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ラビ生成についてまとめようぜ ラビ生成についてまとめようぜ30Lv 35Lv 40Lv 45 コメント 30Lv 35Lv 40Lv 宝物 生物 シーン(数) 血紅宝石 大福 溶岩(3) キマイラ 透明翼 古い城(2) パピルス 緑葉 生葉(2) 金銀 悪弟手 流星(2) 人魚の鱗 魔法巻物 金属 ■ボス(Dropまとめ) 透明翼:レブントマシン 緑葉:バイターフラワ 大福:ゴールドマシン 悪弟手:ピレセラウンダー 45 ノトの花でアサッシン確認 名前 コメント コメント ラビやるときのカメラワークが最悪なんだけど修正しろ -- /(^o^)\ (2008-09-03 12 28 16) 名前 コメント
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夢現で思うのは幼馴染の少年の事。 何故だろうか、食い違ってしまったのは。 (こんな筈じゃ無かったのにな) 多分、“私”はあの悪魔と契約をしたのだ。 覚めて行くまどろみの中で飛鳥はそう思う。 バッテリーの充填率は3割。 充分だ。 飛鳥の巡航速度は人が走るより速い。 今から出てもまだ間に合う。 まだ、北斗を守れる。 「きっとその為に、私が此処に居るんだ」 本来ならばバッテリーのチャージが終わるまで、決して起きるはずの無い武装神姫が目を覚ます。 それは別段超常的な事ではなく、万に一で起こりうるただのバグ。 ただ、それがココで起きた事はほんの微かな奇跡。 飛鳥は未修復の千切れた右腕を押さえながら、夜の空に翼を広げる。 「行かなくちゃ!!」 私が待ってる。 アスカ・シンカロン12 ~賑禍~ 「……はぁはぁ、間に合ったぜ」 家から走って校門を乗り越え、窓を割って校舎の中へ。 そして屋上まで階段を駆け上り、ジャスト15分。 「……やっぱり来てくれた。北斗ちゃんは私の事が大切なんだよね?」 北斗ちゃん。 その呼び方は……。 「……お前、やっぱり明日香なのか……?」 「どっちだったら良かったの?」 「え?」 「北斗は、夜宵ちゃんと明日香。どっちが良かったの……?」 「それは……」 「私は。どっちになればいいの……?」 「お前、何言ってるんだ!! そんなの、元もままで良いに決まってるだろ!!」 「……」 「だ、そうですヨ」 明日香か夜宵かも定かではない少女の背後から、白い悪魔型が姿を見せる。 「やはり、貴女達は同じでなければ受け入れられなイ」 「……テメェ」 「さあ、考えましょウ。二人が同じになる方法ヲ。……そうでないト。……彼に受け入れてもらえなイ」 「テメェが元凶か!!」 「まさカ。私はただ提案しただけでス。同じだからいけないのかも知れないッテ」 違えば。 何かが変わるのだと。 「そしテ、それが誤りだったのではないカ、と。提案しているだけですヨ?」 それを実行に移したのはカノジョ。 実行に移させたのは。 「他ならヌ、貴方でス。神凪北斗」 「テメェをぶっ壊す!!」 「どうぞご自由ニ。でも良いんですカ? 私にかまけているト―――」 「…………」 屋上のフェンスを、少女は昇り始める。 「……っ」 どちらの名前を呼べば良いのか。 その間に白い悪魔型が迫る。 「如何しましタ? ワタシを壊すならお早めニ。……でないト、でないト。……カノジョ死んでしまいますヨ?」 「……クッ!!」 フェンスはそれほど高くない。 あっという間に彼女の手がその縁に掛かる。 「待て!!」 駆け寄ろうとする北斗の眼前に踊り出る白い悪魔。 その爪が正確に北斗の眼を狙う。 「……チッ!!」 腕で叩くが、さほどのダメージでもないらしく、すぐに次が来る。 「邪魔するな!!」 彼女の片足がフェンスを越えた。 白影は正確に眼を狙ってくる。 払っていては、間に合わない。 「……!!」 覚悟を決めた。 目の一つ二つ奪われても、彼女の所まで辿り着く。 それが先だ。 「無駄でス。彼女は死ニ、貴方も死ヌ。ソレがワタシの食事なのですかラ。邪魔をしないで下さイ!!」 視界に飛び込んでくる爪が迫る。 だが、足は止めない。 払う暇も無い。 彼女は既に重心をフェンスの向こうに。 「 ーーーッ!!」 自分で。 どちらの名前を呼んだのか。 神凪北斗には自覚が無かった。 爪が。 フェンスを。 迫る。 乗り越えて。 突き刺さる。 落ちる。 ―――直前。 「北斗!!」 「―――っく!!」 「!?」 “吹き飛んだ”悪魔型の横を抜け、フェンスに駆け上がった北斗の手は確かに落ちる少女の腕を掴んでいた。 -
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全く、神姫なんてつまらないよね。こんなにお金をかけていい装備をかってあげてるのに勝てないし。最新型だって言うからかってあげたのに弱っちいのよあなた。それに何、戦いたくないって、あなた武装神姫でしょ。戦わないと意味ないじゃないのよ。はぁ、ママは何でこんな子買ってくれたのかしら。あとパパが帰ってきたら神姫バトルのこと教えてもらうんだ。もっと強い神姫も買ってもらわなくっちゃ。ちょっと、オモチャのくせに泣かないでよ、うっとおしい。はぁ、パパもママも早く帰ってこないかしら。 連続神姫ラジオ 浸食機械 7:人形の家 「全く物好きなのだわ。せっかくの脱出する機会を見逃すなんて」 <そういうグレーテルさんこそ島に残ってるじゃないですか。おまけに生身で神姫と戦うなんて無茶苦茶ですよ> 結局僕が怪しいとにらんだ場所に着くまでグレーテルさんと行動を共にすることになった。相手は数で押してくるのでお互い一人は避けたかったからだ。 <それにしてもすごいですね> ステッキを指さしながら話しかける。 「自分で言うのも何ですが、普通の人が完全武装した神姫と渡り合えるなんて考えられないですよ」 「だがらぐれーでるはずごいんだよ」 「ヘンゼル、余計なことは言わなくていいわ」 言葉を遮ったグレーテルさんの表情はどこかつらそうに感じた。 しばらく歩くと森の木立が切れてきた。もうすぐ目的地だ。そう思っているといきなり足下が崩れた。 「きゃあ」 グレーテルさんの足下を中心に地面に穴が開いて僕たちはその中に落ちていった。とっさにブースターをかけて上に上がろうとするが上から何かが降ってきて結局グレーテルさんの上に落ちてしまう。 