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「大変や、みんな。今騎士カリムから連絡があった」 はやてが隣の部屋から戻ってくる。 騎士カリムは聖王教会に所属する六課の後見人の一人だ。彼女のレアスキルは未来を予知することができる。 「新たな予言や。この町が滅ぶかもしれへん」 「俺も同じ未来が見えました」 昌浩が立ち上がる。見覚えのある家屋が次々と倒壊していく不吉な未来だった。最後には全て焼け野原になってしまった。 「二人の予知した未来がまったく一緒。こうなるとほとんど確実だね」 フェイトが緊迫した面持ちで唸る。 「しかし、敵はどうやってこの町を破壊する?」 敵の戦力はガジェット・ドローンとナンバーズ。強敵だが、現在の戦力で負けるとも思えない。 その時、部屋が激しく揺れた。地震かと思ったが、少し様子が違う。 『ごきげんよう、諸君』 新しい通信画面が開き、白衣を着た男が映る。 「ジェイル・スカリエッティ」 フェイトが憎しみをこめた眼で男を睨む。 「あれが……」 『君たちはなかなかよく頑張った。おかげでこちらの計画には大幅な狂いが生じてしまった』 「へっ。泣き言でもいいに来たのか」 ヴィータが挑発する。 『いや。感謝を言いたくてね。君たちのおかげで、私は新たな力を手に入れられた』 振動がさらに強くなっていく。大地から巨大な何かがせり上がってくるような振動だった。 『ところで君たち、不思議に思ったことはないかね。ジュエルシードに闇の書。過去、この町には、強力なロストロギアがいくつも流れついた。これがただの偶然だと思うかい?』 スカリエッティは勝利を確信した恍惚とした笑みを浮かべた。 『すべてはこの偉大な力に引き寄せられたのだ!!』 映像が切り替わり、海の底が映し出される。巨大なカブトムシのような化け物が何匹も集まり、海底を隆起させていた。ルーテシアの召喚獣、地雷王だ。 海底から現れた物を見て、なのはたちは息をのむ。 白く鋭角的な形。一緒に移っている地雷王がけし粒に見えるほどの巨体。 「聖王の揺りかご」 古代ベルカにおいて、聖王の揺りかごはミッドチルダに墜落したのではない。最後の力で次元転移を行い、ミッドチルダから遠く離れたこの地球、海鳴市沖へと没していたのだ。 「なんでや? 何で聖王の揺りかごが? ヴィヴィオはここにおるのに!」 はやてが机を拳で叩く。聖王の揺りかごがこの海鳴市にあったのも誤算だが、敵がどうやって起動させたかがわからない。 『どうやって聖王の揺りかごを動かしているか? それは私からの宿題だ。存分に悩みたまえ』 「どこまでも人を馬鹿にして」 『聖王の揺りかごが地上に出るまで、まだ一時間の猶予がある。この町を焼き払った後は、時空管理局地上本局だ。止められるものなら止めてみたまえ!』 哄笑を残し、スカリエッティとの通信が途絶える。 「もっくん!」 「わかってる!」 昌浩ともっくんが晴明の元へと走る。すぐに町中の住民を避難させなければ。それに情報管制も必要だろう。それらの手配を晴明にしてもらわないといけない。 「なのはちゃん、フェイトちゃん、増援の手配急いで! フォワード部隊は待機。いつでも出れるようにしといて」 「了解」 「これが聖王の揺りかごの詳細なデータだ。全員、頭に叩き込んでおけ」 シグナムが厳しく言い放つ。隊長たちの顔から完全に余裕が消えている。誰もが不安を抱えた最悪の一時間が始まろうとしていた。 時間は刻々と過ぎていく。どうにか増援の手配が整ったのは、三十分を回った頃だった。 「そんな……」 はやては通信画面を前に、力なくへたり込む。 フェイトの義兄、クロノ提督からの知らせでは、回せるのは時空管理局の艦隊の四分の一のみ。到着はどんなに急いでも翌朝以降。この町が滅ぶには十分な時間だ。 晴明の手配で、住民の避難は迅速に行われているが、一時間ですべての住民の脱出など不可能だ。 「せめて艦隊全部を回すことは?」 『スカリエッティは、同時に時空管理局にも宣戦布告をしているんだ。今は管理局の防衛に専念すべきという意見が根強くて、これ以上は無理だ』 「管理外世界はどうなってもええと!?」 食ってかかるはやてに、クロノは沈黙する。 クロノとて、なのはやフェイトと出会ったあの町を守りたい。だが、時期が悪すぎた。 時空管理局が万全な状態ならば、聖王の揺りかごの危険性を説き、全艦隊を差し向けることもできたかもしれない。しかし、最高評議会を失い、指揮系統が混乱した今の状態では、むしろ四分の一もよく揃えられたものだと言わざるをえない。 『六課の隊長たちの能力限定はすべて解除した。僕たちに出来るのはここまでだ』 現在のメンバーだけで、翌朝まで聖王の揺りかごの攻撃から、町を守らないといけない。仮にそれができたとして、やってくるのは艦隊の四分の一。聖王の揺りかごを破壊するどころか、返り討ちにあう公算の方が高い。 『はやて。悔しいのはわかるが、ここは諦めて撤退を……』 「クロノ提督。それ以上言ったら……殺すで?」 氷のような冷たい眼差しがクロノを射すくめる。はやてが初めて見せた本気の怒りだった。 『すまない。勝手な願いだとは思うが、みんな、生き残ってくれ』 通信画面が閉じる。万策は尽きた。 「はやてさん。ここにいたんですね。増援はどうなりました?」 駆け寄ってきた昌浩が、憔悴したはやての様子に戸惑う。 「すまんなぁ、昌浩君。増援は明日の朝やって」 「それじゃあ、とても……」 「せや。全部私のせいや」 はやてが、この世界にやってきた主な理由は、昌浩たちの勧誘だった。 おそらく最初の模擬戦で、スカリエッティは昌浩と十二神将に興味を持ったのだろう。それを知りながら、アジト捜索の間の陽動になると利用した。 スカリエッティにとっては、取るに足りない少年と町のはずだった。その認識を変えさせたのは、はやてだ。 最初に昌浩を勧誘できていれば、もしくは昌浩の勧誘をすっぱり諦めていれば、こんな結果にはならなかった。 仮に聖王の揺りかごが起動したとして、一直線に時空管理局を目指したはずだし、時空管理局の魔導師が力を合わせれば、勝算はあった。 守るために、この仕事を選んだはずなのに、大切な人と故郷をもっと大きな危険にさらしてしまった。 ふと昌浩の頭に閃くものがあった。 「……まさか、はやてさん。俺に?」 はやてがあれだけしつこく昌浩を勧誘していた理由に、ようやく思い当たったのだ。 「……私らの世界で予言があった。陸士部隊の全滅と管理局システムが崩壊するってな。六課はそれを阻止する為に設立した組織や。でも、その予言、真に受けてくれる人があんまりおらんでな。今の戦力を集めるのが、やっとやった」 はやては立ち上がり、力なく笑う。 「昌浩君と十二神将に手伝って欲しかったんよ」 昌浩はその場に立ちつくした。口の中が異様に乾く。それでもどうにか言葉を紡いだ。 「……だったら、最初からそう言ってくれれば」 「機密事項で言えんかった。これ以上、一般人を危険にさらすことはできへん。昌浩君は避難して。今からでも、昌浩君となのはちゃんの家族くらいならミッドチルダに避難させられる」 「はやてさん!」 部屋に戻ろうとするはやてを、昌浩は腕をつかんで止める。 「これは私の責任や。私の手で落とし前をつける」 「はやてさん!」 「…………って言えたら、格好いいんやろな……」 はやては泣いていた。うつむき震える手で、昌浩の両手を取る。 「お願いや……助けて」 無茶苦茶なことを言っている自覚はある。誰にもどうにもできないから、困っているというのに。 はやての手から、昌浩の手がすり抜ける。 (ま、当然やな) これまでわがままばかり言ってきた。愛想をつかされても仕方ない。 はやての頬に、昌浩が両手を当てる。はやてが顔を上げると、目を閉じた昌浩の額と額が合わさる。 「うん。わかった。はやて姉ちゃん」 それは出会ったばかりの頃の呼び名だった。はやてが照れ臭かったので、変えてもらった呼び名。 「俺はね、はやて姉ちゃんのこと、ずっと前から家族だと思っていたよ」 今のしぐさは、昔、昌浩が熱を出した時に、はやてが熱を計った時のものだ。心安らぐしぐさとして、昌浩の記憶に残っていたのだ。 (なんや。これだけでよかったんや) 説明はいらない。たった一言、助けてと言えばよかったのだ。そんな簡単なことに今の今まで気がつかなかった。 時空管理居に入ってからというもの、他人に弱みを見せまいとするばかりで、いつの間にか誰かに頼るということを忘れてしまっていた。 「待ってて、はやて姉ちゃん」 昌浩は晴明の部屋へと向かった。 六課のメンバーは隊長たちの命令で、全員が自室に戻っていた。理由は、隊長たちの不安をスバルたちに伝播させないためだ。 守護騎士たちは自室で車座になって座っていた。 「くそ、情けねぇ」 ヴィータが床を殴りつける。こういう時こそ、隊長たちが部下を安心させてやらないといけないのに、そんな余裕が誰にもない。 「海上には、すでに先発隊が上がっているわ。ガジェットが百機以上、その後もどんどん増え続けている。私たち、勝てるのかしら?」 シャマルが不安そうに言った。 「どちらにせよ。戦うしかない」 「そうだな」 シグナムもザフィーラも厳しい顔のままだ。 「だ、大丈夫ですよ。私たちならきっと勝てます」 リインが声を張り上げるが、体は小刻みに震えている。 聖王の揺りかごの見取り図を投影する。 「聖王の器か駆動炉を破壊すれば、揺りかごは止まるはずです」 「あるいはその両方だな」 「ほう、それはいいことを聞いた」 もっくんが前足で扉を開けて入ってくる。 「随分しけた顔をしてるな。いつもの威勢はどうした?」 「けどよ、もっくん。予言が……」 カリムの予言は難解で、解釈のしかたによって意味が変わる。しかし、二人の預言が一致したとなれば、それは確実に起こる未来だ。 「ふざけるな!」 もっくんが声を荒げる。 「お前らはもう忘れたのか。俺たちにとっては千年前でも、お前らにとっては数年前だろうが!」 先代の昌浩には好きな人がいたが、彼女は別の人の元に嫁ぐことが運命で決まっていた。しかし、昌浩のひたむきな思いは、その運命を変えたのだ。 「決まった運命だって変えられる。先代の昌浩は、それを俺たちに教えてくれた。屈するな、抗え、望まぬ運命を覆せ!!」 守護騎士たちの面々に活力が戻ってくる。 「へっ。もっくんの言うとおりだな」 ヴィータたちとて、闇の書に蝕まれた主を助けようと、運命に抗った身だ。弱気になる必要などなかった。 「ヴィータ。もっくん言うな」 「うむ。では、檄をとばしに行くとするか」 守護騎士たちはスバルたちの部屋へと向かった。 「てめえら、準備はできてるか!」 ヴィータが扉を乱暴に開けて部屋に押し入る。 「はい!」 スバルとティアナの部屋に、エリオとキャロもいた。 全員すでにバリアジャケットに着替えていた。それだけでなく、開かれた画面には、敵の予想配置図と進路、これまでに入手したナンバーズの性能などが表示されていた。アギトが提供したルーテシアの詳細なデータもある。 「これは?」 「時間がありましたので、立てられるだけの作戦を立てておきました」 「聖王の揺りかご内部は高濃度のAMFが予想されますが、私の戦闘機人モードなら問題なく動けます。突入部隊は私とティアナが適任だと思います」 ティアナが答え、スバルが後を引き継ぐ。 ヴィータはシグナムと顔を見合わせる。 隊長たちよりも、よほどやるべきことを見据えている。技術では、まだ隊長たちに及ばないが、精神面では向こうの方が上かもしれない。 「お前となのはの指導の賜物だな」 「違ぇよ。こいつらが凄いんだ」 シグナムに褒められ、ヴィータが鼻をこする。涙がこぼれないように、上を向くしかなかった。 その頃、なのはとフェイトはヴィヴィオの説得に手を焼いていた。 「ママ?」 ヴィヴィオなりに緊迫した空気を感じているのだろう。不安そうに、なのはとフェイトの顔を見上げる。 「大丈夫。なのはママもフェイトママも強いんだから」 「だから、今はわがままを言わないで。ねっ?」 「やだ。私も一緒にいる」 増援の手配をした後、ヴィヴィオだけでも逃がそうとしているのだが、どうしても納得してくれない。ここで別れたら、一生離れ離れになると子ども心に感じているらしい。 「でも、ヴィヴィオ。ママたちと一緒にいると、怖い思いも痛い思いも、いっぱいするかもしれないんだよ。それでもいいの?」 「いい。ママたちと一緒にいる」 子どもに慣れているフェイトもお手上げだ。やりたくはないが、無理やりにでも避難させるしかない。 なのはは困り果てて、ヴィヴィオの顔を見下ろす。その目は不安に揺れていても、信頼に裏打ちされた強いまなざしだった。まるで本当の母親に向けるような。 その目を見ていたら、なのはの中で決意が固まった。 「よし、じゃあ一緒にいようか」 「なのは!?」 なのははフェイトに念話を送る。 (フェイトちゃん。私ようやくわかった。私はこの子のママでいたい) (でも……) (私はこの子を守るためなら、どんな敵だって倒してみせる。ママってそういうものでしょ?) (……もう、しょうがないな) フェイトは、産みの母親であるプレシア・テスタロッサのことを思い出した。彼女は娘を理不尽な事故で失い、取り戻すために、狂気の研究へと没頭して行った。