶる。 瞬は悲しげに目を伏せ、ネビュラチェーンを地面に落した。 チンクの視界が激しい怒りで真っ赤に染まる。最高の戦いになるはずが、相手の戦意喪失によって幕引きとなる。こんな結末、物語なら三流以下だ。 「ピラニアンローズ!」 激情に任せ、黒バラを投擲しようとする。その時、瞬のコスモが爆発的に膨れ上がった。 「なっ!」 チンクが黒バラを振りかぶった不自然な体勢で停止する。どれだけあがいても、指先を動かすことすらままならない。 「これは…………風!?」 瞬の掌から発せられる風が渦を巻き、見えない鎖となってチンクを縛り上げていた。 「ネビュラストリーム」 憂いを帯びた声で瞬が呟いた。 アンドロメダ最大の奥義だ。瞬の生身の拳は威力があり過ぎる。ゆえに、普段はネビュラチェーンを使い、拳を封印してきた。 「この技だけは使いたくなかった。でも、これ以外に君を傷つけずに捕まえる方法がない」 ネビュラストリームは、拳から気流を生み出し相手の動きを封じる。気流は、瞬のコスモの高まりに応じて激しくなり、最後は嵐となってあらゆる敵を粉砕する。ピスケスの命を奪った忌まわしき技だ。 「この程度……」 気流を遮ろうとバリアを展開するが、間髪いれずに気流の圧力によって砕かれる。 「無駄だよ。本物のピスケスならばともかく、君はもう動くことはできない」 ピスケスの黄金聖闘士アフロディーテは、瞬の気流に捕らわれながらも必殺のブラッディローズを放ってみせた。だが、ナンバーズの機械頼みのコスモでは、ネビュラストリームを破る域にまで達しない。 「スカリエッティは犯罪者だ。いくら親だからって、そんなものに従う必要はないんだ」 「ドクターを侮辱するか!」 「もっと君にふさわしい居場所が、きっとある。それを見つける為にも、罪を償う為にも、今は降伏してくれ!」 瞬が必死にチンクに降伏を呼びかける。 ネビュラストリームから抜け出す方法を見つけられず、チンクは唇を噛みしめる。 その時、ウーノから戦況報告が送られてきた。 「何だと?」 チンクが表情を一変させる。 「ノーヴェとウェンディが……ディエチとセインもか?」 それはチンクの妹たちがことごとく捕縛されたという知らせだった。 「お願いだから、降伏してくれ!」 「………………」 重ねて呼びかける瞬に対して、チンクは怒りの消えた静かな眼差しを返した。 瞬は猛烈に嫌な予感に襲われた。チンクの眼差しは静かでいながら、奥底にはこれまでより強い覚悟が潜んでいる。瞬はあの目を知っている。あれは死を覚悟した戦士の目だ。 「残念だが、それはできない」 チンクの周囲に二本の黒バラが出現する。気流で体の動きは封じられても、武器の転送だけはできる。しかし、その手で投げなければ、聖闘士に通用する速度はとても出せない。 「IS発動ランブルデトネイター」 チンクの声に合わせ、黒バラが爆発する。しかし、距離が遠すぎるのと、ネビュラストリームの気流に邪魔されて、爆風は瞬の元へは届かない。 何の意味もない行動を、瞬はいぶかる。 次の瞬間、爆炎を突き破り、チンクが飛び出してくる。 「まさか!?」 瞬は我が目を疑った。 チンクはランブルデトネイターの爆発で気流を乱し、拘束を弱めたのだ。 いかに黄金聖衣をまとっていたとはいえ、至近距離での爆発はチンクに深いダメージを与えていた。 瞬が再びネビュラストリームを放つと同時に、チンクは両腕に持っていた黒バラを宙に放り投げる。 再び起こった爆発が、ネビュラストリームを霧散させる。 「まだだ!」 爆風でピスケスの兜が吹き飛び、地面に落ちる。眉間から血を流しながら、チンクは隻眼で瞬を睨む。 「もうやめるんだ。これ以上やったら、君が死んでしまう!」 瞬が気流を強めると、チンクはより多くのバラを爆発させ対抗する。熱風と衝撃波に命を削られながらも、チンクは決して歩みを止めない。 「どうして、そこまで……君はそこまでスカリエッティを……」 「違う」 チンクは首を横に振った。 「アンドロメダ。白状するが、お前の指摘は正しい。私はドクターの夢に共感できているわけではない」 チンクは生みの親であるドクターに感謝しているし、願いを成就させる手伝いもしたいと思っている。だが、それは強い動機になりえなかった。 チンクは生まれてからというもの、命じられるまま粛々と任務を遂行してきた。 しかし、妹たちが次々と誕生し情を移していくにつれ、研究と発展のためとはいえ、同じように家族がいて平穏に暮らしている者たちを犠牲していいのかという迷いが発生した。 迷いが生まれるまでに、チンクは随分手を汚してきた。今さら生き方を変えることはできないから、他に生きる方法を知らないからと思考を停止させ、迷いから目をそらし続けてきた。 