「あなたたち、無事なのかしら?無事ならどいてくれるとうれしいんだけど」 「ぐれーでる、だいじょうぶ?」 慌てて動こうとしたが体が動かない。ヘンゼルも武装が網に絡まって動けないでいるようだ。 「全く、網まで落としてくるなんて念の入ったことだわ…もっとも足をくじいてしまったようだからこれが無くても自力ではあがれないけど」 「あはははは、反応があったから来てみたらまたニンゲンがかかったのだ」 穴の上から声が聞こえる。見上げると穴の縁を神姫が取り囲んでいた。そのうち一体が身を乗り出してくる、先ほど声をかけてきたのはこのマオチャオ型のようだ。 「お姉さん、よかったら助けてあげようか?ただしお姉さんの神姫は私たちがもらっていくのだ」 「ほんど?ほんどにぐれーでるたずけでくでるの?」 「ヘンゼル!みっともないまねをするんじゃないのだわ」 グレーテルの言葉に穴の上の神姫達全ての目つきが変わるのが分かる。それでも変わらぬ口調でマオチャオ型が話しかけてきた。 「あったりまえなのだ。あたしは約束は守る神姫なのだ。お姉さんも神姫の言うことは聞いた方がいいのだ。イーダ型が欲しければまた買い直せばいいのだ。」 その言葉にプルミエもヘンゼルも曇る。上の神姫達は何かを期待した目でこちらを見ている。 「お断りよ」 グレーテルさんが短く答えた。その途端上の神姫達が騒ぎ出した。恨むような悲しんでいるようなあきれているような何ともいえない表情を向けてくる。 「ふざけるんじゃないのだ。お前達ニンゲンは助かりたいはずなのだ。神姫なんて買い直せばいいのだ。そんな言葉のおかしくなった神姫になんかこだわる必要ないのだ」 マオチャオの叫びはとても痛々しかった。他の神姫達も偽善者だの嘘つきだの暴言を吐きかけていた。誰かが小石をグレーテルに投げつけてきた。石の数は多くなっていきグレーテルの肌はあちこち赤く染まっていった。 「やめで、ぐれーでるをいじめないで!」 ヘンゼルがグレーテルを石から庇うために駆け出した。網に武装が絡まって動けなかったので四肢と武装を強制パージして。ヘンゼルの背中を石が打っていた。小さな石と入っても神姫にとっては拳より大きな石でずっと殴られているようなものだ。 「ぐれーでる。やっぱりあだじをずてでよ。わるいごだったあだじをずでてよ」 「…ばか、あんたを守ってあげられなくて何の意味があるのよ」 泣き顔で懇願するヘンゼルにグレーテルがきっぱり言い放つ 「ふざけるななのだ!お涙頂戴はいらないのだ!なんでそんな欠陥神姫を捨てないのだ!!何でそんな神姫を大切にするのだ!!!」 マオチャオが石を投げる。それはヘンゼルの背を打つ。あっと声を上げヘンゼルが倒れ込むのがスローモーションで僕の目に映った。グレーテルの目が大きく見開かれる。 「どうしてお前みたいな神姫にマスターがいるのだ…」 マオチャオが石を投げ続ける。みんなの視線がヘンゼルに注がれている。恨みで神姫が殺せたらといわんばかりの勢いだ。誰も僕達に注意を払っていない。後一本もロープを切れば逃げられるとしても。こっそりバーニアの暖気を進めていたとしても。 「マスター、準備完了です」 プルミエの言葉が合図だった。 次回:蟲毒の底に続く・戻る
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ネコのマスターのクリスマス・買い物編 家を出た俺と礼奈は近所にある大きなデパートを目指して歩いていた。 「んで、何で俺だけお前の買い物に付き合わなきゃならんのだ?」 「だって、クリスマスプレゼント買いに行くんだもん。タマちゃんの好みは兄さんに聞くのが一番でしょ?」 あぁ、そういう事か。そういえばもうそんな時期だったなぁ。12月は誕生日だのクリスマスだの大晦日だのイベントが多いからなぁ。 なんて個人的な事を思いつつ、俺はサイフの危機をどう乗り切ろうか悩んでいた。 そんなこんなでデパートに到着。ここら辺では一番大きいデパートだしクリスマス間近という事もあって、店内は人で埋め尽くされている。 「うわぁ、凄い人!ケーキとか残ってるかな?かな?」 一瞬礼奈が別の世界の礼奈に見えた気がするが、気のせいだろう。 それより本当にこれではケーキはもちろん普通のプレゼントだって相応しい物が見つかるか不安だ。俺達はまず一番心配なケーキを見に行った。 タマと俺が好きなチョコレートケーキと礼奈が好きな生クリームケーキはあったが、キルケが好きなフルーツケーキは既に予約がいっぱいだった。 仕方なくキルケの分も生クリームケーキにする事にして、予約をする。 次にプレゼントだ。礼奈はキルケに服を買ってやるつもりらしい。タマには何が良いか聞かれたが去年何を渡したか思い出せない。 仕方なくタマも服で良いんじゃないか?と言っておいた。 「そういえば兄さんはプレゼントどうするの?」 「ふっふっふ。実はもう買うものを決めてある」 「本当?楽しみだなぁ♪」 そうは言ったがさて困った。本音を言えばまだ誰の分も決めていない。 礼奈に鉈なんて送ったら怒られるか?あ、いやもちろん冗談だが。 自然に目が刃物のコーナーに行きそうになるのを押さえ、真面目にプレゼントを考える。 デパートは広いのでとりあえず別行動する事にした。 そして一人になった和章を遠くから見つめる影がひとつ。 「ターゲットを捕捉。ターゲットは妹と別れ一人で行動を開始した模様。」 影の主は武装神姫、タイプはヴァッフェバニー。手に持つ無線を介して誰かと会話をしている。 「了解。引き続き追跡、監視せよ。」 無線機からの声の指示を受け、その神姫は影へと姿を消した。 そのころの山田家。 「~♪」 私がマスターの帰りを待ちながら鼻歌を歌っていると、タマがこっちに来て 「ねぇ、ますたーとレナちゃんはなんでわたしたち置いてっちゃったのかな?」 と聞いてきました。タマはわかっていなかったんですか。 「それはですね、二人がクリスマスプレゼントを買いに行ったからなんです」 「くりすます・・・あ、そっか!そういえばもうすぐくりすますだったね!」 クリスマスすら忘れかけていたようです。そう言えば前和章様からタマは物忘れが多いと聞きました。何でも誕生日すら忘れられていたとか。 マスターはきっと和章様にとても凄いプレゼントをあげるでしょうね。あんな顔でしたから。 「ぷれぜんと、たのしみだな~♪」 タマがニコニコしながらそう言ってます。確かに楽しみですね。私はクリスマスプレゼントを貰うのは初めてなので、尚更楽しみです。 そう言えばマスターのお母様の神姫のペルシスらしき神姫が二人の後をつけていたようでしたが・・・何だったのでしょうか? 何者かの視線を感じ、俺は周囲を見回す。しかし俺を見ているのはレジ打ちをしている店員だけだ。 「・・・気のせいか?家を出てからずっと誰かに見られてる気がするんだが・・・」 「お会計21894円になりまーす」 「うぅ高い・・・家族持ちニートにこの季節は辛いぜ・・・」 そんな事を呟きながら俺は会計を済ませ、今買ったみんなへのプレゼントを袋に詰める。 すると同じく買い物を済ませたであろう礼奈が俺の所に来た。 「さ、あいつらが待ってるだろうし、帰るか」 「うん!」 タマ達の喜ぶ顔が目に浮かぶ。そのせいで一度電柱にぶつかったが、そんな痛みも気にせず俺は礼奈と一緒に家に帰った。 第六話につづく 第四話に戻る ネコのマスターの奮闘日記