その過程で人工的に生み出されたのが、フェイトだ。 彼女はフェイトを娘の紛いものとして、愛してはくれなかったが、母親の愛情の強さだけは教えてくれた。 (私も守るよ。ヴィヴィオと、どうせ無茶するなのはを) (む、無茶なんて) しないと言いかけて黙る。おそらく、なのはの人生でも最大級の無茶をする羽目になるからだ。 なのはとフェイトが両側からヴィヴィオを抱きしめる。 「よし、じゃあ、ママたちの最高の全力全開、行ってみよっか!」 「「おー!」」 なのはの振り上げた手に、フェイトとヴィヴィオが唱和する。 きっと晴明は、なのはの本心に気がついていたのだ。だから、猶予をくれた。 母親に資格なんていらない。子どもを愛して、子どもが愛してくれればいい。後は努力で何とかなる。してみせる。 晴明は占いの道具を広げ、顎を撫でる。 どんな方法で占っても、この町の破滅と出ている。 「どうしたものか」 「じい様!」 昌浩が勢い良く部屋に飛び込んでくる。赤い衣をまとい、持てるだけの護符と道具を持っている。完全武装だ。 「なんじゃ。騒々しい」 「お願いがあって参りました」 昌浩は部屋に入るなり、両手をついて、頭を地面に叩きつける勢いで平伏する。 「十二神将、全部貸して下さい!」 晴明は持っていた扇を取り落とした。 「これはまた大きく出たのう」 「お願いします!」 昌浩は自分の不甲斐なさが許せなかった。 昌浩が目指すのは、最高の陰陽師だ。なのに、すぐそばで助けを求める声に気がつけなかった。あまつさえ、その人は今泣いている。 今からでも遅くない。その涙を止める。その上で、この町を救ってみせる。 「よしんば、わしが許可したとして、お前は十二神将をどう使うつもりじゃ?」 「聖王の揺りかごを破壊します」 昌浩はきっぱりと言った。 増援が到着する明朝まで、戦い抜くことは不可能だ。ならば、今ある力で敵を倒すしかない。 これまで十二神将が、一丸となって戦ったことはない。青龍や天后に至っては、昌浩を主としてまったく認めていない。もし十二神将と六課が、本当の意味で力を合わせることができれば、あるいは奇跡を起こせるかもしれない。 「ふむ。十二神将だけでいいのか?」 「えっ?」 昌浩が顔を上げると、晴明は眠るように目を閉じていた。その横に、二十歳くらいの青年が立っていた。古めかしい白い衣をまとい、長い髪を後頭部で括っている。 離魂の術。晴明が使う奥義の一つ。魂を切り離し実体化させ、全盛期の実力を発揮する技。 「けちなことは言わん。この安倍晴明と、十二神将の力、お前の好きに使うといい!」 晴明の背後に十二神将が続々と顕現する。 「ありがとうございます!」 昌浩は改めて平伏した。 目次へ 次へ
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聖王の揺りかご最深部にて、クアットロが小首を傾げる。 「あらら、もう終わり?」 画面には救助されたルーテシアと、連行されていくトーレたちが映っている。 「本当に役に立たない連中ばかり」 ルーテシアを洗脳したのは、海底に埋まっていた聖王の揺りかごを掘り返すためだった。聖王の揺りかごが蘇った今、彼女は用済みだ。最初から使い捨てにするつもりだったが、それにしても早すぎる。 姉妹たちにしても、不甲斐ないの一言に尽きる。 「それにしても、こいつらも正義の味方にあるまじき戦法ばかり取りますわね」 クアットロは画面に映る昌浩を憎々しげに指ではじく。 勾陣の不意打ちももちろんだが、まさか昌浩が洗脳に洗脳をぶつけて相殺してくるとは、予想もしなった。ミッドチルダで使えば、確実に重犯罪者の仲間入りだろう。 「ま、いいですわ。どうせ無駄なあがきですもの」 いくら精鋭ぞろいでも、二十名そこそこで対時空管理局用に用意した戦力を全滅させられるわけがない。 「次は私のターン。まずは弱いところから」 クアットロの前に、晴明たちのいる本陣が映し出される。 本陣は、揺りかごからの断続的な砲撃を、天空、太裳、天一、玄武の張った四つの結界によって防いでいる。しかし、結界の強度には、露骨に差があった。 「ディエチちゃん」 『何、クアットロ?』 クアットロの通信に、聖王の揺りかごの上部で待機していたディエチが応える。巨大な大砲イノ―メスカノンを持ち、長い髪をリボンで括ったナンバーズだ。 「一番左の結界を撃って。あなたのヘヴィバレルなら破壊できるから」 『了解』 画面の向こうで、ディエチはイノーメスカノンを構える。彼女の目には狙撃用に望遠機能が搭載されている。敵に照準を合わせ、ディエチは狼狽する。 「どうしたの?」 『だって、あの子、まだ子供だよ?』 ディエチの目には十歳くらいの黒衣の少年、玄武の姿が映っていた。 「はあ? 何、寝ぼけてるの。あれは十二神将。子どもどころか、人間ですらないわ」 『でも……』 「これは任務よ。撃ちなさい」 『う、うん』 ディエチのISヘヴィバレルが発動し、撃ちだされた砲弾が、玄武の結界を粉砕する。 「よくやったわ。次は……ディエチちゃん?」 ディエチは凍りついたように、自分が撃った玄武を見つめていた。血を流し、苦痛にうめく少年。ディエチは罪の意識にからめ捕られていた。 『よくも玄武を!』 ディエチめがけて敵が接近してくる。ディエチは武器をそちらに向け、敵が五歳くらいの少女、太陰だとわかり咄嗟に銃口を背けた。 太陰の放つ竜巻がディエチを打ち倒す。 クアットロは呆れたように、ため息を漏らす。 「本当に愚かな姉妹ばかり。まあいいわ。ガジェットだけでも十分戦える」 クアットロは眼鏡を放り捨て、結んでいた髪をほどくと、次なる獲物を映し出した。 高速で戦場を駆けるエリオだ。 「どんなに速く動いても、避けられなければ意味がない」 皮肉げにクアットロは紅蓮の口真似をする。 瞬時に大量のガジェットがエリオを包囲する。同士討ちも辞さない全力の一斉射撃がエリオを襲う。 クアットロの指が、流れるようにコンソールの上を走る。次にフリードに乗るキャロが映し出された。 「どんなに竜が強くても、召喚師を倒してしまえば意味がない」 キャロめがけて豪雨のようにビームが降り注ぐ。 「そーして」 次に映ったのは、シャマルの姿だった。 「回復役から倒すのが、ゲームのセオリーよね」 クアットロは楽しげに舌なめずりする。弱者を蹂躙する喜びにうち震えていた。 「玄武君!」 シャマルが傷ついた玄武に駆け寄る。傷はもちろんだが、魔力ダメージがとにかく酷い。下手をすると命に関わる。 「お願い、クラールヴィント」 シャマルが玄武に癒しの魔法をかける。 しかし、その間、後方の作戦指揮官が不在になった。 「シャマル!」 ザフィーラがシャマルの前に出て、突如飛来した光線を防ぐ。 指揮官不在の隙をついて接近してきた、少年のような外見をしたナンバーズ、オットーが右手を構える。 「IS発動レイストーム」 オットーの手から無数の光線が放たれる。それをザフィーラはバリアで受け止める。 「ザフィーラ!」 「玄武を連れて結界内に退避しろ」 「そうはさせない」 赤い光を発する双剣を構えたナンバーズ、ディードがシャマルに急接近する。剣が一閃し、シャマルを切り裂く。噴き出した鮮血が服を赤く染める。 「レイストーム」 容赦ない光線の嵐がザフィーラを襲い、その場に縫いつける。 「ツインブレイズ」 動けないザフィーラの脇にディードが移動し、剣で切り上げる。 「盾の守護獣を舐めるなぁぁあああ!」 ザフィーラが吠える。地面から巨大な棘が生え、ディードの双剣の片方を砕く。それと同時にレイストームがザフィーラを飲み込んだ。 「ディード、大丈夫?」 シャマルとザフィーラの二人を倒し、オットーはディードを無表情のまま気遣う。 「怪我はない。それより次だ」 ディードたちが振り向くと、怒りに燃える朱雀と、厳しい瞳をした天一が立っていた。 「貴様ら、覚悟はできているんだろうな?」 力なく横たわるザフィーラ、シャマル、玄武を見ながら、まるで鉄塊の様に巨大な剣を朱雀は構える。 オットーは無言でレイストームを放ち、天一の結界がそれを受け止める。 朱雀の大剣と、一本だけになったディードのツインブレイズが火花を散らす。朱雀の力任せの一撃に、ディードは逆らわずに後ろに跳ぶ。それと同時に急加速。一息に朱雀の懐に飛び込んだ。 ディードには朱雀の武器が理解できなかった。あれだけ巨大な剣では、小回りが利かない。間合いと威力を重視するにしても、槍など別の武器を使った方が効率がいい。 ディードのツインブレイズが、がら空きになった朱雀の腹に突き出される。 朱雀の大剣が炎をまとい変化し、ツインブレイズと同じ大きさになる。朱雀は剣の大きさを自在に変えられるのだ。 小さくなった剣を朱雀は高速で振り下ろす。 ディードがぎりぎりで後ろに下がると、朱雀の剣が再び巨大化し、横薙ぎに払う。受け止めるも勢いに負け、ツインブレイズが手から離れる。 朱雀は神足で走り、ディードの腹部に剣の柄を叩きこむ。 「ディード!」 立ちつくすオットーに朱雀の当て身が炸裂し、二人は意識を刈り取られた。 「天貴(てんき)。みんなの傷の具合はどうだ?」 ナンバーズ二人を倒し、朱雀が愛する天一に呼びかける。天貴とは、朱雀のみに許された天一の愛称だ。 「一命は取り留めていますが、このままではみんな死んでしまいます」 天一は悲しげに顔を振る。 「よせ。天貴」 天一の思惑を察し、朱雀が止める。この状況で皆を助ける方法は一つしかない。しかし、それは朱雀が絶対に許容できない方法だった。 「朱雀。私を信じて」 天一はシャマルに手をかざす。 天一の手から淡い光が放たれ、シャマルの傷がみるみる塞がっていく。それに反比例するように、天一の顔が青ざめていく。 十二神将で唯一の回復の技、移し身の術。相手の傷を自らの体に移す術だ。つまり命に関わる大怪我を移せば、天一の命を危うくする。しかも移し身の術で移した傷は、あらゆる回復魔法を受け付けない。天一が自力で治すしかないのだ。 十二神将は人間よりも頑丈で治癒力も高いが、過去に天一はこの術で何度も死線をさまよった。その度に朱雀は、天一を失う恐怖に苛まれてきたのだ。 だが、天一の心を曲げることも朱雀にはできない。今はただ天一を信じ祈ることしかできない。 シャマルの傷のほとんどを引き受け、天一が倒れる。その体を朱雀が抱き止めた。 シャマルが意識を取り戻す。倒れる天一を見て、おおよその事情を理解する。 「……天一さん」 「シャマル。みんなの治療を頼む。天貴の思いを無駄にしないでくれ」 朱雀の真剣な眼差しに頷き返し、シャマルは治療を開始した。 朱雀がディードたちと戦っている頃、空中ではエリオとキャロに、ガジェットの集中砲火が浴びせられていた。 二か所同時に巨大な爆炎が発生する。 「いやぁぁああああああ! エリオ! キャロ!」 「落ち着け! フェイト!」 恐慌をきたすフェイトを、白虎が叱咤する。 「でも、エリオが! キャロが!」 背中から黒煙を上げながら、フリードが墜落していく。あれだけの火力を防げるバリアをエリオもキャロも持っていない。絶望がフェイトの心を覆う。 「ストラーダ!」 『Sonic Move』 聞き慣れた声が響き、電光が爆炎を突き破る。 「エリオ!」 「来よ、ヴォルテール!」 地面に魔法陣が出現し、巨大な黒き龍が出現する。 「キャロ!」 「フェイトさん。僕たちは絶対に死んだりなんかしません!」 エリオは左半身がぼろぼろになっていた。特に左腕の怪我は酷く、力なく垂れ下がっている。 包囲された瞬間、防御も回避も不可能だと悟り、左腕を犠牲に一点突破を行ったのだ。 「その為の力を、フェイトさんたちからもらいました」 傷だらけのフリードが小さくなり、優しくキャロに抱き止められる。 キャロは、敵の集中攻撃よりわずかに速くフリードの背中から飛び降りたのだ。しかし、すべてを避けられたわけではない。バリアジャケットをところどころ破損し、決して軽くない怪我を負っている。 コンマ一秒遅れていたら、二人とも死んでいた。そんなぎりぎりの状況判断だった。 (二人とも本当に成長したんだ) フェイトはわずかな感慨に浸る。 ずっと子どもだと思っていた。それなのに、いつの間にか立派な魔導師に成長していた。欲を言えば、もっと平和で穏やかな人生を選んで欲しかった。でも、あの二人は、もう自分で道を選べる。フェイトの手助けは必要ないのだ。 今日が子どもたちの巣立ちの日だった。喜びと寂しさが同時に去来する。 フェイトは決然と顔を上げた。 「二人とも、撤退して。キャロはヴォルテールで、本陣の守備を。白虎さん、シグナム、二人の援護をお願い」 「おう!」 「心得た!」 生き延びはしたが、さすがにこれ以上の戦闘は二人には無理だ。ヴォルテールの手に乗り、エリオとキャロが撤退していく。 矢継ぎ早に味方に指示を下しながら、フェイトはガジェットの群れと戦う。 セインはISディープダイバーを使い、地中を潜行していた。 (あちゃー。間に合わなかったか) セインの目的は敵のかく乱。敵を倒さずとも、神出鬼没に行動し、敵の戦線を乱す。その途中で、オットーとディードの援護に行こうとしたのだが、敵の強さが予想以上で二人ともあっさりとやられてしまった。 (でも、今がチャンスだよね) 敵の後方はまだ混乱している。畳みかけるなら今しかない。 