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aaa 駅の伝言板かよ PQ - ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス攻略WIKI image787.png PQ - ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンスの非公式攻略Wikiです。 どなたでもご自由に編集できます。 新情報・攻略・間違いがあればお気軽に追加・修正をお願い致します。 Wiki編集方法は@wikiご利用ガイドをご覧下さい。 Wiki編集に不慣れな方、編集が面倒な方はトップページ▶︎情報提供の コメント欄よりメッセージ をいただければうれしいです。 - 製品情報 対応機種 3DS 発売・開発元 アトラス 発売日 2014年6月5日 定価 6,980円 (税抜) ジャンル RPG セーブデータ 3つ(SD保存可、マップデータはSDに自動保存) 公式サイト http //p-atlus.jp/pq/ - 最新情報 06/18 オルフェウス改(愚者 Lv.26)無料配信開始 06/18 マガツイザナギ(塔 Lv.92)配信開始 06/18 タナトス(死神 Lv.70)配信開始 06/11 更新データ(Ver. 1.1)を配信 06/11 カグヤ(月 Lv.12)無料配信開始 - 最新NEWS 2017年にサービス終了した『The Tomorrow Children』の権利がSIEからQ-Gamesへ譲渡 Q-Gamesは同作の再リリースを目指す - IGN Japan ブシモ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」「ペルソナシリーズ×スクフェス」コラボ開始のお知らせ - PR TIMES 『ペルソナ』シリーズの目黒将司、インディゲーム制作に挑戦!!/The “Persona” series designer, Shoji Meguro, develops an indie game!! - PR TIMES 『25th Anniversary ペルソナ Symphonic Concert』追加公演開催決定! - PR TIMES 「ペルソナ」シリーズの世界観を再現したボードゲーム「ペルソナVS」が12月下旬に発売!|ゲーム情報サイト Gamer - Gamer 『ペルソナ5 ザ・ロイヤル 芳澤かすみ』が再販。あみあみ含む一部流通限定でご案内中。 - PR TIMES シリーズ進化の到達点と断言したい『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が4割引き!【電撃衝動GUY】 - 電撃オンライン 最も人気の高い『ペルソナ』ナンバリングは?上位3作が約3%差の熾烈な争い(インサイド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』9月23日(木・祝)より『ペルソナ』シリーズと再コラボ! - Game Deets 「すばせか」や「ペルソナ5S」など318タイトルが追加! 任天堂、Switch用タイトルのセール情報を更新 - GAME Watch 「龍が如く7」や「ぷよぷよテトリス2」など,セガの対象タイトルが最大で90%オフになる“セガ オータムセール2021”が開催 - 4Gamer.net 『P5R』『P5S』などが40%オフ!PS4&スイッチ&3DSでペルソナ25周年記念セールが開催 - Game*Spark 『ペルソナ』シリーズで好きなタイトルは? 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─ 体験会レポート - iNSIDE 『ペルソナQ』での総攻撃、そして追撃とBOOSTといったバトルシステムを最新映像で - iNSIDE 『ペルソナQ』地図作成にオートマッピング、難易度変更など、『世界樹』ファンにお馴染みのシステムが - iNSIDE 【先出し週刊ファミ通】『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』ペルソナ使いを助ける姉弟たち(2014年4月3日発売号) - ファミ通.com 『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』3DS LL同梱版のデザインとパッケージビジュアルが公開 - ファミ通.com 3DS「ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス」先着購入特典発表と数量限定3DS LL本体セットの発売が決定! PV第3弾も公開に - AV Watch 「ニンドリ」4月号、付録に極厚132P「ポケモンX・Y 公式ポケモンイラスト大図鑑」と「ペルソナQコレクションタロット」 ― 任天堂ヒロイン大集合企画も掲載 - iNSIDE 「ポロリ」も可能なアイギス、ただし首が ─ 『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』ロボとクマのキャラ動画が公開に - iNSIDE 「ニンドリ」3月号は『スマブラ』新作を大特集 ― 付録に『ペルソナQ』ポストカードサイズタロット、『トリプルデラックス』攻略小冊子 - iNSIDE 『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』のBGMサンプルを特別公開、週刊ファミ通2013年12月26日発売号ではサウンドコンポーザーにインタビュー! - ファミ通.com 有里 湊、そして鳴上 悠が、喋る! 動く! 戦う! ─ 『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』主人公2人のPV公開 - iNSIDE 「ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス」のストーリーが明らかに。おなじみ「P3」「P4」の面々に加え,新たなキャラクター「玲」と「善」の情報も公開 - 4Gamer.net 「ペルソナ3」「ペルソナ4」それぞれの主人公で楽しめる3DS「ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス」のストーリー&キャラクターを紹介!|ゲーム情報サイト Gamer - Gamer 『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』ニンテンドー3DSで発売決定、『P3』&『P4』キャラ総登場の本格RPG! - ファミ通.com 【速報】「P3」「P4」のキャラが共演する3DS向け新作RPG「ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス」が2014年6月5日に発売 - 4Gamer.net - 情報提供 テストコメント -- test (2014-06-15 21 43 51) aaaaa -- aaaaa (2015-03-17 15 22 54) コメントトークンエラーチェック -- ごるたん将軍 (2015-08-04 15 06 38) ※テスト -- あばば (2015-08-04 15 08 03) 名前 コメント