「だが、先ほど連絡があった。私の妹たちはほとんど捕まったらしい。お前たちに兄弟の絆があるように、私たちにも姉妹の絆がある。妹たちを助けられるのなら、この命など惜しくはない!」 今のチンクにはもう迷いはない。ドクターの夢の為ではなく、捕らわれた妹たちを助けたいという強く純粋な願いが、チンクを修羅と化した。 「アンドロメダ、貴様の命もらい受ける!」 チンクが血を吐くように宣言する。爆発にさらされ続けたチンクの両腕は、もうほとんど力が入らない。残された攻撃方法は、ランブルデトネイターによる自爆しかない。 ネビュラストリームは黄金聖闘士すら縛り上げる恐るべき技。ナンバーズで瞬の気流を破れるのはチンクだけだろう。 六課のメンバーは勝利こそすれ、ほとんどが戦闘不能で事実上相打ちに近い。残ったメンバーや聖闘士たちも、かなりのダメージを負っている。敗走中のトーレとクアットロが回復すれば、まだ勝機はある。 チンクはここで諸共にアンドロメダを排除し、残った姉たちに後を託そうとしていた。 「君にも守りたいものがあったんだね」 チンクの覚悟を知った瞬の頬を、一筋の涙が伝う。 傷つけずに降伏させるはずの拳が、かえってチンクを追い詰め、死を覚悟させてしまった。やはりネビュラストリームは封印しておくべき技だったのだ。 瞬は後悔の念に苛まれながらも、こちらも覚悟を決めるしかなかった。 もしも瞬一人が命を差し出すことで、チンクが救われるならばそうしたかもしれない。しかし、チンクは瞬を道連れに死ぬつもりだ。 瞬たちの世界は、常に神々の脅威にさらされている。黄金聖衣はアテナと世界を守る最後の砦だ。瞬たちの世界とミッドチルダ、二つの世界の愛と平和を守る為に、瞬はここで死ぬわけにはいかない。 「ごめん」 瞬のコスモが高まり、気流がさらに激しく荒れ狂う。 「すまない、妹たちよ」 愛する者たちの姿を思い浮かべながら、チンクは最後の力で跳躍する。アンドロメダはもうすぐそこだ。 「姉は先に逝く!」 チンクはありったけの黒バラを召喚する。 「オーバーデトネイション!!」 黒バラが一斉に起爆し、通路を爆炎が満たす。この瞬間、炎のバラが回廊を埋め尽くした。 「ネビュラストーム!!」 瞬の拳から放たれた嵐が、炎のバラを吹き飛ばした。 ピスケスの聖衣がチンクから離れ、魚のオブジェへと姿を変える。 ネビュラストームによって天井に叩きつけられたチンクが、地面に横たわっていた。まるで手向けの花のように、周囲を炎の残滓が舞っている。 美しくも悲しいその光景に、瞬は再び涙した。 「僕の拳は……また人を殺したのか」 オーバーデトネイションは、瞬の体も激しく傷つけていた。瞬は足を引きずりながら、チンクの元へと歩いていく。 瞬を倒したと確信したのか、チンクは安らかな表情をしている。 せめて手厚く葬ってあげようと、瞬はチンクに向かって手を伸ばした。 「……」 その時、かすかに、ほんのかすかにだが、チンクが身じろぎした。 瞬はすぐさまチンクの口元に耳を近づけ、首筋に指を当てた。 微弱だが、呼吸も脈も確かにある。 「……生きてる」 瞬の体が歓喜に打ち震える。 全力で放った互いの技が相殺しあったのだろう。もしも瞬が少しでも手心を加えていれば、どちらも助からなかった。 奇しくも、相手を殺すはずの技が、相手を救ったのだ。 「僕の拳が……命を救ったのか?」 瞬はわななきながら、己の手を見つめる。 ただの結果論でしかないことはわかっている。チンクを殺す覚悟で拳を放った事実も消えるものではない。 それでも、瞬は祈るようにチンクの前に跪いた。 「……ありがとう……生きててくれて、ありがとう」 瞬は感謝の言葉を繰り返す。今度は悲しみではなく、喜びの涙が溢れてくる。 ずっと、相手の命を奪うことしかできない呪われた拳だと思っていた。たった一つでも命を助けられたことで、どれだけ救われただろう。 瞬は震える手で、量産型ストラーダを取り出した。爆発の余波であちこち破損していたが、まだかろうじて動いている。 瞬はアースラにチンクの救助を要請すると、力を使い果たし、その場に倒れ伏した。 目次へ 次へ
