約 2,307,483 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1929.html
{アンジェラスとGRADIUS} 「ここが…アンジェラスがいる所か…」 今の俺はあるシャッターの目の前に立っていた。 そのシャッターは今までの…クリナーレ達のシャッターとは比べれものにならない。 頑丈・セキュリティー、何もかもレベルが違うのだ。 シャッターには『One』と書かれていて、そこにクリナーレがリアパーツに付いてるチーグルで殴りまくっても傷一つつかない。 クリナーレ達のシャッターと同様にシャッターの横にあるIDカードを通す機械があったが、カードを機械に差し込み引いても拒否されてしまった。 俺が持っているIDカードではセキュリティーレベルが低くて通れないのか、もしくは俺が奪った事が敵にバレてIDカードの使用を停止させたと考えた方がいいだろう。 どちらにせよ、このシャッターを開けなければアンジェラスを助け出す事が出来ない。 実は先程からルーナがネット能力を使ってIDカードを通す機械から侵入し、なんとかセキュリティーを解除しようとしているのが、如何せん苦戦している。 その間は立ち往生。 俺は何もする事が無くてただ突っ立てるだけ。 クリナーレとパルカは警戒しながら敵の偵察。 畜生。 こうも何もできないと自分が腹ただしい。 「…アンジェラス」 シャッターを見つめ、小声でそう言った。 後はお前だけを助け出せば終わるんだ。 こんな所でくすぶってなんかいられない。 …やっぱり『アレ』を使うべきなのか……。 徐にズボンの後ろにくくり付けてるコンバットナイフみたいな形をしている物に手が触れる。 これは出来れば使いたくない武器だ。 この武器は全てのシステム・プログラムを真っ白に消してしまうナイフなのだ。 通称、フォーマットナイフ。 読んで字の如く、このナイフに刺された機械類は全てがフォーマットされてしまう。 何も機能しないただの固まりにしてしまう訳だ。 例えば、パソコンの何処にでもいいからこのナイフを突き刺す。 するとパソコンのデータやシステム、何もかも全部消えてしまう。 そのようなシステムがこのナイフにプログラムされているのだ。 勿論、精密機械で出来ている武装神姫にも有効。 ただし、使用回数は二回。 二回以上使ってもただのナイフでしかない。 だから慎重に使わないといけない。 もし使い所を間違えれば、自分が命取りになるのだから。 「…躊躇しすぎかな」 もし、これは本当に『もし』の話だが…ルーナが今やってるセキュリティー解除の手伝いが出来るかもしれないのだ。 IDカードを通す機械にフォーマットナイフを刺し込めばセキュリティーは消えるだろう。 だが、それと同時にシャッターを上げるシステムを消してしまうかもしれない。 そうなるとシャッターを開ける事が出来なくなり結果的にアンジェラスを助け出す事が出来なくてしまう。 そしてそうなる予想は十中八九。 考えたくないが、一緒にシステム事消してしまうなのだろーよ。 でもこのままルーナにネット能力を使わせるのもマズイ。 ネットの能力を使うと必要以上に疲労してしまい、神姫の内臓電池がすぐに切れてしまうのだ。 一応、特殊な神姫としてそこら辺の対策はされてると思うが、そうなってしまう話もなくはない。 さぁ、今はこの場で使うべきか、使わざるべきか…。 …フッ…何迷ってんだが、俺らしくもない! 「どけ!ルーナ!!」 俺は決意し迷わずズボンの後ろに付けているフォーマットナイフを取り出す。 取り出したフォーマットナイフを右手に持ちかえる。 「ダーリン、何する気!?」 「セキュリティーを消滅させる!お前が接続したままナイフを使うと、お前まで消してしまう!!だからドケ!!!」 ルーナは俺の言葉を信用してさっきまで接続していた機械から退く。 完全にルーナが離れた事を確認すると、俺はIDカードを通す機械にフォーマットナイフを突き刺した。 その瞬間、機械から煙と火花が噴出す。 火花で俺の右手と右腕が軽い焼けどを負ったが、こんなの怪我のうちに入らない。 さて、効果は果たしてあるのか少し不安感を持ちながらフォーマットナイフを引き抜く。 「ルーナ!すまないが、またネットに侵入してくれないか?」 「任せなさい!」 ルーナは再び機械に右手を触れさせ侵入する。 するとどうだ。 さっきまでビクともしなかったシャッターが開いていくではないか。 どうやらセキュリティーだけのシステムをフォーマットできたみたいだ。 これでアンジェラスに会えに行ける。 「クリナーレ、パルカ戻って来てくれ!ルーナもだ!!シャッターが開いたから入るぞ!!!」 俺の右横にクリナーレとルーナ、パルカは左横に来た。 ちゃんと戻って来たか確認すると俺は全速力でシャッターの中へ駆け出して行った。 シャッター中の部屋はクリナーレ達の部屋とはレベルが違う構造だった。 精密機械のコンピュータ、ケーブル、パイプ管などなど。 そして部屋の真ん中には大きな試験管、その中には見た事のない真っ白の武装に身をつつんだアンジェラスが目を瞑っていた。 「アンジェラスー!」 俺は大声を出しながらアンジェラスに走り駆け寄る。 その時だった。 視界に一人の人間の後ろ姿が入る。 女の人で白衣を着ていた。 その女の人は俺がガキの頃から知ってる人間だった。 「姉貴!?」 足を止めて自分の姉に声を掛ける。 女の人は振り返り、困った顔をしながら俺を見た。 「タッちゃん。…やっぱり来ちゃったのね」 斉藤朱美、俺の実の姉その人だった。 「姉貴がどうしてここにいやがる!」 「それはこっちのセリフよ。タッちゃんこそ、こんな大事…いえ、犯罪を犯してまで来たの?」 俺は姉貴に睨みつけながらゆっくり歩みよる。 姉貴は悲しそうな声で俺に言う。 「アインを取り戻しに来たの?」 「アイン?俺はアンジェラス達を取り戻しに来ただけだ!」 「病院で手紙見なかったの?」 「手紙を見たからこそ来たんだ!…ッザケンジャねぇーぞ!!俺の神姫達を処分するなんてよ!!!」 「タッちゃんの神姫じゃないわ。名実とともに我が社の神姫よ。…九年前にタッちゃんが偶然アインのオーナーになっただけ」 「九年前だろうが、この会社のだろうが知ったこっちゃねー!アンジェラス達は俺の武装神姫だ!!」 「はぁ…相変わらず頑固ね」 「ほっとけ。それより今すぐアンジェラスをあそこから出しやがれ!」 俺は姉貴の首元にフォーマットナイフあてがう。 すると姉貴には俺が今まで見た事のない顔をした。 冷徹で人を見下すような顔だ。 「実の姉である私を武器をむけるの?」 「…ウ、五月蝿い!即刻処分を中断し、アンジェラスを解放しろ!!」 「もう遅いわ」 「エッ…!?」 低い声で言った姉貴の声から聞きたくない言葉が耳に入った。 もう遅いわ、だと? もう既に処分したという事なのか? もう間に合わなかったのか? もう…。 「そ…そんな……嘘だ!ハッタリだ!!」 「私は嘘をつかないわ。ほらこの通り」 姉貴は近くにあったパソコンのディスプレイに指差す。 そこにはデリートコンプリート、という文字が点滅していた。 デリートコンプリート…消去完了…。 おいおい…まさかそんな! 頭の中がグチャグチャになっていく。 現実を認めたくない。 否定、拒否…受けとめたくない。 理解したくない。 信じたくない。 「姉貴!アンジェラスの何を消しやがった!!」 フォーマットナイフを首元からどけて胸倉を掴みかかる。 「タッちゃんが今、頭の中で否定しているそのものよ」 「ッ!?」 姉貴の奴は澄ました顔でいいやがった。 こ、この女ァ! 今まで怒りを溜め込んでいた袋がブチ切れてような感じが身体全体に走る。 「畜生!」 ズガン! 俺は姉貴の胸倉を掴んでいた手を一度放し、その手で殴った。 殴られた事によって姉貴は派手にフッ飛び壁に当たりズルズルと倒れる。 実の姉に暴力を振るったのは生まれて初めてだった。 「アンジェラス…嘘だろ?」 ヨロヨロとアンジェラスが入った容器に近づく。 大きな試験管の容器に姉貴を殴った手が触れる。 ここまで来て…そんな終り方…ねぇだろ? おい、こんなバッドエンドなんかあるかよ。 「アンジェラス…俺だよ。お前のご主人様だぞ。迎えに来てやったんだぞ。笑えってくれよ。微笑んでくれよ」 「………」 俺が声を掛けてもアンジェラスは何も言わない。 目を瞑ったまま何も…。 「俺さぁ、お前と最初に会った時、幼かったけど…お前の事が好きだったんだよ。…その時のお前はアインだったみたいだったけど、俺はお前に名前をつけてやったよな、アンジェラスって。もう俺の中ではアインなんて関係ないんだよ。アンジェラスというお前が好きなんだよ!」 「………」 「そして、九年後に再開してまた同じ名前をつけてやったよな。ショックで昔の事を忘れてたみたいだけど全部思いだしたから…だから…だから俺はここまで来たんだ!お前の事が好きだから!愛してるんだ!!!」 「………」 「お願いだから…目を開けてくれよ!アンジェラスーーーー!!!!」 涙が出しながら限界まで発声器官を使い大声で叫ぶ。 喉が潰れてもかまわない程に。 ズルズルと大きな試験管にもたれかかるように膝をつき嗚咽する。 ここまでなのか…そう思ってしまった。 もうあの頃には戻れないのか、と…。 何もかも俺の心に絶望に満ちた瞬間。 「泣かないで…私の大好きなご主人様…」 声が聞こえた。 ははっ…とうとう幻聴まで聞こえてきやがったのか。 脳が壊れたのか耳が壊れたのか…もうどうもでいい。 「悲しまないで…私はここにいます」 「……あっ…」 涙でよく見えなかったけど、その光景は俺の記憶という名の細胞に焼き付ける光景だった。 容器の中にいるアンジェラスの身体全体が光っていたのだ。 その中でも一番白く光輝いてるいたのは右胸だった。 あの場所は武装神姫の一番大事な部分…CSCの部分。 「そんな…ありえないわ。全てのデータを消去したはずなのに」 後ろで驚いた姉貴の声が聞こえたがどうでもいい。 俺は立ち上がり涙を袖で拭う。 その時、大きな試験管の容器に亀裂が生じた。 亀裂の隙間から容器に入っていた液体が音をたてながら出てくる。 今にも容器が破裂しそうな勢いだ。 「アンジェラスーーーー!!!!」 俺は両腕を広げて叫んだ。 その瞬間、容器はガシャーンという強烈な音ともに破裂し四方八方に飛び散る。 白い光も飛び散る。 液体も飛び散る。 でも俺は気にしないでそこに立っていた。 何故なら…。 「ご主人様ーーーー!!!!」 アンジェラスが俺に向かって飛び込んできたからだ。 笑顔で目にはいっぱい涙をためながら…。 胸に飛び込んできたアンジェラスはしっかりと俺の服を掴み、二度と離れまいと力をいれる。 俺も同じ気持で両手でアンジェラスを優しく包み込む。 「会いたかった!会いたかったです、ご主人様!!」 「俺も!俺もだ!!」 「ボクもだよ!」 「お姉様!よかったですわ…無事で!!」 「アンジェラス姉さんー!」 皆で激しく抱きしめ合う。 あぁー、これで…これで全てを取り戻せたんだ。 やっと…やっとだよ。 「そんな…こんなバカなことが…データがまだ残ってたというの?」 後ろの方で今この状況を受け入れることが出来ない姉貴が驚愕したままだった。 「ありえない!ありえないわ!!」 「じゃぁかーしぃー!姉貴は少し黙ってろ!!」 俺は四人の神姫を抱き、姉貴の方に振り返り宣言した。 「愛だ!俺達の愛でアンジェラスは消されなかったんだよ!!」 歯の浮いた事を言った。 木っ端恥ずかしいがそう宣言したかったのだ。 だって今の俺は嬉しくてたまらない状態なのだから。 奇跡としか言えない状況でもあるけど、俺は愛の力だと信じたい…いや、信じているのだ! 「アニキ…恥ずかしくないのか?」 「かなり恥ずかしいと思いますわ。でも、ダーリンらしいかも」 「お兄ちゃん、今はいいですけど今度から周りの事も考えてくださいね。恥ずかしいです」 「お前等、恥ずかしいって言うなよ!俺は本当にアンジェラスの事を愛してるんだから!!なぁ、アンジェラス!!!」 「はい!はい!!私も愛しています!!!」 「うわっ…アンジェラスも平気で恥ずかしい事を言うよ…」 クリナーレがアンジェラスの発言にビックリするけど、すぐに満更でも表情に戻る。 「さぁ帰ろうぜ。俺達の家に」 「「「「はい!」」」」 でも俺はこれだけの事をしでかしたんだ。 人を殺し、会社に損害を与えた。 充分犯罪者になりえる。 例え無事に家に帰れなくても悔いは無い。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!! 「ナッ!?」 足場がいきなり揺れだしバランスを崩しそうになる。 でもなんとか両足で踏ん張りバランスを保つことができた。 地震か? と、一瞬頭の中で過ぎったが地震にしちゃあ揺れの現象が少しおかしい。 「…まさか!?」 アンジェラスは俺の腕から抜け先程のパソコンに行く。 いったい何が起こってるんだというのだ。 俺もアンジェラスの後を追いかけパソコンのディスプレイを見る。 画面表示されていたのは一つのウィンドに0、1の羅列がダラダラと書かれていて次々に映し出されていく。 これが俗に言う機械語というヤツか? で、その数字を瞬時に把握しながら読み飛ばしていくアンジェラス。 流石、というべきなのか、凄いというべきなのか? まぁアンジェラスも一応機械だしそのぐらいの事ができるのかな。 「ウ~ッ。何書いてるのか全然分からないよ~…」 「姉さん…情けないです」 あ、分からない神姫もいるのね。 「!? ご主人様!早くこの場から離れま―――」 ゴゴゴゴ!!!! さらに地震が酷くなり右膝をついてバランスをとる。 しまった! これでは走ること、いや、立つことすらできないぞ! 畜生、いったいなにが起こっているのだというのだ! 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/213.html
悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス part41-402~405,408,409 402 :悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス:2008/09/28(日) 17 57 06 ID caQ27Sl70 相方がやっていたのを横から見てただけなんで、漏れ、勘違いが あるかもしれない。そして最後の正確なオチがどうしても 思い出せなかったんだけどとりあえず上げてみる。 1944年、第二次世界大戦によって発生した無数の報われない魂により 突如として悪魔城が甦った。 これを察知した教会はベルモンド家の分家モリス家の ヴァンパイアハンター、ジョナサン・モリスとジョナサンの幼馴染で 天才と名高い魔法使いシャーロット・オーリンを派遣する。 悪魔城に侵入した二人は「ウインド」を名乗るヴァンパイアハンターの 幽霊と出会う。 彼によると、現在の城主は本来の「ドラキュラ」ではなく 「ブローネル」というバンパイアで、 彼は絵によって魔力を行使し、悪魔城を支配しているとのことだった。 また、彼は生前身に付けた技を伝授してもいいとのことなので、 以降伝授のための条件を満たしながら(クエスト)、 探索していくことになる。 悪魔城内を探索していくと不思議な絵を発見する。どうもこれが 「ブローネルの「絵」」であるらしい。 シャーロットの解析によると、この絵は魔力の一部に過ぎず、 絵そのものを破壊しても無駄で、魔力を抑えるためには絵の魔力と 同調し魔力の源を破壊するしなかいとのこと。 シャーロットが魔力との同調を始めると、絵の魔力が二人をつつみ、 気が付くと絵の風景の中にいた。 この中に魔力の源があるだろうということで探索を行っていく。 この絵は8つありブローネルの居場所の封印ともなっているので、 同様に魔力の源を叩いていく。 403 :悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス:2008/09/28(日) 17 57 55 ID caQ27Sl70 探索の途中、ステラという女性と遭遇する。彼女はブローネルの娘を 名乗った。当然バンパイアでもあると。 撃破するとこれまたブローネルの娘だというロレッタが現れ瀕死の ステラをかばってどこかへ連れ去る。 彼女らのことをウィンドに聞くと何故か動揺する、問い詰めると ウィンドの正体がモリス一族同様ベルモンド家の分家リカード一族の バンパイアハンターでかつてジョナサンの父ジョニーとともに戦った エリック・リカードであること、ステラとロレッタは彼の娘である こと、さらにもう一つ面倒なことにが発覚。 ジョナサンはベルモンド家より託されていた聖鞭「ヴァンパイアキラー」を 受け継いではいるものの実は使いこなせていない。 本来の持ち主ではないモリス家の者が力を発揮した聖鞭の使用する ことは体に大きな負担となり寿命を著しく縮めるため、父親である ジョニーが使い方を教えなかったためである。その代わりに 多芸だったりもするのだけど。 聖鞭の本来の力を発揮させるためには試練を受けなければならない。 だが試練を与えることができるのはリカード家の者でなくてはできない。 だがエリックは既に死んでいて試練を与えることはできない… つまりステラ、ロレッタの二人をなんとか人間に戻さなくては いけないのだ。 魔力浄化のための魔法「サンクチュアリ」を携え、一か八かでステラ、 ロレッタに戦いを挑み、なんとか浄化に成功。 正気に戻った二人に試練を与えてもらい、鞭の記憶の中の リヒター・ベルモンドと戦いこれに勝利。鞭に認めてもらえた。 開放した鞭を使いすぎるとジョナサンの命を削ることになるが、 とりあえずゲーム内でどうにかなることはないので 「ノープロブレム(注:ジョナサンの口癖です)」 404 :悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス:2008/09/28(日) 17 58 55 ID caQ27Sl70 問題のブローネルを倒すと、今までブローネルに力を貸していた 死神が裏切る。 死神は「ドラキュラ」を復活させるために動いていたのだ。 死神は復活した「ドラキュラ」とタッグを組んで襲ってくる。 形成が不利になるとドラキュラは死神を吸収して「真祖ドラキュラ」 として襲ってくる。 これも撃破、消滅し、また消滅しようとする悪魔城より脱出して終わる。 おまけ ・シスターモード: 悪魔城へ討伐に赴き戻らない父を追って悪魔城へ潜入するステラと ロレッタの話。最後にブローネルに噛まれて吸血鬼化して終わり。 ・リヒターモード: 「鞭の記憶」に出てくるリヒター・ベルモンドと彼の養子 マリア・ラーネッドで悪魔城を攻略する。 本編のようにストーリーは一切ない。 ・オールドアクスアーマーモード : 敵キャラ「オールドアクスアーマー」で悪魔城を攻略。 やっぱりストーリーはない。 とりあえず知っているのは以上です。 408 :ゲーム好き名無しさん:2008/09/28(日) 20 58 20 ID auRVzzIj0 404-405 ちなみに姉妹戦でサンクチュアリを使わないと 「もう迷惑かけないから娘たちをいじめないでくれ」 とブローネルが詫びて姉妹と共に悪魔城から逃亡。 追いかけるジョナサンたちと見送るウインドで終わり。 409 :ゲーム好き名無しさん:2008/09/28(日) 21 49 54 ID auRVzzIj0 402-405 あと真エンドの方。 ジョナサン、シャーリー、ステラ、ロレッタは 崩れゆく悪魔城から無事に脱出。 エリックはようやく娘たちと再開し、二人に礼を言って成仏する。 ジョナサンは忘れていたヴィンセント神父を探しにいくが、 その後ろから神父がひょっこり現われておしまい。 ちなみに神父のゾンビ化を治してないとENDでもゾンビのまま出てくる。
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1195.html
悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス part41-402~405,408,409 402 :悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス:2008/09/28(日) 17 57 06 ID caQ27Sl70 相方がやっていたのを横から見てただけなんで、漏れ、勘違いが あるかもしれない。そして最後の正確なオチがどうしても 思い出せなかったんだけどとりあえず上げてみる。 1944年、第二次世界大戦によって発生した無数の報われない魂により 突如として悪魔城が甦った。 これを察知した教会はベルモンド家の分家モリス家の ヴァンパイアハンター、ジョナサン・モリスとジョナサンの幼馴染で 天才と名高い魔法使いシャーロット・オーリンを派遣する。 悪魔城に侵入した二人は「ウインド」を名乗るヴァンパイアハンターの 幽霊と出会う。 彼によると、現在の城主は本来の「ドラキュラ」ではなく 「ブローネル」というバンパイアで、 彼は絵によって魔力を行使し、悪魔城を支配しているとのことだった。 また、彼は生前身に付けた技を伝授してもいいとのことなので、 以降伝授のための条件を満たしながら(クエスト)、 探索していくことになる。 悪魔城内を探索していくと不思議な絵を発見する。どうもこれが 「ブローネルの「絵」」であるらしい。 シャーロットの解析によると、この絵は魔力の一部に過ぎず、 絵そのものを破壊しても無駄で、魔力を抑えるためには絵の魔力と 同調し魔力の源を破壊するしなかいとのこと。 シャーロットが魔力との同調を始めると、絵の魔力が二人をつつみ、 気が付くと絵の風景の中にいた。 この中に魔力の源があるだろうということで探索を行っていく。 この絵は8つありブローネルの居場所の封印ともなっているので、 同様に魔力の源を叩いていく。 403 :悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス:2008/09/28(日) 17 57 55 ID caQ27Sl70 探索の途中、ステラという女性と遭遇する。彼女はブローネルの娘を 名乗った。当然バンパイアでもあると。 撃破するとこれまたブローネルの娘だというロレッタが現れ瀕死の ステラをかばってどこかへ連れ去る。 彼女らのことをウィンドに聞くと何故か動揺する、問い詰めると ウィンドの正体がモリス一族同様ベルモンド家の分家リカード一族の バンパイアハンターでかつてジョナサンの父ジョニーとともに戦った エリック・リカードであること、ステラとロレッタは彼の娘である こと、さらにもう一つ面倒なことにが発覚。 ジョナサンはベルモンド家より託されていた聖鞭「ヴァンパイアキラー」を 受け継いではいるものの実は使いこなせていない。 本来の持ち主ではないモリス家の者が力を発揮した聖鞭の使用する ことは体に大きな負担となり寿命を著しく縮めるため、父親である ジョニーが使い方を教えなかったためである。その代わりに 多芸だったりもするのだけど。 聖鞭の本来の力を発揮させるためには試練を受けなければならない。 だが試練を与えることができるのはリカード家の者でなくてはできない。 だがエリックは既に死んでいて試練を与えることはできない… つまりステラ、ロレッタの二人をなんとか人間に戻さなくては いけないのだ。 魔力浄化のための魔法「サンクチュアリ」を携え、一か八かでステラ、 ロレッタに戦いを挑み、なんとか浄化に成功。 正気に戻った二人に試練を与えてもらい、鞭の記憶の中の リヒター・ベルモンドと戦いこれに勝利。鞭に認めてもらえた。 開放した鞭を使いすぎるとジョナサンの命を削ることになるが、 とりあえずゲーム内でどうにかなることはないので 「ノープロブレム(注:ジョナサンの口癖です)」 404 :悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス:2008/09/28(日) 17 58 55 ID caQ27Sl70 問題のブローネルを倒すと、今までブローネルに力を貸していた 死神が裏切る。 死神は「ドラキュラ」を復活させるために動いていたのだ。 死神は復活した「ドラキュラ」とタッグを組んで襲ってくる。 形成が不利になるとドラキュラは死神を吸収して「真祖ドラキュラ」 として襲ってくる。 これも撃破、消滅し、また消滅しようとする悪魔城より脱出して終わる。 おまけ ・シスターモード: 悪魔城へ討伐に赴き戻らない父を追って悪魔城へ潜入するステラと ロレッタの話。最後にブローネルに噛まれて吸血鬼化して終わり。 ・リヒターモード: 「鞭の記憶」に出てくるリヒター・ベルモンドと彼の養子 マリア・ラーネッドで悪魔城を攻略する。 本編のようにストーリーは一切ない。 ・オールドアクスアーマーモード : 敵キャラ「オールドアクスアーマー」で悪魔城を攻略。 やっぱりストーリーはない。 とりあえず知っているのは以上です。 408 :ゲーム好き名無しさん:2008/09/28(日) 20 58 20 ID auRVzzIj0 404-405 ちなみに姉妹戦でサンクチュアリを使わないと 「もう迷惑かけないから娘たちをいじめないでくれ」 とブローネルが詫びて姉妹と共に悪魔城から逃亡。 追いかけるジョナサンたちと見送るウインドで終わり。 409 :ゲーム好き名無しさん:2008/09/28(日) 21 49 54 ID auRVzzIj0 402-405 あと真エンドの方。 ジョナサン、シャーリー、ステラ、ロレッタは 崩れゆく悪魔城から無事に脱出。 エリックはようやく娘たちと再開し、二人に礼を言って成仏する。 ジョナサンは忘れていたヴィンセント神父を探しにいくが、 その後ろから神父がひょっこり現われておしまい。 ちなみに神父のゾンビ化を治してないとENDでもゾンビのまま出てくる。
https://w.atwiki.jp/mgntanken/pages/30.html
「年末総決算探検」 こんな言葉がぴったりでしょうか。 久しぶりの登場ですが、今年最後の探検です。 えっ、今までなにをしてたかって? それわ・・・・んーと・・・・ いろいろ忙しかったです・・・。 それでも、今年の最後のUOをこの探検でしめました。 この日の参加者は 知念くん、有須川くん、氷室くん、新城くん、水上くん、錦戸 そして本日新たに入隊した清水くんの7名でした。 ちなみにくさなぎくんは体調不良、 轟くんは「日曜日だから、探検よりスロットでしょ」ということで欠席。 ということで、今回の探検幹事はありすがわくんでしたが 場所はどこかと聞くと、「ラビリンス」とのこと。 んーと、その場所へは騎乗ラマに乗って住まいから1分で着く所です。 あまりにも近いので探検にならないのではないか!? とりあえずは、中に入って軽く黒さそりを倒そうといざっ! 探検隊はEV出しながら、どんどん奥へと進みます。 途中の雑魚を倒しながら黒サソリの場所へ。 何回か倒してるとだれかが「探検ってこれだけ?」・・・・・・・と。 これは一番奥まで行くしかないと、今までルートしたお金やBOXを 一度置いてきてから、再度仕切り直しっ。 しかーーーし、奴らはすごかった。 レプタロンやレンドがくるじゃないの・・・。 自慢じゃないけど、そんなに戦力のない探検隊は続々と幽霊に。 蘇生しても蘇生しても、またすぐ幽霊になる。 辺り一面、死にローブが散乱しているw 一度外に出て回収に戻りたくても、入口の所にレプタロンが待機してる ので、また死亡・・・。 1人が犠牲になり、奥へ引っ張っていったりしながら、なんとか回収。 そこで帰ろうとおもったけど、あまりにもみんな死にすぎてこのままじゃ 悔しいので、やっぱり倒そうと全員でEVやBSなどで攻撃しながら すごーーい時間をかけてレンドを倒しましたw その時に今日の探検を達成したような気分になりました 全員でたくさん死んだけど、それなりに楽しい探検で締めくくることが できたんじゃないでしょうかね。 来年は月1回ペースで出来たらいいなっておもいますっ。 それまでに清水くんのスキル完成するかなぁーw んではまた来年おあいしましょう! 平成 20年12月31日 錦戸 記(転載及び画像追加 新城) 勝手に転載しました。問題あれば私が書き直しますのでよろしくお願いします。 -- ょ (2008-12-31 03 05 16) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1769.html