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全く、神姫なんてつまらないよね。こんなにお金をかけていい装備をかってあげてるのに勝てないし。最新型だって言うからかってあげたのに弱っちいのよあなた。それに何、戦いたくないって、あなた武装神姫でしょ。戦わないと意味ないじゃないのよ。はぁ、ママは何でこんな子買ってくれたのかしら。あとパパが帰ってきたら神姫バトルのこと教えてもらうんだ。もっと強い神姫も買ってもらわなくっちゃ。ちょっと、オモチャのくせに泣かないでよ、うっとおしい。はぁ、パパもママも早く帰ってこないかしら。 連続神姫ラジオ 浸食機械 7:人形の家 「全く物好きなのだわ。せっかくの脱出する機会を見逃すなんて」 <そういうグレーテルさんこそ島に残ってるじゃないですか。おまけに生身で神姫と戦うなんて無茶苦茶ですよ> 結局僕が怪しいとにらんだ場所に着くまでグレーテルさんと行動を共にすることになった。相手は数で押してくるのでお互い一人は避けたかったからだ。 <それにしてもすごいですね> ステッキを指さしながら話しかける。 「自分で言うのも何ですが、普通の人が完全武装した神姫と渡り合えるなんて考えられないですよ」 「だがらぐれーでるはずごいんだよ」 「ヘンゼル、余計なことは言わなくていいわ」 言葉を遮ったグレーテルさんの表情はどこかつらそうに感じた。 しばらく歩くと森の木立が切れてきた。もうすぐ目的地だ。そう思っているといきなり足下が崩れた。 「きゃあ」 グレーテルさんの足下を中心に地面に穴が開いて僕たちはその中に落ちていった。とっさにブースターをかけて上に上がろうとするが上から何かが降ってきて結局グレーテルさんの上に落ちてしまう。 「あなたたち、無事なのかしら?無事ならどいてくれるとうれしいんだけど」 「ぐれーでる、だいじょうぶ?」 慌てて動こうとしたが体が動かない。ヘンゼルも武装が網に絡まって動けないでいるようだ。 「全く、網まで落としてくるなんて念の入ったことだわ…もっとも足をくじいてしまったようだからこれが無くても自力ではあがれないけど」 「あはははは、反応があったから来てみたらまたニンゲンがかかったのだ」 穴の上から声が聞こえる。見上げると穴の縁を神姫が取り囲んでいた。そのうち一体が身を乗り出してくる、先ほど声をかけてきたのはこのマオチャオ型のようだ。 「お姉さん、よかったら助けてあげようか?ただしお姉さんの神姫は私たちがもらっていくのだ」 「ほんど?ほんどにぐれーでるたずけでくでるの?」 「ヘンゼル!みっともないまねをするんじゃないのだわ」 グレーテルの言葉に穴の上の神姫達全ての目つきが変わるのが分かる。それでも変わらぬ口調でマオチャオ型が話しかけてきた。 「あったりまえなのだ。あたしは約束は守る神姫なのだ。お姉さんも神姫の言うことは聞いた方がいいのだ。イーダ型が欲しければまた買い直せばいいのだ。」 その言葉にプルミエもヘンゼルも曇る。上の神姫達は何かを期待した目でこちらを見ている。 「お断りよ」 グレーテルさんが短く答えた。その途端上の神姫達が騒ぎ出した。恨むような悲しんでいるようなあきれているような何ともいえない表情を向けてくる。 「ふざけるんじゃないのだ。お前達ニンゲンは助かりたいはずなのだ。神姫なんて買い直せばいいのだ。そんな言葉のおかしくなった神姫になんかこだわる必要ないのだ」 マオチャオの叫びはとても痛々しかった。他の神姫達も偽善者だの嘘つきだの暴言を吐きかけていた。誰かが小石をグレーテルに投げつけてきた。石の数は多くなっていきグレーテルの肌はあちこち赤く染まっていった。 「やめで、ぐれーでるをいじめないで!」 ヘンゼルがグレーテルを石から庇うために駆け出した。網に武装が絡まって動けなかったので四肢と武装を強制パージして。ヘンゼルの背中を石が打っていた。小さな石と入っても神姫にとっては拳より大きな石でずっと殴られているようなものだ。 「ぐれーでる。やっぱりあだじをずてでよ。わるいごだったあだじをずでてよ」 「…ばか、あんたを守ってあげられなくて何の意味があるのよ」 泣き顔で懇願するヘンゼルにグレーテルがきっぱり言い放つ 「ふざけるななのだ!お涙頂戴はいらないのだ!なんでそんな欠陥神姫を捨てないのだ!!何でそんな神姫を大切にするのだ!!!」 マオチャオが石を投げる。それはヘンゼルの背を打つ。あっと声を上げヘンゼルが倒れ込むのがスローモーションで僕の目に映った。グレーテルの目が大きく見開かれる。 「どうしてお前みたいな神姫にマスターがいるのだ…」 マオチャオが石を投げ続ける。みんなの視線がヘンゼルに注がれている。恨みで神姫が殺せたらといわんばかりの勢いだ。誰も僕達に注意を払っていない。後一本もロープを切れば逃げられるとしても。こっそりバーニアの暖気を進めていたとしても。 「マスター、準備完了です」 プルミエの言葉が合図だった。 次回:蟲毒の底に続く・戻る
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第二章 2038/2/17 04:35 同基地 私室 “『特技兵』” 「テーンッ、ハッ!(気をつけ!)」 あれから作戦評価報告書やデブリーフィングに忙殺され、私が寮の自室にたどり着いたのは軽く日をまたいで、そろそろ朝日も登ろうかという時間……にもかかわらず、私の『小さな部下』のうち数体は机の上に直立不動の姿勢でこちらに視線をよこしていた。 「まだ起きてたの?」 「ええ、まだお褒めの言葉をいただいておりません」 気だるく尋ねた私に、ダガーワンチャーリーことC分隊の指揮官を勤めるベックウィズがいたずらっ子のような笑顔を浮かべながら答える。 「褒めろって言いたいのかしら?」 「ええ、私の分隊が間違いなく一番戦功であります」 いけしゃあしゃあと言い切ったベックウィズを一日分の苛立ちを込めてひと睨みすると、彼女はやっと口を閉じた。 心底おかしそうに笑いをこらえてはいたが。 「申し訳ありません、中尉。 ベック、いい加減にしなさい」 隣にいたA分隊の分隊長。 ウェストモーランドがあまりに態度の悪いベックを注意する。 「そうね、ベック。 あのまま死んでもおかしくなかったわ」 「死なないわよ」 B分隊の分隊長。 エイブラムスがモーラに続いて苦言を呈したが、ベックは途端真面目な顔になって答える。 「あのクソッタレな戦場で何度死んでも、バックアップがある。 ですよね、中尉」 彼女の言うクソッタレな戦場……民需用のホビーである彼女たち、武装神姫の戦闘およびフィールド生成システムをDARPA(国防高等研究計画局)が軍需用に改良した最新鋭戦術・戦略シュミレーター『テキサス』の事だ。 サーバーから提供される15エーカー四方の立方体内に想定されるあらゆる条件……地形や気候だけではなく砂や埃による装備の劣化や、一体一体の体調といった概念までも再現するそれは『第二の現実』といっても過言ではなく、ウェストポイント(陸軍士官学校)でも試験的にこのシステムを利用した演習が行われているし、現在の士官教育を一変させるとまで言われている……のだが…… 「それでも、その瞬間までそこでにいた人格は消滅するのよ、ベック?」 バーチャルな死の概念。 それをシステムではデータの消去という形で表す。 彼女たちはある種本能的にそれを恐れ……結果、よりリアリティのある戦闘状況が再現される、というわけだ。 それでも、軍用である彼女たちは民需用では強固なプロテクトがかけられている情報記憶分野のバックアップが可能となっている。 早い話が演習終了時に演習開始前の状態で生き返る。 といえばわかりやすいだろうか? 「一時的な記憶喪失なんか怖くないでしょう? とかく、お褒めの言葉がいただけないようでしたら私はこれで失礼させていただきます」 ベックはかかとを合わせて敬礼すると、すばやく割り当てられたクレイドルへ潜り込み、スリープモードへと移行した。 「……中尉、そろそろお休みになられないとお体に触ります」 少々、あっけにとられていたが、モーラが心配そうに見上げているのに気づき彼女の頭を指先でなぜてやる。 「ベックは悪い奴ではありません。 ですが……」 「戦友を失ったと聞いてるわ。ヒネているというより拗ねてるのよ」 モーラが言葉を詰まらせたあとをエイラスが引き継ぎ、同じ顔をした二体の視線がクレイドルで眠る同胞に注がれる……彼女の名はベックウィズ。 消えかけた特技兵の階級章を付けた、部隊唯一の実戦経験者。