セインは地中からゆっくりと傷の治療を行うシャマルに近づき、いきなり壁にぶつかった。 (ぷぎゃ) 妙な悲鳴を上げ、セインはぶつけた鼻をさする。 目の前は普通の地面だ。ディープダイバーで透過できないわけがない。 セインの背筋に、得体の知れない悪寒が走る。セインは慌てて地上に逃げた。 「水!?」 地上に出たセインを、水で出来た矛が追いかけてくる。さっきぶつかったのは、水で出来た盾だったのだ。 「見つけましたよ」 十二神将、天后がセインと対峙する。天后は水の矛と盾を操る。水ならば大地の中でも自由に動ける。まさにセインの天敵だった。 「あなたは私が倒します」 天后は戦う力を持つ十二神将の中では最弱だ。だが、この厄介な相手だけは倒してみせる。 「ちっ」 左右から水の矛が、同時にセインを襲う。セインは地中に逃げようとして、踏みとどまる。地中に逃げれば、敵の攻撃が認識できない。ここは走って逃げるしかない。 「波流壁!」 「しまった!」 足を踏み出したセインを、球状の水の結界が捕らえる。 天后はやや不満げに後ろを振り返った。 「玄武。邪魔をしないでください」 「我も見せ場が欲しいのでな」 玄武が横たわったまま、結界を発動させたのだ。全力を使い切った玄武は、今度こそ眠りについた。 勾陣は一人森の中で、ガジェットと戦っていた。 十手によく似た筆架(ひつか)叉(さ)と呼ばれる武器を両手に構え、ガジェットを切り裂いていく。 「片づいたようだな」 そこに紅蓮がやってきた。 「敵はまだまだいる。早く次の戦場に向かおう」 「ああ、急ごう。勾陣」 勾陣は足を止め、振り向きざま筆架叉を振るう。紅蓮の腕が浅く切り裂かれる。 「気でも狂ったか、勾陣!」 「不勉強だな。騰蛇は私のことを勾と呼ぶのだ」 「……互いの呼び名ね。やっぱり付け焼刃は上手くいかないわ」 紅蓮の喉から女の声が発せられる。その姿がナンバーズ、ドゥーエのものに変化する。ドゥーエのISライアーズマスク、他人に変装する能力だ。 「名は?」 「ドゥーエ」 「二番と言う意味か。奇遇だな。私も十二神将の中で二番目に強い」 「あらそう。それにしても、愛称で呼ぶなんて、あなたたち、もしかしてそういう関係?」 「さて。ご想像にお任せする」 会話の途中で、ドゥーエがピアッシングネイルを突き出す。勾陣が筆架叉で爪を上下から挟みこむ。 「ふっ!」 勾陣が瞬間的に横の力を加えると、澄んだ音を立ててピアッシングネイルが砕ける。 「はあぁぁあああ!」 続けて迸った衝撃波が、ドゥーエを吹き飛ばし背後の大木に叩きつける。 「惜しかったな」 勾陣は、脇腹に突き刺さっていたドゥーエの爪を引き抜く。もう少し踏み込まれていたら、危なかった。 ドゥーエの敗因は、トレーニング不足だ。長い潜入任務で体がなまっていたのだろう。万全の状態ならば、結果は変わっていたかもしれない。 ISも恐るべきものだった。もし紅蓮以外に化けていたら確実に騙されていた。 「あいつに感謝しないといけないな」 勾陣は目元を和ませると、聖王の揺りかごを見上げた。 「露払いは終わった。次はお前の番だ。なのは」 目次へ 次へ
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諦めんじゃねぇ そんな事は言われたことなかったな。 苦しんでいるのに私は何も出来ない。 そんな風に思っていた時の言葉。 元気付けられた、励まされた。 だから、 だから だから今はお前に託すぞカービィ。 星のカービィリリカル次元を超えた出会い 始まります。 クリスタルの球体へと捕まってしまった、ノーヴェとウェンディ。二人を救う為にカービィはヘビーロブスターと対峙していた。 「これから、本当の戦いって訳か。」 ワドルディはそう言うと、デバイスを握り直した。 「皆、いくでぇ!」 「おう!」 そう言うとデデデ達は突撃した。しかし、ヘビーロブスターの甲殻は堅い。並の魔法や攻撃で貫くことは、不可能である。 (ラケーテンでも貫くことが出来るかどうかやな。こうなりゃ、リミッターを外すしかないようやな。) 「ワドルディ、リミッター解除、いくで。」 「了解!」 そう言うとデデデの周りに魔力が集まり魔法陣を描いた。それは、以前高すぎるる魔力を抑制するためにクロノが取り付けたものであった。 「リミッター解除、プププランド国王デデデ大王、衛兵隊副隊長ワドルディ!リミッター、リリース!」 すると、デデデの周りからはSランクオーバーの魔力、ワドルディの周りからはSSランクオーバーの魔力が溢れだすていた。 (あるフェレットの話では「すごい、なのは並の魔力があるなんて」らしい。) 「いくでぇ、ギガントフォルム。」 「いきます、スピアフォルム。」 二人がそう言うとデデデのハンマーは巨大化しワドルディのデバイスは槍になった。 「カービィ、ワドルディ、連携いくデ。」 「ハイッ!」 「ポヨッ!」 「援護頼みますよ。」 「分かったよ。このアギト様に任せとけ。」「リボンちゃんとヴィヴィオちゃんはチンクさんのこと頼みます。」 「任しといて。」 「うん、分かった。」 「さてと、いきましょう。」 「おうよ、任しとき!」 「ギャアァ!」 ヘビーロブスターは唸りをあげると右手を振り下ろした。 「クッ。」 「クソッ。」 そう言うと、デデデ達は避けた。この威力である防ぐなど持っての他である。 「ウオォォッ!ギガントシュラァーク!」 「ハアァッ!メッサーアングリフ。」 二人が叫ぶとデデデはギガントフォルムのハンマーに魔力を込め叩きつけ、ワドルディは魔力を込めたスピアで切り裂いた。 しかし、爆風が晴れたその場には、無傷のヘビーロブスターがいた。 カービィもエリアルキャノンを撃つが全く効かなかった。 「ギャアァ!」 すると、ヘビーロブスターがハサミにエネルギーを溜め始めた。そして、最大までチャージするとデデデ達へと放ったのだ。 その威力はあの高町なのはの砲撃に劣らない威力であった。 「チイッ。アクセルフィン。」 「クッあかん。覚えたてやが、頼むで。」 《allright。airsail。》 ワドルディの背中からは青い羽が生え、デデデは金色の魔力に包まれながら、飛行した。 「陛下、その魔法…。」 「最近覚えたんや。魔法を使い始めて百年近くのベテランやで。」 「そうでしたね。」 「さて、どうしたもんか。」 「生半可な魔法は効きませんからね。」 二人が悩んでいると、カービィもその場に集まった。その時、声が響く。 「私がやる!」 「無理よ。傷も癒えてないのに!」 そこには満身創痍の体を引きずり立っているチンクと止めようとしているリボンの姿があった。 「私のISを使えば、あるいは。」 「無茶や!その身体でISを使えば、どうなるか分かっとるんか。」「お見通しという訳か。その通り只じゃすまないだろうな。だがなそれでもやらなきゃならないんだ。」 「チンク…。」 皆が言う中、声が響いた。 「逃げろ、チンク姉。」 「そうッス。もう無理ッスよ。」 それは捕らえられているノーヴェとウェンディの声であった。 「ノーヴェ、ウェンディ!」 「私達は大丈夫ッス!何とかなるッス!」 誰が見てもそれは嘘である。今の状況を見る限り、二人だけで脱出は不可能なのだ。 誰もが黙るなか、デデデは口を開いた。 「お断りや。わいは、何もせんと、諦めるのが大嫌いや。だから、諦めるんじゃねぇ!そんなふうに考えるバカは、こん中には居らんのや!だから、ワイらが必ず助けたる!」 「もう少し、もう少しだけ待ってください。必ず助けてみせます!」 「ワイらを信じろ。」 その笑みを見た、ノーヴェ達はもう少し信じることにした。 「さて、問題はあの魔獣やな。」 「一点集中の攻撃しかないですが、動きを止めないと。」 その時、カービィの目の前に一本のナイフが突き刺さる。 「皆がお前を信じているように、私もお前を信じよう。頼む!」 それに答えるようにカービィは、ナイフを吸い込んだ。 すると、カービィは左目に眼帯を着け、ヘルムにはⅤの文字が刻まれた、《ナンバーカービィⅤ》となったのだ。 「おい、待て。お前の能力は重装甲の奴には効かないんじゃ。」 「まあみていろ。」 カービィは飛び上がり、ヘビーロブスターへとナイフを投げた。勿論その程度の攻撃は、このヘビーロブスターには効きはしない。 しかし、それは装甲の話、ナイフは次々と装甲の間接部へと命中していった。そして、カービィが指を鳴らすとその全てが大爆発を起こしたのだ。 もう一度言おう、当たったのは間接部、直接ダメージは相手に伝わるのである。つまり、動きが取れなくなったのである。 「今や、行くで、ワドルディ!」 「あぁ!」 デデデ達はそう言うと、ヘビーロブスターへと向かっていった。 「集中放火やぁ。ギガントシュラーク!」 「ディバィーンバスタァー!」 「ポヨォッ!」 ナイフにデデデとワドルディの魔法が重なり、ヘビーロブスターへと突き刺さる。 「もういっちょ。鋼の軛!」 すると地面から魔力の槍が飛び出しヘビーロブスターを貫いた。そこに次々とナイフが刺さり爆発していく。そして守るべき装甲は崩壊寸前となった。 「今や、ワドルディ!」 するとワドルディの周りに魔力が集まっていき、ワドルディのデバイスは砲撃用のカノンフォルムとなっていた。 「カートリッジ、オールロード。」 6発のカートリッジを全てロードし、ワドルディの目の前にはミッド式の魔法陣が展開され魔力が集まっていった。 そして、詠唱されるは管理局最強と呼ばれた白き魔王の最大の魔法。 「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け!閃光!スターライト・ブレイカァー!」 詠唱と共に集められた膨大な魔力が集束され、放たれた。 「ギャアァァ!」 ヘビーロブスターを飲み込むとその存在を消し去ったのだった。 「ノーヴェ、ウェンディ!」 ヘビーロブスターが倒れたことでノーヴェ達が解放され、地面へとゆっくり降りていく、ノーヴェ達。 その姿を見て、チンクは二人へと駆けよった。 「ノーヴェ、ウェンディ。」 「チンク姉、ごめんなさい。戦ってたんだろ。」 「ノーヴェ覚えているのか。」 「何にもできなかった。自分を止めることも。ごめん、な、さい…。」 「ノーヴェ?ノーヴェ!」 「大丈夫、眠ってるだけです。」 「良かった。ウェンディは?」 「両方、眠ってるだけです。」 ワドルディにそう言われチンクはホッとしていた。 「しかし、まだこれで終わりじゃありません。」 「分かってる。本当の戦いはこれからだな。」 この先に待ち受ける、スバル達との戦い。決戦の時は刻一刻と迫っていた。カービィ達は勝つことは出来るのか誰も未来は解らない。 星のカービィリリカル次元を超えた出会い 第三話 「姉と妹」Bパート ~fin~ next 第四話 「スターズブレイク」Aパート 戻る 目次へ 次へ
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無性に飛びたくなる時があって、飛ばないとおかしくなりそうなだけ。 プロフィール 概要 ステータス(S>A>B>C>D>E) 二次創作における鳶沢みさき 技一覧 プロフィール 誕生日 4月16日 イメージカラー 紫 身長 165cm 体重 48kg 性格 気分屋 友達思い おばあちゃんっ子 趣味 食べること おばあちゃんから教わること 好きな食べ物 四島うどん たけのこ 学校 久奈浜学院高校 学年 2年B組 プレイスタイル ファイター 競技用のグラシュ インベイド・レーヴァテイン 起動キー 「飛ぶにゃん」 コントレイルの色 黄 概要 県立久奈浜学院高等学校に通う2年生で、主人公のクラスメート。4月16日生まれ。 元々は久奈島民ではなかったらしいのだが、作中の2年前に母親が亡くなってから、(おそらく父親の)実家のある久奈島に移住してきた。 性格はかなりマイペースで、友人曰く「午前中は低血圧で半分寝てる」らしい。しかし放課後になるとまるで別人かのようにテンションが上がる。 かなりのおばあちゃんっ子で、おばあちゃんからモノを教わるのが趣味。 そのためか料理が得意で、アニメではぬか床を作ったり、あごだしのカレーや漬物、餃子なども作っていた。 料理ができるのに加え、午前中は半分寝ているのにも関わらず、中間・期末テストでは全教科90点越えというほど、かなり成績がいいらしい。それでいて運動神経抜群でスタイル良くて胸がでかいって… 何?このチートスペック。 好物は四島うどんとたけのこ。その他、本人曰く甘いものには目がないらしい。 フライングサーカス(以下 FC)は中学時代にやった経験があるそうで、そのため飛び方も非常に安定している。 FCでのプレイスタイルはドッグファイトに特化した「ファイター」で、競技用のグラシュは米・インベイド社の「レーヴァテイン」を履いている。 余談ではあるが、人気投票では毎回上位にランクインしており、2020年に実施した人気投票では1位を獲得するなど、人気ナンバー1キャラでもある。 ステータス(S>A>B>C>D>E) HP MP 攻撃 魔攻 物防 魔防 素早さ S+ C C+ E D- D- A- 属性耐性 ◎ 非常に効きやすい、○ 効きやすい、△ 効きにくい、× 無効 火 水 雷 氷 土 風 光 闇 神聖 自然 超 音 ○ ○ - - × △ - - - - - - 異常耐性 毒 麻痺 睡眠 混乱 幻惑 封印 沈黙 即死 暴走 呪怨 魅了 ○ ○ ◎ △ - - - - × - △ 二次創作における鳶沢みさき 技一覧 技名 特徴 技A 説明文
