約 1,991,511 件
https://w.atwiki.jp/pesci_radio/pages/83.html
リゾット「む・・・」 メローネ「どうしたんだぃ?リーダー。そんな難しい顔をして」 ホルマジオ「もしかしてまた金欠じゃぁねぇだろうなぁ?」 リゾット「いや、違う」 イルーゾォ「じゃぁ何なのさ?」 リゾット「体重が・・増えた」 ギアッチョ「くだらねぇことぬかしてんじゃねぇよ!クソクソッ!」 プロシュート「まぁ、アレだけピザ尽くしの生活してりゃぁ太らないほうがおかしいだろ、なぁペッシ」 ペッシ「そうだね、兄貴ぃ!若干ポルポ並みでドン引きですぜ」 メローネ「任務をするとしても大して動くわけでもないし」 イルーゾォ「暇さえあればピザを食べているし・・・」 ホルマジオ「しょうがねぇだろ、体重が増えるのは」 ギアッチョ「それでメタボにならねぇほうがおかしいだろうがよぉ!」 リゾット「お前ら・・・リーダーにそんなこといっていいと思ってるのか?」 プロシュート「そんな腹の肉ゆらしながら言っても迫力ねぇぜ?」 ペッシ「リーダー、ビリーズブートキャンプに入隊したほうがいいんじゃないんですかぃ?」 イルーゾォ「でもアレって結構高いんだよ、DVD」 メローネ「そんなものに頼らずに運動すればいんだよ、性的な意味で」 ギアッチョ「テメェは黙ってやがれってんだ!メローネ」 ホルマジオ「とりあえず運動が基本だろ、性的な意味ではなく」 リゾット「運動か・・・ふむ・・・よし、走るか、全員で」 ホルマジオ「俺たちを巻き込むなよ!!」 リゾット「寂しいじゃないか!これはリーダー命令だ!!」 ギアッチョ「ふざけんじゃねぇぞ!クソクソッ!!」 イルーゾォ「マン・イン・ザ・ミラー」 ホルマジオ「ちょ、一人だけ鏡の中に逃げてんじゃねぇよ!!」 リゾット「引きこもりはもうほおって置くぞ。残りの奴らは全員マラソンだ!」 プロシュート「おい、俺がそんなに若いと思うかぁ?!」 ペッシ「兄貴ぃ!スタンド使わなければ若いですぜ!!」 プロシュート「ペッシ!それを言うんじゃぁねぇよ!」 ペッシ「ご、ごめんよぅ、兄貴ぃ!!」 リゾット「問答無用だ。一緒に走らない奴は穴という穴からカミソリを出すぞ」 メローネ「穴という穴・・・なんという鬼畜プレイなんだ、リーダー」 ホルマジオ「だからなんでお前はソッチに持っていくんだよ!!」 リゾット「ほぉらぁ、行くぞぉー」 プロシュート「チッ、張り切りすぎてキモいんだよ」 ペッシ「あの格好で走るのって相当な変質者なんじゃ・・・」 ギアッチョ「クソッ、警察に捕まっちまえばいいんだよ」 そうしてイルーゾォを除く6人はリゾットを先頭にイタリアの街中へ走り出した ギアッチョ「って、テメェは早々に何ピザ買ってんだよ!!」 メローネ「アレ?でもリーダー昨日財布なくしたとかいってなかったかい?」 プロシュート「オイ!俺の財布じゃぁねぇか!!」 リゾット「あぁ、さっきそこで拾った」 プロシュート「嘘をつくなぁぁぁー!!!!」 ペッシ「あ、兄貴ぃ、落ち着いてぇ!!」 リゾット「あぁ・・・そうだったのか・・むぐもぐ・・・んまい」 ホルマジオ「だから食ってんじゃねぇよ!!」 リゾット「むぐむぐ・・・食事中に話しかけるな」 ギアッチョ「・・・もう我慢ならねぇ」 ホルマジオ「堪忍袋の緒も限界だぜぇ」 プロシュート「ピザ買った分の金・・・体で支払ってもらおうか」 ペッシ「あ、兄貴ぃ?!」 プロシュート「変なこと考えてんじゃねーよ、このマンモーニが!」 メローネ「とりあえず・・・今の俺たちの心は一つだよねぇ・・・」 リゾット「むぐむぐ・・・何だ?」 みんな「死ねぇ!!」 リゾット「むぐむぐ・・・ぐほぉぉぉぉおおおっ!!」 イ「アレ、今リーダーの断末魔が聞こえた気がする・・・うん、気のせい気のせい」 完
https://w.atwiki.jp/pesci_radio/pages/100.html
ぼすちゃっと リゾット「しかし…急な呼び出しをくらうとは…ギアッチョがキレて事務所を破壊したのか…それとも、メローネが禁断の老女に手を出したのか…」 ドッピオ「こんにちは。ボスがお話があるそうです。さ、そこの受話器をとってください」 リゾット「受話器…これは、溶けたチョコに見えるのだが…」 ドッピオ「ああ、すみません。こっちです」 リゾット「…紙コップ…」 ドッピオ「あ、僕、ちょっと呼ばれているので席を外します」 リゾット「…内線が糸電話って…」 NR 「リゾットは、内心、溶けたチョコを受話器にせずに済んだことを神に感謝しながら紙コップを耳に押し当てた」 ドッピオ?「とぉるるるるん♪聞こえますか?」 リゾット「ボスと繋がるんじゃないのか?」 ドッピオ?「駄目」 リゾット「は?」 ドッピオ?「駄目だッつってんだろーが、このセクシーコマンドーが!さっさと目の前のノーパソ立ち上げればいーんだよォ!」 リゾット「なっ…お前…」 ドッピオ?「ぶつん」 リゾット「…仕方ない。起動させるか…ふむ。かなり早く立ち上がるな、このノートは…うちにも支給してもらえないものか…」 ボス 『駄目』 リゾット「またか!というか、聞いてるなら普通に喋ればいいものを……仕方ない…『本部へ呼び出すとは珍しいですね。用は何ですか』と…」 ボス 『今週の仕事はよくやった。いつも通り、実際に動いたプロシュートとイルーゾォ、ペッシには報酬を出す』 リゾット『その件ですが、ボス。折り入ってお願いしたいことがあるのですが』 ボス 『どうした?成果に対してのみ報酬が与えられるのは当然の事だが』 リゾット『確かに、一つ一つの仕事の単価は大きいものですが、いつもいつもあるものでもありません。せめて基本給を設定していただけませんか』 ボス 『駄目』 リゾット「駄目はもういい!このヒッキーが!…いかん。落ち着かなくては…」 ボス 『姿を現さない方が、ボスらしいだろう?』 リゾット「ふぅ…『今の所正体はどうでもいいですから。せめて居住手当てはお願いします』」 ボス 『ギアッチョが一人ギレで部屋を壊す分まで負担したくないから駄目』 リゾット「だから駄目はいいんだっていうのがわからんのか…『医療手当てだけでも保障していただけませんか?』」 ボス 『間違えて踏まれるホルマジオや、わざと『母体』に張り倒されて喜ぶメローネの面倒まで見切れないから駄目』 リゾット「…帰りたくなってきた…『せめて、でいいですから。急を要する場合以外は、連続して任務につかせない。月に4日は休暇の日を設けることを許可して下さい』」 ボス 「『それは許可する。それと、今回呼び出した用件だが…』」 リゾット「?」 ボス 『日ごろ、クセのある奴らをまとめているお前に役職手当をつけようと考えていたが、今回の件で気が変わった』 リゾット「!?…そりゃないだろ…」 ボス 『何も出さないのも問題はあるからな。月に一度、ポルポ用のピザを支給することにする。今回の話は以上だ』 リゾット「ちょっ…まぁ…食料手当てだと考えるしかないか…だが…ポルポのピザ……贅沢は言えんが、メタボるな…確実に」
https://w.atwiki.jp/pesci_radio/pages/118.html
~サンドメニコ・マッジョーレ教会前~ リゾット「作戦の内容は把握できてるんだろうな、プロシュート?」 兄貴 「はんっ、誰に聞いてんだァ? 完璧に決まってるだろーがよ、リゾット!」 リゾット「……いいか、ミスはするなよ。俺たちは必ず<あれ>を手に入れなくちゃあならない」 兄貴 「わかってるさ」 リゾット「では……予定通りの場所で落ち合う。いいな?」 兄貴 「Si!」 ***** ~トリブナーリ通り~ ギアチ 「バカンスの時期でもねーのに、この観光客の多さは何なんだ!? クソックソッ!!!!」 メローネ「ジャッポーネって年中イタリア旅行だもんな」 ギアチ 「人種なんざ、どうでもいいッ!」 メローネ「アジア人なんてどれも一緒か? にしても、手に入って良かったじゃないか」 ギアチ 「……まーな。オメーがリゾットを出し抜いてくれなきゃ到底無理な話だったが、まぁ……」 メローネ「存分に感謝しろよギアッ――……ってェ!!!!! 痛いって!! 蹴るなよ馬鹿ッ!!!!」 ギアチ (なんか礼を言う気が削がれた……くそっ) メローネ「あ、それよりさぁ、アイツどこ行った?」 ギアチ 「知らね。どっかその辺歩いてんだろ」 メローネ「一緒に来ればいいのに」 ギアチ 「勝手にさせとけよ………………ん? 何だ……?」 メローネ「…………居るね」 ギアチ 「一人だな」 メローネ「気配を隠す気は無し、か。……どっちだと思う?」 ギアチ 「んなモン、決まってるだろ。 俺 を狙うってんなら……――」 メローネ(来る……ッ!!!!!!!!!) ギアチ 「俺を狙うのならッ! プロシュートのスタンドは使わねェ!!!」 リゾット「その通りだギアッチョ! 食らえ、メタリカッ!!!!!」 ギアチ 「うおっ!!!!??? ちょ……おいッ、本気かよリゾット、てめー!!!!」 メローネ「逃げるぞ、ギアッチョ!!」 * リゾット「逃げるか。……賢明だな。<あれ>を持ったままで、俺とまともに戦えるわけがない」 * 【ギアッチョとメローネ、逃げながら】 メローネ「……追ってくるぜ」 ギアチ 「なに考えてやがんだ、あの糞リーダーはよォ……ッ!」 メローネ「単純に考えて、狙いは<これ>だろ? どうする? もし渡しちまったら……」 ギアチ 「ちょっと待て、メローネ」 メローネ「何だ」 ギアチ 「本気で<これ>を奪う気なら、リゾットはどうして 今 攻撃を仕掛けてこない? このまま走れば大通りだ。リゾットが一般人を巻き込むわけが無ェ。 なのに、どうして俺たちをわざわざ かろうじて逃がしている ?」 メローネ「――挟み撃ちか……ッ! ギアッチョ、ルートを変えるぞ!!!」 兄貴 「もう……遅いぜ」 メローネ「しまった……ッ!!!!」 兄貴 (掴んだぜ!!!!)「グレイトフル・デッド!!!!!!」 ギアチ (やばい、俺のスタンドは間に合わねェ!!!!) メローネ「……ベイビィ・フェイス!」 兄貴 「何っ!!?? こいつ、自分の体を分解しただと!? ……逃げられてしまう!!!」 メローネ「……残念だったねー、プロシュート。 俺は任務以外の時も、護身用にベイビィ・フェイスの息子を傍に置いている。 知らなかった?」 兄貴 「はんっ、ふざけてても暗殺チームの人間ってわけだ。恐れ入ったぜ。だが――」 リゾット『俺がいるってことを忘れていたな?』 メローネ「なっ!!??」 ギアチ 「メローネ!!!」 リゾット「動くな。ギアッチョ、お前もだ。動くんじゃあない」 ギアチ 「クソ……ッ、メタリカは卑怯だろうがよォ……」 リゾット「――さて。用件は……解っているな?」 ギアチ 「……ふん、大人げねーなリゾット。<これ>のために仲間を羽交い締めかよ」 リゾット「当然だ。<それ>はメローネが俺からくすねた金で買ったものだろう?」 メローネ(やっべ……バレてた) 兄貴 「……メローネ、おめーはチームの仲間から盗みを働いたってのか? こいつぁ、信用問題だぜ? 覚悟は……できてんだろうな」 ギアチ 「おい、もしかして……」 リゾット「剃刀を吐かせるのはさすがに酷だからな。 今すぐ<それ>を渡せば、手加減したグレイトフル・デッドの直触りで勘弁してやる。 ギアッチョ、お前も、能力を使ったら容赦はしない」 メローネ「渡さなかったら?」 兄貴 「全力」 リゾット「さぁ、どうする?」 ギアチ (まさか、本気でやるわけねーよな……)「渡さなくて……いいんだな? メローネ……」 メローネ「……Si」 兄貴 「――ならば、干からびろッ!!!!!」 メローネ(本気か……!? クソッ――……)