前世の記憶とかって何か格好良いよね 開け放された控え室のドア。 そこに居たのは、俺の親父・・・正確には親父だった男。名前は山田信善。 「親父、心配いらないって・・・どう言う事だ?」 「筐体の仕掛けは、俺とこいつで行く」 親父が指差した先、親父の肩には、騎士型サイフォスの武装神姫が乗っていた。 「メサイア。俺の助手兼相棒だ」 「よろしく」 メサイア・・・救世主か。沢山の神姫の命を救う点じゃ相応しい名前かな・・・ 「さぁ和章、そろそろお前達の試合だ。行って来い」 「あぁ。親父、頼んだ」 「任せとけ」 俺はタマとオイルを連れて会場へ向かった。 「で、何でなん?」 和章が行った後、晴子が信善に尋ねた。 「何がだ?」 信善は軽く笑みを浮かべながら聞き返した。 「アンタはいつもそうや。知っとるクセしてはぐらかす・・・何で今更戻って来たんか聞いとるんや」 晴子は溜息をつきながらも言い直した。信善は笑みを浮かべたまま和章が出て行ったドアを見つめて言った。 「ちょっと確認にね・・・あの調子じゃ、まだみたいだが・・・」 「確認?」 「あぁ。まぁ、いずれ解るさ」 Bブロック第5試合。つまりオイルの試合だ。 相手は武士型紅緒。装備は標準装備だが、見慣れない刀を装備している。 「刀・・・か。標準武装ならまだいいがオリジナルとなるとな・・・嫌な事思い出すな」 「カズアキ?何か言った?」 「気にするな、ただの妄言だ」 独り言をマイクが拾っちまったか・・・しっかり聞こえなかっただけマシか? 「それより今は目の前の相手に集中だ。負けられないしな」 「わかってるよ!」 「オイルちゃん、がんばって!」 俺とタマの声援を受けながら相手の武士型と対峙するオイル。 次の瞬間には、二人の刀が激突していた。 「・・・この刀、なかなか良いね。でも扱う側がしっかりしてあげてないみたいだね・・・これじゃ刀がかわいそうだよ」 「随分と刀に詳しいのね・・・マスターさんは刀匠か何かかしら?」 「まさか、ただのニートだよ。何でかな・・・別に刀について詳しく勉強した訳でも無いのに、自然と頭に浮かんでくるんだ」 「前世の記憶ってやつじゃないかしら?普通は残らないけど」 相手と何か話しているようだが、打ち合う音でよく聞こえない。 「オイルちゃん、なにはなしてるんだろ?」 「さぁな。あいつが心理戦をするとは思えないが・・・」 タマと俺が疑問に思っている間に、オイルのエアロヴァジュラが相手の刀を弾き、そのまま相手の胸に突き刺さった。 『winner、オイル』 「ただいま」 「お疲れさん」 「おつかれさまー!」 「そう言えばオイル、相手と何話してたんだ?」 戻ってきたオイルに問いかける。 「いやね、刀の事について・・・何か知らないけど色々知っててね」 「そうか・・・いや、まさかな」 「カズアキ?」 「いや、それならいいんだ」 そんな事ありえるはず無いよな・・・きっと偶然か何かだろう。それより今は大会に集中だ。 「あと三回勝てば二回戦進出だ。頑張ろうな」 「もちろん!アースに勝つまでは絶対負けない!」 「おいおい、それじゃアースに勝ったら後はどうでもいいみたいじゃないか・・・」 「ずっとまけちゃだめだよ!」 そろそろさっきの武士型のマスターが連れて行かれる所かな・・・お袋、親父、上手くやってくれよ・・・ 第十九話につづく 第十七話に戻る ネコのマスターの奮闘日記
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1466.html
{2VS2!さぁ、バトル開始だ!!} 「わーい!先輩とラブラブデート!!」 「それは絶対にありえねー」 隣に女の子らしい服とミニスカ姿で座っている婪がウキウキ気分で浮いた話しをしていて、俺はというと愛車を運転しながらツッコミを入れる役になっちまってる。 今日は婪と神姫バトルする日だ。 昨日の夜、俺とアンジェラス達が晩飯を食ってる時に家の電話機が鳴って俺は飯を食う事を中断させられた。 渋々電話を取ると『先輩ー♪明日は日曜日だし、バトルしましょー!』という感じに言われた。 言うまでもないが、声の主は婪だ。 怠いので『嫌だ。じゃあな』と言ったら今にも泣きそうな声で『お願いです~!バトルしてください~!!じゃないとあたし死んじゃいますー…』とか返事された。 婪に泣かれると後々面倒なので、仕方なく俺は了解しちまった訳で今の状況にある。 「ネェネェ、先輩♪」 「なんだ?」 「このまま愛の逃避行しよ!そして二人で人気ない山奥でひっそり暮らしましょう!!」 「それなんてエロゲー?つーかぁ、せめて普通に暮らそうぜ。山奥とかだったら生活するのに苦労しそうだし」 「じゃあ、逃避行してくれるの!?」 「んな訳あるかよ、バーカ!」 「ブー!先輩の意気地無し…」 「今ここで下ろされたいか?」 「冗談、冗談!冗談だって先輩!!」 冗談に聞こえないんだよ、お前が言うと。 ため息をつき、後ろの席をチラッと見る。 そこには嫉妬に燃え上がるような目で俺と婪を見る俺の神姫達。 …なんかちょっと怖いなぁ。 そんなに睨む必要ないじゃないよ。 相手は男の婪だぜ。 嫉妬する理由が見つからん。 はぁ~、なんかバトルする前に疲れそうだなぁ。 「あ、そういえば。婪は確かハウリンとマオチャオを持っていたよな。あの文化祭で見た奴」 「藍と錬の事ね。ちゃんとここに居るよ」 婪がそう言うとヒョッコリと胸ポケットから顔を出す藍と錬。 藍の奴はなんだか俺に向ける視線が敵視してる目だった。 そうだ、あいつは文化祭の時に俺の右頬に蹴りを決めて奴だ。 ただちょっとつまみ上げたぐらいで普通やらるかな。 おっと。 神姫センターが見えてきたな。 車を駐車場に入って、とっととバトルを済ましちまおう。 そして俺は車を駐車場に止めて外に出た。 俺の神姫達は両肩に二人づつ座る。 もうこのスタイルが定着してるみたいだ。 「ほら行くぞ」 「はーい、先輩♪」 婪はルンルン気分で俺の右腕に抱き着く。 …ヒッジョ~に歩きづらいんですけど。 「婪、早くはな」 「離しませんよ。あたしは先輩の事が大好きなんですから」 俺が言い切る前に言われた。 「…はぁ~。もう勝手にしろ」 「はーい♪」 ったく、しょうがない奴だ。 まぁ、周りからはバカップルが入って来た、と思うぐらいで終わるだろうからあんまり目立たないだろう。 婪の奴は確かに男だが、容姿は美人で可愛い女の子だ。 オタクの俺が『萌え』という単語を使いたいぐらいの容姿なのだ。 だから、ホモだと思われる事はまず無いだろう。 俺はそう思いながら神姫センターに入った。 だが、ここで俺は大きな間違いをしていたに気づかなかったのだ。 神姫センターに入った途端に他の奴等から注目の目線を浴びる。 しかも見てる奴等の表情が驚きや羨ましいそうな表情だった。 何故だ!? そんなにバカップルが珍しいのか!? 「先輩、先輩♪」 「ん?」 「先輩のランキングは?」 「ランキング?」 「先輩…もしかして知らないですか?」 「知らん。ていうか、神姫にもランキングがあるんだぁ」 「ありますよ」 ヘェー、初めて知ったぜ。 やっぱり勝った順位なんだろなぁ。 少し気になる。 「それは何処で解るんだ?」 「受け付け近くにある電光掲示板で分かりますよ。ほら、あそこにある大きなディスプレイです」 婪が教えてくれた場所には確かに天井に吊されている大きなディスプレイがあった。 …なんで気付かなかったんだろう。 所詮、武装神姫のオーナーでも俺はバイト感覚だから最終的に勝てばいいと思っていたからなぁ。 どうでもいいと思ったものは興味しめさないからなぁー俺は。 まぁ、今は気になるから見て行こうか。 俺は婪を連れてディスプレイが見える位置に移動した。 そしてディスプレイに映る画像を見る。 そこには色々なオーナーの名前と所持している神姫の型と名前が書いてあった。 ふーん、成る程ねぇ~。 これで確認して順位を競う訳かぁ。 「先輩のオーナーの名前は?」 「…天薙」 「『天薙』先輩、そのままですね」 「別にいいだろ、順位なんてどうでもいい、て思ってたんだから」 ちょっと後悔したなぁ。 どうせならもっとカッコイイ名前にすれば良かったぜ。 「天薙はぁ~…。あっ!ありましたよ先輩!!」 「何処だ?」 「ほら、あそこです。左上にあります」 婪が人差し指で教えてくれた。 そこには確かに『天薙』と書かれていた。 順位は18位。 う~ん、18位って凄いのか凄くないのか解らん。 「凄いです先輩!18位じゃないですか!!」 「凄いのか?」 「だってここの神姫センターでも数百人以上いるんですよ。凄いに決まってるじゃないですか!」 「ヘェー、そうなんだ。因みにお前は何位?」 「あたしですか?一番左上です」 「一番左上…ナッ!?一位じゃんかよ!」 「エヘヘ、もっと褒めてくださーい。これでもファーストランカーなんですよ」 マジかよ。 こんなまじかに凄腕が居たとはなぁ。 あーなる程、解ったよ、どうしてこんなにも俺等が注目される理由がさぁ。 原因は婪が武装神姫で凄腕有名人だからこんなに注目されるんだ。 しかも姿が女の子で可愛いから更に男を引き付ける。 「早く闘いましょー」 「あ、おう。そうだな」 婪の奴は早くバトルしたくて待ち遠しいみたいだ。 待たすの可哀相だし早めににバトルしてやるか。 俺と婪はバトルする筐体に行きお互い筐体を挟んで向かい合う。 「今日のバトルは2VS2です。先輩の神姫は四人いるので、そのうちの二人を選んでください」 「へいへい」 2VS2かぁ。 チーム戦はやった事ないから経験者の婪の方が経験値が高い。 今回は結構辛い闘いになるかもしれない。 俺は自分の神姫達を見る。 するとアンジェラスは右耳にコソコソ言った。 「ご主人様、今回のチーム戦で本当にグラディウスを使ってもいいのでしょうか?」 「あーその事ね。大丈夫、思う存分に使え。昨日の夜に言った通りだから」 「はい!」 「それとクリナーレ、ルーナ、パルカ。お前等に渡す物がある」 そう言って俺は首に掛けてるネックレスを外し更にネックレスについてるペンダントを外し、外したペンダントをクリナーレ、ルーナ、パルカに渡す。 『これはいったい何?』てな感じで見てくるクリナーレ達。 アンジェラスの場合、前の闘いで渡して使用してもらってるから別に驚いた表情はなかった。 「こいつはお前等を守ってくれる武器だ。バトルに入れば使い方が自然と解るようにシステムされてるから安心しろ」 「ヘェー、こいう武器も作れるとい事はアニキってやっぱり頭良いんだ」 何、そのいままで俺は馬鹿だって言いたいのか? まぁここで怒ってもしょうがない。 バトルチームを考えないと。 「チーム編成は…双子編隊でいくか」 「双子変態!?お兄ちゃん、私達は変態じゃありません!」 「馬鹿!漢字が違う!!」 パルカの奴、酷い勘違いもいい所だぞ…まったく。 「アンジェラスとルーナの天使型チーム。クリナーレとパルカの悪魔型チーム、てな感じで双子編隊と言ったんだ」 「うわ、なんにも捻りもないチーム編成ですわね」 「ストレートに言ってくれるじゃんかよ、ル~ナ~」 「「「「アハハハッ!」」」」 まったく、ルーナは俺をからかうのが好きでどうしようもない奴だ。 でもまぁこうやって緊張感をほぐしてもらうのもいい事だ。 「さて、それじゃあ先発はどっちのチームでいこうか?」 腕組みしながら考える。 チラッと両肩をこうごに見ると、俺の神姫達は『私のチームを選んで!』オーラが見える。 これは慎重に決めないとなぁ。 アンジェラスは万能型でルーナは中距離型。 アンジェラスはどんな状況でもルーナのバックアップが出来るし、一番のバトル経験者だ。 ルーナの奴もヒット&ウェイを得意とするから案外良いコンビネーションが出来そうだ。 そしてクリナーレは近距離型でパルカは遠距離型。 クリナーレの場合、近距離の打撃、斬激、貫通を得意とするから高いダメージを敵にあたえる事が出来るが隙が多いから反撃をクラウ事もあるかもしれない。 でもそこでパルカの遠距離型が役に立つ。 もしクリナーレがしくじってもパルカがバックアップすれば相手の攻撃を阻止出来る。 運がよければ相手にダメージを与える事もできるかもしれない、バランスがとれてるチームだ。 …さーと、どっちのチームを先発にするか。 「天使型チームにしよう」 「悪魔型チームにしよう」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1645.html