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「では、主はやて、先に風呂に行ってきます」 「うん。私も通信が終わったら行くから」 はやてがシグナムたちが出て行くのを見届ける。昌浩の家の風呂は広く、五人くらいなら余裕で同時に入れる。 ザフィーラは昌浩の部屋でもっくんと語り合っている。部屋には、はやて一人きりだ。 フェイトに空間を超えた通信を送る。通信画面が開き、フェイトが顔を出す。 「フェイトちゃんか。そっちの様子はどうや?」 『ガジェットが少し出ただけ。みんなが頑張ってくれたおかげで、すぐに片づいた』 「それは何より。こっちはティアナと昌浩君が喧嘩してしまって、てんやわんやや」 『そうなんだ。あ、でも、早く帰ってこないと、書類がどんどん溜まっていくよ』 「え~? フェイトちゃん処理しといて」 『駄目だよ。部隊長の承認が必要な書類なんだから』 「ハンコなら、私の机の引き出しに入っとるから、私の代わりに、な?」 『ダーメ。そんな不正はいけません』 「フェイトちゃんの意地悪」 『ふふっ。はやて、なんだか学生時代みたい』 宿題を忘れた時、よくこうやって泣きついたものだ。 「学生か。四年前まで学生やったのが、嘘みたいやね」 『今じゃ機動六課の隊長だもんね』 時空監理局に入ったはやてたちを待っていたのは、天才魔道師としての重圧だった。 特に過去に犯罪に加担したはやてとフェイトには、様々な陰口がついて回った。 かけられる期待に、押し寄せる課題。必死に課題を解決すれば、より困難な課題がやってくる。あっという間に出世し、気がつけば、天才の名にふさわしい功績を、はやてたちは上げてしまっていた。 他者がうらやむ才能が、普通の生活を、はやてたちから奪ってしまった。 「……もし私らが普通に高校や大学に行ってたら、どうなってたかな?」 大学に行って講義を受けて、テストやレポートに追われ、時折、入ってくる時空管理局の仕事を片づける、そんな穏やかな日々。 「そしたら、私ら、もう彼氏とか出来とったかも」 『そんなことになったら、シグナムたち大騒ぎだよ』 「ほんまやな」 血相を変えて反対する守護騎士たちの姿が目に浮かぶ。もしその男が、はやてを泣かせようものなら、即座に血祭りにあげられるだろう。 はやてもフェイトも時空管理局に入ったことは後悔していない。もしもう一度やり直せるとしても、同じ道を選んだだろう。 しかし、砂漠の旅人を惑わす蜃気楼のように、選ばなかった道が時折ちらつくのだ。 はやての顔から笑みが消える。 「フェイトちゃん。ちょっと弱音吐いてもいいかな?」 『うん』 「……私、毎日、スバルたち四人が死ぬ夢を見るんよ」 『……私もだよ。なのはもきっと同じ。ううん。多分なのはが一番つらい』 新人の教育担当は、なのはだからだ。 「ごめんな。私が失敗したせいで」 『誰のせいでもないよ。はやてのせいでも、昌浩君のせいでも』 機動六課。レリック捜索は表向きで、真実は来るべき災厄の日に備える為の部隊。スカリエッティこそが、その災厄をもたらす者だと、はやては睨んでいる。 しかし、機動六課の運営は、昌浩と十二神将の参加が大前提だったのだ。 守護騎士たちは、はやての保有戦力ということで、簡単に同じ部隊に組み込めた。つまり、昌浩が入れば、十二神将も一緒に六課に組み込めるということだ。 昌浩が六課に入れば十二神将を好きに使っていいと、晴明との約束はすでに取りつけてあった。 戦いにおいて、もっとも重要なことは生き残ることだ。しかし、生死の境界線の見極めは、訓練だけでは身につかない。経験がものを言う。 現に、スバルとティアナが訓練で無茶な戦い方をした。訓練だからよかったが、もし実戦でやっていたら、敵を道連れに二人とも死んでいただろう。 報告を聞いた時、はやては心臓を氷の手でわしづかみにされたような恐怖を感じた。なのはのお仕置きが適切だったとは、はやても思えないのだが、気持ちは痛いほどわかる。 あの時、なのはの目には、血まみれで横たわる二人の姿が見えていたのだろう。 その点、昌浩は、幼少より晴明に厳しく鍛えられ、妖怪相手にそれなりに実戦経験を積んでいる。ある程度の訓練で戦力として使えるだろう。 そして、十二神将は、千年以上の時を生き続ける歴戦の勇士だ。簡単なレクチャーだけで、完璧に任務をこなしてくれるだろう。 はやての最初の案では、現在の隊長たちと昌浩と十二神将の数名でチームを組む予定だった。 そして、スバルたち四人は補欠として、裏方仕事をしながら、ゆっくり訓練と調整を繰り返し、時期を見て作戦に参加させる。 特異な生い立ちと能力ゆえ、戦う道具としか見られていなかったエリオとキャロには、裏方の仕事を教えることで、戦い以外の選択肢を与えてやりたかった。 はやては昌浩を追いかけまわしていた日々を思い出す。表面的にはおどけた様子でも、はやては内心ではすがるような、祈るような思いで、昌浩を勧誘していたのだ。 『なあ、昌浩君。今度新しい部隊ができるんやけど、よかったら入らへん?』 (お願いや……) 『給料はずむで』 (後生やから……) 『いやー。昌浩君は商売上手やな』 (頼む……) 『よっしゃ、全員分の最新型デバイスでどや!』 (うんって言って……) 『隊長の地位もつけるで!』 (私のせいで誰かが死ぬとこ、見たくないねん!!) しかし、幼い昌浩は隠された意図を汲むことができず、はやての必死さは裏目に出た。 絶対に間違えてはならない一手目を、はやては間違えたのだ。 結果、新人たちに課せられたのは、限界ぎりぎりの過酷な訓練。時期尚早な実戦投入。綱渡りのような部隊運用。上手くいっているのは、各人の努力と才能、運の賜物だ。 エリオとキャロに戦い以外の選択肢を与えるどころか、より洗練された戦いの道具へと育て上げるしかなかった。 そして、これから起きるかもしれない大きな戦いに、否応なくスバルたちを巻き込もうとしている。 もちろん、昌浩なら絶対に死なないという保証はない。単にリスクが少ないだけだ。 リスクが少ない方法を取るのは、隊長としては当然だろう。しかし、はやての心の奥底にあったのは打算だった。 四人より一人の方が、心の痛みが少なくて済む。そんな気持ちでいたから、昌浩の心を動かせなかった。もし昌浩一人の心を動かすこともできないようなら、十二神将を扱う資格はない。晴明との約束は試練でもあったのだ。 はやてはそれに合格できなかった。 「…………最低やな、私」 はやてが静かに嗚咽を漏らす。 今からでも遅くはない。昌浩が参加してくれれば、前線部隊の負担をかなり軽くすることができるのに、それにも失敗しようとしている。 フェイトは黙って聞いていてくれた。 やがて、にぎやかな足音が近づいてきた。シグナムたちが風呂から帰ってきたのだろう。 はやては涙を拭い、赤くなった目を見られないよう目を細めて笑顔を作る。 扉が開いて、寝間着に着替えたシグナムたちが入ってくる。 「やだもー。フェイトちゃんたら、冗談きついで。ほな、またな」 「主はやて。随分長く会話していたのですね」 「いやー。話がはずんで。どれ、私も風呂入ろ」 はやてはいそいそと風呂場に向かう。 この苦しみはシグナムたちには言えない。この仕事を続ける限り、決して終わることのない苦しみだからだ。 おそらくシグナムたちも、はやての心情は察している。だが、言葉にすれば、それは重しとなって、シグナムたちから笑顔を奪ってしまうだろう。 「じゃ、行ってきまーす」 皆の笑顔のため、涙を隠して、今日も八神はやては笑うのだ。 山の中に不思議な施設があった。 巧妙にカモフラージュされた施設は、明らかにこの世界の技術体系と違うものだった。 稀代の広域次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティの研究所だ。ただし規模は小さい方で、重要な設備もない。ここはダミーの意味合いが強い施設だった。 六課が検出したレリックとエネルギーの反応は、ここから漏れたものだ。 「面白い」 モニターを見ながら、スカリエッティは笑みを浮かべる。 白衣を着た端正な顔立ちの男だが、どこか邪悪さがにじむ。 スカリエッティがここを訪れたのは偶然だった。長らく放置していた施設に、問題がないか確認しに来ただけ。 「まさか辺境世界で、こんな逸材に会えるとは」 モニターには、今朝の模擬戦の様子が映されている。ティアナと戦う昌浩と、なのはと戦う青龍。 今まで見たこともないタイプの魔法を使う魔導師たち。 「ぜひ研究したい」 『音声を拾いましたが、オミョージと言うそうです』 彼の秘書を務める戦闘機人ウーノが、通信画面越しに報告する。 「オミョージ? 変わった名だな」 『この世界のデータベースにアクセスすれば、すぐに詳細がわかりますが?』 「まあ、名前などどうでもいい。データ採取も直接やればいいだけの話だ。これより計画を変更し、ナンバーズはオミョージの調査に当てる」 『今は手薄になったミッドチルダを優先すべきでは?』 「そう言うな。こういう一見関係なさそうな研究が、目的達成の早道になることもある」 『わかりました』 ウーノが予想した通りの答えが返ってくる。スカリエッティは一度言い出したら聞かないタイプだ。 『では、レリック捜索はガジェット部隊に任せ、ナンバーズを招集します』 研究所のカモフラージュの強化に、戦力の増強。やることが一気に山積みになった。 「都合のいいことに聖王の器も一緒だ。そのうち、奪取させてもらおう。では、これよりオミョージ計画の準備を始める!」 スカリエッティは堂々と宣言した。 この数日後、オミョージではなく、陰陽師であるという事実が発覚する。その時、その場にいたナンバーズたちが一斉に噴き出した。 スカリエッティの生涯で、最も恥ずかしい瞬間だった。 「いけね。ネクタイ、忘れた」 はやてが入浴を終え、電気を消そうとした矢先、ヴィータが慌てたように言った。 「明日でもいいんじゃない?」 「いいよ。すぐだから」 ヴィータは部屋を出た。 安倍邸の広い廊下を歩きながら、ヴィータは沈んだ顔をしていた。昌浩と一緒にいることで、複雑な感情を抱いていた。 嬉しいと思う反面、酷く辛い。まるで心が二つに引き裂かれそうだった。 千年以上前の戦いで、ヴィータは昌浩に惹かれていた。あの日々の記憶は、宝石のようにヴィータの中で輝いている。 しかし、それはあくまで昌浩の祖先だ。あの日々を、今の昌浩は知らない。 出会ったばかりの頃は、昌浩の生まれ変わりだと素直に信じられた。しかし、成長するにつれ、実はただ似ているだけではないかという疑問が頭をもたげてくる。 今の昌浩が笑顔で話しかけてくるたび、あの日々の輝きが鋭利な刃物のようにヴィータの心を抉るのだ。 「私はどうしたらいいんだろう」 考え事をしている間に風呂場に辿り着く。 扉を開けると、下着姿の昌浩が立っていた。 「「うわああああああ!!」」 二人の悲鳴が響き渡る。 「なんで、そんな恰好してるんだ!」 「もう上がったんじゃなかったの!?」 どちらも赤い顔で怒鳴る。 「忘れ物をしたんだよ」 「忘れ物? もしかしてこれ?」 昌浩が置きっぱなしになっていたネクタイを拾い上げる。 「ああ、それ……」 ヴィータの声が不自然に止まる。 ヴィータはのしのしと昌浩に近づくと、体を両手でつかんだ。 「ヴィ、ヴィータちゃん?」 「お前、この傷」 昌浩の脇腹のあたりに、巨大な刃物で貫かれたような傷があった。うっすらと肉が盛り上がっているだけで、ほとんど目立たない。ヴィータが気づいたのも偶然だ。 「ああ、これ? 最近自然に浮かび上がってきたんだ。怪我なんてしてないのに、不思議でしょ?」 もっくんに心当たりがないか聞いてみたが、懐かしそうにするだけで答えてくれない。 それは先代の昌浩が、ヴィータをかばって受けた傷痕だった。 「ヴィータちゃんは心当たりない?」 「ヴィータだ」 「えっ?」 「ちゃんはいらねぇ。昌浩は、ヴィータって呼ぶんだ」 昌浩を見上げるヴィータの顔が、泣きそうに歪んでいる。それなのに、とても嬉しそうだった。 「それって、どういう……」 今度は昌浩が不自然に言葉を切る。昌浩は入口の扉を見つめていた。 ヴィータが振り向くと、口に手を当てて笑っているシャマルの姿があった。悲鳴が聞こえたので、念の為、様子を見に来たのだ。 「アイゼン!」 「ちょっと待って! やり過ぎだよ、ヴィータ」 グラーフアイゼンを構えるヴィータを、昌浩が後ろから羽交い絞めにする。 「お前は奴の怖さを知らねぇんだ! 離せ、手遅れになる前に」 昌浩たちが揉めているうちに、シャマルは部屋に引き返す。 「待て!」 「そんなに焦らなくても……」 昌浩はすぐに服を着ると、ヴィータと共に後を追った。 「心配のし過ぎだと思うよ。いくらシャマルさんだって、そこまで悪質なことは……」 「それでね、それでね、下着姿の昌浩君にヴィータちゃんが迫って行ったの」 「おー! 大胆やなあ」 はしゃぐシャマルとはやての声がする。 「しかも、その後、ヴィータちゃんを昌浩君が後ろから抱き締めたのよ」 「なんや、私がやらんでも、ヴィータがやってくれたんか。それならそうと早く言ってくれたらええのに」 昌浩とヴィータの顔が、怒りを通り越して無表情になる。 「シャマルがどういう奴がわかっただろ?」 「うん。よくわかった」 昌浩たちは部屋に入ると、両側からシャマルの腕をつかむ。シャマルの顔から、血の気が引いていく。しかし、はやては、にこにこと笑顔を崩さない。 「あの、はやてちゃん? 助けてくれると嬉しいんだけど……」 「自分の発言には責任持たなあかんよ、シャマル」 はやてがこんな時だけ真面目な表情をする。 「いーやー!」 廊下の奥にシャマルの姿が消えていく。やがて悲鳴が聞こえた。 別の部屋に移動した昌浩とヴィータは並んで座る。時刻は夜の十一時を回っている。 「昌浩、お前に聞いて欲しい話があるんだ」 「うん」 ヴィータは先代の昌浩と一緒に過ごした日々のことを、大切に、大切に話し始めた。 昌浩が初めて聞く話なのに、ひどく懐かしい。自分が先祖の生まれ変わりという話も、真実だと素直に信じられた。 二人の話題は尽きることなく、静かに時間が過ぎていく。 隣の部屋では、ずたぼろになったシャマルが無残に打ち捨てられていた。 目次へ 次へ