https://w.atwiki.jp/battler/pages/489.html
2008年11月17日20時22分のバトル キャラ名作者体力TYPELIFE勝利数 シェゾアルル15スピード11 リゾットチャン25スピード10 シェゾアルル15スピード10 西行寺 幽々子魔理沙16攻防強化10 第4256回D-BR杯がスタートです! 前回優勝したのはシェゾです! 果たしてタイトルを防衛できるでしょうか!? シェゾの攻撃!(命中率90%/会心率5%) シェゾ 「シェゾが……欲しい!!」 シェゾに4のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( シェゾ 15 , リゾット 25 , シェゾ 11 , 西行寺 幽々子 16 ) シェゾの攻撃!(命中率91%/会心率5%) シェゾ 「シェゾが……欲しい!!」 シェゾに3のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( シェゾ 12 , リゾット 25 , シェゾ 11 , 西行寺 幽々子 16 ) リゾットの攻撃!(命中率66%/会心率5%) リゾット 「さて…、本気で行くか!」 シェゾに4のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 25 , シェゾ 11 , 西行寺 幽々子 16 ) 西行寺 幽々子の攻撃!(命中率39%/会心率5%) 西行寺 幽々子 「見たっていうかリゾット食べたわ!!! 」 リゾットに11のダメージをあたえた!! リゾット 「くっ…、なかなかやるな!西行寺 幽々子!」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 14 , シェゾ 11 , 西行寺 幽々子 16 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率10%) シェゾ、連続攻撃!!! シェゾ 「西行寺 幽々子が……欲しい!!」 西行寺 幽々子に1のダメージをあたえた!! 西行寺 幽々子に1のダメージをあたえた!! 西行寺 幽々子 「お腹すいて・・・死にそう!!!」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 14 , シェゾ 11 , 西行寺 幽々子 14 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率6%) シェゾ「西行寺 幽々子が……欲しい!!」 ミス!西行寺 幽々子にダメージをあたえられない! 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 14 , シェゾ 11 , 西行寺 幽々子 14 ) リゾットの攻撃!(命中率70%/会心率7%) リゾット 「さて…、本気で行くか!」 シェゾに3のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 14 , シェゾ 8 , 西行寺 幽々子 14 ) 西行寺 幽々子の攻撃!(命中率16%/会心率8%) 西行寺 幽々子 「見たっていうかシェゾ食べたわ!!! 」 シェゾはゆうゆうとかわした。 シェゾ 「俺は西行寺 幽々子になど負けはしない!」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 14 , シェゾ 8 , 西行寺 幽々子 14 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率18%) シェゾ 「リゾットが……欲しい!!」 リゾットに3のダメージをあたえた!! リゾット 「くっ…、なかなかやるな!シェゾ!」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 11 , シェゾ 8 , 西行寺 幽々子 14 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率20%) シェゾ 「リゾットが……欲しい!!」 リゾットに3のダメージをあたえた!! リゾット 「くっ…、なかなかやるな!シェゾ!」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 8 , シェゾ 8 , 西行寺 幽々子 14 ) リゾットの攻撃!(命中率74%/会心率22%) リゾット、会心の一撃!!! リゾット 「うなれ!キングダムセイバー!!」 シェゾに31のダメージをあたえた!! 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 8 , シェゾ -23 , 西行寺 幽々子 14 ) シェゾのLIFEは0になった! シェゾはやられた・・・ シェゾ 「リゾットに負けるなんて…む、無念だ…」 西行寺 幽々子の攻撃!(命中率20%/会心率12%) 西行寺 幽々子 「見たっていうかシェゾ食べたわ!!! 」 シェゾはゆうゆうとかわした。 シェゾ 「俺は西行寺 幽々子になど負けはしない!」 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 8 , 西行寺 幽々子 14 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率26%) シェゾ、会心の一撃!!! シェゾ 「闇の剣よ、西行寺 幽々子を切り裂け!!」 西行寺 幽々子に20のダメージをあたえた!! 残り体力( シェゾ 8 , リゾット 8 , 西行寺 幽々子 -6 ) 西行寺 幽々子のLIFEは0になった! 西行寺 幽々子はやられた・・・ 西行寺 幽々子 「体の調子がおかしいわ妖夢・・・」 リゾットの攻撃!(命中率77%/会心率28%) リゾット 「さて…、本気で行くか!」 シェゾに5のダメージをあたえた!! シェゾ 「おのれっ…」 残り体力( シェゾ 3 , リゾット 8 ) シェゾの攻撃!(命中率95%/会心率42%) シェゾ、会心の一撃!!! シェゾ 「闇の剣よ、リゾットを切り裂け!!」 リゾットに21のダメージをあたえた!! 残り体力( シェゾ 3 , リゾット -13 ) リゾットのLIFEは0になった! リゾットはやられた・・・ リゾット 「つっ…、こんなはずでは…!」 勝ち残ったのはシェゾです! シェゾがタイトルを初防衛しました! シェゾ 「残念だったな。」
https://w.atwiki.jp/jojosyana/pages/69.html
とある夜。 一人の男が、繁華街の裏路地を歩いていた。 男の名はリゾット・ネエロ。 彼の服装は膝下まである、胸の部分が大胆に開いた黒いコートに、黒い帽子。ズボンは白と黒の縞模様。 殆ど全身黒尽くめ、といった様相だ。 他に身体的特徴を付け加えるとするならば・・・リゾットの両の眼が、真っ赤に充血していることだろうか。 でも目が充血しているからといって、別に眼病にかかっていたりするわけではない。 ついさっき目にごみが入ったとか、そういうわけでもない。 じゃあ何が原因か、と言えば、彼の体質・・・いや、「能力」が原因かもしれない。 リゾットは、とある目的があってこの街に来ていた。 そしてその目的のために、男を一人、捜していた。 捜すのは、そいつがこのリゾットの知人だったりとか、逆にそいつにリゾットが呼ばれていたからとか、そういうのではない。 リゾットは、そいつを暗殺するために、その男を捜しているのだ。 リゾットがその男を殺すのは、私怨によるものではない。 「組織」を裏切ったその男を、「組織」に所属するリゾットが、「組織」の命令で、殺しに行くのだ。 「組織」からの情報に拠れば、その男は「組織」の金を持ち出して逃げたらしい。 早い話、男は「組織」を裏切ったわけだ。 当然「組織」は怒り心頭。こんな裏切り者を生かしておくつもりなど毛頭無い。 というわけで、「組織」の構成員であり、特にこういった汚れ仕事を主に行うリゾットに、その役目が与えられたのだ。 リゾットの仲間が調べたところに拠れば、ターゲットの男は昨日と同じホテルに滞在しているとのこと。 つまり、こちらの動向には気づいていない。 無論、リゾット自身もそのように行動していたわけだから、当然といえば当然だが。 しばらく裏路地を歩いているうちに、ターゲットの男が滞在するホテルが見えてきた。 リゾットはそれを確認すると、そこで立ち止まり、ぼそりと一言、呟いた。 「・・・メタリカ」 その声に応じるかのように、リゾットの身体から、奇妙な呻き声が上がる。 ロォォォォォォォォドォォォォォォォォォ・・・・・・・・・ 呻き声が上がるのと同時に、リゾット自身の身体にも変化が起きる。 リゾットの衣服が、身体が、まるで周囲の背景に溶け込むかのように、その輪郭をかき消しているのだ。 そしてリゾットの姿が輪郭を無くし始めてから数秒後、リゾットは完全に背景と一体化した。 これが、リゾットの能力。 スタンドと呼ばれる、像(ヴィジョン)を持った超能力だ。 スタンドの能力は、人によってその実体がまるで異なる。 特にリゾットのスタンド――メタリカは、磁力を操ることができる。 この能力によってリゾットは、砂中の砂鉄であろうが、鉄製のメスであろうが、 さらには人間の体内の鉄分であろうが、自由自在に操作できるのだ。 なお、今回リゾットが行ったのは、砂鉄を身体の表面にくっつけて背景に擬態する、というもの。 これにより、リゾットの姿は軽く辺りを見回した程度では、見つけることができないようになる。 リゾットがこれから行うこと――いや、リゾットが日常的に行う「暗殺」において、これほどそれに適した能力は無いだろう。 自分の姿を背景に溶け込ませたリゾットは、そのままの状態でホテルの裏口へと向かう。 いくら自分の姿が非常に見えにくくなっているとはいえ、正面から堂々と入ってはさすがに不審に思うものが何人かは出る。 というか、そんな事をするのは自分の能力への過信そのものである。 過信は、自分を危険に陥れる。 それを十分に理解している故にリゾットは、常に慎重に慎重を重ねた行動を取る。 そして裏口を見つけたリゾットは、そのドアノブに手を掛け―― その瞬間、この街の全てが、茜色に包まれた。 