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衛星軌道上 アースラにて……… 「……再生反応………ありません!」 先程のアルカンシェルの砲撃で、闇の書の闇――夜天の書の暴走した防衛プログラム――を消滅させた。 「……ふぅ………準警戒体制に移行………」 この船、次元航行艦アースラの艦長、リンディ・ハラウオン提督は安心したかのように席に戻った。 しかし、 「……!?………待ってください!!急激な次元振動探知!!小規模のようですが………」 オペレーターの一人が血相を変えて報告をしてきた。 「次元振動の発生源はアルカンシェル着弾点です!!」 「……まさか………」 リンディは恐怖した。 アルカンシェルの直撃を受けた闇の書の闇が、瞬時に次元空間に逃げ込み、帰って来たのかと考えたのだ。 しかし……… 同時刻、衛星軌道上 アクシズ表面にて……… 落下するアクシズ表面に取り付き、押し返そうとする仲間の機体達。 中には敵のギラ・ドーガの姿まである。 落下するアクシズ表面は大気の摩擦熱で真っ赤になっており、その中には自機のオーバーロードと摩擦熱で自爆する機体までいる。 「もういいんだ!引き換えしてくれ!!」 彼等に悲鳴にも似たような声でアムロは叫んだ。 すると機体から緑色の光が周囲を包み込み、表面に取り付いていた機体達を引きはがした。 『これは……サイコフレームの共振………!?』 アムロの機体、νガンダムから出る光は、徐々にアクシズを押し返していった。 しかし、 「……!?……何だ………この引きは!?」 引力とはまた違う引きに、アムロとその周囲にあった残骸は謎の空間に引かれていき、 「うわぁぁぁぁぁ!!!!」 そのままその空間に引き込まれてしまった……… 「……次元振より反応!何かがここに来ます!!」 管制官のエイミィが声を張り上げる。 この情報は地上にいるなのは達には知らせていない。 もし闇の書の闇ならばもう一度アルカンシェルを撃ち込んで倒す。 しかし連続での使用は想定されてない為、今はアルカンシェルは撃てない。 しかし、その物体はすぐにこの空間に現れた。 「次元振反応さらに増大!物体が来ます!」 「………っ!」 リンディは覚悟を決めた。 しかし……… 「………?」 「……何………?」 そこには全長20メートル程ある機械の巨人が漂っていた……… 魔法少女リリカルなのはStrikerS ~次元を越えたニュータイプ~ プロローグ その出会いは唐突に……… 数時間後 次元空間 アースラ外部結界格納庫 急遽、数人の魔導師によってアースラの左後方に黒い結界を張り、格納庫として機能するように作った場所。 そこには20メートルはある巨大な鉄巨人が突っ立っている。 「……………」 帰還したクロノはその巨人の目の前に立ち、呆れたような顔で見ていた。 なぜなら、その巨人を調べるために数人の魔導師がその巨体にバインドをかけ、さらには付近に全戦闘員をデバイス装備状態で囲んでいるのだ。 「……………」 さらに頭を抱えるクロノの隣には未だにバリアジャケットのままの者達。 「大きい………」 「ほんまやなぁ………」 なのはとはやては大きさに驚いて声をあげた。 しかしその横には、 「うおぉぉぉ!」 まるで子供(外見はそうなのだが……)のように目を輝かせて見入るヴィータの姿。 「はぁ………」 クロノは頭を抱える原因を見てため息をついてしまった。 そこに 「クロノ君」 「あぁ…エイミィ………何か分かったかい?」 「実は………」 エイミィは少し困惑した顔をして巨人を見た後、 「生体反応があったの………」 そう一言いった。 「人でも乗ってんじゃねーのかな?」 ヴィータがはやてにそう聞き、 「もしかしたら機械生命体って奴やろか?」 はやてがシグナムに聞く。 「なっ……何故私に聞きますか………」 「知ってそうな感じがしますからねー。」 「シャマル……!」 戸惑うシグナム。 ヴォルケンリッターの騎士シグナムも戸惑うことがあるのか…とフェイトが考えていると……… 「ク……クロノ君!」 「どうしたなのは?」 気が付いたのはなのはだった。 「あれ、動こうとしてるみたい!」 「何?」 そういって再度顔を見ると同時に目に緑の光が点りこちらを見るように顔を傾けた。 「なっ……武装局員前へ!」 「バインドが切れる!」 武装局員が構えるのとほぼ同時にバインドは引きちぎられ、その巨人は出口を探すように辺りを見回している。 「非殺傷設定で撃つんだ!!」 「喰らえ!」 武装局員が攻撃をする。 しかし攻撃は当たるもさしてダメージはないようだ。 さらには爆音と同時に頭から撃ち出された弾丸が地面に数発着弾する。 「……クソッ…………皆大丈夫か!」 クロノはシールドで破片から身を守り、皆の無事を確認する。 「なんとか………」 クロノは今の攻撃に対して反撃を試みようとした。 その時だった。 『危ないから下がっていろ!!』 突然の言葉。 暴れようとしている者から発せられた言葉。 訳の解らないクロノだったが、巨人は気にせずに歩きだし、左腕にあったものを取り出し構えるとそこに桃色の光の剣が現れ、外壁の一部を切った。 しかし巨人は、切ったのはいいが出ていかない。 かわりに『ここは……?』といって動かなくなった。 その時声をかけたのはなのはだった。 「もしかしたら…この世界の人じゃ……無いんですか………?」 目次へ 次へ