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武装神姫達のソード・ワールド2.0【第1-5話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18372350
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武装神姫達のソード・ワールド2.0【第1-6話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18533993
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武装神姫達のソード・ワールド2.0【第1-4話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18320704
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第5話 剣の舞姫(ソードダンサー) ついに来た。俺は、目前の多目的ホールの収まる建物を見上げていた。 今日、これからここで行われるのは”武装神姫ショウ”というイベントだ。 企業による次世代モデルの発表や会場限定品販売、個人ディーラーの自作品販売、新規ユーザー獲得の為の催しも充実している。 もちろんバトル大会も行われる。 バーチャルバトルで強くなったエルを公式戦に出すことを決意し、出場を申し込んだ。 会場前には、一般参加者の列が伸びており、今現在も伸び続けている。 俺はその列を横目で見ながら、メインゲートとは違う入り口へと向かう。 そこで大会招待状をみせ、入場証をもらい控え室へと案内された。 控え室はかなり広く、すでに数人の参加者が自分の神姫のチェックをしていた。 俺も与えられた一角に荷物を置き、持ってきたパソコンを起動させる。 「よし、出ていいぞ」 ペンケースのような箱を開けると、二人の神姫が起き上がる。 「マスター、いよいよですね」 「ああ」 アールの頭を撫でてから立たせてやる。 「あ、あたい……」 「緊張してるのか?」 無理も無い、この大会の模様はTVはもちろん、ネットにも配信される。 エルも同じように頭を撫でて立たせてやる。 「エル、ちょっとじっとしてて」 俺は、パソコンから伸びたコードをエルにつなぐ。 パソコンにさまざなな情報が表示されるが、異常個所は見られない。 「よし! OKだ」 コードを抜き、エルに答える。 それから俺たちは、パソコンに入れておいた簡易型ヴァーチャルバトルの対CPU戦用モードにてエルのウォーミングアップをした。 開始時間が近づいて、次々と参加者が入ってくるが、人数が少ない気がする。 「別にも控え室があるのでしょうね」 「だろうな」 アールに答える。 確かに、ここが広いといっても個人個人が持ち込む荷物がかなりあり、入れる人数が少なめみたいだ。 会場側もそのことを分かっているようで、個人に割り当てられたスペースがかなり広くなってる。 もちろん、俺のスペースも同様でパソコンとエルに使う武装一式と、メンテナンス用具しか持ってきていない俺にはかなり広い。 他の参加者を見回すと、およそ実戦向きでないようなドレスを着せている人、俺の用に2,3人の神姫を連れて来ている人などが居る。 「この全てがあたいのライバルなんですね」 俺が他の参加者を見ているのに気が付いたのだろう、エルがそう言ってきた。 「ああそうだ。こわいか?」 エルの頭を撫でると、ふるふると首を横に振る。 「ううん、マスターと姉さんがついてるから平気」 エルはニッコリと笑った。 控え室にスタッフが入ってきた。 「これより、武装神姫バトル大会が始まります。参加者の皆さんは、バトルに参加させる神姫を素体状態で持ち、順に廊下へ並んでください」 それを聞いた参加者が立ち上がり、神姫を連れて出て行く。 「じゃあ、行ってくるよ」 「はい」 アールにそう言って、エルを持ち廊下に出た。 スタッフに連れられて廊下を歩いていると、向こう側からも同じように歩いてくる集団があった。 二つの集団の合流地点で右に曲がり会場へと目指す。 ステージに全員が並ぶと、スポットライトが当たると同時に大歓声が巻き起こった。 『ここに集まった戦士たち。目指すは優勝という栄光。このステージに立てばルーキーもランキング一位も関係ない』 『あるのは、そう、今現在の能力の優劣のみ。さあ! 始めよう! 栄光を目指す挑戦者達の競演を!』 『注目せよ! これが栄光への階段だ!!』 大音量のナレーションと共に、俺たちの背後にある大スクリーンにトーナメント表が表示された。 バトル参加者に見えるように、ステージに置かれたモニターには同じ様子が表示されている。 『エントリーNo1』 ナレーションと共に個人にスポットライトが当たる。それと同時にトーナメント表に名前が入る。 名前が入るたび、ギャラリーから大歓声が上がる。そして、俺は一回戦最終組となった。 その後、俺たちは控え室に戻ってきた。 「まだドキドキしてるよ」 エルが胸を押えて興奮を隠しきれない様子だ。 「じゃあ、調べてやろうか?」 「やん」 俺がいやらしい指の動きでエルに迫ると、身を翻しエルが逃げる。 「あははは」 「うふふふ」 「くすくす」 俺たち三人は一斉に笑い出す。エルもリラックス出来たようだ。 しかし、異変は突然やって来た。 そろそろ準備をしようとしていたときだった。 