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コミックマーケット82 公式サイト 開催日時 2012/8/10(金)~ 12(日) イベント毎に注意事項が異なるので参加する方はカタログの諸注意を熟読の上、 マナーを守ってイベントを楽しみましょう。 今回は猛暑が予想されます。熱中症には注意して下さい → C82 熱中症注意ページへ ショップ委託頒布のみ(もしくは配置不明) 8月10日(金) コミックマーケット1日目西館 8月11日(土) コミックマーケット2日目東館 A~Z 東館 ア~ソ 東館 タ~ロ 西館 あ~れ 8月12日(日) コミックマーケット3日目 コミックマーケット82 動画一覧 このページについて ・コミックマーケット82で頒布される東方二次創作ゲームまとめです。 ・主に新作を記載。既作(過去作)、アプリ、東方二次創作ゲーム関連のサントラやグッズも記載可 ・イベントページに限り、ツクール作品も記載(ツールがわかれば備考に記載) ・配置からのリンクはtwitcmapかpixivイベント一覧の配置地図が別ウィンドウで開きます。 新作、既作、その他などを色分け +色分けを表示 左端の背景色によって、新作、準新作、既作など分けられている。 背景色 種別 wiki構文 紅色 ゲーム、アプリ:新作やバージョンアップ版 BGCOLOR(#DC143C) 蓮桃色 ゲーム、アプリ:準新作(初出から1ヶ月程度) BGCOLOR(#DA81B2) 灰色 ゲーム、アプリ:既作、過去作 BGCOLOR(#DCDCDC) 白色 東方二次創作ゲームのグッズや本など詳細不明な物も含まれる BGCOLOR(#FFFFFF) 文字色 カテゴリ wiki構文 通常色 東方二次創作ゲーム関連全般 薄灰 非 東方二次創作ゲーム関連の物 font(#C0C0C0){文字列} 表示 意味 wiki構文 New! 更新が2012/8/10から72000時間以内の場合New!が表示される br() sizex(1){ b(){ font(#DC143C){ new2(2012/08/10 11 00 00,time=72000,show=New!)}}} 先頭の br()は改行の意味 編集について ・情報提供や意見はコメント・ご要望にお願いします。 ・製作者による登録や修正も大歓迎です! ・色分けなどのwiki構文がわからない場合は構文は気にせず、文字のみ、入力や編集してください。 +編集詳細を表示 編集まとめ 記載サークルの区分詳細 開催日前日に情報掲載される場合があるので、ゲームを頒布する可能性があるサークルを掲載。 過去1年以内に東方二次創作ゲームやアプリを頒布したサークルも載せています。 使用しているwiki構文 ・色に関するwiki構文は色分け詳細を表示を参照してください。 ・ br()は改行を意味します。 このwiki構文は br()このように表示されます。 このwiki構文はこのように表示されます。 参考リンク集 +リンクを表示 東方二次創作ゲーム Operation Jaguar. 同人ゲーム全般 コミックマーケット同人ゲームサークルリストWiki 壁際ヒッキー 日記兼IRCログ えーでるわいす C82同人ゲームまとめ動画記事 同人全般 twitcmap pixivイベント一覧 上へ移動 [部分編集] ショップ委託頒布のみ(もしくは配置不明) 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 カスガソフト ADV 忙しい人のためのえいやしょう EXTRA 虎 メロンばおー D-S 10001500 委託先:2日目西 け36a委託先:3日目東 ノ24b 激辛spice ACT ゲンソウキョウの謎 有り 虎 メロン ばおーD-S WC 1470 上へ移動 [部分編集] 8月10日(金) コミックマーケット1日目 西館 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 に16a カレーラーメン RPG 既作 (ミニゲームRPG)リグルの蟲のよろずサービス 500 本 既刊 ほか 上へ移動 [部分編集] 8月11日(土) コミックマーケット2日目 東館 A~Z 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 W34b 委託元:スレイプニル委託先:やどりぎ亭 既作都死と狼と世界樹と~序章~、CD 東館 ア~ソ 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 ア23b 魔道琥珀研究所 PZL 阿求と謎の迷宮 (通常版)XG収録版(R18)もあるので注意 有り 200 動画 ? ウ31b 常夏ストップ安 エ15b 紅緑亭 東方ディアブロの拡張パッチのようなもの 300 いつかWEBで公開予定 キ50b ミツメ書房 製作中のゲームの体験版?非東方? ク26a 委託元:W.S.P PZL 既作 小傘崩しぷらす 他 ? ケ12a 陽炎(黒咲まんぼう) ADV 夢見語 シ33b AQUASTYLE ROG 不思議の幻想郷 CHRONICLE過去作5作のストーリーをまとめた物 有り700MB メロン 虎メイト ばおーD-S WCメロンDL 20002400 2250 動画 DL版は3.6GBDL失敗に注意 コミケ会場限定上記新作購入特典不思議のサマーディスク(ゲーム音楽画像etc)ゲーム:みらくる☆超パーティー※ノーサポート、単体起動可、バカゲー 動画 シ34b はちみつくまさんひえろぐらふ 神霊廟のアレンジCD 東方大復活 委託元:苺坊主小松菜屋 SLG 東方百鬼合戦 15001975 東ト33bでも頒布 シ35a D.N.A. Softwares まどかマギカのアクションゲーム グッズ TBL 既作 東方幻想麻雀 3rdGeneration 2000 シ35b あんかけスパ ACT レミリア3Dゲーム(仮)プロト体験版 シ41b 黄昏フロンティア ACTPZL 古明地さとりの情操教育 1000 ソ41ab float counter ADV REMIDOKI!-The Midnight Carnival- 体験版C83に頒布見送り グッズ、本 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 上へ移動 [部分編集] 東館 タ~ロ 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 テ49b 草枕文庫 本 ト17b ぱんついーと 既作 新作なし 既作2作妖精大変装、妖精大転鏡 ト18a 未完童話 SLG 東方ポケット戦争2 虎 2100 A80aにも委託 本 東方ポケット戦争2ndイラスト集(フルカラー16P) 600 音物 東方ポケット戦争2nd SOUND TRACK(同人音楽CD) 1000 東方ポケット戦争2ndセット ゲーム+イラスト集+サントラ+クリアファイル 3500 ト18b まじっくあわ~ 既作 東方風聞記 500 C81版で割引 グッズ ? ト19a ねこもなか ト19b 蒼穹工房 TBL ケータイ待受(妖夢、幽々子)Androidアプリ集「Wind of Fortune 23」PCのデスクトップマスコット 1500円ごとに何かプレゼント? グッズ ト20b Air.dotice ト21a かにみそパン ト21b ALICE×ALICE ト23a 都会のあばら家 ト23a しこうのかんづめ 音ゲー OrverDrive! α版 ト23b FocasLens 東方リズムカーニバル!紅のサントラ ト24a agrippa TBL ゆっくりボウル DX 完成版 ト24b しるふ・わーくす 東方地鎮祭 Justice ト25a 春夏冬中 既作 まりさ☆パーティ既作 魔理沙とアリスと不思議の森 ト25b 天晴堂 PZL 東方ぱねたま 実験版チルノ追加? ト26a 猫の餌 PZL 東方妖華繚乱 製品版 未完成 グッズ ト26b コカゲヤマ群島 ETC 東方二次Flash2DゲームDouble Claws ト27a Neetpia SLG RTSとうほう☆ストラテジー~LotusCraft~動作試験版のDLパス付きチラシ頒布 予定12/12~ 動画 SS集 ト27b BirdStrike 既作 NITORI BOX ト28a Under the Gun SLG 幻想郷泰戦 100 例大祭verに特技追加 ト29b 闇討ちProject ACT スニーキングACTフェアリーゲーム 有り 10001568 SLG音楽 幻想郷史紀 完全版+サントラ 紅魔有り 10001568 ト30a TravelFrontier SLGRPG 東方戦爛華 布都の章~Beyond the Secret Ambition~ WEB公開するかも ? ト30b Coolier ト31a あいしやす.fla SLG ぱちぇコンウォーズ α版(ver0.3) 200 ト31b ちゆうどう 幻想の系譜 体験版 200 ト32a 復旧アネデパミ 動作試験試作型番【ナツビ】(蓬莱妹紅クロニクル動作試験版夏コミVer.) 100 グッズ コルクボード グッズ コチーヤクッション ト32b SnowGale RPG 夢幻偽郷~First Disasterパッチをあてたもの、パッチは公開予定 500750 動画 本 既刊 ト33a 吟遊堂 RPG 3DダンジョンRPG 東方魔境Ⅱ ト33b すい~と・らぴーぬ ACT Rush the 雛 500 委託元:苺坊主小松菜屋 SLG 東方百鬼合戦 15001975 東シ34bでも頒布 ト34a クロスロッジ ROG 【追加ディスク】チルノ見参 賢将の問題集+サントラ※「チルノ見参」が必要 メロン 虎ばおー 10001260 動画 ROG 既作 不思議のダンジョン チルノ見参 ト34b 秘封Project RPG 秘封夢蓮華 体験版 300 ト36a ぽよーん TBL 東方いもほりトランプゲーム ACTRPG 天子降臨 ト36b アルケミスト・ラボ RPGADV 東方エーリンのアトリエ~幻想郷の錬金術師~(仮) OPデモ ト37a GATLING CAT ACT 東方活劇綺談ONLINE プロト版 100 既作 1000 ト37b disfact 音物 神鏡世界のサントラ デコヒーレンスの神鏡解釈 ト38b danmaq STG 結界幻想録 鏡 ~mythical mirror 夢終劇のアプデ割引 ト39a AloMarron PZLSTG 幻想郷オンライン対戦弾幕クイズSTG東方知霊奏 ロケテスト版 動画 ト39b UTG Software 3D弾幕STG すわこちゃんcubic 有り 動画修正パッチ1.10(8/10) ト40a iemu STG 東方巫女厨 動画 ト40b 頂点α ACT 東方天爛舞 体験版 100 動画 8/10動画 7/15 ト41a 天然×天然 PZL 既作 東方ブロック崩し ト41b Studio Rice Cake 既作「はしれーせん!!3D」「ザ・グレイトアリス~戦え!ゴリアテロボ!~」 新作はなし既作の動画 ? ト42a フラストレーション ト43a 物理反射倶楽部 ADV 姉、ちゃんと東方しようよっ!2 あり 500 ト44a 悠遠幻想夏月団プロジェクト ADV サウンドショートノベル烏天狗の夏月譚~歪入り編 ト44b 東の河の亀 ADV ミステリーADV魔理沙と踊る人形 300 ト45a すいかやさん ADV 東方×妹ゲー私の妹がこんなに可愛いわけがない 1365 ト46a コスプレ喫茶娘々娘妹茶屋 グッズ ? 画像公開のみなので頒布はまだ?