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Dark side Episode第1話「眠り、そして目覚め」 「………」 ここは…? 一体どこじゃ…? 「………う~ん……」 エッグマンは起きて周囲の状況を確認する。一体ここはどこだろうか。 「これは……」 そこにあったのは、カプセルの中に閉じ込められた人たちであった。 しかしエッグマンは一目で彼女たちが『人間でない』ことに気付いた。 常日頃からメカを作ってきたせいか、人間と、『人間でない者』の区別ははっきりついていた。 一体何者だろうか、そう思った矢先に暗闇から一人の男が姿を現した。 「ごきげんよう、ドクター。いや、ミスターエッグマンといった方がいいかな?」 「貴様…なぜワシの名を知っておる?」 「フフ…私はいろいろな世界で様々な実験を行っている。むろん、君たちの世界のことは調査済みだ。 そうだな…これを見せれば、信じてくれるかな?」 そう言ってポケットから赤く輝く宝石を取り出す。 「なっ!そ、それは…カオスエメラルド! 「そう、カオスエメラルド。七つ集めれば奇跡を起こすといわれる石。私はこの石に多大な興味を持っているのだよ。 ここまで言えば、わかるかな?」 「……これを集めてほしい、ということか。何をするつもりじゃ?」 「先ほども言った通り、実験がしたいのだ。私が満足するような、ね。」 「見返りは、何かあるのじゃろうな?」 「…そうだな、では、見返りとして『これ』いや、彼を返してあげよう。」 そう言って男は後ろを向く。エッグマンもそれにならって男が視線を向けている方に目をやった。 そこには………… 一匹のハリネズミが眠っていた。黒く、影の様なハリネズミ、シャドウ・ザ・ヘッジホッグ。 「シャドウ!?貴様、これをどこで手に入れた!?」 「それは、今は教えられないね。だけど、カオスエメラルドが集まる度にその話を聞かせてあげよう。」 エッグマンはしばらく唸った後、聞きそびれていたことを聞いた。 「名前は何と言うのじゃ?」 「私の名はジェイル・スカリエッティ。スカリエッティ、と呼んでいい。その代わり、あなたのことを エッグマンと呼ばせてもらいますがね。」 「構わん、それともう一つ。シャドウは今すぐ返してもらう。こいつがいればカオスエメラルド集めにも 役立つかもしれん。」 「…いいだろう。好きにしてくれ。」 そういって、スカリエッティはエッグマンとシャドウをとある一室に案内した。 「ここは、彼の体の内部をいじくるのに最適な部屋といえるだろうね。ここを使うといい。」 「礼を言うぞ、スカリエッティ。」 スカリエッティが出て行った後、エッグマンは機械をいじり、シャドウの情報をプロジェクターに投影する。 しばらく無言だったエッグマンはおもむろに話しかける。 誰にでもなく、自分にでもなく、シャドウに。 「シャドウよ…お前はまたこの星を危機にさらしてしまうかもしれん。マリアの願いを、 夢を忘れたわけではないが、お前はしばらくその願いに反してもらう。」 そう言って、シャドウのメモリーレポートを開く。 そして、エッグマンがシャドウを目覚めさせた時から、ソニックとともに『アーク』を カオスコントロールさせたときのメモリーにプロテクトを掛ける。 「すまないの、シャドウ。こうするしかないんじゃ。」 断罪の思いを胸に、シャドウのメモリーにプロテクトを掛けていく。 そして、プロテクトが完了した。 「頼んだぞ、我らが希望、シャドウ・ザ・ヘッジホッグ。」 影(シャドウ)に僅かな光(ライト)を託す自分を少しおかしいと思うエッグマン。 そんな彼が言った『我ら』とはいったい誰を指すのか、今はエッグマン自身も分かっていなかった。 「意外と用心深いね、あの老人は…。」 自室の椅子に腰かけながらつぶやく。 まるで、この状況を楽しんでいるかのような、どこか含みのある笑顔で。 「残念だけど、エッグマン。あなたの考えていることは、おそらく事実へと変貌する。 あなたがいったい何を警戒しているか知らないが、私にはすでに、奥の手はそろっている。 たとえ、あのソニックがシャドウと共に足掻こうと、その目論見はすべて失敗に終わるのだから…。」 独り言をつぶやき終わった後、タイミングを見計らったかのようにモニターに通信が入る。 「ドクター…」 「ごきげんよう、ルーテシア。どうしたんだい?」 「こんなもの見つけた…」 と、ルーテシア、と呼ばれた少女はスカリエッティのモニターに宝石店のニュースを見せる。 