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《迷宮壁-ラビリンス・ウォール-/Labylinth Wall》 通常モンスター 星5/地属性/岩石族/攻 0/守3000 フィールドに壁を出現させ、出口のない迷宮をつくる。 関連カード 《ウォール・シャドウ》 《迷宮変化》 《シャドウ・グール》? 収録パック等 BEGINNER S EDITION 1? BE1-JP035 DUELIST LEGACY Volume.1? DL1-041 Pharaoh s Servant -ファラオのしもべ- PS-04 N-Rare
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ウサギのナミダ ACT 1-27 □ ゲームセンターは大歓声に包まれた。 東東京地区チャンピオンが繰り広げた死闘に誰もが興奮していた。 純白の女王が、醜聞にまみれた神姫をうち負かした。 ギャラリーの多くは、そんな英雄譚を目の当たりにしたと思っているのだろう。 観客達の興奮をよそに、俺も高村も呆然としていた。 あまりに劇的な結末に、思考がおいつかない。 フィールドの映像が消える。 死闘の舞台となった廃墟は消え去り、無機質な筐体の姿に戻る。 アクセスポッドが軽い音を立てて開いた。 「……ティア」 俺は自らの神姫に声をかける。 ティアは立派に戦った。 全国大会でも優勝候補と名高い、あの『アーンヴァル・クイーン』をあそこまで追いつめたのだ。 せめてねぎらいの言葉をかけようと、アクセスポッドをのぞき込む。 ティアは膝を抱えて、うずくまっていた。小さな肩が震えている。 「ティア……どうした」 うるさいぐらいの歓声がいまだやまない。 ティアは何か言っているようだが、俺の耳には届かない。 「お前はよく戦った。そんなに落ち込むこと……」 「……った」 「え?」 「勝ち……たかった……勝ちたかった、勝ちたかった! 勝たなくちゃダメだったんですっ!!」 「ティア……?」 突然振り向いて叫びだしたティア。 驚いた。 こんなに感情をむき出しにしたティアを見たことがない。 俺は気後れしながら呟くように言った。 「なんでだよ、こんなただの草バトル一つが……」 ティアは大きく頭を振った。 ティアの顔は泣き顔に歪んでいた。大きな涙が瞳から流れては落ちていく。 いつもの可愛らしさは微塵もなかったが、感情を顕わにした表情が生々しくて、かえって美しかったかもしれない。 「だって……あのひとに勝てれば、証明できるから……マスターが正しいって、みんな認めてくれるはずだからっ……!!」 「……っ!」 俺は言葉を失った。 俺のため、だと? 「……マスターが作ったこのレッグパーツも、マスターが考えたこの戦い方も……クイーンに引けを取らないって。 わたしがマスターに教えてもらったものは、なんの罪もなく、正しく、つよいんだって!」 激しい口調で言い募っていたティアは、不意に顔を伏せた。 静かな口調になりながら、なおも言葉を紡ぐ。 俺は驚いた表情のまま、聞いていることしかできないでいる。 「……そうしたら、みんな認めてくれます、マスターのこと……。きっと、マスターのこと悪く言う人はいなくなる……わたしだけが汚いって、そう言われればいい……。 嫌だったんです……マスターはわたしに優しくしてくれて、とっても優しくしてくれて……後ろ暗いことなんて何もしてないのに……だけど、だけど……わたしのせいで、みんながマスターを傷つける……そんなこと、耐えられなかったんです……」 いつしか、歓声はなりを潜めていた。水を打ったように静まり、ゲーム機のデモ音だけが遠くから聞こえてくる。 気がつけば、その場にいる観客達すべてが、ティアの言葉に耳を傾けているようだった。 「だけど、わたしにはできることもなくて……マスターに返せるものも、なにもなくて……。 だから、雪華さんとのバトルは、わたしにとっては最初で最後のチャンスだったんです。 彼女ほどの強くて有名な神姫にわたしが勝てれば、みんながマスターを認めてくれるはず……だから、どうしても、マスターを勝たせてあげたかった……でも!」 透き通った滴は、次から次へと、ティアの瞳から生まれては落ちていく。 ティアの心から溢れ出した、悔しさや悲しみや情けない気持ちが、まるで形になっているかのように。 「負けてしまった……わたし、マスターの言いつけを破ってまで、雪華さんと戦ったけど、負けてしまいました……。 ……ごめんなさい、マスター。ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」 もう、そこから後は声にならなかった。 ティアは泣きじゃくって、何度も何度も瞳を手でこするが、そのたび涙がこぼれてきて止まらなかった。 ◆ ティアのすすり泣く声だけが、店に響いていた。 誰もが押し黙り、居心地を悪くしながらも、泣きじゃくる神姫から目が離せずにいる。 そんな静寂を甲高く小さな足音が破った。 カツン、カツンと、規則正しく鳴り響く。 雪華だった。 彼女はアクセスポッドから出ると、筐体を横切ってティアに近づいていく。 その顔は平常と変わらず、誇りと決意に満ちていた。 誰もが、マスター達すら身動きが取れずにいる空気の中、彼女だけが決然とした歩みを進めていく。 ティアのアクセスポッドの前にやってくると、歩みを止めた。 ティアもその気配を察し、涙をボロボロとこぼしながら、雪華の方を振り向いた。 雪華と目が合う。 すると、雪華は真剣かつ厳しい表情で、ティアを見つめた。 何をするのか、その場にいる全員が緊張して見つめている中で。 なんと雪華は、その場で膝を地について、右手を胸に当てて、ティアに礼の姿勢を取ったではないか。 『クイーン』の二つ名を持つ誇り高き神姫が、自ら膝を折り、最上級の敬意を払っているのだ。 そしてさらに。 「ティア……わたしの負けです」 その場にいた人々、そして神姫達の間に動揺が走った。 いや、誰よりも驚いていたのは、雪華のマスター・高村かも知れない。 大きく目を見開いて、雪華の背をみつめている。 あの誇り高い神姫が、ジャッジAIの判定を自ら覆し、敗北を認めたのだ。 そんな周りの様子など目にも入らないかのように、真剣な顔つきで、それでいてとても優しい声で、雪華は続けた。 「わたしも、今の戦いの中で疑問に思っていました。たかが草バトル。どうしてあなたはそうまでして戦うのか、と。 でも、そんなことは考えるまでもない、当たり前のことでした。 マスターのために戦う。 それは、わたしたち武装神姫にとって、もっとも根元的で、もっとも尊い思いです。 わたしは、強くなることにこだわるあまり、そんな当たり前のことさえ気がつかなかったのです。 その思いこそが、一番大切な支えであることすら忘れて……」 雪華はティアから視線を逸らし、うつむいた。 美しい顔に苦渋が滲んでいる。 「ティア……わたしは恥ずかしい。 あなたの大切な戦いを、たかが草バトル、とあなどっていました。 ……思い上がっていました。 わたしこそ、武装神姫としてあるまじき存在です。 どうか……お許し下さい」 雪華はさらに頭を深く下げる。 ティアはしゃくりあげながら、あわてた様子で声をかける。 「そんな……ひっく、せつかさ……かお、あげて……ひっく、えぐ」 一拍の間をおいて、雪華がゆっくりと顔を上げた。 そして、再びティアをまっすぐに見つめて言う。 