ボン○ーマン風アレンジの同人ゲーム ト47a LION HEART 天壌のテンペスト 体験版(C82版) 200 動画 ト47b non-study ACT いたずら三妖精体験版 ver0.2 100 頒価100円かギザ十 ト48a PictureCode 東方蟲地獄 開発中止既作のみ ト48b BlueMica ACT CODE R~幻想郷より愛をこめて~トライアルバージョン2 ? ト49a AfroTact ト49b さくらんぼ亭 東方吸闘紀の体験版3 既作 ト50a いつものところ 慧音先生抱き枕の残り ト51a みすたぁさいど☆ふぇいす PZLACT ゆかりず☆くれゔぃす 300 動画 ト51b Keio Digital Vertex PZL 弾幕くずし!虹色紅茶館 ETC ミニゲーム 守矢の拳~世紀末風祝伝説~ ACT 既作 幽玄の幻夢零 有り PZL 既作 弾幕パズル! にとりの河登り 有り ト52a コココソフト ACTRPG さくやさんクライシス2前作入り 有り 1500 動画 ト52b INSIDE SYSTEM SLGRPG 幻想郷大戦争 有りフリー版 1575 ト53a ZWEi ACT ソウルアンカー 有り ト53b 悠遊亭 ACT 過去作 3作の総集編悠遊亭Collection vol.1(平文録、宝嬌旅、紅変譚) 予定 ミニゲーム 無料 ト54a CUBETYPE ACT 幻想の輪舞 完成版 先着特典や初回特典有 ACT 既作 東方紅舞闘 音物 既作 紅舞闘夜宴(紅舞闘のサントラ) グッズ 既作 アリスのハンドタオル ト55a イコレート ADV 魔理沙のコソ泥一番星! 1000 ト55b 川獺アルカディア ACTRPG 宵闇伝説 有り 500 パッチ1.01適用推奨 ト56a 反歩堂 ACT 2Dドットアクションゲーム東風谷早苗の神風とともに 動作体験版 100 本音物 既刊? 東風谷早苗の神風とともにガイドブック&サウンドトラック 300 ト56b windog* PZL パズルゲームのプロトタイプ 無料 後日WEB配布するかも ? ト58b 感電注意 ト60b 迷走ポタージュ ETC 手焼きCD迷走ポタージュ なべしき ETC 既作 手焼きCD迷走ポタージュ 紅白まんじゅう 残部少数 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 上へ移動 [部分編集] 西館 あ~れ 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 あ59a 領域ZERO 本 東方スカイアリーナイラスト集東方空宴画廊 15002100 委託先:2日目 け36a3日目 ノ24b カスガソフト ADV 忙しい人のためのえいやしょう EXTRA 虎 メロンばおー D-S 10001500 す02b アプリコンタン ETC デスクトップマスコットApricot6.6 & 妖夢 800 た13a ちびっこ娘々 ACTSTG 天子のアクションSTG東方銃火器ん。 た14bち18b 委託元:hart委託先:エンドレスシラフ千葉大学電子計算機研究会 ACT こいしランブル 200 ? ち15a ウサギ屋 つ11b souvenir circ 舞華蒼魔鏡 完成版 動画 て01b 大往生 既作 非東方 とぅふぁいとα PR2 て07a 委託元:D.C.S.委託先:モコナぷぅ 既作 もこたんクエスト、ほか は12 Y-Cubed ACTSTG オリジナル ACTSTG 体験版 ひ21b です☆のや ですのや開発室vol.03資料やおまけゲームデータ メロンDL 200210 ふ06 青春18金魚 ひぐらし二次創作ゲーム ACT 既作 そのひぐらしのなく頃にVS東方UNIVERSEシリーズ ほか れ49b illuCalab TBL ハートオブクラウンPC 体験版 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 上へ移動 [部分編集] 8月12日(日) コミックマーケット3日目 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 委託先:2日目 け36a3日目 ノ24b カスガソフト ADV 忙しい人のためのえいやしょう EXTRA 虎 メロンばおー D-S 10001500 上へ移動 ひな形 配置 作者サイト ジャンル タイトル 体験版 頒布状況 頒価 会場店 備考 wikiひな形サイトか、サークル名 上へ移動 [部分編集] コミックマーケット82 動画一覧 コミケ82 動画一覧4 動画数:5 コミケ82 動画一覧3 動画数:12 コミケ82 動画一覧2 動画数:10 コミケ82 動画一覧1 動画数:10 コミケ82 動画まとめ 動画数:37 (上記動画が全てあります) 上へ移動
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EP-11「貴方の全てを受け入れる」 なのはの奇麗事に怒りを感じた燈也は、怒りに任せて、なのはを攻撃する。肉片をも全て破壊するために、セイヴァーに変身するとき、闇の書の意思が介入する。すずかが、吹っ切れた時、全ては手遅れだった。 EP-12『もう、その優しさを・・・忘れないで・・・』 あの人と、すずかの共同作戦によって、燈也は・・・?時間が過ぎる中で、別の手段で、燈也を助け出そうとするも、そのダメージを殺意と感じ取った闇の書のコアとして受け入れられた燈也の意思によって、醜い獣から、美しき、破滅の巨神が生まれる。 EP-LAST「僕らは変わる。」 ギリギリのところでの勝利。全てはまた、平穏に戻る。すずかによって元に戻された燈也は、母の痛みをわからせるため、士朗を殴る。 エピローグ「月村瑠璃」 さーて・・・来週の、StrikerSは~?
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資料集。その2 △> 東方儚月抄 〜Cage in Lunatic Runagate. 2009年12月発売 小説。同名の漫画の解説本としても使えるみたい The Grimoire of Marisa(グリモワール オブ マリサ) (DNAメディアブックス) 2009年7月発売 弾幕写真集みたい 東方三月精―Eastern and Little Nature Deity (Kadokawa Game Collection) 2007年1月発売 <マニア向け>ゲーム「東方三月精」のファンブック ゲームに登場しないキャラクターが活躍する 同名の漫画あり 原作者が執筆に参加している、公式資料集を集めた 品切れ気味になると、価格が跳ね上がる事がある 高額に思った時は、定価を確認して、メーカーに再販を問い合わせるのが吉 タグ 東方プロジェクト 資料集その2 漫画。東方儚月抄その2 漫画。東方三月精その2 漫画。東方茨歌仙 二次創作関連 ▼東方プロジェクト 上へ お役立ち度( - ) Copyright ©2008-2010 to_dk. _
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とらハSS投稿掲示板 記号・英数字・あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ タイトル 投稿者 ~もしも彼が利己主義な人間だったなら~ 朱 =-LYRICAL #REF!-(MM2デスクルスネタ 完結済) B=s 2つの魂(リリなのStS×とらハ3 恭也×ティアナ) ケリー 7日間の休日(リリカルなのは) Sanstone Appearance of Life むしや ASTRAYS~オリ主の親友は報われない法則~ 十三話 散雨 Cross Heart s グレン Dragon☆Fist 【Vividオリジナル展開+オリ主】 竜王 『Fable』 〔リリカルなのはStS×Fate〕 あすく Fate Rambo 【なんとなく完結】 ヘイト・ディ... GENERATION ブラックメタル GS横島 リリカル大作戦 (GS × リリカルなのは )※本編更新 7/19...... 矢崎 竜樹 H.V.D.(リリカルなのはSTS二次創作作品 黒雪様著:りりかるぱぱん&...... 蒼月 【完結】He is a liar device [デバイス物語・無印編] イル=ド=ガリア Hero in the different world リリカルなのは×ソウルクレイドル ふるいずみ 【完結】if if if(魔法少女リリカルなのは・再構成モノ) 社符瑠 imitation【憑依・転生】 imitation Irregular set up 水火 Journey through the Toraha【TV編完結】(なのは×ディケイド再現) カードは慎重... Lost Memory 魔法少女リリカルなのはStrikerS (オリ主) 今回は修正のみです アフロディーテ Lyrical GENERATION(G、SEED中心のガンダムシリーズとのクロス) 超級編開始 三振王 Lyrical Night(Fate/stay night×リリカルなのはsts) リリナイ MAGICAL RECORD OF PHANTOM NANOHA~もう一人のACE OF ACE~ 完全版 遥遠の如く Other Half ~この話を読むにあたって~ あざーはーふ Over the lights・Under the moon (なのはと型月クロス) 第12話改訂の上で分...... くおん Ratio in Lyrical (×ガオガイガー) ゆめうつつ SDガンダムフルカラー劇場 出張INリリカルなのは(フルカラー劇場×リリカルなのは) かなや Side Scaglietti (リリカルなのはSTS) T2H Snow Rain ― 雲のたどり着く場所 ― けんろくパーク solaの庭園(魔法少女リリカルなのは×sola)【完結】 車道 【完結】Sweet songs and Desperate fights《史上最強の弟子ケンイチ×とらハ3》 やみなべ Sword of rain(リボーン×リリカルなのは) 騎西 Tales of StrikerS(リリなの×TOWRM2設定オリ主・StS再構成) SFS The distance to her lips(百合物、オリキャラ無し) オヤジ3 THE DREAM BOY (リリカルなのは オリ主再構成SS) 十六夜 The meaning of life(現実→リリカルなのは) じゃねえの!? The next of Zero (strikers オリ主もの) 滑り込みタックル There is no angel (リリカルなのはsts×Fate R15) ゆきほたる Well-known StrikerS a- 【完結】WHITE/BLACK REFLECTION(なのユーフェイ恋愛……恋愛?) オヤジ3 とらハSS投稿掲示板 記号・英数字・あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ
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某所の工場跡、そこには十数名の男達が集まっていた。 「リーランドさん、空港火災で例のお宝が無くなったそうですぜ。それでもやるんですか?」 不安そうに聞いた男の声を受けて、周りに居た男達もリーランドと呼ばれた人物の方を見る。 「この計画には大金を注ぎ込んだんだ、今更引けるか」 廃材にどっかりと腰掛けたまま、リーランドは苛立ったように答えた。 「だけど、ぶん取るお宝が無けりゃ意味無いんじゃ?」 「それ以外にも管制AIや金持ちどもの荷物があるだろうが。少なくとも元を取るには十分だぜ」 「ですが………」 「くどい!」 言い縋ろうとする手下の声を遮り、隅の方に目を向ける。 「心配いらねえ、絶対成功する。こっちには心強い味方が居るんだからよ。なあ、先生」 周囲の視線も釣られて向いた先、暗がりの中に壁に寄り掛かるようにして一人の男が立っていた。 「あんたがいれば問題ないだろ。なあ、ジェフリー先生」 まるで返事をするかのように、陰の中で歪んだ笑みが浮かび上がった。 エルク達がリニアに乗り込む数時間前の事である。 リリカルなのはARC THE LAD 『第二話:ミッドチルダの車窓から(後編)』 粗方の事情を聞きだしたエルクは、まず始めに貨物室を片付ける事に決めた。 慎重に室内へと体を滑り込ませ棚の陰に隠れて様子を窺うと、先程は分りにくかった内部が良く見える。 縛られた警備員五人に強盗は三人、真正面から向かって倒しても良さそうだが、聞きだした話では他にまだ仲間が居るとの事。 呼ばれると厄介だと判断し、手近にあった小物を掴むと放り投げる。 緩い放物線を描きながら飛んでいくそれは、隅に落下するとカツンと小気味良い音を鳴らし、全員が揃ってそちらを向いた。 想像通りの素人臭い動き。 その隙に一息に間合いを詰めると、槍の鎬で無防備に曝け出された後頭部を薙ぎ払った 鈍い手ごたえの後、意識を刈り取られた男達は崩れ落ちる。 