「何が起きた!?」 リゾットは素早くドアノブから手を離し、周囲を警戒する。 自分と同じスタンド使いの仕業と考えたためだ。 「スデに俺たちの事はバレていたのか? いや、そんなハズは無い! ならばこれは――」 素早く思考をめぐらせるリゾット。 これまでに、こちらの行動がターゲットに察知されたような形跡は何もなかった。 つまりこれがターゲットが雇ったスタンド使いの仕業だとは考えにくい。 だとすれば―― そこまで思考を行き渡らせた瞬間だった。 突然、無数の剣が、炎が、雨霰のように、リゾットに降りかかってくる。 いや、リゾットにだけではない。 この街の全体に、満遍なく、剣と炎が降り注ごうとしている。 「無差別攻撃だと!?」 突然自分を襲った絶体絶命の状況に驚きを覚えながらも、リゾットは瞬時にそれに対応した。 暗殺者として幾つもの修羅場を潜り抜けてきたことが、リゾットを助けた。 リゾットは瞬時にメタリカを発動する。 その対象は、自分に降り注ぐ無数の剣の、最前列に位置する数十本。 それらを磁力で空中に留めると、素早く、防御シェルターのようにずらりと自分の頭上に並べる。 直後、その後に続いていた無数の剣が、甲高い金属音とともに次々と剣の壁に弾き飛ばされ、 リゾットの周囲の壁や地面に突き立ってゆく。 炎もまた同様に剣のシェルターに阻まれ、リゾットの身を襲う事はない。 「しかし、これもスタンド能力なのか? だとすれば・・・さっきの空間を茜色にする能力は・・・何だ? 事前に発動したからには・・・・・・おそらくこの剣と炎を降らせる能力に・・・何らかの形で必要になる効果を持っているハズだ。 だとすれば、一体どういう能力なのか・・・」 剣が地面に突き刺さる音、後から降ってきた剣が、先に地面に突き立っていた剣を突き砕いて、新しく地面に突き刺さる音、 そして自分が作ったシェルターに降り注ぐ剣の群れが弾かれていく音を聞きながら、 リゾットは再び思考をめぐらせ、自分に言い聞かせるようにブツブツと呟いていた。 この能力が何を意図したものかは分からない。 ただ一つ分かっているのは、この能力が自分の暗殺の妨げになるということだ。 「こんな能力で・・・もう一度水を差されてはかなわん。本体を撃破しておくことが必要だ・・・・・・」 やがて、剣と炎の雨が止んだ。 リゾットは、それらが降ってくる気配がなくなったのを確認し、 地面に突き立ったり、散らばったりしている剣を避けながら、表通りに出る。 擬態に使った砂鉄は既にリゾットの身体から剥がれてしまっていたが、そんな事は問題ではない。 どうせ表通りも、この茜色の攻撃で大混乱に陥っている。 裏路地から人一人飛び出してきたところで、気にする者もいないハズだ。 そう踏んで表通りに飛び出したところで、リゾットは驚くべき光景を目にした。 「人が・・・止まっているのか!?」 そう、表通りにいた人間が、まるでマネキンか何かのように、ピタリと動きを止めてしまっているのだ。 中には降ってきた剣に腕を切り飛ばされたり、足を切り落とされたりした者もいる。 身体の一部を、爆弾か何かで吹き飛ばされたように傷付けられた者もいる。 だが、そうしたものも含めて、この場で身動きしている者は、リゾット以外に一人もいない。 「いや・・・これが最初に仕掛けられた茜色の攻撃の正体か。 しかし・・・・・・妙だ。スタンド使いの動きまでもを・・・止めるならまだしも・・・俺はこうして普通に動けている。 となれば・・・恐らく・・・これは『ただの人間』の動きを止めるための・・・・・・能力だ。 しかし・・・何故『ただの人間』なのだ? ・・・・・・決闘でもしようという能力なのか?」 ブツブツ呟きながら、見知らぬ能力を前に、冷静に分析を続けるリゾット。 その後姿に―― 「俺の攻撃を無傷で凌いだのか? ただの人間が?」 不愉快そうな声が、かかった。 声がしたのは自分の後ろ、その上方。 そう当たりをつけて、リゾットが素早く振り向く。 そして振り向いた先、3階建てほどのビルの上に、男が一人いた。 男の格好は、地面に届くほどの長いコートに、顔の下半分と額を覆うターバン。 腰には業物とおぼしき剣が一振り差してある。 男の顔はターバンによって殆どが覆われているため、リゾットの側からその表情を読み取ることはできない。 「本来の標的には初撃を最小限に凌がれ、その上逃げられた。それは再び追うから今はいい。 今問題にすべきは貴様だ。何故貴様は生きている? 何故貴様は封絶の中で動ける? 貴様に聞きたい事は山ほどあるぞ。 万全を期した一撃が貴様如き人間如きに凌がれたとあっては『壊刃』の名折れだ。 そして貴様が生き延び、かつ封絶内で動ける理由が貴様が所持しているであろう宝具にあるのなら、その出所も聞くことになる。 加えてせめてもの成果にそれを貰い受ける。 だが仮にそれらが宝具によるものだったとしても、 どうせそれは装飾具が何かであろうからすぐに俺の手から離れることになるのは確実だが。 広範囲攻撃から逃れられるだけの防御力も、封絶内で動けることも、俺にとっては不要なものだからな」 男は淡々と語り続ける。 どうやらリゾットに何らかの興味を示しているらしいがそれにしてもこっちとしてはどうでもいい話が多い。 というか、ブツブツ言うあたりが何だかリゾットに似ている男だ。 それに「封絶」とか、「宝具」とか、リゾットには理解できない単語も多い。 一体何者なのか、こいつは。リゾットがそう考えていると―― 「さて、これから俺は貴様を討滅することになるが、せめてその前に俺の名を教えておこう。 俺の名は、サブラク。『壊刃』サブラクだ」 親切にも、相手のほうから名乗ってきた。 「壊刃」サブラク。 リゾットからすれば知る由も無いことだったが、彼は同胞から、そして敵から生粋の殺し屋として知られていた男だった。 「そうか・・・。だが、俺からお前に教える名は・・・ない。俺は暗殺者だからな・・・・・・。 それに・・・おれ自身としても、お前を消しておきたいところだ。 俺にもやるべきことがある・・・・・・なので、もう一度水を差されては困る・・・・・・」 そしてリゾットも、適当にサブラクに答える。 時刻は零時数分前。 暗殺者、リゾット。 殺し屋、サブラク。 出会うハズも無かった二人が出会った。 そして殺し合いが、始まる。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/battler/pages/609.html
2008年12月01日11時42分のバトル キャラ名 作者 体力 TYPE LIFE 勝利数 オスパー 石坂線の鬼神 11 堅守高速 1 2 桜庭 京子 モハメド・アリ 35 攻撃重視 1 0 dam http 25 攻撃重視 1 0 リゾット チャン 25 スピード 1 0 第4303回D-BR杯がスタートです! 現在オスパーがタイトルを1回防衛しています! 挑戦者がタイトルを奪取するのか、チャンピオンが防衛記録を伸ばすのか!? オスパーの攻撃!(命中率95%/会心率5%) オスパー 「大きな声で呼んでごらん」 リゾットに5のダメージをあたえた!! リゾット 「くっ…、なかなかやるな!オスパー!」 残り体力( オスパー 11 , 桜庭 京子 35 , dam 25 , リゾット 20 ) リゾットの攻撃!(命中率95%/会心率5%) リゾット 「さて…、本気で行くか!」 桜庭 京子に3のダメージをあたえた!! 残り体力( オスパー 11 , 桜庭 京子 32 , dam 25 , リゾット 20 ) damの攻撃!(命中率45%/会心率5%) dam 「よし、dam緊急出動だ!!」 オスパーは素早くかわした。 オスパー 「オスパーの名前を呼んでごらん」 残り体力( オスパー 11 , 桜庭 京子 32 , dam 25 , リゾット 20 ) 桜庭 京子の攻撃!(命中率65%/会心率5%) 桜庭 京子 「只今から京都新聞ニュースのニュース内容の放送を開始します!」 damに13のダメージをあたえた!! dam 「歴史の節目において情報操作は必ず行われているんだよ!!」 残り体力( オスパー 11 , 桜庭 京子 32 , dam 12 , リゾット 20 ) オスパーの攻撃!(命中率95%/会心率5%) オスパー 「大きな声で呼んでごらん」 damはギリギリかわした。 dam 「ここまで来ると偶然ではない… もはや『必然』―!!」 残り体力( オスパー 11 , 桜庭 京子 32 , dam 12 , リゾット 20 ) リゾットの攻撃!(命中率67%/会心率6%) リゾット 「さて…、本気で行くか!」 オスパーに5のダメージをあたえた!! オスパー 「たとえ地上が嵐でも」 残り体力( オスパー 6 , 桜庭 京子 32 , dam 12 , リゾット 20 ) damの攻撃!(命中率95%/会心率7%) dam 「よし、dam緊急出動だ!!」 桜庭 京子に10のダメージをあたえた!! 残り体力( オスパー 6 , 桜庭 京子 22 , dam 12 , リゾット 20 ) 桜庭 京子の攻撃!(命中率22%/会心率8%) 桜庭 京子 「只今から京都新聞ニュースのニュース内容の放送を開始します!」 オスパーはゆうゆうとかわした。 オスパー 「オスパーの名前を呼んでごらん」 残り体力( オスパー 6 , 桜庭 京子 22 , dam 12 , リゾット 20 ) オスパーの攻撃!(命中率95%/会心率18%) オスパー 「大きな声で呼んでごらん」 リゾットに4のダメージをあたえた!! リゾット 「くっ…、なかなかやるな!オスパー!」 残り体力( オスパー 6 , 桜庭 京子 22 , dam 12 , リゾット 16 ) リゾットの攻撃!(命中率71%/会心率10%) リゾット 「さて…、本気で行くか!」 オスパーに4のダメージをあたえた!! オスパー 「たとえ地上が嵐でも」 残り体力( オスパー 2 , 桜庭 京子 22 , dam 12 , リゾット 16 ) damの攻撃!(命中率82%/会心率11%) dam、会心の一撃!!! dam 「な・なんだってーーーーーー!!!!!」 リゾットに41のダメージをあたえた!! 残り体力( オスパー 2 , 桜庭 京子 22 , dam 12 , リゾット -25 ) リゾットのLIFEは0になった! リゾットはやられた・・・ リゾット 「つっ…、こんなはずでは…!」 桜庭 京子の攻撃!(命中率21%/会心率12%) 桜庭 京子 「只今から京都新聞ニュースのニュース内容の放送を開始します!」 オスパーはゆうゆうとかわした。 オスパー 「オスパーの名前を呼んでごらん」 残り体力( オスパー 2 , 桜庭 京子 22 , dam 12 ) オスパーの攻撃!(命中率95%/会心率39%) オスパー 「大きな声で呼んでごらん」 damに5のダメージをあたえた!! dam 「歴史の節目において情報操作は必ず行われているんだよ!!」 残り体力( オスパー 2 , 桜庭 京子 22 , dam 7 ) damの攻撃!(命中率95%/会心率28%) dam、会心の一撃!!! dam 「な・なんだってーーーーーー!!!!!」 桜庭 京子に39のダメージをあたえた!! 残り体力( オスパー 2 , 桜庭 京子 -17 , dam 7 ) 桜庭 京子のLIFEは0になった! 桜庭 京子はやられた・・・ オスパーの攻撃!(命中率95%/会心率42%) オスパー 「大きな声で呼んでごらん」 damはギリギリかわした。 dam 「ここまで来ると偶然ではない… もはや『必然』―!!」 残り体力( オスパー 2 , dam 7 ) damの攻撃!(命中率53%/会心率30%) dam、会心の一撃!!! dam 「な・なんだってーーーーーー!!!!!」 オスパーに43のダメージをあたえた!! 残り体力( オスパー -41 , dam 7 ) オスパーのLIFEは0になった! オスパーはやられた・・・ 「ユミ「オスパーが・・・」 勝ち残ったのはdamです! damが見事にD-BR杯を制覇しました! dam 「これが、人類を救う唯一の方法なのかもしれない!!」