・・・。 「・・・・・・」 ぽかーん、と。進入口を前にして、マーチは突っ立っていた。 「えーっと。そういうことになっちゃった。気楽にやってみよ? マーチ」 ヤヨイは笑いを浮かべて、その後ろに座っている。自分のポケスタの中に一緒に仕舞っていた小さな箱を取り出して置く。 ごとん。 「ノーヴスと、バトルするんですか?」 「あ。やっぱり嫌かな?」 「いえ・・・。その、ちょっと楽しみです」 てへへっと笑いながらそう言って、マーチはぐっと手に力を込めて見せた。 「私、武装神姫です!」 対面の席に座るレオ。ノーヴスはのそのそと、ようやくポケスタから体は出した。 ふらりっと立ち上がると首をぷんぷんっ、と左右に振る。合わせて羽根飾りが揺れて、肩に引っかかった。 「マスター・・・ありがとうございます」 「?」 「彼女とは・・・。戦ってみたかったから・・・」 眠そうな目のまま、彼女は笑った。 「へぇ。珍しいね、ノーヴスがそう言うなんて」 「はい。良い風を、感じました」 そう言いながら。ポケスタの小物入れから、何やら紙に包まれた長い棒を取り出す。 「神姫としてではなく。『武装神姫』として・・・彼女がどんな風を吹かせるか・・・知りたいのです」 じっと。その言葉の意味を介しているのかは解らないが、レオはノーヴスを見据えていた。 「私も・・・えぇ。武装神姫、ですから」 「・・・うん、がんばって」 「行って。参ります」 ・・・。 高低差のある石畳と階段。そこは遺跡のようなステージだった。いわゆるジュビジーのノーマル武装に身を包んだマーチは、その両手で大きな木製ハンマーを携えて周囲を見回す。 キュベレーアフェクションには一個だけ箱状のOPT-γと呼ばれるパーツが付いているが、他は純正パーツそのまま。大きく広がった羽のようなユニットが作り出す、自分の大きな影を踏みながら、マーチは歩みを進めた。 がっしょ、がっしょ。と、一歩進むたびに大きな足音が鳴る。だが、それは明らかに・・・。 と、足を止めて。マーチは体を屈めた。通路の向こう側から、対戦相手となる神姫がゆっくり身を揺らせて近づいてきていた。 『STOP !』 コンピュータボイスにノーヴスも足を止めた。数個のパネルウィンドスが空中に表示されていく。 眠そうな目を、一度閉じる。その膝から下、そして胸と腕にはサイフォスが誇る装甲。しかしながら軽装モデルであり。他の部位・・・腰回りや袖には何も装備していない。左腕には小さな盾が装備されており、そこにサイフォスモデルのデフォルトソード『コルヌ』が差し込まれていた。 「マスター。アレ」 コンピュータがお約束の注意事項を表示したり、互いに違法パーツなどが無いかを検索している間。マーチはぽつっと呟く。 『うわ、カッコいい。さすがサイフォス。軽装もいいなぁ』 「えええ、そうじゃなくてー」 耳に直接入ってくるマスターの声。わくわくしている事を隠さないヤヨイに、マーチは困ったような声を上げる。 「ノーヴスの背中です」 見れば、その背中には、長い紙包みを背負っている。 「あれ、何だと思いますか?」 『うーん?』 「・・・」 『秘密兵器とか』 ・・・。 「やっぱり、そうですよね」 ヤヨイのそういう夢見がちな物を肯定してしまうマーチ。 『よしっ、マーチ。アレを使わせたら勝ちにしようよ!』 「あ・・・はいっ!」 彼女達なりの『ルール』だ。 だって、普通にやっても彼女は『勝てない』から。 『GET READY』 くるくるっとコンピュータグラフィックが回転して消えていくと、ぐっと姿勢を低くする。 そして、普通にやって『負けない』。けど、それは『負け』になってしまう『負けない』だから。 ノーヴスはコルヌの柄に手をやり、抜き放った。 『BATTLE !』 がしょん、という音を立てながら。マーチはキュベレーを前面に展開する。こっちから飛びこむ気は最初から無い。 だって、そんな事をしたら・・・。 「・・・。これより!」 澄んだ声が凛と響いた。 (ノーヴス?) 先までの、のんびりとした声ではない。 「此処にあるは戦士の魂。そのいずれにも・・・」 かっ、と。目を見開き、コルヌを中段に構えなおすと、ノーヴスはマーチを鋭く睨みつけた。 「精霊の祝福が。あらんことを!」 そう言い終わるや否や青い鎧は視界から消えていた。いや、消えつつあった。何とかそれを目で追う。 自身の身の丈の数倍の高さの位置、右上方に跳躍すると。そこにある柱を一度足場として、三角飛びの要領でノーヴスは側面からマーチに落下するように接近する。紫色の髪留の羽根飾りで軌跡を描きながら。15cmの小さな神姫だからこその、アクロバティックな強襲。 「う。わわっ?」 真正面から飛び込んでくるとばかり思っていたマーチは、その派手だが的確なアクションに慌てて体の向きを変えた。 キュベレーアフェクションの「爪」がマーチの視界を覆うように展開する。ふっと眉をひそめたが、ノーヴスはそのままコルヌを振り抜いた。 響く低い音。しかし、弾かれたのはコルヌの方。 文字通り、勢いごと跳ね返され、ノーヴスは左手を支点にしながら着地した。HIT表示は出るが、ダメージアラートは表示されない。 全部、受けきったという事。 ノーヴスがはっと気づけば、マーチがハンマーを振り上げていた。 「えーいっ!!」 しかし文字通りにそれは『遅い』。その軽装よりも軽い鎧で、ぱっと後ろに下がってそれを容易く回避する。 「あっ」 どかんっ! めり込む先端。舞い散る破片。 振り下ろした勢いは止まらず、木製のハンマーは地面をしたたかに打ちつけた。それに呼応するようにノーヴスは再度、軽い足音だけしか響かせずにマーチに接近した。その動きは重いという印象のある騎士ではない。まるで、木の葉のようにふわりっ・・・と。 慌ててマーチはアフェクションで前を視界ごと全部塞いだ。だが。 一際大きな、だんっ! という音。 それは踏み込みの音。その刹那の後に。 「わぁっ!?」 耳を劈く重低音が衝撃を伴ってマーチに襲いかかる。その動きに似つかわず、斬り払いの一撃は凄まじく重くて。 それでも、彼女は一歩さえ下がる事は無かった。 (固い。・・・いや、これは。固いといよりも・・・) ノーヴスは僅かながら手が痺れるのを感じていた。 とんっ。と展開が遅れたキュベレーを蹴って間合いを開ける。先と同じようにハンマーが今までノーヴスがいた所に上段から振り下ろされ、音を立てて地面を叩いた。 「うぅ・・・」 困ったようにそれだけ呟くと、マーチはその石畳にヒビを入れたハンマーを再度持ち上げて、腰を落として体制を整えた。 がしゃ。 一歩前に出る度に聞こえる音。それは足音だ。それが『何』を意味するか。ノーヴスは考えて少々ぞっとした。 その姿勢は防御だけを考えている。防御の後に攻撃を出来ればいいな、くらいの気持ちなんだろうか。 などと思考していると。 「えいっ!」 いつ、どこから取り出したのか、マーチの手に銃が握られていた。 (!) しまった。 銃声に、ダメージを覚悟したのは一瞬。その弾丸はノーヴスの右肩の・・・結構離れた場所を掠めていった。 「あれ?」 OPT-γに隠していた、文字通り隠し玉。「隠し弾」だったのだが、それはあっさりと明後日の方向に飛んで行った。 『チャンスだよマーチ! 相手が止まってるんだから!』 「は、はい」 ヤヨイの声に慌てたマーチはそのハンドガン、FBモデルのピストルを二発、三発と速射した。が、そもそも当たる軌道ではなく。既にノーヴスは横飛びでそこにはいない。 もはや、筋金入りの下手さである。 「うわ、わ」 急いで構えたまま追いかけて、そっちに銃口を向けようとするが、そこには困った事に自分のキュベレーの羽根。そして。爪の間の視界に映る青い影。 「わ。ひっ!?」 がつん! ピストルを取り落す。耳が痛くなるような音。思わず目を閉じる強烈な衝撃。ぐぐっ、と。そのまま押し込もうとする力の圧迫。 だが、マーチは下がらない。それどころか、そのまま圧力の方に一歩踏み出した。 「んううー・・・っ!」 ずんっ。 という、足音を残して。 爪の間から見えるノーヴスの顔が驚愕に染まる。 だけど、この状態では何もこちらからは攻撃できない。ハンマーは振れないし、ピストルを拾っても間抜けにも自分の「盾」に阻まれてしまう。他のジュビジーならそれこそ、アフェクションで攻撃するだろう。 (けど・・・) だから、マーチは頑張って『押す』事にした。 「ぇー・・・いっ!」 ずんっ・・・。 「えーいっ!」 ・・・ずしんっ! 一歩、また一歩と押していく。それは二歩めから「圧す」に変わっていた。 「っ!」 返されて膝と肘を畳んでしまったノーヴスが、ばっと後ろに飛びずさる。 ガ、ガコン。何かが噛み合うような低い音と共に。ゆっくりとアフェクションを定位置に戻して、マーチはきょろきょろと周辺にその影を探す。やがて、彼女はその青い影を遺跡の柱の上に見つけた。 「いつの間に・・・。速いなぁ」 心底茫然として、そう呟きながら、その数分の一の距離でもピストルを当てる自信の無い彼女はまた姿勢を低くして動きを止めた。 「なんという」 『うん、まさに種の殻だ』 感心したようなレオの声。 「えぇ・・・素晴らしいですね」 打ち込みの威力に自信が無いわけではなかった。 だが、自分の・・・サイフォスである自分の渾身の一撃は。そのジュビジーの足を1センチ下げる事さえ出来なかった。 「・・・あのアフェクションは、攻撃しないようです。出来ない、と言った方が良いでしょうか。それに」 『ノーヴス?』 「・・・。はい」 『君の予想通りだと思うよ』 全幅の信頼を寄せられている。と身に感じる言葉。 「・・・」 ノーヴスは数秒何か考えていたが。 「う・・・っ?」 ぐら、っと眩暈に似た感覚を覚え、眉を顰める。 「・・・」 首を振ると。彼女は意を決したようにコルヌを左手に持ち替え、背負った紙の包みを右手に携えた。 「あ・・・マスター、使いますよ、ノーヴス」 『うん、『勝ち』だけど、気を付けてね』 「はい!」 ぱっ、とノーヴスが柱から飛んで逆方向の瓦礫に音もなく着地する。その軽業に驚きつつも、そっちに体を向けた。 真正面。 ノーヴスは紙の包みの封を切って翻す。と、そこから姿を見せたのは。 「?」 思わずマーチは首を傾げた。 青い鎧、金の縁取。美しく気高い騎士型の右腕。そこに握られた物。それはとてもじゃないが、似つかわしいとは言い難い物。 血を思わせる赤と、黒。槍と剣の中間ほどの長さの柄。そして、その先端には歪な曲線を描く、二つの刃が組み合わさった不気味な剣身。 「あ。アングルブレード?」 そうだ。あの刃の部分はアングルブレード。悪魔型ストラーフの主力格闘武器だ。それを二本組み合わせている。 でも、どうしてあんな・・・。 「エエンレラトゥラーノ」 妙な単語を、ノーヴスが口にした。 「ヤウヤウッテ」 どこか、知らない国の言語なのだろうか。などと考えるは一瞬。ノーヴスはその黒い刃を一振りすると、マーチに飛びかかった。 あの剣が何かは解らない。だけど。アングルブレードなら。 (止められる!) 両のアフェクションパーツを前面に集中させる。 一刀目。左手に握られたコルヌの一撃が大上段から振り下ろされる。これまでよりも更に大きな衝撃がマーチを襲った。 「ううっ!」 しかし彼女は片目を閉じながらも両足をしっかりと踏みしめ、それに耐えきる。 二撃目。あの黒い刃を、ノーヴスは袈裟に振りかざしていた。 「ザイルドバルハっ!」 空気を引き裂く裂帛の気合。共に振り落とされる漆黒の剣。 耳が痛くなるような轟音が近くで炸裂した。 破片が舞うのが見えた。が、マーチに衝撃が伝わってこない。 何が起きたか理解できないまま。視界は変化していく。そんなつもりはないのに、視線が上へ上へ向かって行き。右足が前に前に行ってしまう。 「わっ! わっ? わわわっ!?」 腕をぶんぶんと振るが、虚しい抗いに過ぎず。 がしゃーん・・・! マーチは凄い音と共に。その場に仰向けで引っくり返っていた。 「あいたた・・・」 頭をぶつけてしまって、それを擦るヒマもなく。 すっ、と。顔の横に、刃が差しだされる。 「あ・・・」 涼やかな視線に眠たそうな感じはない。ノーヴスは小さく笑みを浮かべながら、じっとマーチを見据えていた。 「・・・あは。・・・負けです」 こちらも困ったように笑って。マーチは降参を宣言した。 最初はコンピュータも困っていたようであったが、しばらくして。笑うドクロのマークがマーチの体の上で回り始めた。 ちらりと見れば。黒い刃が抉ったのは自分の足元。そう、右足のあった場所・・・足場にしていた所だ。 凄まじい斬撃の痕跡が残り、散らばっているのは遺跡の土台、石畳の破片。 (そっか・・・) その『重さ』が、仇になった事を理解して。 双方ともに、ダメージはゼロ。一度もダメージアラートを表示すること無く。バトルは終了した。 2037の彩 彩・第一話 第四幕
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/662.html
春の足跡も聞こえてきそうな二月の下旬 暖冬だ? つってもまだまだ寒いんだよ! と、いうわけで冬に向かって逆ギレしながらベッドの中でぬくぬくと惰眠を貪る事にしていた俺なのだが… いきなり俺の部屋に入ってきた香憐ねぇに毛布までひっぺがされたかと思うと「兼房様がお呼びです」の一言と共に香憐ねぇの愛車で朝の国道を突っ走り、腕をつかまれて引きずられるがままに鳳条院グループ本社ビルまで拉致られていた 社員用とは別の特殊エレベーターまで俺を押し込むと最上階である四十階のボタンを押す香憐ねぇ まだ少し寝ぼけていた俺の頭もゆっくり覚醒し始め、ある疑問に行き着いた 「なぁ、香憐ねぇ…最上階は社長室だろ?」 「はい、そうですが」 「いや、俺を呼び出したのは御袋じゃなくてジジイなんじゃなかったか?」 普段社長室にいるのはジジイじゃない ジジイはグループの総帥であり、社長は別にいる では誰が鳳条院グループの社長なのか 今の会話からもわかるかもしえないが………俺の母親だ つまり社長室は俺の母親のオフィスとなっているはずなのだ 「伊織さん…いえ、社長はただ今会議中です。ですから兼房様は社長室をお使いになるのだろうと…」 最上階に到着 社長室の扉を開け、俺を中に入るよう促しながら香憐ねぇは先ほどの言葉を続ける 「ここ、鳳条院グループ本社においても博士の研究フロアと会議室と社長室の三つは最重要箇所です。他とは別格のセキュリティーですからね…」 …つまり俺を呼び出したのは結構重大な話があるって事なのだろうな 「んで、肝心の爺さんがいないんだが…」 「そう…ですね…」 香憐ねぇも困惑気味である 社長室は見事なまでにもぬけの殻と化していた 「わしならここにおるぞ?」 部屋を見渡していた俺たちに聞こえたジジイの声 しかし今だ姿は見えない 「ふぉふぉふぉ、ここじゃよ。ここ」 と聞こえた瞬間、部屋の奥にある社長椅子がぐるりと回る しかしそこにも爺さんの姿はない だがその椅子には景色が揺れるような違和感があった 「もしかして………ステルスか?」 「正解じゃ♪」 まるで椅子の上に転送されたかのように爺さんが現れる SFじゃないんだからよ…… 「どうじゃ? わが社の新技術、『ミラージュコロイド』じゃ!」 ついにボケたかこのジジイ… 「……なにが新技術だ。思いっきりパクッてんじゃねぇか…」 「心配するな。ちゃんとあちらさんには許可を取っとる。それに斗小野グループの國崎技研との共同開発品じゃ」 ほぅ、斗小野グループ…國崎技研…… 斗小野グループといえば昔、俺がまだ本家にいるときに無理やり出された社交界かなんかで斗小野会長に挨拶したことがあったな たしか俺より少し年上の孫娘を連れて来てたっけ… それに國崎技研… ファーストランカーの國崎 観奈ちゃんには俺も面識がある 彼女のお父さんの会社だ 「バーチャルとは違う。つまりはリアルリーグでも使えるというのが売りじゃ!」 「………そんで? それを自慢したかっただけなんて言うなよ。もしもそうなら実の祖父といえど、すぐさま葬式屋のお客にしてやるぜ?」 