そこには、緑色に輝くカオスエメラルドがあった。 「ほう…ありがとう、ルーテシア。また今度、お茶でもしよう。」 「…うん。」 無表情で頷いたルーテシアは通信を切る。 モニターが消えたのを確認した後、スカリエッティはエッグマンを呼び出した。 「エッグマン、たった今カオスエメラルドについての情報が手に入った。 そちらのモニターに送るから、回収に言ってくれるか?」 「……わかった、行ってこよう。」 モニター越しに了承の返事をいただいたスカリエッティはごきげんよう、とつぶやき、通信を切る。 エッグマンは支度を整えたのち、シャドウを起動させる。 「あなたは、…?」 「シャドウよ、手短に言う。ワシはこの世界に混乱を望むものじゃ。お前の力を貸してほしい。 ワシは今からカオスエメラルドを奪いに行くが、今は来るな。向こうの戦力というものを知っておく必要が あるのじゃ。」 「わかりました、ドクター。」 従順にうなずくシャドウ。 どうやら、プロテクトは効いているようだ。エッグマンの記憶すらない。 「じゃあ、ワシは少し出かけてくる…じゃあの。」 そう言って、エッグマンはいつも乗っているメカを起動させ、その部屋を後にする。 行く途中に、生意気に宝石店に予告状を出したエッグマン。こういうところは変わっていないのかもしれない。 「おとなしく引き渡してくれればいいのじゃが…」 予告状なんて書いたら、警備がもっと手厚くなるということには気がつかないのだろうか、そう呟く。 そうこうしている内に、問題の宝石店へとたどり着いた。 「あなたですか!この予告状を書いたのは!」 と、店員がエッグマンを見るなり駆け寄ってくる。 その姿に周囲の人たちが寄ってくる。いわゆる野次馬だ。 「ホーッホッホッホ、その通り、ワシがこの天才、ドクターエッグマンじゃ!!」 と、さっきまでステルス化させていたエッグマンの目かが姿を現す。 その光景に店員はたじろぎ、店の奥、カオスエメラルドのあるところ、まで後ずさりしていった。 ここには、人はいない。そう確認した後、店員に詰め寄る。 「貴様、この宝石を一体どこで手に入れた?」 「そ、そこに路地裏にあったんだ…!」 「…まあいい。これはもともとわしらの世界のもの。返してもらうぞ。」 と、真剣な声で呟き、外に出ようとする。 すこし、いたずら心が出てきて 「ホーーーッホッホッホッホッホ!!このカオスエメラルドはワシが頂いちゃうもんね!!」 と勝利宣言をする。 しかし、店員もまだ食い下がってい来るようだ。 「やめろ!!それはこの店で…」 「しつこいなぁ、ホレ。」 パチン、と指を鳴らす。 エッグマンのメカが店員に銃を向ける。 「じゃあの。」 ダダダダダダダダッ!!! 銃声がしたが、エッグマンは銃声がする一瞬に何かが店員を連れていくのを見逃さなかった。 ――――――――――やはり、来ていたか―――――――――――― そう思うエッグマン。 「相変わらずクレイジーだな、エッグマン。」 声がしたので、ゆっくり振り返る。 「ソニック!ま~た貴様邪魔をしおるか!これで何回目じゃ!!」 「さ~て、知らないな。だけど、カオスエメラルドほしさにこんな真似をするのはちょ~っと 危なすぎないか?」 「知ったことか!ワシはこのカオスエメラルドさえ手に入ればそれでいいの!」 と、いつもの世界での会話を始める。 「待ちなさい!!」 ふと、誰かが割り込んできた。 せっかく会話がヒートアップしてきたのに、とつぶやいたが、それは聞こえたかどうか。 そこを見れば、茶髪をツインテールの縛った女性が変な杖を持って立っていた。 「あなたは誰?事と場合によっては強硬手段をとることになるわ。」 「強硬手段?ああ、それには及ばない。何故なら…」 そこでいったん言葉を切る。 周囲は固唾をのんでその先の言葉を待っている。 「もう手に入れちゃったもんね~~!!」 とその手に緑色のカオスエメラルドを掲げる。 「それじゃ、サイナラ~。」 と、勝利宣言をした後、さっさと逃げようとする。 しかし、それでは終わらないことを、エッグマンは学習していた。 「俺を忘れるなよ、エッグマン!!!」 ソニックが駆け出し、エッグマンのメカに向かってくる。 「小癪な~!!お前ら、ソニックを倒しておしまい!!」 ロボットたちに指示を出したが、その命令を実行する前にソニックのホーミングアタックを食らい、 木っ端微塵にされていた。 そのまま、ソニックはビルを壁伝いに上ってくる。 「ソレ、返してもらうぜ!」 ソニックは驚異的なスピードでカオスエメラルドをひったくり、地面に着地する。 「ぐぬぬぅ~~、ソニックーー!!」 