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/202.html
※更新した際は、更新報告ページまで連絡お願いします。 ●目次● ●追加用テンプレ● ギアッチョ ⇔ 【ギアッチョ~vocal off~】 氷のイヴ 氷のイヴ歌ってみたbyおぐ 風邪ひいたんで【氷のイヴ】歌ってみたはいいけれど 氷のイヴ-ギアッチョ- 【歌っていた】音でてればいいな版 はっほーり↑ホワイトアルバム 『はっほーり↑ホワイトアルバム』音痴が作って歌ってみた。 音痴が自重せず作って歌ってみた再録。いっそ歌ってみて はっほーり↑ホワイトアルバム歌ってみた その他 ギアッチョ覚醒・・・【オンドゥルルラギッタンディスカー!!】 ブチ切れ予報の時間だよ!【すごく・・・暗チLoveです・・・】 イライラギアッチョで考え中【世の中って不条理ですよね・・・】 ジョジョソン「些細な事で俺はキレている」作って歌ってみた 『氷のギアッチョ伝説(恋のミクル伝説)』 歌ってみたVerペッシ 「リベルタブリッヂの死闘」を歌ってみた クソクソッイラ~と・キレ@ギアッチョ【歌わせていただいた】 メローネ、ギアッチョ ジョジョソン?『愛をとりもどせ!!/愉快犯(メローネ&ギアッチョ)』 リゾット ⇔ 【リゾット~vocal off~】 アンインストール ver.ジョジョ5部 アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット)歌ってみた アンインストール ver.ジョジョ5部(リゾット) 【女が歌ってみた・再録】 アンインストール ver.リゾット[歌いなおしてみた] 暗殺者のネエロ 暗殺者のネエロ[歌ってみた] 暗殺者のネエロ歌ってみた 暗殺者のネエロ歌ってみたbyおぐ ジョジョシムでジョジョソン粉砕PV その壱 暗殺者のネエロ【♀声注意報】 「対象r」ver.リゾット 「対象r」ver.リゾット【女が歌ってみた】 対象r【歌ってみた】 対象rを全力で歌ってみた 対象r 【歌ってみた】 対象r 歌ってみた【女声三人称】 Questa e Rivolta 【テラ女声注意】『Questa e Rivolta』歌ってみた Questa e Rivolta に挑戦した。 【女声・オク下注意!】Questa e Rivoltaを歌わせていただいた 月/光/花ver.リゾット 月/光/花ver.リゾット 歌ってみた byニ氏 月/光/花ver.リゾット 歌って台無しにしてみた byニ氏 その他 5部(リゾット)で雪、無音、窓辺にて。 カラス替え歌(ジョジョ5部 リゾット)作って歌ったorz まさかの事変でジョジョソン作って歌ってみた 『R』(ジョジョ五部リゾット)歌ってみたby… 月/光 ver.リゾット 歌ってみた。 ジョジョでスプーのえかきうたver.リゾット リーダーでニョキニョキをニョキニョキ歌ってみた 【女声注意】ヒットマン!! ver.リゾット歌わせていただいた 【ジョジョソン】もうすぐ30才(ver.リゾット)【歌ってみた】 「メルトで替え歌【リゾット】」を歌わせていただいた ギ/ャンブ/ル ver.リゾット 歌ってみた。 メタリカ にょっきにょきにしてあげる♪【作って歌った】 【風邪と腹痛に耐えて】True my lord【作って歌った】 【今更ながら】メタリカで男女【やってみた】 リゾット、ドッピオ ドッピオとリゾットの噂のギャング☆パッショーネ ソルベ、ジェラート ⇔ 【ソルベ、ジェラート~vocal off~】 生と死-ソルベ&ジェラート- *歌わせていただきました。 【ソルべとジェラート】-幸わせなチーム-【歌わせていただきました】 追加用テンプレ 新しい動画を追加する際は編集ページを開いて、以下の『』内をコピペしてご使用ください。 『|【動画の名前】 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) |【動画の名前】 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) |』
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/838.html
第一章 使い魔は暗殺者 前編 リゾットは怒っていた。心の底から。頭のてっぺんを突き抜けるような怒りを、不甲斐ない自分に感じていた。 ――オレは…何一つとしてっ、仲間と交わした誓いを果たすことが出来なかったっ!! それが、リゾットの怒りの原因だった。 ボスを殺すこと。 栄光を掴むこと。 仲間たちと約束したことを、リゾットは何一つとして叶えることが出来ず、無様に死んでいく自分が、リゾットはこの世で一番許せなかった。 誇りを傷つけられ、栄光を掴もうと誓った。 けれど、全ては無駄に終わってしまったのだ。自分たちの反乱は、挫折した。 誰が悪いのではないだろう。強いて言うのならば、運が無かったとしか言えない。 戦いに勝つには天の時と地の利と人の和が必要だと言われている。 地の利と人の和は同等だった。けれど、天の時はブチャラティたちに味方した――そういうことだ。 しかし、リゾットはそれだけに全てを委ねる事はできなかった。 リーダーである自分がもっと上手くチームを指揮していれば勝てたのではないか。そう考えてしまうのだ。 すでに起きてしまった出来事にもしもはない――。そう分かっていても、リゾットの頭の片隅で声は囁く。 ――お前の采配が悪かったから仲間たちは無駄死にしたのだ…………。 と。 だからこそリゾットは相打ちを覚悟でボスを殺したかった。 相打ちでボスを殺してもどうしようもないことは分かっていたけれども。仲間はもう一人も残っていないし、ボスを殺しても自分が死んでしまっては、それで終わりだ。 それに、リゾット以外の仲間が死に絶えたとき、ボスを殺す理由は無くなっていた。“仲間と”栄光と掴むためにボスを殺そうと決意したのだから。 それでもリゾットがボスを殺そうとしたのは、死んだ仲間たちに少しでも報いたかったからだ。 死んだ後、あの世で仲間たちと再会したとき、胸を張っていられるように。そう思って、リゾットはボスを殺しに行った。 が、最後の最後、後一歩が及ばなかった。結局、天の時は最後までリゾットの味方をすることはなかったのだ。 ――オレたちは……決して栄光を掴む事が出来ないと言う事なのか?! 神を裏切ったオレたちには祝福を受ける資格がないと言うのか?! そんなことは……そんなことは認めないッ! 絶対に認めるものかァッ! オレは……いや、オレたちは! 使い捨てられて、踏み台にされるために生きていたのではないッ!!!! リゾットは怒っていた。心の底から。頭のてっぺんを突き抜けるような怒りを、無慈悲な神に向かって感じていた。 ――オレたちは……栄光を掴むんだ!!! 「あんたたち誰?」 雲ひとつ無い晴天の空を背景に、誰かがリゾットの顔を覗き込んでいた。 急激に意識が上昇して目が覚めたため、視界はあまりよくなかったが、リゾットを真上から見下ろしている人物が桃色に近いブロンドの少女だという事は分かった。 そうして、その少女が白いブラウスとプリーツスカートを身に纏い、その上に黒のマントを羽織っている事も。 (コス……、プレとかいうやつか?) 少女の姿を見たリゾットの最初の感想は、正直どこかずれていた。しかし、これは彼にとっては致し方ないことでもあった。 少女の格好からリゾットが連想したものは、チーム仲間のメローネが(自分の)食費を削ってまで購入していたジャッポネーゼアニメやジャッポネーゼマンガに描かれていた、いわゆる魔女っ子と呼ばれるものだったからだ。 メローネや歳若い仲間が楽しそうに読んでいるのを見て、一度だけリゾットも読んだ事があるが、あまりの展開の破天荒さに5ページほどで挫折した。 けれども、メローネたちにはそこがいいらしく、同じく面白さが分からなかったプロシュートやギアッチョとともに肩身の狭い思いをしながら、 『あれが若さか』 などという発言をしてちびちびとワインを啜った記憶が懐かしい。あの時はまだ、ソルベとジェラートも居て、ボスに反感を持つ前だった。 あれから、そう、色んなことがあった。 身を粉にして組織を大きくしたというのに、与えられた対価はそれに見合うことは無く。ボスはリゾットが嫌っている麻薬を金のために、裏の人間だけではなく一般市民にまで売り出した。 それがリゾットには気に食わなかった。元々リゾットは裏の人間が必要以上に表の人間と関わる事を良いとは思っていなかったし、麻薬は人をボロボロにする。短い目で見れば金になる商売かもしれないが、長い目で見れば害にしかならない。 そうこうしている内に、待遇に不満を抱いたソルベとジェラートがボスのことを調べ始めて、殺された。 そんな様々な要因が重なって、トリッシュというボスの娘の噂が切っ掛けとなり、リゾットたちは組織を裏切った。ボスを倒すために。 そして、昔夢見た理想を現実にするために。 しかし、現実は非情で、リゾットの仲間たちはボスの娘を護衛するブチャラティチームたちと戦い、死んでいった。 リゾットも一人ボスと対峙し、負けた。そう、ボスのスタンド能力の前にリゾットは敗北したのだ。裏の世界では負けはそのまま死に繋がる。つまり、リゾットは死んだ――はずだった。 (そうだ。俺はエアロスミスの銃弾を受けて死んだはずだ) 未だ上手く働かない思考をフル回転させてリゾットはこの状況を理解しようとした。何故、イタリアのサルディニア島でボスに敗れた自分がこんな城の見える平原に居るのか。しかも―― (この女、あんたたち……複数形で訊いた?) そのことに疑問を持ったリゾットは、目の前にいる少女を警戒しながらゆっくりと上体を起こし、体を捻って後方に視線を動かした。 「!!?」 