「マスター!」 アールが叫ぶ。 アールの方を向くと、そこにはぐったりとしたエル。 「どうした! 大丈夫か?!」 エルの反応は無い。 急いでエルにコードを挿し、機能チャックする。 「原因不明の動力停止、それによりAIがスリープ状態か」 パソコンからエルに再起動指令を与える。 「反応なし。再起動できない……」 「マスター……」 心配そうなアールに説明する。 「エルは機能停止して、復帰出来なくなってる。AIはスリープしただけだから、起動さえ出来れば……」 「マスター、動く動力……ボディがあればいいんですよね」 「そうだが、そんなもの持ってきてないぞ」 最低限の物しか持ってこなかったことを悔やんだ。 「あります」 「え?」 俺はそういうアールに驚く。 「………ここに」 そういって自分の胸を押えるアール。 「使ってください」 「いいのか?」 コクンとうなずくアール。 「ごめんなアール」 俺はそういって、メンテナンスベッドにアールを寝かせ、機能停止させた。 ボディ破損などによる交換手順は知っていたが、いざ行うとなると違う。 胸部カバーを外し、CSCを引き抜き、壊れないように刺さっていたスロットをメモして紙で包む。 それから、アールのヘッドを外し、エルのヘッドと交換した。 エルのCSCをアールに刺し、カバーを閉じる。 「たのむ、起動してくれよ」 俺は祈るように起動指令を与えた。 「ん…んん」 エルが起き上がる。 「あれ? あたい、いったい」 「機能停止したんだ」 「そっか……え! どうして!」 自分の身体をみておどろくエル。 「起動できなくなったボディの変わりに使ってって言ってな」 エルに説明すると、泣きそうになった。 「エル、泣くな。エルは戦って勝つことだけ考えろ」 「うん……」 そういってエルは、頭だけのアールを抱きしめた。 「いくぞ」 「うん」 エルに武装をしていく。足にストラーフのレッグパーツ、太ももにアーンヴァルのシールドパーツ。 背中にサブアームユニットとアーンヴァルの翼にレッグパーツのブースター、肩にアーンヴァルのシールドパーツ。 頭にアーンヴァルのヘッドギアを付けた。 胸にストラーフのアーマーをつけたときエルが言ってきた。 「マスター、胸の名前のとこ、アール姉の名前も書いてくれよ」 「わかった」 そういって、胸に書かれた”L”の文字に重ねるように”R”を書いた。 背中にフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを取り付け、レッグパーツにアングルブレード。 手首にアーンヴァルのサーベルを取り付けて武装完了。 そこまで行った所で、スタッフの声がかかった。 「陽元さん、準備をお願いします」 俺は、不正パーツのないことを審査してもらう為、エルを提出した。 そして俺は戦いの舞台へと向かった。 ステージに上がると、再び大歓声に迎えられる。 バトル用のブースにつくとすでにエルが準備されている。 俺は、備え付けのインカムをつけて、エルとの交信状態を確認する。 「エル、聞こえるか?」 「おう、マスター聞こえるぞ」 「いいか、お前は一人じゃない。アールと一緒に二人で戦うんだ」 「マスター、その計算、間違ってるぞ」 「え?」 「あたいにはマスターの気持ちが注がれている。アール姉にもマスターの気持ち……いや、愛だな。アール姉の場合は」 「お、おい」 「あはは、気づいてないと思ったか? 相思相愛、熱いねぇ。とにかく、あたいとアール姉と、あたい達に対するマスターの気持ち。合わせて四人だ」 「……そうだな。だから絶対負けないさ」 「おうよ」 「いくぞ!」 「おう!」 バトル開始の合図が鳴った。 開始と同時にエルはヴァーチャルステージへと移る。 ゴーストタウンステージに光の柱が現れ、光が消えると同時にエルが現れた。 こちらのモニターでは確認できないが、相手もどこかに現れたはずだ。 エルは出現地点からまだ一歩も動いていない。 いや、動いていないわけではない。 その場で左右の踵を交互に上げ下げをしてリズムを取っている。 どこからともなく、猫型ぷちマスィーンズが襲い掛かる。 エルは尚も足踏み状態だ。 猫ぷちの砲撃がはじまるがエルには当たらない。 いつのまにかサブアームにフルストゥ・グフロートゥを持ち、くるくる回転させることにより弾をはじく。 猫ぷちが突撃してくると、エルは優雅に足を振り、足先の刃で突き刺し、地面に叩き落す。 しかし、身体の軸はぶれずに、サブアームのフルストゥ・グフロートゥを回転させたままだ。 「さて、そろそろ公演開始しようか」 「OKマスター」 にやっと笑いそういうと、エルは目を開き、アングルブレートを自分の両手に持ち、前方へ大きく飛び出した。 そして、身体を回転させると同時にアンブルブレードを振り、猫ぷちを斬ると光となって消えて、退場扱いになった。 「まず、2機」 身体の回転を止めると同時に、サブアームのグフロートゥを左右別方向に投げる。 刃の飛ぶ先に猫ぷちがそれぞれ位置して、貫通する。 「はい、4機」 猫ぷちの倒されたことによる退場を確認すると、アングルブレートをサブアームに持たせゆっくりと飛ばしたグフロートゥの方へ歩いていく。 辿り着くなり足先で思い切り蹴り上げると、そのまま回転し後方に回し蹴りを放つ。 足先の刃に今度は犬ぷちが突き刺さっていた。足を下ろすと同時に退場する犬ぷち。 エルはすっと腕を伸ばすと先ほど蹴り上げたグフロートゥが落ちてきて手に収まる。 驚いたことにグフロートゥには犬ぷちが刺さっていて退場していった。 「6機か、あと2機くらいいるだろう」 サブアームの手首を回転させアングルブレードを地面に突き刺した。 「7機目」 エルが呟くと、地面から退場の合図の光が漏れた。 突然エルが上を向き、身体を回転させてその場所から離れると、さっきまで居た場所に犬ぷちの乱射が降って来た。 サブアームのアングルブレードを軽く放り投げ、自分の腕で持つと、跳び上がり下から犬ぷちを薙ぎ払う。 「8機、これで打ち止めだろう」 エルは一旦全ての武器を収めた。 ここまでの戦いを見ていたギャラリーは静まりかえっていて、エルが武器を収めると同時に轟音と化した感性が沸き起こる。 見ていた誰もが同じ感想をもったことであろう。 それは戦いというより、”剣の舞い”だったと。 「エル、レーダーに反応は?」 「いまんとこ無しだぜ、マスター」 「そうか、こっちから動くか」 「OK! 