「武装は神姫のアイデンティティ、技はマスターとの絆」 雪華の赤い瞳に、泣きはらしたティアが映っている。 「あなたは武装ではなく、技を持ってわたしと渡り合った。そして、わたしをギリギリまで追いつめた。公式戦でも、あそこまで追いつめられたことはありません。 あなたとマスターの絆こそがあなたの強さ。 ならば、あなたのマスターは、正しくそして強い。少なくとも、このわたしを負かすほどに」 雪華の声は真剣そのものだった。 雪華は心からティアを賞賛し、自らの敗北を当たり前の事実として受け止めているようだった。 「そして、ティア。武装神姫として、誰よりもあなたを尊敬します。 そんなあなたと、わたしはライバルであり、友達でありたいと思っています。 もし、許されるのであれば……わたしなどでよければ……認めてくださいますか?」 ■ 雪華さんの言葉に、わたしは驚いて目を見開いた。 とんでもないことだった。畏れ多いことだった。 泣くことすら忘れて、首を横に振った。 「だ、だめですっ……そんな、わたし、みんなからなんて言われているか……雪華さんに迷惑がかかります……っ」 「いいえ」 彼女はゆっくりと立ち上がると、アクセスポッドに身を乗り出した。 そして、優しく、強く、わたしをを抱きしめてくれた。 「迷惑なんてかかりません。誰がなんと言おうと関係ない。あなたと戦った神姫ならみんな分かっているはずです。あなたは素晴らしい神姫であると」 雪華さんは断言する。 「そんなあなたを育てたマスターは間違ってなどいない。正しく、理想のマスターであると思います」 ……わたしは雪華さんの胸にすがりついた。 もう止まらなかった。 大きな声で、子供のように泣きじゃくった。 伝わった。 わたしの大切な思い、このひとには伝わった。 マスターのこと、わたしのこと、信じてくれた。 ありがとう、と。 口に出そうとしたけれど、うまくいかなかった。 □ バトルロンドのコーナーは喧噪に包まれている。 俺たちがバトルしていた筐体の周りに人が集まり、いまだ誰もバトルを始めようとはしない。 誰もが今のバトルの話に夢中だった。 筐体の上では、ギャラリーしていた神姫たちが集まり、ティアと雪華をもみくちゃにしていた。 そんな中、俺は考え事をしながら、のろのろと片づけを行っていた。 すると、筐体の向こうから、にこやかな笑顔がやってきた。 「ナイスファイトでした」 高村が俺に左手を差し出す。 俺は椅子から立ち上がると、彼の左手を取って握手した。 俺の右手は、いまだ包帯が巻かれている。 「……こちらこそ。……変な幕引きになってしまって、すまない」 俺が頭を下げると、高村はゆるゆると首を振った。 「いいえ……僕たちには実りの多い幕引きでした。価値ある敗北だったと思います」 「敗北? 君たちの勝ちだろう?」 「いえいえ。雪華が負けを認めたのです。彼女の意志は、マスターの僕であっても覆せない」 高村の笑顔からはそれ以外の意志は読みとれなかった。 雪華は自分の意志を曲げないし、頑として譲らないらしい。相手がマスターであっても。 誇り高いというか、融通が利かないというか……。 「でも、雪華も少しは考え方を変えるでしょう。 いままでの雪華は、試合に勝つことを一番に考え、それこそが強くなることだと思ってきました。 でも、今日、それでは計り得ない強さがあることを知った。 あなたたちのおかげです。ありがとう」 高村は素直に頭を下げた。 俺の方こそ恐縮してしまう。 「……試合前は、失礼なことを言って、すまなかった。 俺たちとバトルすれば、君たちが中傷されるかも知れないと思った。 だから、バトルを断るつもりで……あんなことを言ったんだ。 本当にすまない……三枝さんも、すみませんでした」 俺が謝罪して頭を下げると、三枝さんは驚いていた。 まあ、あれだけ嫌味を含めて断っていたのだから、信じられないのも無理はないと思う。 高村は、やはり笑って、 「わかってますよ」 と頷いた。 そんな彼に、俺は思っていたことを口にする。 「高村……今度、もう一度バトルしてもらえないか? それから、もっとゆっくり話がしたい。今日はずっと変な流れで、俺自身、納得がいっていないから……」 「喜んで」 高村はポケットから名刺を取り出すと、俺に差し出した。 「僕の連絡先です。気が向いた時にでも連絡してください」 「ありがとう」 俺は素直にそれを受け取った。 必ず連絡しよう。高村とも雪華とも、話したいことがたくさんある。 そして、今度は何のしがらみもなくバトルがしたい。 その時のティアも雪華も、きっと今とは違っているだろう。同じバトルにはきっとならない。 「……だけど、再戦したら、秒殺されそうだ」 「それはないでしょう。だって、あなたは雪華用の戦略をすでに考えているでしょう?」 「ちがいない」 俺と高村は笑った。彼に笑いかけたのは、これが初めてのような気がする。 俺はつくづく失礼な奴だ。 だが、許して欲しいと思う。俺たちを取り巻く問題が一応の解決を見たのは、今朝の話だったのだから。 そして、気がついていた。 俺にはまだやらなければならないことがあった。 ◆ 虎実は、筐体での喧噪には混じらず、大城の肩の上で一人物思いに耽っていた。 ティアは、一戦交えたときから、虎実の憧れであり、目標だった。 いつもオドオドした態度にいらつくこともあったが、バトルでの彼女を純粋に尊敬していた。 虎実はいつもティアを無視していた。 自分が決めた最大のライバルとなれ合うのはごめんだと思っていた。 だけどそれは、彼女の素直でない性格からくる考えだった。 今日のバトルを見て、虎実は思った。 やはり、自分の目に狂いはない。ティアはすごい神姫だった。 クイーンの最大攻撃をかわせる神姫なんて、他にいるはずがない。 そして、雪華がティアに「友達になってほしい」と言ったとき。 虎実は自分の気持ちに気がついた。 そう、友達になりたかったのだ。 ティアに自分を認めてもらいたかったのだ。 自分がティアにとって、胸を張って友でありライバルであると言える神姫だと、そう思って欲しかったのだ。 だから、納得のいく自分になったときに、バトルしてもらいたいのだ。 自分のすべてを見てもらうために。 虎実は雪華がうらやましかった。妬ましくて仕方がない。 でも、虎実は自覚する。自分はあの二人の足下にも及んでいない、と。 「なあ、アニキ……」 「ん?」 「アタシ……トオノにあんなえらそうなこと言ったけど……ティアと戦う資格、あんのかな……」 ミスティにはその資格があると思う。このゲーセンで実力を示し、三強をもひとにらみで黙らせる。 その実力を持って、今日、遠野とティアをここに招いたのだ。 悔しいが、認めざるを得ない。 それに比べて虎実は、やっとランバトの上位に食い込んだところだ。 だが。 「……ばっかじゃねぇの?」 彼女のマスターである大城は、呆れた声で言った。 虎実は大城に振り向く。 「資格とか、そんなもの、必要なモンかよ。 バトルロンドは、お前が考えてるほど堅苦しくないぜ? バトルやりたきゃ、遠野にそう言えばいい。 そんなこと考えてるのはよ、虎実、お前だけだ。 意地っ張りはやめて、ティアとバトルしたいって、言えばいいんだよ」 虎実は大城の言葉にむっとした。 でも、反論できなかった。アニキの言うことは正しい。 結局、虎実の意地っ張りな性格が、素直な気持ちに邪魔をしているだけなのだ。 それでも、と虎実は思う。 それでも、納得のいく自分になって、ティアに挑みたい。 その気持ちは本当だった。 もしかすると、納得のいく自分になるために、ティアを目標にしているのかも知れない。 「それでも……やっぱり、自分に納得がいってから、ティアと戦いたい。 そうじゃなきゃ、またはじめの時みたいに、悔しい思いをすると思う」 それは約束だ。 あの日、遠野に必死でお願いをした、約束。 遠野は約束を守って、ティアをバトルロンドに連れ戻してくれた。 その約束を守るためにも、半端な自分ではだめだ。 