その瞬間、リゾットはこれまで味わった事の無いほどの混乱に襲われた。 メタリカを体内に宿しているせいで白目の部分が充血している、他人とは違う目を大きく見開いて自分の後ろに広がっている光景を呆然とした表情で見つめる事しかできない。 (馬鹿な……っ、これは、どういうことだ?!) サルディニア島に居たはずなのに、こんな観光地のような場所に居る事も不可思議な事だが、それ以上に不可解なことが目の前に広がっている。 「ホルマジオ……、イルーゾォ……、プロシュート……、ペッシ……、メローネ……、ギアッチョ……。馬鹿な……、死んだはずだ……ッ」 そう、リゾットの背後には死んだはずの彼の仲間たちが倒れていたのだ。 暗殺チームのリーダーとして普段から滅多に感情を揺らす事の無いリゾットだが、この状況にはただ心の底から驚愕するしかなかった。 (天国とでも言うのか?) イタリア生まれのイタリア育ちであるリゾットはギャングに入って後も基本的な思考はローマ・カトリックに由来していた。 そのため、この異常な状態を天国と思ったわけだが――、それにしてはどうも様子がおかしい。 混乱しながらも、仲間たちは全員気絶しているだけだと確認したリゾットは、次に周りの様子を慎重に観察し始めた。 目の前には未だに少女が憤然とした面持ちで仁王立ちしている。 その遥か後ろには平地用の――つまりは守りに向いてない移住性を重視した――城が聳え立っていた。 そして、その城と少女の間に、十数人ほどの人間が、全員同じような黒いマントを羽織ってまるでファンタジーに出てくる魔法使いの持つ杖のようなものを手にして、リゾットたちを物珍しそうな顔で眺めている。 「あんたたち、誰?」 もう一度少女は聞いてきた。瞳には苛立ちの色がはっきりと見える。それ以外には、焦りと、少しばかりの恐怖。 期待通りに行かなかった事に対する拍子抜けしたような感情。それと、大きな疑問だろうか。この事態に戸惑っているようにも思えた。 「……オレは……、リゾットだ」 とりあえずリゾットはそれだけ答えた。頭の中では未だに黄色いヒヨコが踊っている。 (とにかく、ここがどこか分かるまではこちらの情報は最低限隠さなければいけないな……) 「どこの平民?」 平民? この問いにリゾットは一瞬詰まった。身分社会が崩壊して久しいこの時代、ヨーロッパにも貴族と呼ばれる人種は居るが、こういった物言いをすることはない。 つまり、導き出される結論は、ここはヨーロッパ以外の身分社会がまだ残っている土地か――、はたまた、地球ではないどこかだ。 (本当に異世界だとすると――ナルニア国年代記のようなものか) リゾットは幼い頃に読んだヨーロッパで有名なファンタジーシリーズの名前を挙げて秘かに笑った。 従兄弟が憧れていたファンタジーの世界に――もしかしてだが――自分が足を踏み入れているのかと思うと、なんとも言いがたい気分になってくる。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 と、リゾットが物思いに耽っている間に、周囲の時間はどんどん進んでいたようだ。 驚きが終わった野次馬たちが、馬鹿にしたような色を浮かべながら声を掛けてくる。げらげらという爆笑をバックコーラスにして。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」 「さすがはゼロのルイズだ!」 ルイズ――どうやらこの桃色掛かった金髪の少女の名前らしい――の拙い反論に、他の子供たちは一斉に笑い声を上げ、馬鹿にする。 そんな子供たちの幼稚な行為に、リゾットは眉を顰めた。 他人を嘲笑うという行動は大きく分けて、自分に絶対の自信があるために相手を軽く見るというものと、相手を軽んじる事で自分が優れていると錯覚したいというものがある。 しかし、どちらの場合も相手の実力を過小評価し、自分の実力を過大評価する傾向にある。そして、それは殺し合いの世界に身を置く者としては非常に不味い事であった。 自分を強いと思うことは油断を招くし、相手を弱いと思うことは隙を生む。過去、その結果として自分に殺された要人やギャングなどの構成員たちを思い出しつつ、リゾットは緩やかに警戒レベルを戦闘時から常時に戻した。 どうやらそこに居る人間たちが結託してリゾットたちを攻撃するような状況にはならないらしい。 けれども、疑問は何一つとして解消されて無い。リゾットは慎重に彼らの出方を待った。 「ミスタ・コルベール!」 少女がまた叫ぶ。誰か――リゾットが推測するに引率者――を呼んだようで、その声に反応して人垣の中から中年の男性が進み出た。 丸い眼鏡をかけた、額から頭のてっぺんまで禿げている温厚そうな男である。この男も真っ黒なローブを身に纏い、大きな木の杖を手にしていた。 絵本や映画などに出てくる魔法使いそのものの姿だ。街でこんな格好をしていたら、道行く人たちに白い目で見られることは確実である。 が、その男――ミスタ・コルベールと呼ばれていた――を見て、リゾットの暗殺者としての感覚が盛大に反応した。 一気に警戒レベルが跳ね上がり、ドッドッドッと心臓が血液を全身に送り出そうと動き出す。酸素が体中を駆け巡り、思考が活性化する。 (この男……、強い! そして、戦い慣れしている!) 男の表情や足運びなどから彼の実力を推測したリゾットは、全身の筋肉を強張らせた。 しかし、そんなリゾットの考えとは裏腹に、男は昼行灯という言葉が似合うほど害意の無い顔でルイズという少女に対して返事をする。 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「あの! もう一回召喚させてください!」 そうして、のんびりとした男とは対象的に、身振り手振りで気を引き必死になって何事かを頼み込んでいるルイズの台詞に、リゾットは思い切り困惑した。 (召喚だと?) その単語を聞いて真っ先に思い出したのは、やはりチーム仲間の一人、ジャッポネーゼマニアのメローネがやっていた(ジャッポネーゼ言葉ではプレイするというらしいが)ファイナル○ァンタジーとかいう、指輪物語の設定を下地にしているRPGとかいうTVゲームだった。 頭に角を生やして杖を持った幼女が脳裏に浮かぶ。そういえば目の前にいる少女も幼い。角は生えてないようだが、杖は持っていた。 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!」 「決まりだよ。二年生に進級する際、君たちは『使い魔』を召喚する。今、やっているとおりだ」 半ば涙目になりながらルイズは尚も言い募るが、コルベールは素っ気無く首を振るだけだ。 周りの生徒たちはコルベールとルイズの会話を邪魔しないように大声で笑う事は止めていたが、ルイズに対してニヤニヤと歪んだ笑みを向けている。 (召喚……使い魔……。この二人の言葉をそのまま信じるのなら、オレは……いや、オレたちは地球から別の世界に呼び出されたということか!) コルベールの登場で脳に充分な酸素が行き渡ったリゾットは、先入観を棄ててこの事態を正確に把握する事に専念する。 この状況が理解できなければ、どういった行動が最適になるのかも分からない。 リゾットの能力ならばここにいる全員を一気に殺すことも可能だが、それをして仲間が危険になるような事になってしまっては困る。 「それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。好むと好まざるにかかわらず、彼らのうちの誰かを使い魔にするしかない」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」 ルイズが屈辱と怒りで頬に朱を散らせて大声を張り上げると、また子供たちが一斉に笑った。 それをルイズが悔しそうな瞳で睨みつけるが、それでも笑い声の大合唱は止まらない。 リゾットはあまりに幼稚すぎる子供たちの反応に、呆れたような視線を向けた。 あまりに呑気すぎる。イタリアの小学生より程度が低いかもしれない。 (それにしてもオレたちはこのルイズとかいう女に呼び出されたのか……。使い魔…………というとあれか、黒猫のような扱いを受けるのか) 生粋のイタリア育ちのリゾットが想像する使い魔と言えば、ローマ・カトリックの魔女狩りでイメージが固定化された黒猫である。 ちなみにリゾットの脳内では、箒に乗った鉤鼻の魔女が黒猫を従えて満月をバックに飛んでいる姿が浮かんでいた。 (それは……少し、いや、かなり嫌だな。というよりこの傲慢で駄々っ子なマンモーニの下につくなど真っ平ゴメンだ。逃げるのが得策だと思うが……、仲間を見捨てるわけにはいかない。どうするべきか……) リゾットはこの短い時間でルイズの性格を端的にだがきちんと把握していた。ルイズには悪いが、このような人間は雇い主としては最低の部類に入る。きっと食事すらまともに与えてはくれないだろう。 「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。彼らは……」 リゾットが本気で対策を考え始めた頃、コルベールの説教も終わりに掛かっていた。 「ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければいけない。古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。彼らのうち誰か一人には君の使い魔になってもらわなくてはな」 「そんな……」 (どうやら使い魔とやらは一人しかなれないらしいな。しかし……、仲間にそれを押し付けることはリーダーとしてあってはならない行為だ……) がっくりと肩を落として溜め息を吐くルイズに少しむっとしながら、リゾットは冷静に情報を処理していく。 今までの会話や様子から推測できる事をまとめると、こんな感じだ。 一、ここは魔法使いが存在する異世界である。 二、リゾットたちはルイズと呼ばれる少女の使い魔として呼ばれた。 三、何故か知らないが、仲間たちは全員生き返っている。 四、彼らは学校に所属している。コルベールと呼ばれる男が教師らしい。 五、彼女らは二年生になったばかり。 六、現在、ここの季節は春だ。 七、ルイズと呼ばれる少女はクラスメイトから軽んじられていると思われる。 八、使い魔は一人一体が原則。 九、この国は平和である。 十、彼らは全員中流以上の家庭の生まれ。 ほかにも細々としたところが推測できたが、彼らと関わる上で重要になってくるところと言えばこれくらいだろう。 「さて、では、儀式を続けなさい」 「えー、彼らのうち、誰かと?」 「そうだ。早く。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね? 何回も何回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。いいから早く一人を選んで契約したまえ」 コルベールがそう厳しく言うと、途端に周りから、そうだそうだ、早くしろよ、どれも一緒だからさっさと選べよ、などといった野次が飛ぶ。 