気絶した連中を見下ろして、エルクはつまらなそうに息を吐いた。 (相手にならねえな) 安全を確保したエルクは警備員らの縄を解いていくと、その縄で今度は先に捕らえた一人を加えて強盗達を縛っていく。 「もう終わりましたか?」 「まあな」 入り口から顔を覗かせたキャロに警備員の介抱を頼むと、今度は強盗達の武器を取り上げていく事にした。 と言っても、建築材を加工したロッドや改造エアガンなどばかりで、武器らしい武器などなかった。 可哀想なぐらい貧弱な装備に、この強盗グループの程度が知れ、この程度で何故リニアを襲おうと思ったのかますます謎が深まった気がする。 そんな時ふと横を見ると、自由になった警備員達が壁際の装置を前に何やら話し込んでいる。 不審に思ったが気にしないでいると、やがてエルクの方へと近づいてきた。 「どうしたんだ?」 「いえ………、警報装置が止められていて通報が出来ないんです。おそらく機関室のメインシステムが停止してるんだと思いますが」 「それを復旧させろってことか?」 警備員達は顔を見合わせると申し訳なさそうに頷く。 あんな装備の奴らに圧倒されるぐらいだ、自ら向かおうというだけの気概を持つ者などいないのだろう。 「分った、俺に任せな」 ◆ エルクは一人機関室へと向かって進む。 強引に聞き出した話では残りの仲間は七人、その殆どは先程の奴らと大差ないらしいが、一人主犯格の男が雇った魔導師が居るとの事。 こんな奴らが雇った魔導師なのだから大した事無いと思うのだが、決して油断は出来ない。 かといって相手の正体が分からない以上あれこれ模索しても特に良い案も出ず、そうしている内に展望台への階段を通り過ぎ機関室の扉が見えてきた。 (あれか………) 扉に触れるが、どうやらロックされていて開かず、カードキーが必要なようである。 恨めしげにカード挿入口を眺めるが無い以上どうしようもない。 (取りに戻るか? いや、これならば) 扉からは内部の駆動音が漏れ聞こえてくる。 外に居てもこれほどの騒音である、中に居る人間には多少の物音など聞こえないだろう。 「ふっ!」 勢い良く槍の穂先を扉の隙間に差し込むとそのまま下に振り下ろす。 ギンッという音と共に鍵が壊れて扉が開いた。 機関室内部は大小無数の機器が並び、まるで機械の密林のように入り組んだ複雑な構造になっており、奥まで見渡す事が大変難しい。 身を隠して進むのには大変好都合であった。 エルクは安心して一歩踏み出し―――目が合った。 丁度運悪く機材の陰から男が顔を覗かせたのである。 「おい、お前―――ッ!?」 男が全ての言葉を吐き出す前に、エルクは素早く近寄り拳を叩き込んで黙らせた。 力み過ぎたのか相手の体からゴキリという嫌な音が聞こえたが、そんな事に気を払っている暇は無い。 カツカツと金属製の床を鳴らす靴音が近くに寄ってくる音が聞こえたからだ。 エルクの姿が見えたとは考えにくいので、殴った男の呻き声かまたは倒れる音が聞こえたか、どちらにせよ早々に何とかした方が良い。 結論付けると相手が寄ってくるのをじっと待った。 「!? おい、どうした?」 仲間の惨状に気付いたらしく駆け寄る男、その背中にエルクは煌めく白刃を振り下ろした。 どうもこの部屋には二人しか居なかったらしい。 奥には管制室の扉があり、残りの連中はそこに居るのだろう。 気付かれる前に警報装置を復旧させるには好都合だと考え、エルクはメインシステムを探した。 あっさり見つかった件の装置は魔力駆動炉に脇に設置されていて、表面にはハッキング用の計器がペタペタと張り付いている。 それらを毟り取るとエルクはパネルを操作していき、遂に復旧確認画面まで漕ぎ着けた。 しかし………、 (IDカードが必要ってどういう事だ!?) 最後の最後で必要となったカードの確認。 今更ながら入り口の段階で取りに戻っていればと後悔するがもう遅い。 余計な手間を掛けてしまえば床に転がった二人が目を覚ましかねないし、管制室から他の仲間が出てきて気付かれるかもしれない。 迅速な行動が要求されるこの場面、どうしたものかと頭を悩ませた抜いた結果、 「勝手に制御奪われときながら、このポンコツ!」 苛立って思い切り拳を叩きつけた。 「ッッッッカァー! 硬っ!」 鈍い音を立てて表面がへこむが、さすがに壊れたテレビの様には直らず、やはりIDカードがいるようだ。 痛む手を振りながら頭を悩ませていた時、突然下からニュッと心を読んだかのようにカードが差し出された。 「エルクさん、IDカードです」 危険な為貨物室に預けてきたはずのキャロがそこにいた。 「キャロ!? なんでここに?」 「おじさん達からカードを渡すように頼まれたんです」 小さな子供にこんなお使い頼むなよと思うが、あの連中にここまで来る根性を期待するのも酷であろう。 復旧させたら一旦戻ろうと、げんなりしながらカードを通そうとした時―――今までずっと黙り込んでいた装置が、泣き喚くように突如としてけたたましい音を吐き出した。 『Warning! Warning!』 機械合成された音声が発せられると同時に、エルク達に急激な慣性が掛かる。 どうやらリニアを急停止させたらしく、魔力駆動炉の駆動音が小さくなっていった。 思わずたたらを踏み何とか体勢を整える事には成功したのだが、ふと気が付くとエルクの手からいつの間にかIDカードが消えている。 あわてて探し、見つけた場所は、 (………最悪だ) ドバンと音を立てて開き、中からぞろぞろと男達を吐き出した管制室の扉、その前に転がっていたのだ。 数人の男達との対峙、僅かな睨み合いの一時。 その最中に不意にエルクの感覚が目の前の連中とは異なる刺すような殺気を掴んだ―――これは。 「!?」 危険を感じたエルクは急いでキャロの手を引き飛び退いた。 一拍遅れてエルクの立っていた位置へと幾筋もの雷が降り注ぐ。 「IDカード、か。届くのが遅いと思っていたが邪魔者が居たとは………」 カードを拾い上げ感慨深そうに呟く男は、他の連中に比べ暗く澱んだ印象を受けた。 おそらくこの男が今回の事件の主犯格。 「ジェフリー先生、そいつらの処理は頼みましたぜ」 そう言い残すと再び管制室に入っていく男。 入れ替わるようにして現れたのは、一言で表すなら魔導師だった。 ピンクとグリーンの派手なマントを纏い、先端にドクロの付いた杖をこちらに向けている。 まるで子供向けの絵本に出てくる悪い魔導師そのままの姿。 「………その桃色の髪の娘は俺によこせよ」 先程の雷はこいつが放ったのだろう。 電気に魔力を変換できるとは警戒に値する、予想以上の実力がありそうだ。 そう考えて改めて奴の服装を見れば、相手を油断させる為と考えられなくも無い。 だが仮にそうだとしても普通はそんな事はしない、そう普通ではないのだ。 「ロリコンかよ。キャロ下がってな、この変態は俺が………キャロ?」 返事がない。 不審に思いエルクがキャロの方へと目を向けると、明らかに様子がおかしい。 魔法に驚いたとか状況に付いて行けていないといった類ではなく、まるで未知の怪物にでも出会ったかのような怯え方をしていたのである。 「違う………」 一歩逃げるように後退る。 「違う………あの人、人間じゃない!」 「キャロ、下がってどこかに隠れてろ」 理由は分らないがキャロをこのままの状態にしておくの危険だ。 エルクはキャロを押しのけるように下がらせた。 「一人で相手をすると? 舐められたものだな。行け、お前ら。援護してやる」 ジェフリーと呼ばれていた魔導師の足元に波紋のように魔法陣が広がり、それと同時に弾かれたように三人の男達が駆け寄ってくる。 それぞれが思い思いの武器を手にしてはいるが、最も警戒するのはやはり奥に佇むあの魔導師。 エルクは身構えて魔法陣を展開、及び肉体強化を施して相手の魔法に応じようとした。 だが………、 「ブーストアップ・ジャンピングハイ」 ガキンッという激しい音、エルクのデバイスと金属製のバールがぶつかり合う音だ。 エルクの眼前には一瞬で距離を詰めてきた男の顔、相手のバールを受け止められたのは、臨戦態勢であるが故のある種の勘のおかげといえる。 力任せに押し返すと、エルクの上に影が差した。 慌てて飛び退くと、目の前を掠めるように流星のごとく鉄パイプが振り下ろされる。 (何だこいつらの動き!? あの野郎何したんだ!?) 先程あの男が何か唱えたのは分かる。 となると視界に映るあの二人に何らかの補助をしたと思われ………、 (………二人?) 咄嗟に槍の柄を横に繰り出すと猛烈な勢いの蹴りが叩き込まれた。 生身の足に普通の靴、にもかかわらず先刻のバールとは比べようも無い衝撃に、全身強化を施しているはずのエルクは宙へと舞い上げられる。 詠唱後の加速、及び攻撃方法による威力の違い。 空中へと浮き上がる間の火花のような思考、その中で出された答え―――奴が使ったのは、おそらく脚部限定の筋力強化。 そこまで考えた所で、エルクの視界が開けた。 天井近くまで浮き上がったがゆえに、煩雑な機械に遮られる事無く全体が見渡せる。 敵の能力は分かった、配置も見える、後はどう片付けるかだ。 だが、戦術を模索しようとしたとき、敵意の篭った強い視線を感じた。 こちらから良く見えると言う事は、裏を返せば敵の目にも留まり易いという事。 目を向けた先にはこちらに杖を向けるジェフリーの姿。 気が付けばエルクは直感的に天井を蹴っていた。 判断は正しく、背後を雷撃の軌跡が貫いてゆく。 三箇所の同時ブースト強化に加えこの砲撃、おかしな外見の割に魔導師としての力量はエルクよりも上かもしれない。 (まずいな、このままじゃ………) 落下しながら途中で幾つかの機材を蹴り、遮蔽物の密集した地点へと降り立つ。 飛び上がれば狙撃、かといって視界の悪いこの空間では飛び上がりでもしない限り、どうしても死角が出来てしまう。 通常ならば防戦一方となるこの状況、だがエルクは魔導師で魔法という便利なツールが存在する。 自らのデバイス内にある魔法の記憶野から最適なものを探し出すと、魔法陣を現した。 「炎よ、復讐の刃と化せ!」 唱えるが外見上の変化は全く無い。 だが、エルクの熱くなっていた思考は冷えて、精神は澄んだ水のようになってゆく。 感覚が研ぎ澄まされ、呼吸音や振動、加えて筋肉の軋みや放たれた熱量からでも相手の位置が手に取るように分かる。 使用した魔法は『リタリエイション』自らの五感を高める事で反応速度を上げ、カウンターを与え易くするものだ。 しかし、見た目が変わらない以上、魔導師でもない相手はそんな事分かるはずも無い。 上から不用意に飛び掛る一人目を突き上げると、そのまま勢い良く後ろに引き、石突で機材の陰から飛び出した二人目を打ち倒す。 残る三人目の方に顔を向けると、先の二人の末路を目にして気が引けたか、襲い掛かろうとするのを止めたせいで前につんのめっている。 無論そんな隙を逃すはずも無く、全身をバネにした弾丸のような強烈な刺突は、相手の体へと吸い込まれるように叩き込まれた。 (残すはあの野郎だけだな) エルクは打ち倒した強盗たちを一瞥すると、残る敵を片付けるべく再び意気込んだ。 「―――煌め……る天神よ…今………もと………」 そんな時にふと聞えた擦れたような音。 気のせいだろうか、いや、これは―――、 「―――撃つは雷、響くは轟雷………」 儀式魔法の詠唱。 気付いた時にはもう遅く、 「サンダーフォール」 雷撃の嵐が吹き荒れた。 文字通り全身を貫いた衝撃と焼け付くような痛みに、エルクの視界は明滅する。 それでも何とか意識を飛ばさずに踏みとどまれたのは魔力で全身を強化していたからか。 だが、脱力感に痺れ、さらに呼吸困難と筋肉の痙攣は止めることが出来ず膝を付いた。 まさか機関室で広域魔法を使うとは普通思わないだろう。 いくら丈夫に作られているとはいえ魔力駆動炉に雷撃を放つなど正気の沙汰とは思えない。 軽く焼けた皮膚の痛みを耐えながらただうずくまっていると、カツリカツリと渇いた靴音が近づいてくる。 間違いなくあの魔導師だ。 気力を振り絞り何とか震える四肢を抑えて再び立ち上がると、エルクは音の方へと槍を構えた。 機材の陰から悠々と現れたのはやはり、あの極彩色の魔導師。 しかし、ふらつく体と朦朧とした意識では次の行動に移ることが出来なかった。 「今のを耐えるとは………。小娘にばかり気を取られて気付かなかったが、なかなか優秀な魔導師のようだな」 上から下に値踏みするような視線を感じた。 曖昧な意識の中、相手の声が遠くから響いてくるように聞こえる。 耳障りな音に不快感を感じ、 「なかなか丈夫そうだ。お前も新しき人類としての素養があるかもしれん」 告げられた言葉でエルクの意識は一気に覚醒した。 新しい人類、この単語には聞き覚えがある。 同じ言葉を聞かされたのはほんの数時間前のことではなかったか。 「どうだ、新しき人類としてその力何倍にもしてみたくはないか?」 聞き間違いではない、こいつは件の黒服に関係がある。 燃え盛るように心に戦意の火が灯るのを感じる。 心の昂ぶりと共に全身に魔力が満ち溢れていくようであった。 「そうか………、お前も黒服の連中の一味か。無理矢理にでも話を聞かせてもらうぜ!」 「交渉決裂か、―――ならば邪魔者は死ぬがいい」 両者から殺気が膨れ上がり、互いの足元には魔法陣が浮かび上がった。 