虎実は決意を新たにする。 納得いくまで、自分のスタイルをつきつめよう、と。そして強くなろう、と。 大城はため息をついたようだったが、気にもならなかった。 □ バトルロンドコーナーでの喧噪が、ようやく収まってきた頃。 「ティア、帰るぞ」 頃合いを見計らい、俺はティアに手の甲を差し出す。 ティアはまだしゃくりあげながら泣いていた。 そばにミスティがついていて、まわりを四人のライトアーマーの神姫たちが囲んでいる。 神姫たちはティアに道をあけてくれた。 ティアはまだ震えながら、俺の手に乗る。 ミスティたちは気遣わしげな表情で、俺を見た。 俺の心に、彼女たちの優しさが染みた。 ティアをこんなに思ってくれている仲間がいる。認めてくれている友がいる。 そしてもう、それを捨てようなどと、俺たちは考えなくてもいいのだと。 そんな小さな幸せを噛みしめる。 俺が少しだけ笑顔を見せて頷くと、五人の神姫たちは華やぐように笑ってくれた。 ティアを定位置の胸ポケットに収めて、俺は振り向く。 そこには久住さんと仲間たちがいた。 今回のことでは、久住さんには世話をかけっぱなしだった。 本当に、感謝してもしきれない。 今朝の事件の顛末も、話をしておきたいところだった。 だけどその前に、今すぐに、俺はどうしてもやらなくてはならないことがあった。 「ほんとうは、ゆっくりお礼をしたいんだけど……」 「分かってる。また今度でいいから」 「ありがとう」 「……でも、連絡くれなかったら、承知しないわよ?」 「……肝に銘じておくよ」 いたずらっぽくウィンクなんかした久住さんに、俺はドギマギしてしまった。 同時に、「承知しない」の一言に肝を冷やし、後で絶対に連絡を入れようと固く誓った。 俺はつくづく、久住さんに頭が上がらない。 俺はまだにぎわっているゲームセンターから、みんなに隠れるようにして帰宅の途についた。 高村と雪華との話もそこそこに、久住さんへの報告もそのままに、俺が急いで帰るのには理由がある。 俺がティアのマスターとして、やらねばならないこと。 さっきのティアの言葉で気づかされた。 ティアを本当に俺の神姫にするために、それはきっと必要なことだった。 だから俺は家路を急ぐ。 あたりはもう夕暮れに赤く染まっていた。 次へ> トップページに戻る
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第8話 「初戦」 「ンなーっはっはっはっはァ! ぅワガハイの最高傑作! バイオレント・ブラック・バニー! 略してB3(ビー・キューブ)よ! 今日は最高の成果を期待しておるぞォ!」 「サー、コマンダー」 「……なぁ、神姫のオーナーってのは皆あんなテンションなのか?」 「……私は今まで以上に遼平さんの事が好きになれそうです」 武装が揃ってから更に3日。 ネットで行える簡易バーチャルトレーニングで大体の動き方をマスターした俺とルーシーは、いよいよ初の実戦に参加する事にした。 ……と言ってもそう大げさな話じゃない。 今や武装神姫を扱った店は街のそこかしこにあり、神姫オーナーであればいつでも参加できるシステムを設置している店もあるのだ。 休日なんかにはちょっとした大会が開かれる事も多いようだが、普段行われるのは公式トーナメントやリーグ戦みたいなモノじゃなく、個人同士の草バトルって所だろう。 で、そんな俺たちの初陣の相手が、さっきからハイテンションで大騒ぎしてるオニイチャンってワケだ。 年は俺より少し若いくらいで、なんだかヘンなシミだらけのズボンにベスト、ご丁寧に頭には同じ模様のハチマキをしてる。 「アレはシミではなくて都市迷彩です。 それにハチマキじゃなくてバンダナですよ」 ルーシーが小声で注釈を入れてくるが、俺はそういうのに詳しくないんだって。 ま、そういう事に疎い俺でも分かるくらいにあからさまなファッションの軍隊フェチだった。 「退くな媚びるな省みるな! 敵前逃亡は問答無用で軍法会議! 兵士に命を惜しむ事など許されぬ! そう、お前の前に道はなく、お前の後ろに道が」 「そろそろ選手のご登録をお願いしたいのですが宜しいですか」 「あ、ハイ」 天井知らずに上がりっぱなしのテンションは、店員さんの必要以上に事務的な口調に大人しくなった。 っと、こっちにも来た。 「それでは、こちらにオーナー名と神姫のパーソナルデータ入力をお願いしますね」 キツめな感じの美人さんだけど、さっきと違ってにこやかだ。 どうやら店員さんもアレはやかましいと思ってたらしい。 えーっと、そんじゃ… オーナー名:藤丘 遼平 武装神姫:TYPE DEVIL「STRARF」 ニックネーム:ルーシー と、こんなトコかね。 『それでは両者、スタンバイ!』 さっきの店員さんによるアナウンスが入る。 「ビィィィ!キュウゥブッ! んGoGoGoGoォオゥ!!!」 「サー、コマンダー」 「んじゃ行くか、ルーシー?」 「ハイ。 あなたとなら、何処までも」 ……何処で憶えてくんのかね、そういうセリフ。 崩れたビルの立ち並ぶ廃虚をステージに、バトルはスタートした。 まずは索敵からか。 「相手のバッフェバニーは遠距離戦闘重視の重火器装備型…『ガンナー・ブラスター』です。 早めに接近しないと厄介ですね」 「初陣が真逆のタイプってのは嫌なもんだな」 「負ける気はありません…前方に反応」 緊張した言葉とほぼ同時、ビルとビルの隙間を縫うようにして何かが迫ってくるのが目に入った。 一瞬戸惑った俺が命じるより早く、ルーシーは大きく跳んで回避行動を取っていた。 着弾。 閃光。 爆発。 「…ミサイル?」 「誘導式ではないので、正確にはロケットですよ。 妄想スレ第2段の198さん、ありがとうございました」 「誰?」 「こちらの話です。 …来ますよ」 崩れたビルの残骸を乗り越えて敵が姿を現す。 左肩にはバズーカ砲、ロケットポッドを右肩に。 両手にはそれぞれガトリングガンと大ぶりのコンバットナイフを携え、のっしのっしと歩みを進めてくる……その顔は赤いスコープにガスマスクのせいで表情が読めない。 『ンなーっはっはっはァ! そこな新兵! こそこそ隠れて様子見とは兵士の風上にも置けぬ奴! このB3とワガハイが、フヌケた貴様らに戦場における鉄の掟というモノを叩き込んでくれるわっ!』 あーうるせぇ。 「ドンパチのルールブックにゃ不意打ち上等って書いてあんのか?」 『ムっふっフーン、モノを知らぬ奴め。 この世には『勝てば官軍』というすンばらしい言葉があるのだ! 勝った者にのみ全ての権利が与えられる! 即ちルールを決めるのもまた勝者! つまりすなわち勝利は勝ぁぁぁぁぁっつッ!』 「サー、コマンダー」 ……本格的にワケ分からんなお前ら。 「ま、向こうさんから来てくれたんなら探す手間が省けたな」 「そういう事を言ってる場合ですか」 すいっ、と持ち上げられたガトリングガンが狙いを定める前に、再び跳躍。 弾丸の雨が虚しくビルの壁を穿つのを尻目に、着地したルーシーがこちらに尋ねる。 「どうしましょう?」 「初の実戦なんだし……ここはやりたいようにやってみ」 「……了解」 『むヌぬっ、敵の眼前で作戦会議とは悠長な! 静かにせんかァ! ここは戦場だぞォ!』 相手オーナーの怒声を無視し、前傾姿勢になったルーシーは距離を詰め始めた。 ロケットポッドが迎撃を始めるが、最初の攻撃で誘導式でないと判っている。 最初から当たらない位置のモノは完全無視、被弾する位置にあるモノはサブマシンガンで撃ち落としていく。 その間、視線は相手に固定したまま。 『「なにー!?」』 くそ、向こうと俺の声がカブった。 つかルーシー、お前ちょっとスゴい? 距離が縮む事を嫌ったB3は後退を始めるが、なにしろこっちとは「一歩」の長さが違う。 あれよあれよと言う間に戦闘は至近距離でのそれに移った。 