あまりのウザさにリゾットは一瞬メタリカを使い全員の口をホッチキスの針で縫い止めようかと思ったが、止めておいた。そんなことより仲間の事が気に掛かる。 何故選ばれたのかは不明だが、この召喚によって――ソルベとジェラートは除くが――全員が生き返っている事は、リゾットにとって幸運だった。 暗殺チームに身を置き、それを率いる事になったリゾットにはチーム以外に信頼できる人間がいない。チームが家族と言っても過言では無いくらい互いを大切に感じてもいる。 (――つまり、これは恩か?) ルイズの召喚の儀式がなければ自分も仲間たちも死んだままだった。そう考えると、リゾットはルイズにかなりの恩を受けたことになる。 「ねえ」 新たな発見に脳をフル回転させていたリゾットに、空気をまったく読まずにルイズが声を掛けてくる。 リゾットが顔を上げるとそこには何かを決意して唇を真一文字に結んだルイズが立っていた。 「なんだ?」 「起きているのがあんただけだし、まあ、顔もそこそこイケてるし……。とにかく、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 リゾットが返事をすると、瞳にあった決意はあっさりと霧散し、ルイズはブツブツと言い訳を口にする。 そのマンモーニぶりにリゾットはメタリカで説教したくなったが、いきなり目を閉じたルイズに虚を突かれた。 はて、何をするつもりなのだろう。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 疑問を感じているリゾットの前でルイズは杖を振ると、朗々とした声で呪文と思しき言葉を唱えた。 そうして、リゾットが反応するより先に、杖をリゾットの額に置く。 (何だ?! 体が動かないだと?!) とっさに避けようとしたリゾットは、そこに来て自分の体の自由が利かないことに気付いた。 上体を起こして膝立ちになった格好から、全身が彫像になったかのように身動きが取れない。そうして、そのことに戸惑っている間に、どんどんルイズの顔は近づいてくる。 一体なにが起こるんだ? そう思ったとき、ルイズの唇がリゾットの唇に重なった。柔らかい感触がする。 目を閉じたルイズは何故か頬を染めているが、リゾットにとっては蚊に刺された事と同レベルだ。 と、無感動にルイズを見つめているうちに(何しろ体が動かないのでそれ以外出来ない)キスは終わり、ルイズは唇を離した。 「終わりました」 少し恥らいながらコルベールに向かって報告するルイズを、リゾットは冷めた表情で眺める。 「『サモン・サーヴァントは』何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」 やっと厄介ごとが終わったというように晴れ晴れとした顔でコルベールが言った。 その言葉にリゾットは心の中だけで盛大に舌打ちする。やはり今のは使い魔とやらの契約の儀式だったらしい。 面倒な事になったと、頭を抱えたくなった。ルイズの唇が離れたせいか、体は元通り動くようになっていた。 後ろをもう一度覗くが、仲間たちはまだ目を覚まさない。普段の彼らならすぐに起きるのだが、一回死んでいるので勝手が違うのだろうか。 殴って起こそうかとも考えたが、スタンド攻撃が飛んできそうなので遠慮しておいた。 ここでザ・グレイトフル・デッドやホワイト・アルバムなんぞを発生させたら大変な事になる。 「相手がただの平民だから『契約』できたんだよ」 「そいつが高位の幻獣だったら、『契約』なんかできないって」 リゾットの注意が逸れている間も彼らの会話は進んでいく。それにしても平民平民と煩いものだ。リゾットは真剣にメタリカで口を塞ごうかと考える。 「バカにしないで! わたしだってたまにはうまくいくわよ!」 「ほんとにたまによね。ゼロのルイズ」 おほほほ、と今にもお嬢様笑いが聞こえてきそうな声音で、見事な巻き毛を持つブロンドの少女が言う。 顔にはそばかすが散っていて、まだまだガキといった容貌だ。外見と中身が比例している良い例である。 「ミスタ・コルベール! 『洪水』のモンモランシーがわたしを侮辱しました!」 「誰が『洪水』ですって! わたしは『香水』のモンモランシーよ!」 「あんた小さい頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。『洪水』の方がお似合いよ!」 「よくも言ってくれたわね! ゼロのルイズ! ゼロのくせになによ!」 「こらこら。貴族はお互いを尊重しあうものだ」 ルイズとモンモランシーとかいう女の聞くに堪えない低レベルな口喧嘩(少なくともリゾットは耳栓がほしくなった)を、穏やかな声でコルベールが宥める。 この男、この集団と一人で相対しても勝てるほど飛び抜けた強さを持っているが、あまり畏怖されていないようだ。その事に僅かに首を傾げた瞬間、リゾットの体が熱くなった。 「なんだ、これはッ?!」 熱の発信源はどうやら左腕のようだ。見れば左手の甲に見知らぬ文様が刻まれていっている。熱い。 我慢出来ないほどではないが、脂汗が滲むのを感じた。 「『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ。すぐ終わるわよ」 やはりさっきのキスが契約履行の条件だったらしく、ルイズは苛立った声で説明してくれた。 どうやら契約のキスがよっぽどおきに召さなかったと思われる。しかし、激痛に襲われるリゾットにはそこまでルイズを観察する余裕は無い。 ぐっと唇を噛み締めて痛みに耐える。そして、その数瞬後、熱と痛みはあっさりと退いた。 「……使い魔のルーンか……。本格的だな……」 異常が終わった事に安堵の息を吐いたリゾットは、左手の甲に浮かび上がった文様を見てそう零した。 すると、コルベールが近づいてきて、リゾットの左手を持ち上げた。リゾットは反射的に攻撃に転じようとして、意識的にそれを抑えた。 コルベールにはリゾットに危害を加えようとする意志は無い。ただ、リゾットに刻まれたルーンを確認しようとしているだけだ。 相手に完全に敵意が無いことを理解し、リゾットはそれまで無意識に行っていた警戒を解いた。 この男はリゾットが敵になろうと思わない限り攻撃してこないだろう。 「ふむ……。珍しいルーンだな」 何か突っ込まれるかと思ったが、感想はそれだけのようだった。 もしかしたら自分が普通の人間ではないことがばれるかもしれないと思っていたリゾットは、この台詞に安心する。 「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」 「ちょっと待ってくれ」 くるりと踵を返して生徒たちに指示を出すコルベールを、リゾットは呼び止めた。平民の事を侮っている者たちなので無視されるかもしれないと案じていたが、リゾットが初めて自主的に声を掛けたからか、コルベールは興味深げな顔をして振り返ってくれた。 「何かね、――……ええと……」 声を掛けたコルベールはそこで自分がこの使い魔の名前を知らないことに気付いたようで、視線で名前を尋ねる。 リゾットはここで反抗的な態度を取る事のデメリットを理解していたので、出来るだけ丁重な口調で話すことにした。 「リゾット。リゾット・ネエロという。不躾で悪いのだが、気絶している彼らを運ぶのを手伝ってもらいたいのだが、お願いできるだろうか?」 その言葉にコルベールは、ああ、と軽く頷いた。別に了承したのではなく、失念していたことを思い出した、という様子だ。 複数形で話してはいたが、リゾットの仲間の事はすっかり忘れ去られていたらしい。 「そうだな、六人もの人間を学院まで運ぶのは難しいだろう。分かった。彼らはわたしが責任をもって学院に送り届けよう。君はミス・ヴァリエールと共に来たまえ」 そう言って今度こそコルベールは生徒たちに向き直り、宙に浮かんだ。 魔法使いと思わしき格好をしていることから、リゾットはこの可能性を頭のどこかで肯定していたが、想像と実際に見てみるとは大違いだという事を知る。 思わずぽかんとした間抜けな表情で、すうっと空中に飛び上がって静止するコルベールの後ろ姿を見上げる。さらに生徒たちも一斉に空へと浮かんだ。 およそ十メートルの高度で留まっている。ある意味でとても衝撃が強い光景だ。メローネなんかは飛び跳ねて喜びそうだが、あいにくとリゾットにそんな余裕は無い。 生まれて初めて見る魔法にひたすら唖然としていた。そうしているうちに、まずはコルベールが気絶しているリゾットの仲間たちを背後に浮かべて地平線の少し手前に位置している城へ向かって飛び出す。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ『フライ』はおろか『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」 次に生徒たちが口々にルイズをからかう言葉を残して去っていった。 これにはさすがのリゾットも、人間が宙を飛んでいくという画期的なシーンを目撃した興奮に砂をかけられた気分になった。 ある意味心沸き立つ光景であったため余韻に浸りたかったのだが、台無しである。が、そのおかげで現実に立ち戻ったリゾットは、横に居るルイズを見やった。 ルイズは先ほどの生徒たちの哄笑に怒りを感じているらしく、苛立ちを込めた視線で去っていく生徒たちの後ろ姿を睨みつけていた。 「あんた、なんなのよ!」 しかし、リゾットが自分を見ていることに気付くと、いきなりキレてきた。リゾットは一瞬この展開の速さについて行けずに目を見張る。 もっとも感情豊かなルイズに比べたら微々たる変化なので、相対するルイズは無反応だと感じたようで、さらに言葉を重ねるために息を吸った。 「なんで『サモン・サーヴァント』であんたみたいな平民を呼び出しちゃうのよ! ああ、ドラゴンとかグリフォンとかマンティコアとか……カッコいいのがよかったのに。それがダメだったらせめてフクロウとかワシとかそんな有能な使い魔を望んでたのに!」 どうやら癇癪玉が爆発してしまったらしい。地団太を踏んで悔しがっている。 リゾットはそんなルイズに向かってメタリカを発動させたかったが、仲間を全員生き返らせてもらった恩があるので何とか堪える。 ギアッチョだったら即行ブチギレて殴りかかるだろうな、プロシュートなら説教タイムに突入するだろう。と、苛々を紛らわせるために別のことを考えながら。 「…………それなのに、それなのに! なんであんたみたいな平民がのこのこ召喚されちゃうの?! 由緒正しい古い家柄を誇るヴァリエール家の三女であるこのわたしがなんであんたみたいな平民を使い魔にしないといけないの? ああ、わたしの人生お先真っ暗だわ!」 「………………それはすまないな。ところでミス・ヴァリエール」 全然申し訳ないと思ってない表情と声でリゾットは謝ってみせる。 ルイズはそれに対して、誠意が篭ってない! と怒鳴ったが、一応話を聞くつもりはあるらしい。じっとリゾットの目を見つめた。 