「心配するな。わしが棺桶に入るのはお前がこの会社を継いだ後じゃからな。ふぉふぉふぉ!」 口の減らないクソジジイが…… 俺が本気で仏様にしてやろうかと思っていると可憐ねぇがため息混じりに俺達の仲裁に入った 「兼房様…そろそろ本題に入られては…」 「香憐ちゃん、続きは私が話すわ。呼び出したのはお父さんだけど用事があったのは私だからね…」 そう言ったのはいつの間にか俺と香憐ねぇの後ろにいた… 「社長」 ここのトップである俺の母親、鳳条院 伊織 その人であった 「久しぶりね、明人……」 俺の母親だ、実際の年齢はソコソコになるんだろうが…どう見たって香憐ねぇより年下に見える 下手すりゃ葉月より少し上程度…我が母は若々しいの度を越えて…子供っぽかった (何故かマイスターを連想するのは俺だけか?) (いえ、社長には申し訳ないですが…私もです明人様…) 「もぅ明人! 聞いてるの?」 「ああ…っても、葉月の誕生日のときに顔出しただろう?」 「だってだって! あの時は私に挨拶もしてくれなかったじゃない!」 ぷんぷんという擬音が恐ろしいほど似合うような頬の膨らまし方をする御袋… ヤメテクレ…マジデハズイデス… 小学校のときの参観日の記憶がフラッシュバックする 「だったらそっちから挨拶でも何でもしてくりゃいいじゃねぇか…」 …なんだか頭が痛くなってきて俺は左手を額に当てた 「それは……はづちゃんの邪魔しちゃ…悪いじゃない…」 今度は小さな声でブツブツと何かを言いながら拗ねだした アンタホントに俺の親ですか? 「社長、お話がそれていますよ…」 またしても新たな声 その声の主には俺も香憐ねぇも予想はついていた そりゃそうだ、御袋とこの人はワンセットだからな… 「桜さん」 「お母さん」 「お久しぶりです若様。香憐も…」 香憐ねぇのお母さん、水無月 桜さんである 御袋よりも歳を取って見えるものの、それでも十分に若く見える(御袋が幼すぎるんだ…) 着ているレディーススーツも香憐ねぇの母親なだけあってバッチリ似合っている(ちなみに香憐ねぇもレディーススーツだがパンツスタイル、桜さんはスカートスタイルだ) 香憐ねぇの実家である水無月家は昔からウチの家、鳳条院家に仕えてくれている 香憐ねぇのお父さんも爺さんの専属執事として働いてくれているんだわ まぁ昔といっても爺さんが事業に成功してからなのだが…それでも両家の関係は深い 俺と香憐ねぇも姉弟のような関係だが… 「あ、いつの間に…ごめぇ~ん。ありがとね、桜」 「はぁ…いつものことですから」 この二人の関係も主人と従者と言うより無二の親友という風に見える そりゃそうだ 生まれたときからの幼馴染で小中高、さらには大学まで一緒というほどの年月を共にしているんだからな この母親の性格でこのどデカイ会社のトップを切り盛りできているのは有能な秘書である桜さんのサポートあってこそなのだろうとしみじみ思うぞ… ホントお世話になってます…桜さん… 「オホン! それでは本題に入ります…」 いまさら社長っぽく締めようとしてもムダな気がするぞ御袋 「明人、この時期になって貴方を呼んだことに思い当たる節はない?」 いきなりの質問である そう言われてもこちとら朝っぱらから香憐ねぇに拉致られてクタクタな訳だ いきなりそんな漠然とした質問されても答えがすぐに出るわけがない 「なんだよ藪から棒に…わかるわけねぇだろ…」 ぶっちゃけ俺、ただ今不機嫌 それにより口調がいつもより二割り増しで厳つい… 「う~ん…それじゃぁヒント。武装神姫関係」 「…………『武装神姫お花見ツアー』の企画会議?」 やる気なさげに思いついたことを言ってみる 言っておいてなんだがここは技術会社…そんな旅行ツアー計画あるわけないよな… 「…………あなたホントにファーストランカー? ってかホントに我が愛しの息子で鳳条院の次期跡取り?」 がっくりと肩を落とす御袋 「ずいぶんな言い草だなオイ…それにその二つは関係ないだろうが」 だいたい俺は継ぐ気なんかねぇし…… 「あるわよぉう;知ってるでしょ? 鳳凰カップ!」 痺れを切らして答えを述べる御袋 最初からそうしろよ…… ん? 鳳凰………どっかで聞いたような……… 「…………………………あぁ、アレね」 「そう、アレよアレ………」 《鳳凰カップ》 2035年から始まった鳳条院グループ主催の武装神姫バトルカップだ 会場は鳳条院グループ本社ビルから近いイベント広場 春と秋の年二回開催されていてそれぞれ〈春の陣〉と〈冬の陣〉と呼ばれている 会議中、発案者であるジジイがグループ役員に『何でこの時期なんですか?』との質問に対して… 『夏コミと冬コミに被らないからじゃ!!!』 …と、高々と宣言して全員を納得させたエピソードは社内や身内でも印象深かった それはさておき バトル形式は全試合バーチャルバトル 抽選によりA~Pまでの十六組に分かれての予選リーグ そこからは予選リーグを勝ち抜いた者達による決勝トーナメントだったっけ 毎年上位優勝者には多額の賞金と豪華副賞が送られる 確かテレビ中継もやっていて特番も組まれたりするんだっけかな? なんにせよメディアからの注目をバッチリ受けるもんだからランカーとして名声を受けることに憧れる神姫ユーザーや神姫にとっては登龍門となっているとか何とか… 武装神姫関係の各企業や研究所、私営の神姫ショップなんかと協力して企業ごとのブースを設けることで、バトルをしない神姫ユーザーにとってもお祭り気分で楽しめることもイベントの売りのようだ… 何にせよ鳳条院グループ社内総動員の一大プロジェクトなわけで、それも今年で三回目の〈春の陣〉を迎えようとしている ちなみに〈春の陣〉の日程は三月の中頃だそうだ 「そうえば若様は前年度も前々年度も鳳凰カップには参加しておいでではなかったですね…」 と桜さん 「確かにそうですねぇ…」 とうなずく香憐ねぇ 「なんでぇ!? なんで明人は出てくれないのぉぉぉ!!?」 「そうじゃそうじゃ!!」 「あぁ~止めろ! 御袋、抱きつくな!! ジジイは煽るな!!」 俺は腰の辺りにへばり付いて喚く御袋に悪戦苦闘中… 俺がこの大会に出ない理由は至極簡単 あれだよ、夏祭りで自分の家が出した夜店に誰が客としていくと思う? そりゃ誰もいかねぇわな普通… 「つか、そういうのって関係者は参加禁止だろうが」 「そんなもん関係ないわい!!」 ………い、いやいやいやいやいや!! 関係あるだろ!!? 「無論、香憐も葉月も昴もじゃ。ついでにアル嬢ちゃんとエリー嬢ちゃんもええぞ?」 ジジイの一蹴で俺、以下、いつものメンバーの参加は許可されてしまった…… それでいいのか鳳条院グループ!! 「と、いうわけで私たちの鳳凰カップ参加が許可されました」 時間は飛びに飛んでお昼前 あれから香憐ねぇは俺を引きずり二十二階、博士の研究所フロアへ移動 パソコンでデータ整理をしていたアルティと博士にお茶を出していたエリーの二人を拉致るなり俺共々自分の愛車に乗せて、来た道を華麗なるドライビングテクニックでスピード帰宅したのだった 途中で四輪ドリフトかましたときは流石に死ぬかと思ったぞ… んで、我が家に帰ってみると何故か昴と葉月がリビングで茶を飲みながら話していた 二人とも香憐ねぇに呼び出されたのだとか 何がなんだかわからないうちに俺の家にはマスターとその神姫たち…(葉月の前なのでインターフェイス組も全員神姫素体)が勢揃いしているこの状況…それから 「あっ」 っという間に香憐ねぇはアルティ達に今までのことをズバッと説明 「面白そうじゃねぇか」 話が一段落してから始めに口を開いたのは昴だった 「香憐ねぇ、言うなればお祭り騒ぎ&腕試しってこったろ?」 「まぁ、そのようなものですね」 それを聞くとニヤリと笑いランを見ながら昴は言った 「その鳳凰カップとやら、俺とランは参加するぜ。ラン、いいよな?」 「ええ、昴さんがそういうのなら……」 まずはアッサリと参戦決定の昴&ランスロット ペア 「ランスロットが出るとなれば手前も出ねばなりますまい…よろしいか、姫君殿?」 「う~ん…私は本来、会場運営を手助けしなければならないんですが…」 少し考え込む香憐ねぇ………だが 「お許し…いただけませんか?」 「………でも、兼房様からの折角のお許しが出ましたし………出てみますか、孫市」 少ししょんぼりした孫市の視線に数秒で陥落、香憐ねぇ&孫市ペア、参戦決定 「レイア、私達はどうする?」 「え?…あ、その………私は…参加してみたいです」 少し赤くなりながらも控えめなレイア 「そだよね! 燃えるよね! よっしゃ! いいトコ見せるぞ!!」 誰に? と聞きたくなったが香憐ねぇに拍手されている葉月はいつの間にか熱血お嬢様キャラと化していた…… これほど我が妹に声を掛けづらかったことはなかったぞ 世間で言う『妹萌え』ならぬ『妹燃え』とはコレいかに… 葉月&レイア ペア、参戦決定 「ふっ、負けてはおれんな。ミュリエル、私達も…って…ミュリエル?」 いつの間にかいなくなっているミュリエルを探し周りを見わたすアルティ そりゃいないわな…だってお探し中の相棒は何故か知らんが俺の前にいるんだから… 「ど、どうかしたのか? ミュリエル」 そう問いかけてみた俺にミュリエルは自分の小さな拳を頭の上に掲げ 「………ミュリエル…勝つ…」 と、気合満々の意気込みを見せてくれた それはいいんだが……え~っと………何故俺に? 「ミュリエル…お前…」 その一部始終を黙って見ていたアルは困惑気味の表情 アルの声に振り返り、ミュリエルは一言… 「…アル…戦場はいつも非情…」 なんだか少し挑発的に感じたのは俺の気のせいなんだろうか… アルティ&ミュリエル ペア参戦決定 「エリー、お前はどうするんだ?」 「ん~、僕らはいいよ。あの子達はあんまりバトルは…ね。それよりもお祭りを回らせてもらおうかな。他の企業の新作とかも出るみたいだし」 にっかりと白い歯を見せながら笑うエリー 「明人はバトルカップに出るんでしょ?誰でエントリーするの? やっぱりノア? それともミコ? あ、ユーナの経験値稼ぎにはいいかもしれないね~」 なにやら一人で勝手に話を進めておられますな… 「いや、俺は出る気はない」 と、言うことで明人&ノアールorミコorユーナ チーム、不参加決…… 「「「「え、ええぇぇぇ~~~~~!!!??」」」」 一斉に騒がしくなる橘家リビング… 「ちょ、待てよオイ! どういうこった明人?」 「何故だ! 何故お前らが出んのだ!?」 「明人様…まさか、メンドクサイ…なんて言いませんよね?」 昴には詰め寄られるわ、アルには胸倉つかまれるわ、香憐ねぇはお説教モードになりかけるわで散々だなぁ俺… つぅかアル! ちょ、顔近いって!! 「どういうことだ? アニキ」 「私もバトル大会でたいよぅ~;」 「私は別にかまいませんが…」 三人それぞれの意見を述べる我がかしましシスターズ ………ネーミングセンスが微妙? うっせぇ!! 「実家主催の大会に出るのはなんだかなぁ~って感じだからな。バトルカップ参加はパスだ」 俺は社長室で思ったことと同じ理由を述べた たとえ上位に入ったってあんまり嬉しくないような気がするんだよなぁ…… 「じゃあ…兄さんは大会に来てくれないの?」 いつの間にか『燃えモード』の熱が冷めている葉月が悲しそうに訊ねてくる 昴達もさっきまでのテンションはどこえやらと言った感じ… そんなに俺達が出ないことが残念なんだろうか? と少しの罪悪感を感じる 「いや、大会には行くつもりだ。御袋からバトルカップの解説者役を頼まれてるしな」 「あ、そう言えばそうでしたね…」 大体、今日本社まで呼び出されたのはそのためだったのだ ついでに知り合いのショップや関係者に宣伝してくれって言われたけど…どうしたもんかねぇこりゃ… 「でも明人様…たしか伊織さんにはお断りしてらしたじゃありませんか…本家の手伝いは遠慮するって…」 そりゃそうなんだがなぁ…… 自分の母親に泣きつかれて(子供の様にだがな…)聞かなかったことにするほど俺は鬼畜じゃねぇし… 「まぁ、ちょっとした気まぐれだよ、気まぐ…うわぁ!! むぐぅ…」 気がつくと俺は香憐ねぇに抱きしめられていた 「明人様…ご成長なされて…香憐は…香憐はうれしゅうございますぅぅぅ!!」 (ちょ、香憐ね…ぇ…息…息ができ…ねぇ…!!) 香憐ねぇは美人な上にスタイルもいい その大きめのバストに顔を押し付けられて俺と葉月は何回呼吸困難に陥ったことか… あれはちょっとした恐怖だぞ、死の恐怖… 「むぅ! むぐぐぅ!!」 早めに香憐ねぇの背中にタップして危険な状態であると必死のアピール 俺のSOSに香憐ねぇは我に返り、慌てて俺を解放すると「申し訳ありません…」と小さくなった 香憐ねぇは感動すると毎度コレをやる 被害者の俺や葉月はこのパターンにけっこう慣れてしまっているのだが 「ゴホッ、ゴホッ……あぁ~それにだな。皆が行くのにコイツラだけお預けってのも…なぁ」 涙目になりながらも三人のイベント参加を許可してやる 「よかったですね。お姉様方」 「私達は観戦だけどちゃんと見させてもらうわねレイア、ラン」 「は、はい! ノア御姉様!」 「おう、頑張れよ孫市!」 「は! ユーナ姉上、見ていて下され」 それから皆で大会についての雑談に花を咲かせる そんな中、突然ミコが俺に向かって走って来たかと思うと… 「うにゃぁ~~~ご主人様ダイスキ~~~!!」 という絶叫とともにテーブルから俺目掛けての大ジャンプ 避けるわけにもいかない俺の胸に両手でガシッとしがみ付いた 「あ、コラァ! アネ……キ……」 ミコに怒鳴ろうとしたユーナの声が何故か途中から小さくなっていく 不思議に思いその視線を辿っていくと… 「……え~っと…ミュリエル?」 俺の右肩に座り、俺の頬に体を預けてもたれかかっているミュリエルに行き着いた いつの間に………ってかなんで?? 「…ミコ、ユーナ……戦場はいつも非情…」 ミュリエルが放つ、またしても挑発的で勝ち誇ったようなニュアンスの台詞にショックを受けていたミコとユーナであった… 追記 「ご主人様、参加者募集活動をするんですか?」 「ん? あぁ、まぁな。集めるのはバトルカップ参加者とブース出展参加者の二通りだ。まぁ、ちらっと知り合いでも声かけてみるだけでいいんだとさ…なんとかなるだろ」 「………少し楽天的過ぎませんか?」 「それは俺じゃなくてジジイに言ってくれ」 続く メインページへ このページの訪問者 -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1188.html