向こうもこの距離ではガトリングガンの取り回しは不可能だと悟り、もう1本コンバットナイフを取り出しての2刀流に切り替えた。 こっちもナイフ2刀流で斬り結ぶ! ……が、ルーシー自身の両手は空いているワケで。 サブアームが相手のナイフを押さえつけている間に、ひょいと掲げたサブマシンガンを相手の顔面に向けてブッ放しやがった。 ががががががっと派手な音がして頭が何度も揺れた後、B3は仰向けにぱったりと倒れた。 『んンNoおぉぉぉおおぉぉうッ!? B3! 応答せよびぃきゅうぅぅぅぅッぶ!』 「ルーシー、お前それちょっとエグい」 「勝てば官軍、負ければ賊軍……勝負の世界は非情なのですよ」 『衛生兵! えーせーへーえぇぇぇぇぇ!!!!』 しれっと言ってのける15センチ足らずのオモチャ。 コイツはやっぱり悪魔かなぁと思って嘆息した俺の視界で、動くものがあった。 「ッ……、」 どごおぉぉんっ! 突然起こった爆発に、俺の口から出かけた言葉が止まった。 スコープとガスマスクがダメージを緩和したのか、大の字になったB3の肩にマウントされたバズーカ砲から煙が昇り、射撃直後を物語る。 そして濛々と爆煙に包まれているのは……ルーシーの頭部付近。 「ルーシーっ!」 背筋の凍るような思いが俺の口を再び動かす。 「返事しろおい!」 「無事です」 冷静な声が響き、風に吹き散らされた爆煙の中からススけたルーシーの顔が見えた。 顔周辺のダメージはそんなものだが、片方のサブアームが手首の辺りから吹き飛んでいる。 どうやらそれを盾にして直撃を防いだらしい。 それを見てもB3は追撃しないし立ち上がらない。 どうやらバズーカは1発きりで、さっき与えた頭部への衝撃はオートバランサーか何かに影響を与えたらしい。 実質、勝負はここで決着ってワケだ。 ほっとした俺、ぽかんとしている相手オーナー、悔しげな表情のB3、無表情のルーシー。 なんだか妙な沈黙の後、ルーシーはおもむろにしゃがみ込んでB3のそばに膝を着くと、残ったサブアームを動かし始めた。 その手に握られているのは、ほとんど使う事もなく無傷に近いアングルブレード。 「はいはいストップストップ、もう終わっただろ。 こっちの勝ち」 俺の言ってる事を聞いているのかいないのか、ルーシーは見せつけるようにブレードを振り翳したまま動かない。 「こら、あんま脅かすなって」 刃に照り返る陽光を受けたB3の顔に、はっきりと恐怖の色が映る。 「ルーシー」 ぐっ、とアームデバイスのシリンダーが動く。 「やめろバカ!」 制止の声と風を一度に裂いたブレードが、鋭い音を立ててコンクリートの床に突き立った。 ……丸く湾曲した刃と床の隙間に、B3の白い首筋が挟まっている。 顔を上げれば、相手オーナーが白いハンカチを必死に振る姿があった。 「ンんバカモノおぉぉっ! 勲章ではなく命ひとつを持ち帰れば良いと教えたはづだろぉがっ!」 「サー、コマンダー」 「試合前と言ってる事が違うんだが……」 「アレがあの人たちの絆の形なのでしょう」 ひしと抱き合う(?)2人を眺めて、にこにこ笑顔のルーシー。 ……ホント、あの氷みたいな目ェしてた奴とは思えんね。 「……ちょっと、興奮しました」 俺の視線に気づいてか、わずかに肩を落とした。 人間で言えば『カッとなった』んだろうが……あんまコイツは怒らせない方がいいかも知れない。 「今、何か失礼な事を考えましたね?」 「いぃえぇメッソーもない」 「怪しいです」 「最愛のパートナーに信じてもらえないとはツラいなぁ」 ちゃかしたセリフに、テレたように小さく微笑む。 「最愛、ですか……嫌わないでくださいね」 「つまんない心配しない」 あっちほど熱烈じゃないが、こっちもちょっとイイ雰囲気。 ひとしきり泣いたり感動したりして気が済んだのか、向こうのオーナーが握手を求めてやってきた。 胸ポケットからはB3が覗いている……ちょっと微笑ましいな。 「いやいやいや諸ォ君! 今回は良い勉強をさせてもらったぞぉ!」 「ま、こっちも楽しかったよ。 ちょっとヒヤっとしたけどな」 「うむ! 記念すべき初陣を勝利で飾れなかったのはヒッジョーォに無念ではあるが、今日この日の戦いはワガハイとB3の輝ける第1歩として生涯この胸に刻もうぞ!」 「お前あんだけ偉そうな事言っといて自分も初心者かコラ」 バカ笑いするミリタリーマニアから視線をそらすと、ルーシーがB3の頬をそっと撫でている所だった。 「さっきは怖がらせてごめんなさい。 貴女の心優しいオーナーに、最大限の感謝を忘れずにね」 「……イエス、マム」 ルーシーの柔らかい微笑みと、風にかき消されそうなB3の声を幕に、俺たちの初陣は終わった。 「ついでにそちらのオーナー。 差し出がましいようですが『バイオレント』は『Violent』で頭文字は『B』ではありません。 その子の為にも早めの改名をお奨めします」 「ンなんとぉーっ!? ワガハイ一生の不覚ぅッ!」 「サー……」 その後、彼の神姫は『バーニング・ブラック・バニー』に改名したとかしないとか……ちゃんちゃん。
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ウサギのナミダ・番外編 黒兎と塔の騎士 後編 ◆ 鳴滝修平の夢は、格闘技を極めることだった。 世界最強なんて見果てぬ夢だが、そう自負できるほどに強くなりたかった。 志したのは小学校に入学する時分のことだから、随分前の話だ。 鳴滝少年は、数ある格闘技の中から、中国拳法を選択した。 近所に道場があったからだ。 鳴滝少年は熱心な入門生だった。 拳法を身につけるのも面白かったし、強くなることが実感できた。 それは中学生、高校生になっても変わらなかった。 実際、強くなったと感じられたのは、喧嘩の時だった。 格闘技をやってるだけで、何かとやっかいごとに巻き込まれる。 殴り合いの喧嘩をしたが、拳法の技は使わなかった。 師匠から私闘での使用を禁じられていたからだ。 だが、使わなくても負けることはなかった。 いつか、思うさま技を使うことがあるだろうか。 そう思いながら、日々練習に励んでいた。 その生活が一変したのは高校三年生の時。 交通事故にあった。 自転車に乗っていたところで、車にはねられた。 命に別状はなかったが、自転車と左の膝が壊れた。 入院生活の後の、長いリハビリのおかげで、なんとか日常生活は不自由なくできるようになった。 でも、激しい運動はできなくなった。 格闘技なんてもってのほか。左膝は弱点ですらある。 今も道場には行っているが、それは自分を守ることに備えるためであり、以前のような前向きな気持ちではなかった。 だから、リハビリ明けの直後は、荒れた。 つっかかってくる不良やヤンキーを、片っ端から倒して回った。 自分の強さを確認するための幼稚な手段、だった。 そんな意味のない喧嘩に飽きた頃。 鳴滝は武装神姫に出会った。 はじめはくだらない人形遊びだと思った。 だが、ある戦いを見て考えが変わる。 それは、銀髪の神姫と、青色の鎧騎士の対決だった。 剣による近接格闘戦。 その動きは人間を超越し、神業の域に達している。 鳴滝はふと思う。 このなんでもありの戦闘領域で、格闘技はどれほどの力を持ちうるのだろうか。 格闘技だけでどこまで上が目指せるのか。 そんな思いつきが、鳴滝の次なる夢になった。 騎士型サイフォス・タイプを購入し、ランティスと名付けた。 そして、格闘技の修練をさせた。 実際のところ、徒手空拳で戦場に立つのは、非常に厳しかった。 はじめはろくに勝てなかった。 だが、鳴滝はあきらめることを知らず、ランティスは鳴滝の夢を愚直に追い続けた。 やがて、自分たち流の戦い方を見い出す。 そしていまや、『塔』でランティスにかなう神姫はいない。 鳴滝はランティスに感謝している。 鳴滝の夢はかないつつあるのだから。 ◆ 手甲から飛び散る紫電の向こう。 正面に立つ神姫の姿を認めて、ランティスは愕然とした。 