「ここはどこなのか教えてもらえないか?」 「は? あんたそんな田舎から来たの? ここはトリステインよ。そして、あそこに見える城がトリステイン魔法学院! ちなみにわたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエールよ。今日からあんたのご主人様だからね。ちゃんと覚えておきなさいよ」 だが断る。と、リゾットは返そうと思ったが、話がややこしくなるので止めておく。 その代わり新たに入った知識で推測を補強することにした。 (この国の名前はトリステイン。地球上には存在しない国だな。先ほどの魔法の件もあるから、ここは本当に正真正銘の異世界なのだろう。 そして、トリステイン魔法学院とか言ったな。ならばそこは国立校だと分かる。 その学校に通っているという事は、このルイズとか言う女はかなり身分の高い貴族だという事になる。そうして、貴族は平民を見下している。それもかなり徹底的にな) ルイズはその隣で、トリステイン魔法学院も知らない田舎者の平民を使い魔にするなんて。しかも、ファーストキスだったのに。 と、さらに嘆いていたが、自分の思考に没頭していたリゾットは余裕で無視した。 (とりあえず今はこの世界の情報を手に入れる事を優先しなくてはいけないな。ボスへの反逆でここしばらく緊迫した状態が続いていたからな……、少しは休息も必要だろう。それに……この女には恩もある) リゾットは飽く迄仲間たちのことを考えていた。成り行きで使い魔になってしまったが、人の実力を見極める事もできずに喚き散らすだけしか出来ない主人に忠誠を誓う気はまったく持ってない。 ――つまり、真面目に使い魔をやる気などこれっぽっちもないのである。しかし、ルイズに恩があることも事実。それを返さないことはリゾットの生き様にも関わる不祥事だ。 (恩を返すまでは使い魔として仕えるが、それ以後は………………この女次第だな) ちらりと横目でリゾットはルイズを見下ろす。彼女はまだリゾットたちを召喚してしまった事を嘆いていた。始祖ブリミルがどうとかこうとかと呟いている。 しかし、リゾットはこの我侭な少女が、まだ研磨する前の宝石のような存在である事を見抜いていた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/286.html
第四章 平穏の終焉 リゾットとギーシュの決闘から一週間が経った。 狭い学院の中である。何の武器も持たない平民がメイジに勝利した話は あっという間に広まり、リゾットは一躍有名人になった。 有名になるということは良かれ悪しかれ注目がされるということで、職業柄、 目立たないように生活していたリゾットにとってはあまり有難くないことだった。 とはいえ、人が生きているということは誰かとつながりを持つという事であり、 リゾットもまたその評価に伴い、いくつか新たな人間関係を形成、もしくは既存の人間関係を変化させていた。 まず、ルイズがいる。 基本的には彼はルイズの従者として雇われているので、一番接触する機会が多い。 朝になれば水を汲んできて起こして顔を洗ってやり、着替えを手伝う。昼は部屋の掃除をしてやり、洗濯する。 とにかく手のかかる雇い主である。 だが、ルイズを世話していると、リゾットが十四才の時に死んだ従兄弟の子を思い出す。 彼女もルイズほどではないが、やはり手のかかる子だった。 妹のようだった彼女の世話を焼いていると思えば、ルイズの横暴もそんなに腹は立たなくなっていた。 ルイズもその辺りを感じているのか、「あんた、最近聞き分けいいわね」と機嫌がいい。 仕事の中では、雑用、掃除はともかく、洗濯についてはかなり苦心した。何しろ貴族様の服である。 無駄に高価で痛みやすい生地が多い上、ルイズの趣味なのか、やたらフリルがついていたりする。 これらのせいで洗いにくいことといったらこの上ないのだ。 (これならギーシュとの決闘の方が楽なくらいだ…) というのがリゾットの正直な感想だった。 事実、当初のリゾットは何枚か衣類を破き、その度に食事を抜かれた。 その苦手な洗濯の方面において、リゾットはずいぶんシエスタに世話になっている。 シエスタはギーシュと決闘した日の夜、一人で逃げたことを侘びに来て以来、何くれとなくリゾットの面倒を見たがる。 朝、夜明け前に起きて淡々とこなす訓練の後に差し入れしてくれたり、洗濯の仕方を懇切丁寧に教えてくれたりするのだ。 最初はそれらを断っていたが、あまりに熱心なので、とうとうリゾットが折れることとなった。 そこまでする理由を尋ねてみたが、「貴方は私に可能性を見せてくれた、憧れなんです!」などと瞳を輝かせて言われた。 リゾットは洞察力に優れ、人の演技や嘘を見抜ける分、底意のない純粋な善意に接すると対処に困る。 これが少しでもリゾットを利用しようという意図が読み取れたら蹴りの一つでもくれて追い払うのだが。 シエスタ以外でも学院勤めの平民にとってリゾットは英雄扱いだった。 何しろ、絶対に勝てないとされている貴族に素手で打ち勝ったのだ。 特に厨房のコック長マルトーは『我らが剣』などとリゾットを呼び、下にもおかない扱いである。 朝の訓練のことをシエスタに聞いたときなどは「達人は努力をひけらかさないものだ」と大層感心していた。 リゾットとしてはどうにもこれらの扱いは居心地が悪い。自分は暗殺者なのだ。 とはいえ、シエスタをはじめとする厨房の人々には、洗濯の仕方の教授や食事を抜かれた時の食事の世話などを受けているため、感謝していた。 もちろんリゾットも世話になりっぱなしではない。皿洗いや薪割りなど、返せることで返す事にしていた。 あとはギーシュがいる。 決闘以来、ギーシュはリゾットに一目置くようになっていた。 ギャング式に言えば、決闘で倒したギーシュは舎弟扱いしてもいいところだが、 そこまでするのも面倒なので、リゾットも普通に付き合っている。 ちなみにあの時に振られた二人との関係はまだまだ修復できそうにないらしい。 それでもまるでめげずに女性に愛想を振り撒く辺り、意外に大物なのかもしれない。 他に特筆すべき人間関係といえば図書室で会う学院の生徒がいた。 なぜ図書室なのか? リゾットはこちらの世界に来たときから会話には不自由していない。 試しにイタリア語からシシリア語や英語に切り替えて喋っても、周囲には違和感なく通じている。 どうやら使い魔としての特性らしく、口語については自動的に翻訳されるらしい。 だが、文字の方はさっぱり読めなかった。文字が読めないということは情報収集量にかなりの差異が出る。 「成功するためには情報が鍵になる」とはベィビィフェイスの子を作る際のメローネの言だが、リゾットもその点には同感だった。 そこでリゾットは情報収集の前段階として、この図書室にハルケギニアの文字の勉強に来ているのである。図書室は平民は立ち入り禁止だったがご主人様たるルイズに頼み込んで、許可を取ってもらった。使い魔と主人は一心同体ということで、何とか許可をもらえたのだ。 図書室で読むのは子供向けの図鑑や絵本で、絵と名称を記した文字と自分の知識をすり合わせて単語の習得をするのである。 載っている絵からこの世界の技術レベルなども測れ、かなり有用な学習だった。 しかし、そもそもリゾットが知らないものが掲載されていることもある。 そういう単語に当たった場合、リゾットは向かいにいる人物に訊く。 「これは?」 向かいの席で本を読んでいた人物はちらりと視線を走らせると答える。 「バジリスク」 二人の間にある交流はただこれだけである。 傍から見ると、最初から挨拶もせず、視線も合わせず、無表情のままの二人がたまに単語の名称について問答をするという、理解に苦しむ光景だろう。 そもそもの始まりはリゾットが初めて図書室で文字を勉強しようと思った時にさかのぼる。 リゾットは本を探そうとして、背表紙にある文字すら読めないという重大な事実に気付いたのだ。 何故かその日に限ってカウンターに司書はいなかったため、誰かいないかと探していると読書スペースで生徒を見つけた。 「すまない。聞きたいことがあるんだが、いいか?」 話しかけてみる。ぱらりとページがめくられた。集中しているのか、まるで無反応である。 「おい…」 試しに肩を叩いてみた。今度はちらりとその手に眼をやった。聞いてはいるようだが、無視しているらしい。 「………仕方ない。ここで…待たせてもらう。聞く気になったら返事をしてくれ」 リゾットは彼女の向かい側に座り、静かに時を過ごすことにした。 偏屈な人間と向き合うのには根気が必要なのは暗殺チームリーダーとして身にしみている。 待つくらいなら自分で片端から探せばいいかもしれないが、図書室の大きさと蔵書量は異常なほどで、 ともすれば迷い込んだら出られない雰囲気を醸し出しているため、リゾットは待つことを選択した。 それに、リゾットにとって、待つのは苦痛ではない。 暗殺という仕事は場合によっては待つことも重要であり、 トイレとベッドしかない狭い部屋で一週間、暗殺のターゲットを待ち続けたこともあるくらいだ。 (待っていれば司書が戻ってくるかもしれないしな…) そう考えて待つこと約二時間。 気が付くと、向かいの女生徒は今まで読んでいた本は読み終わったらしく、こちらに視線を向けていた。 どうやら用件を聞く気になったらしい。 「初心者の言語学習に役立ちそうな本の場所を知らないか? なるべくイラストがついている奴がいい」 それを聞くと無言で席を立ち、杖と本を持って歩き始める。リゾットも黙ってそれについていった。 ある場所で少女が杖を軽く振ると、本棚から一冊の薄い本が抜き出され、リゾットの手元まで飛んで来た。 「感謝する」 少女はリゾットの言葉に軽く頷くと、席に戻る。リゾットもまた席に戻って本を開いた。児童向け図鑑だった。 知らない単語があり、ダメ元で質問すると、数分くらいして返答が帰ってきた。 それからなんとなく流れで二人の関係が構築されるに至る。 リゾットは向かいに座る蒼髪の女生徒の名前すら知らない。 知っていることといえば本をいつも読んでいる事、自分の身の丈より長い杖を持っていることと、 ルイズと同じクラスにいることと、よく図書室にいることくらいである。 興味がないのもあったが、蒼髪の女生徒はある種のギャングの構成員も持つ、自己に関する質問を拒絶するような雰囲気があるのだ。 大抵、彼らの過去には他人には知られたくない種類の傷がある。 リゾットもそれについては触れない方が良いと分かっているため、素性に関しては詮索しなかった。 さて、そんな平穏な暮らしを送るリゾットは最近、キュルケの使い魔フレイムに監視されていた。 ルイズのお付で出る授業で魔法の応用性とその限界について聴講しているときや、厨房で食事をしているとき、 果ては図書室で勉強しているときなど、やたら視線を感じたため、さりげなく確認してみたところ、このサラマンダーの存在が発覚した。 (監視して…いるのか…?) 対象に気づかれるようではあまり上手な監視とはいえない。 また、監視だとしても、目的が皆目検討付かなかった。危険は感じないので気づかないふりをして放置する。 いや、むしろ危険だろうが危険でなかろうが、そこに関してはどうでもいいのだった。 リゾットは自分の保身に関する思考が弱くなっていることをまだ気づいていない。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/203.html