「トリッキーな攻撃で相手を翻弄させるルーナで」 「あら、アタシを選んでくれるのね。嬉しいかぎりだわ」 右肩で、しなやか身体を動かしながら喜ぶルーナ。 まぁ喜んでくれるのは嬉しい。 だけど他の三人は少し残念そうな感じだ。 『後で他の奴等と戦うから、その時にな』と言うとパア~と明る表情になる神姫達。 さて、そろそろ対戦するか。 装備…よし! 指示…よし! ステータス…よし! ルーナを筐体の中に入れ、残りの神姫達は俺の両肩で座ってルーナの観戦をする。 「ルーナ、頑張れよ!」 「勝ったらご褒美くださいね、ダーリン!」 「油断しないでしっかりね。頑張るのよ、ルーナ!」 「負けるじゃないよ!一番最初の闘いなんだからな!!」 「ルーナさんー!頑張ってください!!」 「まかせなさい」 ルーナは少し淫靡な笑顔を俺に見せ筐体の中へと入って行く。 気がつくと俺は両手で握り拳をつくっていた。 いつになく俺の心は興奮していたのだ。 何故だろう? 多分、誰かを応援している事によって熱くなっているのかもしれない。 それとルーナに勝ってほしい、という気持ちがある…かもなぁ。 俺は筐体の方に目を移すと中には空中を飛んでいる二人の武装神姫達が居た。 READY? 女性の電気信号がの声が鳴り響き、一気に筐体内の中に緊張が走る。 勿論、外に居る俺達もだ。 FIGHT! 闘いの幕があがった。 お互いの距離150メートルからスタートして、敵のストラーフが接近しルーナは…あれ、ニコニコと笑いながら戦闘態勢にもはいっていないでその場で静止し続けている。 おいおい、これじゃあどう見たってルーナの方が不利だ。 出遅れもして更に武器すら構えていない。 いったいどうゆう事だ? 何か秘策でもあるのだというのか? 「はああああぁぁぁぁーーーー!!!!」 敵のストラーフがDTリアユニットplusGA4アームに付いてるチーグルで攻撃しようとした。 そこでルーナがクスッと笑い、背中に隠していたクライモアを取り出した。 ガギン! チーグルとクライモアがぶつかって鈍い音が聞こえる。 ルーナの奴、何時の間にあんな武器を隠し持っていたんだ? まぁ確かに装備させておいたけど…。 「残念でしたね~。そんな安直な攻撃では、あたしに届きませんよ」 ニッコリ笑うルーナ。 余裕綽々みたいだ。 あの自信はいったい何処から湧き出てくるんだろう。 「チッ!」 一度、ルーナから離れる敵のストラーフ。 ルーナの奴はクスクスと笑いながら追撃しない。 何故なんだろう、絶好の攻撃のチャンスだったのに。 「次はちゃんと攻撃してくださいね」 「クッ!バカにしてー!!このーーーー!!!!」 シュラム・RvGNDランチャーを準備しルーナに狙いを定める。 その間のルーナは…。 「あら、物騒な武器ですわね」 笑みを浮べながらビルの背にして移動する。 ちょっと、オカシイだろ! 普通、回避行動をしたり接近したりビルの背後に隠れたりするだろうー! なのに何故逃げづらい場所に行くのかな~。 訳解らん。 「クラエー!」 「当たればの話ですけど」 ドンー! シュラム・RvGNDランチャーから発射された弾がルーナを襲う。 でもルーナは避けようとする素振すらしない。 このままじゃヤバイ! 「避けろー!」 ドカーン! 俺が叫んだ直後、ルーナの背後にあったビルが爆発する。 煙がモクモクと噴出しルーナが何処にいるか解らない。 もしかしてシュラム・RvGNDランチャーの弾に命中し吹き飛び、ビルに当たったんじゃ…。 「あらあら。駄目でしたね~」 「えっ!?」 突如ルーナの声が聞こえた。 でも姿が見えない。 煙の中にいるのか? あっ! ルーナの奴、いつの間にか敵のストラーフの背後に居て右腕を回し、短剣のグリーフエングレイバーをストラーフの首に突きつけている! 何時の間にあんな所に居たんだ? まるで忍者みたいだ。 敵のストラーフは急所を突きつけられているので身動きが取れない。 寧ろ動いたらルーナに攻撃されると思っているのかもしれない。 「もう一度チャンスをあげます。次の攻撃で、あたしに命中しなかったら…貴女は負けます。いいですか?」 そう言ってルーナはストラーフから離れる。 また絶好のチャンスだったのに攻撃もせずに…だ。 完璧に相手の事をおちょくっているな、あれは。 お~お~ぉ、敵のストラーフは顔を真っ赤にして怒っているよ。 こえ~コエ~。 にしてもルーナの奴はなんであんなにも闘い慣れているんだ? 今日が初めてのバトルだというのに…。 「さぁ…遠慮なく攻撃してくださいね♪」 ニッコリと笑い、どっから見ても無防備に見えるポーズをする。 敵に対して火に油を注ぐような行為だ。 挑発、と言えば簡単だろう。 「このー!」 敵のストラーフはカンカンに怒りながらモデルPHCハンドガン・ヴズルイフを乱射した。 『フゥ…』と溜息をつき、顔を左右に動かすルーナ。 呆れてるようにも見える…だがすぐに真面目な顔つきになり。 「…!」 ん!? 消えた!? ルーナが敵のストラーフに向かって突っ込もうとする動作が視認出来たがその瞬間、オバケのように消えてしまった。 勿論、乱射されたモデルPHCハンドガン・ヴズルイフの弾はルーナに当たっていない。 そりゃそうだ。 なんたって標的がいないのだから。 「どこ!?どこに言ったの!」 「…ここよ」 声がした方に顔を向けるストラーフ。 向いた方向…ストラーフの真上だった! しかも空中で逆立ちしていた、逆立ちというよりもただ単に上下逆に飛んでるようなものだ。 「残念でした♪機会があったらまた会いましょう」 ルーナが言い終わると何故か敵のストラーフは地上に転落していき、ゲーム終了した。 筺体に付いてるコンソールを見るとストラーフのLPは無くなっていた。 ルーナが右手に持っている武器を見ると短剣のグリーフエングレイバーを持っていた、逆手持ちで。 目には見えない早業でストラーフをグリーフエングレイバーで切り刻んだのか? まさかな…いや、やっぱりそのまさかもしれない。 後で少し探ってみるか。 俺の方の筐体に付いてるスピーカーから『WIN』と女性の電気信号の声が鳴り響く。 多分、相手の方では『LOSE』と言われてるだろう。 そりゃそうだ。 勝ちがあれば負けもある。 二つに一つ。 「ダーリン、勝ちましたよ。ご褒美くださいね♪」 筐体の中で俺の事を見ながら喜ぶルーナ。 俺も自分の神姫が勝った事が嬉しくて微笑む。 両肩にいるアンジェラス達も喜びはしゃいでいる。 そうか…。 これが武装神姫の楽しみ方か。 確かにこれは楽しい。 おっと、ルーナを筐体から出さないといけないなぁ。 俺は筐体の神姫の出入り口の中に手を突っ込みルーナを待つ。 数秒後、ルーナは優雅な足取りで俺の右手の手の平に乗った。 そのまま俺は右手を自分の目線と同じぐらい高さまで持っていきルーナを見る。 「お前…何であんなに余裕で勝てたんだ?今日が初めてのバトルだろ?」 「そうですよ」 屈託のない笑顔で答えるルーナ。 最初は何か隠してるようにも思えたが…気のせいかぁ。 「それより早く~。ご褒美頂戴♪」 「あ、そうだったな。っと言ってもなー。ルーナはどんなご褒美がいいんだ?」 「そうですね~…あたしのオデコにキスしてください」 「ナッ!?キスだと!?!?」 「駄目ですか~?」 どうしよー。 キスかぁー…。 う~ん、ここでもしルーナにキスしなかったら…。 ☆ 「オデコにキスはちょっと…」 「そうですか。じゃあ、あたしからしますねー。濃厚なキスを…ね♪」 「や、やめろ!こんな人が沢山いるところで!!」 「もう遅いです~!ブチュー~」 「ギャーーーー!!!!」 ★ …ここはキスすべきだろう。 嫌な予感しすぎて背筋がゾッとするからなぁ。 「解ったよ。キ、キスしてやるから目を閉じろ」 「わーい。さぁっ!目を閉じましたから早く!!」 あぁ~、本当にキスをするハメになっちまったぜ。 ここは我慢だ、俺。 羞恥心を無くせ! ルーナをオデコに俺の唇を近づけさせる。 神姫だからオデコの広さ凄く狭い。 下唇が触れるぐらいが丁度いいかもしれない。 …チュッ 「…ンァ」 よし! 狙い通りに下唇をルーナのオデコにキスした。 キスした瞬間を見た他の神姫達が。 「いいなぁ…。ご主人様、ご主人様、次の試合は私を指名してください。絶対勝ちますから!」 「あー!いいなぁ~ルーナの奴~。よし!!次の試合はボクが出る!!!」 「あの…私のバトルは最後でもいいので…もし勝ったら、お兄ちゃんのご褒美くれますか?」 両肩で何やらルーナに嫉妬しているように見える三人の神姫達。 そんなにご褒美が欲しいのか? まぁ今日はトーブン、ここにいるから一応全員バトルさせてやるか。 すぐさま唇を離すとルーナが不満そうな顔しながら。 「あれで終わりですか?キスした瞬間、舌で舐め回してもよかったですのに」 「俺はそんな事しね~よ。つか、舐め回してって…」 「ダーリンの意気地なし。でも一応、キスしてくれたから許してあげます。気持ちよかったですし」 「許すもなにもないだろ。だぁー疲れた」 本当に疲れた。 体力が、というよりも精神的に…。 まぁいいか…、ルーナが気持ち良くなるのなら俺はなにも文句は言わん それにキスした時のルーナは可愛いかったし。 またキスしたくなるような表情だった。 ここでまた再びルーナのオデコにキスをすると乗っている三人に何されるか解らないのでキスはお預け。 ルーナを両手から右肩に移動させ、俺は次の筐体に向かった。 闘いはまだ始まったばかりだ。 「さぁ行くぞ!俺達のバトルロンドの幕開けだー!!」 こうして俺達のバトルロンドがスタートした。 そしてこの日からルーナの二つ名が出来た。 名は『刹那を操る者』…。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1151.html
夏の夜のけだるい空気の中で、僕は呆然と目の前にいる男たちを見つめていた。しとしとと降る雨、水蒸気と排ガスを含んだ都会の空気、夜のアスファルトから上がってくる妙にひんやりとした湿気、行き交う人々の雑踏、ごうごうとうなる車のロードノイズ。それらが一気に背中から襲いかかってきたような気がした。 目の前にいるのは、成人男性が二人。一人はGパン、シャツにざっくりとしたニットのタイ、麻のサマージャケットを着ている。年齢は恐らく三十代だろう。でも、そっちはまだよかった。問題はもう一人だ、いい歳をした成人男性のようだけど、夏だというのに肩口にケープ状のヒラヒラが付いた真っ黒なコートを着ている(後で調べたら、トンビ、と言うらしい)、それだけでも驚きだけど、とどめに派手な形をしたオレンジのヘッドギアを被っていた。 さすがにこれにはあきれてしまった。 「本当にあの人たち…、いや、どう見てもあの人たちなんだろうけど、大丈夫なのか」 胸ポケットにささやいた。すると。 「ああ、彼じゃないのか」 「そうなのであーる! 情報とおりなのであーる!」 ………見つかっちゃったよ。 「大丈夫ですよ、主。私たちを信じてください」 胸ポケットから、遅れて返答がかえってきた。応えたのは、武装神姫と呼ばれている身長15㌢のフィギュアロボだ。個体名はシラヌイ、忍者型MMS。今日、僕は彼女に乞われるまま、この場所に来ることになった。 そのいち。 大学の講義を終え、アパートに戻ると、サイドテーブルに置いてあるチェス盤に向かった。 もう何敗したか数えるのもイヤになっていた。まだ序盤、お互いのポーンが盤上に展開していた。 「もうお帰りになったんですか」 机の上、ノートパソコンの脇から声がした。チェスの対戦相手を務めてくれている、武装神姫のシラヌイだ。忍者型独特の黒にメッシュのボディスーツが、彼女の小柄な体躯を強調していた。が、見かけとはうらはらに、彼女が指してくる手は非情そのものだ。ま、僕がそうするようにと指示したのだけど。 「うん、講義も終わったから、やることもないしね」 「主、せっかく大学に入られたのですから、お友達を作られては」 またか。 僕は大学の学生連中が嫌いだった。なぜかと問われれば理由はないけど、どうにもソリが合わない。神姫サークルがあったけど、勧誘チラシのノリの軽さがカンに触った。 「いいんだよ。友達なんて無理につくるものじゃないだろうに」 そう言って、僕はチェス盤をにらんだ。 「でもー」 「もうその話はいいよ」 シラヌイはあきらめたように、一拍置くと、話をチェスに切り替えた。 「定石を学ばれれば、主ももっとゲームを楽しめるようになりますよ」 「いや、いいんだ。それって、初回から攻略本を使ってゲームをするようなもんじゃん。何か、タネをばらされてから手品を見せられているようで面白くないんだ。まずはある程度チェスの感覚を掴んでから、と思っているのだけど」 「確かに、主の意見も一理ありますね」 僕はポーンをひとつ、動かした。彼女はそれを見ると、自陣のナイトを抱え、他の駒を倒さないようにぐるりと回って配置をした。それを見て、また頭を抱えることになった。もう身動きがとれない。その様子を見て彼女が漏らす。 「だから、定石を学んでください、と申し上げているのです。単純に相手の駒を取ればよい、というものでもありません。どのようにして、自身に有利な布陣を敷くことができるのかがポイントなのです」 「うーん、見ていて、とりあえず最前線っていうかキーポイントになる駒には常にバックアップが付いていることは理解したよ。それがいつでも出来る体制をつくるって言うのがー」 僕は改めてそのナイトが置かれた位置を見る。ここからがいつも問題なんだ…。 「そこまで理解されているのなら、次の段階に進まれてもよいと思うのですが」 そんな彼女の声を聞きながら、違和感を感じていた。その違和感の原因はすぐに解った。いつもなら、彼女は自分の手を打ち終わると、長考のジャマにならないように机の角に腰掛けて、こちらがどんな手を打つのかと眺めているはずだ。でも、今日の彼女は盤の周りをチョロチョロと動き回っていた。いつもと違う動きだ。 「なぁ、何かあったの」 そう尋ねても、彼女は何かを言いよどんでいるような曖昧な返事をするだけだった。明らかにおかしい。僕は彼女に向き直ると改めて尋ねた。 