「貴様……どうして……」 ティアは雷迅弾を放ったときそのままの姿で立っている。 ありえない。 超速の弾丸は、間違いなくティアが立つ場所を通過している。 なぜあの黒い神姫は五体満足で立っていられるのか。 「どうして、どうしてそこに立っていられるっ!?」 ランティスの叫びに、ティアは困ったような視線を向けるばかりだった。 ◆ ランティスと鳴滝の様子に、観客たちもどよめき出す。 シスターズの四人と安藤も、首を傾げていた。 彼らは皆、ティアが何をしたのか、全く見えていなかった。 安藤は、シャツの胸ポケットにいる、彼の神姫オルフェに尋ねた。 「オルフェ……ティアが何したか、見えたか?」 「見えました……けど……」 人間では追いきれなかった動きも、神姫の目では捉えられたらしい。 だが、オルフェは釈然としない表情で首を傾げていた。 「ティアは何をした?」 「何をしたというか……特別なことは何も」 「え?」 「ただ普通に……いつものようにステップでかわしただけです」 「は?」 安藤はオルフェの言っていることがすぐには理解できなかった。 そこへ銀髪の神姫が口を挟む。 「マスター安藤。確かに今のティアの動きは、半円を描く普通のステップでした。 ……ですが、ティアは、出来うる限り最速かつ最小半径でのステップで、雷迅弾を回避したのです」 「最小半径って……」 安藤には想像もつかない。 つまり、超音速で飛来する球体を、紙一重で見切ってかわした、ということでいいのだろうか。 「……っていうか、雪華は何で俺のこと知ってるんだ?」 「ティアと同じチームの神姫とマスターの情報は調べ上げてあります」 さも当然といわんばかりの雪華であった。 □ ギャラリーがどよめく中、俺はむしろ不思議な気持ちでいた。 別に何も特別な技を使ったわけじゃない。 その証拠に、俺からティアへの指示はたった一言、 「ステップでかわせ」 だった。 ティアはそれを忠実に実行しただけだ。 確かに最近、ティアには近接戦用にステップを練習させていたが……。 「遠野……今のはなんて技だ……?」 大城も呆けたように俺に聞く。 まわりを見ると、みんな俺に注目していた。 俺は小さくため息をつく。 「名前を付けるほどのことじゃないんだが……そうだな、『ファントム・ステップ』とでも名付けようか」 「ファントム・ステップ……」 うめくように鳴滝が言う。 俺は頷いた。 「そう。だが、ファントム・ステップは単発の技じゃない。連続でやると……こうなる」 バトルロンド筐体の画面の中。 ランティスがティアに向かって突進していくところだった。 ■ 「たった一発かわせたからって……いい気になるな!!」 ランティスさんが叫びながらわたしに向かって突っ込んでくる。 どうすればいい? 間合いを取ってかわすのは簡単だけれど。 そう思ったとき、マスターから指示が来た。 『ティア、練習してたあのステップですべてかわせ』 「はい」 『隙あらば反撃だ。練習の成果、見せてやれ』 「はいっ!」 やっぱり、あのステップ……ファントム・ステップと名付けられたのは後で知った……を試すために、この試合は銃器がセッティングされなかったんだ。 ファントム・ステップは、わたしが最近集中的に練習していた技。 わたしが近接格闘戦をするようになってから、マスターが必要だと言って、練習するようになった。 できるだけ素早く、できるだけ相手から離れずに、ステップでかわす。 それが基本。 ランティスさんが両手を顎につけた体勢で踏み込んでくる。 間合い。 左右のパンチから左脚のハイキック。 流れるように淀みのないコンビネーション。 わたしは後ろに下がるステップで、左右のパンチをかわし、半円のターンでキックをはずす。 ステップは全部、攻撃に対して一定の距離。 空を切るハイキックが風を巻き、わたしの前髪を揺らす。 わたしはランティスさんを見た。 大きな動作の後なのに、もう隙をつぶして構え、攻撃態勢に入っている。 反撃の暇はない。 ランティスさんは躊躇なく踏み込んできた。 今度はさらに深く。 腰だめの右拳を斜め上に突き上げるようなアッパーカット。 それも半円のターンでかわす。 すると今度は、踏み込みながら、左腕で細かいパンチを三発放ってきた。 だけどそれは、三発とも同じ距離。 それをかわすと、また踏み込んで、右のパンチを二、三発。 わたしは右左と順番に放たれるパンチを、ジグザグのステップでかわしていく。 かわすたびに、ランティスさんの表情が険しくなっていく。 ◆ ランティスはティアに向かって膝蹴りを繰り出した。 これもかわされる。 だが、これは誘い。 上げた右膝を降ろさず、空手の側方蹴りに移行する。 突然間合いは伸びる。どうだ。 だがそれも、半円のターンでかわされる。 「くっ……!」 ばかな。 こんなことはありえない。 ランティスはこれでも考えながら攻撃をしている。 技のスピード、キレ、間合いの変化、技の変化。 もちろんフェイントも交えている。 だが、そのことごとくをかわされる。 しかも一定の間合いで。 ティアは必ず踏み込みが届く間合いで、自分の正面にいるのだ。 当たるはずの攻撃が当たらない。 あるはずの手応えがない。 まるで亡霊を相手にしているようだ。 「お、おおおおおぉっ!!」 ランティスは吠えた。 左右のハイキックを順に放ち、さらに振り上げた左脚を上から落とす、かかと落とし。 それも、なめらかなS字のターンが命中を許さない。 だがランティスは止まらない。止められない。 今度は降ろした左脚を支点に、旋風のようなミドルキックを放つ。 攻撃範囲の広さは、ランティスの持つ蹴り技でも随一だ。 しかし、それもかわされる。なんと、ランティスが振るうつま先を、ターンで回り込むようにして回避した。 ランティスはさらに蹴る。同じ方向から、跳ねるように、リズミカルに、旋風のような蹴りを。 しかし、当たらない。 黒兎の神姫は、目の前を、亡霊のように舞い続けている。 「く、くそおおおぉぉっ!!」 自分の身につけた技のすべてが、たった一つの技に否定される! 技を一つかわされるたび、心が絶望に浸食されていく。 ランティスは心を削るような思いで攻撃を続ける。 ◆ 「すごい……」 安藤は思わずつぶやいていた。 ランティスの息もつかせぬ連続技。 そこにはあらゆる格闘技の技が詰め込まれていた。 キックボクシングのコンビネーション、ボクシングのパンチに、ムエタイ、空手の蹴り技。 かかと落としはテコンドーの動きだったし、今見えるダンスのような回し蹴りは、たぶんカポエラだ。 格闘技をちょっと知る程度の安藤にさえ、ランティスの技の多彩さがわかる。 だが、それ以上にティアがすごい。 ランティスのあらゆる技は、タイミングもスピードもリーチもすべて違っている。 だが、ティアはそのことごとくを紙一重でかわし続けているのだ。 しかも、ただ一つの技……ステップで。 その様は、まるでパートナーとダンスをしているかのようだった。 「ちょっと、涼子? 大丈夫?」 美緒が小さな声を上げた。 見れば、涼子が頭を押さえながら、大型ディスプレイに見入っていた。 顔色は真っ青だ。 「すごい、なんてもんじゃ……」 涼子は、震える声で、言った。 「ティア……かわしながら、誘導して……塔の外周を回ってる……」 「な……」 安藤はすばやく大型ディスプレイを見る。 ランティスの右上段蹴りが途中で変化し、下段蹴りになって、ティアのレッグパーツを狙う。空手の蹴り技。 しかし、つま先は、ティアのランドスピナーをかすめたのみだ。 そう、二人の攻防はずっと続いていて、途切れることがない。 周囲を壁に囲まれた塔の中で、移動しながらの攻防を続けるには、塔の外周を回るように移動するしかない。 そして、二人の神姫はそれを忠実に実行している。 移動の舵取りは、ランティスの前方にいて、かわし続けるティアがしているはずだった。 涼子は戦慄する。 神業なんてレベルじゃない。 