第三章 誇りを賭けた戦い ルイズの暴走による被害は意外にも大したことはなかった。 中庭が広かったことと、ルイズ自身が頭に血が上らせていたため、爆発の狙いが正確でなかったことが幸いした。 しかし、リゾットは困っていた。 「三日間、食事抜き!! 自分の立場をよく考えなさい!」 あの後、理性を取り戻したルイズはリゾットに指を突きつけ、そういったのだ。 リゾットは勘違いを解こうとしたが、今のルイズに何を言っても火に油を注ぐだけだと思い、やめた。 とはいえ、流石のリゾットも三日間もの絶食は辛い。 「仕方ない……。やはり自分で確保するしかない……か」 リゾットは考えた末の結論を出すと、中庭から歩き出した。 まずは惨事の元凶となった洗濯板を探し出し、次に食事を確保するために。 厨房の位置は食堂で給仕する召使いたちの出入りから予め検討をつけていた。 リゾットが元いた世界ですら、金持ちの屋敷には使用人が住み込んでいた。 ましてこの中世的価値観のこの世界において、住み込みの使用人がいないはずはない。 このリゾットの読みは当っており、程なくして彼らの洗濯場らしき場所に出た。 目当ての洗濯板、そして桶は井戸端にあった。しかし周囲に人がいない。 無断で借りると面倒になるかもしれない。人影を求めて建物の角を曲がる。 その瞬間、空を巨大な影がよぎり、リゾットは空を見上げた。一匹のドラゴン(?)が学院へと飛んでいく。 (あれも…誰かの使い魔か?) ドラゴンの背中に人影があったことからそう推測するのと、軽い衝撃を感じるのは同時だった。 「キャッ!?」 小さな悲鳴が上がり、何かが空を舞う。それが何枚かの皿だと認識すると同時にリゾットは手を伸ばし、残らず空中でキャッチする。 足元を見ると、メイドの格好をした少女が使用済みらしい皿の入ったタライを抱えて座り込んでいた。 「すまない…。余所見していた……。大丈夫か?」 皿をタライの上におき、少女に手を貸して立たせてやる。 「あ、ありがとうございます。私も余所見していて……ごめんなさい…」 どうやらこの少女も空を飛ぶ竜に気をとられていたようだ。立ち上がった少女はリゾットの左手のルーンに気づいた。 「あら…?貴方、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう…」 「リゾットだ。……突然で申し訳ないが……、あちらの洗濯の道具一式を借りる許可をもらいたい。それと……厨房の責任者に会わせてもらえないか?」 シエスタというメイドの少女の案内で、リゾットは厨房に向かっていた。 (なお、彼女が運んでいた使用済みの皿は水につけて洗い場においてきた) その道すがら聞いた所では、やはり彼女たちは学院に住み込みで働いているらしい。 召喚で呼び出された平民の使い魔の噂はすでに彼らに届いているという。 (閉鎖された環境では情報の伝播速度が速い…ということか) そんなことを考えている間に、厨房に着いた。 コック長のマルトーに会うと、リゾットは事の次第を説明した。 「つまり、お前さんはその貴族の使い魔だが、勘違いで食事を抜かれることになったわけか」 「彼女が全面的に悪いわけではないが、大筋ではそうなる…」 「まあ、かわいそう…」 「け! 勝手に人を使い魔にしてこき使っておいて、何が罰だ! 魔法を使えば何をしてもいいってのかよ!」 二人は大いにリゾットに同情したようだった。特にマルトーは貴族嫌いらしく、怒りが覚めやらぬ様子だった。 「ならリゾットさん、食事が抜かれたときはいつでも来て下さいな。私たちが食べているものでよかったら、お出ししますから」 「いや……ただで食事をもらうわけにはいかない……。俺に何かできることがあれば言ってくれ…。手伝おう」 「そんなのいいんだよ。どうせたくさん作るんだから、一人くらい増えたって大したことぁない」 リゾットは首を振った。リゾットとて、この世界にきて初めてまともな人間に出会え、親切にしてもらったことに喜びを感じないわけではない。 しかし、ただで施しを受けるのはリゾットの考えに反する。使い魔の仕事に差し障りがない程度であるが、彼女たちの手伝いをするつもりだった。 「やれやれ、融通の効かない奴だな…。まあ、悪くはないが」 マルトーはあきれながらもリゾットに好感を抱いたようだった。 「でしたら、デザートを運ぶのを手伝ってくださいな」 シエスタの提案にリゾットは頷いた。 そんなわけで、リゾットは今、片手にケーキの並んだ銀のトレイを持ち、使用人の制服を着て食堂に出ていた。 ケーキを貴族たちに配るシエスタについて回る間、貴族たちは誰もリゾットがルイズの使い魔だと気づかなかった。 リゾットは使用人の制服を着ていたし、元々彼らは使用人など見ていないのだ。二人は特に問題なく、貴族を順々に回っていった。 金色の巻き髪に造花の薔薇をフリルのついたシャツのポケットに刺した貴族がいた。プロシュートの言葉を借りれば如何にも「マンモーニ」である。 周囲の友人たちは今、そいつが誰と付き合っているか、というような話に花を咲かせている。 世界は変わっても人間の興味関心の向く先はあまり変わりないらしい。 二人がその集団に近づいていくと件のマンモーニのポケットから香水の入った小瓶が転がり出た。 「シエスタ、少し待ってくれ」 断ると、リゾットは屈みこんでそれを拾った。もしもこの場にいるのが女性関係の機転が利くメローネならば、揉め事を起こさずに済ませたかもしれない。 だが、ここにいるのは不幸にもリゾットである。あまり深く考えず、小瓶を落とし主に突き出した。 「落としたぞ」 「ん? 何だい、それは。僕のじゃあないよ」 「お前のポケットから落ちた。…お前のだろう?」 その途中、周囲が何事かと覗き込んできた。 「おや? それはもしや、モンモランシーの作っている香水じゃないか?」 「ああ、この特徴的な色合いは間違いないな。彼女が自分のために調合している香水だ」 「つまりギーシュは、今、モンモランシーと付き合っているのか」 「違う。いいかい、彼女の名誉のために言っておくが…」 その男…ギーシュというらしい…が何か言いかけたとき、近くの席から茶色のマントをつけた少女が立ち上がり、ギーシュの席にやってきた。 「け、ケティ……。違うんだ、これは…」 ギーシュがケティと呼んだ少女はポロポロと涙を流すと、弁解をしようとしたギーシュの頬を思いっきりひっぱたいた。 続いて巻き毛の少女が立ち上がる。リゾットは彼女を覚えていた。午前中、教室でルイズと言いあいをした一人で、香水のモンモランシーだ。 どうやら彼女がもう一人のギーシュの相手らしい。彼女もまたギーシュの席にやってくると、ギーシュの非を責め、ワインの瓶の中身をギーシュの頭からぶちまけた。 「嘘つき! 二度と顔を見せないで!」 極めつけの絶縁宣言をして去っていく。 沈黙が流れる中、リゾットは何事もなかったように仕事に戻ろうとしたが、呼び止められた。 「どうしてくれるんだ? 君のせいで二人のレディの名誉に傷がついたんだぞ!」 ギーシュはほとんど言いがかりのようなことを言ってきたが、リゾットは無視した。 元の世界にいた時からこういった手合いは無視することに決めているのだ。 「おい、聞いてるのか!」 しかし、あまりにうるさく騒ぐのに根を上げ、リゾットは振り返った。 「君は確かミス・ヴァリエール…の…」 特に威圧したわけではないが、長年修羅場をくぐってきたリゾットの視線にギーシュは一瞬ひるんでしまう。 「騒ぐな…。もうお前などどうでもいい。さっさと先の二人に謝って来るんだな…。二股かけて申し訳ない……とな」 その言葉に周囲から失笑が漏れる。侮辱されていることに慣れていないのか、ギーシュは怒りで顔を歪めた。 「ミス・ヴァリエールは自分の使い魔に躾もできないみたいだな…。いい機会だ。僕が貴族に対する礼ぎゃぶっ!?」 ギーシュは最後まで言い切ることはできなかった。リゾットが無言でギーシュの頬を殴りつけたからだ。 「な、何をするだあー! 許ざっ!?」 今度は鳩尾を膝で蹴り上げられ、ギーシュがうずくまる。リゾットはそんなギーシュの首を右手で掴むと、そのまま吊るし上げた。 ちなみに攻撃を加えている間もリゾットが左手に持ったトレイのデザートはぴたりとも揺らがない。見事なバランス感覚である。 この頃になると流石に周囲も騒然となり始めた。だが、静かに怒りを見せるリゾットに、誰も間に入ることが出来ない。 「二股をかけるのはお前の勝手だ。お前の倫理観でやってることだからな…」 首への圧迫を強めながら、口をパクパクさせるギーシュを見据える。 「だが、その結果を他人に押し付けるってのはどういうことだ? 自分のしたことの責任をとる覚悟くらいはしろ、このカスが! しかもその表情…自分の責任を理解しつつ、それを被るのをビビッて、他人に責任を押し付けようとしている。 貴族だの平民だの言う前に人間としての誇りがないのか、お前は? 俺に怒りを向ける暇があったら謝罪して来い!」 冷たく言い放ち、ギーシュを突き飛ばした。 「…ぐ、はっ…」 しばらくギーシュは荒い息をついていたが、すくっと立ち上がる。 「もう許さない…。たかが平民の癖に貴族に手をあげるなんて……」 そう言いつつもリゾットからはなるべく距離をおくように後退している。それをリゾットは冷めた眼で見ていた。 「……俺の仲間にもマンモーニがいたが、奴はそれでも過ちを認め、成長しようと努力していた。……お前はそのマンモーニ以下だな」 「マンモーニ?」 「乳離れもできないような甘ったれたガキ…ってことだ。お前はそれ以下だ」 「ぼ、僕が平民の、それも子供以下だって? 訂正しろ!」 「貴族だろうがメイジだろうが威張っているだけの能無しを俺の仲間より上だと言うわけにはいかないな……。いや、例えお前が誰より有能な人間だったとしても精神面ではそいつ以下だ」 ギーシュはあまりの屈辱、そして痛めつけられた恐怖に震える手で、手袋を投げつけた。 「決闘だ! 訂正するまで痛めつけてやる!」 リゾットは呆れ返り、もはやかける言葉さえないと、『メタリカ』を発動した。 ギーシュの口から剃刀が出現し、舌をずたずたに切り裂く。 「僕は君のように野蛮ではないから食堂を血で汚したりはしない! 用が済んだら広場に来たまえ!」 ギーシュは言い捨てると、ふらふらしながら外へ出て行った。もちろん、剃刀を吐き出してもいない。 「…………」 リゾットはそれを見送り、観葉植物の植えてある土から『メタリカ』でナイフを生成しようとする。 しかしやはり何も起きない。そういえば、『メタリカ』を発現している時に聞こえるあのうめき声も聞こえない。 「スタンド能力を失っている……」 リゾットの呟きは奇妙な納得と確信を持って、ゆっくりと自身の胸に染み込んで行った。