浮上させていたメカを同じく急降下させ、ソニックのもとへ行こうとする。 「それはワシの――――――――――――」 その続きは言えなかった。 耳元をピンク色の弾丸がかすめていったからだ。 「これ以上抵抗を続ければ、命の保証はありません。次は当てます。」 なのはがもう一発アクセルシューターを作り出し、エッグマンに当てようとする。 エッグマンはそんな彼女を見て、 「いーよいーよ!!今回は引き揚げるけど、つぎはそうはいかないかんなーー!!」 怒ったふりをしながらメカを浮上させて帰った。 (ここまでは計算通り) とエッグマンは胸中で呟く。 彼の真意はカオスエメラルドをただ手に入れるだけではなかった。 エッグマンは思っていた。 あの男は、いつか自分たちの世界までも支配してしまう、と。 世界のパワーバランスどころか、何もかもがあいつに支配される世界が出来上がる。 それだけは避けねばならない。 「ソニック、シャドウ。そして、名も知らぬレディーよ。悪いが、お前たちを利用させてもらう。 ……やつの理想を打ち砕くためにの。」 一人つぶやき、エッグマンはスカリエッティのもとへと帰って行った。
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ロストロギア――かつての文明の遺物。超高度技術や魔法。それら指定遺失物を総じてロストロギアと呼ぶ。 次元世界全てに危機を及ぼす可能性を秘めたそれは、時空管理局によって最優先に回収され、厳重に保管される。だが、それでも悪意ある者の手によって、もしくは自らの意思で次元世界に散らばるロストロギアは時に大きな事件を引き起こす―― Extra Task01 「異界の来訪者」 「まったく……やれやれだ」 クロノ・ハラオウンは誰にともなく、ひとりごちた。外見は二十歳かそこらの立派な青年だが、どこか幼さを感じさせる顔つきをしている。 次元空間航行船『アースラ』。船内通路を歩きながらクロノは疲れた目を押さえた。このところ忙しく、まともに休養もしていない。この仕事を選んだ時から分かってはいたが、たまに退屈が恋しくなることもある。 ブリッジの扉をくぐると、すぐに管制担当のエイミィに声を掛けられた。 エイミィ・リミエッタ。古い付き合いである彼女をクロノはパートナーとして信頼している。 「あっ、クロノ君!大変、大変!」 「どうした?エイミィ」 すぐにモニターに目をやる。モニターの多くの情報を瞬時に処理していき、 「これは……」 クロノは大きく目を見開いた。 「百鬼界の周辺に次元震を感知!?」 百鬼界――それは正確には世界の一つとしては数えられていない。次元の狭間に封印されたその世界には、昔から誰も立ち入ることはなく、誰も出てくることはない。クロノもその名前しか聞いたことはなかった。 「今、原因を調査中。だけど百鬼界は、第97管理外世界――なのはちゃん達の世界だね。そこの近くだし、地球とも関連があるみたい。詳しくはユーノ君に調査を頼んであるから」 手早く報告を済ませたエイミィはすぐに席に戻った。 ロストロギアが関わっている可能性もある。どうやらまた忙しくなりそうだ。クロノは軽くため息を吐いた後、すぐに気を引き締め直した。 プレシャス――それは危険な力を持つ秘宝。古代文明の遺産、超科学の兵器、奇妙な美術品、地球の自然を由来とする宝石や動植物、想像でしかありえないような幻獣。 これら様々なものの総称がプレシャスである。そしてその中には、遥か宇宙から地球に飛来したものもあるという。 別世界をわたってきた秘宝。そんなものが存在する可能性も0ではないかもしれない―― 「おしっ!ミッション完了!」 ビルを包む炎は、通常を上回る放水によって完全に鎮火し、負傷者は無し。 高岡映士は上機嫌で変身を解く。全身に纏った銀の光が消え、茶髪の青年――髪の一部が白い――が現れた。歳は二十代前半だろうが、老成しているような雰囲気も感じられる。 銀のジャケットの背中にはSearch Guard Successor とロゴが入っている。そのロゴは彼がサージェス財団の人間であることを示していた。 正式名称『SGS―foundation』。通称『サージェス』とは貴重な宝を回収・保護する民間団体である。プレシャスを災害救助に利用するサージェスレスキューが現在の彼の任務だ。 消防車型のビークル『ゴーゴーファイヤー』を基地へ帰し、彼は歩き出した。空は晴れ、陽射しが心地いい。たまには歩いて帰るのも悪くない。 キュウリを懐から取り出し、かじりながら街を散歩する内に、ふと周りを見回す。どうやら路地裏に迷い込んだようだ。人の気配は消え、先程までの太陽には雲が掛かりだしていた。 