恥ずかしがり屋さんを迎えに行きますか」 エルが探索の為に歩いていると、弾が落ちてきて煙幕を吐き出す。 「エル!」 「大丈夫だ! たぶんここから出たところを狙い撃ちっていうことだろうが、そうはいくか!」 エルはブースターを全開にして飛び上がる。 するとエルを追うようにマシンガンの乱射が迫ってくるが追いつかない。 エルが上空から確認した相手の神姫は忍者素体にハウリンのアーマー、両肩に吠莱壱式、背中からストラーフのサブアームを二対ついている サブアームには、STR6ミニガンを2門、シュラム・リボルビリンググレネードランチャーが2門装備されていた。 足はマオチャオのアーマーで、エルとは対照的な射撃に特化しているようだ。 轟音と共に両肩の吠莱壱式が火を噴く。 エルは上空に停止しフルストゥ・クレインを自分の腕で、サブアームにフルストゥ・グフロートゥを持つ。 四枚の刃を蝶の羽の用に合わせて防ぐ。 さらに、グレネードランチャーやミニガンをも合わせて撃ってくるが、四枚のグフロートゥとクレインで全て防いだ。 銃は効かないと思ったのか、忍者が飛び上がりハウリンの腕が下から襲い掛かる。 「気をつけろ! 射撃戦用が接近してくるのは、何か隠してるぞ」 俺はエルに注意を促す。 「分かってるって」 エルは上体を反らせてかわし、そこから地面へと急降下。 その一瞬後、エルの居た位置に相手の背中から伸びた、マオチャオの腕に取り付けたドリル空を切る。 エルより遅れて着地した忍者がマオチャオの腕を出すと、両腕にドリルがついていた。 ハウリンとマオチャオの腕、サブアームが二対、合計八本の腕が出揃った。 「まるで蜘蛛だな…」 正直な感想をもらす俺。 「マスター、作戦は?」 「んじゃ、蜘蛛の足から落としていくか」 「OK! 派手にいくぜ」 エルは相手に向かって飛び込み、発射間近だった吠莱壱式にアングルブレードを刺しこみ、バク転で逃げる。 大爆発と共に吠莱壱式とマオチャオの腕が吹き飛ぶ。 「まず二本!」 エルが叫ぶ。 爆発でうろたえる相手の頭を優雅に飛び越えの背後に回り、フルストゥ・クレインとフルストゥ・グフロートゥをサブアーム基部に突き刺す。 そして、ジャンプして足で押し込むとそのままジャンプして飛び越える。 「これで六本!」 倒れた忍者が起き上がると同時に、ビームサーベルを両手に持ち懐に飛び込んで相手を貫いた。 相手は、ヴァーチャルフィールドから消えてエルの勝利が決定した。 エルはビームサーベルを収めて左手を腰に当て、右手は頭上に高く掲げる。 そして、タンタンと大きく二回足踏みをして音を鳴らすと、キッとポーズをとった。 この日最大であろう、大歓声がエルと俺を祝福する。 控え室に戻った俺たちは、結果をアールに報告した。 「アール姉、勝ったぞ」 エルは武装をつけたままで、アールの頭を抱きしめる。 「よくがんばったな」 俺はエルの頭を撫でる。 「この調子で二回戦もがんばるぞ」 「おう!」 エルは勝ち進み、ベスト8まで行ったが、そこで負けてしまった。 そのときの相手が今回の優勝者だった。 俺の部屋の本棚の最上部に二つ目のアクリルケースが置かれることになった。 一つ目には、壊れたストラーフの素体。 二つ目にはストラーフの胸アーマーをつけたアーンヴァルの素体がストラーフの素体を抱きしめている姿になっている。 頭がない分ちょっとシュールになってしまっているが。 結局、エルの素体は起動しなくなったので新しいのを買った。 エルの使ったアールの身体をアールに戻すと、記念だから残して欲しいと言われ、アールの素体も新品にした。 それからもアールとエルは仲良くダンスをして俺はそれを眺め、エルをバトルさせるといういつもの生活が続いている。 大会を見ていた誰かが付けた、エルの二つ名”剣の舞姫(ソードダンサー)”が日本中に広まるには、あと少し時間が必要だった。 戻る 次へ
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『"NOTRE-DAME" MARIE DE LA LUNE vs "ZYRDARYA" LALE SAITO』 仮想バトルフィールド上空に、文字が映し出された。 そしてその文字の横に数字が現れてバトルの開始時間をカウントダウンし始める。 「えっと、とりあえず、何したらいいのかな?」 私は目の前のクレードルで眠るマリーに聞いた。彼女の意識は今、筐体の中の電脳空間にいるのだけど、不思議なことに返事は現実の、クレードルの中のマリーから帰ってくる。 「まずはウォードレスを展開させてくださいませ。そうすればあとは私が美しく戦ってみせますわ」 「そっか。頑張ってね、マリー」 「はいっ」 マリーは目を閉じたままにっこりと笑った。 カウントダウンは最後の十秒を切る。電子音と一緒に数字はどんどん小さくなっていった。 開始三秒前、上空の文字は『READY』に変わる。 「いきますわ、のどか様」 私は軽く頷く。そして数字はゼロを示した。 「マリー、ウォードレス展開!」 そう言うと、マリーのドレスの裾のディティールが伸びて、前面ののこぎりのような形をした二本が、自由に動くライトセーバーのように、その他は小さな砲身を現して追撃用の機関砲になった。マリーはかなり可愛いものを選んだと思っていたけど、実際に展開したものを見ると意外とかっこいいものだ。 同時に相手は右手のポーレンホーミングを放つ。ハンドガンだというのにその弾は弧を描いて一つ一つがマリーを追う。その間にラーレはマリーとの間合いを詰めた。 マリーは飛びながらポーレンホーミングの弾を避けようとした。けれども高い誘導性能を誇るその弾は進行方向を百八十度変えてなおマリーを追った。そこへ猛スピードで間合いを詰めながら剣を構えるラーレがマリーの視界に入る。 「速いですわ」 関心しつつもマリーはウォードレスの機関砲をホーミングの弾へと向けて放った。そして両手で傘を持ち、ラーレの剣を受け止める構えを取った。 機関砲から発せられた弾幕は見事にポーレンホーミングを全て打ち落とし、とりあえずマリーは背後からの脅威から解放された。しかし次の瞬間、甲高い金属音と共にマリーとラーレは初めてお互いを至近距離で認識し合う。 「いいドレスですね」 鍔迫り合いをしながらラーレが言う。 「ありがとうございます。あなたのその銃も面白いですわ」 マリーがそう言い返すとラーレは不敵に笑った。 ††† カトー模型店の扉が開き、男が一人、入る。 「こんにちは、カトーさん。なんか盛り上がってますね」 「やあ、時裕君。今ね、のどかちゃんが戦ってるんだよ」 「あいつが?へえ、相手は?」 「斎藤香子ちゃん」 「...うちの妹に嫌がらせですか」 「いやいや、丁度女の子同士でいいと思って」 「のどかに香子ちゃんは倒せないでしょう。だって彼女は」 「それが結構頑張ってるんだよ、のどかちゃん」 「まだ香子ちゃんが手加減してるんじゃないですか?」 「そうだね...まだ"チューリップ"を使ってないところを見ると...」 「この店のオリジナルウェポンをあそこまで使いこなせるのは彼女だけですよ」 「うれしいことだねえ」 「ああ、哀れかな我が妹よ」 「君は本当にのどかちゃんのことが好きなんだな」 「そりゃあもう。アーニャの次に」 二人の男は再び視線を筐体に戻す。 ††† 数回、斬りあった後、ラーレはうしろに退いて、広めの間合いをとった。そしてまたポーレンホーミングを打つと、今度は腰から先にチューリップを模した飾りをつけた棒を取り出す。マリーは打撃系、もしくは投擲系の武装だと思って、傘をソードモードからライフルモードに構え直した。先のような急速接近で瞬時に懐まで迫らせないようにするためだ。 ポーレンホーミングから放たれた高誘導弾は例のごとくマリーのドレスに打ち落とされる。恐らくラーレはポーレンホーミングを決定力のある装備ではなく、間合いを取ったり、対戦相手を自分の思う場所に誘導するための補助的な装備であると考えているだろう。 手に持った棒を、ラーレは器用に片手でクルクルと回す。ジルダリアのスレンダーな体型も味方して、その姿はバトン競技のトッププロのようだ。 「今日が初めてのバトルのあなたに、こんな仕打ちはひどいかもしれませんが...マスターの記録を更新するために、全力で勝たせていただきます」 「光栄ですわ」 そう言ってラーレは回すのを止めた。そしてユピテルが雷を放つように、その棒をマリーに向かって投げた。 「ジャベリンですわね」 マリーは当然のようにそれを避けようとしたが、その前に飛んでいる棒の先のチューリップが開き、そこからさらに何かが発せられる。霧のようなそれは僅かにマリーの足に付着した。 乾いた音をたてて棒は着地した。その様子を見届けてラーレはまた手に剣を握る。 「さっきのは一体なんなんですの?」 「すぐにわかります」 二体の神姫は再び剣による近接格闘戦を始めた。マリーは傘で攻撃しつつも、ドレスで細かく間合いを取り、ラーレも主となる攻撃は剣であるものの、ポーレンホーミングを巧く使い見事に隙を埋める。単純な斬り合いのように見えるが、実際は双方が一瞬の隙を伺い合う頭脳戦であった。 しかしそれがしばらく続いたあと、マリーは異変に気づいた。足の動きがだんだんと鈍くなっていったのだ。sそれもさっきの霧のようなものが付着したあたりから。 「これは...?」 「効いてきたようですね。あの杖――トライアンフは麻痺性の液体を高圧噴射するものです。こっちのフレグランスキラーと違ってあの杖は遅効性。ゆっくりと、気づかないうちに機能を停止させるのです」 ラーレが説明する間も、非常に遅いスピードで、しかし確実にマリーの足は動きを遅くしていった。 『マリー!大丈夫!?』 「大丈夫ですから、のどか様は今と同じ指令を続けてください」 『左だよっ、マリー!』 気がつかないうちに、気づけない間にラーレが放った最後のポーレンホーミングの弾がすぐそこまでマリーに迫る。咄嗟にドレスの機関砲を向けたが、間に合わなかった。七発中の二発がマリーに直撃し、マリーの体が飛ぶ。胸元の赤いリボン状のディティールが煤けた。 「んっ...」 初めてマリーが苦痛の声を上げた。 『ねえ、もう止めようよ!もう少し強い装備にしてからまたやればいいからっ!』 「それは...ダメですわ...」 『マリー...』 「わたくしは人形型武装神姫。この姿で勝てるようにならなければ意味がないのですわ!」 マリーは再び立ち上がった。足はすでにただ体重を支えるだけの棒となっていたがなんとかバランスをとって傘を構える。 「...次が最後ですね」 ラーレが言う。彼女もまた剣を構えた。 その数秒後、ラーレが風を斬る。 ――ほんの刹那の後、ラーレの剣の切っ先はマリーの首筋に迫っていた。 ††† 「えっ?神姫バトルを始めてからずっと無敗だった!?」 香子ちゃんは静かに頷いて、彼女の肌理細やかで白い頬がうっすらと桃色に染まる。私はそんな仰天事実に開いた口が塞がらなかった。 「カトーさんの勧めで始めたんですけど...」 「そう。一戦目からずっと負けなし、四十七戦連勝。この店のオリジナルウェポン"チューリップ"を使いこなす戦い方は毒を持つ可憐な花そのもの。いつしか『プリンセス・オブ・ワイトドリーム』の通り名で呼ばれるようになった俺たちのアイドルだ!」 私と香子ちゃんはその声の主のほうへ顔を向けた。いや、私はその声が誰のものかわかっていたのだけれど、あまりのバカっぷりに向きたくなくても向いてしまったのだ。まわりで同調してる男の子たちもちょっとアレな感じだけど、こんなバカなことを堂々と言えるのはお兄ちゃんだけだろう。 「いつからいたの?」 「お前が負けそうになってたころから」 お兄ちゃんの肩に乗ったアーニャがお辞儀をした。 「あ、あの...のどかさんと時裕さんってお知り合いなんですか?」 香子ちゃんは私とお兄ちゃんの顔を交互に見て言う。その様子が少しおどおどとしていて、私は不思議に思った。 「うん、知り合い、兄妹。ていうか、香子ちゃんがお兄ちゃんの名前知ってるほうがびっくりだよ」 「そりゃお前、俺は香子ちゃんファンクラブ(ナイツ・オブ・ワイトドリーム)の会員ナンバー一番だからな。当然だろ」 「よかった...」 『よかった』...?えーと、この何気ない彼女の言葉からとてつもなく危険な香りがする。 それだけはダメな気がする。なんというか、香子ちゃんの将来的に。 とりあえずお兄ちゃんのほうに警告しておこう。 「ダメだよっ!妹と同級生の娘に手を出すなんて、大人として!」 私はお兄ちゃんの耳元で小さく言った。お兄ちゃんは何のことだ、という顔をしたのでそれ以上は何も言わなかった。 「しかし、俺は悲しいぞ、妹よ。そんな我らのアイドルをあんなふうに倒してしまうなんて。お前は香子ちゃんが可哀想だと思わんのか」 「いえ、負けは負けですし、私も調子に乗ってたんです。