「何かあるのなら、はっきり言ってよ」 命令することもできたけど、それは最後の手段としてとっておきたかった。 ちょっと間をおいて、彼女が口を開いた。 「実を申しますと、主に野良神姫の保護をお願いしたいのです」 「はい?」 空いた口がふさがらない、とかなんかそんな感じ。 武装神姫はその起動時に、その所有者である「マスター」の登録をし、それは一般には変更が出来ないことになっている。だけど、なぜか、マスターの元を離れて暮らす神姫、野良神姫がいる、という話は耳にしていた。でも、実際に確認されたという話は聞いたことがなかった。すっかり都市伝説とかそーゆーものだと思っていたのだけれど。 話を聞いても、まだ信じられない、と言うか、ますます信じられなくなってきた。僕が部屋を空ける時、彼女はクレイドルでスリープモードに入っていたりする。その状態で彼女たちはパソコンの操作ができるし、僕自身、彼女がパソコンを利用することを許可していた。パソコン自体の保守管理を任せられるし。で、彼女によると、ネット上には何カ所か、神姫同士が情報交換をする場所があるのだ、という。どうやってその場所を知ったものか、彼女もそこによくアクセスしていたのだとか。そこでこんな情報が上がってきた。曰く「野良神姫を発見した。でも、自分のマスターは小学生なので、保護を無理強いするわけにはいかない。どうやらイリーガル崩れらしいので、そのまま放っておくわけにもいかない」と。その書き込みに複数の神姫が「ウチのマスターなら協力してくれるかも」と名乗りを上げた。その一体が自分である、と。 ちなみに保護した神姫のために野良神姫専門の保護施設などがあり、また、イリーガルなど著しい改造が施されていた場合には、神姫専門のラボに送られるのだそうだ。 「で、イリーガルって? なんかイヤな予感がするンだけど」 「相手神姫の破壊を勝利条件にした、いわゆる闇バトルというものがあります。それに参戦するためにチューンされた神姫がイリーガルです。出力の向上が図られているほか、武装も実際に相手神姫を破壊することを主目的とした相応の威力のものを装備しています。また………当然、公式戦には参加できません」 さらりと恐ろしい台詞を言ってのける。 さて、どうしたものか。ただ、そのときは面白そうだな、と思った。 「よし、じゃぁ、もう一度詳しい情報を集めてくれ。ヤバげな武装をもっているようなら止めだ。でも相手が単体なら、何人かで協力すれば保護できるかもしれない」 そして、数日の打ち合わせを経て、僕を含む三人が今回の野良神姫保護をすることになった。 そのに。 ここは都心のとある駅前。前もって打ち合わせていた通り、二人の男性が僕を待っていた。 ただ、その男たちは僕の想像していた神姫のマスター像を色々な意味で裏切っていた。 一人はどうみても三十代の男性。武装神姫のマスターって、僕と同じくらいの大学生かと思っていたのだけど。で、もう一人がまたこれは別の意味で問題だった。夏なのに、真っ黒なコート。それだけでも不審者の必要十分条件を満たしているのに、とどめにヘンテコなヘッドギアを被っているときた。でも、時々、奇異の目を向ける人はいるものの、街行く人々はほとんど関心がないように二人の周囲を通り過ぎていく。ま、ここまで来て帰るのももったいない。 「どうも、こんばんわ」 まずはあいさつ。ジャケットを着た男性が僕に声をかけた。 「えーと、忍者型、シラヌイのマスターさんだっけ。侍型の椿のマスターだ」 うん、どうやら普通の人みたいだ。ジャケットの胸ポケットから顔を出した神姫がこちらに会釈をした。で。 「よし、我が輩は世界征服をたくらむ悪の秘密結社、ねこねこ団のー」 やっぱりコイツが問題だった。ヘッドギア男は右手を高々と上げ、ジェスチャーたっぷりに、カン高い声で演説のような自己紹介を始めた。ねこねこ団と言われて気がついたけど、彼のヘッドギアは猫型MMSが標準装備しているそれを模したものだった。事前に侍型、猫型のマスターが来るとは聞いていたけど、これはそうとう重傷だな。 「なぁ、ちょっと声を下げないか」 椿のマスターが低い声で文句を言った。 「何を言うか、貴様、せっかくこのような雑踏で我が輩が…」 反論しかけて、コケた。椿のマスターの胸元に顔から突っ込む。 「オイ、ひっつくなよ。気持ち悪い」 片手で男の顔をぐいと押しやる。まおちゃお団員の彼は、今度はよろめきながら僕の方へ倒れ込んできた。僕よりも少し背が低いだろうか。 「ちょっと、止めてくださいよ」 僕は両手で彼を押し返す。っと、行き着く先はまたもや椿のマスターの胸元だ。 「だから、くっつくなって」 「来ないでくださいよ」 「ちょ、止めるのであーる」 まおちゃお団の彼は僕らの間で、右に左にと押しやられていた。ーと。 「もういいかげんにするのだ。野良神姫の話はどうなったのだ」 声とともにヘッドギアの陰から、猫型がもぞもぞと姿を表した。 「そうですよ、マスター。この方の服装や行動がいくら社会規範から外れているからといって、遊ぶのはこれくらいにしてください」 椿が声を上げた。けっこう、ポイズン。 「………あー、ゴメン。遊びすぎたわ」 「状況を確認しよう」 椿のマスターが言った。ここは、駅にほど近いファーストフード店。僕らはそれぞれ好みの飲みものを片手に、椿のマスターが配るプリントを眺めていた。僕はウーロン茶、椿のマスターはコーヒー、ヘッドギア男はオレンジジュースだ。テーブルの上にはシラヌイたち、三体の神姫がこれからの話を待ち受けていた。 「野良神姫は廃ビルで生活をしている。目撃情報によると、情報提供者の神姫の呼びかけに対して、例によって通常の神姫が取るとされる対応からは、えー、大きく逸脱した行動をした。それで、イリーガルではないか、と。今のところ目撃されているのは種型一体。目標がいるビルの見取り図は今渡したプリントにある。これは野良神姫情報を流してくれた神姫からのものだ」 ビルはクルマ三台分の駐車スペースを備えていて、敷地に多少のゆとりがあり、その周囲は塀で囲まれていた。シラヌイと猫型(そういえば名前をまだ聞いていないぞ)はプリントの見取り図を挟んで、椿からレクチャーを受けていた。猫型はヘッドギアをしているだけだったけど、ボディ・スーツは特注ぽい。椿はベージュのスーツ姿。彼女が動くと、侍型の基本の髪型であるポニーテールが揺れる。シラヌイにも何か服を買ってやるべきなのだろうか。 さて、問題の部屋は通用門に面した当直室のようだ。 「神姫が出入りに使っているのは、建物裏の窓だ。赤い丸印があるだろ。その窓がある一室しか使われていないようだ。基本的に昼間は建物の中にいて夜になると出かける。何やら金属片や電子部品なんかを集めているらしい。お出かけの時間は決まっている。今日はその時間に合わせて、対象が外に出た瞬間を狙って保護をする。情報提供者が、出入り口にメッセージを残してくれているとはいうけど、それに応じてくれるとは思わない方がよさそうだ。特に武装は確認されていないとのことだけど、ま、イリーガルのようだし、最悪、保護しきれないかもと考えておこう」 「それは、仕方ないのである」 ヘッドギア男が先ほどまでとは打って変わった、しんみりとした声で応えた。 卓上の神姫たちも沈痛な面持ちでお互いを見つめ合っていた。 なんだか僕だけ仲間はずれみたいだ。 「あの…、イリーガルってそんなに普通の神姫と違うんですか。保護しきれないって、そのときはどうするんですか」 椿のマスターが意外そうな顔をした。 「おい、まさか何も知らないで来たのか」 すかさずシラヌイが割って入った。 「申し訳ありません、皆さん。主、これは私たち神姫にとって大きな問題なのです。イリーガルは勝利の条件として、常に相手神姫の破壊を命じられています。その一方で私たちには同胞を想う感情やバトルをする上での禁止事項がプログラムとして存在しています。だから…」 「だから?」 「イリーガルのほとんどが、メインフレームレベルでプログラムに改ざんを受けている場合が多いのです。そのためのツールも出回っています。それは私たち神姫の意識、精神を破壊することでもあるのです。だから、神姫同士の呼びかけに対する反応や立ち居振る舞いで、ある程度の推測は可能なのです」 う、う、う。これは思った以上に難しい問題をはらんでいるぞ。 「まぁ、ヤーさんがバックにいる賭博の一種だし、知らないのも仕方ないけど。有名な話が去年の闇バトルだ。ヤバすぎるチューンをした神姫がバトル終了後に何をトチ狂ったか、自分のマスターに攻撃して、そいつ、頬の肉をごっそりもってかれたらしい」 「それは神姫にとっても、人間にとっても、良いことではないのであーる。そのためにねこねこ団としても野良神姫やイリーガルの捕獲について積極的に活動をしているのであーる」 「警察に通報すればいいんじゃないですか。何もこんな危険なことをしなくても」 「そしてイリーガルの存在が公になったらどうなると思う。下手したら、武装神姫だけでなく、神姫という商売自体が成立しなくなる可能性だってあるんだぜ。神姫を造っている会社や従業員、神姫ショップだって、直営のものから零細の個人経営のものもある。この国内でも万単位の人間が神姫に関わる商売でメシを食っている。神姫は本当に広がりすぎた。今更、神姫を『無かったこと』になんてできないくらい社会に浸透しているんだ」 「それに」と椿が口を添えた。「私たちとしても姉妹がそのような扱いを受けているということを見過ごすわけには参りません」。続いて猫型ー、マオチャオタイプも「そーなのだ。これはニンゲンにとっても神姫にとっても大問題なのだ。だからカイシャだって支援してくれてるのだ」と言葉をつないだ。 何だって? 「カイシャ」? どこの? 脳裏に神姫のメーカー名がずらりと並んだ。 「ばかもの! それは軽々しく言ってはいけないと話しておいたではないか」 ヘッドギア男がマオチャオタイプを小突いた。椿のマスターが苦笑しながら言った。 「まぁ、今の一言は追求しないほうがいいと思うよ。で、まだ君の質問にひとつ応えてなかったけど、保護しきれない場合はー」 「見逃すんですか」 「いや、破壊する。そのための道具も色々と用意している。椿」 名前を呼ばれた彼女が何かを受け取った。それは神姫サイズの日本刀だけど、標準武装のものとは違う。 武装神姫と言っても、玩具として流通している以上、装備している武器は、その実物をダウンサイジングしたものではなく、あくまでも玩具の範疇に収まるものになっている。もちろん悪魔型の副腕はロボットアームとして機能するし、天使型はその羽で飛ぶこともできる(原理はしらないが)。でも、武装は別だ。銃火器の類いは単なる樹脂の固まりで、刀剣類には刃などついていない。ただ、内部にチップが仕込まれていて、バトルフィールドで、そのチップに応じたエフェクトが投影される。そういう仕組みだ。 でも、目の前の神姫が抜いて見せてくれたそれは、鈍く輝く金属の刃身。公式戦では使えない武装だ。 「こーゆーのもあるのだ」 マオチャオタイプが両手に武装を掲げていた。一見標準武装の研爪(ヤンチャオ)に見えるそれは、爪の部分が金属の棒に変更されていて、コードがバックパックとおぼしき箱に伸びていた。 「これは?」 「強力な電磁パルスで神姫を一時的に動作不能にする装備である。我が輩の傑作なのであーる」 「まぁ、大体それでケリが付くよな」 「お陰で私も実際に姉妹に向けて刃を振るうこともそうありませんし」 「その通りである。貴様はもっと我が輩に感謝するべきなのであーる」 「感謝するのだー!」 どうやら、この二人(と二体)はこれまでに何度か野良神姫、イリーガルの保護をしているらしい。僕は憮然とこちらを見上げているシラヌイを見返した。 「完全に場違いじゃないか。武装は確かに用意しているけど、それは兎型のアーマーとかそんな程度だ。シラヌイ、一体君はこの場で何が出来ると思って僕をこんなところまで引っ張り出したんだ」 「申し訳ありません。主」 すかさずシラヌイが頭を下げる。そして、沈黙。 気づけばテーブルの全員が僕を見つめていた。 「それは君が決断したことだろ。君が決断してここまで来た。彼女に無理矢理連れてこられたわけじゃないだろ」 「私もイリーガルの概要について説明をしたと聞いていましたが。その上で来られたのではなかったのですか」 椿とそのマスターが静かに僕を責めた。 「そんなこと言っても、ここまで危険だなんてわかるわけないでしょ。初めてなんだし」 「それは言い訳なのであーる。神姫から情報を得た時点で自ら考えるのがマスターの果たす役割のひとつなのであーる」 「そーなのだ、そんなんじゃマスター失格なのだ」 今度はヘッドギア男とそのマオチャオタイプだ。 「何なんです、皆で。大体、シラヌイが…」 「も、申し訳在りません、主」 また、シラヌイが頭を下げた。 「もういいのだ、少年。神姫には人間に従うプログラムが高いプライオリティで設定されているのである。責められたら、神姫はマスターに対して頭を下げるしかないのであーる。己の神姫にそのような行動を取らせるようでは本当にマスター失格なのであーる」 更にもまして気まずい沈黙が僕を包んだ。 「なぁ。考えてみろよ。さっきの話と矛盾するけど、こんなの、本来は人間がやってしまえばいい話なんだ。メーカーが動けばビルの所有者に迷惑料兼口止め料でも払って、とっとと回収することも不可能じゃない。各省庁にだってコネはある。スポンサーとしてマスコミを押さえることは出来る。でも、それをしないのは、神姫たちが心を持っているからだ。そのことをメーカーも認めているからだ。ただ、神姫が自分たちだけで活動しようとしても、人権も法的裏付けも何もない以上、単独で何かを、なんて出来ない。マスターたち人間がバックアップして後ろ盾になってやるしかないんだ。今の彼女たちだけではどうにもならない部分を俺たちが補うしかないんだよ」 コーヒーに口をつけると、椿のマスターは淡々と言葉を続けた。 「さて、どうする? 仮にここで君が棄権しても誰も責めることはできない。ま、読みが甘かったと言われるかも知れないがそれはあきらめろ。でも、君がその気なら、こちらも貸し出す武装や装備はある。君が決めろ。時間がない、一分だ」 僕はこの彼の言ったことを反すうした。どうやらチャンスをくれる、ということらしい。