なにかがおかしい――映士はそう感じ始めていた。消火に当たったビルはサージェスの近くだ。知った道で自分が迷うはずがない。 肌が粟立つ。空気の流れが変わった。五感の全てが映士に異常を告げている。 (まさか……結界?) それを感じることができるのは、映士の生まれと過酷な修行故だろう。だが、この結界は映士が学んだものともまた違う気がする。 警戒しつつ歩き続ける。変わらず人の気配はない。 代わりに別の気配が急激に膨れ上がる。肌にひりつく殺気だ。 映士は専用武器『サガスナイパー』を槍状に変形させた『サガスピア』を握り締める。こんなこともあろうかと、変身前から持ち歩く癖が幸いした。 「はっ!」 後ろから振り下ろされた小型の鎌を受け止め、同時に敵の腹を蹴り飛ばす。 「手前ぇはっ!カース!」 石に魔力を込めた人形――古代ゴードム文明の大神官ガジャの使役していた戦闘員。これまで最も多く戦った雑魚だろう。 「なんで手前ぇらが!?」 だがガジャは最終決戦に破れ、海に沈んだはずだった。操る者のいないはずの人形を前に映士は問わずにいられなかった。 当然答えるはずもなく、カースは距離を詰めてくる。背後にも三体のカースが現れた。 「仕様がねえっ!まずは手前ぇらを片付けてからここから出るか!」 左手の腕時計『ゴーゴーチェンジャー』のカバーを開き、文字盤に触れる。 「スタートアップ!」 映士が叫ぶと同時に全身が銀の光に包まれ、『アクセルスーツ』を身に纏う。ほぼ全身が銀色、足から首まで身体の中心を黒のスーツ。頭部の角の様なアンテナが特徴的だ。 ボウケンシルバーはサガスピアを振り回し、最初に前のカースに袈裟斬りに切りつける。そのまま身体を回転させ、背後のカース二体を薙ぎ払う。一対四であろうと、カースごときに後れをとることはなかった。火花を散らし仰け反ったカース三体は耐え切れず、爆発し、四散した。 「よっしゃあっ!」 だが、カースは四体いたはずだ。背後にいたはずの残りのカースは振り向いた先にはいない。 瞬間、背後に滑り込んだ影に振り向く。 カースの鎌が風を切り、目前まで迫っていた。だが、その鎌は見えない壁に阻まれる。カースは何が起こっているのか理解できず、鎌をガンガンと叩きつけるのみだった。 シルバーは自分の懐に目を下ろす。 そこには――少年が両手をカースに向け、突き出していた。 「早くっ!早く止めを刺して下さい!!」 一瞬混乱したが、すぐにサガスピアをサガスナイパーへ切り替え、カースの頭目掛け撃ち込む。ビームの連射を至近距離から受けたカースは爆散した。 「「は~~っ」」 シルバーも少年も張り詰めた緊張を解いたのか、大きく息を吐き出した。同じモーションで膝に手を当てた二人の目が合う。少年は気まずそうに苦笑する。 さっき飛び込んできたのはこの少年だったのか。少年は見た目、14、5歳。金の長髪の上、眼鏡を掛けているため、中性的に見える。実際、最初は少女かと思ったくらいだ。 周りにもう敵がいないのを確認し、変身を解除する。 「それで坊主、お前はなんなんだ?」 少年は一度、映士を上目遣いで見た後、深呼吸した。 「えっと、僕はユーノ・スクライアと申します。魔導師です。あなたは……高岡映士さん、ですよね?『アシュ』についてお聞きしたいことがありまして――」 「お前、何でアシュを知ってる!?それに魔導師だと?」 ユーノが最後まで言い終わる前に、映士は彼に詰め寄っていた。 『アシュ』。それは映士にとって忘れることなどできない言葉だった。 人類の進化の過程で別の道筋を辿った高等生物。それがアシュである。その言葉通り、人間の亜種といえる。 好戦的で人間を敵視していた彼らは一部を除き、次元の狭間の百鬼界へと追放、封印された。逃れたアシュを抹殺し、アシュの封印を監視するもの。それが映士の一族、高岡家である。 だが、映士自身の身体の中にも、アシュの血が半分流れていた。それ故、彼はアシュの討滅に全てを賭けていた過去がある。 「お、落ち着いて下さい!これから順に話しますから!」 ユーノは驚き、映士をなだめようとする。映士が落ち着いたと見ると、ぽつりぽつりと話し出した―― 「魔導師……、それに時空管理局ねぇ……」 ユーノから聞かされた説明は、これまでの映士の常識を遥かに超える、とても信じ難いものだった。 「信じられないのも無理はないかと思います。でも、事実なんです。なんらかの理由により、百鬼界とこの世界が繋がろうとしているんです」 だが、戦闘での彼の結界術をこの目で見てしまうと信じざるをえない、とも思う。それにさっきのカース達、何かが起ころうとしているのは間違いないだろう。アシュが関係しているならなおさらだ。 