それにマリーさんはとっても強かったです」 香子ちゃんの制服のポケットからラーレが顔を出してそう言った。 ††† ――確かにラーレの剣の切っ先はマリーの喉に迫ろうとしていた。 しかしそれはあくまで迫ろうとしていたのである。 数ミリ手元を動かせば切っ先は間違いなく突き刺さる位置ではあったが、ラーレはそれ以上動けなかった。彼女の腹にはマリーの傘の先がピッタリと、一ミリの隙間もなく触れて、さらに両脇を、二本のクワガタの角のようなウォードレスの武装が挟み込んでいたからだった。 「少し、手元がブレましたわね」 マリーが言った。 ††† 「人形は少しも狂いのない精密な造りであって初めて、価値があるのですわ」 マリーが私の頭の上をふわふわと浮きながら得意気にそう答えた。 「うむ、素晴らしい。それでこそ人形型武装神姫ノートルダムだな」 「細かい設定と調整はみんなお兄ちゃんでしょ」 「だから素晴らしいって言ったんだ」 私は深くため息を吐いた。お兄ちゃんの無駄に自信満々な言葉に呆れたのもあるけれど、それをキラキラと輝く目で見つめる香子ちゃんにもちょっと呆れたからだ。 「さて、のどかちゃん、マリーちゃん。どうだった初めてのバトル、しかも勝利の味は?」 カトーさんが私たちにそう尋ねた。 私はマリーの顔を覗く。彼女もまた私のほうに顔を向けた。 「楽しかったですわ」 「そうだね、楽しかった」 それはよかった、とカトーさんは笑った。 「香子ちゃん、今度またバトルしようね」 「ええ。次は負けませんよ」 作品トップ | 前半
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そのきゅう「たまには勝敗の無いゲームを」 「ティキ、大丈夫かな?」 「心配性だね。大丈夫だよ。オレ達の神姫だっているんだからね」 「お前は初めてかもしれないけど、俺たちは何回かやってるから、安心しろよ」 「しっ。待って、うちの子が何かを見つけたみたい」 その言葉に反応し、僕らはモニターに釘付けになる。 そこにはティキと、他三体の神姫たちの姿があった。 その日僕は、弓道部の仲間で、武装神姫のオーナー仲間でもある式部敦詞に誘われ、チョット大き目のセンターに遊びに来ていた。 式部が言うには、 『武装神姫の、バトル以外の楽しみ方を教えてやるよ』 との事。 一体何の事かまったく理解せず、僕はティキと一緒に半ば強引に式部について行った。 まずそこで僕は二人の男女を紹介される事になる。 チョット背の高い優しそうな顔立ちのお兄さんと、アーンヴァルの素体にストーラーフのコアをつけた神姫。そして眼鏡のクールな女の子とチョット珍しいフブキの神姫。 「はじめまして。オレは司馬仙太郎。君よりはチョット年上の大学生だよ。で、コッチがオレの相棒、ナイア。よろしくね」 「私は結城セツナ。高校二年生。こちらが私の海神(わだつみ)。よろしく」 で、僕はその女の子――お姉さんの名前を聞いて驚くわけだ。チロッと式部の方を見ると、ヤツはニヤニヤと笑っている。 コンチクショウ! わざとだな! 僕は腹をくくって自己紹介をする。 結城さんが僕の名前を聞いて、驚いてから、やわらかく笑った。 『カードキーの様であります』 海神がそのカードを拾いながら言っている。基本装備をほとんど持たない忍者型の海神は、忍者刀・風花に大手裏剣・白詰草、黒き翼プラス一部ヴァッフェバニーの装備で武装している。 『なるほど。それでさっきの扉を開けろというワケね』 そう言ったのは式部の神姫、ツガルのきらり。こいつは先行特別販売でGETしたツガルを事あるごとに自慢していた。きらりは基本的なツガルの武装。 『パターンだネ。もう少し凝ってくれてもイイのにネ』 ナイアはそういうとやれやれとでも言いた気にため息を吐く仕草をしている。ナイアは悪魔型フル装備に天使型のウイングユニットを無理やりつけたような、一際巨大なシルエットをしていた。 『あのあの、そういうものなのですかぁ?』 この中でティキだけがオドオドしているのがなんだか情けない。ちなみにティキはバトル用の武装。だって何やるか聞いてなかったんだから仕方ない。 『そ。こういう探索ものではありきたりの、要するにスペースを無駄にしないためだけの処置ね』 ティキとはすでに見知った仲の、きらりが答える。 『それじゃ扉まで戻る前に、一応奥まで行ってみよっか? 何も無いとは思うけど、初参加がいるからその方がいいでショ?』 その言葉にティキ以外の二体が頷いた。 今ティキ達がいるのはPC上に再現された機械遺跡。ジオラマ作成ツールを利用して作られたモジュールの一つ。そのジオラマに設定されたイベントをこなしてクリアを目指す。 本来はネットを介してやるらしいんだけど、こんな風にオーナー同士集まってやるのもまた一般的。 実際ならそれぞれのユーザーが自作するものらしいんだけど、今回使用しているのはオフィシャルなもの。それでも元は一ユーザーが作ったもので、それを調整したものらしい。 ……ジイ様に聞いたTRPGとか、母さんに聞いたMMOとか、そんなのを彷彿させる。 で、僕達オーナーはなにをするのかと言えば、神姫たちに時限式で送られる後情報を基にした指示を与えたり、一緒になって謎解きなどする事などなど。ま、中にはオーナーが一切何も出来ずに、ただ見守るだけのモジュールもあるみたいだけど。 艱難辛苦を乗り越え、ようやく最深部への扉の前に到着。 そしてここにきてオーナーに向けたテキストが現れた。 『この扉より先、オーナーの指示は神姫に届きません』 なんだよ。最後の最後で観戦モードか。 当然僕らはそれを神姫たちに伝えた。 『ふええぇぇぇぇ? 心細いのですよぉ~』 さすがにティキは不安を隠せないでいる。 しかし他の三体は慣れたもの。動じることなく扉を開ける意思を示す。 そうなるとティキにも僕にも拒否権なんてあるわけもなく、しぶしぶと同意する。 躊躇無く扉を開けるナイア。 広い空間。その空間で複数の神姫が一点を目標に攻撃してる。 『あなたたち、ここは危険よ! すぐに退避しなさい』 目標に向かってマシンガンを打ちながら、こちらを振り返る事無くそのアーンヴァルは言う。 『えっと、そう言われても……困るのですよぉ~』 『ティキちゃん、自動起動するイベントだから。なーに言っても無駄だから。ネ?』 困惑するティキに、ナイアはにこやかに答える。答えながら、臨戦態勢を整えた。 『ふぇ? え?』 