空気が張り詰め魔力が鳴動し、辺りの計器は余波を受けてガタガタ揺れる。 緊迫した一瞬、それらを全てぶち破るようにして、 「あの………、終わりましたか?」 間の悪い事にキャロが顔を覗かせた。 戦闘音がしばらく止んでいたため、もう戦いが終わったと勘違いしたのだろうか。 だが、これはあまりにもタイミングが悪すぎる。 ジェフリーの顔がニヤリと歪むのが良く見えた。 ドクロの杖をキャロへと向け、その正面に新たに展開されるもう一つの魔法陣。 (あの野郎―――!) 発動前に潰すには距離があり、かといって放置すればキャロが犠牲になる。 もはや選べる選択肢はただ一つ、エルクが壁となり相手の魔法を防ぐしかない。 迷う時間もなく、回避も反撃も封じられたエルクは敵の射線上に飛び出すと、 「炎よ、俺を護る盾となれ!」 「トライデントスマッシャー」 炎と雷が交わり、そして爆ぜた。 ◆ キャロ・ル・ルシエが戦場に足を踏み入れたのは、なにもエルクの事が心配だからという訳ではなかった。 もちろん心配はしていたが、それ以上にキャロの心を占めていたのは自分の感じたある奇妙な感覚の事であった。 信じられない、夢や幻であって欲しいという己の願いに突き動かされ、いち早く確かめるために戦いの音が止むと、とりあえず機関室へと再び入ったのである。 だが、実際には戦闘は終わったのではなく膠着していただけ。 護るべく飛び出したエルクの生み出した硬質な障壁は、三つに分かれた雷撃の中央からの一本を防いでいた。 しかし、続く上下からの二本の射撃が折り重なった大きな一つの破壊の塊は、圧倒的な圧力でエルクを防御ごと押し飛ばすと瓦礫の海へと沈める。 自らの不用意さが招いてしまった結末は、居場所を作ろうとしてくれた恩人が傷つけられるという現実と、自分が感じたものがやはり間違いではなかったという事実。 嫌悪感を抱くような笑みを浮かべて近づいてくる、あれは、あの人の形をした「何か」は。 激しい後悔と恐怖に、キャロの理性の戒めはいとも簡単に吹き飛び、眠れる竜が目を覚ました。 ◆ エルクは圧し掛かる重みと蓄積したダメージで動けはしなかったが、意識はあった為その一部始終を見ていた。 エルクを無視し、キャロの元へとジェフリーが近寄っていった時、突如としてキャロの体が爆発したかのように見えた。 現実はフリードが巨大な姿に変わる為、劇的に膨張した結果そう見えたのである。 次に視界に映ったのは紅蓮の炎。 フリードの放った炎弾はジェフリーを飲み込み、周囲の装置を穿ち、壁に大穴をあけた。 「グオオオオ!」 脅威を排除してもフリード暴走は止まらない。 でたらめに放たれた炎は天井を砕き、床を焦がし、辺りの機器を融解させる。 デバイスの補助無しでこれ程の力が引き出せるとは、さすがにキャロの魔力は桁外れだと言える。 しかし、デバイスの介在がない以上これは殺傷設定と同意である。 魔力駆動炉にでも炎が当たれば、即座に惨事を招く事になってしまう。 自分が何とかしなければ………、その想いからエルクは瓦礫を押しのけて無理矢理体を起こすとキャロの元へと歩み寄った。 「キャロ! おい、しっかりしろ!」 軽く揺するとキャロが放心したような顔を上げた。 急激な魔力放出の疲労により意識が混濁して、その目は虚ろである。 「グルルルル」 フリードが怒りの目つきでこちらを向く。 もはや敵味方の区別も付かないのだろう。 一体どうすればよいのか、まともな活路を見出せぬままフリードをただ見つめたとき、唐突に乾いた銃声が響いた。 「このバケモノめ!」 血走った眼で密造であろう銃を撃つ男、しかしその程度ではフリードの外皮を傷つけることすら出来ず、火花が舞うだけである。 この男の服装と声には覚えがある、たしか今回の事件の主犯格であった。 (あいつは馬鹿か!?) フリードの首がそちらを向き口蓋が開く。 最悪な事に男の隣には魔力駆動炉があった。 あまりに危険な状況にエルクはあせるが、そんなとき天啓のように解決策が閃いた。 「キャロ! こいつを持て、こいつだけに意識を集中しろ!」 キャロに押し付けるように渡したのはエルクのデバイス、これならば非殺傷設定に代わり危機は去るはずだった。 だがしかし、 「!?」 ビシリと音を立ててデバイスにヒビが入る。 強すぎる魔力を流し込まれて、フレームが耐え切れず破損したのである。 それならば………、 (悪いが使わせてもらうぜ) キャロにさらに持たせたのは銃型のデバイス、2つのデバイスで魔力を二分すれば制御できると考えたのだ。 果たして、フリードから放たれた火球は男を呆気なく吹き飛ばす、しかし周囲の機材には焦げ目が付く程度であった。 上手く制御できたフリードの体はみるみる縮み、キャロの頭にポスリと着地する。 「これで、一件落着、か?」 緊張が解けて忘れかけていた疲労が湧き上がってくる。 急に体が重くなった気がして思わずまどろみそうになるほどだ。 しかし、そんな余韻を断ち切るように、無粋な影が割り込んだ。 「このガキが、舐めた真似しやがって!」 魔導師ジェフリー、あれほどの炎を受けてなお禍々しくそこに存在していた。 衣服は焦げ顔も煤けているが、血走った眼から戦意の光は全く衰えていない。 むしろ狂気を含んで危険性が増したと言っても良い。 足元から滲み出すように拡がる魔法陣と連動するかのように、埒外の魔力が収束し渦を巻く、否、現実に蒼い風が渦巻いている。 魔法陣から風が吹き出しているのだ。 雷に次いで風の魔力変換、おまけに辺り一面更地にしそうなほどの魔力を込めている。 それを見るや否やエルクはひび割れたデバイスを手に駆け出した。 あれだけの膨大な魔力で高速処理など出来るはずがない、潰すなら今。 「炎よ! 熱く燃えろっ!」 掛け声と共に全身へと圧縮した魔力を流し込む。 一種のカートリッジシステムの上辺だけの真似、もちろん多大な負荷に全身の筋肉が軋むが、エルクの身体能力は一時的とはいえ飛躍的に向上した。 文字通り全身全霊を込めた突撃は一息に距離を詰め、ジェフリーの腹部に突き刺さる。 「だああああ!」 「貴様ぁぁぁ!」 衝突に伴う衝撃はエルクの質量を加えて余すことなくジェフリーへと伝わり、ジェフリーの口からは血の混じった泡が噴出した。 そのまま新緑の中へと叩き落すと一瞬の後、森の一部が吹き飛んだ。 「手強い奴だ」 遠くに光の線が見える、ようやくやって来た管理局員だろうか。 見届けるかのように、役目を果たした相棒は中ほどからへし折れた。 直接の危機は去っている、しかし同時にまた新たな問題が湧き上がってきた。 (これって不味いんじゃないか?) これだけ派手に暴れたのだ、エルクもキャロも事情聴取は免れない。 そうなると当然キャロのことが管理局の暗部にも知られてしまうだろう。 エルクは迷わずキャロを抱えると、壁に空いた穴から高架下へと飛び降りた。 ◆ 高架脇の獣道をエルク達は進んでいた。 薬草を口に含み、肉体的な痛みや疲れを誤魔化してはいるのだが精神面はどうしようもなく、エルクの歩みからは傍から見ていても無気力さが伝わってくるようである。 一方エルクの数歩後ろをついてくるキャロはというと、どうにも消沈した様子でうなだれており、エルク以上に活力が無かった。 「おい、キャロ」 「………」 さすがに気になったエルクが声を掛けると、キャロはノロノロと無言で顔を上げた。 「どうした? 泣きそうな顔だぞ」 「………ごめんなさい。わたしのせいで………」 どうやら先程の事を気に掛けていたようだ。 そもそもキャロが巻き込まれる形になったのは、元はといえばエルクが警報機を力の限り殴りつけたのが原因であり、キャロが気に病む必要はないのであるが、そう言っても納得しないであろう。 「それにフリードも暴れさせてしまって………」 表情を暗くして述べるキャロ、だがここは訂正しておくべきだった。 「それはキャロが魔法の知識や訓練を欠いていたからであって、別にキャロが悪い所為じゃない。現にデバイスがあれば制御できたじゃねぇか」 「………」 「失敗してもそこから学べばいいだろ。分からない事があればちゃんと答えてやるから」 「………はい」 「そういやなんであんなに怯えていたんだ?」 今思い起こしてみてもキャロの怯え方は異常だった。 それにあの時言った言葉も気に掛かる。 「確か、人間じゃないとか言ってなかったか? ロリコンは人でなしって事か?」 「? いえ、ただあの時あの人から………」 「あいつから?」 「あの人からとても普通の人間とは思えない感情を感じたんです」 「どういうことだ?」 「………研究所でわたしは様々な生き物と暮らす実験をさせられたんです。その中で身に付けたのが生き物と心を通じ合わせる力。例えば―――」 軽く頭を起こしてエルクをじっと見るキャロ、その眼は出会ってから何度か見たことのある、考え込むような眼だった。 「エルクさんは常に何かに怒ってイライラいるけど、大抵がわたしに対する心配から来ているものだったから安心して付いて来れたんです」 自分でもガラが悪いと思っているエルクに、なぜキャロが何の不信も抱かずに付いてきてくれたのか。 エルクは今まで特に考えなかったが、その理由が解った気がした。 「でもあの人は、誰かに押しつぶされて苦しんでいる心と、取り付いている誰かの心が混じったような、そんな不気味な感情を持っていたんです」 「そういう事か」 確かにエルクも似たような事を感じた気がする。 三箇所に強化を施す力がありながら脚部のみに留まったり、バリアで防いだわけでもないのに致命傷を与えられなかったり、まるで心と体を間違えているようであった。 「ただ、ロリコンってのは間違いなさそうだな」 「………そういえばずっと気になっていた事があるんですが―――」 ◆ ミッドチルダ極北部、ここには一種の空白地帯が存在している。 ベルカ自治領の辺縁部、聖王教会と管理局の間に余計な諍いが生じぬ様に意図的に廃棄された都市群。 書類上住民はいない、という事になってはいるが実際は依然として多数の人間が暮らしている場所であり、そしてこの地はハンターズギルド発足の地でもあった。 この地域はベルカ自治領との交易ラインであったために、廃棄後も依然として残り続ける者、失った役職を埋める者、そして彼らの生活を支える者が再び集まったのだ。 そして再び人が暮らせる環境が出来ると、ある種の独立した社会が生じたのである。 しかし、政治的な摩擦を避ける為管理局も聖王教会も手を出せない間隙ゆえに、当然のようにテロリストや犯罪者、それに類する荒くれ者たちも入ってきていたのだ。 治安は維持しなければならない、しかしどこかに頼る事は出来ない。 苦肉の策として治安の維持のために作られた民間警備会社、これがハンターズギルドの雛形であった。 現在では他地域まで仕事の幅を広げるほど大きくなったギルド、その大元が治めるこの一帯は内包する犯罪者数はミッド有数の多さだが、治安の方は地方都市並みに安全と言える。 その一地域、住民からはインディゴスと呼ばれる存在しないはずの町の一角、都市鉱山として廃ビルを解体した跡地に立てられたアパートに二人と一匹の影が入り込んだ。 『―――こちらが事故のあった現場です。見えるでしょうか、市民の足として愛されてきたリニアレールは無残な姿に………』 傾いた夕日が屋内を赤々と染め、テレビからの音声のみが室内を埋める静かな一時。 『―――犯人グループの内五人死亡、二人が行方不明で、事件を解決しようとした魔導師が居たとの情報も入っており………』 その均衡を破るようにノックの音が鳴り響く。 「シュウ、俺だ。エルクだ」 「入れ。鍵は開いている」 物音一つ立てずに佇みテレビを見ていたこの部屋の住人は、ドアの方へと声を掛けた。 長身に水色の髪、軍人のような物腰だが纏う雰囲気は暗殺者のようである。 入ってきたのは声の通りの見知った顔。 「どうしたんだ急に? 連絡の一つでも遣せば良いのに」 「悪りぃ、考えてなかった。―――シュウ、暫くここに置いてくれないか?」 「構わないが………、後ろの娘は?」 「厄介ごとに巻き込まれたんで俺が保護したんだ」 焼き焦げボロボロになった服のエルクを見て、シュウの頭に先程のニュースが思い浮かんだ。 「もしやリニアでなにか………」 「疲れてるから全部後で話す」 フラフラした足取りで進むとエルクはぐったりとソファーに倒れこむ。 大変疲労の色が濃く、事の顛末を聞くのは無理だろう。 それはそうとして、 「えーと君は………?」 「キャロ・ル・ルシエです」 エルクが連れてきた少女の、じっと覗き込むような瞳からは戸惑っているようなものを感じる。 見知らぬ相手と二人で居るのはこの年ぐらいの子には酷だろう。 まずは気を許せる相手と認めてもらうのが良い。 「勝手が分らない所もあるだろうがゆっくりしていって欲しい。何か分らない所があれば聞いてくれ」 努めて優しく言ったのが功を奏したのか、少女は少し考え込んでいるようだが気まずさは多少薄れた気がする。 それゆえに、 「聞きたい事があるんですけど、いいですか? エルクさんも詳しくは分からないらしくて」 「まあ、エルクも何だかんだいってもまだ若いからな、知らない事もあるだろう。それで聞きたい事とは?」 こんな質問が繰り出される事となったのだ。 「―――ろりこんって何ですか?」 戻る 目次へ 次へ