「つまり、俺様はアシュの情報提供と調査の協力をすればいいんだな?」 ユーノはようやく理解が得られたのが嬉しいのか、少し表情が和らいでいる。 「はい。それと……この世界に原因となるロストロギアが存在しているかもしれません。その時は――あなた達ボウケンジャーに探索と回収の協力をお願いしたいんです」 「おう!プレシャス回収なら、ボウケンジャーに任せときな!」 映士はそう言って力強く頷いた。 『轟轟戦隊ボウケンジャー』 それはサージェスによって組織された秘密部隊。危険なプレシャスを回収し、プレシャスを狙う悪と戦い続けている。 その本拠地たる博物館『サージェスミュージアム』の奥にプレシャスが、そしてボウケンジャーの基地が存在する。 だが、そのメンバーが待機するサロンには、一人の青年が暇そうに座っているだけだった。 黒を基調としたジャケットの青年。普段は鋭く研ぎ澄まされたその眼も、今は眠たげに半分閉じられている。 伊能真墨――ボウケンブラックであり、現在ボウケンジャーのリーダーでもある彼は、退屈していた。このところ出動も少なく、ほとんど学芸員の仕事しかしていないのだ。 プレシャスを悪用しようとする連中――『ネガティブシンジケート』が減ると同時に出動回数も減ってしまった。別に戦いがしたいわけではない、だが、冒険の機会が減ってしまったのが退屈なのだ。 一年半ほど前のガジャとの決戦に勝利した後、ガジャは深い海の底で眠りに就いた。 恐竜遺伝子と掛け合わされ誕生した『ジャリュウ一族』も、長にして創造主のリュウオーンを亡くして以来、鳴りを潜めている。 忍者集団『ダークシャドウ』は、他の組織のように人類滅亡を企てているわけでもない、ただの営利目的の小悪党だ。その上、好戦的な副頭領『闇のヤイバ』の裏切りと死により、随分と大人しくなった。 映士と深い因縁のある『アシュ』。わずか数人に何度もピンチに陥ったが、今では封印されていないアシュは全て倒した。 その後、前リーダーのボウケンレッドと副リーダーのボウケンピンクは仲良く?宇宙へプレシャスを探しに旅立っていった。 今に不満はない。だが、宇宙へ冒険に行ったボウケンレッド――明石暁を少し羨ましく感じているのも事実だった。 「どうしたの?真墨」 いつの間にか黄色のジャケットを着た女性が真墨の顔を覗き込んでいた。両端で結んだ髪が、突然目の前に垂れ下がり、思わず椅子から転げ落ちそうになる。 「なんだ菜月か。なんでもねえよ」 真墨はうざったそうに片手を振って答える。 彼女はボウケンイエローこと間宮菜月。真墨の入隊以前からの仲間で、最も古い付き合いといえるだろう。 「暇そうですね。チ~フ」 その内、ブルーのジャケットを着た軽薄そうな男も入ってきた。 最上蒼太――ボウケンブルーであり、菜月や真墨よりも先にボウケンジャーに入隊していたが、真墨がリーダーになったことを不満に思っている様子もない。たまにからかい半分で「チ~フ」とか呼んでくるだけだ。 結局、未だ新しいレッドとピンクは入ってきていない。出動しても、ビークルを発進させる機会も少なければ、合体する機会はもっと少ないのだ。真墨を含む三人に、ここにはいないが、ボウケンシルバーの高岡映士の四人で事足りてしまうのだった。 「お~い。みんな集まってるね。」 三人で他愛もない会話を交わしていると、モニターから声が聞こえた。 そして逆さにした白いコーン(円錐)に手や顔を付けたCGキャラクターが現れる。 「なんだ。ボイスか」 真墨がボソっと漏らすと 「なんだ、じゃないでしょブラック君。なんだ、じゃ。え~、今日はみんなにちょっと用事があるんだ」 耳に障る加工音声で喋るCG。ミスター・ボイスと呼ばれるそれはボウケンジャーの司令官的な存在だ。サージェスの命令をボウケンジャーに伝えるのだが、真墨は実際に会ったことはない。 「なんだよ。用事って」 「新しいピンクとレッドの面接をしてもらおうかと思ってね。ほら、ブラック君の時もレッド君が決めてたし、君達の意思も大事だから。お~い、入ってきて~」 間の抜けた声でボイスが呼ぶよりも先に、ドアを開けて入ってきたのは二人の女性。いや――女性と子供が一人ずつ、と言ったほうが適当だろうか。 一人はピンクの長い髪を後ろで束ねた女性。かなりの美人だが、鋭い刀剣のような雰囲気を漂わせている。 もう一人の子供は、緋色の髪を三つ編みにして二つに分けている。普通にしていれば可愛いのだろうが、何が気に入らないのか、噛み付きそうな目でこちらを睨んでいる。 「ええ~~!!」 三人ともが声を上げ驚いた。言うまでもなく、子供に。 だが、この二人との出会いが真墨の退屈を流し去ってしまうことになるとは、まだ、この時点では気付くはずもない。 目次へ 次へ