何をして良いのか見当もついていないティキ。その脇では海神ときらりも攻撃の態勢を取っていた。 それに習い、ティキもレーザーライフルを構える。 四体が準備をするしないに関わらず、多くのNPC神姫がほぼ同じポイントに攻撃を続ける。 『いける?』 NPCの一体がそうつぶやいた時だった。 しゅるるるるるる あからさまな音を立てながら無数のコードが大勢いるNPC神姫たちに襲い掛かる。 『きゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!』 そのコードはまるで自我を持つかのように自在に動き、多数の神姫を一人残らず絡め取る。滑る様に神姫の肌を蹂躙し、手足の自由を奪う。 そして動けない神姫を侵す様にソケットの穴や口に侵入した。……それ以外のところにも。 『いやぁぁぁぁぁぁーーーーー!!』 『あああぁぁぁぁぁぁ!!』 コードに犯された神姫たちが悲鳴を上げた。 それをモニター上で見ていた僕は赤面した。 「……なんかこれってエッチくない?」 小声で隣に座っている式部に話す。 「同感。……女のクセになんで結城はこんなの選んだんだ」 僕と同じく小声で言った式部の言葉を受け、僕はチラリと結城さんを見る。 だが僕には眼鏡をかけたそのお姉さんの表情を図る事が出来ない。 『~~~~~~~!!!』 ティキが真っ赤に顔を染めながら左手のハンドガンで射撃を開始する。狙いはコードの一本一本。 「弾が六発しかないリボルバーで何やってんだよ~」 僕の声がティキに届かない事は自覚していたが、それでも言ってしまった。 『まだターゲットそのものが現れていません。無駄弾を消費するのは賢明では無いと忠告します』 海神が僕の代わりにティキに注意してくれた。 『どうやら大ボスのお出ましのようよ。ティキちゃん』 きらりが両腕のライフルを構える。 そこに現れたのは現行通常販売している神姫五種の首を持つ鋼鉄の大蛇。尻尾の変わりに無数のコードが生えている。その尻尾コードが、他の神姫たちを犯していた。 『……悪趣味~』 ナイアは心底嫌そうな表情で、吐き捨てるようにそう言うと、レ-ザーライフルを発射させる。 それを神姫が繋がれたままのコードで大蛇は防御。その結果、レーザーはNPC神姫を焼き、溶かす。 『ますます持って悪趣味!!』 きらりはそう言うなり、狂った様に二つのライフルを乱射させる。 だが大蛇も防戦ばかりではない。大蛇のコードがきらりの足に巻きつく。 『ひぃっ!』 巻きついたコードに嫌悪感を顕にする。 きらりに向かって更にコードが迫る。 『いやっ!!』 きらりは目を閉じた。 が、いつまでたってもきらりにコードが巻きついては来ない。 恐る恐る目を開けるきらり。そこには海神が立っていた。海神の刀が、きらりに向かってきたコードを断ち切っていた。 「なるほど。神姫の怒りと恐怖をあおる為の演出なんだ」 モニターを注視していた司馬さんが感心した様に呟く。 「いや、だとしても悪趣味なのは変わらないと思うんですが……」 「そうね。でも計算されているわ。オーナーとの連絡は届かず、敵は悪趣味。あの子達、冷静に判断できているかしら?」 僕の言葉に対し、結城さんは冷静に答える。心配じゃないのかな? と思わずにいられないくらいに、冷静。 そういう意味じゃ、とても普段の態度からは想像も出来ないくらいに我を失っている男が隣にいる。 「きらり! きらり!! 大丈夫かーーーーっ!!」 ……お前、最初に僕になんて言ったよ。 そんな間にも状況は変化しているようだ。 大蛇に犯されていた神姫たちが、攻撃に参加し始めた。 もちろん、エネミーとして。 『このままじゃ手詰まりだヨッ! 海神ちゃん、ティキちゃん。私たち援護するから、二人でアイツに接敵して!』 『任務、了解』 『ハイですぅ! レーザーライフル置いて行くですので、使って欲しいのですよぉ♪』 『ありがと。きらりちゃん、行くヨ!』 『あんな目に遭って、更にあんなのに利用されたくないもの。全力で行くわ!』 どうやら作戦が決まったらしい。それぞれ武器を改めて構える。 ティキも西洋剣をスラリと抜いた。 何の合図も無く、四体は同じタイミングで動き出す。 二本の巨大な銃口から光の筋を打ち出すナイア。 そのフォローをするように、ナイアの撃ち洩らしはきらりが両の手のライフルで粉砕させる。 縦横無尽に宙を飛び、地を駆け、時には障害になる敵を刀や大手裏剣でなぎ払い、海神は大蛇へと近づく。 ティキは、味方の援護、敵の銃弾、大蛇の尻尾のその事ごとくを超反応で避け、一足飛びで大蛇に接した。 『一つっ……ですぅ☆』 ティキは大蛇の傍らに到着するなりそう言った。そう言った後、大蛇の首の一つ、マオチャオの首が爆散する。 『ティキとおんなじ顔を、つけてて欲しくないですよぉ♪』 そう言うなりすぐにその場から移動。一拍遅れてその場にコードが叩き付けられる。 『……………………』 何も言わず、海神が大手裏剣を投げる。それはそのまま吸い込まれるようにアーンヴァルの顔がついた大蛇の首を断つと、そのまま勢いを保ち、大蛇の背後の壁に突き刺さった。 ここにきてようやく大蛇に侵された神姫たちの攻撃がティキと海神に向けられる。しかしそれらの攻撃が開始される前に、ナイアときらりが大蛇の手足となった神姫を破壊する。 すでに勝敗は決していた。 「マスタ、恐かったですよぉ~」 現実の体に意識が戻るなり、ティキは僕の頭に飛びついてきた。正確に言えば顔に向かってきたティキを心持避けたら、頭に飛び込んで来たんだけど。 僕は頭の上でじたばたしているティキに意識を向けながら、それでも三人に目を向けずにはいられなかった。僕は、自分以外の神姫オーナーを知らなすぎる。 司馬さんはナイアを肩の上に乗っけて、ナイアの健闘を称えていた。ナイアはそれに胸を張って答える。 式部は…… あー、なんて言うか、あの普段の態度は何処行ったんだか。頬ずりでもせんばかりにきらりを抱きしめて離さない。 ……正直、付き合い方を改めようかと、本気で思う。 で、結城さんは。 眼鏡の奥の瞳に優しげな光を湛え、そっと海神の頭をなでる。フブキは表情を豊かに表すことが出来ないらしいけど、海神のその顔はなんだかうれしそうで照れくさそうに見えた。 僕は頭の上でなおじたばたとしているティキを自分の掌に乗せて、 「お疲れ様」 と言う。 それにティキは満面の笑顔で答えてくれた。 終える / もどる / つづく!