ランティスの打撃は、どれ一つとっても、達人の域を越えている。 それを正面でかわしながら、行き先を誘導さえできるなんて。 武道をたしなむ涼子だからこそ、目の前のバトルが驚愕のレベルにあることを見抜いていた。 「でも、ティアはなんだってそんなことを……?」 「おそらくは、ランティスの技を引き出すためです」 素朴な疑問に答えたのは、全国チャンピオンのマスターだったので、安藤は少なからず驚いた。 だが、当の高村はそんなことを気にもかけず、気さくな様子だった。 「武装神姫にとって、技とは、マスターとの絆が生み出す力です。 マスターの想いをバトルで具現化するための技術……それが武装神姫の『技』なのです。 装備に頼らず、技を駆使して戦うという点において、あの二人はとてもよく似ています。 だからなのでしょう。ティアはランティスのすべての技を……つまり、マスターの想いと二人の絆のすべてを引きだし、受け止めようとしているんですよ」 安藤は高村の言葉に途方に暮れながら、また大型ディスプレイに目を移す。 ランティスが攻め、ティアがかわす。 その姿はダンスパーティーで踊るパートナー同士のようにも見える。 それほどに華麗で美しい動き。 「ランティスだけではありません。ティアもまた、技のすべてを出し尽くそうとしている……」 ◆ 気付いているだろうか? 雪華は、画面上のランティスを見つめ、思う。 ティアのファントム・ステップは、ただ一つの技、ではない。 ステップやターンを駆使して、近接距離を一定に保つ。それがファントム・ステップだ。 ティアはあらゆるステップ、あらゆるターンを駆使して、ファントム・ステップを成立させている。 ランティスが「格闘」を極めた神姫だとすれば、ティアは「滑走」に特化した神姫だ。 ファントム・ステップは、ティアがこれまで身につけてきた、膨大な「滑走」の技の上に成り立っている。 ランティスはそれに気付いているだろうか。 画面上の彼女の表情からは、苦悩と焦燥が見て取れる。 雪華はランティスが嫌いなのではない。愚直なまでにマスターの夢を追い求める姿は、好ましいとさえ思う。 だからこそ、彼女には気付いてほしい。 技同士のバトルに、神姫の出自など、関係がないことを。 「それにしても……」 雪華はつぶやき、ティアの姿を見つめる。 表情がほころぶのと同時、身震いする。 雪華と戦ったときよりもなお、彼女の技は冴えていた。 あのとき、雪華の『レクイエム』をかわしたあとの神懸かり的な機動が、すでにティアのベースラインの動きになっている。 ティアは確実に進化している。 それが嬉しい。 そして彼女に心からの尊敬を抱き、そしてまた戦ってみたいと、雪華に思わせるのだった。 ◆ 鳴滝は喜びに震えていた。 高村について、こんなゲームセンターまでやってきて正解だった。 秋葉原での戦いにうんざりしていたのは、ランティスだけではない。 マスターである鳴滝もまた、火力と物量でばかり挑んでくる対戦者たちに飽き飽きしていた。 だが、ティアは違った。 どんな神姫とも違う機動力で、彼女だけが持つ技を駆使してランティスと戦っている。 ランティスの技に、技で挑んでくる神姫がついに現れた。 そう、待っていた。ずっとこんな相手が現れるのを待ち望んでいた。 ランティス、今お前はどんな気持ちだ? どんな気持ちで戦っている? ……なんでそんなにつらそうな顔をしている。 こんな好敵手と出会えることは、俺たちのような輩にとっては最高のことじゃないか。 もっと喜べ。 そしてもっとバトルを楽しめ。 このバトルの先に、俺たちの見たかった地平が、きっと見えるだろう。 ◆ そんなマスターの想いとは裏腹に、絶望と焦りを顔に浮かべながら、ランティスはティアに打ち込み続けた。 しかし、どんな打撃も、どんなコンビネーションも、ことごとく回避されている。 『ランティス』 「師匠!」 彼女は鳴滝をマスターと呼ぶよりも、師匠と呼んだ方がしっくりくる、と思っている。 『なぜあれを出さない』 「……ですが、この娼婦の神姫に、あの技を出すほどでは……!」 『出すほどだ。現にお前の打撃は、一発もティアに当たってないぞ?』 「……っ!」 『もう認めろ。ティアは同じステージに立つ資格のある好敵手だと。出し惜しみはするな。むしろ、すべてを見せつけてやれ』 「……」 ランティスは迷う。 師匠の言葉は理解できるが、「心」が納得しないのだ。 あの下賤な神姫に、師匠から直に教わった技を使うことにためらいがあった。 しかし、もはやランティスは覚悟を決めるしかなかった。 奥の手を出す覚悟を。 この試合、敗北は決して許されないのだから。 「ハアアアアアァァッ!!」 迷いを振り払うように、気合いを入れる。 そして、ティアに向けた一撃の踏み込み。 瞬間、何かが爆発したような音と共に、地が揺れた。 ■ ランティスさんが深く踏み込んでくる。 その脚が着地した瞬間、地響きが来た。 「わっ」 一瞬、地面が揺れる。 ランドスピナーが傾く。 横構えになっていたランティスさんが腰を落とし、両手の掌を彼女の両側に突き出した。 不安定な姿勢ではあったけど、わたしは間合いを大きめに取るようにランドスピナーを走らせ、からくもランティスさんの一撃をかわした。 彼女と対峙する。 そして、ぞっとした。 ランティスさんの立っている、その足元。 踏み込んだ場所がランティスさんの足形に窪み、地面に放射状のひびが入っている! いやな感じがする。 いまの掌打はからくもかわせたけれど、受けていたら、どんなことになっていただろう。 わたしに想像する間も与えず、ランティスさんがまた来た。 またしても低く、深い踏み込み。 今度はもっと深い。まるで、身体全体でぶつかってくるような……。 わたしの位置は壁際で、もうぎりぎりでかわす余裕はなかった。 ランティスさんを大きく回り込むように回避する。 正解だった。 小手先の技じゃなかった。 ランティスさんは踏み込んで背中を打ち付けようとしてきた! 背中で攻撃、なんて、聞いたこともない。 わたしが今いた場所を、ランティスさんの背中が通過して、そのまま塔の壁に激突する。 見間違いだと思う、でも。 ランティスさんの背中が当たった瞬間。 高い高い塔の壁が、一瞬、たわんだように見えた。 □ まるでミサイルが直撃したかのような爆発音。 ランティスを震源地に、短い地震が起きて、ディスプレイの映像を揺らす。 バーチャルで構成されたステージのカメラの位置は動かないはずだから、塔全体が揺れたのだ。 ランティスが姿勢を戻して、ティアと対峙する。 その背後。 いましがた、ランティスが背中を打ち付けた壁が、彼女の背中の形でクレーターになっている。 クレーターのすそ野から、大小のひび割れが大きく広がっていた。 そして。 その壁が粉々に砕け、大きく崩れ落ちた。 「八極拳か……これほどの破壊力とはな」 あの特徴的な、背中からの打撃に見覚えがある。確か『鉄山靠』とか言う技だ。 八極拳は中国拳法の一流派だ。 俺も詳しくは知らないが、震脚と呼ばれる強烈な踏み込みから生み出される破壊力が特徴だと聞いたことがある。 鳴滝が感心したように、俺に言う。 「よく知っているな。ランティスの八極拳は俺の直伝だ」 「君も拳法をやってるのか。なるほど、だから師匠、と呼ばれてるんだな」 「そうさ。……どうする、遠野。踏み込むたびに地面を揺らされて、ファントム・ステップを続けられるか?」 鳴滝は不敵に笑って、俺を挑発する。 だが、不愉快ではない。 鳴滝もこのバトルの駆け引きを楽しむために、俺を挑発している。それがわかる。 ならば一つ、俺も楽しんでみようか。 「試してみるがいい」 「ふふ……八極拳の技が単発だと思うなよ。連続でやると、こうなる」 鳴滝の言葉と同時、ランティスが再び前に出た。 完結編へ> Topに戻る>
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