しかし、神姫に心があると改めていう言葉を思い出し、僕は彼女との付き合いを思い返していた。 今まで、別にトラブルもなく、彼女との生活を送ってきた。その内容はどうだろう。僕は彼女にパソコンのメンテやら、ネットを通じた口座の管理に神姫バトルと色々してもらっている。でも、僕が彼女に何かをしてあげたことがあったろうか。僕は、神姫に心があることは知識として知っていても、実際にそういう存在として彼女を、シラヌイを扱ったことがないんじゃないだろうか。 「やります。このまま帰ってはシラヌイにー。上手く言えないけど、彼女にヒドいことをしてしまうことになってしまう」 沈黙。 「もうすでにしてるのだ、少年よ」 ヘッドギア男がつぶやいた。 僕は、テーブルの上のシラヌイを見た。彼女はただただ申し訳なさそうにうつむいていた。本当に、僕は、ダメだ。情けない気持ちで一杯になった。なんで、こういう他の人が普通に気づけることに僕は気づけないんだろう。今までもそうだったけど、これからも未来永劫そうなんだろうか。 「君、人付き合いが苦手だろ」 椿のマスターだ。 「苦手って言うか、解らない。違うかい?」 さっきとは変わって、口調や態度が少し優しくなっていた。 「はい、解りません」 そうだ、これまでだって、そうだ。真摯に対応しようと思えば思うほど、相手はどんどん冷ややかになっていく。そしてお決まりの台詞だ。「もういいよ、そういうことが解らない人にいてもらいたくない」と、そう優しく言われるんだ。どうしてだろう。本当に解らない。ああ、ここでの僕も終わったな。そう、思った。 でも、違った。 「そんな自分を良い方向に変えていきたいと思っているのかい」 僕は一瞬ぽかんとして、それから、答えた。 「はい。そう思っています。でも…」 「『でも』は、いい。来い。さっきそう君が言ったんだ。装備は貸してやる」 椿のマスターはそう言い切った。 「良いのであるか?」 「誰にだって初めてはあるだろ」 「いや、しかしだな」 「言っておくけど、お前さんと初めて組んだ時は酷かったぞ」 「………それは言わない約束なのであーる」 彼らのやり取りを尻目に、僕はシラヌイに頭を下げた。 そのさん。 その三階建てのビルは、僕が想像していたより、ずっとこじんまりとしたものだった。繁華街からちょっと離れた住宅街。ところどころに事務所やセレクトショップが立ち並ぶ、ちょっと小洒落た場所だ。今は使われていないその建物は街頭の光も吸い込んで立ちつくす真っ黒な壁のようにも思えた。 門にある鉄パイプで組んだバリケードを、ふたりは身軽に乗り越えて敷地に入っていく。僕もそれに続く。 僕らは門柱の陰に座り込んで、シラヌイたちの準備を始めた。 「あのー、すみません。今日の保護活動をされる皆さんですね」 頭上から響くか細い声に、全員が腔を見上げた。そこにはエウクランテ型の神姫が羽をつけて浮遊していた。 「最初に皆さんにご相談させて頂いたオーディーヌです。今日は本当にありがとうございます」。全員に向け頭を下げた。「今日は私はお手伝いをすることができません。でも、皆さんがあの神姫を無事に保護できるようにと、私のマスターと祈らせて頂きます」 神姫はどんなカミサマに祈るんだろう。そんなことを考えていると、そのエウクランテ型ー、オーディーヌは僕の名前を呼んだ。 「シラヌイさんから聞いています。危険を伴う今回の保護への参加を、初めてであるにも関わらず、決断されたそうですね。シラヌイさんもそのことを誇りに思っていらっしゃると思います。是非、良い結果を残してください。私たち神姫のわがままに付き合ってくださって、本当にありがとう」 そう言うと、オーディーヌはふわふわと飛んでいった。 「シラヌイ」 「はい、主」 ヴァッフェバニーの装備に身を包んだ彼女が応えた。 「僕は、君が望んだことを君が成し遂げられるように、君のバックアップをする。だから、君は構わずに正しいと思ったことをしてくれ」 「はい、主。お任せください」 そう言って微笑んだ彼女の顔は、なぜか儚げに見えた。 「さて、お姫様が城から出てくる時間だぞ」 椿のマスターが言った。シラヌイたちはそれぞれの位置についている。シラヌイはヴァッフェバニー装備に、椿のものと同じ日本刀、マオチャオタイプは標準装備の鎧に先ほどの電磁パルス武装、椿は最初から着ていたスーツ姿のままだ。椿が説得し、それに失敗した場合、マオチャオが仕留める。シラヌイの役目は相手神姫が逃げようとした場合に退路を断つことにある、らしい。らしい、というのはこの役割分担が神姫同士の話し合いで決まったからだ。三体はそれぞれ、小型のCCDを肩に載せていた。その画像は、ヘッドギア男のノートパソコンに送られる。 僕らも黙って見ているわけではなかった。ヘッドギア男のノートパソコン脇にはSMGタイプのエア・ガンが地べたに置かれている。モノ自体は市販のものと変わらないが、弾が違う。硬度と重量を増した、特殊BB弾、もしくは神姫のボディに当たっただけで砕ける、(対神姫)非殺傷弾の二種類がマガジンで用意されている。椿のマスターが持っているのも同じくエア・ガンだ。ただし、こちらはアメリカのサバイバル・ゲームで使われている、大型のペイント弾を扱うタイプだ。こちらも弾は通常のペイント弾ではなく、いわゆるトリモチ、粘着弾が入っている。通常、対象の神姫が着弾点から半径二十センチ以内にいれば確実に動きを止めることが出来るそうだ。そして僕が持っているのが、彼ら曰く「捕獲銃」だ。仕組みはバネの力でミサイルを飛ばすオモチャなのだけど、五十センチ四方の金属製の網を飛ばす。有効射程は一メートル五十センチ。発射後、スイッチを入れると、瞬間的に高圧電流を流し、ネットに捕獲された神姫の動きを一時的に止めることが出来る、という。 僕らは敷地の隅に集まって、ヘッドギア男のノートパソコンの画面を覗き込んでいた。 「今日の主賓が登場したのであーる」 椿のCCDから送られてくる画像に対象に神姫の姿が映っていた。そして、それはあまりにも異様だった。その神姫は四つん這いの姿勢で画面に向かってカチャカチャと進んできた。椿の声が聞こえた。 「こんばんわ。私は椿と言います。少しあなたとお話がしたいのですが、よろしいでしょうか」 相手神姫は情報通り、武装はなし。種型の基本装備のブーツと腰回りのアーマーだけのようだ。声をかけられた神姫は無表情のまま首を傾けた。椿が言を継ぐ。 「もし、あなたのマスターがいらっしゃらないのであれば、あなたにとってもメリットのある解決方法をー」 いきなり、種型が画面に向かってジャンプした。これを受けて、シラヌイとマオチャオタイプが動いた。 椿はその場で姿勢を崩さずに、素立ちの姿勢から真上にジャンプ。ジャケットの裾から背中に隠していた日本刀が地面に落ちる。空を切る種型の手刀。マオチャオタイプがかけ声と共に種型に迫る。 「おとなしくするのだー!」 画面がいきなりブラックアウト。シラヌイの映像を見ると、まるで人間が神姫を掴んで投げ付けたような勢いで、種型の蹴りを喰らってすっとぶマオチャオタイプが見えた。ノーマルの神姫同士が本気でバトルしても到底こんな力は出ない。その間に空中でバク転を決めた椿が初期位置から十センチほど後方に着地。そのまま自分に向かって倒れ込んでくる日本刀を掴んで、抜刀する。 「行くぞ」 椿のマスターの声を聞いて、何も考えられないまま、ダッシュ。現場へ向かう。 椿と種型が交戦状態にあるのが見えた。シラヌイとマオチャオタイプの姿は見えない。どこだ? 「構わん、撃っちまえ。椿は巻き込まれても大丈夫だ。撃て」 遅れてきた椿のマスターが言う。一瞬、ためらう。種型が椿の腕をねじり上げて、武装コネクタの部分から腕を引っこ抜いた。その手に握られた日本刀を手に、種型は今度は僕に向かって跳躍してきた。 「撃てよ、オイ!」 エアガンの連射音が響く。ヘッドギア男のSMGを椿のマスターが撃っていた。何発かが命中したものの、種型はボディの表面ではじける弾には構わずにコチラへ向かって飛び込んでくる。 と、目の前に何か黒いものが疾った。鋭い金属音が響く。 種型はぼとりと僕の目の前の地面に落ちると、背後を振り返った。そこにはシラヌイが地面に倒れ込んでいる。僕はすかさずトリガーを引いた。種型がネットに取り込まれる。電源のスイッチを入れると、種型は地面に仰向けに倒れ込みー。 「ーーーーーーーー!!」 声にならない音を上げ、手足をバタバタさせて暴れた。椿のマスターがトリモチを打ち込む。一発では動きも、声も止まらず、二発目、三発目でその動きがようやく止まった。声もくぐもって聞こえなくなった。 「シラヌイ!?」 僕の呼びかけに彼女は起き上がって応えた。 「主も、ご無事で」 ヘッドギア男も駆け寄ってきた。 「我が輩のねこ助は無事なのであるか」 椿がマオチャオタイプを背負ってやってきた。さっき、もぎ取られた腕は無事にくっついていた。無理な体制に持ち込まれることを嫌った彼女が、自らロックを外したのだろう。 「無事です。鎧が割れてしまいましたし、まだスタン状態にあるようですが、CSC及びコア・ユニットの損傷はありません」 そういうと、ヘッドギア男の手のひらに、彼のマオチャオをそっと乗せた。 「おーい。まだ仕事は残ってるんだぜ」 椿のマスターはトリモチの塊と化した神姫をビニールに包んで、そのまま金属のケースに入れてロックした。蓋に付いているLEDがチカチカと瞬く。このケースも神姫の保護のために用意されたもので、神姫に機能停止の信号を送ることになっている。機能停止は神姫が持たされている人間にとっての安全弁のひとつで、イリーガルも例外ではない。むしろ、イリーガルの方が暴走の危険性が高いため、改造を受けてもその機能は残されているし、二重三重に機能停止の手段が盛り込まれている場合すらあるという。 僕はシラヌイに近づくと、そっと彼女をすくいあげた。 気づくと、しとしとと降っていた雨も止み、夜空には都会の明かりにとけ込みそうになりながら星が瞬いていた。 そのよん。 駅前に戻った僕らは、屋台で祝杯を上げていた。椿のマスターとヘッドギア男は青島、僕はZIMAだ。路上に並べられたテーブルの他の席では仕事帰りのサラリーマンやらカップルやらがそれぞれの夜を楽しんでいた。 「今日はお疲れ」 ふたりがボトルネックを掴み、ビン底を打ち合わせて乾杯するのを見て、僕もあわててボトルを持ち直した。 「今日は君たちがMVPだな」 「おかげで助かったのであーる」 二人がボトルを打ち付けてくるのを受ける。チン、と涼やかな音がした。テーブルの上ではシラヌイたちが歓談していた。シラヌイは右腕に白いテープを包帯のように巻いていた。種型に突進したとき、ボディスーツを切り裂かれてしまっていたのだ。それを見た椿が包帯代わりの応急処置にとテープを巻いてくれていた。 「まぁだふらふらするのだ」 「けっこうな勢いで蹴り飛ばされましたからね。直らないようであれば、明日、センターで内部機構のチェックをするのが良いでしょう」 「イリーガルがあれほどの力を発揮するとは思いませんでした。私も認識が甘かったようですね」 それぞれが感想を口にする。 「本当に大丈夫なのであるか」 「内部機能の診断はおーるぐりーんなのだ。それよりも、今回は全く良いところがなかったのだ。もっと活躍できるように新しい装備を開発しやがれなのだ」 「あいや、今日は、シラヌイ殿に良いところを見せようとして無防備に突進したー」 「言い訳無用なのだ。わかったかなのだ」 一方的にやり込められるヘッドギア男の姿に周辺のテーブルの客たちからも笑い声が漏れた。 「責めないんですか、僕を」 椿のマスターに向かって言った。 「何を」 「『撃て』って言われたのに撃てなかった。そのせいでシラヌイにケガをさせてしまった」 彼は夜空を見上げ、考えるようなそぶりを見せて話しはじめた。 「今日、最初に会ったとき、さんざんだったよな。君は。でも、君は自分自身の考えで、自分自身をどうにかしたいと思って今日の活動に参加した。君は自分自身で解っているから」 「何をですか」 「自分には何かが欠けている、ヘンだ、とね。そしてそれをなんとかしたい、と思っている。例えば、今は、自分の行動を振り返って反省している。なら、次回から直せばいい。 最初に君も認めた対人関係が苦手な部分、結局それが神姫への不義理な扱いに繋がっているのだけどー、それだって直していけばいい。神姫は、人間だったら離れていくような行動をとっても、あくまでマスターについていく。君は君のシラヌイから人の付き合い方を学べばいい。ただ、彼女に甘えるなよ。学生だったらサークルのひとつにでも入って、そこで友達でもつくってー」 「それは、無理ですよ。ソリの合わない人が多くて」 「うん、でも、校内の学生全員と顔を合わせたわけじゃないだろ。騙されたと思って神姫サークルでも立ち上げたらどうだ」 釈然とせずに僕は黙り込んだ。 「ま、無理強いはしないが、動かないことにはどうにもならんだろ」 確かに、そうだ。今日のことだって、最初に僕が帰っていたら、こういう展開にはならなかっただろうし。 「はい。………学校には神姫のサークルがあるんで、明日、いってきます」 「最初から、上手く行くとは考えないでな。軽く話しを合わせて、そんなもんだ」 手の甲に、柔らかくひんやりとしたものが当たった。テーブルの上に置いた僕の手に、シラヌイが身を寄せていた。 「私もお手伝いさせて頂きます、主」 見上げるシラヌイに何と言ったら良いのかとちょっと考えて、答えた。 「ありがとう。これからも迷惑をかけることになるかもしれないけれど、良いマスターになってみせるよ」 「はい。私は常に主とともに居ります。これからも、主のために」 お互いに黙り込んだまま見つめ合う僕らに気づいたマオチャオタイプが、矛先をこちらに向けた。 「おお、なんかいい雰囲気なのだ」 「ちょっと、お止めなさい。大事な場面なのですから」 これは椿さん。とはいえ好奇心まるだしの表情でこちらを見ているのは何ですか。 「うむ、マスターとしての自覚を新たにしたのであるな。それでこそー」 ビール一杯で顔を真っ赤にしたヘッドギア男がまた、演説口調で話し始めた瞬間。 「うるせーよ」 「本当に、公共の場所での行動をわきまえない方ですね」 「今、良いところなのだ、ひかえおうろうなのだ」 「せっかく主と良い雰囲気でしたのに」 一斉に非難の声が飛んだ。 Das Ende.